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1998-03-13 第142回国会 衆議院 予算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十三日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 越智 通雄君    理事 伊藤 公介君 理事 石川 要三君    理事 中山 利生君 理事 深谷 隆司君    理事 山本 有二君 理事 五島 正規君    理事 高木 義明君 理事 北側 一雄君    理事 加藤 六月君       相沢 英之君    甘利  明君       江藤 隆美君    小此木八郎君       小澤  潔君    小野寺五典君       大原 一三君    奥山 茂彦君       河村 建夫君    岸田 文雄君       栗原 博久君    桜井  新君       関谷 勝嗣君    谷畑  孝君       津島 雄二君    中野 正志君       中山 正暉君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    増田 敏男君       村田 吉隆君    村山 達雄君       綿貫 民輔君    岩國 哲人君       生方 幸夫君    岡田 克也君       海江田万里君    小林  守君       城島 正光君    原口 一博君       松沢 成文君    山花 貞夫君       上田  勇君    草川 昭三君       斉藤 鉄夫君    冨沢 篤紘君       西川 知雄君    若松 謙維君       東  祥三君    石垣 一夫君       鈴木 淑夫君    中井  洽君       西村 眞悟君    石井 郁子君       木島日出夫君    辻  第一君       矢島 恒夫君    吉井 英勝君       上原 康助君    北沢 清功君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小渕 恵三君         大 蔵 大 臣 松永  光君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         通商産業大臣  堀内 光雄君         運 輸 大 臣 藤井 孝男君         郵 政 大 臣 自見庄三郎君         建 設 大 臣 瓦   力君         自 治 大 臣 上杉 光弘君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大木  浩君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房人事課長  洞   駿君         内閣審議官   坂野 泰治君         内閣法制局長官 大森 政輔君         国際平和協力本         部事務局長   茂田  宏君         総務庁人事局長 中川 良一君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         防衛庁長官官房         長       大越 康弘君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 太田 洋次君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         経済企画庁調整         局長      塩谷 隆英君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         環境庁企画調整         局長      岡田 康彦君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         外務省北米局長 高野 紀元君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         国税庁次長   舩橋 晴雄君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         通商産業省通商         政策局次長   佐野 忠克君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君         運輸大臣官房長 梅崎  壽君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         郵政省郵務局長 長谷川憲正君         郵政省貯金局長 安岡 裕幸君         郵政省簡易保険         局長      金澤  薫君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      五十嵐健之君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治省行政局長 鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者         参  考  人        (日本銀行総裁) 松下 康雄君         参  考  人         (預金保険機構         理事長)    松田  昇君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 委員の異動 三月十三日  辞任         補欠選任   甘利  明君     小此木八郎君   大原 一三君     奥山 茂彦君   中川 昭一君     谷畑  孝君   山花 貞夫君     城島 正光君   上田  勇君     若松 謙維君   西川 知雄君     冨沢 篤紘君   鈴木 淑夫君     東  祥三君   西村 眞悟君     石垣 一夫君   志位 和夫君     石井 郁子君   不破 哲三君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   小此木八郎君     甘利  明君   奥山 茂彦君     大原 一三君   谷畑  孝君     中野 正志君   城島 正光君     山花 貞夫君   冨沢 篤紘君     西川 知雄君   若松 謙維君     上田  勇君   東  祥三君     鈴木 淑夫君   石垣 一夫君     西村 眞悟君   石井 郁子君     吉井 英勝君   辻  第一君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   中野 正志君     小野寺五典君   矢島 恒夫君     不破 哲三君   吉井 英勝君     志位 和夫君 同日  辞任         補欠選任   小野寺五典君     中川 昭一君     ———————————— 本日の会議に付した案件  平成十年度一般会計予算  平成十年度特別会計予算  平成十年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 越智通雄

    越智委員長 これより会議を開きます。  平成十年度一般会計予算平成十年度特別会計予算平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林守君。
  3. 小林守

    小林(守)委員 民友連小林守でございます。  私は、まず最初に、一昨日、日本銀行営業局吉沢保幸証券課長が、日本興業銀行と三和銀行からの接待、総額約四百三十万円相当のわいろが供与されたという収賄容疑逮捕の問題について、お聞きをいたしたいと思います。  申すまでもなく、信用秩序の番人であり、銀行中の銀行と言われている日銀が、金融業界そして大蔵省金融腐敗が、まさに総本山である日銀にも深く広く蔓延しているという事実が明らかになったわけでありまして、日銀よ、おまえもかというような国民の深い嘆きの、そして怒りの声が巻き起こっている状況でございます。  そこで、この問題について、既にマスコミ等では引責辞任お話も伝えられているようでありますけれども、この間の事実の経過と、そして責任あり方について、松下総裁の今日のお考えをまずお聞きしたいと思います。
  4. 松下康雄

    松下参考人 お答えに先立ちまして、一昨日、日本銀行職員収賄容疑逮捕されるという事態を招きましたことについて御報告を申し上げますとともに、日本銀行総裁として深くおわびを申し上げる次第でございます。捜査に対しましては全面的に協力をしてまいりますとともに、内部処分につきましては、逮捕者はもちろん、関係者につきましても厳正に行う方針でございます。  御指摘の事実の経緯につきましては、私どもも、行内全般管理職者外部との交際につきましての一般的な調査を開始いたして、ただいま調査中のところでございます。また、本人につきましてもその対象に当然含まれているところでございますけれども、何分にも事案刑事捜査という段階に立ち至りましたので、私どもといたしましては、この捜査進展を見きわめまして、これに対しましては極力厳正な対応考えると同時に、行内におきまして、行内の綱紀の全面的な立て直しということを目的といたしまして、組織の変更、あるいは業務のやり方、それから職員に対しますところの規律維持方法等につきまして、今後早急にこの対策を取り進めてまいりたいと考えております。
  5. 小林守

    小林(守)委員 事実の解明と、そして再発防止も含めた徹底的な対策を、対応をしていかなければならない問題だというふうに受けとめました。  要は、この逮捕の問題が、一人の職員のふらちな、モラル欠如による問題なのか。それとも、大蔵金融業界そして日銀も含めた護送船団方式の中での腐敗構造、そういう構造腐敗一つとして、その氷山の一角としてあらわれた問題なのか。この辺の認識によって、この問題の取り扱い方は大きく変わってしまう。  四月一日以降、金融ビッグバンの始まりを迎える。国際社会の中で、日本信用秩序市場原理のもとでルール型の金融行政に転換できるかどうか、こういう大きな転換を進めていかなければならないやさきの問題でございまして、私自身は、この問題を構造の問題だというふうにとらえていかなければならない、このように受けとめているところであります。  マスコミ等でも、例えばざぶんが一万円の接待、どぼんといえば五万円の接待、こういう言葉が職場で公然と通用している言葉として言われている。  そして、日銀が持っている高度の機密の情報というものが市場に与える影響の大きさ、一つ情報が十秒間早ければ数億円の価値がある、そういうようなインサイダーの情報を持っているわけであります。そのためには市場原理をきちっと徹底させるという観点と、そのためには厳しい自律性自己統治の原則が求められるわけでありますけれども、まさにこの言葉にあらわれているように、何とも嘆かわしい、恥ずかしい、どうにもやりきれない思いであります。  ざぶん、どぼん、こんな言葉があること自身、私は構造化したものだ、このように思うところでありますけれども総裁、この言葉について御存じでしょうか。
  6. 松下康雄

    松下参考人 私は、総裁を拝命いたしましてから約三年三カ月にわたりまして行内で仕事をいたしてまいりましたけれども、遺憾ながらそういう言葉を聞いたことがございませんでした。  その点につきまして、このような大変な不祥事発生をいたしましたこととの関連におきまして、私どもといたしましては、これまで、各人の良識に任せた形で節度を保った外部との交際をするようにという指導を主としてやってまいったところでございますけれども、やはりそれだけでは足りないのではないか、これは、きちんとした制度的な規律というもので、今後の各人の行動についてのしっかりとした健全性維持をしなければならないと考えたところでございます。  私どもは、最近、いろいろの報道等に基づきまして、一方において内部調査をいたしますとともに、一方におきまして職員全体の規律のための明確な基準を設けるということをいたしまして、四月の一日からの新日本銀行法の施行に伴いまして、私どもは、服務準則をつくるということが法律上義務づけられ、その成案をつくったわけでございます。  その附属の資料といたしまして、日本銀行員心得というものをつくりまして、その中におきましては、例えば外部との無償の会食といったものを行うことは禁止するというような内容を含みまして、いろいろと具体的に各人倫理規律維持のための基準を明らかにしたところでございます。この部分は、もう既に実行に移しているところでございます。
  7. 小林守

    小林(守)委員 構造的な問題なのかどうか。例えばざぶんとかどぼんとかいう、こういう隠語が通用している、そういうことを踏まえて、構造的な問題ではないのかということを私はお聞きしたいというふうに思うのです。  ようやくここで職員服務規律とか心得などというものをつくって出したようでありますけれども、このことによって本当に再生できるのかどうか、私は極めて問題だと思いますし、一担当者個人、そして直属上司ぐらいの責任でこの問題をあいまいにしてしまうのではないか、このような危惧を感じるわけであります。  もう一回、構造的な問題であるという認識がないのかどうか、お聞きをしたいと思います。
  8. 松下康雄

    松下参考人 私どもは、銀行構造内部におきましてそのような事態発生させるような、非常に危険なと申しますか、そういう状況に立ち至っていたとまでは判断をする考えは私はございませんけれども、ただ、この問題につきまして、今後十分に各人の自覚を促し、また、この問題に対してきちんと組織として対応のできるような仕組みをつくっていきませんければ、この問題がいつ構造的な問題としてさらに再現をするかわからない。そういうことを絶対に起こさないような、しっかりとした対応をとっていかなければならないと考えております。
  9. 小林守

    小林(守)委員 私は、かつて自治政務次官をやっておりました。そのとき自治大臣でありました、現在、自民党の幹事長代理でしょうか、野中広務氏、きょうはまだ見えられていないようでありますが、野中先生は、日銀東京証券取引所などに天下りをした大蔵キャリア組の元幹部が今日の混乱を招いた、この人たちはやめるべきだというようなことを明確に何度もおっしゃっております。  これについてどのように受けとめられるか、お聞きしたいと思います。
  10. 松下康雄

    松下参考人 このような不祥事の当事者はもとよりでございますけれども、そのような事態発生をいたしましたことについてのそれぞれの監督者責任というものも、これは存在をすると思います。  その監督者責任の中で一番大きなものは、トップにおります私自身監督責任でございますけれども、その他の責任につきましては、今後、捜査進展等、実態の把握を十分に行いました上でそれぞれ考えてまいるということにいたす考えでございます。
  11. 小林守

    小林(守)委員 内部調査を進めながら責任考えていくというようなことで、今月末ぐらいまでには進退を明らかにしたいというようなことだというふうに思います。  現在、内部調査の中で、直属上司であります営業局長からの内部調査は今どのように進められておるのでしょうか。
  12. 松下康雄

    松下参考人 行員としての外部との交際の過去五年間の実績という点におきましては、各局長も含め全員が調査対象でございます。  その他におきます監督責任という点につきましては、ただいまも申し上げましたように、刑事捜査に至っておりますこの事案におきます捜査がさらに進展をし、それに合わせまして私ども内部調査をいたしまして判断をしてまいるべきものであると考えております。
  13. 小林守

    小林(守)委員 私自身は、総裁大蔵事務次官を経験されて日銀に天下ったというような経歴考えますならば、今日の日本金融全体のそれぞれのセクションで最高の責任を持った立場で今日を迎えられているあなたが、やはり四月一日を目前にして決着をつけていくべく、新しく蘇生できるためにみずからの責任を明らかにしていただきたい。そのためにも、私は即座に辞任をしていただきたいと思いますし、また、それができなければ、私は、任命権を持つ内閣解任をすべきである、このように思う次第であります。  要は、このような不祥事構造を、腐敗構造をずっとつくり上げてきた、その中でトップリーダーとしてそれぞれ指導をしてきた総裁最大責任者ではないのか。その方がこの不祥事をみずから処分する立場であり得るのか、その資格があるのかということを問いたいと思います。  あなたはその処分をする資格がないのではないか。私は、かわりの者にやらせて、そのかわりの者も三月末には責任をとっていく、これが当然のことではないのか、このように思いますし、松下総裁に、日銀のこの不祥事の問題についての内部調査処分を行っていく資格はないということを強く申し上げておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  14. 松下康雄

    松下参考人 私の現状の心境は、私の監督責任が非常に大きなものでございますから、この大きさに応じてしかるべき対応が早急に必要であると思っております。  その際に、とりあえず当面やっておくべきことと申しますのが、先ほど申しました、全体を把握して再発防止の道を決めていくというこの点でございますが、これをできるだけ取り急いでまいりたいと思っております。
  15. 小林守

    小林(守)委員 現在の政策委員の中に武富將氏という方がいらっしゃいます。この方の経歴を見ますると、今回の不祥事贈賄側である日本興業銀行代表取締役を務められて、OBとして二年後に日銀に入られたというような経歴でございます。  私は、政策委員のこの方にも、即刻進退を、責任を明らかにしてほしい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  16. 松下康雄

    松下参考人 武富委員は、日銀法規定によりまして、国会の御承認を得まして、内閣任命によりまして政策委員に就任をしていただいた方でございます。  この方は、興銀の出身者でございますけれども、いわゆるエコノミストでございまして、経済の分析、予測、そういった方面での業務を長年担当された専門家でございます。営業面とか、そういった面での経歴でありませんで、政策委員として非常に必要な、経済を分析し、そしてこれに対する政策的な、マクロ政策的な対応考えていくということに大変高い能力と、それから世間一般からの評価を受けている方でございますので、私といたしましては、この不祥事の問題に汚染されてない委員の方として、今後も活躍をしていただきたいと考える次第でございます。
  17. 小林守

    小林(守)委員 私は、やはりこの際徹底した改革を進めるためにも、それぞれの責任者が、社会的な責任というのですか、法的には問題ないかもしれませんけれども、社会的な責任を、道義的な責任をとって、日本金融再生、こういう視点でやはり責任をとっていただくことがそのことにつながるのだ、このように思います。私は、問題の先送り、そしてまた隠ぺいをしてしまうようなあり方は認められない、この際とるべきではない、このように思います。  そこで、任命側である大蔵大臣総理総裁、副総裁そして政策委員、これは内閣任命でありますが、きょうは総理もちょっと出ておりませんので、大蔵大臣の方から、内閣任命にかかわる、問題は内閣責任である、これは当然のことだと思うのですけれども辞任が求められないということであるならば、解任をしなければならないのではないか、このように思うわけであります。大臣、いかがでしょうか。
  18. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  今般の事件は、日本銀行業務の公共的、社会的、非常に重い日本銀行業務でありますから、その業務に携わっておる職員逮捕された。大変遺憾なことであると思いますし、重大に私自身は受けとめております。  大蔵省としては、捜査当局における捜査経緯をしっかり見守っていくとともに、日本銀行において厳正な措置がとられるべきものだ、こういうふうに考えております。そうした状況をよく見きわめてまいりたい、こう考えておるところでございます。  なお、日本銀行行政側との関係でございますが、現行法では一般的な監督権限があることになっておりますけれども、今回の事件のような個々の職員の行為にかかわる問題については、日本銀行自身がその就業規則等に基づいて適切に対応さるべき問題だ、こういうことに法律上なっておるわけでありまして、その法律規定は守っていかなければならぬ、こう思っております。  なお、委員も御承知でございましょうが、来月一日から施行される新日本銀行法では、より一層日本銀行独立性というものが保障されておるわけでありますので、日本銀行自身措置として適正になされることを期待しておるわけでございます。
  19. 小林守

    小林(守)委員 大臣、私は、総裁はもとよりでございますけれども日本金融財政最大責任者である大臣が、この問題について、内閣日銀に対する任命権を持っているわけでありますから、本当にこれを再生していくということ、国民に対する本当の決意をあらわすという意味も含めて、少なくとも現在の日銀の役員は総入れかえ、このようなことを断行すべきであろうというふうに思いますし、そしてその後、大臣責任を明らかにしていただきたい、このように思っているわけでありますが、いかがでしょうか。
  20. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  委員のお気持ちはわかりますけれども、やはり日本銀行行政側からの独立性、こういったものは尊重していかなければ、日本銀行独立性というものは私は保たれないというふうに思うわけです。  昨年、日本銀行法を改正して新法になって、四月一日から施行される。この法律規定をしっかり守って対応していくことが大事なことだというふうに思っておるわけでございます。
  21. 小林守

    小林(守)委員 日銀独立性を保つというような視点から、行政人事にまで介入するのはいかがかというようなお話がございましたが、現状段階では任命権内閣が持っているわけでありますから、それは行使していいわけであります。少なくとも、構造的な腐敗だということであるならば、私は、徹底した人事意味におきましても改造をしなければならないのだろう、このように思います。  護送船団行政の中で、まさに幼児性、幼稚さ、自己統治力のない幼稚さをさらけ出した恥ずかしい話だというふうに思います。そんな意味からも、やはり決意を持って臨んでいきたいなというふうに思いますが、この問題については、引き続き同僚の方からの質問を加えさせていただくということにさせていただきたいと思います。  最後に一つだけ、この問題について、日本銀行における役員の給与等の支給の基準という形で、三月六日に政策委員会で決定をされて、大蔵大臣に新たな給与等の支給の基準が示されたというようなことであります。  今日まで、日銀の役員の給与については総理大臣よりも高かったというようなこともあったわけでありますけれども、これを、金融のリストラとかそういう状況も含めて、特別職国家公務員の給与等を勘案する。少なくとも総裁の給与については、特別職国家公務員の最高給与を上回らない、総理とか衆参議長とか最高裁長官とか、こういう人たちの給与と比較をして、それを上回らないというようなことが一つ基準になりました。  それからもう一つは、社会一般情勢との適応というようなことが出されました。この社会一般情勢との適応という中には、私は調べてみましたら、本当にこうなのかなと。少なくとも今日、一般の大手銀行基準にしているんだというようなことなんですけれども、公的資金の投入に絡んで、相当、役員の報酬の引き下げとかいろいろなリストラをかけてきているわけでありますから、果たしてこれが社会一般の情勢に適合しているかどうか、お聞きをしたいというふうに思います。  総裁は現在、年収で、俸給月額と手当を含めて五千百三十三万円ということでございます。これが平成十年の四月一日からは四千万円になるというようなことであります。ちなみに、総理大臣が現在四千四百八十八万円ということでありますから、現在の年収は七百万円近く総理よりも上回っているというような状況であります。また退職金については、これは任期満了まで行った場合の計算でございますが、退職金は七千四百七十一万円というような計算がされております。平成十年四月一日以降の方の場合は五千百八万円というような数値が出されております。  現在の松下総裁は、三月末で辞任をされるというような意向ということを仮定して、私は今すぐやめるべきだというふうに思っておりますけれども、仮定して計算をすると、任期五年の計算ですからまだ一年と数カ月残っているようでありますけれども、六千万円以上の額になるのかなと。ちょっと正確には計算しておりませんが、そんなことでございますけれども、社会一般情勢への適合という観点からどうなのか。  これからこの問題についても見直していくことができるのかどうか、総裁はみずからの給与や手当についてみずから決める立場にあるのかどうか、私は極めて問題だろうというふうに思っております。いかがでしょうか。
  22. 松下康雄

    松下参考人 私は自分の監督責任の大きさということは十分に理解をいたしております。これに対応いたしまして、私自身どのような措置をとっていくべきかということは、これから判断をしてまいる考えでございます。
  23. 小林守

    小林(守)委員 それでは、次の問題に移りたいと思います。総裁にはお帰りになって結構でございます。  それでは続きまして、減税の問題について、私は、地方分権という視点からお聞きをしていきたいと思っております。  昨年の臨時国会終了後、ASEANの首脳会議の後だったでしょうか、総理が、臨時国会では減税のことは一言も触れず、財政構造改革の立場からもできないんだということを強く主張してきたにもかかわらず、突然二兆円の減税というものが出てきたわけであります。  私は、地方分権の視点から、総理の一声で減税が決められたということ、それからもう一つは、特に地方分権の視点からいうならば、地方の主要な税源である個人住民税の減税まで総理が一声で減税をするということについて、税財源の確保充実という視点で今取り組まれているわけでありますけれども、そういう視点からするならば、地方分権の税財源の確保に対する認識が全くないのではないかと思わざるを得ないことであります。  この住民税の減税に向けて、少なくとも自治大臣に相談があったのかどうか、地方六団体の首長等関係者に相談があったのかどうか。  さらには、自治省は、この住民税の減税について、何とはなしに、国が所得税で減税するんだから地方も一体となってやるべきだというような、何かわけのわからない車の両輪論みたいなものに立って、今日まで、減税というと所得税、住民税の自動的な減税を行ってきているわけであります。  この減税の仕方は、構造的に七対三というぐらいの割合でやられてきているんですが、少なくとも地方分権の中で税財源の移譲がこれからの最大の課題だと言われている状況の中で、このことが全く踏まえられずに、配慮もされずに行われたということについて大変危惧を持っておりますし、遺憾であるというふうに私は考えますが、自治大臣にお願いいたします。
  24. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答え申し上げます。  十二月十七日の朝でございまして、地方六団体に相談したか、意見を聞いたか、こういうことでございますが、今回の特別減税は、アジアの経済状況や秋以降の我が国の景況の推移等を総合的に勘案し、総理が決断をされたものでございまして、当日の朝お聞きしたわけでございますから、相談をしてどうするかということではございません。  この決定に従いまして、自治省といたしましても、こうした経済状況を踏まえ、景気対策の実効を上げるために国、地方が一体となって取り組むべきものと考えまして、所得税の減税とあわせ、所得税と共通の税源により負担をいただいております個人住民税についても減税を行うことといたしたところでございます。御理解をいただきたいと思います。  なお、特別減税の実施によりまして地方団体の財政運営に支障が生じることのないように、あわせて必要な措置を講ずることといたしております。
  25. 小林守

    小林(守)委員 大蔵大臣には、地方分権を推進していく意味で、地方分権推進委員会の一次から四次にわたる勧告がございました。そして、それでは不十分だというような認識だったんだと思いますが、総理が閣議の中でも、また分権推進委員会の諸井委員長に対しても、第五次の勧告を求めたいと。  国や都道府県から市町村へさらなる権限の移譲が必要であるというような認識だったと思いますけれども、私はそのリーダーシップに賛意を表したいというふうに思いますけれども、国や都道府県からの権限移譲ということを進めていくならば、当然のことながら、私は、財源の移譲もなければおかしい話であります。  そういうことが今大きな分権の課題になっているという状況の中で、大蔵大臣は、地方団体への財源の移譲の問題について、特に住民税の減税に対して、自治大臣に対して協議をされたのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
  26. 松永光

    松永国務大臣 今回の二兆円の特別措置、これは先ほど自治大臣からお話がありましたようないきさつで決断がなされたわけでありますが、大蔵省立場からすれば、所得税と個人住民税は、納税者の側に立ちますと、いずれも同じように所得に対する負担を求めるということになるわけでありまして、それは負担をする側からすれば類似している、そういう税であるということ。  それからまた、もう一つは、平成七年、平成八年にも同じようなやり方でなされたということもありますので、所得税の方が一兆四千億で、住民税の方が六千億という形でなされることになったわけでありますが、それをするに当たりましては、自治省ともよく相談をした上で実行することになったわけであります。  なお、地方自治団体の代表と協議をしたかということでございますが、これは、大蔵省の方が直接地方団体の代表と折衝するような立場にありませんので、そこで、自治省とよく打ち合わせをし、かつ、そのことによる地方財政上の措置はきちっとやるという前提で実行に移されたわけでございます。
  27. 小林守

    小林(守)委員 現行法からするとそういうことになるのかと思いますけれども、地方の財源措置はきちっとやったというようなことでございますが、住民税の減税にかかわる部分については減税補てん債という形で、これは地方の借金を認めますよという話ですから、これは地方がしょっていくんですよ。これで財源補てんしましたという話になるのかどうか。  それからもう一つは、所得税の減税にかかわって交付税に影響が出てまいります。所得税の三二%を交付税の財源にするわけでありますから、そういう点で、交付税の方については特会借り入れのような形で、交付を加算するというような形で出されているわけであります。  そういう点では手当てはされているとは思うんですけれども、しかし、私は、地方分権の基本的な原点というのは、仕事と財政、仕事にかかるお金と税収というのはできるだけイコールにしなければならない、そういう方向を目指すべきだというふうに考えるわけであります。  ところが、今日の国と地方の税収構造は国が二で地方が一、大まかな数字でいうとそういうことになります。しかし、今度は、実際に仕事をして歳出する部分で集計をしてみますると、地方が二を支出して国が一だという構造になっています。ということは、要は、国と地方を合わせた全体の三分の一の財源が国から地方へ移転をするという構造になっているわけであります。その移転をさせる仕組みが、補助金、交付金、譲与金、そして交付税というようなことになっているわけであります。  機関委任事務が今回、分権推進委で廃止になりました。原則廃止という方向が出されました。これは大変大きな前進だと思います。私は、これにあわせて、これから税財源の地方への移転の問題、補助金の問題にかかわって、やはり中央が地方をコントロールする、誘導する、統治する、こういう明治以来の中央集権的なシステムの大きな柱になっているのが、国が税源を余計集めて、地方へ補助金や交付税の中で配分をしてコントロールしていくという仕組みの中にあるというふうに思います。この税源の移転の構造を直さないと、本当の意味での自立した地方自治の確立にはならない、このように思えるわけであります。  そういう観点から考えるならば、まさに住民税というのは、所得税と違いまして、自治体に住む住民の会費みたいなものです。自治会費みたいなものだというふうに思います。確かに、課税客体というんでしょうか、所得に対する課税でありまして、国は国で所得に対して所得税をかけていく、住民税もかけていく。かけ方は違いますけれども、そういうことで、課税客体は同じというふうに言っていいのだと思います。そういうことでありますけれども、税の性質は違うというふうに思うのです。  自治大臣、住民税の性格についてどのように認識されているか、お聞きしたいと思います。
  28. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  個人住民税は、地域社会の費用を住民がその能力に応じまして広く分担するという性格を有する税でありますが、所得税と共通する税源により負担をしていただいている税でもございます。このように認識をいたしております。  今回の特別減税におきましては、先ほど申し上げましたように、当面の経済状況等も踏まえ、国、地方を通ずる政策として必要であるとの考えのもと、個人住民税につきまして六千億円規模の減税を行ったところでございます。  所得減税を行う場合においての個人住民税のあり方につきましては、減税の目的、必要性、個人住民税の負担の現状等も踏まえながら判断をしていくべきものと考えております。
  29. 小林守

    小林(守)委員 何かよくわかりません。  例えば、いわゆる所得税の減税をやると、自動的に住民税の減税も今までやってきています。住民税の性格を勘案して今後何か検討していくみたいなお話なのですが、いわゆる景気対策として、極めて高い累進構造を持つ所得税というのは、景気調整機能、所得の再配分、そういう機能を非常に持ったものだというふうに思うのですね。ところが、住民税というのは、住民の会費みたいなものですから、行政サービスの対価みたいなもの、そこに住んでいる人たちの当然の責任で納めてもらうというような性格のものでありまして、私は、基本的に性格が違う。  課税客体は同じだけれども、性格が違うんだということを踏まえるならば、今後やはり、地方税財源の確保という観点から、国と地方との税源配分のあり方を分権の立場から考えていくということになるならば、当然住民税と所得税というのは、減税というような中では、分けて考えなければならない問題なのではないか、このように思うのですけれども大臣、もう一度その辺の認識をお聞きしたいと思います。
  30. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 個人住民税を所得税とあわせてなぜ減税をしたのか、性格が違うじゃないか、こういうことでございます。ただ、地方税の中で見ますと、所得税と相共通するものは個人住民税しかない、広く浅く、こういう意味対応したことを御理解いただきたいと思います。  それから、もう一点の税源の配分でございますが、地方分権推進委員会第二次勧告におきましては、地方税について、基本的には、地方における歳出規模と地方税収との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、その充実確保を図っていくべきとされ、また、国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税の充実確保を図っていく必要があるとして、その方向性が勧告の中で示されておるわけでございます。  私は、地方税源の充実確保は、地方分権の推進にとって極めて重要な課題と認識をしておるわけでございまして、今後、地方分権推進委員会の勧告を十分踏まえまして、所得、消費、資産等の間にバランスのとれた地方税体系や、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築などに努め、地方税源の充実確保を図ってまいりたいと考えております。
  31. 小林守

    小林(守)委員 きのうの本会議における民友連の質問に対する回答と同じなのですが、そのとおりなんですよ。地方の税財源の確保というのは極めて重要な課題である。そのとおりなんです。しかし、重要であるからには、この所得税減税についてもちょっと待ってくれということがなかったわけですよ。そういう点では、本当に分権の税財源を確保していくんだという決意があるのかどうか、私は極めて疑わしい。とにかく認識がないのではないかというふうに思えてならないわけであります。  財源も含めて、自主税源を新たにつくっていくんだというようなことも触れられております。今、地方税の中で自主税源として新たに考えられるもの、これらについて、では何があるんだと。例えばパチンコ税でもつくるかなというお話もあるようでありますし、山砂利の採取税とか核燃料税ですか、こういう地方独自の税源という形で地方公共団体の特別税がつくられているところもあるわけでありますが、では、地方の独自税源として新たに何が考えられるのか、私はなかなか難しいなと。  そうすると、課税ベースは、客体は同じであっても、地方と国との税の性質の違いとか、配分の仕方の違いとか、交付税の税率の改革とか、そういう中で国と地方との税源や財源の配分を変えていくべきではないのか、このようにしか方法はないのではないかなというふうに思うわけでありますが、これは通告には入っておりませんけれども、新たな地方の自主税源としてどういうことが考えられているのか、これについてちょっとお聞きしておきたいと思います。
  32. 成瀬宣孝

