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1998-02-24 第142回国会 衆議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年二月二十四日(火曜日)    午前九時開議  出席委員    委員長 越智 通雄君     理事 伊藤 公介君  理事 石川 要三君     理事 中山 利生君  理事 深谷 隆司君     理事 山本 有二君  理事 五島 正規君     理事 高木 義明君  理事 北側 一雄君     理事 加藤 六月君        相沢 英之君     甘利  明君        江藤 隆美君     小澤  潔君        大原 一三君     河村 建夫君        栗原 博久君     阪上 善秀君        桜井  新君     関谷 勝嗣君        武部  勤君     津島 雄二君        東家 嘉幸君     中川 昭一君        中山 正暉君     能勢 和子君        野中 広務君     葉梨 信行君        萩野 浩基君     増田 敏男君        村田 吉隆君     村山 達雄君        目片  信君     綿貫 民輔君        岩國 哲人君     生方 幸夫君        岡田 克也君     鹿野 道彦君        海江田万里君     北村 哲男君        北脇 保之君     小林  守君        中山 正暉君     鳩山由紀夫君        原口 一博君     松沢 成文君        山本 有二君     上田  勇君        草川 昭三君     斉藤 鉄夫君        西川 知雄君     石垣 一夫君        鈴木 淑夫君     中井  洽君        西村 眞悟君     木島日出夫君        春名 直章君     矢島 恒夫君        上原 康助君     北沢 清功君  出席国務大臣         内閣総理大臣    橋本龍太郎君         法務大臣      下稲葉耕吉君         外務大臣      小渕 恵三君         大蔵大臣      松永  光君         文部大臣      町村 信孝君         厚生大臣      小泉純一郎君         農林水産大臣    島村 宜伸君         通商産業大臣    堀内 光雄君         運輸大臣      藤井 孝男君         郵政大臣      自見庄三郎君         労働大臣      伊吹 文明君         建設大臣      瓦   力君         自治大臣         国家公安委員会         委員長       上杉 光弘君         国務大臣         (内閣官房長官)  村岡 兼造君         国務大臣         (総務庁長官)   小里 貞利君         国務大臣         (北海道開発庁長官)                 (沖縄開発庁長官) 鈴木 宗男君         国務大臣         (防衛庁長官)   久間 章生君         国務大臣         (経済企画庁長官) 尾身 幸次君         国務大臣         (科学技術庁長官) 谷垣 禎一君         国務大臣         (環境庁長官)   大木  浩君         国務大臣         (国土庁長官)   亀井 久興君  政府出席委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房人事課長    洞   駿君         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室長  竹島 一彦君         内閣審議官     安達 俊雄君         内閣審議官     坂野 泰治君         内閣審議官     松田 隆利君         内閣法制局長官   大森 政輔君         内閣法制局第一         部長        秋山  収君         人事院事務総局         職員局長      佐藤  信君         総理府賞勲局長   安藤 昌弘君         地方分権推進委         員会事務局長    東田 親司君         警察庁長官官房         総務審議官     金重 凱之君         総務庁長官官房         審議官       瀧上 信光君         総務庁人事局長   中川 良一君         総務庁行政管理         局長        河野  昭君         防衛庁防衛局長   佐藤  謙君         防衛施設庁長官   萩  次郎君         経済企画庁調整         局長        塩谷 隆英君         経済企画庁調査         局長        新保 生二君         科学技術庁長官         官房長       沖村 憲樹君         沖縄開発庁総務         局長        玉城 一夫君         国土庁計画・調         整局長       河出 英治君         国土庁防砂医局長  山本 正堯君         法務大臣官房長   但木 敬一君         法務省訴訟局長   細川  清君         外務省総合外交         政策局長      加藤 良三君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官    阿部 信泰君         外務省北米局長   高野 紀元君         外務省欧亜局長   西村 六善君         外務省条約局長   竹内 行夫君         大蔵大臣官房長   武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融局長       黒田 東彦君         国税庁次長     船橋 晴雄君          文部大臣官房長   小野 元之君         文部大臣官房総         務審議官      富岡 賢治君         文部省生涯学習         局長        長谷川正明君         文部省初等中等         教育局長      辻村 哲夫君         文部省学術国際         局長        雨宮  忠君         文部省体育局長   工藤 智規君         厚生大臣官房総         務審議官      田中 泰弘君         厚生大臣官房障         害保健福祉部長   篠崎 英夫君         厚生省生活衛生         局長        小野 昭雄君         社会保険庁運営         部長        真野  章君         農林水産大臣官         房長        堤  英隆君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官         岩田 満泰君         通商産業省産業         政策局長      江崎  格君         通商産業省基礎         産業局長      作田 頴治君         中小企業庁長官   林  康夫君         中小企業庁計画         部長        中澤 佐市君         運輸省鉄道局長   小幡 政人君         郵政大臣官房総         務審議官      濱田 弘二君         郵政省貯金局長   安岡 裕幸君         労働大臣官房長   渡邊  信君         労働省労働基準         局長        伊藤 庄平君         建設大臣官房長   小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官      小鷲  茂君         建設省建設経済         局長        五十嵐健之君         建設長都市局長   木下 博夫君         建設省道路局長   佐藤 信彦君         自治大臣官房総         務審議官      香山 充弘君         自治省行政局長   鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長       牧之内隆久君         自治省財政局長   二橋 正弘君         自治省税務局長   成瀬 宣孝君  委員外出席者         参考人         (日本銀行総裁)  松下 康雄君         予算委員会専門員  大西  勉君     ───────────── 委員の異動 二月二十四日  辞任           補欠選任   江藤 隆美君       武部  勤君   大原 一三君       目片  信君   河村 建夫君       阪上 善秀君   中川 昭一君       能勢 和子君   岩國 哲人君       山本 孝史君   岡田 克也君       北脇 保之君   原口 一博君       鹿野 道彦君   山花 貞夫君       鳩山由紀夫君   鈴木 淑夫君       石垣 一夫君   志位 和夫君       春名 直章君   不破 哲三君       矢島 恒夫君 同日  辞任           補欠選任   阪上 善秀君       河村 建夫君   武部  勤君       江藤 隆美君   能勢 和子君       中川 昭一君   目片  信君       大原 一三君   鹿野 道彦君       原口 一博君   北脇 保之君       中川 智子君   鳩山由紀夫君       北村 哲男君   山本 孝史君       岩國 哲人君   石垣 一夫君       鈴木 淑夫君   春名 直章君       志位 和夫君   矢島 恒夫君       不破 哲三君 同日  辞任           補欠選任   北村 哲男君       山花 貞夫君   中川 正春君       岡田 克也君     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成十年度一般会計予算  平成十年度特別会計予算  平成十年度政府関係機関予算      ─────◇─────
  2. 越智通雄

    越智委員長 これより会議を開きます。  平成十年度一般会計予算平成十年度特別会計予算平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鳩山由紀夫君。
  3. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 私は、民友連を代表して、予算質疑トップバッターでさせていただきますが、後ほどの鹿野議員ともども議論を展開してまいりたいと思います。  御案内のとおり、私どもにとって大変大きな、みずからの問題として考えなければいけない、新井将敬氏の自殺という問題が起きました。私も新井君とは同期生であっただけに、その思いは大変痛烈でございます。  昨夜、お通夜に訪れて弔問いたしたわけでありますが、その席で、未亡人となられた真理子さんから、由紀夫さん、主人は立派だったでしょう、立派だったでしょうと何度も、涙で本当に染まった、赤い目をした、その手を握り締めて、私に語りかけました。いや、立派だったよ、そういうふうに申し上げるのが精いっぱいでありましたが、本当は、人間の命というものをそのように簡単に絶つことが許されるのか、ある意味で、ばかやろう、何で死んだのだ、そう言いたい思いでいっぱいでございました。  同志の閣僚皆様方も、また先生方も同じ思いではないかと思っておりますが、それだけに、この予算委員会議論としては、政治倫理の問題から出発をしなければいけないというふうに思っています。  ただ同時に、実は一週間ほど前、私は、地元北海道でありますが、千歳市から二、三十キロのその地域久しぶりに歩かせていただきました。実は、久しぶりであったものですから、五軒ほど弔問をいたしましたが、その弔問の三軒、すなわち六割が、みずから命を絶たれた、すなわち自殺をされた方々でございました。  総理、景気は、北海道だけではなく、全国で私は同じ状況が起きているんだと思っています。いろいろと考えてみましたが、私は、この病根は同じではないか。政治倫理の退廃も、そして経済の低迷も、根は一つなのではないか。そしてそれは、政治行政と、そして一部の業界、いわゆる政官業甘え構造の中で、官僚依存の体質がこのような事態を導いてしまったのではないかと思われてなりません。  まずは総理に、このある意味二つ自殺の問題に関して、率直に御意見を伺いたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私も昨夜、お通夜に伺いましたけれども、奥様には初めてお通夜の席でお目にかかる、議員のような言葉を交わすこともできずに、お焼香だけをして帰ってきました。  私自身にとりまして、本会議のさなか、答弁を終わったところにメモが入り、それを御報告すべきなのかどうかを迷いながら、施政方針に対する各党代表質問を受けておりましたときの思いというものは、御想像がいただけるであろうと思います。そして、本当に御冥福を祈りたい、本会議でも申し上げたとおりの思いでございました。  また、議員地元に帰られて、久々に回られた地域において、亡くなられた方の中でみずから死を選んだ方々が多かった。そして、それに対して議員は、政と官そして一部の業というものの甘え構造という言葉を使われました。私は、それぞれがどのような原因であるのかを存じませんから、その議員の御感想に対してどう受けとめるかということについての判断は控えさせていただきたいと思います。  しかし、その上で、人の命というもの、それほど軽く扱ってはいけないものだ、自分自身も、自分自身に対して責任を持つならば、ほかの道を選んでいただきたかったという思いは率直にございます。
  5. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 総理が今最後にお話をされましたが、まさに人の命、人だけではない、すべての命、それはとうといものであり、その尊厳というものを私たちは失ってはならないと思っています。私は、その意味において、今の日本が、人間やあるいは生きとし生けるすべてのものに対する尊厳というものをいま一度取り戻さなければならない大変大事な時期なのではないか、そんなふうに感じています。  司馬遼太郎先生が「この国のかたち」、いろいろと心配をされて亡くなっていかれましたが、私たちも今改めて、この世の中に生かさせていただいているという感謝の思いの中で、いやしくも政治活動をいたしている限りにおいて、その責任において、人間尊厳を取り戻す闘い、お互いに協力をしていかなければならないと思っています。  私が申し上げたかったのは、政官業のこの甘え構造一つとってみても、人間お互いに依存し切った社会の中で、まさに甘え構造の中にのほほんとして生活をしているのではないかという反省であり、私たちが一昨年民主党という党をつくったのも、その思いの中で、自立と共生、みずからが責任を持って立ち上がる、自立性を高める、そんな行動と、さらに、世の中自分一人では生きていくことはできないのですから、ともに生かされているというところを感謝しながら、お互いの個性というものを、むしろ違いというものを喜び合える社会をつくりたい。  一人一人が、みんな同じではなく、みんな違うのだということを喜びを持って迎えられる教育をしなければならないし、あらゆる局面における生活をしていかなければならない。そのように私は理解をいたしております。  まさに代表質問で、自民党の加藤幹事長が、自由民主主義改革だ、そのようなお話をされました。その趣旨の中には、私は大変に賛同をいたすところが多かったのでございます。しかし、私ども言葉で言えば、それはまさに友愛社会建設であると思いますし、その結果として自由で安心できる社会を構築することである、そのように理解をしております。  そのために必要なことは、権限が集中し過ぎている今の国のあり方をより分権させていくということ、権限を分散させるということ、そして、その一つ一つ権限に対してはしっかりとした責任を明確化させるということ、そのために、国民にとってはすべてを透明にさせていくという努力が今求められているのではないかと思っています。  来るべき二十一世紀に向けての、総理がお考えになっておられるこの国の形に関して、いま一度御披露を願いたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今私は、議員が述べられましたこと、私自身も基本的には同じ思いを持つ部分が多かろうと思います。その上で、御指摘をいただきましたので、私なりに申し上げてみたいと思います。  今、私自身は六つの改革を世に問うております。その中で求めるものは何かといえば、一人一人がみずからの夢に挑戦するチャンスがあり、しかも成功する確率があるということに要約できるかもしれません。言いかえるなら、個人というものの確立であり、同時に、そのみずからの行動に対する責任というものに尽きるのかもしれません。  しかし、第二次世界大戦後の今日までの日本は、必ずしもそういう人材養成というものをとってきたと言い切れる部分だけではなかったように思います。そして、敗戦の結果得た自由あるいは民主主義、男女平等という価値観は、それなりに私は将来にも引き継がれていくべきものだと思いますけれども、その中において私たちが持っていかなければならないものには、もう一つ自分の国の成り立ちといいますか、長い歴史、伝統、文化というものがありましょう。そして、そういうものの中で、私たちは二十一世紀に何を残していくのか、伝えていくのか、守り育てていくべきなのかを考える時期だと思います。  そして、その中に、議員が言われましたように、例えば行政一つをとりましても、分権を進めていく、当然のことであり、地方分権推進計画を、今、分権推進委員会の第四次勧告までのものを最大限計画化すべく作業を急いでおりますけれども、これはそこでとまるものではなく、なお継続していかなければなりません。  あるいは、規制の撤廃、緩和という言葉に象徴される官と民のかかわりについても、今まで官が受けてまいりましたその責任と同時に権限というものを民に渡していくということも、当然ながら必要でございます。そしてその中に、そういうものを受けた上で中央政府がどうあるべきかを考える、行政改革というテーマをとるなら、私はそのような考え方をとっていくべきものだと思います。  同時に、機会の平等なのか結果の平等なのかということも、改めて問いかけていかなければならないと思います。  今、我が党の加藤幹事長質問に対しての私とのやりとり、加藤幹事長考え方に共感するものを持った、そして、それは自分たち言葉に置きかえるなら友愛だという言い方をされました。私は、やはり結果の平等というより、チャンスの平等というものはどんなことがあっても確保しなければならない、そして、その結果として開くであろう可能性を持つ格差というものに対しては、むしろ国民生活セーフティーネットワークとしての社会保障がカバーしていく部分を持つ。単純に申し上げるなら、そのような思いを持っております。  外国に対しての日本の姿勢につきましても同じような問題があろうかと存じますが、長くなりますので、この辺でひとつまとめさせていただきたいと思うのです。
  7. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 今総理お話しされました、特に結果の平等と機会の平等に関して、私も、やはり機会において平等が守られていかなければならないというふうに思います。ただ、現実の世の中において、機会が十分に平等に与えられていない社会であることもまさに事実でありますから、なお一層機会の平等に努めながら、さらにそこから出てくる結果において、セーフティーネットというものをしっかりと張りめぐらしていただけるような社会をつくる、それこそ私どもが考えている自由と安心、そういった社会になり得ると理解をしております。  そのような、ある意味方向性が同じだという自覚は持ちながら、しかし残念ながら、今政府がなさっておられることを、本当の意味においてその実が伴っているのかどうか、これからも検証していかなければならないと思いますが、地方分権とおっしゃりながら、どうも中央省庁の再編の論議の方が先行しているようであり、きれいな絵がかかっているよ、見なさいと言われて見ても、絵がかかっていなくてまだ額縁で、額縁がサイズが二倍になったからいい絵でしょうと言われても、実際に絵の中身を見なければ判断ができない。むしろその絵が、二つの絵が足されているもの、それだけであるとすれば、何の意味もない行政改革ではないか。そのように私どもは考えていかなければなりません。  形よりも、いかに実を伴う改革をなさっていかれるか、私どもとしても注視をしていきたいと思いますし、それがもし形だけで、国民皆様方を裏切る形になろうとしたときには、私どもとしても全力を挙げて、新しい日本の姿を求めて行動していかなければならないと思います。  さて、やはり一つ一つ議論を進めていかなければならないと思いますが、先ほどお話を申し上げたとおり、新井君の死をもって終わりとするのではなく、むしろこれから議論をスタートさせるのだという思いを持って、政治倫理の話から入らせていただきます。  彼の死がもたらすものは何なのか。まず、日興証券の方の話。新井将敬議員、彼が大蔵省出身であり、国会議員だから、彼の御機嫌を損ねたら営業に支障があるのではないかという、その思い自体が、国会議員大蔵省、その二つの権力と一部の業界との間のまさに甘い関係そのものではなかったか、それを示唆するものではないかと思います。  そして、あの議院運営委員会秘密会の中で交わされた、法務省原田局長の、このようなことを行っている、利益を受けている人たちは数百人に上るというお話。私たちは、このことを真剣にとらえなければならない。国民は、私たち政治家はみんな同じじゃないか、政治家はみんな同じような悪いことをしているぞ、そんなふうに言われている。私たちはそれには我慢はできない。  不正の取引、そういったものがおありになったかどうか。私は、本来、予算委員会といえども、すべての閣僚皆様方の御登場をいただく必要はないと思っておりまして、本来ならば、他の法案の審議にも差しさわりがあるという、そんな指摘予算委員会にあるわけでありますから、もっと柔軟に扱うべきだ、本気でそう思っております。  ただ、ここはぜひ、せっかくお出ましをいただきましたから、閣僚皆様方に、新井将敬議員のあの事件の中で、数百人に上る、そんな疑いが持たれている政治家にとって、お一人お一人の口から、自分はそんなことはない、あるいは自分も似たようなことがある、お話をぜひ聞かせていただきたいと思います。  大蔵大臣からお願いいたします。
  8. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  私は、衆議院議員になって以来今日まで、議員という立場を使って不正な利益を一銭たりとも得たことはありません。常に政治倫理を守ってきておるつもりでございます。
  9. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 簡潔で結構でございますから、それこそ御家族を含めてあるいは秘書を含めて、そのような不正な取引をなさった経験がおありかどうか、一言で結構でございますから、簡潔にお述べいただきたい。全員にお願いします。
  10. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ありません。
  11. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 ありません。
  12. 村岡兼造

    村岡国務大臣 借名口座もあるいは株の取引もありません。
  13. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 お答えいたします。  私も、全然株なり何なりございません。  ただ、今御発言の中で秘密会の中で七百名云々というお話がございましたが、秘密会の内容を申し上げることは差し控えさせていただきますが、そのような原田刑事局長の発言はございませんでした。
  14. 瓦力

    ○瓦国務大臣 建設大臣でございますが、全くございません。
  15. 小里貞利

    ○小里国務大臣 株に絡むお話のようでございますが、いかなる形にいたしましても、一切ございません。
  16. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 ありません。
  17. 久間章生

    ○久間国務大臣 私は十年ぐらい前には株を買っていたこともございます。しかしながら、党の方で自粛するような申し合わせがございましてから、それ以来買っておりません。しかも、私が買っていたときだって、借名口座とか利益供与とか、そういうようなことは一切ございません。堂々とやっておりました。
  18. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 借名口座も株の取引も全くございません。
  19. 大木浩

    ○大木国務大臣 一切ございません。
  20. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 私もかつて株を取引したことはございますが、今先生御質問の、不正な取引と言われましたので、私は名誉にかけてそういった取引をしたことはございません。  なお、現在は株の取引はいたしておりません。
  21. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 過去において株式の売買をいたしたことはございますが、不正な取引というものは一切ございません。また、現在は取引は一切いたしておりません。  以上であります。
  22. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 御指摘の件で御報告をいたさなければならないようなことは、一切ございません。
  23. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 いかなる形におきましても、株式なるものを持っておりません。
  24. 伊吹文明

    ○伊吹国務大臣 資産公開に届け出てあるもの以外の株は保有いたしておりませんし、株式取引もございません。
  25. 町村信孝

    ○町村国務大臣 借名口座、不正な取引等、一切ございません。
  26. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 鳩山委員にお答えいたします。  株式の取引は、したことがございません。
  27. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 ありません。
  28. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 株を買ったことも売ったこともありませんから、一切ございません。  以上です。
  29. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私がたった一回買いました株は、かつて自分が在社いたしました会社の株を社員として取得をいたしました。その後、その会社が他の企業と合併をし、その株式は自分の青春時代の思い出として今もその当時から持ち続けております。  そのほかに、父親から残されました関係のものがございますが、すべて資産公開をいたしております。取引はございません。
  30. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 それぞれ、ありがとうございます。  国民の疑いというものを、私どもは、一人一人が議員として活動している以上、特に閣僚皆様方には大変大きな責任を担って活動しておられる以上、晴らしていただくことが必要かと思い、このような質問をいたしたことをどうぞ御理解をいただきたい。  ただ、先ほど下稲葉法務大臣が七百名というお話をされました。私は、人数のことは申し上げておりません。数百名と申しましたが、何で七百名になったのかよくわかりません。そのような議論はなかったということでございますが、秘密会秘密会として、その内容が少なくとも一般周知の事実として新聞その他の報道でなされておりましたから、私はそのように申し上げた次第でございます。  結果として、今閣僚の皆さんが、すべての方が御否定をされたわけでございます。私はそれを信じたい。しかし、例えば先ほどのこの数百名のリスト、その中に政治家もいる、あるいは借名口座もある、そんな話もなされておるわけでありますが、そのようなものの中にもしお一人でも閣僚の名前が存在していることが判明したら、当然それは、総理、御自身責任、とっていただけますでしょうね。
  31. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 もう委員がよく御承知だと存じますけれども閣僚につきましての資産公開制度というものは、定着して随分時間がたっております。そして、それは当初は閣僚個人でありましたが、家族に、同居する家族にこれを広げて、就任時と退職時、それぞれに公表する仕組みになりました。そして、その制度は完全に定着をしており、その中におきまして、株式などの取引の自粛及び就任時保有する保有株式等の信託という制度がございます。  これは、まさに閣僚としての地位を利用して株取引を行ったりするのではないかという国民からの疑惑を招かないように、むしろ公明正大に就任時持っているものは信託をするという形をとっておるわけでありまして、私は不正な株取引を行っている閣僚はいないと存じます。議員がそこまでおっしゃるのが大変私にとりましては残念な思いでありますし、閣僚は資産公開制度の趣旨を踏まえて、それぞれがみずからきちんとした点検はしておるものと私は信じております。
  32. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 私もそう信じたいと思っております。しかし、残念ながら、国民政治に対する不信感というものは大変に厳しいものがあるということも事実だと受けとめていただきたい。私自身地元に戻って、鳩山、おまえは大丈夫なのか、そんな冷やかしまでされた次第でございます。  したがって、私は、特に閣僚皆様方が、閣僚をなさっておられる間は株式の保有に関しては信託をされておられることはよく理解をしています。しかし、その閣僚の時代のみならず、一政治家としての活動の中でのお話を私は先ほど聞かせていただいたわけでございますので、その意味でもぜひともこれは御理解をいただきたい。  あの数百名のリストというものが存在するかしないか、数百名に上るという話があったという事実も否定されるのなら否定されるので構いませんが、私はそのような話があったというふうに伺っておりますから、まずは法務大臣、この数百名に上る、その中に政治家もおるのではないかと疑われている、最小でも、政治家の名前だけでも公表すべきではないでしょうか。
  33. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 お答えいたします。  先ほどの秘密会お話の件は、原田刑事局長はそのような具体的な発言はなかったものと私は承知いたしております。  名簿の公表につきましては、これは現在まだ捜査中の問題でもございますし、慎重に検討させていただきます。
  34. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 今お話がありましたが、なかったものというふうに理解をしているというお答えでございました。  これは、新聞がすべて真実のみを報道しているかどうかということになると、必ずしもそうでない場合がありますから、私もすべてそれを真実だというふうに理解をしては危険だと思いますが、少なくともそのような報道がいろいろなところでなされている限りにおいて、これはぜひとも数百名のリスト、その中での政治家の、ある意味で事実を晴らしていくためにも公表することを強く求めてまいりたいというふうに思っております。  私は、むしろ新井君一人にこのような責任をかぶせてしまって、あとを葬り去ろうとするのではないか、そのことを大変に強く恐れるものであります。国会議員一人一人の責任というものをやはりここでしっかりと自覚をしていく中で、自分自身に卑しい行為がないか、原点に戻ってお互いに反省をしていく中で結論を見出していただきたいというふうに思っております。  まさに新井氏一人で終わらせてしまうとしたら、それこそ不当な扱いではないか。本来、同類のことを行っているのが数百名もいるという話であれば、問題は、短期間にこれだけ莫大な利益を上げていたのが新井さん一人だから、だから新井さんが一番悪いのだ、そんな話ではないと思う。額の問題ではない。悪い行為を行ったかどうかということが問題なんだということだけ指摘を申し上げておきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。  御答弁あればお願いします。
  35. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員の御指摘の中には二つの問題点が含まれておると思います。  一つは、現在捜査当局が捜査を続けております一連の事件に関連しての問題であります。  この一連の捜査が開始されましてから、新井議員を含めてたしか五人の方がその途中で死を選ばれました。これが一体捜査にどの程度の影響を持つものでありますのか、事件全体を知らない私どもにその点を考える力はございませんけれども、冒頭、議員から人の命というものの重みを述べられましたように、これによって捜査当局の捜査に影響が全くないとは言えますまい。しかし、事実を解明していく上で、これが最小限のものであることを願っております。そして、事件の解明は当然進められるべきものであると存じます。また、そうなっていくでありましょう。  もう一点は、国会議員政治倫理の上で金銭的なものについてより潔白であれ、そしてその行動といいましょうか、そうした点についてより透明性を持てという御指摘であると私は思います。  先ほど閣僚全員に対して株の取引についてお尋ねがあり、それぞれからお答えを申し上げました。そして申し添えますことは、閣僚は既に資産公開を就任時、退任時の対比ができますような形で行うことが定着をいたしております。その中には当然のことながら株式の保有に関するルールも定められており、これを信託に置くことが決められており、そのルールは守られておると私は信じております。個々一人一人の政治家全員が心の中においてみずからを省みるとき、恥じざる努力をしていく必要性というものを私は決して否定するものではありません。
  36. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 わかりました。より具体的に、それでは申し上げていきたいと思っています。  先ほどから、閣僚皆様方には株の保有は当然認められてしかるべきだけれども、それは信託をしているから閣僚中の問題はあり得ないというお話、当然だと思います。私は、しかしながら、閣僚の問題だけではないと実は思っております。すべての政治家の株取引の問題が、やはり国民皆様方にとっては大変に灰色に映っていることも事実なんです。  したがって、特に借名口座という、自分自身の名前を隠すという行為において脱税の疑いというものを当然私どもとしては考えなければならないと思いますし、一任勘定という不正な取引もそのことによって行いやすくするということを考えたときに、まず、借名口座自体存在をしている、それは、証券界にとってはやってはならないことだと言われながら現実に存在していることをどう思われるか、そして、それをやはり法規制すべきではないかという議論が私どもとしたら当然だと思いますが、法規制するお気持ちはないか、お聞かせいただきたいと思います。
  37. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 借名口座自体、既に違法な行為としてルール化されているものだと私は思います。まさに、これはもう既に違法と皆が認定しているものじゃないでしょうか。
  38. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 実際には、しかしながら借名口座が後を絶たない。したがって、私はやはり、厳密に借名口座の存在そのものをなくしていくために、さらにしっかりとした法規制を行わなければならないというふうに思っております。  それとともに、借名口座というものの疑いが大変に濃いと言われている、あの九千にも上ると言われている野村証券のVIP口座、そして日興証券がみずから認めている、二十三件だと思いますが、二十三件に関してはどうも不明朗な部分が多いと言われている、こういった口座、その口座を、あるいは口座の取引自体というものを国民の前に少なくとも明らかにすべきだ、政治家部分だけでも明らかにすべきだと思います。  委員長、お取り計らいをお決めいただきたいと思いますが、私としては、国会法百四条にのっとって、両証券会社に対して資料の提供を求めたいと思います。
  39. 越智通雄

