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1998-03-17 第142回国会 衆議院 予算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十七日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 越智 通雄君    理事 伊藤 公介君 理事 石川 要三君    理事 中山 利生君 理事 深谷 隆司君    理事 山本 有二君 理事 五島 正規君    理事 高木 義明君 理事 北側 一雄君    理事 加藤 六月君       相沢 英之君    甘利  明君       江藤 隆美君    小澤  潔君       大原 一三君    河村 建夫君       岸田 文雄君    栗原 博久君       小林 多門君    阪上 善秀君       桜井  新君    下地 幹郎君       関谷 勝嗣君    竹本 直一君       津島 雄二君    中川 昭一君       中山 正暉君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    桧田  仁君       増田 敏男君    村田 吉隆君       村山 達雄君    目片  信君       望月 義夫君    綿貫 民輔君       岩國 哲人君    上田 清司君       生方 幸夫君    岡田 克也君       海江田万里君    小林  守君       島   聡君    原口 一博君       藤田 幸久君    松沢 成文君       山花 貞夫君    近江巳記夫君       草川 昭三君    斉藤 鉄夫君       田端 正広君    西川 知雄君       平田 米男君    丸谷 佳織君       佐藤 茂樹君    鈴木 淑夫君       中井  洽君    中村 鋭一君       西村 眞悟君    木島日出夫君       佐々木陸海君    瀬古由起子君       春名 直章君    藤木 洋子君       矢島 恒夫君    上原 康助君       北沢 清功君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小渕 恵三君         大 蔵 大 臣 松永  光君         文 部 大 臣 町村 信孝君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  島村 宜伸君         運 輸 大 臣 藤井 孝男君         建 設 大 臣 瓦   力君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      谷垣 禎一君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房人事課長  洞   駿君         内閣審議官   坂野 泰治君         内閣官房内閣安         全保障室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障室         長       江間 清二君         内閣法制局長官 大森 政輔君         人事院総裁   中島 忠能君         人事院事務総局         管理局長    尾木  雄君         人事院事務総局         任用局長    森田  衞君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 中川 良一君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         経済企画庁調整         局審議官    小林 勇造君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁科学         技術政策局長  近藤 隆彦君         科学技術庁科学         技術振興局長  宮林 正恭君         法務大臣官房長 但木 敬一君         外務大臣官房長 浦部 和好君         外務省北米局長 高野 紀元君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君         証券取引等監視         委員会事務局長 堀田 隆夫君         国税庁次長   舩橋 晴雄君         文部大臣官房総         務審議官    富岡 賢治君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         文部省学術国際         局長      雨宮  忠君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         中小企業庁長官 林  康夫君         運輸大臣官房長 梅崎  壽君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         運輸省航空局長 楠木 行雄君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君         自治省行政局長 鈴木 正明君  委員外出席者         参  考  人         (海外経済協力         基金総裁)   西垣  昭君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   清川 佑二君         参  考  人        (日本銀行総裁) 松下 康雄君         参  考  人        (日本銀行理事) 本間 忠世君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 委員の異動 三月十七日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     竹本 直一君   小澤  潔君     小林 多門君   大原 一三君     下地 幹郎君   栗原 博久君     阪上 善秀君   村田 吉隆君     望月 義夫君   原口 一博君     上田 清司君   松沢 成文君     藤田 幸久君   山花 貞夫君     島   聡君   上田  勇君     田端 正広君   草川 昭三君     丸谷 佳織君   斉藤 鉄夫君     近江巳記夫君   鈴木 淑夫君     中村 鋭一君   西村 眞悟君     佐藤 茂樹君   志位 和夫君     藤木 洋子君   不破 哲三君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   小林 多門君     小澤  潔君   阪上 善秀君     栗原 博久君   下地 幹郎君     目片  信君   竹本 直一君     江藤 隆美君   望月 義夫君     村田 吉隆君   上田 清司君     原口 一博君   島   聡君     山花 貞夫君   藤田 幸久君     松沢 成文君   近江巳記夫君     斉藤 鉄夫君   田端 正広君     上田  勇君   丸谷 佳織君     平田 米男君   佐藤 茂樹君     西村 眞悟君   中村 鋭一君     鈴木 淑夫君   藤木 洋子君     佐々木陸海君 同日  辞任         補欠選任   目片  信君     桧田  仁君   平田 米男君     草川 昭三君   佐々木陸海君     瀬古由起子君 同日  辞任         補欠選任   桧田  仁君     大原 一三君   瀬古由起子君     春名 直章君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十年度一般会計予算  平成十年度特別会計予算  平成十年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 越智通雄

    越智委員長 これより会議を開きます。  平成十年度一般会計予算平成十年度特別会計予算平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田清司君。
  3. 上田清司

    上田(清)委員 おはようございます。  大蔵大臣尾身長官御苦労さまです。また、OECF総裁御苦労さまです。  昨日、時間切れで、次は予算分科会かなというふうに思っておりましたら、与党の理事の皆さんから激励いただきまして、もっとやれ、引き続きやれということで、同僚、先輩議員の御配慮の中で、引き続き昨日の質疑をさせていただきます。  それでは、きょう、私もうっかりしておりまして、会計検査院の院長並びに関係の方を呼ぶのをしておりませんので、会計検査院報告で、経営状態についてよかったのか悪かったのかということについて、深く検査院に聞くことができません。  改めて、私の、当時の十億五千万貸し付けた本体に当たる日盛産業経営状態が悪いにもかかわらずお貸ししたのではなかろうかというふうな疑念を持っているという質問に対して、総裁は、経営状態はよかったというような経過を御説明されました。しかし、その後、貸し付けが三月の三十一日であったわけでありますが、十一月に倒産をいたしまして、私が調べた限りにおいては必ずしも経営状態はよくなかったというふうに認識しておりますが、当時の貸し付けの際には、日盛産業というのは経営状態がよかったのでしょうか。総裁、お願いします。
  4. 西垣昭

    西垣参考人 ぜひよく御理解いただきたいと思いますので、最初からの必要な点を御説明することをお許しいただきたいと思います。  本件貸し付けは、私ども海外経済協力基金が、中国広東省恵州市におきまして養鰻事業を行います、日盛産業が六〇%及び恵州市が実質四〇%出資する柏塘養鰻有限公司に十・五億円の融資を行ったものであり、本事業につきましては、恵州市副市長からも支援を要請する旨のレターを受領したものであります。  本事業推進役であり、保証人であります日盛産業は、日本で開発した養鰻技術中国への導入を通じて、江蘇省での養鰻事業養鰻飼料製造事業及び広東省での養鰻事業で成果をおさめておりました。特に、広東省汕頭で実施した汕頭養鰻事業は、中国における養鰻事業パイオニアとして高く評価されておりました。  日盛産業は、本事業の承諾時直近の九三年三月期には、売上高六十四億円、経常利益二千五百万円を上げており、一年後の九四年三月期には、売上高六十四億円、経常利益二千二百万円、さらに一年後の九五年三月期も、売上高五十四億円、経常利益二千二百万円を上げておりました。  日盛産業広東省恵州市で実施した恵州東昇養鰻事業には、アジア開発銀行子会社でありますアジア金融投資会社AFIC、アフィックと言っておりますが、株主として参加いたしました。また、同時期に別途同社が江蘇省で進めておりました南通養鰻事業には、世界銀行グループ国際金融公社IFC出資あるいは融資を行う予定となっておりました。  日盛産業は、八九年七月に恵州市水産局全額出資子会社であります恵州市水産進出口公司合弁で恵州東昇養鰻事業を開始して以来、恵州市とは共同事業実施者関係にありました。東昇事業拡張事業であります本事業も同様に、恵州市水産進出口公司合弁で実施することとし、事業会社の総経理、社長に当たるものでありますが、この総経理には、市水産局の副局長が充てられるなど、恵州市の重要事業と位置づけられておりました。  以上のようなことから、本事業審査時点におきましては、経済協力性パイオニア性事業達成見込み等の観点から、海外経済協力基金融資対象として適切な事業と判断し、融資を決定したものであります。  しかしながら、当時の担当業務部が、実行段階銀行保証を取得せずに貸し付けた行為は、不適切であったと言わざるを得ません。昨年六月に、関係者懲戒処分として、極めて厳しい停職処分としたところであります。また、私も、本件重要性にかんがみまして、自主的に俸給月額の一部を返納したところであります。  いずれにしても、当時の担当業務部が、銀行保証をとらないまま貸し付け実行したことについては、まことに遺憾であり、今後このような事態の再発がないよう、海外投融資に係る内部チェック機能及び内部報告体制拡充等措置を既に講じているところであります。  なお、昨年六月十七日の決算委員会で、本事業審査妥当性事業意義等について申し述べましたが、それは審査時点考え方等を答弁させていただいたものであります。  また、六月十七日の同委員会で、本事業について問題があり得るということを承知しながら、そうした点について言及がなかったという御指摘をいただきましたが、資金使途についても明確でなく、解明に努めている旨の発言は、六月十日、十七日の決算委員会においても言及しているつもりであります。  本件につき、海外経済協力基金といたしましては、刑事告発も含め、法的措置について慎重に検討を進め、七月にもミッションを派遣しようとしていた状況でありました。  また、本件刑事事件にかかわり、中国公的機関にも関係するため、事柄の性質上、捜査当局以外への言及ぶりについては慎重にすべきと判断したものでございます。  こうした点につきまして、昨年六月の時点で、言及ぶりが不明確であったということが不適切であるということでございます。もし、そのように受け取られるような、私の言葉足らずがあったとすれば、その点につきましては、まことに遺憾でございます。
  5. 上田清司

    上田(清)委員 経営状態については、実は私もあるデータバンクから取り寄せておりまして、破産当時のさまざまな債務等を見ましたら、六十六億ぐらい債務がございまして、そういう中身もぜひ本当は調べていただきたい。  本当に経営状態はよかったのかどうかということに関しても、会計検査院は、担保能力のない会社だからという指摘をしております。担保能力がなくても、経営状態がよければいいという考え方もありますし、事実、銀行保証を取りつけているからいいじゃないかという議論ですが、この銀行保証状が一番の問題なんですね。  今総裁が言われましたように、本当は貸し付け段階保証状を必要とするのにかかわらず、七十日おくれて保証状を取得しております。その保証状には、日本銀行に入れるのじゃなくて、保証する中国銀行広東支店に入れなければ保証有効条件にならないと明記してあったわけですから、当然、日本銀行に入れたお金を急いで中国銀行の方に入れ直さなければいけない。その手続をいまだにやってないじゃないですか。  いいですか。九四年六月十三日に中国銀行から保証状を取得した。そして有効条件がなかったから、このOECF融資としての貸し付け条件が、担保物件があるか、銀行保証があるか、どちらかだということであれば、当然急いで中国銀行の方に入金をかえなければならない。この手続をあなた方は何年も怠って、いろいろ催促されたのかもしれないけれども現実にはしておられない。  しかも、その間に既に工事が始まり、そして九五年十一月二十七日には九〇%完成しているという監理ミッション報告を出して、そして私が昨年、九七年六月、決算委員会でお願いしたときも、あなた方の報告は、これは六月十一日です、この中ではきちんと進行しているような状態を書いてありますよ、一つ一つ。何月何日に建設が開始されました、いつそれを確認しました、進捗しております、九〇%完成しております、ただし、どんなふうなお金使い方をしたかよくわかりません、だから今催促しておりますと。このお金使い方を催促する前に、お金を入れることが先じゃないですか。  葉山というこの合弁会社日本側責任者、この方は昨年の秋ぐらいまでうろうろしていたわけじゃないですか、今失踪していませんけれども。その方をなぜあなた方は刑事告発もしないのですか。中国側を追っかけているのですけれどもお金はその人に渡したのじゃないですか。なぜその人を追っかけないんですか。その人を追っかけないで、中国側を追っかけてどうするんですか。中国側一円だって入ってないと言っているじゃないですか。  しかも、あなた方は委員会に対して大変失礼ですよ。もう少し申し上げますけれども、九七年の六月十一日にこの報告書を出しております。十日に質問をしました。十七日が決算締めくくり総括質疑です。しかし、六月三日から六日までに調査ミッションを出しているじゃないですか。そして五月二十九日には、OECFに対して現地法人責任者から、一円も入っていませんよという文書が届いているじゃないですか。  少し読み上げましょうか。「わが会社の要求で一九九四年六月十三日に、日本海外経済協力基金に十億五千万円の貸付保証状を出しました。 この保証状は明らかに書いてあります。十億五千万日本円を、中国銀行指定の八四〇二七一四六〇一の口座に入金されて初めて効力をもつという条件が付されていました。 今日になってからもう二年たちましたが、しかしまだこの十億五千万円の貸付資金中国銀行指定口座に入金していません。」いいですか。こういう書簡があなた方のところに届いているじゃないですか。そういう話を一つ決算委員会でしていませんよ。一円だって入金してないというような話はしてなくて。  第一、中国銀行に一切入れようとしないこの葉山さんの会社をあなた方は信用して、その合弁企業事業を信用して見に行って、はい、建設が開始されました、はい、九〇%完成しました、そういうふうによくなれるんですね。十億五千万を本当は中国銀行に入れなくてはいけない、それをまだ実行していない、そういう企業責任者の言うことをよく聞いていますね。  第一、つくっている池もよその池だったんじゃないですか。第一、融資だって過剰融資じゃないですか。掘っ立て小屋みたいなのが三千万円とか。土地の使用権だって、四億六千万という見積もりを出していますけれども、実際調べてみたら三千万じゃないですか。あなた方は現地で何をしていたんです。  それ以上に大事なのは、唯一の保証条件である、中国銀行お金を入れない限りこれは何ら保証にならないのにかかわらず、何で現実にずっとほっておったのですか、それをお聞きしたい。
  6. 清川佑二

    清川参考人 お答え申し上げます。  保証状の発行に向けて、これの借入人に対して、保証状に記載されている中国銀行口座に移すように、そういう努力についてどのようなことをしたか、あるいはしなかったのかというお尋ねでございます。  私ども、繰り返しになりますけれども、九四年三月三十日付でいただきました柏塘公司董事長貸付実行依頼書で邦銀の国内の支店に入れるようになったわけでございますが、その後にもらいました中国銀行保証状に、先ほど委員の御指摘の、貸付金中国銀行柏塘公司名義口座に振り込まれることという、国際金融上の商慣習に照らして極めて特殊な条件がついていたということが判明いたしました。  これに対しまして、早速、基金といたしまして、私ども後に調べてわかったことでございますけれども担当の者より借入人及び日盛産業に対して、この有効条件を満たすために、至急中国銀行柏塘公司名義口座貸付金満額を入金するように要求したという経緯でございます。  そして、これに対しまして、借入人及び日盛産業の側からは、事業の遂行のために貸付金現地事業資金需要に応じて各種の代金決済に使用せざるを得ないが、とりあえず、できる限り本邦銀行口座に積み戻して、満額になるように努力しますという約束を得たわけでございます。  しかしながら、この約束、そしてたび重なる私ども担当の督促にかかわらず、結局のところ、中国銀行満額が入れられることなく、この日盛産業の事実上の倒産という事態になりまして、今日になったわけでございます。その点、まことに遺憾でございます。
  7. 上田清司

    上田(清)委員 ばかなことを言ってはいけませんよ。満額振り込みがなかったなんて、一円だって入ってないじゃないですか。  いいですか。長官にぜひ再調査をお願いしたいし、委員長にもお願いをしたいのですが、貸し付けのときの契約書を資料として要求したいと思います。貸付契約書です。これに何が書いてあったか。  それから、委員長にお願いしたいのは、契約が九四年三月三十日なんです、貸付契約をとったのが。しかし、もう、すぐ翌日には振り込んでおります。これも私は異常だと思っております。貸付契約書をとった途端に次の日に振り込むような、そんなにスピーディーな基金だと私は思っておりません。  それから、なぜ中国銀行保証状が七十日後になったのか、この辺も再調査をお願いしたいと思います。  それから、何よりもあなた方が大変国会に対して失礼なのは、こういう、二年間にわたって一円もまだ入金されない、現地にも入らない、そして、本来ならば中国銀行広東支店柏塘口座に入れなければいけないお金を違う銀行に入れて、違う銀行に入れたがゆえに保証にならない。保証条件を獲得するためには、全力を挙げて保証条件をつくるような作業をしなければいけないのにそれを怠って、その上に、あなた方は決算委員会等で、この事業はすばらしい事業であると朗々総裁が述べられた。  何がすばらしいのですか。いいかげんなお金のやりとりしかしていないじゃないですか。日本銀行お金を入れて、それは間違いであった、だから中国銀行に入れなさいといって、あなた方が指摘した。その言うことを聞かないような企業が、なぜいい企業なのですか。その企業現地でやっている合弁企業がいろいろな事業を進めていても、まゆつばで眺めていくのが当たり前じゃないですか。それをなぜあなた方は、九〇%完成したとか、進捗しているとか、工事は開始しているとか言って、もっと丁寧に調査をしないのですか。これは善良な管理者義務違反でもありますよ。  第一、違う池だったじゃないですか、現地に行ってみたら。よその池を見て、これはうまくいっていますなんというようなことを委員会朗々と述べられて、しかも、もう九七年の一月時点に、きのう文書としていただきましたけれどもOECFが受け取った日付、九七年一月ごろに貸付金現地に届いていないと非公式な情報柏塘公司中国人関係者から入手して以来、OECFは、柏塘公司代表権者である董事長等にその確認を求めていたと。  一月の時点で非公式な情報を手に入れられて、そして五月二十九日の段階で、現地企業責任者から一円も入っていないという文書を入手されて、にもかかわらず、なぜその十日後の決算委員会で、そういうお話を一切しないで、九〇%完成しているとか、これは立派な事業です、手続こそミスをしたけれども貸し付け中身は立派なものですなんてよく言えたものですね。  二年間もちゃんとまともなところに入れもしないで、催促しても催促してもお金を戻してこない。そういう企業本体に対して、よくもまあ、これは立派な事業であります、貸し付けをミスしただけですと。これで済むと思いますか。これは総裁、もし御存じだったら辞任しなければいけないような内容ですよ、はっきり言って。知らないということもおかしいですけれども。  この点について、長官の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  8. 尾身幸次

    尾身国務大臣 ただいま御質問、御意見、そしてまた答弁を聞いておりまして、私自身、基本的には、最後の守りともいうべき中国銀行保証状を入手しないままに貸し付けを行うことになっておりまして、そのことが実は最大の問題であるというふうに考えております。  ただしかし、同時に、そういう保証状を入手しないままに貸し付け実行するような詰めの甘さが事前審査段階でなかったかどうかということについては必ずしも言い切れないと思ってもおりまして、十分こういう点につきまして、既に責任追及もされているわけでございますが、反省の上に、今後の業務をしっかりとやっていくように指導してまいりたいと考えている次第でございます。  もちろん、審査の過程では、この事業はよい事業であり、この企業はいい企業であるという判断をして手続を進めたと思いますし、また、その過程において悪意があったとは思っておりませんが、しかし、結果としてこの判断が適切でなかったのではないかという感じもするわけでございまして、今後とも、本件の反省に基づいて、しっかりとした仕事をやっていただくように指導してまいりたいと考えている次第でございます。
  9. 上田清司

    上田(清)委員 長官、ありがとうございます。  貸し付け段階でいい判断をされたというのは、それはそれで結構でございます。しかし少なくとも、昨年の六月の段階で、胸を張ってこの貸し付けはいい貸し付けだったと言えなかったはずです。なぜそういうことを言ったのですか。
  10. 西垣昭

    西垣参考人 先ほども繰り返しになるのをあえて申し上げたのですが、私が申し上げましたのは、融資決定の段階でどう考えたかということを申し上げたわけであります。  先ほどから伺っております、おかしいじゃないか、事後的にいろいろとおかしいことがあるじゃないか、おかしいことがわかってきたじゃないかということを言われました。私も全く同感だと思うところが多々ございます。しかし、これは犯罪にかかわる問題で、司直の手にゆだねないとわからないようなことが多いわけでございます。そういった意味で、私どもとしては、司直と協力をしながら事実の解明に努めていきたい、そういう気持ちでございまして、隠し立てをするとか、いいかげんなことを言うとか、そういう気持ちは毛頭ないわけであります。  ただし、慎重であったということは、先ほど申し上げましたようにあり得るわけでありまして、その点で誤解があったとすればまことに残念なことで、申しわけないことだと思っております。
  11. 上田清司

    上田(清)委員 総裁、私が申し上げているのは、少なくとも、国会というのは事実に基づいて答弁をしていただかないと審議が成り立たないのです。司直の手にかかるかもしれないからとか、そうじゃないのですよ、この事件は。あなた方自身の力で調べることが可能だったのですよ。私でも可能だった。だから、そのことを言えばよかったのですよ、あの時点で。そうすれば、こんなに問題にならないのですよ。  二年もほったらかしにしているじゃないですか、中国銀行に入れるお金を。それでどうして決算委員会で、その事業主体がちゃんと進捗していますとか、九〇%完成していますとか、そして、この貸し付けはいい中身ですと。その時点では中身はよかったのですけれども、今いいかげんな企業になっていますと言えたわけじゃないですか。それを言わなければわからないじゃないですか。  当たり前に聞いていれば、立派な貸し付けでした、実行段階でミスはしました、しかしきちんと事業をやっていますじゃないですか。私もそう聞いていましたよ、九〇%完成していると。でも、どうも話を聞いているとまゆつばだから、現地に行ったら、つくっているどころじゃないよと。一円だって入っていないし、よその池を見せられていたというだけじゃないですか。  こんないいかげんなことをあなた方はある程度わかっていて、なぜ国会で、今こういう状況になっておりますという答弁をしなかったのですか。どういうことなのですか、これは。絶対これは許せませんよ。
  12. 西垣昭

    西垣参考人 繰り返し申し上げるわけでありますけれども、私どもは事実に基づいてお答えしているつもりでおります。ただ、貸し付け判断のときはこうでした、そのときはこう思いましたということは、今もそのように思っているということではないわけです。  つまり、和議申請をやって破産をしてしまった会社を、今でもいい会社だと言っているわけではないのです。貸付決定をしたときには、十分、事業達成の見込みのある会社だと判断をいたしました、こういうことを申し上げているわけでありまして、逆に言いますと、事実の確認ができないことについては申し上げにくいわけでございます。そこのところはひとつ御理解いただきたいと思います。  いいかげんなことを言ったというのは、私にとってはまことに心外でございまして、いいかげんなことは申し上げていない、私の真情でございます。
  13. 上田清司

    上田(清)委員 今の答弁には納得できません。  少なくとも、決算委員会締めくくり総括では、総理以下全閣僚が並んで、まさに政府と委員と堂々たる議論をする場で、肝心なことを言わないでずっと議論をされていたとかいったら、これはもう審議の対象にならない、審議できないという状態でありますので、私は今の答弁には納得できませんので、これでは審議できないということになります。
  14. 越智通雄

    越智委員長 西垣参考人、答えてください。
  15. 西垣昭

    西垣参考人 私といたしましては、私の承知している限りのことにつきましては、質問に対して誠実にお答えしてきたつもりでございます。これからもそのようにいたすつもりでございます。  本件につきましては、私は、真相の解明をぜひやりたい、そのための努力は惜しまない、そのつもりでおります。
  16. 上田清司

    上田(清)委員 総裁に申し上げますが、なぜ葉山を告発しないのか、早い時点で。十億五千万を盗み取った可能性がある葉山をなぜ告発しないで、中国現地法人の方を刑事告発しているのか。その事情だけ聞いて、終わりにしたいと思います。
  17. 西垣昭

    西垣参考人 この点につきましては、私ども、警察と相談をしながら、そのやり方、タイミングをはかっているところでございまして、気持ちとしては上田議員と全く同じだと申し上げられると思います。
  18. 上田清司

    上田(清)委員 事実上、お金銀行に、邦銀に振り込んだものを中国銀行に振り込まなくてはいけない手続から約四年近くたっております。そして、警察と相談して告発云々という話は、世の中で通用しません。それだけを申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  19. 越智通雄

    越智委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、岩國哲人君。
  20. 岩國哲人

    ○岩國委員 まず最初に、公共事業について、農水大臣にお伺いしたいと思います。  私は、かねがね、日本の公共事業というのはもっと推進すべきだという意見を持っております。もちろん、中には不要不急な公共事業があるがゆえに、公共事業という立派な性格のイメージあるいは運営が曲げられているということを大変残念に思っております。  農水省だけが公共事業を行っておられるわけではありませんけれども、きょうは大臣の御予定がおありというふうに伺っておりますから、まず最初に農水大臣の御意見を簡潔にお伺いして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  その質問といいますのは、最近、干拓という名前のもとに、各地で環境破壊の懸念のある公共事業が次々と行われている。もちろん、環境に対する国民の意識が変わってきたということもあります。また、事業の最初の目的と、そして今の必要度が変わってきたということもあります。その中には、諫早湾もあったでしょうし、あるいは宍道湖中海、鳥取県、島根県両県にわたるこの問題もあります。御承知のように、四十年も前に始められ、十年前にその事業は凍結され、そして今なお住民の反対運動が続いている。  今、農水省においては、凍結するか、あるいは続行するか、その調査を進めておられるところでありますけれども、こうした問題を含めて、農水大臣が今後、農水土木事業を中心にして、これから公共事業の抜本的な見直し、私はそれが必要だと思うし、また大臣はそれだけの勇気を持っておられると思います。これからの新しい公共事業の時代を築くために、どのような事業、どういう観点から、そして具体的に幾つか見直しの対象として考えられているものがあるとすれば、それを教えていただきたいと思います。簡潔で結構です。
  21. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  農林水産省といたしましては、昨年十二月、公共事業の効率的な執行を図る観点から、農業農村整備事業の国営事業について、十一地区の事業を廃止することといたしました。  廃止に至った理由は、まず、干拓事業の羊角湾地区、佐賀地区につきましては、漁業補償交渉の難航が挙げられます。また、第二に、かんがい排水事業の静清庵地区につきましては、主要農産物でありますミカンの価格の低落による農家の事業意欲の低下が理由であります。  これら十一地区につきましては、事業が休止になっている実情を踏まえて、平成九年度においては予算計上がなされておりません。なお、これらの地区において執行を予定していた総事業費約二千億円に伴う予算の計上は、今後行わないことになります。  以上であります。
  22. 岩國哲人

    ○岩國委員 私は、特に期待しておりましたのは、今後見直しが進められる中で、仮にの話です、これは現実的ではないと思いますけれども、農水省予算の中の土木事業の半分を徹底的に見直すということが必要になった場合に、大臣としては、どういうものを頭に描いておられるか、例として二、三名前を挙げて御説明いただければと思います。
  23. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  昨年末、総理からの指示もございまして、私どもとすれば、従前の農業農村整備事業について徹底的な見直しを指示してきたところであります。  そういう意味で、廃止する方向で処理する国営事業地区十一地区、今申した静清庵あるいは羊角湾等がそれに該当いたします。また同時に、全体の実施設計において廃止する方向で処理する地区の農業用ダム九カ所、また、今後見直しが見込まれる事業のうち、農業用ダムのいわば建設計画を廃止するのが六カ所、計十五カ所、それぞれの見直しを行うという考えに立っているところであります。
  24. 岩國哲人

    ○岩國委員 私が先ほど申し上げました鳥取、島根両県にまたがる中海干拓事業の中で、崎津という地域があります。  これは、四十年前に役所によって計画がつくられ、結局、農地販売が順調にいかないために農業はやめて工業団地、これもまたうまくいかなくて、工業団地から今度は商業施設を誘致する。まるで士農工商を絵に描いたように、農業から工業へ、工業から商業へ、そしてついに馬券売り場にその場所が提供される。青々とした緑を期待したその事業が、四十年の間に農業から工業へ、工業から商業へ、そして最後にはそういうレジャー施設、馬券売り場になっていく。  このような事業が地方の住民の目に、公共事業というものは、とにかく何が何でも、時代が変わろうと、歓迎されようとされまいと行われていくと。いかにこれが農水省のイメージを傷つけ、そして公共事業に対する国民の理解を妨げておるか。  この点について、大臣はどのような所感を持っておられるか、お話しいただきたいと思います。
  25. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 土地改良事業全般について言えることでありますが、これは、もともとは地元農家の申請や要望に基づきまして、都道府県、市町村の合意を得るなどの手続を経て事業を実施しているところであります。しかしながら、社会情勢の変化や、あるいはその計画を見直す必要が生じる場合もございますので、事業の開始の際と同様の手続を行っております。  私は、就任以来、これらについては、ある期間を置いて検討するのでなくて、適時適切にこれらの検討を行いながら、地元の意向をよく聴取した上で計画の変更等を大胆に行うように指示しているところであります。  その意味で、例えば昭和二十四年以降に着工した国営土地改良事業、八百四十一地区ございますが、計画変更を行ったものは三百八十八地区、約四六%に当たります。また、昨年十二月には、今申し上げた十一地区の事業を中止することとしたところであります。  さらに、国営土地事業につきましては、大体十ないし十五年を要する長期……(岩國委員「大臣、中海干拓について見直すというお考えはおありかどうか」と呼ぶ)中海干拓につきましては、いろいろ御質問いただいているところでございますが、私どもとすれば、あくまで地元の要請といろいろな話し合いの中で、我々は必要なものは見直すということでありますけれども、すべてを見直すということにはなっておりません。
  26. 岩國哲人

    ○岩國委員 この中海宍道湖の干拓問題、淡水化問題については、選挙のたびにこれが争点となり、一昨年の衆議院選挙においても、この委員会委員であられます相沢議員もその地区の選出の議員であります。そして、住民のそうした環境に対する懸念、心配を十分に配慮されて、この中海干拓事業については中止あるいは慎重にやるべきだ、そのような意見を表明されて、それが当選の一つの原因だったというふうに地元紙は報道しております。  島根県と鳥取県の調整の問題、そしてとりわけ一つの県のエゴだけで、あるいは島根県の住民の中から反対運動が今は起きてきております。こうした島根、鳥取両県のそのような環境に対する懸念、あるいは干拓事業そのものが必要かどうかということは、これまた農水省も判断しなければならないと思います。  そういった点について、この問題については徹底的な見直しを私はお願いし、そして次の質問に移らせていただきます。どうもありがとうございました。  次に運輸大臣、お急ぎのようですから、一問だけお伺いいたします。  JRに対する追加負担の要求、先日も予算委員会で私はお伺いいたしましたけれども、そのときに、外国に既に株主がおる、その外国の株主の方から、こうした追加負担については筋が通らないという意見が新聞等を通じて表明されております。これについて、外国の株主から直接運輸省にあるいはJRにそのような苦情、不満の意見が届いておるかどうか、その一点をお伺いしたいと思います。
  27. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 お答えいたします。  JRの方に届いているか届いていないかは私どもは承知いたしておりませんが、少なくとも運輸省の方にはそういった趣旨のあれはございません。
  28. 岩國哲人

    ○岩國委員 それでは、JRの方にそのような苦情が届いているかどうかということはお聞きにもなっていないということでしょうか。
  29. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 お答えいたします。  承知をいたしておりません。
  30. 岩國哲人

    ○岩國委員 こうした日本の株式が外国でも上場され、今後とも日本を代表する企業、JRもその中の一つだと私は思いますけれども、そうした企業の株式が外国でも発行され、株主は現に存在している。これは、ビッグバンを控え、そしてボーダーレスなマーケットが広がっていくときに、やはり、一国の政府のそのような一方的な言い分が日本のマーケットのイメージをゆがめることのないように、十分に外国の株主にも理解されるような決断をしていただきたい。  そのことをお願いし、私の質問をこの件については終わらせていただきます。御意見あればどうぞ。
  31. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 岩國委員、先日の予算委員会で同趣旨の御質問がございました。  私どもは本当に、そのとき私もお答えいたしましたように、いろいろな新聞記事等々承知いたしておりますけれども、ただ、株主の皆さん方あるいは外国の投資家の方々に少なくとも、まことに残念でありますけれども、今回の問題につきましては、六十二年当時のそうした国鉄事業団が負った負債を、今回そういったものに対してJRに負担を強いているとか、あるいはまたJRの利益の一部を納付させるとか、そういう趣旨で御協力をお願いしているのではなくて、まさに年金の問題でございますから、年金の問題についてはその事業主と社員の福利厚生ということでありますから。  その点について、私どもは、年金の問題については、最終的、合理的な負担というのは共済年金の基本的原則でありますいわゆる事業主、そして社員によって負担をしていただくのが合理的であるという判断に立ったものでありますから、これからもそういった株主あるいは外国人投資家に対しまして誤解を招かないように、御理解いただくように、やはり最善の努力をしていく決意でございます。
  32. 岩國哲人

    ○岩國委員 運輸大臣、大変お忙しい御日程の中、ありがとうございました。  次に、文部省にお伺いいたします。  文部大臣はお忙しいということで御出席いただけませんでしたけれども、最近のアジアのバブルの崩壊、それに伴う通貨価値の大幅な下落、そういったことから、我が国への外国人留学生の大半を占めておりますアジアの留学生が、大変困窮しているのではなかろうかと思います。この日本国内にあっては、そうしたアルバイトといったような収入も不景気の影響を受けて十分でない、親元からの仕送りも当然のことながら通貨価値の下落ということで大幅な目減り、そういう中でアジアの留学生の人たちが大変困っておられる。  それに対して、文部省としては、外国人留学生受け入れをどんどん拡大していく、十万人を目標にして今その半分の五万人ぐらいまで来ているわけでありますけれども、その五万人の大半、三万人近くを占めるアジアの留学生に対して、昨年の予算に比べてことしの予算はそういう留学生に対して思いやりのある予算となっておるかどうか、簡潔に御説明いただきたいと思います。
  33. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 御指摘のように、アジアにおける金融危機に伴いまして、一部の国で親元からの仕送り額が減少する等の状況が生じていることは、私どもとしても把握しているところでございます。五万一千人余りが現在日本で勉強しているわけでございます。そのうちいわゆる私費の留学生というのが四万一千ということでございまして、先ほど先生御指摘のように、その大半はアジア諸国からの留学生でございます。  それで、私費の留学生に対する対策ということでかねてから配慮してきておるわけでございまして、私費の留学生に対する学習奨励費という仕組みをつくってございます。学部レベルでございますと一人四万九千円、大学院レベルですと七万円ということで、日本国際教育協会を通じて支給しているわけでございます。大変財政の厳しい中ではございますけれども、この人数につきまして、八千五百人余りでございますが、来年度に向けましても確保しているところでございます。  また、今御指摘のような緊急の通貨危機等の状況に対処いたしまして、いわばこのために進学をあきらめるというようなことがあっては、本人にとっても、私ども留学生を受け入れている立場といたしましても大変残念なことになるわけでございまして、今年度末のいわば緊急措置といたしまして、既定経費を活用いたしまして、インドネシア、マレーシア、韓国等七カ国でございますけれども、ここからの留学生で学業継続が困難であると特に認められる者に対しましては、一律五万円の緊急一時金を今月中に支給するという措置をとることにいたしておりまして、現在その作業をしているところでございます。
  34. 岩國哲人

