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1998-02-05 第142回国会 衆議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    一月三十日  松永光君が委員長辞任した。 二月三日  越智通雄君が議院において、委員長補欠選任された。 ────────────────────────── 平成十年二月五日(木曜日)    午後三時三十一分開議  出席委員    委員長 越智 通雄君     理事 伊藤 公介君  理事 石川 要三君     理事 中山 利生君  理事 深谷 隆司君     理事 山本 有二君  理事 五島 正規君     理事 高木 義明君  理事 北側 一雄君     理事 加藤 六月君        相沢 英之君     飯島 忠義君        小澤  潔君     大原 一三君        川崎 二郎君     河村 建夫君        栗原 博久君     桜井  新君        東家 嘉幸君     中川 昭一君        中山 正暉君     野中 広務君        葉梨 信行君     萩野 浩基君        増田 敏男君     村田 吉隆君        村山 達雄君     綿貫 民輔君        石井 紘基君     岩國 哲人君        生方 幸夫君     岡田 克也君        海江田万里君     小林  守君        原口 一博君     松沢 成文君        山花 貞夫君     赤松 正雄君        上田  勇君     草川 昭三君        斉藤 鉄夫君     西川 知雄君        中井  洽君     西田  猛君        西村 眞悟君     木島日出夫君        春名 直章君     矢島 恒夫君        上原 康助君     北沢 清功君  出席国務大臣         内閣総理大臣    橋本龍太郎君         大蔵大臣      松永  光君         国務大臣         (総務庁長官)   小里 貞利君         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房人事課長    洞   駿君         人事院事務総局         職員局長      佐藤  信君         総務庁人事局長   中川 良一君         経済企画庁調整         局長        塩谷 隆英君         法務局刑事局長   原田 明夫君         大蔵大臣官房長   武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長     原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官      溝口善兵衛君         大蔵省主計局長   涌井 洋治君         大蔵省主税局長   尾原 栄夫君         大蔵省証券局長   長野 厖士君         大蔵省銀行局長   山口 公生君         国税庁次長     船橋 晴雄君         自治省行政局選         挙部長       牧之内隆久君  委員外出席者         参考人         (全国銀行協会         連合会会長)   佐伯 尚孝君         参考人         (日本道路公団         総裁)       鈴木 道雄君         予算委員会専門員  大西  勉君     ───────────── 委員異動 一月三十日  辞任           補欠選任   松永  光君       川崎 二郎君 二月四日  辞任           補欠選任   西田  司君       中山 利生君 同月五日   川崎 二郎君       遠藤 利明君   小林  守君       石井 紘基君   草川 昭三君       赤松 正雄君   鈴木 淑夫君       西田  猛君   志位 和夫君       春名 直章君   不破 哲三君       矢島 恒夫君 同日  辞任           補欠選任   遠藤 利明君       川崎 二郎君   石井 紘基君       小林  守君   赤松 正雄君       草川 昭三君   西田  猛君       鈴木 淑夫君   春名 直章君       志位 和夫君   矢島 恒夫君       不破 哲三君 同日  理事西田司君同月四日委員辞任につき、その補 欠として中山利生君が理事に当選した。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  予算実施状況に関する件(金融不祥事問題)      ─────◇─────
  2. 越智通雄

    越智委員長 これより会議を開きます。  審議を開始するに先立ちまして、一言ごあいさつ申し上げます。  このたび、皆様の御推挙によりまして、私が予算委員長に選任されました。まことにその職責の重大さを痛感いたしております。  大変難しい事態でございますが、甚だ微力でございますが、練達堪能なる委員各位の御協力を賜りまして、国民の期待にこたえられるような充実した審議を繰り広げていきたいと思っております。  何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ――――◇―――――
  3. 越智通雄

    越智委員長 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 越智通雄

    越智委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事中山利生君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 越智通雄

    越智委員長 予算実施状況に関する件について調査を進めます。  本日は、金融不祥事問題について集中審議を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁鈴木道雄君及び全国銀行協会連合会会長佐伯尚孝君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 越智通雄

    越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  7. 越智通雄

    越智委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤利明君。
  8. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 自由民主党の遠藤利明です。  今回、金融不祥事につきまして、私たち国民にとりまして大変遺憾でありますし、そんな思いを込めて今回の推移を見詰め、また、この対応についてしっかりしたものをしていただきたい、そんな思いを込めて質問をさせていただきたいと思っております。  私、地元へ行きまして、今回、金融安定システム公的資金導入をという話をしますと、大勢の中小や零細企業皆さん方から、銀行だけなぜ守るんですか、私たち零細企業がつぶれたときに国は補償をしてくれるんですか、守ってくれるんですか、こういう話をされます。大変胸の痛い思いでありますし、守りたいですよ、こう言いたいんですが、なかなか現実的には難しい。しかし、金融機関だけをなぜと。  ここにある調査がありますが、大手銀行がどれだけのインパクトといいますか、経済に占める割合というのを見ますと、大手都市銀行一つで、これは最悪の場合ということになるんだと思いますが、およそ九百万人ぐらい失業しますよと。場合によっては、家族を含めれば一千八百万人。そして、主力の法人貸出先数でも四万件。あるいは、総売上高からいきますと二百二十兆円。雇用者に至っては九百万人ぐらいにわたる、こんなことであります。  かつて住専のときもそうでありましたが、当然、連鎖倒産とかいろんなことを考えますと、やはり、金融システムを安定させるということは、日本経済日本国の浮沈がかかっているわけでありますし、そんな意味からも私はやむを得ないと思いますが、しっかりと対策をとり、そしてこの法案を成立させなきゃならないものだと思っております。  しかし、そうした中でも、やはり国民皆さんにこの法案理解してもらう。それには、今回の不祥事を含めて、しっかりとした責任あるいはそのための対応があって初めて理解をしてもらえるものと私は確信をしております。  きょうの新聞を見ておりましたら、住友銀行が優先株を発行する、これは海外で発行するわけでありますが、一〇%に迫る高金利だと。これは、それだけ日本金融機関が不安を持たれ、不信を持たれている。韓国あるいはインドネシア、そんな東南アジア全体の金融不安を勘案しますと、なおさら早急にこの法案を成立させなきゃならない。そのためにも、私たちとしては、先ほど申し上げました対応を、国民皆さん理解をもらえるようなしっかりした対応をしなきゃならない。  そんな意味で、先ほど来本会議等でいろいろ質問もございましたが、橋本総理に、まずこの金融機関の徹底したリストラあるいは大蔵省不祥事への厳正な対応について、もう一度決意をお伺いをしたいと思います。
  9. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、本会議場でもおわびをしつつ御報告も申し上げましたけれども、今回の事態、二名の逮捕者また一名の自殺者大蔵省で出しましたことは本当に残念でありますし、おわびをする以外の方法はありません。  大蔵省自身がこれからどう国民信頼を取り戻すかについて、努力をしていくその方向は、既にお答えを申し上げてまいっております。そして、この監察官制度の中に外部から弁護士の方々の御意見も入れられるような、そのような仕組みを考えている。そして、その調査を終わり次第、被疑者になっております二人は当然でありますけれども、それぞれの監督責任をもきちんと処分等の形で示す。殊に、過去五年間にわたって、関係部局に勤務をした者全員を対象として調査をする。今、そのような大蔵省取り組みをいたしております。  また、金融機関に対して、銀行に対して、合理化努力が不十分だという御指摘が厳しく行われておりますことは真摯に受けとめる必要があると思いますし、また、関係者にも受けとめていただかなければなりません。殊に、今回の公的資金の投入をいたしますことに対し、今議員からも御自分の御郷里における反応というものを御紹介になりましたが、同じような思いをしておられる方は他にもたくさんおられるであろうと思います。  しかし、やはり金融機関というものが安定してくれませんと、そして資金供給の役割を果たしてくれませんと我が国の経済は動かなくなりますし、それだけに、各金融機関が実態に応じて一層の合理化努力を行いますよう強く促していきますとともに、預金者国民の御理解が得られるようにするためにも、その実施状況というものを積極的に開示していくことをあわせて促していきたいと考えております。
  10. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 先ほどの本会議場でも、内部調査につきましてはできるだけ早く、そんなお話、ただいまもそんな話がございました。  今回のいろいろな不祥事を見ておりますと、私は、もう大蔵省という組織そのもの制度疲労に至ってきているのではないだろうか。行政改革の中で、一府十一省、新しい組織の中でスタートしましょうと総理が大変な決意のもとにされているわけであります。しかし、この制度疲労、同時にもう一つは、長年、権力にあぐらをかいたといいますか、おごりがまたあったんだろう。  権力といいますと、予算編成権もあれば国税の徴税権あるいは調査権、そして金融機関への許認可権検査監督権と、大変幅の広い、強い権限大蔵省が持ってきたわけであります。  同時に、キャリア採用された官僚皆さんは、大体五、六年しますと地方税務署に行って、そして署長として仕事をされる。まだ二十代後半で署長でありますから、地方に行きますと、私の地元なんかもそうですが、税務署署長さんというのは大変評価の高いといいますか、権限の強い、まさに名士と言われる立場にございます。まだ勤めて五、六年でもう既にそういう立場を与えられる。それが、自分の当然の力あるいは自分の能力と過信するのもやむを得ないといいますか、当然の部分があるんだろうと私は思います。  例えば地方公務員なんかを見ますと、最初は末端福祉事務所に行きまして、そして介護等の手伝いをしたり、いろいろな仕事をします。あるいはまた、一軒一軒歩いて県税市民税徴税仕事をいたします。そして、末端皆さん福祉や、あるいは税を納める苦労を身をもって体験をしていく。そういうことがあって初めて、税金をいただく、あるいは行政をするということの重み、そして大変さを理解するんだろうと思います。  しかし、キャリア皆さん、特に大蔵省皆さんは五、六年でもう既に署長でありますから、そういう思いをほとんど体験できないんだろうと思います。そして同時に、大蔵省こそ唯一だと。かつて、私の部屋にある大蔵省主計官が見えまして、一括採用はどうですか、そして人事を全部、大蔵省縦割り行政にならないように全体でやったらどうですかという話をしましたら、いや、大蔵省だから私はやっているんですよ、ほかの役所ならばからしくてやっていられません、そんな話をされた主計官もおられました。どなたとは申し上げませんが。  そういうことを考えますと、縦割り行政のひずみあるいはおごり、そういうものを考え、同時に組織制度疲労を考えたときに、金融・財政の分離、あるいは国税庁を独立した組織として、これは地方分権の問題もありますが、位置づけをしていく、こんなことができないものだろうか。  先ほど、総理は本会議の席で、我が党の稲葉議員質問に対しまして、与党の取りまとめを見、忠実に盛り込みたい、そんな話をされておられました。しかし、総理最高責任者でありますから、取りまとめ取りまとめとして、自分の気持ちとしてこの分離あるいは国税庁の独立の問題、大変強い意欲を示していらっしゃるということも仄聞をしております。この件、そしてキャリア一括採用、あるいは人事異動を一本化してやっていく。  ちなみに、今国家公務員キャリアは一万九千七百十九名、これは平成八年の三月末であります。そして、一年間に事務官、技官合わせておよそ六百七十四名採用をされております。二万人という大変大きな数でありますが、しかし、一つ省庁で四万、五万という省庁があるわけでありますから、キャリアだけというふうな形で限定をすれば、一括採用も、そして一括した人事も私は十分可能ではないだろうか。  大蔵省に、あるときは警察庁に、そしてあるときは建設省に、あるときは法務省に、そういういろいろな体験をして初めて、その中で行政の執行をしていく、税を執行していく、そんな形があってしかるべきではないだろうか。私はそんなことを考えますが、総理見解をお伺いしたいと思います。
  11. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本来、行政改革会議最終報告を提出し、それを受けて、今、これを実行していくためのプログラム法とでもいうべき位置づけ基本法作成作業が相当程度進んでいる中で、個人的な見解というものはどうぞ控えさせていただきたいと思います。  ただ、今議員が提起をされましたような視点の議論というものは行政改革会議の中でも交わされた、そして、その上で今の形の報告をいただいたということは申し上げておきたいと存じます。  また、今一括採用という言葉をお使いになりましたが、実は行革会議では一括管理という言い方を使いました。そして、大ぐくりの省庁内における人材管理一括化人材情報総合的管理幹部職員昇任などに関する政府における総合調整、さらに幹部職員等の計画的な育成、省庁間の移籍制度を新設すること、あるいは人事交流の一層の推進、さらに退職後の人材活用システム、これを検討することを具体的に進めるべき。そして、一括採用については、一括管理システム検討状況も踏まえ検討する必要がある、そのような位置づけをされました。  私も、確かに一括採用というものに一気に踏み切ることは一つの考え方だと思っております。しかし、やはりこうした一括管理システムというものが伴いませんと、採用だけでは私はうまくいかないのではないだろうか。こうした形を十分に工夫しながら進めてまいりたい、そのように思います。
  12. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 今、積極的に横の人事交流をされているという話は聞いておりますが、しかし、そうはいいましても、同じ一つ役所からほかの役所へとほんの数名程度移っているようでありますが、やはりスタートから、いろいろな省庁を代表して自分がやっていますという、まあ一括管理という話でありますが、私はやはり大事なことなのではないだろうか。どうしても、自分役所しか知らない、あるいは自分職務分担しか関係ない、そういうことでは、国家行政を預かる官僚として、私は不適当なのではないだろうか。新しい組織の中でスタートされるわけでありますから、ぜひしっかりとそこら辺も盛り込んでいただきたいと思っております。  そうした中で、今回、現職の皆さん調査、あるいはその責任をこれからできるだけ早くされるということでありますが、私、もう一つは、大蔵省OB皆さん責任も大変重いものだろうと思っております。この委員会の中にも先輩皆さんがいっぱいいらっしゃいますから、それぞれの立場で活躍されていらっしゃることは私も十分承知をしておりますが、昨日の松野証券局長発言、この前と全く違って、今までは、あり得ない、昨年の十一月にようやく知りました、それが、六年ほど前から知っておったと。正直、総理それから大蔵大臣、申しわけありませんが、少しなめられたものだな、そんな感じを私はしております。  それは、情報を開示する、あるいは情報をできるだけオープンにしていくというふうなことはもちろんそうでありますが、もう一つは、やはり総理大臣のあるいは大蔵大臣指導力指導性ということも大事だと思います。同時に、この皆さん方責任というものをしっかり私はとっていただかなきゃならないと思っております。  例えば、先ほどの松野証券局長、現在、全国地銀協会の副会長という大変重い立場にあります。そういう方がこういう発言をされた。また、先日逮捕されました道路公団井坂理事、また各省庁、各公団公庫等特殊法人大変大勢皆さんが再就職をされておりますし、また地方銀行、そして数々の金融機関等にも大勢OB皆さんが行っていらっしゃる。東証の理事長あるいは日銀総裁あるいは公取の委員長、国を代表する機関総裁あるいは理事長も、常時か、あるいは一回一回交代かということはありますが、そういう大蔵省OB皆さんがついていらっしゃる。  こういうことを考えますと、今回の不祥事は、ただ単に今回一回限りではなくて、これまで何回もされてきたその氷山の一角として今回出てきたのではないだろうか。そんなことを考えますと、このOB皆さん責任についても、私はしっかりととっていただかなきゃならないのではないだろうか。  そこら辺につきまして、総理大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  13. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは大変、気分の上で委員の御指摘がよくわかりながら、現行国家公務員法上、公務員退官した者に対して、その法の効果が及ばない。言いかえれば、過去、在職中等においてやはり何らかの責任を問わなければならないようなことが後でわかりましても、実は、現行公務員法の場合には、退職後においてその人の責任を問うことはできません。それだけに、私は、退官をされた一人一人がやはりみずから省みて、今回の事態というものを重く受けとめてもらいたいと思います。  むしろ、法に触れる、捜査対象になるような行為であれば、今回の道路公団のケースのように、司直の手によってこれを捜査対象とできるわけでありますが、そうではない種類の行動で批判のあるもの、これは、OBに対しては国家公務員法上その権限を及ぼすことができないという、その制約は御理解をいただきたい。その上で、やはり退官をした人一人一人がこの事態を深く受けとめてもらいたいと願います。
  14. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 法的にということであれば私も理解ができるわけでありますが、しかし、最近、これはマスコミの報道でありますが、先輩銀行局長がどうのと、いろいろなことが出ております。同時に、たびたび、私も話題にしたわけでありますが、松野証券局長、今までの大蔵省の、問いに答えたことと全く違う発言をこの院においてされた。私たちにとりまして、何かそれをただ単に、ああそうですかと聞いていいのかなという感じさえいたします。  まあこれは、総理が法的にということでありますから、それは無理かもしれませんが、何らかの形で、例えば今のポストにそのままとどまっていいものかどうか、そこら辺も含めて、ぜひ御検討をいただきたいと思います。  次に、そんな形の中で、公的資金を導入しよう、三月三十一日までに決めたいというわけでありますが、審査委員会ができ、その対象行を判断しようというふうな中で、判断基準骨子を今つくっていらっしゃいます。先日、草川昭三議員質問に対しましても、今取り組みをしていらっしゃるということでありますから、できるだけ早くその骨子だけでも開示をしていただきたい。これは答弁は結構ですので、よろしくお願いをしたいと思っております。  時間がありませんので、せっかくですから、佐伯会長おいででいらっしゃいますので、佐伯会長に少しお伺いをしたいと思います。  先ほど、橋本総理また松永大蔵大臣ともに、本会議場におきまして、MOF担の存在を必要としない行政を、そんな答弁を再度されました。佐伯会長は、かつてMOF担をされたと新聞、テレビに喧伝をされておりますし、御自身も認めていらっしゃるようでありますが、MOF担をどのような意図でやられたのか、そしてどのような活動をされておったのか、お伺いをしたいと思います。
  15. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 三和銀行佐伯でございます。答弁の前に、一言、御発言をお許しいただきたいと思います。  今般、世間をお騒がせいたしまして、先生方を初め多方面に御心労、御迷惑をおかけいたしましたこと、まことに申しわけなく、深くおわび申し上げます。  当行では、既に、いわゆるMOF担というものを廃止いたしまして、公務員、みなし公務員に対する接待を禁止いたしました。また、法令遵守体制を強化すべく、独立したコンプライアンス統括部というものを設置することを決定しております。今後についても、厳格な行内管理体制を整備して、二度と今回のような事態を招くことのないように措置することで、信頼の回復に全力を挙げて努めてまいりたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。  先生の、MOF担のというか、お答えですけれども、私がMOF担と言われます企画部次長をしていたのは二十年ほど昔のことでございまして、その当時は、確かに大蔵省への申請事項許可事項、今とは格段に違うといいますか、店舗の申請一つでもそうですし、いろいろな新商品でも一つ一つにつき全部認可をもらうということで、行内の要請を取りまとめて交渉しなければいけないという窓口が必要であったのではないかと。各行そういうものをみんな置いていたということで、そういう情勢だったのではないかと思います。その後、現在の自由化の時代で、まだそういうものをそのまま温存した。  これだけが今回の要因ではないと思いますけれども、恥ずかしい次第でございますが、そういう反省も込めて早速廃止したということでございます。
  16. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 そのまま続けさせていただきますが、簡単で結構です。佐伯さん、効果はありましたですか。
  17. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 効果というのは、廃止の効果でございますか。
  18. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 いえ、MOF担をされて。
  19. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 しなかったときにどういう状況かというのはわかりませんからなんですが、それぞれ交渉のために必要であったということでお答え申し上げたわけでございます。
  20. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 私はちょっと疑問を感じていますのは、確かに大蔵省の、当時ははしの上げ下げまでとか護送船団方式とか言われるわけでありますが、しかし、本当に大蔵省だけのひとり悪なのかなという感じが実はしているのです。  例えば、同じ許認可権、大変強いと言われる航空業界、大変強い分だけ、飛行機会社の社長は運輸省の役人が天下って社長をされている。しかし、銀行協会、全部を大蔵省に管理されているといいながら、地方銀行の頭取は大蔵省OBの方がいらっしゃいますが、都市銀行の頭取はたしか太陽神戸の、今の日銀総裁の松下さんしか最近はいらっしゃらなかったのじゃないだろうか。会長はいらっしゃいます。しかし、本当にそんなに大蔵省が圧倒的に強くて、そして自分たちが弱いということなのかなと。私は、何か持ちつ持たれつを自分たちで演出をしていた部分もあるのではないだろうか、そんな感じをしております。  そこで、そこにつきましては時間がありませんので回答は結構ですが、そういう中で、これから銀行としてどういう情報の開示をされていくのか、あるいはどういう責任のとり方をしていくのか。  たしか七、八年前の大阪での、これは佐伯さんの銀行ではありませんが、尾上縫という女性に三千億近くの金を金融機関が貸しておった。あるいは、最近のいろいろな金融機関の不良債権。そして、例えば東洋信託銀行だったですか、ハイジャック事件があったときに、その事件の犯人の休業中の補償が月八十万円であった。そんなことを考えますと、やはりまだ、公的資金を導入するにしても割り切れない部分を私たちは持つのではないか、皆さんがなかなか納得できない部分なんではないだろうか。  そういうことを考えますと、ただ単に大蔵省が悪い、大蔵省がすべて権限があったから我々はその中に縮こまって言うとおりにしておったのですよ、だから接待もやむを得なかったのですよということだけではなくて、銀行皆さんが少し甘えていたのかなと。もう少し自分たちのしっかりした、情報の開示も含めて、規範をとらなかったのではないだろうか。そんなことを、ぜひこれは佐伯会長から御見解をお伺いしたいと思います。
  21. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 先生の御指摘のとおりだと思います。決して我々が何も関係なかったということは全く申しません。  今言われておりますように、リストラの強化というのは非常に大事でありますし、今総理からも、リストラのそういった合理化の努力、そしてそれを強くやって、国民理解を得るためにはそれを開示していくんだという、冒頭に御指示がございました。私は、その言葉をかみしめて、これからリストラに努力していきたいというふうに考えております。
  22. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 もう一つだけお伺いしたいのですが、昨年の九月の決算期に不良債権が二十八兆円でありました。そして、ことし四月には、これはいろいろ基準を変えました。新たな開示項目を追加したとか、そういうことでありますが、七十六兆円。何か、今までは不良債権は余りないですよ、金融安定化のためにやむを得ないというふうなことで隠しておったのかわかりませんが、しかし、金融安定化で国が公的資金を出しますよと言った途端に七十数兆円というのは、ちょっと異常なんじゃないだろうか。そういう意味で、金融業界のディスクロージャーといいますか、自分たちの開示が、全く臭い物にふたという部分が大変強いのではないかな。  私は、そういう意味で、単に大蔵省だけの、大蔵省責任があることはもちろんでありますが、金融業界がそうやってMOF担を通じ、あるいはいろいろな形で持ちつ持たれつの関係をし、そして肝心なときには、私たち責任ありませんよと、そういう逃げている部分が多々あったのではないだろうか。  そんな意味で、時間がありませんので最後にですが、改めて佐伯会長から、これからの取り組みについてお伺いをしたいと思います。
  23. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 先ほどおっしゃった二十八兆円云々という数字と七十七兆円云々という数字は、もう先生御存じのことだと思いますけれども、ちょっと基準が違いまして、二十八兆というのは償却の税法に基づいたものでありますし、七十七兆というのは、二分類、三分類、四分類と、将来のロスになる度合いを含めてしたものでございますから必ずしも一致しないわけですが、いずれにしましても、そういう破綻をしたときに、公表していた数字とその結果の数字が違っているというのは、ディスクローズに大変な問題があるということを認識しております。  したがって、ことしの三月から新しく欧米の基準と同じ基準で、したがって、デファクトスタンダードということでございますけれども、きちんとした開示をするという方向に転換をいたしております。  以上でございます。
  24. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 時間が来ましたので、これで質問を終わらせていただきます。
  25. 越智通雄

