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1998-03-17 第142回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十七日(火曜日)     午前十時八分開議 出席委員   委員長 北村 直人君    理事 赤城 徳彦君 理事 鈴木 俊一君    理事 松岡 利勝君 理事 松下 忠洋君    理事 小平 忠正君 理事 木幡 弘道君    理事 宮地 正介君 理事 一川 保夫君       石破  茂君    小野寺五典君       大石 秀政君    金田 英行君       岸本 光造君    熊谷 市雄君       桜井 郁三君    園田 修光君       高鳥  修君    中山 成彬君       仲村 正治君    丹羽 雄哉君       二田 孝治君    御法川英文君       宮本 一三君    矢上 雅義君       石橋 大吉君    神田  厚君       今田 保典君    仙谷 由人君       鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君       漆原 良夫君    木村 太郎君       佐々木洋平君    菅原喜重郎君       二階 俊博君    中林よし子君       藤田 スミ君    岩浅 嘉仁君  出席国務大臣        農林水産大臣   島村 宜伸君  出席政府委員        農林水産政務次        官        岸本 光造君        農林水産大臣官官        房長       堤  英隆君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        農林水産技術会        議事務局長    三輪睿太郎君        林野庁長官    高橋  勲君  委員外出席者        文部省高等教育        局専門教育課長  北見 耕一君        農林水産委員会        専門員      黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 三月十七日  辞任        補欠選任   木部 佳昭君     桜井 郁三君   中尾 栄一君     大石 秀政君 同日 辞任         補欠選任   大石 秀政君     中尾 栄一君   桜井 郁三君     木部 佳昭君     ————————————— 三月十二日  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案一内  閣提出第一九号)  青年就農促進のための資金の貸付け等に関す  る特別措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二〇号)  主要農作物種子法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四二号) 同日  国営川辺川土地改良事業促進に関する請願  (東家嘉幸君外一名紹介)(第五八二号)  遺伝子組換え作物環境生態系の調査・検証  に関する請願上原康助紹介)(第五九八号  )  同(伊藤茂紹介)(第六三九号)  同(辻元清美君紹介)(第六四〇号)  同(中川智子紹介)(第六四一号)  同(中西績介紹介)(第六四二号)  同(中林よし子紹介)(第六四三号)  同(畠山健治郎紹介)(第六四四号)  同(濱田健一紹介)(第六四五号)  同(村山富市紹介)(第六四六号)  同(横光克彦紹介)(第六四七号)  同(深田肇紹介)(第六九七号)  国有林野事業累積債務処理に関する請願(木  島日出夫紹介)(第六四八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号)  青年就農促進のための資金の貸付け等に関す  る特別措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二〇号)  主要農作物種子法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四二号)      ————◇—————
  2. 北村直人

    北村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案青年就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び主要農作物種子法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。農林水産大臣島村宜伸君。     —————————————  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定   措置に関する法律の一部を改正する法律案  青年就農促進のための資金の貸付け等に関す   る特別措置法の一部を改正する法律案  主要農作物種子法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 島村宜伸

    島村国務大臣 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律は、農林水産業施設災害復旧事業についての国庫補助制度を設けることにより、農林水産業の維持と経営の安定を図る上で大きな役割を果たしてきたところであります。  しかしながら、前回の本法改正以来およそ十四年が経過し、工事価格が上昇するなど農林水産業施設災害復旧を取り巻く状況に変化が生じてきたことから、これに対応し事業の効率的な実施を図るため、今回の改正案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、昭和五十九年の法律改正以来の工事価格上昇等を踏まえ、災害復旧事業として国の補助対象とする工事の費用の最低額を一カ所当たり三十万円から四十万円に引き上げるものであります。  第二に、災害復旧制度運営合理化を図るため、災害にかかった箇所が連続している場合において、一カ所の工事とみなすことができる間隔を、百メートル以内から百五十メートル以内に、漁港施設にあっては五十メートル以内から百メートル以内に、拡大することであります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  次に、青年就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  我が国農業は、改めて申し上げるまでもなく、食糧安定供給という重大な使命に加え、地域社会の活力の増進、国土や自然環境保全等の多面的な機能を有しております。  このような重要な役割を担っている我が国農業を振興するためには、担い手確保が基本であり、これまで、青年に対して、無利子就農支援資金貸し付け等措置を講じ、その就農促進を図ってきたところであります。これにより青年就農者は着実にふえておりますが、まだ十分とは言えない状況にあります。  一方、昨今、他産業から転職しそれまでに得た知識技能を活用して就農しょうとする中高年齢者が相当数見られます。今後、我が国農業発展農村活性化を図っていく上で、青年に限らず、これらの中高年齢者で近代的な農業経営担い手となることが期待される人の就農促進することも重要であります。  このため、今般、新規就農者に対する支援措置対象者の拡大を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、就農支援資金貸し付け等新規就農者に対する支援措置対象者を拡大することであります。  農業担い手確保に資するため、就農支援資金貸し付け等新規就農者に対する支援措置対象者として、青年以外の者で近代的な農業経営を担当するのにふさわしい者となるために活用できる知識及び技能を有するものを追加することとしております。  第二に、法律題名及び目的規定を改正することであります。  青年以外の者を就農支援措置対象とすることに伴い、題名を、青年等就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法に改めるとともに、目的規定において、確保すべき農業者の範囲を青年農業者に限定しないこととしております。  第三に、就農促進方針就農計画都道府県青年農業者育成センター等に関する規定について、青年以外の者を就農支援措置対象とすることに伴い、所要の整備を行うことであります。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、主要農作物種子法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  稲、麦及び大豆の主要農作物は、国民の基本的な食糧であるとともに、地域農業における基幹作物であり、その安定した生産確保が強く求められております。  このため、生産において最も基礎的な資材である種子につきましては、昭和二十七年以来、主要農作物種子法に基づき、優良な種子生産及び普及を図ってきたところであり、その一環として、国は、都道府県による種子審査等の円滑な運営目的として定率の国庫補助を行ってきたところであります。  その結果、主要農作物種子法に基づく施策は、各都道府県において着実に実施され、定着してきているとともに、今後さらに各都道府県地域の実情に応じて自主的、弾力的な主要農作物種子対策を講じていくことが期待されております。  このような状況を踏まえ、主要農作物種子法に基づく補助金を一般財源化することとしたところであり、これに伴い、国の補助を廃止することとし、この法律案提案することとした次第であります。  なお、このことは、地方分権推進を図ることを目的として、地方分権推進委員会により国庫補助負担金のあり方について勧告されている趣旨にも沿うものであると考えております。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  以上です。
  4. 北村直人

    北村委員長 以上で各案の趣旨説明は終わりました。  この際、暫時休憩いたします。     午前十時十六分休憩      ————◇—————     午前十一時二十二分開議
  5. 北村直人

    北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今田保典君。
  6. 今田保典

    今田委員 私は、民友連所属新党友愛今田保典でございます。  青年就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に関連して質問いたします。  この法案趣旨は、農業就業人口減少あるいは高齢化にかんがみ、幅広い層からの新規就農促進するため、本法に基づく支援措置対象者に、青年以外の者であって近代的な農業経営担い手となるに必要な知識及び技能を有するものを認める、こういうものでございます。この法案についてはある一定の評価をいたすわけであります。しかし、その前に、若い人の農業離れについて真剣に考え、対処していく必要があるのではないか、このように思いますが、現在、農水省でどのようなお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  7. 高木賢

    高木(賢)政府委員 青年で新たに農業につく人の数が大変減りまして、私どももこれは大変重要な問題と受けとめてまいりました。  その後、青年新規就農者に対する支援措置ということで無利子資金制度をつくったりいたしまして、その効果もありまして、平成八年には八千五百人まで、これは、学校を出てすぐ就農しただけでなくてUターンをした人も入っておりますけれども、四十歳未満の方で八千五百人の新規就農者という数にまでなってまいりました。しかし、望ましい水準から見ますと、やはりこれは一万数千人の就農がないと世代交代が円滑に進まないということがございますので、まだまだ厳しい状況だと思っております。  したがいまして、新規就農者に対しましての、まさに若い人の新規就農を進めると同時に、意欲能力のある中高年齢者の方も最近非常に農業に注目してまいっておりますので、こういう人たちに対して就農支援をするということで、今般お願いしておりますのは、就農支援資金貸付対象者年齢の引き上げといいますか、青年以外の人で農業意欲能力を持っている方の参加もさらに推進したいということで提案をしているわけでございまして、これらの措置と相まって、若い人あるいは中高年齢者を問わず、農業意欲等があり、また、先行き期待できる方が就農できることを期待しているわけでございます。
  8. 今田保典

    今田委員 そういう状況の中で、次にお伺いしたいのは、現在、農業高校の数については全国で四百数校あるというふうにお聞きしておりますし、生徒は約十二万四千人、また、農業を主体にした大学については国公あるいは私立を含めまして五十八学部ある、さらに学生数については一万六千人と聞いておりますが、この実態については、このような状況になっているのかお伺いしたいと思います。
  9. 北見耕一

    北見説明員 お答え申し上げます。  農業高校につきましては、平成九年の五月現在で四百二校、農業高校で学ぶ生徒数は十二万三千人余でございます。それから、農学関係学部につきましては、平成九年の五月現在で国公私立大学合わせて五十三大学五十八学部設置されておりまして、その入学定員は一万五千九百二十二人ということになっております。
  10. 今田保典

    今田委員 そこで、全国的な傾向として、大学短大は別といたしまして、多くの農業高校農高定員割れが生じているというのが実態のようで す。特に、私は山形なんですが、山形では本当に定員に満たない状態でございまして、二次募集、三次募集をやっているというような状況でございます。  そういった意味からして、中学校等での進路指導を通じて、農業に対する目的意識を持った生徒を集めるようにどのような取り組みをしているのか、あるいは、次の農業を担う若者にとって魅力ある農業というものあるいは学校というものをつくっていらっしゃるのか、あるいは、そういったものが必要なのではないかというふうに思うわけでございます。  農業高校あるいは農学関係大学短大を卒業した人たちが中核となって、これからの我が国農業を支えていくことが望ましいと思うのでありますが、最近の卒業生の進路を調べてみますと、必ずしも農業を選択していないようでございますし、現実に私の地元では、農業高校を卒業した、あるいは大学を卒業した方はほとんど農業に携わっていないというのが実態でございます。そういった状況を見ますと、やはりこれからの将来について本当に心配だなというふうに思うわけでございます。  そういう動向を見ますと、平成八年度の新規学卒就農者は約二千人、さらに三十九歳以下の離職就農者数については六千五百人、合わせて新規就農青年者の数は八千五百人程度であるというふうにお聞きしております。農業従事者減少並びに高齢化は、一向に改善されていないわけでありまして、むしろこれから進んでいくのではないかというふうに心配されるわけであります。このような実態をどのように農水省として考えていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。
  11. 高木賢

    高木(賢)政府委員 農業従事者減少ないし高齢化実態を見ますと、約二十年前の昭和五十年に基幹的農業従事者が四百八十九万人おりましたが、平成八年には二百四十七万人ということで、ほぼ半減をいたしております。その中で、六十五歳以上の方の比率が一四%から四二%と約三倍になっておりまして、御指摘のように、農業従事者減少高齢化進展には著しいものがあると思います。  基本的にこの傾向はこの数年続いているわけでございますが、この減少高齢化に対応する必要があるということは御指摘のとおりでございまして、また世代交代といいますか、高齢でリタイアした方の後に若い方が就農する、こういう世代交代が円滑に進むためにも一定数の新規就農者確保は極めて重要な課題だと思っております。  特に平成二年に、今八千五百人と申し上げました数字に見合う数字が四千三百人ということで非常に減りました。そこで、私ども農業経営の開始のための無利子資金制度平成四年につくったり、就農支援資金平成七年につくったりしまして、青年を中心としました新規就農者確保対策につきましては相当力を入れてきたつもりでございます。  その結果もありまして、四千三百人から、最近時点では、お話がありましたように八千五百人まで来たわけですけれども、まだ日本農業全体をうまく回すために必要な人員という点から考えますと、望ましい水準から見て半分程度しかない。それからまた、地域によっては、まさに中山間地域などにおきまして、担い手不足が深刻になっている地域もあるというふうに見ております。  したがいまして、効率的あるいは安定的な経営体を育成する、あるいはさらにそれを将来にわたって安定的に承継していくということを考えますと、まだまだ厳しい状況にあるというふうに基本的に思っております。  引き続き青年層確保につきまして、例えば研修なんかも、実地に研修するオン・ザ・ジョブ・トレーニングシステムを導入して青年層が入りやすいようにするとか、あるいはいきなり自営ということではなくて、法人経営に就職するというような形で農業に入ってくる、多様な形での就農促進したいと思っております。  また年齢も、先ほども申し上げましたが、四十歳未満ということに限らず、意欲能力のある人材につきまして幅広くその就農支援するということで対処してまいりたいと考えております。
  12. 今田保典

    今田委員 私、先ほど言ったように山形なのですが、山形でも比較的農業地帯に住んでおるわけでありますけれども、今現在、田んぼ、畑等で農業をやっている方はほとんど六十歳以上の方なのですね。したがいまして、大型農業機械を操縦するのに、果たしてそういった機械を本当にそういう年齢でこなせるのかという心配、さらに、毎年のようにトラクターで事故を起こしたりあるいは下敷きになったり、そういった痛ましい事故もあるわけでありまして、そういった意味からして、本当に若い方々が早く農業魅力を感じて携わっていただきたいものだなというふうにつくづく思っておるところであります。  そういう状況からして、若者が何ゆえに職業として農業を選択しないのか、その原因はさまざまあると思いますが、結局は、今の若者の目に農業の姿がほかの産業と比べてみて魅力のない産業というふうなことで映っているのではないかというふうに思うわけでありまして、これはこれからの食糧問題に関連して大変大きな問題ではないかというふうに思うわけであります。ですから、若い人たちが夢と希望を持って取り組んでいけるような農業環境整備していくことが、これからの農業政策の重要な課題であり、柱の一つであろうというふうに思っておるところであります。  そこでお尋ねしたいわけでありますが、意欲のある若者が積極的に就農できるような環境をつくるために、政府として今後どのように施策を講じていらっしゃるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  13. 高木賢

    高木(賢)政府委員 若い人がなぜ農業になかなか入ってこないのかというお尋ねでございます。  やはり幾つかの角度からの要因が考えられますけれども、まず一つには、農業所得水準が一般的に言えば他産業に比べて低いということが挙げられると思います。これには、もちろん現在ある程度の規模を持っていたり、付加価値の高い農産物をつくるというようなことで相当な所得を得ている方もございますけれども、一般的にはまだまだ低いと言わざるを得ない状況かと思います。  それから二番目には、家族農業経営におきましては、いわゆる家計と経営が未分離のものが多いために、休日とか給与とか、こういった処遇面就業面での条件が明確でない、あるいは改善されていないという問題もあろうかと思います。  それから、そもそも農業基盤整備あるいは農業施設などの生産基盤整備がおくれているという問題もあろうかと思います。  そして四つ目には、生活環境施設、特に下水道などの普及が都市に比べておくれておるというような問題も挙げられるかと思います。  そこで、対応策といたしましては、やはり農業所得が得られるような経営基盤強化ということが必要だと思います。  そこで、現在あります青年就農促進法におきましても、新たに農業につこうという方につきまして、これは県知事の認定新規就農者ということで支援措置を講ずる、同時に、本格的に農業に取り組む方につきましては、別途経営基盤強化促進法によります認定農業者制度によりまして、認定を受けた方に長期、低利の資金なりあるいは税制上の優遇措置などによりまして経営発展支援するということに取り組んでおります。  それから、一般的な農地基盤整備あるいは農地流動化促進ということで経営の効率的な展開を可能とする条件整備に取り組んでおります。  それから三番目には、農業集落排水など、これは下水道の一種でございますが、生活環境整備を進めております。  それから四つ目には、これはソフト面になりますけれども就業条件改善明確化ということのために、法人化なり家族経営協定の締結を推進しております。法人化されますと、その職員の地位として、専務であるのか常務であるのか従業員であるのか、あるいは就業条件は何なのかという ことが明確になります。また、家族経営協定におきましても、休日や給料の規定を定めましてはっきりさせるという点ができます。  それから五番目には、とかく農村人間関係が煩わしいという方が多いわけでございますが、やはり女性の方、青年の方、こういう方が積極的に社会参画できるような啓発活動あるいは組織活動への支援を行いまして、社会的地位の向上を図るということも必要かと思います。  こういった大きく五点の取り組みということで総合的に推進しているところでございます。
  14. 今田保典

