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1998-04-28 第142回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月二十八日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 北村 直人君    理事 赤城 徳彦君 理事 鈴木 俊一君    理事 松岡 利勝君 理事 松下 忠洋君    理事 小平 忠正君 理事 木幡 弘道君    理事 宮地 正介君 理事 一川 保夫君       石破  茂君    稲葉 大和君       小野寺五典君    大石 秀政君       奥山 茂彦君    金田 英行君       熊谷 市雄君    園田 修光君       中山 成彬君    仲村 正治君       丹羽 雄哉君    萩山 教嚴君       二田 孝治君    御法川英文君       宮本 一三君    矢上 雅義君       石橋 大吉君    今田 保典君       仙谷 由人君    鉢呂 吉雄君       堀込 征雄君    漆原 良夫君       木村 太郎君    佐々木洋平君       西  博義君    辻  第一君       中林よし子君    藤田 スミ君       前島 秀行君    岩浅 嘉仁君  出席国務大臣        農林水産大臣   島村 宜伸君  出席政府委員        農林水産省経済        局長       熊澤 英昭君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君  委員外出席者        参  考  人        (農水産業協同        組合貯金保険機        構理事)     町田  博君        参  考  人        (全国農業協同        組合中央会専務        理事)      松旭 俊作君        参  考  人        (農林中央金庫        専務理事)    栗林 直幸君        農林水産委員会        専門員      黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任        補欠選任   木部 佳昭君     稲葉 大和君   高鳥  修君     奥山 茂彦君   中尾 栄一君     大石 秀政君   菅原喜重郎君     西  博義君   春名 直章君     辻  第一君 同日  辞任        補欠選任   稲葉 大和君     木部 佳昭君   大石 秀政君     中尾 栄一君   奥山 茂彦君     高鳥  修君   西  博義君     菅原喜重郎君   辻  第一君     春名 直章君     ————————————— 四月二十四日  国有林野事業累積債務処理に関する請願(小  川元君紹介)(第一八七六号)  新しい食料・農業農村政策確立に関する請  願(小川元紹介)(第一八七七号)  同(宮下創平紹介)(第一八七八号)  林業・木材産業振興に関する請願小川元君紹  介)(第一八七九号)  同(宮下創平紹介)(第一八八〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する  法律案内閣提出第九五号)  種苗法案内閣提出第八三号)      ————◇—————
  2. 北村直人

    北村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として農水産業協同組合貯金保険機構理事町田博君、全国農業協同組合中央会専務理事松旭俊作君、農林中央金庫専務理事栗林直幸君、以上三名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、町田参考人松旭参考人栗林参考人の順に、お一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際はその都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。  それでは、町田参考人にお願いいたします。
  3. 町田博

    町田参考人 私は、農水産業協同組合貯金保険機構理事を務めております町田でございます。  日ごろ、諸先生方には、当機構に対しまして御指導なりあるいは御支援を賜っておりまして、厚く御礼を申し上げます。  また、本日は、農水産業協同組合貯金保険法の一部改正につきまして、私ども考え方を申し述べる機会を設けていただきまして、重ねて厚く御礼を申し上げる次第でございます。  改正法律案に対しまする私ども考え方を申し述べる前に、まず、農水産業協同組合貯金保険機構の概要につきまして、簡単に申し述べたいと存じます。  当機構は、農協漁協貯金者保護なり信用秩序維持目的といたしまして、昭和四十八年に設立されたものでございます。  主な業務といたしましては、第一に、農協漁協貯金の払い戻しを停止いたしましたりあるいは解散等事態となった場合に、貯金者に対しまして保険金等支払いを行うこと、二番目といたしまして、農協漁協経営困難に陥った場合におきまして、その信用事業合併等によりまして維持再建するときに、救済しようとする組合などに対しまして資金援助を行うことを挙げることができます。  なお、これらの業務の財源につきましては、農協漁協からの保険料収入により賄うこととされております。  また、業務執行体制につきましては、現在、役員三名、職員十六名の体制となっております。  次に、業務運営につきまして申し述べます。  当機構といたしましては、さきに申し述べましたように、保険金支払い資金援助を主な業務といたしておりますけれども、これまで五件の資金 援助を実施してまいっております。他方、幸いにも、保険事故の発生は見られませず、保険金支払い実績はございません。また、これまで実施してまいりました資金援助につきましては、毎年の保険料収入の範囲内の対応となっているところでございます。ちなみに、毎年の保険料収入は約二百億円でございます。  このようなことから、毎年の保険料収入などの収支の残額につきましては、これを責任準備金として積み立てまして、将来の保険事故など不測事態に備えることといたしております。現在、責任準備金の額は約一千五百四十五億円でございまして、機構財務基盤は健全な状況にあります。  このような現況にあります貯金保険機構理事という私の立場で、今回の農水産業協同組合貯金保険法改正法律案につきまして、御意見を申し述べたいと存じます。  まず第一に、当機構借り入れに対しまする政府保証の付与についてでございます。  先ほど申し述べましたように、責任準備金の積み立てなり保険料収入など機構財務現状から見まして、また農協漁協経営状況などから判断いたしまして、当面、機構資金援助等に必要な資金が枯渇し、あるいは借り入れをしなければならないような事態というのは想定されないところでございます。  しかしながら、今後、農協漁協合併等によりまして大規模化する一方、ビッグバン進展等によりまする他の金融機関との競争激化など厳しい経営環境にさらされることから、機構対応する資金援助等の事案の大型化が考えられるところでありまして、これに備える必要があるものと考えます。  このような考え方からいたしますと、今回の措置は、不測事態に備えたものとして極めて有意義でありまして、将来にわたり機構財務面での不安を払拭するものであります。この措置導入によりまして、機構といたしまして資金面での心配なく業務を実施できるようになりますし、貯金者方々にとって最終的担保でもあり、また系統金融に対する信頼の基礎であります機構役割も高まるものと思料されるところであります。  第二に、劣後ローン供与なり機構による資産買い取りについてであります。  経営困難に陥った組合救済合併等によるのが一般的でございますけれども救済組合経営困難に陥った組合の受け皿となることで自己資本比率が低下いたしましたり、あるいは多くの不良資産を抱えることになったりいたしまして、救済が円滑に実施できないという事態が発生いたします。  このような事態に対処するためには、この劣後ローン供与でありますとか機構による資産買い取りが極めて有効な手段でありまして、これらにより合併等が円滑に進み、組合救済に大いに寄与するものと考えます。  第三には、相互援助取り決めを通じました信連等子会社であります債権回収会社に対する資金援助についてでございます。  昨今の経済情勢のもとで農協漁協債権等不良資産化するなどの事態によりまして、経営困難化する組合が見られるところでございます。  そこで、これらを救済し、不良債権を迅速、円滑に処理するために、信連等子会社であります債権回収会社に対しまして、相互援助取り決めを通じまして支援するということは、不良資産買い取りなりあるいは回収促進に役立つとともに、事態に即応いたしました資金援助多様化一つとして意義あることと存じます。  以上、今回の法律改正に関する概括的な私の考えを申し述べましたけれども、いずれの措置も、貯金者保護あるいは信用秩序維持目的といたしまして、機構機能強化につながるものでございます。まことに時宜を得たものというふうに私ども考えているところでございます。  今回の法律改正が、諸先生方の御理解と御賛同で成立いたしました場合、これらの新たな機能を適正に活用するための体制整備を行いますとともに、系統関係機関と連携してより適正な業務運営に努めてまいる所存でございます。  以上でございます。(拍手
  4. 北村直人

    北村委員長 ありがとうございました。  次に、松旭参考人にお願いいたします。
  5. 松旭俊作

    松旭参考人 おはようございます。私、全国農協中央会松旭でございます。よろしくお願いいたします。  諸先生方におかれましては、日ごろから農業、農村問題を初めとしまして農協系統各般にわたりまして格別の御指導、御支援を賜っておりますことにつきまして、この機会に厚く御礼を申し上げる次第でございます。  私からは、このたびの貯金保険法改正に関連いたしまして、現在系統農協が抱えております経営上の課題対策重点について申し上げ、御参考に供したいと存じます。  我々は、現在、JAグループ全体の事業組織経営の三つの改革を目指して、JA改革に取り組んでいるところであります。  この改革のねらいといいますか原点は、組合員地域社会期待信頼にこたえることができるしっかりした農協をつくり上げていこうということにあります。特に昨今、金融システム安定化が緊要な課題になっております中で、JAグループにおきましても、組合員等利用者信頼確保することはもちろんでありますけれども金融システム一員としての社会的な責務を果たす上からも経営改革が極めて重要な課題である、こういうふうに認識をいたしております。  また、金融ビッグバンの本格的な進展に伴いまして、金融機関相互間の競争がますます熾烈さを増してくると思います。また、ペイオフの実施を控えまして、利用者金融機関の選別が一層厳しくなってくる。そういう中で、我々も、他の金融業態に劣後しない、健全かつ透明な経営確立が急務のこととして求められております。  こうした認識に立ちまして、JAグループでは、平成十年度から十二年度までを重点推進期間としまして、JA改革推進三カ年基本方策を策定いたしました。これまでのJAグループ全体の事業組織改革をさらに促進していきますとともに、経営改革重点として進めていくことといたしているところであります。  経営改革基本とするところは、透明で公正で堅実な経営確立していくことにありますけれども、その重点としております対策につきまして、三点に絞って申し上げたいと存じます。  まず第一でありますが、農協自己責任経営体制確立することであります。  農協合併進展によりまして、経営規模は格段に大きくなっております。また、経営リスクの増大も避けられないと思います。したがいまして、農協経営体制について、経営のかじ取りあるいは経営チェック、これをこれまで以上に的確に行えるよう整備をしていく必要がございます。  具体的には、さき農協改革二法に盛り込まれておりますように、業務執行体制の面で代表理事常勤理事等経営専念体制確保する、さらに学識経験者理事への登用の促進を図っていく、それとあわせまして員外監事常勤監事設置等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  また、これとあわせまして、中央会監査につきまして、監査能力機能充実強化監査独立性強化を図っていくとともに、外部からのチェックの目を導入するため、中央会公認会計士を設置しまして活用を図ってまいりたいと考えておるところでございます。  第二には、自己資本内部留保の増強と、不良債権早期処理を進めまして、財務体質を健全にしていくことであります。  特に自己資本充実につきましては、早期是正措置導入に伴いまして、自己資本比率というものが利用者にとって金融機関信頼性の重要な尺度となります。したがいまして、これを最重点対策として位置づけておるものでございます。  中でも、自己資本比率が〇%を下回っている、 いわゆる債務超過農協につきましては、組織を挙げて早急な対応を進めているところであります。取り組み基本スキームとしましては、農協自主再建基本としておりますけれども自主再建が困難な農協につきましては、当該農協最大限自助努力を求めた上で、県内農協連合会支援を得まして近隣の農協への事業の譲渡なり合併によって整理をしていくこととしておるものでございます。さらに、県内での全額処理が困難なケースにつきましては、全国段階において相互援助制度及び貯金保険機構資金援助を得まして支援していくこととしておるものでございます。  この結果、平成十年三月期におきまして業務停止命令の発動は回避できるものというふうに考えております。  こうした対応を図れましたのは、農協系統の場合は、県段階相互援助制度と、全国段階における相互援助制度貯金保険制度という二重のセーフティーネットがございまして、これが有効に機能したこと、それから相互扶助理念に基づきます協同組合活動の成果というふうなことが言えるのではないかというふうに考えております。  今後とも、引き続き経営健全化につきまして全力を挙げて取り組んでいきます。あわせまして、不良債権等のディスクロージャーを充実し、経営透明性向上させてまいりたい、かように考えております。  つきましては、このたびの貯金保険法改正は、我々系統農協の自主的な努力に加えまして、より万全な対応が図れるものでありますし、組合員等に、より安心される、信頼されるための最終的な担保として極めて意義あるものと考えております。どうかよろしく御理解をいただきますようお願い申し上げる次第でございます。  経営改革の第三点は、JAグループ全体の経営について、労働生産性施設効率向上重点としまして、経営合理化効率化を進めていくことであります。  平成十二年に向けまして、三〇%の労働生産性向上を目標に取り組んでいるものでございます。この場合、人員削減等を進めることにいたしておりますけれども採用調整とか早期退職優遇制度導入等によりまして、職員に雇用不安を起こすことなく円滑に進めてまいる所存でございます。  また、支所施設でありますけれども機能の見直しと統廃合を進めていくことといたしております。農協合併によりまして、本所の数は急速に減ってきております。しかし、支所施設の数は余り減っておりません。このことが農協合併経営合理化効率化に結びついていかない原因の一つでもありますし、経済事業事業収支改善が進まない隘路ともなっております。したがいまして、今後、合併による合理化メリットを生み出していくために、組合員理解を得ながら対策強化していきたいと考えておる次第でございます。  以上、JAグループ経営改革取り組み方針なり重点対策につきまして要点を申し上げたわけでありますけれども農協を取り巻く情勢は一段と厳しさを増している中で、早急かつ確実な実践を進めてまいる所存でございます。  どうか、諸先生方におかれましては、我々農協系統取り組みにつきまして御理解をいただき、今回の貯金保険法改正につきまして特段の御配慮を賜りますようお願い申し上げまして、私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  6. 北村直人

