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1998-05-27 第142回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月二十七日(水曜日)    午前九時四十五分開議 出席委員   委員長 谷津 義男君    理事 植竹 繁雄君 理事 小此木八郎君    理事 小林 興起君 理事 穂積 良行君    理事 佐々木秀典君 理事 中沢 健次君    理事 倉田 栄喜君 理事 三沢  淳君       逢沢 一郎君    小野寺五典君       越智 伊平君    佐藤 信二君       近岡理一郎君    虎島 和夫君       萩野 浩基君    桧田  仁君       平沢 勝栄君    池端 清一君       生方 幸夫君    北村 哲男君       桑原  豊君    佐々木洋平君       達増 拓也君    西田  猛君       瀬古由起子君    寺前  巖君       深田  肇君    笹木 竜三君  委員外出席者         参  考  人         (成蹊大学法学         部教授)    塩野  宏君         参  考  人         (全国市民オン         フズマン連絡会         議代表幹事)  高橋 利明君         (弁 護 士)         参  考  人         (経済団体連合         会常務理事)  立花  宏君         参  考  人         (情報公開法を         求める市民運動         事務局長)   奥津 茂樹君         参  考  人         (大阪大学名誉         教授)         (大阪国際大学         教授大学院研         究科長)    高田  敏君         参  考  人         (日本弁護士連         合会情報公開法         ・民訴法問題対         策本部本部長代         行)      土生 照子君         参  考  人         (獨協大学法学         部教授)    右崎 正博君         内閣委員会専門         員       新倉 紀一君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十七日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     北村 哲男君   鰐淵 俊之君     西田  猛君 同日  辞任         補欠選任   北村 哲男君     桑原  豊君   西田  猛君     佐々木洋平君 同日  辞任         補欠選任   桑原  豊君     鹿野 道彦君   佐々木洋平君     達増 拓也君 同日  辞任         補欠選任   達増 拓也君     鰐淵 俊之君     ――――――――――――― 五月二十一日  傷病恩給等改善に関する請願梶山静六君紹  介)(第二六九〇号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金増額に関  する請願寺前巖紹介)(第二七二六号)  同(深田肇紹介)(第二七二七号)  同(吉井英勝紹介)(第二七二八号) 同月二十五日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金増額に関  する請願虎島和夫紹介)(第二八六〇号)  同(瀬古由起子紹介)(第二九一五号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願萩野浩基紹介)(第二八六一号)  恩給欠格者救済に関する請願中川智子君紹  介)(第二九一四号)  傷病恩給等改善に関する請願大野功統君紹  介)(第二九一六号)  同(櫻内義雄紹介)(第二九一七号)  同(細田博之紹介)(第二九一八号) 同月二十六日  傷病恩給等改善に関する請願中山太郎君紹  介)(第三〇一五号)  同(浜田靖一君紹介)(第三〇一六号)  同(中馬弘毅紹介)(第三〇八五号)  恩給欠格者救済に関する請願綿貫民輔君紹  介)(第三一〇二号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願石田幸四郎紹介)(第三一〇三号) 同月二十七日  傷病恩給等改善に関する請願増田敏男君紹  介)(第三二八一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十七日  実効性ある情報公開法制定に関する陳情書外  二件(  第三二六号)  情報公開法案修正に関する陳情書  (第三二七号)  情報公開法案の一部修正に関する陳情書外六  件  (第三二八号)  情報公開法案等修正に関する陳情書  (第三二  九号)  十二月十日を人権の日として祝日にすることに  関する陳情書  (第三四一号)  青少年健全育成対策充実強化に関する陳情  書  (第三四二号)  危機的状況に直面する子供たち健全育成に関  する陳情書  (第三四三号)  成人図書成人ビデオ専門店化の実現を目指  す法律改正条例改正に関する陳情書  (第三四四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  行政機関保有する情報公開に関する法律案  (内閣提出第一〇二号)  行政機関保有する情報公開に関する法律の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出第一〇三号)  行政情報公開に関する法律案北村哲男君外  五名提出衆法第一一号)  情報公開法案松本善明君外一名提出、第百四  十一回国会衆法第五号)      ――――◇―――――
  2. 谷津義男

    谷津委員長 これより会議を開きます。  内閣提出行政機関保有する情報公開に関する法律案内閣提出行政機関保有する情報公開に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案北村哲男君外五名提出行政情報公開に関する法律案及び第百四十一回国会松本善明君外一名提出情報公開法案の各案を一括して議題といたします。  本日は、各案審査のため、参考人から意見を聴取することにいたしております。  本日、午前、御出席参考人は、成蹊大学法学部教授塩野宏君、全国市民オンブズマン連絡会議代表幹事弁護士高橋利明君、経済団体連合会常務理事立花宏君、以上三名の方々であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、塩野参考人高橋参考人立花参考人順序で、御意見をお一人十五分程度に取りまとめてお述べいただきたいと思います。次に、委員の質疑に対しましてお答えもいただきたいと思います。  それでは、塩野参考人にお願いいたします。
  3. 塩野宏

    塩野参考人 塩野宏でございます。現在、本委員会において御審議中の情報公開法に関する諸法案につきまして意見を申し述べる機会を与えられまして、大変光栄に存じております。  私は、行政改革委員会情報公開部会専門委員として、情報公開法要綱案作成に関与いたしました。また、その関係で、平成八年五月十六日、ちょうど二年前になりましょうか、当内閣委員会参考人として意見を述べた次第であります。したがいまして、私は、本日は基本的には要綱案作成に関与した者として法案について意見を申し上げることになりますが、時間の制約上、主要な論点に限ることをお許しいただきたいと思います。  まず第一に、目的規定関係であります。  目的規定について、情報公開部会の論議の過程では、これまで我が国においては、行政担当者国民に対する関係での説明する責務、つまりアカウンタビリティーについての観念が希薄であったということが最も強く認識されたところであります。そのことを要綱案第一条に明らかにしたところでありますが、政府案及び三党案、三党案と申しますのは今御紹介のありました民主党を初め三つの党の案でございますが、その中にも取り入れられており、私も賛同いたすところであります。  なお、政府案におきましては、要綱案における国民による「監視参加」の言葉にかえまして、「国民の的確な理解と批判」の言葉を用いております。  部会審議におきましては、情報公開法制が、客観的に、広い意味での監視機能参加機能を有することは共通の認識でありました。アメリカにおいても、近年、情報公開法中心目的が公衆による政府監視機能を明確に促進することにあるということが強調されているという日本専門家紹介もあります。もっとも、「国民による行政監視参加充実」というこの表現そのままでは、中黒が入っておりますので、法律条文にはならないことは明らかであります。  ところで、政府側説明によりますと、監視及び参加は、従来の法令用語としてはいま少し限定的に用いられているので、この言葉を使うのを避けたということであります。要綱案で考えている国民による監視国民参加というのは、当然この第一条に含まれているという趣旨に私は承っております。その意味におきまして、私は、そのこと、その要綱案に述べられた趣旨がこの政府提案の中にも含まれているということが国会審議を通じて確認されれば、要綱案文言に固執するものではありません。  第二に、対象機関に関して申しますと、要綱案は、特殊法人については具体的な内容を持った提案をしておりません。しかし、このことは、要綱案特殊法人について情報公開必要性がないと言っているわけでは全くありません。逆に、特殊法人情報公開に関する制度または施策を速やかに整備すべきものであるということを要綱案考え方の中で明確にしております。  率直なところ、法的にも機能的にも多様な特殊法人情報公開法との関係で分類整理することが、部会の限られた審議時間の中では時間的関係からできなかった、そういうものであります。この点については、政府案要綱案と同じ趣旨規定を置いているにとどまりますが、現時点では政府においても整理をつけかねていると推察されます。  通常の行政機関以外にいかなる法人情報公開法を適用するか、これは実は各国においても取り扱いがかなり異なっておりまして、こういつたこともこの問題の困難性を象徴しております。いわばスタンダードな基準がありません。もう少し具体的に申しますと、切り口といたしましても、行政法学で言っております行政主体性ということ、それから政府の支配という切り口、あるいは担当する機能という切り口、こういった切り口も国によっていろいろであります。  平成十年三月二十三日のいわゆる三党合意事項におきましては、特殊法人対象とする情報公開制度について、情報公開法制定後二年以内に所要の法案制定する旨附則に明記することとされておりますけれども、日本において、特殊法人認可法人指定法人等が、少し誇張した言い方かもしれませんけれども、いわば無秩序につくられてきたということ、これにいわゆる独立行政法人ができる可能性ということも考慮いたしますと、ある合理的な説明をつけた上での整理をするには、この二年間、必要な期間ではないかというふうに私は考えております。  申し上げたい第三点ですが、対象文書につきましては、要綱案においては電子情報につきいささか及び腰の嫌いがありましたところ、政府案では法律上明確に電磁的記録も含められたということは賛成するものであります。  なお、対象文書範囲を、政府保有とするか、組織的に用いるものとして保有とするかという問題がありますが、私の考えでは、保有だけでは範囲が概念上確定されないという問題があります。それだけですと、保有とは何かということが問題になるからであります。したがいまして、理屈から申しますと、保有と書いたから当然に範囲が広くなるというわけのものではないように私には思われるところであります。  申し上げたい第四でございますが、不開示情報につきましては、政府案は、文言上の整理を除いて要綱案考え方にのっとったものと見られます。要綱案及び政府案については、いろいろな角度からの批判もあったこと、またそれが三党案あるいは共産党案にもあらわれているということは私も承知しております。ただ、個別の問題にわたることは時間の関係で差し控えさせていただき、この際、次の点のみ申し上げます。  すなわち、個人情報についてでございますけれども、これにはプライバシー型と、御案内のように個人識別型がございます。昨今の個人情報をめぐるいろいろな事件を見ておりますと、我が国ではまだ個人情報保護重要性についての意識が十分にしみ込んでいないといううらみがあります。その意味で、要綱案のとっている個人識別型が、私は我が国ではベターであると現在でも考えております。  個人情報につきましても、公益上の理由による義務的開示が定められ、さらに公益上の理由による裁量的開示規定もあります。これらの規定運用に当たりましては、要綱案考え方に示されておりますように、個人の人格的な利益に慎重な配慮が望まれるところであります。  さらに、現在の個人情報保護法は、国のものでございますけれども、これは電算機処理に係るものに限定されているということ、医療、教育情報が一部適用除外になっている等の問題があります。要綱案考え方に示されておりますように、今後、国におかれまして早急のうちに、国が保有する個人情報保護に係る法制整備が望まれるところであります。  申し上げたい第五でございますけれども、情報公開法における開示、不開示決定に関する不服申し立て等の規定についても、政府案要綱案の線に沿って立案されていると考えられます。  日本では、裁判所におけるインカメラ審理制度が、憲法上の問題もあって、要綱案では提案されておりません。私としては、やはりインカメラ審理の導入というものが情報公開法制の円滑な運用上望まれるというふうに考えておりますので、現行憲法下での可能性をなお今後とも引き続き探る必要があると考えております。  この点につきまして、三党案及び共産党案におきましては、文書提出命令手続におけるインカメラ審理が定められているように私は拝見いたしました。興味ある提案と存じますけれども、これによって憲法上の疑義が解消したことにはならないのではないかと愚考いたしております。  そこで、当面は、インカメラ審理が可能な不服審査会において、諮問の答申書の書き方などを含めまして、これには裁判段階におけるいわゆるボーン・インデックスの問題もあろうかと思いますけれども、日本的な情報公開法審理手法が開発されるよう期待するものであります。  なお、不服申し立てが多数に上ることが予測されますので、その予測が現実化した場合には、審査会委員及び事務局職員増員等に適切に対応する用意が政府に要請されるところでありまして、行政改革は、公務員の数が少なくなればそれでいいというものでは私はないというふうに考えております。  第六に、裁判上の救済につきましては、インカメラ審理のほかに、裁判管轄の問題があります。この点も要綱案は今後の検討課題としたところであり、政府案でも現段階では具体的な提案に至らなかったと思われます。  この問題につきましては、二つの論点があります。  一つは、情報公開法開示、不開示決定に係る訴訟は、現行法によりますと行政事件訴訟法抗告訴訟に当たることから、この訴訟に特別の配慮をすることになりますと、行政事件訴訟法との関係が問題になります。  実は、昭和三十七年に制定されました行政事件訴訟法自体、もう今から三十数年前のことになりますので、国民にとって使い勝手のよいものかどうかが現在全般的に問題とされているところであります。この状況下にありまして、情報公開法に関してだけ原告の住所地裁判管轄を認めるのが適切かどうかという問題があるわけで、行政事件訴訟裁判管轄のあり方全体との関連で問題をとらえることが必要ではないかという点があります。  もう一つは、仮に住所地管轄を認めたとしても、全国各地から訴訟が提起されるとなりますと、現在の行政機関職員配置状況からして、応訴の負担が過重になりはしないか、その場合は移送の問題を考える必要はないかという問題があります。移送の問題は、同じ情報について全国ばらばら訴訟が提起された場合も同様であり、この場合は併合の許容性の問題も生じます。  こういった点につきましては、現行民事訴訟法行政事件訴訟法運用として解決されるのではないかという解釈もあるかもしれません。ただ、他方、解釈でどこまでできるかという問題もあります。  そこで、このような解決を要する各種の問題があることを配慮されたと存じますけれども、三党合意事項によりますと、実情を把握しつつ検討を行うとされております。これは、情報公開法制定後、その運用の経験を考えてということであると思われます。ただ、私としては、懸案の行政事件訴訟法改正の動向も考え合わせることが、日本行政事件訴訟の将来を考える上にも重要かと存ずる次第であります。  以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  4. 谷津義男

    谷津委員長 ありがとうございました。  次に、高橋参考人にお願いいたします。
  5. 高橋利明

    高橋参考人 高橋でございます。本日、意見陳述機会を与えられまして、ありがとうございました。  何点か述べたいと思いますが、まず、私としましては、この法案に対する基本的なスタンスを御説明させていただきます。  政府案につきましては、ただいま塩野先生からるる御説明がございましたが、知る権利の保障の脱落、公開目的規定の後退、非開示情報の広範であることとあいまいさ、それから限定のない応答拒否の容認、手数料徴収司法救済土地管轄など多くの問題点がございます。私としましては、日弁連が提案している法案要綱がよいと思いますけれども、政府案野党案とを比較しますれば、野党案の方が公開に積極的で評価できるというふうに考えております。  この機会には、私どもの活動しております全国市民オンブズマン連絡会議での活動経過を踏まえまして、情報公開請求重要性を訴え、政府案について若干の注文をしたいと思っております。そして、私たち意見を取り入れていただいて、一刻も早い制定と実施を願っている次第であります。  まず、第一点でありますが、情報公開の効果、重要性について述べたいと思います。  私たち全国市民オンブズマン連絡会議が行いました食糧費出張旅費入札結果調書の情報公開請求などで、都道府県の全庁的、組織的な不正支出むだ遣い、そして公共工事での談合の存在が明らかになりました。各都道府県内部調査などで明らかにした不正支出は、職員拠出金で約三百億円に達していますが、それが弁済されまして、官官接待空出張は現在影を潜めるに至りました。  市民オンブズマンたち改善要求に対する都道府県対応は、いわば開明派知事頑迷派知事に二極分化しておりますけれども、全体の情報公開度はかなり上がって、改善も進んでおります。特に、宮城県、高知県、三重県などの開明派知事のところではさまざまな努力が始まっております。入札制度についても、予定価格事後公表に踏み切る自治体も次第にふえております。私たち予測を超える部分もございます。  こうした知事対応に対する住民一つの回答が、情報隠しの責任をとらされて辞任しました佐々木喜久治秋田県知事辞任事件、そして宮城浅野史郎知事再選知事選における大勝であったと思います。浅野知事は、私たち市民オンブズマンに対して、彼らは敵だ、しかし必要な敵だと言われました。私たちが敵呼ばわりされる覚えはないのですけれども、これは知事からのエールとも受け取れます。行政には市民参加監視が必要なのです。浅野知事は、行政の現場を預かる首長として、職員を監督する管理者として、このことを認められたものだと私は考えております。  変わってきましたのは、行政だけではございません。住民も大きく変わってきました。政治や行政に対しては文句を言う割には関心を示さなかった住民たちが、活動参加するようになりました。私もその一人であります。情報公開請求活動を通じて、市民としての自覚が高まったのだと思います。みんな民主主義を実践しているのだというふうに感じております。選挙のときだけの主権者から、多くの人々が脱皮しつつあるのだと思います。  こうした市民住民の変化を困ったものだと考えるか、あるいは結構なことだと考えるかによって、行政情報をなるべく公開しないようにしょうとするか、なるべく開示する方向へ努力するかが決まってくるのだと思います。この情報公開法案審理は、その選択へのリトマス試験紙だというふうに考えております。  第二点は、公務員情報については全面開示をされるべきだということを申し述べたいと思います。  まず、自治体の現在の公開状況判例を若干見てみます。  私たち連絡会議の第二回全国情報公開度ランキング調査によりますと、都道府県懇談会開催者側公務員氏名開示しているところは二十九に上っております。半数を優に超えております。出張旅費については、出張者氏名開示は三十六に及んでおります。  このように今、都道府県では、公務員氏名を隠す時代は去りました。正確に言えば、去りつつあるということになりましょうか。公務員氏名開示しても、公務の遂行に支障はなく、またプライバシー侵害にもならないということがこれで実証されているわけであります。運用だけでなく、条例でそのことをはっきり決めるという県も出てきております。佐賀、香川、山口、福岡などであります。今なお開示をしないというのは、本当に少数派頑迷派だけだということになります。  情報公開請求訴訟判例はといいますと、懇談会経理関係書類については、大阪府水道部懇談会議費最高裁判決平成六年二月八日のものですが、これによって原則公開とされております。公務員氏名につきましては、東京高等裁判所判決平成九年二月二十七日ですが、これが、国及び地方公共団体担当職員右会議懇談会等出席に関する情報は、私事に関する情報ではなく、公務員の私人としてのプライバシー保護に対する保護は必要でないから、条例に言う個人に関する情報には当たらないと、明快に指摘しております。その他の下級審判例も続々同趣旨のものが出ております。  そういう点からすると、政府案とか、そのもとになっている「考え方」の公開基準は、もう通用しないものとなっております。  政府案第五条の規定では、中央省庁課長相当職以上の公務員氏名開示するということのようであります。これは条文を読んだだけではそう理解できないのですが、「考え方」にそういう趣旨のことが書いてあります。しかし、中央省庁課長職以上の公開というと、現実には圧倒的多数の公務員氏名は不開示となります。恐らく職員の九割以上は隠れてしまうのではないかと思います。これは、今申しました自治体実務判例にも反する開示方式になります。  公務員氏名開示範囲については、ただいま申し上げましたが、第五条の条文を読んで、中央省庁課長相当職以上の者の氏名開示する趣旨だということを理解できる人はほとんどいないと思います。そういう意味で、政府案はまず落第です。だれが読んでもわかるように書いてもらわないといけません。  次に、公務員氏名等慣行として公にされているというのは、中央省庁課長相当職以上に限られるでしょうか。そして、課長さんのその下からは慣行として公にされていないということになるのでしょうか。そういうことはないと思います。  例えば、東京都の職員録は公刊されております。全職員の役職、氏名が明らかにされておりまして、だれでも購入できます。私も持っております。こういう場合には、慣行として公にされている情報として全職員氏名開示されるはずだと思います。そして、中央省庁も、各省庁も職員録や便覧を公刊しております。市販されておりませんけれども、手に入れることもでき、閲覧は自由にできます。そうすると、慣行として公にされている情報ということ、このこと自体も非常にあいまいですけれども、そういう基準中央省庁課長相当職以上に限定するという理屈、理由は成り立たないものと考えます。  このように、慣行として公にされている情報をメルクマールにして、課長職以上に限定する論理は破綻していると思います。こういうあいまいな基準は非常に不適当で、行政の恣意が入りやすいので賛成できかねます。  少し細かい議論をいたしましたけれども、角度を変えて、制度の基本的な目的から氏名公開を考えていただきたいと思います。法律論とは別に、公務員氏名開示をすることの効用をぜひ先生方に考えていただきたいのです。  氏名を含め、原則全面開示となりますと、作成された文書をいつだれが公開請求をしてチェックするかわかりません。ですから、文書は常にきちんとつくっておかなければならなくなります。一つ一つの文書の作成に、直接法的な作成者の責任が生ずるわけではありませんけれども、広い意味では責任が伴うことになります。当然、公務員には緊張が加わります。これからの公務員は大変だと思います。御苦労さまだと本当に思います。  しかし、実はこれが情報公開制度の本当のねらいなのではないでしょうか。上司が終日見張っていなくとも、国民のためにきちんと仕事をする、それが文書に示される。それを、課長職以上しか開示しないとなりますと、大半の公務員氏名は隠されてしまい、国民監視の目が届かず、その効果は半減してしまいます。今日の公務員の腐敗の原因の一つは、そういう個人責任が余りにもないがしろにされているせいだというふうに考えます。  今、政府では、規制緩和社会だといって盛んに国民個人責任を強調しております。自分の足で立って、自分の責任で食べろというわけであります。そうであれば、公務員も率先して自己責任体制への姿勢を見せるべきだと思います。その責任を国民に示すという意味でも、作成文書の氏名開示するぐらいは、公平の観点から見て当然ではないでしょうか。公務員氏名開示するかどうかは、単に不正追及がやりやすいかどうかにとどまるものではありません。公開制度の基本的な機能を全うすることができるかどうかの大問題だというふうに考えております。  さらに、理想を一言つけ加えれば、公務員は、監視されるという受け身の立場ではなくて、日本のナショナルチームの一員として、大観衆の前に自分のプレーを記録するという気概でもって仕事をしてもらいたいと思います。そうすれば、公務員倫理法などはくずかごに入れてしまってもいいわけであります。そういう世の中を期待したいと思っております。  次に、閲覧手数料徴収公開請求の妨害装置だということを申し述べたいのであります。  北海道庁では、七十六億円に上る不正支出、不適正支出が判明し、うち不正支出二十六億円が職員らによって弁済されました。その調査として、九五年以来、市民やマスコミは、九五年度には四十四万百件、実に四十四万件に及ぶ閲覧請求をしました。九六年度には十二万二千件の閲覧請求を行いました。請求者たちはこの中から、九五年度では六万七千六百件の文書をコピーしました。九六年度では三万七千件の文書をコピーしました。  もし、北海道のケースについて、北海道は閲覧手数料を取っていないのですが、北海道のケースについて東京都のように一決裁文書で二百円の閲覧手数料を取るとすると、九五年度には総額で八千八百二万円、九六年度で二千四百四十万円の手数料が徴収されることになります。監査委員も摘発しない庁内の不正を市民が調査するのに、どうしてこんなに費用負担しなければならないのでしょうか。これでは、「考え方」の言う「利用しやすい金額とすることに留意」、「考え方」ではこのように言っておるのですが、利用しやすい金額とすることに留意してほしいと言うのですけれども、これに反することは明らかだと思います。こうした原案をつくるときに、委員の先生方はこうした実情に留意されたのでしょうか。  また、秋田県では、九五年度に二十一万四千七百件の閲覧請求が行われ、九六年度には十三万九千件の請求がありました。同じく閲覧手数料を計算しますと、四千二百九十四万円と二千七百八十万円となります。閲覧手数料の徴収は、明らかに住民監視活動に対する妨害装置です。政府案ではリトマス試験紙は真っ黒になってしまうのであります。  私たち東京市民オンブズマンでも、東京都では一件当たり二百円の閲覧手数料を取りますので、昨年の水道メーターの談合調査では大変に困りました。私たちがほしいと思うもの全部をざっと計算しますと百万円くらいになりそうなので、ごく限られた範囲での請求しかできませんでした。  第四点として、取り消し訴訟における土地管轄のことを申し述べたいと思います。  この法律制定されますと、国民はひとしく国に対して情報公開請求権を持ちます。その権利行使については、だれにも平等な機会や使いやすさが保障されていなければなりません。それは、憲法十四条が保障する法のもとの平等から考えて、当然のことだと思います。請求者の居住する地域によって権利行使に耐えがたい格差が生じ、ある場合には実質的にこの権利が行使できないような状態に置かれるものが出るとすれば、それは憲法の平等保障原則が許容しないはずであります。  私たちの仲間は全国におります。北海道や九州におります。ぜひ、そういう者たちにも、東京近郊にいる者と同じような権利の保障をしていただきたいと思います。行政事件訴訟法の原則があるからだめだというような御説明もありますけれども、そうではなくて、情報公開請求権が憲法の保障する平等原則のもとにひとしく保障されているかどうかの問題でありまして、行政事件訴訟法憲法の下位にある法律であります。そういう点から見ても、それを絶対視することはおかしいと思います。  最後は、政治資金収支報告書のコピーがどうなるだろうかという問題であります。  情報公開法十五条と政治資金規正法の二十条の二第二項の規定を読み合わせますと、閲覧とコピーを別々に請求するようなことになりかねません。この点をぜひこの審議において明確にしていただきたいと思います。この法律ができましても、なお収支報告書には政治資金規正法が適用され、なおコピーは閲覧に含まれずなどということでは話になりません。ぜひこの点の御審議を徹底させてお願いしたいと思います。  以上、述べさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)
  6. 谷津義男

