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1998-04-09 第142回国会 衆議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月九日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 北村 直人君    理事 赤城 徳彦君 理事 鈴木 俊一君    理事 松岡 利勝君 理事 小平 忠正君    理事 木幡 弘道君 理事 宮地 正介君    理事 一川 保夫君       石破  茂君    小野 晋也君       小野寺五典君    大石 秀政君       金田 英行君    熊谷 市雄君       佐田玄一郎君    園田 修光君       田中 和徳君    高鳥  修君       中山 成彬君    仲村 正治君       丹羽 雄哉君    萩山 教嚴君       二田 孝治君    御法川英文君       宮本 一三君    矢上 雅義君       石橋 大吉君    今田 保典君       仙谷 由人君    樽床 伸二君       鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君       漆原 良夫君    木村 太郎君       佐々木洋平君    菅原喜重郎君       二階 俊博君    中林よし子君       藤田 スミ君    前島 秀行君       岩浅 嘉仁君  出席国務大臣        農林水産大臣   島村 宜伸君  出席政府委員        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        農林水産省食品        流通局長     本田 浩次君  委員外出席者        参  考  人         (社団法人日本        食品衛生協会専        務理事      七野  護君        参 考 人        (社団法人日本        事兼検査所長)  新村  裕君        参  考  人        (日本生活共同        組合連合会常務        理事)      片桐 純平君        農林水産委員会        専門員      黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 四月九日  辞任        補欠選任   金田 英行君     小野 晋也君   木部 佳昭君     田中 和徳君   中尾 栄一君     大石 秀政君   御法川英文君     佐田玄一郎君   奥田 敬和君     樽床 伸二君 同日  辞任        補欠選任   小野 晋也君     金田 英行君   大石 秀政君     中尾 栄一君   佐田玄一郎君     御法川英文君   田中 和徳君     木部 佳昭君   樽床 伸二君     奥田 敬和君     ————————————— 本日の会議に付した案件  食品製造過程管理高度化に関する臨時措  置法案内閣提出第六五号)  農地法の一部を改正する法律案内閣提出第七  四号)      ————◇—————
  2. 北村直人

    北村委員長 これより会議を開きます。内閣提出食品製造過程管理高度化に関する臨時措置法案議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、社団法人日本食品衛生協会専務理事七野護君、社団法人日本食肉加工協会理事検査所長新村裕君、日本生活協同組合連合会常務理事片桐純平君、以上三名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、議事の順序について申し上げます。  七野参考人新村参考人片桐参考人の順に、お一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際はその都度委員長許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。  それでは、七野参考人にお願いいたします。
  3. 七野護

    七野参考人 本日、本委員会参考人とじて参りました、社団法人日本食品衛生協会専務理事をしております七野護と申します。  本日は、いわゆるHACCP手法支援法案についての御審議の過程での参考人と伺っておりますので、私、現在、社団法人日本食品衛生協会専務理事をしておりますので、それともう一つHACCP連絡協議会会長を去る一月二十八日に仰せつかりました。この点につきまして考えを述べさせていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思っております。  まず最初に、もう御案内のとおりかと思いますので簡単に、社団法人日本食品衛生協会は、現在、一般会員約百三十万人ということになっております。ただ、一つ御記憶願いたいのは、食品衛生協会会員は、業種別会員構成ではございません。現在、厚生省食品営業にかかわります許可営業種が三十四業種ございます。三十四業種すべての方々が加盟しておる、加入しているという団体でございまして、ちょうどことして創立五十周年を迎えます。食品衛生法がたしか昭和二十二年に公布されました。その翌年の昭和二十三年に食品衛生協会が発足した、こういうことでありますので、ことしてちょうど五十周年に当たるということになっております。  当時から、食品衛生協会理念と申しましょうか、柱と申しましょうか、これは食中毒をゼロにしたいということでございます。ただ、簡単に食中毒をゼロにするということは、正直言って至難のわざかと思っておりますが、でき得る限りゼロに近く持っていくというのが食品衛生協会理念ということで、現在までいろいろの活動をしております。  その中で、食品衛生協会の最も力を入れております活動と申しましょうか、これが自主的な衛生管理でございます。これは営業者自身によります自主的な衛生管理をやっていこうということで、協会が設立されたときから綿々と、延々とやっております。  では、どういう方法でやっておるかといいますと、今申し上げましたように、全国百三十万人の 会員がおられますので、その中から、現在約六万五千人の方々食品衛生指導員という形で仕事を委託してやっております。これは全くボランティア活動でありますので、その方々が、巡回指導でありますとか、いろいろな相談事業でありますとか、そういうことに日夜御努力願っているということでございます。  前置きはそのぐらいにいたしまして、では、本日法案議題に上がっておりますHACCPに関する環境はどうかということであろうかと思いますが、食品衛生法が三年前に改正になりました、その中にHACCPという手法が取り入れられたということであります。  そこで、このHACCPというのは、先生案内のように、コーデックスから示された、世界的にも非常に評価されている衛生手法でございますので、当食品衛生協会会員の中でも、この考え方をできるだけ早く普及したいということでやってきております。  そのためにまず、先ほどから申し上げておりますように、私たち協会一般会員は、いわゆる飲食店営業が主体でございますので、そういう方々にもわかりやすいようなガイドブック、教科書と申しましょうか、そういうものをまずつくろうじゃないかということで仕事を始めております。  その結果、もう一年になりますが、平成九年、昨年の十月ごろにHACCPとは一体何であろうかというようなタイトルで、一般会員向けルールブックと申しましょうか、そういうものをつくっております。これは、自分で言うのもおかしいのですが、非常に評判がよくて、最初はまあこの程度でいいかなと思ったのが、どんどん売れまして、現在また増刷をしておるということでありますので、非常にいいものができたかな、そんな感じがしております。  そんなことで、HACCPについていろいろ取り組んでおりますが、先ほどから言っておりますように、食品衛生協会といたしましては、いわゆる一般会員向けのソフトと申しましょうか、そういうことを重視して、まずHACCPに対して違和感のない、HACCPに関してなじみが持てるようにということで、現在いろいろな形で仕事をさせてもらっております。  例えば、現在、私たち協会でつくっております「食品衛生」という一般会員向けの雑誌があります、機関誌でありますが。その中にHACCPに関する特集を、毎年一回はその特集を組んでやっております。この点につきまして、また時間がありましたら御説明申し上げたいと思っておりますが、時間がもうなくなってまいりました。  次は、このHACCP連絡協議会であります。  HACCP連絡協議会、これはもう先生方も既に御案内でございますので簡略に申し上げますが、これは、昨年の五月に厚生省農林省の御指導のもとに食品業界の二十団体が集まりまして、HACCPに係わる連絡協議会、当時はまだ仮称でございます。その事務局は、当時、日本食肉加工協会、ここが担当をされておりました。そんなことで五月に発足いたしまして、それで、まず専門講師を育てる講習会をやろうということで、七月にその講習会を行いました。これは、厚生省農林省行政機関の絶大な御支援をいただきましてやったわけであります。その場で使いましたテキストでありますとか時間割りなどなど、行政当局からの御指導をいただいて、専門講師養成するための講習会をまず行いました。その結果、四十九名が修了してございます。  その後はもう御案内のように、このHACCP連絡協議会、当時はまだ仮称でありましたが、これをひとつもっと強化をして、きちんとした形で運営をしていく必要があるんじゃないかということになりました。  そこで、昨年の九月二十五日でありますが、そのときの集まりで当日本食品衛生協会事務局をお引き受けするということに相なりまして、ことしの一月二十八日、HACCP連絡協議会を正式に旗上げをした、そこで総会を開きまして、不肖私が会長に選任されたということでございます。  これにつきまして、もう時間がございませんのでこの程度にさせていただきますが、後ほどまた何かございましたらお話をさせていただきたい、かように思っております。  なお、このHACCP手法支援法案、これについて、食品衛生協会、あるいは私が今会長を仰せつかっておりますHACCP連絡協議会は一体どう考えるかということでございましょうが、私は、いずれにしても大変有意義な制度である、さように考えております。先ほどから申し上げておりますように、特にHACCP連絡協議会、これはHACCP制度を広く普及していこうということでありますから、その点につきましてこのHACCP手法支援法案というものが非常に大きな力をもたらすんじゃなかろうかなと期待しております。  なお、当食品衛生協会につきましても、先ほどから申し上げていますように、もう七〇%から八〇%ぐらいでございましょうか、これが飲食店営業ではございますが、やはりその中には、先ほどから言っておりますように、業種にとらわれておりません。業種にとらわれておりませんので、今回の乳・乳製品HACCPに対する承認、この中に当食品衛生協会会員施設が二施設含まれております。それを申し添えまして、私の時間がかなり超過してどうも失礼しました。  どうもありがとうございました。(拍手
  4. 北村直人

