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1998-03-19 第142回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成十年三月十六日(月曜日)委員会 において、設置することに決した。 三月十九日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       栗原 博久君    中川 昭一君       綿貫 民輔君    高木 義明君       鈴木 淑夫君    春名 直章君 三月十九日  中川昭一君が委員長指名で、主査選任され  た。 平成十年三月十九日(木曜日)     午後二時開議 出席分科員    主査 中川 昭一君       栗原 博久君    高木 義明君       中桐 伸五君    安倍 基雄君       西川太一郎君    春名 直章君    兼務 北脇 保之君 兼務 田中  甲君    兼務 平野 博文君 兼務 吉田  治君    兼務 遠藤 和良君 兼務 近江巳記夫君    兼務 倉田 栄喜君 兼務 西川 知雄君    兼務 辻元 清美君  出席国務大臣         通商産業大臣  堀内 光雄君  出席政府委員         通商産業政務次         官       遠藤 武彦君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業省通商         政策局長    伊佐山健志君         通商産業省通商         政策局次長   佐野 忠克君         通商産業貿易         局長      今野 秀洋君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         通商産業省環境         立地局長    並木  徹君         通商産業省基礎         産業局長    作田 頴治君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君         通商産業省生活         産業局長    水谷 四郎君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部長   篠原  徹君         資源エネルギー         庁公益事業部長 奥村 裕一君         中小企業庁長官 林  康夫君         中小企業庁計画         部長      中澤 佐市君 分科員外出席者         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第二課長   飛田 史和君         国土庁大都市圏         整備局総務課長 大堀 一平君         大蔵省主計局主         計官      中江 公人君         通商産業大臣官         房会計課長   小平 信因君         運輸省港湾局計         画課長     川島  毅君         労働省労働基準         局賃金時間部労         働時間課長   森山  寛君         建設省都市局都         市再開発防災課         長       各務 正人君         建設省都市局区         画整理課長   近藤 秀明君         建設省道路局国         道課長     田崎 忠行君         商工委員会専門         員       野田浩一郎君         予算委員会専門         員       大西  勉君 分科員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     小林 多門君   高木 義明君     中桐 伸五君   鈴木 淑夫君     西川太一郎君   春名 直章君     瀬古由起子君 同日  辞任         補欠選任   小林 多門君     綿貫 民輔君   中桐 伸五君     永井 英慈君   西川太一郎君     中村 鋭一君   瀬古由起子君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   永井 英慈君     高木 義明君   中村 鋭一君     三沢  淳君   藤田 スミ君     児玉 健次君 同日  辞任         補欠選任   三沢  淳君     安倍 基雄君   児玉 健次君     佐々木憲昭君 同日  辞任         補欠選任   安倍 基雄君     鈴木 淑夫君   佐々木憲昭君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   中路 雅弘君     春名 直章君 同日  第二分科員吉田治君、第三分科員平野博文君、  第四分科員田中甲君、第五分科員遠藤和良君、  近江巳記夫君、第七分科員辻清美君、第八分  科員北脇保之君、倉田栄喜君及び西川知雄君が  本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十年度一般会計予算  平成十年度特別会計予算  平成十年度政府関係機関予算  (通商産業省所管)      ————◇—————
  2. 中川昭一

    中川主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりましたので、よろしくお願いをいたします。  本分科会は、総理府所管経済企画庁及び通商産業省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成十年度一般会計予算平成十年度特別会計予算及び平成十年度政府関係機関予算通商産業省所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。堀内通商産業大臣
  3. 堀内光雄

    堀内国務大臣 平成十年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  我が国経済は、金融システムに対する不安等に伴い、家計企業景況感が厳しさを増し、個人消費設備投資にも影響が生じるなど、依然厳しい状況にあります。  景気が停滞している現在の状況を抜け出し、我が国経済の力強い回復を図るべく、目下、財政金融両面においてさまざまな措置が講じられているところであります。私といたしましても、貸し渋りへの対応景気回復といった当面の課題に加え、中長期視点も踏まえた経済構造改革等課題にも思い切って取り組み、自由で活力があり、豊かで安心できる経済社会構築に努力してまいる所存であります。  このような認識もと通商産業省といたしましては、平成十年度におきましては、次に申し上げる四つの柱から成る基本方針に沿って、全力を挙げて政策遂行に取り組む所存であります。  第一の柱は、経済構造改革の強力な推進であります。  停滞する景気回復させ、民間需要中心内需主導による経済成長実現するためには、当面の対策に加え、経済構造改革を進め、国民企業経済に対する信頼感回復しなければなりません。  当省といたしましては昨年五月に決定をいたしました経済構造変革創造のための行動計画に従って、中心市街地活性化新規産業十五分野創出を支える環境整備知的創造活動を支える基盤整備経済社会情報化推進民需主導による地域経済自立的発展中心に、思い切った施策推進してまいります。  第二の柱は、中小企業基盤強化、新事業展開に向けた支援であります。  我が国経済活力源泉である中小企業が、現在の経営環境激変の中で、未来に明るい希望を持って事業に取り組める環境整備するためには、貸し渋り対策等による経営基盤強化や、創造的な新事業展開に対する支援推進していくことが必要であります。このため、中心市街地中心とした中小小売商業等活性化や、信用保証協会基本財産を大幅に積み増す等の中小企業金融信用補完制度充実といった施策を強力に推進してまいります。  第三の柱は、エネルギー制約を克服し、環境と共生する経済循環構築であります。  昨年末の地球温暖化防止京都会議において歴史的な合意に達したことを踏まえ、エネルギー安定供給確保を図りつつ、地球規模での持続的発展実現をするために、省エネルギー対策抜本的強化や、新エネルギー開発導入加速的推進国民的合意形成安全確保前提とした原子力開発利用推進を図ることとしております。また、代替フロン等排出抑制対策推進エネルギー環境分野での、中長期的視点からの革新的技術開発普及途上国に対する国際協力強化などを講じてまいります。さらに、リサイクル関連技術開発推進や、地域主導環境調和型経済社会形成への取り組みに対する支援等対策を講じるとともに、エネルギーセキュリティー確保に努めてまいります。  第四の柱は、グローバルな経済環境戦略的構築であります。  世界成長センターと位置づけられてきたアジア地域通貨金融混乱は、この地域経済に深刻な影響を及ぼしており、これを放置すれば、世界経済不安定性を増幅させることになります。このため、アジア地域との強固なネットワーク構築重点を置いて、経済協力国民利益を反映したものとして実施していくとともに、国際的な知的財産権保護強化に向けた活動や、国際標準化活動等グローバルスタンダード形成のための施策輸入対内投資促進等施策展開してまいります。  以上申し上げました平成十年度通商産業政策を実施していくため、一般会計では、九千百三十二億円を計上しております。また、特別会計につきましては、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計七千三百十八億円、電源開発促進対策特別会計四千六百十六億円を初め、五つ特別会計にそれぞれ所要予算額を計上しているところであります。さらに、財政投融資計画につきましては、財政投融資規模ベースで八兆九千九百五十七億円を計上いたしております。  平成十年度通商産業省関係予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配り申し上げておりますので、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 中川昭一

    中川主査 この際、お諮りいたします。  ただいま堀内通商産業大臣から申し出がありました通商産業省関係予算重点事項説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中川昭一

    中川主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————    平成十年度通商産業省関係予算及び財政投    融資計画説明  平成十年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  我が国経済は、金融システムに対する不安等に伴い、家計企業景況感が厳しさを増し、個人消費設備投資にも影響が生じるなど、依然厳しい状況にあります。  景気が停滞している現在の状況を抜け出し、我が国経済の力強い回復を図るべく、目下、財政金融両面において様々な措置が講じられているところであります。私としましても、貸し渋りへの対応景気回復といった当面の課題に加え、中長期視点も踏まえた経済構造改革等課題にも思い切って取り組み、自由で活力があり、豊かで安心できる経済社会構築に努力してまいる所存であります。  このような認識の下、通商産業省といたしましては、平成十年度におきまして、次に申し上げる四つの柱からなる基本方針に沿って、全力を挙げて政策遂行に取り組む所存であります。  第一の柱は、「経済構造改革協力推進」であります。  停滞する景気回復させ、民間需要中心内需主導による経済成長実現するためには、当面の対策に加え、経済構造改革を進め、国民企業経済に対する信頼感回復しなければなりません。  当省としては、昨年五月に決定した「経済構造変革創造のための行動計画」に従って、「中心市街地活性化」、「新規産業十五分野創出を支える環境整備」、「知的創造活動を支える基盤整備」、「経済社会情報化推進」、「民需主導による地域経済自立的発展」を中心に、思い切った施策推進してまいります。  第一に、近年、空洞化が深刻化している中心市街地は、様々な都市活動が集積して行われる重要な地域であり、当省としては、その活性化に喫緊の課題として取り組んでまいります。このため、「中心市街地における市街地整備改善及び商業等活性化一体的推進に関する法律案」を今国会に提出しております。  具体的な予算としては、中心市街地における商業中核となる集積関連施設整備に対する支援に四十四億円、商店街施設整備リニューアル等支援に百四十一億円、都市型新事業立地促進に二十七億円など総額三百四十八億円を計上し、その他、出資金、無利子融資等も含めた助成措置確保しております。さらに、関連する公共事業推進も含め、関係省庁との連携の下、関連施策を総合的・一体的に推進してまいります。  第二に、新規産業十五分野創出を支える環境整備については、事業化に結びつく技術シーズの開拓・実用化重点を置いた研究開発制度創設・拡充し、新規産業十五分野への研究開発重点化を図ってまいります。また、産学官連携による研究開発やその成果の産業化等、新たな産学官連携の総合的な推進を図ってまいります。  このため、例えば、産学連携推進するため、大学と産業界連携して研究開発を行う制度創設に二十二億円、国立研究機関における競争的な研究開発費充実に三十億四千万円の予算を計上しております。  第三に、知的創造活動を支える基盤整備については、研究開発インセンティブ向上新規産業創出に資する知的財産権制度強化を図るため、特許市場創設権利付与早期化、国際的な権利保護充実等に五百五十八億三千万円の予算を計上しております。また、他の先進諸国と比較して遅れている計量標準等知的基盤整備を行うために十三億一千六百万円の予算を計上するとともに、我が国産業国際競争力向上に不可欠な標準化推進するために、国際標準創成のための研究開発に六億五千万円の予算を計上しております。  第四に、情報化推進は、生産性向上により、経済の高付加価値・省資源型への変革をもたらすものであり、我が国経済構造改革の原動力となるものであります。このような認識の下、幅広い分野に、最先端の情報技術導入を進めていくため、高度物流情報化システム構築など電子商取引推進マルチメディアコンテンツ市場環境整備に八十七億二千三百万円、教育や医療・福祉分野情報化地理情報システム整備など公的分野情報化に五十二億六百万円、超高度先端電子技術次世代情報処理基盤技術開発など基盤的情報関連技術開発に百六十九億七千三百万円の予算等を計上しております。  第五に、民需主導による地域経済自立的発展が可能となるよう、個々の地域の特性を踏まえた新規産業創出展開への支援策を積極的に講じてまいります。具体的には、平成九年度より講じております地域産業集積活性化対策を着実に推進するために、二百十七億二千六百万円の予算を計上しております。また、新規産業十五分野地域展開支援するために、新規成長産業連携支援事業として五億六千八百万円を計上するほか、地域コンソーシアム研究開発の拡充に、三十一億九千六百万円の予算を計上しております。  第二の柱は、「中小企業基盤強化・新事業展開に向けた支援」であります。  我が国経済活力源泉である中小企業が、現在の経営環境激変の中で、未来に明るい希望を持って事業に取り組める環境整備するためには、貸し渋り対策等による経営基盤強化や、創造的な新事業展開に対する支援推進していくことが必要であります。このため、中心市街地中心とした中小小売商業等活性化や、信用保証協会基本財産を大幅に積み増す等の中小企業金融信用補完制度充実といった施策を強力に推進してまいります。  このため、中小企業対策予算として、通商産業省所管一般会計総額千三百十三億円を計上しております。  具体的には、「中心市街地における市街地整備改善及び商業等活性化一体的推進に関する法律案」に関連して、まちづくり計画を策定するタウンマネージメント機関による商店街リニューアル促進地元主導による中核的商業施設整備促進といった、中小小売商業等活性化対策に、総額三百億円を超える予算を計上しております。  また、貸し渋り対策として、信用保証協会基本財産を大幅に積み増すため、百億円を計上するなど、財政投融資の適切な活用と併せて、健全な中小企業に必要な資金量確保するべく万全の措置を講じることとしております。  さらに、我が国製造業の根幹である「ものづくり」において、人材高齢化、若者の製造業離れ等の問題に対処し、高度な加工技術を担う人材育成を図るために十六億円、商工会・商工会議所を通じた小規模企業対策に二百一億円の予算を計上しております。  第三の柱は、「エネルギー制約を克服し、環境と共生する経済循環構築」であります。  昨年末の地球温暖化防止京都会議において、歴史的な合意に達したことを踏まえ、エネルギー安定供給確保を図りつつ、地球規模での持続的発展実現するために、省エネルギー対策抜本的強化や、新エネルギー開発導入加速的推進国民的合意形成安全確保前提とした原子力開発利用推進を図ることとしております。また、代替フロン等排出抑制対策推進エネルギー環境分野での、中長期的視点からの革新的技術開発普及途上国に対する国際協力強化などを講じてまいります。更に、リサイクル関連技術開発推進や、地域主導環境調和型経済社会形成への取組に対する支援等対策を講じるとともに、エネルギーセキュリティ確保に努めてまいります。  具体的には、まず、省エネルギー対策抜本的強化のため、高性能工業炉等開発導入等に七百二十一億円を、また、新エネルギー開発導入推進のため、太陽光発電システム開発普及等に七百四十八億円、さらに、原子力立地推進に八百二十億二千六百万円の予算を、それぞれ計上しております。  また、代替フロン排出抑制対策に十億五千七百万円、CO、固定化有効利用のための革新的技術開発推進等に三百二十四億六百万円、途上国取組支援等国際協力強化に百二十億四百万円の予算を、それぞれ計上しております。  さらに、リサイクル関連技術開発等推進するために八十七億八千四百万円、地域主導環境調和型経済社会形成への取組支援としてのエコタウン事業に十五億二百万円の予算を、それぞれ計上しております。  また、エネルギー安定供給確保のため、石油国家備蓄に三千六十五億九千二百万円の予算等を計上しております。  第四の柱は、「グローバルな経済環境戦略的構築」であります。  世界成長センターと位置づけられてきたアジア地域通貨金融混乱は、この地域経済に深刻な影響を及ぼしており、これを放置すれば世界経済不安定性を増幅させることになります。  このため、アジア地域との強固なネットワーク構築重点を置いて、経済協力国民利益を反映したものとして実施していくとともに、国際的な知的財産権保護強化に向けた活動や、国際標準化活動等グローバルスタンダード形成のための施策輸入対内投資促進等施策展開してまいります。  具体的には、アジア地域等に対し、裾野産業育成技術提携人材育成等に係る協力及び環境分野での協力等強化することとし、総額五百八億四千五百万円の予算を計上しております。  また、海外における早期知的財産権保護実現日米欧三極特許庁間の情報ネットワーク整備等のために、二十六億二千万円の予算を計上しております。  さらに、グローバルスタンダード形成に向けては、我が国の優れた技術もとに策定されているJISをベース国際規格改正提案を行うため、一億三千五百万円の予算を計上しております。  我が国市場への輸入の一層の円滑化を図るため、輸入促進地域、いわゆるFAZについて、ハード面支援に加え、ソフト面での支援を拡充することとし、関連予算として六億八千万円等を計上しているほか、JETROの内外のネットワークを活用した対日投資促進のため、一億六千万円の予算を計上しております。  以上申し上げました平成十年度通商産業政策を実施していくため、一般会計では、九千百三十二億円を計上しております。  また、特別会計につきましては、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計七千三百十八億円、電源開発促進対策特別会計四千六百十六億円を始め、五つ特別会計にそれぞれ所要予算額を計上しているところであります。  さらに、財政投融資計画につきましては、財政投融資規模ベースで、八兆九千九百五十七億円を計上しております。  平成十年度通商産業省関係予算及び財政投融資計画の詳細について御説明申し上げました。     —————————————
  6. 中川昭一

    中川主査 以上をもちまして通商産業省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 中川昭一

    中川主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位お願いを申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力お願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。春名直章君。
  8. 春名直章

    春名分科員 日本共産党春名直章でございます。  堀内通産大臣に、お話を聞いていただきたいといいますか、御質問させていただきますので、よろしくお願いします。  私、四国ブロックの出身なんですけれども、この間、四国各地地場産業、それから伝統産業、この産地の皆さんとかあるいは業者の皆さんと、かなり突っ込んだ懇談をさせていただいたり、それからシンポジウムなども開いてきたところです。そこで、現状の深刻さといいますか、切実さ、いろいろな要望も聞いてまいりました。その声も踏まえて、きょうは質問させていただきたいと思うのです。  最初に、大臣にお聞きしたいのですが、今、日本伝統産業地場産業、こういう産業がどういう困難になっているか、どういう事態になっているかということの御認識、私はかなり深刻だという認識を持っているのですが、大臣の率直な御見解を聞かせていただけませんでしょうか。
  9. 堀内光雄

    堀内国務大臣 お答えを申し上げます。  中小企業をめぐる環境というのは非常に厳しいものになっております。委員のおっしゃるとおりでございまして、地場産業現状というのは特に厳しい状態でありまして、平成三年から五年間で、出荷額が平均して二〇%程度下落をしているというのが状況でございます。  しかし、こうした中でも、地域においては、高付加価値化というものに取り組み、あるいは新分野への進出、あるいは人材育成というような課題に積極的に取り組んで努力をしている意欲のある中小企業も少なくないというふうに存じております。
  10. 春名直章

    春名分科員 私、大臣認識は一緒だと思います。特に厳しいというのを私も実感いたします。  皆さんにいろいろレクをお聞きしたわけですが、中小企業庁が発行されているこういう冊子を見ましても、国内の集積地域の五百十七の地域を対象にしましても、生産額が、平成三年を一〇〇とすると、平成六年以降ずっと平成八年に至るまで、約一〇〇から八〇程度で推移をしているとか、それから、休廃業が三千七百二十三社あって、全中小企業総数の四・八%が休廃業しているとかいうことが指摘をされておりまして、まさにそのとおりだと思うのですね。  数字にもあらわれているのですけれども、ただ、私は数字以上に今深刻な事態があるなということを実感せざるを得ないわけでございます。  愛媛県の今治市に行ってまいりました。タオルの産業の町であります。ここは全国シェアの六三・三%を占めております。もちろん業界第一位です。輸入の重大な影響と不況の追い打ち、二重の打撃がありまして、廃業が後を絶たないという状況で、以前五百あった業者が、今では二百五十から二百六十ぐらいと半減をしている状況にありまして、これは関連業種とか地域への壊滅的な影響というふうな状況が生まれています。  それから、先日、私、三月十四日に地元の高知県の土佐山田町に行ってまいりまして、打ち刃物業者の方々と懇談をしてきたのです。  この打ち刃物は、一九八〇年代の中盤には同町だけで二百六十軒ぐらい鍛造業者があったのですね。ところが、先ほど聞いてみますと、現在では百二十軒に激減をして、特にことしの売り上げは異常事態だと言われているのです。流通センターという協同組合をつくりまして、最初三十七人だったと思うのですけれども、そこで管理をしているのですが、売り上げ四億五千万から五億円ぐらいあるのだそうですが、その中でことしは恐らく一億円減るだろうという状況になっているそうです。特に消費税の影響が大きかったとおっしゃっていました。  愛媛県の菊間町にかわら産地があります。鬼がわらとかではなくて平がわら、いわゆるかわらの売り値ですけれども、これは私、聞いてびっくりしたのですが、二十年間百四十円だったのが、今では百円を切る事態が生まれているという実態だそうです。だから、人を雇って、後継者を雇おうとすると、親方の人件費を削って雇い賃を出さなければならない、こういう苦境もお話しいただきました。  これらはほんの一例だと思いますけれども、本当にこういう地域の、こういう地場産業の実態をぜひ大臣に肌身に感じていただきたいなと痛切に感じた次第でございます。  そこで、今努力をされている産地もあるということをおっしゃいました。まさにそのとおりだと思います。そこで、そういう努力をどう行政が後押しをしていくのかということが問われているように感じます。  それで、予算の問題で一つ御質問をさせてもらいたいと思うのですね。  中小企業対策全体の予算の推移を見て、少し私は残念といいますか、驚いたわけであります。通産省、大蔵省、労働省などの合わせた中小企業対策費なのですけれども、これは一九八二年に二千四百九十八億円ございました。全体予算に占める割合はそれでも〇・五%なのですけれども、二千四百九十八億円で、八〇年代、九〇年代で一番多い金額なのですね。それが一貫して下がり続けておりまして、一九九八年度、今度の予算案では残念ながら千八百五十八億円で、全体予算に占める割合は〇・二四%にまで落ち込んでいるわけであります。  中でも、地場産業振興対策補助金、地場産業対策予算ですけれども、この補助金制度では、事前に教えていただきましたけれども、今までこの制度を発足して以来一円も使い残しがない、大変人気の助成金である、競争率は大体三倍程度だというふうにおっしゃっておられました。この地場産業振興対策予算ですけれども、九一年の二十九億一千二百七十万円、これから下がり続けて、今年度が十億七百十五万円、さらに来年度の予算案では八億七千六百七十三万円、九一年度比で見ますと、三〇%にまで落ち込んでいるという実態でございます。  他のいろいろな対策ももちろんあるのかもしれませんけれども、しかし、余りにもこの減り方は大き過ぎると私は感じた次第でございます。地場産業の振興という点を本当に支援をするということに立ちますと、この予算をこういう減り方でそのままにしておいていいのだろうかということを非常に痛感をさせられた次第であります。  なぜこのような減り方をしているのか、ふやしていく方向はないのか、そういう御決意をぜひ大臣にお聞かせをいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  11. 堀内光雄

    堀内国務大臣 具体的な数字については、事務方からまた後ほど御説明を申し上げるようにいたしてまいりたいと思っておりますが、平成九年三月に策定されました地場産業集積活性化法の関連予算とか、地場産業振興関連の予算につきましては、現下の財政事情のもとで厳しい状況にあるのは事実でございます。多少やはり下回っていることは事実でございまして、地場産業振興関連予算については、大体前年の十億円に対して九億円というような数字に下がっております。また、地場産業集積活性化法については、二十億円のものが十九億円というような形になっております。  しかしながら、政策の実を上げるべく、限られた予算の中で重点的に、かつ効果的な支援を行えるように努力をして、処理の迅速化だとか、積極的な取り組みをするようには督励をいたしているところでございまして、数字についてはまた事務方から御説明を申し上げます。
  12. 春名直章

    春名分科員 その説明はなるほどとわかりますけれども、実際に残念ながらそういう減り方をしていく中で、そのことがやはり、地場産業伝統産業に光が当たらない部分がふえていくわけでありまして、衰退に拍車をかけているのだというこの御認識をぜひ持っていただいて、地場産業振興の先頭に立っていらっしゃる大臣にそういう立場でぜひ頑張っていただきたいなと心から要望したいと思います。  そこで、そういう予算全体の問題とともに、今ある制度についても柔軟な対応といいますか、実態に合わせた対応をぜひしていただきたいということを次にお話しさせていただきたいと思うのです。  今お話がありました集積活性化法の適用の問題でありますが、私は、この間、石材問題のシンポジウムなども一緒に開いてまいりました。それで、庵治、牟礼という非常に有名な産地のお話を聞いてきたわけでございます。  そこで、あそこの産地はまだ指定はされていないし、そういう申請も上がっていないのですけれども、一番困っていることは工業出荷額なのですね。六つの条件があると思うのですけれども、その中で、工業出荷額が過去五年間の全国の工業出荷額統計の平均伸び率を下回ることが絶対条件になっているというふうにお聞きをしています。それが少し上回っているために指定を受けることができないので申請できないのだということを、業者の方も、それから県もおっしゃっているわけなのです。  それで、もう御存じのとおりですけれども、中国からの原石だけではなくて製品の輸入というのは、この石材では物すごいわけでしょう。それで庵治産地ももちろん深刻な事態が生まれていまして、先ほどお話がありましたけれども、ブランド化したり付加価値をつけたりして必死の努力をやって、何といいますか、平均よりも少し上回る努力をしてきているがために指定をする条件がない。こういうふうな事態が実はあって、非常に苦しんでいらっしゃることがよくわかりました。  そこで、私も見てみたのですけれども、この庵治、牟礼の産地の工業出荷額全体の伸び率の数値を見てみますと、過去五年間、石材出荷額が大体毎年一〇%から一五%ずつぐらい急激に落ち込んでいることは事実なのです。庵治、牟礼の産地の出荷額自身はそういう形でずっと落ちているのですね。しかし全国的にもっと落ちているので、さっき言ったようなことになってしまってなかなか指定を受けることができないということで困っていました。  ある業者の方はこう言いました。このまま推移すると半分以上が廃業に追い込まれる、そうなれば全体の平均以下になるかもしれないのですが、それからでは遅いのですよね、こういうふうにおっしゃっていました。ある組合の役員の方が言っていたのは、統計上の数字を政府は重視をされる、これはもちろん大事だけれども、つかみやすいからそういう数字を重視されるのだと思う、しかしその数字の意味を考えてもらいたいと言うのです。今これだけ世知辛い世の中で、赤字決算を出すと銀行がお金を貸してくれなくなる、だからちょっと無理して赤字でも黒と出すというような業者も多いのだ、だからこれがそのまま統計で出てくると、景気は落ち込んではいるのだけれども、実際はそう大したことないじゃないかというふうに思われてしまう、石屋は頑固で頑張り屋なので、ちくしょう、やめるもんか、一生懸命そうやってやってきたのが逆に災いをしているような気がします、こういうふうな御意見でありました。私はそれを聞いて身につまされたわけでございます。  そういう点でぜひ、こういう事態があるわけですから、六つの条件の中でも特に出荷額の問題になると思うのですけれども、そういう条件を弾力的に運用するといいますか、そういう手だてはとれないでしょうか。そのことをぜひ御質問させていただきたいと思います。
  13. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  現在の地域産業集積活性化法の指定要件の工業出荷額が全国平均以下であることという点が何とかならないかという御指摘でございますが、御案内のように、地域産業集積活性化法のうち、一応五年間をとって基準をつくっておるわけでございますけれども、これは予算上の制約等からある程度の絞り込みはせざるを得ない、こういう実情を背景とするものでございまして、全国平均ということを一応のスタンダードにしてやっておりまして、これをもし割り込むと、相当数ぐっと広がってしまってなかなか実際の予算の執行が難しい、こういう条件があるからでございます。  ただ、地域全体の工業出荷額が全国平均を上回っている場合でありましても、個々の中小企業出荷額が下落している場合には、当該中小企業が行う高付加価値化や新分野進出等の取り組みについて、中小企業の新分野進出等円滑化法等の施策によって支援することが可能でありまして、実はこの基準は過去において三年間で一〇%とか、あるいは下請企業等の場合は五%とかいうことで要件を緩和してありますので、こういった支援策の活用についてぜひこれを御利用いただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  14. 春名直章

    春名分科員 その支援策もぜひこれから検討させていただきたいと思うのですが、もう一つだけ今のことでこだわってお話しさせてもらいたいのですけれども、今お話に出ましたように、九〇年代に入ってからの工業出荷額の推移を見ますと、一九九〇年を一〇〇とした場合の数値で、九一年、次の年の一〇五・五が最高なんですね。そして、最低は三年後の九四年の九三・四でありまして、九〇年代の最高から最低をとりますと実に一二%程度、ポイント数では一二ポイント下落をしているわけなんです。全国の工業出荷額がそういう落ち込みをしている。  それに比して、それよりもさらに落ち込まないと、非常に喜ばれているこの集積活性化法だと私は思うのですけれども、地域の指定が受けられないというふうになると、宝の持ちぐされじゃないですけれども、そういうことになりかねないし、先ほどおっしゃったけれども、余りにも広い地域になってしまうので、たくさんになってしまうからパンクするというふうにおっしゃるのかもしれませんけれども、そういう一二ポイントも全体が落ちているという状況の中で今あえいでいるわけでございますので、ぜひその条件についてこれから真剣な検討を、一つ一つの事例をもっと見なきゃいけないと思うのですけれども、そのことをぜひ御検討いただきたいなと思うのですね。  そのことをぜひ通産大臣、いかがでしょうか、その点は。
  15. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  全体として大変中小企業が厳しくなっているという状況は御指摘のとおりでございまして、私ども、地域産業集積活性化法は、産地全体で、その中でよくなっていようと悪くなっていようと一応支援が受けられる仕組みでございますが、この中で特に悪くなっている企業について、先ほど申し上げました仕組みで手当てできるので、またその他のさまざまな融資制度等も御利用いただけるということで、とりあえず対応できるのではないかというふうに踏んでおりますが、御指摘のお話、今後の検討課題として考えさせていただきたいと思います。
  16. 春名直章

    春名分科員 続いて、もう一つ切実な問題で、特に職人という問題でいいますと、職人の後継者をつくらないと灯が消えるということが、どこへ行きましても物すごい不安感ですね、これは。  それで、かわらにいたしましても、それから打ち刃物にしましても、熟練の技を会得してお金を稼げるようになろうと思えば、やはり五年というような年月は当然かかるのですね。一人の親方が一人の弟子を雇うと、それを五年間続けてやる、そんなことはもうできないような個々の実態になっているということをぜひ知っていただきたいと思うのですね。それを放置しますと、まさにその伝統産業そのものの灯が消えてしまうということになりかねないので、私は、国が職人の後継者養成の切実さといいますか、重要性をどのように考えられているかということをお聞きしたがったわけであります。  それで、具体的にちょっとお聞きをしたいと思うのですけれども、土佐山田町の打ち刃物については、昨日の新聞をちょっと見たのですが、伝統工芸品産業の振興に関する法律の指定を仮申請をしているということを報道されていまして、新聞によりますと、指定は確実ではないかと報道されているのですが、見通しを聞かせていただけないでしょうか。
  17. 水谷四郎

    ○水谷政府委員 土佐の刃物に関しまして、伝産品の指定の御希望があることはよく承っております。  この指定に関しましては、審議会の審議を経まして伝産品として認定する価値があるかどうか等々の審査をいたすところでございまして、ただいままさにその審査中と申しますか、経過中でございますので、見通しに関しては私ここで、審議会の審議事項でございますので、コメントは控えさせていただきたいと思います。
  18. 春名直章

    春名分科員 これのことを余り気にしないでください。仮に、そういう伝統工芸品の産業の振興に関する法律の指定で、もし指定をされますと、どのような後継者対策支援が受けられるのかということをお教えください。
  19. 水谷四郎

    ○水谷政府委員 先ほど来先生御指摘のとおり、伝統産業の振興のためには、いわゆるたくみの技と申しますか、それを受け継いでいく後継者の育成が極めて重要ということを我々よく認識をいたしております。  こういった観点から、伝統的工芸品の組合でございますが、後継者の確保育成事業、需要開拓事業等を柱としました振興計画というものをみずから策定する例が多うございます。この振興計画を国が認定をいたしました場合、その内容に応じまして、組合が実施します各種の研修、これは後継者の育成中心でございますが、各種の研修でございますとか、展示会の開催、意匠、デザインの開発、原材料の開発研究、こういった費用の一部に対しまして、県を初めとした地方公共団体と共同しながら補助金を交付をしている、こういう体制でございます。
  20. 春名直章

