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1998-02-25 第142回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年二月二十五日(水曜日)    午前九時開議  出席委員    委員長 越智 通雄君     理事 伊藤 公介君  理事 石川 要三君     理事 中山 利生君  理事 深谷 隆司君     理事 山本 有二君  理事 五島 正規君     理事 高木 義明君  理事 北側 一雄君     理事 加藤 六月君        相沢 英之君     甘利  明君        今村 雅弘君     江藤 隆美君        小澤  潔君     大原 一三君        栗原 博久君     桜井  新君        関谷 勝嗣君     津島 雄二君        東家 嘉幸君     中川 昭一君        中山 正暉君     能勢 和子君        野中 広務君     葉梨 信行君        萩野 浩基君     増田 敏男君        松本 和那君     松本  純君        村田 吉隆君     村山 達雄君        目片  信君     綿貫 民輔君        岩國 哲人君     生方 幸夫君        岡田 克也君     海江田万里君        北村 哲男君     小林  守君        原口 一博君     松沢 成文君        上田  勇君     長内 順一君        神崎 武法君     草川 昭三君        斉藤 鉄夫君     坂口  力君        西川 知雄君     丸谷 佳織君        鈴木 淑夫君     中井  洽君        西村 眞悟君     二見 伸明君        木島日出夫君     志位 和夫君        藤木 洋子君     藤田 スミ君        矢島 恒夫君     秋葉 忠利君        上原 康助君     北沢 清功君  出席国務大臣         内閣総理大臣    橋本龍太郎君         法務大臣      下稲葉耕吉君         外務大臣      小渕 恵三君         大蔵大臣      松永  光君         文部大臣      町村 信孝君         厚生大臣      小泉純一郎君         農林水産大臣    島村 宜伸君         通商産業大臣    堀内 光雄君         運輸大臣      藤井 孝男君         郵政大臣      自見庄三郎君         労働大臣      伊吹 文明君         建設大臣      瓦   力君         自治大臣         国家公安委員会         委員長       上杉 光弘君         国務大臣         (内閣官房長官)  村岡 兼造君         国務大臣         (総務庁長官)   小里 貞利君         国務大臣         (北海道開発庁長官)          (沖縄開発庁長官) 鈴木 宗男君         国務大臣         (防衛庁長官)   久間 章生君         国務大臣         (経済企画庁長官) 尾身 幸次君         国務大臣         (科学技術庁長官) 谷垣 禎一君         国務大臣         (環境庁長官)   大木  浩君         国務大臣         (国土庁長官)   亀井 久興君  政府出席委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房人事課長    洞   駿君         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室長  竹島 一彦君         内閣審議官     坂野 泰治君         内閣官房内閣安         全保障室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障室長  江間 清二君         内閣官房内閣広         報官室内閣広報         官         兼内閣総理大臣         官房広報室長    上村 知昭君         内閣法制局長官   大森 政輔君         内閣法制局第一         部長        秋山  収君         人事院総裁     中島 忠能君         人事院事務総局         職員局長      佐藤  信君         総務庁長官官房         審議官       大坪 正彦君         総務庁人事局長   中川 良一君         防衛庁防衛局長   佐藤  謙君         防衛施設庁長官   萩  次郎君         経済企画庁調整         局長        塩谷 隆英君         経済企画庁調査         局長        新保 生二君         科学技術庁長官         官房長       沖村 憲樹君         法務省民事局長   森脇  勝君         法務省刑事局長   原田 明夫君         外務省総合外交         政策局長      加藤 良三君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官    阿部 信泰君         外務省アジア局長  阿南 惟茂君         外務省北米局長   高野 紀元君         外務省条約局長   竹内 行夫君         大蔵大臣官房長   武藤 敏郎君         大蔵大臣官房総         務審議官      溝口善兵衛君         大蔵省主計局長   涌井 洋治君         大蔵省主税局長   尾原 栄夫君         大蔵省証券局長   長野 厖士君         大蔵省銀行局長   山口 公生君         大蔵省国際金融         局長        黒田 東彦君         文部大臣官房長   小野 元之君         文部大臣官房総         務審議官      富岡 賢治君         文部省生涯学習         局長        長谷川正明君         文部省初等中等         教育局長      辻村 哲夫君         厚生大臣官房総         務審議官      田中 泰弘君         厚生省保健医療         局長        小林 秀資君         厚生省医薬安全         局長        中西 明典君         厚生省老人保健         福祉局長      羽毛田信吾君         厚生省児童家庭         局長        横田 吉男君         厚生省保険局長   高木 俊明君         厚生省年金局長   矢野 朝水君         農林水産大臣官         房長        堤  英隆君         農林水産省畜産         局長        中須 勇雄君         通商産業省産業         政策局長      江崎  格君         資源エネルギー         庁長官       稲川 泰弘君         中小企業庁長官   林  康夫君         運輸省運輸政策         局長        土井 勝二君         郵政大臣官房総         務審議官      濱田 弘二君         郵政省通信政策         局長        木村  強君         労働大臣官房長   渡邊  信君         労働省労働基準         局長        伊藤 庄平君         労働省女性局長   太田 芳枝君         建設省住宅局長   小川 忠男君         自治大臣官房長   嶋津  昭君         自治省合成局公         務員部長      芳山 達郎君         自治省税務局長   成瀬 宣孝君  委員外出席者         財務官       榊原 英資君         参考人         (日本銀行総裁)  松下 康雄君         参考人         (預金保険機構         理事長)      松田  昇君         予算委員会専門員  大西  勉君     ───────────── 委員の異動 二月二十五日  辞任           補欠選任   相沢 英之君       松本  純君   大原 一三君       松本 和那君   河村 建夫君       能勢 和子君   山花 貞夫君       北村 哲男君   草川 昭三君       神崎 武法君   斉藤 鉄夫君       坂口  力君   鈴木 淑夫君       二見 伸明君   志位 和夫君       藤木 洋子君   不破 哲三君       矢島 恒夫君   北沢 清功君       秋葉 忠利君 同日  辞任           補欠選任   能勢 和子君       目片  信君   松本 和那君       今村 雅弘君   松本  純君       相沢 英之君   北村 哲男君       山花 貞夫君   神崎 武法君       丸谷 佳織君   坂口  力君       斉藤 鉄夫君   二見 伸明君       鈴木 淑夫君   藤木 洋子君       藤田 スミ君   矢島 恒夫君       不破 哲三君   秋葉 忠利君       北脇 保之君 同日  辞任           補欠選任   今村 雅弘君       大原 一三君   目片  信君       河村 建夫君   丸谷 佳織君       長内 順一君   藤田 スミ君       志位 和夫君 同日  辞任           補欠選任   長内 順一君       草川 昭三君     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成十年度一般会計予算  平成十年度特別会計予算  平成十年度政府関係機関予算      ─────◇─────
  2. 越智通雄

    越智委員長 これより会議を開きます。  平成十年度一般会計予算平成十年度特別会計予算平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神崎武法君。
  3. 神崎武法

    神崎委員 私は、平和・改革を代表いたしまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。  初めに、イラク問題からお尋ねをいたします。  イラクアナン国連事務総長調停案を受け入れましたことから、事実上、武力行使が回避される事態になったわけであります。  私どもは、従来から、このイラク問題につきましては、イラク大量破壊兵器を保有しているとすれば再び湾岸諸国の平和と安全にとって脅威となり得る、また、イラク大量破壊兵器を開発している疑いが指摘されている以上イラクとしては国連査察無条件かつ全面的に即時応ずべきである、同時に、我が国を含めまして関係諸国はこの問題の平和的、外交的解決のために全力で粘り強く取り組むべきである、軍事行動はあくまでも国連憲章に基づいて行わなければならない、こういうことを申し上げてまいりました。  そういう意味におきまして、今回の調停案を受諾したということは、米国の力の外交背景にして、国連及び関係諸国平和的解決のために粘り強く努力をされた成果であると高く評価をいたしたいと思うわけであります。  しかしながら、我が国は一体どうだったのだろうかという点を、ぜひこれは確認をしなければならないと思うのです。  あの湾岸戦争のときには、我が国は百十五億ドルという巨額のお金を、国民の血税を湾岸地域の平和と安定の回復のために拠出したわけであります。したがって、我が国にとっても国民にとってもこれは大変な関心事だと思うわけでありますけれども、今回の一連の事態に対して我が国としてどういう外交をやったのか。水面下ではいろいろな動きがあっただろうとは思いますけれども姿形が見えない。この点について、国民として非常に不満を持っていると思うのです。  その点について、まず、我が国がどういう姿形外交をとったのか、明らかにしていただきたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 細部にわたりましては外交当局から御報告を申し上げるのが筋だと思いますが、まず、ニューヨーク時間二十四日、アナン国連事務総長から、安全保障理事会として、イラク訪問についての正式な報告を受けました。  そして、今回、議員からも御指摘がございましたように、安保理の一致結束した団結のもとにおきまして、その支持を得て、アナン事務総長イラクを訪問し、すべての施設に対し関連安保理決議に合致した形でのUNSCOMによる査察枠組みというものが合意されたことを、私どもとしては歓迎し、喜んでおります。  いずれにいたしましても、大事なことは、可及的速やかに細部の詳細の部分が決まりまして、即時無条件かつ無制限のUNSCOMによる査察が現実に実施をされること、そしてイラクが今回の合意を遵守することが確認される、これが一番大事なことだと思います。そのためにも、国際社会が一致して対処することが必要でありますし、日本としても、引き続き努力をいたしてまいります。  湾岸戦争のときと対比してのお尋ねでございましたが、今回、我が国安全保障理事会における非常任理事国でもございます。そうした中で、国連の、また安全保障理事会枠組みの中におきましても、さまざまな役割を果たしてまいりました。  そして、在京イラク臨時代理大使を招致し、国連決議の遵守を繰り返し促すこと、あるいはその他の努力というものは当然ながらいたしてまいりましたし、外務大臣とそれぞれの国の外務大臣の間、またその他のやり方、いろいろなことをやってまいりましたが、詳細につきましては、できますならば外務大臣からの補足をお許しいただきたいと存じます。
  5. 小渕恵三

    小渕国務大臣 神崎委員、御意見をちょうだいしましたが、我が国としての基本は、あくまでも外交的手段によりまして今次問題の解決を図るということでございます。  なるほど、日本の行ってまいりました行為が目に見えなかったという御批判もあろうかと思いますが、我が国としての立場は、あくまでも国連の非常任理事国として国連の中で活動するということが一つでございました。と同時に、各国との関係を密にしながら、連携をとりながら、平和的解決のために努力をしてきたつもりでございまして、日本日本立場というものもございまして、他国、それぞれ独自の外交を展開いたしまして、ロシアあるいはフランス等イラクに対して直接的に特使を送るというような形で対処いたしました。  我が国としてもそのようなことをとるべきかどうか検討いたしましたが、率直に申し上げまして、イラク最高責任者たるサダム・フセイン大統領との直接の関係を持ち得ておりませんでしたので、我々としては、それぞれイギリスのクック外相あるいはプリマコフ外相その他各国責任者十分連絡をとりながら、日本立場を明らかにして、努力を傾注してきたところでございます。  最終的には、御案内のように、アナン事務総長に対しまして、その最終的な努力を高く評価し、これに協力することを申し上げ、そして結果的にこのような決着を見つつあることは、大変それなり努力をしてきたと私どもは考えておる次第でございます。
  6. 神崎武法

    神崎委員 湾岸戦争のときと比較をいたしますと、国際世論も今回は相当違っているように思うわけです。湾岸諸国も、大半は武力行使反対である。国連安保理常任理事国のうちでも武力行使相当反対の国もあった。また、米国においても、国内世論も当初は割れていた。そういう状況を考えますと、これは我が国としてももう少し慎重に対応を見きわめる必要があったのかなと思うわけです。  と申しますのは、国会でもこの問題が取り上げられました。外務委員会で取り上げられた際に、外務大臣は、我が国としてどういうふうに対応するのかについて具体的なことはおっしゃらなかった。ところが、米国リチャードソン国連大使がお見えになったとき、お会いした際には、事実上武力行使を容認する発言をされている。どうして我が国が、国際世論がこれだけ割れている中で、急いで、米国武力行使を容認する、そういう発言をされたのか、その点はどうなのでしょうか。
  7. 小渕恵三

    小渕国務大臣 リチャードソン国連大使が訪日をされまして、このイラク問題につきまして協議をいたしました。  その結果、御承知のように、我々としては、第一に、平和的解決のために外交的手段のすべてを投入するということが一点でありました。もう一点は、日米間におきましてすべての選択肢において、これを共通の認識を持って対応するということでございます。  その時点におきまして、まだ米軍武力行使を行うというようなことについて承知をいたしておりませんでしたので、あらゆる手段選択肢の中には当然ある意味ではそうした背景があると思いますが、これはあくまでも、そうした背景のもとに平和的解決ができ得るという認識のもとにアメリカとの関係に対処したわけでございます。  それぞれ、アメリカとの関係において緊密な、米国その他の対応もありましたが、日本日本といたしまして、平和的解決のために、アメリカ努力を多とし、そして最終的に外交的手段ですべて解決できるということのためにアメリカ行動を是とした、こういうことでございます。
  8. 神崎武法

    神崎委員 日本がどういうことを望んでいるのか、メッセージというものは正確に、アメリカに対しても湾岸諸国に対しても、これはきちんとやはり送るべきだと思うのです。  それから、今回の事態を受けまして、我が国を含めて二十一カ国のメンバーが査察のオブザーバーとして参加する、こういうことも報道されております。今後、イラク問題に対して我が国としてどういう基本方針で対処されるおつもりなのか、お伺いいたしたいと思います。
  9. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今回のアナン事務総長イラク訪問の結果、すべての施設に対しまして、安保理決議に合致した形で、大量破壊兵器の廃棄に関する国連特別委員会、すなわちUNSCOM査察が可能になったことは歓迎をいたしております。  そこで、我が国といたしまして、この査察に当たりましてどのような対応をするかということでございますが、現在、国連におきましてどのようなグループが設置されることになるか、あるいはその構成あるいは査察の具体的な手続等によりまして、現時点では国連で最終的な詰めが行われておるものと考えております。その作業の結果を待ちまして、我が国としてもどのような形でその査察に対して協力がし得るかどうかということは、その結果を見て判断させていただきたいと思っております。
  10. 神崎武法

    神崎委員 この問題は大変重大な問題ですから、これは外務大臣としても本気になって取り組んでいただきたいと思います。  次に、政治倫理の問題についてお尋ねをいたします。  まず、政治家株取引の問題でございますけれども、故新井将敬氏の株取引にまつわる事件がございました。残念ながら真相が解明されないままに終わってしまったわけでありますけれども新井議員以外にも多くの政治家が同様のことをやっているのではないか、そういうことが国民の間でいろいろ言われている。その意味では、私は、捜査当局が、政治家株取引の問題、言われるような不正があるのであれば、これは厳正に捜査を行っていただきたい、そして正すべきものはきちんと正していただきたい。ぜひお願いをいたしたいと思うわけであります。  これは法務省刑事局長
  11. 原田明夫

    原田(明)政府委員 お答えを申し上げます。  検察当局におきまして具体的な事件につきまして、どのような事件を取り上げるかということにつきまして、法務当局立場で申し上げることは差し控えさせていただかなければなりませんが、検察当局におきましては、事実に即しまして、まさに証拠により認定できる事実を把握した場合には、法に従いまして厳正に対処するものと考えます。
  12. 神崎武法

    神崎委員 これは、政治家政治に対する国民信頼を回復する意味におきましても、政治家株取引という問題についていろいろ疑惑が言われている。非常に私どももこの点は、信頼を回復するためにどうすればいいか、真剣に考えなければならないと思うわけであります。その意味でも、まず政党また政治家として、この株取引の問題について、こうですよと、国民の皆さんに実態をわかっていただく、そういう努力というものが私は必要だと思うのです。  その意味で、私ども新党平和は、党所属国会議員につきまして、株取引についての実態調査を行いました。いろいろな調査項目について調査をいたしまして、昨日記者会見をして、その調査結果については公表をしたところでございます。  五年間で政治家本人株取引をしたのはお一人だけ、借名名義は全くありませんでした。家族の方が株取引をしたのがお一人、秘書が取引をしたのが三名、そういう結果でございましたけれども、いずれも違法な取引はないということが、調査の結果、確認をされております。  私は、これだけ政党政治家に対して国民から不信の念が持たれている今日、この疑念を晴らすためにも、各党がみずからの議員につきまして、そういう不正の事実はないという調査結果を公表すべきだと思うのです。  その意味では、私は、政権与党である自民党が、まずこの株取引の問題について実態調査を行って、その結果を国民の前に公表すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  13. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、御党として所属される国会議員全員調査をした、そして、その事実はこうであったということを表明されました上での意見を、大変重いものとして拝聴いたしました。  私から申し上げるまでもなく、国会議員につきましては、政治倫理の確立のための国会議員資産等公開等に関する法律に基づきまして、議員本人については資産公開実施をされております。当然ながら、その中におきまして、保有する株式等も公表されておると承知をしています。  また、これは、内閣立場としては、閣僚及び政務次官、その公的な立場というものを踏まえまして、配偶者及び扶養する子供まで公開をいたしますとともに、その在任期間中、その保有する株式等については信託をしておく、取引を自粛する、これは当然のこととして行っているわけでございます。  その上で、与党政治改革プロジェクトチーム及び自由民主党政治改革本部におきまして、現在、国会議員株取引の取り扱いについてを検討いたしております。その検討結果を待ちまして適切に対応していきたい、そのように思います。
  14. 神崎武法

    神崎委員 検討結果を待たれるのはいいのですけれども、まず一番疑惑を晴らすべきなのは自民党だと思うのです。ですから、まず自民党が率先して実態調査をして、その結果を公表する、それが私は今急がれるのではないか、このように思います。  それから、株取引は正当な経済行為である、これはもう当然のことでありますけれども政治家というのは、株のいろいろな、株価変動等についての情報を早く知り得る立場にあるわけでございますし、特に最近の与党の幹部の発言を聞いていますと、非常に株価に影響を与えるような発言をしているわけです。そういうことを考えますと、ここはいろいろ、どういう形でこの政治家株取引の問題を規制するか、これは考える必要があると思うのです。  一つは、政治家全般としては、私は株取引を自粛すべきだと思います。保有している株式については、今、閣僚や政務次官について行われているような信託という方法もあろうかと思いますし、また、政治家の資産については資産公開法で公表されているわけでありますけれども株取引については公表されていないわけです。保有株式については公表されている。したがって、株取引についても資産公開法で公表するようにする。それで、違反をした者には罰則をつけるという考え方があると思います。  また、先ほど申し上げました、与党幹部の発言株価に影響を及ぼす、そういう意味においては、一定の与党幹部についても閣僚、政務次官並みの規制をするということも考えられると思いますし、また現在、閣僚、政務次官については「閣僚の資産公開株式等取引の自粛及び保有株式等の信託について」という申し合わせをしておりますけれども、これが本当に守られているのかどうか。これを法令化して、罰則を設けるということも検討の余地があるのではないかと思うわけです。  そういう点を含めまして、総理のお考え方を伺いたいと思います。
  15. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 もともと閣僚の資産公開は、第二次中曽根内閣の発足の時点以来、閣僚の申し合わせによりまして、組閣あるいは改造のたびに実施されてまいりました。これ以前は、三木総理が初めて御自分の資産を公開されまして以来、各歴代総理大臣御自身、これに倣って資産公開をしてこられたわけでありますが、これは特に公開基準も定められていなかったわけであります。  それで、第二次中曽根内閣以降、閣僚の資産公開は、内閣官房長官の指示に基づいて内閣官房で公開基準を示して、自主的に公開をしてまいりました。そして竹下改造内閣以降、就任時だけではなく、辞任をするときも、就任時と同一の条件で、様式で資産公開を行う。さらに、宇野内閣において、閣僚本人に加えまして配偶者及び扶養する子供も資産公開をするというルールになりました。同時に、その時点から、政務次官及びその一定の範囲の家族、すなわち配偶者と扶養する子供も同様の資産公開を行っております。  私は、この制度としては非常にこれは定着をいたしておると考えておりますし、この制度は、既にそれなりに国民にも信頼をいただいていると考えております。  その上で、国会議員株取引、これにつきましてはいろいろな御議論があると承知をいたしております。禁止という考え方をおとりの方、私のように公開という考え方をとる人間、過去にもさまざまな御議論がありましたが、その御議論というものが、平成四年末の国会議員資産公開などの法律にまとめられ、株式についても公開されることになりました。私は、こうした議論の経過を振り返ってみますと、やはりこの問題については、各党各会派、さらにはそれぞれの国会議員の間において十分論議をされるべき問題ではないだろうかと思います。  自由民主党及び与党におきましては、先ほど申し上げましたような中で検討いたしておりますが、議員から与党幹部の発言の影響力というものの重みを御指摘を受けましたものも、この検討の中に生かさせていただきたい、今、私はそのように思います。
  16. 神崎武法

    神崎委員 今、政治家について申し上げたわけでありますけれども、公務員につきましても、今大蔵省スキャンダル等がいろいろ報道されている。これはもう大蔵省だけじゃなくて、各省庁のスキャンダルがこれまでも報道されてきたわけであります。その意味では、公務員の倫理の問題、これはもう何回も何回も、事件が起こるたびに綱紀を粛正するということが言われていながら、結局少しもそれが直っていない。時が過ぎると、また同じようなことが繰り返される。何とかこれはどこかで歯どめをかけなければいけないと思うわけであります。  その意味では、私どもも野党三会派で公務員倫理法をぜひ国会に提出しようということで、今最終的な詰めをやっておりますけれども、これは与党、野党を問わず、この問題については、この機会に、公務員倫理法を制定するという観点からやはり努力をする必要があろうかと思います。  その際に、やはり一番大事なのは、この実効性をどのように確保するかという観点だと思います。アメリカでも、連邦政府に政府倫理局というものをつくっておりますけれども、国家公務員倫理審査会を第三者の専門機関にする、それで監視をする、こういうことがポイントになろうかと思いますけれども、この点について総理のお考えをお伺いいたしたい。
  17. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私自身、公務員倫理というものが倫理規程によって守られるであろうという期待をかけ、それが制定された後に今回のような事件が起きましたことを大変情けなく思っておりますし、これではいわゆる倫理法をつくらざるを得ないという決心をし、政府部内におきまして、今公務員倫理問題に関する検討委員会を設けて、その制定を期してさまざまな角度から鋭意検討を行っております。そして、与党においても御検討いただいておりますし、今承りますと、議員のお立場でも同じような検討をしていただいておると。  いずれにいたしましても、その場合の綱紀の保持の実効性を確保する、この点は非常に重要なことだと思います。現在の中で調べてみますと、二通りのケースがございます。  例えば、捜査権限を付与されて服務の監察を行っているものとして、警察庁に長官官房首席監察官、国税庁に長官官房監察官、郵政省に大臣官房首席監察官。これらは、捜査権限を持つ、その上で服務の監察を行っております。  また、捜査権限を付与されていないけれども服務の監察を専ら行うという性格のものに、海上保安庁の総務部首席監察官、あるいは大蔵省財務局監察官、大蔵省税関監察官、こうしたものがあるわけであります。  この法律をつくる上での問題点、それは、この倫理法における罰則と国家公務員法における処分、あるいは刑法上の処分とをどう整合性を持たせるかといったところにもございますけれども、今議員から御指摘を受けましたような点も踏まえて、幅広い検討をし、できるだけ早くその内容を固めていきたい、今そのように考えております。
  18. 神崎武法

    神崎委員 次に、当面する経済情勢についてお尋ねをいたします。  現在はもう大変な不況、国民は悲鳴を上げている、これが現状だと思います。将来に対しては老後の不安がある、現在は経済危機で、もうみずから生活防衛をせざるを得ない、これが国民の率直な現状だと思います。  企業の方も、史上最悪の倒産状態でございます。昨年で一万五千件の倒産があった。本年は恐らく倒産は二万件に及ぶだろう、そのようなことも言われているわけであります。倒産の中でも、不況型の倒産が一番多い。さらにまた、昨年の夏からは貸し渋り倒産ということもふえてきている。極めてこれは、国民生活にとっても企業の経済活動にとっても、深刻な事態であると言わざるを得ないわけであります。  なぜこんな深刻な不況になってしまったのか。私は、政府の景気判断が余りにも甘過ぎた、そこに大きな原因があると言わざるを得ないと思うわけであります。その意味では、今日の不況は、これは政策不況である。その意味では、橋本総理政治責任は極めて重いと言わざるを得ないわけであります。  まず、今日の厳しい不況をもたらした原因について指摘をしたいのでありますけれども、政府は一貫して、景気は回復基調にある、これは昨年十月までの経企庁の景況判断も、いずれもそういう判断になっておる。  しかし、平成四年度から平成十年度、これは見通しも含めまして、三十五機関の見通しをいろいろ考えますと、平均しますと、この平成四年度から十年度までの実質経済成長率は一・二%、このように民間の機関は見ている。政府の見通しで考えても、これは一・三五%ということになります。したがいまして、これは、政府みずからが経済破綻のケースと想定している一・七五%よりも低い経済成長率が今行われている。  にもかかわらず、景気は回復の基調にある、一貫して政府は昨年まで言ってきた。今でもこの基本認識に誤りはなかった、このように思われているのですか。
  19. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 ただいま委員のおっしゃいましたように、確かに、昨年の秋の初めごろまでは回復基調に、緩やかな回復基調にあるという判断は申し上げておりました。  その後、経済は生き物でございまして、アジアの経済状況、あるいは十一月ごろからの金融機関の大型な破綻、そういうことを背景として、徐々に景気の判断もその時々の状況に合わせて変えているわけでございまして、現在ただいま、経済は停滞しているという表現で示しておりまして、そのときの状況に応じて正確な判断をしているつもりでございます。
  20. 神崎武法

    神崎委員 そんな甘いことじゃ困るのですよ。  昨年十月までいずれも、昨年十月もそうですよ、景況判断は。「足元は回復テンポが緩やかになっており、企業の景況感にも慎重さがみられるものの、民間需要を中心とする景気回復の基調は続いている。」ずっとそれまでも、景気回復の基調は続いている、こういう判断を示しています。  十一月でちょっと変わってくるのですね。それでも「以上のように、民間需要を中心とする景気回復の基調は失われていないものの、企業の景況感に厳しさがみられ、景気はこのところ足踏み状態にある。」やっと変わってきたのです。  我々は、もうずっと前から、これは深刻な景気の状況にあるということを指摘したにもかかわらず、政府は一貫して、景気は回復基調にある、こういうふうに言ってきたのじゃないのですか。それがやはり大きな誤り、そう思いますよ。
  21. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 一貫してそういうふうに言ってきてはいないつもりであります。  秋口からアジアの経済の状況が非常に難しくなりました。それから、十一月ごろから大型の金融機関の破綻が相次ぎまして、そのことによって、経済の先行きに対する景況感、企業それから家計、消費者とも非常に低下してきているという現状でございまして、そういう意味で昨年の十二月からことしの一月の初めころまでが、そういう意味での景況感につきましては、一番低い水準にあったかなというふうに考えております。  しかし、その後、金融システム安定化法案を提出し、それがまた通過することによって、一番コンフィデンス、経済の先行きに対する景況感という意味からいえば、それ以来今日ただいままで、景況感という点ではやや上向いてきているというふうに考えております。  ただしかし、実体経済の面におきまして、いろいろな数字が出てまいります。十二月の数字あるいは一月の数字につきましてはかなり厳しいものがある、そういうふうに認識をしておりまして、実体経済の方が少し後から続いているという感じであるというふうに考えております。
  22. 神崎武法

    神崎委員 経企庁がそんなのんきな、悠長なことを言っているから困るのですよ。国民はみんな悲鳴を上げているのですよ。それがわからないのですか。いろいろな指標を見れば、これは長期に経済が低迷しているのはもうはっきりしているのです。  一つは、史上類例のない超低金利、〇・五%の公定歩合でございますけれども、もう三年目に入ろうとしているのです。国際水準では大体二・五%から三%が適正な水準だろうと言われておりますけれども我が国は〇・五%という超低金利が続いている。景気を支えるためにこの超低金利政策をとっているということも言われておりますけれども、こんな長期間継続しているということは、景気が長期間悪いということじゃないですか。今や、景気下支えの効果よりもいろいろなひずみが出てきている。これは後で議論をいたしたいと思います。本来ならば、昨年当初あたりで国際水準並みに調整をすべき局面だったと思うわけでありますけれども、それができなかった。依然として超低金利が続いている。これが現状です。  それから、もう一つは、株価と地価、これが長期下落の傾向であります。委員長、これを示したいと思います。
  23. 越智通雄

    越智委員長 どうぞ。
  24. 神崎武法

    神崎委員 平均株価と地価の推移でありますけれども株価も地価も全く同じような傾向です。長期低落、低迷の傾向になっている。バブル崩壊後、地価は六百兆円目減りがした、株価は四百兆円目減りがした、合計一千兆円の目減りがしたということも言われているわけでありますけれども、この株価と地価が一貫してずっと低迷している。これが今なお続いている。これが現実です。  それから、消費、この下の図ですけれども、消費関連指数の推移を見ますと、消費がまたずっと依然として低迷している。消費意欲を示します消費者の態度指数、これももうずっと低落の傾向。それから、現実の消費支出を示します消費水準指数、これも横ばいだったところが低落傾向になっている。どの指標を見ても、すべてずっとこれは長期低迷の指標ばかりであります。  さらに、総額七十六兆円と言われる金融機関が抱える不良債権の問題、これが大変大きなおもしとなってのしかかってきているわけでありますけれども、これも、大蔵省はついこの間までは二十数兆円の不良債権だということを言ってきたはずです。いや今回は計算方法が違うということをおっしゃるけれども、これはもう民間でも以前から、八十兆円から百兆円ぐらいの不良債権はあるはずだということを言ってきた。  ことしになって初めて、試算という形で、今不良債権は七十六兆円あるということを示したわけでありますけれども、何で、こういうことをもっと早い時期から明確にして、これだけの不良債権があるから、この不良債権をどうやって処理をするのか、この問題に政府が真剣に取り組まなかったのか。  結局、二十数兆円で順調に不良債権は処理しておりますというようなことを言って、本気になって不良債権処理に取り組まなかった、そのツケが今、七十六兆円の不良債権という形でおもしになっているじゃありませんか。  中でも、こういう明確な、景気が長期低迷している指標があるにもかかわらず、政府は景気判断を誤って、対応を誤ってきたわけであります。その典型的なものは、これは昨年、平成九年度予算の九兆円に及ぶ国民負担の問題であります。結局、政府が決定をして、市場が嫌気を差して株価が下落をする、そしてまた景気が悪化する、株価が下落する、金融不安が生ずる、こういう悪循環が生じちゃったわけです。  株価の推移を見ていただきたいわけですけれども、この一九九六年、平成八年六月二十五日、消費税率二%引き上げ方針を閣議決定して、それから株価の急落が始まった。それで、昨年の予算案を平成八年の十二月二十五日閣議決定をした。それからまた急激に株価が下落したわけであります。それが今日まで続いているわけであります。ですから、この株価の動きを見れば、政府の対応の誤りというものがもう明確になっているわけであります。  もう一つが、金融不安への対応の誤りであります。住専問題の処理を通して金融不安を助長してしまった。それが金融機関の不良債権を一層積み上がらせることになったわけであります。それで、今日、三十兆円もの公的資金を投入せざるを得ない、こういう状況に追い込まれたわけでございます。  こういった景気の判断の誤り、そしてそれに基づく政府の対応の誤り、それが今日の経済不況を生んでいる、そういう事実につきまして、今総理はどのように総括をされているのか。今でも、今までの対応は間違っていない、このようにおっしゃるのですか。
  25. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員から御指摘を、数字を挙げて、また、統計を見せながらの御説明をいただきました。  今日の深刻な経済金融情勢というものを考えます場合に、まずバブルの後遺症ということを考えなければなりません。そのバブルの後遺症は、地価の継続的な下落に伴います不良債権の問題あるいは土地需給の不均衡、さらに企業のバランスシートの悪化といった問題がありました。これらが企業にも、また個人にもさまざまな影響を与えてまいりました。  そして、政府としては、バブル期におきましても、また、その崩壊のプロセス、今日に至るまで置かれた状況を踏まえながら、適切と考える施策をとってきたつもりでありますけれども、現時点になって当時の状況を顧みましたときに、資産価格の急激な、また大幅な変動というものが国民経済に及ぼす影響について的確な認識が不十分なものであったという思いは、率直に私は委員からの御批判を受けとめたいと思います。これは、私は、その指摘を免れることはできないと思います。  こうした認識の上で、政府は、そのバブルのもたらした教訓というものをかみしめながら、内外の経済情勢、十分注視しつつ、適切な経済運営に取り組んでまいりました。  今、金融機関の不良債権についても御指摘をいただいたわけでありますが、現在、各金融機関は積極的な引き当て償却を行うなど、全体としては問題の早期処理のための努力が続けられているものと承知をしておりますし、政府としても、引き続き金融機関に対し不良債権の早期処理を促すとともに、預金者保護、そして金融システムの安定確保に対し全力を尽くしてまいりたいと思います。先般御審議をいただきました金融安定二法も、その意味で大きな役割を果たしてくれると信じております。  そして、先ほど経企庁の長官の答弁にもありましたが、我が国自身の経済金融情勢だけでなく、アジアの状況なども踏まえながら、我々は特別減税あるいは金融安定化システム対策など、財源、金融両面にわたるさまざまな施策を講じており、今後とも責任を持って景気回復に努めてまいりたいと考えております。
  26. 神崎武法

