○中桐
委員 この国会で
雇用保険の
改正の
審議が行われますので、もう時間もなくなりましたので
雇用の問題についてはこれぐらいにしたいのですが、
雇用保険の問題の
審議をするときにも、先ほど
労働大臣が、政府が基本的な方向性を出さなければいけないと。公的財源をどのように配分していくかという細かい問題はさておいて、政府が何らかの形で次代に合った
雇用政策というもののビジョンをつくらなければいけないということについては、これは大変急がれるというふうに私は思いますし、ちょっと名前を忘れましたが
日経連も新
時代のビジョンを出していることでもあり、ここはひとつやはり政治の場でも、この問題は極めて重要な問題ですので、いわゆる
企業の役割、
労働者の役割、そして政府の役割、これらを十分議論して、明確なものを一日も早く出すことを要望しておきたいというふうに思います。
時間が余りなくなったのでありますが、私の前に多くの方が
質問されましたのでかなり解決しているのですが、議論したい次のテーマとして、
企業のあり方、ひいては働き方といいますか、そのルール。これは、この通常国会でも
労働基準法の
改正の問題を
審議するわけでありますが、これとも非常に密接に
関連があります。細かい
労働基準法の話はその
法案の
審議のところでやるといたしまして、その
審議をするに当たっての前提というものをやや議論してみたいというふうに私は思うわけであります。
特に私が非常に痛感するのは、私、今の
仕事をする前の
仕事のときには、働く人の健康という観点から、
外国に行くことも多かったわけでありますが、国際
会議や、あるいは国際的ないろいろな団体との議論をする場があったわけであります。そこで、例えば国際
会議で一時非常に注目されたのは、過労死という言葉が国際用語になっていまして、過労死に
関係するような学会報告だとかいろいろな場での報告、ケースレポートみたいなものが発表されると、非常にたくさん関心を持つわけですね。大体三千時間も働いて死んだとか、この問題は今
日本の大きな社会問題なのだと言って発表すると、
日本というのは
労働組合はどうなっているのだ、
労働基準のスタンダードというのは一体どうなっているのだ、いや
労働基準法というのがありますよ、しかし、その
労働基準法というのは一体守られているのかという話になる。つまり、そのレポートをする人は、社会問題の
日本の長時間
労働というものをレポートするためにレポートしているのですが、そのレポートをしているのが
労働組合だったりするわけですが、そうすると、ヨーロッパの
労働組合の代表は、冗談じゃない、そんなのは
労働組合があると言わない、本当に
日本の
労働組合は一体何をやっているのだ、こういう話になるわけです。
つまり、
労働基準法というスタンダードがあるかと聞かなければいけないような
状況が報告される。そういう過労死の問題で、
労働災害補償
制度で認定させたのだといってやや自慢げに報告するというところもあって、冗談じゃないと。全然受け取り方が違うわけであります。
つまりそういうことが起こってきている現状の中で、
企業というもの、そしてその中での働き方というものが、高度
経済成長の中で、そこに重点があって、長時間
労働でどんどん来た。そして、都市の
構造も、都市というかコミュニティーもいわば大都市集中型の、長男が残って、次男以降だあっと行って、その長男も農村
構造が変わって、いよいよもって故郷のない
人たちのコミュニティーがいっぱいできてしまった。そういう中で、依然として
景気調整機能で
労働時間を調整する。これは
日本も
外国も同じだと思うのだけれ
ども、しかし、そのベースが違うから、つまり、開発主導型の国づくりの中で一番重症になっているのは、大都市中心のコミュニティーの崩壊ということではないかと私は思う。
その中で少子化が起こってくるのは必然だ。
介護の悩みが生ずるのも必然だ。その中で、多分今
日本の家庭は、もし
介護の必要が出てきたときにどうしようか、そのためには貯金も要る、それから稼げるときに稼いでおかなければという形になっているのではないか。つまり、商品としての非常に高いサービスを、高いか低いかというのはいろいろあると思うけれ
ども、とにかく何でもかんでも買わなければいけない、サービスを。それは社会が安心をシステムとしてつくり上げていないわけだから。そして、家庭はそういうサービスを買うためのストックや、あるいは残業をすることによって安心を担保しなければいけない、そういう働き方になっているのではないのか。
つまり、都市計画もないということもあるし、いろいろな問題があるわけだけれ
ども、一体どういう生活を、ビジョンを描いて
日本は社会をつくってきたのかということからいうと、その辺は余り
考えないで、とにかく所得倍増があればいいんだというふうな形で来た。つまり、本来高度
経済成長で余力のあったときに社会資本を整備しないまま今日まで来てしまったものだから、しかも高齢化は急速だ、少子化も急速に起こっている、さあ、どうするんだと、そこらじゅうもう大変なことになってきているのが現状ではないか。