    ○成瀬政府委員 お答え申し上げます。  今後、地方税源の充実確保を図っていく上で、どのような新たな税源確保の方策があり得るかというようなお尋ねであったかと思います。  私どもといたしましては、今後、所得、消費、資産等の間におけるバランスのとれた地方税体系、あるいは、何と申しましても、地方税として最もふさわしいものは、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた税であるということが言えようかと思います。  例えば具体的に申し上げますと、今年は事業税につきまして、外形標準課税といったような仕組みが導入できないかどうか、そういったことなどもいろいろ視野に置きながら、税源の充実確保策について検討してまいりたいというふうに思っております。
  33. 小林守

    小林(守)委員 法人税、法人事業税の減税に絡みまして、地方は新たな税財源をどうつくっていくか、安定した財源をどう確保していくかという観点から、外形標準課税というようなものが検討されてきている。これは早急にやはり論議を詰めて、オーソライズして出していくべきものではないのかな、このように我々も積極的な推進でこれは求めていきたいなというふうに思っているところでございます。  そこで、もう一つ関連して聞きたいのですが、政府の方でも、景気対策の一環として、この減税は一時的なものであってはだめだ、恒久化すべきではないか、制度化すべきだと。一年限りの減税ということは、来年は上がりますよということになるわけでありますから、いわゆる個人の消費性向を刺激するというような効果は極めて薄くなってしまうわけですね。そういうことから考えると、恒久化、税財政構造を変えていくという視点に立っても恒久化を進めるべきではないのかな、私はこのように考えているわけであります。  この点について、自治大臣の方から、例えば住民税の減税を恒久化する場合、その財源の補てんについてはどういうふうに考えていったらいいのか。  少なくとも、恒久化とか、一時的な特別減税ではだめですよというようなお話が、既に自民党の中からも、それから政府の中からも声が聞こえているやに聞いております。その辺の問題について、私が危惧するのは、毎年毎年減税補てん債をやっていくのですよ、こんなことをやられたのではとんでもないわけでありまして、この減税補てん債をやらない形をとらない限り恒久化はできないわけでありますから、住民税減税の恒久化をする場合、例えば地方税財源対策はどうするのか。  これは、我々は、住民税はやるな、所得税だけでやれというふうに言っているのですけれども、例えば、少なくとも恒久化ということを言っているからには、今までのスタイルでいけば同時的に七、三の割合で住民税も減税されていくわけでありますから、恒久化という観点に立ったならば、毎年減税補てん債を地方に認めて借金をさせる、そういうことを続けていくのですかという素朴な疑問なんですが、そこをまずお聞きしたい。
  34. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 住民税の減税につきましては、減税補てん債により減収を補てんするケースといたしまして、今回のような特別減税や平成六年度から八年度の各年度の特別減税の場合、それから平成七、八年度における地方消費税導入までの間の制度減税の先行減税の場合など、単年度ないしは短い期間に限った一時的な減税の場合に限られておりまして、平成元年度や平成六年度の税制改革のように、多額の恒久的な制度減税の場合には、地方消費税の創設等によりまして対応する地方税財源が確保されておるところでございまして、単年度、期間の短いものと恒久的なものとの対応については基本的に違っておるわけでございます。  したがいまして、仮に住民税の恒久減税が検討されるといたしましても、その検討に際しましては、多額の財源不足が続く地方財政等の状況を踏まえまして、減税に伴う必要な財源等について十分検討を行い、地方の財政運営に支障を来さない、このような基本的な考え方に立って適切に対処することが必要と考えておるわけでございまして、委員がおっしゃるように、個人住民税を毎年毎年ずっと続けて補てんをするのか、こういうことでございますが、そういう形のものであることについて御理解をいただきたいと思います。
  35. 小林守

    小林(守)委員 それでは、同じようなことになるのですけれども、所得税を恒久減税化するというような形の場合は、当然地方財源としての地方交付税への影響が恒久化されるということになるわけでありますけれども、この場合どのように、これは大蔵省になるでしょうか、自治省になるでしょうか、所得税の減税の恒久化ということを考える場合に、その減税の影響分、交付税への影響分について、三二%でございますが、これらについてどういうふうな財源対策をしていくのかということになりますけれども、いかがでしょうか。
  36. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 お答え申し上げます。  所得税減税の恒久化を前提としてお尋ねをいただきましたが、まずは、税負担のあり方として、我が国の租税負担率が欧州諸国に比べ相当低い水準にあるということを踏まえる必要があるのだろうと思います。  それからまた、大規模な減税を実施するということになりますと、そのための新たな財源が必要となります。特例公債の増発にもつながるわけでございます。したがいまして、このような減税につきましては慎重に考えなければならないと考えております。  なお、一般論といたしまして、地方財政の運営に当たりましては、厳しい財政事情のもとでございますが、国と地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行うことが必要であるという基本的考え方に沿って対処すべきものと考えておりまして、こうした観点から今後とも自治省と十分協議してまいりたいというふうに考えております。
  37. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 所得税は国税でありますから地方は関係ないというわけにはまいりません。所得税の減税をいたしますれば、恒久的になるということになれば、当然これは交付税にはね返ってくるわけでございます。  今回の二兆円の特別減税のうち、一兆四千億が所得税減税でございましたが、交付税へのはね返りが四千五百億ございます。したがって、もしそういうことになれば、地方財政上、地方団体の財政運営に支障を来さないような財政措置をしなければならない、こういうことでございます。
  38. 小林守

    小林(守)委員 そのとおりなんですが、財政措置をしなければならないそのやり方として、どういうことが考えられているのか。恒久化を言うからにはそこを聞きたいのですよ。
  39. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 仮定の話でどうかというわけにはまいりませんが、それは当然、そのときの対応を適切に対処しなきゃならぬ、こういうことであります。
  40. 小林守

    小林(守)委員 まあ適切に対処ということで、今後の課題ということになるかと思いますが、少なくとも、私は、所得税の減税に伴う交付税への影響については、その影響分を恒久化するためには、交付税率を、三二%の税率をその分上げようではないかというふうな一つの方法があるかと思います。  もう一つは、全体的に、住民税の減税も含めて、現行消費税の配分を、これをもっと消費税一本で、地方への配分を、交付税への配分の率が今二九・五なんですが、これを、その影響分を含めて、住民税の減税も含めて乗っけようではないか。消費税の地方への配分の率を高めて恒久化しようではないか。  方法があるのですよ。これはわからないはずはないのですけれども、そういうところを含めて、私は、恒久化をするときに、地方税財源の確保という視点を抜きに語られては困るということを申し上げておきたいと思います。先ほど大蔵省の方からの車の両輪、国民経済視点に立って、国と地方が一体となってというような論法は、地方分権への税財源の確保という視点がないのではないかというふうに思えてなりません。  今進められている地方分権の、国から地方への関与という問題については、一定程度の前進が見られておりますが、税財源の問題についてはまさにこれからなんですよ。何も言われていない。税財源の確保が必要だということは言われておりますけれども、中身は全くないのです。これから詰めなきゃならない問題なんです。  それらについて、大蔵省お話によれば、租税の負担率は欧米に比べて日本は低いんだというようなお話がありますが、社会保険料全体の負担から考えるならば、決してそういうことにはならないのではないか。この論議はまた別の問題だと思いますが、分権の視点から見て、大蔵省は、所得税、住民税の減税の問題も含めて、全くこれはもう大蔵省が決めていいんだ、国が決めていいんだというような観点しかないのではないか。  恒久化ということを考えていくときに、地方への税財源の確保というもの、恒久化というものを考えなきゃならないのが当然だと思うのですけれども、それらについて、私は、減税を含めながら、国と地方との税源の配分のあり方を直していく、これが分権の税財源の構造をつくっていくことになると思うのですが、大蔵省からの御答弁については極めて不満でございますので、もう一度、その辺の分権への税財源の配分について、どのような認識をしているのか、お聞きしたいと思います。
  41. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 お答え申し上げます。  税源移譲に関するお尋ねというふうに御理解させていただきましたが、国と地方の税源の問題につきましては、分権委員会の勧告におきまして、国と地方の役割分担を踏まえつつ、中長期的に国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税の充実確保を図っていくというふうにされておりまして、この内容を文字どおり受けとめてまいりたいというふうに思っております。  一点だけ申し上げておきますと、御指摘の税源移譲ということは、国税を減税し、その分地方税を増税するということになるわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、国と地方の役割分担の見直しがどこまで進むのか、これに伴いどれだけの財源が地方に必要となるか、あるいは受益と負担を一致させるという考え方はもちろんあるわけでございますが、他方、全国的に行政水準は一定であるべきであるという考え方もあるように思われます。そこをどうバランスさせるかといった点についてもさらに議論を深めていくことが必要であると考えております。  それから、地方の財政状況、まことに深刻かというふうに認識しておりますが、国の方もまことに危機的な財政状況にございまして、そういう意味からいたしますと、そのような状況を踏まえながら今後の議論を進めていく必要があるというふうに考えております。
  42. 小林守

    小林(守)委員 今非常に気になる答弁がございました、何か国税を減税すると地方税は増税になりますよというような、おどしとも言えるような。  確かに、国の減税を賄うために地方はその分、国の事業とか国の歳出を一定に確保しなければならぬということであるならば、国民負担ということになりますから、別のところで何かで負担をしてもらわなければならないという論法になるのですが、私は、まさに財政構造改革の問題にかかわってくることなのだろうというふうに思うのですね。  国は減税するけれども地方はやらないというならば、では、別のところで地方の国民の負担をしてもらいますよという論法なのだろうと思いますが、それを、税財源の国から地方への移転、移譲、こういう仕組みを改革していくというもの、それから、要は、国民の負担を総体的に削減していく意味でも、負担を少なくしていく意味でも、やはり国の支出を抑えていくということが大事なのだろうというふうに思うのですね。  そういう点で、国の事業はいつまでも一定ですよという前提に立つならば今の議論が出てくると思うのですが、私は、公共事業等の見直しの中でまさにその減税財源は生み出せるのではないか、このように思うわけであります。  そこで、補助金の問題等についてこれからお聞きをしていきたい、このように思います。  きのうの本会議における質問にもありましたけれども、全国青年市長会の方から、それぞれのところに提言が出されております。御存じだと思いますけれども、その全国青年市長会の要請というのは、補助金の段階的な廃止、そして補助金の財源を地方分権推進交付金という形で地方に交付して任せてくれ、大ざっぱに言えばこういう中身なのだろうというふうに思うのですけれども、ということになると、補助金にかかわる問題、公共事業のあり方の問題、そういうことになります。  補助金の一般財源化というような視点からも大変大きな提言を全国の五十九団体の首長さんがまとまって宣言をされたということで、画期的なことだろうというふうに私は高く評価をしているところであります。  そういう観点に立って、これらについて、大蔵大臣、その補助金の全廃という方向に、今すぐやめろということではなさそうであります、段階的な廃止ということについて、分権推進委員会の方からも、第二次勧告の中でこの問題についてはかなり触れられております。国の関与という観点で相当踏み込んだ補助金のあり方についての勧告がなされておりますけれども、この問題について大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
  43. 松永光

    松永国務大臣 補助金の縮減ないし廃止の問題、その分一般財源化しろというお話でございますが、補助金については、平成十年度の予算においては、地方分権推進委員会第二次勧告等を踏まえて、社会経済情勢の変化、国と地方の役割分担のあり方等の観点から、聖域なく見直しをいたしまして、存在意義の薄れたもの等については廃止し、また地方公共団体の事務事業として同化定着しているもの等については一般財源化するなど、その整理合理化を積極的に推進してきたところであります。  補助金等を廃止して、一般財源として地方公共団体に交付すべきであるという委員の御提言につきましては、国はやはり一定の行政水準を維持するという配慮がなされなければなりませんし、同時にまた、国の特定の施策を推進するための政策手段という点もあるわけでありますから、したがって、そういう補助金の重要な機能を損なうという問題があるほか、国と地方の役割分担、この基本にかかわる問題として、今後慎重な検討を要するというふうに考えておるわけでありまして、その慎重な検討をしていきたい、こう考えておるところでございます。
  44. 小林守

    小林(守)委員 この問題については、分権推進委員会の今後の検討課題、それから政府の地方分権推進計画の今国会における提出というようなことが予定されているわけでありますから、その時点でも再度議論をしていきたいというふうに思います。  最後に、公共事業に絡んで、建設省では、道路事業における事業評価システムの充実についてということで、いわゆる時のアセスというか再評価システムの検討というものを進めているというような報道をいただいております。  総理がかなり強いリーダーシップをとってこの問題提起をされたというふうに思いますし、既に地方団体では北海道とか、東京もだと思いますけれども、いわゆる長期間未着工の事業について、それから今後進められる大きな事業について、事業の評価のあり方についてのルールをどうつくっていったらいいのか、こんなことが進められているわけであります。  私は、亀井建設大臣あたりが大臣のときに、大分花火を上げたことだろうというふうに思いますし、またダムの問題等で長期間、もう二十年、三十年たっている問題について、一定の評価をして、進めるべきか、中止中断をすべきか、決断をしようじゃないかというようなことにも踏み切ってきたわけであります。  そのときに、補助金のあり方についても、どうするのか。今まで交付してしまったものについては返さないでもいいのだというような一つのルールを、公平なルールをやはりきちっとつくっていく必要があるわけでありますが、そのようなことの問題提起がされて、まずはその事業評価システムの導入について、建設省では、新規事業の着工準備という概念を持ち出して、着工五年前ぐらいから着工準備という評価をするのだ、その中には環境アセスもやるのですよというようなことが取り組まれている。  なおかつ、事業が完了した後も評価を実施していくのですというような、公共事業のあり方についての費用対効果の問題とか、それから事業の目的の時代の変化に伴う適否はどうなのかという問題、環境アセスメントはどうなのか。新たな環境アセスメントがつくられたわけなのですが、環境に対する国民、世界の科学的な知見が大きく前進をしておりますから、そういう観点に立って、かつて閣議アセスでもうアセスは踏んでいるというのではなくて、新たなアセスの評価項目に準じたアセスのあり方が導入されてしかるべきだと思うのです。  愛知万博の際には、これはもう閣議アセスでやられてきたものですから、法的には対象化しなくてもいいかもしれませんが、愛知万博の問題については、新しいアセスメント法の適用を準用して、その試行的な、パイロット事業として取り組むのだというような政府の決定もあるわけでありまして、その点は私は大きな前進だというふうに思いますけれども、建設省の方に、まずは、その現在のアセスの事業再評価のシステムの導入等について、お聞きをしたいと思います。
  45. 瓦力

    ○瓦国務大臣 小林委員にお答えいたしますが、いわゆる時のアセス、北海道庁が平成九年七月に公表いたしましたが、建設省におきましても、平成七年七月から、事業の再評価を行う大規模公共事業に関する総合的な評価システムを実施してまいっておるところであります。  なお、このシステムは、審議委員会の委員の推薦を知事等が行いまして、公聴会を開催するとか、あるいは議事、資料の公開を行うとか、客観性、公正さを確保してきておるところでございまして、さらに、昨年暮れに総理大臣の指示もございまして、新たな再評価システムを導入すべく、こういうことで目下具体的な内容を検討いたしておるところでございまして、客観性、公正なシステムになるよう行政として対応してまいりたい、こう思っておるわけであります。  当方におきましても、おおよそ年度内にはそのあり方、具体化を検討して方向を導き出したいということで、技監を中心として今取り組んでおるところでございます。
  46. 小林守

    小林(守)委員 まだ検討段階ですから、今後の検討に期待をしたいと思いますが、できるならば、裁量行政の中でのアセスではなくて、再評価ではなくて、やはり客観性を持つ、そして国民の声がきちっと受けとめられる、そういう評価のシステムをつくれるように、できれば法制化をお願いしたい、このように考えております。  さらに、同じような取り組みを公共事業分野である農水省とか林野庁とか、それから運輸省とか厚生省とか、そういう公共事業を担っているそれぞれの分野で少なくとも試みがされているというふうに思いますけれども、どうも表に出ているのは、建設省の取り組みが出ているようであります、敬意を表しますけれども。ぜひほかの省庁でも、公共事業分野について、費用対効果の問題とか、環境の問題とか、事業目的の問題とか、そういう問題について、うちはこうやっているよというふうにぜひ言いたいということがありましたら、せっかく来ていただいておりますので。
  47. 越智通雄

    越智委員長 時間が経過いたしております。
  48. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 お答えいたします。  運輸関係の公共事業の実施に当たりましては、従来より、社会経済情勢の変化等をよく見きわめまして、またそれに沿いまして、これまでも必要に応じ事業の休止を行うなど、真に必要な事業を推進してきたところでございます。運輸省といたしましても、そういう観点から、平成十年度の運輸省関係の予算案におきましては、地方港湾十八港については事業を休止したところであります。  また、再評価システムの導入につきましては、総理から指示を受けまして、直ちに省内に、事務次官を座長といたしまして運輸関係公共事業再評価検討委員会を設置し、再評価の具体的な実施方法等について、今年度末を目途に結論を得るべく鋭意検討を進めているところでございます。  以上でございます。
  49. 越智通雄

    越智委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。  次に、松沢成文君。
  50. 松沢成文

    ○松沢委員 民友連の松沢成文でございます。  まず、きょうは松下日銀総裁にもおいでいただいておりますので、日本銀行職員不祥事の件から少し御質問をさせていただきたいと思います。  先ほどの同僚の小林委員への答弁、後ろで聞いておりましたけれども松下総裁は、今回の不祥事、大変大きな責任を感じておって、監督不行き届きをわびて、辞職をしたい旨総理にもお伝えになった、こういうことでございます。  ただ私は、この不祥事に対する監督不行き届きが辞職の原因の一つであると思いますが、それ以上に、今回の不祥事日本の国益あるいは国民の公益を大きく害している、その責任をぜひとも感じ取っていただいて、こういう行動をとっていただきたいと思うのであります。  確かに、営業局証券課長の吉沢が、一九九三年五月から九六年五月までの間に、三和銀行あるいは日本興業銀行からさまざまな接待を受けていた。興銀からは五十九回、三百十八万円相当の接待、三和銀行からは、並行して三十回、百十二万円相当の接待を受けた、こういう疑惑であります。  逮捕の容疑は、日銀貸し出しでの便宜を図った、あるいは金融調節に関する、そして公開市場操作、オペレーションに関する機密情報接待の見返りに提供した。もっと驚いたのは、これは容疑ですから今調べておりますが、ライバル銀行情報、資産内容がどうかとか、あるいは金利方針がどうなっているかとか、これを接待をいただいた銀行に流していた。産業スパイまがいの大変驚くべきことをやっていたわけですね。  よく証券市場で、インサイダー取引がいけないことだということで問題になります。金融市場で、ライバルの銀行に中央銀行である日銀職員情報を流すなんてことは、私はもう本当に信じられないことでありまして、国民もびっくりしたと思います。  ただ問題は、この不祥事が、金利を決めて、通貨供給量を決めて、日本金融市場の中で、それこそ金融の元締め、金融の番人として絶対的な中立性、公正性を要請される日本銀行職員がこういうことをやっていた。国民はびっくりするどころか、本当に唖然としていると思います。  国民金融市場に対する信頼を失墜させた。そして同時に、これから日本金融のビッグバンを迎えようとしている。海外と競争の時代であります。しかし、今回の日銀不祥事が、海外から見れば、日本市場というのは非常に不自由で不公正で、そして閉鎖的である。国益を損ねているんですね。よく言われるように、金融ビッグバンは、フリー、フェア、オープン、自由で公正で開放的な市場をつくっていかなきゃいけない。全くこの方向に逆行した、大変大きな犯罪であると私は思います。  そこで、まず日銀総裁に、確かに、部下の不祥事責任をとって、監督不行き届きで辞任をしたい、これはわかりますが、この事件は極めて公益を害している、日本の国益を損ねている、こういう面で、どういう御認識をお持ちなのか、まず伺いたいと思います。
  51. 松下康雄

    松下参考人 今回の不祥事につきまして、私も、御指摘のように、これは責任がある。公正な、中立的な、重要な機関であります中央銀行というものに対する一般の、内外の信頼を揺るがすようなことがあってはならない、その点に非常に強い危惧を持ちましたので、まずこれに対する適切な対応を今後早急に考えていくことが何よりも大事なことだと思っております。  ただ、今回の事案がどういう内容のものであったかという点につきましては、現在、刑事捜査対象となっておりますから、私どもも詳細を承知することができないわけでございますけれども、私どもは、捜査進展に伴い、また内部調査も行いまして、その結果が判明をするとともに、これに対する対策考えねばならない。  ただ、差し当たりにつきましては、今回のことが海外の市場、内外の市場に非常に疑惑を生じまして、これがために日銀の行っております政策運営や業務運営に支障を生じる、ひいて市場の動揺を来すというようなことがあってはなりませんので、一つには、私、全職員に対しまして、昨日、引き続いて整々と、その場その場における各自の職務に取り組むようにということを指示したところでございます。  その上で、私ども市場に対しますところの反応を子細に点検しながら、この政策的な調節手段につきましては十分有効な措置をとってまいりますとともに、やはり将来を見据え、殊に四月一日から発足をすることになります新法のもとでの新しい日銀あり方というものにふさわしい、立派な、規律の保持の機構を備えた銀行づくりというものに早速に取りかかっていかなければならないと考えております。
  52. 松沢成文

    ○松沢委員 今の答弁で、公益を害した、国益を損ねたという認識を持っていらっしゃると判断をしたいと思います。  さて、大蔵大臣大蔵大臣は、一応現日銀法においては日銀監督責任を有しているわけであります。大蔵大臣は、今回の日銀職員不祥事、これは公益を大きく害した、国益を損ねた、こういう認識をお持ちでしょうか。
  53. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  日本金融システムについての非常に大事な役割を果たす日本銀行でありますから、その職員不祥事は、広い意味では国の利益を害したというふうに判定せざるを得ないというふうに私は思います。
  54. 松沢成文

    ○松沢委員 日銀総裁、今御答弁がありましたように、内部調査を今進めているということでありました。幹部六百人の金融機関とのつき合いを調査しているということであります。  どういう内容の調査なのか御説明いただきたいことが一つと、吉沢課長がこれだけの接待で便宜供与を図っていたと疑惑が持たれている、それで、その席には何度かその上司も同席していたというのも報道をされております。総裁は、これはあくまでも氷山の一角である、もしかしたら私の知らないところでかなりこういう汚職がはびこっていた、その可能性は高い、こういう認識をお持ちでしょうか。この二点、お伺いします。
  55. 松下康雄

    松下参考人 今回の調査のやり方は、行内の役員及び管理職以上の職員全体の六百名につきまして、これまで五カ年間におきます関係取引先との間の種々の会食その他の交際につきまして、各人からそれぞれの内容の報告を求め、そして各人の職場の長がそのヒアリングを行うというやり方で開始をしたところでございます。  このヒアリングを一応行い終わりましたらば、その結果全体を眺めまして、そして問題のない者は除外をし、さらにこれ以上詳細な調査を行う必要がある、例えば相手方の方々にもお聞きをする必要があるというようなものがございました場合に、それらについての第二次の調査を行うという形で進めているところでございます。現在、まだ第一次調査が、かなり進行はいたしましたけれども、実施中の段階でございます。  これはこれといたしまして、その中身におきましては、今回対象となりました者につきましてのヒアリングも行っているところでございますけれども、また、同席した者というものも調査の中からは判断されるものも出てまいろうと思いますけれども、これらの点につきまして、現在すべて挙げて刑事捜査対象になっております。こういう点で、先般の強制捜査におきましてもこれらの対象の資料を差し上げたところでございまして、この点につきましては、捜査の内容の進展に伴いまして私ども判断をしてまいる必要があると思っております。
  56. 松沢成文

    ○松沢委員 日銀の方では最近、服務に関する準則と日本銀行員心得というのを三月六日につくっている。中を読んでみると、立派なことがたくさん書いてあります。「信用、名誉の保持義務」「日本銀行の役員及び職員は、日本銀行の信用を傷つけ、名誉を汚すような行為をしてはならない。」「秘密保持義務」等々書かれております。また、心得の中でも、会食等、こういうことはやってはいけない、あるいは贈答品等、こういうものはもらってはいけない、きちっと書かれておるわけであります。  こういうものが、さまざまな日銀職員の疑惑も報じられるようになって、焦ってつくったのかわかりませんが、なぜ日銀には今までなかったのか、なぜ三月になってようやく出てくるのか。ここはどうなんでしょうか、総裁
  57. 松下康雄

    松下参考人 私どもでは、中央銀行職員はその仕事柄、やはり日常の経済金融の実態の動きをよく承知している必要があるという点から、外部の方々との間で情報の交換をし、意見の交換をするというような意味での接触を行うことにつきましては、むしろ必要なことだと考えてきたわけでございます。  ただ、もちろん、そうは申しましても、公共性の高い中央銀行でございますから、その間の交際につきましては厳重な節度を持つべきことは当然でございまして、その点につきましては、これまでも折に触れて内部で、節度を持った交際をするようにということを注意してまいったところでございます。  ただ、私どもも、一つには、今後の新日銀法の制定に伴いまして服務準則というものを制定することは法律の定めるところでございます。  これに伴いまして、単に基本的な方針、準則を定めるだけでなくて、この機会に、今申し上げましたようないろいろな問題につきまして、これまでは実際明確な文書の基準もございませんでしたし、また、これらに対して、例えば組織としてただの会食はしてはならぬというような禁止もしてきてはいなかったわけでございますので、この点を誤解を生ずることがないようにはっきりと書き物に定めまして、それを各行員に周知徹底させようという趣旨でそれを作成しました。  服務準則法律と同時でございますから、四月一日から実行いたしますけれども日本銀行員心得の方は直ちに実施に移しているところでございます。
  58. 松沢成文

    ○松沢委員 今総裁の御答弁にもありましたけれども日銀に対しては非常に甘い認識だったと思うのですね。大蔵省は例えば金融機関の業務やあるいは金融商品に対しての許認可権限を持っている、そこでさまざまな政治や業界とのおつき合いが発生して、いろいろ間違いも起きるだろうから、こういう規定は必要だろう。日銀にはそういう許認可権限はない、だからまさか日銀職員が業者の接待漬けになって便宜を図るなんということはあり得ないだろうという甘い認識があったのじゃないですか。  今まで松下総裁、さまざまな発言をされています。これは総裁の時代じゃありませんが、以前も日銀がたくさんのゴルフ会員権を持っていた。そのときに、なぜこんなに必要なのかと言ったら、その当時の日銀の幹部は、民間の方といろいろおつき合いをして情報収集しなければいけない、だからゴルフも必要なんだ、こういう言い方なんですね。  それから、三年前に大蔵省幹部の株取引が問題になったとき、日銀職員の取引も制限すべきだという意見が出ているのです。しかし、そのとき総裁は、慣行を踏まえ、各人が厳正に律していくことが必要、こんなことで濁しているのですね。また、住専の問題のときの監督責任をきっかけに、天下りの規制が議論になったときもある。このときは、天下りに対しては、民間が求めている、許認可の権限を持つ官庁と日銀立場は違う、こういう御意見だったわけですね。  つまり、大蔵省とは違うのだ、民間とのつき合いは必要なのだ、日銀職員はまさかそんなことはしていないのだ、こういう認識でずっと来ているのです。この甘い認識が今回の不祥事につながっているのではないですか。いかがでしょうか。
  59. 松下康雄

    松下参考人 御指摘のように、私どもといたしましては、中央銀行員としての業務に必要な交際というものはこれはむしろ行うべきであるけれども、そのときに、やはりこういう交際が深まっていく場合に、それに付随して問題となることが起こるのではないかという点につきましては、行政的な許認可権限というものの行使とか、そういう意味での目に見えるはっきりとした、何かそういう場合に問題となるようなことが中央銀行立場で表面的にございませんので、その点につきましては、各人の道義的なそれぞれの自覚、判断というものに任せて、全般的に、中央銀行員としてふさわしい行動をとれという指導によってこの問題に対処していくということで考えてきたことは事実でございます。  現在になってみますというと、やはりそういったことの中に、当時私どもが予想できなかったような問題が伏在をしていたということが、この事案をきっかけにして表にあらわれてきたわけでございまして、この点につきましては、私どもも過去のそういった判断をきちんと切りかえて、そして、ただいまお示しをいたしましたような日本銀行員心得を規則として厳格に守るように、そういう方針に今度は徹底をしてまいりたいというふうに考えております。
  60. 松沢成文

    ○松沢委員 私は、過去の監督不行き届き、甘い認識、甚だしいと言わざるを得ないのですね。この不祥事がもしかしたら広がる可能性も私はあると思いますよ。  国際経済の中で、日本が世界第二の経済大国として、また自由主義経済の国として、きちっと公正なルールに守られた金融市場をつくるということは大変重要であります。この不祥事は、国民日銀に対する信頼、金融市場に対する信頼、そして海外からの日本金融市場に対する信頼をすべて破壊してしまったような大きな出来事だというふうに私はとらえます。  そういう観点から見ると、私は、総裁だけではない、日銀の役員全員辞職すべきだと思いますよ。人心一新して世界に対してもう一度やり直すという姿勢を見せないと、日本はこれから国際経済の中で、また金融ビッグバンを迎える中で、日本市場、東京の市場というのは世界の経済から信用されないと思います。私は、総裁、あなただけの辞職ではなくて、役員全員が頭を丸める、それぐらいの覚悟を国民に見せてほしいと思うのですよ。  そしてもう一点、先日の大蔵委員会で日銀総裁の退職金の問題が取り上げられた。二億円にもなるという。今回、途中で辞職をしても、四千万円近くもらえるという。日銀総裁立場というのは大変重きがあって、私は給料を削れとは言わない。今回少し低くなるそうですが。ただ私は、あなたが国民に対して本当にわびたいのであれば、退職金を返上する、あるいは何らかの形で日銀にお返しする、これぐらいの行動があってしかるべきだと思うのです。  役員全員の辞職に対してどう思うか、そしてあなた自身の退職金、それを返上するぐらいの御意思があるかどうか、お伺いしたいと思います。
  61. 松下康雄

    松下参考人 私ども責任は、今回の不祥事案に対します監督責任ということ、そういう責任がございますのと、それからもう一つは、非常に金融が現在難しい、金融に対する不安がともすれば起こりがちな難しい情勢に対しまして、中央銀行としての信頼を一日も早く回復して、そして市場の安定を図っていくという実際の仕事に取り組んで、これに対して目に見える効果を上げることによって我が国の金融制度の安定と発展とを行っていく、これも私ども責任の大きな部分であると考えております。  この二つの責任を両方総合判断いたしまして、今後各人がどのような責任をとってまいるべきか、私自身責任も含めて、そういう角度から真剣に考えてまいりたいと存じております。
  62. 松沢成文