    北村委員長 ありがとうございました。  次に、栗林参考人にお願いいたします。
  7. 栗林直幸

    栗林参考人 農林中央金庫栗林でございます。よろしくお願いいたします。  日ごろ、先生方には農協信用事業各般にわたりまして格別の御理解を賜っております。この機会に厚く御礼を申し上げる次第でございます。  とりわけ、一昨年の統合法なり、また先般の金融システム安定化法等におきまして、系統信用事業基盤強化や、また健全性確保の観点から、大変な御理解と御尽力を賜りまして、重ねて厚く御礼を申し上げる次第でございます。  本日は、また、貯金保険法の一部改正案に係る審議に際しまして意見を申し述べる機会を与えていただきまして、大変光栄に存ずる次第でございます。せっかくの機会でございますので、意見とともにこの信用事業現状なり課題について若干触れさせていただきます。  御高承のとおり、系統信用事業は、農林漁業のメーンバンクといいますか、農林漁業金融機関としまして、またさらには地域金融機関としまして農林漁業地域の発展に貢献するとともに、系統信用事業全体として我が国金融システムの一翼を担っている、そういう重要な役割を果たしているものというぐあいにども認識をしております。  ちなみに、現在の私ども農協貯金全国で六十八兆円になっております。これは民間金融機関に占めるシェアが一〇・八%でございます。また、貸出残高はこの三月末で約二十兆円、これもシェアが四・一%、こういうような状況にあるわけでございます。また、金融機関のもう一つ機能である為替を考えてみましても、取扱件数が二千六十四万件、九十二兆円という取り扱いになっているわけでございます。  したがいまして、系統信用事業といたしましては、組合員地域信頼期待にこたえてその役割を十分に発揮すべく、基盤強化なり健全性確保に向かって注力してきた次第でございます。  健全性確保必要性につきましては、金融制度調査会なり農政審議会の場におきまして、農漁協組合員に対して金融サービスを提供する協同組織金融機関であると同時に地域金融機関である、したがって農漁協我が国金融システム一員として経営健全性確保に関し他業態と同等の措置を講じていく必要がある、こういうぐあいの御提言を賜っているというようなこともございます。私どもは、こういう提言を真摯に受けとめまして、金融システム一員としての自覚を持ちまして、系統を挙げての最重点課題として、自己資本充実なり業務執行体制整備なり、またリスク管理体制強化等に取り組んでまいりました。  この四月に導入されました早期是正措置につきましても、系統を挙げて精力的な取り組みをしてまいったわけでございますが、特に農漁協段階につきましては、自己資本比率基準に満たない組合早期基準達成が喫緊の課題になったわけでございます。これらにつきましては、都道府県段階におきまして、当局の御指導も仰ぎながら、県内系統が一致協力して対策を講じまして、ほとんどの組合において基準が達成され、一部に残った基準未達組合につきましても、経営改善計画を提出し、計画に従い早期基準達成に向け最大限努力を行っていくこととして、経過措置を御適用いただくということになったものと認識しております。  金庫といたしましても、全中なり全漁連と連携をいたしまして、これらの取り組み促進に注力してまいったわけでございます。この間、私ども相互援助制度なりリスク管理強化運動なり、こういう面から系統信用事業信用秩序維持に努めてまいったわけでございます。  系統信用事業の今後の取り組み課題についてでございますが、御高承のとおりのビッグバン進展等の新たな環境変化、また農林漁業をめぐる構造変化の中で、農漁協に対しましては、組合員なり利用者との接点を強化し、多様なサービスの提供を通じて信頼関係をより一層強固なものにすることが求められている、そういうぐあいにども認識しております。  したがいまして、系統信用事業といたしましては、二十一世紀を展望した将来ビジョンというものを私ども掲げまして、農漁協の強みとか特性を生かしながら、地域密着化により組合員利用者とのきずなの一層の強化を図りつつ、経営基盤維持、拡大を目指すこととしております。  こういう考え方に基づきまして、具体的な対応といたしましては、組合員利用者のための組合 であるという原点を強く認識しながら、各組合が自立した地域金融機関として経営健全性確保するということ、それから経営管理体制を抜本的に改革強化する、それから系統段階が一体となって総合力の結集に努めること、こういうこととしておるわけでございます。  また、先ほど全中松旭専務から話がありました事業組織改革という面でございますが、私どもは、平成八年十二月に農林中金と信連との合併に関する法律、こういう御手当てを受けました。これによって法的に可能になりましたので、以後、強い農協づくり、また組織再編を通じた系統信用事業体質強化、これに向けて全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  また、漁協系統におきましても、昨年の五月に漁協系統事業組織再編のための指針というものを策定いたしまして、また、この三月には、御高承のとおり、漁協合併促進法の御手当てをいただいたわけでございまして、これらにより、漁業なり組合員生産活動に貢献できる組織の構築に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  以上述べましたとおり、系統信用事業は、今後とも、組合員地域における信頼に基づき、その役割の発揮が求められているわけでございます。ビッグバンに伴い競争激化がますます厳しくなる、こういう経営環境を踏まえますと、組合員等信頼確保のため、我々みずから最大限努力を行うことが必要である。加えまして、組合員貯金者信頼の根幹となるセーフティーネット重要性がますます高まるというぐあいに認識をしております。  私どもといたしましては、リスク管理強化運動全国的な展開を通じ、新たな環境に適応できる経営体質確立に取り組むとともに、系統独自の相互援助制度整備によりまして、経営破綻未然防止、また貯金流出等緊急時における事態収拾のための対応に万全を期すなど、業態内の最大限自助努力により信用秩序維持に努めてきたところでありますし、今後とも信用事業挙げて努力してまいる所存であります。  貯金保険制度は、相互援助制度とともに系統セーフティーネットを構成しているわけでございます。貯金者信頼を最終的に確保するものでございます。今後の競争激化の中で貯金者信頼が揺らぐことのないよう、制度の整備に万全を期していただくよう希望する次第でございます。  今回の貯金保険法改正法案は、そういう意味で、今日的な必要性を踏まえた資金援助の発動手法を多様化する観点から、制度を拡充するものとして大変意義深い措置というぐあいに受けとめております。  先生方におかれましては、以上御賢察の上、今回の貯金保険法の一部改正法案につきまして、格段の御支援を賜りますようお願い申し上げるとともに、また今後とも系統信用事業に一層の御支援、御理解を賜りますようお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手
  8. 北村直人

    北村委員長 ありがとうございました。  これにて参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  9. 北村直人