    谷津委員長 ありがとうございました。  次に、立花参考人にお願いいたします。
  7. 立花宏

    立花参考人 経団連の常務理事をしております立花でございます。  本日は、行政情報公開法案につきまして意見陳述機会を賜り、厚くお礼を申し上げます。  私からは、行政情報公開法制定に関する私どもの基本的な考え方と、それから内閣提出法案に対する評価、この二点を中心に、私ども経団連の立場あるいは今後の運用に当たっての要望を申し述べさせていただきたいと存じます。  まず、法制化についての基本的な考え方でございますが、経団連といたしましては、行政情報公開法制定に賛成でございます。その理由は、昨年解散しました行政改革委員会も指摘しておりますように、行政情報公開法は、国民による行政監視、それと行政への参加、この二つに役立つからでございます。  行政監視という面から見ますと、行政情報公開は、行政活動が適正に行われているかどうかをチェックするための手段として重要でございます。現在、橋本内閣が取り組んでおられます行政改革あるいは経済構造改革、財政構造改革などの一連の構造改革につきましても、国民の支持を得るためには行政情報公開は不可欠であるというふうに考えております。  また、行政への参加という面では、役所によります政令、省令の制定、あるいは通達、告示の策定などの行政による立法をできるだけ公正かつ透明な手続により進める上で、この行政情報公開が必要であると考えております。  いわゆる行政立法は、特に規制緩和を進める上で実は問題となるわけでございます。せっかく議会の先生方のいろいろな御苦心によって規制緩和のための法律を改正していただきましても、役所のつくられる政令、省令、あるいは通達、告示、そういったものの内容次第では規制緩和の効果が十分発揮されないということにもなるわけでございます。例えば、通達とか告示によりまして、許認可の審査基準が著しく厳しいものとされたり、あるいは許認可に条件がつけられ、内容が制限されたりする問題がございます。  この点につきましては、行政改革会議の最終報告では、こういった行政立法などを公正かつ透明に行う観点から、あらかじめその原案を公表して、広く国民から意見を求め、これらを考慮しながら行政として意思決定を行うという、いわゆるパブリックコメント制度の導入を提案しておられますけれども、こうした制度が実を上げるためにも、その前提として行政情報公開は欠かせないものというふうに考えております。  こういった観点から、私ども経団連では、政府行政改革委員会による情報公開法要綱案の取りまとめの作業を支援し、またこの作業を見守ってまいりました。その間、二回にわたりまして、情報公開法制に関する私ども経団連としての意見を取りまとめ、行政改革委員会に提言しております。  そのポイントは、第一に、繰り返しになりますが、行政情報公開法制定には基本的に賛成であるという点が第一でございます。第二に、ただし、立法化に当たりましては、行政機関保有する企業情報の取り扱いにつきまして、企業活動の自由を損なうことがないようぜひ十分御配慮いただきたい、そういう点でございます。  第一の点は、先ほど冒頭御説明したとおりでございます。  第二の点につきましては、一部に、この行政情報公開法を使って、あるいはてことして、企業情報をさらに開示させようという考えがございます。しかし、これは考え方としては筋違いではないかというふうに考えております。  もちろん、企業の活動が経済的にもあるいは社会的にも有用な存在価値のあるものとして広く国民の理解と信頼を得るためには、企業も情報開示に積極的に取り組まなければならないことは当然でございます。実は経団連が策定いたしました企業行動憲章でも、こういった企業による情報開示を盛り込んで、会員企業に広くその徹底を図っているところでございます。  しかしながら、企業情報開示は、適切に行われませんと、企業秘密の漏えいにより競争力あるいは顧客の信頼を失ったり、あるいはインサイダー取引といった問題につながる危険性もございます。また、場合によっては消費者に誤解を与え、投資家の的確な判断を損なうおそれもございます。したがいまして、企業情報開示は、基本的には、企業みずからの責任と判断で行うことが基本ではないか。法令による開示につきましても、企業情報の特質に即した制度によって行われる必要があるのではないかというふうに考えております。  営業上の秘密、あるいは商業上または金融上の秘密に属する情報につきましては、アメリカ、カナダあるいはオーストラリアなどでもきちんと保護されているというふうに聞いております。企業情報の取り扱いにつきましては、慎重を期していただきたいというのが私どもの考え方でございます。  次に、こうした基本的な考え方に立ちまして、内閣が提出されました行政情報公開法案を私どもがどう評価しているかについて、御説明申し上げたいと存じます。  全体として申し上げられますことは、政府提案法案は、利害関係者の立場をバランスよく取りまとめられた法案であるという感じで受けとめております。  つまり、行政情報開示を求める側の権利の保障の問題、さらには行政機関の側の透明、公正な判断と迅速な事務処理の必要性の問題、さらには企業などの情報提供者の側の秘密保護などの要請につきまして、配慮が行き届いた法案になっているかと存じます。私ども経団連として注目しておりました企業情報につきましても、企業秘密の保護配慮されているというふうに理解しております。  なお、企業側から行政の方に任意に提供された非公開約束の情報が不開示情報とされるということにつきましては、これは問題であるといった御意見もあるやに伺っておりますけれども、私どもとしましては、次に申し上げる三つの理由から、政府提案法案規定が適切ではないかというふうに考えております。  その理由の第一は、非公開を約束して企業から入手した情報行政公開するということは、そもそも信義則に反するのではないかということでございます。仮に行政機関がこのような行動をとれば、将来にわたっていい意味での官民の信頼関係が損なわれ、行政機関としても必要な情報を手に入れることが極めて難しくなるのではないかというふうに考えられます。  第二に、この点をめぐっては非常に誤解があるようでございますけれども、行政機関と企業とが約束さえすればどんな企業情報でもすべて不開示になるというわけではございません。実際に不開示とされる情報は、不開示とすることに合理性があるものに限定されるわけでございます。  それから第三に、企業秘密の保護のこの規定は、米国の情報自由法をめぐる判例でも明らかにされておりまして、情報公開法制の国際的調和という観点からも企業秘密の保護は必要かと存じております。  以上申し上げましたとおり、経団連としましては、内閣の提出された情報公開法案を評価しておりまして、その成立を望む次第でございます。  その上で、この制度我が国にとりまして画期的な制度であるだけに、無用な不安あるいは摩擦、混乱を起こすことなく我が国になじみ、定着させていくために、運用段階でぜひ二点ほど要望させていただき、先生方の御配慮をお願いしたいと存じます。  第一は、情報開示決定に先立って、当該情報に係る第三者に意見提出機会をぜひ与えていただきたいという要望でございます。  内閣提案法案の第十三条では、行政機関の長が企業などの第三者に関する情報が含まれておる行政文書の開示決定を行う場合には、企業等の第三者に意見書を提出する機会を与えることができるということになっておりまして、必ずしも企業の意見を聞くことが義務化されておらないわけでございます。  情報公開法日本の経済社会に根づかせていくためには、やはり、その情報関係する企業にとっていかに重要であるかをしんしゃくされないまま公開されるのではないかという不安が、実は企業側には強いわけでございます。そういう不安を払拭してこの情報公開法制日本の経済社会に定着させていく意味で、こういった企業側の不安を取り除くためには、企業情報開示が請求権者から求められ、行政庁がその情報開示の是非を判断する場合には、事前に当該企業の意見を聞くことをできるだけ配慮していただきたいという感じがいたします。  開示請求権につきましては何人にも認めると同時に、請求権者の方の権利保護につきましては、不服審査、さらには裁判による判断ということで二重三重の保護が加えられているわけでございまして、逆の意味で、行政情報を提供している企業サイドの懸念、不安に対しても、それなりの配慮があってしかるべきではないかなという感じがいたします。  その意味では、法案の第五条の二のロでは、行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人または個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付すことが情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるものにつきましては不開示情報としておりますけれども、御案内のとおり、我が国では行政情報を収集するに当たっての一般的なルールがまだ確立されていないこともございまして、企業が過去に役所に提供した情報につきまして、公にしないとの約束があったのかなかったのかということを一々確認することは、一般的には困難ではないかと思われるわけでございます。  また、具体的にどのような情報がこういった不開示情報に該当するのかどうなのか、個別具体的に行政機関と企業との判断が異なることも十分考えられるわけでございます。  そういうことを考えますと、この法案の第十三条に基づく第三者からの意見提出の手続は非常に重要であると考えておりまして、ぜひ、この法律運用に当たりましては、これを可能な限り行っていただくよう要望いたしたいと存じます。  第二は、公益上の理由による裁量的開示の問題がございます。  政府提案法案では、個人情報あるいは企業情報の双方につきまして不開示情報を定めておりますが、いずれの不開示情報につきましても、人の生命、健康、生活または財産を保護するために必要であると認められるときには開示をするとしております。これは私どもから見ましても当然のことでございまして、この義務的開示には基本的に異存はございません。  しかしながら、法案ではこれに加えまして、行政機関の長は公益上の理由があると判断した場合には、裁量により、行政機関の長の裁量により不開示情報開示できるというふうにしております。このような重要な判断を行政機関の長の自由裁量にゆだねるということになりますと、省庁によって判断がまちまちということになり、個人プライバシーあるいは企業秘密が守られないおそれもございます。ぜひ、運用段階では統一的な基準、ルールを明確にしていただくよう、お願いしたいと存じます。  最後に、情報公開法制整備されるこの機会に、二点ほど関連の制度整備につきましてお願いして、私の意見を終えたいと存じます。  第一は、行政によるさまざまな情報収集活動について、一定の枠をはめる制度整備していただきたいということでございます。いわゆる行政情報公開法は、行政による情報の出口を規律する法律でございますが、行政による情報の収集の入り口にどうやって枠をはめていくのかという点がございます。  時間の関係で先に進めさせていただきますが、第二は、いわゆる役所の通達、告示といった行政立法を透明なものにするための制度をぜひ確立していただきたいということでございます。  行政立法のうち、政省令のコントロールは国会の先生方のお仕事であろうかと存じますが、役所のつくられる通達、告示などにつきましては、先ほど御紹介申し上げたパブリックコメント制度などによりまして、その策定過程をオープンにし、公正、透明なものにすることが必要であると存じます。  現在、中央省庁再編成の法案国会提案され、検討されていまずけれども、これが成立いたしますと、中央省庁の再編成に向けた準備作業が本格的に進められることになるわけですが、こういった中央省庁再編成の、行革の一環としまして、役所のつくられる行政立法に関する制度整備もぜひお願いしたいと存じます。  以上をもちまして、私からの意見陳述とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  8. 谷津義男

    谷津委員長 ありがとうございました。  以上で各参考人からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 谷津義男

    谷津委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。
  10. 小野寺五典

    ○小野寺委員 小野寺五典です。きょうは、自由民主党を代表しまして、参考人に質疑をさせていただきます。  日ごろこういう活動に大変御尽力いただきまして、参考人の皆様には大変ありがとうございます。特に塩野先生には、要綱案作成に御尽力いただきまして、感謝しております。また、高橋参考人には、私も仙台市民でありました、日ごろの活動につきまして心頼もしく思っている者の一人であります。また、立花参考人には、以前に経団連の方でのアンケート調査の結果を見させていただきました。公開に対して、日ごろ企業活動の中で非常に積極的な御尽力をいただきまして、大変感謝しております。  そういった中、この情報公開法、一刻も早く成立をさせ、また、その実効ある運用をするべきだと思っている者は、国民全部ではないかというふうに思っております。きょうは、その中で、少し実のある議論をさせていただきたいと考えております。  まず、塩野参考人にお伺いしたいのですが、今回の情報公開法の中で特に議論となっていますのは、幾つかの不開示情報の問題であります。  この中で、特に防衛、外交、捜査情報に関しまして、政府提出案、三派案それから共産党案、それぞれかなりの違いがあると思うのですが、この非常に国家機密に関します防衛外交情報についてどのような取り扱いをしたらいいのか、御意見を伺わせていただければと思うのです。
  11. 塩野宏

    塩野参考人 今の防衛等の条項につきましては、政府案で申しますと、五条の三号それから四号、特に三号の話ということになろうと思います。  前提的なことを申しますと、現行法では、安全保障条約の執行に関するごく一部のものを除きましては、我が国には法制上、国家機密の観念はございません。もう少し正確に申しますと、秘密保護法はないということは御案内のとおりだと思います。それを前提にいたしまして、情報公開法制をつくらなければならないというのが我々の了解でございました。  そこで、それをどういうふうに不開示情報の中に入れるかということで大変議論をいたしました結果、三号に書いてありますように、行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報で、公にすることにより国の安全が害されるおそれ、あるいは他国との信頼関係が損なわれるおそれ、あるいは交渉上不利益をこうむるおそれがあるというふうな場合には不開示情報ということで、その点は、五号以下におきましては、おそれがあるということで、不確定概念ではありますけれども一つの客観的なものを志向しているのに対しまして、こちらの三号あるいは四号では、行政機関の長の裁量を裁判所が尊重する、あるいは尊重すべきであるという建前でこれがつくられているというわけでございます。  なぜこういうことになったのかについては、いろいろ御議論もあるところかと思いますけれども、今申しましたような事情で、我が国法制上こういう形になったということでございます。  他国を見ますと、こういつた事柄につきましては、日本とやや同じように、リーズナブルクローズ、合理的な理由がある場合には不開示であるというふうな規定の仕方もありますし、大統領令とか、あるいはあらかじめこれを適用除外するというような形で処理をしている例があるわけでございます。  以上でございます。
  12. 小野寺五典

    ○小野寺委員 今の防衛外交情報につきまして、特に政府案につきましては、最終的な判断というのがいわゆる政治に任されているといいますか、そういうふうな問題があると思うのですが、三派案につきましては、最終的に司法の判断に任すというような解釈ができると思いますし、また共産党案につきましては、防衛情報の不開示情報という明記が特にないという中で、この点につきましては私、政府案については、確かにこのような規定が必要だし、また最終的にはやはり政治の判断、特に防衛上の問題といいますのは特殊な事情もありますので、政治の判断が必要かなというふうに考えております。  次に、企業の活動に関していろいろな問題が発生すると思うのですが、立花参考人に、存否に関する情報について、ちょっとお伺いしたいと思います。  特に、先ほど立花参考人の方からお話がありました企業の任意提出情報について、これに関しては政府案でもしっかりとした規定があるわけなんですが、その中で今議論になっていますのが存否に関する情報ということで、政府案については、存否に関する情報規定をされております。三派案につきましては、存否に関する情報規定というのを、外交、防衛、捜査、個人ということで、実は企業の方は限定しておりません。また、共産党案では存否に関する規定を置いていないということです。  企業活動の中で、その情報があるかないかということが企業の営利活動に関して大きな影響を及ぼすというような事例というのが幾つか考えられると思うのですが、その点についての御意見が先ほどちょっとなかったものですから、聞かせていただければと思っています。
  13. 立花宏

    立花参考人 経団連の中で少し議論を行いましたとき、今の存否に関する情報につきましては、例えば研究開発をやっているのかやっていないのかというような、あるなしの問題ですね。やっているということが一たんわかれば、それを少しずつ外縁からフォローしていけば具体的な研究開発の内容はわかるということで、やはりこの存否に関する情報について、あるなしの情報についての規定は、企業の情報保護という観点から私どもは必要ではないかなという感じがしております。  以上でございます。
  14. 小野寺五典

    ○小野寺委員 それから、今回、不開示情報の中でもう一つ議論となっていますのが意思形成過程情報の問題であります。  特に政府案につきましては、不開示情報のうち、審議検討の意思形成過程、この過程というのがかなり重要な意味合いを持ちます。また、その過程の途中で幾つかの情報が外に公開されるということで、むしろ、ある面で政策決定にいろいろな影響を及ぼすということも想定されるのですが、塩野参考人にお伺いしたいのですけれども、この意思形成過程情報について、諸外国の例を含めて、どのような状況になっておりますでしょうか。
  15. 塩野宏

    塩野参考人 意思形成過程情報とはここには直接は書いていない、五条の五号に意思形成過程という言葉は用いておりませんけれども、内容的には今おっしゃったような事柄だと思います。これにつきましては、諸外国の例を私はそうつぶさには存じ上げないのですけれども、これに類するような条項については、不開示情報として扱っている例があるやに聞いております。  どういうことがあるかということでございますけれども、部会の中で議論しておりましたときには、例えば国民生活安定緊急措置法でございますか、それで物資を指定するというときに、それを委員会等々で議論している最中にその情報請求があって、それを直ちに開示するということになりますと、その物資指定情報というものが漏れますので、そうしますと国民生活安定緊急措置法の所期の目的を達しがたいことがあるのではないかということで、こういう条項が設けられたということでございます。  そのほかどういうものがあるかということは、なかなか実例はすぐさまには思い浮かばないことがございますけれども、こういう規定を設けたという趣旨は、たまたまこういう問題が起きたときに規定が何らもないと、実はこの六号で書いております「その他当該事務又は事業の性質上」云々という、そこで全部読み込むということになります。我々の考え方としましては、こういったその他条項はなるべく使わないようにといいますか、ある程度予測される、あるいは理屈上予測される開示請求でそれに対してはやはり不開示とする理由があるというものについては、なるべく法律に掲げておいた方がいいのではないかという、そういう考え方でこの五号もできているというふうにお考えいただきたいと思います。
  16. 小野寺五典

    ○小野寺委員 こういう形で、今、行政本体に関しては情報公開法で幾つかの門戸が開かれるということになると思うのですが、現在、国民の関心というのは、行政本体以外に、今回の中でもうたっておりますが、特殊法人あるいは認可法人、指定法人、そういう行政の、附属機関という言い方はちょっと変ですが、それにかかわるような幾つかの機関に関しての内容についても、国民の知る権利ということがかなりうたわれる部分があるのかなというふうに思っています。  今回の規定の中で特殊法人について幾つかの規定があると思うのですが、これは要綱案をおまとめになりました塩野先生に、その目的、趣旨について、ちょっとお伺いしたいのです。特殊法人についてです。
  17. 塩野宏

    塩野参考人 特殊法人の扱いにつきましては、部会でさんざん議論をいたしました。  特殊法人も一律に、これを情報公開の適用対象とすべきだという議論もありました。他方、特殊法人については一切適用すべきでないという議論は、これはございませんでした。つまり、先ほどちょっと申し上げたことかと思いますけれども、特殊法人にもいろいろな性格のものがあるので、これを一律に決めるわけにはいかないのではないかというふうなことで、結局のところは、要綱案及び政府案に書いてあるような形で、問題を後に残したような形で四十一条でまとめられているということになりました。  その後、実は多少私も外国の事情を知る機会がございまして、調べたところ、先ほどちょっと申し上げましたように、特殊法人という概念は日本国有のものでございますけれども、それに類するものは各国にございます。しかし、各国は各国なりにそれぞれ整理をしているようでございまして、多少専門的なことにわたりますけれども、ドイツでは公法という観念がキーワードでございます。フランスは公役務という観念がどうもキーワードでございます。イギリスは、ああいう国ですから、大変ファンクショナルに動いていてなかなか整理がしにくい。アメリカはどうも政府の支配という観念が割合キーワードになっているようでございます。  しからば日本ではどうかと申しますと、特殊法人についてさえ、先ほど申しましたように、これは行政主体なのか、やっているのは行政なのか何なのかということを詰めた議論は、学者の一部でやっておりましたけれども、実は政府でもやっていないわけでございまして、例えばNHKは行政を担当しているのかと詰め寄られますと、これはなかなか返事のしにくいところもあろうかと思います。それから、政府出資のないものも、NHKもそうでございますけれども、いろいろあります。商法上の会社もあります。それから、私立学校の教職員の共済組合は特殊法人なんですけれども、国家公務員共済組合は特殊法人ではないのですね。  ですから、そういったものをどういうふうに切り分けるかということが大変難しかったので、先ほど申し上げたような次第で要綱案をまとめたわけでございます。  しかし、私、これをほっておいていいというわけでは毛頭ございませんので、二年以内に何とか日本的な情報公開法の適用範囲を決める、あるいは、情報公開法の適用ではなくてもう一つ何か別の枠組みをつくるかというようなことも含めて、二年間にわたって議論する時間的余裕を与えようという三党合意に私は賛成をしております。
  18. 小野寺五典

    ○小野寺委員 済みません、また塩野先生に。  今、特殊法人のことについて言及されたのですが、認可法人、指定法人についてはどういうふうに考えたらいいでしょうか。
  19. 塩野宏

    塩野参考人 そこが大変難しい話でございまして、指定法人の中には特殊法人よりも国的であるというものがあることは御承知のとおりでございますし、御案内のように、日銀も日本赤十字も認可法人でございます。あるいは放送衛星機構も認可法人でありまして、その認可法人の中には特殊法人になり損ねたものも認可法人になっているということも委員御案内のとおりでございますので、これを全く度外視して議論するわけにはまいりません。  しかし、認可法人であるものも含めて法案をつくらなければならないという枠をはめますと、これまたなかなか難しいところがありまして、そういった指定法人もあるいは認可法人も視野の中に入れながら考えていく。出口はなかなか、私、今直ちに答えはできかねますけれども、出口についてはまだいろいろな方策があろうかというふうに考えております。
  20. 小野寺五典

    ○小野寺委員 今、情報公開法について、大枠について私も確かにこの政府案に対しては賛成をしておりますが、この特殊法人の扱い、それから認可法人、指定法人の扱い。特に、政府の仕事をかなり肩がわりしている、そういう指定法人認可法人があることは塩野先生御指摘のとおりだと思います。そういう中で、今後、こちらの方にもぜひ目を向けていっていただければなというふうに考えています。  いずれにしましても、今回の情報公開法、これは一日も早い成立を国民が望んでおります。各国の例を見ましても、情報公開法成立後に、いろいろな形で改正が数多くされています。ですから、まず、日本で初めての試みでありますから、法成立を目指しまして、その後、使いやすいように、あるいは実効あるように、その都度見直していくということも今後必要ではないかと考えております。  きょうはどうもありがとうございました。質問を終わります。
  21. 谷津義男

  22. 北村哲男

    北村(哲)委員 私は、今回の野党三党案と申しますか、そちらの合同案の提出者の一人の民主党の北村でございます。  まず、塩野先生にお伺いしたいと思います。  先生には、先生が中心となられてこの大変な法案作成にかかわられた、特に、日本の官僚機構にメスを入れる、あるいはその厚い壁を前にして、六十回にもわたる会議を重ねられて、この情報公開法要綱案をおつくりになったというその御努力に、心から敬意を表したいと思っております。  また、本日先生がお見えになるということで、私が御質問させていただくというふうに聞かれた方々が、先生に対してあれも聞いてくれ、これも聞いてくれと山ほど質問が参りましたけれども、たった十五分間でなかなか質問もできませんので、一、二点をお伺いしまして、また今後いろいろと御指導をいただきたいと思っております。  まず第一点として、先生も先ほどお触れになったのですけれども、要綱案の目的の中に、「行政監視参加充実に資することを目的とする」ということがございました。  これについて、先生は先ほど、その意味が今回の政府案の中に入っておればいいんだがというお話があったのですけれども、私自身は、情報公開法というその目的は、三つの要件といいますか、一つは知る権利を明確にし、そしてアカウンタビリティーを明らかにし、最後に監視参加という三点が全く要件でありまして、一点については先生もいろいろあると思いますが、特に第三番目については大変適切な言葉だと思っておるわけです。  ところが、政府案は、「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資する」という、何かもやもやとした、どういうことなんだろうかなと。先生も、これが監視参加をあらわすならば私もいいというふうに言われたのですけれども、私は、法律をつくる者が最も心血を注いでつくるところは、まさにその目的条項だ、目的のところだと思うのですね。また、先生は、報告の考え方の中でも、特に一番最初に参加監視を強調しておられる。  その点について、こういうふうに政府案が変えてこられたということについて、もうちょっと率直な御感想をお聞きしたいと思います。
  23. 塩野宏

    塩野参考人 率直な意見ということですので、率直に申し上げたいと思います。  一つは、監視参加はアカウンタビリティーの中に含めて議論されているというのが、私の知る限りではイギリスあたりの理解のようでございます。つまり、例えば今度イギリスで出ましたホワイトペーパーにおきましても、ホワイトペーパーで情報公開法の目的が書いてございますけれども、そこでは、オープンネス・アンド・アカウンタビリティーとございます。それから、同じくイギリスの系統に属しますウエストミンスター諸国のある国においても、オープンネス・アンド・アカウンタビリティーと書いてございます。監視はスクルーティニーだと思いますけれども、それからパーティシペーション、これはアカウンタビリティーの中の機能であるというふうに理解しているというのが一つございます。  そうしますと、一番重要なものとしての説明する責務ということが書いてありますと、私は多少勉強をしましたのでその中にも当然に含まれていると。しかし、日本では今までそういった言葉はなかったので、それだけでは不十分だろうということで、監視及び参加ということをさらにつけ加えたという事情がございます。  さらに率直に申しますと、部会の中で、アカウンタビリティーの観念が出る前から、参加監視という言葉あるいは機能ということは非常に大事な機能であるということは議論をしておりましたので、その言葉が一条に残っていると申しますか、要綱案に率直にそのまま出ているということでございます。  それからもう一つ、私の立場といたしましては、要綱は我々法律専門家あるいは経済界のその道の専門家が集まってできたものでございますけれども、私どもは、少なくとも私は、私は法制局参事官であるなどと思ったことは一度もございません。法制局参事官であれば表現できないようなことでも、学者、法律家としてならば表現できるということを率直に、あるいは法律家としてのぎりぎりはここまでだということで発言をしてきたわけでございます。  そこで、監視参加というのが、法制局の折衝の過程あるいは総務庁でのいろいろな用語の整理の過程で、既に言葉が使われていると、同じような言葉をなかなか使いがたい。つまり、監視参加というのは既に、例えば監視という言葉は、監視し監督する、そういうふうに一つ制度になっている。参加も、ある決定参加するということでございます。私の言葉で申しますと、それぞれ事件性を持って語られている言葉だというふうに思います。ケースというより、もうちょっと広い分野、あるいは事件性がある。  ところが、この情報公開法の大変な特色は、事件性がないのですね。あらゆることについてスクルーティニー、すなわち監視をする、あらゆることについて参加をして意見を申し述べる、そういうものでございますので、それを条文上どう書きあらわすかということについては、私は法制専門家ではございません。法制専門家が、要綱案に書いてある監視参加というのは当然ここに含まれているということであれば、先ほど申しましたように、まさに国会の場でそれが確認される、そして、それを記録に残すということが一番重要なことではないかというふうに私は考えておる次第でございます。
  24. 北村哲男

    北村(哲)委員 ありがとうございました。  ただいまのお話で、この中に監視参加という言葉が含まれておるということが確認されればいいというふうなお話でございましたので、私どもも今後の審議の中でその辺は確認させていただきたいと思っております。  さて次に、時間も少ないので、もう一点、いわゆる任意提供情報という中で三つほどお聞きしたいのです。  一つは、企業から公にしないとの条件を付されて提供された情報公開されないとすると、裁判所が本来有する公開か非公開かの最終判断権を、政府と企業との主観的な約束とかあるいは条件によって奪うことにならないだろうかという疑問が一つでございます。  それから二番目は、この中に、通例として公にしないという言葉がございますね。すなわち「法人等又は個人における通例として公にしないこととされているもの」という規定の仕方、これは、国民の有する情報公開請求権を制限するのに、法人などの通例という私的な運用に左右される概念を持ち込んでしまって、不公開情報の定め方として客観性を欠くのではないかということ。  それに関連してもう一つ要綱案の中で「約束」といういわば客観的なものがあったにもかかわらず、これを「条件」というふうに変更になっているということは、私はやはり、先ほど立花さんも言われたように、かなりそのあたりはあいまいにしてしまったのではないか。約束なら約束の方がまだよろしいのではないかという気がするのですけれども。  その三点について、まとめてでございますけれども、御意見をいただきたいと思います。
  25. 塩野宏

    塩野参考人 ある情報が任意提供の条件に適合している限りにおきましては、企業の主観的判断になると思います。しかしそれは、企業の主観的判断によって、任意提供ですけれどもどうぞあけてくださいと言えば、それも主観的判断であけるということになりますけれども。  問題は、その主観的判断が企業の恣意的な、あるいは企業と行政の側の恣意的なやりとりによって左右されるかどうかという点でございまして、この点は、実は要綱案をつくる前、中間報告の前、ちょっと正確に覚えておりませんけれども、割合ここはストレートで、任意提供情報が出てきたときに、恐らく高橋さんを初めとする各サイドから、それは非常にあいまいではないかということで、もう少し何かきちんとした客観的な要件を課すべきではないかという御意見がありました。私ども、それは大変もっともというふうに考えまして、その要件をここの中に書き込んだということでございます。  ですから、企業の主観的判断ですけれども、それが恣意にわたるかどうかについては裁判所の客観的な判断が及ぶということに私は理解をしております。  それから、「通例」の点でございますけれども、この点も、要するにこれは一種の社会通念というような話でございますので、通例であるかどうかは裁判所が判断をするということで、企業がこれが通例だと言ってそれが通用するものではないという事柄でございます。  それから、恐らく「通例」のところも含めまして、「約束」が「条件」になったということで、これは、政府要綱案を基礎としながら法文を作成していくときに整理を、それこそ先ほどの、法制、実務的な観点から整理をしたものというふうに思っておりまして、この部分は私は、全く足しもしていなければ引いてもいないというふうに理解をしております。
  26. 北村哲男

    北村(哲)委員 どうもありがとうございました。私どもも、そうであることをさらに確認していきたいと思っております。  次に、高橋参考人にお伺いしたいと思います。  市民オンブズマン連絡会議情報公開度ランキング調査という先ほど配られたものがありますけれども、自治体で、食糧費や出張旅費公務員氏名開示状況にかなりの差が出ておるようです。参考人は開明派と頑迷派というふうなことを言われましたけれども、その違いですが、都道府県条例規定はどこもほぼ同じと考えていいと私は思うのですけれども、それがどうしてこのように違ってくるのでしょうか。参考人のお考えをお聞きしたいと思います。
  27. 高橋利明