    越智委員長 では、理事会でお諮りいたします。
  40. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 ぜひ、理事会、委員会でしっかりと結論をお出しをいただきたい。政治家のこのような株取引にまつわる不明朗さというものを私どもみずからが払拭しない限り、国民政治そのものに対する不信感がなくなるわけがありませんから、まずその原点だと思って、どうぞ委員長、お取り扱いをお決めをいただきたいと思っています。  私は、国会議員が株取引を全くしてはならないというふうに思っているわけではありません。それはそれなりの商取引であって、それをすべて今禁止するべきかどうかということは、確かに問題があろうかと思います。しかし、現実に国会議員は、それこそ数兆円の減税を行うという瞬間に相場が動くという可能性がある、まさにインサイダーであるという可能性は極めて濃いわけでございます。そのような立場にいることは事実だ。だとすれば、利益というものを、不当な利益というものを得やすい立場にいるということもやはり真剣にこれは考えて、国民の前に私どもは身を正していかなければならないと思います。  国会議員すべてです。一部の国会議員ということではなく、国会議員すべての株取引に関して、私は、閣僚の皆さん方がなさっておられるような、例えば保有している株式を一時的に信託をするか、あるいはすべての取引自体を透明にする、すなわち国民の前に公表する義務を課すか、その二者択一しかあり得ないと思っておりますが、総理、どちらの方がよろしいか、あるいはまた別のお考えを持っておられるか、お聞かせをいただきたい。
  41. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 かつて大蔵大臣当時だったと記憶をいたしますけれども、同じような御質問が出たとき、果たしてうまくそれは制度化できるだろうかという疑問を私は呈したことがあるように思います。なぜなら、国会議員になられる以前に事業家であった方、事業家としての行動としての売買というものはあり得るだろう。そうすると、例えば禁止というようなやり方がなじむだろうかという疑問を確かに私は持ちました。  そして、国会議員の株取引、これをどう規制するかという話は、いろいろな議論があると私も思います。また、伺ってもおります。そして、過去においてもいろいろ議論をされました中で、平成四年末に、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律、これが制定をされ、株式についても公開されるようになったはずであります。  今、与党政治改革協議会の中でもこれは議論中でありますけれども、私は、こうした今までの議論の経過なども踏まえながら、各党各会派、さらにはそれぞれの国会議員の中で十分御論議をいただくべき性格のものだと思います。  私個人の感じをと言われますならば、私は、禁止という手法はなじまない、むしろ公開という手法の方が、既にこの政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律というものの中においても株式公開は決められているわけでありますから、この法律の趣旨を追って、公開という方が私は筋道の通る形だと思います。
  42. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 わかりました。総理のお気持ちはわかります。私も、すべての取引を禁止をするべきかどうかということにおいては、やはり必ずしもそうではないだろうと。むしろ取引をすべて透明化する必要がある。  しかし、現実において、今の資産公開そのものがかなり抜け穴になっている。すなわち、罰則規定がない。私はこれが、資産公開というものはとにかく適当な、公開すればいいではないかというぐらいの思いにとどまっているから、このように脱税の可能性が十分あるようなことまで平気で、結果として議員が行ってしまっているのではないか、大変にそのところを強く憂うるものでございます。  したがって、私が求めたいのは、今資産公開の中で株の取引に対して透明性、すべてそこで公表するということであれば、一切の株の取引をそこの中で当然のことながら公表していただきたいし、もし不実の記載があれば、これは資産公開そのものでありますが、不実の記載、報告することを意図して怠った、そのような事実が判明したとすれば、それは刑事罰に処するぐらいの厳しい処罰が必要ではないかというふうに私は思っております。いかがでしょうか。
  43. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 一点、ちょっと注意を受けましたので。  先ほど私が御答弁を申し上げましたとき、借名口座について、違法とお答えをしたと言われました。これは正確を期しまして、改めて、証券業協会規則の違反であるということを申し上げ直します。不正確な言葉を使ったところは申しわけありませんでした。  その上で私は、だからこそ、むしろ各党各会派、さらにはそれぞれの国会議員の間で十分御議論をいただきたいということを申し上げました。私個人の考え方については、議員がお問いになりましたから、私は公開がいいと思いますということまで申し上げております。
  44. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 今の修正をいただいたことはありがたいと思いますが、私の質問に関して、特に資産公開に対して、不実記載の罰則ということに関してはいかがお考えでしょうか。
  45. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ですから、私は先ほどもお答えを申し上げましたように、個人的な感想は申し述べた上で、各党各会派、それぞれの国会議員のお立場で十分御論議をいただきたいということを申し上げました。  今、私は違法と違反を取り違えて、証券業協会の自主ルールについて違法という言葉を用いておわびをいたしましたけれども、本来、国の規制を緩和していく、撤廃していくという中には、官が例えば通達行政で行っていたものを業界の自主ルールに移しかえていくというものも当然あるわけであります。  この借名口座の問題もその一つでありまして、しかし、それが業界の自主ルールでは守られないとなりますと、またこれが法の問題に戻ってくる。果たしてそれでいいのかどうか。むしろ、自主ルールというものをつくったなら、その作成をした方々自身がそのルールを守るような、また守れるような、そのための担保はどうするべきか、そうした御議論もあってしかるべきだと私は思います。
  46. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 残念ながら、おっしゃるとおり、少なくとも自主ルールというものが守られればそれでよろしいわけでありますが、議員一人一人の、あるいは国民の意識というものがそこまで高まっていないとするならば、やはり何らかの法的な規制を行わなければならないというふうに、私はあえて申し上げておきたいと思います。  民友連としては、議員の資産公開に対しても、大変厳しい罰則規定を設けるということで努力をしてまいることをお誓いをいたします。  その資産公開、議員のみならず公務員も同じだというふうに認識をしたい、私どもは公務員倫理法の制定というものを考えていきたいというふうに思っております。  私ども民友連が考えております公務員の倫理、例えば係長クラス以上、二千円以上のものをいただいた、あるいはサービスを受けた、そのようなときには上司にすべてそれを報告すべきだ、そのように考えます。さらに、収入が五万円以上のものに関しては、特に審議官以上、すべて資産公開をせよ。  そして、今申し上げたように政治家にも厳しいルールを課すわけでありますが、公務員にもさらに同じように厳しいルールを、すなわち資産公開の不実記載に対しては刑事罰に処するという、そのような公務員の倫理法というものを新しく制定をすべきだというふうに考えております。この公務員の倫理法に関してはどのようにお考えでしょうか。
  47. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 以前私は、その公務員倫理法をという声がありましたとき、むしろ倫理というものが法で縛れるだろうか、むしろ一人一人の心に対してみずから厳しく正すべきということで、倫理法を必ずしも必要としないという考えを述べておりました。しかし、今回逮捕者を出しました大蔵省のケース、実はこの倫理規程を制定いたしました後にも違反行為を継続していたというケースでありまして、倫理規程だけでは完全に徹底できないということを思い知らされた思いでありました。  ですから、私自身政府部内において指示をし、公務員倫理問題に関する検討委員会を設けて、いわゆる公務員倫理法の制定を期してさまざまな角度から議論をいたしております。法律で規制すべきものがどのようなものなのか、国家公務員法上の懲戒処分あるいは刑法との関係をどうするか、対象とする公務員の範囲をどうするか、こうした論点についても整理の必要がありまして、こうした法律的な議論をきちんと詰めて法案の内容を固めたいと思っております。  現在、自民党の中におきましても、こうした委員会がつくられ検討を進めておりますし、与党三党の間でも協議が行われております。これらと連携をして早急に作業を進めていきたい、そのように考えております。
  48. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 まさに橋本総理のリーダーシップがこのような政治倫理の問題、あわせて公務員の倫理の問題に求められているというふうに思います。早急にこれは制定の御努力をお願いをしたい。  実は橋本総理は、平成八年の十二月六日、本委員会で、泉井関連で通産省の事務次官以下六名が処分を受けたことに際して、このときにも公務員倫理法の制定も検討しなければならないというふうに御答弁をいただいたわけでございます。あれからもう既に一年三カ月たっておるわけでございます。どうぞ、これこそまさに時間的な余裕がない、そんな思いの中で、総理のリーダーシップを今こそ発揮をしていただきたい。  今までこの一年三カ月、それでは総理はどのようなリーダーシップを発揮してこられたのか、一言で結構ですから御答弁をいただきたい。
  49. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに今議員が引用されましたような答弁も申し上げつつ、最終的に私は、倫理規程でこれを遵守されるものと考えるという判断をとりました。そして、その判断が甘かったということで先般来の本会議あるいは当委員会でも、多くの委員から面罵に近いおしかりをいただきました。現実に倫理規程を設けました後にそれが守られなかったわけでありますから、これは本当にやむを得ないことだと思い、今、それを甘受しながら倫理法の制定を急いでおります。  その上で、今申し上げましたような問題点があることは事実です。そして、この法的な整合性を求めることは、そう簡単ではございません。少なくとも、この倫理法と国家公務員法の懲戒処分あるいは刑法上の規定とどう整合性を持たせるか、こうした点にも問題がありますので、できるだけ、これは本当に私も急ぎたいと思いますけれども、同時に、疎漏に陥ることのないように、与党の協力も得ながらこれを進めてまいります。
  50. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 ぜひとも高いリーダーシップを発揮していただきますようにお願いを申し上げたい。  現実のお話を申し上げれば、その平成八年十二月六日の総理の御答弁の直後の十二月十九日に、公務員の倫理規程というものが制定されたわけであります。しかし、先日逮捕された大蔵省の幹部のこの二人の容疑の中には制定後の行為というものも含まれている。  それだけ、公務員倫理規程などというようなものを制定しても現実にそれが守られていないということを御理解いただいて、だからこそ、相当厳しく公務員に対しても政治家に対しても、倫理というものを、まさに国民の代表として私ども行動をしている、政治、そして行政という権限を大変強く持った役所の方々に対しては、倫理の厳しさというものをやはりこれは相当法で縛っていただかないと困る。御理解をいただきたいと思っております。  さてそこで、実は困ったことであります。職員の不祥事問題への対応について、これは、野党が求めておりました官僚不祥事問題での各省庁の対応に関して、五年分、四十九名の処分の報告書を実は私どもいただいたわけでございます。この四十九名、ごらんになっていただいたかと思いますが、私が大変に心配をしておることが一つございます。  それは、処分を受けられた方が、その人たちがキャリア組であれば、むしろ処分によって出世をしているという、こんな信じられないことが起きている。本来ならば、普通の企業であれば、処分を受けたらどんどん出世街道を歩むということはないはずだ。それが常識だ。  しかし、残念ながら特にキャリア組は、先般やめられた小村さんなどは三回も注意を受けている、あるいは処罰を受けているわけです。そして最後は事務次官になられて、このたびやめられたわけでありますが、まさに、処分を受けてもそれを何とも思わないで、役所の中では出世街道を歩み続ける。一方では、ノンキャリの方々は、一度処分を受けたら、それこそ人生そのものがなくなってしまうぐらい厳しい人生の荒波を受ける。この違い、一体何なんですか。  大蔵省の特に若手の方々の中で、このようなことが役所の中で横行しているので、まさに処罰が勲章だなどという思い行動しているからモラルハザードが起きているじゃないか、そんな指摘すらあるわけですが、総理、このことをお考えになってどう思われますか。
  51. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のように、国家公務員法に基づく処分を受けた人が勲章になってかえって出世するなどということは、私はあってはならぬことだというふうに思います。事実関係がどうなっているのかよくわかりませんので、そういう点はよく調べてみたいというふうに思います。  とにかく、国家公務員法上の処分を受けた者がかえって出世するんだということで、若いのが倫理を無視して行動するなどということがあってはならないというふうに私は思います。
  52. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 松永大蔵大臣、ぜひ事実をしっかりと調査をしていただきたい。私は、松永大蔵大臣の再調査をするというそのお言葉を信じたい。ただ、前回、中島氏の事件に関して再調査をするというふうにお話しになって、結局はしっかりとした再調査をなさらなかったじゃありませんか。どうぞ今回は少なくともしっかりと調査をしていただいて、特にキャリア組に対しても甘い処分などというものをされないように、しっかりと監視をしていただかなければ困るというふうに思います。  中島氏の事件に関して、もう再調査は一切あきらめられたのですか。
  53. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  私は、中島氏に対する課税問題を再調査しますということを申し上げたのじゃないのですよ。事柄は、ちょうど今事業所得者の確定申告、納税期でありますが、そのときに当たり、プロ野球選手に対する処分を引き合いに出して、それに比べれば中島氏、大蔵のOB、その処分は軽過ぎるのじゃないか、公平を欠くのじゃないか、こういう御質問がございました。私は、プロ野球選手に対する課税処分がどういういきさつで告発をされて刑事処分になったのか、中島氏についてはどういういきさつで告発、刑事処分にならなかったのか、その事実関係をよく調査してみます、こう答えたわけです。  個別案件でありますから余り詳しく言うわけにはいかぬ点もありますけれども、しかし、いずれもこれは新聞に載っていることでありますので申し上げます。  まず、プロ野球選手の関係でございますが、これは去年、新聞に詳しく載っておりました。どういう案件かというと、大がかりな脱税の請負グループがありまして、その脱税請負グループに依頼をして、そして虚偽の文書もつくってそれを渡して、それによって脱税をしたという事案でございます。  脱税請負グループなどというものの存在は絶対許してはならないのです。また、そういうグループに依頼をして脱税をする、あるいは虚偽の文書を渡して脱税をする、これも許されないことであります。しかも証拠は明白。よって告発をし、そして刑事処分がなされたということであります。  一部のテレビ等では、プロ野球選手がかわいそうだなどという放送もありましたけれども、あれは間違いであると思います。許されない脱税請負グループに依頼をして、そして不正な行為をし、虚偽の文書を渡しての脱税であったわけでありますから、これは厳正な処置であったというふうに思います。  次に、大蔵省OBの某氏の件でございますが、この方は、平成七年の七月に役所をやめた方であります。そして、それから一カ月ぐらいして、みずから贈与所得があったということで期限後申告をされたのです。しかし、国税当局の方では、それは調査を予見しての申告だというわけで、その点については無申告加算税というのをつけて贈与所得に対する課税処分をしたのが平成七年の九月だったと思います。  これを契機に、もう少し調べる必要があるというわけで、通常ならば各署で調査をするのだそうでありますが、もっと徹底した調査をということで、東京国税局が相当の人員を動員して、五カ月近くにわたって調査をしたわけです。そして、平成八年の二月に調査を終えまして、課税をされていない所得が相当額あることが判明いたしました。  これについて、国税当局は査察立件をして告発ということも考えたらしゅうございますが、問題は、不正行為それから脱税の範囲、これについて確実に立証できるだけの証拠がつかめなかったと、やむなく重加算税をつけ、そして更正決定をして税金を徴収した、こういうケースでありました。担当者から詳しく聞いたところでありますけれども、これは証拠と法に基づいて処理することであるし、懸命にやったけれども、不正行為と範囲についての確たる証拠がつかめなかったから、やむを得ずそういう措置をしたということでありました。  したがいまして、その経過を見ますというと、国税当局、しっかり調査はした、そしてまた法と証拠に基づいて処理をしたというふうに私は認識をいたしました。大蔵省行政について、例えば金融検査その他の点について不祥事が起こっておるわけでありまして、信用を落としておる点もありますけれども、国税に関する調査と処置、これは適正になされているということがわかりましたので、私は安堵した次第でございます。
  54. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 今の大蔵大臣の御答弁の中で、やはり気になることがございます。もう私も、余り個人の問題に関してこの場で深入りすることは避けたいと思っておりますが、一点だけ申し上げたい。  それは、国税庁という庁は、疑わしい、脱税の疑いがあるというふうに判断したら告発をする義務があるわけです。それを立証できるかできないか、どうもできにくいから告発しない。それは、東京検察庁がしっかり行えばいい話であるわけです。そこに、ある意味大蔵省が、むしろ身内の者だから、税務署長をやっていた方だから甘くするという思いが入って、そして、どうも脱税だということを立証できないなどと勝手に役所の中で判断したのではないかと我々は疑っているわけです。  したがって、この問題は、本当はもっとしっかりと国政調査権でも発動して調べなければならない話だと思います。  時間がないのでこのぐらいにさせていただきますが、後の予算委員会などでこの中島氏の問題に関して改めて再調査をする必要があるかどうかお決めをいただきたい、議論をしていきたいというふうに思います。  私は、きょうはここで一枚パネルを持ってまいりました。これをごらんになっていただきたいと思います。  大蔵省権限大蔵省がこれだけ大きな権限を持っているからこそ、結果としてさまざまな不祥事が今日まで起きてきたということ。私が申し上げたいのは、行政改革、これから大蔵省がある意味で財政と国税と金融、ここを原則として分離していくということはぜひ行っていかなければならない、ある意味で最低限のルールではないかというふうに思います。  しかし、それですべて片がつくというわけではない。現実に、今申し上げた中島氏の問題は、国税とこちら側の納税者の側との間の甘い関係から発したものである。また、例えば特殊法人に天下っている、道路公団に天下っている元の大蔵省の役人との間のなれ合い、そこから来る不祥事というものが指摘をされた。  さらに、銀行と金融、まさに監督指導を行わなければならないところに接待疑惑というものが浮かんできた。証券と金融の問題も、まさにこれは新井氏の事件に象徴される問題である。  このように、大蔵省自体を行政改革で分割をしていくということは最低限必要だと思いますが、それだけではなく、一つは、構造的な問題として天下りというものを当然規制をしていく。そして、公務員倫理法、あるいは政治に対する倫理というものをしっかりと議論をし、結論を出していくことによって、このパイの中での矢印、これが権限であるわけですが、この権限を通じて行われる不祥事というものを、根を絶っていかなければならない。  そして、そのためには、実はこの中の大蔵省部分を分割するだけではなくて、それぞれの役割というものを、もっと地方でできるものはないのか、民間でできるものはないのか、この中のしんの部分も小さくする努力というものも、分割するだけではなく求められているということをぜひ指摘をしなければならない。  これだけ大蔵省権限というものが拡大されてきている中で、大蔵省権限というものから起きてきている今日のさまざまな不祥事の、これは政治家から見た、政治家責任としての解決として、たくさんのことをやらなければならないということを最後に指摘をして、次の議論に進めてまいりたいと思います。  続いて、経済議論を申し上げたい。  私は、余りこれも細かい議論から進めていくべきではないと思いますが、先般の大蔵省の榊原財務官の御発言、もう十二月中に政策転換を行ったではないかという発言、実はそれが事実なんだと思っています。そして、国民の多くはそれを事実と受けとめて、ああ、これでやっと景気対策、もっとしっかり自民党も与党も、そして政府も打ってもらえるのではないかという期待をしている。  しかし、本来はこのような議論は、一大蔵官僚、すなわち政府の役人の権限で行うべき筋の発言ではない、むしろ総理閣僚の皆さん方が責任を持って議論をし発言をしていただかなければ困る、そんなものだと思っています。  改めて総理に対してお伺いをしたいのでありますが、現実に政策転換をなさっておられるのか、いや臨機応変にという御答弁を何度も伺った次第でありますが、まずここからスタートをさせていただきたい。
  55. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 何度も伺ったと言われましたけれども、やはり私は同じようなお答えを申し上げることになります。というのは、財政構造改革の必要性というのは、私は議員もお認めをいただけると思うのです。そして同時に、経済が動いている、金融情勢が動いている、国際情勢が動いている、そういう中において必要な対応をそれぞれに応じて行っていく。これは景気回復についてもそうですし、あるいは金融システムの安定についてもそうなんですが、そういう臨機の措置をとることを、私は財政構造改革と相対する概念というふうなとらえ方はいたしておりません。  むしろ、タイムスパンの違うものでありますし、財政構造改革というものの必要性は私はどなたもお認めをいただけると思うのですが、同時に、その時点その時点、景気回復に向けての努力を行っていく、そういうものがいけないとも私は思っておりません。
  56. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 どうも、伺っておりましてもはっきりとしない。私も、財政構造改革の必要性は認めます。それは日本の将来にわたって必ずなし遂げていかなければならない大変大きなテーマだと思う。しかし同時に、今日的なアジアの金融危機の問題なども踏まえた中で、私たちが今内需拡大のために行わなければならない仕事は何なのか。やはり景気対策というものを最優先に扱っていかなければいけないのではないかということは、当然の議論として申し上げなければならない話だと思っています。  どうも、内外で話をうまく使い分けておられるような気がしてならない。  そのことは、松永大蔵大臣大蔵大臣もお疲れだと思いますが、G7からお帰りになられた。G7で発言された。G7の中では相当、弱い日本に大きな責任があるということを指摘されて、財政出動なども含めて真剣に議論を進めてもらいたいという要請があったというふうに伺っております。そのくらい今、例えばアジアの危機に対して、世界じゅうが日本に対して批判というか関心を高めていることも当然事実であります。  それに対して、どうも松永大蔵大臣は、やはりG7を構成している方々に対しては、いや、日本もまず予算を上げて、それから景気対策が必要ならば補正も組んで、どこまでそのお話をされたかよくわかりませんが、かなり前向きに、いや、わかった、我々も問題は受けとめているからしっかりやるという御答弁をされている。しかし、国内向きになると、どうしても、では景気対策に重点をシフトしたのだというはっきりとした御答弁をいただくことができていない。  むしろ、松永大蔵大臣のG7における御活躍に関して、私たち野党としてはできるだけ集中的に御審議もお願いしたいというふうに思っておりますが、お帰りになられて、G7の様子、一言で結構でございます、そこでどのように松永大蔵大臣が御発言をされたか、お聞かせを願いたいと思います。
  57. 松永光

    松永国務大臣 お答えを申し上げます。  その前に、鳩山さん、恐縮ですけれども、先ほどの大蔵省の強大な権限の話の中で、そこに図面がありましたけれども、銀行、証券に対する権限が書いてありますね。その銀行に対する監督検査それから証券会社に対する監督検査は、六月までの間に大蔵省からなくなって、金融監督庁の方に行ってしまうわけなんです。そのことだけ申し上げさせていただきます。  それから、G7の関係でございますが、私は、外と内と使い分けするほど器用な人間ではございません。したがいまして、はっきり申し上げますが、G7の会合で、委員指摘のとおり、日本の景気動向がまだ弱いからしっかりという話は確かにございました。  それに対して私が申し上げましたことは、二兆円の特別減税の話。これは、二月と三月に一兆円集中的にやるということ、そして六月に地方税の方が約六千億近くあります、そういう形で二兆円特別減税はなされるのでありますから、数字以上の効果があるはずということを申し上げました。  それからさらに、金融システム安定化のための最大三十兆の公的資金を使っての措置、これを速やかに実行することによって日本の金融システムについての内外の信頼は大きく出てくるはず、これによって企業家のマインドが大分よくなってくるはず、こういったことを申し上げた。  さらに、今我々が全力で取り組んでおるのは、平成十年度の予算の早期成立である。この予算が成立し、かつそれに関連する法律が成立すれば、法人税の減税、税率三%引き下げ、あるいは土地税制、あるいは金融関係税制、こういったものが成立すれば、これまた企業家のマインドに非常にいい影響が出てくる、そういったことを通じて、我々は、景気の上昇に向けて努力をしていくんですということを申し上げたわけであります。  これは外向けでありますけれども、同時に内向けでもあるわけでありまして、同じことを繰り返し申し上げさせていただいたわけでございます。
  58. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 それで、G7の皆さんは納得されたのですか。
  59. 松永光

    松永国務大臣 努力の姿はわかっていただいたというふうに、私は思いました。
  60. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 努力はわかっていただいたということはかなり苦しい御答弁のようにお見受けしたわけであります。これは、現実、G7の国の方々は、決して納得をしてお帰りになられたのではないなという思いがいたします。  私は、外国のプレッシャーによって、常に、いわゆる外圧によって道を切り開かれていかれる今までの日本の姿というものを決して望ましいと思っているわけではありませんが、国の内外から、現在の審議が開始されたばかりの予算案では、日本のこの一年もたないよということを、国民も、そして海外の方々も認識は一致しているということでありますから、どうぞ、まず予算を成立させてから次に考えるというような話ではなく、そして、二兆円というものは大変な効果があるというお話ではなく、もっと真剣に、予算というものに対してメンツを捨てて議論を願いたいというふうに思っています。  私ども民友連としては、三兆円の所得税減税、住民税は減税しません。将来の地方分権あるいは地域主権という国のあり方というものを模索していくためには、私たちは、住民税ではなく所得税というところで減税をしていかなければならないというふうに思っています。その所得税減税とあわせて、法人税減税、実効税率を九%ほど下げる法人税減税を考えていきたい。  あわせて、景気刺激のために、この三年間というものを景気刺激のための集中年というふうに位置づけて、この時期においては、まずは、日本だけではなくアジアの経済というものをしっかりとリードしていくためにも、日本は景気主導型でいくべきではないかという議論をしておるところでございます。  そして、当然のことながら、先ほど総理お話しされましたが、私どもも、財源に関して全く無責任でいいなどというふうに思っているわけではありません。財政再建路線というものも、完全に捨てるという話ではありません。ただ、私たちは、この景気に対して集中に力を入れなきゃならないという数年間、そのときに必要な財源というものは二〇〇八年までの間に償還をしっかりとすればいいではないか。  政府は、二〇〇三年までに財政再建路線を確立させる、そこで議論を終結させるために努力する、まだその二〇〇三年をお捨てになっておられないというふうに思いますが、私たちは、景気刺激のための数年間と、それからその償還のための数年間というものを分けて考えて答えを出そう、それが民友連の立場であるということをぜひ申し上げていきたい。  そして、だからこそ、今まさに世界じゅうから日本が期待をされている、内需拡大が期待をされている。特に減税が期待されている。一年だけではなくて恒久的な減税を、二兆円と言わず、私どもは三兆円ですが、三兆円で果たしてどのぐらいの効果があるかという思いすら感じているぐらいでありますが、そのような恒久化も含めて、大きな路線変更をしなければならないのではないか。改めてお尋ねを申し上げたいというふうに思います。
  61. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 恒久減税、しかも所得税ということでお話がございました。  これは、為替レートの関係もありますから確定した数字ではありませんけれども、例えばアメリカの場合、所得税の課税最低限は二百四十四万円ぐらいと聞いております。イギリスの場合は百五万円から所得税を負担しておられる。ドイツは日本よりも少し高い三百七十三万円から所得税を払っておられる。フランスの場合が三百二十万円ぐらいでしょうか。  今、標準世帯で我が国は、御承知のように三百六十一万円というところに線が引かれ、そこ以下の方の所得税はいただいていないわけでありますけれども、今申し上げましたように、欧米と比べますと所得税の課税最低限、日本は決して低いのではない、むしろ高い方だということを御理解がいただけると思うのです。  その場合に、議員の御指摘のような形をとっていきました場合、どういう状態が起こるのだろう、その財源というものはどこに移るのだろうか。  アメリカは、確かに所得税中心主義でありますから、所得税の課税最低限が他に比べて大きいことは事実です。しかし、日本の場合におきましても、他の国々では既に所得税を負担しておられる階層のうちの相当部分が所得税は負担しておられないという今の状況の中で、そこまで踏み込んだ税制の検討をされるということでありましょうか。それとも、上限だけを、課税最低限は動かさないで固定していかれるのか。私は、それによりましても随分いろいろな問題を生じてくるものだ、そして、相当程度の、租税負担のあり方という点でも議論があるテーマではなかろうか、率直にそういう思いはいたします。
  62. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 総理にお答えを申し上げますが、私どもは、課税最低限をずらすという考えはありません。基本的には、税率を二割下げるということで基本的なルールを講じていこう。ただ、そうなりますと、税率が、五〇から四〇に最高税率が下がります。一〇%下げるのはやや行き過ぎではないかということで最高税率は四五%というところにとどめているわけでありますが、そのように大胆な、基本的に三兆円の所得減税を行うことによる効果を私たちは考えていきたい。  財源はというお尋ねがありました。  むしろ財源に対して私どもはやはり真剣に考えているんです。特に公共事業の問題。決して、私どもは公共事業が要らないなどというようなことを一言も言ってはおりません。しかし、公共事業に対しても、諫早湾のあの干拓事業あるいは中海の干拓事業、それから、果たしてどこまで効果があるのか、意味があるのか疑わしいようなダムの建設、こういったものが、かつて議論をされて、そのまま行動に移されて、事業の見直しがなされていない。  こういったものに対しては、積極的に公共事業を見直す必要があるのではないか、むしろ公共事業の質というものを高めていく必要があるのではないか、新たな社会資本整備というものに対する投資を傾斜的に行うべきではないかというふうに思っています。  そして、根本的には、国と地方のあり方というところから考え直して、国の権限も縮小していく、地域権限を移譲する、そして地域はそれぞれ、今までの市町村よりもさらに大規模な広域の市町村を一つの単位にしていく。そのことによって、基本的には行政改革を行うことによって財源というものを見出していきたいというふうに考えています。決して無責任な話を申し上げているわけではない。  私ども皆様方に申し上げたいのは、どうも一度予算というものが登場すると、それをそのまま成立をさせるのが与党側のメンツである、それで私ども予算をつぶせとか反対しろとわめくのが通例であって、結果としては何事も起こらない、これではおかしいのではないか。むしろ予算で、我々野党側の主張で正しいと思われるものがあれば、それを積極的に修正の中に組み込んでいかれればいいではないか。よりよい予算というものを今こそ国民が期待しているのではないかと改めて申し上げたい。  どうぞ、予算審議においては形式論にとどまらないで、メンツというものにこだわらないで、内容の議論をして、本当に必要だと、今私の議論を聞いていただいてそれで必要だと思われなくても結構ですが、これからの予算審議の中で、そのものをそのまま成立させるということだけに皆さん方、時間を費消させるのではなくて、正しい議論に耳を傾けて、直す努力、よりよいものをお互いにつくっていく努力というものに対して耳をかしていただきたいと思います。御答弁をお願いします。
  63. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、真剣にいつも御議論を承り、真剣にお答えも申し上げ、そしてその結果として、それぞれの場面において院としての御決断をいただいてきたと思っております。この姿勢を変えるつもりはありません。  そして同時に、今議員が、公共事業を完全に否定するものではない、だけれどもと言って言葉に使われました例示の中で、たまたま先日、選挙の応援という形ではありますが、諫早に参りましたとき、議員から昨年承りましたお話とは異なりまして、あの干拓のダムのおかげであの大雨の中でも洪水を起こさずに済んだという感謝の声のみを聞かされました。  私は、やはり公共事業、必要なもの、不必要なもの、時間がたってもなかなか進まないもの、それぞれの理由をきちんとチェックし、必要に応じて中止をするだけの勇気は持たなければならないと思いますけれども、一概に否定されるのではないという言葉を信じたいと思います。
  64. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 その時々でベストを尽くしておられるということであろうかと思いますが、であるならば、ぜひ、真剣な御議論、これからも続くと思います、その中で、正しいものはしっかりと採用していただきますように、心から期待を申し上げたいと思います。  諫早湾の問題に関しては、あるいは総理に近づいてお話をされる方はそうかもしれません。しかし、長崎県民全体のさまざまな議論を私も聞いているところでございます。どうぞ、ある意味で国全体のお立場から長崎県民お一人お一人の気持ちまでしんしゃくをされながら、お互いに切磋琢磨をしていきたいものだと思います。  さて、いま一度パネルの話になりますが、昨年一年間、さまざまな景気の変化があったわけでありますが、昨年の当初における政府経済見通し、GDP比何%でありましたか、お答えを願います。
  65. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 一・九%の伸びと見込んでおりました。
  66. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 おっしゃるとおり一・九%であります。その見通しのもとで経済運営をされたわけですね。
  67. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 そのとおりでございます。
  68. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 その結果として、政府のこの一・九%という見通しのもとで経済運営をされて、結果として、昨年十二月における、あるいは昨年度全体の景気、見通しがどのぐらいずれたか、あるいは、パーセントで結構でありますが、見込みのパーセント、期末のパーセントをお聞かせいただきたい。
  69. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 平成九年度の見通し及び実績でございますが、昨年来の我が国経済の動向を見ますと、消費税の引き上げに伴う駆け込み需要と、それからその反動減が予想以上に大きかったわけでございます。それに加えまして、当初予想をしておりませんでしたアジアの通貨・金融不安、あるいは年度後半、年末にかけまして、我が国の金融機関の破綻によります金融システムへの信頼感の低下等の影響がございまして、家計や企業の景況感の厳しさが、個人消費や設備投資のような、いわゆる実体経済にかなりの影響を及ぼしてくるような状況になったわけでございます。  そういう点を踏まえまして、九年度の成長率の見通しを昨年、正式には今年初めでございますが、一・九%程度から〇・一%程度へと修正をしたところでございます。
  70. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 ここにパネルがありますが、見通しと実績、今長官がお話ありましたように、昨年は一・九%の見通しが結果として〇・一%ということになった、これは厳然とした事実でございます。この事実にかんがみれば、企画庁長官、あるいは総理が今おられませんから、この経済運営というものを誤ったというふうにお考えになるのですか。それとも、当初の見通しが甘かった、先ほど消費税のお話とアジアの危機のお話をされました、全く予想外であったというふうに思われるのでしょうか。  我々とすれば、消費税あるいは医療保険負担の増、さらに二兆円の減税のカット、こういった実質九兆円の増税というものを行えば景気が悪くなると当然のこととして判断をしなければならなかった、これは経済運営の誤りだというふうに考えなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
  71. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 消費税の影響につきましては、当然当初の見通しの段階から織り込んでいたところでございますが、昨年の一月—三月におきます駆け込み需要というのが予想外に大きなものでございました。そしてまた、四月以降のその反動減というものも予想外に大きなものでございました。これは、政府だけではなくて、大方のいわゆるエコノミストと言われる皆様もその点については多少の見通しの誤りがあったというふうに私は考えております。  ただ、当初予想をしていない要因が二つございまして、先ほど申し上げましたように、アジア地域における通貨・金融不安と、秋口にかけましての幾つかの大型金融関係企業の破綻によります金融システムに対する不安、この二点につきましては当初予想をしていないものでございまして、そういう二つの新しい要因といいますか、そういうものが加わったことによりまして経済見通しを下方修正せざるを得なかったというのが実情でございます。
  72. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 いま一度このパネルをごらんになっていただきたいのでありますが、実は数日前、私どもの民主党に松永元駐米大使、今でも大変御活躍でありますが、松永大使が来られまして、講演をされていかれました。グリーンスパン議長のお話を出されて、グリーンスパンさんは今まで日本に対しては大変に優しい、またありがたい助言をしてくださった方だけれども、今回会ったら全く言葉が変わっていた。日本はけしからぬ、日本経済の見通しと実績が余りにも違う、いいかげん過ぎるではないか、こんな国を信頼できないという大変に厳しい話があったと、これは松永さん御自身から私が伺った話であります。  アメリカに、まさに共通した考え方が今そこにあるのではないか。日本経済運営がどうも信用できない。だから、景気が本来はよくないのに、あたかも経企庁は、まさに経済運営、今申し上げたような消費税の問題から、医療保険負担の増から、あるいは二兆円のカットから、実質九兆円の増税を行うためには、大本営発表のように、景気は基本的には回復基調だと言わざるを得なかった。  本当にそう思っておられたかどうか疑わしいところがありますが、そのような発表をせざるを得ないという日本の、まさに先ほど話をいたしましたが、二枚舌というか、内外で言葉を使い分けたり形の上と内実というものをうまく使い分けたりする、そのような政府のあり方自体が、もはや海外にも信頼を失ってしまったのではないか。だからアメリカにばかにされてしまって、額賀副長官やあるいは尾身長官が呼びつけられてしまって、向こうで厳しいことを言われて、お説教を食らって、政策転換をしろ、そのように言われたんじゃないんですか。
  73. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 経済の見通しにつきましては、私どもは、経済の現状の把握につきましては、経済は生き物でございます、その時々の状況を客観的に正しく表現をしているつもりでございます。そういう意味におきまして、いろいろな言葉を使って経済の現状を私ども説明をしてきておりますが、できる限り客観的に正しい情報を国民の皆様に御理解をいただくために努力していると考えております。  それから、グリーンスパン議長の話でございますが、私は呼びつけられたわけではございませんで、一月に私が参りましてお目にかからせていただきました。そして、私ども政府が考えております来年の見通しも含めまして、詳細にお話をさせていただきました。私自身との話の中では十二分に我々の考え方を御理解いただいたものと考えております。
  74. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 それでは伺いたいと思いますが、平成十年度のこの政府の見通し、一・九%ということになっておりますが、これは今でも変えなくてよろしいのですね。
  75. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 現在、金融機関の相次ぐ破綻やあるいはアジア地域の動向等を背景といたしまして、消費者あるいは企業の経済の先行きに対する景況感が設備投資や個人消費に影響を及ぼしているということもございまして、景気はこのところ停滞をしているというのが私ども判断でございます。  ただしかし、証券市場の動向等に見られますように、金融システム安定化法案が成立をし、そしていわゆるシステムに対する不安感が、昨年の十二月あるいはことしの一月の初めから見ますと、二月後半になりました現在ただいまにおきましてはかなりの程度改善をしてきているというふうに私は考えておりまして、そういうものが株価等にあらわれてきているというふうに考えております。ただしかし、実体経済の面では多少おくれてきておりますので、そういう状況が徐々に回復してくるというふうに思っております。  そして、先ほど来お話にありますとおり、補正予算が通過をし、お金が使えるようになりました。それからまた、二兆円の特別減税も景気に対する刺激効果を持つ状況でございます。さらに加えまして、私ども本当に願っておりますことは、十年度の予算及び法人税の減税も含みます諸般の関係法案が、順調に国会を通過させていただきまして、四月の初めからこれが実際に施行できるようにぜひしていただきたい。そのことを前提といたしまして、十年度の見通しにつきましては、一・九%、実現できると考えているところでございます。  また、アジアの動向等につきましては、IMFの枠内でできる限りの協力をすることとしておりますし、先般も貿易保険あるいは輸出入金融等の面におきまして支援をすることを決定したところでございまして、そういう効果が相乗的に相まって、日本とアジアがともにいい循環の中で回復基調に乗ってくるものと期待をしているところでございます。
  76. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 今長官がお話ありました、特にアジアの経済危機、日本に与えるその影響、御案内のこの経済成長率に対する影響力をパーセントで計算されましたか。  先ほどの御答弁の中で、平成九年においては予見できぬこととしてアジアの危機があったというお話がありました。であれば、当然この中にも入っているのかもしれませんが、まずは、アジアの通貨危機の与える影響というものを計量的にお示しをいただきたい。
  77. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 私ども、アジアの経済につきましては、いろいろな形で先ほど申しましたような支援をしているところでございますし、基本的には、アジア地区の潜在的な成長力というものは強いというふうに考えているわけでございまして、通貨、金融も含めまして、徐々に安定をしてくれば、いい方向に向くのではないかと考えております。  ただ、現在ただいまのアジアの通貨、経済の変動につきまして、どういう影響が我が国経済にあるかという点でありますが、四つぐらいに分けられるのではないか。一つは、アジア諸国向けの輸出が減速するであろう。それからまた、アジア諸国からの輸入がいわゆる輸出圧力によって増加をするのではないか、二点目であります。それから三点目が、アジア諸国向けの債権の不良債権化という問題があり得る。四点目は、現地に進出している企業の収益状況が悪化する。そういうようなことを通じての我が国経済への悪影響は、懸念をされるところでございます。  なお、輸出金額等につきましての減少傾向も出てきておりまして、詳細はここに数字がございますが、申し上げてもよろしゅうございますが、今後は、先ほどのような状況のもとで、日本経済を順調な回復軌道に立ち上げていく、そして、アジアの経済が安定をし、これも順調な回復軌道に乗ってくるということで、お互いに相乗効果を持って、いい方向に向かっていくことを期待しているところでございます。
  78. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 もっと正確に、実は、どのぐらい経済成長率に影響を与えるかということをお伺いしたかったのです。本来ならば、民間のシンクタンクでも計測をしているデータでありますから、お持ちになっておられないはずはないというふうに理解をいたします。  私が知る限りにおいては、幾つかの調査結果があるわけでありますが、OECDのインターリンクモデルというものによれば、マイナス一・四%という、それだけの景気に対してマイナスの影響がある。日本経済に対してであります、マイナス一・四%影響がある。これは、全く無視できないかなり大きな規模のパーセント、成長率に与える影響だということを指摘しなければならないわけでありますが、この一・九%の中にそのアジアの危機というものが入っておられるのかどうか、もう一度お話を聞かせてください。
  79. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 私どもといたしましては、先ほどお話をいたしましたように、IMFを中心とする枠組みの中でアジアを支援していく、それから、先日の緊急支援対策の決定をしたところでございます。  アジア地域全体としては、経済の潜在的な成長力は十分にあるというふうに考えておりまして、こういう諸般の施策及びアジア地域自身の自助努力も含めまして、徐々に正常な安定ある成長に戻ってくるというふうに考えているところでございます。  他方、我が国の方におきましても、先ほど来のお話のとおりに、内需中心の自律的な安定成長に乗せていくということでございまして、日本とアジアが徐々に、相互関係を持ちながら、正常な発展、成長軌道に乗ってくる、そういうことも踏まえまして、一・九%の見通しは実現できると考えている次第でございます。
  80. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 実際には、ここに余りアジアの経済危機の問題が含まれていないのではないかというのが通説でございます。これは大変な話で、これは一・四%以上のマイナスを試算しているところもあるわけでありますが、もし一・四%だとしても、一・九から一・四を引けば〇・五%程度の成長にとどまるのではないかという議論に、これだけでなります。マイナス成長ではないかという議論さえ出ている。にもかかわらず、極めて楽観的なお話をされる。  もしアジアの経済危機というものがここに、一・九の中に盛り込まれているとすれば、そして試算というものが正しければの話でありますが、一・九プラス一・四、もしアジアが危機でなければ三・三%も日本経済成長できるという話になる。アジアの話だけでこれだけ変わる。日本が三・三%の、景気がよくなるという兆候は、どうにも国内だけで見ても考えられないわけであります。  このように、アジアの危機の問題というものは日本に対して大変大きな影響がある。にもかかわらず、冒頭に一・九。どうも、平成十年も一・九で、同じにしているように思われてならないのでありますが、このような、安易に経済成長率というものを定めて、それを固定化しなければ、例えば税収見積もりに対しても大きな変動があるし、また財政再建路線というものもこれで終止符を打たなければならない、そういう危機感の中でこの一・九にこだわるということが、大変に私は、逆に経済運営を危うくするのではないかというふうに思います。  いずれにしても、このような経済の見通しというものをもっと正確にしていただかなければ国民としては困るわけでございますし、そのことを加味しながら、政府がまさに臨機応変に予算というものを巧みに利用していかれるとするならば、これからの議論を通じて、先ほども申し上げましたように、予算を固定化して、上げることばかり考えるのではなく、むしろ柔軟な姿勢で、予算の再提出をするくらい気迫を持って行動していただきたいというふうに願います。御答弁いただけますか。
  81. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、議員に対し逆に、それだけの厳しい状況であればあるこそ一日も早く予算を通過、成立させていただき、実行に移させていただきたいということをお願いを申し上げたい気持ちでいっぱいであります。  むしろ、いろいろな御議論があることを決して私は歓迎しないのではありません、それぞれが国のためを思い、一生懸命議論をしていただくことに対しては敬意を表します。  同時に、私どもは、本当に年度初めに予算の切れ目をつくりたくありません。そして、その年度初めをきちんと越えていきますためにも、年度末から年初にかけての時期、次年度予算がきちんと用意されているという状況で新しい年度を迎えたい。そのためには、一分一秒でも早く予算を通過成立させていただきたいと心からお願いをいたします。
  82. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 どうもやはり予算を上げることにのみこだわっておられる。予算を上げたら、次にまた補正予算を組むというような話になるのではないかという疑念が残念ながら全く消えないまま、時間が参りましたので、外交、安保の問題を一言だけ伺いたいというふうに思います。  私は、沖縄の米軍基地の問題で、総理が御努力をされて普天間基地の返還にこぎつけられたときは、大変に喜びました。そして、それが現実のものになるように期待をいたしているところでございます。  ただ、名護市沖の海上ヘリポートにあくまでこだわっていかれるのか、あるいは、それ以外の選択肢というものをいま一度白紙になってお考えになられるお気持ちがあるのか、そのことをまずお聞きしたい。
  83. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 この問題は、誤解を生じませんように、多少の時間をちょうだいしたいと思います。  まず、原点として申し上げたいこと、それは、私が総理になりました直後に大田知事と最初にお目にかかりましたとき、知事から、従来沖縄県として非常に重要視をしておられましたいわゆる三事案というよりももっと急ぐテーマ、市街地の中に存在をし住民の暮らしと隣り合わせている、非常に危険だ、一日も早く動かしてほしいという切々たるお話を承り、それを受けてアメリカ側との返還合意にこぎつけたものでございます。  そして、そのプロセスにおきまして、政府としては、沖縄県も正式のメンバーで加わっておられる沖縄米軍基地問題協議会、さらに普天間飛行場等の返還に係る諸課題の解決のための作業委員会、それぞれの場におきまして、検討状況などを御説明をし、意見もお尋ねをしながら進めてきたところでありますし、私自身も大田知事と何遍もお目にかかり、この問題について議論をしてきました。  そして、その中から、代替へリポートについて、さまざまな条件、考えに考え抜きましたあげくに、基地の固定化にならないように移設可能ということ、あるいは騒音、安全、環境、いろんなことを考えた上で、現時点における最良の選択肢としては、現在の普天間飛行場よりもはるかに規模を縮小した、しかも必要がなくなれば撤去できる海上ヘリポートという案を提示いたしました。  そして、その中で努力をしてまいったつもりでありますし、住民投票の結果も存じておりますが、そうした中で、昨年末、比嘉前名護市長が、国益、県益、市益という言葉を使われたと記憶をしております。熟慮をされた上、大変悩み抜かれた上だと、本当にそう思いましたけれども、受け入れるという決断を示されました。  他方、その同じ日に大田知事にお目にかかりましたときに、県としては、意見の集約に一月の半ば過ぎまではかかる、中旬ぐらいまではかかる、だから、その後またお目にかかるというお話でありましたけれども、お目にかかる機会のないままに、これは双方の日程の調整がうまくいかなかったということでありますけれども、受け入れ拒否を表明されました。  しかし、政府としては、普天間飛行場の危険を除去していく、そうした点では、現時点において、私はやはり、海上へリポートという選択肢は、必要がなくなれば撤去できるということを含め、最良の選択肢だと考えております。それだけに、ぜひとも御理解をいただいて、普天間基地の知事の心配された危険というものを一日も早く終結に向かわせたい、心からそう願っております。
  84. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 最善の選択肢である、たとえそれを理解をいたしましても、その最高の選択肢がやはり住民の意思というもので不可能だという結論を出さなければならなくなったときに、私は、次善の策というものも当然考えなければいけないというふうに思います。  アメリカのキャンベル国防次官補代理も、必ずしも海上案にこだわっておらない、むしろ、どこを選ぶかは日本政府の問題である。当たり前の話でありますが、政府の問題だというふうに言っておられる。にもかかわらず、やはり名護市沖の海上へリポートしかないんだという発想。先ほどの予算の問題もそうなんですが、形式の部分、確かに熱を入れておられるのはわかりますが、それしかないという思いで一点張りで攻めていかれるのではなく、むしろ多方面から考え直していかれるべきときではないか。  本来ならば、私どもとしては、グアムやハワイ、即応後方配備、海兵隊を行うべきではないかという発想から、海外の問題、そして海外が無理なら、日本の国土、広いわけでありますから、沖縄以外のところに求めるという努力があってしかるべき。それを十分になさらないで、やはり沖縄の中でという発想に結論を見出されて、その中でも海上へリポートに固執されていかれてしまうのは大変に残念であります。むしろ、沖縄の理解というものが得られなければ普天間がそのまま基地として残ってしまう、そのことさえ恐れるわけであります。  そのように本当になってしまうのですか。そのときには、やはり新たな選択肢をしっかりと考えていかれるのですか。
  85. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 どう申し上げたら御理解がいただけるのか大変苦しみますけれども、SACOの最終合意に到達いたしますまでの間に、今御報告も申し上げましたように、県みずからも入っておられる御相談の場で意見も伺いながら、最終報告の取りまとめをしてまいりました。  その過程において、いろいろな案が検討をされました。その中には、事前に報道をされました結果、計画の検討も終わらないうちに、地域の反対という声で検討を断念いたしましたものもございます。  さまざまな検討をいたしました中で、最終的に移設可能な海上へリポートという考え方にたどり着きました。そして、その移設可能な海上へリポートというものを、一番、大きく自然環境を破壊することもなく、実用上も問題がなく、環境の上でもプラスの出るような形でつくっていくにはどこかということを考えた上の選択肢をお示しをしたわけでございます。  それは、議員にもっとよいアイデアがあり、この地域であればという御意見があれば、ぜひ私は承らせていただきたいことであります。政府として、それほど現地の知事さんを初め関係される方々のお気持ちを無視してこの案を固めたわけではございません。
  86. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 せっかくのお話をいただきましたので、ぜひ、これは与党も野党もなく、真剣に議論をしていきたいというふうに思っております。  もう時間が最後になりました。  多少脈絡ということに関しては問題があろうかと思いますが、オウムの事件に関して、来月の二十日が三年ということになります。死者十二名、そして重軽症者が五千五百人以上という大変な地下鉄サリン事件というものが起きて三年になります。  そのオウム真理教の破産手続による被害者の救済、被害者への配当が、被害額の残念ながら一四%にとどまるというふうに予想されているのです。  そもそも国が被害者とともに破産申し立てに加わったのは、教団封じと、そして被害者の救済が目的だったというふうに思います。オウム真理教の破産を追い込んでいくために法務省が中心となって国の求償債権がかき集められたという経緯や、あるいはオウム破産事件の債権者の大半がサリン事件等の被害者であるということを考えれば、国の役所の債権届け出というものを、これは撤回すべきだと思いますが、いかがでしょうか。これは、実はお役人に任せては前に進まない話だと思いますから、何よりも政治的な決断を求めたいと思います。
  87. 伊吹文明