    北村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊谷市雄君。
  10. 熊谷市雄

    ○熊谷(市)委員 自由民主党の熊谷市雄でございます。参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。  きょうは、一番手ということで質問させていただきますが、時間が少ないわけでありますから、お一人お一人とキャッチボールしておったのでは能率が上がりませんので、お三人に対して一点か二点ぐらい絞って御質問をしたいというふうに思いますので、後からそれぞれ御回答いただきたい、こんなふうにお願い申し上げておきたいと思います。  最初に町田参考人にお尋ねをしたいわけでありますが、先ほどの御説明によりますと、現在一千五百四十五億円の責任準備金確保されている、さらには二百億円の保険料の収入がある、これをもとにすれば、今の状況から判断をして資金が枯渇するようなことはまずないだろう、心配はない、こういうお話をいただいたわけですが、現下の経済情勢というのは非常に変化が激しいわけであります。特に、預金保険機構の方を見るとかなり需要がふえてきている、こういう点もあるわけでありますが、今度の制度に関連をして、政府の限度保証枠というものは数字的に設定をされなくとも果たして大丈夫なのかな、そういうことがちょっと気にかかるものですから、その辺をひとつお伺いしたいというふうに思います。  それからあわせて、既に自治体においては経営困難な農協に対する支援というものをやっているわけであります。その内容については御存じだと思いますので申し上げませんが、言うならば、保険機構が行うべき性格というか、機能というか、そういうものを自治体がもう既に行っている、こういう形になると思うのですが、こういうことについてどのようにお考えになっているのか。  あるいは、出し渋りというか貸し渋りというか、そういうことが余り厳しいのでということがないのかどうかということ。  それから、先ほど機構体制整備ということをおっしゃったようでありますが、どんなような内容の整備を行おうとしているのか。  これらの点についてお伺いしたいと思います。  次に、松旭参考人にお尋ねする事項でありますが、先ほどの説明によりますと、自己資本比率〇%未満、いわゆる債務超過に陥っているJAというものを早期に解消して業務停止命令を未然に回避をしていく、そういう取り組みJA改革推進三カ年基本方策というものを打ち出して徹底をしてやるんだ、こういうお話でありました。既に債務超過の農協というのはかなり出ているわけで、数字はおわかりだと思うのでありますが、果たして本当に大丈夫なのかなという気がするわけであります。  なぜこういうことをお尋ねするかと申しますと、二、三日前の新聞報道によりますと、都銀の大手十九行が不良債権処理に十兆三千四百億円計上した、そして軒並み経常赤字に転落する見通しになったということが報ぜられました。その中には、昨年の秋の計画と対比をして不良債権処理額が一・五倍にも膨れ上がった、計上した、これはもう最大手の銀行でそういうことをやったものですから、したがって、今までの過去のそういう処理額というものが粉飾に近い数字ではなかったのかな、言うならば銀行経営透明性というものが問われてくるのではないか、こういったような内容の記事だったと思います。  そこで、JA系統の場合、先ほどのお話によりますと、透明性というものをモットーにして経営指導に取り組む方針であるのだ、こういうふうにおっしゃったわけでありますが、まさか大手銀行のような粉飾に近いような操作をやってはいないのかなという、一応は疑ってもみたい気もするわけでありますけれども、その透明性ということについての確信がどうなのか、こういうことについてお尋ねを申し上げたいと思います。  最後に、栗林参考人にお伺いしたいことは、系統金融として、金融機関としての信用秩序というものの維持確立を図っていくために、公的な制度としての貯金保険機構、それからこれは協同組合という性格もあるわけでありますが、自主的ないわゆる相互扶助機関としての相互援助制度、この二本立てで万全を期していくんだというお話、そして系統としてのいわゆるセーフティーネットというものを構成をして不測事態に備えていくんだということを強調されたわけであります。  そこで、相援制度というものの仕組みというか内容というか、もう少し具体的にお尋ねをしたいということ。  もう一つは、今度の法の改正によって貯保機構機能がかなり強化をされてくるわけでありますが、そういうことに関連して、この相援制度というものを今後どのような考え方で運用されるのか。場合によっては必要がないんじゃないかとか、 なくさないまでも少し圧縮してもいいんじゃないかというような考え方もなきにしもあらずという面があるわけでありますが、そういったことについてどのようにお考えになっているか。  それぞれ御三人の先生方にお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  11. 町田博

    町田参考人 御答弁いたします。  まず、私どもの方にいただきました御質問、四点ほどございますので、第一点の、政府保証枠の予算化ということでございます。  御指摘のとおり、責任準備金につきましては、平成九年度末で約千五百四十五億円ということでございまして、これに保険料収入の二百億円を加えますと、この保険料収入なりあるいはさらには責任準備金の全額を取りますような事態に至る可能性というのは極めて低いというふうに私ども考えております。したがいまして、平成十年度におきましては、政府におかれまして予算措置を講じないこととされたものというふうに認識いたしているところでございます。.  しかしながら、御指摘のとおりに、最近の不安定な金融情勢のもとで、いつ何が起こるかわからない、そういう状況でございますので、そういうところを見ますと、最終的にはやはり政府保証が付与されているそのこと自体、つまり政府保証が制度化されるということが農漁協貯金者に安心感と信頼感を与えるものでございまして、これによりまして、他の金融機関と同等に系統金融信用秩序維持に重要な意義を持つものというふうに私ども考えているところでございます。  それから二点目の、地方財政による支援につきましては、御案内のとおり、農漁協信用事業以外に経済事業等を兼営しております総合事業体でございまして、組合員はもとより地域住民に幅広く利用されていることから、農漁協経営破綻につきましては、地域の信用不安につながるばかりではなくて、地域の経済や生活に少なからぬ影響を及ぼすこととなるわけでございます。このようなこともありまして、地方自治体におかれましては、信用秩序維持の観点だけではなくて、地域の経済でありますとかあるいは生活に与える影響などを考慮いたしまして資金的な支援が行われてきているというふうに見ております。  なお、このような支援は、あくまで各地方自治体のそれぞれの判断で行われているというふうに認識しておりまして、農漁協等の信用事業でありますとかその他の各種事業地域におきまする役割を考えますと、当機構といたしましても理解できるところでございます。  三点目でございますけれども機構資金援助について出し渋りではないかという御指摘でございます。先ほども申し上げましたとおり、これまで五件の資金援助を行っておりまして、今後も、法律に定められた手続を経たものにつきましては、そういった形で資金援助の申し込みがありますれば適正に対処する所存でございます。また、機構財務基盤等は健全な状況にございますので、このことからも出し渋る理由はないものというふうに考えております。  四点目でございますが、体制整備につきましては、今回措置されます予定の新規業務につきましては、直接買い取りに当たって買い取り価格の審査でありますとかあるいは査定方法でございますとか、さらには劣後ローンの貸し付け条件など検討を要する事項がございまして、速やかに実施体制確立いたしまして、法施行後に具体的な案件が出てきたときには円滑に対応できるように努める所存でございます。  なお、その際に、資金援助でございますとかあるいは新規業務の増加の程度に応じまして、外部の専門家の活用を検討しながら、必要な業務運営体制に万全を期してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  12. 松旭俊作

    松旭参考人 ただいまの御質問でございますが、まず、銀行等の不良債権に比べて農協系統はどうなんだというふうなお尋ねでございます。  確かに、新聞報道等では、これは銀行全体でございますが不良債権七十七兆円というようなことも伝えられておりまして、そういう意味では、大手で十兆円ぐらい償却するというのは実態を反映していると思うのです。私どもは、まだ今最終的な不良債権の集計をやっているところでございますが、これまでのいろいろな途中経過で推定いたしますと、銀行等に比べまして不良債権の額、比率、これは格段に低いものでございまして、まずそういう状況にあるということでございます。  次に、それじゃ、それはきちっと組合員等にディスクローズされているのか、こういうことでございます。正直に申し上げて、農協も今合併途上でありまして、ピンからキリまでございますものですから、ディスクローズも、今期、平成十年三月期から全部の農協ですべての不良債権をディスクローズしろ、こういうことで指導しておりますからこの十年三月期ではパーフェクトにディスクローズできると思いますが、昨年度までの状況を申し上げますと、まだディスクローズは不十分である、その辺は反省点でございます。したがいまして、私ども、自己査定の基準あるいはディスクローズの指針をつくりまして、この十年三月期からきちっとやってまいりたいと思います。  ただ、実態といたしましては、農協の場合は御承知のように合併推進を全国的に展開しておりますから、その合併の中で不良債権が洗い出されております。財務格差の調整等の作業の中で不良債権が洗い出されておりますから、そういう意味では実態的なディスクローズはなされておるというふうに考えております。なお努力をいたしたいと思っております。
  13. 栗林直幸

    栗林参考人 先ほどの御質問の相互援助制度の関係でございますが、相互援助制度は昭和四十八年に発足をいたしました私どもの自主的な制度でございます。農協なり信連それから農林中金、これが一体となって仕組んでいる制度、また運営がなされておりまして、先ほど申しましたように、いわゆる公的な制度の貯金保険制度と両輪のごとく運営をされているということで、他の金融業態にはこういう仕組みは余りないというぐあいに我々は認識しております。  発動といいますか、これは、一つはやはり農協経営破綻未然防止、この辺がありますし、また、貯金流出の緊急事態なりが起きたときに緊急に資金の供給をする、それから農協経営、特に財務の内容が悪化して自主再建に取り組む場合に支援をする、それから経営困難になった農協合併等をする場合に円滑に行うための支援、そういうぐあいにかなりその内容が多岐にわたっておるわけでございます。  それで、要綱がありまして、この要綱に基づきまして、例えば欠損金発生原因をまず明確化するということ、それから経営責任を明確化していただく、経営改善計画をつくる、それから後で再建計画の進捗状況なりをチェックしていく、こういう支援発動といいますか、これは、諮問機関として相援の委員会というのがありまして、この委員会でその妥当性なりをかなり厳密にチェックをしております。  これは、先ほど申しましたように、最大限自助努力信用秩序維持にこういう形で注力をしているわけですが、大規模な経営破綻等があって貯金保険制度資金援助を仰がざるを得ない、こういう場合でありましても、その前提としまして、この相互援助制度等を通じてまず最大限自助努力をするのだ、こういう仕組みを我々としては考えているわけです。そういう運営をしているわけでございます。  それで、この財源としましては、これは農協信連と農林中金がそれぞれ毎年農協貯金の一定割合を積み立てる。その前提としては、支払い準備貯金として、六十八兆の農協貯金の一割をまず預金として支払い準備として置き、それから一定割合を支援財源としてそれぞれが積み立てる、そういう形でございますから、それぞれ、農林中金なり信連全国積立金なり県ごとの積立金、こういうものが相当程度たまっておるわけでございまして、その中から毎年そういう必要性が認められた ものについて支出をしていく、そういう運営をしております。  したがいまして、先ほどちょっと、この制度は公的制度が充実すればどういう方向に持っていくのかという御質問でございましたが、貯金保険というのは御承知のとおり貯金者保護、この相互援助制度というものは、組合経営の安定を図ることによって間接的に貯金者保護する、こういう形でやはり両々相まって農協信用事業が円滑に運営できるのだというぐあいに思っておりますので、私ども農協信連、農林中金としては、この信用事業相互援助制度もこれからもむしろ一段と充実をしていきたい、そういうぐあいに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  14. 熊谷市雄

    ○熊谷(市)委員 時間になりましたから終わります。ありがとうございました。
  15. 北村直人

    北村委員長 次に、鉢呂吉雄君。
  16. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 参考人の皆さん大変御苦労さまでございます。十五分という時間でございますので、質問も端的にいたしますので、御発言も端的にお願いいたしたいと思います。  まず、貯金保険機構町田参考人に御質問いたします。  運営委員会の公平性は、今政府保証あるいは劣後ローンあるいは不良債権買い取りと、極めて社会性、かつ税金も使うかという時点でありますから、従来の農水省のOBあるいは農業団体の会長さんという運営委員会、これでは果たせないというふうに思っております。ですから、この辺で学識経験者等をきちっと入れるという考えがあるかどうか。  それから、二番目でありますけれども、県の資金支援をほとんどがこの間やっております。この各県の支援というものを条件としないのか。機構資金支援あるいは保険金支払いという段階で各県の支援というものを前提にしないかどうか、この点、お答えいただきたいと思います。
  17. 町田博

