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1998-04-28 第142回国会 衆議院 法務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月二十八日(火曜日)     午前九時一分開議 出席委員   委員長 笹川  堯君    理事 鴨下 一郎君 理事 橘 康太郎君    理事 八代 英太君 理事 与謝野 馨君    理事 北村 哲男君 理事 熊谷  弘君    理事 上田  勇君 理事 達増 拓也君       遠藤 利明君    太田 誠一君       奥野 誠亮君    木村 義雄君       古賀  誠君    下村 博文君       菅  義偉君    谷川 和穗君       谷畑  孝君    中川 秀直君       渡辺 喜美君    安住  淳君       枝野 幸男君    佐々木秀典君       福岡 宗也君    漆原 良夫君       安倍 基雄君    木島日出夫君       保坂 展人君    園田 博之君       左藤  恵君    笹山 登生君  出席国務大臣         法 務 大 臣 下稲葉耕吉君  出席政府委員         法務大臣官房長 但木 敬一君         法務大臣官房司         法法制調査部長 山崎  潮君         法務省民事局長 森脇  勝君         法務省刑事局長 原田 明夫君         法務省矯正局長 坂井 一郎君         法務省入国管理         局長      竹中 繁雄君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君  委員外出席者         警察庁長官官房         国際部国際第一         課長      三谷 秀史君         警察庁生活安全         局生活環境課生         活経済対策室長 柴田  健君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第二課長   飛田 史和君         法務大臣官房審         議官      大林  宏君         外務大臣官房領         事移住部長   内藤 昌平君         文化庁文化部宗         義課長     前川 喜平君         厚生省社会・援         護局援護企画課         長       松永 正史君         最高裁判所事務         総局刑事局長  白木  勇君         最高裁判所事務         総局家庭局長  安倍 嘉人君         法務委員会専門         員       海老原良宗君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     遠藤 利明君   枝野 幸男君     安住  淳君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 利明君     加藤 紘一君   安住  淳君     枝野 幸男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇一号)(参議院送付)  外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第  七五号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 笹川堯

    笹川委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  本日、最高裁判所安倍家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 笹川堯

    笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 笹川堯

    笹川委員長 内閣提出参議院送付出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍基雄君。
  5. 安倍基雄

    安倍(基)委員 冒頭でありますけれども、新聞紙上、山口の地裁ですか、何か従軍慰安婦判決が出たという話がございます。私、これは別に自由党見解というわけでもないのですけれども、個人的な考えとして、大体、いわば条約上決着している問題であるわけです。例えば、我々の在外財産なんかも、膨大な在外財産日本講和条約で放棄した。その在外財産を持っていた人間アメリカ政府に補償しろと言っても、これは話の通じるものではない。  そういう意味で、やはり条約というものというのはそれなりの重みを持っているわけでございますので、このいわゆる従軍慰安婦の問題、それはいろいろ個人的には気の毒なケースもあろうし、いろいろなケースがあると思います。しかしそれを、今日本裁判所が、立法府が立法義務を怠っているなんということはとんでもないというような私は感じを受けますけれども、これはそれぞれ、皆さんが個人個人判断もあると思いますけれども、いわば法の番人としての法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  6. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 お答えいたします。  突然の御質問でございますので十分整理ができておりませんけれども、あの判決の報道を聞きまして、率直に申し上げまして、私は、実は、何と申しますか、ちょっとびっくりしたといいますかというふうな感じがいたしました。  それで、判決の正文ではないのですが骨子を取り寄せてみましたところ、要するに、平成五年八月に、内閣官房内閣外政審議室のあの問題についての調査報告書が提出され、そして当時の河野洋平内閣官房長官の談話が発表された。これによって、裁判官の受けとめ方は、日本国憲法上の賠償立法義務というものが明らかになったと。これは、裁判所国会に対して言っておるものですが、これもいかがなものだろうかとは思いますけれども。ですから、あの判決があってから三年間、国は立法しなかったのです。通常、三年を経過しても被告国会議員右立法をしなかったから、被告国右立法作為による国家賠償として云々というふうなことになっております。  そこで、この判決は、従来の確立した最高裁判所の判例とは異なる立場をとっていて、立法の不作為による国の責任を認めたものでありまして、極めて異例なものであるというふうに私、認識いたしておりまして、そういうような角度から、十分関係向きと検討しながら対応を決めてまいりたい、このように思います。
  7. 安倍基雄

    安倍(基)委員 これは漸次、上級審に上がっていって判決があると思います。急なお話でございますので法務大臣も戸惑われたと思いますけれども、やはり我々は、いわゆるちょっとしたマスコミの扇動と言うと、これはまた記者さんに怒られるかもしれませんけれども、もっと冷静に事に対処すべきではないかと私は思っております。  では、法案の問題になりますが、この法案そのものは、私も、台湾からのいろいろこの出入国の増加という面において、基本的にはいいと思いますが、ただ一つ私、問題点として指摘したいのは、これはいわゆる一定の地区指定行政府にゆだねるという話でございますから、そうすると、例えば、行政府判断でもって、北朝鮮とかほかの国とか、まだ国交の回復していない国に広げるということも形式上は不可能ではない。行政権の裁量にゆだねるような話になるわけでございますから、この点、大きな問題点があるのじゃないか。内容的には、これは台湾指定するのだからいいのではないか、こういう話になりますけれども、本来、行政府にそういう地区指定を行う権限を与えるということ、それについて問題がないのかどうか。この点について、御見解をお伺いしたいと思います。
  8. 竹中繁雄

    竹中政府委員 今回の入管法上の旅券範囲を拡大しようという趣旨は、国際間の人的交流活発化に伴い、出入国関係事務を簡素合理化しようとするものであることから、政令で定める地域は、委員指摘のとおり、台湾のみを想定しております。  将来、仮に対象地域を追加する可能性が生じた場合には、今申しましたような法律案目的を踏まえて、我が国出入国管理行政に与える影響等を慎重に検討した上、対処してまいりたい、このように考えております。
  9. 安倍基雄

    安倍(基)委員 これはまた、大臣のお考えも承りたいと思いますけれども目的台湾だからいいというような言い方で済む問題ではないのではないか。  というのは、今は台湾考えているけれども、じゃ、政令でもってほかの地区指定する、ふやすということも法形式的には不可能ではないわけです。この問題点は余り十分指摘されておらぬと思います。なるほど中身がいいからいいというだけではなくて、政令指定するという話になれば、それをふやすこともできるわけですね。現在、台湾しか考えていないとおっしゃるけれども内閣によっては、別の地区を次々と指定する道が開かれているわけです。この点について、大臣はどう考えていらっしゃいますか。
  10. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 委員御承知のとおりに、今回の法律改正は、具体的には台湾のことを考えているわけでございますが、これは日中共同声明を基本としながら、そういうふうな中で、現実の問題として台湾との交流が非常に多いわけでございます。そういうふうな意味で、事務的にお互いに便宜を図ろうというふうな形でこういうふうな措置をとったわけでございます。  したがいまして、今委員の御質問の点につきましては、どの程度人的交流が行われているかどうか、その現実的な問題と、それからもう一つの問題は、例えばそういうふうな地域から密入国の実態が非常に多いというふうなこと等につきまして、それはそう簡単に右から左というわけにはまいらないというふうなこともございますし、そのような実務的な面を検討いたしまして決めなければならないことでございまして、委員指摘のとおりに、法律ができますと、政令でひとり歩きできるわけでございますけれども、この法律の制定の趣旨を十分踏まえまして判断していかなくてはならない問題でございまして、現在のところ、台湾しか考えていないということを申し上げておきたいと思います。
  11. 安倍基雄

    安倍(基)委員 それと関連しまして、私は、何もほかの国の例を参考にすることを、何もかもしろと言うのじゃないのですけれども、似たケースは必ず他国にもあるはずですね。要するに、他国はどうそれに対応しているのか。例えば、もう具体的にほかの国はこう規定しているからこれで読んでいるとか、読めるとか読めないとかいうようなことがあると思うのですが、日本と類似な立場に置かれている国がどう処理しているか、これについての御説明をお伺いしたいと思います。
  12. 竹中繁雄

    竹中政府委員 この問題で基本的に我が国と同じような立場にございますアメリカイギリスフランス、オーストラリア、ニュージーランド、韓国等についてどういうふうに規定されているかということについて、御説明申し上げたいと思います。基本的に、三つぐらいのカテゴリーに分けられると思うのです。  第一は、旅券発行主体を自国の承認した外国政府に限定していないという例でございます。日本の現行の入管法では、日本国の承認した外国政府というふうに限定しているわけでございますが、そういうふうに限定していない例、これが一つの例でございます。それから二番目は、法令上、もともと旅券定義を定めていないというのが二番目です。この二つが大きいと思います。あとこれ以外に、特別な例としてアメリカの例がございます。これは今の二つと全く違ったやり方でやっております。  具体的に御説明申し上げます。  まず、旅券発行主体を限定していない例でございますけれども、例えば韓国あるいはイタリアイギリス豪州等がございます。  韓国の場合には、旅券といたしまして、外国政府の発行した旅券で、大韓民国が有効と認めるもの、このように規定しております。したがいまして、この中では、韓国政府が承認した国ないし政府というような規定がございません。  それから、イタリアの例でございますが、これでは、イタリア当局により認定された有効な旅券またはそれと同等の文書、こういうような書きぶりになっております。  それから、豪州につきましてもほぼ同様でございまして、そこでは、豪州国内外において公的に発行された身分にかかわる文書であって、旅券としての性格を有するもの、これだけしか規定がないわけでございます。こういうようなやり方がございます。  あるいは、イギリスの例でございますが、イギリスでは、英国入国する者は身分事項と国籍を証する文書を提示する義務があり、次のような場合は、通常入国が拒否されるとしてございまして、提示された旅券もしくは渡航文書英国政府を承認していない国、または英国の有効な旅券入国管理上容認しない国の官権が発行したものである場合云々、このような言い方になっております。  そういうことで、定義の中でまず発行主体を限定しない例が以上のような国々でございます。  それから次に、もともと旅券定義自体がない例でございますが、例えばフランスベルギーアイルランド等がございます。  フランスの場合には、法令上、旅券定義が存在しておりません。したがって、外国旅券を有効と認めるか否かは、実務的にフランス国内外務省と内務省の協議で決定しているというようなやり方でございます。  それから、ベルギーについても、やはり法令上の旅券定義がございませんで、いかなる旅券を有効と認めるかは、関係当局間で実務的に検討しているというような状況でございます。アイルランドも似たような状況でございます。  最後に、アメリカの例でございますけれどもアメリカにつきましては、特異なやり方をしておりまして、例の台湾関係法というのがございます。それで、台湾に関する米国法の適用は、外交関係承認が存在しないことにより影響を受けるものではなく、一九七九年一月一日以前に台湾に関して適用されていたと同様、台湾に適用される、こういうことが法律に明記されておりまして、これに基づいて運用しているということでございます。
  13. 安倍基雄

    安倍(基)委員 一応の各国のケースをやはり参照としながら、こういった改正はしていただきたいと思います。  大臣、もう一度ですけれども、今さっき御説明があったように、今回の法律趣旨というものが台湾目的としているということがございますならば、これからのいわば運用について、よくこの点を考えた上で、政令に我々が思い切っていろいろなことをゆだねたのではない、ないというような言い方は悪いのですけれども、今後これ以上のことに踏み込むときには、それなりの高いレベルの決定を要するということは念を押させていただきたい。我々は法律でもって一応政令にゆだねはしたけれども、要するに、内閣が勝手にどんどんと対象地域をふやしてもらっては困るわけでございますから、この点はきちっとその辺を明らかにしておいていただきたいと思います。  と申しますのは、内閣によっては、例えば北朝鮮にしても何にしても国交のない国についてこういうことを、法形式上は不可能ではないわけですから、その点については念を押しておきたいと思います。
  14. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 先ほども御説明申し上げましたように、今回、入管法上の旅券範囲を拡大しようとする趣旨は、国際間の人的交流活発化に伴いまして、出入国管理事務を簡素合理化しようとするものであることから、政令で定める地域台湾のみを想定しておるわけでございます。  今御指摘のように、将来仮に対象地域を増加する可能性が生じました場合には、今回の法律案立法趣旨を十分踏まえまして、我が国出入国管理行政に与える影響等を慎重に検討した上、対処してまいる所存でございます。
  15. 安倍基雄

    安倍(基)委員 ちょっと台湾問題に関連しまして、李登輝総統の来日問題がございました。  アメリカの場合には、コーネル大学百周年か何かの記念のために出席した。日本の場合には非常にもめたわけでございますけれども、その辺の事情をちょっと、法律と直接は関係ないにしても、やはり台湾問題でございますから、外務省からお聞きしたいと思います。
  16. 阿南惟茂

    阿南政府委員 我が国台湾との関係は、御案内のように非政府間の実務関係として維持してきておりまして、日台間の個別案件についても、この枠組みの中で慎重対応してきているわけでございますが、ただいまお尋ねの李登輝氏の訪日という件につきましては、確かに話題になったことはございますが、現職につかれてから日本に来られるということで具体的な入国申請が行われたことはございません。
  17. 安倍基雄

    安倍(基)委員 この問題は、いろいろ中国のいわば本土政府に対する遠慮もあったと思いますけれども、全くアメリカの場合も私的というか、いわゆる大学の同窓という資格でもって行ったわけでございます。この点につきましても、申請がなかったとおっしゃるけれども、その辺やはりいろいろな事情があったかと思います。私は、単に申請があったなかったというのじゃなくて、外務省姿勢としての問題を聞いておるわけでございますけれども、もう一度御答弁願います。
  18. 阿南惟茂

    阿南政府委員 先ほども申し上げましたように、日台関係というものは、日中共同声明に基づいて非政府間の関係として対応してきておるわけでございまして、今御指摘になりました訪米の件、私的訪問アメリカに行かれたというようなことはございます。しかし、米中関係に与えた政治的な影響というものは、極めて消極的なこともございましたし、私どもは、先ほど申し上げましたような原則にのっとりまして個別のケース考えさせていただく。そういう意味で、本件につきましては個別のケースとして具体的な申請がまだ行われていないということを申し上げたわけでございます。
  19. 安倍基雄

    安倍(基)委員 外交問題はいろいろな要素が絡まると思いますけれども、やはり我々は、もちろん中国本土中心でございますけれども、いわば私的な形で来ようということまでも無理に抑えるということについてはいかがなものかなと思います。この辺につきましてはそれぞれ見解もございましょうから、この辺で私の質問は打ち切らせていただきます。  出入国に関連しまして、難民問題が大分論議の的となっております。一般的に、我々は、難民認定が少ないじゃないかというような議論が中心で来ていると思いますけれども、これは、北東アジアがどういう状況になるかわからぬ、場合によっては、北朝鮮が相当がたがきて大量の人々が難民として来るという問題もあるわけです。まあそういうことはあり得ないだろうと一般の者は考えておりますけれども、我々はそういう非常事態をもやはり想定した上で考えなければいかぬ。  法務大臣にお伺いしますけれども、大量の難民北朝鮮から入ってくるというようになる場合にはどういうお考えでおられるか、御存念をお伺いしたいと思います。
  20. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 お答えいたします。  我が国に大量の難民が流入するというふうな事態になりましたときには、これは政府一体として、それぞれ組織を組み、体制をつくり、適切に対処する必要があるとまず基本的に思います。  その上で、法務省といたしましては、出入国管理行政を所掌する立場から、先般、インドシナ難民等先例等参考にしながら、大量の難民対策がスムーズに行われるように、実は、どの辺にどういうふうな事態が起きた場合には、入管中心として、法務省は全国から、どういうふうな体制をとろう、そしてどういうふうな措置をしょうというふうな一つのマニュアルをもう既につくっているわけでございますが、省内の体制のそういうふうな意味の整備でございますとか、あるいは施設の確保等々いろいろあるわけでございますので、積極的に対処していく所存でございます。
  21. 安倍基雄