    ○伊吹国務大臣 政府側からだれがお答えするのが適当かわかりませんが、国民にかわりまして国が持っております求償権の大部分は労働省の労災保険でございます。これは、オウムが不法な行為をして、出勤途上に労災を受けられた方にお払いをしたお金でございます。当然、労働省というものはお金は持っておりません。国民五千万人の働く方々からお預かりをしている保険の運用としてこれをお払いしたわけです。  したがって、オウムの不法行為によって起こったことについては、五千万人の方々にかわって、国が今おっしゃった求償権をオウムに持っておるということは当然のことであって、オウムの債権、オウムの不法行為によって金を払ってもらえない方という国民と、労災に善意のお金を出しておられてオウムの不法行為のために払わされたという方の間の、これはバランスの問題だと思います。  したがって、財政法にも、御承知のように、最終的に国が持っている、国民にかわって持っているこの債権を放棄する場合には、鳩山委員を含めて国権の最高機関である国会の御意思を法律によって問わねばならないことでございます。  したがって、特別会計であるとか予算であるとかというものを省庁が持っているのではなくて、これはやはり国民が持っていると考えて、オウムの不法行為のためにお金を払ってもらえない方にどうするかということは、省庁の債権ではございませんので、私は別途の政治判断が必要だろうと思っております。
  88. 鳩山由紀夫

    鳩山(由)委員 別途の政治判断、特にバランスを考えて、しっかりお願いをしたいと思います。  最後になりました。鹿野委員にバトンタッチをいたしますが、今二時間議論をさせていただいて感じますのは、やはり政治というもの、経済も生き物でありますが、生き物を扱っていく中での政治の生き物としての役割、柔軟性、予算というものを一つとってみても、柔軟に扱っていただきたい。それを形の上で、中央省庁の再編の議論も全く同じだと思っておりますが、形というものを気にされて、どうも内容の部分に関しては、まず通してから考えようという発想に終始しているのではないかというような気がしてなりませんでした。  これは、やはり官僚主導の今の日本政治の弊害ではないか。先ほど、冒頭申し上げた国の形、政官業の癒着構造というものを打破して、権限というものをもっと分散をさせて、地方に、民間に権限をしっかりと戻していく中で、責任の明確化を求めてスリムな政府をつくっていく。そして、もっと生き生きとした、自由と安心の与えられる社会というものを本格的に考えていかなければならない。  そのために脱がなければならないのは、官僚主導の、ある意味で紙切れ一枚で人の命が決まってしまうような、そんな上っぺらな話ではなくて、真剣な議論というものを予算委員会を通じて行っていただきますように心からお願いを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  89. 越智通雄

    越智委員長 この際、鹿野道彦君から関連質疑の申し出があります。鳩山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。鹿野道彦君。
  90. 鹿野道彦

    鹿野委員 私は、橋本政権が誕生しまして二年以上になるわけでありますが、どこに前進があったのかな、何の改革が行われたのかな、そんな率直な気分であります。  すなわち、次から次と出てくるところのほころび、その矛盾の対応にきゅうきゅうとしておる。その場その場の場当たり的な政策、ただひたすら政権を維持すればいい、こういう小出しの政策、なかなかそういうところから前進というものを見出すことができない。総理は、六大改革、こういうふうなことを高々と掲げました。しかし、何一つとってもその展望を見出すことができない、いわゆる見通しすら立たない、これが実態じゃないでしょうか。  とりわけ悲惨なことは、日本経済ですよ。御承知のとおりに、九兆円というデフレ政策を行ってしまった。惨たんたる状況ですよ。  もう完全に景気が後退時にあるにかかわらず、そこで景気に対してブレーキを踏んでしまった。よくなるわけないんです。冷え切っているというよりも、日本の景気は凍りついてしまった、こういう状況です。これは何も私どもだけが申し上げてきたことじゃないんです。先ほど来、鳩山幹事長からも、諸外国からの政策に対する批判、いろいろ取り上げられました。  一例を挙げましょう。御案内のタイムズに、日本がアジアにもたらした新しい混乱、こういう中で、そのデフレ政策に対して、アジアの金融危機の連鎖反応を大きくした触媒は昨年四月橋本政権によって行われた膨大な増税である、この増税は一九三〇年のスムート・ホーリー関税法以来だと。このスムート法というのは、一九三〇年代に各国の関税を引き上げてしまったということで、悪法の代表的なものだというふうに言われておるものです。この関税法以来、先進資本主義国で行われた最も愚かで最も無意味で破壊的な経済政策と言われることになろう、ここまで言っておるのであります。  そしてそういう中で、金融機関の倒産、金融不安、そして大蔵省を初めとするところの不祥事、次から次と、政官財癒着構造、そのツケが今日もう歴然としてきておる。こういうふうな状況は、今日までの護送船団方式の業者行政の完全な限界、利権政治はもうだめよというふうなことであります。  そういう中で、総理は、過般の施政方針演説の中でこう言われております。ことしはあすへの自信を持つ年だ、こういう表現であります。何か本当に今日の国民生活の実態と大分かけ離れているな、むしろ不安な年だ、これが率直な気持ちじゃないでしょうか。  ですから、基本的にそういうふうな認識がなければ前進はないんです。反省がなければ、次の施策の展開というふうなものを講ずることはできません。以前から、過ちというふうなものをしっかりと認めて、そして次の施策に向かっていくというふうなことをやらなければだめですよと。誤りを改むるにはばかることなかれというふうな言葉がよく使われます。ここでやっぱり総理自身が、本当にいろいろなことにおいて判断誤りがあったんだなというふうなこと、この認識に立つことが大事なことじゃないか。  総理は、日本経済に対しての誤った診断をしてしまったんです。間違った処方せんを書いてしまったんです。ですから、健康体になるわけないのであります。そういうふうなことが非常に大事だ。  ましてや、あの住専のときに、六千八百五十億、国民の税金を投入するというふうなことをなされました。国民の大変な怒りを買った。しかし、そのときに私たちは、法的措置に基づいてしっかりとうみを出さなきゃならない、こう申し上げてまいりました。すなわち、ぼやの時点で、火元はどこにあるのか、何が原因なのかというふうなことをしっかりと突きとめておかなきゃならない、そしてその時点で消しとめておかなきゃならない。  ところが、その後ずるずる来てしまって、火事になってしまった。火事になったら、それ火元はどこにあるかというふうなことよりも、むしろ消火作業だ。火を消そう消そう、これが今日の実態じゃないでしょうか。そういうふうなことから、きちっと火事を消しとめる、二度と火事を起こさないというふうなことには結びつかないと思うのであります。  知らなかった、聞かされていなかった、予測もしないことであります、こう言われるかもしれません。しかし、予測をしなかったことに対して責任を明確にするというふうなことは、我々バッジをつけておる者の使命ではないでしょうか。とりわけ総理大臣というのは、一億二千万のこのすべてがかかっておるのであります。最高責任者としてのその責任は重いものなのであります。そこに信頼がなければ国民皆様方が一番不幸だということになるのであります。  私は、そういう意味で、まさに総理自身が謙虚に反省をして、そして間違ったことは間違ったときちっと認めていくということが為政者としての基本的な姿勢ではないかということを、質問に先立ちまして申し上げておきたいと思います。  そこで総理、今申し上げたとおりに、もう次から次と起きるところのこの不祥事、そういうふうなことから、国民皆様方からいたしますならば、政治に対する、行政に対する不信、極に達していると思います。総理大臣として、政治家として、いわゆる総理を初め我々政治家行政にかかわる者、そして銀行を初めとするところの金融機関、襟を正していくというふうなことが最も今求められておることではないか、このような認識を持っておりますが、いかがでしょうか。
  91. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 お尋ねの前に述べられた中で、一点だけ私が議員と意見を異にする部分があります。火事が起こったら、まず火を消すよりも、そのもとがどこか、原因は何かというお尋ねでございましたが、私はやはり、火事はまず火を消すことから始まると思うのです。その上で火元を特定する、原因をチェックする、私はそう思います。ですから、私が議員のおっしゃったことを取り違えたのかもしれません、ただ、その謙虚であれという御注意は、そのままにちょうだいをしたいと思います。  そして、今議員が述べられましたように、政治の道にある者、あるいは行政責任を持つ者、そして民間は民間としての、それぞれが責任感を持つべきであり、みずからの行動を省み、慎みを持てという御指摘は、そのとおりに思います。
  92. 鹿野道彦

    鹿野委員 私は、火事の消火作業をやらなくてもいいなんということを、総理、言っているわけじゃないのです。当然、火事になったら、消すことに全力を注ぎ込まなければいけませんよ。しかし同時に、火元はどこにあるのか、原因はどこであるのかということを突きとめていかないと、また火事になってしまうのですよということの指摘をいたしておるのでありまして、そこは履きかえてもらっては困ります。  それでは、襟を正していかなければならない、こういうお話でございました。そういう中で、金融システム安定化というようなことから、いわゆる三十兆円という膨大な税金が投入されるというふうなことになっておるわけであります。しかし現実的に、東京三菱銀行なりあるいは住友銀行が大蔵官僚を接待しておった、元大蔵官僚というのでしょうか、主要な諸銀行が不正行為を行っておったというふうなことが次から次と顕在化してまいりました。そういう中で、本当にその責任というふうなものは今のような状況でいいのか。  ましてや、超低金利政策。いわゆる民間の研究機関によると、この五年間で十五・七兆円、預金者に負担をというよりは利益を減じてやろう、こういうふうなことが、その数字も出されておるわけであります。それだけ預金者をも犠牲にしながら、いわゆる金融システムの安定化のために三十兆投入するんだ、こういうふうなことであります。しかし、何らそれに対して責任も問われない。果たしてそれでいいのだろうか。アメリカにおいては、御承知のとおりに、金融危機において十兆円の税金を投入した、しかし三千七百人以上の実刑判決者が出た、こういうことであります。  そういう中で、依然として金融機関のディスクロージャーがなされていない。いわゆる情報開示がなされていない、経営者としての責任というふうなものに対しても明確でない、こういうことを考えたときに、金融機関の姿勢というふうなものについてどのような認識をお持ちでしょうか。
  93. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  大蔵省の職員で金融機関の検査に携わる者が多額の接待を受けて、そして捜査機関に逮捕されて今捜査を受けておる、一部については起訴をされておる。そういう事件が発生したことはまことに遺憾なことでありまして、私ども、それを厳しく受けとめております。  同時にまた、金融機関の側も、何で検査官を数十回にわたって接待するのか。私は、それをしたMOF担という組織があったそうでありまして、これからの行政のあり方としては、MOF担というのが必要ない、MOF担の存在の必要性のない行政にしなきゃならぬ、こう思っております。  同時にまた、金融機関に対する金融システム安定化のための措置がこれからなされていくわけでありますが、当然のことながら、金融機関はその持っておる公共性、社会責任、そういったものを厳しく受けとめていただいて、そして、今後に向けての改善措置、これはしっかり取りまとめをして世間にも公表してもらいたい、私はそう思っております。
  94. 鹿野道彦

    鹿野委員 MOF担の問題については後ほど触れますが、いわゆる銀行員の賃金というものは他の企業よりも高いのではないか、こう言われております。二四%ぐらい高いのではないかというような話もございます。そういう中で、重ねて申し上げますけれども、三十兆も税金が投入されようというふうなことの中で、果たしてそのようなことでいいのだろうか、これは国民の素朴な疑問であると思うのです。  また、リストラがなされなきゃならないわけですけれども、ある銀行においては、定年制八十歳、こんなことも検討されているという報道もされているのです。このような姿勢について、大蔵大臣、どうでしょうか、どういう認識を持っておられますか。
  95. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  定年制八十などというのは論外だと思います。  それから、賃金の問題等、これも国民の目から見てなるほどと言われる程度まで引き下げるとか、そういったきちっとした処置をしてもらわなきゃならぬ、こう思っております。
  96. 鹿野道彦

    鹿野委員 すなわち、常識とかけ離れているな、こういう認識をおっしゃったと思います。  そこで、もう一つ常識とかけ離れているなと私思いますのは、その銀行協会から自由民主党が政治献金を受けているという問題ですよ。  これは、我が代表の羽田代表が本会議において取り上げました。それに対して、総理は次のように答えられているのです。「過去における借入金の返済に充当するものを除き、銀行業界からの政治献金を改めて自粛することといたしました。」この「過去における借入金の返済に充当するもの」、これは、確認の意味自治大臣政治資金ではないのですか。  いや、大臣、そのくらいおわかりでしょう。僕は、これは要するに、借金に充当するといっても、これは政治資金なんですよ。大臣、そうでしょう。これは大臣。お役人さんが言う答弁じゃないですよ、大臣、そうでしょう。当然のことでしょう、それは。(発言する者あり)正確を期すためということは、大臣の言うことは正確を期すことでないということになるんですかと私は申し上げたいんです。
  97. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 法令上の解釈の問題でございますので、私から御答弁申し上げます。  政治資金規正法上、債務の弁済等以外のいろいろな寄附、財産上の利益は、これはすべて寄附と解釈をされておりますので、借入金の返済に充てるものでありましても、政治資金規正法上は寄附に当たるものでございます。
  98. 鹿野道彦

    鹿野委員 まさしく政治資金なんですよ。  それならば総理、国会におけるところの、本会議におけるところの答弁を、これはやはり考えてもらわなければいかぬのじゃないでしょうか。基本的に、こういうことが国民の誤解を招くことになるんです。いかがでしょうか。
  99. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員が我が党におられましたころから、党の財政は決して豊かではございませんでした。そして、私どもは今それを返済しつつあります。そして、本会議で何ら私はうそを申し上げているわけではありません。そして、その返済に充てる部分でありましても、政治資金規正法上の寄附であることもそのとおりでありまして、だからこそ、経理的にはこれを区分しつつ、返済を続けているというのが事実であります。
  100. 鹿野道彦

    鹿野委員 私は、総理が、金融の基本は信頼だ、こう言われているのです。返済ならば、何でそれじゃ、それは同じ政治資金でも受けてもいいか。これは当然、国民の皆さんからすればそういう素朴な疑問じゃないでしょうか。ですから、ここはもう、政治献金、銀行協会からやめる、こういうふうなことの姿勢でなければ、私は、基本的にこの金融のシステム安定化というふうなものと結びつかないと思いますよ。いかがでしょうか。
  101. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 政治資金規正法上、団体をもって、これこれの団体から寄附を受けることはないというルールは、御承知のとおりであります。そして、我々は、返済をするために集めておりますもの、党を運営するためにいただいておりますもの、区分をし、分けて経理をきちんといたしております。そして、返済のための寄附というものが現実に存在をすること、これを必要とすることは事実でありますから、そのとおりを申し上げております。
  102. 鹿野道彦

    鹿野委員 借金の返済に充てるものを除いてというふうなことについては、もうそれはとても説明になりませんよ。こういうようなことがいわゆる不透明な政治というものに結びつくわけですよ。  そこで、要するに、わけのわからないようなこういう考え方、そういう不透明なあり方というものが政官業の癒着構造を生み出しているわけですよ。そして、今日そのツケが回ってきておるんですよ。  大蔵大臣、先ほどMOF担のことを言われました。すなわち、なぜMOF担、大蔵省担当が必要かというふうなこと、これが大事なことだ、そこはポイントをついているんですよ。  本会議においても、金融行政について、明確なルールに沿った透明性の高い手法に移行しつつありますが、こうした中で、さらに意見を聴取したり、行政考え方を説明するため、定例の金融連絡会を新たに設置いたしますと述べた上で、これは、いわゆるMOF担の存在を必要としない行政に転換するとともに、行政の透明性を確保するための措置でありますと。  それじゃ、MOF担を必要としない行政というのは、どうなさるつもりなんですか。
  103. 松永光

    松永国務大臣 まず第一に、大蔵省側とそれから金融機関との間で意見交換をする必要があるかもしれません。その場合にはオープンの場で意見交換をしましょう、さすれば隠れたところでこそこそ話をする必要はない。そういう意味で、透明性のある行政に切りかえていこう、こういう趣旨だと私は理解しておるわけでありまして、そのようにひとつ御理解賜りたいと思うのです。
  104. 鹿野道彦

    鹿野委員 私は、そういうふうな考え方というより、もっと具体的にどうするかというふうなことについて、問題点を指摘していきたいと思います。  なぜこんな不透明な行政が行われているかということは、いわゆる行政指導、通達というふうなものにあるのではないか。そのことについては全くわからないままになってしまっている。  この行政指導の通達というふうなこと、毎年どの程度出されておるか、大蔵大臣、御存じですか。いやいや、大臣でいいのです。率直にそのまま聞かせてください。そのままでいいのです。役人さんはそれに対して答えますけれども、大臣として、どうぞ。
  105. 松永光

    松永国務大臣 たくさんあると聞いておるわけです。  それで、これからは通達による行政とかあるいはまた事前の指導型の行政はやめましょう、早期是正措置を導入する機会にルールは明確に出して、そして、そのルールに合っているか合っていないかを事後にチェックするという形の行政に切りかえていこう、こういうことでございます。
  106. 鹿野道彦

    鹿野委員 それじゃ、通産大臣、どのくらいあるか、おわかりですか。いやいや、いいの、大臣として御承知かどうか、それをちょっと一言だけ。わからないならわからないでいいのです。
  107. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 どのぐらいあるか知りません。
  108. 鹿野道彦

    鹿野委員 それは、実態として大臣ほとんどわかっていないと思うのです。  これがその通達集というものなんです。こんなに厚いやつです。これは毎年出されておるのです。一万四千円以上の価格ですよ。こういうふうなものを各金融機関が買わされるわけですね、自主的に。そして、大蔵省の関係するところの団体がこれをつくっているわけですよ。そして、大蔵省には編集担当がいるのです。資料を渡して、そしてこういうふうなものがつくられているのです。  そうすると、後ほどで結構でございますけれども、そのいわゆる原稿料というふうなものがどういうふうな形になっているのか。後ほどお答えいただいて結構でございますけれども、この内容について大臣御存じですか、すべて。この内容について、いっぱいありますと言ったけれども
  109. 松永光

    松永国務大臣 それは、そんな細かい点は存じません。
  110. 鹿野道彦

    鹿野委員 全くそれが正直な答弁だと思うのです。すなわち、承知はしていないのです。しかし、承知していないというのは、すなわち任せておく、担当者の人に任せておく、善意に解釈すれば、そういうことでしょう。  こういうふうな、行政指導が次から次と大臣の知らないところでなされるというふうなものは、どだい問題なわけですから。これが不透明な行政に結びつくわけですから。そうでしょう。それを大臣が知らないでいるということは、重ねて申し上げますけれども、それは任せてあるんだ、責任はおれがとるからな、こういうふうなことだと思うのです。しかしむしろ、知らないことが次から次となされておる、そこに問題があるというときに、知らないままでいるというふうなことほど無責任なことはないのじゃないでしょうか。そういうふうなことになるわけですよ。いかがでしょうか。
  111. 松永光

    松永国務大臣 そこで、先ほど申し上げましたように、明確なルールをきちっと定めますよ、明確なルールを。そして、今までの事前指導型の裁量行政をやめます。明確に定めた透明性のあるルールに合致しているかどうかを事後的にチェックします。そういう形の行政に転換します、こう申し上げておるわけです。
  112. 鹿野道彦

    鹿野委員 今までも何遍か、不祥事を繰り返すごとに今大臣から言われたような答弁が、官僚の人がつくったものをそのまま言われるというふうなことが続いてきて、何ら是正もされてこない。だから、このような金融不安、こういう状況を招いてしまったのだ。  そこで、委員長、これを大臣に見てもらうというふうなこと、よろしゅうございましょうか。
  113. 越智通雄

    越智委員長 はい。
  114. 鹿野道彦

    鹿野委員 非常に大事な通達なんですが、これは赤線が引いてあるところをそのまま読んでいただきたいのです。  平成三年の十二月二十日なんですけれども、土地の融資に対する取り扱いというふうなことで、「土地関連融資の取扱いについて」は、「不動産担保融資を行うに当たつては、担保となる不動産の価格を把握するに際し、時価に偏重することなく価格の妥当性を十分チェックするとともに、適正な掛目に基づいて担保権を設定する等不動産担保評価の厳正化に努めること」こう書いてあるんですけれども、そのままお読みになって、大臣、どういうことなのかなとおわかりになりますか、一般論として。そのままで、どういうふうな印象か。
  115. 松永光

    松永国務大臣 ここで一つ私にわからぬ点は、適正な掛け目というところだけです。あとは、なるほどなとわかります。
  116. 鹿野道彦

    鹿野委員 しかし、だれが判断するだとか、その後のチェックがなされておるとかというふうなことは、大臣、おわかりにならないでしょう。その掛け目のところだけじゃないじゃないでしょうか、実質的に。すなわち、これは幾ら読んでみてもわからないんですよ。  こういう、通達がわからない。そうすると、銀行を初めとするところの金融機関の方は、わからない通達が出された、しかし通達が出されたけれどもこのまま放置しておくとまた役所に怒られるな、後でしっぺ返しがあったら大変だな、こういうことなものですから、MOF担という大蔵省担当お伺い係、これが必要だということになっておるんです。  だから、そういう人たち大蔵省を、あるいはその他の役所の人たちを接待して、そして、実際この通達はどういうことなんでしょうか、このお伺いを立てる。ですから、MOF担という、大蔵省担当というのは、単なる、チェックされる時期がいつかというふうなことを、これを先に突きとめるということもそれはMOF担の役目であったかもしれませんが、むしろ、通達というのは一体どういうふうなものの中身なのかということを突きとめて、そしてそれを上層部に報告する、それに基づいて金融機関はそれに対応する、こういうふうなこと。すなわち、そこが不透明な政官業癒着構造を生み出してしまったということなんです。  それではもう一つ、大臣、これをちょっとお読みください。非常に大事な通達で、もう一つお聞きいたします。  通達が出されたのは平成七年の十一月三十日です。年末の中小企業に対する資金手当ての通達なんですけれども、こう書かれているのですよ。「年末の中小企業者に対する金融の円滑化について」によれば、従来より中小企業金融の円滑化について適切に対応していただいているところであるが、年末の金融繁忙期を迎えるに当たり、引き続き適切に対応されたい。どういうことでしょうか。
  117. 松永光

    松永国務大臣 先ほどの分も含めまして、先ほどの分は、適正な掛け目というものが私にはよくわからないと申し上げたわけです。何割を掛けるのかということだろうと思うんですけれども、そういうことを考えて、まあ間違いなく担保はとれよという注意書きだとこれは見ました。  こっちの、もう一つの方は、中小企業者に対する融資を適切にやってくれよという通達だというふうに理解しました。
  118. 鹿野道彦

    鹿野委員 いわゆる、しっかり担保をとれよと。しかし、しっかり担保とれよ、ではどの程度か、これの基準があるのかどうか、そこが問題なんですよ、大臣。そして、チェックがその後あったのか。そのチェックがなされたならば、ではだれが判断したのか、検査官の主観でそれがなされるのか。もし本当にそういうふうな基準があるのならばここに出してもらいたい。大臣、そういう不透明さなんです。  ましてや、今申し上げたその中小企業のやつに適切に対応していただいておるならば、何も通達を出す必要はないじゃないですか。こういうところがまさに、重ねて申し上げますけれども、不透明な行政の根幹なのであります。  そこでお尋ねいたしますけれども、果たしてこの通達等々に法律的に根拠があるのかどうか、あるいはどこまでが許容範囲なのか、そしてだれがこういうふうな通達に対して責任を持つのか。こういうふうなこともすべて各省総点検をする必要があるのではないか、こう考えますけれども行政全般についての実態調査をこの国会に報告をしていただきたいと思います。
  119. 小里貞利

    ○小里国務大臣 率直に申し上げまして、委員会としてあるいは院としてただいまの趣旨に基づく要請がきちんと行われるなれば、協力を惜しむものではございません。
  120. 鹿野道彦

    鹿野委員 それでは、委員長、善処のほどをお願いいたします。
  121. 越智通雄

    越智委員長 理事会にお諮りいたします。
  122. 鹿野道彦

    鹿野委員 これは非常に大事なところなんですよ。こういう行政指導なりあるいは通達というふうなものが、この銀行局からだけでも三百七十七件です、毎年行われている。それを大臣が知らない、ここに問題があるんですよ。議院内閣制というふうなことならば、これだけ大事な内容を含んだものは少なくともきちっと大臣が把握しておかなきゃならない、これが本当の責任ある行政ということになるんです。それをもう任せっきり、そこに乗っかってきたところの政治家が一番の責任だ、私らも含めて。そういう認識です。  そこで、そういうふうな通達なり行政指導というものを最小限にすべきではないかと私は思うんです。そして、このような行政指導のあり方なり通達というふうなことについては、国会にやはりきちっと報告をするということが求められると思いますが、いかがでしょうか。まあ、お答えがないようですから、この点についても委員長の方で取り計らいいただきたいと思います。
  123. 小里貞利

    ○小里国務大臣 決して言葉を返すわけじゃないのでございますが、先ほどから議員がお述べになっておられまする通達の概念でございますが、いろいろ私は分類があるだろうと思うんです。  当然、その省にとりまして、責任大臣として系統機関に対しあるいは関係団体等に対して通告を申し上げる、あるいはお知らせをする責任上のこともあるだろうと思うんです、責任を有する。あるいはまた、先ほど先生が非常に高度な意味におきまして、まあ昨今折しもいろんなトラブルが起きているよ、これはいわば公務員としてあるいは官庁として基礎的にモラルに触れる問題があるんじゃないか、あるいはそれらの問題を惹起しやすい雰囲気をつくっている一つの要素にもなっているのじゃないか、そのようなひとつの感覚で言われるのであれば、私は当然、今議員お話しになることを傾聴申し上げなければいかぬな、そういうことを実は感じました。  したがいまして、先ほどの協力調査についても、あえて以上のことを申し上げた次第でございまして、まずきちんとその辺の基礎的な整理をしてかかる必要があるんじゃないかな、こういうことも感じておるところでございます。
  124. 鹿野道彦

    鹿野委員 そういう行政指導なり通達というふうなものの許容範囲はどこまでなのかということが明確でなければ、相変わらずわけのわからないところで行政指導がなされ、通達というふうなものによってこの行政が動いていくということになるんです。  ですから、当然、考え方とするならば、大臣がそれをすべて、どういうふうな行政自分の省庁で行われているかということをきちっと把握しなきゃならない。把握しなかったというところに問題があるわけでありますから、だから最小限にして、そしてきちっとそれを国会に報告する。こういうふうなことを、必要なことではないかということを私は求めておるわけでございまして、その点、委員長にも、善処の方お願いをするということを申し上げておるわけです。
  125. 小里貞利

    ○小里国務大臣 決して私は今の言葉を返すわけではありませんけれども、先ほどから申し上げておりまするように、例えば一万数千件ありますよという非常に複雑多岐にわたる伝達事項、通達事項等を、起草から基礎的に一切を国会に報告しなさいよ、こうやりますと、私は、一体どういう一つの結果が出てくるだろうか。あるいは、それぞれ今日的な行政の執行に当たる関係機関、職員、それぞれの分掌における責任ある人々は大分混乱するのじゃないかな、そういうことも実は今とっさに感じておるところであります。  もし先生が御指摘になることを進められるとするなれば、しかるべく委員会あるいは院の責任において整理をしていただいて、この種の問題を判断したいからひとつ協力してくれ、結果としては、こういうような実施要綱なるものを例えばつくろうじゃないかとか、あるいは各省庁において政令的なものを、訓令的なものでもつくろうじゃないかとか、いろいろ知恵が出てくるだろうと思うのでございますが、突然いきなり、伝達事項一切を国会に報告することを約束するような意味合いの答弁はできない、こう思います。
  126. 鹿野道彦