    北村委員長 ありがとうございました。  次に、新村参考人にお願いいたします。
  5. 新村裕

    新村参考人 日本食肉加工協会新村と申します。よろしくお願いいたします。  まず初めに、HACCP手法についてどう評価しているかということについてお話をしたいと思います。  このHACCPにつきましては、米国におきまして、宇宙飛行士にいかに安全な食品を提供するかということで開発された手法でございまして、その後、ある食品業界におきまして、この手法を用いたことによって安全な食品が製造できるようになったというように聞いております。  私ども業界としましては、今から三年前の一九九五年に食品衛生法の中で総合衛生管理製造過程というものが設けられまして、その承認制度が導入されておりますけれども、これに関心を持ちまして、私どもは、学識経験者、それから業界技術者から成りますHACCP研究班というものをつくりまして検討してまいりました。  検討していく中で、今までの製造方法と大幅に違うということはございませんけれどもあれこれ現場記録をつけなければならない、そういう煩わしさというのがわかりまして、これはちょっと大変かなというように思ったわけですけれども、その後、実は私どもは、一年半ほど前から試験検査関係施設におきましては、よく似た手法なんですけれどもGLP制度というものを導入しなければならないということになりまして、昨年四月からそのGLP制度を導入して実施しているわけです。このGLP制度感じましたのは、確かに、人のやったことをチェックするということをやっていきますので、煩わしいという面がございましたし、導入当初におきましてはかなり非効率的なこともございましたけれども、一年たってみますと、今はすっかりなれてしまっている。また、依頼者に対しましては試験成績書を発行するということをやっておりますけれども、従来のやり方に比べると確実性が高い、いわゆる間違いのない成績が出せているというように確信を持っておりますので、このHACCPにおきましても、恐らく、製造するメーカー側からしますと、今までよりは確実性の高い商品を出せる、そういう安心感を持って商品が製造できるのではないかなというように思っております。  それでは、このHACCP手法を導入するに当たりまして何が重要かということですけれども、私は二つあるというように思っているわけです。  一つは、施設設備の整備という問題がある。それからもう一つは、HACCPについて正しい知識を持つ人材養成するということであろうと思っております。  施設設備につきましては、古い工場もございます。そういう工場高度成長期増改築をやってきているわけですけれども、その増改築の際に必ずしも物の流れがうまくいっていないということがございまして、例えば、裸の製品と生肉が接触しやすいような流れができているということもあり得る。そうしますと、そういう流れを持っている工場におきましては製品安全性というものが脅かされる可能性がありますので、やはりこのHACCPを導入してやっていこうということになりましたら、うまく流れるように、例えば壁の位置を取りかえるとかというようなことが必要であろうと思いますし、それから、ネズミとか昆虫が工場の中に入りやすいとか、または工場の中で発生しやすいような構造になっているといったような場合には、それを直すというようなことが必要であろうというように思っております。そういう、施設設備が良好な状態に保たれて初めてこのHACCPというのはうまくいくのではないかなと思っております。  それから、HACCPについて正しい知識を持つ人、そういう人材養成ということでございますけれども、これにつきましては、私どもは、「食肉製品総合衛生管理製造過程ガイドライン)」という冊子をつくりまして、これを会員案内しております。その「ガイドライン」をもとに昨年、説明会を開催いたしまして、約四百三十名ほどの人が受講しております。それから、ことしの三月にもやはり第二回目の説明会を開催いたしまして、そのときは約三百名ちょっとの人が受講しているという状態です。この講習会は毎年開催していくというつもりでおります。その中で、特に厚生省総合衛生管理製造過程承認を得たいという企業のためには、さらに専攻編という講習会を開催いたしまして、そういう人材養成に努めているところであります。  それでは、今回出ております支援法についてどう評価しているかということで申し上げたいと思いますけれども、現在、世の中の景気は余りよくないということもございます。企業は収益が上がらない、一方では製品価格を下げなければならないということもありまして、なかなか設備投資に回せる資金的な余裕がないということがございます。そういう状態でございますので、今回の支援法が出るというのは大変ありがたいというように私はとらえております。これは、私だけではなくて、企業の一部の方にも聞きましたら、大変に期待しているということでございましたので、よろしくお願いしたいなと思っております。  以上でございます。(拍手
  6. 北村直人

    北村委員長 ありがとうございました。  次に、片桐参考人にお願いいたします。
  7. 片桐純平

    片桐参考人 日本生協連片桐でございます。日本生協連と申しますのは生協連合会でございますが、農協に例えますと、中央会全農が二つくっついているような組織でございまして、私はどちらかといいますと全農系の、商売をやっている方の者ですから、そういう立場からお話をさせていただきます。  私どものところでは、HACCP的な形での品質管理の業務というのは多分、九二年ぐらいからやっているかというふうに思いますが、特に必要性ということでの認識を強くいたしましたのが、たしか九五年ですか、例のホタテの輸出問題がございました。  私どものところでもよくあるのですが、私どものところと提携している我が国メーカーさんで問題がいろいろ出てまいりますときに、どうも日本メーカーさんあるいは現場での製品管理思想といいますか感覚というのは、最終製品レベル基準に合致していればいいという、この考え方が非常に根強くあります。ですから、今回新しく取り入れられた例のレトルト基準がございますけれどもレトルトなんかも、あれは最後レトルト殺菌を加えるということがあって、ですから、その前の過程というのはかなりの大手メーカーでも、皆さんがたまに工場でもごらんになるとちょっとびっくりするほどずさんなことを結構おやりになっているものです。まあ少々大ざっぱにやっても最後高温加熱をかけますので、確かに、そうそう直ちに危害が発生するものではないのですけれども、多分、発達した国の中でそういう製造思想が定着している国というのは、ちょっと日本が特殊だろう、欧米に比べて非常に違っているという感じを強く受けておるわけです。  HACCPというのは、御案内のようにあらゆる工程、ですから最後のところで冷凍で締めるだとか、レトルトで殺菌するだとかというようなことではなくて、すべての工程についての危害分析を行い、そこで重要な管理点を明らかにしてそれぞれを監視する方法を決める、あるいは管理基準を定める、こういう考え方なわけです。私ども、大体年間、会員生協に二十億点ぐらいの商品を多分供給しているかというふうに思うのですけれども、これで毎年一万件を超える商品クレームが上がってまいります。ですから五ppm、百万個の商品を供給いたしますと五つクレームが上がってくる、こういうようなレベルにあります、高いか低いかという問題はありますけれども。  そこで、クレームが上がるときに、大きなクレームになりますと当然、工場に入って原因究明をするわけですけれども原因究明に足るような工程作業記録が残されているということはまず九〇%ないというふうに考えていいかと思います。ですから、原因究明が非常におくれる。記録があっても使い物にならない、こういうレベルがおおむね我が国提携メーカーレベルでございます。  何としてでもこれを変えなければならないということで、先ほど申しましたように、おおむね九二年から始めまして、九五年までは私ども品質管理専門部局で専らその仕事をやっておったわけですけれども、とてももう状況に追いつかないということで、九六年からは、実際の商品実務にかかわっている、要するに日ごろメーカーさんとおつき合いをしている担当者にすべて、毎年毎年の重点の工場を決めて、このHACCPに基づく計画をつくらせるという仕事をやってまいっております。これで丸二年ですが、現在でほぼ七十から八十件ぐらいのHACCP計画が各提携メーカーさんとの間で、大変メーカーさんにも御協力いただいておるわけですが、でき上がってきておるというようなことであります。  きょうお配りしてございます「日本生協連商品基準」というのがございますが、これはその中の抜粋なのです。この一番後ろのところにチョコクリームシュークリームというのがございますが、これがシュークリーム系のあるメーカーさんとの間で結ばれたHACCP計画です。あるいは、その前のところには冷凍枝豆がございます、冷凍枝豆でこんなことをやる必要があるのかということをおっしゃる方もないわけではないのですが。こんなふうにやってございまして、したがって、当然のことながら、現在進められておりますこの食品衛生法改正以降の、総合衛生管理製造過程という制度の枠を超えてこれらの作業を進めておるということでございます。  あわせて、これを進めるために、私ども商品実務担当している者に対するHACCPの、主に通信教育をやらせまして、現在、六十人ちょっとぐらいがこれを修了して、提携メーカーさんとの間でここにお示ししたようなHACCP計画作業を進めておるというようなことでございます。  食衛法改正があって、その中でこのHACCP管理手法というものが制度的に取り入れられるということについては大変歓迎するところではありますけれども、ただ明らかに、今回の場合は食衛法上の製造基準が決められているものに限っての措置でございますので、多分、あとはもう清涼飲料水ぐらいしかたしか食衛法製造基準の決められているものはないわけで、これではほとん ど、HACCP我が国が少なくとも国内に向けて、国内消費者に向けてシステムとして立ち上げつつあるというような状況では全くないというふうに思っているわけです。  問題は、より普遍的な形でもって、このHACCPシステムをどういうふうに我が国製造段階あり方として定着させていくか、このことが最大の問題でございましてそういう意味でいいますと、今回の一連の動きについて、もちろん前進しているというふうに私どもは考えておりますけれどもHACCPそのもの動きであるかということについて言いますと、若干物は異なっているという認識一つございます。ぜひ、より普遍的なシステムとしてこのHACCPあり方というものを定着させる、そのために先生方に一層の御努力をちょうだいできれば、そんなふうに思っているわけでございます。  もう一つは、現在進められておりますHACCPの問題なのですが、先ほど大変金がかかるという話がございました。率直に申しまして、このガイドラインがきょうのところにも資料としてございますが、七原則と十二手順というのがございます。七原則というのは、これは確かにHACCPそのものだというふうに思いますけれども、十二手順の特にこの製造工程一覧図みたいなものは、これはHACCPと連動するものでございますが、少々過度にガイドラインをつくり過ぎているというふうに思っております。これでは金がかかり過ぎる。  HACCPというのは、要するに品質保証のための、品質確保のための工程管理システムですから、それに対して製品の質にかかわる問題までガイドラインに持ち込もうとしているというのが、これは多分食衛法改正流れから出ているからという感じはするわけですが。これですと、多分大手さんはともかく、中小のメーカーさんはかなり設備投資をやったりいろいろしないとこれはやれないという要素が出るし、第一、実務的にこれはむちゃくちゃ大変だろうというふうに思います。  ここは、もっと普及させるためには、こんながちがちの品質レベル管理工程管理というものをもっと区分をして、工程管理レベルでもってシステム思想が普遍化する処置をとるということをしないと、現在やられているような品種の限りではともかくとして、これは普遍化することはできないというふうに思っております。ぜひ、そういう意味では、このHACCPシステムをどう我が国全体のものにしていくかということについて御検討を継続的にしていただければと思います。  もう一つは、最大の問題は肉と魚の問題でして、魚については輸出問題があっていろいろ業界での検討も進んでいるようですけれども国内向けに魚をどうするのだというのがございます。それから、精肉をどうするのだというのがございます。この生鮮の領域が大変難しいというのは私どもも実務に携わりながら思うところでございますけれども、国民の保健衛生という立場からいえば、この領域についてどういうふうに、例えば屠場であるとか魚のプロセスセンターであるとか、こういうところでのHACCPあり方ということについてぜひ今後御検討を賜る必要があるのではないか、そんなふうに思っているところでございます。  時間が参りましたので、そのあたりで終わります。(拍手
  8. 北村直人

    北村委員長 ありがとうございました。  これにて参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  9. 北村直人