    神崎委員 総理も少しは判断が甘かったということをお認めになっているように思いますけれども、そうなら思い切った路線転換をして、今のこの不況に本気になってやはり取り組む姿勢が必要だと私は思うのです。  実際はこの間、単年度だけで特別減税二兆円を指示されたわけです。これはやはり本来、制度減税として恒久減税にしなければ本当の効果を持ち得ないと思うわけでありますし、今低迷している消費をどう喚起するか、そこがやはりこれから一番大事なことだと思うのです。その意味でも、所得税、法人税の実質減税が極めて重要だというふうに私は考えます。  そこで、G7で財政の出動が要請された、このように私どもは受けとめておりますけれども、改めて、このG7で財政の出動が各国から要請されたというふうに受けとめてよろしいか。
  27. 松永光

    ○松永国務大臣 お答え申し上げます。  御存じのとおり、先般、G7に私行ってまいりました。その席で実はIMFの方から、日本においては、一九九八年における経済活動を下支えするために財政刺激の必要があるという見解が述べられたわけです。これはIMFの見解。G7参加国の共通の認識というわけではないのでございます。  それに対して、私は、その認識認識として、日本政府は、先般お認め願った二兆円の特別減税、これが二月、三月に集中的に実行に移されるということ、それから補正予算の公共事業の追加、これも二月、三月、四月というふうに集中的に実行されるということ、それから平成十年度の予算、そしてそれの関連の減税措置、法人税の減税、土地住宅税制での減税あるいは金融関係の減税、こういった等々の減税措置が十年度の予算とその関連法案で行われることになるので、これが速やかに実行されれば、日本の経済、力強く立ち直ってくるものと考えておるということを申し上げてきたわけであります。
  28. 神崎武法

    神崎委員 今の大蔵大臣の御答弁ですと、日本は景気刺激策をとらなくてもいい、こういうことを言っている国もあったんだ、そのように受けとめていいのですか。
  29. 松永光

    ○松永国務大臣 私が日本政府が今とっておる施策の説明をしたということでありますし、それから、我々として何よりも強くお願いしていることは、平成十年度の予算の速やかな成立、関連法案の成立、それを速やかに実行するということに我々は力を入れていきますということを申し上げてきたわけでございます。
  30. 神崎武法

    神崎委員 共同声明で、日本では経済活動は低迷し、見通しは弱いということを明確に指摘され、かつ、IMFの見方ではというただし書きがついているけれども、景気を刺激する強い理由があるということが共同声明で盛り込まれているわけでしょう。これは各国の共通の認識、理解なんじゃないですか。
  31. 松永光

    ○松永国務大臣 今申し上げましたように、我が国の経済の現状が厳しいということについてのIMFの説明、これはそのとおりあったわけでありますが、私としては、それはそれとして、こういう政策をこれから力強くやってまいりますということを申し上げてきたわけであります。
  32. 神崎武法

    神崎委員 ルービン米財務長官も共同声明後の記者会見で、財政刺激については、これは財政出動をふやすか減税をするか二つに一つだ、しかし、どちらをとるかは日本政府が判断することだと明確に指摘しているのですよ。これは全然違うじゃないですか。
  33. 松永光

    ○松永国務大臣 ルービンさんの意見意見でございまして、私は、日本政府の大蔵大臣として日本政府の考え方を強く主張してきたということでございます。
  34. 神崎武法

    神崎委員 それでは、G7を終えた現在におきましても、大型減税はしない、それから財政出動を伴う景気対策は平成十年度においては、この橋本内閣においては選択肢の中にないのだ、こういうことを言えますか。
  35. 松永光

    ○松永国務大臣 現在ただいま平成十年度の予算の審議をお願いしているところでありまして、この予算を一日も早く成立させていただきたい、そして関連法案も成立させていただきたい、それを速やかに実行に移させていただきたいというのが私の願いでございます。
  36. 神崎武法

    神崎委員 内閣として景気に大きく踏み込むという明確なメッセージがないのですよ。(発言する者あり)
  37. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。
  38. 神崎武法

    神崎委員 それで、要するに現在の最大の景気対策は、路線転換の態度を表明することなんです。そのメッセージがないから、内外の市場は非常に今厳しい状況になっているわけでしょう。  「財界」の新春特別号で、瀬島龍三氏が「日本の再建」と題する緊急提言をしております。  これを読みますと、戦国時代、秀吉が中国征伐をやった。岡山の高松城を攻めているときに、本能寺の変が起きて信長が殺された。そこで秀吉が、高松城を攻めるか、あるいは取って返して明智光秀を攻めるか、そういう局面があった。今は全く同じ局面だ。二つの敵がある。財政改革、行政改革という今の当面している敵。そこに新たに景気対策という緊急の事態が、火の手が上がってきた。そのときにどうするか。これは各個撃破するしかない。しかし、一番緊急なものにまず当たるべきだ。その意味では景気対策を政府はやるべきだ。  これが瀬島龍三さんの提言でありましたけれども、私は、これが今、日本政府に求められている一番重要なことです。路線の転換をする、それが景気回復に一番重要なことだと思うのですが、どうですか、総理大臣。
  39. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、瀬島龍三先生、私も尊敬する方でありますけれども、その後半の部分を議員は引用されました。しかし、その前に書いてありますこと、それは、   いま政府が持っておる借金は、赤字公債、建 設公債等ひっくるめまして、三百兆円を超して おります。このほかに地方自治体が持っておる 借金、地方債とかいろんな借金を持っておりま して、かれこれ四百五十兆円になります。国の GDPが五百兆円でございますから、これを企 業に置き換えてみますと、売上高五百億円の会 社が四百五十億円の借金を持っているという状 態でございます。これを増税という方法を取ら ないで健全化するということは容易なことじゃ ないと私は思います。 というのがその前に書いてあります。  しかし、私は、これはこれで一つのお考えだ、私は一つのお考えだと思います。(発言する者あり)
  40. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。
  41. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 そして、財政構造改革の必要性は、私は何ら変わるものではないと思いますし、同時に現実の経済金融情勢の変化に応じて対応をし、景気回復を図る努力をするのも私は当然なことだと考えております。  そして、そうした考え方のもとで、先般、平成九年度補正予算並びに関連の法案を通過、成立させていただきました。今月から給与所得者などに対する特別減税の実施に加え、災害復旧事業等公共事業の追加についても鋭意執行に努めております。  これらに加えて、平成十年度の税制改正あるいは金融システム安定化策などが、財政、金融両面にわたる幅広い措置として相乗効果を持って景気の回復に資するもの、私はそのように考えておりますし、そのためにも、御審議をいただいております十年度予算案並びに関連の法律案というものが、でき得る限り早く国民の手に届けられますような御協力を心から願う次第であります。
  42. 神崎武法

    神崎委員 これだけ景気が悪い、しかも与党の幹部からも景気対策を打ち出せということが言われている。これは当委員会での質疑の中でも、そういう指摘が与党委員からも出ている。そういう中で、なぜこの平成十年度予算にこだわるのか、景気対策を今やれないのか、非常に私は疑問に思うわけです。  その一つの原因として、幾つか原因があると思うのですけれども一つは、総理がみずから成立させた財政構造改革法、これにやはり縛られている。結局身動きがとれなくなっている。これが私は一つある。  ところが、アメリカでも財政赤字削減のために支出の上限を設けて、大幅な支出カットをしております。これについて法律で規定しておりますけれども、ここは、二四半期連続してマイナス成長が予想される場合、いわゆる二四半期ということですから六カ月間ですね、六カ月間マイナス成長が予想される場合、または二四半期連続して年率一%未満の低成長の報告がなされた場合は、一律削減は停止される、こういう運用停止条項がちゃんと入っている。これはきちんと臨機応変に、総理の使っている臨機応変と違う、本当に臨機応変に景気対策もできるように、この法律自体が柔軟な構造になっている。  ところが、我が国の財政構造改革法にはそういう考え方がない。ともかく一律削減だ、決めたらそれだけで一直線でいくしかない。景気が悪くなろうが何をしようが削減だ、そうなっている。これは余りに硬直し過ぎるのじゃありませんか。  我が国の財政構造改革法にも、こういった米国のような運用停止条項を設ける、あるいは財政構造改革法のキャップや目標を二、三年先延ばしにする、こういうような柔軟性があっていいのじゃないですか。どうなんでしょうか。
  43. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、改めて議員からこの問題を御提起いただいたわけでありますが、実は、先日補正予算の審議の際に、御党の北側議員からこの問題を提起されました。 そして、私は、実は、財革法の審議の時期からを含めて初めて提起された問題として、十分勉強してみたいということを、そのときの議事録でも、振り返りましても申し上げております。  確かに、アメリカの包括財政調整法などの法律におきまして、これは幾つかのケースで大統領命令により歳出の一律削減が行われる、同時に他方、宣戦布告の行われた場合と経済低成長の場合、これが停止されるという規定が置かれております。  恐らく、北側委員から御指摘のありました問題点と議員から今お述べをいただきましたものは、軌を一にするお考えであろうと存じます。そして、我が国の財政構造改革法についても、不況期に財政健全化の当面の目標、あるいはその主要な経費の量的縮減目標等の達成義務を外すという御趣旨であり、私は、確かに立法政策の上で一つのお考えだと思います。これは率直にそういう評価をいたします。  同時に、それがいいか悪いかとの問題とは別に、危機的な状態というものをどういう形であらかじめ定義をするか、それによりましては実は予測し得ない事態というものもあり得ると考えられまして、なかなか、北側議員から提起をされまして以来考えながら、いろいろなケース、どうなのかな、難しいのかな、どうなんだろう、率直にそういう感じで、今この問題を伺っておりました。
  44. 神崎武法

    神崎委員 アメリカの例に触れました関係上、つけ加えますと、アメリカでは、一九九二年に二千九百四億ドルあった財政の赤字が五年間で激変して、今や黒字に転換するに至ったわけであります。  なぜこの赤字が削減したのか。いろいろな理由がありますけれども、財務省や行政管理予算局の資料で調べますと、景気拡大の継続に伴う効果が五五%を占めていた、こういう結果が判明しているわけであります。企業収益改善に伴う税の自然増収や、個人所得増加による福祉支出削減の効果が極めて大きい、こういう結果が出ているわけであります。  アメリカのこの経験、これを我が国としてもやはり生かすべきじゃないんですか、どうなんですか。
  45. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 今お話しのとおり、アメリカの財政赤字、九二年度に二千九百億ドルで、GDP対比で四・七%ございました。それがピークでございますが、その後五年間ずっと下がり続けまして、九七年度には二百二十億ドル、GDP対比で〇・三%まで縮小しているわけでございます。  この要因は、今のお話のとおり、景気拡大によります歳入の増加及び歳出の抑制があったというふうに言われていると考えております。歳出の抑制につきましては、国防費を中心とする歳出抑制がございまして、歳出のこの五年間の伸びが三%に抑えられ、そして同時に、その同じ期間に歳入の伸びが七%以上増加しているということでございます。  歳入増加の背景となりましたアメリカの景気拡大の要因でございますが、情報通信分野を初めといたします規制緩和が本格的に行われたこと、それから技術革新が進んだこと、人材派遣業の発展等によります雇用のミスマッチが少なくなったこと等であると言われておりまして、その結果として、新規事業が創出され、雇用が吸収されたことによりまして経済が活性化した、そのことが大きく貢献したというふうに理解をしている次第でございます。
  46. 神崎武法

    神崎委員 私は、今、景気対策を打ち出せないでいる一つの原因は財政構造改革法にある、こういうことを指摘いたしました。  もう一つは、予算の修正という問題について、何で抵抗するんですか。今必要なことをすぐ打ち出せばいいと思うのです。予算を修正しないで平成十年度の補正予算を組むとか、そういう発言与党幹部もする。平成十年度の補正予算を組むぐらいに景気が悪いという認識があるならば、これは今の平成十年度の予算を修正する、組み替える、これがやはり大事じゃないですか。  なぜ予算修正というものに抵抗感があるのか。これは大蔵省のメンツで、予算修正なんというのはとんでもない、予算というのは聖域だ、こういうふうに思っているのですか。これは大蔵省じゃなくて内閣が責任を持って予算を作成することになっている、憲法上は。大蔵省じゃない。  内閣として、総理認識が甘かったということは先ほど少しはお認めになったわけです。それに伴っていろいろな政策転換をいろいろやってきたということも言われている。なぜここで、総理の責任で思い切った政策の転換ができないのですか。景気対策を打ち出せないのですか。
  47. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 政府としては、これは、現在御提案を申し上げております平成十年度予算並びに関連をいたします予算関連法案、本来、最善のものという考えを持って提出をさせていただいたところでありまして、その速やかな成立に向けて全力を尽くしている、これが本当に申し上げたいことであります。  そして、年度のかわり目に予算の切れを生じないためにも、年度内の成立をぜひお願いしたいということを繰り返し申し上げております。(発言する者あり)
  48. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。
  49. 神崎武法

    神崎委員 今大事なことは、官僚の言うままに行動することじゃなくて、政治がやはりリーダーシップを発揮するときなのです。今国民が求めている、経済が求めている、これにきちんと政治がこたえることが大事なんだ。そのためには、やはり総理がリーダーシップを発揮すべきですよ。どうなんですか。
  50. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今お答えを申し上げましたことに本来はすべて尽きることでありますが、先般、平成九年度補正予算並びに関連法の成立をさせていただいたばかりであります。そして、今月から給与所得者などに対する特別減税の実施に加えまして、災害復旧事業など公共事業の追加などにつきましても鋭意執行に努めているところであります。  これらに加えまして、平成十年度税制改正あるいは金融システム安定化対策といった財政、金融両面にわたるこれらの施策が相乗効果を持って動いていくためにも、本予算並びに関連をいたします予算関連法案が年度内に成立をし、国民の手元に切れ目なく届いていくということが、私は今一番大切なことだと思います。  そして、既に関連の諸施策、税制にいたしましてもそうでありますし、予算にいたしましてもそうでありますけれども、市場は織り込んでいるとよく言われます。私もその通りだと思います。その織り込んでおりますものが予定した時期に実現に移らない場合の影響というものは、ぜひお考えをいただきたい。そして、ぜひ成立を図れますように御協力をお願いをいたします。
  51. 神崎武法

    神崎委員 私たちは、現状の景気を打開して、景気を回復するためには、やはり大事なことは、一つは、大型の減税が必要だと考えております。二兆円の所得税の恒久減税を含めて、法人税の実効税率を四〇%に引き下げることなどを含めて、合計六兆円規模の減税が必要だ、このように考えます。  また、もう一つは、社会資本の整備、これが重要だと考えております。  平成十年度予算案では、公共事業費が七・八%削減されておりますけれども、何の構造改革も伴わず、ただ量だけ制限しているにすぎません。今地方経済は、長いこと続いた公共事業によって、いわば雇用がバブル化しております。それを吸収する措置も講じないで、いきなり削減したらどうなりますか。ソフトランディングが必要だと考えます。  具体的には、下水道の普及、これは先進国に比較しておくれておりますし、情報関連の基盤整備もアメリカ等に比べれば大変おくれている。その意味では、公共事業の構造改革といたしまして、私たちが従来から主張しておりますような入札制度の改革や予算単価の見直し、補助金の地方への移管を実施して、生活関連社会資本や情報関連を中心に当面、今年度は一定の事業量は確保すべきだと考えます。  ここでの議論でも、PFIについての御議論が昨日ございましたけれども、官と民の新たな領域をつくり直すものとして大いに私も注目をいたしております。  社会資本整備について申しますと、地方分権の推進を大原則として、PFIの積極的な導入、入札制度の改革、補助金の地方への移管で、公共事業についても予算単価は大きく切り下げられるわけであります。社会資本整備は、まずPFIを原則として、公共的資本の民間所有というPFIの考え方を原則にして、どうしても民間にゆだねられないものだけを官が実施する、こういうように制度を改革すべきである、このように考えるわけでございます。  それから、時間がなくなりましたので、私どもが札幌と福岡で実施いたしました貸し渋り経営危機調査に基づきまして、現場の生の声を申し上げたいと思うわけであります。  いろいろ調査をいたしますと、現場の声として、昨年末とことしに入ってからではお金の出入り事情が大きく違ってきている。集金日に待ったがかかる。業界の中で、あそこがお手上げだ、あっちも時間の問題だというような声が聞こえてきます。一社がお手上げになると下請など多くの資金が滞ってしまいます。日に日に厳しさを増しているように感じ、いつまで生き残れるか。今政治が本当に私たちの必要なところに、目に見える部分で役割を果たしてもらいたい、こういう声もありました。  そしてまた、友人、知人と出会うと最初に出る言葉は、「仕事がない」です。仕事がなくなり、設備投資ができなくなっている。みんなが金を使わなくなり、金が回らなくなっている状態のようです。今景気が悪いのは理解できるが、よくなるのはどのくらい先のことか、今の政府では全く見当がつかない、こういうような悲鳴も上がっております。  現実に、貸し渋りどころか、金融機関からは貸し金の回収が行われている、こういう悲鳴もありました。そして、貸し渋りによって新規の貸し出しは拒否され、新しいビジネスチャンスの芽も摘まれている、こういう指摘もありました。  何点かお伺いしたいのでありますけれども一つは、皆さんの声として、協調融資で、三割の銀行の貸し渋りのために、七割を融資するせっかくの政府系金融機関の制度融資が実現しないことがある。銀行が貸し渋った場合、協調融資が前提の政府系金融機関の融資を十割にするなど政府系金融機関が銀行分を肩がわりすべきと思うが、どうか。この点について、いかがでしょうか。
  52. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  本来、政府系金融機関は民業補完といいますか、そういう立場でやってきたわけであります。しかし、今委員御指摘のような緊急で大変な事態でありますから、そういう上限を撤廃する措置を、まあ撤廃という言葉は適当でありませんけれども、詳しく言いますれば、融資比率の上限が、日本開発銀行は五〇%、北東公庫は七〇%に設定されていたわけでありますが、貸し渋りに対応する見地から、民間金融機関の協調融資が困難な案件については、融資比率の上限を超えて融資を行うことができるよう弾力的な措置を図ることにしたわけであります。
  53. 神崎武法

    神崎委員 それから、これもまた声でありますけれども、この際、政府系金融機関の融資対象業種、融資限度額、資金の使途の制約、融資期間の規制などを一時的にも外す必要があるのではないか。これらの規制は主務大臣の通達あるいは業務方法書などで規制されている、大臣の決断次第でこのような規制を緩和あるいは撤廃できる、ぜひ緩和してもらいたい、撤廃してもらいたい、こういう強い要望がありました。  この点はいかがですか。
  54. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答え申し上げます。  政府系金融機関の融資限度額、融資期間の条件につきましては、本来は民間の補完としての役割でございますが、先ほど大蔵大臣からのお話もございました。こういう当面の、危機のような状態でございますので、最大限、民間の皆様方の、中小企業の皆様方の御要望にしっかりと応じるような態勢をとってまいりたいと思っております。  こういう観点から、今般の民間の金融機関の貸し渋りの影響を受ける事業者に対する融資制度におきまして、撤廃というわけにはまいりませんが、融資限度額につきまして、具体的には、中小企業金融公庫においては、限度額を四億八千万のところを別枠一億五千万円設けてございます。また国民金融公庫におきましては、限度額四千八百万円のところにさらに三千万円の追加をいたしております。またマル経資金におきましては、六百五十万円のところを一千万円までふやしているわけでございます。  また、融資期間につきましては、通常、運転資金については五年のところでございますが、必要に応じて七年以内とするなどの弾力化の措置を講じているところであります。  さらに、資金使途につきましても、中小企業金融公庫におきましては、設備資金のみならず運転資金も対象とすることにいたしておりますが、信用保証における趣旨に準じまして、政府系金融機関において土地売買資金についても運用して、弾力化をすることといたしております。  政府系の金融機関及び信用保証協会に特別な相談窓口を設けまして、個々の皆様方の貸し出し保証手続について懇切にまた迅速に手続を踏むように、きめ細かな対応を図るように指示をいたしておりますので、これからも中小企業の皆様方のニーズをしっかりとくみ上げて対応をしてまいる覚悟でございます。
  55. 神崎武法

    神崎委員 この実態調査の問題については、いろいろな機会にまた政府にも申し上げたいと考えております。  日銀総裁にお見えいただいておりますので、金利の問題で、一点だけお尋ねをいたしたいと思います。  二年以上超低金利が継続されているわけであります。その景気下支えの効果という面においても、その効用ということもわかっておりますけれども、今は、国民生活に与える影響、また海外への資金の移動とか、さまざまなひずみというものが指摘されているわけでございます。  何よりも、まず有効な景気対策を打ち出して景気回復をしなきゃいけない、環境を整備しなければいけないことは当然でありますけれども、金利を引き上げるタイミングを、経済情勢を見ながら図るべきであると考えますけれども、その点についていかがでしょうか。
  56. 松下康雄

    ○松下参考人 金利引き上げの影響につきましては、家計部門の利息の収支を見ますと、当然金利の上昇によりまして受け取り利息収入が増加をいたします。ただ、反面におきまして、金利の引き上げは、資金調達のコストを高めまして、その結果、設備投資、住宅投資あるいは在庫投資といったものの採算を悪化させることから、生産活動や投資活動にはマイナスに働くわけでございまして、この点では、設備投資、ひいては雇用面等にも悪影響が及ぶということが避けられない形になるわけでございます。  私ども、経済の現状において見ますというと、金利の上昇の効果といたしましては、全体としては、ただいま申し上げたような経路で、これは景気の回復にとってマイナスの影響を持つということにならざるを得ない。現在の低金利下で利息収入に多くを依存していらっしゃる家計は大変厳しい状況にあることは十分承知をいたしておりますけれども、現状はやはり、経済全体をまず下支えをして、この活力を高めるということに重点を置きまして政策をとってまいりたい。  もちろん、金利のあり方につきましては、そのときそのときの経済の実態に応じまして引き続き私どもも真剣に検討をしてまいりますけれども、現状はそういう政策方針であるということを御理解いただきたいと思います。
  57. 神崎武法

    神崎委員 時間が参りましたので、同僚議員質疑にゆだねます。  どうもありがとうございました。
  58. 越智通雄

    越智委員長 この際、坂口力君から関連質疑の申し出があります。神崎君の持ち時間の範囲内でこれを許します。坂口力君。
  59. 坂口力

    坂口委員 平和・改革坂口でございますが、引き続きまして質問をさせていただきます。  きょう、お隣の韓国の金大中氏が大統領に就任されるわけでございまして、平和・改革を代表いたしまして、心からお祝いを申し上げる次第でございます。  この金大中氏につきましては、二十五年前東京で起きましたいわゆる拉致事件がございまして、最近、韓国中央情報部、KCIAの組織的犯行であったことが韓国の内部資料として明らかになりました。一九七五年の七月に、この問題につきましては、当時の宮澤外相が訪韓をされまして、日本の主張を完全に受け入れない形で政治決着がされたわけでございます。  このときから月日が回りまして今日を迎えたわけでございますが、事件の真相が明らかになりました現在、この機会に、今後の両国の友好の立場から、政治決着を整理し直す必要がありはしないかというふうに思いますが、外務大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
  60. 小渕恵三

    小渕国務大臣 お話しのように、本日、韓国金大中新大統領が就任されます。心からお喜び申し上げますと同時に、厳しい経済環境と承っておりますが、韓国の発展と、また日韓両国の親善友好を心から念願しておるところでございます。  つきましては、現在お尋ねの金大中事件につきましてでございますが、大変不幸な出来事だったと考えております。当時、金大中氏が精神的、肉体的に大変な苦痛を受けられたことは想像にかたくありません。  金大中氏拉致事件に関しましては、外交的決着につきまして、当時の日韓双方の最高首脳が、日韓関係の大局を考え、高度な政治的判断を下したものと考えておりまして、現在も引き続きこのことを尊重していく立場だと考えております。
  61. 坂口力

    坂口委員 この問題につきましては、また日を改めまして議論をさせていただきたいというふうに思います。  さて、先ほど神崎議員からもイラクの問題が議論されましたが、もう少し議論をしたいというふうに思います。  二月二十日から、イラク危機の平和的解決を目指しまして、バグダッドで調整を続けてきましたアナン国連事務総長イラク政府の協議が、二十二日夜に合意に達しましたことは、御承知のとおりでございます。その内容はまだ明らかにはなっておりませんけれども、一部要約は新聞等にも出ているところでございますが、米国もその合意を受け入れることを表明いたしております。当面、武力衝突は避けられることになりましたが、まだ予断を許さない面も残っているわけでございます。  このイラク危機が叫ばれましてからきょうまでの、我が国のとってまいりました姿勢につきまして、一応ここで整理をしなければならないというふうに思います。今後の外交につきましても、それは大変重要なことだというふうに思います。  アラブ諸国でありますとか、あるいはロシア、中国、フランス、ドイツ等々、それぞれの国が意思表明をいたしましたが、日本がこのイラク問題につきまして正式に意見を述べましたのは、先ほども紹介がありましたとおり、リチャードソン米国国連大使が日本を訪問されまして、そして外務大臣との間で共同声明を行われたわけでございます。このときが初めてではなかったかというふうに思います。  その中で、すべての国連安保理決議イラクが完全に遵守することによる外交的解決が最善の解決だが、同時に、あらゆる選択肢をとる余地が残されているという米国の考えを日本も共有する、こういう内容でございます。  このあらゆる選択肢をとる余地が残されているという米国の考えを日本も共有する、持って回った言い方ではございますけれども、いかなる事態になっても日本は賛成をするということを意思表示されたのだというふうに私は理解をいたしておりますが、私の理解でよろしゅうございますか。
  62. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほど来、神崎委員お尋ねもございました。日本としてどのような外交努力を続けてまいったかということでございましたが、先ほど御答弁申し上げましたが、日本日本としての独自な立場で、この努力を傾注してきたつもりでございます。  なかんずく米国との関係におきましては、我が国アメリカと同盟的立場にあるわけでございますので、アメリカ対応につきましても十分注目していかなければならないことでございまして、そこで、アメリカといたしましては、アメリカ立場我が国に示したいということでリチャードソン国連大使が参られまして、総理並びに私と会談をしていただきましたが、その折の三項目につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。  そのときに、すべての選択肢において共有するということを申し上げましたが、これは結論的に言えば、すべての選択肢ということには武力行使は排除されていないことではありますが、この表現を用いましたのは、その当時の状況が極めて深刻でございまして、我が国認識として、この状況をイラクに明確に伝えて、外交的な解決を促すという点に主眼があったわけであります。  したがいまして、先ほども御答弁申し上げましたけれども、その行使を是認したということでなく、すべてのこうした選択肢が結果的に平和的解決に至ることになることを強く期待をして、このような同意をしたことでございます。
  63. 坂口力

    坂口委員 大変あいまいでありまして、是認をしたわけではないけれども、しかし武力行使を排除しているわけでもない、こういう御答弁でございますが、この文章から読みますと、これは排除していないというふうに理解した方が正確ではないかというふうに私は思います。それはそれの一つの見解でございますから、そういうふうにお答えをいただければ、それで私は十分かというふうに思います。  ただ、今外務大臣から御答弁がありましたように、非常に日本外交の姿勢というのはあいまいであります。もう一つは、あちらの国を見、こちらの国の状態を見、上を見、下を見、そしていささか日和見的に結論が出る。しかも、その結論はあいまいである。そして、結果としてはいつもアメリカ寄りである。こういうふうに、日和見、そしてあいまい、そして米国寄り、これが日本外交の姿勢ではないかというふうに思います。  さてそれで、私は今の結論の中で、武力行使というものを排除されていないという前半の御答弁が、私は率直な意見ではないかというふうに思います。  そのときに、新ガイドラインの中にも周辺事態という例の問題がございます。この周辺事態は地理的な概念ではないということが再三政府の方からも主張されたわけでございまして、そういたしますと、この周辺事態との関係で中東の問題がどのように整理をされたのか、どのように考えられて、そして結論を出されたのかということをひとつお聞きをしたいわけでございます。
  64. 小渕恵三

    小渕国務大臣 周辺事態、すなわち日米ガイドラインにおけるものにつきましては、これはあくまでもその事態の態様に応じて考えていくべきものでございまして、今回のイラクの問題とは直接関係することではないと考えております。
  65. 坂口力

    坂口委員 それじゃ、防衛庁長官、いかがでございましょうか。
  66. 久間章生

    ○久間国務大臣 先ほど外務大臣がお答えになりましたように、今度の周辺事態の場合は、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態でございますから、そういうことには、重要な影響を及ぼすようなものには至らないと思っております。
  67. 坂口力

    坂口委員 重要な事態には至らないという結論であったということでございます。  では、次の問題をひとつ先にお聞きしておきたいというふうに思いますが、イラクが生産をし、あるいは生産をしていると疑いのかけられております化学兵器そして生物兵器、そうしたものがございますが、この生物兵器の中には、炭疽菌でありますとかボツリヌス菌でありますとか、そうした、もしも人間が大量にその菌に汚染されるということになりますと、非常な深刻な事態になる内容のものが含まれているわけでございます。  もし仮に武力行使が行われたとして、そしてそれらの兵器の製造工程が破壊をされる、あるいはその製造工程だけではなくてその生産されたものが、もし、風圧を受けて、そしてその周辺にちりばめられる、そういうことが起こりましたときには、これは大変な事態に陥る。この菌が周辺に散りますと、その菌はさらに自分たちで増殖をするわけでございますから、ただ周辺の住民あるいはまた国境を越えて、風に乗りまして周辺の国々にその病気が流行するだけではありませんで、それ以後も、さらにこれは流行をし続ける可能性がある。  武力行使のときに、それは限定されたところを武力行使するというのが通常ではございますし、また、もし仮にされてもそれはそうでなければならないわけでございますが、しかしそういたしましても、この生物兵器あるいは化学兵器の場合にはそれで済まない、やはり国民に非常に大きな影響を与えるという代物でございます。  日本アメリカと考え方を共有するというふうに言いますときに、それらの問題もやはり考えておかなければならないことだというふうに思いますが、そうしたことも検討をされた結果として、このアメリカの考え方と共有をするという結論になられたのか、そこまでは、そういうところまでは考えずに、これはしたということなのか、その辺をひとつお聞きしたいと思います。
  68. 小渕恵三

    小渕国務大臣 結論を申し上げれば、武力行使を前提にして先ほどの選択肢のすべてを共有する、こういうことを申し上げておるわけではございませんで、したがいまして、我々としては、あくまでも平和的解決ということの手段のために米軍のプレゼンスというものが大きな影響を及ぼしていくであろうという前提で、そうした話し合いが行われたわけでございます。結果的に、今アナン事務総長の調停が功を奏しようとしておることでございますので、したがいまして、今先生の御指摘のような点につきましては、そうした武力行使が行われたという前提でおりませんので、考慮しておらない、こういうことでございます。
  69. 坂口力