    春名分科員 その研修というのが特に直接的には人材養成ということに当たると思うのですが、事前にお聞きしてちょっと驚いたのですけれども、例えばそういう研修形式の補助で講師の謝礼には国が二分の一、教材などに国が二分の一ということになっているとお聞きをしております。それで、一指定産地で見れば、金額でいえば大体四十万か五十万程度になるのではないかというふうにお教えいただきました。それを聞きまして、私は、そういう点ではいろいろな努力をされているというのはよくわかっているつもりなんですが、この一点を見ましても、少し貧弱じゃないかなということを痛感せざるを得ないわけでございます。  先ほど申しましたように、今、一人一人が一人一人の職人を、弟子を雇って、これを育てていくというような余裕はもう全くないようなところに実態は来ております。ですから、研修したり、協同組合でそういう計画を立てて学校形式でやったりすることを支援しようということなんであって、私はそれはいい方向だと思うのですね。それだけに、そこに対する支援をもう少し強化する方向を検討していただきたいというのは切実な願いだと私は考えております。具体的には、助成金をもう少し頑張ってふやしていただくだとか、そんなことができるのではないかなと思っておりまして、質疑時間が終了しましたけれども、その点についての強い要望を含めて御意見を聞かせていただきまして、終わりにしたいと思いますので、よろしくお願いします。
  21. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先ほどの庵治の石、私も見に行ったことがございますが、なかなか昔からの伝統あるところでございますし、また、今のかわらの問題につきましても、よく先生の御意見を承りまして、後継者を育成するということは大変重要なことだと思いますので、御意見をよく踏まえまして取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  22. 春名直章

    春名分科員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  23. 中川昭一

    中川主査 これにて春名直章君の質疑は終了いたしました。  次に、倉田栄喜君。
  24. 倉田栄喜

    倉田分科員 平和・改革の倉田でございます。きょう私は、先物取引についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  実はこの問題は、昨年度も当分科会で取り上げさせていただきました。本年度は商工委員会の方で商品取引所法の改正も行われるということを聞いております。この問題も後でお伺いしたいと思いますが、まず、被害の実情ということからお尋ねをさせていただきたいと思います。  今なお、「先物取引、増える被害」こういう報道が相変わらずあるわけでございます。被害というのか損害を受けたと思われる方々がともかくいっぱいおられる。昨年度も私、申し上げさせていただきましたけれども、業界自体が社会に容認される業へ脱皮できるのかどうか、このまま裏街道の道を進むのか、こういう問題意識を持って事に対応されておられることも承知をいたしております。このまま被害の状況ということで新聞報道がいっぱいあるようでは、なかなか健全な市場に育たないのではないのか。  そこで、まず当局に、この先物取引において、いわゆる被害の実情というのをどのように認識をしておられるか、まずその点からお尋ねしたいと思います。
  25. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 通産省の消費者相談室に寄せられております国内の商品先物取引に関します苦情の件数で見ますると、平成八年に百八十件になっております。また、日本商品取引員協会の方に寄せられております苦情に関して言いますと、二百三件ということになっておりまして、近年の委託者の増加というような中で、委託者当たりで見れば、発生割合という意味においては減少はしておるわけでございますけれども、相変わらず絶対的な苦情の減少を見ることができないという状況にあるという事実認識を持っております。  それから、苦情の内容を見ますと、これもまた相変わらず、過当勧誘、仕切り拒否あるいは無断売買というようなものが大きなウエートを占めている、そのように認識をいたしておるところでございます。
  26. 倉田栄喜

    倉田分科員 きょう、経済企画庁から、国民生活センターの件についてお尋ねをしたいということでおいでいただいていると思いますが、国民生活センターでも、いわゆる先物取引における被害相談というのが寄せられていると思います。  最近の状況、動向、生活センターの方に寄せられる被害件数、どのぐらいあるのか、あるいはふえているのかどうか、そしてそれぞれの相談に対してどのように対応しておられるのか、その点をまずお教えいただきたいと思います。
  27. 飛田史和

    ○飛田説明員 お答えいたします。  国民生活センターでは、消費生活に関する消費者からの苦情相談に直接対応いたしますとともに、全国の消費生活センターに寄せられる苦情相談を収集しております。  それによりますと、商品先物取引に関する全国の苦情件数は、平成五年度におきまして約千八百件、六年度は約千七百件、七年度におきましては約二千二百件、八年度におきますと約二千八百件、九年度におきますと約二千七百件ということで、増加傾向にあるというふうに考えております。  苦情の内容でございますけれども、電話で勧誘されまして、海外取引、先物取引に何百万と使った、その後解約したいのだが会社移転や留守電などで連絡がとれないといった例、あるいは先物取引を契約して業者に手じまいを申し込んだのだが応じてくれないというような、要するに解約に応じないという例。それから、職場に先物取引業者から勧誘電話がある、幾ら断ってもしつこく勧誘してくるというような例。それから、株式講演会の席上で住所、名前を書いたのだけれども、その後、先物取引業者から再三訪問や電話による勧誘を受けて困る、こんなようなしつこい勧誘に関するものが実情でございます。  それに対しまして、国民生活センターにおきましては、これらの苦情相談に対応しまして、関係行政機関や業界団体と情報交換を行っております。それを踏まえながら個々の相談の処理に当たっておるわけでございますが、さらに、全国各地の消費生活センターに対しまして、苦情処理に必要な情報の提供、バックアップとしての提供を行っております。また、これに加えまして、商品先物取引関連のトラブルを未然に防止するという観点から、出版物を通じての消費者への注意喚起ということを行っているところでございます。
  28. 倉田栄喜

    倉田分科員 確かに、今お答えいただいたその資料の中にあるわけでありますけれども、平成二年度は千四百件だったのが、平成七年では二千二百件、平成八年度は二千八百件、九年度は二千七百件と、生活センターの方に寄せられている苦情相談というのは私は非常に大きくなっている、こう思うのですね。通産省の方もぜひその点は御認識いただきたいと思うのですが、先ほど当局の方から、仕切り拒否とかなんとかという言葉がございました。  そこで、いわゆる仕切り拒否あるいは転がし、過量取引、一任売買、無断売買、立てかえ預託、それからいわゆる借金させての預託、建て玉先行、両建て、向かい玉と呼ばれる取引、これらの取引は具体的に見て通産省としては違法だ、こういうふうに認識されておられるのかどうか、そういうふうなもとで業界、協会を指導されておられるのかどうか、まずこの点を確認をさせてください。
  29. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 今御指摘になりましたもののうち、仕切り拒否、一任売買、無断売買、立てかえ預託、建て玉先行、過大な向かい玉は、現行の商品取引所法違反でございます。  また、両建ての問題につきましては、今回御提案を申し上げております制度改正あるいは法律改正におきまして、同一の商品市場について同一限月で行う両建てといったような不適切な両建ての勧誘を行うことを禁止する規定を新たに追加をするということで御提案をいたしております。  さらに、御指摘のうち、反復売買、いわゆる転がしの問題、あるいは過当取引及び借金をさせての預託につきましては、業界におきます自主規制によりまして、委託者の資産状況などに照らして明らかに不相応と思われる過度な取引でございますとか、商品取引員が委託者に融資または融資のあっせんを行うということを禁止をするということでございます。
  30. 倉田栄喜

    倉田分科員 個々についてもそれぞれ問題はあるわけでありますけれども、特に、仕切り拒否という部分について、ちょっと今具体的なことを申し上げます。大体こういうふうな勧誘が行われて、こういうふうに、取引というか、なかなかやめさせてくれなくて、ずっといわば損害がふえていくのかなということだと思うのですが、これは熊本で私が相談を受けた具体的な事例です。何日に何があったということをずっと書いてもらいました。若干時間をいただきますけれども、そのまま紹介をさせてもらいます。  一月二十八日、水曜日。担当課長より電話、すべての建て玉の決済を要求した、つまり本人はもうやめたい、だから建て玉の決済を要求した。しかし、委託証拠金の二百七十万、二百七十万を既に払っていたのでしょうね、その二百七十万を超える額が出るかもしれないと言われた。こっちの方でシミュレーションするからと言って電話を切られた、同時に、幾ら戻ればいいのかと聞かれて、まあ八十万ぐらい今戻るのではないのか、本人はこういうふうに考えていた。これが二十八日です。  二十九日。またもう一度電話がかかってきて、いつごろ終わらせたいのかと聞かれて、早ければ早いほどいい、こう答えた。そうすると、向こうの方から、二月の頭ぐらいかと聞かれて、そうだ、ともかく早く終わらせてくれ、こういうふうに答えた。  さらに三十日。プラチナの買い付けを仕切って、金を十五枚追加すれば幾らか戻るから続けられたらどうですか、こういうふうに言われた。  そして三十一日に、今のままの状況ですと証拠金準備不足額がこれだけですよということで請求金額が届いて、九十万ぐらい追い証として今必要ですよ、こういうふうに言われた。これが本当にそうなのかどうかということもこの委託者というのは確認もできないだろうと思うのですね、多分、電話で一方的に言われているだけであって。  それで、今度は二月になって、二日。プラチナ、これを十枚ぐらい売る、そしてまた金十枚ぐらいを落とす、残りはプラチナと金をさらに買ったり売ったりする、こう向こうから言われるわけですよ。業者というか販売員の方というか、こちらからということではなくて、こういうふうに言われる。  それで、このままではいかぬなということで、二月十二日の日にさらに課長の方に電話するわけですよ。そうしたら、さらに二十二枚、プラチナを追加すると。委託者の方は、新たな取引はもういいからやめてくれ、こういうふうに言うのですが、そうすると、決済時に損の値幅が広がる、そうだから決済期をまた延ばしたらどうか。後で相談を受けると、随分引っ張られているな、こう思うわけです。  二月十六日になると、また今度はほかの人から電話があって、やめるには追い証が必要ですよと。こちらの方は、もう続ける意思がないから何とかしてやめさせてくれと言うのだけれど、続けた方がいいですよ、こういうふうに言われる。  二月十七日。さらに課長から自宅の方に電話がかかってきて、ともかく追い証がかかっている、払ってくれと。続ける意思はないので決済してくれと言った。そうすると、ここは後でお聞きしますので特に注意してほしいのですが、追い証を払ってからでないと決済できないと言われた。電話が突然かかってくるわけですよね。仕事に行く前にかかってきたり、会社にかかってきたり、携帯電話にかかってきたり、そしてまた会社に着いても、ともかくそのお金を払ってくれ、そうでないと決済できないと。これが十七日。  二月十九日。さらに今度はこちらから課長の方に電話をしますと、今支店長と相談している、こういうふうに答えた。支店長の方は、続けた方がいいでしょう、こういうふうに支店長は言う。続ける意思はないと答えると、今度は課長と相談してくれと言って電話を切る。こういうことが続くわけです。  もちろん、先物取引の自主規制ルールにおいて、この人が先物取引をするのに十分、ちゃんと、大丈夫かどうか、ハイリスク・ハイリターンですよ、そして、三カ月間は見習いですよ、試し期間ですよ、枚数制限も幾らかありますよ、こういうふうになっているわけですね。しかし、一回勧誘してしまって、場合によれば絶対もうかりますよと言うこともあるかもしれないし、いや、ハイリスク・ハイリターンですよという説明を受けていることもあるかもしれない。しかし、どうもだんだんあやしくなってくるから、やめたいと思うのだけれども、やめさせてくれない。仕切り拒否ですね。そして、やめたいと言うのだけれども、いや、追い証を払ってくれないとだめだと。応じてくれないわけです。  今の事例、これはどうでしょうか。今みたいな事例で、ともかくやめたいと言うのだけれども、今やめたら損になりますよ、今ちょっと上がり幅が大きいから続けられたらどうですかと。あるいはどうしてもやめたいと言うと、追い証を払ってもらわないと決済できませんよ、まずお金を払う方が先ですよ、こういうふうに言われる。これは仕切り拒否、私は先ほど違法と申し上げましたけれども、違反だ、こういうお答えがありましたけれども、この事例は仕切り拒否ですか。
  31. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 ただいまの事例が直ちに違法であるかどうかは難しい問題があると思います。  やめたいと申し入れたときに、それよりはこちらの道を選ばれる方がトータルとして得ですよというものに対して、現実にどういう反応をされたかとかというその状況、その他個別にもう少し詳細に検討いたしませんと、これが違法であるかないかというのはなかなか難しいところがあろうというふうな感じを持ってお聞きいたしました。
  32. 倉田栄喜

    倉田分科員 多少、はしょったところもあると思いますが、具体的には申し上げたつもりです。大体、こういう会話が行われている。やめたいと言っても、いや、今やめられたら損が出ますよ、続けられた方がいいですよと。去年も申し上げたように、続けていってもうかったためしはほとんどないわけです。  もう一点、さっきちょっと確認してくださいと申し上げましたけれども、まず、追い証を払っていただかないとやめさせませんと言うわけですよ、これはどうですか。
  33. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 そのようなことはないというふうに理解をいたしております。
  34. 倉田栄喜

    倉田分科員 そのようなことはないというのはどういうことですか。
  35. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 追い証を払ってもらわないと清算ができないというようなことはないというふうに理解をいたしております。
  36. 倉田栄喜

    倉田分科員 現実はそういうケースが多いわけですね。  それで、私も、この先物取引市場というのは二十一世紀、健全な市場として大きく発展する必要があるし、またしなければならないだろう、こう思うのです。ただ、今の状況だと、いわば素人の方が八万から十万ぐらい参加をしてきていて、毎年一年間でその大体九割ぐらいの人が損したと言ってやめていく。また日本の市場そのものが当業者参加が少なくて、いわば初めて参加する人の方が多い。  この先物取引の仕組みの持つメリットというのは、本来からいえば、この先物取引を専門とする人たちの中で、将来の値、現在の値というヘッジというのか、そういうのを行うこととすれば、当業者がもっと参加をしなければいけないはずであって、いわゆる一般素人の方が参加するのは市場としてやはり健全ではないだろうと思うのです。ですから、社会が容認する業へ脱皮をする、このまま裏街道を進むのかという問題意識からすれば、まさにもっと当業者が全面的に、取引参加者の八割とか七割とか占める、そういう市場にならなければならない。  そうだとすれば、一般的に余りにハイリスク・ハイリターンで、そのとおりなんです、ハイリスク・ハイリターンなんです。一割で十倍の取引ができる。取引損額と同時にその手数料も取引高の金額なんだから、えっ、こんなに手数料がかかったのみたいな話になってしまう。そうすると、一般参加者の市場参加ということは、きちんと説明をする、試し期間、枚数制限ということはあるとしても、私はもっとほかの方法を考えたらいいと思うのです。  一つは、いわゆる電話勧誘。ほとんどの方が電話勧誘です。これは業界にとって電話勧誘というのがまさに営業の一番最大のものだと思います。思いますけれども、では、それはターゲットを何にしているかというと、全く経験、知識のない人をターゲットにしているということでしょう。だから、この電話勧誘というのはやめたらどうか、少なくとも何らかの規制をかけるべきではないのか、私はこう思いますが、この点、どうでしょうか。
  37. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 電話勧誘そのものを一律に禁止ということになりますと、営業の自由との関係もございますので難しい点があるわけでございますけれども、現行の商品取引所法におきましても、委託者の保護という観点から、勧誘を一度拒否した者に対する再勧誘、電話による再勧誘の禁止でございますとか、相手方が迷惑を覚えるような時間に行う勧誘の禁止というようなことを定めておるわけでございまして、こうした違反に対しましては、必要に応じまして行政処分等によって対応をする、こういう体系にしております。  さらに、今回御提案申し上げておりますこの法律の改正案におきましては、適合性の原則というようなものを法律の中に明記をして、それなりの知識、経験、資産をお持ちの方についてのみこれを勧誘をするというような原則を法律の上でも明確にしていきたい、このように考えておるわけでございます。
  38. 倉田栄喜

    倉田分科員 いわゆる知識、経験、資産を持っている人に対して勧誘をする。そうすると、今のお話からいえば、全く見ず知らずの人に電話をかけて勧誘を勧める、そのこと自体から、進められようとする方向には反しているんだと私は思うのです。  確かに営業の自由の問題もあるでしょう。まさに営業をされる方にとっては、どこに訪ねていくのか、それは訪問にしても電話にしても、その最大のものだと思いますよ。しかし、その状況でいくと、やはり被害がふえる、先物取引における市場の信頼性というのは全然戻らない。そうすると、これに対して何らか方法を考えなければならない。そうすると、電話勧誘、ここに何らか対策を考える。  同時に、先ほど言ったように、仕切り拒否の問題、お互いに電話でやりとりして、これは明らかに仕切り拒否だということにならないケースがあるいは多いのかもしれません、それは個々具体的に調べてみないと。委託者の方は電話で相手に言う、しかし相手から、いや、そうじゃない方がいいですよと。そうすると、やはり相手がはるかにプロなわけですから、何となくそっちに頼ってしまう。そういう状況があって、ずるずる、結局やめられなくて、損害がふえてしまうという状況があります。  そうすると、契約解除というのを、清算、手じまいというのをいかにきちっとできるか、その方法を手立てる必要があるのだと思うのです。訪問販売法にはクーリングオフという制度があります。これは、契約が成立してから八日間以内。この商品先物取引が即訪問販売法の適用にならないということは私も承知をいたしておりますが、しかし、業界自体の信用性を高める、そして、やはりこれはちょっと、今二百万出してしまったけれども、今三百万出してしまったけれども、もうここで手じまいにしたいというときにはやめさせるべきだと思うのですね。  そうすると、私は、クーリングオフ類似の制度を認めるべきだ、はがきなり内容証明なりでやめたい、こう通知をすれば、それで、契約はその時点で清算になるという制度を考えるべきだ、こう思いますが、いかがですか。
  39. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 今先生の御指摘の点は、仕切り拒否に絡むお話とクーリングオフの関係があったかと思うのでございますが、仕切り拒否の問題につきましては、確かに御指摘のような点についてしかるべく改善措置を講じなければならないということで、しばしば口頭によりまして、これで仕切りをしてほしいという意思表示があったり、あるいはそれに対して取引員の方からの対応があったりということでございますので、後日そのことについての立証をすることがなかなか難しいという実情がございます。  そのために、今般、日本商品取引員協会の自主規制規則を改正いたしまして、会員に対しまして、委託者の意思に基づいて取引を執行していることについての記録の整備を求めることといたしました。考え方といたしますれば、そうした記録の整備がない限り、もろもろの問題が発生した場合に取引員の方が立場を悪くするというような仕組み、そういう仕組みを考えていくということが一つの手法としてあり得るのではないかと考えております。  なお、今回御提案申し上げております商品取引所法の改正、それによりまして自主規制機関たる商品先物取引協会として新しく御提案を申し上げておるわけでございますが、この自主規制機関に制裁という機能を与えるというのが法律改正の一部に入っておりまして、それとの関連をつけることによりまして、こうした口頭によります仕切りの申し込みと申しましょうか契約の解除と申しますか、そういう申し込みについてもできる限り委託者の保護の立場に立った対応ができるというような仕組みを整備していきたい、このように考えておるわけでございます。
  40. 倉田栄喜

    倉田分科員 例えば、後で証拠がないからどうのということではなくて、やはり具体的な手だてが必要だと思うのですね。これは、ともかくやめたいと言ったときにはやめることができるようにするということが大切だと思いますよ。そうしないと、私は、この先物取引市場の信頼性というのはとても戻らないと思いますね。  先ほどの事例のケースでいきますと、これは、二月の末くらいのときに私に相談があったのですけれども、三月十七日、またお金を六十五万払っているのですよ。本人はやめたいと言うのだけれども、ともかく払ってくれと。そうしないと、やめさせてくれないというか、もっと損害が出るというのか、そう言ってくるのは一方的でしょう、それが正確かどうかもわからない。それで、会社の方はそれなりに対応はしているのかもしれません、こういうことが起こることも予想して。しかし、この委託者というか、そういう方が、何か事を曲げて相談をしていると私にはとても思えません。  こういう事例がほとんどだと思いますが、こういうことばかりが続くと、やはりこの先物取引市場の信頼性、あるいは社会に容認される業への脱皮なんというのはとてもできないと思いますね。商品取引所法を改正したってだめですよ、業界、協会の今の体質が変わらない限り。  大臣、今いろいろ質問をさせていただいて、審議官の方からも御答弁いただきましたけれども、先物取引における被害について、大臣はどんな御所見をお持ちでしょうか。
  41. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいま委員と事務方の質疑を聞いておりまして、確かに、私もいろいろ耳にする問題というのは、先生のお話のような事態がよく起きてそれによって苦情を耳にすることが多いわけでありまして、そういうような例がないようにしていかなければ、これからの先物取引の問題については発展をしていかないのではないかというふうな感じを私もいたしております。  ただ、商品先物取引の市場というものを、今のビッグバンのこの新しい時代においてしっかり整備をしていかなければならないこともこれまた事実なことでございますので、先生のような御意見をひとつよく踏まえまして、この市場が健全に発展していけるような方向に持っていけるように、よく取り組んでまいりたいというふうに思います。
  42. 倉田栄喜

    倉田分科員 大臣は、ともかくこの市場の構造改革、当業者が参加をする市場、そして、いわゆる一般素人が入り込んでいって手ひどい損害を受けることがないようにする、そういう構造改革にぜひ取り組んでいただきたいと思いますし、いわゆる業界からは、それはハイリスク・ハイリターンだから、損害の問題であって、被害なんかではありませんよというふうに言われるかもしれませんけれども、被害者救済の問題は、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  そして最後に、今回、商品取引所法の改正、そして自主規制ルールの検討も行われると思います。先ほどちょっとお答えいただきましたけれども、審議官、その自主規制ルールに違反した場合の罰則、制裁、これはどうふうに対応していこうと考えておられますか。この点を最後に確認をして、終わりたいと思います。
  43. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 法律改正案におきまして、自主規制機関を抜本的に機能を拡充するということでございますが、その自主規制機関が定めましたルールに違反した商品取引員につきましては、自主規制機関によりまして厳格な処分が行われることを予定いたしております。  このために、この法改正案におきましては、制裁を科す旨を定款上定めるということを商品先物取引協会に対して義務づける、これを法律の内容として盛らせていただいておる、こういうことでございます。
  44. 倉田栄喜

    倉田分科員 終わります。
  45. 中川昭一

    中川主査 これにて倉田栄喜君の質疑は終了いたしました。  次に、中桐伸五君。
  46. 中桐伸五

    中桐分科員 民主党の中桐伸五でございます。  本日の質疑は、中小企業庁平成九年七月七日に「週四十時間労働制への対応策」という、いわゆる指導文書と言われている文書を作成したことに関する事実経過、及びその事実経過を踏まえてどのような行政責任、これは処分も含めて行う必要があるのかという点について質疑を行いたい、そのように思います。  まず、中小企業庁が作成した「週四十時間労働制への対応策」という文書の中で、いわゆる時短促進法、労働時間を週四十時間労働制に移行する措置が過去十年間にとられてきたわけでありますが、昨年の四月一日から、つまり現行法の労基法第三十二条によりますと、特例事業所以外の事業所は週四十時間労働制へ完全移行をするということが昨年の法改正で確認されたと思うわけでありますが、この点、労働省、そのように前提条件を確認してよろしいでございましょうか。     〔主査退席、栗原一博)主査代理着席〕
  47. 森山寛

    ○森山説明員 ただいま先生お話しになりましたように、昨年の国会で時短法を改正いたしまして、昨年四月から四十時間制の全面適用ということで今推進をしているところでございます。
  48. 中桐伸五

    中桐分科員 特例事業所以外は全面適用というふうに確認をしたいと思います。  これは四月一日から施行されておるわけでありますが、しかるにその三カ月後に、平成九年七月七日でありますが、中小企業庁より「週四十時間労働制への対応策」という文書が作成され、この文書の中に、「前国会において、」つまり百四十一回通常国会において「時短促進法が改正され、平成十一年三月三十一日までの間は、週四十時間労働制への移行のための「指導期間」とされた。」という文面が見られるわけであります。その文面の後に、「この間に」、つまり平成十一年三月三十一日までの間に「計画的に週四十時間制に移行する方法がある。」という文面があって、そして、平成十一年四月までに四十時間制に移行するという例が示してあるという文書であります。  これは、先ほどの労働省の見解とは明らかに異なる見解であるというふうに私は判断をするものであります。つまり、これは完全移行をしたということではなく指導期間だということを文面で言っているわけでありますから、ここは明らかに現行労基法に違反する内容である、違反するというかそごを来す内容であるというふうに確認をしたいと思います。  さて、この問題について、実は、中小企業庁平成九年七月七日作成の文書、これが全国中小企業団体中央会を通じて全国に配布をされたというふうに言われているわけでありますが、これは事実かどうか、中小企業庁長官にお伺いしたいと思います。
  49. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  まず、御指摘の文書でございますが、この文書は、週四十時間労働制の実施が極めて困難で労使とも対応策が見出せない個別の中小企業のケースにつきまして、労使による話し合いのたたき台として、両者の考え方を整理して取りまとめたものでございます。  このケースでは、実は労使の話し合いによって既に週四十時間労働制が実施に移されているわけでございます。  実は、こういった対応は個別の指導ということになりますが、中央労働基準審議会の報告、これは一昨年の十二月でございますけれども、御指摘のとおり四月一日から施行されるわけでございますけれども、それを控えて、「なお少なからぬ事業場においてその実施が困難となることは避けられないと見込まれ、これらの事業場に対しては罰則のみに頼る施策では十分な効果が期待できないと考えられることから、定着に必要な指導や援助を」……(中桐分科員「質問についてだけ答えてください」と呼ぶ)
  50. 栗原博久

    栗原(博)主査代理 長官、質問の内容だけ答えてください。
  51. 林康夫

    ○林(康)政府委員 私どもの意図は、指導期間の間に一日も早い労働基準法の履行確保を徹底するというためのものでございまして、その後、全国中小企業団体中央会がこの文書を各都道府県の中央会に配布したことは事実でございますが、当該文書が一般的なものとして配布されるということは誤解を招くおそれがあるために、全国中小企業団体中央会にこの文書の回収を私ども要請いたしまして、週四十時間労働制完全実施との当省の見解を改めて周知徹底するように要請しております。  この中央会も直ちに同文書の回収を行って、改めて当省の見解の会員への示達を実施しております。
  52. 中桐伸五

    中桐分科員 質問したことに一つ一つ答えていただきたいと思います。  もう私の次の質問まで答えてくれたわけでありますが、全国中小企業団体中央会を通じて全国に流れたという事実はお認めになったわけですね。  そうしますと、その全国中小企業団体中央会にこの文書が渡った事実経過についてお聞きしたいと思うのですが、いっ、だれから、だれに、どういう方法で、どの地方に、どのくらいの事業所にこの文書が流れたのか、これまで調査をされていると思いますので、そのことについて、簡潔にで結構でございますから、お答えください。
  53. 林康夫

    ○林(康)政府委員 当該企業が全国中小企業団体中央会の傘下の企業であったために同会担当課との事務連絡の中でこの案件が紹介されたわけでございまして、全国中小企業団体中央会から啓蒙の一環として都道府県中小企業団体中央会に配布したわけでございます。ただ、誤解を招くおそれがあるため、私どもの要請によって直ちに回収を実施した、こういうわけでございます。  この具体的な配布状況でございますけれども、配布した県、秋田県三百組合、山口県五百七十組合、京都府五十九組合、計九百二十九組合でございまして、その他は各県の中央会でとまっていたということでございます。これを徹底させて回収をしたというのが経緯でございます。
  54. 中桐伸五

    中桐分科員 相当数の組合のところまで流れたという事実が明らかになったと思うわけであります。  先ほど御説明があった内容の中に、この指導文書はどういう意味で作成されたかという、その目的については、なかなか週四十時間労働制に移行できない事業所がまだ多く残っている、その事業所に対する指導として個別指導という形で行ったものであるというふうに理解してよろしいですか。
  55. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたのは、一昨年十二月の中央労働基準審議会の報告の中に書いてある文章でございまして、私どもは四月一日からこれを施行する、実施する、完全実施というのが基本的な考え方でございまして、なお実施できない事業所に一刻も早くこれを実施させるという観点からいろいろな御相談にあずかっていたというのが経緯でございます。
  56. 中桐伸五

    中桐分科員 そうしますと、個別事業所に対するきめ細かい指導のために、この七月七日の文書というのはそのもとになる文書としてつくったというふうに確認してよろしいですか。
  57. 林康夫

    ○林(康)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、この文書は具体的なケースに即して労使双方の主張を整理しまとめたものでございまして、むしろこれに基づいて指導するという観点ではなくて、私どもは、当然のことながら四月一日からの完全実施、法律が施行されておりますから、直ちに完全実施されるべきと認識しているわけでございまして、あくまで個別事業所の労使の話し合いのたたき台という観点でいろいろまとめたということでございます。
  58. 中桐伸五

    中桐分科員 週四十時間制へ移行するための労使の話し合いのたたき台という形で出された文書であるというふうに確認いたします。  さて、そうしますと、具体的に労使の指導を、中小企業庁としてこの文書をもとにして労使の双方にたたき台として出して、労使の相談に応じたというケースが具体的に事業所としてございますか。
  59. 林康夫

    ○林(康)政府委員 このケースを除いては、ございません。
  60. 中桐伸五

    中桐分科員 このケースとは一体どういう事業場なのでありましょうか。事業場の名前は言わなくてもよろしいが、先ほどの、特例事業場以外は週四十時間労働制に完全移行するとなっているわけでありますから、それは特例事業場であったのか、それともこの労働基準法三十二条が適用される事業場であったのかを確認したいのです。
  61. 林康夫

    ○林(康)政府委員 これは週四十時間制が適用される事業所でございます。
  62. 中桐伸五

    中桐分科員 そうしますと、完全移行の対象になる事業場に対するたたき台としてこの文書を活用されたというふうに理解をしたいと思います。  さて、この問題につきましては、全国一般労働組合が、国家公務員が法律の内容に、つまり労働基準法第三十二条に触れるような内容とも受け取れる文面の含まれたこの文書を、しかも先ほどお伺いしますと相当数の組合に配布されたというふうな状況の中で、これは極めて重要な問題であるということで、告発をするという動きがあるところでありますが、その問題はさておきまして、そういう意味におきましては、極めて大きな混乱を結果としては引き起こしたというふうに私は言えるのではないかと思います。  それで、参議院の平成九年十月三日の本会議において、都築譲議員がこの問題を取り上げております。さらにそれに引き続きまして、参議院の商工委員会におきまして、平成九年十一月六日に、平田議員によって同じ問題が質疑をされております。衆議院ではこの質疑が初めてであるというふうに思いますが。  その参議院の本会議における質疑の中で、橋本総理が答弁に立たれまして、次のような質問の内容に対して答弁をされておられます。  都築議員が、この中小企業庁が作成した文書について、先ほどから確認をしておりますように、平成九年四月一日から完全移行している事業場に対して平成十一年までの期間に四十時間制に移行するというふうな内容の含まれた指導期間という認識のとれる文書を作成した、そして、しかもその事業所に対して活用したということについては国家公務員法第九十八条第一項に違反すると考えるが、どういう処分をされるのかお伺いしたいという質問をしております。  国家公務員法第九十八条第一項というのは、ここで確認をするまでもないかもしれませんが、一応確認いたしますと、「職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」という項目であります。この項目に違反するのではないかということを指摘し、その処分はいかがかというふうに質問をしておるわけであります。  それに対しまして、総理の答弁は、やや長くなりますが全部言いますと、   中小企業庁の文書は、週四十時間労働制完全実施の前提で、その対応が困難な個別の中小企業のケースにつき、労使による話し合いの内容を取りまとめ、解決策の検討のベースとしたものであり、当該ケースは両者の話し合いによって既に週四十時間労働制が実施をされており、労働基準法違反を奨励する通達を発出したというものではございません。こういう答弁になっております。  質問の内容が通達を出されたというふうな質問であったので、通達を発出したというものではないという回答になっているわけでありますが、問題は、この指導文書がいろいろな、正確な文面になっていないというふうな話はさておきまして、つまり、ここの指導文書に書かれておる内容は、完全移行したということが十分誤解をされる内容として例示まで挙がっているわけであって、そういう意味において、このような文書が中小企業庁から発行されるということにつきましてはどういう処分をするのかという問題が、やはりこれは避けて通れないのではないかというふうに思うわけであります。ところが、総理の答弁は、この処分の問題について全く触れておられないわけであります。  そこで、私は、この処分の問題について、この質疑の中で、どうしていくのかという問題を議論をしたいと思うわけであります。  その前に、私はこの事実を大変重大な事実だというふうに思うのは、今日の我が国の社会が、少子化が急速に進行している、同時に高齢化社会へと急速に進んできているわけでありまして、そういう中で、特に少子化という点でいえば、育児というものについて、どういうふうな子育ての安心してできる仕組みをつくるのか、このことは極めて重要であります。また、お年寄りがふえてくる中で、介護という問題も極めて重要な課題となってくるわけであります。  そういう中で、家庭生活と職場生活の両立を実現するということは、これから日本の女性が職場に進出をして、あるいは高齢者も、元気な高齢者は職場で働き続ける、そのためには、安心して子育てができる、あるいは安心して介護サービスが受けられる、そういう仕組みがどうしても不可欠であって、いわゆる安定経済成長確保するためにこの問題は極めて重要である。しかも、この安定経済成長確保する前提の女性の職場進出、そしてまた介護の仕組み、介護のサービスを安心して提供できる、そのような観点から見たとき、今日まで時短を促進をしてきましたけれども、なお時間外労働を含めて長い労働時間の問題というのは今後の課題として残っている、そういう中で時短というのは極めて重要な課題である。  そのような労働時間の短縮という大変重要な意義を有している課題について、個別の事業所への指導とはいえ、そのたたき台とはいえ、法違反に当たる内容のものを含んだ文書が中小企業庁という名前で発行されたということは、これは極めて重大な問題だ。つまり、今の日本の社会の中で一番重要な課題の一つである企業のあり方、働き方のルールのあり方、そういった問題を決める労働時間の問題に対して、この中小企業庁の文書は極めて問題が多い、重大な問題を含んでいると私は理解するわけであります。  そこで、私は、この文書の作成と活用、そしてまた、全国中小企業団体中央会を通して相当数の組合にこのような文書が配布されたということについての行政責任というのは、これは参議院の本会議で結論の出ていない問題であって、何らかの行政責任に対する処分も含めて、例えば中小企業庁長官辞任ということも含めて、何らかの明確な責任をとるべきだというふうに私は思うわけであります。そういう意味において、通産大臣の御見解を伺いたいと思います。
  63. 堀内光雄