    町田参考人 お答えいたします。  まず、運営委員会の運営の公平性についてでございます。  当機構の運営委員会につきましては、農業または水産業及び金融に関しまして専門的な知識と経験を有します者七名、並びに当機構理事長及び理事の合計九人によりまして構成されております。なお、委員につきましては、主務大臣の認可を受けまして当機構理事長が任命することとされているところでございます。  資金援助の決定なりあるいは、起こっておりませんけれども保険事故の発動につきましては、これら委員方々によりまする慎重な審議を経て行われ、私ども公正な運営がなされてきているものというふうに考えておりますけれども、ただいま先生から御指摘のありました件、すなわちより第三者的な立場の方の登用につきましては、法律の規定ともかかわってまいりますので、主務省とも協議しながら今後機構として検討をいたしてまいりたいというふうに思います。  それから、二番目の点でございますけれども、地方財政支援を条件としているかどうかというところでございます。  地方財政支援につきましては、農漁協地域の経済生活に及ぼす影響などを考慮いたしまして、地方自治体独自の判断から実施されたものというふうに私ども承知しているところでございます。  なお、貯金保険法上、地方自治体からの拠出というものは義務づけられているものではございませんので、したがいまして機構といたしましても地方財政による支援というものを資金援助の条件といたしてはいないところでございます。
  18. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 不測事態に極めて有効に措置できるというふうに先ほどお述べになりました。しかし、農水省の答弁もありますとおり、現在で各県の支援が三百四億円、また債務超過に陥っている第三区分の金額は五百億円程度というふうに言われておりまして、八百億であります。一千五百億程度で大丈夫かどうか、それが一つ。  二つ目は、政府保証をやることになっておりますが、その際、今、貯金保険機構の保険料率を少ない料率でやっておりますけれども、この貯金保険の保険料率を上げるということが前提になるのかどうか。その二点について御質問いたします。
  19. 町田博

    町田参考人 お答えいたします。  貯金保険機構の保険料でございますけれども、これにつきましては、冒頭の意見陳述で申し上げましたとおりに、責任準備金の額が千五百四十五億円ございますし、あわせまして毎年の保険料二百億円もございますので、現在のところ財政状況というのは十分だということでございまして、このような状況の中では、現在のところ、保険料率の引き上げということは考えておりません。
  20. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 次に、農林中金の方に質問いたします。  貯金保険機構というのは単協段階であります。これは貯金者保護するということで、信連、農林中金は保険制度が一切ありません。私はかねがね農水省にも、信漁連、信連、そして農林中金についても貯金保険制度というものをきちっとつくるべきであると。単に、最大の貯金されている方が単協の貯金だということでありますけれども、その三段階の、農林中金と信連経営困難になった場合の社会的な影響は極めて大きいというふうに思っておりまして、こういう保険制度をきちっと創設する考えがあるかないか、お答え願いたいと思います。
  21. 栗林直幸

    栗林参考人 今の御質問でございますが、私どもなり信農連なり信漁連、これは農漁協からの、ある意味で再預り金といいますか、しかもその農漁協のところで貯金保険制度の対象となっているということで、その貯金農漁協から、今度は一定のロットにまとまりまして、それが信濃連、信漁連に来る。それからまたその相当部分が農林中金に来る。農林中金はまた一方で金融債の発行という機能も持っておりますけれども。そういうことになっておりますので、現状では私どもの方は対象となっていない。  しかし、御高承のとおり、先般の国会で成立しました金融機能安定化の緊急措置法におきまして、信濃連なり信漁連、それから農林中金につきましては金融システム一員として資本注入の対象になる、預保の対象になるということにさせていただいたわけで、この三月につきましては農中なり県連は自己資本比率をクリアしておりますので特に御要請はしておりませんけれども、そういうシステムの対象にもさせていただいている。  いずれにいたしましても、私どもなり連合会がみずからリスク管理強化し、また体質を強化して健全性を保つということであろうかというぐあいに思っております。
  22. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほど来、農林中金さんは、単協なり信連健全化についての指導的な役割についてはお述べになったというふうに思っております。問題は、農林中金みずからの不測事態、これはもちろん自己責任といいますか、財務健全化等やっていかなければならないという今のお話はそのとおりだと思いますけれども、今日のような金融システム全体が危機的な状況にあるというようなものに対応する、参考人もおっしゃいましたいわゆるセーフティーネットというものを持っているのかどうか。これは信連が具体的にそういう状況にも住専問題では立ち至ったというふうに思っておりまして、それに対応するセーフティーネットというものときちっと言えるのかどうか、再度お尋ねいたします。
  23. 栗林直幸

    栗林参考人 御高承のとおり、平成七年に住専問題が起きまして、私ども五千三百億という負担を贈与という形でしたわけでございます。その年度は内部留保等を取りまして相当苦しい決算を強いられ、以後、信連なり金庫、最大限努力をしておりまして、経営的には上向いてきているわけでございます。  私どもは、約五十兆円の資金を持って海外、国内で運用しておりますが、そういう意味で、我々自体は、みずからがやはり経営体質強化し、財務内容をよくし、しかも今回、この三月では、系統各団体の御協力をいただきまして一兆円の増資を行いまして、また、劣後ローン系統から五千億 ちょうだいいたしました。こういう形の協力のもとで自己資本比率も九%程度になる見込みですし、そういう形で我々みずから努力して、そういう不測事態はもう全く起きないような経営をしていきたいと思っております。  以上でございます。
  24. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 信漁連には一つだけ四%に至っていない信漁連があるというふうに農水省からも発表がありました。これについて農林中金としてどのような整備をしていくのか。あるいは、今回自己資本の公的な支援の注入ということがなされるわけでありますけれども、この対象にしていくのかどうか。しかし、これとて完全ではありません。漁協、単協ですとか、そこの漁協に預けている組合員に大変大きな、連鎖倒産的な意味合いが私はあるというふうに思っていますけれども、この点についてどのようにお考えなのか。
  25. 栗林直幸

    栗林参考人 信漁連で一つそういうぐあいに大変御苦労をいただいている信漁連があるということはもちろん承知しております。当該県でこれまで相当、再建計画等県の御支援もいただきながら、また、水産庁御当局にも御指導いただきながら、計画に対しましては、現在計画を上回るような形で再建が進んでいるというぐあいにども聞いております。  私ども、当該県にはもちろん支店もありますし、そこを通じまして、この信漁連が必ずよくなるように再建計画支援していくつもりでございます。  以上でございます。
  26. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 全中松旭参考人にお伺いいたします。  先ほど、早期是正措置業務停止命令等は回避できるというふうにおっしゃったわけでありますけれども、御案内のとおり、二十七の経営改善計画で、合併によって行うというふうに発表されておるところであります。  私の承知するところでは、この二十七はすべて合併できるとは到底思えません。どのようにその実効性といいますか、実現性というものを確信しておるのか。ある行政庁でも、二十七すべてはできないというような考えを私は承っておりますけれども、その具体的な実現性についてどのように考えておるのか。また、合併が実現できなかったときには、系統全中としてどのような措置をしていくのか。この点についてお伺いいたします。
  27. 松旭俊作

    松旭参考人 お答えいたします。  債務超過農協の解消対策は、合併事業譲渡がございます。おっしゃるように、合併による計画の県があるわけでございます。私どもは、これはもう県の段階で合意をとった計画でございますから、これは何としてでも達成してもらうということであります。  ただ、今の段階で、それぞれの地区でいろいろな議論がある中身は、本当にその債務超過が解消できるのかどうかというのがまだはっきりしない。したがって、この処理スキームをきちっと履行できれば、合併することで負債を、不良債権合併農協に持ち込まないことが確認されれば、私は合併はむしろスムーズに進むのではないかというふうに思っております。  ただ、おっしゃるように、これからいろいろ曲折があると思います。ですからこれは、私ども、行政とも連絡しながら、連携しながら、御指導を得ながらやっていきたいということでございます。何としてもこの計画は守らせるように努力をしたいと思っております。
  28. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 貯金保険機構の発動ということにはならない、農業を取り巻く状況の厳しさに伴う特に専業地帯の農協、ここに農地下落等に伴う多額の不良債権が存在をしておることは事実でございます。この解消のために、全中としてどのような制度的なものを考えておるのか。  それから、それが一つの大きな原因になって、早期是正の自己資本健全化に向かって、いわゆる貸し渋り、離農勧告のような形がその生産地帯では出ておるというふうに言われております。なかなか難しい問題でありますけれども、中小企業でも貸し渋りというものが大変大きな問題になっておりますし、農協でもやはりそこは同様な問題があるのではないかというふうに思っておりまして、その離農勧告を伴う貸し渋りというものに対して全中さんはどのような指導をされていくのか、お伺いいたします。
  29. 松旭俊作

    松旭参考人 ただいまの御意見でございますが、農地担保の価格の下落とか流動化の困難性、これは事実ございます。  これの原因でございますけれども、農地価格の下落というのは、一般の大都市部の宅地のようにバブルのときに高騰した土地がバブルの崩壊で暴落したというような形での農地価格の下落ではなくて、これはやはり地域での農業とか畜産経営が苦戦を強いられているんだ、だから結局担保農地の引き受け手がないということだと思うのですね。価格の問題ではないというふうに私は思っているのです。  そこが一番の問題であって、地域農業なり畜産なりをどういうふうに盛り立てていくかという政策がやはり基本になっていくべきであろうというふうなことで、そういう意味の地域農業の振興対策という政策については、これまで私どもも諸先生方にお願いしておるわけでございますが、引き続きそれは私ども重点対策でやっていきたいと思っております。  それから、関連いたしまして、債権買い取り機関が農地担保つきの不良債権を買い取っても、そこの担保の流動化ができないと、買い取ってはみたが結局担保権を発動できないということにもなりますので、ひとつそういう面ではいろいろ政策的な手だてがないものか検討をしていきたいというふうに考えております。
  30. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ありがとうございました。  終わります。
  31. 北村直人

    北村委員長 次に、宮地正介君。
  32. 宮地正介

    ○宮地委員 新党平和の宮地正介でございます。  参考人の皆様方におかれましては、御多忙の中、当委員会にお越しいただきまして、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。  きょうは、十五分という短い限られた時間でございますので、端的に御質問させていただきたいと思います。  最初に、町田参考人にお伺いしたいと思います。  今回のこの法律改正によりまして、特に、貯金保険法四十二条の二に政府保証が定められることになるわけでございます。これはまさに、今後貯金保険機構が大変な破綻の状況になったときには公的資金導入も可能である、こういう道を開くことになるわけでございまして、先ほど来三人の参考人の皆さんから、組合員の皆さんの安心、信頼を得るために大変結構なことである、私はそのとおりであろうと思います。  私は、さらに、このいわゆる公的資金導入の道が開けるということは、万が一今後何か起きたときには国民の税金によって保証していただくんだということは、これは大変な重みがあると思うのです。重みがあるだけでなくて、やはり国民に対しての大きな責任が課せられた、こう思うのですね。  それだけに、今後貯金保険機構が、また今回新たな措置が盛り込まれるわけでございますが、その点、今までの対応の延長線であってはならない、ここで心新たな決意と、また改革すべきところは大いに改革をして、国民の負託にこたえ得る、そうした貯金保険機構に大きく脱皮していく大事なときであろう、私はこう考えておりますが、まず町田参考人に、その点についてどのようなお考えで今後対応されようとしておられるかお伺いしたいと思います。
  33. 町田博