    鹿野委員 私は、この行政指導なり通達というふうなことが重ねてこのままでいってしまったのでは、また不透明な形になってしまいますよということなんです。だから、そういう行政指導なり通達というふうなものをきちっとやっぱり把握をしなきゃならぬ、そのためにどうするかというふうなことを考えるのが担当大臣の責任じゃないでしょうか。そんなものは知らないよというふうなものでいったのでは、また引き続いて同じようなことが繰り返されますよ。  どこまでがそれが許される範囲なのかということをきちっとそれぞれの省庁で考えて、そして最小限にするというふうな施策ならば、そのようにいたしますということを打ち出して、そしてそのことをちゃんと国会に、その考え方を報告してくださいよということを申し上げているんです。そう何にも、もうそのままでいいですよというふうなことでは、同じような形で不透明なままにいってしまうというふうなことですよ。
  127. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 それは銀行の通達集と拝見をいたしました。言いかえれば金融関係のものです。  そして、まず、金融監督庁が発足をすることになりますと、ある程度そこに変化が生じます。  そして、今の事前管理方式をいずれにしても事後チェックに変えていきますためには、検査の手法から変わらなければなりません。当然ながら、予告をし健全性のために行われる検査というものが大きな柱になってくるはずです。同時に、金融検査官に対し外部の方々をお願い申し上げるといった工夫もしていかなければなりません。そうした中において、現在行われております通達による行政というものも当然変化をいたさなければなりませんし、また変化をしていくでありましょう。  そういった意味での努力をしていけという、そうした御注意と受けとめさせていただきたいと思います。
  128. 鹿野道彦

    鹿野委員 基本的に、今までも何回か同じようなことが繰り返されて、そういう政官業癒着構造のツケがこうやって国民に負担となって大きくのしかかってきておる、そういうことをやはり改めなきゃならぬ。その一番の基本は何かといえば、ディスクロージャー、透明性なんですよ。なぜその不透明な行政が行われてきたかということを、私は、このMOF担と通達の関係というふうなことにおいて、国民の人にもぜひ知ってもらわなきゃならぬということで取り上げておるところなんです、大臣。  ですから、その通達というものが本当にどこまでがどういう形で許されるかというふうなことも含んだ形で、そして、ではどれだけ責任あって、どういうふうなものを大臣がきちっと把握しておかなきゃならないか、そして、できるだけそれは最小限にしなきゃならないな、こういうふうなことを直ちに、これは当然大蔵省なり各省庁が検討して具体的な施策を講じなければいけないことではないですかというふうなことを申し上げておるんです。  そして、その基本的な考え方はきちっと、国民から負託を受けた国会が、我々がその点を認識しておかなければならない。それは、政治行政責任を持っておるわけでありますから。私はそういうことを申し上げておるのであります。
  129. 松永光

    松永国務大臣 委員の御指摘、まことにごもっともだと思っております。  先ほどのこの資料、これはもう当たり前のことが書いてありますね。要するに、不動産を担保にとる場合には時価に偏重することなく、いいことが書いてありますよ、価格の妥当性を十分チェックすべし、それに適正な掛け目を掛けて、そうして担保にとりなさいよと。言わずもがなの注意書きだ、こう思っておりますが、このとおりやっておれば担保割れになったなどという例も少なかったかもしれません。  しかし、これは当たり前のことが書いてあるだけのことだと思っておりますが、これから先は、先ほど話がありましたように、委員の話にもありましたように、透明性のあるルールをまず明示する、そしてディスクロージャーを徹底する。早期是正措置が導入されればいや応なしにそれをせざるを得なくなってくるわけでありますから、そういう形での行政に転換されます。六月までの間に大蔵省から別の省に金融機関に対する監督検査の行政は移りますけれども、それまでの間も含めて、今委員指摘のようなことを念頭に置いて新しい金融行政になるように努めてまいりたい、こう思っております。
  130. 鹿野道彦

    鹿野委員 まだ大臣はわかっていないんですよ。適正な掛け目というのはどう判断すればいいんですか。そうでしょう。そこなんですよ。わからないです、銀行側からするならば。だからMOF担というものが必要になってくるんですよ。そういうわからない通達を出す、当たり前のことなら何も通達を出す必要ないんですよ。そこが一番の根幹なんです、この政官業癒着構造の。そこをぜひ認識してもらわないことには行政は変わらない。  そこで、もう一つお聞きしますけれども、それだからこそ私たちは、先ほど鳩山議員も言いましたけれども、要するに行政というふうなものが財政と金融というものを完全分離しなきゃならないところなんだ。わけのわからないことで企画立案されて、それを金融監督庁で検査しようと思っても、これは検査のしようがないんです。だからきちっとそこは分けていかなきゃなりませんよというふうなことを、従来から私どもは財政、金融の完全分離を主張してきたということも、行政の透明化というふうなことから申し上げてきておるんです。  そういうふうな基本的なところを大蔵改革としてやらなければ、大臣、これは変わりませんよ。そのような意気込みについて、大臣としてどうですか。
  131. 松永光

    松永国務大臣 御答弁申し上げます。  先ほど鳩山委員の御質問に対しても答弁いたしましたけれども、とにかく金融機関に対する監督と検査の権限、六月までの間に大蔵省から別の役所、金融監督庁に移ります。そして、大蔵省に残るのは小ぶりの金融企画局だけになるわけでありますが、しかしそれも新たに中央省庁再編基本法の中で、金融破綻処理に関する事項とそれから金融危機管理に関する事項のみが残って、あとはみんな金融監督庁が金融庁と名称を変更されてそちらに移っていく、こうなってくるわけでありまして、大蔵省も随分スリムになることになっております。
  132. 鹿野道彦

    鹿野委員 いや、完全分離についてどう考えるかというふうなこと、そのくらい思い切って企画立案も検査監督の方にきちっと移してやりますよ、そのことによって明確な行政がなされるようになるんですよというふうな、大蔵改革というものを思い切ってやるというお考えはありませんかと、これだけ私は今指摘をさせていただいたんです、問題点を。それをまた相変わらず、企画立案は大蔵省に残して、そして検査監督は金融監督庁ですというふうなことでは、これは行政というふうなものが不透明な形になってしまうんじゃないですか、こういうことを申し上げているんです。  ルールがきちっとあるというふうなことならいいんですけれども、今まで申し上げたとおりに、ルールが非常に不透明だ。そういう中で次から次といろんな行政指導がなされるというふうなことを、なるべくこれを少なくしていかなきゃならぬ、そしてわかりやすくしていかなきゃならぬというふうなこと。実質的に企画立案の方でいろいろなことを、密室においてそういうふうな企画立案がなされる。一方では、じゃ検査するのにどうしたらいいか、これはわからないじゃないですか、重ねて申し上げるのであります。  そういう意味で、大蔵大臣政治家としての決断というふうなものを、判断というものを求めたい、こういうふうなことを私は大蔵大臣に申し上げておるところなんです。
  133. 松永光

    松永国務大臣 その点につきましては、委員もよく御承知と思いますが、相当の時間にわたって与党三党の間で議論がなされて、その結論が言うなれば今回の中央省庁再編基本法の中に盛り込まれておるわけです。  すなわち、金融破綻処理あるいは金融危機管理に関する事項、これは実際問題として財政の力をかりなければ破綻処理ができない場合もあるでしょう。そういったことも念頭に置きながら、しばらくの間、当分の間財務省に残る、その他は全部金融庁に行く、こういうふうになっておるわけでありまして、私は大きな改革だろう、こう思っております。
  134. 鹿野道彦

    鹿野委員 財政の力をかりなければならない。各省庁でも財政の力が必要なときには、ウルグアイ・ラウンド対策においてもちゃんと要求するじゃないですか。何も、一緒だからそうなっていなければならないということはないですよ、大臣。そういう考え方が根本にあるならば、いつまでたっても大蔵改革なんというのは、行政改革なんかできないじゃないですか。そこを根本的に、私は官僚としての意識を持った大臣に期待しているんじゃないんですよ、政治家としての新しい松永大臣、松永大臣ならばそのくらいの政治判断をやるな、こういうふうな期待感から申し上げておるんです。政治家がそういう認識に立たなければ、日本の国の仕組みは変わらないのであります。  今のように、財政の力をかりなきゃいかぬからなんというようなことで一緒になっていなきゃいかぬというふうな発想である限りは、もう本当に行政は変わりませんよ。ですから、まさしく仕組みを変えるというふうなところが一刻も急がれるんですよというふうなことから、この不透明がいかに問題であるかというふうなことを具体的に私は指摘をいたしてきたところなのであります。  それに対して明確なる御理解をいただくことができなかった。これでは、とても日本の金融システム安定というふうなものの展望を見出すことができませんし、二十一世紀の展望なんというのはとても、どこにあるのかな、こんな感じでありますということを申し上げて、午後の質問に回したいと思います。
  135. 越智通雄

    越智委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  136. 越智通雄

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鹿野道彦君。
  137. 鹿野道彦

    鹿野委員 午前中に引き続いて、まず、イラク問題からお聞きしたいと思います。  アナン国連事務総長の努力によって、査察をイラク側が受け入れる、こういうようなことで合意がなされた。これで武力行使が回避されるというふうなことになったということで、大変よかったなと思っておりますが、まだ依然として根本問題、解決されたわけではないわけでありまして、そこで、基本的な考え方について総理にお聞きしたいと思います。  この合意について、政府としてどう評価されているのか、そしてまた、イラク側が無期限の査察を受け入れるというふうなことになったことを確認されたのかどうか、このことについてクリントン大統領と具体的な形で今後の対応についてお話をなされたのかどうか、今後話をする必要を考えておられるのかどうか、また、今後の我が国の、このイラク問題に対しての基本的な姿勢について答弁をいただきたいと思います。
  138. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に、アナン事務総長とイラク政府との間の協議の結果につきまして、けさほど、クリントン大統領が一定の評価をされたということは承知をいたしております。  また、日本として、当然のことながら、今回のアナン事務総長による外交努力というものは高く評価をいたしておりますけれども、この細部にわたりましては、アナン事務総長がニューヨークに戻られて、安保理で報告をされる予定になっております。現段階として、我が国として、その正式なコメントは礼儀としても差し控えさせていただきたい、私はそう思います。  その上で、いずれにいたしましても、関連安保理決議をイラクが完全に遵守をすること、そして、すべての施設に対する大量破壊兵器の廃棄に関するUNSCOMの査察をきちんと受け入れをし、さらにこうした協議の結果を誠実に実行に移すこと、実行していく、これが一番大切なことだと考えております。  なお、この問題については、いずれにいたしましても、この事務総長の報告が安保理になされました段階で非常任理事国の日本として公式な報告を受けることになるわけでありまして、その時点において正式な評価はいたしたい、そのように現時点では申させていただきます。
  139. 鹿野道彦

    鹿野委員 いずれにいたしましても、イラクがしっかりと査察を受け入れて、大量破壊兵器の開発もなされません、生産もなされません、貯蔵もありません、こういうふうなことになるように、引き続いて政府としてあらゆる努力をしていくという、こういう姿勢で臨むべきであります。このことだけを求めておきたいと思います。  そこで、冒頭に私は総理に対して、施政方針演説の中に、あすへの自信を持つ年です、ことしはと、これは国民生活の実態を見たときに、国民皆様方と相当乖離があるんではないかなと、率直な考え方を申し上げました。  今日の景気状況について、我が国の経済状況について、総理の認識をお聞きしたいと思います。
  140. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 午前中、経済企画庁長官からも御答弁を申し上げておりましたけれども、本年度、私どもは一・九%の成長見通しをもって経済見通しといたしておりました。しかし、消費税の税率引き上げの影響が、昨年の一—三月に私どもの予想よりも大きく消費に走った。そして、その四—六月で影響は当然残ると想定はしておりましたけれども、その後次第に回復をし、秋口には回復に向かうという見通しが、それよりも影響は大きく残った。そして、それにアジアの経済状況の変化、さらに昨年秋以降の金融機関の破綻といったものが大きく企業、家計双方の消費マインドを冷やした。そうした影響がありまして、これを大きく修正しなければならないという状況になりましたことは、午前中もお答えを申し上げたとおりであります。  そして、それとともに、貸し渋りといったことが問題になり、政府として、政府系金融機関、信用保証を含めまして、二十五兆円という枠を用意し、これに立ち向かう体制もつくってまいりました。  そういう中においてさまざまな影響が出ておりますことは少なくとも承知をいたしておるつもりでありますし、金融システムに対する不安がこれに拍車をかけておることも私は否定をいたしません。それだけに、今国会冒頭、特別減税を含む補正予算並びに金融システム安定化策というものの御審議を急いでいただき、我が国の預金者が不安を抱かないで済む状態をつくるとともに、システムの安定を図りたい、そう国会にもお願いし、御協力をいただき、今そうした施策を実行に移せる段階になっております。  この上は、平成十年度予算、これに関連して行われます法人税率を初めとした税制改正、こうしたものが一日も早く切れ目なく動きますように、動かすことができますように、国会の御協力を心からお願いを申し上げる次第であります。
  141. 鹿野道彦

    鹿野委員 見通しが甘かった、こういうふうなことであります。  しかしさらに、深刻な事態というふうなことを私は総理自身認識をしていかなければならぬじゃないかな。それは、御承知のとおりに、総務庁がまとめました昨年十二月の家計調査によりますと、一世帯当たりの平均消費支出が五%減、ダウンですね、これが前年同月比で二カ月連続、こういう実態です。これはオイルショック以来の二十三年ぶりだということです。  また、失業者二百三十万、最悪だ。倒産件数、一月の統計によると千五百件を超した。これも最悪です。そして、製造業の残業時間が三年六カ月ぶりに減少しておる。そして、消費者物価一・八%上昇。どう見ても、国民生活、深刻な事態になっているなと、統計上からも明確に認識をしなければならないと思うのであります。  そしてさらに、国際収支の黒字でありますけれども、これが前年に比べて六〇%もふえておる。何と四兆二千二百二十九億円もふえておる。ここの数字は、統計上、史上最高だと言われています。  だからルービン長官は、アメリカの財務長官ですね、一月下旬にこう言っているのですよ。弱い日本がアジア危機の原因である、日本が強くなればこの地域の強化の源泉になり得ると述べているのです。このようなアジアの危機的状況になったのは日本ですよ、日本がしっかりさえしてくればアジアは立ち直るのですよという意味です。  こういうようなことの中で、今後どう対応されるか、その点についての認識をさらに総理からお伺いしたいと思います。
  142. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 アジア各国、昨年のタイのバーツの急激な下落から始まりまして、幾つかの国で通貨が非常に不安定な動きをいたしました。これは、それぞれの国にそれぞれの原因は存在をいたしますけれども、単純に言いますならば、国際的な資金、短期の資金が流入し、またそれがその国を離れた、単純に言ってしまえばそういう言い方になるわけでありますけれども、それぞれの国の原因というものはやはりあろうと存じます。  その上で、日本がより景気を回復することの重要性は、当然のことながら、委員の御指摘をまつまでもなく、私どもよく存じておるつもりであります。同時に、貿易収支黒字の幅が拡大をした。これも、要因は私は一つだけではないと思います。為替の水準の問題もありましょう。また海外への投資というものも、現地生産等、例えば自動車等をお考えいただきましたときに、日本は着実にふやしているわけであります。  そうした中におきましても、我々が景気回復への努力は全力をもって当たらなければならないという御指摘については、私はそのとおり素直に受け取りたいと思いますし、先ほど来議員が挙げられました数字は、例えば失業者数三・四という数字にいたしましても、私の頭に常に残っているというか、刻み込まれているというか、改善をしていきたい大きなテーマとして存在しているものでありますから、その御指摘を否定するものではございません。
  143. 鹿野道彦

    鹿野委員 先ほど来から、とにかくこの九八年度の予算を早く通すことだ、こう言われておるわけでありますが、財政構造改革路線のこの予算では、これは景気対策十分でないですよ、こういうふうな声が至るところから出ているわけです。総理は、この予算が景気対策として不十分でないという認識なんでしょうか、お聞きいたします。
  144. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今私が申し上げたいこと、これは補正予算の御審議の際にもお願いを申し上げたことに通じるわけでありますけれども、さまざまな御批判がありましょうとも、市場が織り込んだものが市場の期待する期間の中に現実のものにならない場合、市場に与える影響というものは極めて大きなものがございます。そして、補正予算審議の際にも同様のお願いを申し上げました。  今回の平成十年度予算、さまざまな御論議をなさる方々がございます。私どもとしては、現状において最善の予算を編成し御審議を願っておると思いますが、これに対しては、先般の施政方針に対する代表質問の中でも、大変手厳しい御批判をちょうだいいたしました。私どもは私どもなりに考えて申し上げておりますこと、もう既に御承知のとおりであります。  ただ、いずれにしても、平成九年度から十年度へ移り変わります時点において、予算の空白を生ずること、これがいかに後に大きな影響を残すかは、過去にも何回か経験をしたことがございます。私どもとしては、年度内に予算を通過、成立をさせていただきたい。そして、この中に盛り込まれておるものをすぐに実行に移させていただきたい。殊に地方と連動いたしますような事業につきましては、地方が予定どおりにスタートができますためにも、そうした意味での御協力を心から願う次第であります。
  145. 鹿野道彦

    鹿野委員 総理とすれば、この予算が最善だ、こういうふうにおっしゃられる。しかし、与党内においても、これではだめだというふうな声がある。諸外国からもいろいろな形、G7においても、何とかしなきゃならぬじゃないか、こういうふうな声があるということは、これはそういう認識はされておりますね。
  146. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 外国からの声、これは往々にして、外国から言われて何かするのかという御指摘を院でも受けておりますように、私どもとしてもちろんこれに十分耳を傾けておりますし、我々の施策を十分に理解してもらう努力もいたさなければならないと考えております。国内において、さまざまな御論議があることも承知をいたしております。
  147. 鹿野道彦

    鹿野委員 大蔵大臣、それでは、今諸外国からの声について総理からお話がございましたが、このたびのG7において、日本が名指しで内需拡大をやるべきだ、こう言われました。これは国際公約ですか。
  148. 松永光

    松永国務大臣 私はG7の場で、日本がもう少し努力をすることが望ましいという話は耳にいたしました。聞きました。それに対して私は、補正予算でとった措置の説明を十分にし、かつ金融システム安定化策の説明を十分にし、かつ平成十年度の予算、そしてその中に含まれてくる法人税等の減税あるいは金融関係の減税、土地税制等々の施策がありますので、こうした施策が一日も早く実行に移すことができるように、私どもは一生懸命頑張ります、こう申してきたわけであります。  別に外国に向かって公約をしたというつもりはありません。我々がとろうとしておる政策の説明を十分にしてきた、こういうことでございます。
  149. 鹿野道彦

    鹿野委員 いろいろな施策は講じているというふうに大蔵大臣は説明した。しかし、説明して、それがそのまま、ああそうですかということでなかったわけでしょう。だから、内需拡大をもっとやらなきゃいけない、こういうふうなことを言われているのではないですか。そして、共同声明の中にもそういうふうな趣旨が盛り込まれているのじゃないですか。どうなんでしょうか。
  150. 松永光

    松永国務大臣 共同声明の中身は委員御存じのとおりでありますが、我々がこれからやろうとしている政策、例えば金融システムの安定化のための施策、これなどはこれから始まるわけでありまして、これが実行に移されて本格化してくれば、少なくとも日本の金融システムについての信頼度はぐんと高まる。そのことは我が国の企業家の心理には大変いい影響を与えるだろう、こういうふうに思いますし、また、法人税の税率の三%引き下げ、これも企業家の心理には随分いい効果が出てくるであろう、こういうふうに思います。  そういったことが相まって、もろもろの施策がお互いに相乗効果を発揮して、いい結果が出てくるからということを申し上げてきたわけであります。
  151. 鹿野道彦

    鹿野委員 いや、私がお聞きしているのは、要するに、今までいろいろなことを、そうやって大臣が、こうもやっています、ああもやっていますと言っても、それじゃ足りませんよというふうなことなんでしょう。だからこそ内需拡大をやるようにというふうなことになったんじゃないですか。
  152. 松永光

    松永国務大臣 私の方から申し上げて、それに対して向こうから何か要望があったということではございません。私が申し上げたことについては、それはそれなりにわかったという感じでございました。
  153. 鹿野道彦

    鹿野委員 要するに、共同声明にそうやってうたわれて日本は内需拡大をやるべきだというふうなことは、やらなきゃだめだよということなんですよ。国名をそうやって日本がやらなきゃいかぬと言う、これはもうよほどの深刻な事態だということなんですよ。  これは拘束されないのですか。この内需拡大をという共同声明、これは拘束されないのですか。そんなものはもういいのだ、とにかく日本日本だけでやっていけばいいのです、こういうことなんですか。
  154. 松永光

    松永国務大臣 G7における他の国の希望だというふうに私は受けとめますが、同時にまた、これから我々がやろうとしている政策についてどれだけ先方の方でわかってくれたか、これはこれからの問題だと思っております。
  155. 鹿野道彦

    鹿野委員 これは非常に大事なんですよ。もうグローバル経済なんですよ。ですから、今のような大蔵大臣のメッセージがいろいろな形で流れるということは、一体日本はどう考えているのか、こういうことになるのですよ、大臣。非常に重要なことなんですよ。もうそれは何も拘束されない、そういうふうなことなんですね。それでよろしいのですか。大変なことになりますよ、大臣。
  156. 松永光

    松永国務大臣 今の点に関することをもう少し詳しく申し上げますと、「日本においては、経済活動は低迷し、見通しは弱い。回復のためには、金融システムを強化するための引続きの行動及び経済の開放度を高めるため金融その他のセクターの規制改革が必要である。我々は、金融システムの「ビッグ・バン」改革に関するこれまでの進展を歓迎した。 IMFの見方では、今や、一九九八年における経済活動を下支えするため財政刺激の強い理由がある。」こういうふうになっておるわけであります。  これに対して私の方は、一九九八年における我が国の予算を一日も早く成立させると同時に、先ほど来申しておりますように、法人税の減税あるいは土地税制、金融税制、こういったものの減税を早く実行できるように予算と関連法案の速やかなる成立をお願いしたい、そのために私どもは一生懸命頑張りますということを申し上げておるわけであります。
  157. 鹿野道彦

    鹿野委員 いずれにしても、日本はもっと内需拡大をやるべきだ、財務副長官が、十兆円規模、やるべきだという話も新聞報道でされておる。  とにかく、それじゃ別の角度からお聞きします。  総理は臨機応変措置ということをよく言われます。その臨機応変措置という中に具体的にどういうふうな景気対策を考えておられるのでしょうか。
  158. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、現時点で私どもが院にお願いをしておりますのは、十年度予算の一日も早い成立であります。  今大蔵大臣からも、先進七カ国中央銀行・大蔵大臣会合の論議を踏まえて、内需拡大の要望があり、それに対して、法人課税減税を初めとした政策減税の話、金融システム安定化、これはむしろ歓迎しという言葉が中にありましたけれども、それ以外に規制緩和等をも積極的に求められております。規制緩和等の努力は当然いたしていきますし、また金融システム安定化策も国会で成立させていただきましたから、これを現実の問題として動かしていこうと今努力を始めております。  こうした努力は当然進めてまいりますけれども、基本となる本予算案が一日も早く通過成立をし、いわば足場を固め、その時点でそれがどのように動くかを見ていく、これが必要ではないでしょうか。  ただ、先ほど来御議論がありました中に、私が御答弁を申し上げておりませんでしたのは、アジアにおける幾つかの通貨不安を抱える国々、これに対して、IMFを初めとする国際機関と協調しながら、日本はアジアの一カ国として、またいわばカリの群れの先頭を飛ぶ一羽として、最大限の役割を果たそうと努力をしてまいりましたし、その中でも特に問題を抱えておられるそうした国々に対しては、資金的なものだけではない、専門的な助言をも含めて、そうした努力も一方では払い続けてまいります。  こうしたものは、いわばあわせて効果を出していく。それぞれの国にはIMFとの間のスキームをきちんと実施していただく御努力を願わなければなりませんけれども、そうやって一方ではアジアの金融・通貨の安定のためにも努力をしている、そうしたことも御承知おきを賜りたい、そのように思います。
  159. 鹿野道彦

    鹿野委員 簡潔にお答えいただきたいと思います。  それじゃ、総理のその臨機応変措置という中に予算の修正というのは含まれるのですか、含まれないのですか。
  160. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 政府は、本来これが最善と信じ、また事実そうした思いで編成してまいりました予算でありますから、原案で成立させていただけることを心から願っております。
  161. 鹿野道彦

    鹿野委員 まさに含まれないというふうな考え方ですね。含まれるのですか。
  162. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 いや、含まれないとも言っていません。政府としてはと申し上げています。
  163. 鹿野道彦

    鹿野委員 そうすると、じゃ、修正するというふうなことも考えておられるということですね、総理は。
  164. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 よくお聞きをいただきたいのであります。政府は、最善と信じて予算を提出いたしました。原案のまま成立することをベストと信じ、そのために努力をいたします。
  165. 鹿野道彦

    鹿野委員 それじゃ、また別の角度からお聞きしますが、赤字国債を財源とした大型の減税を行うということは財革法に抵触するのですか。
  166. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 赤字国債を財源とした減税、これが財革法に抵触するかどうか。現時点で、私どもが最善と思う税制改正をお願いいたしております。最善と思う税制改正をお願いいたしております。そして、その財源の一部に赤字国債を使用しておることも御承知のとおりであります。特別減税の場合ですね。
  167. 鹿野道彦

    鹿野委員 要するに抵触するかしないかだけをお聞きしているんですよ。
  168. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 財革法の解釈の問題ですので、私から説明させていただきますけれども、法律上は、特例債は前年度よりも減らすという規定と、それから二〇〇三年に特例債をゼロにするという二つの、特例債に関して言えば規定がございます。あわせて、二〇〇三年に建設国債とかあるいは特例債その他含めての、国、地方の財政赤字を三%以下にしなければならないという三点でございます。
  169. 鹿野道彦

    鹿野委員 そうすると、抵触するかしないかは、要するに赤字国債、別の方のところを減らして、それを景気対策に回すというふうなことならば抵触しないということですね。そういうことですね。うんと言っています。  それならば、これだけ諸外国からも含めて、この国はもちろんのこと、このG7においても、内需拡大をやるべきだ、アジアのこの経済危機のためには日本ももっと本当に、一刻も早くやるべきだ、国内のこの国民生活を見た場合に、もうできるだけ早くこれは内需拡大だということならば、思い切って、それは抵触しないということならば、赤字国債を財源とした減税というふうなものをやったらどうですか。いかがですか。
  170. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 御承知のように、特別減税は既に実施をさせていただきました。そして、その上で、今主計局長が御答弁をいたしましたような財革法の組み立てであります。そして私は、特別減税の御論議のときに、これを継続しないで済むような状況に早く持っていきたいということを申し上げてまいりました。
  171. 鹿野道彦

    鹿野委員 今、そういう悠長なことを言っておられるような状況じゃないわけですよ。とにかく予算を修正しても、本当に一刻も早く景気対策というふうなことが望まれておるんじゃないでしょうか。今日の景気の実態については、そういうふうな認識を先ほどもしっかりとお認めになられたんじゃないですか。それならば予算を通して、とりあえず予算を通すことだ、そうすると、次はもう補正予算だということなんですか。  そういうふうなことでは非常にわかりにくいのですよ。予算は最善です、こう言いながら、この予算を通してもらいます、しかしそれでは不十分だというふうな声にこたえていかなきゃならない今日の状況、これに対して非常にわかりにくいですね。では、補正を直ちにやるということですか。
  172. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は非常にわかりやすくお答えをしております。  市場が織り込んでいるものは、市場が期待する期間内に市場が現実のものとして受けとめられるようにすることが大事。税制改正も含め、平成十年度予算と当年度予算の間に切れが生じないように、ぜひこれが実行に移せるようにしていただきたいと非常に正確にお願いを申し上げております。
  173. 鹿野道彦

    鹿野委員 要するに、実質的に補正予算をやらなきゃならぬ、六兆円規模、実質的に党の大幹部も言われているでしょう、与党の。減税もやらにゃいかぬというふうなことも与党の中から出ているんじゃないですか。これは、今の予算をただ単に通すだけではだめだよというふうなことなんでしょう。  問題はタイミングなんですよ。今までもタイミングを逸してきたわけでしょう。だからこそこんなふうになってしまったんじゃないですか。それならば、財革法に対して抵触しないというふうな判断ならば、それはもう、内需拡大について求められるならばその中に盛り込んで修正をする、これが今日の最高責任者としてのとるべき姿勢ではないでしょうか。
  174. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 こういう御質問を受けております間も、この回っている地球ではさまざまな市場が動いております。そしてその中で、私は、市場関係者に少なくとも安心の基盤を与えるために、既に決定をし、政府として法律案を提出しております。法人課税を初めとした政策減税の問題、これとあわせまして、この十年度予算の中に盛り込まれております施策が一日も早く現実のものとして活用できる状態にしていただきたい、何よりもこれが急ぐ、かたくそう信じております。
  175. 鹿野道彦

    鹿野委員 先ほど来からお話もございましたけれども、メンツというふうなものはもう抜きにしなきゃいかぬと思いますよ。要するに、いかにこの経済危機を乗り切るかということを優先して施策を講じなきゃいかぬ。ゆえに、私ども民友連としても六兆円規模の減税を要求しておりますけれども、さらにこの委員会を通して要求をしていきたい、こういうふうに思っております。  それでは次に、中央省庁再編等の基本法案が十七日に国会に提出されました。これについては、省庁がどこかとどこかが一緒になる、こういうふうなことで、看板だけを塗りかえたのではないか、実質的な本当の行革ではない、こういうふうな声も出ております。確かに、私どもも、行革の基本というのはいかに仕事を減らすか、ここだと思っております。  そこで、経費削減どの程度か、そういうふうなものについては何か具体的なものがあるんですか。示されているのですか。
  176. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先生も御案内のとおり……(鹿野委員「簡単でいいです。含まれているかどうかだけ」と呼ぶ)そう簡単にとおっしゃいますけれども、非常に重要な本質を持ったお尋ねであるからお答え申し上げなければならぬと思うのでございますが。  では、単純に申し上げまして、もろもろの行政改革を推進した結果、例えば財政的視点から見たときに、結果として数値上どのような期待が持てるのか、そういういわばシンプルなお尋ねであるのかとも思うのでございます。  御案内のとおり、行政改革は、そう単純な一つの組織のもとに進められるものでないことは御承知のとおりでございまして、内外の情勢の変化あるいは危機等に対応するために、簡素で、かつまた効率的で、しかも機動的に対応できる、そしてもっと基礎的に言えば、二十一世紀の我が国の国家が担うべき一つの機能あるいは課題を処理しなけりゃいかぬな、そういうところから組み立てられたるものが、今次の第一弾としての中央省庁再編基本法でございます。  これを今次の国会で徹底的に議論をしていただきまして、そして行政改革の目標とするもの、あるいはその役割、そして、それを具体的に実現するための省庁のシステムはいかにあるべきか、この辺をあらゆる角度から議論をして磨き上げていただきたい、私はそう思います。これが第一弾であります。  これを国会の意思として政府の方向を決定していただけるなれば、二〇〇一年を目標にいたしまして、各省庁ごとに具体的な行政改革のもろもろにわたる、時間の関係でもう中身は申し上げませんが、そういうことで、きちんと整理は並行して必然的に行われるものである、私はかように確信をいたしております。  そのような、第一弾、第二弾の一つ議論の過程におきまして、今お尋ねになりました問題等も、当然明確に、かつまた有効なものが期待されてくるもの、さように思っておるところでございます。
  177. 鹿野道彦

    鹿野委員 答弁だけは長いですけれども、何を言っているかさっぱりわからないのですよ。こういうふうなことではだめなんですよ。  要するに、経費節減の目標を何も持っていませんということなんです。それで十年後に一〇%の人を減らしますと。考えてみれば、十年間で一割の仕事きり減らないということなんです。財政再建をやるためには行革と景気対策でしょう。こんなことで本当に財政再建ができるのかということなんです。ましてや財源そのものについて、税財源についての移譲については何も触れていない。全くこういうふうなことは本当の行革、地方分権なのか。そうではないんです。  そこで、具体的なことをお聞きします。  地方分権推進委員会の第二次勧告を受けて、自治体のいわゆる地方債というふうなものの許認可制度を廃止しましたね。廃止しました。しかし、廃止はしましたけれども、基本的に、地方公共団体なりあるいは都道府県と事前協議を行う、そして、事前協議を行って合意に達しなければ償還等の措置に対しては協力しませんよということになっているんですね。これはそういうことですね。
  178. 小里貞利

    ○小里国務大臣 私は、まさに、ただいま地方分権一つの例にとってお話がございましたが、このような議論を濶達に行い、そして議論をこね上げていくところに具体的な行政改革の姿というものが出てきますという意味でも先ほど申し上げたのでございますが、特にただいまお尋ねがございました地方分権の問題でございます。  御承知のとおり、地方分権委員会から四次にわたりまして答申をいただきました。この中身はもう御承知でありますから省略申し上げますが、主として申し上げられるのは、機関委任事務の廃止が一つあります。  それから、ただいまお話がございましたように、国が地方公共団体事務事業にかかわる一つのあり方というものを、きちんと規範的なものを整理をいたしたということがあります。あるいはまた、いろいろな事業執行上におきまして、政府と地方団体との一つの折衝の単位というものを、その客体を非常に簡素、大規模化したということも御承知のとおりであります。  今せっかく、そのような基本に従いまして、この地方分権というものを、いわば先ほどの中央政府の省庁改革と並行して、具体的にさらにこれを進めなければならないということで、目下集中的作業を行っておるところでございまして、今次国会中に皆様方にもその全容を明らかにできるもの、さように思っております。
  179. 鹿野道彦

    鹿野委員 私はそういうことを聞いているわけじゃないんですよ。地方債のことについての、許可制度を廃止したということについて聞いているのであって、確かにその許可制度というものは廃止したんだけれども、事前協議というふうなもので合意に達しなかったら面倒見ませんよということなんですよ。何も変わっていないんです。問題は、政府支出が七対三、国と地方が。しかし、そういうふうな実態ではありますけれども、問題は、自由度がどれだけあるかなんですよ。自由度はないんですよ。財布と権限は相変わらず持っているというふうなことでは、本当の分権でないんです。私はこの点を指摘したいんですよ。  だから、今進めておるところの地方分権推進委員会、何にも具体的な本当の意味分権というふうなものは進んでいないということ、これを指摘したいということなんです。  すなわち、あのマーストリヒト条約の中にも、その前文にこう書かれているんですよ。市町村ができることは市町村に任せましょう、県なり州ができることは、それは県なり州に任せましょう、国は、国においてきりできないことを国においてやる。これは国際的な一つの流れなんですよ。それを相変わらず、いや、地方債の許可制度は廃止しましたといいながら、一方においては、事前協議して合意に達しなければ面倒見ません、こんなようなやり方をやっているというふうなことに基本的に問題があるということなんです。このようなことでは、国の仕組みは変わらないんです。  私たちは、そうじゃだめなんだと。本当に分権を図っていかなければならないんだ、中央集権的な、はしの上げ下げまで指示するような行き方ではもう限界なんだ、そういう護送船団方式的な、業者行政的な利権政治は限界なんだ、だから思い切って、民間になり地方になり、情報公開もやって分権社会をつくらなければならない、これが私たちの基本的な考え方なんです。  すなわち、今の政権というふうなものは、ずっと自民党政権が長い間続いてきました。これは戦前の、いわゆる行政権は至尊の大権という、山県有朋が言った最もたっとぶべき権限なんですよという、その思想がずっと流れているんです。だから、戦前は富国強兵、戦後はキャッチアップだ、先進国に追いつき追い越そう。確かに、その考え方によって目的は達成された。  しかし、その目標が達成された後、相変わらずそうやって中央集権的行き方をしておる、だからこんな国になってしまったということなんです。そこに私たちと現政権との明確なる対立軸がある、中央集権か、分権社会を築いていくか、この対立軸だということを私は申し上げたいと思います。  次に移ります。  二月十五日に、自民党の山崎政調会長が熊本で、自民党の政経パーティーでこう言っております。今年度補正予算には二兆五千億の公共事業が含まれ、現在、地域配分率を精査しております、私は九州選出なので九州にできるだけ多く配分したいのは人情だ、しかし、こんなことを言うと政治問題になるが、熊本のように二人しかいないということになれば、どうしても地域の声が届きにくいということを申し上げたい。  建設大臣、すなわち行政そのものがそういう仕組みになっているんですか。
  180. 瓦力

