○穂積
委員 去る十二日の
委員会で、私は、
行政各機関が公明正大な
行政を行うことによって
国民の期待にこたえていくということは必要なことであり、そのために、
行政機関のいろいろな
行政情報というものをできるだけ
国民に明らかにしていくということは必要であって、今回の
情報公開法案は早期成立を図るべきである、そういう
基本姿勢を申しました。私
ども自民党としては、その
基本姿勢に立って、
政府案と、野党さんの方から
提出された
法案との間の調整をどう図っていくかということを実は真剣に考えているところでございます。
実は、この問題については、広くマスコミに強い関心を持たれ、特に中央各紙でも、社説で、何回かにわたって、
情報公開法の早期成立を期待するという論陣が張られております。私も、それを見てなるほどと思ったことがございます。
それは、故大平正芳総理
大臣が在任中に、
情報公開問題についてこんなふうにお話しになった。
政府が持っている
情報の
公開は差し支えない限り行うことが
行政の公正さを確保する上でも必要だ、こう大平総理がお話しになったじゃないか、その志を生かすのは後輩たちの
責任だ、三月二十八日の朝日新聞の社説は、そのように私
どもに主張されておるわけであります。
さらに、五月二日の同紙の社説でも、大事なことは、とにかく早く、
国民本位の
立場で、使いやすい
情報公開法を早く誕生させるべきである。毎日、日経、読売、産経、その他各紙、そのような論調では共通するものがございます。
そこで、成立を早く図りたいということはやまやまではありますが、実は、
政府におきまして、
行政改革委員会の部会で三年前から審議を行い、学識経験者の非常に熱心ないろいろな面からの検討を加えた上での
委員会の報告を踏まえて、
政府はこれを
法制化したわけであります。
当然、内閣法制局において、いろいろな法制面でのきちんとした検討を踏まえた案ですから、私
ども自民党は、これを党内でいろいろ議論してきましたけれ
ども、そうした、
政府での真剣な検討を踏まえ、さらに与党として、私
どもの信ずる自由民主主義
国家の擁護のために、どのような
範囲において
情報公開を積極的に進めていくかという見地から議論いたしました。そこで、その結論が、
政府提案に私
どもの主張も盛り込まれておるわけであります。
そうした経緯からしまして、野党の各案と対比しまして、既に十二日、そして、先ほど
小野寺委員の質疑にもありましたような対立点が幾つかありまして、これらについて、対立したままで、今
国会、私
ども多数をもってこの
委員会で採決、可決をお願いするということでいくのか。あるいは、できれば、真摯な相互の論議を経て、取りまとめにいくか。この辺がまさに大人の、
国会の場での議論のあり方だと思っておる次第でございます。
新聞の社説などはこんな言い方もされています。
修正のかぎを握る自民党に、野党に大幅譲歩をしてまで成立させる必要はないという空気が漂っているようだというような表現で言われておりますけれ
ども、私
どもは、
内容次第によって、歩み寄れるかどうかということは、大人の
判断として今後考えていきたいと思いますけれ
ども、どうもこれまでの論議からしますと、私自身も前回野党さんの方に御質問しましたけれ
ども、幾つかの点で、どうもこれは、我が自民党としては、党内手続や何やを考えますと、とても歩み寄れるものではないというような事項が幾つもございます。
まず、冒頭の知る権利という問題につきましても、前回私が申し上げましたけれ
ども、これは私自身もですけれ
ども、知ることを拒否できる権利といいますか、プライバシーにかかわる問題等について、
憲法上、そういう知られざる権利との対比において、知る権利ということを明確にこの
法律で明示することについてはいささか、これはまださまざまな議論がある中で、私
どもはいかがなものか。この話から始まっておるわけであります。
そうしたことについて、知る権利ということを明定しなくても、冒頭に私が申し上げました、公明正大なる
行政を進めていく上で必要な
情報開示をさせようということについては異論がないわけですから、目的
規定でも、
政府案で皆さん納得いただけないものかな、こんな話がありますね。
それから、先ほどの
小野寺委員が質疑に出しました
防衛、
外交それから犯罪
捜査等の
情報について、これは不
開示を
相当とする場合があるということで、これらについても、どうも
防衛庁や外務省が自分の仕事を、従来の延長で、余り知られないままに、信頼してくれというようなことでやらせていいのかという体質について、私
どもは、やはり
国家というものが本当に存続をしていくための大変な配慮のもとに政権は運営されなければならないと思っているわけですから、これは、
政府案のような形で当面は
国民の皆様にも御理解いただいてしかるべきではないか、こんなふうに思っているわけであります。
そうしたことはまだ幾つかあります。例えば、問題の、不
開示についての訴訟の土地管轄について、他の
行政事件の訴訟の場合とは別途に、この
情報公開については、
情報公開を求める側の所在地に管轄を認めるべきではないかということを一挙にやっていいのか。これは実際に、この
政府案のような形で、多くは東京地裁になると思いますが、
行政情報の管轄を機関委任や何やで地方におろした場合にはどうなるかということなどを含めて、これは
運用の上で、
法律施行後しばらく実態を見た上で、また別途、必要ならば法
改正を相談するかというような話であろうかとか、いろいろあるわけでございます。
そうしたことからしますと、私は、新聞の社説とは逆なんですけれ
ども、まずは野党の皆さんが、ここはとにかく
政府案で
法律を成立させて、その上で、法
施行後の実際の
運用にかんがみて見直していくということは将来の
国会において可能なわけですから、そうしたことで歩み寄っていただくということが
国民の期待にこたえる道ではないか。自民党、それは甚だ勝手な話だ、おれの方に歩み寄れとおっしゃるのかもしれませんけれ
ども、そんな気持ちで、これについては、三党さんそれから共産党さんに、その辺の感触をまず冒頭に伺いたいと存じます。