    高橋参考人 御指摘のとおり、都道府県公開条例はほぼ同じだというふうに考えていいと思うのです。そうであるのに、私たちの調査では、非常に限られた項目の調査ですけれども、例えば北海道の七十九点と愛知県の二十点というように、百点満点で相当開きがございます。これはひとえに知事さんの姿勢が反映されていると思うのですね。知事が出せと言えば出るので、出さないと言えば出さない。  しかし、条例が同じなのにそういう運用が違うということは、条文解釈が各都道府県によって非常に恣意的に行われている。その一つの典型例が東京都なんですが、同じ条例であって、当初私どもが九五年に請求したときには一切出さない、一枚も出さない。しかし現在は、青島知事も多少反省されたか、今の東京都は非常に公開度が高いのですね。手数料を取るから非常に問題なんですけれども、それ以外ではいい。ですから、そういうように、条文を改正しないで全く白が黒になってしまったりする。  こういうようなことは、もう何としても条例解釈が恣意的に行われている。考えようによっては、果たして日本が法治国家かと、条令や法律を守っているのかという、本当にそういう根本的な疑問を持ちます。
  28. 北村哲男

    北村(哲)委員 実際の運用が非常に難しいがということは、私どもの法案の将来についても非常に警戒というか、思いを深くしていかなければいけないと思っているのです。  次に、これまで自治体は、懇談会費すなわち食糧費ですか、そういうものについての経理関係書類を不開示にするについて、一体どういうふうな理由を挙げてきたのか、どういうふうなことで断ってきたのかということについて、ちょっと実情というか、あるいは先生の御経験でその点についての御意見があればお聞きしたいと思います。
  29. 高橋利明

    高橋参考人 これも今御説明したようなことの延長線になるのですけれども、結論的に言えば、全くこじつけとしか思えないような理由がいっぱいあります。  例えば公務員情報に関しては、もう一律に、個人が識別されるというふうに言ってくるのですけれども、書類の中には個人名の記載のないのが随分あるのですね。記載がないのに、個人が識別されると言って出さないのですね。  実情と言えば、ちょっと前ですと、ごらんいただきたい、これはもう全部真っ黒けです。これでコピー代を取るのですから、もうどうにもしようがないのです。  それから、お店の請求書ですね。何か飲食すると請求書が出ます。それを、請求書の作成者、企業の名前を全部消してくるのですね。何で消すかというと、まあお酒が幾らとかお刺身が幾らとか書いてあるのもありますけれども、それを全部開示すると営業方針や価格設定など営業上の秘密やノウハウ、経理内容が第三者に知れるところとなり、当該債権者、これは業者ですが、債権者の競争上の地位その他の事業上の利益が著しく損なわれる、こう言うのですよ。請求書を出すと。  こういういろいろな経理関係書類開示を請求するのですけれども、こういうものも意思形成過程の情報だと言うのですよ。ある職員とだれかが会っている。ここでは会議の中身は全然何も出ていないのです、どこで何を食べたかぐらいがせいぜいなんですね、これが意思形成過程情報なんですよ。ですから、もう何でも理屈をつけて隠す。  それで、そういうような主張は結果的には裁判所でことごとく却下されるのですね。個人的にその担当者はもう本当に恥ずかしくてしょうがないと思うのですけれども、集団になってしまうと組織防衛のためにはどんなことでもやるというのが、私どもの経験で、本当に身にしみついております。  ですから、そういう乱用のないように、ぜひしっかりした、不開示情報を限定したものをおつくりいただきたいと思います。
  30. 北村哲男

    北村(哲)委員 時間がなくなりました。  立花参考人には御質問の用意もしておったのですけれども、大変申しわけありませんでした。  もう時間がありませんからやめますが、私は、特に立花参考人が、任意提供情報の中で、例えば行政の要請がどうだとか、一体要請なのか強制なのかとか、あるいは条件がどうなのか、約束がどうなのかということをはっきりしなければいけないというふうに言われたことは、大変重要なことだと思っております。むしろ、私どもは、これではちょっと条文として不十分だというふうに思っているということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  31. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  倉田栄喜君。
  32. 倉田栄喜

    ○倉田委員 平和・改革の倉田でございます。参考人には、きょうは大変ありがとうございます。  順次質問をさせていただきたいと思いますが、まず塩野参考人に御質問させていただきたいと思います。  先生が情報公開部会の中の専門委員として大変御努力をいただきましたことは、私も大変高く評価をいたしております。  そこで、先生にはいわゆる情報公開部会の代表としての御意見もあるのだろうと思いますけれども、きょうは参考人として、先生御自身のお考え、あるいは情報公開部会の中で御自身のお考えがまだ十分でないな、こう思われることがありましたら、ぜひお聞きをしたいと思うわけであります。  まず、目的規定の中で、いわゆる知る権利も一つ大きな争点になっております。この知る権利ということについて、政府案、要綱の立場の中ではまだまだ概念が明確ではないとか、あるいは請求権的権利として確立はしていないとか、そういう議論があったわけでありますけれども、先生は、目的の中に知る権利を立法府として明記することについては、御自身のお考えとしてはどうお思いになりますか。
  33. 塩野宏

    塩野参考人 私の個人的な意見を率直に言わせていただきますと、日本法律におきましては目的規定の中に余り多くのものを詰め込み過ぎるというか、あるいは理念を詰め込み過ぎるのではないかというのが私の率直な意見個人的な意見でございます。  つまり、欧米の情報公開法を見ますと、知る権利という言葉は、使っているのは今までのところは韓国のみでございまして、先進諸国と言われている各国においてはそういう規定はございません。幾つかの国でオープンネス・アンド・アカウンタビリティーという言葉を使っておりまずけれども、そのほかの国では極めて淡々と適用関係規定しているだけでございます。  ところが、日本法におきましては、日本法でも例えば行政事件訴訟法なんというのは何の規定もないのです、目的規定については。定める以外には本法によるという、それが第一条の規定でございます。しかし、日本では、特に行政作用法では、そういった、目的規定を明らかにして行政の恣意的な運用を妨げる、あるいは枠をはめる、あるいは意義を高らかにうたうというような形がございましたので、この情報公開法もその前例に倣っているということでございます。  そこで、知る権利でございますけれども、知る権利が憲法の学説上広く認められているということは私もよく承知をしておりますし、私の教科書の中にも、行政法の教科書でございますけれども、行政手続法の憲法上の根拠は憲法三十一条というよりも手続的法治国ではないか、これに対して情報公開法は、憲法的な条文根拠は違いまして、憲法二十一条に由来するところの知る権利であろうというふうに書いてございます。  そのことと、しかし条文上それを書くかどうかということは全く別の話でございまして、学説を背景に裁判所で知る権利が抽象的権利として認められるではないかということは学者としても当然の話でございますけれども、条文の形でその憲法上の言葉を書くかどうかという点になりますと、これは全く別の話でございます。  その意味で私は要綱案考え方に賛成しているところでございまして、最高裁判所判決では請求権的意味での知る権利は認められていないということでございます。私もそのとおりと考えておりまして、憲法上の権利を確定するのは憲法制定権者であるか最高裁判所であるか、いずれかでございます。  なお、私も、教科書に知る権利が憲法二十一条に由来するのではないかというふうに書いておりましたけれども、その後勉強してまいりますと、どうも憲法上に言う抽象的権利というのはかなり日本的なと申しますか、余り普遍性のある概念ではないのではないかということを最近考えるようになりました。これは学問上の問題ですので、きょう一々御説明する時間的余裕はございませんけれども、私は、ぎりぎりのところは要綱案に書いてあるような意味で、やはり最高裁判所で認められていない限りでは知る権利という言葉条文上書きあらわすのは適切でないというふうに考えております。
  34. 倉田栄喜

    ○倉田委員 もう一点お伺いしたいと思います。  先ほど、裁判管轄の問題で、いわゆる行政事件訴訟法との整合性との関係で考えるべきではないのかと。行政事件訴訟法が現在の段階においても使い勝手がいいのかどうかも含めて検討すべきではないのかということをお話しになりました。  この点、例えば情報公開法の中で裁判管轄の特則を設けるとか、あるいは、現在の段階で結構でございますけれども、行政事件訴訟法裁判管轄が被告住所地、国の機関であれば東京ということについて、先ほど高橋参考人の方からも平等に反するのではないのかという意見もあったわけでありますけれども、この点について先生御自身はどうお考えになりますか。
  35. 塩野宏

    塩野参考人 先ほど来、裁判管轄の点について平等のお話が出ておりますけれども、情報公開法における不平等であるという御指摘は、行政事件訴訟法裁判管轄制度そのものに対する御批判だというふうに私は承っております。同じ処分でも、住所地が違う人にとりましては一々東京に来なければならない、特に大臣が処分権者の場合は。秋田にいようと札幌にいようと、その方は東京裁判所になるということでございまして、それは情報公開法には限定されないということでございます。  そこで、そういうことから行政事件訴訟法を見ますと、行政事件訴訟法もそれなりに対応はしているところがございます。合意管轄制度も認めておりますし、それから不動産等につきましては例外的な規定を置いております。それから、行政事件訴訟法が準用いたします民訴法におきましては移送規定がございますけれども、それも準用を排除しておりません。しかし、特に移送の問題でございますけれども、現在そのようなことで運用がなされているかというと、それはどうも私余り聞いたことがないのですね。なかなか、民訴法の裁判管轄移送の適用は非常に限定的なものではないかというふうに私も理解しておりますので、そういった解釈上の問題もございます。  そこで、私は基本的には、使い勝手のいい行政事件訴訟法ということを目指す以上は、住所地も認めるというのが当然だとは思います。ただし、その場合には何らかの手当てがいろいろ必要であろう。  それで、最近の学者の論文を読んでおりますと、国立大学の先生なんですけれども、国立大学で、あちこちから情報公開請求ができたらば、我々の陣容では、あすは秋田、次は青森とかなんとか、とても対応できない。だから、ぜひそこは住所地と決めた上で、なおかついろいろな手当てをした上で考えよ、そういう御提案が、学者の側から論文が出ているところでございまして、私もそれには共感を覚えるものがございます。  そういうことで、私自身の考え方は、住所地ということについて十分意を用いながら、それから出てくるデメリットをどういうふうに考えたらいいかということが問題であるということを申し上げておきたいと思います。
  36. 倉田栄喜

    ○倉田委員 次に、高橋参考人にお伺いいたしたいと思います。  参考人は、いわゆる各地の情報公開条例についてはお詳しいかと思います。今回の政府案にしても、三党案あるいは共産党案にいたしましても、この法律と、どちらと比べるかで違いますけれども、各地の条例とを比較されてみたときに、どうでしょうか、条例の方が進んでいるところもあれば、あるいは進んでいないところもあるかもしれない。そうすると、少なくともこの法律ができましたときに、その条例との関係をどういうふうにお考えになればいいのか。少し抽象的な質問ですが、この点が一点。  それからもう一点。先ほど参考人は、公務員氏名の問題を御説明いただきました。これは、いわゆる個人識別型で対応するのか、あるいはプライバシーが実質的に侵害をされるのかというところで対応するのか、結論が多分違ってくるのだと思いますけれども、公務員氏名を原則開示することによって公務員の方々のプライバシーというものが侵害されるおそれがないのかどうか、あるいはその点についてはどうお考えになるのか。  この二点についてお聞きしたいと思います。
  37. 高橋利明

    高橋参考人 条例法律との関係ですが、本来、学問的なことは私はよくわかりませんけれども、とにかく先ほど御説明させていただきましたように、公務員氏名などに関してはもうほとんど全面開示が圧倒的に多いわけです。ところが、今回の政府案がそのままですと、その点ではむしろ非常に後退することになります。  そこで、私どもは、法律としては、これは公開の最低基準を決めたものであって、条例が上回ることは一向に差し支えない、こうあるべきだと思うのですね。とりわけ、法律ができたために条例をみんなレベルダウンしなければいけないなどというのはとんでもないことなのですね。そういうふうに考えております。条例法律との関係も、もう少し解釈なりなんなりで、私が今希望しましたような、最低基準を決めたものだということを何かの形ではっきりさせていただきたいと思います。  第二点でございますけれども、政府案個人識別型をとっているというのは考え方説明でもわかるのですけれども、先ほど御説明させていただきましたように、狭い意味個人識別型というのは、条例の実務と裁判例ではもう破綻しております。実務的に全く通用しない学説といいましょうか。  ですから、先ほども東京高等裁判所判例を御紹介させていただきましたけれども、公務の中で出てくる公務員氏名というものを出して、実際どれだけプライバシーの侵害があるか。これは、今までの条例公開訴訟の中にも、実際に自治体側から、開示するとこれこれの侵害があるのだというような具体的な主張は一切ありません。もうとにかく、個人の名前が出るのだというと、先ほどお見せしましたように全部墨を塗ってくるという極端なケースでして、実質的にこれだけの被害があるというような主張が一切ございませんから、そういう点についても、プライバシーの侵害が起こる、私生活に影響があるということは全く議論にすらなっておらないのが現状でございます。
  38. 倉田栄喜

    ○倉田委員 それでは、立花参考人にお伺いさせていただきたいと思います。  参考人から先ほど、運用の要請として二点がございました。それは、行政情報収集活動についても何か考えていただきたい、つまり出口だけではなくて入り口の問題と、もう一点、行政立法。いわゆる政令、省令あるいは通達等々によって、規制緩和といいながら、実は法律と違う形で厳しくなっていたりすることがある、この点について、これを透明にする制度を考えてもらいたいというお話でございました。  この行政立法を透明にする制度、例えばこれは意思形成過程情報等の問題、あるいは審議会、あるいはさまざまなところで、企画立案のところでいろいろな法案審議行政府の中で行われている、こういうことがあるのだと思いますが、この点についてもう少し具体的に御要望をお述べいただければと思います。  それから、もう一点だけ。私も、行政固有の情報と民間情報というのはやはり区別をされて考える必要があるとは考えておりますが、しかし一方で、行政が必要な情報として民間情報があるべきこともあるのだと思うのですね。それで、乱用のおそれがあってはならないということが一つあるわけですけれども。先ほど、企業情報で、例えばある研究をしている、その研究をしているかしていないかということを答えることだけでも自由競争は侵害をされることがあるというお話がありましたけれども、その点をもう少し具体的にお話しをいただければと思います。
  39. 立花宏

    立花参考人 今の先生の二つの御質問のうち、最初の行政立法手続の方の問題でございます。  欧米などでも、いわゆる政令とか省令とか通達、告示のたぐいをつくる場合には、あらかじめ原案をオープンにします。例えばイギリスなどだといわゆるホワイトペーパーとか、あるいはアメリカですと、例えば情報通信絡みでFCC、連邦通信委員会というのがありますけれども、そこでいろいろ法律に基づいて、ATTと、あるいはそうではない通信事業者との具体的な競争のルールをつくる場合、あらかじめ原案の段階でそのルールをオープンにして、それで内外の関係者から名前入りでコメントを求める。そして、最後は最終的な意思決定をせざるを得ないわけですが。  いずれにせよ、そういった一つのルールなり約束事をつくる場合、きちっと内外にその策定の過程、プロセスをオープンにしているということで、日米の規制緩和のフレームワーク協議の中でも、日本でもこういった枠組みをつくる必要があるのではないかなという指摘が出されているわけです。  私ども、基本的には、行政立法手続法ともいうべき、政令、省令は基本的には議会の方が、役所に一〇〇%委任するのではなくて、原案の段階関係委員会の方でヒアリングされるなりというようなことでウォッチされる必要がありましょうし、通達、告示のたぐいにつきましては、そういったことで原案の段階でオープンにして、情報通信の手段も発達していますので、広くコメントを求めて決断を下していく、そういうことだろうと思います。  それから二つ目の、先生から御質問ありました研究開発情報についての存否情報について、具体的に、もうちょっとかみ砕いて説明しろという御指示がございました。  例えば、民間ですと研究開発の場合にはかなり、これからの企業の取り組みにとって非常に大事な課題で、まさにそこら辺は、企業としても秘.密の保護というのは非常に関心が高いわけですが、例えば仮に行政と何らかの形で連携、あるいは大学等、公立の大学の研究機関とかと組んでいるとか、あるいは行政に、研究開発の要請があって、どういう研究をしているのかちょっと情報を出してもらいたいということがあった場合に、その情報を出して、あるいはそういった情報をねらっていわば産業スパイ的にライバル企業が情報開示を求めるケースもあり得るのだろうと思うのですね。  そうしますと、そういった研究開発をやっているということがわかっただけで、ライバル企業にとってみればその会社がこれから先どういうことをやろうとしているのかというのは推測がつくのではないかな、そういうおそれがあるわけでございます。そのことを申し上げたわけでございます。
  40. 谷津義男

    谷津委員長 倉田君、時間ですから。
  41. 倉田栄喜

    ○倉田委員 時間が参りましたので、終わります。
  42. 谷津義男

    谷津委員長 西田猛君。
  43. 西田猛

    西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  きょうは、参考人のお三方におかれましては、大変お疲れさまでございます。順次質問をさせていただきたいと存じます。  細かな点でございますけれども、まず、高橋参考人にお聞きしたいと思うのでございます。  高橋参考人もお述べになられました、情報公開の請求件数とコピーを要求する件数が大幅に異なっているというふうに御指摘をされておられます。それも、閲覧件数とコピー件数では、コピー件数の方が随分と少ないというふうに言っておられます。それはどうしてそうなっているのか、具体的なところの御指摘をしていただきたいと思います。  それから、もし御指摘しておられたように閲覧手数料の徴収が大きな問題だということであれば、どのようにこの問題を解決していったらいいとお考えになられるのか、お聞きしたいと思います。
  44. 高橋利明

    高橋参考人 私どもが今まで市民オンブズマンとしてやってきましたのは、自治体のいろいろな不正がある、談合の疑いがある、そういうような問題なわけですね。その場合には、ある特定の日時に作成されたものだけを資料請求すればいい、こういうことではございません。  官官接待にしても、談合にしても、私どもは、ある課の一年分の食糧費支出とか、公共事業の、一定金額を限定しまずけれども、一年分とか二年分の調査をしないとわからない。談合の存否によって価格が変わってくるなどというと、相当長期に、三年、四年というふうに請求したいということがございます。とりわけ官官接待とか空出張のように、組織的に、ほとんど全庁挙げてやっているということになると、なるべく多くを調べたい、こういうことになります。  そういうことで、先ほど御紹介しましたように、北海道とか秋田なんかの場合には、四十四万とか二十万とか大変な請求をして、そこで閲覧をざっとするわけですね。一年分どうしても集計してということになると、お金が少しかかっても一年分無理してとるのですけれども、そうでないものは、そこであらかた資料を選別して、この範囲でとればよかろうというようなことをやりますので、請求件数の大体一割とか一割五分ぐらいの範囲でコピーをするということになります。そういうことで、当初の閲覧請求件数と実際のコピー件数が大幅に違うのです。  そこで、かなり広い範囲で調査をする段階で閲覧手数料を取られてしまうとどうにもしようがないということで、委員の先生方も、私どもの活動で四千万とか八千万とか、そんな請求、お金を取るということは本当にばかげていると御理解いただけると思うのですね。そういう状況がございますので、ぜひ御理解をいただきたい。  そして、その費用請求について、どうしても政府案のような原則が譲れないということであれば、少なくとも、学問的なとか、私たちのやっていることが公益だと威張りませんけれども、少なくとも非商業的な利用に関しては減免をする。今の政府案の原案では、経済的な理由でというようなことで、あとどういう理由で減免してくださるのかわからないわけですね。ですから、少なくともそういういい点はぜひアメリカの情報自由法に倣っていただいて、非商業的なもの、そしてまた公益的なものについては免除するということがしかるべきじゃないかと思います。  その費用対効果、情報公開制度を無料化するというような、そういう点の費用対効果を考えましても、先ほど申しましたように、不正支出が三百億円も弁済されておりますし、食糧費とか出張旅費の減額も、九七年と九五年とを比べると、それだけでも毎年三百億円ずつ違っているのですね。ですから、そういう点から考えても決してむだな費用ではないというふうに考えております。
  45. 西田猛

    西田(猛)委員 次に、塩野参考人にお聞きしたいと思うのであります。  私も大学で塩野先生には行政法を一から十まで教えていただきまして、大変勉強させていただいたのでございますけれども、塩野先生は、私どもが学生のときにもよく言っておられました。行政法というものは、実質的な行政法というのは各個別の法律になるのであって、最も重要な行政法と言える行政法というのは行政手続法だろうということを言っておられたのでございます。そこへもってきまして、昨今非常にいろいろな問題が起こって、今の委員会でも取り上げております情報公開に関する法律が重要になってきました。その意味から、この政府案のお取りまとめに大変力を尽くされた塩野先生にお伺いしたいのであります。  政府案の第一条では、「国民の的確な理解と批判」という文言が出てまいります。これは、行政改革委員会要綱案の、行政監視参加という文言から考えますと、やや言葉の雰囲気として後退しているのではないかなというふうにとられるのでございます。この点についてどのようにお考えになっておられるか、お聞きしたいと思います。
  46. 塩野宏

    塩野参考人 要綱案では、それから私も、情報公開法機能あるいは目的の重要なものとして監視参加ということがあるということは、今でも考え方は変わっておりませんし、要綱案もそういう考え方になっております。  ただ、この点は、政府あるいはこの国会で定められました日本法律において、監視参加という言葉がもう少し狭い意味で使われているというような理由で、この「的確な理解と批判」という言葉に置きかえられたというふうに私は聞いております。つまり、そう言うことは、我々が考えて、また私も考えております監視参加という意味がこの中に含まれているというふうに私は理解をしており、またその限りで政府案に特に異論は申し上げない、要綱案にこだわるものではないというふうに申し上げたいと思います。
  47. 西田猛

    西田(猛)委員 さらに、政府案第五条の一号本文の後段で、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものを個人識別情報以外にも保護するというふうにされています。  これは、客観的な概念としての個人識別情報を不開示にするというのはわかるのですけれども、それ以外になお一層広げて、個人の権利利益を保護するという名目で、いわば不必要に個人情報というものの保護が広がり過ぎる余地があるのではないかなというふうに思われるのですけれども、これについてはいかがお考えでしょうか。
  48. 塩野宏

    塩野参考人 今の点は、私の記憶に間違いかなければ、要綱の段階では、一見個人の名前は出てはいないけれども、何かのいろいろな情報を積み重ねることによって個人が識別できるものは、これは個人識別されるというふうに、そこまでは議論をしたと思います。  しかし、さらに今のような御指摘の点について深く議論したかどうか、私は余り記憶が定かでないのですけれども、考えてみますと、例えば著作物で名前がわからないというものがあったといたしますと、それを公表しますと、その著作者の名前はわからないのだけれども、権利を侵害するということがあり得るわけでございます。  例えば、どこでもいいのですが、東大に博士論文があって、昔々、もうだれが書いたかわからない、それもしかし著作権が切れる前の話でございますけれども、仮にそういったものがあるといたします。それを公開いたしますと、それは、名前はわからないのだけれども著作者がいるわけですから、その著作者の人格権なり著作権を侵害することになるのではないかということを考えてこの条文ができているのではないかというふうに私は推察しております。
  49. 西田猛

    西田(猛)委員 ということは、重ねてお聞きいたしますけれども、そういうふうにある特殊な限定的なものとして機能する文言であって、個人情報保護というものが不必要に広がるということにはならないというふうにお考えでございますね。
  50. 塩野宏

    塩野参考人 委員の御意見どおりでございます。
  51. 西田猛

    西田(猛)委員 それでは、お三方にそれぞれお聞きしたいのですけれども、私が常々思っておりますのは、情報公開ということのさらに前段階として、行政機関情報を集めるということですね。これについても、やはり何らかの主権者としての国民監視が及んでいかなければいけないのではないかなというふうに思うところでございます。  と申しますのは、私、今大蔵委員会も務めておりまして、大蔵委員会で常々問題になっておりますのは、なぜ銀行当局が、あるいは大蔵省当局がこんな情報まで持っているのだという情報があるわけですね。そして、それは何も大蔵省だけにとどまらない、通商産業省にしても、あるいはほかの各省にいたしましても明白に、ですから我々自由党は各省庁の権限法を限定列挙しなさいということを言っているわけですけれども、各省設置法で書いてあることの中でもうすべてできるのだという意識があるわけです。ですから、個々の権限法に基づいて、民間企業に対しても、この情報をこの役所に上げてくれということを言うのではなくて、何かしら力関係の中で、こういうことについてどう思うかというようなことを聞いてみたりするわけですね。  私は、その最たるものの一つとしては、大きなところでいえば、日本銀行がやっているあの短期経済観測、いわゆる短観というもの、あれなんかその最たるものじゃないかなと思うのですね。もちろん、日本銀行は民間法人であるという認識をすれば、これはそれぞれの協力関係の中で頼んで聞いているから自発的に答えてくれたという仕切りをすればそれで済むのでしょうけれども、しかし、短観というものは、それだけでとどまらない大きな大きな経済的な影響力、力を持っております。現に、その短観を早く欲しいがためにああいう大きな接待が行われ、それが刑事事件にまで立件されてきたという状況もございます。  そこで、これは本論から少し離れるかもしれませんけれども、そういう意味で、行政機関が民間機関から、あるいはその他の機関から、情報を集めるということについての歯どめと申しますか、こういうものをこれからどういうふうに考えていったらいいのかということを、大きなお考えでも結構ですから、お一人お一人、塩野先生から順番にお答えいただければと思うのです。
  52. 塩野宏

    塩野参考人 私は、今御指摘の問題、鶏と卵のような問題ではないかと思っております。  つまり、今までは、何か不祥事が民間なりどこかで起こりますと、行政情報不足ではないかということでさんざん、あるいは国会の場でもそうだったかもしれませんし、あるいはマスコミの指弾の的になったものでございます。そういう長い経験がございますので、役所としてはできるだけ情報をとりたいという気持ちで、私が知っている限りでも、要らない情報を随分とっていると思います。それは、今までは役所のまじめさを象徴するものというふうに考えられてきた節があるのではないか。  それがいろいろな意味で適切でないということであれば、我が国全体の立場として、情報というものをそう簡単に民間から収集すべきものではなくて、自分の権限の行使の範囲内でしか情報をとるべきではない、たまたま何か起こったときも、情報収集不足であるなどというような御批判をなさらないというようなルールが固まれば、今の鶏と卵の関係はうまく整理できるというふうに私は思っております。
  53. 高橋利明

    高橋参考人 御質問の、行政がどのぐらいの情報を集めているのか、集め過ぎているのか、その実態については私は存じません。しかし、もしそういう事態があるとすれば、まさにこの情報公開法開示制度がその歯どめになるということでございます。  現在、法令の権限を越えて仮に集めているとしても、それが国民の前に明らかにされないから、行政だけが企業の特別な秘密を持っている、そういうことによって癒着の原因にもなるし、いろいろな権限を越えた指導になって、それが不満になるのかもしれません。ですから、もしそういう行政が集めたものが直ちに即時的に国民の前に明らかになれば、行政が何をやっているかすぐわかるわけです。ですから、まさに情報公開を徹底的にするということが、もし行き過ぎがあればそれを防止することになりますし、情報公開が、癒着とか行政が不当な権限を行使するまさに歯どめになることだというふうに考えております。
  54. 立花宏

