○江崎鐵磨君 私は、自由党を代表して、ただいま
議題となっております
中央省庁再編
基本法案について、
総理並びに関係大臣に御
質問をいたします。
質問に先立ち、昨日の
総理の
記者会見についてであります。先ほども極めて簡単な
経済対策について三分間述べられました。昨日の
記者会見では三十分時間をかけられたといったことを伺うとき、これは
国会軽視も甚だしいものであります。一言申し上げなければなりません。
総理は、昨日、二兆円
特別減税の上乗せを発表されました、一昨日まで本
予算案が最善のものであると言っておられたにもかかわらず。
総理は
国会と
国民にうそをつき続けてこられたのですか。これはもはや
政策以前、
橋本総理の人間性にかかわる問題であります。
また、みずから強引に成立させた
財政構造改革法も改正して、
弾力化条項を盛り込まれるとも述べられました。何をか言わんやであります。
財政構造改革法を成立させたときでさえ、
我が国経済は危機的
状況にあり、山一証券、三洋証券は破綻し、アジアの通貨危機は深刻となっておりました。このような
状況を全く無視し、デフレ
予算を義務づける
財政構造改革法を強引に成立させたのは、
橋本総理、
総理自身であります。その際、集中
改革期間である当初三年は機械的に
予算を削減し、景気対策を
目的とした補正
予算を
編成することはしないとたびたび明言されておったのであります。
財政構造改革法は、十年前にできた
法律ではありません。つい四カ月前に成立したものであります。
橋本総理に
財政構造改革法改正を語る資格はとてもありません。もはや
政策転換であるとかないとかいう問題でなく、それ以前の、橋本
内閣に政権を担当する能力があるのかないのかといった問題であります。
橋本総理は、今日の
経済危機の本質が構造問題にあることを全く理解しておられないのではないでしょうか。従来の延長線上でしか物事を考えられず、
経済規模だけ売り物にしているその姿はまことに遺憾であり、みずから橋本政権の無策を世界に露呈しただけであります。
市場はまことに正直であります。九八年度
予算が参議院で通過する直前、
橋本総理辞任とのうわさが飛び交って、株価は四百円、円は一円近く上昇いたしました。昨日の
橋本総理会見後、円は見る見る下がり、一円安となったことは御案内のとおりであります。株価も同様、極めて不安定であります。
橋本総理、過去
最大の景気対策を発表されるよりも、
政策不況を招いた失政を謙虚に認め、みずから潔く
責任をおとりになることが、何にもまさる景気対策であると私は確信するものであります。(
拍手)
昨日の会見で、
総理は、
日本の景気の現状について、バブル崩壊の後遺症から抜け切れず、極めて深刻な
状況にあると言われました。人ごとではありません。今までおわかりにならなかったのですか。これまで何をしておられたのですか。深刻な
状況にあるのは、
橋本総理の宰相としての資質であります。
また、
総理は、とるべき
政策をとらないことの方が
責任が大きいと言われました。
責任の問題ではありません。
総理御自身の先見性と洞察力の欠如であります。わずか二、三カ月先のことも見通せない
総理に、この
日本国のかじ取りをゆだねるわけにはまいりません。
これらの諸点について、
総理の見解をまずお
伺いいたします。
私は、このような橋本
内閣に、国の仕組みを根幹から変え、既得権益のしがらみから特に抵抗の強い
行政改革など、至難のわざとしか言いようがありません。
以下、順次
法案に関し
質問をいたします。
さて
総理、なぜ今、
我が国経済がこのような
状況に置かれているさなか、
中央省庁の機構いじり、看板のかけかえをやって、どのようなメリットがあるのか。官僚の自己保存
機能に火をつけ、手足を縛り、
行政機構を麻痺させるだけではありませんか。
我が国経済がまさに国難ともいうべき
状況にあり、官民を問わず、
国民の総力を挙げて困難の克服が必要とされているとき、機構いじりや看板のかけかえ程度で甘んじている余裕は片時もございません。
総理、
行政改革ほど戦略的手法を必要とする
課題はありません。
行政改革には必ず痛みが伴うと言われております。これまでの
行政で保護、利益を受けてきた人にとっては、厳しい試練にさらされることは間違いございません。例えて言うならば、病院で手術を受ける場合、その人の体力の回復を待って手術を行うように、
行政改革を成功させるためには、これらの人々が
対応しやすくなるための、まず
経済環境の
整備が必要不可欠であることは御案内のとおりであります。
総理、
政府として今取り組むべきことは、自由党の主張、大型
減税の
実現などを柱とし、
我が国経済を自律的成長の軌道に乗せる
経済構造改革を推し進めるとともに、官から民へ、中央から
地方への考えに基づき、規制の撤廃・緩和、
地方分権などを強力に
推進することにより、民間
経済に
活力を与え、
地方の活性化を図る
行政改革を断行することがまず先決であるのではないでしょうか。
我が国経済がかつてない厳しい
状況にある今日、
中央省庁の機構をいじり、
行政の
機能を麻痺させかねない橋本
内閣の
行政改革は最悪の選択であります。この点についての
総理並びに総務庁長官の見解を求める次第であります。
次に、
行政改革でやるべきことは、陳情政治や利権政治の温床となり、
与党の集票
システムの一環と化している今日の裁量
行政の仕組み、一連の官僚による不祥事を初め政治腐敗を生む元凶となっている仕組みを根底からつくり変えなければなりません。政治家や役人に取り入るのではなく、自立した
