○久保哲司君 自由党の久保哲司でございます。
私は、自由党を代表して、ただいまの
アジア欧州会議に関する
橋本総理の
報告について、
総理並びに外務大臣に
質問をいたします。
本題に入る前に、
橋本総理にぜひお聞きしておきたいことがございます。
この四日、五日の土曜、日曜、
総理の訪英中でしたが、私は大阪の地元を歩き回って、事業主やら自営業者やらサラリーマン等多くのおっちゃん、おばちゃんたちと会うてきました。
ある集まりで「おい、久保はん、橋本にどないかせんかいときつう言うといて」、こない言われました。私はそのおっちゃんに「おっちゃん、わし自民党ちゃうねん、自由党や。今は野党やけどな」、こう言いました。その人は「ほなら余計ええやん。
選挙でけんかする相手やねんから、
質問するなりなんなり思い切りやってんか。とにかく、おいらはほんまに苦しんでんねん」、こういう訴えをいただきました。幸い、本日、
質問の
機会をいただきましたので、この
国民の声を直接訴えさせていただきます。(
拍手)
また、たこ焼きを焼いている御夫婦が言うていた話ですけれども、「お客さんが、おまえのところよそより安いよってにええわ、こう言うてた。
景気の悪さは百円、二百円のたこ焼きにまで響いてまっせ」と。早い話が、世の中むちゃくちゃです。お先真っ暗というのが実態であります。さらに別の方は「今ごろ十六兆円、それ何やねん。一年半前に新進党は十八兆円言うてたやないか。何やるにも時期を逸したらあかんわな」と。こんな声を次から次と聞いて、正直なところ、私は疲れ果てました。
そこへもってきて、きのうの参議院予算
委員会での
総理の答弁、責任は参議院選の
国民審判で、気楽過ぎます。
国民は、日本社会は、今まさにのたうち回っています。新聞では、
総理の
政府専用機でのフライトが今回で二十回目、スタッフからの、さらに多く御使用いただけるよう云々とのあいさつに、
総理もにっこりとありました。SPつきで公用車での移動、専用機での海外も結構ですけれども、その前に、御自分が最高責任者である日本国の、最も大事な
国民お一人お一人の苦しみを取り除くことに専心すべきではないのでしょうか。
まず、こういった町の実態、
国民の大変な現状についてのお考え、感想をお
伺いしたいと思います。
次に、本題に入ります。
今回の
会議は、二年前に
アジアと
欧州の歴史的な出会いとして
各国が
期待しバンコクで開催された初の
首脳会合とは打って変わって、極めて低調で
内容のないものであったという印象が否めません。今回の
アジア欧州会議が低調であったことの一因に、
我が国の
アジアにおける
政治的プレゼンスの低下があることは明白な事実であります。
私は、
日本経済のファンダメンタルズが、巷間言われるほど弱いものであるとは思いません。しかしながら、
アジアの
通貨危機の原因が橋本
内閣がとり続けるデフレ政策にあり、日本の
景気後退が
通貨危機に拍車をかけているのは紛れもない事実であります。政策不況は、今や
アジアを覆っているのであります。
橋本総理が訪英中に、英国の新聞に「
日本経済は
崩壊寸前」という見出しが躍り、米国の格付機関が日本の格付をネガティブに変更するなど、まさに国辱物でありますが、これらはすべて、
橋本総理が
アジア通貨危機に対し何ら有効な施策を講じていないことに対する批判であり、不信任であります。
橋本総理が
アジアの
通貨危機をただ傍観しているのみであるのに、
通貨統合を控え緊縮財政路線をとるEU
各国が、
アジアを本格的に
支援することなどあり得るはずがありません。
我が国が
アジアに対し、即効性、実効性のある施策をとっておれば、EUに対してももっと積極的な提言ができたのではないでしょうか。
今回の
会議では、IMFの機能強化が
議長声明に盛り込まれております。さきのG7におけるIMFの内需拡大要求を拒んでいる日本が、IMFの機能強化を言う
資格があるのでしょうか。
総理は今回の
アジア欧州会議に何を
目的として行かれたのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
政府・与党は、年明け以来、その場限りのびほう策ばかりを繰り返してきました。その典型が、
総理訪英前に発表された自民党の
総合経済対策基本方針であります。
我が国の
経済危機は単純な
景気後退にとどまらず、資産デフレなど構造的諸要因に基づくものであるという
認識が全く欠如しております。いたずらに十六兆円という数字を売り物にしているだけで、財政出動額が明らかになっておらず、