    ○松沢委員 退職金についてはコメントなしですか。
  63. 松下康雄

    松下参考人 ただいま申し上げましたように、今回の事案についての監督責任の問題を、内容をよく今後検討していきます中で判断をしてまいりたいと存じます。
  64. 松沢成文

    ○松沢委員 次に、関連して大蔵大臣にお聞きします。  日銀総裁、もう終わりですから、結構でございます。  大蔵省日銀関係について、現行の日本銀行法では、四十二条に、大蔵大臣日本銀行監督すると明記されているのですね。これを受けて四十四条には、大蔵大臣監督命令権。日本銀行業務及び財産の状況に関しての報告並びに検査さらには監督上必要な命令や処分をすることができる。そして、もう一つ重要なのは、四十七条、政府の役員解任権。日本銀行の役員、これは総裁、副総裁理事、監事、参与が法令、定款、大蔵大臣命令に違反したとき、もしくは公益を害したときは、政府はそれらの役員を解任することができる、こういうふうに日銀法にはうたわれているのですね。  さて、大蔵大臣、先ほど今回の日銀不祥事は著しく公益を害した、あるいは日本の国益を損なった、こう認識せざるを得ない、こういうふうに私に答弁をなさいました。そうであれば、政府の立場として役員を解任することができるわけです、公益を著しく侵しているわけですから、害しているわけですから。私は大蔵大臣初め内閣日銀の役員全員を解任すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
  65. 松永光

    松永国務大臣 現行日銀法規定は今委員が申されたとおりになっておると思います。新しい日銀法ではこの点が非常に縮小されて、いわゆる日銀独立性というものが強化されたわけであります。  今の委員の御質問の趣旨は、現行日銀法規定に基づいて、現行法に基づいて内閣解任権を行使すべきではないか、こういう御指摘と思いますけれども、現行日銀法に書いてありますように、「役員ノ行為ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反」「若ハ公益ヲ害シタ」とき、「役員ノ行為ガ」と、こうなっておるわけでございます。したがって、この条項が適用できるかどうか、私は否定的に解釈せざるを得ないのです。  とにかく、行政府から日銀独立性を保たなければいかぬ、そういう精神で新日銀法はできた、こう思っております。あと二週間と少しで新日銀法に移るわけでありますけれども、そういう点を考えますと、この問題の処理というものは、あくまでも日銀が自主的に厳正な措置をするというのが妥当であるというふうに思っております。
  66. 松沢成文

    ○松沢委員 法曹界出身の大臣とは思えないように、改正日銀法の精神は今関係ないのですよ。今起きている事件は今の法律によってのみ処罰できるわけであって、その精神を最初におっしゃるのはおかしいなと私は思います。  そして、今回の吉沢課長の不祥事は、総裁だけではなくて役員にさまざまな連帯責任があるのではないかと私は思いますよ、日銀の運営に対して。今後、もし職員不祥事がさらに出た場合は、これはさまざまな権限を役員は持っていると思いますね、それをしっかりと把握していれば、私は、役員全体の責任という判断も、監督不行き届きという判断もできると思うのですね。  今回はそういう判断をしないということでありますが、改正日銀法に入る前に、この現在の日銀法でしっかりと、こういう権限があるのですから、処分をしてうみを出して、もう一度日銀をつくり直して、改正日銀法の時代に入る。これをやらなければ、大蔵大臣、あなたが法曹界出身で、非常にそういう面に厳しい判断を、秩序を持っているということで任命されたのですから、その価値も私はないと思うのですね。ぜひともそういう姿勢を持っていただきたいと思います。  さて大蔵大臣、あなたは去る二月三日、三塚大蔵大臣引責辞任を受けて大臣就任後、大蔵委員会で次のように語っているのですね。三塚前大臣は、すぐやめることだけが唯一の責任のとり方ではないが、金融行政に関する不祥事であるがゆえに監督責任をとって身を引くことが国家国民のためだ、こういう判断に立たれて辞任されたものと思う、敬意を表するというふうに語っているのです。  さらに、こういう答弁もしているのですね。私自身はそういう事態にならぬよう頑張っていくつもりだが、万が一、またしてもそういう逮捕者を出す事態に遭遇した場合には、三塚前大臣責任のとり方も参考にしながら、どうすることが国家国民のためかということを総合的に判断して、とるべき場合はきちっと責任をとると語っているのです。これは間違いありませんね。
  67. 松永光

    松永国務大臣 最後のところがちょっと違うのじゃないですかな。きちっとした身の処し方をするとかなんとか言ったはずでありますが、それは、何というか、まあ小さい読み間違いだというふうに思いますが。  私は、どういうことかというと、三塚さんが全体の責任をとっておやめになったということについては敬意を表する、こう申し上げたわけです。  私はその後を受けて橋本総理から任命をされたわけでありますが、そのときに橋本総理が言うのは、三塚さんがやめた後を受けてのことであるから、三塚さんがやるべく努力をしてきた大蔵改革をぜひ断行すること、それから内部調査を徹底して、二度とこのような不祥事が起こらないような大蔵省に立て直すこと、そういったことをしっかりやるようにということを特に指示されました。  その指示を受けて大蔵改革を断行する。これは職員の精神面のことと、そしてまた行政あり方の面での改革と、両面からやらなければ大蔵改革はできぬわけでありますが、それをやり遂げることと、それから職員の中に、捜査当局捜査対象にならなかったとしても非違を犯した人がいる可能性が高い、そういった者について内部調査を徹底して、そして厳正な処分をすること、こういったことをやり遂げるのが私に対する総理からの指示であり、また私はそれをやり遂げることが私の責任だ、こう考えまして、そういう立場でこれからも、大変な仕事でありますけれども、やり遂げていきたい、こう考えているところでございます。  なお、先ほど、現行日銀法関係で私の答弁について、委員は非常に不満であるようでありますけれども、条文を読めば、「役員ノ行為ガ」、こうなっているのですよ。犯罪を犯したということで逮捕されている人は、実は役員ではないわけですね。したがって、それは、この「役員ノ行為ガ」云々という条項にはこの法律上は当たらない。  のみならず、日銀独立性というものはきちっと守っていくことが大事なことだというふうに思います。行政府の法律規定に基づかざる措置によって日銀に対するいろいろなことがなされれば、言うなれば日銀独立性というものが行政府の行動によって侵されるというふうに見られないとも限らない。私はそういう見解に立って、先ほど申し上げたような私の考え方を申し上げた次第であります。
  68. 松沢成文

    ○松沢委員 大臣の答弁の、身の処し方というのは確かにおっしゃっていますね。  質問者が、大蔵省の中でまた司直の手が及ぶというようなケースが出た場合、あなたの前任者の時代の話であっても、政治家の責任大臣の身の処し方ということを尋ねられたとき、もしという話、もしの場合には、そのときにおいていろいろな点を総合的に判断して、政治家としてのきちっとした身の処し方をしたい、こう答えている。確かに大臣のおっしゃるとおりで、きちっとした身の処し方ということを言っています。  さて、この答弁をしたときに、大蔵の官僚が金融検査官初め二人逮捕されて、それで三塚大臣責任をとって辞職をした直後でありました。これは一月の話です。それから、二月にまた大蔵省の官僚が二人逮捕された。今度はいわゆるキャリア組と言われている高級官僚も入っていたわけですね。高級官僚というかキャリア官僚も入っていた。さて、一昨日、大蔵大臣監督権限がある日銀からもまた逮捕者が出たのですね。そして大蔵省の中では昨日、またしても金融検査にかかわっていた方が自殺をなさっています。自殺者も二人目であります。こういう状況なんですね、大臣が就任してからも。  さて、こういう状況の中で、総合的判断に立つ政治家として、きちっとした身の処し方、それはどういうものなのか。  大臣大蔵改革に向けて努力をしているとおっしゃいますけれども、私は、今の大臣が行っている調査、これは本気で大臣がやられているのか、今までの答弁を見ていると、疑わざるを得ません。ほとんど内容をわかってない。官房長がここに来て、おお、どうなんだ、答えろと言って、答えている。あなたが先頭に立ってやらなければ絶対できませんよ、調査は。官房長だって身内なんですから。身内の検査をして処罰するなんということは、身内の方はなかなかできません。  あなたが、大蔵改革が使命だ、まだ逮捕者が続いてもこれをやり遂げるまでやめられない、それが身の処し方だとおっしゃるのであれば、この調査はきちっとあなたが先頭に立ってやらなければ絶対できません。  まず、この調査はいつまでに仕上げるのですか。それはちゃんとデッドエンドは決まっているのでしょうか。日銀の方は少なくとも三月までにはやる、四月から改正日銀法、新しい体制に入りますから、やるとおっしゃっていましたけれども。いつまでにやるということもわかっていない。捜査資料も持っていかれてなかなか難しいのです。あるいは何百人もいますから、なかなか集められない。調査の内容も極めてあいまいだ。  大臣、本気で、大蔵改革をやるのが自分の使命で、今はやめるわけにはいかないのだとおっしゃるのであれば、この調査はいつまでにやるのか、ここで明言してください。
  69. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  私が先頭に立ってやらにゃいかぬのです。しかし、実際を言いますと、しかしを言っちゃいかぬかもしれぬけれども、月曜日から金曜日まで本当に、国会の答弁はもちろんでありますが、その他のこともありまして、なかなか時間がとれない。その中で、まずとっかかりは官房長を頂点とした金融服務監査官の仕組みでありますから、ある程度まとまった段階で私がみずから乗り出して、そしてまとめていきます、こういうことを申し上げておるわけであります。
  70. 松沢成文

    ○松沢委員 今、後ろから意見も出ていますけれども、やはり官僚の不祥事調査を官僚にやらせてもできませんよ、身内なんだから。政務次官がいらっしゃるじゃないですか。やはり政治が官僚の行為をしっかりとチェックする、これが民主主義でしょう。そうであれば、政務次官をヘッドに立てて、おまえが責任を持っていつまでにやれ、こういう姿勢を見せない限り国民は信用しません。それで、大蔵省の政務次官を使うことについて、大臣はどう考えるか。  そして、大蔵省も、この一連の調査が終わって結果が出る。これからまだ逮捕者が出るかもしれません。国民に対して大蔵省の信頼を取り戻そうと本当に考えているのであれば、私は、大臣の権限で、局長以上の方すべて首を切るべきだと思います。そして、新しい大蔵省につくり直さない限り、今失ったこの信用というのは決して取り戻せません。やはり人心一新、すべて組織をつくり直して出直す、これぐらいのことをしなければ、今の国民は納得しないと思いますが、いかがでしょうか。
  71. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  ただいまの委員の御意見はよく拝聴いたしました。なお、政務次官を活用すべしというのも、提案としてよく受けとめました。調査の実を上げるためにいろいろな知恵を絞って対応していきたい、こう考えております。
  72. 松沢成文

    ○松沢委員 次に、郵政大臣総務庁長官がおいでですので、ちょっと郵政関係の公益法人についてお聞きしたいと思うのですね。  郵政省関連の社団、財団法人、いわゆる公益法人と言われているものですけれども、大体幾つぐらいあるのか、また、ここに郵政省の職員がどれくらいいわゆる団体の役員に天下っておられるのか、この辺の数字をまず出していただきたいと思います。
  73. 天野定功

    ○天野政府委員 委員の御質問にお答え申し上げます。  郵政省が所管しております公益法人は全体で二百二十五法人でございまして、これらの所管する公益法人のうち、ただいま御質問のありました、理事の中でいわゆる郵政省OBは、八十三法人に百八十九名が就任しております。そういう状況でございます。
  74. 松沢成文

    ○松沢委員 私もちょっと数は数えられなかったのですが、どんな法人があるか見てみたのですね。本当にいろいろな公益法人がある。何をやっているのかわからないのがたくさんあるのですね。  ちょっとここで御披露しますから、皆さん、どういうふうに認識されるか聞いていただきたいのですが、郵政福祉協会、そして郵政互助会、郵政弘済会、何か恐らく福祉向上のためにやる団体でしょうけれども、これはどこがどう違うのか、わかる方がいたら教えていただきたいのですが。そしてこういうのもあります。通信文化振興会、そして郵便文化振興協会、これもどこが違うのかよくわからない。これはもうきわめつきなんですが、簡易保険加入者協会というのがあって、簡易保険加入者サービス協会というのもあるんですよ。どこが違うのか全然わからない。電気通信協会というのもあるし、電気通信普及財団というのもある。もっとわかりにくいのが、無線設備検査検定協会というのがあって、電気通信端末機器審査協会というのもあるのですね。本当にきわめつきはこれだと思うのですが、日本郵趣連合というのがあって、日本郵趣協会というのもあります。皆さん、これは違いがわかりますか。  郵政大臣、私、わかることは全然期待していません。が、これぐらい団体があって、今私が言った類似のような団体があるのですが、郵政大臣はどれぐらい把握していますか。これとこれはこう違うんだということを御説明できますか。できないなら全然いいのです、私もわかりませんと言っていただければ。どうでしょうか。
  75. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 松沢委員にお答えをいたしますけれども、各種公益法人の名前を挙げられたわけでございますが、私も全部把握はいたしておりませんが、日本郵趣協会というのは、これは実は趣味の切手の会でございまして、大変まじめな、今まで記念切手を出しておりますが、その団体でございまして、私も実は地元の郵趣協会の支部の大会に行ったことがございます。  郵便というのは、社会経済の大変大事な機能であると同時に、やはり一種の郵便文化と申しますか、そういったものがずっと明治以来あるわけでございまして、そういった意味で、趣味の切手あるいは記念切手を集めていただいて、そういった同好会の方が集めていろいろな御意見をやるということでございまして、やはり国のいろいろな事業でございますし、行政でございますから、そこら辺を円滑に図るために公益性を持った一定の団体が公益法人であるということは、やはり国の行政あるいは国の企業でございますから、そういったことを、公益性があるということでお手伝いをしていただいているということ、そういうふうに私は、全部は全部知りませんけれども認識をいたしております。
  76. 松沢成文

    ○松沢委員 いや、本当におっしゃるとおりで、まじめかまじめじゃないかが問題じゃなくて、本当に国民の切手を集める趣味にまでお上の郵政省がこうやって公益法人として団体をつくる必要がどこにあるのか、私は全く理解に苦しむわけであります。  そこで、政府は、平成九年の十二月十六日に公益法人の設立許可及び指導監督基準というものをつくって閣議決定をなされておるのです。この監督基準の一の「目的」では「公益法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならず、次のようなものは、公益法人として適当でない。」として「特定団体の構成員又は特定職域の者のみを対象とする福利厚生、相互救済等を主たる目的とするもの」とあるのですね。  さて、そうしますと、先ほど私が挙げました郵政互助会とか郵政福祉協会とか郵政弘済会の目的とするところは、この指導監督基準で指摘する公益法人として適切でないという基準に抵触しないのでしょうか。総務庁長官、いかがでしょうか。
  77. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先生も御承知いただいておると思うのでございますが、公益法人関係総理関係で担当いたしておりますが、ただいまのお話は、私の立場から直接的に公式に申し上げてどうかと思うのでございますが、昨年のそのような公益法人等々の整備合理化に対する政府の施策に照らしまして検討をいたすべきものである、さように判断をいたしております。
  78. 松沢成文

    ○松沢委員 町に行きますと、よくメルパルクとか、ゆうぽうとという施設、ホテルと宴会場みたいなものを持った施設があるのですね。また、地方に行きまして、新潟シティホテル、博多シティホテル、ニュー鳥取ホテル、これはすべて駅前の一番いい目抜き通りの一等地ですね。これはすべて郵政省関係と聞いているのですけれども、どこの団体が出資して経営をされているのでしょうか。
  79. 天野定功

    ○天野政府委員 お答え申し上げます。  メルパルクというのは、これは私どもの認可法人でございます郵便貯金振興会というものが、郵政省が施設を建設しまして、そしてそれの管理運営をしている法人でございますが、その郵貯振興会という認可法人が管理運営している施設でございます。  それから、シティホテルというのがございましたけれども、これは、互助会が出資している関連会社に弘信観光というのがございますが、そこが建設し運営している施設でございます。
  80. 松沢成文

    ○松沢委員 大臣、なぜ郵政省の公益法人がこういうホテル経営に乗り出す必要があるのでしょうか。  先ほど御紹介しました閣議決定の監督基準で、公益法人の事業としては、「営利企業として行うことが適当と認められる性格、内容の事業を主とするものでないこと。」というのがあるのですね。ホテル経営が、郵便事業にとって適切なものなのでしょうか。ホテル業界は今不況で大変ですよ。これこそ官業が民業を圧迫しているいい例じゃないですか。  なぜ郵政省の公益法人がホテル経営をしなければいけないのか、郵政大臣はどうお考えでしょうか。
  81. 天野定功

    ○天野政府委員 私の方からお答え申し上げます。  まずメルパルクは、先ほども申し上げましたように、郵便貯金振興会といいまして、郵政省の、郵便貯金の周知宣伝等を担う役目を持っております認可法人でございまして、このメルパルクの施設も、郵便貯金の周知宣伝活動の一環として建設されているものでございます。
  82. 松沢成文

    ○松沢委員 公益法人が出資して子会社をつくるというのは相当やっているのですね。  もう一点聞きますけれども、郵政互助会には、系列事業活動をしている子会社というのが幾つかあるらしいのですよ。その中に、これは倒産してしまったのですけれども、郵政互助会の一〇〇%出資の子会社で、一九六三年設立の弘信商事というのがある。これは、一九九四年に一千億の負債を残して倒産したのです。弘信商事というのは手形割引業なんですね。ところが、信販やリース、ファイナンスなどのノンバンクが非常に盛んになってきて、営業不振になって、巨額の負債を抱えて倒産したのです。  互助会は、出資金、債務保証などで七百億円を超える損失で、総資産が相当目減りしたというふうに聞いています。この大きな損失を出した当時の理事長や役員というのは、どうやって責任をとったのでしょうか。この負債はどう処理されたのでしょうか、お聞きしたいと思います。
  83. 天野定功

    ○天野政府委員 弘信商事は、ただいま委員御指摘のとおり、倒産いたしまして、今法人としては解散しておりまして、当時の役員は全部もう当然やめておるわけでございます。  それからまた、その負債は、出資している互助会の方がいろいろ資産を処理するなどして、その負債の返済に当たっているところでございます。
  84. 松沢成文

    ○松沢委員 互助会のお金というのは互助会員から集めているのですよね。こういう人たちにみんな不利益が回っているわけなのです。大変なことだと思います。  また、互助会はこういうこともやっているんですね。郵政局舎や職員宿舎などをつくって郵政省に貸しているわけなのです。また、互助会の子会社に互興建設というのがある。互興建設は、この郵政省の局舎、宿舎の建設、改修工事、メンテナンスをやっているのですね。これは随意契約でやっているのでしょうか、それともちゃんと入札をしてやっているのでしょうか。
  85. 濱田弘二

    ○濱田政府委員 お答え申し上げます。  これは、先生御案内のように、会計法令によりまして、工事の関係でございますので、二百五十万円を超えるものについては、原則競争入札でやっておるところでございます。
  86. 松沢成文

    ○松沢委員 ではもう一点だけ聞きますけれども、今度は設計の方ですね。ニッテイ建築設計事務所というのがあって、この会社は一九七二年設立ですけれども、この会社の、郵便局舎の設計の受注はもう群を抜いています。具体的に、今まで受注された特定郵便局は、一九九五年三百七十局。これまでの、一九七二年以来特定郵便局の設計をした総数が、八千六十五局のうち二千四百局はここがやっているわけですね。ほとんど子会社の寡占状況のような形であります。  郵政省が公益法人をつくって、公益法人がその下に会社を幾つもつくって、そこで発注する事業はすべてその会社に流していく、こういう構図ができ上がってしまっているわけですね。  郵政大臣、よく郵政一家と言われますが、こうして郵政省が公益法人をつくり、その公益法人が株式会社をつくり、その事業はすべてそこで回していく。そして、なかなか民間の企業は入りにくい。なぜかというと、郵政省の説明は、さまざまな設計に特殊性があって、専門性がないとできないと言うのですね。ただ、今の設計会社はすべての専門性を備えていますよ。そうやって仲間以外を排除して、自分たちの仲間に利益を回していくという構図ができ上がっているのじゃないでしょうか。  郵政大臣、いかがお考えですか、こういう構図に対して。
  87. 濱田弘二

    ○濱田政府委員 まず、私から事実関係お話しさせていただきます。  先生ただいま御指摘のニッテイ建築設計でございますが、これは公益法人とは関係ございません。株式会社でございます。  それからまた、一番新しい実績で、平成八年度でございますが、郵政省の発注額、ニッテイ建築設計には二億七千万いたしておりますけれども、郵政省全体の、本省、郵政局でございますけれども、発注額は三十七億八千万円でございますので、その比率は七%というところでございます。  なお、先ほどの互興建設は、郵政省トータルの発注額のうちで、互興建設に発注いたしておりますのは〇・四六%という比重でございます。
  88. 松沢成文

    ○松沢委員 もう一つ聞きますが、郵便事業の郵便の配達、局から局までの移送ですね、はがきや小包を移送する。これはよく郵政省は、民間に委託しているのです、民間活力を使っているのですと言うのですが、これはほとんど、日逓と言われる日本郵便逓送の独占状況ですよね。この日逓のまた子会社がやっているのです。  民間に委託をして民間の活力を使うというのであれば、なぜ競争させないのでしょうか。なぜ、ヤマト運輸や西濃運輸がもしやりたいと言った場合、やらせないのでしょうか。ちゃんと競争入札として、この運送についても外注が出せないのでしょうか。その辺についてはいかがでしょうか。
  89. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 お答えを申し上げます。  郵便物の取り集め、あるいはその配達、あるいは運送につきましては、御承知のとおり、利用者の皆様から出されました郵便物を翌日または翌々日までに確実に配達をしなければならないということになっておりまして、こうした郵便業務の特殊性を反映いたしまして、この運送につきましてもいろいろな守らなければならない項目がございます。  例えば、分単位に定めました厳格なダイヤを定時運行いたします。それから、郵便物は、夕刻差し出されたものを夜間に処理をいたしまして早朝に郵便局に届ける。そういう意味で、運送便も深夜、早朝に集中をいたします。しかも、扱っておりますのは手紙、はがき、そして現金などでございまして、安全性につきましても特別の配慮が必要であります。かつ、臨時、大量に出された場合の臨時便の迅速な対応というようなことがございまして、そういう意味では特別な運送だということになっております。  したがいまして、貨物自動車運送事業法の中におきましても、この郵便物を運びます専用自動車の運賃は特殊運賃という中で定められておりまして、霊柩車、清掃車等と並びまして、確定額運賃で定められているというところでございます。それで、私どもの郵便物の運送につきましては、郵便物運送委託法という法律がございまして、その中で、確定額運賃によるものにつきましては随意契約をやってよろしいということになっておりまして、この規定に基づいて、現在随意契約でやっているわけでございます。  しかしながら、私どもも、随意契約であるからコストについてはどうでもいいということを考えているわけではございませんで、コストの削減については鋭意これに努めているところでございます。例えば、この十年以上、郵便物の運送にかかる運賃料金は値上げをされておりませんし、私どもの全体の郵便の支出の中で運送経費の占める割合も年々低下をしているところでございます。
  90. 松沢成文

    ○松沢委員 今答弁いただいた条件、私は民間でも立派にやり遂げる会社がたくさんあると思いますけれども。  最後に、大臣考え方をお伺いしたいんですが、今度郵政三事業の改革があるということで、郵政事業庁というのを経て新郵政公社という形になる。そこには、独立採算でできるだけ効率性を求めて、公社という企業体として運営をしていくということであります。今私が指摘しましたように、郵政一家と言われるような身内での談合体質、こういうものを、公社という形にしていかに改革をしていこうと考えておられるのか、大臣の大所高所からの考え方を最後にお聞かせいただきたいと思います。
  91. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 松沢委員にお答えをいたします。  今先生御指摘のとおり、郵政事業の経営形態については行革の中でいろいろな論議があったわけでございますが、行政改革会議の最終報告及び中央省庁等の改革基本法の中では、御存じのように、郵政事業の実施部門を、一たん総務省の外局である郵政事業庁の所管とされまして、その後、郵政事業庁は、国営三事業一体の、国家公務員としての身分を維持しつつ国営の新たな公社に移行し、これにより民営化等の見直しは行わないとされたところでございます。  この結果、国民生活に不可欠なサービスを、国民に身近な郵便局を通じて全国あまねく公平に、ユニバーサルサービスと申しますが、三千三百の市町村にすべて、郵便局の二万四千六百のネットワークがございますし、どんな過疎地でもあるいは有人離島でもこの郵便局サービスを受けられるようにさせていただいているわけでございますが、そういったことを提供させていただくということは、国家の基本的なインフラとして私は極めて重要なことだと思っておりますが、そういった、今までも基本的に果たしてきた大事なところは今後とも維持をされるというふうに受けとめております。  そういった中で、今も先生いろいろ御指摘があったわけでございますが、ユニバーサルサービスという基本線は守りつつ、やはり効率的に経営をすることが必要でございますから、機械化の推進、二月からは郵便番号七けた化を導入させていただいたわけでございますが、そういった中で、いわゆる効率化ということで、ここ十年間も五千人ほど人員を削減させていただきました。さらに十年間で八千人人員を削減させていただこう。これは関係団体の御理解もいただきまして、そういうことをやるということを決めさせていただいたわけでございます。そのために実は二千億円の経費を削減をさせていただこう。  こういった経営努力と申しますか効率化努力も現在させていただいておりますし、そうした業務の見直し、それから業務委託の推進等、事業運営の合理化、効率化に努めてきたことであり、これはもう経営形態がどういうことであれ、やはり効率化ということは大変大事でございますから、そういったことをきちっと認識してやっていきたいというふうに思っております。  今後も、できるだけ安いコストでよりよい行政サービスを提供する、郵便局サービスを提供させていただくということは、国営である限り私は貴重な使命だと思っておりますから、そういった行政改革の本旨に沿って、一層の郵政事業の合理化、効率化に努めてまいりたいというふうに思っております。
  92. 松沢成文

    ○松沢委員 どうもありがとうございました。終わります。
  93. 越智通雄

    越智委員長 これにて松沢君の質疑は終了いたしました。  次に、城島正光君。
  94. 城島正光

    城島委員 日銀総裁、いらっしゃるでしょうか。
  95. 越智通雄

    越智委員長 松下参考人は着席いたします。
  96. 城島正光

    城島委員 民友連城島です。  午前中、我が同僚議員から、同じような観点だと思いますが、まず日銀総裁に対して今回の不祥事についてさまざまな観点からの質問をさせていただいておりますが、私も、基本的な問題意識、全く同様であります。  率直に申し上げて、驚き、さらには、ちょっと言葉がないほどの残念さがあります。これは恐らく国民皆さん全体もそういうことだろうと思います。特に、この一連の、大蔵省あるいは道路公団もそうでありますし、さらには金融各企業部門の不祥事。  そういう流れの中で、よりにもよってというのでしょうか、まさしく、我々の経済、生活の本当の基盤でありますけれども、そのお札を、日本円を刷っている日本銀行、さらには全体の金融の政策を調整している日本銀行の中でこうした不祥事が起こったということは、まさしく前代未聞でありますし、国民の皆さんからの信頼、日本円に対する信頼、すなわち日本金融部門さらにはこうした日本のリーダー層に対する信頼というのが一遍に、あっという間に失われた事件はないというふうに思います。  同時に、そのことは、国内のみならず、巷間あるいは海外からのいろんな報道等が既に示されておるわけでありますが、今これだけ日本金融あるいは日本経済というものが世界的に極めて注目され、また重要だと言われている中にあって、海外からの信用、まさしく信頼の失墜というところは、これは率直に申し上げて、金額とかに換算できない、極めて大きな信用を失ったということだろうというふうに思います。  これを一体どうやって回復していくのかということは、本当に並み大抵のことではないし、口で言うのは簡単でありますけれども、懸命な努力を超えたぐらいのことがなければ、国内外の信頼、日本金融あるいは日本そしてまた日本円というものに対する信頼を回復することは到底難しいという事件であるというふうに思います。  何でもそうでありますけれども、信用を得るということはもう大変長い期間がかかるわけでありますが、信頼、信用を失うというのはあっという間に、瞬間的に起こるわけでありまして、今回の不祥事、この事件というのは、まさにその象徴的なことだろうというふうに思います。  極めて残念な気持ちの中で、まず総裁にお伺いしたいわけでありますけれども、想像できないようなこういう不祥事が一体どうして起こったのかという素朴な疑問でありますが、総裁としての現段階での御見解を承りたいと思います。
  97. 松下康雄

    松下参考人 今回の不祥事につきましては、ただいまも御指摘をいただきましたように、およそ一国の通貨信用の基本を担うべき中央銀行といたしまして、まことに申しわけのないことでございまして、この点は弁解の余地のないところでございます。  私どもといたしましては、内外の市場全体に対しまして、また国民に対しまして、私どもの信頼をいかにして速やかに回復をしてまいるか、そして金融的に、現在の難局に対して、やはりこれを乗り越えていくだけの力をお示しをすることができるかという点は非常に重要な課題であるというふうに、心から認識をいたしております。  御質問の、どういうふうな原因からこれが生じたのかという点につきましては、私どもも、実を申しまして、今回の事案をもっと深く掘り下げて検討いたしまして、それに加えて、組織の運営全体のこれまでの実態をもう一度見直しをいたしまして、本当の根底からその原因の究明を行っていかなければならないところであると考えております。  私どもといたしましては、従来の民間の一般の外部の方々との交際等につきまして、これを、各人の良識にまつという態度で、全体としてのモラルの維持と申しますか、節度を保たせるという面に重点を置いて考えてまいりましたけれども、そしてまた、私自身は着任以来、日本銀行の大多数の職員はそういう気持ちを持って着実に堅実な仕事をしてくれていると思いますけれども、その中にこのような不祥事発生しますことにつきましては、やはり、全体の管理の引き締めというものと個々の職員に対する行動規範の明示という、この点が大事なことだと思っております。
  98. 城島正光