    今田委員 せんだって、私のところの地元の方から農業団体が来まして、米価問題も含めまして要請行動というようなことで来たわけですが、その中で、ある地域婦人部長が、我々農家には嫁が来てもらえない、あるいは自分の子供が農業に携わってくれない、あるいは引き継いでくれない、こういうお話がありました。  特に、最初に申し上げた、農家に嫁に来てくれないというようなことを言われたものですから、私は、あいさつの中で、農家の娘さんを農家に嫁にやらないで、サラリーマンとかほかの職業から農家に嫁に来る人がいないのは当たり前じゃないか、そのことからやはり意識の改革をぜひ農家方々がやっていただかないと、なかなかそういった問題は解決しないのではないかというようなことをも申し上げさせていただいたわけであります。本当に、今現在農業に携わっている方、真剣にあるいは本当に困っているのだなという実態をよくお考えをいただきたい、このように思うわけでございます。  そこで、そういう状況でございますので、当然中高年齢者就農者はふえてきておるわけでありまして、そのことについてお尋ねをしたいわけであります。  新規就農者への支援体制、特に中高年齢者への整備でありますけれども、すぐれた農業経営者を育成するために国と地方が一体となって取り組んでいくことが、我が国農業活性化に重要なことであるわけであります。そのような意味において、農家子弟以外の幅広い層からの新規就農促進するために、就農資金貸付対象を広げようという今回の法改正については、私は個人的には大変いいことだな、農業活性化に大きな前進であるなというふうに評価をいたすところでございます。  農業就業人口減少高齢化進展により、我が国農業がこのままでは産業として成り立っていかないのではないかという状況の中で、新規就農する青年の数に比較して、中高年齢者離職就農者数は年々増加する傾向にあるわけであります。平成八年度における四十歳以上六十歳未満就農者数は、聞くところによりますと約二万九千人ということでありますが、我が国経済の現状にかんがみれば、これからもさらにふえていくだろうというふうに思っております。  そこで、政府としてこのような状況をどのように把握しておられるのか、お聞きしたいと思います。
  15. 高木賢

    高木(賢)政府委員 四十歳以上かつ六十五歳未満中高年齢者新規就農につきましては、御指摘になりましたように、平成二年に約一万人ということでございましたが、それを底にいたしましてその後増加傾向に転じております。大体三万人前後というところでございまして、平成八年には御指摘のとおり二万九千人という水準までになっております。  今後それがどうなるかということでございますが、一つには、他産業の動向がどうかということでございますが、他産業の雇用面におきましては、選択的な定年制の導入とか、労働力の流動化が進んでおりますし、今後もさらにその傾向が進むと思います。一方で、平均寿命は延びておりまして、中高年齢者が活動できる期間が延びていると思います。  それから、農業内部の事情で申し上げますと、機械化が進展してきておりまして、今まできつい労働だったものが、それよりは比較的軽い筋力をもって機械が動かせるということで、青年でなくとも就農できる条件が整いつつある。青年との筋力格差を要しないというような問題もあろうかと思います。  そういうことが背景になりまして、最近中高年の方でも農業を見直したい、あるいは定年前後の人生の境目を節目にいたしまして就農したいという方もふえております。  そういった傾向考えますと、今後中高年齢層におきます就農希望者というのはふえるのではないかというふうに見ております。農業の面から見ましても、単に新規就農者の量的な拡大という側面だけではなくて、他産業で活躍して得た知識技能農業の場で生かしていただきまして、いわば即戦力として活躍が期待できる、こういう側面もあろうかと思います。中高年齢者という、単に年齢だけでない知識、経験を生かした農業への取り組みということにつきまして、大いに期待し、担い手の一角として位置づけていく、その支援をしていく、こういう必要があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  16. 今田保典

    今田委員 そこで、中高年齢者農業への参加については、恐らく当事者にとっては極めて重大な決断のもとで選択するであろうと推察いたすところでございます。  そうであるならば、新規就農者が新たな環境の中で意欲を持って農業に取り組めるよう、各種情報の提供あるいは経営診断、さらに各種支援資金の拡充や農業研修の充実等、さらにきめ細かな支援体制を整えていくことが重要であると思うわけであります。  政府としてどのような支援体制を確立しているかということでお聞かせをいただきたいわけですが、私はこれは、中高年齢者農業へ新たに参加する、本当に人生の中で最大の曲がり角といいますか心機一転という気持ちで取り組まなければ、なかなか大変だなというふうに思うのですね。そういった意味で、先ほど言ったようなことも含めて、さらに心のケアというものも何らかの形で支援していかなければならぬのではないかというふうに思うわけでありまして、そういった意味も含めて、どのような体制を確立しているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  17. 高木賢

    高木(賢)政府委員 新規就農者に対する支援措置といたしましては、一般的な生産基盤整備とか生活環境整備ということも当然前提として必要なことではございますが、特に三つの課題にきちんと対応していくということが必要だと思います。  一つには、技術の習得であります。それから二番目には、資金の手当て、三番目には、農地確保ということが重要なポイントであると思っております。それにつきまして、また当然情報の提供ということも必要になってまいります。  したがいまして、中高年齢者に対します新規就農支援対策といたしましては、これまで新規就農ガイドセンター、これは国段階あるいは都道府県段階に設けておりますが、そこで農地情報の提供を中心といたしました就農相談活動というのをやっております。  それから、技術の点では、都会のサラリーマンを対象といたしまして、休日あるいは夜間にサラリーマン生活と両立できる形で初歩的な技術の習得ができるような、いわゆる就農準備校と俗に言っておりますが、そういう学校の開設をしております。  また、それぞれの地域におきましては、就農の相談から就農後におきます営農指導、これを地域農業改良普及センターが重点的に実施をするということで対応してまいりました。  今回お願いしております法案で、資金の手当ての充実を図るということが一つございますが、もう一つは、やはり何といっても中高年齢者の大きな問題は、技術の習得というところにあるというのが新規就農された方の大きな声、要望でございます。  そこで、都道府県農業大学校におきまして、他産業を経験して農業につくという方について農業技術の習熟度に応じた研修をやろうということで、十年度から新たに取り組もうというふうに考えております。  例えばどういうことかといいますと、一番初歩的なビギナーズコースということで、本当の入り口の段階の研修をするというコースとか、もうちょっと高度になりますとテクニカルコースということで、上級的な、ある程度のところへ達した方にはそういうコースを設けるとか、それから、希望に応じまして、一律ではなくて、水稲コース、野菜コース、果樹コース、花卉コース、畜産コースというふうに、それぞれの目的といたします作目に応じたコースも開設するということで、Uターンしたりした新規就農希望者の方の技術の習熟度あるいは御希望に応じた研修コースをつくるということで、それぞれの実情に応じた対応をしていきたいと思っております。
  18. 今田保典

    今田委員 ありがとうございました。  そこで、私の地元で、学校の校長先生をやって、定年後、農業をやりたい、こういうことで、退職金の一部を割いて田んぼあるいは畑を買って、やりました。しかし、やはりいかんせん、農業経験の浅さ、あるいは知識というものについて身についていなかった。さらに、今までは学校の先生だったものですから、周りの農業者とのいわゆる親交といいますかつき合いといいますか、そういったものがなかった。いわば孤立した闘いをやっている姿を私は見てまいりました。  結局は、たしか五、六年後ですね、挫折をいたしまして、今は全くその人の田んぼ、畑は荒れ放題でございまして、まことに私自身としては残念だなというふうにつくづく見ておるわけでありますけれども、私は非常に大変なことだと思うのですよね。そういった意味で、並み大抵の支援といいますか、心も含めてやってやらないと、これからの農業をやっていただける方がやっていけるのかなと本当に心配でございます。  そういった意味で、ぜひひとつ、こういった面をよく研究されまして、今後も支援体制を確立していただきたい、このように思うわけでございます。  次に、女性問題ですが、農業従事者の約六割は女性が占めているわけであります。今日、その地位明確化し、さらに向上させる必要があろうというふうに思うのでありますが、具体的に支援策を考えていらっしゃるのかどうか。  特に、女性の方はどうしても家庭に入るわけでありますし、だんなさんと一緒に農業をやるという者については、ある一方で、一緒に仕事をやれるという面では幸せな部分もあろうかと思いますけれども、ただ、農業のいわゆる部落といいますか地域といいますか、こういったところには昔からのしきたりといいますか、いろいろなものがあるわけでありまして、非常に苦労されると思うわけであります。そういった意味で、この部分についてもきっちりとやはり支援体制を組んでいただきたい。このことを思いながら、このことについてどうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  19. 高木賢

    高木(賢)政府委員 女性につきましては、農業就業人口の約六割を占めるということで、農業農村の重要な担い手になっていると思います。しかし、その実際に果たしている役割に比べまして評価の方がおくれている、あるいは意思決定の場への参画もおくれているというのが実態だろうと思います。現在、政府全体として男女共同参画社会の実現を目指しておりますが、農村におきましても、男性と女性が対等のパートナーとして農業経営あるいは地域社会へ参画をする、こういう方向で取り組んでいかなければならぬと思っております。  具体的にどう進めるかということでございますが、やはり、農業経営という場面では、女性の方も農業経営者という位置づけにしていかなければいかぬと思います。具体的な姿としては、先ほど来申し上げておりますが、家族農業経営協定ということを締結していただきまして、その中で女性の方の役割分担あるいは報酬などの就業条件明確化するということが必要かと思います。もちろん、法人経営というところまでいきますと、パートナーである夫が社長で奥さんが専務というような形での役割分担をされている法人経営も多々できつつあります。また、農業者年金におきましても、経営者として評価できる女性につきましてはその加入資格が認められまして、自分の名前で掛金を掛けて自分の名前で年金を受け取ることができるということにもしております。  また、実質的な経済的地位の向上を図る上では、やはり何といっても付加価値をつけて懐に入るという活動が大事でございまして、農産加工の起業とかあるいは直売所を運営するとかいうことでその収入を得るということで、経済的な地位の向上につきまして支援をしていきたいと思います。  それから、社会的地位の向上につきましては、農協の役員、これは、農協の組合員は十数%なっておるのですが、役員になる人の割合はまだ○・何ぼということで、かなり低いわけでございます。また、農業委員会委員にも、なっている方はふえておりますけれども、まだ○・何%という段階でございますので、これの登用を進める、特に、各県におきましてこの登用の目標をつくっていただきまして、具体的なその推進を図っていきたいというふうに考えております。  それからさらに、総合的な啓発活動といたしましては、毎年三月十日を農山漁村婦人の日と定めまして、この日を中心に、全国で女性の地位の向上明確化に関します運動を行っているところでございます。
  20. 今田保典

    今田委員 実際私も、今ほど御回答いただいた中に、農協の役員をやっている、あるいは農業関係のリーダー的立場に立ってやっている女性の方を見ますけれども、やはりまだまだ足りないなというふうにつくづく感じておるところであります。  さらに、女性の方は、農業に携わりながらも家庭を守るということは当然のことでございますが、女性にとって、一年間休む暇がない、あるいはいわば心の安らぎというものを求める場が少ないと言って過言でないというふうに思うのですが、こういったものはやはり何か国の方でいろいろと考えてやるべきではないのかなというふうに思っておるところであります。それぞれの部落でそういったことを思いながらいろいろな催しをやっておるようでありますけれども、なかなか軌道に乗らない。乗らないというのは、そういった金銭面での、あるいは財政面での支援体制がないからなのかなというふうにも思ったりもするわけでありまして、これらについてもこれからいろいろと多面にわたって御検討をいただきたい、このように御要望申し上げたいと思います。  次に、先ほど申し上げましたように、田んぼ、畑に行っていらっしゃる姿を見ますとほとんどが、先ほど言ったように六十歳以上の方が非常に多い、さらに年齢が進みまして六十五歳以上の高齢者についても、農業に携わっている方が非常に多くなりました。そういった方々に対しての活躍の場を確保する支援策というものがあってしかるべきではないのかというふうに思うわけでありまして、このことについて現在どのような取り組みをされているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  21. 高木賢

    高木(賢)政府委員 御指摘のとおり、我が国農村は急速に高齢化が進行していると思います。一方で、農業農村高齢者に適した就労なり活動の場が比較的多いという特徴があると思います。高齢者の方は高齢者なりに何かお手伝いができるとかいう場が結構あるのではないかというふうに思います。  したがいまして、農山漁村の高齢者の方が今後生きがいを持って取り組めるようにという趣旨から、約三年前になりますが、平成七年六月に農山漁村高齢者ビジョンというものを策定いたしました。農業農村の特性を生かしまして、高齢者が能力意欲に応じて、いわば生涯現役を目指して安心して住み続けられるような、こういう方向を示したところでございます。  具体策といたしましては、そういう基本的な考え方に立ちまして、高齢者の方の経験や能力の一層の活用を図るということで、地域におきます農業生産、あるいは地域における社会活動、こういったものに高齢者の参加を促すというための地域におきます計画づくりを支援するというのが一つでございます。  それから、高齢者の方の過去の経験の蓄積を生かしまして、栽培とか加工とか伝統食、こういった面での知識経験を生かせる方の人材の登録をいたしまして、求めに応じてその知識経験を発揮していただくようにするというのが二つ目でございます。  それから、特に担い手たる若い人が少ない地域、中山間地域などにおきましては、もう高齢者の方も地域農業の維持の守り手そのものといたしまして、技術や経験を生かしまして、少量多品目の軽量の野菜とか、有機、低農薬の作物の生産とか、そういった高齢者の方の労働能力に応じた取り組み支援するということで、その営農活動に必要な機械、施設のリース事業を実施する、こういうことで、活躍の場をつくるということについて支援をしておるわけでございます。
  22. 今田保典

    今田委員 ぜひひとつ、これからも多面にわたって御検討いただいて、支援体制をとっていただきたい、このようにお願いを申し上げます。  次に、就農支援資金の返済についてお尋ねをいたしたいと思います。  そもそも就農支援資金制度は、農業後継者を含め将来の効率的かつ安定的な農業経営者確保するために、青年就農促進推進していこうという目的を持ってスタートしたと理解をしております。就農支援資金の貸付原資の負担割合については、国が三分の二、都道府県が三分の一という比率であるというふうにお聞きしておりますが、これでよろしいのか、お聞きをしたいと思います。
  23. 高木賢

    高木(賢)政府委員 国が三分の二ということでございます。
  24. 今田保典

    今田委員 そこで、聞くところによりますと、十五の道府県が、多少内容の違いはあるようですが、おおよそ五年間にわたって就農実績があれば都道府県分は免除する、あるいは減額するという措置をとっていらっしゃるようです。国としても検討に値するのではないかというふうに思いますが、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  25. 高木賢

