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大口委員 平和・改革の
大口でございます。
きょうは、有料老人ホームについてお伺いしたいのです。それから介護保険の適用との
関係、それから消費者保護との
関係、そしてまた建設省の高齢者のための住宅政策についてお伺いをしたいと思います。
有料老人ホームというのは、今、入居一時金が、一人の場合は二千七百十三万円、あるいは二人入居の場合は三千七百四十八万円、多額の入居一時金というものを出しまして、老後のすべてをかけて入居する、こういうようなことでございます。そういう点で、非常に消費者の保護という観点から大事だろう。また、高齢社会ということを考えますと、民間の活力、そしていろいろな選択肢を用意する、そういう点では非常に大事なのでございますけれども、消費者保護ということをしっかりと考えていかなければいけない、こういうふうに思っております。
そういう中で、有料老人ホームのこれまでの
状況を見てみますと、行政の方からいろいろと警告ですとか監察だとか、そういうものが出されておるわけです。
例えば、一九九二年の六月には、関東管区の行政監察局が、東京都にホーム指導の徹底を求める、こういうことがありますし、一九九三年の十二月には、公取が五施設に不当表示の警告を発しておりますし、また一九九四年には、総務庁が勧告をしております。そしてまた一九九六年には、公取が関西の六施設に不当表示で警告しております。一九九七年には、東日本の五施設について、これも警告をしております。そしてまた、同じくその六月には、社団法人の全国有料老人ホーム協会にも異例の警告をしております。その後、行政監察も中部においてなされておる。
たびたび警告がなされ、行政監察もなされ、また都道府県も調査をしたりしているわけでございますが、一向に改善が見られない、こういう
状況でございます。
そういう中で、愛知県における全十四の施設、これは総務庁の中部行政監察局が行政監察をやりました。そしてまた、さらに愛知県も立入調査をしております。行政監察局もそうでございますけれども、都道府県の立入調査によってその
中身がかなりよくわかります。
それによりますと、この愛知県の十四の有料老人ホームにつきまして見てみますと、まず、老人ホーム協会に入っていないのが十、入っているのは四という
状況。それから、入居一時金もかなり多額の入居一時金を入れているわけでございますので、この入居基金というのがございます、後ほど
質問いたしますが。これに入っていないのが十一、入っているのが三。それから、入居金の返還債務について
銀行の保証を付されているかということで、付されているのが二、付されていないのが十二。それからまた、入居者募集でいきますと、パンフレット、募集広告に類型の明示をしていないのが十一、しているのが三。また、広告の誇大表現はどうかというと、三が誇大な表現をしている。
そしてまた、経営主体の
状況を見てみますと、個人経営というのはこういうのは余りふさわしくないわけですけれども、それが十四のうち二が個人経営である。それからまた、他の事業の財務
内容が適切でないというものが
一つありまして、これは六十九億の負債が実はある。それからまた、役員の経験、知識ということでいきますと、異常にこれも、全く役員の中に経験、知識を持っていないものが六施設ある。そしてまた、経営基盤が整っているかどうかということで、これは不適だというのが三ある、こういうような
状況であります。
そしてまた、三十年の収支計画をつくっているところはわずか五であって、九の施設はつくっていない。そしてまた、借入金について無理があるのが二施設。また、適正な資産残高があるかどうかについて、不適切が三。そしてまた、経理区分をきちっとやっていないのが一。
こういうことで、中部監察局及び愛知県の調査によって、ただ愛知県ということだけをとってみましても、これだけ非常に問題があるわけでございます。
そしてまた、この監察の前に、公取においてもこれを調査しておりまして、また警告もしておるわけでございます。その中を見てみますと、特に公取が九十六のうち
五つについて警告を行っているわけです。
その
中身を見ますと、これは
平成九年五月十三日の
報告書でございますけれども、実際には病院等に移しているにもかかわらず、施設内で終身介護するかのような表示をしている。あるいは、提携の老健施設で介護を受ける権利が保障されているかのような表示をしている。多額の費用を要することを明示せず、居室内で付添人による介護が容易に受けられるかのような表示をしている。それから、夜間は警備員が勤務しているだけにもかかわらず、常勤の看護婦により二十四時間万全の体制で
対応しているかのような表示がある。また、根拠のない、入居者が寝たきりやぼけ状態になる
可能性が低いかのような表示。そしてまた、根拠のない、提携病院や協力病院の名前の表示。こういうことで、非常に不当な表示がある。
そしてまた、有料老人ホーム協会に対しても、これは
平成五年のときにも要望しておるわけですけれども、とにかくこういう不当な表示をきちっと総点検しなさい、そしてまた必要表示
事項をきちっと策定しなさい、こういうふうに言っているにもかかわらず、全然なされていない、こういう
状況がございます。
こういろいろ見てまいりましたけれども、この有料老人ホームを取り巻く
状況というのは、非常に大変な
状況であることが言えるわけでございます。
そこで、
質問に入りたいと思うわけでございますけれども、まず有料老人ホーム協会が、
平成五年、公取
委員会から有料老人ホームの表示に関する要望を受けているわけですね。しっかりとパンフレット等の必要表示
事項の策定をしなさい、そして傘下の会員に広告表示の適正化を図りなさい、こう言っているにもかかわらず効果が上がらない。そして、さらに昨年にまた、今度はもう公取が異例に協会に対しても警告をして、必要表示
事項の策定をしなさい、そしてまた会員について総点検をしなさい、こういうことを言っているわけです。
ところが、もう十カ月もたっているにもかかわらず、何ら協会からそういう
報告がない、公取に対してもそういう
報告がない、こういうことなんですね。これはもうとんでもないことでありまして、この点につきまして厚生大臣からお伺いしたいと思います。