    ○瓦国務大臣 鹿野委員にお答えいたしますが、一つには、各地域の要望にも耳をかさなければなりませんが、国家のバランスというものも考えてまいらなければなりません。  よって、公共事業につきましては、恣意的な配分というよりは、地域の必要性、また緊急性等を考えましてそれぞれ配分をいたす仕組みでございまして、建設省といたしましては、公共事業につきましての配分につきましては、以上のような精神のもとで配分を行っておるところであります。
  181. 鹿野道彦

    鹿野委員 公正な、公平な行政をやっているという、箇所づけもやっているということですね、大臣。明確に答えてください。
  182. 瓦力

    ○瓦国務大臣 今、鹿野委員にお答えをいたしましたが、さような方向で決定をいたしておるわけであります。
  183. 鹿野道彦

    鹿野委員 まさしく公共事業というのは国民の税金を使って国民共有の社会資本をつくっていくというふうなこと、そこに公平な配分がなされなければならぬのです。そして、客観的な一つ判断で優先順位が決められていくということなんです。  それが、山崎さんといえば与党の政策責任者が、いや、おれたちの言うことを聞かなきゃだめだよというような恫喝的な発言をしているというところに、基本的に政官財癒着構造そのものをあらわしているということなんです。そういうところから決して信頼される政治なんて行われない。常に、箇所づけだ、箇所づけだ、利益誘導だ。だから国は間違ってしまうのですよ。そのことを私は指摘をしておきたいのです。  そこで、大蔵大臣、前国会において、昨年の予算委員会大蔵大臣予算委員長でした、そのときに、泉井問題で山崎政調会長の証人問題が取り上げられました。そして、理事会で協議をいたします。泉井さんはちゃんと出て、証人喚問を受けているのですよ。政治家だけが逃れられるなんということは、そんなことはあってはならないのですよ。みずから、政治家であるならば、国民の負託を受けて、ましてや自由民主党の政調会長ですよ、そこで政策が決まっていくということでしょう、相当な影響力を持つということでしょう、そういう人が依然として証人喚問に出てこないというふうなことはどういうことなんでしょうか。  私は、委員長、改めてこの予算委員会に山崎政調会長の証人喚問を求めたいと思います。
  184. 越智通雄

    越智委員長 お申し出につきましては、理事会にお諮りいたします。
  185. 鹿野道彦

    鹿野委員 そこで、国鉄の長期債務のいわゆる処理についていろいろお聞きをしたいと思います。  昭和六十三年に、国鉄改革時、十三兆八千億というものは国民負担ですよというふうな閣議決定がなされたことを確認したいと思います。それは間違いありませんね。  間違いないのですよ、このことは。大臣、そのくらいはちょっと頭に入れてくださいよ。これだけ国鉄の長期債務の処理策について問題になっているときに、直ちに返ってこないということ、そういうところが問題なんですよ。少なくともそのくらいおわかりいただかなければ。  そこで、年金移換金の負担区分については昨年合意したのじゃないですか。昨年、国が、JRがどれだけ負担するか合意したのじゃないですか。(発言する者あり)一昨年ですか。一昨年、合意したのじゃないですか。合意したのかどうかということを聞きたいのです。
  186. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 お答えいたします。  移換金の問題について、平成八年の閣議決定は、国鉄清算事業団が負う移換金につきましては、他の事業団の債務と同様に、国において処理することといたしたところでございます。国が将来その処理のため必要な財源措置を検討、決定することとしたわけであります。  そうした中で、国において処理することと、このようなJRの負担ということ、これを区別したということではなくて、国において処理するという文言は、これをもって事業団の債務を国において処理する場合に、当然すべて国庫負担とすることを意味するものではございません。ですから、決してそこではっきりと区別したということではございません。
  187. 鹿野道彦

    鹿野委員 平成八年に、年金移換金等々九千四百億必要だ、必要量がそれだけある。そこで、事業団の方が七千七百億、そしてJRが千七百億、こういうふうな区分が明確になされたのではないですか。
  188. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  平成八年の時点におきまして、鉄道共済年金と厚生年金の統合に当たりましていわゆる移換金債務が発生したわけでございますけれども、約一兆円の足らず前があったということでございますが、この分担を、当該鉄道共済年金の事業主体でございます清算事業団とJR各社が、約七千億とそれから約二千億ということで分担したわけでございます。  そのときの考え方は、旧国鉄期間分につきましては旧国鉄の事業主体そのものでございます清算事業団が、それからJRになりましてからの期間につきましてはJR各社がということでの考え方で案分したわけでございます。
  189. 鹿野道彦

    鹿野委員 それがなぜ、一度合意に達したというものが一年後にさらにJRに三千六百億追加負担、こういうことになったのですか。
  190. 小幡政人

    ○小幡政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、清算事業団が旧国鉄期間分の七千億強、JR期間になってからの部分についてJRが約二千億弱ということで分担したわけでございますが、これはそのときの、平成八年時点における鉄道共済組合の事業主というものの存在を前提として、その時点において分けたわけでございます。  実は、今回お願いしておりますのは、平成八年で清算事業団が分担いたしました七千億強についての移換金債務をどうするかという問題でございまして、この問題は、清算事業団が抱えますこの移換金債務、それからその他の二十数兆の国鉄長期債務全体、この全体の処理をいかにするかということでございまして、その処理に当たりましての考え方として、先ほど申し上げましたように、JRの社員となった方の旧国鉄期間分についての分担、三千六百億程度を分担していただきたいということでお願いしているわけでございます。
  191. 鹿野道彦

    鹿野委員 それに対して、JR各社の経営陣は同意をいたしているんですか。
  192. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 この問題につきましては、私ども政府・与党の財政構造改革会議の企画委員会を通じまして、この長期債務はもはや先送りすることができないという中で議論がなされ、そしてその結果、今鉄道局長が申し上げた、清算事業団が解散し、そしてその債務をどう負担するかという中で、この年金移換金という問題についてJR各社にぜひ御理解をいただきたいということで、私ももちろんでありますけれども総理からも先般御理解を求めたところでありますが、今のところ御理解、御納得はいただいてはいないというのは事実であります。  今後とも、私どもはJR各社に対し、御理解いただくように努力をしていくつもりでございます。  ただ、先生、この機会に一言だけ申し上げておきたいのは、大変誤解を生じているようでございますが、今回のJRに対する負担というものが何か国鉄の六十二年の改革のときの負担を、国のいろいろな事情により負債がふえてきた、その分を負担させているような誤解を受けておられる方もいらっしゃると思いますが、それはそういうことではございません。今回のJRにお願いしている負担は、六十二年の改革スキームに対しての負担を一切求めておりません。  先生もう御承知のとおりだと思いますけれども、年金の大原則というのは、その企業なりの事業主あるいはそこに在職した社員が負担すべきものが大前提でありまして、まさに今回のお願いしている分も、その企業年金の、旧国鉄在職中の分につきましては、事業主であるJR、そしてJRの社員によって、その社員の福利厚生の問題でありますから、ぜひその点は御理解いただきたいことを再三申し上げているところであります。  またさらに、他の関係のない厚生年金あるいは国家公務員共済あるいは地方公務員共済、農林共済等々他の共済年金制度の組合の方々からも、これまでに九千三百億円という鉄道共済の不足分に対して御支援を受けているところでございます。また、今後とも、これら他の厚生年金あるいは他の制度の方々に、今後四十年間にわたり約六兆円、毎年千五百億円余りの、この鉄道共済に対する支援をまたお願いするところであります。  他の共済の方々からもそういった支援を受けている、そういった中で、企業年金の基本である事業主あるいは在職している方々が年金の負担をするというのは、私は大変これは合理的な話であり、決して無理強いして強制的にお願いしているというふうには理解しておりません。ぜひこの点は先生御理解をいただきたいところでございます。
  193. 鹿野道彦

    鹿野委員 合理的だというふうに大臣申されましたけれども、合理的だということならば、JRの各社の経営陣がすべて、それはできませんなんていうふうな回答、返ってきませんよ。要するに、基本的にやはり問題があるのですよ。  三島の北海道あるいは貨物会社、赤字なんです。二十億ぐらいの負担がそれにまたかかってくるのですよ。そして、今大臣が、要するに六十二年の、閣議決定は六十三年ですけれども、その当時の負担を、それを言っているわけじゃないんだ、あくまでも年金のことだというふうなことですが、それは平成八年のときにちゃんと区分されているじゃないですか。だから、JRもきちっと職員を新規採用して、そして新しい体制でというふうなことで話がついているわけですよ。それが、一年したらまた足らないから、それでこれは福利厚生のためだ、こういうことではやはりJRとしても納得できない、こういうふうなことじゃないでしょうか。  いずれにしましても、このことは、もうJRは民間会社なんですよ。民間会社ですから、やはり市場そのものにも影響があるのです。ましてやこの東日本JRなんかは、株主、外国の人が一〇%を超しているでしょう。それが、国の権力によってそれを負担せい負担せいというようなことは、これはどう見たって、市場関係からするならば理解できないところじゃないでしょうか。その点についてどうでしょうか。
  194. 藤井孝男

    ○藤井国務大臣 今先生おっしゃられました御質問の中で、平成八年でそれはもうすべて決着しているではないかというお話でありますが、それは先ほど鉄道局長が、その約一兆円の負担配分を、国鉄清算事業団七千七百億、JR千七百億というふうに分担をしたことは事実でございます。  それで、今度、清算事業団が解散いたします。抜本的な処理を国において処理するという意味は、国鉄清算事業団の移換金の負担の部分を、すべて国がいわゆる国民の税金で負担するとしたものではございません。ですから、やはり国民に負担を求めるということであれば、その合理的な理由がなければならない。したがって、この厚生年金移換金という部分でありますから、まさに身内が処理すべき、負担すべき原則の上にのっとって、その上で今般抜本的な処理策を具体的に提示し、本国会に法案として提出したところでございます。  したがいまして、この問題は今後まだ議論があろうかと思いますけれども、ぜひとも先生、その点は御理解をいただきたい、このように思う次第でございます。  それから、外国の方々、株主あるいは外国の投資家が云々というお話がございましたけれども、これも先ほど来申し上げているように、何か国が強制的に民間会社に押しつけているというような、そういう誤解を得ている節があります。そういう情報も聞いております。しかし、これも先ほど申し上げましたように、これは企業内の年金の負担の問題でありますから、先ほど申し上げました六十二年の国鉄改革で生じたいわゆる債務、それについて今回JRに負担を求めているものではございません。このことは重ね重ね申し上げておきたいと思います。
  195. 鹿野道彦

    鹿野委員 いろいろなことを説明されますが、いずれにしても民間会社なんです、JR各社は。それに対して、受け入れられないというふうなことを無理無理、公共の福祉、年金だからと、一度話がついたものを、これは足らないから何とかせい、これはやはり基本的に問題があるんじゃないでしょうか。徹底的にこれからやはりJR各社と話をしていかなければならぬことではないか。そして、本当に納得をするというふうなことが前提になければならないと思いますよ。  それから、問題は、なぜ私がこういうことを申し上げますかというと、十三兆八千億の国民負担、こういうふうなことで閣議決定されたのです。しかし、その後十年間、二十数兆に膨らんでしまった。それは財投という利息のつく、それで回してきたということです。何でそのままほっておいたのかということです。私どもは問題提起をしました。これを早く解決をしなければ、利息が利息を呼んで、だんだんだんだんまた膨らんでいきますよ、こういうふうなことを申し上げてきた。それを先送りをしてきたというふうなところに問題がある。一つ指摘しておきたいと思うのです。  もう一つは、それは年金だといっても負担は負担ですよ。やはりJRというふうなものに民営・分割されたときは、まさしくきちっと民間会社ですよということで分離したわけですよ。  そして、政治の介入があってはならない。膨大な、二十五兆円もなぜ国鉄の赤字がふえたか。それはやはり、いろいろなところで政治の介入があったんだというのが一つの反省であったわけです。それが国鉄再建監理委員会の基本的な答申の内容なんですよ。それをまた繰り返していくということは、これは避けなければならない。すなわち、国家権力の介入によってというようなことは避けなければならない。国鉄再建監理委員会の答申の精神をやはり風化させてはならないというふうなことを、私は重ねて申し上げたいと思います。  そこで、時間の関係もございますから、中小企業対策について、貸し渋りの問題が今大変な問題になっています。ところが、近ごろは貸し渋りじゃない。すなわち、銀行の人たちが、危ないなというふうに思われるところの企業、そこのところを夜九時ころから明け方まで監視しているというのですね。それは何かというと、すなわち貸し倒れを何とか防止したい、こういうことが現実的に実態として現場の姿なんですよ。  一方、中小企業、零細の方はお金を何とか工面しようと思っても工面できない、何とかしてくれと。そして、大銀行の方はいろいろな形でその施策を講じることができるけれども、地方銀行の方はそう簡単にいかない。だから、もう貸し渋りというより、むしろ回収作業に入っておる。そして、大企業の方はむしろ、主要な銀行では貸さないから、地方の銀行の方に行って融資を交渉しておるというような実態ですから、ますます中小企業は苦しい状況に追いやられておるのです。  そういうふうな現場の悲鳴というふうな声を聞いたときに、まず、具体的な措置、いろいろなことをやっていますということですけれども一つ私から提案をいたしますのは、大企業というのは社債を発行して調達できますけれども、中小企業はなかなかそういうふうな調達の道が閉ざされておるのです。そこで、地域経済というふうな問題でもありますから、地方債をこの際発行して、そしてそれを具体的に中小企業の方に回すという施策が講じられませんか。
  196. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答えをいたします。  自治大臣の方が適切かもしれませんが、時間もないようでございますから、私の方からもし申し上げるとするならば、信用保証協会の問題は地方の問題になってまいりますので、信用保証協会を通じての保証ということについては通産大臣の方に起因すると思いますので、それを含めてお答えを申し上げます。  今月の二十日に閣議決定をいたしました緊急対策、この中で、国内の貸し渋り対策として、信用力の補完面で対策を強化するということにいたしました。信用保証協会の第三者保証だとか、こういうものを原則として徴求しないということを考えて、また、保険限度額が倍額になる業種をさらにふやして約八十業種にしました。そういうような特定業種を追加するなどの処置を講ずることといたしてまいりました。  そういう点から、保証を通じての各銀行への、あるいは政府系金融機関への融資の道をしっかりとつくるようにいたしているところでございます。
  197. 鹿野道彦

    鹿野委員 いろいろ通産大臣から言われましたけれども、そういうふうな状況で、その対応を具体的にされているというならば、先ほど申し上げたような現場の声にならないのですよ。今、もう悲鳴を上げているんですよ、本当に。ですから私は、緊急の策として、地方債を発行して、銀行に預託して、それを中小企業の方に回していくという、そういう施策がとれませんかということを申し上げているのです。  それではもう一つ、通産大臣、中小公庫が政府保証債を発行して、そして中小企業に回す、こういうことはできませんか。検討してください。
  198. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答えいたします。  今のお話につきましては、政府系金融機関で新たな融資制度を創設いたしました。そして、平成九年及び平成十年において総額二十五兆円の資金を用意いたしておりますので、そういう意味での資金的な不足は全くございません。その点を御報告申し上げます。
  199. 鹿野道彦

    鹿野委員 通産大臣と大分認識の差が、ずれがありますね。そのような中小零細企業の実態じゃないのです。本当に毎日毎日をどうやって過ごすかというふうなこと。中小企業が日本経済を支えてきたのですよ。この中小企業がだめになってしまうということは日本経済がだめになるということなんですよ。そういう認識で思い切って政治家としての、官僚がつくった作文じゃなしに、政治家としてやる。このために通産大臣があり、自治大臣があり、大蔵大臣があり、そして最高責任者として総理大臣がおられるのじゃないでしょうか。  そのような政治思い切ってやってもらうということを求めて、質問を終わります。
  200. 越智通雄

    越智委員長 これにて鳩山君、鹿野君の質疑は終了いたしました。  次に、深谷隆司君。
  201. 深谷隆司

    ○深谷委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、橋本総理大臣並びに関係閣僚に御質問をいたしたいと思います。  その前に、さきに亡くなりました新井将敬氏に対しまして、謹んで御冥福をお祈り申し上げたいと思います。  ただ、率直に申し上げるならば、生きていて黒白をはっきりしてもらいたかった、その点が残念でなりません。死ということですべての問題がやみに葬られていくことは、ひとり新井さんのためにならないのみならず、このことで政治政治家全般に国民の不信の声が上がることを恐れるからでございます。しかし、それ以上申し上げても仕方がありません。この上は、私たちが自重自戒し、李下に冠を正さず、みずからを清めて誠実に政治に取り組んで、もって国民の信頼を回復する以外にはない、そのように思っております。  それでは、質問に移りたいと思います。  今もお話が出ましたけれども、この七年、バブルがはじけてから不況がずっと続いて、長い長いトンネルでございました。その間、国民の皆様がまことに大きな御苦労を背負った、そのことは政治家の一人として胸を痛めております。特に、私の場合には東京の下町に住んでおりまして、中小零細企業の方々が圧倒的に住んでいる場所、その人たちの苦しみというのは並大抵のものではございません。この人たちをしっかり守って景気を回復させることは、私たちの最大の課題。微力でありますが、これからも精いっぱい頑張っていきたいと思っている次第でございます。  ただ、ここで一つだけ考えておかなければならないことは、いわゆる不況マインドという点でございます。どうも、大勢の人たちが危機感を盛んにおっしゃるわけでございますが、過剰な危機感というのは、かえって不況マインドを助長させるという、そういう危険があるのではないかと思うんです。不況不況と言うことによって不況マインドが出て、逆に景気回復をおくらせているということも私たちは考えるべきではないか。  言葉じりをつかむわけではありませんが、さっきの質問の中で、こんな国になってしまった、そんなひどい国家になってしまったんでしょうか。だめだだめだと言われますが、私は、それほど日本が貧乏国家になり下がってしまったとは全く思っていないのでございます。  何よりも、日本は今でも世界有数の債権国家です。債務に苦しんでいる世界の国々と比べて、日本はお金を貸している国です。また、ドルの保有高、外貨準備高でありますが、平成十年一月末で実に二千二百十五億ドルを超えて、これは世界で一番でございます。さらに、国民の金融資産は千二百兆円、まことに膨大なものを持っておりまして、こんな国は、こんな底力のある国は私はめったにない、そう思っているんです。  にもかかわらず、なぜ不況から脱出することができないのか。やはり私たちが自戒を込めて言わなければならないのは、政治行政に対する不信が存在しているということではないかと思う。そして同時に、これから先一体どのように景気を変えていくのか、景気回復させていくのか、その道筋を明確に示していくということが、今日とても大事なことではないだろうかと思うのでございます。  これらの点につきまして、総理の御所見を承りたい。
  202. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今私は、議員がまとめられましたポイントに対し、全く異論を唱えるつもりはありません。そして、政治が果たしていかなければならない、あるいは行政が果たしていかなければならない役割をきちんと果たしていく、これが何より私は大事なことだと思います。  そして今、本国会になりましてから、特別減税、さらに九年度補正予算、また金融システム安定化対策、こうしたそれぞれの分野について国会に御審議をいただいてまいりました。そして、その間も申し上げてまいりましたけれども、こうした施策それぞれが相まって、私は、この国の景気を回復軌道に乗せていく。ただ、そのためにも、その相乗効果を上げるためにも、本予算を早く通過、成立をさせていただきたい。また、次年度税制改正、法人課税を初めとして既に準備をいたしておりますものが、年度がかわりましてすぐに動かせるようにしていただきたい。  また、党の方からさまざまな提言もいただいてまいりました。そして、それを既に実行に移しておるものもございますけれども、緊急経済対策等、私どもの前には一つずつ処理をしていくべき、しかも限られた時間の中で処理をしていくべき多くのテーマがございます。全力を尽くしてそうした施策を一つずつ着実に実行に移すことにより、回復の軌道を確実なものにしていく、そうした道を歩んでいきたいと心から願います。
  203. 深谷隆司

    ○深谷委員 橋本総理は、財政構造改革に並々ならぬ意欲をお示しになられました。  今、この国が抱えている国債という名の借金は、国及び地方の長期債務残高すべてで実に五百二十九兆円、これが財政を悪化させたり硬直化させたりする原因であります。同時にまた、これだけ大きな借金を次の世代に残してはならない。それは私たち責任であって、そういう意味において、総理が財政構造改革を打ち立てて、二〇〇三年までに国、地方の財政赤字を国内総生産、GDPの三%以下にしようと計画なさったことは、私は正しいことだと思っています。  しかし、だからといって、現実の景気回復の問題をそのままにしておくわけにはまいりませんから、現在の不況は深刻でございますから、この深刻な不況を克服するということに当面は全力を挙げる、そして中長期的な財政構造改革の実現をそのことによって果たしていくことがとても大事なことではないだろうかというふうに私は思っているのであります。  この点について、総理の御意見を承ります。
  204. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 財政構造改革の必要性はお認めをいただいた上であり、また委員が、目標を掲げて努力をする、全力を尽くす必要があることを認めていただいたことにお礼を申し上げます。と同時に、それは、それが理由となって景気回復への努力を怠っていいということではない、これも御指摘のとおりです。  そして、さきの質問者に対する政府委員の答弁の中でも御答弁を申し上げましたように、まさにこの二つの努力、財政構造を変えていく努力と当面の景気対策というもの、その間にはタイムスパンがあり、我々として工夫をし、努力をし、景気回復に向けての措置をとっていくことを実現不可能にしているものではないのだ、そしてその中で我々は今努力しているということも、ぜひ知っていただきたいと思うのです。
  205. 深谷隆司

    ○深谷委員 去る一月三十日に、私たちは二兆円の所得減税を決定いたしたのでございます。あの折、野党からはさまざまな批判の声も流れました。そして同時に、そのときに大蔵省の職員が逮捕されるという不祥事が出まして、ついに三塚大蔵大臣辞任されるという事態に相なりました。三塚元大蔵大臣の心情を察しますと心が痛みますけれども、あえて大蔵大臣を交代させても所得減税を実現したというところに、私は総理の景気回復に寄せる並々ならぬ思いがあったのではないか、そのことを強く感ずるのでございます。  しかし、昨今の国会での論議を見ておりますと、こうした総理の景気回復への決断について、それは政策を転換したのだから、この点を明確にしてあわせて責任をとるべきだといったような、そういう意見が出されているのであります。  私は、こうした批判はおかしいと思っています。今、経済の体力を回復させる、そのことが税収の増につながり、将来の財政構造改革を実現させていくのであります。中長期的な目標の財政構造改革と現実の景気対策というのは決して相反するものでもございませんし、二者択一のものでもない。総理はどうぞ自信を持って景気対策に全力を挙げていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  206. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ありがとうございます。  国会でしかられるテーマというのは、時によって随分変化がございます。しばらく前には、公共事業はけしからぬということでおしかりを受け続けました。そして、公共事業がすべて悪くはないと申し上げるたびにしかられました。今、景気対策、財政構造改革、並行して行えると言うと、けしからぬといってしかられます。しかし、幾らしかられましても、二律背反のものではない。そして、その目標のもとで努力をしていこうと全力を尽くします。
  207. 深谷隆司

    ○深谷委員 所得減税問題については、私が昨年の十月の臨時国会でここで質問しているのですね。それから、補正予算についてもつくるべきだということを強調したのでありますが、そのときは余りいい御返事ではございませんでした。ですから、このたびの二兆円の所得減税と補正予算を感慨無量の思いで受けとめて、しかし元気で頑張っていこうという総理のお気持ちを体して、我々も全面的に協力をしたい、そのように思っている次第でございます。  そこで、この際、もう一つ私はこの機会に御要望申し上げておきたいと思うのであります。  それは、この所得減税を一年間だけで終わらせていいものかというテーマです。もちろん、これからの政治の流れや経済の状況というものを判断していかなければならないと思うのですが、この二兆円の所得減税を国民の皆さんが御理解いただいて、これを消費に回していただくならば、必ず景気回復については前進するのであります。その場合に、来年もこれが続くのだよということになると、余計国民の皆さんの協力はふえてくると思うのであります。  私は、今ここで答えを出してくれというのはいささか困難であろうと思います、また、しかりたい人たちがいっぱいこっちにおりますから。だけれども、そういうことなども考えながら政治を行っていくということがとても大事でございますから、感想だけで結構ですからお考えを聞かせてください。
  208. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに、議員から減税あるいは補正予算の御質問を受けましたときに、他の委員方々に対してでもそうでありますが、なかなか難しいということを申し上げました。事実、決して楽な話ではございません。そして、私は、口先介入と言われないように、発言はできるだけ慎重に今までもしてきましたし、これからも慎重にしたいと思います。  その上で、私は、本当に特別減税を継続しないで済むような経済にしたい。申しわけありませんが、継続を考える以前に、特別減税を継続する必要がない経済にしたい。そちらに全力を注がせていただきたいと思います。
  209. 深谷隆司

    ○深谷委員 継続的な所得減税を行わなくても済むような経済状態にしたい、そのお気持ちは全くそのとおりだと思います。しかし、私たちの前途を考える場合に、いろいろな道筋を頭に浮かべて、そしてその時々にきちっとした対応を準備しておくということはとても大事なことですから、そういう意味で私は申し上げたわけでございます。  もう一つ、私は、景気対策として公共事業費の前倒しということをやはり考えていかなければならないのではないかなというふうに思います。公共事業は、GDP、国内生産の約一〇%弱でございまして、景気への影響というのは極めて大きいことは言うまでもございません。今までも、公共事業費の上半期の目標率を決めて、何度となく経済対策として公共事業費の前倒しを実施いたしまして、多くの効果を上げているのでございます。一番多い実績率は昭和六十二年でございましたが、このときは八〇・一%。私は、今日の経済の状況を見ますと、このときと同じぐらいの、この年並みの前倒しというものが必要になってくると思うのですが、総理はいかがでしょうか。
  210. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これはもう申し上げるまでもなく、委員よく御承知のことですが、先日御審議をいただきました平成九年度の補正予算の中に、災害復旧等を含めましての一兆円の公共事業の追加、また一兆五千億円のゼロ国債を計上いたしました。そして今、十年度の予算の御審議をいただいている中で前倒しと言われますのに、これは大変つらいものがあります。  そして、そういう御質問に対して、むしろ早く通していただきたいということを率直に申し上げたいと思いますし、いずれにいたしましても、地方の消化能力等々も十分考えながらこれから考えていくべきことだ。その御指摘は私は受けとめておきたいと思いますが、今前倒し率を云々する状況にはない、残念ながらそう思います。
  211. 深谷隆司

    ○深谷委員 公共事業費の前倒しについて私が申し上げたら、先行き息が切れるのではないかというやじが飛んだのです。そうだと思います、多分。  しかし、そのときはまたきちっと考えていくというのがやはり政治の対応ですよ。今考えていること、二カ月の状況というのは、刻々と変わってくるわけですから。それを、一回こう言ったんだから経済の情勢がどうなってもそのままでやるべきだ、それを変えるなら頭を下げろ、そんな議論政治家の本来なすべきことではない、そう私は思っております。  現下の経済情勢の中で、思い切った経済対策が必要であるということを今まで申し上げてまいりました。私は、その中で土地取引の活性化あるいは有効活用、これは極めて重要な意味を持つのではないかと思います。  中でも都市中心市街地の更新の積極的な推進ということは大事なことだと思いますが、建設大臣、あなたのお考えを聞かせてください。
  212. 瓦力

    ○瓦国務大臣 深谷委員にお答えをいたします。  昨年十一月に決定されました緊急経済対策を受けまして、建設省におきまして昨年十二月、優良プロジェクトにかかわる容積率特例制度の積極的活用等を地方自治体に要請したところでございます。  これはまさに土地の有効利用、活用を念頭に置きながら取り組んだものでございますが、特に、空地確保を必須の条件としない新たな制度、機能更新型高度利用地区制度、こう申し上げるわけでありますが、創設をいたしたところでございます。  更新期を迎えた都心商業市街地における建築物の建てかえにつきまして、私どもは全面的に支援してまいらなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  213. 深谷隆司

    ○深谷委員 都心商業地の代表的な場所でございますのが東京の銀座とか日本橋でございます。例えばこれを例にとりますと、この地区のビル建築については、昭和三十九年までは三十一メートルまでの高さ制限でございました。ところが、その以降、容積率に変更されたのですね。ですから、高さ制限で当時ビルをずっと建てていた、そのビルは既存不適格建築物に今なっているわけです。  だから、ここを容積率をふやしてあげれば、新しく建てるときにわざわざ小さく建て直さなくてもいいということになるわけでございまして、これは地元からも容積率を緩和せよという声が盛んに出ていたのですけれども、なかなかそれが実現できなかったのであります。そのために、銀座、日本橋かいわいの、つまり高さ制限のときに建てられたビルが圧倒的に多いのですけれども、これは老朽化いたしまして、東京の代表という場所でありながら近代的なビルがないというのが現状なのでございます。  昨年、景気対策という観点から、瓦建設大臣と尾身経済企画庁長官から御連絡ございまして、こういうところの容積率を緩和することによってビルが新築される、それがいわば景気回復の起爆剤になるからやってみようではないか、こういう御意見があって、私どもは大変時宜に合った提案だと思って、喜んで地元方々にも連絡をとりました。  ただ、容積率緩和のネックというのは、例えば都市計画中央審議会というような審議会を経なければならない。あるいは、その地域審議会などを経由してまいりますと、これは東京都が言うのですけれども、その審議が終わるのに大体一年半かかってしまう。しかも、どういう答えが出るかわからない、専門家の答えだから。これが一つのネックであったわけですね。  そこで私は、高度利用のときのプレミアとして三〇〇%までつくということを聞いたものですから、これを瓦建設大臣、尾身経済企画庁長官に申し上げて、最終的な目標は容積率の緩和だけれども、その高度利用のプレミアの分だけでも先にやって、新たなビル建築のラッシュをつくり出すことが大事ではないか、こう申し上げた。  そこで、昨年中、建設省から通達も出されたようでございますが、その後の経過及びそのことによってビルの建築計画がどのように起こっているかを伺いたいと思います。
  214. 瓦力

    ○瓦国務大臣 深谷委員から今御指摘がございましたが、ぜひこの施策を実施に移したい、こういう期待を持っておりまして、大変深谷議員のお力添えもちょうだいをいたしました。  先ほど申し上げましたとおり、指定指針の策定作業を進めて近々結論を得る、かように聞いておるわけでありますが、地元地権者を含む検討会が既に発足をいたしておりまして、都庁におきましてもいろいろ御指導をいただいておるようでありまして、早ければ今年中にも高度利用地区の都市計画決定を行いたい、かような意向と伺っております。  私は、早々にこの問題が進んでまいるということを大いに期待もいたしておりますし、積極的に御支援をさせていただきたいと願っておるところであります。
  215. 深谷隆司

    ○深谷委員 ひとりこれは銀座、日本橋だけの問題ではなくて、全国の都市で同じようなケースがあるのではないかと思う。私は、そこが起爆剤になって、それが各地に広がって景気回復へつながっていくということを望みたいわけでございますが、尾身経済企画庁長官、せっかくあなたもお骨折りですから、一言あれば、どうぞ。
  216. 尾身幸次

    ○尾身国務大臣 この問題、大変大事な問題でございまして、先ほどのお話のように、ビルを建てた後から決まった容積率がそのビル自体の現実の容積率よりも低いために、結果としてビルの建て直しができないという実態になっているビルが、東京の先ほどの中央区あたりを中心といたしまして、そういうものがかなりございます。  したがいまして、現在建っている容積率程度の、例えば一二〇〇%とか一三〇〇%というものもございますので、そういう現状程度の容積率は認めていかないと、現実問題として、耐震性に問題のあるようなビルの建て直しも進まないということでございます。  建設省の方、先ほどのお話のとおり三〇〇%の上乗せを認めていただいたわけでございますが、あと東京都の方で、現在の容積率八〇〇%を一〇〇〇%程度にまで上げていただくという手続をいたしますれば、現在の現実のビル、容積率を今まで程度に保持して建て直しをすることができるわけでございまして、新しい東京の顔あるいは日本の顔という意味からいいましても、ぜひ、その辺についての東京都の御決断もいただきながら、新しい都市をつくっていく、そして、耐震性の面でもまさに問題でありますので、一日も早く建設ができるようにしていきたい。  そしてまた、それ自体が大変大きな景気対策になるというふうに考えている次第でございまして、深谷議員のお力もまたいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  217. 深谷隆司

    ○深谷委員 容積率、今、日本橋とか銀座というのは八〇〇%ですね。これを一〇〇〇に引き上げようというのが容積率の緩和の目標なんですけれども、時間がかかるというので、今申し上げたような高度利用のプレミア、三〇〇%を乗せたらどうだ、こういう意見ですが、本来的には容積率の緩和を行って、そこにさらに上乗せして、そしてビル建築のピッチを上げるということが大事だというふうに思います。  ただいま申し上げたように、これは全国各地の都市における共通のテーマでございますから、どうぞ国家的な見地に立ってさらにお進めいただくように、両大臣に御要請いたしたいというふうに思います。  それから、実は私、これは申し上げようかどうか迷ったのですけれども、また御批判があることだと思うのですけれども、我が党の野中広務発言でいろいろにぎやかになりました。つまり、定額郵便貯金の金利にかかる税を活用して、六兆円景気対策をやろうではないかというのが彼の発言です。これはとても大事ですから、私は論議だけでもここでさせていただきたいなと思って、申し上げることにいたします。  平成二年つまり一九九〇年及びその翌年というのは、定額郵便貯金の金利が最も高いときでございました。六・三三%。そこで、国民の多くがここに預け入れを行いまして、実に百六兆円という金額に達しているのでございます。それが、来る平成十二年、十三年になりますと、貯金の十年満期が来るわけです。この貯金は半年複利でございまして、満期のときにその利息を一括して支払って、当然そこに税金がかけられるわけでございます。その利子課税は二〇%でございますが、国税が一五%、地方税が五%。ピークのときからは既に四割は引き出されておりますけれども、昨年度末で六割の六十五兆円の元金が残っているのでございます。  自見郵政大臣、私が今申し上げたこと、これでよろしいでしょうか。
  218. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 深谷委員にお答えをさせていただきます。  基本的に、平成二年と三年度の定額貯金の預入額につきましては、先生の仰せのとおりでございまして、平成二年度が六十二兆円、それから平成三年度は四十四兆円、合わせて百六兆円の定額貯金の預入がございました。  今先生が言われたように、平成八年度末の段階で一体百六兆円がどれくらい残っているのか、こういう話でございましたが、約四割程度が払い戻しをされておりまして、この時点では約六十五兆円程度の元金が残っている、これが事実でございます。
  219. 深谷隆司