    堀内国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいまの問題の文書というものは、私の承知いたしております範囲におきましては、紛争当事者、紛争の起きた企業、その当事者間における紛争の解決のために、当事者間において参考にというか紛争解決のために出されてきた資料であって、その当事者間の文書自体は、それをもと企業の労使の紛争は解決をした、その参考資料として関係のところに発送をしたというふうに私は承知をいたしておりまして、週四十時間労働制は昨年の四月から施行されており、直ちに完全実施されるべきものであるということは大前提に立っているものだというふうに承知をいたしております。  また、通産省といたしましては、全国の中小企業団体中央会に対しまして、そういう紛らわしい形での文書が出たということに対しては、回収を直ちに行うと同時に、当省の見解の徹底を直ちに要請をして、それが実施をされたというふうに聞いております。  そういう意味で、今後とも、こういう誤解が生じることのないような十分な管理監督を行ってまいりたいというふうに思っております。
  64. 中桐伸五

    中桐分科員 大臣、この文書の一番最初の文面は、大臣が今理解をされている内容とは大いに異なっているわけであります。つまり、前国会で時短促進法が改正され、平成十一年三月三十一日までの間、つまり二年間は週四十時間労働制への移行のための指導期間とされたというふうになっているわけです。これは法律違反なんだ、法律に触れる内容なんだ、そこをまず理解をしていただいて行政責任ということを考えていただかないと物事は解決しない、そういうふうに思います。どうぞ、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  65. 堀内光雄

    堀内国務大臣 私もただいま見たところでございまして、よくこういう問題について検討させていただきたいと思います。
  66. 林康夫

    ○林(康)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、この文章が、個別の問題について、両者の主張を整理してまとめたものとはいうものの、若干誤解を生む可能性があるという点については先生御指摘のとおりでございますので、私どもも、回収を指示すると同時に、四月一日からの完全実施という見解を明確に連絡すると同時に、実際にこの文書が、現場でいろいろ配布による混乱が生じていないかという点についても詳細に調査をいたしました。その個別の中央会の事業所ごとに調査いたしました……(中桐分科員「簡潔にお願いします」と呼ぶ一はい。混乱が生じていない旨、確認をいたしたところでございます。
  67. 中桐伸五

    中桐分科員 そういうことを聞いているのではないのです。  つまり、「「指導期間」とされた。」という文章になっているわけです。完全移行になっているのに「「指導期間」とされた。」というのは、これは法律に反するわけだ。そこの問題を私は言っているわけであって、大臣、これは国家公務員法第九十八条第一項というものにやはり違反しているのではないかと思います。その点について、大臣、御見解をいただきたいと思います。
  68. 林康夫

    ○林(康)政府委員 一昨年の十二月の中央労働基準審議会の答申を踏まえて、昨年の通常国会で、一応、四月一日以降二年間を指導期間として、完全実施はするものの、少なからぬ事業所が実施できないので、各担当の各庁がきちんと指導するようにという法律改正が行われているわけでございまして、私どもはそれを踏まえて、完全実施を一刻も早く実現するという観点から、指導をする必要があると考えておるわけでございます。
  69. 中桐伸五

    中桐分科員 時間がないのですが、全然私が質問していることにお答えになっていない。指導というのは助成金の措置の問題とかそういう問題があるわけであるけれども、週四十時間労働制への移行のために平成十一年三月三十一日までは指導期間とされたというふうなことは、法律からは全然解釈できない。その問題を言っているわけです。  大臣、もう時間がないので、今後どのように、処分の問題を含めて対処されるのか、もう一度御見解をお聞きしたいと思います。
  70. 堀内光雄

    堀内国務大臣 今、説明を聞いておりますと、この文書につきましての、「一「指導期間」の活用」というのは会社側の主張であって、三番目における「夏期休暇」云々というところは組合側の主張であって、その主張と主張の記録を中小企業庁としてはまとめて参考に配布したということだというふうに今私の方は理解をしているところでございまして、さらに実情については調査をいたしてみたいと思います。
  71. 中桐伸五

    中桐分科員 次の質疑者が私と一緒の民主党なので田中さんに少し時間をもらいますが、だんだん時間が延びてくると、この問題、いいかげんになっても困るので。  つまり、会社が書いたとかなんだとかという話は、この中からは全然わからない。中小企業庁平成九年七月七日から十一年三月三十一日までが指導期間とされたというふうに解釈をして確認をした文書だというふうに思うわけであります、この文書が全国の組合に流れれば。それは例示でわざわざ平成十一年四月から四十時間まで移行するということまで書いてあるわけですから、当然、これを読んだ事業主は、この方式でやればいいのだというふうになるのではないですか。そこの行政責任は極めて重大だと言っているわけです。その問題を、国家公務員法に関する違反ではないかと言って都築議員が質問したことに対して、総理の答弁は、全然その問題について答えていない。だから、これは中小企業庁の最高責任の大臣から明確にこの処分の問題について見解をいただかないとけりがつかないのではないか。いかがですか。
  72. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいま申し上げているように、先生の御指摘のように、そういう誤解を招くおそれのあることであったので早急に回収したということでございますが、その間の事情について私なりに検討をさせていただきたいと申し上げておるわけであります。
  73. 中桐伸五

    中桐分科員 次の質疑者の方に申しわけないので、その検討したいということは、処分も含めて、処分の内容も含めて検討したいということで理解してよろしいですね。
  74. 堀内光雄

    堀内国務大臣 現在のところ、その処分を含めてというよりも、現実、この状態の、文書自体をまず検討させていただきたいというふうに私は思っております。
  75. 中桐伸五

    中桐分科員 いや、文書はこれ以上の解釈はできないわけだから、大臣、完全移行ということについてはどこにもないのだから、しかも例示が、そういうふうに平成十一年四月までにやればいいのだなというふうになっている数字まで入った例示なのだから、その問題はここで議論してもしょうがない。だからこれ以上時間をとるのはもったいないので、大臣、だから処分のことも含めて、処分するかどうかということも含めて検討してください。
  76. 堀内光雄

    堀内国務大臣 私も、現在初めて見た文書でございますので、よく検討させていただくということと同時に、処分をしなければならないような事態があれば、処分をさせていただきます。
  77. 栗原博久

    栗原(博)主査代理 時間が経過しましたから、これにて中桐伸五君の質疑は終了いたしました。  次に、田中甲君。
  78. 田中甲

    田中(甲)分科員 民友連の田中でございます。三十分の時間をいただきましたが、同じ民友連の中桐さんが若干時間を延長したようでありますので、その辺の配慮を持ちながら質問をさせていただきたいと思います。  我が国の自動車保有台数と申しますか、車社会の現状というものは、またここ数年でかなり保有台数が増加しているというデータが私の手元にございます。現段階での保有台数が七千二百万台ということでありまして、さらになお成長を続けているということでありますが、このような車社会をどのように今御認識をなさっているか、御所見で結構であります、例えれば幸いであります。
  79. 堀内光雄

    堀内国務大臣 非常に急速な自動車の増加、これは市民生活として考えるならば非常に恵まれた社会の中での発展をしてきているということに理解をいたしますし、一面においては非常に豊かになった、結構なことだというふうに思いますが、それが片方におきましては道路の渋滞の問題だとかあるいは大量輸送機関がそれによって非常に経営が悪化されてくるとかいろいろな面を考えますと、非常に複雑な一面を持っているものだというふうに感じます。
  80. 田中甲

    田中(甲)分科員 ここに、「自動車の社会的費用について」というレポートの抜粋がございます。最初のこの数字を挙げているのは、昭和四十五年野村総合研究所の計測値でありますけれども、つまり、社会的費用として、自動車を一台所有することによってどのくらいかかっているのかということでありまして、交通安全施策整備に係る費用ですとかあるいは踏切の立体交差化ですとかあるいは交通事故による損失額、さらには大気汚染、騒音、道路建設、もちろんそれも含めましてさまざまなものを入れてまいりますと四十五年当時で十八万円。同じ四十年代でありますが、四十九年に宇沢教授の計測値というものが東京都で出されておりますが、一台当たり二百万円かかっている。五・五メートル以上の道路だげを積算した場合には、一台当たり六十万円という数字などが挙げられております。  この数字を出されたデータというのが最近もたしかあったのですけれども、最近では一台当たり何千万円という額、マルの数が違うという状況だそうであります。  あわせて、環境問題に少し言及をさせていただきたいと思います。  COP3、京都会議が行われた昨年から、環境問題にさらに関心を高めていかなければならない、ちょうどそういう時期だと思います。運輸部門の中で、自動車の二酸化炭素の排出量割合というのは八八%、運輸部門というものは大体CO2の発生の二割と言われておりますが、そのうちの八八%が車という数字であります。  質問が前後して大変に恐縮でありますが、私もAGBM、京都会議の前段のドイツの会議やあるいは京都会議に出席をさせていただく中で、通産省の姿勢というものがAGBM、ドイツの会議に出席した他の国々から見て、環境問題に対して非常に消極的であるという見られ方をしていたのは事実のようであります。  この辺に関しまして、大臣から、京都会議日本の場合には六%ということで、まあいろいろ条件はつくわけですけれども、そういう目標値を出したわけですから、今後、通産省もこのCO2削減あるいは地球温暖化問題に対して、環境問題全般でも結構でありますから、どのような姿勢でこれからどのような具体的な行動をされるか、そんな点も踏み込んで御答弁いただければありがたいと思います。
  81. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生御指摘のように、環境問題、特にCO2の問題について考えますと、これは人類の生存にもかかわる重要な問題でございます。特に議長国として日本が京都会議を取り仕切った関係もございますので、この決定についてはそれこそ全力を挙げて取り組んでまいらなければならないと考えております。  この気候変動化問題というのは、やはり経済産業政策あるいはエネルギー政策、こういうものと不可分な関係にありますから、通商産業省としても、この問題の解決についてはそれこそ積極的に取り組んでいかなければならないと思っているところでございます。  特に、先ほど大体二〇%という自動車のお話がございましたけれども、全体で見ますと、産業面が五割、それから民生部門が二五%、自動車、運輸が二五%。きょう急にお話をいただきましたので、大きな割合で考えるとそんなような割合の中で、産業部門というのは特に五割程度のところを受け持っているといいますか、分担していると思っております。  これについて考えますと、一九九〇年からの眺めをずっと見ましても、産業部門においては伸びが極めて小さくなってきているということは、省エネ法や省エネルギーに向かって産業部門というものがタオルを絞れるだけ絞っているような状態に来て、現在まで取り組みを行ってきたということが言えると思います。  そういう点から考えますと、先生のおっしゃられたように、通産省の取り組みが非常に消極的のようではないかというお話がございましたが、非常に積極的に取り組んで、なおかつなかなか一番難しい、産業の発展、経済の発展とこのCO2、環境問題というものを取り組んで調和をさせていくということになりますと、一番大変な部門を受け持っていることになっているというふうに思うわけであります。  したがいまして、これから先の、特に京都会議におきまして六%の削減というようなことをさらに加えて考えますと、我々の常識でまいりますと、できる限りの努力を行って行って大体一九九〇年レベルに行くのが精いっぱいというような状態であるわけでございますから、そういうものをさらに超えて行わなければならないということに向かって考えますと、これは大変なことである。  そういう意味で、熱意は持っておりますが、なかなか簡単に六%のものに対して了解をするというようなことのできない立場にあるということもひとつ御理解を賜りたいというふうに思っております。細かい数字につきましては、また事務方の方で御説明を申し上げたいと思います。
  82. 田中甲

    田中(甲)分科員 ありがとうございます。  オイルショック以降、省エネに徹したということでは、確かに我が国日本のその姿というものは特筆すべき点であったと思いますし、努力をされてきた過去の経緯というものが事実あったと思います。  地球温暖化防止ということを、二点でポイントをつかんで私なりに考えを申し上げますと、まさに自然の変化のスピードというものが不自然な変化のスピードに変わってきて、それを異常と言っているのだと思いますけれども、気候変動枠組締約国会議というその名称のとおり、気候の変動が著しく変化しているために、環境難民がこれからたくさん出てきたり、干ばつによって作物がとれなくなってきたり、異常気象による災害というものが発生したり、こういう気候という面から一つとらえることができるのだろうと思います。  もう一つ、では具体的にどうするかといいますと、それはまさにエネルギーを効率よく使うということになってくるのだろうと思います。エネルギーの効率ということを考えてまいりますと、私は、省エネということもございますが、これから各産業ごとにリサイクルということを徹底していく必要があるのだろうと思うわけであります。  私は冒頭に車の所有台数というものを申し上げましたから、どこにつながってくるのかなというのは賢明な通産省の皆さん方はもうおわかりだろうと思いますが、車というものが余りにもふえ過ぎている。また、車というものがCO2のいわゆる排気ガスの発生というものを行っている。廃車をきれいにしてくれればいいのですけれども、車を使い捨てしてしまう時代になってしまっている。廃車届をしてナンバープレートは返すけれども、車は河川敷やあるいは海岸沿いに捨ててエンジンナンバーや車体ナンバーを削り取ってしまうというのが現在の実態でもあります。  そして、この廃車になった車をきちっと処理ができませんと、フロンというものが大気に放出されることになってくる。フロンを使わないように法規制ができても、まだまだ義務づけられるということではないわけですから、その辺の規制も甘いのだろうと思いますし、今度は代替フロンということに対して通産省がどういう姿勢でいるかということまで言及するならば、フロンの回収は各産業界の主体的な取り組みに任せると言っておりますし、代替フロンに関してはまだその具体的なこれからの計画ということが示されていないやにも私たちは聞き及んでおります。  車というものがいかに環境問題あるいはエネルギーのむだ遣い、リサイクルの不徹底というところからまだまだ不十分であるかということを私は御指摘をしたいのですけれども、その点についていかがでありましょうか。
  83. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 車の環境に及ぼす負荷について、今御指摘ございました。  私ども、自動車に係る環境問題につきましては、関係者の間で適切な役割分担を行いつつ対応をしていかなければならないというふうに考えております。  例えば、温暖化ガスの関係では、エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づきまして燃費目標を設定して燃費の改善に取り組むとか、あるいはフロンの回収につきましてはフロン回収促進プログラムに基づいてボランタリーではありますけれども回収の促進に努めるとか、あるいは使用済みの自動車につきましても、最近通産省におきまして回収のためのイニシアチブをつくりまして業界にリサイクルのシステムを実行してもらっているというようなことで、いろいろな分野でできるだけの対応を今しているところでございます。
  84. 田中甲

    田中(甲)分科員 九三年に、私は徳大寺さんという方と対談をさせていただいたことがございました。  そのとき徳大寺さんとの話の中で幾つか印象に残ることがあったのですけれども、ドイツでは、フォルクスワーゲン社やあるいはメルセデスベンツ、BMWという車の有名なメーカーは、ドイツのメーカーは、自国で売ったものをすべて自分で責任を持って処理するということが既に義務づけられておりましたし、リサイクルできるそのリサイクル度一〇〇%を目指してどのメーカーも努力をしているという状況に既にありました。  それに比べますとまだまだ日本のメーカーは、エコカーということでハイブリッドカーが開発されたりという新たなよい傾向というものは出ているものの、車を完全に処理するということに対する責任というものが欠落しているのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  85. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 車のリサイクルの重要性につきましては私どもも重く認識をしておりまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれどもリサイクル・イニシアティブというのを昨年の五月に取りまとめて、数値目標を定めてリサイクルを促進をさせていただいているところでございます。  現在、車のリサイクル率は七五%でございますけれども、これを二〇〇二年以降には八五%に高めてもらうというようなことを考えておりまして、行く行くはさらにこれを高めていきたいというような目標を設けて、リサイクルのシステムの構築をやっているところでございます。
  86. 田中甲

    田中(甲)分科員 今、大臣が席を外されている間に担当の方から御答弁をいただきましたが、車のリサイクルというものにはこれから最大限の努力をしていく、リサイクル・イニシアティブということも設けてというお話をいただきました。  具体的に、では業者にリサイクルを徹底しなさいということを言われているという範嗜なのでしょうか。まだまだその辺は、七千二百万台の車が日本の中で保有されている。年間の廃車台数はたしか、私の記憶は大づかみでありますが、七百万台近く廃車されているというはずであります。  その中の七五%しか徹底されてないということは、膨大な数が何らかの形で十分な処理の対応がされていないということになるのではないでしょうか。  私は、産業界の今後の姿ということを考えながらさらに環境問題に力を注いでいかなければならない通産省の方々ほど、板挟みになって、それでも、六%というCO、の削減、地球温暖化防止京都会議の中で約束した日本の姿をつくり出すために懸命に御努力をしてくださっているということに敬意を表しながら、苦しい立場であるがゆえに、逆にリーダーシップを発揮していただかなければならないと思っているのです。  私は、環境委員会のメンバーではありませんが、環境委員会で継続的に質問をさせていただいています。また、環境と極めて密接なかかわりのある運輸委員会のメンバーでありまして、運輸委員会でもこの車の問題の質疑をさせていただいています。  九三年に徳大寺さんと対談をしたときにも、私、先ほどそのことを、大臣、少しお話をさせていただいたのですが、車のデポジット制というものを導入すべきではないか、この検討をぜひやっていきたいということを徳大寺さんにもお話をいたしました。あれからもう五年もたってしまったのですけれども、産業界のことを考えるとなかなか言い出せなかったというのが実際のところであります。  しかし、今環境問題がここまで大きくクローズアップされた中で、やはり車のデポジット制というものを確立していく必要があるんではないかと考えておるのですけれども、車のデポジット制に対してどのような御見解をお持ちになられているか、ぜひ御答弁をいただければと思います。
  87. 堀内光雄

    堀内国務大臣 使用済みの自動車のリサイクル並びに適正処理の問題につきましては、昨年の五月、通産省におきまして、自動車のリサイクル率の数値目標、先ほども申し上げたと思いますけれども設定をいたしましたり、管理票制度導入などというものを内容とする使用済み自動車リサイクル・イニシアティブを、申し上げたとおり、行っているところでございます。これに基づきまして、自動車メーカーなどを初めとする関係者の自主的な取り組みも現在積極的に進められていると聞いております。  御指摘のデポジット制度につきましては、仮に新車を購入したときにデポジットを徴収したといたしましても、先ほど先生も御指摘いただきました七千万台で七百万台というと十年でございますね。大体十年間というようなサイクルの中で廃車になってくる。それも早い方かもしれません。そういうことになってまいりますと、廃車時点で必要とされる費用というものがどの程度確保されるのかということも保証がされておりません。これを導入するという環境がまだ全体として整っていないのではないかというふうに私は感じているところでございまして、しかし、だからといって、そのままでいいというものではございません。  いずれにしても、使用済み自動車のリサイクル及び適正処理を促進するための関係者の適切な役割分担、こういうものを図りながら、鋭意努力をしてまいりたいと思いますし、またデポジット制という問題も、その中において一つの対象として検討をしてまいることが必要だろうというふうに思います。
  88. 田中甲

    田中(甲)分科員 ありがとうございます。非常に丁寧なお答えをいただけたものと大変に喜んでおります。  これは「デポジット制度自治体アンケート」集計結果報告というものであります。人口五万人以上の全自治体でアンケートの答えが出されまして、この中で一点御紹介しておきますが、「デポジット制度の対象にする商品は、何が望ましいとお考えですか?」と。瓶、PETボトル、缶というのは、もう通常出てくるものでありますが、電池、家電に続いて乗用車というのが出ております。つまり、全国の自治体の処理コストがかかっているものあるいは不法投棄に問題のあるものがここに挙げられたわけであります。これは、私たちが国会の中で審議をしている予想以上に車というものの不法投棄が多いということを、全国の五万人以上の自治体のデータの中で示しているものだと思われます。  まだその時期ではない、熟してないという御答弁ではありましたが、その点に対して、さらに積極的なお考えを持って対応していただきたいと思います。  デポジット制度は、今衆議院法制局の方で話を始めたばかりでありまして、要綱に至る前段のところでありますが、議員立法としてぜひとも積極的に進めていきたい。ただこういうものをやってみたらどうですか、通産省さんにもやってくださいと言うのではなくて、議員が、国権の最高機関であり唯一の立法府であるその立場の中で積極的にやっていくべきだと考えておりますが、その点については、大臣、いかがでしょうか。
  89. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先ほどから家電の問題あるいは自動車まで含めての投棄が多いというお話がございました。  段階的に考えますと、家電なんかの場合についてみますと、新しいものを買いかえる際に一番のつながりを持っているのが小売業者のところであり、そういう販売を通じて消費者との関係を持っている人のところに消費者が出すときにその支払いをするというような問題も、これはやはり一つの取り組みの対象だろうというふうに思います。デポジットという問題も、これまたそれだけで完全に解決しない問題についてどこまでデポジットによる対策をするかということにもなってくると思います。一つのことで全部解決がつくという問題ではないように私も思っておりますので、そういう点は、ひとつ大きく御検討をいただいたり御示唆をいただくことは結構なことだろうというふうに思っております。
  90. 田中甲

    田中(甲)分科員 この機会ですから、議員立法に対する御所見も賜れればありがたいと思います。
  91. 堀内光雄

    堀内国務大臣 これは、国会の方の議員の先生方のお取り組みによるものでございまして、政府として、特にそれに対して申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  92. 田中甲

    田中(甲)分科員 本来の議員の、立法府としての立場というものを推進してよろしいということで受けとめてよろしいでしょうか。
  93. 堀内光雄

    堀内国務大臣 立法府の先生方の御意見、お考えというものが提出されることについては、非常に結構なことだというふうに思います。
  94. 田中甲

    田中(甲)分科員 ありがとうございます。  運輸省、通産省、環境庁、それぞれの省にまたがる問題になると思いますので、議員立法、十分に検討し、皆さん方にも御理解いただけるように、またお知恵を拝借できるような議案というものを提出できるように進めてまいりたいと思います。  私は、家電にいたしましても、あるいは少し前に始められました容器包装リサイクル法にしましても、やはりコストというものがかかりますので、リサイクルを進めていくためには大きな資金的な助成体制というものが必要になってくると思うのです。  車というものは、もちろん車の産業界からはかなりの反発等が考えられますけれども、車にかかる諸税というものを整備することによって、私は、デポジット制、自動車債券なるものを購入してもらって、例えば一台につき十万円の債券を購入していただくということが十年ぐらいかかってすべて導入された場合には、七兆円というプールができ上がります。この原資というものをもってリサイクルの社会の促進をさせていく、そんな資金源として活用していくということも、この自動車債というものがすべてのリサイクルの中の一つの円滑な動きをつくり出すものにできるのではないかという考え方もございます。  うまく短時間の間で説明できませんでした。質疑の時間ももう終了してしまいましたので詳しく説明することはできませんが、そんな点もよく検討しながら、ぜひ皆さん方にまた見ていただけるような議員立法というものを提出していく、そんな姿勢でございますので、御指導のほどよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。
  95. 栗原博久

    栗原(博)主査代理 これにて田中甲君の質疑は終了いたしました。  次に、西川太一郎君。
  96. 西川太一郎

    西川(太)分科員 きょうは、省エネ法の改正案が近々商工委員会で、また本会議で議論をされるわけでありますけれども、それに先立ちまして、もう既に提出をされておりますので、これに関連して大臣並びに通産省の皆さんに御見解を承りたい、こう思いまして質問に立たせていただきました。  貸し渋りの問題などでいつも堀内大臣にいろいろとお尋ねをしてまいりましたけれども、その問題についてもやっと政府が実態調査に入るということで、大臣の御示唆が強くあったのだろうと想像いたしております。どうぞひとつ国民のために頑張っていただきたいということを最初に申し上げさせていただきます。  ところで、お尋ねに入りますが、現在、国内のエネルギー消費というものは、一九九五年度の時点で石油換算で三億八千八百万キロリットル、このまま省エネ策を追加しなければ、二〇一〇年にはこれが二割近く、正確に言えば一八%アップするであろう、こう言われているわけであります。  私も、先般京都で開かれましたCOP3に日本政府代表部の顧問という国会議員団の一員として参加させていただきました。今、エネ庁を中心にいろいろとこの問題に取り組まなければならない、また、業界からはいろいろな意味でもう少し立場を考えてほしいというようなこともおありになる。エネ庁といいますか通産省の担当の方々も、こんなにきつくやるのか、こういう感じの印象を持っておられるということも仄聞しております。そういう中でこれをやっていかれるわけでありますが、トップランナー方式などなど、これからお尋ねをしたいと思います。  まず、政府委員に伺いますけれども、外郭団体の財団法人省エネルギーセンターというところが、「省エネ型電気製品比較カタログ」というのを昨年の十二月の中旬にとりあえず五万部出された。これは全国五十の電気製品の量販店、そういうところに置かれた。そうしたらえらい人気で、政府の出版物としては異例のことだそうでありますが、たちまちのうちに品切れになり、年を越して二月に五万部刷り増したところ、これもあっという間になくなった。そしてインターネットにホームページを開設したところ、ニカ月間で一万二千件のアクセスがあった。  これは業界にとってはショックだったようですね。なぜかというと、もうメーカー名を公表して、クーラーや冷蔵庫や、またはその他のテレビ、ビデオ、一年間でこの製品ですとこの程度の電気代で済みますということを公表したわけでございます。この方式がいわゆるトップランナー方式につながっていくわけだと思うのでありますが、私は、これは非常に結構なことだというふうに評価をしているわけでございます。  ただ、心配なのは、これによって業界の中にいろいろと波紋を、特に中小の電機メーカーに大手トップを走っている人たちに技術的にまだついていけない、こういう立場が出てくることが一つ。  それから、開発の経費がどんどん必要になってまいりましょうから、これが価格に反映されるなんていうことはないのか。我が国の家電製品というのは、御案内のとおり内外価格差がほとんどないというか、むしろマイナスでございますから、こういう分野を育てていく通産省としては、環境政策産業育成というこの二律背反の中で御苦労されるのじゃないかなという気がいたすわけでございます。  この辺、ひとつ政府委員の方に御答弁をいただきたいと思います。
  97. 篠原徹

    ○篠原政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、昨年十二月、財団法人省エネルギーセンターより比較カタログというものを公表いたしまして、先生御指摘いただきましたとおり大好評でございまして、御指摘のような大増刷をしているところでございます。  第一点の、トップランナー方式の導入によりまして中小メーカーがどういうことになるかという点でございます。今、改正法案を提出させていただいておりますけれども、法律制定後、トップランナー方式の基準値を設定いたしますけれども、大体四年とか五年のリードタイムという期間を設けまして、その間にこのトップランナー基準値をクリアしていただく、そういう期間を設けるつもりでございます。したがいまして、中小メーカーにも技術開発あるいは技術導入をする時間的な余裕というものを十分持たせた形でやってまいりたいというふうに思っております。  それから、トップランナー方式導入によりまして一部製品にはコストアップになるのではないかということでございますけれども、確かにいろいろな新しい装置を加えるという要素がございます。例えばエアコンでございますと、インバーターという附属部品をつけ加えるというようなことによりましてエネルギー消費効率を上げるという要素がございまして、幾分かのコストアップは不可避でございます。ただし、省エネ効率が高まることによりまして、年間消費の電気代というものが相当安くなるという効果もございまして、三年とか四年お使いいただきますとコストアップ分は十分取り戻せるというようなところを私どもねらっておりますので、賢明な消費者でございますと、その辺を比較考量していただきまして、十分御理解いただけるものだというふうに思っております。
  98. 西川太一郎

    西川(太)分科員 実は、個人的なことを言って恐縮ですが、私、電気製品が大好きで、特に聴覚、視覚の楽しみはほとんどの機器をそろえて持っております。問題は、例えばテレビなんかもビデオ内蔵型とかいろいろなものがあるわけです。それから、最近はデジタルのDVDというものも出てきて、これなどは充電をしてどこへでも持って歩ける。こんな軽量なものでございまして、そういうようなものがどんどん新規産業につながって、いわゆる日本の新しい経済分野を広げていくということに大いに力があるのだろう、こんなふうに思っているわけでございます。  したがって、私は否定しているのじゃないのです、肯定的に質問をするわけでございますけれども、この財団で出されているカタログ、これでもう少しきめの細かい比較を、例えばテレビならテレビを単純にテレビというだけで比較するのじゃなくて、そういう機能別に比較をされていくということ、これが大事だろうと思うのです。  恐らく、メーカーの方は、そういう新規の国民の需要にこたえていろいろなものを開発してくると思うのですが、この省エネはもちろん大事です、これも否定するものじゃありません。しかし、その省エネが、新しい機能の開発による新製品の出現にブレーキをかけるものじゃいけない。これは二律背反と申し上げたのは、もう少しくどく言いますと、そういうことなのでございます。その辺の工夫がこのカタログを今後定期的に出していく場合には必要なのじゃないか、こういう声が家電関係者からあるようでございますが、この辺につきまして通産はどんなふうにお考えか伺いたいと思います。
  99. 篠原徹

    ○篠原政府委員 昨年十二月に出しましたこの省エネカタログは、何せ日本で初めての試みでございます。そういう意味でも、産業界にいろいろ御協力をいただきましてここまでこぎつけたものでございます。  ちなみにテレビにつきましては、スタンダード型あるいはBS内蔵型等々、いろいろ数区分に一応区分は分けたわけでございますけれども、御指摘のような批判あるいは御意見等々私ども今承っておりまして、これは定期的に見直しをする予定でございます。そういった点に十分反映していきたいと思っております。  次にトップランナー方式を導入した場合に、いろいろな製品の付加的な、多機能なものがトップランナー基準によって阻害され、最終的には消費者の選択が狭められるのではないか、極端なことを言えば、もうスタンダード型のみに絞り込まれて、そういった消費者のいろいろな選択の余地が狭められるのではないかという御意見がございます。  実は私ども、この点につきましては、同一区分の中で、例えばスタンダード型あるいはいろいろな機能がついたもの等々がトップランナー基準値の同じカテゴリーの中で比較されるわけでございますけれども、出荷台数を掛けました加重平均でその区分の基準をクリアすればいいという考え方に立ちまして基準を設定したいと思っております。したがいまして、大量に出回る製品につきましては、当然のことながらトップランナー基準値をクリアしていただかないといけませんけれども、特別仕様の多機能製品で若干省エネ基準値が悪いものにつきましては、スタンダードタイプの大量普及品でいい成績を上げていただきますと、総体として、トータルとしては加重平均の中でクリアできる、こういう仕組みにしたいと思っております。
  100. 西川太一郎