    ○岩國委員 こうした金銭的、経済的な援助だけに限らず、ぜひともその留学生十万人という目標が一日も早く達成されるように、いろいろな面で、こうしたアジアの留学生の受け入れ、またそういう人たちの学習活動を文部省としても全力を挙げて支援していただきたい。  また、それをはっきりと予算措置の上で、これは厳しい財政事情ではありますけれども、そういうアジアの留学生に対する温かい思いやりというものを常にあらわしていただきたいということを要望し、この件に関する質問を終わらせていただきます。  次に、行政改革についてお伺いいたします。  この行政改革、橋本内閣の大きな命題の一つであり、もちろんこれは国民的な命題でもあります。こうした役所のむだ遣いということが中央でも地方でも問題になり、そして最近では、単なるむだ遣いを超えて不祥事件も絡んでくる。そして、官僚に対する、役所に対する不信感が増大しているということは大変残念なことであります。  役所は役に立つところと昔から書いてあります。それが役に立たないところにいつの間にかなってしまっておる。こういう役所を再生させ、そして行政コストを下げていく、これからいろいろな財政経費が増大していく中で行政コストを下げていく。私は、中央も地方も、役所こそ宝の山だと思っております。行政改革に切り込んでいく、そのためにも、長官にも大変な期待を我々は抱いているわけであります。  お金が足りないとすぐに消費税を上げる、あるいは所得税を上げる、医療費を上げる、そうした上げてほしくないものは全部上げる。そして景気は下がる、株価は下がる、預金利子は下がる、下げてほしくないものはみんな下がっていく。このような一年間を踏まえて、国民の役所に対する不満はさらに高くなっているわけであります。  役所のコストを下げるという観点から、中央省庁の再編も、とりわけ地方の役所の合理化ということはもっと私は大切だと思います。長官は決して地方行政そのものを直接担当しておられるわけではありませんけれども、こうした中央の権限、財源、人間、三ゲンセットでこれから地方に渡していこうというときに、地方の行政改革はどうであるか、進行状況はどうであるかということも当然お考えになっていらっしゃることと思います。  お金が足りないとすぐに国民に汗をかかせ、そして役所はあぐらをかき、政治家が恥をかき、こんな恥ずかしい国はどこにあるかと私は思います。まず、役所にあぐらをかかせるのではなくて、汗をかかせる。そういう観点から、この中央省庁の再編について、今の長官あるいは内閣がお考えになっていらっしゃる、大きな官庁をつくって権限をさらに集中していく、中央集権型のそういう行政再編というのは私は間違っていると思います。中央集権型ではなくて、中央分権型に持っていくべきではないでしょうか。  今までさえも、農林省も、あるいは厚生省も大蔵省も、大き過ぎる。大き過ぎる官庁だから大臣が御苦労される。就任されて、部課長の名前を覚えるのに六カ月。あるいは、答弁書を読まないで答弁ができるまでに一年かかる。やっと仕事ができるようになって二年。そのころには内閣がまたかわる。このようなことの繰り返しでは、いつまでも政が官を抑えるという体制は確立できないのではないか。  政が官を抑える体制を確立するためには、政の能力に合わせて官を小さくする。つまり、大きな官庁をつくるのではなくて、小さな官庁をつくる。大臣の数は多くなってもいいじゃないですか、それぐらいの経費は。それでもっていろいろな不祥事が防げる。あるいは、それぞれの官庁の仕事の効率化が、大臣の感性によって、政治家の感性が入ることによってさらに進む。そのような体制こそ国民が求めている行政改革ではありませんか。  一府十二省庁に小さくする、省庁を半減し、権力を倍増し、そして不祥事を倍増する、そのような中央集権型の行政改革は発想そのものが間違っている、私はそのように思います。  ローマの時代から、分割して統治する、ディバイド・アンド・コントロールということがよく言われますけれども、私はまさに、この官の力を抑えていくためには政治の力、それに見合う小さな官庁。少し数が多くなっても、一府十二省庁ではなくて一府二十二省庁、三十省庁ぐらいにふやしてでも効率化を図る。大臣の目がよく行き届く、外から見えやすい透明度の高い行政が確保される、そのような中央分権型の行革が必要ではないかと思います。  そして、大臣それぞれが、自分の器に合ってと言うと大変失礼な言い方になりますけれども、やはり人間には能力、そう三人前、四人前の仕事が一遍におできになるわけではありませんから、小さな官庁を三十、四十にふやして、そして将来はそれぞれの官庁の権限を切り込む、財源を刻み込む、人間も地方へ持っていく。権限、財源、人間、三ゲンセットでの地方分権をやりやすくするためには、私は巨大官庁をつくってはならないと思うのです。巨大官庁をつくれば今以上に官の力が強くなり、どの大臣もそれをコントロールすることはできない。  名前の長さということも確かに問題になっています。名前の長さは、いかにたくさんの仕事がそこに混在するかということで、見えにくさをつくる一つの象徴的なあらわれだと思います。  この点について、総務庁長官、それから厚生大臣もおいでいただいておりますけれども、厚生省という役所は私は大き過ぎると思っています。大臣だからある程度やっておられるという面もあるかもしれませんけれども、一般的に言って、農水省も厚生省も、大きな予算、権限を持ち過ぎている。私は、本当の行政改革は、もう少し小さな規模にして、そして行政改革、効率化を進めるべきだと思いますけれども、厚生大臣としては、今の行革、再編の中での厚生省の再編の動き、考えについて、どういう意見を持っていらっしゃるのか。  一般論として、小さな省庁をつくるのがいいのか、巨大官庁をつくるのがいいのか。その点、まず御意見をお伺いしたいと思います。
  35. 小里貞利

    ○小里国務大臣 お話は、いろいろ貴重な御意見をお聞かせいただきながら、二つ御指摘があったと思います。  一つは、中央省庁再編の実態及びその計画、そして何を目指しているかという、その評価において若干先生と話が違うようでございますが。もう一つは、地方分権の重要性、そしてその地方分権が中央改革にもたらす位置づけをお話しいただいたと思うのでございますが、そういう観点から、簡潔に二つ整理してお話し申し上げたいと思います。  一つは、今の一府二十一省庁体制を一府十二省庁体制に切りかえますよと。そのことは、各省庁の人員、権限、予算をいたずらに肥大化させることにつながるのではないかという憂いを御指摘しながらのお尋ねであったと思うのでございます。  私どもはむしろ、一府十二省庁に再編成をしますよ、この中央の再編成こそ、先生が御指摘になったそのような、権限権能、人員、あるいは予算、あるいは機構等々を簡素化し、そして効率化いたしまして、しかもこれを機動的に効果的に政策遂行ができる新体制にしよう、これを最も大きな目標に置いておるところでございます。御案内のとおり、これはまた後日議論があろうかと思うのでございますが、そのためにこそ行革基本法の中に細やかに書き込んでございますが、国の権限と仕事の減量を徹底的に進めますよ、そのような一連の縮減行為あるいは合理化行為がまず大前提にあります。  しかも、基本的な考え方といたしましては、いわゆる行政目的別に大くくりで幾つかの分野をつくらなければなりません。しかも、その中身の行政あるいは業務の計画の打ち立て方というものは、いわゆる立案計画の分野と実施の部門を徹底的に区分をしなければ、先ほど先生もお話があったように、昨今の好ましからざる行政秩序、あるいはモラルも乱れてきたという遠因、近因も配慮しながら、さような一つの合理化を徹底しなければならぬ。  こういうことを考えておるわけでございまして、いわゆる二十一世紀において国家が担うべき新しい国の機能というものも、先生が御留意いただいたようなことも十分注意しながら、徹底的に中身を整理していこうではありませんか、こういうような一つの計画であり構想であり、また法律でございますから、ひとつよろしく御理解をいただきたい次第でございます。  それからもう一つ、地方分権のお話でございますが、まさに議員御指摘のとおりでございまして、地方分権は、本来、本質的に民主政治を、そして地方の振興を図るためにも絶対必要な一つの要件であると私は思っております。また、そのことを進めること自体が、前段の中央省庁再編計画を最も合理的に、そして直接的に効果的あらしめる一つの手段でもある、さように理解をいたしておる次第でございます。
  36. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 基本的に、国の権限を地方なり民間なりに移譲していこうという考え方に私は賛成であります。権限、財源、人間を地方に移譲していこう。そういう中にあって、厚生省、労働省の統合ですが、もともと労働省は厚生省だったのです。戦後、労働省は厚生省から分かれていった。  私は、市にしても県にしても、市長、県知事は全省庁と一緒に仕事をしているんですね、非常に効率的だ。現実のことを考えますと、大臣が大きいとどうしても縄張り争いが出てきます、自分の省庁のことを主張するという点からも、私は、一府十二省庁は大き過ぎると言いますけれども、やりようによってはもっと少なくできるのじゃないかと考えています。  厚生省、労働省にしても、これからの少子・高齢社会、あるいは保険事業一つとっても、連携しなきゃならないところはたくさんあります。重複を避け連携していくという意味において、私は、今の省庁はもっと少なくして、国の仕事をどんどん減らして、民間、地方に移譲していくということの方がはるかに簡素で効率的な政府ができると思います。
  37. 岩國哲人

    ○岩國委員 先ほど長官がおっしゃいました、目的別に再編成し徹底的に区別しということは、今のような大ぐくりの再編計画では矛盾し、そして実現が非常に難しいと私は思っております。  今厚生大臣がおっしゃいましたように、将来的には簡素化すべきです。小さな中央、小さな政府、それが我々の理想であるわけですから。決して私も、大きな政府をつくるために大きな官庁をつくろうというのではない。  今のこの段階で、権限、財源、人間が中央に残ったままで、居座ったままで大きなふろしきに包んでいく。今やるべきことは、小さなふろしきに包みかえて、透明度を高めて、小さなふろしきの中をもっともっと区別をして、小さな官庁をより小さくしておいて、それから大ぐくりに持っていく。その作業を省略したままで、いきなり今までの小さなふろしきを大きなふろしきに包みかえる、これを大ぶろしきと言うのです。  行革は、実現不可能な方向へ今向かおうとしているのじゃないでしょうか。
  38. 小里貞利

    ○小里国務大臣 これは決して先生にお言葉を返すわけではございませんが、今先生の御発言を聞いておりますと、ねらっていらっしゃるところは私どもと共通な面があるんですね。簡素化しなければいかぬですよ、透明性がなければいかぬですよ、そして定員や人員や権限、権能、権益も縮小しなければいけませんよと、このねらいは同じなんです。ただ、そこまで行くまでの手段が根本的に逆の方向を向いているなという感じがいたします。  私どもは、いたずらに、一府二十一省庁、現体制をそのまま機械的に事務的に一府十二省庁体制という箱の中に入れ込んでいきますよと言っているわけでは決してございませんから、その入れ込んでいく前に徹底的に縮減をやるべきことがありますよ、徹底的に議論をこねていただきたい、そして、そのための基礎的な一つの思考の、あるいは判断の、あるいは中央省庁再編の方向を、大枠を今次の基本法で示しておりますから、その中をよく見ていただいて、そして御意見をお聞かせいただきたい、こういうことを言っておるわけでございます。  決して、無条件で単純に簡素化ができる、効率化ができる、あるいは効果的な機動的な政府ができるなんてさもしい気持ちは全く考えておりませんから、徹底的に議論をして、だからあえて私は、国会論戦の軌道に早く乗せてくれ、あなた方の意見も小言も批判も聞かせてくださいと言っておるのは、そこに大きなねらいがあるわけでございまして、よろしく御理解をいただきたいと思います。
  39. 岩國哲人

    ○岩國委員 ありがとうございました。そうした点において、徹底した権限、財源、人間の削減を行うという方向がこの大ぐくりの前に出てくるのであれば、私は大いに期待を持ちます。  そうではなくて、権限はそのまま、財源もそのまま、人間は一人も地方に渡さない、権限、財源、人間は全部集中したその体制のままで、より中央集権国家をつくっていくような大ぐくり行革、再編というのは、私は明らかに失敗への道を歩んでおられると思います。今の大蔵省の現状はそれを物語っているではありませんか。大き過ぎた権限、大き過ぎた官庁がどういう問題を起こしたか。もうこの委員会で毎日毎日その話ばかりじゃありませんか。  大きな権力は大きく腐敗する、小さな権力は小さくしか腐敗しない。どちらを選ぶか。私は、今こそ小さな官庁を選ぶ、そういう発想に立つべきではないか、そのように思います。  それでは、時間の点がありますので、次の点に移らせていただきます。総務長官そして厚生大臣、お忙しい中を大変ありがとうございました。  次に、景気見通しと補正予算の関連についてお伺いいたします。  ごく簡潔にお答えいただきたいと思いますけれども尾身長官は、桜の咲くころ、その桜というのは東京の桜を指す、東京の桜は三月二十七日、いよいよ迫ってまいりました、そのときから景気回復は始まるという御答弁をいただいております。東京でも世田谷もあれば墨田区も、いろいろとありますけれども、三月二十七日ということを私どもは頭の中に入れているわけであります。  とすれば、補正予算の議論がいろいろされておりますけれども、この補正予算というものは、三月二十七日から景気回復が始まるのであれば補正予算は必要ないのではないかというふうに思います。補正予算が必要だという前提で三月二十七日の桜が咲くのであれば、我々が今審議しているこの予算というのは、欠陥のある予算ではないでしょうか。  昨日、瓦建設大臣は、精魂を傾けてつくったのがこの予算でございますとおっしゃいました。精も根も尽き果てるほどベストの予算をおつくりになったものであれば、補正予算なんということが出てくるのがおかしいのです。きょうは建設大臣おいでいただいておりませんけれども、これは内閣の一員としてそういう答弁をされたわけでありますから、精魂傾けてつくった予算がどれだけ効力を発揮するかということも見ないで補正予算の話をするというのは、この本予算に対して大変失礼なことではありませんか。尾身長官の御見解をお伺いいたします。  それとも、最近新聞に出ておりますけれども、景気回復は、企業の経営者のアンケートによりますと、あれはことしの春ではなくて来年の春だという、アンケートの結果、六六%が出ております。ですから、桜はことしの春なのか来年の春なのかということもあわせてお答えいただきたいと思います。
  40. 尾身幸次

    尾身国務大臣 桜の点につきましては、いろいろな要因がありますが、その点だけについてお話を申し上げますと、私自身は、クレジットクランチが早期是正措置を控えて三月にはかなりあるという点も実態であると考えておりまして、そういう意味で、早期是正措置が四月一日ということでございますから、その四月一日という時点を念頭に置いて申し上げているわけでございまして、三月二十七日が桜の予想だそうでございますが、そういうことでございますので御理解をいただきたいと思います。  そしてただいまの、この一月—三月は何といっても四月一日の早期是正措置を控えて金融がどうしても貸し渋りがちになる。そのための対策、金融システム安定化の対策とかあるいは資産の評価の問題とか、いろんな手を打っているわけでございますが、同時に、補正予算あるいは特別減税などをやりつつ、ぜひともこの四月一日からの本予算及び関係の減税等を含めた関係税制を通していただきたいとかねがねお願いを申し上げているところでございます。  私どもは、そういう中におきまして、総理の御指示もございまして、昨年の規制緩和を中心とする緊急経済対策のフォローアップなどを含めました経済の活性化のための対策についても、現在検討をしているところでございまして、各省庁と相談をしているところでございます。経済は生き物でございますから、今後とも、金融、経済の実情に応じまして、適時適切な経済運営に努めてまいりたいと申しているところでございます。  そして、そういう中におきまして、昨年の十月—十二月の指標が発表になりました。かねがね、十月—十二月は非常に厳しい状況だなというふうには予想しておりましたが、現実に数字が発表されてみますと、やはりその厳しさをひとしお感じているところでございまして、私どもといたしましても、できる限りの対策を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  41. 岩國哲人

    ○岩國委員 御説明を伺いましたけれども、依然として我々には、補正予算をなぜそんなに急いでつくらなければならないのか。あるいは、今の御説明によりますと、政府のいろんな対策が功を奏し、自民党も第一次、第二次、第三次、第四次、もうそろそろ第五次ということのようですけれども、そうしたいろんな景気対策を考えておられる。そういうものが功を奏してくるならば、補正予算というのは、もっと時間をかけて、そしてゆっくりと、いろんな景気情勢を分析してからお出しになるべきものだと私は思います。  その点がいまだに議論がかみ合わなくて残念でありますけれども、そうした景気判断については、今度はまず国民がいい判断をしてくれたということが言えるような仕事を先輩である長官にお願いして、今の質問を私はとりあえず終わらせていただきたいと思います。  次に、日銀総裁、御出席いただきましてありがとうございました。私は、日銀総裁、そして大蔵大臣、お二人に、日本人の金融資産千二百兆円というものが国際的な価値において目減りしているのではないかという点について、御意見をお伺いしたいと思います。  大ざっぱに言って、為替価値がこの二年間に一〇%下がった。一〇%下がるということは、千二百兆円の日本人の預金、金融資産というものが百二十兆円目減りしたということになるのではないでしょうか。  これが鎖国状態であれば、外の価値は外の価値、中の価値は中の価値、それでよかったのです。しかし、物を買う購買能力だけではなくて、日本の金がアメリカの金になる、アメリカの金が日本の金になる、金に国籍はない、その時期を今目前に控えて、この国際的な比較、国際的な金融資産の目減りということは、私は大変大切な問題だと思います。  今までは、日銀総裁大蔵大臣も、外における価値と中における価値と、極端に言えば、この金融資産が外国でどれだけの価値があるか、そんなことをお考えになる必要もなかったかもしれません。しかし、これからは違います。こうした円安政策の結果として、国民の金融資産が百二十兆円も犠牲にされているということを、国民に率直にわからせる時期が来たのじゃないでしょうか。  また、この為替レートによる百二十兆円の目減りだけではなく、金利の差において、例えば、アメリカ人がアメリカで預金をすれば一年間に六%の利子が得られる、それに比べて日本人は一年間に二%、なぜ三倍の開きがあるのか。  金利というのは、言ってみればお金が一年間働いてもらえる賃金のことです。一年間お金が働く、それによってもらう給料を金利と呼んでいます。アメリカで働くと一年間に六%の賃金、日本で働くと一年間で二%の賃金。なぜ国籍によって、あるいは働く場所によってこれだけの差が出てくるのか。  これも、今までは大きな問題にはなりませんでした。しかし、同じ日本人の金をアメリカで働かせるか日本で働かせるか、そして日本で働いている以上は三分の一の低賃金で働かなければならない。これがこの一、二年のいわゆる貸し渋り以上に買い渋りの原因になっているのは、利子が財布の中に入ってこないからです。アメリカは、景気がいい上に、利子が財布の中に入ってくる。日本人の預金というのは、アメリカの三割の安値でたたき売りされているのじゃないですか。  通貨価値を守ることが日本銀行の一番大切な仕事である。これは総裁も各地でお話しになっていることでありますし、そのとおりだと思います。その通貨価値という概念そのものが、十年、二十年前の鎖国時代とは今違ってきたということです。為替レートによって変動を受ける。そして、この大きな金利差によって三割にたたき売り、投げ売り、放置されている。  こういう現状をどのようにお考えになっているか、日銀総裁に御意見をお伺いしたいと思います。
  42. 松下康雄

    ○松下参考人 多岐にわたる御意見をちょうだいいたしましたので、できる限り、順次お答えを申し上げたいと思います。  初めに、金融資産と為替レートの関係でございます。  御指摘のように、ドル建てで見ますというと、金融資産の残高は、我が国におきましても計算上は円安の進行に伴って減少してまいるものでございます。ただ、一方におきまして、金融資産を持っておられる国民の側からこれを見られました場合に、自分のお持ちの金融資産につきましてはその価値を何によって判断されるであろうかということを考えますと、将来のこの金融資産の使い道ということは、ただいまも例えば対外投資に充てる可能性というような国際的な面にもお触れになりましたけれども、国内に資産として保有をしているということが根幹でございますので、その点では、やはり国内の物価、需要、雇用というような考えでとらえてまいるのが一般のお考えではなかろうかと思います。  そうでございますというと、やはり、金融資産の残高をお考えになる場合でも原則としては円建てでこれを見てまいる、それはしかし、国際化の進む経済でありますから、目的によりましてはその都度外貨建てでこれをチェックするという必要もあろうと思いますけれども、やはり円建てでお考えをいただくというのが基本ではなかろうかと存じます。  もう一つ、今度は為替の政策と国内一般の政策の関係でございますけれども、御指摘は、現状、為替レートが円安の方に振れておりますけれども、例えば国内の金融資産の価値の保全というような点から考えるならば、円高の方にそれが振れることが望ましいという御指摘でございます。  確かに、いろいろの交易条件という点から見ますとそういう面が一面にあると存じますけれども、またさらに、経済運営をいたしてまいります立場からは、例えば円高が進行してまいります結果、我が国の貿易上の国際競争力が損なわれるというようなことになり、あるいは製品輸入の増加から国内の企業なり物価なりに下押し圧力がかかるという可能性もございまして、その点の判断はなかなか難しゅうございます。  現状では、やはり各国の通貨当局の判断の基本は、為替レートというものはそれぞれの国の国内の経済情勢からするいわゆる経済のファンダメンタルズというものを反映して安定的に保たれていくことが非常に大事なことでありまして、そして、通貨当局の政策の基本姿勢といたしましては、まず国内において物価の安定を図り、かつその安定した物価の上に立つ持続的な経済成長を図っていくということにあるというのが、現状、各国のほぼ共通の意見のようでございます。  私ども、それらをいろいろと考慮いたしまして、経済の現状、非常に停滞色を強めております現状からいいまして、低金利を維持することで経済活動を支え、それがひいては将来の国民の所得あるいは資産形成にも広くプラスに働くことを期待しているわけでございます。
  43. 岩國哲人

    ○岩國委員 日本銀行総裁として、これからの新しい時代に、日本の金融資産を持っている人たちがどういう状況に置かれるのか。それからもう一つは、こうした金利差というものが、六%、二%、画然としてしかも選択の自由が与えられる時代がやってきましたから、今までの選択肢がない時代とは全く違っている。そういう国民の暮らしということに軸足を置いた金融政策、金利政策、為替政策は、これから非常に重要になってくると思います。  低金利政策を続ければ企業は助かる、そしてそれは結果的には経済発展を促進するのだ。しかし、史上空前の低金利政策を二年半続けて、倒産は逆にふえたではありませんか。失業は逆にふえたではありませんか。国民の暮らしは逆に苦しくなったではありませんか。私は、この二年半の日銀の低金利政策は既に十分に破綻していると思っております。  国民の暮らしという観点から、これから日本銀行としてはもっと違った金融政策の考慮をしていただきたいということをお願いし、この質問について、金融政策については終わらせていただきます。  なお、日銀総裁、新聞報道ではありますけれども、今度は辞任されるということであります。しかし、こうした一連の日本銀行の不祥事件、そしてそれは大蔵省というものも巻き込んで、総裁自身は、大蔵省等の経歴と、そして日銀の経歴と両方持っていらっしゃるわけでありますけれども、私は、部下のいろいろな接待、不祥事ということ以上に、そのような幹部の私生活、あるいは公人としてのいろいろな姿勢というものは非常に大切だと思います。  いろいろな接待疑惑について、ああいう接待を受けてはいかぬ、こういう接待を受けてはいかぬ、そしてまた調査もしておられます。しかし、一番大切なことは、天下りということの乱用、二番目に、自分の親類縁者を、そのような監督対象になっている銀行、そういったようなところに就職させるといったことは、どれだけ世間の誤解を招いているか。  それは職業選択の自由ですから、お子さんがどこへ就職されるのも私は自由であるべきだと思います。しかし、父親がどういう立場にあるか。そして、その就職するところが日本銀行と一番近い興業銀行である、こういったようなことを周りの人、幹部が知る、職員が知る。そのような姿勢というものは、李下に冠を正さずという立場で指導監督、教育をしなければならないお立場にありながら、私はそのような事実が身辺にあったということを大変残念に思います。また、接待以上に、自分の親類をそういう関係の深いところにどんどん就職させるということがこれからも継続して行われるのであったら、私は、信頼は回復されてこないと思います。  総裁として、辞任されるに当たって、私は、総裁の大蔵省の後輩あるいは日銀の部下、そのような方々に対して、このような接待だけではなくて就職も含めて、そのようなことは自粛すべきだという決意を表明していただきたいと思います。
  44. 松下康雄

    ○松下参考人 私は、企業間あるいは企業と官庁との間におきまして、接待の関係でありますとかいわゆる天下り関係といったものにつきましては、それが仕事の公正な運営を妨げないように、かつまた国民の疑惑や不信を招かないように、十分に戒慎をして、きちんと処理していかなければならないと思っております。  私の個人的な問題に関しまして、子供の就職についてお触れになりましたが、ただ、私は、子供の就職と申しますものは、本来はそれは子供自身が自分の進路を決めるもので、親がとやかく言うべきものではないと思います。ですから、親としては、子供が自分の努力で道を切り開いていくものに対して、ほかの理由からこれに干渉するということではなく、その問題に対しましては、やはり企業の側が、新入生を採用するときに当たりまして、何か本人の成績、人物、そういったもの以外の要素を勘案して採用するというような不明朗な慣習を一切行わないということを各企業が徹底して行うことが最も大事なことであると考えております。  私どもも、日本銀行、また大蔵省の時代に、その点については私は殊に民間を含めまして努力をしてまいったつもりでございますけれども、今後も、その点につきましては、各金融機関、日本銀行、官庁においてその方向が生かされてまいることを望んでおります。
  45. 岩國哲人

    ○岩國委員 総裁、ありがとうございました。御退任に当たり、そういった部下の方への心得というものを諭していただいたと私は理解したいと思います。  お嬢さんは優秀な方で、そして立派な仕事をしておられました。それであるがゆえに、私は大変残念に思います。そういう立派な父親を持っておられる方が職業選択の自由を制約されるということは、大変残念なことであります。恐らく総裁も心中そう思われたであろうと思います。しかし、立場が立場。  公人という立場の方の場合には、一定の社会的制約を受ける。それは、大蔵省の官僚にしても、日銀の幹部にしましても、これからもそのような一定の制約を受けるのがそのような立場の人であるという考え方をとらなければならないのじゃないでしょうか。私はそのように思います。  次に、涌井局長がこの間答弁されました。御結婚の際に祝い金をお受け取りになられたということであります。  そのときに、我々もびっくりしましたけれども、五十万とか百万とか、そういった祝い金を受け取っておりましたと。これは納税のときに雑所得で申告されておったのでしょうか。
  46. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  五十万、百万の祝い金を受け取っていると私は申しておりません。大蔵省の通達の話で、例えばの例で、親戚の関係の人でしたら五十万、百万、ちょっとこれは、やや誇張し過ぎてしまっているのですけれども、お祝いを出すことがあるかもしれませんしということでございます。  ただ、これは、私の頭にあったのは、私にめいっ子がいまして、私ども四人家族が結婚式に招待されたら一体どの程度持っていったらいいのだろうかという話をちょっと家でしていたものですから、たまたまそういうことが念頭にあって、非常に誇張した、一般水準より非常に高い数字で、ちょっと数字としては誇張した数字かもしれませんけれども、いずれにしても、私がこれを受け取っているという話ではございません。
  47. 岩國哲人

    ○岩國委員 我々も、この場の雰囲気でそのように誤解してしまったということかもしれません。そういう一部の少数、特権の人たちに対しては、接待が非常に頻繁に行われておる。接待がそれぐらい世間の常識を超えて行われているということであれば、そのようなお祝い金もそのように世間の常識以上のものを受け取っておられた、それを報告しておられたかどうかということについて、我々はこの席に座っておって疑問を持ちましたので。しかし、局長が、そのような事実はなかった、五十万円以上の祝い金などはなかったということであれば、これは私は質問を取り下げたいと思います。  次に、大蔵大臣にお伺いいたします。時間もなくなってまいりましたけれども、昨日の墓石問題。  この墓石というのは、金融の世界においては特別な意味を持っております。これはウォール街でいつも、記念すべき仕事、例えば日立であるとか東京都であるとかそのようなところの債券発行がありますと、この墓石広告というのをつくります。これをツームストーンと呼んでいます。新聞一ページ大のツームストーン・アドバタイズメント、広告を出して、そしてこの墓石広告にどういう順序で自分の金融機関、証券会社の名前が登録されるか、これをめぐってウォール街の人間は争っているのです。  例えば、道路公団において興銀や野村証券がそのような接待を繰り返したというのも、この墓石の中に入りたいために、しかも墓石の中に入るときに一番上の行で一番左側に出るように、それをめぐってお金でその地位を買おうとしたわけです。努力や経験、そういうものの積み重ねではなくて、お金で買おうと。鬼平犯科帳でいえば、お勤めではなくていそぎばたらきでそういうポジションをとろうとしたのが今回の道路公団汚職につながっていると思います。  この墓石について、残念ながら、週刊誌、新聞等が報道しております。大蔵大臣自身が、そのような疑惑を招く受け取り方。さらには、墓地造成に関連して、株式における借名取引ではありませんけれども、墓地造成をめぐって借名でそのような申請が行われておったというふうな疑惑の墓地に、わざわざ大蔵大臣が、今一番こういう不祥事件の解明の先頭に立っていかれなければならない大蔵大臣がそういう疑惑報道の対象になっているということについては、金額の大小にかかわらず大変遺憾に思います。この点について、御意見があればお聞かせいただきたいと思います。  日銀総裁、どうもありがとうございました。
  48. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  私は、お墓というものについて、委員のような学問的な考え方はございません。ただ、親を大事にしたい、親孝行のしるしとして親のための墓を子供はつくるものだ、私はそういう考え方でございます。  たまたま私の父は、法律的に言えば私の養父でありますが、昭和七年から衆議院議員を務めまして、議長応接室にも私の養父の写真がかかっておりますけれども、戦後は昭和二十七年から三十八年まで衆議院議員を務めました。父が昭和四十三年に亡くなるまでは、私のことを私の父の応援者は若先生と言い、私のおやじのことを大先生、こう言っておった。私より以上に親しみを感じてくれておったのが私の父でありますし、私の代になりましてからも、高齢者の人たちはむしろ私よりも亡くなった父のことを敬慕しておる、こういう状況であります。  たまたま四、五年前から、選挙区の高齢の人が、大先生のお墓はどこにあるのだと。九州は島原半島の雲仙岳の中腹だ、そこが生まれたところだから、こう申し上げておったわけでありますが、そうしたら、いや、そこまでは行けぬ。もう七十過ぎあるいは八十前後の人が多いですから、何とか若先生、浦和に分骨して、墓をつくってくれませんか、こういう声が随分私の耳に届くようになりました。  たまたま私どもの親族関係を見ましても、おやじの子や孫、おい、めい、埼玉県に大分おりまして、九州の生まれ故郷の方よりもむしろこちらが多いぐらいなんです。そういったことでありましたので、親戚ともどうだろうと相談したら、それはいいことじゃと。遠いところですから毎年のようにお彼岸とかお盆には行けない、だからこちらにも、小指一本でもいいのだそうですから、あるいは場合によっては泥でもいいのだそうですから、そこで、こちらにお墓をという話になってきたわけです。私、そのことを私の周辺の人に、いいところがあればこちらに何とか墓をつくりたいのだ、こう申し上げておった。  そうこうしているときに、おととしの暮れか去年の一、二月、私が非常に懇意にしておりますし、私を応援してくれている高橋先生という人が、実は自分は霊園墓地をつくって持っている、その一画でいいところを用意するから、大先生のお墓をぜひ自分の霊園墓地の中につくったらどうです、私が一生懸命になっていいのをつくりますから、こういうことでありました。私が現場を見に行ったら、非常に環境のいいところだった。それじゃお願いしますよというわけで、お願いしたわけです。それが去年の二月ごろであったろうと思います。  その先生、一生懸命になって準備をしてくれて、去年の八月か九月ごろ、おおよそできかかったわけでありますが、その時点で、先ほど委員も御指摘になったように、良光院というお寺さんと高橋先生が提携する形でのそれは墓地だったのですね、その二人の間が恐らく不仲になったのでしょう、良光院の方から高橋先生に対して訴訟が起こっちゃったのですよ。良光院の方が、これは自分の方の墓地だ、所有権も管理権も自分の方だ、こういうふうな訴訟が起こったのです。そうなってきましたから、これはちょっと困ったなと。  そこで、幾らで墓をつくるのかというもともとの代金は決めてなかったわけでありますけれども、しかし、ここまでできてきた。これは、どちらが本当の権利者かというのが確定する前は金が払えないのです。そういうことで、代理人の弁護士の話を聞きますというと、結局これは和解で間もなく解決するよ、それから代金の清算はしたらいいでしょうという話になってきた。  それで、去年の暮れの話でございますが、私は、その年の借金は年を越さずにその年のうちに処理したいという大体の考え方なんです。そういうことで、墓の石代と建築費はもう現実に出費されているわけでありますから、その分の実費はお支払いしておかないと、言うなら借金を翌年に持ち込むことになりますから、そこで、暮れに私は秘書を連れて、そして暮れのあいさつを兼ねてそこの高橋先生のところへ行って、大変お世話になっておりますがこれをとりあえずおさめてくださいというわけで、きのうの質問ではこうやったのだけれども中身は五百万でございますが、それを実は納めてきたわけです。  それはなぜ五百万になったかというと、その前に友人の石材商の人に現場を見てもらって、これは石代と工事費で幾らぐらいかかったのだろうかと聞きましたら、まあ四、五百万はかかっているでしょうという話でございましたから、その五百万を納めてきたわけです。  向こうの方は、高橋先生と……(岩國委員「ちゃんと領収書はありますか」と呼ぶ)高橋先生とそれから事務の人がおる前でちゃんとお渡ししました。私と高橋先生との関係は、領収書をくださいという関係ではございませんものですから、事務処理は私の秘書と向こうの事務でやるということで、それで帰ってきたわけでありますが、帰ってきてから数時間して、事務の人から、あれは墓建設の中の内金として処理させていただきますという話でございました。  向こうの帳面にちゃんと載っているそうです。載っているのであれば、本当は私の秘書が気がきいておれば向こうの事務からそのときに間違いなく領収書をとってくればいいところを、向こうの方から、間違いなく帳面に載せて内金として処理してありますという話だったそうでありまして、それはつい去年の暮れのことでありますから、領収書は、きちっと処理しろと言ってありますから、処理されているもの、こういうふうに思います。
  49. 岩國哲人

    ○岩國委員 大変時間をオーバーいたしまして、申しわけありませんでした。大臣から御説明を伺いまして、まだ数々の疑問はありますけれども、時間が尽きましたので、ここで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  50. 越智通雄

    越智委員長 これにて岩國君の質疑は終了いたしました。  次に、島聡君。
  51. 島聡

    ○島委員 民友連の島聡でございます。  財政構造改革法案というのがありまして、これが今、日本の経済をぐちゃぐちゃにした非常に悪法だと私は思っておりますが、それが、公共投資は七%一律に削減をするという話をしました。財政構造改革法案というのは、財政の構造を改革する法案であるはずなのに、ただ単に圧縮するだけになっているという観点から、公共投資及びODAについてきょうは御質問をしたいと思っております。  単に七%公共投資を圧縮するというのではなくて、今までの公共投資というのは、需要効果と供給効果、サプライサイドの方から考えると、需要を伸ばす効果もあったし、供給を伸ばす効果も、昔、一九七〇年代はあったわけであります。ところが今、七〇年代からやっていたものが、どうも需要効果はほんの少しあるけれども、供給効果、サプライサイドを高めるという効果はほとんどなくなってきた。だからこれは、むだなものは、むだなものの公共投資はある程度ぱっと削って、重要な投資の方に回さなくてはいけないと私は思っています。  建設省は、今回の予算に関してダム事業総点検を行って、実勢にそぐわなくなった十八件のダム事業を中止、休止しています。農水省所轄の事業でも、昨年十一月には熊本県の国営羊角湾の干拓事業の中止が熊本県の検討委員会によって提言されたことを受けまして、熊本県は事業の中止を国に求めるとともに、事業に投入した国費五十九億円の償還問題を国、農水省と協議することになったと聞いております。  このような補助事業の中止に関しては、補助金等適正化法が、国の補助事業について事情変更があったときの手続を定めている。まず、この法律の所管の大蔵省に確認の質問をしたいと思います。  事情変更で事業の中止があった場合、そのときに調査などに使われた国の補助金については、補助金を受けた地方自治体は返還しなくてもよいと解釈してよいか。そしてまた、国営のいわゆる直轄事業については、これはまた別の問題だというように解釈しているが、それでいいかどうか。確認をお願いいたします。
  52. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  まず最初の点でございますが、補助金の交付決定をした場合において、その後の事情の変更により特別の必要が生じたときは、当該交付の決定に係る事業等の執行が済んでいない部分については補助金等の交付決定を取り消すことができるということでございますし、既に事業等の執行が済んだ部分については補助金等の返還は求めることはないということでございます。  それから、第二点の直轄事業につきましては、補助金等適正化法におきまして補助事業等というのは、国が国以外の者に対して交付する補助金等の交付の対象となる事務または事業をいうという規定がございますので、国営の直轄事業はこの法律の適用除外でございます。
  53. 島聡

