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福岡分科員 民友連の
福岡宗也でございます。
私は、公務員の倫理の確立という問題について御質問をいたしたいと存じます。
一昨年に惹起をいたしました岡光厚生
事務次官の汚職事件の発生以来今日まで、約一年余になるわけでありますけれども、その間に官業癒着の構造的汚職が本当に多発をしてまいりました。特に、大蔵省が監督すべき金融機関等からの接待漬け、こういうことの実態は、国民の公務員に対する信頼を大きく失わしめる結果となり、その国民の怒りはまさに頂点に達しようとしているわけでございます。
私たち政治の場に身を置く者といたしましては、おのれ自身も身を正すとともに、公務員の倫理を確立するための諸方策についても早急に
実施をする、国民の行政に対する信頼を回復する、こういった責務があるというふうに思うわけでございます。
そして、岡光事件が発生をした直後の昨年の二月五日に、私は衆議院の
予算委員会において、政治倫理、それからさらに公務員の倫理の確立について、総理に対しまして御質問を申し上げました。
若干要旨を申し上げますと、国民の政治、行政に対する不信が高まる今日、我々は政治不信を解消するために、みずからも厳しく律するために、政治倫理法と公務員倫理法を制定する必要があると考えます。総理はさきに、公務員倫理法におきましては、各省庁における公務員倫理規程をつくるということで、その自浄能力に期待するとも述べられているようであります。しかし、国民は、このような内部規制方策では、現在のこういった危機の中で到底納得をするとは考えられないのであります。一罰百戒のことわざもありますように、厳しい制裁を盛り込んだ政治倫理法、公務員倫理法の制定こそが肝要であると考えます。こう申し上げまして、総理に対して、直ちに公務員倫理法の制定を求めたのであります。
しかしながら、橋本総理の答弁はこういうものでありました。公務員倫理法という問題を視野に入れていなかったわけではありません。しかし、同時に私どもは、法をもって抑える以前に、圧倒的多数の公務員の諸君が持っているみずからの恥を知る心、あるいは良心と言いかえても結構です。そうした気持ちというものにもう一度望みを託してみたい。そして、全省庁において、法規範性を持つ訓令としての公務員倫理規程が制定されたわけであります。今後、その厳格なる遵守を図ることによって、
政府を挙げて、綱紀の粛正を徹底しながら国民の信頼を回復するよう努力していく。こういうふうに答弁されまして、結論的に言えば、規則に従ってやれば十分だ、そして倫理法制定については否定をされたわけであります。
しかし、その後の状況を見ますと、私が予想をしたように、その後も公務員の汚職は大蔵省を中心に多発しましたし、大蔵関連で最後には特殊法人の日銀まで波及する、こういう状況になっております。そうして、大蔵大臣も責任をとって
辞任をするという事態に発展をしたわけであります。そこで、橋本総理もようやく重い腰を上げて、1政治倫理法と公務員倫理法を罰則を含むものとして制定をしようということを宣言されたわけでございます。
総理のこのような決断というものは、遅すぎた感はありますけれども、それはそれとして歓迎すべきことだというふうに思っております。しかしながら、その内容と施策が問題であります。倫理の確立ということは、単に倫理法を制定すれば済むという問題ではないわけであります。いろいろな角度からこれを検討してその要因を探る、そしてこれに対する的確な諸施策を総合的に
実施する必要があるというふうに考えるものであります。
そこで、その要因を検討するのに参考になる一つとして、汚職事件、刑事事件として逮捕された人、ここのところ一年間で数名ありますけれども、こういった汚職事件発覚の端緒は一体何だったかということを考えてみたいと思うのですけれども、いずれの事件も、これはすべて検察庁が他の事件で捜査をした、そのときの証拠書類を検討しておって発覚した事件ばかりであります。岡光事件も、県の
職員の汚職事件の捜査の関連で発覚をしておりますし、それ以外の事件も、もとはといえば総会屋への利益供与事件というものに端を発して銀行が調べられた、その中の資料の中にあったということでやっと発覚したという、これは全部刑事事件であります。省庁内の本当の自主的な
調査といいますか、そういったものによって事件が明るみに出たというのは皆無と言っていいわけでございます。刑事事件に関しては皆無であります。