    西川(太)分科員 先ほど田中議員も触れておられましたが、家電のいわゆるエネルギー消費の御三家は、クーラー、冷蔵庫、テレビでございます。特に、クーラー、冷蔵庫には冷媒としていわゆるフロンの問題がつきまとうわけであります。CFCをやめてHCFCにかえたが、これは地球の温暖化効果はCO2の千倍だ、いわゆるオゾンの破壊についてはゼロで問題はないけれども、せっかくそっちを解決したと思ったら温暖化で思わぬ結果になった。ここらもやはり国を挙げて業界を指導する。すなわち国の、特に通産の能力によって、工業技術院等の力をフルに発揮して早くこの代替フロン開発していただかなければいけない、これは要望しておきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、次にお尋ねをいたしますのは、一部の業界に、トップランナー方式の基準値が二〇〇四年でしたかに決まる、それまでは様子見をしておいた方が開発費、研究費で得なんじゃないかと。つまり、基準が出ないうちに早々とやってしまって、また業界のほかのメーカー等からさらにその上を行かれるようなことをやられてはたまらない、基準を見るまでは積極的に省エネ性能を高めない方がいいのじゃないか、こういう議論があるやに聞いておりますが、こういうことをやってまいりますと、省エネ基準を設定しても、結果的に目標が甘いものになってしまうという危険があるのじゃないか、こんなふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  101. 篠原徹

    ○篠原政府委員 省エネ性能の比較カタログをごらんいただいてもおわかりのとおり、現在でも、最も効率のよい製品と下位の製品では省エネ性能に相当な違いがございます。したがいまして、今後トップランナー方式によります基準設定によりまして、大変厳しい目標になるというふうに私どもも認識いたしておるところでございます。今後とも、省エネ性能の情報が消費者に適切に提供されることによりまして、私どもといたしましては、家電メーカー間の競争が促進されまして、トップランナーの省エネ性能の向上が停滞するという可能性はないというふうに考えております。  さらに、トップランナー方式によります基準の設定におきましては、現行の製品の最高水準の省エネ性能に加えまして、技術開発の将来の見通しも勘案するということにいたしております。したがいまして、仮に家電メーカーが、今先生御指摘があったようなトップランナー方式の基準が決まるまでの間、省エネ性能を高めないという企業行動があったといたしましても、このトップランナー基準値は学識経験者を含めました専門家によって議論をいたしましてつくる次第でございまして、基準の設定にはこういった技術開発動向も十分反映して設定することができるというふうに考えております。
  102. 西川太一郎

    西川(太)分科員 くどくて恐縮でございますけれども、省エネ法の改正をめぐっては、このトップランナー方式が非常に重大な議論のポイントになる、こういうふうに思うわけであります。  先ほどの御答弁でもう少し突っ込んでお尋ねしたいというふうに思いましたのは、つまり各メーカーが大手同士であっても、すべての製品で一社でトップを維持できるということはまずないと想像いたします。私、直接そのカタログを見ていないのですが、ある経済雑誌に転載をされたものをたまたま見まして、みんなメーカーが違うのですね。そうなると、得意とする分野とそうでない分野が判然としてくる。総合的に家電のメーカーとして設備投資もし、また技術開発もし、今日までにいろいろな蓄積があったろうと思うのです。こういうものを壊してしまう、そんなことがあると、私は大変な問題になるということを非常に心配しております。  環境に不熱心ということではないのですよ。産業側に立って、またそれを擁護するということでもないのです。国民として、これは言うまでもありませんけれども、環境については加害者であり、被害者であるわけです。さすれば、経済にとっても、便益をこうむる人と、また心ならずもそれを阻害してしまう立場というのは、これは経済活動の中に出てまいりますね。そこのところは通産省としては非常につらい立場だろうと思うのです。トップランナー方式を定着させるための細かい配慮が業界との間に必要ではないかと心配をいたしておるのですが、その姿勢といいますか、もう一回そこのところをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  103. 篠原徹

    ○篠原政府委員 御指摘のように、トップランナー方式の運用次第によりましては、得意分野に特化いたしまして、今までつくっておりましたような総合的な製品が出せなくなる、各社それぞれ得意分野で特化をしていくというような業界再編成が行われる可能性はあるというふうに私は思っております。  ただ、そういう自由競争社会がいいのかどうかというのはまたこれから御議論いただかなければいけないところでございますけれども、いずれにしろ、この法の目的であります省エネ機器の抜本的な向上を図るという目的の中で、先生御指摘がありましたように産業界にもできるだけ過大な負担がかからないように、その辺については今後とも産業界と意思疎通をよくしながら、ただ、法の目的はぜひ達成してまいりたいというふうに思っております。
  104. 西川太一郎

    西川(太)分科員 本当にそこのところが大事なんですね。視野を狭くして業界の擁護だけしていたのではいけないし、人類全体の、世界的に売れる商品でなければいけないわけです、特に日本の場合には貿易立国ですから。そういう意味では、この問題はまことに画期的な、非常に重要なテーマだというふうに承知をいたしておりまして、これにつきましては、また別の、つまり商工委員会の席で詳しくお尋ねをしたい、こう思います。  関連してお尋ねしたいのは、省エネを進める場合には、機器自体の省エネ性能を高めるということはもちろん大事ですが、同時に、これを使う側の、国民の省エネに対する意識の啓蒙といいますか、そういうことをさらに進めていく必要があると存じますけれども、どういう対策をお持ちなのか伺いたいと思います。
  105. 篠原徹

    ○篠原政府委員 省エネを推進していく上におきまして、機器自体の省エネ性能のみならず、機器の使用方法を適切なものにするということが重要であることは、全く御指摘のとおりでございます。  このため、先般国会に提出をさせていただきました省エネ法改正法案におきまして、今御議論いただきましたトップランナー方式を導入したわけでございますけれども、最終的には、国民一人一人のその使い方、あるいはその努力、また国民の省エネに関します意識を喚起いたしまして、ライフスタイルの抜本的な変革を促していくことが大変重要でございます。  こうした観点から、関連予算につきましても、九年度十八億円から十年度政府案におきましては三十三億円ということで、大幅に増額をお願いしているところでございまして、今後とも、省エネルギーに関します情報提供や普及啓発活動強化を通じまして、国民一人一人の御理解と御協力がいただけるように努力してまいりたいというふうに思っております。
  106. 西川太一郎

    西川(太)分科員 大臣にお尋ねをいたすわけでございますが、ただいま政府委員と私の間で質疑応答をさせていただきました。聞いていただいたと存じますけれども、今回、COP3での合意を踏まえて、八%、七%、日本は六%、こういう非常に厳しい達成目標を課せられたわけでありますけれども、これのために抜本的な省エネ政策を進めなければいけない、これについての基本的なお考えを、まず大臣に承りたいと思います。
  107. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいま先生の御質疑をいろいろと承っておりまして、まことに示唆に富んだ、大変有意義な御指摘を承ったというふうに感じております。こういう問題を我々もしっかり踏まえて取り組んでいかなければならないと思っている次第であります。  京都議定書上の我が国の温室効果ガスの削減目標、これはもう大変厳しいものになっておりまして、この目標を達成するためには、エネルギーの需要面において、産業あるいは民生そして運輸、すべての部門において最大限の省エネ努力をしていかなければならないというふうに思いますし、また、現在、内閣総理大臣を本部長にいただきまして、地球温暖化対策推進本部を設けておりますが、この中で、京都議定書を踏まえた国内対策推進が図られているところでございます。  通産省といたしましては、この国会に、エネルギーの使用の合理化に関する法律の改正案、いわゆる省エネ法でありますが、これを提出いたしまして、先ほどから御論議をいただきましたトップランナー方式というものの、考え方の採用によって、家庭電器、OA機器、自動車等のエネルギーの消費基準を、製品分野ごとに技術的、経済的に想定される最高の水準、基準というものを設定すると同時に、その担保措置と申しますか、そういうものを強化するほか、工場だとか事業場におけるエネルギー使用の合理化を徹底してまいりたいというふうに思っております。  そういう中で、経団連の環境自主行動計画あるいはその追加的な措置というものが確実に実施されるように今取り組みをしておりますし、あるいは産業構造審議会や総合エネルギー調査会の合同小委員会においてさらにそれをフォローアップしていくようにいたしてまいっておりますが、これはまたなかなか、一九九〇年レベルをさらに六%下回るということは大変なことであるという状態になっております。  また、国民の一人一人の理解と実践が極めて重要であること、先生のおっしゃるとおりでございまして、エネルギー環境に配慮した新しいライフスタイルというものの実践を促進してまいりますように、普及啓発と…うか、そういうものの抜本的な努力をいたしてまいりたい、そういう努力に全力を挙げてまいりたいと思っております。
  108. 西川太一郎

    西川(太)分科員 どうぞ頑張っていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  109. 栗原博久

    栗原(博)主査代理 これにて西川太一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、西川知雄君。
  110. 西川知雄

    西川(知)分科員 西川知雄でございます。  きょうは、主に横浜の鶴見区と神奈川区、その地域中心にいたしまして、大臣も御存じだと思いますが、京浜臨海部というのがございます。そこの再編整備の問題について、大臣の御所見と所管官庁の一つである国土庁の意見というものをお聞きしたいと思っております。  御存じのように、鶴見区と神奈川区は京浜臨海部の中心であったわけですが、例えば、昭和五十五年、事業所数は約千三百五十ありました。一番最新の通産省がとられた統計によりますと、この数が四百減りまして九百五十になっております。また、従業者数も約六万人ぐらい昭和五十五年にはいたわけですが、最新の統計では三万五千人というふうに、大幅にこの地域事業所数と従業員数が減っております。これはいろいろな理由がございますが、やはり国際化の波に洗われて産業空洞化していっている一つの現象であります。  ところで、ここの地域活性化させようということで、横浜市が中心となりまして、いろいろな大学の先生とか役所関係を中心にして、どんなふうにしたらこれが活性化していくだろう、また国際競争時代に耐えられるような日本産業基盤をつくっていけるだろうか、こういうふうに研究をして一つのプランというものを、平成九年の二月に京浜臨海部再編整備マスタープランというのをつくりました。  大臣も横浜とそんなに遠くないところにいらっしゃるのでよくおわかりかと思うのですが、みなとみらいというところがございまして、この地域はたくさんの新しい開発がなされて、だんだん整備がされてきているわけですが、ここの臨海部、今私が申しましたところはほとんどまだ、昔から開発をして工場や研究施設というものを整備していこうというふうに考えておるわけですが、いろいろな規制があって、みなとみらいに比べるとずっとおくれているわけですね。  その一つの原因としてよく言われるものに、工業等制限法というのがございます。昭和三十四年の法律でございまして、これは特に産業及び人口の過度の集中を防止するという観点からできているわけです。ところが、今私が御説明いたしましたように、昭和五十五年から平成の一番最新のデータから判断しましても、どんどん産業空洞化が進んでいる。そこへ、このような工業等制限法がまだこの地域にかぶさっている。そうしますと、いろいろ機動的な工業または工場の再編成とか再配置とか、そういうことができないわけですね。しかもこの地域は特に、新しい工場群または工業を集中してその地域に置いて、環境問題にも配慮して、センターとしてその機能を果たしていこうというためにつくられた地域でございまして、いわゆる大都市の工業集積地域と言っていいところだと思うのです。  そこで、法律の解釈というのはちょっと別にしまして、今のこういう国際化の時代、そして産業空洞化が進んでいる時代、こういう時代にはまずこの規制を、全国一律に廃止してしまうとかいうことはちょっとおいておきまして、少なくともこういうような地域には適用しない、または制限地域から外すということによって産業活性化できれば、これは日本空洞化問題の対策にもなるし、これからの産業発展のためにも非常に好ましいすばらしい姿だ、私はこう思うのですが、大臣産業育成という面からこの点についてどういうふうにお考えか、一言お願いします。
  111. 堀内光雄

    堀内国務大臣 お答えを申し上げます。  京浜臨海部の工場跡地の有効利用というものを図っていく、また同地域経済活力を維持増進するということのためには、産業構造や技術動向の変化に対応して、地域の特性に応じた産業展開を図るということは非常に重要なことだというふうに思います。  このために、通産省といたしましても、地域産業集積活性化法というものに基づきまして、京浜地域等におきましては特色のある産業集積を活性化する諸般の施策を講じてきておりますし、また、これは前国会において御承認をいただきましたけれども、工場立地法による緑地の整備を含む工場レイアウトの制約を緩和するというようなことも行いまして、地域経済の維持発展に向けた政策展開を図っていることは事実でございます。  先生のお話の工業等制限法につきましては、昨年末の閣議決定に基づきまして、この一月に工場跡地や制限対象業種というものに対する規制が緩和をされてきたところでございますし、また、制度の抜本的な見直しについては、現在国土庁と協議をしながら、国土庁が中心になって検討を進めていただいているところであります。  通産省としましては、制限区域における工場立地のニーズというものの実態を踏まえまして、京浜臨海部などにおける制限緩和のあり方というものについて検討するということは非常に重要なことだというふうに認識をいたしておりまして、こういう観点から、国土庁での見直しの検討に協力をしてまいりたいというふうに思っております。
  112. 西川知雄

    西川(知)分科員 積極的な御見解で、我々としても心強く思うわけでございます。  特に、工業地域とか工業の専用地域と指定されているところとか、いわゆる工業集積地域というところは制限区域から除外するとかいう方法をとるとか、また新産業育成のために新しく必要となる工場、この制限施設の基準面積もやはり五百平米、千平米となっておりまして、京浜臨海部は五百平米でございますが、その辺もやはり地域の事情、先ほど大臣が言われた地域の特性に応じて緩和していく、こういうことをやっていただく。これは単に法律の問題ではなくて、これからの産業のグローバライゼーション、これから本当に国際化になってきますから、これに立ちおくれないためにも、そういう具体的な観点を持って国土庁と協力してやっていただきたいと思いますので、もう一度、その具体的な観点も踏まえて御答弁を願えますでしょうか。
  113. 並木徹

    ○並木政府委員 お答え申し上げます。  若干詳細に触れることでございますので、私の方からお答えさせていただきます。  先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、委員御指摘のとおり、企業としては大変厳しいいわゆるメガコンペティションの状況の中で、今後の方向について模索しておるところでございまして、そういった観点から、産業なり企業の実情に合った規制の今後のあり方につきましては、そういった新しい方向に向けての努力ということで、国土庁初め関係省庁とそういう方向で今後御相談させていただきたいということでございます。  工場立地法を先般の国会で改正していただいた際にも、緑地規制でございますとかあるいは生産施設面積につきましても、そういった方向で緩和させていただいたわけでもございます。あるいは先ほどの、今般政令で改正いただいた工業等制限法につきましても、リサイクル関連施設でございますとか、あるいは開発研究型のそういった施設等々につきまして最大限の緩和をしていただいた次第でもございますので、そういったことも含めまして、今後、国土庁を初め関係省庁と十分御相談してまいりたい、このように考えているところでございます。
  114. 西川知雄

    西川(知)分科員 それでは、今の通産大臣の御答弁をもとに、国土庁の方としても、地域の特性を十二分に勘案して、また現在の日本が置かれている国際市場での地位というものを勘案して、そういうふうな制限緩和に向けてぜひ十二分な、早急な努力をしていただきたいと思いますので、国土庁の方からも御答弁をお願いいたします。
  115. 大堀一平

    ○大堀説明員 御説明申し上げます。  工業等制限制度につきましては、今、西川委員御指摘のとおり、京浜臨海部を中心といたしまして、大都市中心部からは緩和すべきであるという強い意見が出されております。また一方で、これらの地域以外の首都圏の周辺部でありますとか地方部からは、ぜひともこの制度を堅持してほしいという意見も出されております。私どもといたしましては、これらの二つの立場の意見を十分考慮しながら、制度の基本的枠組みを維持しながら、これまでも弾力的な緩和措置を講じてまいったところでございます。  ただいま通産大臣からもお話ございましたが、本年一月三十日からは、京浜の臨海工業団地の工業集積地におきます工場跡地に関する緩和を行いましたし、同時に、リサイクル型製造業、外食産業型食料品製造業、そして未来産業を開いていくような研究開発型の開発試作工場、このような時代の要請に応じた緩和を行ったばかりでございます。  ただ、これだけでおしまいというわけではありませんで、現在、既に国土審議会におきまして首都圏基本計画を審議中でございますが、引き続き、この中で、将来における工業等制限制度のあり方につきまして幅広い審議をいただいているところでありまして、これらの審議結果を受けまして、私ども必要な見直しを実施していきたいと考えております。
  116. 西川知雄

    西川(知)分科員 二、三、ちょっと具体的なこともお聞きしたいと思うのですが、この地域活性化するためにはやはり道路というものもちゃんと整備をしていかなければいけないということでございまして、この臨海部へのアクセスを強化するためには、この地域に国道三百五十七号というのがあるのですが、その整備促進を図るということが一つの大きな命題だというふうにされておるのです。  実は、これと並んで高速湾岸線が走っておるわけですけれども、この点について、現在どういうようなプランで、またどの程度整備が進んでいるのか、これは建設省だと思うのですが、ちょっとお答え願えればと思います。
  117. 田崎忠行

    ○田崎説明員 ただいま委員がおっしゃいました国道三百五十七号、それから首都高速湾岸線、この二つをもって東京湾岸道路というふうに私ども申しておりますけれども、この東京湾岸道路は、東京湾周辺の主要な都市を連絡いたしまして、交通の混雑緩和あるいは湾岸地域活性化に資することを目的といたします、延長約百六十キロという幹線道路でございます。  今申し上げましたように、専用部と一般部の複断面の構造になってございます。専用部が首都高速湾岸線、一般部が国道三百五十七号ということになっておるわけでございます。専用部、一般部、それぞれ約八十七キロを供用しておるところでございます。  神奈川県内の首都高速湾岸線につきましては、高速湾岸線の五期という事業名をもちまして、横浜市の本牧埠頭から金沢区の間延長約十四・六キロで現在用地買収あるいは工事を行っておるところでございます。また、国道三百五十七号につきましては、この高速湾岸線五期に関連いたします約三・六キロの区間において事業を実施しておるところでございます。今後とも、関係の方々の一層の御理解を得ながら、一日も早い供用が図れるよう努めてまいりたいと思っております。
  118. 西川知雄

    西川(知)分科員 さらに、運輸省の管轄であると思うのですが、埋立地相互の連絡を密にするという意味からも、臨港幹線道路また鶴見臨海幹線道路、これの整備も大変必要であるというふうに我々は理解をしておるところでございます。これは建設省の管轄ではなくて運輸省の管轄であるということでございますが、この辺のところの現在の整備状況、または、まだ整備されていないと思いますけれども、計画の状況、この辺について簡単に説明をいただけますでしょうか。
  119. 川島毅

    ○川島説明員 お答え申し上げます。  京浜臨海部につきましては、先般、平成九年三月に横浜港の港湾計画の改定があったわけでございますが、京浜臨海部の再編整備につきまして現在検討が進められているということもありまして、港湾計画の改定時には、今後土地利用計画の見直しが必要な区域ということにして定められておる状況でございます。  今後、京浜臨海部の再編整備計画、これが具体化するに伴いまして、それに対応しまして、港湾計画の改定なり一部変更、これが行われると思います。そのときに、土地利用計画の見直しとあわせまして、道路等所要のインフラにつきましても計画に位置づけられるということになると考えております。  運輸省としましては、その港湾計画に位置づけられました臨港幹線道路というものにつきましては、この再編整備の重要性にかんがみまして、適切に対応していきたいというふうに考えております。
  120. 西川知雄

    西川(知)分科員 通産大臣の御答弁に引き続き、国土庁、建設省、運輸省のそれぞれの担当の方から御説明をいただきましたが、大臣、これは日本のこれからの国際化時代に向けての規制緩和の一環として、さらなる見直しというものをぜひやっていただきたい、こういうふうに思います。  京浜臨海部の再編整備の話はちょっとここまでにいたしまして、あと二つばかりお尋ねをいたしたいと思います。  一つは、大臣予算委員会で、私は予算委員会大臣には直接御質問する機会がなかったわけですが、中小企業に対する貸し渋りということに対していろいろな委員から質問がありました。それに対して、二十五兆円の資金を用意していろいろと対策を国としても練られている、こういうことで、その努力というものは私は非常に評価をいたしたいところでございます。  しかしながら、細部において果たして十二分な配慮がなされているのかということについて、いろいろな地元の人々の御意見とかを聞きますと若干出てまいりましたので、この辺を指摘すると同時に、それに対する柔軟な対応をしていただきたいと思います。  例えば環境計量証明事業というものがございます。これは計量法に基づきまして、例えば公害がどれだけ出るのかということで、工場排水等の分析とか、そういうことをやっている事業者なわけですけれども、ここで分析をして証明をしますと、これは公的証明にかわるものになるわけですが、これは昭和四十七年からできた新しいものなわけなのですね。  そこで、昭和三十八年に中小企業基本法というものができております。これによりますと、中小企業者というのは一体何かというのは法律の第二条に定められております。そこにはいろいろな定義があって、サービス業でございますと、五千万円という資本金または五十人以下というものが中小企業だというふうに定義づけがされているわけです。もっとも、この法律自体はおおむねそういうことであるというふうに書いておりますが、どうもこれが定着しているらしくて、製造業であれば資本金と従業員はどうだ、サービス業であれば私が今言ったような形、このようになっております。  ところが、今申し上げたこういう環境計量証明事業をやっている会社などは、その他のサービス業の中に一応分類されているわけです。例えばある会社などは従業員が六十八人いるということで、五十人以上であるから中小企業者ではない、中小事業者ではないというふうに定義づけられているわけですね。そうして、国とか県とか市とかいうところにいろいろな融資を申し込む。そうすると、あなたのところは中小企業ではないから優遇された融資制度の対象にはなりません、こう言って断られるわけですね。  ところが、こういうところは本当にサービス業かというと、半分、製造業とは言いませんが、サービス業でも典型的なサービス業ではなくて、さっき申しましたように新しく昭和四十七年からできたようなもので、この中小企業基本法ができたころばそういう事業はなかったわけですね。ですから.そういうところが、実際は、この景気の悪さ、そして貸し渋りのもとで非常に苦労をしているというふうに私はいろいろなところから聞いておるのですね。今、ただ一つの例を挙げましたが。  ですから、やはりこういうような現状におきましては、中小企業というのは中小企業基本法の第二条に定義するものである、これをすべてのものに基本的には適用するというようなやり方ではなくて、現状にかんがみ、特に貸し渋りという問題に限定していえば、もう少しこれをフレキシブルに考えていっていただきたいというふうに実は私は現場を見て思うわけですが、その点について、大臣の御所見なり、そういう検討をするというような御意見を賜れればと思います。
  121. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生のおっしゃるとおり、今、中小企業の定義というのが非常に厳しくございます。今、小売・サービス業は五千万とおっしゃいましたが、実際は一千万でございまして、一千万以下または従業員五十人以下ということでありまして……(西川(知)分科員「ごめんなさい、一千万です」と呼ぶ)製造業、卸売業についてよりも小売・サービス業というのが非常に厳しい小さい枠におさまっているというのは、私も、これでは借りられる人がほとんどいなくなってしまうのではないかというふうに感じているぐらいでございます。  こういう問題について、小売・サービス業の範嗜というものが先生の御指摘のとおり当時から比べていろいろ変わってまいりまして、ちょっとした企業でも一千万を超えたり、実際は中小企業なのですが二、三千万ぐらいのものだとか、五十人以下なんというものではないところでも、普通の一般的常識から考えますと中小企業としての対象になるようなものがあるというふうに思いますので、これは何か少しこういう時期には考えなければいけないのではないかと私は思っております。  また、こういうものについて、特に従業員の関係の方ででも少しフレキシブルにできないかというようなことも中小企業庁の長官にも話をいたしておりまして、こういう事態のときでありますから、そういう点についての何か知恵を出すようにというふうなことを申しております。  中小企業庁長官からちょっと答弁をさせます。
  122. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答えを申し上げます。  今大臣からお話がありましたが、私どもも、限界的なところでは、これが中小企業者でないということで融資を受けられなかったりあるいは保証の対象にならなかったり、大変心悩むことが多いのでございます。  実はこの問題は、大臣からお話がありましたように定義全般の問題にかかわる部分もございまして、中堅企業というものを対象にすべきという議論になるわけなのでございますけれども、全般的な話となりますと、やはり財政制約下で定義を拡大してここまで入れるのはどうかというような議論とか、あるいは下請が何か今まで取り締まりの対象となっていたものが逆に保護される対象となるのかとかいうさまざまな議論がありまして、かつてもいろいろ議論があったわけですけれども、とりあえずは、平成五年にまとめられた中小企業政策審議会の報告でも、引き続き検討しろというふうになっているわけでございます。  今大臣のお話にありましたように、私どもも、こういう時期なのでできるだけフレキシブルに対応できる道はないかということで今思い悩んでいるところでございますので、できるだけその辺は道を見つけていきたいというふりに考えております。  具体的なケースで少し補足させていただきますと、例えば従業員の面で、実際に正社員となっていない方も一人としてカウントされているのが実態でございますので、その辺の勘定の仕方において少しフレキシブルな対応ができないか等々について、検討を現在させていただいているところでございます。
  123. 西川知雄

    西川(知)分科員 通産大臣の、今資本金一千万以下、または従業員五十人以下の小売・サービス業、これについての貸し渋りの現状にかんがみた非常にフレキシブルな考え、これは大変重要で、私非常に評価をいたします。  御存じのように中堅企業対策でも貸し渋り対策がなされておりますが、基本的に運転資金などには使えないということになっておりまして、現実は大変厳しいということになっておりますので、その点、早急に検討をしていただきたいというふうに思います。  最後に、神奈川区には中央卸市場というのがございます。これも、魚屋さんとか果物屋さんのいろいろな卸の方々が店を持っておられるのですが、大手スーパー等の進出によりまして販売実績が伸びず、非常に倒産がふえている。  大店法等の問題で、小売業者に対するいろいろな配慮、また新しい考えというものが今度導入されようといたしておりますけれども、卸業に対して余り対策がなされていないのではないか。また、卸業がどんどん倒産して閉鎖されたりしますと、それに関する小売業に対しての影響も大変大きいということで、今、小売の問題点がいろいろな商店街の問題点等として取り上げられておりますが、こういう卸の方についてもよく問題点を分析して現実を見ていただいて、そしてやはりこの活性化というものも商店街活性化とかそういうものにもつながるんだということをぜひ御理解願いたい。その点について、もう余り時間もありませんので、大臣の意気込みと御所見だけをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  124. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  現在、小売と並んで卸が大変苦しい状況にある、そしてまた現在、流通の短絡化という話もあるのですけれども、私ども、卸が流通近代化のために果たす役割は大変重要だと思っておりまして、現在の高度化資金等々の対象に、卸売近代化という観点から全面的に対策を講じていくという思いでおります。
  125. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいま長官からも御答弁申し上げましたけれども、卸というものは、日本経済、流通の中において非常に重要な意味を持っているわけでありまして、これを軽視するようなことはなく、重要な対象として取り組んでまいりたいと思っております。
  126. 西川知雄

    西川(知)分科員 質問を終わります。
  127. 栗原博久

    栗原(博)主査代理 これにて西川知雄君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤和良君。
  128. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 私、平和・改革の遠藤和良でございます。きょうは、予算委員会分科会でございますので、私の地元でございます徳島県の話を通して質問をさせていただきたいと存じます。  最初に大臣に見解をお聞きしたいのですけれども、これは徳島県だけではなくて日本全体の問題になりますが、いわゆる製造業の空洞化の問題でございます。  私は、産業基盤というのは、やはり物をつくるというところが基盤にならなければ健全な産業の発達はないのではないかと思うのですね。最近の日本が失敗をした例が、一つは、やはり財テクだとか、虚業という言葉があるのですけれども、いわゆる人のお金でお金をもうけるというふうなたぐいのものに少し力が入り過ぎまして、バブルが発生をして、その後遺症に悩んでいるという実態があるのではないかと思うのでございます。やはり、産業中核には、物をつくる、製造業というものがきちんと位置づけられているということが大切なことではないかと思うのでございます。  最近、日本の製造業を見ておりますと、これは、市場の原理と言ってはそれで終わりなんですけれども、海外に拠点を移していったり、あるいは海外からの輸入品が市場を席巻しておりまして、日本の中で着実な発展をしてきた製造業が空洞化しているのではないか、これは日本産業にとっては大変重大な問題ではないのか、こういうふうに認識をしているのでございますが、大臣はどのような見解をお持ちでしょうか。
  129. 堀内光雄

    堀内国務大臣 私も、遠藤委員のお話のとおり、日本産業基盤というものは、やはり物をつくるということから始まらなければならないと思っております。物をつくる基盤というものがしつかりして生産が行われて初めて三次産業にも広がっていくのでありまして、この物づくりというものを軽視して日本経済の発展はあり得ないというふうに私は思っております。  そういう中で、今、空洞化のお話がございました。こういうような今の状況というのは、やはり日本の中で物づくりをするという環境をよく整備をしていかなければならないというふうに思うわけであります。同じ物をつくるのでも、昔からの長大の物づくりから、電機を初めとする新しい産業による物づくり、こういうものも含めて考えてまいりますと、我々はやはり、国際的にも魅力ある事業環境をつくると同時に、新しい産業創造というものに取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。  そういう意味で、今、法人税を初めとする経済基盤環境づくりに取り組みをいたしているところでございますし、そのほかの、産業立地についても、今までよそに行った方がいいというような形で外に出ていったものに対する反省というものが、やはりここでしっかりと呼び戻すための努力をしていかなければならないと思っております。  この間も、ドイツの産業のトップの人に話を聞きますと、ドイツでは今まで海外に出ていった産業が相当国内に戻ってきているということも聞いておりますし、そのためには、労働市場の問題あるいは経済基盤の問題だとか環境整備に相当力を入れた結果戻ってくるようになったという話も聞いておりますので、通産省としては、そういう意味での取り組みをしっかりとやってまいりたいというふうに思っているところでございます。
  130. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 確かに、ドイツの話がありましたのですが、アメリカもそうだったんじゃないかと思うんですね。一時はやはり製造業が空洞化した時代がありました。しかし、産業構造の改革を思い切ってやったんだと思いますね、高付加価値のものをつくるとか、あるいは情報通信産業というものを中心にした新しい二十一世紀型のリーディング産業をつくった。こういうことがやはり骨格になって今アメリカが元気になったというのがあるわけでございまして、そうした方向づけをこの日本においてもしていかなければいけないのではないかと考えるわけでございます。  具体的な例を申し上げたいのでございますが、私の地元の徳島県に勝浦町という町がございます。小さな町なんです。徳島市から車で三十分ぐらい行ったところにある町ですが、人口が二月末でわずか七千二百三十五人という小さな町でございます。  私、昨年の暮れにそこの町民の方から一通のお手紙をいただきました。私が勤めている工場が閉鎖することになりました。町の人たちもみんな困っています。小さな工場なんですね。従業員がわずか七十一人しかいない工場なんですけれども、小さな町にとりましては、その工場が町の基幹産業なんですね。ですから、役場の人も困っているし、商工会の皆さんも大変困っているので、ぜひ一遍来てくれませんかというお便りをいただいたわけでございます。  年末は、私も何かと忙しかったものですから、ことし年初に参りまして、役場の町長さんに直接お話を伺ってまいりました。町長さんがおっしゃるには、この会社は船井電機という会社でございまして、勝浦工場があるのですが、昨年の暮れに会社から電話を一本いただいたというのですね。ことしがちょうど創業三十年になるんですね。ですから、創業三十年のお祝いの打ち合わせかなと思って電話に出たら、実は、海外に生産拠点を移すので、ことしの三月三十一日に工場を閉鎖することになりました、こういう連絡であったというのでございます。会社が閉鎖するという理由はそれなりに理解できるのですけれども、これは町が誘致した工場なんですね、三十年間大変よい関係を結んできて、従業員はもちろんですが、町全体の皆さんにとってこの工場がその中核をなしてきたわけでございますが、こうした事態になって大変悩んでいるというのがありましたものですから、私、先日通産省に御案内をいたしまして、通産省の担当課長さんにお話を、この町長さん、それから町の議会の議員さん、議長さん、あるいは県の商工労働部の幹部の皆さん、一緒に参りましてお話をしたのでございますが、会社としては、従業員は解雇しないから理解をしてくれませんか、この一点張りなんですね。  そこで、私は、政治家である大臣にぜひ聞いてほしいと思うのでございますが、こうしたことに直面したときに、私も政治家の一人として何ができるのかという無力感を感じざるを得ないわけでございます。それは、工場の責任でもないし、町の責任でもない。大きな社会全体がそういうふうに動いているものですから、ある意味ではやむを得ない面もあるのですけれども、そのことによって地方の自治体は本当に、職場を失い、あるいは町の産業の中、心であるものかなくなってしまう、ますます町は空洞化してしまう、こういう現象になってしまうわけでございまして、そのことについて、大臣の率直な心境をぜひ政治家としてお聞きしたいと思います。
  131. 堀内光雄

