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野田(毅)
委員 具体的に、私は、たくさんありますが、幾つかの我々が言ってきたことで、それが受け入れられなかった、あるいはツーレート、遅過ぎた形での受け入れであったということを幾つか申し上げておきたいと思います。
第一は消費税、この問題は今申し上げたとおり。
総理自身もお認めになった。
それから第二は、
減税問題であります。
私たちは、これは後ほど触れますけれども、この
減税措置というのは、いわば今の
日本を構造的に立て直していくには、どうしても民間の力をエンカレッジする、古い言葉でありますが、昔は民力の涵養という言い方もありましたが、その民力の涵養をしていくという、これによって
日本の
経済を再建していくのだ。それには、言うならサプライサイド、担い手側のやる気をどうやって引き出すか、このことがこの
減税論の中でも、さっきからちょっと議論がありましたが、
法人税減税でやったり、これはさっきの話があった
日本の
産業空洞化と関係しているわけだけれども。
あるいは所得
減税についても、ただ単に今回やったような課税最低限引き上げ方式ということではなくて、税率構造そのものをちゃんと、やはり最高税率を半分以上取っちゃいけませんよ、泥棒でも山分けというのですからね。山分けというのはフィフティー・フィフティーだ。懲罰的な高い税率を持っていて公平だ公平だと言っていても世の中うまくいかない。
余談になりますが、サッチャーさんが
総理になられたときに、イギリスの最高税率、
所得税は九〇%だった。サッチャー
税制改正は三回ぐらいに分けて行われているけれども、
最初にやったのはその九〇%を六〇か六五に落とした。だけれども、そのときには税収は逆にふえたのですよね。だから、税率が高いということは、結果として、
租税回避行為とか、言うなら脱税インセンティブを働かせることになる。
租税というのは、やはりフェアな形でみんなが納める形というのは
考えておかなければいけない。
そんなこともあって、十八兆円
減税、当面十兆円だということで、我々は
所得税の半減をしますよということを言った。しかし、これは規模が大きくて世の中もびっくりして、何か選挙のために言ったのじゃないかというような反応もあった。残念ながら我々は勝利できませんでした。しかし、当時、恒久
減税論を真っ向から否定した方々も、今になると似たように大幅
減税を言い出していて、やはり小沢一郎率いた政党は正しいことを言っていたじゃないかという評価に今なってきた。今、
総理の方も、恒久
減税措置を今度の参議院選挙に向けて
政府税調で勉強してもらおうというところまで話は来ている。
実は昨年、三月であったと思います。二月から三月にかけて、恒久
減税ができないなら、せめて
特別減税の打ち切りはしないで継続だけでもしたらどうだといって、私たちは実際に法案を提出したのですよね。それは今
総理がお話しになったように、その法案も握りつぶされた、そして廃案になった。だけれども、結果的には、ことしの一月に
特別減税をやらざるを得ない
状況になってしまっている。このことも私は指摘をしておきたいと思います。これは今
総理が、お話があった。
そしてもう一つ大事なことは、お触れがなかったのですが、不良債権処理問題なんです。
この不良債権処理問題について、これは私たちは二年前、いわゆる住専処理国会、その後、金融三法の
審議があった。そのときに、住専処理にだけかまけていてはだめだ、住専だけじゃない、それよりも大事なのは、
金融機関が破綻をするということは十分
考えられるのですから、その
金融機関が破綻したときにどうやって預金者に迷惑をかけないか。そのためには、公的資金を住専処理に使うのじゃなくて、
金融機関の破綻に公的資金を入れるべきであり、そしてそれを入れるときには、ただお金を入れるだけじゃなくて、経営責任等々の追及もしなければならない。そして同時に、債権回収を厳しく徹底してやらなければならぬのですから、ただ単に普通の行政機構ではこれはだめなんで、言うなら司法上の公権力というか、言うなら管財人的な、強制的なそういう回収の権能を持つような特別の不良債権処理
