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1998-05-27 第142回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月二十七日(水曜日)     午前九時四十分開議 出席委員   委員長 坂上 富男君    理事 野田 聖子君 理事 古屋 圭司君    理事 山口 俊一君 理事 小沢 鋭仁君    理事 永井 英慈君 理事 石田 勝之君    理事 西田  猛君       浅野 勝人君    石崎  岳君       今村 雅弘君    大石 秀政君       川崎 二郎君    久野統一郎君       倉成 正和君    佐藤  勉君       坂井 隆憲君    園田 修光君       竹本 直一君   吉田左エ門君       伊藤 忠治君    吉田  治君       遠藤 和良君    神崎 武法君       白保 台一君    石垣 一夫君       矢島 恒夫君    横光 克彦君       笹木 竜三君    小坂 憲次君  出席国務大臣        郵 政 大 臣  自見庄三郎君  出席政府委員        郵政大臣官房長  天野 定功君        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     海老沢勝二君         参  考  人         (社団法人日本         民間放送連盟会         長)         (日本テレビ放         送網株式会社代         表取締役社長) 氏家齊一郎君         参  考  人         (株式会社東京         放送代表取締         社長)     砂原 幸雄君         参  考  人         (株式会社フジ         テレビジョン代         表取締役社長) 日枝  久君         参  考  人         (全国朝日放送         株式会社代表取         締役社長)   伊藤 邦男君         参  考  人         (株式会社テレ         ビ東京代表取締         役社長)    一木  豊君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     酒井 治盛君         逓信委員会専門         員       丸山 一敏君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十七日  辞任        補欠選任   野中 広務君     久野統一郎君   神崎 武法君     白保 台一君   中田  宏君     笹木 竜三君 同日  辞任        補欠選任   久野統一郎君     野中 広務君   白保 台一君     神崎 武法君   笹木 竜三君     中田  宏君     ――――――――――――― 五月二十七日  高度情報化時代に対応した電話料金体系導入  に関する陳情書  (第三六五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第五  五号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 坂上富男

    坂上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として日本放送協会会長海老沢勝二君、社団法人日本民間放送連盟会長日本テレビ放送網株式会社代表取締役社長氏家齊一郎君、株式会社東京放送代表取締役社長砂原幸雄君、株式会社フジテレビジョン代表取締役社長日枝久君、全国朝日放送株式会社代表取締役社長伊藤邦男君及び株式会社テレビ東京代表取締役社長一木豊君、以上の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  参考人各位におかれましては、このたび、御出席していただくに当たりいろいろな経緯がございましたが、当委員会といたしましては、国民生活に不可欠な情報メディアとしての放送分野発展のため、各社とは今後とも良好な関係を築いていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  また、本日は、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を述べていただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、海老沢参考人氏家参考人の順に、お一人十分程度意見をお述べいただきます。その後、委員からの質疑に対しお答えをいただきたいと存じますが、時間が限られておりますので、なるべく簡潔に御答弁をお願いいたします。  なお、念のため申し上げますが、参考人委員長の許可を得て御発言を願います。また、委員に対しましては質疑ができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、海老沢参考人にお願いいたします。
  3. 海老沢勝二

    海老沢参考人 おはようございます。  デジタル放送推進に当たってのNHK基本的な方針考え方についてまず申し述べさせていただきます。  放送デジタル化は、多チャンネル化高画質化、高機能化マルチメディア化などのメリットをもたらしております。こうした放送デジタル化メリットは、国民視聴者にこれまでにない新しいサービスをもたらし、今後の放送発展につながる絶好の機会だと私ども考えております。このようなことから、衛星地上音声放送など、すべてのメディアデジタル放送導入に取り組んでいく考えでございます。このことは、ことし一月に公表いたしました「デジタル時代へのNHKビジョン」でも、私どもNHKデジタル放送に関する基本方針として打ち出しております。  放送デジタル化に当たりましては、国民視聴者に与える影響が大きいため、衛星放送地上放送音声放送など、それぞれのメディアが果たしている役割特性技術開発状況導入に当たっての課題などにつきまして、メディアごと検討を重ね、事業化を図っていく考えでございます。  このうち、衛星デジタル放送につきましては、既に二〇〇〇年を目途に放送開始されることが決まっております。NHKといたしましては、これまで十年以上にわたって衛星アナログ放送で培ってきた経験や知識を生かすと同時に、デジタル技術の利点を最大限活用して、視聴者に新しく魅力的な放送サービスを提供したいと考えております。これまでテレビ放送は、白黒テレビからカラテレビヘと発展してまいりました。衛星デジタル放送による豊かで便利な新しいサービスは、放送の歴史に新たな一ページを加えることになるに違いないと確信しております。  NHKがこの衛星デジタル放送で実施したいと考えているサービスについて御説明したいと思います。  NHK衛星デジタル放送は、国の放送普及基本計画で、衛星アナログ放送と同じ内容放送を行うこととされております。二〇〇〇年の放送開始以降、当分の間、衛星デジタル放送アナログ放送と同じ内容放送を行うことが基本となります。  NHKは、衛星デジタル放送開始を契機といたしまして、衛星放送をさらに発展させるため、同じ内容放送基本としながらも、データ放送による新しいサービスも実施したいと考えております。現在アナログ放送をごらんいただいている視聴者皆さんに、できるだけ早くデジタル放送をごらんいただくようにするためにも、データ放送による新しいサービスが必要不可欠であると考えております。  衛星デジタル放送中心になるサービスは、デジタルハイビジョン放送であると考えております。ニュース、スポーツ、映画、ドラマなど、ワイド画面高画質、高音質のハイビジョン特性を十分に発揮する番組充実を図っていきたいと考えております。  特に、臨場感にあふれたニュースハイビジョン化は、衛星デジタル放送普及するための起爆剤となるのではないかと考えておりまして、二〇〇〇年を目標に今設備や機材の整備などの準備を進めているところでございます。  データ放送による新しいサービスといたしましては、テレビ画面番組表を見られる電子番組ガイドや、いつでもニュース気象情報を見られるサービス好み番組を自動的に録画できるサービスなどを実施したいと考えております。  こうした情報サービスは、デジタルテレビ受信機に内蔵されております記憶装置に最新のものが蓄積され、視聴者はいつでも必要な情報を利用できるようになります。近い将来、数時間から十数時間分程度番組を蓄積できる記憶装置の値段が安くなれば、視聴者は、好み番組を登録しておくことによりまして、受信機が自動的に番組を収録、蓄積し、いつでも好きなときに番組を見ることができるようになると考えられております。  このような高機能デジタルテレビ受信機普及にあわせまして、衛星デジタル放送によるサービス高度化段階的に図っていこうと考えております。  本日審議されます放送法改正案は、NHK委託放送事業者として衛星デジタル放送に参入することを可能とするものでありまして、妥当な改正であると考えております。  今回の改正案は、テレビジョン放送に関するものであり、データ放送については特に触れられておりませんが、先ほど申し述べましたように、NHKは、衛星デジタル放送データ放送による新しいサービスもぜひ実施したいと考えております。今後、二〇〇〇年の放送開始までには、NHKデータ放送を本来業務として実施できるよう制度整備を図られることを要望してまいりたいと考えております。  一方、地上デジタル放送につきましては、NHK民放連代表も加わった郵政省地上デジタル放送懇談会で、事業面サービス面制度面などの検討が行われております。また、郵政省電気通信技術審議会放送方式などの技術的検討も行われております。  NHKは、こうした検討を踏まえ、地上放送デジタル化にも今後とも積極的に取り組む方針であります。  地上放送デジタル化するにつきましては、現在放送しているアナログ放送のための周波数が大変込み合っておりまして、デジタル放送のための周波数を確保するためには、現在のアナログ放送チャンネルを変更する必要があるなど、デジタル放送用周波数を見つけることが大変難しいという問題もあります。  現段階での試算では、NHK送信設備デジタル化だけでも三千億円は必要という多額なデジタル化投資の問題、視聴者アナログ受信機デジタル受信機に積極的に買いかえたいと思うような魅力のある放送サービスあり方衛星デジタル放送との共通受信機や安い受信機開発など、問題が山積しております。  したがいまして、地上放送デジタル化につきましては、地上放送国民に最も身近で、日常生活に不可欠なメディアとなっている現状を踏まえ、視聴者に過大な負担をかけないことを基本に、衛星デジタル放送普及発展状況、今後の我が国の経済動向などについて十分見きわめながら推進を図っていく必要があると考えております。  このため、まず地上デジタル放送実験放送に取り組むことは、デジタル化を効果的、円滑に推進する立場から意義のあるものと考えております。地域放送充実につながるような新しいサービス開発や、そのための技術開発などを進めるため、NHKといたしましても、地上デジタル放送共同実験に積極的に参加していく考えでございます。  NHKは、これまでもデジタル放送研究開発に積極的に取り組んでおりまして、平成十年度予算におきましても、研究開発経費として二十億円を計上しております。この研究開発の成果を地上デジタル放送実験放送にも生かしていきたいと考えております。  以上、デジタル放送に関するNHK基本的な考えを御説明いたしました。よろしくお願いします。(拍手
  4. 坂上富男

    坂上委員長 ありがとうございました。  次に、氏家参考人にお願いいたします。
  5. 氏家齊一郎

    氏家参考人 皆さん、おはようございます。  本日審議される放送法の一部を改正する法律案の主題は、平成十二年末に打ち上げられる予定のBS後発機デジタル放送を行い、その中でNHK先発機同様の番組サイマル放送させるために、NHK業務として委託放送業務を認めようという趣旨のものと理解しております。  この後発機につきましては、BSデジタル放送を行いますに際しまして、我々民放も各系列ごとの参入を要望しているところでございまして、視聴者サービス視聴者保護という面から見て、NHKサイマル放送は不可欠だと考えますので、法改正には賛成するものでございます。  御案内のとおり、このBS放送に関する議論というものは、平成五年からいろいろとございました。私どもは、その間、国際的に割り当てられた貴重なBS放送周波数を高精細度テレビ放送に使用し、そこでは既存民放事業者経営資源番組制作ノウハウを積極的に活用すべきだと主張してまいりました。  幸い、こうした主張に御理解を得ることができまして、現在整備の進んでいるBSデジタル放送制度では、BS後発機の四本の中継器のりち、先発機サイマル放送用の一本を除いた三本を二分割し、六事業者に高精細度テレビ番組中心放送を行わせようという考えのようでございます。BSデジタル放送では受託委託放送制度が適用されますので、我々は、放送分野以外のさまざまな業界方々と連携し、委託放送事業者となって、この新しいBSデジタル放送に参画し、国民視聴者の皆様に新しいサービスを提供したいと考えており、また、その準備を進めているところでございます。  次に、地上放送デジタル化について、三つの問題点を指摘させていただきたいと思います。  郵政省は、昨年、平成十二年までに地上デジタル放送開始できるように技術面制度面整備を行うという目標を発表されました。現在、私どもも、地上デジタル放送懇談会でこの問題に関する議論をしているところでございます。  我々といたしましては、このデジタル放送懇談会にも提出いたしました点でございますけれども、まず第一点として、解決されていない技術面での検証を申し上げております。  地上放送デジタル化議論しようにも、地上デジタル放送用周波数が十分確保できるかどうか、その周波数で従来の放送サービス地域を十分カバーできるかどうか、新しい地上デジタル放送方式は十分機能するかといった点がまだ実は技術的に明らかになっておらないと思います。  行政側からは、ことし夏にも実験放送を行い、年末には全国的な地上デジタル放送用周波数使用計画を策定するというスケジュールが示されておりますが、本来、そうした技術面での検証が済んでから議論すべき問題が、時間的な余裕のないまま、いささか早目に議論されております。  この点、実地に手を動かさなければならない部分につきましては、相当の時間をかけるべきであると我々は考えております。  第二点に関しまして、地上デジタル化への投資は、一系列一千億ないし一千五百億円に達します。今NHK会長も三千億というようなことを申されていたように記憶しますけれども、この問題に関しましては、民放で六千億、NHKでは今おっしゃったように三千億、合計約九千億円が必要になる、こういうふうに見込まれております。  この投資額はかなり大きな投資額でございまして、地上民放テレビネットワークは各地域放送事業者が互いに協力して全国をカバーしておりますけれども経営はそれぞれ独立のものでございますし、経営体力はさまざまでございます。したがいまして、体力の弱い民放事業者にとっては、地上放送デジタル化は実施したくてもできない、または実施することによってかえってみずからの経営危機を招きかねないという大きな問題を内在しているわけでございます。  第三点は、デジタル時代地上放送あり方について、もう少し慎重な議論が必要ではないかという点でございます。  ただいま地上デジタル放送には金がかかると申し上げましたが、これをよく分析すると、親局あるいは主要な一、二の中継局だけのデジタル化に限定しますと、ある程度投資で、ある程度地域がカバーできます。問題は、残りの地域デジタル化するため数多くの中継局を設置しなければならないということでございます。  御承知のように、日本は極めて地形が複雑でございまして、末端まで電波を通そうとしますならば、中継局がたくさん必要でございます。我々の調査でございますと、アメリカの場合は一局当たり二本ないし三本の中継局で十分と言われておりますが、日本の場合はそれより十倍はかかるという現実もございます。こういうような点でかなり難しいということがございまして、この辺をどういうふうにカバーしていくかということが非常に大きな一つの問題になろうかと思います。  いささか長くなりましたけれども技術面の問題、投資面の問題、国民視聴者の全部に行き渡らせて納得していただくかどうかという問題がいろいろとネックになっておると思いますので、関係各方面の方々十分意見を交換しながら、我々としてもしっかりと地上放送デジタル化の問題に取り組んでまいりたい、こう思っている次第でございます。  こうした状況の中で、ことし、本年度補正予算案に、地上デジタル放送研究開発用共同利用施設構想として三百五十億円規模の施策が盛り込まれましたが、こうした施策地上デジタル放送を実現する上で大きな力になることを我々は期待しておりますし、地上放送デジタル化については、衛星放送等を含む放送全体の将来ビジョンを見通す中で議論してまいる必要があると考えております。  以上が、民間放送連盟会長としてのデジタル化への取り組みについての考え方でございます。  ありがとうございました。(拍手
  6. 坂上富男

