○立木洋君 その段取りの問題については、そういう段取りをとらなければならない、けれども実質的には、私は見通しはやっぱり立っていないというのが実態だと思うんですね。
御
承知のように、
イギリスのカンブリア州ではいろいろな調査が行われて、貯蔵施設を建設するのにここが十分可能だと。ところが、実際に調査してみると地質に問題がある、水文のデータでも問題があるというふうなことで、事実上昨年拒否されたんですね。これを貯蔵施設にすることはできぬという結果が出たんですよ。
だから、今そういうふうな高レベルの廃棄物をどうするかというところでいろいろ
考えている国々においても、うまくいっているというところはないんですよ、国際的にも。いろいろ調べてみると問題が必ず出てくる。だから、この問題については安易に
考えることはできない問題だと。ましてや、この問題をいいかげんに放置しておればそれこそ大変な事態になりますから、これは極めてやっぱり重要な問題だというふうにとらえる必要があるということを強調しておきたいと思うんです。
それからもう
一つは、高速増殖炉の問題については、先ほど言いましたフランスの高速増殖実証炉のスーパーフェニックス
開発の継続が中止されました。これは理由をお聞きするまでもなく、事故と修理が繰り返されてコストが肥大化したという問題もありますし、そして結局は実現の見通しが立っていないという問題が
一つの大きな原因になっただろうというふうに思います。
この点については、昨年ですか、ジョスパン首相が、
原子力産業は
我が国にとって重要な切り札であるとしても、それだからといって民主的なルールが免除される、あるいはそのコストが法外でありまたその成功が非常に不確実なプロジェクトを継続するというようなことがあってはならない、これがスーパーフェニックスと呼ばれる高速増殖炉が廃棄される理由であるということが国会で明確に答弁されている、演説されている
内容です。ここまでやっぱり厳しく
考える必要が私はある。
これが高速増殖炉の問題ですが、例えばドイツの場合でもカルカーの場合、ここでも同じように原子炉を完成させたが、危険性と
経済性の問題が浮上して、一遍も運転せずに九一年に閉鎖になっております。
イギリスにおいてもコスト高で今後百二十年間は不要だというふうなことが現実の問題になっているんです。ですから、この高速増殖炉の問題についてあくまでも固執して、いわゆる核燃料リサイクルを何としても進めるんだということが果たしてどうなのかということが、今やっぱり国際的にも厳しく問われている問題だということを私は
指摘しておきたいと思うんです。
最初の再処理の問題についてはクリアされたかのような
お話があるけれども、これも環境問題として
考えてみれば重大な問題が起こりかねないという事態は避けられないわけですし、この問題についても十分な目を向けなければならない。
そういう諸点を
考えてみるならば、廃棄物の処理の問題、高速増殖炉の問題あるいは再処理の問題等々すべてにおいて、やっぱり今完全にそれがクリアできたなどというふうな問題ではないわけです。この点については十分に
考えないで、こうした問題点を外国との
関係についても、安易に
考えるというふうなことについては慎重であるべきだということを申し述べておきたいと思うんです。
そして、若干お聞きしようかと思っていたんですけれども時間がないので、これは科技庁が出している「もっと知りたい、もっと
考えたい、
原子力のこと」と書いてあるんです。大臣にちょっとお聞きいただきたいんです。これには「
原子力発電の
経済性」、原発というのは
経済性が物すごくいいんだ、安く上がるんだと書いてある。そして発電原価についてはどうかというと、一キロワットが九円程度。水力から何から比べて、ほかは全部十円から十三円で、非常に安く上がる、クリーンだというふうなことが強調されています。
ところが今、私はこれを調べたんですけれども、初年度の場合は別としまして耐用年で見て、例えば柏崎の刈羽
原子力の原価がどうかというと十一円二十四銭です。そして東北電力の女川原発はどれだけか、これは耐用年で言いますと十四円四十二銭です。結局、九円だと言っているのはうそだとは言いたくないんですけれども、原発は安くてクリーンですよというふうなことを宣伝するためにつくった資料ではないかと思いたくなる。実際の問題では十一円から十四円までかかっているんですから。
原発が申請書を出してやるときに、そういうふうなことをしないで事実を公表して、
国民の皆さんに御理解をいただいて、そして理解の範囲内で物事を進めていくということをしないと、やっぱり
国民の不信感をますます強めていってしまうというふうな結果にならざるを得なくなるので、この点については科技庁の方にも十分に、
協定を結ぶわけですから、大臣の方からも目を配っていただいて、そういう点についても十分に情報公開できて
国民の理解を得るような方向に施策を進めていくようにということを、担当の審
議官おいでになっておりますけれども、大臣、一言だけ。