    堀内国務大臣 大変深刻なお話を承ったわけでありますが、自治体の企業誘致に向けた取り組みというのは地域経済の発展にとって極めて重要な問題でありますので、今のお話についてもそういう意味で大変な取り組みの中ででき上がった問題だろうというふうに思いまして、こういうふうな自治体の努力が実るように我々通産省も取り組んで、支援をして、地域産業立地の促進のための支援策などは行ってきているわけでございます。  ところが、やはり一方では企業の方の、置かれている方の立場としては、厳しい競争の中にさらされているものでありますから、地域社会における役割を認識をしていても、なかなか、ぎりぎりの選択という中でそこから撤退をしなきゃならぬというようなことも出てくるわけでありまして、こういう撤退を余儀なくされるような場合に対して、個々の企業の行動に対して役所としてどうこう言えるかというと、なかなかこれはできないわけでありまして、今委員のおっしゃるとおり、政治家として考えた場合、まことに、非常に無力感を感じるわけであります。  この問題に対しての役所としての取り組みというと、企業の撤退あるいは進出という問題は、それぞれの企業の中の判断なり取り組みに任せる以外はないのではないかというふうに申し上げる以外にないと思いますが、企業誘致の問題とか、あるいは休職や転職をする場合の賃金の助成だとか、あるいは職業の能力開発などの施策だとか、そういうような問題については、通産省としても関連の中小企業に対しての取り組みをしっかりやってまいりたいと思いますし、新たな取引先を提供することによってその企業が残るようなことができるということになれば、それまたそういう意味での情報などの提供はさせていただきたいというふうに思っております。その辺が限界ではないかというふうに思っております。
  132. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 企業の中の問題ということで見れば、従業員の解雇をしないとか、あるいはこの企業も考えているようですけれども、その町から少し離れたところに那賀川工場というのがありまして、そちらの方にみんな吸収しましょう、そのかわりにバスを用意しましようとか、若干男性には海外に、中国に大きな工場があるようですが、そこにも行ってもらわなければいけないかもわからないけれども、解雇だけはしない、こういうふうに言っているわけですね。  ですから、労使の関係はうまくいっているのだと思うのですが、問題は、残された町の問題でございます。三十年間、企業誘致して、信頼関係を結んできて、ことしは三十年のお祝いをしようというふうな気持ちになっていた町当局の皆さんの気持ちというのは救いがたいものがあるわけでございますね。  ですから、ぜひ今後も温かい目で見ていただきまして、町の方が、万が一出ていくことになったら、跡地の問題をどうするのだとか、あるいはかわりの企業というものを考えたらどうかとか、町が衰退をしないように何か有効なアドバイスなり、手を差し伸べると申しますか、その辺が政治家としてとり得る選択肢ではないかなと私は思っているのでございますが、大臣、いかがでしょうか。
  133. 堀内光雄

    堀内国務大臣 今のような、先生の御指摘いただいたような問題については、できる限りの助言を申し上げたり、あるいは役所として協力体制のできるような問題でもございましたら、それはひとつ積極的に、真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
  134. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 ぜひ念頭に入れていただきまして、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  話は変わりますが、この四月五日に待望の明石海峡大橋が開通をいたしまして、徳島県が京阪神と陸続きになるのでございますが、今、県民の中で大きな期待とともに心配があるのです。それは、いわゆる産業がストロー化してしまうのではないか、やはり大きいところに引っ張られちゃうんじゃないかという空洞化に対する心配でございます。  これに対して、若い経営者の皆さんが集まりましてニュービジネス協議会というものをつくりまして、ベンチャー企業育成しようとしたり、あるいはみんなで使える工場を考えたり、あるいは先日はまた地ビールの製造だとか販売というものを発足いたしました。これは、店舗がもう開店いたしました。  そういうふうな意欲的な取り組みに対して、ぜひ通産省も応援をお願いしたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  135. 並木徹

    ○並木政府委員 お答えを申し上げます。  徳島県におかれましては、従来から、四国縦貫自動車道やあるいはソフト産業の立地拠点の整備等が進められておりまして、経済活性化しつつあるわけでございますけれども、今般の明石海峡大橋の開通によりまして、近畿圏へのアクセスが一層改善し、さらなる発展が期待されるところでございます。  従来からいわゆる頭脳立地法に基づくさまざまな支援等施策を講じてきたところでございますけれども、折しも、まさに明石海峡大橋の開通といわば時期を一にいたしまして、ちょうどこの二月でございますけれども、昨年の通常国会において通していただきましたいわゆる地域産業集積活性化法に基づきまして、これはやはり基本的には地域地域資源というものを地域のイニシアチブによりまして最大限活用していくということでございまして、それを私ども、国として、政府全体のさまざまなツールをもって支援するということでございますので、ちょうどこの活性化計画が御地元の方から出た状況でもございます。  今先生の方から御指摘がございましたニュービジネス協議会におきましても、これは御地元の中で有力な支援機関ということで、さまざまなハードの充実と同時に、御指摘のような人材でございますとか、さまざまなソフトの支援というものも重要だということで、そういった支援機関の中に位置づけられておるようでございまして、そういった集積法のソフト、ハード全般的な御支援というものを十分自治体と御相談しながら進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  136. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 どうもありがとうございます。  それから、大店法を廃止をいたしまして、都市計画法の改正と大規模小売店舗立地法の制定で対応する、こういうふうな基本方針がこの国会で法案が出ているわけでございますが、私のもとに、徳島県内の商工会議所だとか商工会の皆さんから連日心配の声といいますか陳情が来ているわけでございます。  陳情の内容はいろいろあるわけでございますが、大きな項目が二つありまして、一つは、いわゆる都市計画法で対処すると言っているのだけれども、そもそも都市計画がない白地地域ですね、ここについては野放しになるのではないか。いわゆるそこに来るから中心市街地空洞化するのであって、そこが野放しになっていたのでは意味がないのではないか。ここに対して、農地法だとかいろいろな法律で対処すると思うのですけれども、きちっとした政府の統一見解を示してほしい、こういう話があります。もう一点は、この計画を策定するに当たって、商工会議所、商工会の団体としての意見を聞くということを法律に明記してほしい、担保してほしい。  整理すると、こういうふうな二つの陳情があるわけでございますが、これに対してどのようにお答えになりますか。
  137. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 お答え申し上げます。  先に取り上げられましたいわゆる白地地域の問題でございますが、都市計画法上いわゆる線引きがされないでいる状況のものでございますので、都市計画の方からのアプローチからすれば、法律の上において規制が加わっていない地域でございます。しかしながら、自治体におきましては、固有の事情をお持ちの場合があるわけでございまして、そういう固有の事情に着目をして自治体において条例などの手当てをされて、これに対して一定の規制を加えられるという手法をとることが妨げられるものではないと私どもは考えております。  同時に、御案内と存じますが、都市計画法上白地地域と申しますのは、しばしば農地であることがあるわけでございまして、その農地のものにつきましては、ただいま先生も御指摘のとおり、農振法ないしは農地法によりまして、それぞれの自治体ないしはその地元、農業委員会という姿であったりいたしますけれども、いわばそのゾーニングの内容に従って、あるいは農地の転用というような、転用の用途先についてのそれぞれ個別にチェックをするシステムがございます。このような中で、地域としてどのように具体的に対応していただけるのがよいかというようなことでお考えいただくことが最も適切な方法ではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、商工会議所、商工会の意見の取り扱いのことにつきましては、私ども、審議会で御議論をいただいた段階、あるいはまた答申をいただいて法文化する段階で御意見をいただきました。現在御提案申し上げている法文の中では、商工会議所、商工会が代表的な団体として、商工業団体の代表的な例として法文上明記をされておる、こういうことになっておるわけでございます。
  138. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 この法律とともに、いわゆる中心市街地活性化の具体的な政策展開があるわけですが、十一省庁合わせて一兆円初年度に予算計上をしている。これに対する初年度の認定箇所数をどのぐらい考えているのか。それから、認定基準についてどういうふうに考えているのか。やはりルールが必要だと思うのですね。恐らく十一省庁の連絡会議でお決めになるのでしょうけれども、そういったことしの計画の具体的な考え方ですね、これを示してください。
  139. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 御指摘の中心市街地活性化に対する関係でございますが、先生御案内かと存じますけれども、今回御提案を申し上げているものというのは極力地元のイニシアチブを尊重しようということでございまして、国としては支援策を十一省庁相そろいまして用意をいたしますが、その中から地元各市町村がどういうメニューをお選びになるかということでございます。したがいまして、施策の組み合わせですとか事業の内容は市町村が選択をされるということでございます。それ次第である部分はございます。  したがいまして、その対象の数がどのくらいになるかということを現時点ではかることはなかなか難しい点もあるわけでございますが、例えば、私どもも十一省庁の中で積極的な役割を果たしたいと思っておるわけでございますけれども、通産省の施策だけを見ましても、市町村の選択の仕方にもよりますが、数十から百件程度の事案を取り上げることができるのではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。  それから、今申し上げましたように、それではどういう基準でということでございますが、御指摘のように、私ども、十一省庁にまたがるものであり、しかもそれらの持ち味を生かしつつ重点的にあるいは集中的に施策を投入するということでございますので、関係省庁の間に連絡協議会というようなものを設けて、具体的に出てきました市町村の計画についてお互いにどういう立場から支援ができるかということを検討しょう、そのことがまた窓口の簡素化ということにもなるであろう、こんなふうに考えておるわけでございます。  いずれにせよ、結局、つまるところ計画の熟度でございますとか独自性の問題でございます。特に独自性につきましては、町の顔を議論するテーマでございますもので、そこがどのような歴史を持ち、あるいは文化を持っておられるか、それをまたどう生かそうとされているか、そういうようなものもよく議論をさせていただいて、その上で十一省庁で検討をし、支援できるものを大いに支援をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  140. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 今、独自性という話がありました。これは大変大事な観点だと私は思うのですね。日本都市が、顔がみんな同じになっちゃった、そういう傾向があると思うのですね。江戸時代はそれぞれ藩というのがありまして、みんな独自の顔をしていたのですが、明治以降みんな同じ顔になっちゃって、新幹線をおりたらどこの駅におりたかわからないほどみんな同じだ。どこにも銀座があるというふうな感じになってしまっているわけでございまして、独自性という観点は大変大事にしていただきたいと思うのでございます。  私は徳島市の生まれですけれども、船場というところに生まれました、商人の町でございますが。昔の人に聞きましたら、徳島市というのは日本全国で十番目の都市だったらしいのですね。大変にぎやかな、江戸時代から阿波の藍というのがありまして、それを全国で一カ所つくって販売をしていたものですから、藍商人がすごく潤いまして、繁華街は朝まで灯がついていたというふうな状態なんですが、今はもう何か繁華街も夕方七時か八時ごろ灯が消えちゃうのですね。特に、東新町という商店街があるのですけれども、ここなんかも大分お店を閉めてしまったり、そういうふうな状況になっております。  最近はかなり皆さんが意欲的になりまして、川の岸辺を利用した水際公園でボードウォークをつくったり、特色のある町づくりをしておりまして、徳島県もことしは余り財政は豊かではないのですけれども、平成十年度当初予算重点施策というものをつくりまして、その中に中心市街地活性化総合対策事業費というのを三億円計上しまして、東新町の商店街が実施するアーケード等の整備事業に対して、これを支援しようということを県として予算で決めたわけでございますが、ぜひ国の方も、そういう意欲的な取り組みに対して御賛同をいただきまして、この町を新しく活性化させる、そういう意欲で取り組んでおりますので、御支援お願いしたいと思います。
  141. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいま国会に法案を提出をいたしているところでございますので、ぜひともその法案を早くお通しをいただきまして、そしてこの問題、全部一律に今スタートに立っているところでございますから、どこを優先的にというようなことは今やっておりません。ただいまの先生の御熱意あるお話をしっかりと受けとめて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  142. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 終わります。ありがとうございました。
  143. 栗原博久

    栗原(博)主査代理 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。  次に、近江巳記夫君。
  144. 近江巳記夫

    ○近江分科員 新党平和の近江巳記夫でございます。  きょうは、非常に限られた時間でございます。そういう中で、特に私は、最近の大変な景気の中で中小企業等が資金繰り等で大変困っておりますし、そうした貸し渋りの問題等から御質問をしたいと思います。  御承知のように、最近は、貸し渋りから、さらにまた貸し付けてあるのを回収にかかるというようなことでございまして、大変な厳しい状況が見られるわけでございます。御承知のように、倒産件数一つ見ましても、昨年は一万六千四百六十四件、負債総額が十四兆を超えておりますし、今年に入りまして一月、二月、もう既に三千五十五件、一兆六千億ということでございます。特に二月は千五百八十六件、一兆四十九億、こういうようなすさまじい状況となっております。  まず、この貸し渋りの状況につきまして、政府として、特に年末からことしにかけてどういうような状況認識されておるか、実態をつかんでおられたのならばお知らせいただきたいと思います。
  145. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  当省が先月実施した中小企業の資金調達に関する実態調査によりますと、約三割が現在貸し渋りを受けていると答えておりまして、五割を超える企業が、今後の貸し渋りを懸念しているというふうに答えております。大変厳しい状況が続いていると認識しております。  こういった状況を踏まえまして、政府といたしましては、政府金融機関に新たな融資制度創設することなどによりまして、保証分も含めまして、総額二十五兆円の資金量確保する対策を実施しておるわけでございます。加えて、去る二月二十日には、信用保証協会の第三者保証の弾力化措置を講ずるなど、対策の拡充を決定しております。これらの対策利用する中小企業者も順次ふえておりまして、特に、月を追ってふえてきているという状況でございます。
  146. 近江巳記夫

    ○近江分科員 日銀が三月十三日に二月のいわゆる貸し出しの状況を発表いたしておりますが、五百二十九兆九千三百億、前年同月比〇・六%減。これは九一年六月に調査を開始して以来、最大の減少率を示しておる。ということは、いかに貸し渋りをやっておるかということが明確になっておる、このように思うわけでございます。  私ども新党平和といたしましても、札幌、福岡等で実態調査、これの公聴会も展開いたしました。実にさまざまな深刻な話を私たちは聞いたわけでございます。帝国データバンク等でもいろいろな意見を集約しておりますが、私たちの聞いたのも大体一緒です。  例えば、希望融資額が削られた、百万円要るところを半分にしなさいとか、そういうことで大変な状況になってしまった。今まではいわゆる担保を要求されなかったのを、担保を要求してくる。あるいは追加担保をさらに要求される。今まで銀行プロパーの指揮に置かれていたのが、マル経融資であるとか信用保証協会が保証しなければだめだ、そういうような条件をつけてくる。あるいはまた、財務チェックというものは非常に厳格なんだ、そういうことで取引を打ち切られる。あるいは支店決裁でずっとやっておったのが、本店決裁になる。支店長にそれだけの権限が与えられてないとか、支店長はもうぼんぼんかわるとか、いろいろなことがございまして、いわゆる本店決裁に変更になって、だめになってしまう、本店からだめですと。あるいはまた、上乗せ金利を要求してくる。あるいはまた、手形割引で銘柄指定や割引債の引き下げを通告した。枠もがあっと狭くなってくる。あるいは期限前の早期返済を迫られる、財務内容のチェックは物すごく厳しくなって期限前の早期返済を迫られるというような、データバンクでも出ておりますが、私たちも聞いております状況というのは大体一緒でございます。  私は、なぜこういういろいろな私たちが公聴会で聞いたことを申し上げておるかといいますと、実態と政府の最高責任者である皆さん方との乖離があるのではないか、非常にそういう点を危惧するわけでございます。したがいまして、私はあえて、そういう声を皆さんにここでまたよくとどめてもらいたいということで申し上げておるわけでございます。  それで、私ども、札幌と福岡でやったわけでございますけれども、何社中どういう意見が何%とか、そういう集約をしておりませんでした。ところが、最近、公明さんがまとめられたのですね。それは、中小企業の集積度の高い十の自治体及び札幌市でやられまして、各市大体代表的な二十の中小企業を訪問して面接調査をしている。総計、ト一夕ル二百十三でおとりになっているわけですね。私たちが公聴会で聞いていろいろと本当に認識を深めたそういう声がまさにここに集約されている。本当に同じ傾向だなということを感じたわけでございますので、公明さんの場合はきちっとパーセントで出しておられますので、これを拝借して申し上げておきたいと思います。     〔栗原一博)主査代理退席、主査着席〕  例えば、民間の金融機関につきまして、貸し出し姿勢が昨年春に比べてどうなんですか、答えた中小企業は、とにかく悪くなったというのが五五%です。よくなったというのは四・二%しかない。貸し出し姿勢の悪化というのは、昨年夏ごろから始まって、九月以降急速に拡大しておる。悪化しておるということで中小企業は大変苦しんでおる。  条件悪化の内容は、担保、保証料が厳しくなった、希望の借り入れが困難になった、担保の追加要求、元本返済要求が目立つ、こういう傾向であります。  それから、貸し出し条件の悪化に対しまして、悪化条件をそのまま受け入れたのは四〇%、政府中小企業金融機関を利用したのは一六%である、こういうことなんですね。四割の中小企業というのは、要求どおりの内容を受けざるを得なかったということでございます。  今後の貸し出し姿勢について、悪化すると答えた中小企業が六割強になっております。  二十五兆円の政府中小企業金融機関の融資について、知らなかったというのは四割です。知らないのですね。知っていたというのは約六割あるわけでございますけれども、知らないというのはまだ四割ある、こういう状況でございます。  それから、今政府として二十五兆用意したということもおっしゃっておるわけでございますが、政府系の中小企業金融機関につきまして、今回の貸し渋りで政府系中小金融機関を新たに利用した中小企業というのは何ぼあるかといいますと、七%なんですね。従来から利用していたというのは五七%、今回の貸し渋りで、何とか助けてくれ、それで利用したのは七%だというのです。それで、政府金融機関の貸し出し姿勢について、悪いと答えたのは三四%、よいというのは一三%、少しよいというのは三七%。悪いというのは三四%、これはやはり真剣な顧客の対応の改善を要望しておるわけでございます。  それから、信用保証協会について、今回の貸し渋りで信用保証協会を新たに利用した中小企業というのは四%なんです。今まで利用しておるというのは七〇%、初めてそういうように利用したというのは四%なんです。信用保証協会対応が悪いと答えた中小企業が三〇%、こういうような状況でございます。  こういうことで、実際に政府としてもそういうような用意は二十五兆円されているということでございますけれども、考えてみますと、金融、大体六百兆貸し出しがあるとして、中小企業向けは大体三百六十兆ぐらいと聞いていますけれども、そういう点からいきますと、二十五兆、三十兆というのはこれは約一割ですね。そうすると、もう本当に、あとの八割、九割が民間金融機関でしょう。  そういうような中で、政府政府で努力されると思いますが、今申し上げた実態調査からいきましても、まだまだ知らない人もおるし、実際は窓口だって物すごく厳しいし、政府系の金融機関も態度がよくない。やはり深刻な気持ちで皆ぶち当たっていく中で、一つ一つがひつかかってくるわけですよ。そういう点で、今後の特に厳しい状況を考えていきますと、こういう対策を打っても、私は一向に改まることがないと思うのですね。この点が非常に危惧する問題でございます。  政府は、金融システムの安定ということで、また預金者保護ということで公的資金を三十兆入れている。その中で、十七兆は預金者保護、十三兆は金融システムの安定と貸し渋りということでございます。大体、一兆円投入しますと、十二・五倍、十二兆五千億ぐらい貸し出しのそれがふえると言われております。だから、十三兆を入れますと百六十二兆になるのですね、百六十二兆。貸し渋りも、それだったらうまくいくじゃないかと。  ところが、御承知のように、不良債権というのは、政府発表では七十六兆。初めは二十七、八兆だとか言っておったものが七十六兆。実際は百五十兆ぐらいあるのじゃないか、いろいろなことが言われておるのですね。結局、貸し渋りを解消するためじゃなくして、不良資産に対してそっちの方が使われるのじゃないか、実際上は貸し渋りなどというものも解消されないのじゃないか、こういう不安が今非常に渦巻いているわけでございます。  この辺につきまして、これは金融、大蔵省の管轄になろうかと思いますけれども、少なくとも、通産省、中小企業庁中小企業を守り抜くとしておられるわけでございますから、この辺のことについてはどのように認識されているか、お伺いしたいと思います。
  147. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生の御指摘のとおり、年度末に向かってさらに厳しい貸し渋りの状態が続いておりまして、これの解消をしっかりしなければならないと考えております。特に、先ほどのお話のように、基本は民間の銀行でございます。この銀行が貸し渋りしないような体制をしっかりとっくり上げるということが一番重要でございまして、そのために公的資金の投入ということまで行ったわけでありまして、そういう意味で、この間の公的資金の投入の後、総理ともよくお話を申し上げまして、今までの公的資金の投入前と投入後というものにおいては、貸し渋りの状態が同じように続いたらこれは大変なことですということで、しっかりと政府、大蔵省からの指導をしてもらうように、総理から大蔵省を指導してもらいたいというお願いをいたしました。早速、総理が経済団体あるいは各金融機関を官邸に呼びまして、新たな決意でこれをしっかりやるようにという指導をしていただいたわけでありまして、大蔵省もそれに基づいて、現在、貸し渋りの解消のために真剣に取り組んでもらっているというふうに考えております。  ただ、そういう民間資金の貸し渋りの余波といいますか、中小企業がこの貸し渋りによる、まともな仕事をしながら倒産をするような、金の足りない、ショートしたために倒産をするようなことがあってはならない、それをしっかりと受けとめるのが政府金融機関であるというふうに考えまして、額が総体に比べてどういうことになるかは別といたしまして、今までではちょっと想像のつかないぐらいの二十五兆円という資金を用意いたしまして、昨年の末は少なくとも乗り切ることができたと思いますし、現在もこの年度末に向かってしっかりとその対応をしているところでございます。  ただ、その貸付額というものは、一五%、二〇%と増加をいたしておりますが、あるいはマル経資金のように四割、五割とふえているものもございます。しかし、資金の額はふえているけれども、新規の対象がふえていないのではないか、中小企業の人たちに、政府金融機関というものがどういうぐあいの状態で用意をしているかということをもっと徹底してわかってもらうようにしなければならないということで、そういう意味での徹底は随分いたしているつもりでございますが、まだまだ、ただいまの御紹介いただきました表を見ますと、そこまで、まだ六割までの状態であって、知っていた人が六割で、知らなかったのが四割というような状態であるということはまことに残念なところだというふうに思っております。  それと同時に、これから年度末に向かっての最後の、政府金融機関の態度が非常によろしくないというようなことも承りましたので、早々に各政府金融機関のトップを集めることにいたしまして、そして各政府金融機関の窓口にまで徹底して、今までも何回もやっておるのでありますが、さらに徹底したサービスをしながら、中小企業の方々に御満足いただけるような、そして資金がショートすることによって倒産するようなことのないように、来週の月曜日に各政府金融機関のトップを集めて私の方から再度の要請をするようにいたしているところでございます。  また、各窓口におきますところのサービスについては、これまた中小企業庁長官を初め各関係の方からも徹底をして、その内容によってはお断りをしなきゃならぬというものもあるかもしれない、しかし、その場合に、窓口で断ってはいかぬ、必ず支店長まで上げて、支店長がさらに検討して、ある程度のところだったらそこでもってさらに面倒を見られるようなこともしなきゃいかぬというような、役所としては相当きめの細かい指導と対策を今行ってきていると考えているのでありますが、さらに御注意いただきましたので、さらに徹底した取り組みをいたしてまいりたいと思っております。
  148. 近江巳記夫

    ○近江分科員 不良債権の方に使われるのじゃないかと申し上げたのですけれども、もう一つの問題は、今後のBIS規制といわゆる構造的な貸し渋りの問題なんです。  八%というような、これは最低基準ですから、これだけのビッグバンに備えて国際的な信用を得ようということで、九%、一〇%とさらに自己資本率というものを高めてくる、これがまた貸し渋りという方向に走るわけですね。こういう要素も非常に強いということでございます。したがって、金融機関に対しても政府全体として申し入れをするということでございましたし、そういうことも踏まえてしっかりお願いしたいと思うわけでございます。  それで、大変いろいろな犠牲者も出ておりまして、例えば、警察庁の発表によりますと、昨年の自殺者といういうのが前年の二・九%増、二万三千百四人亡くなっている。その中で、経済問題、まあ生活問題もあるのですけれども、八・三%増の三千二十五人が自殺しているのです。これは氷山の一角じゃないか。表向きは病死だとか、いろいろそういうことになっているのですけれども、もっとずっと調査していくと、そこには非常に深刻な問題がある。先般の、社長三人がホテルで同時首つり自殺した、これはもうとてもショッキングな事件ですね。そこまでやはり深刻化してきているわけですから、そういうことをしっかりと、実情ということを政府が、大臣中心としてしっかりと腹に据えていただきたいと思うのですね。  それで、あといろいろな大臣の御決意をお聞きしたいわけでございますけれども、重なる点もございますけれども、申し上げておきたいと思います。  一つは、大臣は、政府の閣僚の中でも一番の重鎮でいらっしゃるわけですから、何といったって景気を上げなければならぬわけでございますから、これをしっかりと踏まえていただくということを、この景気問題だけはもう何時間あっても足りませんので、申し上げておきます。  それから、あと、民間金融機関の貸し渋りを責任を持って解消する。それは今、これはしっかりと踏まえてやるということをおっしゃっておりました。  また、政府中小企業金融機関の融資条件の大幅改善、既存の借入金の返済据置期間の延長、無担保無保証融資の一層の拡充を図るということ、それから信用保証協会の保証枠の拡大、保証料の引き下げ、審査の弾力的運用を強力に推進すること。  それからさらに、倒産防止の制度がございますけれども、この問題につきまして、さらに貸付限度枠の引き上げであるとか倍率の引き上げ等、そういういわゆる制度強化ということが非常に要求されております。ですから、これについてどのようにやっていくかということ。  それから、親企業による下請代金の支払い遅延あるいは買いただき、不当な返品等が増大しております。それで、親企業への監視、指導を強化するなど、下請代金支払遅延等防止法の運用を強化して中小企業をしっかり守るということ。  それから、中小企業の仕事量を確保するために、いわゆる官公需の拡大等にさらにまた努力していただく。官公需の問題につきましても、目標と実績がございますが、いずれにしても、三九・六だとか九だとか、年度をずっと、過去五年間のデータを私どもいただいておりますが、四〇%を出ることはない。奇妙に四〇%を頭で三九・九九、目標は三九・九ですよ。実質を見ましても三七とか三八とか、まあ八年度は三九・六に行っておりますけれども。ですから、やはりこれなんかもうんと中小企業向けにつけて、うんと頭を出す必要がある、このように思うわけでございます。  きょうは時間がありませんから、そうした項目をずっと言いましたけれども、今私が申し上げたことについて御答弁をいただきたいと思います。
  149. 林康夫

    ○林(康)政府委員 政府金融機関のさまざまな金融条件につきまして、私どもも御指摘のような点を踏まえて相当改善を図ってきていると認識しております。かつまた、保証協会の保証につきましても、特に倍額保証ができる範囲、この場合には保険料も下がるわけでございまして、それを反映して保証料も下がるのですけれども、そういった倍額保証ができる対象業種の拡大、地域の拡大等も図ってきておるわけでございます。  さらに、御指摘のありました倒産防止共済制度でございますけれども、実はこの制度は、あらかじめ掛金を掛けて、三百二十万円が限度なんですけれども、これの十倍まで貸し付けるものなんですけれども、最近大変貸し付け需要がふえております。この点につきましては、実は一件当たりの平均貸付額が七百五十万円程度でございますので、また、貸し付け倍率も四倍なので、とりあえずは現状で足りているのではないか、こういう認識をしております。  また、下請問題あるいは官公需の問題がありますので、ちょっと計画部長にかわって答えさせますので、よろしくお願いします。
  150. 中澤佐市

    ○中澤政府委員 御指摘の下請代金問題でございますが、まさに下請代金の不当な減額などの不公正な下請取引の強要につきましては、この代金法に基づきまして検査などを行い、不公正な取引の実態がある場合には改善のための指導を行うといったような形でこれまでも厳正に対処しているところであります。今年度につきましても、これは去年の十二月までのとりあえずの数字でありますけれども、前年同期比十二%増の約千九百件につきまして立入検査を行いまして、そのうち千七百件につきまして改善指導を行うというふうな努力をしているところでございます。これらにつきましては、引き続き最大限努力をしてまいりたいと思っております。  また、官公需についてのお尋ねでございますが、これも先ほど委員言われましたように、今年度の目標につきましては約四割程度ということで定めてございますが、目標額といたしましては、これまでの最高額の約五兆一千六百億円でございます。これにつきまして、関係省庁協力しながら実現に向けて努力してきたところでございますが、この点につきましては、昨年十一月に決定されました緊急経済対策におきましても、官公需について「中小企業者の受注の機会の増大に努める。」と再度決定をさせていただきまして、これを受けまして、通産大臣から各省庁などに対しまして、正式に要請を行っているところでございます。今後とも、中小企業者の受注機会の増大の確保に努めてまいりたいと思ってございます。  以上でございます。
  151. 近江巳記夫

    ○近江分科員 大分時間が迫ってきましたので。  いずれにいたしましても、戦後最悪の経済環境ではないかと思うのですね。私ども、昨年は議員連盟だとかいう形で、ロシア、ウクライナ、韓国等へも行ってまいりました。こういう国々も非常に厳しいことは皆さん御承知のとおりでございますけれども、そういう国の人たちが、日本は一体どうなっているのですか、私たちの先輩として注目しておりますけれども、これではもう困りますよ、そういう厳しい声を聞いてきたのですよ。私は、非常に情けなくなりました。  だから、本当に、的確な情勢の把握、そして政策、実行力、これがないとだめだと思いますね。ですから、そういう点では、本当に政府としては失敗されたわけですから、今国民政策不況ということで大変厳しい眼を向けております。起きてしまっているわけでございますから、それを回復するために、政府の重鎮として、大臣も総理とともにこの景気回復にしっかりまた頑張っていただきたいと思います。  あと一点として、物づくりの問題なんですけれども、技能オリンピック国際大会、これなんかを見てまいりますと、これは、日本なんて全然一位と違うのですな。もう韓国が圧倒的に強いし、そしてあとは台湾がたまに入り、あとはスイス、西ドイツ、要するに西欧の国が一位を占めておる。  こういう点で、物づくりの基盤技術といいますか、その点が非常に心配されるわけでございます。ハイテクとかいろいろなことを言いましても、やはり物づくりの基盤技術というものは、これが一番の基礎になるわけですね。こういう点がだんだん空洞化してきておる。  政府対策としては、昨年、いわゆる特定産業集積活性化法というものを制定されてやられていると思うのですけれども、これは、その成果としてどれだけの実効が上がってきておるのか、そういう点、まだまだ私は、まあこの法律ができて間がないということもございますけれども、まだ対策としては手ぬるいと思うのですね。その点、どういう効果が出ているのですか。もう時間がありませんから、簡潔に。
  152. 並木徹

    ○並木政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘ございました産業集積法につきましては、ただいま十六地域から計画が出ておりまして、関係省庁とともに政府一体となって、今御指摘のような物づくりの基盤整備するという観点から、その方策につきまして進めるべく計画を承認したところでございまして、施設整備でございますとか、さまざまな研究開発等のソフトの支援等々を行うことに加えまして、労働省におきます地域雇用開発促進法によります雇用あるいは人材訓練等の施策等々を総合的に進めてまいりたいと思います。御案内のとおり、今ちょうど計画が承認されたばかりでございまして、今後地域におきますこういった具体的な対応の進展を期待しているところでございます。  それから、通産省といたしましては、御指摘のように、まさに物づくりを支える基盤技術というものが最も重要ということでございまして、この集積法のみならず、ちょうど昨年十二月でございますけれども、経済構造変革創造のための行動計画というものを踏まえまして、さらに、人材高齢化あるいは若者の製造業離れに対処いたしまして、物づくりを支える優秀な技術者あるいは技能者の確保育成を図る観点から、全国から人材を受け入れて行います広域的な技術研修でございますとか、あるいは地域地域に物づくり協議会というものをつくっていただきまして、これによります地域インターンシップの推進といったようなものを含めまして、関係省庁と一体となりまして、平成十年度から予算措置等を抜本的に充実いたしまして、総合的に施策推進してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  153. 近江巳記夫