    ○深谷委員 ここ二、三年で若干の引き出しがございましても、私は、満期のときには当初預入額の五割に当たる五十数兆円に達するものと推定をいたしております。六・三三%の半年複利で十年間回しますと、利回りは年利八%です。そうすれば、満期の年には少なくとも四十数兆円の利息が発生いたすのでございます。この利息にかかる税はおよそ九兆円になります。老人マル優といったような非課税分がございますから、これを引きましてもおよそ八兆円。そのうち地方の税の分を引いて、国税分だけでも確かに六兆円になるのであります。  この六兆円を目安として考えて、思い切った景気対策を立てるのだという野中発言というのは、私は、財源を確保しているという点、あるいは国の借金の膨張を防ぐという点で傾聴に値すると思っています。一部の報道によりますと、多分大蔵省筋から出たのだろうと思いますけれども、そんな額にはなりませんよ、とらぬタヌキの皮算用だ、さまざまなものを引いたら半分ぐらいだ、こう言っていましたが、そんなことはありません。どう計算しても六兆円入ってくると思います。元郵政大臣の私が言うのですから、まず間違いはない。  この額を活用して景気対策ということを考えることは、私は大事なことだと思いますけれども総理、どうお考えでしょうか。
  220. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、こうしたいろいろな角度からの議論というものがなされること自体、全く悪いことだと思っておりません。政党ですから、それぞれの構成するメンバーの中から自由濶達な意見が出てきて、それの論議を交わされるということは、私は望ましいことだと思います。  その上で、確かに平成二年度、三年度、今も手元の資料を見ましても、議員指摘のように、平成二年度の方がちょっと多かったようですけれども、定額郵便貯金の預け入れのピーク時がございました。そして、ある程度それは取り崩されてはおるかもしれませんが、将来、この定額郵便貯金の満期の到来の時点、ここにおける利子課税と税収について、今議員郵政大臣経験者として自信を持つと言われましたけれども、私は、これから先どの程度取り崩されるかあるいは取り崩されないかによっても変わるものですから、動きは当然あると思います。  同時に、予算編成ということから考えるなら、利子課税だけではない、各年の税収全体がどうなるかということからあるいは考えなきゃならないかもしれません。  私は、いずれにしても、現時点において平成十年度予算というものを早く成立させていただきたいとお願いをしている立場でありますけれども、将来に一つの夢を残す論議としてこうした部分がそれぞれの議員から考え出され、提起をされ、議論を呼ぶということ自体は、政党政治として喜ぶべきことだと思います。
  221. 深谷隆司

    ○深谷委員 本予算審議しているときにその先の補正予算にかかわることを言えば、それじゃ組み替えてこいという、そういう議論が出てきて、それは必ずしもおかしいことだとは思っていません。だけれども予算の組み替えをやるということになりますと、時間がかかるのですよ。こんな景気の状態が悪いときに予算の成立をおくらせて、いいことはありません。  だから私たちは、この予算審議して、一刻も早く予算を成立させるとともに、次なる手を今からしっかり考え、打ち立てていくということは大事なことだ、こう考えていますから、どうぞ総理におかれましては自信を持って、さまざまな角度から政策を打ち立ててこれを断行していかれるように、心から要望させていただきたいと存じます。  次に、大蔵大臣に御質問いたしたいと思います。  ついこの間までそこの委員長席に座っておられた松永先生が大蔵大臣におなりになって、おめでとうございます、こう言いたいのですけれども、まあ大変なときにお引き受けなさったな、ただただ御苦労さまですと言った方が正しいのかな、こう思っております。  この間は、G7、えらい時間がなくて恐縮でございました。本当に寸暇を割いて御苦労なさったことと思いまして、心から御慰労を申し上げたいというふうに思っております。  まず私が大蔵大臣にお伺いしたいことは、総額三十兆円に及ぶ金融システム安定化対策についてでございます。  金融・証券業界の冷え込みは、不況ムードの最大の原因と申し上げて過言ではありません。バブル崩壊以来七年にもなるのに、不良債権問題などバランスシートが完了していなかったために、金融システムの不安が株安を呼んで、その株安が不況感を増幅させ、その不況感がまた株安につながるといったような悪循環を引き起こしてきたのでございます。  そこで、国は、公的資金を投入してでも不良債権問題などいわゆる金融破綻に決着をつけようと考えた。この決断は、やがて景気回復のよき方向につながっていくと私は思いますけれども、こうした総理政府考え方が必ずしも国民にきちっと届いていない。そこが私は問題であると思っているのです。次々に続く金融関係の不祥事、これはすべてみずからが招いたことでございますのに、その反省がほとんどない、それなのに何でこんなところに公的な資金をつぎ込まなければならないのか、それが国民の素直な声だろうと私は思う。  経済の状況が悪くなれば、必ずしも自分責任ではないのに、みずから身を削るようにしてリストラを行い、頑張ってそれを乗り切ろうとするのが中小企業の皆さんでございます。一体、金融業界、金融機関に、そういう身を削るような努力があるんだろうか。どうも、その点に関しては、私も大きな不信感を抱いているのでございます。  例えば、銀行が抱えている不良債権の回収に一体どれだけの努力を払っているのでございましょうか。私は、金融不安の最大の原因は不良債権だと言ったのです。逆に言えば、この回収がうまくいけば不安解消につながっていくわけでございますが、その努力が見られない。大蔵大臣、どうお思いでしょうか。
  222. 松永光

    松永国務大臣 深谷委員にお答えいたします。なお、御苦労さまと慰労していただきまして、ありがとうございました。  金融機関が今日まで何をしてきたか。金融機関の抱えている不良債権の中には、あのバブル時代に野方図な貸し方をしたのはないのか。中小企業その他堅実に企業経営をやっている人に対して、その事業内容を見、将来性も考えて、そして融資をした、そういう貸し出しならよろしいわけでありますけれども、いずれこの付近はゴルフ場にでもなるだろうなんというようなところで、めちゃくちゃな貸し方をしたところもあるやに聞いております。そういったことが不良債権を累積させたという点は否めないことだと思います。  同時にまた、金融機関自身が、中小企業その他一般の企業と同じように、この厳しい時代に人件費その他を含めたリストラをしっかりやっているだろうか。必ずしもやっているとは言いがたいというふうに私は思います。  そこで、実はきのう早速、例の審査委員会の第一回目の会合があったわけでありますが、そこで資本注入をする場合の条件づくりその他がこれから論議されるわけでありますけれども、その中で私は一言だけ言っておきました。要するに、金融機関は、その公共性、社会責任、それをしっかり自覚をしていただいて、リストラも含めてこれからのきちっとした経営方針を出していただく、それが資本注入をするに当たっての前提条件でなきゃならぬ。そういうようなことを私は申し上げておきましたが、他の委員も大体そういう考え方議論を進めていただいているようであります。  いずれにせよ、金融機関、人件費の抑制を含めたリストラ、そしてまた債権の取り立て、そういったものをきちっとやって、そして健全経営に向けてのみずからの努力を今後ともしっかりやってもらいたいものだというふうに思いますし、それからまた、ディスクロージャーというものもしっかりやってもらうというような方向で進んでもらいたい、こういうふうに思っております。
  223. 深谷隆司

    ○深谷委員 ある銀行関係者とお話をする機会がありましたら、不良債権をうまく回収できない一つの理由は、相手が危ない債務者だ、怖い債務者だからなかなか回収できないんだ、こう言っていました。しかし、住宅金融債権管理機構、中坊公平さんが率いる団体ですね、これはどっちかというと危ない債務者を相手にして回収の努力をやっているのですよ。そして、そういう会社を相手にして見事な成果を上げているのですね。四兆六千億円、全体でございますが、そのうちの、二年間で全体の一三・三%、六千百八十六億円の回収に既に成功しています。  金融業界のみずからの努力で不良債権回収のために全力を尽くす、これは当たり前のこと。大蔵大臣、これは今後どういうふうに指導して進めていかれるおつもりですか。
  224. 松永光

    松永国務大臣 中坊さんがリードしておるあの住専処理機構での債権の取り立て、しっかりやっていらっしゃることについては心から敬意を表したいと思います。  それを参考にしたわけではありませんけれども、まあ参考にしたんだと思いますけれども、預金保険機構の中に責任解明委員会というものを実はつくることになりまして、それの特別顧問には、検事総長経験者とか日弁連会長経験者、あるいは警察庁長官経験者等を、四名の方だと思いましたけれども、特別顧問にお迎えして、その特別顧問の指導のもとに、中坊さんのあれがやっていると同じように、これは整理回収銀行の行う債権回収でありますが、しっかりやってもらいたい。そのための仕組みも実はできたところでありますので、その活躍を私どもは見守っていきたい、こう考えているところでございます。
  225. 深谷隆司

    ○深谷委員 今銀行は、合理化とかリストラを当然進めていかなきゃならないのですが、一体どうなっているでしょうか。  大手都市銀行の今春の給与のベースアップは、三年連続凍結の方向でございます。それでもなお一般と比べて高いと言われています。あの経営破綻した北海道拓殖銀行の三十代後半の平均給与は、五十万円を軽く超えていた。これは優良会社と比較しても高いということは明らかです。特に、責任のある立場の人々の待遇というのは抜群なんですね。例えば都銀の上位銀行でいえば、会長クラスで年収八千万以上、頭取で七千万から八千万ぐらい、副頭取で六千万円以上と言われております。  一方で経営の苦しさを言って、一方で他の優良企業よりはるかに高い給与を受け取っていて、それでリストラやっていると言えるのか。みずから身を削るような努力をしない金融業界に大きな批判が集まるのは、私は当たり前だと思います。こういう問題をなくしていって、なるほど、三十兆円出したが、金融業界が合理化やリストラもやって努力もして、血液と同じでお金の流れがよくなったと言われるようにしていくことが一番大事ではないかと私は思います。  それから、銀行は、苦境だ、苦しいとよく言うのですが、本当に実態はそうだろうかという疑問を私は持っているのであります。超低金利の恩恵も手伝って、都銀九行の九七年九月中間決算で、業務純益は対前期比四・一%増と、業績自体は好調だと答えが出ている。  リストラのために本店を売却しましたと発表した銀行を見たら、その相手は自分の関連会社であった、そういうケースがあるのですよ。具体的に言いますと、日本債券信用銀行の場合、九七年三月期、本社ビルを三百九十六億円で売却した。しかし、相手先は関連不動産でございます。北海道拓殖銀行も同じようなものでございます。バブルが終わって、高い時代の何十分の一、あるいは場合によっては何百分の一というような価格で優良不動産を買い取って、関連会社に移しているという例もあるのですね。  こうした実態を、大蔵大臣、一体どう思われますか。私は、こういう点はやはりきちっと処理していかなければならぬと思うのです。  今回のG7で金融市場の管理と規制がうたわれております。その眼目は、各国政府、とりわけ金融機関等々の情報の開示を求めるという点でございました。金融業界のこういうような実態、苦しい苦しいと言うのだが中身はそんなに苦しくないよ、こういう実態を明らかにするには、情報開示すなわちディスクロージャーがとても大事だ、それはG7でうたっていることに合致することだ、こう思うのでありますが、これらを含めて大蔵大臣の御見解を伺いたい。
  226. 松永光

    松永国務大臣 先ほども申し上げたことにつながってくるわけでありますが、金融機関の役員の報酬、相当高いことは私も聞いております。ただ、賞与の方は七年度及び八年度はもらってないようでありますが、いずれにせよ、役員の報酬にしてもあるいは一般行員の給与にしても、高いということは事実のようであります。(深谷委員「相当高い」と呼ぶ)相当高いことは事実のようであります。  そこで、先ほどもちょっと触れましたけれども、公的資金を使って資本充実を受けるという事態を考えれば、当然のことながら、その銀行は、その社会的な責任あるいは公共性等々を十分認識されて、人件費の合理化を含めた経営方針をきちっと出してもらった上での措置でなきゃならぬというふうに思うわけでありまして、審査委員会でそういう点は厳しく審査されるものというふうに私は理解をしているところでございます。
  227. 深谷隆司

    ○深谷委員 どうぞ、銀行業界、金融業界のこうした姿勢を正して、さっきも質問がありましたが、いたずらに数多く通達を出せばいいというものじゃありませんから、こういうような金融機関の実態を改善していく。なるほど公的資金を投じてもそれは正しいことであったと、国民の皆さんが御理解いただけるような状況をつくることが大蔵大臣の大事な務めだと思いますから、一層頑張っていただきたいと思います。  金融安定化法案を通しましたもう一つの大きな理由は、これによって金融機関の自己資本比率を強化させて、今大きな問題となっている貸し渋りを何とか防ごう、こういう思いが込められていたのでございます。  昨年来、金融機関の企業に対する貸し渋り、これはもう大変な激しさでございます。通産省がことし一月下旬に行った調査によると、昨年秋以降、中堅、大企業の約四割が民間金融機関による貸し渋りを受けており、特に大企業に対する貸し渋りが多いという調査報告が出ております。  去る二月十七日、三菱重工業が一千億円の資金不足に陥り、その穴埋めのために急遽、普通社債一千億円を発行すると公表いたしたのであります。アジアの経済の混乱のためにプラントなどの代金支払いがおくれた、あるいは国内景気の低迷のために資金繰りが悪化したといったいろんな理由がございますけれども、今までは銀行や生命保険から借り入れで補ってこれたのでございます。それが、近ごろは貸し渋りを強く受けるようになって、今回の社債発行となったと言われています。  同社の業績見通しは、下方修正は一応されていますけれども、一九九八年三月期の税引き後利益は八百三十億円、明らかな黒字経営でございます。三菱グループの中枢企業が黒字下で資金不足となった異例の事態、これを通産大臣はどういうふうに受けとめておりますか。
  228. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、貸し渋りの状態というものは、昨年末の中小企業から中堅企業に広がり、現在は大企業にまで広がっておりまして、大企業の中では、お話しのように、CPやあるいは社債の発行のできるところ、これはそういう方向に移っておりますが、それ以外のものに大分苦しい状態が出てきております。  そういう意味で、政府系金融機関の融資対象というものを大企業まで拡大するというところで今対応をいたしておりますが、特に三月末の期末を越した融資というものが非常に厳しくなってきておりまして、そういうものに対しての対応をしっかり行ってまいりたいと思っております。
  229. 深谷隆司

    ○深谷委員 この三菱重工業の場合には、社債を発行できるからいいんですね。社債を発行できない会社は、黒字でいながら倒産しちゃうんです。貸し渋りによってそういう事態が起こることは大変なことです。今もお話がありました、三月末にかけて資金繰りに苦しむ企業がうんと出ると思いますね。  これに対して具体的な貸し渋り対策、これは総理からぜひ御意見を承りたい。
  230. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、先ほど来既に通産大臣も何回か触れておりますけれども政府として、政府系金融機関に二十五兆円の資金、この中にはもちろん信用保証を含めておりますけれども、用意をいたしまして、これに対応する準備を整えてまいりました。  しかし、その時点で考えましたときには中堅企業まででありまして、議員が御指摘になりましたように、その影響というものは、本来であればそうした心配を考えないで済むはずの大企業にまで広がってきたという事態の中で、去る二月二十日に、日本開発銀行などの貸し渋り調達融資の対象を大企業まで拡大をいたしました。  我々は今、そうした措置によりまして、政府系金融機関を中心とした融資対応力の強化を図りながら、一時的に資金調達に困難を来しておられる皆さんの手助けに少しでもなれるよう引き続き最大限の努力をしてまいります。そして、その間に金融システムが安定し、与信能力を回復し得るだけの体力を民間の金融機関につけさせなければならない。  私は、いつまでも政府系金融機関がこの貸し渋りという現象の中でシェアを拡大し、それに安住することがよいとは考えておりません。当面まさに政府系金融機関は全力を挙げて事業者のお手助けをいたしますけれども、その間にやはり民間金融機関自身が体力をつけ、本来の役割を担える状況に早く戻ってもらうように努めたいと思います。
  231. 深谷隆司

    ○深谷委員 大企業に対しても貸し渋りがあって、これが大きな問題になっていますが、一番やはり苦労しているのは中小企業でございます。それでなくとも非常に弱い立場の中小企業、貸し渋りがありますと倒産にそのままつながってしまう。現実に私の周りにもそういうことが起こっているわけでございます。地元の中小企業、私どもは東京下町ですから、中小企業のメッカと言われていますけれども、悲鳴に似た声が毎日伝わってまいります。  貸し渋りの形にはいろいろございます。例えば、実績のあった借入額に対して、借りかえ時期に応じてもらえない、これはよくある手だてですね。融資金の減額を求める。さらに甚だしい場合には全金額を引き揚げてしまう、そういうケースもありました。不動産価値が薄れたからといって突然追加担保を求めてきて、利息の引き上げまで一緒に要求する。支店決裁から本店決裁に変わりましたというので、今までのなじみの人が急にかわって、そのために一層借りることが難しくなったという形もあるのです。  何だか、金融機関がありとあらゆる手を使って中小企業を苦しめているのではないか、そんな感じがするのが昨今の状況でございます。長年の取引があって、利子もきちんと払っていて、共存共栄と思っていた中小企業者がこのような状態に置かれて、何とも気の毒でたまらない。  通産大臣、もう一回、こういう中小企業の実態について、あなたはどう把握し、どう思っておられるか、お答え願いたい。
  232. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 深谷委員の御質問にお答え申し上げます。  非常に厳しい状態がさらに続いてきておりまして、一月末の調査におきましては、約六割近い人たち、中小企業の方々が、金融は非常に厳しくなってきているという回答をよこしております。そういう意味合いから、特にこれに対しては、政府系金融機関として特別の窓口をつくりまして、そして二十五兆円の資金を用意して完全な体制を行っておりますが、同時に、信用保証協会、この活用というものを考えないといけないだろうというふうに思っております。政府系の金融機関と信用保証協会に特別な相談窓口を用意いたしまして、貸し出しと保証手続の迅速化、こういうものを図っておりまして、弾力的な対応に努めております。  昨年の十一月十九日以降、一月末までの間におきまして、中小公庫、国民公庫、商工中金の三機関に対して十四万六千件の申し込みが参っておりまして、約十万件の融資を行っております。  さらに、年度末を控えた中小企業への対応に万全を期すべく、中小公庫等の政府系金融機関及び信用保証協会に対しまして、窓口における親身な対応を徹底するように再度指示を私の方からいたしたところでございます。先般はこれらの機関の総裁にお集まりをいただきまして、政務次官からさらに万遺漏なきように指示を徹底させたところでございまして、今後も、中小企業の資金調達の円満化のために、保証協会を通じて万全を期してまいりたいと思っております。
  233. 深谷隆司

    ○深谷委員 私は、政府系金融機関の出動こそこの民間金融機関の貸し渋りに対抗する最大の力だと思っておりまして、若干後で聞こうと思っておりました。  一時、民間金融機関が貸し渋りを行うのは例の早期是正措置に対して銀行が自己防衛するためだ、こういう話が専らでございました。早期是正措置で求められる銀行の自己資本比率、このガイドラインは国際基準で八%、国内基準で四%として、これを達成できない金融機関は切り捨てられるという極めて厳しいものでございました。銀行は、自己資本比率を引き上げるために資金回収と貸し渋りに走ったのでございます。  しかし、政府の努力によりまして運用をかなり和らげることになった、早期是正措置をですね。その上に三十兆円に及ぶ金融安定化法案も通ったのでございますから、もはやそれを口実にするということは完全にできなくなったはずでございます。しかし、残念ながら貸し渋りは依然として起こっているのでございます。相手が倒産してしまえば銀行は不良債権をまたふやすだけです。こんな悪循環は断ち切っていかなきゃならない。  幸いな、いい話もたまに聞こえてきます。浅草で実際にあったことでございますが、貸し渋りで動きがとれなくなったときに、その支店長や本店の人が行って実際の中身を点検して、それでは融資の期間を延ばしましょう、金利をこうしましょう、この二年間徹底してともどもにこの時代を乗り切るために頑張りましょう、そういう銀行もあるのですね。全部だめだとは言っておりません。  そういう意味で、中小企業を守るために、民間金融機関がもっともっとしっかり本気で共存共栄の対応をしてくれるように、しっかり大蔵省は指導してくださるように強くお願い申し上げたいと思います。  先ほど申しましたように、こういう時代にこそ政府系金融機関の出動というのが非常に大事になってまいります。お話にありましたように、政府系金融機関の中小企業への支援体制というのは着実に行われていると私は評価しています。中小企業金融公庫や国民金融公庫の金融環境変化対応資金として新規融資枠を設定したり、無担保無保証資金の融資対象や貸出限度額の拡充などを図ってこられた。  しかし、中小企業向けの事業用資金のシェアというのは、九七年九月までで中小企業金融公庫は二・一%、今もっと広がっているでしょうが、国民金融公庫で二・六%といったような状態ですから、まだまだ駆け込み寺としての役割を十分に果たしていると言えないと私は思っているのであります。中小企業者が保証協会の、さっき話がありました無担保枠をもっと広げてくれという声もあります。そういうことも全部あわせて、もう一回通産大臣の前向きの御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  234. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答えをいたします。  担保枠の融資につきましては、従来二億円でございましたけれども、それをさらに倍額にふやすということ。融資といいますか、保証でございますね。また同時に、今まで第三者の保証人を立てなければ保証をしないというような問題がございましたが、これも当分の間、本人の保証以外には第三者の保証は要らないということも行うようにいたしましたり、いろいろと、今までの七百五十万円までの無担保無保証の保証枠をさらに一千万円増加するとか、そういうような保証に対しての努力を拡大いたしてまいっております。  また、融資の方につきましては、もう既に行っておりますように、中小企業金融公庫におきましては四億八千万円の融資枠をさらに一億五千万円増加した、あるいは国民金融公庫においては四千八百万円の融資枠を三千万円さらに追加したというようなことを行いました。さらに申し上げますと、マル経資金の方では、今まで六百五十万円でございましたものを一千万円まで増加いたしまして、そして無担保無保証での融資を行ってまいっております。  昨年の十二月と今年の一月を合わせた実績で、十万件の融資を行って、一兆四千億円の融資が実現をいたしております。特に、無担保無保証融資につきましては、国民金融公庫の無担保無保証融資制度、マル経資金の限度額を六百五十万円から一千万円に引き上げまして、担保不足に悩む中小企業の方々を支援するための可能な限りの措置を講じているところでございます。  この限度額の引き上げに対応いたしまして、マル経の実績につきましては、引き上げを行った昨年の十二月から一月までの間に金額ベースで約一千億円、同年同期比で六七%の大幅な伸びを見せているところでございます。今後とも、こういうような体制をさらに拡充して、万全を期してまいりたいと思っております。
  235. 深谷隆司

    ○深谷委員 担保を要求されても、もう目いっぱいであるとか、あるいは代々ののれんにすがって生きていて、そういう意味では信頼の置けるような中小企業というのはたくさんあるのですね。  ですから、ただいま申し上げたように、保証協会などの無担保枠をもっとふやしていくということなども含めて、苦境に立っている中小企業を、通産省、大蔵省政府は挙げて守るんだということで、どうぞぜひ頑張ってくださるようにお願いを申し上げたいと存じます。  次に、大蔵省と金融業界との癒着、そしてその結果としての不祥事が続発していることについてお尋ねをいたしてまいりたいと思います。  各銀行の破綻状況がなぜ事前にわからなかったのだろうか、早い時期に大蔵省が把握していたらもっと適切な対応ができたのではないか、今日の金融不安を招かなかったのではないかという声がありました。しかし、最近何人もの逮捕者を出しまして、一連の事件を通じて、大蔵省と金融業界のもたれ合い、癒着が非常にあって、それが、事前にさまざまな問題を見つけ出すことができない、対応できない元凶であることがわかってきたのでございます。  先ほどからお話が出ていました、銀行にはMOF担と言われる大蔵省担当者がいて、ほぼ毎日大蔵省に出向いて、経営計画の報告書を出したり、大蔵省の銀行への要望を聞くなど、そういう業務をやってきたのですね。しかし、これはあくまでも表の顔だというのです。実際は、大蔵省行政の金融検査などの情報集め。それだけではありません。不良債権償却に伴う費用、これは検査官が問題ないと判断して償却証明というのを出しますと無税になるのです、無税償却になるのですね。税金を取らないのです。銀行は、法人税額の大幅な圧縮のために、ここに目をつけて、MOF担に働かせたというのです。  破綻した北海道拓殖銀行の場合、逮捕された金融検査部の管理課課長補佐谷内容疑者は、一九九五年九月期に二十二件の無税償却の申告があった、それに対してすべてを認めたのであります。すべてを無税でございます。さらに、九七年三月期には、百三十七件のうち実に百三十二件を無税としたのでございます。  逮捕された大蔵省の役人は、MOF担当を自分の財布と勘違いしている。そして、飲食はもちろんのこと、ゴルフ接待から、果てはノーパンしゃぶしゃぶ、まことに破廉恥な行為を繰り返していた。断じて許しがたいことだと思うのであります。  司法当局が今捜査をやっております。しかし、ひとり司法に任せるのではなくて、大蔵省みずからがやはり調査をして、そして自浄作用を行っていかなきゃならぬと思うのですが、大蔵大臣、いかがでしょう。
  236. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりでありまして、銀行を検査するその担当者が銀行側と癒着して、そして検査日を教えたり等々のことをしてきたということは、まことにけしからぬ話でございまして、こうした事態を招いたということ、まことにざんきにたえないところであります。  刑事的な責任につきましては、御指摘のとおり、現在、捜査機関が鋭意捜査をしております。既に起訴された分もありますけれども大蔵省としては、逮捕された人だけじゃなくして、それ以外にも公務員としての倫理にもとる行為をした人があるのじゃなかろうか、そういった点を念頭に置きながら、金融服務監査官というシステムをつくりまして、それを担当者として、過去五年間にさかのぼって、約五百名を超すわけでありますが、一人一人について、倫理にもとる行為をしたことがあったかどうか、それを現在調査しているところであります。  調査がまとまり次第、責任の度合いに応じて厳正なる処分をするという方針で、今やっているところでございます。
  237. 深谷隆司

    ○深谷委員 第一勧業銀行の総会屋への融資だとか、山一証券の簿外債務等々が発見できなかった、やはりこれは金融検査のあり方が問題だった、そう思います。今回の事件を踏まえて、この際、金融検査のあり方を抜本的に改め、厳正で実効性のある検査体制、手法を確立することが急務だと私は思います。  諸外国でも金融検査は重要であり、おのおのの国の実情に応じてさまざまな工夫がなされています。アメリカでは、財務省通貨監督局、連邦準備理事会、連邦預金保険会社、各州の銀行監督局等が全体で八千人を超す検査官を有して、最低年一回は各銀行の検査を行うといったような、かなり徹底した体制をとっております。他方、イギリスであるとかドイツといったようなヨーロッパ諸国では、検査官の数は極めて少なく、むしろ公認会計士等の活用ということで検査監督を行っています。  こうした外国のさまざまな検査体制をモデルにして、日本でも新しい検査体制をつくっていく必要がある、こう思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  238. 松永光

    松永国務大臣 お答えをいたします。  まず一つは、金融機関に対する行政のあり方がこれから変わります。すなわち、事前指導型の裁量行政から、明確なルールをつくって、そしてルールに合致しているかどうかを事後にチェックするという形の行政に変わっていくわけであります。したがいまして、検査のあり方も、そのルールに合った業務をしているかどうかをチェックするという、そういうやり方に変わってまいります。  したがって、これからの検査のあり方を、今までとは違った事後チェック型になっていくわけでありますけれども、同時にまた、民間の人たちの知恵もかりて、そして合理的な検査体制になるように現在やり方を検討しているところでございます。  速やかに新しいやり方に持っていきたい、こう考えているところでございます。
  239. 深谷隆司

    ○深谷委員 二月三日の参議院予算委員会参考人として呼ばれた全国銀行協会連合会の佐伯前会長は、MOF担の全面廃止という方向を打ち出したのであります。  東京三菱銀行では先週から、公務員に対して、接待するだけじゃなくて、お中元やせんべつなど一切の物品を提供することを禁止する倫理規定を行員に適用し始めた。住友銀行等も同様であるというふうに言われています。  しかし、MOF担廃止というのは銀行にとって当然なんですけれども、やはり大蔵省そのものが変わらないとだめだ。さっきのお話にもいろいろ出たとおりでございます。  去る二月五日の衆議院本会議で、橋本総理大臣は、信頼を回復させるために検査体制や行政手法の抜本的な改革を進める、このようにおっしゃったのでございます。そして、検査の予告制を確保することだとか、虚偽報告などの不正が発覚したときは罰則規定の適用を厳正に行うといったようなことまで言われたのであります。  その後の検討作業はどのように進んでおられるか、総理から伺いたいと思います。
  240. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今進められている大半は大蔵大臣が先ほど答弁された中にありましたけれども、それにつけ加えるとするならば、例えば民間の専門家を登用する、あるいは研修の強化充実、さらに、ちょうど自席に戻りますとき、議員が各国の検査官と検査法人の活用の状況といったことに触れておられました。こうした主要国の監督当局との人材交流といったことも、具体的な検討を今進めております。  いずれにいたしましても、今後、早期是正措置が、国際的に金融業務を展開している金融機関に対しては本格的にこれが導入されるのは本年の四月からでありますから、これに向けて具体的な検討結果は取りまとめられるもの、そのように報告を受けております。
  241. 深谷隆司

    ○深谷委員 総理は、公務員倫理法の制定につきましても御発言をされました。  一九九六年、当時、厚生省とか通産省、大蔵等々で腐敗事件が起こって、そのときに各省に倫理規程というのができたのでございます。ところが、これが守られずに、一連の事件、次々と事件、腐敗が起こっているのであります。そのことを考えますと、一日も早く公務員倫理法の制定に踏み切るべきであると私は思います。  本日の時点で倫理法の中身に入ることは無理でございますから多くは申し上げませんが、一つだけ御注意をいただきたいことは、法的な拘束力を確保するために、禁止事項の中に数値基準と罰則規定を設けることについてであります。  罰則規定は当然でございます。しかし、接待の許容範囲を具体的に書き込むということは、これは非常に難しい。何千円ならいいとか何万円以内ならいいとか、こういうことをもし具体的に書いてしまった場合には、じゃ、それ以下なら許されるということで、新たな抜け道もつくられる可能性がある。しかも、おかしなことに、これらの規定はいつも民間側が払うということを前提にしている。これはおかしなことだと私は思うのでございます。  いずれにいたしましても、腐敗を二度と起こさないという大前提に立って十分論議を尽くし、できる限り早くこの倫理法を出していただきたいと思いますが、総理、いかがですか。
  242. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに、公務員倫理規程で公務員の諸君がこれを遵守してくれることを期待した、その期待は見事に今回裏切られました。そして、私自身、これでは倫理法の制定に踏み切らざるを得ないと判断をし、既に政府部内において作業を開始いたしました。  その上で、例えば一体、罰則、これは刑事罰あるいは行政罰、いずれをとるのか。懲戒処分の対象とするのか。その場合には、国家公務員法とか刑法とか、さらに憲法まで実は整合性の問題が出てくるといったような問題もございます。あるいは、政府部内における体制をどういう形でつくるか。そうした問題点も踏まえながら、今、与党三党の中でも、また自民党においても検討が開始されておりますので、これらと連携をしながら、できるだけ早く結論を得たい。  そういった意味では、議員からたまたまその限度額の話が、下手な設け方をすると逆になるよという御注意もいただきましたけれども、禁止事項をどういうレベルで定めるか、今真剣な議論をいたしておることは御報告を申し上げられますが、いずれにいたしましても、実は、国家公務員法あるいは刑法における罰則規定との関連というものは法律的にクリアしなければならない一つの問題点として、今、作業をいろいろな角度から行っております。
  243. 深谷隆司

    ○深谷委員 本来なら、公務員倫理法などつくらなくても、倫理規程で十分間に合うわけでございます。残念なことでございますが、今日のような状態ではやむを得ないことでございますから、ひとつあらゆる角度から御検討をされまして、適切な公務員倫理法をおつくりいただくように御要望申し上げておきます。  大蔵省と金融業界の癒着の温床の一つに、私はやはり天下りがあると思いますね。  私は本来、有能な人材というのは民間でも大いに活躍すべきだという持論を持っていました。何回かの私の質問の中でも同じことを言ってきました。役人さんで有能な人が定年退職いたしました場合、その人材が民間で活動するということは大事なことだ、人材というのは国の財産ですから、そう思っていたのです。ところが、昨今金融業界へ天下った人々の歩みを見ると、ほとんどと言っていいほど経営悪化、破綻を生んで、ちっとも有能ではないという答えが出ているわけでございます。  さきに大蔵委員会に提出された資料によりますと、天下りの実態がかなり明らかになっておりました。都市銀行を初めとする銀行や証券会社など金融機関百二十八機関に、大蔵省OBは百六十四人おります。このうち、頭取や社長、会長など経営トップは四十二名にも及ぶのでございます。これでは、どう見ても余りに多くて、金融機関との癒着が生まれるなと思わざるを得ない。  今は、逆に、金融機関の中から天下り不要論というのが出ているのですね。大蔵大臣、一体こういう状態をどうお考えでございましょうか。お尋ねします。
  244. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  今委員のおっしゃった数字、非常に多いなという率直な感じでございます。  私自身も、委員指摘のように、非常に有能な人が役人を定年退職し、あるいは定年の少し前に退職して、そしてその人物を活用しようというわけで民間の方が来てくれというわけでお願いする、それに応じてやめた人が行くということならばそれほどの弊害はないと思いますが、問題は、役所が圧力をかけてといいましょうか、工作をして、そして民間の金融機関ないしは企業にあっせんするなどというのは、これは決して褒められたことではないと思いますし、それが問題の原因じゃなかろうか、こういうふうに思われます。  しかし、事は公務員の定年後の職場の問題でもありますので、公務員制度全体の中での議論も必要ではなかろうか、こういうふうに思います。  ただ、大蔵省の関係でいえば、先ほども申したとおり多過ぎるという感じは否めません。今後は少なくとも、大蔵省があっせんするとかあるいは多少圧力をかけて派遣するとか、そういった弊害を生みかねないやり方というものは、これは自粛をしていかなければならぬ、こういうふうに私は思います。
  245. 深谷隆司