個人が自己
責任を持って正々堂々と胸を張って活動できる
社会、
地方自治体が自由で透明で効率的な
行政を行える
社会につくり変えることにあります。それによって初めて、政官業の癒着を断ち切り、利権政治をなくすることができるのではないでしょうか。
大きな
政府か小さな
政府かの判断基準は、
財政の
規模や
公務員の数の大小によるものではなく、民間活動への介入の度合いが大きいか小さいかが判断の基準になるべきであります。ところが、橋本
内閣にはその考えが全く見えてこないのであります。橋本
内閣の誕生以来顕著となった、
政府・自民党幹部による
予算や
公共事業の配分を利用した利益誘導
発言、いわんや報復
予算などといった暴言を放置している姿勢からも、それは明白であります。
今回の
中央省庁再編案では、
公共事業に携わる巨大官庁が誕生することになっており、これではますます
権限、財源が
一つの省に集中し、政官財癒着の構造は今以上に
強化されるおそれさえあります。
総理は、陳情政治、利権政治の現実をどうお考えか、どう改められる
方針か、また
公共事業にかかわる巨大官庁の誕生が利益誘導政治、陳情政治の悪弊をさらに加速することになるのではないか、
総理の御見解を
伺います。
中央省庁の
権限の縮小は、政官業癒着の構図を断ち切るのみではなく、
経済政策においては市場原理の尊重ということでもあります。昨今の
我が国を含めたアジアの
金融・通貨危機の原因の
一つに、
政府主導の
経済運営が挙げられています。つまり、
政府の過剰な市場の介入によるマーケットメカニズムのゆがみが
金融危機の本質であるにもかかわらず、
与党幹部は、郵貯、簡保などの公的
資金によって株価をつり上げたり、不動産担保証券を購入することに何のためらいもなく言及しております。このような
状況を見ましても、
政府・
与党には
行政改革を行うなどとても不可能であると言っても過言ではありません。
橋本総理は、今、あいまいもことした態度でみずからの
責任を回避したまま、
経済政策の
転換を図ろうとされておられます。橋本行革では
総理官邸の
機能強化が言われておりますが、
経済政策を最終的に
責任を負って行う大臣は一体だれになるのか。今回の
政策不況による
橋本総理の
責任とあわせて、再編が行われた場合の
経済政策の失政の
責任はだれが負うのか、お聞かせ願います。
また、国と
地方でどのように
役割分担をするのか、
権限を移譲する自治体がどうあるべきかという視点が欠落しております。肥大化するのみの
公共事業官庁で、どのように効率よく
社会資本の
整備を行うのか。
構造改革に大胆にメスを入れない限り、それこそ利権の巣窟になってしまうのではないでしょうか。
公共事業は、国が
責任を持って行う大
規模事業とそれ以外とに峻別をするべきものであります。国の直轄
事業以外は個別の補助金を廃止して、
地方自治体に一括交付金として交付し、自治体の裁量によって、自治体が真に必要とする
事業が自由に行えるようにしなければなりません。これによって初めて、国、
地方の
役割分担、効率よい
社会資本整備が可能となるわけであります。
また、
地方自治体も体力をつけるため三百程度に再編する必要があるのではないか、
総理の御
所見をお
伺いいたします。
また、この
法律案には数値
目標が一切ないこと、御案内のとおりであります。
財政構造改革法では帳じり合わせのために歳出一律削減を規定しておきながら、なぜ
行政改革による歳出削減
目標がないのか、全く理解できません。六つの
改革がすべて場当たり的であり、相互にリンクしていない証拠ではないのでしょうか。総務庁長官の答弁を求めます。
今、
我が国は、政治、
行政、
経済、
社会のすべてにわたる
構造改革を断行しなければなりません。民間
活力が
最大限に発揮でき、世界とも
調和のできる
国民が主役の
社会を確立するため、根本からの再構築が必要であります。つまり、民力の回復のための
政策が必要であります。
改革はすべて一体のものとして行わなければなりません。肥大化した官が民から金を吸い上げ使い道を決めるのではなく、
国民がみずからの才覚と英知をもって自己
責任で金の使い道を決めることを可能とするよう、
制度改革を実行するべきであります。
行政改革により削減した支出を
減税財源とすることにより、金の流れるルートを
改革しなければなりません。
減税を景気対策としてとらえ、財源論や租税負担率論によって否定し続けた
政府・
与党は、
我が国の置かれた
状況、
構造改革の
必要性を全く理解しておられないのではないでしょうか。
改革とは、どれ
一つとっても命がけであり、政治生命をかけて行わなければ達成できるものではございません。
行政改革会議最終報告は、族議員、官僚の抵抗に遭い最後の最後までもめ続けたことも、自民党の諸君御案内のとおりであります。みずから
リーダーシップを発揮することなく、常に
状況を追認する
総理の政治姿勢には、
行政改革会議の委員諸氏からも不平不満が募ったと言われております。
総理、
行政改革は機構をいじることや看板をかけかえることではありません。そんなことでは
構造改革を妨げるのみであり、まさに画竜点睛を欠く
行政改革ならば行わない方がましではないかといったことであります。
これら諸点についての
総理の御見解をお
伺いし、私の
質問とさせていただきます。(
拍手)
〔
内閣総理大臣橋本龍太郎君
登壇〕