    高木(賢)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、十五の道府県におきまして、それぞれの実情に応じた免除措置というものが講じられております。この免除措置内容と申しますのは、全額償還免除をするという県もないわけではございませんが、必ずしも全額でなく一部であるとか、対象者も、新規就農者一般でなくて条件不利地域新規就農者に限るとか、そういったいろいろな県の実情を踏まえて行われております。  そこで、国段階で一律に、一定の条件で償還免除ができないかというお尋ねでございますが、貸付金に関します国の債権管理につきましては、国の債権の管理等に関する法律、略称、債権管理法と言っておりますが、そこで一般的基準が定められておりまして、償還免除制度というような例外を設ける場合には、法律に基づく措置が必要でございます。  そこで、どういうことが例外として法律に定められているかということでございますが、公衆衛生修学資金貸与法とか矯正医官修学資金貸与法におきましては、保健所とか刑務所などで職務に従事する医師、これが不可欠であるということで、この医師に、そこに就業をした場合に奨学資金を貸与する、そして一定期間の在職を条件に償還を免除するというのが一つございます。それから、日本育英会法に基づきまして、教育職または研究職に従事したことを条件に償還を免除しております。  こういった実例から見ますと、就農支援資金の場合には、基本的に、教師とか医師とか公共的サービスの担い手である職業と性格が違うのではないかという点が一つ。しからば他産業等でどうかといいますと、他産業におきまして、産業としてはそういう制度がないわけでございまして、他産業とのバランスから見ていかがなものかという論点がございまして、これは政府部内でも相当いろいろ深い論議もいたしましたが、結論的には就農支援資金の免除ということは難しいというのが率直な結論でございます。  ただ、現実実態としましては、先ほども申し上げましたように、各県におきまして、まさに実情に応じた、かつまた自主的判断に基づいた措置が講じられておりまして、そういった地域の実情に応じた対応をするということが適当なのではないかと思っております。  なお、県におきましては、償還免除相当額につきましては、県なり市町村でその分を支出して充当する、こういうシステムをとっております。
  26. 今田保典

    今田委員 今ほどの御説明で、ある一定の理解をいたしましたけれども、実際、新しく農業をやるという者について、やはり土地は買わなければならぬ、機械は買わなければならぬ、大変な金額なんですよね、新しく始めるとすれば。だとすれば、そういったことを思いつつ、もう少し前進した前向きな考え方に立ってお考えいただいた方がいいのじゃないかというふうに思うわけであります。  特に農地取得についてでございますが、現在、就農支援資金では農地の購入はできないということになっておりますが、新規就農者農地を取得する際、どのような制度で活用できるのか、また、その制度があるとすれば、利用状況等についてお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 高木賢

    高木(賢)政府委員 新規就農者農地を取得する際に利用できる融資制度といたしましては、農林漁業金融公庫におきます長期低利の農地等取得資金、これを初めといたしまして、認定農業者であれば農業経営基盤強化資金、いわゆるスーパーL資金、それから総合施設資金というものがございます。
  28. 今田保典

    今田委員 今ほどの中で認定者はということなのですが、認定というのは新規就農者には該当しないわけでしょう。どうなんですか。
  29. 高木賢

    高木(賢)政府委員 新規就農の方でも、意欲があり、その計画が適正であれば認定農業者になれますし、現に認定された例が幾つかございます。
  30. 今田保典

    今田委員 わかりました。  その就農支援資金に限らず、農業者に対する各種の支援策については画一的なものにならないように十分配慮し、それぞれの地域の実情に合った支援のあり方を考えていくことが重要であると思います。特に、日本は北海道から九州まであるわけでありまして、地域によってはいろいろ実情が違うと思うのですね。そういったことに対しての支援のあり方についてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  31. 高木賢

    高木(賢)政府委員 就農支援地域の実情を十分に踏まえたものである必要があるということは、全く御指摘のとおりだと思います。特に新規就農の方に対する支援は各地でもそれなりのいろいろな支援をしておりますけれども、それは定住の促進という意味合いもありまして、本当に地域の特性があらわれていると思っています。  国の制度におきましても、大臣が何か方針を定めて拘束をするということを極力避けておりまして、この就農支援資金におきましても、全国共通の一律的な方針というのはやめておりまして、各県で知事が関係機関、団体と十分調整をいたしまして、自分自身の方針として定めることができるという仕組みにしてございます。  それがどういうところにあらわれているかといいますと、新規就農の方も、一応目標とする所得水準、どの程度をねらうのかということを各県なりに定めていただいておりますけれども、具体的にはかなり地域によって幅があるという実態でございます。  それから、就農しょうとする方がっくる就農計画というものがございますが、これも、計画として記載すべき事項、これは事細かにということではなくて必要最小限の項目に限定をしておるというのが一つ。それから、その就農計画が適当であるかどうかの認定というのを県知事さんがされるわけですけれども、その認定の基準というのは、先ほど申し上げました県の就農促進方針に照らして判断するということでございますから、都道府県なりの実情、自主性というものが発揮できるというふうに考えております。
  32. 今田保典

    今田委員 次に、中核農家の指導等に当たる農業改良普及センターの役割普及員や専門技術員についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず一つは、農業改良普及センターの普及員、専門技術員は現在どのような基準によって採用されているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  33. 高木賢

    高木(賢)政府委員 改良普及員につきましては、都道府県が実施する試験に合格した者を採用するということにいたしております。  しかしながら、その受験資格がありまして、大学などの卒業者につきましては、農業または家政の正規の課程を修めていること、または短期大学や高等学校の卒業者につきましては、学歴に応じまして、二ないし六年の間、教育機関あるいは試験研究機関におきます職務経験があるということを資格要件にいたしております。  それから、改良普及員の指導に当たります専門技術員につきましては、国が実施する試験に合格した者を任用するということにしておりますけれども、受験の資格といたしましては、大学などにおきまして農業あるいは家政の正規の課程を修めた上で、卒業後、普及指導活動、試験研究、教育、こういった仕事に十年以上従事した者であるということを条件にいたしております。  それから、今のは資格でございまして、実際に現場で働くというためには、当然のことでございますが、都道府県の職員として採用されないといけないということがございまして、各都道府県が実施いたします一般的な職員の採用試験に合格するということが必要に相なります。
  34. 今田保典

    今田委員 農業改良普及センターの普及員とか専門技術員は、本来ならば農業の現場においてさまざまな経験を積んだ人がその任に当たるべきというふうに私は思うのですね。何か最近、一人一人がどうのこうのということではなくて、どうもサラリーマン化しているというふうに言わざるを得ないのですね、農業者に対しての。ですから、本当に相談相手にはなっていないと言っても過言ではない、こういう状況でございます。  ですから、もう一度、そのあり方、あるいは今現在農業方々がそれらの方々に対してどのようなことを思っていらっしゃるのかを調査して、そして新たな考えのもとでこういった制度を設けるべきだというふうに思うのですね。  現在、学校でいろいろ問題が起きております。その際、よく道徳とか、あるいは教師についても、一般の人を採用して、そして一般的な世間の教えをやるべきだというような話題もあるわけでありますけれども農業についても、やはり経験を多く積んだ、そしてある一定の実績を持った人が指導に当たるというのがこれからの農業にとって大切なのではないかというふうに私は思います。先ほど言ったように、どうもサラリーマン化している、こういうことでは将来の農業は大変心配されるわけであります。  そこで、先ほど言ったようなことで、ある一定の経験を積んだ人をそういった任に、全部が全部ということではないでしょうけれども、そういった方もおってしかるべきではないのかというふうに思いますが、この件についてはどうでしょうか。
  35. 高木賢

    高木(賢)政府委員 普及員あるいは専門技術員が農業現場の経験を積んで本当に実践的な指導力を持った人であるということが非常に重要だと思います。全く御指摘のとおりだと思います。  先ほど資格のところで実は申し落としたのですが、必ずしも試験に受からなくても、一定の経験がある方につきましては無試験での任用ということも可能になってはおります。ただ、現実実態は、専門技術員の方で平成九年度に百九名、それから改良普及員の方では五名しか現実にしてはおりません。それは、やはり我が国の雇用慣行といいますか、学校を卒業したときに獲得しないとなかなか人が獲得できないという実態があると思います。そういうことから、学校出たての、本当に任用から間もない人につきましては、当然現場経験が乏しいわけでございます。  そこで、それを補う意味で、採用後は、農家に泊まったりして体験研修をするとか、現地の課題につきまして実際に取り組む形の研修を実施するというようなこととか、普及センターにおきます職場のオン・ザ・ジョブ・トレーニングというようなことで、日常活動の中で実践的な指導力の向上に努めております。また、現実の経験を積みまして、新米の方も年数とともに経験豊かな普及員になっていくというのも事実であろうかと思います。  さらに、改良普及員の上級機関といいますか、上級の指導員であります専門技術員あるいは研究者からも、普及方法とか技術につきまして体系的な研修を受けておりまして、要すれば、新入りの方も一刻も早く一人前に普及員の仕事ができるようにということで、早期の養成に努めているわけでございます。  それから一方、専門技術員につきましては、先ほど資格のところで申し上げましたが、現場における経験を十年積んだ人でないとできないということでありまして、こういう人が資格を取得し、現場で働くということでございまして、この人の経験を十分に改良普及員にも伝達をしていただくということで、普及員と専門技術員が一体となってチーム編成をして現場のニーズに対応していく、こういう姿を描いて進めているというのが実情でございます。
  36. 今田保典

    今田委員 それはそういうようなことで、私は、なかなかなり手はいないということかもしれませんけれども農業者社会的地位を高めるためにも、やはりそういう指導者にどんどんなっていただきたいという願望を持っておるわけでありまして、ぜひそのようなことで、ひとつこれからも、これまで以上に、現場のいわゆる経験を多く積んだ方を指導者といいますか、そういったことでお育てをいただきたい、このことをお願い申し上げます。  そこで、これからの農業の中で、いわゆる先ほど言った普及員や専門技術員の果たすべき役割というのは大変なものだろうというふうに推察をするわけであります。  さらに、農業改良普及センターの今日までの役割と今後のあり方についてどのようにお考えなのか、あるいは先ほど言った普及員や専門技術員の果たす役割というものはどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  37. 高木賢

    高木(賢)政府委員 我が国農業は、国土が狭いという問題など、新大陸の国などと比べまして相当なハンディキャップを持っております。したがって、新たな国際環境に対応して体質を強化していくということになりますと、どうしても農業者の技術あるいは経営といった面でのレベルアップということが不可欠であると思います。また、先ほど来のお尋ねにもありますが、農業担い手確保の上で、農村生活環境改善ということも重要な要素になっているかと存じます。  そういう状況を前にいたしまして、普及事業としてこれに的確に対応していくということになりますと、やはり人材の育成と技術の向上ということが大きく二つの課題としてあろうかと思います。これにしっかり取り組むということが、普及員あるいは普及センターの重要な役割だろうと思います。  具体的に申し上げれば、経営体のニーズに応じた技術や経営の指導をしていくというのが一つ、それから、次の世代の農業を担う青年農業者の育成、あるいは、お尋ねにもありましたが、女性の能力発揮のための支援活動、さらには、労働環境生活環境改善のための支援活動ということで、総括すれば、技術、経営のレベルアップということと人材の育成ということにポイントを置いた対応が必要であるというふうに思っております。  それから、普及員としての活動のほかに、組織としての地域農業改良普及センターでございますが、これは、それぞれの普及員さんが相互に連携をして、より効果を高めていくというための活動の拠点として機能を発揮する。また、もろもろの地域農業に関します情報の集積と発信の拠点として機能を果たすということが必要だと思います。それから、青年農業者新規就農者、女性の方々、こういう方々に対します技術や経営問題の悩み事に関します相談の窓口として機能するということが必要であるというふうに思っております。  こうしたことが的確に推進できるように、その体制の整備なり、先ほども申し上げましたが、研修の充実なりによって能力をつけていきたい、このように考えております。
  38. 今田保典

    今田委員 次にお尋ねしたいのは、都市部と農村部、私自身は農村という言葉は使いたくないのです。実は、地元の若い方々は、農村という言葉を嫌っております。農村、最初から村とは何だと。最初から地域の格差をつけているんじゃないかというような言い方をされる若者がおるわけであります。もう、情報化時代でございますので、何でもいろいろな情報が入る時代でございます。したがいまして、名称で何か差別をされるといいますか、そういったことを若い人は大変嫌っておるわけであります。  ただ、それならばそれにかわるものというのは何かあるのかということになりますと、例えば農業地域とか農業生産地域とか、そういった言い方になるんだろうと思いますけれども、とりあえずそういう言葉が見つかりませんので、あえて農村という言葉を使わせていただきます。  都市部と農村部との生活環境整備の格差、あるいは潜在的な就農予備軍とも言える農家の子弟や農業学校卒業生などの就農促進を、そういった生活環境の格差があるために妨げているというふうに私は思うわけでございます。今日、農村部に居住することによって、医療や福祉、教育等の各種の公共サービス等について、都市部で生活する者との間に少なからず格差が生じていることは事実なのではないかというふうに思うわけであります。  したがいまして、農業に従事するがために農村部に居住せざるを得ない状況の中で、農業者意欲的に農業に取り組めるよう快適な農村づくりのためにどのような方策をお考えなのかお聞かせをいただきたい、このように思います。
  39. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 ただいま先生御指摘ございましたとおり、農村という地域は、農村に住まれる農業者等の地域の住民の方が、ここに住むことに誇りを持って、また、快適に住めるような条件整備することが大変重要でございまして、ヨーロッパ等では、農村に住むことに農村方々が誇りを持ち、また、都市住民もこれにあこがれておられるのが事実でございます。  日本の農村地域は、自然環境には恵まれておりますけれども、先ほど御指摘ございましたように、生活環境、施設、さまざまな面で立ちおくれが見られます。例えば農村の女性あるいは子供さん方が強く望まれるトイレの水洗化の率でございますけれども、十万人程度の中都市でトイレの水洗化率は約六割でございます。町村部では一七%、二割弱でございます。したがって、中規模の都市の三分の一程度にしかすぎません。また、ほこりを立てずに道路を走られる道路の舗装率でございますけれども、中都市で八割でございますけれども、町村部ではまだ六割でございます。  このように、生活環境整備は、残念ながら、都市に比べて相当立ちおくれている状況にございまして、農業者が誇りを持って、また意欲的に農業に取り組めるような快適な農村づくりを図るということが私どもの大きな課題でございます。  このためには、農林水産省といたしまして、これは農林水産省を超える分野もございますけれども、私ども事業として一兆一千億計上させていただいております公共事業農業農村整備事業、また非公共事業でございます構造改善事業、山村振興事業、これは約五百億計上させていただいておりますけれども、こういった事業を活用いたしまして、農村整備というものを地元の要望に沿って推進しているところでございます。  具体的には、先ほど申し上げましたトイレの水洗化をねらいとした集落排水事業推進、また農村方々も老人や子供さんたちが遊び、また憩いと触れ合いの場としての農村の公園の整備、さらに集落で住民が円滑に交流できるための農村の集落道路の整備、また農村の豊かな自然あるいは美しい農村景観を整備し保全する水辺環境整備、あるいは環境保全施設の整備、さらに、農村に特に高齢者が多く住んでおられるわけでございますけれども高齢者の農業者方々の健康管理や介護に必要な健康管理施設、あるいは都市より農村の方がむしろ緊急性、重要性の高い情報処理施設の整備等に努力をしておるわけでございます。
  40. 今田保典