ということは、どういうことかというと、実質的に、総理は倫理規程を厳格に適用するとおっしゃったけれども、厳格に適用なんかされていないということ、全く機能していなかったということの証拠だというふうに私は思っております。
そこで、ちょっとここで公務員の倫理に関する関係の
規定を見てまいりますと、まず国家公務員法にもそれ相当の
規定はちゃんとあるのですね。八十二条に、「
職員が、左の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。」として、まず第一号は法律違反ですね。それから次に職務義務違反というのがあります。それから最後に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」というので、まさに関係業者からの接待漬けみたいなことはこれにもう明白に該当するということなんですけれども、どこまでが正当か正当じゃないかなどという議論で、金額をどう定めようかなどという議論が今されているというところであります。
それからさらに、先ほど話題になりました各省庁の倫理規程というものを見ますと、これは大蔵省の倫理規程もほかの省庁もほとんど同じでありますけれども、第五条を見ますと、「
職員は、関係業者等との間で、次に掲げる行為を行ってはならない。」として、第一号で「接待を受けること。」会食をすること、遊技、転任に関するところのせんべつはいかぬとか、ずっと十二項目あります。それで、最後に「一切の利益や便宜の供与を受けること。」という総括的な
規定も置いてあります。結構これは網羅的で、しかもびっしりとした
規定であります。
こういう
規定を置いて、さらに十一条でもってどうなっているかというと、これに違反をした場合には、任命権者またはその命を受けた者はこれについて懲戒処分をすることができるのだということを置いて、そしてその懲戒処分としては免職、停職、減給、戒告、こういうものも置いておるわけであります。はっきり言えば、この四つのことで、そういう事態があったということになれば、直ちにこれはどれかの処分をしていいのですね。
そして、しかも一応
審査機関も設けているのです。これは、事実を
調査し、必要な助言や監督をするための、また指導をするための使命を有しておる服務管理官というのを、総括服務管理官というものも定めておるわけですから、これのところで取り上げて、疑いがある場合は直ちに
調査をすればいいわけであります。
したがって、この規程どおり実際に行われれば、ある程度の実際の庁内の不祥事というものについての摘発というのは可能であったわけですし、刑事事件もむしろこれらの
調査に基づいて摘発されたということになれば、なるほど、自浄作用があるなという形で、これはまた将来に期待ができるというわけでありますけれども、実態はそうではないわけであります。
そうすると、それが機能しない理由というのは何かということなんですけれども、結局のところは、長い間の官業癒着体質というものから生まれてくる構造汚職であって、特に一部の不心得者、とんでもない性質の人間というのはどこでもおるわけですよ。そういう連中がやった単発的なそういう事件ではないということなんですね。省庁全体の中にそういう体質がしみついておるとしか考えようがないわけです。そして、そのような中で、監督、指導、
調査もするという服務管理官が身内であるということであって、独立した第三者機関ではないということもあって、全く機能しなかったわけであります。
そういう意味で、今回
審議されておりますところの、公務員の倫理規程というものをやるときには、構造そのものに対して本質的に考え方を変えないといけないというふうに思っているわけですね。そういうことであります。
そこで、まず第一の質問でありますけれども、先ほど言いましたように、刑事事件となる事件については、発覚の端緒はすべて、一〇〇%検察庁の他事件の
調査に基づいて発覚したものであるのですけれども、それ以外の、刑事事件以外の倫理規程違反事件で、服務管理官の方の
調査によって懲戒処分を受けたような事件がこの規則制定後あるのかどうか、あればその件数と、それからその中で大蔵関係の
職員関係の件数というのが何件ぐらいあるかということ、それからさらに、大蔵関係の事件の
概要ですね、簡単でよろしいですが、
概要とその処分というのがどういうものであったかということをまずお伺いしたいと思います。