    安倍(基)委員 これは難民規模にもよるんですね、規模にも。というのは、もちろん、一般論として、受け入れ体制を整備して受け入れるというのはいろいろ、優等生的な回答かもしれませんけれども、これはまた規模が非常に大きくなりますと、それはそう簡単に、いわゆる来た人はみんなあれしますよというぐあいにはいかないんですよね。この点私は、法務省だけの問題ではないと思いますけれども難民で来ればどんどん認定して受け入れますということを言い続けていられるものかどうかという懸念さえあるんですよ。この点、なかなか公式に言いづらい話かもしれませんけれども、やはりこれは法務省だけの問題ではないぞと私は思いますが、今の御答弁のままでいいのかどうか、規模が非常に大量になったときに。ちょっと御存念を賜りたい。
  22. 竹中繁雄

    竹中政府委員 規模の点でございますけれども先ほどちょっと大臣からもお話がございましたけれどもインドシナ偽装難民というのが、平成元年の五月から次の年の四月ぐらいまで約一年間ぐらい日本に急にやってまいりまして、新聞等を騒がせたことがございます。そのときは、船の数で二十三隻、人間の数で約二千八百名という人たち大挙日本に押しかけたという事態でございます。そのときに、まさに私ども法務省、特に入管はいろいろな勉強をさせてもらいまして、どうやってそういう人に対応したらいいかとか、救援センターをどこに置いたらいいかとか、そういうようなことをやった経験がございます。そういう経験を踏まえまして、先ほど大臣答弁になりましたけれども、そういうものを参考にしながら、こういう問題に関しては積極的に対応していこう、こういう考えでございます。
  23. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今偽装難民の話が出ましたけれども、これは私ども、今一応南北安定はしておりますけれども、いつどういう問題が生じるかもしれないということも言われております。でございますから、難民というものがそう小規模で済むという話ではないということも踏まえて、日ごろから十分それに対応するだけの準備というか、どういう姿勢をとるかという問題もあるわけです。それが、千や二千ならいいけれども、全くほかの機能が麻痺してしまうぐらいの難民流入もあり得るわけですから。  こういうことを言うといかにも国際情勢を刺激するというような非難を受けるかもしれませんけれども、ただ、これは決して絵そらごとではないかもしれない。よく報じられているところによりますと、やはり北朝鮮の中にはいろいろ問題もあると。この問題は大問題なので、やはり日ごろからどう対処すべきかということを法務省としても十分考えておかなきゃいかぬ。  確かに、現在の難民認定が少ない多いというようないろいろな問題はここにありますけれども、その問題とは別にもう少し次元の大きな問題として、法務省はそれを十分、決して空想だけじゃないかもしれないということを踏まえて、対策考えていただきたいと思いますけれども法務大臣、いかがでございますか。
  24. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 先生御指摘のとおりでございまして、難民の中にもまたいろいろな形の難民があることが考えられるわけでございますし、その辺の選別の問題等々も含め、関係省庁とよく連絡を密にしながら、ひとつ十分私どもといたしましても徹底した検討を進め、対策を進めてまいりたい、このように思います。
  25. 安倍基雄

    安倍(基)委員 たまたま北朝鮮の問題を論議しているわけでございますけれども、私ども最近、北朝鮮で実際上いわゆる拉致事件に関連して、拉致をした御本人が、我々の党の自由党勉強会に参りまして、我々が呼んだわけでございますけれども、いろいろな自分自身体験説明いたしました。また、彼自身もその自分体験をつづった本を出版しております。それを聞きますと、これはなかなかやはり大変なことだったんだなということを非常に強く感じたわけでございます。  今まで北朝鮮との関係で、余りこの拉致事件というものを取り上げないというか刺激すまいというような外交姿勢があったようでございますけれども、これはやはり人権問題として非常に大きな問題でございます。これは本当に、全く罪のない関係のない人がたまたまそこにいた、あるいは向こうの都合がいいと見た、それがそのまま連れ去られてしまうわけですから、これはやはり法務省としてどう考えるか、法の番人としての法務省及び法務大臣の御見解を承りたいと思います。
  26. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 委員指摘のいわゆる拉致事件につきまして、さまざまな報道もなされておりますし、また調査の結果が報道されているということをよく存じております。  現在、一連の事件につきまして、引き続き警察当局において鋭意捜査中であると承知しております。検察当局といたしましても、御指摘のとおり、この事件は大変な問題を抱えているということで、関心を持って見守っているという状況でございます。
  27. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今のお話だと、どうも、内容もほとんどつかんでいないかのごときお話でございますけれども、どの程度の内容をつかんでいらっしゃるのか、もう一度御説明願いたいと思います。
  28. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 具体的な、事件の実際の状況ということに関しましては、現在も捜査中であるという状況を踏まえまして、私の方から申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、昭和五十二年から昭和五十五年にかけまして、判明しているのでは七件で十名でございますかの方が行方不明になっている、失踪しているということで、そういう御指摘のような観点から、問題意識を持って現在捜査中ということです。
  29. 安倍基雄

    安倍(基)委員 まだ国交の回復していない国ですから、それなりの捜査上の問題もあると思いますが、これは大きな問題でございまして、まず大臣としての御見解をお聞きしたいと思います。
  30. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 これは大変重大な問題だと思いますし、今刑事局長から話がございましたように、多くの人たちが本当に突然、にわかに姿を消して連れ去られておる。これは主権に対する侵害でもあるわけでございます。私どもといたしましては、重大な関心を持って関係当局と連絡をとりながらやっているわけでございますが、今後とも、そういうふうな意味で極めて重く受けとめて、法務当局としても重大な関心を持って進めてまいりたい、このように思います。
  31. 安倍基雄

    安倍(基)委員 我々はいろいろの人権問題というのを、例えば従軍慰安婦事件でもいわば声高に叫ぶ、声高に叫ぶなんと言っては言い方は悪いですけれども、それならばよりもっと、本当にわけのわからぬ形で連れ去られてしまったというのが事実であるとするならば、これは大変な問題なのでありまして、人権人権と一方で言う以上、そういった人々の人権はどうなんだということを我々十分踏まえて考えねばならぬ。  私は、やはり従来の外交というのがどちらかというと相手を怒らすまいとか、何かそういうところに重点が置かれて、主張すべきものを主張していない嫌いがある。これはむしろ外務委員会で外務大臣に対して質問すべきところなのでしょうけれども、この点、やはり我々、アメリカなどというのは人権外交と言われるくらい人権人権ということを主張する、その点において本当に、じゃ、我々は人権というものを十分踏まえた上の外交であるのか、いささか疑問を感じます。  これは局長に答えてもらうのも気の毒ですけれども、やはり外務省の代表者として来ていらっしゃるものですから、答えられる範囲内で、大臣が本当は答えなければいかぬ話で、あなたに直接聞くのもあれでございますけれども、やはり外務省の代表ですから、お答え願いたいと思います。
  32. 阿南惟茂

    阿南政府委員 北朝鮮による拉致疑惑と言っておりますが、この問題につきましては、当然のことながら我が国国民の生命、安全にかかわる非常に重要なことでございまして、人権の問題、そして場合によっては安全保障そのものであるという御指摘もございます。私どもといたしましては、北朝鮮に対して、先ほど法務省の方から御答弁がございましたように七件十名について、きちんと調査をして結果を出すようにということを強く申し入れをしておりまして、また政府以外でも、昨年秋、与党訪朝団が行かれ、先般も政党からの訪朝団が行かれましたが、そういったびごとに先方に対して強く申し入れをしております。  御案内のように、先方の対応は、そういう拉致をしたという事実はないということを言っておりますが、他方、行方不明者としての調査はやりましょうということで、私どもは、その調査をやるというだけでなくしっかりやって結果を出せということを機会あるごとに申し入れている、こういう対応をしております。
  33. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今お答えいただいたわけでございますけれども、やはりきちんとこの問題は相手方に申し入れ、解決していただきたいと思います。拉致問題、これはやはり国交回復のいわば一つの前提でございますので、この点、よく努力していただきたいと思います。  いわゆるさっきの出入国に関連しまして私、ちょっとお聞きしたいのは、現在、不法滞在者というのを、最近実は自治省あたりが戸籍の登録というか、住民に番号をつけてみましょうというような、これは簡素化という意味かと思いますけれども、管理と言ってはいかぬが、党内でも、これは人間に背番号をつけて管理するんじゃないかというような意見まで出てきている法案が用意されているところでございますけれども、外国人の場合に、いわゆる不法滞在というのが非常にこれから大きな問題になる。この点について、どういう状況であるのか、そしてこれをどう措置しているのか、密入国というのはまた別でございます、この辺の御説明を、簡単でよろしゅうございますから、お願いいたします。
  34. 竹中繁雄

    竹中政府委員 私ども入管の電算機に不法残留者という格好での推計数が入ってございますけれども、最近からの数字を申しますと、平成六年が約二十九万四千、平成七年が二十八万七千、八年が二十八万五千、九年が二十八万一千、それから平成十年で約二十七万七千という数値になっておりまして、平成五年五月一日の調査時をピークとして漸減の傾向にはございますが、依然として高い水準を維持しているということでございます。  我が国に不法滞在しているほとんどの者は不法就労者と推定されますが、これらの不法就労者は、低賃金かっ劣悪な労働条件のもとにいわゆる単純労働に従事しており、また、不法滞在者による犯罪も多発して、深刻な問題になっていると受けとめております。  当局では、かねてから、その入国と定着化を防止しつつ、その減少を図ることを基本として、所要の対策をとっております。基本的な対策は、入るところでとめるということと、入ってきてしまった者に対しては定着化を許さないというその二本立てでございます。入るところでまず入れないということに関しては、当然のことながら、その入国の事前審査及び上陸時点での審査の厳格化というようなことをやっておりますし、それから、入ってきた後の問題としましては、摘発活動の強化ということで、とりわけ、ブローカーの介在事案とか、あるいは偽変造文書行使事案、あるいは売春事案、こういうものについて厳しく摘発するよう努めております。
  35. 安倍基雄

    安倍(基)委員 日本が好景気のころ、いろいろな名目でもって人を呼んだ、それがまた観光ビザみたいなので来て実は働いていた、ところが、不況になってくるとどんどん首を切られちゃう、それらが残留して犯罪をふやしている。  私は、通常の犯罪の件数でいわゆる不法滞在者の犯罪件数というのは相当割合が高いのではないかと思いますけれども、その辺の数字は把握していらっしゃいますか。
  36. 三谷秀史

    ○三谷説明員 警察庁の方からお答えさせていただきます。  先ほど、不法残留外国人、平成十年時点で二十七万七千というお話入管当局からございましたが、平成九年中の刑法犯それから特別法犯で私どもが検挙しました人員が約一万三千九百名でございます。この約一万三千九百名のうち、約六割強、具体的には六二・五%が不法滞在者でございます。さらに、この内訳の中で、凶悪犯二百十三名中百三十一名が不法滞在者、六割強でございます。薬物犯罪者八百七十三名中五百二十五名が不法滞在者、六〇・一%、このような状況でございまして、不法滞在外国人は来日外国人犯罪の中核を占めている、このように言えるかと存じます。
  37. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今の入管の問題は、いわば即犯罪に関連してくるわけでございます。私は警察の、地元あたりで聞きますと、日本語もろくにわからないので、まず通訳をつけなきゃいかぬとか、いろいろな種類の負担がかかってくる。でございますから、これは本当に、それに警察は振り回されている状況が起こりつつあるというぐあいにも聞いております。これはもちろん警察の皆さんもよく御存じだと思いますけれども、この辺、やはり長期的に考えまして、入国管理がすなわち犯罪とも大いに連動しているということをよく御理解していただきたいと思います。  ちょっと最後に、直接関係ございませんけれども、実は、従来から私は少年法の改正をしきりと言っております。そのために諸外国の法制なども自分勉強しておりますが、今までの報道によりますと、またこの委員会でも、大臣が少年法について、ゼロからじゃないけれども、今までの経緯はいろいろあるにしても、それなり改正考えなくちゃいけないんじゃないかというぐあいの発言をされておりますけれども、その後における少年法の改正についての動きといいますか成果といいますか、その辺について御説明していただきたいと思います。
  38. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 御指摘の少年をめぐる犯罪という観点から、少年法の改正をめぐる論議が国会におきましても極めて熱心になされているということにつきまして、私どももそのように受けとめさせていただいております。  大臣の御発言等にも従来あらわれておるのでございますが、適切に少年に対して処遇を実現するためにも、とりあえずは、その基礎である事実認定の問題等につきまして真剣に検討することが必要というふうに考えているわけでございまして、平成八年十一月から、最高裁判所日本弁護士連合会と法務省との間で、少年審判に関する意見交換会を開催してまいりました。そして、事実認定手続を中心とする少年審判の現状と問題点につきまして話し合いを進めてきたわけですが、本年一月からは、その制度の見直し、具体的には、その手続に関しまして、少年審判の合議制の採用の問題、検察官の一定の場合における審判への関与の問題等々につきまして、意見を最終的に交換している最中でございます。  凶悪事犯を含む少年事件の動向を踏まえまして、我が国の少年法制に対して示されております幅広い各般の意見についても十分考慮しつつ、現実に起こってまいります事件への対応上、現行少年法にどのような問題点があるのかを含めて、少年に対して適正な処遇を実現するための基礎という観点から、少年事件手続のあり方について真剣に検討を進めているところでございます。  現在、そのような観点から、とりあえず緊急の問題ということで、できるだけ早く法制審議会において議論ができるように最終的な準備を進めている段階でございます。
  39. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私の見まするところ、今の少年法の問題について、いわゆる審理手続とか、手続的な面が重点に置かれているようなのですね。ただ、私は、最終的に、いわゆる刑事責任年齢、その辺にまで踏み込んだ検討が必要なんじゃないかと。と申しますのは、御承知のように、戦後の少年法というのは、若干その年齢を引き上げていること、御承知のようになっておりますね。  ちょっと諸外国の例を私は勉強させていただいているのですけれども、いわゆる年齢をどう諸外国は扱っているか、それについて担当者からの御説明を願いたいと思います。
  40. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 諸外国、特に英米諸国等におきましても、少年事件の法制は国によってかなり違っております。先生も御研究いただいておりますように、基本的には、日本のように二十歳未満を少年と扱っている国は比較的少数のようでございまして、いわば少年犯罪の上限を十八歳としているところが比較的多いようでございます。また、下限につきましても、十三歳ないしは十四歳で切っているところもございますが、それより下げて、刑事事件として取り扱えるようにしている国もございます。  そういう点で、アメリカなどは各州によっても異なるというようなところで、さまざまな背景を持ちつつ制度がつくられているものだというふうに考えております。
  41. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私も調べてみると、例えば十歳とか、ニューヨーク州なんて七歳というようなこともあるらしい。これはいささか厳しいのじゃないかという感じもいたしますけれども、いかにも日本の刑事責任は年齢が高過ぎるというか、中学生、高校生、人を殺したって絶対おれじゃ罪にならぬのだよというようなことを、もう最近の子供はませておりますから、口にするような状況のようです。  こう考えますと、私は、特に人を殺したり、この間私はちょっと調べたのですけれども、中学生でもう殺人だけじゃなくて強姦なんかもあるわけですね。非常に凶悪犯がふえておる。これはやはり、子供といえどもひどいことをしたら自分が罰せられるんだという意識が徹底しなければ、本当にどうなるかわからぬ。この少年法の改正というのは、単に手続だけではなくて、そういう実質論まで踏み込んだ議論が必要なんじゃないか。  大体、ちょっと厳しくするとすぐ人権人権とみんな言うのですけれども、それじゃ被害者になる者の人権はどうなるのだ。日本の社会というのはどうも加害者の人権ばかり大事にするけれども、被害者の人権は本当に軽く扱われる。  でございますから、いわば年齢まで踏み込んだ、大人の行うような犯罪については少年といえども大人並みのペナルティーを受けるんだというくらいの厳しい姿勢がないと、日本は本当にこれから、少年犯罪、しかも麻薬なんかもどんどんふえてくる、そういう状況のもとに、甘ければいいというものではない。それは、加害者あるいは加害者の父兄にとっては甘いことにこしたことはないでしょうけれども、被害者の親にとってはとんでもない話なんですね。どうも日本は人権人権というときに、被害者の人権を考えなさ過ぎる。しかも、いっどこで起こるかわからない、相手構わずのような犯罪というのは、被害者というのは潜在的被害者がいるわけです。また、オウム事件なんかのような場合に、だれが殺されるかわからない。それと同じように、だれが殺されるかわからないというときには、被害者の範囲がふえるわけですね、潜在的被害者といいますか。  と申しますと、本当に社会防衛というか、よくアメリカあたりでは、性犯罪を行った者について、どこかに聞けば、この人はどこに住んでいるとかなんということを教えてくれるというような制度があるぐらいだ。これは逆に、性犯罪を行った人間の人権という問題もあるのかもしれませんけれども、逆に、そういった性犯罪の常習犯というのはいつどうするかわからないというので、市民の自己防衛という意味から、そのプライバシーのいわば権利と社会防衛の調整点だと思いますけれども、何か、性犯罪をした連中の所在を聞こうと思えば教えてくれるという制度さえあるようです。これは、アメリカの憲法の問題で、いいのか悪いのかという問題は最終的に論議されていないようでございますけれども、市民の防衛という面からそういうことが行われている。  そう考えますと、やはりこれから少年法の問題も、いわゆる単に審理の手続面だけではなくて、もっと年齢まで踏み込んだ、基本的には、大人の行うような凶悪犯罪に対しては少年といえども自分が責任を負うんだ、自分自身が罰せられる、しかも、その周辺、親兄弟までみんなに迷惑がかかるという意識をきちんと組み込まなければ、これは少年犯罪に対して解決にならないと私は考えます。  この点、これはいろいろな議論もありましょうし、法制審議会の議論も必要かと思いますし、一般の有識者の議論も必要でございましょう。これに一石を投じないで、単に手続面で、要するに検事の介在を認めるとか、たしか戦前の場合には、少年犯罪が起こったら、検事が大体審判所に送るか刑事事件にやるかという仕分けをしたようでございますけれども、現在は家庭裁判所の裁判官の考えにゆだねられるというような話で、どうしても甘くなる。  この点について、大臣、これから少年法に取り組むのであれば、そういう年齢制限まで踏み込んだ毅然とした態度が必要なんじゃないかと私は思います。この点について、もう時間もございませんけれども、最後に大臣の御感想なり御見解なりをお伺いして、私の質問を終わろうと思います。
  42. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 少年法につきまして、非常に奥の深い御意見を承りまして、感謝申し上げます。  御指摘のように、私どもも問題を整理して二つ考えておりまして、一つは、今もお話しございました審判手続の問題、これもいろいろな経緯がございましたが、刑事局長お話しのとおり、平成八年の十一月から法曹三者で話を詰めてまいりました。私ども考えといたしましては、法曹三者で大方の合意ができますれば、法制審にかけたいと思います。そして、できれば次の国会、遅くとも、国会がどうなるかわかりませんが、次の通常国会までには、その問題については法律案というような形で国会の御審議をお願いいたしたいなと思います。  それから年齢の問題、これも重要でございます。  年齢の問題につきましては、私は法曹三者だけの議論では不十分だと思います。とりあえず今、法務省の中で矯正関係、刑事局関係それから保護局関係あるいは法務総合研究所、その辺のところで、既存の資料を中心として、一応のたたき台みたいなものを考えつつあるところでございますが、一応の考え方がまとまり次第、早急に、例えば、警察の少年関係を扱っている人たちでございますとか、あるいは教育関係者でございますとか、あるいは厚生省の児童関係の方々ですとか、あるいは学識経験者ですとか、広範なそういうふうな人たちの御意見をいただく場をつくりまして、果たして現在の少年法の年齢でいいのかどうかということを議論していただこう、このように思います。  そして、これもいつまでもだらだらやっておるわけにもいきませんので、ある程度の時限を切りまして御検討いただいて、そしてさらに法制審にかけて、その結論をもって国会へお願いしよう、大体そういうふうな二つの方法で考えておりまして、何とか解決せぬといけないと思いますし、実はきょう、少年を殺された被害者の会というのが最近できましてその代表者がお見えになることになっておりますし、その辺の方々から、今お話ございましたような、被害者をどういうような形で守るのか、人権も含めまして、そういうような角度からのアプローチも必要ではないかというふうなことで、総合的に、そして積極的に推進してまいりたい、このように思います。
  43. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今の大臣の前向きな御決意を伺って、気を強くいたしました。  これで私の質問を終わります。
  44. 笹川堯

