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安倍(基)
委員 私も調べてみると、例えば十歳とか、ニューヨーク州なんて七歳というようなこともあるらしい。これはいささか厳しいのじゃないかという
感じもいたしますけれ
ども、いかにも
日本の刑事責任は年齢が高過ぎるというか、中学生、高校生、人を殺したって絶対おれじゃ罪にならぬのだよというようなことを、もう最近の子供はませておりますから、口にするような
状況のようです。
こう
考えますと、私は、特に人を殺したり、この間私はちょっと調べたのですけれ
ども、中学生でもう殺人だけじゃなくて強姦なんかもあるわけですね。非常に凶悪犯がふえておる。これはやはり、子供といえ
どもひどいことをしたら
自分が罰せられるんだという意識が徹底しなければ、本当にどうなるかわからぬ。この少年法の
改正というのは、単に手続だけではなくて、そういう実質論まで踏み込んだ議論が必要なんじゃないか。
大体、ちょっと厳しくするとすぐ人権人権とみんな言うのですけれ
ども、それじゃ被害者になる者の人権はどうなるのだ。
日本の社会というのはどうも加害者の人権ばかり大事にするけれ
ども、被害者の人権は本当に軽く扱われる。
でございますから、いわば年齢まで踏み込んだ、大人の行うような犯罪については少年といえ
ども大人並みのペナルティーを受けるんだというくらいの厳しい
姿勢がないと、
日本は本当にこれから、少年犯罪、しかも麻薬なんかもどんどんふえてくる、そういう
状況のもとに、甘ければいいというものではない。それは、加害者あるいは加害者の父兄にとっては甘いことにこしたことはないでしょうけれ
ども、被害者の親にとってはとんでもない話なんですね。どうも
日本は人権人権というときに、被害者の人権を
考えなさ過ぎる。しかも、いっどこで起こるかわからない、相手構わずのような犯罪というのは、被害者というのは潜在的被害者がいるわけです。また、オウム事件なんかのような場合に、だれが殺されるかわからない。それと同じように、だれが殺されるかわからないというときには、被害者の
範囲がふえるわけですね、潜在的被害者といいますか。
と申しますと、本当に社会防衛というか、よく
アメリカあたりでは、性犯罪を行った者について、どこかに聞けば、この人はどこに住んでいるとかなんということを教えてくれるというような制度があるぐらいだ。これは逆に、性犯罪を行った
人間の人権という問題もあるのかもしれませんけれ
ども、逆に、そういった性犯罪の常習犯というのはいつどうするかわからないというので、市民の自己防衛という
意味から、そのプライバシーのいわば権利と社会防衛の調整点だと思いますけれ
ども、何か、性犯罪をした連中の所在を聞こうと思えば教えてくれるという制度さえあるようです。これは、
アメリカの憲法の問題で、いいのか悪いのかという問題は最終的に論議されていないようでございますけれ
ども、市民の防衛という面からそういうことが行われている。
そう
考えますと、やはりこれから少年法の問題も、いわゆる単に審理の手続面だけではなくて、もっと年齢まで踏み込んだ、基本的には、大人の行うような凶悪犯罪に対しては少年といえ
ども自分が責任を負うんだ、
自分自身が罰せられる、しかも、その周辺、親兄弟までみんなに迷惑がかかるという意識をきちんと組み込まなければ、これは少年犯罪に対して解決にならないと私は
考えます。
この点、これはいろいろな議論もありましょうし、法制審議会の議論も必要かと思いますし、
一般の有識者の議論も必要でございましょう。これに一石を投じないで、単に手続面で、要するに検事の介在を認めるとか、たしか戦前の場合には、少年犯罪が起こったら、検事が大体審判所に送るか刑事事件にやるかという仕分けをしたようでございますけれ
ども、現在は家庭
裁判所の裁判官の
考えにゆだねられるというような話で、どうしても甘くなる。
この点について、
大臣、これから少年法に取り組むのであれば、そういう年齢制限まで踏み込んだ毅然とした態度が必要なんじゃないかと私は思います。この点について、もう時間もございませんけれ
ども、最後に
大臣の御感想なり御
見解なりをお伺いして、私の
質問を終わろうと思います。