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今村分科員 自由民主党の
今村でございます。いよいよきょうは最後のトリということで、ひとつよろしくお願いいたします。
きょうは貴重な機会をいただいたわけでございますので、ぜひ私は、生まれ育ちました有明海のことについていろいろと御
質問をしたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
その前に、実は、本日未明、私の郷土の大先輩でございます愛野興一郎
先生、元
経済企画庁長官もやられた方でございますが、けさ未明、お亡くなりになったわけでございます。
先生は、この有明海をこよなく愛されまして、そして、干拓事業でありますとか、あるいはこの有明海の防災対策について精魂を傾けてこられた方でございます。くしくも、きょうこの私の
質問の日にこういうことになりまして、不思議なことだと思っているわけでございますが、その御遺志を継いで私も頑張ってまいりたいというふうに思っておりますので、ひとつ、元気よく
質問もいたしますし、また力強い御
答弁もいただきたいというふうにお願いする次第でございます。
まず、この有明海ということでございますが、お手元に簡単な絵をお配りいたしております。これは私がちょっとかいたもので、直筆でございまして、つたない絵でございますが、よろしければ御参照いただきながら
お話を聞いていただきたいなというふうに思う次第でございます。
有明海は、先般来、諌早干拓その他で話題を呼んだわけでございますが、大変湾奥が深い遠浅の海でございまして、干満の差が大変大きいということでございます。干満の差は六メートル近くありますし、大潮のときには十キロ近い干潟も生ずるということでございまして、九州でいいますと、特にこの佐賀県、それから福岡県、それから熊本県、長崎県、この四県が一番湾奥に面しておりまして、いろいろと
課題を抱えているところであるわけでございます。
御存じのように、ここにもちょっと書いておりますが、ムツゴロウという珍しい魚がおったり、その他いろいろ、魚介類も大変珍しいものがおりますし、鴨とかシギとか渡り鳥のたぐい、いろいろな野鳥がこの潟の上で遊んでいるわけでございます。最近は、人間様もガタリンピックと称しましてこの泥の上で大変はしゃいでいるわけでございまして、そういうところでございます。ふだんはこういう、大変静かな恵みの海ということでございます。
しかしながら、非常に特殊な地形といいますか、そういう中で一たん台風が来たり豪雨に遭うと、大変な被害をもたらすという面も実は持っておるわけでございます。昭和三十八年だったと思いますが、諌早の大水害とかも生じたわけでございまして、
平成になってからも、何回となく台風等の被害に遭っているということでございます。
ここに図にかいておりますように、ちょうど上の方がいわゆる湾奥部になります。そして、それぞれに大きな川が流れ込んでおりますが、特に点々でかいているところが、
先ほど言いました、十キロ近くに達する干潟ということでございます。左の方に、諌早干拓ということでございまして、その横に、新聞等でもいろいろ言われましたが、俗にギロチンと言われました潮どめ堤防ができて、今、ここは干拓になりつつあるということでございます。
そういう中でどういうことが起きているかといいますと、どんどん土砂が堆積していくということでございまして、そういう
意味では、昔から干拓に取り組んできたわけでございますが、現在の海岸線よりも昔の海岸線は実はずっとずっと内陸部にあったということで、昔の堤防が実はもう今は国道になってしまっている、そういうこともございます。
こういうことで、どんどん陸地ができていくということは大変結構なことでございますけれ
ども、なかなか問題も多いということでございます。どういう問題があるかといいますと、この一枚目の資料の下の方にかいておりますが、ここにありますように、右の方は昔の堤防ということで、どんどん泥がたまって、それを干拓をやって、そしてまた沖の方にずっと延びていくということでございます。堤防をつくってもまた、左の方にありますように、泥がたまっていくということです。
そうすると、泥がたまりますと、まず第一に、この干拓地の内排水ですね、これが非常に難しくなる。なぜならば、この排水路の出口に泥がたまるということで、ここから排水することが非常に難しいということになるわけでございます。これにつきましては、ポンプ等、
建設省の皆さんあるいは農林水産省の皆さん、大変精力的にいろいろやっていただきまして、何とか対処しているということでございますが、これをしゅんせつするにしても、またすぐ泥で埋まってしまうということで、やはりこういう
意味を
考えますと、なかなか抜本的な対策は難しいというのが
実情なわけでございます。
また一方、ここに台風ということで書いておりますが、こういうことで泥がたまってまいりますと、どんどん海が浅くなって、いわゆる台風が、ちょうどこの下の南の方から強い風が吹くわけでございます。そのときに、まさに高潮ということで海水が吹き寄せられるという現象もあわせて、押し寄せた海水がこの堆積泥のところでぐっと高くなって堤防にぶつかるということで、この堤防を越してまいったりあるいは破壊したりということで、大変な被害を生ずるということでございます。
そういったことを含めて、やはり抜本的には、先人の例に倣って、この干拓を防災という面からももう一度
評価してもらわなければいけないじゃないかというふうに実は思っているわけでございます。
もう
一つ、ついでに、ちょっとこれは細かな問題になりますが、二枚目の資料で挙げておりますが、これは一枚目の資料の左の上にぎざぎざマー
クで太良町と書いておりますが、ここは多良岳の山ろく部になりまして、山がここに迫っているということでございまして、ちょうど小さな扇状地みたいになっているわけでございます。山があって、すぐ谷があって、すぐ海に面しているということでございまして、ここに実は国道二百七号線というのが通っておる。そしてまた、これには書いておりませんが、実はJRの長崎本線もここを分断しているというところもあるわけでございます。
これも、
先ほど言いましたように、ある
意味では全く同じ問題が起きるわけでございます。雨が降ると、山から流れ出た水、沢を集めて、そして川になって、この扇状地にどんと入ってくる。ところが、この国道が、ちょうど堤防の役割といいますか、そういったことを果たしておりまして、排水するのはこの川一本しかないということで非常に水がたまりやすい。一方、この川も、
先ほどの干拓地の例と
一緒で、干潟がどんどん盛り上がってきておりますので、出口の排水、河口のところがやはり排水が十分じゃない、泥でもって邪魔される、そういうことでございます。したがって、一たん豪雨になりますと、あっという間にこの国道が、ある
意味ではダムの役といいますか、この排水をせきとめる役をし、そしてまた、この水路も十分な機能をしないということでございます。
以上挙げました干拓地の排水の問題、それから台風時の高波対策、そしてこういった扇状地といいますか、海に面したところの問題、この三つが大きな問題でございまして、こういったところについてぜひとも、
先ほど言いましたように、抜本的な干拓ということで取り組むしかないのじゃないかというふうに思っているわけでございます。
しかしながら、最近、やはり米余りとかそういったことも含めて、干拓無用論というふうに言われているわけでございます。国の財政事情も厳しい中でございますが、こういったことを踏まえて、政府当局としてこういった有明海固有の問題点を認識してもらっているのかということをます第一点、お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。