  45. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  最初に、本改正法案についてお聞きをしたいと思います。  本改正によって、台湾当局の発行する護照が日本入管法旅券として扱われることになるわけでありますが、私は、やはり問題は、この法案一つ中国という原則との関係だと思うわけであります。  一九七二年九月二十九日、日本国政府と中華人民共和国政府との間で取り交わされた共同声明の第二項ですが、「日本国政府は、中華人民共和国政府中国の唯一の合法政府であることを承認する。」第三項ですが、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」こうあります。  そこで、まず法務大臣にお伺いしたいわけでありますが、この法案は、決してこの七二年の日中両国の共同声明の基本原則を変えるものではないということかと思いますが、それは確認してよろしいですか。
  46. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 委員指摘のとおり、我が国は、日中共同声明に基づきまして、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持してきております。  今般、入管法改正いたしまして台湾護照を我が国入管法上有効な旅券として取り扱うのは、日台間における民間交流の増大に伴う出入国関係事務の負担軽減を図るものでございまして、委員指摘のとおり、日中共同声明との関係で何ら問題の生ずるものではない、基本的な関係は堅持していきたい、このように確認いたします。
  47. 木島日出夫

    ○木島委員 通常旅券の発行というのは合法政府の発行できる高権ともいうべき大事な権限であるわけであります。  そうしますと、台湾当局が発行している護照、これまで日本国としては正式な旅券と扱っていなかったのを今回正式な旅券として扱うことになるわけでありますから、国際関係において重大な態度変更になるわけだと思うわけでありまして、この態度変更が、日中両国の共同声明の、中国一つ、中華人民共和国政府が唯一の合法政府であるということとの整合性、これはきちっと国際社会に対して、とりわけ中華人民共和国政府に対して説明できるものであることがやはり必要であろうと思うわけであります。  新聞報道によりますと、ことしの三月二十四日に中国外務省スポークスマンはコメントを発表いたしまして、今回の法改正に懸念を表明したと報道されているようであります。  そこで、単なる決意の表明だけではやはり国際関係でありますから足りぬと思うのですね。今回の法改正が、決してこの共同声明の基本原則に抵触するものではないということを示す根拠をはっきりとこの委員会で表明していただくことが必要だと思うので、それをお述べいただきたいと思うのです。
  48. 竹中繁雄

    竹中政府委員 我が国は、日中共同声明に基づき、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持してきておりますが、台湾護照を我が国入管法上有効な旅券として取り扱うことは、日台間における民間交流の増大に伴う出入国関係事務の簡素合理化を目的とするものであり、これまでの政策に何ら変更を加えるものではございません。  今回の法改正におきましては、法文上も、「政令で定める地域の権限のある機関の発行したイ」、イの方には、日本国政府の承認する政府等と書いてございますが、「イに掲げる文書に相当する文書」としておりまして、台湾当局を政府として承認したことにならないことは明らかでございます。
  49. 木島日出夫

    ○木島委員 法文上の根拠を挙げられました。  確かに、別の条項を特段につくって台湾護照を旅券として扱うという形でありますから、それは、説明が成り立っていると思うわけであります。  さらに、私は、こういう扱いを諸外国はどうしているのかと。やはり諸外国で、中華人民共和国政府を唯一の合法政府としておる国々で、今回日本が法改正をするような仕組みをとっているのかどうか。たくさんの国がそういう仕組みをとっているのであれば、それは日本国としても右へ倣えするだけでありますから、特段の問題を生じるものではないと考えられますので、諸外国の状況について、わかる範囲で結構でありますから、御報告いだだきたい。
  50. 竹中繁雄

    竹中政府委員 この問題に関して基本的に日本と同じ立場をとっている国々の中で、主要な国、主な国の大部分は、今回我々が改正して目的を達成しようとしていることを既にやっております。例えばアメリカ、カナダあるいは豪州、ニュージーランド、韓国、タイ、イギリスフランス等々でございます。  そのやり方でございますけれども、基本的に旅券発行主体を、現行の我々の法律では、日本国政府が承認した政府ないし国が云々と書いてございますが、そういう書き方をしないやり方、したがって、承認しないところについても発行主体として認められるというやり方一つでございます。  それからもう一つは、関係法令の中に旅券定義が書いていないというやり方でございます。その場合には、その国の関係当局者間で決めて、事実上これを認めているというやり方でございます。  なお、アメリカにつきましては、台湾関係法という特別な法律がございまして、それに基づいて処理しております。
  51. 木島日出夫

    ○木島委員 わかりました。  そこで、外務省にお伺いしたいのですが、そういう日本政府法務省説明にもかかわらず、中華人民共和国政府は本改正に懸念を表明しているようでありますが、現時点での中華人民共和国政府の態度をどう理解しておりますか。また、日本国政府として、決してこれが日中共同声明の基本原則に抵触するものではないのだということを説明するための努力は積み重ねておるのでしょうか。その辺の実情をお聞かせいただきたい。
  52. 阿南惟茂

    阿南政府委員 本件法改正は、既に法務省の方から御説明ございましたように、事務の簡素合理化を目的とした国内措置であるということと、これが我が国台湾に対する立場を何ら変更するものでないということは入管局長も御説明されたところでございますが、中国は、日中国交正常化以来、一貫して日本台湾との関係については強い関心を持っております。これが仮に民間レベルの交流であっても、やはり日台関係が緊密化するということについては、過去の経緯もございますので、中国は強い関心を持っているわけでございます。  そういうことで、私どもは、これは国内措置である、共同声明違反というようなことではないという確信の上で行っているわけでございますが、中国に対しましても、これまでそういう基本的な考え方、どういう姿勢でこの法改正に取り組むかということを累次説明してきておりまして、中国側も、これが日中共同声明違反であるというようなことは一切言っておりません。  ただ、こういう法改正によって実態面で変化を生じるということが、日本台湾に対する基本政策、立場を変えるというような印象を台湾側にも国際社会にも与えるのではないか、こういう点を懸念しているわけでございまして、その点については、私どもも、そういうことではない、日本政府立場は折に触れはっきり表明してきているし、今回の法改正も決してそういう趣旨ではないということもかなり十分説明してきております。
  53. 木島日出夫

    ○木島委員 十分説明しているとのことであります。  そこで、率直に聞きますが、参議院先議の法案でありますので、衆議院で可決しますと成立して、発効していくわけでありますが、中国政府からは懸念が表明されておりますが、この法改正の施行によって日中関係にひびが入るというような、そんな心配はないと伺ってよろしいのでしょうか。どうなんでしょうか。
  54. 阿南惟茂

    阿南政府委員 何事も慎重に対応しなくてはいけないと思いますし、判断も慎重であるべきであるとは思いますが、先ほど申し上げましたように、中国側には趣旨考え方を十分に説明しておりますし、中国側の反応と申しますのも先ほど申し上げたようなことでございますので、本来、これが日中関係に悪い影響を与えるべきでないと思いますし、現在の中国側の対応から見て、冷静と申しますか、そういう対応をしてくるだろうと思っておりますので、この件に端を発して日中関係が悪化するという判断は持っておりません。
  55. 木島日出夫

    ○木島委員 わかりました。  ただ、本法が、そういう国際関係にさわる可能性のある法改正だけに、この法改正に伴う利益、これがはっきりとあるということが求められていると思うのです。  そこで第一点でありますが、本改正によって、これまでの渡航証明書から、中華民国護照が正式に旅券として認められることによる台湾住民の利益、便益、具体的にどんなものであるのかをまずは御答弁いただきたい。
  56. 竹中繁雄

    竹中政府委員 現在、台湾から我が国入国しようとする際には、台湾護照を所持するということでは入国できませんで、日本国領事官等の発行した渡航証明書の発給を受けて、これを所持して本邦に入国し、上陸の申請をするという必要があるわけでございますが、この新しい法案が通りますと、この渡航証明書を受けるという手続が省けるというのが一つでございます。  それからもう一つは、日本入管法上の制度でございます寄港地上陸等に関しましては、有効な旅券を持っていることが前提でございますので、これまで台湾から来られた旅行者に関してはそれの適用がなかったわけでございますが、これからはこれが適用になるという効果がございます。
  57. 木島日出夫

    ○木島委員 次に、簡潔で結構でありますが、本改正によって、日本政府側にとって事務手続においてどの程度の合理化、簡素化になるのか。これもやはりきちっと説得力ある説明が必要かと思うので、御説明いただきたいと思います。
  58. 竹中繁雄

    竹中政府委員 最近の渡航証明書の発給件数でございますが、これはもちろん旅行者の数ほどは多くないのですけれども平成七年で四十八万、平成八年で五十七万、平成九年で六十二万というような数字でございまして、これらの数字は、ほかの国と比べましても非常に高い数字でございます。これらにつきまして、普通であればビザの発給で足りるわけなんですけれども、一々渡航証明書を発給しなければいかぬということで、その点がなくなるということは日本国政府にとっても大変な合理化、簡素化につながると考えております。
  59. 木島日出夫

    ○木島委員 本改正法によって、具体的には沖縄の皆さんにとって台湾からの観光客が現在以上に一層大勢来ていただける、そういう経済的な大変大きな便益がある、利益がある、それが本改正の一番の本当のねらいではないかとすらうかがわれるわけであります。  そこで、お聞きしたいのですが、沖縄にとってどんな利益が想定されているのか、御答弁いただきたい。
  60. 竹中繁雄

    竹中政府委員 旅行者の数は、そのときの経済の動向でふえたり減ったりするわけですから、必ずこれでふえるとか減るとかいうことはもちろん言えないわけですけれども、この法律が施行されますれば、台湾の方が日本に来られるときの出入国の手続が簡素化されるわけですから、当然台湾からの入国者の増加が期待されるわけでございます。  委員指摘になった沖縄のケースでございますが、沖縄につきましては、沖縄にお見えになる外国人、正確には沖縄の海港、空港から入国する外国人、これは約十六万人おりますが、そのうちの十四万人が台湾から来られる方ということで、九〇%という高い数字になっております。  そういうことで、この今回の簡素化、合理化で台湾から日本に来る旅行者がふえれば、そのうち日本の中でも非常に台湾に近い沖縄、その沖縄に対する効果は小さくないと考えております。
  61. 木島日出夫

    ○木島委員 先ほど、本改正が成立いたしますと、台湾護照が旅券として認められ、日本の国内法上寄港地上陸が可能になるというお話がありました。  私はここに、平成九年十一月の、沖縄県が策定した「国際都市形成に向けた新たな産業振興策産業・経済の振興と規制緩和等検討委員会報告を受けて」と題する文書を持ってきているわけですが、その第四項に「入国手続きの簡素・合理化」とございます。「現在、我が国は諸般の事情からアジアの多くの国に対しては査証取得を義務づけており、本県の近隣諸国からの観光客誘致上、一つの隘路となっている。海外からの観光入域客等の増加を図るためには、入国手続きの簡素・合理化を推進する必要がある。」として、先ほど答弁にありました寄港地上陸の問題も含む幾つかの点について指摘をしております。これは国、入管行政に対する要望という形であろうかと思います。  そこで、二つ三つお聞きしますが、一つは「査証手続きの簡素・合理化」という要望です。「団体旅行客に対する査証申請書類を簡素化するとともに、数次査証の滞在期間を九十日に、有効期間を五年に延長し、併せて査証料を免除する。」こういう要望があるわけでありますが、本改正によって台湾護照が旅券となるという場合の査証手続の簡素合理化、現状とこの要望に対する今後の見通し、どの程度要望にこたえられるのか、お答えいただけませんか。
  62. 内藤昌平