    坂上委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  7. 坂上富男

    坂上委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋圭司君。
  8. 古屋圭司

    古屋委員 自由民主党の古屋圭司でございます。  きょうは、NHK会長並びに民放各社最高責任者に御出席をいただきました。本当にありがとうございます。  逓信委員会始まって以来、こういった御出席があったというふうに承っております。それだけ、このデジタル化問題というものが放送業界にとって極めて重大な課題であるということを象徴していると私は思います。  早速質問に入らせていただきたいと思います。  きょうの午後に放送法改正審議が行われて、そしてきょう成立を見ると思います。  今も民放連並びNHK会長からBSデジタル化についての御所見をいただきました。いよいよ二〇〇〇年のデジタル化に向けての軌道に乗ってきた、こういうことだと思います。  一方、CSも、スカイパーフェクTVであるとかあるいはディレクTV、もうデジタルで大競争時代に入っております。また、CATVなんかも今試行サービスを既に始めております。  そうなりますと、残るは地上波デジタルということだと思います。ことしの春にアメリカのFCCの委員長が、地上放送デジタル化というのは大競争時代意味しているのだ、一方、好むと好まざるにかかわらず、必ずこれはやってくる、こんなような力強い発言をされておられます。しかし、放送事業者は、この地上波デジタル化するということに対しては、イニシアルコストが極めてかかるということを問題にして、今もちょっと後ろ向きの御発言がございました。  しかし、これは五十年に一度のビッグチャンスだと思います。地上放送デジタル化は二十一世紀の国力を決すると言っても過言ではないと私は思います。きょう、この質疑を通じまして地上放送デジタル化に向けた基本認識共通にしていきたい、こんなふうに思っております。  まず、NHK会長に御質問します。  放送法上、NHKは、放送及び受信進歩発達に必要な業務を行う、こういうふうに規定をされておりますけれども、まさしく今NHKがその先導的な役割をこの地上波デジタルにおいても果たしていくべきだと私は思います。さきの予算質疑のときにも同様の質問をさせていただきました。  特に、今NHK並びに国内で開発をしているデジタル放送方式というのは、ヨーロッパやアメリカ方式に比べてすぐれていると私は思います。去年、逓信委員会でも我々はイギリスに行きましてデジタル放送の視察をしましたけれども、確かに画像面等々におきまして日本の方がすぐれているということを実感いたしました。NHKがそういった新しい技術に積極的に取り組んでいくことによって国際競争力もつけることができるし、まさしく世界のデファクトスタンダードというものを確立することもできる。  そういった観点から、再度NHK会長からこのデジタル化問題について、場合によっては前倒しでもやるんだ、これぐらいの決意をお伺いしたいと思いますが、その御所見をまずお伺いしたいと思います。簡単で結構でございます。
  9. 海老沢勝二

    海老沢参考人 放送デジタル化は、本当に多くの国民にそのメリットを享受させることができるだろうと思っております。そのために、私どもNHKといたしましても、このデジタル技術研究開発には全力を挙げて今取り組んでおります。そういうことで、まず衛星デジタル放送を成功させ、そしてさらにこの地上波デジタル化にも積極的に取り組んでいくというのは基本的な方針であります。  ただ、地上デジタルにつきましては、アメリカイギリスと違いまして、いろいろな条件がまだ整っていない。そういう意味で、これから共同実験を始めようという段階に来ております。この共同実験に私ども全力を挙げて積極的に取り組んで、そして実証を重ねながら、いろいろなノウハウを積み重ねながら、着実にこれを推進していきたい、そういう考えでございます。
  10. 古屋圭司

    古屋委員 まさしくこのデジタル化によって双方向あるいは高画質、いろいろな多様なコンテンツがもちろん可能でありますし、視聴者にとってもびっくりするような内容が可能になって、そのことがひいては放送事業者にとってもメリットがありますので、大いにこの地上波デジタルについてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。  さて、最近は株価が大変低迷をいたしております。しかし、分析してみると、これには勝ち組負け組があります。御承知のとおり、勝ち組情報通信代表されるような、リストラを断行して世界戦略をやって技術革新をやっていた、こういう業界勝ち組であります。一方、負け組というと、金融であるとか、証券であるとか、保険であるとか、ゼネコンであるとか、いわば護送船団方式あるいは保護されてきた団体、これが基本的に負け組だと思います。  しかし、唯一の例外がありますね。いわゆる護送船団方式あるいは保護されている、そういう意味では、私は放送業界もこのジャンルに入ると思いますが、放送業界は決して負け組ではありません。むしろ勝ち組であります。  ちなみに、日経の平均を見てみましても、一番安かったのが平成四年八月でありまして、例えば建設業でも大成建設がその当時五百五十七円、昨日の日経終わり値が一万五千八百円ですが、昨日の終わり値は二百八十九円。清水建設は七百九十八に対して四百。鹿島は七百六十に対して三百八十八。あるいは銀行でも、興業銀行が千六百九十に対して八百九十二。第一勧銀、千二百六十に対して八百六十七。もうすべて最安値のときよりも半分以下に株を落としております。  しかし、放送事業者を見てみますと、これは当時、平成四年に上場していたのがTBSNTVでありますが、TBSは八百七十四円であります。それが現在は千七百二十円。一方、NTVにおいても一万二千三百円が昨日は四万一千三百円というふうになっております。  また、経常利益で見てみましても、日本テレビは、平成九年は二千八百億の売り上げに対して四百六十億の経常を出しております。平成八年が三百五十億、七年も二百五十億。あるいは東京放送も百八十億、百三十億。あるいはフジテレビも二百七十億、二百六十億等々、毎年好成績を出しております。  これ自体は確かに評価するものでありますが、一方では、こういった流れにもありますように、極めて余裕があるということだと思います。  そういった中で、各社質問したいわけでありますが、デジタル化のためには、かなりアバウトな相当ディスクレがある数字でございますが、今一社平均で一千億から一千五百億かかるということでありますね。トータルすると六、七千億かかるのだというふうに主張しております。しかし、これはメーカーや関係者の不断の努力によってこういったコストというのは大幅に削減することができると私は思います。既存の技術水準による判断であります。  ちなみに、我々が使っておりますパソコンの世界でも、去年と同じスペックを今買ったら一おそらく三分の一で買えます。十年前でしたら二十分の一、三十分の一という値段だと思います。それだけ技術というのは日進月歩であります。  そういった観点から、民放連には先ほど地上デジタル懇談会の公式スタンスというのがあるということは承知をいたしておりますが、しかし、これで全部横並びということになるならば、まさしく護送船団方式にほかならないわけであります。やはりこれからの競争時代に入っていくということであるならば、各社がしのぎを削ってこのデジタル化というものに取り組んでいくべきだと思います。そのパイオニアとなる気概を持つべきだと思います。  各社それぞれ恐らく意向があるかと思いますが、そういったパイオニアとしてこの地上デジタル化に取り組んでいきたいのだ、このことについて日本テレビとTBSとフジテレビ、それぞれこの観点だけからで結構でございますから、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  11. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私どもは後ろ向きにこの問題を考えておりません。デジタル放送というのは、まさにおっしゃるとおり世界の流れでございまして、この世界の流れに逆らうようなことをしていけばその国のその産業は滅びるわけでございまして、必ずその方向に乗っていこう、こういうふうに考えているわけでございます。  ただ、いろいろと問題点その他がございますので、その辺を軟着陸と申しますか、むちゃくちゃにいかないで軟着陸でいきたいな、こういうようなことを考えているのが私の基本的な考えでございます。
  12. 砂原幸雄

    砂原参考人 砂原でございます。  デジタル化というのは、本当に世界の潮流であり、将来に向かって私ども放送事業者視聴者に対し多彩なサービスができる大きなチャンスと考えております。それと同時に、これまでアナログで国民と我々放送事業者との間に営々五十年近くにわたって、あまねく普及というもとに九九%を超える形の今の送信設備をつくり上げてきたのも事実でございます。  それがデジタル化というのは相当革新的な転換であると思いますし、五十年にわたってやってきたものをどのような形、スピードでそのサービスを転換していくのか。また、その過程で視聴者にとって一番混乱があってはならないというのも事実でございます。そういうことも踏まえながら考えていかなければいけないと思います。  基本的に私どもは、デジタル化というのは世界の潮流であり、積極的に取り組むつもりでございます。
  13. 日枝久

    日枝参考人 日枝でございます。  今先生御指摘のとおり、まさに技術革新は非常に速いわけでございまして、今我々が見積もっている料金というのは、多分あと二、三年で変わると思います。したがいまして、今この時点でどのぐらい経費がかかるかということは正確を欠くと思いますし、先生おっしゃるように、多分もっと安くなるだろうと私は思っております。  同時に、私ども民間放送及びフジテレビは、デジタル化世界の潮流ということで前向きであることは事実でございます。ただ、先ほど民放連会長も指摘を申し上げましたように、周波数をどこでやるのかという議論もまずもう少しお聞きしたいということ、それから、今まで我々、NHKさんとともに、広くあまねくすべての人に公平に電波を届けるように難視聴対策をやってまいったわけでございまして、今度のデジタル化によって、広くあまねくすべての国民に平等にデジタルの波が行くかどうかについてこれから検討しようということでございまして、決して後ろ向きではないということをここで表明させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  14. 古屋圭司

    古屋委員 各社の答弁も後ろ向きではないということはわかりましたけれども、何か、それでしたら横並びではなくて、我が社がパイオニアになってでもやっていくんだ、どうもまだその辺の気概は感じ取ることができません。  今フジテレビの社長の方から、コストに対する計算は現時点のものだから変わってくる、こういう指摘があった。そのとおりだと思いますね。恐らく、極論かもしれませんが、五分の一でやれと言えばやれる世界かもしれない。ですから、コストというのはほとんど関係ないと思います。周波数の問題、これは確かにありましょう。しかし、問題は、やはり事業者のそれに取り組む決意と熱意と経営判断、これに尽きると私は思いますので、ぜひそういう方向に向かってやっていただきたいと思います。  ただ、もう一点、ちょっと関係質問しますけれども、確かに日本はローカル局の問題がありますね。これは、財務体制が非常にローカル局は弱いので、大変だと思いますよ。ただ、やはりキー局制度がある以上、このローカル局を財政的にもしっかりバックアップしていく、これは必要だと思いますね。そういった意識改革をさせていくというのがキー局の責任でもあると思いますし、そうなると、キー局がまず先行してデジタル放送開始するぐらいのことは私はできると思います。  そのことによりまして、例えばデジタル放送機器であるとか受信端末の普及、あるいはそれの低廉化というものにつながって、ローカル局のデジタル化への環境整備というものができていくと私は思いますけれども、この点についてはいかがお考えか。民放連会長と、あとテレ朝に質問していませんので、テレ朝の社長さんにお願いしたいと思います。
  15. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私も、まことに適切な御意見だと思います。  ただ、要するに、今ちょっとおっしゃいましたけれども、地理的条件からいって、つまり、放送機器その他の進展は非常に進むだろうと思います。しかしながら、満遍なく視聴者の皆様方に電波をお届けするためには、どうしても中継局が必要である。その中継局の基礎になるのは、やはりアンテナの鉄塔でございます。この鉄塔をどういうふうに建てていくかということが実は最大の問題になっておりまして、これを一系列、一系列建てていったら、もう土地もないのですね。  そこで、今、NHKさんや我々とが一緒になりまして、この中継塔を全国にくまなく電波が届くように建てていきたいな、こういう考え方がございまして、この辺は共同でやっていくのが資源の有効利用という点からも非常にいいことだと思いますので、そういうふうな考え方で進めたい、こう思っております。  そのほかの点につきましては、もうまさにおっしゃるとおりだと思っております。
  16. 伊藤邦男