    城島委員 恐らく、私が想像するまでもなく、一般的に、今回のことについては、外からの想像でありますけれども、かなり広い範囲の中においてそういう業界とのいわゆる過剰な接待というのが行われていたのじゃないか、その中でたまたま彼がそういうことによって、今また複数がまだ調べられているということでありますけれども逮捕されたということではないかというふうに言われておりますし、恐らくそういうことだろうと推測するわけであります。  もしそういうことだとすれば、総裁自身、どうも、今、日銀の中ではちょっと風土的におかしいなということをお感じになることはなかったんでしょうか。
  99. 松下康雄

    松下参考人 ただいま御指摘の点につきましては、現在、やはり全体的にこれまでの慣行なりの見直しを行う必要があるということで、役員と管理職の全員を対象といたしまして、過去五年にわたる外部との交際等の実態につきまして調査を行っているところでございます。  その調査はただいま、現在は第一次的な聞き取り調査がかなり進行をしているという段階でございまして、まだ全容を見通すところまでは進んでおりませんけれども、そのような調査を行いました結果を見て、果たしてこのような不祥事件のたぐいがほかにも多く存在したかどうかということは、きっちりと把握をし、解明をしていかなければならないと思っております。
  100. 城島正光

    城島委員 そのことは当然もうぜひ徹底してやっていただきたいわけでありますけれども、そうではなくて、今までの中で総裁として、まさしく職場の中で、日銀の中で、そういう、ちょっとこれは過剰な接待を含めた職場の規律みたいなものがおかしいなということを御自身で感じられるとか、あるいはそういうことが役員の中の論議として、テーマとして出てくるというようなことは、今までなかったんでしょうか。
  101. 松下康雄

    松下参考人 私は、着任をいたしましてから約三年三カ月になります。その間に日銀の役職員の方々と一緒に仕事をしてまいったのでございますけれども、何分にも、やはり私の立場から申しますと、行員の中に親しく入り込んで、そしてその内情について肌身で感じるという機会は比較的に少のうございまして、外部との交際にいたしましても、内外の金融機関の首脳部でありますとか、そういうところとの種々の打ち合わせ、交渉というようなことが多うございました。そういう点で若干、私自身の日常の見聞と申しますものが十分であったとは申せません。  これまで私も、いろいろな機会に、日銀内部の綱紀というものは十分に保たれていると考えるかということを記者会見等で問われたこともございますけれども、その際には、私の見たところでは、大多数の職員は非常に忠実に堅実な仕事に精励をしているように認められるので、非常に大きな綱紀上の問題は日本銀行というところは比較的に少ない職場であると考えているというふうに申し上げてまいりましたが、今回のような不祥事案の発生を見まして、まことに残念に思っております。
  102. 城島正光

    城島委員 まさしく、そういう面からいうと、今も総裁がおっしゃいましたけれども、いわゆる職場の規律とかあるいは職場の実態といった面でのいい意味での管理、そういうものについては、ほとんど総裁としては関与してこなかったというように承るわけでありますが、やっぱりそういう点でいうと、自律心というんですか、けじめというのは極めて大事、極めてどころじゃなくて、それが基本みたいな職場であるというふうに思います。  そういうところにおける総裁としての今おっしゃったこと、それももちろん最大限大事な仕事だと思いますけれども、そういう日銀の職場として、日銀の全体の風土も含めたことを維持していくということも、先ほど申し上げたように、この金融行政の信頼を維持していくという観点からも物すごく大事な本来の仕事であるというふうに思うわけであります。その辺がやっぱり、私、今聞きましたけれども、かなり現実的には、信頼ベースかもしれませんけれども、抜けていたんじゃないかなというふうに思います。  私も長く企業にいたわけでありますけれども、そういう中でそれぞれの職場の風土みたいなものを、私の体験からいうと、だれか特異的にある人が、今回みたいなのは象徴的でありますけれども、問題をだれか一人突発的に起こすというようなことよりは、やはり長年の中でそういう風土ができ上がってくる。なかんずく職場単位で、普通は上司の姿を見て育っていく、さらには、先ほど総裁自身もおっしゃいましたけれども、長年の慣習みたいなものが身に染まっていくということであります。  先ほど申し上げたように、恐らくこうした風土も長年の中に培われてきているし、そしてまた、それは恐らく上司、そしてその上司の最終的な姿というのは総裁自身であるわけですね。総裁自身の姿を見ながら、それぞれの管理者、役員がまた行動していく。それを受けて、部課長を含めて管理職、そしてまた一般従業員がその姿を見ながら成長していくということになるわけであります。  そういう点でいうと、これまで就任されて三年強ですか、総裁自身の姿そのものというのもやはり影響している部分があるというふうに僕は思わざるを得ないと思いますが、その辺についての御見解があれば承りたいというふうに思います。
  103. 松下康雄

    松下参考人 私自身も、この現在の総裁の職を命じられましたときには、中央銀行という非常に責任の重い職場で働くということになったので、これは特段に心を引き締めて、通常の行動でありましても、また、職務の内容、遂行のためのいろいろの準備から遂行自体にとりましても、できる限りの努力をしなければならないというふうに言い聞かせて今日までやってまいったつもりでございます。  また、折に触れまして、行員の諸君にも、中央銀行職員としての職責の重さと、世の中から要求される倫理性の強さというものについては、十分にそれを考えて行動をするようにということを申してまいったつもりでございます。  ただ、こういう結果に相なってみますというと、やはり私自身のいろいろの努力にも足らざるところがあったというふうに反省をいたしております。
  104. 城島正光

    城島委員 こういうことが起こりますと、一遍に、いろいろな過去の問題を含めてマスコミ等で報道されるわけであります。きょうの新聞等でも、本当はどうかわからないけれどもというような前提はありますけれども、東海銀行の問題ですとか、あるいは融資を引き揚げた問題ですとかいうのも報道されていますが、実は、同じような機密漏えい事件が過去にもあったというふうに報道されております。  昭和六十三年の三月にいわゆる日銀短観が事前に漏れた、あるいは平成五年の一月に、旧三菱銀行への考査の資料が、かなり詳細なものが他行に流れているというような、似たようなことが既に過去何度か実は起きている。しかし、それも結果として、はっきりとした内部での調査、明確な、どういう理由でそうなっていったのかということを含めて、内部での監査というのでしょうか、内部対応がうやむやの感じで終わっているという報道がされているわけであります。  こういうことが現実にあったのかどうか、そしてまた、そういうことにきちっと対処されたのかどうか、いかがでしょうか。
  105. 松下康雄

    松下参考人 私も過去の一々の事案につきまして詳細を承知しているわけではございませんけれども、ただいま御指摘のありました、過去において考査資料が漏れたという事例につきましては、私の聞きましたところでは、当時、調査を実施いたしまして、調査の結果は、確実なところは判明できなかったけれども、これは漏れなかったということが確認できるまでに至らなかったという判断におきまして、必要な処分も行ったというふうに聞いております。  また、短観の情報につきましては、その後、数字が事前に漏れることを絶対に起こらないような統計の収集、整理、集計から印刷のやり方まで考えるということで、現在におきましては、コンピューターのシステムを使いまして、計数がまとまりまして市場に実際に発表されるその時点までは、このコンピューターを操作している人物は別かもしれませんけれども、私ども役員でありましてもその数字に接することができないように、機械的な処理をきちんとやるような仕組みに改めております。  いろいろの点で判明をしました事案に即しました改善の努力というのはしてまいったわけでございますけれども、それにいたしましても、今回のような事案発生をいたしまして、まことに残念に思っております。
  106. 城島正光

    城島委員 やはり過去のことについても、その段階で本当の意味で徹底した解明がされ、それでその再発防止ということにおいて取り組まれていったらば、もう少し、こういうことにならなかったかもしれない、そういう感じがしてならないわけであります。  したがって、今回の内部調査においても、前回の、今申し上げたようなことを含めた反省に立って、うみを出す、血を流すという覚悟で徹底した内部調査をやっていただきたいのですが、なかなか現実的には、私もそう思いますけれども国民全体からは、本当にそういうのが出てくるのかなという不信感があるということははっきり申し上げたいというふうに思います。  それで、もう一つ、こうした信じがたいようなけじめのなさ、ましてや使命感のなさというのでしょうか、そういう人が中枢の仕事をやっているということにおいて、どうも、聞くところによりますと、労働条件というか処遇もそうでありましょうが、人事制度そのものも問題があるのではないかという指摘があります。  すなわち、若いときから幹部候補生というのを選別していく、したがって、幹部になっていく人たちのローテーションというのですか、それがおのずからある程度決まっていて、外から見ても、ああ、彼は将来の幹部だなというようなことが一目瞭然にわかるような、そういうことを含めた人事制度であるというような報道がされているわけでありますけれども、そういう人事制度になっているのでしょうか。
  107. 松下康雄

    松下参考人 日銀におきます人事制度は、全体として見ますというと国家公務員の制度とは非常に変わっておりまして、当初から格付が何種類かに分かれて、試験も別、将来の昇進も別ということではないようにできていると聞いております。  ただ、その運営におきましては、やはり、時代が変わりますのに応じて運営の改善を図る必要があるということで、この四月一日からの新日銀法の施行に伴いまして、そういういろいろな人事の任用その他のやり方につきましても見直しをし、改善をするということが行われております。
  108. 城島正光

    城島委員 やはりそういう風土上は、この人事制度は根幹であります。さらには、先ほどちょっと触れましたけれども、賃金や退職金等についても、こういったことについてもやはりきちっとオープンにしていくというようなことが大事だろうというふうに思います。  先ほどの、職場の規律あるいは職場の実情について総裁はどれぐらい把握されているかということをお尋ねしたわけでありますが、こうした人事制度をも含めて見ると、恐らく、想像するに、いろいろな現場で起こっていることのパイプが詰まっているのではないか、やはり組織上の動脈硬化を起こしているのではないかというふうに思います。これだけのものがあれば総裁のところに、少なくとも担当役員あるいはその役員会の中で、一度ならず二度ぐらいは、どうしていこうか、あるいはさらに、規律の乱れがあるようだけれどもというようなことが上がっていておかしくないというふうに思うのですね。  そういう点からすると、先ほど同僚の松沢議員も提案していますけれども、この問題は相当根深い問題がある。そのためには、本当に血を流す、そういうことが日銀の改革、それは日銀の改革だけではなくて、日本の信用、さらには、今度の日銀だけじゃありません、この最近起こってきた一連の不祥事というのは、最大の問題は、やはり青年たち、少年たちの社会に対する、自分たちが将来進もうとする夢あるところに対する不安、失望、そういったことを呼び起こしていることというのは、実は一番大きな社会的な損失だと私は思っているわけであります。  そういったことに対しても、相当な覚悟でやはり改革に当たっていただきたい。そのためには、松下総裁、報道によりますと辞任を表明されたということでありますが、全体の日銀を預かっている役員の皆さんの出処進退ということについてはやはり真剣な見解が必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  109. 松下康雄

    松下参考人 私どもも、御指摘のような全体的な改革の上に立って、日銀の信頼を回復するということは極めて重要なことであると思っております。  ちょうど時を同じくしまして、この四月からの新日銀法の施行に伴いまして、現在私どもは機構の見直しをし、機構改革をし、そして改革をされた新しい機構のもとで、牽制の作業それから種々の事実の把握、確認というような措置も講じやすい形にいたしまして、行内において問題が生じないような体制を整えてまいりたいというふうに考えているところでございまして、この事件を契機といたしまして、そういう点についてもう一度さらに見直しを進め、適切な措置を講じてまいりたいと存じております。  また、御指摘の各役員等の問題でございますけれども、この件につきましてはそれぞれの監督責任というものもございます。私といたしましては、その監督責任の中で一番重いものはトップである私の監督責任であると思っておりますけれども、それを基本にいたしまして、今後、事態がもうちょっと明らかになりました段階で全体の監督責任、私以外の者の監督責任につきましては判断をしてまいることにすべきだと思っております。
  110. 城島正光

    城島委員 それこそ本当にけじめのある出処進退ということを責任ある方々について本当にみずから求めたいなというふうに思いますし、そういう姿をぜひ国内外の皆さんに見せるということが改革の第一歩だということを申し上げたいというふうに思います。  大蔵大臣に、この件について一つ御質問したいのでありますが、やはりこういった風土が出てくる背景の中に、大蔵省に対する、今のまさしく総裁人事含めてでありますけれども、天下り、あるいは大蔵省日銀それから金融機関の癒着構造一つの象徴としてそういうことがあると言われているわけでありますが、今後の大蔵省としての日銀総裁あるいは日銀との関係についての御見解があれば、承りたいというふうに思います。
  111. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  先ほどの松沢委員の質問の際にもお答えしたわけでありますが、やはり日本銀行というのは行政当局からの実は独立性、これは非常に大事な仕組みだと思います。そういうことから、去年の国会で新しい日銀法が制定されたわけであります。したがって、今回の不祥事はまことに遺憾なことでありますけれども、今後のことについては日本銀行自身が厳正な措置をなされるもの、私はそう見ておるわけであります。  また、日銀総裁任命というのは国会の同意を得て内閣任命することでありますので、立派な人が国会の同意が得られて任命されるものというふうに私は思っております。
  112. 城島正光

    城島委員 今回の一連の大蔵省を含めた流れの中では、本質的にはまさにルールに基づく行政をやるのか、裁量行政を続けていくのかという、そういう面でいうまさに分岐点に来ている。我々は、本当の意味でルールに基づく行政へどう転換していくかということがベースとしては必要ではないかというふうに思うわけでありまして、よく海外から言われる日本の体質としてのインサイダー体質があるのではないかということを払拭するためにも、抜本的な日銀の改革そして基本的なけじめを求めたいというふうに思います。  それでは、日銀総裁、結構でございます。  それでは、続いて経企庁長官にお尋ねしたいのでありますが、最近の新聞、もう毎日毎日、ちょっと枚挙にいとまがないわけでありますが、景気の悪化を告げる指標がとにかく連日報道されているわけであります。最近の中だけでも、先月二十七日に発表された、まず一番大事な雇用情勢に関する問題でいいますと、一月の完全失業率というのは四カ月連続で三・五%という最悪の水準で高どまりをしている。  かつ、大変問題なのは、御承知のように、このうち男性が、いわゆる自発的でない離職者の増加ということで男性の完全失業者数が過去最多の百四十八万人に達している。失業率三・七%と過去最悪ということですね。大体こういう数字が多いのですね、過去最悪とか戦後最悪とか。まさしくこの男性の失業率というのは、正確な統計はちょっと見当たらないのですが、戦後直後ぐらいの数字に匹敵する状況のようであります。  これほど実は雇用情勢が悪化しているというのは、もちろんその中身としては景気の悪化がその原因であるわけでありますが、さらに、失業といいますか、就業状況を見ると、家庭内の内訳ということで見ますと、世帯主の失業率というのが二・六%ということで、世帯主の失業率も過去最高、最高というか最悪。  反面、配偶者の失業率が二・〇%と、前年の一月比でありますけれども、〇・二ポイント低下をしている。このことは、家計全体の所得の低下を避けるために、中心的にはいわゆる御家庭の主婦でありますけれども、それがパート等に働きに出るというのが急増しているということをあらわしているわけであります。  さらには、有効求人倍率も〇・六四倍ということで、前の月より〇・〇三悪化をしている。  まさしく雇用情勢は戦後最悪に近い深刻な事態に陥りつつあるという大変な危機感があるわけであります。この雇用情勢について、つい昨年のころまでは雇用情勢も、私の記憶によると、改善しつつあるとか回復しつつあるという表現がずっと一連とられたというふうに思いますが、そのころから私自身も、いや、雇用情勢極めて厳しいというふうに申し上げてきたのです。  この雇用情勢、私は、これを大変深刻化しているというふうに思っているわけでありますが、現状さらに今後半年ぐらいあるいは一年ぐらいの見通しというものについて、まずお伺いしたいというふうに思います。
  113. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 全体の経済の動向につきましては停滞している、一言で言いますと、そういう表現をしているわけでございます。昨年消費税の引き上げがございまして、その消費税の引き上げに伴います三月までの駆け込み需要が割合と大きかったこと、それから四月—六月にその反動減が予想よりも大きかったこと等で一時その影響が非常に大きくございました。私どもは、その後、七月—九月には回復過程にあるということで見ておりまして、事実、経済も雇用等もやや改善をして、九月ごろまでは改善していたというふうに考えておりますが、十月—十二月、特に十一月前後にアジアの状況が非常に厳しくなったことと、それから幾つかの金融関連の企業の破綻がございまして、一遍に十一月から十二月にかけて全体のいわゆるマインドが悪くなってまいりました。  実を言いますと、十二月前後は、そういう意味で、やや金融システム自体に対する不安感というものが非常に強かったわけでございますが、金融システム安定化法案の国会通過及びその施行に伴いまして、金融システムそのものは不安感というものがかなり解消されてきたというふうに考えております。そういうものが株価等にあらわれてきているというふうに理解をしております。  ただしかし、十一月以後その面の影響が実体経済にあらわれてきておりまして、今城島委員おっしゃいますように、雇用が非常に厳しい状況になっている、三・五%がここしばらく続いているという状況でございます。  私どもといたしましては、従来から申し上げております規制緩和とかあるいは補正予算、特別減税あるいは十年度予算等々を順調に審議していただくことによりまして、全体の将来に対する信頼感というものを回復させ、それによって徐々に景気を上向きになっていかせたい、そのように考えている次第でございます。  雇用でございますが、三・五%、男性雇用三・七%、女性三・二%という数字になっているわけでございますが、全体の景気を上向かせる中で、雇用の改善も図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  114. 城島正光

    城島委員 そういう中で雇用の改善というのは、残念ながら今の状況ではなかなか難しいかな。しかしそれを何とか、基本は雇用ですから、これを必死で改善していくことが国の安定のまた基本であるということからすると、今おっしゃいましたようにそのベースはやはり景気ですね。  そういう点からいくと、今年度の経済見通し、成長率一・九%ということを設定されました。これも率直に申し上げますと、大変多くの見方は、高い、そこまでいかぬじゃないかというような見方があるのですが、今年度の着地見通し、これは現時点ではどれぐらいと見られているんでしょうか。
  115. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 平成九年度の当初見通しは、御存じのとおり、一・九%でございまして、昨年の十二月の段階で、実績見通しとしてこれを〇・一%に引き下げをいたしました。そして、その後実際どうなってくるかということでございますが、私ども、先ほど来申し上げております経済現状から見て、マインド的には金融システムの不安感というものが解消されてきておりますけれども、実体経済への影響が十一月、十二月、一月、二月とずっと続いておりまして、経済が停滞をし厳しい状況になっているというふうに考えているところでございます。  あと、これからどうなるかということでございますが、先ほど来申し上げておりますいろんな施策によりまして経済がそこそこの状況になれば、修正といいますか、実績見通しの〇・一%程度は達成できるのではないかと考えている次第でございます。
  116. 城島正光

    城島委員 先月末、日本経済研究センターが発表したそこの見通しというのは、何とマイナス〇・七%という見通しをしているわけですね。このマイナス〇・七%というのは、ひもといてみますと、かつて日本経済がマイナス成長したのはオイルショック直後でありまして、昭和四十九年度になるんでしょうか、第一次オイルショック後のマイナス〇・五%というのが最大でありますし、またマイナス成長というのは、もしそうなるとですけれども、マイナス成長というのは二度目である。また同時に、もしその数字になるとすれば、戦後最悪ということになりかねない。  どちらにしても戦後最悪に近いような状況に今年度は終わってしまう可能性があるというのが実情である。これまた、この面から見ても、景気がいかにことし、先ほどから長官いろいろおっしゃいますけれども、厳しかったかというのは裏づけられるかなというふうに思うのであります。  そういう中で、一・九%、この経企庁というか政府が出しました数字を見ても、この一・九を支えるもの、全部その背景が書いてありますが、いわゆる公共事業を除けば、全部一言で言うと回復するというような見通しの前提になっているわけですね。個人消費しかり、民間設備投資しかり、住宅投資しかり、外需は大体横ばいということでありますけれども。  本当にそうなのか。これはまた民間設備投資も、最近の民間の調査によりますと大幅に見通しを下回る。当然景気の見通しと連動するわけでありますからそうでありますが、この設備投資もそうでありますし、住宅の投資も同様にかなり現実的には企業が計画しているのは難しいということでありまして、ここに言うような、政府が見通すような感じはどうも受けられない。  とすると、やはり個人消費、経済成長率の六割を占めるこの個人消費に実は頼らざるを得ないということになるんじゃないですか。いかがでしょうか。
  117. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 それぞれの点についていろいろ申し上げることもできるわけでありますが、個人消費だけについて見ますと、個人消費は全体のGDPの約六割でございますので、経済の動向に大変大きな影響を及ぼすものというふうに考えている次第でございます。  これにつきましては、実は先ほど来申し上げております、昨年の十一月から十二月にかけましてのいろんな金融システムの問題とかあるいはアジアの問題等々によりまして、急速に実はマインドが悪化をしてきておりまして、消費性向が非常に下がってきているということでございまして、九月と一月の家計調査によります消費性向を見ますと、三・三ポイント下がってきているわけでございます。  今、そういう中で、国民の財布の懐といいますかはそこそこ豊かな状況であると、個人資産千二百兆円等も含めまして、思っておりますが、何しろこの先行きに対する不安感、ひょっとすると、北拓とか山一のような大きい会社もつぶれたんだから、うちの主人の会社も危ないんじゃないかというような意味での不安感がありまして、どうも財布のひもを締めている。その締めていることが実体経済に影響しているというふうに感じている次第でございます。  消費性向、ことしの一月、六八・六%という非常に低い水準を記録いたしましたが、昨年の一月が七二・三%でございまして、三・七ポイント実はポイントベースで一年前と比べて下がっております。これは消費の全体で見ますと五%、消費性向だけで五%昨年の一月と比べて下がっているという状態でございます。  私どもといたしましては、十年度予算を予定どおり通していただくこと、それから規制緩和を進めること等々の各種の対策をしっかりとやりまして、そして消費者の皆様の経済の先行きに対する信頼感というものを回復することが最優先の課題であり、それを実現することによって消費も徐々に上向いてくるというふうに考えている次第でございます。
  118. 城島正光

    城島委員 基本的な認識、背景は全く同感であります。今おっしゃいましたように、この一番の原因は、まさしく消費がそれこそ氷漬けになっているということだと思います。  今おっしゃいましたように、消費性向、十二月の段階で約六九%ですね。これは、昭和四十五年以来の最低水準にまで陥った。これも個別的にいろいろ調べてみますと、先ほど長官おっしゃいましたように、どうも十一月の例の山一のほとんど翌日ぐらいから、日用品の売り上げを見てみますと、一気に落ちていっているんですね。というのは、これはおっしゃいましたように、恐らく、ひょっとすれば自分の夫の会社もいつどうなるかわからないというような不安感が一遍に出てきた、そのことによって財布のひもがぐっと締まり、消費が停滞をしているということだろうというふうに思います。  これは、でも、まさしく、それこそ我々はここで何度もやりましたけれども、政策不況ですよね、はっきり申し上げて。それで、ベースとして、これは海外からの論評もこの一月ごろは全部そういうことじゃないですか。特に、せっかく芽生え始めた日本経済に、まあ水どころじゃなくてそれこそ氷をぶっかけたあの消費税から始まり、医療費の問題、そして、またこういったデフレ予算を組むことによって、こういうまさしく倒産が起こっている、あるいは金融不安が起こっている、そういうところにあるわけですね。  この予算を通すということでいうと、例えば減税にしても、これはまさしく認識は同じですから、もし仮に、将来に対する安心感ということをいえば、展望を出すとすれば、それは恒久減税ですよね。展望がない限り、僕はこの場で、実はちょうど一年前、この特別減税についても要求したわけです。  一年前だったら、それは僕は有効だったと思いますよ。ただ、同じ内容のものが一年おくれで来てどれほど有効か。ゼロよりははるかにいいと思いますよ。これはやはり恒久化していくというようなことを含めないと、それは、現時点での一般の家庭の将来展望ということに対してプラスになっている要素というのは大きく減退をしたというふうに思います。  そういうことを含めて、やはり景気ということからすると、我々が要請しているような、まさしく六兆円規模の大幅な減税を含めた、特に所得税については恒久化していくということを含めた抜本的な予算の組み替えがないと、それはとてもじゃないが消費者のマインドというのは、言葉ではおっしゃいますけれども、よし、それじゃひとつ買おうか、消費に回そうかと、ぐっと締めた財布のひもが緩むということはとてもじゃないが考えられないというふうに思いますが、いかがですか。
  119. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 私ども、法人税の減税あるいは有価証券取引税の減税、土地関係税制の減税等を含めます十年度予算をとにかく一日も早く通していただいて、切れ目なく四月からお金が使えるようにしていただくことが、当面、最大の景気対策であるというふうに考えている次第でございます。  もとより経済は生き物でございますから、その時々の状況に応じまして、適時適切、臨機応変な対応をとる、そして、とにかく十年度経済、私ども一・九%の成長と見込んでいるわけでございますが、これを実現をすべく全力を挙げていくということにしていきたいと考えている次第でございます。  もとより、私ども、十年度予算、これが最善であるということで御提案をしているわけでございまして、修正とか補正予算とかということを考えているわけではございませんが、せっかく城島委員お話でございますので、あえて、恒久減税等につきまして、私なりのここでの議論も踏まえましての感想を申し上げさせていただきます。  課税最低限をどうするかという問題、あるいは最高税率をどうするかという問題、それから課税最低限に関連をいたしまして、これは社会保障の水準との関連もございまして、生活扶助を受けている方々に対する社会保障の支援と課税最低限の関係をどう考えていくかという問題、あるいは税体系全体の、法人税あるいはその他の間接税も含めましたそういう税体系との問題なども、いろんな意味で検討をしていくべき課題がたくさんあるというふうに考えている次第でございます。  それからまた、なお、今、財政で四・七%という、国、地方を合わせた赤字を予定しているわけでございますけれども、そういう状況のもとにおいて、仮に、おっしゃいます六兆円という所得税の恒久減税をするといたしますと、その財源をどこに求めるかという問題もございまして、いろんな形でのいろんな検討をしていかなければ、簡単に結論が出ない問題ではないかというふうに私自身は感じている次第でございます。  したがいまして、もし、そういう点につきまして、いろんな財源問題も含めまして、こういう席では我が方は質問できないわけでございますが、御感想を伺わせていただければ大変ありがたいと思うわけであります。
  120. 城島正光

    城島委員 いや、その辺は我々としても、実は民友連全体としての案がございますから、ぜひそれは参考にしていただきたいと思うのですが、時間がないので……(発言する者あり)いやいや、そうじゃない、もっと重要なことがある。いや、もっと重要なことがある。これは、だから別途分科会でやりますよ。だから、そこに回します。  もっと大事なことは、今おっしゃったように、一・九を達成することのためにどうするかということにおいて見ると、まさしく今論議をあえてしているのは、そういう面でいうと、この一・九の中心的に支えるところは個人消費じゃないですか。そうしますと、これを本当に、ここで予定しているような、実質で二・五%ですか、民間最終消費支出の伸び、これが本当にいくのかどうかということ。今の状況では、とてもじゃないが考えられない。  そうしますと、税制のあり方もそうかもしれませんが、来年度の中のこの一・九を何としても確保していくということでいうと、この民間最終消費支出を、これを上回るぐらいでないと、後の予想が、率直に申し上げまして、これは極めて甘いわけなので、そうしますと、これをどう確保するかということにおいて見ると、今申し上げたことと同時に、実は、消費をふやすということにおいて見ると、非常に山場は来ていますけれども、来週あたりは一斉に、中心的なことしの春闘の一斉回答が控えているわけですね。  やっぱりこの辺は、所得税減税と同様に、賃金という問題はある程度下方硬直性があるわけですから、これは将来展望においては物すごく心理的に大きな影響を与える。これは、私は、この一・九%の成長を達成したいと本当に思うのであれば、この問題については極めて高い関心を政府としては持ってもおかしくないというふうに思うのです。いかがでしょうか。
  121. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 民間企業の賃上げ率につきましては、労使の自主的な話し合いによって決められるべきものでございまして、私ども政府として、この賃上げ率を具体的にどうすべきかとか、あるいはどうなるであろうとかいうことを予測するのは適当ではないというふうに考えております。  ただ、全体として、私ども大変大きな関心事は、やはり九月から一月までの動向に非常に見られますように、消費性向というものが実を言うと消費低迷の大きな原因であるというふうに私自身は実感をしているところでございまして、各般の対策によりまして消費者のマインドを回復することが最優先の課題であると考えている次第でございます。
  122. 城島正光

    城島委員 実はもう少し突っ込んだ答弁が欲しいわけでありますが、少なくともいろんな、先ほどおっしゃいましたように、企業経営に対する景気対応ということが、政策減税を含めて随分いろんなことが検討され、あるいは今後も検討されているようでありますが、それが銀行の貸し渋りと同じように、きちっと勤労者に回っていく、そういう成果が流れていくようにしないと、ここは循環しないわけなので、そういう点での配慮みたいなことというのはやっぱりきちっと、貸し渋りに対して総理が要請されたように、そういう意味でやっぱり必要ではないかということを強く申し上げておきたいというふうに思います。  時間がかなり超過をいたしましたので、次に、ちょっと大蔵大臣に御質問したいというふうに思います。  今度のいわゆる金融システムの安定化へ向けた各金融機関への資本注入、最終的に二十一行で一兆八千百五十六億円ですか、一応きのうの審査会でそういう認可をしたということであります。これ、ずっと一連の国会の審議の中からでありますけれども、そして昨日ですか、決まるまで一連の論議を、そしてまた、現時点での結論を見て、いま一つよくわからないのですね、このねらいが一体何だったのかと、本当は。ということについて、もう一度、現時点で改めてお伺いをしたいなというふうに思います。
  123. 松永光