    坂口委員 もちろん、現在のアナン事務総長の調停が成立をして、そして平和が持続するということを私も望んでおりますし、そうでなければならない。しかし、日本が声明を出されたその当時におきましては、そういう事態でなかったわけでありまして、日本がさまざまな結論を出される過程の中で、やはりいろいろの側面から考えておかなければならない面があるという指摘を私はしているわけでございます。  それで、今後のことでございますが、化学兵器でございますとか、あるいは生物兵器でございますとか、こうしたものにつきましての禁止条約というものが、もちろん御承知のとおりあるわけでございます。  これらの禁止条約がありますけれども、この両方とも、イラクはこの中に署名をしていないというふうに思います。たくさんの国がこの条約に署名をいたしておりますけれども、その中にイラクの名前は見当たりません。だからこういうことが起こっているんだろうというふうにも思うわけでございますが、これから先、イラクが国内のすべての地域の査察を受け入れる、本当に真剣に受け入れるという事態になればよろしゅうございますが、なかなか難しい面もあるかもしれない。  そういう中で、化学兵器あるいは生物兵器の批准を先にさせるということが、これは非常に大事ではないかというふうに思いますけれども、そうした意味で、日本は大きな役割を果たすべきではないか。  先ほどの話にもありましたように、若干、日本立場というのは、電話をしたとか、あるいは親書を送ったというようなことはありましたけれども、非常に姿が見えないということでございますので、この点につきまして一言お伺いをしておきたいと思います。
  70. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 御指摘のとおり、イラクは化学兵器禁止条約等に加盟いたしておりません。したがいまして、その化学兵器の禁止条約の普遍的な適用というものを確保していく上で、一般的な意味では、加盟が奨励されるべきものだと当然思います。  ただ、それ以前の問題といたしまして、一九九一年に湾岸戦争の停戦決議が採択されました際に、イラクは、UNSCOMによる無条件、即時、無制限の査察にみずから同意をしているわけでございます。同年の四月に同意いたしております。したがいまして、イラクが、そうした自分みずからが同意した国連決議上の義務というものを誠実に履行するという実態がありますれば、先ほど来先生が御指摘になっておられるような懸念はもともとなくなるわけでございますので、まずその道を今追求しているというのが、外交努力の中身ということだろうと思います。
  71. 坂口力

    坂口委員 ぜひその辺はよろしくお願いをしたいと思います。  さて、話題を変えさせていただきますが、先ほども、国内におきます経済問題につきましては、いろいろの議論がございました。私も、この九八年度におきます政府の経済見通しにつきまして、お聞きをしたいというふうに思います。  大蔵大臣もロンドンで開かれましたG7に御出席になりまして、そして、ここで先ほども議論になりました共同声明が発表になったところでございます。  日本に対しましては、日本経済は弱く、早期の景気回復と規制緩和が必要との表現でありましたが、内需主導の景気回復が求められたところでございます。特にこれは目新しい表現ではございませんで、最近ずっともう諸外国から言い続けられている内容でございます。  ルービン財務長官は、二十一日、ワシントン市内の大学でアジア経済危機について講演をいたしまして、その中でも、アジア経済の混乱が長引いているのは日本経済の不振にあるというふうに述べております。また、一部新聞報道によりますと、サマーズ財務副長官は、十三日、ホワイトハウスに斉藤大使を招きまして、日本に対して十兆円規模の減税を求めたというニュースも流れております。  九八年度の政府経済見通しを拝見いたしますと、一・九%の成長率が予定されておりますが、その一・九%の中身は内需で達成することになっております。九八年度におきますこれだけの内需を達成しようというふうに思いますと、GDPの六割を占めます消費がどの程度回復するかということが非常に大きな問題になります。この消費の回復ということになりますと、可処分所得の伸びがどの程度確保されるかにかかってくるというふうに思います。  これは、経済企画庁からいただきましたペーパーを見ましても、そういうことになっているわけでございます。なかなか一・九%の成長、しかもそれを内需で達成する、これは今までの経済構造をかなり改革しなければならないわけでございますから、並大抵のことではないというふうに思いますが、その内容が詳しく示されているわけではありません。どういうふうにして内需だけで改革できるのか。  そして、輸出の伸びにつきましては、九七年が一一・七%でありましたものを九八年は五・三%に抑える。輸入の方は、二・七%でありましたものを六・三%に伸ばす。ですから、伸び率からいいますと、輸出の方につきましては半分に抑え、そして、輸入の方につきましては倍の伸び率にする、こういう内容でございますが、どういうふうにこれをするという内容がこの「基本的態度」の中にも余り明らかになっておりません。  そして、このしわ寄せと申しますか、こういう数字を示すものですから、どういたしましてもその内容は、消費あるいは企業の設備投資、そうしたところの数字にこれがはね返ってきているわけでございまして、民間の最終消費支出、民間住宅、そして企業設備、ここが非常に、九七年に比べますと九八年は前進すると申しますか、好転することになっているわけでございます。  ところが、九八年度の民間最終消費支出がなぜ高まるかという理由につきましては、これは一つは、平成九年に見られた消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減等の要因がなくなるということでございます。それからもう一つは、所得面において雇用者所得が回復する見込みにある上、物価の安定推移が見込まれる、こういうことになる。  九年度に見られた消費税の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減の要因がなくなるというのは、これは今さらなくなるわけではなくて、もうとっくになくなっていると思うんです。また、所得面において雇用者所得の回復見込みがある上と、これはどういう回復の見込みがあるのか、一遍お答えをいただきたいと思います。
  72. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 十年度の経済見通しにつきましては、実質経済成長率一・九%程度と見ているわけでございますが、内訳につきましては、個人消費の伸びを二・五%、設備投資三・五%程度の伸びというふうに見ているわけでございます。  現在、経済の状況、いわゆる消費者や企業の経済の先行きに対する信頼感が低下していることから停滞状態にあると認識しておりますが、昨年の十一月に決定をいたしました緊急経済対策、さらに、現在実施をされております特別減税、あるいは補正予算によります内容、それから金融システム安定化法案等の迅速かつ的確な施行が行われるという状況にあるわけでございます。  こういう施策に加えまして、私どもといたしましては、十年度予算及び法人税の減税あるいは有価証券取引税の減税、土地関係の減税等を含みます関連法案が予定どおり早期に成立をするという想定のもとに、四月からは新年度の予算、お金が使えるようになるというふうに考えているところでございます。そういう想定のもとに、全体として、個人消費や設備投資を初めといたしまして、次第に順調な回復軌道に乗ってくるというふうに考えている次第でございます。  さらにつけ加えまして、二月、三月は、四月一日の早期是正措置を控えまして、やや貸し渋り現象もありますが、それが四月以降は解除されるというふうに考えている次第でございますし、さらに、電気通信とかあるいは労働者派遣事業、あるいは郊外型住宅の取得促進などに関する規制緩和とかあるいは各種の法律改正が、やはり四月、五月ごろに実現をされてくる。そして、そのこと全体が経済の先行きに対する景況感を回復いたしまして、順調な回復軌道に乗ってくるというふうに考えている次第でございます。  それから、消費税につきましては、消費税の引き上げに伴います反動減は、実は昨年の一月—三月に駆け込み需要がございまして、その反動として四月—六月を中心として大きな消費の減少がございました。その減少ということが今度の十年度にはなくなるという意味において、九年度と十年度を比べますとプラスの効果がある、こういうことを言っているわけでございます。  もちろん、経済は生き物でございまして、私どもといたしましては、今後ともその時々の実情に応じまして、経済活性化に向けまして適宜適切な対策をとり、一・九%は達成をしていきたいと考えている次第でございます。
  73. 坂口力

    坂口委員 昨年の四月から六月ごろにも確かに落ち込みがありましたけれども、その以後、それじゃよくなったのかといえば、一時若干の回復はいたしましたけれども、再びもとへ戻った、あるいはそれ以下になったわけでありまして、最後の十、十一、十二は非常に大きな落ち込みになっているわけです。これはマイナス成長で、マイナス一・八ぐらいではないかというふうに試算されておりますが、それぐらい落ち込んだわけであります。この四月から六月の反動期に比べ物にならない落ち込みをしているわけでありまして、今の御答弁はいささか腑に落ちないというふうに思います。  そして、先ほどから議論がありますように、この予算が通過をしたといたしましても、デフレ予算でございます。したがって、それで果たしてこれだけよくなるのか。最終消費支出は名目で三・三、実質で二・五%前年度比でふえるというふうになっておりますが、果たしてそんなになるのだろうか、なる要因というのはどこにあるのだろうというふうに思わざるを得ません。また、民間のシンクタンク、どれを見ましても、こんなに高い数字を出しておるところはどこもない、一つもないという状況でございます。  先ほどありました雇用所得の面でございますが、日経連は、ここ数年の経済状況や今後の経済環境から見て、ほとんど生産性の伸びが見込めない中では、国民経済のマクロレベルで見る限り賃上げの余地はないことになる、こう述べております。  また、連合の方は、九八年度において可処分所得の伸びが確保されるかどうかは、九八年春闘における積極的賃上げが行われるかどうかにかかっている、また、相当規模の減税とその制度化が行われることがあるかどうかにかかっているということを述べているわけであります。四兆円の所得税、住民税の減税と賃上げ率五%が確保されて、さらにそこにその他の政策減税が行われれば、実質GDP成長率で二%ぐらいには達するのではないか、こういうふうに連合は言っている。  こういうふうな状況を見ますと、いわゆる労働界におきましても、これはそんな見込みはない、また日経連の方におきましても、そんな見込みはないと。また、一般に出ておりますその他の数字から見ましても、そんな状況はない。  さらに、昨日の日経新聞にも出ましたけれども、設備投資は非常に深刻な状況にある。これも、設備投資がかなり回復することになっているわけであります。しかし、企業の行く先を占うと言われます鉱工業生産指数を見ますと、これは落ちている。しかし、会社の方の設備投資を見ますと、これは上昇することになっている、回復することになっている、こういう内容でございます。これはどうも、幾ら説明をされましても、納得のできる説明ではないというふうに思わざるを得ません。  現在の政府が出しておみえになりますこの予算、もちろんその中には二兆円の減税も含まれているわけでございますが、現在のこの予算で本当にこれだけ回復できる、しかも内需主導の回復ができる、こういうふうに断言できますか。できなければ、これは責任をどなたがおとりになるのですか。総理大臣ですか、それとも経企庁長官ですか。
  74. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 消費の問題でございますが、千二百兆円の個人金融資産がある。私は、全体として、実質的に国民の懐自体はそこそこ豊かであるというふうに考えている次第でございます。  しかし、これが実際の消費になかなか結びついていないというのは、経済の先行きに対する不安感というものがある、先行きどうなるんだろうということについて不安感があることが大きな原因であるというふうに考えております。そういう意味で、規制緩和を進め、そして予算をしっかりと通し、そして金融システムの安定化を図り、そういう政策を総合的に進めることによりまして、経済の先行きに対する不安感が解消されたならば、私は、消費は順調な伸びを示してくるだろうというふうに考えております。  もとより二兆円の所得減税も、これが全く使われなければ経済のプラスにならないわけでございまして、この機会を通じまして、消費者の皆様にも、減税をされた分はぜひ消費していただくように、いろいろなものを買って楽しんでいただくように、この機会をかりてお願いをしておきたい。そのことによって景気が実質的に回復してくると考えている次第でございます。
  75. 坂口力

    坂口委員 これは総理大臣からも一言お答えをいただいて、次の問題に移りたいと思います。
  76. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、大幅な減税とか、それぞれの施策に触れながら御意見を述べられました。  そして、確かに昨日の御論議の中でも、私はその問題点に対し、非常に心配していますと申し上げたのは、一つは失業率です。そして、三・四という失業率が我が国にとって非常に高いものである、しかもこれを吸収するだけの体制が今整っていない。この数字は非常に重いものであることは間違いありません。そして、雇用率の改善に努力をしていく必要があり、労働省も今一生懸命その努力を続けておりますが、雇用というものが一つの大きなこれからの課題であることを、そのとおり私は認めます。  ただ、議員からまた減税のお話がございました。その中でも所得税、非常に大きくウエートを置かれたように拝聴いたします。  となりますと、ここで一つ、やはり私は本当に国民の前でこれから一緒に考えていただかなければならないと思いますのは、前回の税制改正の結果、課税最低限が、今標準世帯三百六十一万六千円ということになりました。これを海外で見ますと、為替のレートの関係もありますけれども、例えば、アメリカは二百四十四万八千円から、イギリスは百五万六千円から、ドイツは三百七十三万、これは日本より少し高いですが、フランスは三百二十万二千円から。言いかえれば、日本で所得税を負担しておられない方々が所得税を負担しているという国が随分ございます。  そして、そういう国と比較をしていきましたときに、税制上、一体どういう所得減税という形で持っていったらいいのだろう。むしろ、最高限度の部分なんだろうか、どういうならし方なんだろうかとか、私はいろいろな議論が、実はこの税負担というものにはあろうと思います。国民負担率の論議を以前に提起いたしましたのも、そうした意味で、バランスをどうとっていくのかという視点を持ってのものでありましたことを改めて私は申し上げたいと存じます。
  77. 坂口力

    坂口委員 いずれにいたしましても、この政府の経済見通しの数字と、それからその背後にあります理由とが余りにも乖離をしているというふうに私は言わざるを得ません。したがいまして、もう少し整理をし、そしてこの数字に納得のできる説明をひとつおつけをいただいて、御提出をいただきたいと思います。それをお願いしておきまして、次の問題に移ります。  大蔵省の改革の問題が一つの焦点になっております。大変残念なことでありますけれども、大蔵省の官僚の汚職が多発をいたしまして、総理大臣も施政方針演説の中で「不祥事を繰り返す土壌を根本から改めます。」こういうふうに述べられているわけであります。総理は、大蔵大臣も経験されましただけに、残念な思いがひとしおではないかというふうに思います。  さて、総理が述べられました、土壌を改める、その土壌の中身についてでございますが、まず総理のお考えをお聞きしておきたいというふうに思います。改めるべき土壌とは一体何なのか、簡潔で結構でございますが、お答えいただきたいと思います。
  78. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 基本的には、戦後の日本経済の中で金融システムを支えてまいりました護送船団方式と言われる行政の仕組み、あり方。そしてそれを形づくってまいりました、事前管理という言葉にさせていただきましょう、すべての行動に対し事前に相談を受け、それに対しチェックを行い、事前に管理をする、それによって不安その他の発生を防ごうというやり方。この中にお互いに、私は必ずしもこれは大蔵省だけの責任だとは思いません、金融機関の方にも、それに甘えて、その中でという考えがなかったとは私は言えないと思います。しかし、そういう中でお互いがもたれ合い、大蔵省側はその事前管理というやり方、それに過信をする部分があり、またそれによって金融機関は保護され得るという甘え、双方にこれはあったように思います。  そして、これはこの金融システム改革の中で我々が大きく変えていかなければならない大事なポイントの一つでありますけれども、その事前管理型の行政から事後チェック型の行政に変えていくということが私は極めて大きなことであると思います。  これは、いや応なしにルールの透明性をも必要といたしますし、また、当然のことながら、事後のチェックでありますから、健全性といったものに、細かいはしの上げおろしではない、基本的な部分により多く着目した検査体制となるでありましょう。また、そういう検査体制をとるならば、むしろ正々堂々と予告をし、基本的な部分におけるチェックというものを行える、そういう検査体制も必要になるであろうと思います。  金融監督庁が発足をいたしましても、こういう部分が変わらなければ何にもならないわけでありますけれども、少なくとも事前管理から事後のチェック、これは当然ながら基本的な部分、すなわち健全性に対するチェックというものが中心になるでありましょうし、予告し、一定の日時をもって基本的な部分をチェックするという仕組みにもなりましょう。  そして、それには外部から、今民間におられるような方々の中からも、もしこうした仕事に携わっていただける方が得られるならば、金融検査官そのものにもそういう新しい血を入れていくことも考えなければならないと思います。そうした努力を現在大蔵省は準備しつつあるはずでありますから、私はそうした方向に変えていかなければならないもの、そのように思います。
  79. 坂口力

    坂口委員 今の総理のお話をお聞きいたしますと、これは大蔵省の中の細部にわたる改革でありまして……(橋本内閣総理大臣「そうじゃないです。事前管理と事後チェックとは全然システムが変わります」と呼ぶ)事前チェック、事後チェックにいたしましても、これは大蔵省の改革であろうというふうに思いますが、私は、もう少し大きな立場で見る必要があるのではないかというふうに思っております。  大変大上段に振りかざすことになりますが、憲法の第八十六条には「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」というふうに記されているわけでありまして、予算の作成、編成は内閣の仕事であって、大蔵省に丸投げせよとは書いてないわけでございます。ところが、いつの間にか、これは大蔵省の仕事になってしまっている。  大蔵省設置法の第五条を見ますと、「大蔵省は、前条に規定する所掌事務を遂行するため、次に掲げる権限を有する。」と規定をしておりまして、その二号に「国の予算及び決算を作成すること。」と書いているわけであります。憲法において内閣がすべきことというふうに定めておりますことを、いつの間にか、大蔵省設置法におきまして大蔵省がその権限を有することにしているわけであります。これはいささかおかしいと私は思っております。  けさからの議論を聞いておりましても、やはりここで政治的決断をして、現在の予算を、直すところは直さなければならない、あるいはまた、新しいものを出さなければならなければ、出し直しをしなければならない。そういうことを決断するのは政府の仕事であって、大蔵省の仕事ではないと思うわけであります。大蔵省の中の土壌をいかに変えましても、なかなか現在の大蔵省に起こっておりますような問題はなくならない。むしろ、大蔵省にすべての権限が集中しているところに私は問題があると思います。  そういう意味で、この集中しております権限は、どういうことからこうなってきたかということを見てみますと、もとをただしていきますと、憲法で内閣がしなければならないということになっているにもかかわらず、それが大蔵省の仕事になってしまっている、このことは一度私たち真剣に考えなければならないことだというふうに思いますが、いかがでございますか。
  80. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、あるいは法制局長官がお答えを申し上げる方が正確なのかもしれません。  私は、今議員が提起をされましたように、予算編成というものが内閣の責任であることを全く否定しません。そして、内閣の中において、大蔵省という一つの省庁の中に、その設置法の中で責任が明示され、編成作業を行うというのは、現実の問題としてそのような法体系になっております。  しかし、それは、予算編成権そのものが大蔵省の神聖不可侵なものだということでは、私はないと思っております。内閣の責任において判断をしていくべきことは、当然ながら内閣の判断として行ってまいります。  そして、本年度予算の編成におきましても、幾つかの部門におきまして特別枠を設け、あるいは内閣がそれに対する指示を行い、これに従って予算編成が行われました。  また同時に、今回、これから御審議をいただけることを期待しております、行政改革会議の最終報告に基づいて国会に法案として御提出をいたしました基本法の中で、内閣の機能強化の中に、一つ会議を設け、そこに予算編成の方針等についての企画立案業務が明記されております。行政改革基本法の目指していきます方向は、まさに議員の御指摘を受けましたような点にもこたえておるものと思っておりますが、現況においても責任を持つのは内閣、これはそのとおりであります。
  81. 坂口力

    坂口委員 きょうは、もうここで法律論議をするだけの時間的ゆとりがございませんので、後日に譲りたいというふうに思いますが、巨大な権限を持たせたことが大蔵省の構造的腐敗を招いていることだけは明らかだというふうに思います。余りにも巨大な権限が、不祥事を繰り返す土壌になっているというふうに私は思っております。権限を分散させることが、不祥事を予防する上で重要なステップであるというふうに考えます。  また、指摘だけをしておきたいというふうに思いますが、財政法の第十七条では、立法府でありますとか、あるいは司法府でありますとか会計検査院の予算は、書類を作製し、これを内閣における予算の総合調整に供するため、内閣に送付しなければならないというふうになっておりまして、これはやはり立法府の予算あるいは司法府の予算も内閣に送付するということになっているわけであります。本来、これは三権分立の立場でそれぞれが独立をして編成するのが筋でありますが、総合調整に供するため、内閣に送ることになっている。  ところが、立法府の予算も司法府の予算もすべて大蔵省が査定することになっているのであり、こういったところも、もう少しこれは見直す必要があると私は考えております。しかし、時間的制限がございますので、きょうは意見を申し上げるにとどめさせていただきたいというふうに思います。  最後になりますが、全く別の話題でございますけれども、新型のインフルエンザの問題でございます。  これは、今世紀四回ほど大きなインフルエンザがございました。一番最初にございましたのは一九一七年でございますか、いわゆるスペイン風邪がはやりまして、このスペイン風邪を経験された方はこの中に余りおみえにならないだろうというふうに思いますが、その後、アジア風邪、香港風邪、そしてソ連風邪というのがございまして、四回ほど大きな流行がございました。そして、大体十年から四十年、最近は十年間隔ぐらいで新しい新型のインフルエンザが登場いたしております。  昨年あたりから、ぼつぼつ危ない時期に来ているという、専門家の間で意見が出ておりましたやさきでございますが、香港におきまして、また新しいタイプのインフルエンザが出現をしたというニュースがございました。  私も、実は、日曜日から昨日にかけまして、香港に少し行ってまいりまして、いろいろお聞きをしてまいりましたけれども、現在のところは大きな心配は要らないということでございます。  と申しますのは、現在のインフルエンザは、鶏から人間にうつるということに一応なっておりまして、人から人への伝染というのはそう心配は要らない。全くうつらないかといいますと、患者さんの周辺、家族でありますとか、近所の方でありますとか、学校の同級生でありますとかというのを調べますと、やはり新型ウイルスに対する抗体ができてはおりますけれども、それほど病気が発症しておるわけではありません。  鶏からうつりますところの新型のインフルエンザは、非常に激しい症状を呈しまして、今までのインフルエンザにはない症状を呈する。十八名現在罹患した人がおりまして、その中で六名が死亡いたしております。  現在のところ、そうした大きな、人から人への感染というものがありませんから、これはそう現在の段階できょう、あす、心配をする状況にはないというふうに思いますけれども、専門家は新型インフルエンザの到来に対する助走過程に入った、こういうふうに表現をしておるわけでございまして、どういたしましても、我々もこの問題にもっと注意をしていかなければならないというふうに思います。  農水省にお聞きをいたしましたら、農水省の方も、鶏の血清につきまして検討を加えておみえになるようでございますが、いずれにいたしましても、もう少し迅速に、そしてまた頻回に検討していただいて、日本の中に、そうした鶏の中に新しいインフルエンザのウイルスを持った状況あるいはまた鶏の病気というものが起こっていないかどうかということをぜひ検討してもらわなければならないというふうに思います。  そして、もう一つ心配なことは、現在、日本の中でワクチンの生産能力が非常に落ちてきております。これは御承知のように、今まで小中学校におきましても全員がこの接種を受けることになっておりましたが、最近は、副作用の問題等もございまして、任意でこれは受けることになっております。任意で受けることになりましたためにワクチンの使用量というものが非常に減ってまいりまして、したがいまして、日本の中におきます製造企業というのも非常に縮小をいたしておりますし、整備も縮小をいたしておりますし、数も減ってきていると聞いておるわけでございます。  こういう状況の中でございますから、新型インフルエンザが助走過程に入りました現在、いざというときになって慌ててこのワクチンをつくろうというふうに思いましても、ワクチンは、現在までの状況でございますと、大体六カ月から八カ月ぐらいかかってでき上がって、そして国民の方に供給されているわけでございます。そういたしますと、六カ月も八カ月もかかっておりますと、その間に風邪の方がもうほとんど流行が終わってしまうということもあるわけでございます。  新型のウイルスが発生をいたしまして、そして日本じゅうに風邪がはやるということになりますと、日本の中でも約三千万を超える人たちが罹患をするのではないかというふうに予測をされておりますし、少なくとも数万人の人が死亡するのではないかと予測をされておりますだけに、これはその対策というものを積極的に進めておかなければならないというふうに思っている次第でございます。  そういう意味で、これは厚生大臣か、あるいは総理からお答えをいただいても結構でございますが、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  82. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 委員よく御存じのことで、御指摘のとおりだと思います。  鶏から人に感染したわけですが、現在のところ、新型インフルエンザというのは人から人への感染は確認されておりません。しかし、鶏から人に感染するのですから、人から人へ感染する可能性は十分考えておかなければいけない。こういうことで、国立感染症研究所において、ワクチンを生産していく必要が生ずるため、その研究体制を今とっているところであります。  今のところ、新型インフルエンザワクチンの生産能力は約四百万人分と見込まれておりますが、今後の状況に応じて、製造業者との連携を密にして、ワクチンの確保等必要な体制整備に努めていきたいと思っております。
  83. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、議員から御提起を受けましたインフルエンザ、新型のインフルエンザのみならず、今私どもは、実は、新興感染症とともに再興感染症の防御にどう取り組むべきかということを一つの地球的な課題として抱えております。そして、いつの間にか、制圧をしたと思っておりました例えば結核等をもう一度たたき直さなければならないといった状況も一部にはございます。  こうした面について、政府としても十分留意を払ってまいりますけれども、殊に専門家でおられた議員、今後ともの御指導、御協力を賜りたい、この機会にお願いを申し上げます。
  84. 坂口力

    坂口委員 もう時間が参っておりますが、農水省の方にも一言だけお聞きをしておきたいと思います。  鶏の全国における調査をしていただいているようでございますが、十二月に検査をされたのがまだ発表になっておりませんし、余り発表が遅くなりますと、これは支障を来しますので、早急にひとつ結果をお出しいただきますよう、時間が来たようでございますから、もうこれはお願いを申し上げておきます。
  85. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 香港において発生いたしましたインフルエンザにつきましては、鶏から人への感染が疑われたことから、我が国におきましても、昨年末以降、全国で飼養されている鶏につきまして、都道府県の家畜保健衛生所による検査を実施しているところであります。これらの検査結果を農林水産省の家畜衛生試験場に持ち寄りまして、現在インフルエンザ感染の有無について確認を行っているところでありますが、現段階では鶏の感染は確認されておりません。  なお、当然のこととして、万が一感染が確認された場合には、直ちに公表するとともに、家畜伝染病予防法に基づき迅速な防疫措置を講ずることといたしております。  以上でございます。
  86. 越智通雄

    越智委員長 これにて神崎君、坂口君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時二十二分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  87. 越智通雄

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。二見伸明君。
  88. 二見伸明

    二見委員 自由党の二見伸明でございます。  総理大臣並びに関係閣僚に、二、三の質問をいたしたいと思います。  最初に、経済運営について、総理の御見解を賜りたいと思います。  私は、橋本内閣の経済運営と我々自由党の考えている経済運営とは大きな違いがあると思っております。橋本内閣は、財政構造改革ありき、端的に言えば、何が何でも二〇〇三年に赤字公債をゼロにするのが経済運営の基本、こうしております。  昨年の二月三日の予算委員会で、橋本総理大臣は、当時新進党の西岡委員の質問に対して、いわば財政構造改革の方の手を緩めることによって仮に多少の刺激が可能になったといたしましても、それはその手を引いた瞬間にむしろ経済もおかしくなってしまうと答弁されました。我々が要求していた消費税の凍結だとか特別減税二兆円を真っ向から否定しました。国民に九兆円の負担増を押しつけたって、経済には心配はないと大見えを切ったわけであります。  そして、その同じ委員会で、やはり西岡さんの質問に対して、三塚さんは何と言ったか。特別減税について、まさに重病人に麻薬を打っていくということになりませんでしょうか、こう三塚さんはおっしゃった。  我々は、財政構造改革は大事です、赤字公債からの脱却は大事です、そのためにはまず日本経済の体力をつけようじゃないか、これが我々の基本的な考えです。  実質三%程度の成長軌道に日本の経済を乗せよう、そのためには、所得税、住民税の最高税率を今の六五%から五〇%に下げて、簡素化しフラット化すべきだ、法人税も実効税率は一〇%下げて四〇%にすべきだ、こうした抜本的な税制改革を中心として、規制の緩和をやろう、行財政を徹底的に洗い直して、税制を洗い直してむだを省こう、これが日本の体力をつけることだ、我々はそう思ってまいりました。そう主張してまいりました。それが、ひいては、危機に瀕しているアジア経済を救うことでもあると我々は思っております。  平成九年の予算というのはまさに超デフレ予算でした。平成七年度二・八%、平成八年度三・二%と順調に回復軌道に乗りかかった日本は、まさにゼロ成長、場合によってはマイナス成長になるかもしれません。  先日の冬季オリンピックの団体ジャンプに例えますと、まともな風が吹いていればK点を楽に越すことのできた原田選手は、横風を受け、視界が全く見えない、全く不利な大変なアクシデントの中で七十九メートル五十センチというジャンプをせざるを得なかった。原田選手の場合は、まさに自然現象ですから、これは不可抗力です。  日本の経済はそうじゃありません。失速させる人工の逆風を橋本内閣は吹かせたんだと私は思います。  病人に例えますと、暖かい布団にくるみ、消化のよい、栄養価の高いものを食べさせるその時期に、飯もろくろく食わせない、暖かい布団にくるむのじゃなくて、冷凍室にぶち込んでしまった、それがまさに平成九年の橋本内閣の経済運営だと私は思います。  昨年の十月二十一日に、我が党の鈴木委員がこう言った。日本の経済が非常に悪い状態のときに、何が何でも赤字を減らしていくという単年度主義的な直線的なやり方で、一瀉千里に二〇〇三年に赤字国債をゼロにしなければならないのか、こういうふうに鈴木さんはあなたに聞きました。そのときに総理大臣は、財政構造改革は一刻の猶予も許されないので、二〇〇三年の目標設定は間違っていない、こう答弁された。  私は、この答弁をそのままあなたが守っていくならば、それは一つの財政観であり財政哲学だと思う。ところが、APECへ行って、帰ってきて、特別減税二兆円やろう。数カ月前には、三塚大蔵大臣は、重病人に麻薬を打つようなものだ、こう言ったのです。数カ月後に、重病人は、体力が回復して元気になっているならともかく、二月よりも十月、十一月はもっと体力が悪くなっている。重病人がさらに瀕死の状態になっている。そこに麻薬を打った。あなた方の論理でいけば麻薬だ。  私は、あなたからこの問題についていろいろな説明を聞いた。今さらその説明を繰り返す必要はない、わかっているから。しかし、二月には重病人に麻薬を打つ、それが数カ月後には百八十度変える。大臣の発言というのは、こんなに軽いものなのか。こんな軽い大臣の発言でもって日本の国がまともになるのか。私は憤りを感じます。  総理大臣の御見解を承りたい。
  89. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに私は、財政構造改革、間違いなく危機的な財政状況にありますこの国の財政を健全化していくために、また安心で豊かな社会を築いていくために、そして健全で活力のある経済社会というものを実現していくために、十分対応できる財政の構造をつくり上げる、その必要性は今も変わっていないと考えております。  同時に、その時点における金融あるいは経済情勢に応じて、また国際的な状況の中で、臨機応変の対応をしていくことも私は当然のことだと思っております。タイムスパンの違う問題として私はこれをとらえております。  また、私は議員の揚げ足を取るのではありません、そこは誤解しないようにしていただきたいのですが、APECに参りました時点はちょうど山一証券が破綻した直後でありまして、その時点においては、むしろ山一の破綻によって、海外でも営業活動を非常に盛んにしていた企業でありますから、各国に安心を与えるということがその時点における大事な問題であり、その後におきまして、二、三週間間があったと思いますが、ASEANプラス3、ASEANプラス1の帰国直後に、私は特別減税を決断いたしました。これは、確かに、その時点において必要だと判断し、自分なりに決断をしたものでございます。  いずれにしても、私どもは、財政構造改革という問題の必要性は減じた、重要性は減じたと思っておりませんし、同時に、機動的な対応を行うという政策選択もまたあってしかるべきもの、スパンの違う中において、その時点における対応というものはあり得るものだと思います。
  90. 二見伸明

    二見委員 スパンの違いと言いますけれども、財政構造改革は、あなた方の言う赤字公債ゼロは二〇〇三年というタイムは限られている。その中でやろうという話なんです。それはまた後ほど議論しましょう。  三塚さんがおやめになった。あの人は大蔵省の不祥事件の責任を感じておやめになった。ASEANから帰ってこられてから、特別減税二兆円をやる。二月の発言と数カ月後の態度が一〇〇%違う。百八十度違う。その責任をとって、私は二月にはこう言いましたけれども、ASEANへ行ってきていろいろな状況を見ると、そうも言っておられません、私はこうします、そして政策の責任をとって私やめます、これが政治家の態度だ。これが政治家なんだ。三塚さんが、不祥事じゃなくて、自分の政策の責任をとっておやめになる、これは立派です。政策の責任をとる、政策で責任をとる、これが民主主義の基本でしょう。  政策に、自分の言ってきたことに責任を持とうとしない、そういう政治が結局は民主主義の土台を切り崩していくんだ、政治そのものが国民から信用をなくすんだと私は思っているんです。だから、この問題を、私は原理原則の問題として大事にしているんです。  御答弁いただきたい。
  91. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 昨年二月の時点においてアジアの通貨危機というものはございませんでした。その予兆は、今になって振り返ってみますならば、一部の国にあったかもしれません。しかし、これが表面化し大きな問題になりましたのは、タイのバーツが最初でありますけれども、たしか七月であったと思います。  そして、その他の国々にこれが波及し、今、IMFの基本的な枠組みの中において各国が協調し、我が国もその中で中心的な役割を果たし続けておりますけれども、通貨の安定を実現するために、それぞれの国もIMFのフレームに従い努力をいたしております。我々もまた協力を惜しんでいる状況ではございません。  昨年二月の時点と現在、そうした様相だけでも変化がありますことはお認めをいただきたい。そして、三塚大蔵大臣が責任をとられたのは、大蔵省の不祥事態の中であります。
  92. 二見伸明