    伊藤参考人 伊藤でございます。  まず、古屋先生の率先してやる気概、それは確かにそういう気概を持っているわけでございますけれども、ただ、私どもが送出しても、送り出しましても、受信する人の体制が整っていなければいけないという問題があります。そのためには、受信するためには、氏家会長も申しましたように、まず中継局、鉄塔の問題がございます。  これは確かに、おっしゃいましたように、いろいろな電気機器、電子機器、そういうものは物すごく急速に安くなるだろうと思いますが、鉄塔を建てるには、これはそう安くはならない、そういう問題がございます。今のところ中継局一つについて五千万円というような試算がございます。それはもちろんもう少し吟味しなければならないと思いますが、そういう問題がございます。  それから、受信者サイドの負担軽減、先ほどNHK会長もおっしゃいましたけれども、今全部アナログの機器でございます。それで一応は視聴者は満足されておられるのですが、今度デジタル時代になった場合、とりあえずはBSでやるわけですけれども地上になりますと、では、それをどういうふうに対応するか。差し当たりはコンバーターみたいな形でいくことになるかなとも思います。それでかなり安くできると思います。  それでやって、しかも魅力的なコンテンツが提供され、デジタルというものは非常に魅力的であるということが広く認識されるようになりますと、当然これは、ちょうど受像機の買いかえの時期にも重なりますから、そういう意味でも、そういう傾向が一層スピードアップされるだろうと思います。  そして、そのことはまた日本の電子機器業界にとってもプラスであり、日本アメリカに対するそういう機器の輸出も大幅に可能になるという意味でもプラスだというふうに思います。  ですから、そういう意味では、私ども後ろ向きではございませんし、日本の経済の活性化のためにも大いに協力したいとは思っておりますが、ただ、そういう問題があり、視聴者にどのような負担の軽減をしながらやるかということは大きな問題だろうと思っております。  以上でございます。
  17. 古屋圭司

    古屋委員 まだまだ質問したいのですが、もう時間が来ましたので、一点だけ指摘させていただきたいと思います。  デジタル化になれば、当然多チャンネル化時代を迎えるわけでありまして、コンテンツも多様化する。多様化すれば、質の高い映像文化を創造する必要がある。しかし、良貨が悪貨を駆逐するか、その逆なのか、これは非常に問題だと思います。  要するに、もろ刃の剣だと思います。事業者のスタンスが極めて重要になってくると思います。社会的責任の大きさというものを考えれば、今後デジタル化になれば、放送法の趣旨にのっとったコンテンツの制作と放送をしていく、この義務がさらに大きくなると思います。  恐らく具体論についてはそれぞれ後で委員からいろいろな議論が出てくるかと思いますので、私は、やはり既得権のようなものは排除をして、しっかりと新しい時代にふさわしいそういった体制を組んでいくべきだ、このことだけを指摘させていただきまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  18. 坂上富男

    坂上委員長 山口俊一君。
  19. 山口俊一

    ○山口(俊)委員 自由民主党の山口俊一でございます。  ちょうど党の方で通信部会長なるものをやっておりまして、各社社長さんあるいは会長さんにはいろいろと御指導いただいておるところでありますが、きょうは委員会にわざわざ、いわゆるキー局の皆さん方そしてNHK会長さん勢ぞろいというふうなことで、座って見ておりまして、壮観だなと思うわけでありますが、大変御足労いただきまして、心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。  やはり、たまにはこうしていわゆる公的な委員会参考人としておいでをいただいて、さまざまな御意見をおっしゃっていただく、また我々の方からも若干お話を申し上げる、大変すばらしい機会であろうと思っております。  そうしたことで、早速私もそのすばらしい機会を有効活用させていただきたいというふうなことで、御質問を申し上げるわけであります。  まず、先ほどNHK会長さんの方からお話をいただきました。御承知のとおり、今回の放送法の一部改正というのは、NHKさんが委託放送事業者としてBSデジタルに参入をできるというふうな改正でありますが、ただ、これからのいわゆるデジタル化の中で、会長もおっしゃっておられましたけれどもデータ放送というのは実は非常に大事な役割を果たすのではないかと思うわけです。  特に、いわゆる放送と通信の融合だとか、あるいは今アメリカあたりではパソコンとテレビの融合だとか、いろいろ言われております。確かに、データ放送を利用して、いわゆる番組案内ができる、あるいはそれで自動録画ができる、あるいはさまざまなその他のニュース等を提供することができる、こうしたことがあって初めて融合というふうな道へ進むのであろうなと思っております。  しかしながら、会長のお話のとおり、今回の法改正にはそれが入っておらない。これは、是が非とも二〇〇〇年の開始までには何とかしなければいけないのではないかと実は私も思っております。そこら辺について、再度若干お話をお伺いいたしたい。  それと、時間の関係でまとめて申し上げますが、先ほど古屋委員の方からも御指摘がございましたように、これからはやはり地上波デジタル化といったことが最重要課題になるであろうと思います。  これはもう御案内のとおり、かつてモノクロテレビからカラーテレビに移行したどころの騒ぎじゃない、大変な技術革新に裏づけをされた、まさに新たな展開というふうなことであります。いわゆる衛星デジタル化といったことは既に現在進行中であり、これは明らかに国民皆さん方の関心も地上波に移りつつあるというふうなことでお伺いをいたしたいわけであります。  先ほど来、古屋委員の執拗な御質問に、いや、決して後ろ向きではないというふうなそれぞれお話があったわけでありますが、ただ、いつも、若干こうした問題点があるんですよということが前段に来るわけです。  古屋委員の指摘のとおり、やはりここは二〇〇〇年、郵政省も、技術的な面も含めて一九九九年の秋ごろまでには申請を受け付けできるような体制をすべてつくります、そういうふうに言っておるわけです。そうしたことを受けて、やはり皆さん方の中から、民放連としての話し合いはそれはいいのです、基本的な部分だけのお話し合いであって、ここはやはりあくまで競争社会です。先ほどのお話のとおり、郵政省も大蔵省のまねをして護送船団方式をとっておるのじゃないかとたまに思うわけでありますが、各局がこの際競い合って、それこそ競争し合って、結果、視聴者にとってすばらしいメディア社会をつくっていただきたいと思う観点から申し上げておるわけであります。  そうしたいろいろな環境の中で、やはり我こそはというふうに是が非でも手を挙げていただきたいな。中には相当準備も進んでおられる会社もあるようでありますので、そこら辺の私の考えにつきまして、民放連会長氏家さんの方から若干御所見を伺いたい。先にNHK会長からいただいてから、氏家さん、お願いします。
  20. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今山口先生から、デジタル放送になれば、当然マルチメディア化ということでデータ放送が必要だろうという御指摘であります。  私ども、こういうデジタル化メリットというものは、先ほど申し述べましたようにデータ放送ができるということだと思います。そういう面で、二〇〇〇年からの衛星デジタルでは、地上波と同じものをやっておりましては普及しませんので、できるだけ早くデータ放送ができるような枠組みをつくってもらう。そういう中で、私ども今、技術研究を中心にいろいろな研究開発を進めております。  そういうことで、このデジタル化メリットというものをデータ放送という一つの目標に向かってさらに開発を今進めているところであります。そういうことで、次の法律改正には、ぜひデータ放送が我々の本来業務として改正されるようにお願いしたいと思っているところであります。  それと同時に、これからいろいろな研究開発を進めていきますと、国民にとって非常にメリットといいますかプラスになる放送ができるだろうというふうに確信しております。  それから同時に、今、地上波デジタル放送への取り組みについて再度御質問がありましたけれども、このデジタル化につきましては、私は、ほかの国に比べて日本というものは技術的にもかなり研究開発が進んでいると思っております。  といいますのは、衛星放送にしても、HDTV、ハイビジョン放送にしても、世界に先駆けて私ども開発推進し、そして今実用化しているわけであります。それをさらに地上波にも適用していこう、応用していこうということでございます。そういう方向に向かって着実に進めていきたい、そういう面では前向きに取り組んでいきたいと思っているところであります。
  21. 氏家齊一郎

    氏家参考人 このビッグバン、放送ビッグバンという言葉もございますが、これは大競争時代というような感じでございますが、この放送ビッグバンに対して我々はそれぞれ全力を挙げて立ち向かおう、世界に向かって立ち向かおう、こういう感じで経営を進めているわけでございます。  その中身は、当然のことながら、コンテンツをどういうふうにデジタル化するか、コンテンツの勝負であるというふうに考えておるわけでございまして、設備関係の問題につきましては、NHKさんその他と協調して設備ができるところは設備をつくっていった方が経済効率が高いのじゃないか、こういうふうに考えておりまして、あくまで競争というものは決して捨てているわけでもギブアップしているわけでもございませんので、その点を申し上げたいと思います。
  22. 山口俊一

    ○山口(俊)委員 それぞれ御決意、お話をお伺いしたわけでありますが、先ほど氏家会長の方から、いやテレ朝の社長さんかな、中継地の基地の話、中継器の話がありましたけれども、実は郵政省考えておる、あるいは私ども考えておるのは、まずやはり関東圏で何とかならないかという話であります。アメリカはこの十一月から地上波デジタル化しますけれども、これも十大都市にまずやろうというふうなことなんです。  NHKと違って、皆さん方にはユニバーサルサービスは別に義務づけされておりませんので、かつてのカラー化とかあるいはテレビの普及と同じように順次やられたらいい、できるところからやっていかれたらいいと思いますので、そこら辺も御認識を賜りたい。経営者の能力が問われるのじゃないかと思っておりますので、大いに御期待をいたしております。  それと、今、氏家会長の方からもお話がございましたコンテンツの問題であります。当然恐らくそういうふうになってくるであろう。今回、このたびデジタル化をされる中で、会社によっては、HDというかハイビジョンというか、それを選択せられる方、あるいは多チャンネルでいこうというふうな考えを持っておられる方、いろいろあると思うのです。ただ、いずれにしても、流れとしては多チャンネルになってくる、その中で番組の質ということがやはり問題になってくるのではないか、あるいは我々としても考えざるを得ないというふうに思っております。  しかも、先般のあの神戸の悲惨な事件、ああいうこと等もありまして、いわゆるメディアが青少年に与える影響というものが今盛んに大変議論をされております。つい先般も朝日新聞に相当大きくそうしたことを取り上げておったというふうなこともあります。  そうしたことで、我々いろいろ議論をしておるわけでありますが、実はつい先般、二十五日の日テレ氏家社長の記者会見であります。これはちょっと私あるところで見つけたのですが、例えばVチップについては、もう極端な話、まだまだ時期尚早だ、具体的に考えるべき段階でもないというふうなお話なんですが、会長御存じのとおり、Vチップまずありきじゃないのですね。やはりその前に番組にレーティングをしていくというふうなことがあって、それが十分普及した段階で初めてVチップの導入というふうなことがあるわけです。アメリカもそうした積み上げの中でこれはやってきております。その点と、表現の自由を守るということとどう見合うのかというお話があるのです。  これは以前から気になっておったのですが、例えばレーティングをかけていくことと表現の自由とはどういう関係があるとお考えなんですか、ちょっとお聞かせをいただきたい。]
  23. 氏家齊一郎

    氏家参考人 実は、その問題につきまして、四月の初めごろ、全米放送事業者連盟会長、フリッツさんという方なのでございますが、この方に、二時間ばかりいろいろと経緯を聞いたことがございます。  やはり同じような問題がございまして、アメリカでもクリントンさんがこのVチップ問題をやるときに特別に談話を発表されて、憲法修正第一条、表現の自由、言論の自由を保障した項目だそうでございますけれども、この修正憲法第一条は必ず守るのである、このVチップは修正憲法第一条と抵触するものではないのであって、連邦政府は言論の自由を必ず守るのだという特別な談話を発表されたというようにフリッツさんは言っていられたわけでございます。  私が申し上げておりますのも、そういった意味で、アメリカでもそういう議論があったそうでございますから、ある種の表現規制というものが言論の自由問題と絡むところがあるかもしれない、だからその辺を深く考えていかなければいけない、こういう趣旨でございます。
  24. 山口俊一

