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福岡委員 はっきり申し上げたいのですけれ
ども、刑事司法は刑事司法の便宜で、しかも検察官なんかの事務の
取り扱いの便宜という制限が許されているのですよ。そんなことで、
情報公開法は理念が違うのです。だからやはり、それはそれで別途に定めるということを検討しない、そういう
国民不在のような法案をつくってもらっては困るわけであります。
これはぜひとも与党の先
生方に言いたいのですけれ
ども、私自身も不明にして余り気がつきませんでした。だから、これは後から気がついて愕然としたわけでありますけれ
ども、こんな法案をつくったら恥になりますから、この辺のところの
修正は、何も全面的に出せと言っているのじゃないのですよ、これは。刑事記録は大切だ。
答弁にありましたように
プライバシーが云々、そんなことを私は言っていません。
プライバシーの問題については除外することは賛成です。当然です。だったら、それを明確にして、頭から審議もなしで全面
非公開というようなやり方はもうやめていただきたいということで、ぜひともこれはそういう
意味で真剣に御討議をいただきたいということをお願いしたいと思います。
それから、管轄問題でございますけれ
ども、この管轄の問題というのは、なぜ我々が非常に問題にしておるかといいますと、やはり司法
救済の充実強化ということなくしては
情報公開制度の健全な発達、利用ということがあり得ないと
考えているからであります。
それは抽象的に
考えておるのではなくて、実際に最初の
情報公開制度が
制定されてから三十年近くになると思うのです。その間、
地方公共団体が
条例を
制定し、結構いい中身のものもつくってまいりました。しかしながら、実際の
運用はどうであったかといいますと、非
開示情報の解釈、
運用というものについて、本当に最初のころはひどい、理屈にもならぬような理屈をつけて拒否処分をしてきた。
それをどういうぐあいに改めてきたかといいますと、それに対して
国民がオンブズマンとかいろいろな団体等の支援を受けながら裁判を提起し、判例においてその解釈を積み上げてきたわけです。それによって初めて、公共の安全、外交上の
利益、そういうものがどういうものかということも含めまして、それから
地方のいろいろな公共の福祉の問題等も含めまして、判断を積み重ねてきた。それでだんだんそういうものが
公開をされるようになってきた。特に、今では食糧費等の
公開は当然ですけれ
ども、当時は名前が知れるからと言って全然出さなかったし、ひどいのは、
請求書に書いてある見積金額自体が営業上の秘密だなんて言って出さなかった。そういう判例もあるのです。それぐらいひどかったのです。
だから、ある
意味では、
情報公開制度になれなかったという
公務員が、やはり監視はされたくないと思うのは人情ですから、ついついそういうようなことになってきて組織としてそうなってしまった。それを打破して今日大きな流れをつくって正しい
情報公開制度を確立したのは、裁判制度による
救済があったからです。だから、今ではそういうばかげた
理由でもって拒絶する公共団体はだんだんなくなりつつあるということであります。
ということは、完全に
行政官庁自体がきちっとした解釈で出せば、裁判もそんなに多くなくなるのですね、そういう性質の問題だ。だけれ
ども、残念ながらまだ形成途上にあるということになりますと、国段階では特に初めてでございますから、ここで中身をいろいろ審議していただきました
非公開情報、この審議について、やはり庁側の判断がまず第一にあるわけです。そして、
非公開という決定をされた処分に対しまして取り消しを求めるということになりますから、当初のころはどうしてもそういう恣意的解釈というのがあるので、それを正していく。やはり、
法律の専門家でもあるし公正な
立場でもある裁判所が最後にそれを判断をするという司法
救済、これを確立していかなければ、実際につくったって何にもならないという可能性があるのですね。
その中で
考える管轄というのは、まさに訴えを提起する、訴訟を取り扱う権限を持っているのがどこかという問題、だからそこしか訴えが提起できないという問題なのです、これは。やはりそれは、
請求権者の方としてはどこかということが、民事訴訟法でもそうですけれ
ども、一番利害が大きいわけですね。それで、今回の
政府の案は何の
規定もありませんので、いわゆる
行政事件訴訟法の七条の
規定がそのまま適用になりますから、
行政官庁の本拠のある、東京がほとんどでございます、だから東京地裁に提起ということにならざるを得ない。大
部分はできない、こういうことになるわけであります。
そして、これはもう私が今ここでくどく言うまでもなく、市民団体その他の計算が出ています、旅費だけでどれだけと。特に、沖縄か何かから来ればその他の費用を入れたら五百万ぐらいかかるというような試算が出ておるわけであります。そんな遠いところまで行かなくても、我々の名古屋ぐらいから来たってやはり百万以上のものほかかってしまう、こういうことですね。しかもそれは
行政監視ということが相当のウエートを占めているわけであります。そういうような性質を持つそういうものについて、そうしていいのかという選択ですね。
これは使い勝手が悪いということを塩野先生もはっきりとおっしゃっております。使い勝手が悪い。しかも、
行政手続法の特例として
情報公開法の中に
規定を入れればできるのだということも言っているのですよ、みずから要綱をつくられた方が。だけれ
どもそれは、
行政手続法の
改正そのもの自体の中で、いわゆる
一般行政事件の管轄そのもの自体も見直すぐらいの必要があるから、この段階ではというような、何かしりすぼみになってはいまずけれ
ども、結局使い勝手が悪くてこれは直さなければならぬということは認められている。しかも、法的に矛盾して間違いだというなら別ですけれ
ども、できるわけです。
それで、検討するというけれ
ども、
情報公開法はすぐ
施行されるのですよ。自民党では二年と言っていますけれ
ども、遅くとも二年ということでしょう。そうすると、その段階で管轄が整備されてしまえばいいんですけれ
ども、その間については断念せよということに通ずるわけであります。
だから、ぜひともこの点から、やろうと思えばいつでもできること。要するに、
国民のために使いやすいものにするのか、
行政側に立って
行政の便宜かという選択の問題なんですね。
行政の方の負担が多いというけれ
ども、これは試算がされたり計算が出ておるわけじゃありません。
国民の方は明確に出ていて、これは
国民の方が多いに決まっているんですよね。
そういう点で、ひとつ長官にお伺いしたいんですけれ
ども、たまたま見ておりますと、この間出られた奥津
参考人の資料で見ますと、総務長官の選挙区である鹿児島県の県民が、廃棄物施設から出るダイオキシン濃度のデータを厚生省に
請求するとか、その他環境汚染について環境庁に手持ちデータを
請求するということになると、これは東京まで行かなければならないということに
原則としてなる。そうすると、交通費だけで二百七十五万が必要というあの計算になるわけですね。これは高裁までです、大体。
こういうかかり方をして、実際に先生のところの地元の選挙民の皆さん方がこれだけ払わなければ
権利行使ができないということでいいんでしょうか。やはりこれは間違っているんじゃないでしょうか。率直な御見解をお伺いしたいわけであります。