    立花参考人 私は、これにつきましては、確かに日本の場合には、いわゆる監督官庁と監督業種といいましょうか、特殊日本的な、そういった表現で欧米にはない日本の官庁と企業との関係がよく言われることがございます。  確かに、振り返ってみますと、行政機関の方から、統計の提出ですとか、あるいはヒアリングとかアンケート調査とか、いろいろな形で情報の提供を毎日のように、もう本当に日常茶飯事的に行政との関係で求められるわけですけれども、統計法あるいは統計報告調整法とかそういう法律に基づくものを除きますと、企業からの情報の提供が本当は任意なのか義務なのか、あるいはそういった情報がどういう形で公表されるのかされないのか、あるいはいつごろなのか、そういった情報をあらかじめ提供していただくことはまれでございます。  ですから、例えば許認可などに際しまして、法律に定められた添付書類以外に、関連情報として分厚い資料を出させられるという話はよく私どもも見聞きあるいは聞くわけですけれども、やはりそういった許認可に絡みますと、そういった法律に書いていない関連の情報をぜひちょっとサイドインフォメーションとして提供してもらいたいという場合、許認可を出す方とそれを受ける方の関係で、いや、それは本当に義務的なのですかとかというのは、正直言って聞きにくい、確認しづらいという点がございます。  そういったことで、先ほどもちょっと冒頭の意見陳述でもございましたけれども、私は、これは行政情報公開法を厳しくやればいいのだという考え方ではなくて、やはりきちっと、行政の出口は出口として一定のルールをつくり、今先生がおっしゃったとおり、行政情報公開の入り口の方、情報を収集するというところについても、やはり一定のルールをつくって枠をはめていくという対応が基本的には望ましいのではないかなという感じがいたします。
  55. 西田猛

    西田(猛)委員 ありがとうございました。終わります。
  56. 谷津義男

  57. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。きょうは、参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。  まず、私は、塩野参考人に伺いたいと思います。  先ほど高橋参考人より、閲覧手数料の問題、この徴収は住民監視活動に対する妨害装置だ、このようなお話がございました。実際に北海道の例を東京に当てはめると八千八百二万円にもなるなどという事例も出されたわけですけれども、その点、要綱案の中の考え方に、「利用しやすい金額とすることに留意すべきである。」このように書かれております。先ほど、留意されたのかどうか、そういう論議がされたのかどうかという話もございましたが、その点どのようにお考えなのかということが一点。  そして、考え方の中に、「開示請求者に、その公平な負担が求められる。」とございます。その点で、法案が想定しております費用徴収制度というのは公平な負担となると思われるのかどうか。  その点、二点お伺いしたいと思います。
  58. 塩野宏

    塩野参考人 今の手数料の点でございますけれども、委員御指摘のように、要綱案の方では、手数料を全くいただかないというのはまた問題があるけれども、その場合の手数料の定め方については利用しやすいように留意してくださいということを要綱案で書いて、その後の取り扱いは政府の考えるところであろうということになっております。  そこで、問題は、政府の考えることが、我々の予測しているところと、考えたところと同じかどうか、あるいはそれよりどの程度はみ出ているかという問題だと思いますが、現段階では「政令で定めるところにより」ということになっているわけでございまして、それが一体、額がどの程度におさまるか、私存じ上げていないところでございますので、何とも申し上げられないところがございます。  ただ、一つの問題は、八千八百万円かかったということは大変なことでございますけれども、その部分が本当にかかっているということであれば、それは予算の使い方の問題ではないかというふうな感じがいたしまして、ですから、これをまた別の意味で言えば、主権者あるいは住民が、この税金を八千八百万円使うのがいいのかどうか、そういう角度からの議論というのも必要ではないかというふうに思います。しかし、その場合でも、私どもが言っておりますように、それは使いやすいものでなければならないということは情報公開法の精神からして当然の事柄でございます。  数字ですとまたいろいろ議論も起こりますので、八千八百万円が多いとか少ないとか私は言っているわけではないということをもう一度申し上げさせていただきたいと思います。
  59. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 公平な負担という問題については。
  60. 塩野宏

    塩野参考人 公平な負担と申しますのは、つまり納税者相互の話というふうに私は理解しております。要するに、納税者はいろいろな形で税金を納めて、それで公の費用を賄っているわけでございます。そうすると、情報公開法に非常に多額の費用がかかる場合に、それを請求していない人の立場をどう考えるかということで私は公平ということを理解しているわけでございます。
  61. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 高橋参考人にお伺いしたいのですが、今の公平な負担という問題についてどのようにお考えでしょうか。
  62. 高橋利明

    高橋参考人 ちょっと質問外かもしれませんが、塩野先生が八千八百万かかったかかからないかというようなことを言われたのですが、私が申し上げているのは、もしこの政府案がそのまま通って一件当たり二百円を徴収するとすれば、八千八百万円を利用者側が負担しなければいけないことになるんだ、こういうふうに申し上げたので、税金の使われ方とかなんとかということになっていないのですね。そういうことにならないように、閲覧手数料を取るようなことをしないでほしいというふうにお願いしているわけであります。  ですから、もしそういうようなかかることがあれば、そんなばかなことはあってはいけないというふうに、「考え方」をおつくりになった先生のお立場として、そんなことは予測していなかった、そんなことはあってはいけないという答弁がぜひ欲しいと思いましたが、そうではないか、よくわかりません。  それで、申しわけないのですが、これから公平な負担という点なんですが、今、塩野先生も全体の納税者の相互関係の負担の相当性だとおっしゃった。確かに、自治体そのものが抽象的にポケットへ入れるわけじゃありませんから、おっしゃるとおりなんですね。  まさにそうであるがゆえに、そうであればこそ、自治体不正支出みたいなものを阻止する、追及するグループの利用としては、それはまさに全体が得することなので、もうくどく言いませんけれども、そうした活動によってトータルすれば何百億円という節約ができているわけですから、そういう点から見れば、三百億円返ったから報奨金をくれと今の段階では言いませんけれども、せめて、どうして私たちが何十万とか場合によっては百万という単位を払うことが公平ですかと、これを言いたいわけですよ。  それと、トータルの負担なんですけれども、私どもの調べたところでは、北海道であれだけ大量のコピーがされても、九五年の一年分のコピー代は四百六十二万円にとどまっています。そして、九六年でも三百七十万円です。東京は手数料を取って比較的大きいのですけれども、九五年で三百六十九万円なんですね。  それで、大体、今、都道府県情報公開課というのは二十人とか三十人の職員がいます。今申し上げた数字で職員一人分の給料にもなっていないのですよ。ですから、維持費を利用者側から徴収するなんて、そんなばかな話はないわけですね。ですから、そういう程度の費用負担をすれば、仮に全額ただにしたってその程度のものなんです。  ですからせめて、全部ただにしろとは言いませんけれども、そういうものを限って減免したって十分公平な負担、塩野先生がおっしゃったような意味の公平な負担がまさにここで実現するのではないかということをくどく申し上げているわけであります。
  63. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 もう一点、塩野参考人にお伺いしたいのですが、特殊法人情報公開の問題です。  これは必要だというように思っている、しかし、今回、多様な特殊法人の分類をする時間がなかったというお話もございました。今、動燃の問題を初め、特殊法人情報公開対象になるかどうかというのは大変国民も注目をしているところでもあるわけですね。その点で、今回、この中に含まれていないという点でも大変私も残念に思っているわけです。  例えば分け方の面で、先ほどいろいろな各国の例などもお話しされましたけれども、特殊法人というのは政府の業務の分担のために特別の法律をつくって設立されたものでありまして、例えば出資金という点でいいますと、二、三を除いてかなり政府の出資が行われたり公的資金が導入されている。こういう幾つかの分類の基準といいますか、そういうものを視点として置けば、今回、特殊法人もその中に入れるということも、確かに短い期間であったかもしれないけれども、国民の切実な要望からいえば何とか入れられなかったのかと思ったわけです。  その点、先生の御見解、もし入れるとしたらどの点の視点を今後考えていかなければならないのかという御見解も含めて、教えていただきたいと思います。
  64. 塩野宏

    塩野参考人 行政情報公開法は、政府案及びその他の各党の案、それから要綱案も、すべて行政機関ということを前提にしております。そうしますと、特殊法人の中でも行政機関とみなせるようなものでなければいけないということに恐らく法制上はなるのだろうと思います。そこで、特殊法人をつらつら見ると、どれが行政機関であるかということが問題になります。我々の用語で申しますと、行政主体性を持つかどうかということでございます。  そこで、今委員御指摘のように、それぞれたくさんあるわけで、私の統計はちょっと古いのですけれども、全額政府出資法人は四十幾つございますし、それから一部政府出資法人も二十幾つございますが、政府出資のない法人もありますし、そもそも資本金のない法人も、両方合わせますと恐らく二十ぐらいはあるのではないかというふうに考えます。  そのときに、だれが見ても政府関係機関であるというものだけ、それだけ拾い上げればいいではないかという御意見もあるかと思いますけれども、一つの重大な法律をつくるときに、まあこの辺は大体だれも意見は一致するから、ほかのものはさておき、これだけつまみ上げようかということにはなかなかならないということと思っております。  それからもう一つ、あえてここで取り上げなかったのは、部会は、特殊法人だけではございませんで、いろいろなことを議論しなければならないということもございまして、特殊法人論にそう長い時間を費やすことはできなかったという点がございますのと、これは早晩できるに違いないという前提でこの要綱案はできているということを申し上げておきたいと思います。
  65. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 高橋参考人にお伺いします。  今の特殊法人の、今回できなかった、ある意味では一律適用除外になったわけですけれども、これは実際先生が活動してみえる中でどういう問題点を含んでいるかというのをお聞かせいただきたいと思います。
  66. 高橋利明

    高橋参考人 私は、特殊法人全体の問題については、これまでの経験では全くございません。ですから、特殊法人そのものの問題点を具体的に指摘することはできませんけれども、地方自治体の中でもいわゆる第三セクターとか土地開発公社がございます。そこでも実際には情報公開の障害になっておりますから、実際にその問題点を赤裸々に指摘する状態になっておりません。しかし、御承知のように、新聞等では、自治体の恥部、問題点というものがほとんど、特に土地の取得なんかについては開発公社に集積しているわけでありますね。  実際に、ちょっと前の仙台市長の汚職では、市が公園用地を買うというニュースをいち早く一部の人たちが取得して、それで土地を先買いして何十億円ももうけるという事件なんですね。そういうのも、土地開発公社を経由して買った土地でございます。ですから、私たちの今までの立場でも、そうした土地開発公社等が情報公開の実施機関になっていれば、当然そういうことも調べたい一つのことでございます。  ですから、実際の特殊法人の問題というのは新聞とか書物で知る知識しかございませんけれども、相当程度の補助金が出ているということでございますから、当然それも調査対象にすべきだというふうに考えております。
  67. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 塩野参考人に伺いたいと思うのですが、先ほど出ました条例法律との関係なんです。実際には、法律は最低限の基準を決めたものにして、それよりどんどん進んでいる条例は、それはそれで大いに推進していくということは当然だというお考えも先ほど出されましたけれども、その点は塩野参考人はどういうようにお考えでしょうか。
  68. 塩野宏

    塩野参考人 憲法九十四条で条例制定権を定めておりますけれども、法律範囲内でという規定、枠がございます。その枠内でどういう条例をおつくりになるかは、進んでいるとか進んでいないとかは主観的な問題が多少入ってくるかとも思いますけれども、それは自治の範囲内であるというふうに私は思っておりますので、ある意味では知恵の見せどころ、今後の情報公開条例の課題ではないかというふうに私は考えております。
  69. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 そうしますと、もちろん、法律の枠内で、憲法の枠内で、いろいろな問題があるわけですけれども、実際には先ほどいろいろな例が出されまして、それぞれ地方自治体ではかなり努力されてつくられているものがあるわけですね。今回、法律ができることによって、それはこの法律から見てちょっと行き過ぎだとか、そういうような指導、そういうものが入るというのは好ましくないと思うのですけれども、その点はどういうようにお考えでしょうか。  地方自治という立場をもう少し鮮明にしながら、本来、この情報公開法趣旨といいますか、そういうものに大いに生かしていく立場で進めていくべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  70. 塩野宏

    塩野参考人 指導というのは、ちょっと私もつかみがねるところがございますけれども、この情報公開法によって従来の情報公開条例が違法だということにはならない。つまり、これは努力義務といいますか、ある意味では、まだ情報公開条例をつくっておられない自治体について、透明性の観点あるいは説明責務の観点からつくっていただきたい、そういうメッセージでございますので、今までおつくりになっているのがこの法律と合わないから、おかしいから直せなどというようなことは、どこを読んでも出てこないというものでございます。  ただ、およそ一般的に申しますと、ほかの国のことでございますけれども、情報公開については、むしろ、自治体条例制定権を認めずに、国で単一的に整理をするという例も多々あるということは御承知おきいただきたいと思います。
  71. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  72. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  深田肇君。
  73. 深田肇

    深田委員 大分時間が食い込んでおるようですから急いでやりますので、いま少しの間、お三方の先生方、御協力賜りたいと思います。  社民党なんですが、与党内におります。したがって、少し前置きをしてしゃべらなければいかぬのであります、こちらは自民党の先生でございますが。  実は、一九八一年に、うちの方は情報公開法をつくろうというのを出しまして、それで話題豊富な村山時代が来ましたので、村山内閣で何としても手がけようという幾つもの課題の中に情報公開を入れろというので、情報公開法をつくろうということに決めました。それで、今日まで大きな自民党さんの周りにおりながら、少しでも中身のいいものをつくろうと努力をしてまいりまして、こういうものが今提案されていますから感無量なんです。そのことを先生方によくお礼を申し上げながら、特に塩野先生にはよく話をするようにと村山に言われてまいりましたので、そんなことも含めて冒頭に申し上げるのであります。  それだけに、きょう、先生のお言葉の中に何回か出ましたように、与党三党の合意というのが話に出ますね、それが背景になっていることはお互い認めるのでありますけれども。私もこの間もそんなことを申し上げたのですが、これは日付入りのものを持ってまいりました。平成十年三月二十三日に与党三党で合意した事項がありまして、その明くる日に我々社民党は、国会提出するに当たって別に七つの項目を挙げまして、これを与党の合意の文に足して、国会審議をして一日も早くつくり上げようではないかというので、実は委員長にもお願い申し上げました。  先般から申し上げておるのでありますが、政府案を基軸にして、野党のすばらしいいろいろな指摘がありますから、そこのいいところは全部いただいて、そしてできれば与党内で頑張っております社民党の意見も入れてもらって、いいものをつくりましょうといって委員長政府当局にお願いをしている経過がありますので、その意味では大変積極的に進めたいというように思っているわけなんであります。  その中で、きょうは先輩議員と話が重複しまずけれども、三党で合意した後に私どもが七つ挙げました項目の中で、順番を打ってありまして、一番目がいわゆる行政監視参加、加えて、いわゆる知る権利を目的に入れなさいというのが一条なんです。二番目が管轄です。いわゆる訴訟管轄のところは、自分たちのところでやれるようにしなさい、今のはあかんよということが二つ目。あとずっとありますが、後の方はちょっと省略しまして、きょうは一、二、二つに絞って率直なことを申し上げて、短いところでいいのですから、率直にお返事いただければいいと思います。  塩野先生のお話を伺い、また皆さんから質問されたものをお答えいただいたことを含めて聞いた感じでいいますと、私は今、知る権利のことを時間的に割愛しまして、外しまして、むしろ監視参加というところの重要性について。  これは言葉として入っていない。それで、大変謙虚に、私は国会の方の法律のことは法制局に任せているんだというふうにおっしゃった説明がありましたが、法制局の方が、監視参加という言葉は法文上なじまないから、ポツが入っていることを含めてなじまないから、これは法律上だめよというふうに言われたという話がありましたから、これは一つ確認をさせてもらった上で、次の機会法制局とやりとりせないかぬなと思っておりますが。  それは置いておきまして、塩野先生は、この精神は今度の政府案には入っている、心配ないよというふうに、ずばり一言で、入っている、この精神、監視参加という精神は入っている、言葉はいろいろ変わっておりましても入っているというふうに、丸をつけて、三重丸までもらえなくても一重丸ぐらいもらって、私は国民説明していいものかどうかというのを第一点に伺いたいのです。私は、その点はどうも不安なんです。
  74. 塩野宏

    塩野参考人 法制局というのはあるいは言葉足らずだったかもしれませんけれども、法制を担当する、細かな条文づくりを担当するということでございますから、それは総務庁なのか法制局なのか、そこは中身を割ってみないと私はわかりませんので、法制を担当する部局というふうに申し上げておきたいと思います。  それから、先ほど私が申し上げたことでございますけれども、私は、そういうふうに説明があるのでそういうふうなものとして理解をする、言葉にはとやかく言わないということを申し上げたわけでございますから、入っているということであれば私も、批判と理解ではなくて、それこそ理解をするということでございます。入っていなければ私は反対の意見を申し上げます。
  75. 深田肇

    深田委員 ありがとうございました。  私は、どうも入っているというにおいが少ないものですから、自民党さんの方にお願いをして、これははっきり入れようではないかということを実は申し上げていることをこの際一言申し上げた上で、次に入りたいのであります。  立花先生、いわゆる国民監視の問題だとか、公正、透明化のために監視ないし参加することは大変いいことなんだよというのが前段のお話でありました。その立場から再度伺うのでありますが、今国会政府法案は、お考えのようなことはずっと盛り込まれているという認識をされますか。  私は、どうもそれは薄いよと、少なくとも薄いと思っているのですが、意識的に削ったとは思いませんけれどもそういう意識を持っていますが、日経連の中でのお話を含めて、このことは、今の民主主義の観点からしても、情報公開の中で国民の意思が高まることを含めて大変いいことだとお話があったものですから、そのことを含めて、そこの項目だけで結構なんですが、この法案に対する認識を少し聞かせていただきたいと思います。
  76. 立花宏

    立花参考人 私ども、今回の法律については、いわゆるオープンネスとアカウンタビリティーということが強調されましたけれども、そういう意味で、国民監視あるいは参加という趣旨はこの法律案に盛り込まれているのではあるまいかというふうに感じております。
  77. 深田肇

    深田委員 皆さんそういうふうに認識しているのですが、どうもこれから少し横の関係を討論しないと、委員長、なかなかこれは微妙な問題を含むと思いますから、時間をかけて、この情報公開法が歴史的にいいものができ上がりますように討論を保証していただきたいというふうにお願いしていきたいのであります。  そこで、ずばり言って、高橋先生が市民や大衆といろいろ仕事をされる観点からすれば、今度のこの項目について、監視参加の項目が入っていないと私は思いますが、先生は入っていると思うかどうかという分析も例えればいいのでありますが、その点からいうと、これはもう落第だ、この法律は事この面については落第だ、こういう点をつけられますか。それとも、これはこういう解釈で、その他のいいところもあるから、この法律はどんどんつくっていこうじゃないかという立場でしょうか。長いお話を本当は聞きたいところですが、まあ短く。
  78. 高橋利明

    高橋参考人 そこのところだけを採点せよということであれば、本当にもう落第点というところになりますね。  それで、言葉の問題ですけれども、確かめてきませんでしたけれども、たしか政治資金規正法の第一条には参加監視という言葉があったのですね。中黒じゃなくて「と」となっていましたから、そこにお返りになればよろしいのではないでしょうか。
  79. 深田肇

    深田委員 やはり参考人のお話を聞く機会というのは大事ですね。すぱっといいことが出ますよ。ありがとうございました。  そこで、時間がありませんので、次の問題に入らせてもらいます。  訴訟管轄の問題ですけれども、このことについて、先生方からたくさんの御質問が出ましたから、私の方では、前段を申し上げるのは時間がないので申しわけないと思いますけれども。  私は親しく関係してお役人の方々と討論させてもらうのですが、どうも、不開示をしょうという気持ちはないのだけれども、何でもかんでも開示するのだというオープンな心構えは余り感じないですね。だから、隠す気はないのですよとおっしゃるけれども、何でもかんでも出すのだが明かしてはいけない国家秘密があるじゃないか、だからそれはとめなければいけませんなという程度の話ではなくて、昔から役人というのはなかなか出さない。  そうはいっても、最近は、ある新聞社のアンケートによると五十何%の方がどんどん開示しようという話もあったではないかという話をされて、若い方はそうなっているのだという話もある。だけれども、若い人が現場で頑張っていることなので、むしろ上の方で日本の政治を回している偉い官僚、高級官僚というのは大分年がいっているだろう。そうするとその方々は、古い思想で、昔の憲法とは言いませんが、今の憲法をどれだけ理解してもらっているかということになると大変不安材料を持っているということを持った上で、せっかくこれだけのものをおつくりいただいたのに、先生の方の報告書の中に、これだけは別のところでということで、そこは規定がないわけです。  そこで伺うのでありますけれども、もう少し討論をしてもらって先生方がお考えになれば、何かこの点はきちんと問題提起をしておかなければいかぬ、法律の中に入れておかなければいかぬと。要綱の中もそれはいろいろなことがあるが、これはじっくりやりなさいという程度でえらい薄められてしまっているのですが、薄められている問題について、どの先生方もどの党も皆が言うほど、この管轄問題というのは話題を持つわけですね。特にこれは公平との関係で問題があるし、いわゆる経費の問題からいっても大変じゃないかというところまで話がいくわけですから。  そうすると、塩野先生の経験からいって、どうしてそのことが、あの要綱作成の過程の中でもっと深めた討論ができて、そしてそれを政府案に反映できるようにきちんとお書きとめいただけなかったのかなということを第一に感じますが、いかがでしょう。
  80. 塩野宏

    塩野参考人 時間の関係のことばかり申し上げて恐縮ですが、時間の関係と、もう一つ、民訴の専門家がいなかったということがもう一つ問題だと思います。もちろん、民訴に大変詳しい弁護士の方もおられましたけれども、あの要綱の段階住所地管轄を決めるという場合には、先ほど申しましたようにほかにいろいろ考えなければいけないことがある。そのときに、あの部会だけで議論ができるかどうかという問題がございます。そうしますと、法務省当局の意見も聞かなければいけない、あるいは弁護士会の意見も聞かなければいけない。いろいろな手続が必要であるということでありまして。  しかし、委員の御指摘ではございますけれども、要望がございまして、かなり議論はいたしました。しかし、先ほど申しましたことでございますけれども、もう一つ行政事件訴訟法全体の問題があります。ある情報公開法のことを見れば、それはそれだけで筋が通るのですけれども、それだけでいいかどうかというのが、たまたま私は行政法を大学で担当している者でございますがゆえに余計なことを考えているといえば御指摘のとおりでございますけれども、しかし、それは学者としてなすべき発言であったというふうに私は思っております。
  81. 深田肇

    深田委員 時間がないので、とんとんとやってしまうので、失礼なことが出るかもしれませんけれども。  もう一度伺いますが、行政事件訴訟法がある限り、ここを変えない限りは今回はだめだというお考えでしょうか。それとも、それはそれでいいんだ、情報公開法のこの審議の中で特例をつくってしまえばそれでいけるじゃないかというふうに解釈いただけるのでしょうか。その点はいかがなものでしょう。
  82. 塩野宏

    塩野参考人 それは国会の御判断だと思います。
  83. 深田肇

    深田委員 そうなりますと、そのことを実はこの間も大臣とやりとりしました。そうしたら大臣の方は、深田の言う意思を含めながらうまくいくのではなかろうかという温かい言葉をいただいた後で出たことなんですが、いわゆる委任事務という方式でいこうとおっしゃいます。  先生が討論された中で、委任事務ということでいきますと、それで大体、今の国民の側が持っている要求なり不満は、いわゆる管轄問題については処理できるとお考えになりますか。  私は、委任事務では危ない。それは、県段階に全部そういう省庁があるとは限らないものね。というふうに思いながら討論する時間がなくて、それは次回回しになっているのですが、いい機会ですから、ちょっと専門家の先生の御意見を伺っておきたいと思います。
  84. 塩野宏

    塩野参考人 今の委任事務というのは権限の委任の話というふうに承りましたけれども、そういった方途があって、今地方に住所をお持ちの方の御不便は多少は解消できるのではないかという趣旨要綱案考え方にも出ております。しかし、申しわけありませんけれども、我々としても定性的な議論にとどまっておりまして、定量的な分析はしておりません。
  85. 深田肇

    深田委員 もう時間がありませんので、多くのお話を伺いたいと思いますが、どの先生方もこれで終わったのですから、私も終わりますが。立花先生のお話も伺いたいのでありますが、最後に高橋先生に。  今の問題は、全国で仕事をされると一番大きに皮膚感覚で感じるところだと思いますが、率直に申し上げて、政府当局はなかなかそこまで踏み切ってくれません。という状況ですから、これについて、もちろん我々が自主的に決めて自民党さんが大胆な決断さえすればでき上がるということになるのでありますが、まあ経過もありますから、そう簡単にいくかどうかわかりませんが、これに対する国民の側の率直な要求ですね。  討論を私どもがしますと、二つ出るのです。一つは、お金の計算をして、沖縄や北海道からの飛行機賃を計算して、経費がかかる、かからない。じゃ弁護士さんをどうするんだ。東京の弁護士さんを鹿児島の人が頼めばいいじゃないかというふうにおっしゃることも出ますから、そういう技術論の話も出ます。  いま一つは、私どもの周辺でも、行政訴訟法があるからだめなんだから、行政訴訟法の改正ということを明確に方針化したり、そのことをやらないとだめだと。そのことと今のこの法律を完成させようというのは、タイミングがありますから大変難しいということがありますけれども、現場で苦労されている皆さんの気持ちとしては今何を一番国会に求められているかについて、ちょっと最後に伺っておきたいと思います。
  86. 高橋利明

    高橋参考人 いろいろ申し上げたいことはありますけれども、御質問が管轄の問題ということで、それは先ほども申しましたとおり、自分の住所地訴訟をやるということがもう大原則でございます。  それで、代理人を依頼するという件でございますけれども、御承知と思いますけれども、各地では本人訴訟が大変盛んです。通常の訴訟の比率と、ちょっと今、定量的な比較はできませんけれども、かなりの人たちが自分たちでやっております。  そういうことが本当に生きた民主主義の教室として、先生方は、机の上でやると、では鹿児島だって北海道だって代理人に頼んで東京でやればいいではないか、準備書面を書くのに弁護士が書けばいいではないか、そういうことをおっしゃる。全然だめなんですね、そういうことは。先ほど申しましたとおり、自分たちでやっていくと、いろいろな行政問題点とかなんとかそういうことがわかるわけです。ですから、そういう人任せではないという、まさにそれが民主主義の教室なのでありまして、それはやはり自分たちがやるということが原則です。  そしてまた、費用の問題も、せめて地方の人たち東京の弁護士を頼むとき公的な補助でもしてくれればまた少し不平等が解消されるかもしれませんけれども、今先生の御指摘のような範囲の問題では到底解決ができないと思います。  国側の方で対策を立てれば十分できるわけです。ぜひその点は深田先生に頑張っていただいて、与党案を改正していただきたいと思います。
  87. 深田肇

    深田委員 どうもありがとうございました。
  88. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  これにて午前中の参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の先生方には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。大変参考になりました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  89. 谷津義男