    ○山口(俊)委員 いわゆるVチップ先にありきということになりますと、若干、そこら辺、おっしゃるとおりの疑問というか議論の余地が出てくるのではないかと思うわけですが、実は私、前々から考えておるのは、とりあえず、ともかくまずレーティングなのだ。しかも、それもやはり各社皆さん方がそれぞれのお考えを持って、例えば日テレさんはある番組については暴力AだけれどもTBSさんは暴力Cだという判断をなさっていいと思うのです。そうじゃないと、我々としては、このまま事態が進展をしていきますと、やはり例えば第三者機関ということを考えざるを得なくなるのです。  例えば映倫のようなことができますと、ある意味でこれは倫理の押しつけにもなってくるし、同時にますます表現の自由とのそごということが大変出てくる。そうした議論になる前に、やはり各社がそれぞれ御判断をなさって、みずからレーティングの勉強会をするというぐらい踏み込んでいただいてもいいのじゃないかな、そんなふうに考えております。  むしろ、あえて勘ぐりますと、いわゆる局内の作業が膨大なものになる等々いろいろありますので、そこら辺で腰を引いておられるのかなというふうな気もしますけれども、やはり表現の自由を守るといった意味でも各社が独自に取り組まれるのがいいのじゃないかということを考えておりますので、そこら辺も御検討いただきたいと思うわけでございます。  それと、もう時間がなくなりましたので簡単に触れさせていただきますが、やはり、多チャンネル化というかコンテンツが問題になってくる中で、放送法、不偏不党という部分でありますが、この放送法に関して、いわゆる解釈というか、放送法に抵触をしているかどうかという判断の基準、これもおのずと変わってくるのではないか、変わっていかざるを得ないのではないかと実は考えております。  特にテレビというメディアはいろいろな方法でメッセージを伝えることができる。例えば、試みに音量を切ってテレビの画面を見ておりますと、明らかに何かを言いたいというのはわかるのですね。ですから、いわゆる何かを言った、言わない、文章に落として、これを言っておる、いや言ってない、いや微妙だなといったことで判断するのではなくして、実はテレビというのは大変特殊なメディア、総合的なメディアであるというふうなことで、そこまで踏み込んだ解釈というのもこれから必要になってくるのではないか。  ちなみに、例えば数年前でありますが、ある放送局の報道番組でPKOの法案の報道をしておりました。そのときに、自衛隊の行進だとか、ひどいときはかつての軍隊の行進をモンタージュで持ってくるわけですね、あるいはバックに持ってくる。何を言いたいかはもう歴然としておる。今はそうしたモンタージュなんという稚拙な方法はお使いにならないと思いますけれども、メッセージを伝える方法というのは、実は言葉だけじゃなくしていろいろある、そこら辺もやはり考えていかざるを得ないのではないか。  そうしたことも含めて、最後に、時間もなくなりましたので、せっかくでありますので、先般、自民党で報道番組あり方で大変御高説をお聞かせをいただいた氏家会長、同時に、先般来我が党が御迷惑をおかけをしておりますテレ朝さん、ちょっと御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
  25. 氏家齊一郎

    氏家参考人 まさに御指摘の点は、私どもも、民放連会長ということだけじゃなくて私個人としても、私は新聞記者の出身でございますから、大変痛切に感じておるところでございます。  これは我々が新聞界で主として明治以来培われてきた言葉でございますけれども、客観報道という言葉と極めて関係があることだと思います。私は、テレビでも客観報道を徹底すべきである、少なくとも報道情報番組においては客観報道を徹底すべきである、今おっしゃったような幅広い影響力を含んだ面も含めまして、客観性を持たなければいかぬというのが私の考えでございます。
  26. 伊藤邦男

    伊藤参考人 伊藤でございます。  私ども、今おっしゃいました表情あるいはしぐさなどによって気持ちを、インパクトを大きくするという方法、これは皆さん御存じのように、アメリカのエド・マローが、マッカーシズムが荒れ狂ったときに、それに対抗するためにしばしば使った手法であります。ですから、テレビというのはそれだけ影響力が非常に大きい、それによってこのマッカーシズムの恐ろしさみたいなものを強く感じたというのがありますから、そういう意味でも、ましてテレビの影響力が大きくなっている今日、そういうところは十分気をつけなければならないとは思います。  いろいろと個別については申しませんけれども、私ども番組、報道情報が看板といいますか、それの局というイメージで受け取られておりますだけに、それだけに私どもも力を入れておりますが、しばしば「ニュースステーション」あるいは「サンデープロジェクト」などでいろいろと激しい議論ども行われております。  ただ、そのときに、つい最近も、例えば「ニュースステーション」について申しますと、久米さんというキャスターがおりますが、久米さんにも折に触れて、放送法考え方、理念、それを十分念頭に置いてほしいということを言っております。それからさらに、「ニュースステーション」はスタートしてからもう十三年目に入っております。したがって、久米さんも四十歳から今や五十三歳でございますので、そういう熟年の味みたいなものを出してほしいなというのを折に触れ注文をつけているということであります。  とりあえずのお答えとさせていただきます。
  27. 山口俊一

    ○山口(俊)委員 時間がオーバーして御迷惑をおかけいたしましたけれども、お話がありましたけれども、例えば解説者が何かおっしゃるとか、あるいはゲストが何かをおっしゃるとか、いろいろな手法があるわけなのですよ。そこら辺もトータルに考えていただきたい。同時に、別に私は「ニュースステーション」のお話を申し上げたわけじゃございませんので、念のために申し上げておきます。  ユネスコも、これは本当にいわゆるメディアが子供に与える影響というものを深刻にとらえて、報告書も出ております。そうした研究が実は日本ではほとんどなされておらない。やはりそこら辺をもう少し前向きに検討しながら、私どもとしても慎重に対応していきたいなと思っておりますので、今後ともまたよろしくお願いいたしたいと思います。  以上で終わらせていただきます。
  28. 坂上富男

    坂上委員長 伊藤忠治君。
  29. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 民主党の伊藤忠治でございます。  二十五分間の持ち時間でございますが、その前に、参考人としまして、お二人の会長さん、各会社の社長さんに、公務多忙な中を御臨席をいただきまして、ありがとうございます。心からお礼を申し上げます。  早速質問に入らせていただきますが、昼からは放送法の一部改正、これも関連した皆さんからの意見聴取の場になっているわけでございます。将来的には、放送事業といいますのはハードの分野とソフトの分野がセパレートされていくのじゃないのかな、素人考えですが、私は将来をそう感じているわけでございます。  今回の法改正では、BS放送を民間の力で完全にやっていくということになるわけでございます。これまではBSは、予算関係にしましても、国の負担もございました、NHKの出資もございました。それがだんだんと民間の力でこれからは立派にやっていっていただくというふうに世界が変わっていくと思うのですね。  そのことはこのBS放送の分野に限りませんで、例えば、これは通信と放送の融合というので、業際がなくなりまして、私はもっともっとこれから一体的に進むのじゃないかと判断をしている一人でございます。CATVの分野ではますますそのことが一体化していくのだろうと思うのです。  こういう放送の流れ、通信の流れと、BSレベルあるいは地上放送デジタル化が今焦点になりますが、このことも一つの大きな流れの中で進められていく問題であるし、そのようにとらえて関係者の皆さんも御努力をいただいているのではないか、こう思っているわけでございます。  ただ、多チャンネル化時代がもう既に始まっているわけであります。私は委員会の場でも過去に再三申し上げているのですが、専門チャンネル化するわけでありまして、三百チャンネルができた、もちろん技術革新デジタル化によってそうなっていくわけですが、つまりレストランから大衆食堂に変わるのじゃないのか、非常に放送番組の中身がどうしても薄まっていく場面だって出てくるのじゃないのかなという心配をしている一人でございます。  しかし、最近、私ども地元にありましては、例の国会の審議がCATVで伝わってまいりまして、チャンネルを回しますとずっとやってくれますね。あれは専門チャンネルの一つなのですが、非常にこれは人気がようございます。  視聴者の人気がいいということは、そこに登場いたします本人たちは国会議員なのですが、私もせんだって行政改革委員会の場面を二時間ほど、始めから終わりまで放送をいただきまして、自分で見まして、家庭で見ていまして、これは大変なことだと思いました。緩んだような質問をしたら一遍にあそこに出てまいりますので、それこそ緊張して勉強もやらなければいかぬ。こういう国会衆参両院の審議のあらゆる場面がお茶の間に入りますし、県議会も入りますし、市町村議会も入るということは、これは政治と家庭の距離が一挙に縮まって、私は非常にいい番組だと称賛しておる一人でございます。  余談になりますが、逆に、例えばいろいろな専門チャンネルがお目見えすると思うのですが、しかしそれは民放である限り、コマーシャルベースというのはどうしてもそこから離れることはできない。そうすると視聴率にかかわる、視聴率が下がればスポンサーは手を引く、長続きしないというようなことがどうしても出てくるのではなかろうか、私は、それは避けられないことではないのか、こんなふうに心配をしているわけでございます。  その点は、まず最初に氏家会長さんにその点についての御見解をいただきたいことと、それから、海老沢会長さんには、将来ハードとソフトがこれは業界全体の役割としてセパレーツされていく流れは強まっていくのかなという私のこの一つの考え方に対して、御見解があればお伺いをしたいと思います。  以上、とりあえず二点でございます。
  30. 氏家齊一郎

    氏家参考人 今おっしゃいましたように、まだ地上波ではそういうことは起こっておりませんけれども、既にCSでは委託業者が一、二手を引かれたということがあると承っておりまして、これはやはり採算に合わなくなったから引いたのかなと私は推測しております。そういう傾向は、多チャンネルになれば必ず起こり得ることだと思っております。
  31. 海老沢勝二

    海老沢参考人 ただいま先生からハードとソフトの一体化といいますか、一致の問題についてでありますけれども、御承知のように、私ども公共放送は、ハードとソフトを一致させる、つまり送信、送出、あるいは我々のソフトを責任持って視聴者に届ける、そしてまた内容的にもやはり質の高いものを出す、そういう面でハード、ソフト一致が原則だということで今日まで来たわけであります。  ただ、こういうふうに技術の革新が進歩し、そしてまたいろいろな規制が緩和され、そしてまた世の中が大きな変化をしている時代でありますので、このBS放送につきましては受託、委託、いわゆるハード、ソフトを分離させようというような意見が出てまいりました。  そういう中で、私どもは、できるだけハード、ソフトを一致したいわけでありますけれどもBSにつきましても、NHK、公共放送が災害等の基本的な情報を伝える中で、それが十分ハード、ソフトを分離しても保障される、NHK放送の使命が達成できる、そういう保障が得られる見通しがつきましたものですから、ハード、ソフトの分離を了承したといいますか、妥当だということに我々は賛成したわけであります。  今後はやはりいろいろな面で、先ほども申しましたように、技術の進歩がありますし、また世の中の変化に応じて、ハード、ソフトが分離される方向に進むだろうと見ております。ただ、そういう中で私どもは、これから地上デジタルにつきましても、その辺をどうしたらいいのか、さらに勉強していきたいと思っております。これから共同実験を進めるわけでありますので、そういう中でいい方法を見出していきたい。  それと同時に、私は、NHK、公共放送と民間放送民放とは、競争的共存体制、お互いのそれぞれの役割、特色を生かしながら、お互いに競争しながら、日本全体の放送事業の発展のためにやっていこう、そういう姿勢をとっておりますので、そういう中でも、いろいろハードとソフトの一体化、分離の問題をさらに研究をしていかなければならぬだろう、そういうふうに思っております。
  32. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 先走りをしたような質問をさせていただいて恐縮だったと思うのですが、今の点は、つまり二十一世紀を展望すれば、郵政省としての放送行政はどうあるべきかという立場検討もございましょう。また、NHKにすれば公共放送という使命もあります。民間放送皆さん方は民間放送皆さんでの使命がございますが、このあたり、どのようにこれから位置づけを従来と変わらずにやっていくのか、変わるのかという点においては、二十一世紀の展開は随分変わると私は思っています。そういう点で、愚問だったかわかりませんが質問させていただきましたので、意に満たない点はぜひとも御理解を賜りたいと思っております。  時間の配分がございまして、次に、六人の皆様にお伺いいたします。  よくテレビを見ておりますと、ニュース解説番組などでこういうキャスターなんかの表現が出てまいります。つまり、放送に対する見識を問われている、見識がない、こういう言葉がよく使われておりまして、私は、なるほどいい言葉だ、見識というのは政治家にも問われている、そういう昨今ではないのか、このように反省する場面もしばしばございますが、放送に対する見識とはいかがなものか、この点について、各位から順番にひとつ手短にお聞かせをいただきたいと思うのです。
  33. 海老沢勝二

