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説明員(
糠澤和夫君)
糠澤でございます。五月二十日に
現地に
赴任いたします。
どのくらい時間がいただけるか初めわかりませんでしたので、メモをお配りしてございます。数李も入っているものですから、特にメモの方がいいと思って用意したわけです。
先ほど
西村局長の方から
お話があったように、非常に親日的な国であることは
先生方御存じのとおりでございますが、そういうところに配置していただいた、命じていただいたということに、
外務省それから人事権者の
方々に非常に感謝を申し上げております。
今の
ハンガリーは、私も、先ほど
西村局長の方から
お話があった
経団連のミッションに加わって昨年の十月に行ってまいりましたけれども、いろいろ問題はあるけれどもかなり前途は明るいという印象を持って帰ってまいりました。
ハンガリー、ポーランド、チェコ、これらが中・東欧の中で非常な先進部分ですが、その中でも
ハンガリーは非常に先を行っているんじゃないかということを印象づけられて帰ってまいった次第です。
その後三月に、今度は別件でもって上智大学の猪口邦子教授と一緒に
ハンガリー、それからポーランド、スロベニアの三カ国に行ってまいりました。またいろいろ
ハンガリーの
方々と
お話し申し上げて、そのときには向こうも薄々新しい
大使がこの人になるんだということを少しわかっている人もいたという
状況で行ってまいりました。意見をいろいろ交換してまいりまして、非常に私も
努力のかいがある風であると印象づけられて帰ってきたわけです。
去年の十月に行きましたときにも、大統領も首相も異口同音に今までの苦労について触れておられました。そのときに、過去七十年間の空白ないし失敗といいますか、そういったものを七年で取り戻すという
努力を今までやってきたんだということを大統領も首相も申された。七年間でもって非常な
政治体制の転換、
経済体制の転換、それから市場の転換です。七割方コメコンに依存していたのに、今は大体六五%ぐらいですか
EUの方に依存しておるし、大体
貿易の五分の四はOECD諸国の方に依存している。そういうふうに大転換があったにもかかわらず社会が平静を保って、少なくともプラスの成長をずっと続けているということは非常に大したものであるということであります。
それから、OECD諸国の中にもいろいろ債務の切り捨てとかそういうことをやった国がありますが、この国は債務の繰り延へも切り捨ても行わないできちんとやって、歯を食いしばってやっているというところは、非常に感激的といいますか感動的であるとさえ申せるというふうに存じております。
昭和天皇の大喪の礼の際にも中欧では唯一元首が来られましたし、そういった
関係で、
貿易の方も中欧、東欧の中で
日本との
関係が一番深い。
日本から見て
貿易関係が一番大きい、それから伸び率も一番実質的に大きいということであります。それから
投資も、先ほど
西村局長から申されましたように、
日本からの直接
投資は中・東欧の中で一番この
ハンガリーに対して多いということであります。そういう現状にありますから、なるべくその
関係を今後も維持し拡大するということが私の役割かと存じております。
そのほかに、邦人の数も今ポーランドやチェコよりもずっと
ハンガリーにいる人が多い。最近の数字では五百人から六百人にだんだん近づいているということでございますので、私も、邦人の
保護、いろんな問題が生ずるかもしれませんので、その方面については過去においてそういう
経験がございませんが、その
保護になるたけ意を用いたいというふうに思っております。
今は援助の対象国ではもうなくなったわけですが、
環境については特別という考慮でもって
環境中心の援助が行われております。最近は円借から
技術協力の方に重点が移っておりますが、その面でも中欧では最大の
日本の
努力が行われているということであります。先方の
期待は、いろいろこちらにおられるシュディ
大使やなんかと
お話ししていると、やはり
投資をしてもらいたいんだ、
投資の相手としては非常にいいんだ、
技術もありますというふうな
お話であります。
技術という点でシュリー
大使がいつも申されていることは、
人口百万当たりあるいは一千万当たりでもいいんですが、
人口当たりのノーベル賞は世界で一番多いんだということを言っておりまして、そういうこともあるかなということで、私が
