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上田(清)
分科員 それでは、その件についてはまた資料をいただきたいと思いますが、しかし、内部的にそういう決裁が本当にできるのかどうかというのは疑念があります。
例えば
日本輸出入銀行の融資契約締結から融資実行、つまり振り込むまでの期間が、締結する、それからいろいろな先行要件等、担保とか保証契約などを充足して、貸し出し実行依頼を受領して、貸し出し実行稟議決裁して、営業部から、今度はコンピューター登録も含めてそういう作業があって、融資実行するまでにはどんなに急いでも三日ぐらいかかる、こんな
お話もございますし、
日本開発銀行も、融資の意思
決定してから一週間から十日、国民金融公庫、融資の意思
決定してから振り込みまで十日、また北海道東北開発公庫、内部決裁してから担保設定、融資実行まで一週間程度。
即日もあるというようなことですから、どういう案件で即日になったか、改めてそれはまた資料を要求した上で見せていただきますけれ
ども、特にこの案件がおかしな形になっただけに、疑念を持たれてもやむを得ぬというふうに私は
考えさせていただきたいと思います。
続きまして、この日盛産業並びに柏塘公司を会計検査院でどういう位置づけをしたかということを詳細に記述してありますので、改めてこの部分について復習の
意味で総裁も聞いていただきたいと思います。
長官にも聞いてもらいたいと思います。「前記のとおり、本件貸付けはA社自体」、日盛産業のことであります、日盛産業自体に「本邦銀行の支払保証を受けるだけの担保余力がないことから、現地
企業に対する」、これが柏塘公司でありますが、「現地
企業に対する初めての直接貸付けとしたものであり、さらに、養鰻業者は本件貸付対象事業を行う目的で新たに設立された合弁
企業であり、担保とすべき資産もない
状況であった。」日盛産業には保証能力がなく、なおかつ合弁
企業そのものにも担保とすべき資産もない
状況であった。現地にも担保になるような資産もない、また本体の日盛産業にもそういう
意味での能力もない、だからこそ銀行の保証なり何らかの形の担保が必要だったということであったわけですが、これがなされていない。
もちろんそのことに関して十分陳謝があり、また内部処分もなされたことは事実でありますが、私が今大変気にしているところは、この間にいろいろな経緯がありながら、昨年六月十日の決算委員会、また六月十七日の決算委員会締めくくり総括の中で、こういう点にほとんど触れないままに答弁をなされていた。とりわけ、現地にお金が届いていないこと、また、途中から、本邦銀行に振り込んだお金を中国銀行広東支店に振り込み直しをしない限り保証にならない、有効条件にならないという現実があったにもかかわらず、それが全然履行されないままに推移していて、なおかつ、既にその年の十一月に日盛産業そのものが破産
状況にあったにもかかわらず、いろいろな点で問題点が多いにもかかわらず、答弁の中で、貸し付けのときには
状態はよかった、しかし貸し付けの実行
段階でミスがあった、しかし事業は九〇%推進しておりました、こういう御答弁をなさっておりますが、先日、新しく現地ミッションのそれぞれの出張報告書を資料として提供いただきました。これも何度かお願いしていてやっと出てきたわけでございますが、これを見ますと、相当内部に関してはわかっていたという
状況が見られます。
まず、九五年の十一月に和議申請して、再建の協議をなさっておられたわけでございますが、十一月二十七日から二十九日のミッションでは、シラスウナギの購入の
資金がないという報告を受けておられます。もちろん、御承知のとおり、シラスウナギの購入
資金はその十億五千万の中に入っていたわけであります。そして、十二月十一日から十四日にかけて、十・五億別途用意することは困難、要するに中国銀行に改めて振り込み直すのは難しいという話を聞いておられる。それから、翌九六年一月二十五日から三十日にかけて運転
資金が不足している。運転
資金の不足ということはあり得ないわけであります、十億五千万入れているはずですから。それから、九七年一月二十二日から一月二十八日、貸付金が到着せず、建設中の養鰻池は別のものであるという報告を合弁会社の職員から聞いておられる。九七年五月二十九日、合弁
企業の責任者である葉総経理より、貸付金が入金していない旨の正式な文書がOECFに出されている、受け取っておられる。それから、九七年の六月三日から六日にかけての
調査ミッションにおいて、池が別の事業の
資金でつくられていることが判明され、柏塘公司の中に一切
資金が入っていないことを確認されておられる。そして、会計資産
調査団を派遣してもむだだというような結論をそのときに既に出されている。
これはいずれも九年六月十日の決算委員会以前であり、六月十七日の決算委員会以前であります。また、私
どもに提供されました「中国柏塘養鰻事業に係る
調査結果
平成九年六月十一日
海外経済協力基金」のこの文書は、六月十七日の決算委員会締めくくり総括以前の
調査報告であります。
このように、もう既に決算委員会以前に、養鰻池のそのお金が全然現地に到着していないことや、養鰻事業の池そのものも別の事業の池であって
資金を投下された養鰻池でなかったことや、そういうことがそれ以前に十分判明している。そういう出張報告があるにもかかわらず、
基金から出された六月十一日付の
調査報告書は一切そういうことに触れておりませんし、また私の
質疑に対しても一切そういう答弁はなされておりません。
清川理事に確認しましても、例えば、清川理事は、「九五年十一月に九〇%完成ですが、施設は一〇〇%完成したのですか。」という私の問いに対して、「柏塘事業の完成度におきましては、当初の
計画の池でいいますと、約九割方、三十二の予定していた池のうち二十九までができ上がってきた、こういうような
状態でございまして、一〇〇%完成という事態ではございませんでしたが、非常に完成に近い
状態になっているという事態でございました。」「現在もそのような
状態ですね。」私の質問であります。「現在もその
状態のままに維持されております。」こういう回答をなされております。
もちろん総裁におかれましては、この事業が極めて先進的な事業であり、大変有意義な事業であるということを朗々と述べられまして、それに対して、貸し付けの実行
段階だけのミスであり、事業そのものは円滑にいっていた、しかしたまたま破産をした、こういう内容の答弁が一貫してなされました。
なぜ、九七年六月十七日以前あるいは十日以前に事態がほとんど解明されつつあった中で、あたかも
資金が現地に届き、事業が九〇%進んでいるような、実態的にうそに近い答弁を委員会の席で申し上げられたのか。
これは、皆様方、常にうまく我々の
質疑をかわされるのは技術の上手さであり、我々の追及不足であり、我々の未熟であるということを反省いたしますが、
議論の中で事実上うその答弁をされたり物事を隠されては正確な
議論ができませんし、また国民に対しても我々は仕事ができません。これは重大な問題だというふうに受けとめておりますので、総裁と
長官の御認識を承りたいと思います。理事じゃいけません。