    松永国務大臣 去年の秋以降、特に暮れ近くになって、委員御承知のとおり、日本金融システムについての内外の信頼が揺らぎかねないような事態が起こりかけた。それが実は、先ほど委員が熱を込めておっしゃっておりましたが、消費の減退あるいは雇用不安にもつながってきた。世間でよく言われますように、金融というのは、人間の体でいえば血液であり、金融システムが人間の体でいえば動脈ということでありまして、それをより強いものにしていく必要がある。  そういう考え方のもとに、個別金融機関の救済というのじゃなくして、我が国の金融システムを内外の信頼がより高いものにしていく、それを通じて日本信用秩序維持国民経済の円滑な運営を図っていこう、そういう見地に立って時限的な緊急措置として今回の措置をするようになった、こういうふうに私ども考えておるわけであります。  今回の自己資本の注入策によって、申請銀行の自己資本が充実する。自己資本比率が高まる。それによって、当然のことながらその銀行の融資対応力が強まってきます。それを通じていわゆる貸し渋りの解消にも資するものだ、こういうふうに思っておるわけであります。  そして、審査に当たっては、各銀行から経営改善計画というのを出させたわけでありますが、その中でいろいろな事項について具体的な計画を出させました。いわゆるリストラ計画とか、あるいは銀行等の社会性、公共性を踏まえた上での経営のあり方、その中に、当然のことながら倫理を守っていくというような事柄、好ましからざる団体との絶縁の問題とか、そして同時に、資本充実を通じてどれぐらい中小企業あるいは中堅企業に対する融資を伸ばしていく考え方であるのか、そういった点も計画書の中に書かせてそれを出させまして、それらをよく審査した上での結論を出した、こういう経過でございます。
  124. 城島正光

    城島委員 ちょっとこの辺も論議したいのですが、もう持ち時間がかなり過ぎてきましたので、一点だけそれじゃ確認をさせていただきたいのですが、今おっしゃったいろいろな経営計画、リストラ、改善計画というのが出ているのですが、この計画に対する進捗のチェックとか、あるいはそれが計画どおりいかなかったときにどうするかというようなことについては、どういう対応をとられるのでしょうか。
  125. 松田昇

    ○松田参考人 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、経営健全化計画につきましては、引き受けについての大臣承認がおりた後で公開することになっております。それでは、公開した経営内容の、例えばリストラ計画に銀行経営者が従わなかった場合にどういうペナルティーを受けるかという問題でございますけれども、ペナルティー自身規定は現在ございません。  ただ、私どもが期待をいたしておりますのは、公開された経営健全化計画に従って順次銀行経営者が粛々としてその計画の実現に向けて向かっていくであろう、それが公表された限りにおいては、それなりの廉恥心を持ってきちっとやっていくであろう、しかも、それは、当審査会においてその後フォローをいたしまして、場合によってはその履行状況について公表をすることができるとなっておりますので、状況に応じては我々が公表をする、そういうことによって銀行経営者の自律的な態度の維持に資するのではないか、そういう点を考えております。
  126. 城島正光

    城島委員 ぜひ、回収の方法あるいは回収する期限ということも含めて、これについては責任をきちっと、何せ税金を投入するわけですから、ぜひそれはお願いをしたいというふうに思います。  それから、ちょっと話題を変えさせていただきますが、JRの旧国鉄債務の返済の問題について、これはやり方というのでしょうかね、それについては、この予算委員会でも随分論議になっていますし、今回の措置の仕方については、私自身もとんでもないなというふうに思います。  ただ、その中で、やり方というか、こういうことそのものが問題だと思いますが、あえて、その中でも一つ、この財源としてたばこ特別税というのが挙げられていますが、これは何でたばこ特別税なんですか、理由を説明していただきたいのです。
  127. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  国鉄の長期債務及び国有林野の累積債務の問題につきましては、財政構造改革会議におきまして、将来世代へ負担を先送りするという形での安易な処理を回避するということで、抜本的な処理策を策定するということになりました。そういうことで、この処理策についてあらゆる選択肢についての検討が行われ、最終的に、昨年十二月十七日の財政構造改革会議において処理方策がまとめられたところでございます。  この処理方策においては、まず自助努力によってできるだけ返済し、残る債務を一般会計に承継する、その上で、可能な限りの財源捻出努力を行い、どうしても足らざる部分についてはたばこ特別税という形での税負担を求めることとしたところでございます。  たばこ特別税の創設は、国鉄長期債務及び国有林野累積債務を一般会計に引き継ぐことが財政赤字のさらなる拡大要因となることに対処するため、財政構造改革会議の結論に従いまして、その中では、特殊な嗜好品であり、景気動向に比較的左右されがたく、安定的な財源を確保できる、いわゆる財政物資であるたばこについて、最近の価格に占めるたばこ税の負担の割合の低下を回復する範囲内で税負担を求めることとしたところでございます。
  128. 城島正光

    城島委員 いや、もう全くわかりませんよね、正直言って。はっきり言って、何でたばこなんだということは、今の御説明でも、いわゆる税を取る方からだけの理屈であって、それは、なぜそうなんだということについては一切明確な答えではない。  大体、これだけでも随分時間をとりたいぐらいなんですが、これをやることによって、一体今度はJTの経営にどれくらい影響を与えるというふうな認識をされているのか、お尋ねしたいのですね、本当は。わかりますか。
  129. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答えを申し上げます。  たばこ特別税が創設されまして小売定価の変更が行われる場合には、過去の値上げ時の動向から見て、ある程度たばこの販売数量が減少するおそれがあるわけでございまして、今言われましたJT、日本たばこ産業株式会社の利益の減少等が見込まれるわけでございます。  私ども日本たばこ産業株式会社からは、一層の経営努力により需要の確保を図り、競争力強化に努めてまいりたいというぐあいに聞いております。
  130. 城島正光

    城島委員 そんなことは当たり前のことでして、経営努力するのは当たり前じゃないですか。  だけれども、これは、経営努力というのは、一体どこにしわ寄せが行くと思いますか、こういうことが。まさしくさっきから論議している。それは首切りはしないと思いますよ、もちろん労使がきちっとしていますから。だけれども、この間、これで大体影響が、過去のトレンドから見ると、これは値段を上げるしかないわけなので、約百億本から百二十億本減るというふうに見込まれますよ、過去のトレンドからいいますと。  そうすると、これは、今までJTが民営化、民間になって大変な合理化努力をしてきている、ここへ来ても一層従業員数は減る、出向はふやす、工場は十工場ぐらい閉鎖するということに一層拍車をかけるしかないですね。外国製のたばこのシェアが一遍に上がってきているわけなので、外国製のたばことのシェア関係においては極めて厳しい状況に陥ることは、これは明らかなんですね。これまた、したがって、しわ寄せは必ず勤労者に来ますよ。こういうことをぜひ考えてほしいわけですね、本当に。  突然国鉄の問題がたばこに来る。吸う人が、吸わない人より吸う人が負担するというのも理屈に合わないと思います、理屈からいうと。だけれども、これは一遍に、ある日突然、たばこの勤労者に、これまた間違いなく、工場の人たちを含めてですけれども、恐らく出向がふえるとかいうような大きな影響を与えていくと思いますよ。大変な問題になっております。  さらにつけ加えるならば、こういう合理化努力の一環としては、国内産の葉たばこも、今、国内の農業でいうと、米、お茶、次にたばこですよね、約一千二百億円あるわけですけれども、ここへも必然的に影響していかざるを得ない。この国鉄、さらに国有林野長期債務の処理とたばこの問題というのは、これだけ大きく実は広がりがある。とんでもない法案であるというふうなことを申し上げたいというふうに思います。  これは本当はもうちょっと私は怒りを持って詳しくやりたいのでありますが、持ち時間が十分を切りましたのでこれぐらいにいたしますが、別途この問題についてはさらにやらせていただきたいというふうに思っております。  次は、実は厚生の社会保障費の問題をもう少しやりたかったのですが、時間が限られていますので、ポイントについて、大蔵大臣と厚生大臣にあわせてお尋ねをしたいと思います。  実は、一言で言って、これは厚生委員会の中の論議も予算案の中で既にされておりますが、今回の財革法をベースとした予算のいわゆる最大の問題というのは、何といっても社会保障費の大幅な、ある面でいうと縮減というのでしょうか、圧縮ということだと思います。  キャップをはめられたがゆえに、自然増でいっても約八千五百億円というところを三千億円にぐっと縮めざるを得なかった。その中身も実は相当問題だというふうに思いますが、どだいそういうことにならざるを得ないキャップ制というところが問題でありますが、その中でも特に、財革法の第六条だったと思いますが、その中に国民負担率を五〇%以内に極力抑えるというのがあるわけであります。  実は、この国民負担率ということについて、五〇%というのを抑えるということについて、これも実は時間をとって論議したいところでありますけれども、あえて言うと、国民負担率という概念ですね、それが一般的にも国際的にも大体確立している概念なのかどうか、私は甚だ疑問を持っているのですが、概念としてこれは国際的にも確立した概念かどうかだけをまずお尋ねします。
  131. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 我が国におきましては、従来から、国民負担の面から公的部分がいかに国民経済に関与するかを示す国民負担率という考え方が、これは第二臨調以来用いられてきているところでございます。  他方、外国の方を見てまいりますと、我が国の国民負担率とほぼ同様の概念が存在するわけです。外国の場合、より一般的には、現時点における公共サービスの水準を、負担というところよりもむしろ支出の面から示すものとして、歳出全体の抑制の観点から、社会保障を含めた政府の歳出規模が用いられているところでございます。  日本の場合は支出と負担の両面からの考え方で見ているわけですが、先ほど申し上げましたように、外国の場合はむしろ政府の歳出規模という観点から見ているところでございまして、これは、ある意味では裏表と言えるものでございます。
  132. 城島正光

    城島委員 私が調べた限りにおいて見ると、この国民負担率というのは確かに一つのチェックとしてはあるのですね。ですけれども国民負担率を前面に出してどうこうするという論議をしている国というのは、僕はいまだ見ていない。極端に言うと、単なる一つのチェックとしての指標であることは間違いない。しかし、このことを法案に盛り込むような、概念としても、例えば欧米との比較が重要だというようなことをおいても、それほど確立した概念ではないというふうに思います。  また、これは僕は言葉の定義を変えてほしいと思っているのですけれども、大体、国民負担率というのは非常に誤解しやすい。一般的な誤解は、例えばスウェーデンなんかは国民負担率七〇%だなんというと、あるいは今度の法案の中でも国民負担率五割なんというと、何となく勤労者、一般国民は、自分の給与から半分だとかあるいは給与の七割が引かれるように思うわけですね。  そうではなくて、今現時点においても、例えば日本国民負担率は三七、八%だと思いますが、実際の勤労者の家計から、同じ負担率でいうと一四、五%ですね。スウェーデンにおいても、七〇%の国民負担率と日本が言ったときの勤労者給与から出ていくのは三〇%ぐらいなんですね。  それは当たり前のことで、いわゆる国民負担率というのは、負担しているのは家計だけじゃなくて企業もありますし、それは幾つかのものがあるわけですけれども、そういう面でいうと、今ここで言う国民負担率というのは、公的負担率と言った方がより正確だろうというふうに思うのですね。  ですから、社会保障全体あるいは社会的な整備をするときというのは、当然負担をするのは公共的なもの、さらには、それで賄えなければどこかが負担する。一番多いのは家計ですね、家庭。これはトレードオフの関係になっているのが多いわけですね。それで自己負担する。  あるいは教育なんかもそうでありますけれども、高齢化を含めてさまざまな社会的な事業に対しては、トータル一定だとすれば、どこかがどう負担していくかという問題であって、これを国民負担率という、そこだけをとらえて、これを五〇にするのがいいのか、あるいは五〇以下がいいのか。それは、それ以下で内容がよければ一番いいわけですけれども、必ずしも五〇なら五〇%というのが例えば六割のときよりはいいというふうにはなり得ないわけです。  バランスをどうとっていくかということが大事であって、そういう点からいうと、ぜひこの名前自身を、今で言う国民負担率というのはそういう問題を抱えているわけなんで、本当に総合的に社会福祉のあり方はどういう方がいいのか、負担をどういう割合でやる方が国民経済から見ても国の面から見ても、より効率的で生産性が上がるのかということをやるには、公的負担率、そして国民負担率はまさしく家計も含めたトータルの負担率ということで概念を置きかえるということで見ていく必要があると私は思うのです。  そういう点からいって、この五〇%ということを、極端に言って金科玉条のごとくしてこの財革法の中でキャップ制をはめられ、社会保障費が大きく五千億ぐらいの自然増が圧縮されていく。長期的なビジョンがない中でそれが抑えられることによって、実はさまざまな問題がこれから起きてくるだろう。これはもう厚生委員会の中で各委員が論議をし始めているのでここでは申し上げませんが、一連の、例えばこのことによってカットされるものは、三十八ぐらいある難病に対する自己負担が導入されるとか、あるいは児童扶養手当の所得制限が大幅に下がるとかいうようなところに全部このしわ寄せが行っている。  すなわち、そういうところから問題が、本来的でない、その国民負担率五割というようなところは、何か一つ大きな、いかにも重要な、意味がないと申し上げるわけじゃないけれども、重要な意味があるようなことで発する中でそういう問題が起きて、しかもそれが、残念ながら、こういう圧縮するときでありますから、ある面でいうと、全部社会的な弱いところへしわ寄せが行く。  一方では、さっきから論議をしましたけれども金融部門において十三兆円、トータル三十兆円みたいな公的資本導入というのは、すっとではありませんが、さっと決まっている。このアンバランスが今回の予算の中で見事に出てきている。ここが弊害として、どこに今度の予算の焦点があるかということを如実にあらわしたところだろうというふうに私は思います。  そういう点で、この国民負担率の言葉、さらにはこの五割という問題について、ぜひ見直しをしていただきたいという要望を申し上げて、せっかく厚生大臣、一度も御答弁にならないので、この辺について理解いただき、そして、まじめにこの改革をやろうとしている、弊害は弊害としてですが、実行しようとしている厚生省として、僕は社会保障の問題については堂々と予算をもっと請求してほしいというふうに思いますが、あわせて御見解を承りたいと思います。
  133. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 国民負担とか公的負担の定義の問題については、今委員の言っていることも私はよくわかります。名前としても、私個人としては、公的負担の方が適切ではないかと個人的には思っております。  この財政構造改革の中で、全省庁予算がマイナスだ、公共事業もマイナス七%なんだ、その中で、社会保障関係と科学技術予算だけはプラスにする。プラスといっても、社会保障関係は三千億円増を認めたけれども、ほっておくと八千五百億円の増になるけれども、現実的には五千五百億円程度削減しなければならなかった。あらゆる制度を見直す中で、この厳しい予算を組んだのです。それは、御承知のように、この財政状況であります。しかしながら、今後、何かの問題でほかの省庁の予算をふやすんだというのだったら、ちょっと話が違うのじゃないかな。  全省庁マイナスだということで、私は厚生大臣として、この大幅な削減をのんだ。あらゆる省庁聖域なしで財政構造改革をやるというから、改革に取り組んだのです。ところが、情勢が変わったということで、厚生省予算はそのままマイナスにしなさい、他の省庁は別ですよという時期が出てきたら、私ははっきりと、今までの方針はどうなったと、時期と場所を選んで厚生大臣としての主張を展開するつもりであります。
  134. 城島正光

    城島委員 ぜひそういう期待をしたいと思います。財政再建優先のため経済がだめになり、生活が破壊されるということがないように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  135. 越智通雄

    越智委員長 これにて城島君の質疑は終了いたしました。  この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後三時二分開議
  136. 越智通雄

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。若松謙維君
  137. 若松謙維

    若松委員 平和・改革を代表して、質問させていただきます。  まず、官房長官、たしか四十五分に出られるということですので、それまで必要な質問を終わらせていただきたいと思います。  日銀総裁の質問の前に、まず官房長官、中央省庁改革基本法案はもう既に法案が提出されております。我が平和・改革も早急に議論をして、大事な法案ですから一生懸命議論をしたいと思っております。  今後の法案の見通し、ぜひ官房長官みずからその審議の推進に尽力いただきたいと思うのですけれども、どのようにお考えですか。
  138. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 橋本内閣の六大改革のうちの重要な課題でございますので、ぜひとも審議促進をお願いいたしたいと考えております。
  139. 若松謙維

    若松委員 官房長官、たしかこれは六月までに通らないと、いろいろと日程が崩れると思うのです。今国会中の成立の決意をお伺いします。
  140. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 これは、私どもはこの通常国会で上げていただきたい、衆参で上げていただくのは国会の皆さんのあれでございますが、ぜひお願いをいたしたい、こう思っております。
  141. 若松謙維

    若松委員 ぜひ、まさに二十世紀最大の行革の議論となりますので、総理、全閣僚御参加の上、活発な議論を私どももさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、日銀総裁にお伺いします。  総裁は、昭和二十五年大蔵省に入省されました。そして五十五年には主計局長、さらには五十七年大蔵事務次官、そして太陽神戸銀行の頭取から、歴史的な合併、平成四年さくら銀行の会長をされたわけです。そして六年に日銀総裁。今月、今ほぼこれはもう皆さんの認識ですから、最後の、新日銀をつくるためのお仕事をされている。  戦後の金融の中枢に当たられた日銀総裁、今回の不祥事に関しましてどのようなお気持ちでいらっしゃるのか、ぜひ率直な心情をお聞かせいただきたいと思います。
  142. 松下康雄

    松下参考人 今回、私ども日本銀行職員逮捕されるという事態になりましたことはまことに遺憾でございまして、深くおわびを申し上げます。今般の事態に対しましては、組織トップにおります私自身がやはり監督上あるいは組織の運営上非常に重大な責任を持つものであると痛感をいたしております。  そういった私自身責任は、一つには、このような事案再発防止して、日本銀行の中央銀行としての信頼をできる限り回復する、そういう方向を定めるということも一つ重要なことであると思っております。私は、このように自分の責任を痛感いたしますとともに、この職におります間は、そういう信頼回復のための努力を精いっぱいやってまいりたいと思っております。
  143. 若松謙維

    若松委員 今回のこの不祥事ですけれども、私も、何とか日本金融の信頼回復のために、委員会での審議を通しながら、何らかの糸口を見出したい、今そういう思いで聞いているわけですけれども、今まで総裁に対する責任追及がかなりなされました。やはり原因追求なしに次の打開策はないわけでありまして、総裁、なぜこういう事件が起きたのか、その根本的なところをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  144. 松下康雄

    松下参考人 今回の事件は、日本銀行の創立以来初めての不祥事案でございます。私どもは、日本銀行職員たる者は、長い伝統を踏まえまして、自分は中央銀行職員として、中央銀行の信頼を高め、そしてこの非常に重要な業務を全うしていく責任があるのだということを常に念頭に置いて業務に従事するべきものというふうに考えておりますし、また、これまでも、私といたしましても、事あるごとに、そういう点で行員の自覚を促してまいったところでございます。  そういうことでございますが、今御指摘の、どういうところに原因があったと考えるかという点になりますと、これは、中央銀行職員と、そして外部の取引先等の金融機関との交際の問題に端を発しているところでございます。  私どもといたしましては、中央銀行職員は自分の仕事を全うしてまいりますためには、常日ごろ、生きた経済金融というものに対する十分な理解を持たなければならない、そういう点から申しますと、そういう外部人たち情報を交換し、意見を交換するというようなことも重要な仕事の一部だというふうに考えてまいったところでございます。  ただ、今にして思いますと、そういう情報や意見の交換をしますために、外部人たちとの接触をいたします際に、よほど留意をいたしまして、中央銀行員の品位を汚さないような配慮が必要であったわけですし、また、その点につきまして、中央銀行員としての節度を保つようにということは言ってまいったわけでございますけれども内部の決まりとして、外部との交際については、このようなところは注意しなければならない、こういうことはやってはならないというような具体的な指示を示すということは行ってはいなかったわけでございます。一方で、それだけ行員自身を信頼してまいったと思います。  こういう点におきまして、私は、大多数の行員は、今日におきましても、十分その点を自覚して一生懸命仕事をしてくれていると思いますけれども、その中の一部に、そういう交際において、ふだんの、なすべき節度というものを踏み外した事例を生じた。この点が非常に問題でございまして、この点につきまして、最近、非常に厳しい、外部との交際の場合の心得なければならない事項というものを定めましたので、これを厳守しながら、もう一度行員の自覚を促してまいりたいと思っております。
  145. 若松謙維

    若松委員 いわゆる原因解明という形では、ちょっとそれだけではまだまだじゃないかなと思うのですね。やはり日銀というのは違う、とにかく違うと。その秘密保持というのでしょうか、その責任感も際立ったものがありましたし、それでも起きたということですね。  ところが、やはり規律がかなりおかしくなってきたという危機意識を総裁以下幹部の方がお持ちになって、今月になってから、心得とか、いわゆる準則とか、そういうものを出した。この経緯ですね。今月になって出したというところですけれども、実際に、大蔵省不祥事は昨年から具体的な話で出てきていたわけですけれども、なぜ今月になってこういうものを出したのか。先ほどの原因追求と絡めて、もっと背景的なところ、これを出して、どういうふうに変えようとしたのか。そこら辺、御説明いただけますか。
  146. 松下康雄

    松下参考人 私ども、さようなことで、これまで明確な交際基準というようなものを持っておりませんでしたが、やはり近時になりまして、いろいろの報道を通じまして、私どもも、どうもこれは実際に、日銀の行員の中の一部ではありましても、不適切な交際というものがやはり行われているのではないかということを感じるようになりました。  これによりまして、私どもは、まず実態につきましてしっかりと把握をする必要があるというふうに感じまして、それをどのような形で調査を行うかということを決めますのにいろいろ検討の時間もかかりましたけれども、現在は調査を行っております。  そのやり方は、私どもの役員それから管理職以上の職員と合計いたしまして約六百人でございますけれども、この六百人について、過去五年間の外部との交際その他の実態について解明をいたそうということでございます。そのやり方は、各人から、自分の記憶やメモに基づきまして、五年間の交際の事実を整理して、それをヒアリングを行う。ヒアリングをいたすのは、各職場職場の上司が行うということにしております。  それは、なぜそういうことにしたかと申しますと、やはり外部とのつき合い方、あるいは平素どういうふうな点でつき合いが多くなるようなことがあり得るのかというような点は職場ごとにいろいろ違っておりますから、それを平素十分に承知しております上司がまずヒアリングをして、その状態を確かめるということをやっております。この第一次のヒアリングを現在行っているところでございます。  さらに、その上司につきましては、もっと上の上司でありますとか、あるいは場合によりまして、人事担当の部局の担当者なり役員というものが、逐次このヒアリングをするということでございます。  その第一次のヒアリングが終わりましたらば、そこで全体を一度取りまとめをいたしまして、その中で、問題のない者はもうそれでよろしいわけでございますけれども、問題のある者についてはさらに詳細な調査を続けてやっていこう、その場合にはかなり厳しい調査を行っていこう、そういうやり方で行っております。
  147. 若松謙維

    若松委員 今、上司ヒアリングという調査の手続も御説明されました。やはり今回の問題は、総裁責任は当然ですけれども、副総裁、または担当局長、または担当理事、そういったところのいわゆる監督責任というようなもの、いや、直接の責任があるわけですので、もうそれはしっかりとやっていかなければいけないと思っております。  ところが、まだ残念に思うのが、なぜ日銀がやってしまったのか。国会議員の中にも、大変すばらしい日銀出身の議員の方がいらっしゃいます。ところがこうなってしまったということは、私は、中からの問題というよりも、いわゆる外からの感染が強いのじゃないかと。  香港ウイルスとかという言葉がありますけれども、結局、日銀にもいわゆる大蔵省不祥事というか接待が横行されていて、だからMOF担が来て、そのうちにBOJ担ですか、そういうものができてきた。大蔵がやっているからいいのじゃないかと。かつ、それを見逃してきたのは、やはり大蔵出身の総裁みずからであったのではないか、私はこう思うのですけれども、いかがですか。
  148. 松下康雄

    松下参考人 私も、ずっと以前、私がまだ大蔵省におりましたころに見ておりましたときに、日銀は、全体といたしまして、非常に地味なと申しますか、堅実な気風を持っているというふうに考えておりました。  そういう点は、今日におきましても、基本においてはそういう心構えを持っていてくれていると思いますけれども、やはり思いますに、バブルの時期以後の世の中の風潮も若干変わってまいりまして、諸事、交際について派手さかげんが増すというような気風の変化といったものもあったのかもしれません。  そのあたりの変化というものを見逃していたということであれば、これはまことに残念なことと申さざるを得ませんけれども、そのあたりの解明を行いますについても、やはりまずもって、この過去五年ぐらいの期間をとりまして、その間に交際の行われ方というのがどんなふうに変わっただろうかということを把握することも必要であろうと思います。  それらの実態を解明いたしまして、今御指摘のいろいろな反省点については、別途に検討をしてまいる考えでございます。
  149. 若松謙維

    若松委員 今BOJ担という言葉を使わせていただきました。総裁立場からすれば、いわゆる監督対象となる銀行からのさまざまなアプローチも、時にはうっとうしいと思われたと思います。こういうBOJ担なるものに対してどのように認識されていますか。
  150. 松下康雄

    松下参考人 私は、日本銀行での経験は、過去三年三カ月の総裁をいたしました経験だけでございまして、一般的な職場の経験はございません。そして、日本銀行総裁と申しますものは、どうも各金融機関から見ますというと、何と申しますか、うっとうしいと申しますか、ちょっと一歩置いてお話をいただくようなところもございます。  そういう意味では、私自身は全くそういう点で親密なおつき合いということなしに参ったものでございますから、ややそういう点でも、行内においてもし一部のそういう限度を超えた交際があったとしますと、それを見逃していたのであろうか、それは残念なことだったというふうに思っております。
  151. 若松謙維

    若松委員 今の、総裁がBOJ担なるものをうっとうしいというところですけれども、これは大蔵省にも関係ありますけれども、官房長官、総括的な質問で恐縮ですが、やはり行政はさまざまな業界の監督立場にあるわけで、おのずと、大蔵の場合にはMOF担、そして日銀はBOJ担、さらにそのほかに通産省とか、いろいろあると思うのです。  そういった、業界がさまざまないわゆる要求をしていくというのですか、こういうようなアプローチをしていく魔の手というのですか、これに対しては、要求する側にも何らかの歯どめというものをかけないと、総裁がおやめになるとかならないという議論では、私は、相変わらず日本の不透明性というのは変わらないと思うのです。官房長官、どういうお考えですか。
  152. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 今の御質問は、接待する方の側の規制とかいろいろ考えなければいけないのではないかと。  大蔵省を初めいろいろな不祥事が起きております。接待に応ずる方も悪いのですが、あの手この手で接待を仕掛けてくる。こういうものも、やはり自分の会社の利益のためにそういう役職までつくってやっている。しかも、大手であり、そして株の取引もやっている、こういうような大きな会社がやっていることは言語道断であります。  ただ、私、法律的にはわかりませんが、公務員法なりなんなり公務員の方はなるわけでございますが、会社の方はどういうふうになるかというと、何か個人的みたいになるということも聞いておりますが、今後検討していかなければならぬ、こう思っております。
  153. 若松謙維

    若松委員 これは委員長にお願いしたいのですけれども、きょうは、なぜこれだけ役所にアプローチをするのかというのを、全銀協とか証券業協会の方々に参考人で実はお話を聞きたかったのですけれども、ちょっと時間の制約もありまして、ぜひ、委員長理事会に諮っていただいて、次回の予算委員会等で、これら全銀協、証券業協会の方々の参考人招致を御検討いただきたいと思います。
  154. 越智通雄

    越智委員長 理事会で御相談いたします。
  155. 若松謙維

    若松委員 それでは、これでもう直るのか、日本の透明性が図られるのかというところで、私はまだだめではないかなと思うのですね、まだ無理ではないかなと。  と申しますのも、これはもう、旧新進党もそうです、自民党さんもそうです。いわゆる政党助成金という形で国民の税金をいただいて、そして政治活動をするという仕組みができました。ところが、これができたにもかかわらず、相も変わらず企業・団体献金は行われている。いわゆる二重取りですね。税金でもらって、また企業・団体献金ももらっている。  あえて失礼な言い方をさせていただきますけれども、与党の皆さんは、やはり与党という立場で、特に業界からの団体献金がある。少なくなったとはいいながらも、平成八年度では、銀行業界からは百万円超で三億円強という形で、当然、野党とはもうけた違いなんです。ですから、与党の皆さんは、政党助成金、そして団体献金、さらにはいわゆる与党の立場としての業界献金、いわゆる三重取りですね。こういう……(発言する者あり)失礼なことを言わないでください。  こういう形を国の立法、意思決定の本当の最高の人たちがやっていたのでは、結局、業界と政治の癒着はなかなか壊れない。今こそ、大蔵省もこういう事件があり、そして日銀もこういう事件があり、今、国会もみずから身ぎれいにするため、私は、企業・団体献金というものを今こそ廃止すべきときでないかと思うのです。  これは当然議会の中で話すものですから、これは委員長、ひとつ、こういう時期だからこそ、議運で、この企業・団体献金、予算委員会でいいですね、こういう議論も。おかしいでしょう。ですから、議運の方の委員長に伝えていただきたいのです。
  156. 越智通雄

    越智委員長 いや、それはできません。
  157. 若松謙維

    若松委員 では、わかりました、議事録に残させて、議事録から議運の委員長に伝えたいと思います。かなり苦しいですけれども。  では、このまさに日本の政官財癒着の構造、いかにそれぞれの役割の分担を身ぎれいにしていくか。もう本当に、日銀総裁自身が一番その点に関してクリーンであるべき、独立であるべき立場の部下がああいう事件になってしまった。本当に、私も同情する余地もあります。しかし、やはり許されないことをしてしまった。当然、今、後任人事というような話が出ております。  ちょっと酷な話かもしれませんけれども、この後任人事、当然、現総裁もやはり検討するお立場にあるわけですね。どうですか、総裁
  158. 松下康雄

    松下参考人 人事を御決定いただくのは、法律が今変わるところでございますけれども、国会の御同意があり、そして内閣総理大臣が御決定になります。そういう立場で、私はそういう発令を受ける立場でございます。
  159. 若松謙維