    今田委員 施設とかそういったものについてはある一定の充実というものが最近見えてきたわけでありますけれども、実際、若い人から言わせれば、農業に携わることによって休みはない、遊べない、それから遊ぶにも施設がない、こういうことで非常に暗いイメージを持っていらっしゃるのですね。  私も、二十数年前ですけれども農家にもきちっとした休日があってしかるべきではないかと。ですから、月に二日間、第二と第四の日曜日は農家方々は休みをとるべきだというようなことで、休日指定日というようなことで運動して、やった経緯があるのです。あるいは、農業を営む場所に、休憩所といいますか、我々で言う控え室といいますか、そういったものをつくって、そしてある一定の時間を決めて、一般のサラリーマンのように朝の八時なら八時、九時なら九時に農業を営んでもらう、そして夕方については五時か六時に終わって、一般のサラリーマンと同じような時間帯で働けるような生活環境というものをつくるべきだというようなことを私はやった経緯があるのです。その後、ちょっと私も遠いところに行っておった関係で、いつの間にかその制度が壊れてしまいましたけれども。そういったものを若い人は考えていらっしゃるのですけれども、なかなか実現できない、あるいは長期的にやれないというのが農業地域なんですね。  そういったことも含めて、やはり考えてやるべきではないかな。それは部落で、あるいはその地域考えるべきだと言うかもしれませんけれども、なかなかそういったことは一地域でできないという面もあるわけでありまして、その辺のところも含めて今後対応策を御検討いただければ大変ありがたい、このように思うわけでございます。  そこで、農地の造成あるいは農道の整備、かんがい排水施設の完備あるいは圃場の整備農業基盤の整備を行うに当たっては大変な経費がかかるということは言うまでもございません。しかし、農業基盤の整備なくしては農業活性化はあり得ないわけであります。そこで、政府は今後の農業基盤の整備についてどうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  41. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 ただいま御指摘農業基盤整備事業でございますけれども、これは第四次の土地改良長期計画に沿って計画的な事業実施を行っているところでございます。特にウルグアイ・ラウンド対策予算も十分活用いたしまして、これはこの農業農村整備事業の特に中核的な圃場整備等の事業の加速を図るものでございますけれども、これらも含めて農業基盤整備の着実な推進を図り、農業生産の効率化、農業の体質強化、また先ほど来御指摘のございます農村生活環境整備を図ってまいりたいと考えているわけでございます。  特に、この事業推進に当たって重点を置いておりますのは、担い手の育成というのが大変重要でございますので、この担い手の育成にも役立つような形で圃場整備事業あるいは中山間の施設整備事業等に重点的な予算配分を行っているところでございます。  また、これとあわせまして、担い手農地の利用集積が円滑に進むような担い手の育成対策事業、また中山間地域活性化、こういったものを生活基盤の整備等も含めて推進するということに努力をいたしますとともに、この事業推進に当たっての留意事項として、費用対効果分析の充実、最小の費用で最大限の事業効果を上げるように配慮するということ、またできるだけコストを縮減するような配慮をする、またこれによって農家の御負担もできるだけ軽減するというような配慮を行いながら、事業の効率的推進に努めますとともに、農村環境保全をできるだけ大事にし、配慮しながら事業を進めることにいたしております。  なお、先ほど、こういった事業とともに、農家がサラリーマンの方と同じような勤務条件、休日もある、また休憩所もあるというようなことを期待しているという御指摘がございました。私どもも、こういった施設整備とともに、一般の勤労者の方々と同じような条件で働けるように、家族農業が基本ではございますが、家族の間で家族協定を結んでいただくとか、あるいは最近では農業法人化が進んでおりますけれども、この法人化の中で、農業に従事する方、特に女性の方の役割あるいは位置づけをはっきりし、また社会保障制度の充実等も図るというようなことにも努力しているところでございます。
  42. 今田保典

    今田委員 どうもありがとうございました。  二十一世紀に向けて、さまざまなところで地球的規模の食糧危機と言われております。現在、我が国の穀物自給率は約三〇%、供給熱量自給率については四〇%で、先進国の中でも一番低いと言われております。農業生産体制を強化食糧の自給率を高めることは、国民の生命を守る、あるいは安全を守る、こういうことになります。安定した生活を維持していくということは、食糧安全保障の面からも極めて重要なことだろうと思います。  このことについて、政府はどのように今後対処していこうとお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。
  43. 島村宜伸

    島村国務大臣 食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資であり、国民に対して安全な食糧を安定的に供給するというのは国の基本的な役割とまず認識いたしております。  ただいま御指摘のとおり、我が国の自給率はカロリー換算で今四二%、穀物自給率二九%です。昭和四十年当時と比較いたしますと、カロリー換算、当時は七三%ございました。穀物自給率は六二%あったわけです。年々いわば自給率が減少の一途をたどっているというのはまことに憂慮すべき事態でございますが、その背景となるところは、何といっても米の消費が減退していること、それから輸入飼料に頼らざるを得ない畜産物の需要が増加していること、あるいはまた輸入原料に頼らざるを得ない油脂の需要がふえてきていること等によるものでございます。  しかしながら、最近の世界の情勢をいろいろ見ますと、世界の人口は着実に伸びておりまして、昭和二十五年当時、二十五億の人口だったものが、もう現在では、五十年足らずの間に五十七億から八億、こう言われておるわけでありますし、今後もこれは増加の一途をたどりますし、また飢餓人口も八億四千万を数えるという大変厳しい状況にあります。  我が国はまさに極東に位置する島国でございますし、最近の温暖化やエルニーニョ現象等に見られるような自然現象の変化や、あるいはインドネシアに象徴されるようなアジア地域食糧の大変厳しい窮状等を考えますと、将来的に食の安全というものを確保するのは、非常に言うべくして容易なことではございません。  現状においては、少なくも日本人は最も栄養バランスのいい食事をとり、しかも恵まれた食生活を営んでおりますが、今後ともこれらについて我々がその責任を全うしていくということになれば、当然のことに、まず国内の生産をどのような形にし確保するか、そしてこれに輸入と備蓄を組み合わせてどういう形で食の安全を確保していくか、いろいろな角度から検討を要することとなるわけであります。我々は、それらを含めまして、まさに我々の知恵を集めて、将来に向かって資していかなければいけない、こう考えているところでございます。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  44. 今田保典

    今田委員 そういうことで、二十一世紀に向けて、やはり世界的な立場に立って我々は考えていかなければならぬだろうというふうに思うわけであります。  ただ、残念ながら、日本人の主食である米は今、米余り状態でございます。今の若い人の食べていらっしゃる食べ物については、比較的、米というものが非常に少ないのですよ、パンとかいろいろなものを食べているようですけれども。私は、それは今の若者の食べ方だなというふうに一概に言えないのではないかというふうに思うのです。ということは、もっとやはり米のおいしさというものを、国で何らかの形でPRすべきではないのかなというふうに思います。  実は私は、国会議員となったのは一昨年の十月からですけれども、私も少なからず小さな農業をやっていた一人でございますので、当然、米については、おいしい米を食べようというようなことで食べてまいりました。しかし、こちら東京に来まして、正直言って、至るところの食堂に行っても、御飯のまずさというものは今痛感しております。したがいまして、宿舎で、宿舎の食堂の皆さんには大変申しわけないのですが、そんなこともありまして、自分で自炊をしながら御飯を食べているのですが、やはりもっと若い人に食べてもらえるような食べ方あるいは米の炊き方、そういったものがあると思うのですよね。そういったものをやはり責任を持って農水省等で何らかの形で国民に訴えるべきではないのかな。  さらに、御飯に対しての、笑い話になるだろうと思いますけれども、おかずのあり方とか、そういったものを十分研究されているのだろうと思いますけれども、今の若い人に十分伝わっていない、そのことによって米の消費というものが伸び悩んでいるというふうに、私は一部分は理解をするなというふうに思うのです。そういったものを含めまして、ひとつ御一考をいただければいいのではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、最後の質置ということになりますけれども、貿易の自由化に伴い、我が国農業者は現在極めて厳しい立場に立たされていると言わざるを得ません。こんなことならばいっそのこと農業をやめてしまおうと考えても不思議ではない状況であります。しかし、我々は、農業という産業の重要性をもう一度考え農業が廃ることのないように、国家の存立を危うくするようなことのないように十分な対策を立てるときだというふうに思っております。  したがいまして、農業農村の再生を図り、場当たり的な農業政策ではなく中長期的展望に立った政策を策定し、官民が一体となった行動を直ちに起こさなければ、我が国農業の未来はないと断言できるわけであります。そういった意味で、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  45. 島村宜伸

    島村国務大臣 私は東京生まれと育ちでございますが、子供のころ、集団疎開で今田委員と同じ山形県にお世話になった人間です。そういう意味で、あなたとある意味では共通の思いがありますし、また同時に、今御指摘がありましたように、これからは米というものをどういうふうにおいしく食べていくか、米はやはり日本人の主食であるということ、そして栄養のバランス上も非常に健康にいいということをよく宣伝すべきではないか、その辺の研究をさらに進めるべきだということ、まずこのことも同じ考えに立っております。  さて、農政の推進につきましては、現行の農業本法に基づきまして各般の施策を展開してきたところでございます。しかし、現実の問題として、都会と農村を比べて、果たして魅力ある農村が現実のものとなっているかどうかと言われれば、これは大変にじくじたるものがあることもまた事実でございます。何といっても、我々、少なくも農政に取り組む人間というのは、あるいは政治に取り組む人間というのは、全国どの地域にあってもどの職業にあってもお互いに自分たちの生活の喜びが享受できるという公平感を貫かなければいけない、まず基本的にそう考えます。そういう意味で、 将来に夢と希望の持てる農業、また農業者である、あるいは漁業者、林業者であることにちゃんと誇りの持てる、まずそういう基本的な環境整備することが必要なのだろうと思います。  さて、現実の問題としては、当然、社会情勢の変化とかあるいは国際化への対応が迫られるわけでございまして、今それらに向かって、少なくも二十一世紀の農山漁村の展望を切り開くために、食料・農業農村基本問題調査会において昨年の四月以降、鋭意御検討いただいておりまして、昨年十二月には中間取りまとめが行われたところです。本年の八月をめどに今我々は最終答申をお待ちしておりますが、その結果が出るまで我々もただ現状に甘んじるのではなくて、実際に農政に取り組む者の立場からすれば、将来に向かって我々がいかにあるべきかということを内部からも提言していけるような努力が必要だということで、私は今いろいろな分野を督励をしているところでございます。  そういう意味では、農業の経験があり、農村の選挙区をお持ちの今田委員からも、いろいろな意味でこれから御意見等を承りたいと思います。我々も一生懸命努力をして、特に恵まれない地域方々の期待にこたえていきたい、そう考えるところであります。     〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 今田保典

    今田委員 私の質問はこれで終わりますけれども、最後に、常日ごろ思っていることを一点申し上げて終わりたいと思います。  先ほどから、専業農家が非常に少なくなっておる、こういうことでございます。何とかこれを回復しなきゃならぬというようなことでいろいろ支援策を今御検討いただいておるわけでありますが、現実として兼業農家はふえているわけでありまして、兼業農家のあり方等について農水省としてもいろいろ検討する必要があるのではないかというふうに思うのですね。  特に、生産調整の部分については専業農家から兼業農家に対して非常にいろいろ言われております。これではだめなわけでありまして、専業も兼業もお互いにきちっと手を結んで日本の食糧というものを守っていくんだという観点から、兼業農家の対策というものを今後いろいろなところで御検討いただければありがたい。  このことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  47. 北村直人

    北村委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十一分開議
  48. 北村直人

    北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。仙谷由人君。
  49. 仙谷由人

    仙谷委員 主として略称災害暫定法に関して質問をいたしたいと存じます。  この法律、民友連は基本的に賛成の立場で質問をさせていただくわけですが、結論から申し上げますと、そろそろこの種の細かいものについては、農林省の補助金をつけるというやり方をお変えになった方がいいのではないかという立場で質問をいたします。  国庫補助都道府県に、あるいは市町村に出すという法律でございますが、そもそも災害復旧事業として出す補助金、この一件当たりの工事金額というふうなもので見れば、統計的にはどういうふうになっているのか、その点をまずお伺いいたしたいと存じます。  一千万未満工事、一千万以上一億円未満あるいは一億円以上というふうにとってみれば、平成八年までおわかりになっている範囲でその別をお答えになっていただきたいと思います。
  50. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 手元にございます、最も新しい平成八年のデータまで、平成四年から八年までの五年間で申し上げさせていただきますと、農地農業用施設の災害復旧実績を、先生御指摘ございました金額別に見ますと、一億円以上の災害復旧、これが五カ所で十五億円、それから一億円未満で一千万以上が一千カ所で二百三十三億円、それから一千万未満、これが箇所数としては最も多くて三万カ所で四百八十五億円となっております。
  51. 仙谷由人

    仙谷委員 今のは平成四年から八年までの平均の件数と金額をお答えをいただいたのだろうと思うのですが、それでよろしゅうございますね。
  52. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  53. 仙谷由人

    仙谷委員 合計の数で拝見をしましても、平均の数でその計上されたものを拝見しましても、一千万未満が件数の比率でいきますと九六・七%ある、こういうことでございます。  現に、この法律も一カ所三十万円を四十万円の限度額に繰り上げる、あるいはその範囲を百メートルから百五十メートルの半径に広げる、こんなことでございますので、問題は、この種のものを一々農林省が査定をする必要があるのか、こういうことになってくるのではないかと思います。  そこで、この種の査定とか調査とか、あるいは箇所づけとは言わないようでありますが、予算づけとか、どういう流れでどこでおやりになっておるのか、このことを次にお伺いしたいと思います。
  54. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 まず、前段で御指摘ございました三十万、これを今回四十万に引き上げさせていただくわけでございます。これ自体、金額としては決して多くないという御指摘でございますが、確かにそういう御指摘もあるかと思いますけれども、これは一カ所、今回は百メートルを百五十メートルにいたしますので、百五十メートルの円の範囲内に四十万円以上の災害がある場合ということでございます。通常、災害、これは豪雨とか台風による災害でございますけれども、これは一般的には集中的に発生いたしまして、ほとんどの市町村で実際には一カ所の四十万ということはございませんで、復旧事業費が数百万円以上になります。  具体的に事例で申し上げます。平成九年の災害で申し上げますと、市町村当たりで五百万円以上の災害をこうむっている市町村が約八割、それから百万円以上が九七%、これは平成九年災でございますけれども、このように、ほとんどの市町村では復旧事業費が数百万円に上ります。  それは、結果として、一カ所だけが災害で四十万ということではなくて、多分五カ所とか十カ所あるいはそれ以上が災害を受けているというのが通例であることによるわけでございまして、この災害は、発生や被害の大きさをあらかじめ予測することができません。方、特に被害を受ける市町村というのは中山間地域で、どちらかというと財政力が弱い市町村が多いのが現実でございます。  かつ、民生安定のためには、早期復旧が大変重要でございますので、一時期に多額の復旧事業費を必要としてまいりますので、被災地の地方公共団体、これは市町村が大部分でございますけれども、国の助成が不可欠であると考えております。  また、これの災害復旧の手続でございますけれども、まず、災害が発生いたしますと、地元市町村から県を通して農林水産省に災害の報告が上がってまいります。市町村等は、報告されるとともに、直ちに、これと並行して応急工事をされる場合もございますけれども、復旧計画を樹立されます。この計画については、農林水産省が、現地の査定官が参りまして、現地で査定をいたしまして、事業費の決定通知、補助金の交付、この補助金の交付を待って事業着手、竣工認定という手続になるわけでございます。災害の復旧というのは急を要する場合もございますので、これは農林水産省と都道府県とが協議いたしまして、事業費の決定前に事業の着工ということもしばしばございます。
  55. 仙谷由人

    仙谷委員 査定の話が今出ました。これは、現地調査と、現地調査に行かないであるいは机上でやってしまうのと、今どのぐらいの割合ですか。
  56. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 災害は現地で査定するのが原則でございまして、災害申請がありましたら、そのすべてについて国の査定官を派遣いたします。それで、災害の査定を実施しているところでございます。  ただ、その中で、小規模な被害箇所、これは申請額が二百万円未満の箇所につきましては、被害現場まで必ずしも参りませんで、被害現場に近い県の事務所等で、状況の写真あるいは図面等によるいわゆる机上査定というのを実施する場合がございます。
  57. 仙谷由人