    海老沢参考人 放送に対する見識、非常に抽象的で、なかなか一言で申し述べるのは難しい課題でありますけれども、私ども公共放送NHKといたしましては、やはり国民視聴者立場に立って、国民生活に必要不可欠な情報を正確にそして早くわかりやすく伝える、そして国民がそれによっていろいろ判断する、そういう材料を提供するのが我々の見識だろうと思っております。  そういう中で、この言論の自由、表現の自由の問題も含めながら、先ほどからありますように、できるだけ客観的に、そして政治的には公平、公正であることを旨としながら、国民の信頼といいますか、理解を得ながら放送を出す、これが我々の使命だろうと思っております。  そのほか、私ども、報道、教育、教養、娯楽という四つの分野にわたって放送しているわけでありますけれども、そういう娯楽面についても、やはり品位といいますか、品格といいますか、そういうことをきちっと踏まえながら、そしてまた青少年に悪い影響を与えないような質の高い番組をつくるのも我々の使命だろう、そう思っております。
  34. 氏家齊一郎

    氏家参考人 今、NHK会長の言われたことと私は全く同意見でございます。  民放の方は、若干娯楽性というものが強いものでございますから、その辺を社会通念にのっとった、おかしくない娯楽性と申しますか、そういったものも考えていく必要が民放はあるかな、こんなように考えております。
  35. 砂原幸雄

    砂原参考人 私どもは、放送法に基づき、公共の財産である電波をお預かりして、民間放送としてやっている立場であります。あくまでもそのもとで、わかりやすく迅速に、なおかつ基本は公平、公正であることであると思います。  しかし、いろいろなジャンルの番組の中で、娯楽番組もございます、ドキュメントもございます。そこでは、テーマというものはやはり問題提起であろうかと思いますけれども、その問題提起も、いかに公平、公正の立場から問題提起をしながら放送していくかということが見識ではないかと思っております。
  36. 日枝久

    日枝参考人 今、お三人の方とそう違うわけではございませんけれども、まず、私ども基本的にいつも社内で言っておりますのは、テレビというものが大変公共的な責任を負っているメディアである、したがって、放送倫理にもありますように、公平、公正、不偏不党ということは当然でございますけれども、報道、スポーツ、娯楽、教養というものをバランスよく編成して国民の信頼を得ることが必要だ、その際、まず大事なことは謙虚さとバランス感覚であるということを私どもの社員に常に言っております。
  37. 伊藤邦男

    伊藤参考人 伊藤でございます。  先ほども一部申しましたけれども放送は市民にとって最も身近なメディアであり、その社会的影響力が極めて大きいということを前提といたしまして、放送の公共的使命を自覚し、誇りと責任を持って社会の信頼にこたえたい、特に、自分たちが社会と文化の発展に貢献しよう、貢献するという心を持とうというその気持ち、これがやはり見識だと私は思っております。  可能な限り努力すべく、私どもは、例えばハンドブックみたいなものを、極めて分厚いものでありますが、最近そういうもので社内に徹底を図っております。  さらに、私ども、これはちょっと離れますけれども、先ほどの番組のコンテンツの問題とも絡みますが、民教協という組織を持っておりまして、系列とは離れた組織でございますが、視聴率は忘れていい番組をつくろう、家庭あるいは教育、そういうものに貢献するような番組をつくろうということで、全国に展開している三十二局、これはテレビ朝日が幹事役を務めておりますが、そういうものと協力して番組をつくっております。文部省からもそれなりの評価をいただいて、御支援もいただいております。  お答えであります。
  38. 一木豊

    一木参考人 私どもでは、良識と一般的に言われておる社会人的良識、そういうものをまず身につけてもらわなければ困る、守るべきである、それから、テレビはジャーナリズムでありますから、ジャーナリストとしての不偏不党、中正公明、正義感、情熱も含めて、そういうジャーナリスト精神を持ってもらわなければ困るということを言っておりますので、見識という中にはそういう意味が含まれておると解釈しております。
  39. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ありがとうございました。  特徴的だったのは、朝日放送さんの御発言、視聴率を離れて番組をつくる、こういう意気込み、その点が強調されまして、最後にお述べになりましたテレビ東京さんの一木社長さんでございますが、常識、ジャーナリストとしての正義感、お聞きしていまして、非常に特徴的な御発言をいただいたか、こう私は感じたわけでございます。  そこで、このように御立派な見識のもとに放送が日夜を分かたず行われているわけでございますが、一方ではまた、BRCに持ち込まれております問題もあるのだろうと思いますし、同時にまた、現実には訴訟問題も起こっているのですね。  これは、判断は最終的にその所管のところがやるのでしょうが、サンディエゴ事件では、これはどちらの会社さんでしょうか、かかわられておりますし、つまり問題になったということですね、関係なさっているということであります。それから、あとは上越市との訴訟問題も最近は起こっていますね。私たちも聞かせてもらっております。これは、判断は、裁判に行っておれば裁判で判決という格好になるのでしょうが、これはどうしても起こる問題なのでしょうか、避けられないことなのでしょうかね。  例えば、今の御発言ありましたように、ジャーナリストとしての正義感というのが一方にございまして、足で記事はっくれなどとよく私ども聞きますね、実際に足で番組はつくれということに通ずるのだろうと思います。というようなことで、一線の方は意気込みを持って取り組まれるということとの関係で、また、話題になった方はまた言い分が出てくるというので、トラブルになるということだろうと思うのですが、これは避けられないことなのでしょうか。サンディエゴの問題と上越の問題にかかわられていらっしゃる社長さんにちょっとそのあたりをお聞きしたいのです。
  40. 砂原幸雄

    砂原参考人 サンディエゴ事件に関しましては、私ども、斎藤夫人よりBRCへの提訴がございました。そこでの判断もいただきました。訂正放送をするのに非常に遅かったのではないかという御指摘をいただきました。本当に、私たちみずからでも判断をし、私どもの社内組織による議論の結果、訂正放送、おわびをいたしました。しかし、そのことに関して時間的に遅いという指摘をいただきました。それは謙虚に反省していかなければいけないことだと思っております。  また、今先生の御指摘にありました上越市の問題であります。昨年九月に私どもの報道特集で放送された番組であります。上越市における処理場の解体工事をめぐって公共工事のあり方というものについて問題提起をした番組であります。その番組放送後、二件の民事訴訟が起こされております。主として名誉毀損などによる損害賠償を求めるものでございます。  もちろん、これはいろいろ裁判の中で明らかになっていく点があると思いますし、私どももそれを待っておりますし、結果はいずれであれ、それは謙虚に受けとめなければいけないと思っております。しかし、私ども基本的な立場としては、今現在、昨年行われました地元の市議会の論議、住民訴訟、いろいろな情報に基づいてできる限り公正、公平に取材をして放送した、そう思っております。
  41. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 裁判などに行く問題というのは非常に大きい問題が多いのですね。例えば、個人のそこまではなかなかという場合には、BRCですか、そういうところへ駆け込んで、名誉を回復してくれだとかいろいろあると思いますが、こういうものは大きな社会的な問題にまでなっているわけで、これはしかるべきところで判断が出ると思うのですね。そういうときには、やはり一定の見識を持ってやられたのですから、またそれはいいと思うのですよ。どんどんやっていただいて、裁判でそこは論争いただいて、黒白がつくのですから、それはそれでいいと思うのですよ。  問題なのは、泣き寝入りみたいな、そういうものがどうしたって出ていると思うのです。そういう場合に、まだ日本の社会というのは裁判というふうな習慣よりも、例えば示談だとかなんとかというような格好になってしまいますので、そういう視聴者立場、どちらかといえば立場の弱い人々が何か結局うやむやのうちにというようなことになったのではいけませんので、その辺の見識を持っての日々公正な対応というのはぜひとも私はお願いを申し上げたいな、こう思うのですね。  例えば、いろいろな番組が出てまいりますね。そうすると、あそこまでやることはなかろうというのだって感じますもの。ところが、これまた下請の社会で重層的に組まれている放送世界でございますから、カメラマンにしてみれば、自分が突っ込んでいかないと次の仕事がもらえないというようなことだってあるわけです。随分とこれは本人にとってみれば真剣なんですが、ところがそこまで来てもらうのほかなわぬというのでドアを閉めているものを押しあけて入っていくというのは、これもどうかな、常識からいえばそこまでやることはなかろうというような部分だってあるじゃないですか。  だから、ああいう問題は、実際にフランクにBRCへ駆け込んで、いや、ちょっとこれはこうなんだからこういうことはやめてほしいよというようなことを言いに行ったときに、そのことはぽんぽんと早く協議をいただいて解決ができるような仕組みになっているのですか。その辺をちょっとお伺いさせていただきたいのです。
  42. 氏家齊一郎

    氏家参考人 実はBRCは、設立の経過から申しまして第三者機関ということになっております。というのは、これは実はNHKさんと私どもで資金は出し合ってつくっているわけでございますが、第三者機関ということで客観性を持たせなくてはいかぬということで、この運用に関しましては、我々としては全然タッチしていないのです。  したがいまして、BRCの具体的なことはわからないのですけれども、私どもが仄聞しますところによりますと、BRCがやっておりますのは非常に大きな、裁判になるような問題を主として取り上げているというふうに聞いております。
  43. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 だろうと思ったのです。だから私はお聞きしたのです。結局小さな問題は、そういう被害をこうむった場合は、本人が決然と立ち上がらなければ泣き寝入りというような格好になっていくのじゃないのか。そういう場に持ち込もうとしましても、時間もかかるわ、なかなか靴の裏から足をかいているようなことで、結局それは忘れ去られていくというふうなことなんですね。  だから、高度情報化社会というのは放送の分野でもどんどんとこれからそういうチャンネルもふえますし、あるいはソフトの事業者というのはもっと市場に入ってくるわけで、そうしますとそういうケースもふえるだろうと思いますから、そういう弱い立場の方が不利益をこうむるということでは困りますので、そういうことの起こらないようにくれぐれも責任者の皆さんにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  44. 坂上富男

    坂上委員長 石田勝之君。
  45. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 改革クラブの石田勝之でございます。平和・改革を代表しまして質問させていただきます。  きょうは、放送法改正案に関する審議の中で、NHKの海老沢会長、それから民放連の氏家会長を初め各局の社長さんに大変お忙しいところお集まりをいただきまして、また貴重な御意見等々をお聞かせいただきまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。  デジタル化に取り組むことについて伺うわけでありますが、その前に、せっかくこれだけそうそうたる各局の社長さんがお見えでありますので、一点だけ、報道のあり方、先ほど他の委員からも放送の不偏不党、あるいはただいまは放送の見識等々についての御質問がされたところであります。私は、きょうは一点だけ、一つの具体例を出させていただいて質問させていただきたいな、こういうふうに思っております。  それは、ことしの三、四月に報道、放送されました埼玉県立所沢高校の入学式、卒業式等々のあり方をめぐる報道であります。これは校長と生徒たちの間でかなり厳しい対立がありまして、それに関しての報道が盛んに行われたのは記憶に新しいところであります。  きょうは逓信委員会審議でありますし、これは文教委員会ではありませんから、教育問題や、あるいは学校長や教職員や生徒のあり方について私は突っ込んで議論するつもりは全くありません。  しかし、このマスコミの特にテレビ報道を見ていて、先ほども話がありましたが、いろいろなコメントの中で、そこまで言う必要があるのだろうかと思われる部分、つまり放送法の第一条、不偏不党の理念に照らして若干一方的な報道内容に偏ってはいないかなというふうに思われる部分がありましたので、ちょっとその点について御指摘をさせていただいて、御見解を伺いたいと思います。  先ほどもテレビ朝日の伊藤社長さんの方からも久米さんというお名前が出ましたが、「ニュースステーション」というのは大変視聴率の高い番組でもありますし、かく申し上げている私も大体ほとんど見させていただいております。十時までに帰るときは、まず、帰ったら大体十チャンネルをつけて、テレビ朝日を見させていただいている、私も視聴者の一人でございます。  そういう中で、この四月九日でありますが、所沢高校の入学式の問題を取り上げた際に、第三者が撮ったと思われるビデオ、それはテレビ局が撮ったのではないと明らかに思われるビデオを流して、御存じだと思いますが、所沢高校というのは入学式を校長がやる、それで入学を祝う会をやる、入学を祝う会をやることは校長は認めたわけでありますが、その問題で大きくもめたことであります。  その入学を祝う会のビデオを流して、校長が体育館の中をうろちょろしているけれども、堂々と前に出て新入生を祝う言葉を述べるべきだ云々とか、あるいは、県教委が頭のかたい校長さんを学校に送り込んだのではなかろうか云々とか、あるいは、ちょっとこれは逸脱し過ぎているのじゃないかなと思ったのは、それらの放送の後、いわゆる校長側からいえば校長の悪口を言っておいて、校長先生、テレビに物を投げないでください、こういうコメントが最後に言われているわけですね。以上のように、学校長をやゆする発言、あるいは校長が頑迷な人柄である旨の発言をされている。  ここに挙げたのは本当の一例でありまして、ほかにも幾つかあるわけであります。もちろん、これらの放送の中でも両方の側から取材をしてそれぞれの主張を紹介しているわけでありますが、最後にキャスターが一方的なコメントを行って、結果として視聴者の印象、評価を決定づけているものと思われるわけであります。  もちろん、不偏不党といっても、言論の自由があり、当然、このキャスターの個人的な見解、キャスターとしての個人的な見方も番組として必要だろう、私はそういうふうに思っています。  しかしながら、これは本当の一例を申し上げたわけでありますが、校長としてみれば、ごく当たり前な卒業式をやろう、こういうふうに思った。当たり前な卒業式をやろうと思ったところ、まあこの問題は非常に根深い部分があるわけでありますが、ここではこの議論は避けるといたしまして、校長は当たり前な卒業式、入学式をやろうとしたところ、結局、その校長が頑迷な校長先生だという印象を受けて、その所沢高校の問題が今私が指摘をした報道が十分であったかどうか、先ほど御答弁の中でも、テレビの影響は大きい、こういうふうに伊藤社長さんもおっしゃっておられました。  テレビ局は不偏不党だ、こう言っているにもかかわらず、私は、そのキャスターの見解あるいは報道の自由、それは当然認められるべきだし、当然主張というものはあるだろうと思うのですが、ただ、そういうふうな報道の中で、ある意味ではエスカレートしていく中で、知らず知らずのうちに人を傷つけていることになってはいないか、そういうふうに思うわけであります。  つまり、先ほど社長さん方もお認めになっていたように、テレビの影響というのは大変大きいだけに、知らず知らずのうちに人を傷つけてしまった、そういう点については、十分配慮をしなければいけない点であろうと私は思いますが、ちょっと、テレビ朝日さんを取り上げて大変恐縮でございますが、テレビ朝日の社長さんから御見解を伺いたいと思います。
  46. 伊藤邦男

