○奥山
委員 私は、自由民主党の奥山でございま
す。文教
委員会に入らせていただいて初めての
質問でありますので、どうぞよろしくお願いします。
ところで、先日、
大臣がNHKの
教育討論会でいろいろな議論をされておりました。現在の刃物殺傷事件とか、青少年の心の
教育の問題、いろいろな議論が出ておりまして、私もずっと最後まで拝見をさせていただいたわけであります。
最近、
教育をめぐるいろいろな事件を思うときに、現在、戦後
教育が五十年を経過いたしまして、その
教育制度の総括を一遍しなければならない、そんな状態になっておるのじゃなかろうかと思います。特に、この制度が疲労を起こしておるというようなことが、日本の経済と同じように、いろいろ言われておるわけであります。
我々は、日本が貧しかった時代の
教育をずっと受けてきたわけであります。私自身も小学校時代は、空襲の焼け跡、あるいはまた麦飯を食べたり、そういうふうなこともよく覚えておりますし、隣近所でカキをとってみたりブドウをとってみたりとかいうことで近所のおやじからよく怒られたり、そういうこともあったわけであります。
そして、これはもうほとんどの小学校にそうだと思うのですが、二宮尊徳の銅像が置いてありました。また、親孝行も頑固にやはり教えてくれる
先生もおられたわけであります。我々も、親の言うことは絶対だということで聞いてきたわけであります。
こういう時代の
教育から——最近私のところにある親が相談に来られて、実はうちの息子がバイクに乗ってスピードを出し過ぎて検挙された、このままいくと免許取り上げや、何とかしてもらえませんか、こんな話であったわけであります。
私はそのお父さんといろいろ話をする中において、その家が新しく建った、家が建つとともに家具も新しくなって、息子には新しい車とバイクを買うてやった。まだ二十になるかならぬかの息子はそのバイクを乗り回して、スピード違反でたびたび捕まって、免許取り消しになった、こういうことであります。
結局はそのお父さんに私も、そのバイクを買ったのはお父さんですやろと。息子を甘えさせておる、しかもまた息子が免許取り消しになる、それを親が頼みに来る、こういうふうな家庭は少ないとは私は思いますけれ
ども、しかし、往々にしてこういう親が多いわけであります。
そんなこととともに、最近は、学校においていじめの問題とかあるいは生徒間のトラブルとかそういう問題に遭っても、なかなか子供は
先生に相談をしない、こんなことをよく現場でも聞くわけであります。
我々、こういうことをいろいろ考えるときに、豊かな時代の
教育観というのですか倫理観、そういうものが今もって確立されておらないように私は思います。現在の日本社会が政治的、経済的な閉塞状態になっているということがずっと言われてまいりまして、戦後
教育の中で、知識の詰め込みや、あるいはまた現在の受験戦争を中心とする過剰な競争社会の中で、何か日本人全体が、高学歴でないとなかなか一人前と認めてくれない、今そんな社会の体質が蔓延しているわけであります。
こういう中で、今回の中央
教育審議会の答申の中でこんな言葉がありました。高等
教育において、
大学進学のときに人生レースの勝負が決まるような制度ではなくして、回り道も十分評価されるような
方向を目指す、こういうことでありました。
かつてイギリスのチャーチル首相もあるいはワシントン大統領も落第生であったというような話を我々は聞いたわけでありまして、こういう豊かな時代の中の
教育というものは果たしてどういう姿でなければいけないかということを、一度
大臣のお考えを聞きながら奨学育英制度の問題に入らせていただきたいと思います。