景気浮揚効果さえも甚だ疑問であります。まさしく口先介入の域を出ておりません。
自民党幹部が公約としていた、年度末株価一万八千円台乗せも実現できておりません。
政府・与党は市場
経済を全く
理解しておられない。総額十六兆円の単純な
景気対策を実施しても、公共事業による需要創出が中心であれば、その効果は短期にとどまり、かえって財政を悪化させるのみであり、再来年度以降の民需主導型の持続的成長につながる
期待が持てません。公共部門から民需へのバトンタッチのための政策がなければ、九九年度以降の反動減が深刻となるのは当然であります。民間シンクタンクは早くも、十六兆円の
景気対策を織り込んでも九八年度の成長率はゼロ%台との予測を出しております。
もはや
我が国経済は小手先の
景気対策で立て直せる
状況ではありません。
政府の役割は、マーケットメカニズムと調和しつつ、足らざる部分を補うというのが本来の役割であるにもかかわらず、莫大な公的資金により市場に介入しようとするなどは、時代錯誤も甚だしいと言わざるを得ません。また、構造的な
経済危機の要因に対する視点が一切なく、根本問題はすべて先送りされており、従来型、
選挙目当てのばらまき型
景気対策に終始しております。
国が
景気対策に名をかりて公共事業をばらまくのであれば、納税者の負担が重くなるだけであります。
橋本総理は、不見識な政策の羅列による相場操作が内外の信用を失墜させていることにまだお気づきになっておられないのですか。このような目くらましの
景気対策をEU、
アジアの
首脳に
説明するなどは甚だ礼を失しており、バーチャルポリシーとの批判は当然であります。
報道によれば、
総理は、
景気対策実施のために財政構造改革法の
改正に着手すると伝えられております。なぜ
総理は外圧をてこにしないと政策転換が図れないのですか。昨年も、
国会閉会中に
アジア通貨危機を理由として二兆円特別減税を復活しました。今回もまた、予算案審議中の
国内には補正など考えていないと言いつつ、海外に向かっては大規模
景気対策に言及しています。
今
国会、ほとんどの
質問者が口をそろえて、
総理の退陣こそが最大の
景気対策、このように言っておられます。大規模
経済対策、財政構造改革法の
改正を言う前に、
総理はみずからの過ちを認めて
国民に謝罪し、その
政治責任を明らかにすべきであると思いますが、いかがお考えですか。
自由党が以前から主張しているとおり、
経済対策は、民需主導型の持続的成長につなげるため、所得課税、法人課税の十兆円減税、不良債権の早期処理など、民力の回復に向けた施策でなければなりません。過去十年間、
我が国と
アジアは
経済面での
相互依存を深め、垂直的分業から水平的分業体制に移行しております。もはや日本と
アジアは一蓮托生であるにもかかわらず、何ら有効策を打ち出せない橋本
内閣は、
経済のグローバル化が何たるかを全く
理解していないと言わざるを得ません。
総理の御所見を
伺います。
次に、EU、英国との外交
関係について
伺います。
一九九九年から
欧州単一
通貨であるユーロが導入され、EUは
経済的にも
政治的にも大きな地位を占めることになります。
我が国として、これらの
地域との
関係を強化し、
世界の平和と繁栄に向けて協調して努力していくことが求められております。とりわけ地球的規模の環境問題、飢餓・貧困の問題、移民問題、犯罪やテロ、核兵器・生物化学兵器の拡散問題などに
協力することが求められておりますが、統一されていく
欧州が、内向きの政策調整ばかりでなくこれらの問題にも積極的にかかわっていくよう求めていくべきであると考えますが、
総理の対EU
関係についての基本
認識をお
伺いいたします。
また、今回の
議長国であった英国は、EU
首脳会議の主催国として、またバーミンガム・サミットの主催国としても重要な役割を果たすことになり、英国に対して
我が国の考え方を十分
説明するとともに、
相互理解を深めることが国益上も重要なことであります。日本から英国への直接
投資は米国に次ぐ大きな
投資量であり、英国の対米
投資は日本の対米
投資を上回り、
世界一の
投資量であります。英国は日本の
国際的役割に
期待し、その
一つとして日本の安保理常任理事国入りを支持しております。日本としては、
アジアにおけるスペシャルパートナーとして、英国との
協力関係を二国間を超えたグローバルなものとして拡大していくことが必要であると考えます。
