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原口委員 民友連の
原口一博でございます。
総理並びに
関係大臣に、今
議論がありました財政構造改革法について、特に経済の
危機管理ということに焦点を当てて御
質問をさせていただきたいというふうに思います。そして、後段では、
総理が施政方針演説で何回も触れられました心の教育、心の
危機の克服ということについて、
関係大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。
まず、財政構造改革法案の
審議の中で、この財政構造改革法の性質をよくあらわした
答弁がございました。これは特別
委員会の中の
大臣答弁でございますが、小泉
厚生大臣の
答弁です。
厚生省
予算がなぜ減量されたのか、そういったものを
質問した
委員に対して、小泉
厚生大臣はこういうふうに答えておられます。
日にちは忘れましたけれども、財政構造改革
会議に出てこいという
会議がありまして、
厚生大臣としてその
会議に出席しました。そのときに、
政府歳出を削減しなさいというのをみんな賛成しているけれども、厚生省
予算というのは大変なんですよ、みんな総論賛成と言うけれども、もし来年の
予算を
一般会計歳出マイナスにするということで各省庁マイナスにやるんだったら、一番反対が出るところは厚生省
予算だと思う、本当にできるのですか、厚生省
関係予算を前年度マイナスするのは容易ではないというか、ほとんど不可能ですと申し上げました。どうしてもやるんだというので皆さんが決めて一番反対するのは恐らく与党ではないかと言ったことがございます。しかし、最終的に、恐らく私のそういう発言も取り入れてくれたのでしょう。来年度
予算は、九年度に比べて
一般歳出はマイナスにするけれども、厚生
予算はマイナスにしない、三千億円増を認めるという結果が出ました。これでみんないいですね。いいというならやりますけれども、やって、後で驚かないでくださいよということは申し上げておきました。
こういう
答弁でございます。
非常に率直な御
答弁で、財革法の性質をよくあらわしているというふうに思います。後で驚くなよと言って帰ってこられるあたり、小泉
厚生大臣らしさがよく出ているのだろうなというふうに思います。
私は、ここで
総理に指摘しておきたいのは、財政改革
会議のメンバーが後で驚かれようが、あるいは与党の皆さんが驚かれようが、それは私たちのあずかり知らぬことであります。しかし、最も驚き悲しむ人が、病人やあるいは障害で苦しんでおられる人であるとすれば、これを私たちは容認することはできません。先ほど
議論の中にありましたが、キャップをかぶせてある、このことが、最も社会的に弱い
立場の人たち、あるいは地方で頑張っていこうという人たち、その人たちを直撃する
予算を、そのデフレ
予算を私たちは今
審議しているのだ。
総理は何回も、この
予算を通すことが経済を順調にする、まずその試金石だということをおっしゃいますが、私は、この小泉
厚生大臣の
答弁からうかがい知る限り、そうではない。これが通った後に一体地方はどうなるのだろうか。障害を持った人たちはどうするのだろうか。あるいは、病気で苦しんでおられる方はもっと不安になるんじゃないだろうか、そういうことをまず指摘して、幾つかの
質問に入らせていただきたいというふうに思います。
私は、
総理、経済の
危機管理というのは、最悪のシナリオを想定して、それを回避できるように対策を打つことが基本だというふうに
考えます。
財革法のときに、この場で、私は三塚前
大蔵大臣に御
質問させていただきました。十月の二十九日だったと思います。そのときに、財革の
委員会の中で、今は平時だけれども、平時のときに有事に備えるのが孫子の兵法なんだ、だから有事に備えているんだということをおっしゃいましたが、私は、そうではない、もうあの時点で既に有事に入っていたというふうに思います。
お手元に資料を、
委員長、配らせていただいております。資料1は、九月二十二日にIMFがインターナショナル・キャピタル・マーケット、「国際資本市場」というレポートの中で指摘した事項でございます。このころは、まだ
我が国にも主要二十行ございました。「主要二十行の不良債権は、公式統計では貸出総額の五%弱と見積もられているが、本当の額はもっと多いかもしれない」。そして、この不良債権の処理をずっと、フォーベランスポリシーと申しますか、低金利によって耐え忍ぶことでずっと先延ばしにしてきたことが、結局は不良債権問題に対して解決のタイミングをおくらせてしまったんだ。そして、どこに本当の不良債権があるのかということをわかる、そのモチベーションを失ってしまったんだということを言っています。
また、先ごろの
委員会で、私は
総理に
質問させていただきました。それは、
総理が本通常
国会の中で何回も御
答弁になったことであります。それは、アジアの通貨
危機の問題であります。
アジアの通貨
危機、あのとき私が
質問をさせていただいたときには、今IMFのプログラムが進行中だから
お答えは控えさせていただきますというのが
総理の御
答弁でございましたが、もうあのときにアジアの通貨
危機は引き返しのつかないところまで来ていたんではないだろうか。昨年の四月の終わりにタイのバーツが下落して、それから大体一カ月ぐらいすると為替のそういう乱高下というのはおさまる。ところが、それがなかなかおさまらない。
この財革法を閣議決定されたのは六月三日ですから、その時点でこの
危機を予測してくださいとは申しません。しかし、九月において、あるいは十月において、もうその
危機は顕在化していたんではないだろうか、そのことを強く思うわけでございます。現に、九月に
我が国は、タイに対して輸銀を通して四十億ドルの支援を行っている。そして、IMFも同じように四十億ドルの支援を行っています。これは、クオータの五倍という大きな額でございます。
私は、まず
総理に、経済の
危機管理の基本をどこに置いておられるのか、そのことについて
総理の御所見をお尋ねしたいというふうに思います。