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中桐委員 細かい話を
大臣がいろいろおっしゃって、いや、それはそう簡単にいかないんだと。
では、
ミニマムスタンダードというのは一体何なんだという話になってまいります。つまり、経営力とかそういう格差というのは当然あるでしょう。だから、経営のいいところはより
ミニマムスタンダードより時短を進めていくとか、そういうふうなことは現実にそうなっているわけですから、そういうことを言っているのではなくて、
ミニマムスタンダードは示す必要があるのではないですかと。
つまり、それは
ケース・バイ・
ケースですよといったら、生活時間の構造
改革は全然レベルが上がらないわけですから、そこの話をしているのです。
大臣、個別の経営者がどういうふうに経営改善するかという
各論にまでいくと、これは大変な
議論になりますからそれはやめますけれ
ども、つまり、経営改善、経営をもうちょっと効率よくしたら失業がふえる、そういうことを私が主張しているわけではありません。
そういうことではなくて、
日本の二十一世紀の成熟型社会、少子・高齢社会というもの、また今社会問題になっておる家庭の
機能の問題、そういったことを考えたときに、やはりワーク
ルールが、ベースのミニマムがきちんと
コントロールできなければいけないのではないですかということを言っているのです。そこは
労働行政の最重点課題の
一つではないですかということを言っているわけですが、そこは御
理解いただけるということですね。
そうなると、例えば今度の裁量
労働の問題をちょっと
質疑したいのですが、裁量
労働の問題をとっても、
労使委員会というのが裁量
労働のところへ入ってくる。
私は、今や産業が
サービス経済化していく、それから、
経済大国になって、それに応じて賃金レベルも上がってきた、そういう中で、いろいろな要因があると思いますが、
労働組合の
組織率というのがなかなか、
労働力の流動化も激しくなっておりますし、多様な
雇用形態が導入されてきておりますから、
労働組合の
組織率というのがどうしても低下してくる背景というのが客観的にもたくさんあるわけですね。
そういう中で、裁量
労働だけ
労使委員会ではなくて、ここに何か、今までの
労働行政法体系の
基本的なところが、ベースをきちんと決めるというところがないというか、つまり、
労働時間全般の問題を取り上げてみただけでも、
労働組合の
組織率がこのように低下して、
労働者がどうやって
参加して
意見を言って
労使の合意を図っていくのか。経営改善も
労使の話し合いの中には当然出てくるわけだから、
労働時間の問題だけやるわけにいかないわけだから、経営改善の問題も
労使で話をしなければ、時間だけ
基準を決めて、そこだけ守らなければいけない、守らなければいけないというわけでは進まないわけだから、そうすると、それは裁量
労働だけの話ではないでしょう。何でそういうことがオーソドックスに
議論できないのですかということを言っているわけです。企業内の話し合う仕組みをどうしてつくれないのですかということなんです。三六協定のところにちょろっとあり、今度裁量
労働で
労使委員会が出てきて、就業規則でまたちょろっとある。そんなことではもうだめなんじゃないですかということをまず言いたいわけです。
つまり、裁量
労働というのは当然そういう
労使委員会がなければ話にならないということは、非常に新しい
労働形態ですから、私も、その点については
労使委員会という
システムが
機能しなければいけないということは、その文面だけでいえばわかりますけれ
ども、それだけじゃないでしょよう、時間外とかそういうことが全部
関係するじゃないですか。何でそういうふうになってしまうのですかということ。
それから、きちんと数字が
ミニマムスタンダードで示されれば、
ルール型で
労働委員会とかいうふうなものを拡張
機能すれば簡単に処理できるわけですよ、
ルールを守らせる仕組みとして。それを、いろいろな
通達や何やらでネゴシエーションばかりやる仕組みをたくさんつくり過ぎているから、
労働者には
透明性がよくわからない。つまり、自分たちの働く
基準は一体どういうふうになっているんだ、細かい
通達まで読まなければわからないという話になるし、そういう形で
労働者も
基準がよくわからない、かつ、
ルールはきちんと
ミニマムスタンダードが書かれていないから、迅速、速やかに
労使の紛争を解決できない、そういうことになっているのではないですか。そうすると、
労働基準監督官を山ほどふやさないとそういう問題は解決できないではないかという話になる。だから、そこを
基本的に考えていく必要があるのではないかと私は言っているわけですね。
その関連で裁量
労働の問題にちょっと触れますが、今、
日本の
サービス業はどんどんふえてきた。ホワイトカラーの
労働条件というのはブルーカラーと違って、いわゆるラインで働いている人は、ここからここまでが仕事の時間ですよといえば、ぴいっとラインが動いていて、そのラインがとまってしまえばこれでオフだ、こうなるわけだけれ
ども、ホワイトカラーというのはなかなか
労働時間を
コントロールするのが難しいところがある。しかも、顧客を
相手にする仕事であるという
性格も加わって、
相手のニーズに合わせて働かなければいけないということになるから、
労働時間の最も
コントロールしにくい
分野の産業ですね。その産業の中に、今のような、賃金とのトレードオフやあるいは景気の調節弁みたいな形で、非常に安易に
労働時間が調節弁として導入されるという仕組みがあるわけです、
日本の中に。
そういう中で裁量
労働を導入したらどうなるかという話で、今までは非常に専門的な
業務に限っているからやや
業務の範囲が特定しやすいわけだけれ
ども、今回の
法律の
改正の中に入ってくる裁量
労働の企画とか調査とかそういう
分野になってくると、非常に仕事の範囲が特定しにくくなってくるという特徴をより持ってくるだろう。しかも、カバーしなければいけない
事業所の範囲がぐっと広がるわけですよね。
そういう中で、実際に裁量
労働の問題で実態調査をした結果を見てみると、相当長時間
労働になるのではないかという危惧を働いている人も持っているわけです。
例えば、これはある
労働組合の産別の調査ですが、「長時間
労働につながるので良くないと思うか」という
質問に、「そう思う」が二八%、それから「どちらかといえばそう思う」二九・五%、合わせると五七・五%。つまり、過半数の人が裁量
労働が入ってくると長時間
労働につながるのでよくないというふうに直観的に思っている。
そういうことが
一つあって、そのほかにもいろいろな調査がありますけれ
ども、裁量
労働が
一つ持っている問題は、本来自由な
労働時間を設定できる裁量
労働が、実は、
サービス残業を含めて、かえって長時間
労働になってしまうというふうなおそれを持っているということを
現場の調査が
幾つか知らせているわけですね。
そういうことに対して、例えば
連合の総合生活開発研究所が調査したものによっても、裁量
労働でもう
一つの問題は、仕事の
評価基準や
目標の明確化をしなければいけないというのが六〇%。つまり、仕事の
評価というか、どういう仕事をするのかというのが
一つですね。いわゆる自分が本来やるべき仕事からいろいろな別の仕事もどんどんやらなければいけないことになってしまう、その結果、時間も伸びてくるというふうなことを危惧しているのと、もう
一つは、自分が働いた仕事の
評価、業績
評価といいますか、そのことがどうもまだ不十分だというふうな
意見が非常に強い。
二つの点から、裁量
労働というのがまだ問題をたくさん抱えているということがいろいろな調査から出てきているわけですが、その点について、規制緩和の方針の中で裁量
労働を拡大しなさいというのが来たから、それはもう天の声だからやらなければいけませんというふうな形でやるにはやや時期尚早なのじゃないかというふうに思うのですが、その点についてどうですか。