    ○深谷委員 明らかに癒着が生ずる、利害関係がある、そういうところへ役所の重要なポストの人がそのまま行くという形が問題なんですね。ここらについてはどうぞ十分な御検討をいただいて、天下りが金融業界大蔵省の癒着の温床にならないように、十分な御配慮をお願い申し上げたいと思います。  次にお伺いしたいのは、沖縄問題でございます。  去る二月六日、大田沖縄県知事は、普天間飛行場返還問題で、代替地となる海上へリポート建設に突然反対の意思表示を行ったのでございます。これによって、かねてから懸案でありました米軍基地整理縮小計画そのものまで暗礁に乗り上げる危険が起こってしまいました。  私は、大田知事の豹変ぶりに驚き、今まで橋本総理以下多くの人々が血のにじむような話し合いを行い、二年間努力をされてきた、一体その二年間は何だったのだろうか、大田知事に対して強い不信感を抱いたのでございます。  沖縄基地のうち、県民の最も関心の高い場所がアメリカ海兵隊のいる普天間飛行場でございます。沖縄本島の中心に広大な基地が広がっている。そのために島の発展は妨げられ、周囲は民家も密集しておりますから危険も大きいものでございました。ですから、大田知事は、この地の返還を第一に挙げていたのでございます。橋本総理が普天間返還を知事に伝えたときに、大いに喜ばれたと当時のマスコミの報道にも書かれております。  平成八年四月十二日には、日米両国政府が、五年から七年以内に普天間飛行場の全面返還に合意をいたしました。橋本総理は、同年九月十七日に沖縄を訪問して、大田知事に海上ヘリポートの提案を行ったのでございます。その年の十二月、沖縄に関する行動委員会、いわゆるSACOの最終報告書には、海上施設を沖縄本島の東海岸沖に建設するということが明記されたのでございます。昨年四月、比嘉名護市長は、事前調査容認を正式に表明した。一方、沖縄県も国によるボーリング調査を許可いたしたのでございます。  これらはすべて、大田知事容認というのが前提になければできないことでございます。仮に彼が一度でも反対したら、恐らくこのような歩みにはならなかったと思うのであります。  十二月二十一日には、名護市民による住民投票が行われまして、反対票が、わずかですが、二千三百七十二票上回りました。しかし、比嘉市長は、決然と橋本総理建設受け入れを表明いたしたのであります。国益は県益、県益は市益、市益は国益に通ずる、郷土のために捨て石になりたい、そう比嘉前市長は言われたのでございます。地元思い、国との約束を守った。私は、この前市長の決意に心を打たれました。  この後を受けて市長選挙が行われ、比嘉市長の後任として賛成派の擁立したのが岸本氏でございました。そして、反対派の候補者と一騎打ちになりました。大田知事の反対声明は、投票日わずか二日前のことです。それまでこういう言い方はしなかったのに、投票日の二日前に突然行った。これは明らかに反対派に肩入れした知事の態度と言わざるを得ない。にもかかわらず、選挙の結果は、賛成派の推す岸本氏の勝利となったのでございます。  私は、この選挙結果を受けて、大田知事は当然さきの発言を訂正するか翻意なさるものとばかり思っていたのです。なぜならば、大田知事の反対の最大の理由というのは、市民の意思を尊重する、この点にあったからでございます。昨年の住民投票は、住民の意向を参考にするためのもので、法的な制約のあるものではありません。一方、今度の場合には、法的拘束力のある首長選挙の結果でございます。民意に従うとするならばこの選挙の結果に従うというのが当然だと思いますし、したがって大田知事はさきの発言を撤回するのではないか、こう思ったのであります。  総理は、これらの一連のことについてどのようにお考えでございましょうか。お伺いしたいと思います。
  246. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 多少の時間をいただき、まずこの問題の原点から申し述べてまいりたいと思います。  私が総理になりました直後、大田知事と初めてお目にかかりました時点、私は、知事からは、沖縄県が当時非常に大事な問題として取り上げておられた、いわゆる三事案の早期解決についての御依頼があるものと考えておりました。ところが、その三事案よりも急ぐテーマ、それは、市街地の真ん中に存在をし、住民の生活と隣り合わせ、非常に危険が高い、一日も早く普天間基地を動かしてほしいという御依頼でありました。  そして、私なりに思い出してみて、そのとおりだなと思いまして、日米首脳会談で、これも私自身は大統領に初めて首脳としてお目にかかったわけでありますが、この問題を提起いたしました。そして、私は、クリントン大統領初めアメリカの関係者は非常によく努力をしてくれたと考えており、今も感謝をいたしております。  そして、大田知事には、普天間飛行場の返還が実現されるためには県内に代替施設を設けざるを得ないということは、私としては当初から申し上げておりましたつもりですし、平成八年四月十二日、当時のモンデール駐日アメリカ大使とともに共同記者会見で普天間飛行場の全面返還を発表いたしましたが、その後、知事さん御自身がその会見を受けての記者会見で、より望ましいのは無条件返還だが、厳しい情勢の中でそれを望めば普天間基地の返還は実現できないと述べられたと聞いております。これにつきましてとやかく私は申し上げようとは思いません。  しかし、その後、普天間基地の代替施設につきましてSACOの最終報告をまとめますまでの段階におきまして、沖縄県も正式のメンバーでおられる沖縄米軍基地問題協議会、あるいは普天間飛行場等の返還に係る諸課題の解決のための作業委員会、その場におきまして、SACOに関する作業状況というものは御説明もし、同時に沖縄県の意向を聴取し、意見交換を行った上で最終報告がまとめられたものでございます。  この報告につきまして、知事も、基地返還アクションプログラムの第一期に返還を求めている施設のほとんどが返還されることになり評価するというコメントをいただいたと聞いております。  その後のプロセスは、御承知のように、キャンプ・シュワブ沖で現地調査を実施することにつき、名護市長及び漁業の関係者の御同意をいただき、理解をいただき、また沖縄県からも名護市の判断を尊重するという意向が示されましたのを受け、昨年五月から調査に着手をいたしました。海上ボーリングの実施に当たりまして必要な知事の承認もいただき、すべての調査を十月末までに終えたわけであります。  こうした内容、プロセスを踏まえて海上へリポート基本案を作成し、十一月に地元にお示しをし、地元の御理解と協力を得たいと努力をしてまいりました。  住民投票の結果も承知をいたしておりますが、そうした中において、昨年末、比嘉前名護市長は、国益、県益、市益を熟慮の上で、みずからの進退を賭して海上ヘリポートを受け入れるという決断をされました。大変悩み抜かれた上の決断として私は高く評価をし、感動を覚えたところです。  そして、その同じ日、ちょうど大田知事とお目にかかることになっておりましたので、比嘉さんもうすぐ見えるからお会いになったらどうですか、もし何でしたら、私の執務室をあけて、お二人でお会いになっていただいて、いかがですかということを申し上げましたが、知事さんから御同意はいただけませんでした。  そして、そのとき、結論を早く聞かせていただきたいというお願いをしておりましたのに対し、一月の半ばぐらいまでは意見聴取にかかるというお話でございまして、これは恐らくお互いの日程がなかなかうまく調整できなかった結果でありましょうけれども、お目にかかれないままに今日を迎えております。  しかし、先ほど午前中の御質問に対しても私申し上げましたように、県もおられる協議会の中で、いろいろな角度からいろいろな案を検討したあげくに、移設可能な、撤去可能な海上へリポートという考え方を選択してまいりましただけに、また、普天間飛行場の、知事さんから指摘をされた危険というものを除去するためにも、地元の御理解、御協力を少しでも早くいただき、解決に向けて進みたいと心から願っております。
  247. 深谷隆司

    ○深谷委員 普天間などの返還後、跡地の利用を柱とする沖縄県の国際都市形成構想というのがありました。普天間の基地が返還されない限り、この計画は立ち消えになってしまいます。普天間とヘリポートを比較すれば、面積で五分の一、しかも、ヘリポートは海上に設けられますから、騒音だとか事故なども今の基地よりははるかにリスクが少ない。知事の反対の結果、そういう意味では、沖縄の利益に反してしまうということになると思います。  しかも、基地問題は、ひとり沖縄だけの問題ではありません。日米安全保障に基づくものであり、日本全体の平和と安全にかかわる問題でございます。  どうか総理におかれましては、このような不本意な形の状況にはなっておりますけれども、じっくりと腰を据えて、粘り強く、これらの状況を踏まえて、ひとつ結論を求めて頑張っていただきたいと思うのでございます。  特に一つ私から申し上げたいことがございます。それは、大田知事に対する不信感から、沖縄振興策も考え直さなければいけないという声があるという点でございます。  沖縄は、あの第二次世界大戦で悲惨な歴史を重ねたところでございます。戦後は日本の七五%の基地を抱えて御苦労なさって、経済的にも不幸な歩みを続けておられるところであります。大田知事への不信と沖縄県の振興発展とは別問題であります。沖縄県をどうやって守り支えていくか、これは日本政府の極めて大きな仕事でございます。  沖縄県を沖縄県民が喜ぶような状態につくり出していく、そのためのさまざまな振興政策あるいは経済的な協力、これを惜しまずに努力を続けていただきたいと思うのでありますが、総理のお考えを伺って、沖縄県の問題を一応閉じたいと思います。
  248. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ややもするとその基地問題と地域振興が絡められ議論をされることを、大変私は困ったことだと考えておりました。ただ、それも無理からぬところがありますのは、要するに、例えば普天間基地、これが移設されることが前提で組まれている県のプラン、いや応なしに、そこがノーになりますと全体に変化をするところがあります。そういう影響は確かにあります。  しかし、沖縄の今後の発展にとりまして、地域振興は間違いなしに非常に重要な課題でありますし、中長期の課題として、この基地の整理、統合、縮小への努力も我々は続けていかなければならないと思います。そのためにも実はSACOの最終報告の実現に向けて努力をしていきたいと考えておりますが、当然のことながら、振興策、特におくれを取り戻すということから強く言われてまいりました北部振興策というもの、でき得る限りの努力を払っていくことは国として当然だと私は考えております。
  249. 深谷隆司

    ○深谷委員 一層の忍耐強い御努力を要望しておきたいと思います。  次に、少年問題について御議論申し上げたいと思います。  最近、子供たちの犯罪が次々と起こって、大きく報道されております。中学一年生による女性教諭刺殺事件、中学三年生の巡回中の警察官を刺した強盗殺人未遂事件、ごく最近の中学三年生の女子生徒によるひとり暮らしの男性の殺害事件などなど、これに覚せい剤の問題も加わって、大きな重大な問題を提起していると私は思います。次代を担う子供たちが次々とむしばまれていく姿は、本当に耐えられません。残念でなりません。  私の見るところ、少年犯罪そのものは、かつてピークの時代から見ますと、ずっと減少傾向にあると思っております。ただ、次第に悪質化、そして年齢がだんだんに中学生あたりに移ってきている、そういう問題があります。子供たちをこういう犯罪から救って立派に育てていくこと、これは私たちの、挙げて大人の責任ではないかと思います。  子供たちを立派に育て上げるためには、家庭教育、学校教育社会教育、それぞれの分野で努力することが必要であります。中でも家庭教育ほど大切なものはございません。親は責任を持って子供と向かい合って暮らしていかなければなりません。善悪の区別をはっきりと教えて、非行の芽を親が摘んでいくということがとても大事なことでございます。  ところが、なかなか、それができる親が少なくなった。つい最近でも、ある有名な女優のお子さんが覚せい剤で現行犯で逮捕された。広い地下室、親がそういう立場でございましょうから随分立派な場所があったんですが、そこに何人かの子供たち、中学生中心に男女が寝泊まりして、アルミホイルを使って覚せい剤をたしなんでいた、それで現場で逮捕ということになった。  これは大変なことだと私は思うのでありますが、そのときにその有名女優さんの会見があって、もっとびっくりした。いろいろなことを言われていましたけれども、一番驚いたのは、本来、少年法で守られるべき息子なんだ、それが、自分が要するに女優であるという点から本当にマスコミにさらされて、これでは子供の将来を閉ざし成長の妨げになる、そんな身勝手な発言をしたのであります。私は、子供の将来を閉ざしたのは親自身だと思う。  確かに、少年法というのがございます。少年が社会復帰をするための法律として配慮されたものでございます。あくまでも少年の更生を目的とした法律でございます。だからといって、悪いことが許されるということではないのであります。悪は悪としてきちんと処断される、そのことを親が厳しくしつけるということがとても大事。私は、この機会に、少年法の改正にも少し触れてみたいと思います。  そもそも少年法の生まれた時代というのは、今日の状況とは全く違う、つまり終戦直後でございました。この少年法がつくられました当時の最も多い少年犯罪というのは、窃盗事件だったんですね。食べるものがなくて食料をかっぱらうとか、そういう悲惨な状態の中での窃盗事件、いわば貧困層の子供たちが食べるものに困って、それが欲しくて食料を盗んだとか、そういうような、時代を反映した犯罪が中心だったんです。今はどうかというと、逆でございます。少年犯罪の九〇%以上が中流以上の家庭の子供、経済的に恵まれている、ここに大きな問題があると思うのであります。  つまり、少年法というのは、いわば親の保護が欠けていたり、福祉が十分に行き届いていないという少年に対して、国が親のかわりを務める、後見人としてその役割を果たす、それが少年法の最初の動機だったわけでございます。だから、少年を愛情ではぐくんでいこう、そういうところがあるわけでございます。  今の時代というのはそうではありません。自分の欲望とかわがままだとかそういうことで突然事件を起こす、何でもない子供が。いきなり型、増長型、そういったような名称で言ったらいいのではないかというふうに思うのであります。すなわち、少年法ではもはや対応できないような状態になっていると私は思います。だから、何人殺そうと、どんな残虐な殺害をしても十八歳未満なら死刑にならないとか、十六歳未満なら刑罰に問われないという状態が続いてしまうのであります。  彼らのプライバシーは守られます、今度いろんな問題で騒がれていますが。逆に、被害者のプライバシーは守られておりません。子供たちの名前や顔は伏せておるけれども、被害者の顔は映し出されたり実名で報道されたり、さまざまなことが起こって、プライバシーは完全に侵害されているのでございます。  非行するなら少年のうち、そんな思いが子供たちにあってはならないのであります。少年法といえども、悪いものは断固対応する、社会的に好ましくない行動はそれ相応の結果を生む、そのくらいの内容に少年法は改正すべき時期に来ているのではないかと思うんですが、法務大臣、いかがでしょうか。
  250. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 お答えいたします。  ただいま深谷委員から、最近の厳しい少年の犯罪情勢等々にるるお話がございました。また、それを取り巻く家庭、社会、学校等々の問題についてもお話がございました。全く私も同感でございます。  お話しのように、現行の少年法は昭和二十三年に制定されました。それからいろいろな経緯をたどるわけでございますが、昭和四十年の前半から五十年の前半にかけまして、少年法改正の論議があったのも事実でございます。そして、最終的には、昭和五十二年に法制審議会の中間答申がなされております。  この中間答申が中間答申であって正式答申でないのは、やはり中でまとまらなかったわけでございます。まとまらなかった最大の理由は、年齢を二十歳から十八歳に下げたらどうかということについてまとまりませんでした。それで、中間答申が出ました。その中間答申の内容すら法制化の段階で議論がございまして、改正を見ないで今日に来ているというのが現状でございます。  今私どもがこのような厳しい少年問題を抱えて、現状のままでいいとは決して思っておりません。そういうふうなことで、平成八年の十一月から、最高裁判所、それから日本弁護士会、それに私どもの法曹三者が集まりまして、特に少年法の手続問題について問題はないかというふうなことで議論を重ねて今日まで来ておるわけでございますが、一応その段階を終わりまして、ことしの一月から、制度の改正というものを見据えまして議論をしようということに相なっているわけでございます。  そういうふうな事情でございますので、衆知を集め、懸命に前向きに、具体的に努力してまいりたい、このように思います。
  251. 深谷隆司

    ○深谷委員 私は、少年法の精神を生かすことは大事だと思っています。しかし、国際的な状況を踏まえても、年齢的に相当な隔たりがございます。日本では少年は二十歳未満を指しております。これを十八歳未満に引き下げるとか、刑事責任年齢が十四歳以上であることを考えて、十四歳以上は刑事処分を可能にするなど、この際改正の方向に踏み切るべきだと思います。法務大臣のしっかりしたリーダーシップで、少年法の改正をぜひ実現していただくように強く要請いたしたいと思います。  最近、神戸市の中学生による小学生殺傷事件を受けて、中央教育審議会で座長試案というのが出されましたね。学校での対応に限界があるということから、初めて家庭のしつけに言及した。家庭のしつけの問題を取り上げるということは今まで非常に慎重であった、私に言わせれば慎重であり過ぎた。やっと家庭のしつけの問題にまでしっかりみんなで相談しようではないかという体制になったことは、私は好ましいことだと思いますが、文部大臣思いはいかがでしょうか。
  252. 町村信孝

    ○町村国務大臣 深谷委員が今御指摘のとおり、二月三日に中教審の小委員会座長試案骨子というのが出されたわけでございます。  確かに、家庭の重要性、家庭教育の重要性、いろいろな機会に言われておりましたけれども政府、あるいはこういった審議会という場で、あるいは政治という場でそれを取り上げるということが、御指摘のように非常に少なかったのは事実でございますが、いよいよそんなことは言っていられない、皆さん方にひとつ考えていただきたいという提言を取りまとめようではないかという動きになってきております。  例えば、悪いことは悪いとしっかりしつけよう。今さらそんな当たり前な、こうおっしゃるかもしれませんが、あえてそういうことを申し上げたり、あるいは、家庭で朝起きたらおはようございますとみんなで言おう。あるいは、小さい子供でも家事に一定の役割を与えるという、家庭のルールをしっかりつくろう。あるいは、家庭は母親が教育をする、お父さんは外で働く人ということで、どうも父親不在の家庭教育というのが非常に目立っております。そのことがまた家庭における健全な教育というものを非常に阻害しているのではないか、こんなことから、今さら父親参加というのも変でありますが、父親、母親一緒になって教育をしよう。こういうようなことが家庭教育の中で言われております。  なお、学校でも、例えば道徳教育を見直そうとか、地域社会でも、青少年、ボーイスカウトとかガールスカウトとか、こうしたさまざまな活動も大いに活発化していこうという、今提言を取りまとめるべく最大限の作業をやっている最中でございます。
  253. 深谷隆司

    ○深谷委員 この間、あるアンケート調査をやって、これから結婚する男女に、子供を何人つくりますかという質問をやったら、七〇%が子供をつくらない、要らないと答えたのでございます。私は、大変なことだと思います。  子供を育てることは容易なことではありません。しかし、その子供を育てるために親がどんなに勇気づけられ生きがいを感じていることか、そのことを多くの若い人たちにも知ってほしい。そして、家庭をつくり、厳しい苦しい中で子供を育てて、善と悪とを見分けるようなしっかりした子供、そのしつけをみんなでやっていくように、これから文部省も一層頑張って取り組んでいただきたいと思います。  学校教育の現場は一体どうなっていましょうか。校内暴力事件は今、年間一万件を超えている。八〇年代の荒れる学校の第二のピークになりつつある、こう言われているんです。  ナイフを使って相手を刺し殺す。ナイフを使うということは銃刀法で禁じられている違法行為なのに、それが放置されている。学校でナイフなどの所持品検査はほとんど今日まで行われなかった。それはどうしてかと聞いたら、人権を守るため、子供の人権を守るため。ナイフを持つ少年の人権を何で守らなければいかぬのか。ナイフでやられる側の人権を守ることが正義でなければいけないのに、そういうことをやらないというのはおかしなことだ。  最近、文部大臣がようやく所持品の検査等に踏み切った指示を出したようでありますが、もう一つ決意のところを聞かせていただきたい。
  254. 町村信孝

    ○町村国務大臣 お答えを申し上げます。  委員指摘のように、学校は安全な場で、そこでいい環境のもとで学び、あるいは遊び、あるいはみんなで切磋琢磨するという場であるべきことはもう言うまでもないわけでございますが、今御指摘のようなナイフの事件等々もございました。  そこで、二月六日に、都道府県あるいは指定都市の教育委員会の生徒指導担当者を呼び集めまして、私の方から、子供や教職員の安全確保、そのために、校長が必要であると判断したときには、保護者や子供の理解を一応求めながらも、状況に応じて適切な方法で所持品検査をやることを含めて、やはり毅然と対応してもらいたいということを申し上げました。  もとより、所持品検査をやったからすべての問題が解決するとも思っておりませんし、これで子供たちが本当にナイフを持たなくなるかどうか、それはわかりません。しかし、最低限のこととして、そうした刃渡り何センチ以上の大きな刃物を持って歩くことは法律に違反をしているということぐらいは、しっかりと子供たちにも認識をさせ、そして、学校には持ち込んではいけないんだということを徹底されることは、これは学校という一つの組織体を維持するための当然のマナーであり、ルールであろう。このことをしっかりとすべての児童生徒に徹底をしてもらいたいということを申し上げたわけでありまして、そのことは今、各都道府県教育委員会等々を通じてそれぞれの学校に的確に伝達されているもの、こう理解をいたしております。
  255. 深谷隆司

    ○深谷委員 ナイフを持って学校に行く、それが銃刀法違反に値する、それを取り締まる、あるいは検査する、当然のことであります。そんなことに何のちゅうちょも要りません。しっかりひとつ、人間としていかに生きるかということを教える意味においても、学校を守るためじゃないんです、立派な社会人を育てるために、間違いは間違いときちっと対応していくということが私は教育の現場だと思う。  どっちかというと最近の教育の現場というのは、例えば進学とか、学問、そっちに偏り過ぎていないか。人間としてのありよう、情の持ち方、そういうものの教育が欠けているんじゃないかと思う。  大分前に聞いた話なんですけれども、ある小学校で先生が、氷が解けたら何になりますかと聞いたら、ほとんどの子供が水になりますと言ったんですよ。たった一人だけ、氷が解けたら春になりますと言ったんですよ。私は、これを聞いたとき涙が出ました。子供が、氷が解けたら春になります、そんな情緒豊かな子供に育っていただくことこそ本当の教育ではないだろうかなというふうに思いました。  氷が解けたらH2Oになるという答えを出せば、ノーベル賞の湯川秀樹さんはきっとそういう答えには満点つけるでしょう。だけれども、氷が解けたら春になる、そうしたら、きっとそういう子供はノーベル賞の川端康成になれるんですよ。理の世界と情の世界、これをきっちりと学校教育で教えてくださることを強く文部大臣に要求したいと思います。  社会全体で子供を守り育てていくという風潮も欠けているのではないだろうかなというふうに私は思います。物や金が優先して物質的な価値を求める大人たちが、我々も含んでまず反省していかなければならないと思うのであります。  私どもの住む下町は、まだ向こう三軒両隣の風潮がそのまま残っているのです。少年野球からバドミントンから剣道、柔道、相撲、あらゆるスポーツを通じて子供たちと大人が一緒になって過ごしているのであります。私自身も、空手教室だとかママさんバレー教室だとか、いろんな親子の触れ合いの会をずっと何十年も続けてきました。今度は親子スケート教室をやります。通産大臣の、あなたのところへ行くのですよ、富士急ハイランド。つまり、私が言いたいのは、核家族化、少子化で、家庭の中で集団としてどう生きるかを教える機会が少ない、それを社会全体で教えてあげる、そのためにスポーツを通じて和やかな大人と子供の会話が生まれる、そのことを言いたいのです。  私は、戦後、満州・ハルビンから引き揚げてきました。兄弟五人です。おやじもおふくろも亡くなりました。貧乏世帯でした。  そういう中で、やっと例えばスイカを買ってくると、おやじ、おふくろと五人の子供のために七つに割るのです。まず、黙って一番大きいのをお父さんが食べました。だれも文句言いません。その次にはお母さんと言ったら、お母さんは一番最後。あとは長男の私からとったのです。そして、最後の子供にも行き渡るように、ちゃんと私たちは考えたのです。つまり、家庭の中で、スイカを割ってどう分け合うかということで、先輩を大事にする、下の者を大事にする、そういうことを学び合ったのですが、残念ながらそれができない今の家庭環境を考えると、社会でそれをやっていく必要があると私は思うのです。  児童館などの公の施設の夜間使用というのはなかなかできない、休日使用もできない。あらゆるそういう公的な機関を開放すべきです。立派な建物は要らないのです。子供たちが居場所がないのです。その居場所を提供して、子供たちが健全に生きるようなプログラムをつくって、少年たちを立派に育て上げることが今一番大事なことではないだろうかな、私はそう思っています。  長野のオリンピックがかつてない感動の中で終了いたしました。メダルを何個とれたかということではなくて、一人一人の選手たちの生きざま、人生を完全に燃焼したあの姿。そして、彼らの口から必ず出てくる、死んだお父さんにこのメダルを見せるんだ、苦労したお母さんに真っ先に報告するんだ、そういうような言葉、そういうような発言というものが随所に出ている。私は、これらの感動を単にオリンピックのときだけで終わらせてしまってはならないと思うのです。私は、これは生きた教科書だと思います。  原田選手が花をもらって、どこへ持っていくのと言ったら、これは女房に運ぶんだ、そしてテレビに向かって、パパやったよ、あんなすばらしい親子の情愛の姿ってございませんね。私は、こういう生きた教科書というものを大事にしながら、かわいい子供たちがすくすくと健やかに健全に伸びることをみんなで守り、力を合わせて立派な環境をつくっていきたいというふうに思います。  橋本総理大臣、今やらなければならない問題は山積しています。景気回復、その他もろもろ。しかし、それは努力をすれば必ず乗り切れることでございます。しかし、子供の健全な教育だけはそう簡単な努力ではできないのであります。しかし、今どんな時代であっても、この子供たちがしっかり育っていけば日本の将来は安泰でございます。そのことに思いをいたして、特に子供の育成について総理が渾身の努力を各閣僚とともにおやりいただくように強く要請いたしまして、私の質問を閉じたいと思います。  ありがとうございました。
  256. 越智通雄

    越智委員長 この際、武部勤君から関連質疑の申し出があります。深谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。武部勤君。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
  257. 武部勤

    武部委員 自民党の武部勤でございます。  私は、中心市街地の活性化という問題に絞って、総理並びに全閣僚の皆さん方に認識を新たにしていただきたい、かように思いまして、質問申し上げたいと思います。  日本経済は総じて閉塞感が漂う中で、地域生活経済活動の基盤ともいうべき町の商店街が、空洞化の進行によって火が消えたように活気を失っております。全国の市町村の中心市街地が衰退し切っている、このことはまことに深刻な状態だ。特に中心市街地は、長い歴史の中で地域の文化や伝統をはぐくみ、各種の機能を培ってきた町の顔であります。その衰退は、まさに町のアイデンティティーの喪失の危機、こういうふうに考えてもいいと思うのであります。  そこで、私たち自由民主党は、こうした全国的な中心市街地の深刻な状況を何とか克服しよう、そして、早期に町の活力を取り戻すことが二十一世紀を間近に控えた今日の喫緊の政策課題である、かように考えまして、昨年五月、党の政務調査会に中心市街地再活性化調査会を設置して、山崎政調会長みずから調査会長に就任いただき、その施策の構築に取り組んでまいりました。  私たちは、日本国内、あるいはヨーロッパ、アメリカ等の実情等もつぶさに勉強してまいりまして、調査会は十八回にも及ぶ総会を重ねて、関係各省を督促し、また御協力いただき、政治主導のもとに、この一月、中心市街地再活性化大綱を取りまとめたところであります。  その方向は、この中心市街地活性化対策を単に商店街の空洞化対策としてとらえるのではなくて、日本国民の二十一世紀におけるライフスタイルに適応した、機能的で活力に富み、しかも美しい町づくりを目指すものとしなければならない。生活空間として、情報と時間と距離の一体化を求めて、商店街、オフィス、住宅、文化、教育、福祉、娯楽施設、その他各種公共施設を面的に一体整備していこう。高齢者、若者にとっても利便性の高い、しかも環境に優しい快適な都市の形成のための施策として推進していくべきもの、かように政策をまとめまして、「新・都市コミュニティ創造宣言」という名のもとに大綱をまとめたところでございます。  これらは、個別政策の延長では対応できるものではありません。土地区画整理事業、市街地再開発事業、各種のインフラ整備事業といった都市整備と商業機能の活性化を施策の中心に置きながら、各省にまたがる関連分野の事業や税制、規制の見直し等の施策が総合的に推進されるものであることが重要である、私たちはそういう認識に立っているのでございます。  この中心市街地活性化対策として、具体的には、平成十年度予算案におきましても、各省合計で約一兆円にも及ぶという関連対策予算が計上されることとなりました。また、市街地の整備と商業等の活性化を一体的に進めるための立法措置も講じられることとなった次第であります。  法律案の具体的な内容につきましては関係委員会へ議論をゆだねることにいたしまして、私は、この中心市街地の活性化に対しての極めて重要な視点という問題に絞りまして、総理並びに関係大臣に伺ってまいりたいと思います。  特に、この中心市街地の活性化対策というのは、総理施政方針演説の中にも何行か載っておりました。しかし、私は、この政策を総理が唱えられる六大改革にさらに加えて、地方から持ち上がる国民的な大きな目標として、一大改革としてとらえるべきではないか、かように考えているところでございます。このことに対しましての総理の御認識をまず伺っておきたいと思います。
  258. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員が述べておられました「新・都市コミュニティ創造宣言」、いわゆる中心市街地再活性化大綱の概要を見ましたときに、改めて非常に大事なことに一つ気がつくところがあります。  それは、当然ながら国がお手伝いをするわけですけれども、この中の事業スキームのポイントとして、商業集積化といいますか商業機能活性化というものと、都市整備というものを、車の両輪にとらえて置いておられる。そして、それにほかの仕事を組み合わせて、いわばサポーターの役割に国は徹していくという姿になっています。  私、この考え方が一番大事なんだと思います。それは深谷議員が最後に述べておられました教育という点についてもそうなんですけれども、これだって実は国が余り押しつけていいことではありません。どうやったら地域社会の中で子供たちに対する政策が芽吹いてくるか、それが実は大事なことだと思います。  まして今、議員がみずから述べてこられたように、中心市街地と呼ばれるもの、それは、本当にそれぞれの町、都市の中で長い歴史の中において地域の文化あるいは伝統をはぐくみ、一つの顔を備えた姿でした。その顔が空洞化する。これに対して何らかの対応をしていこうということで考えられたもの、これはあくまでもやはり、それぞれの地域社会がみずからの顔をどうつくっていくか、そこに商業集積をどう置き、都市整備をどう組み合わせるか。まさに、その都市の再構築と地域経済の振興というものを、子供たちに引き継ぐべき町をいかにつくるかという視点からそれぞれの地域がつくられ、それを我々は全力を挙げてサポートしていく、そういう姿のものだろうと私は思います。  そして、今議員からは、むしろこれをもう一つの柱に立ててはどうかと言われましたが、そういうことにするには余りにこの問題は幅が広い。むしろ、それぞれの地域がみずからの中心市街地にいかなる顔を備え、将来につないでいこうとするのか。国はそれをまさに支えていく、そして中心市街地再活性化というものが円滑に進められるように最大限の支援を行うのが我々の役ではないか、そのように思います。
  259. 武部勤

    武部委員 私は、総理の認識が今お話しされたとおりであるということを伺いまして、非常にうれしく思うのです。  特に、施政方針演説の中で総理は、自立した個人が夢を実現するために創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できる国ということを一つの大きな目標に掲げました。また、我が党の加藤幹事長は、自立した個人は二十一世紀のキーワードだ、かように応じまして、官主導の大きな政府を小さくするだけでなく、小さな政府の一方に、自立した個人が自発的に参加するNPO社会の重要性を主張されました。そして、江戸時代の再評価にも言及されまして、江戸時代においては、地域に根差した住民自治のネットワーク、そういうものがあった、こういうことを述べられました。  まさに私は、中心市街地活性化への努力というのは自立した個人を育てる苗床ではないか、苗床になり得る、かように考えている次第であります。そういうような視点に立ちまして、ぜひこの中心市街地の活性化の問題に内閣を挙げて取り組んでいただきたい、かようにお願い申し上げたいと思います。  さらに、ここで国土庁長官にお尋ねしておきたいと思いますが、今新しい全国総合開発計画を策定中である、こう聞いております。これまでのいわゆる全国総合開発計画、これはいわば官主導と言われてもやむを得ない一面があったのではないか、こう思うのですね。  私ども、勉強の過程で、この新しい全国総合開発計画の作業の内容を少し勉強させていただきました。しかし、この中心市街地の活性化の問題ということについては、余り記述もない、議論の過程も見られない。ぜひ、我々自由民主党もこの問題を最優先に取り組むべき政策テーマとして考えてまいりたいと思いますが、新しい全国総合開発計画にも、政府においても明確に位置づけをお願いしたい、かように思いますが、お考えを伺いたいと思います。
  260. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 ただいま中心市街地の活性化についてさまざまな視点から御指摘をいただいたところでございますが、新しい全国総合開発計画につきましては、国土審議会の計画部会におきまして、その骨格となる計画部会の審議経過報告が昨年の十月に取りまとめられたところでございます。  この報告におきましては、地方都市の戦略的整備について、都市の規模に応じて、地域の個性を生かしながら、低・未利用地の活用による街区の再編や商店街等の再生を行うとともに、文化施設、駐車場等の整備や道路、公共交通機関によるアクセスの向上を一体的、総合的に進めることにより、中心市街地の活性化を図ることとされております。  今後は、本報告の考え方を基本としながら、各方面の意見を踏まえた上で、各省庁とも調整をしながら、国民の夢と希望が持てるような新しい全国総合開発計画を策定したいと考えておるところでございますが、特に、委員が御指摘になりましたように、地域の個性を生かすということが非常に大事なことだと思っておりますし、自立した個人個人の総合的な力によって町づくりを行うという、そのことも特に重要な点だと思っております。  したがいまして、今度の全総の一つの新しい考え方として、参加と連携ということを強く打ち出しておるところでございまして、そのことを十分に踏まえながら、委員の御指摘になりました点も十分に検討させていただきながら、立派な全国総合開発計画を策定してまいりたい、そのように考えております。
  261. 武部勤

    武部委員 今、総理国土庁長官お話にもありましたように、この中心市街地の活性化対策というのは、私ども自由民主党も、当初は自治省、建設省、通産省、三省を中心に始めました。しかしその後、九省庁を挙げて、それぞれの施策メニューを出してもらいました。最終的には、これでも足りないということで、十一省庁に及ぶ総合的な施策の展開というものが必要だ。私は、これはもうある意味では全省庁挙げての連携が必要ではないか、こう思っているわけであります。  しかし、それであっても、これは政府が主導でやるべきものではない。さようなことから、関係省庁の連携、特に施策相互間の調整や手続等の面で、透明性の確保、簡素化、あるいは各関係行政機関の連絡調整、と同時に、窓口の一元化ということが非常に重要だという認識に立った次第であります。  今も全国各地からいろいろな相談を受けております。しかし、どこの市町村も、どの役所のどの窓口を訪ねればいいんだ、そういうような御疑問といいますか問い合わせが非常に多い。さようなことを考えましても、政府は本施策の円滑な運用体制をしっかり整備していかなきゃならない、かように思うのであります。この点についての対応について、通産大臣からお答えをいただきたいと思います。
  262. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 武部委員の御質問にお答えを申し上げます。  今回の中心市街地対策は、関係省庁十一省庁によって取り組むことになっておりまして、施策のメニューから市町村が選択した施策を総合的かつ一体に投入していくことによりまして施策の相乗効果を高めようとするものでありまして、したがいまして、先生の御指摘のとおり、連絡体制や窓口の一元化等は極めて重要な問題だというふうに思っております。  このため、現在、政府部内におきましては、取りまとめる幹事省でありますところの通産省、建設省、自治省を中心としまして、窓口の一元化によって地元の市町村の便宜を図るとともに、省庁間の十分な連携をしっかりと図ってまいりまして、関係省庁協議会を設けてまいる方針でございます。ただいまその準備を進めております。これによりまして、各施策の一体的な実施を円滑に行ってまいりたいと思っております。
  263. 武部勤