    ○近江分科員 時間が来ましたので終わりますが、この特定産業集積法では、人材育成とかは非常に弱いと思います。したがいまして、物づくり基盤技術振興基本法を私たちは考えておりますが、ぜひ政府としてもよく検討していただきまして、その辺の集中した、力が入るような、そういうシステムを考えなければならぬと思いますので、ぜひひとつ勉強していただきたいと思います。  それを申し上げて、私の質問を終わります。
  154. 中川昭一

    中川主査 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。  次に、北脇保之君。
  155. 北脇保之

    北脇分科員 民友連の北脇保之でございます。  私は静岡県浜松市の選出でございますが、今全国で中心市街地の停滞、そして特に中心商業地の問題が非常に大きな問題になっております。中には、中心商業地が歯抜けのようになってシャッターがおりたままになっている店が並んでいるものですから、シャッター通りなんという名前がついているところもあるというような実情でございます。  そこで、この中心市街地活性化、なかんずく中心商業地の停滞をどう克服していくか、この問題を取り上げさせていただきたいと思います。  最初に浜松市の実態をちょっと御紹介いたしたいと思うのですが、浜松市も、中心商業地の問題は全国と同じような深刻な問題を抱えております。  具体的な名前を出して事実をちょっと申し上げますと、浜松市も、まず中心市街地から大型店が相次いで撤退しております。ちょっと紹介しますと、平成三年にニチイ、平成五年に長崎屋、平成六年に丸井、平成九年には西武。デパート、大型店が次々と中心商業地から撤退をしております。そしてまた商店数でとらえてみたときに、昭和六十三年から平成六年までの変化を比較してみますと、市全体では商店の数が三・三%減っております。その中で、中心部の商店数の減少が一二・四%。一二・四%も商店数が減少しております。したがって、浜松市内の商店数に占める中心部の商店数のシェアは一・六ポイント低下しております。こんな状態がございまして、浜松市にとっても中心市街地活性化が大変大きな問題になっております。  そこで通産省にお聞きいたしますが、このような全国的な中心商業地の特に商業の停滞、この原因がどこにあるか、どのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  156. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のように、近年、全国各地の中心市街地におきまして、大型店を含みまして空き店舗が増加をするといったことなど、商業機能の低下が深刻化しつつあるわけでございます。また、居住人口が減少したり、文化施設、福祉施設といったような公共、公益施設の郊外移転などが進展するというような事態も認識をいたしておるところでございます。  こうした商業機能の低下を含みます中心市街地のいわゆる空洞化の原因といたしましては、一つには、近年のモータリゼーションの進展を背景といたしまして、中心市街地への交通アクセスでございますとか中心市街地内の交通の利便性が、郊外に比べて相対的に悪化をしているということが挙げられるかと思います。  また二つ目には、消費者ですとか住民のライフスタイルが変化するということの中で、中心市街地商業やあるいは各種サービス機能というものが、その一部の郊外移転ということも相まちまして、集積として変化に十分対応できなくなっている部分があるということでございます。  最後に三つ目でございますが、土地の細分化でございますとか複雑な権利関係が存在をいたしまして土地などの空間が必ずしも効率的に利用されないというような、かなり複雑な事情が背景にあるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  157. 北脇保之

    北脇分科員 ただいまのお答え、私の認識とそう大きく違わないのですが、やはり私は、従来の町づくりの考え方、それが現在の中心市街地の停滞をもたらしているということは否定できないのではないかと思うのです。  例えば、今のお答えの中にもありましたように・モータリゼーションの進展ということで、車を使った生活に合わせたいろいろな町づくり。車で行った方が便利だ、例えば買い物をするにしても車で乗りつけて、大きなものでも買って車で運んでくれば非常に便利だというようなことで郊外にショッピングセンターなどを展開していく。また住宅についてもしかりである。そういうような町づくりを展開してきた。その地域における商圏自体が大きく伸びていかなければ、郊外の方にショッピングセンターなどが展開していけば、その分、中心市街地から商業の集積が移っていってしまう。これはもうどうしても否定できないことだと思うのです。  ですから、ただ単に中心市街地活性化をしなければいけない、商業地の停滞を何とか克服しなければいけないということを言っていても、その根本になっている原因について、それを変えるというか見直すということもあわせて考えていかないと、アブハチ取らずといいますか、住民のライフスタイルに合わせた便利な町づくりということを片方で追求する中で郊外展開があり、それにつれて中心商業地の停滞が出てきている。しかし中心商業地の停滞は困るから何とか中心商業地の活性化をしていこう、こういうふうに言っても、ちょっとそれは分裂していると思うのですね。  ですから、町づくりの考え方を変えていくか、もしくは中心商業地のあり方というものについて、ただ、かつての活気を取り戻したいとか、かつての規模に復活していかなければいけないとかいう考え方ではなくて、もっと新しい中心商業地のあり方というものを追求していくか、そういう選択が迫られていると思うのです。  通産省、商業政策の担当ということで、ちょっと町づくりまで踏み込んだ話はお答えしにくいかとは思いますが、今のような町づくりの従来の方向性と今の中心商業地の活性化というねらいが必ずしも同じ方向ではないのではないか、この点についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  158. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 大変大きな問題提起でございますが、私どもではございませんが、都市計画審議会の方でも、昨年六月に新しい時代の都市政策の方向性というものが示されたように承知をいたしております。  それはまた御担当の方にお任せをするといたしまして、私ども、商業という切り口から見ましたときに、実は、今国会に関連の法律をお願いをいたしておるわけでございますけれども、一方におきまして、大型店の出店というものの政策をどのように考えるかということでございます。  御指摘のように、大型店の出店というものにつきまして、私ども、審議会に議論をお願いをしたわけであります。その中から出てきた結論は、今先生もおっしゃるような点が多数含まれておりまして、まさに都市の構造に対する影響、あるいは住民の生活環境に対する影響というようなものを大型店の出店との関係において考えなければいけないということで、私ども、建設省さんにもお願いをいたしまして、都市計画法というような体系の中でそうした課題対応できるような方策というものをお考えいただけないかということもお願いをし、今回都市計画法の改正というものが、都市計画政策の一環ではございますけれども、そのような形で具体的な政策の提案が行われたわけでございます。  同時に、生活環境というものをどう考えるかという意味におきまして、私ども通産省として、大規模小売店舗立地法案というものを今国会に御提案を申し上げておりまして、そういう形で、都市づくり一町づくり全体、あるいはその中における生活環境の保持というような観点から大型店の出店政策についても考え直そうということでございます。  同時に、一方で中心市街地活性化法案というのを提出させていただいておりますが、そうした全体の町づくり、あるいは都市の構造、あるいは都市機能というものをどういうものとして考えていただくかということの中で、その顔と言われている中心市街地というものをどんな顔のものとしておつくりをいただくかということで、これもまた改めて関係十一省庁で相協力いたしましてそうした具体的な御提案、あるいは地方でお考えいただいたものを最大限尊重し、そのイニシアチブのもと中心市街地活性化を図っていく、このような体系で対応させていただきたいということでございます。
  159. 北脇保之

    北脇分科員 ただいまのお話の中にも、中心商業地の活性化というものは町づくり全体の中で取り組んでいかなければいけないというお考えがあったと思いますが、私もそのとおりだと思います。  そういう意味で、中心市街地の機能を充実していく。その中には、単に商業機能だけではなくて、例えば住機能であるとか、また公共施設を中心とした文化的な機能であるとか、そういったものを町中に整備していくことで、またそこににぎわいを取り戻し、その一つの結果として商業の振興も図っていくというような方向が必要だと思います。  そういう意味で、今浜松市では、浜松市の駅のすぐ北側、駅のすぐ目の前で非常に大規模な土地区画整理事業を進めております。これは第一、第二というふうに分かれているのですが、ちょっと紹介しますと、第一の方が面積にして二十五・九ヘクタール、総事業費が五百二十一億円、そして、第二の方が二十七二一ヘクタールで総事業費四百五十三億円、こういうような大規模な事業が今進行中でございます。  私は、この区画整理事業というのは、町中における土地区画整理事業、その中に、単に業務機能だけではなくて住機能とかまた文化機能も取り入れようということで今いろいろ模索されている町づくり、中心市街地づくりの一つの先駆けともなる事業だと思います。  その点で建設省にお聞きをいたしますが、この事業を建設省としてはどのように評価し、国として取り組んでいるか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  160. 近藤秀明

    ○近藤説明員 今お話のありました浜松駅の東第一、第二の土地区画整理事業につきまして御説明申し上げます。  この事業につきましては、浜松駅周辺の市街地について道路等の整備とそれから街区の再編を行うということと、さらに、シビックコア計画と申しまして官公庁街区の整備あるいは県立大学の誘致等によりまして、空洞化の進んでおります中心市街地の再生を図ることを目的とした事業であるというふうに考えております。  私どもとしましては、駅東第一地区につきましては昭和六十二年度から、駅東第二地区につきましては平成四年度から浜松市が事業に着手しておるわけでございますけれども、中心市街地活性化にとりまして大変重要な事業であるというふうに認識しております。建設省としても、そういうことで補助をしているところでございます。  これらの事業早期に完成して市街地活性化が図られるよう、今後とも事業の進捗に合わせて積極的な支援を行っていくと考えております。
  161. 北脇保之

    北脇分科員 大変重要な事業と評価しているということで、その答えは大変ありがたく思いますが、実際この事業については、ただいまのお話にありましたように、第一地区はもう昭和六十二年から取り組んでいるということで、実は、その間にやはりバブルの崩壊というようなことを挟んでおりまして、当初の環境と非常に違ってきているわけなのです。  計画当時は、その地域における業務機能の集積が期待できるということで、オフィスビルなどもたくさん建てて、そういう中で区画整理事業遂行していこう、こういう予定だったのですが、御案内のとおりのバブルの崩壊ということで、オフィス需要も伸びませんし、業務機能の集積ということを実現していくことが大変困難になってきております。  それで、もともと住んでいる方は、本当に普通の住宅としてその地域に住んでいる方も相当いらっしゃいます。  そこで、この事業を成功させていくためには、やはり早期実現ということが何より大事になってまいりますので、そのためには計画どおり遂行できる事業費の確保、この点の国の支援ということ。それともう一つは、社会経済環境の変化を柔軟に受けとめて、そこの地域に住んでいる方の希望をしっかり受けとめてやっていく。こういったことが円滑な遂行につながってくるわけですし、事業の成功につながる、こんなふうに思いますが、この点について、再度建設省にお考えいただきたいと思います。
  162. 近藤秀明

    ○近藤説明員 区画整理事業、特に第一地区は昭和六十二年度からということで、かなり年限はたっておるわけでございますけれども、私ども、いろいろ先ほどお話ありましたように、特に区画整理後の立ち上がり、こういう経済情勢もございまして市の方でも悩んでおられると申しますか、いろいろ苦労されておられるというふうに伺っております。  我々の方も、今後とも、事業促進はもちろんですが、立ち上がり等につきましても、直接的にというのは事業の性格上なかなか難しい面はございますが、市の方といろいろ相談させていただきまして、我々としてもできる限りのことはやっていきたいというふうに思っております。
  163. 北脇保之

    北脇分科員 浜松市の中心部においては、今の土地区画整理事業だけではなくて、旧来の中心的な商業地において、市街地開発の手法による事業も進行中でございます。そういう事業についてもぜひとも順調に進捗するように、建設省としての支援お願いしたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、また通産省の方の関係についてお聞きをしたいと思いますが、先ほどもお話にありましたように、このたび、中心市街地における市街地整備改善及び商業等活性化一体的推進に関する法律案、こういうものが出されております。  それで二、三お尋ねしたいのですが、まず一つは、ここで言っている中心市街地というものの定義がどういうことになるのか。  その中で、この定義の一つとして、その市街地状況等から見て、機能的な都市活動確保または経済活力の維持に支障を生じ、または生ずるおそれがあると認められる市街地であることというのが入っておりますので、これはつまり、言ってみればその地域の停滞の状況といいますか、それが一つの中心市街地という概念に当てはまるかどうかの要件になっているというような意味合いになると思うのですが、この辺について、この要件というのは具体的にどのように判断をされるのか、この要件の持つ意味というものはどんなものか、ちょっとそれをお聞かせいただきたいと思います。
  164. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 今回の御提案申し上げています法律におきましては、最大限地方のイニシアチブを尊重するという体系がございまして、したがいまして、それぞれの市町村におきます中心市街地というものむ、それぞれの市町村においてここを中心市街地として活性化事業を進めるというようなことを場所としてもお決めいただくわけでございます。  さはさりながら、そういうことの前提として、三つほどの今御指摘のございましたような要件を考えております。  一つは、一定数以上の小売商業者ですとか都市機能が集積をしている、逆に申しますとニュータウンというようなところをこの法律をもって支援をしようということではなくて、これまでも歴史のある場所についてやろうということでございます。  それから、空洞化が生じているとかあるいは生じるおそれがあるということで、やはりいろいろと問題をそれなりに抱えておられる場所であるということ。  さらに、御指摘もあった点でございますけれども、言ってみれば町の顔ということを言われるぐらいでございますから、そこがコアとなって中心市街地のみならず町全体の発展にもいろいろな意味があるというようなところを中心市街地として支援対象にしようということでございます。  その中からそういうものを市町村において選んでいただきまして、それに対して国として支援をさせていただく、このような考え方でございます。
  165. 北脇保之

    北脇分科員 この法律の仕組みによれば、中心市街地において活性化のための特定事業といいますか、これを行う場合に、主務大臣の認定を受ければ助成といいますか支援があるという形になっておりますので、中心市街地というものに該当してくるのかどうかということがその辺の国の支援の対象になるかどうかということと結びついてくるのではないか。  市町村として計画をつくって取り組むという限りにおいては、市町村の判断ということが第一義的なものだ、そうは思いますが、ただ、国の予算、それに基づく特定事業に対する支援ということになると、もちろん予算ですから限りがある話だと思います。そういう目で見たときに、この法律に定義する中心市街地に該当する地域が全国的に幾つあるとか、そういうことはある程度想定されているのかどうか、そういう数というものがありましたら教えていただきたいと思います。
  166. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 基本的に計画をおつくりいただくのが市町村のレベルでございますので、その市町村において、それぞれにおいて中心市街地というものがもし存在をするという認定をされ、それを振興する必要——認定されるという言葉はおかしいですが、市町村長、首長さんとしてそのようにお考えになった場合の話でございます。したがいまして、市町村の数は三千三百ほどあるわけでございますので、少なくとも可能性の問題としてはそれだけの広がりのあるものというふうには考えられると思いますが、現実にそういう計画をおつくりになって国の支援もしてくれというふうにお申し出になる市町村がどのぐらいあるかというのは今後のことではないかというふうに考えます。
  167. 北脇保之

    北脇分科員 そういうことであれば、中心市街地ということのとらえ方、それは市町村の判断でやりまして、そして特定事業についての国の助成が必要であればその市町村の判断によって申請がされてくる、こういうことであろうと思いますので、その申請があったときの国のそれぞれの所管としての判断は、やはり全国的に見て公平な見地からその助成の必要性、これを判断をして対応していただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。  きょうは大臣にもずっとおいでいただいて大変ありがたく思いますが、大臣は本当に、経済界の御出身の方でございますので、こうした中心市街地の問題についてもいろいろとお考えがあろうと思います。  私は、今度の中心市街地活性化の法律についても、市町村が責任を持ってその計画をつくるということを大変大事なことだと思います。しかし、そこで私はもう一歩進んで、市町村という行政が役割を果たすだけではなくて、そこに住んでいる地域の住民、市民、これがやはり本当に中心になって計画をつくってその活性化に取り組む、こういうことが何より大事だと思います。  この点について、大臣、どのようにお考えになるか。そしてまた、こうした活性化ということについて、地域の市民や住民が積極的に入ってやっていけるような仕組みをどんな形でつくっていこうとされているか。その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  168. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生のおっしゃるとおり、そういう中心市街地の問題について、地域全体の総意のようなもの、盛り上がりといいますか、そういうものが非常に重要ではないかというふうに私も思っております。  したがいまして、町づくりに当たりましては、その地区の住民の意思が何よりも尊重されるべきだ。したがいまして、一つには、市町村のイニシアチブでやるのでありますが、そこにアドバイザー制度というものをつくって、そこにいろいろな案をまずそこでつくり上げていく。それからその市町村においてそれをまとめて、十一省庁ございますけれども、それぞれのメニューに向かって市町村がイニシアチブのもとに提出をしてくるというようなことを考えているわけでありまして、中心市街地活性化のための市町村の基本計画についても、地域に暮らす住民の方々あるいは地域商業者の関係者の方々のコンセンサスのもとに決定されるということが一番望ましいと思いますし、そういう方法をとってまいる考えでございます。  こういう観点から、中心市街地活性化法案では、国及び地方公共団体は施策推進に当たって地域住民の理解と協力を得るように配慮すべきであるということをはっきりうたってございます。  特に地域商業者は、中心市街地における商業活性化、そういうものの担い手でございますから、その積極的な参加を期待をいたしているところであります。こういう意味で、同法案におきましても、市町村が基本的計画を策定する際、商工会あるいは商工会議所からの意見の聴取というものも義務づけているところでございます。
  169. 北脇保之

    北脇分科員 今答弁いただきましたが、その点についてそれぞれの当局の事務方の方にも御確認をさせていただきたいと思います。  やはり商業の振興という点についても、実際の商業者の方、この人たちが意欲を持って取り組むということが何より大事だと思います。ですから、そちらのサイドでも、市町村が商工会議所などを通じて意見を聞くというよりも、むしろ商業者の方々、地域住民の方々が中心になってその方たちがっくり上げるのだ。行政の方は、一種のコーディネート役といいますか、国との関係、いろいろな関係がありますから、そういったものの仲介をしていく。あくまでも主体は地域に住んでいる、商業の問題であれば商業者の方、そしてまた区画整理であるとか市街地開発であればこれまた地域に住んでいる住民の方々が主役なのだ、そういうことで行政は受けとめていく。  そういう意味の行政の質的な転換、これがないと、何回法律をつくって仕組みをつくってもうまくいかない、そこに住んでいる方の自発性とやる気、これがスムーズに出ていくような、そういうことでないとやはり成功しない、そんなふうに思いますので、最後に通産省と建設省の方に、その辺の行政の質的な転換ということをどう目指していくかということについて一言ずつお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
  170. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、今大臣から御答弁申し上げましたように、私どもの方でいえば、商業関係の計画づくりについては商工会、商工会議所の意見を聞くことを義務づける、法律の上ではそういうふうに書きますけれども、その心はどういうことかといえば、商工会、商工会議所が先頭に立って、そこの首長さんに積極的な意見をつくってそれをまた述べるということを前提にいたしておるわけでございまして、今回御提案申し上げている中心市街地活性化法案というのは、まさにその心の中に、広く住民の人たちが、自分の町をどういうふうにすればいいかを真剣にぜひ考えていただきたいというのは基本的なメッセージであるというふうに私ども行政当局としても考えておりまして、そのような意味で、そうした住民の皆さん方のお考えを取りまとめられた計画というものは国としても最大限尊重して、その上でそれを支援させていただく、こういう体系を用意させていただいた、こんなふうに考えておるわけでございます。
  171. 各務正人

    ○各務説明員 建設省といたしましても、町づくりというのはまさしくそこに住んでおられる住民の方々自身の問題であるということで、そのためにも、さまざまな都市計画に基づく事業でございますとか、私どもが担当いたしております市街地開発事業、区画整理事業などにおきましても、住民の方々に参加していただいてやっているということでございます。  特に、再開発事業、区画整理事業などについて申し上げますれば、組合という形で事業を実施している例が多いわけでございまして、まさしく地権者の方々全員の集まりの中で、事業の内容でございますとか地域の方向とかそういったことを決めていっていただく中で、行政としても必要な支援をさせていただくというのが原則であるというふうに考えて努めてまいっておるところでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  172. 北脇保之

    北脇分科員 時間が参りましたので、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  173. 中川昭一

    中川主査 これにて北脇保之君の質疑は終了いたしました。  次に、辻元清美君。
  174. 辻元清美

    辻元分科員 社会民主党の辻元清美です。  私は、先日香川県の坂出で送電鉄塔の倒壊事故がございましたけれども、まずこれから御質問したいと思います。  物すごく大きな鉄塔が倒れたということで、大臣初め皆さん衝撃が走ったと思うのですけれども、二度とこのような事件、事故がないように、やはり細心の注意を払わなければいけないというふうに考えますので、その視点に立ちまして質問させていただきます。  まず、この四国電力の特別高圧送電線鉄塔が倒壊した、この原因は何であったというふうに通産省は考えているのでしょうか。
  175. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしまして、今御指摘の四国電力の倒壊事故に当たりまして直ちに鉄塔の専門家、当省職員を派遣いたしまして、現場に赴きまして原因究明に取り組んだ次第でございます。  その専門家等の分析によりますと、鉄塔の倒壊に際しまして、鉄塔の基礎の部分、あるいはその基礎部分と鉄塔を接続するボルトに大きな力が加わった形跡がなかった等のことから、何者かによりましてボルトが倒壊前に抜き取られていたというふうに推定されるわけでございまして、そういう意味で、風が強くて自然に倒れたとかそういうことではございませんで、人為的な原因のようなものであるというふうに認識をしております。  いずれにしましても、詳細の究明につきましては現在地元の警察が捜査を進めておる段階でございまして、その結果も見守ってまいりたいというふうに考えております。
  176. 辻元清美

    辻元分科員 今、何者かによってボルトが抜き取られた可能性が高いというふうなお話だったのですが、そんなに簡単にボルトは抜けるのでしょうか。というのは、あれだけ大きな鉄塔でございます。それで、各種報道も、そんなに専門家でなくてもボルトが抜き取れたというような報道もございますけれども、通産省としましては、ボルトが簡単に抜き取れる鉄塔であったというふうにお考えなのでしょうか。
  177. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 例えば私のような素人が簡単にできるとは承知をしておりませんけれども、いずれにいたしましても、私ども、ある程度専門のペンチその他で、恐らく知見のある方であればそういうことができる可能性があったものではないかと思います。  そういうことで、私どもといたしましては、再発防止策につきまして電力各社に対しまして、事故の起きました直後の二月二十三日に巡視点検の強化、さらには二十六日に再発防止対策の検討及び報告を求めたところでございまして、早急に電力各社からの報告を受けまして、先生御指摘のボルト、ナットの取り外しが困難になるような対策等の再発防止策の着実な実施ということを促してまいりたいというふうに思っております。
  178. 辻元清美

    辻元分科員 今、二月二十三日に再発防止を各電力会社の方に通産省から強く要請したという御発言でしたが、また先週こういう事件があったのです。ちょうど一週間前の三月十二日ですけれども、千葉県の安房郡三芳村で、東京電力の送電鉄塔、御承知かと思いますけれども、鉄塔を固定する脚部ボルトの一部がまた緩められていたわけなのですね。これは、十本のうち九本が緩められていて、八本がもう手で外せるぐらい浮いていたということがまた先週起こっているのですけれども、この点について通産省は把握しているのでしょうか。
  179. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 その件につきましても、その報告がありました後、直ちに私どもの担当官が参りまして、実地を見て確認いたしております。
  180. 辻元清美

    辻元分科員 二月に起こりましてまた先週ということになりますと、やはり送電鉄塔の問題というのは、これから、今ある送電鉄塔そのものに対する対策と、これから送電鉄塔を建てる上でどういう立地条件で、どういう条件で建てていくかということを、やはり早急な検討が必要だと思うのです。  このような、今問題になっておりますような送電鉄塔は日本国じゅうにどれぐらいあるのでしょうか。数ですね。
  181. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 二十四万本でございます。
  182. 辻元清美

    辻元分科員 主な立地している場所といいますか、今事件が起こりましたのは、それぞれ山中に建っているということで幸い大きな事故に至らなかったかと思いますけれども、この二十四万基とおっしゃいました、主にどういう立地条件のところに建っているのでしょうか。
  183. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 山間部を中心といたしまして、もちろん平野部等にもございます。
  184. 辻元清美

    辻元分科員 それでは、今実際にその後の措置ということで、例えば通産省令の電気設備の技術基準等の見直しも私は必要だと思うのですけれども、そのようなことは御検討なさっているでしょうか。
  185. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 先ほど申しましたように、私ども二月二十三日及び二十六日に電気事業者に対しまして緊急点検、さらには再発防止策の検討を指示したところでございまして、その結果がほぼ近々上がってくる段階でございます。私どもといたしましては、この問題につきましては今の電気事業法上の体系の中で、こういう事故につきましては刑事罰で対処するという体系になっておりまして、そういう体系の中で今後とも対応してまいりたいと思っております。  ただし、先ほど申しましたように、電気事業者に対しましては私どもの電気事業を所管しているという立場から指導を強化いたしまして、具体的な再発防止策、例えばボルト、ナットの溶接でありますとか、あるいは固定をするためのねじどめ方策等の対策をとるように要請しているところでございます。
  186. 辻元清美

    辻元分科員 実際に現在あるものの対策と同時に、これから建設予定のものもあるかと思うのですけれども、そういう建設予定の鉄塔に対しても今後再検討が必要ではないかと私は考えます。  そういう中で、一点事例を出して、幾つかの点をお伺いしたいと思います。  奈良県吉野郡大淀町という、吉野の桜の名所の近所なんですけれども、私のふるさとで生まれ故郷なんです。そちらの方の北野団地というところで今この鉄塔問題、大臣も御承知かと思いますけれども表面化しまして、電力会社と住民の皆さんの対立状態というのが続いております。  ここは本当に美しいところです。私も先日視察に行ってまいりました。将来は二千四百戸、約一万人の方に住居として提供するということで団地ができておりまして、第一種住宅専用の住宅団地の地区です。現在は千数十軒、約三千人の方がお住まいです。子供さんもたぐさんいらっしゃいますし、大阪のベッドタウン的な位置もございますので幼稚園や小学校もある、そういう一つの自然に囲まれた団地なんです。  ここのところに、現在、高さ三十メートルの鉄塔、七万七千ボルトの送電線が走っております。これを高さ百メートルの、百メートルいったら大きいです、現在三十メートルですからその三倍になるわけなんですけれども鉄塔を五基、五十万ボルトの超高圧送電線に変更したいという関西電力の計画がありまして、これが一九九四年ですから今から四年前に住民に明らかにされたわけなんです。この建設をめぐりまして、住民の方々はますます心配を強められるのは当たり前だと思います。それで、先日三月六日に、住民自治会の戸数の九一%、総数三千百三十七名の署名を携えられまして、通産省の方にも事情説明と陳情にいらっしゃっております。  私も、この現場はふるさとですし、視察に行ってまいりました。そうしましたら、今計画されております鉄塔が建つほんの数メートル横に民家があります。そういうところに百メートルの鉄塔が建つということで、これはだれが住んでいても心配。かつ、こういう事件があった後でございますのでますます、これは住民の不安だけではなくて社会問題化しつつある。そういうところに果たしてこういう鉄塔を建てることを今後進めていっていいのかどうか、私は疑問を感じております。  そのことに関して、まず通産省といたしましてこの北野台団地の問題をどのように把握されているのか、御説明いただけますでしょうか。
  187. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 私どもといたしましては、昨年の例えば二月以降、関西電力に対しまして十分に地元住民と話をするようにという指導をしておりまして、例えば、昨年の二月以降でございますけれども、四月まで十三回の話し合いが持たれたというふうに承知をしております。  さらに、ことしに入りまして関西電力は、現在、一月以降でございますけれども、大淀町内の送電線が通過する予定の地区の自治会との話し合いも行っているというふうに承知をしております。ただ、先生御指摘の北野区の自治会の方は、今までのところその話し合いに御参加いただいていないというふうに承知をしております。
  188. 辻元清美

    辻元分科員 そうしましたら、もう一つ基本的なことを質問したいのですけれども、今問題になっております北野台団地に建設予定の鉄塔は、香川県坂出市で倒れました鉄塔と同機種のものなんでしょうか。いかがでしょうか。
  189. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 基本的には鉄塔の構造その他は同種のものと承知をいたしております。  ただ、先ほど申しました倒壊事故もございましたので、これから建設に入りますこの鉄塔につきましては、再発防止策、具体的にはボルト、ナットが外れないように溶接等の措置を講じるというふうに関西電力から聞いております。
  190. 辻元清美

    辻元分科員 同機種であるということで、私は住民の方々の不安がさらに募っていると思います。  ちょうど昨年の三月四日のこの予算委員会分科会である議員がこの問題を取り上げていらっしゃいまして、その中でも、やはり五十万ボルトという超高圧送電線の危険性、倒れたらどうなるのかといろいろ御心配がありますという指摘をしているわけなんです。この後に同機種のものが倒れてしまったということで、今、北野台で問題になっています五十万ボルトの鉄塔の建設条件といいますか、ますます難しくなってきている。これはだれが考えてもそう思うのですね。  今、十三回の話し合いと、地元の方々が話し合いに応じないと聞いているというふうなお話がございました。その点について幾つか御質問したいと思うのです。  私の議事録の方には、三月四日の委員会で、当時は佐藤国務大臣でいらっしゃいましたけれども、このように御答弁なさっております。「率直に言って、こうした問題は、何といっても地元の住民と電力会社がよく話し合って理解を得なければ、そうした工事に入るべきではないというのが基本的な考え方であります。」そしてさらにほかの議員の方の御質問に対して岡本政府委員が、ルート変更の点なども含み込んでということなんですけれども、「点につきましては、地元の自治会との約束で、話し合いをするという場合に従来からそれも議題に含めて議論をするということになっておりまして、」という御答弁をいただいております。  この点については、前の大臣の御発言でございますけれども、現大臣も同じようなお立場で私は問題解決に臨んでいただけると思っておるのですけれども、いかがでしょうか。
  191. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生の御指摘のとおり、こういう事故が起きたとか起きないとかいう問題は別にいたしましても、当省といたしましては、電気事業者が送電線を建設するに当たっては地元の住民の理解を得て行うことが望ましいというふうに思っておりますし、当然、建設に際して、電気事業者は、地元の自治体だとか、あるいは住民に対する説明会などを通して、送電線の必要性や安全性について地元の理解を得なければ着手すべきではないだろうと思っております。
  192. 辻元清美

    辻元分科員 そうしましたら、もう一点通産省の方にお伺いしたいのですけれども、やはりこういう話し合いの折には、もうここに決まっているよというような姿勢で臨みますと、住民の方もどうしても、ルートの変更等も含めてお話ししていただきたいというのは、これはだれが考えてもやはり住民の気持ちであると思いますし、私がそこに住んでいてもそういう態度をとると思います。  そういう意味で、昨年岡本政府委員が、それも含めて謙虚にお互い話し合うべきであるというふうにおっしゃっているのは、なるほど、よくわかってくださっているというふうに考えたのですが、通産省にお伺いしたいのですけれども、これは通産省としては同じ御見解でよろしいかと思いますが、念のためお伺いしたいと思います。
  193. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 私ども、送電線の建設に当たりましては、地元住民と電力会社が十分話し合いを持ちまして、十分な理解を求めるということが重要だというふうに考えております。本件につきましても、今後とも関西電力に対しまして、先生御指摘のルートの件も含めまして、地元住民の理解を得るために最大限の努力を行うよう指導をしてまいりたいというふうに思っております。
  194. 辻元清美

    辻元分科員 それで、今私の手元の方に、地元の住民、自治体の方や大淀町長の方が関西電力の代表取締役の方とそれぞれ申し入れ書等のやりとりをした記録が残っております。こちらの方を見ますと、確かに通産省では、ルート変更等も含めて地元の住民の方々の御理解を得るようにと答弁もいただいているわけなのですけれども、現場の、例えば昨年十月二十七日の関西電力株式会社からの返事を見ますと、こう書いてあるのですね、ルートの変更はできませんが、調査工事と並行して、現計画ルートでの地域との共生策について話し合いたいという書面で来ていたり、それから、かなりたくさんあるのですけれども、またこれは十一月六日にも、またそれで住民の方が申し入れられてお返事が来ているのですが、今後は現計画ルートでの地域での共生策を検討したいとか、それからその後もなのですけれども、十一月十四日、また、当社の計画ルートを容認していただいた上での話し合いに応じてくださいというお話が来たりしております。  こういうことは把握していらっしゃいますでしょうか。
  195. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 承知をいたしております。
  196. 辻元清美