    ○内藤説明員 沖縄県よりは先生御指摘のとおりの要望が出ていることを我々は承知しておりまして、現在、これらの要望についてできる限り前向きに検討しているところでございます。
  63. 木島日出夫

    ○木島委員 前向きというのはやる方向で頑張るという意味でありますから、進めていただきたいと思うのです。  二つ目には「特例上陸の許可条項の拡大」という要望でありますが、入管法第十四条いわゆる寄港地上陸に規定する行動範囲は「「当該出入国港の近傍」となっているが、沖縄の場合については県内一円とする。」こういう要望であります。  この要望、現状はどうなんでしょうか。那覇の港に着いたときの当該出入国港の近傍というのはどの辺までを現在認めているのか。この要望は沖縄県内一円に広げてくれという要望でありますが、これについての現状と見通し、答弁願いたい。
  64. 竹中繁雄

    竹中政府委員 議員御指摘のとおり、法律には、出入国港の近傍に上陸するということがその要件になっておりますが、沖縄の現状に関しましては、那覇空港それから嘉手納空港については沖縄本島全部を対象にしております。
  65. 木島日出夫

    ○木島委員 では、もう一点だけお聞きします。  この要望のもう一つに、入管法「第十五条に規定する観光通過上陸の許可については、本邦の他の出入国港での帰船のみを認めているが、沖縄の場合は同一出入国港からの帰船についても許可し、行動範囲についても、県内一円とする。」こういう要望でありますが、これも現状とこの要望についての受けとめ、御答弁いただきたい。
  66. 竹中繁雄

    竹中政府委員 通過上陸につきましては、同じ港に入って同じ港から出るというのは通過上陸の定義上受け入れられておりませんで、一つの港に入って別の港から出るというのがまずこれは大原則でございますので、これを変えることは難しいということだと思います。  ただ、沖縄の場合には、先ほど言いました寄港地上陸、これでかなり救われる面があるのではないかと思います。いずれにしろ、この法案が通りませんと寄港地上陸を認める前提自体がございませんし、今度の法律が通ればこれをやるという前提条件ができるわけなんですが、先ほど私は今の現状では那覇空港に関しては沖縄本島だけだということを申し上げましたけれども、沖縄からは、先ほど来先生から御指摘ありましたように、これを沖縄一円にしてくれないかという御要望がございます。これについては我々も検討するつもりでございます。     〔委員長退席、八代委員長代理着席〕
  67. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございます。  本改正法案国際関係に触れる内容を持ったものであり、それを乗り越えて、沖縄の便益また台湾住民の便益を図るという基本的な目的があるわけですから、最大限取り外せる制約は取り外して、その沖縄県民の要求にもこたえるように、先ほど検討すると言った点は速やかに検討し、実施の方向に向けて善処していただくようにお願いをしておきたいと思います。  そこで次に、入管行政にかかわる問題でありますが、いわゆる統一協会、世界基督教統一神霊協会の創始者である文鮮明の入国問題についてお伺いしたいと思うのです。  略称統一協会とこれから言いますが、統一協会の創始者である文鮮明が本年六月日本入国するための工作をしているのではないかという情報があるようでありますが、法務省は、これを把握しておりますか。    〔八代委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 竹中繁雄

    竹中政府委員 そのように聞いております。
  69. 木島日出夫

    ○木島委員 もう法務省御案内のように、文鮮明はかつてアメリカで脱税で実刑判決を受けております。一九八四年には服役をしております。日本入管法では、この人物は基本的には日本への入国は認められないと考えるものでありますが、法務省の現在の見解はどうでしょうか。
  70. 竹中繁雄

    竹中政府委員 おっしゃるとおりの状況にございまして、文鮮明氏の入国につきましては、過去の経緯等も踏まえて慎重に対処する必要があろうかと考えております。
  71. 木島日出夫

    ○木島委員 日本入国することができない仕組みになっているということ、具体的にもっと法的に説明していただけませんか。
  72. 竹中繁雄

    竹中政府委員 入管法の五条に退去強制事由というのがございまして、その条文にひっかかった場合には、基本的にはまず入れないという判断をする、ただし、向こうからさらによろしくということで聞かれたときに、特別の事情があれば許してもいい、こういう仕組みでございます。
  73. 大林宏

    ○大林説明員 ただいまの局長のを補充してちょっと申し上げます。  入管法では五条で上陸拒否事由に該当しますが、入管法十二条の規定により、特別の事情があれば法務大臣はその上陸を許可し得る、こういうふうになっているのが入管法立場でございます。
  74. 木島日出夫

    ○木島委員 基本的に、現在、文鮮明は入管法五条に該当する人物であると確認していいですね。
  75. 竹中繁雄

    竹中政府委員 そのとおりでございます。
  76. 木島日出夫

    ○木島委員 それで、今全国のいろいろな団体、例えば統一協会のいわゆる霊感商法によってたくさんの国民が大変な被害を受けておるんです。私も、もう何件もそういう相談に乗り、解決のために努力をした経験は持っている一人でありますが、例えばそうした弁護士のグループ、全国霊感商法対策弁護士連絡会等々から、本年六月、文鮮明が日本入国するんじゃないか、その工作をしているんじゃないかという情報があるのを受けて、これはきちっと入国は認めないという措置法務省としてとってもらいたいという要求がたくさん法務省に寄せられていることは御承知のことと思うんです。  この要求に対する基本的な姿勢をまず法務大臣からお聞きをしたいと思います。
  77. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 いろいろ御指摘ございましたが、諸般の事情を踏まえて慎重に対処してまいります。
  78. 木島日出夫

    ○木島委員 統一協会は、先ほど申し上げましたように、全国各地で霊感商法と言われる反社会的なやり方でさまざまな物品を法外な値段で売りつけたりしてたくさんの被害者を生み出しているわけであります。全国でいわゆる金集めの集会なども開いております。  そこで、経済企画庁、お呼びしております。経済企画庁が所管する全国の消費者センターに寄せられた被害の実情を、できるだけ数字なども挙げながらまず明らかにしていただけませんでしょうか。
  79. 飛田史和

    ○飛田説明員 国民生活センターにおきましては、消費生活に関する消費者の苦情に対応したり、それから、各地の消費生活センターに寄せられた苦情、相談を収集、分析いたしております。  これによりますと、霊感商法を含みまして、占い及び祈祷サービス等を含む開運商法という形で分析いたしてございますが、開運商法に関する全国の苦情相談件数、これは平成四年度には約二千件ございました。平成五年度、六年度、七年度は約千二百件で、八年度、九年度におきますと約九百件、このぐらいの数字になってございます。
  80. 木島日出夫

    ○木島委員 被害額というのはつかんでおりますか。
  81. 飛田史和

    ○飛田説明員 申しわけございませんが、被害額については把握いたしておりません。
  82. 木島日出夫

    ○木島委員 これは公的セクターではございませんが、先ほど指摘をいたしました全国霊感商法対策弁護士連絡会というのが直接に相談に乗った分についての被害集計をとっております。これはもう私の方から示しますが、それによりますと、一九八七年から一九九七年までの十一年間、全国でいわゆる霊感商法等によって受けた被害について相談に乗った件数が一万八千八百四十一件、被害総額が何と七百億五千九百八十三万七千五百十七円というすさまじい金額に上っているわけであります。  昨年一年間だけをとってみましても、例えば被害弁連の東京分だけでも、相談件数が五百八十二件、被害総額が十二億四千百二十二万五千六百円、東京を除く全国の取りまとめですと、相談件数五十六件、そして被害総額が八億四千七百八十六万四千八百円。膨大な金額になっています。  この弁連の取りまとめでは消費者センターの分についても数字が載っておりまして、昨年一年間だけで消費者センターは百五十三件、八千二百七十六万六千九十一円の被害。弁連の方がちゃんと被害額をつかんでいるじゃないですか。何で経企庁はここで答弁できないのか、遺憾だと思うんです。消費者センターがつかんだやつも含めまして昨年一年間だけで七百九十一件の相談、そして二十一億七千百八十五万六千四百九十一円の被害額。現に、今日なおこういう大変な被害を各地にまき散らしているわけであります。  被害弁連の取りまとめによりますと、例えばどんな商品別の被害状況になっているかといいますと、一番多いのが「献金・浄財」、昨年一年間だけでありますが、三百七十二件で被害金額が六億八千七百四十四万四千二百円。その次に多いのは「ビデオ受講料等」ですか、五十八件、二百七十四万二千八百円。その次は「人参濃縮液」五十三件、二千二百六十万五千五百五十円。それから「印鑑」四十九件、千五百二十二万二千九百七十九円。それから「宝石類・毛皮」、これが四十四件、二千五百七十五万八千八百円。こういう状況であります。  そこで、警察庁もお呼びしているわけでありますが、統一協会及びその会員が引き起こした、こうしたいわゆる霊感商法と呼ばれるようなさまざまな詐欺的手法に基づく事件が刑事事件としても告発されたり立件したりしているものがたくさんあろうかと思うんです。警察庁が取りまとめた被害の件数、また被害額、詳しく御答弁いただきたい。
  83. 柴田健

    ○柴田説明員 過去五年間に警察庁に報告がございました悪質商法に係る事件の検挙のうち、統一協会に関係があると判明しておるものはございません。
  84. 木島日出夫

    ○木島委員 悪質商法で警察庁がつかんでいるのは何件なんですか。そのうち統一協会にかかわるものはございませんというのは、そういう内訳は全部明らかにされているのですか。
  85. 柴田健

    ○柴田説明員 悪質商法もさまざまなものがございますが、いわゆる霊感商法、霊視商法というものに限って見てまいりますと、この五年間で十七事件の三十三人を検挙いたしております。この内訳は、祈祷料をだましにいったのが八事件、印鑑、仏像などを販売したものが九事件。罪名的には、詐欺あるいは恐喝あるいは訪問販売法、多岐にわたる法令を駆使して取り締まりを行っているところでございますが、先ほども申し上げましたように、そのうちに統一協会に関係していると判明しているものはないという状態でございます。
  86. 木島日出夫

    ○木島委員 統一協会という名前ではなくて、言ってみれば統一協会のダミーのようないろいろな団体がつくられているわけですが、いわゆる関係団体というのでしょうが、そういうところがらの被害についても警察は一件も把握していない、そういう意味でいいのですか。
  87. 柴田健

    ○柴田説明員 ただいま申し上げましたのは、事件として検挙した件数を申し上げているわけでございまして、先ほど先生がおっしゃっておられました連絡会の弁護士先生方等も含めまして、相談等は受けているという状況でございます。
  88. 木島日出夫

    ○木島委員 それなら、相談件数を言ってください。件数と金額。
  89. 柴田健

    ○柴田説明員 詳細、件数等については把握しておりません。
  90. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、これだけ大きな問題が現にまだ起きているという状況にあって、警察の対応は非常に手ぬるい、おかしいと思わざるを得ないのですね。もっときちっと、警察の目的に従って承知してほしいと要望だけしておきます。  時間の関係で、文部省にお聞きしたいと思うのです。  統一協会は宗教法人法によって設立を認められた宗教法人でありまして、文部省が所管していると聞いております。所管庁として、このような数々の反社会的な行為をどう把握しているのか、把握している内容を明らかにしてほしいと思います。そもそも、宗教法人としての設立が認められた法人であるわけですが、文部省として、この組織をどう総体的に認識しているのか、御答弁願いたい。
  91. 前川喜平

    ○前川説明員 いわゆる統一協会、世界基督教統一神霊協会は、昭和三十九年の七月に、当時の所轄庁であります東京都知事から認証を受けまして設立された宗教法人でございます。渋谷区に所在地がございまして、代表役員は、現在、本年の三月より江利川安栄という者が代表役員をやっておる、そういう宗教法人でございます。宗教法人法の改正に伴いまして、平成八年の九月より、所轄庁が文部大臣に移っております。  この統一協会につきましては、マスコミ等でさまざまな問題が指摘されているということは私どもも承知しております。私どもといたしましては、所轄庁の立場で、所轄しております法人ということで、統一協会から任意に事情聴取するということはこれまでもしてきております。また、統一協会をめぐる裁判がたくさん起こされておるということも承知しております。裁判の相手方となっている方々、特に被害弁連の方々からもお話を伺っておるということでございます。  これまでの裁判例といたしまして、最高裁まで上がったものもございますので、このような裁判例につきましても詳細を検討しておるというところでございますが、私ども法律上与えられております権限というのは、宗教法人としての法人格を与えるか与えないかということについての権限に限られております。  具体的に申し上げますと、営利事業、収益事業を行ったような場合につきまして、これが宗教法人としての目的に反するような場合にその収益事業の停止を命ずることができる。また、認証後一年以内に限りましては取り消しができますけれども、統一協会につきましては一年を超えているということで、私どもにできますのは、裁判所に対しまして解散命令の請求をするという手段があるわけでございますけれども、これは法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたというようなケースに限られておるわけでございまして、これまでこのケースに当たったというのはオウム真理教一件でございます。  私どもといたしましては、これまでの統一協会をめぐる訴訟等の動きを見ておりますけれども、この解散命令の請求に当たるようなところまで至っているという判断はしておらないわけでございまして、私どもとしては、今後とも関心を持って見守ってまいりたいと思っておりますけれども法律上の権限を発動するというところまではまだ至っていないというところが現状でございます。  以上でございます。
  92. 木島日出夫

    ○木島委員 質問を変えますが、文鮮明は九二年三月に日本入国しているわけであります。故金丸信代議士等の口ききによって、東北アジアの平和を考える国会議員の会との意見交換が、いわゆる特別事情として入国を認められた理由になったように見受けられますが、改めて私は法務省に聞きたいと思うのです。  当時、我が党も参議院法務委員会でこの問題を取り上げまして、入国を認めるべきではないという立場質問した経験を持っております。さかのぼる話でありますが、あのとき入国を認めた根拠は何だったのですか。
  93. 竹中繁雄

    竹中政府委員 当時の入国した際の入国目的が、今後の朝鮮半島及び北東アジアの平和のあり方について、我が国北東アジアの平和を考える国会議員の会のメンバーとの意見交換にあるということ、及び米国で受けた刑の確定後既に七年余りが経過していることを考慮して、その上陸を特別に許可したのでございます。
  94. 木島日出夫

    ○木島委員 国会議員の会との懇談が中心的な入国目的と伺いましたが、九二年に、文鮮明は法務省の許可を受けて、三月二十五日に日本入国して四月一日に出国しております。この間の文鮮明の日本国内の行動について、どうだったのか、本当に入国目的に徹していたのかそうでないのか、法務省はつかんでおりますか。
  95. 竹中繁雄

    竹中政府委員 文鮮明氏は、当時日本入国した後で、北東アジアの平和を考える国会議員の会のメンバー等の国会議員の方々と意見交換を行っているほか、統一協会の東京教会、名古屋教会及び大阪教会を訪問したと承知しております。
  96. 木島日出夫