    若松委員 では、官房長官、ぜひ後任の人事。本当は総理に出てもらいたいのですよ。だけれども、それはルール違反だから官房長官にお願いしたい。いずれにしても重要な関係者だと思います。  いずれは、四月中旬にはIMFの暫定委員会がワシントンDCで行われるそうですけれども、やはりそういう当然大事なときに、少なくとも、新しい日銀には、まず何よりもモラルを大事にする人、備えた人ですね。二点目に、内外金融に非常に詳しい方。そして三点目には、今はやりのコーポレートガバナンス、企業統治というのでしょうか、それが実践できる人。そして四点目には、英語の堪能な方。これは最低備えなくてはいけないと思いますけれども、官房長官、御意見がありましたら、ひとつお願いします。
  160. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 いろいろ委員から、日銀総裁たるべき資格というか条件の御提言がございました。よくお聞きをいたしておりますけれども、四条件に合う人がいればこの人にばっちり決まると思いますが、これは総理が決めることでございますので、お聞きをして、そういう御意見があったということをお伝えいたします。
  161. 若松謙維

    若松委員 ぜひよろしくお願いします。  総裁、どうも御苦労さまでした。  では、続きまして、今回の公務員の不祥事に関しまして、先ほどの官と業の癒着、官と財の癒着の温床にもなっております公務員の公的機関への天下り、先ほどの話は民間企業ですけれども、私は、きょうは、公的機関への天下りについて質問をさせていただこうと思っております。  お手元に表を三枚配らせていただきました。まず一つ目の資料表一、これは特殊法人ですけれども、役員に占める公務員OBが高率の特殊法人ということで、特に、公務員OBが一〇〇%役員だというところが現在八法人あります。阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団、環境衛生金融公庫、公営企業金融公庫、公害健康被害補償予防協会、奄美群島振興開発基金、心身障害者福祉協会、鉄道整備基金、以上八つですね。さらに、八割以上の特殊法人が十二あります。  表二を見ていただきますと、実はこの表、大変だったんです。それぞれ、総務庁の方が持っておる資料、持っていない資料ありまして、こちらがヒアリングをしまして、それで集めたのが表二と表三なんです。この表二は、八十七の特殊法人の職員数、そして天下り率、あと、補助金をどのくらいもらっているのか、そのそれぞれの特殊法人の補助金に対する総収入の比率、そういったところを出しております。  そして、三つ目の資料が認可法人ですね。  実はこれらの資料ですけれども、この場で宣伝させていただいて恐縮ですけれども、「ストップ・ザ・天下り」という本がございます。これを、残念ながら書店に売っておりませんで、自費出版で、我が事務所に来ていただければ無料で差し上げます。  特に表三なんですけれども、認可法人というのが、今かなり国会では議論が進んでまいりました。そして、先ほど松沢議員もこれに触れられましたけれども、特に、特殊法人というのは総務庁管轄ということでいろいろと調べられているのですけれども、認可法人になりますとなかなか、実態調査が最近始まった程度で、そんな状況下、この表三を見ていただきますと、いわゆる天下り率ですか、全部合わせると七七%。いわゆる共済組合関係を除いた四十法人で天下り率七七%。そして、一〇〇%のものが十四法人あります。ですから、本来、認可法人というのは特殊法人よりも民間に近い、これが原則なんですけれども、結局官僚の格好の天下り先になっていると言わざるを得ません。  ここで質問なんですけれども、官房長官にお願いしたいのです。これらの特殊法人並びに認可法人に対する天下りの実態に対しての率直な感想をお聞かせいただきたいと思います。
  162. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 特殊法人あるいは認可法人への天下りの表を見させていただきました。私も、天下りは従来批判もありいろいろな問題もありますので、これはやめていくような方向でいかなければいけない、こんなことも主張しておりますが、実際は、この六十歳定年の中にありまして、五十二、三で肩たたき、こういう問題もありまして、この方も解決をしていきませんと、なかなかできないのではないか。  したがいまして、私も総理から指示を受けまして、公務員制度のあり方、特に総務庁長官おりますけれども、お願いしながら、人事院も含め、内閣も入りながら、今公務員倫理法という問題もありますけれども、公務員制度の問題を相当見直す、この中で天下り問題も検討し直すということをしなければいけないのじゃないか、こういうふうに思っております。  いずれにいたしましても、特殊法人の役員でございますか、この数を見ますと、一般の人が見れば、やはり相当余計だ、こういうふうに私は感ずると思います。これも検討し直していかなければならぬ、こういうふうに思っております。
  163. 若松謙維

    若松委員 ぜひ検討を期待したいわけですけれども、昨年の十二月二十六日、これは閣議決定として、特殊法人等の整理合理化についてかなり具体的な改革の案が了承されました。この中身を見ますと、特殊法人の役員の登用につきまして、その主管官庁からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめるものとする、また民間人の起用を促進する、こうあるわけでありまして、特にこの閣議決定にもありますけれども、渡り、渡り鳥とかと言われている渡り、それに対する縛りというものがかかっているわけです。  ところが、実際に、さらに二十年前ですか、昭和五十四年にも同じような内容の閣議了解がされているのですね。それはどういう内容かといいますと、この特殊法人の役員につきまして、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とする、ここにおいてもやはり渡りということで、一回限りの制限を設けております。内容的にはほとんど同じです。言葉として、あえて閣議決定と閣議了解と。この言葉の定義は、いろいろと今までの委員会のやりとりで、ほぼ同じ。  こういう理解ですので、官房長官にお聞きしたいのですけれども、二十年前にやったことを結果的にできなかった。今回同じことをやろうとしている。これは閣議決定では済まされないのではないか、そう思うのですけれども、長官、いかがですか。
  164. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 今委員の言われましたことは、昨年十二月末の閣議決定において、常勤役員が十名以上の法人についてはその役員数を一割削減する、省庁ごとの主管の特殊法人全体を通じて常勤役員に占める当該省庁出身者を半数以内にとどめる、いわゆる渡りについては、認可法人も含め真にやむを得ない場合において一回限りこれを認める、こういうことにいたしました。  現在まだこの規定にオーバーしているところもありますが、これからはこれをきっちり守っていこう、こういうふうに考えているところでございます。
  165. 若松謙維

    若松委員 だから、要は同じことをやろうとしているわけですよね。(村岡国務大臣「いや、ちゃんとやりますよ」と呼ぶ)ちゃんとやっていただきたいのですよ。  ところが、今の特殊法人、認可法人も含めてですけれども、特に公務員はいわゆる関係民間企業には二年間行けないということで、その二年間が、そういう特殊法人関係がいわゆる渡り鳥という形で、または緊急避難地ですよね。この二年間でかつ一回限りというと、結局この迂回というのは全然変わらないのじゃないかと思うのですね。少なくとも、この二年間というのを五年間に延ばすとか、そういう考えはおありですか。
  166. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 今の点に関しては、いろいろな御意見もございますので、そういう点も含めて検討していきたい、こう思っています。
  167. 若松謙維

    若松委員 あと、いわゆる天下りですね。先ほどの渡り鳥というものをひとつ規制するという考え方もございます。これは後で議論したいのですけれども、非常に公務員の方にはつらい話。だからこそ、先ほど長官がおっしゃった定年の延長ですね。とにかく六十歳、これは絶対守ってもらう、特にキャリアですね。これは当然今議論されていらっしゃるのでしょう。  私どもは、本当は六十五歳までやっていいのじゃないかと、キャリアというのは民間企業にしたらほとんど役員クラスですので、そんなことも実は議論しているわけですけれども、それについてはいかがでしょうか。
  168. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先ほど官房長官の方から御答弁の中に触れておられましたが、改善策の一つとして、いろいろ検討されておりますが、定年の年齢を引き延ばして、そして公務員のいわば人生設計全体の視点から考えるべきではないか。そうすることによって、先ほどから御指摘されておるような問題等も、解決策に通ずるのではなかろうか、そういう視点で検討いたしておることは事実でございます。
  169. 若松謙維

    若松委員 ちょっと中身がそれじゃよくわからなかったのですけれども。  では、官房長官、先ほどの、二年を五年に延ばすという方法も一つですけれども、いわゆる公務員が民間に行く禁止期間を延ばすという話。もう一つは、先ほどの定年制というものをしっかり守らせて雇用の保障をする、それを前提にした上で、例えば、国家公務員のいわゆる天下り禁止二年間、これは今の禁止範囲は民間企業だけなのですね、それを非営利、いわゆる特殊法人、認可法人も入れる。そういう国家公務員法の改正ということも私は検討すべきではないかと思いますけれども、それはいかがでしょうか。  結局、そうしないと、やはりこの渡り鳥、天下りというのは幾らでも抜け道が出てくるわけなのですね。もうおわかりだと思います。それはいかがでしょうか。
  170. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 会社へ行く場合二年間、こういうことがあるが、それを五年に引き延ばしたらどうか、こういう御提言でございますけれども、五十三、四で民間へ行くにしても、二年間行けない、それを五年間というのは、これはいかがかと私も思っております。逆にもう一つは、この五十三、四あるいは五十六で退職するのを、六十歳まできっちりやっていただきたい、まず私もそう思っております。  各県庁なんかは、部長さんなんかを見ても六十までみんなやっているわけですね。なぜ公務員の方だけ、キャリアの方だけできないのか、こういうことも、原因もちゃんと検討してみなきゃいけない。同時に、癒着をしないように、また六十歳の定年も引き上げていくことも検討しなきゃいけない。  それでは、特殊法人や認可法人に、民間にはあるのだから、役所をやめて二年で、それから特殊法人に行ったらいいじゃないか、こういうお話もありますが、いろいろなものを含めて検討していかなきゃならぬ問題だ、こう思っております。
  171. 若松謙維

    若松委員 官房長官はもうお出になりますから、最後の質問は、順番は若干変わりますけれども、この天下りの問題、さらにはいわゆる特殊法人の役員等の退職金、給与も含めてかなり高いという批判がございます。  特に役員の退職金ですけれども、昭和五十二年の十二月二十三日の閣議決定でどういうふうに決まったかというと、俸給月額、俸給月額も、先ほどの日銀総裁は今は総理よりも高いわけです。さらに、特殊法人というのは事務次官よりも高い。そういう状況で、その俸給月額に在職月数を掛けて、年数じゃないですよ、在職月数を掛けて、さらにそれの百分の三十六、これが退職金額になるわけなのですね。私もずっと民間を見てまいりましたけれども、在職年数ならわかるのですけれども、在職月数、これはちょっと多過ぎるのじゃないか。  そういうことで、昭和三十二年まで、先ほどの百分の三十六が、当初は百分の七十、それが三十三年から四十五年までは百分の六十五、さらに四十五年から百分の四十五、そして五十三年の四月から現行の百分の三十六。これであっても、俸給月額掛ける在職月数掛ける百分の三十六は、どう考えても大き過ぎると思うのですけれども、官房長官、どうお考えですか。
  172. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 これは私の担当の方でございませんで、大蔵大臣が適当かなと私は思っておりますけれども、従来は百分の六十五から、また百分の四十五に下げた。そしてさらに百分の三十六に下げた。その百分の三十六に下げた根拠というか、民間の方が百分の三十七、こういうことで三十六に下げたと聞いておりますが、詳しいことは大蔵省大蔵大臣の方がこれは担当だ、こう思っております。  以上でございます。
  173. 若松謙維

    若松委員 これは大蔵大臣ですね。わかりました。  官房長官、では時間のようですから、どうぞ。  では、大蔵大臣、引き続き。まず、事実関係、事務方の方、なぜこんなに役員の退職金が民間と比べてもかなり高いという結果になったのか。民間も役員はやはり年数ですよ、かつ最終的には月割りするわけですけれども、これはやはり高過ぎますよ。どうですか。
  174. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  まず、大蔵省財政当局という立場でございますので、現在百七十二ある特殊法人等のうち、大蔵大臣協議にあるものは、実は八十一法人について協議を受けているところでございます。それ以外の法人につきましては、それぞれの法人が退職金の支給基準を定めて主務大臣の承認を得るという形式となっております。  それから、その八十一法人につきまして、協議を受けるに当たって、先生御指摘のとおり、昭和五十二年十二月に百分の四十五から百分の三十六に下げたわけでございますが、この考え方は、民間企業の役員退職金の算定においても多く用いられているものを引いて、民間との比較で決めたものでございます。
  175. 若松謙維

    若松委員 それは、たしか昭和五十二年か三年ごろの国会答弁の内容と同じですね。要は、大蔵省として、職員については国家公務員並み、役員については任期が限られているので民間並みにと。何でここで急に民間になってしまうのですか。やはり特殊法人は非常に公共性の高い仕事をやっておりますし、そこでいきなり民間というところを持ってくるのはちょっと論理が飛躍しているのじゃないですか。どうですか、発想がおかしいと思うのですけれども
  176. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  特殊法人の職員の給与につきましても、これは国から独立した法人でございますので、労使交渉において給与水準は定められております。役員の退職金につきましても、同様の考え方で、民間に準じた形でしたというところでございます。
  177. 若松謙維

    若松委員 民間より高いですよね、どう考えたって。おかしいですよ。  大蔵大臣、ぜひ大蔵大臣の見解を聞きたいのですけれども、今、これだけ官僚の信頼失墜が大変大きな問題になって、かつ特殊法人もこれでいいのか。結果的に、戦後のいわゆる行政の肥大化に加担をしてしまった、そういう批判がもう定説になっております。  そういう中、もう今こそ特殊法人の役員の退職金の見直し、先ほどの月数、これは私は見直すべきではないかと思います。月給に在職月数ではなくて、やはり在職年数を掛けるのが常識ですよ。それで初めて国民の理解も得られると私は考えるのですけれども大臣、どのようにお考えですか。
  178. 松永光

    松永国務大臣 今主計局長から答弁をしたわけでありますが、特殊法人等の退職金の支給の問題でございます。  これは、原則として主務大臣の方でやることになっておるわけでありますが、そのうちの八十一法人について主務大臣大蔵大臣に協議をする、こうなっているわけであります。そして、大蔵省としては、協議があった場合には、民間企業の役員給与も参考にしながら、公庫公団等の特殊法人等の性格を考慮して、国家公務員の指定職及び特別職の給与との均衡等も総合的に勘案してその妥当性を判断してきた、こういうことです。  ところが、その妥当性について異議があるというのが委員の御主張だろうと思うのであります。しかし、先ほどから議論の中にありましたように、昭和五十二年十二月の行革推進の閣議決定で、在職期間一月につき俸給月額の百分の三十六という統一方式で算出されておる。これは民間企業の役員退職金の算定においても広く用いられておるというふうになっているようでありまして、だから妥当だという説になっておるわけです。  そこで、問題は、民間でそうなっているのかどうかということが問題なのでありまして、これはよく民間の事情を見てみなければ、私から今の段階では何とも言えないわけでありますが、当然のことながら、批判のあることでありますので、その批判を謙虚に受けとめて、民間の側から見て高過ぎるという批判が起こらぬように、そういう考え方で努力をしていく必要があるというのが私の率直な感想でございます。
  179. 若松謙維

    若松委員 まさに民間が今どうなっているのか。私もちょっと以前勤めていたところの会計士の仲間に聞きまして、やはり月数というのはもう今はほとんどないというようなことを言っていました。  それで、これは主張だけで終わらせていただきますけれども、とにかく、例えば事務次官の方が五十八歳で退職して、二十二歳採用ですから、三十六年勤めた場合に、今どういう退職金になるかというと八千九百四十五万円、これは公務員の退職金額です。それで、例えば課長補佐で六十歳、いわゆるノンキャリアの例で、十八歳採用ですから、四十二年間勤めた場合の退職金が二千七百二万円。当然キャリアの違いですから、やはりこれだけの差があると言えば言えるのでしょうけれども。  問題なのは、そのキャリアがさらに天下りでかなりの金額を、特に特殊法人等を使って、月数を掛けて、先ほど総裁が既に二億円退職金をもらったという話もありましたけれども、ぜひそこら辺の金額の妥当性、民間ということであれば民間の常識に沿って、ただ、特殊法人というのはあくまでも公務員の延長だというところを忘れないで、再度この退職金というのを見直していただきたい、それを要望して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  180. 越智通雄

    越智委員長 これにて若松君の質疑は終了いたしました。  次に、冨沢篤紘君。
  181. 冨沢篤紘

    冨沢委員 平和・改革の冨沢篤紘でございます。  先ほど来、公務員の汚職とか逮捕とか、後ろ向きの質問が続いておりますが、私は、今国会に提案をされました中央省庁等改革基本法案、二十一世紀のこの国の姿についてお尋ねをいたします。  一昨年十月の総選挙で、我々みんなが行革をやります、こう言って当選をしてきました。国民の行革への思いは大変熱いものがあります。これにこたえるべく、橋本総理は行革会議をみずから主宰されて、今国会に中央省庁等改革基本法案を提出されました。御努力は多とするところであります。  六十三条から成る中身を検討いたしました。内容は極めてお粗末、火だるま行革と似て非なる代物であります。しかし、行革は待ったなしで、簡素、効率、透明な政府をつくるのは我々政治家の責任で、実行を迫られている。大変複雑な心境になっております。重い重病人がいる、薬が調剤されたけれども、この薬が一体効くのかしら、どうも効きそうもない、こんな複雑な思いを抱きながら質問に入りますので、どうぞ簡潔な御答弁をお願いいたします。  行革会議の最終報告には、行革の理念と目標が三つに整理をされております。一つは、自由で公正な社会を目指して、この国のかたちの再構築を図る。二つ目が、簡素、効率、透明な政府をつくる。三つ目が、もって自由で公正な国際社会の形成、展開に日本が主体的な役割を果たす。この三ポイントであります。  特徴は、この国のかたちという言葉、文言が最終報告に何と九回使われていることでございます。この国のかたち、司馬遼太郎さんの言葉でありますけれども、基本法案が二十一世紀のこの国のかたちを描いているかどうか。  確かに、二十二の省庁が一府十二省になる、したがって、役所の数、大臣の数も減ります。内閣の機能強化も図られている。この点は評価をするところでありますけれども、六十三条の中身を見ますと、役所同士をくっつけたり、名前を変えたりするだけで、仕事の中身が変わっていない。行革というのは、大きい役所の権限、多過ぎる役所の権限を、地方分権をやる、規制緩和と民営化で分散をさせる、その結果小さな政府ができ上がる。  基本法案がこの国のかたちを描いていると思われますか。御答弁を。
  182. 小里貞利

    ○小里国務大臣 提案をいたしました基本法案の中で、ただいまお触れいただきましたが、中央省庁の改革を中心にいたしましたいわば今次の行政改革でございます。  これは、ただ単に行政自体の改革にとどまらず、まず、行政みずから先陣を切って改革に着手する、ここに一つの大きな原点があります。そして、我が国の社会経済システムの全面的な転換を図り、この国のかたちを再構築していくいわば突破口を開こう、こういう一つ意味合いを持っておるわけでございます。  なおまた、今お話がありましたように、そのような観点から、いわゆる基本法案でも、その第二条におきまして、中央省庁改革は、これにより戦後の我が国の社会経済構造の転換を促し、もって自由かつ公正な社会の形成に資することを基本として行いますと、いわゆる改革に関する基本理念を規定しているところであります。  さらにまた、改革の内容を見ていきますと、ただ単純に一府二十一省庁をプラス・マイナスした形じゃないかというような意味合いのお話がただいまありましたけれども、御承知のとおり、もう既に作業に手をつけておるものもございますし、これからこの基本法をきちんと国の方針として決めていただいた場合、具体的にこれらの中身の整理統合作業に入らなければならない、私どもはさように思っております。  いわゆる改革の内容は、単なる機構いじりではなくて、規制緩和の撤廃や、あるいは国から地方へ、あるいは官から民へ、あるいはまた政府自体の行政組織、権力あるいは事務、作業などを徹底的に縮減も図りますし、あるいはまた、今日の時代におきまする国の行政の形として果たすべき役割も足元を根本的に見直していこうといたしておりまして、そのような意味において、中央省庁の再編を促進いたしますと同時に、先ほど申し上げましたように、我が国の社会経済システムの転換につながる契機となることを内容として含んでおるところであります。  なおまた、今回の改革は、その理念も内容も議員御指摘のこの国のかたちの再構築を目指すものでありまして、このためには非常な痛みやあるいは摩擦があると私どもは思っております。しかしながら、改革の後にやってくる明るいあすの日本をかたく信じながら、この基本法案をまず一つのけじめとして、国会の意思として、政府の意思として御決定をいただき、それから、ただいま御指摘がありましたような、名実ともに改革して、そして新しい日本のあしたに向かって責任の負える行政の体制をつくらなけりゃならぬ、さように思っておるところでございます。
  183. 冨沢篤紘

    冨沢委員 小里長官の御決意のほどは伝わってまいります。  中身の検討に入ります。  環境庁は環境省になります。防衛庁はそのままなんですね。国防省に昇格しません。近代国家では当たり前の処遇が防衛にされていない。これはどういうわけですか。
  184. 久間章生

    ○久間国務大臣 先生おっしゃるとおり、私どもも、国家の国防という基本的な問題でございますから、しかるべき省として位置づける方が望ましいという考えを持っておりました。  しかしながら、行革会議の最終の報告が、当時途中までは両論併記で出ておりましたけれども総理判断等もございまして、あのような形で、とにかく防衛庁という形でそのままいくというようになりましたので、現下のいろいろな状況の中で、士気に影響するとかいろいろな問題はございますけれども、そのままでも特別仕事に支障は来さないということもございまして、そのままそれを認めた状況でございます。
  185. 冨沢篤紘

    冨沢委員 重ねて防衛庁長官にお伺いしますけれども、防衛庁久間長官と呼ばれるよりは国防省久間大臣と呼ばれた方が、職務上も対外的にも気持ちがよろしいんじゃないですか。
  186. 久間章生

    ○久間国務大臣 私は、余り特別そういうのにはこだわっておりません。  というのは、自衛隊法の位置づけでは、三軍の総司令官としては総理大臣一つちゃんと位置づけてありまして、その下に防衛庁長官というのが位置づけられておりますから、この形というのは、どういうふうな名前で呼ばれようと、例えば国防省になったとしても、自衛隊法上の位置づけは同じような形をとらざるを得ないだろう。  やはり総理大臣と別の国防大臣がおるわけではないわけで、国防大臣の上にやはり総理大臣がおる、そういう位置づけにきちっとなりますので、やはりそういう意味では、その名称は、隊員の士気その他には影響するかと言われますと、それはするかもしれません。しかしながら、私自身に関しては、それほどの意識の差は実のところないわけでございます。要は仕事がやれるかやれないか、そういうことでございます。
  187. 冨沢篤紘

    冨沢委員 国防、安全保障というのは国家の第一の仕事になるわけで、国民に対しての最大の福祉でありますので、二十一世紀のこの国のかたちは国防省であると私は信じております。省への昇格を避けた、見送った、国家の大計を見誤っている、この指摘を申し上げます。  次に、総務省に移ります。  自治省と総務庁と郵政省、三つの役所が一つになる。三十万人のマンモス官庁が誕生をいたします。私は、神奈川県で大和市会議員、神奈川県会議員、そして今日衆議院議員に当選をさせていただいたんですが、地方議員の経験のある私にとって、自治省が総務省に吸収をされることになると、地方自治行政が弱められるのではないかという危惧を持っているんですが、その点いかがですか。
  188. 小里貞利

    ○小里国務大臣 決して言葉を返すわけではないんでございますが、自治省が総務省に吸収されるのではないか、そういう意味のお言葉があったようでございますが、決してそういう上下、主従の関係ではなくて、いわゆる対等に組織が合体をしますよ、そういう感覚でひとつとらえていただきたい次第でございます。  なおまた、具体的には、組織人事の管理やあるいは地方自治など、国と地方を通じた基本的な制度に関する行政を行いますよ、こういう主要任務あるいは役割もきちんと整理しておるところでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  189. 冨沢篤紘

    冨沢委員 地方分権を進めていく、その結果、国の省庁体制も変わって小さな政府になる、行革のまともな手法のはずであります。  村山内閣の時代に地方分権推進法が公布をされて、今、地方分権推進委員会、七名のメンバーで六月に推進計画がまとめられると聞いております。この地方分権推進委員会で、財源、権限の受け皿が、三千二百三十二の市町村と四十七都道府県に財源、権限を移譲していく、地方分権を進めていくという方向で検討が進んでいる、こう伺っておりますが、間違いありませんか。
  190. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えをいたします。  地方分権を推進いたしますれば、国が仕事をしておりましたものを、橋本総理言葉をかりれば、国、都道府県、市町村が対等の関係になるんだと。これまでの縦の関係、中央集権というものを、これを横に置くという対等の関係にするわけでございます。  したがって、そうなりますと、委員おっしゃるように、市町村の合併は、国が決めて、国が国家権力で押しつけてするものではありません。地方団体の自主的な判断、自立的方向に基づく判断によってこれはなされるべきものでございますが、これまでの市町村合併と違いますのは、地方分権を進めるわけでございますから、受け皿としての地方行政体制をどうするかという、このことにかかっておるわけでございます。そうなれば、おのずと行政の水準といいますか、行政能力を上げることは当然のことでございます。  もう一つは、合併をしてそういう方向をとるということとあわせて、広域行政を選択するのかという問題があろうかと思います。分権を進める受け皿づくりは地方において判断をされることではございますけれども、今度はその市町村行政というか地方団体において、そのことは責任を持って選択をしなければならない時期が来るわけでございまして、そのような理解をいたしておるわけでございます。  もとより自治省といたしましては、効率的な行政運営、また地方分権の受け皿づくりとしての市町村の合併、このことについてはあらゆる努力をいたしまして、指導助言もし、御支援を申し上げなければならない、このように考えております。
  191. 冨沢篤紘

    冨沢委員 私は、地方議員を経験をしておりまして、権限、財源の移譲を受けるには自治体が一定規模の大きさであった方がよろしい、こういう考え方に立っておるのです。  地方分権推進委員会が、現行三千二百に余る自治体を前提にして分権の議論が進んでいる。実効ある推進計画が立てられるかどうか危惧をしているのですが、この点、再度お尋ねをいたします。
  192. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 地方分権は、私どもは計画を今作業中でございますが、この国会のできるだけ早い時期にまとめまして、国会にお示しをしなければならぬと思っております。ただ、分権推進委員会における取りまとめは夏ごろになるというのは私どもお聞きいたしておりますが、それとの整合性は当然持たせなければならないわけでございます。  委員おっしゃるように、ある一定にまとめてというお話がございましたが、さまざまな議論があることは承知いたしております。例えば末端行政は十万人あるいは三十万人にまとめるべきではないか、あるいは郡単位にすべきではないか、道州制をとるべきではないかなど、さまざまな議論があるところでございますが、これは地方団体でお取り決めをいただくことであります。  また、地方団体にはそれぞれ人口の構成でありますとか、産業構造でありますとか、町の形でありますとか、その広さでありますとか、いろいろの要素が複雑に絡んでおりますから、地方の団体において判断をされることと思っておるわけでございます。
  193. 冨沢篤紘

    冨沢委員 ありがとうございました。  郵政省に移ります。  現在の郵政省も総務省に吸収されることになりますが、郵政三事業、これは行革会議中間報告から大幅に後退をしております。中間報告について小里長官は、中間報告は行革会議の志向する提言である、こんな御発言がありましたけれども、今ここでは、なぜこんなに大幅に後退をしてしまったか、この質問は省略をさせていただいて、いずれにしても、中間報告では簡保、郵貯は民営をやろう、郵便だけ国営で残す。この方向が、全部国営、五年後に郵政公社というところまで後退をした。私は、後退と申し上げる。  今、日本金融ビッグバンを控えて、銀行も証券も業界が大変苦しんでいるのは御承知のとおりでございます。総理は二年前の公約に違反して、二兆円の国税投入を銀行にした。それでも世界で生き残れる金融機関が幾つあるか、本気で心配をされているのが今日であります。  国が貯金、保険業を直営して、市場から合わせて三百三十兆円を吸い上げて運用している。都市銀行の預金を全部合わせたって二百二十兆円ですけれども、三百三十兆円も吸い上げて運用している。民業を国が圧迫している。さっきの松沢先生の話ですと、ホテルもやる、運送屋もやる。郵便局というのはえらい仕事までやって、民業を国が圧迫している。  こんな先進国はないわけでありまして、この構図にメスを入れなければ、ここのところを改革しなければ、日本金融システムというのは基本的に安定しないのであります。  政治は大局で判断をする。そして基本的な正しい方向を示さなければいけない。今回の郵政三事業の後退を、総理いらっしゃらないので、総務長官、どうお答えになりますか。
  194. 小里貞利

    ○小里国務大臣 後半については郵政大臣の方からお答えいただくかと思うのでございますが、まず先生が、ただいまお話がございました中間報告でございます。  これは昨年の九月三日、行われました。私は、この中間報告に対しまして、いわばこれは問題提起でございます、あわせまして、内外あるいは国民の皆さんに批判、検討をいただくための材料を提供したものだ、こう判断いたします、こういう答弁を実は申し上げております。  同時にまた、その中間報告から最終報告の十二月三日においては若干、前進したのか後退したのか、そのままだったのかという議論があります。今議員は、これは若干後退ではないかとお話しでございましたが、私どもは、先ほど申し上げました中間報告を基本にいたしまして、国会内外あるいは各政党、あるいは各系統団体、業界、広く国民の皆様方の御意見を謙虚に承ってまいったつもりであります。  結論として申し上げますと、利用者のいわゆる利便性というものを一つの基本にいたしました。もう一つは、国民が真に求める三郵政事業に対する改革とはどういう姿であるかということを検討いたしたつもりであります。  恐らく議員もよく御承知のとおりでございますが、全国自治団体三千百前後の皆さんが、これは三郵政事業一体で国営であるべきですよ、しかしながら中身は実質これは合理化をしなさい、近代化をしなさいという要請が非常に強かったという経験を私どもはいたしました。  そのような一つ経緯を経まして、今日の、最終報告を基本にいたしました中央省庁再編の一つ法律を御検討いただくことにいたしたわけでございます。  なおまた、郵政事業改革を進めるその組織あるいは実質経営上の諸問題については、申し上げても結構でございますが、時間の関係がございましょうからこれ以上申し上げませんけれども、中身といたしましては、これをいわば独立採算制でいきますよ、あるいはまた、これは独立採算制のもとにいわゆる自由そして弾力性のある自律的な一つの性質を持った経営も可能であります。そして、従来最も強く指摘をされておりました預託金制度の廃止も行いますし、これを自主運用とすることも認めるということにいたしました。  あるいはまた、一部郵便事業等に対しましても民間企業の参入も検討しますよというような、非常に大胆な、思い切った中身の一つの要素を新しく盛ったものを出しておりますから、十分それらのことにつきましても御検討を、あるいはまた御意見をお聞かせいただきたく存ずる次第でございます。
  195. 冨沢篤紘