    町田参考人 御答弁申し上げます。  御指摘のとおり、当機構借り入れに対します政府保証措置が今回法律案に盛られているわけでございますが、この政府保証につきましては、まさに万が一の事態をおもんぱかっての措置であるというふうに認識しております。  したがいまして、この件につきましては、私ども現在考えておりますのは、まず第一に、系統指 導機関、ここにおられます中央会さんを初めといたしました系統指導機関の方々にお願いしまして、農漁協経営に厳しく対処して、極力資金援助が発生しないよう御尽力をお願いしているところでございます。また、そういうことを今後とも一層やりていこうというふうに考えております。  それから二点目でございますが、万が一政府保証による借り入れが行われる事態となりましても、政府保証の発動、実行といいましょうか、そういったものに至らないように、償還財源の確保のために、まず、私どもが現在資金援助等に費やしております資金の効率的な利用に努めることといたしたいと思います。さらには、それで賄い切れない場合が出てまいりました場合には、このときは事故がかなり出ている、あるいは資金援助の件数がかなり多いということでございますので、保険料率、当面は引き上げることは考えておりませんけれども、この保険料率の引き上げ等につきましても必要に応じて検討をすることとしたいというふうに考えておりまして、できる限り、言葉としては適切じゃないかもしれませんが、自賄いの精神でやっていこうということでございます。  いずれにいたしましても、政府保証の安易な発動の事態とならないように、機構といたしまして、系統団体等と連携をとりながら努力していきたいというふうに考えております。
  34. 宮地正介

    ○宮地委員 次に、農林中金の栗林参考人にお伺いしたいのですが、もう一つ大事な視点は、まさに金融ビッグバンが本年四月から本格的に開始をされました。特に二〇〇一年四月からペイオフの新たな厳しい時代に突入をしてまいります。特に農林中金は、そういう中で、農林系統金融機関の一番のトップとして、他の金融機関との競合のやはり先端に、リーダー格の立場にあるわけでございます。  そういう中で、一つはやはり商品開発、これをどう今後、他の金融機関に負けない、いわゆる組合員の皆さんが安心できる、リスクの少ない、魅力のある、そういう金融商品をどう開発するか、これが一つの重要なポイントであろう。そうしませんと、他の金融機関の方から、大変に安心で、リスクのない、魅力のある、こうした商品が出てまいりますと、相互扶助の制度ということで何らかの形で農協系に貯金もしたい、しかし他に魅力のある、安心できる、そういう金融商品があれば、そちらにシフトしていくのはやはりおのずから当然であろう。  こういう点、金融競争のそういう新しい時代の中で、農林中金の果たす役割、責任、また組合員に対する新しい商品を提供する責任というのは大変重要になってくる、私はこう思っておりますが、この点について今後どういう対応をされようとしているか、農林中金の栗林参考人にお伺いしておきたいと思います。
  35. 栗林直幸

    栗林参考人 お答えします。  今先生おっしゃいましたこと、我々もそのとおりだと思っております。  それで、私どもは、今おっしゃったようなビッグバン進展の中で競争はもちろん非常に激化するし、我々は地域密着て相互金融事業をやりながら特色を発揮するということでございますが、今お話にありましたような、いろいろな金融機関が入ってくるということだろうと思います。  それで、私ども系統金融機関の強みといいますか、そういう意味では、先生おっしゃいましたように、農協漁協地域金融機関として活躍をする、活動をする、そして私どもが内外の金融マーケットにアクセスをしましてそこで運用し、もちろん、そういう中で我々自体が他の金融機関に負けないような商品開発力をつけなければいけない。私どもの中にも商品開発部なりいろいろな部を設けてそういう金融技術の専門家も養成しております。そういう形で、少なくとも展漁協組合員なり利用者信頼される、または特色のある商品をこれから提供していく、またそういうことでなければいけないというぐあいに強く認識をしておりますので、これから、我々がマーケットにアクセスをして、商品開発をし、提供し、最新の情報をシステム的に単位組合に提供していく、そういうことをいろいろなビッグバン対策の中での一つの大きな柱として我々は十分認識をしております。  以上でございます。
  36. 宮地正介

    ○宮地委員 松旭参考人にお伺いしたいと思います。  全中は今後、単位農協に対しての指導監督、また新しい金融ビッグバンの時代における信用事業のあり方、こういうことについて原点を確認しながらどう新しい方向へ導いていくか、これが非常に私は大事だと思うんです。  農協というのは、日本の農家あるいは農業の生産性の向上、日本の国民の食糧の需給関係をしっかりと確保する、言うならば食糧安全保障の一番大事な原点を守る立場にあろうと私は思うんです。そういう中で、今農協経営の中身を見てみますと、大体信用事業がほとんど五〇%強で、残りが農業生産に関係するいろいろな、いわゆるコングロマリット経営をされておる。こういう大変複合的な経営をされている中で、この信用事業だけがこれから金融ビッグバンの中で非常に大変な試練に立たされてくるわけです。また一方では、農業生産という大変な経営をやらなきゃならない。  そこを指導監督していく大変重要な立場にあるのが全中であろう、私はこう思っております。そういう中で、やはりきめの細かい経営の理念、経営のあり方あるいは経営者の経営手法、人材の育成、こうした問題にも取り組んでいかなくてはならない。  特に農林系統金融機関は、地域経済の中に根差したいわゆる地域金融機関として、信用事業として今後重点的に発展していこう、言うならば、一般の金融機関から見れば、信用金庫とか信用組合とかそういう地域に根差した金融機関とバッティングをしていくわけです。そこでの信用事業経営観念、あるいはもう一つは、別の、農業生産に貢献するそういう経営、こういう両面をやっていかなきゃならない大変難しい時代に来ている。  そういう点から、全中として今後、そうした経営者に対する経営指導、監督、あるいは今回監査を非常に強化拡充される、専門家の方も導入して今後そうした面に対応していく。私は大変大事なことだと思うんです。特に信用事業というのは、これから新しい時代においてディスクロージャーの時代に入ると思うのです。できるだけ消費者に対してディスクロージャーしませんと、商品に魅力があっても、その金融機関の中身はどうなんだろう、大丈夫だろうか、こういう情報公開の時代に入ってまいりますから、そういう面からも経営者としてのあり方が今後チェックされると私は思います。  そういう点について、全中として今後全国の単位農協に対してどう対応されていくのか、お考えを伺っておきたいと思います。
  37. 松旭俊作

    松旭参考人 お答えいたします。  先生御指摘のように、私どもの当面する最大の課題は、農協合併という器づくりは進んでいるのですけれども、問題は、中身を充実する、中身づくりというのが今我々の最大の課題でありまして、おっしゃるように、経営体制確立の問題とか役職員の人づくりの問題、私はこれが大きな課題だと思っております。それにつきましては、各種の研修、教育研修機能充実ということもありますけれども、直接的には、今進めておりますのは、県中とか県の連合会の人材を合併農協へどんどん派遣していって、現場で、教育と言ったらちょっとおこがましいのですが、人育てをやっていくというような手だてをやっております。  それから、全中自身の問題といたしましては、JASMICという個別経営指導を三年前からやっておりまして、合併農協経営管理、人事管理、そういった面のコンサルを今県中と一緒になってやっております。そういう点で個別に指導充実していくということであります。  それから最後の、中央会監査、しっかりせいということでございますが、これは先生、いよいよ この十年度から中央会監査が法定化されまして、義務づけられるということは、今度は中央会監査にも法的責任が伴います。これはよほど我々腹をくくってやりませんと、自分にはね返ってくることでございます。監査基準を改定したり、監査士の能力を向上させたり、あるいは、例えば県中央会の会長のJAは全中監査をするとか、いろいろそういうことで工夫をして充実してまいりたいと考えておるところでございます。
  38. 宮地正介

    ○宮地委員 時間が参りましたので終わりますが、ぜひお三人の参考人の皆さんにお願いをしておきたいと思います。  健全な金融信用事業の問題について取り組んでおられること、常日ごろの御活躍には敬意を表したいと思います。しかし、今回の法律改正によって公的資金導入という新しい道を開いた、これはまさに、いざというときには国民の皆さんにお世話になりますということは大変重いことなのだ、逆に言えば、国民に大変責任を持って対応しなくてはならない新しい時代に来たのだ、これが一つの視点です。  もう一つは、二〇〇一年四月から本格的な金融ビッグバンの時代に突入する、大変な競争激化の時代が来る。これに生き残るためには、大変な研究、また商品の開発、経営責任、経営の手法、こうした切磋琢磨が非常に大事な時代が来ます。  そして、何よりも、農林漁業という、全国民の食糧の需給の安定確保の最も大事な使命と責任を帯びている皆さん方であります。そこにぜひ誇りと使命と責任を持って、今後の新しい時代に対応できるそうしたすばらしい経営、また発展ができるような団体として、三人の参考人の皆さんはおのおののトップの責任者の立場にある方々でございますので、特にそうした新しい時代に、新しいニーズにこたえ得るそうした方途に対して、特段の御努力とまた責任ある対応をしていただきたいことをお願い申し上げ、質問を終わります。
  39. 北村直人

    北村委員長 次に、一川保夫君。
  40. 一川保夫

    ○一川委員 自由党の一川保夫といいます。  参考人の皆様方、本日は大変御苦労さまでございます。  今ほど宮地委員の最後の方の要望、相当レベルの高いお話がございました。私もそれに関連いたしますけれども、具体的ないろいろな問題についてはもう既に話題に出ておりますが、私自身の思いといたしましても、恐らく、我が国農林漁業を取り巻く、また農政の中でも相当重要な農業団体として参考人のそれぞれの組織がかかわっているというふうに思っております。そういう面では、政治行政面のほかに、皆さん方のこれからの農政の進展なり我が国農林漁業の発展に果たす役割というのは相当大きいものがあるというふうにも考えております。そういう観点で皆さん方のお考えを簡潔にお聞きしたいわけです。  今現在、我が国の農政も、御案内のとおり、農業基本法を見直しをかけるとか、あるいは本年度から新たな米政策を導入していくというような段階にも来ておりますし、また一方では、WTOの交渉も間近に控えているという面では、今日大変重要な局面にあるわけです。今日のこういう時点におきまして、皆さん方が、我が国のこれからの農政はこうあるべきだということに対して、特にこういうことは意見として申しておきたいということがございましたらぜひお聞かせ願いたいということと、これからの新しい農政なり農林漁業の振興のためにそれぞれの皆さん方の組織としてこういう役割を担っていきたいというような、そういう決意のほどをまず冒頭に簡潔にお聞かせ願いたいというふうに思います。三人の方、お願いしたいと思います。
  41. 松旭俊作