    仙谷委員 割合はわかりませんか。つまり、先般ちょっと打ち合わせのときにお伺いをしておりましたら、大体、地方農政局二人の職員が査定をやっている、こういうふうに聞いたわけですね。その程度の人数で査定をやる、現地調査をやるということになれば、これは、先ほど局長がお答えになった、平均して、多い年では箇所数で七万とかそういうレベルもございますし、平成八年でも箇所数で一万二千ということになっているわけですから、そうそう現地に行けるはずはないのではないか。  私が申し上げたいのは、机上査定というふうなことをするのであれば、大臣、予備費なら予備費で、予算というのは当然組まれておるわけですから、県なら県を信用して、補助金ではなくてほかの項目で予算づけができるような仕組みにした方がもういいのではないか。こんな細かい仕事を、地元にとっては重要かもわかりませんが、財源的に重要だとか、復旧させることが重要だということがあっても、一々農林省本庁にお伺いを立てて、査定をしてもらって、予算づけをしてもらう、そんな金額でもなければ仕事でもないのではないか。昔、わざわざ予算をもらうためにどこかを爆破したり、半分壊れかかっているのを全部壊したりみたいな冗談もいっぱいありますよね。現に刑事事件になったのもあります、そういうのは。  これは、例の陳情問題とも関連して、やはり余りにも細かいことを補助金をつけるという作業をするというのはいかがなものだろうか。先ほど局長もおっしゃいましたように、災害復旧は計画的に行う公共事業と違っていつ起こるかわからないとか、災害が発生するところは小さい財政規模の自治体が多いとか、そういうことをおっしゃるわけですが、それは、そういう前提でも、予算の組み方によっては別に補助金じゃなくても組める。  もっと言えば、これは、補助金という名目でありますけれども、どうも、補助については九〇%の補助でございますか、そうすると、もうほとんど国費と、あるいは国の持ち出しによって地方事業をしている、こういう格好になっている事業でございますよね。それを農林省が査定をしなければならないか、予算づけをしなければならないかというのは、別途の問題ではないだろうかなと思うのです。その辺、農林大臣、いかがでございますか。
  58. 島村宜伸

    島村国務大臣 今回の改正に当たりまして、一件三十万円から四十万円と、この改正の段階で、正直申して、私も、これ、もっと思い切って大きなものにできないのか、こんな話を実はしたところであります。  ところが、今お話がありましたように、災害は一カ所に集中して起きる、あるいは予期したとおり起きてくれるわけじゃありませんで、全国三千のいわば地方自治体それぞれの立場であらかじめ予備費を、これは預かってもらうということもまたちょっと無理があるのではないかと思います。  そういう意味で、なるほど、災害一件当たりは仮に四十万円以上のものであっても、点在してそれがその地域一つに起きるとなると、今局長から御説明申し上げたように、一市町村百万円以上が九七%、あるいは五百万円以上は八一%と、こういう数字が挙げられているとなりますと、やはりどんな地域でどんな問題が起きても、早期復旧を現実のものにするとなると、一応農林水産省にある程度の用意をいたしておいて、即時適切にこれに対応することの方が現実的なのだそうであります。  これを仮に一千万だとか三千万だとかどでかいものにして、あとは全部地方任せということになると結局大蔵省自身のいわば採択になりますから、やはり、細やかな配慮をめぐらし、かつ、それぞれの現場の要望するとおり早期復旧を実現するとなりますと、これは農林水産省が従前の実績に立ってこれをさせていただく方が地方としても望ましい、そういう声を踏まえての改正でありまして、なるほど、今委員が御指摘になったように、ある程度の金額以下のものは全部地方に任せたらどうかといいましても、しからば、一たん有事の際に、どこからどういう規模でどの範囲でどれだけのものが起きるかというのは、これはまさに予測できませんので、これは農林水産省として総括的にこれに対応する方が私はお役に立てる、こういうふうに理解するところであります。
  59. 仙谷由人

    仙谷委員 問題は、きめ細やかに査定をする必要があるのかないのかという話なのですね。これは、行政改革の議論とも関連をして、中央の省庁の仕事の範囲をどうするのかということと大変深くかかわってまいります。細かく中央から、先ほどからおっしゃっておるように、市町村の中山間地の末端まで目を光らせる、細心の注意を払う、いかにも温かいようでありますけれども、そのことが、財政的な問題として、そんなことをいつまでもやっていられるのかという問題もあると思いますよ。  それから一方では、そんなにおんぶにだっこにおんば日傘みたいな話は農業経営者にとってもいいのかどうなのかという問題も僕はあると思うのですね。融資制度とかいろいろな制度が、あるいは利子補給とか、もう少し自立的な傾向に行われるような制度考えられてもいいのではないか。  あるいは、これは県が主体の災害復旧工事とか、市町村が主体の災害復旧工事に対する補助金なわけですから、そうですよね、それは、財政措置として補助金で行うかほかの方法で行うかというのはいろいろ考え方があると思うのですね。あるいは、県が行う、市町村が行うのであれば、そこをもう信用して、財源的にはあらかじめ、例年、阪神・淡路大震災の平成七年以外は一千万も用意しておけば大体足りるようでございますから、そういう予算を用意しておいて、県なら県、市町村なら市町村から請求があれば、よほど不合理じゃない限り渡してしまう、予算づけをしてしまうということの方がいいのではないか。そして、でたらめは決算の方で、あるいは会計検査の方で要するにそこをチェックをしていくというふうなやり方の方が合理的でむしろ行革の趣旨にも沿うのではないか、こう思って質問をしておるわけでございます。いかがでございますか。
  60. 島村宜伸

    島村国務大臣 私もある意味で同じことを考えて疑問を持ったんだろうと思います。また、将来に向かってこれが絶対的なものだとは私は考えません。当然にこれは検討課題になるものですし、地方分権がだんだん具体化する過程で今委員が御指摘のような形になっていくのかな、こんなふうにも考えないではございません。  ただ、一方で、今、地震のお話がございましたけれども平成七年の一月に阪神・淡路がありました。しかし、あれからさかのぼって二年間に六回大きな地震があって、すなわち、釧路沖が平成五年、奥尻島が同じく平成五年、そして六年には東方沖と三陸はるか沖の一回目があって、平成七年に入って三陸はるか沖の二回目といわば阪神・淡路が連続して起きた。また同時に、伊豆半島沖とかあるいは薩摩半島周辺とか、群発地震もかなり起きて、いろいろな被害が及びました。こういうことごとを全国的な規模でとらえて、公平、公正に、かつ緊急にこれらに対応するとなりますと、ある意味で、国の総合的な視野といいましょうか、大局的な判断というのも大切なのかな、こんなふうにも思うところでございます。  ただ、これにいつまでも何か既得権益のように、中央集権的な発想でこの権益をどうこうしようということが、私は必ずしも正しいことだとは思いません。しかしながら、今時点では、少なくも段階を踏んでこういうものを時代の要請に置きかえていくというのがあるべき姿ではないか、そう考えます。
  61. 仙谷由人

    仙谷委員 補助金について、私と大臣の考え方がそれほどそごを来しておるように思いませんので、重ねて御質問をするわけでございますが、財政構造改革法に、補助金を縮減、削減すべきで、特に災害復旧に関してもそうだと書いてありますね。そもそも、災害復旧にかかる費用を国なり自治体が、特に個人の私有財産について、あるいは個人でも農業生産法人でもいいのですが、その保有に係る農業の施設の復旧について全額公的な負担で行うのだ、あるいは九〇%国の補助金で行うのだという理屈ということが一方にありますね。そういう補助金はできるだけ減らしていってくださいよというのが財政構造改革法の話でございますね。  今回は、こういう措置をすることによってわずかながら減らすのだ、こう何か恭順の意を表したような話でありますけれども、そもそも、私的な生産財である農地とか農業生産施設の復旧に公的なお金をつぎ込む、どこに合理性があるとお考えですか。そして、財政構造改革法の趣旨との関係では、大臣はどうお考えですか。
  62. 島村宜伸

    島村国務大臣 災害内容等についての細部につきましては、今局長から御説明いたさせますが、私は、先ほど一つの例にとらせていただきましたのは、実はこういうわけなんです。  平成六年の十二月二十八日に一回目、明けて一月七日に二回目と、三陸はるか沖が二度ありました。私が青森県の陳情団の対応をしている最中に阪神・淡路の事件が起きました。そういたしましたら、もう三陸はるか沖はこれで見捨てられますねと、そのとき青森県の代表の人がちょっと漏らされました。  何か私は、最近の日本人のこういうものに対する対応というのは、一点集中に傾いて、すべてに対する視野を失いがちだと思うのです。事件への対応もさることながら、何かいろいろな問題が、一つのことが起きますと、ほかのことはみんな忘れられてしまう。あのときの青森県の代表の方の気持ち、非常に私はそうだろうなと同情したものでございますが、こういうことを全国規模で、たとえ大きな悲惨な事件がその後に起きたといっても、前にもその事件の被害を受けている人たちがいるわけですから、そういうものをやはり全国総合的に判断し、公平、公正に事を進め、かつ、いわば国がしっかりそれに対しての援助をするという安心感も含めて、それぞれの地域に我々が用意をしておくということは、それはそれなりに意味があることじゃないか、こんなふうに考えます。
  63. 仙谷由人

    仙谷委員 農林大臣にこんなことを申し上げてもせんないことかもわかりませんが、阪神・淡路大震災では、普通のサラリーマンの自宅が崩壊しても、国はそれに対する直接の復旧に対しては助成はほとんどしていない。あるいは、私的な企業が工場を崩壊させても、直接それに対する補助をするわけではない。これが原則というか普通ですよね。  個人の自宅についても、これは労働力の再生産という観点からは、非常に必要不可欠な施設であることは間違いないわけですから、そういう観点で見ることはできるわけですから、何ゆえに農地農業施設がこういう厚い公的な負担のもとに行われるのか、どういう公益性があるのか、あるいはそうしなければ成り立たないのか、ここは大問題だと思うのですよ。これは、はっきりしたコンセプトといいますか、趣旨を徹底しなければもたない。ただし、その趣旨を徹底すればするほど、財政構造改革法三十五条の規定の中の災害復旧というのは、これを縮減せよという議論というのは間違いである、こういう議論にならざるを得ないと私は思うのですよ。いかがですか。
  64. 島村宜伸

    島村国務大臣 実は、ついせんだっても、山梨県に測候所始まって以来の豪雪がありまして、それで私も現地へ行ってみて驚きましたけれども、我々のももみたいな太い鉄柱がみんなひん曲がって、雪のためにつぶれておりました。山梨県にすれば、これが再度にわたって雪が降るということは想像もつかなかったそうで、重い雪に結局つぶされてしまったということです。問題は、それが災害復旧対象になるのかならないのか、いろいろ検討したところですが、やはり個人の持ち物についての補償といいましょうか、てこ入れということになると、いろいろな制約があることはまた事実であります。  そういう意味では、一般の民間住宅がつぶれたことに対する補償がほとんどなかったという意味に、ある意味では通じるものがあるかもしれませんが、それはそれといたしまして、例えば農道とか林道とかあるいは集出荷施設とか、公のものその他について、緊急にそれを復旧しなければならないような事態を招来したような場合には、やはりこれは国の補助あるいは国の後ろからのてこ入れというのは当然必要なのだろうと思います。  細かい具体的な災害復旧の事例につきましては私は詳しく存じませんが、公に大所高所で考えて、これはやはり今の段階では必要なんだな、こう判断をしたので、今回のお願いに賛成をしたところであります。
  65. 仙谷由人

    仙谷委員 補助の問題というのは、一つは他の分野との整合性、先ほどから申し上げておりますように、個人の崩落した農地を復旧することが公的な補助金で行われるということと、阪神・淡路大震災のような場合の個人の住宅の復旧に何らかの補助が出る出ないという問題と、バランスの問題が大変あると思いますね。ここは改めて、災害復旧に関する補助でいくのか別の制度でいくのか別にしまして、本当の意味でのセーフティーネットをどう担保するか、どう張るかという議論を行わなければならないのじゃないかと思うのです。  この補助金というのは、やはり中央集権的に、大臣おりしゃったように、精密にやればやろうとするほど、中央集権的なやり方でなければできないという感じに襲われるのですね、任せ切れないと。これは、そもそも災害復旧事業が自治体の事業である限り、補助金という制度は別の制度に振りかえた方がよかろう。財源的な措置というのは、幾らでも方法は考えられると私は思いますので、その点を申し上げて、この点についての質問は終わりたいと思います。  先般、長崎県へちょっと行きました。例の諌早湾干拓の問題でございます。  諌早湾干拓事業について、県が、国とどういう関係にあるのかわかりませんが、この国営諌早湾干拓事業でつくられる予定の農地、これは昨年の国会でも十アール当たり百十万円で農家に払い下げをするといいましょうか、売却をするということを当時の農林大臣もお答えになっておるわけでございますが、現地では、この三月、県議会に七十万円で払い下げをするような条例を出すのだ、こういう報道がなされておるのですね。これは本当なのかどうなのか。どういうやり方でこんな手品ができるのか。御答弁いただきます。
  66. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 先生御指摘の条例案につきましては、長崎県が、平成十年度の干拓の潮受け堤防の完成を間近に控えまして、県と農家の負担割合を改定すべくこの案を提出されたようでございまして、今回の条例改正に対する県の御当局の考え方は、干拓堤防が有する河川堤防と同等の公共性、あるいは類似の土地改良事業における県負担とのバランスを勘案して県の負担割合を改定するものだと聞いております。  先生御指摘のとおり、農林水産省といたしましては、昨年大臣もお答え申し上げましたように、十アール当たり百十万円という農地価格は近傍類似の価格であり、この水準は適正な水準であると考えているところでございます。一般論として言いますと、今回の条例改正、これは長崎県の御判断で議会に提案されるものでございます。結果として農家負担の軽減につながるものとなるわけでございますが、このことは私ども農業経営の安定、農業振興についてこれを推進する立場から申し上げれば好ましいものであると考えております。
  67. 仙谷由人

    仙谷委員 この種の話は、去年の段階で諌早湾干拓事業は総額二千三百八十億円かかるのだ、一千五百億円程度のものから二千三百八十億円になったのだ、こういう話がございましたね。うち、干拓事業にかかる農家負担は百六十九億円である。大体全体の七・一%が農家の負担になるのだというお話でございました。もともとの計画では、農家負担は一八%ぐらいだというふうな話で始まっているのですね。現時点では七・一%になっているのですよね、総額の。この百六十九億円を一千四百九十二平米というでき上がるであろう農地で割ったのが百十万円なんですよね。そうだったですよね。それで、百十万円が近傍価格、近傍類似価格とほぼ見合う。あるいは藤本農水大臣は、大体近所が百五十万ぐらいだから百十万だったら買い手があるだろうみたいな答弁をなさっているのですよ。  いいですか。問題はここからですよ。これは国営事業ですよね。何で県がこんなことを、国営事業の売却価格を条例で決めることができるのですか。それが一つ。  今局長は、これは農家の負担が減るのだから望ましいとおっしゃった。減った分だれが負担するのですか。つまり、どこかで負担しないと、二千三百八十億円かかるわけですから、多分三千億円になるのかもわかりません。農家の負担が減ればどこかが負担しなければならないということに計算上なりますよね。だれが負担するのですか、こんなもの。
  68. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 今回の県の条例案は、後進地域の特例法という法律がございまして、これに基づいて長崎県に、事業年度の翌年度にこの事業実績を勘案して一定の比率の補助が交付されることになっております。この後進地域の特例法と土地改良法に基づく国の負担割合として認められた範囲内で私ども補助金を交付いたしますし、またその範囲で県の条例上の措置は講ぜられると考えておりまして、これは特別に問題はないと考えております。
  69. 仙谷由人

    仙谷委員 いや、問題があるかないかじゃないのですよ。あなたは問題がなくたって、そんなことは関係ないのですよ。国民に問題があるかないかなんですよ。全国民の負担のもとに、長崎県が条例を変えたら全国民の負担がふえるなんて、そんなばかなことがどこにあるのですか。これは国営事業じゃないですか。  それで、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律というのがありますよね。この法律が適用されて、農家負担を含めておおむね三五%負担とか三〇%負担という前提でこの諌早湾の干拓事業が始まっているのですよね。そうですよね。三五%のうちの一八%は農家とかそういう言い方だったでしょう、今まで。間違いないと思う、うなずいているし。ところが、いつの間にかずるずると農家の負担を少なくするという方向に、これは農家にとっていいことだ、それは農家のためにはいいですよ、もしここに入植する人があればですよ。しかし、その分はどこかでだれかが負担がふえるわけですよ。  この負担割合の特例に関する法律なんというのは、だれがどこでこの諌早湾干拓事業農家負担を軽減するためにというか、することの反面として国の負担がふえる、あるいは国民の負担がふえる、県民の負担がふえるということについて、どういうチェックを受けてこの法律の発動というか、適用するのはどういうやり方で決まっていくのですか。こんなものを農林省が勝手に、ああ、県条例で申請したから今回はこれ予算をつけておきましょうなんて、そんなばかな話はないですよ。どうですか。
  70. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 先生御案内のとおり、後進地域の特例法、これによりますと、長崎県の国費のかさ上げ、すなわち国の事業についてこのかさ上げ率、かさ上げができますけれども、これが一・一八、一八%のかさ上げができることになっております。これが後進地域の特例法でございます。  この特例法を適用することによって、結果として農家の負担を減らすという姿になってまいるわけでございます。したがって、この根拠は後進地域の特例法にございます。  この特例法に基づく必要な予算というのは、毎年度、その前年度の事業の実績に基づいてこのかさ上げ金額を計上させていただいておるところでございます。
  71. 仙谷由人