    二見委員 与党席から、いや、どんどん変えてもいいんだという不規則発言がありましたけれども、それは後ほど言います。  平成十年度の経済見通しは一・九%ですね。発射台が九年度ゼロあるいはマイナスなんですから、一・九%だからといって、胸を張って威張れるような数字では私はないと思う。にもかかわらず、その達成すら場合によると危ないかもしれぬ。例えば先行指標として、機械受注は十月から十二月の前期比マイナス一三・四。これはことしの秋以降に効いてくる。今年度後半、日本経済が力強さを持ってくるか。これは考えにくい。むしろ、失速の可能性すらある。  だから、自民党も第四次経済政策をまとめて、さらに、山崎政調会長は第五次景気対策も打ち出そうとおっしゃっている。しかし、財革法の枠に縛られて、財政出動ができるんですか。できなければ、大したことは私はできないと思いますよ。  私は、日本の景気を本気になって考えるのであれば、財革法は改正する以外にない。二〇〇三年という目標値を、二〇〇七年なり二〇一〇年なりに延ばさざるを得ない。そうなれば、タイムスパンという言葉も使われてくる、もう少し柔軟に日本の経済に対処できると私は思っています。  総理大臣、お考え、いかがですか。
  93. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、政府は、平成十年度予算の御審議をお願い申し上げております。そして、既に実施をいたしました緊急経済対策、あるいは特別減税、さらに先般御審議をいただき成立させていただきました平成九年度の補正予算の中に、災害復旧等を含め公共事業が約一兆円、そしてゼロ国債が一兆五千億円あることは、御承知のとおりであります。  そして、金融システム安定化対策も、おかげさまで、国会の御承認をいただくことができました。こうした施策をできるだけ迅速にかつ的確に執行していくことによりまして、私は、こうした取り組みのすべてが我が国を回復の軌道に乗せていく、そう考えております。  同時に、政府は、先日党からいただきました御提言をベースにしながら、三月中旬を目途に経済活性化のための具体策を検討する、既にその作業に入っております。  いずれにいたしましても、平成十年度の予算が、また関連をいたします税制を初めとする各関連法案が、年度の切れ目にすき間をつくることなく執行される状況になりますことが何より大事なことでありまして、ぜひとも予算案を初め関連する税制各法、こうしたものが執行できますように、国会の御協力を心からお願い申し上げます。
  94. 二見伸明

    二見委員 財革法という枠組みがありますね。その枠組みを崩さずに、財政出動というのは可能なんですか。
  95. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 御承知のことと思いますけれども、そういう意味での余力を残していない状況ではありません。しかし政府は、今、必要にして最善と考え予算編成を行い、御審議をいただいております。私どもは、ぜひとも本予算の一刻も早い通過、成立をお願い申し上げております。
  96. 二見伸明

    二見委員 つくったばかりの財革法を改正しろと言われると、政府は困るでしょう。私もそう思いますよ。だけれども、何だかんだと言いながら、第四次経済対策、第五次経済対策、私は補正予算の地ならしをもうしているんだと思います。  じゃ、大蔵大臣に伺いますけれども、野中幹事長代理が六兆円の補正予算を提案しましたね。三日の衆議院の大蔵委員会で自由党の谷口隆義さんに、自民党の幹部が現況を憂い、知恵を絞って議論されることは意味があると述べられて、正式に党の方針として決定され、実行を求められれば、従うのも自分の役目だと言われた。もちろん、その前段として、今の予算は最善だから早く通してくれということを言いながらこうおっしゃった。これはどういう意味ですか。
  97. 松永光

    ○松永国務大臣 二見委員にお答えいたします。  私の任務は、今御提案申し上げ、審議をしていただいているこの十年度予算を、一日も早く審議して成立させていただくことでありますが、先ほどの野中議員のことにつきましては、これは野中議員が個人的に意見をおっしゃっておったわけでありまして、我が党の正式の意見としてまとまったものではありません。議院内閣制でありますから、我が党の正式の機関で物事が決まれば、これは私としてもそれに従わざるを得ません、こう申し上げたわけであります。
  98. 二見伸明

    二見委員 六日の大蔵委員会で、これは新党平和の若松君だと思ったけれども、このことについて質問したときに、あなたは、二、三年後の不確定なものを本年度の財源にするのは非常に困難だ。要するに、野中提案はだめだということですね。
  99. 松永光

    ○松永国務大臣 野中さんの個人的な意見としておっしゃっていることは、私は直接聞いたわけでありませんけれども、人から聞いたことが多いのでありますけれども、要するに平成二年度、平成三年度に郵貯の定額預金の預け入れがうんとあった、それが十二年度、十三年度に満期が来てそこで支払いがなされる、そうするとそのときの利子課税というものが、税収というものがうんとふえる、こういう論理のようでございます。  そこで、いろいろ事務方の話も聞いたわけでありますが、今は十年でありますけれども、十二年、十三年までの間にどれだけそれが取り崩されているか不確定なことがある、したがって十二年度、十三年度でどの程度の利子収入があるか今の段階では正確には申すことができない、こう申したわけでありまして、正確に申すことのできないことを前提にして予算を考えるということは難しい、こう申し上げておるわけです。
  100. 二見伸明

    二見委員 言葉じりをつかむわけじゃないけれども、まず、六日の答弁というのは、こんなことは大蔵省の係長でもわかる話だ。大蔵大臣が、政治家として言わなければならぬような話じゃない。その前にあなたは、私の役目は一日も早くこの予算を通すことだ。冗談じゃない。この大変な財政危機のときにどうやって日本の財政を立て直すか、それが大蔵大臣の最も大きな役目でしょう。予算を通すかどうか、そんなこと、一部じゃないか。予算の上げ屋じゃないでしょう。どうなんですか、上げ屋ですか。
  101. 松永光

    ○松永国務大臣 今御提案申し上げている予算を一日でも早く通していただくようにお願いするというのが私の立場なのです。
  102. 二見伸明

    二見委員 あなたの財政観というのは、あくまでも構造改革路線一本やり。一切の修正もしない。それは、臨機応変という言葉はあるよ。それは言葉だ。実態として、これは、ひたすらにこの旗を守り抜いていくのだというのか、むしろ日本の将来のことを考えた場合には財政路線を変える必要があるという財政観だというのか、どっちなのですか、一体。
  103. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほど二見委員も、財政構造改革の必要性は認める、こうおっしゃいましたね。(二見委員「当たり前だ、そんなことは」と呼ぶ)当たり前のことでしょう。それで、財政構造改革法は、もう私が言うのはかえって恐縮でございますけれども、これから六年後、二〇〇三年度の時点において赤字公債がゼロになるということ、あるいは国、地方の財政赤字がGDP比三%以下になっていることが主たる柱でありまして、その途中で公債は前の年よりも減らしていくという枠はありますけれども、そういう原則を守りながら、そのときそのときの景気状況、経済状況に応じて手を打つという余地はあるものだ、私はこう考えております。
  104. 二見伸明

    二見委員 スタート時点からこの問題は破綻しているんだ。もう六年後の先行きは見えている。それを、予算を通すことが何よりも優先だと。国会対策上のことでもって、財革路線は守るんだとか、臨機応変だとか、その場限りの言葉でもって糊塗しようとするところに日本の現状があるんだと私は思うんですよ。  かつて大変なときに、井上準之助という大変な財政家がいた、高橋是清という財政家がいた。今、本当に大変なときだ。こういうときこそ、私は、本気になって取り組める、財政政策を持った大蔵大臣でなければならないと思うんですよ。  私は、大蔵省がいろんな不祥事を起こした、そのために検事としてのあなたの能力が買われた、それはわかる。それ以上に財政家としての松永光の能力が買われたんならば、私はいいのです。そうじゃない。今までの敷かれたレールの上をとことこと一緒になって走っていくだけでは、私は、この時期に日本の財政をしょう、こういう言い方をしてはまずいけれども、資格はあるのかな、こう思いますよ。どう思いますか。
  105. 松永光

    ○松永国務大臣 私に対する批判はどうぞ御自由に、結構なんでございます。  ただ、国の財政、経済というものは、やはり四月一日から新年度が始まるわけでありますから、できることならば、平成九年度の予算、補正予算、その執行に引き続いて十年度の予算がすき間なく実行できるという状態に持っていくことが大変私は望ましいことだというふうに考えておるわけで、その意味で、十年度の予算の成立を心からお願いしておるわけです。
  106. 二見伸明

    二見委員 家を建てようというときに、設計図をかいた。建てようというときに、この設計図でここはまずいから直そうじゃないか、ここはこうしようじゃないか、もう少し間取りを広くしようじゃないか。いや、設計図をかいちゃったんだから、これでともかく家をつくって、後から修理しようじゃないか、こう建てようではないか。私、それは結局むだも多いし、まずいなと思う。  ちょうど今の政府の言い方はそういう感じですね。何でもいいからこの予算を通してくれ、まずかったらば補正でやりましょう。我々はここはまずいと思っている。私はそういう状況だと思いますよ。私は、政府側の答弁というのは、本当に何を考えているんだろうと思う。  二月十五日のフジテレビで、榊原財務官、非常にユニークな財政経済通だと思います。こう言っていますよ。  いいですか、私から。やはり日本政府の政策というのは、昨年十二月ぐらいから相当ドラマチックに変わったと思うんですね。それがまだ海外に浸透していないという気がいたしております。それは私なんかの役割で、もう少し私が海外へ行き、説明し発言しなければいけないけれど、タイムラグがあると思います。外国の認識はですね。というのは、例えば金融安定化法案を十二月中につくろうということとか、二兆円減税を行うとか、それから二兆円減税が行われた後どうするんだということに対しても、橋本総理加藤幹事長は、必要なことはやると言っているんですね。ですから、そういう意味で、日本政府は、今海外から要求されているようなことに十分こたえつつあるのが現状だと思います。  私は、非常に素直な発言だと思います。このとおり政府がおっしゃれば、別に我々も文句は言わぬ。じゃ、お互いにもっといい予算をつくるために力をかしましょうという話になる。  この榊原発言を、総理大臣はどういうふうに認識されますか。
  107. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、私自身、その榊原君の発言を番組で聞いておりませんでしたので、どのような言い回しをしたのかは、後で速記を見ただけであります。  そして、私自身がこれに対してどうこう申し上げるというよりも、先ほど来も、議員からはおしかりを受けますが、私繰り返して申し上げているように、財政構造改革と、その時点その時点で必要な施策を講じていくということは決して二律背反ではない、そのタイムスパンの中で動いているということは、事実問題として私は申し上げたいと思うのです。それは、特別減税にいたしましても、金融システム安定化のための施策にいたしましても、その時点における必要な施策を講じていく、それは政府の役目だと思います。
  108. 二見伸明

    二見委員 総理大臣そうおっしゃいますけれども、臨機応変にやる。例えば平成十年度予算が通った、夏か秋かわからぬけれども景気がおかしくなった、例えばさらに減税をやるとかいろいろなことが出てきますね。財政出動がある、赤字公債も出さなきゃならぬ、臨機応変でいいです、それは。  このツケは結局二〇〇三年に来るのでしょう、二〇〇三年はゼロなんだから。これはゼロなんだから。ここで赤字国債を出せば、来年、十一年度は赤字国債をもっと厳しくする、あるいは一切の財政出動ができなくなる。どこかにこれはしわ寄せが来るのでしょう。タイムスパンがあるから景気と両立するんだ、そんなわけにいかぬ。二〇〇三年というおしりが切られているんだから。この段階で、大変ですから五年延ばします、十年延ばします、私はそういうことになると思いますよ。簡単に、タイムスパンがあるから両方できるんだというような単純なものでは私はないと思うのです。  いかがですか。
  109. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど来繰り返し申し上げておりますように、また大蔵大臣も申し上げておりますように、年度末から新年度に移り変わるときに、予算並びに予算に関連する、特に税法を初めとする予算関連法案が切れ目なく続いていきますためには、年度内の予算成立をぜひお願いいたしますと繰り返して申し上げております。あるいは、税制もそうです。  既に市場が織り込んでおりますものが、市場のその織り込み済みの期間内に実現のできない場合の影響というものを考えますときに、繰り返しお願いをいたしますけれども、予算の年度内成立にぜひ院の御協力を賜りたい。税制改正もしかりでありまして、ぜひとも御協力を賜りたいと思います。
  110. 二見伸明

    二見委員 こんなことを言うと総理は嫌な顔をするだろうけれども、どうせ、どうせという表現はまずいな、暫定予算ですよ。組まざるを得ませんよ。それなら、今のうちから暫定予算にしてしまって、今の本予算を棚上げしちゃって、今のうちから与野党で知恵を絞って、いい予算をつくろうじゃないか。そのぐらいの政治決断があっていいと思いますよ。どうせ暫定なんだから、それならば棚上げしておいて、今から本気になっていい予算をつくる、その方が私はよほど効率的だと思いますよ。
  111. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 政府は、国会に対してお願いを申し上げる。院が、今議員がお述べになりましたような選択をされる、あるいはされない、これは院の問題であり、我々から申し上げるべきことではありますまい。  しかし、私は、にもかかわらず、今御審議をいただいております予算を年度内に通過、成立させていただきたい。心からお願いを申し上げます。
  112. 二見伸明

    二見委員 一月の上旬、六日から九日にかけて、尾身経済企画庁長官、額賀福志郎官房副長官、それから榊原財務官がこの時期に訪米をいたしています。  報道によりますと、尾身長官は、昨年末に決めた金融システムの安定化等や、二兆円の特別減税などの中身を説明したというふうに言われています。額賀副長官は、ホワイトハウスの大統領補佐官らと会って、橋本総理日本の景気回復に全力で取り組むという政治的決意を伝えた、こういうふうに報道されています。その延長線上で、額賀氏等は、二兆円の特別減税の実施ぶりを見守りながら新たな措置を検討するが、速やかに追加的な予算措置をとらなければならないと思う、こう述べたという報道があった。  これは総理は否定されております。しかし、一連の動きを見ると、私は、この基本的な考え方は、政府に、私は、尾身さんがどこへ行く、どんな話をする、それは構わない。行くのは結構なんだ。問題は、尾身さんが行き、額賀さんが行き、榊原財務官が同じ時期に訪米をした。いろんな議論をした。アメリカから、もっと何とかしてくれという要請も出てくるはずだ。  それを、そうした議論を通して、さらに、榊原さんの発言の、十二月ごろから日本の経済政策はドラマチックに変わっているという認識から、恐らく、追加的な予算措置をとらなければならないと思うという発言は当然出てきたし、あり得ることだというふうに私は思います。  そうでなかったらば、総理大臣の、名代という言葉はどうかわからぬけれども、意を受けて、この時期に彼が行く大きな理由もないんだ。いかがですか。
  113. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 経済企画庁長官は、御本人がおられますから、御本人から答えてもらいます。  額賀副長官は、本院において、その報道ぶりに対し事実関係をきちんとお話ししたと私は記憶しておりますが、その中には、報道に対する抗議を含め、事実と異なる部分についての御説明をしたと記憶をいたします。
  114. 二見伸明

    二見委員 G7の共同声明では、きのうもきょうもこれは議論になっていましたですね、「日本においては、経済活動は低迷し、見通しは弱い。」ちょっと真ん中略しまして、「IMFの見方では、今や、一九九八年における経済活動を下支えするため財政刺激の強い理由がある。」これは共同声明に入ってくる文章です。  この共同声明には、松永さんも当然この文章には絡んでいる。この共同声明を出す前の段階で、我々政府はこういうことをやるんだ、ああいうことをやるんだといろいろ説明されたと思います。早く予算も通してもらいたいんだ、減税もやっているんだといろいろ言われたと思う。  それらに対して参加国からいろんな議論が出てきただろう。それをまとめたのが共同声明だ。「IMFの見方では、」というふうにぼかしてはいるけれども、「今や、一九九八年における経済活動を下支えするため財政刺激の強い理由がある。」ということは、あなたも、日本は認めたんでしょう、これは。あなた、これはおれは認めてないんだよ、ほかの六カ国だけだよと、こうおっしゃるんですか。認めたんでしょう、これは。どうなんですか。
  115. 松永光

    ○松永国務大臣 G7の会合で、最終的に、今申されたような声明になったことは事実であります。ただ、私は、日本大蔵大臣でありますから、日本側の主張はきちっとやってまいりました。  特に、平成九年度の補正予算の内容、特別減税の実行の仕方、それから平成十年度の税制改正、こういったものをきちっと説明して、そしてさらにもう一つ大事なことが、日本の金融システムについての不信感が高まったことが実は企業や家計のマインドを悪くしたという点があった。これを、あの二法を通していただいたことによって、速やかにこれが実行に移して、金融システムについての万全の信頼感が出てくれば、それで企業や家計のマインドも相当よくなるであろうということを考えれば、いろいろな政策そのものがそれぞれに効果を発揮して、景気は上向いてくるものだということを強く私は主張してきたわけであります。
  116. 二見伸明

    二見委員 松永さんがそういう主張をしてきたのは当然だと私思います。その結果、「今や、一九九八年における経済活動を下支えするため財政刺激の強い理由がある。」この共同声明になったんでしょう。冗談じゃない。IMFという言葉を入れて、おれは関係ないんだよ、そんな言い方は通用しませんよ。そんなことは通用しませんよ。当たり前じゃないか。こんなばかなことがあるか、本当に。どうなんだ。「財政刺激の強い理由がある。」あなた、これを認めているのでしょう。認めたから共同声明なんだ。違うと言えばいい。だめだ。これはおかしい。
  117. 松永光

    ○松永国務大臣 G7の会合における日本に対する見方は、先ほど委員が申されたような見方になっておるわけであります。しかし、私の日本政府を代表しての意見は、先ほど申したとおりであります。IMFの見方が先ほど申されたとおりであることは間違いありません。それはそれとして、我々の方は我々の考え方を主張してきたわけであります。
  118. 二見伸明

    二見委員 松永さん、この共同声明に日本は拘束されるんですか。関係ないんですか。あなた、だめだ。大臣が行ったんだ。だめだ。
  119. 松永光

    ○松永国務大臣 IMFが先ほど申されたようなことで意見を発表したことは事実で、そう発表したという事実を私は認めましたけれども、財政出動の必要性があるということを私が認めたわけじゃありません。IMFの報告について、私の方が拘束されるということは実はないのでございます。
  120. 二見伸明

    二見委員 私は、IMFの見方に拘束されるというのじゃなくて、これは共同声明に入っている。この共同声明に拘束されるならば、このことを無視するわけにいかない。だめだ、これでは。
  121. 越智通雄

    越智委員長 説明でございますので、榊原財務官、指名します。指名いたしました。
  122. 榊原英資

    ○榊原説明員 共同声明をドラフトするときにいろいろ議論がありまして、私どもは、財政出動の必要はないということを主張いたしました。  そういうことで、共同声明には、IMFがそういう主張をしているということを日本政府が認めるという意味で、IMFがそう言っておるということが共同声明に書かれているわけでございます。ですから、私どもがそういうことを認めたということでは全くございません。
  123. 二見伸明

    二見委員 そういう言い方が、海外でも日本が信用をなくする。私は、財政出動の強い理由がある、この共同コミュニケに拘束される。じゃ、拘束されないのですか。これはIMFの見方だと。G7で、合議体で決めたのでしょう、これは。それが日本を拘束しない。これは何のためなんだ、共同声明は。あなたがいろいろなことを主張したことはわかる。一〇〇%わかった上で、その結果としてこの共同コミュニケができたんだ。それを、我々の主張と違うから、そんなばかなことを言ったら、通用しませんよ、これは。
  124. 越智通雄

    越智委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  125. 越智通雄

    越智委員長 では、速記を起こしてください。  二見委員に申し上げます。もう一遍御質問をいただけますか。二見君。
  126. 二見伸明

    二見委員 このG7の共同声明の中の「IMFの見方では、今や、一九九八年における経済活動を下支えするため財政刺激の強い理由がある。」この見方をG7が容認したんでしょう、これは。G7は容認してないの、これは。どうなんです。G7としては、共同声明にこの文言を盛ったということは、G7としてこの見方を容認したんでしょう。(発言する者あり)
  127. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。
  128. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  IMFの見方として、そういう財政刺激の強い理由があるというのがIMFの見方なんです。それを他の国がそのとおりだというふうに言っているわけじゃないし、日本もそれについては、日本は別の見解だ、こう言っているのです。IMFの見方として……(発言する者あり)
  129. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。
  130. 松永光

    ○松永国務大臣 そういう説明をするということを他の国も認めたわけで、内容自身を了承したわけじゃないんです。
  131. 二見伸明

    二見委員 大蔵大臣、このIMFの見方を他の国は認めたわけじゃないと言いましたよね、今。何言っているんだ。認めたから共同声明じゃないか。そんなばかなことで、できるか。
  132. 越智通雄

    越智委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  133. 越智通雄

    越智委員長 速記を起こして。  松永大蔵大臣
  134. 松永光

    ○松永国務大臣 正確にお答えいたします。  IMFの見方が共同声明に入っており、そういう見方があるんだということは認めたわけでありますけれども、その内容について日本は合意しているわけではないのでございます。
  135. 二見伸明

    二見委員 そうすると、この共同声明のこの文言は認めたけれども、拘束されないというのですか。拘束されないというのですか、これは。(発言する者あり)
  136. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。
  137. 松永光

    ○松永国務大臣 IMFの見方に日本が拘束されることはないというふうに思います。
  138. 二見伸明

    二見委員 それじゃ、この共同声明のこの文言に日本はノーと言ったのですか。合意していないのですか、日本は。ほかの六カ国はいい、日本だけノーと言ったのですか。あなた、イエスと言ったんでしょう、これは。どうなんですか。
  139. 松永光

    ○松永国務大臣 その内容について日本が合意したことはないのです。
  140. 二見伸明

    二見委員 国際会議、こういう会議というのは、中身がある言葉でしょう。中身のない言葉なんか、国際会議でもってやるわけないじゃないですか。こんな、おかしい。(発言する者あり)
  141. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。
  142. 松永光

    ○松永国務大臣 IMFでそういう見方があるという事実は認めましたけれども、内容そのものを日本が認めたわけじゃない、こういうことでございます。
  143. 二見伸明

    二見委員 この文言を入れるまでにはいろいろな議論があった。その議論を踏まえてこれをやった。じゃ、日本は留保したのですか。この部分は留保ですか。
  144. 越智通雄

    越智委員長 当時の状況について発言を求められておりますので、出席者榊原財務官
  145. 榊原英資

    ○榊原説明員 共同声明の草案につきましては……(発言する者あり)
  146. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。
  147. 榊原英資

    ○榊原説明員 ちょっと済みません。委員長に指名されましたものですから、申しわけございません。(発言する者あり)
  148. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。不規則発言は禁じます。
  149. 榊原英資

    ○榊原説明員 共同声明の草案につきましては、事務方がまず事前に協議をいたしますものですから、その事前の協議の内容について御説明をさせていただきます。  財政出動の必要があるかどうかということについては、日本はないという意見でございまして、他の国で、必要があるというふうに言っておる国が相当ございました。それで、その結果として、IMFがそういうことを言っておるという事実については各国が認めるということで共同声明にああいうことを書きまして、その上で、日本はそれは認めない、あるいはほかの賛成する国は認める、そういうことで合意をして、共同声明を書いたわけでございます。  そういう事情がございましたので……(発言する者あり)
  150. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。
  151. 榊原英資

    ○榊原説明員 当然のことながら、日本はIMFの言ったことには拘束されないわけでございます。そういう合意のもとで、IMFがこう言っているということを共同声明に書いたわけでございます。
  152. 二見伸明

    二見委員 結局認めなかったのだね、日本はこの共同声明は。事務方の話は。(発言する者あり)
  153. 越智通雄

    越智委員長 静かに願います。
  154. 二見伸明

    二見委員 そうでしょう。おかしいじゃないか。彼の、事務方の説明はわかった。いろいろな議論があったことはわかった。しかし、最終的に判こを押すのは大臣でしょう。(発言する者あり)日本語の用法だ。わかっているんだ、それは。言葉のあやだ。
  155. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。
  156. 二見伸明

    二見委員 いいですか、この共同声明は日本は拘束されない。認めない。認めないなら認めないと言えばいい。認めません、したがって日本は拘束されません、こう言えばいい。
  157. 松永光

    ○松永国務大臣 IMFの見方が先ほど言ったような見方であるという事実は認めるわけでありますけれども日本はその内容について実は合意をしてないわけです。日本はそうは思わない、こういったことを申し上げておるわけであります。
  158. 二見伸明

    二見委員 その席上で、こういうIMFの見方を事実として認めるけれども、これに拘束されませんというふうにコメントしているわけですね。
  159. 越智通雄

    越智委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  160. 越智通雄

    越智委員長 速記を起こして。  松永大蔵大臣
  161. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、IMFが、先ほど申したとおり、財政刺激の必要があるというふうな見方をしておるという事実、これは認めるわけでありますけれども日本はそうは思わぬものですから、これに合意はしていないのです。なお、そのことについて日本が合意していませんから、G7のほかの国もこのことについては合意はしていないのです。  ただ、IMFの発表として、こういう発表、見方がそうであるという事実は認めたわけでありますけれども日本はそれに合意をしなかった。G7のほかの国も、日本が合意していないものですから、G7としての合意も実はなされていないわけです。その意味で、日本は拘束されません、こう申したわけでございます。
  162. 二見伸明

    二見委員 私がこの問題にこだわるのは、日本の態度が、日本の経済政策態度が、日本だけではなくて、アジアだけではなくて、世界経済に大きな影響を持ってくるからこの話題にこだわっているのです。だから、日本は拘束されない、認めない、それが世界経済にどういう影響を及ぼすのか、アジアにどういう影響を及ぼすのか、それを思うから、私はこの問題について非常に神経質なんだ。  むしろ、このIMFの見方をまじめに受けとめて、日本として実効性ある行動をとるべきではないかというのが私の意見なんです。あなたは、拘束されない、やらなくていい。それでは結局日本は、そういうのを一国隠居主義と言うのだ。自分だけよければいい。いかがですか。
  163. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、私は、議員が整理をして述べられたことに基づいてお答えを申し上げたい、こう思うのです。  私は、確かに日本はIMFの指揮監督を受ける国ではありませんから、その限りにおいてIMFの見方にすべて同調する責任はありませんし、その意味での合意は成立をしなかったと言われた大蔵大臣報告は、そのとおりだと思います。  別途、我々が、現実の日本の経済の状況、さらにアジア経済全体の中で占める、また世界経済に占める役割の中で努力をしていくということを、何も放棄しているものではございません。我々は我々なりに一生懸命努力をしていこうとしているわけでありますし、予算の御審議を速やかにとお願いを申し上げているのも、その意味ではその一つであります。  そして、現時点において、各国、アジアには今通貨で悩んでおられる国々が幾つかありますから、これらに対する支援の努力も一方で行っていることも御承知のとおりでありまして、そういう努力を我々は払っていこうとしております。
  164. 二見伸明

    二見委員 いいですか。私は、特にアジアから、我が国の内需拡大が必要だという悲痛な叫び声を聞いている。そのためには、先ほど自由党はどういう考えなのかというやじが飛んだけれども、私は冒頭にも申し上げたように、我々も財政構造改革が大事だと思っている。そのためには、一瀉千里に何が何でも減らせばいいという発想ではなくて、日本の経済の体力をつけようじゃないか、それは結局、抜本的な税制改革を中心とした経済の組み立てをやろうじゃないか、これが我々の意見なんだ。  これは、あなた方と全く違うんだ。あなた方は財政構造改革という縛りに縛りつけられて、にっちもさっちもいかない。我々はそうじゃない。だから、ここには大きな違いがある。その違いもわからないで、がたがた言うのはおかしいと私は思う。それはそれだ。  こちらに、やじの中で、いろんな意見を取り入れるのがいいところなんだよというお話があった、やじがあった。これは朝日新聞のコラムだ。早野さんという編集委員が書いたコラムだ。おもしろい。「旧新進党の経済政策をつくった一人、いま自由党の鈴木淑夫氏が国会の審議で「橋本首相のいまの政策は新進党がずっと前からいってきたことだ」と政策の剽窃を追及するのを聞きながら、大臣席のある閣僚はこう思ったそうである。 「融通むげに政策を変えるのは橋本さんだけじゃない。君子豹変、大人虎変、自民党はそもそもアメーバみたいな政党なんだ。この質問はごまめの歯ぎしりですよ」 しかしさて、ほんとにそれでいいのだろうか。 そもそも九兆円の国民負担増で消費を冷やしたのはだれのせいか。またしても金融機関に税金を投入するのは歴然たる公約違反ではないのか。優良銀行からの資本注入などは護送船団方式の露骨な復活ではないのか。 政策の誤りの結果責任が問われぬまま、なし崩しに変更されていいのだとすれば、これから先の政策も真剣に立案し実行しようという気持ちが薄れるのではないか。」  まさにこれは、このままいくとするならば、私は民主主義の危機だと思いますよ。民主主義を支えるものは何か。一つは自由だ、自己責任だ、個人の確立だ。そういうものに支えられた民主主義というものが、土台から崩されてしまう。私はそういう危険を感じているから、あえて、くどいようだけれども、今まで申し上げてきたんだ。  G7の共同コミュニケにしても同じです。こっち行ってうまいことを言い、こっち行ってうまいことを言う、こんなわけにいかない。本当に日本がアジアの経済にそれなりの責任を感ずるのであるならば、構造改革法、あれは構造改革法というよりも財政収支改善法だと思う、要するに二〇〇三年に赤字国債をゼロにするというだけの話なんだ。それをドラスチックに改正して、内需を拡大し、世界の経済に、アジアの経済にそれなりの責任を持つ日本の国にしなければ、日本というのは魅力のない国だな、何にも世界に貢献しようとしない国だなという批判になってしまう、私はそう思いますよ。  私は、改めてこの問題について、事の重要性、単なる目先の政策だけではなくて、そうした、予算を通してくれ、何とかしてくれ、それだけじゃなくて、むしろもっと大きなところでもって橋本総理大臣の見解を承りたいと思います。  と同時に、この共同コミュニケについての議論というのは大変大事なところだから、整理をして、統一見解としてこの委員会に出してもらいたい。これは委員長にお願いしておきます。
  165. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員からさまざまな見解を述べられましたけれども、例えば、私は衆議院選のときに、消費税率を引き上げさせていただきたいと全国を訴えて歩きました。私は、そういう意味で、みずからに正直に訴えてきた。そして、そのうち地方にお渡しをする分、既に先行している恒久減税に見合う財源としてと私は全国で申し上げてまいりました。そして、それは事実、国民に本当に訴える必要があると私自身が考えたから訴えてまいりました。  今、むしろ、どこの国をということを申し上げることはいろいろ影響がありますので差し控えますけれども、アジア各地における通貨不安に対しましても、日本が第二線準備あるいはその他の形で、IMFの枠組みのもとでそれぞれの国が進めようとしている構造改革プログラムに積極的に協力していることも事実であります。  そうした努力は当然のことながら我々は払っていかなきゃなりませんが、同時に、先ほども申し上げましたけれども、財政構造改革と、そして、当面、その時点において緊急に対応すべき問題に対する事態対応とはスパンを異にする問題だと、改めて私は議員に御理解を求めたいと思います。
  166. 二見伸明

    二見委員 現在の日本の経済に対する運営の仕方に、橋本内閣と我々自由党との間に大きな隔たりがあると私は冒頭に申し上げましたけれども、その隔たりは、依然として、この議論を通じても埋まっているとは思えません。これはさらに、機会を改めて、この問題については議論をしてまいりたいと思います。  統一見解、ごちゃごちゃしちゃったから、統一見解を出してもらわないと、これは。文書で出してください。
  167. 越智通雄