そういう中で、やはり
企業というものが生計の基本的な、これは農林水
産業もありますけれ
ども、重要なウエートを占めている。その
企業が社会の中でどういう社会的機能を果たすのか。その中での働き方というものが見直されないと、これはもう大変コストのかかる、しかも不安な社会になってしまう。実際なっているというように思うのですね。
そこで、私は、これは
労働基準法とかを
審議する前提として、一体そういうワークルールとかそういったものが――いわゆる人間の二十四時間の生活時間を大まかに三つの生活時間に分けてみると、およそ
企業に大半の時間がとられてしまっている、働いている人の。そこが、どうやったら
構造改革できるのだろうか。つまり生活時間の
構造改革。
それともう
一つは、特に都市部で、大都市は、東京は通勤時間が二時間というのはざらだ、片道一時間半から二時間で通っている。そうすると合計すると三時間から四時間。その上にまだ
企業の中で働かなければいけない。とんでもない生活時間のひずみが起こっているわけです。それをどうするんだ。しかも、その中に今度、女性が
職場に進出する。これは当然、男女共同参画社会ということで
労働の機会が保障されるということが必要条件になってくるわけですから、そうなると家庭というのは一体どうなってしまうんだ、特に大都市を中心に。ここが非常に重要な問題で、じゃ、これをどうしたらいいかという問題ですね。生活時間
構造改革と同時に、都市計画も含めた生活空間の
構造改革もしないと、
日本は大変な国になる。
そこで、私は、ワークルールがなぜきちんとコントロールできないのかというところに焦点を、議論したいことはいろいろあるのだけれ
ども、そこを
一つの重要なポイントに議論をしたいのです。
そこで、
考えてみますと、今まで
労働組合というものが機能していた力量というものが、だんだん
組織率が低下している。これは、
労働組合の
人たちが一生懸命やっていてもそうなる。つまり、これはサービス
産業構造化と非常に密接な
関連があってそういう側面が出てきているということであります。
そうすると、
労働組合の
組織率が低下してきている今日の中にあって、労使自治という形で行われてきたワークルールのチェック、あるいは確立を、果たしてそういう形の
労働組合ベースが少なくなってくる中での労使自治というものにこのままゆだねていいのか。また、地方
労働委員会等の
制度を
考えてみましても、紛争処理は
労働組合を中心にした、ベースになった紛争処理の仕組みになっている。
そういうことから
考えても、労使自治というものは
労働組合だけではないのですけれ
ども、
労働組合がないところの労使自治のルールなんというものはきちんとしたものがどこにあるんだと。ということがあるし、また、紛争処理システムからいっても、
労働委員会制度というのは
労働組合をベースにした話であって、大半の
労働者がそれでカバーされていない、そういう問題が
企業内にあるのじゃないかというような問題が
一つ。
それからもう
一つは、ここまで開発至上主義で来た
日本が急に価値観の大転換ができないということがあって、労使がどうしても、
経済が低成長になったらそこを
労働時間で調整する、好
景気になったらその
労働時間でまた調整してそれをふやすというふうな形で来るとすれば、私はもう
一つ、つまり社会的なコントロールの仕組みが労使に対して要るのじゃないのかと。
ナショナルスタンダードは政府が検討して
関係者の意見も聞きながら決めるとして、ナショナルスタンダードと同時に、その公正なルール、
企業がどういう働き方を社会的に要請されるか、そういう社会的な観点から見た働き方のルールというものをきちんと守らせる。その仕組みを、労使の、つまり
企業内での仕組みと同時に、地域社会の観点から地域につくる必要があるのではないのか。
それは、
労働組合というベースで言うのでなくて、
労働組合がないところでも
企業内ではきちんとした仕組みをつくり、そして一人一人の
労働者に分解してもちゃんとその問題がスピーディーに解決できるような地域のシステム、しかもこれは第三者機関、つまり
企業内のルールの中に取り込められてしまっている価値観ではない、つまり
介護や少子化の問題をどうするかとか、そういう生活者の観点から、
企業というものを、働き方をチェックできるような第三者的な機関、第三者の入った機関。
この
二つが、つまり
企業の内部のチェックの仕組みと、地域における、
企業の外における地域にそのチェックをするシステムが必要なのではないか。つまり、
規制緩和を大胆にやると同時に、もう一度きちんと機能できる規制の仕組みのあり方を、ある
意味では規制
改革というか規制強化というものが必要なのではないかと思うのでありますが、その点について、
大臣並びにその
関係の
方々に、どなたでも結構ですから
お願いいたします。
〔河上
委員長代理退席、
委員長着席〕