○立木洋君 昨年の十二月からことしの一月にかけて、御承知のようにイラクが
国連が査察に入るという問題について拒否をするという態度をとって、非常に緊迫した
状況にあったんです。
それで、
アメリカの報道官なども、これに対しては何らかの
措置をとらなければならないとして何回も繰り返し発言していた
状況にありましたし、空爆も事によっては必要になるということさえ明一言していた時期の中で起こったことなんです。空母をペルシャ湾に派遣するということは、これは作戦行動なんです。いわゆる威嚇をして、そしてイラクに対する威圧を与えている。だから
一つの軍事的な作戦行動なんです。
ところが、御承知のように、マッカーサーと藤山の日米安保
条約上の口頭了解では、
我が国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての
日本国内の施設・区域の使用については、これは口頭了解として
事前にちゃんと
日本側に話さなければならないということが決められているんです。それが一月二十一日に行われたというふうなことでは、まさに数日前からその事態が明らかになっているにもかかわらず、それがそういう形になっている。これは
一つの問題として私は
指摘をしておきたいと思うんです。
この点から若干のこととあわせて言いますと、例えば
アメリカ海軍の横須賀基地に
アメリカの第五艦隊の潜水艦部隊の司令部が置かれています。第五艦隊というのは、御承知のように中東
地域における部隊です。そこの潜水艦の司令部が横須賀にある。また、横浜の
アメリカ海軍の上瀬谷基地にも同じように
アメリカの第五艦隊のP3C対潜哨戒機の司令部が置かれています。また、最近ですけれども、
インド洋のディエゴガルシアに対して物資を輸送するための米海軍の補給センターが横浜に設置されました。グアムから移転してきて設置をされております。
つまり、こういうふうに中東で行われる作戦の司令部あるいはその補給施設等々がこういうふうに
日本に集中しているという状態が
一つ生まれてきております。
それから、ことしの四月には、三沢基地からF16戦闘機が米軍の司令部の命令によって湾岸
地域へ十二機出動いたしました。去る五月七日には、在日空軍司令部の発表によりますと、第一八戦闘航空団、嘉手納の基地に所属しているF15戦闘機十八機を今月の下旬にペルシャ湾岸に派遣するということを発表しております。
中東へ
日本の米軍基地から派遣されるのは、一九九六年四月の日米安保再
協議を区切りにして、非常に顕在化した軍事行動になってきているということもこれまた事実であります。そして、これらは
国連決議に基づく行動ではありません。こうした軍事行動を相次いで行うということは、私はガイドライン体制の確立を目指している
状況とは無
関係ではないというふうに見ているわけです。
こういうふうに、中東における作戦司令部が
日本に置かれ、また中東に対するいろいろな作戦行動が空母インディペンデンスのみならず、F15からF16に至るまで出動していくということが事実上
日本の基地から行われている。こういうふうな状態になっていることは、中東の
地域まで含めていわゆる
周辺事態というふうに米側が判断するならば、それに対する支援活動を
日本側が行うということに事実上なるのではないか。
日本側は、いまだに
周辺事態の定義も
基準もまた
認定の手続についても明確に文書で発表されておりません。これは、
アメリカ側がそういうことを望まないから、この問題については依然として伏せ続けているんだろうというふうに推測されると思うんです。
しかし、現実には、先ほど申し上げましたように、
インドネシアのマラッカ海峡についても、事実上それは
周辺事態として検討されているという山崎拓政調会長の発言のみならず、これほど多くの中東とかかわりのある作戦行動
地域、その司令部や部隊が
日本に駐留しているということは、まさに中東
周辺事態、中東におけるいわゆる有事ということが起こった場合には、
日本がそれに対して支援活動を行うということに、米側の要請があれば事実上応じるということになるのではないだろうか。
そういう要請が行われた場合に、それはこれまでの間いろいろな取り組みを行っているのであるから、それについては断るというようなことは起こらないであろうと久間長官も国会での答弁の中で述べているという
状況があります。
こういうようなかかわりから見て、現実的にこの
周辺事態の問題についてはさらにもう少し明らかにする必要があるんではないかということを
指摘しておきたいわけですが、大臣、いかがでしょうか。これもノーコメントなんでしょうか。