○中桐
委員 民主党の中桐でございます。最初の第一回の
審議に続きまして、継続して質疑を行いたいというふうに思います。
第一回目の
労働委員会におきまして私が申し上げたポイントをもう一度確認をして、質疑に入りたいというふうに思います。
まず私が申し上げたことは、労基法五十周年、五十年を経過して行われる非常に幅広い分野の改革であるという
認識をしておるわけですが、その際、国際的なG7の
流れ、そういった中で
行政改革というのが国際的に相当強力に行われてきている。その
行政改革という観点から
労働行政というものを見る。そして、その
労働行政の基本になっている労働基本法という
労働基準法の
性格、そういったものを改めてこの際抜本的に見直す必要があるんではないかという観点から、
一つは、いわゆる透明度の高い
行政にする必要がある一そのために、
基準法の中にできるだけわかりやすく、
労働者や
使用者が基本法を見れば基本的な規制のスタンダードがわかるという努力をするべきだ。そのためには、時間
外労働にしろ深夜労働にしろ、その規制は基本的に数値を法の中に明記したわかりやすいものにしなければならないんではないかということが一点あったと思います。
それからもう
一つは、
基準を決めたときに、その
基準をいわゆるルールとしてどう社会が守っていけるのか。つまり
労使がそのルールをどういうふうに守っていくのか。それは、
企業内でのルールを守る方法と、それから地域、社会、
企業外でそれをどうするのか。そして、そこに内閣のもとにある
労働行政がどういう役割を果たすのか。そういう問題を
議論をしたと思うわけであります。
その中で、
裁量労働はかなり
議論を前回したんですが、残りの時間があれば
裁量労働をもう一度
議論したいと思うんですが、その前に、時間
外労働と深夜労働の規制のあり方についてこれから質疑をしたいというふうに思います。
先ほど申し上げましたように、今、例えばアメリカの一九九三年にできたGPRA法とか、クリントン、ゴアが制定をした、いわゆる
行政改革の非常に参考になる
法律、そういうものを見ましても、前回もちょっと
議論しましたが、これまでの
行政マンが仕事をした後の
行政サービスの評価ということについて言えば、労働
基準について、例えば時間外とかそういったものについての実態がどうなっているかという評価の仕方として、監督官が一年間に
事業所をどれだけ回ったか、そして、そこにどれだけの違反があったかということが報告をされる。つまり、これがこれまでのベーシックな
労働行政あるいは
日本の
行政の全般的な評価の仕方ではなかったかと思うんですね。
それに対して、例えばアメリカのGPRA法では、沿岸警備隊の例が
紹介をある本でされておりますが、同じようにアメリカでも従来型の評価というのは、沿岸警備隊が査察を何回行って、そして査察結果はどうであったという報告であったわけであります。しかし、GPRA法によって大幅な
行政評価システムの変革を行って、例えば、海難事故による死傷者の数を一二%削減しますとかというふうな形で、つまり、沿岸警備隊にアメリカの国民が期待している、沿岸警備隊が何をどうやってくれるんだ、国民のためにどういうサービスをしようとしているのかというふうに変えたということですね。労働
基準行政もそういうふうに変えるべきだ。
そのためには、例えば時間
外労働の問題から入りたいと思いますが、労働時間が年間千八百時間という達成目標、これは、前川レポートで二〇〇〇年という形で当初設定をされていたと思います。今その二〇〇〇年が直前に迫っておりますが、さて、その千八百労働時間
一つとっても、その千八百労働時間に近づけるために何年までに何時間にします、その次の何年間でこうします、そういうことが必要なんではないか。つまり、そのために
労働基準法はどういうふうな形で
改正をするんだ、そういう考え方が必要だと思うんですね。
この前の質疑の中でも取り上げましたけれ
ども、アングロサクソン系はほかのG7のイタリアやカナダやドイツやフランスに比べて
労働法制の体系が違います。労働時間を大幅に短縮をしているヨーロッパの国は、労働基本法の中に、労働時間の規制の数値、つまり時間
外労働の規制の数値が入っておるわけなのです。アングロサクソン、つまりアメリカ、イギリスは入っていない。この前
労働大臣は、いやそれはいろいろ相手があることだからそう簡単に
数字をいきなり書けないのですよと言っているけれ
ども、しかしここは、基本的な賃金と労働時間の問題も含めての話ですが、先ほどの質問者に対して、そんなことを言ったって労働時間だけ規制したら賃金が大変なことになるじゃないですかという、そこはもちろん念頭に
置かなければいけません、賃金と労働時間というのは総合的に考えなければいけない。
しかし、問題はポリシーの
方向性なのです。ポリシーの
方向性だと思う。そこで、アメリカ・イギリス型を
日本の
労働行政はやっていくのですねということになるのじゃないですか。ここに
数字を書く、つまり労働基本法に
数字を書いている国は時短を達成しているじゃないですか。アメリカとかイギリスは、二千時間とか千九百時間台という形になっておる、歴然と。つまり、ここは基本的な
労働行政のスタンスが違うのじゃないか、その点についてどうですか。
〔鍵田
委員長代理退席、
委員長着席〕