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1998-03-20 第142回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月二十日(金曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 関谷 勝嗣君       岸田 文雄君    熊谷 市雄君       中山 正暉君    岩國 哲人君       小沢 鋭仁君    桑原  豊君       斉藤 鉄夫君    北沢 清功君    兼務 上田  勇君 兼務 達増 拓也君    兼務 上原 康助君  出席国務大臣         農林水産大臣  島村 宜伸君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省経済         局長      熊澤 英昭君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         農林水産省畜産         局長      中須 勇雄君         農林水産省食品         流通局長    本田 浩次君         農林水産技術会         議事務局長   三輪睿太郎君         林野庁長官   高橋  勲君         水産庁長官   嶌田 道夫君  分科員外出席者         環境庁水質保全         局水質規制課長 畑野  浩君         大蔵省主計局主         計官      松元  崇君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄物対策長   仁井 正夫君         農林水産大臣官         房予算課長   小林 芳雄君         農林水産省農産         園芸局畑作振興         課長      西川 孝一君         農林水産委員会         専門員     黒木 敏郎君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   中山 正暉君     熊谷 市雄君   岩國 哲人君     桑原  豊君   斉藤 鉄夫君     冬柴 鐵三君   北沢 清功君     前島 秀行君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     中山 正暉君   桑原  豊君     小沢 鋭仁君   冬柴 鐵三君     漆原 良夫君   前島 秀行君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   小沢 鋭仁君     岩國 哲人君   漆原 良夫君     赤羽 一嘉君 同日  辞任         補欠選任   赤羽 一嘉君     斉藤 鉄夫君 同日  第六分科員達増拓也君、第七分科員上田勇君及  び上原康助君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十年度一般会計予算  平成十年度特別会計予算  平成十年度政府関係機関予算  (農林水産省所管)      ————◇—————
  2. 関谷勝嗣

    関谷主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  平成十年度一般会計予算平成十年度特別会計予算及び平成十年度政府関係機関予算農林水産省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桑原豊君。
  3. 桑原豊

    桑原分科員 おはようございます。民友連桑原でございます。きょうは、漁業問題につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初は、日本海沿岸における韓国船操業問題でございますが、私も石川県の出身でございまして、北陸沿岸でもそうした韓国漁船操業しておりまして、協定違反あるいは自主規制違反といったような操業が後を絶たないという現状でございます。地元に帰るたびにそういう深刻なお話をいろいろ聞かされておるわけでございますけれども、そういったことによりまして、漁業資源乱獲でありますとかあるいは漁具被害などが相次いでいる、こういう現状ですし、石川県の県内海域でもこうした操業がだんだんふえてきております。平成七年が十四件、八年が十一件、昨年の年末の十二月段階では四十件以上に及んでいる、こういうふうにお聞きしております。そして、その中身もだんだん大型船化しているということでございます。  御存じのように、京都府から石川県にかけての日本海の沖合、水深二百メートルから一千メートルの海域には、ズワイガニですとかエビとかカレイバイガイ等の底びき網漁業の大変重要なところになっております。そういったこともございまして、さまざまな手だてを講じて資源管理努力をしておるわけでございますけれども韓国漁船は、非常に広大な範囲にわたって、我が国では禁止をされております底刺し網漁具を敷設したりして、ズワイガニカレイ等重要資源乱獲し続けているということでございます。  先般、日韓漁業協定破棄をされまして、一年後に二百海里を踏まえた新たな協定締結を目指そう、こういうことで、そのことに我々は望みをかけているわけでございますけれども、その一方で、協定破棄ということでございますから、それに至るこの一年の間にさらにそういった問題が深刻化していかないかということが非常に心配されておるわけでございます。  石川県あるいは福井県、京都府の三府県の漁協代表皆さんも、水産庁長官に対しては強くいろいろな要望をされているということでございまして、まずこの問題について、農水省として、こうした韓国船操業による資源乱獲を防止するためにどのような手だてを講じているのかということをまず一点お聞きしたいと思います。  同時に、新協定締結の具体的な仕事というのは外務省になると思いますけれども、そういった締結中身をどうしていくのかというようなことも含めて、農水省としてもいろいろな立場で御努力をされていると思うのですが、そうした御努力内容、あるいは協定締結見通しといったものについて、ぜひ考え方をお聞きしておきたい。  最近、民間漁業団体といいますか、漁協の代 表者等が、民間でまず韓国側民間相互交渉をやっていく、こういうようなことも伝えられておりますけれども、そういったことなども含めて、どういう御努力をされているのか、その点をお聞きしたいと思います。
  4. 嶌田道夫

    嶌田政府委員 先生が今言われました二つの問題のまず前段の方でございますけれども我が国周辺水域におきます韓国漁船日韓漁業協定等違反した操業は依然として多発しておりまして、今も先生の方から北陸について言われましたけれども日本国全体といたしましても、昨年の違反件数は一昨年の件数を上回っているという情勢にございます。また、韓国国内法違反しています漁船操業も依然として続いております。  これら違反操業船は、船名を隠ぺいしたり日本漁船操業を妨害するなど、その内容も悪質化しているという状況にございます。また、こうした韓国漁船操業によりまして、我が国沿岸漁業者漁具にも被害を生じているという状況にございます。  北陸沿岸部におきましては、我が国漁業者資源管理を行っております、今先生の方からも御指摘ございましたズワイガニカレイ資源韓国漁船乱獲している、結果として漁場の荒廃を招いているという状況にございます。また、昨年、韓国国内法違反となっております韓国トロール漁船操業も多数現認されておりまして、我が国漁船操業が妨害されるといった事態も生じております。  このような状況に対処しますために、国連海洋法条約の趣旨に基づきまして、韓国漁船に対しましても我が国による資源管理取り締まりが一刻も早く実施できるように、まずもって現行漁業協定を改定する必要があるわけでございます。このために、韓国との間では、交渉期限をつけるという観点から、先般、現行漁業協定終了通告をしたという状況にございます。  水産庁といたしましては、現在起きております韓国漁船資源乱獲、これは現行漁業協定が存続している限りにおきましては、取り締まり等については非常に制約があるのは事実でございます。そういう観点から、先般終了通告をし、一刻も早く新しい協定を結ぼうということにしたわけでございますけれどもあと十カ月、一年は現行協定が続くわけでございます。  この間このようないろいろな問題が生じておりますので、水産庁といたしましては、外交ルート在日韓国大使館を通じまして、韓国国内法違反トロール漁船操業につきまして厳重に抗議を行うというほかに、海上保安庁や関係県と連絡を密にいたしまして、漁具被害などのトラブルの発生がないように、韓国漁船の監視の強化に努めているところでございます。
  5. 島村宜伸

    島村国務大臣 ただいま御指摘のあった現場の実態につきましては、蔦田長官から今御説明したとおりでございますが、この協定締結に向けて我々はどういう姿勢でこれから取り組んでいくのかということにつきましては、一昨年、国連海洋法条約締結した後、過去二年近く、首脳会談六回、外交窓口である外務大臣が十三回、農林水産大臣と駐日大使との間に一回、それから高村外務政務次官韓国外相との会談が二回、実務者が十回と、実に三十回を超えるいろいろな協議を行ったところでありますが、御承知のように、合意を見るに至らなかったというのが終了までの経過でございます。  このままでは、国連海洋法条約に基づく我が国二百海里水域内の資源管理ができない、引き続く韓国漁船違反操業に対する漁業者の不満も頂点に達しておる、こういう状況を踏まえまして、私たちはこれにどう対応するかいろいろ検討を行ったところでありますが、日中の漁業協定締結されまして、中国漁船についてもこれからは資源管理規制が行われるということになりますと、韓国漁船だけほうっておくわけにはいかないというのが実情でございます。  そういうことを含めて、我々は、いつまでも見通しのつかない交渉を続けることは許されないという判断から、新協定締結期限を明確にするために、協定の定めるところに従い現行協定終了した、これが今までの経過でございます。  そこで、私も、この決定を見るまでには官房長官外務大臣とも再三協議を重ねまして、最終的には、この際、一回終了することがかえって新しいスタートラインに立って前向きな姿勢ができるし、また、期限が今度は一年に限られますから、結果においてある程度いいものが生まれるのではないかという判断をしたところでございます。  今後は、国連海洋法条約に基づいた水産資源の保存と管理を図るための新協定締結するため、外交ルートやあるいは民間ベースお話し合いを通じて前向きに展開しよう。改めて付言する必要はないとは思いますが、やはりこの底流にありますものは、このまま行きますと、例えば小さいメッシュで稚魚まで全部とってしまうとか、あるいは底びき漁船で底まで全部さらってしまうとか、あるいは、先ほどお話があったように思いますが、ズワイガニ産卵期その他にも全く無秩序に入ってきてやられたのでは、今後の資源の確保ということができません。  このことも我々は深く憂慮するところでありまして、これらに対して漁民の皆さんの御意向等もよくそんたくしながらこういう判断をしたというのが今までの経過であり、また、今後に向けて前向きに検討しようということも我々の姿勢として御説明したところであります。
  6. 桑原豊

    桑原分科員 農業よりも漁業の将来というのはいろいろな意味で大変困難な課題が多いわけですし、もう零細な漁業で経営としても立ち行かない、そういう問題が山積をしているわけで、そういったところに追い打ちをかけるようなことになりかねませんし、日本漁業国としてこれから成り立っていくためにもこの問題は本当に重要な課題だと思います。  加えて、我々の思いとしては、きちっと破棄して新たな出発点ということなんですけれども韓国側の方はそうではなしに、非常に厳しい経済事情のもとでなお日本がそういう追い打ちをかけた、こんな感情的な問題もあるようですから、そこら辺の交渉については、大胆に進められると同時に、やはり細心の注意を払われて、本当に双方にとって共生といいますか、そういう方向で成り立っていくようなことをひとつ念頭に置かれて頑張っていただきたいな、こういうふうに思っております。  次に、栽培漁業についてお尋ねをいたします。  栽培漁業の方も、やはり日本漁業の将来を考えますと、育てる漁業ということが本当に大事になってくるわけでして、その中の非常に大事な位置を占める漁業ではないかというふうに思います。  栽培漁業は、人工的に卵をふ化させ、稚仔、種苗を育てて、一定の大きさになったら海に放流し、天然資源に上乗せを図ることによって資源増大を図る、こういうことなんですけれども我が国では、昭和三十八年に瀬戸内海に国営の栽培漁業センターがつくられて本格的に開始をされた。私どもの県でも、昭和四十二年からクルマエビ開始をして、かなり早い段階から取り組みをいたしております。  現在、私どもの方では八種類マダイ、クロダイ、ヒラメクルマエビヨシエビアワビ、サザエ、アカガイ、こういうような種苗生産をされまして、有償で県内の各漁協配付をされているということで非常に力を入れているわけでございます。田畑で野菜や穀物をつくるというのもこれは大変なんですけれども、ああいう海を相手の栽培でありますから、それ以上にいろいろな意味でさまざまな困難がつきまとってまいります。これらを克服するために、県段階でもいろいろ頭を悩ませている幾つかの問題がございますので、その点についてお伺いをしたいと思います。  まずその一つは、種苗生産をする予算というものが非常に逼迫しておるというのが現実でございます。県単独予算であるということで、毎年の種苗生産事業費にシーリングがかかってまいりま して圧縮される。その一方で、配付価格を値上げいたしますと、配付要望が減少して売り払いの収入が伸びないという悪循環になります。生産数量が減少いたしましても、生産経費が余り減少しないために赤字が縮まらない。こういうことで、県では全体的な予算の中で何とかしのいでいるというようなことでございますけれども、このままでは生産事業継続自体が困難になってしまう、そういうところまで来ているのではないかという危機感がございます。  加えて、もう三十年以上もたっておりますから、生産施設が老朽化してきて更新を迫られている。あるいは疾病対策といいますか、いろいろな病気の対策の費用なども非常にかかるというふうなことで、これらを克服しないと栽培漁業の将来というのは明るくならないということでございます。  国の栽培センターと県のセンター、それぞれに役割の違いはあると思いますけれども、国としてこうした県の直面する状況に対してどのような手だてを講じられるか、どのような支援の手を差し伸べられるのかということをお聞きしたいというふうに思います。
  7. 嶌田道夫

    嶌田政府委員 栽培漁業につきましては、今先生が言われましたように、国と都道府県との役割分担がございまして、まず、国が基礎的な技術開発を行っておりまして、都道府県応用技術開発並びに種苗の量産を行います。これによって生産された種苗を用いまして栽培漁業漁業者漁協漁連等が行うというようなことで今までやってきておるという状況にございます。  このような栽培漁業定着化を図るということで、漁連漁協あと栽培漁業協会、第三セクター的にございますが、これらが栽培漁業を行う場合におきまして、国といたしましてもいろいろの事業を行っております。  その事業の中で、種苗の購入でございますとか中間育成、これは中間育成のための餌料費でありますとか施設整備費などでありますが、等に要する経費につきまして必要な助成を、これまで各種の事業を通じまして行ってきているという状況にございます。さらに、御指摘の県の栽培漁業センターにつきまして、その施設整備に対しましても助成を行ってきております。  疾病の問題につきましても、この施設整備の中で、例えば水槽をきれいにするための装置でありますとか、そういうものなどを施設整備の中で助成するというようなことで疾病対策も含めてやっておりますけれども、さらにその一番の問題点は、種苗生産に要する経費の低コスト化省力化を図ることが今後何といっても必要なわけでございます。  そういう観点から、平成十年度予算におきましては、県が実施します種苗生産の低コスト化省力化を図るための技術開発に対しまして助成する事業を新たに創設いたしまして、種苗生産経費の低減を図っていこうということを考えているところでございます。
  8. 桑原豊

    桑原分科員 そういった技術的な面に対していろいろな意味で御支援をしていただいているわけですけれども、そういった上に立ってもなおかつ非常に厳しい実態にあるということでもあるわけでございまして、直接的な財政支援というのがなかなか難しいというお話ですけれども、やはり現状をしっかり見きわめていただいて、ある意味では助け船を出さねばなかなか成り立ちいかないというようなことであれば、そういった方向で、今後ぜひそういったことなども検討課題に含めて考えていっていただきたいなということを御要望しておきたいと思います。  次に、放流効果というものが漁業者皆さん実感をされるということがこの栽培漁業を育てていく非常に大きな基礎になっていくというふうに思うのですが、放流効果がよくあらわれるものとあらわれないものがあるということ、そういうことによって漁業者実感が全体的には非常に乏しい状態にあるのではないか、そんなふうに思うのです。  例えば、私どもの方でも、放流効果増大のために放流後のいろいろな調査とか技術開発を続けているのですけれどもアカガイなどの一部魚種を除きまして、投資経費を上回る放流効果がなかなか確認できない。漁業者サイド放流効果実感も、アカガイヒラメはまあまあなんですけれども、それ以外はほとんどそういう実感はないということです。  こういった放流効果というものが明らかになれば、漁業者コスト負担に合意しやすくなりますし、理解や協力、参加も得やすくなるということなんですが、この放流効果を上げるにはどうしたらいいのか。いろいろな手だてがあると思うのですけれども、その点をどう考えておられるのか、また、どう県段階を指導していこうとされているのか、そういうことなども含めてお伺いしたいと思います。
  9. 嶌田道夫