    北村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢上雅義君。
  10. 矢上雅義

    ○矢上委員 自民党の矢上雅義でございます。きょうは参考人の皆様方、大変お忙しい中ありがとうございます。  ただいまの参考人の皆様方のお話を聞きますと、HACCP必要性は紛れもない事実でございますが、最後片桐参考人がおっしゃいましたが、やはりコストパフォーマンスの問題も一つの大きなテーマではないかと思っております。  そこで、まず第一番目に七野参考人にお尋ねしたいわけでございますが、食品衛生協会におかれまして、HACCP連絡協議会をつくられて専門講師を四十九名養成されておるということでございますが、その四十九名の数、これから将来、さらにその専門講師の数が必要なのか、またその専門講師方々、対象となった方々の経歴はいかなるものか、また雇用形態等についてお聞かせ願えればと思います。
  11. 七野護

    七野参考人 お答えいたします。  四十九名の研修、講習会の修了が既に出ておりますが、これは、先ほどお話ししましたように、一番最初、とにかく専門的な講師の養成が急務ではないかということになりまして、それで関係の団体方々に集まっていただきまして、六団体でしたか、日本食品衛生協会それから農林省食品産業センター、それを含めまして四団体、あとはきょうも来ていただいております食肉加工協会さんそれから牛乳協会さん、それとあとは大日本水産会でしたか、もう一つが缶詰協会の関係、そういう団体の方に集まっていただきまして、そこからおのおの約十名ぐらいずつまず推挙、推薦していただきました。  だから、例えば、当食品衛生協会から出したのは、まず、うちの食品衛生協会の専門家、検査事業部長をしておりました槇と申しますが、それを一名出しました。それからあと、食品衛生協会の方では練り製品をやっておられる会員の方から一名出していただきました。そのほか、うちの食協の関係では弁当協会、そういう食品衛生協会と非常に近い業界団体の方から推挙していただきまして、十名というような形でおのおののところが約十名ぐらい推挙して、推薦していただいて、専門講師の講習を始めたということであります。それが昨年の七月に行った講習会の概略でございます。  今後一体どうするのかということでございますが、やはり五十名ではもうとてもじゃないが焼け石に水だということでございますので、今後は、五十名規模で年に二回ぐらいはやりたいということで、これは、連絡協議会の幹事会、普通は団体は役員会と申しますが、役員でもあるまいということで、関係六団体の方から出ていただきまして、それを幹事という形で幹事会を開いております。一般の団体でいうと役員会と考えていただいたらいいかと思っておりますが、幹事会でもこれは了承しております。それから当然、厚生省農林省も御了知でございます。  ということで、年二回五十名規模の専門講師講習会をこれからやっていきたい、そういうふうに考えております。  なお、足りないところがございましたら、後ほどまたお答えいたします。
  12. 矢上雅義

    ○矢上委員 私が今専門講師の概要についてお聞きした根本の理由と申しますのが、御存じのように、米の検査とか繭の検査とか過去いろいろ国営検査がございましたが、これも同じように、HACCPの場合もこれからどんどん普及していく場合に、中核となる講師が必要である。ただ、その方々が、既存の団体からとか食品衛生協会で抱えておられる人材の中から育成されるのか、逆に、また新しく別途どんどんふやしていって、かつての国営検査のときの検査員の増加の問題のように同じような問題を引き起こして、結局、このHACCP制度全体が運営されるに当たりまして、先ほど民間の方のコストに転嫁されていくのではないかという、そういうおそれがあるものですからお聞きしたわけでございます。その辺についての御感想はどうでしょうか。
  13. 七野護

    七野参考人 言葉が足りなくて申しわけございませんでした。  今後、まず専門講師養成していきますが、これは氏名その他は全部公表いたします。それで、そういう業界団体で活用していただけるように オープンにしていきたいと思っております。  なお、私ごとを言って申しわけありませんが、食品衛生協会で専門講習をした、今現在専門講習の修了者は、うちの食品衛生協会関係のところではかなり講師として引っ張りだこでございます。  以上でございます。
  14. 矢上雅義

    ○矢上委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。  実は私は、今回の法案でもう一つ懸念しておるのが、設備投資が過大になる、そうすると一般的には、大手食品メーカーさんでは既に着手されておりますが、中小、さらには零細企業にわたりますと、なかなかお金がなくて設備投資する余裕がない。そうなりますと、特に大手メーカーさんは外国の農産物を利用されて加工されておられるところが多うございますが、それに対しまして地方の中小零細業者のメーカーの皆さん方は、地場産品といいますか、その地方でとれた農産物を利用して食品加工業を営んでおるということでございます。  そうなりますと、このHACCP制度が進めば進むほど、HACCPを取り入れた企業にとりましては、それが差別化、付加価値をつけることでございますので、非常に商品としての優位性が高まってまいります。結果として地方の中小零細食品加工業者が事実上締め出されることになるおそれもあります。ひいては、国内農産物を活用しておった地場産業としての食料加工業者が結果的には干上がってしまうし、また国内農産物も干上がってしまうような可能性があると思っております。  特に今の段階でこのHACCPが進んでおる食肉加工等の部門におきましては、新村参考人がお詳しいと思いますが、このような懸念に対しましてはどのような御感想をお持ちでしょうか。
  15. 新村裕

    新村参考人 私どもは「ガイドライン」というものをつくりまして、これはかなりボリュームのある冊子でございますけれども、その冊子をつくるに当たりまして、中小企業においても参考になるようなものをつくろうということで、かなり丁寧に仕上げてございます。それを参考にすれば中小企業であっても導入しやすい、そういう考え方でやりましたので、多分中小企業においても取り入れやすいのではないかなと思っております。  あと、その設備資金の問題でございますけれども大手の方が有利ではないかというようなこともございますけれども、実は、考えようによっては、大手はそれだけ大きな工場を抱えておりますので、その改修にはやはりそれなりに多くのお金がかかる、小メーカーであれば小さい修正で済むということですので、それなりに少ない費用で済むというようなこともあり得ると思いますので、大手が有利であって中小が不利であるというようなことはないのではないかというように私は思っております。  事衛生に関しましては、大手であろうと中小であろうと、やはり安全な食品を提供するということで考えましたら、片方は手抜きをしていいというようなこともないのではないかというように考えております。そういう意味で、ひとしく衛生管理をやるということでは、今回のHACCPというのはある面ではよかったのかなと。  ただ、準備の状況を見ますと、ある面では人材の豊富であった大手の方が多少は準備が進んでいるのかなという気はいたしますけれども、私どもが二月末にこの厚生省承認申請に対してどう対応するのかということで調査させていただきました結果、この春に申請しようとしている工場は約七十四工場ございます。その七十四工場のうちの半分以上は中小メーカーということでございますので、この点に関しても大手であろうと中小であろうとそんなに差はないのではないかというようにとらえております。  それからもう一つ、地場産業への影響ということでございますけれども、これは多少は出てくる。要するに、衛生を無視したような原材料を供給されるというのではやはりHACCPはおぼつかないということでございますので、そういう面では何らかの選択は働くということになろうかと思います。ですから、衛生に対して十分な理解がない生産者というのは、場合によっては将来、商売上差し支えるということが出てぐるかもしれません。ただ、これはちょっと私が個人的にそう思っているだけで、どのようになるのかはわかりません。  以上でございます。
  16. 矢上雅義

    ○矢上委員 新村参考人大手と地方との比較もされましたが、ただ、残念ながら大手は、原材料とか人件費の安い生産地に、外国も含めて、今主に外国でございますが、海外に展開する。海外に展開する工場群の割合の方が国内に置いておる工場の数よりも圧倒的にまさる時代でございますので、一つ工場設備投資が過大であったとしても、現実にかかるコストである人件費とか材料費等はやはり大手企業の方が有利な立場にある。それに比較しまして、地場でしか生きられない地場の零細食品加工業者はそこから離れられないというデメリットもございますので、よく御認識いただければと思います。  また、さらに、今回HACCP手法が非常に世界的に見ても必要不可欠なものであり、日本国内においても必要であるということは十分私も認識しておりますが、ただ、今回、衆議院の調査室の資料等を見ましても、HACCPがすべてであり従来の衛生管理手法がだめであるという視点に立ちますと、ただいま新村参考人のお言葉にもありましたが、HACCPを導入しないということはある意味では衛生を無視したメーカーととらえられやすい。衛生を無視するという言葉も、余り行き過ぎますと、やはり先ほど私が申しましたように中小零細企業が結果的に締め出しに遭うのではないか、そういう懸念も感じております。  ですから、きょう片桐参考人お話を初めて聞いたんですけれども、官の世界からつくる基準HACCP手法、官が主導で自主的に民間にやってもらうわけですけれども、やはり官主導のガイドラインというものはどうしても厳しいものになりやすい。もしこれを全国的に普及させるのであれば、やはり簡便な形、本当に必要不可欠な、核だけを取り出したHACCP手法の普及のためのガイドラインというものは、将来的につくっていくべきなのかなと。法律が今検討されておる段階でこういうことを申すのは不謹慎かもしれませんが、将来にわたって早い時期に、やはり全国まで普及させるのに値するようなガイドラインの見直しというものは必要ではないかと、きょう参考人お話を聞きまして痛感したところでございます。  以上でございます。ありがとうございました。
  17. 北村直人

    北村委員長 以上で矢上雅義君の質疑は終了いたしました。  次に、堀込征雄君。
  18. 堀込征雄

    ○堀込委員 参考人方々、本当にきょうはありがとうございます。大変また、いろいろ教えていただきまして、勉強になりました。二、三点質問をさせていただきたいと思います。  最初に、片桐参考人、大変勉強になる御意見をいただきました。つまり、HACCPのためのHACCPじゃないよ、私どもは、工程管理品質管理、分けたいろいろな、つまり消費者に安全な食品をいかに供給するシステムができているかが問題ですよというようなことをおっしゃられたというふうにとったわけでありますが、そういう意味では、この手法が普遍的なものになっていくという発想、思想をどういうふうに広めていくかということが大事だろうという御指摘もございました。  そういう意味で、今度の法律で国が指定、認定とかいろいろなことをしていくわけでありますが、これから実際の事業の中で仕入れを行う場合に、そういうことよりも、つまりHACCPの方式を取り入れているかどうかというよりも、実際自分たちの目で見て、その工程などが消費者の要望に沿うものであるというところの方が大事だというふうに、ちょっとさっきの意見で私は受けとめたのですが、現在、実際にそういうような仕入 れ姿勢といいますか、おやりになっているのでしょうか。あるいは、将来その辺はいかがお考えでございましょうか。
  19. 片桐純平