    辻元分科員 私は、やはり去年の御答弁のように、通産省がこういう御指導をしていただくということは非常にいいことだと思っているわけなのです。にもかかわらず関西電力の方は、今御承知だとおっしゃいましたけれども、このルートありきというような姿勢で臨んでいらっしゃるのですけれども、それに対しては通産省は何か御指導なさっているのでしょうか。
  197. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 先ほど申しましたように、ルート自体の件も含めまして、地元の方と本当によくお話をしていただきまして御理解を求めるようにということを常々言ってございます。以上でございます。
  198. 辻元清美

    辻元分科員 ということは、関西電力からの、書面で参っておりますので口頭ではございません、このような態度は、やはりこれはもう一度通産省から強く指導していただかない限り地元の皆さんの御理解を得ることは難しいのではないかと私は考えるのですけれども、いかがでしょうか。
  199. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 いずれにいたしましても、先生の御指摘を踏まえ、さらに話し合いを続けて地元の理解を得るよう最大限の努力をするよう指導してまいりたいと思います。
  200. 辻元清美

    辻元分科員 それともう一点なのですけれども、実際に私は現場にも参りましたと申し上げましたけれども、やはり民家が密集といいますか、周りに数たくさんあるところに建てるわけです。奈良県吉野郡というのは山間部ですので、周りは非常にたくさんの山々があるわけなのですね。関西電力の方々がルートを変更できない理由として、最短で結んだ経済的なルートであるということを理由のまず第一に挙げていらっしゃるのですね。ところが、こういう事故がある、そしてそこにたくさんの人家があってたくさんの人の暮らしがあるという場合に、やはり企業としても経済性、それは株式会社ですので追求されるかと思いますけれども、周りはほんのちょっと行ったら山なのですから、そういうふうなルート変更も含めるという姿勢を強く打ち出さない限り、今後企業として生き残れないのではないかというふうに私は思うのです。  実際に、地元の住民の方々がほかにもいろいろ調査されました。私も今地図を持っておりますけれども、こういうルートならそんなに迂回せずにいけるのではないかという対案も御提示されているようなのですけれども、通産省はその対案については御存じでしょうか。
  201. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 承知をいたして上りますけれども、先ほども申しましたが、基本的には関西電力と住民の方々の誠意ある話し合いというのがベースになると思いますので、そういう観点で指導してまいりたいというふうに思っております。
  202. 辻元清美

    辻元分科員 そういう観点で指導していっていただくということなのですが、そうしますともう少し具体的に、その指導する内容というのはどういうことになるのでしょうか。
  203. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 地元の方々との、ルートの件も含めた理解を得るための努力を続けようということでございます。個々のルートの問題につきましては、これはそれぞれの民間の電力会社との問題だというふうに私ども認識しておりまして、そういう大前提もとで、しかし、地元の方々の理解を得るということが一番重要でございますということで、関西電力に対しまして引き続き指導していくということでございます。
  204. 辻元清美

    辻元分科員 そうしましたら、今、引き続き何回も、地元の方の御理解を得るために、ルート変更も含めた指導をしていくということでしたので、これはぜひ私は早急にお願いしたいと思います。  そういうふうなことを具体的に行っていかない限り、これは北野台団地だけの問題ではなくて、こういう鉄塔の問題、全国に広がりつつあるというふうに私は考えますので、まず北野台団地の問題の解決に最善を尽くしていただくということが非常に今重要ではないかというふうに考えておりますが、いかがでしょう。もう早急に改善だと思いますね、今のこういう鉄塔の事件がたくさん立て続けに起こっている場合におきましてはいかがでしょうか。
  205. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、鉄塔の倒壊事件がございましたので、私どもはその再発防止も含めまして、電力会社に対しまして、ボルト、ナット等の問題が起きないような措置を講じるよう要請をしたところでございますけれども、そういう中におきまして、この関西電力の北野台団地の送電線問題につきましても、先ほど申しましたように、鉄塔自体については再発防止策を電力会社が講じるというふうに既に言っております。そういう中で、さらに引き続き地元の方々との話し合いを続けるようにということを指導してまいりたいというふうに思います。
  206. 辻元清美

    辻元分科員 今、この北野台団地の鉄塔については再発防止策を講じるように言っているとおっしゃいましたけれども、これはそれ以前の問題ですね。まだそこまで至っておりません。  実際に、これは三月六日に現地の自治会の方がいらっしゃった折に、現地の方が心配されて同じ鉄塔であるしという御発言に対し通産省の方が、同じ鉄塔ではあるが鉄塔が大きくなるのでボルトも大きく数もふえて間隔が狭くなるので外しにくくなるだろう、そういうお話をされたと聞きまして、これは全く合理性のない話だと私は思います。その点もちょっと指摘させていただきたいのです。  ただ、それはやはり周りに山間部もありますし、企業の責任として、やはり密集地帯に前から土地があったとか経済的にこのルートが楽なのだということだけで、これから日本企業が果たして住民の皆さんの御理解を得られるのか。住民の理解があってこそ成り立っているわけですから、やはりそういう総合的な観点も含めて、通産省にはこれから各企業に御指導をいただきたいと私は思います。  最後に、大臣、本当に私は住民の理解というのが行政を進めていく上では一番大事だと思います。先ほど前の議員の方の御質問に大臣がお答えになりまして、町づくりは住民の意思を一番尊重しなければいけない、そういう御答弁をされておりましたけれども、この北野台団地の件も含めまして、もう一度御決意をいただけますでしょうか。
  207. 堀内光雄

    堀内国務大臣 何事によれ、先ほどの中心市街地の問題はもちろん市街地活性化させるというような問題でありますから、これはもう地元の盛り上がりというものを一番中心にしなければならないというふうに思いまして、地元の方々の意見、考え方を大いに尊重しなければならないと思っております。  また、ただいまの鉄塔の方の問題につきましては、どういう事情でそこをどうしても通らなければならないのかどうかということ自体については私もよく存じておりません。なぜそこを選んだのか、また、なぜルートを変えることができないのか、そういう問題もちょっとわかりませんが、先ほども申し上げたように、こういう住宅地の中を送電線が、高い鉄塔が、高圧の送電がされるということについては、やはり住民の皆さんの同意を得て、そして取りかかるべき問題であるというふうに思っております。
  208. 辻元清美

    辻元分科員 時間が参りましたので終わりたいと思いますけれども、やはりもう一度申し上げます。  現行のまま現計画ルートでの地域との話し合いというのは、これはやはり地域の方にとりましては話し合いの場に出ることすらできないというような関西電力の態度であるかと私は思います。ですから、先ほどから何回も御答弁いただいておりますけれども、ぜひ通産省に早急の対応をしていただきまして、一刻も早く問題が解決しますように、私も努力していきたいというふうに考えております。  私の質問を終わります。
  209. 中川昭一

    中川主査 これにて辻元清美君の質疑は終了いたしました。  次に、平野博文君。
  210. 平野博文

    平野分科員 民友連の平野でございます。  時間も限られておりますから、二点に絞りまして御質問なり御要望をさせていただきたいと思います。  まず一つは、循環型社会形成における家電リサイクルについての考え方、いま一つは、町づくりからの大規模小売店舗立地の考え方について、御質問、御要望をしていきたいと思います。  まず、家電リサイクルについての考え方でございますが、その本題に入る前にぜひ大臣にお聞きしたいのでございます。不要物というのでしょうか、ごみとかよく言われておりますが、今まさに省エネ、省資源、こういう循環型社会を構築しなければならない、こういう命題に対して議論をされておるわけでございます。そういう中で、極めてプリミティブな御質問をして恐縮でございますが、ごみの定義はどういうふうに大臣は御理解されていますでしょうか。
  211. 堀内光雄

    堀内国務大臣 いろいろな複雑な環境を別にして、ただ、ごみということで言われますと、不要なものというふうに感じております。
  212. 平野博文

    平野分科員 今大臣おっしゃいましたように、辞書を引きますと、「役に立たない不要のもの」こういう定義がごみの定義にあるわけでございます。ただ大事なことは、役に立たないというのは社会的に役に立たないのか、個人の所有者が見て役に立たないのか、これはいろいろ立場によって、あるいは所有者によって違ってくるという判断がある、こういうことを言いたかったわけでございます。  そういう中で、今このリサイクル云々、こういう議論になるわけでありますが、一般の廃棄物の中にも生活系の廃棄物とか事業系の廃棄物とかいろいろあるわけでございまして、とりわけ生活系の廃棄物の中に一般廃棄物がある。こういう定義のもとに、一般廃棄物の中にはごみと屎尿があります。屎尿を除いたごみの中に特別管理一般廃棄物といいまして、エアコンの古くなったものとかあるいはテレビの古くなったものとか、こういう定義づけのもとに分類をされているわけでございます。そういう視点で、この家電リサイクル法案というのは、既に国会に提出されておりますが、今後の二十一世紀を担う上で非常に大事な法案だというふうに私自身も認識をしております。  そこで、二〇〇一年施行、五年後にその法案の中身を見直しましょう、こういうことになっておりますが、そのことを踏まえて御質問をしていきたいと思います。  当面、家電の四つの製品に限定しておりますが、その根拠はどういうところからその四つに指定されたのか、この点についてお聞きしたいと思います。
  213. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 家電は、先生お尋ねのとおりいろいろな種類がございますけれども、今回、当面は冷蔵庫、テレビ、エアコンそれから洗濯機の四つでスタートをさせていただこうと思っております。これは家電の廃棄物の中でこの四品目が大体八割ぐらいを占めておりまして、かさもそれぞれ非常に大きゅうございます。したがって、小売店が引き取って廃棄をされるというルートも共通なところがあるものですから、まずはこれから始めていこうかというふうに思っている次第でございます。
  214. 平野博文

    平野分科員 一つは、なぜ家電なのかという、このことについてはいかがでしょうか。
  215. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 日常の生活で使われているものはいろいろございますけれども、特に家電につきましては、使われている量も非常に多うございますし、それからいろいろ廃棄上の問題も出ております。そういうことで、再商品化の必要ということを考えると、一番優先的にやるべきものではないかということでございます。  通常ですと、市町村にこれまでは処理をしていただいておるわけですけれども、再商品化という形でとらえるとしますと、製造業者の段階でやっていただく必要があるものですから、こういう形で、家電リサイクル法ということで対応させていただこうというふうに考えた次第でございます。
  216. 平野博文

    平野分科員 言われることはよくわかります。ただしかし、やりやすいところからやっていこうよという発想では、業界的に見ても、製造業というメーカー的に見ても非常に理解されにくい部分があると思うのですね。  あらゆる廃棄物についてこういうことを進めていきますよ、こういう視点に立って当面はここから行きますと、通産省から指導されて、業界が合意したところから順次進めていくというのも手法かもわかりません。しかし、もっと大事なことはやはり省資源だ、こういうことを考えていきますと、日本全体のあらゆるものをそういう考え方のもとに進めていくんだ、こういうことが非常に大事だと思うのです。  そういう意味では、今後そういう思想を広げていかなければならないということど、今後どのような製品に拡大しようと考えておられるのか、予定がございましたらお聞かせいただきたい。
  217. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 先生御指摘の点はよく理解ができますし、私どもも実はそこのところはいろいろ議論をしたところでございます。  循環経済として対応するような品物を全体として考えて、それを総合的に対応していくというようなことも一つの考え方としてあろうかと思いますが、それぞれの廃棄物によりまして対応の仕方がいろいろ違うということがございます。したがいまして、それぞれの廃棄物に応じた対応というのをそれぞれとっていく必要があるということもあるわけでございます。  そういう観点から、例えばPETボトルにつきましては、リサイクル法をつくりましてもう現にリサイクルは進んでいるわけでございます。それから自動車も同じような問題がございますけれども、これは実際に実は廃棄物も有価物として取引されているというところもあるものですから、これはガイドラインを設けて自主的にやってもらおうかというふうに考えております。  そうやっていきますと、一つ残っている大きなものとしては家電があるものですから、家電についても、家電の取引の実態に応じて、家電廃棄物再商品化法という形でひとつ今回対応していこうかというふうに考えた次第でございます。  それぞれに全体としていろいろ考えなければいかぬ点もありますけれども、やはり対応としては個別にやらざるを得ないということで、そういうふうに対応させていただいた次第でございます。
  218. 平野博文

    平野分科員 そこで、私一番言いたいわけであります。確かに、そういう考え方のもとに回収をし、再資源化をする、こういうことは大事でございます。  私も昔メーカーに勤めておりました。そのときに私自身も研究所におりましたから多少理解はできるのでございますが、リサイクルを進めていくということは大命題だ、資源の再利用ということで、今この四品目を見ていきますと、鉄板とかそういう部分はすごくリサイクル率が高まって再資源化しやすいわけであります。ところが、今、時代の変化の中で非常に安価に供給されてくるグラステックスという材料については、非常に再資源化が難しい材料でございます。加えて、このグラステックスというのは塩ビ系を含有しているものですから、いろいろなところでいたずらをする。ダイオキシンの発生源になったり、いろいろなことがあるのでありますが、非常にこの世の中にグラステックスの材料がたくさん出回っています、非常に材料価格としては安いものですから。  メーカー独自にグラステックスをどう再利用するか、再資源化するかという技術がまだ不十分なものですから、そのことについては行政官庁である通産省としても、グラステックスについての再資源化するための高度技術の助成策をそれぞれのメーカーに助成をしていくのか、あるいは別の機関でそのことについて研究開発を進めてもらうのか、そこを確立されればもっと資源の再利用化が高まるのではないか、私はこのように思っております。何とぞそういう考え方のもとに、国、行政がやはりそれに対する支援策、結果、そのことによってリサイクル率が高まり再資源化につながってくる、このように思いますので、ぜひともそういう視点での支援策をお考えもいただきたいな、このように御要望として申し上げておきます。  それでは、次に参ります。  この法案の基本方針によって、回収、さらには生活環境の保全の措置、リサイクル、こういう総合的な計画を推進していこう、こういうことでございまして、施行前にそれぞれの所轄の省庁の遺産、環境、厚生大臣基本方針を定めていこうというふうになっておると聞いておりますが、いつごろまでにその基本方針をおまとめになって公表されるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
  219. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 最初に御指摘のあった点についてでございますけれども、この家電の廃棄物再商品化というのは、実はドイツでもまだ実行されていないものでございまして、世界に先駆けた試みでございます。したがいまして、今先生御指摘のように、いろいろな難しい点があろうかと思います。私どももいろいろな意味で、技術開発とかあるいはリサイクル率の決定とかに当たって、そういう難しい実態はよく考えながら進めていかなければならないと思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。  それから、基本方針につきまして御質問がございました。この法律、ただいま国会に提出をさせていただいておりますけれども、成立をさせていただきました暁には、定義規定とか基本方針の策定等につきましては公布後六月以内に施行するということになっております。それから、小売業者や製造業者の具体的な義務、これが発生するのは公布後三年以内ということになっております。したがいまして、基本方針は、成立をさせていただきました暁にはできるだけ早く決めていく必要があろうかというふうに考えている次第でございます。
  220. 平野博文

    平野分科員 それでは、今回の法案のスキームは、メーカーがリサイクルをいたしていきましょう、それで販売小売店とか市町村がそれぞれ回収、引き渡しの役割、それに伴うコストは消費者が負担をする、こういうスキームになっておりますが、これについて、間違いございませんでしょうか。     〔主査退席、吉田(治)主査代理着席〕
  221. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 ただいままでは、家電の廃棄物は、六割方は小売店で新しいものを買いかえるときにそれを引き取ってくれるということで、小売店経由で廃棄される。それから四割方は市町村に持ってくるということになっておりましたけれども、そのままその後は捨てられるのが大部分だったというのが現状でございます。したがいまして、今度は、小売店経由で持ってきてもらったもの、あるいは直接でもいいのですけれども、製造業者が最終的に引き取って、そこで再商品化をしてもらおうという、そこを中心に考えているわけでございます。  しかしながら、市町村が現に粗大ごみとして引き取っているものもございまして、それについては、引き続きそういうことでそのルートを残しておきたいという市町村もあるかもしれませんので、それはそれで並列的に残しておくことになるということでございます。ただし、市町村も、最終的な処分に当たっては、やはり再商品化ということを考えていただくということになると思います。
  222. 平野博文

    平野分科員 今の御説明でいきますと、じゃ回収ルートというのは、例えば市町村で回収するルート、小売店が回収するルート、さらには過疎地とかそういうところでは別の機関が回収する、まあルートが多岐にわたる。こうしますと、回収料金なりリサイクルの料金が、それぞれによって設定料金がばらつくのではないか、こういうふうに予想されるわけでございまして、特に消費者、ごみを出す立場から見ると、このルートは高いけれどもこのルートは安いじゃないか、こういうふうに不信を抱かせる可能性もあるわけですが、その点はどういうふうに納得させるのか、これについてお聞きしたいと思います。
  223. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 まず、再商品化をしていただきますメーカーの間でも料金に差が出てくるわけでございます。これは、例えばAメーカーは再商品化については同じものでも二千円でやります、Bメーカーは三千円かかりますというときには、それは再処理にかかるコストでございますから、それぞれに違いがあるかもしれません。そこは、これからリサイクル社会の中でメーカー間の競争条件の一つになる可能性がございます。そこは、競争して、できるだけ安く効率的にやっていただくということは必要になってくるわけです。  もう一つ、市町村のルートが残るわけでございますけれども、これにつきましても、経過措置は必要かもしれませんけれども、最終的には、再商品化基準はメーカーと同じ基準でやってもらうということになるわけでございます。したがいまして、その場合には、コスト的に言いますとやはり相当のものがかかることになりますから、同じものをいただくか、あるいはこれをメーカーに委託するかというようなことが出てきて、だんだん最終的には一つの方向性が出てくるのではないかというふうに考えております。いずれにしましても、マーケットでそこは考えてもらうのが一番いいのかなと思っております。
  224. 平野博文

    平野分科員 いずれにしましても、消費者が負担をする、こういうことになってきますと、例えば出したらお金が要るからどこかへ持っていっちゃおう、こういう妙な、不法投棄の発想にもなるわけでございます。  したがいまして、法案を決めたって、やる人は国民であります、消費者でありますし、所有者でもあるわけですから、法案を決めたからあとはもう自治体に任せたよ、メーカーに任せたよということではなく、やはり日本国民全体が省資源、リサイクルという、こういう視点に立つような納得性のある仕組みを何とぞお考えをいただきたい、このように思うわけであります。  いま一つは、いずれにしましても、先ほど冒頭、大変大臣に失礼な御質問を申し上げましたが、私は、ごみから資源、こういう発想、ごみも資源である、こういうふうに思っております。そういう意味から、やはり意識改革がどうしても必要でございます。そういう中で、この法案を、費用負担のあり方だけではなく、消費者、企業、行政のかなめとなる仕組みにしていかなければいけないと思っておりますが、最後に大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。     〔吉田(治)主査代理退席、主査着席〕
  225. 堀内光雄

    堀内国務大臣 循環型の経済社会というものを構築していくためには、リサイクルの促進に向けた製品の設計だとか、あるいは製造の段階からの素材や部品の選択、そういうところまで取り組みをして積極的に図ってまいらなければならないのではないか、そういうことがごみをなくすということにつながっていくのではないかというふうに思います。  特定家庭用機器再商品化法案につきましては、製品の素材や構造に最も詳しい立場にある製造業者らが再商品化等を行うことにするというのは、その辺にも理屈があるわけでございまして、これによって製品の設計だとか製造段階で再商品化をしやすい製品づくりを促すことが期待できるというふうに思っております。  今後とも、こういう措置等を通じて、製品ごとの特性や製造の実態を踏まえたメーカーによるリサイクルのための取り組み、こういうものを促進をさせて、循環型経済社会構築してまいりたいというふうに思っております。
  226. 平野博文

    平野分科員 それでは次に、町づくりから、大規模小売店舗立地の考え方に質問をちょっと移していきたいと思います。  今、特に、都市、地方を含めて中心市街地の小売店の衰退が始まっておるし、そのためにやはり空洞化が起こってきている。改めて、バランスのある町、また中心となる、いわゆる私は関西人ですからへそのある町、こういうふうに表現しているわけでありますが、そういう町づくりを求められているわけでございます。今回の大規模小売店舗の立地法も、経済的規制としての大店法を廃止し、町づくり、生活環境を重視した社会的規制にシフトした法案だと私自身は認識をしております。  そこで、二、三、御質問をしたいと思うのですが、今回、この法案と連動して、都市計画法の改正で特別用途地区を市町村が柔軟に決めることができるようにしておるということ、中心市街地活性化法案による助成策を設けましょう、この三つが一つの町づくりを目指すセットになっていると理解をしておりますが、このそれぞれがばらばらに動き出したら、これは全く本来の趣旨と違うところに動いていくと私は思うのであります。したがって、この法案は、三法案とも非常に関連性の強い、また関連性をとらなければうまく機能しない法案だと思うのでありますが、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  227. 堀内光雄

    堀内国務大臣 大型店に対する政策というものにつきましては、時代の変化に対応して、地域社会との調和のとれた大型店の出店を確保するため実効性のある制度構築するということが必要であるというふうに思っております。  具体的に申し上げますと、大規模小売店舗立地法の制定というものは、都市計画法の改正を含んで、いわゆるゾーニングの手法の活用によってこれに取り組んでいこうということでありまして、今までのような経済的な規制というものは廃止しまして、交通渋滞の問題だとかあるいはごみの問題だとか環境問題、こういうような問題への対応、あるいは計画的な地域づくりというようなものとの整合性を確保していこうということで、大型店の立地に関する地域の考え方が十分に尊重される形で新たな制度を用意することとしたわけでありまして、政府として、このために必要な法律案を今国会に提出をさせていただいたわけであります。  商店街を含む中心市街地活性化という方は関係十一省庁の連携によって総合的な取り組みをしていくことになっておりまして、これまた中心市街地における市街地として整合性を持った、地元の住民の方々の意欲の盛り上がりの中で一つの大きな顔のある、古い伝統や文化も残しながら、あるいはコミュニケーションやそういうもののつながりを持つような、そういう市街地をつくっていこうということでございまして、今申し上げたようにゾーニングの問題、それから大規模小売店舗の問題、市街化の問題、中心市街地活性化の問題、こういうものを一つにまとめて地域活性化を図ってまいりたいというふうに考えております。
  228. 平野博文

    平野分科員 今大臣からいただきましたけれども、やはり私の地元でも、名前は言えませんが、大型店舗ができ上がる計画を今しておりまして、もう交通渋滞は間違いなく起こるし、環境の問題等々、非常に地元では不安がっているわけでございます。  私は、今大臣申されましたけれども、町づくりというのはやはり地域の事情抜きには進まないわけでございまして、都市と地方、町づくりのニーズは当然都市型のニーズと地方のニーズは違ってくるわけであります。しかし、これだけ自動車が動いているモータリゼーションの社会にあっては、大型店というのはますます郊外に出店をしていくのではないか、こういうふうに思いますし、現実そうなっている、このように思います。したがいまして、通産省の一律の指針だけでは、むしろ郊外の大型店だけがふえて、中心市街地を本当に活性化させることにつながっていかないのではないか。  したがって、関連性を含めて十分に連携をとってもらわなければならない法案だ、このように思っているわけでございまして、何とぞ地域の事情、主体性を発揮できる、また運用でき得る指針にしていただきますよう心よりお願いを申し上げまして、私の質問と御要望にかえたいと思います。  終わります。
  229. 中川昭一

    中川主査 これにて平野博文君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田治君。
  230. 吉田治

    吉田(治)分科員 新党友愛の吉田治でございます。  きょうは、ポイントをエネルギー問題、特に電力の自由化というふうなものに絞りまして御質問をさせていただきたいと思います。  まず一点、電力の話に入る前に、今本当に、同僚議員の質問、大切なことだと思うのですね。大臣は富士急という非常に大きな企業の社長もやられ、多分、大臣の関係会社にはそういうスーパー的な大規模小売店もおありだと思うのですけれども、やはり私ども大阪というところを考えますと、まさに個店、個店で、商店街活性化というのはどうしていくのかと。その中でも大店法というふうな形で規制緩和がなされた。その結果として、私はあえて名前を言っていいと思うのですよ。私どもの地元にライフという会社がいっぱい店をこさえて、どんどんやって、それはそれで結構だと思うのですけれども、そこで泣いている、あすをも知れないマーチャンダイズ、つまり商人が腐るほどいてるということも大臣によく知っていただきたい。まさに大臣は自民党でも規制緩和委員会委員長もなさった、そういうお方が行け行けどんどんばかりで果たしていいのかどうか。  まず私は大臣に、規制緩和の中における電気事業というのですか電力というふうなもの、これはもう前の大臣のときからずっと規制緩和で何か突っ走っている。ちょっと待てよと。また多分同僚議員が御質問されたと思いますけれども、鉄塔の事故は事件かもしれない。こういうのも規制緩和がどんどんされていくと、そこへ充てる保安要員だとか点検というようなものもやはりひょっとしたらおざなりになっていくかもしれない。そういうことを含めて、堀内通産大臣、所轄大臣として、この電気事業の規制緩和というものについて今どういうふうにお考えなのか、まずお考えを賜りたいと思います。
  231. 堀内光雄

    堀内国務大臣 お答えをいたします。  電気事業の規制緩和に関しましては、競争原理というか、競争導入による効率化というものと、環境、セキュリティーという問題、それから供給信頼度、こういうような諸問題がすべて両立するというか鼎立するというか、そういう新しい時代にふさわしい電気事業システムを構築していくことが重要だというふうに思っております。  先生のお話のように、何でも自由化して規制緩和していればいいかというような問題、これはやはり始まりから自由化によってスタートするというのですと問題になることは何もないのでありますが、一つの形というものができ上がっております電気事業という中で規制を緩和して自由化に切りかえていくということになってまいりますと、一概にすべてを自由化できるというような問題ではないというふうに私は思っております。保安の面や、先ほど申し上げたセキュリティーの問題、環境の問題、効率だけを考えていける問題ではないというふうに思っております。  そういう意味で、今電気事業審議会の基本政策部会において電力供給システムのあり方を御審議いただいておりますが、これも完全自由化をした場合はどうなるかというところをスタートにして、順々に現在の現実の問題にセットバックをしながら、どこの時点でどういうふうにすれば一番いいか、消費者のためになるかというところに着地点を見出しながら取り組みをしていただきたいというふうな考え方で今議論を進めていただくようにいたしております。
  232. 吉田治

    吉田(治)分科員 今大臣が電事審の方で具体的に議論しているというので、きょうは本来でしたら官房長なりもしくは長官に来ていただいてお聞きしたいところですけれども、実務に一番明るいということで奥村公益事業部長おいでですけれども、今どういうふうな議論がなされ、どういう過程なのか。今後の時間的見込み、取りまとめの様子等々、この審議会の今のことについてちょっとお答えください。
  233. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 お答え申し上げます。  電気事業審議会につきましては、昨年七月以来、今後の電気事業のあり方について御審議をいただいております。その中で、昨年の十二月までに、とりあえずの中間報告ということで三つの分野につきまして中間的な報告をいただいております。  これは一つは、IPPと申しますか、発電事業分野の競争の促進が一つでございます。それから二つ目が、需要サイドの問題でございますけれども、電気の負荷率をよくしていくための対策、これが二つ目でございます。それから三つ目が、私ども流通設備と言っておりますけれども、先ほども話がございました送配電線網の問題でございます。  さらに引き続きまして、ことしに入りまして、先月の二月二十五日からでございますけれども、さらに電力を直接需要家に供給するいわゆる小売の自由化、この問題につきましても議論を深めていただいている最中でございまして、さらにこの問題について引き続き、私どもといたしましては五月を目途に御議論をいただきたいというふうに考えております。
  234. 吉田治

    吉田(治)分科員 おかしいことを言われますよね。五月を目途に電力の小売自由化について審議するというのです。  これはきょうの日経の夕刊です。「電力小売り自由化」ともう出ているじゃないですか。通産省だとか電気事業審議会とか関係のない政府の行政改革推進本部の規制緩和委員会、ここで「小売り供給を自由化する」と。第二面、「新規制緩和計画の要旨」「エネルギー電力の小売り供給自由化」と出ているではないですか。どう整合させるのですか、今言われた答弁と。
  235. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 お答え申し上げます。  新聞のきょうの日経の夕刊のことを御指摘されているかと思いますけれども、私どもが承知しております限り、本日、規制緩和委員会におきまして、これは電気だけではございませんけれども、今後の規制緩和計画をつくる前提といたしまして発表されたものを申し上げますけれども、それによりますと、電気につきましては、「電力供給システムの見直し」と書いてございまして、その中で、行革委の意見を踏まえまして、効率化の要請とユニバーサルサービスあるいは環境負荷などの政策課題が両立する新たなシステムを構築することとし、その際、効率化の推進手段として小売供給の自由化を初めとする競争導入を検討ということが委員会の方で出されております。これを、ことしの五月、電気事業審議会で「十年五月(結論)」というふうに書いてございまして、この記事がちょっと私どもの理解と違っているかというふうに思います。
  236. 吉田治

    吉田(治)分科員 検討と出ても、そういう方向でやれということでしょう。そして今月末には政府案として閣議決定して、閣議として決めていくというわけでしょう。電事審が違う答えというのは出せないという実態上の取り組みを今されているということではないのですか。部長、どういうことなのですか、ここは。  私はもう一つ詰めて聞きたいのは、規制緩和委員会、この委員会が決めれば、電事審というものの議論と関係なく方向性は決められていくということなのですか。
  237. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 私ども、先ほど申しました規制緩和委員会のきょうの御報告でございますけれども、電気事業審議会はもちろん私どもの審議会でございまして、この審議会で突っ込んだ検討をしているということを十分総務庁、規制緩和委員会に御説明をいたしまして、その結果、先ほど私が口頭でお読み申し上げましたけれども、「電気事業審議会の結論」ということを書いていただいているというふうに思っております。
  238. 堀内光雄

    堀内国務大臣 誤解があるといけませんので、これは政府の行政改革推進本部の中の規制緩和委員会が、今の新聞を読みますと、公表したものということでございますが、この規制緩和委員会などの結論というものは、政府は大いに最大限尊重するという立場のものであろうというふうに思いますが、行政に関しましては通産省が行ってまいります。
  239. 吉田治

    吉田(治)分科員 では、はっきりと大臣にお答えをいただきたいのは、規制緩和委員会としては、こういう方向性で検討すべきだ、五月とめどを出した、しかし所轄大臣として電気事業審議会の答えは尊重する、そっくりそのまま受け入れるというふうなことで理解していいのでしょうか。
  240. 堀内光雄

    堀内国務大臣 この私どもの電気事業審議会の委員会の結論も、我々は最大限尊重するのでありまして、そのとおりやるというものではございませんが、そういうものを大いに尊重しながら通産省の行政は進めてまいりたいと思っております。
  241. 吉田治

    吉田(治)分科員 本当に、この規制緩和委員会というのが、規制緩和の中において何かたまに自由化というか規制緩和というか自由競争というか、こういうふうにばんと火をつけて、それが全分野にわたっていたらいいのですけれども、何か特定の分野だけをねらい撃ちにしてやっている。それをされた方は、泡を食って、えらいことだというふうな感想を受けているのです。これは大臣、先ほども私申し上げましたように、大臣は党の規制緩和委員会委員長もされた。この辺の関係というもの、政府の規制緩和委員会とそれぞれの審議会の関係というものはどういうふうに、まさに党におられたとき、また現実に実務担当大臣となったとき、何か仕切っているというのか考えているというのか区分けしているというのですか、大臣のお考えというものをちょっと教えていただけませんか。
  242. 堀内光雄

    堀内国務大臣 私の承知している範囲と申しますか、自民党における規制緩和委員長の当時の仕組みといたしましては、自民党で規制緩和の問題に取り組むときには政府との話し合いをよくいたしまして、政府の方の考え方あるいは党の考え方をすり合わせるようにしながら、でき得るものに向かって取り組みをいたしてまいっておりました。  政府の規制緩和委員会の方は、政府独自の立場でなさっていらっしゃるものでありまして、党にも時々はお話をいただいておりましたが、直接のつながりの関係はございません。
  243. 吉田治