    越智委員長 これにて遠藤君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  26. 海江田万里

    ○海江田委員 民友連の海江田でございます。  両参考人には、お忙しいところ当委員会にお越しいただきまして、ありがとうございます。  早速でございますが、質問に入らせていただきます。  昨日の大蔵委員会で、松野証券局長参考人として出頭いたしまして、山一の飛ばしにつきまして、三木前社長、当時は副社長でございますが、当時の三木副社長から相談を受けたということを明らかにされました。たしか九一年の十一月か十二月だということでございますが、当時の松野証券局長が山一の飛ばしについて相談を受けて助言をした。  この助言の中身については、種々報道と御本人の発言との食い違い等もございますけれども、とりあえず、そういう相談を受けて助言をしたということは大蔵省として知っておると、当然のことだろうと思いますが、そういう事実は把握をしているかいないか、お答えいただきたいと思います。
  27. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  松野証券局長につきましての報道が先月の末にございました。それを受けまして、私ども、松野証券局長に問い合わせましたところ、昨日の参考人質疑でお答えになっておるのとほぼ矛盾あるいは相違点のないような返答がございました。
  28. 海江田万里

    ○海江田委員 私がお尋ねをしておりますのは、当時でございます、九一年の、これは正確には十二月だろうと思いますが、これは当然のことながら、松野証券局長大蔵省証券局長の部屋に三木副社長は訪ねているわけですね。どこかの密室でしたら、そういうことを初めて聞いたということもあり得るわけでございますけれども、大蔵省証券局長のところに訪ねているわけです。しかも、松野さんも一人ではなく、こちらは当然のことながらこの話し合いに参加をしておると思うわけでございますから、その時点で聞いておったのか、あるいは全く一人で、余人を入れずに一対一でやったのか、そのあたりはどうなんですか。
  29. 長野厖士

    ○長野政府委員 我が方につきましては、当時の松野の下におります人間につきましては同席していなかった模様でございます。それから、松野の後任者にも聞きましたけれども、その件については松野から何も聞いたことがないということでございました。
  30. 海江田万里

    ○海江田委員 先方は何人だったんですか。
  31. 長野厖士

    ○長野政府委員 先方が何人であったか、松野さんは記憶がないとおっしゃっておられます。
  32. 海江田万里

    ○海江田委員 どの時点でそういう相談があったかということを知っていたかどうかということは大変重要なことで、私は、当然のことながら、この時点で、九一年十二月の時点で知っておるというふうに確信をしておりますが、それは直ちに調べていただいて、これは当然記録があるはずでございますから、何日の何時何分から何時何分まで、そのときたった一人なのか、同席をしておったのかどうなのかということを調べて、当委員会報告をいただきたいと思います。
  33. 長野厖士

    ○長野政府委員 大事な点でございますので、松野に私どもの方から、何月何日か、同席者の氏名といったものの記憶を手繰ってもらいましたけれども、松野は、そこは記憶がはっきりしない、記録もないということでございます。
  34. 海江田万里

    ○海江田委員 当然のことながら、ちゃんと局長室のところには秘書もいらっしゃるわけでございますから、出入りはきちっと把握をしておるはずでございます。  松野証券局長も、相談を受けたということ自体も、マスコミ等の調べについては全く記憶がないということで、昨日大蔵委員会に呼ばれて初めて記憶がよみがえってきた。まだお年もそんなに、本当にまだまだなわけでございますから。そういうことになりますと、やはりお越しいただいて、しかも、その記憶が喚起するような仕組みもしなければいけないと思うわけでございますから、さらにもう一度念を入れて思い出しをしていただきたい。  そういう意味では、きのうやっと相談を受けたということを思い出したわけでございますから、また一月や二月も先にしますと忘れてしまうおそれもありますので、可及的速やかにやっていただいて、それを明らかにしていただきたいと思うわけでございます。この問題はこれからいろいろ後を引くと思いますので。  あともう一つだけ確認をしておきたいわけでございますけれども、簿外損失を知ったのはいつかというお尋ね、私も大蔵委員会でさせていただきましたけれども、もう一度確認をします。  証券局長が簿外損失、簿外債務のあることを知ったのは十一月十七日だというようなお答えをいただいておりますが、それで構いませんか。もし訂正する必要があれば、訂正しておいても私は構わないと思いますが、いかがでしょうか。
  35. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  以前より当委員会でも御報告しているとおり、ただいまの御指摘のとおりでございまして、そのとおりでございます。
  36. 海江田万里