    嶌田政府委員 確かに、今先生が言われましたように、その放流効果漁業者実感できませんと、なかなか栽培漁業に取り組もうという意欲も薄れてくるというのも実際でございますし、また、そのためのコスト負担というような問題も出てくるわけでございます。そういう意味で、種苗放流効果につきましては、ホタテ、アワビなど定着性魚種につきましては、相当放流効果が見られているところでございます。  主要な資源動向でいいますと、大量に放流されております例えば瀬戸内海マダイヒラメクルマエビなんかにおきましては、これは放流効果を受けまして、資源動向は高位あるいは中位という水準にございます。また、太平洋の北の方でございますが、これも積極的にかなり大量に放流されておりますヒラメ資源動向について言いますと、これも全体が下がっておる中で中位水準増加傾向にあるということで、大量放流を行っているものにつきましては、資源維持増大に対します効果が見られているというふうに考えております。  ただ一方、放流します対象魚種、それから放流いたします地域によりましては、今言われましたように、放流効果がなかなか実感できにくいという現状があるのも事実でございます。  いろいろ原因がございますが、一つとしましては、地元要望する対象魚種種類が多いということから、種苗生産能力が限られておりますので、一魚種当たり生産量が限定される、したがいまして大量放流ができないというようなこともございます。  それからもう一つは、天然資源量というのは基本的には非常に多いわけでございますから、それとの比較でもって、放流された魚が確実に回収されているということは事実であるわけですが、しかし、見た目の効果はなかなかわかりにくいというようなこともございます。  それからもう一つは、放流する場合にも、一カ所当たりに大量に放流した方がやはり効果が見られるわけでございますが、地元の方の要望といたしましては、一カ所だけではなくて、県でありますと、すべての地域漁協にわたりまして放流してほしいというようなことで満遍なくやってしまうというようなこともございまして、その結果、天然資源に紛れてしまうというようなこともあるわけでございます。  これらのことを考えますと、現在生産しています放流対象魚種を、大量生産が容易であって、放流した後の生き残りと言っていますが、よその魚に食べられたり、そういうことのないような生きのいい、生き残りのいい魚種にやはり絞り込むということ。それから、多品種少量放流ということから少品種大量放流というようなことを考える。それからさらに、防疫対策も考えなければいけない。それにより低コスト安定大量生産を目指さなければいけない。もう一つは、放流するときの時期の問題もあると思います。  それらのことをいろいろ考えまして、結果的に漁業者の方が放流効果をより実感できるようなことになるようにしていかなければいけないということで、県並びに水産庁としても、その辺につき ましては今後十分検討していきたいというふうに考えております。     〔主査退席岸田主査代理着席
  10. 桑原豊

    桑原分科員 さまざまな問題があることが指摘をされましたけれども、やはり放流効果が上がるように、満遍なくというふうにおっしゃいましたけれども、そういうことではなしに、やはりそういったことを少し集中的に、効果的なものが生まれるような方策をぜひ進めていただきたいな、こういうふうに思っております。  そこで最後に、栽培漁業の今後の課題についてお尋ねをいたしたいと思います。  例えば、中間育成というプロセスがございまして、一定の大きさになるまで種苗を海の生けすや陸上の水槽などでさらに育成をして放流する、こういうことなわけですけれども、その担い手高齢化をしてなかなか産業に当たる人がいなくなってくる、漁協ではそういうことができないというようなところも出てくるということも聞いております。むしろ栽培漁業をやることによって漁業育成を図っていくということであってほしいわけですが、逆にそれすら担い手がいないということで、なかなかやり切れないというのは非常に残念なことだなというふうに思うのです。  そういったことなども含めていろいろな課題があるというふうに思うのですが、ともかく栽培漁業は、我が国漁業の将来の夢と力を秘めているわけでございますから、ぜひ重要な位置づけをされて、栽培漁業なりのいろいろなデリケートな問題も出てくるわけですけれども、すべての英知を集めて積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思うのですが、今後の克服すべき課題と展望というようなところをお聞かせいただきたいと思います。
  11. 嶌田道夫

    嶌田政府委員 栽培漁業の今後の課題と対応ということでございますが、今御指摘のございましたように、栽培漁業につきましては、何といいましても受益者であります漁業者の方、これは当面は漁協漁連などになりますが、これらによります栽培漁業事業化定着化を着実に進めていかなければいけないと思います。  そのために、安定的かつ効率的な種苗生産中間育成並びに放流を一層推進する必要があるわけでございますが、現状におきましては、できるだけ生き残り率、言うなれば放流したものが最後まできちっと生き残れる、他の魚に食べられない、そんな生きのいいような、生き残り率の高い種苗をいかに放流するかという問題、それからもう一つは、蔓延しつつございますウイルス性の疾病に対します対応、それから、今御指摘のありました中間育成の現場におきます担い手の不足の問題、このような課題が現在あるわけでございます。  これらの課題に対処いたしますために、一つといたしましては、天然種苗に劣らない活力、生存率を有する種苗を安定的に生産するため、種苗生産中間育成技術など、種苗の質的向上を図る技術を開発することというのがまず一点でございます。  二点目といたしましては、ウイルス性疾病に対処しますために、診断・検査手法の技術開発を行う、並びに開発されました疾病対策の成果を全国の種苗生産機関に普及するというのが二点目でございます。  三番目には、漁業者自身によります中間育成の現場におきまして、就業者の高齢化担い手の不足の問題がございますので、これらの解消のために、国や都道府県によりまして開発されました新たな栽培漁業技術につきまして指導並びに普及を図っていくというようなことを通じまして、栽培漁業の一層の推進を図っていくのがこれからの一つ課題並びに対応策ではなかろうかというふうに考えております。
  12. 桑原豊

    桑原分科員 御丁寧に答弁していただきまして、どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  13. 岸田文雄

    岸田主査代理 これにて桑原豊君の質疑終了いたしました。  次に、上原康助君。
  14. 上原康助

    上原分科員 島村農水大臣、どうも大変御苦労さまです。なかなかお尋ねする機会がないものですから、分科会の機会を利用して、余り勉強していないので内容の乏しいお尋ねになるかもしれませんが、主に沖縄の農業問題に絞ってお尋ねをさせていただきたいと思います。きのうも遅くまでほかの分科会ではたばたしていたものですから、まだ頭の整理ができていないのですが……。  まず最初に、沖縄政策協議会が御承知のように設置をされておりまして、その協議会の中で農水省としてもいろいろ御配慮、御努力をしておられることにまず敬意を表したいと存じます。  そこで、第五プロジェクトチーム、いわゆる産業創造・雇用開発プロジェクトの中に、農水業と関連する沖縄ブランド創設支援調査にかかわる予算が計上されておって、いろいろ沖縄の特色を生かした作品別ブランド化のための調査研究をする、サトウキビ製糖副産物の資源化調査とか、亜熱帯水産物の特産物化のための研究調査とか、いろいろおやりになっておられる。  さらに、第八PTでは、森と海の環境保全総合対策調査というのが、これもまたかなりの額計上されておって、貴重な亜熱帯森林やサンゴ礁等沖縄独自の森林環境や海洋環境の保全対策等を含めてやっていかれる。  さらには、第九プロジェクトチームでは、沖縄等熱帯・亜熱帯地域農林水産業に関する研究のための調査検討ということで、これも、例の五十億の調整費の中から農水省も意欲的におやりになろうということで、これはまだ調査研究の段階だと言われてしまうといけないのですが、今私が指摘をしたほかにもあるかもしれませんが、その内容というのはどういうことをお考えになっておられるのか。そのことが結果として沖縄の農林水産業に夢と希望を与えて、大いに産業振興を、その中の農水業というものがどう位置づけられていくのか、お考えをお聞かせ願いたいと存じます。
  15. 島村宜伸

    島村国務大臣 お答え申し上げます。  沖縄の農林水産業の振興策についてのお尋ねでございますが、沖縄は、御存じのとおり、先生は沖縄のいわば代表者でありますけれども我が国唯一の亜熱帯性気候地帯に位置しているわけでありまして、その特性を生かした特色ある農林水産業の確立を図ることがまず重要であると基本的に認識をいたしております。  このため、生産基盤の整備あるいは技術の開発普及等の各種施策を展開していく必要がありますが、まず、基幹作物でありますサトウキビ、現行は、苗づくりやあるいは収穫の時期の刈り取りも手作業に負う部分がまだ非常に多いわけでありますが、これらにつきましても、もっと科学的、近代的に苗づくりを行い、かつ、収穫の際は機械化をさらに進めて効率のいい収穫を心がける等々、生産性の向上あるいはまた品質の向上等にこれから鋭意取り組まなければいけない、そう考えているところであります。  また、沖縄という非常に気候温暖な気象条件を生かしまして、最近は花卉が非常に伸びてきております。例えば菊などが非常に伸びておりますが、花卉とかあるいは果樹、野菜、草地畜産の振興など、沖縄の気象条件に合った、あるいはその特性を生かし得る農林水産業育成というものが必要である、こう考えているところでございます。  ただいまお話がありました沖縄政策協議会を通じた政府全体の取り組みの中で沖縄の振興策について検討が行われるところでありますが、農林水産省といたしましても、今後とも、特色ある沖縄農林水産業の振興に向けて諸施策の推進に努めていきたい、そう考えているところであります。
  16. 本田浩次

    ○本田政府委員 先生から御質問のございました個別具体的な各事業につきまして、順次お答えをさせていただきたいというふうに存じます。  まず、第一点の沖縄ブランド創設支援調査事業につきまして、私からお答えをさせていただきます。  この事業につきましては、沖縄産の農産品などのブランド化を支援することによりまして、国内 はもとより、国際的にも競争力を持った新しい沖縄県の農林水産業、食品工業などの発展を促進いたしまして、沖縄におきます県主の有効利用と雇用開発に資することを目的としているものでございます。  このために、この調査におきましては、沖縄の農林水産資源を生かしました、大臣からのお答えにもありましたように、特色のある、あるいは付加価値の高い農林水産品、さらに加工食品などの生産から販売までのトータルな振興方策を検討することにしておるところでございます。  そこで、具体的には、先生からも御指摘ございましたけれども、沖縄産品についての消費者のイメージなどを詳細に調査するような基礎的な調査でございますとか、それから、県外の類似品との競合を避けた形で、亜熱帯性の果物などを利用いたしました作物別のブランド化を図ることでございますとか、それから、サトウキビ製糖副産物につきまして、これはケーンセパレーション技術ということのようでございますけれども、こういった技術を利用して、表皮部分でありますとか、それからかたい皮、堅皮の部分でございますとか、砂糖をとります内実部の部分でありますとか、そういったサトウキビの部分ごとに副産品を開発する。とりあえず、例えば堅皮の部分から建材ボードをつくるような技術が比較的可能性が高いのではないかというふうに言われているようでございますけれども、そういった調査でございますとか、それからモズクなどの亜熱帯水産物の特産化を図る等の調査を行っているところでございます。  現在、これらの調査結果の取りまとめに向けまして、最終段階の詰めの検討を行っているところでございます。今後、これらの調査結果を踏まえまして、できるだけ幅広の支援策を実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  17. 高橋勲

    ○高橋政府委員 二番目にお話のありました森と海の環境保全総合対策調査事業でございますが、これは、森と海の環境保全ということで、我が国では珍しいデイゴとかガジュマル、こういう亜熱帯の森林があるわけで、それから世界有数のサンゴ礁を有する海洋など、沖縄のすぐれた自然環境を保全するとともに、これらの資源を観光資源として有効活用する方策を検討することを目的としております。  その事業内容ですけれども一定のモデル地域を設定の上、荒廃原野等を沖縄本来の森林生態系に復旧するための方法、海洋環境の保全に資する森林整備のあり方、サンゴ礁等による自然、海洋環境保全対策のあり方、こういうことについての調査を沖縄県に委託して実施しておるところであります。  この調査の結果得られた成果につきましては、地域の要請などを踏まえながら、今後の森林環境や海洋環境の整備に活用するように努めまして、独自の豊かな自然環境を生かした地域振興が図られるように努力してまいりたいと思っております。
  18. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 三番目にお話がございました沖縄等熱帯・亜熱帯地域の農林水産業に関する研究のための基礎調査についてお答え申し上げます。  この調査では、沖縄が立地いたします亜熱帯という特性を生かした新しい農林水産業あるいは食品産業の展開を図るため、どのような研究課題を重点的に推進すべきかということについて調査を行っております。この調査におきまして明らかになった重要な課題につきまして、私どもは、可能なものにつきましては早期に研究に着手すべきであると考えております。
  19. 上原康助

    上原分科員 大体わかりました。  大臣が基本的なお考えをお述べになったのですが、私はこれでも随分農業問題にも関心を持ってきているのです。みずからどん百姓で、実家というか、今もちょっとした土地がありますので、山原というところにタンカンがあって、時々頭を空っぽにするために行って、ミカンの枝落としをやったり、土いじりをやっているのですね。それは大変健康的でもあるし、人間の一番原点に返ったような感じがするのです。農業には関心のある一人で、大臣がお述べになった、沖縄は何といってもサトウキビは基幹作物として、いろいろ問題はあるにしても、これは大事にこれからも生産をしていかなければいけない農業の基本だと私は思うのですね。  ですから、省力化の問題、機械化の問題なんかも随分農林省に通ってお願いもしました。だが、なかなかうまくいっておりませんね。ハーベスターも、だんだん沖縄の地勢また生産規模に、農場に合ったサイズになってきていることは、農水省の構造改善事業等々に敬意を表しますが、ぜひそこいらのことについては引き続きお考えになっていただきたい。助成措置も、なかなか厳しい財政事情なり、また農業を見る国民の目も厳しい面もありますから、それはそれなりにわかりますが、そういったソフトというか、農民や地方が政府や県や自治体に一番やってもらいたいこの農業基本政策というものをどうも少し日本は忘れてきたのじゃないかという感じがしますので、今お考えをお述べになりましたので、やっていただきたいと思うのですね。  もう一つは、絶えず申し上げることなんですが、やはりサトウキビにしても、種子島には国立の研究所があるのに沖縄にはないんだな。僕はこの問題も随分言ってきた。みんな沖縄切り捨て。本当なら、あれはサツマイモじゃなくして琉球芋なんですよ。鹿児島は、芋も分捕って名前まで分捕っていった。悲しい歴史です、私に言わせれば。ここにも薩摩の人がいるけれども。まあそれは余談ですがね。  そういう意味で、大臣、今三つのプロジェクトチームでいろいろ御研究なさっていることは結構でありますが、私は、やはり沖縄に公的研究機関というものを、沖縄農業、亜熱帯農業を国際化していくにはどうすればいいかという、そのための頭脳と人材とを注入する、それが農民に意欲を与える。そしてもう量より質の時代ですね、そういう面では、そこいらももう少し検討していただきたい。  今、食品流通局長は、最終の詰めに入っている、最終段階だ、いろいろ検討した結果をまとめる最終段階に入っていると言うのですが、いつごろにこのそれぞれのプロジェクトで研究なさったものをまとめて明らかにしていただけるのか、簡単にお答えいただければと思います。
  20. 本田浩次