    ○島委員 農林大臣にお聞きします。  土地改良法に基づきます国の直轄事業としまして、干拓事業があります。これが地方自治体に対しても負担金を要請していると承知しておりますが、そもそも、国の直轄事業というならなぜ地方公共団体に負担金を要請するのか。おかしいのじゃないかと私は思うわけであります。地方分権推進委員会の昨年七月の会議でも、国直轄事業負担金は、本来、主体である国が負担すべきものであり、廃止が必要との要望が地方から寄せられていると聞いております。  この件につきまして、農林大臣の見解をお願いいたします。
  54. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  土地改良事業は、地元農家の申請や要望に基づいて実施しておるわけでございまして、その実施手続におきましては、都道府県知事や市町村長の同意も得ることとしております。  国の直轄の土地改良事業においてもこうした手続を経ておりまして、都道府県、市町村の農業振興施策にも合致している事業であることから、地方にも一定の負担をお願いしているところであります。  土地改良事業の地元自治体の負担の軽減のために、地方交付税等の地方財政措置の充実が図られるよう、また一方では努めているところでございます。
  55. 島聡

    ○島委員 いわゆる国営の干拓事業におきまして、例えば事業の中止や変更を行う、そういう際の手続についてお尋ねをいたします。  干拓事業におきまして事業の中止、変更を決める際には、これはちょっと調べますと、土地改良法の八十七条というのがある。事業計画の変更をする場合、国は関係都道府県と協議することを要するとあるわけですが、何か、協議するというだけでありまして、非常にいろいろ混乱する。  これ以外にも、事業の中止、変更の際の手続ルール、それは具体化されているのか、きちんとされているかどうかについて、農林省にお尋ねします。
  56. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先生御指摘の土地改良事業の中止、変更といった見直しのための手続につきましては、例えば御指摘ございました土地改良法の八十七条の三等の規定がございまして、社会経済情勢の変化に応じて計画を見直す必要が生じた場合には、受益農家の合意を得、また都道府県や市町村と協議し、その合意のもとに進めるということになっておりますし、また、この手続の中には、学識経験者の意見を聞くという手続、さらに、計画の見直しの案につきまして公告縦覧をし、異議申し立てを受けることになっておりまして、こういった手続を経まして計画の変更を行うことになっております。  事業の廃止につきましても、計画変更の場合に準じた手続を経て処理するということにいたしておりまして、このような慎重な計画変更、廃止の手続は適切なものであると私ども思っております。
  57. 島聡

    ○島委員 今御答弁いただきましたけれども、非常にあいまいなところが多いわけでありまして、右肩上がりの成長だった時代というのは事業からの撤退というケースを恐らく想定しなくてもよかったから、このような状況になっていると思うわけであります。  今、撤退のための法制度が整備されていないというのはそういう状況じゃないかと私は思っておるわけでありますが、しかし、事業中止を決める際に撤退の手続がきちんとされていないと、例えば撤退の手続が面倒とか、費用分担の話とかそういうのが不透明ですと、地方の側に非常に心配が残るわけです。やめたことはいいけれども、どうなるんだろうと。そうすると、何かまた、いろいろうっとうしいから、いっそのことそのまま事業を続けてしまった方が簡単だ、いろんな議論もあるしということになってしまう。つまり、不要の事業でもそのまま続けていってしまうというインセンティブが今あっちこっちで働いているんですよ。  構造的にこんなような状況があるということは、これは変えなくちゃいけないという意味で、農林大臣にお聞きしますが、例えば事業中止となった場合、地方の負担金をどうするのか、また、国がこれまで費やした費用をどうするのかという具体的な問題が現実に発生しているわけであります。  先ほど岩國議員もおっしゃいましたけれども、中海干拓事業の本庄工区というのは国の直轄事業なわけでありますが、現在、事業継続の必要性を調査中だというふうに私は報道で聞いております。この事業の中止が決まった場合、実施済み事業費のうち国の負担分は二百八十六億円に上ると聞いておりますが、だれがどのように負担していくのか。  幾つか考え方があると思いますが、直轄事業であるから当然国が負担するという考え方があります。地元自治体の強い要請による事業、さっきおっしゃいましたが、要請をしたんだからということで、地方自治体に地方負担金以上の追加負担を要請するという考え方もあります。どのような方針をお考えなのか、大臣の見解を伺います。
  58. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  御指摘の中海干拓事業につきましては、昭和六十三年度から工事を延期しているところでありますが、先ほど来お話が出ておりますように、平成八年三月に、島根県知事から私ども農林水産省に対しまして工事再開の要請がなされたところであります。  農林水産省といたしましては、平成九年度及び十年度の二年間、これはあくまで中立的な調査を行うことといたしまして、この結果を踏まえて事業の取り扱いを判断したい、こう考えているところです。  仮に事業の中止が決定された場合、事業に要した負担金の取り扱いはどうなるかという御質問でございますが、当初の事業の実施と負担割合についての国と県との間の合意や、事業の中止に至る事情等を踏まえまして、国と県が協議の上、決定すべきものと考えております。
  59. 島聡

    ○島委員 今、中止の結論が出てから協議をする、そういうことでよろしいんですか。はい。  そうするとやはり、判断する場合に、将来どうなるかわからないまま中止の結論を出さなくちゃいけないという話になるわけでありまして、いろんな意味でこれは決断を下す側からすると負担があると思います。  今は中海干拓の問題を取り上げましたが、これは一例であります。地方自治体が、費用負担が発生することを恐れる。そうすると、必要なくなった計画、完成見込みの立たない事業でも、何とかずるずると延ばしていった方が何となくいいんじゃないか、そんなふうに考えてしまいかねない構造が今あるのですよ。長年続けさせていって、それがむだになってむだになって、今、公共投資自身がおかしくなっている。単に財政構造改革で七%下げるだけであって、決して構造まで改革がされていないわけであります。  恐らく、国営直轄事業、本当にむだじゃないかというようなことを言われるケース、これからどんどんふえてくると思います。スムーズな撤退を実現するための法制度の整備というのは、早急に解決すべき課題であると私は思っています。  そこでお尋ねでございますが、先ほどの話でありますが、直轄事業を中止した場合、国の負担分はそのまま国が面倒を見ることになるのか、あるいは地元からの要請という責任をとっていただくという意味で地方自治体に要請するのか。このような直轄事業から撤退する場合、先ほどは中海の話を伺ったわけでございますけれども、一般的な形としてどのように考えていくのか、これからどうあるべきとお考えなのかを農林大臣にお尋ねしたいと思います。
  60. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 土地改良事業につきましては、地元農家の申請、要望に基づいて、都道府県や市町村等と協議をいたしまして、その合意を得るなどの手続を全部経て実施をしているところでございます。  しかし、やはり、バブルがはじける等、経済あるいは社会の情勢が大きく変化したり、あるいはまた、事業そのもの自体が、例えば市場その他の変化に応じて、先ほどの静清庵のかんがい排水ではございませんが、ミカンの農家が意欲を失うという面も実は生じてくるわけでございまして、そういう場合には、当然に、それらに適切に対応する必要が生じてくるわけであります。  そういう意味で、昭和二十四年以降着工した国営土地改良事業八百四十一地区のうち、いわば計画変更を行ったものは、平成八年度末現在で三百八十八地区、約四六%あるわけであります。また、昨年十二月には十一地区について事業を中止することを表明したところであります。  さらに、国営土地改良事業について、おおむね五年ごとに事業の評価を行う、いわば再評価システムを本年四月より実施することとしておりまして、また、補助事業につきましても同様の措置がとられるよう指導しております。  なお、五年間というのは少し長いのではないか、まさに適宜適切にこれらについて検討を行うべきではないか、このことは私自身の意思として改めて構造改善局長に指示をしたところでございまして、これからは可能な限りむだが生じないように最善を尽くしていきたいと考えております。  なお、事業を中止する場合の既に支出した費用の分担につきましては、先ほど御説明したとおり、都道府県や市町村とよくお話し合いの上で決める、こういうことでございます。
  61. 島聡

    ○島委員 予算のむだ遣いを助長するのじゃなくて、公共投資といえども、あくまでスクラップ・アンド・ビルドをしてやっていっていただきたいと思います。  農水大臣、結構でございます。  次に、今回の財政構造改革法案で一〇%もの削減をされたODAについて、お尋ねをしたいと思います。  ある新聞によりますと、予算委員会でODAの質問が出たことはほとんどなかった、一問ぐらいしか出なかったというような話だそうでございます。一〇%も削減したのに余り経済協力の質問が出てこない、おかしいという話もありますし、さらにありまして、ODAを一生懸命やっている議員というのは三人いたけれども、次の選挙ではその三人とも落ちたというような話がある。私もそういうことを感じながらも、気をつけなくてはいけないと思いながらも、やはりこれは重要な問題でございますので、きょうはODAについて質問をさせていただきたいと思います。  ODAというのは、我が国にとって最大の外交手段であろうと私は思っております。二月十六日、小渕外務大臣の外交演説の中では、政府開発援助は、開発途上国の発展を促すために我が国が行う貢献の最も重要な柱として位置づけられております。その外交演説で、小渕外務大臣はこうおっしゃっておるわけでございます。  来年度政府予算原案の中でODA予算は一〇・四%の削減になっている。政府としては、総合調整により予算の重点配分を行うとともに、国別の援助政策の充実、実施体制の改善、国民参加のODAの推進など、改革に大胆に取り組み、限られた財源で最大の効果を発揮するように努めます。そして、この改革の中で国民の皆様とともにODAのあり方を考え、御理解を得ていきたいと思いますとおっしゃっております。  大胆な改革と言われているわけでありますから、その大胆な改革というのをどのように具体的にお進めなのかということについて、順次お尋ねをしてまいります。  我が国が行う貢献の最も重要な柱、繰り返しになりますが、何度もそうおっしゃっているわけでございますが、それだけ重要にもかかわりませず、ODAの内容を規定する法律が今はありません。  橋本首相は、二月二十七日の予算委員会の答弁で、ODA基本法について、これが唯一の質問だったようでございますが、聞かれたときに、これには相手国の動向、二国間関係が判断のベースに入る、そして同時に、機動的な対応あるいは柔軟な対応を必要とするODAの性格からは、慎重な検討が必要だと思うと。慎重な検討が必要だと思うのだったら、これは国会の慎重な検討が必要だと思うのだけれども。その上で、しかし、国会が事後のチェックなどをいただくために工夫するということは我々も考えてみなければいけないというような趣旨の答弁をして、基本法については非常に慎重な答弁をされた。  慎重な検討が必要ならきちんと国会で議論をすると思うのですが、何かよくわかりませんが、基本法には反対されたということであります。  閣内不統一であってはいけませんから、外務大臣も同じ考えだと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。
  62. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 ODAは、言うまでもありませんが、PKOと並んで、日本の外交の大きな国際貢献の柱だというふうに認識をいたしております。  そういった意味で、ODAの重要性については、国会の御議論等を踏まえながら適切に対処していかなければならぬと常々考えておるところでございます。  そこで、今御指摘の、基本法についての御質問が本会議でもありまして、総理からも御答弁されておりますが、趣旨はそのとおりだと思っております。  ただ、このODA基本法というものは、野党の方でいろいろ御検討されて成案を得ておるようでございますが、また同時に、与党自民党の中でも、この問題につきましては小委員会をつくりまして検討中やに聞いております。  したがいまして、その基本法なるものの中身のことにもかかわることであるかと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、国会がこのODAにつきまして十分目配りをし、御指摘をいただき、よりよきものを目指していくということは当然でございますので、謙虚に承ってまいりたいと思っております。
  63. 島聡

    ○島委員 国会が目配りをしていただくという話がありましたので、先ほど、橋本首相の発言の中に、国会が事後のチェックなどをいただくための工夫という言葉がございました。橋本首相がおっしゃった、国会が事後のチェックなどをいただくための工夫とは、具体的にどのような仕組み、制度が望ましいと考えられるか、外務大臣はどのようにお考えかをお聞きしたいと思います。
  64. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 本会議の答弁でございますので、具体的に総理がどのことを念頭に置いてお話があったか存じませんが、具体的にと言われますと、結局、ODAの支出に対しての予算について、国会におきましてそれぞれ御指摘をちょうだいしながら、よりよき、効果的、効率的なODAを目指すということになるんだろうと思います。  具体的にどのことを念頭に置いたかにつきましては定かでありませんが、いろいろ工夫をしていこう、こういうことだろうと思います。
  65. 島聡

    ○島委員 我が国のODAというのは、平成十年度一般会計予算で一兆四百七十三億円に上っています。これだけの公費を注ぐ国家の大事業であると私は思います。  今のお話を聞いておりますと、国会の十分な審議をとかいろいろおっしゃいますけれども、要するに予算の国会承認だけで、その内容を規定する法律もないし、具体的にどのような仕組み、制度でやっていくかというお考えも、外務大臣自身にも具体的にはないということが今の答弁でありました。  政府開発援助大綱というのはございますけれども、文言は極めて不明瞭ですし、拘束力もあるわけじゃありません。現在のシステムは、政府のというよりも外務省の一方的な裁量の余地を最大限にする不透明なメカニズムになっている、これが現状だと私は思うのです。  日本外交にとってODAの重要性が増せば増すほど、また国民にとって非常に緊縮財政でありますその中で、やはり、ODAなんという世界のことよりも自分たちのというような内向きな発想になるかもしれません。こういう場でODAの透明性を高めることが私は非常に重要になってくると思う。  橋本総理が言われて、その所管大臣である外務大臣に具体的にどうお考えですかとお聞きしたら、具体的にと言われてもと言われる。ということは、やはり事後的なチェックの必要性があるとおっしゃってはいますけれども、何をどうするか不透明なまま、とりあえず予算が通ったらそのままやればいいと。  政府としては、ODAを今後実施するに当たって、つまりフリーハンドでやらせてほしい、フリーハンドをできるだけ手にしておきたいから基本法もつくらない、予算承認だけでいい。外務大臣も具体的にそういうことを考えているような方向性でもない。そう解釈してよろしいですか、外務大臣。     〔委員長退席、伊藤(公)委員長代理着席〕
  66. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 ODA予算につきましては、国会の御理解も得まして、歴年の予算では非常に大きくなってきたわけでございますけれども、しかし、来年度の中で、財政構造改革の中でこの問題も厳しく見詰めなければならないということで、数字的に言いますと一〇%のカットという大変な大なたが振るわれたわけでございます。  この機会に、外務省といたしましても、ODAのあり方につきまして、従来のように右肩上がりで、ある意味の聖域化されてきた予算ということでなくて、きちんとこれを見直さなければならぬということで検討を始めておるわけでございまして、確たるものを今申し上げられないということではありますけれども、外務大臣に対してODA懇談会というところで先般答申がなされました。また、民間の中でも、日本国際フォーラムその他、この機会にODAのあり方につきまして非常に真剣な御討議がされまして、今幾つかの提言がされております。  その提言を真摯に受けとめながら、その中でまずプライオリティーを決めて、どれから取り組むかどうかについて今検討中だということでございまして、何らのこの問題についての考え方がないということを言われますとそうかもしれませんけれども、我々としては、受けた答申をきちんと見詰めながら、来年度に向けて具体的な処方せんを講じていきたいということで今真剣に取り組んでおるところでございます。
  67. 島聡

    ○島委員 検討中、検討中ではなくて、今、大臣の御所見という形で、私の方からもっと具体的にお尋ねをしていきたいと思います。  外交演説で大臣が、国民の皆さんとともにODAのあり方を考え、御理解を得ていきたい、そうおっしゃっているわけであります。これは大臣の演説でございます。  しかしながら、日本のODAに対しては、多くの国民がまあ必要性はあるのだろうなと思いながらも、これは非常に複雑なメカニズムです、不透明な感じを抱いている。さらに、今みたいにODA基本法はつくりませんとかいろいろやっていると、ますます不透明な感じがしてくる。もちろんこれには情報公開なんというのもあるのでしょうけれども、この複雑なメカニズムということが、つまりいろいろな省庁がやっているとか、政策立案組織があちこちにあるということが一つの問題だろうと私は思っております。  政策立案組織の一元化が最良の方策だろうと思っておるのですが、政策立案組織の一元化につきまして、行政改革会議の最終報告では、経済協力のあり方について、被援助国に対する総合的な戦略など、経済協力に関する全体的な企画については外務省がコアとなって総合調整を行うとなっています。外務省がコアとなる。  そこでお尋ねでございますが、外務省がコアとなって総合調整を行うというのは、要するに、現状は外務省がコアとなって総合調整を行っていないということでございましょうか。
  68. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 お答え申し上げます。  ODAの行政の実態につきましては、先生御案内のとおりでございますが、態様によりまして若干取り組み方が違っております。  円借款につきましては四省庁体制ということでございまして、その四省庁体制の中で、基本的な取りまとめというものは在外公館を抱え対外折衝に当たります外務省が中心的にやりながら、必要によりその他の省庁とも協議をしつつやっております。  やや複雑になりますのが技術協力の分野でございますが、この技術協力は事柄の性格上非常に多方面にわたります。したがいまして、省庁関係も多方面にわたります。その中で、国際協力事業団という実施機関がございますので、その国際協力事業団を主管しております外務省が中心になりましてやっておりますが、一部分の技術協力につきましては、外務省、国際協力事業団を通じますものとは別のものがございます。そういうものにつきましては外務省が音頭をとりまして、技術協力関係の省庁の連絡会議というものを適宜行いまして、できるだけ連携協調が保たれますように、また情報が交換されますように注意をしながら実施をしておる、こういうことでございます。
  69. 島聡

    ○島委員 質問に端的にお答えいただきたいのですが、外務省がコアとなって総合調整を今行っているというような認識がありますか、それとも総合調整を行っていないですか。それについてお答えください。
  70. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 総合調整という意味でございますけれども予算を伴い、政策の決定すべてにわたりまして外務省自身が物事を総合的にやっておるかというと、現状はそうはなっておりません。取りまとめ、情報の整理等々、こういうことでございます。  先ほど先生から御指摘のございました行政改革会議の最終報告、それを体しました今般の行政改革の基本法案におきましては、そういった外務省の機能が、外務省を中心として総合調整を行うというふうになっておりますので、そういった全体の調整に当たります関係というものが法的にきちんと整理をされるということで改善になるというふうに考えております。
  71. 島聡

    ○島委員 より改善を早急に進めていただきたいと思う次第でございます。  先ほど申しましたODA大綱について、ちょっとお尋ねをしたいと思います。  我が国ODAの唯一の指針がODA大綱であると私は思うわけでありますけれども、この大綱、政府開発援助について内外の理解を深めることによって幅広い支持を得るとともに、援助を一層効果的、効率的に実施することを目的として平成四年に制定された。現在、その原則には、一つ、環境と開発の両立、二、軍事的用途、国際紛争助長への使用の回避、三、大量破壊兵器の開発製造、武器の輸出入の動向の注意、四、途上国における民主化、人権への注意という四点があるわけであります。  ODA大綱というのは、我が国のODAが何を目指して行われるかということを納税者に示しているという意味で今まで一定の機能は果たしていた。しかし、これからもっとこのODAにいろいろな意味を持たせればいいのではないかと思うのであります。先ほどいろいろな検討をされていると外務大臣おっしゃいましたけれども、民間の方でもいろいろな検討をされております。  例えば、ある民間研究機関が、汚職などODAを利用した政治的腐敗の動向に注意を払うという原則を加えてはどうかという提言がありました。これは今日本にもあってもいいような提言でございますけれども、このような汚職などODAを利用した政治的腐敗の動向に注意を払うということ、そういうところに国民の税金を使うということに関して今日本の国民の方は非常に、非常に注目をしていると思いますので、こういうような原則を加える、あるいはそれに留意するということを考えられてはどうかと思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  72. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 委員指摘のように、大綱の四原則はそれなりに、この原則に基づいて対応してきたわけでございまして、そういった点ではこの四原則が大きな柱だというふうに認識しております。  そこで、今御指摘の点を加えるべきかどうかということでございますが、国民感情的にはよくわかると思います。援助した国が、そこの国の政権そのもののコラプションといいますか、そういうことがいろいろ報道されるにつけて、そうした国々に対する援助についてきちんと見ていくべきだという御指摘もしばしばいただいております。  ただ、政権そのものと、国民全体の生活向上、経済協力というものとの境目が非常に難しい。また、その方法によりましても、例えば草の根みたいな形で本当に国民のレベルで大きな成果を、金額が少なくとも、ODAとしての成果を上げているような点もございます。したがいまして、そういった点で、我が国のODAがその国に対して結果的に国民にいかように裨益してくるかということについて、十分見通さなければならないというふうに思いますが、これを、どこまでがその国として、腐敗といいますか、問題があるかということの目盛りが、なかなかもって難しい点もあります。  しかし、十分このことについては研究しなければ、当然我が国のこのODAに対する国民的な理解が深まらないという認識はいたしております。
  73. 島聡

    ○島委員 今、その目盛りが難しいとおっしゃったが、その目盛りを判断するというか、その基準を判断するのがいわゆる政治的判断で、外務大臣の仕事だと思いますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  大臣の外交演説に、国別援助政策の充実というのがありました。国別援助政策を充実するということは、その前提として、国別の援助計画があって国別援助政策の充実が可能になると私は思うのです。  外務省にお尋ねしますけれども、外務省あるいは国際協力事業団では、援助案件の企画実施に当たって国別援助計画をどのように策定しておられるのか、また、海外経済協力基金など、他の政府機関と連携をとって国別の開発援助計画を策定しておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  74. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 国別の援助計画につきましては、まず現状を申し上げますと、現在までのところ、二十一カ国の主要援助国につきまして、この計画を、我々は方針と呼んでおりますけれども作成をいたしまして、これは別途、毎年公表しております我が国の政府開発援助の実施状況に関する年次報告、こういう資料がございますが、この中にすべて入って、公表をされておるわけでございます。  ただ、いろいろ御批判もいただいておりますけれども、現在つくっておりますものは突っ込みが足りないと。さらに、これから予算がしばらくの間減るわけでございますので、いろいろなODAの改革を進める中で、この国別計画なるものも、さらにその内容を詳しく、より厳密にしていく必要があるということが従来指摘をされておりまして、先ほど外務大臣からも御言及ございましたけれども、ODA改革懇談会の報告の中にも、まさにこの国別援助計画の充実が指摘されております。  私どもとしましては、実施機関でございます事業団あるいは海外経済協力基金等とも協力をいたしまして、かつ、関係します各省庁とも協力をして、この国別計画の徹底、作成の詳細化につきまして、これから優先度を付して取り組んでいくことにいたしております。
  75. 島聡

    ○島委員 今、国別援助政策の話をしましたので、具体的な質問をしたいと思います。  ミャンマー向け円借款が再開されたわけでございますが、これはヤンゴン空港の施設の安全性を確保するための援助ということですが、そこで、この円借款プロジェクトの現状と見通しをまず御説明いただきたいと思います。
  76. 大島賢三

    ○大島(賢)政府委員 ミャンマーにつきまして、八八年の政変以降、新規に円借款を供与するということは控えております。他方、当時継続しておった案件が幾つかございますが、これにつきましても、円借款については中断をしておるわけでございます。  他方、人道的な案件、小規模のもの、それから、技術協力等につきましては、ケース・バイ・ケースに応じて実行しておるということでございます。
  77. 島聡

    ○島委員 このミャンマーの円借款再開の経緯について、今簡単な御説明をいただきましたが、なぜこの時期に、このような再開の決定を下したのか。外交政策上、どういう判断でされたのかということを、外務大臣から御説明をお願いしたいと思います。
  78. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 ミャンマーにつきましては、今御説明申し上げましたが、特に空港の問題、これが中断したままになっておりまして、そして、この空港の整備が整いませんと不慮の事故も起きかねないということでございます。  この空港の建設につきましては、かねて日本の協力によってスタートを切っておるわけでございまして、せっかく工事が途中まで行っておりまして、このままの状況で飛行にも差しさわるということでありますれば、これまでの協力につきまして、やはりミャンマーの方々の我が国に対する非難にもつながりかねない、こういうことでございましたので、今申し上げたように、人道的といいますか、安全の立場から、この空港については何はともあれ協力をして、これを完成させる努力をしていきたいということで決断した次第でございます。
  79. 島聡

    ○島委員 ということは、余り外交政策上の判断というのはなかった、そういうことでございますか。
  80. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 外交的政策上とおっしゃられる意味があるいは十分受けとめられないかもしれませんが、いずれの国との関係も、それは円満、円滑に進めていかなければならないということでありまして。  ただ、ミャンマーにつきましては、御案内のように、今の、俗に言う軍事政権とアウン・サン・スー・チーさんを初めとする政党との間にいろいろ考え方の違いもございます。したがいまして、我々としては、あくまでも人道的立場でございまして、国内の問題についてはそれぞれ、やはり自由化といいますか、の方向に全体的に進んでいくということを願い、かつ、現政権につきましても、そういう方向にあるべしということで、いろいろな形でアドバイスを申し上げていることは事実でございます。
  81. 島聡

    ○島委員 我が国政府の関与の仕方としまして、ミャンマーの内政、軍事政権側とスー・チー氏側、いろいろな事情があることは当然存じております。  私は、我が国政府の関与の仕方としまして、建設的な関与、あるいは人道的な援助を通じての建設的な関与というのは、これは非常に地道に対話を促すという意味で結構評価されることだと思うのです。日本のアプローチを評価する声もあるのです。それをきちんと、説明をもっとすべきだと思うのです。説明をせずに、何かいつの間にか再開するよとか、あるいはいつの間にか始まっていて、いつの間にか、国民が知らないまま、そうだったか、それだけですから、国民の方も一体何をやっているんだろう、ODAはどう使われているんだろうということに対して疑問を持つわけであります。  私は、日本は今までのように静かな外交ではもうだめだと思います。こうこうこういう意味だというメッセージを発しながら、そしてその中で外交を展開していかない限り、ODAに対してまず国内的にも私は理解が得られないと思う、この財政の厳しい折に。ぜひとも、きちんとメッセージを発しながら、外交政策を展開していく。  顔が見えない外交というのが当たり前でありまして、国会にも余りきちんと説明しない。国会にも説明できないから国民も余りわからない。それで世界に発信できるわけがないわけであります。どうして、こういうことで、こういう意図でやるということを、もう五五年体制と違うわけでありますから、きちんと説明をして、その上で政策を遂行していっていただきたいと思う次第であります。  今、日本国内、援助疲れがあるわけであります。一九九三年に日本のODAは世界一になりました。これは九七年まで続いている。来年どうなるかわからないと言われていますが。金額よりも中身が大事と言われますけれども、世界一のODAというのは外交的には非常に意味があったと私は思います。それを何か知らない間にまたうやむやになってしまう。こんなような外交政策の姿というのは、国民も理解できない。  きちんと国会に説明をし、国会にきちんと説明できることが国民に理解をいただくまず第一歩であって、そして、その上で世界に発信していくというODA政策を遂行していただくことをお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  82. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 これにて島君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田幸久君。
  83. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 大蔵大臣質問をさせていただきます。  三十兆円の公的資金投入が決まったわけでございますが、どうも、不良債権処理を先送りにして、銀行の経営内容とか経営者の責任といったものにふたをして決定がなされて、国民の税金が投入されようとしているという強い不信を国民の中に抱いている筋があると思います。  たまたま沖縄の琉球銀行の実態を調べましたので、この事例を申し上げながら質問をしたいと思います。  琉球銀行というのは、沖縄が本土復帰をする前の中央銀行でございます。そして、現在の会長が当地の商工会議所の会頭や公安委員会委員も務める、いわば沖縄の産業、経済の中核をなす存在であるわけです。こうした企業銀行と大蔵省とのかかわりという点で非常に重要であると思いますし、また、この銀行の存在が沖縄の振興策というものを将来的にも成功させるためにも不可欠と思われますので、そういった観点から質問をさせていただきたいと思います。  新聞報道によりますと、ことしの一月八日に、琉球銀行の崎間会長という方が、大蔵省の沖縄の出先であるところの沖縄総合事務局の林財務部長それから日本銀行那覇支店の橋本支店長のお二人の同席のもとで、琉球銀行の経営不安説を否定する会見を行ったということになっております。  琉球銀行という一つの民間銀行の記者会見に、地方における大蔵省と日銀の最高責任者が同席するというのは、非常に異例なことだろうと思うわけですが、記者会見に同席をしてこういった発言をしたというのは、だれの指示に基づいて行われたのかということと、大蔵省及び日銀が琉球銀行の経営不安説を否定したということは、大蔵省及び日銀は当然この銀行の経営内容を完全に把握しているということだろうと思うのですけれども、ということは、経営不安を否定したというその客観的な根拠をまず示していただきたいと思います。
  84. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  琉球銀行をめぐりますことし一月初旬当時の状況を申し上げますと、昨年末来、同行に対する信用不安をあおる悪質なデマ、風説が何者かによって顧客らに繰り返し流されまして、顧客から同行に問い合わせが相次ぎました。また、預金の流出が続くという異常な状況にあったわけでございます。  このような悪質なデマ、風説に対しまして、琉球銀行は、一月八日、沖縄県警に捜査を依頼し、その旨記者会見で発表いたしました。その際、沖縄総合事務局の財務部長及び日本銀行那覇支店長からも、預金者の方々に冷静な対応を呼びかけたものでございます。  こういった例は、昨年の十一月にも他の銀行でも起きました。いわゆる風説が流布され、預金者が非常に不安を覚えられ、預金の引き出しに長蛇の列をつくられたということがございました。そういったときに、預金者の方々に不安を与えないために、現地がそういった対応をしたわけでございます。  いずれにせよ、琉球銀行につきましては、日常の監督とか検査あるいは考査を通じて、現時点において預金者の方々に御心配をいただくような状況にはないという認識のもとで、その一月八日の会見において、そうした預金者の方々に呼びかけをしたというふうに聞いております。
  85. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 その考査等も踏まえて、現時点では異常がないということだそうですが、その根拠を示してほしいと思います。
  86. 山口公生

    ○山口政府委員 大蔵省の金融検査あるいは日本銀行の考査でもって財務状況を把握しておりますし、また、日々の監督を通じて把握しているということでございます。  そうした総合的な判断でもって、預金者の方々に御心配要りませんというようなことを当時申し上げ、その混乱を防いだということでございます。
  87. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 はっきりおっしゃらないので、今委員会の了解を得て配付をいたしました資料について御質問したいと思いますが、この一番上に出ております資料は琉球銀行の本年一月の資料でございます。  この下の方に不良債権の状況という表がございますが、実はこのAプラスBというのが、つまり破綻先と延滞債権を足したものが公表されている不良債権ということになっております。  三枚目に、琉球銀行の公表不良債権額という紙がございますが、これは大蔵省からいただいた紙でございます。この三枚目の公表不良債権額の左側、つまり昨年九月末の不良債権の小計が三百五十二億となっておりまして、これに金利減免等を足した額が五百三十五億というふうになっておるわけです。  もう一度この一枚目の琉球銀行の資料に目を通していただきたいと思いますが、左側の小計AプラスBというのがあります。小計AプラスBの下から五つ目が昨年の九月でございます。つまり三百五十二億。これに金利減免等を足したものが公表不良債権額となっておるわけですが、このAプラスBというのが、いわゆる銀行協会のスタンダードに基づいた公表不良債権の額でございます。  ところが、実際には、右側のDプラスEがあるわけです。したがいまして、実際の不良債権額というのは、平成九年九月のDのところを見ていただきますと、下から五つ目でございますが、これは千百七十一億円。これは金利減免分を抜きますと、上にちょっと手書きで書きましたが、元本返済猶予というのが九百八十七億円ぐらいあるわけです。  したがいまして、実際、元本返済猶予というのは、いわばリスケ債権と言われているもので、元本には手を触れず、利息だけ払っておればいいというものでございますけれども、公表不良債権額にこのリスケ債権を加えますと、千五百二十三億円になるわけです。ということは、実際の不良債権は、公表不良債権にリスケ債権を加えた千五百二十三億円。  それから、さらに右側、Eのところですが、要注意債権というのがありますが、要注意債権、Eの下から五つ目でございますが、これが二千三百三十億円でございます。したがいまして、それを足しますと、一番右側の合計の三千六百九十八億円。これは内部資料ではっきり、つまり公表したAプラスBのほかに、実は公表されていないD、Eがあるということが示されておるわけです。  質問通告をしてございましたが、いわゆるリスケ債権を加えた千五百二十三億円という数字と、それから大蔵省検査で分類されたというこの要注意債権が、平成九年九月ですが、二千三百三十億円あるということの確認を通告で求めておりましたので、まずそれにお答えいただきたいと思います。     〔伊藤(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  88. 原口恒和

    原口政府委員 個別の金融機関等の検査結果についてコメントすることは従来から差し控えさせていただいておりますので、直接のお答えはできないかと思います。  また、今先生のおっしゃった内部資料の要注意債権というものが、これは内部資料でございますので我々としてコメントする立場にはございませんが、いずれにしても、我々が検査に入った場合に、要注意債権というような形で分類をすることはございますが、それは必ずしも不良債権ということではなくて、個別に適切な管理をすれば十分銀行の債権として問題がない結果をもたらすことの方が多い債権であるというふうに認識をしております。
  89. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 個別の銀行のことなので答えができないということでしたけれども、一月八日の記者会見で大丈夫だと琉球銀行を言っているということは、まさに個別の銀行について大丈夫だというふうにはっきりおっしゃっているんじゃないですか。  この新聞記事を読みましても、個別の銀行に対して、林財務部長という人も、それから日銀の支店長もはっきり言っておるわけです。しかも、この新聞によりましても、大蔵省の内藤銀行課長の方も、問題があるということはないというようなことをはっきり言っているわけです。  したがいまして、個別の銀行に対してはっきりこういったことを言っているわけでございまして、それに対して、個別の銀行の内容については答えられないというのでは筋が通らないと思うんですが、いかがですか。
  90. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  当時、一月八日でございますが、日常の監督や検査等を通じて、現時点において預金者の方々に御心配をいただくような状況にないという認識を持っておりますので、ちょうど十一月あたりからありました一連の金融不安、いろいろなそうした風聞で不安定になった状況を静めるために行っているわけでございます。先ほど検査部長が申し上げたようないろいろな検査等、あるいは日本銀行の考査等で、その時点では当然そういう判断をしているわけでございます。
  91. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ということは、その検査をした段階で、今この琉銀の内部資料がございますけれども、単に数%数字が違うということではなく、例えば、公表不良債権額と、ここに出ております平成九年九月のA、B、C、D、Eというのは三千六百九十八億円ということですから、七倍近い差が出ているわけです。検査をして、実際には、このAプラスBのような公表不良債権以外に、それを数倍も上回る不良債権があるというのが検査の中で出ていないんですか。
  92. 原口恒和