    ○海江田委員 これも甚だおかしいわけでございまして、実は山一が破綻をした直接のきっかけはムーディーズの格下げでございまして、一気に三段階ランクが下がって、それが二十一日でございました。そして二十二日の、翌日の日経新聞に自主廃業という記事も出たわけでございまして、しかも、格下げをするよということを予告しておりましたのが十一月六日でございまして、株式市場なんかはこの十一月六日からまさに急激に下がるわけでございますね。  だから、まさにムーディーズが格下げをするというようなこと、何が理由で格下げをするのかということ、そんなようなことは当然事情聴取をしてもよろしいと思うわけでございますけれども、恐らくそういうこともやっておらないというお答えが返ってくるんだろうと思いますから、ここではこれ以上追及はいたしません。何度お尋ねをしても十一月十七日だということ、このことだけはしっかり覚えておきたいと思います。  それから今度、別なテーマに移りますが、きょうの重要な問題というのは天下りの問題でございますが、実は天下りだけではありませんで、どう表現をしたらいいのか、仮に天上がりとでもいいましょうか、逆の立場でございますね。大蔵省から民間の金融機関に行くのではありませんで、民間の金融機関から大蔵省に出向しているという事実がある。これはもう過去何年にもわたってそういういわば慣行化した事実があるわけでございます。  ことしの一月一日現在で、大蔵省に対しては、とりわけ金融機関からだけいきますと、東京銀行日本債券信用銀行、東海銀行日本生命、第一生命の、一、二、三、四、五名が、それぞれ、国際金融局開発機関課、関税局企画課、国際金融局開発金融課等々に実際にこれは出向しておるという事実があるわけでございます。常勤でやっておりますのが五名。それから、非常勤で調査員という形で行っておりますのが、金融機関から、富士銀行、住友銀行、東京三菱銀行で、三人行っておるわけでございます。  ちょっと時間がありませんで恐縮ですが、三和銀行の、もちろん今現在は三和銀行からそういう出向者はいないわけでございますけれども、かつて三和銀行も出向者を出しておいたはずでございますから、どういう経緯でお出しになったのかということをお聞かせ願いたいと思います。三和銀行佐伯さんに。
  37. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 過去の経緯でございますけれども、過去十年間、一九八八年からですと八名大蔵省へ出向しております。(海江田委員「経緯をお願いします、どういう経緯か」と呼ぶ)それぞれの、一人ずつの出向した経緯というのはよくわかりませんが、私どもとしては、大蔵省だけではなくて、他社も含めて、派遣をしております。人材教育が中心ということで考えております。
  38. 海江田万里

    ○海江田委員 これは正直を申し上げまして、実は大蔵省にも、資生堂でありますとか日立製作所でありますとか、そういう一般の事業法人から出向しておる方もいるわけでございますね。そういう方は主に主任研究官とかでございますけれども、やはり金融機関の方たちはそれぞれ現場の係長になっておる。しかも、大蔵省金融機関の間には監督関係というものがあるわけでございますから、これはやはり形を変えたいわば情報収集ということになるわけでございます。  しかも、この方は朝から晩までずっと大蔵省にいて、そして一緒に仕事もやっておるわけでございますから、やはりこういうものについても、私は、もうそろそろその役割を終えたのじゃないだろうか。あるいは、本当の意味できちっと行政をやるためには、当然のことながらこのような制度は一日も早くやめるべきだと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  39. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 民間企業から常勤職員として大蔵省に受け入れるというのは、かなり前から相互交流のような形で、相互交流というか、民間のそういう若い人たちに来ていただいて、それぞれの母体の職務と関係のないところで働いていただくというようなことでやってきたわけでございますが、御指摘のような問題がございましたので、一年前にこれを取りやめることといたしまして、現在いる人も、ことしの三月末をもちまして、民間金融機関からの受け入れはゼロになる。そのかわり、産業等の、大蔵省と職務関係のないところの民間の人の調査員の受け入れは続けていきたい、このように考えております。
  40. 海江田万里

    ○海江田委員 私は、本当に一刻も早く、こういう機会は、こういう慣習というものはやめるべきだと思っておりましたので、おやめいただくのならよろしゅうございますけれども、そういうことも、情報が漏れたり、あるいはここの人たちの結びつきというものがそういう接待等に通じていなかったかとかいうような点についても、やはり調べるべきである。  そうでなければ、ただ言われるとまずいからやめることにしたというのでは、若干はっきりしないのではないだろうかということで、何が問題であって、そういうことでやめることにしたのかということを、やめるということをお決めになった以上、それをきちっと、いわば総括というのですか、そういうことをやはりおやりいただきたい、そういうふうに考えます。  それから、今度は大蔵大臣にお尋ねを申し上げます。  大蔵大臣、まだ大臣になったばかりで、特別に専門的な大蔵行政のことじゃありませんで、これまでも委員長として名指揮ぶりを発揮しておったわけでございますから、その高い識見でもってお答えをいただきたいと思います。  国家公務員法の第百三条二項ですね。国家公務員は、離職後二年間は、離職前五年間に勤務していた職場と関係ある私企業への天下りは禁止をされている、これは私たち委員皆さん方もよく知るところでございますけれども、次のようなケースで、今私が言いましたこの国家公務員法第百三条二項に抵触をするのかどうなのかということを、大蔵大臣の率直なお考えといいますか判断、どうなのだろうかということをお聞かせいただきたいのですが。  まず第一で、過去五年の間に大蔵省の関税局長をやっておられた方が仮にいるとします。この大蔵省の関税局長をやっておられた方が銀行に、都市銀行でもよろしゅうございますけれども、都市銀行に再就職をした、二年以内に。この場合は問題になるかならないか、どうでしょうか。これは大臣のお考えでお聞かせいただきたい。
  41. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  ただ、一週間前までは皆さん方と一緒になって予算委員会の運営に携わっておったものでありまして、それほど大蔵省行政の細部に通じているわけではありません。  今の御質問については、私の法的な知識も少しあるものですから、それに基づいて申し上げますが、要するに、大蔵省の役人であった者が、自分権限の及ぶところ、すなわち監督、被監督という関係のあるそういうところに天下りすることは、これはある程度の期間は置かないといかぬ。  監督、被監督という関係がないところについては、これは国家公務員の定めるところでよろしいだろう、こう思いますが、ただ、その点については、大蔵省はほかの役所よりも厳しくというか、やっているという報告を受けておりますので、詳細は官房長からお答えさせていただきます。
  42. 海江田万里

    ○海江田委員 答えは後で人事院に言ってもらいますが、もう一つ二つございます。ちょっと簡単でございますが、いいですか。これは五年と二年です、二年以内ですからね。  大蔵省金融検査部の金融検査官、これはいろいろ問題のあるところでございますが、この方が、在職中にもちろん仕事としまして金融機関への検査をやったわけでございますが、たまたま自分がこれから行こうとしている民間の銀行には、検査部の職員だけれども、たまたまA銀行というところにはその五年の間に一度も立入調査をしたことがない。だけれども、銀行局の検査部の職員がそのA銀行に天下りをする、二年以内に。これは平気ですか、平気ではないですか。常識でいいのですけれども。  あともう一点ありますからついでにやっておきますけれども、仮に、大蔵省の近畿財務局総務部長をやっていた方がいます。この方が、近畿財務局の総務部長をやっていた方が、二年以内に近畿財務局の管内の信用金庫に天下りをする。  この二つはどうですか、考えていただいて。
  43. 松永光

    松永国務大臣 知能テストを受けているような感じで緊張するわけでありますが、まず後段からお答えいたします。後段の方は、二年以内、これはいけないことになっているはずだと思います。  前段の場合は、自分が検査に行ったことのあるところ、これは例えば五年なら五年、私は、天下りをしてはいかぬというふうになっているという記憶がありますが、ただ、自分が検査に行ったことはないけれども、そこに同じ検査部におった人が行っているという場合どうかという応用問題みたいな難しい話でありますが、これには、規定としてはそう厳しくなっていないのではないかなというふうに思います。しかしこれは、何といいましょうか、違法ではないにしても、余りいいことではないというふうに私は感じます。
  44. 海江田万里

    ○海江田委員 それでは、国家公務員法ですから、人事院の方にお答えをちょうだいしたいと思います。
  45. 佐藤信

    ○佐藤(信)政府委員 最初の御質問は、たしか関税局長銀行に行く場合にどうかということであったかと思いますが、私どもの方の就職承認の審査に当たって、先ほど来お話がございますように、離職前五年間に在職していた本人の官職、ポストの仕事の内容と、それから就職予定企業との職務上の関係があるかないか、その内容、程度はどうか、あるいは行った先の企業においてどういう地位を占めるのかというようなことを精査して判断をしているわけで、その企業とそれから本人が占めております職務上との関係がない場合には承認をすることができるというのが一般的な基準でございます。  ただ、関税局長に関してというか、局長に関して申し上げますと、従来そういう考え方で認められるケースが多かったわけでありますけれども、今回、いろいろな御批判等を踏まえまして、人事院規則を改正いたしまして、たとえ本人が職務上の権限を持っていない場合であっても、本省庁局長以上については、所属省庁が強い権限を持っている営利企業への就職は認めないといった規制の強化を図ったところでございます。  それから二点目は、金融検査官が自分のタッチしなかった銀行に就職することについてのお話であったかと思います。  これも、一般的には、本人がその銀行に対して直接検査を担当しなかった、あるいは検査計画の策定に携わらなかったという場合には、検査官であっても承認をする場合がございます。ただ……(海江田委員「だから、承認するケースの方が多いんでしょう、今の話では」と呼ぶ)今現在では、はい。  それから、近畿財務局の総務部長でございますか。総務部長の職務内容によるかと思いますが、一般的に、金融業務に直接タッチしない場合には金融機関に行くことができようかというふうに思います。
  46. 海江田万里

    ○海江田委員 先ほど松永大臣は、大蔵省は特別厳しいのではないだろうかというお話がありましたけれども、実際はそれほど厳しくないんですね。今のは全部構わないんです、天下りをして。これは合法的なんです、はっきり申し上げまして。一般的にはそういうことで、いろいろな細かな事情をつければそういうことなので、やはり私なんかもかなり厳しいのじゃないだろうかと思って調べておったのですが、かなり甘いということが言える。  それから、やはり非常に人数が多いんですね、天下りの人数は。さっきお話をしました国家公務員法の第百三条の二項で抵触するおそれのある人は、みんな人事院に一々届け出をしなければいけないわけですよ。一々届け出をして、承認をされた。だめな人は数字には出てこないのです、とにかく平気な人だけですけれども。  このデータを見てみますと、一番新しい数字が平成八年なんですが、平成八年で大蔵省で二十七人。公務員全体で認可を受けて天下りをした人たちが、これは民間企業ですが、民間企業に行った人たちが百三十六人ですから、二〇%。この年は意外と少ないのですけれども、九五年が五十九人で、全体の三〇%。過去五年間で二百七十四人が実は大蔵省から民間の営利企業に行っている。これは平均で全体の二九%、まあ約三〇%。  つまり、ここへ出ておるそういうような、人事院の許可をとっていますからこれは悪いことでも何でもないわけですけれども、ただ、この人事院の許可をとって天下りをしている人たちが、五年間を計算しますと、人事院の許可をとっている三人に一人が大蔵省の職員である。  ちなみに、大蔵省の職員というのは、一般職の国家公務員全体が五十万人で、そのうちおよそ一万五千人ですから、三十三人に一人ですよ。本来公務員の数だけでいえば三十三人に一人である大蔵省の職員が、こういう形で、営利企業への就職の承認に関する年次報告というものを見ますと、三人に一人を大蔵省が占めているということ。大蔵省は大変天下りが多いということは、このことからもはっきりするのではないだろうかと思います。  しかも、その天下った人たち金融機関で何をしているのか。実はさっきの例というのはここから引いたわけでございますから、金融機関で何をしているのかとか全部書いてあるわけですね。  例えば、お名前を言っては申しわけありませんけれども、離職前五年に福岡財務局にずっとお勤めになっていた方ですね、財務支局。この方が佐賀共栄銀行に行っておる。ただ、これは、人事院のきちっとした厳しい、私は厳しくないと思う、松永大臣も余り厳しくないと思うでしょうけれども、一応そういう合法的な手続をして佐賀共栄銀行に行っておりますが、何をやっているかというと、取締役検査部長なんですよ。  それからそのほかに、ここにもございますけれども、近畿財務局の方、管財部次長、それから総務部の次長をやっておった方。この方は、淡路信用金庫の、これは部長待遇ですが、括弧して検査部担当になっておるわけでございますよ。  それから、もう枚挙にいとまがないわけでございますけれども、福岡財務支局におられた方。この方は、佐原信用金庫というやはり地元の信用金庫の常務理事で、審査部、検査部担当ということ。  これはしかも、先ほどの人事院の説明からすると、余り関係のない、だから検査をやっていた人じゃないわけですよ、別なことをやっておった人。余り関係があってはもろにひっかかってしまうからだめなわけですけれども、むしろ関係のない人も、なぜか不思議に大蔵省の人というのは、金融機関に天下りをしますと、検査部長だとか検査部付だとか、検査、検査、検査という字がやたらと出てくるわけですよ。  これはどういうことかというと、実は今度の山一の問題、あるいは北拓の問題ですか、そこでも問題になりましたけれども、要するに、銀行と、金融検査部とのパイプ役をやっておるわけですよ。これはそうでしょう、検査部に行くわけだから。検査官が入ってきたときに対応するのがこの人たちなわけですよ。  現実にこの間の谷内課長補佐のときも、北拓銀行の大蔵OBが出てきて、これがきっかけで食事が始まった、検査に来ているのに。だって、それはそうですよ。普通の銀行員がちょっと今夜一杯行きましょうかと言ったって、そんな軽々につき合うはずもないわけでございます。それから宮川検査官室長の場合も、第一勧業銀行の大蔵OBがそこへ行って、そして、どうだい、今夜一杯やろうじゃないかというところから実は、接待でありますとか、あるいは検査そのものをねじ曲げるような事態になっていくわけですね。  ですから私は、確かにこれはこれまででしたら合法的に、こういう形で承認がおりて、そして民間企業に天下りをしておったという事実があるわけでございます。だけれども、やはりもうそろそろこういうことは、しかも常識的に考えますとかなり、恐縮ですけれども、人事院としては一生懸命やっておるつもりでありましょうけれども、やはりこれは若干甘いところもあるわけでございますから、こういうものを人事院にも少し頑張っていただかなければいけない。  まあ、局長以上はそれでいいかもしれない。その点はこれから四月一日で施行になるわけでございますけれども、ただ、まだそれ以外のところは余り変わっていないというところもありますので、少しこれはやはり、少しというか大いに改善をしていただかなければいけないのではないだろうか。  若干長くなりましたけれども、今までの話を聞いて、いかがでしょうか、大臣。
  47. 松永光

