○福岡
委員 どうもありがとうございました。
今の御報告によりますと、七年度が国選弁護率というのが六九%で、八年度は七一%ということで、平均すると、大体七〇%ぐらいが国選弁護人の
事件、こういうふうに言えると思います。
この数字から明らかなように、
憲法が保障をする弁護人依頼権の実質的
実現、これは裁判を受ける
権利の
確保ということにつながりますけれども、これは国選弁護人
制度によって守られていると言っても過言ではないという数字だと思うわけであります。したがって、これを
充実強化するということは、
我が国の刑事裁判
制度の中においては極めて重要であると言わなければならぬのであります。
しかるに、国選弁護人が
活動に対して支払われておる費用と報酬金というのは、私選弁護人のそれに比しまして極めて低廉であります。時には実費に満たないこともあると言われているわけであります。かく言う私も国選弁護を時々担当したこともありますけれども、やはり、実際に実費を払って計算をしますと、ほとんど手元に残らないというのが実情であったという記憶であります。
もちろん、費用が少ないといっても、私選弁護人と同じ、依頼者の
権利を守る責任の重大さは変わりません。やはり弁護人である以上は、それについて
事件の態様ごとに最善を尽くさなければならぬわけでありますし、実際のほとんどの国選弁護人はそのような対応をいたしております。国選弁護人だといって手抜きをするというようなことはないというふうに私も確信はいたしておるわけでありますけれども、ただ、実際問題として、
事件を担当してきた場合に、手抜きをする気はないにしても、費用が赤字のときに、やはり、これ以上の
活動をするかしないかという問題について、できればそれは余り費用をかけたくないと思うのは人情でありますから、どうしても弁護
活動の質的低下ということは防ぎようがないところもあるわけであります。
実際にそういうことだと、費用の点からこれは防げないということになると、本来なすべき証人尋問とか照会手続とか実際に現場に赴いてという
活動が少しでも鈍るというようなことがあれば、先ほど申し上げました弁護人依頼権の実質的な低下ということでございますので、
人権上、これはゆゆしき問題であるわけであります。
それから、実際のところは、これは各弁護士会において、
裁判所からの御依頼を受けまして、弁護士会の方で国選弁護人を事実上推薦申し上げているというのが
実態なんですね。そこで、弁護士会としては、
個々的に、難しい
事件ほど、やはり中堅以上の弁護士で、経験も豊富、しかも刑事
事件にも堪能な人を選任いたしたいということでお願いをするということでありますけれども、なかなかこれがお引き受けをしてもらえないといって苦労をする場合もあるわけですね。
特に問題なのは、今度のオウム
事件もそうですけれども、日本国じゅう、またその
地域において
耳目を引くような
事件、しかも凶悪な
事件なんかがあります。
社会的ないろいろな問題を起こした
事件があります。そういった
事件については、やはりその
事件の
内容にふさわしい人を選任したいということであります。したがって、その推薦をする場合に、そういう人を選んでやるわけですけれども、これは強制するわけにいきませんから、事前に十分打ち合わせをして、御承諾を得て推薦するという格好になりますが、なかなかこれが困難であります。
だから、オウム真理教の
事件なんかは、あれは九人選んでありますけれども、よくあれだけの人たち、しかも刑事弁護に堪能な人たちを選んで承認できたなと。また、それによって
司法制度というのか刑事裁判
制度の権威が保たれたのでしょうし、弁護士としてもその責務を十分果たしておると誇って言えるというふうに思うわけであります。
現に私も、会長をしておった当時に凶悪な
事件が起こりまして、具体的にこういう先生がいいと思って候補を挙げて頼みましたけれども、なかなか引き受けてもらえなかったけれども、最終的には、やはり刑事裁判、弁護
制度の
充実強化のために必要だということで、ある先生に引き受けていただいて、十分な弁護ができて、裁判の信用を保つことができたという経験もいたしております。
そういうわけで、やはり中身は刑事弁護の依頼権の実質的保障、
国民が安心してそういうことができるし、日本は
法治国家として、そういうことをちゃんとやるんだ、極悪非道の人間でもきちっとした弁護をするんだ、そういう体制確立のためにも、やはり国選弁護の費用の、
事件にふさわしい適切な支払いということはどうしてもなさねばならぬ課題であるというふうに思っております。
ところが、実際には、この十数年でありますけれども、
裁判所の方も御
理解を願って増額の方向で御努力はいただいておりますけれども、やはり、大蔵省の方の予算折衝のための削りというのですか、削除というような形で、実際にはなかなか
実現をしなくて今日に至っておるというのが現状であるわけです。
そこで質問ですけれども、国選弁護人に対する旅費、日当、宿泊及び報酬、これについては刑事訴訟法三十八条第二項に規定がございます。これによりますと、「
裁判所が相当と認めるところによる。」とされておりまして、その決定権は受訴
裁判所の裁量にゆだねられている、
法律的にはそうなっているわけです。
ところが、実際には、最高
裁判所におきまして全国的な一つの基準というのを設けて、あと特殊な
事件の場合には若干修正はしますけれども、大体その基準によってなされているというふうに聞かされております。
そこで、
平成七年と八年の最高
裁判所の全国の第一審、これは地裁の場合ですけれども、これの国選弁護人の、大体三開廷をめどとして開かれておる
事件の、そういうのは簡易な
事件ですけれども、
裁判所の指導の基準というのは、金額はどれだけなのかということ。それから、その基準というのを全国的に適用しているのでしょうけれども、それはどういうような根拠、算定によってなされているのかをまずお聞きしたいわけであります。お願いします。