    ○本田政府委員 まさに今年度内にまとめていきたいというふうに考えております。政策としては、平成十年度の政策を活用して県とも相談しながら進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  21. 高橋勲

    ○高橋政府委員 森林の関係の調査の方も九年度に実施しておりまして、九年度でまとめて、その結果を受けて十年度以降の事業に活用していきたいと思っております。
  22. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 研究に関する基礎調査も、ことしの夏ごろには取りまとめたいと思っております。
  23. 上原康助

    上原分科員 ぜひひとつ大臣、今それぞれ、今年度中といいますから、今年も三月ですから、あとしばらくということでしょうからね。  そういう意味で、これは日本というか我が国の行政機関、行政の特徴でもあり、あるいはいいところ、長所でもあるかもしらぬが、それぞれの縄張りというのが強過ぎるわけね。横の連携がないわけですよ。農水省関連でも、食品流通局は食品流通局、海は海、森は森、山は山というようにね。それはいいかもしらぬが、ぜひ農水省所管については連携をしていただいて、きちっと農水省としてこうしていくんだ。まず他省庁と協力しなければいけないというか、調整しなければいけないことについては、これは大臣官房かあるいは大臣の方でおやりにならなければいけないと思うのですが、今三名の責任者の方が、今年度中にまとめて、十年度に向けて実施に移すと言いますから、その点について、さっき私が言いました公的研究機関の問題等も、恐らく東京の最高級の、何 というかな、知性のある方から田舎を見ると、いろいろなお感じになる点があると思う、私は。  そういう面で、私は、すぐはなかなか、ここまで私も三十年近くこういうことを主張してきたのだが、まだできないからそう簡単にはいかぬと思うのですが、公的研究機関の立地の問題等を含めて、大臣の御見解というか所感があれば、聞かせてください。
  24. 島村宜伸

    島村国務大臣 私は、人には添うてみよ馬には乗ってみよ、これは私の人生訓にしておるわけでありまして、自分は一通りのことをわかっているつもりでも、現地へ行って実際のことに触れてみると、意外に自分の知らないことに恥じ入るといいましょうか、目を開かれるといいましょうか、そんな思いがすることが多々ございます。  そういう意味で、沖縄というのは、先生のお感じになっているものとまた別のものがありまして、私たちからすれば、沖縄へ行って少し、一日でも二日でもいられたらな、いつもそう思っております。風光明媚といいましょうか、亜熱帯性の気候は我々にとってある種のあこがれがございますし、またある意味での異国情緒に触れることもできるという特殊な考えもあるわけでありまして、何より気候温暖でありますから、台風の常襲地帯としての厳しさはあるにしても、私は、沖縄に対する思いというのは、大なり小なり私たちと同じような気持ちを持っている方がほとんどではないかと思います。  そういう意味では、いわば亜熱帯性の気候に合った、あるいは台風に対するいろいろな災害等に対する対応をすることもすべて考えれば、沖縄にそういう研究機関を設けるというのは私は決して非現実的なものではないと思うし、また、それ自身の中に学ぶ点あるいは得るものは非常に大きいのだろうと思います。したがいまして、そういうことごとについて、今までどういうものがあるのか私はよく承知しておりませんが、それらを調べて何かさらに前進できるものがあれば、これは一つの考え方かな、こんなふうに受けとめます。
  25. 上原康助

    上原分科員 ぜひ御検討いただいて、できたらこの三つのプロジェクトで、今せっかく御研究、調査をなさっているわけですから、やっていただきたいと思いますね。  それで、通告にはなかったかもしれませんが、今度の機構改革の問題で、東村にある種苗管理センターだったかね、これも請負化に持っていくということで、大分私も心配していろいろ農水省にもかけ合ったのですが、そういうことは余りいい機構改革、合理化にはならないもので、そのことは農水省としてはどのようにこれから維持発展させていかれようとするのか。ちょっと通告にはなかったかもしれませんが、これだけいらっしゃるのだから担当者いらっしゃるでしょう。少し聞かせてください。
  26. 西川孝一

    ○西川説明員 御説明いたします。  沖縄には、現在サトウキビの原原種農場というのがございます。今回、行革会議の方から、施設等機関については、その民営化あるいは地方移管等を考えろ、国の機関として必要な場合も外部化しろといったようなことがございますが、サトウキビを生産するためには、私どもといたしましては、基本的にいい苗を供給する、これは特にウイルス対応ということがございますので、これはぜひともきちんと提供していかなければいかぬ、そういうふうに考えておりまして、そういう方向で私どもとしては考えていきたいというふうに現在考えているところでございます。     〔岸田主査代理退席、主査着席〕
  27. 上原康助

    上原分科員 それはおっしゃるとおりで、やはりいい種苗を農家、農民にどう年々配分できるかということが大事ですから、ぜひつぶさないで、むしろ充実強化する方向でお願いをしたいと思います。  それともう一つは、ウリミバエについては、御承知のように随分前に、何年度だったかちょっと忘れましたが、駆除策がとられたわけですが、その後、イモゾウムシ、特殊病害虫の発生をどうしてもウリミバエ同様に駆除していきたいということで、三年くらい前からでしたか、久米島で今実験か何かがなされていると思うのですが、これについてはどういうふうになっておるのかな。
  28. 西川孝一

    ○西川説明員 御説明をいたします。  イモゾウムシ、これもサツマイモにとりましては非常に重大な影響を及ぼす害虫でございます。これについては何とか退治をしたいというようなことで、引き続きその撲滅のための対応をしているということでございます。
  29. 上原康助

    上原分科員 その実験というのかあるいは計画というのは、成果を得てスムーズにいっているのかね。余り最近聞かないね。私が言わないからかもしらぬけれども
  30. 西川孝一

    ○西川説明員 現在、私、詳細なデータが手元にございません。申しわけございません。説明できないということをお許しいただきたいと思います。
  31. 上原康助

    上原分科員 後でどなたか担当の方、説明にひとつ来てください。お願いします。  最後に、御承知のように、これまたさっきの政策協議と関連するわけですが、大きく話題になったのは、全県FTZ、フリー・トレード・ゾーンと農業の関係ですよね。詳しくは申し上げませんが、沖縄JAは全県フリー・トレード・ゾーンには強く異議を唱えておられます。これはやはり地場産業あるいは農畜産物に及ぼす影響が大きい、一般論で言うとそうだと思うのですね。  そういう意味で、私もやはり全県というのは慎重に進める必要があるのじゃないかと思うし、また今のこういったアジアの経済状況、金融状況等々を考えると、必ずしもそうすぐ、二〇〇五年でしたか、それまでに全県というのはどうかなとも思っている一人ではありますが、いずれにしても、沖縄県がそういう方針を出しておられる。  そうしますと、農畜産物に与える影響は、WTOとの関連もあるが、より深刻というか、真剣に対応策を考えておかないといけないと思うのですが、この件について沖縄JAあるいは県からの要望等を受けて、政府として、農水省としてはどのように方針、対策をお考えになっておられるか、お聞かせを願いたいと存じます。
  32. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のとおり、沖縄県から政府に出されました報告書の中には、二〇〇五年を目途として、諸条件が整い次第、全県自由貿易地域制度を導入するという要望になっておりますが、今先生おっしゃいましたように、この報告書に対しまして、沖縄県の農業協同組合中央会ほか農業団体は、農業に与える影響にかんがみて全県自由貿易地域制度の導入には反対ということで、地域限定型として位置づけてもらいたいという要請を行っているということは、私ども承知いたしております。  と同時に、総合研究開発機構、NIRAでございますが、NIRAの中間報告におきましても、全県フリーゾーンヘの移行には現行制度運用との調整、農林水産業、地場産業への影響等に問題が指摘されており、具体的効果の見方を含め、今後とも検討が必要というふうにされていることは御承知のとおりだと存じます。  今先生おっしゃいましたように、私どもも、全県に自由貿易地域制度が適用される、それも農産物を含んだ形で適用されるといたしますと、沖縄県内に無税かつ数量制限なしで輸入品が入ってきてしまいまして、沖縄の農産品がそれと対等な立場で競争せざるを得ない、これは大変大きな影響がありますし、むしろ沖縄の農業そのものの存続が危ぶまれてしまう。それほどの大きな影響を受けるのではないかというふうに考えておりますので、私ども、この全県自由貿易地域制度を農産物に適用するということについては受け入れがたいというふうに考えております。  また、現在の報告書の中でも、一定の品目は除くという文章も入っておりますので、私どもとしては、農業に、あるいは農林水産業に与える影響を考慮して、十分配慮すべきだというふうに考えております。
  33. 上原康助

    上原分科員 もう時間が参りましたから終わり ますが、大臣、御見識の非常に高い、広い、そして深いお方ですから、さっきの沖縄の持つ特性、特徴、亜熱帯性、温暖化、もう一つ人情豊かということも加えますと、私は、国際化時代といっても、その地方、地域の持つ伝統文化あるいは特産品というものを最も大事に育てて、そして価値の高い商品化、製品化をしていくということがやはり基本だと思うのですよ。そうでない、何か外にだけ目を向けるというのも余りどうかなと思ったりしますので、ぜひ、今大事な時期で、我々も大変苦悩している面もあるわけですが、この第一次産業である農林水産業についても、内閣として、あるいは政治家として、沖縄の方にももっとお力をかしていただきたいと私は期待をしておりますので、大臣の御決意を一言聞いて、終えたいと思います。
  34. 島村宜伸

    島村国務大臣 大変ごもっともな御提言でございます。私も同じ考えに立ちますので、私なりに誠心誠意努力をしたい、こう思います。
  35. 上原康助

    上原分科員 ありがとうございました。
  36. 関谷勝嗣

    関谷主査 これにて上原康助君の質疑終了いたしました。  次に、達増拓也君。
  37. 達増拓也

    達増分科員 自由党の達増拓也でございます。  おとといの予算委員会では公共事業に関する質問をさせていただいたのですけれども、きょうは、この分科会では、お菓子の話とそれから農薬の話について質問させていただきたいと思います。お菓子と農薬、まぜこぜになると大変ですから、きちっと区別いたしまして、順を追って質問させていただきたいと思います。  まず、お菓子の話でございますけれども、ことし四月二十四日から、岩手菓子博98という菓子博が開催されることになっております。岩手県盛岡市の隣、滝沢村にあります岩生産業文化センター、通称アピオと呼ばれている施設でございますけれども、ここで岩手菓子博98が開催される。  この菓子博98というのは、第二十三回全国菓子大博覧会でもございまして、今、地域振興のためにいろいろなところでいろいろな博覧会があるわけですけれども、明確なテーマも持たないで赤字になって失敗するような博覧会も多々ある中で、この菓子博につきましては、明治時代からずっと続いている由緒ある博覧会であるということ。  また、日本におけるお菓子文化というのを考えてみますと、日本ほど地域地域全然違う、独自のお菓子、名物があって、またその地域のお菓子屋さんが、一つ一つの店でその店の名物、銘菓をどんどん開発して出している、こういう国というのはなかなか諸外国に例を見ないと思うのですね。そういう意味で、日本の菓子文化ということを考えても非常に意義ある博覧会だと思います。  まして、最近、農水省も含めて十を超える省庁で中心市街地活性化ということに取り組まれていて、昔からある商店街を中心にした、そういう中心市街地活性化というところからも、昔からの商店街、お菓子屋さんが中核を占めているケースが多々あるわけであります。そういうお菓子屋さんを通じた商店街の振興、そういうものにも大いに資すると思うわけです。  一方で、最近、経済が低迷している中、景気が悪化している中で、お菓子屋さんの経営も非常に苦しくなってきている。そういう中で、岩手、地元のお菓子屋さんたち、必死になって今頑張って準備を進め、またその切符を売ろうと頑張っている。  そういう関係者への励ましの言葉、そういう意味も含めて、この岩手菓子博98の意義について、大臣の所見を伺いたいと思います。
  38. 島村宜伸

    島村国務大臣 お答えいたします。  第二十三回全国菓子大博覧会は、三笠宮寛仁殿下を名誉総裁に推戴いたしまして、本年四月二十四日から五月十七日まで、岩手県において開催されるところであります。  この大博覧会は、明治四十四年、第一回帝国菓子飴大品評会として開催されて以来のものでありまして、今日まで菓子業界最大、最高の行事として引き継がれてきた伝統ある式典であります。  その趣旨は、全国各地の銘菓、製品を広く一般消費者に紹介し、かつ菓子への理解と認識を深めていただくとともに、食生活並びに生活文化の向上を図り、あわせて製菓技術の進歩と菓子業界の振興、発展に寄与することを目的とするもので、大変意義深いものと考えております。  農林水産省としては、当然にこれを積極的に支援したい、こう考えておりますが、私は、かつて、昭和五十九年と記憶するのですが、二月に明治神宮で開催されたことがございまして、そのときにたまたま大雪に見舞われて、全く予想を外れる、いわば不採算なものに終わった経験も実は持っているところです。今回は、時期的にも非常にいい時期でございますから、その心配はないと思いますが、何とも岩手県はまだまだ寒い地域でございますから、それらに対する配慮も含めて、万全を期していくべきだ、こう考えているところであります。
  39. 達増拓也