    伊藤参考人 お答えいたします。  御質問が出るやに伺いましたので、事前に若干調べてまいりました。  これは、所沢高校の問題というのは大分前からいろいろと中に動きがありまして、かなり対立しているということで、私どもも、ではどうなるのかということで関心を持っていた、注目していた件であります。  今先生御指摘のような趣旨の発言が確かにございました。それは、ただ、ここで、要するにキャスターは、これは久米、菅沼両キャスターでありますが、校長は自分の信念を訴え、生徒と議論すべきである、試行錯誤の中からよりよい関係が生まれる、頑張ってほしいという趣旨のことを言ったのだというふうに私も聞きましたし、全くそうだと思います。  と申しますのは、私、この事件は、今お話も伺いながら思い出しましたのは、東京大学の安田講堂事件のときの歴史の教授の林健太郎教授のことであります。あの方は、全共闘が全部立てこもっている中に一人で乗り込んで、議論して、初めは罵声が飛び、やじが飛んだのです。ところが、最後は拍手で送り出されたという事実があります。思い出される方が多いかと思いますが、そういうふうな気概を、迫力を持ってやってほしい、逃げないでやってほしいという気持ちが久米、菅沼両氏の中にはあったのだと思います。  したがって、最後の、校長先生、テレビに物をぶつけないようにというふうな言い方、これは、彼、久米さん一流の言い方なのですが、こんなことを言うと先生は怒るかもしれないけれども、しかし、今は、若者と、若い子とじかに対決して、討論し、そして、あるいはねじ伏せられるかねじ伏せるかわからないけれども、それが必要な時期ではないですかということを言おうとして今のような表現を使ったというふうに私は理解しております。  これでお答えになっているかどうかわかりませんが、御理解いただきたいと思います。
  47. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 逃げないでほしいということは、校長は決して逃げているわけではないと私は思うのです。もちろん、この内田という校長は私は一面識もないし、この質問をするために校長さんから見解をとったということではなくて、テレビを見た中で、客観的な視聴者の一人として、私は、ちょっと校長が気の毒ではないのかなというふうに思ったから、今指摘をしたわけであります。  そして、頑張ってほしいという激励を込めた言葉であれば、もっと違った言葉遣いもあるのではないか。校長さん、物を投げないでくれということが果たして頑張ってほしいという激励の言葉に当たるかどうかというのは、私は、まあ日本語のとらえ方というのは難しいと言われればそれまでだけれども、ちょっと激励という意味とは違うのではなかろうかと思いますが、その点、いかがですか。
  48. 伊藤邦男

    伊藤参考人 今、その言葉だけで激励というふうにとるのはちょっと無理もしれません。しかし、という考え方もあるのですよ、先生、考えてくださいよというふうな意味を中に込めているというふうにとることも可能だと思います。
  49. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 きょうは、ここで教育問題とかあるいは学校長の、あるいは教職員の、あるいは生徒のことでやりとりをするために私は社長さん方に来ていただいたのではないのです。ただ、一つ言えることは、私は、今伊藤社長からそういう御答弁をいただきましたが、本当に激励を込めるのであれば、やはりもっと違う言葉遣いというものがあるのではなかろうか、その点はやはり自重されるべきではないか。  ましてや、先ほど社長さんは、私が聞く前ですよ、この何人か前に、あなたもある程度歳をとったのだから、丸くなったのだろうから、放送法の理念を念頭に置いてやってほしいということは久米さんに再三言っているということもおっしゃっておりましたので、やはりそれは、ある程度人間が丸くなってきたのであれば、余計物事の言い方ということは、とうとい人生経験を経ている中で、言えるのではないのか、私はそういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  50. 伊藤邦男

    伊藤参考人 御指摘、ありがとうございました。  先ほど申しましたように、さっきも、熟年の久米さんらしいつくり方、発言の仕方、ビヘービアもあるではないかというふうなことはかねがね申しておりますが、きょうの御指摘などもあわせて、また話し合ってみることにいたします。  どうもありがとうございました。
  51. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それでは、アナログとデジタルの問題に入りたいと思います。  アナログとデジタルの過渡期において、一時的にせよ、国民放送業者に一定の負担がかからざるを得ない、先ほど来議論がされているところであります。要は、その負担をできるだけ少なくするとともに、このデジタル放送メリットを大きくすることで、円滑にアナログからデジタルへの移行を進めていくことが極めて重要な課題であろうと思います。  その観点から幾つかお尋ねをしたいのですが、まず、NHKの海老沢会長にお尋ねをしたいと思います。  今回の放送法改正案によって、NHK委託放送事業者の認定を受けた場合、理論的にはCSを使った国内放送への参画も可能になるし、またBSの残りの三チャンネルについても参入が可能になる、これはNHKの肥大化につながるのではないかという声が一部にありますけれども、その点、どのように考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  52. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私ども、今、CS、いわゆる通信衛星放送に参入する考えは持っておりません。  今、御承知のように、CSが二つの衛星会社によって運営されておりますけれども、私どもに参入してほしいという要望は来ております。  ただ、私ども、今、衛星デジタル放送、その次に控えております地上デジタル放送全力を挙げて取り組むという方針を出しておりますので、当面、NHK本体がCSに参入する考えは持っておりません。  それから、もう一つ、BSデジタル放送の中で、今の衛星アナログ放送サイマル放送をするということで、いわゆるハイビジョン波、それに衛星第一と第二をやるわけでありますけれども、そういう中で、私どもは、さらにそれに付加価値をつける意味で、データ放送もそこにやっていきませんとこれが大きく普及しないだろうということで、今、新しくデータ放送をお願いしたいということを申し上げているわけであります。  そういう中で、将来、我々、一つのトラポンといいますか中継器を全部利用できるような状態が仮にあるとすれば、一チャンネルなりそういうものが余っているならば、二十四時間ニュース番組をつくるとか、あるいは、NHKが今持っておりますいろいろなすぐれた放送済みのソフトがあります。そういう面で、青少年の育成とかに役立つようなソフトを再編集したりして、いわゆる再放送チャンネルもやることは可能であります。今そこまで議論は進んでおりませんけれども、将来、考え方としてはあるのではなかろうかと思います。  当面、私どもはいたずらに肥大化するということは考えておりませんし、やはり、公共放送として、国民視聴者にできるだけ豊かで質の高い番組を提供する、その中で、そういうデータ放送なりあるいは付加価値を高めるような放送をさらに研究開発していきたい、そういう考えのもとに事業を展開していきたいと思っているところであります。
  53. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今海老沢会長から御答弁をいただきましたが、郵政省としては、このデジタル時代における放送各社の競争と共存のあり方についてどのように考えておられるのか、郵政省の御見解をお尋ねしたいと思います。
  54. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  これからの放送分野、このデジタル技術を活用することによりまして、衛星放送もCATVもそれから地上放送も、それぞれ大きく発展の可能性を持つものと私ども認識しております。  特に、基幹放送という認識を持ってこれまで放送をしてこられました地上放送の各メディア方々においては、まさに、デジタル化によって、二十一世紀の基幹放送たる役割をそれによってこそ果たせるというお考えに立っておられるものと私ども認識しております。  今後の放送分野のマーケット規模でございますけれども、二〇一〇年、これから十年ちょっと先でございますけれども、八兆円ないし九兆円の市場規模になるのではないか。ただいま三兆円相当でございますが、三倍ぐらいの規模になる。これは、単にマーケットの規模が大きくなるだけではございませんで、今申し上げましたが、いろいろなメディアが相互に連携をしながら、いろいろな新たな機能が発揮できる。  例えば、今後どのように設備投資をしていくかというふうに懸念されておりますローカル局におかれましても、既に、CSチャンネルを使いましてローカル放送番組を交換いたしますとか、あるいはマルチユースということで、二次利用が少ない放送番組をいろいろなメディアに提供するというようなことで、我々は、この重層的な衛星放送地上放送、CATV、あるいはインターネットのネットキャストというような言葉もございますが、こうしたいろいろなメディアが相互に連携して、新たな可能性を展開していくのではないか。  したがいまして、先ほどNHKの海老沢さん初め皆様方お話がありましたように、まさに、共存的競争というのがこれからの放送世界の姿ではなかろうかと思います。  もう一つ申し上げますと、このデジタル放送によりまして、いろいろな放送の可能性が高まっていくわけでございます。双方向機能も持つことができます。例えて申し上げますと、今アメリカではテレビショッピングというのが非常に大きな成長をしておりまして、現在二千億ドル、二十七兆円、これは販売高でございますけれども、そうした規模になっている。あるいは、衛星放送を使ってでございますが、我が国でも放送大学がCSを使って全国的な放送大学教育が可能になってきている。  ということになりますと、今までの流通業が放送メディアに取ってかわられるというようなこともございますので、これまでの放送分野の中の競争的共存に加えまして、今まで放送分野に入ってこなかったものを放送の仕事として取り込んでいくというふうなことで、いろいろなそれぞれのいわゆるキー局あるいはローカル局のお立場それから経営方針あろうかと思いますけれども、私どもとしましては、質的にも量的にも新たな発展の可能性が確保されるというふうに認識しております。
  55. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 最後に、民放連の氏家会長にお尋ねをいたします。  BSデジタル放送が始まり、キー局を中心とする新会社がこれを利用するとすれば、これまでの地上放送で形成されてきた系列ネットワークはどうなるのか。これは先ほどもちょっと議論が出たところであります。  以前、ローカル局については炭焼き小屋になるという意見もあったと思いますが、このローカル局が地域社会に果たしてきた役割考えれば、ローカル局に対する配慮は不可欠だと思います。  先ほど会長の方からも、鉄塔の数等々についてのお話もありました。日本アメリカの地形の話もありました。日本が大体一万五千本ですか、アメリカが六千二百本ぐらいというふうな話も聞いて、それにはかなりのお金もかかるという話も聞いております。ローカル局に対する配慮というのは非常に不可欠なものがあろうと思いますが、民放連会長として、ちょっと御答弁いただきたいと思います。
  56. 氏家齊一郎

    氏家参考人 まさに御指摘のとおりでございまして、はっきり申し上げますと、今まで苦楽をともにしてやってきた各系列でございますから、今後とも一体化してやっていきたいというのは我々の希望でございます。  そのために、私どもにつきましては、今後BSの新しい会社を非常に多方面の、商事会社とか電力会社も一部含まれておりますけれども、かなり幅広い範囲でお願いしているわけでございますが、やはり中核はうちの系列局ということで、系列局からの出資を仰ぎまして、全系列一丸となってこの事業を盛り立てていきたい、こういう方向で進めております。
  57. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 終わります。ありがとうございました。
  58. 坂上富男

