○近江
分科員 日銀が三月十三日に二月のいわゆる貸し出しの
状況を発表いたしておりますが、五百二十九兆九千三百億、前年同月比〇・六%減。これは九一年六月に調査を開始して以来、最大の減少率を示しておる。ということは、いかに貸し渋りをやっておるかということが明確になっておる、このように思うわけでございます。
私ども新党平和といたしましても、札幌、福岡等で実態調査、これの公聴会も
展開いたしました。実にさまざまな深刻な話を私たちは聞いたわけでございます。帝国データバンク等でもいろいろな意見を集約しておりますが、私たちの聞いたのも大体一緒です。
例えば、
希望融資額が削られた、百万円要るところを半分にしなさいとか、そういうことで大変な
状況になってしまった。今まではいわゆる担保を要求されなかったのを、担保を要求してくる。あるいは追加担保をさらに要求される。今まで銀行プロパーの指揮に置かれていたのが、マル経融資であるとか
信用保証協会が保証しなければだめだ、そういうような条件をつけてくる。あるいはまた、財務チェックというものは非常に厳格なんだ、そういうことで取引を打ち切られる。あるいは支店決裁でずっとやっておったのが、本店決裁になる。支店長にそれだけの権限が与えられてないとか、支店長はもうぼんぼんかわるとか、いろいろなことがございまして、いわゆる本店決裁に変更になって、だめになってしまう、本店からだめですと。あるいはまた、上乗せ金利を要求してくる。あるいはまた、手形割引で銘柄指定や割引債の引き下げを通告した。枠もがあっと狭くなってくる。あるいは期限前の
早期返済を迫られる、財務内容のチェックは物すごく厳しくなって期限前の
早期返済を迫られるというような、データバンクでも出ておりますが、私たちも聞いております
状況というのは大体一緒でございます。
私は、なぜこういういろいろな私たちが公聴会で聞いたことを申し上げておるかといいますと、実態と
政府の最高責任者である
皆さん方との乖離があるのではないか、非常にそういう点を危惧するわけでございます。したがいまして、私はあえて、そういう声を
皆さんにここでまたよくとどめてもらいたいということで申し上げておるわけでございます。
それで、私ども、札幌と福岡でやったわけでございますけれども、何社中どういう意見が何%とか、そういう集約をしておりませんでした。ところが、最近、公明さんがまとめられたのですね。それは、
中小企業の集積度の高い十の自治体及び札幌市でやられまして、各市大体代表的な二十の
中小企業を訪問して面接調査をしている。総計、ト一夕ル二百十三でおとりになっているわけですね。私たちが公聴会で聞いていろいろと本当に
認識を深めたそういう声がまさにここに集約されている。本当に同じ傾向だなということを感じたわけでございますので、公明さんの場合はきちっとパーセントで出しておられますので、これを拝借して申し上げておきたいと思います。
〔
栗原一博)
主査代理退席、
主査着席〕
例えば、民間の
金融機関につきまして、貸し出し姿勢が昨年春に比べてどうなんですか、答えた
中小企業は、とにかく悪くなったというのが五五%です。よくなったというのは四・二%しかない。貸し出し姿勢の悪化というのは、昨年夏ごろから始まって、九月以降急速に拡大しておる。悪化しておるということで
中小企業は大変苦しんでおる。
条件悪化の内容は、担保、保証料が厳しくなった、
希望の借り入れが困難になった、担保の追加要求、元本返済要求が目立つ、こういう傾向であります。
それから、貸し出し条件の悪化に対しまして、悪化条件をそのまま受け入れたのは四〇%、
政府系
中小企業金融機関を
利用したのは一六%である、こういうことなんですね。四割の
中小企業というのは、要求どおりの内容を受けざるを得なかったということでございます。
今後の貸し出し姿勢について、悪化すると答えた
中小企業が六割強になっております。
二十五兆円の
政府系
中小企業金融機関の融資について、知らなかったというのは四割です。知らないのですね。知っていたというのは約六割あるわけでございますけれども、知らないというのはまだ四割ある、こういう
状況でございます。
それから、今
政府として二十五兆用意したということもおっしゃっておるわけでございますが、
政府系の
中小企業金融機関につきまして、今回の貸し渋りで
政府系中小
金融機関を新たに
利用した
中小企業というのは何ぼあるかといいますと、七%なんですね。従来から
利用していたというのは五七%、今回の貸し渋りで、何とか助けてくれ、それで
利用したのは七%だというのです。それで、
政府系
金融機関の貸し出し姿勢について、悪いと答えたのは三四%、よいというのは一三%、少しよいというのは三七%。悪いというのは三四%、これはやはり真剣な顧客の
対応の改善を要望しておるわけでございます。
それから、
信用保証協会について、今回の貸し渋りで
信用保証協会を新たに
利用した
中小企業というのは四%なんです。今まで
利用しておるというのは七〇%、初めてそういうように
利用したというのは四%なんです。
信用保証協会の
対応が悪いと答えた
中小企業が三〇%、こういうような
状況でございます。
こういうことで、実際に
政府としてもそういうような用意は二十五兆円されているということでございますけれども、考えてみますと、
金融、大体六百兆貸し出しがあるとして、
中小企業向けは大体三百六十兆ぐらいと聞いていますけれども、そういう点からいきますと、二十五兆、三十兆というのはこれは約一割ですね。そうすると、もう本当に、あとの八割、九割が民間
金融機関でしょう。
そういうような中で、
政府は
政府で努力されると思いますが、今申し上げた実態調査からいきましても、まだまだ知らない人もおるし、実際は窓口だって物すごく厳しいし、
政府系の
金融機関も態度がよくない。やはり深刻な気持ちで皆ぶち当たっていく中で、一つ一つがひつかかってくるわけですよ。そういう点で、今後の特に厳しい
状況を考えていきますと、こういう
対策を打っても、私は一向に改まることがないと思うのですね。この点が非常に危惧する問題でございます。
政府は、
金融システムの安定ということで、また預金者保護ということで公的資金を三十兆入れている。その中で、十七兆は預金者保護、十三兆は
金融システムの安定と貸し渋りということでございます。大体、一兆円投入しますと、十二・五倍、十二兆五千億ぐらい貸し出しのそれがふえると言われております。だから、十三兆を入れますと百六十二兆になるのですね、百六十二兆。貸し渋りも、それだったらうまくいくじゃないかと。
ところが、御承知のように、不良債権というのは、
政府発表では七十六兆。初めは二十七、八兆だとか言っておったものが七十六兆。実際は百五十兆ぐらいあるのじゃないか、いろいろなことが言われておるのですね。結局、貸し渋りを解消するためじゃなくして、不良資産に対してそっちの方が使われるのじゃないか、実際上は貸し渋りなどというものも解消されないのじゃないか、こういう不安が今非常に渦巻いているわけでございます。
この辺につきまして、これは
金融、大蔵省の管轄になろうかと思いますけれども、少なくとも、通産省、
中小企業庁は
中小企業を守り抜くとしておられるわけでございますから、この辺のことについてはどのように
認識されているか、お伺いしたいと思います。