    武部委員 それからもう一つ重要な点は、この活性化事業推進における地方自治体のイニシアチブの確保ということでございます。  中心市街地の衰退の背景は、先ほど申し上げましたように、ライフスタイルの変化、あるいは地価高騰等による中心部の人口減少、モータリゼーションの進展等に対応した都市インフラの未整備、公共施設の郊外移転など種々の問題が指摘されているわけでありますが、その現象はそれぞれの都市の規模や位置、周辺都市との関係などによってさまざまでありますから、活性化の取り組み内容もまた市町村によっていろいろ異なってくると思います。人の集まる魅力ある町づくりの事業計画を推進していく上で、その地域が持つ歴史、伝統、文化、風土、自然環境といった特色を最大限に生かしていくことが重要なポイントになるわけでございます。  したがいまして、市町村のイニシアチブのもとで推進されることが大切であり、国の関与は、先ほど総理の御指摘にもありましたように、必要最小限に抑えたものにする必要がある、かように思うわけでありまして、政府としては、基本指針の策定に当たって地域のイニシアチブが十分に発揮され、その特色が最大限に生かされるような配慮が必要だと思いますが、この点についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
  264. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、この中心市街地の活性化対策につきましては、市町村が中心になって、市町村が作成する基本計画に基づいて事業を支援していくという形が一番基本になっております。  この基本計画につきましては、その内容を市町村の裁量にゆだねるという形をとりまして、国や都道府県による承認は行う必要はないようになっております。あくまで、国は必要に応じて市町村に対する助言を行うということにとどめたいというふうに考えております。また、国の支援の対象となる具体的な事業の決定に当たりましても、可能な限り客観性だとか透明性を確保しながら行うことによって、市町村の基本計画の先進性あるいは独自性を尊重してまいるように取り計らってまいります。  こういうぐあいに地方のイニシアチブを最大限に尊重して、地域における創意工夫、こういうものを生かした中心市街地活性化対策を講じていくようにしてまいりたいと考えております。
  265. 武部勤

    武部委員 また、一口に中心市街地といいましても、大都市から山間部の山村、中小市町村の商店街ということもあるわけでありまして、我々は、門戸は広く、ハードルは高くというふうなことで、全国三千二百三十二の市町村すべてを対象にしようということで大綱をまとめました。したがって、過疎法との連携を図りながら、過疎町村についてもその窓口を開く。むしろ私は、次の過疎法は過疎地域再編活性化法、こういうことになるのじゃないか、かように思うのであります。  市町村合併の前に、それぞれの地域が再編されていく、そして、地域コミュニティー、共同生活が成り立つようなそういうものにしていく。今までは人の住んでいるところに道をつくったり、橋をつくったりしましたけれども、今度は、シビルミニマムといいますか、最低限の公的サービスが受けられるような、共同生活ができるような、そういうコミュニティーというものをつくっていかなきゃならぬ。そのためにはそこに集まってもらわなくてはいけないというような、そういう議論もしてきたところでございます。  対象となる中心市街地について、政府はどのように考えておられるか。  また、今も申し上げましたように、市町村のイニシアチブでこれを進めるということになりますと、これは地方分権の方向に沿った考え方でありますが、今後中長期的には市町村のイニシアチブのもとで町づくりを進めていくということになりますと、市町村のこれを進めるための財源確保、地方税、地方交付税、地方債、国庫補助金等のあり方についても、地方の自主財源の比重を高める方向ということが大事じゃないか、かように思います。  これらも含めて、お答えをいただきたいと思います。
  266. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  市町村が地域の個性を生かしまして総合的な町づくりに取り組んでいく、この視点から中心市街地の活性化に取り組むことができるように、自治省といたしましても、平成十年度より、基本計画の策定や人材育成等の経費に対する御指摘の地方交付税措置を講ずることといたしますとともに、さらに、地方単独事業として実施いたします街路や駐車場の整備、あるいはイベント広場や産業振興のための施設の整備等、ハード事業についても幅広く取り組むことができますように、中心市街地再活性化特別対策事業を創設いたしました。  私、大臣就任とともにプロジェクトチームを置きまして、三カ月程度にわたって協議をして方向づけをしたものであります。地方団体の取り組みを積極的に支援をしてまいるために、予算措置もしておるところでございます。  なお、過疎の市町村の問題も出ましたが、これは、過疎市町村が事業主体となる場合でございましても、産業振興の施設、あるいは交通・通信施設、あるいは中心市街地活性化、商店街でございますが、に資する事業が幅広く過疎債の対象となっておるわけでございます。過疎の地にありましても利便性あるいは楽しみというものがなければならぬわけでございまして、こういうものを対象といたしておりまして、過疎債の配分に当たりましても十分配慮してまいるつもりでございます。  なお、個性的なという話が出ましたが、私、プロジェクトチームを省内に一つ指示しております。地方には、神話、伝説、さらに史跡、遺跡、伝統的芸能文化等もございます。こういうものは地方の顔でございますから、こういうものを幅広く基盤とした個性ある地域の振興というものが図られるためにどうしたらいいのか、今研究、検討をいたしておるところでございます。  関係省庁とも十分相談、連携をとりながら、今後とも、地方分権の進展も踏まえつつ、地方団体が中心市街地活性化を初め商店街の振興等の地域課題に適切に対処することができますように、地方一般財源の充実確保にも努めてまいりたいと考えております。
  267. 武部勤

    武部委員 もう一点の重要な視点は、民間活力の最大限の活用ということでございます。  中心市街地活性化事業に取り組む意欲を持った市町村というのは、今後全国的に相当数上がってくる、私はこのように思います。したがって、中長期的にこの施策を推進していくためには、財政面から積極的な検討が必要でありましょうし、二十一世紀を目指した生活関連の社会資本整備といたしましては、集中的、重点的、なおかつ効率的に進めていくべきもの、かように考えるわけでありますけれども、さらに、民間活力を最大限に活用できる分野、それがこの中心市街地の活性化だ、私はこう思うわけであります。  そこで、駐車場や区画整理事業など、PFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ等の民間資本や、民間のノウハウの活用により、効果的な社会資本整備を進めるべきではないか、かように考えるわけでありますが、政府は、今回の景気対策の一環として講じられようとしているPFI特別措置法の法制化を、この中心市街地活性化対策の中でどのように活用しようとしておられるのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  268. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 お答えを申し上げます。  中心市街地が直面します課題への取り組みにつきましては、国、自治体はもちろんでございますが、特に民間の力をかりることが極めて重要でございます。まさに国、自治体、民間が力を合わせまして、役割分担のもとで初めて効果的な成果が上げられるものと考えております。  このような観点から、今回の中心市街地対策におきましては、地元の商業者を中心とするような、またそれに地元の市町村等が参加をした第三セクターの形でございますとか、地元の商工会、商工会議所あるいは商店街組合というようなものが行います商業基盤施設の整備というような、こうした民間事業者の活力の積極的な活用を図ることといたしておりまして、御指摘の、PFIと類型化されるような形での事業の推進というものも積極的に推進していきたい、このように考えておるところでございます。
  269. 武部勤

    武部委員 私は、中心市街地の問題というのは、モータリゼーションの進展ということが空洞化に与える影響を大きくした、こう思っております。今までは中心市街地の中に車が入っていけなかったというような問題があります。我々が海外へ行ってみて痛切に感銘を受けさせられるのは、ヨーロッパにしてもアメリカにしても、中心市街地の地下駐車場の存在であります。  ハイデルベルクの例ですが、中心市街地の周囲に十六の地下駐車場があり、そして一万二千台の収容力を持っている。またアメリカのピッツバーグでは、五十メートル四方の公園の下は六階建ての地下駐車場になっているというふうに、私は驚いた次第でありますけれども、我が国の場合にはそのコストが一台当たり二千万になるというようなことから、非常に及び腰になっているのじゃないか。  しかし、諸外国の例で見ますと、単なるコストじゃなくて、町の美観、景観、そういったことにも配慮しているというわけでありますから、今のPFIにかかわる事業としても駐車場を真剣に考えるべきだと思いますし、そもそも、道路利用者とか道路特定財源、こう言いますけれども、私はこれは少しおかしいと思うのです。これは道路利用者から税金を取っているのではない、車利用者から税金を取っている、こう思うんですね。したがって、車利用者の利益に供するためにこの財源を使うべきではないのか。さようなことを考えたら、中心市街地はどこも、アンケート調査によっても、路外駐車場を積極的につくってほしい、そういう要望があります。  この点について、建設大臣からしっかりした御答弁をいただきたいと思います。
  270. 瓦力

    ○瓦国務大臣 武部委員にお答えをいたします。  PFI、これをもって駐車場整備等のことも考えていっていいではないかというようなことでもございますが、確かに、中心市街地の再活性化に向けまして、駐車場の整備は極めて重要でございます。建設省では、各種の補助制度や融資制度、税制の優遇措置などによりまして、駐車場整備を支援いたしておるわけでございます。  地下駐車場につきましては、道路事業の一環といたしまして積極的に整備を進めておるわけでありますが、税の軽減割合を地下部分を高くするなどの措置を講じてまいりたい、こう思っておるわけであります。  なお、景観等の保全のためにも、地下駐車場というのは極めて考えてまいらなければならないことでありますが、御案内のとおり、我が国は沖積層で七五%の経済活動を行っておる。その沖積層は一〇%でございますから、極めて欧米社会の地盤と違いますので、いろいろ駐車場のあり方については工夫が要るな、こう思っておるわけであります。  PFIにつきましては、御案内のとおり、社会資本整備を進める有効な手法になり得る、こう考えておりまして、建設省におきましても、さような研究会、民間投資を誘導する新しい社会資本整備検討委員会を設置いたしておりまして、この二十七日には相当の意見をまとめることができるだろう、こう考えておるわけであります。  以上、お答えいたします。
  271. 武部勤

    武部委員 このほかに、町づくりにおけるTMOの役割の重要性と、地域のリーダーやコーディネーターとなる人材の育成の必要性でありますとか、数々この重要な視点を申し上げたかったのでありますが、時間が参りました。  最後に、中心市街地活性化の問題と大店法見直しとの関係について申し上げておきたいと思います。  大型店の出店問題については、現在、大店法にかわる新たな立法措置として、町づくりの観点から、環境面を重視した欧米型のゾーニング規制と、周辺の生活環境、住民利便の観点からの調整制度を採用する方向で法整備がなされておりますが、この四半世紀に及ぶ大店法が廃止されるということは、特に商工会、商工会議所や商店街組合を初め多くの中小企業者の皆さん方にすれば、大変な不安であるということはよく理解のできることでございます。この点についても、そういった懸念がないようにしっかり取り組んでもらいたいと思います。  そして、この中心市街地の活性化の問題については、私はただ一つ総理を初め閣僚の皆さん方に、これは空洞化対策ではないんだ、一中心市街地が衰退している、それをどうするか、これは過去のにぎわいや過去の姿を取り戻すということではないんだ。しかも、この中心市街地というのは、経済的に見ましても集積のメリットもありますし、効率的な経済活動が可能になる場でもありますし、新規事業が生まれやすい地域でもあります。これは国費の集中投入は、私は思い切ってやったらいいじゃないかと思います。  経済対策から見ても、新規需要の創出や民間の投資誘導効果等をもたらすわけでありますし、厳しい経済情勢を克服するという意味からも、景気回復を図る景気対策の観点からも、思い切った財政投資を集中的にやるべきではないか、かように思います。また、高齢社会への対応、環境負荷の軽減、効率的な経済基盤づくり等に対応するために不可欠である。さまざまな意義があるわけでありまして、私どもは、これは第二の国づくり、新日本列島改造計画、かようにも呼んでいるわけでございます。  長期的に息長く取り組んでいかなければならない課題でありますだけに、橋本総理を初め橋本内閣の最重要課題と、まあ私は、先ほど言いましたように、これはもう六大改革プラスアルファ、七大改革一つだ、かように位置づけるべきではないか、かように考えますが、総理の御決意をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  272. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は本当に、この問題、真剣に議論をし、党内で取りまとめの中におられた議員からの御質問、真剣に聞かせていただきました。そして、全国の市町村のイニシアチブのもとで当然ながら計画は作成されなければならない。そして、そこの中にいかに民間活力が活用できるか、これも私は議員の御指摘のとおりだと思います。  その上で、国の立場から最大限の政策効果が上がるように考えろ、これは本当に私も御指摘のとおりだと思いますので、意欲のあるすぐれた計画、事業というものに対しては、各省庁の施策をばらばらにやるんじゃない、ここはすばらしいなと思ったところに集中して投資をしていく。先ほど議員自身が述べられたように、その市町村の性格によってその顔は、言いかえれば重点は、違ってくるでしょう。ですから、当然のことながらその各省庁のかかわりの濃淡は出ますけれども、集中して投資をしていくことで支援をしていきたい、私もそう思います。
  273. 武部勤

    武部委員 ありがとうございました。終わります。
  274. 石川要三

    ○石川委員長代理 この際、伊藤公介君から関連質疑の申し出があります。深谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤公介君。
  275. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 自由民主党の伊藤公介でございます。  我が党の二人の委員が内政問題を中心として質疑をしていただきましたので、できるだけ重複を避けて、日ロ問題など外交問題を中心として質問をさせていただきたいと思いますが、関連質問でありますので、少し前委員とのやりとりの中にありました問題もできればお伺いをしたいと思います。  まず外交問題の前に、今、橋本内閣は六つの改革を初めとして、さまざまな改革に次ぐ改革を続けているわけであります。明治十八年に始まった我が国の霞が関、さまざまな問題を今指摘されています。今私たちは、この国会にいよいよこの霞が関大改革法案を提案して、そして国民の深い理解の中で、新しい時代にこたえた官僚システムというものを、私たちのこの手でつくりかえようという決意で臨んでいるわけであります。     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕  ところで、本年一月のこの予算委員会の最後の質問で、私は総理にこう問いかけました。今私たちはさまざまな改革に取り組んでいます、しかし、この改革の先に、つまり二十一世紀日本はどういう日本になっていくのか、そして改革をされた二十一世紀の初頭に日本の人々はどんな暮らしをそこで理想としているか、日本のこの国のかじ取りとして、内閣総理大臣として、橋本総理はどんなことを頭に描いてかじ取りをしていただいていますか、こう問いかけました。  総理は、一人一人が自立できる社会、そして互いに思いやりを持てる社会、あるいはまた、システムもまたそうしたシステムであってほしいと、一言では答えられないけれどもと前置きをして答えられました。  私は、そのときにアメリカのケネディ時代のお話を申し上げて、もちろんアメリカと日本はシステムも制度も違いますけれども、やはり常にトップリーダーが、あしたの日本はこういう日本になる、あるときには国民にコストを求めるし、あるときには国民に我々はサービスも提供しなければなりません。  今私たちは、明治維新、戦後の混乱期に次ぐ第三の改革の真っただ中にいる、こう総理はしばしば述べられてきたわけでありますが、私も、多分これから十年、十五年たったとき、私たちは大きな改革の中にいたときっと振り返るときが来ると思います。  もう一度、私は総理に、きょうは国民皆様方が見ていただいているわけでありますから、この改革をした後に一体日本は国際社会の中でどういう役割を果たすか、あるいはそこで人々はどんな暮らしをしていくのか、それはまさに一言では言えない問題でありますが、日本のトップリーダーの総理大臣の口からぜひ国民の皆さんに、大変短い時間で恐縮ですけれども、一言お伺いをさせていただければと思います。
  276. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 短くと言われましても大変無理な、大きなテーマでありますけれども、いずれにしても、私は、先ほど議員も引用されましたように、他人にいたわり、思いやりを持てる、また自立した個人、こうしたものが中心の社会をつくっていきたいと思います。そして、創造性、チャレンジ精神というものも私は非常に大事なことだと思っておりますし、そういう意味ではよく、みずからが夢を見、その夢に挑戦し、しかも成功する可能性のある社会という言い回しもさせていただきました。そして、国際社会の中において、日本はその国力にふさわしい役割を担っていかなければなりませんが、その担い方、これについてはさまざまな御議論があることは御承知のとおりです。  ただ、少なくとも私は、今日報道機関をにぎわせますように、公務員の倫理あるいは政治不信、子供たちのいじめといったような活字がマスコミに踊らないで済むような日本にしたいという気持ちだけは、この機会に申し上げたいと思います。
  277. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 行政改革の中身については、これから続きます予算委員会の中でさまざまな議論が展開をされると思います。この行政改革は、今総理がお答えになられました私たちの次の時代、二十一世紀に向かってどのように私たち日本改造をしていくか、そういう理想と夢をかけて我々はさまざまな改革に取り組むわけでありますが、その改革案が既にこの国会に、基本法が提案をされ、具体的にこの国会で最終的にはその方向を定めることになるわけであります。  実は、この基本法をまとめていく中で、最後まで大変議論になった問題があります。それは、省庁再編のいわゆるネーミングの問題でありました。省庁の名前だけだ、しかし、されど名前だと私は思うのです。今、町にさまざまいろいろな商品がありますけれども、それぞれの商品を世に出すときには、その商品の名前は、ある意味ではその商品の生命です。  ですから、私は、これは附則をつけるというところまでいろいろな議論があったようでありますけれども、例えば労働福祉省や教育科学技術省、それぞれいろいろな省庁の名前を、何となく今までのものを集めたという印象にならないように、そうではなくて、今総理がお答えをしていただいたように、私たちは新しい時代を目指しています。そして、さまざまな新しい、人々の多様な暮らしがあります。その新しい時代に対応をした私はネーミングでなければならないし、そのネーミングは、まさに新しい省庁を代表する、国民にわかりやすいものになっていかなければならないと思うわけであります。  私はぜひ総理に、これから数十年も使っていく省庁の名前でありますから、適切な結論を出していただくようにこの機会に強く要望しておきたいと思いますが、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  278. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今回提案させていただきました基本法、これはまさに行政改革全体からいいますならば、私、山登りが好きですから山登り流に言わせていただくならば、まさにベースキャンプ建設中といったものになります。そして、そこからなお一つ一つ改革は進めていかなければなりません。  その段階におきまして、既に新たな省庁の名前について官僚の諸君まで巻き込んだ騒ぎが起きておりますことを、私は大変残念な思いで見ておりました。  そして、今回の基本法におきましては、行政改革会議の最終報告に従ってその名称は付しております。しかし、法案の立案過程で、与党の中にも、また世間にもさまざまな御議論がありましたことを踏まえて、その附則第二項において、新たな省の名前について、それぞれの省庁を設置いたしますその法律案の立案までの過程に、その任務をより適切にあらわす名称となるように検討を行うこと及びその結果に基づいて基本法に規定する名称と異なる名称とすることを妨げないといたしました。  したがいまして、新しい省の名称が検討されます場合には、新たな省を設置する法律案、すなわち、各省設置法の立案過程において政府・与党などにおける検討が行われるものと想像をいたしますけれども、どういう形でそれを行うのが望ましい姿であるのかは今後検討したいと思います。
  279. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 実は、このネーミングの問題については、小泉厚生大臣が大変強い希望を持たれました。そして、さまざまな議論が展開をされたわけであります。  小泉厚生大臣は、大変個性の強い大臣でありますし、最近では、議員の在職二十五年、それに対する月額三十万の車代を含めたこの表彰を辞退されました。日本の長い歴史の中で初めてのことであります。  今、私たちはさまざまな改革を、国民の皆さんの理解をいただいて、時には痛みを伴う改革であっても改革をやり抜くと言っているわけですから、私は、議員みずからが、それは小さな改革でも一つ一つ自分の身を切るという改革から、国民の皆さんに理解が広がるということになるのではないか。  そういう意味で、私は、こういう一連の小泉厚生大臣考え方に対して実は大変エールを送りたい。そして、地元に帰りますと、伊藤さんも二十五年たったら小泉さんのように辞退してくれという話が何人もありました。私も、まだ二回ぐらい当選しないと辞退するという資格がありませんのでぜひ当選させてくださいと申し上げたわけでありますが、このネーミングの問題について、小泉厚生大臣のお考えもこの機会に伺っておきたいと思います。
  280. 小泉純一郎

    小泉国務大臣 新しい省の名称ですが、私は、常々、その省の仕事をよくあらわす簡明な二文字がいいと言っていたんです。  今回、私の労働福祉省ばかり取り上げていますけれども、実はそうじゃない。もちろん、厚生省と労働省が一緒になるからどういう名前か、これも二文字でいいと思っているんです。本心は、厚生というのはいい名前だと思っています。しかし、それにはこだわらない。まして、法務とか外務とか大蔵とか文部とか厚生、いい名前があるんです。  文部省が今度は教育科学技術省になるとかいう。教育科学技術省、六文字ですよ。戦前も、厚生省とつける前に、一時、保健社会省がいいんじゃないかと閣議で決まった。ところが、四文字は長過ぎる。当時、一番長かった文字は農商務省、三字だそうです。二文字にすべきだという識者から意見が出て、結局、厚生省といういい名前をつけた。  こういうふうに先哲の事例を見ても、私は、言葉というものをおろそかにすべきじゃない。文字とか言葉とか国語というのは、文化の根幹の問題なんです。これから二十一世紀に通ずる、その省庁の仕事を簡明にあらわす文字を、より適切な文字を、役人とか政治家が決めるんじゃなくて、もっと教養の深い、古典の、学識のある方に知恵をかりて、より国民がわかりやすい、納得のできる適切な、簡明な文字にすべきだというのが私の主張なんです。  第一、労働福祉省なんというのは、今、特殊法人で労働省の所管の労働福祉事業団がありますよ。廃止とか統合が検討になっている一狭い特殊法人の名前を、厚生省という、揺りかごから墓場まで、広い省の名前に格上げする、これも私はわからない。  ですから、全省庁、より適切な簡明な文字にするために、私は学識者の知恵をかりてよりよい名前にすべきだと思っているのです。
  281. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 いずれにしても、開かれた中でこういう議論が進められて、そして日本全国のいろいろな方々から、この大きな改革にみんなが参加していただいて、できればこのネーミングだって国民の募集をしてもいい、そのくらいいろいろな考え方もあると思います。いずれにしても、自由な議論の中で、しっかりしたネーミングをつけていただくことを要望しておきたいと思います。  実は、先ほど深谷委員の方から、中心部の容積の見直しという提案がございました。  私は何も郊外にいるから言うわけではありませんけれども、東京オリンピック前後に、東京や大阪など大都市に国はさまざまな住宅を提供しました。それは大変よかったのですけれども、時代が変わりますと、既に、当時建てた住宅公団はいずれも五階です。そして、もちろんエレベーターがありません。今これだけ高齢化社会になって、例えばあのオリンピック当時に三十代、四十代の人たちは、間違いなく今は七十を超えているわけです。  私は最近、地域に帰っていろいろな場面に遭遇するのですけれども、一番言われたのは、伊藤さん、五階にエレベーターをつけてくださいという要望でした。自分は車いすになりました。予期しないことで車いすになった。しかし、私はショッピングもできます。ケアセンターにも行きます。友達に会うこともできます。車いすで行けるのです。五階だから、エレベーターさえあれば自力でできるのですけれども、エレベーターがないために、おりるとき、上がるときには六人ぐらいに抱えてもらわなければできないのです。こういうことをしばしば聞くのですね。  私は、そういうことをいろいろ聞きながら考えまして、現地も随分いろいろ見ました。そういう中で、実は住宅公団は、もちろん賃貸と分譲があります。今申し上げたように、既に時代的に新しい対応をしなければならないものも随分あります。それはそれとして、住宅・都市整備公団、建設省、いろいろな形で計画をしていただいていることも承知しています。  しかし、その周辺に、同じ地域に、かつて公団が分譲した地域もたくさんあります。この分譲した地域は、将来の全体計画の中で容積を見直すということになれば、この分譲の人たちは自力で、そんなに大きな負担でなくて、自分たちでもう少しゆとりのある住宅を確保することができます。  それは、同時に大変な景気回復になると思います。住む人たちも、自分たちが新しい時代の豊かな、もう一つ豊かな住環境が提供されて、確保されて、そして当然、一部屋ふえれば、二部屋ふえれば、テレビももう一台必要でしょう。あるいはクーラーも、さまざまな設備も必要になる。そういうことをいろいろ考えますと、これは行政が容積の見直しをやっていくということを少し前倒しをしてやっていけば、これはかなり影響力があると思います。  きょう私は具体的に、そうしますという答えを求めようとは思いませんが、建設大臣にぜひこのことは、住都公団を含めて、バリアフリーの住宅、あるいはもう新しい住都公団がつくる住宅は、これからは電柱も埋設をした新しい時代の町づくりをしていただきたいと私は思います。一点だけ、容積の見直しについてぜひ検討していただきたいという要望をしておきたいと思いますが、建設大臣、お考えを聞かせてください。
  282. 瓦力

    ○瓦国務大臣 委員がこの問題に取り組まれまして、たびたびお尋ねをいただいておるわけでございますが、御案内のとおり、三十年代から四十年代にかかるころ、一極集中で全国から大きな労働力が移動した時代でございまして、そのころに建てました公団がその後どうこれを改築をしていかなければならぬか、また高齢化社会を迎える中で公営住宅と併存はできないか、また緑もそれぞれに確保しているわけでありますが、そこに住む方々の合意といいますか、協力を得なければならぬ問題もございます。  いずれにいたしましても、地元公共団体とも、さらにこの都市計画の見直し等も含めまして、どう取り組んでいくかにつきまして考えさせていただきたい、こう思っております。
  283. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 それでは外交問題、特に日ロ関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。  総理の基本的な外交について伺いたいと思いましたが、時間が限られてまいりましたので、直接、大変タイトなスケジュールの中で訪ロされた小渕外務大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  昨年の十一月に行われましたいわゆるクラスノヤルスク首脳会談は、いわゆる日ロ新時代を予感させる大変画期的なものになったと思います。しかし、本当の意味でのこの新時代が始まるのは、当然のことでありますが、北方領土問題が解決をされて、そして平和条約が締結をされたときでありますし、その扉を開くための努力が今始まったばかりであります。  小渕外務大臣の訪ロの内容については新聞やテレビでいろいろ報じられておりますけれども外務大臣の生の声で、また感想を含めまして、また将来の展望を含めて、外務大臣から現地での日ロの会談についてお話をいただきたいと思います。
  284. 小渕恵三

    小渕国務大臣 二月二十一日から二十三日まで公式訪問いたしまして、エリツィン大統領、チェルノムイルジン首相、ネムツォフ第一副首相及びプリマコフ外相との会談を行いました。今回の訪問は、お話しのように、昨年十一月のクラスノヤルスクでの首脳会談以降、これを一層着実に進展させるため、日ロ関係すべての分野にわたり拡充することができたと考えております。  まず、エリツィン大統領との会談では、四月十一日から十三日まで同大統領の訪日を得て日ロ首脳会談を川奈で行うことに合意をいたしましたほか、平和条約に関するクラスノヤルスクの合意を再確認をいたしました。また、橋本・エリツィン・プランの一環として、ロシアの経済改革への支援の見地から、財政投融資の適切な活用により、今後二年の間、世銀との協調融資の形で十五億ドル相当円程度の輸銀のアンタイドローンをロシアに供与するということをお伝えをいたしました。四月の首脳会談に向けての道筋をつけることができました。  次に、チェルノムイルジン首相との会談で、同首相の訪日を六月ごろを目途に実現する方向で調整していくことで一致いたしました。実は、この首相は日本閣僚と会われるということが非常に珍しゅうございまして、九四年に羽田外務大臣以来、私が二回目だそうでありまして、いずれにいたしましても、やや西の方を向いている感じがいたしておった首相に、ぜひ訪日をしていただきたいということで御了解を得たわけでございます。  また、プリマコフ外相との会談で、領土問題につきまして両国首脳間のクラスノヤルスク合意を前進させることの必要につき確認をいたしました。三月に次官級分科会を行うことで合意するなど、日ロ平和条約締結のプロセスを前進させることができましたが、実はこの平和条約締結問題日ロ合同委員会の第一回目も開くことができたことは大変意義深いことだと思っております。  言うまでもありませんが、クラスノヤルスクでの橋本総理それからエリツィン大統領による二〇〇〇年までに東京宣言に基づいて平和条約を締結するというお約束が、その実現に向かって外務大臣同士の話し合いが始まったということは、大変意義深いと認識をいたしております。  たまたまエリツィン大統領と最後に会談をいたしました折にも、プリマコフ外務大臣、隣席におられまして、直接大統領から、この問題についてしっかり進めるように、こういうお話もございまして、そういった点で大変意義深いことだと思っております。  事はそう簡単ではありませんけれども、戦後五十二年を経て、幾たびかの平和条約締結のチャンスはありましたけれども、今回は、まさにある意味では大変、この機会を逃してはいけない、こういう感じが双方ともいたしていることでございますので、全力を挙げて努力をしてまいりたい、このように考えております。
  285. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 大変御苦労さまでございました。橋本外交の大変大きな歴史の一ページになることは間違いないと思います。  そこで、既に四月のエリツィン訪日の日程、場所なども決められたようでありますが、エリツィン大統領も、この訪日に大きな期待をかけているようであります。また、秋には正式な公式訪問、総理の公式訪問もあるかと伺っておりますが、総理のこの問題に対します、四月また秋に向けての展望をお伺いさせていただきたいと思います。
  286. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、秋云々と言われましたが、全然決まっていることではありません。むしろ、今私にとりましては、この四月の非公式首脳会合、まさにノーネクタイの会談になりますものを、いかにして成功裏に終わらせるかに全力投球をすべきだと思います。この時点において、具体的なテーマをエリツィンさんと私との間でぎりぎり詰め合うというような状況には恐らくなりますまい。  それ以前に行われました、今小渕大臣から御報告のありました外務大臣の会談、さらには次官級協議、こうしたものの中の議論がその時点にどうなっておりますか未定でありますけれども、そうした状況を踏まえて、その上で、次のステップにどう進むか、そして二〇〇〇年までに、お互いの努力の中で、東京宣言に基づく平和条約の締結というものに向けてどういうふうに歩いていくか、そうした話を交わすことになろうかと思います。  いずれにいたしましても、自分の全力を尽くしたい、そのように思います。
  287. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 具体的なスケジュールも決まったようでありますので、これから、外交交渉でありますから、さまざまな皆さんの御協力があって進められるということだと思いますけれども、ぜひまた、エリツィンの訪日が一つの大きなステップになりますことを、そのための御努力をいただきますことをお願い申し上げたいと思います。  日銀総裁にちょっとおいでをいただいているのでお伺いをしたいのですけれども、大変恐縮ですが、もう一問だけ私もさせていただきたいものですから、手短に。  G7で、いろいろなやはり国際的に日本に対する期待また要望があったということは事実だと思うのですね。今、さまざまな景気対策がありますけれども、もちろん公定歩合を上げることによっていろいろなデメリットもあります、そのことは承知しているわけですけれども、やはり国民の汗した一千二百兆円というものが眠っているという状況は、景気回復につながらない。  消費がGDPの六〇%を占めるということはもう周知の事実ですから、そういうことを考えれば、定年になって、そのお金を預金して、利息がもしあれば、それでショッピングもやるし、また時には若い人は海外旅行もするわけですけれども、そういうことが今、日本の場合には、百万円預金して、一年たって、わずかの、普通預金ですと千円ということですから、これはやはりそろそろ考えなければならないのではないかなと。  これは、公定歩合がこれだけ低くてもなかなか設備投資は進まないという状況もありますから、そういうことを考えて、公定歩合のことをそろそろ考えるべきときではないかと思いますが、総裁から一言、大変恐縮ですが、短くひとつお答えください。
  288. 松下康雄

    ○松下参考人 金利を引き上げました場合の影響についてのお尋ねでございます。  家計におきましては、確かに金融資産が金融負債の倍ぐらいございますので、金利の引き上げがありました場合には利息収入の増加が見込まれるわけでございます。ただ、金利を引き上げました場合に、企業の面におきましては、ただいまも御指摘がございましたように、やはりいろいろと、設備投資に与える影響でありますとか生産コストの増大というようなマイナスの影響がございますし、また、金利の引き上げが株価とか地価のような資産価格に対してもこれを押し下げる方向に働くということもございます。  これを差し引きして計算をいたしますと、経済全体の活力を増していくという上におきましては、やはり金利を低水準に維持をするということは大変大事なことでございまして、このことが経済の支えになり、その経済が支えられることで、雇用あるいは雇用者所得といったようなものも支えられるというのが現状でございます。  私どもも、この家計の方々の金利収入の減少につきましての御苦労はよく承知をしているつもりでございますけれども、私どもとしましては、やはり全体の今の状況は、経済の活力を増大させますためにしばらくこの低金利を維持して、成り行きをよく見てまいりたい。その経済の状況と金利の動向は今後とも十分注意をしてまいりますが、そういう考えでございます。
  289. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 時間が参りましたので、最後にもう一問、私自身が深くかかわってきた問題を含めて、これは総理には質問というよりもぜひ要望をさせていただきたいと思います。  それは、被災者生活支援法案についてであります。阪神大震災から三年を経過いたしました。私たちはこの教訓を生かさなければならないと思います。被災者生活支援法が間もなくこの国会に議員立法をされようとしております。  実は私は、第二次橋本内閣の閣僚の一員として、この阪神・淡路の復興を担当させていただいた一人であります。さまざまな方々から、特に全国の知事会や現地の方々から、この六千人の犠牲者をむだにしてほしくない。そのためには、今まで政府は一貫して、我が国は私有財産制度の国でありますから、住宅というものの全壊に対してお金を出すということは個人補償になるということで、一貫してその壁を超えることができませんでした。  しかし私は、アメリカのノースリッジでは、大統領が多い人には二百五十万とかお金を出したじゃありませんか。本当に必要とするところに手を差し伸べるのは、政治の仕事だ。  例えば、定年間近になって住宅をようやくつくりました。もちろんローンです。住宅ローンを借りて家をつくった。しかし、災害に遭ってあっという間にその家がなくなってしまうと、人生、子供たちに残すものはまさに借金、ローンだけであります。  もちろん命は一番大切ですけれども、今、弔慰金制度で、亡くなれば五百万、障害を持てば二百五十万という見舞金が出ることになっています。生きていく者にとって、一番大切なのは家族と住環境です。そのときに、ゼロからの出発なら人間はできますけれども、マイナスからの立ち上がりは絶望だと思います。絶望している人々に光を与えるのは政治の仕事です。私は、この予算委員会でも大臣としてそう答弁してきました。  そして私は、これは官僚に託してはできない、我々議員議員立法でやる以外ない、こう言って私たちは、自由民主党のプロジェクトチームが中心となって、大体法案ができつつある中で、社民党やさきがけの皆さんにも御協力をいただいて、間もなく議員立法をすることになります。  前回の予算委員会で、三塚大蔵大臣に、これは大蔵省の協力もなければできません、大蔵大臣もぜひ大蔵省を督励して、政治が光を当てるために大蔵省も動いてもらいたいと申し上げました。大蔵大臣はこの席で、全力を挙げて支援をすると述べられました。ぜひ総理にも、自由民主党の総裁という立場でもありますので、御支援と御協力をお願いしたいと思います。
  290. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員立法についての御要望でありますから、むしろ議員立法の内容に立ち至って云々をすることはかえって失礼だと思います。十分注意し、見守ってまいります。
  291. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 ありがとうございました。
  292. 越智通雄

    越智委員長 これにて深谷君、武部君、伊藤君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十五日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十一分散会