    ○木島委員 統一協会歴史編纂委員会というところが「史報」という文書を発行しているわけです。ここに、一九九二年の三、四月合併号でしょうか、写しを持ってきております。そこに、三月二十五日から四月一日までの文鮮明の行動が克明に記載をされております。  簡単に拾っただけでも、三月二十六日、信者の歓迎会出席。三月二十七日、本部教会で一千人の信者、四百人の職員らへの講義、三百名のアジア平和連合の幹部に講義。三月二十八日、名古屋で信者に講義。三月二十九日、大阪の宝塚修練所で一千人の信者に講義。三月三十日、統一協会傘下企業である株式会社WACOMを視察し、その後、議員との夕食会に参列。さらに三月三十一日に、統一協会の事業部的存在である株式会社ハッピーワールド、いろいろな問題を起こして社会的にも名前が取りざたされた企業でありますが、これを視察し、そこで議員との懇談になるわけです。中曽根、金丸各議員と順次会談、統一協会傘下の新聞社である世界日報視察。  こういう一連の足取りを見ますと、ことし六月に文鮮明が日本入国する動きがあるということで、今度は認めないでほしいという要望書を被害弁連が法務省その他外務省にも文部省にも出しているわけでありますが、そこで記載しておりますように、九二年三月末から四月への入国については、今御答弁にありましたように、国会議員の会との意見交換というのは、これは確かにやりましたが、しかしそれはやはり名目であって、本当のねらいは、その前段に彼がずっと行動したように、自分の組織内の活動だったのじゃないかと指摘されているわけですが、こういう見方がもっともじゃないかと思うわけであります。  先ほど、被害弁連の被害額を出しました。九二年、彼が入国したこの年、全国で千七百件を超える被害そして六十二億近くの被害金額。以下、九三、九四、ずっと毎年莫大な被害を出している。無法なことをして、不当なことをして国民から金を巻き上げる、そういう人たちに対するいわゆる抗議というのをやっているのですよ。  そうしますと、私は、改めて振り返って考えて、九二年三月に法務省が国会議員の会との懇談を名目に文鮮明の入国を認めたというのは、いわゆる特別事情法律上使ったのでしょうが、やはり正しくなかったのじゃないかと指摘せざるを得ないわけです。どうですか。
  97. 竹中繁雄

    竹中政府委員 上陸許可をした外国人については、その在留中の活動の把握に努めておりまずけれども、前回の文鮮明氏は、基本的には入国目的範囲内での活動をしたと承知しております。
  98. 木島日出夫

    ○木島委員 本当に理屈にならぬですよ。最後の日に、夜から次の日にかけて国会議員と懇談しただけじゃないですか。その前に何日間も、信者を集めて、数千人ですよ、大集会をやって檄を飛ばしているじゃないですか。今、法務省は本当にそんな立場でいるんですか。それだったら、またこうした被害はますますふえる。  先ほど人権という問題も指摘されましたね、被害者の人権こそしっかり守らなければいかぬと。こういう活動がふえれば、ますます詐欺的商法による被害者が全国各地にふえるということになるんじゃないのでしょうか。法務大臣にこれは答弁をいただけますか。
  99. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 入管法十二条は法務大臣の特別許可が認められている条文でございまして、この適用によって前回やったものだと思いますが、委員の御発言の趣旨も私はよくわかるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、従来の経緯を踏まえて、慎重にと言いましたが、極めて慎重に対処いたします。
  100. 木島日出夫

    ○木島委員 ここに、世界平和統一家庭連合、これは統一協会の下部組織といいますか関連団体の一つでありますが、これが「全会員の皆様へ」と出した文書を持ってきております。「救世、救国、統一のための「全国訓読大会」と「特別精誠献金」について」と題する文書であります。ここで、大変な金集めの号令を出しているのですよ。  特に日本におきましては各家庭が、二月二日、御聖誕日というんですか、これまでに百六十万円、日本全国としては四億ドルを救国支援することにより、相対国家、母の国としての位置を復帰する信仰基台を立てることが願われております。これはことしですよ、二月。四億ドル、すさまじい金をこの日本国内で集めまくれと号令を発しているのですよ。そのための入国目的じゃないのでしょうかね。今、六月に文鮮明が入国を取りざたされておる。  実は私は長野でありますが、冬季オリンピックの会場になったエムウェーブを借りて大集会をやることが計画されていた。この団体から長野市に対して使用申請が出ていた。しかし、もう現地は大反対ですよ、当然。それで、抗議運動が展開される中、どうも長野市のエムウェーブ、オリンピック会場の使用申請は取り下げたか撤回したというふうに私は伝え聞いておりますけれども、こういう状況であります。九二年の状況もありました。  先ほど答弁が一歩前進したようには思いますが、こういう状況でありますから、もう入国を断じて認めるわけにはいかない。禁錮一年ですか懲役一年ですか、実刑判決を受けた経歴を持った人物であるわけで、入管法上の基本原則からいったら入国は認められないですから、認められないという態度を貫けばそれでいいんじゃないですか。  法務大臣、どうでしょうか、ここで、仮にそういう申請があっても受け付けるわけにはいきませんと答弁できないんですか。
  101. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 十分慎重に対処いたします。
  102. 木島日出夫

    ○木島委員 大分修飾語が変わりましたから、時間の関係でこの辺にしておきますが、単に入国法律に基づいてきちっととめるというだけではなくて、現に全国各地で展開されているこういう違法、不当なやり方、これに対しては法務省としてもきちっと監視をするということをお願いしておきたいと思います。  時間がもうなくなってしまいましたので、最後に一点だけ違う問題、中国残留孤児の問題についてお聞きをいたします。  外務省、厚生省にお聞きしたいのですが、昭和五十九年三月十七日に日中両国政府間で中国残留孤児問題の解決に関する口上書が交換されたとお聞きしております。簡潔で結構でありますから、どのような取り決めがなされたのか。  ついでに、時間の関係がありますので、中国残留孤児の日本への帰国者の数は幾らか、そのうち身元が判明した者の数、未判明の者の数、それをお聞きしたいと思います。
  103. 松永正史

    ○松永説明員 口上書の関係外務省からお答えいただきますけれども中国残留孤児の永住帰国者の数は、四十七年の日中国交正常化以後ことしの三月末までで二千百八十七人でございます。内訳でございますが、身元の判明孤児が一千六人、身元の未判明孤児は一千百八十一名でございます。  口上書の関係外務省からお答えいたします。
  104. 阿南惟茂

    阿南政府委員 昭和五十九年当時の口上書が今ちょっと手元にございませんので内容の詳細は申し上げかねますが、基本的な考え方は、中国側の協力を得て、孤児の皆さんの存在を調査して、日本における親族との出会いを実現するように日中間で協力していこう、そういう取り決めを口上書で交わしたわけでございます。
  105. 木島日出夫

    ○木島委員 簡単に申し上げますが、口上書が取り交わされて、中国に残留する孤児についての帰国に対してさまざまな援助が行われるようになった。そしてまた、日本に来た皆さんへの自立のための援助ですか、それがいろいろな形で、主に厚生省を中心にして取り組まれております。大変ありがたいことだと思います。  その中で、平成六年四月六日に、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律というのが成立をいたしました。画期的な法律だと思うのです。ここで、第二条の「定義」のところに、   この法律において「中国残留邦人等」とは、  次に掲げる者をいう。  一 中国地域における昭和二十年八月九日以   後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げるこ   となく同年九月二日以前から引き続き中国の   地域に居住している者であって同日において   日本国民として本邦に本籍を有していたもの   及びこれらの者を両親として同月三日以後中   国の地域で出生じ、引き続き中国地域に居   住している者並びにこれらの者に準ずる事情   にあるものとして厚生省令で定める者こういう定義でありますから、中国残留孤児というのは日本人であるという、たまたま、戦後のああいう状況の中で中国人に助けられ、中国人に養育され、中国国籍も取得して生活はしているでしょう。しかし、それは歴史上の事情があるからであって、日本人である。そして今回、口上書によって日本に帰還する。また、この法律によって救済される。これはあくまでも日本人、歴史上の大変な被害を受けた皆さんへの援助をすべきだという観点から立法され、この法律に基づいて、今厚生省を中心にしてさまざまな支援が行われていると思うのです。  厚生省にお聞きしたいのですが、この支援というのは、もう国籍とか戸籍が、現に、形の上でどうかということにかかわらず、日本人であるという観点でこういう支援を行っていると理解するものでありますが、そんな理解でいいのでしょうか。
  106. 松永正史

    ○松永説明員 お答えします。  中国残留孤児は日中両国政府によって日本人だと認められた人間でございますので、国籍や戸籍の要件とかかわりなしに援護対策を実施しているところでございます。
  107. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございます。  それで、最後に法務省にお聞きしたいのですが、こういう法的地位にある中国残留孤児の皆さんが、もう今六十ぐらいになっているでしょう、二世、三世を連れて日本国内に入国して永住するわけでありますが、お聞きをいたしますと、そういう皆さんに対して、法務省は今なお外国人として扱って、指紋押捺をさせ、外国人登録をさせている。これが非常に精神的な衝撃を受ける。また、三世なんかは今、小学校、中学校という年代でありますが、外国人として扱われて、そのことゆえのいじめに遭って、大変な社会問題にもなっている。そういう状況を是正、打開してもらいたいという、大変深刻なる要請が来ているわけであります。  私は、少なくとも残留孤児を、今厚生省がお述べになりましたように、中国政府日本政府日本人だということを認定したから、この法的ルールの上に乗せて、帰還を認め、永住許可を認め、国籍取得なんかも容易にさせているのですから、それを、法務省が入ってきた皆さんを外国人として扱って登録させる。これはもうやめるべきじゃないか、やめてほしいと思うのですよ。  もう時間だというので、法務大臣、どうですか、そういう方向に向かって行政を転換するという決意を述べていただけませんでしょうかな。
  108. 大林宏

    ○大林説明員 お答え申し上げます。  中国残留孤児のうち、日本国籍が判明している方については外国人登録の必要がないことは言うまでもございません。  しかしながら、日本国籍があることがやはり判然としない、しかも、中国側が中国旅券で帰国させる、こういう方々につきましては、私ども入管法、外国人登録法上は、とりあえずやはり外国人としての入国及び外国人登録の手続をとらざるを得ない、こういう状況にございます。
  109. 木島日出夫

    ○木島委員 中国政府中国旅券入国させるというのは形ですよ、便宜ですよ、そんなものは。  この法律の基本精神、口上書の基本精神は、中国政府日本政府も、中国に残留した、そういう日本人であるということを認定したからこそ、救済の手を差し伸べているのでしょう。  だから、入国の手続は、その手続があるからしようがないかもしらぬです、入管法を使ってもしようがないかもしらぬ。しかし、一たん日本に上陸した以上は、もうそんな法的手続はやめて、これはきっちりした日本人として処遇をする。  今日本国籍がなかなか取得できないというのは、もう戦後五十年たっていますから、なかなか昔のいろいろな状況を収集しても国籍取得が困難な皆さんであろうと思うのです。そんな皆さんだからこそ、なお温かい処遇が必要じゃないのでしょうか。  あんたは外人だ、外国人登録せいなんというのは、そういう皆さんに対してはとんでもないことだと私は思うので、政策転換の方向に踏み出すことを法務大臣に一言お願いして、終わります。
  110. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 細かくはいろいろな問題があろうかと思いますが、大筋としては非常に大切な問題でございますので、その辺のところを受けまして、前向きに検討いたします。
  111. 木島日出夫

    ○木島委員 終わります。
  112. 笹川堯

  113. 保坂展人

    ○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  今回の入管法難民認定法改正問題に当たって、まず、中国との関係について二点ほどお尋ねをしたいと思います。  これまで、台湾からの日本への入国者が極めて変則的な手続で日本に渡航をしていた、そこのところを簡素化してというこの法案趣旨でございますが、これは台湾当局を入管法上の旅券の発行機関ということで正式に認めることになりはしないか、このことは、中国政府に対して、我が国台湾当局を合法政府というふうに認知したというのと同様の印象を与えかねないのではないかと懸念を感じるのですが、中国との関係を十分に配慮した上での今回の法改正だったのかどうかについて、これは外務省法務省、両方聞きたいと思います。
  114. 阿南惟茂

    阿南政府委員 中国との関係についてのお尋ねでございますので、外務省の方から、まずお答えを申し上げます。  今先生おっしゃいましたように、まさにそういう印象を与えかねないという懸念があったということは事実でございまして、中国側も確かに当初そういう懸念を表明していたわけでございますので、私どももこの法改正作業の当初から、中国側のそういう懸念に十分配慮いたしまして、何度も、この法改正趣旨日本政府の基本的立場、決して台湾に対する日本政府の、日中国交正常化のときの共同声明に明記されました立場が変わるわけではないということを、十分に説明をしてきた経緯がございます。
  115. 竹中繁雄

    竹中政府委員 現行の入管法では、旅券定義が書いてございますが、そこで、関連の部分だけ申しますと、日本政府の承認した外国政府の発行する云々ということが書いてあるわけでございます。このままでは台湾護照も認めるわけにいかないということで、今回の改正では法文上も、さっき言いましたようなことが書いてある部分ですが、「政令で定める地域の権限のある機関の発行したイに掲げる文書に相当する文書」、こういう書き方になっておりまして、台湾当局を政府として承認したものにならないことは非常にはっきりと明記しているつもりでございます。
  116. 保坂展人

    ○保坂委員 つい先日、小渕外務大臣中国の外務大臣の会談で、この問題について若干の懸念を中国側が表明をしたと伝えられております。この懸念に対して、今回の法改正、確かに台湾からたくさんの方がいらっしゃる、よって、便宜的な改正であるということは、この懸念を踏まえても十分に中国の理解を求めることができるのか、もう一回外務省にお願いします。
  117. 阿南惟茂

    阿南政府委員 事実関係といたしまして、先般ロンドンで行われました日中外相会談で、先方からこの問題が提起されたということはございません。すなわち、外相レベルでこの問題が中国側から持ち出されたということはないということでございますが、一般的に、中国が、日本台湾との関係、そして本法令改正に関心を持っていることは事実でございまして、私どももそういうことで累次説明をしてきております。  ただ、日中間の政治問題、過去の例から見ましても、十分慎重に対処しないと意外に大きな問題に発展するということも間々ございますので、私どもも、その点については中国側の懸念にも十分意を用いまして、中国側は、運用等の面でも対外的に誤解を与えないように注意してもらいたい、慎重に対処してくれということを言っておりますので、その点については十分に留意をする必要があるというふうに考えております。
  118. 保坂展人

    ○保坂委員 では、今の、中国側に十分理解を求めるということを本当にきっちりやっていただくということを改めて要請をして、次に、入管の取り扱いの問題に移りたいと思います。  UNHCR、大変日本にもなじみの深い国連の組織ですけれども日本難民認定機関に申請をして、そしてついに取り下げて第三国に出国をする人たちがこのところふえているということが新聞等で伝えられております。どのくらいの人数の方が例えばどんな国にここ最近は出国していったのかということを、法務省にお答えいただきたいと思います。
  119. 竹中繁雄

    竹中政府委員 平成七年以降でございますが、我が国難民として認定しなかった者のうちUNHCRが難民認定して第三国へ出国させた例は、五件八名と承知しております。行き先でございますが、ノルウェー、デンマーク等北欧の国が中心でございます。
  120. 保坂展人

    ○保坂委員 再三この委員会の審議でも言われていたように、難民認定が年間でたった一人、そして、待っても待っても結論が出ないので、これはUNHCRに直接願い出て、もうこの国での難民申請はあきらめるというふうになっていることは、入管行政として甚だ動脈硬化をしているというふうに思いませんか。この点の見解をただしたいと思います。
  121. 竹中繁雄

    竹中政府委員 私どもといたしましては、入管難民法に基づきまして、誠実にこの認定業務をやっているつもりでございます。
  122. 保坂展人

    ○保坂委員 実は、去年もこの委員会でこのことを聞いているわけなんですけれども、そのときにも、なるべく速やかにその認定がおりるように努力をしたいということを答弁で答えられている。一年たったんです。どのぐらい速やかにおりるようになったのか、具体的な果実はありますか。努力をしてこういうところが、入管のインタビューにしても手続にしても、例えば、去年半年かかっていたものがことしはもう二カ月でできるようになっているというような具体的な前進はございますか。
  123. 竹中繁雄