    片桐参考人 難しい御質問なんですが、今度の承認制度ができまして、このこと自体は、例えば加工肉であるとか乳製品であるとか、こういったものでできましたので、確かにこれで、承認を得た工場での取引というものについてはかなり安心できるといいますか、我々自身がむだな努力をしなくてもいいという面はあるわけです。  そういう意味では、このこと自体はありがたいことだというふうに思っておるわけですが、ただ、先ほど申しましたように、非常に限定された領域ですし、かなりの部分は私ども自身が、メーカーさんと御協力しながら、こういう方法でやってくれとかそれじゃできないとかいう、独自のものをつくっていくしかないというのが現在の制度ですから。先ほどお話もございましたけれども、もうちょっと民間レベルで、もちろん努力しなければこれはできないのですけれども、比較的負担なくできる方法というのはまだあるというふうに思っていまして、第一、HACCPだと設備投資しなければならないなんというのはよほどの、それはレベルの低いところはHACCPでなくたってしなければならないのであって、一定のレベルにあるところでよほどの設備投資をしなければならないという実態は、僕はほとんど理解できない、手を加えなければならないのは事実ですけれども。  そこら辺はもう少し、そういうことを言うと、僕は口が悪いからそう言うのですが、やはり官がやるとだめですね。民間に任せた方が、僕はむしろいいというふうに思っているのですけれども
  20. 堀込征雄

    ○堀込委員 最後に非常にいい言葉を聞かせていただきました。やはりその点が心配でありまして、しかも、これは官でやると全国画一、しかも各県の保健所を初め、いろいろな指導が行われていくわけでありますが、そういう意味では、民間的手法をどういうふうに取り入れながらこの制度の普及を図るかというのは、非常に大事なんだろうというふうに私は思います。  時間がありませんので、七野参考人にお尋ねをいたしますが、お話を聞いておって、なかなかこれから大変だな。要するに、今連絡協議会を設けて講習会をやっている段階だ、普及をやっている段階なんだということでありますが、これは、今度の法律は政府のやる役割がかなり限られておりまして、あとは事業者団体が手挙げをしてやっていく、こういう法律になっています。この辺の手挙げの見通しをどういうふうに、各業界みんなかなり手を挙げてくるだろう、そして積極的にこの法律に沿ってやっていくだろうという見通しを持っておいでですか、いかがですか。
  21. 七野護

    七野参考人 お答えいたします。  連絡協議会は、先ほどからお話ししておりますように、現在発足したところであります。それで、一月二十八日に総会を開きまして、関係団体に参加の申し込みを現在しております。それで、一応三月末日までということで申し込みを受け付けておりますが、現在のところ、五十六団体HACCP連絡協議会に加入したいという申し出がございました。これで五十六団体、この程度かな、そういう感じがいたしております。  あとは、先ほどから言っておりますように、この連絡協議会に申し込まれた方、会員になられた方、これの御意見をちょうだいいたしまして、これからの、例えば専門講習をやる場合にどういう職種が一番希望されておるのかとか、いろいろ細かい点をまずお伺いいたしまして、皆様方の御要望にできるだけ沿えるような形で講習会をやっていきたい。第二回目でありますが、実際、実質的に連絡協議会が発足して初めてでありますから、そのあたりのところは、せっかく申し込んでいただいた方々に満足していただけるようにやっていきたいな、さように考えております。  以上でございます。
  22. 堀込征雄

    ○堀込委員 もう一つ、そこでこの指定基準の尺度について、この法律で、技術的能力や経理的基礎の問題だとか、あるいは役員の問題だとか、高度化計画の指定業務の公正さの問題だとか、いろいろなことが法律に書いてありますが、この指定基準の尺度について、さっき官の話もありましたが、法律ですから、かなりきちんと書いてあるわけであります。この尺度について何か要望がございますか、特にこの法案。  どちらがいいのでしょうか。七野参考人もしくは新村参考人、どっちになりますか、これは。業界団体の指定の問題です。
  23. 七野護

    七野参考人 お答えいたします。  そのあたりのところは、正直に言いまして全くまだ情報がございません。ですから、これから、この法案が通りましてからいろいろな情報がいただけるもの、そう思っておりますから、それから考えていきたい、さように考えております。  以上でございます。
  24. 堀込征雄

    ○堀込委員 それで、先ほど協会お話もお聞きをしておりまして、ガイドラインをつくって、ガイドブックをつくって理解、なじみの段階だということでありますが、なかなかこれは、五年の法律でこれは大変だなという感じを実は受けておりまして、一層の御努力をいただきたいと思います。  そこで、新村参考人にお尋ねをいたします。  この前提としてGMP制度の話が先ほどありまして、非常に興味深く聞かせていただきました。実際は、これは都道府県でいろいろ指導されておりまして、いろいろな問題点もあるのだろうというふうに思いますが、しかし一年ぐらいで大体なれてきて、つまり、HACCPの基本的な前提であるGMP制度に大体なれてきていますよ。  やはりこれは、あれでしょうか、そういうことを注意深く、あるいは努力をすれば、一年ぐらいで大体そういう仕掛け、仕組みというようなものについては行き渡っていくという自信をお持ちになった、こういうお話でございますか。いかがでございましょうか。
  25. 新村裕

    新村参考人 一年で普及するというのは、やはりちょっと無理があるだろうと思っております。HACCPシステムについて説明をいたしましても、やはり現場に基づいてあれこれ管理手法を考えていかなければならないということで、全く各工場とも共通という考え方よりは、工場独自の考え方というものでやっていかなければなりません。  ところが、私どもが説明しますのは、一般共通的な話、それからトレーニングするにしても一般共通的なところでトレーニングをするということになります。ですから、今度は、工場技術者は自分たちに合うような形で改めて考え直すということが必要でございますので、一年の間にということはなかなか難しい。もうしばらく時間はかかるのではないかなと思っております。  以上です。
  26. 堀込征雄

    ○堀込委員 先ほどお話で、もう一点だけ伺うておきたいわけであります。  要するに、施設整備が増改築の際非常に、そのときにこの発想を入れてきちんとやっておかないともう大変だよというお話がございました。これは、やはり資金も相当要るし、今度の制度、五年間の臨時措置で、金融と税制の措置は講じているわけであります。これは、貸し付け条件等これからいろいろ出てくるわけでありますが、非常に役に立つ制度だというふうにお考えでございますか。もう少し積極的に支援策があった方がいいというふうに今日の食品衛生上の問題としてはお考えでございますか。率直な意見を聞かせてください。
  27. 新村裕

    新村参考人 私自身は、制度としては歓迎したいなと思っておりますけれども、その税率等につきましては、世間的な相場というのもあるのではないかと思いますので、それについては一いいか悪いかという判断はちょっと難しいところでございます、借りる企業側からすると、それは安い方がいいということではあろうかとは思いますけれども。  以上です。
  28. 堀込征雄

    ○堀込委員 済みません、もう一点お願いします。  HACCP導入で、この導入にかかわらず、大手の量販店さんやあるいは生協さん、隣にいらっしゃいますが、最近、非常に要望が強くなっておるのだろうと思うわけであります。この辺の要望というのは、何といいますか、それによって、できるだけこたえていく努力をされているのだろうとは思いますが、なかなかこたえ切れない、すぐにはこたえ切れないメーカー企業なんかがあって問題が出ているようなことはございますか、ございませんか。
  29. 新村裕

    新村参考人 現時点ではそれほど強い要望が出ているという話は聞いておりませんけれども、もう既に二年ほど前から、流通側の方から、おたくはHACCPを導入されますかという質問を受けたという話は幾つか聞いております。ただ、いついつまでに導入しなさいとか、導入しないと取引しないよというところまではまだ言われていないようですけれども、ある程度工場承認されるということになりましたら、その時点では、またそのような要望が強くなるということもあり得るかなというように思っております。
  30. 堀込征雄

    ○堀込委員 最後に、片桐参考人にもう一点だけお尋ねしたいのですが、要するに消費者側のコスト意識ですね。例えば、食品衛生にかかわってこういう方式を導入するよと、多少商品が高くなつてもそこは理解できるのだよという、あるいは、それは企業努力でやるべきだよというようなことになるのか、その辺だけちょっと、最近の消費者傾向、あるいは生協連としてどういうお考えを持っていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  31. 片桐純平

    片桐参考人 率直に申し上げて、必要な金がかかる、品質管理をやるためにはかかる、それを消費者が理解しているかということになりますと、必ずしも十分理解しているというふうには考えておりません。そこは、私どもはそのことを消費者に言うのですが、これはまあ、なかなか大変だという面はあります。そういう意味では、消費者側を教育し、変化させなければならない要素は少なくないというのが第一点です。  もう一つは、ただし、本来HACCP商品価格にはね返るほどのものだというふうには思っておりません。ほかで金のかかることはありますけれどもHACCPを何でこんなに高いものにしてしまったのかというのが、むしろ私ども認識でございます。
  32. 堀込征雄