    冨沢委員 この点については、総務庁長官と基本的に考えが違うようでございますので、これからの国会活動で議論を深めてまいりたいと存じます。  行政改革、小さな政府イコール役人の数を減らすこと、私はそんなふうにも理解をしておるところであります。大臣二十二名が十五人になる、一府十二省の官房、局の数が百二十八から九十に、千三百ある課、室が千に減る、しかし職員定数は十年間で十分の一削減する、こういうふうに法案に明記されている。十年間で十分の一。もっといけないことは、行政経費がどの程度削減されるのか、ここいらは全く書いてない。税のむだ遣いがどの程度なくなるのか、これにも触れてない。まことに手ぬるい法案であります。  政策不況の中で、民間企業は血を吐く思いでリストラに取り組んで利益を出している。十年間で十分の一の職員定数の削減なんというのは、これは民間のセンスからしたら、ばかげた話ですよ。納税者や事業主は怒りますよ。これはどうですか。
  196. 小里貞利

    ○小里国務大臣 一つは、十分の一の話でございますが、決して十年間十分の一ではございません。最低十分の一を削減いたしますよ、十分の一以上を目指す、こういうふうに整理してあるはずでございまして、十分御理解をいただきたいと思います。  なおまた、きょうは時間もありませんから簡単に申し上げますと、現在政府が今次の改革によって果たすべき役割というものを、大胆にこの際メスを切り込んでいこうじゃないかという前提があります。あるいはまた、その具体的な最も有効な手段として、独立行政法人という国の行政機関とは別の法人格を有する機関制度にこれを移行いたしまして、現在国が行っておりまする事業あるいは事務を、その方向に相当数私どもは誘導することが可能であると思っておる次第であります。  あるいはまた、そういう視点で申し上げますと、先ほどお話がありました郵政公社の職員団体のその一つの位置づけ、あるいはまたこれらを国家行政組織法あるいは総定員法から外に出すということもきちんとそれに明示してございますから、それらを、いろいろな視点もありましょうけれども、周到に細やかに詰めていけば、私は、およそ十分の一程度のことではない、相当な削減というものが期待できるし、またそういうたくましさを持たなければ、お話がございましたように、改革という基本におよそ背くことになるのではないか、さように思っておるところでございます。
  197. 冨沢篤紘

    冨沢委員 御発言に期待をするところであります。  次に、大蔵省にお尋ねをいたします。  大蔵省改革も大幅に後退をいたしました。基本法案で一番私の失望した点であります。権力の異常に集中している大蔵省を改革する、これが行政改革の最大の課題であるはずですが、基本法はこれにほとんどこたえられていない。  まず第一に、金融部門の分離が先送りとなってしまっている。財政金融は分離しない財務省が誕生してしまいます。予算編成と税制の企画が財務省の仕事で、これらの専門能力を持つプロ集団がいればいいわけなのです。それ以外の大蔵省なんというのは要らないのですよ。財政金融二つがくっついたままだと、政府の財政のために金融政策がゆがめられているのじゃありませんか。  大蔵大臣金融機関への権限が財務省に集中したままで適正な金融行政、特に監視行政ができますか。
  198. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  私は、委員とは少し見方を異にする点があるのです。  それは、去年の国会で大事な法律を二つ通していただきました。一つ日銀法の改正でございます。これによりまして、日本銀行の行う金融政策の独立性が強化されました。  もう一つが、金融監督庁設置法によりまして、金融機関に対する検査監督の権限は、六月までの間に大蔵省から分離されまして、総理府のもとに置かれる金融監督庁に移行するわけです。それによって、金融関係部局の定員の中で七七%が実は大蔵省から離れて金融監督庁に移ります。したがって、金融業者に対する行政、いわゆる金融業者行政、これは大蔵省、そこからは撤退するわけでございます。  それから三番目が、今般の中央省庁の再編の基本法によりまして、金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関するものだけが大蔵省に残って、あとは全部金融庁に行く、こういう改革がなされようとしているわけであります。  しかも、この改革は、自民党、社民党、さきがけ与党三党で長い間議論をされまして、一月二十日にその議論がまとめられ、それを受けての今回の中央省庁の再編基本法、そうなっておるわけでありますから、私ども、その線に沿ってぜひひとつ、法律が通ればそうなることでありますので、努力をしたい、こう考えているところです。
  199. 冨沢篤紘

    冨沢委員 また別の機会に省庁設置法の件で監督庁のことは議題にさせていただきますが、大蔵省の分割について、国税庁の分離も実現しない。  徴税というのはもう大変な国家権力の象徴で、これを大蔵省に温存してしまった。私たち政治家も、大蔵省に不利な案件を決定しようとすると、税務調査やるぞとおどかされて引っ込んでしまうことがあるのです。すねに傷持つ政治家というのはとかく大蔵省に弱いのですが、これでは三権分立ではなくなって大蔵省一省支配になってしまう。  また、私は予算編成のときに思うのですけれども、税は国家国民のものだけれども、しかし徴税を大蔵省がやって、金を持っているのは大蔵省ですから、大蔵省が好き勝手に使っていい、どうしてもそんな錯覚に陥ってしまう。  こういう弊害を予防するために、行革会議では、大蔵省から国税庁を分離する、内閣府の外局にする案の検討がされた。これは大蔵官僚がぶっつぶしてしまったと聞いておるのですが、その点いかがですか。
  200. 小里貞利

    ○小里国務大臣 率直に申し上げまして、国税庁の組織問題につきましては、行政改革会議におきましても相当議論がございました。  結果といたしましては、人事関係等をできるだけ公平に、そしてかつまた合理的に客観的に見てこれが形成できるように留意しなければいかぬ、そういうような決着は一つの項目として見ておりますけれども、必ずしも、現在の体制を継続して、先生が指摘されるようなそういうものではなかろう。  しかも、官僚の発言等によって国税庁分離問題が乱されたごとくただいまお話がございましたけれども、そのようなことは一切ございません。言うなれば、こういう問題こそ、官僚の独善を私どもは正面から排斥しながら、やはり国家国民立場に立って公正に判断をいたした結果がこの国税庁問題でございます。さようにお答え申し上げる次第でございます。
  201. 冨沢篤紘

    冨沢委員 権限の極めて大きな財務省が誕生しそうであります。二十一世紀のこの国の姿としていいものかどうか、私は大変危惧を感じているところであります。  中間報告から始まった政治のどたばた劇は、醜態をさらしながら法案としてまとめられたところでございますが、そこから見えたのは、やはり行革を阻むものの姿が私には見えたような気がいたします。官僚の皆さんは相変わらずお上意識をお持ちでありますし、政権政党の皆さんは業界団体の圧力には極めて弱い。二十一世紀を前にして、日本は今病んでいる。薬の必要な重病人だ。調剤された薬は頓服薬ぐらいの効用しかどうもないように思えます。  我々は、昨年、大変苦労して日本再構築宣言というのをまとめたところでございます。トラは死んでも皮を残す、政党はなくなってしまったけれども、政策は残っております。日本再構築宣言こそ二十一世紀のこの国の姿を鮮やかに示したものだ、このことを申し上げながら、時間でありますので、質問を終了いたします。  ありがとうございました。
  202. 越智通雄

    越智委員長 これにて冨沢君の質疑は終了いたしました。  次に、東祥三君。
  203. 東祥三

    ○東委員 自由党の東祥三でございます。  順番を変えまして、沖縄問題、それから日米防衛協力ガイドライン、そしてPKO法改正問題について、時間の許される限り質問させていただきます。  まず初めに、沖縄問題についてでございますが、内閣官房長官、お久しぶりでございます。沖縄問題について、とりわけ普天間基地返還と海上ヘリポート問題について質問させていただきます。  現状について、私は、すべてが膠着状態であると思っております。つまり、名護市長選挙公示後、大田知事は普天間基地の県内移設反対を明確にして、海上ヘリポート建設に関してノーと言われました。新名護市長は、大田知事の意向に従うことを表明している。したがって、調査費も計上できない状況であります。この状況の転換は、基本的にはことしの秋の知事選挙まで何も変わらないのではないのか、このように私は現状認識いたしております。  橋本総理は、これまで大田知事と何と十七回もの会談を行ってまいりました。官房長官、総理は、大田知事に、普天間基地を返還するかわりに海上ヘリポートによる県内移設の理解を得られるとお考えになられて、十七回もの会談を行ってこられたものと私は推察しております。しかし、残念ながら、知事は総理の思いとは全く違う一方的表明を行った。私には、総理の心中を察するに余りあるものがございますが、想像の域を出ません。  そこで、本来総理に出ていただきたかったんですけれども、きょうは一般質疑ですので、官房長官においで願いまして、日本政府は大田知事に一体何を期待されていたんでしょうか。
  204. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 代替ヘリポート問題でございますが、普天間飛行場の返還については、当時、あの合意を受けるときに大田知事から強い要請を受けまして、橋本総理が米側との返還合意にこぎつけたものと承知をいたしております。  そのへリポートにつきましては、いろいろな条件を考慮しながら、現時点における最良の選択肢として海上へリポート案を地元に提示し、地元の皆様の御理解と御協力が得られるよう最大限の努力をしてきたところでございますが、昨年末、比嘉前名護市長は、みずからの進退を賭して、海上へリポートを受け入れるという決断をされまして、辞職したということは、御承知のとおりであります。  他方、大田知事さんにおきましては、先月六日、名護市の市民投票の結果、関係市町村、各種諸団体の意見、県政運営の基本理念など、さまざまな角度から検討した結果といたしまして、海上へリポート受け入れ拒否を表明されたところであります。  政府としては、大田知事が提起された問題に対し、現時点における最良の選択肢として提示したこの海上へリポートの実現に向け、今後とも、大田知事を初め地元の御理解と御協力が得られるように、粘り強く取り組んでいきたい。  また、去る十一日に沖縄県において、政府側から内閣内政審議室、外務省及び防衛庁の審議官等が、沖縄県からは知事、副知事及び出納長の方々が出席をいたしまして、普天間飛行場の返還をめぐる諸問題の解決に向け、五時間四十分ぐらいと聞いておりますけれども、会談をしたようでございます。これには、大田知事さんの忌憚のない意見と、こちらも率直に意見交換をした。結果としてはまだその結論には達していない。  しかし、これからもこの海上へリポート問題、政府としては最善の策として、大田知事初め県民の御理解、御協力を得ましてやっていきたい、こう思っているところであります。
  205. 東祥三

    ○東委員 御説明は御説明として理解するんですけれども、官房長官、総理が十七回ですよ、十七回。二、三回お会いして、そしてその問題に対して総理の意向とは違う、その反対意見を表明されたというよりも、今お話がありましたとおり、知事の方から普天間基地返還の強い要請があって、それを一体どうしたらいいのかという視点に乗っかった上で、総理が県内移設、海上へリポート建設の案を提案され、それについてずっとお話をされてきた。  その背景には、間違いなく、お二人の間に信頼を構築しようとする、そのあらわれとして何と十七回もの会談が行われた。まさに異例のことだろうと私は推察します。その上で、現実には、大田知事の方からノーという明確なる意思表示があった。  したがって、一生懸命粘り強くというふうに言われていたとしても、現実の問題としては膠着状態に入っているのではないのか。それをさらに敷衍するとするならば、ことしの秋の県知事選挙で仮にまた大田知事が三選されることになれば、その状態はずっと続くというふうに予想するのが当たり前なんだろうというふうに思うわけでございます。  その上で、第二番目の質問でございますが、もし、大田知事が秋の県知事選に出馬して、また仮に当選されるとすると、現在からシミュレーションしますと、状況はまさに何も変わらない。しかしながら、間違いなく、普天間基地返還の要求はさらに私は深まってくるというふうに思います。  その場合、今までは普天間基地返還、県内移設の問題ですから、これは基本的に国内問題であるというふうにとらえることができる。しかし、県内移設問題に関しての解決策というのは見出される状況にない。他方、普天間基地返還に対しての要求は極めて高まってくる。ここに国内問題から日米安保問題にスイッチされる、そういう状況になってしまうのではないのか、このように私は推定いたします。  そのとき、総理、政府は、県知事にかわってこの権限を行使し得る新たな法律の制定を御検討なさるのかどうなのか、この点について、官房長官の御所見を伺いたいと思います。
  206. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 今の御質問ですが、新たな立法ということは今考えておりませんが、直接担当は、防衛庁長官もおりますし、そういうことは今考えておりません。
  207. 東祥三

    ○東委員 ということは、膠着状態がずっと続く。何の展望もないまま、とにかく粘り強くやっていくということだけですか。
  208. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 膠着状況というか、この状況ですと、普天間は現在のまま残る、こういうことになろうかと思います。そして、一方において、粘り強く知事とも協議をしながら、御理解、御協力を得たい、こういうことであります。
  209. 東祥三

    ○東委員 多分そこまでしか言えないのだろうというふうに思いますので、次に、日米防衛協力ガイドラインに進ませていただきます。細かな点はお聞きいたしませんので。ガイドライン関係法の整備の枠組みについて御質問させていただきたいと思います。  私自身は、いわゆる日本有事の場合の法を後回しにして、周辺事態に関する法を先行させるという考え方そのものが非常におかしいというふうに思っておりますけれども、この点については、別のもっと時間があるときに徹底的に御質問させていただきたい、このように思っております。ここでは周辺事態にかかわることに限定したいと思います。  周辺事態における日本側の法的措置を二つに分類することができるのだろう。報道を見ていると、四つの柱だとかいろいろ出てきていますけれども、あれを見る限りにおいてはよく理解することができない。ガイドラインに書かれている日本側の法的措置を、多分次の二つに分類することができるのだろうというふうに思っております。一つ日本側の独自対応の分野、もう一つは対米支援の分野だと思います。  第一の分野は、避難救援あるいは捜索、救難、非戦闘員退避、それから経済制裁措置活動等。経済制裁措置活動等に関しては、これは国連協力との枠組みで、これも何でこんなところに入っているのかということも法体系上よく理解することができないわけですが、日本が独自に対応できる分野ということで、この一つのグループが考えられる。さらに、第二の分野としては、対米支援の分野ですけれども、施設利用、補給、輸送、整備、衛生、警備、通信等がここに入ってくる。  第一の分野に関しては、基本的には現行法が存在する。その現行法の改正でよしとするのか、あるいは幾つかの分野に関しては新規立法をするのか。第二の分野に関しては、これは現行法が基本的にありませんので、何らかの新規立法をつくられようとしているのか。  この点について、防衛庁長官にお聞きします。
  210. 久間章生

    ○久間国務大臣 まさに整理の仕方、方向については、先生のおっしゃるとおりの方向だと思います。  ただ、法律ではなくて、また場合によっては取り決めとか、そういうようなACSAみたいな、それは外務省の方で検討されるわけです。そういうような取り決め等もありますけれども、一応整理の方向としては、今おっしゃられたような問題がございます。
  211. 東祥三

    ○東委員 そこで、基本的には政府のお考えとしては、まだ平成十年度の予算が成立するまでは内容を多分出してこないのだろうというふうに推察します。ただ、第一の分野に関しては、それなりに準備が進んでいるというふうに聞いております。第二の分野に関しては、何が出てくるのかまだよくわからない。  それはそれとして、問題は、第一の分野そしてまた第二の分野における何らかの現行法の改正、あるいはまた新規立法あるいは取り決め等が出てきた後、一体どうするのか。つまり、日本と米国との間で何らかの協定を結ぶことになるのですか。防衛庁長官
  212. 久間章生

    ○久間国務大臣 取り決め等の場合は、これは相手もあることでございますから、事前にもちろんいろいろな調整をしながら具体的なことをやっていかなければなりませんけれども法律の問題につきましては、これは国内の問題でございますから、政府がまとめて、国会に御審議を願って、そして法律としてつくり上げるということになるわけでございます。
  213. 東祥三

    ○東委員 防衛庁長官、別の言葉で言います。  第一の分野、第二の分野における法整備が終わった段階です。その段階で、米国との間に何らかの協定を結ばざるを得なくなるのではないですか。
  214. 久間章生

    ○久間国務大臣 協定を結ぶ必要が、法律等ができ上がってしまって必要になるのかどうか。その辺につきましては、先ほど言いましたように、取り決め等、これは外務省等においていろいろと、法律をつくる前に必要なことについては打ち合わせ等をしながらやはり進んでいるわけでございます。だから、そういうのが出てくるのかどうか、これはまだ何とも言えないわけでございまして、法律に関してはそういうような問題は出てこないんじゃないかというような気がするのですけれども
  215. 東祥三

    ○東委員 防衛庁長官、第一の分野は独自の分野で、主権の名のもとに日本ができることです。第二の分野というのは米軍に対しての支援内容ですから、したがって、日本だけで取り決めることというのはできないのじゃないですか。  したがって、例えば補給の問題にしても、あるいはまた整備、衛生の問題にしても、米軍に対しての協力内容ですから、それを何らかの形で国内法で整備する、その後当然、相手が米国ですから、米国との間に協定を結ばざるを得なくなるのではないですかと僕は申し上げているのです。
  216. 久間章生

    ○久間国務大臣 第一の分野については先ほどから言っているとおりですけれども、第二の分野について、それは法律をつくったとしても、その後に取り決めが要るかどうかということでございます。それは、さっきから言っていますように、外務省が中心になって、アメリカとの関係で、第一分野、第二分野と大きく分けられましたけれども、そういうような問題を整理する段階において、話をしながら進めておるということでございます。  その取り決めが必要になってくるかなってこないか。これは、だから、これから先の日米間の、外務、国務両省のいろいろな取り決めの中での折衝の結果出てくるわけでございまして、法律そのものとは関係ないわけでございます。私どもは、法律上必要だとなればそれは国内で手当てすることでございまして、それとは別にアメリカとの関係で取り決めが必要かどうかということになれば、それは外務省と国務省との間で話を進めていくということになろうかと思います。
  217. 東祥三

    ○東委員 そうではなくて、僕は難しいことは全然聞いていないと思うのですが。つまり、第二の分野というのは、日本が対米協力の内容を言っているわけですから、防衛庁長官、何を言っているか僕よくわからないんですよ。  法整備が終わった後、この法整備というのは、国内で法的な整備をすると言っているんですよ。法整備をしたとしても、この第二の分野に関しては対米の支援内容なんですから、つまり、その法整備ができた後、米国との間に何らかの枠組みなりそういうものをつくらないで、私はあなたに尽くすだけですよと、それで済むんですかということを申し上げているんですよ。おかしいんじゃありませんか。
  218. 高野紀元

    ○高野政府委員 指針の実効性確保に関しましては、現在、関係各省と法的側面を含めまして検討しているところでございます。先ほど委員御指摘のとおり、捜索、救難、在外邦人等の輸送、船舶の検査、あるいは第二と言われた後方地域支援等に関して必要な法的整備について、現在、検討を精力的にしているというわけでございます。  それは、国内法の分野としてはそういう作業をしておりますが、日米間のあるべき取り決めについては、当然、今おっしゃいました、第一、第二を通じまして、いかなる国と国の関係の取り決めが必要かどうかということも、並行して検討を進めているところでございます。
  219. 東祥三

    ○東委員 要するに、新しい枠組み、協定という言葉を使っていいのかどうかわかりませんけれども、それをつくるかつくらないか、よくわからないということですか。
  220. 高野紀元

    ○高野政府委員 これは、国内法の作業、それから国内法がどのようなものになるかということに密接にかかわっておりますので、確定的なことはまだ申し上げることは難しいわけでございますが、私どもとしては、何らかの日米間の取り決めはやはり必要になるだろうという見通しのもとに、今作業をしております。
  221. 東祥三

    ○東委員 全くそのとおりだろうと思うんですね。何らかの新しい取り決め、協定をつくらざるを得なくなるんではないのか。別の言葉で言えば、もしそういう取り決めをつくらないといった場合、日本法律のみで日米協力をやろうということになるわけですから、そんな国家間のあり方というのは基本的に存在しないだろうというふうに思います。  そこで、質問ですけれども、それは、まだ具体的に言えない段階なんだろうと思うんですけれども、ある意味で、新しい枠組みができるということは、安保条約のもとで、地位協定とは全く違った新しい枠組みがつくられることになるんではないのか、このように推定いたしますが、いかがですか。
  222. 高野紀元

    ○高野政府委員 例えば、後方地域支援でございますが、これは、ガイドラインの中に明記されておりますように、安保条約の目的達成のために行う米軍に対する協力というふうになっております。それから、周辺事態そのものでございます。これは、今の後方地域支援を含めまして、周辺事態における日米協力、あるいは米軍に対する日本協力でございますが、これは、安保条約の目的の達成のためにやるという性格の協力になります。  その中で、現行の地位協定で既に行えるもの、あるいは予定されているものもございますが、今後、国内法整備等をいたしまして、さらにどういうものが国内法的に手当てをすべきか、あるいはできるのかということを今まさに検討しているわけでございまして、全体として、安保条約の枠の中、安保条約の目的のために活動する米軍に対しての協力についての法整備を検討しているわけでございます。
  223. 東祥三

    ○東委員 具体的な内容がわかってきた段階で、この点についてさらに突っ込んだ質問をさせていただきたいと思っておりますけれども、基本的に、私は、やり方が全く本末転倒しているんだろうということを申し上げておきたいというふうに思います。  それは、今北米局長からもお話がありましたとおり、第二の分野であります対米の支援協力内容を詰めていったときに、基本的に現行法の中でできるもの、あるいはできないものというのが出てくる。とりわけ、日米安保条約下において、あるいはまた地位協定の枠組みの中で、できるもの、できないもの、こういう精査が行われてくる。地位協定の中でできないものに関しては、新たなる法律をつくらざるを得なくなる。じゃ、その時点において、その次の段階で、何らかの形で米国との間で新しい協定を結ばざるを得なくなる。  私は外務委員会にずっとおりますから、今までのやり方と全く異なった話になってくるんだろうというふうに思います。基本的には、二国間あるいはまた多国間の協定あるいは条約というのは、まず初めにそれに対して署名しているわけですね。その後、国会においてそれを批准するかどうか、その間、国内法の整備が行われていっているわけですね。それが僕は普通の流れなんだろうというふうに思うわけです。  ところが、この日米防衛協力ガイドライン、一つ一つ詰めていったときに、いろいろな政治的な配慮があるということもよく理解できる、結果として、外務省あるいは防衛庁の方々が苦しまなくちゃいけない、そういう状況に追い込まれつつあるのではないのかということだけを、きょう指摘させておいていただきたいと思います。  PKO法改正問題に移らせていただきます。  本日、十三日、閣議決定がなされたというふうに僕は理解しておりますが、それで間違いありませんか、官房長官。
  224. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 間違いございません。
  225. 東祥三

    ○東委員 PKO法の改正案が本日閣議決定された。いずれ国会に提出されるようになるんだろうと思います。そして、今回のPKO協力法が改正されることによって、日本が国際の平和と安定に真の意味で貢献できることを私は期待いたしております。  改正案に関しても幾つかの不満点があるわけでございますが、改正案の話に入る前に、まず、外務大臣、それから防衛庁長官内閣官房長官に、日本のPKO活動に対する認識をどのようにお持ちになっているのかということをお聞きしたいと私は思います。  九二年のPKO法が施行されて以来、御存じのとおり、日本は六つの国連平和維持活動に参加してまいりました。国際社会の一員として国際の平和と安定のために努力する、この活動を私は評価すべきだと思っております。  しかし、九二年以降行われている国連のPKO、あるいはまたそれ以前から継続中の活動は、全部で三十ぐらいあります。現時点でも、世界の各地には十五ほどのPKO活動が展開されている。その中で、日本が参加しているのはたった一つだけであります。この十五の活動には約一万八千人以上が参加しております。国連広報部のホームページからとりました。十五の活動に約一万八千人以上が参加しています。この中で、日本からはわずか四十五人しか参加しておりません。  数で物事をはかるということについてはいろいろな考え方があると思いますが、実数として一万八千人以上が参加している中で、日本はわずか四十五人、十五のPKOの活動のうち一つの活動だけです。これは、現在の安保理の十五カ国の中で下から六番目の位置づけでございます。その後は、中国、ガボン、ガンビア、バーレーン、コスタリカが続いているわけです。十五のうちの下から六番目です。  そして、PKO活動に人的貢献をしているすべての国、国連加盟国百八十五カ国あります、その中で七十カ国が人的貢献を行っているわけです。その中で、日本は何と四十六番目でございます。ガーナ、フィジー、ジンバブエ、ハンガリー、エジプト、マレーシア等といった国々と比べても、これらの国々は日本の倍以上も要員を派遣しているという事実がございます。PKO活動に対する財政的な貢献は、もう皆さん御案内のとおり、二番目でありますけれども、人的な貢献に至っては何と四十六番目に落ちてしまっているというのが実情でございます。  そこで質問でございますが、外務大臣、現在展開中の十五の中の一つだけのPKOにしか参加しない理由というのは、外交の最高責任者として一体どのようにお考えになっているでしょうか。残りの十四のPKOの活動内容と、それからまた、今のPKO法で凍結業務、いわゆる日本では本体業務というふうに言っていますが、それが凍結されているがゆえに参加できないのか、どのように外務大臣はお考えになっていますか。防衛庁長官にも同じ質問をします。
  226. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 それぞれの地域に対する協力について、詳細な点については事務当局から御答弁をさせていただきたいと思いますが、基本的には、国際貢献の一つとして、我が国がPKOという形で協力を申し上げることができるようになりましたのは、この法律があってでございまして、それまで国民的な考え方としては、自衛隊を含めて、海外でこうした活動をするということについてはなかなか厳しい環境であったわけでありますが、この法律ができて以降、そうした形で一つ一つこの協力が行えるようになったことは事実であります。  しかし、それぞれの地域からの要請、国連からの要請の中には、今委員が御指摘のような、いわゆるPKF的な行動をとらなければなかなかその実効が上がらぬというような点もあるかと思いますから、そういうことになりますと、現行の法律でこれは行えないということでの制約があることは事実であると思います。  それから、人的な貢献については、今、日本が大変下位にあるようにお話しいただきましたが、上位にある国々の中も、もちろん国際貢献という立場で非常に協力しているのだろうと思いますが、中には、それぞれ国連の機関に協力ということで、国連に参加することによりましてそれぞれの国のPKOないしPKFに対する協力が、その国に対して大きなやはり力になっておるというような点の背景も率直に言えばかなりあるのだろうと思います。  そういった点で、我が国としては、与えられた、かつ国連からの協力要請があれば、法律の範囲において懸命に貢献をしなければならないという姿勢は常に維持しながら、努力しているところでございます。
  227. 久間章生

    ○久間国務大臣 今言われました順位につきましては、これは文民警察が入っている分野もありますので、文民警察を除きますと、もう少し順位は実は上がるようでございますが、いずれにしましても、順位からいってそう上位でないということは、委員おっしゃるとおりでございます。  これはやはり、今外務大臣からのお話がございましたように、本法律案を出しましてから歴史が浅いということと、あのときにやはりPKFが凍結されて今日に至っておるということも影響しているのじゃないか、そういう気がいたしております。  そういう意味では、我が国として、もう少しPKO、PKFを含めまして、国際貢献できるような素地をつくっていくことは望ましいことだと思いますけれども、これは、国会の意思でPKFはあのとき凍結されたわけでございますので、その辺が解除していただけるかどうか、その辺をやはり総合的に判断しなければならない、そういう問題ではなかろうか、それも関係しているのじゃないかと思っております。
  228. 東祥三

    ○東委員 九二年に法律ができまして、後ほど言及いたしますけれども、三年後に見直すと。見直す機会というのは九五年、それ以後もう約三年近くたっているわけですね。これはだれに責任があるのですか。政権を持っている政府・与党にあるのではありませんか。それは後で言います。  ところで、日本政府は、さまざまな機会において、いろいろなメディアを通して、内外に向かって国連のPKOに対する積極的な貢献を訴えているわけです。  例えば、ことしの二月十六日の小渕外務大臣の外交演説では、国際社会の平和と安定のため、国連平和維持活動等に協力してまいりますと言っています。  昨年九月二十三日の第五十二回国連総会における小渕外務大臣一般討論演説では、我が国では、国連の平和維持活動や地域紛争の予防、解決のための努力に積極的に協力してまいりましたと過去形で言って、日本の積極さを強調しました。  九六年一月二十二日の前外務大臣の外交演説においては、我が国としては、地域紛争の解決のため、外交努力や人道、復興援助等の協力とともに、平和維持活動を含む国連の活動に人的な面や財政面で引き続き積極的に貢献してまいります。  九六年十一月二十九日の橋本総理所信表明演説では、地域紛争、軍備管理、軍縮、人口、開発、環境など国際社会が抱える問題に関しては、国連平和維持活動への貢献や政府開発援助の実施も含め、解決に向けて主体的に貢献しています。  引用が長くなりますが、これほど一生懸命言っているのです。  九六年九月二十四日の第五十一回国連総会における橋本総理一般討論演説では、冷戦後の新しい状況において国連の役割が一層重要となる中で、さらに国連への協力を強化して、世界の平和と繁栄のために、これまで以上の積極的役割を果たしていきたいとの我が国の決意を表明します。  また別のところでは、今後ともPKOへの積極的な協力を可能な範囲で行っていきます。  九六年一月二十二日、橋本内閣総理大臣施政方針演説でも同じように、積極的に貢献します、こういうふうに言っているのです。  僕が言いたいのは、言っていることとやっていること、余りにも開きが大き過ぎるのじゃありませんかということを言いたいのです。  こうした公的な場において、日本政府は再三再四、積極的に貢献すると言っているのです。繰り返し繰り返し、積極的という言葉を使っております。しかし、言っているだけでは、積極的ということにはならないのじゃないですか。内向きに言っているのと、外で言っている。外の人たちは見ますからね、何をやっているか。  それが先ほど申し上げました、残念ながら、数の上では四十五人の国連平和維持活動、これはUNDOFだと思いますが、ここに入っているにすぎない。その活動を私は評価しないと言っているのじゃないのです。評価するのはもちろんそうでありますけれども日本政府は、積極的な貢献を公約として掲げているにしては、まだまだ足りないのではないのか。  その上で、次の質問です。  外務大臣日本の現在の国連平和維持活動への参加ぶり、参加レベルをどのように評価されますか。改善する余地があると見ているのか、あるとすれば、どこに問題があると見ておられるのか、この点について御質問させていただきます。外務大臣防衛庁長官、お願いします。
  229. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 総理大臣の施政方針演説等からも、我が国がこうした形で国際貢献をしていかなければならないという強い意思を表明しておるわけでございます。ただ、それに対して、その結果についての御評価は、今委員が御指摘のように、必ずしも高いものでないことは承知をいたしております。  しかし、先ほど申し上げましたように、日本として、与えられた法律の中で精いっぱい努力をするとすれば、残念ながら今日の段階では、この努力を今いたしておる範囲にとどまっておるということでございます。  今後、世界の各地におきましては、さらに我が国の協力を要請されるところもあろうかと思いますから、そうした問題について、これからも十分その意思にこたえられるように、一つ一つ丁寧に考えてまいりたいと思っております。
  230. 久間章生

