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平田委員 平和・改革の
平田米男でございます。
この国会、当初から波乱といいますか異常な国会でございまして、まさに
日本の戦後五十年ここにきわまれり、このような不祥事が続いております。官界また政界の不祥事、また、ちまたでは中学生がナイフを振るって、多くの人がけがをし、また亡くなっておいでになる。我々、国権の最高機関として、国会に議席を占める者としてどうしていったらいいのか、これは全員が一人一人胸に手を当てて考えなければならないことなのではないかと私は思います。
そういう中で、私自身、こういう混迷の時代といいますか、こういう時代にまずやらなければならないのは、原理原則、原点に立ち返るということが、いろいろな問題を正す第一歩なのではないかというふうに感じておるところでございます。
そういう中で、国会のあり方、また国会と内閣のあり方につきまして、現在私、議運の
理事をやっている立場からいいましていろいろ感ずるところがございまして、問題はたくさんあるかと思いますが、そういう原理原則というものをしっかり踏まえるという観点で、実は同意人事の問題等々につきまして、きょうは
質問をいたすわけでございます。
私
ども平和・改革は、同意人事につきましても、厳格に事実
関係をよく調べ、賛成するものは賛成する、反対するものはきちっとした理由を持って反対する、この国会二カ月経過をいたしましたが、こういう姿勢を貫いてまいってきたつもりでございます。
そこの中で大変目につきましたのが、
一つは航空事故
調査委員会の同意人事でありますし、もう
一つは金融危機
審査委員会の同意人事でございます。これは内閣が責任を持って人選をしてくるわけでありますが、同意人事でありますから国会が最終的な人事権を持っている、このように私は考えているわけでございます。
一つは、事故
調査委員会のメンバーにつきましては、これはこれから若干やりとりがあるのかもしれませんが、航空事故
調査委員会設置法というものがございまして、その第六条の第四項に欠格事由というのが規定されております。
これは、事故
調査委員会というのは、ひとり
日本国内の航空事故のみならず、全世界的な立場で航空事故の原因を
調査して、諸外国に対してもきちっと権威を持って説明をすることができる、こういう意味では極めて重要な
委員会でございます。そういう意味で、公正な
委員会ということを担保するために、欠格事由というものを設けているわけでございます。
その規定の第六条第四項の三号によりますと、「航空運送
事業者若しくは航空機若しくは航空機の装備品の製造、改造、整備若しくは販売の
事業を営む者又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)若しくはこれらの者の使用人その他の従業者」と極めて広範な除外規定、欠格事由を挙げているわけでございます。また、これらに関する業界団体の役員、使用人その他の従業者も同様の欠格事由対象になっているわけでございます。
今回の同意人事では、私たちは、加藤晋さんという方が問題があるというふうに申し上げたわけでございます。この方は、三愛石油という
会社の専務でございまして、三愛石油というのは、羽田空港で航空燃料の給油サービスをやっている
会社でございます。羽田空港でのシェアは圧倒的に高うございまして、五割を超えているところでございます。
この条文そのものに照らして考えますと、航空機そのものでもありませんし、また航空機の装備品にも解釈上は入らないということになっているわけでありますが、先般ロシアで航空機の墜落事故があったときに、原因は燃料の不良なのではないか、このように
指摘をされました。
航空機事故が発生した場合は、その燃料等の適性あるいは給油をしたときの適性というものも当然テーマにならなければならないと私
どもは考えまして、この欠格事由そのものではないけれ
ども、公正さを担保する、しかも諸外国に対しても胸を張って、我が国はきちっと人事をやっております、こういうことが言えるためには、疑わしき者はやはり排除をする、こういう観点で反対をしたわけでございます。しかし、残念ながら、運輸省はこの人事を強行されました。
それで、翻って今までの事例を調べてみましたところ、例えば、
日本アジア航空の常勤顧問あるいは
日本航空の部長であったり、南西航空の常務取締役であったり、そういう方々がすぐ航空事故
調査委員会の
委員に選任されているわけでございます。
前例がこのような、私から見ますと、諸外国に対して胸を張って、公正な
委員を選任していますよ、こういうことが言えない状況の先例があるがゆえに今回もこのような人事が行われたのではないかというふうに思いますが、冒頭に申し上げましたように、やはり法の精神というもの、法の趣旨というものをきちっと踏まえて、条文に明確に反しなければいいだろう、こういう安易な姿勢ではなくて、
日本のスタンダードではなくてグローバルスタンダードで人選をやるべきだろう、私はこのように思っているわけでございます。
そういう意味で、運輸大臣、今後どういうふうにこういう点をお考えなのか。また、きょうは
官房長官もおいでいただいておりますが、これは内閣が運輸大臣の方から推薦があったがゆえに出してこられたのだろうと思いますが、それについてどうお考えなのか、お伺いをしたいわけでございます。
それから、金融危機の
審査委員の場合も、出してこられたのは佐々波先生という学者でございました。それからもうお一方は次期経団連会長であり、もうお一方は次期日弁連会長でございました。なぜこの人たちが適当なのかという説明は内閣から一切ございませんでした。いや、次期日弁連会長だからいいでしょう、次期経団連会長だからいいでしょうという説明しかなかった。
しかし、日弁連の人たちが適正だと思って判断した人事はどこまでも日弁連の責任でありますし、経団連が経団連の次期会長として選んだのも同様、その団体の責任で選んだのでありまして、内閣は内閣の責任でもって選ばなければならない。
ましてや、私がそのときに
指摘しましたのは、少なくとも常識的に欠格事由と思われるのは、金融機関に対する資金援助をするわけですから、そのときに特別な利害
関係があるかないかぐらいを調べたのか、こう申しました。
例えば学者につきましては、金融
関係のところから研究費をもらっていないのかどうか。また、弁護士さんにつきましては、顧問
関係で特定の金融機関と
関係はないのかどうか。また、すべての三人の方にわたって、個人的に多くの金融株式等々を保有していないのかどうか。こういう個人的な特別利害
関係があるかないかについてただしましたところ、それについてなかなか調べようとしない、答弁しようとしない態度でございました。
私は、そういう点を
指摘されたら直ちにやるという姿勢があってこそ、国会に対するきちっとした姿勢を内閣が持っているということだろうと思います。最終的には、私の強い要求を議運の与党の
理事が受けられまして、督励をされて、ぎりぎりの
段階で出てきたわけでございますが、同意人事
一つをとってもきちっとしたけじめをとっていない。こういうことが私はすべての国のところに、国民に多大な影響を与えていくのではないかと思います。
ここには総理がおいでになりませんのでいかがかと思いますが、例えば、もう補正
予算を次やるという話がありながら、国会では、
予算委員会で常にそれを
内閣総理大臣が否定される、その姿を国民が見て、どう思うのか。
私が子供のころは、うそつきは泥棒の始まりだ、こういうように教わりました。政治の世界へ入りましたら、政治の世界でうそを言っていいのは二つだ、それは解散の時期と公定歩合だ、政治の世界でも真摯に正直にやらなければいけないんだ、こういうふうに先輩から教えられてまいりました。
このように、国のトップが国民の模範たる姿勢を示してこそ今の混迷の時代を乗り切っていけるんだろう、このように思うわけでございまして、そういう点でも残念でたまらない思いでございます。
そういう観点からも、ぜひ
官房長官、また運輸大臣から、明確な御答弁をいただきたいと思います。