    坂上委員長 石垣一夫君。
  59. 石垣一夫

    ○石垣委員 自由党の石垣一夫でございます。  先ほどから、放送各社のいわゆる見識という問題がいろいろ論議されてまいりました。  きょうは、せっかくの機会でございます。民放各社代表されるお方が御出席いただいたわけでございますから、この問題にまず関連をいたしまして私も御質問申し上げたい、このように思います。  と申し上げますのは、私は、三月の委員会でも取り上げたのですけれども、いわゆる一般視聴者の目に余る放送がはんらんをしておる、こういう立場から御質問申し上げました。  放送法の第一条には、「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」、すること、なんですね。それから第三条の二、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」、害しないこと、こういうふうにきちっと法律でもって定義をされております。  にもかかわらず、青少年に重大な影響を与える番組がはんらんをしておるということについて、恐らく国民の大多数が極めて大きな関心を持ち、不満を持っておる。その象徴が今論議をされておりますいわゆるVチップ制の導入ということになって意見が集約されてきているのではないか、私はこのように思います。  文部省も郵政省も、いわゆるVチップの導入の方向で検討をしている、こういうことが報道され、また、総務庁も、出版倫理協議会あるいはまた民間放送メディア関連十六団体に対して、性表現や暴力あるいはまた残虐行為、知的障害者のいじめ表現などの自粛をするよう要請している、こういうことが伝えられておるわけであります。  これからいよいよデジタル放送になってきまして、放送が非常に多チャンネル化され、いろいろと広がってまいります。現在でもこういうことが論議されるわけですから、ますますその影響が大きくなっていくという懸念があります。  そこで、私は、ことしの三月の委員会でも取り上げましたけれども、具体的に申し上げますけれどもTBS系のことし一月から放送されました「聖者の行進」、この中における知的障害者に対する残虐な行為、最も陰惨なのは知的障害者役である雛形あきこさんがレイプされるシーン、その描写は決してレイプなんという表現ではなくして、見る者が思わず目を背けたくなるような残虐な行為。あるいはまた、フジテレビが取り扱ったところの「ギフト」、いわゆるキムタクのバタフライナイフであります。  こういう二つの例を今取り上げましたけれども各社ともそれに類する放送番組放送されておる、こういう現状なんですね。  せっかくの機会でございますから、これは各社代表される方から、おのおのの取り組みについて一言お聞きしたいと思うのです。
  60. 砂原幸雄

    砂原参考人 今、先生から問題になる番組として「聖者の行進」、当社で放送しました番組に関しての御指摘をいただきました。このドラマにつきましては、知的障害者が非常に厳しい状況に一方では置かれているという現実もございます。それに対して問題提起をした意欲的な番組であったと思っております。  視聴率で言うのはなんですが、視聴率的には高い支持をいただきました。それどともに、放送開始から、私どもスタッフは毎晩一時、二時まで多くの視聴者のお電話と会話をさせていただきました。当初は非常に厳しい意見も多くいただきました。しかし、番組が進むにつれて、非常に肯定的な意見も次第にふえてまいりました。最終段階では、知的障害者の現状に対する問題提起の番組として肯定的なお手紙、御意見というものが過半数、七割を超えたのではないかと思っております。  こういう厳しい問題提起をした番組であります以上、スタッフも毎晩本当に真剣な外部の意見、お電話と誠心誠意会話をしなければという覚悟で始めた番組でありました。また、この番組によって、この問題をめぐって議論、コミュニケーションという場が起きましたことも、問題提起という形では意義があったと思っております。  しかし、もちろん厳しい批判もいただきましたし、その批判というのは私ども、きちんと受けとめて、これからの番組制作の中で反映させていかなければいけないと思っております。
  61. 日枝久

    日枝参考人 ただいま御指摘の「ギフト」の件でございますが、確かに部分ではバタフライナイフを使っておりますが、全体のドラマの中で作者が言おうとしていることは、そういうことをした人間がだめであることを主張しております。全体をごらんいただいて御判断をぜひお願いしたいと思うのですが、もちろん、世の中の実情、それからナイフを使ったことで最近いろいろな事件が起こっておりますので、私ども大いに反省しなければいけないということはもちろんでございます。  同時に、私ども、社内でテレビ番組あり方に関する検討会というのがございます。そこでもこれらの問題について検討を始めておりますし、それから番組考査連絡会議というのを毎週やっておりますが、これには編成、報道あるいは制作、いろいろな番組の担当者が集まりまして、今御指摘のような問題について、プロデューサー等を呼び、いろいろな問題指摘あるいは反省等をしております。  ぜひこの際、「ギフト」について御理解をいただきたいのは、決してナイフを使うことをテーマにしたわけではございませんで、そういうことはしてはいけないというテーマのドラマであることを御理解をいただきたいと思います。
  62. 石垣一夫

    ○石垣委員 それぞれ責任者から、一面その放送番組を肯定されるような発言があった。これはいろいろ物の見方はございますけれども、しかし現実にそのことによって大きな影響を受けておる方がおるということなんですね。プラス面を強調されますけれども、マイナス面の方がはるかに影響が多いわけです。だからこそ、Vチップの導入の問題が大きく叫ばれるようになってきたわけであります。当然、Vチップの導入なんて、本当は要らぬわけですよ、そんなものは。言うたら、これはそれ以前の問題です。  だから、民間放送連盟が放送基準を設置されて、みずから襟を正す、こういうことになっておるのですけれども、この放送基準を守られておるのか守られていないのか。せっかく、今二社の方答弁になったのですけれども各社一遍、代表の方おっしゃってください。この放送基準を守られて放送が全部行われているか。各社、ひとつ答弁してください。
  63. 伊藤邦男

    伊藤参考人 私の方も、今フジの日枝さんがおっしゃいましたのと同じように、暴力表現の問題が大きな問題になっておりますので、最近、暴力表現等に関する問題検討プロジェクトというものをつくりまして、継続的に検討しております。  ですから、アメリカのVチップのときにも、レーティングのときにも議論になったように、例えばかなり成人向きあるいはそういう類のものは時間帯を変えろ、つまり、家族視聴、ファミリー視聴の時間帯、子供が見るような時間帯にはやらないというようなことも一つの方法だと思います。アメリカでもそういう議論が起こっております。  私の方も、確かに、際どい、ちょっとどうかなと思うものはないではございません。ですから、そういうものは時に私自身見たものは、これはちょっと気をつけた方がいいよという指摘をこれまでも何回もしております。これからもやるつもりでありますが、同時に、今のこの問題検討プロジェクトで、どういうふうに編成するかというものもあわせて検討するつもりでございます。
  64. 一木豊

    一木参考人 私どもでは、一般の放送基準を遵守するように、日ごろ社員教育を通じて徹底を図っておりますが、その状況、それからその番組のねらいなどによって時々逸脱しかねないといった危険がありますので、それは絶えず社内でチェックをしていくということにしております。
  65. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私どもも、これは徹底的に社内教育が必要な問題でございますので、しかも、これを繰り返しやらないと、なかなか徹底しないというよりは、忘れてしまうとかいうようなことになる可能性がありますので、この辺を徹底させるように私自身心がけていると同時に、人事担当にも厳重に指示してあります。  そういう状況でございます。
  66. 海老沢勝二

    海老沢参考人 テレビといいますか、放送の社会的影響力は非常に大きいわけでありますから、そういう面で私どもは、青少年の健全な育成を図るという大前提に立って番組をつくっております。そういう面で世間から批判されるような、あるいはまた青少年に悪い影響を及ぼすような番組はつくらないという前提で仕事をしているわけであります。  と同時に、私ども国民の信頼の上に成り立っているわけでありますので、国民の信頼にこたえるような番組づくりを目指しておりますので、今後ともそういう方針で仕事を進めていきたいと思っております。
  67. 石垣一夫

    ○石垣委員 視聴率を離れてとか、あるいはまた良識ある対応、あるいはまた正義感とか、社会と文化の発展に寄与するとか、非常に立派なことをおっしゃったのですけれども、現実はおっしゃることと乖離しているわけです。この認識がやはり社長以下番組制作の中において生かされていない、私はこのように思うのですよ。  端的に聞きます。では、Vチップの導入について、イエスかノーか、各社ちょっと答えてください。
  68. 一木豊

    一木参考人 ノーであります。
  69. 伊藤邦男

    伊藤参考人 その前に、導入の前に十分の検討が必要だと思います。
  70. 日枝久

    日枝参考人 伊藤参考人と全く同じで、十分検討してからすべきであって、今はノーでございます。
  71. 砂原幸雄

    砂原参考人 私も、Vチップ導入の前に、私ども放送事業者はもとより、社会と子供たち、そういうものへの十分な議論が必要だと思っております。
  72. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私も全く同感でございます。
  73. 海老沢勝二

    海老沢参考人 Vチップの導入の問題につきましては、私は、前にも答弁しましたように、Vチップをつくらないような番組づくりといいますか、そこを目指すべきであって、今Vチップをつくるべきであるという議論には賛成しかねます。
  74. 石垣一夫

    ○石垣委員 アメリカでは既に二〇〇〇年導入決定ということで、報道によりますと、民放連代表の方も今月十日から一週間アメリカを回られていろいろ研究されておる、こういうことがあるのですけれども、理想としては、Vチップの導入なんて、当然こんなものは念頭に入れるべき姿ではないわけです。しかし、現実問題として、青少年教育に重大な責任を持つ文部省あたりからこういうことについて申し入れがあったというこの現実を謙虚にひとつ受けとめて、そういうことの導入に至らないよう、やはりみずからの姿勢を正して、こういう問題の懸念が解消されるように今後の努力を期待したい、このように思います。  そこで、いわゆるデジタル放送が始まるのですけれどもBSデジタル放送についての国民の関心も非常に高くなってまいります。そこで、このデジタル放送化について、無料放送と有料放送という二つのはっきりした対応が考えられるのですけれども各社としては、この有料、無料についてはどのようにお考えですか。
  75. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私は、無料中心でいくべきだと考えております。
  76. 砂原幸雄

    砂原参考人 私も、出発に当たって無料でいくべきだと考えております。
  77. 日枝久

    日枝参考人 今検討中でございますので、ここでお答えすることが果たして正しいかどうかわかりませんが、現時点では無料でいった方が普及は早いのではないかと理解しております。
  78. 伊藤邦男

    伊藤参考人 日枝さんと同じでありますが、つまり、今のBSデジタル化と並行して地上波デジタル化が行われますと、採算の見通しなども相当変わってくる可能性があります。もしそれが、見通しが、急速にデジタル化が進行し、普及が図られるという状況になれば、これは有料を担保しなくても、無料でいけると思っておりますので、そういう方向かなと思っております。
  79. 一木豊

    一木参考人 受像機の普及とかそういうところを考慮に入れますと、原則無料でいくというのが妥当であろうと思います。
  80. 石垣一夫

    ○石垣委員 報道によりますと、これは日本テレビさん、ここは、新しいBSデジタル会社を設立するに当たって、当初は無料放送、これは当初なんですね、こうおっしゃっているのです。具体的に聞きますけれども、これは将来は有料だということを含んでのお考え方なんですか。
  81. 氏家齊一郎

    氏家参考人 今資料としてお示しいただきましたのは、何か新聞の報道でございますか。  私は、必ずしも当初はと申し上げたわけではございませんが、とりあえず、当初ということになりますか、とにかく無料で出発してみなければわからないというふうに申し上げたつもりでございます。
  82. 石垣一夫

    ○石垣委員 したがって、将来の採算をお考えになって、将来は有料もあり得るのか、こういうお考え方を持っておられるのですか。
  83. 氏家齊一郎

    氏家参考人 有料のチャンスがあれば、有料というものは実は採算が安定するのですね。ですから、はっきり申し上げて、できれば有料にしたいという気持ちはあります。しかし、日本の市場では有料というのはなじまないかなという気持ちが一方では物すごく強く働いておりまして、そういう意味では、基本的な路線をこうでいくという確信はまだございません。
  84. 石垣一夫

    ○石垣委員 終わります。
  85. 坂上富男

    坂上委員長 矢島恒夫君。
  86. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今石垣委員の方からBSデジタルの有料か無料かという話がございました。各社ともお話がありましたけれども、私もそこからまずちょっと入ってみたいと思うのです。  これは、三月二十四日に言われたことについての記事なんですが、「テレビ朝日の伊藤邦男社長は二十四日、二〇〇〇年に始まるBSデジタル放送について、」というのがありまして、「スクランブル方式の活用などで一部有料放送導入する」、「広告収入による無料放送だけでは経営基盤の安定が図れないためで、「有料放送導入の必要性は民放キー局五社とも基本認識で一致している」と語った。」これは日経の三月二十五日です。  実はお聞きしたいのは、氏家会長に聞きたいのですが、この報道によりますと、結局有料方向だというお考えでキー局五社とも基本認識が一致したという報道になっております。やはりBSデジタル放送の新しいチャンネル、六チャンネル、そのうち民放キー局五局が参入するとすれば五チャンネルが必要になってくるという状況の中で、結局五局とも有料放送ということになるのかなとこの記事を読んでみたわけですが、ただいまの御発言を聞きますと、やはり無料でいくのだというようであります。民放連としてこの問題で論議されたことがあるのですか、こういうことであるのかないのか。
  87. 氏家齊一郎