    竹中政府委員 昨年も委員から同じ指摘を受けまして、それを踏まえて入管サイドでも幾つかの努力をしております。その最大のものは処理案件をふやすということでございまして、それまでは、難民調査官というのはもちろん当然いるわけですけれども、これが日本全国の地方入管に散らばっておりまして、その結果、専従者というのはほとんどいないという状況でございました。それを改めまして、基本的に、ヒューマンリソーセスを東京局と大阪局、特に東京局に集中するということをこの間の国会の御審議の後始めております。  その結果、今東京局では専任の難民調査官が三名、それに専任の事務官が二人ということで、専任五人でやっておるという体制になっております。大阪はもっと少ないんですが、難民調査官が、これも専任一人、これまでは大阪にいなかったんですが、そういうものを置いて処理しているということで、なおかつ日本全国の地方入管を大体中部で分けまして、いろいろな問題、申請があったときは、そこでやらないで、基本的に東京なり大阪に持ってくるということによって知識の集積を図るということに努めてまいりました。  その結果でございますが、おととしの数字で処理案件が年間で大体五十ぐらいだったものを、去年はそれを百にするということで、処理のスピードは大ざっぱに言って倍にしたということでございます。  ただ、難民申請者の数がこのところ急増しております。例えば、平成元年からぱっと言いますと、元年五十、二年三十二、三年四十二、四年六十八、五年五十、六年七十三、七年五十二という数字だったんですが、平成八年には百四十七、それから平成九年には二百四十二ということでふえているものですから、未処理案件は残念ながらなかなか減らないということでございます。
  124. 保坂展人

    ○保坂委員 スピードをアップして不認定のスタンプをどんどん押していくということは必ずしも充実ではないんですけれども。  外務省にお尋ねしますけれども、私どものおつき合い、お話を聞く中で、私はあえてビルマというふうに呼びますが、ビルマからの難民申請の若者たち、あるいは中年の方もいらっしゃいますけれども、現在の政権には戻れない、ビルマの国内ではかなり苛烈な、新聞報道等でマークされている、いわゆる政治犯的な扱いをされている方も含めて、日本国内でかなりの数に上ると思いますが、難民申請中でございます。  我が国とビルマ政府との関係、ODAの問題もあります。人権を守る、あるいは軍事的な圧制であるということを定義づけた橋本政権の見解は今も変わらないのか。そして、これだけ多くのビルマの難民申請の方が日本にいて結論が出ないという状況外務省はどうとらえるのか。お答えいただきたいと思います。
  125. 阿南惟茂

    阿南政府委員 ミャンマーの国内情勢につきましては、先生今御指摘のような要素があることは事実でございまして、これは、一番大きな内政上の問題、国際社会が問題にしております点は、現在の政権、軍事政権とNLD、スー・チー女史が率いる民主勢力との関係、対話が行われていない。そういうことがミャンマーの民主化という観点から遺憾とされているところでございまして、そういうことに加えて、少数民族問題等ももちろんございます。人権問題が存在していることは事実でございますが、政府といたしましては、累次現在の政権に対して、政治面では民主勢力との対話を進めるように促すとともに、人権状況の改善については、これも累次申し入れをしているところでございます。  ODAというようなお話がございましたが、ミャンマーのそういう状況は国内では余り変わっていないのでございますけれども、やはり昨年七月にASEANに加盟してから、周囲の、特にASEAN諸国のミャンマーとのつき合いというのが随分変わってきておりまして、何とか国際社会に引き入れようという努力が周辺の国から行われております。そういう中で、先生おっしゃいましたODA、言及されたのはヤンゴン国際空港のことも含めてかと思いますが、そういう中で、日本は安全面の改善ということに限ってODA案件を再開した。再開というのはその案件に限ってでございますが、そういう事実がございます。  おっしゃいましたように、国内の人権問題は依然として前進がないので、その際も、そういう点での改善を図るように現政権に強く言っております。
  126. 保坂展人

    ○保坂委員 どうも答えが、外務省なので外ばかりの答えでしたけれども、外交というのは国内にもあるわけでございまして、ビルマの軍事政権の圧制を逃れて、日本国内にこれだけの方が今おられる。そして、これはもう一度法務省に戻りますけれども、ビルマからの難民申請者で、申請中に身柄を収容されている方も今いますね。これは、UNHCRの定めた、申請中の者は身柄を拘束すべきではない、こういった執行委員会の報告に明らかに矛盾するのではないかと思います。  今、入管の方ですぐ出ますか、ビルマの方が何人申請しているのかという数字。もし出たらそれもあわせてお願いをしたいし、今の外務省の軍事政権という言葉もあったわけですから、まさに難民申請に値する事情がある方たちが多数含まれているということに対して、法務省入管姿勢を問いたいと思います。申請中の方を、数も含めてお願いします。
  127. 竹中繁雄

    竹中政府委員 ミャンマーから来られた方で難民認定申請をされている方の数は、七十という数字です。
  128. 保坂展人

    ○保坂委員 前の質問を忘れちゃったみたいなんで、じゃ、ずばり聞きますけれども、この前問題になった上陸防止施設の問題ですね。この上陸防止施設というのは、これは東京新聞の土曜日にも出ていますが、法務省入管のOBの方が独占的に受注をしている。約半数がこのOBの会社によって運営をされているじゃないかという指摘もありますね。  それで、これはどういうものなのかはっきりしないわけです。私が入手した資料では、これは去年ですが、現金を七万円近く持って入国された方が成田空港の入国防護施設に拘禁をされて、どうも一カ月以上そこにとめ置かれた。待遇もよくないですね。シャワー等があった、運動も若干外へ出たのみという状態で、この前も言われているように、短期間じゃなくて、長期という場合があるわけです。この場合には、滞在費というのはどうなるのですかね。  そして、この上陸防止施設、防護施設の性格づけ、これは一体だれが責任を持って、民間の業者に委託するならどういう契約をもって委託をしているのでしょうか。
  129. 竹中繁雄

    竹中政府委員 上陸防止施設の法的性格でございますが、これは国の施設でございます。その運営も国が行う。場合によってはその業務の一部を委託することはございますが、基本的に国の施設で、国が運営するということでございます。  食費はだれが負担するかということでございますが、入管法規定によりまして、食費に関しましては当該者を運んできた運送業者がこれを負担するということになっております。
  130. 保坂展人

    ○保坂委員 いや、ところがこの方は、上陸後一カ月以上たって難民申請をされて、そのまま、いろいろ不許可になったりもう一回やったりしながら、仮上陸許可が出ているわけですね。その際にお金を返してくれなかった。飲み食いした金だということらしいですね。現在UNHCRの方が間に入って還付を請求中である。こういうことが起きているということは御存じでしたか。
  131. 竹中繁雄

    竹中政府委員 法律的にはそういうことで、運送業者が食費を負担するということになっているのですが、その後、その負担した食費分を運送業者が当該旅行者から取り立てるかどうかは、その当事者間同士の話ということになっております。
  132. 保坂展人

    ○保坂委員 そうすると、難民申請日本に何らかの事情で圧制を逃れて申請をしたいという方の一番最初の入り口は空港なわけですね、今の時代。その上陸防止施設にとめ置かれて、何だかんだ言っている間に時間がたっちゃった。そして、その問の飲み食い代は払いなさいよと、すってんてんになって出される。こういう状態が起きるわけですね。  それで、前回の北村議員の質問にもありましたけれども申請中の人はどうしたらいいのですか。要するに、食事はしなくていいのですか。どこに泊まるのですか。病気になったらどうするのですか。これは、なるべく善処しますじゃなくて、具体的に答えてください。道路に寝た方がいいのか、食事はしない方がいいのか。それはもうはっきりさせましょう。
  133. 竹中繁雄

    竹中政府委員 上陸防止施設は、前にも御説明しましたけれども、本来余り長くとめ置くべきところではないわけでございまして、二、三、長期にとめ置いた例があったそうでございますが、それは我々としても必ずしも好ましいことだとは思っておりません。最初そういう上陸防止施設に置く場合も、その性格によるでしょうけれども、あるいは仮上陸を認めるなり、あるいは非常に明らかに、これでもって不正に日本に入ってきて不法就労をやろうということが非常にはっきりしているような方については、説得して早く外に出てもらうなりということで、余りそこに長くいてもらわないようにしょうと思っております。  それから、そのいずれにもなじまないケースの場合には、出ていってほしいといって出ないわけですから、一応退去強制手続というのを開始いたしまして、難民認定手続と退去強制手続を同時並行的に進めるということになろうかと思います。その過程で仮釈放というものを検討するという余地もあろうかと思います。
  134. 保坂展人

    ○保坂委員 これは都合が悪いと答えないみたいですけれども、民間会社が上陸防止施設を運営しているわけです、航空会社、運送業者が。そうしたら、民間会社にどうして拘禁する権利があるわけですか。どういう法に基づいているのか。そして、それが有料であるか否かというのはだれが決めるのですか。言葉もわからず日本にやってきて、難民申請をしようとしたらとめ置かれて、おまえのお金全部かかったよと言われて召し上げられる。これは文明国の姿ですか。
  135. 竹中繁雄

    竹中政府委員 先ほど言いましたように、基本的には上陸防止施設には長くとめ置かないようにしたいと考えている次第でございます。  先ほど、どういう根拠に基づいて食費を民間会社に負担させているのかということでございますが、これは私ども入管法上の規定に基づいてそうしているわけでございます。
  136. 保坂展人

    ○保坂委員 耳に入らないのですか。民間会社に負担させているというのじゃなくて、民間会社がとめ置いているわけですよ。そして、食費も取ってしまっているわけです。取ってしまっているというのも、それはそういう判断がありましょうというふうに答えているのです。それが法に基づいたことなのかどうかということを聞いているのです。
  137. 竹中繁雄

    竹中政府委員 法に基づいたことでございます。  法律上は、上陸拒否された人を送還する責任は運送業者にある、したがって、そのための費用、それから場合によっては出てもらうまでの身柄の確保等は運送業者の責任である、このように規定されております。
  138. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、法務省入管OBの方が会社を設立されてこれらの運営に当たるというのも法に基づいたことなんですか。たまたま偶然会社ができてしまうものなんですか、これは。
  139. 竹中繁雄

    竹中政府委員 法務省入管OBの方が警備会社をつくられたということは事実でございますが、その会社とどうして随契をしたのかという御質問だと思います。  会計法上も、国家の秘密に関することに関しては随契ができるという法律がございまして、その法律に基づきまして、幾つかの契約については、業務委託については随契でやっております。ただ、この随契の相手先は、先生のおっしゃったところだけではなくて、それ以外のところとも随契をやっております。
  140. 保坂展人

    ○保坂委員 この施設の中で、食費の問題もさることながら、暴行あるいは暴言も含めて人権侵害が起きているという訴えがあるので、国会議員としてこれらの施設をきちっと見せていただきたいと思いますが、いかがですか。
  141. 竹中繁雄

    竹中政府委員 ぜひ一度ごらんいただきたいと思います。
  142. 保坂展人

    ○保坂委員 それで、法務大臣に最後に伺いますが、実は日本難民条約、この仕組みができて、ごらんのとおり一人しか認定されていないわけなんです。ところが、インドシナ難民の方が大量に日本に大挙して上陸されたときには、閣議了解難民という形をあのときとりました。そして、一時上陸許可という手続で日本に入ってきたわけですね。定住促進センターですとかいろいろな施設を当時つくりました。  ところが、去年聞いた時点では、条約認定された難民、つまりいろいろな手続を経て難民として認めますよと言われた方が、その定住促進センターに入れないという問題が一年前あった。現在解決されていればそういうふうに言っていただきたいのですが。国際的なルールに基づいて難民認定をやりながら、日本語を勉強したりいろいろな技能をつけたりというところに入れないというこんな現実を一年前まで、ひょっとしたら今もそうかもしれません。そのあたり、やはり改善にしっかり踏み出してほしいということを法務大臣にちょっと御答弁いただいて、終わりにしたいと思います。
  143. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 今委員指摘のようないろいろな問題があることも承知いたしております。それから、難民認定の問題について、昨年の同じころ委員から、遅いじゃないか、どうするのだというふうな全く同じような御質問があったことも承知いたしております。  政府委員から答弁いたしましたように、一昨年はその処理が五十名、それから昨年は百名余りというふうなことで、結果として認められた人は一人ずつしかいませんけれども、私が承知しておりますのは、現在三百三十二名ですか、申請中の方がおられると思います。申請者もふえている状況で、処理状況が追いつかない。これは極めて遺憾なことでございます。  それで、入管関係者と今相談いたしておりますけれども、ここ数カ月の間に、やはりこの問題について一応のめどをつけるぐらいにひとつ対処しようじゃないか、そしてそういうような中で認定できる人は認定するというふうな形でやろうというふうなことで、つい最近そういうふうな議論をして法務省としての方針を決めました。  それから、高等弁務官の認定と我が方の認定と差があるというふうなことも事実でございます。その辺のところは若干認定の仕方なり基準が違うようなところもあるようでございますけれども、それはそれでいいのかどうかというふうなことも詰めてまいりたいと思います。  それから、今お話がございましたように、上陸防止施設の中に入れる人というのは、本来は次の航空便で退去強制される人を待っている順番で、これは数日間というのが現状でございますが、中に今御指摘のようなことも出てこようかと思います。  こういうふうな問題も一つ一つやはり解決してまいりたいというふうなことで、オーバーステイの二十八万人を何とか減らそうじゃないかということで、一生懸命集中摘発しまして、やっと二十七万六千台ぐらいまで昨年は下がったわけでございますが、これはこれで継続しつつ、今御指摘のような問題につきましても精力的に対処しまして、できるだけ早い機会に、この問題はいろいろ不透明なところも御指摘のようにないわけじゃないと思います。そういうようなことがあってはよくございませんので、軌道に乗っけてまいりたいというふうにこれはお約束いたします。
  144. 保坂展人

    ○保坂委員 あと一点、定住促進センターに難民認定された人が今のところ入れないというこの壁も取り払っていただきたい。そこの点だけ法務大臣、お願いいたします。年間一人です、今のところ。定住促進センターに入れるようにやはり善処していただきたいと思います。
  145. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 その辺のところは、残念ながら私はよくつまびらかでございませんので、検討させていただきます。
  146. 保坂展人

    ○保坂委員 では、前向きに。  終わります。
  147. 笹川堯

    笹川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  148. 笹川堯

    笹川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。      〔賛成者起立〕
  149. 笹川堯

    笹川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 笹川堯

    笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  151. 笹川堯

    笹川委員長 次に、内閣提出参議院送付外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。下稲葉法務大臣。     —————————————  外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特   別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  152. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、我が国の渉外的法律関係の一層の安定を図る等のため、外国法事務弁護士に係る諸規制を緩和しようとするものであります。  その改正の要点は、次のとおりであります。  第一に、外国法事務弁護士となる資格の承認基準の一つである外国弁護士としての職務経験要件について、必要とされる期間を三年以上とし、これを短縮するとともに、外国弁護士となる資格を取得した外国以外の外国において法律業務を行った経験についても、一定の要件のもとに右の期間に算入できるものといたしております。  なお、我が国における労務提供についても、一定の要件のもとに通算して一年を限度として外国弁護士の職務経験に算入できるものといたしております。  第二に、外国法事務弁護士の職務範囲を拡充し、指定法に関する法律事務以外の特定外国法に関する法律事務についても、一定の要件を満たす外国弁護士等の書面による助言を受けて、これを行うことができるものといたしております。  第三に、外国法事務弁護士と我が国の弁護士との共同の事業について、目的に関する規制を緩和し、外国法の知識を必要とする法律事務、当事者の全部または一部が外国に住所または主たる事務所もしくは本店を有する者である法律事件についての法律事務等を共同事業の目的とすることができるものといたしております。  以上が、この法律案趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  153. 笹川堯

    笹川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  午後四時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十三分休憩      ————◇—————     午後四時四分開議
  154. 笹川堯

    笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  本日、最高裁判所白木刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 笹川堯

    笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  156. 笹川堯

    笹川委員長 内閣提出参議院送付外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。八代英太君。
  157. 八代英太

    ○八代委員 私は、一昨年十月衆議院に参りましてから初めての質問でございますので、大変なれておりませんがお許しをいただきまして。  外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案、いよいよ審議に入ったわけでございます。これはなかなか複雑な制度のような思いがいたしまして、資料をいろいろ読み合わせてみましてもなかなかよく理解もできないところがあるのですが、この制度の概要につきまして、また意義につきまして、まず法務省からお話を伺いたいと思います。
  158. 山崎潮