    仙谷委員 全然答えになっていない。  もうちょっと聞きますけれども、これは結局どのぐらい国の負担がふえるのですか。七十万円にすることによって、県の負担がふえるのですか、国の負担がふえるのですか、どのぐらいふえるのですか。じゃ、まずその点を聞きましょう。
  72. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 法律に基づきまして国費のかさ上げを行うことによりまして、国の負担率は七八・七%、これまで六六・七%でございましたけれども、七八・七という形になります。(仙谷委員「金額、金額」と呼ぶ)  金額につきましては、今の条例に基づきます売り渡し価格の変動というのは、これは、地区内整備事業平成十年度から実施いたします。これに県の後進地域特例法によるかさ上げを適用した結果決まってまいりますので、平成十年度の実績に基づいて国のかさ上げの金額は決まってまいります。
  73. 仙谷由人

    仙谷委員 だけれども、売り渡し価格は七十万と決めたわけでしょう。百十万円のときには、国の負担が例えばどのぐらいですか、一千八百億ぐらい、県の負担が五百億、金利を除いてですよ、金利を。大体そんな計画で来ていたわけでしょう。今度十アール当たり七十万にしたら、少なくとも十アール当たり四十万円は差額が出てくるのですよ。それは、県が県税とか住民税とかあるいは法人事業税とかその他で負担するのだったら国会で問題にしませんよ。だけれども、国の財政にそのけつを持ってくる、後始末を持ってくるというのでは、それは国会で問題にせざるを得ないし、大蔵省の財政当局の問題にもなるし、農林省のこの後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律適用が果たして正しいかどうかという問題にもなりますよ。そうでしょう。そうすると、県は全然負担しないのですか、七十万にすることについて。
  74. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 後進地域の特例法というのは、県の財政負担を軽減するために本来の措置はございます。結果として、県は一〇%の負担をこれまでどおり行われることになりました。本当は、後進地域の特例法がございますと県の負担が軽減されるということになるわけでございますけれども、結果として、その軽減分を農家に対する売却価格の引き下げという措置に使われたという結果になろうかと思います。
  75. 仙谷由人

    仙谷委員 では、国の負担が一方的にふえて、国民の負担が一方的にふえて、農家の負担が減る、県の負担は変わらない、こういうお答えですよね、今のお答えは。そういうことでいいんですか。この条例をつくることについて、農林省はあらかじめ指示をしたり指導をしているんですか。それをお伺いします。
  76. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 県独自の判断でこの条例案は策定されたものでございまして、私どもが指示したり指導したりしておるというような事実はございません。  それから、先ほどの、結果として国の負担がふえるということでございますけれども、後進地域の特例法といいますのは、財政基盤の脆弱な県に対して、国として法律に基づいて追加的な財政支援を行うという法律で、これに基づいて予算も毎年計上させていただくものでございますので、これを県でどのように措置されるかというのは、県の条例上または予算上の措置でお決めになることであると思っておりまして、私どもも、これについて特別の県との御相談あるいは御指導を申し上げたというような事実はございません。
  77. 仙谷由人

    仙谷委員 だから、私、幾らつらつら考えてもわからない。国営事業として行う事業の土地の代金が、県が勝手に値下げ幅を決めることができると。いいですか。それで、その値下げをすることによって、その反面の負担増の部分は全部国民に押しつけられるというのがどうしても納得できない。  もともと、この干拓事業は一千五百億円の予定が二千三百八十億円か何かになっているわけですよね。これだって負担増ですよ。さらに加えて、金利計算をすれば、建設国債と財投資金を使っているわけですから、これは大変な金利がついているわけですよね。今後は、でき上がってから支払うまで、二十五年払いになっている部分があるわけですよ。その分だけでも倍以上になる。  こうやって国民の金を使いながら行う事業で、なおかつ農家の負担を当初の計画よりもはるかに減らす、そのことによって国民の負担がふえる。それが、少なくとも今の局長の御答弁だと、長崎県議会の条例制定でできると言わんばかりの話ですよね。これはどこがチェックするんですか、どこが吟味するんですか、お答えください。
  78. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 この後進地域の特例法は、長崎県に対して一定の事業を行われる場合に財政的な支援を特別に行うための法律でございまして、この法律に基づいて、私ども毎年予算を過去の既往の事業費に対して上乗せするものでございます。長崎に対しては一八%の上乗せでございますけれども、これを上乗せして予算案として御審議いただくわけでございます。  この結果として、長崎県に行くであろう国の税金を県が県の財政の中でどのようにお使いになるかということは、先ほどの県の負担の条例案あるいは予算措置で県がお決めになるということで、これは国の予算及び法律には何ら抵触しない、県が独自にお決めになっていい性格のものでございます。  当然、これは法律でそういう枠組みを決めていただいておりますので、この枠組みの範囲で私どもは長崎県に支援を行っているという次第でございます。  したがって、これは県独自の御判断で行われるということで、追加的に特別の措置を講じるということでなくて、既存の枠組みで追加的な財政支援を行い、それを県として独自の判断で予算上措置されたということでございます。
  79. 仙谷由人

    仙谷委員 全然私の質問にお答えになっていないからわからないんだけれども、これは財政当局とやらなければわからないのかもわかりません。つまり、この後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律というのは、諌早湾の公共事業について、去年「費用負担のしくみ」というのを持ってこられました。三五%とか、いろいろお書きになっている。国営事業一般型とか特別型とか都道府県事業とか、いろんなやり方があるんですと持ってこられている。この基本があるわけですよね。それに加えてこの後進地域の特例法がある、こうおっしゃるわけだ。  そうすると、事業が始まってからこの負担割合の特例に関する法律が適用されて、国の負担割合は当然にもう決まっておるんじゃないですか、今までだって。これはどうなっているんですか。
  80. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 御指摘のとおり、国の負担割合は土地改良法及び関係の政令等で決まっております。これで総事業費に対する国の負担割合は決まってまいりますけれども、これに対して後進地域特例法が適用されていまして、国費を一八%かさ上げするという仕組みになっておるわけでございまして、今回、この一八%のかさ上げについて長崎県が種々御検討の上措置されたということであると理解しております。  なお、諌早につきましては、引き続き、先生先ほど来御指摘でございますが、県あるいは地元とも御相談しながら、地元も、防災事業であり、かつ、大変優良な、生産力の高い農地をつくる事業として推進を強く希望しておられまして、先生御指摘のとおり、効率的な実施を今後とも図ってまいりたいと考えております。
  81. 仙谷由人

    仙谷委員 時間がなくなりましたので、この問題、また別途の時間がありましたら質問いたしますが、しかし、地元方々が要望なさっているというのは、それはそれでいいんですよ。それだったら、地元の財源でやってほしいわけですよ。いいですか。それを、条例をつくっただけで一挙に四割も売却代金を減額するようなことができるというのは、私、到底信じられないのですね。それを全国民の負担のもとに行うということも、これはまたゆゆしい問題だと思う。そのことが国会の予算審議の中で、あなた先ほど、書かれているとかなんとかおっしゃったけれども、そんなこと書かれているものどこにもないですよ、予算書の中には。いいですか。  だから、どこでそんなことが認められるのか、改めてまた、財政当局あるいは農林省ともこの点については議論をいたしたいと思います。  終わります。
  82. 北村直人

    北村委員長 次に、木幡弘道君。
  83. 木幡弘道

    ○木幡委員 種子法でありますが、釈迦に説法でまことに申しわけありませんが、法律改正の場合には、その法律の持っている本来の趣旨をより強力にするために法改正をする場合と、事務の簡素化をするために法律改正をする、こういう二つの意味合いがあるのであります。もちろん両方の意味合いもあるでしょうが、今回の種子法の改正というのは、どういう意味合いを持っての改正なのか、まず、そこからお聞きいたしたいと思います。
  84. 島村宜伸

    島村国務大臣 お答え申し上げます。  稲、麦、大豆等の優良な種子生産普及促進するために、主要農作物種子法に基づきまして都道府県が行う種子審査等に要する経費に対して、昭和二十七年以降補助を行ってきたところであります。  しかしながら、この補助金につきまして、都道府県におきますいわば種子審査等の事務が都道府県の事務として定着しておりますことから、昨年の七月、地方分権推進委員会から、一般財源化が勧告されたところであります。  今回の改正は、この勧告を踏まえまして、主要農作物の優良な種子確保するための制度は維持しつつ、種子の審査等に要する都道府県の事務経費に対する補助金を一般財源化することとし、国の補助に関する規定を廃止したというところでございます。
  85. 木幡弘道

    ○木幡委員 今の大臣の答弁をお聞きしますと、事務の簡素化というか、そういうのが主軸にあるようにお聞きをしたわけでありますが、私ども考えておりますのは、もちろん、これから事務の簡素化も大事なことであります。しかしながら、この種子法の本来持っている意味というのは、優良な種子確保して、我が国基幹作物である、特に穀物の自給率向上を図っていくということであろうと思うのであります。  そういうことを考えますと、一つ大豆をとらえますと、大豆につきましては、御承知のとおり、我が国はもうほとんど自給率が限りなくゼロに近い。これほど優秀な種子法があって、じゃ、どうなっているのかという疑問が出てくる。あるいは、大豆の生産農家は、もちろん、栽培している農家の管理や意欲やその他もろもろの要因が重なっているとは思いますが、しかしながら、特産地における、あるいは主産地における収穫量と、その他の地域では、これは倍も収穫が違う、単収が。それが現実でありますね。とすれば、この種子法に基づいて、稲、麦、大豆、こうなっている、その大豆の優良種子確保をして、農家方々に転作を考え、あるいは我が国の粗飼料の自給率を高めるためにも、もろもろの意味で大変重要でありますが、残念ながら、現実はそうなっていない。  そういうことについて、この種子法改正の機会に大臣は、ただ単に事務の簡素化というよりは、本来この法律の持っている意味合いをきちっとさらに強化するという意味合いがあってのことではなかろうか、こう思い、そうならなければならない、こう思っているのでありますが、その点について再度お聞かせをいただきたい。
  86. 島村宜伸

    島村国務大臣 釈迦に説法かもしれませんが、新たな先般の米対策にも打ち出されましたように、我が国は、長年にわたって土地改良を進めまして、百七十七万ヘクタールの湿田を今大体百五万ヘクタールくらい、いわば汎用化の基盤づくりができたところです。  今回は、なるほど今御指摘のように、大豆は二%あるいは小麦は七%といった非常に微々たる生産量で甘んじてきましたけれども、これからの食糧の自給その他を掲げまして、国の求める転作に関しては国も積極的に援助をする、しかし農家方々も、単なる生産調整あるいは減反ということでなくて、思い切った転作に御協力願いたいという線を打ち出したところでございまして、そうなりますと、今回の改正はいろいろな意味合いで生きてくるのではないか、そう期待しているところでございます。
  87. 木幡弘道

    ○木幡委員 平成九年度の実績で、一億を切る八千二百万。八千二百万の予算規模でもって、本来の法律の持っている趣旨を実現するといっても、なかなかこれは、果たしてそうなのかなと思わざるを得ない。それが一つ。  それからもう一つは、地方交付税交付金に切りかえるということになれば、これは非常に邪推と言われるかもしれませんが、一括で来るとするならば、例えば、これをひもつきの状態でやると指導はしましても、果たして、今四十七都道府県の財政が大変厳しい中にあって、本来の農水省考えているような形で、そのとおりに各都道府県がそれに充当していただけるのかという不安もないと言ったらうそになるのでありますが、その辺についてはどうお考えですか。
  88. 高木賢

    高木(賢)政府委員 お尋ね補助金の廃止に伴いまして、地方交付税の措置といたしまして、単位費用として主要農作物種子の経費は上乗せをする、こういう措置になっております。  しかし、その財源が、御指摘のように県にとりましては一般財源ですから、どこか行ってしまうということになると大変ですが、廃止するのは補助に関する規定でございまして、審査をしなければいけないとか、その他の都道府県が行わなければならない事務というのは引き続き、必要な規定は存置をいたしますので、県としてはやっていただかなければならない、こういう状況でございます。  現実に予算措置がどうかということで、私どもも気になりまして調べてみましたが、ほとんどの都府県におきましては、ほぼ前年度に近い姿で予算の確保をしているという状況でございます。
  89. 木幡弘道

    ○木幡委員 地方交付税の一括、一般財源ということになりますと、今の局長の答弁にありましたとおりであろうと思うということしかないのでありまして、もちろん、一億を切る金額でありますから、ほとんど事務経費かあるいは人件費の一部ということでありますから、各都道府県にとっても、これを例えばの話、予算の別の項目に流用したといってもさほど、都道府県民、いわゆる国民にとっては、全然そんなものは気がつかない状態であるやもしれません。  しかし、農業をこよなく愛する大臣以下ここにいらっしゃる皆さん方にとっては、わずか一億を切る金額であっても、この日本の主要穀物の優良種子を残す、あるいは、さらに優良種子をきちっと確保するということからすれば、金額の多寡にかかわらず大変重要な事柄であるというふうに認識せざるを得ない。  とするならば、局長の答弁で、恐らく調べてみればそういう形になるであろうと思うし、大体なっているということではいかにも心もとない感じがするのでありまして、この種子法改正、いわゆる補助金から地方交付税交付金の一般財源化をするということによって、従来の補助金制度のときよりも寸分たりとも後退せずして、さらに前進をするというような見通し、あるいはそういった形のために何をするのか。  具体的に言いますならば、地方交付税交付金を、わずか八千二百万そこそこではあったが、対大蔵との折衝あるいは農水省全体の予算の枠の中で、この時期にかんがみてさらに力を入れてやっていこうというようなことが大臣もしくは局長から話をお聞きすれば、これはいいことだなということになるわけでありますが、大臣、その辺の感触あるいは考え方についてお聞かせをいただきたい。
  90. 島村宜伸

    島村国務大臣 なるほど予算の規模は非常に小そうございます。また、四十七都道府県で仮に均等割したとしても、本当に微々たるもので、どこにあるかという程度のものかもしれません。  しかし、種子の審査について今までのいろいろな実績等を聞きますと、やはりそれなりにかなり効果のある結果につながっておりまして、種子がいろいろな意味できちんと確保されているということの説明を受けるわけでございます。私、細部にわたって現場を知っているわけではございませんが、そういう必要があるからこそ今回思い切った法改正をしよう、それから、これは何も四十七都道府県で均等に割るべき性質のものでもない、そういうふうに私は理解しているところでございます。
  91. 木幡弘道

    ○木幡委員 肝心なところはお答えいただかない、予算増額について意欲を示す文言のかけらもない、見事な答弁であったわけであります。しからば局長、もう一度担当局長として、大変厳しい財政状況ではあるが、今申し上げたとおり、種子法の中に稲、麦、大豆とあるわけでありますから、麦についても大豆についても、先ほど大臣から御答弁があったとおり、私どもも憂慮しているのは、自給率が一向に上がらない。その自給率を上げるということにはいろいろな問題がありますが、単収をふやし農家所得向上につながるということ、少なくとも転作をするときに末端の農家にとっては一番の関心事はそこにあるわけであります。とすれば、余り手間がかからず、育てやすく、そして収量が上がる、そういった形の種子の改良あるいは優良種子確保ということからすれば、極めて大事なことなのであります。  そういうことに関して、再度、今度は担当局長にお聞きしますが、大臣の答弁を超えて答弁できないのはよくわかりますが、そこはそこはかとない、にじませた言葉で、八千二百万程度でもって優良種子確保ができるのかどうかということを言外ににおわせるような発言ができるのかどうか、御答弁いただきたい。
  92. 高木賢