経団連におりましたころはやはり
ハンガリーを
一つの重点国だというふうに考えておりました。
この
委員会の方からいろいろな御質問があろうというふうな問題について、
外務省の方から私に提示されたことがございますので、それについてちょっと意見を申し上げたいと思います。
日本外交の
評価というのを
外務省の外から見てどう思っているかという趣旨の御質問がございますと思いますが、その点については、
我が国は新憲法下で五十年以上国民の安全、安寧を保ってきた、これは非常に大きなことである。とにかく世界の
経済大国として第二番目のような国であって、それが五十年以上も平和を保ってきている。
我が国の国民も殺傷を受けることなく、また
我が国も外国の
人たちを殺傷することなくここまで国を維持してきたことは非常に大切なことであって、
外務省の行ってきたこと、あるいは
日本外交全体として行ってきたことは非常に
評価に値するものだというふうに考えております。ODAの役割もその間では非常に高かったんじゃないかと思っております。
それから、在外公館のことについて、外から見て従前の在外公館についてどう思っているかというお尋ねがあったように伺っておりますが、その点についてはまだよく実際はわかりません。これから
赴任してよく
ハンガリーについては見たいと思っておりますが、ほかの国々について、私は過去三十年間、四十年間、
経団連の生活を通じて毎年十五、六回海外に出ておりましたから、いろんな在外公館に接触しておりました。
大体、
日本の在外公館の方は、いろいろ新聞の方は批判がありますが、
経済とか
投資とかそういう実態については割に知識が深いです。ほかの国の
経済参事官とか一等書記官とかそういった者に比べて事情について非常に詳しい、よくわかっているということを私は
感じておりました。ただ、将来の方向やなんかについて分析する時間というのがもう少しあったらもっといいんじゃないか、ちょっと雑務に時間をとられているんじゃないかというふうに同情してこれまで見ておりました。
縦割りの問題というのはよく民間から言われる、民間から言うという意味よりは新聞がそう言っているということですが、
ハンガリーのようなところではそういうことはございませんかもしれませんが、ほかの国で大きな公館だと、やはり縦割りのようなことはうかがわれなかったということはなかなか言いにくいというふうな
気持ちを持っております。
しかし、私が非常に至近距離で、ワシントンでもその他の国でも在外公館の動きを見ていたのはずっと前のことでありまして、最近十年ぐらいのところは非常に至近距離でそういう縦割りの
状況を見るというふうなことは余り記憶しておりません。三十年から三十五年ぐらい前は非常にそのことについて実感を持ったということだけ申し上げておきます。
それから、在外公館と
日本外交全体について、まだ結論は得ていないんですが、こういうことについて非常にこのごろ考えております。それはどういうことかというと、アメリカあるいは
ドイツその他の国から大臣あるいは大統領が来られるときに非常に民間人をお連れになって
日本を訪問されます。この間イギリスからブレアさんが来られたときもいっぱい民間人をお連れになった。これは
日本の方ではほとんどやっておられないので、これがいいか悪いかということについて非常に考えております。私は必ずしも先方のやり方が非常に効果を上げているというふうにも思わないんですけれども、あれだけの熱心さがあったらもっとよかろうにと言う人もおります。
ただ、民間の立場から見てみると、いろんな国でチャンピオンが決まっているようなところが多いんですね。オランダとかそういうふうな国では一業種につき
一つか二つぐらいのチャンピオンがいる。しかし、
日本の場合はチャンピオンが多いんですね。チャンピオンクラスの会社が非常に多くて、
国内をまとめるといってもなかなかまとまらない。
そういうときに公館が主になってどこをプロモートするとかいうのはなかなかへジテートする、ちゅうちょするんじゃないかと思いますし、それから大臣がお連れになるときも商社も全部、メーカーも全部というふうになると非常に大きくなっちゃうんじゃないかというふうにも思います。
これをどういうふうにしたらいいのかということについては私はまだ考えを得ておりません。最終的結論は得ておりませんが、
委員会の皆様方がどういうふうにお考えになるかというようなことについて、御教示を賜れば参考にして物を考えたいというふうに思っています。
以上です。