    松永国務大臣 今のお話の中で、銀行等の検査部というのは大蔵省の検査部に対応する部でしょうか。そうじゃなくして、銀行の中の事務の中で間違いなくその銀行の職員の事務がなされておるか、あるいは審査部というのは融資申し込みについての審査をする部じゃなかろうか、こう思うのでありまして、検査部に対応する銀行の中の検査部じゃないように私は感ずるのですが、それが一つ。  もう一つは、仰せのとおり、OBがいますというと、その人が接待の連絡役、窓口になる可能性は強いと思いますね。したがって、その意味OBは、先輩は、後輩を間違った道に誘い込まぬようにするぐらいの倫理観を持っておられてもいいのではないかなというふうに私は思います。
  48. 佐藤信

    ○佐藤(信)政府委員 今大臣がお答えされましたように、銀行の検査部は今のようなお話の部署だというふうに我々も認識いたしております。いずれにしろ、我々の方の基準としては、当該親元省庁と折衝する窓口になるようなポストに営利企業においてつく場合には、承認しておりません。  それから、これもあれでございますけれども、現在のように批判が厳しい時期に、退職前五年間に金融証券検査官の経歴のある職員の銀行への就職について、私どもとしては、大蔵省の方から申請が現段階で出てくるとは予想しておりません。もし申請がなされるようなことがあれば、この問題については、現下の厳しい状況を我々としては認識して、今後さらに国会等関係方面で議論がなされると思われますので、それらの御意見等も踏まえながら、法の精神に照らして、個別のケースごとに厳正に対処したいというふうに考えておるところでございます。
  49. 海江田万里

    ○海江田委員 それは大いに厳正にしていただきたいのですが、今職員局長がおっしゃったことの中で、関連のあるのはだめだよということは、要するに、今まで例えば検査なんかに携わっておった人が検査に行ってはいけないのですよ。だから、検査部長という名前がつくけれども、この人たちは検査のノウハウなんか持ってやしないのですよ、持っていたら問題なんですから。そうでしょう、これは。持っていたらまさに抵触をしてしまうわけですから。  だから、持っていない人がなぜ検査部長だとか検査部付だとかいう肩書をもらうのかということですよ。これはまさに、その金融機関に来たときに対応をするというような役割を果たしていると私は思っているのです。そうですよ。検査のノウハウを持っていて、これは大変貴重な人材だから、ひとつ今度は民間企業に行って、金融機関に行って、そこでもって、今まで大蔵省で培った検査のノウハウを大いに生かしてくださいという話だったら、これはだめなのですよ。これは天下りが認められないのですよ。そうでしょう、先ほど来の説明というのは。そういう流れの話なわけですから。  だから、実は別なことをやっているわけですよ。全然別なことをやっている人が、ところが不思議なことに、金融機関に行くとそういう意味で検査部とか検査部長付だとかそういうところになっているということでございますので、これはまたもう少し後で詳しく、では実際に銀行に行って、検査部のその人がどういう役割を果たしているかとかいうことを調べてみればわかることでございますから、いずれそういうこともやりたいと思います。  ちょっと時間が、結構たくさんあるのですけれども意外と、たくさん用意をしてきましたので、はしょってお話をさせていただきます。  私企業に対する天下りというのはそういう形で規制はされますけれども、私企業でない公団ですとか公社、こういうところに対する天下りというのは、これは全く問題がないわけでございますね。  そこで、新聞報道などでは、キャリアOBの親睦団体でございます大蔵同友会、この大蔵同友会の名簿を、これはたしか東京新聞が調べたのだろうと思いますけれども、キャリアOBが、特殊法人に六十三名、認可法人に三十名、公益法人に七十九名。この大蔵同友会の一番新しい名簿で調べてみると、現在百七十二人が特殊法人、認可法人、公益法人にいわゆる天下りをしているということでございますが、これは事実ですか、事実じゃないですか。大蔵省にお尋ねをします。
  50. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 大蔵省退職者の再就職先につきましてすべてを把握するというのはなかなか困難な面もあるわけでございますけれども、現在私どもが把握している範囲内という前提でお答えをさせていただきますと、常勤の役員数は、特殊法人が五十八名、認可法人が二十七名、公益法人が五十名というふうになっております。
  51. 海江田万里

    ○海江田委員 常勤の役員でございますから、非常勤を入れれば、恐らく今私が言いました数はもっとふえるということは明らかだろうと思います。今局長がおっしゃった数字ですと百三十名ちょっとでございますけれども、これはやはり随分多いのじゃないですか。どうですか、これは大蔵大臣、多いという認識をお持ちかどうか。  では、ほかの省庁でこんなにたくさん行っているのがありますか、特殊法人、認可法人、公益法人について。これはありませんよ、はっきり言いまして。多いですよ。いかがですか。
  52. 松永光

    松永国務大臣 ほかの役所OBとの比較が、私は今のところ手持ちがありませんものですから、しかし多いなという感じはしますね。
  53. 海江田万里

    ○海江田委員 事実多いのですね。これがもしほかにこんなにたくさん、一つ省庁で百何十人も、百三十人以上も、特殊法人、認可法人、公益法人について、こういう人たちが役員で、しかも常勤の役員でこんなに多い省庁がほかにあったら見せていただきたいわけでございますが、いずれこれは資料要求としましてほかの省庁全部出してもらえればわかることでございます。これはずば抜けているのですね、先ほどの私企業の場合もそうでございましたけれども。  ところが、ずば抜けておると私は思うわけでございますけれども、あるいは多いという認識でもよろしゅうございますけれども、これはどうしてこんなに多いのですか。とりわけこういう特殊法人に対して、あるいは認可法人それから公益法人に対して、どうしてこんなに多いのですか、大蔵省が。いかがですか。これはお役所でもいいですよ、どうして多いのですか。
  54. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 大蔵省退職者の特殊法人等への就任につきましては、累次にわたりまして閣議決定等がございます。私どもはそれに基づいて対処しているところでございます。  もちろん、この問題が特殊法人の健全な業務運営の妨げになっているということであれば、これは十分留意しなければならないことだと思っておりますが、こういう問題につきましては、公務員全体の問題としていろいろ御検討が行われつつあるというふうに考えております。
  55. 海江田万里

    ○海江田委員 妨げになっておればということですけれども、妨げにはなっておらないかもしれないけれども、だけれども、特殊法人でありますとか認可法人でありますとか公益法人のあり方そのものと、大蔵省の天下りが大変多いということは、実は密接に関係があるわけですね。  それはどういうことかといいますと、常勤の役員になっている方が、今言ったような五十八、二十七、五十人といるわけですけれども、まず、その財務担当理事はほとんど大蔵省からのOBの方がそれぞれ席を占めているということ。それから経理部長、これは役員ではございませんからさっきの数字には出てこないわけですけれども、それぞれの特殊法人、認可法人、公益法人も、経理部長はほとんど大蔵省OBがなっておられるということ。  このことはどういうことかというと、実は財投の問題と関係してくるわけでございますね。何で財務担当の理事に、あるいは何で経理部長に、大蔵省出身のOBの方を位置づけをするのか。それはまさに、大蔵省が財投をどこにどういう形で配分するかという権限を握っておるわけでございます。  ですから、これらの特殊法人、認可法人、公益法人というのはまさに財投のお金を待ちに待っておるわけでございます。そのとき大蔵省OBがそこにいれば、それは当然のことながら、人情でございますから、若干多くなるのではないだろうかとか、あるいは、いないよりもいた方がいいわけでございますから。これだけたくさんいれば、いないということだけで、何らかの差別をされるのではないだろうかというような錯覚に陥ってしまうということで、私は、これは財投の問題と密接に結びついているという認識があるのです。  総理はいかがお考えでしょうか。全く関係ないですか、これは。
  56. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 全く関係がないとお答えをする自信はありません。
  57. 海江田万里

    ○海江田委員 私は、やはり財投の問題とあわせて考えないとこの問題は解決をしないというふうに考えております。  それから、これらの特殊法人、認可法人、公益法人の中で、一つだけ、これは実は昨年も私が予算委員会で問題にしたわけでございますけれども、特定公益増進法人というのがあるわけでございますね。  これは、特定という言葉が書いてありますから、一般の公益法人よりも、税法上、例えば寄附金をされましたときに倍の非課税の枠があるわけですよ。つまり、この特定公益増進法人というものになりますと、そういう意味では民間の、これは別に金融機関だけに限りませんけれども、大変その法人に資金が集まってくる、こういう仕掛けがあるわけでございますね。しかも、この特定公益増進法人にどの公益法人を認定するかどうかということは、これは大蔵省権限を握っているわけでございますね。  今、幾つぐらいあって、その中で大蔵省関係をしております特定公益増進法人が幾つぐらいあるかということをお聞かせいただきたいと思います。
  58. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 お答えいたします。  特定公益増進法人の平成九年三月三十一日現在の数でございますが、特殊法人、民法法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、合わせまして一万七千九百十五でございます。このうち、大蔵省所管の特定公益増進法人、民法法人でございますが、九法人というふうに承知しております。
  59. 海江田万里

    ○海江田委員 全体で一万七千九百十五あるということでございますが、これは先ほども局長の話にもありましたけれども、学校法人等が入っておりますので、こういう数字になるわけでございます。  大蔵省が所管をしております九つの特定公益増進法人の中に、研究情報基金というのがございます。これは昭和六十一年に設立をされたものでございますけれども、ここの理事長を見ますと、今現在は、かつての大蔵事務次官であります斎藤次郎さん、その前が保田博さん、それからその前が平沢貞昭さん、そのもう一つ前が西垣昭さんということになりまして、代々、大蔵省の事務次官をおやりになった方がこの研究情報基金の理事長を務めることになっているわけでございますね。  大蔵省の次官をおやりになった方がおやめになった後というのは、大抵しかるべき処遇をしなければいけないということで、国民金融公庫の総裁でありますとか、古くは高木さんなんという方は国鉄の総裁にもなりましたけれども、そういったいわゆる総裁あるいは理事長とかいう名前がつくところに大体天下りをするわけでございますが、ただ、これはいろいろな種々の事情があって、必ずしも、大蔵事務次官をやめたからすぐそういう総裁職があいているわけではないということがあるわけでございますね。そうなってくると、そういうときに一時的に、雨宿り的というかあるいは腰かけ的にといいますか、やはりこの社団法人が利用されているということでございます。  先ほどお話をした歴代の次官の中で、さかのぼって、六十一年にできてから理事長を務めました次官のお名前を言いますと、西垣昭さん、平成元年にここの研究情報基金の理事長になって、そして、この研究情報基金から、海外経済協力基金の理事長の席があきますと、こちらへ移っております。そうすると、今度は平沢さんが平成二年に研究情報基金の理事長になって、そして平沢さんが平成四年になりまして国民金融公庫の総裁に行きますと、今度は保田さんがここの理事長になる。そして、平成七年になりまして保田さんが輸銀の総裁になりますと、今度は斎藤次郎さんがここの理事長になるということで、いわば理事長が行く先のそういう総裁でありますとかあるいは理事長でありますとか、しかもそれも数限られた公庫ですとか公団総裁理事長でございますが、そういうものの席があくまでの間ここにいるということになる。  どうしてそういうような基金に税制上の優遇を与えなければいけないのか。しかもこれは、大蔵省がそこを特定公益増進法人であると認定をすればそれで通ってしまう話ですから。  しかもこれは、昭和六十一年に立ちましたときに、当時の寺村さん、これは秘書課長でございましたが、この方が一生懸命になって、ほとんどが金融機関から寄附金を集めて設立をした社団法人なわけでございますね。現在も、平成八年度でいきますと約七千万円。これは正確に言いますと、平成八年度でもって六千九百万円の資金が、寄附金ですね、これが実は金融機関から集まっているということなわけでございます。  これはやはり少しお手盛りのそしりを免れ得ないのじゃないだろうか、やはりお手盛りだということを言われてもしようがないんじゃないだろうかというふうに私は考えるわけでございますが、大臣、あるいはもし大蔵省で何かこの問題でおっしゃりたいことがあったら、おっしゃってください。
  60. 松永光

    松永国務大臣 詳細は事務方に答えさせるとして、私の感じを言いますと、むしろ問題なのは、この研究情報基金、これがどれだけの公益的な活動をし、どれだけの成果を上げているのかというのがむしろ大切なんじゃなかろうかというふうに思います。何らの活動もしないのに税法上の恩典が与えられるというのは問題だと思うので、いい活動をしていれば私は妥当と判断するのが当たり前ではないかというふうに思います。
  61. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 研究情報基金は八六年にできました。活動は、日本と諸外国との間の相互理解を深めるということを目的といたしまして、財政金融政策の諸問題あるいは市場の問題等について、研究交流それから情報の収集等を行っている社団法人でございます。  具体的な活動といたしましては、海外の対日理解を促進するためのシンポジウム、セミナー等を開催しております。それから、アジアにおきまして協力活動を行ったりしております。  若干、具体例を申し上げますと、八年度でございますけれども、一つは、海外に日本の図書を贈っております。海外の研究機関日本で書かれた英文、和文の図書を贈るという事業を行っています。  それからもう一つは、海外に出かけていきまして、例えば八年度で申しますと、八年の四月には、香港におきまして香港の金融市場の関係者意見交換を行っております。このときは日本側から十名、向こうでは百十名ぐらいの参加がございました。それから、八年の七月にはシンガポールで同様なことをやっております。それから、八年の九月には、北京等におきまして中国の方々と意見交換を行っております。この場合も、日本側からも大勢参加しておりますけれども、現地においていろいろなことをやっておるわけでございます。  一例でございます。
  62. 海江田万里