    原口政府委員 お答えします。  検査の場合、債権を通常四つの分類をいたします。一分類から四分類ということで、一分類は正常な債権、二分類は、先ほど申しましたように、適切な個別的な管理をすれば、これはそういう意味で注意は要するけれども、リスク管理をちゃんとやれば正常な債権である可能性の高い債権、それから三分類がかなり回収に懸念があるけれどもまだロス額が確定していない債権、それから四分類は無価値な債権というふうに分類をしておるわけでございます。  一方で、公表不良債権、これは一定の基準に従いまして、また順次その基準を拡大してきておりますけれども、形式的な基準によって発表しておりますので、そういう意味で、検査においての分類債権の三分類と四分類を足した額、あるいはリスク管理まで要するという意味で二分類を足した分類債権の額と、公表されている不良債権の額というのはおのずと性格が違うので、一般的に相当数字が違うことはあると思います。
  93. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 その三と四に入っていないという形で実はこの分類を逃げているんだろうと思うんです。つまり、二分類の中にあっても、このきょうの琉球銀行の資料で明らかになっているように、Dの部分ですね、元本返済猶予、リスケ債権というものを公表の不良債権の中に入れない形で、つまり一、二、三、四分類の中だと実は二の中にこれがうまく隠せるという形で、これだけたくさん隠されているんだろうと思うんです。  大蔵省の方でこの不良債権に関する実態を調べる際に、元本返済猶予つまりリスケ債権を加えないということでは、実際の不良債権の実態がわからないんじゃないですか。どうですか。これは、琉球銀行にかかわらず、日本全国の銀行に対しても、このリスケ債権を入れないということ自体が今までの大変大きな問題だろうと思いますが、いかがですか。
  94. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  今やっております公表不良債権の基準といいますのは、破綻先、延滞債権、金利減免等債権、こういうことでございまして、今おっしゃったような元本の部分のものは含まれておりませんけれども、今度アメリカのSEC基準を参考にしながら、新しい基準でも出してもらおうというふうに考えております。新たなる基準での公表不良債権というのが別途また出てくるわけでございます。  ただ、先生、今リスケ債権とか二分類のお話をいろいろされておりますけれども、こういったものが不良債権だと余りにも決めつけてしまいますと、本当に、例えば中小企業が何期か赤字になったらみんなこれは不良債権で、全部回収しなさいというふうになってしまいます。  各銀行の経営体質あるいは経営体力をどうやって見るかといいますと、今検査部長が申し上げましたように、四、三、二、一と分けたものの中で、四は企業会計的にも償却してしまわなきゃいけませんというものなんです。三は実質的にそういったものですから、これもかなりそういうものに近くなる。二になりますと、あるいはよく言われますハイリスク・ハイリターンというものはむしろ二に入るわけですね。一は、住宅ローンで天引きで返ってくるようなものはそちらへ入ります。  したがいまして、二分類のものが多いからといって、必ずしも、もう銀行が危ないというふうに決めつけるのもおかしいと思うんです。そこは企業会計の観点から、公認会計士の方あるいは監査法人の方が、今期どれだけ償却をすべきなのかということをきっちり見ていただいて、自己査定の結果をそうやってチェックしていただくわけです。それで適正な引き当てができているかどうかということを判断していただいて、その結果自己資本比率というのを出すわけでございます。今度の三月期からそれをやっていただきます。  したがいまして、そういったものの中に、企業会計的な観点から見た銀行の健全性というのがあらわれてくるわけでございますので、それで御判断を賜るということになろうかと思うわけでございます。
  95. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 そうすると、これから不良債権の開示のスタンダードにSECのような基準を、ほかの銀行も含めて適用していくということですか、最初のお答えですが。
  96. 山口公生

    ○山口政府委員 SECの基準を参考にしながら新しくそういう公表不良債権の基準をつくると。もちろん、前の基準もそのままとりたいと思いますが、それに加えてとろうということを考えておるわけでございます。
  97. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 もし例えばこの内部資料というものが公表されたとしまして、これでも大蔵省の方は、琉球銀行は間違いないというふうに、一緒に記者会見して問題ないというふうにおっしゃっていたんですか。  つまり、今いろいろと不良債権の解釈について、二分類が云々とおっしゃっていましたが、では、例えばこういう資料が実際に出ても、大蔵省の方は、今ハイリスク・ハイリターンという話をおっしゃいましたけれども、ハイリスク・ハイリターンであるならば、大蔵省の方で、大丈夫です、捜査もどんどんやれというような言い方もおっしゃっているわけです。で、もし実際のこういう実態が表に出ても、大丈夫だというふうに大蔵省はおっしゃいますか。
  98. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  しばしばお答え申し上げましたように、一月八日の時点におきましていろいろな風聞、風説がありまして、預金者の方々が非常に不安を覚えられたというシチュエーションのもとにおきまして、銀行自体がそれを打ち消すと同時に、財務事務所あるいは日本銀行がその時点においては御心配賜る必要はありませんよということを言ったということであります。  今先生がおっしゃいましたその内部資料、私も今初めて見ましたけれども、それをもって不安だ不安だということにはならないと思います。なぜならば、先ほど申し上げましたように、公認会計士が、その中でどういったものは今期償却をすべきものか、引き当てすべきものかということを判断するわけでございます。  傷ついた債権が、あるいは完全な形の債権ではない、あるいは不安が少しでもあるというだけで、その銀行が危ないというようなことにしてしまっては、それはかえって預金者の方々は不安を覚えますし、沖縄の経済全体が、また、いろいろな形で取引先にも不安を与えるということになろうかと思います。  いずれにせよ、各銀行は、自分の債権について自己査定を十分にやり、公認会計士あるいは監査法人に十分に企業会計原則にのっとってチェックしていただいて、それで自己査定の結果、自己資本比率をはじき、それで健全性を保つよう努力していただくことが至当かと考える次第でございます。
  99. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 まさにこの銀行自身の自己査定の根拠になっているのがこの資料じゃないかと思いますし、それから、その自己査定と大蔵省の検査、日銀考査等々の内容がずれていたんでは、検査は何をやっていたのかということになるわけです。  それで、一月八日の時点という形で逃げておられますけれども、不良債権というのは蓄積してきているものですから、一月八日の時点では例えば左側のAプラスBにちょっと毛の生えたような数字であって、一月八日以降にDプラスEというようなものが出てきたということは不可能でございます。  そうすると、実際にどういう検査をやっておられて、どういうふうに把握をされていたので、こういうふうに一月八日に日銀及び大蔵省の現地責任者がこれだけはっきりとおっしゃっていたのか、その根拠をもう一度はっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  100. 原口恒和

    原口政府委員 先ほど申し上げましたように、その時点で把握をしておりました大蔵省の検査あるいは日銀の考査並びに日々の監督の結果、いろいろな流動性の問題とか、そういう問題も把握していると思いますが、そういうことを総合的に判断してそういう説明をしたということだと思います。
  101. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ですが、この琉球銀行の資料は、大蔵省に提出してある資料の一部だろうと思いますよ。大蔵省の方で知らなかったんですか、この資料は。
  102. 原口恒和

    原口政府委員 今お示しいただきました資料については、検査部としては今拝見をしたということでございます。  検査につきましては、検査の時点においていろいろな資料をいただいておりますが、今お示ししていただいた資料の時点というのは検査に入っておった時期ではございませんので、そういう資料そのものを持っておったということはないと思います。
  103. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ここで出ている数字というのは、つまり、琉球銀行そのものがちゃんと不良債権の状況というふうに銘打って書いてあるわけですね。それで、右側にA、B、C、D、Eというふうに書いてあるわけですけれども。  それから、先ほど、不良債権そのものが必ずしも損失でないという話がございましたけれども、例えば三千六百九十八億円という数字がございますけれども、これは、例えばこの二〇%が損失となっても、先ほど来の大蔵省の資料によりましても琉球銀行はこれは債務超過になってしまうわけだろうと思うんです。  不動産の下落率から考えても、どんなに少なくてもやはり二〇%以上ぐらいの損失は当然あるはずなわけでございますから、そうすると、これはどう考えても、この三千六百九十八億円の二〇%が損失というふうに考えても、この大蔵省からいただいた、債務超過にならないと償却体力の数字が出ていますけれども、これは債務超過になってしまうんじゃないですか。どうですか。
  104. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  あくまで、債権の個々につきまして公認会計士の方が償却すべきものということで認定をされるわけでございます。一律に何%というふうにおっしゃるのは私としてはよくわかりませんが、それは企業会計の原則がございますので、そこで適正に判断をされるわけでございます。
  105. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 公認会計士と、それからハイリスク・ハイリターンというような感覚でやっているならば、日銀と大蔵省の人がわざわざ立ち会って、大丈夫だというようなことを言わずに済むわけです。それをあえてこういう形で、新聞にも出ておりますけれども日本全体の金融システムに対する悪質な挑戦であり、放置できない、こういうような言い方までして言っていらっしゃる。  実際に、大蔵省の方と日銀の方がこういう記者会見をした後に、琉球銀行の株が上がっているわけですよ。そうすると、一般の株主は、こういうふうに大蔵省と日銀の方も大丈夫だと言ったので株を買う、それで株が高くなっていく。ところが、実際にはこういう経営状態だということで破綻をしたら、これは大蔵省と日銀の方で責任とれるんですか。
  106. 山口公生

    ○山口政府委員 先生よく御存じだと思いますけれども、昨年の十一月にも、数行で同じようないわゆる風聞によって預金者の方々が大変不安を覚えられたことがございました。今御指摘の件は一月でございますけれども、ある意味では同種類のものでございます。そのときに、預金者の保護、信用秩序の維持を図る観点から、御安心くださいということを強く申し上げることが、これは行政府としても必要なことだったわけでございます。  したがいまして、その点につきましては、そうした風聞とかデマというものが当時非常に流布され、それがいろいろな形での金融不安を助長しているということがあったからでございます。
  107. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 しかしながら、この資料というのは、銀行の方からの報告の中にある資料でございます。そうしますと、実際に不安をあおるということは、実態を開示せずに、実態にかけ離れたいわば確約をしてしまう、オーソライズをしてしまうということの方が、結果的には混乱を起こす状況が多いんじゃないですか。  これは、私、たまたま琉球銀行の資料がございましたから質問をしておりますけれども、ほかの銀行に対しても、実はこういう不良債権の状況については、公表されているものはほんの一部であって、先ほどから申し上げておりますリスケ債権等については隠してあるということは、これから公的資金を導入ということが今進んでおりますけれども、ほかの銀行も実はこういった状況である、公表不良債権として出てくるのはほんの氷山の一角であるということ、国民の方でこういう状況がわかってしまいますと、それこそ、結局どういう基準で公的資金の導入をするかということ自体の信頼性が失われてしまうんではないかと思います。  これは、大臣、今までお聞きになっておられましたけれども、こういう形での不良債権状況の開示、それから検査の状況では、四月一日以降の話も出ておりますけれども、本当に金融秩序といったものが、長期的に見て、日本にとって非常に重要ですが、今のような形で進んでいくのは非常に難しいと思うんですけれども、その点について、大臣の方からお伺いしたいと思います。
  108. 松永光

    ○松永国務大臣 いわゆる公的資金を活用しての民間金融機関の自己資本充実策でございますが、これについては、委員もよく御承知と思いますが、数回にわたる金融危機管理審査委員会会議の末、審査基準というのが設けられて、それが明らかにされております。そしてまた、その審査基準に基づいて審査いたしますが、同時に、申請銀行に対しては、経営の健全性確保のための計画を出させることにしておるわけでありまして、その計画書等を十分審査した上、自己資本充実のための措置をするかどうか、審査委員会で厳正に審査をして決めて対応しておるわけであります。
  109. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 その検査報告書ですけれども、先日来大蔵委員会において、第一勧業銀行ほか四行の検査報告書を全面的に開示するようにということで、閲覧の話で進んでおりますけれども、結局、その閲覧の中で一番重要なところに墨を入れて塗りつぶしてしまうというような形で、今とまっておるようでございますけれども、きょう質問したようなことにもかんがみまして、結局、一番重要なところがこの閲覧の中から消されているんではないか。  きょう、たまたまこういった資料をお見せしてお話をしたわけですが、こういったものを見るにつけても、大蔵委員会、あるいは予算委員会もそうかもしれませんけれども、この検査報告書の開示ということが改めて、つまり墨を塗った形でないということが非常に必要ではないかと思うんですが、その点、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  110. 原口恒和

    原口政府委員 御指摘の件につきましては、議院証言法に基づく要求がございまして、政府としても重く受けとめたところでございますが、一方において、たびたび御説明をしておりますように、今特に北海道地域においていろんな、拓銀の破綻に伴います営業譲渡というようなことも行われている、非常に地域が動揺しているというようなことで、取引先に不測の損害等を与えることのないようにという配慮のもとで、ただ、一方におきましては、開示すべきところはできるだけ開示をするという立場に立って、資料を提出させていただいたところでございます。
  111. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 拓銀の話が出ましたけれども、先ほど来御質問しておりますけれども、結局、拓銀の場合も、主要二十行は絶対につぶさないというふうに政府の方で言ってきたにもかかわらず、破綻をしておるわけです。  それと、きょうたまたま琉球銀行の件についてお話をしておりますけれども、結局、実態とかけ離れた形で大丈夫だと言っていて、実際には氷山の下にこれだけのものが隠されている。それでいて、結局、大丈夫だ大丈夫だと言って、例えば危機が訪れるというようなことが起こり得るのは、これは非常に明らかなわけですけれども、その辺の責任について、大臣、もう一度。  こういう形では、結局一番肝心のことに答えてくださってないわけです。これだけかなり具体的な資料もお見せしているわけですが、一番重要なことについて答えが出てこない。これでは何か、先ほどから質問しておりましても、質問する意味がないような感じがするんですけれども、大臣、聞いていらっしゃって、例えば、この実際の具体的な事実についてまともなお答えがないんですけれども、これについて大臣の方からお答えいただきたいと思います。
  112. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  本年四月から早期是正措置が入ります。その前提としまして、あらゆる債権につきまして自己査定をまずやります。その自己査定に基づきまして、その自己査定自体も公認会計士がチェックしますが、それに基づきまして、引き当て、償却をすべきものというのを企業会計的にチェックしていただきます。そうしますと自己資本比率というのが出てまいります。  これが真正な形で出てきているかどうかはもちろん行政当局も日本銀行もチェックはしてまいりますが、各銀行がその自己査定と、外部の目から見て、きっちりとそのリスク管理を行っていくということでこれから対応するわけでございます。そういうことでもって我が国の金融秩序が保たれるということを図ってまいりたいということでございます。  だから、今琉球銀行のことをずっとお話しになりましたけれども、琉球銀行も自己査定を行い、公認会計士のチェックを受け、償却を行い、自己資本比率をはじく、それを私どももチェックさせていただくということでやってまいることになっております。
  113. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ということは、自己査定が琉球銀行の方から出てくる、それで例えば債務超過ということになった場合には、来年三月まで特例措置として業務改善計画を提出されるということになっておりますけれども、そういったことに関して、やはり大蔵省の方でそういった対応をするということでしょうか。
  114. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  今先生、債務超過とおっしゃいましたけれども、これは各銀行がそれぞれで自己査定をして、企業会計に基づいてやってくるわけでございますので、予断を持ってそういうことを申し上げるのは適切ではないと思います。  各銀行は、それぞれ自分のところをきっちりと自己管理してやってまいる。私どもの早期是正措置は、その恣意性を除くために、省令でもって基準を設けてございます。その基準でもって行政措置をとるということになっておるわけでございます。
  115. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 いわゆる大蔵省の検査、それから日銀考査、それから今話に出ています自己査定、この三つの比較、あるいはその整合性というものをはっきりと示していただかないと、結局、こういった形で大蔵省あるいは日銀の方で大丈夫だというふうに言ってきたことの根拠がまるでないと思うのです。  それで、たまたまこういう資料が見つかったわけでございますけれども、これは単に琉球銀行、別に私、琉球銀行に恨みがあって質問しているわけではありませんで、こういう形が出てきたということは、恐らくほかの銀行におきましてもこういった状況があるし、それから不良債権の開示の方法についても、こういった形で実際に進んでいる。このシステムそのものについて、やはり抜本的な対応をしていただく。  そのためには、委員長、この大蔵省の検査と日銀考査と自己査定の施行結果について、ぜひ大蔵委員会の方に提出をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
  116. 越智通雄

    越智委員長 他の委員会のことは申し上げられません。
  117. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 失礼、予算委員会
  118. 越智通雄

    越智委員長 それはまた単純な問題ではございません。  どうぞ、銀行局長
  119. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  私の説明が不十分なのでおわかりにくいのかもしれませんが、あくまで自己査定をいたします。それで、公認会計士がチェックをいたします。償却すべきものは償却いたします。それを日本銀行の考査あるいは今度は監督庁の検査、これがチェックをいたします。そういう三者の関係になります。  それから、ディスクロージャーでございますが、これにつきましては、諸外国の例で一番厳しいアメリカのSEC基準に準拠してやるようにします、こういうことを申し上げていることでございます。
  120. 越智通雄

    越智委員長 質疑時間が終了いたしておりますので。
  121. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ありがとうございました。
  122. 越智通雄

    越智委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。  この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後二時二十九分開議
  123. 越智通雄

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。平田米男君。
  124. 平田米男

    平田委員 平和・改革の平田米男でございます。  この国会、当初から波乱といいますか異常な国会でございまして、まさに日本の戦後五十年ここにきわまれり、このような不祥事が続いております。官界また政界の不祥事、また、ちまたでは中学生がナイフを振るって、多くの人がけがをし、また亡くなっておいでになる。我々、国権の最高機関として、国会に議席を占める者としてどうしていったらいいのか、これは全員が一人一人胸に手を当てて考えなければならないことなのではないかと私は思います。  そういう中で、私自身、こういう混迷の時代といいますか、こういう時代にまずやらなければならないのは、原理原則、原点に立ち返るということが、いろいろな問題を正す第一歩なのではないかというふうに感じておるところでございます。  そういう中で、国会のあり方、また国会と内閣のあり方につきまして、現在私、議運の理事をやっている立場からいいましていろいろ感ずるところがございまして、問題はたくさんあるかと思いますが、そういう原理原則というものをしっかり踏まえるという観点で、実は同意人事の問題等々につきまして、きょうは質問をいたすわけでございます。  私ども平和・改革は、同意人事につきましても、厳格に事実関係をよく調べ、賛成するものは賛成する、反対するものはきちっとした理由を持って反対する、この国会二カ月経過をいたしましたが、こういう姿勢を貫いてまいってきたつもりでございます。  そこの中で大変目につきましたのが、一つは航空事故調査委員会の同意人事でありますし、もう一つは金融危機審査委員会の同意人事でございます。これは内閣が責任を持って人選をしてくるわけでありますが、同意人事でありますから国会が最終的な人事権を持っている、このように私は考えているわけでございます。  一つは、事故調査委員会のメンバーにつきましては、これはこれから若干やりとりがあるのかもしれませんが、航空事故調査委員会設置法というものがございまして、その第六条の第四項に欠格事由というのが規定されております。  これは、事故調査委員会というのは、ひとり日本国内の航空事故のみならず、全世界的な立場で航空事故の原因を調査して、諸外国に対してもきちっと権威を持って説明をすることができる、こういう意味では極めて重要な委員会でございます。そういう意味で、公正な委員会ということを担保するために、欠格事由というものを設けているわけでございます。  その規定の第六条第四項の三号によりますと、「航空運送事業者若しくは航空機若しくは航空機の装備品の製造、改造、整備若しくは販売の事業を営む者又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)若しくはこれらの者の使用人その他の従業者」と極めて広範な除外規定、欠格事由を挙げているわけでございます。また、これらに関する業界団体の役員、使用人その他の従業者も同様の欠格事由対象になっているわけでございます。  今回の同意人事では、私たちは、加藤晋さんという方が問題があるというふうに申し上げたわけでございます。この方は、三愛石油という会社の専務でございまして、三愛石油というのは、羽田空港で航空燃料の給油サービスをやっている会社でございます。羽田空港でのシェアは圧倒的に高うございまして、五割を超えているところでございます。  この条文そのものに照らして考えますと、航空機そのものでもありませんし、また航空機の装備品にも解釈上は入らないということになっているわけでありますが、先般ロシアで航空機の墜落事故があったときに、原因は燃料の不良なのではないか、このように指摘をされました。  航空機事故が発生した場合は、その燃料等の適性あるいは給油をしたときの適性というものも当然テーマにならなければならないと私どもは考えまして、この欠格事由そのものではないけれども、公正さを担保する、しかも諸外国に対しても胸を張って、我が国はきちっと人事をやっております、こういうことが言えるためには、疑わしき者はやはり排除をする、こういう観点で反対をしたわけでございます。しかし、残念ながら、運輸省はこの人事を強行されました。  それで、翻って今までの事例を調べてみましたところ、例えば、日本アジア航空の常勤顧問あるいは日本航空の部長であったり、南西航空の常務取締役であったり、そういう方々がすぐ航空事故調査委員会委員に選任されているわけでございます。  前例がこのような、私から見ますと、諸外国に対して胸を張って、公正な委員を選任していますよ、こういうことが言えない状況の先例があるがゆえに今回もこのような人事が行われたのではないかというふうに思いますが、冒頭に申し上げましたように、やはり法の精神というもの、法の趣旨というものをきちっと踏まえて、条文に明確に反しなければいいだろう、こういう安易な姿勢ではなくて、日本のスタンダードではなくてグローバルスタンダードで人選をやるべきだろう、私はこのように思っているわけでございます。  そういう意味で、運輸大臣、今後どういうふうにこういう点をお考えなのか。また、きょうは官房長官もおいでいただいておりますが、これは内閣が運輸大臣の方から推薦があったがゆえに出してこられたのだろうと思いますが、それについてどうお考えなのか、お伺いをしたいわけでございます。  それから、金融危機の審査委員の場合も、出してこられたのは佐々波先生という学者でございました。それからもうお一方は次期経団連会長であり、もうお一方は次期日弁連会長でございました。なぜこの人たちが適当なのかという説明は内閣から一切ございませんでした。いや、次期日弁連会長だからいいでしょう、次期経団連会長だからいいでしょうという説明しかなかった。  しかし、日弁連の人たちが適正だと思って判断した人事はどこまでも日弁連の責任でありますし、経団連が経団連の次期会長として選んだのも同様、その団体の責任で選んだのでありまして、内閣は内閣の責任でもって選ばなければならない。  ましてや、私がそのときに指摘しましたのは、少なくとも常識的に欠格事由と思われるのは、金融機関に対する資金援助をするわけですから、そのときに特別な利害関係があるかないかぐらいを調べたのか、こう申しました。  例えば学者につきましては、金融関係のところから研究費をもらっていないのかどうか。また、弁護士さんにつきましては、顧問関係で特定の金融機関と関係はないのかどうか。また、すべての三人の方にわたって、個人的に多くの金融株式等々を保有していないのかどうか。こういう個人的な特別利害関係があるかないかについてただしましたところ、それについてなかなか調べようとしない、答弁しようとしない態度でございました。  私は、そういう点を指摘されたら直ちにやるという姿勢があってこそ、国会に対するきちっとした姿勢を内閣が持っているということだろうと思います。最終的には、私の強い要求を議運の与党の理事が受けられまして、督励をされて、ぎりぎりの段階で出てきたわけでございますが、同意人事一つをとってもきちっとしたけじめをとっていない。こういうことが私はすべての国のところに、国民に多大な影響を与えていくのではないかと思います。  ここには総理がおいでになりませんのでいかがかと思いますが、例えば、もう補正予算を次やるという話がありながら、国会では、予算委員会で常にそれを内閣総理大臣が否定される、その姿を国民が見て、どう思うのか。  私が子供のころは、うそつきは泥棒の始まりだ、こういうように教わりました。政治の世界へ入りましたら、政治の世界でうそを言っていいのは二つだ、それは解散の時期と公定歩合だ、政治の世界でも真摯に正直にやらなければいけないんだ、こういうふうに先輩から教えられてまいりました。  このように、国のトップが国民の模範たる姿勢を示してこそ今の混迷の時代を乗り切っていけるんだろう、このように思うわけでございまして、そういう点でも残念でたまらない思いでございます。  そういう観点からも、ぜひ官房長官、また運輸大臣から、明確な御答弁をいただきたいと思います。
  125. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 お答えいたします。  加藤晋氏を事故調査委員とすることは問題ではないかという御趣旨の御質疑だと思います。  加藤氏は、その経歴から、航空機の運航、設計基準、整備を初め航空安全システム全般について、幅広い知識、経験を有していらっしゃいます。このような面から、委員候補者として適任と考え、国会の同意を得て任命をしたところでございます。  三愛石油株式会社の役員をしていたことから、問題ではないかとの御意見でございますが、同氏は、先生御指摘の法第六条第四項各号に定める欠格事由に該当するものではなく、かつ、三愛石油株式会社が羽田において航空機燃料の保管及び航空機への給油の事業を行っているからといって、特定の航空会社との間に密接な利害関係を有しているわけではございません。したがって、航空事故調査委員会委員としての適格性に問題はないと認識をいたしております。  しかしながら、航空事故調査委員会委員の選に当たりましては、従来より、法の趣旨を踏まえ適正に運用してきたところでございますが、航空事故調査委員会の任務に照らし、科学的かつ公正に事故原因の究明が図られるよう、今後とも委員の選任には適正に対処してまいりたいと思っております。
  126. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 お答えをいたします。  今運輸大臣の答えたとおりでございますので、私どもは、加藤氏は同項に定めるいずれの欠格事由にも該当するものではないと承知をいたしております。  ただ、ロシアの航空事故の概要でございますが、燃料だという、まあ新聞には出ておりましたが、現在のところ、燃料あるいは過積載、運航のミスということで、燃料とは決めつけられておりませんし、この設置法の中で航空機の装備品というのは、エンジン、プロペラ、計器類の、いわゆる航空機部品に設備ないし装着される部品を意味しておりまして、燃料は入らないと聞いているところでございます。  次に、お尋ねの金融危機管理審査委員会委員の任命でございますが、金融危機管理審査委員会の三名の民間委員、審議委員については、法律上、経済または金融に関してすぐれた識見と経験を有する者を両議院の同意を得て内閣が任命する規定でございます。  今回、審議委員として任命された方々については、それぞれの御経歴、学界、経済界、法曹界においてそれぞれ果たしてこられた役割の大きさ等にかんがみ、経済または金融に関してすぐれた識見と経験という法律の趣旨に相ふさわしく、今回の難しい課題に関し、高次の観点において判断し、職務を行っていただける方々であるとして選任されたと思っているところでございます。  平田先生、俗に言う、選挙と公定歩合はうそをついていいというお話をされました。しかし、私は解散をしたことはないのでございますが、権限がありませんので。ただ、ずっと見ますと、これはうそではなくて、そのときには解散をしないような状況であった、やるときにはずばっとやる、こういうことであろうと。同時に、公定歩合の方は、私ども、口だに出すな、こう言われておりまして、これは今、日銀の総裁の専管事項である、こういうふうに思っているところであります。
  127. 平田米男

    平田委員 法律解釈しかおっしゃいませんが、私は運用を申し上げたわけで、最初から、この欠格事由には当たらないということは私自身が認めて質問しているわけでありまして、まさに質問に対して答えない、こういうことをやっていちゃいけないわけでありますよ。運用がどうですかと聞いているわけですから、運用についてはこうですとお答えになるのが当たり前ではないかというふうに思いますよ。  それで、実は初代の、委員長じゃありませんが、初代の常勤委員、最初の人は一人しか常勤委員はいなかった。これは法律違反であります。二人いなければいけないのを一人しかいなかったのでありますが、航空事故調査委員会の常勤委員は一人。その一人の山口真弘さんという方、この方は内閣法制局参事官もやられた方でございまして、この航空事故調査委員会設置法の解釈をしておいでになる方であります。  この方がその解釈について講演されている中で、委員長委員は、その任命につきましては両議院の同意を必要といたします、したがって給料等も法律で決められておるわけでございます、またその資格は非常に厳重な法律上の制限がございまして、エアラインに関係したような人とかその他の利害関係者はいけないということにもなっております、こういうことをおっしゃっているわけでございます。  私はこれは、厳格な法律の解釈ではない、まさに精神はこうなんですよということを、初代の常勤委員の山口さん自身が、しかも内閣法制局参事官を経験した方がこうおっしゃっているわけですよ。  こういう法の趣旨というものを体現して行政はやらなければならないわけでありまして、私も法律家の端くれでございますが、法律は心があってこそ生きてくるんですよ。法律の条文だけで法律は生きてきません。大臣もよくおわかりでしょう、大蔵大臣も。そういう意味で、先ほどの両大臣の御答弁は、官僚がつくった、もう血も涙もない、心の全くない、がちがちの答弁です。そういうことでは、今子供たちがなぜ苦しんでいるのかということもわからない人たちだと思いますよ。  そういう意味で、答弁されたければ、短時間でやってください。
  128. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、委員おっしゃられることは私よく理解してお答えしたつもりでございます。  いずれにいたしましても、この航空事故調査委員会委員の選に当たっては、その任務に照らし、科学的かつ公正な事故原因の究明が図られるよう、今後とも委員の選任には適正に対処してまいりたいと思っており、今まで九期にわたり五十数名の委員を選任してまいりましたけれども、この方々につきましても、この選に当たっては適正な対処をしてきたと私は確信をいたしておるところでございます。
  129. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 いろいろな欠格事由がどうこうというお話がありましたけれども、今平田委員のいろいろな考え方について、私どもも参考にしてこれからやっていきたい、こう思っております。
  130. 平田米男

    平田委員 次に、ガバメントオーダーの実態について少し質問をいたします。  まず、運輸省からの御説明によりますと、平成八年にはガバメントオーダー、要するにただで、もしくは半額の運賃で運輸省のお役人が海外もしくは国内へ行ったのが、国際が三百三十五人。この往復ですからこの二倍飛行機に乗った、だから六百七十ですね。それから国内が三千百一人、こういうことだそうでございます。これは、国内が、平成六年が六千三百八十七件、平成七年が五千四百四十八件、それから平成八年が三千百一件ということで毎年減っているそうでございますが、国際は全然減っていない、こういうことだそうでございます。  今、官業の癒着ということが厳しく指摘されているわけでございまして、アメリカとかイギリス、フランスはこういうガバメントオーダーはやっていない、こういう話でございます。しかも、航空会社も世界的な競争にさらされて非常に厳しいわけでございまして、この点につきましては、ガバメントオーダーというのはもうやめた方がいいと思います。  しかも、審議官クラスでファーストクラスに乗るというのですよ。これもぜひもうやめてくださいよ。課長がビジネスで、課長補佐以下がエコノミーだというのですね。審議官でビジネスで十分ですよ。国会議員でもみんなビジネスで行っているわけですから、国家財政がこんなに厳しく、財政構造改革をやって節約すると言いながら、審議官がファーストクラスに、しかもガバメントオーダーでただで乗っているなんて、こういう本末転倒といいますか、時代の認識が全くないようなやり方は早急にやめるべきだ、私はこういうふうに思いますが、運輸大臣、いかがですか。
  131. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 お答えいたします。  委員御承知だと思いますが、ガバメントオーダーは、航空行政の遂行に必要な公務出張に際し無償または割引により航空機に搭乗する制度で、これは国際的制度で確立した慣行であるものでございます。  しかしながら、委員指摘のとおり、これまでガバメントオーダーについては厳正な運用を行ってきたところでございますが、件数の抑制にこれまでも努めてまいりましたけれども、今の航空会社をめぐる厳しい経営環境等、こういったことを考えますと、航空行政に対するいたずらな誤解を招いてはならないと思っております。  私、先般、そういったことを踏まえまして、運輸大臣といたしまして、このガバメントオーダーにつきましては、今後廃止に向けて一層件数の縮減に努力する考え方でおるところでございます。
  132. 平田米男

    平田委員 結構な御判断だと思います。  来年度は予算が組んでないと思いますが、平成十一年度からはきっぱりとやめていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、運輸官僚の航空関係業界に対する天下り、これにつきまして資料をいただきました。それを見ますと、JALに三人、JAAに二人、ANAに三人、それからANK、エアーニッポンに五人、それからNCA、日本貨物航空に四人、それからJASに六人、それからJAC、日本エアコミューターに一人、それぞれ現職でまだ天下り官僚がいる、こういうことでございます。官僚の天下り問題につきましては、いろいろな問題点があります。しかし、これを見ますと、運輸事務次官をやった人が随分多いのですよ。局長をやった人もおいでになります。  私は、局長とか事務次官までやった人は天下りはもうやめた方がいいと思うのですよ。それまで肩たたきをやって、課長クラスとか審議官をやめた人は、これに対してどういうふうに面倒見ていくかというのは、これは考えていかなければいけないでしょう、人事という観点から。しかし、功成り名を遂げた人たちですよ、官界の世界では。そういう人たちがまた天下って、そこで多額の給料もらって、多額の退職金もらう、これは時代にそぐいません。  今でも、サラリーマンでさえ、定年退職したらNPOでもやって、ボランティアをやって社会に貢献しよう、これが本来の人間の姿じゃないですか。それが、一流大学を出て、そして官僚としても、だれもが上り切れないような次官、局長まで上られた、そういう方は、私は、退職をされたらボランティア活動をやっていただきたい。そういう姿こそ、国民が安心をし、日本はいい国だな、いい人たちにリードされているな、こう思うのではないかと思いますよ。  しかし、実際は逆なんです。やめたら、そういう人たちが真っ先にいいポストにまた天下っていく、そして多額の給料と多額の退職金をもらっているのが実態です。少なくとも、私は、こういうところからやめれば、今のいろいろな混迷した、けじめのない日本のあり方というのは変えていけるのじゃないか。  だから、天下り人事全体をさわったら、これは大変な事業でしょう、すぐには決断できないかもしれない。しかし、各省の次官と局長は一切天下りしない、天下りしないで本人がどこに行くかは勝手でしょう、しかし、その管掌していた関係の民間企業には一切行かないのだ、このぐらいの決断は今すぐにでもできる、私はそのように思います。  次官をやめるときは一億円近い退職金をもらうのですよ。そうして、ちゃんと年金も入るわけですよ。私は、そういう方々が行く経済的必要性というのは、その方の生活を考えたら一切ないと思いますが、大臣、御答弁いただけますか。官房長官。
  133. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 ただいま平田委員の御意見もお伺いをいたしました。運輸省だけではなくて、各省そういうような天下りがうんとございます。私も、平田委員と同じではないのですが、批判的な意見をうんと持っています。  ただ、局長それから次官、これは、五十三、四でやめて、課長さんはどこへ行ってもいいけれども、五十三、四で、局長はやるな、どこへも勤めるなと。  今、いろいろな不祥事が起きております。公務員倫理法までつくらなきゃならない。公務員法も六十までいいとなっておって、県庁あたりは全部六十歳まで使用しておるのですが、今現在は、片一方で、六十二まで次官はいい、しかし五十三、四で肩たたきしていく、こういう公務員法の見直しをしなきゃいけませんし、特殊法人の方も、会社の方も、あるいは渡りとか、あるいは退職金が高額だというのも直していかなければならない。  平田委員とは同じではございませんけれども、そういう観点で今度改正も何もしていきたい、こういうふうに思っているところであります。
  134. 平田米男

