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石垣最高裁判所長官代理者 先ほど、
事件処理が長期化している要因を申し上げました。その順序にほぼ従った形で、私
どもが講じております対策というものを若干御
説明させていただければと思います。
まず、
事件数の急増に対しましては、
一つは、売却実施件数の増加や
早期売却の実施に努めているところでございます。例えば、執行担当
職員の増配置、あるいは執行官、評価人の
増員、パソコンやファクシミリなどのOA機器の活用などによりまして、売却実施件数の増加を図って、
早期売却の実施に努めるというところでございます。
それからもう
一つは、特別売却といいますか、入札あるいは競り売り以外の方法で売却をする、こういう特別売却の活用ということも行っているところでございます。
次に、売却率の低下につきましては、基本的にはこの売却率というのは不動産市場に依存するものでございまして、市況が低迷している
現状では大幅にこれを上げることはなかなか困難であると思います。しかしながら、供手傍観しているわけにはいきませんので、
一つは最低売却価額の見直しでございますが、競売物件であることを理由として、市価よりもある
程度減価をする、安くする。そして、売却されなかった物件について
早期の価格の見直しを行うなど、市場のニーズに合った最低売却価額の決定に努めているところでございます。
それからもう
一つは、競売物件の
情報提供の拡大ということにも
努力をしておりまして、日刊新聞、住宅
情報誌などの広告媒体を拡大したり、
事件数の多い
裁判所を
中心として、競売物件の
情報提供サービス、ファクシミリによりますサービスでございますが、これを行っております。
それから、
早期売却の実施によりまして売却価額が
実情に合わなくなるのを防ぐように
努力をしているところでございます。
次に、執行妨害につきましては、
平成八年の
民事執行法の一部
改正をしていただきました。これによりまして、保全処分、引き渡し命令が強化をされたわけでありまして、
裁判所としても、三点セットの閲覧場所に監視カメラを設置したり、妨害行為に対しては、告発等を含めて厳正に
対処するという方針でおります。しかし、
裁判所がなし得ることにも限度がございまして、取り締まりの強化等の別途の方策に期待をせざるを得ないところもあるのが
実情でございます。
それから、債権者の不協力の問題につきましては、申し立て書や添付書類の不備の補正をするため、債権者側の担当者に対する教育訓練、資質の向上をお願いしたり、債務者の送達場所についての調査を依頼したり、競売物件の事実
状態、権利
状態に関する正確な
資料提供を求めたりするなど、債権者の協力をお願いしているというところでございます。
なお、今執行官の
増員の問題、御
指摘をいただきました。実は、執行官の人員につきましては、取扱
事件数の変動に応じて必要な増減を実施してきているというのが
実情でございまして、
事件処理のそれぞれの
処理機関の動向を見てみますと、執行官の人員が不足をしているために
事務処理がおくれているということは考えておりません。
執行といいますと執行官と結びつけやすいものでございますが、子細に検討してみますとそうではないようでございます。ただ、今後も
事件数の動向等を踏まえて、適時適切な対応を続けていくことが必要であるというふうに肝に銘じているところでございます。