    ○堀込委員 終わります。
  33. 北村直人

    北村委員長 以上で堀込征雄君の質疑は終わりました。  次に、宮地正介君。
  34. 宮地正介

    ○宮地委員 新党平和の宮地正介でございます。  きょうは、参考人の皆様方におかれましては、大変に御多忙の中を当農林水産委員会にお越しいただきまして、心から感謝を申し上げます。時間も十五分という短い、限られた時間でございますので、率直に御質問させていただきたいと思います。  このHACCPは、やはり国民の、消費者に対する食品加工品の衛生管理安全性、こういう面から、この普及は大変重要な課題であろうと私は考えております。特に、一九九三年のWTO、FAO、こうしたガイドラインが示され、また、平成七年の食品衛生法改正によりまして、HACCPの導入が我が国におきましても積極的に推進をされてきたわけでございます。そういう中で、いかにこのHACCPを底辺から国民の合意の中で普及拡充をしていくかということが私は大事ではなかろうか、そういう意味合いにおきまして、まず、日本食品衛生協会が大変に、HACCP連絡協議会をつくられて、六十五団体をまとめられて、その普及に積極的に取り組まれることにつきましては、心から敬意を表したいと思っております。  問題は、そうした六十五団体の中にも、ある意味では非常に立派な団体もあれば、非常に小さい、まだ大変な団体もあるわけでございまして、そうした六十五団体協会、全団体を、いかにレベルアップして、普及していくか。  そういう中で、今回、支援措置の法律が、五年間の時限立法、五年以内に廃止をする、こういう時限立法に一つはなっております。それから、もう一つの特徴は、いわゆる任意申請主義という形で、自主的な、いわゆる尊重をしておるということであります。そういうところから、おのずから支援措置についても金融、税制の措置ということで、財政措置は、協会のいわゆる基準づくり、ガイドラインづくりのところにフォローアップをしているだけ、こういう状況であるわけでございます。  まず、七野参考人にお伺いいたします。こうした時限立法、五年以内という枠の中で、この普及をしていく中において、この時限立法そのものが、今後の普及の中において果たして大丈夫なのかなという心配を私はしているわけですが、この点についてまず御説明をいただければありがたいと思います。
  35. 七野護

    七野参考人 お答えいたします。  先ほどから申し上げておりますように、HACCP連絡協議会は、HACCP考え方HACCPを取り入れた衛生管理、これを普及していこうということで連絡協議会がつくられたというふうに私は理解しております。ですから、当面何をやるかとなりましたら、普及をしていくためには、まずその専門講師養成するということが一番大事だということになりまして、専門講師養成に一番最初に着手しようということになっております。  先ほども御説明しましたように、当面、五十名規模、年二回という形でやっていくことになっておりますが、今先生お尋ねの、それで一体どの程度の手を挙げる人がいるのか、こういうことになりますと、まことに残念ながら、このHACCP連絡協議会で、私はちょっと、何ともお答えできません。この連絡協議会で、じゃ、どの程度の者が手を挙げるか、五年間で大丈夫か、こういうふうな御質問でございますが、今申し上げましたように、今はまだスタートしたばかり、これがもうしばらく、もう一回でも二回でも専門講師養成して、また、各団体の意向、空気、そういうものがわかってきた段階でないと、今のところ、全く私自身がわかりません。そんなところでお許しいただきたいと思っております。
  36. 宮地正介

    ○宮地委員 食品衛生法の第七条の三、これに伴いまして、牛乳だとか食肉だとか、いろいろ認定を受けているわけですが、先日も、日本食肉加工協会でつくられた「ガイドライン」をいただいてまいりました。これは立派な「ガイドライン」、大体二年ぐらいかかっておつくりになっておるのですね。  こうしたすばらしい「食肉製品総合衛生管理製造過程ガイドライン)」こういうものを各協会がつくるとなると、これは大変な人手、またノウハウが必要になってくる。日本食肉加工協会であればこそ、これだけのすばらしいものができたのかな。六十五団体全部にこれだけのすばらしい「ガイドライン」をつくれと言っても、なかなかこれは難しいのではなかろうか。まさに先ほどから話が出ていますように、これも食品衛生法に基づいて相当つくられておる。中小零細企業の事業者に対してこれを全部当てはめてやらせるということには、これはやはり相当な時間と労力と財政的なフォローがないと難しいのではなかろうか、こう思うわけですが、まずこれをつくられた新村さん、どのくらいの経費と時間と、またどれだけの人手がかかったのか。またつくられた後、今協会内の事業者に対していろいろ説明会等で御努力されておると思いますが、中小零細企業の皆さんがこれを受けとめて、きちっと対応できるまでにはどのくらいの時間を要するのか、この点について御説明いただければありがたいと思います。
  37. 新村裕

    新村参考人 その「ガイドライン」をつくるのにどのくらいの費用がかかったかというお尋ねでございますけれども、ちょっと計算をしておりませんので、よくわからない状態なんです。  ただ、それにかかわりました者は、業界技術者五名、それから学識経験者ということで一名、それから私の七名が参加しておりまして、その中身につきましてはそれぞれが執筆するという形でやりましたので、計算できますのは、その会議に要した費用ということぐらいでございます。これは、約二十回ほど開催しておりますけれども、その費用は一回当たり大体二十万円程度でございましたから、二十回やりましても四百万円ということになります。ただ、その原稿を書くに当たりましては、相当の時間をつぎ込んでおりますから、もしその分を計算するということになりましたら、この七名分であれば、一千万円を超えるということもあり得るかもしれません。ただ、これは計算してみないと本当によくわからないということでございます。  その「ガイドライン」をつくるに当たりまして、我々が一番日ごろから心配していることなんですけれども食品衛生法食肉製品の規格、基準というのがございまして、その規格、基準どおりにつくっていけば、でき上がる製品というものは、安全なものということはまず間違いないと思うのです。ただ、一部の不心得な者があって、その者がハム、ソーセージなどで事故を起こすということになりますと、これは業界全体に響く可能性がございます。ですから、大手に有利であるようにとかいうような発想ではなくて、中小でも参加できるようにというつもりで、事細かにその「ガイドライン」を作成いたしましたので、結果的には大変にボリュームのある内容になっているということでございますけれども、実行不可能な内容ではないというように私は思っております。  どの程度で普及するかということでございますけれども、非常に私は大ざっぱに考えておりますけれども、四、五年の間にうちの業界の中には相当浸透していくのではないか。前から施設設備に対しての資金的な余裕がないという状況がございますけれども、今回の支援法というものは、場合によってはその普及を促進するということにつながるのではないかなというように私は理解しております。
  38. 宮地正介

    ○宮地委員 最後片桐参考人に、消費者と一番接点で御苦労されていることに私も敬意を表しますが、このHACCP手法によってつくられた加工食品、またHACCP手法が導入されていない加工食品、こういうものが今表示の中では全くわからない状態になっているわけです。今後やはり国際的な流れの中で、このHACCP手法の導入が非常に普及促進されていく中で、消費者からもこうしたHACCP手法によってできた食品なのかどうかという選択の求められてくる機会というものが、だんだん時代とともに強くなってくるのではないかという感じもするわけです。JAS法との関係とか食品衛生法との関係もありますが、現段階において、このHACCP手法と表示の関係についてはどういうお考え方をお持ちか、ちょっと御意見を伺っておきたいと思います。
  39. 片桐純平

    片桐参考人 HACCPといいますのは、食料品から家庭用品に至るまでの工程管理にかかわるシステムの問題であって、消費者側にとっては、その商品が正常な形で提供されているということを保証するためのシステムにすぎないのであって、HACCPをとっている工場だからいい商品ができるなどということはございません。  要するに、最低のスタンダードを確保しているという、そのためのシステムHACCPなわけですから、そのことについて、若干最近出ておりますが、うちの商品はこういうHACCP認証を受けた工場だ、そういうような宣伝をすること自身が、むしろモラルの問題として問題だというのが私なんかの認識です。それは当然やらなければならないことをやっているということを言っているのにすぎない。したがって、その商品に表示するなどということはあり得ないことだ。工場にどこかぺっと張るとかというのは、それはあるかもしれませんが、そういうレベルの問題だというふうに思います。
  40. 宮地正介

    ○宮地委員 じゃ、終わります。
  41. 北村直人

    北村委員長 以上で宮地正介君の質疑は終わりました。  次に、一川保夫君。
  42. 一川保夫

    ○一川委員 自由党の一川保夫といいます。  きょうは、参考人の皆さん方、大変御苦労さまでございます。できるだけ重複しない内容で皆さん方にお尋ねしていきたいというふうに思います。  まず最初に、七野参考人にお伺いしたいと思いますけれども、我々、地方のいろいろな皆さん方の声を聞く中で、特に今回のこういった法案制度がスタートしょうとしている中で、特にそれぞれの地域に地場産業的なものがありまして、大変零細的な企業がたくさんこういう食品製造にあるわけでございます。特に、そのそれぞれの地域の伝統食品的なもの、そういうものも含めて、最近は地域おこし、村おこしと称して、農林水産行政の中でも農村の活性化という位置づけの中で、そういうものも奨励しておるわけでございますけれども、本当に地域の手づくり的なもの、そういうものを一つ食品としてというか製品の一種のPR材料にしているところもあるわけです。そういうような食品製造という一つ流れというものは、地域にはたくさんあるわけですけれども、そういうものと、今回のこういうHACCP法という制度がスタートすることについてどういうお考えをお持ちか、そのあたり、今後どういうふうに対応していかれるおつもりなのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思いますけれども
  43. 七野護

    七野参考人 今のお話、いわゆる地方における地場産業の問題でございます。  実際問題といたしまして、私たち食品衛生協会会員は、先ほどから申し上げておりますように、飲食店業が七〇%から八〇%を占めるというのが大体の数字であります。ただ、もちろん食品製造業、例えば菓子の製造業でありますとかそういう製造業の方々ももちろん含まれております。例えば豆腐の製造業、納豆製造業、そういうものももちろん含まれております。  そこで、そういうものをこれからどうやっていくのかということでありますが、当日本食品衛生協会のスタンスといたしまして、HACCPの概念、HACCP考え方をまず周知徹底をしていきたいな、そう思っております。先ほどから何回もいろいろなところから話が出ておりますように、HACCPをやらないとどうにもならないということではないので、要するにHACCPというのは一つ衛生管理方法なんですね。  ですから、そういう概念を取り入れて、今後物をつくったり物を販売したり、販売業でもそうですね。それから飲食店の営業もそうですね。そういうことで、HACCP考え方を導入した形で、いわゆる日本食品衛生協会が今まで進めておりました自主的な衛生管理手法の中に取り入れていきたい、そう思っております、現在は。ただ、残念ながらもうちょっと時間がかかるかと思っております、隅々まで徹底するのには。そういう考えでございます。  以上でございます。
  44. 一川保夫

    ○一川委員 ありがとうございました。  次に、新村参考人に、先ほど最初意見を述べられた中にちょっと触れられましたけれども、最近非常に景気が低迷して、それぞれいろいろな面で設備投資が大変な時期である。あるのだけれども、しかし、事この問題についてはそんなに抵抗はないのではないかというような趣旨のお話があったような気がするわけですけれども、そのあたり、もうちょっとお話ししていただければありがたいと思います。
  45. 新村裕