    ○久間国務大臣 現在UNDOFに参加している隊への要員、みんな非常に立派にその職責を果たしておると思っております。
  231. 東祥三

    ○東委員 全然答えてくれていないのですね。  時間がないので先に進めさせていただきます。  三月十二日の報道によりますと、国連総会議長であるウドベンコさんが来日中だった。そして三月十一日に、日本記者クラブでの会見で、PKOについて、いかなる加盟国も要員を派遣する義務はないとしながらも、日本に対して予算面で貢献してほしいと述べ、PKOの経費への一層の資金拠出を要請したと報道されております。  御案内のとおり、日本は現在PKO全体予算の一五%を出しているのですが、これはアメリカに続いて世界第二位の財政負担を担っている国です。外務大臣、外務大臣は外交の責任者ですから、ウドベンコさんのこの言葉、予算面で貢献してほしい、これは外交官の言葉ですよ。僕が聞けば、これは何を意味しているのかというと、このように僕は受け取ります。  日本人による、日本による人的貢献に対する期待というのは無理だ、少なくともお金だけ出してくれないか、こういう意味ですよ。なぜならば、お金というのは永遠じゃないわけですから。よく言われるとおり、金の切れ目が縁の切れ目、まさにそういうふうに僕は理解しますが、外務大臣、外務大臣は外交問題の最高責任者ですから、この国のリーダーとして、ウドベンコさんのこの発言をどのようにお聞きになるのでしょうか。
  232. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 ウドベンコ議長さんとは正式に私も会談をいたしました。しかし、その折には今のようなお話は提起されませんでした。今委員御指摘は、記者クラブでの御発言というふうに承っておりますが、その詳細は残念ながら私は承知をいたしておりません。  しかし、日本日本としての国連に対する協力というものは、その資金的な中で、厳しい財政状況の中でありますが、現在も全体的には、御案内のとおり、一五・六五%という大きなシェアを占めておりまして、むしろ、ウドベンコさんはそういった点で我が国の協力に対して謝意をされておりました。  PKOにつきましては、今申し上げましたように、どのような御発言があったか承知をいたしておりません。
  233. 東祥三

    ○東委員 外務大臣というのは本当に素直な、率直な方だなというふうに、僕はそういう印象を持ちます。  しかし、私は、間違いなく世界の国々は、日本からお金は出してもらいたい、本来ならば人的貢献もしてもらいたい。しかし、先ほどるる語ってきているとおり、実績面から見たとしても、現実にはなかなか日本に期待することは無理だ。  そこで、内閣法制局長官、法制局長官はすばらしいことを言われていると思うのです。昨年の十月十二日の読売のインタビューで、大森法制局長官は、PKOに関して、憲法と現実がそごし、現憲法下ではとるべき政策がとれない、となれば、憲法改正の手続きを経て、実情に合わせた政策変更をすべきというのが基本的考え方だと、あくまでも内閣法律の御意見番として、法律という角度から発言されたことだと思いますが、このように報道されているのですが、この報道は事実か事実でないかだけについて、法制局長官、お答え願えますか。
  234. 大森政輔

    ○大森政府委員 具体的にそのとおりの言葉を使って記者に述べたかどうかは若干正確には覚えておりませんけれども、その趣旨のことを申し上げたことは、そのとおりでございます。  ただ、私の申し上げたかったのは、要するに、憲法を超える事柄について、いわゆる解釈で対応しろと言われてもそれは無理でありますということを申し上げたかった、その点が要点でございます。
  235. 東祥三

    ○東委員 法制局長官、ありがとうございます。  そこで、外務大臣それから防衛庁長官にもお聞きしますけれども、本来、外務大臣日本の外交のことを真剣に考えられているはずですから、したがって、PKOの諸活動また国際の平和と安定のために日本はどういう政策をとるべきなのかということを頭の中で僕は日夜お考えになっているのだろうというふうに思います。また、防衛庁長官も同じなのではないのかというふうに私は推察いたしますが、現憲法下では、外務大臣として、日本のとるべき政策をとることができないということをお考えになっていることはありますか。  これを聞いて、ちょうど私の持ち時間が来てしまいましたので、PKO法の改正の内容についてはまた時期を改めて質問させていただきたいと思いますが、外務大臣、よろしくお願いします。
  236. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 ちょっと質問の趣旨を十分とり得ていないかもしれませんが、我が国政府として、憲法にのっとって、国会において定められた法律に基づいて最大限の努力を傾注しておるということでございます。
  237. 東祥三

    ○東委員 ちょっと理解されていないみたいなので、申しわけありません。  外務大臣、先ほどずっと僕、るる説明させていただいてまいりました。現PKO法、いろいろな制約がございます。したがって、本来、外務大臣ですから、日本の外交政策の最高責任者ですから、もっとこういう政策をとったらいいのじゃないのかなというふうにお思いになることだってあるのじゃないですかと。  それは、現憲法に照らし合わせると、自分自身が、また日本政府としてとるべき政策があったとしても、これは難しいのかなということというのはありますか、別の言葉で言えば、ビジョンはありますかということを聞いているわけです。そのビジョンはあったとしても、現憲法下においてそれを遂行することができない、このようにお考えになることがありますかということをお聞きしているのです。ずばっと答えてください。
  238. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 できることを一生懸命やっておるつもりでございます。
  239. 東祥三

    ○東委員 それでは、私の持ち時間が終わりましたので、同僚の石垣先生に譲らせていただきます。どうもありがとうございました。
  240. 越智通雄

    越智委員長 これにて東君の質疑は終了いたしました。  次に、石垣一夫君。
  241. 石垣一夫

    石垣委員 私は、自由党の石垣一夫でございます。  経済問題、それから郵貯、簡保の公的資金導入の問題、日ロ外交問題、この三点に絞って御質問申し上げたいと思うのです。  今、大蔵省のいわゆる金融汚職を中心として、連日、昨晩も課長が自殺をするという、これに関連して既に五名の自殺者が出ております。非常に憂うべき状態であります。この現状を、内閣のかなめである官房長官としてどのようにお考えですか。
  242. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 大蔵省不祥事、あるいはまた自殺者が出た、こんな状況を踏まえて、本当に、まことに遺憾である、こういうふうに考えておるところでございます。  この機会に、今までは公務員倫理規程、こういうことでありましたけれども、公務員の倫理法ということもこれはお願いしていかなければいかぬけれども、それだけではなかなか容易じゃない。本当に公務員が、こういう不祥事を目の当たりにして、国民の信頼を得るように、この際うみも出しながら、やはり目を覚ましていただかなければいけない、こういうふうに私は思っておるところでございます。
  243. 石垣一夫

    石垣委員 所轄の大臣として、前三塚大蔵大臣の後を受けられて、あえて火中のクリを拾われるという立場になられた松永大蔵大臣は、かねがねその誠実なお人柄に尊敬をいたしておるのですけれども、この難局をどう乗り切られる決意ですか。
  244. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  大蔵省始まって以来の難局だと思います。私は、まず第一に、大蔵省職員が本当にしんから公務員としての使命感に燃えていただく、それが一つ。もう一つは、捜査当局捜査対象にならなかった人であっても、公務員としてなすべからざることをした人がいるという情報でありますし、そういう感じがいたします。そういう人については、徹底した内部調査をやって、そして問題がある者については厳正に処分する、こういったことをきちっとやって、大蔵省内の綱紀を徹底して正していきたい、これが一つであります。  もう一つは、大蔵省行政、今まではいわゆる事前指導型の、あるいは配慮型の行政であった。それを、この四月からの金融に関する事柄でいえば、早期是正措置の導入を契機にして、まず透明なルールを明示する、そのルールを遵守しているかどうかを事後にチェックする、そういう形のいわゆる事後チェック型の行政に転換をしていく、行政のやり方としては。そういった両面から大蔵の改革をぜひやり遂げたい、こう思っているわけであります。  なお、命をなくされた人等につきましては、いろいろな事情があるのでございましょうけれども、まことに気の毒にたえません。心から御冥福を祈っておる次第でございます。
  245. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、官房長官にお聞きしたい。本当は総理大臣にお聞きしたいのですけれども、御出席がございませんので、総理大臣と一心同体である、内閣のかなめである、また自民党の党内における要職にある方でございますから、あえてお聞きしておきたいのですけれども、今日までこの予算委員会においても、自民党に対する金融機関、特に銀行からの政治献金の問題を再三にわたり取り上げてきました。  その中で、橋本総理の答弁の結論としては、一つは、九六年以降、住専問題これあり、自粛をいたしております。二点としては、過去の借入金の返済のために政治献金を受けている。この二点に大体絞られると思うのですけれども、こういう答弁が一貫して、その都度その都度返ってくるわけであります。  こういう答弁をお聞きして、釈然としないのが国民であります。当然私自身もそうであります。官房長官として、こういうやりとりをごらんになって、どうお考えですか。
  246. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 委員は、自民党は金融業界からの政治献金を自粛しろ、こういうようなことだろうと思いますけれども、先ほど言われましたように、総理がたびたび答弁を申し上げております。私も総理と一体でございますから、お答えは、考え方は一緒でございます。ただ、私は自民党を代表する立場ではございませんので、答弁は差し控えさせていただきたい、こう思います。
  247. 石垣一夫

    石垣委員 自民党に長くおられて……(村岡国務大臣「代表する立場じゃない」と呼ぶ)いやいや、だから個人的な見解でいいのですよ、あなたの持っておられる。  そこで、今日までも再三問題になってきましたけれども、この平成七年、八年における政治献金の収支報告を見ますと、平成七年度では、今回公的資金の導入を受ける二十一行から、九億八千三十七万、平成八年度では三億八千九百四十五万という多額の政治献金を受けておるわけであります。  これは、自民党は結局、こういう公的資金を受けている銀行から多額の政治献金を受けている。これは国民の税金ですよ、公的資金の導入ということは。国民の税金で銀行の救済をやっている。その救済される相手から政治献金を受けている。この現実について、良心に恥じませんか。
  248. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 石垣委員から大変おしかりを受けておるわけでございます。先ほど個人的意見を言えと。総理と一体でございますから、総理のお答えしているとおり、私も同様な意見だと。同時に、大変御立腹で私をおしかりでございますけれども、政治資金規正法があるわけでございまして、それから今、五年を経過した場合には企業、労働組合あるいは団体、そういうものの見直し規定もありまして、今与党で鋭意検討をしている最中だ、こういうことを聞いております。  これ以上は、政府の方の側で、党の側でございませんので、これ以上は言及はできない、こう思っております。
  249. 石垣一夫

    石垣委員 官房長官、政治資金規正法にのっとって受け取る、こうおっしゃいましたな。ところが、政治資金規正法は、これは今日までも取り上げてこられましたけれども、二十二条の三の二項に、国から資本金、基本金その他これに準ずるものの全部または一部の出資または拠出を受けている会社その他法人は、政治活動に関する寄附をしてはならないと。これ、今日まで論議がされてきました。  しかし、事は、きょう二十一行が一応正式に公的資金の導入を受けるということが決定したわけでありますね。事態は全然違うのです。この現実を踏まえて、私は、この政治資金規正法に抵触する、こう考えるのですが、どうですか。あなたが政治資金規正法のことを言われたから、あえて私言うとるわけです。
  250. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 政治資金規正法第二十二条の三の第一項、第二項に、今御指摘のような条文がございますが、これは、国から直接資本金等の出資を受けている会社からの寄附を禁止しているわけでございます。  今回の金融システム安定化のための緊急対策におきましては、国は、預金保険機構の財政基盤の強化等を図りますために同機構に国債を交付するということになっておりますが、優先株の引き受けなどの個々の金融機関の支援は、預金保険機構あるいは整理回収銀行を通じて行うという仕組みになっておりまして、直接国が行う仕組みにはなっておりませんので、この政治資金規正法第二十二条の三第一項及び第二項には該当しないものというふうに考えております。
  251. 石垣一夫

    石垣委員 それはあなたが今まで、この委員会で答弁になった答弁なんですよね。ところが、それをお答えになった時点から、この公的資金は国の資金の迂回融資じゃないですか。そういう考え方はないのですか。
  252. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 法律が禁止しておりますのは、国から直接資本金等の出資を受けている法人からの寄附を禁止しているわけでございまして、これは政治資金規正法全体あるいは公職選挙法全体の仕組みから見まして、間接的な支援というものまでを禁止していると読むことはできないわけでございます。
  253. 石垣一夫

    石垣委員 この問題をやっておりましたら時間がありませんので、先へ行きますけれども、これに抵触する。この問題は、公的資金の導入になった銀行に対して今後厳しく私は指摘し、また追及される問題だと思います。そういう考え方は、私は世論だと思うのですよ。しかも、そういう銀行から政治献金を受けて、そしてそれを返済に充てるということ自体が、やはり今の国民感情として、これはもう日本の国をリードしていく自民党として、これは堂々と胸を張って言えますか。恥ずかしいのじゃないですか。  一方では、金融機関は貸し渋りで、中小企業者はどんどん倒産の憂き目に遭っている。そういう献金をする金があれば、私は不良債権の処理に回すべきだと思うのですよ。そういう指導大蔵省として、銀行法の立場から指導できないのですか。
  254. 山口公生

    ○山口政府委員 銀行法の考え方は、銀行の健全な経営を通じまして国家、国の経済に資する、そういう側面での法律でございますので、そういった形での法体系のもとで行政をやらせていただいております。
  255. 石垣一夫

    石垣委員 銀行の経営が不安だから公的資金を導入するのでしょう。違うのですか。ひどいところは既に倒産しているじゃないですか。  銀行法では、「業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに」云々とあって「銀行業務の健全かつ適切な運営を期し、」こういうふうになっておりますね。  大蔵省は、銀行局は、現在の銀行の経営がすべて順当であると考えているのですか。
  256. 山口公生

    ○山口政府委員 今回の金融二法の考え方は、個別の金融機関の救済を目的としたものではございませんで、金融機関が持っております機能、すなわち国民経済に直接かかわります取引先との取引とかそういう機能を確保しよう、少なくともシステミックリスクを起こさないようにしようというものでございますので、危機対応をするというためのものでございます。したがいまして、そういった意味から、今回の法律が個別の銀行に適用されているということでございます。
  257. 石垣一夫

    石垣委員 銀行局長の答弁は極めて白々しい答弁ですよ、あなたは。よくわかります、あなたの答弁の姿勢は。  というのは、去年の十月六日に出した、全国銀行協会連合会会長殿ということで、いわゆる業務連絡をやっておりますね。この内容を見て、私はびっくりした。あなたの今の答弁、うべなるかな。この中身を読んでみましょうか。実に白々しい連絡であります。通達であります、これは。  金融機関経営のあり方等について、これは表題ですね。住専問題を初めとする金融機関の不良債権問題については、昨年の通常国会以来、国民的な議論が行われてきており、その中で、とりわけ金融機関の経営のあり方等について、各方面から厳しい指摘がなされてきたところである。  そこで三点にわたって指摘しております。一つは、こうした結論を踏まえて、金融界としてはこれまでもさまざまな経営の合理化等の努力を行ってきたことを承知しているが、今日なお、経営責任の明確化やリストラの徹底等について不十分であるとの厳しい見方が依然として強い。この表現は人ごとですよ。  第二点、例えば、多額の不良債権を生み出した金融機関の経営責任の明確化が不十分ではないかとの指摘や、金融機関の役員報酬、従業員給与、福利厚生施設等が他の業種に比べて依然高い水準にあり、リストラの徹底が不十分ではないか等の指摘がある。さらに、最近のいわゆる総会屋に対する不正融資事件に象徴されるように、金融機関の法令遵守の体制や内部管理体制が不十分ではないかとの指摘もある。この表現は人ごとですよ。いろいろこういうことを言っていますねと。ここに大蔵省の体質があらわれているのですよ。だから、あなたのさっきのそういう答弁に関連しているわけです。もう少しきちっと答えてくださいよ。  だから、本当はきょうは銀行の方をお呼びしたかったのです。ところが、間に合わなかった。銀行から直接、私は、今日の置かれている銀行立場からいって、一般論として、政党に対する政治献金が許される経営状態ではない、また社会情勢ではないということを確認したかったのですけれども、残念ながらそれはできなかった。  そこで、まず、銀行指導する銀行局長として、一般論として、この時点におけるそういう政党への政治献金が許されるのか、ひとつ率直な意見を言うてください。
  258. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  先ほど私の名前で出しました事務連絡を御紹介いただきましたが、これはあくまでリストラというものを強く促すものでございます。銀行法の第一条の第二項にありますように、銀行業務の運営については自主的な努力を尊重しなければならないということから、こういった形でもって、命令するのではないけれども、強い意向があるということを伝えることによって、自主的に、積極的にやるように促したものでございます。  効果としては十分上がりつつあると思います。後ほど御紹介いたしますけれども、今度の自己資本充実の際の健全性確保のための計画におきますリストラ計画をそのうち公表させていただくことになりますが、そこにはかなりのことが書き込まれるものと思っております。  それから、先生のお尋ねの、銀行法の趣旨と政党への問題でございますが、その点については、銀行法の運用上、切り離して考えさせていただきたいというふうに思っております。
  259. 石垣一夫

    石垣委員 昨年の十月六日の通達が十分その責任を果たした、こうおっしゃいましたね。今回、公的資金を受けるについて、厳しい世論がリストラを迫った、こういう背景になって、やっとその重い腰が上がってきたのではないですか。僕はそう思いますけれどもね。  あなたは、リストラの効果が上がってきつつあったと言うけれども、具体的に何も見えませんよ。今回、公的資金導入についてのいわゆる経営の健全性確保のための計画の中で初めて具体的に挙がってきたわけでしょう。これは半年かかっているんですよ。だから、あなたの通達が本当にあなたのおっしゃるような厳しい姿勢であれば、これはもっとはね返ってこなければいかぬわけです。  私は、きょう発表されたこの健全化の計画を持っています。手に入れました。これは、事前にいろいろと各紙で報道しているその域を出ておりません。今ちまたで、各行のいわゆる相談役とか、あるいは会長とか言われるOB、こういう人たちに対して厳しい批判があります。  それで、都銀を初め十九行について調べましたら、相談役が五十四名、顧問が百七名、計百六十一名。一行平均八・五名ですね。私は、これに対するそれぞれの給与の実態を要求したのですけれども、これは出なかった。  これは、委員長、後ほど理事会で、今申し上げました相談役それから顧問等のこの百六十一名の給与実態あるいは退職金等について、ひとつ理事会で諮って、資料請求をお願いしたいと思うのです。
  260. 越智通雄

    越智委員長 各党の理事よりお申し出があれば、相談いたします。
  261. 石垣一夫

    石垣委員 よろしくお願いします。  こういうことで、巷間伝えられるところによりますと、大変な高額な退職金を受け、また給与を受けておるということが報じられております。こういう問題について、銀行局長としてはどうお考えですか。
  262. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  昨年十月六日の事務連絡の背景も申し上げたいと思うのでございますが、国会での御議論、与野党でのいろいろな厳しい御意見がございました。また、与党内部でのいろいろな御意見がありました。そういったものを正確に伝え、自覚を促したものでございます。そういったこともかなり、リストラが必要だという意識を醸成させたものというふうに思っておりますが、さらに今回、この公的資金の問題でいろいろな具体的な策が出てまいったことは、先生の御紹介のとおりでございます。  確かに、いろいろまだ、相談役でいらっしゃるとか顧問の数が多いとかいう御批判があると思いますが、今回、個々の銀行がやはりそういった問題を強く持ちまして、例えば相談役制度を廃止するとかいう銀行もあらわれてきております。こういったことが、もちろん一挙に見直しが起こればそれはベストと言えるかもしれません。しかし、個々の銀行または個々の判断があると思います。そこについては、余りにもこちらが強制的に介入するのもいかがなものかと思います。  さはさりながら、そういった国民の声を背景としたリストラ努力をさらに私どもとしては促していくという姿勢で対応してまいりたいと思います。
  263. 石垣一夫

    石垣委員 リストラの問題につきましては一定の成果を上げつつある。今回の公的資金の導入をめぐって、これはもうやむにやまれず追い詰められた立場でそういう手段に出たと私は思うのですよ。それはそれで了解しましょう。  ところが、いろいろの金融汚職を起こしながら、例えば日本興業銀行日本金融界の中枢の日銀の課長を買収して、はっきり言ってこれは買収です、そしていわゆる企業秘密をつかんで収益を上げる、卑劣な手段であります。こういう銀行責任者なんかが少しも責任をとらない。この一連の金融汚職の中で、頭取、会長、トップ責任をとっていないということは、これはもう私たち国民の目から見たら、極めて不謹慎なんですね。  これについて、大蔵大臣、どうお考えですか。
  264. 松永光

    松永国務大臣 銀行法第一条に書いてありますように、銀行というのは、民間会社であっても、その業務は公共性のあるものなんですね。したがって、その銀行の持つ公共性という視点に立てば、民間会社であっても、公共の福祉の増進に努めるという責務があると思います。そういったことを通じて国民経済の発展に寄与しなければならぬのが銀行であると思います、民間会社といえども。  しかし、その民間会社に対する行政側対応の仕方は、第二項に書いてありますように、命令的、強制的じゃなくして自主的な努力を尊重する、こういう形で銀行業務については、何といいましょうか、指導というのでしょうか、指導していきなさいよ、こうなっておるものと思うのです。  そこで、そういう見地に立てば、今委員御指摘のように、問題を起こした社員のおる銀行については、銀行みずからが自主的に、世間の批判にたえ得るような、そういう経営の仕方に改善をしていかなければならぬものだというふうに私は思っております。  なお、そういう点がありますので、資本の注入を申請した銀行からは、そういう面についての考え方はどうなんだ、具体的にどう改善しようとするのかという点を、詳細にといいますか、銀行の方から報告書を徴取して、それも審査の対象にしたわけであります。  なお、詳細は、もうお手元にお持ちかもしれませんけれども、公表されておるわけでありまして、努力していこうという意思は私は読み取ることができた、こう思うのでありますけれども、今後とも、銀行法第一条第一項及び第二項の精神を重んじて大蔵省としては対応していきたい、こう考えておるわけであります。
  265. 石垣一夫

    石垣委員 もう一点なんですけれども、巷間、銀行は莫大な含み資産を持っている、こう報じられております。会社の実態にふさわしいそれぞれの施設、これはわかるのですけれども、今日、一般の庶民から見て、限度を超えたと思われるような資産については、やはり当然これは処分をして、裸になって公的資金を受けるという姿勢が全然見られないという批判があります。この点について、大蔵省はどうお考えですか。
  266. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生から生ぬるいというおしかりをいただきましたが、この文書の中にも、福利厚生施設等が他の業種に比べ依然高い水準にありということを明示しております。  したがいまして、各銀行としては、こういったことを受けてリストラをやっていただきたいと思っております。例えば具体的には、ある銀行は、もうすべてのグラウンド等厚生施設は売却をしてしまいますというようなことを言っておりますし、ある銀行も、遊休不動産をこれから全部探し出して、それは売却しますということも言っております。  先生の御指摘のように、きょう直ちにやれればそれが一番よろしゅうございますけれども、動き出したなということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  267. 石垣一夫

    石垣委員 銀行局長の通達から約半年かかって、ようやく動き出した。私は、それ以上の背景は、やはり公的資金の導入という大前提が銀行の重い腰を上げさせた、こう理解をいたしております。何も通達を無視するのではありませんけれども、両々相まって、ようやく前に進み出したなという感覚を持っております。  したがって、今後は、銀行の健全な経営に向かって、大蔵省挙げて、国民の期待にこたえる取り組みをひとつお願いしたいと思います。  次に、郵貯、簡保の公的資金の導入の問題について質問したいと思うのです。  これは昨日、逓信委員会で自見郵政大臣に私は度を過ぎるほどお聞きしたわけですけれども、あなたは、今コメントする段階ではないと、かたくなにそうおっしゃったわけでありますけれども、きょうの朝日新聞を見ますと、「株価対策に一兆三千億円 郵貯・簡保など公的資金投入 月内実施 三月決算にらむ」しかも「政府・自民方針」と、ここまではっきりと出ているわけであります。  ここの段階になっても、自見郵政大臣はこの点については関知しない、こういうことですか。
  268. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 石垣委員にお答えをさせていただきます。  先生、逓信委員会でも御質問になられたわけでございますけれども、自民党内で議論されていることは承知いたしておりますが、党として正式に決定されたということは聞いておりません。  一般論として申し上げれば、郵貯、簡保資金は、運用は確実で有利な方法によって行うことにより、郵便貯金事業あるいは簡易保険事業の健全な経営を確保し、また当然、国民の方々から貴重なお金を預金者あるいは加入者として預からせていただいておるわけでございますから、この方々の利益の向上を図ることが基本的な目的だというふうに私は思っております。  今、株式の購入についてでございますが、これは簡易保険事業団を通じて、単独運用指定金銭信託、俗に指定単と申しますが、信託銀行と契約して行うことになっておりますが、御存じのように、これは直接郵貯、簡保の本体では買えませんで、簡易保険事業団を通じて指定単の契約を結ぶということでございます。  御存じのように、指定単というのは、どういった株をどれくらい、いつ買いなさいということは、基本的に、これは一切信託銀行の投資判断に実はかかっておるわけでございまして、そういったことは一々郵政省から指示できるというふうな根本的な仕組みになっておりません。そういった中で、やはり株式に、分散投資という観点から必要な制度だ、必要な資産の運用だというふうに私は思っております。  それから、この前もお答えしたように、平成四年、五年には、簡保事業団を通じて、指定単で、株式の組み入れ制限のない五年一括利払い型の指定単独制度を創設するとともに、その額を倍増して実施したことがございます。この場合、平成四年度は総合経済対策、また平成五年度には新総合経済対策という経済対策閣僚会議を経た政府全体の方針の中で行われたものというふうに認識をいたしております。  いずれにいたしましても、与党内での議論、帰趨を踏まえて、政府全体としてどのように取り組むのか、取り組みを行うか、また郵政省としてはいかなることが可能なのか、慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。
  269. 石垣一夫

    石垣委員 大臣、長々とお答えいただいたんですが、余り時間がございませんので、簡潔にお聞かせを願います。  きょうの夕刊を見ますと、経済企画庁の尾身長官は、十三日午前の閣議後会見で、自民党などから年度末までの株価対策として郵便貯金や簡易保険などの公的資金を株式市場に投入する案が出ているということについて、国が株価対策をやるのはどうかと思うと断った上で、二十日をめどに打ち出すと見られる政府の経済対策にそれも含めて検討中だと述べ、対策に盛り込まれる可能性については否定しなかった、これは産経新聞の夕刊に載っておるわけです。  経済企画庁長官までがこうおっしゃっておるわけですね。当面の郵貯、簡保の責任者である自見大臣はいまだに相談を受けられていないんですか。きのうも申し上げましたけれども、所管の大臣を置き去りにして、棚上げして、それで勝手に決めるんですか、これ。  しかも、天下の朝日が、ここまではっきり「政府・自民方針」となっているのですよ。「自民方針」だけならまだわかりますよ。「政府」も入っているのですよ、これ。これを否定されますか。
  270. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 きょうの新聞に記事があったという先生の御指摘でございます。また、今週の月曜日もほかの紙でいろいろ記事があったというふうに私は記憶いたしておりますが、新聞社がそれぞれの取材でいろいろ書くことは当然自由でございますが、個々の新聞社の記事に関しましてこうだああだというのは、今の立場では、今の時点ではコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
  271. 石垣一夫

    石垣委員 この大事な経済対策の中の一環として、郵貯、簡保を通じて公的資金を導入して、そして株価のPKOをやろうとしておるわけですね。これは、自民党の山崎政調会長が、三月の末で一万八千三円という去年の三月と同じ株価対策をやるんだと、これははっきり公開しておるんですね。  こういうふうに、どんどん既定の事実として、だんだんこれはその裏づけが出てきているわけです。その中で、大臣として一個も相談を受けていないんだ、関心はあるけれども相談がないから私は意見を言わないんだ、こういうことなんですか。  それで、おたくの郵政省では、こういう報道を受けて、恐らく私は準備しておると思うんですよ、事務当局は。それまでもあなたはきのう否定されておるわけです。官房長もきのう否定しておるわけですよ、これ。そんなことを言って、見ているだけじゃないですよ。はっきりおっしゃったらどうですか。政府を挙げて、この三月の金融危機を乗り越えるために、株価対策のその一つだ、全力を挙げてやるんだ、こういうふうにはっきり、政調会長の意気込みに同調されたらどうなんですか。これは大きな山ですよ。国益に絡む問題ですからね。  大臣立場もあると思うのですけれども、かたくなにコメントできないということでございますけれども、最後に一言。
  272. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 株価操作や株価対策を目的とした簡保、郵貯資金の投入は、これまでもしたことがございませんし、今後とも厳に慎重であるべきだというふうに私思っております。  ただし、今さっき申し上げましたように、やはり郵貯資金、簡保資金といいますのは、国民から預かった大変貴重な資金でございますから、やはり安全、確実、有利ということを主眼に置きながらやっていきたいというふうに思っております。
  273. 石垣一夫

    石垣委員 終わります。
  274. 越智通雄

    越智委員長 これにて石垣君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る十六日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会