    ○山崎(潮)政府委員 お答え申し上げます。  我が国法律サービスを行おうとする場合には、原則として、司法試験に合格して研修所の修習を受けて弁護士会に登録して初めてできるという制度になっております。外国の弁護士は日本で言う弁護士でございませんので、それは当然できないという建前になっております。しかし、国際化の時代を迎えまして、やはり日本と外国との接点がいろいろ出てまいりますので、どうしても日本法律サービスをしたいという要望がございました。  それを受けまして、昭和六十一年に今御指摘外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法、今後外弁法と言わせていただきまずけれども、これが制定されたわけでございます。これによりまして、一定の職務経験がある等の資格がある人に関しまして、それを満たす者については法務大臣が外国の専門家として承認をいたしまして、日本弁護士連合会あるいは弁護士会に加入をいたします。そういうことになりますと日本法律サービスをすることができる、こういう建前になっております。  職務経験要件は、その資格を取った国で五年間というふうに決まっております。それから、できる法律サービスにつきましては、その資格を取りました、例えばニューヨークの弁護士が入ってくる場合ですとニューヨーク州の法律、それ以外に一定の要件を備えて、法務大臣が資格とか能力があると認めた者、これは指定法というのがございますけれども、ニューヨーク州の弁護士で例えばカリフォルニア州の法律の能力があるという場合には指定をいたします。この二つはできることになっておりますけれども、それ以外の国の法律日本法は当然でございますが、それ以外の法律は行うことができません。こういう建前になっております。  また、このできる自分の資格の法律指定法をやる場合でありましても、日本で例えば裁判を起こすとか、それから行政庁に申請をするとか、こういう行為は全部日本人がやるということで、それはできない、こういうような大きな仕切りになっているところでございます。
  159. 八代英太

    ○八代委員 日本の弁護士さんの数は一万六千人とかと伺っているのですけれども、これは一億二千三百万の国民に対して一万六千人。アメリカは人口が日本の倍ぐらいですかね、それで何か八十八万人ぐらいいるという話を聞きますね。そうすると、これからどどっとアメリカの弁護士さんが日本に上陸をしてくる。企業活動も非常にグローバル化して、規制緩和の一環というようなブームもないわけじゃないと思うのですけれども、この改正によっていろいろなそういう、懸念でもないだろうけれども非常に自由化されていくという状況は当然あると思いますね。  今までもこれは法律の中にはあったわけですね。今までもそういういわば外国の弁護士さんというものは我が国でも活動したと思うのですが、それが非常に窮屈な面もあったのではないかというふうなこともあるのですが、今までの法律では、実際にどのぐらいの人たちが現状で今日本で活動している、どのぐらいの方々が日本での弁護士活動をやっていたのでしょうね。
  160. 山崎潮

    ○山崎(潮)政府委員 本年の四月二十七日現在で申し上げますけれども、現在人員は八十六名でございます。その内訳は、アメリカ合衆国六十一名、連合王国、イギリスでございますが十二名、中華人民共和国四名、フランス二名、それからオーストラリア二名、あと一人ずつで、ドイツ、カナダ、オランダ、スイス等、こういうふうに分かれております。十年間これをやっているわけでございますので、その十年のトータルとしては、それほど多い数字ではないと言えると思います。
  161. 八代英太

    ○八代委員 それがいよいよ今度は緩和措置によって外国の弁護士事務というものが大変活発になってくるということですが、例えばこれは、世界の国々から現実の問題として結構来ているという数字、八十六人という話を伺ったんですけれども、これから中国とか韓国とかグローバルな感じになっていきますが、この法律の緩和によってどのくらいこれから二十一世紀までにはそういう人たち日本に、上陸してくるというのは変だな、日本でのそういう弁護士活動になるという見通しみたいなものはお持ちですか。
  162. 山崎潮

    ○山崎(潮)政府委員 大変難しい御質問でございますが、確かに今回、要件を緩和したり、できる職務範囲が少し広がるとか、そういう問題はございます。しかし、現在、今まで十年やってきた動向を見て、少しはふえていくとは思いますけれども、必ずしもそう爆発的にふえるという予想はしておりません。  また、この種のものにつきましては、経済動向とかそういうものに非常に影響を受けるわけでございまして、現在の経済状況を踏まえますと、それほどふえるというふうには私どもは思ってはおりません。
  163. 八代英太

    ○八代委員 私も、別に人生の哲学じゃありませんが、なるべく警察には御厄介にならないということ、それから、弁護士にも御面倒はなるべくかけないということ、裁判所にもなるべくお世話にならないということ、こういうのを一つの人生目標にしておるわけであります。  一度私は、自分自身のこのけがをやりまして、これは相手側に大変大きな過失があったものですから、初めて民事訴訟というものに、自分のこのけがに対しまして弁護士さんをお願いいたしまして民事訴訟に入っていったわけです。それが、昭和四十八年のけがで、四十九年から始まって、それから八年ないし九年ぐらいかかりましたかね。九年ぐらいかかりました。結果として最後は和解ということになったんですが、一体だれのためにこの訴訟を起こしたのかという、話がまとまった後、若干むなしさも残らないわけではなかったんですよ。その間におけるいろいろな費用等々を考えていきますと、最後は和解ということになったにいたしましても、日本の民事訴訟というのはそれはそれは時間がかかる。  恐らく、こういうことに対して、またこの外弁法によってそういう諸外国の弁護士さんたちもどっと日本でいろいろな訴訟を担当するようになっていって、日本の弁護士さんと外国のいろいろな弁護士さんとの摩擦とかいろいろなまた問題点があるんだけれども、要は、やはりこれは、法務省という立場になっていくと、依頼者保護という視点はしっかりとらえておきませんと、国際化、国際化はいいんだけれども、また訴訟合戦のようなことになって、しかも依頼者にとっては、私の経験も踏まえて、いつどうなるかわからない。結果的には弁護士さんのために訴訟を起こしたような結果になってしまうというのが間々あるとも伺いますがね。  そういうことがすべてじゃないと思うんですけれども、そういう点で、やはりいろいろな意味で依頼者保護の観点から慎重に対処する必要があるというようなことをおっしゃる方もいるわけです。この制度に関する法務省の取り組みというもののやはり基本的な考え方というものもしっかり伺っておきたいと思うんですが、その辺は、大臣、どのようにお感じになっておりますか。
  164. 下稲葉耕吉

    下稲葉国務大臣 今八代議員御指摘の点につきましては、私も同感でございます。  御指摘のような立場から、いろいろ規制緩和でございますとかあるいは外国からの要望だとか、率直に申し上げまして、ないわけじゃございません。しかし片や、それはそれといたしまして、参考にはいたしますが、今御指摘のような依頼者保護というふうなものを図りながら、我が国の司法制度に適合した、あるべき外国法事務弁護士制度というふうなものを我々の責任で主体的に構築しなければならない、そういうふうな観点でございまして、今回の改正法案も、まさしくそういうふうな立場から検討して提出した次第でございます。
  165. 八代英太

    ○八代委員 どうもグローバル化というのが今はやり言葉になっていまして、何でもかんでも、日本本来の考えてきた、いわば法秩序も含めて、経済も含めて、ありとあらゆるものがどこかの国のやり方が正しくて、それを世界に全部押しつけているというような風潮もないわけじゃありませんね。  そういう意味でも、やはり三権の中の一つの法というものはしっかり国民にとっての利益をまず優先として考えていただきませんと、ただ単に規制緩和をして、どっとあらゆる国から弁護士が入ってきて、日本の司法制度そのものをかき回すような結果になってはいけないと思いますし、依頼者の保護も含めまして、この辺のコントロールはしっかりとやはり法務省でやっていただきたい、こう思ってはおるんです。  そこで、改正法案のポイントは三点あると思うんですが、まず第一点は、外国法事務弁護士となるための職務経験要件の緩和というところもございますね。この概要とあるいは緩和の理由というものにつきまして、これはどうしてそういうことになっていったのか、御説明いただければと思うんですが、いかがですか。
  166. 山崎潮

    ○山崎(潮)政府委員 職務経験要件の緩和については二つのポイントがございます。  現在、外国法事務弁護士になる資格は、みずからが資格を取った国で実務経験五年を要求しております。これをまず三年に短縮するというのが第一点でございます。  それからもう一点は、その資格を取りましたニューヨークの弁護士でございましたら、ニューヨーク州においてその経験をするということが要件になっておりますけれども、最近の国際化の時代でございますので、そのニューヨーク州の法律を例えばロンドンでサービスをしていたという場合でも、どこの国でもその自分の資格に基づいてサービスをしていればそれも許すということで、場所的な制限を外した。この二つでございます。  これにつきましては、この外弁法、実施をいたしましてもう十年になるわけでございますが、その間に、平成六年に一度改正を行いまして、五年ニューヨークでやる必要がございますけれども、例外を若干設けまして、日本法律事務所あるいは外国法事務弁護士のもとで労務提供をしているということもあるわけですが、この二年間を通算することを許したわけでございます。そうしますと、実質本国で行う期間は三年で足りるということになるわけでございます。  こういうような運用を続けてまいりまして、それで、弁護士の能力あるいは資質、倫理の問題で特段の問題はないということから短縮に踏み切ったわけでございます。  それから、もう一つの職務地ですね、場所のことでございますけれども、こういうような国際化の時代でございますので、どこで行ってもいいことにいたしますと、国際経験豊かな人たちが来てもらえるわけでございまして、そういう意味におきまして、日本人の依頼者でもそういうような経験豊かな人に見てもらえるという点もございますので、依頼者の保護にもなっていくだろうという観点を入れましてこのような改正になったということでございます。
  167. 八代英太

    ○八代委員 なるほど。  じゃ次に、改正法案のポイントの二点目なんですが、これは、外国法事務弁護士の職務範囲の拡充というのがありますね。いろいろな職務範囲があると思うんですが、その拡充した理由、この辺はどうなんでしょう。
  168. 山崎潮

    ○山崎(潮)政府委員 これは、先ほど申し上げましたけれども、現在の法律でございますと、ニューヨーク州の法律、あるいは、それを指定されたカリフォルニア州の法律ができるといたしましても、それ以外は一切できないということになっているわけでございます。それを今度は、では例えばフランス法についてその職務をしたいという場合には、フランスの弁護士の書面による助言があればやってもよろしいということに変えたわけでございます。  現行法でこれを禁止している理由は、その承認の申請者が外国弁護士となる資格を有する者であるということに基づいて、改めて試験とか選考をすることなく我が国で一定範囲法律事務を行うことを認めているものでございます。したがいまして、依頼者保護のために、外国法事務弁護士は、知識、能力について制度的保障のある法律、これについてサービスを行っていいということにしているわけでございます。  しかし、社会がいろいろ複雑化してまいりますと、ニューヨーク州の法律フランス法が絡むような事件もあるわけでございます。そういうものについて、やはり依頼者のニーズにきっちりこたえるという観点から広げたわけでございますが、ただ、これも依頼者保護の観点から、フランスの弁護士の書面による助言があればやってよろしいということで、そういうような制度的な担保をきっちりした上、拡充したものでございます。
  169. 八代英太

    ○八代委員 時間もだんだんなくなりましたが、先ほども言いましたように、日本の弁護士さんは一万六千人。つい先般成立いたしました司法制度いろいろの改正によって、これからだんだん、もっと日本の弁護士さんもふえると思いますね。しかし、いずれにいたしましても、アメリカが八十八万一千人、韓国はまだ少なくて三千人、人口からいえばそんな感じでしょうか。中国が約八万三千人、こういうことを伺いました。  そういう意味では、私は、この規制緩和という流れの中で、いずれにいたしましても横文字弁護士さんが、まさに外弁の日本上陸が非常に活発化して、これも言ってみれば、町の小さな酒屋さんとか花屋さんとか八百屋さんとか、屋のつくものが大店によって押しつぶされていく気配があるというように、あるいはまたドルが世界を席巻していくような世界構造を見るように、まさに外弁の襲来によって日本の弁護士さんそのものも非常に厳しい状況にあるやもしれないという、若干の危惧はないわけじゃありません。  そういう意味でも、やはり法務当局が、単に窓口を大きく広げるということだけではなくて、やはりそこには、依頼者の願いというものがしつかり守られていくような、今までの日本のよき伝統というものは守っていくようなぜひ御努力をお願い申し上げまして、続いて保坂展人さんにバトンタッチをしたいと思っております。  どうもありがとうございました。
  170. 笹川堯

  171. 保坂展人

    ○保坂委員 社民党の保坂展人です。今回の外弁法の改正に関して、ちょっと大枠のところでお尋ねをしたいと思います。  日本外国弁護士の数も、八十人台とそう多い数ではないわけでございますけれども、そこのところを今回規制を緩和して、先ほど説明があったように、極めて地域の限定だとかあるいは年数の部分を緩和していくというところをどういうことに留意してこの法改正に当たったかという、大枠のところをまずお話しいただきたいと思います。
  172. 山崎潮

    ○山崎(潮)政府委員 今回の改正に当たりましては、アメリカ、EUそのほか、規制緩和要望、行政改革委員会の意見等、さまざまなものがございました。私どもはその意見を十分に拝聴いたしましたけれども法務省といたしましては、そういう声が上がったからそれに全部従うということではなくて、やはり諸情勢を踏まえなければいけませんけれども、依頼者保護等を図りながら、我が国の法制度に適合したあるべき外国弁護士受け入れ制度、これを構築しなければならないということから、主体的に考えたものでございます。  今後も、このような視点をきっちり踏まえながらいろいろ対処してまいりたいと考えているところでございます。
  173. 保坂展人

    ○保坂委員 もう一点、見通しについて伺いますが、こういった規制を緩和することによって、より外国人弁護士もふえて、ねらったような効果が期待できるかどうか。見通しについて、いかがでしょうか。
  174. 山崎潮

    ○山崎(潮)政府委員 数の点につきましては、なかなか見通しを立てることは難しいわけでございます。門戸を広げたからといって、現在の日本の経済情勢、それにかなり左右されるという点はございます。  ただ、数の問題は別としまして、門戸を広げることによって多様な方が来られて、日本人も依頼者になることはあるわけでございますので、そういう意味では良質なサービスを期待できるのではないかというふうに考えております。
  175. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、この法案をちょっと離れまして、昨日、大蔵省の一連の、日本を揺るがした事態というふうに言ってもいいと思いますが、一連の処分が発表されました。このことについて、大蔵省に来ていただいていると思いますので、幾つか伺っていきたいと思います。  まず、今回の大蔵省の処分の前提になった大蔵省内の調査は、職員の自己申告だけなのか、それとも接待をした側の金融機関からの調査報告を受け事実確認をしているのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  176. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 御指摘の点は両方でございます。  手順を申し上げますと、調査対象者から、記憶と記録をたどりまして、まず申し立てのメモを提出させました。そのメモを、各局の服務管理官、あるいは金融服務監査官室というのを設けましたが、そこで個別に面談をいたしました。それから、いろいろな資料等もございます。あるいは申し立て書の中で一緒にいたとか、そういう資料もございますし、あるいは外部からの情報もあったと思います。  そういうものを相互に確認いたしまして、その過程で問題がありそうな方につきまして相手方の民間金融機関に照会をいたしまして、それによりまして調査の内容を確認していったということでございます。
  177. 保坂展人

    ○保坂委員 そうしますと、金融機関側から照会を受けて返事があったということだと思いますが、その内容をきちっと報告されるということを求めたいと思いますが、どういう内容だったのでしょうか。
  178. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 先ほど申し上げましたように、問題のありそうな方々につきまして、個別に金融服務監査官が相手方の銀行に行きまして、もちろん事前に連絡をいたしまして行きまして、面談をいたしまして聞き取りを行った。その後、さらに照会をしなければいけない状況になりますと、さらに照会を行うということで行ったわけでございますので、文書という形で照会をしたということではございませんので、その点は御理解を賜りたいというふうに思います。
  179. 保坂展人