    達増分科員 四月二十四日になりますと、岩手も大分暖かくなってまいりまして、岩手は桜もその辺になってちょうど咲くころでございますので、そういう意味ではまさにちょうどいい時期だと思うのですけれども、大臣の本当に力強いお言葉をいただきまして、地元関係者も準備、ラストスパート、一層力を入れて、そして成功に導いてくださればということをお祈りしたいと思います。  それでは、まずお菓子のお話はこれで終わりということにいたしまして、次は農薬の話に移らせていただきたいと思います。  国有林の下草を除草するために2・4・5T除草剤なるものがかつて使われておりました。しかし、この2・4・5T除草剤、その毒性、安全性等の問題から、昭和四十六年に使用中止が決まりまして、全国の営林署でこれを埋設処理することになったわけであります。なお、この2・4・5T除草剤、ダイオキシンが含有されておりまして、そういう意味でも使用中止というのはまさに必要なことであったわけであります。それが、昭和四十六年、林野庁長官の通達によりまして、全国五十三営林署内八十四カ所に埋設処理された。その通達では、当該除草剤をコンクリートで固めて、ビニールを敷いた上に埋設するようにということだったわけであります。  しかし、昭和五十九年になりまして、その除草剤が漏れ出しているところが発見されたわけであります。調べてみると、そこに埋められた除草剤、コンクリート塊にされることなく、缶の中に除草剤が入ったまま、ただ土の中に埋められていた。その缶は腐食性の金属でありまして、それが腐食して中身が漏れ出した。その機会、五十九年に調べてみると、全国二十九カ所においてその昭和四十六年通達に反する、その通達に従わない埋設処理がなされていたということで、当時問題になったわけであります。  まず、質問ですけれども、その二十九カ所におきまして、すべて除草剤がコンクリート塊にされることなく、粒剤なり液剤なり、そのまま容器に入れられたまま埋められてしまっていたのか、そのうち何カ所ぐらい中の除草剤が漏れ出していたのか、この点を伺いたいと思います。
  40. 高橋勲

    ○高橋政府委員 2・4・5Tの除草剤につきましては、先生お話しのように、昭和四十六年四月に使用を中止しまして、未使用剤について、同年十一月の林野庁長官通達により、原則として一カ所三百キログラム以内の薬剤をセメント、水及び土壌と練り合わせたコンクリートの塊として、埋めた後の覆土部分の深さが一メートル以上となるような穴の底にビニールを敷いた上で埋設処理、これが通達の内容でございましたけれども、御指摘のように、五十九年五月に、その林野庁長官通達と異なる処理をしていた箇所が明らかになりましたので、直ちに全国の営林局に対しまして、埋設箇所の処理状況を把握するよう指示したわけであります。  その中で、コンクリートの塊にしないで、除草剤を入れた缶などに入れてそのまま埋設してある箇所が十四カ所。それから、一カ所当たりの数量 が三百キロ以内というのがルールだったわけですが、それよりも多かった、ただコンクリートで固めるというふうなことはしていたという箇所が十四カ所。それから、コンクリートの塊としておったわけですが、ビニールを敷かなかったという箇所も一カ所ありまして、二十九カ所が通達のとおりでなかったという次第でございます。そして、その中で除草剤が土壌に漏れていたのは、コンクリートの塊にしないで、缶に入れた形で十四カ所処置しておったわけですが、その中の七カ所につきまして土壌に漏れていることがわかりました。  これらの箇所につきましては、現地の立地条件などを勘案しまして、除草剤が漏れ出した土壌を含めて掘り起こしまして、その掘り起こした土壌をまたコンクリート槽に密閉の上、それをまたさらに埋設したのが五カ所でありまして、あるいは倉庫に保管したのが二カ所でございます。
  41. 達増拓也

    達増分科員 この農薬の埋設、そして五十九年にまた問題になった、どちらも古い話ではありますけれども、最近、主としてごみ焼却場から発生するダイオキシンの問題をめぐりまして、国民の間でダイオキシンに関する関心が非常に高まっている。  日本の幾つかの地域日本の中には、きょう私が取り上げております除草剤についても、改めて、あのときそういえばダイオキシンが入った除草剤を埋めていたけれども大丈夫なのか、そういう不安を持つ声が一部見られるわけであります。そういう意味で、古い話であるがゆえに、事実関係についてきちっと明らかにして、いたずらに不安になることなく対応していかなければならないと思うわけであります。  そこで、もう一度確認させていただきますと、五十九年に漏れ出していた、そういうコンクリ塊にすることなく埋められていたような除草剤については、すべてコンクリート槽に密閉する処置をし直したということで、今は缶なり袋なりに入ったままで埋められているような除草剤はない、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
  42. 高橋勲

    ○高橋政府委員 おっしゃるように、そのような処置をしたのでありまして、缶とか袋で放置という状態ではありません。
  43. 達増拓也

    達増分科員 昭和五十九年にそのような処置をした後、五年置きにそれぞれ二カ所、一カ所追跡調査を行っている。そして、専門家による検討を行っているそうでありますけれども、問題があった箇所、大きくどれば二十九カ所、また特に缶や袋に入らないで埋まっていた十四カ所、また特に除草剤が実際漏れていた七カ所、いろいろある中で、どういう判断基準でその二カ所、一カ所を選んだのでしょうか。また、その追跡調査、専門家による検討を行ったということなのですけれども、どういうメンバーで何について検討したのでしょうか。
  44. 高橋勲

    ○高橋政府委員 昭和五十九年の五月に、林野庁長官通達と異なる処理をした二十九カ所の土壌、水質調査を実施したわけでありまして、今申し上げたような結果が出たわけであります。  その後、やはりもっとフォローした方がいいだろうということで、専門家の御意見をいただきまして、五年ごとに調査をしようではないかということで、平成元年に二カ所、平成六年に一カ所追跡調査を実施しております。  その選定基準でございますけれども、長官通達と異なる処理をした箇所のうち、平成元年には、乳剤と粒剤とそれぞれ除草剤として形があるわけでありますけれども、その乳剤で一カ所、粒剤で一カ所、それぞれの埋設量が最も多い箇所で実施することとしたものでございます。  そして、調査の結果、平成元年のときにおきましては、粒剤で埋設した箇所では、2・4・5Tもダイオキシンも検出されませんでしたので、平成六年には当該箇所の調査は行っておりません。そして、乳剤の埋設箇所につきましては、平成元年に流出している量がありましたので、この箇所についてその後のダイオキシンの移動等について平成六年に実施しました。その結果は、2・4・5Tの周囲への移動は引き続き認められませんでしたし、それから、2・4・5Tは徐々に減少傾向をたどっているという数値の結果が確認されております。  その専門家の関係でございますが、メンバーは、日本薬剤師研修センター理事長を座長としまして、厚生省や環境庁、それから大学の研究機関、そういう方の研究者七名で構成してもらっております。  それから、その検討内容は、埋設箇所の適切な管理方法の検討でありますとか、2・4・5Tやダイオキシンの消長状況の確認であり、検討の結果としましては、薬剤の周囲への移動は認められませんで、地域の住民生活等へ及ぼす影響はないというふうに判断されているところでございます。
  45. 達増拓也

    達増分科員 そうしますと、簡単に言えば、一番問題がありそうな箇所を選んで調査したところ、そこについて周辺住民に影響が及ぶようなことにはなっていないという結果が得られた、そういうことなのでしょうか。
  46. 高橋勲

    ○高橋政府委員 御指摘のように、量の多いところは、やはり問題が出る可能性が高いだろう、そういうふうなところを安全サイドに立って調査箇所として選んだというところでございます。
  47. 達増拓也

    達増分科員 四十六年通達に従わないで埋設されたところについては、特に慎重にフォローアップしていかなければならないのは当然なわけでありますけれども、四十六年通達の埋設の仕方自体がよかったのかどうかという疑問もあるわけであります。  コンクリート塊にしてビニールシートの上に埋設するというやり方でありますけれども昭和五十九年の通達によりますと、その時点で営林局や営林署に保管されている除草剤、それを現状のまま厳重に保管せよという指示になっているわけであります。素朴な疑問として、なぜ四十六年通達と同じようにコンクリート塊にして埋めろということにならなかったのか、なぜそのまま厳重に保存せよという通達内容だったのか、そこが非常に疑問に思われるわけであります。  ひょっとして、コンクリート塊にして埋めるということ自体も安全面で不安があったから、そのまま缶なり袋なりに入れたままで保存しろということになっているのか。そこのところについて確認させていただきたいのと、あと、そのまま厳重に保管せよという除草剤は、特にほかの処分、処置をとられず今もそのまま保管しているのか、そこについて伺いたいと思います。
  48. 高橋勲

    ○高橋政府委員 確かに、御指摘のように四十六年通達のコンクリート塊にして埋めよというふうな指示と違う処理をしていた箇所がございますが、それは、営林署に残存している薬剤が非常に少量であったり、それから通達で定める処分箇所の基準、これは峰筋に埋めたり、水源地帯でない箇所を選べとか、そういうふうないろいろな条件を設定しまして埋める箇所を決めたわけですが、そういう基準に適合した適切な場所がなかったというふうなことのために、一部で、営林局とか営林署のコンクリート容器に密閉しまして倉庫に保管しているところがございます。  それで、五十九年の長官通達のときに、さらにまたコンクリート塊にして埋めたらどうかというふうにしないでおきましたのは、やはりそういうふうな条件が満たされなかったことと、専門家の意見を聞いても、現状のままで引き続き厳重に保管することがいいのではないかという指摘もいただきまして、それを継続しております。現状も継続しております。
  49. 達増拓也

    達増分科員 確認させていただきますと、林野庁としては、四十六年通達の処置の仕方、コンクリ塊にして埋めるということは、それはそれで適切なやり方だという判断は今もしているわけですか。
  50. 高橋勲

    ○高橋政府委員 基本的には、量の多いところとか、それから条件が適した場所があれば、コンクリート塊にして埋めてあるということは、処理としては適切な方法であるというふうに思っております。
  51. 達増拓也

    達増分科員 そうしますと、先ほどの答弁で、専門家も現状のまま厳重に保管した方がいいというのは、それはコンクリ塊にすることに不安があるからじゃなく、埋める場所の問題で専門家がそう言ったということなんでしょうか。
  52. 高橋勲

    ○高橋政府委員 はい。埋める場所の問題と、それから非常に少ない量の箇所が多いわけです。
  53. 達増拓也

    達増分科員 そういうわけで、さまざまな形で今も当該農薬、除草剤が埋められて残っているわけであります。放射性廃棄物もそうなんですけれども、今のような文明社会におきまして、そういう高度に毒性の高いものといかにつき合っていくかというのは、これはいたずらに感情的になってもいけませんし、冷静に事実関係を明らかにして、また、科学的研究も進めながら適切に管理していくことが重要だと思うのですね。その意味で、絶対安全だからもうそのまま何もしなくていいとかいうことはあり得ないのでしょうし、また一方、ちょっとでも不安があれば、その処置の仕方はだめだから別の処置の仕方に変えろというのも適当ではないと思うのですね。  その意味で、きちんとした適切なフォローアップ、そして最新の科学技術に基づく知見によりまして、そのときそのときで最も適切と思われる対応をずっとやっていかなければならないと思うわけです。四十六年埋設以来今日に至るその後のフォローアップ状況、先ほど何カ所かの追跡調査については伺ったわけですけれども、全国的にその後どのようにフォローアップされているか、伺いたいと思います。
  54. 高橋勲

    ○高橋政府委員 フォローアップにつきましては、昭和五十九年以降、平成元年に二カ所の調査、それから平成六年に一カ所の調査、そしてまた五年後、平成十一年度に継続してその一カ所を調査していく。ダイオキシン自体が半減期といいますか、だんだん年数がたつと減っていくと言われておりますので、その点での安全サイドはあるわけでありますけれども、なかなかゼロまでいかないということで、一カ所今追跡調査しているところも確実にその箇所での濃度も減少してきているわけですが、やはりもう一回といいますか、平成十一年も調査をした方がいいだろう、こんなふうなことになっております。  それから、全体的には、その五十四カ所の埋設をした箇所につきまして、ここは埋めてある箇所ですよというふうなことで、その箇所を、人が立ち入ったり、あるいは攪乱をしたりというふうなことがないように監視しておりまして、年に二回はそこを定期的に点検をしているというようなフォローをしておるわけでございます。
  55. 達増拓也

    達増分科員 年に二回の定期点検ということについて、もう少し具体的にお答えいただければと思います。
  56. 高橋勲

    ○高橋政府委員 該当の箇所に担当官が行きまして、現状がどうなっているか、土壌の攪乱とか、だれか人の立ち入りがあっただとか、そういうことを目視という形で点検を行っております。
  57. 達増拓也

    達増分科員 フォローアップの状況について伺いましたけれども、こういう非常に毒性の高い物質につきましては、なかなか一〇〇%の安全ということも、またその逆に一〇〇%の危険ということも確定できず、常にその中間のところに実態があるということなんだと思います。ですから、今のようなフォローアップでこれからも万全という結論も出すことはできないと思うのですね。常に、今のやり方で適当なのか、もっといい処置の仕方あるいは検査の仕方等はないのだろうかということを、これは実際埋設されている地元との関係も考慮しながら、きちっと今後も引き続いて対応していかなければならないと思うのですね。  大変なものを抱え込んでしまったということで、国に対しても非常に気の毒というところもあるのですけれども、ただ、そういう大変なものをきちっと管理して国民の安全を守るというのも政府の責任だと思いますので、その務めをしっかり果たしていただきたいということを申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  58. 関谷勝嗣