    越智委員長 統一見解を求めるなら内閣へ。私どもではあれしません。
  168. 二見伸明

    二見委員 文書で統一見解をまとめて出してください。
  169. 松永光

    ○松永国務大臣 七カ国蔵相・中央銀行総裁会合声明というのは非常に長文なものでございまして、合意した点は合意したとなっているんです。評価したという点は評価したとなっているんです。したがって、先ほどの点については、七カ国が合意したとはなっていないんです。IMFはそういう見方をしているというふうになっているわけなんです。それは先ほど申したとおりなんでありまして、必要があれば、これを後で全文お渡ししたいと思います。
  170. 二見伸明

    二見委員 金融安定化策について話を変えたいと思います。  総理は施政方針演説で、まず金融システムの安定化、こう言いましたね。そして、金融システムの信頼は、行政、金融機関、金融・資本市場の参加者が責任を全うすることによって得られる、こう述べているんです。これはこのとおりだと思います。現況がこうなのかどうか。総理大臣、いかがでしょうか。
  171. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、御引用いただきましたように、まさに私は、金融システムの信頼は、行政、金融機関、そしてすべての市場参加者が責任を全うして得られるというふうに申し上げてまいりました。しかしながら、昨年の秋以降、既に議員からも御指摘がございましたけれども株価の低迷する中で大型の金融機関の破綻が相次ぎまして、預金者の間に不安感が広がるなど、金融システムに対する信頼性がかつてなく低下をいたしました。  こうした状況に対応いたしますために、金融安定化二法を御審議願い、預金者保護を徹底することとともに、金融システムの安定性確保に万全を期していく。同時に、客観的で公正なルールに基づく透明な金融行政をつくる。厳正で実効性のある金融検査の確立に向けて、引き続き取り組んでいこうと考えております。また、金融機関につきましても、経営の徹底した合理化、同時に、国際的に通用する水準での経営情報の開示が非常に重要なことだと考えております。  こうした取り組みの中で、金融機関も含めたすべての市場参加者が、自己責任原則のもとに透明で公正な市場を形成していく、そのプロセスで信頼をつくり上げていくものだ、そのように思います。今、既に信頼ができているのかという、そういう状況ではなく、我々はこれからもまだ努力をいっぱいしなければなりません。
  172. 二見伸明

    二見委員 金融システムの安定化といいましても、そのシステムを支えるのは個別の金融機関であります。金融システムを安定化するために十三兆円の公的資金を導入することになっておりますけれども、それ以前に、私は、銀行は一般庶民の信頼、信認を取り戻す努力をすべきだと思います。  ところが、銀行は何もやっておりません。例えば、あと五百万あれば何とかうちの企業は立ち直っていくんだという中小企業者の声に対して、一たんは貸しますよと言っていながら、後になって、本店の決裁がおりないとか、そう言って断っている。断るだけではない。貸した金を返してくれ。そうして貸し渋り倒産に追い込んでいる。それが銀行の実態でしょう。  不良債権だって、あれは銀行が自分でつくったんじゃないか。バブルの真っ最中に、あなた、あの土地を買いなさいよ、一億円を貸しますから。貸しまくって、買った方、それを借りて土地を買った人も責任はあるけれども、そしてバブルがはじけた。そうしたら金を回収する。回収し切れなくて、不良債権が残った。これは全部銀行のツケじゃないか。そのツケを、自分のところでは何もしないで、すべて公的資金で何とかやってしまおう、そういう甘い考えが銀行にあるのです。  大蔵大臣に伺いたいけれども、例えば都市銀行で、駅前の一等地を売りまくって不良債権の償却に充てたという銀行がありますか。店舗を合併した、若干人員の整理をした、これはある。駅前の一等地を売りまくって、何とか不良債権を償却しよう、そういう銀行がありますか。
  173. 松永光

    ○松永国務大臣 金融システム安定の一番基本になるのは、預金者の預金した銀行についての信用と信頼、それから取引関係者の信頼、これが金融システム安定の基本だと思います。そしてまた、銀行そのものが、銀行を含めた金融機関というものが、真剣にリストラをやっておるという姿はまだ十分には見られない、私はそう見ております。  したがいまして、これから、銀行その他金融機関は、みずからの公共性あるいはまた金融機関としての責任、そういったものをしっかり自覚されて、そして合理化もしていただく。あるいは、先ほど話がありました、堅実な経営をしている企業に対して融資をしないなどというおかしな状態はぜひやめてもらいたい。そういった形でしっかりした銀行経営をしてもらいたいというふうに思います。  なお、一等地の店を売ったという話は、まだ私は聞いたことがございません、残念ですが。
  174. 二見伸明

    二見委員 そういうまじめな銀行なんか日本にはないということなんだ。  銀行員の給与は高いと言われている。私は、銀行員の給料が高いことは否定しません。もうかっているならば、もう幾ら高くてもいいと思っているのです。しかし、不良債権を抱えて、税金を投入してもらおうかというときに、普通、中小企業でしたら、社長は自分の持っている土地を売り、そして従業員はボーナスももらえないで、歯を食いしばって頑張っている。これが中小企業の本当の姿なんです。  ところが、銀行員の給料、これは平均勤続年数が十五年ぐらいで三十六歳前後、月給ですよ、第一勧銀四十六万三千円、さくら銀行四十八万八千円、富士銀四十六万九千円、東京三菱四十七万四千円、あさひ四十五万八千円、三和四十七万九千円、住友四十九万一千円、大和四十四万一千円、東海四十四万七千円。もう嫌になったな、これ以上読まない。例えば公務員の給料は、平均三十九・八歳で三十五万六千四百二十四円だ。民間の給与は三十五万九千六百三十二円だ。  私は、銀行員が高い給料を取ってはいけないとは言わぬ。高い給料をもらえるほど業績も上げてもらいたいし、頑張ってもらいたいと思う。しかし、これはやはり異常なんじゃないかね。ここら辺をきちんと整理しないで、十三兆円の公的資金を使おう。結局は、最終的には国民の税金になるわけですから、そんなことが許されていいのかと私は思いますよ。  どう思いますか。今大臣は、リストラは余りやっていないのじゃないかというお話があったけれども、どう思いますか、これを。
  175. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほども申しましたけれども、銀行の社会性、公共性、これをしっかり踏まえていただいて、適切な経営理念も打ち立てて、それを実行していただく。もちろん、人件費の問題、あるいはまた重役等の数とか、その報酬とか、これが異常に高いという批判もあります。そういった点もきちっと直していただく。こういったことが、私は、公的資金による資本充実を受けようとするならば、その前提条件でなきゃならぬというふうに思います。  具体的には審査委員会でお決めいただくわけでありますけれども、私はそのような考え方に立っておるわけであります。
  176. 二見伸明

    二見委員 例えば、都銀九行は三月初旬に一行五百億円から二千億円の公的資金を受け入れることを決めているようですけれども、これ以前に、銀行は自分の持っている土地、駅前の一等地をまず売るべきでしょうな。いたずらに公的資金に頼るのじゃなくて、まず自分のところの資産を売る、そうして自己資本を充実させる、貸し渋りをしない、これをやるべきでしょうな。どうですか。
  177. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほど、社会性、公共性、こういったことをしっかり踏まえて、そうして行動してもらいたいということを申し上げたのは、そういう意味も含めておるわけであります。  先ほど言ったとおり、具体的には審査委員会が基準を決めていただく、その基準に基づいて資本注入がなされるかどうかが決まるわけでありますけれども、恐らく審査委員会でも、私が今申し上げたようなことは当然の条件としてお決めになるのじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
  178. 二見伸明

    二見委員 十二月二十八日の「サンデープロジェクト」で、慶応大学の草野教授がこういうふうに言われた。公的資金を投入するに当たって、私財の提供など、制度的なものがないと国民は納得しないのではないか。  私も、それは、いろいろ問題はあるとしても、不良債権発生の責任をとって、頭取以下役員が自分の私財をなげうってでも何とかしましょう。現にいる役員だけではない。もっと長い過去があるわけだから、過去役員だった者も私財を提供しようじゃないか、させるべきだ。庶民感情としてそういう気持ちが出てくるのは、私は当たり前だと思う。それもやらないで、税金を使う。これは国民は怒りますよ、そんなことをやれば。  それに対して、榊原財務官は、人民裁判はだめだとおっしゃっている。  草野さんの発言というのは、「公的資金を投入するに当たってですね。だけど、もう一つ踏み込んで、たとえば私財の提供というのはすごく浪花節的だというふうに言われるかもしれないけれど、なにかこいらへん、制度的なものがないと、国民はなかなか納得しないんじゃないかと。ひとこと伺いたい。」すると榊原さんは、「草野さんには失礼な言い方になりますけれども。人民裁判をやっちゃだめですね。文化大革命を起こしちゃいけないと思うんです。」これは、民間人の発言であれば、一つの見識であり、聞くべき意見だと私は思います。  だけれども、榊原さんは大蔵官僚だ。しかも、金融機関には百六十四名の天下りがある。現在、役員になっている。しかも、きのう大蔵省が提出した資料によると、過去五年間、局長以上で退職された人の退職金は最高が八千七百七十九万円。五千万以上だ。結局、庶民にはわからないような莫大な、もちろん退職金計算から出てくる話だけれども、退職金をもらって、そして民間の金融機関に天下っている、再就職している。  結局、先輩OBを擁護する発言ではないかというふうに私は勘ぐりたくもなる。だから、この発言は庶民感情からして許せないと私は思っている。  大蔵大臣は、こういう発言についてどういうふうにお感じになりますか。
  179. 松永光

    ○松永国務大臣 けさの新聞に、大蔵省の幹部の人の退職金の数字が出ておりましたが、あれが退職金規定に基づく数字ならば、これは問題ないと思うのでありますけれども、ただ、これから金融機関の資本充実のために公的資金を使うということであるその前提として、先ほど来申し上げておりますように、金融機関そのものが、社会性、公共性をしっかり踏まえていただいて、適切な改善策をとっていただく、これが前提だと思います。  また、合理化も大いに進めていただいて、役職員の数とか店舗の数とか、そういったものもきちっと縮減していただく、これは当たり前のことだ、こういうふうに私は思うのでありまして、それについて批判的な発言をすることは適切じゃないというふうに思います。
  180. 二見伸明

    二見委員 そんなことを聞いているんじゃないのです。  草野教授は、「公的資金を投入するに当たってですね。だけど、もう一つ踏み込んで、たとえば私財の提供というのはすごく浪花節的だというふうに言われるかもしれないけれど、なにかこいらへん、制度的なものがないと、国民はなかなか納得しないんじゃないかと。ひとこと伺いたい。」こう言われた。で、榊原さんは、「人民裁判をやっちゃだめですね。文化大革命を起こしちゃいけないと思うんです。」こうおっしゃっている。  だから、いわゆる民間人の発言であれば、これは一つの見識として私は承るというのです。しかし、大蔵官僚としては、この発言は適切なのか。  金融機関に天下っている役員というのは、百六十四名も大蔵省から天下っているわけでしょう。その天下っている役員たちは、五千万も六千万も八千万も退職金をもらっている。それは退職金規定に基づいて支払われているわけだから、違法性はないよ。しかし、五千万も八千万も退職金をもらって、金融機関に天下っている、その天下っている自分の先輩たちを、まさに、これも私財提供したらどうだという話になるのだから、結局それは先輩OBを擁護することになるのじゃないか、こういうことは。私はそれはおかしいと思います。いいですか。  これは新聞の投書欄なんだけれども、「拓銀、山一、その他の職を失った人々の生活を思う時、その経営責任者であった人々は、いかに身を処しているのかと考えます。 先日のテレビ朝日の番組中での、大蔵省の榊原財務官発言は理解し難いものでした。 それは、慶応大学の草野氏が、「公的資金を投入をするにあたって、(経営責任者たちの)私財の提供といったことがないと国民は納得しない」と発言したのに対し、榊原財務官は、「人民裁判やっちゃあだめですね。文化大革命を起こしちゃいけない」と発言したのです。榊原氏は、一体何をして人民裁判、文化大革命だと言うのですか。 「とばし」「利益供与」「不正融資」などは、違法行為、背任行為です。破綻を招いた経営者たちは、関連企業をも含めて数万人を路頭に迷わせた責任者です。 さかのぼれば、その経営責任者たちは、高い給料と退職金を受け取っていますが、その持ち逃げは許されるのか。破綻の責任はどうとるのかと考えるのは当然でしょう。 榊原発言は、大蔵省OBをかばい国民を愚弄しています。関係者に恩を売って、また金融機関に天下りをするのですか。 日本の社会は公正であったと、だれもが納得できる決着を、関係当局に強く望みます。」  どうなんです、大蔵大臣
  181. 松永光

    ○松永国務大臣 私は、そのテレビか何かの座談会の話は聞いてないものですから。ただしかし、破綻した金融機関等の経営者に背任的な行為があったり、あるいはまた、貸すべからざるところに調査不十分なまま貸してしまったという落ち度があったり、そういう刑事、民事の責任がある人にとっては、徹底した責任追及をするのは当然のことであるというふうに思います。  そこで、今度は、先般成立させていただいた法律に基づいて、預金保険機構の中に、実は責任解明委員会というのもつくられました。そして、その方面の専門家を特別顧問に迎えて、破綻した金融機関の関係者の責任追及は厳正にやるということになっておるわけでありますので、その点はひとつ御理解賜りたいというふうに思います。
  182. 二見伸明

    二見委員 どうでしょう。金融機関に天下っている大蔵省のOBは、全部やめてもらったらどうですか、いかがです。それは、見方によっては悪平等だということもあるし、私は、品格、人格、識見、立派な人も大勢いることは百も承知の上で、こういう事態になれば、私は、金融機関に天下っている大蔵省OBは全部やめてもらった方がすっきりするのじゃないか。そういうところから直していかなければ、金融システムのコンフィデンスというか信認、これはつくられないのではないかと思いますよ。  だから、天下りはやめてもらう。また、大蔵省から将来にわたって金融機関に天下りをさせない、そういうふうに決めたらどうですか。
  183. 松永光

    ○松永国務大臣 いわゆる天下り問題、大変厳しいおしかりを受けておるわけでありますが、公務員をやめた人がその後の人生をどう働くかという問題も実はあるわけでありまして、民間金融機関で、その人の持っている能力を生かして働いてもらいたいという企業と、やめた人との間の合意の上で就職が決まったということであれば、それはそれとして、非難するわけにはいかぬでしょう。  いずれにせよ、この問題は、公務員が五十歳そこそこでやめる、しかしまだあと二十年や三十年は働けるという実は問題があるわけでして、そういったこととのかかわりで、公務員制度全体の中で議論をしていくべきことだというふうに思います。  ただ、役所が権限を使って、無理やりに押し込んでいくなどというやり方は、これは慎んでもらいたいものだというふうに思います。
  184. 二見伸明

    二見委員 私は、今金融機関に天下っている大蔵省のOBには、気の毒だけれども、やめてもらった方がいいと思っている。それは建前のきれいごとではないのだ。民間企業に勤めている人をどうこうできない、それはわかる。大蔵省のお得意の通達行政をやればいいじゃないか。いろいろな通達でやるでしょう、こうしろとかなんとかと言って。  このまま金融機関で大蔵省OBが高い給料をもらって、いいですか、役員の給料というのは、報酬というのは、例えば都市銀行では、平成六年では三千六十三万円ぐらい。だんだん業績が悪くなったものだから下がっていくけれども、昨年の三月で一人当たり二千七百七十万です。決して安い金額ではない。これは、もちろん大蔵省OBだけではありませんよ。  こういう実態を見ると、やはりこの際は身を正してもらう以外にないと私は思いますよ。どういうふうに思いますか。そこら辺を不問にして、十三兆だ、十七兆だ、三十兆だ、こんなこと、国民に、我々は納得できませんよ。
  185. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほども申し上げたわけでありますけれども、公的資金を活用して資本の充実その他の求めをして申請をする場合には、当然のことながら、審査委員会で定めた条件というのがあるわけです。その条件は、間もなく決められて公表されますが、私が思うのに、法律にも関係することでございますから、当然のことながら、経営合理化に関する基本方針及び計画の中には、役職員の数、あるいは報酬、あるいは店舗数の削減、こういったことも含めて、条件に私は掲げられるはずだというふうに思っております。  そしてさらに、銀行等の社会性、公共性、こういったことを踏まえた適切な経営理念、こういったものも明らかにしてもらう必要がある。その経営理念の中には、貸し渋りなどがあってはいかぬわけでありまして、そういった点も含めた経営理念というものが明示される必要がある、こういうふうに思っております。  そういったことを条件として恐らく定められることだと思いますので、私は、そのやり方といいますか、公表されますから、ごらんになった上、ひとつ判断していただきたいというふうに思います。
  186. 二見伸明

    二見委員 東京三菱を皮切りにして、都市銀行九行が公的資金を受け入れるというふうに言われていますね。報道によれば、大蔵省がそれとなく働きかけたとか、一番業績のいい東京三菱から買ってもらわないことにはあとのものが買ってもらいにくいとか、こういううわさが流れております。  結局これは、東京三菱を皮切りに九行が公的資金を受け入れるということは、こういうのを護送船団方式というのではないですか。
  187. 松永光

    ○松永国務大臣 先般成立させていただきました法律に基づいて、民間人三人、選任をさせていただいたわけでありますが、それで構成される審査委員会がいろいろな条件を決めるわけですね。そしてそれを公表するわけです。それに基づいて申請がなされる。その申請に基づいて審査委員会が審査をする。審査の経過等、重要事項については議事録が公表される。そういったいきさつで決定されていくわけでありますから、これを護送船団方式というのは当たらないのではないでしょうか。
  188. 二見伸明

    二見委員 冗談じゃありませんよ。そんな仕組みは私も知っていますよ、説明を聞いているから。  だけれども、九行は審査の基準に全部合致しているとか、そう思っているのでしょう。あえて、要らない東京三菱が、なぜわざわざ公的資金を受け入れなければならないのですか。いいじゃないか、BIS規制八%を超えているんだから。わざわざ公的資金を受け入れて、悪い言い方をすれば、国家の管理下におさまろうとするのですか。おかしいでしょう。  結局、東京三菱が受け入れるから我々も安心して買ってもらうことができるという、横並びというか、そういうのを護送船団というのだ。どうですか。
  189. 松永光

    ○松永国務大臣 これは見解の相違になるんじゃなかろうかと思いますけれども、私は、各銀行が自主的な判断で自己資本の充実を図ろうと。しかし、その前提として、先ほど申し上げましたような、社会性、公共性を踏まえた適切な経営理念を明示する、あるいは合理化に関する基本方針を立てて、給与の引き下げとか役職員の数の減少とか店舗数の縮減とか、そういった努力をした上で、みずからの判断で申請をするということでありますから、私は護送船団方式というのは当たらないというふうに思うのです。
  190. 二見伸明

    二見委員 建前は、あなたのおっしゃるとおり、各銀行の自発的な申し出ということになっている。自発的に言うような形に仕組んだんでしょう。だから、実態は護送船団方式だと思う。  別の言葉をかりますと、結局、公的資金を導入した企業というのは、大蔵省か政府かわからぬけれども、管轄下に入るんだから、悪い言い方をすれば、まさに銀行の社会主義化、こう言われたって私はおかしくないと思うよ。  本当に体力を、公的資金を導入してどうしても体力を増強しなければならない、こういう銀行もあると思うよ。その必要がないところ、本当ならば必要がないんだけれども、私が受け入れなければほかも困るから、自発的にやりましょう。そういうのを護送船団というんだ。そうでしょう。だから、それは、別な言葉で言えば、銀行の社会主義化だ、銀行の国家管理化だと私は言いたくなるわけですよ。  いかがですか。
  191. 松永光

    ○松永国務大臣 銀行が発行する優先株を取得するのでしょう。優先株は、株主総会に行って議決権は行使できないのでしょう。その意味で、大蔵省の傘下に入るのでもなければ、社会主義になるのでもない、こういうふうに私は思います。
  192. 二見伸明

    二見委員 優先株は配当が高い。そのかわり、株主総会でのあれはない。だから、あなたは、国家が優先株を買ったからといって、その銀行を支配できませんよとか、そう言うわけでしょう。それをわかった上で私は言っているわけです。  結局、いろいろな形でもって今までの長いノウハウもあるから、銀行は、大蔵省といったらいいのか、今度は金融監督庁なのかよくわからぬけれども、そこの管理下に組み入れられてしまう。結局、護送船団方式というのが形を変えて生き残ろうとすると思います。ただし、これはビッグバンには逆行する話ですから、それは、そんなときに護送船団方式なんかやればビッグバンに逆行することになりますから、そんな銀行は恐らくビッグバンのあらしの中でつぶれてしまうと思うけれども、そういう意識も私はあると思いますよ。  それはそれとして、十三兆の公的資金だ、BIS規制だとあるけれども、例えば、株価が千円上がれば含み益は二・四兆円ふえるという計算がある。株価が千円上がれば自己資本比率は〇・三%上がる。円が十円高くなると、外貨建ての資産が小さくなるので、自己資本比率は〇・二%アップする。  ということになると、結局、金融システムあるいは銀行の体力、やはり基本は経済運営そのものだ。今の橋本内閣が継承しようとしている経済運営では、とてもじゃないけれども株価が千円上がって二・四兆円の含み益が出るなんということにはなるわけはないと私は思いますよ。  経済運営がきちんとして、そして日本の経済の体力がついてくれば、その反映として株価は上がっていくわけだから、私は、そうなると、やはり経済運営の基本にかかわる問題だというふうに認識せざるを得ません。資本注入だ、公的資金の導入だ、むしろこれは後ろ向きの最終処理策だというふうに私は思います。  いかがでしょうか。
  193. 松永光

    ○松永国務大臣 この制度は緊急の制度なのです。恒久的にやるわけではありません。しかも、卵が先か鶏が先かという話になるかもしれませんが、我が国の金融システムについての信頼度が落ちてきておる、そのことが企業あるいは消費者のマインドに非常に悪い影響を及ぼしておる、そこで緊急に金融システムの安定化を、信頼度を高めていく必要がある、そのための緊急的な措置だということと私は理解しておるわけでありまして、委員にもぜひ理解をしていただきたいのです。
  194. 二見伸明

    二見委員 結局この問題も、経済運営の基本の問題と同時に、やはり行政改革に行き着かざるを得ないだろうと私は思います。  官が民に対して、例えば大蔵省が金融機関に対して許認可、通達行政、そういったもので縛りつけているシステムが温存されたのでは、私は天下りはなくならないと思うし、幾ら公務員倫理法をつくっても、不祥事件というのは後を絶たない。そういうシステムなのだから、許認可があるのだから。そういうものを温存されたのでは、これは幾ら綱紀粛正といったって、不祥事件は後を絶たないと私は思います。  また、そんなことであれば、まさにビッグバンの時代に逆行するし、結果として日本丸は沈没をしてしまう。だから、この問題は、根っこの問題では行政改革に、あるいは規制撤廃に通ずる問題だ。これは大きなテーマですから別の機会に議論いたしますけれども、この問題についての総理大臣の御見解をお尋ねしたいというふうに思います。
  195. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに、議員が今私に対する質問の前に述べられましたように、株価の上昇などが自己資本の充実に資する、これは私は御指摘のとおりだと思います。その上で、今金融システムが機能不全に陥るような事態を回避しなければならないというところからの選択であるという大蔵大臣の説明も、それなりに私は御理解をいただけると思います。  そして、その延長線上で、議員が、この問題もやはり行政改革というものに行き着くのではないかと言われる御指摘は、私は全く異論はありません。なぜなら、今の行政組織のままでありましても、私は、金融行政というものは変わらざるを得ないところに来ていると思います。そして、よくはしの上げ下げなどと言われる事前の管理システム、これがいわゆる護送船団方式と言われるものを生んできたわけでありますけれども、それから事後チェックに変わらなければなりませんし、その検査の姿勢の変化というものは、当然ながらシステム自体の変化にもつながるわけであります。  そして、殊に今大蔵省は、私はその検討をしていると承知しておりますけれども、例えば外部から金融検査官を招くというようなやり方、予告検査というようなやり方、これは必然的に、規制を撤廃する、あるいは緩和するという問題とともに、行政の仕組みそのものの変化をもたらします。そして、そういう中で論議を進めていけばこれが行政改革につながっていくというその御指摘は、私は全く異論を申し述べるものではありません。
  196. 二見伸明

    二見委員 大分時間が迫ってまいりましたので、短時間ですけれども、いわゆる株の取引の話を、若干質疑したいと思います。  私は、株取引自体は、よいことでも悪いことでもない、通常の経済行為だと思います。しかし、新井将敬代議士と日興証券の証券取引法違反事件というのは、そんな建前を打ち砕いたものだと私は思います。  我が国では、未公開株、公募株、転換社債などを使った、これを買えばもうかりますよという確実なもうけ話、損失補てん、インサイダー取引、これは最近までは違法行為とはみなされていなかった。今では一任勘定取引やインサイダー取引は禁止されておりますけれども、経済犯罪は公共財である市場をゆがめる自殺行為に等しいという認識が、本来ならば公正公平な市場を必要とするはずの証券会社に薄いというふうに私は思います。これでは、株取引をめぐる不祥事件は後を絶ちません。  本事件の容疑は、自己の利益をつけかえた証券取引法五十条の損失補てんですけれども、異常な取引実態を考えますと、何人も有価証券の売買その他の取引について不正の手段、計画、技巧を用いてはならないという百五十七条の包括規定違反ではないかという指摘もあります。包括規定であれば、日興証券は刑事罰の対象になります。証券市場をフェア、オープンにするためにも、私は包括規定違反も視野に入れてこの事件は究明してしかるべきだと思いますけれども、法務大臣の御見解はいかがでしょうか。
  197. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 お答えいたします。  証券取引法百五十七条一項についての御説明でございました。同じく、二項、三項にも同じような規定があるわけでございまして、具体的な事件の内容につきましては立ち入ってお答えいたしませんけれども検察当局は、そのようなことも視野に入れて、法と証拠に基づきまして対処するというふうに思います。
  198. 二見伸明

    二見委員 きのうも借名口座をどうするかという議論がありましたけれども、これは業界にあるルールでありまして、法律では禁止されていない。むしろ、借名口座を法律できちんと、業界ルールでだめだというのだから、それは法律でだめだと決めてもいいと思うのです。  私は、借名口座を法律できちんと禁止するというふうに明記すべきだと思いますけれども、大蔵省、法務省、これはどこですか、借名の話は、借名口座はだめだという。いや、この問題はもう議論になっているんだからね。
  199. 原田明夫

    原田(明)政府委員 お答え申し上げます。  確かに借名口座に関しましてはいろいろな見方があることだろうと思います。これにつきまして、いわば市場の中での自主ルールということで規制していくのか、また法でこれをとらえていくというふうにするのか、さまざまな観点から検討されなければならないだろうと思います。これが証券取引法上の問題ということになりますれば、大蔵当局ということになりましょう。  そういうことで、私どもも、罰則の問題がございますから、また政府内でそのような議論につきましても検討させていただきたい、そのような場面で検討させていただきたいと考えます。
  200. 二見伸明

    二見委員 私は法律できちんとした方がいいと思っていますけれども、この議論をやると時間がありませんからね。借名口座の問題はこれにとどめておきますけれども、私は、政治家やまた高級官僚も、株の取引についてはきちんと規制した方がいいと思っているんです。  というのは、私は、日本の市場に不正を憎む社会的土壌があれば、不正な取引というのはおのずから排除されるんだ。ですから、政治家や官僚が株取引をしたからといって問題にはならないんだ。ところが、日本の土壌はそうじゃない。不正を憎むのではなくて、あいつうまいことやりやがったというねたみがある、そういう土壌なんだ。その上に、日本全体は、ある意味ではインサイダー社会のようなものだと私は思います。特に政治家や官僚は、その気になれば個別企業のインサイド情報に接することも可能です。  それよりも問題なのは、株の取引材料で一番いいのは何かというと、マクロの政策とその発表時期なんです。マクロの政策と発表時期が、株の取引にとってこれほどのものはない。それにかかわれるのは、大臣、政務次官、政党の幹部、特に与党の幹部、それから高級官僚なんです。国民にあらぬ疑いを、あらぬ不審を抱かせないためにも、私は、政治家は当然のこととして、高級官僚も株の取引は規制すべきだというふうに思います。  大臣はもう信託したりいろいろあるけれども、私は、高級公務員の株の取引については、持っているものは信託にするとか、取引した場合には一週間以内に公表するとか、そういうようなこともあり得るのではないかというふうに思っています。それが一つです。  それから、政治家は、不完全ながら資産公開をしています。高級官僚は、私はやはり資産公開をすべきではないか。大変嫌なことだ、これは。大変嫌なことだけれども、新しい二十一世紀への旅立ちを考えた場合に、嫌なことだけれども、高級官僚も資産公開をすべきではないかというふうに私は思いますけれども、この点について、これは総理大臣、御見解を承りたいと思います。
  201. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員自身が述べられましたように、国会議員株取引というものについて規制するかどうかというのは、随分いろいろな議論をした末に、平成四年に、御承知のように、政治倫理の確立のための国会議員資産等公開等に関する法律という長い名前の法律がつくられ、この中で株式等についても公開されることになりました。  私は、その議論の経過を振り返ってみますと、議員は、それを国会議員だけではなく高級公務員、その高級というのをどこに線を引くかはまた難しいんですが、私はやはりこれは十分議論をしていく必要のある問題だと思います。そして自由民主党は、また与党は、既に自民党政治改革本部、与党政治改革プロジェエクトでこうした問題、国会議員の特に株の問題については議論をいたしております。  その上で、私は、何か証券市場に近づくことが悪いような印象を持たすことはよくないと思います。その意味では、議員が触れられた幾つかの手法のうち、私は、公開という手法が一番本質的になじむものではないか、そのように思います。
  202. 二見伸明

    二見委員 私は、公務員というのは清潔なものだという前提に立つと、こういう資産公開しなきゃならぬことは本当につらい、嫌だなと思いますけれども、これはやはり必要だと思います。  ところで、官僚絡みの不祥事件を究明する以上、我々政治家もみずから厳しく襟を正さなければなりません。私はそういう立場から、山崎拓自民党政調会長の証人喚問問題について、一言申し上げたいと思います。  脱税や贈賄などの罪で起訴された泉井氏から自民党の山崎政調会長への政治献金疑惑の真相解明は、大蔵省の接待疑惑や故新井議員の不正株取引の問題と並んで、今国会の最大の焦点であります。山崎自民党政調会長の釈明は、泉井氏のさきの臨時国会での証人としての証言と大きく異なっています。また、泉井氏の備忘録に記載されている内容とも異なっておりまして、疑惑はますます強まっております。真相の究明のためには山崎氏の証人喚問が私は不可欠だと思います。  この観点から、我々は、他の野党とともに一月十四日、予算委員会において証人喚問を要求しているところでありますけれども、私は、総理大臣は、自民党の総裁として、我々の要求の実現のためにどのような行動をとっていくのかお聞かせいただきたいことと、恐らく、それは国会でお決めになることでしょうということになるだろうというふうに思います。  民間人である泉井氏についてはさきの国会で証人喚問を行った。政治家だけが、与党の力を利用し、喚問を免れることは許されないというふうに私は思います。むしろ、山崎さんがみずから証人として出頭し真相を明らかにすべきでありますけれども、このことについて総理大臣のお考えと、この証人問題についての今後の御努力、これを承りたいと思います。  と同時に、改めて、委員長に証人喚問を要求することを委員長に申し上げたいと思います。
  203. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まさに、内閣責任者として御答弁を国会の問題についてすることは差し控えるべきでありましょう。  そして、与党の総裁という立場お尋ねがありますなら、理事会で、与党理事の諸君、よく相談をしてくれ、そのように委員の前で申し上げます。
  204. 二見伸明