    松旭参考人 現在、食料・農業・農村基本問題調査会におきまして、新たな基本法の制定に係る検討が進められておるのは御承知のとおりでありまして、私どもは、原田会長も委員になって、そういった調査会の場で我々の主張を申し上げているところであります。  簡潔に申し上げますと、私どもは、国民の食糧、安全な食糧を安定的に供給するために、国内生産目標というものを明らかにしてほしいということは申し上げております。それから、適正な価格、所得政策による経営安定対策、これをぜひ確立していただきたい。それから、農地も年々減少しております。優良農地を継続的に守っていきたい、そのための政策をはっきりさせていただきたいということとあわせて、農地の土地投機の道を開くことになる株式会社の農地取得の問題については、これは我々は反対であります。そういう立場をとってございます。それから四番目は、中山間、離島というような条件不利地域の定住条件を整備するための所得政策というものをぜひ確立していただきたい。それから五番目は、先生今御指摘のように、WTO対策につきましては、そういう観点から、新たな農産物貿易ルールを確立していただきたい。  この五点が、私ども基本政策に関する重点的なお願いの事項でございます。よろしくお願いしたいと思います。
  42. 栗林直幸

    栗林参考人 私ども系統金融機関でございますから、今先生のお話にありましたような新しい農政の方向なり、それから構造変化なり、そういうものに対応して金融機関が円滑に金融をするというのが我々の役割だともちろん思っております。したがいまして、従来からコメ金融なりあらゆる面での農業漁業関連金融を担当しておるわけでございますから、私ども現在考えておるのは、従来以上に、やはり生産面での金融のみならず、流通から加工、この一貫した農産物の流れのそれぞれのところに発生する金融というものをいかにうまく我々が担当していくか、そういうことが農林漁業者のためになるのだろうという観点から引き続き努力をしてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  43. 一川保夫

    ○一川委員 栗林参考人にちょっと具体的なお話をお聞きしたいわけですけれども、先ほどの意見陳述の中に、系統信用事業部門において二十一世紀を展望した将来ビジョンを掲げ、農協なり漁協の強みとか特性をしっかりと発揮していきたいというような趣旨の意見陳述があったというふうに思います。そこのところをもうちょっと具体的にお話をしていただければありがたいと思います。
  44. 栗林直幸

    栗林参考人 現在進行している日本版の金融ビッグバンというものが、規制緩和なり自由競争なり、そういう中で私どもの担当している地域にも内外の金融機関が入ってくる。そういう中で、今先生がおっしゃいましたように、我々が従来から持っておった我々の強みというのは、やはり地域密着、それから組合員とのつながりが深い、それから販売なり購買なり共済なり、いろいろな総合事業を行っていることの強みがある、こういうことで私どもやってきたわけでございます。我々は、これを一段と強くしていくことが他の金融機関に負けない農協であり、漁協になるんだと思っております。したがいまして、この線は引き続き十分我々は対応していかなければいかぬ。  それからもう一つは、今我々は農漁協貯金者利用者信頼維持しながら仕事をしていかなければいかぬ。そういう意味での経営体質強化というのはもちろん我々の重要な役割ですし、これからビッグバンの中でますます金融はリスクがふえると思います。また一定のリスクをとらなければ収益は上がらない、こういう時代でございまして、そういう意味で、我々のリスク管理の能力アップというのが従来以上に大事になろうかと思っております。  それから、先ほどもちょっと申させていただきましたが、やはり系統信用事業の強みなりよさというのは、連合組織と単協とあって、これが有機的に結合して連携をしながら対抗していく、こういうことでございます。具体的に言えば、内外のマーケットに連合組織なり金庫が常に運用面で対応しているわけですから、そこから負けない商品を開発するとか情報を提供するとか、それで農漁協地域のほかの金融機関に活動の中で負けないようにしていく、全体的に強い信用事業にしていくということでございまして、私ども既に、この十年から十二年にかけての中期の推進方策という のを立てまして、これを各県の単協まで今ずっと周知徹底をしているところでございます。  そういう意味で、情勢は非常に厳しいと思いますけれども努力をしてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  45. 一川保夫

    ○一川委員 先ほどちょっと農協合併の話題が出ましたけれども、そのことについてちょっとお尋ねしたいのです。  先般、農林水産省の方にもいろいろ確認をさせていただきましたけれども、今現在、我が国の各都道府県別にその合併の進捗状況等を見ましても、相当その進捗の度合いに格差がある。もう既に目標を達成しているところもございますし、まだ全然目標を達成していないというか、全く数字的には進捗していないというような都道府県もあるわけです。  なぜこんなに大きな格差が出てくるかということ、いろいろな要因が当然あるわけですけれども、そのあたりどういうふうに御認識をしておられるかということと、これからそういう阻害されている問題に対して基本的にこういう対策で臨むのだというところがございましたらお聞かせ願いたい、そのように思います。
  46. 松旭俊作

    松旭参考人 冒頭申し上げましたように、我々今合併推進に取り組んでおります。ただ、おっしゃるように、県間の格差がかなりあるということは事実でございまして、これは私ども実は一番頭の痛いところなんです。  私どもは、合併がなかなかうまくいかない要因というのを調査したことがあるのですが、一番の要因はやはり不良債権の問題です。それと裏腹に財務格差が、片一方は内部留保がたくさんある、片一方は不良債権をたくさん抱えているというような財務調整の具体的なやり方、この辺が合併の一番のネックになっているのです。したがいまして、私どもは、とにかく平成十二年度中に、あと三年しかございませんが、合併構想を全部完成しようという不退転の決意で臨んでおりますが、今の合併の阻害要因を解消していく努力をあわせてやりたいと思っております。  そういう意味では、今回の早期是正措置なり債務超過農協の解消対策JAグループが一生懸命取り組んだことがそういった阻害要因を一つ取り除いたのかなというふうにも思いますので、私どもは今後さらに合併促進、加速していくのではないかというふうに見ております。
  47. 一川保夫

    ○一川委員 それからもう一つ、今後の農協一つ役割としてどういうふうに位置づけられるかということに関連しますけれども、先般もちょっと、農水省のときにも御質問させていただきましたけれども、今現在、中山間地域等条件が非常に不利な地域におきまして耕作放棄地等が非常に増加してきている、こういうような土地をもっと農業的に有効に活用していくということを当然考えなければならない時代に来ておるわけです。  こういう課題に対して、今後農協等がもっとしっかりと放棄地の解消に向けて取り組んでいく強い姿勢があってもいいんじゃないかというふうに私は思うわけですけれども、そのあたりに対しての何か御見解がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  48. 松旭俊作

    松旭参考人 不作付地あるいは耕作放棄地が大変ふえているという認識は先生と同様でございまして、我々のデータではこの五年間に三十三万ヘクタールぐらいそういう農地がふえているわけです。したがって、私どもも、おっしゃるようにこれの有効活用の対策強化しようということで、実は今月の私ども全中理事会で一定の指針、対策を打ち出しております。  例えばということで申し上げますと、農地として利用可能なものはとにかく中核的農家に集約していこうということ、これは今までもやっているわけです。その取り組み強化していこうということでありますけれども一必ずしもそういう土地であればまた耕作放棄地にはならないということもありまして、そこで、ファーマーズマーケットとか学童農園、市民農園あるいは福祉、医療、そういうものに活用することも含めまして、まずそれぞれの地域で実態調査に入りまして、それで今申し上げたような対策をそれぞれの県、地域でつくっていただこうという取り組み早期にやっていきたいというふうにいたしております。
  49. 一川保夫

    ○一川委員 以上で私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  50. 北村直人

    北村委員長 次に、中林よし子さん。
  51. 中林よし子

    ○中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。きょうは参考人の皆さん、ありがとうございます。  それでは、まず町田参考人にお伺いしたいと思うのですが、先ほどの意見陳述の中で、現在、責任準備金が千五百四十五億円あって健全であるというお話があったわけですね。ただ、今後の不測事態対応するために今回の法改正が必要だ、その必要性もお説きになったわけです。  ただ、今農協全体が、ディスクロージャーしなければならないとか、それから、不良債権をたくさん抱えているところは、早期是正措置経営改善計画も立てて、それで健全化に向かっているというような努力もされているわけです。住専の問題だとかあるいは資金運用の問題などで、実は、不良債権がどんと出てくるとかいうようなそういう不測事態というのはこれまであったのじゃないかというふうに思うのですね。  そうなると、今後不測事態に対してこういう改正が必要なんだ、今は体力は十分なんだけれども、こういうお話があったわけですけれども、今後不良債権というものがどういう形であらわれると予測されているのか、あるいは不測事態というのはどのくらいの時期に起きてくると予測をされているのか、その辺の見通しをお話しいただきたいと思います。
  52. 町田博

    町田参考人 お答えします。  不良債権のあらわれ方というまず第一点目でございますけれども、この状況につきましては、最近までの状況を見ますと、先ほどちょっと意見陳述で申し上げましたとおり、私どもの方でこれまでの実績は五件でございますので、そう大きな不良債権という形になっておりません。今後とも、農協あるいは漁協の現在の経営状況等から見ますと、さほど大きな不良債権がどんと出るというような状況にはならないのではないかなというふうに私ども見ているわけであります。  それから、不測事態とはどういうことかというお尋ねでございます。  この事態、これは先ほどちょっと申し上げましたけれども農漁協合併をいたしております。そして、合併に伴いまして大型化しておりますので、そういう大型化に伴って、これは経済状況、つまり展水産業の事態というよりもむしろ全体の経済状況が非常に悪くなって、そういう大型化をされた農協なりあるいは漁協がかなり経営困難に陥ったという状況は想定されます。ただ、それは想定されるということでありまして、今後すぐそういうことになるかといいますと、当面そのような状況は起こらないのではないかなというふうに見ております。
  53. 中林よし子

    ○中林委員 続いて、松旭参考人にお伺いしたいと思うのです。  実は、去年の月刊JAの三月号で参考人が「「JA改革」の断行を」という文章を寄せていらっしゃるのですが、その最後の結論の方に、「JA経営現状は、貯金の減少基調、経済事業の三年連続の減収、経営収支の低迷等いっそう厳しさを増してきており、」ということで、経営現状について述べられているわけですけれども、これらの現状はどこからそういうふうになってきているか、原因が何だというふうにお考えなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  54. 松旭俊作