本年は日英の修好通商条約締結百四十周年に当たり、五月には天皇陛下の英国訪問が予定されております。また、日本各地では英国フェスティバルも開かれております。これを契機に日英
関係の一層の友好
促進を図るべきであると考えますが、
総理並びに外務大臣の御
見解をお聞かせいただきたい。
EUと
アジアの貿易量が、EUと米国の貿易量をかなりの程度上回っていることに見られるように、EUと
アジアの
関係は深まってきております。
国際化が進展し、
相互依存
関係が深まる中で、両者の
関係の障害になりかねないのが主観の相違、すなわち欧米的な価値観と
アジアのそれとの微妙な相違であります。
アジア諸国は日本に対して、
アジアの一員として、またリーダーとして
欧州を説得し、
アジア的価値観を伝えるべきだとの
期待を持っております。
総理は、先月、インドネシアを訪問され、
スハルト大統領に
経済支援を約束されましたが、その後来日したインドネシアのハビビ副
大統領が小渕外相に、インドネシアの実情をG7に
説明してもらいたいと述べたように、日本に欧米の不信を払拭することを
期待いたしました。また、昨年七月にASEANに正式
加盟したミャンマーとラオスは、
ASEMへの参加を強く望んでいましたが、人権問題を理由とした
欧州の反対により今回の参加はかないませんでした。
橋本総理は、これら諸国の声をどのように受けとめ、
欧州諸国に対しどのように臨まれたのか、また、ASEAN
各国の
経済危機にどのように対処していかれようとされるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
また、ASEAN側からも要請の強い、
我が国のミャンマーへの円借款供与について、今後どのように行っていくおつもりなのか、外務大臣の御
見解をお願いいたします。
さて、今回の
ASEMには、
中国の
朱鎔基首相と
韓国の
金大中大統領が
出席し、
国際舞台に初登場いたしました。
総理は両
首脳と
首脳会談を行ったと伝えられておりますが、中韓両国は、
アジアの大国として、また
我が国の隣国として重要な位置を占めております。
朱鎔基首相は初の外遊であり、天安門事件後初の
中国首相の訪英でありました。イギリスの報道機関にも大きく扱われたと伝えられております。全
世界の人口の四分の一を抱え、
世界最大の潜在的
国内市場を持つ
中国経済の動向は、今後の
世界の繁栄と安全保障に大きな影響を与えることは明らかであります。同じ
アジアの国として、
中国が
世界の
経済に協調して歩んでいくように努めることは、
我が国の役割として重要であります。EUは、先月になって新たな対中基本方針を示すなど、これまでの対中方針を転換し、人権政策の改善を評価した上で、
経済的、
政治的パートナーとして迎え入れようとしておりますが、
我が国としても、
中国のWTO
加盟とG8への参加を働きかけていくべきであると考えます。
もちろん、その前提として、さらなる民主化の問題や、行政、金融、国有企業の三大改革の推進について、
我が国は筋を通し、言うべきは言う対中外交姿勢を堅持すべきであります。この秋には江主席の訪日が予定されているところですが、
総理はどのような
認識で
朱鎔基首相と会談され、どのような姿勢を示されたのか、お尋ねいたします。
また、
韓国とは漁業協定交渉をめぐり
関係が冷却化しておりましたが、
金大中大統領との初の会談で、新漁業協定交渉への道筋はついたとお考えなのか、また二十一世紀に向けた新たなパートナーシップを築く足がかりはついたとお考えなのか。その際、先ほども申し上げた対中
関係と同様、
韓国に対しても、漁業協定交渉はもちろん、歴史
認識をめぐる問題や竹島問題、従軍慰安婦問題などについて、
我が国として言わなければならないことははっきり言う、こういう姿勢を貫くべきであると考えますが、
総理の御所見を
伺います。
二十一世紀を暴力と覇権と民族対立の世紀にしてはなりません。そのためには、
ASEMを通じて
欧州と
アジアが、
経済関係ばかりでなく
政治的、文化的なあらゆる交流を深め、進めていくことが重要であります。希望するすべての
欧州と
アジアの国々が
ASEMに参加し、協調的
世界秩序の構築に向け、一層の
協力関係を築き上げていくことが非常に重要なことであることを強調し、私の
質問を終わります。ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣橋本龍太郎君
登壇〕