    高木(賢)政府委員 端的にお答えを申し上げます。  八千二百万が予算額でありますから、大体一県平均百七十万円ぐらいということになります。これに対しまして、私どもが自治省と話し合いをいたしまして主要農作物対策費として地方交付税上見てもらっているものが、これは標準団体という自治省さんの概念ですから全国平均ということと必ずしも一致していないのですけれども、一都道府県当たり七百十万円の増額ということになっております。その中で、一般財源化に伴う増額分三百五十万ということですから、その数字の比較で御理解を賜りたいと思います。  それからもう一つ、私どもの予算措置といたしまして、やはり種子生産体制を強化しなければいかぬということで、九年度には約二億円のお金で種子センターとか種子用のコンバインなどの導入とか、さらには品質向上のための推進指導、こういうソフトの事業をやってまいりましたが、十年度予算につきましては、三億九千万ということでほぼ倍額に増額して予算計上をさせていただいたところでございます。
  93. 木幡弘道

    ○木幡委員 つい過日の農水委員会でもお話を申し上げたのでありますが、これから我が国の税収入が右肩上がりに伸びるという確たるものも保証がない。あるいはそれを受けて、財政構造改革法その他、私どもを取り巻く環境の中で、農水省関係の予算が極端に右肩上がりになるということも希望はしてもなかなか難しい状況だ。  しかしながら、問題が山積しておる我が国の農政の進展のために、効率のいい予算配分を考えたときには、やはり私が過日の農水委員会で申し上げたとおり、五〇%を超えるものが公共事業に依存するような形の中で、大臣昼御飯も食べられないほど忙しい中で農水委員会でもって私が質問している。その予算総額が八千二百万で話をして、日本の優良種子確保するなどということは、果たして、大臣もおこがましい話でありましょうし、これを大上段に振りかざして質問する方もなかなかおこがましいということからすれば、やはり農水省全体の予算の中で、今食糧安保とうたわれ、あるいは多面的機能とうたわれているとするならば、その中でもって予算措置を思い切って増額しなければならないというのは、増額をするというような考え方を盛り込んでいかなければいかんともしがたいのではないかということを申し添えておきますので、どうぞ大臣心にとめておいていた だければありがたい、こう思うわけであります。  種子の問題と関連するのでありますが、実は種子の中で種子戦争というものがございます。これは単に、今、種子法と直接関連があるわけではありませんが、いわゆる世界の農業の中でF1ハイブリッドという、例えば、大臣も御承知であろうと思いますが、今私どもの国の子供たちはトウモロコシの場合には在来種のトウモロコシはほとんど食べません。ほとんど全国的にピーターコーンといういわゆるF1ハイブリッドの糖度の高いものになれてしまって、子供たちは在来種のトウモロコシを食べればこんなまずいものはトウモロコシではない、こういうふうに言うようになってしまった。  しかし、残念ながら、このピーターコーンというのはF1ハイブリッドでありまして、自家採種はできないということになるわけであります。とすると、これからの農業考えた場合に、F1ハイブリッドあるいはその他のバイオがこれだけ各国でもって先端技術として開発をされる中で、種子がその国のパテントを取ったものを他の国でもってそれを栽培して、その食味にその国民がなれ親しんだときには、当然栽培する農家はパテント料を払い種子料を払いということになれば、単なる委託農家みたいな形になってしまうということを考えますると、やはりひたひたと、大事な問題は、主要農産物はおろか農産物の中でこれら種子のパテントをどう取るかということは、二十一世紀における農業を取り巻く環境の中で極めて重要な問題だというふうに認識せざるを得ない。  そういうことについて、では我が国はどうであるかといえば、私の考えでは、極めて脆弱という表現が当てはまるのか、あるいは意欲は十分であってもなかなかそれに取り組むような陣立て、もしくは予算措置がされていないというようにお考えなのか、こういう点についてまず基本的な考え方をお聞かせをいただきたい、こう思います。
  94. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 お答えいたします。  まず、先生のお話のように、遺伝資源を保全してこれを作物育種に活用するということが、世界的にかなり競争的なものとして認識されていることは事実でございます。それで、各国とも積極的に対応しております。  現在、国連食糧農業機関、すなわちFAOが取りまとめた統計によりますと、植物の遺伝資源、種子等でございますが、アメリカが五十五万点、ロシアが三十三万点、これが上位の二国でございますが、現在、私どもも、農林水産ジーンバンク事業という形で我が国の試験研究機関のネットワークをつくりまして、二十一万点の種子を収集しているわけでございます。また、そういう種子を活用しながら品種開発に取り組み、種苗登録あるいは特許という形の財産権を確保していく所存でございます。
  95. 木幡弘道

    ○木幡委員 今の問題は、技術会議の方からお答えをいただいたのは、それは単なる種の保存でありまして、特に植物の種の保存の数でありまして、今先走って御答弁いただきましたが、それも今の数字のとおり、先進国といっては何とも心もとないぐらいの数しか種の保存ができていない。  種の保存が少なくて、新たな研究開発が前に進むには支障がないのですか。私ども素人から考えても、当然、現存する種をなるべく多く保存した中でさらなる技術改良や新品種の改良というものがなし得るのであろう、こう思うのでありますが、種の保存をこれから、あるいは米国並みに、先進国並みにと言ったらいいのですか、ふやすためにはどうすればいいと思っているのですか。
  96. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 お答えします。  国際的な競争関係が第一と、途上国を中心に、遺伝資源に富む国々が、資源ナショナリズムといいますか、自国の資源の独自性を、優先権を主張するような傾向がございまして、なかなか遺伝資源の収集自体がかつてほど自由にできないという状況になっております。  そういう厳しい状況の中で、私どもは、そういう資源に富む途上国と研究協力というような形をとりながら、相互の理解に基づいて収集をしようということで、西暦二〇〇〇年、平成十二年までには二十五万点ぐらいの収集をしたいということで鋭意努めております。
  97. 木幡弘道

    ○木幡委員 これは、要するに、種を保存するという認識が他の先進国に比べておくれをとったということも否めない歴史的背景なのかなと。はっと気がついたときには、途上国も種を相手国に対して軽々に渡さなくなった。  しかしながら、その中で、二十数万点を二十五万点ぐらいにしたいという今の技術会議お話でありますが、それはもう当然お金のかかる話でありますよ。これは技術会議と、きょう初めて会ったのでありますから、決して裏で示し合わせてきたわけでも何でもないのですが、大臣、これは恐らくなかなか予算がとりにくいのでありますよ。  農道をつくれ、農地のダムをつくれ、基盤整備事業をしろ、こういった農地の公共事業にかかわるものについては、この永田町かいわいも大変予算措置をしやすい。これに対して余り反対するといった方も少ない。生活環境改善だ、農村の多面的な機能を充実するために社会インフラを整備するというのは当然だという、この大義名分のもとに当然来る。それはそれで農村地域のインフラの整備には寄与しているということは評価をしております。  しかしながら、地味な中にあって、国家百年の大計を考えたときに、これから来るであろうと予想されている人口増加、爆発的な人口増加、それに伴う、私どもの国は、もうそこに二十一世紀が来るにもかかわらず、毎回ここで論議をされているとおり、自給率がカロリーベースで四二%、主要先進国どころか、世界百六十数カ国の中でも下に位置をするということになれば、これから極めて大事なことは、今言ったように、優良な種子をどう残して、私ども農家意欲を持ってつくっていただくためにはどうするかとか、あるいは優良品種の改良のために、そのベースとなる原種の種の保存が先進国のアメリカにおいても半分にも満たないということを考えますれば、極めて地味ではありますが、国家百年の大計を考えたときには、こういったものに目を向けて予算措置をしていかなければならない、こう思うのであります。  大臣、そういった私の認識に対してどんなふうにお考えなのか、まず気持ちをお聞かせいただきたい、こう思います。
  98. 島村宜伸

    島村国務大臣 さすがにこの道の専門的な、いわば御健闘をなさった敏腕記者の御経験を持つ木幡委員だと思います。  私は、将来に向かっての日本の食糧の自給率云々という言葉を言う場合には、そういう意味合いも含めて、将来の我々の食の安全というものを確保するのは我々のとるべき道であると、率直に賛意を表します。
  99. 木幡弘道

    ○木幡委員 それで、もう一つあるのであります。種の保存も大事でありますが、パテントがあります。  例えばグラジオラスというあのきれいな花がありますが、グラジオラス栽培農家といいますのは、球根を買って、その球根の値段にはもちろんパテント料が入っている球根を買って、栽培をいたします。国内の相場がある一定の価格割れをしたときには間違いなく赤字になります。これは、球根の値段で投下労働力を換算すれば、必ず赤字になる。あるいはちょっとの管理ミスで開花時期のずれ、あるいは生育不良ということになれば、即座に赤字になってしまう。とすると、何とかならないのかといえば、何ともならないのでありますね。大もとをつかんでいるのはパテントを持っている外国であり、そして、それにお金を払わなければ、国民に期待されるグラジオラスというものは栽培できないわけであります。  とすると、これから先極めて大事なことは、その花の問題あるいはその他の、先ほどピーターコーンの話をしましたが、その他の主要農産物についても、もしこれがパテントを持っている国の、いわば私ども農家はその国の契約社員と同じような形で、農家経営の主要な部分をもう既に押さえられていると言っても過言でないわけであります。  この実態考えたときに、日本はどうしたものだということになれば、個々の農家が品種改良をして、そのパテントを持つほどの開発をする余力もない。御承知のとおり、専業農家がこれほど少なくなって、あるいは二種兼、三種兼業がふえてきたということになれば、それどころではない。しからば、都道府県の現地の気象条件や立地条件に合った形で品種改良を行えるかといえば、これも財政の問題、陣立ての問題でなかなか容易でない。では、国はどうだということになれば、種の保存すらもままならない状態の中で、品種改良に伴うパテント、もちろん年々それはふえていることは事実でありますが、しかしながら、なかなか緒についたばかりだというふうに認識をいたしております。  この問題について、現状の認識とこれから先の取り組み方について、関係者がいればお聞かせをいただきたい、こう思います。
  100. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 お答えします。  品種の場合、そのパテントというのは、主に種苗法上の品種登録がその機能を果たしております。現在、農林水産省が登録している品種の数は約三百の品種であります。そのうち、稲、麦、大豆、こういった主要農作物が百品種、それから果樹が七十品種、それから野菜が五十品種といったところが主な内容であります。  それで、近年の動向を見ますと、ただいま先生のお話しになったような草花あるいは観賞樹、こういう登録は増加しておりますが、主に民間企業の種苗会社あるいは個人の登録、これが急増しております。  したがって、これからの動向としましては、稲とか麦とか大豆、こういった基幹的な作物の品種の開発とその知的所有権の確保は国なり県なりの公的セクター、それから、草花、観賞樹、そういったものにつきましては民間企業、個人、これが中心になるというふうに考えております。
  101. 木幡弘道

    ○木幡委員 どういう形であれ、今答弁がありましたとおり、個人もしくは民間企業が持ってあろう、あるいは、あるものについては国が持ってあろうというふうな答弁がありましたが、ともあれ、我が国として、もし民間企業が持てないとするならば、どういうことで持てないのか、あるいは、個人が持とうと思っても持てないのはどういうことなのか。それは当然、新品種改良に長い時間と投下資本が伴うからですよ。  ですから、個人が持つなどということは、ここでの答弁としては、そうか、個人も持つようになるかということではありましょうが、そんなことはできっこない。ほぼ不可能に近い。とすれば、深く公的機関がかかわるということがなければならないのであります。  その開発については、きょうは別に文部省、お呼びしておりませんから、いわゆる産学官の体制の連係プレーがどうなるかということも極めて重要な問題になるわけで、特に、文部行政に明るい大臣でありますから、この辺のところはしかと肝に銘じていただきまして、農業の分野についても産学官を、きちっと連係プレーがとれるような状態、ここでもって話をするべき問題かどうかは別でありますが、実は、我が国大学教育の場合に、民間企業がある特定の研究開発のためにお金を寄附をした場合には、最近は緩和されましたが、従来は、この金額相当分については文部省からの補助金というものはカットをされた時代もありました。  それから、もう一つは、その研究開発の項目が来た。来た途端に、その研究開発費から大学のスタッフに振り分けるいわゆる人件費その他を認めるということがなかったために、民間企業から研究を依頼される教授は、そのほかの大学のスタッフに従来以上の労力を、いわゆる残業その他の過重労働を強いるだけでもって、高い評価を得られない。  こういった国は先進国の中で日本だけでありますから、今申し上げたとおり、種の保存の問題あるいは新品種改良の問題、パテント所有の問題、これは極めて重要な問題でありますから、とりわけ農水省においても、きちっと予算措置の検討あるいは産学官の連係プレー、そういったものをこの機会に篤と、御認識はいただいているとは存じますが、さらに一層の御認識を賜りますようお願いを申し上げたい。  残りわずかでありますから、もう一つお聞きしたいことがあります。  こういった中で、実は、農家は、新品種の育成をするときに技術対応ができません。今までのものと全く違うF1ハイブリッドの品種、あるいは全く栽培したことのないものを栽培するということになったときに、技術協力あるいは技術指導をするのが、従来は農業改良普及所、今では農業改良普及センター、こう言うわけでありますが、しかしながら、この農業改良普及センターから農家の私どもが技術指導を受けるというような機会は、もうほとんどないのであります。ないのであります。  それは、決して、農業改良普及センターの方々が技術的に劣っている、そういう意味ではないんですよ。ただ、農業改良普及センターという、農業改良普及所は、終戦直後から農村の技術の指導あるいは営農の指導あるいは生活指導といった意味合いを持ってつくったところではありますが、現実の問題は、今、個々の農家が専門家になればなるほど農業改良普及所から技術指導を受けるという機会はほとんどない。  それから、生活指導を受けるといったのは、ちょうどテレビの普及以前の問題あるいはテレビが普及してもごくわずかであったときに、公衆衛生の認識の向上や家族計画の認識の向上、あるいはより経済的な生活を行うための新生活運動等々といったときに、生活指導員が農家の生活指導をしたということであったのでありますが、今、生活指導員にお聞きをするというような項目がない。とすれば、確かに、おいしい漬物のつくり方というのを生活指導員からお聞きをしたりするというのは、それはそれなりに重要なことではありましょうが、我が国農業改良普及センターのあり方を考えていかなければならない。  それと同時に、国の農業改良普及センターがあり、都道府県にも生活改善指導員あるいは技術営農指導員といったものがあり、系統農協にもあるといったことを考えれば、この機会に普及所全体の見直しを考えていく時期であろうと思いますが、その点については、大臣、どのようにお考えですか。
  102. 島村宜伸

    島村国務大臣 率直に申して、初めて伺う御提言等もございます。しかし、伺ってみれば、私なりに、これは一々非常に大事な検討課題だな、こう感じます。勉強させていただきたいと思います。
  103. 木幡弘道