    吉田(治)分科員 では、その場合、政府の中において、規制緩和委員会はきょう同じくこの新聞によりますと、住宅であるとか流通であるとか、金融、教育、医療・福祉、法務というふうな部分で、規制緩和計画の要旨という形で随分出していますけれども、これは、規制緩和委員会と担当の各省とは非常に密接に連絡をし合いながら、お互いよく情報交換をしながら結果としてこういうものが出てきましたということでとらえたらいいのでしょうか。それとも、規制緩和委員会は規制緩和委員会で独自にやっていらっしゃることであって、意見は言いに行くけれども勝手に決められた、そういうふうにとらえたらいいのでしょうか。
  244. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 もちろん、私どもといたしまして、規制緩和委員会事務局の総務庁と十分に御相談、すり合わせをいたしまして、検討していただいております。  事実関係だけ申し上げますけれども、この新聞記事は、実はこれは規制緩和委員会がきょう発表したのでございますが、ちょっと私の手元にございます文章と違っておるところがございますので、それで先ほど読み上げさせていただいたところでございます。
  245. 吉田治

    吉田(治)分科員 これ以上この議論をしていても仕方がないのですけれども、まさに、ひょっとしたら部長大臣のお考えではないかもしれませんけれども、省内の考えとしてそういうのがにじみ出ていた、だからこういう発表になった、電事審にかけていたら結論が自分たちの思う方向に出ないから、規制緩和委員会で言わせたととらえられても仕方がないと思うのですけれども、その辺はどうなんですか。
  246. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 ことしの三月に、今、規制緩和委員会で議論をしていただいておりますけれども、それについては私どもも全くそういうことはございませんで、私どもの現在の検討の状況その他詳しく御説明いたしまして、先ほど大臣がお述べになりましたとおり、諸般のいろいろなことを総合的に考えながら、具体的な一歩をどう進めるかということを検討したいということで十分に話し合いをしているところでございます。
  247. 吉田治

    吉田(治)分科員 だから、十分に話し合いをして、さっきからいろいろあって、すり合わせした結果としてこういうものが出てきましたということは、通産省の中でそういう方向へ誘導したい、エネ庁としてそういう方向へ持っていきたいというのが事務方としてあるというふうに理解せざるを得ないのですが、それはどうなんですか。もう一度聞きます。
  248. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 いずれにいたしましても、規制緩和という大きな中で電力の今後の供給体制のあり方を検討していくということでございますので、予断を持ってやっているということではございません。
  249. 吉田治

    吉田(治)分科員 そういうふうな中で、先ほどの大臣の御答弁もいただきました、部長の答弁もいただきましたので、私は、では自由化という中において一つお聞きしたいのは、規制緩和先進国と言われているニュージーランド、いっときみんなニュージーランドへ行って、何かこんなふうに言ったらあれですけれども、尊師様から教えをいただくようにみんな行っていたわけですけれども、実は大臣も御承知かはわかりませんけれども、ニュージーランドのオークランドという町で大停電が発生いたしまして、市民生活、経済活動というのが全面的にストップしてしまった。この中で、現地の新聞等を読んでおりますと、こういうふうに書かれています。会社側の発言によると、エルニーニョ現象等により気温が上昇し、予想外の電力消費増になった。しかし、一方、増加し続ける電力消費増に対し、老朽化したケーブル等がパンクするのは時間の問題であったと指摘している専門家もおられる。  そして、もう一つ言えることは、停電の原因と同時に、今度、停電をした後の補修という形でいうと、大停電による補修要員が確保できずに、隣国オーストラリアに応援要請をして、現在も復旧工事が続いている。この電力会社はマーキュリー社と言うそうですけれども、まさに、今ここに書かれているように、議論されているように、九四年に民営化されて一千百人の要員を六百六十人に削減をし、利益追求型、まさに民間企業として市場原理を公共事業導入したということによってこういうふうなことが起こったのではないかというふうな問題点を指摘されています。  また、かねがね電力の自由化の先輩と言われている英国においても、全国的な大停電になりかねない危機が数回あったとも言われていますし、また同じく自由化が進んだと胸を張って言う方もいらっしゃるのですけれども、アメリカの西部においても九六年夏に大停電が二回起きている。まさに、これからされようと今議論され、大臣も慎重にいろいろ理由、条件を述べられました、この電力事業の民営化、つまり市場原理を導入するということについては、いい意味と、もう一つ考えると、市場原理によってリスクというふうなものがあるのですけれども、この辺について、まず一点目は、このニュージーランドの大停電についてどういうふうに考え、把握し、ニュージーランドだけじゃなくて、今申し上げましたように自由化をされたところでは結構大停電が起こっている、このことについてどういうふうな認識をしているのか。  二点目は、では、その市場主義、市場原理を導入した場合の、ある意味でこれはマイナスのリスクですね。そのリスクに対してどういうふうに今検討がなされ、また先ほどから議論に出ております電気事業審議会等でどういうふうな発言があるのか、この二点をお聞かせをいただきたいと思います。
  250. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、私どもは、今の電気事業審議会における審議というものの答申を待っているところでありまして、しかもその答申については自由にお取り組みをいただき、しかも完全な自由化というものが行われた段階にはどうなるかというところから検討して、現在、どうすれば一番消費者のためにプラスになり、安全な供給も行われ、経済性も確保されるかというところに順々に取り組みを戻してくるという取り組み方をしていただきたいという考え方を申し上げているのでありまして、それ以上のものは全く偏見を持っていただくようなことはございません。  今、現状は、少なくともまた公開をいたしておりますから、その辺については部長の方から御説明を申し上げます。
  251. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 まず、ニュージーランドの停電でございますけれども、これはもう先生御承知のとおり、ことしの一月二十二日に送電線の一回線の事故がありまして、それから二月二十日までの間に都合四回線すべてが事故を起こしまして、供給量が通常の一割程度まで低下したというふうに承知をしております。  この停電の原因につきましては、先生先ほど御指摘のとおり、今いろいろな推測がされております。そういう中で、ニュージーランド政府が、今とりあえず復旧で忙しいということらしくて、これからでございますけれども調査委員会を組織するというふうに聞いておりまして、私ども、その調査結果も慎重に見てまいりたいというふうに思ってございます。  それから、電気事業のリスクの問題でございますけれども、確かに、供給信頼性と私ども申しておりますけれども、こういう問題につきましても、仮に自由化ということがなされた場合に一体どういう問題があるのかないのかということにつきまして、まだ突っ込んだ議論はこれからでございますけれども、もちろん十分していただいて、議論を尽くすということが大事だというふうに考えてございます。
  252. 吉田治

    吉田(治)分科員 今部長言われた供給信頼性の議論というのは、具体的にどこかで進んでいるのですか、それともこれから着手するのですか。  よく議論を聞いていましたら、リスクマネジメントという言い方がいいのかどうかわかりません、万が一そうなったときということを考えるというのがやはり仕事の大きなウエートだと思うのですけれども、この辺については今どうなっているのか、ごまかさないでちゃんと答えてください。
  253. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 その点についての議論はこれからでございます。
  254. 吉田治

    吉田(治)分科員 これからやって五月に答申を出す。間に合うのですか。
  255. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 この問題につきましても、審議会の中でどういうふうに御議論いただくか、審議会の委員の皆様の中でも御議論があると思いますし、そういう中で、五月の段階でどういうふうな取りまとめをいただくのかというのは、現段階ではいましばらくコメントを私の方からは控えさせていただきたいというふうに思います。  いずれにいたしましても、先生御指摘のような議論を深めていただきたいというふうに思っております。
  256. 吉田治

    吉田(治)分科員 深めていただきたいということですけれども、時期的に間に合うかどうかというのは答えられないということで理解してよろしいのですね。
  257. 堀内光雄

    堀内国務大臣 私は、五月に議論が煮詰まってまとまれば非常によろしいと思っておりますが、まとまらない場合には五月にはこだわりません。
  258. 吉田治

    吉田(治)分科員 では、閣議決定される規制緩和委員会、五月までに関係審議会で出せということについて、これはまとまらない場合には、それはそれでもちゃんと担当大臣として処理をする、対応するということでとらえてよろしいのですね。
  259. 堀内光雄

    堀内国務大臣 五月にまとめるべく努力をされていると思いますが、最善の結論が出ない場合には、これはやむを得ないことだと思っております。
  260. 吉田治

    吉田(治)分科員 わかりました。もっと質問を深めたいところですけれども、あと一つ、やはりどうしても聞いておかなければならないことがございます。  先ほど、大臣の答弁の中にも、また担当部長さんのお話の中にも、昨年十二月の電気事業審議会基本政策部会の中間報告の取りまとめのお話がありました。その中に、特に負荷平準化対策について、電気事業のコストダウンというのみならず、エネルギーの効率的な利用、またCO、排出削減等にも寄与するということで、電気事業者だけでなく国民課題として積極的な推進というのは方向づけられている、これはもう大臣も先ほど御答弁いただきました。また、昨年四月にも総合エネルギー対策推進閣僚会議の了承事項に基づき、資源エネルギー庁長官名で各都道府県知事あてに、電力需給の安定確保と電力供給コストの低減に寄与するとして、負荷平準化対策への協力依頼が出され、その方向で役所も対応を進めていくことになるということですけれども、この問題、各電力会社でも重要課題として今取り組みが進められているというのは御承知のとおりです。  しかしながら、我が国現状というのは、先ほどニュージーランドの大停電のことも少し申し上げましたが、まさに気候が高温多湿、そして国民生活レベルは向上し、冷房需要が急速な伸びを示し、諸外国と比較しても低く、五五%程度の負荷率になっているという状況というのは御理解されていると思います。過去の電気事業法の改正等におきましても、私、商工委員会でこの点を随分申し上げました。やはり負荷率を変えていかなければ経営というものが変わっていかない。この負荷率ということは、使う側、消費者サイドの問題でもあり、地域における取り組みがかぎと考えられています。  その意味から、地域で自治体が率先して取り組み、民間にも理解を広げていくということは、これはもう重要なことだと、大臣もうなずかれていますけれども、御理解されると思います。私自身は、どの程度自治体に浸透しているかというふうな調査をしておりませんが、まず、各市町村にこの通達のコピーと要請文ぐらいは流しているのでしょうか。
  261. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 もちろん、流してございます。
  262. 吉田治

    吉田(治)分科員 これはいつ流したのですか。
  263. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 昨年の閣議決定の後でございます。
  264. 吉田治

    吉田(治)分科員 では、これはどういう形で、大臣名で都道府県知事に流して市町村ですか、それとも直接市町村ですか。
  265. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 長官名で流してございます。
  266. 吉田治

    吉田(治)分科員 どこに対してですか。
  267. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 都道府県でございます。
  268. 吉田治

    吉田(治)分科員 では、その都道府県から市町村には確実に流れている、そう理解していいわけですね。
  269. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 そのように理解しております。
  270. 吉田治

    吉田(治)分科員 では、その後はどうなっているのですか。
  271. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 私ども、そういう地方の方々への御理解とともに、実質的にこの負荷平準化を進めていくための支援策をむしろ強化をしていきたいというふうに考えまして、今年度予算案におきましても新たな予算措置お願いしているところでございます。  具体的には、蓄熱式の空調システム、これにつきまして設置の場合の二分の一の補助をお願いしますとか、あるいはガス冷房につきましても、これは三分の一でございますけれども、そういう補助をお願いする、こういった措置によりまして、具体的な推進支援を申し上げたいというふうに進めている次第でございます。
  272. 吉田治

    吉田(治)分科員 この場合に大事なのは、そういう支援策も大事だと思うのですけれども、もう一つ、やはり国民の意識改革というのですか、ちょうど私どもが小学校四年か五年のときに石油ショックというのが起こりまして、省エネ、省エネだというふうな形になって、御承知のとおり、町じゅうから、どういうわけか食用油までなくなったという笑えぬ話があるのです。やはり負荷平準化の推進というのは、まさに意識改革ということが必要だと思うのですけれども、今後、これをどのように進めていくのかということを具体的に教えていただきたい。
  273. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 その点につきましても、まさに先生御指摘のとおり、国民の皆様一人一人の理解を得ることが非常に大事だというふうに思っておりまして、昨年改組されましたヒートポンプ・蓄熱センターを中心といたしまして、国民的な理解を得るための活動を拡充推進をしたいということで考えてございます。
  274. 吉田治

    吉田(治)分科員 もう時間ですけれども、推進したいというのではなくて、では、具体的にどういうことを今推進しようとしているのか。
  275. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 例えば新聞社とタイアップいたしまして、先ほど申しました蓄熱式の空調システムについてのセミナーの開催でございますとか、それの新聞、雑誌等への掲載、その他マスメディアを使った積極的な活動を通じまして、国民の理解を得てまいりたいというふうに思っております。
  276. 吉田治

    吉田(治)分科員 ありがとうございます。  負荷平準化というのは難しいですから、何か簡単なキャッチコピーでも考えて、省エネという言葉を使ったようにみんながすぐわかるようにしていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございます。
  277. 中川昭一

    中川主査 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。  次に、安倍基雄君。
  278. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 個々の問題に入る前に、一言、大臣の御感想をお聞きしたいのですけれども、今予算審議の過程で、たしか我が党の委員から、本予算を論議しているときに補正を組むというのはおかしいじゃないか、補正の話が出てくるのは。私ども、財革法の審議に随分加わりました。そのときに、キャップをそれぞれの支出に課すると。補正で大穴があいては、いわゆるキャップをかけた意味が全くなくなる、補正は組まないんですなという話を随分念を押したわけです。そのときに、いわば財政法二十九条の精神に沿って、補正は組まないという答弁を実は繰り返しされておったわけですよ。  ところが、今度の場合に、予算を要するに審議している、それで、補正の話がちらちら出てくる。橋本さんは、いや、今の予算が一番正しいと言いながら、一方において補正の話がちょこちょこ出てくる。大臣はこの点、財革法を通した我々として、どういう感想を持っていらっしゃるのか。補正を組むのが正しいと思われているのか、いや、補正はやはり本来組むべきではない、よほどの理由がないと組むべきではないと考えられているのか、この点を、この間、あれは中村委員ですか、それぞれの大臣にお聞きしたわけですけれども、この場でもう一度、いわば御感想を聞きたいと思います。
  279. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生の今の御質問の趣旨の補正は、九年度の問題ではなくて、十年度の問題でございますね。この間、予算委員会でお答えを申し上げましたように、現在の予算が最善の予算と考えて、一日も早く通していただくこと、それだけを考えております。
  280. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 ということは、補正を組むことは余り賛成しないというお考えですか。
  281. 堀内光雄

    堀内国務大臣 今は考えておりませんということでございます。
  282. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 今のお答えをきちっと受けとめておりますけれども、では、補正は組まない、組むべきではないというお考えですね。
  283. 堀内光雄

    堀内国務大臣 ただいまのところ、そういう考え方を持っていないということでございます。
  284. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 いずれにいたしましても、この問題は基本姿勢の問題でございますから、私は、この問題はこれから非常に大きな問題になるかと思っております。  次に、今までのいろいろな財政政策の失敗というか問題点は、いわゆる経済見通しをどう見るかということに大きく依存しているわけでございます。私は、通産省の場合には、非常に現場の産業界と密接な関係にあるという意味合いで、例えば経済成長率なんかにしても、非常に実感として感じるのではないかと思いますけれども、大臣は、平成十年の一・九%、実感として、いわば可能と考えられるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  285. 堀内光雄

    堀内国務大臣 現在、非常に景気は冷え込んでいるということは、これは確かでございます。また、停滞をしておりまして、いろいろの指数を眺めましても、厳しいものだというふうな理解をいたしております。  しかし、九年度の補正予算を通していただきまして、二兆円の特別減税が実施に移され、また、一兆円の公共事業が実施に移され、一兆五千億のゼロ国債が実施に移されている現状になっております。また、現在のところ、十年度の予算を成立をさせていただきますと、少なくとも、これに関連する法人税の三%の減税あるいは地価税の凍結、あるいは有取税が半額になるということや、その他考えてまいりますと、実質、法人関係の税率の下がったものによる成果というものが約二兆数千億ございます。  さらには、電気料金の値下げによる七千億、電話料金の値下げによる二千百億というようなものを含めて考えてまいりますと、大変大きなものが、四月、予算の成立後において成果を上げてまいりますので、こういうものの実施が始まってまいりますと、少なくとも企業者の、企業家のマインドとして、前向きに取り組みが開始をされれば、五月、六月ごろになりますと成果が逐次あらわれてくるというふうに思っておりますし、現在、一月、二月、三月は昨年の駆け込み需要による差が、ギャップがございますので、今の数字には余りとらわれることはないのではないかというふうに思っておりまして、一・九%を実現させなければならないと考えております。
  286. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 では、新たに補正を組まなくても一・九%は実現できるというぐあいに感じられていらっしゃいますか。
  287. 堀内光雄

    堀内国務大臣 現在、補正という問題は念頭にございません。
  288. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 いずれにいたしましても、通産というのは非常に現場をよく知っているという意味合いにおいて、企画庁というのはどちらかというといわば机上の部分が多い。私は、企画庁の連中に、景気予測の指標を十年一日のごとく考えているのはおかしいのではないかということを言っておるのでございますけれども、通産としてそういう経済成長率の問題につきまして、どの程度企画庁との連絡をなさっていらっしゃるか、いろいろなことを聞きたいと思うので、簡単に御答弁願います。
  289. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、通産省としては、鉱工業生産指数に代表される生産や在庫といった産業活動の動向に加えまして、産業を所管している観点から、所管業種の業況、そういうものを聴取をいたしておりまして、随時、景気実態を詳細に把握いたしているところでございまして、政府経済見通しにつきましては、当省としては、経済企画庁景気の実態や先行きについての通産省の見方を伝え、経済企画庁としても、当省の方の見方を踏まえて、各省庁との連絡調整をして経済見通しを策定をしているというふうに考えておりまして、その上での閣議決定ということになっておるというふうに思っております。
  290. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 いずれにいたしましても、通産の方から現実に即したアドバイスをしていただきたい。  ただ、私は今までの答弁で、大臣は十年度の補正を組まなくても一・九%にいくというぐあいに理解されていると思っております。一応そう考えてよろしゅうございますね。
  291. 堀内光雄

    堀内国務大臣 そうお考えいただいて結構でございます。
  292. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 これはこれからの現実が証明することだと思いますけれども、私は今もって悲観的でございます。  では、個々の問題にちょっと移ろうと思いますけれども、第一に、現在通産で、いわゆる省エネ法案というエネルギーのあれが、いわば諸外国との協定の関係でひとつ出そうと、私は、それは非常に大問題だと思うのですよ。  例えば、それぞれの業界で、フロントランナーを中心として目標値を掲げるとか、あるいは工場などの規模も、小さな工場までも適用するとか、これは非常に産業構造に大きな影響を持ちますし、相当の投資負担になる。これは簡単に言って、例えばフロントランナー方式でいきますと、業界によっては非常に進んだ企業がある、それにみんな追いつくまでには大変な投資が要るという要素もあるのでございますが、この辺、果たして、省エネの新しい法律を提出するときにどの程度各業界と十分な打ち合わせが済んでいるのかどうか。目標値だからやればいいということでも必ずしもないので、かつて同じような問題のときに、各企業が非常に苦しんで、それをどうやってやっていくか大問題になったわけでございますから、この点、国際協定は大事ですから、それは実現せねばいかぬけれども、それぞれの国が非常に抵抗したのは、そういう産業界の大きな負担になるというか投資を要するという面からしたと思うのでございますけれども、この法案を出すについて、どの程度の見通しと申しますか、業界との調整をなさったか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  293. 堀内光雄

    堀内国務大臣 COP3、京都会議におきまして合意をされました一九九〇年レベルに対する六%の削減目標というものを達成するためには並々ならぬものがあるわけでありまして、非常に困難なものに取り組まなければならないと考えております。経済成長あるいはエネルギーの需給安定、こういうもののバランスをとりながら、技術的に、経済的に可能な最大限の対策を講じていかなければならないと考えているのであります。それを行いましても、なおかつ困難な数字だというふうに考えております。  そういう意味で、エネルギーの需要面の対策として、産業界では自主的な省エネルギーの取り組みのための行動計画を策定をしてもらっておるわけでありまして、当省といたしましても、工場におけるエネルギーの使用合理化のさらなる徹底などを内容とする省エネ法の改正案を今国会に提出をするとともに、総合エネルギー調査会、産業構造審議会の公的な場でそうした産業界の自主的な取り組みをフォローアップしていくことになっているのであります。  しかし、こうした対策は、世界でもトップレベルにある我が国エネルギーの消費効率というものをさらに向上させなければならぬということでありまして、これはこれまでの常識を超えた大変厳しい対策であります。御指摘のように、産業界には相当厳しい対応が求められるわけでありますが、しかし、これはやはり地球温暖化問題というものが、人類の将来にわたる極めて重大な問題であるということを考え、内閣においても、この対策の本部長を総理が行いまして、我々がその取り組みをいたしておりますということを考えますと、経済活力を大きくそぐことのないぎりぎりの範囲で、技術的に、経済的に可能な最大限の対策企業に求めていかなければならないと考えているわけであります。  しかし、このような厳しい省エネルギー対策を講じましても、CO2の排出量を一九九〇年レベルに安定させることが精いっぱいでありまして、それをさらに六%の削減をするということになりますと、これにはさらに技術開発や海外との共同実施、あるいは排出権の問題その他の問題を組み合わせて取り組んでいくことが不可欠なことになっておりまして、実際問題として、先生御指摘のとおり、この省エネの問題というのは大変厳しいことを産業界お願いをしていかなければならない。それを行っても、なおかつ難しいというような現状、今想像のできないような技術の新しい革新や改革やそういうものがあらわれて初めて実現できるのではないかというぐらいの厳しいものだと私は認識をいたしております。
  294. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 いずれにいたしましても、産業界に早くその辺を、何か余り知らないうちにどんどんと決められてしまって、後になって慌てふためくというような可能性もありますので、例えば自動車産業などにつきましても、かつて排ガス規制でもって、それを切り抜けるためには随分苦労をしたという経験がございますので、この問題が本当に大きな負担になるのだぞということを早くPRして、周知徹底させた上でこういった法案を通しませんと、いつの間にか法案は通ってしまった、一体どうなるのだということがあり得るのでございますので、事前の話し合いといいますか、その辺をどう周知徹底をされているかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  295. 篠原徹

    ○篠原政府委員 お答えいたします。  今回上程いたしました省エネ法の改正の原案につきましては、実は昨年の八月以来、政府の九つの審議会が集まりました合同会議が、総理の指示のもとで官邸で開かれてまいりました。十一月に報告書をまとめていただきましたけれども、八月以来、こういう考え方をこの九つの審議会に上げまして、また同時並行的に、全省的に、原局原課を通じましても、各産業界に考え方をすり合わせをしながら練り上げてきたものでございます。  今般上程をいたしました法案につきましては、できるだけ各業界にも御理解いただきますように、法案の原案の段階ではございますけれども、説明会等々、今やっている最中でございまして、十分周知徹底を図りたいと思っております。
  296. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 いずれにせよ、法案は通ってしまった、いざ適用すると垂れ流しになる。例えば、今、フロントランナー方式の話をしましたが、産業界によっては非常にフロントランナーがばあっと走っているところもあります。企業間格差があるものもあります。こういったことをきちっとあらかじめ話しておかないと後になって大ごとになるということもあるので、この辺は十分御注意願いたいと思います。  では、問題を変えまして、愛知万博に対して、国としてどういう支援策を今とろうとしているのか。  実は、私は中部ブロックの比例代表でもございまして、皆さん非常に関心が深いわけでございます。これについて、やはり大阪万博が相当の成功をおさめ、内外の評価を高めた、また非常に経済の底上げに役に立ったということもございますので、愛知万博についての支援体制ということについてお聞きしたいと思います。
  297. 堀内光雄

    堀内国務大臣 先生にも大いに御支援、御指導をいただいておりまして、まことにありがとうございます。  愛知万博につきましては、二〇〇五年日本国際博覧会というものは国を挙げて推進すべき事業として認識をいたしておりまして、平成七年の十二月の閣議了解において、会場建設費につきましては、国と関係地方公共団体と民間、この三つが同率の割合で負担をするということになっているところでございます。  また、昨年の六月、開催決定後は、政府としましては、博覧会の担当大臣の指定、関係閣僚会議の設置、博覧会特別措置法の制定など、博覧会推進体制の充実強化を着実に進めてきたところでありまして、魅力のある博覧会の開催を目指して成功をおさめるべく、私も担当大臣として精いっぱい努力をしてまいる覚悟でございます。
  298. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 それでは、国として全力を挙げて支援するということでございますね。そうでございますね。よろしゅうございますか。ありがとうございます。  次に、今まで話題になりました大店法の問題ですが、私はかねがね大店法を見て、これはやはり商店街に相当大きな打撃になるという話をしておりましたし、現に今までの質問者もそれぞれその辺の話をしておりました。  私はアメリカの生活が長いのですが、結局、それぞれの地方が非常に自律性を持っておりますね。連邦がああせいとかいうのじゃなくて、州あるいは市町村が自分自身で決めていく。  日本の大店法の場合ですけれども、どうも市町村の発言権というか、いや、うちは来てもらっちゃ困る、あるいは条例でもってストップするという場合に、それが許されていないみたいなんです。というのは、私は別に、それぞれの市町村あるいは県の考えでもいいと思うのです。それでもってその地区の開発がおくれれば、それは自分自身の責任でございますから。  そういう意味で、ちょっと日本の場合の大店法の問題が、もっと地方のオートノミーというのですか、自律性に任せてもいいのではないかという感じがするのです。じゃないと、アメリカさんと日本が約束したから大型店舗の出店を自由にすることとなった。そういうことで、そのために果たして貿易バランスがよくなったか。アメリカ側からの輸入がふえるとか、そういう話は全くなかった。  大店法問題が起こったときに、これはどっちかというと、日本の黒字解消とかいうのではなくて、結果的にはいわばそれぞれのタウンが相当痛手をこうむるなと私は思いまして、そういう内容のことを書いたこともございます。  実際、規制緩和もいいのですけれども、私はもっともっと各市町村、市あたりが自分で規制をかけるならそれも構わぬ、それで損するのは自分たちだ、それを決めるのは彼ら住民だという姿勢であっていいと思うのですけれども、この点どうも、日本の場合には中央でただ決めてしまう。恐らくアメリカだったら、連邦がそう言っても、町が、それぞれのシティーが、私のところはこういうことでやるから困るんだと言うものもありましょうし、それぞれのオートノミーによっているのではないかと思います。  この点ちょっと、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  299. 堀内光雄

    堀内国務大臣 大店法の問題については、大店法自体、アメリカの云々というよりも、WTOの経済的規制というような問題に対する違反と申しますか、そういう点が問題点になってきて、これについての取り組みをいたしてきたわけでございまして、もう既に大店法の方では出店の面積の規制とか開店日だとか閉店時間だとかいうような問題だけに制限が抑えられてきているわけであります。  この大店法を廃止をするというのが片方にございますが、それは時代とともに、経済的規制よりも今度は社会的規制の方にひとつ重点を置いて取り組みをすべきだろうということになったわけなんでありまして、要するに、交通渋滞だとかごみの処理だとか騒音だとかいうような社会的な問題に対応いたしまして、計画的な地域づくりの整合性確保を図っていきたい。そういう意味で地方自治体が大きな役割を果たすというのが、先生のおっしゃるとおり当然のことだろうというふうに思っております。  その際に、透明性だとか予見可能性だとか公平性だとかあるいは国際ルールとの整合性の確保、こういうものが図られる必要があるわけでありまして、こういう観点から、国が定める共通のルールというようなものの手続に基づきまして、地方公共団体が個別ケースごとに地方の実情に応じた適切な対応が行えるように、大規模小売店舗立地法というものをこの国会に提出をさせていただいたということでございます。
  300. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 国際ルール、いろいろ言いますけれども、基本的には、その地区の住民がもし大型店舗の進出が嫌だと言えばそれでもいいのではないか。それでもって彼らが損をすればそれで仕方がない。国がああせいこうせいと言う話ではないと私は思うのですよ。例えば、日本とアメリカと交渉して、そうしろと言っても、連邦は、ここまで言えるけれどもそれ以上は言えないよという答えが返ってくるに違いないのです。  その点、日本政府というものは、一遍決めると下まで浸透させようとする。それは少なくとも、国際基準に合う、合わないというのはその地区の住民が判断すればいいのであって、私は地方分権ということを非常に大事にするのでございますけれども、国がアメリカと約束したからこうしますよというのではなくて、もし地方が制限を設けたければ設けてもいい、ただ、そのために地方が損をしたらそれで仕方がないんだ、その地区の住民の決定でいいんだ。アメリカなら恐らくそうなると思います。何も連邦が強制するわけにはいかない。その辺、どうも日本の場合には、今までいろいろ地方都市中心部が空洞化している話でありますけれども、これはそれぞれの地方が決めればいいことなんですよ。その点、いかがでございますか。
  301. 堀内光雄

    堀内国務大臣 大体先生のおっしゃるような方向づけではないかというふうに感じておりますけれども。
  302. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 大分そういった声が強くなって大店法の問題はそういう方向に動きつつあると私は考えておりますけれども、まさに一時期、そういうことで、地方の商店街がつぶれてもとにかく大店法で大きな店舗を出さないといかぬというような動きがあったことは事実でございまして、さっき質問した人も似たような話をしておりましたけれども、この点は十分注意していただきたいと思います。  時間も余りございませんから、最後の問題で、この前リサイクル法案の話を聞きました。これはまたちょっとおかしな話で、小売店が売ったものを返しに来たらそれを引き取らなくてはいけない義務があるとか、それをメーカーに返すとか、何か気持ちはわかるけれども、恐らくアメリカあたりだったらそんなことは到底容認されないだろう。規制をむしろ加えるというか、そういう感じが非常にしてならないのです。  それは、リサイクルを促進しなければいかぬという気持ちはあるにはあるかと思いますけれども、これはもう消費者と販売者、メーカーとの自然にゆだねておけばいいのであって、それを義務にする、あるいはどうのこうのというのは、私は欧州にそういった例が二、三あるという話を聞きますけれども、アメリカ社会で生活した経験からいいますと、ちょっとそぐわない。規制をできるだけ外そうというのが、逆に、物を買ったところへ持ってきたら引き取らなければならない義務があるとか、手数料を取る、手数料を取らせるというのはいいのですけれども、その辺がどうも逆行しているみたいな感じがするのでございますけれども、この点、大臣の御感想はいかがでございますか。
  303. 堀内光雄

    堀内国務大臣 家電製品のリサイクルを推進していって廃棄物の減量あるいは資源有効利用というものを確保していこうという、いわゆる循環型経済社会実現というものが大きく前に存在をいたしておりまして、そういうものに対する緊急の課題というふうにも認識をいたしているわけであります。  一般家庭から排出される家電製品につきましては、廃棄物の処理法上では市町村が処理責任を負っているわけでありますけれども、現実にはリサイクルが十分に行われていない、有用の資源が回収されていないというのが現在の状況だということで、今の循環型経済社会実現を進めるという意味から、家電製品のリサイクルのあり方について産業構造審議会や生活環境審議会において、関係者の議論の結果を踏まえまして、今般の法案では、製品の組成等に知見を有している製造業者がやはり再商品化の役割や、引き取り慣行が存在する小売業者が収集、運搬の役割をするというような、そういう役割分担を基本に仕組みをつくったということになるわけなのでありまして、製造業者及び小売業者にとって新たな義務とはなるわけでありますが、みずからが循環型経済社会構築に向けて果たしていかなければならないという責任でもあるというふうに考えまして、真摯かつ積極的に受けとめていただきたいというふうに思っているところでございます。
  304. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 時間がございませんから、答弁が長いものですからあれでございますけれども、この問題は、私は商工委員でもないのでございますけれども、恐らく委員会の法律の審議のときにいろいろ議論されると思いますけれども、私はこの機会をとらえまして、基本的に何か日本というのは、リサイクルはいいものだということを旗を掲げて、それに対してはみんなに協力しろというような、新たな義務を課するようなことはちょっとおかしいのではないかと私は思っております。  時間が参りましたので、これでやめておきます。
  305. 中川昭一

    中川主査 これにて安倍基雄君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十日午前九時から開会し、総理府所管経済企画庁及び通商産業省所管について審査することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時三十五分散会