    ○海江田委員 今、るるお話がありましたけれども、恐らく委員の皆様方は、これは与党も、何もそんなことをわざわざここでやらなくてもいいだろうと。幾つもあるわけですよ、そういうことは。国際金融情報センターというのもございますし、総合研究フォーラムというのもございますし、それから、今の海外旅行だって、実は本当は大きな問題がありまして、これはみんなファーストクラスで行っているのではないですか。幾ら使っているのですか。  そういうことを言うのなら、中身を出してもらいましょう、海外旅行へ行ったとき何をやってきたのか。これは報告書を出してもらいましょう。だれが行って、どういうところにお金を使って、どういうホテルに泊まったか、それを全部出してくださいよ。お願いします。いいですか。  委員長からお願いします。
  63. 越智通雄

    越智委員長 御要望につきましては、理事会で協議いたして適正に処理いたします。  答えられますか。総務審議官
  64. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 今手元にそういう資料を持ち合わせておりませんので、相談いたしたいと思います。
  65. 海江田万里

    ○海江田委員 出してください、今言った海外旅行の報告を。だれが行って、どこへ行って、ファーストクラスで行ったか。
  66. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 研究基金の資料でございますので、聴取をいたします。
  67. 海江田万里

    ○海江田委員 言っておきますけれども、理事長の給料だって出さないのですよ。資料要求でちゃんとやっているのですよ。そうしたら出さなかったじゃないですか、プライバシーだからと言って。そうでしょう。その事実関係を明らかにしてください。ちゃんと資料要求したじゃないですか。出しましたか。
  68. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 理事長の給料につきましては、御指摘のとおり、これはプライバシーにかかわる点もございますから、提出を差し控えさせていただきました。
  69. 海江田万里

    ○海江田委員 だから、そういうことをやっているから。第一、国の、国民の税金を、普通だったら当然、公益法人だけでもいろいろな特典があるのに、これは倍にやっているわけですよ。  しかもこれは、本当のことを言うと、この特定公益増進法人については二年ごとに、これは法人税の法律でもって特別な恩典があるから、役割が終わったり何かしたときにずっと未来永劫このままその非課税の特典を普通の公益法人の倍もしてはいけないからと、二年ごとに見直しをすることになっているのですよ。それで、まさにことしのこの二月というのは、二年目の期限が切れるときなんですよ。  またこのまま継続してやるつもりですか、これは。
  70. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 御指摘のとおり、期限が二月に切れます。そして、これを認めるかどうかというのは、当該法人の方から申請があるかどうかにかかっております。申請があれば、厳正に活動状況を審査して検討するということになると思います。  以上でございます。
  71. 海江田万里

    ○海江田委員 では、まず申請があるのかどうなのか。きょう現在はまだないわけですね。
  72. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 あると聞いておりません。
  73. 海江田万里

    ○海江田委員 では、それからあと理事長の給料、ボーナス、それから、とりわけ海外旅行に行ったとき、だれとだれとが行って、何日どこに行って、どこのホテルに泊まって、飛行機は何に乗って、車はどうしたとか、全部教えてくださいよ。そこだって実は便宜供与があるのですよ、本当のことを言えば。  ないと言えますか、海外の出先で便宜供与が全くないと。答えてください。
  74. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 御指摘の点は私は承知をしておりません。聞いてみたいと思います。
  75. 海江田万里

    ○海江田委員 では、そのことも聞いてみてください。お願いをします、これは。いいですか。聞いてくれますか、調査してくれますか。
  76. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 どういう状況か聞いてみたいと思います。
  77. 海江田万里

    ○海江田委員 大蔵大臣、今いいですか。  やはり私は、これはそういつまでも特定公益増進法人としての認可をもう与えるべきではない。  今、出てこなきゃわからないというようなことを言っていましたけれども、出てきたところで、これは普通の公益法人でいいじゃないか、百歩譲ってですよ。むしろ、こんな公益法人要らないという説だってあるわけですよ。だけれども、百歩譲ったところで、普通の公益法人にして、普通の財団法人にして、何もわざわざ特定公益増進法人にする必要は私は全くないと思うので、そこはやはり出てこなきゃ全くニュートラルだということじゃありませんで、やはり今の議論なんかも踏まえまして、これはどうするかということを、今のお考えでよろしゅうございますのでお聞かせをいただきたいと思います。
  78. 松永光

    松永国務大臣 先ほどもお答え申したとおり、問題は、何をどう立派にやっておるかというのが判断の基準だろうというふうに私は思います。
  79. 海江田万里

    ○海江田委員 あともう一つ総理に最後にお尋ねをしますが、やはり金融と財政の分離の問題でございますね、これが果たして今のままでいいのだろうか。あるいは、せんだって与党の間で合意がされたような内容でいいのだろうか、どうなのだろうか。私は、大変やはり事態が変わってきていると思うのです。  実は、今度の大蔵省に対するこの二人の被疑者の逮捕の問題も、二十六日ですか、これは政府・与党の中で結論が出たのが二十日だというようなこともこれあり、やはり私は、ここの問題をもう一回考えてみるべきじゃないか。  あるいは、きのうは日経連の根本さんが、金融、財政、国税の分離ということを言っているわけでございますが、これについてどういうふうにお考えになっているか、今現在の気持ちをお聞かせください。
  80. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今現在になりますと、行政改革会議の結論を最終報告として受け、既に実はプログラム法としての基本法の法整備の準備が相当程度進んでおります。これを忠実にやはり法制化をする、その上で国会においてさまざまな御議論を当然のことながらいただくべき性格、私はそのように思います。
  81. 海江田万里

    ○海江田委員 時間が来ましたので、ありがとうございました。
  82. 越智通雄

    越智委員長 ちょっとお待ちください。  人事院佐藤職員局長から訂正の発言を求められておりますので、特にこれを許します。
  83. 佐藤信

    ○佐藤(信)政府委員 申しわけございません。  先ほどの答弁の一部を訂正させていただきますが、財務局の総務部長の件でございますけれども、財務局の総務部長は、直接金融行政にタッチしていないけれども、幅広い決裁権限等を有しているということで、その職責にかんがみて、管内の金融機関への就職は承認していないということでございました。  失礼いたしました。
  84. 越智通雄

    越智委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  次に、赤松正雄君。
  85. 赤松正雄

    赤松(正)委員 平和・改革の赤松正雄でございます。  今日、大蔵官僚に対する金融業界の過剰接待という問題は、私は、官僚そして財界の癒着構造というものを改めて私たちの前に明らかにした、こう思います。  ただ、問題は、官財の癒着というよりも、その根っこのところに、政治家、政党、政治と金融業界との癒着構造という問題が根っこのところにある。私、きょうはこの一点に絞って、総理大蔵大臣のお考え方を聞かせていただきたい、こんなふうに思います。  その話の前段といたしまして、ひとつ総理に申し上げたいことがございます。  総理は、かつて一九九一年十一月四日に大蔵大臣を退任されておりますけれども、その大蔵大臣退任のいわば置き土産といいますか、その年の七月一日に金利を、当時六%であったのを〇・五%下げて、五・五%になった。日銀と大蔵省との間でそういう取り決めをされたということで、以来、一九九五年の九月八日まで、この四年間の間に九回にわたって合計五・五%にわたる金利引き下げをされている。  こういうふうな中で、現在は超低金利、非常に世界にもまれな〇・五%という低金利の状態が起こっております。個人金融資産が一千二百兆円と言われておりますから、非常におおざっぱな計算でありますけれども、一%十二兆円。したがって、九〇年代初頭に比較すれば、当時金利六%で七十二兆円もの、本来預金者がもらわなければいけない、そういう所得がいわば金融機関の不良債権救済に使われて、今では〇・五%、わずか六兆円。こういう格好で、差額が不良債権の救済に使われているという現状があります。  そういう中で、年金生活者が非常に厳しい生活状態に陥っている。銀行の預金の利子と年金でもって生計を立てている年金生活者が、非常に厳しい状況に置かれている。いわば、先ほど申し上げたようなバブル崩壊の過程の中で、政府の経済失策、そして大蔵省の護送船団方式の失敗、また金融機関の経営の失敗、こういったツケが全部弱い年金生活者にしわ寄せされている、こういう現状があります。  そうした状況の中で、今、三十兆円のいわゆる公的資金の投入をして、金融不安をなくしたい、金融システムを守るために一日も早く金融法案を通してほしい、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、そうであるならば、銀行、証券会社といった金融機関は自民党に対して政治献金をしている余裕なんかないはずだということを、私は強く主張したいわけでございます。全部不良債権の返済に充てるべきだ。  それを、自民党に政治献金を金融業界がしてきているということは、結局見返りを期待しているものではないのか、こんなふうに言うしかありません。低金利とか三十兆円とか、あるいは金融業界を救うとか、これらは文字どおり見返りじゃないのか。  そういう前提で考えますと、自民党は、バブルがはじけてからの過去七年間、銀行、証券会社など金融機関からの政治献金を年金生活者に返してしかるべきだ。それが無理ならば、当の金融機関に返して、それこそ不良債権の穴埋めに使わせるべきじゃないか、こんなふうに私は考えるわけでございます。そういった話の上に立って、総理に今からお聞きをいたしたい、そう思います。  まず第一点、自民党は、銀行業界、証券業界、いわゆる金融業界から、政治献金をどれぐらいもらってきておられるか。この額につきまして、正確な数字でなくて結構ですから、年間平均どれぐらいもらってきたか、このことにつきまして総理にお伺いをしたい、そう思います。
  86. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 自由民主党の場合には、それぞれのつかさつかさが責任を持ち、それぞれの役割を分担しております。  今、議員から幾らというお話がございました。政治資金規正法において、政治活動に関する寄附についての特定の分野を対象とした規制がないことは、御承知のとおりであります。しかし、自由民主党は、住専問題などによりまして都銀や地銀などからの献金を自粛してきたところでありますし、先般改めて、金融システムの安定のため公的資金が投入されることにかんがみ、銀行業界からの政治献金を自粛することにいたしました。  なお、我が党の過去における借入金の返済に充当することに限定をした上で、平成七年からの五カ年計画として、銀行業界を含めて各方面から御協力をいただきながら返済をいたしております。
  87. 赤松正雄

    赤松(正)委員 今総理は、私が聞きました、要するにどれぐらいもらっているかということには直接お答えいただきませんでしたけれども、おわかりにならない。(橋本内閣総理大臣「知らない」と呼ぶ)じゃ、今知らないとおっしゃいましたが、総理は、要するに平成八年に自由民主党の総裁になっておられます。総裁という一党を全部賄われる立場に立たれた平成八年に限っておっしゃってください。
  88. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 自由民主党の総裁は、自由民主党全体を賄うために仕事をいたしておりません。党の財政関係は、財務委員長そして経理局長がそれを受けとめて進めているものです。そのような御質問があると知っておりましたら聞いておきましたけれども、今私は存じません。
  89. 赤松正雄

    赤松(正)委員 大臣、普通の、いわゆる人間の通常世間の常識からしますと、人様からお金をもらったということに対して、幾らもらったかというのを覚えているというのが私は常識だと思います。  今、私は、総理総裁になられた平成八年ということに限って言っておるわけでございます。ぜひその金額を出していただきたいというふうに思います。
  90. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 出せというのはどういう意味でしょう。それは、政党は当然ながら政治資金規正法に基づく届け出報告をいたしております。ですから、ごらんをいただけばおわかりがいただけると思います。その上で、調べて……(発言する者あり)
  91. 越智通雄

    越智委員長 静粛に願います。
  92. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 数字だけ教えろとおっしゃるのであれば、後刻党の方に問い合わせてみます。
  93. 赤松正雄

    赤松(正)委員 今総理から、数字を出せというなら後刻党の方からとおっしゃいましたが、私は、普通の考えでいくと、全体の総括責任者という立場にあられる方は、少なくとも総裁になられた一年間について、大体どれぐらいかというのをお知りになっているのじゃないかと思って聞いたわけであります。  私は、御質問させていただくに当たりまして、実は自治省に聞いてみました。しかし、なかなか出ない。それで、わずかでありますけれども、部分的に三年間に限って、都市銀行、いわゆる十大都市銀行について調べました。それはもう本当に限られた部分ですから、全体としてはわずかでありますが、例えば平成六年で総計五億一千六十九万円、平成七年で四億四千六百五十万円、そして平成八年で一億八千四百五十六万円。佐伯会長のおられる三和銀行は、平成六年四千六百四十八万円、平成七年四千二百云々、また、平成八年は一千八百万、こういうふうな額が自治省に届けられているわけでございます。  私はなぜこういうふうに言うかといいますと、やはり、先ほど冒頭に申し上げましたように、政党の側、政治家の側が襟を正さなくてはいけない。そういう点で、私のように国会にいる人間でもその全貌はわからない。そんなのは調べればすぐわかるではないかとおっしゃるのだったら、ぜひ調べて、この委員会に出していただきたい、こんなふうに思います。
  94. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 委員会に出せと言われましたが、私は、政党の経理のその部分だけを今議員がお知りになりたいということでありますから、つかさつかさで自由民主党は動いております、それなら聞いてみましょうということを申し上げたのでありますが、出せとか出さないとかと言われるのは、ちょっと私は承りかねる部分がございます。
  95. 赤松正雄

