○小池百合子君 私は、自由党を代表し、大
規模小売店舗立地法案等三案について、
総理並びに
関係大臣に対し
質問をいたします。
前回、一月二十日の本
会議場での代表
質問で、私は
総理もお読みになられたという名著「
失敗の本質」をもとに
橋本政権の
経済政策の
失敗の本質を
指摘させていただいたこと、御記憶のことと存じます。突然、思い出したようにちびちびと発表される
減税策、小分けの
景気回復策など、後手後手で小出しの
政策は兵力の逐次投入。景気は緩やかな回復基調にある、桜が咲くころにはと、
実態とかけ離れ誤った
情報を流し続けた
経済企画庁の報告は大本営発表。
省庁の縦割り組織の弊害は今さら
指摘するまでもなく、
総理と党幹部とのコミュニケーション不足は当時の陸軍と海軍、司令部と関東軍の関係に当てはまります。
絶対に
日本発の世界恐慌は起こさないと、もはや実質の伴わない
総理の言葉は、やっぱり精神主義、竹やり精神以外の何物でもなく、現実に、今回のG7では
日本問題が最大のテーマとなりました。このままでは
日本発の世界恐慌が起こると各国が恐怖を抱くからにほかなりません。それ以外に理由があるのならば、それは一体何でしょうか。
総理、
お答えください。
また、本日、財政
構造改革会議が開かれると聞いておりますが、そもそも
会議の位置づけはいかなるものなのか。任意団体でしょうか。メンバーはだれがお決めになるのでしょうか。この
会議の顔ぶれ、主なメンバーを拝見いたしますと、私には
日本経済をここまで悪化させた張本人ばかりがずらりとそろっておられるようにしか見えません。(
拍手)現在の
日本の状況を第二の敗戦と称する人がおられますが、であるならば、この財政
構造改革会議は第二の東京裁判ではありませんか。問題は、被告人が、みずからを裁くどころか、正当化を図ろうとする余り新たな罪を重ねていることです。
新たな罪の一つは、昨年暮れ強引に導入された財政
構造改革法です。金融
政策の幅が狭められているところに財政
政策の手足を縛るなど、どだいむちゃな話であると新進党当時から何度も警告をしてまいりました。それを聞き入れなかったのは、
総理、あなたではありませんか。ここへ来てようやく事態の重要性を認識されたのか、財革法の
改正を検討され、しかし基本は変えず、必要最小限の
改正にとどめると繰り返し
総理は発言しておられます。しかし、必要最小限の
改正ならば意味がありません。抜本的
改正、いえ、思い切って当面廃止してこそ目的にかないます。さもなければ、自縛の道をたどることは目に見えております。さらに、基本は変えないという基本とは一体何を指しておられるのか、改めて
総理に伺います。
これまで失政を重ねてこられた
総理が
責任をとっておやめになることが最大の
景気対策であることは、我々野党はもとより、内外の市場が求める最大最善の項目であります。しかし、
総理は、何もしないことの方が問題、
政治空白をつくらないと繰り返し述べておられます。であるならば、財革法をシャカリキにつくるよりも、何もしない方がよかったとさえ言えます。財革法の強行採決、わずか四カ月後の
改正に割かれる時間と労力、右往左往する
日本政府へのコンフィデンスの喪失などは
政治の空白以上の問題であります。そもそもわずか四カ月後の見通しも誤る
政府とは一体何なんでしょうか。双眼鏡もお持ちでないのでしょうか。
現在
日本が抱える問題は、
消費税増税、医療費負担増、特別
減税の廃止など、
総理みずからが決断されたことに起因する問題がほとんどであります。これ以上、
責任転嫁、めり張りのない
政策転換を今後も続けていくマイナスよりも、
総理が
責任をとっておやめになることによるプラスの方が大きい。
国民は、
橋本総理の続投への望みよりも、一日も早い
景気回復と真の
日本の
構造改革を強く望んでいるのであります。
総理の御
所見を伺います。
さて、本日の議題となっております三案に関連してお伺いいたします。
地域の