    松旭参考人 それぞれの事業によりまして原因が違うと思いますが、端的に申し上げますと、例えば経済事業の販売事業の減収といいますのは、例えば米の価格の問題、生産調整の問題等々扱い量が減ってきた、こういうことだと思います。  それから、購買事業も不振なんですけれども、そういう農業生産の実態を反映して肥料とか農薬の投入量が減った、あるいは設備投資の意欲が衰 えたというようなことが大きな原因ではないかというふうに思います。  それから、貯金でございますけれども、これは、一時期実はマイナス成長したことがございまして、それは住専等のいろいろな不安感が組合員にあってそういうふうになったというふうにも反省しておりますが、ようやく最近復調いたしまして、貯金につきましてはかなり回復してきて、これは組合員信頼を回復してくれたのだなということで、その面ではちょっとほっとしているというのが現状でございます。
  55. 中林よし子

    ○中林委員 私も今おっしゃった認識と、特に農業生産の実態の反映というところでは本当に一致しているというふうに思うのですね。  本来、農協法で、「農民の協同組織の発達を促進し、以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展を期することを目的とする。」という本来の農協自身の目的というのは、変わっていないというふうに思うのですね。減反面積が非常に大きい、それに加えて米価の下落がある、畜産の価格の低迷があるということが今の最大の原因ではないかというふうに思うのですね。  私は、農協信用事業というものが農業の発展と無関係にあってはならないのじゃないかというふうに思うのですけれども、今かなりずれた資金運用などもされているというふうに思っているのです。これも昨年なんですけれども参考人が「農業と経済」で座談会をやっていらっしゃいますよね。そこで、これも最後の方の結論部分になるのですけれども農協らしさといったときに本当に出せるかどうかということで、金融機関らしさは出せる、保険会社らしさは出せるけれども農協らしさというのはなかなか出しにくい風土だった、こういうことをお話しになっているのです。  現在、私どもも、考えてみると、金融機関らしいとか保険会社らしいというのが一般的な見方として農協の評価となっていると思うのですが、本来の農協法の目的に沿った農協らしさを出そうと思えば、どういうことが必要だとお考えでしょうか。
  56. 松旭俊作

    松旭参考人 実は、それにも書いておりますように、大変難しいことだなというふうに思っておりますが、私は、やはり組合員のニーズ、意向を踏まえた業務組織運営をやることが基本だ、これが農協らしい事業運営ではないかというふうに思っております。したがって、信用事業、共済事業も農家のニーズに即してやるのであれば、それは私は農協らしさではないかというふうに感じております。
  57. 中林よし子

    ○中林委員 松旭参考人にばかり聞いて申しわけないのですけれども組合員のニーズにこたえてということになると、今広域合併を何が何でも平成十二年までに完了するのだ、こういうお話がございました。本当にそれが組合員のニーズにこたえているものかどうかというのは、広域合併に対する意識調査もおやりになっていて、その調査結果を見ても、だんだん農協と疎遠になっていくという回答が非常に多いわけですね。  それと、もう一つ経営面から考えてみても、これは、平成八年度の農業協同組合経営分析調査の報告書というのを農水省が出しているわけですが、小規模の農協とそれから広域合併した大規模の農協との経営分析の対比が数値で明らかになっております。それを見ますと、貯貸率、これも小規模が四五%、特大の規模が二五・五%ということになっておりますし、一番今問題になっている自己資本比率、これなども千戸未満のところが五・五%、それから一番大きいところが四・五%というぐあいに自己資本比率も小さい方がいい。それから、職員の給与も小規模の方がいいということがあらわれているわけなんです。  私は、本当に農協らしい農協ということをお求めになるならば、今十二年まで計画を断行するとおっしゃっていること、何か矛盾するように思うのですけれども、その辺はどういうふうに改善していこうとお考えなのでしょうか。
  58. 松旭俊作

    松旭参考人 先ほど申し上げましたように、現在は農協合併の器づくりみたいな段階でございまして、率直に言って農協を五つか六つ足しただけの農協でございまして、本来、その中身づくりというのがこれからなんです。したがって、確かに、経営収支面で見ましても、人件費は高いところに合わせる、手数料は低いところに合わせる、いろいろな施設も改造しなければいかぬということで、当面経営効率化の実は出ておりません。したがって、これがこれからの中身づくりの大きな基本だと思います。  ただ、私が申し上げたいのは、この合併の趣旨は、やはり組合員自体も、例えば、これから介護保険制度が導入されたときに福祉事業なんかをやってほしい、そういうニーズの多様化があると思うのですが、今のような五、六十人の農協で果たしてそういうことができるのかどうか。やはりそれは一定の規模に合併させていくことが必要だということで、我々は組合員の多様あるいは高度なニーズを充足していく、そういう機能還元をしていく合併のメリットというものを求められているのじゃないかという観点、これは一つの観点でございますが、そういう面からもこれはぜひともやっていきたいというふうに考えております。  ただ、組合員理解を得てやるということは大変重要でございます。その辺の話し合いが、とかく合併先にありきみたいな進め方になっている部分については十分反省しながらやっていきたいと思っております。
  59. 中林よし子

    ○中林委員 では、最後にもう一度松旭参考人にお伺いしたいというふうに思うのです。  銀行などの民間中小企業に対しての貸し渋りなどで自殺者が出るというようなことが起きております。現に、農民の方にも実は昨年、北海道の方で自殺者が出た。これは農協との対応の中で起きたものだというふうにお聞きしているわけですね。自己資本比率を高めるということが早期是正措置の中で求められていたし、そこを高めるために、不良債権を持っている者に対しては離農勧告を出すなどということも、現実、ことしになってからも起きてきているわけですね。  ただ、その不良債権を抱えている農家の実態を見たときに、実はこれまで農水省が進めております大規模経営、土地の流動化だとか、それから新農政に対応するものだとか、それから認定農家をつくっていくとかいうことのために資金を借りなければならないということで、いわば国の農政に準じて規模拡大、経営強化などを図っていくために負債をつくった。これが、実は十アール当たりで幾ら不良債権があるかということで、三十万円以上借金があった場合は不良農家だというような一つ基準が設けられていたという事実があるわけですね。  だけれども、本来の農業業務以外に不良債権をつくったところと、それから本来の国の農業施策に沿った形でやった農家とは、やはり区分しなければならないのじゃないかというふうに思うのですけれども、その点について全中のお考えをお伺いしたいと思います。
  60. 松旭俊作

    松旭参考人 農業経営者も経営格差といいますか個々人の資質、能力の差はあろうかと思いますから、そういう面でやはり経営が困難になる農家もあると思います。  ただ、基本的には、私は、日本の農業あるいは畜産が今本当に痛めつけられているのは、輸入農産物の増大で農産物の価格が上がらない、農家が幾ら合理化努力をしてもその合理化メリットが手元に帰ってこない、そういう中にやはり不良債権化していく部分が多いというふうに考えておりますから、これはこの機会に改めて農業の問題について先出方のお力添えをいただきたいと思っております。  それから、ちょっと簡単に申し上げますと、そういった農業で破綻した農協と、例えば員外貸し付けみたいなところで破綻した農協とを差をつけるべきではないかということでございますが、これは私ども、県の段階で応援するようなケースでしか見ておりませんが、組合長以下、当時の経営者、徹底的な責任追及を求められているということの中で厳しい追及が行われているというふうに 私は理解しております。
  61. 中林よし子

    ○中林委員 どうもありがとうございます。  終わります。
  62. 北村直人

    北村委員長 次に、前島秀行君。
  63. 前島秀行

    ○前島委員 時間もたちましたので、端的に二、三お伺いいたします。  最初に、松旭参考人に伺いますが、今やはり金融関係で一番の課題は負債ということだろうと思いますね。その負債処理ということをどうしようとしているのか、また、その見通しはどうかということがまず第一点です。  負債の固定化というところを見ると、専業良家ほど固定化の確率が大きい。これを日常の中でどう対応しなければいかぬか、この負債の固定化をどう防いでいくかということと、また、不良債権となっている問題を当面どう処理していくか。この負債、不良債権の処理という問題をともかくしませんと、合併も進まないだろうし、経営の安定も成らない。この不良債権をどう処理しようとしているのか、その見通しはどうなのかということが一つ。  それから、公的資金導入するということは、かなり農協系統金融に対する国民の目というのは厳しくなるな、やはりこういうふうに見ざるを得ないだろうし、また、その責任にこたえていかなくてはいかぬだろうと思います。そういう面では、よく言われている、ある一面では農協系統農協の強みでもあるけれどもやはり仲間意識的な対応という面で、いわゆる金融関係のディスクロージャーという問題について真剣に取り組んでいきませんと、これからの金融対応ということも大変になってくるのではないだろうか。このディスクロージャーということ、いわゆる農協、一連の信用活動の透明化という問題が今系統金融に課せられた大きな課題でもあるのではないだろうか、こういうふうに私は思います。  この不良債権処理の見通し、方法と、ディスクロージャー、透明化の問題について今後どういうふうに考えられているのか、指導されようとしているのか、この点の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  64. 松旭俊作

    松旭参考人 前段の御質問は、大変私どもも頭の痛い問題でございまして、特に展家の負債対策という側面がより重要であろうというふうに思います。農協不良債権というのはその結果でありますから、したがって、私どもとしては、例えば畜産負債のようなものにつきましては、経営を承継した者に対してその負債を軽減してあげる措置であるとか、あるいはその他の政策的な負債解消対策をお願いしておるところでございまして、これにつきましてはまた特段の御支援を賜りたいというふうに思っております。  それから、不良債権の処理でございますが、具体的にはこれは債権買い取り機関が引き受けて処理していくということでございます。これはもう県内農協あるいは連合会相互援助制度の中で溶かし込んでいくということでございまして、債権の回収ができないものについては、もうそうせざるを得ないというのが現実でございます。  それから、ディスクロージャーにつきましては、先ほども申し上げましたが、これはまだ不十分でございます。したがって、この十年三月期から全農協すべての不良債権を開示しなさいということで進めております。これは徹底をさせてまいりたいと思います。つまり、私どもいつも、不良債権を出す罪よりもそれを隠す罪の方がもっと大きいんだということを農協の役員研修等では大きな声で言っておるということでございまして、これはぜひ実現させないと組合員の不信を増幅させることになるというふうに考えております。
  65. 前島秀行