    二見委員 以上で終わります。
  205. 越智通雄

    越智委員長 これにて二見君の質疑は終了いたしました。  次に、志位和夫君。
  206. 志位和夫

    志位委員 日本共産党を代表して、橋本総理に質問いたします。  まず初めに、三十兆円の銀行支援計画についてお聞きしたい。  橋本内閣は、国民の多くの反対の声を押し切って、この計画のための関連法案を強行的に成立させました。しかし、私自身も国会冒頭の本会議と予算委員会のこの場で問題点を究明いたしましたが、なぜ銀行の破綻処理には税金を使わないとする公約をほごにするのか、なぜ政府も全体として体力があると認めた銀行業界に税金をつぎ込む必要があるかなど、肝心かなめの問題点については、総理は、国民に対して一切まともな説明をされていないと私は思います。法案が成立したからといって、この計画をこのまま進めていいのかが今問われていると思います。私は、この計画を進めるなら、日本の金融業界に新たな無法を持ち込むことは必至となると考えます。  総理に幾つかの問題について端的に伺いたいと思います。  まず一つは、国民には巨額の負担を求めながら、銀行業界の負担は減らしてやるつもりなのかという問題であります。  三十兆円計画のうち十七兆円は、二〇〇一年三月末までに預金保険機構に穴があいた場合に、その穴埋めのために使われるわけです。ところが、銀行が払っている預金保険料のうち七分の三に当たる特別保険料の部分は二〇〇一年三月末までの時限措置でありますから、それ以降は銀行の保険料は大幅に減るわけであります。国民には巨額負担、銀行は負担減、こういう事態が起こるわけであります。  総理は、一月十九日に私とこの委員会でこの問題を議論した際には、銀行の保険料負担の問題について、中長期的観点から検討するとしかお述べになりませんでした。しかし、その後、さすがに自民党の中からも、これでいいのかという見直しの声が起こっているようであります。  私は、先日、民放の討論番組で自民党加藤幹事長と討論する機会がありましたが、その場で加藤氏は私に対して、特別保険料の期間を二〇〇一年の後も続けて集めることもこれから考えるべきだ、こう述べました。つまり、穴があいたら銀行に負担を求めて、そこで穴埋めさせることも考えなきゃならないのではないかという御発言を政権党の幹事長の発言としてされたのは、なかなか重大な発言だと私は思います。  総理にお聞きしますが、これは、加藤幹事長のようなお考えはありませんか。
  207. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に、大変これは議員に失礼でありましたが、その番組、私見ておりませんでしたので、幹事長がどういうふうなお返事をしたか、これは存じません。その上で、議員が引用されましたことを決して疑うのではありません。  しかし、いずれにしても、この保険料の問題、十年度末までに結論を得るということにいたしております。その間十分に検討をし、結論を得たいと思います。
  208. 志位和夫

    志位委員 これは、私の目の前で加藤幹事長が言われたことですから、間違いのないことなんです。やはり、政権党の中からも、銀行に負担増を全然求めないで、国民にだけ負担増でいいのか、こういう声が起こっているというのは、この計画の道理のなさを示していると私は思います。  総理、このままいけば恐るべき矛盾が起こりますよ。二〇〇一年三月末まで、銀行は、バブルでみずからつくった不始末は全部国民に穴埋めさせたあげく、二〇〇一年の三月末になったら自分の保険料を大幅に下げてもらう、まるで食い逃げのような事態が起こってしまう。  私は、今からでも、穴があいたら税金でというやり方ではなくて、銀行業界の負担で事を解決する、この当たり前のルールに立ち戻る、それが大事だということ、今後もこの問題を要求していきたいということをまず述べたいと思います。  二つ目の問題です。贈賄銀行にまで税金、公的資金を使うのかという問題であります。  三十兆円のうちの十三兆円の分というのは、銀行から優先株などを引き受け、体力増強を図ってやるというものであります。全銀協会長の岸氏は、大手銀行はそろって申請する方向だと表明いたしました。  しかし、都市銀行十行のうち六行、東京三菱、住友、三和、あさひ、第一勧銀、破綻しましたが拓銀、この六つの銀行は、大蔵省汚職に連座した贈賄銀行であります。業界ぐるみで大蔵省の金融検査官を接待漬けにして、見返りに情報を得る、脱税工作をやってもらう、金融新商品で便宜を図ってもらう、さまざまな無法の限りを尽くしたという、そういう大きな汚職問題に発展しているわけであります。  総理に伺いますが、こういう贈賄銀行まで公的資金の投入の対象にするんですか。端的にお答えください。
  209. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に申し上げたいこと、それは、今回の緊急対策というものが、預金者の保護を図りながら、同時に我が国の経済の動脈、まさに金融システムに対する信頼性を一刻も早く回復させ、日本発の金融恐慌を引き起こさない、そうした決意のもとに自由化、国際化に向けた金融システム改革を進めていく、その基盤をより強固なものにしようとする、そのためのものであるということであります。  ですから、議員はいろいろな角度からお話しになりましたけれども一つ申し上げなければならないことは、預金者保護が必要になる場合、これは破綻という問題と連結をしていることです。議員はそこを非常にうまくお話しいただきましたけれども、破綻した金融機関はこのシステムで救済される対象ではありません。その場合には預金者が保護されるのです。そして、その上で、我々は金融システムを安定させていくためにこの資金を活用してまいります。  その際に、刑事的にあるいは民事的に責任を追及されるべきは、当然のことながら、司直の手によって裁かれることになるでありましょう。それと、審査委員会がおつくりになる基準、どういうふうになるのか、これは審査委員会にお任せすることでありまして、私がとやかく審査委員会に指図をするような種類の話ではございません。
  210. 志位和夫

    志位委員 預金者保護のためだといって、あなた方は十七兆使おうとしているわけですが、この問題は一月のこの委員会でもさんざん議論しました。預金者保護は銀行業界の共同責任でやるべきだし、そのための体力は全体として十分にある。この場で銀行局長もお答えになったとおりであります。税金を使ういわれはない。金融システムのためだと言うけれども、ああいう贈賄銀行のようなやり方、これが金融システムを壊しているわけじゃありませんか。  私が贈賄銀行まで公的資金の対象にするのかということをお聞きしたのに対して、総理は、審査委員会の判断だ、こうおっしゃった。しかし、それは責任逃れの議論ですよ。なぜならば、大蔵大臣は審査委員会のメンバーでしょう。そして、審査委員会は全会一致でしょう。ですから、総理が、贈賄銀行には公的資金なんてもってのほかだ、これはだめだと決断して、大蔵大臣に指示をすれば、これは入れられないのですよ。  政治の責任を回避しちゃいけません。総理は、そういう問題についてどういう態度をとるのか。政治家として、内閣責任者として、どういう態度をとるのかが問われているのですから、はっきりお答えください。審査委員会にげたを預けちゃだめですよ。
  211. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、随分はっきりお答えをしたと思うのです。  まず第一に、司直の手によって裁かれるべき事案、それは刑事であれ民事であれ、当然のことながらその裁きを受けるでしょう。審査委員会は審査委員会として、独自の権能において基準をつくられ、判定をされます。大変私は明確にお答えをしたはずであります。
  212. 志位和夫

    志位委員 その審査委員会に政府の代表が入っている。全会一致で決めなければならない。だからあなた方の主体的判断を伺ったのに対して、そんなことについても、見識もなければ回答もない。本当に責任のないやり方だと思いますよ。  それじゃ、もう一問聞きましょう。  審査委員会の佐々波委員長は、先日、昨日の報道で出ておりましたが、個別銀行の問題と金融システムの問題は切り離して考える、こう言っております。贈収賄問題と公的資金を入れることは別だと。こんな考えを許されるかどうか。このことについて総理に伺いたいと思うのです。  公的資金の注入の大義名分と総理がおっしゃっているのは、信用秩序の維持でしょう。しかし、一体だれが日本の金融の信用秩序を破壊しているのか。これは大銀行のルール無視の無法体質じゃありませんか。大蔵省を買収して粉飾検査をやらせていたことが、不良債権の傷口を大きくし、拓銀などの破綻を招き、今日の金融不安をつくり出したのではないか。今回の贈賄工作に見られた、まさに銀行業界ぐるみの護送船団的な贈賄工作、無法な体質がまさに日本の信用秩序を破壊しているのです。そういう破壊者に対して、これは刑事罰を問うのは当然です。  しかし、そういう銀行の頭取、一体だれが責任をとりましたか。だれもやめてないじゃないですか。あの贈賄銀行に名を連ねた東京三菱銀行の頭取だって、全銀協の会長にとどまっているじゃありませんか。だれも責任をとってない。そういう不祥事と金融システムは別、こういう議論は通用しないと思いませんか。お考えをお聞きしたい。
  213. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、本来なら株主の方々が経営者に対して求められるような問題について私に求められることも、お答えをしづらくするなと思います。そして、司直の手によって裁かれるべきは裁かれると申し上げました。その上で、審査委員会というものは、私はその独自性を守るべきものだと思います。  いずれの形であれ、これに対し、私は介入する意思はございません。委員長が述べられましたという見解、議員はこれについて論評を加えられましたが、私は、委員長委員長としての見識を述べられたものと思います。
  214. 志位和夫

    志位委員 総理は、審査委員会の審議に介入する意思はないと言われましたけれども、人ごとじゃないのですよ、政府の代表も入っているのですから。介入する意思がないということは、是非の判断すら責任を持ってやらない、責任放棄だと言わなければなりません。  日本の金融業界の信用秩序の維持というとき、問われているのは、銀行の体力じゃありません、体質であります。  あなた方はよく、海外での資金調達が困難になると言う。だから資本注入が必要だと言う。しかし、いわゆるジャパン・プレミアム、日本の銀行の海外での資金調達が困難になるこの指標が、どういうときに上がっているか。過去調べてみたら、九五年の大和銀行の損失隠しのときに上がっている。去年の十一月の山一証券の簿外債務、このときに上がっている。そして三回目に上がったのは、今回の大蔵省汚職ですよ。  まさに無法な体質に海外の不信認が集まっているわけですから、この問題についてきっちりとした見識を持ち、私たちは十三兆円を使うことにも十七兆円を使うことにも反対ですが、贈賄銀行に資本注入などというのは、国民のだれも納得できる問題ではありません。はっきりとした対応を求めていきたい。  私は、この三十兆円の計画を強行するならば、金融システムの安定どころか、金融業界と金融行政に一層ひどいモラル破綻をもたらすと思います。国民はゆえなき負担増を押しつけられ、財政破綻は加速するでしょう。私はこのことをこの場で強く警告しておきたいし、私たちは、今後ともこの計画の中止を求め、日本に本当にまともな民主的な金融業界のルールを打ち立てていくために力を尽くしていきたいと思います。  次に、景気対策に移りたいと思います。  この問題でまず第一にただしたいのは、総理が、今日の不況の深刻化の原因と責任をどう認識されているかという問題です。  不況は、昨年の四月以降、一段と深刻化、悪化の道をたどっております。その最も重大な特質が消費不況にあることは、だれも否定できない事実だと思います。総務庁の家計調査を見ますと、去年の四—十二月で比較して、九七年度の実質個人消費は九六年度に比べて、マイナス一・二%落ち込んでおります。勤労者世帯の平均で三万八千円も落ち込んだ。国内総生産の六割を占める個人消費が凍りついた状態にあるわけであります。これが最大の問題です。  これが何によってもたらされたか。その直接の原因が消費税増税を初めとする九兆円の負担増にあったことは、私は明らかだと思います。個人消費の落ち込みの直接の原因が九兆円負担増にあることを、総理はまず事実の問題としてお認めになりますか。  これは、一月十三日の衆議院の本会議での私の質問、二月十九日の本会議での我が党の不破委員長の質問に対して、総理からは納得のいくお答えが聞かれませんでしたので、はっきりこの場でお答え願いたい。
  215. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、何遍か同じ問題について、委員を初め御党の皆さんから御質問を受け、同じように繰り返しお答えをしてきたと思います。そして、今また同じことを申し上げる結果になるのかなと思いますけれども、確かに、我々は消費税の税率の引き上げの前三カ月における駆け込み需要、そして四—六月における影響、落ち込みというものを多少甘く見ていたということは、私は既に国会でも申し上げてきました。  しかし、夏以降秋に向かってこれが戻していくという考え方をとっておりましたものが、七月のバーツ危機以降の状況、さらには我が国の秋以降の金融機関の破綻といった問題が大きく影響していることも、既に国会で申し上げてきております。
  216. 志位和夫

    志位委員 結局、総理の答弁は、予想以上に駆け込み需要の反動減があったということ、これが一点、それから、予期し得なかったアジアの通貨危機それから金融不安が起こった、これが二つ目、両方とも主として予想し得なかった事態によって今の事態は起こっている、これが答弁だと思うのです。果たしてそうでしょうか。  消費がなぜ冷え込んでいるのか。私は、その最大の原因は実質可処分所得の落ち込み、すなわち、所得から税や社会保険料を差し引いた手取りの所得が、実質ベースで落ち込んでいるというところにあると思います。所得税増税によって可処分所得が奪われた上に、消費税の増税によって物価が強制的に引き上げられたことで、可処分所得が実質的に押し下げられた。特に消費税の増税は、毎日の売り買いの現場に直接響くわけですから、消費支出に直接のブレーキをかける最も深刻な影響をもたらしました。  これをぜひごらんいただきたいのですが、これは総務庁の家計調査報告からつくったパネルであります。  赤い棒は実質可処分所得の状況でありますが、九五年、九六年と〇・七%、一・五%と、弱々しいけれども、伸びていた。それが、九七年度四—十二月期で計算してみましたら、マイナス〇・七%、これだけ落ち込んでいるのです。青い棒は実質消費支出の推移でありますが、九五年、九六年と〇・二%、〇・六%の伸び、これもわずかな伸びです。それが、九七年度には、先ほど言ったように、マイナス一・二%落ち込んだ。  この相関関係は明瞭ではありませんか。実質可処分所得、これがまさに大きく落ち込んだことが消費支出を落ち込ませた。九兆円負担増が所得を奪い、所得を奪ったことが消費の冷え込みにつながっている。これは明瞭ではありませんか。  これは、私だけが指摘している問題ではありません。最近のエコノミスト誌にさくら総研の主任研究員の方が論文を書いておりますが、ここでも、実質可処分所得がマイナスに落ち込むということを指摘し、消費不振の理由は、あいまいな消費者マインドという概念を持ち出さなくても、可処分所得の異例な低さによって説明可能である、これが事実に即した見方だと思いますが、総理、いかがでしょう。  総理に伺っているのです。総理、どうぞ。
  217. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 消費の低迷の原因でございますが、先ほどの御議論のとおり、消費税引き上げに伴います駆け込み需要及びその反動減があったという点が第一点でございますし、またアジアの問題、それから金融機関等の破綻があった、そのことも原因でございます。  実質可処分所得の問題と消費の問題は、どちらが卵か鶏かという問題もあろうかと思いますが、基本的には消費者の懐は、千二百兆円の個人金融資産にも見られますように、そこそこ豊かでございます。  しかしながら消費が思ったほど伸びていないのは、経済の将来に対する不安感、例えて申しますると、会社は順調にいっているけれども、しかし幾つかの大きな金融機関、思ってもみなかったような金融機関も破綻をするような現状のもとにおいて、自分の家計を支えている御主人の会社は大丈夫かなというような意味での、将来に対する不安感というものが、相当程度財布のひもをかたくしたのではないかというふうに考えている次第でございます。  そういう意味で、一つは金融システムの安定化を図る。そして、その点についてのコンフィデンスを回復していただくということと、全体の規制緩和や、あるいは法人税減税、その他減税を含めました予算を順調に予定どおり通していただくことによりまして、経済全体が順調にいくなという、その信頼感を回復することが何より大事であるというふうに考えている次第でございます。
  218. 志位和夫

    志位委員 庶民の懐がそこそこ豊かと言われましたけれども、まさに財布の中身を奪ったんですよ。財布の中身を奪ったこと、所得を落ち込ませたことが消費を冷え込ませた。それは、あなた方の政策で奪ったんですよ。  将来の不安と言うけれども、これは後で議論しますが、社会保障の切り捨て、どの問題をとったって、将来の不安をつくり出しているのはあなた方じゃないか。私が聞いたことにあなたは答えていない。九兆円の負担増が所得を落ち込ませ、そのことが消費を冷え込ませた、この問題に答えていない。どちらが卵か鶏かわからないようなことを言っている。  しかし、経済企画庁のこの平成九年経済の回顧と課題、何と書いてあるか、知っていますか。  ここでは、個人消費が足踏み状態にある要因として、こう言っています。消費税率引き上げ及び所得税等の特別減税の終了、社会保険料率引き上げ等の各種施策が家計の実質可処分所得を抑制したこと、自分たちで言っているじゃありませんか。  この報告書では、消費税増税など負担増政策が合計で家計の実質可処分所得を八・六兆円奪ったと、はっきりそういう試算までやっています。そして、こう言っていますよ。国民負担の増大等が実質可処分所得を抑制しており、消費を足踏み状態としている、ここに消費の落ち込みの主要な原因があると書いてあるじゃありませんか。あなたの役所で出している報告書ですよ。  私、こんな経済企画庁の長官に聞いたってしようがないと思う。総理に聞いているのです。個人消費の冷え込みというのは実質可処分所得の落ち込みの結果であって、実質可処分所得を奪ったのは、ほかならぬ橋本内閣による九兆円の負担増の政策なんです。このことは今や公式の政府の報告書でも認めていることなのですから、総理、これは事実関係としてきちんとお認めになっていただきたい。
  219. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど、議員と我が党の加藤幹事長があるテレビで対談をした、それが御党赤旗に掲載されている、その切り抜きを、その論議のプロセスを目を通しました。その中でも、議員が同じような議論を展開しておられる。  その記事によりますと、幹事長ははっきりしたお答えを示さなかった、多少の影響はあるかもしれないという言い方をしたと書かれておりました。では、間違いないですね、私の言っていることは。(志位委員「そうです、多少はあったと答えました」と呼ぶ)はい。私も、同様にお答えをさせていただきます。
  220. 志位和夫

    志位委員 これは、多少はあったのじゃないのですよ。これは、経済企画庁のこのレポートでも、主な要因としてまさにその問題を指摘しているのです。  ここでは、消費の落ち込み、三つのことを挙げています。駆け込み需要の反動減が一つ。しかし、これは一時的な要因です。二番目が、今述べた、実質可処分所得の落ち込み。三番目に、総理が言われる景況感の厳しさ、消費マインドの冷え込みということを挙げていますが、それは、消費の冷え込みに影響を与えている可能性があると、副次的な要因として言っているだけなんです。  主要な要因は、九兆円負担増の政策が所得を奪った、ここにあるということをここでも言っているのですからね。私は、今起こっていることは、予期し得なかったと責任逃れして済むような問題ではない、こう思います。  九兆円負担増をかぶせればこういう結果になることは、初めからわかっていた問題であります。そのことを、私は、昨年二月の国会のこの委員会の質疑で、総理に対して警告いたしました。個人消費の回復の著しいおくれが見られること、とりわけ勤労者の可処分所得が伸び悩んでいることを事実に即して指摘し、こういうもとで九兆円の負担増をかぶせれば必ず家計は底割れする、このことを、総務庁の家計調査に基づいた試算を示して、警告いたしました。  これは去年使ったパネルなんですが、ごらんになっていただきたい。青い棒は、可処分所得の伸び率がいかに伸び悩んでいるかということです。下に伸びている棒は、九兆円負担増による影響です。  この表を見せたときに、総理は、覚えていらっしゃると思うけれども一つの見識として受けとめるとおっしゃいました。しかし、そのとおりになったじゃありませんか。家計の底割れが起こった。これは、あなた方の政策の失敗なんです。こんな失敗を認めませんと、景気対策はできませんよ。方向違いの対策しかできませんよ。これは間違っていた、九兆円負担増は間違っていたと、はっきりお認めになるべきだ。  総理、どうですか。
  221. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これはふまじめととられると困るのですが、今、去年のパネルそのままだと言われましたが、むしろ新しいパネルをつくっていただければ、それだけでも消費がふえたなというぐらいの感じがいたしました、率直に申し上げて。(発言する者あり)ですから、ふざけていると思われると困るなと思いながらと今申し上げましたが。というのは、今御質問を伺いながら、幹事長と議員の御論議の様子が紹介されておりますそのテレビ番組の要約に目を通しておったからであります。  そして、私は、ですから、今、先ほど申し上げましたように、その影響が全くないなんて言い張るつもりはありません。しかし同時に、先行していた減税に対しどこかで財源をきちんと整備しなければならない中で、そして消費税の税率を引き上げなければならなかったこと、当時税制調査会におられた方々の御論議をよく御記憶でありましょう。あるいは、確かに、将来にわたって国民の暮らしのセーフティーネットワークとしての社会保障を構築していく上で、その見直しに着手をするタイミング、私はそうしたタイミングを昨年に求めました。  確かに、私は、七月以降バーツから始まりましたアジアの危機を予測していたわけではありません。また、大型金融機関の中で、しかも莫大な簿外債務が隠されていたといったような状況を想定していたわけではありません。そうした結果、金融不安がシステム安定化策を用意しなければならないような状況になることを想定していたわけではありません。  ですから、おしかりは甘受いたしますが、同時に、やはりきちんとお願いをすべきときには国民にお願いをするのも責任ではないかと私は思います。
  222. 志位和夫

    志位委員 結局、これだけ理を尽くしてただしても、事実に基づいてただしても、誤りを認められない。多少影響があったという程度のことで、国民みんなが実感している九兆円の負担増が……(橋本内閣総理大臣「これでしょう」と呼ぶ)それがそのときの記録です。これだけ理を尽くして私がただしても、誤りをお認めにならない。これは、やはりそういうことでは次の方向性が出てこないと思います。  先ほど総理は、先行減税のためだと言いましたけれども、先行減税、所得税の減税、それと消費税で、ネットで、差し引きサラリーマン世帯の九割は増税ですよ。差し引き増税ですよ。ですから、先行減税をやったって、要するに所得の力なんか全然生まれてこないのです。ですから、消費が実際に冷え込んだんです。それから、将来の高齢化のためと言ったけれども、年金だって介護だって医療だって、負担増のプランしか示していないじゃありませんか。  ですから、私がこれだけ理を尽くしても、国民みんなが感じている、消費税が上がったから今商売大変だ、景気冷え込んでいる、この事実すら認めないで、専らアジアの問題だ、金融の問題だと。これは全然影響ないと私は言いませんが、そっちの方が主要で、私は責任ないよと、この態度では私はだめだ、こう思います。  私は、消費税の問題、もう一つ言いますと、この九兆円の負担増というのが個人消費を全体として大きく落ち込ませただけではありません。消費税の増税というのは、総理もよく御存じだと思いますが、所得の低い層に重くのしかかります。そのもとで、国民の消費動向を所得階層別に見てみますと、所得の低い層に著しい消費支出の落ち込みが見られるのが特徴であります。  これは簡単なパネルでありますが、新しいものであります。これは、消費がいかに落ち込んでいるかという問題について、世帯の平均と低い所得層の比較であります。  赤い棒は全世帯平均の落ち込み方、九六年度と九七年度の比較でマイナス一・二%、先ほど言った数字であります。世帯を五分位に分けて、第一分位、これは青い棒でありますが、一番所得の低い層、ここの落ち込みは一・七%マイナス。それから、次に所得の低い第二分位、一・八%マイナスです。  総理、今のこの消費不況の中で所得の低い層ほど消費の落ち込みが激しい、この事実はお認めになりますか。こういう御認識はありますか。(橋本内閣総理大臣「一分位の方が低いでしょう」と呼ぶ)低いんです。第一、第二分位の方が消費の落ち込みが激しい。どうですか、そういう認識はありますか。
  223. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今お示しをいただいた表、またおしかりを受けるかもしれませんけれども、第一分位の方が第二分位よりもパーセンテージ、マイナスは少ないんじゃないでしょうか。ただ、全世帯との論議であれば、私は、今の議員の御指摘をそのとおりに受けます。
  224. 志位和夫

    志位委員 これは事実の問題ですから。確かに第二分位の方が少し消費の落ち込み方は激しいですけれども、一分位、二分位という、比較的平均よりも低い層が消費の全体の冷え込みを引っ張っているという事実は御確認願いたい。  それから、消費税の増税が打撃を与えたもう一つの重大な分野は、中小企業であります。消費税の増税というのは、今不況にあえいでいる中小業者の皆さんに二重に追い打ちをかけるものになりました。  一つは、個人消費の落ち込みというのは、一番中小企業の経営に深刻に響くという問題です。これ自体が響くという問題です。いま一つの問題は、税率引き上げ分を販売価格に転嫁できないで、業者の皆さんが自腹を切って負担している、こういう実態があるという問題です。  もう一枚、パネルでありますが、これは中小企業庁と通産省が行った調査をパネルにしたものであります。最近のものであります。  中小企業全体で見まして、消費税を転嫁せず、ある程度転嫁、ある程度転嫁というのは一部負担という意味ですが、二四・一%です。そのうち小売業は三一・四%、そのうちサービス業は三八・一%。二割から四割弱の業者の方が消費税を転嫁し切れないで、自腹を切って税金を払っている。  最近、ある報道で、飲食店を経営されている御主人の方が、売り上げ半減で赤字経営の上、税務署から消費税の督促を厳しく受けて、自殺に追い込まれたという痛ましい話も報道されました。そういう状況に置かれている。  ですから、総理、九兆円負担増は何をもたらしたか。少なくとも事実で三つのことは確認できると私は思います。  第一は、勤労者の実質可処分所得を押し下げ、個人消費を冷え込ませたという問題。第二は、特に所得の低い層の消費を直撃し、それが全体を押し下げたという問題。そして第三は、中小企業は、個人消費の冷え込みの上に、消費税の税率引き上げ分が転嫁できないという二重の打撃を受けたという問題であります。私、これらは、事実の問題として、だれも否定することができない問題だと思います。  九兆円負担増がもたらしたこういうマイナスの影響を取り除く対策、特に冷え込んだ個人消費を直接温める対策がどうしても必要だ、私はそう思います。そのためには、所得減税の恒久化とともに消費税の税率、私どもは廃止を目標にしておりますが、景気対策としてともかく三%に戻す緊急措置をとることがどうしても必要だ、こう私は考えます。  私は、それ以外に、今三つ挙げましたが、九兆円負担増がもたらした不況の深刻化の泥沼から脱出する方法はほかにはない。少なくとも、緊急対策としてこれを手を打たなければ、ほかに景気を持ち上げる方法がない、こう考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。
  225. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 消費税率、地方消費税分一%を含めまして五%への引き上げというものは、もう議員よく御承知のことでありますけれども平成七年度から先行実施をいたしました所得税、個人住民税の恒久減税の規模を踏まえるほかに、老人介護対策などの充実に要するその財源等も考慮し、国民にお願いをする消費税の負担をぎりぎりのものとするという、そうした観点から、平成六年の秋に法定をし、平成九年四月から実施されました。この増減税一体の税制改革というものが、高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応しようとするものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。  今議員は、消費税、自分たちとしてはゼロだ、本来は、しかし、三%に戻せという御指摘をいただきましたが、私は、消費税率の引き下げを今考えておれる状況ではない、そのように思います。
  226. 志位和夫

    志位委員 高齢化の進展のためだということをおっしゃられるので、この問題は次のテーマとして議論してみたいと思うのですが、私は、景気対策として橋本内閣が向いている方向性、根本的に向いている方向が間違っているんではないか、こう言わざるを得ません。  最も切実にてこ入れが求められている個人消費、これがあれだけ冷え込んで、落ち込んでいる。家計消費が凍りついているにもかかわらず、それを温めるための本格的な対策は、まともなものをとらない。てこ入れしているのは、専ら三十兆円の銀行支援、あるいは今度の予算案でも、法人税の減税や土地や株の減税など、主に大企業の潤う七千億円の減税、こっちの方はどんどんどんどん金に糸目をつけずに出すけれども、肝心の一番冷え込んでいる庶民の懐を温めるための対策は、これもとらない。これでは、私は、不況からの脱出、泥沼からの脱出はできないと思います。  私は、きょうは景気の問題についてるるお話をしてきましたが、これだけ明白な経済政策の失敗を認めず、誤った政策を改める意思も能力も展望も示さない政府には、私は、日本経済のかじ取りは任せられないなということを強く感じた次第であります。  次の問題として、先ほど将来の不安ということが言われました。総理も高齢化社会のためだと言われました。私は、九兆円負担増の問題とともに、消費の落ち込みの構造的な要因について、少し総理とさらに突っ込んで議論してみたいと思います。  この間の国民の貯蓄率、可処分所得に占める貯蓄純増の割合の推移を見てみますと、比較が可能な四月—十二月期で見て、九五年度が二一・三%、九六年度が二一・五%に対して、九七年度は二二・九%と引き上がりました。九兆円の負担増をかぶせた年度に貯蓄率が引き上がった。収入を消費に回さずに、貯蓄に回す傾向が強まった。このことが消費不況を一層加速するものとなりました。  今、国民が生活を切り詰めてまで貯蓄に回している。超低金利政策で、金利がほとんどつかないのに貯蓄に回している。しかも、金融不安の中でも銀行に預金を預けている。総理、これは一体どうしてだと考えますか。
  227. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これにはいろいろな理論も組み立てられるでありましょうけれども基本的にあるもの、それはやはり少子・高齢社会の中において、みずからの老後に対する一つの自衛という気持ちが確実に存在すると私は思います。  同時に、今言われましたような数字は、なお国民が、金融システムの安定化というものを通じ、預金の完全な保護という政府の約束を信じてくだすっている証左でもあると思います。
  228. 志位和夫

    志位委員 高齢化に備えて国民が自衛のためにそういう手段をとっているということをおっしゃられました。自己防衛のために本当に生活を切り詰めてまで預金をしなければならない、貯金をしなければならない、そういう社会、そういう政治、この責任は一体何なのかと問わざるを得ません。  それは、私、社会保障を見ましても、医療でも年金でも介護でも負担増だけ押しつけられて、それに見合う給付の保障はない。そのことが消費を萎縮させ、貯蓄による自己防衛に、総理の言う自己防衛に向かわせているわけであります。  私、具体的な問題を取り上げてみたいと思うのですが、例えば介護の問題であります。  二〇〇〇年四月から介護保険がスタートいたします。しかし、保険あって介護なしになるのではないか、この不安が迫ってきております。これではっきりしているのは、国民負担の重さからいって第二の消費税になるということ、この点であります。  実施初年度の二〇〇〇年度で国民の負担額は約二兆円、十年後には五兆円を超えると言われております。ところが、介護サービスの方はどうか。二〇〇〇年三月末までの新ゴールドプランというのがありますが、この目標を引き上げる計画はない、これが政府のこの間の見解であります。それでは、私、介護需要に追いつかなくなることは明瞭だと思います。例えば、特別養護老人ホームの目標は新ゴールドプランでは二十九万人でありますが、これでは到底足らなくなる。  二月十八日から十九日にかけて、日本共産党の国会議員団として、全国の都道府県に直接問い合わせて、特別養護老人ホームの待機者の皆さんの数をお聞きいたしました。特別養護老人ホームの待機者の数は、全国で十万一千二百三十四人という結果でありました。都道府県が責任を持って集計している数であります。  現在の特養ホームの定数は二十七万一千七百四十人であります。これを足しますと、待機者を解消するためには三十七万人を超える特養ホームの整備が必要ということになります。新ゴールドプランは二十九万人ですから、その目標では、それを達成したとしても、八万人の方が入所できないという事態が生ずるわけであります。  私、ここで総理に考えていただきたい問題がある。大体新ゴールドプランというのは、九四年十一月の税制改定で消費税率を三%から五%に引き上げたことを受けて、その一部を充てるという名目で、九四年十二月に、従来のゴールドプランの目標を引き上げて策定されたものであります。つまり、消費税五%にしたときに、そのお金を一部使って目標を引き上げるというのが皆さんの大義名分でありました。  ところが、介護保険というのはその後持ち上がった話じゃありませんか。新ゴールドプランというのは、介護保険の導入を前提にした目標になってないのです。介護保険の導入で二兆円からの新たな負担を国民に求めるというのならば、それに見合った新たな給付充実を図る、新ゴールドプランの目標の全面見直しをやるというのが当たり前ではありませんか。  保険制度を導入する以上、加入者全員に必要なサービスを提供するというのは、これは保険契約の基本であります。ところが、その保障がないという現状がある以上、さっきの特養ホームの待機者の皆さんの実態がそうでありますが、そういう現状がある以上、この目標は、実施までまだ二年余りあるわけですから、見直すのが当たり前ではないか。  総理に伺いたいのですが、大きな政策判断の問題ですから伺いたいのですが、保険料は新たに二兆円も取るけれども、目標はそのままだ。待機者が五万人出るかもしれない、八万人出るかもしれない。八万人の方が介護保険導入でも入れない事態が起こるかもしれない。まさにこういうようなやり方が、国民の将来への不安をもたらしている、社会保障への不信をつくっている、こうお考えになりませんか。
  229. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 介護保険の問題は、昨年一年間、今言った議論は国会委員会でも盛んに議論されたところであります。二〇〇〇年度導入を目途にようやく昨年成立させていただきました。  その中で一番の御指摘は、保険あってサービスなし、これがないようにこれから十分な介護基盤整備をしていこう、施設と在宅サービスをいかに調整しながらやっていくか、在宅でできるだけ自立を助けるサービスをどのように供するかであります。  今施設の方を言われましたけれども、できるだけ在宅で、訪問看護員とかホームヘルパーとか、あるいは日帰りで介護サービスを受けられるような施設を増設していく。そして、保険者には介護サービスを受ける際に一割を負担いただきますけれども、一番問題になったのは、税でやるか保険でやるかであります。自由民主党を初め賛成した政党の方々は、やはり保険になじむ、全部税金では無理だ、税金半分、保険料半分、そして利用者には一割を負担していただこうということで、ようやく成立したわけであります。  今回、目標達成に、今後二〇〇〇年度導入までに努力していく、保険あってサービスなしのような体制はとらない、そのために全力を提供していく。今これから、今後基盤整備を進めていきますから、目標を達成するよう最大の努力を図っていくし、今後、導入して、不備な点があったら見直していくのにやぶさかではございません。
  230. 志位和夫