    新村参考人 最終的にはやはり企業の生き残りというところにつながるのではないかなという心配を各企業とも持っているわけですね。要するに、流通側の方から商品選択というのが働くのではないか。流通側の方からしますと、安全性の高いといいますか、安全性が確実な商品を買いたいというのが働いてくるであろう。  そうしますと、それを説明しようとする企業側からしますと、一つは、総合衛生管理製造過程承認工場になっているということが説明の理由になってくる可能性がありますし、承認がとれないまでも、HACCP手法を取り入れて商品管理していますということを言わざるを得ない、そういうHACCP手法を取り入れてやっていますということが説明できる要素になるであろうというようなことでございますので、やはり各社とも、各企業ともそれなりの努力をしていくことになるだろうというようにとらえているわけであります。
  46. 一川保夫

    ○一川委員 次に、片桐参考人に、先ほどの当初お述べになった中でちょっと確認しておきたいことなのですけれども、本来、HACCPのこの手法というのは、先ほどのお答えにもありましたけれども、そんなに経費のかかるものじゃないというようなお話とか、若干品質管理の部門に深入りし過ぎているというようなお話もちょっとあったような気もしています。もう少しHACCP手法というものは工程レベル管理にとどめるべきだというような御意見も含めて、我々が当初抱いていた認識と若干異なるような見解を述べられたものですから、そのあたりをもう一回ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  47. 片桐純平

    片桐参考人 先ほども申しましたけれどもHACCPをやるということで品質のあるレベルを確保するというのは、少々乱暴な言い方ではありますが、ちょっと違いがある。要するに、微生物の事故を起こさないだとか異物が入ってこないだとかいうようなことは、だから商品事故ですよね、商品事故をどう防ぐかということはHACCPがやらなければならないことなんです。しかし、仕様書どおりに商品をつくる、例えば乳製品でこういうレベルの牛乳を確保してというのは、そもそもHACCP仕事なのかどうかということになりますと、若干違うというのが私なんかの認識なんです。  先ほど来、業界が出されております「ガイドライン」とかいろいろお話がございまして、「ガイドライン」そのものはみんな大変な力作なんですけれども、あれを全部やらせようとしたら本当に五年でできるのかというのは私なんかも疑問になるわけです。しかし、消費者にとって最も来そうになる危害をどういうふうに防ぐかということになりますと、もっと手を抜くといいますか、もう少し容易にやる方法は何ぼでもあるというふうに思うわけです。  ですから、先ほど来、例えば地場産業のようなお話が出ますけれども、地場なら地場のその工場の、あるいは工場とも言えないようなレベルもありますが、そこの実態に合わせて、このままだとここではこういう問題が起こる可能性があるからこれは補修しろだとか、ここのところで原料が入って、その次の工程もある、ここではちゃんとした入荷記録をちゃんととろうねとかいうことができればいいだけの話なんですね。だから、現実の生産の現場に合わせたHACCPシステム適用の方法は幾らでもあるというふうに私なんか思っているわけです。もちろん、場合によって補修しなければならない、程度のあれはあるでしょうけれども、いわゆる投資というほどの金を使わなければならないというのはちょっと違うのではないかというのが私なんかの実感なんです。
  48. 一川保夫

    ○一川委員 今の考え方は大変我々も参考になったというふうに考えております。  私、個人的にもそういう考え方には非常に賛同するところも多いわけですけれども、これからこういった制度が具体的に動き出すという時期を迎えておるわけでして、そういう面では、これからもそれぞれの参考人の皆さん方の立場から大いにまた行政側に対しても御意見をちょうだいしたいというふうに思っております。  それから、片桐参考人にもう一点お伺いしたいと思うのです。今回のHACCP手法導入というものは、どっちかといったら食品製造過程の問題にある程度絞ってこういう議論を進めておるわけですけれども、当然ながら消費者の手に渡るまでにはその流通段階、販売段階というのがあると思うのです。そういう段階で製品のいろいろな安全性なり品質面についての問題というのは当然あるわけですけれども、そういうことについて何か御見解があったらお聞かせ願いたいと思います。
  49. 片桐純平

    片桐参考人 HACCPというのは、基本的に工場工程管理にかかわるシステムだと思っておりますが、今先生から御指摘のあったような問題については、ちょうど今、私どもはどちらかといいますと業態からいえば問屋みたいなものですから、メーカーさんとのおつき合いもありますけれども商品を流していくというプロセスもあります。こちらの方はむしろ現在ISO9000に入っておりまして、現在の私ども仕事の形についてそちらの認証を受けるというふうなことにしております。  多分ISO9000の方が、そういう意味では、最終的にユーザーさんに対してどういう商品を決められた基準でお届けできるかということを進めていく、あるいはそれを監査するシステムとしては適当ではないか。ちょっとHACCPというのは、もっと焦点がISOに比べれば絞られている体系だというのが私なんかの認識です。ですから、今ISO9000あるいは14000が非常に普及しているようですけれども、こちらをどう促進させるかというふうなのが多分現実的ではないかというふうに考えます。
  50. 一川保夫

    ○一川委員 次に、新村参考人にもう一点お伺いしたいのですけれども。  先ほど、こういったHACCP手法の導入以前の問題だというふうな位置づけだと思いますけれども、いろんな施設整備、そういうものが前提として当然整備されていないと、以降のいろいろな工程管理に当然ながらいろいろな意味で影響するわけですけれども、そういった施設整備というものが、今参考人の例えば業界の中でどの程度レベルに達しているのか、また、そういうものが相当大きな課題として今後まだ残されているのかどうか、そのあたり、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  51. 新村裕

    新村参考人 このレベルというのは判断基準がございませんので、あくまでも私個人のということになりますけれども、今のハム、ソーセージをつくっている工場というのは、戦後間もなくつくられた工場が大部分ということでございます。なおかつ、どちらかというと生産コストをいかに下げるかということで今までは各企業とも努力してきた部分がございまして、衛生面の整備というのが少し抜かってきていたのではないかなと思っております。ですから、かなりの工場はやはりある程度手を入れた方が望ましいのではないかというように私は思っているわけです。  ただ、手を入れなければHACCPはできないのかというと、そうではなくて、それはその施設設備に不備があるならあるなりの衛生管理手法を取り入れてやっていけばいいわけですけれども、その衛生管理手法を取り入れた場合に、やはり人的な資源の投入といいますか、要するにそういうことをチェックする人間を余分に置かなければならないとか、それから作業性が悪くなるというようなこともありますので、そういう意味では、やはり施設設備を整備しておくのがいいのではないかというように私は考えております。  以上です。
  52. 一川保夫

    ○一川委員 もう時間も来ましたので終わらせていただきますけれども、それぞれの参考人の皆さん方、大変貴重な御意見を聞かせていただきましてありがとうございました。新しい制度動き出そうというような段階に来ておりますけれども、それぞれの業界立場から、これからもこの制度について厳しい監視をしていただいて、御意見をしっかりとちょうだいしたい、そのように心からお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  53. 北村直人

    北村委員長 以上で一川保夫君の質疑は終わりました。  次に、藤田スミさん。
  54. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 片桐参考人とそれから新村参考人にお伺いをしたいと思います。  先ほども質問がありましたけれども、私も、片桐参考人HACCPをなぜこんなに高いものにしてしまったのかと思うという御発言については、そういうことかなという、まだ納得がいきません。私は、島根県、鳥取県のカニ工場HACCPを導入しているところに参りました。年商十五億、消費税が上がりまして十三億に年商が落ちたというところが、二億をかけてHACCPを導入しております。この社長さんがおっしゃるのは、今まではHACCPを導入したことで、ある程度宣伝文句になってよかったけれども、これからHACCPがどこもかもやるようになったら、そういうものがなくなって一層困難になる、HACCPにこれだけのお金をかけて進めるということが困難になるということをおっしゃっておいででありました。  生協は、HACCPを導入するために取引先への働きかけが大変活発だなとお伺いしましたけれども、中小零細企業が中心のこの企業に対して、投資力、技術力、それから人材の面の非常に困難が多い相手に対してどういう配慮だとか援助を行っていらっしゃるのか、お伺いしたいわけです。  新村参考人にあわせてお伺いいたしますが、今、不況のもとで、設備に回す余裕が非常に少ないという御発言は私もそのとおり思っておりまして、大変せつない思いをしております。私ども日本共産党は、流通側の要望が大変強くなって、それに対応しなければもう排除されてしまうんじゃないか、そういう事態も考えられる中で、中小零細企業が負担をできるだけ軽減する、そのために国が施設設備に対してどう援助するかという点では、今回の融資だけではやはり不十分であって、思い切って助成をしたらどうか、これが国民的な食の安全ということにつながるものであればあるほどそれは助成を行ったらいいじゃないかということです。実は今回、HACCP導入の融資に反対するわけじゃもちろんありませんが、それを補足する助成という意味で修正案も提出しているわけです。実際のところ、政府に対しての応援をもう少し率直にお聞かせをいただけたらというふうに思います。よろしくお願いいたします。
  55. 片桐純平

    片桐参考人 今例に出されておりましたメーカーさんがもともとどういう状況のものだったかよくわかりませんけれども先ほどもちょっと例にお示ししましたけれども、私ども、大体この二年間で七十件ぐらいのHACCP計画を、メーカーさんというか工場と提携しておるわけです。これをやっているのは、私どもの通常商品を仕入れたり開発したりしている担当者が、大体一年に二つぐらいずつやらせておるのです。もちろん基礎的な勉強はさせておりますけれども、特別何か物すごい人がやっているわけではありません、単なる一般の職員ですから。  それから、これのレベルが投資というようなレベル——大体そのレベルですと、相手先で交渉できる人も社長さんとかそんな人とは交渉できませんから、そういうので先ほどお示ししたようなものをまとめ上げてきているわけです。  HACCPというのは要するにハザードアナリシスですから、まず危害の分析をするということです。これは大であろうが小であろうが中であろうが、そこをちゃんと分析して手を打つということをしておかないと、それはむしろ後からその会社が大変なことになるんですよ。必ずだめになるのです。その危害を分析してそのための手だてをどう打つかというのは、それはあらゆる企業の責任に属する問題で、それをシステムとしてやってりく場合に、HACCPというシステムが非常に使いやすいシステムだ、非常に使いやすい考え方だと思っているのですが、そういうものだということなんですよ。  ただ、先ほど申しましたように、現在各業界で行われているようなレベル、あれは、危害を防御するのではなくて、よい商品をつくろうとする思想がまざり込んでいるからHACCPからずれているのです、だから金もかかるのですが。危害がどこで起こりそうかを分析して、それが起こらないようにそれぞれの工程ごとに手を打つというのは、それは物をつくる人の基本的な義務の問題なんです。そのことについて、我が国のスタンダードとして今HACCPが登場しつつあるわけですから、それでもって仮に突然金がかかるとしたら、それまでよほどひどい製品をつくっていたということにしかならないのです。そんな実態は普通はありませんから、ざっくばらんに申しますと、入っているコンサルタントがよほど悪いかというような領域の問題がむしろ多いと僕は思います。
  56. 新村裕