    関谷主査 これにて達増拓也君の質疑終了いたしました。  次に、小沢鋭仁君。
  59. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 民主党、民友連小沢鋭仁でございます。  本日は、平成十年度予算に関連しまして、農政関係の質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  島村大臣には、先般、我が郷里であります山梨県、雪害対策、視察を十分にしていただきまして、その後本当に御尽力を賜りました。冒頭、まずもって心から御礼を申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。  その雪害対策も、大臣初め皆さんの御尽力でかなり前向きに進んでいるわけでありますが、残された課題一つとして、いわゆる農業果樹共済の制度について一点御質問をさせていただきたい、こう思います。  今回、山梨県の雪害は二十数年ぶり、こういう被害であったわけでありますが、それだけになかなかそういう災害への意識が県民の中にもなかったのも事実であります。そういったこともあるのでありましょうが、いわゆる農業共済に加入している率が大変少なかった、果樹共済あるいはまたそれの中の施設の方のものも加入率が高くなかった、これも被害がある意味では大変つらかったことの一つであります。  そういう中で、農家の皆さんやあるいは県の皆さんと話をしておりますと、共済制度、大変充実して実はつくっていただいているわけでありますが、これが逆に、余りにも細分化、詳しくなり過ぎていて制度がよくわからない、こういう御意見がありました。これは、確かに農水省としては、一つ一つのニーズに対応してつくってきていただいているわけでありますから、一概にそれがいけないということではなくて、結果として加入がなかなか進まない、こういう話であるとこれは大変もったいない話でありますので、そこの部分をこれから検討する余地はないかということで、一点まず御質問をさせていただきたいと思います。
  60. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  確かに、先生指摘のとおり、山梨県の場合には加入率が、特にブドウの場合ですと一五%にとどまっていたということでございます。今先生指摘のとおり、この共済事業、果樹共済につきましては四十八年から本格実施をいたしまして、その後農家の要望にこたえまして、対象の樹種を拡充する、あるいは引き受け方式を追加する、そういった改正を重ねてまいりました。県によっては、あるいは樹種によりましては、五割とか六割とか、そういう高い加入率になっているわけでございます。  山梨県の場合には、これまでに大きな災害が確かになかったということがございますし、それから農家の方々が防災施設をかなり整備されておりましたので、そういう災害に対するリスクの観念が薄かったということがございます。それともう一つ、観光果樹園が割合多いものですから、そういう方が余り共済に入っていないという実情も重なりまして、こういう加入率の低さが出たのだろうということだと思います。  他方、先生から、果樹共済の内容が複雑になっているということが御指摘されましたけれども、確かに、今申し上げましたように、これまでの農家の要望にこたえていろんな方式なり対象なりをふやしてまいりましたので、そういう意味で、全体の方式でいいますと、例えば区分で十一とか十四とかというふうになってしまうわけでございますけれども、県によりましては、共済組合がその地域あるいは樹種に合わせまして特定の引き受け方式あるいは特定の対象を限定して加入促進を図るという方途をとりまして加入率を上げたという県もございます。特に、特定危険方式ですと、災害の種類が限定されておりますし、保険料率も低いということもございますので、そういうところを主体に加入運動を進めて、これは最近の例では青森のリンゴなんかがそうでございますけれど も、そういう加入の普及で加入率を上げたという例もございます。  今回も、こういう大雪害がございましたので、そういう教訓も生かしまして、共済組合とも連携をとりながら、わかりやすい説明と、そうした特定の方式を中心に加入率を上げる形にできないか、そういうことも考えながら、加入率の増加という点についても指導してまいりたいというふうに考えております。
  61. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 今回の雪害について直感的に思ったのは、まず一つは、財政的支援というのをきちっとしなければいけない、それからあとは金融的措置というのもつけてもらわなきゃいかぬ、そして三番目として、やはりこの保険。大きく分けると財政、金融、保険、こういう三つの対応なのかな、こう思ったわけであります。  その中で、保険の制度に関しては、今局長からお話をいただいたように、確かにきめ細かいニーズヘの対応、こういうふうになっているわけですね。保険の場合は、私ももともと金融専門の人間ですからよくわかるのですけれども、確かにいろんな可能性、確率の問題がありますから、なかなか大きな箱ではっくりづらいのもわかるのです。ただ、消費者の方から考えてみますと、もう本当は細かく分かれてなくて全部面倒見てくれるというのが一番いいわけですね。  ですから、それはお互いの事情があるわけでありますが、ぜひお願いをしておきたいのは、行政サービスという言葉がありますけれども、行政も消費者の皆さんたちのニーズとかそういうものに敏感に対応してもらう、そして、行政もサービスなんだ、こういう意味で考えたときに、ぜひわかりやすい制度で、これだったら安心ですよ、こういう話でお取り組みをいただければ、こうお願いを申し上げておきたいと思います。  それでは次の質問に移りますが、これは大臣にお尋ねをしたいと思っております。  農業農村整備事業について次に入らしていただくのですが、この農業農村整備事業、私は大変重要な事業だというふうに思っております。と申しますのは、戦後の農政、最初は、例えば政治の側は米中心の意識というのがあった。ベトコン、こういうふうに呼ばれたこともあったんでしょうか。その後、総合農政派、こういう形で幅広い観点から農業を、こういう視点が出てまいりました。そして、私は、四、五年ぐらい前から、私は総合農村派だ、こう言っているんですね。総合農政派から、ここは一歩、もう一歩前進して、総合農村派だ、こういうふうに言っているんですね。その旗を掲げたい、こう思っているんです。  なぜそんなことを申し上げるかというと、日本の農業のことを考えたときに、やはり一番大きな問題は担い手の問題があるんだろう、私はこういうふうに思います。あらゆる産業でやはり人は最も大事な財産だというふうに思うのでありますけれども、そのときに、日本の農村というのは、若い人たちが、どうしても行きたい、特に若い女性の皆さんが、お嫁さんに行きたい、こう思うような農村になっているだろうかというと、まだそこにまでは至っていないのかな、こう率直に思います。大臣は特に、本当に江戸っ子、都市派の大臣でありますから、逆に私はその感性というのはとうといと思っておるのでありますけれども、要は、その若い人たち、特に女性の皆さんたちが、農村に行きたい、こう思うような農村じゃなきゃいけないわけですね。  では諸外国はどうかと思って、海外なんかに行ったときにそういうところを歩いてみますと、例えば先進国の農村地域、スイスとかイギリスとか、きれいなんですよね。本当に美しいですよ。それがまた絵はがきになったりして、我々、日ごろから見るわけですね。やはりああいう美しい農村風景、農村地帯でありますと、若い人たちもみんな、そこで暮らしたい、こう思うんだろうと思うんですよ。  翻って、なぜ日本の農村がそうではないのか、こういうふうに考えたときに、かつての日本の農村の風景は物すごく美しいんです。田園地帯にわらぶき屋根で、物すごく美しいんです。ただ、それが経済成長の中でややそういう観点がなくなってきて、日本の農村の風景というのがヨーロッパの諸外国の、その先進国の農村風景と比べると見劣りするようになってしまったのではないか、そんなことを思うわけであります。  そういう意味で、農村というものを全体としてとらえて、一言で言えば、美しくて快適な農村をつくっていくということに力を入れることが、ひいては、担い手をしっかりと確保して、嫁さんも来てもらって、こういう話になるのではないか。美しい農村をつくろう、こういう議連でもつくろうか、こういう話も実はしているのでありますが、大臣、所感をちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  62. 島村宜伸

    島村国務大臣 小沢先生は総合農村派、実は私は都会の農村派を自負しておりまして、十五年前に政務次官を務めまして以来、いろいろなところで講演などをしますと必ず農村問題に触れて、豊かな田園風景にあこがれるのはいいけれども、要するに、都会の方たちに話をするときには、あなた方は三カ月でも半年でもそこに住んで生活をしようという意識がありますか、御自分の好むときにちょろっと行って、温泉につかる合間に田園風景を見て楽しみ、自然に浸って森林浴を楽しむ、何か楽しみだけの農村に対する意識じゃありませんかという訴えをしてきまして、今では常識的な課題になっております農業の持つ多面的機能という問題についても、その当時から私は力説をしてきた人間であります。  そして同時に、今の景観のお話でありますが、私全く同感でありまして、これは農村に限らず都会におきましても、日本人は少し景観に対して無秩序あるいは意識が希薄過ぎやしないか。自分さえいいと思えば、町並みがどう汚れようが何しようが、奇妙きてれつな建物を建てたり、変な色をつくってやってみたり、そういうことがどうも、私は、欧米先進国と比較して、田園風景もさることながら、いろいろな意味でぎくしゃくした見劣りを感じるのではないか、こんなふうに実は感じているところであります。  そういう意味では、単に農産物、林産物、水産物をつくる農山漁村でなくて、豊かな自然を守り、かつ景観を楽しむという、本当にじっとしていられない衝動に駆られるような魅力ある農村、そういうものをつくっていくことは、私大賛成であります。  事実、都会の人間は、時々農山漁村を訪ねてはゆとりとか安らぎをいただいて、それに浸って十分満足して帰ってくる。御本人たちはリフレッシュするだけで済んでしまう。どうも、そういうせつな的な何か楽しみ方だけでは本物ではないのではないのかな、こんなふうに私は常々考えているところです。  そこで、当省の大臣を拝命して以来、いろいろ今我々なりの突っ込んだ勉強をさせていただいておりますが、事実、農林水産省といたしましてもそれらの認識を既に持っておりまして、具体的には、平成十年度からいよいよ始まりますけれども、農山村の原風景を形成する棚田ですね、これは日本とかオーストリアなど、特殊な国にしかないものでありますが、この棚田の保全を図る事業に六十七億円の予算を使って、こういう日本の特殊な農業の美しさというものを維持しようというような取り組みがなされております。  また、今御指摘の農業農村整備事業の中では、例えば農業用の用排水路についても、石積み護岸や水生植物などの植栽、単に護岸をつくってコンクリートで固めるというのではなくて、石を積んで景観の維持ということにも努めたり、あるいは植栽をして非常に見てくれのいい用排水路をつくるとか、あるいは圃場整備における歴史のある樹木とか緑地の保存、あるいは農道の路肩への花や樹木の植栽など、農村景観に配慮した整備を推進するということが現実にもう軌道に乗っているところであります。  私は、我が意を得たりと思いますので、これらを大いに推進し、あなたと全く同じ考えに立って これらを、国民の気がつかないでいるそういうよさというものを、これは日本の大事な文化でもありますから、維持し発展させていきたい、そう考えております。
  63. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 ぜひそういう観点で頑張っていただきたいし、私も努力をさせていただきたいと思います。  それで、景観から一気にトイレの話になって大変恐縮でありますが、ただ、農村全体の整備ということの中で大事な問題でありますので、お尋ねをしておきたいと思います。  集落排水事業でありますけれども、これも、さっき申し上げたように、どうもトイレが水洗でなければ、なかなか若い人はお嫁さんに来ないのですね。なかなか友達も呼べない。これは実は本当に切実な話だと思います。そして同時に、水源として考えたときも、私のところに大和村という大変きれいなところがあるのですけれども、そこの村長さんと話をしていましたら、生活排水で川に最近泡が出てしまうようになった、一番きれいだと恐らく県民の皆さんから思われている川で泡が出るようになったのは本当につらいんだ、こういう話を聞いたこともあるのですね。  まず、どのくらいの整備率になっているのか、そして、時間がありませんからあわせて質問するのですが、どういう取り組みを今していただいているのか、お願いいたします。
  64. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 先生指摘のように、トイレの水洗化あるいは生活排水の浄化というのは大変重要でございまして、このために私ども、集落排水事業を進めさせていただいておるところでございます。  現在、こういったトイレ等の水洗化率でございますけれども、これを全国眺めてみますと、町村部、農村では一九%でございます。二割弱でございますが、これが小都市、十万人未満の市でございますが、小都市で三九%、したがって町村の二倍でございます。これが十万人以上の市になりますと六〇%で、三倍でございます。それから、特別区や政令指定都市ですとほぼ一〇〇%でございます。  こういった状況にございますので、町村、農村の集落排水事業を私ども全力を挙げて推進しているところでございまして、昭和五十八年度、十五年前に、国費二十二億円をもってこの事業をスタートいたしましたが、平成十年度の予算案では千三百四十一億円を計上させていただいておりまして、財政構造改革の中で、農業農村整備事業は前年比八八%でございますけれども、この中で集落排水事業は九二%と、それなりに重点を置かせていただいたところでございます。  これからも、第四次の土地改良長期計画、これは平成十八年度を目標にいたしておりますが、これに沿って集落排水事業も着実に推進させていただきたいと考えております。二十一世紀の初頭には、平成五年度の中都市並み、これはそのとき、五年前に四五%、今は六〇%に上がったわけですけれども、四五%まで二十一世紀の初めに引き上げようと思って、今、事業を推進させていただいているところでございますが、中都市も六〇%を着実に引き上げておりますので、なかなか格差は縮まらないわけでございます。  農業農村整備の中でできるだけこういった生活環境整備には力を入れてまいりたいと思っておりますけれども、この中でも、農業の体質強化を図るための圃場整備等の生産基盤、また、ため池の整備等の国土保全、防災事業等も大変要望が多うございますので、私ども、率直に言って、これらの地域からの要望をくみ上げながら、この中でも集落排水事業予算の確保に今後とも努力してまいりたいと考えております。
  65. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  本当は、時間があったらちょっとお聞きしたがったのですけれども、減額になっているのですね。ですから、これは野党の方は、少なくとも民主党は、公共事業中身は見直しましょう、こういう話はしておりますが、こういう事業に関してはきちっとやっていくべきだ、こういう話でありますから、減額なんという話はおかしな話なので、補正もあるやに聞いておりますから、大臣、そこは頑張っていただいたらいかがなんでしょうか。一言申し上げておきたいと思います。  それでは次に入りますが、今度はいわゆる産業としての農業、こういう視点で物を考えたときに、高付加価値型農業育成事業というのを農水の方はお持ちでありますね。私、こういう話は物すごく大事だと思っているんですね。コンピューター、情報通信が一つ産業として日本産業を引っ張る、こういうふうによく言われておりますが、同時に私は、農業の分野、ある意味ではバイオを含めてそういった分野を、もう一本柱をやはり日本は立てるべきだ、こういうふうに思っておりまして、そういう意味でいうと、ここが物すごく大事なので、ちょっとまとめてお聞かせいただきます。  まずその中で、例えば花卉、花の生産の話がありますね。山梨県でも、明野にフラワーセンターというのをつくっておりましてやっているわけでありますが、こういう消費者ニーズに直結するような事業にぜひとも力を入れていただきたい、こう思っておるわけであります。あと幾つか質問がありますので、お考えを手短にお聞かせください。
  66. 高木賢