    谷津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き、各案審査のため、参考人から意見を聴取いたします。  午後、御出席参考人は、情報公開法を求める市民運動事務局長奥津茂樹君、大阪大学名誉教授、大阪国際大学教授大学院研究科長高田敏君、日本弁護士連合会情報公開法・民訴法問題対策本部本部長代行土生照子さん、独協大学法学部教授右崎正博君、以上の四名の先生方であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、奥津参考人、高田参考人、土生参考人右崎参考人順序で、御意見をお一人十五分程度に取りまとめましてお述べいただきたいと思います。そして、次に、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  それでは、奥津参考人にお願いいたします。
  90. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 ただいま御紹介いただきました奥津と申します。  情報公開法を求める市民運動というグループをずっと続けてまいりました。私たちは、与野党の国会議員を招いてのシンポジウムとかを開催してきましたが、あともう一つは、各地にある情報公開条例を私たち自身が利用し、さらには各地の市民住民に、サポート、アドバイスをやってきました。さらに最近では、各地の情報公開条例制定や改正が相次いでおりまして、そういった動向についてもかなり情報を収集しまして、自治体市民、そういった人たちに積極的な情報提供をやっています。きょうは、主にそうした条例利用、さらには情報公開についての情報センター的な役割を果たしてきたそういう立場から、十五分以内で話をまとめさせていただきたいと思います。  それで、まず第一点でありますけれども、これは、委員の皆様、さらには委員長にもお願いであります。それは何かというと、やはり情報公開法審議は、十分な情報、十分な資料に基づいてやっていただきたいという点です。  先ほども午前の審議を傍聴させていただきましたけれども、目的規定の中に、行政監視参加というのが欠けている。要綱案ではずっとその言葉は入っていたわけですが、最後の最後、政府提案の中で、行政監視参加という極めて重要な言葉が欠けてしまったわけです。塩野参考人が言っていましたが、法制局かまたは法制を担当なさった方がやったのじゃないかという話なのですが、この行政監視参加が一体どういう経緯で変わっていったのか、何ら明らかにされないまま審議が行われるというのは非常に問題があるというふうに思っております。  特に、この行政監視参加がなぜ重要かというと、既に政府案にも説明責任が入っておりますが、行政国民に対して説明責任を負う、それと対の形で、国民行政監視参加するという形で入っているわけです。ですから、本来は、説明責任と行政監視参加というのがワンセットになっていなければならないのですが、それが、最後の最後、政府案の策定の過程で削られてしまった。これは大変重要な言葉であるのですが、全く経緯が不透明であって、これは奇異という以外にないというふうに思っております。  特に、この行政監視参加、その言葉があること、またはないことによって、具体的な情報公開範囲が広くなる、狭くなるということはないかもしれません。しかし、法の目的というのは法の理念をあらわす非常に重要な部分でもありますので、これが、最後の最後、まあプロパガンダ的な言い方をして申しわけないのですが、官僚主導の法案づくりによって、最後の最後、この言葉が削られたのだとすれば、これは非常に遺憾であるし、やはり議会の真の役割というのは、そうした官僚主導のゆがみを是正することにあるわけですから、何としてでも、国会の皆さん方の審議を通じて、行政監視参加という言葉をぜひ復活していただきたいというふうに思っております。  二点目、十分な情報が入っていないということについて、それは何かというと、特殊法人でございます。  政府案は、特殊法人について別途検討するということになっているようなのですが、一体、特殊法人、どこからどこまでが入ってくるのか、また、救済制度はどのようなものがあるのか、そういったことについて、何ら国会情報や考えが示されないまま特殊法人情報公開の是非を論じても、まあ意味はないとは言いませんけれども、非常にむなしいところがあると思います。  加えて、これは御存じだと思いますが、行政管理研究センターというところで、この三月までに諸外国の事例をもとに特殊法人情報公開についてかなり調査審議をなさってきた。総務庁の職員の方もそこに参加なさっていたわけですから、そういった調査研究の結果、三月にもう終わっていて、その間の資料、さらには研究の取りまとめはできているはずですから、国権の最高機関である国会には当然それが提出されてしかるべきであるし、そういったものももとにしながら、特殊法人情報公開について、ぜひこれから皆さん方の積極的な議論をお願いしたいというふうに思っております。  ちなみに、これは余計な話でありますが、行政管理研究センターは特殊法人ではありません。もちろん、今回の政府案さらには野党案規定する行政機関範囲にも入っておりません。つまり、これは、情報公開法ができても、行政管理研究センターでどんな調査研究をしたのかというのは、だれも情報公開を求めることができないというところもありますので、これはぜひ国会の力で、そういった資料を提出させ、議論をしていただきたいと思っております。  さて、以下、私は、手数料と裁判管轄さらには文書管理について、意見を述べさせていただきます。  まず一点目は、手数料であります。  午前中も高橋参考人の方から具体的な話があったと思いますが、やはりここで繰り返しておきたいのは、手数料は我々制度を利用する側の人間にとってその利用の妨げになる。これ塗自治体の経験から明らかなことであります。そこをまず強調しておきたいということです。  さらに、これはまた先ほどの、十分な情報、資料が出ていないということと関連しますが、例えば政府案は政令でこれを定めるとなっておりますけれども、一体この法律が動き出した暁にはどれだけの手数料がかかるのか、何ら示されていないわけですね。あけてみなければわからない、政令にゆだねているわけですから。国会審議は、では、その辺を踏まえないでよろしいのでしょうか。やはりこれは、政府案によるならば、政令によって手数料を取るということであれば、一体どういう単位で、またどのくらいの額の手数料を取るのか。  例えばコピー代という非常にささいな話をしましょう。自治体では今コピー代を十円、というのは、コンビニエンスストアでもコピー代は十円の時代であります、ですから、そういうようなところがふえております。政府は、一体、このコピー代を幾らになさるおつもりなのですか。  また、自治体の中ではこういうのがありますね。そのコピー代に人件費を含めて、三十円、四十円にする。これはなぜかというと、コピーをする職員の手間がかかったので、コピー代の原価に手間賃を乗せて三十円、四十円とする。政府は果たして、そういう手数料、コピー代を考えているのでしょうか。この辺、全く明らかではない。ぜひこの審議の中で明らかにしながら、手数料の是非を議論していただきたいというふうに思っております。  さらに、政府がそういうような形で、手数料について何らまだ今の段階では具体的な姿を描いていないので、私どもで知っている範囲の話をさせていただきます。動燃というのがあります。動燃は、実は昨年六月に情報公開のガイドラインをつくりました。そして、七月一日にそれをスタートさせております。  早速、それに基づいて市民グループが情報公開の要求をしたところ、やはり政府案と同様に、実費の範囲内での手数料を取るとなっていたために、手数料を要求されました。その額、私どもで知っている範囲で話をさせていただきますが、実費として、資料内容検討費という名目で、文書一枚当たり二百円です。一件じゃないですよ、一冊でもないです、一枚当たり二百円です。  その結果、その市民団体が請求した情報を見るために一体幾らかかったかというと、何と五十九万七千円です。こんな額を払わなければ情報公開ができない。動燃は今一生懸命改革を進めているところです。そういうような改革を進めているところですら、こうした実費の範囲内での手数料というのを、これだけの法外な額を払わされている。もちろん、コピー代は別であります。コピー代は、動燃では一枚三十円で、手数料のほかに別途九万八百四十円かかったというふうに報告されております。  こういつたようなことが、この法案政府案または野党案ができた暁に起きるようなことがあってはいけないし、委員の皆さん方には、そういったことを防ぐために、ぜひ熱心な御議論をお願いしたいというふうに思っております。もちろん、動燃は動燃であり、政府政府でありますので、別途の考え方もあるかもしれません。ただ、少なくとも、現段階ではどういう手数料かがわかりませんから、過重な負担にならないという保証は全くないということが言えます。  そして次に、三点目に、裁判管轄の問題の話をしたいと思います。  裁判管轄がなぜ重要なのかというと、これは、先ほど高橋参考人の方からも話があったと思います。特に自治体情報公開というのは、やはり裁判を通じてその範囲を拡大させてきたということであります。今でこそ官官接待、食糧費の公開は当たり前のように思われておりますが、十年前はそんなに公開している自治体は少なかったのです。公開範囲も狭かったのです。しかし、最高裁が、大阪府の水道部の食糧費をめぐって、全部公開しろというような判決を出して以降、公開が広がっていった。その他のケースも、裁判を通じて情報公開が広がってきております。  ですから、国においても、政府職員は慎重に開示請求について判断し、不当な非公開はしないと信じたいと思いますけれども、やはり、不当な非公開、不合理な非公開があった場合に、裁判を通じてそれを是正していかなきゃいけないわけです。ところが、今回、裁判管轄は特別規定が設けられていないために、地方在住者には相当な負担になる。これは、先ほど高橋参考人の方から話があったと思います。  そこで、きょう、委員の皆様方のお手元には、私どもがつくった試算をお配りしております。裁判管轄によってどんな地域格差が生じるのか。論より証拠でありまして、なおかつ、その資料はちょっと細かいので、ここにパネルを持ってまいりました。  論より証拠というやつでありますが、要するに、裁判管轄は地方在住者にどういう負担をもたらすのか。これは交通費だけで算定をしております。また、試算の基準についてまず申し上げておきます。地方裁判所が、判決や提訴を含めて十回の期日、高等裁判所が五回の期日というふうに計算をしました。あとは、裁判にかかわる人を原告一人、代理人二人、計三人で計算をしました。  これを見ていただけるとおわかりだと思いますが、ベストファイブとしましたが、要するに、安く済む自治体はどこか。当たり前の話ですね。東京地方裁判所東京高等裁判所でありますから、新宿区に住んでいる方は、最高裁まで行く間に一万七千百円で足ります。ところが、ワーストファイブ、それの一番、ワーストワンは、那覇市に住んでいる方です。那覇市に住んでいる方が全く同じ条件で裁判をやった場合、交通費だけで二百八十七万一千円もかかるわけです。これが地域格差でなくて何でしょうか。  こういうようなデータをもとに、ぜひ、先ほども塩野参考人の方からも話がありました、これはやはり国会でやる議論の問題です。ですから、これは、ぜひこの格差を是正していただきたい。  さらに余計な話をしておきますが、那覇市から来る方は、これは交通費だけです。つまり、日帰りだけでこれだけかかるということでありまして、その他宿泊費さらには弁護士の日当、そういったものを含めるとすさまじい額の負担を強いられるということになります。  ちなみに、私ども、今回は試算として示しておりませんが、宿泊費や弁護士日当、これは着手金とかは含めておりません、そういったものを含めると、大体、皆さん方にお示ししたデータの一・七倍、つまり那覇市の方は大体五百万円ぐらいないと最高裁まで行けないのです。多分、東京地方裁判所に行くまでの間にもう三百万円ぐらい使い果たして、東京地裁の判決がどうであれ、もはやもう断念、財布の底がついちゃったということになりかねないですから、ぜひここのところは、こういうデータをもとに議論をしていただきたい。  さらに強調しておきたいのは、こういったデータを選挙民の方にお示しできるでしょうか。特に九州の方は深刻だと思うのですね。いや、うちらは三百万かかるから、まあしょうがない、あきらめてくれやと言えるのかどうか。ぜひそれは有権者の立場に立って、この負担を考えていただきたいというふうに思っております。  時間が迫っておりますので、最後に、四点目、文書管理の問題について、簡単に話をさせていただきます。  これは政府の方には大変申しわけない言い方になりますけれども、今回の政府案は、一つ評価できる点があります。それは何かというと、施行日以前のもの、つまり情報公開法がスタートする前の文書も全部対象にしているということであります。これは多くの自治体がやっていないことであり、大変評価をしたいというふうに思っているわけですが、問題は、ならばどうなるか。  ある学者がこんなことを言っていました。日本情報公開法ができたときには霞が関から煙が上がるだろう。この煙は何かというと、焚書坑儒というんですか、坑儒はありませんね、焚書ですね、つまり情報公開したくない資料を処分してしまうんじゃないか。これはあくまでも笑い話でありますけれども、少なくとも、何らかの措置を講じなければ、情報公開法がスタートするときまでに、こうした重要な文書が捨てられてしまうおそれが十分にあるわけです。  ですから、情報公開法がスタートする前から、そうした文書管理がきちっと行き届くように、ぜひ、国会審議するなり、文書管理法といったものをつくるなり、措置を講じていただきたいというふうに思っております。  もちろん、政府案の中でも、文書管理については政令で行う旨を定めておりますけれども、政令で行うということが果たしてよいことなのでしょうかということです。多くの自治体では、文書管理規則で文書管理を行っていますが、こっそりと食糧費の関係文書の保存期間を縮めたりとか、そういった情報隠しが行われてきました。せっかく新しい制度をつくるわけですから、そういうようなせこい情報隠しをさせてはならないし、それをどうなさるかというのは、国会議員の皆さん方の審議さらには決断にかかっているというふうに思います。  大体これで十五分になりましたので、私の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  91. 谷津義男

    谷津委員長 ありがとうございました。  次に、高田参考人にお願いいたします。
  92. 高田敏

    ○高田参考人 ただいま御紹介にあずかりました高田でございます。  私に与えられました課題は、地方公共団体、と申しましても関西、特に大阪でございますけれども、その情報公開条例運用上の問題点とか課題を踏まえて、国の法案に対して要望をということでございました。  地方公共団体における情報公開条例は、御承知のとおり、一九八二年以降の歴史を持っているわけでございますが、大阪におきましては、現在、一府十七市二町がこの条例を持っております。現在、国におきましては、ここで審議されておりますとおり、地方公共団体よりはおくれましたけれども、情報公開法の成立過程にございます。そのことは非常に喜ばしいことでございまして、できるだけ早い機会に成立をし、しかも、よりよい内容のものが成立するようにということが望まれるわけでございます。  実は、私は、むしろ主として個人情報保護にかかわってきたわけでございますけれども、私が接しました範囲内で、大阪の情報公開条例運用上の問題点とか課題などをも踏まえまして、政府案への要望を述べさせていただきたいと存じます。お手元に、項目だけをお届けいたしております。その順序で進めさせていただきます。  本論の最初、実質的法治主義というところでございますが、私の専門であります行政法でございますが、情報公開法というのも行政法に含まれます。これは、法治主義具体化法といいますか、法治主義に基づいて行政の場で具体化される法ということになりますが、現在の法治主義は、憲法価値を国政を通じて具体化するという実質的法治主義ととらえられております。つまり、憲法具体化法ということになるわけであります。行政法である情報公開法も同様のものであるというふうに言われなければなりません。  今度の政府案でございますけれども、第一条の目的規定ですが、その趣旨で解してよかろうというふうに考えます。つまりこの法律は、国民主権の理念にのっとって、そして行政文書の開示を請求する権利について定め、そして他方でアカウンタビリティーについて定めるという形になっておりますので、そういった憲法価値の実現といったような趣旨がそこに出ているかというふうに存じます。  この法治主義というのは、行政の場では、まずそれを行う行政組織の法的規律、次に活動・作用、そしてさらに救済の過程へと及んでまいります。私の項目では、その順で、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳというふうに進むということで、そのようにさせていただきたいと存じます。  二番の行政組織でございますけれども、まず、対象機関でございますが、第二条第一項に規定がございます。地方公共団体では、大阪の場合では、地方議会を入れているのが九市あります。警察は府ではまだ入っておりませんが、このたびの政府案対応いたしまして、それの検討を始めようというふうにいたしております。  問題になっております特殊法人でございますが、地方公共団体における外郭団体、これが地方公共団体ではよく問題になります。これの情報公開につきましては、別個の法人ですのでそれを直接規制するのが難しいということもございまして、条例上協力要請などを記しているところが多いわけであります。十分生かされているとは言えません。  ある市におきましては、外郭団体の情報公開事務取扱要領といったようなものを定めまして対応いたしておりますが、問題は、不服の申し立てができないというところにございます。したがいまして、特殊法人も、救済制度を持った形で検討していただくようにお願いをしたいと存じます。  三党合意がございまして、二年以内に法案国会提出される予定になっておりますが、今申しましたような趣旨が織り込まれるというように望むところでございます。  組織の二番目でございますが、窓口というのは非常に重要でございます。  地方公共団体におきまして、なかなか幅広い利用になりにくいという現状もございます。制度のPRとか窓口の利用しやすさといったようなものに配慮していく必要があると考えられます。  国の場合ですけれども、地方での利用のしやすさに留意をいただきたいと存じます。都道府県に総合窓口の設定をする、また不服申し立ても、地方で異議申し立ての意見聴取ができるような配慮をお願いしたいといったようなことでございます。  組織の面で、三番目に文書管理の法的規律の問題に触れておきたいと存じますが、文書管理の適正な法的な規律というのは極めて重要でございます。  地方におきましても、文書不存在の件数が増加の方向にありまして、文書作成の責務とか保存期間の明確化とかいったような文書管理の問題が、非常に重要な課題となってきております。文書管理いかんというのは、これは、情報公開の死命を制するというふうに言っても過言でない面もあるかと存じます。  政府案ですが、三十六条の第一項に規定がございまして、そしてそこでは、適正に管理をするということが定められております。第二項では、政令で文書管理に関する定めを設ける、三項で、政令においては基準を設けるとなっておるわけですけれども、第一項の適正な管理というものイコール政令によるところの管理の定めとか基準の設定というふうに解するのではなくして、第二項における、政令で文書の管理に関する定めを置くその定め、あるいは第三項で言う基準ですが、それ自体が適正でなければならないということになると存じます。これが実質的法治主義の要諦ということになりますが、そういった点についての御留意をお願いしたいというふうに考えます。  簡単ですけれども、組織の面はそれでおかせていただきまして、それでは、そのような組織が行うところの活動情報公開でございますが、まず最初に、公開請求権者であります。これは「何人も」というふうに積極的な規定になっておりますので、特別の問題はなかろうと考えております。地方公共団体ですと、住民以外にだれを加えるかというのが問題になるわけですけれども、このたびの案では「何人も」というふうになっている。地方公共団体でも「何人も」となっているのがありますが、その最も進んだ形になっております。  二番目でございますが、公開対象であります。これは非常に重要な問題であり、また、種々論議のあるところでございます。  まず、対象情報でありますけれども、政府案の二条二項にあるところであります。  地方公共団体では、条例制定しました当初は、どちらかといえば決裁済み文書に限定するところが多かったわけですが、次第に未決裁のものを含むというふうに移っていっております。大阪でも、府は決裁文書、そして幾つかの市が未決裁文書を含めております。  未決裁文書を含むというふうに対象を広げた場合、その請求として、例えば何々に関する一切の文書というふうに記載したような請求書が出てくる場合があります。そういった場合の特定の問題とか、そういったあたりは詰めていかないといけない問題であろうというふうに思います。  それから、もう一つ対象の問題といたしまして、先ほど奥津参考人からの意見が出ましたが、法施行前の文書に適用されるかどうかという問題で、条例の中でも、施行の日からとか、あるいは永年保存を定めたものについては適用とか、あるいは条例の目的を尊重して応ずるようにするとか、整理が完了したものから適用するとか、さまざまなものがあります。前向きな検討が考えられておりますが、その方向でお願いしたいと存じます。  次に、不開示情報であります。  不開示情報の定め方は種々ございまして、大阪府の定め方は、公開しないことができる文書と公開してはならない文書に分けるというやり方をしておりまして、国の定め方と違っております。したがいまして、個人情報の場合はプライバシー保護型に大阪府の場合はなっております。  それから、任意提供情報については、国の絞りを参考にしたいというふうに府では考えているようであります。府の例で申しますと、適用が多いものは、個人情報法人等に関する情報、事務事業執行情報の順でありまして、これでほとんどを占めておりまして、昨年度では、任意提供情報とか国との協力事務情報というのは適用例がなかったようであります。  それで、不開示情報につきましては、地方公共団体におきましては、不開示理由を客観的、具体的に提示し、審査会委員を説得し得ないような場合には不開示は許されないといいますか、説得し得る場合に不開示が許されるというシステムを構築しようとする傾向が見られます。  情報公開を行いますと、従来の行政運営の視点からいたしますと、多少の支障が出るのはやむを得ないわけであります。したがいまして、それを理由にして情報公開が行われないということになりますと、情報公開制度を設ける意義が失われてしまうということになるだろうと思います。  そこで、不開示の要件ですが、できるだけ限界づける、そして審査会で客観的に審査できるように、不開示理由をできるだけ客観化するようにする必要があるのではないかというふうに考える次第でございます。  これはちょっと私の意見ということにもなるわけですが、ちょっと例を挙げさせていただきますと、第五条の第六号、「事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」というところでは、例えば不開示の要件について程度を高めるといったようなことも考えられるかと思います。例えば「著しい支障を及ぼすおそれがある」といったような方法であります。  また、客観化という点から申しますと、例えば五条の一号、「個人の権利利益を害するおそれがあるもの」を「おそれがあると認められる相当の理由があるもの」というふうにするとか、それから二号のロ、「当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」の「当時」は必要ないのではないかというふうにも思われます。  四号ですけれども、「行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」、これも客観化すれば、「行政機関の長」と書かずに、「認められる相当の理由」とする方法も考えられます。それから、五号で申しますと、「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」というのは、客観化するのに非常に難しいかもしれないという気がしております。削除も考えられるのではないかというふうな考え方を持っております。  これはちょっと私の個人的な見解ということにもなります。  次に、文書の不存在でございますけれども、この条例ができました段階では、文書の不存在というのは余り予定されておりませんで、却下されておりました。しかし、これについても救済をということで、次第にそれを処分化していくというふうになってまいりました。  大阪府下でも複数の市で解釈運用基準を定めたりしております。例えば、公文書不存在決定というふうにする、そして通知書により通知をする、不服申し立て対象にする、その旨を教示するといったようなことをちゃんと書いているというふうなところが複数ございます。また、短期間存在する行政文書の公開請求につきましては、その問題が解決するまでコピーをとるなりして保存しておくといったようなことを定めている複数の市がございます。  法案では、九条の第二項で、これを処分といたしまして、書面により通知するといたしております。処分として扱われ、救済が与えられることになるわけですが、不利益処分に準じて理由の付記を考えるといったようなことも考えられてよろしいのではないかというふうに思われるわけであります。  時間が参りましたので、三番の文書存否情報をちょっと飛ばすということにさせていただきます。それで、手続もちょっと飛ばすことにさせていただきます。一点だけ申し上げます。新しい大阪府下の条例などでこういうのがございます。情報公開を請求しようとする者は、当該請求に係る情報の特定のため実施機関に対し必要な指導助言を求めることができる、そういうふうなものでございます。その一点だけにとどめさせていただきます。  最後の救済手続でございます。  救済手続は、情報公開制度を生かす上で極めて重要な問題ということになります。ここでも、時間がございませんので、一点に絞って申し上げます。  法案では、諮問を審査会に行うということになっております。大阪府下の例で申しますと、諮問は尊重されまして、それと実施機関との決定とが食い違うといったような例はまず見られないのですけれども、ある市において決定的なそごが、食い違いが見られたといったような例がございました。非常な不信を招くということになります。したがいまして、こういった点につきまして、答申を尊重してという文言を入れている条例は非常に多いわけであります。先ほど申しました、食い違ったところはこれを入れておりません。  答申を尊重してというのは訓示規定ですから、入れても入れなくても法的には同じだということになるわけですけれども、しかし、やはりこういつたものが入った方が、先ほど申しましたような例を防ぐというのではプラスになるかもしれないというふうな気がしております。ですから、できるだけ、諮問機関じゃなくて参与機関的に運用していくということが望ましいのではないかというふうに考えております。  時間をちょっと超過いたしましたので、不十分になりましたけれども、一応これで終えさせていただきたいと思います。(拍手)
  93. 谷津義男

    谷津委員長 ありがとうございました。  次に、土生参考人にお願いいたします。
  94. 土生照子

    ○土生参考人 土生でございます。日弁連の立場から、意見を述べさせていただきます。日弁連は、一九八〇年から情報公開法制定に向けて取り組みをしてまいりました。今日まで、地方条例制定の過程を通じ、またその運用あるいは判例の蓄積を検討し、その上で、国における情報公開の本当の実効性ある法案を求めて活動を続けてまいりました。そういう趣旨に基づいて、一九九四年には日弁連の意見を示した情報公開法大綱を発表し、またこれに基づく情報公開法試案というものも発表してまいりました。  その基本は、国民主権を実効あらしめるためには国民の知る権利を保障する情報公開法制定が極めて大切であるということ、そして情報公開法にあっては公開を原則とし、国民の知る権利を制限する非公開事由というものは明確に、しかも狭義に決めておかなければならないということであります。  この日弁連の立場からすると、目的規定に知る権利を入れること、それから、対象機関には特殊法人を含めること、国会もまた裁判所も、その特殊性はあるにしても、情報公開制度化を図るべきだという考え方を持っております。  ただし、時間の関係もございますので、目的規定については、後に述べられる右崎参考人に譲り、私は、政府原案を基本とする非公開事由についての問題点に触れたいと思います。  まず、個人情報でありますけれども、個人情報について、政府案及び共産党案は識別説をとっておられます。しかしながら、日弁連としては、プライバシー保護するものとして、プライバシー説をとるべきだというふうに考えます。  識別説による場合には、個人の名前がわかるだけで非公開事由となるということで、余りにも非公開事由が拡大し過ぎます。識別説をとる理由として、プライバシーの法概念がまだ確定していないというふうな理由で、非公開事由の範囲を決めるのには不適当だという意見もございます。しかしながら、プライバシーの内容をなす実質を列記する等によってこの明確化を図ることは、十分可能だというふうに思っております。大阪府条例及び日弁連案は、その形式をとっております。  さらに、識別されなくても保護するという規定を新たに政府案は入れております。そうすると、本来、明確性を保つために識別説をとったということとは矛盾をするのではないでしょうかというふうに思います。そういう意味でも、プライバシー説をとるべきだというふうに考えております。  二番目に、企業情報であります。法人情報でありますが、法人情報政府案規定は、極めて非開示範囲が広いというふうに考えております。野党三党案及び共産党案がおそれという文言を削除されたことについては、敬意を表したいと思います。  それと同時に、最も基本になるのは、非公開特約条項を入れたことであります。日弁連は、これを削除すべきだというふうに考えております。といいますのは、情報公開の非公開事由に当たるかどうかということは、情報それ自体で判断すべきであって、情報の入手方法あるいは手段等によって、あるいは企業の意思によって非公開決定をするべきではありません。そういう意味で、客観性を持った非公開事由に戻すべきだというふうに考えます。  次に、防衛外交情報に関して、政府案では、一般の適用除外に関する司法判断とは違って、防衛、外交、警察情報については、政治的、政策的な判断が必要である、あるいは専門的判断が必要であるということでもって、行政機関の長の判断をまず第一次的に優先をする、そして、司法判断は、この行政機関の長の判断の相当性についてのみ判断をするというふうに決めております。日弁連は、この判断のあり方に相違を持たせる規定は削除すべきだというふうに考えております。  防衛情報あるいは外交情報あるいは警察捜査情報等は、最も国民にとって知らなければならない、説明を受けなければならない、政府として説明をしなければならないという情報であります。国民の権利に極めて重大な影響を持つ情報でありますから、これについては、その非開示について、それが適法な除外であるかどうかということについての最終的司法判断を待つべきであります。そういう点で、この規定については反対を申し上げます。  それから次に、応答拒否処分であります。応答拒否処分については、日弁連としては、これを削除すべきだというふうに考えております。  なぜならば、応答拒否処分というのは、本来、情報の存否を前提として非開示処分、開示処分を行うという情報公開制度的な面からすると、異質なものであります。情報があるかないかも答えないという処分を認めるべきではないと考えております。これは、特に政府案によると、すべての情報について存否非回答処分を認めるということになっています。これでは、余りにも広く、乱用の危険性が極めて高いと言わなければなりません。  応答拒否処分を認めない理由の第二の理由は、応答拒否処分の救済手続が極めて困難である、したがって、その乱用を防止する手だてが難しい、こういうことであります。というのは、存否を答えないということでありますから、不開示処分についても明確な理由付記にはならないということは、当然考えられます。  また、不服審査会においても、不服審査会は、説明資料を提供させること、それから、インカメラ手続もとれるというふうにしておりますけれども、あるかないかわからない状態でインカメラ手続をしなければならないという、大変自己矛盾になります。しかも、裁判所でのインカメラ手続を情報公開法政府案では認めておりませんから、さらに、応答拒否処分の実質的審理は不可能となります。  そういう意味で、応答拒否処分を情報公開の中に入れることは、情報公開法情報秘密法にする危険性が極めて高いというふうに考えざるを得ません。ぜひ削除をされるように要望をしたいと思います。  それから、管轄の問題については、午前中も御議論がありました。ぜひ請求人の住所地管轄を認めていただきたい、そういうふうな法律にしていただきたいということを求めたいと思います。先ほど塩野参考人が、行政改革委員会のときには、いろいろ意見を、弁護士会の意見も聞かなければならないしとおっしゃったわけですけれども、実は、行革委員会にも、日弁連は強く地方管轄を認めることを要望してきました。今初めて言ったわけではございません。  実際的に、行政事件訴訟法自体も、管轄を絶対的なものとしているわけではありません。それから、情報公開法というのは、従前の行政訴訟手続法が予定していたような行政事件訴訟とは異なる性格を持っています。したがって、情報公開法に地方管轄を認める規定を入れることは、何ら支障がないというふうに考えます。塩野先生国会の御審議によるとおっしゃっていたということは、法律上も可能であるということを示されたのだと思います。ぜひそのことを入れていただきたいと思います。  それからさらに、手数料の問題については、午前の審議で実際的に明らかになっている。先ほどの奥津参考人意見もそのとおりであります。ぜひ、低廉にして使いやすいものにしていただきたいというふうに思います。  最後に申し上げたいのは、関係法律との調整に関する法律案七条についてであります。  七条では、刑事訴訟法五十三条の二を追加して、訴訟に関する書類及び押収物については、情報公開法対象から一切除外をしております。刑事訴訟法四十七条の訴訟に関する非公開を定める条文のただし書きでは、「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」ということで、公開される場合を認めております。しかるに、この調整で全部刑事訴訟に関する資料を情報公開対象外とすることは極めて大きな問題であります。このことがまた公務文書提出民事訴訟法の定めに強く影響を及ぼしているわけであります。  情報公開法との調整の問題は、情報公開する方向で調整されるべきであって、制限する方で調整をされるべきではないと考えます。ぜひこの点についても十分な御審議をいただき、情報公開の大原則を貫く法律にしていただき、早期の制定をしていただくことを強く求めるものであります。(拍手)
  95. 谷津義男