    平田委員 ぜひ、今官房長官がおっしゃったことを、強力に早急にお進めいただきたいというふうに思います。  最後に、わずか時間が余っておりますので御指摘をしておきたいと思いますが、先ほど出ました航空事故調査委員会委員長と常勤委員、これは四十九年一月に発足をしておるわけでございますが、委員長と常勤委員の大部分が運輸官僚なんですよ、運輸官僚。これは本当にひどい状態ですよ。  それで、航空工学の関係の大学がどれだけあるのですかと聞いたら、相当あるのですね。それで、教授の数も相当数おいでになります。例えば東京大学、名古屋大学、京都大学、九州大学、東京都立科学技術大学、大阪府立大学、日本大学。日本大学には学部・学科が二つあります。それから東海大学、それから第一工業大学、それぞれ数人から十名を超える優秀な教授がおいでになります。民間の中にも人材は豊富においでになる、こういう実態がございます。それを、事故調査委員会の大部分は運輸官僚である、この実態はやはり変えなければいけないということを御指摘申し上げて、私の質問を終わります。  以上でございます。
  135. 越智通雄

    越智委員長 これにて平田君の質疑は終了いたしました。  次に、近江巳記夫君。
  136. 近江巳記夫

    ○近江委員 新党平和の近江でございます。限られた時間でございますが、何点かお聞きしたいと思っております。  村山内閣、橋本内閣とはや三年八カ月が経過したわけでございます。当初私どもは、理念も政策も違う政党さんが一緒になって、本当にいい政治ができるのだろうか、そういう危惧をいたしておりました。今の現状というのは、もう皆さん御承知のように、これは政治も経済も社会のすべてのシステムにわたって行き詰まりを示しておるわけでございます。非常に深刻な問題が全国各地どこへ行っても聞かれるわけでございます。  そういう中で、経済の問題一つを限りましても、昨年の国民の九兆円の負担というものがこれだけの大きなインパクトを与え、平成九年度のGDPもマイナスに落ちようかとしておる。こういうことを考えますと、情勢判断、そして的確な政策を実行していくということがいかに大事なことであるか、痛感させられる次第でございます。  昨年は、私は、日ロ友好議員連盟でロシア、ウクライナへ行ってまいりました。また、科学技術と政策の会というのが議連でございまして、韓国の方へ行ってまいりました。御承知のように、韓国も東南アジアも大変厳しい状況であります。ロシアは言うまでもございません。  ところが、いろいろ話しておりますと、我々、先輩として日本の動向というものは常にフォローしておりました、しかし今日本は一体どうなっているのですか、先輩としてしっかりしてもらわなきゃ困りますね、こういう話が随所に出てくるんですね。非常に残念な思いがいたしました。二十一世紀までもうあとわずかでございます。この国をどのようにしていくか、真剣に取り組まなきゃならない課題というものが山積しておると思うのでございます。  先般、ある会合に行きましたときに、その方は大学の教授で、今は引退されておるわけですけれども、その人がこういう話をしました。村山内閣、橋本内閣と続いてきた中で本当にいいことは何にもなかった、一つだけいいことがあった、それは科学技術基本法が制定されたことだ、こういう話をしておりました。私も長年科学技術委員会におりまして、また、この基本法の制定につきましては、各党の皆さんと力を合わせてこれは議員立法で成立することができたわけでございまして、やはり見てくれている人は見てくれているな、そういう思いをいたしたような次第でございます。  そこで、この科学技術基本法は、御承知のように、平成七年の十一月に成立をいたしました。そして、翌年の平成八年六月におきましては、科学技術会議におきまして、今までにない画期的な、平成八年度を頭として五年間に十七兆円の経費を投入する、こういう金額までこの五カ年計画の中で閣議決定を打つということは、これはほとんど例がないわけですね。これは大変なことだと私は思うわけでございます。  そういう点で、我が国としては、科学技術創造立国を目指すということ、これはもう与野党の皆さんほとんどそういう気持ちでおられると思いますし、資源のない我が国としては、地球的な諸問題の解決におきましても、国民の幸せを現出する、そういう点におきましても、科学技術の振興ということはだれも異論がないと思うんです。そういう点で、政府が一致してここまで決断したということは非常にすばらしいことであると思うわけでございます。  ところが、御承知のように、平成八年からスタートいたしましたこの計画でございますが、平成八年の当初計画では二兆八千百五億、ところがこの年には千五百五十五億の補正が入りまして、二兆九千六百六十億、こういうようになったわけでございます。いわゆる政府の十七兆の計画というのは、平成八年度から年率一二%やって、ちょうど平成十二年度で十七兆、こうなるわけでございます。  そういう点からいきますと、平成九年度では三兆二十六億、平成十年度については今審議中でございますが、三兆三百十九億、こうなっております。平成八年度におきましては、補正が加わったものですから対前年度の伸びは二〇になっておりますが、この十年度の予算が成立したとして、平成九年度一%、平成十年度一%、こういう状況であります。そうしますと、この三カ年間を足しますと、ちょうど九兆五億になるんですね。十七兆のうちからいきますと、あと二年間で八兆かけなければ十七兆を達成することはできないわけです。  これだけの意気込みで政府が閣議決定もして、国民の皆さんにも、科学技術創造立国で日本は前進しますよ、そのように高らかにうたわれたわけでございます。このままでいけば、それじゃ、あと平成十一年度、十二年度と四兆円ずつ組まなければこれはできないんですよ。  この点について、大蔵大臣科学技術庁長官、文部大臣、これは皆関係の人にきょう来てもらっているわけですけれども、それじゃ、中心になっておられる科学技術庁長官、まずひとつ、どのように今感想をお持ちか、お聞きしたいと思います。     〔委員長退席、伊藤(公)委員長代理着席〕
  137. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 今、近江先生おっしゃいましたように、科学技術基本法を議員立法で、しかも超党派でつくっていただいたということは、私は本当に意味のあることだと思っております。特に、今内閣におりますので言ってはいけませんが、要するに、政府の提案の法案が大部分で議員立法がない、こう言われている中でこのような法案をやっていただいたということは、私は本当にありがたいことだと思っておりまして、後から振り返ったとき、あのときが画期になったなというようなことをしていかなければいけないんじゃないか、こんなふうに思っております。  そのもとで科学技術基本計画をつくり、科学技術創造立国だと。やはり今いろいろな自信がなくなっているような状況の中で、壁を打ち破っていく力というのは、それはいろいろなことがありますけれども一つは科学技術にうまずたゆまず投資をしていくことではないかと私は思っておりまして、近江先生の御指摘は、もう本当に私は同感でございます。  今のお話は、いろいろなことをやっているんだろうけれども十七兆というのは本当に達成できるのか、こういうお話で、今数字を挙げて御指摘になりましたように、三年間で九兆をちょっと超したというところでありますから、今後二年間で八兆円達成できるのかと。  私も、率直に申しますと、この間の財政構造改革の推進に関する特別措置法におきまして、科学技術基本計画においては弾力的な取り扱いを行うもの、こうなっておりまして、あれこれ考えますと、この五年間の期間中に十七兆円の目標を達成するのは、正直申し上げて、極めて厳しい状況になっている、こう申し上げざるを得ないわけでございます。  しかしながら、この科学技術基本法を受けまして、平成十年度の予算案におきましては、一般歳出が対前年度減という中でありますけれども、科学技術関係費としては、対前年度比一・〇%増、三兆三百十九億円、一般会計中の科学技術振興費につきましては、対前年度比四・九%増の八千九百七億円が計上されておりまして、厳しい財政の中で科学技術振興の重要性に配慮がなされているところでございます。  ただ、十七兆は苦しくなったと申し上げましたけれども、あきらめているわけではございませんで、あらゆる機会をつかまえて前進するように、関係各方面ともいろいろ御協議をしながら進めたいと思っております。よろしくお願いを申し上げます。
  138. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  委員指摘のように、我が国の一層の発展のためには、科学技術振興の重要性は極めて大きい、こういうふうに思うわけでありますが、他方、財政の危機的状況からすれば、やはり一切の聖域なしという形での歳出の改革、縮減、これは進めていかなければならぬということでございます。  こうした財政構造改革と科学技術振興とのぎりぎりのバランスを図る観点から、十年度においては、対前年度比おおむね五%増とする科学技術振興費を確保したわけでありまして、厳しい中で一定の増額を確保したというふうに御理解を願いたいわけでございます。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 この財革法自体、これは時間があれば私も論じたいのですけれども、文教とかいわゆる科学技術関係だとか、将来に向けてこういうところにたがをはめてしまう、キャップをはめるということは本当に私はよくない。この法案は、私たちが反対しているのに与党で通したわけでございますけれども、これも科学技術振興費、おおむね五%以下というキャップをはめておられるわけでございます。  しかし、科学技術関係の総予算というのは、特別会計もあれば一般会計の中の関連もそれは入るわけでございますから、そういう点におきまして、この財革法ではこういうことをされておるわけでございますけれども、今後の努力次第で、これは必ず本当に国民の期待にこたえることができる、私はこのように思うのです。  きのう、今後の国立大学等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議、これは主査が理研の有馬先生でございます。これはもう大臣、当然、所管のところでございますから、ごらんになっておられると思いますが、これを見ましても、本当にそら恐ろしい感じがするのですね。こんな現状で、何が日本が科学技術創造立国を目指す姿と言えるのかと言いたいわけでございます。  それで、いろいろと列挙いたしておりますけれども、例えば、現在、国立大学等が保有する全施設面積の五二%に当たる千百四十万平米が通常改修等の措置が必要な時期である経年二十年を経過しており、その七割が改築、改修等の措置を必要としている。これらの建物の多くは、経年による老朽化により、雨漏り、建具の開閉不良等の基本的機能の欠如、外壁、ひさしの落下、鉄筋の腐食、コンクリートの劣化による構造体としての強度の低下等が生じ、また、電気設備、空調設備、給排水設備等の基幹設備の老朽化による停電、蒸気漏れ、赤水の発生等による機能劣化も同時に進行しており、教育研究に多大な支障を来している。これは、昭和三十年代後半以降の高等教育の拡大期に建てられた建物が改修時期を迎えた昭和五十年代後半以降、財政抑制のために施設費予算額が一時期の半分程度にまで減少した中で、学生増に対応する学科等の新増設に伴う施設整備が優先され、改修等の整備を十分実施できなかったこと等によるものである。  こういうふうにも書いています。教育研究環境の実態を見ると、近年急増している大学院生、留学生等の実験研究スペースを適正な状態で確保することができず、個室として計画された教官室の中に留学生のデスクが数名分も配置されていたり、薬品を使用する実験室の中に大学院生用のデスクを並べざるを得ない。教育研究に支障が生じているのみならず、安全性の確保の観点からも劣悪な状態である場合が多々見受けられる。米国等の大学との比較においても、我が国の教育研究スペースは非常に劣っている。  これは、要するに政府の、有馬先生が答申されているのですよ。きのうですよ。中にはもっといっぱい書いてますよ、これは。こういう状況です。大学の研究施設一つを見てもこれですよ。一体、こういう状況、もうお読みになってその点はお感じになっていると思いますけれども、文部大臣、どういう感想をお持ちですか。大蔵大臣も今御答弁になっておられるように、財政が厳しいからと放置されるのですか、このまま。
  140. 町村信孝

    ○町村国務大臣 近江委員指摘のとおり、なかなか国立大学における状況というのは厳しいものがあるわけでございます。国立学校全体が保有する面積というのは全国で二千百六十八万平米あるわけでございますが、このうち、一般的に改修が必要とされる建築後二十年以上経過した建物が千百三十七万平米ということで、半分強ということになってございます。その他、今委員が御指摘のようななかなか厳しい状況がございます。  そういう中で、これは実はその時々の予算の状況でありますとか、相当アップダウンがあって、ここ二、三年、ちょっと減少ぎみになっております。そういう中で、国立学校全体の予算につきましては、特別会計といたしまして平成十年度は基本的に前年度横ばいということになっております。  しかし、その中で研究予算のソフトの方にどうしても持っていかれますので、ハードの整備の方が若干予算的には減少ということになるわけでございますが、できるだけ老朽狭隘施設の改善整備でありますとか、あるいは先端医療に対応した大学病院の整備でありますとか、幾つかの点に重点を置きながら今やっております。  ただ、絶対的な水準として大変低いわけでございますので、今後財政当局ともよく相談をしながら、また今御指摘のあった有馬先生の御指摘どもしっかり踏まえ、今後さまざまな財源調達の面の可能性を研究しながら、しっかりとした体制でやってまいりたいと考えております。
  141. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 今国立大学等の研究施設のことについて文部大臣から御答弁がございましたけれども、私の方も国立試験研究機関、同様な問題を抱えております。  御承知のように、科学技術基本計画の中で重点を置いておりますのは、一つは社会的、経済的なニーズに即した研究や基礎研究に重点を置いてやっていこうということと、それから開かれた、何というのですか、競争的な研究環境をつくろうということで大分推し進めてまいりましたけれども、もう一つやはり残っている問題が、この施設設備等の研究開発基盤の整備。  今、有馬先生の御提言を引かれましたけれども、科学技術基本計画におきましても、近年科学技術が高度化している、そうすると研究設備も年々高性能化、大型化して、それに対応した施設を整備していかなければだめだ、こういう認識のもとに、国立試験研究機関の施設設備の老朽化あるいは狭隘化、こういう状況を速やかに改善することが世界的水準の研究を確保していくために必要であると特記をしております。  そこで、平成十年度予算案でも、国立試験研究機関の老朽化、高度化対策等研究施設の整備に必要な経費を措置しております。平成十年度の予算案におきましては、一般会計の施設整備費は科学技術庁ほか八省庁で合計百七十三億円となっておりますが、今後ともこれは力を入れていかなければならない分野であろうと思っております。
  142. 近江巳記夫

    ○近江委員 今、有馬先生の御報告を引いて一端を申し上げたわけでございますけれども、欧米先進国とすべての面で見てまいりますと、例えば研究開発費、これは我が国全体としては十四兆四千億でございますけれども、政府負担の割合というのは二二%ですね。これが、ドイツでは三五%、フランスが三四・九%、こういうような状況でございます。  この政府負担額の対GDP比というのは、我が国の場合は〇・六七%、フランスがもう一%を超えておりまして、一・〇三、アメリカが〇・八六、ドイツが〇・八四、こういう状況でございます。これは、十七兆円を計画どおりやったってまだここまではいかないのですよ。そのぐらいおくれているのですよ。  また、人材育成という点からいきまして、博士号の取得者を見てまいりますと、例えばアメリカと比べますと、大体博士の数というのは八分の一、人口百万人当たりの博士数で見ましても四分の一、こういう状況です。  また、ノーベル賞の受賞者なんかも、自然科学系の受賞者は現在まで四百四十八名でございますが、アメリカが百八十四名、実に四一%、二位がイギリスで六十八人、一五%、三位はドイツで六十一人、一四%、四位はフランスで二十六人、六%、日本は五人、ちょうど一%なんですね。  また、研究水準に関する日米、日欧の比較、これは大臣も御承知のように、先端の研究者の調査を見ますと、いわゆる応用開発研究の分野については、米国には若干おくれておるけれども、欧州とは遜色がない。しかし、基礎研究の分野では、欧米に比べますと特段に劣っておる、米国との間では大きな差がついておる、こういう現況です。  例えば、科学技術論文の発表件数を見ましても、米国が大体四割を占めて、我が国はやっと一割というような程度です。また、主要論文を引用した度数は、アメリカが大体五割、日本は七、八%、一割にも満たない。  こういうことで、やはり日本は、今まではいろいろな応用とか、技術ただ乗り論で随分たたかれてきたわけでございますけれども、今日まで来ておりますけれども、新しい世紀を迎えるに当たって、本当に基礎研究を中心として真剣に取り組み、またその中身というものを充実して、研究者が真剣にできるような体制を一日も早く整えてあげなきゃいけないと思うのですね。これはほんの一端を申し上げたわけでございます。  そこで、修士、ドクターコースがあるわけでございますけれども、ドクターコースでほぼ十年かかると思います。そうなってきますと、いい年しておって結婚もできないとか。まあ、結婚しておる人もおるでしょう。生活が大変だということで挫折したりするのですよ。ところが、アメリカとか諸外国においては、随分とバックアップのシステムがある。例えば奨学金一つを見ましても、日本の場合はまだまだいろいろな点でおくれておるわけです。そういう点で、あらゆる点を網羅してやっていかなければいけないと思うのですね。  日本育英会の状況を見ておりましても、大学院修士課程で奨学金を受けておる人が二八・六%、博士課程で五二・八%、大学では一〇・六%、こういう状況ですよ。高等専門学校で二一・七%、高等学校では二・七%、専修学校では一%、こういう状況ですね。  実際にこの育英会がどういうふうに運営されているのか見てまいりますと、例えば、昨年、平成九年度の事業内容を見てまいりますと、事業総額は二千五百三十八億。一種と二種があることはもう御承知のとおりでございますが、一種の場合、学生が借りたのを返してくるそのお金が千三十九億円、一般会計の借入金が八百七十四億、千九百十三億で運営しているわけです。三%がつく第二種奨学金は、返してきた返還金が百九十一億、財政投融資が四百三十四億、合計六百二十五億、これで運営しているのです。そうでしょう。  今や、要するに、皆さん方の政策の判断、措置の誤りによって、もう大変な、例えば金融システム一つ見てもこんな状況になって、三十兆円という莫大な公的な資金を投入しようとしているのでしょう。今後、我が国の二十一世紀を展望したときに、この人材育成ということがどれほど大事かということです。  今実態を申し上げましたように、これだけの学生しか奨学金を受け取ることができないのですよ。受けたい人がたくさんおるのですよ。しかも、まじめに、九八%以上の借りた学生が返しているのですよ。返しているのです。そういう点から考えますと、やはりこの育英資金の充実ということは、緊急にやらなきゃならない問題だと私は思うのです。その点、ひとつ文部大臣にお聞きしたいと思います。
  143. 町村信孝

    ○町村国務大臣 今委員の方から、日本育英会のあり方について貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。  近年、私ども、特に大学院の充実ということを強調してまいりました。奨学金の中でもまた同様でございます。ちなみに、今委員指摘のとおり、平成九年度では修士課程で三万人弱、博士課程では二万人弱という貸与人員になっておりますが、十年度の予算では、大学院の無利子の貸し付けの方につきましては、修士の方で二千五百名、博士課程の方は九百名ということで、計三千四百名の増員を図るという予算案になっているところでございます。  御指摘のように、できるだけ私ども条件のいい、無利子でと思っておりますが、人員をふやすという観点から数年前にこの有利子貸し付けというのも導入したわけでございますが、なかなか現下の厳しい財政状況のもとですべての方に無利子でというわけにはまいらぬのでございますが、さはさりながら、先ほど委員指摘のような、これからの科学技術基本計画の中でも、人材育成、奨学金の充実という指摘もあるわけでございますので、さらにこれからもまた大学院生を中心に奨学金の充実ということには一層努めてまいらなければならない、かように考えているところでございます。
  144. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんので進みますけれども、この奨学金の問題につきましては、一つは、うんと幅を広げるということです。  これは一遍検討してもらいたいということを申し上げておきたいと思いますが、親の所得制限はもう廃止する、卒業してから返すわけだから。それは、幾ら親が出してくれるとかいったって、いろいろな事情があり、自分の力でやりたいという学生もおるわけですね。それも一つ考慮する。  それから、入学金の貸与制度というのは、国金とかいろいろなところでございますけれども、育英会にはないわけでしょう。ですから、そういう貸与制度を創設するについてはどうするかということ。  それから、奨学金の月額について、大学生などに聞いてみますと、必要額の大体三〇%ぐらいなのですね。だから、半分ぐらいは出してあげる、引き上げる、これを検討してもらう。  それから、利率について、第二種については三%ということをやっておりますけれども、もういわゆる第二種をやめて、無利子にするということも検討してもらいたい。  それから、返済が二十年となっておりますが、三十年ぐらいに延長する。これは今すぐには答弁は出ないと思いますけれども、課題として大臣に申し上げておきます。  それから、科学技術庁長官、いわゆるドクターコース、ポストドク、いろいろ奨学金とは別にやっておられると思います。例えば特別研究員、リサーチアシスタント、ティーチングアシスタント等、育英会の奨学金のほかにやっておられますが、まだまだこれは少ないですね。また、給与といいますか、それにしても、これは低過ぎます。だから、これの拡充をしっかりしなければいかぬと思うのですね。谷垣大臣からお聞きしたいと思います。
  145. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 結局、科学技術科学技術と申しましても、最後は人でありますから、しかも、次の世代の人間がどんどんこの分野に飛び込んできてくれるようにしなければならないということだろうと思います。  それで、育英資金につきましては、今文部大臣から答弁がございましたけれども、科学技術基本計画の中でも優秀な学生が安心して大学院に進学できるよう貸与金額等の改善充実を図るということが明記されておりまして、科学技術庁としてもいろいろな工夫をしていくべきことだと思っております。  さらに、お触れになりましたポストドクター一万人計画あるいは研究支援者、それから任期つきの公務員というのも法律を通していただきまして、高名な学者だけではなくて若手の研究者も登用するというような道を開いておりますが、こういったものの拡充もこれからよく考えていかなければいけない、このように考えております。
  146. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ、もう時間がありませんので、最後に文部大臣、私が今提案したこと等を踏まえて、ひとつ決意をお伺いしたいと思います。  それから、大蔵大臣、今いろいろ聞いておられて、時間があればもっとあなたにいろいろお聞きしたかったのですけれども、いずれにしても、科学技術創造立国、またその基本法を制定して、これだけの計画もお立てになっているわけでございますから、これは本当に、財革法の縛りということはありますが、あれも考えてみれば、科学技術振興費というのはその中のいわゆる枠ですから、八千億、九千億ぐらいの五%ですから、全体の枠としては拡大できる可能性があるわけですから、しっかりときょうの話も聞いていただいて、理解を深めてもらったと思いますが、全力を挙げていわゆる政府計画の達成また充実に向かって努力していただきたいと思います。  最後にその決意をお聞きしたいと思います。町村さんと松永さん、お二人に簡単に決意を聞いて、終わります。
  147. 町村信孝

    ○町村国務大臣 叱咤激励をいただきましたので、しっかり受けとめてまいりたいと思っております。  ただ、例えば、今は、家計基準と、一生懸命勉強ができて、育英基準と二つあるのでありますが、これだけ皆さんの所得水準が上がってきたのだから、もう家計基準はいいじゃないかという議論もありましょうし、あるいは、そもそも、親のすねをかじりながら学校に行くのが当然だという今の気風といいましょうか、世の中一般あるわけですが、そうではなくて、もう大学以上になったらば自分で稼いで、それで行くというようなあり方に変えてもいいのではなかろうか。今これは借りておいても、将来働いて返すというのが奨学金でございますから、そうした新しい考え方も出てくるかもしれない。  そうした点を含めながら、今委員、数点御指摘をいただきましたことを含めまして、日本の奨学金をさらにどうやったら充実できるか、一生懸命考えさせていただきたいし、できる限りのことをさせていただきたいと考えております。
  148. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 松永大蔵大臣、時間が来ておりますので、どうぞ結論を。
  149. 松永光

    ○松永国務大臣 お答え申し上げます。  科学技術を担う人材の育成は、もう我が国の科学技術振興を図る上で非常に重要な課題だ、こういうふうに認識いたしております。  そういう見地から、大学院の貸与人員の増員とかあるいは大学の貸与人員の増員とか、先ほど文部大臣が御答弁申し上げたとおりに本年度なされておるわけでありますが、今後とも、その時々の財政事情等も適切に踏まえながら、真に重要な施策についてはその重点的な推進に配慮してまいりたい、こう考えておるところでございます。
  150. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  151. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 これにて近江君の質疑は終了いたしました。  次に、田端正広君。
  152. 田端正広

    田端委員 きょうは、建設大臣にちょっとお越しいただきましたので、まずその関係から質問させていただきます。  四月の五日に待望の明石海峡大橋が開通する、三千九百十一メートルという世界一のつり橋ということで大変話題になっております。それはそれとして非常に喜ばしいことなんですが、実は、それに絡んで、その開通の前に、阪神高速道路公団が通行料金を六百円から七百円、あるいは五百円から六百円というふうにここに来て値上げをする、こういうことのようでございます。今、こういう非常に経済状況の不況の時期に、まして関西というのは中小企業がたくさんある町でございますが、果たしてそういうことがタイミングとしてどうなのか。  しかも、この道路管理者である大阪府、兵庫県あるいは大阪市、神戸市、地元の側からは、大臣の方に申請書の中で意見をつけられている。それは、実施時期については特段の御配慮を願いたいということのようでございますが、ぜひ人情味豊かな瓦建設大臣としてはその辺のところをよくお考えいただいて、もう少し、半年かそのぐらい、少し我慢していただくことはできないんだろうか。よろしくお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
  153. 瓦力

    ○瓦国務大臣 田端委員からは、阪神高速道路の料金改定につきまして、昨今の経済情勢を勘案いたしまして、措置を講ずる覚悟があるかという御質問でございます。  事実関係から申し上げて、二月二十六日に阪神高速道路公団理事長から、料金問題につきまして、許可申請が、運輸、建設両大臣あてに提出されました。  本申請の内容は、委員も既に触れられておりますが、本年四月から普通車で百円引き上げるというものでございます。内容につきましては、渋滞対策、耐震補強あるいは新規路線建設等に要した費用に充てるためでございますが、公団も、こういう時世でありますから、最大限の経費節約に努力してきたわけでありますけれども、なお必要とするものでございます。  しかしながら、今委員指摘のように、昨今景気が非常に悪うございまして、景気対策に全力を挙げておられる、また政府も申し上げるとおり全力を挙げておるわけでございますが、改定の時期について言いますれば、今委員お話しのように、少し先送りできないかというようなことも含めて地元からも要請がございました。  建設省といたしましては、この二十日でございますが、公聴会を開きまして両者の御意見を伺うわけでありますが、経済情勢や地元の要望も留意しつつ、改定の実施時期を含めまして、申請内容を慎重かつ厳正に審査してまいりたい、委員の強く御指摘になることも私どもも案じながら、慎重に取り組んでまいりたい、こう考えております。
  154. 田端正広

    田端委員 非常に地元の気持ちを酌んでいただいた、こういうふうに理解させていただきますが、ぜひ賢明な御判断をお願いしたいと思います。  もう一点、建設大臣にお伺いしますが、本日閣議決定で、建築基準法の改正ということで、例えば建築費が非常に日本の場合高いということで、その引き下げのための規制緩和として、震災対策というものをきちっとしていれば工法とか資材については非常に規制緩和を図っていこう、こういう方向のようでございます。そういう意味では、これは非常に評価すべきかなというふうには感じておりますけれども、例えば建ぺい率の問題で、大都市密集地域における建ぺい率については、少し同様のことでお考えをいただけないか。  例えば、新たに建てる場合も、非常にぎりぎりの百平米前後のところに建てる民家が多いわけですが、どうしても無理をする。ちょっと違法かもわからぬけれども、ちょっとまあという、そういうふうなことがあったり、あるいは、今住んでおられる方も、長年住んでいる間に少し改築したりしてこうなっている。そうすると、大幅に改築する場合には、公的資金が違法建築の場合受けられませんから、そういった意味で、改築するのも窮屈だ、そういう状況が今ずっと起こっているように思うわけであります。  したがって、密集市街地においては、少し議論をしていただいて、八〇%と言いたいところですが、七〇ぐらいにする方法は何かないのだろうか、こういう感じもします。その際、もちろん防災とか震災とか、こういうことは当然必要だと思いますが、そういう条件をクリアしているならば、建ぺい率についても少し緩和する方向というものを今後の課題として議論していくべきだと思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  155. 瓦力

    ○瓦国務大臣 田端委員からは、建ぺい率の制限につきまして御質問でございます。  政治家として、地域状況を見ますると、今のような御質問は、それぞれ都市部の密集地を見るにつけ感ずるところでございますが、ただ、敷地内に一定の空地を確保するということは、火災、いわゆる防災上の安全性であるとか、採光、通風、環境を確保するために基本的な建築ルールでございまして、防災上の観点から問題を考えてまいらなきゃならぬ、こう考えるわけでございます。  また、方法といたしましては、防火地域の指定を得ることによりまして、地区全体が火災に強い建物となった場合には一〇%の緩和ができる、こういうぐあいにもなっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、今お触れになりましたこれからの都市基盤の整備の中で、阪神・淡路の災害というのは私どもにとりまして忘れてはならない災害でございますので、やはり安全性も十分考慮していかなければならぬと思っておるわけであります。  建築物の床を確保するためには、住宅の地下室の活用、これも、今度お願いいたします建築基準法の問題もございますが、地下室の活用などという方法もこれから出てくるかと思いますので、設計法を工夫することによりまして有効な方法もないかということがあり得るわけでございますが、こうした措置の総合的な問題を考えながら、住宅や町づくりというものに取り組んでいかなければならぬと思っておるわけであります。  土地の合理的な利用に資する建築物の整備に対応するよう研究はいたしますが、今申し上げましたように、大変密集地の問題につきましては課題が多うございますので、勉強しなければならぬと思いますが、以上でおわかりいただけると思います。
  156. 田端正広

    田端委員 それでは次に移ります。中小企業庁、お越しいただいているかと思いますが、貸し渋りの対策の一環として、二月二十日の緊急経済対策として、信用保証協会の保証のあり方について一つの新しい方向が出されました。中小企業の第三者保証を徴求しないという意味で、代表者本人の保証が、保証力があればそれに該当してやっていこう、こういうことで、千七百五十万まで無担保、こういうことでございます。  私、地元でいろいろ聞いているところでは、中小企業の方々もそうですが、もう一つ零細な個人事業主の方の方がもっと大変な感じでございます。したがって、法人にはそういう第三者保証を徴求しないということですが、個人事業主についてもこの制度を準用するといいますか、弾力的に当てはめるといいますか、そういう意味で何とか個人事業主に対する道を開けないものだろうか、こういう思いがいたしますが、いかがでございましょうか。
  157. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  御質問は、個人事業主について第三者保証を徴求しない方法はないかという御趣旨でございますが、先生御承知のように、個人事業主につきましては、企業ではなく事業主本人が借り入れを行うということになるわけでございまして、実は、事業主本人はこの場合には債務者本人でございまして、それが保証人となるということはなかなか難しいわけでございます。  したがって、個人事業主の保証におきまして第三者保証人を徴求しない場合と申しますのは、いわゆる無担保、無保証人保証ということになるわけでございまして、保険関係としては、私どももそのために、限度額が七百五十万円、これは特別の特定業種、特に信用破綻をした銀行と関連する業種については、それは倍額になるわけでございますけれども、いわゆる特別小口保険としてその制度を設けておるわけでございます。この保険限度額は信用保険法で定めているところでございますので、この保証額について第三者保証人を徴求しないということは、これ以上の保証額についてはなかなか難しいというのが実情でございます。
  158. 田端正広

    田端委員 問題提起として申し上げさせていただきましたが、ぜひ、例えば融資枠を拡大するとか、何かひとつまた御議論をよろしくお願いしたいと思います。  次に、大蔵省にお伺いいたします。  きょうで、きょうは十七日ですから、一月二十七日に大蔵官僚の方が逮捕されてから五十日ですか、そういう時間がたっております。これまで私も決算委員会等で大蔵省の御答弁をいただいていますが、例えば、この五年間金融行政にかかわった者をさかのぼってすべて再検証し、問題があれば処分するとか、あるいは全省挙げて国民の信頼回復に努力するとか、あるいは五百五十人の者について今内部調査をやっている、こういったいろいろなことの御答弁をいただいていますが、いまだに、五十日たっても、その内部調査報告がなされていません。  これは一体どうなっているのか。日銀の方が対応が早いじゃないか、こういう思いがいたしますが、大臣、簡潔にひとつ現状について御報告ください。
  159. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  従来からお答えいたしておりますように、金融関連部局に在職した者について、過去五年の間の行状等を中心にして今内部調査を進めているところでございます。  委員の見方によれば、余りスピードがないじゃないかとおしかりがあると思うのでありますけれども、それもごもっともでありますけれども、何せ、去年やや早くやってしまったらずさんな調査になって、えらいおしかりを受けたということがありますので、今度はもう徹底した調査にして、そして問題ある者については国家公務員法の規定に基づく処分をするということで進めておるわけであります。  まだ、いつと言うことはできませんけれども、実際、私は事務方に急ぐべしというわけで急がせておるところでございますので、もうちょっとひとつ時間をかしていただきたいとお願いをする次第でございます。
  160. 田端正広

    田端委員 国民がもういら立つぐらいの気持ちで注目しているわけですから、ぜひ早目に、そんな悠長なことを言っていられませんから、信頼をどう取り戻すかという意味で大臣も御決断をしていただきたい、こう思います。  そして、きょう私、「大蔵省天下り名簿(会長・頭取・社長・理事長)」という、こういうコピーをお配りさせていただきましたが、これは私が調べたことでございますけれども、大蔵官僚の天下りをしている人の中でこれだけの人が私企業のトップについている。つまり、会長、頭取、社長あるいは理事長という形で民間企業のトップに大蔵官僚の方が、これだけたくさんの方がいるということについて、調べた本人が実は驚いているような状況でございます。  この数のトータルは九十七人おりますが、つまり、国家公務員法の百三条では、国の機関と密接な関係にある私企業への天下りは二年間、原則として禁止しているということになっております。しかし人事院の承認があった場合はいいということなんですが、しかし、その人事院が去年の夏、八月に勧告をした中では、営利企業への天下りは、局長以上については行政権限のあるところには認めない、こういうふうになっています。それから、その他の職員についても、代表権を持つ役員には就任することを禁止する、こうなっています。しかも、十二月二十五日でしたか、この規約改正を行って、四月からそういうふうにされると聞いております。  こういう状況にはなっていることはわかりますが、しかし現実は、今私が申し上げた、提示したような、こういう九十七名の人が代表権を持つ役員についている。ここに大きな問題があるように思います。大臣、実態調査、内部調査をやられるということでございますけれども、まずこの点について、ちょっと感想を言ってみてください。
  161. 松永光

    ○松永国務大臣 多いなという率直な感じを持っておるわけでありますけれども、これは、従前から国家公務員法の規定に従って再就職をしておるわけであります。そして、今委員も御指摘になりましたように、離職後二年以内に、大蔵省と密接な関係のある金融機関等への代表権のある地位には就任できない、こういうふうにされておるわけなんであります。  したがって、そういう意味では一応違法じゃないという結論に実はなるわけでありますけれども、ただ、この問題は、公務員の、言うなればライフサイクルに関係あることでございますので、橋本総理が、再就職問題に関連して公務員制度の見直しをせにゃならぬということで検討をするというようになっておるわけでありますので、我々としては、その検討状況を真剣に受けとめて、そして対応していかにゃならぬ、こういうふうに思っているところでございます。
  162. 田端正広

