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石橋(大)
委員 関係水域の
漁業関係者はとにかく一日千秋の思いで待っておりますので、せいぜい頑張っていただきまして、一日も早く
交渉を仕上げていただきますようにお願いをしておきたいと思います。
次に、
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の
関係について幾つか
質問をしたいと思います。
質問時間が非常に限られておりますので、一まとめにして幾つか申し上げますので、一括してお答えをいただきたい、こう思います。
まず、HACCP方式導入と国内
体制の整備について総括的にちょっと聞いておきたいのですが、今回の
法律改正による期間延長は、新しい問題として、EUやアメリカなどにおける
輸入水産物に対するHACCPによる
管理方式が導入されることに伴う国内
体制を整備することが
最大のねらいではないか、こういうふうに理解をしているわけであります。そして、このHACCP方式による
管理は、別途、
食品全般を対象として、税制、融資等総合的な支援方策を講ずる
食品の
製造過程の
管理の
高度化に関する
臨時措置法案が今
国会に提出されておりまして、この新法施行後は、同法に基づく融資が可能とされているわけであります。そういう
意味でこれは二つ連続して考えることが必要ではないかな、こう思ったりするのですが。
ところで、このHACCP方式の導入に当たっては、その前提として良好な
施設設備と作業員等の
管理と、工場内における
衛生に関する作業手順マニュアルの整備と実行が必要、こういうふうにされているわけであります。
そこで、幾つかの基本的なことを伺いたいのですが、一つは、
本法案の
目的の一つが、
外国政府による
衛生規制の
強化に緊急に対応するための
施設の
改良等に必要な
資金の
貸し付けの一年間の暫定的実施、こういうことになっておるわけですから、当面のところ、このアメリカとEU向けの水産物に限定して行うものかな、こう考えられるわけです。
アメリカでは国内に流通するすべての水産物が対象になっている、こういうことでありますから、国際的な趨勢も含めて、
我が国でも遅かれ早かれ水産物全般を対象とせざるを得ない。そのために、さっき言った、別途
法律の制定が、
法律案が出されている、こういう
状況だと思うのですね。そういう
意味で全般を対象にしてやる、こういうことになると思いますが、念のため、その点まず一つ。
それから
二つ目に、
平成八年のアメリカ向け食用水産物の
輸出額は百二十億円、
関係する加工場の数は約百二十、こういうふうに言われているわけでありますが、これだけだと比較的HACCPの導入も簡単かな、こう思われるのですけれども、これを超えて水産加工を行っている全事業所が対象だ、こういうことになると、これは容易ならざる問題ではないかな、こういうふうに受けとめざるを得ないわけであります。
そういう
意味で、水産加工を行っている全事業所が対象だとすれば、
平成八年の主な加工種別事業所の総数、
水産庁の調べでは一万四千十二事業所になっているわけですね。そしてことし一月の
水産庁の水産加工課の調査結果によると、主な加工種類として十四の事業が挙げられているわけであります。これらの事業所あるいは事業種類のうち、HACCPの対象外になるものが業種によってはあるのかどうか、あるとすればその事業所の数あるいは対象事業の種別について伺っておきたいと思います。これが
二つ目であります。
三つ目には、HACCPの前提条件を満たしている事業所が一体どれぐらいあるのか。
水産加工を行っている各事業所の従業員規模別事業所数を見ると、従業員四人以下が三四%、五人ないし九人が二五%、十ないし二十人が二二%、二十一ないし三十九人が九%で、三十九人以下の事業所が全体の九〇%を占めている。特に九人以下の事業所数が全体の五九%で、零細経営が圧倒的であります。しかも従来のこの加工場があるところはほとんど魚の水揚げに近いところで、かなり小さいものが広域にわたって分散をしている、こういう
状況ではないか、こう思うのです。それにもかかわらず、缶とか瓶詰、魚肉ハム・ソーセージ、冷凍水産物、冷凍すり身、冷凍
食品は比較的規模の大きいものの割合が高くなっている、こういうふうに言われているわけです。こういう実態から推察すると、HACCPの前提条件を満たしている事業所の数は非常に少ないのじゃないか、こういうふうに思うのです。
そこで、二つ、三つ聞きたいのですが、まず一つは、現段階でHACCPの前提条件を満たしている事業所の数はどれぐらいあると把握されているのか。
二つ目は、九〇%の零細企業において、良好な
施設を整備したり、適切な
管理や作業マニュアルの整備や実行をすることは、現在の設備、作業員の数あるいは質などからいってかなり難しいことではないか、こういうふうに思うのです。結果、この
過程を通じて相当な事業所のスクラップが必要になってくるのじゃないか。数も、結果として大幅に減少することが考えられるわけであります。いずれにしても、業界全体の再編成や設備の近代化、従業員の再教育も必要になってくる、そういうことになりますと、かなり計画的に、しかも期間をかけてやらないと不可能ではないかというふうに考えられるわけであります。
さっき言いました、後で
審議の俎上にのせられてくる予定の、
食品の
製造過程の
管理の
高度化に関する
臨時措置法案の有効期間、これも「
法律の施行の日から五年以内に廃止するものとする。」こうなっているわけであります。これが今度の
法律改正に伴う融資が一年間、後が五年間プラスして六年間になるのかどうか知りませんが、それにしたって一万四千の事業所全体を対象にして、
外国へ
輸出するものだけでなくて国内流通の水産加工物も含めてこれを適用する、こういうことになったときには大変な作業と時間と金が必要だな、こう思っているわけですが、幾つか申し上げましたけれども、これを一まとめにしてひとつお答えをいただきたいと思います。