    新村参考人 このHACCPをやるからお金がかかるとかいう議論が何か中心になってきているように思いますけれども、必ずしもそういうことではなくて、要するに、本来であれば、今まで工場衛生管理のためにそれなりに資金投入をやっておくべきであったというのを怠っている企業というのもあることはあると。この際、こういう支援を受けられるのであるならば、その支援をいただいて、より安全性の高い食品をつくっていこうではないかという考え方企業には結構あるわけですね。ですから、そういう姿勢で、今回支援を受けられるのであればということで応募するということに多分なるのではないかなと思います。  それで、先ほど補助金ではということでお話がございましたけれども、そういう発想は私はちょっとやっておりませんでしたので、どのように御返事したらいいのか、私、今ちょっと考えあぐねているところでございます。
  57. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 次に、七野参考人にお伺いをしたいと思います。  現在、我が国でのHACCPの普及の状況について、HACCP導入の中心になってこられた、水産加工マニュアル検討委員会のメンバーとしても働いていらっしゃいますが、日本食品保全研究会会長、元国立予防衛生研究所の先生で、河端俊治先生を御存じでいらっしゃいますでしょうか。  その先生が、「わが国では、HACCPに関連する食品別のHAのデータや、CCPに関する必要なデータについてほとんど整備されていない。欧米諸国のように国レベルでの食品微生物に関するデータバンクもまったく整備されていないのが現状である」続けて、「わが国では予測食品微生物に関する関心は大学、試験研究機関及び行政当局も含めて低く、また実際にこの分野に携わってきた研究者は皆無であると言って差しつかえない」という指摘をされて、「このまま行政主導型で形式的なHACCP方式は普及しても、それがどこまで実質的に安全で良質の食品の生産に寄与できるか疑問である」ということを論文で書いていらっしゃるわけです。  私は、この先生の指摘に対して七野さんがどういうふうにお考えかということをお伺いしたいわけです。
  58. 七野護

    七野参考人 お答えします。  残念ながら、今先生お話しになりました論文を私はまだ読んでおりませんので、何とも答えようがございません。  ただ、今先生お話しになりましたように、これからHACCPを普及、推進していくためには、当然なことに、今私が会長を仰せつかっておりますHACCP連絡協議会、これも大きな流れの中の一つにぜひしていきたいなと思っております。  ただ、その場合に、業界のお持ちになっているデータ、それから、いわゆる学者先生といいましょうか、学問の世界にありますデータ、それから行政サイドが持っておりますいろいろな情報、こういうものを、いわゆる産官学などとよく言っておりますが、やはりこの三者がお互いに、情報公開ではございませんが、データ、情報を持ち寄りまして、例えばHACCPを普及していく場合の専門講師養成するにしても、現在まで、本当にただ一回だけしかやっておりません。第二回目はまた第一回目の手法をそのままやっていかざるを得ないと思っておりますが、おいおい、その都度その都度、今申し上げましたように、産官学からの情報それからデータ、そういうものをちょう だいいたしまして、よりよい、例えばテキストでありますとかカリキュラムでありますとか、そういうものをつくっていって、この普及、推進に努力していきたい、さように考えております。  以上でございます。
  59. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 突然に申し上げましたので大変わかりにくかったと思いますが、HACCP導入の中心になってこられた学者の指摘でございますので、機会がありましたら、どうぞ河端俊治先生の論文をお読みいただけたらと。ぜひこういう面での体制整備というのを急がないと、歩調が合わないというふうに私は思っております。  もう一つ最後に。  私が特にこういうことに関心を持ちましたのは、私の住んでおります堺市でO157問題が起こりました。このときの問題で大変大きく問題にされたのは、病原性大腸菌O157は当初から輸入牛肉が問題になっていた、それにもかかわらず、実際に国が食品検疫も動物検疫も九六年の七月までは行ってこなくて、そのことが大変大きな、実は関心というのですか、もっと強く言えば怒りになったわけです。  そこで、私は片桐参考人にお伺いしたいのです。  HACCP導入ということになれば原材料の衛生ということが問題になりますが、こういう、O157の検査も、現在も検査はしておりますが、輸入牛肉の検査はモニタリング検査でありまして、だから、検査結果が出るまでに輸入を差しとめるということではありませんで、流通してしまいます。結果が出たときは出回ってしまっているわけです。  だから、衛生管理高度化のために努力している加工段階の立場から、原材料の安全確保、特に輸入農産物の検疫体制、検査体制について御意見をお伺いしておきたいと思います。
  60. 片桐純平

    片桐参考人 輸入農産物については、現在、ただいま先生が御指摘になったとおりの現実があるかというふうに思います。  今、ちょうど遺伝子組み換え食品にかかわる管理問題もいろいろございますし、ここのところについて特別の体制強化を図っていっていただかなければならないと私どもも強く要望するところです。  ただ、今O157のお話が出ておりましたし、これはもちろん、もともとは持ち込まれたものだというふうに思いますが、多分、O157、病原性大腸菌は既に国内に一般的に存在しているというふうに思っております。そうなりますと、国内の畜産についてはどうするか、屠場についてどうするか、ここもまず少しずつ検討が進んでいるようですけれども、これも非常に大きな問題です。この辺になってきますと、国内の屠場、その領域でのHACCPをどうするかというような問題になってまいりますので、そのあたりもあわせて御検討いただければというふうに思います。
  61. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 どうも三人の参考人先生方、ありがとうございました。これで終わります。
  62. 北村直人

    北村委員長 以上で藤田スミさんの質疑は終わりました。  次に、前島秀行君。
  63. 前島秀行

    ○前島委員 三人の参考人の皆さん、どうも長時間ありがとうございます。時間もたっていますので、簡単に、一、二質問させていただきます。  片桐参考人に、HACCPの受けとめ方といいましょうか、特に消費者サイドからという側面での受けとめ方なんです。危険物、ハザードを分析して対応するということだから、当然のことをやっていればどうってことないんだよ、こういうことかなというふうに思うので、当然のことをお互いにやれば大騒ぎすることはないんだ、こういう趣旨かなと思います。同時にまた、消費者の側から見ると、安全性ということを非常に求めていることも間違いないだろうと思います。  そういう面では、消費者に向かって生産したり流通の段階で、消費者に提供するさまざまな過程の人たちが、安心の一つ基準として、目安として、ハザードという問題をお互いに消化しているんだ、こういう意味で、このHACCP導入というものを受けとめるべきなのかな。  そういう面では、生産の側、流通の側が、提供する消費者に向かって、その一つの安全のサインを送るんだ、それがHACCP手法の導入なんだ。そういう面で、私は、積極的に受けとめて、取り入れて、その手法を導入していって、安全なものを消費者に提供する。そういう面では、別に当然のことなんだから大騒ぎする必要はないよ、こういう意味なんだけれども、やはり世界の流れとしては積極的にこのことを受けとめるべきものだ、またそれについて積極的に対応すべきものだ、こういうふうに受けとめるものなのかなというふうにお話を伺っているのですが、その辺のところの認識の問題、受けとめ方の問題をちょっと改めてお聞かせ願いたいなと思っています。
  64. 片桐純平

    片桐参考人 HACCPというのは、先ほどO157の話が出ておりましたけれども、あのときに家庭内でのHACCPという議論が随分ありました。全般的なおくれというのもあるのでしょうけれども、家庭での、あるいは一般的な消費者教育の中でこの考え方をどういうふうに広げていくか、学校教育を含めてですね。そして、それは家庭の中での自分の身を守るための努力としても、このHACCPに示されているような考え方でやらなければいけないんだよというようなことが欧米等で比較的一般的に言われている思想なわけです。  そういう意味でいいますと、今の段階での議論というのは、食料品の、特に一部の分野についての運用をどうするかという話になっておりますけれども、本来は、ある種の生活思想であり、あるいは商品を提供する者の当然の義務の考え方として社会的に十分定着させなければいけない、そういうものだというふうに思っているのです。  今回の食衛法改正以降の動きというのは、その最初のきっかけをつくったという意味で、国の措置について大変結構なことだというふうに思いますけれども、問題は、これからが非常に大変だ。ところが、その入り口のところで、再三申し上げているように、えらく難しくしてしまったものですから、金がかかりそうだとか随分勉強しなければいけないみたいだとかというふうになったものだから、先行きが、余りスムーズにいかないなという不安が私なんかはございまして、先ほど来のような申し方をしておるというようなことでございます。
  65. 前島秀行