    谷津委員長 ありがとうございました。  次に、右崎参考人にお願いいたします。
  96. 右崎正博

    右崎参考人 独協大学の右崎といいます。よろしくお願い申し上げます。  私も情報公開法あるいは情報公開制度に長い間関心を払ってきましたので、本日、こういう場所で私見を述べさせていただく機会を与えていただいたことを大変光栄に存じています。  私が考えるところでは、情報公開法の最も基本的な意味は、国民政府保有する情報開示を請求する権利を認め、政府側にはその請求に応じて情報開示をする義務を課す点にあります。このような権利と義務の関係を設定することによって、国民は初めて、政府の都合によってではなくて、みずからの必要に応じて政府保有情報を入手することができるようになると考えるからです。したがいまして、情報公開法は、単に統治のルールを具体化し明確にするという意味を持つだけにはとどまらず、情報開示請求権という具体的な権利の保障としてこのような権利性を実現していくこと、それが最も中心的な意味であるというふうに考えています。  そのことを前提にして、以下、三点について意見を申し述べさせていただきます。  まず第一は、開示請求権の憲法的な基礎についてです。  この点について私は、情報公開法国民主権の原理とともに、憲法二十一条に由来する知る権利に基礎づけられるものであると考えています。この点、法案国民主権の理念に基づく政府説明責任を明確にしたことは、評価してよいと思います。そもそも国政は国民の厳粛な信託によるものというふうに述べて、被治者の同意に基づく国政信託の原理を人類普遍の原理として継受した日本憲法のもとにおいても、国民主権の理念に基づいて、政府の諸活動に関する国民への説明責任を明確にしたことの意味は大きいと思います。  ただ、要綱案にありました「行政運営の公開性の向上」という言葉が落とされたり、「国民による行政監視参加」という言葉が「国民の的確な理解と批判」に置きかえられたりした点につきましては、法律の性格をあいまいにしてしまったのではないかという危惧を持っています。  また、政府説明責任という考え方につきましても、例えばフランスの人権宣言の十五条にありますように、市民行政のすべての公務員に報告を求める権利を有する、このような形で国民の権利性の保障という位置づけをもっと明確にすべきではなかったかというふうに考えています。  それと同時に、情報公開法は、憲法二十一条に含まれる知る権利を具体化するいわば人権具体化法という意味を持つものであると考えています。情報公開法において知る権利の保障を明記することを避けることは、その制度が人権保障の原理に立脚していて、それを具体化するための制度であるという意味を不明確にし、公開原則に徹底を欠くおそれがあり、重大な欠陥が伴うのではないかと危惧しています。  知る権利については、学説上も消極論がないわけではありません。しかし、例えば世界人権宣言の第十九条や国際人権B規約十九条あるいはドイツの基本法五条等の発展を見てみますと、憲法二十一条の表現の自由の保障の中に積極的な意味での知る権利の保障を読み取ることは十分に可能であると思います。  一九九五年十月に国際人権規約の普遍化を目指して人権専門家のグループによって採択されたヨハネスブルク原則においては、表現の自由の保障の中には、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由とともに、公的機関から情報を得る権利が含まれているというふうに述べられています。こういう人権の国際的な発展動向によっても、表現の自由に知る権利の保障が含まれるということは十分に承認し得るのではないかと思います。  そのような人権の発展の動向を受けまして、既に多くの学説が、知る権利の保障が表現の自由に含まれるということを承認するに至っています。例えば、最高裁の裁判官を務められました伊藤正己先生は、その著作「憲法」という本の第三版において、情報を保持する主体に対し、情報開示ないし提供を請求することのできる権利としての知る権利は、最も重要な基本的権利としての性格を持つと述べておられます。  そしてその上で、しかし、その具体的な権利性は、憲法二十一条を根拠とするだけでは不明確である。政府に対する作為請求権的側面を持つことから、いかなる情報についていかなる手続で開示請求ができるかを定めた制度が確立されなければならない。そのような制度によって、知る権利は初めて具体的権利性を持ち、司法上の救済も得られることになるとしています。同様の見解は一多くの学説に共通して見られるところと言っていいかと思います。  そのような学説の動向を受けて、既に十を超える判例が同様の見解、抽象的権利説というふうに呼んでいますが、そういう立場に立った判決を書いてきています。新しいところでは、鹿児島県の情報公開条例のもとで食糧費に関する支出書類の開示が求められた訴訟で、鹿児島地裁が抽象的権利説に立脚しつつ、より直接的に、公文書開示請求権は憲法二十一条一項の表現の自由に由来する知る権利を具体化した積極的権利であると述べていて、大いに注目されるところです。  確かに、情報開示請求権としての知る権利を直接承認した最高裁判決は見当たりません。しかし、最高裁も情報開示請求権としての知る権利を否定しているというわけではありません。まだ判断を留保している段階にあると思います。こういう判例の動向を踏まえるならば、情報公開法を知る権利に位置づけることによって、表現の自由理論、人権の理論の発展動向に見合う方向へ歩みを進めるということがその賢明な選択ではないかと思います。  また、最近、幾つかの自治体において、条例運用の経験を踏まえて条例改正の取り組みが始まっています。そのうち北海道と高知県では、新たに知る権利の保障が条例に明記されています。このような動きがあることも、情報公開法を知る権利に基礎づけることの必要性を示しているのではないかと思います。  第二点は、情報開示請求権がそのようにして憲法上の知る権利に基礎づけられるというふうに考えますと、それが不開示の扱いを受けることによって制限されるのはあくまでも例外である、公開原則に対する例外として働く不開示の措置は、したがって、必要最小限の範囲に限定されなければならないという点です。  この点に関して、法案はかなり包括的な規定を設けています。個別には、既に高田参考人、土生参考人の方から紹介がありました。六項目にわたるすべての不開示情報の類型にわたって、不利益や支障を及ぼすおそれのある場合にまで広げて設定していますし、国家安全や犯罪捜査に関する情報については、おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報にまで広げています。さらに、存否応答拒否情報類型や利益侵害の程度の限定なしに認めている。  不開示とされる範囲がこのように広く設定されますと、公開原則が徹底できないのではないかという心配が残ります。もっと限定する必要があるというふうに思っています。この点について政府案と二つの野党案を比べてみますと、二つの野党案の方がはるかに限定されていて、情報公開原則にかなっているというふうに評価します。  第三点は、不開示の措置がなされて情報開示請求権が制限を受けた場合、十分な救済の仕組みが用意されていなければならないという点です。  この点に関しまして、行政上の救済の機関として情報公開審査会が設置され、不服申し立てがあった場合には、それに諮問をして決定するという手続が置かれています。審査会段階ではインカメラ審査も、ボーン・インデックス類似の手続も認めていて、公平な第三者的な機関による実効的な救済が図られることが期待できるのではないかと思います。  しかしながら、権利救済の点では、本来、より重要な役割を果たすべき裁判所の手続については、何も新しい工夫がなされていません。初審的審理を命ずる規定政府の立証責任も明記されませんでしたし、原告の居住地での訴訟提起も認められず、裁判段階でのインカメラ審査手続も認められていません。審査会段階でインカメラ審査が認められたこと、また、行政文書そのものの開示の可否が争われるという情報公開訴訟の特殊性を考えますと、司法救済段階でインカメラ審査が認められないということになりますと、司法救済が空洞化してしまうおそれがあります。この点はぜひお考えをいただきたいと思います。  また、原告居住地での訴訟の提起は、情報開示請求権という権利の実効的な保障のために必要であるだけではなくて、法のもとの平等や裁判を受ける権利という観点から見ても、憲法上重大な疑問が残ることを指摘せざるを得ません。  今後の国会審議におきまして、情報開示請求権の知る権利からの位置づけがより明確にされ、その憲法的な基礎づけがより強固にされて、その権利に対する制限として働く不開示の扱いも可能な限り限定されて、さらに、十分な救済がなされるように司法手続を工夫することによって多くの国民の期待にこたえるような法律制定していただきたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)
  97. 谷津義男

    谷津委員長 ありがとうございました。  以上で各参考人からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  98. 谷津義男

    谷津委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩野浩基君。
  99. 萩野浩基

    萩野委員 参考人の先生方、ありがとうございました。  私は、自由民主党の萩野でございます。午前中に引き続いて、それぞれ先生方から大変貴重な御意見を聞かせていただきまして、いろいろと考えるところがございました。情報公開がこうしてやっと国会でオンテーブルされる、また、こうして論議されるということは、政府活動国民説明する責務の面から大変喜ばしく思っている委員の一人でございます。  なかなか完全なものというものはできないだろうと思います。しかし、よりよいものをつくっていくということが大切ではないかと思い、与党としても政府の方から案は出したのですが、またそれに野党から対案も出ております。私、与党の立場でございますから、この野党の案の中での、こういうところがどうもまだ疑問に残るという点が、私、残っておるので、最初にちょっとその辺を、諸先生方、頭に入れていただいて、お答えをいただいたらと思っております。  先ほども右崎先生の方からもありましたし、きょう、午前中もずっとありましたが、知る権利という言葉が出てきております。これは、だけれども、ちゃんと実定法の中である程度出てくるというのは韓国ぐらいしか見られないので、その辺は午前中の塩野先生からもそういう意見が出たと思いますが、どうもこの知る権利という言葉にこだわるために、対象とするには、例えば、問題のある、職員個人段階の資料まで対象となってくると、これは果たしてどうかというようなのが疑問に残ります。  それから、開示または不開示の判断について、開示すべきだという方にウエートを置き過ぎて、個人法人の権利利益とか、また、外交、防衛の国家機密等の方が十分保障されるのだろうかという、この辺の疑問もどうしても出てくるわけです。そしてまた、対象とすべき特殊法人範囲が、政府案も決して十分ではないと思いますけれども、政府案に比べてどうも不明確さが私には目につきます。  デュープロセスの点から考えてみましても、関係法律との調整について、別に法律で定めるとされておりまして、この調整の方策もはっきりとしておりませんし、手続規定も、現在の省庁の実態というものを踏まえたものではなく、もしかしたら解釈運用に混乱をもたらすのではないか、そのように私は、野党案を見ましたとき、まだ多くの問題が残っていると思っております。  いずれにしましても、国民一人一人が実際に使いやすく、運用に当たって、保護すべき情報は的確に保護した上で、公開が徹底される情報公開法というものを成立させるのが一番肝要だと思っております。  本日は、現実に、実際の面から、条例を実際に活用または条例運用をごらんになっておられる高田先生がきょうばいらしておられますから、この辺を中心にしながら、時間の許す限りほかの先生方にもお聞きしたい、このように思っております。  ちょっと前置きが長くなりましたが、そこで、まず高田先生、政府案では、決裁終了後の文書に限らず、行政機関が組織的に用いるために保有しているものについてはこれをすべて対象文書としておりますが、先生の関係されている地方公共団体条例では、対象文書範囲というのは一体どうなっているのか、おわかりの範囲で結構でございますから、お聞きいたしたいと思います。  また、請求があった場合、請求文書の特定または行政機関側の対応で問題になっていることがあれば、言える範囲で結構でございますから、ちょっと教えていただけたらと思います。まず、よろしくお願いします。
  100. 高田敏

    ○高田参考人 ただいまの萩野委員からの御質問に、お答えできる限り、そのようにさせていただきます。私、必ずしも情報公開をずっとやってきたのではなくして、初めにも申しましたように、個人情報保護の方が中心だったということもありますが、私が存じ上げている範囲内でお答えさせていただきたいと存じます。  大阪の例でございますが、大阪府下で、決裁済みのものを対象にしているものと、それから未決裁のものを含んでいるものでございますが、それについて見てまいりますと、まず、府は決裁終了後の文書というふうにいたしております。これは昭和五十九年に制定された、割に早い段階のものでございます。市とか町では、必要とするものが十、不要とするものが九つとなっております。それで、非常に早い時期のものとしましては、島本町五十九年、吹田市六十二年、高槻市六十二年とか、この辺は不要というふうになっております。  それから後、決裁後のものというふうなものがずっと続きまして、最近のものはまた未決裁のものを含むというふうな、大体そういう流れになってきているかなというふうに考えます。ごく最近のものは、やはり国の案、まず要綱案のあたりから影響が出まして、未決裁のものも含むという方向に流れているように思われます。  それで、こういうふうに広げた場合ですが、やはり特定というのは問題になってまいります。決裁後のものというふうな場合には比較的特定が楽になりますのですが、未決裁のものを含めますと、特定に難しい問題が出てくる場合があります。メモかそうでないかといったのはよく議論されます。  ちょっと極端な例かもわかりませんが、例えば、ある担当者住民と話し合っているときに自分のノートをとっていた、それを後で請求されるというふうな場合にどちらに入れたらいいのか、それが非常に論議の対象になるというふうなことがあったりしております。  それで、広げているような市の基準でこういうふうなのがありますので、ちょっと御参考までに申し上げたいと存じます。ある一つの市ですが、こんなふうに基準を定めております。  職員行政内部の審議調査研究等のために作成した資料、素案、私案等についても、決裁文書に準じて取り扱うものがあることから、公文書に含まれる。また、職員個人的メモや下書きなどは、その段階にあっては公的支配に属さないものであり、公文書とは言えないが、起案など他の公文書に添付された場合においては公文書となるものであるとかいうふうなのがございます。  やはりケース・バイ・ケースに扱っていって、徐々にそういった、帰納法的にですか、積み重ねていって明らかにしていくというふうなことが必要になるのではないかというふうに考えられるわけでございます。  そのほか、先ほどもちょっと申しました、広くなった場合には、何々に関する一切の文書というふうな形で出てくることがあったりいたしまして、そういう場合は、やはり特定をするのに、窓口と担当課との間の話し合いなどでいろいろ苦労している例もあるようでございます。  とりあえずそのようなことでございます。
  101. 萩野浩基

    萩野委員 ありがとうございます。  やはり請求者との対応や、また行政機関側の対応で、今もいろいろお話が出ておりましたけれども、いろいろな問題があると思います。  そこで、この法律が通りましたら、やはり適正で円滑な運営を図っていかなければならない。そういう点で、高田先生、何か工夫されているような点があれば、一つでも二つでも、もしお気づきの点があったら言っていただきたいと思います。
  102. 高田敏

    ○高田参考人 今、一つ、ちょっとある市の基準について申し上げましたけれども、そういったようなものの積み重ねが大事だろうと思いますのですが、基準というのじゃなくして、苦労しているような点について申します。  何々に関する一切の情報とかいうふうにして出てきた場合でございますけれども、そういうふうな場合につきましては、やはり一番問題になりますのは、担当課と請求者との間で感情的なもつれがあったりいたしますと、窓口の方で担当課と話し合って、そして一定の情報を示そうとしましても、何かまだほかにあるのではないかというふうな不信感が出てくるといったようなことがあります。  やはり情報公開の問題につきましても、人的な関係というのが相当大きな要素をなすというふうなことがあるのではないか。ですから、これは基準の問題ではありませんで、担当者の人的関係をスムーズにしていくという、そういうふうな問題になるのではないかというふうに考えるわけでございます。  それから、これは政府案に入っておりましたのですが、十四条ですが、「行政文書の開示は、文書又は図画については閲覧又は写しの交付により」云々とあります。ここで、閲覧または写しの交付というふうなものを上手に使うという方法もあるようであります。  どういうことかといいますと、特定の人が極めて回数多く文書開示を求めてこられるというふうな場合ですが、閲覧が可能なものは、それをそのまますべて提示いたしたりいたしますと割に問題が簡単に解決するといったような例が窓口ではあるようですね。そういったようなことが一つ考えられます。  それから、審議会などがありましたら、それなどがやはり基準づくりに努力をするということも大事かと存じます。  情報公開といっても、公開それ自体ではなくして、自己情報開示になりますが、私ちょっと意見陳述のときに申し上げましたが、短期間存在する文書、これは実は内申書なのですが、その開示を求めた場合に、ほんのしばらくで高等学校の方に送られてしまって、中学校にはなくなってしまう。その場合に、非開示にしておいて、審査会に不服の申し立てがあっても、それを、審査会の方がその保存を求めたにもかかわらず送ってしまった、そして文書不存在にしてしまうというふうなことになりますと、やはり、非常に制度というふうなものが、救済の実をゆがめることになってしまったりというふうなこともあります。  この点については、審議会の方に諮問がございまして、結局、審議会の方では、問題が解決されるまではコピーは残しておくというふうな形で、それ以後は割にスムーズにいくとか、やはり個々の問題について、一応、基準づくりをしていくということが大事ではないかといったことを今ちょっと感じております。
  103. 萩野浩基

    萩野委員 まだ先生にお聞きしたいことを幾つか抱えているのですけれども、先生は、情報公開運営審議会と個人情報保護審議会の会長をされましたね。そうした立場からぜひちょっと聞いておきたいと思ったのですが、今、個人情報の的確な保護のために、よく俗に言われるプライバシー型と個人識別型といいますか、このどちらを採用することが、先生個人のあれでいいのですけれども、適当か。私らもここは非常に迷うところなのですが、とっさな質問かもわかりませんが、ちょっとお聞かせいただきたいと思います、これはぜひ聞いておきたいと思いましたもので。
  104. 高田敏

    ○高田参考人 非常に難しい御質問でして、意見陳述のときにも申し上げましたように、大阪府の場合はプライバシー保護型になっておりまして、個人識別型になっておりません。その場合には、そのかわり、個人情報は義務的非開示というふうに定めております。個人識別型などにしているような場合には、大体において、一応非開示開示をしないことができる情報でまとめるという形になりますが、それで、結局、もしも個人識別型になるのであれば、その例外をどれほど厳密に定めるかというあたりにかかってくるということになるのではないかと思います。  政府案で申しますと、五条の第一号でイ、ロ、ハというのが上がっていますが、このハを例として申し上げますと、個人識別型の場合ですと、公務員ですが、これの氏名開示していいかどうかという点で、何も書いていない場合ですが、吹田市の場合はこれを実務的に開示するというふうにしておりますが、他の市などにおきましては、それが掲げられていないとやはり開示はできないのではないかというような意見を持ったりしまして、それで、そのあたりの整備をしょうというふうにしたりしているようなところがございます。  ですから、個人識別型の場合につきましては、やはり除外規定といいますか、これをきっちりと決めておく、これを決めないのであればプライバシー保護型の方がよろしいかというふうな感じがいたします。
  105. 萩野浩基

    萩野委員 あっという間に時間がたってしまいまして、ほかの先生方の質問を準備したのですが、またほかの委員の方々がいろいろな角度からそれぞれ質問なさると思いますから、きょうは大変貴重な意見をありがとうございました。皆さんのを生かしながら法案成立に頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。
  106. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  桑原豊君。
  107. 桑原豊

    桑原委員 民主党の桑原でございます。  きょうは、四人の参考人の皆さん方に、大変見識のある、建設的な、そして情報公開趣旨をどう生かしていくのかということで、非常に適切なお話を聞かせていただきました。長い期間をかけていろいろ議論をしてきた問題でもございますし、それから、いろいろな課題を通じて、地方の段階でも非常に積極的に取り組まれてきた、そういう課題でもございます。  日本の政治、社会、経済、そういったものの将来を考えたときにも、この情報公開制度というものがどれだけしっかりしたものになって根づいていくのかということが決定的な意味を持つのではないか、こういうふうに思いまして、きょうは、私も、幾つかの点について、ぜひ先生方のお考えをお聞かせいただきたい、このように思っているところでございます。  最初に、意思形成過程の情報ということで、奥津先生にひとつお尋ねをいたしたいと思います。  政府案では、行政機関の意思形成過程の情報は不開示情報ということに一応されております。具体的には、行政機関内部または相互間における審議検討または協議に関する情報というふうに限定的に一応規定はされておりますけれども、お聞きしますと、諸外国では、そうした対象情報の中から事実に関する情報というのは除外されているところが多い、こういうふうに聞いております。  政府案のその規定によりますと、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれというような表現で、あいまいな規定の仕方も同時にされているわけでございまして、私の思いでは、もっと厳格に、きつい縛りをかけていく必要があるのではないか、こんなふうに思うわけでございます。  特に、この意思形成過程の情報というのは、目的とするところがら、監視であるとか参加というものが、先ほど来のお話の中でも、考え方の中にはあったものが、実際の政府案の中からは消えてしまった、こういうようなことと深くかかわりを持つのではないかというふうに思います。  そういう意味では、やはりそういったものの目的の実を上げていくためにも、いわゆる論議の過程における情報というものが、精いっぱい国民の中にきちっと提供されていくというのが非常に大事ではなかろうかというふうに思いますので、この点について、政府案については我々は非常に疑問を持っているわけですけれども、先生の御見解をまずお尋ねいたしたいと思います。
  108. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 では答えさせていただきます。  まず、基本的には、意思形成過程の情報公開は非常に必要であるということ。最近でこそ聞かなくなりましたが、やはり、公開なければ参加なしという言葉があります。つまり、市民参加または国民参加とでもいいましょうか、そういう参加の前提として、やはりとりわけ意思形成過程の情報公開が必要であるという認識がまずあります。そういうような認識に立つならば、私自身は、基本的には、野党三党案のように、意思形成過程に関する独自の不開示事項を置かないというのも一つの選択肢としてあり得ると思います。  なぜならば、こうした不開示事項が置かれることによって、乱用の可能性があるというのが一点。二点目は、各地の自治体情報公開条例運用を見ていますと、意思形成過程を侵害するということだけで不開示になるケースはそれほど多くないのです。つまり、行政運営情報といいますか、意思形成過程に不当な侵害を与えるだけではなくて、事務事業に侵害を与える、支障を生じるという、セットになって不開示になっているケースがありますので、基本的には野党三党の立場を個人的には評価します。  仮に政府案でいった場合に、先ほど委員の方からお話がありました、事実と意見の峻別、そういったような考え方を入れていくべきだというふうにも思っております。これは特に日本でも、判例的には、最高裁判決の中で、大阪府の安威川ダムの建設にかかわる調査資料の公開が問題になったケースで、やはり客観的なデータは開示すべきであるという大阪高裁の判断を踏襲しておりますので、判例的にもそういう事実と意見の峻別を意思形成過程の情報でやっておりますので、先ほどの委員の御意見にはうなずきたいと思います。  最後に一点だけ。実は、意思形成過程情報日本的な事情が一つだけあります。これをぜひ見逃していただきたくないのですが、それは文書管理の問題なんです。  各地の条例運用で明らかになってきたのは、意思形成過程情報が非公開、不開示になるのではなく、むしろ文書が残っていないというケースが多々あるということであります。これについては、大阪府大東市が昨年、情報公開条例制定しまして、条例の目的に説明責任を挙げました。さらには、その説明責任に対応する形で、実施機関の責務として会議録等の作成を義務づけるというか、そういう努力義務を置いております。  ですから、政府においても、やはり説明責任を目的に掲げるのであれば、会議録等、その意思形成過程の情報が必ず記録されるような文書管理を行うべきだというふうに考えております。
  109. 桑原豊

    桑原委員 今奥津先生のおっしゃられたそういったことには私も共感をするところが大でございますので、ぜひこれからの論議の中に積極的に生かさせていただきたい、こういうふうに思っております。  それから、先ほど来のお話にもございましたが、特殊法人情報公開が先送りになった。まあ、二年後に一応やるのだ、こういうようなことでございますけれども、私はむしろ、日本の現状からすれば、特殊法人情報公開の方にいろいろな問題があって、まずそこをどう手がけていくのかということを避けては通れないというふうに思っています。  そこで、このことについて、右崎先生にちょっとお尋ねをしたいと思います。  要綱案考え方の中では、それぞれの法的性格あるいは業務の内容、国との関係特殊法人はさまざまであるから、一律に同じ扱いをすることは適当でないということでございますけれども、行革委員会情報公開部会で、いつごろどのような議論が、検討がされてきたのか。あるいは、一律扱いがどの法人については適当でないのか。そういったところなども含めて、はっきりしていないところがたくさんございまして、我々の段階でも、先ほど来のお話にもあったように、十分に議論をしていく材料が非常に乏しいという現状がございます。  私は、動燃の問題について思うわけですけれども、動燃なんかは、言ってみれば情報公開という問題、情報隠し、そういうものが致命的な問題として取り上げられて、先般の動燃の改革というふうなことになったわけでございます。新しい法人ができるということになりましたけれども、これがきちっと行われなかったら、新しい法人で新しい仕事をしていくということの基礎づけ、そういうものが非常に不十分なものに終わってしまうということはもう明らかだというふうに思っています。  昨年の夏に、動燃改革検討委員会がいろいろ議論してきた結果、報告を出しておりますけれども、その報告の中で、社会に開かれた体制にしていくのだということが動燃を新法人に改組していくための非常に重要な要点の一つだというふうに報告をし、その第一に広報、情報公開というものを挙げておるわけでございまして、広報や情報公開は、単なる対外的サービスではなく、組織みずから存在するための条件だ、そういうふうな規定を動燃の改革に際してきちっと報告をしているわけでございます。  この動燃などは特殊法人の典型でございますけれども、こういうふうに、もう既に待ったなしの情報公開が求められているにもかかわらず、これがこの法の対象範囲に今は含まれないということでは、とても国民を納得させることにはならないというふうに思います。そういう意味では、必要なものは先行して実施をしていくような工夫も必要ではないかというふうに思います。動燃に当てはまるようなことは、ほかの特殊法人の多くにも当てはまるのではなかろうかというふうに私は思います。  地方自治体では出資する法人情報公開について先行してやっている例も多いようでございますけれども、そういった点につきましては奥津先生の方で相当いろいろ調べられておるのではないかというふうにもお聞きしますが、その点は奥津先生の方からひとつまた、そういう先行例があれば教えていただきたいと思いますが、基本的に右崎先生の方でひとつお願いしたいと思います。
  110. 右崎正博