    ○高木(賢)政府委員 高付加価値型農業というものは、先生指摘のとおり、本当に消費者の新しいニーズに沿った、新しい農業のあり方だと思います。それは、特に品質面を重視する傾向が強まっておりますし、最近は、健康にかかわる機能性とか安全性、こういうものの関心が高まっております。また、国民の購買力も、我が国の場合には相当あるものと思います。  一方で、生産条件の方を見ますと、国土が狭い、あるいは山があり、谷がありのいろいろな制約がある、こういうことでありますから、輸入農産物との競争とかということを考えまして、国産農産物の需要の維持を図る、確保を図るということをやっていくためには、生産性の向上だけでなくて、高度化する消費者ニーズに対応する、いわゆる高付加価値型農業というものが大事であると思っております。  そこで、花についてもどうかということでございますが、まさに、花は収益性が高いということと、胃袋が一定していて制限があるというものではございませんので、需要の拡大が見込まれます。かつ、国民の生活のゆとりを求める気持ちというものが大変強くなっていると思います。従来は、結婚式とかそういうたぐいの、いわゆる催し事に関します業務用需要というものが大宗を占めていたわけですが、最近は、それは必ずしも伸びませんが、いわゆる家庭園芸、ガーデニングブームなんということが言われておりますが、この方面のいわゆる生活需要というものが増加をしております。  そういう面で、さまざまな消費者の高いニーズに的確に対応していくという面での高付加価値型農業の推進ということでございまして、十年度予算におきましても、前年度を大幅に上回る予算額を計上して、御審議をお願いしております。
  67. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 今の高木局長の、胃袋は限界があるけれどもそういう分野は限界がないというのは、まさに名言だ、こう思います。まさにそういった意味で、農業者の皆さんたちが新しく取り組んでいけるところ、そこをさらに拡大をいただきたい、こういうふうに思います。  それから、それに関連してもう一つ、大規模植物園の話もしたがったんですが、時間がありませんので省かせていただきます。もともと建設省との共管みたいなところもあったようでありますので、ここは省かせていただいて、今の事業に関連して、山梨は、御案内のようにブドウ、そしてブドウを原料としたワインの日本一の生産地なのであります。  そこで御質問するわけですが、今回雪害がありまして、ブドウの木もかなり倒れた。そういう中で、今までの甲州種という品種から、今話題に なっているフランスのボルドーとか、そういうもののような木にかえていけないか、こういう意欲を農家の皆さん大変お持ちになり始めました。  そこで、例えばワインの原料のブドウの品種改良、こういう話になるわけでありますが、農水省のこれからの役割で、そういうものについて研究開発費を投入していくというのは物すごく大事なことなんだろうと私は思うのです。そこで、その研究開発費は幾らになっているか。  そして、山梨には、指定試験ということで実は補助金をいただいているはずなんですね。甲斐ノワール、それから甲斐ブラン、こういうのをやっているんですが、この補助金、すごく少ないのですよ。改めてちょっと昨年度についてお聞きをさせていただきます。  まずその二点を。
  68. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 最初にお尋ねの、研究費の総額でございますが、平成十年度、約九百億円の計上をさせていただいております。  それから次の、ブドウの品種改良でございますが、ブドウの品種改良につきましては、平成八年度に、果樹試験場の中にカキ・ブドウ支場というものを新たに発足させまして、ブドウの品種改良の基礎研究等の重点化を図っております。  その中で、先生指摘のワインの原料のブドウでございますが、これに関しまして、ヨーロッパ系の醸造用品種、これはやや我が国の高温多湿の気象条件に適さない場合もございます。そういった意味で、先生お話にございましたように、醸造用ブドウの生産量が最も多い山梨県におきまして、醸造用ブドウに特定しました品種改良の試験を委託事業として実施しております。平成九年度の予算交付額は、県の要望等を踏まえまして約一千万円の計上をしております。
  69. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 今九百億、最初の研究開発そのものですね。私が予想していたよりも多いなとは思うのですが、いろいろなものをきっと寄せ集めてお持ちいただいたのかな、こういうふうに思うのです。  ただ、今の山梨県のワインのあれが一千万。これは大変ありがたいんですけれども、フランスのボルドーと戦っていくわけですよ。まさに、そういう産業政策論で考えていったときに、一千万でボルドーと戦うか、こういう話は幾ら何でもちょっと、こういうふうに思うのですね。ブドウだけに限らずに、恐らく全国にそういうところがいっぱいあると思います。  だから、私が今申し上げたいのは、研究開発に関しては、それも産業にある意味でかなりつながっていく研究開発費は増額しよう、こういうのは、大臣、今国の方針でもありますよね。そういう中で、まさにバイオの関連とか農業関連、これはもっと予算をつけたらいいんじゃないですか。これは、さっきの公共事業の話でもありましたけれども、公共事業の世界で考えたときに、十兆、二十兆の世界で考えたときに、九百億なんという話は本当にまだまだ足りない話でありまして、これはもしかしたら日本の、そういった意味一つ産業をリードしていく話にもなるかもしれないですよ。  そういった意味で、そういった分野は私ども野党でも応援していきますから、従来型を見直して、新しい分野に、本当に大事なところにもっと金をつけていこう、これが本当に大事な話だと思うのですね。補正もあるやに聞いていますが、大臣、それはどうですか。
  70. 島村宜伸

    島村国務大臣 全く同感でありまして、我が意を得たり、こう感じます。
  71. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 我が意を得たりということの中にいろいろな思いを込めていただいている、そういうふうに思います。私もその分野で頑張っていきますから、ある意味では本当に日本の農業を強くしていくための予算でもありますので、ぜひやっていただきたい、こういうふうにお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  72. 関谷勝嗣

    関谷主査 これにて小沢鋭仁君の質疑終了いたしました。  次に、上田勇君。
  73. 上田勇

    上田(勇)分科員 我が国は、戦後一貫しまして農業型の社会から、農業の就業人口がどんどん減って大きく変貌いたしております。その中で当然のことながら、農民の組織であります農協も、その性格がやはり時代の変遷とともに大きく変化して、農協の行う事業というのも、農業生産中心からいろいろ幅広くなってきて、最近では生活関連事業ども含めて多様化が進んでいます。  そこできょうは、農協の生活関連事業の中で、特に最近、全国各地のJAで積極的に取り組んでおりまして、ただし、その結果、一般事業者との間にかなりあつれきが生じております葬祭事業、葬儀にかかわる事業について何点か質問させていただきたいというふうに思います。  まず、ちょっと本題に入る前に、ぜひ大臣に基本的なことでお伺いしたいと思うのですけれども、大臣は、この農業協同組合、農協の目的というのは、一言で言うと、どういうところにあるというふうに御認識されているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  74. 島村宜伸

    島村国務大臣 それは農協の目的ととらえてよろしゅうございましょうか。  これは、農業協同組合法第一条に規定されますとおり、農業生産力の増進、あるいは農民の経済的、社会的地位の向上、さらには国民経済の発展を期する、この三点に集約されている、こう考えます。
  75. 上田勇

    上田(勇)分科員 そこで、この葬祭事業につきまして何点か質問させていただきたいのですが、農水省からいただきました資料によりますと、平成七年現在で、全国で千五十一の総合農協で、これは全体の四三%に相当するそうでありますが、葬祭事業を行っていると。  ただいま大臣の方から御答弁をいただきました農協の目的、これは農業生産力の向上、農民の経済的、社会的地位の向上というふうに農協法の第一条に沿ってお答えをいただいたのですけれども、葬儀の事業というのはその目的に沿ったものなのか、ちょっとその辺がよくわからないのです。  もう一つ、同じ農協法の中に、農協の行うことのできる事業というのが第十条で定められております。この中にも葬祭事業がどこに当たるのかというのがよくわからないのですけれども、どうも、実に総合農協の半数近くで行っているこの葬祭事業というのは、農協法で定められている農協の目的あるいは行うことができるとされている事業の範囲を逸脱しているのではないかというふうな気がするのですけれども、その辺、農水省の見解はいかがでしょうか。
  76. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  農業協同組合の行い得る事業としては、確かに先生指摘のとおり、第十条に列記してございます。第三号の二にも「組合員の事業又は生活に必要な共同利用施設」、法律上は「共同利用施設」と「施設」という用語を使っておりますが、いわば共同利用事業でございます。葬祭事業につきましても、この組合員の生活に必要な共同利用事業の一環というふうに読んで、事業が実施されているということでございます。
  77. 上田勇

    上田(勇)分科員 少し無理がある言い方のように聞こえなくもないのですが、そういう言い方をすると、何でもできるということですね。これはやはり、組合員というのは生活しているわけですから、生活に関連するということであればもう何でもできてしまうということなので、この事業を定めること自体に何か意味がないような気がいたします。  それはさておきまして、葬祭事業は、JAが行っている場合と、それからJAが出資している子会社、株式会社の場合もありますが、子会社が行っている場合があります。いずれの場合も、私は、農協は本来組合員のためというのが最大の目的であるというふうに思いますので、組合員以外の者の施設の利用は組合員の利用の五分の一を超えてはならないというような、いわゆる員外利用制限ですね、これはJAが行っている場合もJA が出資している子会社が行っている場合も適用されるというふうに判断してよろしいのでしょうか。
  78. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  農協の事業量におきます員外利用につきましては、先生指摘のとおり、十条の第二十項で、組合員の事業量の五分の一の範囲内で組合員以外の者の利用を認めているということが明記されているわけでございます。  したがいまして、この規定は当然のことながら農協の事業活動自体には適用されておりますが、今お尋ねの、農協が出資している子会社に対する適用はどうかという点でございますが、先生御承知のとおり、農協法上、明記した規定はございません。  ただ、私ども、農協法全体の趣旨あるいはこの員外利用に係る趣旨にかんがみまして、従来から、農協が出資しております子会社につきましても、その子会社の事業につきまして、農協と同様に、農協に準じた指導をしているということでございます。
  79. 上田勇

    上田(勇)分科員 準じたということで、当然これは、農協本体が員外利用を制限しているわけでありますので、そこが出資しているというところが無制限であれば、これは農協事業のいわゆる抜け穴になってしまうということは言えると思うのですけれども。  そういう意味では、今そういう形で指導していただいているということでありますので、そういうことであれば、この葬祭事業などについても、組合員以外に対しては、一般に対して宣伝とか勧誘というのですか、一般紙の広告であるとか折り込み広告とか、そういったことを積極的にやるというのは、農水省の方として、私は、たしかそういうふうなことは慎重にやっていただきたいというふうなことを指導していただいていると思うのですけれども、その辺、御見解はいかがでしょうか。
  80. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  今私申し上げましたように、農協が出資している子会社が無制限に活動を行うということになりますと、これは確かに農協活動の抜け穴になってしまうというおそれもございますので、したがいまして、先ほど私申し上げましたように、農協の出資している子会社であっても、農協活動に準じた事業を行うようにということで指導をしているわけでございます。  それで、今先生指摘がございました、そうした農協あるいは農協の子会社が行います事業につきましては、従来から、基本的には組合員、例えば農協ですと組合員の利用が主体であるべきでございますので、そうした事業活動につきましては過度な誘引活動を行わないように、通達を出しまして、そうした指導をしているところでございます。
  81. 上田勇

    上田(勇)分科員 委員長、ちょっとお許しをいただいて、大臣にごらんになっていただきたい資料があるのですけれども。  今大臣にごらんになっていただいております資料は、全国いろいろな葬祭の事業者から寄せられたものでありますけれども、JAの葬祭事業の新聞広告それから新聞に折り込まれていたチラシでありまして、いずれも組合員以外でも利用できる、あるいはだれでも利用できるというようなことが、そこにちょっとラインマーカーで書いてありますけれども、かなりはっきり書いてあります。先ほど局長から御答弁いただいて、組合員以外には過度な誘引活動は行わないといったことが農水省のお考えだということだったのですけれども、これを見てみると、ちょっと違うのじゃないのかなという感じがいたします。  また、JA全中の地域振頭部というどころで出している資料を見てみますと、これは全国のJAにアンケートをとっているのですね。そうすると、これは網羅的ではないのですけれども、実はその全中の資料を見てみますと、調査した四百近い農協の中で、新聞折り込みでチラシを配布しているというのが、実に二二%の農協がやっていますと。電話帳に広告を出しているというのも一九%の農協でやっているそうです。また新聞広告も、一般紙について七%の農協で行っているというようなことを言っておるのです。  ずっとこれまでの議論で農協というのはあくまで組合員を対象にした、それ以外の部分というのはいわば例外的な対象にしているわけでありますが、どうもこうした事実を見てみますと、必ずしもそうした趣旨というのがJAさんの方にはうまく伝わっていないのじゃないのかなという感じがするのですが、大臣、これはちょっと行き過ぎではないかと思いますけれども、御感想をお伺いしたいと思います。
  82. 島村宜伸

    島村国務大臣 実は、私もこの御指摘、御質問をいただいた段階で、事前にいろいろ調査をさせました。いろいろ調べてみますと、先ほどお話にあったように、二〇%以内ということですが、現実は一〇%ぐらいのようでございますね。  冠婚葬祭事業というのは、都会、農村を問わず生活に必要不可欠のものでございますが、どうも採算の合いにくい地方、要するに農山漁村においては民間事業がなかなか成立しにくい、こういう面もございまして、必然的にこういう事業が行われるようになったという面があるのだろうと思います。ただ問題は、不採算であることは、これはもう農協であれ一般の民間事業者であれ同じことでございまして、結局は採算を維持するために多少間口を広げる、こういうことになっておるのだろうと思います。  さはさりながら、それが余り突出しまして民間の方たちに不快な思いをかけるようなことがあればこれはいけませんので、これからもその辺の実態をよく把握しながら我々なりに対応したい、こう思っております。
  83. 上田勇

    上田(勇)分科員 ひとつその点よろしくお願いしたいというふうに思います。  では、JAが行っている葬祭事業というのは農家の方々がどのぐらい利用されているのかというと、なかなか全国的な資料、統計というのはないようなのですが、たまたまちょっと鹿児島県の農政部から出ている資料ですけれども、その中のごくごく少ない、三つの農協について資料が出ているのです。それで見てみますと、平成八年度の利用実績というのが、これもまた統計上どこまで正確ということは言えないのですけれども、一応農協の正組合員ということで、農家の方々はどのぐらい利用しているかなというと約六割。つまり、利用者全体の約四割というのは農家以外の方が利用しているということですね。  他の地域について統計はないのですが、私が地元を含めまして農協にいろいろ聞いていると、私なんかの地元はもっと都会でありますので、実は八割から九割ぐらいが農家以外だというようなお話も伺います。  これはどうなのでしょうか。農協法第一条の目的あるいは農協法全体の趣旨から見て、この葬祭事業というのはどうもそれに沿わないような感じがするのですけれども農水省、いかがでしょうか。
  84. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  この葬祭事業につきましては、全国的に地域、立地によって相当ばらつきがあるというふうに承知をいたしておりますが、今先生の御指摘の例は恐らく鹿児島の市内に近い例ではないかというふうに思われますので、先ほど大臣から言われましたように、一般的に私どもが掌握している数字というのは、全体でいえば員外利用率が一〇%程度というふうに承知をいたしております。  そこで、今先生がおっしゃったのは、正組合員、つまり農家の方の利用率ではないかと思われますが、先ほど申し上げました農家とそれから准組合員、これも組合員としての利用率にカウントされますので、そういう意味でいえば、農協法上の問題は生じないわけでございます。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、昨今、地域におきまして、そういう事業体としての、特に冠婚葬祭のようなサービスがどうしても地元から要望されるためにこうした事業も 行っている、かつ、その場合には正組合員と地元の准組合員の方が利用している、その結果として、員外の利用率が平均でいえば一〇%という結果になっているのではないかと思われます。  ただ、地域によってかなり員外の方が利用している例は私どもも承知をいたしておりますので、その辺は農協法上の農協の事業活動に準じた適正な事業活動を行うように指導してまいりたいと考えております。
  85. 上田勇

