○鰐淵俊之君 私は、自由党を代表いたしまして、また、
地方の首長を長く経験した者といたしまして、ただいま提案のありました
地方税法等の一部を
改正する
法律案、
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案、
平成十年度
地方財政計画につきまして、
総理並びに
関係閣僚に
質問をいたします。
現行憲法におきましては、第八章で独立した章を設け、
地方自治に関する諸原理と
基本的な
制度を保障しており、
地方自治の本旨に反する一切の立法化は禁止するという、明確で積極的な内容を示しております。しかし、
制度的には保障されておりますが、必ずしも
地方の自立性が尊重されているとは思いません。すなわち、
中央集権的な
行政システムが温存され、
地方分権の
システムにはほど遠く、本当の意味での
地方自治を
確立する必要があると思います。
この問題につきましては、さまざまな
議論がなされておりますが、その
議論で共通していることは、我が国の
地方自治を正しく発展させ、真に
住民の身近なものとするために、
中央集権的
行政の
あり方を
見直し、思い切った
地方分権型社会を目指すべきと
考えます。
このことは、
もとより衆参
国会の決議もあり、また
地方六
団体の要請もございます。そして、
国民がひとしく望んでいるところであります。しかし、
総理並びに
政府が、必ずしも
地方自治を十分尊重しているとは到底思われません。
総理、閣僚の方々は、いつも
地方自治の
推進を行うと声高に唱えておりますが、
実態は異なっていると言わざるを得ません。
至近な例を言いますと、国政
選挙などにおける与党
議員の皆さんの声高々と訴える
中央とのパイプという言葉、また、応援に行かれる閣僚の、堂々と訴える、候補当選の暁には何々事業の
実現を約束するとか、あるいは省を挙げて応援するなどという言葉の連発。さらには、某
団体が、
政府に対する要求の
住民集会で、与野党一致協力してその
実現を図ろうと努力しているにもかかわらず、ある与党幹部が横やりを入れ、野党
議員の出席を事前に阻むというまことに傲慢な態度は、言語道断で許されるものではないと存じます。
まさに、民主政治を理解しない、利益誘導型政治そのものであります。しかも、
総理が目指す
地方分権型社会を否定した
中央集権政治の姿を如実にあらわしているものであります。
総理、本当に
地方自治を尊重し、
地方分権を進めるのであれば、そのようなことを否定する
選挙応援を慎み、また、破廉恥な与党
議員の行為についてどのような御
所見であるか、まずお
伺いしたいと思います。(
拍手)
さて、本題に入りますが、
地方自治の
確立は、何といっても
地方財政を
健全化することであります。
そのためには、まず
地方財源を
充実することが必要です。
財源がなくては
地方自治の健全な発展は望めません。現在、
地方財政も破綻の危機に瀕しており、
地方自治体の自立性は弱体化するばかりであります。
今や
地方自治体の
借金は、
地方債等を合わせ、約百五十兆円、また、隠れ
借金と言われる
地方交付税特別会計借入金は、
平成十年計画では十六兆四千億円になる
見通しです。
これは、
財源配分が国に偏り過ぎていることにも一因があります。
平成八年度決算では、全租税の六一・六%を国が徴収し、残り三八・四%を
地方自治体が徴収することになっております。
地方財政を健全にするためには、
税財源の
見直し、税収の
適正化を図るべきであります。その意味で、
総理並びに
自治大臣、大蔵大臣の御答弁を求めるものであります。
あわせて、
地方財政健全化のためには、
地方分権を阻む
補助金制度を抜本的に
改革する必要があります。
今
全国三千三百の
地方自治体は、それぞれ
規模の大きさ、地域の特徴、特殊性、
財政状況が異なっております。
にもかかわらず、これらの状況を無視した画一的な
補助金制度の
あり方は、
自治の健全な発展をゆがめる大きな要因となっております。
霞が関には、多くの
地方団体の
関係者が、予算獲得のためにこぞって陳情に訪れ、官僚に頭を下げる姿を閣僚の皆さんはどうお思いでしょうか。もちろん、私は、
補助金制度をすべて否定するものではありません。
しかし、現行の
補助金制度は、
算定基準が低く、
地方に超過
負担を余儀なくさせていること、交付時期が遅く、事業が速やかに遂行できないこと、また、一件当たりの
補助金額が小さいものも多く、その補助効果が期待できないこと、さらに、
補助金にかかわる
事務手続が煩雑で手間暇がかかり過ぎること、そして、
補助金交付に伴い、国が
地方に強く介入することなどであります。
このような縦割り
行政のむだを排除し、
地方が
自主性を発揮するためにも、例えば
公共事業補助金の一括交付とか、また、ささいな
補助金の
一般財源化等の
改善を行うべきと
考えますが、
総理並びに
自治大臣の
見解をお聞きしたいと思います。
さて、私はさきに申し上げましたように、
地方分権を阻む要素は、
一つは
補助金制度、二つは省庁の膨大な通達、三つは許認可
権限などであると思います。
これまで歴代内閣は、
地方自治の尊重と
地方分権の
推進を題目としてきました。しかし、先ほどから私が述べてきましたとおり、
現実には実行されているとは到底思われません。
国の許認可件数の総数は、
行政監察局の調査によりますと、昭和六十年十二月末の一万五十四件が現在では一万一千三十二件と、実に九百七十八件も増加しております。
地方分権と行革
推進を唱える歴代内閣の
もとで許認可件数がふえ続けていることは、
分権型社会に逆行していると言わざるを得ません。
総理、
中央省庁の持つ許認可
権限がどれほど
地方の
自主性を阻害しているのか御
認識でしょうか。
分権推進委員会の四次にわたる
勧告案も、大変な労作と思いますが、本当にまだまだ基礎
自治体の意向を反映しておりません。独立した
市町村が自分の町の発展を
考えるとき、自分たちで決め、自分たちで
責任をとるという真の
自治を望んでおります。にもかかわらず、国などの許認可権が弊害になり、一々都道府県や国にお
伺いを立てなければならないのは、まさに
民主主義や
自治の否定にもつながるものと
考えます。
総理、あなたが政治生命をかけて行革の
推進をするのであれば、
総理の強力なリーダーシップの
もと、許認可
権限の大幅な
移譲を断行すべきと
考えますが、
総理の行革に対する決意と明快な御答弁を求めるものであります。あわせて
自治大臣の御
見解もお願いいたします。
最後になりますが、
総理、あなたは今
国会の施政
方針演説の中で、
地方分権に関しては、今
国会中に
政府の
推進計画を作成し、確実に
実施するとともに……(
発言する者あり)