    ○前島委員 そういう意味で、片桐参考人新村参考人に伺いたいのですが、今、HACCP思想といいましょうか、考え方の普遍性という提起がありましたので、HACCP手法というのは一生産過程におけるものなんだ、しかし、すべての食料品の安全性を追求するというと、一過程の生産だけではなくして、原料といいましょうか資材といいましょうかの段階、あるいは貯蔵したり輸送したり、こういうさまざまな段階の安全性が確保されて、トータルとしてこの安全性が確保されている、そういう面でのHACCP思想の普遍性ということが私は強く大事だろう。  今回の法案は、たまたま一製造過程、生産過程のさまざまな対応だ、そういうふうに受けとりますね。そうすると、今回は今回の問題として、いろいろな受けとめ方、対応がこれからも求められるのですが、それ以外の、例えば一つ食品でいうならば、市場とかあるいは屠畜場の問題だとか、貯蔵のための倉庫の問題だとか、あるいは輸送のあり方の問題だとか、そういう、生産過程だけではないその安全性管理というものが求められて、トータルとして高度な食品管理衛生管理、これがHACCP思想的なものなのかな、こういうふうに思うわけですね。  そういう面で、片桐さんの方の側から見て、先ほどもありましたけれども、今度の法案では届いていない部分というのはたくさんあるのではないだろうか。あるいは、生産の側の新村さんの方から見れば、材料の部分で問題があるのではないかという点もあるのだろうと思いますが、その辺のさまざまな、皆さんの側から見て、HACCP思 想を普遍化するという意味で、御意見があれば伺わせていただきたい、こういうふうに思います。
  66. 新村裕

    新村参考人 今先生がおっしゃられましたように、私ども、ハム、ソーセージ類をつくる場合には、まず原料となる食肉が必要でございます。この食肉は、もっと前にさかのぼりますと、屠畜場で家畜は屠殺され、そして、あと部分肉にカットする食肉処理業者というのがいるわけです。ですから、そちらの方から安全なといいますか、衛生的な食肉を供給していただくという必要がございます。  でも、もっとさかのぼりますと、家畜の生産農家、こちらでやはり健康な家畜を生産していただくというのが本来は必要ではないかなというように感じているわけです。  それから、あとは原材料として、食肉だけではございませんで、ほかにいろいろな香辛料、調味料、それから食品添加物というものを使いますけれども、そういういろいろな添加剤につきましても安全なものがやはり我々は欲しいという気持ちでございますし、それから、今度はでき上がりました製品を売っていく場合、流通側、こちらの扱い方が悪いと、せっかく安全なものをつくっていたにもかかわらず、そこで品物が傷むというような心配もございます。ですから、流通側の協力も必要である。  それから、最終的には、消費をする消費者側、やはりこの人たちに正しく理解をしていただかないと、我々の努力というのはむだになってしまうということもございますので、そういう意味では、我々加工する側だけではなくて、全体的にHACCP考え方といいますか、もっといけば衛生管理というようなこの考え方が普及していかないとうまくいかないのではないかなというように思っております。
  67. 前島秀行

    ○前島委員 それでは最後に、表示の問題を片桐参考人に伺いたいのですが、当然のものを当然にやっているんだからという受けとめ方もあると思いますけれども消費者の側からしてみると、安全性といいましょうか、安全に管理されているということを確認する意味で、一つ、この表示という問題があるだろうと思うのです。それを官でやるか、民で主体的にやるか、これはさまざまな意見があるところでありますけれども。  そういう面では、製造物責任じゃありませんけれども、製造する側、それから流通する側、あるいはそれを受けとめる消費者の側がお互いに責任を持ち合うという意味で、このHACCP手法の導入というのを、一つの表示でもってお互いにメッセージを送り合うというのも私はこれからの一つ方法なのかな、こういうふうに思うわけです。それがまた、先ほど言ったHACCP理念の普遍性という最後の段階でお互いに必要なことなのかなとも思うわけであります。  そういう面で、JAS法だとかさまざまな既存のものとの関係があるけれども、私は何らかの表示というものをお互いに責任を持ち合うということ、あるいは消費者の側から一つの選択の基準とするという意味で表示というものを検討すべきではないだろうかな、こういうふうに思いますが、片桐参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
  68. 片桐純平

    片桐参考人 一般的には、先ほど申し上げましたように、とりたててこのことがいわば差別化として使われるような要素を持っているわけではないというふうに考えております。  それから、もう一つの問題は、いずれにしても、仮にそういうことについて表示等の制度をやるとすれば、もっと社会的にあらゆる商品分野でこれがやられる、そういう制度ができているというようなことにならないと、加工肉の売り場に行くとHACCPと書いてある、ところが隣の調味料売り場にはそんなことは書いていない、どういうことだというだけの話ですから。  それからもう一つは、消費者にとってこのことはほとんどまだ、多分学校教育が一番大事だと思うのですけれども、そういうところでの教育を含めて、こういったものの考え方が定着していないという、多分この三つぐらいの要素がございまして、今の段階で少なくとも表示問題というのを考えるのは非常に危険だというのが私なんかの認識でございます。
  69. 前島秀行

    ○前島委員 ありがとうございました。終わります。
  70. 北村直人

    北村委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に二言お礼を申し上げます。  本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  どうぞ御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  71. 北村直人

    北村委員長 この際、本案に対し、藤田スミさん外一名から修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。中林よし子さん。     —————————————  食品製造過程管理高度化に関する臨時措   置法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  72. 中林よし子

    ○中林委員 私は、日本共産党を代表して、食品製造過程管理高度化に関する臨時措置法案に対する修正案の提案理由を説明いたします。  食品の安全を確保するため、衛生管理の充実を図る中小零細の食品製造業者に対し、政府が支援することは当然です。その点で、本法は、国により認定を受けた事業者団体HACCP導入のための施設整備の高度化基準を作成するとともに、それに適合すると認定された事業者が施設整備に際し低利融資を受けることができるようにするものでありますが、本法は全分野の食品製造業にHACCPを導入することを政府の基本方針として打ち出すものであり、実施されればHACCPの普及が一気に進むことは間違いなく、新たな設備投資を行わざるを得なくなる中小零細企業への影響は極めて大きいものがあります。  また、大手量販店、ファストフードチェーンなどは、食品の安全確保を名目に、取引業者に対しHACCPを導入するよう要請を強め、中にはHACCP導入を取引条件とする動きもあります。また、零細業者は、食品衛生法に基づく衛生管理をしているにもかかわらず、HACCPを導入していない製品安全性が劣るとみなされ、市場から締め出されるのではないかという強い危機感を持っているのです。  我が党の修正案は、中小零細企業に対し、その負担軽減を図るため、施設整備に必要な資金の一部を国が直接補助することを内容とするものであり、本修正の結果必要とする経費は、平年度約四十八億円の見込みであります。  本法による支援は融資にとどまつでおり、国による助成措置を追加することにより、中小零細業者の経営に対する影響を最低限に抑えることができるものであり、食品または加工の事業の健全な発展に資するという本法の目的を達成するためにも必要な措置であると考えます。  委員各位の御賛同をお願いしまして、提案理由の説明を終わります。
  73. 北村直人

    北村委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。農林水産大臣島村宜伸君。
  74. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府としては反対であります。     —————————————
  75. 北村直人

    北村委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、藤田スミさん外一名提出の修正案につい て採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  76. 北村直人

    北村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  77. 北村直人

    北村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  78. 北村直人

    北村委員長 この際、本案に対し、小平忠正君外六名から、自由民主党、民友連、平和・改革、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び岩浅嘉仁君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。赤城徳彦君。
  79. 赤城徳彦

    ○赤城委員 私は、自由民主党、民友連、平和・改革、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び岩浅嘉仁君を代表して、食品製造過程管理高度化に関する臨時措置法案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     食品製造過程管理高度化に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案)   我が国食品製造業は、近年における景気の停滞に加え、加工食品輸入の増大傾向、環境問題の顕在化等により、まことに厳しい事態に直面している。   また、食品製造業は、国民の食品に対する安全性志向の高まりに対応して、HACCP手法の導入等衛生・品質管理高度化が大きな課題となっている。   よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。       記  一 本法の運用に当たっては、中小零細企業が大宗を占める我が国食品製造業の実情に十分配慮するとともに、新たな衛生・品質管理手法であるHACCP手法の円滑な導入が図られるよう、関係事業者に対する啓発、人材の育成等につき所要の支援措置を講ずること。    また、製造過程管理高度化のための施設整備が過度の製造コストの増大につながることのないようきめ細かい指導を行うこと。  二 高度化基準の作成及び高度化計画の認定が適切に行われるよう、指定認定機関である事業者団体を適切に指導・監督すること。  三 食品製造業へのHACCP手法の導入と併せ、生産から流通、消費に至る各段階における食品の衛生・品質管理の促進に努めること。  四 フードシステム高度化を推進することにより食品産業の競争力の強化と国産農林水産物の利用拡大を図ること。  五 食品産業にかかる環境問題に対処し、食品に由来する廃棄物の減量化・再資源化等への取組みを支援するとともに、適正処理のための新技術の開発・普及に努めること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  80. 北村直人

    北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  81. 北村直人

    北村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣島村宜伸君。
  82. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。     —————————————
  83. 北村直人

    北村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 北村直人

    北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  85. 北村直人

    北村委員長 次に、内閣提出農地法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣島村宜伸君。     —————————————  農地法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  86. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 農地法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  我が国農業の基盤である農地は、国民に対する食糧の安定的供給を図る上で欠かすことのできない重要な役割を担っており、農地法に基づく農地転用許可制度の適切な運用を通じ、良好な営農条件を備えている農地を保全していく一方、社会経済上必要な土地需要にも対応してきているところであります。  この農地転用許可制度につきましては、農地の重要性に十分配慮しつつ、地方分権を推進していく観点から、許可権限を都道府県知事に委譲すること、また、これとあわせ、行政事務の基準をより一層明確化することが重要となってきております。  このため、平成八年十二月の地方分権推進委員会第一次勧告におきまして、「二ヘクタールを超え四ヘクタール以下の農地転用許可は、都道府県に委譲する。この場合、都道府県は、許可に当たり、当面、国に事前協議しなければならないこととする」との勧告が行われております。また、平成九年三月の規制緩和推進計画及び同年十一月の二十一世紀を切りひらく緊急経済対策におきましても、四ヘクタール以下の農地転用許可権限については都道府県知事へ移管することが定められております。これらの内容を実施するため、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、農地転用の許可権限を農林水産大臣から都道府県知事へ委譲することであります。  地方分権の推進を図るため、二ヘクタールを超え四ヘクタール以下の農地転用の許可権限を農林水産大臣から都道府県知事へ委譲することとしております。  第二に、農地転用の許可基準を法律上明確化することであります。  従来通達で定められていた農地転用の許可基準を法律に規定することにより、行政事務の明確化を図るものであります。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  87. 北村直人

    北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十三分散会      ————◇—————