    赤松(正)委員 私の要求がそんなにおかしなことでしょうか。公表されているものをまとめて、どこからどこまでかがわからない、ですから、それを整理した形で提示していただきたい、御報告いただきたい、こんなふうに……(発言する者あり)ですから、疑惑とかなんとかじゃななくて、今これだけ国民の関心が、金融業界と官僚、そして金融業界と政党との関係が際立って注目を浴びているときだからこそ、それを出すべきだ、教えていただきたい、こういうふうに言っているわけです。  総理はつかさつかさとおっしゃいましたけれども、総理の配下にいらっしゃる方に指示をしていただいて、出していただければいい。何も私は、自由民主党だけじゃないですよ、全部に対してそういうふうにあるべきだと思っているんです。(橋本内閣総理大臣「全部というのは各党もという意味ですか」と呼ぶ)いや、金融業界から、要するに、だから、私は自民党だけ言っているわけじゃないんです。
  96. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 自民党だけのことではないというお話でありましたならば、私は、それこそ他の党にかわって御答弁を申し上げる資格はありませんし、委員会の意思として、理事会で御論議をいただき、御決定をいただいた範囲内での資料を提出いたします。それはあくまでも、他党も全部一緒だとおっしゃいますから、全政党が同意をされて、その上で……(発言する者あり)いや、今質問者は他の党もと仰せられましたから、今その点を改めて申し上げております。
  97. 赤松正雄

    赤松(正)委員 委員長、この問題はぜひ理事会で諮っていただきたいと思います。
  98. 越智通雄

    越智委員長 では、ただいまの赤松君の御要望につきましては、理事会において協議の上、適切に対処いたします。
  99. 赤松正雄

    赤松(正)委員 総理、先ほど総理は、自粛するということをおっしゃいました。この自粛ということにつきましては、従来からも、平成八年の秋の選挙の直前あたりにも自粛という話がありました。今も自粛とおっしゃり、先ほどの本会議でもおっしゃいました。  自粛ということについては、どういうことを指して自粛というのか、これは非常に重要な問題だと思います。単に自粛と言われても、先ほども申し上げましたように、私が自治省に聞いて、ほんの一部分だけ聞いてみましても、自粛云々が言われた平成八年でも、多額の金額が献金されているわけです。  総理がおっしゃる自粛というのは、どういう定義のもとで自粛とおっしゃっているのか。私の受けとめ方としては、自粛というのはゼロにすることだ、こんなふうに思いますが。
  100. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど申し上げましたことを再び繰り返して申し上げる以外にございませんけれども、我が党が、過去における借入金の返済に今努力をしております。その返済に充当することに限定した上で、平成七年からの五カ年計画として、銀行業界を含めて各方面から御協力をいただきながら返済を行っております。そして、これは経理を区分いたしております。そして、政党活動としての各方面から御協力をいただきます政治献金、いわゆる我が党の経費に充てるための通常の献金とは全く経理を区分しておりまして、そちらにつきましては、我々はこれを自粛するということであります。
  101. 赤松正雄

    赤松(正)委員 要するに、よくわかりませんでしたが、ゼロにするということじゃないのですね。  それで、いつまでそれを続けられるのか。何か、今お聞きしていますと、借り入れされたお金を先に返す、充当する部分をやっているんだと。政治献金の話は関係ないということですか。政治献金について私はお聞きしているのです。政治献金について自粛されるというのは、どういうことを指しておっしゃっているのか。
  102. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、本来内閣総理大臣として御答弁をするのだと思っておりますけれども、政党の経理についてお尋ねでありますから、繰り返し申し上げます。  自由民主党は、住専問題などによりまして都銀、地銀等からの献金を自粛いたしておりましたところ、先般改めて、金融システム安定のため公的資金が投入されますことにかんがみ、銀行業界からの政治献金を自粛することといたしました。
  103. 赤松正雄

    赤松(正)委員 今重ねてお聞きしましたけれども、総理がおっしゃったのは、都銀とおっしゃいましたけれども、現実にこう金額が出ているわけです。そうすると、総理のおっしゃる自粛というのは、要するに金額を少し減らす、こういうことですか。  我々が受けとめる自粛というのは、一切、私は、何も政治献金が全部だめだと言っているわけじゃないのです。  今、冒頭にお話ししましたように、庶民の感覚から見て、要するに、金融検査官が銀行から接待を受けたら収賄で汚職事件になる、これは当然だと思うのです。それで、政権与党が銀行から献金を受ける。これは、二百万とかあるいは百二十万とか、そういう金額じゃないのです。先ほど申し上げたような多額な金額を受けておられるわけです。それで、法的には問題ない、そうだろうと思います。  しかし、庶民感覚からして割り切れない問題が残るのですよ、総理。ですから、そういう政権与党が政治献金とはいえ接待以上の金を供与される、普通では、同じじゃないのか、そういうふうに私は思うわけです。  したがって、そういう国民感情からして、総理の今のお答えでは、私は自粛という言葉は、さっき私、本会議場で聞いて、うん、自粛しようとおっしゃったと。しかし、この自粛という言葉は今までも何回もおっしゃっている。総理の言っている自粛の定義をしっかり聞きたい、そうでないと、ああ、そうですかとは言えませんよ、総理。  ぜひ、私は総理立場総裁云々と関係ないと言うのは、関係ないとはおっしゃらないですけれども、そうじゃないのです。国民から見れば、総理、自民党総裁は同じですよ。総理がどういうふうな姿勢をもって、金融業界と政党の中心者としてつき合われようとしているのか、これに注目をしているのです。  だから、ぜひ私は、今申し上げたような、先ほど言ったように、全部返すべきだと言いましたけれども、それは今借入金の充当で大変だということはわかりますから、銀行に返すのは無理だったら、自粛というのはゼロにすべきだ。それは、ずっとゼロにすべきだと言っていません。今言ったような、総理自身が一日も二日も早くとおっしゃっているこの金融危機、バブル崩壊のこの状況の中で、大変な状況であるからこそ、総理がそういった姿勢を示すべきだ。  そうでないと、全く空言、お言葉は全然右から左に通っていくだけで、日本国民に対して強いインパクトを与えないと私は思うのです。どうでしょうか。
  104. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 自粛という言葉、私はそんなに幾つも解釈があるとは思わないのです。まさにみずから粛然と行動を慎むということでしょう。  そして、先ほども申し上げたことですけれども、過去の借入金の返済に充てるために、平成七年からの計画で、各方面から御協力をいただいている政治資金があります。この中には銀行業界からのものも含まれておると私は思います。しかし、それは、政党としての経費に充てる通常の献金とははっきりと分けるために、政党の一般会計には入れず、性格が異なるものとして区別をいたしております。そう御理解をいただきたいと思います。
  105. 赤松正雄

    赤松(正)委員 自粛にそんなに定義があると思えないとおっしゃいましたけれども、私は、自粛という言葉をお聞きしたら、多くの国民は、これはもう今の状況からかんがみて、過去の、今から三年ぐらい前はまだ今のような状況じゃなかったです。それは総理が一番よくおわかりだと思うのです。そういう今のような厳しい状況だからこそ、私はその自粛というものにこだわりたいのです。
  106. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ですから、先ほども、先般改めて、金融システム安定のために公的資金が投入されることにかんがみ、銀行業界からの政治献金を自粛することといたしましたということを私は申し上げております。その上で繰り返しのお尋ねがございますので、私としてもお答えに苦労しております。同じことを言っちゃいかぬと言われても、同じことを言う以外にないのです。
  107. 赤松正雄

    赤松(正)委員 総理の自粛が、私たちが、多くの人間が求めているゼロではない。単に、これは想像になってしまいますけれども、金額を少し減らすということだろう、そういうふうに理解いたします。  では、最後に全銀協の佐伯会長にお聞きしたいと思います。自民党に対して献金をこれからされるのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
  108. 越智通雄

    越智委員長 佐伯参考人。手短にお願いいたします。
  109. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 お答えいたします。  もう全銀協会長ではございませんで、全く佐伯個人として考えてみましても、ちょっと、ただいまの御質問には、結論は持っておりません。  ただ、先ほどからお話が出ておりますあっせんによる献金というのは、そういうことで、従来から決められたといいますか、範囲内の献金であるというふうに理解しております。
  110. 赤松正雄

    赤松(正)委員 終わります。
  111. 越智通雄

    越智委員長 これにて赤松君の質疑は終了いたしました。  次に、西田猛君。
  112. 西田猛

    西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  きょうは、鈴木参考人佐伯参考人におかれましては、まことに御苦労さまでございます。  総理、実は私は、今大変暗たんたる気持ちでこの発言席に立たせていただいております。世界経済一つになって、自由主義と共産主義というイデオロギー対立の消滅を経、世界じゅうの国がよりすばらしい生活と幸福のために、地球規模の問題に、グローバルスタンダードで自由、公正な競争を行おうとしている今日に、なぜ我が国ばかりがこれほど世界標準にもとっているのか。かつては自由主義経済を牽引し、世界で最も富んだ国とされていた我が国がであります。  そのすべての原因は、究極のところ政治にあるのだと思います。いかに強大な組織でいかに強力な権限を持った組織であろうとも、内閣の一省庁であるところの大蔵省の今日取り上げられているような問題が、国権の最高機関であるこの国会で取り上げられ、国会も内閣も右往左往しているという現実でございます。  我が国日本の最高指導者たる内閣総理大臣が、本日、この国会の本会議場で行われた大蔵省不祥事に関する中間報告とは、あれは一体何だったのでありましょうか。何ら新事実の公表もなく、最高指導者としての毅然たる決意の表明もなく、あれではまるで、被疑者が逮捕された直後の官房秘書課長の行う談話の域を出ておりませんでした。それが国会の本会議場の演壇で、最高指導者である内閣総理大臣橋本龍太郎氏によって行われたのであります。  私自身も、国家国民の役に立とうと、一役人として十四年間を過ごしてまいったものでございます。その中で、役人ではなし得ない政治のダイナミズム、国家国民を正しい方向へ導く強力なリーダーシップにおそれを感じ、またあこがれ、みずからも政治家たらんとして、幾多の困難を乗り越えてこの国会に立ったものでございます。  ところが、私の目の前に繰り広げられているこのありさまは、一体何でありましょうか。私のみならず、国民皆が抱く政治の強いリーダーシップ、力あふれるダイナミズムからは全くほど遠い、卑小で悲しいうろたえでございます。  総理、指導者としての誇り、自信、見識はどこへ行ってしまったのですか。むしろ私どもには、我々が必要とする指導者としての資質がまるで見えないのでございます。  例えば、お聞きしたいのでございますけれども、山一証券の不正簿外債務問題が端を発したとされる一九九一年ごろまで、大蔵大臣を務めておられました。その後あなたは、秘書が深く関与した不正融資事件、そして証券会社の利益保証事件等の責任をとる形で蔵相を辞任されたわけでございますけれども、その当時も、大蔵省の方から行われていた通達で、不良債権償却証明制度というものがございました。ここにその要領がございますけれども、これは全く公表されたものでございます。  この中で言っておりますのは、「金融機関等の不良債権償却証明制度は、国税庁との協議に基づき実施され、金融証券検査官が第Ⅳ分類及びこれに準ずるものとして証明した不良債権の金額は、原則として法人税法上損金に認められることとなつている。」というふうに書いてあります。これは一企業の経営を大きく左右する、あるいは、国民にとってみれば自分たちも納めている税金、それが、銀行から納めてくる税金の多寡にかかわる問題でございます。  そのような非常に重要な問題が、我々国会の審議を経たことのない、法律を用いられることなく、一片の通達で、しかも銀行や保険や証券会社にだけ認められておった。しかもこれは、昭和二十五年に始まりまして、去年まで続いていたことでございます。  このように、戦後政治の、官僚機構任せの政治の無責任体制と申しますか、その真骨頂としてこの制度はここに批判をされ、現にこの制度は廃止をされたわけでございます。  こういうものが行われていたということについて、政治の最高指導者としての御見識をお伺いしたいと思います。
  113. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、特定の通達についてその感想を問われましたが、実は、証券不祥事が起きましたときに、私は、その問題がどこから出たのか、どうすれば解決ができるのか、できるならその第一弾だけは自分の手でやってやめたい、本当にそう思いました。そのときの一つが、通達行政というものの見直しです。  そして、その時点で、証券局関係の通達、全体の量に本当にびっくりしました。そして、その中で、法律に移すべきものはむしろ積極的に法律に移せ、事務的なものを除いて、ほかの通達はむしろ証券業協会あるいは取引所の自主ルールに移せということを言い、結果として非常に膨大だった通達集は、一たんはその証券局の分はなくなりましたが、逆に法律上の許認可の数はふえて、結果として法律上の許認可がふえたという指摘を受けたことがあります。  私は、通達というものが非常に有益に働いたことも当然あるでしょうし、また、事務的に通達を必要とする部門もあると思いますけれども、俗に言われる通達行政というものは直していかなければならないとそのころから思っていますし、むしろ、金融システム改革というものを進めていく中で、従来の事前の許認可というものから事後のチェックに変わっていけば、金融行政にしてもそうした点は大きく変化をするのではないだろうか、私はそのような思いでおります。
  114. 西田猛

    西田(猛)委員 もちろん、一省庁、あるいは省庁に勤めていた個々の公務員の方を個人的に責めあげつらって問題が済むことではございません。しかしながら、過去にどういう問題があったかということを徹底的に究明して、それを範として今後の国政運営に生かしていかなければならないのだと思います。  その意味で、私は、この不良債権償却証明制度がもたらしていたいろいろな不正について、やはりここで問題にしておかなければならないと思います。  これは、収賄容疑で逮捕された前大蔵省金融検査部の職員の方が、北海道拓殖銀行から接待を受けた見返りとして、同行に対して不良債権償却証明を出したとされています。それから、きょうも参考人で来ていただいておりますけれども、三和銀行に対しても同様の形で償却証明が出されているという報道もなされております。  そこで、大蔵省当局にお伺いしたいのですけれども、おのおの北拓それから三和銀行に対してこの方から平成七年に出された、不良債権償却証明によるところの償却金額は幾らであったのか、そして、それに対して国税当局は幾らまで無税の償却を認めたのか、そして、国税当局はその証明額については正当なものとして認識したのかどうかについてお伺いしたいと思います。
  115. 原口恒和

