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城島委員 私が調べた限りにおいて見ると、この
国民負担率というのは確かに
一つのチェックとしてはあるのですね。ですけれ
ども、
国民負担率を前面に出してどうこうするという論議をしている国というのは、僕はいまだ見ていない。極端に言うと、単なる
一つのチェックとしての指標であることは間違いない。しかし、このことを法案に盛り込むような、概念としても、例えば欧米との比較が重要だというようなことをおいても、それほど確立した概念ではないというふうに思います。
また、これは僕は
言葉の定義を変えてほしいと思っているのですけれ
ども、大体、
国民負担率というのは非常に誤解しやすい。一般的な誤解は、例えばスウェーデンなんかは
国民負担率七〇%だなんというと、あるいは今度の法案の中でも
国民負担率五割なんというと、何となく勤労者、一般
国民は、自分の給与から半分だとかあるいは給与の七割が引かれるように思うわけですね。
そうではなくて、今現時点においても、例えば
日本の
国民負担率は三七、八%だと思いますが、実際の勤労者の家計から、同じ負担率でいうと一四、五%ですね。スウェーデンにおいても、七〇%の
国民負担率と
日本が言ったときの勤労者給与から出ていくのは三〇%ぐらいなんですね。
それは当たり前のことで、いわゆる
国民負担率というのは、負担しているのは家計だけじゃなくて企業もありますし、それは幾つかのものがあるわけですけれ
ども、そういう面でいうと、今ここで言う
国民負担率というのは、公的負担率と言った方がより正確だろうというふうに思うのですね。
ですから、社会保障全体あるいは社会的な整備をするときというのは、当然負担をするのは公共的なもの、さらには、それで賄えなければどこかが負担する。一番多いのは家計ですね、家庭。これはトレードオフの
関係になっているのが多いわけですね。それで自己負担する。
あるいは教育なんかもそうでありますけれ
ども、高齢化を含めてさまざまな社会的な事業に対しては、トータル一定だとすれば、どこかがどう負担していくかという問題であって、これを
国民負担率という、そこだけをとらえて、これを五〇にするのがいいのか、あるいは五〇以下がいいのか。それは、それ以下で内容がよければ一番いいわけですけれ
ども、必ずしも五〇なら五〇%というのが例えば六割のときよりはいいというふうにはなり得ないわけです。
バランスをどうとっていくかということが大事であって、そういう点からいうと、ぜひこの名前
自身を、今で言う
国民負担率というのはそういう問題を抱えているわけなんで、本当に総合的に社会福祉の
あり方はどういう方がいいのか、負担をどういう割合でやる方が
国民経済から見ても国の面から見ても、より効率的で生産性が上がるのかということをやるには、公的負担率、そして
国民負担率はまさしく家計も含めたトータルの負担率ということで概念を置きかえるということで見ていく必要があると私は思うのです。
そういう点からいって、この五〇%ということを、極端に言って金科玉条のごとくしてこの財革法の中でキャップ制をはめられ、社会保障費が大きく五千億ぐらいの自然増が圧縮されていく。長期的なビジョンがない中でそれが抑えられることによって、実はさまざまな問題がこれから起きてくるだろう。これはもう厚生
委員会の中で各
委員が論議をし始めているのでここでは申し上げませんが、一連の、例えばこのことによってカットされるものは、三十八ぐらいある難病に対する自己負担が導入されるとか、あるいは児童扶養手当の所得制限が大幅に下がるとかいうようなところに全部このしわ寄せが行っている。
すなわち、そういうところから問題が、本来的でない、その
国民負担率五割というようなところは、何か
一つ大きな、いかにも重要な、
意味がないと申し上げるわけじゃないけれ
ども、重要な
意味があるようなことで発する中でそういう問題が起きて、しかもそれが、残念ながら、こういう圧縮するときでありますから、ある面でいうと、全部社会的な弱いところへしわ寄せが行く。
一方では、さっきから論議をしましたけれ
ども、
金融部門において十三兆円、トータル三十兆円みたいな公的資本導入というのは、すっとではありませんが、さっと決まっている。このアンバランスが今回の予算の中で見事に出てきている。ここが弊害として、どこに今度の予算の焦点があるかということを如実にあらわしたところだろうというふうに私は思います。
そういう点で、この
国民負担率の
言葉、さらにはこの五割という問題について、ぜひ見直しをしていただきたいという要望を申し上げて、せっかく厚生
大臣、一度も御答弁にならないので、この辺について理解いただき、そして、まじめにこの改革をやろうとしている、弊害は弊害としてですが、実行しようとしている厚生省として、僕は社会保障の問題については堂々と予算をもっと請求してほしいというふうに思いますが、あわせて御見解を承りたいと思います。