    田端委員 大臣、少し人ごとのような感じにしか感じないんです。当事者の総責任者として、もう少ししっかりと誠意ある答弁をしていただきたいと思います。  例えば国家公務員法百三条によると、二年間空白をつくらなきゃならない。ところが、実際は、この二年間は例えば特殊法人とかあるいは公益法人とかそういうところにいて、そして二年たてば天下りできる、こういうことになります。あるいは、もう一つは、代表権を持つ役員に直接なったらいかぬわけですから、例えば平の社員といいますか平取といいますか、そういう形で、一たん何らかの形で入社して、そして二年間たてば代表権を持つ役員になる。  こういう、つまり迂回策といいますか抜け道といいますか、この道をなくさない限りこの法律は実際には生きてこない、こういうふうに思うわけであります。したがって、私は、人事院の総裁にもきょうはお越しいただいていますから、そういった意味で、果たしてそれでいいのか、人事院の総裁の御意見もちょっとお伺いしたいと思います。
  163. 中島忠能

    ○中島政府委員 国家公務員の再就職の問題につきましてはいろいろ御心配いただいて、恐縮でございます。  私たち、この仕事をします場合に、中立的な立場で物事を眺めておるんですけれども、少なくとも、公務に在職しておった人が民間会社に再就職した場合に、公務時代のいろいろな力をもって公務をゆがめるようなことがあってはならない、そういう観点からこの問題を眺めております。  今先生がお配りされました中にはたくさんの方がいらっしゃいますけれども、そういう方の中で、今私が申し上げたような趣旨から眺めて、公務の公正性というものを害しておるということならば、これは厳しく糾弾していかなきゃならないということでございましょう。  そういう観点から見ていかなきゃなりませんけれども、私たちは、民間企業への再就職というものをめぐる不正な事実というものを是正していくためには、何といいましても、やはり余りにも幹部職員が早く退職し過ぎておるというところが大きな問題じゃないかというふうに見ております。そのことを、先ほど大蔵大臣が公務員制度との関連ということをおっしゃったんだと思いますけれども、そういう多方面からこの問題について検討していく必要があるだろうというふうに考えております。
  164. 田端正広

    田端委員 要するに、私の言っているのは、余りにも多過ぎるから言っているんですね。  これは決算委員会に大蔵省から報告された大蔵省の天下りの一覧、これは五百十四名出されています。この五百十四名と私が調べた代表権を持つ九十七名、これを対比してみますと、五百人で約百人が代表権を持つ役員に、民間の役員に天下っている。つまり、大蔵省から出した資料と対比しても、五人に一人が代表権を持っているからこれは問題だということを申し上げているわけです。  見ていただいたらわかるように、例えば信用金庫なんかはもうずらりと並んでいるわけです。もう驚くべき実態であります。つまり、これはもう護送船団じゃなくて、裏表一体という感じに大蔵省と金融機関がなっているというふうに国民の目には映るわけであります。  これに対して今のような答弁では困るわけでありまして、これは大蔵大臣、ぜひ、大蔵省としてこの問題に対してどう対応するか、大蔵改革の方向をここでしっかりとお述べいただきたいと思います。
  165. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  現在民間機関に身を置いて、そして働いている人、その職にある人の措置というものは、それぞれの民間機関の株主総会、役員会、あるいは信用金庫ならば総代会ですか、そういったところで措置してもらわにゃならぬ問題でありますから、これについてああしますこうしますということは言えません。これからの問題としては十分これは考えていかにゃならぬ、こう思うわけであります。  先ほど申し上げましたように、人事院総裁も申されましたように、とにかく七十過ぎまであるいは八十、まあ八十まではどうか知りませんけれども、人間の寿命が延びて、それで長く働けるものですから、それが五十前後で公務員を去る、あとの十五年、二十年をどうするかという問題にぶつかるわけでありまして、それが、まさに公務員のライフサイクルの問題とのぶつかり合いが出てくる。これはもう公務員全体の問題として検討をして、そうして結論を早く得て対応策を立てにゃならぬ、こう思うわけであります。
  166. 田端正広

    田端委員 いや、それは、公務員の人生の問題はよくわかるんです。しかし、強い行政機関の権限のかかわりのあったところに、しかも代表権を持つ役員にこんなたくさんの人が天下っているからおかしいということを言っているわけです。  だから、これから大蔵改革をする場合の一つの方向として、代表権を持つ役員に天下ることがいいのかどうかという議論を一回しっかりやっていただきたい。そうしないと、こういうことを続けている以上、大蔵省と金融・証券業界とのなれ合い、もたれ合い、そういった方向性というものが、国民の目から見て、一つも透明になった、すっきりしたものにはならない、そういうことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。  大臣、御意見があれば、どうぞ。
  167. 松永光

    ○松永国務大臣 今の委員の御意見はしっかりひとつ受けとめさせていただいて、将来の参考にさせていただきたい、こういうふうに思います。
  168. 田端正広

    田端委員 ありがとうございました。
  169. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 これにて田端君の質疑は終了いたしました。  次に、中村鋭一君。
  170. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 長野さん、来ていただいておりますか。あなた、雑誌なんかで十分御承知だと思うが、御自分は接待王とかキングオブ接待とか、こう言われているわけでございます。先日も生方委員から、一年半に四百回、八百六十万円に達する接待を受けたのではないか、こういう質問があったわけでございますが、どうですか、もう一遍ちょっと記憶をたどって、あなたが大蔵省在職中に、概算で結構です、何回ぐらい酒飲んだかなというあたりをひとつお答え願えますか。
  171. 長野厖士

    ○長野政府委員 大蔵省に入りまして三十年になります。幅広くいろいろな機会がございましたので、その回数が幾らかということ、記憶もできませんけれども、それなりにいろんな会合はございました。
  172. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 それなりにということは、十回や二十回ではないのでしょうね。数百回といいますか、記憶にとどまらぬぐらい数多くといいますか、そういうことじゃないかと思うのです。  長野さん、三月九日の当委員会で、生方委員質問に対してあなたは、つき合いがあったということについては、いわば会話がごちそうと申しますか、一定の範囲で率直な意見交換ができるような状況をつくるのは許されるのではないかと考えました、こう答えております。会話がごちそうというのであれば、まさに会話がごちそうでございますから、会話以外のごちそうはそう必要とも思えない、いわゆる飲食でございますね、というふうにもとれるわけでございます。  しかも、会話がごちそうというならば、その会話がどういう内容を伴ったものであったかということも、これは問題にせざるを得ないわけでございます。あなた、記憶をたどって、数知れない関係者との飲食の間に、その会話の中身について、業務上のいろいろな相談を受けたことは絶対にない、あるいは、あなたの大蔵省の職員としての職務に関してあなたが特定の示唆を与えるか意見を述べれば、その会社銀行、証券会社等々にある種の利益をもたらすかもしれないというようなことについては、常に非常に厳正な配慮を払いながらその飲食につき合っていた、そう言い切れますか。
  173. 長野厖士

    ○長野政府委員 会話がごちそうだと申し上げましたのは、おいしい御飯やおいしいお酒にありつきたいというさもしい気持ちでお供したわけではないということを表現したかった次第でございます。  そして、後段のお尋ねの件でございますが、これは、先日、参議院でも御質問がありまして、後ほど質問の先生に申し上げたのでございますけれども、私は、率直に意見を、本音を言ったり、聞いたりできるような人間関係をつくることも職務上必要なことがあると考えて、そういった関係をつくるための意見交換の場として会食を持ちましたということを参議院の予算委員会で御答弁しました。  それをとらまえて、情報交換をしておった、その情報中身は何かというような御質問がありまして、情報交換なら役所でやれ、酒は潤滑油だから酒の席で情報交換をするなという御質問がありましたから、私は、実はそこは大変今日までこだわってきたところでございまして、決して酒食の席で情報交換に当たるようなことがあってはならないということも常々考えておりました。  したがって、後で見れば、そんなたわいない話かということに及ぶ場合もございます。野球のチームはどこであるかというような話題になることもございます。そういった会話の中で人間関係をつくるということを考えておりましたし、情報交換というようなレベルになるような話題は、そういった場所でふさわしくないと考えておりましたし、それは意識して避けておりました。
  174. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 長野さん、それだったら、情報交換とかいうことについては自分がこだわったというならば、何でもない話をしていたということになるのであれば、そういう疑いを持たれるような特定の業者、銀行関係者等々と飲食をする必要がないじゃないですか。そうでしょう。  もう一遍聞きます。あなたは何のために、自分でも覚え切れぬぐらいたくさんそういう証券会社の人や銀行の人と食事をしてきたのですか、酒を飲んできたのですか。その目的は何ですか。もう一遍言ってくださいよ。いいかげんな答弁は困るんだ。
  175. 長野厖士

    ○長野政府委員 今、銀行、証券会社と特定してお尋ねになりました。先ほど回数についてのお尋ねがございましたけれども、私は、先ほどのお尋ねのときには、おまえはそもそも今まで役所の中で何回酒を飲んだことがあるかというお尋ねでございましたから、いろいろな新聞記者の方から政治家の方まで含めて幅広くございましたので、そう申し上げました。  もし御質問の趣旨が、先ほど挙げられました一年間あるいは一年半の間に四百回とかいうようなことをやっておったのかということであれば、それは、決してそうではないということを申し上げます。  問題になっております私の審議官時代におきましても、頭取さん、私どもの方は銀行局長を入れたいわば顔見せ的な会合が一つ、それから、副頭取さんあるいは常務さんといったレベルで、私のレベルでやる会合が二、三回。  したがって、年に換算すればそのくらいのことでございますけれども、特定の銀行だけを相手にすることもまたということがございますので、例えば都長銀、信託二十行ということになりますと、二十行に年平均二回ということであれば、それで年に四十回になるという回数は、それは四十回なら多いではないかというおしかりを受けるかもしれませんけれども、そういった接触の機会、つまり一年間に何度も特定の方とやっておるわけではございません。  そういった会話の中で、潤滑な人間関係ができて、いろいろな仕事上の連絡事項がスムーズに伝達できればいいなと思っておったわけでございます。
  176. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 いや、あなたの答えの内容が、こっちの頭が悪いのかもわからぬが、ようわからぬ、何が言いたいのか、何を言おうとしているのか。  私は明快に聞いているわけだ。あなたがこれまで接触した、例えば銀行とか証券会社のそういう偉い人との会食の中で、かりそめにもその会社の営業に資するような、あるいはその会社がもうかるような話、あるいはその会社の経営について、こういう御意見をちょうだいしたらうちの会社は大変うまくいくのですがというようなことについて、あなたは一切そのような便宜を図ったことも忠告的意見を述べたこともないのですか、それともあるのですかということを聞いているわけです。もう一遍立ってください。どっちか。
  177. 長野厖士

    ○長野政府委員 当時話題に供しておりました一つの事例で御参考に供したいと思いますが、例えば、当時貸し渋りということが話題になっておりましたので、そういう席で、私は、これは半ば冗談でありますけれども銀行の方は、貸し渋りはしていない、しかし優良な借り入れ先があらわれないからなかなか貸し出しが伸びないのだよということをおっしゃっておられるので、どこの商売人が、おれは売り渋りはしていないけれどもいい買い手がいないから売れないとおっしゃいますか、そういうことをおっしゃる前に、必死に自分の有している商品を売っていくというのが普通の商売人の御感覚じゃないでしょうかというようなたぐいの話をしておりました。  しかし、それは、向こうのお聞きになった方がそれをビジネス上生かされたかどうかというのは、私は推定できません。しかし、少なくとも、おっしゃるように、何か特定の営業的利益と結びつくような話をしたことは全くございません。
  178. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 長野さん、李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずだ。疑われるようなことはしない方がいい。あなたは何にもないつもりで言ったって、向こうは、これはいい、有利な意見だな、言葉の端にちょっと出たな、ああそうか、簿外債務の処理はこういう方法もあったのか。いや、あなたが言ったとは言いませんよ。ふっとあなたが漏らした片言隻句の中で、実はその会社にとってはまさに死命を決する有利なあなたの片言隻句があったかもしれないから、そのようなおつき合いはなさらない方がいいだろう。  その上に、昭和五十四年には官房長通達でちゃんと出ているじゃないですか。あなたはこれを知っているのでしょう、これまで何遍も言っているわけでございますから。  五十四年十月の松下官房長の通達といいますのは、「綱紀の保持については、従来から繰り返し注意を喚起してきたところであるが、最近に至り大蔵省職員が他省庁等から接待を受けていること等が問題とされ、世の厳しい批判を受けていることは誠に遺憾である。」これは昭和五十四年十月のことなんですよ。そこで、「記」とありまして、「会食等について 職務上の関係者からの会食等への招待には、原則として応じないこと。」五十四年にこういう通達が出ているのです。  あなたは、この通達以後にも会食は繰り返してきたわけですね。もうイエスかノーで答えてください。
  179. 長野厖士

    ○長野政府委員 会食があったことは、先ほど来答弁しております。
  180. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 だったら、明白に通達に違反しているじゃないですか。この前から委員会で、何遍も何遍も、あなたはこのことを聞かれて、ああだこうだと言い逃れとしか思えぬような答弁を繰り返してきたが、今、はっきり言いましたね。通達に違反していますね。しているわけだ。五十四年十月松下官房長の通達は、原則として会食しないこと。この通達を承知の上で、あなたは、我々の調査によれば、本当に嫌になるぐらいたくさん会食を繰り返してきたわけであります。  その会食で、あなたはこういうことを先日も委員会で言っておりますね。三つのあなた自身の戒めるべきこととして、とにかく特定の人とは繰り返ししないとか、たしか三つあったと思うのですが、それをもう一遍言ってください、あなた自身が自分の戒めとしている三つのおきてについて。
  181. 長野厖士

    ○長野政府委員 反復継続しない、特定の方に偏らない、そしてこちらから御要求するようなことはしないということを御答弁申し上げました。
  182. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 長野局長、これは子供にでもわかる理屈なんだな。五十四年十月に出た松下官房長の通達は、会食をしたらいけない、「記」と書いて、会食をしなさるなという通達が出ているのですよ。それにあなたは明白に違反をして繰り返した。  そして、今おっしゃったように、同一の方と反復継続することはしない、特定の方に偏らない、こちらから要求することはしない。これは、会食したらいかぬというおきてがあるにかかわらず、あなた自身が自分でこういう三つのおきてをつくっているということは、おきてに違反するためのおきてを自分で勝手につくって、幾ら飲んでも構わぬぞ、幾らごちそうになっても構わぬぞ、こっちから要求さえしなければいいんだ、同一の方と反復継続することはしないんだ、特定の方に一方的に偏りさえしなければいいんだと。  逆に言えば、広くたくさんの業者と、例えば、反復にも期間がありますから、三十の業者と三十日間やっておれば、最初のAなる業者とは三十一日目が二回目になりますから、これは反復になりませんね。そういうことは自分で認めていたわけですね。あなたは、いわばおきて破りのおきてを自分で勝手につくったということになりますね。答えてください。
  183. 長野厖士

    ○長野政府委員 通達との関係では、原則として差し控えるべし、しかし状況によって、先ほど申しましたような、人間関係をつくるということの場合には許容されることがあるのではないかと考えてやっておりましたという御答弁を前から申し上げております。  その上で、先ほど先生が驚くべき回数とおっしゃいましたけれども、私自身は、御答弁申し上げておりますように、せいぜいと言うとまた大変御無礼になるかもしれませんけれども、二十行と申しましても、年に一回か二回というのが平均的なところ、つまり反復継続しないというのは、そういったことを念頭に置いて申し上げているわけでございます。
  184. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 長野さん、もういいかげんにあなた特有のレトリックを駆使することはやめなさいよ。私が今確認したら、またあなたは、原則としてとありますからと。  じゃ、あなたがやってきたこの飲食というのは、すべてこういう接待は過剰接待でも何でもなくて、天地神明に恥じず公明正大に、大蔵省の職員として情報の収集の範囲内で許されるべきもので、これは原則としての原則外である、そのようにあなたは理解しているわけですか。イエスかノーで答えてください。
  185. 長野厖士

    ○長野政府委員 今日の時点、あるいは八年に公務員倫理綱領が制定された後の考え方からすれば、それは当時の考え方が甘かったかなという御指摘は甘んじますということを御答弁申し上げた上で、当時そのように考えておりましたということを率直に御答弁してまいっております。
  186. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 大方の国民の認識と今のあなたの答弁の乖離というのは、まさにもう天地の開きがありますね。甘かったかな、そんなことで済むものじゃないでしょうが。そうでしょう。何が甘かったかなですか。その程度のことであれば、これだけジャーナリズムやマスコミがあなたの接待疑惑について報道しますか。そうでしょう。  あなた、伺いますが、これまで接待を受けた中で、いつもいつもごちそうになっていますからきょうは私に払わせてくださいとか、いつもおごってもらっていますからきょうは私がおごりますよとか、いわゆる互角対等の関係で親睦を深めるために会っていたというあなたの強弁を信用するとしても、であれば、一回ぐらいはあなたが金を払ったことがあるのじゃないですか。あなたがおごってもいいのじゃないですか。そういうことがありましたか。
  187. 長野厖士

    ○長野政府委員 もちろん私は、昨日もここで御答弁申し上げましたけれども、自分も相当負担したこともございますし、それから会費を持ち寄ろうという格好でやったこともございます。その上で、結果としてごちそうになった件につきまして回数をお話し申し上げておるわけでございます。
  188. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 しかし、それは本当に少ないのでしょうね。それはあなたは否定なさると思うが、これは常識の範囲内でいっても、あなたが日ごろつき合っている銀行なり証券のお偉方と、きょうはこの料亭、私が持ちます、こう言ってお金を払われたということは、あなた自身の持ち分じゃないですよ、いつもあなたが接待をされているんですから、ここに六人なら六人いらっしゃったら、皆さんの費用はきょうは私が全部持ちますと言って払われたことは、まあないというふうに推測するのが正確であろう、こう私は思います。  長野局長、私を捨て公をなすという言葉があります。これは、公僕、懐かしい言葉になりましたけれども、特にあなたなんかには本当に縁の遠い言葉かもわかりませんが、パブリックサーバントとして当然の心構え、これが私を捨て公をなすという言葉だと思いますが、あなた、これまで大蔵省の職員として本当に私を捨て公をなしてきた、そういう実感がありますか。
  189. 長野厖士

    ○長野政府委員 大変高邁な理念に対する御指摘でございます。私は私として精いっぱいやってきたと申し上げるほかないと思います。
  190. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 私として精いっぱいが、今報道されているような事実。あなた自身もお認めになっているように、明白に五十四年の官房長通達に違反するような数々の接待を受けてき、そして、それが良好な人間関係をつくるだとか、情報の範囲内で許されるべきことだとかぬけぬけと言っているそのことが、まさに今あなたがおっしゃった、私としては精いっぱいやってきたという、そういう、はっきり言います、厚かましさにつながっているんだと思いますよ。こんなことをやっておいて、何が私を捨て公をなしてきたことになるのですか。なりはしないじゃないですか。はっきりしてもらいたい、その点は。  あなた、私も二回ほど言いましたが、新聞等であなたが接待王と報道されていることについて、どのような感想をお持ちですか。
  191. 長野厖士

    ○長野政府委員 新聞、雑誌で、私につきましていろいろな報道がなされております。それにつきましては、ほとんどすべて事実無根でございます。私は、それに対しましては、強い憤りを持って対抗手段をとっております。  その意味で、そういった報道が私の人身攻撃としてそういった言葉を使っておるとすれば、それは大変遺憾に存じます。
  192. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 このように報道されるのは、長野さん、お気の毒ですが、やはりみずからまいた種、みずからの不徳のいたすところと観念をしてもらうほかにはないと思いますね。  人の口に戸はたてられないわけでございまして、まして報道の自由というのがあるわけでありますから、あなた自身がそのようにおっしゃいましても、そのような報道をされる点につけ込まれるすきがある、あるいはそのように報道される点に真実が含まれているかもしれないということについては、考えを及ぼしておいていただきたいと思います。  今あなたが憤りを覚えるとおっしゃったマスコミ、これは雑誌でございますが、これを見ますと、大阪の北新地に有馬というクラブが、今あるかどうか知りませんが、これは、大阪の夜の商工会議所と呼ばれまして、政界、官界、財界の大物が集まる店であると。(発言する者あり)いや、私が今あるかどうか知らないと言ったのは、問題にされておりますのは、あなたが一九九二年から九三年にかけて近畿財務局長をお務めのときに、この有馬に再三通われたという記事が報道されているものですから。  私は、個人的なことですが、酒は一切飲みませんので、ビール一滴よう飲まぬので、大阪・北新地等は一切関係がございませんので、どこにどういう店があるかどうか私は承知しておりませんが、報道されるところによりますと、この有馬にあなたは一週間に十日来るとまで言われるほど通っていた。当時、近畿財務局長をお務めでございましたが、この店の元ホステスのA子さん、年齢は三十歳前後、このように書いてありますが、この人がこのように言っておるのです。  摂津信金の幹部や関西興銀の理事長と来られることが多かったですね。そんな長野氏が大声でどなったことがある。有馬に来たが、急に帰らねばならなくなった。ハイヤーが待機していない。そこで、ホステスの一人が何げなく、タクシーの方が早く行けますよと言った。長野さんはその途端、おれをタクシーに乗せる気かとどなったんです。おれは価値のある男だ。おれが仕事をすれば何十億円分の経済効果があるんだぞ。そのおれを見ず知らずのタクシーに乗せるのかとまくし立て、タクシーの運転手さんをばかにするようなことをわめいたんです。聞いていて気分が悪くなりました。あれ以来、長野さんのことを嫌いになりましたね。  こういう記事が現代に出ているわけでございますね。  そこで、長野局長にお尋ねをいたしますが、局長は、このように報道された事件があったことを御記憶でございますか。
  193. 長野厖士

    ○長野政府委員 お取り上げになりました週刊誌は、私が名誉毀損で提訴しておる雑誌社の記事でございます。そして、その好例が今お取り上げになりました記事にありますので、この記事を引用するのは私は胸穏やかではございません。腹が立ちますけれども、逐一、この記事がどういうことであるかを私にしゃべらせていただきたいと思います。  この店に摂津信金の幹部や関西興銀の理事長と来られることが多かったですねとあります。この方たちと私は参ったことはございません。  タクシーをめぐって私がどなったということでございます。私が財務局長当時は、私のそばには必ず家を出てから戻るまで秘書がおりまして、私の移動の車の手配は全部秘書がいたします。私は、店で車の手配を店の人に頼むことはございません。  先に進んでよろしゅうございますか。隣の店に食べに行こうと言ったという指摘がございます。その店は存じもしませず……(中村(鋭)委員「いや、それは私は言っていないです」と呼ぶ)いや、この記事がどういう記事であるかということをぜひ御理解いただくためにお許しいただきたいと思います。そのほか、すべて後段まで全部逐一反論できますけれども、全部でっち上げでございます。
  194. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 今の長野さんの説明によれば、覚えがないということでございます。であれば、この雑誌は全くの虚偽報道をしたということに相なりますから、あなたはこの雑誌を告訴もしくは名誉毀損で訴える、こういう用意があるわけですね、今私が問題にした記事につきまして。
  195. 長野厖士

    ○長野政府委員 この週刊誌は、二年余り前から、私が田谷君と一緒に京都でごちそうになったのではないかとか、大阪のどこそこでどうしたのではないかとか、私の住宅をめぐって銀行から便宜供与を受けたのではないかとか、新宿の何たらという店で接待を受けたことがあるのではないかというようなことを、あるのではないかではなくて、あるという記事をさんざん書いてまいりましたし、既に提訴して名誉毀損で私は争っております。
  196. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 今あなたがおっしゃったことは、これはあなたとこの雑誌との問題でありますから、私は、そのようなことがありますか、雑誌にこのように報道されておりますが、あなたはその事実がありますかどうかを確認しただけでありまして、事実がないならば、あなたはこの雑誌を告訴なさればよろしいわけでございます。  いずれにしても、長野局長、あなたは、いかなる報道によろうとも、先ほども私がお伺いした、御自分が私を捨て公をなしているという立場に立っておられるのであれば、全く青天白日、一切指弾を受けるおそれはない、このように確信を持っておられますか。もう一遍伺います。
  197. 長野厖士

    ○長野政府委員 きちんとお答えさせていただきたいと思います。  かなりのいろいろな報道がございました。これはかなりの方が、普通の報道と違うなというのをお読みになってすぐわかるということを申し上げます。(中村(鋭)委員「いや、違う、違う、それを聞いているのじゃない」と呼ぶ)
  198. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 今答弁をしています。
  199. 長野厖士

    ○長野政府委員 それを前提に御質問になっておられますから、それはぜひとも申し上げさせていただきたいと思います。  その上で、一番冒頭に御質問がございました、銀行等と会食の機会を持っておったかという御質問につきましては、その範囲で、私は正直に、私はすべてありのままに申し上げておりますから、あったことはあった、なかったことはなかったときちんと申し上げます、その限りにおいて。  しかし、それが、そのような当時の大蔵省のありようというものが今反省すべき点はないかという御指摘は、それはきちんと受けとめておりますと、そしてまた、一昨年の倫理綱領の制定以降は全く違った形になっておりますということも申し上げてきております。
  200. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 随分やかましいので、あなたの答えがちょっと聞き取れないようなところがあったのと、あなた自身の説明が少し明快さを欠いておりますので、もう一遍聞きますが、長野さん、あなたは、自分が刑事訴追を受けさえしなければ、大蔵省の職員として、しかも高位にある職員として何ら恥ずるところはない、立派な大蔵省の職員であると自分で自覚をしておられますか。もう一遍確認をさせていただきたい。
  201. 長野厖士

    ○長野政府委員 恥じるところがないなどと思い上がるつもりは毛頭ございません。その時々で、その時々の判断が、私が間違っておったということはあり得ると思います。
  202. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 長野さん、あなたは、ノーブレスオブリージュという言葉を知っていらっしゃいますか。知っておられれば、ノーブレスオブリージュという言葉の持つ意味を教えていただけますか。
  203. 長野厖士

    ○長野政府委員 言葉は承知いたしております。
  204. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 長野さん、あなたは、国民の公僕として、しかもほとんど最高位にある者として、それなりにそれに付随する権力を持つ者として、当然ながら、法よりも倫理というものが上に来るべきという認識は持っていらっしゃる、こう思うのですね。刑事訴追を受けなければそれでいいんだ、免れて恥なし、それではいけない、こう思います。  ですから、私は、あなたが、それは随分いい評判もこれまでもあったし、今もあるのだと思いますよ。シャープだ、鋭い、仕事ができる、能吏だ。その一方には、公務員、権力を持つ者はやはり大変な清潔さや倫理観、あるいは自分の仕事に対する情熱、国民に対する奉仕、こういったしっかりした考え方を持っていなければいけない。  だから、飲食は重ねたが国家国民を裏切るようなことは私はしていませんよとか、週刊誌に報道されたようなことは一切ありませんとか、告訴するとか、そういう問題じゃなくて、法というものの上にある、あなたのような立場にある人が持たねばならぬ潔癖さ、ノーブレスオブリージュ、これはしっかりと持っていただかなければいけないと思います。  胸中正しければすなわち眸子明らかなり、古い言葉で恐縮でございますが、胸の中がさっぱりとして何らやましいことがなければそのひとみは涼やかである、まあこれぐらいの意味かと思いますけれども、率直に言いまして、先ほどからあなたを拝見しておりますと、あなたが随分元気が出たのは、週刊誌の報道について憤りを覚えているとか、そんな覚えがないとか、告訴しているとか、そのくだりだけだ。  あとは、どちらかといえば、私の印象では、胸中暗いがゆえに眸子明らかならず、視線が落ちつかない。堂々たる自信というものに満ち満ちていないのだ。だから、その点は、あなたがしっかりと反省をしなければいけない最大の点であると私は思います。  法よりも倫理観というものが上に来なければいけない。そのことについて、一言だけあなたの御意見を伺いたい。
  205. 長野厖士

    ○長野政府委員 私自身は、自分で精いっぱい、許されざることということを念頭に置きながら、身を律してきたということはるる申し上げさせていただいておりますし、今の時点から、もっと何かシステムが変わるべきでなかったかという点は甘んじますということも申し上げておりますけれども、当時こそこそ隠れて悪いことをしておるというようなつもりで、胸にやましいところがあるということではないということもお聞き取りいただいているわけでございます。
  206. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 これまでのあなたの行動が、今あなたがおっしゃったように、それはシステムが変わればとか、そういう問題じゃないのです。システムがどうあろうとも、あなたのように権力を持っている者の倫理というものは、法の訴追があろうがなかろうが、それは常に国民に対して保証されておらなければならぬということを私は言っているわけであります。  そこで、最後にお伺いいたしますが、私が最前から質問しておりますような観点、何遍も言いますが、倫理というものの潔癖性を求められ、疑いをかけられ、評判にされ、そのことが既にあなたの不適格性をあらわしているという見方もするならば、今ここであなたは、はっきりと国民の前にみずから決するところを表明されてもいい、このように私は考えるものでございます。  どうですか、長野さん、あなたは、みずから身を処する考えはありませんか。私の言っている意味はおわかりいただけると思いますが。
  207. 長野厖士

    ○長野政府委員 週刊誌のときだけ元気がいいというおしかりをちょうだいいたしましたけれども、私に関しましては、一部週刊誌がイメージをつくり上げまして、私に対する人身攻撃をやっております。したがいまして、もちろん公務員たる者、しかも責任ある地位になりました場合には、常に自分の進退というものは人事権者に預けておるものでございますし、私がないと御答弁申し上げていることがかりそめにもありました場合には、その責任はきちんと考えますけれども、このようなペンの暴力による人身攻撃に屈するつもりはないということもぜひ申し上げさせていただきたいと思います。
  208. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 あなたとペンの暴力云々のことを言っているのじゃないのです。既にあなた自身もお認めになったように、これまでに官房長通達に違反する行為の数々、すなわち、いろいろな人たちと飲食をしてきて、そのことをあなた自身も認め、そして本日この席でも、少なくとも昭和五十四年の官房長通達に違反する面があったことはあなた自身がお認めになり、自分もみずから甘かったということをおっしゃっているわけですから、そういう点において、もう一遍言います。  潔癖な倫理観をお持ちであるならば、この際あなたは、みずから職を辞する考えはありませんか。それが、一生懸命仕事をしているあなたの同僚や先輩や後輩の皆さんに、あなたがみずから処する道を明らかにするゆえんのものだ、私はこう思うからお尋ねをしているのです。もう一遍聞きます。職を辞する考えはありませんか。
  209. 長野厖士

    ○長野政府委員 たびたびお答え申し上げて恐縮でございますけれども、接待をめぐりまして形づくられた私のイメージは、週刊誌レベルのものがベースになっておりますので、そのような人身攻撃に屈するつもりはないということを重ねて申し上げさせていただきます。
  210. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 では、週刊誌レベルのものでない事実が明らかになったときは、逆に言えば、あなたはみずから決するところがある、そのように理解しておいてよろしゅうございますね。最後に一言だけ。
  211. 長野厖士

    ○長野政府委員 私がないと御答弁申し上げたことがかりそめにもあったとしたらと先ほどお答え申し上げました。
  212. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 それでは、あなたがないとおっしゃったことについてあった場合はと今おっしゃいましたが、そのないとおっしゃったこと、実際にあったこと、これはいろいろな範囲や解釈の違いがありますから、本日はこれであなたに対する質問は終わりますけれども、私はもう一遍言っておきます。  全体として、これまで、週刊誌じゃないですよ、そういう問題じゃない、これまでに我々が承知をしている範囲内で、あなたの接待というものが度を過ごしたものであったことはあなたも認めているのだから、だから公務員として、あなたのような高位にある公務員として、みずから身を処すのが当然である。私はあなたに対して辞職を勧告しておきたい。そのことはきっちりと記録にとどめておいていただきたいと思います。  人事院に来ていただいていると思いますが、現行の国家公務員の採用制度はどのようになっておりますか、簡単に御説明をお願い申し上げます。     〔伊藤(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  213. 中島忠能

    ○中島政府委員 I種試験、II種試験、III種試験というふうに分けて採用試験をいたしております。
  214. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 総裁、I種試験とII種とIII種の違いを簡単に教えていただけますか。
  215. 中島忠能

    ○中島政府委員 I種試験というのは、幹部公務員を採用し、それを養成するという目的で試験を実施しております。II種試験、III種試験は、中堅幹部というか、そういう職員を採用し、育てるという目的でございます。
  216. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 俗に、このごろよくキャリアとかノンキャリアとか、こういうふうに言われるのですが、これは総裁、試験制度といわゆるキャリア、ノンキャリアの関連はどうなっているのでしょうね。今おっしゃったI種試験がいわゆるキャリアで、II種、III種がノンキャリアということなのでしょうか。
  217. 中島忠能

    ○中島政府委員 私たちは、キャリアとかノンキャリアという言葉を使ったことはございませんし、そういう呼び方をいたしておりません。したがいまして、どういう意味でどういう方が使っておるかわかりませんけれども、恐らく今先生がおっしゃったような、I種試験で合格し採用された方をキャリアというふうに呼んでおるのじゃないかと推測いたします。
  218. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 大蔵省に入省した方の中で、東大出身者と他大学の出身者、これはI種でございますけれども、その比率はどのようになっておりますか。
  219. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 平成十年度、すなわちこれからの四月の入省予定者につきましては、十七名I種採用のうち東大が十一名、六四・七%という比率でございます。昨年は、十九名採用いたしまして東大は十四名、七三・七%でございました。
  220. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 大蔵省創設以来、事務次官で東大出身者は何人で、東大出身以外の次官は何人でしょうかね。
  221. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 明治の大蔵省創設以来、次官が七十名就任いたしましたが、東京大学の出身者が六十六名、明治の初期におきましては学歴不明の方もおられますので、その他が四名ということでございます。
  222. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 大蔵大臣、大蔵省がこのように、これは結果としてではありますけれども、次官はもうほとんど一〇〇%に近く東大出身者が占めているわけでございます。俗に言いますと、大蔵省は結果的には東大偏重ということになっているわけでございますけれども、これはどこに理由があるとお考えでございますか。
  223. 松永光

    ○松永国務大臣 よくはわかりませんけれども、ほかの中央省庁も、次官になる人は東大卒が比較的多いのじゃないでしょうか。  なぜそうなるのかというと、まず国家公務員上級職、今の人事院総裁の話によるとI種ですか、I種を受ける人の数も圧倒的に東大が多い。それから、よく勉強するのも多いということもあるかもしれませんが、結果において合格者が多い。合格した人がそこに行くものですから、結果において実は東大卒が多い。それがだんだん上に上がっていくわけでありますから、結果としては東大卒の次官が多いというふうに理論上はなっているような感じがいたします。
  224. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 私は、今の大蔵大臣の説明で必ずしも言い尽くしているとは思えないのですけれどもね。まあ確かに、次官はほとんど一〇〇%に近く東大出身、それも法学部出身ですね。  ここに一九九二年二月二十八日の朝日新聞があるのですけれども、これを見ますと、当時の宮澤喜一総理大臣が、いわゆる高級官僚の採用について、旧帝大、東大が圧倒的に多い、何とか少し採用の仕方を変えられないかと述べて、東大偏重の改善策を当時の加藤紘一官房長官に指示をしたことを明らかにした、これは二十八日の閣議で官房長官が各省庁に協力を要請することにした、このような報道がなされております。  この年を見ると、大蔵省の春の入省予定者二十四人のうち、東大が二十二人、京大が二人と、東大の比率が非常に高いわけですね。そこで、当時の宮澤首相がこれは何とかならないかということで、各省庁に協力を要請して、五年かかって他大学の出身者も一級職にたくさん入ってもらうようにしよう、各省庁に東大以外の人をもっとふやそうじゃないか、クオータ制とでも言うのですかね、そういう報道がされているのです。  あれから六年たちますけれども、その後、このことについては、何らか改善等々があったのでしょうか。
  225. 洞駿