特性、主体性を生かしつつ
大型店の
立地、
中心市街地の
活性化を進めるなど、理念においては望ましいと申せますが、具体性においては、私どもがかねてから主張し続けております
地方分権の理想からはほど遠いと
考えます。むしろ財源を
地方に移すことが肝要であります。それらを前提に、以下
質問をさせていただきます。
初めに、
都市計画法の
改正法案について伺います。
まず、
都市計画制度の問題点として、市街化
区域と
市街化調整区域との線引きの問題、さらにそれらの
見直しの煩雑さがあります。線引きが実施されている
都市計画区域では、基礎調査の結果をもとに人口フレームや
整備動向などを勘案して定期的
見直しが行われているものの、現実には、方針の
策定から認可
手続まで
平均二年、長いものでは五年近く要することもあります。
経済同様、町も生き物であります。このような
手続の煩雑さが
町づくりの機動性をそいできたのであります。
最大の原因は縦割り行政にあります。一物六価とも言われる地価が象徴するように、
土地利用については、
都市計画法を所管する建設省のほか、他の
省庁がそれぞれ利用
規制を行っています。こうした縦割り行政の弊害の除去をまず行うべきと
考えますが、そのような
観点を含めての
省庁再編を
考えておられるのか、行政
改革を
考えておられるのか、
総理の御
見解を求めます。
また、
本法案では
特別用途地区の
多様化等の
措置を盛り込んでおられますが、これを政令、通達などで役人が得意とする細かい基準で縛ってしまえば、今までと全く変わるところはないのではありませんか。このような政省令の基準についてどのような方針で進めていくのか、
建設大臣の御
所見をお聞かせください。また、
地方分権の基本である
住民参加の確保についてどうあるべきなのか、
総理のお
考えをお聞かせください。
次に、大
規模小売店舗立地法案について伺います。
一九六〇年代、
大型スーパーの
出店開始で
我が国にも
流通革命が始まりました。とともに、スーパーと
中小小売業の
事業活動、
出店のあり方が問題となり、以来、その
調整役を務めてきたのが
現行の
大店法であります。しかし、
経済のグローバル化の
進展とともに、
環境は大きく
変化いたしました。その意味で、当法案には、その必然性など一定の評価が認められます。
その上で、
通産大臣に次の点を伺います。
まず、審査主体でございますが、
都道府県、政令指定
都市とあります。しかし、最も身近な行政単位は
市町村であります。少なくとも人口二十万から三十万程度の一定
規模以上の
都市に審査主体を拡大すべきではありませんでしょうか。
また、
出店により
影響を受ける
地域の
商工会議所や商工会、
商店街、PTAなどの
意見を
都道府県に
提出できるとありますが、その前に十分な
情報開示が確保されるのでしょうか。それを一体どのようにして行われるのか。
さらに、正当な理由なく勧告に従わなかった場合は公表されるとしても、それには命令や罰則はありません。これで有効な担保
措置となり得るのでしょうか。以上、
通産大臣の御
見解を伺います。
次に、
中心市街地活性化法案について伺います。
現在、
全国各地における
中心商店街の衰退、
空洞化は目を覆うものがあります。
平成九年の小売
商店は百四十二万店ですが、一日七十三店、一時間に三店ずつ
減少していることになります。特に、従業員が四人以下の小
規模商店、いわゆるパパママストアは、後継者難が加わり、著しい
減少を見せております。
ですから、単に
商店街の地盤沈下を食いとめるという
観点のみならず、
地域コミュニティーの中核として、
歴史、
文化、伝統の継承地として、そして高齢者などの豊かな
生活空間の場として、総合的、
構造的な位置づけをすべきと
考えます。特に、加速する郊外化によって人口の重心が移動し、交通弱者がダウンタウンに取り残される現象も見られます。
商店街の
活性化は、こうした弱者に優しい