    ○保坂委員 どうも不思議なのですけれども、決算行政監視委員会でも、紀律保持委員会の議事録はありませんかと言うと、大蔵省はたくさん文書をつくられる役所だと思うのですが、こういうことに関しては文書をつくらないという、何かそういう決まりのようなものがあるのでしょうか。規律やこういった問題には記録を残さないという趣旨が徹底されているように思うのですが、いかがですか。
  180. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 今回の件につきましては、個別に金融機関から話をお聞きするということが適当だというふうに判断をしたわけでございます。五年間でございますから、相当前のものもあるわけでございますので、それから、出したメモで記憶が十分でないところもございますから、会って確認をしながら行うという方法が適当だと考えたわけでございます。
  181. 保坂展人

    ○保坂委員 普通なら、会って調査した後とどめると思うのですが。  それでは、長野前証券局長が受けた百二十七回にわたる接待ということが明らかになったわけですけれども、証券局長という職務に関連した何らかのテーマについて、接待した側も長野前局長も、それぞれが認識してその接待が行われたという事実があったかどうか、どのように掌握されているでしょうか。
  182. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 今回の調査におきましては、職務に関連した依頼を受けたか否かについても調査を行っておりますが、そうした事実は確認されておりません。
  183. 保坂展人

    ○保坂委員 法務省刑事局長に伺いますが、接待の海という言葉がたびたび、莫大な資料を精査する中でも漏れたということも聞いております。長野前局長、杉井前審議官、その他もっと回数が多い方もいらっしゃいますけれども、これは、大蔵省内の今回の調査は終わって、そして懲戒に付された者もいる、あるいはやめられた方もいる。しかし、今回の一連の、大蔵省の構造的な、つまり接待そのものを収賄の構成要件として捜査も進められてきたわけですから、今回の事件、この大蔵省内の調査でおしまいというわけではないのだろうというふうに思うのですが、その点、いかがでしょうか。
  184. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 お答え申し上げます。  検察官におきまして、今後どのような事項について捜査するかにつきましては、捜査機関の活動内容そのものにかかわる事柄でございますので、答弁を差し控えたいと存じます。  一般論として申し上げますれば、検察官は常に法と証拠に基づき適切に対処するものと考えます。
  185. 保坂展人

    ○保坂委員 大蔵省に伺いますが、一昨年の大蔵省内の倫理規程というのがございましたね。これは公務員倫理法を我々考えていく一つ参考資料というか、極めて重要な参考資料ということで見ているのですけれども、これはやはり生かされなかったというふうに考えるべきなのか、そうであるとすれば、なぜ生かされなかったのか、あるいは十分生かされたのか、そのあたりの判断を求めたいと思います。
  186. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 昨日処分を発表いたしました際に調査の概要も発表しておりますけれども、それにつきましては、調査の対象時期を三つに分けまして調査をいたしたわけでございます。一つは、九五年五月二十四日前、前の平成七年の通達が出る前の段階、それからそれが出ました後、平成八年十二月二十五日に先ほど指摘になりました通達が出るまでの間、それからその後と、三つの時期に分けて調査をいたしているわけでございます。  必ずしも詳細がわかるわけではございませんけれども、会食等の回数は変化が見られるように思います。しかし、そういうことはございますけれども、十分徹底していなかったという点はあるわけでございまして、その点は私どもも非常に反省をいたしておるわけでございます。
  187. 保坂展人

    ○保坂委員 短く簡潔にお願いします。  一昨年の倫理規程は大変厳しい規定なのですね。業者との会食は原則禁止、もう禁止事項がわあっと書かれております。よく読んでいきますと、事前に服務管理官に申し出れば例外として扱う、あるいは事後にという規定が多分例外規定としてあったと思います。  私が確認したところ、この倫理規程が一昨年できてから一年間の間に七百数十件の例外の案件があったというふうに聞いておりますが、そうであれば、例えばどういうケースが例外として扱われたのかということを、この際、幾つか例示をしてお話しいただきたい。最低のケースは幾らで最高のケースは幾らだったのかもぜひ教えていただきたいと思います。
  188. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 例外のケースでございますが、一つは、会費をちゃんと負担をしておるという場合につきましては便宜供与がないというような場合とか、あるいは自己の飲食代を負担しない場合でありましても、一般的に広く招待されるパーティーなどで対価を支払うということが他の参加者との関係等から見てそぐわないというようなケースでございますとか、あるいは職務上の意見交換のためのものでございまして、場所、内容等が社会的に批判を招かないようなもの。  例えば証券行政で申しますと、証券行政に対する意見交換で証券業協会の会議室で意見交換をしながら昼食をとるようなケースとか、あるいは銀行行政についても同じようなことがあろうかと思いますが、社会的に見ても一会場の場所等を見まして問題がないし、職務上有益でもあるというようなケースも含まれるかと思います。(保坂委員「最低幾らで最高幾ら」と呼ぶ)金額は、特に自己負担しない場合につきましてはわからないわけでございますが、常識的に見まして過度のものにわならないということだろうと思います。金額については、相手の主催でございますから特に確認をしないわけでございますけれども、例えば昼食のときに弁当のようなものはあるかもしれませんということでございます。
  189. 保坂展人

    ○保坂委員 今回の大蔵省の調査は金融関連部局の方に当たったわけですよね。それ以外の、例えば主計局、接待ということでいえばもっともっとすごいのだという話がありますけれども、その辺は、不公平だという声もあると思うのですが、いかがですか。
  190. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 調査は過去五年でございますけれども、その前の段階でも、例えば課長補佐以上で金融関連部局にいた人は、すなわち、五年よりももっと前、十年前に課長補佐で金融関連部局にいた、しかし今は金融関連部局にいないというような人も調査の過程で追加をいたしておりますから、課長クラスの、幹部クラスでいいますとほとんどが対象になっているということでございます。  当初の段階では五百五十人程度の者が対象になると申し上げてきたところでございますが、調査の過程で、千人たしか強でございましたが、拡大をされていって、ほとんどの幹部クラスは対象になったということでございます。
  191. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、今回の処分、紀律保持委員会を統括しているのは官房長でいらっしゃいますよね。だから、現在は武藤官房長、責任をとって降格というような報道も一部あります。過去五年間ということでいえば、現在の主計局長の涌井元官房長も当然のこの責任を問われるのではないかというふうに思いますが、その点も含めて、強い反省があるのかどうか。
  192. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 幹部の人事任命権は大臣にございますので、私ども下僚が云々すべきではないと思いますけれども、今回の処分全体を大臣が詳細に見られ、その上で最終的に大蔵省の決定としてお決めになったということでございますので、もろもろのことを考慮した上での判断だというふうに理解をいたしておる次第でございます。
  193. 保坂展人

    ○保坂委員 十一月に当委員会で、きょう本当は渡辺秘書課長にでも来ていただければよかったのですが、ほかの委員会と重なっているということですが、そのときに、大蔵検査時における情報の漏えいも含めて、疑念があるじゃないか、こういうことについてきちっと大蔵省は調べて国民の前に明らかにすべきである、これを文書できちっと、調査をしたことをきちっと語るべきであるということを私、申しました。ごらんのような事態にきのうなっているわけです。この結果を踏まえて、やはり大蔵省の中に、組織のおごり、そして議員から求められても倫理に関しては一行とて記録は出せない、こういった姿勢が今日の大量処分という事態を招いたのではないか。この反省の言葉はあるのかないのか、そして公務員倫理法はやはり必要かどうか、はっきり答えていただきたいと思います。
  194. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 御指摘のように、過去に通達が何度か出され、それが徹底をされなかったという点につきましては、私どもとして深く反省をいたしておるわけでございますし、国民の皆様に対して大変申しわけなく思っている次第でございます。  それから、そういう問題につきましては、やはり個人の倫理観という問題もございますけれども、他方で、綱紀の保持を実効ある仕組みにする必要があるということは感じているわけでございまして、その点については、政府・与党におきましていろいろな議論がなされているところでございまして、私どももそれを見守っておるところでございますけれども、それも一つ方向として考えるべき問題だというふうに考えております。
  195. 保坂展人

    ○保坂委員 それならば、ぜひ事例の豊富な大蔵省に、先ほどの例外のケースも、もちろん名前あるいは相手の企業は隠してもいいです、しかし、こういうケースがあったのだということをできる限り、これは与党だけじゃなくて全議員に、そして国民の前に明らかにするということを約束していただきたいと思うのです。いかがですか。
  196. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 先ほど申し上げましたように、例外の規定もあるわけでございまして、それは先ほど申し上げたような内容でございますので、その点はぜひとも御理解を賜りたいというふうに考える次第でございます。
  197. 保坂展人

    ○保坂委員 何か、余りにも答弁が変わらないので大変心配になりますね。これだけの大量の処分が出て、そして根本から再生しようというのであれば、本当に今まで、例外だけではないですよ、禁止されていることに抵触されていることもあったわけです。ですから処分が出ているわけです。こういうことについてできる限り情報開示をして、改めて直すべき点は直して出発するという決意があるのかどうかということを聞いているわけです。
  198. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 私どもとしては、今回の事態を深く反省しているわけでございまして、綱紀の徹底、職員各人の倫理観の徹底につきましては一層の努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございますので、御理解をお願い申し上げる次第でございます。
  199. 保坂展人

    ○保坂委員 なかなかすれ違うのでもうやめますけれども、我々は、やはり何があったかということをきっちり出していただいて、出していただいたことをもとに、政府でつくった細かい倫理規程のような守り切れないものではなくて、大枠のガイドラインをつくって、その中で新しいルールを定めていくというふうにしなければならないということを申し添えて、次のテーマにちょっと移りたいと思います。  死刑についてなんですが、四月二十三日に、最高裁が、田本竜也被告の上告審判決で、これは死刑合憲の判決を踏襲して上告棄却という判決をされて、死刑確定をしたわけでございます。これは、死刑事件で踏襲されている判例では、罪刑の相当性にとどまらず、死刑の執行方法も残虐な刑罰ではないと最高裁は判断していると考えてよろしいでしょうか。
  200. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  刑罰としての死刑そのものが、一般に直ちに憲法三十六条に、いわゆる残虐な刑罰に該当するとは考えられないとするのが最高裁判所大法廷の判例でございます。  お尋ねの被告人に対する最高裁判所第一小法廷の平成十年四月二十三日の判決は、この大法廷判決を引用いたしまして、死刑が、憲法十三条、三十六条に違反するものではないといたしておりますので、この判決において第一小法廷は、死刑が憲法三十六条に言う残虐な刑罰に該当するものではないと判断したものと理解されるわけでございます。
  201. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは法務省に伺いますけれども、死刑を定めた、これは随分さかのぼって、あれですよね、明治六年、太政官布告第六十五号ということに基づくようでございますけれども、本当は図を出していただければいいのですが、国会のルールで図が出せないとするならば、口頭で、どういう刑具を定めているのかについてお答えいただきたいと思います。
  202. 坂井一郎

    ○坂井政府委員 お答え申し上げます。  この太政官布告は、明治六年の二月二十日に出されておりまして、まず最初に、死刑の執行の仕方につきまして簡潔に記載がございまして、それに加えて、六十分の一の要するに図がついているというものでございまして、これは「日本法規」等でもごらんいただけるものでございます。  基本的に申しますと、本質的にはどういうものかと申しますと、踏み板式といいますか、要するに死刑の執行を受ける人の床があく、それによって死刑の執行を受ける人が落ちまして、そのときに、首に縄がかかっているので、それが天井で固定されていて、自重で死亡に至るという形式でございまして、基本的にはそういう形式のもので、細かいことをこういうふうにしなさいというようなことを書いたのがこの太政官布告六十五号と言われるものでございます。
  203. 保坂展人

    ○保坂委員 簡単に。では、明治六年ですか、これは今も全く変わっていないでしょうか。
  204. 坂井一郎

    ○坂井政府委員 この図式と若干は違っておりますけれども、本質的に、先ほど申し上げました踏み板式という、要するに自分の立っているところがあくという形式については基本的に変わっておりません。
  205. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、最高裁に伺いますけれども、残虐な刑罰ではないということで先ほど答弁いただいたのですけれども、最高裁として、過去、いずれかの事件、あるいはそういった刑場が新築で建ち上がるときでも結構ですけれども、実地に現場の刑場を検証したという実績はございますか。
  206. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 具体的な執行現場に立ち会ったということは恐らくないだろうというふうに思います。  具体的な執行でなく、執行の刑場と申しますか、そこを視察等をしたことがあるかということにつきましては、私、すべてのことは承知いたしておりませんが、恐らく裁判官として刑務所の視察がございますが、その場合にそこまで見せていただいておるかどうかということについては、具体的に承知をいたしておりません。
  207. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、締めくくりに、本日情報公開法が議題に上りました。これは多くの論点を含むわけでございますけれども、例えば公務員の自己保存文書、これも対象から除外されているわけですけれども、いわゆる薬害エイズ事件で問題になった郡司ファイルというのはこの自己保存文書に相当するのかどうか、この点についてお答えいただけますか。
  208. 森脇勝

    ○森脇政府委員 民事訴訟法の一部を改正する法律案についてお尋ねでございますので、お答えいたします。  今委員指摘質問は、恐らく公務員の自己使用文書に関するものであろうというふうに思われます。この点につきましては、現行法でございます民事訴訟法の二百二十条四号ハにおきましても、これは私文書に関する規定でございますが、自己使用文書文書提出命令の対象文書から除外するという規定がございます。  その趣旨は、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」、この意味内容でございますが、これは恐らく個人的なメモでございますとか備忘録、日記といったようなものが含まれるわけでございまして、およそ外部の者に開示することを予定していない文書。これについてまで一般的に提出義務を負うものといたしますと、裁判所からの提出命令を想定してこれらの文書を作成しなければならないということになりますが、これでは文書の作成者の自由な活動が妨げられることになるので除外文書にされたというふうに承知いたしておるところでございます。  この点につきましては、公務員が作成した手控えのような文書についてもひとしく当てはまるものということで、今回これを前提とした立法をいたしておるところでございます。  今回、いわゆる公務文書につきましてもこれと同種の規定とするわけでございますが、ただ、つけ加えました点は、新しい改正法案で申します二百二十条四号二でございますが、ここに括弧書きをつけまして、「(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)」ということで、その当該文書が組織的に用いられる場合には除外文書としないという趣旨を明らかにしておるところでございます。  お尋ねのいわゆる郡司メモについてでございますが、これにつきましては、この内容あるいは態様というものを私は細かく承知しておりませんので、責任を持った回答をすることはできないわけでございますが、これが公務員が組織的に用いる文書であるか否かということによって自己使用文書に該当するかどうか、ひいては文書提出命令の対象文書になるのか除外文書になるのか、これが決まってくるものだというふうに承知いたしておるところでございます。
  209. 保坂展人

    ○保坂委員 大変わかりにくい答弁ありがとうございました。  ぜひ、大テーマなので、自信を持って、相当するのかしないのかというのをお調べいただきたいということを申し添えておきたいと思います。  最後になりますが、大蔵省の場合は紀律保持委員会、規律の保持にかかわる大切な問題ですけれども、議事録をつくらない、いわば公的な文書としては残らないわけですね。メモしかないわけですから、そうすると、自己使用文書に当たってしまうわけですね、メモは。ということが、組織としてサボタージュされた場合に、今おっしゃった民事局長説明がそのまま情報非公開の裏づけになる心配はないかということだけただして、おしまいにします。
  210. 森脇勝

    ○森脇政府委員 私どもとしては規定ぶり等、そこからどういうことが導かれるかということをお答えするのが限度ではないかと思っておりますが、今委員指摘の問題について申し上げますれば、その場合に、メモ的な文書しかないといった場合でも、それが公の立場で使用される、つまりそれが処分の根拠の文書として使われるという場合には、これは組織として利用される文書に該当するというようになってくるのではないかというふうに承知いたしております。
  211. 保坂展人

    ○保坂委員 ありがとうございました。  終わります。
  212. 笹川堯

    笹川委員長 次回は、来る五月六日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十八分散会      ————◇—————