    ○洞政府委員 お答え申し上げます。  加藤官房長官から御指示がございました平成四年二月の閣議でございますが、国家公務員採用I種試験の事務系区分のうち、いわゆる行、法、経と言いますが、行政、法律、経済の各職種の採用者における特定大学すなわち東大出身者の割合を、全省庁を通じておおむね五年以内に五割以下にするというのがこの御指示の内容でございます。  先生御指摘のとおり、この御指示がございました平成四年度採用者におきましては、全省庁を通じまして、東大出身者の割合は五九%でございました。その後、改善を見ておりまして、平成八年度採用におきましては四九・一%と目的を達成しまして、その後もおおむね五〇%程度で推移しております。
  226. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 外務省と法務省はまた独特の採用試験をしていらっしゃるように伺いましたが、まず、外務省は採用試験はどのようにやっておられるか、簡単に御説明をお願いできますか。
  227. 浦部和好

    ○浦部政府委員 外務省におきましては、外務公務員I種試験というのがございます。これは、総合的な判断力とかあるいは思考力を有している、本省と在外を行き来するものですから、こういうことを繰り返しながら、我が国外交の中核を担うような人間を選択していくというので、大学卒業程度の試験を第一次、第二次という形でやっております。  以上でございます。
  228. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 法務省は。
  229. 但木敬一

    ○但木政府委員 委員お尋ねの司法試験でございますが、これは裁判官、検察官あるいは弁護士等になろうとする人たちに対する試験でございます。第一次試験で教養、第二次試験で法律科目について試験をしております。
  230. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 法務省とか外務省はこのような試験をしておられるのですが、あと各省庁は、人事院で一括して一級職の試験をしておられるわけでございます。  たまたま、私、ちょっと調べたのですが、総理大臣でございますが、我が国の総理大臣、今の橋本総理からさかのぼりまして十人を見ましても、東大出身は宮澤喜一総理大臣お一人でございますね。戦後二十四名ずっと総理がおられますけれども、そのうち東大出身の総理大臣は十人、半分以下でございます。これと、大蔵省の事務次官がほぼ一〇〇%に近く東大法学部出身で占められているというのを見ますと、それは結果としてそうなるのですけれども、私は、その辺に少し工夫があってもいいのじゃないかな、こう思うのですね。  そこで、例えば我々政治家を見ますと、衆議院なら大体二年半に一回選挙があります。これは、実に公明正大に全国の有権者の皆さんによってお選びをいただく、まあ試験を受けているようなもので、審判を受けているわけでございます。  一級職の場合、これは人事院で採用試験をやりまして、二十歳過ぎの若者が、一たん大蔵省なら大蔵省に入りますと、後は退官するまでもう試験というのはないわけでありますね。その途中でその人にどのような能力の変化があろうとも、これはもうほとんど問題にされないで、いわゆる年功序列といいますか、エスカレーターといいますか、そういう形で進んでいくわけでございます。  この辺に何かやはり工夫というものがあってもいいのじゃないか。だから、宮澤総理大臣が六年以前に、東大出身者の割合を減らしなさいと官房長官に指示されたのも、そういう点を懸念されたのじゃないか、こう思いますね。  中国に科挙という制度がありまして、これは大変難しい制度で、これに合格をすることはその時々の中国の若者の最大の目的であった。しかし、結果として、歴史の報ずるところによれば、千四百年続いた科挙の制度は、清国に至りましてついにその矛盾を暴露いたしまして、清国は滅亡した。その滅亡の理由の一つに、この硬直した官僚制度、その官僚制度をもたらした科挙の制度がある、こう言われているわけでございます。  この点について、例えば今申し上げましたように、政治家なら選挙の洗礼を受けるわけです。もう大変な苦労をしてバッジを胸につけさせていただくというわけでございますが、そういった最初の採用の仕方、東大偏重、その後の能力査定、人事登用等々について、やはり二十一世紀にふさわしいやり方というものがあるのじゃないか、こう思います。  時間の都合もございますから、最後に、これは小里長官、また大蔵大臣人事院総裁から、そういった試験制度のあり方、人材登用のシステム、各省庁への割り当てということを含めまして、お考えをお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  231. 小里貞利

    ○小里国務大臣 私、後の方からお話がございました人材の登用あるいは昇進制度について、私の関係かと思いまして、若干お話し申し上げたいと思うのでございます。  お話がございましたように、職員の士気を高揚し、あるいはまた公務運営の活性化を期する、そういう一つの原則から考えまして、やはりその人の入省後の努力なり実力なり、あるいは貢献度というものが総体的に判断の基準にあるべきものであろう、さように思います。  なおまた、御承知のとおり、昨年の十二月三日の私どもの行政改革最終報告におきましても、そのようなところは、いわば客観性の高い人事評価システムというものと能力実証主義をきちんといたさなければなりませんねと、改革の方向を明示いたしておるところでございます。
  232. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  国家の試験で採用する場合には、あくまでも公平な試験でなければならぬというふうに私は思います。  そしてまた、今度は、国家の試験で合格した者を採用する場合には、これは試験の成績もありましょうけれども、人物をよく見て採用してもらうということが必要であろうと思います。  三番目には、若いときの一遍の、採用といいますか選考を受けるわけですね、それがずっと続くというのはいかがなものであろうか。やはりどれだけの仕事ができる人か、能力があるか、人物はどうかというのを常にチェックしながら、その後の人事が公平になされるということが大事なことであろうというふうに思います。  四番目には、例えばII種で採用された人であっても、努力によってI種で採用した人と同じような地位につけるような、地位につけるといいますか、そういうチャンスが与えられることが私は望ましいのじゃなかろうかというふうに実は思うわけであります。  この点については、昨年の人事院勧告で、II種、III種職員の登用のための早期選抜ということを検討するということになっているそうでありまして、こういったことで、II種、III種で入った人が将来に大きな望みを持って活躍できるようにするということが、私は組織の活性化のためにも大切なことではないかなというふうに思うわけでございます。
  233. 中島忠能

    ○中島政府委員 II種、III種の試験で公務員になられた方も、非常に優秀な方がいらっしゃいます。そこで、今大蔵大臣がお話しになりましたように、昨年の八月の勧告の際の報告の中で、そういう方を積極的に登用していく必要性というものを私たち提言いたしました。  その提言に基づきまして、現在たたき台をつくりまして、幾つかの省庁の意見を聞きながら、案をまとめております。できるだけその案をまとめて、II種、III種の方がその能力に応じた処遇がなされるように努力してまいりたいというふうに思います。
  234. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 ありがとうございました。終わります。
  235. 越智通雄

    越智委員長 これにて中村君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤茂樹君。
  236. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 自由党の佐藤茂樹でございます。  大分時間が押しておりますけれども、できれば答弁の方も簡潔にお願いしたいというように思います。  最初に、経済成長率についてお伺いしたいのです。  三月十三日に経済企画庁が発表された国民所得統計速報によると、一九九七年十月—十二月期の国内生産、GDPの成長率は、物価変動を除いた実質で前期の七—九月期に比べ〇・二%減、年率換算で〇・七%減となり、二期ぶりにマイナスに転じた。そういう発表を受けて、翌日マスコミ各社も、このままでいくと九七年度の実質経済成長率というのはマイナスに転落することが必至の情勢になってきた、各社ともそういうように実は書いているのです。  政府は、昨年の暮れに、当初の見通しの一・九%から実質見込み〇・一%に改められましたけれども、この十月—十二月の統計速報を受けて、今でも〇・一%達成は可能と見ておられるのかどうか。最初に、経済企画庁長官にお尋ねしたいと思います。
  237. 尾身幸次

    尾身国務大臣 昨年の十月—十二月の数字、ただいま佐藤委員おっしゃいましたとおり、マイナス〇・二%ということになりました。これは、アジアの経済の問題とか、あるいは金融機関の相次ぐ破綻等によりまして、消費者及び企業の経済の先行きに対するマインドが著しく低下したことが原因であるというふうに考えている次第でございます。  例えば、消費性向等も、九月の七一・九%から一月の六八・六%へと四カ月間で三・三ポイント低下をしているわけでございまして、年率換算で十兆円以上の低下があったというような状況でございまして、そういうことを反映いたしましてただいまのようなことになったわけでございますが、その数字から見て、この一—三月がどうなるかによるわけでございますが、現在私どもの計算では、結果として九年度の実質見通しの成長率〇・一%を達成できるかどうかについては、なかなか厳しい状況にあると認識している次第でございます。  私どもといたしましては、かねてから申し上げております各般の施策によりまして、経済をできるだけ早期に順調な回復軌道に乗せたいと考えている次第でございます。
  238. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 〇・一%、なかなか厳しい状況にあるというのはどういうことなのですか。〇・一%達成は難しいけれども、マイナスにはならないということですか。どういうように今経済企画庁としては判断をされているのか、もう少し詳しく教えてください。
  239. 尾身幸次

    尾身国務大臣 これは数字の問題でございますので、私どもいろいろな計算をしておりますが、一—三月期でプラス一・六%の成長を実現できれば年度ベースで〇・一%を達成できるということでございますし、仮に一・〇%の成長であれば〇・〇、つまりちょうどゼロである、こういうことになるというふうに計算ができるわけでございまして、どの程度になりますか、まだ確たることを申し上げられませんが、なかなか厳しいものというふうに考えております。
  240. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 〇・一か〇かというような話はこれ以上やりませんけれども、そういう今の長官の答弁からしても、月例経済報告では今政府は、停滞である、そういうふうに言われているのですけれども、もはや後退局面にある、そう言われてもいいのじゃないですか。どういうように判断されているか、答弁をいただきたいと思います。
  241. 尾身幸次

    尾身国務大臣 経済の現状、先ほど申しましたとおり、十一月前後にアジアの問題あるいは金融機関の相次ぐ破綻等が起こってまいりまして、そのことによりまして株価の下落、そしてまた金融システムに対する不安感が非常に大きくなってまいりました。  私どもいろいろな政策をやりましたが、その間において、十二月から一月、二月にかけまして、御存じの金融システム安定化法案の決定、そしてまたその法案の提出、通過、それから施行というふうに進んでまいりました。  一月の半ば、十五日ごろまで、実は大変にいわゆるマインドが悪かったわけでございますが、その後急速に金融システムに対する不安感というのが解消に向かいまして、十二月の初めの時点と三月半ばの現在の時点で比べますと、金融システムに対する不安感というものがほとんど解消したというふうに考えている次第でございます。  しかしながら、十一月、十二月にありましたマインド低下というのが実体経済に影響を及ぼしてきておりまして、十二月、一月の数字がかなり低い数字になってきたというふうに考えているわけでございまして、その後、二月、三月にどうなるかということにつきましては、まだ何とも言えないわけでございます。  全体として景気指標は厳しいものが多いわけでありますけれども、例えば一月の小売販売とかあるいは鉱工業生産のように、前期比ベースで見まして下げどまっているものもありまして、二月、三月は早期是正措置を控え非常に厳しい状況が続くと考えていますけれども、しかし四月以降にはまた別の展開が期待されるわけでございます。  そういうことから、全体として景気が下向きに落ち込んでいく局面であるというふうには考えておりません。停滞という表現が適切であるというふうに考えております。
  242. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 どこまでも言い張って、停滞と言われるのですけれども、私はやはりもう既に後退と認められた方がいいのではないかと思います。これ以上経企庁長官とやっておっても仕方がないのですが。  あと、経済成長率の低下、〇・一%の達成もなかなか難しい状況になってきたということを受けて、大蔵大臣、一応九八年度予算案というのは一定の成長率が確保できないと、本当に九八年度予算案の前提自体も、税収が伸びませんから、崩れてしまうと思うのですけれども、この経済成長率の低下の九八年度予算案に及ぼす影響をどのようにとらえておられるのか。税収も伸びませんから、当初の見込みから大分落ちると思うのです、今のままの成長率だったら。一・九を前提にしていたのを〇・一。〇・一も難しいという話になっているのですから。  どういうように九八年度予算案に対する影響を考えておられるのか、答弁をいただきたいと思います。
  243. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 お答え申し上げます。  まず、九年度税収の見通しでございますが、補正予算におきましては、当初予算における見積額から一兆五千七百六十億円減額補正をいたしまして、五十六兆二千二百六十億円と見込んでいるところでございます。  現時点で判明しておりますのは、直近の実績が平成十年の一月末の税収累計でございます。この税収累計の前年比で見ますと、補正後予算の伸びが一〇八・〇、これに対して一〇四・五と、伸びを若干下回っているわけでございますが、消費税につきまして、税率の引き上げによる増収効果が年度の後半に集中してあらわれてくるということ等の要因を勘案いたしますと、全体として、おおむね補正後税収の見積もりにおいて想定した税収動向の基調に沿ったものではないかというふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、九年度の税収でございますが、まだ四割程度の収納が残されておりまして、所得税の確定申告、三月決算法人に係る法人税の動向等についてこれから注視してまいりたいと考えております。  なお、十年度の税収の見込み額でございますが、十年度の政府経済見通しのほか、課税実績等をも勘案いたしまして、個別税目ごとの積み上げによる見積もりを行ったところであり、適切なものであるというふうに考えているところでございます。
  244. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 もう一度、これはもう最後の質問にしたいのですけれども、例えば、今のままの成長率でいくと、平成十年度の予算の一・九%ですか、その根拠も崩れるし、これから先の財政改革のシナリオでも、大蔵省の試算によると、低くて一・七五、高くて三・五、そういう経済成長率を見込んでの数字というのを出されていて、例えば一・七五%でも、二〇〇三年までに赤字国債をゼロにするためには累計約二十一兆円の歳出削減が必要であるというような試算を出されています。  そういうすべてのシナリオというのがやはり少しずつ狂ってくるのではないかなというように思うのですけれども、大蔵省としてどういうようにとらえておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  245. 尾身幸次

    尾身国務大臣 ただいまの委員のお話、十年度の見通しでございますが、私どもは、現在、総理の御指示もございまして、規制緩和を中心とする経済活性化の対策等を検討中でございます。それからまた、経済の状況、財政の状況、金融の状況等に応じまして、適宜適切な対応をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。  そういう施策を全体として総合して十年度の一・九%は達成したい、そしてまた達成可能であるというふうに考えているところでございます。一・九%の成長率が達成できないのではないかという御心配をされる向きもありますが、私どもとしては、一・九%は達成できるというふうに考えているところでございます。
  246. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 この問題、引き続きやりたいのですけれども、せっかくほかの大臣もいっぱい来ていただいているので、違う話題にしたいのです。経企庁長官、もう結構です。  次は、ガイドラインのことについてお尋ねしたいのです。去年の秋にできてから、いよいよ第二段階に入った。今進められておりますけれども一つは相互協力計画と共同作戦計画というこの両計画の策定と、もう一つは、法整備をどうしていくのかということをきちっと明確にしなければ、ガイドラインの実効性も高まらないし、逆に絵にかいたもちになるであろう、そういう観点から、何点か質問させていただきたいのです。  三月十四日の各紙の報道によると、その前の日の三月十三日に、アメリカのキャンベル国防次官補代理と加藤幹事長、山崎政調会長、自民党の幹部がそれぞれ相次いで会談されて、山崎政調会長はこのガイドラインの国内法整備について、国会提出は五月の大型連休前になる、三本か四本の法律に分かれるとの見通しを伝えたと言われていますけれども、これは政府・与党としてそういう考え方である、そういうように理解してよろしいのでしょうか。
  247. 久間章生

    ○久間国務大臣 党の政調会長がどういうふうな話をされたかはつまびらかでございませんけれども、私どもはできるだけ早くまとめて今国会に出したいということで今作業を進めているところでございますが、まだ、政府・与党でいつごろ出すというような、そういう方針を取り決めたわけではございません。
  248. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そういうことであれば、さらにちょっとお聞きしたいのです。  三月五日に橋本総理のところに、防衛庁、外務省そして内閣安全保障室が行かれて、総理に検討状況の中間報告をされて、今国会提出に向け作業の詰めを急ぐように総理が指示した、そういう報道が、翌日の六日だったと思うのですけれども、各紙に出ております。これは事実なのかどうか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
  249. 久間章生

    ○久間国務大臣 それは事実でございます。三月五日に今言われました関係省庁が行きまして、総理に対して、現在までの検討報告といいますか中間報告をしております。  そして、具体的には、捜索、救難、在外邦人等の輸送、船舶の検査等、また後方地域支援等に関して必要な法的措置について、できるだけ速やかに成案が得られるようにこれから先やっていきますというようなことを言いまして、総理からもしっかりやれという指示をいただいております。それを受けまして、安保室の方に作業室を設けて、人員を派遣してやっております。
  250. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 それで今、大体、項目は大きく四つぐらいですか、分けてやるという話をされたと思うのです。  そのときの了承された中身なんですけれども、確認をさせてもらいたいのは、従来、法整備の方法について二通りの考え方がある、そういうように言われておったのです。  それは、周辺事態の認定と後方地域支援の内容だけを盛り込んだ仮称後方地域支援法をつくり、ほかの三項目についてそれぞれまた自衛隊法改正か新法でやる、そういう個別法でやっていくのか。それとも、後方地域支援法だけじゃなくて、そこに臨検であるとか捜索、救難とかそういうものまで入れた周辺事態法、一括法としてやっていくのか。  この二通りの考え方があると思うのですけれども、それはどういう形で了承されたのか、また、今どちらの方向でやろうとされているのか、答弁いただきたいと思います。
  251. 久間章生

    ○久間国務大臣 総理に報告して了承を得ましたのは、今のような項目についてこれから先整理して作業をやっていくということでございまして、このまとめ方というのはいろいろまだ意見があります。  そしてまた、これは立法技術的な問題もございますし、法制局等とも詰めなければなりませんので、まだ今、委員が御指摘になったようなきちっとした形で、幾つぐらいの法律でどういうふうにするかというのは決まっておりません。  しかし項目としては、今委員述べましたような項目について作業を進めているところでございます。
  252. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 それで、その法整備のことで、特に三点ほどちょっと気にかかる点をこの場で確認をさせていただきたいのです。  その一つは臨検ですね。これは、特に国連決議に基づく船舶検査の扱いをどうされようとしているのか。要するに、臨検活動を周辺事態に限定するのかどうか、それとも逆に、周辺事態以外でもこのような活動をしていくことはあり得るのか否か、それを今どのように進めておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  253. 久間章生

    ○久間国務大臣 ガイドラインを取りまとめましたときに、国連決議に基づくいわゆる臨検ということにしましたので、それについてははっきりしているわけでございますけれども、それをどういうところでやるかということにつきましては、これは、我が国だけではなくて、やはりガイドラインを取り決めましたアメリカとのこれから先のいろいろな折衝もございまして、今言われたところ、まさにこれから先もう少し詰めなければならない問題が残っているのではないか、そういう認識を持っております。  これから先、また、これはどちらかというと外務省になるかもしれませんけれども、アメリカ側と取り決め等をどっちみち進めていかなければなりません。そういう中において、この問題についてもさらに検討を要するのではないかというふうに思っております。
  254. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そこでもうちょっと聞きますと、国連決議に基づく臨検というのを、今の防衛庁長官の答弁からすると、アメリカとの防衛協力と考えておられるのか、それとも、これは国連協力なんだ、そういうふうに考えておられるのか、一体長官はどちらとして判断されていますか。
  255. 久間章生

    ○久間国務大臣 我が国もアメリカも国連に加盟しているわけでございますから、国連が何らかの方法を決定したときにはそれに従ってともに協力しなければならないわけでございますけれども、今回は日米防衛協力の指針ということになっておりますので、やはり主として日米が協力しながらやっていくという、そのやっていく方向の中で国連決議に基づく臨検ということになっておりますから、やはり国連、大きな枠としては国連決議に基づく臨検でございますけれども、やはり日米防衛協力の指針の中でのその扱いだというふうに認識しております。
  256. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 二点目、ちょっとお伺いしたいこととして、きょうの本会議でも質問がありましたけれども、国会承認の件ですね。  これはもう手続的な話なんですが、周辺事態の認定と、米軍に対してどういう後方地域支援活動をするのかという、ここを決定するのに、閣議、あるいはそこの前に安全保障会議が入るのかもわかりませんけれども、そういうこととして、今のところ国会承認は考えていないのだ、そういう報道が二、三出ているのですけれども、実際、政府の方として、手続の中に国会承認を考えておられるのか否か、そのことについて答弁いただきたいと思います。
  257. 久間章生

    ○久間国務大臣 これは当委員会でもたびたび議論がございました。私どもとしては、今の段階で具体的にどうするということがまだ固まっていないわけでございます。  そのとき、先般の当委員会でも申し上げましたけれども、正直言いまして、難民がわっと出た、あるいはまた在外邦人を救出しなければならない、そういう急を要する場合、そういうこともございまして、そういう場合には事後承認でもいいじゃないかというふうな御意見等もまた当委員会でも述べられたわけでございます。  これから先、やはり国会の御審議等も踏まえながら、我々としてはあらゆる角度から検討していかなければならないということでございまして、まだはっきりと政府として方針が決まったというわけではございません。
  258. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そこで、防衛庁長官の所見としてお伺いしたいのですけれども、現行の自衛隊法でも、言うまでもなく七十六条の防衛出動、そして七十八条の治安出動というのは国会の承認が必要である、そういうふうに認められていますね。あと、さらに、PKOの法案のときも議論しましたけれども、このときにも国会に対する報告ということをきちっと入れているわけですね。  そういうことから考えますと、そういうレベルと今回の周辺事態、やはり国会承認を認めないだけの何か特別な理由があるのかどうか、考えていくと、やはり当然これは国会承認事項にならなければいけないのではないか、そういうふうに考えるのですが、長官はどういうふうに判断をされていますか。
  259. 久間章生

    ○久間国務大臣 これは、今述べられました防衛出動あるいはまた治安出動、こういった場合はいわゆる武力の行使でございます。また、PKOの場合は海外に自衛隊が出ていくことでございます。そういうような中から、国会承認あるいは国会報告、いろいろな形がとられておるわけでございますけれども、この周辺事態に活動する場合に、武力の行使というのはまず考えられないわけでございます。海外にも出ていくわけではございません。  その辺の全体の兼ね合い等も考えながら議論していかなければなりませんので、私どもとしても、そういう全体をにらみながら、その辺とのバランスも考えながらやっていかなければならないと思っておりますが、先ほどから言いますように、これは、私は、今はそういうふうな考えを述べろと言われたので述べましたけれども、政府としてはまだ方針が決まっていないということでございます。
  260. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 方針が決まっていないとか、検討中とかいう答えが多いのですが、引き続き議論していきたいと思うのです。  あと、最後に三点目だけ、ちょっと気にかかっている点、お伺いしたいのです。  これは三月六日の読売新聞ですけれども、新法案の中に戦闘行動に発進する米軍機に対する支援は除外するとの明文規定を盛り込む方針を固めた、そういう報道になっております。その続きを読むと、五日、橋本総理に報告したときに了承された、そういう記事になっているのですけれども、これは事実と解釈してよろしいですか。戦闘行動に発進する米軍機に対する支援は除外する、これは明文規定として入れるということは事実ですか。
  261. 久間章生

    ○久間国務大臣 法文の中身についてどうするかというのは、これはまだ決めていないわけでございますけれども、先ほど来言いましたように、まず指針の見直しをやりましたときに、決めましたときに、まずそういうニーズがアメリカ側からあっておりませんので、戦闘機についての支援というのはないわけでございます。  だから、この問題については、まだ議論はそこまで煮詰まっていないということでございます。煮詰まっていないというよりも、法案に盛るかどうか、そういうふうなことにはならないのではないかなという感じを持っておりますけれども、これから先また議論をしていこうと思っておりますが、向こうからはニーズがないということでございます。
  262. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今はそのニーズがないというのは間違いないですか。
  263. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 今お尋ねのようなそういう活動でございますけれども、これはやはり即応性の問題であるとか、あるいは秘密保全の問題であるとか、あるいは専門性、技術性、こういうことからいいまして、各国とも基本的には、パイロットとそれの整備員を一体として運用するのが通常でございますので、そういった戦闘行動に発進する米戦闘機に対する今お話のあったような支援ということは、米側からそういうニーズはないということでございます。
  264. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そうしたら、今のことがニーズがないということなんで、もう一つ、ニーズがそういう観点からいうとあるのかどうかということで、公海上のアメリカの艦船への自衛隊による例えばミサイル等も含めた武器の輸送であるとか燃料の輸送、こういうものはアメリカ側からのニーズは今まで全くなかったのかどうか、答弁いただきたいと思います。公海上のアメリカの艦船に対する武器弾薬を含む輸送ですね。
  265. 久間章生

    ○久間国務大臣 戦闘機と異なりまして、艦船に対する武器あるいは油あるいはまた弾薬、こういった輸送については、それは必要に応じてあるわけでございます。  ただ、それを戦闘行動と一体化しないために、巻き込まれないように、どういう地域で行うか、これはまた別の問題でございますけれども、戦闘機と違いまして、船につきましては、それはございます。
  266. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そうすると、今の防衛庁長官の答弁をもうちょっと敷衍すると、戦闘地域と一線を画した公海上の艦船に対する例えばミサイルを含む武器なんかの輸送は、これはアメリカからのニーズがあればそれに応じるんだ、そういう答えだというように受けとめてよろしいですか。
  267. 久間章生

    ○久間国務大臣 それは、我が国あるいはまた我が国の民間による輸送等も含めまして、それはあり得ると思います。
  268. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 この問題についてはいろいろな意見があると思いますので、引き続きまた別の委員会等も含めてちょっと詰めていきたいと思います。今の議事録を精査してやりたいと思うのです。  防衛庁長官、外務大臣、法制局長官、結構でございます。  せっかく文部大臣に来ていただいていますので、話題をかえまして、最近続発する少年のナイフ殺傷事件について、文部大臣も、テレビに出られるとか、昨日も各種関係団体と懇談されるとか、また緊急アピールされるとか、いろいろ御努力をされていることは、私の立場でもうかがい知るところなのですけれども、昨年ぐらいから、警察庁の統計によると、少年による凶悪事件が一気にふえてきたのですね。  そこで、私は、特にことしに入って問題だと思うのは、その凶悪事件が、学校現場で殺傷事件が行われた、学校現場に入ってきたということが、一つの角度として、非常に大きな特徴であり問題点なのではないかなという気がしているわけです。  この認識も後で大臣に聞きますけれども、私は、やはり学校というのは、いかなる場合であっても危険な場所であってはならないというか、安全をきちっと確保する義務があるのではないのか。特に中学生までは義務教育で、いやが応にも親の皆さんは子供を学校に行かせているわけですね。そこで危険があるかもわからないなどという状況があるということ自体、何としても防がなければならないだろう、私はそのように考えているのです。  その中で、特に学校での所持品検査を校長の判断ですることを容認するという段階なのですけれども、私は、やはり事ここに至っては、容認から一歩踏み込んだ工夫したやり方というものを、文部省としてもうちょっとアイデアを出してもいいのではないか。  例えば、学校でやると先生と生徒の信頼関係が崩れるというのであれば、そこに例えばPTAの方が入るとか、地域の方々が協力するとか、そういう第三者も入って、それで学校内で所持品検査をやっていくというような、そういう一歩踏み込んだ具体策を、学校現場で殺傷事件が起こらないようにするためにやっていく時期ではないのかなというふうに思うのですが、大臣としてどういうように考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
  269. 町村信孝

    ○町村国務大臣 佐藤委員初めほとんどすべてのと言ってもいいと思いますが、大勢の国民の皆さん方から非常に御心配をいただいておりまして、二月六日に全国の教育委員会の指導担当者にお集まりをいただきまして、その場で私が申し上げたことと実はそう変わっていないのでありますけれども、まず、命の大切さというのを再三再四教えてもらいたいということ、それから、ナイフの持ち込みはもう絶対に許されないということ、法律違反であるということをまず徹底して教育をしてもらいたい、その上に立って、各学校において、必要があれば学校長の判断において適切な方法によって持ち物検査をやることにためらいを覚えてはいけない、毅然とやってもらいたいということを申し上げました。  何も一斉にやれとも申し上げませんし、それぞれの学校の状況というのが違うだろうと思いますので、その学校の状況に応じてということで、それぞれやっていただいているところ、あるいは諸般の事情の判断でやっていない学校もあるということで、ここはばらつきがあってもやむを得ないのかなと思っております。  今委員指摘のように、PTAの協力を得てという方法ももちろんあり得ると思います。現に、これは、二月二十日に日本PTA全国協議会会長さんから全国のPTAの会長さん方へのお願いといいましょうかペーパーが出ておりまして、この中で、適切な方法で所持品検査を行うときはPTAとして学校の対応を理解するよう努めましょう、こういう要請までしておられます。そんなことも含めて考えたときに、私はPTAが協力をする形ということもあると思います。  ただ、申し上げたいことは、本当は、本来であれば各家庭が一義的には責任を持つ話であって、それでもなおかつ学校でというのはやはり二番目に来ることで、本当は家庭の最も信頼感のあるであろう親子の間できっちりとした対応をやってもらうことが一番ではないか、こう考えております。
  270. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私も大臣の考えていることはそんなに変わらないのであろうと思うのですね。  確かに、家庭のことは大事だと思うのですが、これは、大臣も入っておられる次代を担う青少年について考える有識者会議で、もうちょっと本質的な議論もしていただいて、抜本策を、これはちょっと時間がかかるかもわかりません、そういう対応を、関係閣僚の皆さんも入っているのですから、いろいろ議論されると思うのですけれども、やはりそれを待っていていいのかどうかということですね。学校現場で、文部省が関係しているところで何らかの努力をしていけるのではないのかな、そういう感じがしているのです。  そういう中で、昨日ですか、これはまだ文部大臣のところに上がっていないかと思うのですけれども、中教審の小委員会で中間報告案が出されております。その中で、結局どうしても指導して聞かない生徒に対しては校長の判断で警察に通報するとか、また警察の校内巡回も認める、そういう案になっているということなのです。  私は、そういうことも本当に事ここに至っては必要であるし、また、各学校にそういうことも周知徹底していくことが必要であるかなという感を持っているのですけれども、文部大臣としてはどのように受けとめておられますか。
  271. 町村信孝

    ○町村国務大臣 委員と私も多分同じ認識ではなかろうかと思います。  緊急対応というのは、今伝染病のように、ナイフを持ち歩いたり、それを使ったりというようなことが広がっていますので、緊急的な対応としての所持品検査であったり、あるいは、今中教審の方の報告案でございますが、警察とのより密接な連携、あるいは児童相談所といった、要するに外部の機関、外部の関係者との協力関係をしっかり保っていくというようなことも緊急対応としては私も有効ではないだろうか、こう考えておりまして、そういう方向で今報告案がまとめられているということを聞いております。  そのほかにもまだまだ緊急対応もあるかもしれませんし、それと同時に、やはりより大切なことは、より基本的な、やや時間がかかり迂遠なようであっても、子供たちと先生方と、そして父兄の皆さんも入って、安全な、そして勉強しやすい、いろいろな活動をしやすい学校環境をどうやったらつくっていけるかということを、さまざまな角度から努力してつくっていかなければいけないな、こう思っております。
  272. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 それで、もう一つ案があるのですけれども、私は今回の対応で、一つはやはり大人の毅然とした態度というのが必要になってくるのであろう。実は、学校教育法の第二十六条に児童の出席停止という条項がありまして、「市町村の教育委員会は、性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。」こういう条項なのですね。  今まで、学校現場でこの条項に基づいて採用されたことがあるのかないのか。採用されないのであれば、それを活用していくべきではないのかなという気がしているのですけれども、大臣の所見を最後に伺いたいと思います。
  273. 町村信孝

    ○町村国務大臣 率直に言って、この出席停止という条項がそう使われていたわけではございません。あくまでもこれは義務教育の段階でございますから、義務教育で出席停止というのはある意味では大変な事態ということになるわけでございまして、これは、懲戒という観点ではなくて、むしろ学校の秩序を回復しようとか事態の悪化を防ごうという趣旨でございます。  したがいまして、今までのところそう多くなかったのですが、昭和五十八年に通達を出しまして、やはりこの辺まずいのではないかなと。その時期も実は相当学校が荒れたことがございました。そんなこともありまして、現在どのぐらいあるかというと、平成八年度で全体で三十九件ございました。あるいは七年度は五十一件、六年度は四十三件ということで、大体四十件から六十件ぐらいの間で過去推移をしてきているところでございます。  したがいまして、今後、こうした措置が有効であろうというときには、やはりこれも、出席停止措置ということも適切であればやることにためらいを覚えてはいけないということも、先般の会議で申し上げたところでございます。
  274. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
  275. 越智通雄