町づくりの
観点、また公共投資の効率という面からも必要ですが、
商店街の
活性化が
国民生活にもたらす
影響をどう予測されておられるのか、元
通産大臣でもあられる
総理の御
見解を伺います。
さらに、この法案を真に実効あるものとするためには、何よりも関係
省庁の
連携が欠かせません。建設、通産、自治、国土、運輸、警察、文部、厚生、農水、郵政、労働と、ずらりと並ぶ関係
省庁名を拝見しますと、これまでの縦割り行政の
実態にかんがみ、
省庁間の
連携に不安を覚えざるを得ません。総合的な
事業の実施が不可欠でありながら、一つ詰まると滞り、すべての
施策がうまく機能しなくなるという、多くの人が抱く懸念に
総理はどう
お答えになるでしょうか。
また、関係
省庁の
予算を全部含めれば、三百カ所、一兆円
規模と目されておりますが、実は
自民党の選挙対策、ばらまき行政との批判もあります。選挙対策なら、国家
予算ではなく自前でおやりください。この点について、
総理の御
所見をお聞かせください。
最後に、豪華客船タイタニック号は、今から八十六年前のきのう、一九一二年四月十五日、氷山に衝突し沈没いたしました。同名の映画がことしのアカデミー賞をほぼ総なめにしたことで、再び注目されています。二千二百余名を乗せた鉄鋼製の不沈船がなぜ沈没し、千五百名もの犠牲者を出したのか。それは、正しい
情報の伝達が
決定的におくれたことに船長の
判断ミスが重なり、加えて、船のデザイン、つまり見かけを優先させたために乗客の半分の救命ボートしか用意していなかったこと、乗組員が巨大客船の操縦にふなれであったことなどが挙げられます。
実は、出港後、いろいろな船から氷山に関する警告が寄せられておりました。しかし、大西洋航路では氷山は珍しくなく、また船の巨大さへの過信もあり、タイタニック号は十分な注意を払いませんでした。それどころか船の社長が握りつぶしたり、また無線室では肝心の警告が乗客への私信に紛れ込み無視されるなどの不注意が続きました。実際に氷原の中で立ち往生していたカリフォルニアン号からの必死の警告にも、邪魔をするな、黙れと無線士が叫び、無視されたそうです。
ちなみに、船には双眼鏡の一つもありませんでした。積み忘れたのであります。監視台が氷山を発見してから、衝突までわずか三十七秒。船が実際に海の藻くずと化すまでは四時間。当初は、乗客でさえ、その非常事態に気づかなかったと言います。船が巨大過ぎたからです。しかし、その後はパニックとなりました。
総理、不沈であるはずの
日本経済は今、タイタニック号に例えられます。貸し渋りにあえぐ
中小零細企業、いつ自分の会社がつぶれるのか不安でいっぱいの父親、パートを切られた母親、外資企業に群がる若者、医療費の値上げで病院通いをセーブし、病気を悪化させる高齢者、
国民の声、SOS、メーデーが聞こえませんでしょうか。
私たちもずっと警告を発してきました。そして、いつも
総理の強がりと政権維持の都合上、無視されてきました。
総理は、いつも氷山を目前にした時点で器用に面かじ、取りかじと操舵なさっておられますが、乗客である
国民は既に船酔い状態にあります。そして、どこへ連れていかれるのか不安に思っております。乗客にとっては船長がだれかよりも、安全で安心できる航海を望んでおります。成功の本質は成功の数だけありますが、
失敗の本質は
日本軍に、タイタニック号に、そして
橋本政権のかじ取りにも共通しているように思えます。
タイタニック号のスミス船長は、船長としての最後の責務として、自慢の船とともに運命をともにいたしました。ノーブレスオブリージュです。
総理、
日本丸の船長として、
国民をどこに連れていこうとしておられるのか。なぜ我々の警告を無視し続けるのか。
国民、そして
生活の
基盤である
経済を守ることを優先されるのか、それとも操舵桿にかじりつくことを優先されるのかを繰り返し
お尋ねし、私の
質問を終わらせていただきます。(
拍手)
〔
内閣総理大臣橋本龍太郎君
登壇〕