    上田(勇)分科員 いろいろな統計とかを見せていただく限りにおいて、確かに員外利用率は、組合員以外は全体の六分の一以下ということで、規制というか制限に合致しております。  ただ、ここはちょっと実はまやかしがあるのじゃないかと私は思うのです。というのは、今ちょっと局長も述べられましたけれども、准組合員というのは組合員なのだと。准組合員というのは農家ではないわけですね。これは貯金をしていたり、保険に加入をされていたり、場合によっては、葬祭事業でいえば、だれかお亡くなりになって葬儀を出そうか、ではこのときだけ組合員になりますというようなケースもあるということでありますし、法律上も、地区内に住所を有する個人だ、それだけが条件ですね。つまり、農協は地域独占でありますので、その中に住んでいる人はみんな一定の要件、農協がいいと言えば、あるいは農協のサービスを利用していると言えば准組合員にはなれるということですね。  もちろん、これは農協法が制定された当時の社会情勢を見れば、全国圧倒的に農業型の社会、農村型の社会が多かったですから、その中で、正組合員でない、非農家の人にも農協がやっているサービスを利用させてあげますよという趣旨で盛り込まれたということはよくわかるのですが、やはりこれだけ混住化が進んでくると、むしろそれは農協が本来の目的、農業生産の増進だとか農民の経済的、社会的地位の向上、そういったところから、どうも准組合員という定義が余りにも広いので、少し農協の本来持っている目的が失われているのではないのか、その原因になっているのではないかという気がいたします。  さらに、そういう意味で農協というのは、先ほどちょっと申し上げましたが、地域独占、一つ地域には一つの農協しかない。これは独占禁止法の適用除外にもなっているわけでありますし、しかも、先ほど初めの方で話しましたが、いろいろな事業をやっております。信用事業もやっている、共済事業もやっている、銀行もやっていれば、保険もやっている、購買事業、スーパーもやっている、なおかつ葬儀屋さんもやっている。だから、いろいろな事業を手がけていると、これはやはり一つ一つ事業分野をとってみると大企業に相当する競争力があるわけですね。  しかも、資金的にもかなり豊かだし、地域にでき上がっているネットワーク、これは葬祭事業ということででき上がったものではなくて、ほかの目的で、いわゆる農業指導であるとか信用事業、共済事業などででき上がったネットワーク、情報網がある。そうすると、やはり一般の葬祭の事業者とはかなり競争条件という意味で不平等があるのではないかというふうに思います。  であるからこそ、いろいろな事業についての制限だとか員外利用の制限だとかが今逆の意味で生きてきているのだと思うのですけれども。先ほど大臣からも、やはり農協法の趣旨を超えたような事業というのは少し遠慮してもらうようにした方がいいのではないかというような御発言もありましたが、では、例えばこういう事態が生じたときには、一般事業者というのはどういうような形で調整をお願いすればよろしいのでしょうか。
  86. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 御指摘のように、混住化が進む中で、准組合員の比率が高まっているということは御承知のとおりでございます。ただしかしながら、農協というのは、本来農協の組合員、農家の方々のために活動するというのが本旨であるというふうに私ども考えております。  他方で、今先生指摘のように、混住化が進むと、特に農村部、山間部ではやはり公共的な意味合いを持つ農協に対しての需要というものもふえていることも事実だと思います。例えば中山間部における信用事業、そういったものについて、やはり地元としてはどうしてもそういったニーズがありますし、それに農協がきちっとこたえて効率的な事業活動を行っていく、これは一方で重要なことだというふうに認識をしております。  また、今先生が御指摘になりました地域事業者との競合問題でございます。これについては、従来からそうした地元の、特に中小の事業者の方々との間で摩擦が生じている、これまでも多々例はあるわけでございますので、私ども、そういう点につきましては、従来からそういう摩擦を生じないように、むしろ組合の本旨としてはやはり農協の組合員、准組合員も含めてでございますけれども、そうした組合員のための事業を基本的に行うべきである、さらに、そういう意味で員外者に対する過度の誘引行為は自粛するように、それから、そうした事業地元関係者によく説明をし理解を求める、紛争の未然防止に努める、万一そういうような状態に、ならないことが好ましいわけでありますけれども、相互によく話し合って実情に即した解決を図るようにということで、従来から都道府県を通じて指導しておりますけれども、なおさらにそうした地元での事業活動が円滑にいくように指導してまいりたいと考えております。
  87. 上田勇

    上田(勇)分科員 実は、この葬祭事業というのは農協に限らず、これはちょっとこういう言い方をするとなんなのですが、非常に成長マーケットというふうに認識されていました。農協に限らず民間事業者も、どんどんここ数年の間に参入してきた。生活協同組合なんかもかなり積極的にやるようになってきた。ところが、これは変な話ですけれども、供給量というのはそんなに、高齢化社会になって一つの成長分野とはいいながらもそうそうふえるものではなくて、どっちかというと供給過剰の状態に陥っているのが現状だというふうに思います。  これを事前に調整するというのは、実はこれはカルテルになるのでよくないことだと思うのですが、ただ、農協みたいに、あるいは生協も同じだと思うのですけれども、実際に一般の事業者とは若干競争条件の違うところは、やはり一定の調整をしていただかないと、純粋に民間事業者というのは今なかなか大変な状況にあるということでありますので、そこをひとつ御認識いただきたいのです。  それで、農協は大体都道府県が管轄されておりますので、都道府県にいろいろと苦情を持ち込む、こういうチラシが全戸に配布されてどんどん、お客さんというのか何というのかちょっとその辺はわかりませんけれども、持っていかれちゃうと。それで都道府県の方に行くと、県の方からも、それはその趣旨に反するので指導してもらえる、すると一時的にはそういうのはやむそうであります。ただし、都道府県の方の担当部局も、先に入っている業者とはうまくやってくださいよというような話で、指導はしてもらうようなのですけれども、どうもそれはちょっと過ぎるとまたもとに戻ってしまうというのが現実のようであります。  そこで、一般の事業者からそういったことについて苦情なり異議が出された場合には、JAも含めて県が主体になって協議をする場というのを設けていただくことが大切かと思うのですけれども、ぜひ県に対してもそういったことには速やかに対応してもらうように、農水省としても指導していただくようにお願いしたいのですが、よろしいでしょうか。
  88. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 まさに御指摘のとおりでございますので、そういう点も考慮いたしまして、私ども、従来からこの葬祭事業に限らず、例えば大店舗の出店なんかの調整についても従来から通達を出して指導しているということは先生御承知のとおりだと思います。こうした葬祭事業を含む農協活動につきまして、地元との調和を図りつつ円滑な事業を行うようにということで指導してまいり たいというふうに考えております。
  89. 上田勇

    上田(勇)分科員 最後に、ちょっと結論、総括的な話になってしまいますけれども我が国の農業は大変難しい時代を迎えておりまして、これからの農業を発展させていく、よくしていく、その中において、この農民の組織であります農協が果たす役割というのは非常に重要だというふうに私も思っております。  ただ、こういう事例をいろいろ聞かされますと、農協は、農業あるいは農業者を対象として事業を営むというよりも、何かそれ以外の若干営利主義的なところに力が入り過ぎているのではないのかなというような感じもします。これは全国的にすべての農協がそうだと言うつもりはありませんけれども、余りにも何か事例が多いんじゃないのかなというような感じがいたします。そういう意味で、どうも本来の使命が果たせなくなってきて、結果的には、本来の農協の分野とは別の民業とあつれきが生じているという、これが一つの事例じゃないかというふうに思います。  やはり、もう一度農協が本来の重要な役割、この使命を果たしていくためにも、今農協を取り巻く環境というのは、農協法、これは当初制定されたのが昭和二十二年ですか、その時点からは、我が国の社会の環境も大きく変わっております。農村型の社会から、今は混住化、都市化が進む社会に大きく変わったわけでありますので、きょうちょっと質問の中で触れました、この農協の行うことのできる事業、農協法の第十条、これももうちょっとはっきりさせるべきだというふうに思います。  農業生産や農家の方々と余り関係のないところというのは、私は明確にするようにしなければいけないと思いますし、先ほどちょっと触れました第十二条ですか、この准組合員の要件についても、その地域に住んでいる人で農協がいいということだけでは、何か農協の使命、役割というのが非常にぼやけてしまうのではないかというふうに思いますので、こうした内容も含めて、この法改正も含めて、農協のあり方というのはぜひ、これは前向きな意味でのことでありますけれども、御検討いただく必要があると思うのですけれども、最後に大臣にひとつ御所見をいただきたいというふうに思います。
  90. 島村宜伸

    島村国務大臣 おっしゃることはよくわかりますし、私もこの御質問を事前に拝見したときは、もっと高い率の利用者がいるのではないか、そしてこれが非常に拡大解釈されて、ある意味では乱用されてやしないか、そう実は心配をしたところです。  その理由は、やはり通夜とか告別式、まあ結婚式にしてもそうですが、特に通夜、告別式みたいな不祝儀は、えてして新幹線で行ったり車を飛ばしていくというよりは、なるべく近隣のところへ行くというのが常識です。我々はお互いさま東京ですが、やはり東京のようなところでも、余り距離がありますと大変不便ですね。特に、我々はまだ車がありますけれども、一般の方々は大変な思いをして相当な距離を歩くわけですね。そうなると、やはり農協の施設がそばにあれば使わせてもらいたいと思う気持ちも私はあると思うし、そういう、いわばある意味での公共性を発揮してもらうことも地域の活性化のために必要なのかな、今委員のいろんな御質問をいただく過程で、そんなことも実は感じたところです。  したがいまして、過度な宣伝とか、あるいは税法上その他の恩恵を受けている組織を背景とする施設が民業その他を圧迫したり、そういう健全な成り立ちを排除するようなものであってはならないと思いますが、それらは、行き過ぎがあったら我々はきちっと自粛を求めるということにおいては当然ですが、すべてシャットアウトしなさい、こういうことは、果たしてそれぞれの地域の実情に合うのかどうか、どの程度の分布があるのかちょっとわからないものですから、そんなことを感じておるものです。
  91. 上田勇

    上田(勇)分科員 時間でありますのでこれで終わりますが、本当に農協が本来の目的、使命を果たせるように、ぜひとも農水省の方で今後ともお取り組みをよろしくお願いいたします。  以上でございます。
  92. 関谷勝嗣

    関谷主査 これにて上田勇君の質疑終了いたしました。  次に、熊谷市雄君。
  93. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 きょうは、畜産問題、その中でも今大きな課題になっておりますふん尿対策、このことについて幾つか質問を試みてみたいというふうに思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  具体的な内容に入る前に、畜産農業の位置づけと申しますか、そういうことについて、大臣の考え方をお伺いしたいと思います。この前、大臣は、OECDの農業大臣合同会議、それから五カ国農業大臣会議に参加をされまして、今まで非常に難しい障壁であった日本の立場からのいわゆる食糧の安全保障、農業の多面的機能、こういうものを共同宣言の中にしっかりと位置づけをしていただいた。大臣の御労苦に対して、心から敬意を表したいというふうに思います。  そういった食糧安保という視点からして、農業、なかんずく畜産というものが極めて重要な意味合いというものを持っていると思うわけでありますが、このことについて、大臣の所見をまず最初にお聞きしたいと思います。
  94. 島村宜伸

    島村国務大臣 お答え申し上げます。  我が国の農業全体は、今先生指摘のとおり、まさに食糧の安定供給と国土の保全、自然環境の保護、そして水資源の涵養とか、あるいは清浄な空気の供給とか、あるいは農林水産業を通じて地域に定着し、我が国全体のいわば活力を維持していると言って言い過ぎでない、まずそう思います。  なかんずく、先生の御質問の畜産に関してでございますが、これは、動物性たんぱく質の重要な供給源として国民の食生活に大きく貢献していることは、改めて言を要しないと思います。  ただ、戦後、高度成長期を迎え、国民の生活水準もいろいろ高まると同時に、食生活はかなり多様化し、また高度化もしてきたと思います。また、遺伝的な面もありますが、欧米人に比べて大きく見劣りした体位の向上。特に、少子化時代を迎えますと、親は必然的に子供に大変な意を注ぎますが、そうなればなるほど、やはり畜産物に対する需要が高まってくるというのは、当然の結果だと思います。  そういうことごとを含めまして、畜産というのは非常に大事でございますし、また、日本のように約四割の農地が中山地域にあるという地形的に不利な面も考えるならば、いろいろな地域に応じてそれぞれ畜産業が今大きく成長発展を遂げておりますように、日本の国情にある意味では合う面もあるのではないか。  また同時に、これを大いに盛んにしていくことは、食糧の自給率の低い日本の国にとって、他国依存に傾きがちな日本の農林水産物に対して、我々はこれをある意味では保護育成をしていく義務があるのではないか、そんなことを痛感している昨今であります。  そういう意味では、これからも先生のような御専門の方の御意見等を承りながら、国際化の進展に対応し、かつ国内の最低限の供給力を確保するという面で、我々は大いに努力をしていきたいと考えます。  ただ、畜産業というのは、かわいい牛とかあるいは豚とか、そういうのを見ている分にはそれなりにすばらしいところではありますが、目に見えない大変な御苦労をいただいていることは、この仕事に携われば携わるほど、掘り下げれば掘り下げるほど強く感じるところでありまして、私は、そういう方々の窮状といいましょうか、あるいは実際の経営上の困難さといいますか、負担の大きさといいましょうか、そういうことごとにまで思いをいたして、これからの畜産業育成に努めていきたい、そう考えます。
  95. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 ありがとうございました。  おっしゃるとおり、今、日本の食生活というの は内容的にかなり変わってきているわけであるし、特に戦後から今日までのそういう経緯を見ますと、動物性たんぱくと申しますか、あるいは脂肪というか、畜産が生産をするものの量がかなわ多く消費されている傾向になってきている。同時に、国民全体の体位の向上というか、こういう点にもかなり貢献をしている。今の子供たちの背の高さ、持久力とか体力というのはまた別ですよ、体格ということからすると、雲泥の違いが出てきた。これは、やはりそういう肉質的な養分というものを摂取している一つ効果であろう、こんなふうに考えるわけで、畜産というのは、そういう意味から、極めて大事な食生活の中でのウエートを占める、このように私も認識をさせていただいているわけです。  ただ、最近の畜産を取り巻く国際情勢というか、そういうものを見ますと、例えばイギリスの狂牛病とか、台湾の口蹄疫とか、それから香港のインフルエンザとか、予想しない形で何か大量の事故というか、そういうものが発生をしてくる。そのことによって、需給というか、あるいは国際市場に与える影響というか、そういうものが大きいわけでありまして、極めて不安定な要素というものを一面抱えている。  したがって、輸入食品に依存するということの危険性というか、こういった点からも言われるわけで、特に畜産の自給率というのは半分ぐらいのところまで落ちてきたわけでありますから、これ以上下がらないように、これからしかと位置づけをしながら、食糧安全保障というものを確保していく必要があるな、こんな感じがするわけであります。  それからもう一つ、畜産を考える上で大事なことは、土壌と畜産の関係なんです。これは申し上げるまでもなく、耕地、土壌というのは、農業生産の基礎でありますから、土壌の状況のよしあしというものが農業生産のよしあしを決定する。将来的に持続的な発展というものを考える上で、土壌の地方というものが不可欠の要素になってくる、こういうふうに考えられるわけです。  この間、何年か前に政府が調査をした土壌検定の結果などを見ると、不良土壌が半分以上を占めている。今はもう六割近い状況になっているのじゃないかな、こんな感じがするわけでありますが、そういう一つの調査を踏まえられて、特に畜産と関係のある有機質の土壌含有量というか、そういうものが現在どのような状況になっているか、これをお尋ねしたいと思います。
  96. 高木賢