    ○木幡委員 それと同時に、冒頭に戻りますが、実は、八千二百万の補助金、これは、私、今から十七、八年前に、地元の県議会議員のときに当時の部長に、農水省補助金もしくは助成金のたぐいのメニューというのは今現在幾らあるのか、こう質問をしましたらば、二日ほど時間をいただきたい、計算するのに二日ぐらいかかる。出てきた答えが、あの当時で四百五十ありました。今、国においては統一メニュー化を急いでおります、こういうことでありました。  確かに、その後、統一メニュー化にはなりました。恐らくこの種子法の八千二百万についても、そういう意味合いも込めて、おくればせながら地方交付税交付金の一般財源化をするということになった。  これから大事なことは、ごく少数の優秀な農家、あるいは、つい先ほど我が同僚議員が質問をした青年就労促進の問題についても、これから農業にいそしみ、努力をしようとする者については、ある程度まとまった政策保護、補助金あるいは助成金といったものが、融資も含めてなければ、この国の厳しい状況の中で、農業を業となす人間は出てこないわけであります。とすれば、統一メニュー化を急いで、農家の、特にやる気のある農家に対して、その期待にこたえられるような統一メニュー化についても、ぜひ大臣、省内を督励をしていただき、補助金、助成金の見直しと統一メニュー化について御努力をいただきたい。それは、もう希望であります。  最後の質問でありますが、実は、都道府県農業公社構想というのが、農林省の中で出てまいりました。それは、農地流動化、受委託耕作をより積極的に推進をして、中核農家を育成しなければ、省力化その他でもって、現下の厳しい農業情勢の中では太刀打ちができない。しかしながら、終戦直後の農地解放の問題があり、なかなか農地を持っていてもそれを相手に簡単に委託をすることがない。しからば、受委託を促進するために農地地方の銀行的役割を果たす機能として市町村あるいは県の農業公社構想というものができたのでありますが、ついこの前、数をお聞きしましたらば惨たんたる状況なんであります。惨たんたる状況。  それはなぜかといえば、農業会議があって、農業委員会制度があって、市町村に農業公社があったら、農家にとっては農地の受委託の法的な窓口はいまだに農業委員会です。しかしながら、流動化のためには農業公社を利用しろといっても、これは農家にとっては戸惑うばかりであります。とすれば、農地流動化の見地から、この市町村、都道府県農業公社構想というものは、これから先法整備を含めてこれを積極的に推進していくのか、あるいはこの際これはこのまま棚上げにして、農業委員会制度のさらなる組織の改編もしくは改革といったものに切りかえるのか、その一点だけ大臣にお聞かせをいただいて、私の質問を終わりたいど思います。
  104. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 先生御指摘農業委員会は、農地法三条に基づく、農地として売買したり賃貸借したりする場合にこれを許可する行政機関でございます。それから、これとあわせて農地の売買、賃貸借のあっせんをしたり、掘り起こし活動と言っておりますけれども、皆さん貸しなさい、売りなさい、中核的な担い手農地を集めましょうというような話し合い、あるいは指導する機関でございます。  一方で、県、市町村の農業公社は、農地保有合理化事業を実施しておりまして、実際に農業委員会の許可を受けて農地の売買とか賃貸借の事業そのものをやる機関、例えば売り手あるいは貸し手から農地を買う、あるいは預かって中核的な担い手に売ったり貸したりする機関でございまして、いわば資金を持って事業活動をいたします。これに対しては国は利子補給等の助成を行っておりまして、農業委員会の行政機関としての役割、機能と、農地の売買等の事業を実施する公社の機能とは大変性格は違っております。  先生御指摘のように、両方の機関、同じように農地を扱っておりますので、両者連携をとって事業を実施する、担い手の育成という共通の目的に向かって連携をとるというのは大変重要であると思いますので、こういった問題については今基本問題調査会でも御議論いただいているところでございますけれども、そういった議論も十分尊重しながら、私どもこれから農業委員会、県の公社のさらなる活性化、あるいは十分な機能の発揮のためのいろんな施策の工夫をしてまいりたいと思っております。
  105. 木幡弘道

    ○木幡委員 ありがとうございました。
  106. 北村直人

    北村委員長 次に、菅原喜重郎君。
  107. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 種子法の改正について質問いたしますが、その前に、今、日本農業は、農産物自由化の波による国際競争場裏からも大変なチャレンジを受けて、存廃にかかわる危機に立たされております。  私は日本の農業政策を振り返ってみますと、これは私の農業観でもありますが、明治政府以来、我が国は、ある一貫した意識を持って農政を進めてきた、そういう点を感じております。  何かといいますと、農業振興、発展の根底に、品種改良、優良種子確保が中心的、重点的に意識され、そういうような施策をとられてきたということです。このことは、日本の農地の狭小性や国家成立の後進性からも当然の帰結ではあったと思います。それは、近代国家を設立し、開国した財源のない明治政府にとって、その収入源は当然高率の地租税に頼らざるを得なかったし、他方、農村にとっては、それは同時に高率の小作料にはね返っていたわけでありまして、そして、この財源で近代化への投資、工業、都市化への投資を行ったのであります。  しかし、この金のない政府農業振興、発展への投資もしなければならないということになりますと、少数の人員、少額の投資でも何十%とすぐ増収できる品種改良、優良種子普及に重点が置かれ、また、置いてきたことも当然の成り行きであります。  この結果は一世紀後にはどうなってきたかといいますと、日本農業は単位面積当たりの生産高は世界一であるにもかかわらず、一人当たりの労働生産高は全く農業生産先進国と比べて大きな格差を生んできたわけであります。このため、今農業基盤の構造政策にも重点的に投資がなされ、これにも一生懸命取り組んでいるわけであります。しかし、最近になってこの単位面積生産高においても先進国はその格差を全く縮めてきております。  このような視点を持って、私は、今回の主要農作物種子法の一部を改正する法律案審議するに当たって、まず政府が、主要農作物種子制度の意義、役割をどのように認識しているのか、お伺いしたいと思います。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  108. 高木賢

    高木(賢)政府委員 稲、麦、大豆の主要農作物は、改めて申し上げるまでもないことですけれども、国民の基本的な食糧であります。また、地域農業におきましては基幹作物でありまして、まさに安定した生産確保というものが強く求められているというふうに承知をしております。しかしながら、この主要農作物の場合には、一般の作物生産種子生産生産物が同じものであるということで、種に特別の付加価値がつきにくい、こういう事情にあります。したがいまして、種子生産、流通に対して民間の種苗会社がほとんど参入していないということで、優良な種子確保するためには公的機関による取り組みを必要とする、そういう状況にあると考えております。  こういう事情のもとで、主要農作物の優良な種子生産普及、こういうことを目的といたしまして、主要農作物種子法におきましては、都道府県によります制度運営というものを規定しております。すなわち、その一つが、地域条件に適しました優良な品種の決定試験を行うということ、それから優良な原種の生産を行うこと、それから種子の審査を行うこと、これらを都道府県の仕事として制度化をしております。  これまで、このような主要農作物種子制度の実施によりまして、品種の地域適応性、その地域に合った品種であるかどうかということの適応性の確保ができました。また、優良な品種特性の確保ができたと思います。さらには、高い発芽率などを有する良品質の種子確保ができたと思います。そういった優良な種子確保によりまして、稲、麦、大豆の安定生産、大豆などは播種について若干触れもございますが、基本的な生産のもととして種が役割を果たしたということで、食糧安定供給なり地域農業の振興に大きく寄与してきているというふうに考えております。
  109. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回のこの種子法の改正は、一応この補助金からであったものが地方交付税で面倒を見るということでございますから、地方交付税となりますと、これは一般財源となるわけでございまして、補助金の場合はひもつき、ひもつきという言葉はちょっと適当ではないかもしれませんが、いずれにしても、国がその体制維持のための大きな発言力を持つわけですが、一般財源となりますと、裁量を地方自治体に任せるわけでございます。  実は、先ほど私が申し上げましたように、農作物種子の品種改良あるいは優良種子普及は、今までずっと日本農業の維持発展の大原動力であったし、また、そういうことでありますから、国が全面的に対策、対応に全責任を持って運営してきたわけでございます。それを今回、主要作物、稲、麦、大豆といいましても、これを地方に予算を任せるということになりますと、今までのこういう大きな主流となってきた政策を放棄するのか、地方の責任に任せちゃうのかというような、そういう考えもするわけでございますが、いずれにしても、こういう制度の円滑な実施に支障を来すことがないのか、この点をお伺いいたします。
  110. 高木賢

    高木(賢)政府委員 主要農作物種子法の改正で今回御提案申し上げているのは、国の補助規定を削るということ、そして、財源を一般財源化するということでございます。  都道府県が行うべき事務として、主要農作物種子法規定しております種子の審査とか、優良な原種の生産とか、地域条件に適した優良な品種の決定試験、こういった仕事は都道府県に引き続きやっていただかなければならないし、その旨の規定は当然残るわけでございます。  既に、実態といたしましても、昭和二十七年にこの法律ができて以来、各都道府県におきまして着実に実施されまして、都道府県の事務として定着はしております。それに加えて、優良な種子確保のための仕組みを法制度として維持するということでございます。それが第一点であります。  それから第二に、それに必要な経費につきましては、国の補助金八千二百万円は廃止ということでございますが、地方交付税によりまして、地方一般財源として手当てをする、その金額は補助金を上回る金額を地方交付税として措置するということでございますから、法制度によります都道府県の仕事の義務というものは残るということ、財源措置としては地方交付税によって手当てをされるということ、この二つから、法改正後も引き続き種子安定供給確保をする体制は維持存続するというふうに考えております。
  111. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 その点に関して、再度疑義があるのは、やはり一般財源になりますと、それの配分、行使の裁量権は地方自治体に任せることになるわけですから、しっかりしたこの種子法の制度を維持するために、このお金が、今まで国がやってきた以上に強化されていくのかどうか、また、そういうようないわゆる規定か何かを持っているのか、こういうことをお聞きしたいのですが、いずれにしても、本法律改正趣旨及び改正案提出に至った経緯はどういうことになっているわけでございますか。
  112. 高木賢

    高木(賢)政府委員 都道府県の仕事として必ず行われるのかということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、法律都道府県の仕事ということで明記してございますので、仮にやらないということになれば、これは県の法律違反ということに相なりますので、これはぜひやっていただかなければならない、まさにそれが法制度であるというふうに思っております。  それで、現実に、では本当に各県とも予算措置も講じてやっているのかということでございますが、十年度の各県の予算をお伺いしたところ、ほとんどの県はこれまでと同様の措置を講ずるということで回答をいただいておりまして、引き続き着実に種子の審査なり原種の生産なり地域条件に適した優良な品種の決定試験というものは当然行われるものというふうに考えております。  そこで、この経緯でございますが、昭和二十七年以来、まさに、四十五年間にわたりまして、この法律に基づいて県は種子審査などをやってまいりました。種子審査に要する経費に対して補助金を計上いたしまして、各県に交付をしてきたわけでございますが、まさに四十五年来続けてまいりまして、県の事務としてもう定着しているのではないかということの実態を踏まえまして、昨年の七月に地方分権推進委員会から一般財源化すべきであるという勧告が行われたわけでございます。  この勧告を踏まえまして、今回の改正は、種子の審査というような主要農作物の優良な種子確保するための法制度、これについては維持する、しかし、審査等に要する都道府県の事務経費に関します補助金は一般財源化するということで、国の補助に関する規定を廃止するというものでございます。  重ねて申し上げますが、地方財政措置として、地方財源の手当てはしているところでございます。
  113. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにしても、明治政府以来一世紀にわたって一貫して優良種子の改良また普及は国家が重点施策としてその責任を担ってきたわけでございますので、この趣旨に沿うた諸施策をこれから政府としても怠りなく実施していっていただきたいな、こう思うわけでございます。  また、この種子法の改正では、主要農作物の優良品種の普及目的一つとしておりますが、具体的な対策はどのようになっておりますか、お伺いします。
  114. 高木賢

    高木(賢)政府委員 優良品種の普及についてでございます。  これは、まず前提として優良な品種が開発されなければいけないということでございます。国や都道府県の試験研究機関によって品種開発を鋭意進めるということが大前提でございますが、同時に、開発されたものがそれぞれの地域に合うのかどうかという適応性の判断のための試験が必要でございます。その試験を行うということが県の仕事として定められておりまして、県ごとにそれぞれの地域、ある県では県一本の場合もございますが、県によっては中山間地域と平場を分けてその地域に適した優良品種を選定するということをまずやっております。  優良品種の選定ということがまず第一でありますが、それが決定された場合には、この県内におきます種子生産は奨励品種を原則とするということにいたしておりますとともに、都道府県がその奨励品種の作付を指導する、特に、具体的な栽培技術につきましては、農業改良普及センターがその栽培技術の実証あるいは指導を行うという形で現場への普及を図っております。こういうことで優良品種が生産現場に円滑に導入されている、こういうことを推進しているわけでございます。     〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  115. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 優良品種の普及向上に向けては、新たな品種の育成が重要なことはもちろんでございますので、現在これに取り組んでいる状況はどのようになっておりますか。
  116. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 優良品種の開発、これは農業発展を支える極めて重要な技術開発であることは、先生のお話しされたとおりであります。  この品種改良、これはその成果を生み出すまでに長期間を要しますので、取り組みを継続的かつ計画的に行わないといけないということであります。そのため、農林水産省では、作物育種推進基本計画というものを策定しまして、十年の計画で品種改良を進めております。  現在の計画は、平成五年三月に策定されておりますが、この計画の中で、省力、多収、低コスト、こういった生産性の向上に係る形質の品種の育成、第二に、消費者の高度化、多様化するニーズに対応できる品種の開発、第三に、環境保全型農業の実現に資する品種、こういった品種の育成を目的として、作物ごとに具体的な目標を設定して品種開発を進めております。  この計画に基づきまして、最近でいいますと、例えば平成三年に食味がよくて冷害に強い「ひとめぼれ」というお米の品種が出ました。また、平成七年にはホクシンという麦の品種が出ております。  今後とも、こういった農業発展に資する作物の育種につきまして、精力的にその推進に努めてまいりたいと考えております。
  117. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 これは、前質疑者も質問したわけでございますが、主要作物の種子に限らず、品種開発については、その基礎となる遺伝子資源をできるだけ豊富に収集、保存することも大切な課題でございます。  私も、二十数年前に、町長時代にアメリカのジーンバンクを視察したりしておりまして、この点については日本のおくれを非常に危惧していたわけでございます。この点について先ほどいろいろ諸外国との比較もされましたが、このジーンバンクは、植物、動物、微生物、林木、水産生物、DNA等にわたっております。こういう分類の中で、諸外国と比較して私にもその状況をお知らせいただきたいと思います。
  118. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 遺伝資源の収集、保存の状況でございますが、先生のお話のように、植物、動物、微生物、林木、水産生物、DNAという区分で分類しております。  その中で、植物につきましては現在二十一万点の遺伝資源を収集、保存しております。これに関しましては、外国との比較をいたしますと、先生のお話にございましたアメリカの保有点数が五十五万点、そしてロシアの保有点数が三十三万点でございますので、我が国の保有する遺伝資源は必ずしも十分とまでは言えないかもしれません。  以上でございます。
  119. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今の御報告からですが、我が国ではどのような体制、予算でこれから取り組んでいこうとしているのか、まずこの点をお知らせいただきたいと思います。
  120. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 予算で申し上げますと、ジーンバンク事業平成十年度では七億七千三百万強の要求をしております。前年度が七億二千五百万ですので、約一割の増額を図っております。
  121. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この遺伝子資源の収集、保存というのは、地球防衛上からも、これは大変なことだと思っておりますし、また、今先進国では一代ハイブリッド種子で世界制覇をもねらっている、そういう研究もされているわけでございますので、やはり日本も将来に向けてこのことに対する大きな使命を感じて取り組んでいかなければならない、こう思っております。  それで、最後に、このことに対する構想、決意を大臣からお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  122. 島村宜伸

    島村国務大臣 お答えいたします。  二十一世紀の食糧、地球環境問題の解決のための技術開発に当たりましては、農林水産生物が持つ多様な遺伝子を確保することが極めて重要な課題と認識いたしております。  このため、途上国を中心とした資源ナショナリズムの台頭など遺伝資源の収集が次第に困難になる状況にありますが、途上国との研究協力を通じた相互理解を進め、遺伝資源を積極的に収集してまいりたいと考えております。  また、農林水産ジーンバンクが収集、保存している種子等の遺伝資源については、農林水産省で活用するだけでなく、都道府県等にも広く利活用できるよう配布体制を整えているところでありまして、今後ともその充実に努めてまいる所存であります。
  123. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 どうもありがとうございました。以上をもって質問を終わります。
  124. 北村直人

    北村委員長 次回は、明十八日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十九分散会      ————◇—————