    右崎参考人 動燃の問題をめぐる実態、「もんじゅ」事故に関する情報隠しの問題とか、それから情報公開を始めるに当たって出てきた問題点等については、先ほど奥津参考人の方から詳しいお話がありました。  私の基本的な考え方は、特殊法人についても全面的に実施対象機関とすべきだというふうに考えています。アメリカでも、政府の規制を受けている法人については対象にするという扱いをしていますし、韓国の法律を見ましても、いわゆる特殊法人政府が出資している機関については、すべて法律の直接の対象にするという扱いをしています。  ただ、日本の場合に、これまで相当議論がなされてきて、情報公開法案をまとめるについてちょっと時間的に間に合わなかったという事情があることもわかります。出資の比率で線を引くのか、それとも、政府機能を実質的にどれだけ代行しているかという点で線を引くのか、そこら辺十分に煮詰めていく必要があるのではないかというふうに思っています。  個人的には、国の出資の比率が五〇%を超えていて、国の監督に服しているものについては、直接情報公開法の規律の対象に取り込んでいくことは法的にも可能ではないかというふうに考えています。
  111. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 簡単に自治体の状況についてお話をします。  三重県四日市で、出資一〇〇%の団体を対象とした情報公開要綱がこの四月一日からスタートをしております。  実は、自治体ではこの半年ぐらいで、出資法人情報公開が相当進んでおります。特に注目するのは北海道でありまして、この四月一日にやはり施行がされました、情報公開要綱案ができました。今、右崎参考人の話があったように、出資比率二分の一以上。それだけではありません。補助金の交付を受けている団体は、その財政規模の二分の一以上を補助金等で賄っている場合はすべて情報公開のガイドラインの網がかかってくるというような形で、国よりも一歩、二歩ぐらい進んだ要綱を都道府県レベルとしては初めてやりました。こうした動向は、恐らく他の都道府県にも影響を与えてくると思います。
  112. 桑原豊

    桑原委員 どうもありがとうございました。  それでは、土生先生にお尋ねしたいと思います。  法人とか個人事業者の任意提供情報についてでございますが、政府案では、そういった任意提供情報は不開示情報というふうに位置づけをされております。  しかし、例えば、金融機関の破綻救済のために公的資金を導入する場合、国民開示されるべき金融機関の不良債権に関する情報などが非常に大事なわけでございますけれども、そういったものが当該金融機関から非公開条件というふうなことで、開示されないということになるのではないかというふうに大変危惧を覚えるわけでございますけれども、そういったことの妥当性あるいは問題点、そのようなことについて御指摘があれば、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  113. 土生照子

    ○土生参考人 議員御質問の案件は、私どもが東京都の二信組及びコスモ信組に対する国の支出を監査請求で争っている際に、議員御指摘の不良債権の情報は全く東京都からは出てこないということでありました。これは、企業からの要請であるかどうかということはまた別かもしれませんけれども、そういう企業に関する情報についても、行政が持っている場合には、企業情報行政のために使うために収集しているわけでありますから、一般行政情報と同様に情報公開すべきだというふうに考えております。  秘密特約については、アメリカのクリティカルマス基準を考えてつくったと言われておりますけれども、アメリカの場合もまだ確定した判例にはなっておりませんし、それから、アメリカにおいては、任意であるかどうかということについても厳格に考えられております。そういう意味で、漠然たる「条件」という形で企業に不公開特約を認めるという条項には反対をしているわけでございます。
  114. 桑原豊

    桑原委員 どうもありがとうございました。  この問題とあわせて、非常に我々も問題にしているわけですが、存否情報応答拒否について最後にお尋ねをしたいと思います。  原則開示の例外として不開示情報が定められている、そしてその不開示情報のさらなるある意味では例外として、存否情報応答拒否が定められているというふうに思います。知る権利や原則開示の観点からいたしますと、そのことに大きな制約、制限を加えるものだというふうに言わざるを得ないわけでございますけれども、政府案では、不開示情報全体についてそういったものが認められている。  我々の三党案では、不開示情報の一部についてそれを認めていくというような、さらに制約をしていくということになっているわけでございますけれども、応答拒否が乱用されないためにも、さらにそういったふうに限定的に認められるべきものではないかというふうに思います。土生先生の場合は、そのこともまかりならぬといいますか、いわゆる応答拒否そのものが認められないというような恐らくお考えだったかというふうに思いますけれども。  そこで、この点について、高田先生に、応答拒否の問題についてどういうふうに考えておられるのか、政府案をどのように見ておられるのかということについてお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  115. 高田敏

    ○高田参考人 この問題につきまして、私としてきっちりしたお返事ができる状況にはまだございません。存否情報それ自体は必要であろうというふうに考えております。本当にプライバシーにかかわるような問題で、回答それ自体がそれを侵すといったようなことになるような場合というのがやはりあり得ますので、そういった点では存否情報それ自体は否定し得ないだろうというふうには考えております。  ただ、確かに、政府案の、文書が存在しているか否かを答えるだけで不開示情報開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで当該開示請求を拒否することができるというふうになった場合でありますけれども、一応要件は定められているわけですが、つまり、それが存在しているか否かを答えるだけで不開示情報開示することになるという要件が定められておりますので、その要件が厳格に満たされるとすれば、先ほど私が申しましたような必要性からすると、このような条文というのはあってよろしいというふうに思います。  ただ、この場合は存否を明らかにしないで拒否ができますので、その要件に該当しないにもかかわらず存否を明らかにしないで回答するというふうな場合ですけれども、まあ乱用になるとは思うのですけれども、そういったような場合が出てこないとは言えない。そうすると、そういったような不信感を持った場合、不服の申し立てというのが提起されるということになる。そのような件数が非常に増大しますと、かえって混乱が生ずるということも考えられるのではないかというふうには思っています。  ですから、私、先ほど申しましたように成案をまだ得ていないのですが、もう少しここを何か絞れないかというふうにはちょっと考えてはおります。きっちりしたお答えができなくて申しわけございませんのですが、その点だけちょっとお答えさせていただきます。
  116. 桑原豊

    桑原委員 どうも突然の質問で恐縮いたしました。  私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  117. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  倉田栄喜君。
  118. 倉田栄喜

    ○倉田委員 平和・改革の倉田でございます。参考人の先生方には、きょうは大変ありがとうございます。  まず、奥津参考人にお尋ねをしたいと思いますけれども、参考人からは、目的規定、手数料、それから裁判管轄、文書管理等について主に御意見をいただきました。  そこで、政府案それから野党案、今御指摘の点は多少違いがございます。それで、十分な国会審議を通じてこれからこの法律がよりよいものになっていくために私どもも真剣に話し合いをして、審議をしなければならないと思いますけれども、奥津参考人は、先ほどお話しになった順序重要性を意義づけておられるのかどうかわかりませんけれども、もし政府案あるいは野党案、特に政府案だと思いますけれども、この点はやはり修正をしてもらいたい、あるいはこの点は野党案と協議をしてもらいたいということを順位づけて、優先順位的にもし言っていただくと、どういうふうになりましょうか。
  119. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 なかなか難しい御質問でありますけれども、私自身は制度を利用する立場でこの情報公開の問題にかかわってきました。ですから、利用者の視点というところで優先順位をつけさせていただきます。ということで言うならば、一つは手数料でございます。そして、それと同等に裁判管轄の問題である。この二つはやはり何とか政府案修正していただかないと、情報公開法はできたけれども、だれも利用しない、または一部のお金のある人しか利用しない。本来の趣旨を損ねることになると思います。  また、行政監視参加という点について、目的規定について言いますと、これは、私自身は利用に直ちに影響を与えると思いませんが、ある意味で、国会のあり方からして、霞が関で語句が変えられたのであれば、筋論として変えるべきものであるということで訴えさせていただいたものであります。  文書管理については、法律でやるか政令でやるかいろいろ議論があるかもしれませんが、少なくとも、政令でやるにしろ法律でやるにせよ、情報公開法がスタートしてから初めて文書管理体制を整える、そんなばかげたことではいけない、なるべく前倒しをして早くやっていただきたいというふうに考えております。
  120. 倉田栄喜

    ○倉田委員 裁判管轄の件で、これは高田参考人、土生参考人それから右崎参考人に、同一の質問でお尋ねをさせていただきたいと思います。  今、政府案は、いわゆる抗告訴訟において原告住所地裁判管轄は認めておりません。窓口とかあるいは委任とか、何とか考えようとされているような話も伺ってはおるわけでありますけれども、この情報公開法の中で、いわゆる例えば抗告訴訟において、もちろん窓口自体のことも非常に大切だと思いますけれども、裁判管轄を認めるということについて、例えば民事訴訟法、あるいは午前中の参考人のお話の中にもありましたけれども、行政事件訴訟法、これらとの関係をやはり整理しないとできないものかどうか。あるいは、行政事件訴訟法あるいは今回の情報公開法の中の特則として、裁判管轄規定を置くことは体系的に問題がないのかどうか。  この点については、三名の参考人の先生方はどのようにお考えになっておられるか、御意見をお聞かせ願えればと思います。
  121. 高田敏

    ○高田参考人 裁判管轄に関しましては、ただいま倉田委員から御指摘のとおりの問題があるわけでございます。  今回、裁判管轄について、例えば行政事件訴訟法の特則を法律論として設けることができないか否かという御質問でございましたら、それはできないことはないというふうにお答えすることになるのではないかと思います。と申しますのは、行政事件訴訟法は一般法でございますので、特別法で定めますとそれが優先することになるからということになります。  ただ、問題は、今倉田委員も御指摘になりました、体系性の問題ということになるかと存じます。行政不服審査法の場合について申しますと、それぞれの不服審査について特別法が種々ございまして、行政不服審査法の一般法的性格、そして特別法が多く存在するという体系になっておりますが、行政事件訴訟法につきましては、裁判管轄の問題にしろ、そういう形には現在なっていないということになります。  そういったような点から、裁判管轄につきまして、まず情報公開のところで先行してしまうのがいいのか、やはり体系全体を考えて、体系的な整合性を考えながら、それで実現していくのがいいのかという問題になるのではないかというふうに考えます。  御指摘のとおり、情報公開の問題につきましては、地元性を考慮しないと非常な不都合が生ずるであろうということも予測されるわけでございますけれども、特に今回の問題が提起されたわけですから、できれば早急に訴訟法原則を検討し、そして体系的に特に整合性というものが失われないような形でこの問題が解決されるのが、私としましては望ましいのじゃないかというふうに考えている次第でございます。
  122. 土生照子

    ○土生参考人 私は、行政事件訴訟法の中の管轄問題というのは訴訟法の構造を決めるものではないというふうに考えておりますので、地方管轄を別法で定めることに何ら支障はないというふうに思っております。  それから、今高田参考人がおっしゃいました、基本法を変えることを考えろというお話でございますが、これは塩野先生がおっしゃっていますとおり、我が国では基本法を変えるのは極めて長時間かかる、これは民訴の例を見ても御承知のとおりだと思います。そういう場合は、必要性がある場合には個別の法律によって個別の定めをするべきだというのが塩野先生のお考えであり一私もそう思います。事件法自体は既に制定からかなり年月がたっております。現代型訴訟には適用はできません。  体系的というならば、個人の権利義務にかかわる処分を争う抗告訴訟の体系と、一般の公の情報をとることをすべての国民に認めている情報公開の不開示処分を果たして抗告訴訟でやるのがいいのかどうかということ自体も問題であります。したがって、別の法律で、情報公開法で地方管轄を認めるということは容易なことであり、ぜひやるべきことであるというふうに考えます。
  123. 右崎正博

    右崎参考人 私もお二人の意見と全く同じです。特則を設けることは法的にも可能であるし、開示請求権という権利を実効的なものにして、その救済を十分なものにしていくためには、特則を認めることがぜひ必要であるというふうに考えています。  現行行政事件訴訟法がその点で原告居住地での訴訟提起を認めていないという問題がありますが、それは、現行行政事件訴訟法自体がむしろ問題を抱えているということを明らかにしているものではないかと思います。これまで機関委任事務との関係で比較的目立たないできた問題なんですが、情報公開法制定されるということになって、それと突き合わせたときに明らかになってきた問題ではないかと思います。  ですから、将来的には行政事件訴訟法のあり方そのものを変えていくことを念頭に置きながら、情報公開法においてぜひ特則を設けて、先導的に施行していくということが必要だと思います。
  124. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ありがとうございました。  それでは、土生参考人に、二点またお尋ねをしたいと思います。  先ほど参考人は、刑事訴訟法五十三条との関係で、刑事訴訟記録がこの情報公開法施行に伴う関係法律整備等に関する法律で除外をされている、このことについての問題を御指摘になりました。この点をもう少し詳しくお聞きしたいと思うわけです。現実には、これで例外になったとしても、実際は任意に提出をされてくるからいいではないかという議論もあったりするかとは思うのですけれども、この点についてどうお考えになるかということが一点。  もう一点、午前中の参考人の質疑の中で、いわゆる企業情報の存否の問題で、例えば研究開発をしているかどうか、しているというふうに答えたことだけでも、いわゆる産業スパイ等々あったりして、競争社会の中で不利になってしまう、こういう御意見があったわけですけれども、この点についてはどうお考えになりますか。
  125. 土生照子

    ○土生参考人 刑事訴訟法記録の除外の問題について申し上げたいと思います。  実際上は、任意にとおっしゃったのは、送付嘱託であろうかと思います。それから、刑事確定記録法というのがあって、それで閲覧もできる、こういうことを法務省は民事訴訟法との関連ではおっしゃっておって、送付嘱託でもほとんど九九%出ておりますよ、こういうことをおっしゃっております。それと同時に、刑事事件関連記録を出せば個人プライバシーにかかわる、こういうことを理由公開をしないという方向に行っているというふうに伺っております。  しかしながら、日弁連の方の調査では、送付嘱託で九九%出ているということは、とても資料的には考えられないということが一点。仮に九九%としても、その出ない一%をどうするか。これが極めて重要な証拠として必要なものである場合に、これは、一%出ないということでいいではないかという法整備の仕方はやるべきではないというふうに思っております。  第二点目の企業の研究開発の問題で、しているかどうかというのがわかったらどうかというふうなことでありますけれども、これは存否応答拒否をするほどのものではないと私は思っております。それがわかったとしても何ら企業に直接的な影響はなく、もし仮にあるとすれば、企業情報保護で不開示にすれば十分足りると思っております。  新薬の申請の問題についても、応答拒否をしなければどうするかというお話もありますけれども、これも、業界紙の中ではその段階で載りますし、仮に載せた方がその会社の株が上がるというふうな波及効果もあるかと思うのです。決して隠すことが企業にとっても利益ばかりではないというふうに思いますので、必要がないと思います。
  126. 倉田栄喜

    ○倉田委員 次に、右崎参考人にお尋ねをいたします。参考人は、目的規定の中でやはり知る権利は明記した方がいいのではないか、こういう御意見とお伺いいたしました。それで、この点をもう少し整理して参考人のお話をお伺いできればと思うわけであります。  要するに、憲法二十一条あるいは国民主権の観点から知る権利を認めたとしても、それを法の目的の中に明記するかどうかは別の問題ではないかということが一つ。  それから、仮に知る権利を明記すべしという考え方に立った場合、やはり知る権利の概念自体が非常にまだ固まっていない、あるいは、いわゆる請求権としての知る権利というのは学説上まだそこまでは通説的にはなっていないのではないのか、こういう議論も現実にあるわけでございます。  この点について、参考人のお考えを聞きながら、なお知る権利を明記した方がいいかどうか、そして、知る権利を明記するいわゆる効用といいますか効果といいますか、その点をどうお考えになっているのか、お聞かせいただければと思います。
  127. 右崎正博

    右崎参考人 知る権利の考え方につきまして、学説上十分な合意が得られていないのではないかという点につきましては、私は、むしろ通説的には、知る権利の保障が表現の自由に含まれるという考え方が支配的であるというふうにとらえています。ただ、異論がないわけではないということですね。人権の発展動向とか学説の状況、先ほど話をさせていただきましたが、今日ではむしろ積極的に、請求権的な意味での知る権利が二十一条に含まれているというふうに考えていくべきではないかと思います。  それを認めることと、情報公開法に知る権利の保障ということを明記するのは別ではないかというお話でしたが、その点は、情報公開法をどのような性格のものとして制定するか、それにかかわってくると思います。現在の政府案は、知る権利を積極的に否定しているわけではありませんが、それとはいわばかかわらないところで情報公開の仕組みをつくろうとしているというふうに思われるわけです。  しかし、何度も言いましたが、それでは不十分なのではないか。情報公開法というのはもともと情報開示請求権を具体的につくり出す仕組みなわけですから、むしろ積極的に知る権利に基礎づけることによって、情報公開法意味がより明確になるし、よりその重みが増すというふうに考えています。知る権利を明記することによって、私は、具体的に不開示範囲を必要最小限に限定すべきである、しなければならない、そういう法的な効果が出てくるというふうに考えています。  現在の政府案で、不開示情報の組み立て方あるいは存否応答拒否の仕組みが非常に広範につくられているというのも、いわば知る権利とはかかわらないところでつくろうとしているのではないかと思われるからです。知る権利を念頭に置いて考えるならば、結果的に、知る権利の制限として出てくる不開示範囲はもっともっと限定しなければならないというふうに受けとめられるはずだと思います。
  128. 倉田栄喜

    ○倉田委員 大変ありがとうございました。  時間が来ましたので、以上で終わります。
  129. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  達増拓也君。
  130. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  まず、その存在自体について開示できないいわゆる応答拒否の問題につきまして、今答弁の中で土生参考人から、企業の関係情報、開発研究、新薬の申請等についてもやはりそういう応答拒否は認めてはいけないということで、同じ質問について右崎参考人に伺いたいのですけれども、そういう開発研究情報ですとか、特に新薬申請の例がよく取り上げられるのですが、その情報についての存否の応答拒否についてどう考えるか、伺いたいと思います。
  131. 右崎正博

    右崎参考人 基本的には、先ほど土生参考人の方からお話があったように受けとめています。  存否応答拒否の問題は、合衆国におけるグローマー応答拒否に倣ったものというふうに言われていますが、アメリカ合衆国においては、法文に明記されているわけではありません。判例法理として展開されてきているものです。それをなぜ日本で成文の形で法律の中に取り込まなければならないのかという点については、なお若干の疑問を持っています。幾つかの問題があると思うのですが、新薬の開発のような事例は、正当な企業情報として法人情報のところで十分に保護し得るというふうに判断します。  アメリカにおいて応答拒否が発動されて、それが判例上支持された例というのを調べてみますと、個人プライバシーに関するような情報の類型のところと、国家安全にかかわる情報の類型のところと、それから犯罪の捜査、予防に関するところがほとんどなわけですね。ですから、少なくとも、情報の類型によって絞る、あるいは利益侵害の程度によって絞りをかけるという扱いは何としても必要なのではないかというふうに考えています。  私自身は、全面的に存否応答拒否の仕組みを認めないとすることにはちょっとためらいを感ずるのですが、どうしても認めなければならないとしたら、少なくとも野党の三党案に見られるような形で、適用される情報の類型を限定すべきであるというふうに思います。
  132. 達増拓也

    達増委員 奥津参考人、主として利用者の観点から、今の同じ問題について質問したいと思います。
  133. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 私も同様の考えでありますが、基本的に、新薬を開発しているか否かということ自体が、制度の利用によって明らかになるケースというのはそれほどあるのかなという疑問がまずあります。  あともう一つは、これまでの条例利用の中でも、例えばその新薬の成分または分量、それぞれ成分ごとの分量、そういったものは企業ノウハウとして保護されますので、例えば、仮にある新薬を開発しているか否かのレベルがわかったとしても、他社を利するということがどれだけあるのか非常に疑問であるということ。  さらには、こういう考え方もぜひしていただきたいのですが、そもそも他社が知らないそういう開発計画の有無というのを行政機関が持っているということ自体がちょっと異常事態でありますし、そういうことを前提として議論すること自体がおかしい。また、仮にもしそういうことがあるとするならば、どういうものがあるのか、これは政府によって説明をさせて、その上で審議をするべきことだというふうに思っております。
  134. 達増拓也

    達増委員 続いて、手数料について、これも奥津参考人に幾つか伺いたいと思うのですが、奥津参考人、先ほど意見陳述の中で、いろいろ手数料があることで、自治体情報公開、現状の弊害について述べられましたけれども、その情報の閲覧を有料としている、手数料をとっている自治体の数ですね、大体で結構ですので、有料としているケース、無料としているケース、その辺の現状について教えていただければと思います。
  135. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 都道府県については正確なデータを持っております。閲覧を無料にしているところは四十七都道府県のうち四十三団体。また、政府案と同様に、閲覧も含めて有料としている団体は四団体。ただし、その四団体のうちの香川県については、ある程度公益等の利用に関する減免規定を置いております。また、市区町村については正確なデータは把握しておりませんが、圧倒的多数と言ってもいいです、圧倒的多数が閲覧は無料にしているということは言えると思います。
  136. 達増拓也

    達増委員 奥津参考人に重ねて質問いたしますが、自治体の場合、多くの場合無料としている、その理由考え方というのはどういうところにあるのか、伺いたいと思います。
  137. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 第一点は、政府でも全く同じだと思いますけれども、行政情報市民または国民との共有財産であるという一つ理念があるという点です。あともう一点は、午前中の審議でも出てこなかったのですが、情報公開法をつくるということは、情報公開していく、提供していくということを、政府の仕事として、日常の業務として位置づけるということですね。それが多くの自治体では行われているわけです。  例えが適切かどうかわかりませんが、国会の本会議をだれでも傍聴できる。傍聴という行為によって情報を収集することができるわけですが、どうですか、国会は有料にしていらっしゃるのですか。やはり原則公開を定めているからには、公開に伴う経費というのは当然仕事の一部として位置づけられ、当然これは税金、必要な経費で賄われるというのが多くの自治体の発想であり、こちらの国会のこれまでの考え方であるというふうに信じております。
  138. 達増拓也

    達増委員 では、また奥津参考人に伺いますが、今自治体としてはそういう考え方に基づいて、まあ大体無料のところが圧倒的に多く、有料にしているところも無料にする方向になっている。そういう中で、政府が、国の方でその手数料というものを有料化した場合、これはどういう影響があると考えられるでしょうか。
  139. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 政府案に対する危惧は、国の情報を入手するに当たって利用者に負担があるだけにはとどまらないわけです。今申し上げたとおり、多くの情報公開条例は閲覧を無料にして利用者の負担の軽減を図っているわけですが、本来は地方分権の時代にこういうことではいけないのですが、残念ながら、現状として、国が閲覧を有料にするというような法制度制定した場合、水は低い方に流れるというのですか、国と同様に閲覧を有料にする自治体がふえる可能性があります。  現に高槻市で、業務の見直しに関する文書が情報公開されたことがあります。これによると、情報公開業務の見直しの一つとして有料化を検討している。括弧してこう書いてありました。情報公開法の動向に注目している。つまり、各地の情報公開条例政府案の動向に注目しているわけであり、政府案のとおり、手数料、閲覧を有料にした場合には、各地域に住む人たちも相当の負担を強いられることになるというふうに思います。
  140. 達増拓也

    達増委員 同じ手数料の問題について右崎参考人に伺いたいのですが、御存じの範囲内、今わかる範囲内で結構なのですけれども、諸外国の例、例えばアメリカですとか、そういった外国で手数料等を取っているのか、また、その実態の背後にある考え方、それについて教えていただければと思います。
  141. 右崎正博

    右崎参考人 詳しくはアメリカの例しかわからないのですが、アメリカでは、検索のための手数料、それから複写等の費用は一応実費で徴収するという全体の枠組みになっています。検索のための手数料というのは、請求された文書を検索するのに何時間かかったのかという形ではじき出されます。  しかし、実際に手数料を取る枠組みは、それを前提にして三段階に区別されていまして、営利目的の場合は実費を徴収する。第二は、研究機関や報道機関等が研究や報道の目的で請求した場合には、検索のための手数料は二時間を限度とする、複写の費用については二百ページまでを限度とする、それ以上にわたるものについては、それ以上は無料の扱いになっています。それから第三は、公益目的での請求の場合についてはすべての手数料を徴収しないという仕組みがとられています。
  142. 達増拓也

    達増委員 それでは次に、また法人情報、企業関係情報にちょっと戻りますけれども、アメリカのいわゆるクリティカルマス判決ということで、任意に提供された企業情報については非公開にできるという例として紹介されているわけです。  これは土生参考人に伺いたいのですが、日弁連で調査団を派遣して、アメリカにおける実態について調査をしてきたということを仄聞しているのですけれども、その調査の結果を踏まえて、アメリカでの実態について、先ほど簡単に触れていらっしゃったのですけれども、もう少し詳しく伺いたいのです。
  143. 土生照子

    ○土生参考人 アメリカでの調査の結果は本にしておりますので、ぜひごらんいただきたいと思うのですけれども、簡潔に言えば、先ほどちょっと言いましたように、情報の収集についての方法が任意であるか強制であるかということについては極めて厳格に審議をしている。例えば、一つの売買契約を結ぶについて、結ぶか結ばないかは任意であるけれども、それについて政府に提供した情報は任意ではなくて強制で取得したものだというふうな解釈もあるというふうなことで、極めて厳格であるし、またその例も多くはない、こういうふうに報告をされております。  その点では、私は、先ほど立花参考人もおっしゃっていましたけれども、日本行政指導という形で情報をとるということが多く、何が義務なのか、何が法的義務なくして提供したのかということについては極めて不明確であって、その点は、行政が必要とする情報はきちっと法整備をして義務的に徴取をするということをまずすることによって、この規定による条件だとかそういうことによる企業の保護は必要がないと思いますし、また第三者保護規定等の利用で十分やれるというふうに思っております。
  144. 達増拓也