    原口政府委員 先生が御指摘のような報道がなされており、また、その償却証明制度の公正さについていろいろな疑惑が持たれたということは、非常に遺憾に存じております。  ただ、今御指摘にありました個別の事柄に関しましては、守秘義務等の関係でもありますし、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、また、この点については今捜査当局によって解明されているところでございますし、また、大蔵省としても、報道されている等の償却証明事務に問題がなかったかどうかを含めまして、当該事務に関連する者への事情聴取等を通じ事態の究明と調査を行い、これらの結果を踏まえ、厳正に対処していきたいと考えております。
  116. 西田猛

    西田(猛)委員 この委員会は一体何のために行われているのか。大蔵省について起こった不祥事などについて深い反省を行うために行われているわけでありまして、今大蔵省の金融検査部長からお答えがございましたけれども、私は、強くここで、今申し上げた件についての数字をこの委員会に出していただきますよう、理事会で検討していただくことを強く要望しておきたいと思います。よろしゅうございますか。
  117. 越智通雄

    越智委員長 理事会で協議いたします。
  118. 西田猛

    西田(猛)委員 それから、続きまして、いわゆる山一証券の飛ばしの問題でございます。  これは、昨日の大蔵委員会でも、参考人としておいでになりました元証券局長に対し私どもが質問したことによって、その証券局長が当時、いわゆる飛ばしと呼ばれるもの、これは証券を使った現先取引でございますけれども、これは違法ではないということの認識を山一証券の方に伝えたと。それはそれで結構かもしれません。  しかし、なぜそのときに山一証券の最高経営幹部の方がそのような相談に訪れたのかという背景を、当然当時の証券行政責任者としては考えてみるべきだったと思うのであります。何も用がなく、ただ単に証券取引法上の文理解釈あるいは有権解釈を副社長が証券局長に聞きに来たということではないのでございます。  したがって、当時の証券局長がこのことを深く考えておれば、その副社長が来られた背後にある、営業特金の巨額の損失、そしてその営業特金による運営を委託した百貨店の怒り、証券会社とのトラブル、利益の保証などなど、そしてその後その損失がどのように扱われていくであろうか等々について、証券局長たるものまさに思い至って、今日の証券会社の崩壊に至る萌芽を未然に防止することが、それこそが、今我々がビッグバンについて考えている早期是正措置の一端でもあったのではないかと思うのでございます。  当時、もちろん大蔵大臣であられた橋本総理、実は橋本大蔵大臣はその後すぐに、十月十四日に辞任をしておられますけれども、これらの問題の流れができているときに大蔵大臣であられたわけでございます。今私が申し上げたような、元証券局長のむしろ行政の懈怠とも思われる点について、どのように認識しておられますか。
  119. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、昨日の松野局長発言というものの議事録を見ながら、あわせて考えておりましたけれども、平成三年の十一月か十二月ごろにその山一証券の方と会った、その時点は、確かにもう私は大蔵大臣をやめて謹慎中の時期であります。そして、その際に、顧客とのトラブルは基本的に当事者間の訴訟などで、松野局長は証券事故として処理という言葉を使っていたようでありますけれども、解決されるべきであり、当局として判断するような問題ではないと考えていたので、そういう旨を伝えたといった趣旨だったと聞いております。  私自身、それは確たることを申し上げるのは大変困難な話ですけれども、いずれにしても、違法な処置などを行政が指導、示唆するというようなことがあってはならない、それは当然のことです。
  120. 西田猛

    西田(猛)委員 それだけですか。  当時、いわば証券行政最高責任者であられた大蔵大臣、そのことの報告が上がってきたのかどうかについては、私もわかりません。きっと、お聞きしても、聞いていなかったというふうにお答えになると思いますけれども、もう一度、いかがでしょうか。
  121. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ですから、松野君とその山一の方が会ったときというのは、既に私が大蔵大臣を辞してからのことだと、日付的に、彼の言っているのを見ると、そう思います。ですから、私はそのころやめておりますので、確たることは申し上げようがありませんと申し上げております。
  122. 西田猛

    西田(猛)委員 十月十四日におやめになったから、そして、その二人がお目にかかられたのがその後であるからということではないと思います。なぜならば、十月十五日以降にこの問題がばかっと起こったことではなくて、大蔵大臣に御就任になられておる時点からずっと続いてきていた根深い問題であったから、私はお聞きしたのでございます。  しかしながら、次の問題に移ります。  実は……(橋本内閣総理大臣「十一月か十二月と松野さんが……」と呼ぶ)十一月か十二月かと言っておられます。しかし、その会った時点ですぐに始まったかどうかというのはまだわからないわけであります。ですから、もし何であれば、この委員会で証人なり参考人としてお呼びいただいて、そこを確認していくべきであると思います。  それから、こういう問題が起こるたびに、私ども本当に心苦しい思いをするのは、何人もの、それまでいろいろな業務を縁の下で支えておられた方がみずから命を絶つという犠牲者が出ることでございます。大蔵省においてもそうでありました。  ところで、今般問題になっていた日本道路公団におきましても、これは余り新聞報道などなされなかったのですけれども、いわゆる公団の財務担当理事であった容疑者が逮捕された後すぐに、一月二十九日、道路公団関係の道路施設サービス社社長Y氏が、痛ましくも自殺をされております。そしてまた、この二月に入ってからも、道路公団の中国支社長と聞いておりますけれども、お一人が自殺をしておられるようでございます。  そこで、道路公団総裁にお聞きしたいのですけれども、このような時期に立て続いてこのように自殺者が出たということについて、何かしら今回の事件との関係などは聞いておられますでしょうか。
  123. 鈴木道雄

    鈴木参考人 まず、当公団の経理担当役員が収賄容疑で逮捕され、公団に対する大きな社会不信を招くとともに、関係方面に多大な御迷惑をおかけしたことを極めて重大なことと受けとめ、公団責任者として深くおわび申し上げます。  ただいま委員指摘の二人の事件でございますが、私ども、大変痛ましく残念な事件であると受けとめています。  まず、道路施設サービスへの家宅捜索でございますが、これは当公団理事への収賄容疑に関連したものということでございますが、同社社長につきましては、事情聴取も行われた事実もございませんし、そのほかいろいろなことからいっても、死亡した理由については不明でございます。  それからさらに中国支社長の件につきましても、その理由については、遺書等をごらんになった、受け取った方からの話を聞いても現在全くわかっておりませんし、今委員の御指摘の、今回の事件に因果関係があるのじゃないかということについては、今全く不明でございます。
  124. 西田猛

    西田(猛)委員 ある報道によりますと、東京地検特捜部の家宅捜索が、道路公団の七十社近いファミリー企業の中から、特に道路施設サービスなど、道路公団の政官界工作において主要な役割をする企業をねらい撃ちにして行われた。そして地検特捜部は、重要書類や手帳など、一切の証拠を押収していった。  したがって、道路公団の秘書室長を務められて、そして財団法人道路施設協会の総務担当の筆頭常務もされた自殺されたY氏は、ある意味ですべてを知っておって、そしてY氏は、その押収された事態から何かしらの、あるいは今回に関連したものでもないかもしれない、何かしらの政官界工作についての新事実が出ることを悲観したのではないかという報道がなされておりますが、この報道について、総裁はどのようにお考えになっておられますか。
  125. 鈴木道雄

    鈴木参考人 そのような報道があったのは承知しておりますけれども、それが事実がどうであったかは、私はわかりません。その原因については、今現在では不明でございます。
  126. 西田猛

    西田(猛)委員 最後に橋本総理にお聞きしたいのですけれども、今般の金融法案それから減税法案、いろいろございます。それから、この委員会で今集中的にしております大蔵省が打ち立ててきたいろいろな経済政策、そして予算編成などについての質問でございます。  実は、ここに至りまして、政府・自民党の方から、経済再建方策を見直し、景気対策をとらなければならないのではないかという大きな声が上がってきているようでございます。  そこで、橋本総理にお聞きしたいのですけれども、橋本総理は、平成九年の一―三月期の我が国のGDP、国内総生産の伸びの数字について、その数字が発表されたときにどのように読まれましたでしょうか。
  127. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 率直に申し上げますならば、予想より高いなという感じは当然ながら持ちました。というのは、当然ながら、消費税の税率引き上げの前の駆け込み需要というものが想定される、それだけに、ある程度高くなるであろう、しかし、それにしても強いなという感じは持ちました。
  128. 西田猛

    西田(猛)委員 その平成九年一―三月期のGDPの対前年同期比伸び、実質でいいますとこれは二・八%でございました。今総理が言われたように、なるほど高いなと。ところが、それまでも、平成八年の四―六月期、七―九月期、十―十二月期というのは、それぞれ三・六、三・一、三・二と、なかなか高水準で来たわけですね。そこへ持ってきて、平成九年一―三月期、これは平成八年度の最後の四半期ですけれども、これが二・八と来た。  ここで総理は、当時我が国は景気回復過程に乗ったのではないかというふうにお思いになりませんでしたか。
  129. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 我々は、確かにそういう、乗ったとまでは言い切れてはいなかったと思います。しかし、確実に回復軌道に乗りつつあるという感じは持っておりましたし、それで恐らく消費税率の引き上げによる落ち込みが四―六にははっきりとするだろう。しかし、その後、秋には回復していくだろうという感覚で見ておりました。
  130. 西田猛

    西田(猛)委員 ところが、この平成九年の四―六月期の四半期の数字が出てきたのは大体平成九年の九月ごろですけれども、出てみると、GDPの対前年同期比伸びは〇・一%にしかすぎなかったわけです。これは、今から考えますと、あるいはその当時、九月ごろにもいろいろなエコノミストが言ったことですけれども、一―三月期の消費税に対する駆け込み需要が物すごく大きかったんだということだと思うんですね。  そのことを政府はよく読めなかったわけです。読めなかったからこそ、よし、これは財政構造改革ができるなということで、平成九年度に入ってあの法律を推し進め、そして今の事態を招いているわけであります。ところが平成九年度、ふたをあけてみると、どっと落ち込んだ。  ここで、やはり、数字を見ていて景気が乗ったのではないかというふうに思ったと今もおっしゃいました。読み違いがあったのだということで、お認めになられるわけですね。
  131. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 事実、確かに一―三の数字を見たときの印象、そして四―六、それ以降と分けて御説明を申し上げましたように、私どもが読んでいた状況というものとは異なった結果が出てきている。これは私は隠しておりません。
  132. 越智通雄

    越智委員長 質疑時間が終了いたしております。
  133. 西田猛

    西田(猛)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、今おっしゃったような政府の読み違いなどについて、さらにまた他の委員会などでもお話を伺いたいと思います。  以上です。
  134. 越智通雄

    越智委員長 これにて西田君の質疑は終了いたしました。  次に、木島日出夫君。
  135. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  時間が大変限られておりますので、きょう私は、大蔵検査にかかわる不祥事、特に北海道の拓銀に関する検査に絞って質問をいたします。  最初に大蔵省にお尋ねいたします。  大蔵省から当委員会に提出された資料によりますと、平成六年八月十七日を検査基準日として、北海道拓銀に対する検査が行われております。  そこで、まず、検査はいつからいつまで行われたのか。検査内示の日、事前説明の日、実地検査の日、検査報告及び審査の日、検査示達の日、示達回答の日、それぞれ明らかにしていただきたい。
  136. 原口恒和

    原口政府委員 御指摘平成六年八月の拓銀に対する検査につきましては、八月九日に内示、十六日に事前説明を行いました。その後、実地検査は六年八月十八日から九月二十八日まで行いました。その後、十月七日の検査報告を経て審査を行いまして、平成七年二月十日に示達を行っているところでございます。示達回答につきましては、平成七年五月二十五日に受領しております。
  137. 木島日出夫

    ○木島委員 それでは、その検査のチームをつくってやるわけですが、その人数は何人だったんでしょうか。一月二十六日逮捕された谷内敏美はこの検査チームの一員だったですか。どういう役割を担ったんでしょうか。主任検査官はだれだったんでしょうか。
  138. 原口恒和

    原口政府委員 検査官は十六名でございます。主任検査官は当時の森田金融検査部審査課長が行っております。  なお、谷内容疑者はこの検査には参加をしておりません。
  139. 木島日出夫

    ○木島委員 谷内は全然かかわってないですか。間違いないですか。
  140. 原口恒和

    原口政府委員 谷内容疑者につきましては、当時、金融検査部の審査課課長補佐という立場にございました。審査課は、管理課と並んで、いわばバックオフィスとして、検査後の銀行等に対する必要な事務の処理、あるいは財務局で行った検査のチェック、必要な統計資料の取りまとめ等を行う部署でございますので、そういう意味で全く関係がなかったということではございません。
  141. 木島日出夫

    ○木島委員 バックオフィスだったということですが、バックオフィスと検査チーム、具体的な実働チームとの関連について、もっと端的に答えてください。
  142. 原口恒和

    原口政府委員 検査自体は、主任を中心とする検査チームが主体となって行います。  ただ、その後の検査報告書の銀行に対する示達の事務でありますとか回答の受領とか、そういうことは審査課で行っております。
  143. 木島日出夫

    ○木島委員 それでは、法務省にお尋ねいたします。  一月二十六日に、大蔵省大臣官房金融検査部管理課金融証券検査官室長らにかかわる贈収賄事件について、谷内敏美に関して、特に北海道拓殖銀行に関して、どういう被疑事実で逮捕されたのか。被疑事実を述べてください。
  144. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 お答えを申し上げます。  お尋ねの、金融検査部管理課課長補佐谷内敏美に対する被疑事実の要旨でございますが、金融検査部による検査に際し、検査期日及び臨検店舗等の事前漏えい等、種々便宜な取り計らいを受けたいなどの趣旨のもとに接待等をされるものであることを知りながら、お尋ねの北海道拓殖銀行関係でございますが、同銀行顧問らから、平成六年八月十日ころから平成九年五月九日ころまでの間、前後十二回にわたり、代金合計約三十九万円相当の飲食、ゴルフ等の接待等の供与を受けて、自己の職務に関して収賄したというものであると報告を受けております。
  145. 木島日出夫

