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山中(燁)
委員 外交では、やはり、長期的な展望と、それからその
背景の哲学そして政策、戦略、アカウンタビリティーが非常に大事だと思います。支援の六〇%がスハルト一族に行っているのではないか、あとの三〇%が企業で、
国民に行っているのは一〇%と一説に言われているようなところと交渉するときには、こちらもタフな発想でいくことが必要だと思います。
本題に入らせていただきますが、一九九六年の六月のリヨン・サミットで、橋本総理
大臣は、世界福祉イニシアチブということを提唱なさいました。福祉の問題は先進国だけでなく途上国を含めてさまざまな課題を抱えている、福祉の向上のため互いに知恵や経験を出し合いしっかりした社会保障制度を確立していくことが大事だと思う。私は、これを、まさに同感、このとおりだというふうに思っております。
そして、三月六日の報道によりますと、昨二月に首相は、閣議後、イラクへの
武力行使に関して、もし
武力行使になったら何ができるか、
米軍の輸送の肩がわりか、医療の支援かということをおっしゃいました。
私は、やはり、こういう中で、予防外交の第一段階としての、医療ですとか文化ですとか教育というのは、経済的な支援と同じように、信頼醸成のために非常に大切なものだと思いまして、医療が、今、緊急医療チームを派遣するということのほかに一体
日本は何ができるかということを
考えましたときに、多目的な病院船ということに思い至りまして、それからいろいろ調べましたところ、随分今までにもいろいろな
委員会その他で、この多目的病院船について御
議論があったというふうに伺っておりますし、資料も拝見いたしました。
この多目的病院船という発想は、随分古くなりますけれ
ども、一八九九年のハーグ条約でいわゆる病院船というふうに位置づけた。そういった発想で、つまり、真っ白い船体に赤い十字を置いて、そして、どこにでも飛んでいける。特に、今、私はアジアの各地ということと
日本全体を
考えているわけですが、そういう形の病院船であって、そして、実際には、救急の医療の支援というのが目的として挙げられますし、それから緊急の救助
活動、そのほかに在留邦人の輸送ということもあると思います。
そのほか、平常の任務といたしましては、実際に約四百五十の離島が
日本にあるわけでございます。それから、北海道を見ますと、札幌に医師が集中しておりまして、そして、僻地と言われているところの医療過疎地がたくさんあるわけですから、二隻なり三隻なりが常に日常的に、定期的に巡航しながら、医療の過疎地に対する診療であるとか、あるいは、特に高齢化社会になってまいりますから、そういう人たちの疾病の予防であるとかをする。
そういうことをもしアジアにも敷衍できたら、今はアメリカの船しかそういう
活動をしていないわけで、アジアにはこの病院船がないわけですから、アジア船籍の、特に
日本船籍の病院船を、アジアにおけるそういう日常的な医療
活動、それから医療研修の場というような形で使っていきながら、東南アジアを含めて三十六時間で行けるということですから、飛行機での救援とまた別の重層した救援のシステムとして、この病院船というものの発想をもう一度見直していただけないかというふうに思い始めました。
アジア、オセアニアの過去十年間の大災害と言われているものは、実際に三十四回ございます。そして、
日本が救援隊を出動したのは、十回ございます。
日本国内でも、やはり、十年間に四回大きな災害がございました。ですから、それに適応することと、日常的に、今申し上げたような医療
活動、啓蒙
活動、教育
活動というものに使えれば、この多目的船の建造に関して、費用対効果というものは十分ペイするのではないか。特に、信頼という国益を得ることができるのであれば、それは大きなメリットではないかと思います。
九六年七月に、多目的病院船建造プロジェクトチームというのが要望を出されたそうです。ODAの予算の中でも、例えば、OECDなどとネゴシエートしながらそういう可能性を探る努力というのも必要になるでしょうが、ヘリコプターやあるいはホバークラフトを搭載しておけば、いろいろな場所に対応できます。
私が調べた
範囲では、来年度の予算の中に、多目的救助船の方の調査費というのは盛り込まれているというふうに聞いておりますが、多目的な病院船という形では、まだ何も、調査費も盛り込まれていないということでございます。
それで、私は、そういったアジアの信頼の醸成のためという
一つの観点で
外務大臣に、それから、多目的救助船を調査
活動なさるとしたら、それに病院船という、もう一度発想を改めて取り入れていただけないかという点を官房
長官にお伺いしたいと思います。