    達増委員 次に、文書管理のあり方について伺いたいと思います。  まず、また奥津参考人に伺いたいのですけれども、先ほど陳述の中でも文書管理法の必要性等に言及していらっしゃいましたが、やはり利用する立場を踏まえて、文書管理のあり方についてもう少し具体的に例えればと思うのです。
  145. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 文書管理につきましては、野党三党案提案しているように、結論的には文書管理法をつくるべきだというふうに考えております。  なぜならば、やはり政令にゆだねた場合、特にその政令の内容について何ら国会に報告されない、または国会審議されない場合に、失礼ながら官僚の恣意によって文書がつくられない、または簡単に捨てられてしまう、そういったことが起こるからであります。  あと、もう一点強調しておきたいのは、先ほども申し上げましたが、法律によるか政令によるかを問わず、やはり文書管理については早いところしっかりとした体制をつくってスタートをさせないといけない。特に廃棄については、既に多くの情報公開条例のあるところでは明確な廃棄手続を定めております。具体的に言うと、廃棄した文書の名称、さらには廃棄した年月日、そして廃棄した責任者、そういったものの名称や名前を文書に残して廃棄文書目録をつくるわけです。  国の場合、そういった廃棄文書目録をつくるという体制をつくった上で情報公開法施行すれば、既に廃棄文書目録自体はつくっていると思いますけれども、そういうものをやれば、先ほど私が懸念したようなことは避けられるのではないかというふうに考えております。
  146. 達増拓也

    達増委員 先ほど高田参考人も陳述の中で文書管理のあり方について言及していらしたと思うのですけれども、やはり徹底した、きちっとした文書管理のルールを定めなければ情報公開の実が上がらない、そういう考え方について御意見を伺いたいのです。
  147. 高田敏

    ○高田参考人 今御指摘いただきましたとおり、先ほど申し上げましたが、文書管理というものは、ある意味では情報公開の死命を制するという側面をも持っていると言っても過言ではないのではないかと考えております。特に、決裁文書に限定して公開をするという段階から未決裁文書を含めてというふうになりますと、文書管理というものが一層重要になってくるだろうというふうに考えております。  本当の現場で、こういつたことで悩んでいる人があるということの例をちょっと申し上げますと、大阪府の場合は現在決裁文書に限定されております。それで、現在もう既に条例改正が日程に上っておりまして、検討を始めているわけですが、そうしますと、現場の人たちですけれども、未決裁のものを含めるということになった場合には、どれだけのものを保存しないといけないのか。決裁の段階が幾つかございますが、そのたびごとにフロッピーに残さぬといけないのか、今までに比べてうんとふえるのかとか、そういうことを心配したりしているわけでございますけれども、そういったあたりは、やはり文書管理規定できっちりと定めないといけないということになります。  そしてまた、情報公開範囲が増大すれば、もしも文書管理規定が十分に定められていないというふうなことになりますと、むしろ文書を廃棄してしまった方が、文書として作成しないでおいた方がいいといったような、安易な方向に流れるという危険性もないわけではないと思います。  そういったような意味で、文書管理規定というふうなものは、極めて重要なものとして、やはりきっちりと決めていく必要があるだろうというふうに考えております。ですから、ある種の場合の文書作成義務を含めまして、やはりきっちりと決めていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  148. 達増拓也

    達増委員 参考人の皆様、ありがとうございました。  私からの質問は以上で終わらせていただきたいと思います。
  149. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  寺前巖君。
  150. 寺前巖

    寺前委員 どうも御苦労さんでございます。日本共産党の寺前巖です。  何点かの問題を聞きたいと思うわけですが、私は、やはり一番最初に、情報公開法を設ける、また設けなければならない客観的な事態にあるということをつくづく感ずるものです。  世間では、先ほどから出ておりましたように、HIVの問題をめぐって政府機関が何をやっていたのか、動燃の問題をめぐって政府機関は何をやっていたのだろうか、こういう問題はたくさんあります。銀行や金融機関の問題をめぐって大蔵省は何をしていたのだ。これだけずっと出てくると、政府機関は一体だれのために、何のためにあるのかということをはっきりさせなければならない。  私は、そういう点からいうと、新しい憲法国民主権になって去年で五十年になりました。五十年たった段階に、これだけ出てきたものを基本的に改革していかなければならないとなると、やはり政治そのものの責任はそれだけ大きいと思うのです。  そういう立場から見るときに、情報公開法というものの持っている役割は、本当に国民の立場に立ってつくり上げていくということが非常に重要だ。先ほどからのお話、皆さんの意見、非常にもっともな御意見で、私は国会にとって非常に参考になったと思います。  右崎先生は、全面的に自分の学問的な追求を通じて、一定の短い時間の間にわかりやすく整理をしてくださって、そして、そういう事態の行政機関にあるから知る権利というのをあえて明確にする必要があるのだろう、それが明確になったら、不開示の問題、適用除外の措置の問題など、もっと違う角度になってくるのではないのか、そういう問題提起であったというふうに私は思うわけです。  そこでお聞きしたい第一は、地方自治体においては、この間に積極的に国民主権の立場に立った条例を提起するという形がずっと進んでいました。その中には、この知る権利というのを非常に明確にうたっている条例もあれば、うたっていないところもあります。うたったからといって、だれが長を占めているかということによって内容的にはいろいろ差が生まれてくるでしょう。  だけれども、うたったところとうたわないところでは、行政機関の姿勢として何らかの変化が生まれてきていたんだろうか、生まれていないんだろうか。そこらの経験を実践的にお教えいただいたらありがたいというふうにまず第一に思いますので、全参考人の先生方に、お思いになる点を御指摘いただいたらありがたいというふうに思います。
  151. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 知る権利をうたっている情報公開条例は、都道府県では、かつては京都、大阪、沖縄でありましたけれども、この三月、新たに加わりました北海道、高知県、そして特筆すべきは、一番最後に情報公開条例をつくった愛媛県でも知る権利を盛り込むという方向です。  ですから、知る権利というのはもはや自治体でも盛り込む方向にあるということと、あとは、かつては、特に知る権利を掲げた情報公開条例を持っているところでは、やはり職員意識も非常に高いということもありまして、一般的には情報公開範囲が、例えば交際費知事の交際費を出すか出さないかで違いがあったということも言えると思います。
  152. 高田敏

    ○高田参考人 それでは、大阪の例で申し上げますと、知る権利を定めておりますものが府と八市でございます。定めていないものが十一市ございます。  ただ、今の御質問でございますが、残念ながら、定めているところと定めていないところで行政の姿勢に相違が出ているかどうかという点につきまして、十分に調査もできておりませんので、お答えができないわけでございます。  大阪府が一方で定めております。そして他方で、初期のもので申しますと、吹田市とか島本町とか高槻市とかが知る権利を定めております。今申しました市は、情報公開については先進的な市だというふうに言われておりますが、そういう意味では、知る権利を条例の第一条で定めて、積極的な情報公開行政をやってきたという実績はあるかと存じます。  しかし、今申しましたように、大阪府も知る権利を定めているということで、知る権利を定めたことが必然的に行政の性格を左右しているかという点につきましては、ちょっと私としては申し上げられないというところでございます。  知る権利それ自体について、意見をちょっと申し上げさせていただきたいと存じます。  私は、参考人意見というところで、最初の陳述でございますけれども、行政法そしてまた情報公開法憲法具体化法であるというふうに考えたいと申しました。そして、今の政府案もそのような趣旨になっていると存じます。およそ知る権利について申しますと、憲法学におきましてどのように法的性格を解するかを別にすれば、知る権利というものは一応は市民権を得ている、これは間違いのないところであろうと思います。  これは、憲法二十一条の表現の自由が近代的な自由から現代的なものへと変質をしたこと、そして憲法前文にありますような国民主権、民主主義、そういったようなものから、それからまた、現代化したというのは、社会国家的な状況、そういったようなところがら単なる国家からの自由にとどまらないで、知る権利的なものが出てきたということについては、特に異論はないかと存じます。それをどのように呼ぶか、そしてまたどのような法的性格をそこに与えるかについて種々論議があるということになります。  憲法段階ですと、完全な権利といえなくても、プログラム的なものであっても権利と呼ぶという場合がありますし、抽象的権利、知る権利についてはそれが通説でございますが、あるいは具体的権利説まで、種々のものがあるということになります。ただ、法律段階になると、これが規定されるということに対しまして、具体的権利性を法律で承認したことを前提にして規定しているのではないかといったような見方が出たりというふうなことで、この点についてはなかなか一致が得にくいということ。  それからまた、既に出ておりますように、情報公開法の根拠につきましては、種々の根拠がいろいろな国で挙げられている。そういったようなことから、もしも知る権利について日本におきまして完全なコンセンサスが得られるのであればそう法律において定めて結構だと思いますけれども、現在の段階ではそういうふうにはちょっとなっていないというのが現状ではないかというふうに考えております。  そういう意味で、それを具体化する、これが結局第二条以下になりますけれども、そういったところでその権利をどれだけいいものへと具体化していくかということがやはりより重要なのではないか。ですから、法律はどうしても成立してほしいというふうに考えまして、そういったような点について議論が分かれるということであれば、私としましては、特にそこまで第一条には、憲法具体化法的な性格がそこで明らかになっていれば、それ以上を特に求めるつもりはないというのが私の意見でございます。
  153. 土生照子

    ○土生参考人 知る権利が憲法二十一条の表現の自由の内容をなすものであるという点、それから、これは行政情報を請求する権利も含むのだということが学説上も通説となってきており、それから、国際的な人権状況からしても、知る権利というものは法的権利として明確になってきているのだという右崎参考人のお考えに私は賛同するものであります。  そして、これを具体的にどういう手続で、どういう情報を請求するのかということを定めるのが情報公開法であるというふうに考えておりますので、目的規定には知る権利を明記すべきであるし、地方公開条例の中で知る権利を明記する条例がふえてきているという現状は、それだけこの権利の性格が明確になってきていること、それから入れることの効果を市民が求めているということを示しているのだと思います。ですから、ぜひ入れていただきたいというふうに思います。
  154. 右崎正博

    右崎参考人 私も、同じ意見の繰り返しになりますが、知る権利を入れることの意味は非常に大きいというふうに考えています。  ただ、知る権利を掲げている条例のもとでの行政機関のあり方と、知る権利を掲げていない情報公開条例のもとでの行政機関のあり方に違いがあるかという質問に対しては、この点でこう違うということはなかなか申し上げにくい点があります。ただ、どういう条例を持つかということは、それぞれの自治体の姿勢を明確に示しますから、知る権利を掲げている条例をつくった自治体では情報公開に対する姿勢が非常に積極的であるというふうにおおむね評価できると思います。  御質問の趣旨からちょっと外れるかもしれませんが、先ほど萩野委員の御意見の中に、諸外国で知る権利について言及している例はほとんどないではないか、韓国だけしかないではないかというお話がありましたので、その点について一言だけ触れさせていただきますと、韓国の法律には、確かに知る権利を保障するために情報公開法をつくるということが明記されています。  アメリカの法律には、確かに条文の上では明記されていませんが、連邦下院が市民のための情報自由法の利用ガイドというのをつくっています。これは、最初に法律がつくられた翌年、連邦下院によってつくられたもので、情報自由法の改正にあわせてこれまで七回つくり直されています。今手元に持っているのは第百五議会の三十七号報告書というものなのですが、これは第七版になっていまして、この間数十万部が市民に読まれているということです。これを読みますと、連邦議会は少なくとも明確に、情報自由法が国民の知る権利を実現するためのものであるということをうたっています。そういう点もぜひお考えいただきたいと思います。  この二月、日弁連が国会議員の皆さんに対してアンケート調査を行っていますね。そのアンケート調査の結果によると、実に八七%が、知る権利を明記すべきであるという積極的なお答えをなさっているということです。ぜひこの機会に積極的に対応していただいて、知る権利を生かしていくような方向で、情報公開法の中に盛り込んでいただけないかというふうに希望します。
  155. 寺前巖

    寺前委員 どうもありがとうございました。  次に、日本憲法の特徴は、平和憲法と言われている、世界に最も先進的な問題を提起している憲法だと思うのです。それは国連憲章の精神にも、非常に高い意味において、積極的な役割を果たしてきている、私はそう思うのです。  ところで、政府案の第五条の三号の、国の安全が害されるおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由のある情報は不開示にするという問題は、こういう憲法を持っている日本の国においてこういう位置づけをされるということは、広い範囲に国の安全の範囲を位置づけて、私は、非常に問題を残してくる提起になってきているのではないだろうかというふうに思うわけです。  それで、日弁連のQアンドAの文書をこの間読んでおりましたら、防衛施設庁は那覇市の自衛隊庁舎建設の添付図面について、図面から壁の厚さがわかるから施設の強度が把握され、公開することは国の安全を害すると主張している。  これは、何で国の安全を害するのか、壁の厚さによって影響してくるのか、わけのわからぬことを言い始めているのだなということを感ずるだけに、一層この問題については、このままではぐあいが悪いのではないだろうかということを私は感じているのですが、いかがなものでしょうか。参考人の方々に、ひとつ簡単にお答えいただければと思います。
  156. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 なるべく簡潔にお答えしたいと思います。  五条三号の問題というのは、私は、もっとほかのところにあると思っております。情報公開法をつくることの意義は、非公開の挙証責任、立証責任を行政機関に負わせるところにあるわけですが、この規定問題点は、むしろその挙証責任を緩和しようというところにあるわけですね。つまり、行政機関の長が認めれば、内容がどうであれ、そのことをもって直ちに非公開が合理性があるのではないかというふうに判断されるところに問題があるわけでありまして、そこをぜひこの国会審議の中では変えていただきたいと思っております。
  157. 高田敏

    ○高田参考人 私は、最初の意見陳述で、第四号を一つ例に挙げまして、基準の客観化ということを申し上げたわけでございます。「行政機関の長が認める」というよりは、「認められる」というふうに客観化した方がいいのではないかというふうに私の意見を申し上げたわけでございますけれども、第三号についても同じことが言えるのではないかというふうに考えております。
  158. 土生照子

    ○土生参考人 先ほど申し上げましたとおり、この第一次判断権を行政機関の長に与えるという仕組みは、議員御指摘のとおり、大変問題であるというふうに考えております。  かつて国家秘密法が問題になりました。そのときに、国家秘密法上の国の安全とは何かということを大変日弁連も議論をいたしました。そして、推進をしょうとする方々は、国の安全にかかわるものはすべて情報公開対象外であるという主張で、しかも、国の安全の範囲というものを吟味し、狭めるという努力は全くなされませんでした。それほど、国の安全という言葉は抽象的、個人の考えによって違うというあいまいさを持っております。  そういうものであるからこそ、非公開処分については実質的な司法審査を必要とするのだと考えております。ただ長の判断が相当かどうかということならば、その決めた裁量の範囲が乱用であるかどうかの判断だけで過ぎてしまうということであります。大変問題であると思いますので、ぜひこの規定についての国会での御審議をお願いしたいと思います。
  159. 右崎正博

    右崎参考人 ほとんど同じ意見を述べることになりますが、行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報という書き方になりますと、行政庁の側の裁量が相当程度優先されることになり、結果として司法判断が抑制されるおそれがあります。最終的には、これは開示請求権という権利の問題ですから、それが制限されたときに十分な救済がなされなければならないということを述べました。そういう観点から見て、行政庁、行政機関の長の判断にいささか敬譲し過ぎなのではないかと思います。  国家公務員法等によって保護されている秘密の扱いについて、最高裁の判例は、いわゆる実質秘説という考え方をとっています。実質的に保護すべき内容を備えているかどうか、そのことを裁判所が独自の立場から判断するという立場を既に判例として固めてきています。そういう判例の確立された法理からしても、裁判所の実質的な審査権を相当程度制約するであろうこのような法文の規定は、最高裁の判例ともちょっと矛盾してくるのではないかというふうに考えています。
  160. 寺前巖

    寺前委員 ありがとうございました。
  161. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  深田肇君。
  162. 深田肇

    深田委員 先生方、御苦労さまでございます。  四時までの約束ですから、なるべくそれに近い時間で終わるようにいたしますから、おつき合いのほど、よろしくお願い申し上げます。  そこで、与党でございますから、政府側提案を支持しながら、これをよりょくするための努力をしなければいかぬということはもうずっと申し上げているのでありますが、その立場を持った上で、なおかつ、けさ方の参考人の先生方のお話と今のお話と伺っておりますと、特に、権威ある日弁連のお話を、全面展開を伺いますと、これは大変なことになるぞと。これを自民党さんどうさばくだろうか、私たち与党の中でどういうふうに、これからどうさばくべきなのか考えなければいかぬなという感じが率直にいたします。  そういうことを申し上げた上で、大変恐縮でございますが、お話が出ましたとおり、私どももすべてのものは公開するようにという、先般の委員会でも申し上げたのでありますが、原則としてはそれがいいだろうということを申し上げた上のことでございますけれども、もう一度、先生の方から。  日弁連のことを国民がよく理解するためには、お話がありましたとおり、国会裁判所もというお話も出ましたが、とりあえずのところは防衛とか警察問題とかありますが、まあ俗っぽく言えば国家秘密だとか国家機密だとかいう言葉がよく通俗的に使われているのですが、そこらを含めてこの機会に踏み出すべきことがより必要なんだ。それに対して、大した心配はないよ、そのためにはこういうことをやることが必要なんだというようなお話をもう一度伺いたいと思いますことと、行政の長に任すところはいけないから、これに対しては、これを切りましたらどうしたらいいのかなということを率直にお話を今伺えばいいなと思っておりました。  ちょっと先生のお話をまず聞かせてください。
  163. 土生照子

    ○土生参考人 大変難しい御質問をいただきましたが、日弁連の考え方では通らないというお声が出ていたりいたしますが、ぜひお考えいただきたいというふうに思います。  基本的には、日弁連は、国民の、先ほども申しましたような原則公開で非公開は少なくしろ、こういうのが基本でございます。  その中で、最も問題になりそうなのが応答拒否処分だろうと思いますが、各省庁とも、改革委員会のヒアリングでは、うちの省もこれは必要、うちの省もこれは必要とおっしゃったわけでありますけれども、特に、防衛、外交、警察情報というのが応答拒否処分の対象になるということで現実化してくるのだろうというふうに思います。  文書管理との関係もございますけれども、防衛庁は訓令によって莫大な秘密化をしています。その中には秘密にすることが必要でないものもございます。先ほど言っていられました神奈川県の米軍の施設の問題だとか、あるいは那覇市のASWOCの施設の建物の問題だとか、形式的な秘密指定もしていないようなものについても国家安全にかかわる情報と言われております。  そういう意味で、応答拒否処分というものについては、日弁連としても、何らかのことがあるのではないかということについての会内論議はこれからも継続していくつもりでございます。  ただし、先ほど申し上げましたように、これはあくまで情報公開の基本的原則には反する問題であり、アメリカにおいても、実際上、原則公開を進めながら、その中で一部分について応答拒否処分というものが判例上出てきたということであります。しかも、アメリカでは、大統領令に基づく秘密指定が行われている国防情報あるいは個人情報ということに種類も限定をされている。  そういうことを考えますと、万一、情報公開をして、その中で非公開事由ではどうしても賄えない事由があれば、そのときに、どういう情報について応答拒否が認められるのか、そしてこれを認める以上はどういうふうに司法手続にのせるべきなのかということを十分検討すべきではないかというふうに考えております。  ですから、決して日弁連は不可能な法律を申し上げているわけではございませんので、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。
  164. 深田肇

    深田委員 右崎先生。知る権利なんですが、私どもも知る権利は明記すべきだというのを常日ごろ思っているのですが、なかなかこれは壁が厚くてという感じが率直にしているのですけれども、きょう一日のお話を伺うと、大変理論的で、論理的で、国際情勢の見合いの中で、私どもはついこの間まで韓国だけだと思っておりましたけれども、そうじゃないよというお話もありましたし、などなどたくさん勉強をいたしたわけであります。  この知る権利が、今回の政府法案のように、これはまあ入っていない部分に入るんでしょう。余りにおいも、入っていない程度に入るのかもわかりませんが、入るというのは知る権利が盛られていないということを言っているのですが。ということの状況の中で、この法案はどうしたものでしょうかね。これはどうしても入れろとおっしゃればそうなんですが、これが入らないことを含めて、これはもうだめだとおっしゃいますか。この法案じゃだめだとおっしゃいますか。  私どもは、知る権利についてはその他の条項の中で手当てをすることによってとりあえずクリアしょうじゃないかという意見もあるんですが、その点、ちょっと聞かせていただけますか。
  165. 右崎正博

    右崎参考人 知る権利を明記していないこの法律案ではだめだからやめてくださいというふうには言いません。そういう方向でぜひ考えていただきたいということです。アンケートを先ほど引用させていただきましたが、多くの議員さんが、むしろ積極的に明記することが必要だと。その意味を、ぜひお考えいただきたいと思います。  イギリスで労働党政権が成立した後、情報自由法を制定する動きが広範に広がってきていて、昨年、政府の白書が公表されています。そのタイトルが、国民の知る権利というタイトルで公表されているんです。アメリカだけではなくて、イギリスでもそういう位置づけのもとに情報自由法が検討されているということを言っておきたいと思います。  実は、三月と、五月に入ってからも一度、アメリカから友人が来まして、情報自由法について関心を持っているものですから、そういう話をする機会がありましたり  そのときに彼から聞かれたのは、国会議員のこれだけの人たちがこういう考え方を持っている。同じ時期に毎日新聞でも全国会議員に対するアンケートというのをやっていたようなんですが、その毎日新聞のアンケート調査結果でも、六割を超える六十数%の議員さんが知る権利の明記が必要だというふうに答えていました。その結果を前にして、国会議員の皆さん方のこれだけ多くが知る権利を明記することが必要だと考えているのに、日本ではなぜそういう法律案が用意されてこないのかというふうに聞かれて、ちょっと答えに困りました。  情報公開法は要するに政府監視するための法律なわけですから、アメリカの情報自由法が議員立法としてつくられてきたことからもわかりますように、やはり、議会が行政府をきちっと監督しコントロールするという、そういう姿勢を明確にする必要がある。そのためには、監視という言葉や、知る権利を確実に保障するというような位置づけがぜひ必要だというふうに思っています。
  166. 深田肇

    深田委員 本当に真剣に考えてみたいと思います。  今、直観で思い出したのでありますけれども、先生の御指摘のとおり、たくさんそういう矛盾はあります。本件と直接関係ないことでありますけれども、被爆者援護法をつくろうと思いまして、国会議員の過半数のみんな判こをもらいましたけれども、なかなかそれは最後の最後まででき上がらなかったという経過もありますから、やはり政党が存在しておりますしなかなか難しいという面もあるようですから、その点はちょっと印象的なことを申し上げた上で、次の方に入っていきたいのです。  四十条のところをちょっと地方部隊が気にしておりましたので伺うのでありますが、大阪府なり大阪市の関係でいいますと、いわゆる公安委員会というのは情報公開対象に入っているのでしょうか。今度、中央の方では、中央というか全国の関係では警察庁まで入れる、こうなりますから、その点はどうなのでしょう。ちょっと簡単にそれだけ勉強しておきたいと思います。入っていなければ、この法案ができれば入ることになる、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  167. 高田敏

    ○高田参考人 お答え申し上げます。  大阪では府に公安委員会がございます。したがいまして、府の条例がどうなっているかということになりますわけですが、大阪府では、現在の段階では公安委員会対象に入れておりません。他の都道府県でも大体同様でございます。ただ、最近ですが、やはり大きな契機になりましたのはこの国の案になりますのですが、これが出てまいりましてから、大阪府でもこれを検討を始めております。  それからもう一つ、ちょっと何日でしたか、仙台地裁で判決がございまして、あそこで警察情報が予算にかかわる場合は公開対象になるかどうかが議論されて、これは認められませんでしたけれども、そういうふうに判例で問題になったのもございます。  大阪府の場合にまた戻りますと、大阪府は現在改正を検討中でございまして、一応そこへは公安委員会対象に含めることということを問題として出しております。ですから、まだ結論が出ておりませんので何とも断定はできませんけれども、一応国の方が国家公安委員会も含めて公開対象にしたということで、地方公共団体の方でも、これから公安委員会を、そして警察を対象にしていくという流れが次第にできてくるのではないかというふうに予測されるところでございます。
  168. 深田肇

    深田委員 ありがとうございました。  そこで、奥津さん。きょうの陳述の話も聞きましたし、それから皆さんとのやりとりも伺っていますから、ちょっと角度を変えまして、あなたの肩書は情報公開法を求める市民運動事務局長市民運動で結構なのだけれども、全国の国民がどのぐらいこの情報公開を求めているかというのを、数としてのデータの話を聞こうと思いません、それはなかなかすぐわかることじゃないから。しかし、現実にあなたが全国歩いて、自治体の中でやられて、市民国民の声を聞いていろいろと活動されることを知っておりますから、その観点からすると、あなたが全国で共通の問題意識を持ってやっている方々と一緒にやっているこのあなたの運動体の話を聞かせてもらえば大体わかるのでしょうが、その中で、このぐらいの量だよということを明らかに聞いておきたいと思うのです。  私は、それを感覚的には物すごいものだと思ってやりとりするのですが、政府の方は大したことないと思っているかもわからないのです。やりとり、随分過去にあるのです。したがって、この機会、私の持ち時間五分上げますから、五分間で全面展開やってもらうといい参考になると思いますから、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
  169. 奥津茂樹

    ○奥津参考人 大変重い課題をいただきましたけれども、正直な話、潜在的な利用者というのは、赤ん坊を含めてはいけないかもしれませんが、一億二千万人いると思います。つまり、この制度というのは、ニーズがあれば、今まで利用されていない自治体でも相当使われるようになる。  一番典型的な例は、秋田県であります。秋田県は、情報公開条例、当初ほとんど請求がなかった。新聞記者からもよく電話を受けました。県は条例をつくったのに全然請求がないんだ、これはどういうことだと。私が言ったのは何かというと、これはある意味市民自治的な仕組みである。つまり、そこの有権者が行政に何ら関心がなければ請求はゼロであるし、また何か問題があって関心を持とうとすれば請求が出てくるんだという仕組みです。  ですから、国についても、国政が滞りなく、何ら問題なく進められていれば、この法律は全く使われないかもしれない。しかし、残念ながらいまだに何らかの問題は多くあるわけですから、そういう中では、いつ、だれが使うかということは、潜在的には赤ん坊も含めて一億二千万人いるということです。  もう少し、そういうふろしきを広げるのをやめまして、具体的な数字を出したいと思いますが、市民グループは、午前中参考人となった高橋さんのところでも全国各地にグループがあって、オンブズマンは全国各地にあるということですね。あと、私の一番知っている具体的なデータをお話しします。  きょうは傍聴席にいらっしゃいますが、実はマスメディアの方も情報公開制度を使うわけですね、使ってもいいわけです。現に、マスメディアの利用というのは相当ふえております。五、六年前は、全国で、新聞記者で情報公開制度を使っているのは本当に十人いたかいないかぐらいでした。しかし、これは全社的な取り組みをやっているところも含めて、今や数百人の単位でいらっしゃいます。マスコミはウォッチドッグと言われていますが、権力に対する番犬と害われておりますけれども、そういったところが相当使うようになってきているわけでありまして、これは相当な利用の拡大というのがあると思います。  ですから、私たち最後にお願いしたいことは、一つは、この法律を早期につくっていただきたいということ。  あともう一つは、先ほどいろいろ議論がありましたけれども、やはりこの法案というのは本来ならば議員立法でやるべきものでありますし、最近、さまざまな動きを見ていますと、議員の皆さん方の活動でよい法律がいろいろ出始めてきています。こういった流れにさおを差さないためにも、ぜひ、今回の法案は閣法でありますけれども、やはり国会審議の中で一つでも二つでもいいですから修正を与野党で合意していただいて、よりよい法律をつくっていただきたいというふうに思います。  済みません、最後、何かまとめてしまいましたけれども。
  170. 深田肇

    深田委員 どうもありがとうございました。  これで終わります。
  171. 谷津義男

    谷津委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の先生方には、貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時八分散会