    ○高木(賢)政府委員 有機質、特に堆厩肥の施用量で見ますと、昭和五十年ごろには十アール当たり二百五十四キロ、さらにそれを十年さかのぼります昭和四十年ごろには五百キロあたり、こういうことでございましたが、年々低下をしてまいりまして、平成に入りましてからは、大体、平成元年が百八十八キロ、五年に至って百十五キロという水準でございます。
  97. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 今説明がありましたように、十アール当たり百十キロぐらいというのは、これは薬を与えているようなものであって、土壌の、言うならば地方の増進ということには、本当にスズメの涙のようなものじゃないかな、こんなふうに考えるわけであります。  そこで考えられることは、家畜が排せつをするふん尿というもの、これは有機質の肥料としてはかけがえのない貴重な資源ではなかろうか、私はこんなふうに考えるわけですむどちらかというと、ふん尿というのが厄介者扱いされて、汚い、まずい、余計なものだ、要らないものだ、そういう扱い方をされ、特に今、環境の規制が時代の要請の中で非常に高まってきているという形の中で、このふん尿というものを処理する上で大変大きな課題になっているわけであります。  この間、私、党の酪農畜産対策小委員会のメンバーと一緒に、一道三県の畜産農家の現状というものを視察、見聞をしてまいりました。多くの畜産農家の方々との話し合いなどもしてきたわけでありますが、一番困っているのは何かという一番手に、ふん尿対策で参っているんですという声が一番多かったわけであります。非常にすばらしい堆肥舎なりあるいは処理場を持って、うまく処理をしながら有効にこれを資源として、特に耕種農家なんかと提携をしながら、大変効率的な、合理的な処理をやっているというものもあれば、反面、野ざらしというか、素掘りなり野積みのような状態でほっぼらかしておくというような状況もあるわけでありますが、全体を通して、ふん尿の現状というか、さらに、その中でふん尿処理というものがどの程度進んでいるのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  98. 中須勇雄

    ○中須政府委員 御承知のとおり、我が国国土に飼われております家畜から排せつされるふん尿の量、これは推計でございますが、年間で七千万トンに達するというふうに言われております。  これらのうち、それぞれ畜種によって、その状況に応じたふん尿処理ということが行われるわけでありますが、典型的には、例えば酪農におきましては、六割ぐらいは、ふんと尿を分離いたしまして、ふんについては堆肥化を図る、尿については液肥化を図る、また四割ぐらいは、ふん尿混合のまま、スラリーと呼んでおりますが、液肥化を図っている、こういうような処理が行われるのが一般的でございまして、これらでつくられた液肥なり堆肥というものは、多くは農地に還元されまして、先生が先ほどおっしゃいましたような、自然の循環機能を生かす農業の一分野を構成している、こういうことだろうと思います。  ただ、残念ながら、すべてがそのようにうまくいっているかというと、必ずしもそうではないのが事実でございまして、私ども農林水産省が平成九年に行いました環境保全型農業調査というものの中では、必ずしも適切な処理とは考えられない、先生お話にも出ました野積みとかあるいは素掘りといった処理が、例えば酪農においては、ふんと尿を分離して処理している場合には約四割が野積み状態である、あるいは、ふんと尿を混合して処理している場合でも三割が野積みになっている、こういうようなデータが得られております。また、養豚におきましても、約一割弱ぐらいがいわゆる素掘り状態で処理されている。  やはり、こういった部分についてどう改善を図っていくか。そのほかの分野もございますが、今後の家畜ふん尿処理の適正化を図っていく、あるいは自然の循環機能を生かした農業を行っていくという上での大きな課題として残っている、そういうふうに考えております。
  99. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 今お答えをいただいたように、ふん尿処理の実態というものは極めてお粗末なものである、一口に言うならば、そういうことじゃなかろうかなというふうに思いますし、いろいろ今農水としても、環境対策などの一環としてさまざまな手だてを講じながら、堆肥舎なりあるいは浄化槽の施設なり、こういうものを設置するような促進をやっておられるようでありますが、これも、結局は生産者の負担も伴ってくるというものがあるものですから、今の畜産農家の経営の実態からして、そこまで負担をする能力がないというか状況には至っていない、ここにこの処理施設の進まない最大の理由があるのかなというふうに思います。  この前、方々見てきたわけですが、やはり依然として素掘りに尿がたまっている、あるいは野積みにされている厩肥というものがたくさん見受けられてきたわけであるし、一体、こういう状態というものをそのままほっぽっておいていいのかな、こういう一つの問題なども痛感をしてきたわけであります。  特に、家畜のふん尿から出る成分が地下水なりあるいは河川というものに流入をして、水質を汚濁してくる。その汚濁によって大変な感染病が発生するという問題が過去にもあったわけであります。平成八年六月、埼玉県下では、集団感染ということで八千八百人感染をしたという問題がありましたし、さらに、一九九三年、アメリカのミルウォーキー州では、四十万感染をして四百人の死亡者を出した、こういう痛ましい大きな事件も前例としてあるわけであります。  したがって、この家畜のふん尿問題というものは、公益衛生というかあるいは公益環境というか、そういう行政からのとらえ方をしていかないと、これは大変な問題になってくる。ミルウォーキー州のような大規模な問題が日本にもし発生したと仮定した場合、これは、日本の畜産というものが壊滅的に打撃を受けるというか、やめざるを得ない、そういう問題にもなりかねないものがあると思うわけです。  したがって、これは、今申し上げましたように、公益衛生あるいは環境というかかわりが大いにあるわけでありますが、厚生省なり環境庁なりが、畜産のふん尿という事態というか問題をどのようにとらえておられるか、お聞きしたいと思います。
  100. 仁井正夫

    ○仁井説明員 御説明申し上げます。  家畜のふん尿廃棄物の場合には、廃棄物処理法上の産業廃棄物という扱いになりまして、これにつきましては、処理の基準あるいは保管の基準といったものが定められているところでございます。  具体的には、保管あるいは再生等の処理をする過程で、ふん尿が飛散あるいは流出しないような必要な措置をとりなさいといった基準が定められているところでございます。  お話のありましたような水質汚濁あるいは原虫対策の問題といったことに関しましては、飛散あるいは流出の防止ということが重要なことと認識しております。  私どもとしても、その実態を調査して、必要な対策につきましては、環境庁、農水省、あるいは地方公共団体といった関係機関と連携しながら検討してまいりたいと考えております。
  101. 畑野浩

    ○畑野説明員 お答え申し上げます。  私ども環境庁では、河川それから湖沼、海域等の公共用水域というものを保全する観点から、各種の発生源に対する対策を実施しております。それで、産業系それから生活系の汚濁負荷の削減とともに、畜産農業におけるふん尿等の適切な処理というものを行うことについて、大変重要な課題というふうに考えております。  このために、畜舎、具体的には、一定規模以上の豚房、それから馬房、牛房といったようなものを水質汚濁防止法の特定施設という形で指定をいたしまして、排水の規制を行っているところでございます。  今後とも、いろいろ関係の方面とも連携をとりながら、畜産農業におけるふん尿に起因する水質汚濁の防止対策の充実に努めてまいりたい、かように考えております。
  102. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 今いろいろとお話は聞いたわけでありますが、環境規制の法律はつくった、法律を制定すれば事が足りるというものではないと私は思うのです。これは当然、法律があっていろいろなものが出てくるわけでありますから、法律は優先しなければならないということで、畜産に関係するいろいろな法律も今はあるということは私も知っているわけですが、法をつくった、その法律の機能を発揮させて、そして、例えばさっき申し上げましたような事件なり事故というものが未然に防止されるという、そこまでやはり行政の責任というのは延長されるんじゃないか。法律をつくって、行政の責任がそれで逃れられるというものじゃないと思うのですが、法律に基づいて、具体的に政策としてどんなようなことをやってきたか。  それから、ついでに予算的な措置というもの、どの程度の措置を講じられてきたかということについて、再度お伺いしたいと思います。
  103. 畑野浩

    ○畑野説明員 お答え申し上げます。  ちょっと説明が舌足らずでございましたけれども、私ども規制法で規制すればそれだけでということは思っておりませんで、私どもの行政の仕組みは、水質汚濁防止法に基づきましていろいろな施設を指定いたします。それに伴いまして、地方公共団体、県、あるいは政令市というものといろいろ連絡をとりながら、具体に対策を要するところというものをいろいろと御相談を申し上げながら、実際に削減をどういうふうにやっていくかということを御相談していく、かような仕組みになっています。  その過程におきまして、当然のことながら、正確に申し上げますと、お役所の方にもいろいろ畜産の関係のところがございますし、そういったところとよくお話し合いをさせていただいているところでございます。  それから、予算の関連でございますけれども、私ども、実はこういった特定施設全体に関するものというのがございますけれども、残念ながら、畜産排水のみに着目した行政上の措置というのは講じておりませんので、よろしくお願い申し上げます。
  104. 仁井正夫

    ○仁井説明員 御指摘のとおり、制度があるからということではなしに、そういったものが実現できるような状況をつくっていく、これが行政の責務というふうに思っております。  私ども、実際の廃棄物処理法の施行、これ自体は都道府県に委任といった状態になっているわけでございますが、いろいろと対策を進めていくところで、廃棄物部局と畜産部局との連携といったような中で現場における対応をしていただくというのが基本であろうかと思っております。  なお、廃棄物処理の立場から申し上げると、排出者の責任における適正な処理といったところが原則にございまして、直接的に処理そのものに関して、なかなか公費でもってという枠組みになっておりませんが、実際上、そこの地域において処理が困難な廃棄物、これは数多くございますので、廃棄物処理法におきましても、都道府県ごとに廃棄物処理センターを設置して、公共関与において廃棄物の処理を行っていくといったような仕組みを設けております。  こういったものを活用して、地域としての対応をとっていただければというふうに思っているところでございますし、また、これに対して国としての支援もしているところでございます。ただ、先ほどの環境庁さんと同様の部分もございますけれども、家畜ふん尿だけを取り出してといったような形での予算措置にはなっておりません。御了解いただきたいと思います。
  105. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 まあ、内容は極めてお粗末であって、法律はつくったけれども中身は何にもないと言ってもいい状況じゃないか。今、畜産ふん尿そのものに対する特別なものというのは考えていない、そういうお話だったのですが、さっき言ったように、大変な問題になっているわけです。例えば、今ここでクリプトスポリジウムのような、そういう事件が発生したということになったら、だれに責任が帰属されるのですか。これは生産者なのか、あるいは広域環境というものを所掌するお役所なのか、この判断ということについては、裁判でも大変な問題になってくると思いますよ。  だから、このことについて、やはりもっとしっかりとした対策というものを考えていただきたいと思いますし、もっともっとこの内容を詰めてみたかったのですが、時間もありませんので、最後になりますけれども、これは家畜ふん尿だからひとり農水だけにという問題じゃない広がりというものが出てきているというような、そういう状況の中で、縦割り的な行政のそういう責任のなすり合いという形じゃなくて、関係省庁というものが連携をとりながら、どうすれば具体的に今のふん尿問題の解決というもの、これは一気にできないにしても、積極的に、前向きに取り組んでいく必要性というのは、もう差し迫って今日の前にあると思うのですね。この問題認識というものをひとつしっかり持っていただいて、各省庁間で連携を深めながら、これに対する積極的にして抜本的な対策というものをぜひ講じていただきたい。  これは、主体はやはり農水省ということになってくると思いますので、そういう問題を十分に踏まえられて、これから適切な対応というものをぜひやってほしいというふうに思いますが、この問題についてのお考えをお尋ねしたいと思います。
  106. 中須勇雄

    ○中須政府委員 御指摘のとおり、家畜ふん尿の 適切な処理ということは、もちろん私ども、畜産というものを所管しておる立場から、極めて重要な課題というふうに考えておりますが、同時に、ただいまお話ございましたように、環境に与える影響、人の安全という面でも、見過ごすことのできない重大な問題もはらんでいる、こういうことでございます。  これまでも関係省庁といろいろ打ち合わせをし、対策を講ずるという意味で協調するよう努力してまいりましたが、今後ともなお一層そういった体制を強化して、力を合わせて解決に向かって努力をするということで取り組んでいきたいと思います。
  107. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 先ほど、家畜のふん尿も産業廃棄物という範疇に該当しているんだ、こういう説明があったわけでありますが、そうしますと、一般の産業廃棄物の処理というのはかなり進んでいると思うのですよね。ただ、遅々としてそのままの状態に放置されているというのがこの家畜ふん尿でありますから、やはり産業廃棄物処理行政の中に畜産ふん尿というものをひとつ大きく取り上げてやっていただきたいということと、そういうことであれば、例えば市町村なりJAなりが公社のようなものをつくって、そういう処理場をつくるという場合には一般の産業廃棄物と同じような国としての助成なりあるいは支援の恩恵に浴される、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  108. 仁井正夫

    ○仁井説明員 廃棄物の処理という立場からでございますと、その産業廃棄物の処理、これは排出事業者責任という形になりますので、公共関与で公共も参画した第三セクターが処理事業を行うといったようなこと、あるいは市町村が行うといったようなこともございますけれども産業廃棄物の処理にかかわる部分に直接的に公費を出すといったような枠組みにはなっていない状況にございます。
  109. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 まあ、時間が大事なところで切れてしまったので、あといずれ次の機会に今の問題をもう少し深めてお伺いさせていただくことにして、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  110. 関谷勝嗣

    関谷主査 これにて熊谷市雄君の質疑終了いたしました。  以上をもちまして農林水産省所管についての質疑終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力により、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後零時一分散会