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鹿野委員 私は、橋本政権が誕生しまして二年以上になるわけでありますが、どこに前進があったのかな、何の
改革が行われたのかな、そんな率直な気分であります。
すなわち、次から次と出てくるところのほころび、その矛盾の対応にきゅうきゅうとしておる。その場その場の場当たり的な政策、ただひたすら政権を維持すればいい、こういう小出しの政策、なかなかそういうところから前進というものを見出すことができない。
総理は、六大
改革、こういうふうなことを高々と掲げました。しかし、何
一つとってもその展望を見出すことができない、いわゆる見通しすら立たない、これが実態じゃないでしょうか。
とりわけ悲惨なことは、
日本の
経済ですよ。御承知のとおりに、九兆円というデフレ政策を行ってしまった。惨たんたる状況ですよ。
もう完全に景気が後退時にあるにかかわらず、そこで景気に対してブレーキを踏んでしまった。よくなるわけないんです。冷え切っているというよりも、
日本の景気は凍りついてしまった、こういう状況です。これは何も私
どもだけが申し上げてきたことじゃないんです。先ほど来、
鳩山幹事長からも、諸外国からの政策に対する批判、いろいろ取り上げられました。
一例を挙げましょう。御案内のタイムズに、
日本がアジアにもたらした新しい混乱、こういう中で、そのデフレ政策に対して、アジアの金融危機の連鎖反応を大きくした触媒は昨年四月橋本政権によって行われた膨大な増税である、この増税は一九三〇年のスムート・ホーリー関税法以来だと。このスムート法というのは、一九三〇年代に各国の関税を引き上げてしまったということで、悪法の代表的なものだというふうに言われておるものです。この関税法以来、先進資本主義国で行われた最も愚かで最も無
意味で破壊的な
経済政策と言われることになろう、ここまで言っておるのであります。
そしてそういう中で、金融機関の倒産、金融不安、そして
大蔵省を初めとするところの不祥事、次から次と、政官財癒着
構造、そのツケが今日もう歴然としてきておる。こういうふうな状況は、今日までの護送船団方式の業者
行政の完全な限界、利権
政治はもうだめよというふうなことであります。
そういう中で、
総理は、過般の
施政方針演説の中でこう言われております。ことしはあすへの自信を持つ年だ、こういう表現であります。何か本当に今日の
国民生活の実態と大分かけ離れているな、むしろ不安な年だ、これが率直な気持ちじゃないでしょうか。
ですから、基本的にそういうふうな認識がなければ前進はないんです。反省がなければ、次の施策の展開というふうなものを講ずることはできません。以前から、過ちというふうなものをしっかりと認めて、そして次の施策に向かっていくというふうなことをやらなければだめですよと。誤りを改むるにはばかることなかれというふうな
言葉がよく使われます。ここでやっぱり
総理自身が、本当にいろいろなことにおいて
判断誤りがあったんだなというふうなこと、この認識に立つことが大事なことじゃないか。
総理は、
日本経済に対しての誤った診断をしてしまったんです。間違った処方せんを書いてしまったんです。ですから、健康体になるわけないのであります。そういうふうなことが非常に大事だ。
ましてや、あの住専のときに、六千八百五十億、
国民の税金を投入するというふうなことをなされました。
国民の大変な怒りを買った。しかし、そのときに私
たちは、法的措置に基づいてしっかりとうみを出さなきゃならない、こう申し上げてまいりました。すなわち、ぼやの時点で、火元はどこにあるのか、何が原因なのかというふうなことをしっかりと突きとめておかなきゃならない、そしてその時点で消しとめておかなきゃならない。
ところが、その後ずるずる来てしまって、火事になってしまった。火事になったら、それ火元はどこにあるかというふうなことよりも、むしろ消火作業だ。火を消そう消そう、これが今日の実態じゃないでしょうか。そういうふうなことから、きちっと火事を消しとめる、二度と火事を起こさないというふうなことには結びつかないと思うのであります。
知らなかった、聞かされていなかった、予測もしないことであります、こう言われるかもしれません。しかし、予測をしなかったことに対して
責任を明確にするというふうなことは、我々バッジをつけておる者の使命ではないでしょうか。とりわけ
総理大臣というのは、一億二千万のこのすべてがかかっておるのであります。最高
責任者としてのその
責任は重いものなのであります。そこに信頼がなければ
国民の
皆様方が一番不幸だということになるのであります。
私は、そういう
意味で、まさに
総理自身が謙虚に反省をして、そして間違ったことは間違ったときちっと認めていくということが為政者としての基本的な姿勢ではないかということを、
質問に先立ちまして申し上げておきたいと
思います。
そこで
総理、今申し上げたとおりに、もう次から次と起きるところのこの不祥事、そういうふうなことから、
国民の
皆様方からいたしますならば、
政治に対する、
行政に対する不信、極に達していると
思います。
総理大臣として、
政治家として、いわゆる
総理を初め我々
政治家、
行政にかかわる者、そして銀行を初めとするところの金融機関、襟を正していくというふうなことが最も今求められておることではないか、このような認識を持っておりますが、いかがでしょうか。