    ○前島委員 栗林参考人に伺いたいと思います。  信連の位置づけ並びに農林中金と信連合併についてであります。  御案内の、住専の事件といいましょうか、住専からの教訓の一つとして、信連の位置づけ、信連対応というのがいろいろ議論になってきたと思うし、また、今度法改正をして、積極的に農林中金と信連合併という方向性も出ているだろうと思います。また、三段階のさまざまな状況、現実を見ると、貯貸率だとか等々、やはり一番信連のところに課題も集中している。そういう面で、中金と信連合併という大きな課題があります。  しかし、その合併にもいろいろ問題があるということも伺っています。不良債権の存在の問題だとか、あるいは職員の問題だとか、あるいはさまざまな格差の問題等々、いろいろな問題があってなかなか進まないという現実もあるようでありますが、やはり信連の位置づけといいましょうか、対応といいましょうか、今後のあり方というのも、系統金融の今後の安定化にとっては重要な課題であることは間違いないだろうな、こういうふうに私は思います。  そういう面で、中金の側から、信連との合併等々の問題をどう受けとめているのか、その点を栗林参考人にお聞かせをいただきたいと思います。
  66. 栗林直幸

    栗林参考人 御高承のとおり、これは農林中央金庫法と農協法の違いがあって、法的にはそういう統合ができなかったものですから、おかげさまでそういう法律をつくっていただきまして、平成八年の十二月に統合法が通ったわけです。  我がJA系統全体として、連合組織の再編統合というのが一つの長期的な方向として決まっているわけでございまして、信用事業もその方向で基本的には動いているわけです。  ただ、JA大会で十九回からずっとそういう議論がされていますが、その間に金融ビッグバンが起きた、こういう中で、競争なり戦争をしている中で戦線を整備するということでございますから、金融という面も考えますと、そこに混乱が起きないように円滑にやっていかなければいかぬ。  それから、先生おっしゃいましたように、各県の地域事情なり信連状況なりが非常に区々であるという中で、これについてどういう形で県ごとにやっていくのがその県内信用事業の運営として一番いいかということで、昨年からことしにかけて信連と農中でずっと検討を続けておりまして、大体この六月ぐらいで全体的な考え方はまとまる方向でございます。  したがいまして、基本的にはこういう方針でいきたい、しかしその中で県ごとの実情を十分配慮したい、こういうスタンスで、七月ぐらいから個別の県といろいろな御協議に入りたいというぐあいに思っております。
  67. 前島秀行

    ○前島委員 松旭参考人全中の側から、信連の位置づけ、信連と中金の合併問題等々についてはどういうふうにお考えですか。
  68. 松旭俊作

    松旭参考人 私どもは、この連合組織の再編につきましては、県連と全国連の統合を基本にした組織二段ということが基本方向でございます。したがって、その方向で信用事業も検討してもらっているのです。  ただ、信用事業の場合は、人的体制の問題とかノウハウの問題とか、ちょっと共済とか経済とは違う要素がございまして、一定の期間を置いて円滑に進めていく必要があろうという立場でございます。その意味では、今栗林専務がおっしゃったような、それぞれの実情に応じてやっていくことが一番円滑な道ではないかというふうに考えております。
  69. 前島秀行

    ○前島委員 町田参考人に伺います。  今度の法改正でいわゆる貯金保険機構に公的資金導入される、これについてはいろいろな意見があることも事実ですね。したがって、もし万が一のときには公的資金導入されるわけでありますから、やはりこの保険機構の公平性あるいは透明性確保するということが非常に大切だろうと私は思います。そのことがない限り、万が一、いざというときに期待される対応ができなくなる、いわゆる緊急導入のための国会の手続等々ができなくなる、こういうことだろうと思います。  そういう面で、この保険機構の公平性あるいは透明性ということはどういう形で確保されようとしているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  70. 町田博

    町田参考人 今回法案の中に政府保証の付与ということが盛り込まれておりまして、私どもとし て、これがもし実現いたしますれば、先ほど来申し上げておりますように、まさに安心して資金援助ができるという体制ができるわけでございます。  ただ、それと同時に、やはりそういう広い意味での公的資金というものにかかわるわけでございますので、先生おっしゃったような公平性なりあるいは透明性といったような観点は非常に大事であろうというふうには私ども思っておるわけであります。  それで、具体的に申し上げますと、公平性につきましては、意思決定機関であります運営委員会でございますけれども、この委員の人選、メンバーでございますが、これにつきましては、より第三者的な立場の方を登用するということを主務省とも十分協議しながら検討していきたいということと、それから、透明性につきましては、これは情報公開ということがございますので、当初から私ども、やはりこの件については信用秩序の混乱を避けなければならないということから、現在のところ運営委員会につきましては審議過程を非公開といたしておりますけれども、この件につきまして、決定過程をより透明にしようという考え方から、これも主務省とも協議しながら今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  71. 前島秀行

    ○前島委員 ありがとうございました。  終わります。
  72. 北村直人

    北村委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。委員会を代表し厚くお礼を申し上げる次第でございます。  どうぞ御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  73. 北村直人

    北村委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。藤田スミ君。
  74. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  第一に、貯金者保護のために設立されている貯金保険機構は、九六年現在千五百四十五億円の責任準備金を持っており、毎年二百億円の保険料収入となっており、農漁協経営破綻を防ぐためには十分な財源を持っていると農水省も機構も繰り返している中で、あえて法改正する必要はないわけであります。  第二に、機構の債務への政府保証は、農水省自身が、直ちに政府保証をつける事態が生まれるとは想定していないと言いながら、国民の怒りと批判を浴びた今国会での預金保険法の改正の横並びで公的資金導入の仕組みを農林水産系の金融機関に持ち込むものであり、到底容認できません。  第三に、劣後ローン供与不良債権の処理の促進ビッグバン対応するためのものであります。ビッグバンは、日本の金融規制の全面緩和と自由化によって日本経済と国民生活に重大な影響をもたらし、多くの中小金融機関の整理、淘汰を促進するものであり、我が党は一貫して反対してまいりました。本法案もその一環であり、賛成するわけにはいきません。  本来、農漁協信用事業は、一般の金融機関からは敬遠されがちな組合員が、組合員の相互金融によって営農と生活の改善向上を図ろうとするのが基本的性格であり、その本来のあり方に立ち返った経営こそが求められています。何より今日の農漁協経営困難を招いた根本的要因は農漁業そのものの落ち込みによるものであり、日本の農漁業の振興、そして農家経営の安定、向上こそが本来農漁協経営の安定にとっても貯金者保護にとっても求められているものであり、この方向を踏み外した対策はあり得ないことを申し述べ、反対討論といたします。(拍手
  75. 北村直人

    北村委員長 これにて本案に対する討論は終局いたしました。     —————————————
  76. 北村直人

    北村委員長 これより採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  77. 北村直人

    北村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  78. 北村直人

    北村委員長 この際、本案に対し、小平忠正君外五名から、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党、社会民主党・市民連合及び岩浅嘉仁君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。赤城徳彦君。
  79. 赤城徳彦

    ○赤城委員 私は、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党、社会民主党・市民連合及び岩浅嘉仁君を代表して、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   最近における我が国金融を取り巻く環境の著しい変化にかんがみ、農協漁協系統金融機関もまた、我が国金融システム一員として、なお一層の貯金者保護信用秩序維持に資する対策を講じることが求められている。   よって、政府は、本法の施行等に当たり、左記事項の実現が図られるようその指導、監督に努めるべきである。       記  一 本法の運用に当たっては、貯金者保護という視点を明確にするとともに、経営困難な組合合併経営再建等に活用するよう十分指導すること。    また、貯金保険機構は、安易に政府保証債務の履行や地方公共団体の支援が行われることのないよう、適切な運営に留意すること。  二 劣後ローン供与に当たっては、その場限りの安易な救済措置につながることのないよう留意すること。この場合、貯金保険機構は、その審査概要等を公表すること。  三 早期是正措置に基づく自己資本比率改善計画の合理性、実行の確実性を適正に判断するよう、都道府県に対し適切な指導を行うこと。    また、早期是正措置に伴う自己資本比率充実への対応が、貸し渋り等に結びつかないようきめ細かな指導を行うこと。  四 各都道府県段階における債権回収会社の設立とその運営等について適切な指導を行うこと。  五 金融システム安定化を図る一環として、経営困難な組合の役員等の経営責任を明らかにするとともに、情報開示の一層の充実が図られるよう指導すること。  六 広域合併の推進に当たっては、農家と農協との関係が希薄化することのないよう、その運営につき適切な指導を行うこと。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手
  80. 北村直人

    北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  81. 北村直人

    北村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣島村宜伸君。
  82. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。     —————————————
  83. 北村直人

    北村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 北村直人

    北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  85. 北村直人

    北村委員長 次に、内閣提出種苗法案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣島村宜伸君。     —————————————  種苗法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  86. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 種苗法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  現行種苗法は、種苗が農林水産物の生産に不可欠な基礎的生産資材であることにかんがみ、種苗流通の適正化と優良な新品種の育成の振興を図るため、指定種苗の表示に関する制度及び品種登録に関する制度を定めたものであります。  中でも、品種登録制度は、我が国も昭和五十七年に締結した植物の新品種の保護に関する国際条約の内容に対応した制度であり、これまで、新品種の出願件数、登録件数ともに増加し、世界的にも高い水準に達するなど、我が国の育種の振興に大きな役割を果たしているところであります。  世界の情勢を見ましても、新品種の育成と育成者の権利の強化は各国共通の重要課題認識されており、平成三年には、植物の新品種育成者の権利をより適切に保護し、育種の一層の振興を図るため、従来の条約が改正されました。  この改正条約締結の承認案件は今国会に別途提出されておりますが、この条約に対応し、国際的に調和のとれた形で育成者の権利を保護することにより、我が国における育種振興の基盤強化を図るため、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、品種登録制度の対象とする植物の範囲を拡大することであります。現在四百六十七種類の植物を保護の対象として指定しておりますが、この対象を拡大し、栽培される植物について広く保護の対象とすることとしております。  第二に、育成者の権利を強化することであります。育成者の権利を法律上明確に育成者権として規定するとともに、育成者の許諾が必要な行為を、従来の種苗の有償譲渡等の行為から、種苗の生産、譲渡、輸出入等の行為に拡大することとしております。また、登録品種のわずかな特性のみを変化させた品種の利用についても育成者の権利が及ぶこととしております。なお、農業者の行う自家増殖については、一定の場合を除き権利の効力が及ばないこととしております。  第三に、出願公表及び仮保護の制度を導入することであります。品種登録出願があった場合には、その内容を公示して出願公表を行うとともに、出願公表から登録までの間の出願品種等の利用に対し、出願者が警告をしたときは、品種登録後に、補償金を請求することができる仮保護の制度を設けることとしております。  第四に、権利の存続期間を延長することであります。従来、原則として十五年、果樹等の永年性植物については十八年とされていたものを、それぞれ二十年及び二十五年に延長することとしております。  以上のほか、出願料、登録料の改定、品種登録簿の閲覧等に関する規定の新設その他所要の規定を整備することとしております。なお、指定種苗制度については現行制度と同様の規定により、引き続き種苗流通の適正化を図っていくこととしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  87. 北村直人

    北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十分散会      ————◇—————