    志位委員 結局、見直す意思は今ないということなんですよ、長々言ったけれども。  しかし、今見直さなかったら、先ほど特養ホームの実態を私述べましたけれども、これは、八万人もの方が入れないという事態が起こるのです。  在宅重視と言われました。しかし、在宅の方だって、要介護者の四割しかサービスの提供を予定していないじゃありませんか。しかも、今、例えばヘルパーさんの問題をとったって、全国の実態は大変ですよ。大体あなた方の計画というのは、常勤ヘルパーさんをふやさないで、非常勤主体というものです。しかし、常勤の方をうんとふやしていきませんと、介護サービスというのは行き届きません。専門職として技術を身につけるというのは、常勤者をうんとふやしませんと、これはできません。ニーズにもこたえられません。在宅の方もおくれているのです。  しかし、施設の方は、さっき言ったように、特養ホームの問題一つとったって、これは、今整備がおくれているのは明瞭なんですね。ですから、これをほっておいていいのか。二〇〇〇年に導入してから目標を見直しますじゃ遅いのですよ。  私、ここに、全国市長会の九七年十月二日の「介護保険制度に関する意見」、要望書を持ってまいりましたが、その要望の冒頭に掲げられているのはその問題です。「介護サービス基盤の整備について」、読み上げたいと思うのですが、「新ゴールドプランの達成さえ困難な都市自治体があるが、全国市長会としては、介護保険制度の円滑な運営のためには、新ゴールドプランにとどまらず、介護保険制度の導入に伴う需要増を考慮した介護サービス基盤の整備が必要であると考え、国に対しては、そのために必要となる財政措置等を講じるよう求めてきた。しかしながら、これまでの国の回答や明年度の概算要求においては、介護保険制度の導入時において新ゴールドプランの達成をめざすものとなっており、このような状況のまま介護保険制度を導入した場合、介護サービス供給体制が不足し、現場で混乱を生ずることが懸念される。 これまでにも述べてきたように国においては、介護保険制度の導入による需要増を考慮した介護サービス基盤の整備のために必要な財政措置等を講じる必要がある。」  つまり、介護保険という新しい制度を導入する、国民に負担を求める、そういう制度を導入したら新たな需要が生まれる、当たり前ですよ。そのためにみんな期待するわけですから。ヘルパーさんだって特養ホームの問題だって、保険料を納める以上、きちんとした給付が必要だとみんな思いますよ。だから、その新たな需要増に対応して新ゴールドプランの目標を見直せと全国市長会が言っているじゃありませんか。  今度は総理に伺いたい。この市長会のこういう要望、どう受けとめているのですか。
  231. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 そのような議論は承知しております。  しかし、既存の計画を実施までに着実に推進していく、その時点で見直すべき点は見直す。まずは既存の計画を着実に実施していくのが先だと思います。
  232. 志位和夫

    志位委員 総理の答弁を求めます。
  233. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今小泉厚生大臣からもお答えをしましたように、現在進めております計画をまず仕上げること、それが一番大事なことではないでしょうか。
  234. 志位和夫

    志位委員 既存の目標では足らないということを、さっき私は具体的な事実を挙げて言ったわけです。しかも、あなた方が言っている既存の目標というのは、介護保険導入を前提としていない目標じゃないか。新たな負担を求めながら、給付の方は引き上げない、これでは全く道理に合わない、このことを指摘したわけであります。  保険というものは、総理、掛けたその日から給付があって初めて契約になるのですよ。生命保険だって、掛けたその日から、もし事故があったら給付はされますよ。保険が始まったその瞬間、二〇〇〇年四月に保険が始まったのに給付はされない、こういう事態になったら、これは本当に国民は納得できないということになります。  介護保険法の第二条では「介護保険は、要介護状態又は要介護状態となるおそれがある状態に関し、必要な保険給付を行うものとする」と、国に必要な保険給付を行うことを義務づけているのです。保険料だけ取って給付ができない人があっては、これは契約違反になる、そう思いませんか。総理、どうですか。  総理が挙手しているのですから総理に。総理、答えてください。
  235. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 厚生大臣からきちんと御答弁をいたしますけれども、まず高齢者保健福祉推進十か年戦略をきちんとまとめ上げる、それがどうしておしかりを受けるのでしょう。高齢者保健福祉推進十か年戦略を進めていくことに、今まだそこに到達していない部分が現実にあります、それを現実のものにしようとして厚生大臣努力をしてくれております。
  236. 志位和夫

    志位委員 もう結構です。もういいです。総理がお答えになったから結構です。もう時間がありませんから、次の問題、私、まだ大事な問題を抱えていますので。  結局、高齢化十カ年計画と言いましたけれども、それは先の計画の問題でしょう。今の計画では間に合わないとこれだけ言ったのに、見直すという考えを言わない。結局、橋本内閣の社会保障の構造改革というのは、国民に新しい負担を求めるが、給付の方は水準を引き上げない、むしろ悪化させていくというものもあります。  介護だけじゃありません。医療についても、三、五割まで自己負担増、このメニューが今押しつけられようとしています。年金は逃げ水のように、負担増か給付減、この五つのシナリオを押しつけようとしています。こういうやり方では国民の将来の不安は募るばかりだと私は思います。  私どもは、高齢化社会に向けて、今の財政構造のゆがみ、国と地方自治体で五十兆ものお金を公共事業に使いながら、社会保障の公費負担は二十兆にすぎない、こういう、世界でも異常な構造を正しながら、大きな方向性を持って、財源をつくりながら、やはり本当に国民の皆さんが二十一世紀に安心ができる、将来の生活に安心ができる日本をつくるために、大いに今後も政府に対して必要な要求もし、議論もしていきたい、こう思います。  次に、対外問題について伺います。  この間、イラクの問題が起こりました。(橋本内閣総理大臣厚生大臣に答えさせてよ」と呼ぶ)先ほどの総理の答弁で結構です。もう長々やられても同じことですから。もういいです。次の問題へ入りたいと思います。もう結構です。もう何度も同じことを答えるだけですから。  イラクの問題に移りたいと思うのです。イラクのこの間の大量破壊兵器査察問題で緊張が続いておりましたが、二十二日にアナン国連事務総長イラク政府との協議が合意に達し、平和的解決の道筋がつけられました。私たちはこれを歓迎するとともに、今後とも、あくまで外交努力によって問題が解決されることを強く要求します。  今回の結果は、湾岸諸国も含めて国際世論の圧倒的多数が武力行使反対し、平和的解決を求める声を上げたことによるものであります。この点で、アメリカとすべての選択肢を共有するとして、最後まで武力行使反対と言わなかった日本政府の態度は、世界の世論に逆らうものであったことをまず厳しく指摘しておきたいと思います。  日本にとってさらに重大な問題は、横須賀基地から空母インディペンデンスの戦闘部隊が作戦主力部隊として湾岸に派遣されたことに示されるように、日本列島がイラクの作戦に対する出撃基地として利用されたことであります。全国の米軍基地の実態を見ますと、新ガイドラインのもとで、これまでにない基地機能の強化、米軍の横暴勝手が見られます。  私は、幾つかの問題で、基地問題について、総理の見解をただしたいと思います。  まず、NLP、夜間離着陸訓練の問題です。  厚木、横田、三沢、岩国の基地で、ことし一月九日から、昼夜を問わぬインディペンデンス艦載機の離着陸訓練が突如始まりました。イラクの作戦に備えて急遽始めたもので、これまであった事前通告もない、規制時間をはるかに超えて真夜中の十二時までやる、土日も行うという米軍の異常な横暴勝手ぶりに地元住民と自治体の激しい抗議が集中いたしました。  NLPというのは、総理も御存じだと思いますが、飛行場を空母の甲板に見立てて、タッチ・アンド・ゴーの離着陸訓練を夜間に行うというもので、恐るべき騒音の苦しみをもたらしております。私は厚木基地周辺の住民の方に話を伺いましたが、内臓がえぐられるような苦しみということをおっしゃった方もおられました。眠れない、話もできない、電話もかけられない、テレビも聞こえない、食欲もなくなる、こういう声が寄せられますが、この訓練がまともな市民生活とは両立しないことを痛感させられました。  問題は、こういう訓練が、厚木にしろ横田にしろ、首都圏の人口密集地の上空で行われているということであります。厚木基地について言えば、基地周辺の騒音指定地域七十七平方キロ、この中には十三万四千世帯の方が住んでいる。人口にして三十万人以上の人が、騒音指定地域の中に住んでいらっしゃるんです。  総理に伺いますが、こういう人口密集地の上空でNLPを行う、こういうこと自体が異常な事態だという認識はございますか。
  237. 久間章生

    ○久間国務大臣 厚木におけるNLPの訓練をできるだけ減らすようにということでやっておるわけでございますけれども、全部を硫黄島に持っていくわけにもいきませんし、なかなかないわけでございます。  ただそれでも、やはり従来から、防衛施設の安定的使用には地元の理解と協力が不可欠であるということで、このような、急に、しかも夜間に行うことのないように従来からやってきておったわけでございますけれども、今回、急な運用上の都合ということで実施されたというふうに承知しておりますけれども、甚だ当庁としても遺憾だと考えておるところでございます。  したがいまして、コーエン国防長官が見えました一月二十日の日に、ワーキングディナーにおいても、私の方からコーエン国防長官に対しまして、今後こういうような訓練は行われないことが望ましいということを強く要望いたしまして、同長官からも遺憾の意が率直に述べられたものでございます。
  238. 志位和夫

    志位委員 今度の事態については、さすがに政府も、余りに異常だということで抗議されたということですが、私が聞いたのは、硫黄島に一部移したと言われましたけれども、今なおNLPは厚木でやっているわけですね、人口密集地の上空でやっていいのか、異常だと思わないかという認識の問題でした。  私、アメリカの本土でNLPがどのように行われているか、調べてみました。  米海軍は、西海岸ではサンディエゴという都市を空母機動部隊の母港としております。この空母艦載機は、ミラマーという基地でNLPを行っております。これがもう一つのパネルでありますが、この右側の方がミラマー基地の広さです。九十七・一平方キロメートルという広大な基地です。それで、左側のこの小さな赤い部分が厚木基地の大きさですが、五・一平方キロ。厚木基地の大体二十倍もの広さの基地でNLPをやっている。  それで、厚木基地の騒音指定区域の面積は、この青い部分でありますが、七十七・〇平方キロメートルでありますから、この騒音地域がミラマー基地の中にすっぽり入っちゃうぐらいの、物すごく広大な基地でやっております。しかも、この基地の周りにも人家はほとんどなく、空き地がほとんどであります。こういう状態なんですね。アメリカのNLPの実態、私、ほかの基地も調べてみましたが、厚木のように、大都市の密集しているところでNLPをやっているという事態はありません。  これは、やはりアメリカ本土でも、このNLPという訓練は市民生活と両立しない、こういう認識があるからですよ。市民のまともな生活、平和な生活、これとこの訓練はどうしたって両立しないんだ、こういう認識があるからこそ、この広大な、人っ子一人いないような、山と平原の基地で、そういうところではやるけれども日本の厚木のようなところでやっているところはない。これは、やはりこの訓練がいかに非人道的かを示すものであります。  私、総理に伺いたいのですが、さっき認識を伺いました。やはりこういう訓練を住宅地の、人口密集地の上空でやるのは異常だと考えませんか、総理
  239. 久間章生

    ○久間国務大臣 厚木の上空でやるのをできるだけなくそうと思って、三宅島に計画したことがございます。しかしながら、なかなか三宅島がうまく進みませんので、硫黄島でやっているわけでございますけれども、硫黄島でやる場合には気象条件とか、あるいはまた非常に遠隔であるというようなことがございまして、特に、御承知のとおり、このNLPをやるのは、とにかく出艦するといいますか、出ていく前に訓練をしなきゃならない、そういう急を要する場合にどうしてもやらなきゃならぬわけでございまして、そういう意味では、横須賀を母港にしておりますと、その近くでやはりやらざるを得ないという、そういう状況でございます。  したがいまして、私どもとしては、極力これから先も硫黄島でやる、願わくは、地元の合意を得ながら三宅島等に移すことができますれば、厚木の問題についても解決できると期待しているわけでございまして、おっしゃるような趣旨は、よく理解しているところでございます。
  240. 志位和夫

    志位委員 おっしゃる趣旨はよく理解しているということでありましたが、こういう人口密集地でやることが異常だということをはっきりやはりお認めになるべきですよ。  硫黄島に移したと言いますけれども、厚木基地のNLPの回数が減ったとはいえ、まだやっているわけですからね。そして、あなたは米軍の急な運用上の必要と言いましたけれどもアメリカは、イラクのために急いでやるというときには、もう好き勝手にやるわけですからね。こういう状態は、私はこういう異常な訓練はきっぱり中止すべきだと思います。  もう一つお聞きしたいのは、米軍機による低空飛行訓練の問題であります。  先日、イタリアのスキーリゾート地で、米軍機の低空飛行訓練によってロープウエーが切断され、ゴンドラが落下して多くの犠牲者が出る痛ましい事件が起こりました。  日本も人ごとじゃありません。全国各地で米軍機が、山合いを縫い、峰をかすめるようにして、傍若無人な訓練をやっております。九四年十月には、高知県の早明浦ダムで墜落事故も起こりました。私も現地調査に行きましたが、事故現場の村長さんは、墜落地点のすぐそばに保育園や中学校があった、あわやというところで大惨事になるところだった、こんな恐ろしい訓練はやめさせてほしい、こう訴えられていたことを忘れられません。  この低空訓練の異常さはさまざま挙げられますが、私が特にただしたいのは、日本では、どういう飛行ルートで行われているのかさえ、国民に明らかにされていないということであります。  私は、この質問に先立って、低空訓練の飛行ルートを明らかにするように、三つの省庁に要求しました。回答文がここにありますが、運輸省は、把握する立場にないというお答えでした。防衛施設庁は、所管事項ではないというお答えでした。外務省からはこういうお答えがありました。ルートがあることは承知しているが、米軍の運用にかかわる問題なので、詳細は承知していない、こういうお答えでした。  外務大臣に伺います。これは、低空飛行訓練ルートは明らかにしないというのが米軍の方針ですか。だから知らないのですか。外務大臣、どうですか。
  241. 高野紀元

    ○高野政府委員 お尋ねの低空飛行訓練でございますが、米軍我が国に安保条約に基づきまして駐留しております。そのために必要な種々の訓練を行うことは、当然安保条約あるいは地位協定上認められているわけでございます。  その関連で、この低空飛行訓練でございますが、我が国の航空法等を十分尊重しつつこれを行ってきているという経過がございまして、現在もそういう事実、実態がございます。(志位委員「ルートは」と呼ぶ)個々の飛行訓練を行う際のルートにつきましては、米軍は、その地形、飛行の安全の確認等を考えながら、随時決定しているというふうに承知しておりますが、具体的には、米軍側の運用でございますので、明らかにできないということでございます。
  242. 志位和夫

    志位委員 公開しないというのが米軍の方針ですか。
  243. 高野紀元

    ○高野政府委員 はい、そのとおりでございます。
  244. 志位和夫

    志位委員 公開しないというのが米軍の方針だという御答弁でありました。  それで、航空法を尊重していると言われたので一言言っておきますが、日本の航空法では、住宅密集地の上空では最低高度三百メートル、そうでないところでも百五十メートルという規定がありますが、特例法で、これが米軍機については守らなくていいという特例法があって、実際に尊重していないという事実は私たくさん知っております。早明浦ダムに調査に行ったときにも、自分の家より低い谷間を飛んでいると多くの方が証言していたように、全然こんな航空法なんか尊重していませんよ。こういうことは一言言っておきますが、ともかく、米軍はルートを公表しないのが方針だという御答弁でした。  アメリカ本土ではどうなっているか。アメリカ国内では、低空飛行訓練の空域及びルートというのは地図化されております。だれでも手に入るのです。これはインターネットから入手した米空軍のファクトシート、公開資料でありますが、ここでは、高速低高度訓練活動は、制限された、地図に記載された空域の中でのみ実施されるとはっきり明記しています。地図に記載された空域、ルートはそこにあると。そして、実際に訓練ルートの地図は全部公開されていますよ。  これは、アメリカの国防総省地図局が発行している航空ルート地図のカタログです。アメリカでは、低空飛行の飛行ルートの地図は、カタログ販売でだれでも買い求めることができます。国防総省がつくって、商務省が販売しているのです。私、実際買ってまいりました。これがその写しでありますが、ごらんになっていただきたい。  これは国防総省地図局空域センターが発行しているものでありますが、詳細に軍事訓練ルートの地図が全部出ていますよ。これは赤、青、黒と出ていますが、この赤い部分は計器飛行のルート、青い部分は有視界飛行のルート、そして黒の部分、これは低空飛行のルートなのです。  これは例えばカリフォルニアの地図でありますが、このカリフォルニアの地図では、コロラド川の流域に低空飛行のルートがあることがはっきりわかります。それから、例えばこれはネバダの地図でありますが、ネバダではこういう黒い大きな低空飛行のルートがはっきり刻まれています。アメリカ国内では全部手に入るんですよ。これはおかしいと思いませんか。  なぜアメリカ軍がこれを公開しているかといえば、低空飛行訓練というのは極めて危険な訓練だからです。非常に危険な訓練だからです。ですから、環境との関係でも、航空安全の面からも、公開は不可欠だとアメリカでは判断されているから、米軍は全部アメリカでは出しているんですよ。カタログ販売で手に入るんです。  これを日本では出さない。日本では出さないのが米軍の方針だと言った。アメリカでは出すのが米軍の方針なんですよ。一体どうなっているのか。一体いかなる理由で、日本では、アメリカでも公開しているルートが公開できないのか、はっきり答えてください。
  245. 高野紀元

    ○高野政府委員 今御指摘の、米軍米国内の低空ルートについて発表しているものについて、突然のお尋ねでございますが、確認させていただきたいと思いますが、私どもは米側とこの問題について、従来いろいろな問題で話し合ってきております。今回も、イタリアの重大な事故が発生しておりますので、その事実確認、原因調査等について私どもの方から、早急にこれは明らかにするように申し入れております。  そういう中で、私どもと米側との話し合いの中では、日本国内においては、地元住民の安全面の配慮、あるいは飛行訓練の所要等を随時確認しながらルートを決定しているということで、固定したルートというものはないというふうに理解しております。
  246. 志位和夫

    志位委員 固定したルートはないということでしたけれどもアメリカでは、ルートは変更することがあるから、八週間に一回更新しているんですよ、地図を。だから、そうやって公開しているんです、アメリカでは。安全性に配慮してやっているというけれども、安全性のためにも、これはルートの公開ぐらい当たり前じゃないですか。  今、イタリアのことを言われました。これはインターナショナル・ヘラルド・トリビューンの報道でありますが、イタリアでは何が問題になっているか御存じでしょうか。イタリアでは、イタリアでも全部この低空飛行のルートは明らかになっている。ここにも、地図にもはっきりあります。明らかになっている上で、そのルート図にロープウエーのケーブルが記載されていたかどうかが争いになっているんですよ。  アメリカだけではありません。低空飛行のルートは、ヨーロッパでも明らかにされています。このさっき言ったカタログ、アメリカの国防総省のカタログを見ますと、ヨーロッパ地域、北アフリカ地域、中東地域、これは低空の地図も全部カタログ販売で売っていますよ。本当にこれは日本だけ、こんな、公開さえしていない。  これは総理に伺いたい。  私たちは、低空飛行訓練というのは危険な訓練、これはきっぱり中止を求めるものでありますけれども、まず、公開ぐらいアメリカに、総理、これを求めるつもりはありませんか。
  247. 高野紀元

    ○高野政府委員 今の点、イタリーの事故に関しては、私ども、その事実関係、事故原因等について、米側に対して説明を求めるよう要求しております。  日本における低空飛行の問題につきましては、今回の事故を踏まえまして、私どもとして何ができるか米側と話し合っていきたいということは、既にアメリカ側と話し合いをしておりまして、今の先生の御指摘を含めまして、今後のアメリカ側との話し合いをしていきたいと思います。
  248. 志位和夫

    志位委員 総理に一言だけ。  今、含めましてという答弁がありました。では、この問題、検討しますね。総理、含めましてと言いました。
  249. 高野紀元

    ○高野政府委員 今回のイタリーの事故を踏まえまして、日本側としましても、アメリカ側とこの問題について、この安全問題について、どういうことができるか話し合いたいと考えております。
  250. 志位和夫

    志位委員 含めましてということを言われましたので、私たちはこの問題について、危険な訓練の中止を要求するけれども、この公開という問題、要求中の最小限のことですから、これはきちっとした対応を求めたい。  私は、今NLPといい、低空訓練といい、日本米軍基地の実態というのは、まさに植民地的と言えるような実態ですよ。あの名護の問題、時間がなくなってお聞きすることができなくなりましたが、この沖縄の基地についても、ああいう結果が出たら、名護での住民投票のああいう結果が出て、大田知事もきっぱり受け入れは拒否というのならば、これは無条件で撤去の交渉をするのが当たり前です。アメリカに対して物が言えない、そんな基地国家の現状に二十一世紀まで甘んじるわけにはいかない。
  251. 越智通雄

    越智委員長 質疑時間が終了いたしております。
  252. 志位和夫

    志位委員 私は、安保条約をなくし、基地のない日本を目指すという決意を申し上げまして、質問を終わります。
  253. 越智通雄

    越智委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。  次に、秋葉忠利君。     〔委員長退席、伊藤(公)委員長代理着席〕
  254. 秋葉忠利

    秋葉委員 社会民主党の秋葉忠利でございます。  本来であれば、伊藤茂幹事長がこの場で質問に立つはずでしたが、体調を崩しまして、ピンチヒッターということで質問をさせていただきたいと思います。  もう既にこの予算委員会での質疑の中にも、再三、我が国が直面するさまざまな問題の指摘が行われてまいりましたけれども、一言で現在の状況を表現するとすれば、不信と不安の時代と言っても過言ではないような気がいたします。かつては一流だと言われた経済、その中でも一番かたいと言われていた銀行の不祥事、あるいは日本を指導しているのだと言われた官僚の不祥事、そういったことも含め、さらには政治の面でも、政党の支持率の中では無党派層が常にトップを占めるといったような形で、政治も経済も、そして学校も社会も、何から何まで不信の原因になっている、そんな状況があるような気がいたします。  私たち政治の現場からこういった不信感を一掃するようなメッセージを、これは言葉だけではなくて、行動等によって出していくことがやはり一番必要ではないかと思います。特に子供たちやあるいは若い世代に対する新たな希望のメッセージ、希望の言動ということが、今一番必要なのではないかというふうに思います。  景気の問題にいたしましても、最優先されるべきだと私が考えているのは、やはり政治に対する信頼の回復だと思います。この予算委員会でも再三指摘されたイラク査察、それからアメリカ武力行使の可能性の問題にいたしましても、やはり政治が、あるいは政治家がきちんとかじ取りをしている、その結果としてきちんとした外交的な結末が得られた、そういった信頼感がきちんとした姿で伝わるというのが一番大事ではないか、そんな気がいたしております。そんな観点から、何項目かについて質問をさせていただきたいと思います。  予算委員会には、私たちの社民党では上原康助議員それから北沢清功議員がいらっしゃいますので、それぞれお得意の分野がございますから、そういった点は後ほど上原議員北沢議員等にお任せすることにして、何点か、現在焦点になっている問題について質問をしたいと思います。  まず最初に、イラクの問題ですけれども、即時、無条件、無制限査察イラク側が応じるということで、アナン国連事務総長努力によって、アメリカ武力行使は回避された。大変結構な結果になったというふうに思います。  この最終決着ですけれども、一番最後の段階では、やはりアメリカアナン事務総長調停案に対してイエスと言うかどうかが大変大きな焦点になりました。その時点でクリントン大統領は、ロシアのエリツィン大統領、それからイギリスのブレア首相、フランスのシラク大統領にそれぞれ電話をかけて、各首脳と協議をした後、ホワイトハウスで声明を発表いたしました。  この問題について、日本でもさまざまな外交努力をしてきたわけですけれども日本政府に対しては、いつ、だれから、どのような形で連絡があったのか、それは、アメリカの声明の前なのか後なのかという事実関係をまず伺いたいと思います。
  255. 小渕恵三

    小渕国務大臣 イラクをめぐる情勢につきましては、クリントン大統領と橋本総理との間の書簡のやりとり、その他経過を経まして、今日まで連絡を密にいたしてきたところでございますが、本問題につきましては、現在、米国側から連絡を正式にお待ちいたしておるということでございます。
  256. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変恐縮ですが、私、ちょっと今、細かいデータを持ち合わせませんので、政府委員から補足させることをお許しいただきたいと思います。  特に、現地からの連絡は内報として受けましたが、我々として正式に知ったと対外的に申し上げるべき時間は、安保理におけるアナン事務総長報告の時点ということが公式の時間であろうと存じます。  その上で、事前の通報につきましては、事務当局から報告をすることをお許しいただきます。
  257. 高野紀元

    ○高野政府委員 今の件に関しましては、ニューヨークの国連代表部及びワシントンの日本大使館を通じまして、随時緊密に連絡をしております。
  258. 秋葉忠利

    秋葉委員 そういたしますと、総理大臣あるいは外務大臣にクリントン大統領から直接電話があって、アナン国連事務総長がこういう形で調停案を持って帰ってきたけれどもアメリカはこれに満足である、それについて日本としては支持をしてもらえるのか、あるいはもうちょっとこれについては条件をつけた方がいいのかといったような相談は、アナン事務総長国連安保理で正式に報告をする以前、そのようなハイレベルといいますか、における接触はなかったということで、確認をさせていただきます。
  259. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 アナン事務総長のバグダッド訪問の前及び訪問滞在中、その動向につきまして、及び彼が持ってきました案の内容につきましては、我がワシントンの大使館及びニューヨークの国連代表部が緊密にいろいろなレベルでアメリカの代表部、国務省の方々と連絡をしておりました。  それから、今具体的にお尋ねの、まとまりました案、イラク側とどういうふうにまとめていくかということにつきましては、やはりニューヨークの国連代表部におきまして、小和田大使に対してそれなりの内報があった、こういうことでございます。
  260. 秋葉忠利

    秋葉委員 済みません、そんなに難しいことを聞いているつもりはないんです。おまんじゅうを食べたのかどうかを聞いたら、何か、いやカレーライスは食べました、ステーキも食べましたというような答えで、おまんじゅうを食べたかどうかということだけ聞いているので、総理外務大臣に対して接触があったかどうかということを確認しているんです。なかったんですね。もう一度、イエスかノーかではっきりとお答えください。
  261. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 ただいまのお尋ねの具体的な点については、そのルートでの通報はございません。
  262. 秋葉忠利

    秋葉委員 最初から、確認をしたときにきちんと、イエス、ノーで答えられることはぜひお答えください。  その上で、次の質問をしたいと思います。  一応、現時点では武力行使は回避されました。大変結構なことだと思います。しかしながら、これはアメリカのメンツもあり、イギリスのメンツもあり、アメリカはペルシャ湾岸におけるアメリカの兵力は駐留させると言っております。大ざっぱに考えて、それは通常の兵力の二倍、しかも、これは新聞にも詳細に報じられているように、日本の基地からもそこに出動しているという事態であります。これから先、イラク査察に応じなければ、今は応じると言っていますけれども、何らかの不祥事があれば武力行使は行われるであろう、そういった予測ですし、アメリカもイギリスもその趣旨の発言をしております。  それに関連をして、そうなると、この費用をだれが持つのかという問題が生じてまいります。これまでの時点で、日本政府に対して、この米軍行動についての費用負担の依頼があったかどうか、イエス、ノーでお答えいただきたい。  それから、あったとして、あるいは今後そのような支援要請、経済的な支援要請があった場合には、この費用負担に応じるつもりなのかどうか。あるいは、費用だけではなくて、後方支援ということが考えられますけれども、それについての日本政府としての態度は、もう既にアメリカに表明済みなのかどうかを伺いたいと思います。
  263. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今回の問題につきましては、我が政府としては、あくまでも外交的手段によってこの問題を解決したいということで努力をいたしてまいりました。したがいまして、アメリカ側からそうしたことに対しての要請というものはございません。
  264. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。  アメリカ側から軍事支援の費用負担を求められたことはない、後方支援を求められたこともないという明快なお答えで、そのアメリカの態度が続くことを期待しておりますけれども、少なくとも、例えば今回のアナン事務総長調停案についての引き受け方にしても、これまで外務省が、私は与党の政策調整会議の中で外務省の皆さんからの説明を聞きながら、なぜこれほどまでにアメリカ立場をほぼ一〇〇%代弁しなくてはいけないのかという感想を持ちました。それほどアメリカ立場に理解を示し、そして支援をしてきた日本に対して、非常に重要な時点で電話の一本もない。こんなことでは、やはり日米間、日本が軽んじられているという悔しい気持ちを持つのは私だけではないと思います。  そういったことについても、やはりきちんとした対応をすることが、これからの日本の平和外交を推し進める上でも非常に大事だと思います。そういった点も踏まえて、今後とも、軍事費の負担あるいは後方支援ということについては、そんなことはできないんだとはっきりと言い続けられることをお願いいたします。  三つ目の点に移りたいと思いますが、アメリカ武力行使を思いとどまった原因というのはいろいろとあります。直接的には、アナン事務総長の調停が功を奏した、合意を得ることができたという点ですけれども、それ以外にも重要な点が幾つかあると思います。その一つが、やはりアメリカ国内における反対の世論だったと思います。  特に私が、このニュースをCNNを中心に見ましたけれどもアメリカの社会における民主主義が機能しているという感を深くいたしましたのは、少なくとも私の数えた限りでは、三つか四つの場所で、タウンミーティングというような会合をアメリカ政府の高官が開いているということです。  十八日には、オハイオ州のコロンバス、これはアメリカ最大の大学の一つであるオハイオ州立大学のある場所ですけれども、ここで、オルブライト国務長官、それからコーエン防衛長官、それとバーガー大統領補佐官ですか、その三人が出席をして、タウンミーティングと称する対話集会を開いています。  それから十九日、翌日には、これはテネシー州立大学と南カロライナ大学、この二つは近いといっても日本の距離感覚からいえば随分遠いところですけれども、ここでオルブライト国務長官がやはり大学生を相手に政府の方針についての説明をしている。それから二十日には、リチャードソン国連大使がミネソタ大学で同じように対話集会を開いている。  皆さんもごらんになったと思いますけれども、こういった集会では、もちろんデモもありました、やじもありました。若い人たちが、主に大学生が非常に多く出席していましたから、その中である程度過激な行動が出るのは仕方がないと思いますけれども、しかし、そういった中で、政府の高官が熱心にアメリカの政府の立場を若い人たちに一生懸命説いた、何とか説得をしようとする努力をした。若い人たちも、あるいはその大学の先生方も、それにこたえて一生懸命聞いた、そして議論をした。  そういった姿というのが、私は、この非常に大事な時期、十八、十九、二十日、少なくともその三日間アメリカの中の主要な大学で行われ、そのことがアメリカ外交方針の決定に大きな影響を与えたということが、とても大事な点だと思います。  私は、日本でも重要な問題に関しては、政府の高官、総理大臣お忙しい、それから大臣の皆さんがお忙しいことは百も承知ですけれども、しかしやはり全国の大学に出かけていって、あるいは子供たちに対して、政府の中心人物が、今政府は何をやろうとしているのか、なぜなのか、やじられても、そういった場所でひざを突き合わせて議論をするという姿勢を示すことこそ、日本の将来にとって大事なことではないか、そう思います。  特に私が頭に置いているのは、沖縄の問題です。沖縄の問題は、県民投票がありました、それから市民投票もありましたけれども、それは一方的な投票で、市民の側からの、県民側からの意思表示です。それも大事です。ですから、ぜひそれは尊重していただきたい。  それと同時に、例えば、橋本総理が沖縄に出かけていって、県民の皆さんとひざを突き合わせてきちんとした対話を行う。それを全国でテレビを通して、同時に日本の市民、有権者、納税者、子供たち、みんなが見て、それに何らかの形で参加をする。  オリンピックがあれほど人気が出たというのは、ただ単に、やっているということが、選手だから、すばらしく速いからということではなくて、たくさんの人がそういう形で参加をする気持ちを持ったというところが大事だと思います。  政治のプロセスでも同じようなことが大事なんじゃないか。特に現在は、普天間の基地について、そして沖縄の将来について、特に基地の縮小あるいは整理、そういったことで非常に重要な決定をしなくてはならない時期ですから、アメリカの例に倣うと言わなくてもいいですけれども、若い人たちに政治がいかに大事かということを示すための具体的な行動として、こういった対話集会、学校の中でもいいですし、より広いところでもいいと思いますが、始められる気はお持ちにならないでしょうか。  橋本総理に伺いたいと思います。
  265. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、議員のお話を伺いながら、改めて、大変寂しい感じを受けております。  議員から今アメリカの例を引いてお話をいただきました。一昨年この職につきましてから、私は、沖縄県に何遍か足を運びました。その中には、基地所在市町村長の皆さんとの懇談のための場もございました。そして、当然ながら、忌憚のない意見のやりとりもいたしました。また、沖縄コンベンションセンター、一昨年の九月であったと思いますが、県民に語りかけさせていただく場面もつくらせていただきました。昨年の八月には、日本青年会議所の沖縄地区協議会が中心になりまして、沖縄県全体の青年と語り合う場面もございました。そして、十一月の沖縄復帰二十五周年の記念式典に、これも自分なりの思いを語ってまいりました。若い方、お年を召した方含めまして、少なくともアメリカを例にする以前に、沖縄県には私は何回か足を運び、私なりにできるだけの語りかけをしてきたと思います。  ただ、これからもそうした機会があれば、ぜひお目にかかりたいと思いますし、殊に今、沖縄県の修士課程、博士課程の若い諸君が海外に出ていく前に、彼らと話し合いをしたことも大変楽しい記憶でありますが、こうした若い人々がふえてくれることも期待をし、対話の機会も持ちたいと思っております。
  266. 秋葉忠利