機関をつくるべきであるということを、二年前、住専国会で私たちは提案をした。
提案をしたのだけれども、とうとうそのときにはお聞き入れがいただけなくて、むしろ、いや、もう不良債権処理は、大体、信用組合は別として、銀行クラスは自分で処理能力があるんです、つぶしませんというような話で、とうとうその部分は伏せたままになってしまった。そしてずるずる日がたってきて、昨年今ごろ、当時
松永さんでなくて三塚さん、
大蔵大臣でおられて、不良債権の処理は順調に進んでおります、こういうことで胸を張られて、そして引き続いて、銀行はつぶしません、こういう話があった。
私たちは、そんな簡単な話じゃないよ、むしろ不良債権処理を早くやらないと早期是正
措置なり金融ビッグバンを控えていくと大変なことになりますよ、だからまず順序そのものを間違えているんじゃないですかということを、この二年間口をきわめて私は言ってきたつもりです。この国会でも何回もそのことを言ってきた。
だけれども、ようやくこれも、ことしのこの前の
経済対策で何か初めてそういう、この不良債権処理についての権能を、整理回収銀行かなんかをさらに強化してやっていこうという形になった。しかしこれも、私は、本当に
政策不況と言われるにふさわしい判断誤りであった、
政策選択を間違えた。我々の言うことにもう少し耳を傾けてくれて、言うなら政党間の与野党の対立的な枠組みだけで受けとめるんじゃなくて、まじめに我々が提案したことをしっかり受けとめておいてもらえばよかったのになという思いがあります。
それからいま一つ。財政構造改革法、これは午後から野党各党、それぞれ問題提起をしてきたとおりであります。
私はこの点で、昨年の臨時国会で実際に答弁をいろいろ聞かせてもらいました。私も質問をした。
例えば、公共
事業について、初年度に七%程度を対前年で削減して、その後は対前年でマイナス、マイナスにしていくんですよという、いわゆるキャップという
考え方というものは合わないんじゃないか、こういったことは法律で決めるべきことじゃないじゃないですかということを私は問題提起いたしました。
つまり、一つは、当初
予算を厳しくしたとしても、後から
補正で
追加して結果としてふやすのなら何ら意味はないじゃないですか、だから結局、この法律の精神ということからいえば、
補正でも
追加はしないということでなければこの法律をつくる意味がないじゃないですか、こういうことを聞いてみたんですが、当時三塚さん、そのとおりだ、こうおっしゃった。そして、
景気対策としての
補正もやらないでいいんですか、こう聞いたら、集中三カ年ということはそういうことなんです、
経済政策が直ちに
補正要因と
考えるべきではありません、財政法二十九条は厳格に
考えるんです、こういう話だった。
私は、これは大変大事な問題ですよ、だから、こんなことをやっていたら
景気対策の両手両足を縛ってしまうことになりませんか、金利はもうこれだけの超低金利ですから動かせない、その中で、財政が動かなきゃならぬときのその両手両足まで本当に縛っていいんですか、大事なところだから、
総理は一体どうなんですかという確認までしたんだ。覚えておられるかどうか。そうしたら、三塚さんがおっしゃったことを私もそのとおりに
考えますという話だったんですよね。
ですから私は、そういうことをやっていれば、そういう財政再建、かたくなな、言うなら目先の財政収支、帳じり合わせを優先するやり方をやっていれば大変なことになりますよ、こんなことをやっていれば、我々は地獄行きの特急列車に乗っているのと同じじゃないですかという話までしたのですが、しかし、それが財革法の原理だということまでお話があった。
結局、消費税の引き上げ等々あったのだけれども、昨年の秋が
政策転換、路線
転換をすべき一番大事な時期であった。この一番大事な時期に財革法をつくってしまった。そして、それに基づいて当初
予算を組んでしまった。それが、今日まで身動きがとれないことになってしまった。このことをまず
総理はお認めになりますか。