    ○木島委員 先ほど、平成六年の北海道拓銀に対する検査が始まったのが八月九日。今法務省から答弁された谷内に対する収賄容疑では、翌日、平成六年八月十日ころから平成九年五月九日ころまでの間、前後十二回にわたり供与を受けたということですね。  さっき大蔵省からの答弁で、谷内はバックオフィスにいた、そういう役割だったと。しかし、この被疑事実によると、谷内は、北海道拓銀から検査に際し、検査期日及び臨検店舗等の事前漏えい等種々便宜な取り計らいを受けたい、そういう趣旨のもとに接待されることを知りながら飲食したということになるわけです。当然、そういう権限、検察から疑われてしかるべき権限、これは谷内はあったということですね。これは大蔵省
  146. 原口恒和

    原口政府委員 谷内容疑者の正式のポスト並びに仕事の役割については、先ほど御答弁したとおりでございます。  その谷内容疑者が被疑事実についてどういうふうにかかわりを持ったかということについては、現在捜査中でございますので、その解明を待って我々としても対処していきたいと思っております。
  147. 木島日出夫

    ○木島委員 検察当局におかれて、徹底してこの事件についての真相解明が図られることを、私からも強く望んでおきたいというふうに思います。  質問を変えますが、大蔵省が当予算委員会に提出した資料によりますと、北海道拓銀に対する平成三年以降の大蔵省の検査の結果が記載されております。  平成六年八月の検査結果によりますと、第四分類、企業会計上直ちに償却、引き当てすべきいわゆるロス額が約千七百億円と記載されています。第三分類、時期、金額は確定しないものの、その回収に重大な懸念のある資産が約四千七百億円と記載されております。  ところで、次の拓銀に対する大蔵省検査は平成九年十月なわけであります。細かいことはもう時間がありませんから聞きませんが、当委員会に出された資料によりますと、第四分類は約三千四百億円、前回の六年八月に比べて、約千七百億円ふえております。第三分類は約六千億円と記載されております。約千三百億円ふえております。  私、そこで最大の疑問なのですが、本当に拓銀については、第四分類について平成六年に千七百億円だったのだろうか。平成九年、たった三年でこれが倍増して三千四百億円になったのだろうか。同じく第三分類についてもそうです。平成六年八月に四千七百億円で、三年たったら六千億円になったのだろうか。第四分類についてこの三年間、千七百億円がふえています。第三分類については千三百億円ふえております。足し算して三千億円ふえている。  私は、そこに根本的な疑問があるのです。それは、こういういわゆる不良債権は既に、基本的には平成六年のときにもう明白に発生していたのじゃないかと疑うからであります。  それは、あらぬ疑いではありません。拓銀の前取締役頭取河谷禎昌氏が、昨年十二月九日に当予算委員会参考人として出頭されまして、その辺を、実情を語っております。  同僚委員質問に対してでありますが、頭取に就任したのは平成六年六月、まさにこの平成六年六月。「その時点で、やはり相当の不良債権があるという認識は当然持っておりましたし、これは相当重い経営課題であるという認識をしておりました。」そう答えております。そして、破綻の根本的原因は何かと問われて、「破綻の根本的な原因というお尋ねでございます。これはもうすべて突き詰めて言いますと、やはり不良債権そのものだ」こう答えているのですね。  ですから、私は、世上マスコミが指摘しておりますように、平成六年八月の検査では、低目にこれが抑え込まれたのじゃないか、検査によって。それが平成九年十月、昨年十月ですから、これは、そう抑え込むことが客観的にできない実情、状況のもとでこういう数字になったのじゃないかと思わざるを得ないわけであります。  さきに行われた衆議院本会議でのこの問題に対する総理見解大蔵大臣見解、真相は徹底して解明するということでございました。当然であります。  私は、事実解明の中心点の一つは、やはり検査そのものが、この法務省検察が摘発しましたように、銀行からの接待や利益供与によってゆがめられてしまったのではないか、そこだと思うのです。金融機関の業務、財産の実態を的確に把握して、金融機関の経営の健全性、適切性を確保するためという検査の目的が曲げられてしまったのじゃないか。そこを、徹底して真相を明らかにすることなしに、私は、総理の先ほどの本会議答弁を全うすることはできないと思うわけであります。  そこで、私は大蔵に事前にお願いしておいたのですが、まず平成六年八月検査結果の第四分類千七百億円、第三分類の四千七百億円、それぞれの具体的な債務者名、貸付金額、貸付日、取得していた担保物件の実質的価値、検査結果を報告していただきたい。ついでに、平成九年十月十三日の検査の第四分類三千四百億円、第三分類六千億円、同じく債務者名、貸付金額、貸付日、担保物件の実質的価値、これをここで明らかにしていただきたい、要求いたします。
  148. 原口恒和

    原口政府委員 当委員会でもたびたびお答えしておりますが、個別の検査結果におきます分類債務者あるいは貸出金額など、個別の取引先に係る情報を公表することは、個別の取引先に不測の損害を与えるおそれ、あるいは地域経済への混乱、プライバシー侵害の問題が生じることのほか、守秘義務の観点もあることを御理解いただきたいと思います。
  149. 木島日出夫

    ○木島委員 先ほど大蔵大臣も、本会議でそういう答弁をされました。  予算委員会理事会におきましては、野党四会派から共同して、「大蔵省金融検査と銀行業界の汚職・癒着の徹底解明ならびにいわゆる金融不安の背景、乱脈経営の実態解明のため、左記の資料の当委員会への提出を要求する。」北海道拓銀、第一勧銀、三和銀行、あさひ銀行の各銀行に対する大蔵省の検査報告書、示達書及び回答書であります。  今るるお話がありましたが、大蔵大臣、プライバシーとかあるいは守秘義務とか言っていますが、住専問題のときあるいは東京二信組のとき、国会へ出したじゃないですか。プライバシーや守秘義務を理由として出さない理由はないのじゃないですか、大蔵大臣
  150. 松永光

    松永国務大臣 先ほど本会議でも申し上げたとおりでありまして、相手先銀行情報でありますから、そちらに対して不測の損害が起こったりする、そういう危険性もなしといたしません。そしてまた、守秘義務というのも課せられております。したがって、ここで出しますという返事はできないのです、これは。それは御了解願いたいと思います。
  151. 木島日出夫

    ○木島委員 それなら、何で信組のときと住専のときに出せたのですか。理由になってないじゃないですか。  大蔵大臣は、本会議で外国の例も何か言いましたね。しかし、私は、それは全く理由がないということを言います。アメリカでは、フランクリン・ナショナル銀行について、OCC、アメリカ通貨監督局ですが、十年にわたって検査報告書を議会に出させました。
  152. 越智通雄

    越智委員長 質疑時間が終了しております。
  153. 木島日出夫

    ○木島委員 そして、それに基づいて米議会で徹底した調査がなされ、問題の解明がされて、当局の監督責任が厳しく追及されているわけであります。  私は、何か悪いことを隠す、特にこういう検察、司直の手が入った事件であります。これは、そういう隠し立てをしないで、プライバシーの配慮はできるわけですから、堂々と政府として委員会に出されんことを総理に最後に求め、総理の所見を求めて、私は時間ですから終わります。総理見解を求めます。
  154. 越智通雄

    越智委員長 時間が終了いたしております。
  155. 木島日出夫

    ○木島委員 出さない理由はないです。総理総理責任で出させてください。私は、真相も明らかにしないで、三十兆円の公金をこの破綻処理につぎ込むことは断じて許されないということを主張して、終わります。
  156. 越智通雄

    越智委員長 これにて木島君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  157. 上原康助

    ○上原委員 時間が非常に限られておりますので、まず総理大蔵大臣に所見をお伺いしますが、私は、なぜ大蔵省不祥事、もちろん大蔵省だけじゃないのですが、これほど相次いで起きているのか、本当に嘆かわしい次第と言ってもいいと思うのですね。大蔵省のまじめに働いている皆さんにとっても、大変これはざんきにたえない思いをしながら、今仕事をしておられるでありましょう。  そこで、大蔵省職員倫理規程というものは一体どうなっているかということを少し調べてみました。これは、なかなか内容はよくできている、平成八年十二月二十六日の規程などは。関係業者との接触に当たっての禁止事項というふうに十二項決められておって、第四章では処分についても規定されておる。  あるいはそれ以前には、これはちょっと古いのですが、今日銀総裁をしておられる松下氏が官房長をしておられるときに、昭和五十四年十月二十九日付で示達を出しております。さらに平成七年五月にも、小村官房長名でも綱紀の厳正な保持についてという示達を出している。  そこで、なぜ、これだけのものをその都度やっておりながら、この事態を招いているのか。その根本原因というのは、一体どこにあるとお考えなのか。これは総理大蔵大臣の、簡潔に、根本的に改めていくには一体どうすべきであるかを含めて、それぞれ御所見を聞かせていただきたいと存じます。
  158. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、本当に倫理規程の遵守というものを信じておりましただけに、今回それが全く顧みられなかったことを、本当に情けなく思います。  事件そのものは、やはり基本的には本人の自覚の問題ということでありましょうけれども、そうしたものを醸成する一つの原因というものは、私は、従来ややもすると、護送船団方式と呼ばれましたように、事前の管理と事前のチェックというものを非常に重要視し全体を束ねていこうとした行政の手法、こうしたところにも問題の遠因はなかっただろうかと考えております。そして、将来これは事後チェック型に変えていけば、ここは一つは解決のできるもの、そのような思いを持っております。
  159. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  私は、この倫理規程に書いてあることは常識的なことだと思っております。当たり前に守れることが書いてあると思うんです。しかし、厳しい制裁規定等がない場合には、残念ながら、誘惑があればそれに反することが行われがち、そういうことでありますから、罰則つきで倫理規程を守らせるということは、考えようによっては残念なことなんですけれども、やはり罰則規定を設けて倫理を守らせるという措置をとらなければならぬという事態になっているというふうに認識しております。  しかし、基本的には、総理お答えになりましたように、個人個人の倫理の問題だろう、こう私は思いまして、その倫理を徹底させるようにしていく必要がある、こう思います。
  160. 上原康助

    ○上原委員 罰則規定、制裁規定を設けざるを得ない、公務員倫理法の制定は急ぐべきだと思いますね。総務庁長官も、それは聞いておいていただきたい。今の国家公務員法でも、いろいろやろうと思えばできるわけですよね、これは引用するまでもありません。  そこで、社民党が、昨日来、明日にかけて、大蔵省腐敗に怒るホットラインを設置して、いろいろ今、国民の、市民の声を聞いております。初日の昨日だけでも百二十件の意見が寄せられておる。大変な反響が出ておる。  その主なものを、たくさんありますけれども時間がありませんから、例えば、巨大特殊法人OBの御意見として、経理部長は大蔵からの天下りで、給与を指定してくる、こういう意見が寄せられているのですね。大手生命保険の方は、現在は建設会社勤務の方等々は、大蔵から検査が来ると、みずから料亭を探し、帰りの土産は有名な陶器を指定する。ここまで倫理は落ちているんですよ。こういうことに対する国民の怒りというのは、私は本当に、もうこの機会に何とかしなければどうにもならないと思うのですね。  その意味で、ほかにもたくさんありますけれども、今引用したような、これは事実でしょう。現に大蔵省の役人であった人、あるいはそういう仕事に携わっておった人が言っているわけですからね。国家公務員はすべての国民の奉仕者であるという原点、倫理というものを忘れている。  これを改めていくにはどうすべきであるのか。ぜひ三名の大臣から、国家公務員倫理法を含めて、総理の御決意でいいのか、あるいは総務庁長官にするか、それぞれお答えをいただきたいと思います。簡潔にひとつ。
  161. 小里貞利

    ○小里国務大臣 御承知のとおり、総理大臣より、今次、大変厳しい指示がございました。公務員倫理に関しまして、法制定も含めたこれが対策を検討するべきであると。そういうことの基本におきまして、御承知のとおり、去る二日に、公務員倫理問題に関する検討委員会を設定いたしました。鋭意これが作業を急いでおるところでございます。  ただいまお話がございましたように、国家公務員法等、現行法制との関連もいろいろ難しい点も多くあるようでございますけれども、この際、断固これを阻止するために、そして、また再びこのような事態が発生しないように、厳粛にしてしかも有効適切な一つの法制定ができるように、努力をいたしておるところでございます。
  162. 上原康助

    ○上原委員 ぜひこれは早急に進めていただいて、もちろん与党三党でも協議すると思うのですが、むしろ内閣が率先してこの際やるべきだと思いますので、後ほど総理から決意伺いたいと思う。  そこで、大蔵大臣、先ほど私が申し上げた、平成八年十二月二十六日付のこの倫理規程には、大蔵省の服務管理官というのがいろいろ挙げられているのです、しかし、内部のもたれ合い、かばい合いではどうにもならないのです。ですから、今度つくる倫理法というものは、それぞれの省庁に任すのでなくして、もっと第三者的というか、人事院も含めてきちっとした法的整備をしなければいかないと思うのですが、時間ありませんから、その点、総理決意を伺わせてください。
  163. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 倫理法、まずこれは、私自身、副長官に指示をし、既に政府部内の検討はスタートいたしました。また、与党三党首の会談の際にもこれが論議になり、そして合意を踏まえた与党間の協議も既に開始されております。これらを並行させながら、できるだけ早く結論を出していきたいと考えております。  また、今その監察の仕組みといいますか、大蔵省、今回外部の弁護士の方の御助言も得られるような仕組みを考えている。私はこのやり方を一つの考え方と思います。幾つかの省庁、強制捜査力を持つ監察制度を持っておりますところ、あるいは捜査権限はないけれどもつくられているもの、それぞれの沿革で機能しておりますので、そうしたものも十分参考にしてまいりたいと思います。
  164. 上原康助

    ○上原委員 時間が来ましたから終わりますが、総理を中心といいますか先頭に、松永大蔵大臣国民の期待する面も大きいと思います。総務庁長官一体となって、今申し上げたことを、速やかに倫理法を制定して、国民の政治に対する、あるいは金融、財政に対する不信を回復していただくことを強く要望して、質問を終わります。
  165. 越智通雄

    越智委員長 これにて上原君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時七分散会