    秋葉委員 今おっしゃったような会合を持たれているのは大事だと思いますけれども、一体、そういった会合で、政府の方針に反対をする人たちが自発的にそういった場に出かけ、そして自分の言葉できちんと、総理に対して率直に、私たちが例えば街頭に立って聞くような話を自分の言葉で総理に対して語りかける、あるいはやじったりするということもあっていいと思いますけれども、そういった反対派の、橋本総理とは違う考えを持つ人たちが自由に参加できる環境だったかどうか、私は大変疑問に思います。  アメリカの例を引くと、またおしかりを受けるかもしれませんけれども、こういった会に参加をする人は、事前に選択をされる人々ではありません。しかも、特定のグループがこれをオーガナイズするということではなくて、非常に中立的な組織が大体オーガナイズをする。例えば大学といったところがスポンサーになって、自由な意見の交換ができるようになる、そういったところが大事な点だと思います。  その会合がどういう意味を持つかということは、ですから、例えばCNNによってこれが世界的に配信をされて、世界じゅうの多くの人たちが、例えばオハイオ州の会合については、アメリカの民主主義が機能しているという評価を下しているというところで判断をされるべきだと思います。  こういった問題について、私は、外務大臣それから沖縄開発庁長官、沖縄振興策というのも大事ですから、こういった問題について対話集会をこれからどこが開くのかということも問題ですけれども、例えば、地元のマスコミがスポンサーになって開くといったような、中立的な立場の対話集会といったものに参加されるお気持ちがあるのか。あるいは、政府の側から働きかけて、公平中立な第三者をきちんとモデレーターとしたような新しい対話集会によって、若い世代にメッセージを伝えていくようなお気持ちがおありになるか、伺いたいと思います。
  267. 小渕恵三

    小渕国務大臣 いかなる場所であれ、政府で考えておりますことをお知らせし、理解を求める努力は必要だというふうに考えております。  今先生御指摘のように、中立的なといいますか客観的な、いろいろ考え方を十分申し述べて、その御判断をいただけるような会合であれば、喜んで出かけたいと思います。
  268. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 与党の一員の秋葉先生の御意見でありますから、検討させていただきたい、こう思います。
  269. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございます。与党だからということで御賛成いただいて、それはそれなりに大変ありがたいと思います。ただし、与党でも野党でも、いいアイデアだったらどんどん取り上げて実行していただく方がよりよい選択だと思いますので、そのことをお願いしたいと思います。  対話集会というのは、直接顔を合わせて話し合うチャンスですけれども、対話以外にもさまざま意見の交換をする手段はございます。もちろんその中には、最近ではインターネットを使うということが大変はやっていますけれども、そのほかにもファクスを使うとか、電話を使うとか、そういったさまざまな手段によって、私は、アメリカのタウンミーティング形式、それにかわれないまでも、定期的にあるいは継続的に行うことによって、十分効果を発揮し得る技術的な可能性があるというふうに思います。  そのことに関連して、例えば社民党では、大蔵省腐敗に怒るホットラインというのを二月の四、五、六の三日間、特別の電話を引いて、それと、ファクスの機械を設けて実施いたしました。全部で三百十件の電話と五十件のファクスが入ってきて、大変参考になる意見がたくさんありました。  首相官邸では、これに関連して、インターネットを使ってホームページをつくっているということを聞いております。現在までの利用状況、大体一日に何件ぐらいアクセスがあって、その中で、例えば直接総理が市民からの質問に対して答えるというようなところまで、大変お忙しいでしょうから無理かもしれませんけれども、そういった配慮もされているのか、そのあたりのホームページの現状についてお聞かせいただきたいと思います。
  270. 上村知昭

    ○上村政府委員 お答え申し上げます。  官邸のインターネットにつきましては、広く国内また国外の方々に官邸の動きというものを御紹介するという目的で、これは村山内閣当時の平成六年八月よりホームページを開設いたしております。そして、橋本内閣におきましても、総理から強い御指示がございまして、私ども懸命にその充実に努めているところでございまして、最近は大変その利用も急増をいたしてございます。ここ半年間の平均でございますが、月当たり約二百万件を超える状況でございます。  また、官邸ホームページにつきましては、平成八年一月から、先生のお話にございましたように、広く国民の方々からの御意見をいただくコーナーを設けておるところでございますけれども、日々多くの御意見を国の内外からいただいております。  それからまた、この御意見についての返事はどうだ、こういうことでございますけれども、大変総理御多忙でございまして、直接お答えというのは大変難しゅうございます。私ども内閣広報官室として可能な限りのお答えをいたしますとともに、関係省庁にその御意見を通知、連絡を申し上げまして、できる限りお答えをいたしているようにしているところでございます。
  271. 秋葉忠利

    秋葉委員 大変な数のアクセスがあるようですので、やはりこういった形でもどんどん、広報だけではなくて、双方向の意見の交換ができるような形をぜひ考えていただきたいと思います。  私たちが行いました大蔵腐敗についてのホットライン、いろいろな御意見が寄せられましたけれども、やはりその中で一番多かったのは、公務員倫理法をつくって厳しい法律的な枠組みを行うべきだ、そういった御意見でした。公務員倫理法をつくろうという橋本総理のかけ声で、現在、与党でも、それから政府でも検討をしているところですけれども、実はこれについて、やはりただつくればいいというものではありません。それで、それについて、背景と、それから今後の方針について何点か伺いたいのです。  私は、大蔵委員でしたので、この間、大蔵委員会において、不祥事をずっと見守ってまいりました。それから、社会民主党の中では疑惑解明プロジェクトというものをつくって、大脇雅子参議院議員、それから保坂展人衆議院議員が中心になって、さまざまな問題について詳細な調査を行いました。  驚いたことに大蔵省、これはほかの省庁も同じだと思いますが、少なくとも私の知っているのは大蔵省なんですが、大蔵省では実にたくさんの倫理規程あるいは通達、そういったものをお出しになっています。これを改めてずっと眺めてみるとびっくりするのですが、過去十年あるいは過去五年ぐらいの間に大体どういったような種類の通達や訓令といいますか、あるいは新しい倫理規則ができているのか、大ざっぱで結構ですから、お教えいただきたいと思います。
  272. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 まず、直近から申し上げますと、平成八年の十二月に大蔵省の倫理規程をつくりました。これは現在でも守られておるといいますか、適用されているものでございますけれども、公務員全体につきまして倫理規程をつくるという内閣の御指示に基づいて、大蔵省としてつくったわけでございます。  その前に、平成七年の五月に大蔵省の通達をつくりました。これはいわゆる田谷、中島事件というものを契機といたしまして、大蔵省独自につくったものでございます。その前には、昭和五十四年にやはり通達をつくりまして、当時鉄建公団事件ということがあったために、その反省を踏まえてつくったものでございます。  以上でございます。
  273. 秋葉忠利

    秋葉委員 今、リストの中に入っていませんけれども平成七年、一九九五年の三月には紀律保持委員会というのを設置されています。それから、ことしの一月には金融服務監査官、それから一月のその翌日には紀律保持委員会の組織改正というのをおやりになっている。  そういうのを含めますと、大体九五年ぐらいから、ざっと見ただけで、重要なこういった問題についての訓令を出したり通達を出したりというのは五件。九五年から九八年ですから、三年間に五件。一年に二つとまではいかないけれども、随分たくさん出している。残念なことは、これだけたくさんあっても、余り守られてこなかったというところだと思います。  やはり、なぜなのか。これは、私は批判もしたいと思いますが、同時に、なぜなのかということを一緒になって考えて、その原因に対するきちんとした対策を行うということも大事だと思います。ということで、大蔵省としては、これはなぜ守られなかったというふうに、どういうふうに認識されているのか。簡単で結構ですから、お願いいたします。
  274. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 大蔵省では、ただいま申し上げましたように、綱紀の保持ということでいろいろ努力をしてきたわけでございますけれども、緊張感に緩みが生じることもあったのではないかというふうに、今反省をしております。  大多数の職員は一生懸命仕事をしているということだとは信じておりますけれども、さらに職員一同気持ちを引き締めまして、仕事に励んでまいりたい、そのように考えております。
  275. 秋葉忠利

    秋葉委員 実は、私は、こういった規則、確かに九六年の十二月にできた大蔵省の職員倫理規程、これは各省庁横並びでつくられたもののようですけれども、内容としては非常に立派なものができていると思います。  しかしながら、こういったものも守られなかった。内部の規則ですから強制力がない、そういったこともあると思いますが、しかし、より根本的な理由があるのじゃないかというような気がしております。それは、我が国の社会全体の中にある理念といいますか、共通の価値観と言った方がいいのかもしれませんが、そういうところにも問題があるのではないかと思います。  例えば、こういった問題についてアメリカの法制度を見てみますと、その中には、こういった規則をなぜつくらなくてはいけないかという理由が必ず述べられているわけです。その理由の中に出てくる言葉として、一番頻繁に出てくる言葉だと言ってもいいと思いますが、これは英語で言うとコンフリクト・オブ・インタレストという言葉が出てまいります。  日本語の訳語はあります。利益相反とか利益抵触とかいう言葉で、例えば検査をする側がされる側に接待を受ける、これが利益相反、利益抵触ということなのですが、あるいはもっとわかりやすい例としていつも引かれるのが、泥棒がそのまま裁判官になってみずからを裁くというのがもっとわかりやすい例だというのですが、どっちが泥棒で、どっちが裁判官だという議論になってしまいますので、それはさておいて、ともかくこういった概念で、例えばアメリカの大学の中でこういった倫理の問題について議論をするときには、大体この言葉が飛び交うというのが通常です。言葉が飛び交えばそれでいいということではありませんが、日本社会には、概念として、考え方として、価値観として定着していない言葉ではないかと私は思います。  かつてプライバシーという言葉、三十年前、四十年前の日本社会にはプライバシーという言葉がありませんでした。初めてプライバシーという言葉が出てきたときには、やはりこの言葉について新聞が大々的に報道して、ようやっと四十年ぐらいたって定着しているわけですけれども、この利益相反あるいは利益抵触という考え方についても、やはり概念として、それは公の立場にいる人間としては、そういう行動をとっちゃだめなんだ、制度としても、利益相反が組み込まれているような制度はつくっちゃだめなんだということがもっと徹底されなくてはいけないのじゃないか。  そういう観点から伺うのですが、この公務員倫理についての議論をする中で、あるいは閣議でも結構ですし、あるいは政府の各部局でも結構ですけれども、利益相反とか利益抵触という言葉が出てきたかどうか、それを伺いたいと思います。総理、いかがでしょうか。
  276. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 こういう議論が多少ともに出てきましたのは、非常に最近のことだと思います。そして、私自身、一番最初に遭遇をいたしましたのは、前回、私が大蔵大臣辞任するに至りました証券不祥事の前後に、検査体制との問題でこの言葉を初めて耳にいたしました。  そして、そのときも考えたことでありますけれども、やはりこういう言葉がアメリカの公務員倫理規定、法令においても非常に重要な意味を持つ。これは、政府と民間との間の職場移動が頻繁であって、その移動に対しては寛容である。そのかわり、その間におけるバリアというものに非常に厳密な考え方を持つ。  私は、アメリカの職場の移動が自由、頻繁であり、外部での職探しということと、やはり利益の衝突が常に予想される社会というものから生まれてきた概念なのかな、率直にその当時感じました。そして、終身雇用制の定着している日本において、果たしてこういう概念はどういうふうに組み立てられるのだろうという感じを持ったことは事実であります。  ただ、今日、だんだん日本の雇用慣行も変化をしようとしていく場合に、これから先、こうした問題点も考えに入れていかなければならないのではないだろうか。  また、必ずしも我が国の公務員制度にどう位置づけられるかわかりませんが、法制局長官に教わりましたのでは、国家公務員法などにおきまして、例えば、公務員が全体の奉仕者であることを憲法上定めている、あるいは公務員の私企業からの隔離を定めている、こうした概念の延長線上にあるものかという思いを持っております。
  277. 秋葉忠利

    秋葉委員 まさに、その全体の奉仕者としての公務員の立場ということと、特定の利害関係を代表してしまうということとの間に非常に相入れない矛盾が生じるわけで、そういった矛盾を生じさせないような制度をつくるべきだ、そこのところが実は非常に大事な点ではないかと思います。改めて、この問題については、ほかのさまざまな面で私なりにPRを続けていきたいと思っております。     〔伊藤(公)委員長代理退席、委員長着席〕  もう一つ、立派な規則があるのに守られなかった理由の一つというのがあるのですが、立派な規則というのは大蔵省でつくったものだけではありません。国家公務員法の十七条というのがありますが、これは人事院の権限を定めている条項ですが、「人事院の所掌する人事行政に関する事項に関し調査することができる。」これが十七条です。それから、二十二条には「人事院は、人事行政の改善に関し、関係大臣その他の機関の長に勧告することができる。」というのも、これまた重要な項目だと思います。  今度は八十二条には「免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。」これは懲戒処分として、例えば、法律あるいは法律に基づく命令に違反した場合、職務上の義務に違反し、職務を怠った場合、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合などという項目もあり、百十条にはそれぞれ罰則が決められております。法律としては既にこういった法律がある。  これまで問題になってまいりました、例えば大蔵省の職員のさまざまな問題についても、この国家公務員法、今申し上げた十七条、八十二条、それから二十二条、百十条を適用すればきちんとした処置もできるし、調査もできたはずであります。  人事院にお尋ねいたしますけれども、今までこういった法律の条項を使って、具体的に公務員の不祥事についての摘発を行ったことがあるかどうか、伺いたいと思います。
  278. 中島忠能

    ○中島政府委員 国家公務員の不祥事に関連いたしまして調査をする、あるいは懲戒処分等をするということにつきましては、今先生がお話しになりましたように、各任命権者である大臣、それと並びまして人事院に、現在の国家公務員法上は権限が与えられております。  ごく最近までは、各任命権者である大臣が内部調査をなさり、そしてそれに基づいて懲戒処分をなさっておった。そして、そのことについて国民から批判されるということがほとんどなかったわけですが、ここ数年の状況を振り返ってみますと、不祥事が幹部職員に多くなった。そうしますと、幹部職員の場合には、どうしても内部調査というものが甘くなる、あるいは懲戒処分についてもその厳正性が疑われるということであろうかと思います。  そういうときに、今おっしゃいましたような各条文が注目されるわけでございますけれども、そういう条文を行使する場合の各任命権者と人事院との間の役割分担、そして権限を行使する場合の調整ということに関する規定というのが不十分でございます。  したがいまして、現在議論されております新しい倫理法というものの制定に当たりましては、そのあたりの調整、そのあたりの役割分担というのをきっちり決めていただく、そしてまた、そういうような主張を私たちもしてまいりたいというふうに考えております。
  279. 秋葉忠利

    秋葉委員 それはそれで結構なんですが、ちょっと言いわけの面が目立つように思います。  二十二条は「人事行政の改善に関し、関係大臣その他の機関の長に勧告することができる。」今おっしゃったようなことは、その問題についてきちんと把握をなさった時点で人事院として勧告をして当然である、そのために二十二条がある。しかし、それは今までやってきていないということですから、二十二条を生かしていないという面は、これはやはりきちんと認識をしていただきたいと思います。  その上で申し上げますが、要するに、今おっしゃったことをもう少しわかりやすく言えば、枠組みはあるけれども、具体的にその枠組みを生かすだけの制度的な整備が行われていなかったというふうに解釈することが可能だと思います。したがって、公務員倫理法の中心的な役割というのは、人事院を含めた、国家公務員法に定められた規則が十分機能を発揮するようなメカニズムをつくることであるというふうに規定をしたいと思います。  この公務員倫理法について総理に一言、改めて伺いたいのですけれども努力をするということではなくて、今国会中にともかく、いろいろ問題はあるけれども、これを成立させるんだという決意を改めて伺いたいと思います。
  280. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今までもそうした思いで御答弁を申し上げてまいりましたし、与党三党の御協力も得たいとお願いを申し上げてまいりました。  確かに今、具体的な法制度上の問題点に幾つか遭遇しておることは事実であります。例えば、新たに設けようとするこの公務員倫理法と国家公務員法あるいは刑法における罰則の整理をどうするかとか、いろいろな問題点があることは事実ですが、全力を尽くしますので、御協力をぜひ賜りたいと思います。
  281. 秋葉忠利

    秋葉委員 この点については、与党も、野党も恐らく一致して協力して法制化を進めることができる分野だと思います。  それから、これに関連して、最近、株と政治家の問題が脚光を浴びておりますけれども、社民党は、これまた公務員倫理法のところでも、社民党の立場がほかの党の立場と違う点が一つございます。  それは、公務員倫理法の中でも公開義務を中心としているのが、これは自民党も含めてと言っていいんだと思いますが、各党の態度ですが、社民党は、公開義務ではなくて、接待その他はすべて禁止をしなくてはいけないということを基本に考えております。  その理由は、先ほど申し上げました疑惑解明プロジェクトで一年以上、一年半ぐらいになりますが、詳細に幾つかのケースについて調査をいたしました。  情報公開だけではとても間に合わないようなひどいやり方でいろいろな不祥事が起こっている。不祥事というより、もうこれは汚職と言った方がいいと思いますが、汚職が起こっている。それを防止するためにやはりきちんと禁止をしなくてはいけない、それが私たちの立場でございます。株についても、原則として禁止するという立場で私たちは臨んでおります。  この点に関して、実は非常に力強い援軍のいることがわかりました。これは橋本総理のお父上の橋本龍伍氏、こういうことを言っていらっしゃいます。国家公務員にせよ、政治家にせよ、株は持つべきではない。公務員も政治家も、一般の人が手に入れることのできない情報にしょっちゅう接する。その人間が株を扱ってはいけない。もし知っている情報を使わなかったと言い張っても、あらぬ誤解を受けるということをおっしゃっています。  私は私なりに解釈して、一番最後のところは、知っている情報を使わなかったと言い張っても、それを証明することはほとんど不可能だという意味だというふうに解釈しているのですが、やはり政治家の場合には、李下に冠を正さずという基準を当てはめるべきだというふうに思います。  総理に伺いますけれども、株の問題について、基本的には株は持つべきではないというふうにおっしゃっているお父上のお考え、どういうふうにお思いになるでしょうか。
  282. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに私の父はそう私にも申しておりましたし、没後調べましても、郷里の関係の幾つかの名義的に持っております株以外の株を保有しておりませんでした。私も、自分が青春を過ごしました会社の社員当時取得をしました株を、今も思い出で持っておりますが、そのままの状況が続いております。  そして、私は、これから先も恐らく株取引というものをするとは、それだけのまた才能もないだろうと思いますが、これは私の父なり私の考えであり、一番大事なことは公明性、透明性を持つということ、言いかえれば、その取引を明らかにするということが一番大事なのではないかと私は思います。
  283. 秋葉忠利

    秋葉委員 現実の問題はおっしゃるとおりだと思いますが、一番大切なところは、もちろん透明性も大事ですけれども、私が先ほど申し上げました、利益相反関係を内側に組み込んでしまっているような制度をつくるべきでないというところが一番大事なところだと思います。  今おっしゃったようないきさつで、例えば株を持っている政治家というのは多い。政治家は全部株を持ってはいけないというところは、やはり私も現実的には難しい規則になると思います。  となると、例えば株が日常的に扱われているアメリカにおける制度、これは実はレーガン大統領のときにレーガン大統領が、アメリカの法律で定められているブラインドトラストという方法、つまり、信託をするのですけれども、信託をしたその相手がだれだかわからない。つまり、信託をして資産を運用してもらうのですけれども、その人に連絡がとれないという形で、完全に運用とそれから株の保有者、政治家との間が切れているという制度でございます。  問題になるのは、例えばそんなことをして資産が減っちゃったらどうするんだ、困るじゃないか、確かにそういう懸念はあるのです。レーガン時代にこれが有名になった理由というのは、このブラインドトラストという制度を使って、レーガン大統領はこれを第三者に委託しました。その結果、彼の場合は八年間ですけれども、たったら、資産が一万何千ドルか減っていた。減って大変じゃないかということで話題になったのですが、しかし、あえてそういう危険を冒してまで、きちんと、先ほど申し上げました利益相反、そういったものを内在している制度をつくらないんだというところが、実は非常に大事じゃないかと思います。  そういったことをモデルに、与党の中でも、あるいは全国会の中で、この問題について議論を続けていきたいと思います。  次の問題に移りたいと思います。  少々時間が迫ってまいりましたので、一点か二点に絞って私の方から問題提起をさせていただきたいと思います。  景気の問題なんですが、実はこの問題について、「世界」の三月号に、東工大教授、大阪大学教授の小野善康先生が、大変私にとっては説得力のある論を展開されておりました。それは、金融というものの役割について、金融は消費願望とそれから金持ち願望という二つの願望を満たす役割を担っているという観点から、いろいろな提言をされているわけですけれども、これはちょっと説明していると時間がなくなっちゃいますから、「世界」の宣伝をしているわけではありませんが、ぜひ「世界」の三月号でお読みいただくとして、その中の提言の一つにこういうことを言っているのです。  「民間企業に望まれることは、自己の持つ資源のリストラではなく、それを活用して、皆がほしがるものを開発供給することなのである。そうすれば、資産価値が縮小していても人々はそれを買おうとし、その企業の株価は上昇し、信用創造と株価上昇の両面を通して、流動性が拡大する。」つまり、リストラをするのじゃなくて、人が欲しがっているものが何かということを的確に把握をして、それをつくれということです。それからもう一つ、政府の役割としては、「民間では吸収し得ない余剰労働力を積極的に使って、意味のある公共財を供給することである。」これもまた非常に私は説得力のある主張だというふうに思います。  そこで、今、じゃ、一体どういうものを必要としているのかということを考えてみたのですけれども、その一つが、環境面でのさまざまなニーズだと思います。京都のCOP3はそれなりの成功をおさめましたけれども、このCOP3の中で、例えばCO2削減のための新しいエネルギー源、こういったことの重要性も強調されました。  それについて、実は通産省で、太陽光発電についての国庫補助、特に、個人住宅用の国庫補助をずっと続けてきておりますが、このところ、応募者数はふえているのですけれども、実際にこの国庫補助を受けている人の数がだんだん下がってきている。下がってきているというよりも、辞退者数、つまり国庫補助をもらえることになったけれども、実際に太陽光発電をしようとする段階になるとこれをやめちゃう人の数がふえてきた。  その理由は何かといいますと、これは一キロワット当たりの補助金が、制度の創設時と比べて、大体三分の一に減ってしまっているというところにあると考えられます。この点について、太陽光発電の、例えば二〇〇〇年、二〇一〇年の目標値というのがありますけれども、現在の普及率と比べると、とてもそれを達成することはできないと思うのですけれども、これは通産省ですか、資源エネルギー庁でしょうか、この閣議決定の目標数値と、それから現状との乖離について説明をお願いいたします。
  284. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 御指摘のございました住宅用の太陽光発電の補助金でございますが、平成六年度から開始をいたしまして、これはモニター制度で開始をいたしまして、平成八年度までに合計約三千五百軒の補助を実施いたしました。  御指摘のありました、辞退という言葉がございましたが、これは、このころ抽せん応募方式でやっておりましたものに該当するものがあったかと思います。  平成九年度からは住宅用太陽光発電の大規模な普及を目指しておりまして、予算額を抜本的に拡充をいたしました。平成九年度、これまでのところで五千軒を上回る申請がございます。  御指摘のとおり、個別の補助上限額は、これを開始しましたころ、六年度では九十万円でございます。九年度では三十四万円に下げてございますが、これは太陽光発電自身の価格が、平成六年度、キロワット当たり約二百万円、現在で百万円程度でございますので、そうした価格の低下による効果と御理解を賜りたいと思います。  一九九四年十二月に、総合エネルギー対策推進閣僚会議で、新エネルギー導入大綱が決定をされました。先生御指摘のございました二〇〇〇年度で約四十万キロワット、二〇一〇年度で四百六十万キロワットと設定をいたしてございます。  現在の実績が五万キロワット強でございますので、なかなかこの目標を達成する勢いは難しいところでございますが、今年度につきましても、秋以降、メーカーの生産ラインが六千台体制から一万六千台体制に移行をし、販売活動も強化をしておるというような状況でございますので、今後、この目標達成に向けて各般の措置をとってまいりたいと考えておるところでございます。
  285. 秋葉忠利

    秋葉委員 価格が下がったことは確かなんですが、今の、二百万円が百万円に下がったという、これは一キロワット当たりですが、その価格の中には恐らく取りつけ費、それから税が入ってないんじゃないかと思います。大体常識的には、二割も高い百二十万ぐらいということだと思います。  しかし、仮に二百万が百万に下がったとしても、その補助金の額を九十万から三十万に、三分の一に減らすというのは、やはりこれは奨励という観点から考えるとやり過ぎで、せいぜい五十万単位。普及、それとPRということを考えれば、やはりこれは、太陽光発電普及協会という善意の、非常に多くの皆さんがグループをつくって情報を交換したりして活動しているわけですけれども、こういった皆さんが今提案しているのは、大体八十万円、八十五万円という単位です。  毎年の辞退者が多いのは、余り実態がよくわからずに、例えばその機械の値段だけを考えて、補助金が幾らだからこれで大丈夫だろうというふうに考えて応募をするけれども、実際に取りつけの段階になってみると、取りつけ費があり税金があって、これじゃちょっとというような話です。  こういったことを改善して、しかも今のお話では、二〇〇〇年までに四十万キロワット、これ、大ざっぱに考えますと、一軒当たり四キロワットにしても十万戸必要ですが、とてもとても現在の三千五百という数字とはけたが違う。それを促進するためにも、例えば実際に補助をする軒数を減らしてでも補助金を上げた方が、これは予算を満額使えるんじゃないか。あるいは、これは予算が通ってからの話でいいと思いますけれども、こういった新エネルギーに対する補助金はもっと大幅に増すようにするといったことを当然考えるべきだというふうに思います。  その点についてぜひ御検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  286. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 今年度予算額を大幅に拡充いたしまして、百十一億円でございますが、大体当初予定九千四百戸の目標をしておりましたが、いろいろな単価が上がったことで約八千台がこの予算に対応する数字かと考えてございます。  先ほど五千台という数字を申し上げましたが、生産ラインが昨年の秋から拡充をされましたこと、販売活動を充実しておることということで、この八千台を目標として現在強力な販売活動を行ってございます。  この制度の目標は、大量生産によりましてコストを下げ、これによって普及に至るという行程を考えてございます。そういう意味で、今回八千台を目標としたコスト低下ということを目標に努力をしたいと考えてございます。
  287. 秋葉忠利

    秋葉委員 コスト低下も結構なんですが、やはりこれを大幅にふやすためには補助金の方が早道です。公共投資というのは、やはりこういうところにすることによって新しい時代に対するインフラも整うわけですし、環境のためにもいい。関心を持っている人が非常に多いということで、景気対策としても最優先されるべきものだというふうに思います。  そのことを再度お願いいたしまして、もう一件、せっかく預金保険機構の理事長に来ていただいていますので、新しくできました危機管理審査委員会の件について、一件だけ質問をさせていただきたいと思います。  審査委員会としては、委員が七名。その中で、実際にどういった金融機関に対して、救済ではありませんけれども、公的資金を与えるのかという審査を行うわけですが、その審査基準、一体いつごろまでにできるのか。それで、その審査基準は大体どういったものをお考えになっているのか。  さらに、これは経済的な側面だけではなくて、例えば、腐敗がある、不祥事によって批判を受ける、あるいは裁判によって既に銀行ぐるみで腐敗が摘発されているようなケース、そういった問題について、いわば倫理基準というものも含めた基準になるのかどうか、それとも経済的な側面だけなのか、その点も含めて、基準のあり方についての基準というとちょっと複雑ですが、御説明いただきたいと思います。
  288. 松田昇

    ○松田参考人 お答え申し上げます。  委員御案内のとおりでございますが、今回の法令によりまして、当機構に優先株の引き受け等につきまして申請を受けた後、金融危機管理審査委員会で議決を得るという手続が創設されました。その承認の議決を得るための基準、いわゆる審査基準の制定と公表がまた法的に義務づけられているわけでございます。  そこで、今月の二十三日に第一回の審査委員会を開催いたしました。まず、佐々波審議委員委員長に選任いたしまして、引き続き審査基準の検討に入っているわけでございますが、現在までのところ、固まっておりません。明二十六日の夕刻から再び検討を開始するという段階に入っております。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、審査基準あるいは経営の健全性の確保計画、それぞれ受け皿金融機関あるいは一般金融機関、法律に定めておりますいろいろな基準がございますので、それをさらに具体的な形で基準に置きかえて、内外の評価にもたえ、国民の皆様の評価にもたえ得るような基準づくりに励みたいということで、今専念しているところでございます。  なお、不祥事の絡みでございますけれども、これは、二十三日の委員会が終わりました後、佐々波委員長から記者会見でお答えしましたとおり、全員一致で、不祥事を起こした銀行だからといって今回の申請を受け付けないということはないという結論を出しております。
  289. 越智通雄

    越智委員長 質疑時間が終了いたしております。
  290. 秋葉忠利

    秋葉委員 時間が終わりましたのでこれで終わりますけれども、一言だけお願いしたいと思います。  これは金融機関に対する公的な資金が入るわけですから、それに対しては、ただ単に経済的に破綻した金融機関を救うのはだめだ、それから、倫理的に破綻している金融機関もだめだというのが国民の非常に強い世論ですから、その世論を十分勘案して、再考をされることをお願いいたします。  これで質問を終わります。
  291. 越智通雄

    越智委員長 これにて秋葉君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十六日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会