    越智委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬古由起子さん。
  276. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  昨年九月一日より、医療制度の改悪によりまして二兆円の国民負担が実施されました。この国民負担に伴う影響額を、厚生省は当初八千八百億円と予測していましたが、実質の見込みは幾らになっておりますか。
  277. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 昨年の九月に健康保険法の改正をさせていただいたわけでありますが、その際に一部負担の増額をお願いしたわけであります。  この改正の医療費の縮減額でございますけれども、昨年の九月実施でありますが、これを九年度の満年度ベースで見ますと八千八百億円、これだけ医療費が縮減される、こういうふうに見込んだわけでありますが、九月以降実際に制度が実施されて十一月までの三カ月の実績を見てみますと、当初見込んだものよりも医療費がかなり縮減されておりまして、九月から十一月ベースで、仮に八千八百億円をもう一度九年度満年度ベースで計算いたしますと、一兆三千億という額でございます。
  278. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 制度医療費の総額は、九八年度、九九年度でそれぞれ幾らと見込んでおりますか。
  279. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 国民医療費の推計でございますけれども平成九年度、二十九兆一千五百億円というふうに見込んでおりまして、平成十年度は二十八兆八千二百億円になるだろうというふうに見込んでおります。
  280. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 厚生省が考えていた当初見込みより医療費の削減額は四千二百億円もふえております。また、それに伴う国庫負担の削減も千五十億円になります。しかも、今お話がございましたように、九八年度予算は史上初めて前年度比一・一%、三千三百億円も減額するということになりました。  厚生省は、予想を大幅に上回る受診抑制が生じた理由、要因をどのように考えていますか。厚生大臣、お答えください。
  281. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 医療費自体がかなり縮減されたわけでありますけれども、この一つの要因として、一部負担を増額させていただいたというのがあるわけであります。一部負担でありますから、そういった意味では、一つには、受益をする方等いわゆる受益者の負担ということをある程度お願いをする。それからまた、一部負担をお願いすることによりまして医療に対するコスト意識というものを喚起したいという問題がございます。  こういった中で医療費がかなり縮減されたということは、やはりこの辺の影響が、今のところでありますけれども、これはもっと見ないとわかりませんが、出てきている、このように考えております。
  282. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 医療費の一部負担の増額によって医療費の減額が生じているということは認められました。  皆さん、お手元にお渡ししております表を見ていただくと、図—一というのがございますが、ここに一人当たりの医療費の伸び率の推移、これは厚生省が出した資料です。この厚生省の資料を見ましても一目瞭然で、消費税導入の四月から大幅に減少する、さらに医療費負担が増大した九月に落ち込んで、十一月には前年度比でマイナスにとうとう落ち込む、こういう状態になっております。  厚生大臣は、昨年、私の質問に対して、この二兆円の負担について、この程度の負担は許容していただける、理解していただけるとお答えになっていますが、今でもその御認識でしょうか。
  283. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 医療費は、病気になった人もならない人も払っていただく保険料と、国民の税金と、そして病気にかかったときの患者さんの自己負担、この三つの組み合わせで成り立っているということを考えますと、私は、病気になった場合の患者さんの負担というのは、軽ければ軽い方がいいという気持ちはわかります。しかしながら、その分はどこで負担をするかということを考えなきゃいけないということを考えますと、今医療保険財政が赤字基調が続いている、給付と負担の均衡を図るということで改正をお願いしたわけであります。  そして、三割負担、二割負担、あるいは定額負担、いろいろありますけれども、財源が豊かでふんだんに税収が伸びるという時期なら自己負担も軽くていいでしょう。しかしながら、若い世代で、病気にかからない人で、保険料を払っている立場の人を考えれば、病気になった人方にはある程度自己負担をお願いするという形で、現在程度の負担というのは御理解いただけるのではないかというふうに思っております。
  284. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 健康保険組合連合会が昨年十月に行った調査がございます。九月からの医療費の引き上げについて、負担が重いと感じている人は六八・四%に達しています。これは、前年比九・五%も増加しているんですね。それから、重いと感じる理由については、保険料が高過ぎるが五一・三%、医療費そのものが高過ぎるというのが四九・一%、窓口負担が高過ぎるというのが三四・五%で、特に窓口負担が重いと答えた人は前年比一一・八%も増加しているわけですね。  ですから、私たちは、赤字問題の解消についてはいろいろ提言をしております。いろいろな問題があっても、これでも理解をしていただけると、まだ厚生大臣、お考えでしょうか。
  285. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 それは、増税をしません、若い世代に増税を押しつけるような国債の増発はしません、そういう中で、できるだけむだを排除していこう、効率化を図っていこうということならば、今、国民健康保険に入っている方は三割負担していただいている、健康保険に入っている方は二割負担していただいている、高齢者は月額千二十円を一回五百円にしていただいて二千円負担していただくということのお願いをしたわけです。  例えば百万円、二百万円の負担を三割しろといったらできないでしょう。あるいは、二割負担にしてもできない。百万円の三割負担といったら三十万、二割負担だと二十万。しかしながら、月百万かかろうが一千万かかろうが、一般の方は上限は六万三千六百円ですよ、低所得者はその約半分ですよという中で自分の健康を守るというならば、私は、三割負担、二割負担、また、一回五百円、月限度二千円というのは許容していただけるのではないかというふうに考えます。
  286. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 まだこれでは理解していただけるというふうに厚生大臣はお考えなんですが、さらに資料を見ていただきたいと思うのです。  これは図—二です。総務庁が出した調査でございますけれども平成九年の家計調査報告です。家計が九月に支出した医療代、外来ですけれども、これは前年同月比それまでのプラスから一気にマイナス一三・五%に落ち込んでおります。その後もマイナス一〇%台で、受診が抑制されて、中断が起きております。  これに比べて、その右の表ですけれども、医薬品の表ですけれども、市販の大衆薬を中心とする医薬品代は前年同月比で一〇%も増加しているのですね。  厚生省や大蔵省は、予想を超える受診抑制でしめしめと思ってみえるのかどうかわかりませんけれども、国民は、受診を控えて売薬で辛うじて生活、自分の健康を防衛している、こういう姿がこの数字でも浮き彫りになってきております。そして、この総務庁の調査も見ますと、若い人ほど生活苦の中で受診できないという実態がうかがえるわけです。  厚生省自身は三月七日に最近の医療費の動向調査速報というのを公表しております。  これを見ますと、一人当たりの医療費の伸び率は、サラリーマンの場合で、制度見直しの九月がマイナス二・四%、十月が四・七%、十一月になって八・七%と、どんどん激減が加速しております。  さらに外来一人当たりでは、サラリーマンが最も落ち込んで一一・九%のマイナス、高齢者では七・三%、歯科では一〇・三%。外来で見るなら、若い人も高齢者も、厚生省の予測とは比較にならないぐらいの大規模な受診抑制が起きているわけです。  果たしてこれが、やむを得ない、これでも理解していただけるとまだ言えるのかというのを、私は本当に何か驚きを感じるわけですね。本当に、これからの日本を支えていく働き盛りの若者たちが、病気になっても病院にかかれないで働いている。私は異常な事態だと思うのです。  国民の医療費負担増大の結果、いかに深刻な治療中断が起きているか。私たち日本共産党は、この五ヶ月間、全国の方々から声を聞いてまいりました。具体的な例をお話ししたいと思うのですね。  例えば、これは京都の例なのですけれども、糖尿病で通院されていた一人暮らしの六十四歳の女性が、九月以降インシュリン代の負担が増して、働かなければ生活できない状態で、十月半ばから通院を中断した。十二月の二日、インシュリンも切れ、意識消失で自宅で倒れているところを友人に発見されて、救急車で運ばれて、片足切断で命を取りとめた、こういう事例がございます。  もう一つ、これは名古屋の例なのですけれども、十八年間弁当屋さんを経営してきた六十七歳の男性なのです。Aさんですが、消費税を導入されたころから経営が傾き始めて、取引先の工場が倒産して、とうとう負債を抱えたまま廃業。糖尿病の治療を中断。十二月初めには病が悪化して、下半身がはれ、トイレにも行けない状態になっているのを知人が見かねて、病院に担ぎ込んだ、こういう事例です。  医療費二兆円の大幅引き上げの結果、負担に耐えられず医療を中断、国民は命も奪われる状態に直面しております。不況と医療費の高騰が受診を中断させている、このように思いませんか。厚生大臣、いかがですか。
  287. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 医療の費用がどの程度が適切か、それは、人によっては三割負担してもこれはとんでもないと思う方もいると同時に、あるいは一割負担でもこれは重いと考える方もおられるでしょう。そして、今まで一割の負担だったのが健保の場合二割負担になったということになれば、今までよりは上がった、大変だと思う方も相当おられるでしょう。  しかしながら、全体を見て、日本はお医者さんを選ぶこともできる、病院も選ぶことができる、国民全部が、この保険制度を維持したいと多数の方は思っているという中で、それは、ただである、低ければ低いほどいいのはわかりますけれども、今言ったように、医療サービスを受けるためにはどこかでだれかが負担しているという、この給付と負担のことを考えければいけないというのだったらば、三割負担、二割負担、あるいは高齢者に対しては定額の五百円で四回まで二千円の負担というのは、私はこれはそれほど酷な負担ではないと。  そして、これからますます高齢者がふえます。高齢者の医療費というのは、若い世代に比べて五倍かかっています。若い人は、どっちかというと、自分は病院にも行ったことがない、病気にもかかっていないけれども、ふだんから保険料を払っている。  そういう方の問題を考えると、病気になった場合は一定の負担をいただくというのは、この皆保険制度を維持するということを考えた場合、給付と負担の均衡を図るという点からいって、全部負担を軽くというわけにはいかぬ。ある程度ふだんから税金も投入している、保険料もいただいているという場合には、病気になった方からの一定の自己負担というのを考えていただくのは、私は無理とは言えないと思います。
  288. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 今回の医療費の負担で、病院に行けない、医療が受けられない、お医者さんが選べないという人たちがふえて、実際に、命や、本当に片足を切断しなければならない、こういう事態になっているということを私は言っているのです。私は、たまたま気の毒な例を挙げているのじゃないのです。  例えば、皆さん、このお配りしました図—三を見てください。大阪府の保険医協会の出した医療保険改定の影響調査なのですけれども、これは、本年二月に五千二百三十四の開業医を調査したところ、六百九十五件の回答があった。うち六七%の医療機関で受診中断が起こっていると答えております。  特に注目しなければならないのは、中断した患者の病名は、高血圧症が三五%で第一位、二位は高脂血症で、二位と三位は一五%で同じなのですが、三位が糖尿病、こういう形で今中断が起きている。患者数が一割から二割減少したという機関は、七一%にも及んでおります。中断が大規模に広がっているということが本当に明らかになってきている。  特に私が言いたいのは、ここにも出ているように慢性疾患の中断というのは、結局、命にかかわるぎりぎりまで我慢して、もう病院に運ばれたときは重体という事例が相次いでいるということなのですよ。中断による重症化というのは、一体どう考えているのですか。
  289. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 具体的な事例でありますから、これがそれぞれすべて今回の一部負担の引き上げによってもたらされたものなのかどうかということはわかりませんけれども、私どもは、先ほど大臣からも申し上げましたように、一方で医療保険制度そのものが財政的には大変な赤字を抱えるような状態になっている、そういった中でやはり若い人たちの負担というものが非常に重くなっている、こういったバランスというものをどういうふうに考えていくべきなのかということではないかと思います。  そういった中で、医療保険制度においては一部負担というのをお願いしておりますけれども、これは先ほども申し上げましたように、一つは、実際に医療を受けられる受益者の方と、それからまた負担している方との負担の公平という面がやはり重要な問題としてあると思いますし、それからまた、やはり健康に対する意識、そのことは、裏返して言うならば、医療費に対するコスト意識というものを持っていただくことによって適正な受診というものを促していきたいという問題もあるわけであります。  私どもとしては、今回の一部負担の増額というものが、まさに必要な受診というものを抑制するような、それほどの高い額ではないというふうに思っておりますし、また医療費全体で見ましても、我が国の場合は高額療養費制度というのがございますから、そういった意味でも、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、どんなに多額の医療費がかかっても月六万三千六百円までの負担ということになっておりますから、現行の制度というものがそれほど酷な医療費の一部負担をお願いしているというふうには考えておりませんし、また治療の中断というものが頻繁に起きているというふうには私どもは考えておりません。
  290. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 この慢性疾患の中断が多いというのは、どのように見てみえるわけですか。慢性疾患の中断については、どう考えてみえるのですか。
  291. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 その中断というのは、やはり個別具体的なケースがどういうことで中断になっているのかということがあろうと思いますし、それからまた、今回の一部負担が余りにも過重な負担がゆえに医療にかかれないということではないというふうに私どもは考えております。
  292. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 先ほど紹介した京都の女性の場合は、中断前に治療に要した保険者負担を含む総医療費は、平均二万円程度でした。ところが、病状の重症化によって入院、片足切断になりまして、十二月は手術費等が二百六十六万円、一月は六十八万円、二月七十七万円。この三カ月間に要した医療費は四百十一万円、この患者の十七年分の医療費に匹敵するものになりました。  この場合、医療制度の改悪の結果、医療費は大幅にふえて、しかも不幸なことに片足切断による障害を持つことになりました。窓口負担や保険料の引き上げがこの重症化をもたらして、医療費の増大、こういうものを招いているケースですよね。  必要な医療費を打ち切って受診を抑制させても、医療費が下がるのは一時的なことで、マクロ経済的に見た場合に、重症化したらさらに医療費の負担が大きくなる、こういうことも私は明らかだと思うのですね。  そういう意味では、医療の基本というのはやはり早期発見だし、早期治療だ。そういう幾つかの、私、何度もいろいろな事例や、そしてまたそれぞれの調査資料も利用してお話しさせていただきましたけれども、いろいろな調査を見ても、受診抑制が起きているというのは明らかなんです。そういう意味では、まさに誤りを改めるにはばかることなかれという立場で、きちんとその姿勢を正すべきだと私は考えています。  さらに、この上、被保険者の保険料を三割に引き上げるとか、大病院の外来負担を五割に引き上げるなどという方向を厚生省は示していますけれども、これはとんでもない、後の世代に一層の負担をもたらすものだということを警告しておきたいと思います。  二つ目ですけれども、この九八年度予算について具体的にお聞きいたします。  今回の診療改定によりまして、一般病院に六カ月を超えて入院する高齢者の場合、医療費を定額制にする、このように提案されております。定額料金は幾らになりますか。また、六カ月を超えて入院中の六十五歳以上の高齢者の数は何人でしょうか。
  293. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  老人の長期入院医療管理料という形で今回導入をいたしたものでございますけれども、これは介護を主な理由といたします高齢者の長期入院に対処するという観点から、老人の長期入院患者の心身の特性を踏まえまして、医学上やむを得ない場合を除きまして、一般病棟に六カ月を超えて長期間入院をしておられる患者に対しまして、介護力の充実を図りますとともに、看護、検査、投薬、注射あるいは一部の処置を包括いたしまして、今先生お話のございました定額という形で、一日当たり六百十三点という形で評価をすることにいたしたものでございます。十月から実施を予定いたしております。  それで、平成十年度におきまして、一般病棟でございますけれども、一般病棟に六カ月以上入院しておられる高齢者の方々、医学上やむを得ない場合を除きまして、その数は、今回の診療報酬改定に当たりまして六万六千人というふうに推計をいたしておるところでございます。
  294. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 いわゆる六カ月を超えますと、看護、検査、治療、すべて合わせて、ビジネスホテル一泊よりも安い六千百三十円で頭打ちになるという、こういう制度なんですね。一般病院としてやっていこうと思えば、六カ月を超えた高齢者が入院をたくさんするようになりますともう病院は赤字になる、こういう仕組みになるのは明らかで、患者を病院から締め出さなきゃならぬ、こういう事態になってまいります。  かつて厚生省は、高齢者を差別する医療制度、こういうものについて質問を受けて、この制度は世界に冠たる我が国の特有の制度だ、世界に例がないなどと御答弁をされたことがあるわけですけれども、この差別制度を一層拡大するということになるのが今度の制度じゃないですか。いかがでしょうか。
  295. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 まず、老人保健制度につきまして、世界に冠たる制度かあるいは差別の制度かということがございましたけれども、私どもは、老人保健制度は老人の心身の特性等にも配慮いたしました世界に誇るべき制度であるというふうに考えております。  その制度の中身につきましてはもちろんいろいろ改善をすべきところはあるにいたしましても、先ほどの給付の面におきましても、そういった面を考えまして、一般の方々よりも手厚い形での給付率等をいたしておりますし、そういった面で、いろいろな特性を考えながら、あるいは予防というような点での保健事業というようなものも組み込みながら制度を組み立てておりますので、総合的にお考えおきいただければ、老人保健制度そのものは、差別をするというよりは、老人の心身の特性に応じた制度であるというふうに御理解をいただけるのではないかというふうに思います。  さて、今回の改定に絡みましてのお話でございますけれども、今回の措置は、一般病棟におきまして、この一般病棟というのは本来治療を主体にしたはずの病棟でございますけれども、そこに長期入院をしておられるという高齢者の方々の、それも、今申し上げましたように、医学的に必要な場合を除きまして、介護的な要素の強くなりました長期入院患者の方々につきましては、これも心身の特性を踏まえまして、介護力のむしろ充実という形で対応するということで、長期療養が必要な慢性期の老人患者につきましてはそういう形での対応ということで、むしろ六カ月を超えたそういう方々については、看護職員の人員配置基準等もあわせて緩和をするという中で対応いたしておりますので、これが、経営上の理由から医療機関が退院を強要する、あるいは差別をするというようなことには結びついていかないのではないかというふうに考えております。
  296. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 退院を強要するとか差別するということはないなどと言われましたけれども、実際に高齢者が入院している場合にどういう状態になっているのかということを、本当に把握してみえるのかというふうに思いますよ。  例えば、日本看護協会が昨年七月に、一般病院に三カ月以上入院の六千五百十七人の患者調査をやりました。その結果で、患者の約半数は訪問看護があれば退院可能だが、四分の一は退院が難しいと。いろいろな介護力強化と言うけれども、退院した先のそういう訪問看護の体制がないと難しくて退院が実際にできないという人たちがいるわけですね。  例えば、これは厚生省の資料なんですけれども、厚生省の資料で、入院前の場所、退院後の行き先別推計、退院患者数の構成割合、こういう推計がございます。今までどこにいた人が入院して今後どこへ行ったのかという、そういう調査を厚生省はやっているのですね。  それを見てみますと、他の病院に入院していた三万一千三百人の高齢者の患者のうち、今病院に入院して、またこれから退院してどこへ行くかという、その追跡調査をしているわけです。三〇%はまた病院に行っている、こういう調査があるのですね。ですから、病院を転々としなければならない、こういう実態があるわけです。  三月十一日の朝日新聞の夕刊はこのように書いております。  平均在院日数が三十日以内の病院に支払われる現行の入院時医学管理料は、入院期間二週間以内の患者の分としては一人当たり一日五千九百五十円。入院期間が延びるに従い、二週間を超え一カ月以内が三千九百円、一カ月を超え三カ月以内が二千二百円、三カ月を超え六カ月以内が千四百円、六カ月を超え一年以内が千二百十円と、どんどん減っていく。こうした診療報酬のもとでは、三カ月を一つの区切りとして患者を退院させるのは、病院経営の観点に立てばやむを得ない、このように書いています。  さらに、お年寄りが病院に受け入れてもらいにくくなっているもう一つの理由は付き添いの廃止だ。これが介護度の重い患者を病院が敬遠せざるを得ない事情をつくり出している。そして、社会的入院がふえたのは、もとはと言えば施設、在宅の両面で介護サービスの充実を怠ってきた厚生省の失策が原因だ、このように厳しく指摘しています。  厚生大臣、この指摘、認めますか。
  297. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 できたらば入院患者さんは早く治って退院していただいた方がいい。長く入院すればいいというものでもない。そして、本来、長期間入院していますと、真に必要な方が入院できなくなるのではないかという批判もあったわけです。  これからの問題として、病院にしても、できるだけ早く退院できるような治療を施した方が経営上の観点からもいいし、患者さんにとっても、長く病院にいるよりも早く家庭に戻った方がいい。これをどうしていくかということから、今まで、余り長期間入院していますと、治療は必要ないという方まで入院している人がいるんじゃないのかという批判もあったわけであります。そういう点から、できるだけ、病院関係者においても、患者さんが喜ぶような、早く退院できるような治療を施していただきたい。  同時に、今委員も言われました、これから施設だけでなく在宅サービス等、あるいは治療が必要なくてむしろ介護の必要な分野をもっと充実させるべきではないかという点もあったことから、昨年介護保険制度を導入して、今後介護施設とかあるいは在宅サービスを充実していこう、今までの制度のよさ、そして制度のよさからきたまた批判ということを考えて、介護保険制度なり、あるいは長期入院しないで済むような体制をどう組むかといってとられた措置であります。  すべての制度について、長所と短所があります。日本の医療制度、世界の水準から比べれば、私は相当水準を超えていい制度だと思っております。その中にも、欠点を挙げればそれはあるでしょう。しかしながら、そういう批判を踏まえながら、今の皆保険制度を維持して、どうやって若い世代と高齢者の負担が、給付と負担の均衡を図ってよりよい制度を構築するかということを考えていかなければならない。そういう点で、できるだけ今までの長期入院しないで済むような体制をとっていこうということからとられた措置であるということを御理解いただきたいと思います。
  298. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 欠点なんというものではないですね。本当に大変な人を、病院の経営がやっていけないような仕組みをつくって追い出していく、こういうやり方です。一方では、経済力を持っている人や人脈を持っている人は何年でも入院できる、こういう事実もあるんですよね。  三月十一日付の朝日新聞には「「病院の今」知って下さい」という、何人かの声を特集しております。その一人の神奈川県の五十四歳の女性の方は、このように言っています。「四年ほど前のことです。現在八十六歳になる父親は、かねて脳梗塞を患っていたところ、食事もとれなくなり、群馬県の病院に入院しました。心電図などの検査をして心臓が弱っていることがわかりましたが、点滴で食事がとれるようにはなりました。 すると病院から「いつどうなるかはわからないが、高齢なのでこれ以上入院していても仕方がない。もっと重病の若い人が待っている」として結局、二週間で退院させられました。 退院させられるのなら代わりに老人保健施設や老人病院への紹介を病院に頼みましたが、「公的病院なので紹介できない」と言われ、結局、今は町役場の紹介でヘルパーさんに群馬県の自宅に来てもらっています。八十四歳になる母親と二人ぐらしですが、その母親も内臓疾患や骨粗しょう症です。 五人の子供も交代で看病に行きますが、ほとんどが首都圏に居住しており、私の場合も神奈川県から群馬県まで一カ月に一回行くのは結構大変です。 介護保険が始まれば改善されるのでしょうか。 厚生省は労働福祉省の名前がどうこう言っている場合ではありません。橋本首相には、無理に退院させられている庶民の声を聞いてほしい。」このように言っておられるわけですね。  やはり、医療、医学的な根拠や在宅の条件、そして施設整備の環境、あるいは患者自身の意思、個々の状況を十分把握して、あくまでも人権を無視した機械的な対応にならないような、そういう対処をすべきだと思いますけれども、いかがですか、大臣。
  299. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 そのような御批判とか問題点があるからこそ、介護保険制度を導入したわけであります。これからその基盤整備に向かって鋭意努力していくわけでありますので、治療が必要な方、あるいは治療は必要ないけれども介護が必要な方、それらができるだけ、必要でない方まで病院に入院しないで済むように、近くの施設サービスあるいは在宅サービスが受けられるような制度にしていって、この介護保険制度というものを国民全体の協力によってよりよき制度にしていきたい。そういうことによって、医療制度も、お互い介護保険制度との連携をとりながら、健全に発展していくということを期待しております。
  300. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 介護保険制度も、私どもも何度も指摘してまいりましたけれども、保険あって介護なしという状況で、実際には、いざできたときには、特別養護老人ホームでは八万人入れない状態、必要なヘルパーさんの確保は四割しかしていないという実態なんです。  そういう点でも、本当に、今の入院している人たちを機械的な形で追い出すというやり方はやめるべきですし、また、病院自身も、今こういう診療報酬を改悪して、どんどん赤字をつくっていく。今現在、全国の病院でも、病院が九千五百カ所、診療所が八万八千カ所ありますけれども、三割弱が赤字という、こういう状態になっています。  そういう意味では、六カ月を超えた高齢者の医療報酬が大幅に下がるという仕組みをつくれば、病院の経営は成り立たない、こういう診療報酬で締めつけるようなやり方では、日本の医療は育たないというふうに思います。  最後に大蔵大臣にお聞きしたいと思うんですね。  財革法で実際に実施に移されるのは、社会保障やこういう医療の改悪、教育費、中小企業、こういう国民生活に直接にかかわる部門ばかりです。一方では、銀行の支援のために三十兆円を使う、公共事業をさらにもっとふやすなどといって、もう財革法そのものの前提が崩れているのに、破綻した計画の中で一方的に社会保障の改悪、国民生活のこうした関連予算がどんどん削られていく、これはまさにもう道理がないと思うんですけれども大蔵大臣に最後に伺いたいと思います。
  301. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  我が国は、急速に少子・高齢社会になってまいります。したがって、社会保障に係る国民負担が増大することが見込まれます。  そういう状況の中で、社会の活力を損なわないよう、社会保障制度の効率化、重点化を進めて、将来にわたり安定的に運営できる社会保障制度を構築すること、そして安心して豊かな福祉社会を実現する、こういう改革を進めていく必要がある、こういうことでございます。  そういう考え方に立ちまして、平成十年度の社会保障関係予算も、医療、年金、福祉の各分野において、真に必要な給付は確保しつつ、効率化、重点化を図ったところでございます。
  302. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 どんどん命にかかわるような医療や福祉を削っておいて、何が真に必要な給付が確保されると言えるのか、厚生大臣も大蔵大臣も本当に胸が痛まないのかと私は言いたいんですよね。  財政事情で切ってはならないものがあります。母子世帯の児童扶養手当、難病患者の自己負担導入、小人症の予算の削減、真っ先に弱い人たちになたを振るう、これで国民の理解が得られるはずはありません。  九八年度の予算を撤回して、国民の暮らし優先の予算に組み替えるよう強く要求して、質問を終わります。ありがとうございました。
  303. 越智通雄

    越智委員長 これにて瀬古さんの質疑は終了いたしました。  次に、矢島恒夫君。
  304. 矢島恒夫

    矢島委員 昨日に続いて、大蔵省にかかわる問題、特に長野証券局長にかかわる問題で質問いたします。  私は、昨日、長野局長に、大阪ミナミの料亭大和屋を知っているかということを尋ねました。これに対して局長は、料亭のあることは存じ上げているし、そこに参ったこともあると答えました。  そこで、まず、近畿財務局長在任中にこの大和屋というところに何回ぐらい行った御記憶があるか、お答えいただきたい。
  305. 長野厖士

    ○長野政府委員 正確に回数は覚えておりませんけれども、十回は行っているだろうと思います。
  306. 矢島恒夫

    矢島委員 大和屋という料亭は、大阪では最高級の料亭だと聞いております。一人座れば十万円とも言われているわけです。  その大和屋で、九二年の十月のことですが、関西興銀の李会長の勲三等叙勲祝賀会というのが開かれました。長野局長、あなたは招待されてその祝賀会に出席しておりますね。この祝賀会にはどんな関係で招待されたのか。
  307. 長野厖士

    ○長野政府委員 その祝賀会というのは、私は記憶にございません。祝賀パーティーが、ホテルであったパーティーだったのではないかと思います。
  308. 矢島恒夫

    矢島委員 私の聞いたのは、祝賀会でも祝賀パーティーでもよろしいのですが、李会長の勲三等叙勲パーティーというか叙勲祝賀会、あなたはそこに出席されているわけですが、どんな関係で招待されたかということをお聞きしたのです。  つまり、この祝賀会というのは、大和屋でも大変立派な能舞台のある最高級の部屋で行われたわけですが、そこに、あなたを初めとして、大阪の税関長、造幣局長、神戸税関長、大阪国税局長、この五人が出席しているわけですが、御記憶ございませんか。
  309. 長野厖士

    ○長野政府委員 他の出席者は記憶にございません。私はホテルのパーティーに招かれたような気がいたします。
  310. 矢島恒夫

    矢島委員 あなたは、あなたに疑惑が集中しているので何となく、私は接待などと言っているのじゃないのですよ、これを。これは一つの祝賀会あるいは祝賀パーティーですから、それぞれ何かお祝いを持っていったか、会費制でやったか、そのことは別なんです。他の四人が出席していることは覚えていないと。あなた自身が、パーティーだったかな、そこへ出席したような気がする、そうおっしゃっているわけですが、それ以上記憶を呼び覚ますことが難しいならば次の質問に行きますが、どうしても思い出せませんか、もう一度。
  311. 長野厖士

    ○長野政府委員 恐縮いたします。ちょっと思い出せません。
  312. 矢島恒夫

    矢島委員 今私が申し上げましたように、大阪税関長を初めとする五人が、もちろん長野局長も含めて、出席しております。  それで、私が聞きたいのは、関西興銀の李会長、長野局長は割合と親密な間柄だったと思うのですが、これは李会長の祝賀パーティーなんですが、そんな関係はございましたか。
  313. 長野厖士

    ○長野政府委員 何度かお目にかかっております。
  314. 矢島恒夫

    矢島委員 この関西興銀というのは、何回かお会いしていると思いますが、あなたが近畿財務局長時代の九三年のときに、近隣四県の信用組合を合併して近畿財務局の所管になりました。ところが、この祝賀パーティーが行われた九二年という年は、まだ合併しておりませんので大阪府の所管だった、こういう状況であります。そうした中で、先ほど私が申し上げました、あなた方大蔵官僚が多数出席しているということは非常に不自然に私は感じるのです。  ところで、関西興銀から合併問題で相談がありましたか。
  315. 長野厖士

    ○長野政府委員 私が叙勲のお祝いでお招きいただきましたときには、特段の事情がない限り、出られる限りは、自分の業界の方とかなんとかに関係なく、出るようにいたしておりますので、特段理由があって出るという立場ではございません。  それから、広域合併はたしか私が離任する直前でございましたので、六月ごろ、広域合併が認可になったのではないかと記憶しております。
  316. 矢島恒夫

    矢島委員 長野局長、あなたは、昨日私が関西興銀との間に接待関係はどうかと聞いたら、全くの事実無根だと答弁されました。  興銀の招待はなくても、あなたが数回会っていらっしゃる李会長個人の接待を受けたことはありますか。
  317. 長野厖士

    ○長野政府委員 ございません。
  318. 矢島恒夫

    矢島委員 その辺のことについてはまだこれから聞きたいと思いますが、もう一つ、次の問題に移ります。  あなたは大阪にあるノンバンク、ECC、イージー・キャピタル・アンド・コンサルタンツという会社を御存じかどうか。  また、そのECCの会長の垣端信栄さん、通称中岡さんというふうに呼んでいると思うのですけれども、この中岡さんという方を御存じですか。
  319. 長野厖士

    ○長野政府委員 会社も、代表者の方ですか、その方も存じ上げません。
  320. 矢島恒夫

    矢島委員 私は三月四日のこの委員会の中で、当時の中島主計局次長がこのECCの中岡会長から資金提供を受けた事実を確認しましたところ、武藤官房長は、相当額の資金提供を受けていた事実を認めました。  この二信組事件の当時、田谷、中島両氏の問題が表面化いたしました。もちろん私、その質問の中でも指摘しましたが、その中島氏とあなたは同期です。中島氏を通して、ECCの中岡会長と会ったことがあるのではないですか。本当に面識など一切ありませんか。
  321. 長野厖士

    ○長野政府委員 全くございません。中島君からもそんな話は聞いたこともありません。
  322. 矢島恒夫

    矢島委員 三月四日の私の質問の中でも明らかにしたことですが、ECCは、エスコリースから借りた二千五百億円もの融資が返済できなくなってしまった、そして倒産必至というところだった。ところが、そのときに和議申請を提出しました。それが、一年たった後、拓銀とエスコリース側にとっては七割以上の債権放棄をしろというこの和議申請ですから、到底普通ならば承服できるような条件ではないわけです。にもかかわらず、突然この和議が成立いたしました。  あなたは二月二日の参議院の予算委員会で、拓銀のノンバンク会社エスコリースについて、私は全く存じませんと答えておりますが、そのとおりですかどうですか。
  323. 長野厖士

    ○長野政府委員 そのとおりでございます。
  324. 矢島恒夫

    矢島委員 この問題で、あなたは中島氏を通して何らかの要請を受けたことはございませんか。
  325. 長野厖士

    ○長野政府委員 中島君からも一度も聞いたことはありません。
  326. 矢島恒夫

    矢島委員 そういう状況の中で、私が今申し上げたもので記憶が戻ったことがありましたら、また次の機会に聞きたいと思うのです。  大蔵大臣、ずっとお聞きいただいたかと思うのですが、最初、大阪時代、いわゆる近畿財務局長在任中、大蔵の内部調査にかかっているのは半分だ、在任中の半分が五年間という日取りになるわけです、そう長野局長はきのう答えられたわけなんです。調査されているのは半分だから、その部分についてはということでお答えになったわけです。  それで、それ以前のいろいろな問題も、今取り上げた私の問題は以前の問題もあるわけなんですが、いろいろな疑惑が指摘されているわけですね。そこで、平成五年の一月一日以降というのではなくて、平成四年の六月に長野局長は近畿の財務局長に行っておりますので、それ以降の在任中すべてについて調査する、こういうことが私は必要だと思うのですが、そのおつもりはありますか。
  327. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 私どもは、五年と申しますのは、いろいろなことを勘案したわけでございますけれども、検察の調査対象も五年になっておるということで、五年までさかのぼって調べる、そういうことでございますので、今でもそのようにしたいと思っております。
  328. 矢島恒夫

    矢島委員 あなたに聞いたんじゃないのですよ。そういうことでやっているけれどもと、それはもう前提はわかっていますよ、今まで答弁したのですから。  あなたの方はそういうことでやろうとしているけれども、大臣、こういう今の事態を聞いて、これは五年でいいのかな、少し前までもやらなければならないかなというふうにお感じになりませんか、そのつもりはございませんか、こう大臣にお聞きしたのです。
  329. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたしますが、余りさかのぼると希薄になるものですから。検察と関係ありませんけれども、検察の方も平成五年からにしておりますから。そこで、こちらの方も、それに符牒を合わせるような形になって恐縮だけれども、五年前にさかのぼってやるということにしておるわけでありますが、接続しているところならば延長線上という考え方はあるでしょうけれども、そういうことで対応していきたい、こう思っておるわけです。
  330. 矢島恒夫

    矢島委員 検察が五年だから五年だということじゃないんだけれどもということでお答えになりましたので、私、まあそうだと。  先ほど官房長が答えたのは、検察もそうだからこっちもそうだと。しかし、内部調査というのは、疑惑があれば明らかにしなかったら、やはり国民の納得は得られないし、大蔵の信頼は取り戻せないわけですから、今大臣がお答えいただいたような方向を、つまり、場合によってはこの五年にかかわらず、疑惑によってはやることも一つ考え方だという方向で取り組んでいただきたいと思うのです。  何しろ国民の間には、相次ぐ大蔵の不祥事というものに対して大変大きな怒りが広がっています。今や大蔵省の信頼回復の正念場を迎えている、こういうふうに思います。ですから、私もきのう大臣に上からやるんだということをぜひということをお訴えしたわけですが、幹部がみずから率先して疑惑を解明していく、そしてみずから襟を正す、そういう姿勢、こういうことこそ今は必要だと思います。  大臣、まず幹部から徹底して調査する姿勢を明確にするべきときだと思いますが、決意をお聞かせください。
  331. 松永光

    ○松永国務大臣 物の考え方としては、まず上にある人が襟を正すというやり方は、これは大変下に対する見本にもなりますから、一つ考え方だろうというふうに思います。  いずれにしろ、五百何十人おるわけでありますが、それを急いで取りまとめをして、最終的には私みずから点検をして、その上で、問題がある人について厳正な処分をする、国家公務員法に基づく処分をする、そういう考え方でおるわけでございます。
  332. 矢島恒夫

    矢島委員 大臣の答弁の中で、昨日、上の方の人は、例えば官房長だとか事務次官だとかこういう人は私がやります、局長級についてはこうやります、そういう方向も示されました。  実はそのときに私も申し上げたのですが、五百五十人というたくさんの人数を、桜の花が咲くというか、春のうちには、春が終わりにならないうちには出るだろうということで大臣は答弁されたわけですけれども、この上の方の方々というのは一般の職員と違いがあるわけなんです。  国民の疑惑というのも、大蔵省全体について、つまり五百五十人についてこうだった、それでこういうことだった、これは国民も期待していると思います。しかし、やはり局長とか、頭に立つ人、幹部の人たち、こういう人たちの疑惑に対しては、これは普通の一般の人の疑惑とは違うということは大臣もお感じになると思うのですが、そういう人たちだけ少し早くやるということをやったらどうかということを、私、大臣に要求したわけですが、なかなかこの辺については難しさがあるようなお話でしたが、どうでしょう。  五百五十人全体をやる前にまず上をやって、国民の持っている疑惑に対して、これにこたえる、そういう姿勢というのが今こそ求められているのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  333. 松永光

    ○松永国務大臣 私は、内心少し焦りを感じているぐらいなんですよ。もう少し体の余裕があれば、もっとみずから乗り出していって真相解明に時間を割きたいぐらいなのでありますが、御存じのような予算委員会あるいは大蔵委員会等々で体がとられておるものですから、思うに任せないので少しいら立っているぐらいでありますが、部下を督励してできるだけ早くやるようにしたい、こう考えておるわけです。  そして、内部調査を終えたならば、できるだけ一緒に処分はしたい、こう思っておるわけでありますが、そうできるかどうか、これから検討してまいりたい、こう思っております。
  334. 矢島恒夫

    矢島委員 大臣の決意やあるいは国民に対する約束は今お聞きしました。  やはりそれをいかに実行するかというのが今求められているわけです。ですから、速やかにそれを実行していくということが重要だということを重ねて申しまして、時間が参りましたので終わりたいと思います。終わります。
  335. 越智通雄

    越智委員長 これにて矢島君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十八日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十八分散会