    氏家参考人 この問題、民放連として、公式に話し合うということはありません。これはやはり各社経営判断ということによると私ども考えております。
  88. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いきなり伊藤社長の新聞、私、質問をするということは伊藤社長の方には言ってないのですが、もしこの記事のことで何か御意見がございましたらお願いします。
  89. 伊藤邦男

    伊藤参考人 三月の時点でそういう趣旨のことを申したことは確かです。ただし、先ほど氏家さんがおっしゃいましたように、それが有料部分があると経営基盤が安定する、そういう意味では確かにそうなので、私も各社も、そうあってほしい、入ればいいなという思いがあることは確かだという意味共通の認識。ただし、これは難しいよというのも、同時にそのとき言ったつもりであります。  つまり、視聴率が相当違うといたしますと、ではその配分をどういうふうにするか、そういう問題もございます。それからまた、さらに今議論になりつつありますが、もし今度、スクランブルをかけるわけですから、デコーダーを中に入れるわけです。そうなりますと、コンバーターもかなり値段が高くなるおそれがある。そしてまた、デコーダーのそういう機構を組み込んだ受像機、そういったものになりますと、やはり割高になるだろう。そういう問題があると、これはまた、普及にマイナスになるかもしれない。  そんなことを考えると、もし、さっき申しましたように、地上デジタル化が追い風になって急速に普及するというような状況が出るならば、それは、必ずしも有料に執着することはなかろうというふうな判断でございます。
  90. 矢島恒夫

    ○矢島委員 BS放送というのは、地上波のように、国民生活に密着したいわゆる基幹放送と位置づけられておりますし、また、民放連としても、ハードとソフト一致の免許を主張したときには、基幹放送であるから、放送事業者衛星を調達、保有し、安定、継続して放送を提供する責任体制をとることが必要だという主張をされておりました。  私がこの基幹放送という位置づけをする場合に、やはり、国民のだれもが容易にアクセスできるということが一つの大きな条件になってくると思うのです。これはTBSの前川国際室長の日経のシンポジウムでのお話ですが、基幹メディアとは何かという問いに、だれもが最も安易にアクセスできて、国民あるいは市民として必要な情報を共有できるメディアだ、このようなお答えをしております。  そこで、BSデジタル放送の動向を左右するところの民放キー局が、先ほど来いろいろ論議されておりますが、もしスクランブルをかけるというようなことになると、基幹メディアとしての根幹であるだれもが容易にアクセスできるということとのかかわり合いでは相反するのではないかという感じを私は持っておるのですが、民放連会長さん、このことについてはどんなお考えでしょう。
  91. 氏家齊一郎

    氏家参考人 安易にアクセスできるという意味では、フリーの方がいいだろうと私も思います。事実、我々としては、やはり企業として将来の可能性というものをあらゆる分野で分析しておかないといけないものですから、有料ということも視野の中には入れて研究はしておりますけれども、私自身及び多分ここに参考人として出席されている皆さんも、とても、ちょっと日本では有料はなじまないかなという気持ちの方が強いと思います。
  92. 矢島恒夫

    ○矢島委員 海老沢会長さんにお尋ねいたします。  このBSデジタル化、今スクランブル化の問題についてお聞きしたのですが、このことで私、三月の逓信委員会会長にお伺いいたしました。会長は、スクランブルと受信料制度は相入れないものというので、個人的見解だと断りながらも、そのようなお答えがございました。  この問題で、やはり同じ三月十八日の逓信委員会で、会長は、次のようなお答えもあるわけであります。スクランブルをかけて有料化するということは、いろいろな意味で商業主義の方に走ってしまう、あるいは番組の質の低下を招くおそれがあるのではなかろうかというふうに思っていますと。  スクランブルをかけることによっての商業主義の問題、あるいは番組の質の低下、こういうことについての御認識だろうと思うのですが、なぜそういうふうにお考えになられたか、それを説明いただけたらと思います。
  93. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私ども、政府の規制緩和小委員会の方から、BSについてスクランブル有料化のことも検討してはどうかというような指摘を受けております。これを、私ども、今、部内で、受信料制度を維持しながらそういう有料スクランブル化の方向ができるのかどうか、慎重に検討しております。  最終結論を出しておりませんけれども、三月の逓信委員会でも述べましたように、私個人としては、やはり、我々は、受信料制度を維持する、国民からひとしく公平に負担していただくというのが公共放送を維持する大きな要因だろう、その考えは変わっておりません。そういう面で、これから結論を出すわけでありますけれども、有料スクランブルじゃなくて、今の受信料制度の中でBSも運用していきたいというふうに私個人は考えております。  そういう中で、スクランブルをかけ、有料化すると、質の低下を招く。これは、もう御承知のように、視聴者を獲得する、いわゆる視聴率を上げなければならぬ、そうしますと、どうしても視聴者に迎合する傾向が出てくる、そういうおそれがあるのではなかろうか。そうしますと、やはり質の低下を招いてしまう、これは一般論として、そういうことが言えると思います。そういうことで申し述べたわけであります。  そういうことで、私も、今の現状を見ますると、ますます放送、テレビの影響力が大きいわけでありますから、できるだけ質を高めて、国民生活に役立つような番組をつくるのが我々の使命だということでありますので、スクランブル有料化はいかがなものかというのが私の見解でございます。
  94. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私も同意見でございますけれども、そこで、受信料の問題で、引き続いて海老沢会長にお聞きしたいのです。  二〇〇〇年までには受信料を上げない、こういう前川口会長の御発言もありますし、海老沢会長もそれを継承されていると思います。私、この「より豊かな公共放送のために デジタル時代へのNHKビジョン」、これはいろいろ読ませていただきました。この中にも、平成十年から十二年度の受信料額については、「経済状況NHKを取り巻く環境に著しい変化がない限り据え置く」、こう書いてあります。  そこで、いわゆる平成十二年、ちょうど二〇〇〇年になるわけですが、二〇〇〇年といいますと、BSデジタル放送開始されるという年です。この二〇〇〇年までと区切った理由は何かあるのか、そしてまた、BSデジタル化ということは値上げの要因になり得るのか、その辺について。
  95. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私ども平成二年に受信料を値上げして、その後、受信料をずっと据え置いております。そして、二〇〇〇年という区切りをつけた理由でありますけれども、今、経済情勢が非常に厳しい、非常に停滞し、後退ぎみだと言われております。そういう中で、賃金の上昇も余り伸びておりませんし、物価も安定している。そういう中で、新たに国民に負担をかけるということはいかがなものか。やはり、我々自身が自己改革を進めて、効率いい仕事をするのがまず先だろう。そういう面で、当面、この二〇〇〇年までは値上げをしないで頑張っていこう、そういう決意を述べ、国民に公約したわけであります。  二〇〇〇年の末にBSデジタル放送になりますし、それと同時に、やはり、地上波デジタル化を進めなければならないという非常に新しい環境になってきました。そういう面で、私ども、これからどのくらい資金の調達をしていけるかどうか。  先ほど申しましたように、地上デジタル化をするためには莫大な設備投資が必要だ。しかし、これも段階的に進めなければなりませんし、また、技術の革新も進んでくるでしょうから、そういう中で、まず自己改革をして財政基盤を確立した上で、二〇〇〇年の段階で、また、そのときの経済情勢を見ながら最終判断をしていこう。私どもは、できるだけ国民に新たな負担をかけないようにすることがまず務めだろう、そういう考えで申し上げたわけであります。
  96. 矢島恒夫

    ○矢島委員 地上波デジタル化の問題が出されましたけれどもNHKとしても、いわゆる取り巻く環境が著しい変化があったというふうに判断をされるかどうかはその時点だろうと思うのですけれども、いずれにしろ、今の会長の言われたような方向は国民も願っていることですし、ぜひそういうことで進めてもらいたいと思います。  民放連に最後にお聞きしたいのですが、先ほどBSデジタル化における有料か無料かということについては大体わかりました。問題は、いよいよ今度は地上波デジタル化ということが進められていくわけでありますけれども、高橋孝輝さんの「見る側にとってのデジタルチャンネル時代」、これはエコノミストに載った論評ですけれども地上波ですらデジタル化される、かつ高画質放送が始まった際などには有料放送化されないという保証はない、こういうことで、前後少しありますけれども、時間の関係で一部だけ。  地上波デジタル化によって地上波の一部は有料放送になるのか、民放連としてはもちろんあれでしょうから、氏家参考人個人の考え方で、どんなふうにお考えになっていらっしゃるかお尋ねします。
  97. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私は、有料化はかなり難しいと思います。有料化が成立する条件というのは、一つには、有料でも視聴者の皆様が見ていただける強力なコンテンツがなければだめだということでございますけれども、私はそれにたえるコンテンツというのはなかなかないと今思っております。
  98. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  99. 坂上富男

    坂上委員長 横光克彦君。
  100. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  きょうは、参考人の皆様、まことに御苦労さまでございます。  今回の法改正によりまして、我が国におきましてもデジタル化の時代がやってこようかと思います。現在、CSではもう提供されているわけでございますが、BS地上波とそれぞれデジタル化の時代が来るわけでございます。先ほどの海老沢会長のお話に、今回のデジタル化放送の歴史に新たな一ページを加えるというお話がございましたが、まさにそのとおりだと思います。  そこで、まず郵政省にお伺いしたいのですが、電気通信、放送世界デジタル化世界の趨勢となっているわけですが、欧米を中心とした世界デジタル化の現状を周波数のことも含めましてお聞かせいただきたいと思います。
  101. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  まず、無線、有線問わず、電気通信の技術放送技術というのはITUという場で議論されるわけでございますが、基本的に、放送も通信も、放送については一九七二年ごろから既にデジタル化議論が進められておりまして、今現在、ITUにおける議論は、デジタル技術をベースにした議論がすべてなされているというふうに承知しております。  それから、内外の情勢でございますが、電気通信ネットワークの方は、まず日本は、我が国においては一九九七年をもってNTTの方はデジタル化が完了しておりまして、欧米を見ますと、現時点では九割以上はもうデジタル化が完了しておって、二〇〇〇年にはいわゆるサミット参加国のネットワークはほぼ一〇〇%デジタル化されるのではないかというふうに承知しております。  それから、放送分野では、もう御案内のとおりでございますが、アメリカではもう衛星放送デジタル化デジタル技術になされておりますし、それから英国でも本年中に全メディアデジタル技術をもって放送されるということでございます。  昨今の大学、高等教育部門におきましても、特に断らない限り授業はすべてデジタル技術について授業がなされているというようなことも仄聞いたしております。  以上でございます。
  102. 横光克彦

    ○横光委員 欧米を中心としたほかの各国と比較すると、やはりデジタル化の問題、我が国は大分おくれているような現状と受けとめました。  先ほどから参考人の皆様方の御意見にございました、とりわけ地上放送デジタル化には大変な投資が必要である。そしてまた、欧米と異なり周波数が込み合っておりますために、デジタル放送用周波数の確保を大変御心配されている。こういった状況の中で、現在提供されておりますCS、二〇〇〇年を目途にスタートをいたしますBS、さらにいずれデジタル化になります地上波、それぞれのデジタル放送役割、位置づけについて、そしてまたデジタル放送全体にどう取り組んでいかれるおつもりか、郵政省にお聞きしたいと思います。
  103. 品川萬里

    ○品川政府委員 先ほどもお答えさせていただきましたけれども衛星放送、それから地上放送、CATV、それからインターネットの世界、それぞれ映像、音声をデジタル技術によって送ることになるわけでございます。それぞれの想定される可能性なりポテンシャリティーというのはいろいろございますけれども、やはり現実にどのようなものになっていくかというのは、いろいろな現実の実際に導入をされての姿を見る必要があろうかと思います。今考えられますのは、一つは、それぞれのメディアがそれぞれの個性を発揮しながら、お互いに連携がとられた放送、新しい秩序ができるのではないかというふうに思っております。  それから、この衛星放送というのは大変広域的な放送になるわけでございますが、例えばイギリス地上放送デジタル化の一つのメリットとして挙げられておりますのは、ローカル放送充実することができる。  例えて申し上げますと、我が国におきますと県域放送というものがございますけれども、今は天気予報にしても何にしましても大体県内同じ情報でございますけれども、これが中山間地域あるいは海岸地域放送が別々に組めるとか、新たなよりきめ細かいローカル番組の提供ということも地上放送デジタル化によって可能になる。CATVはまた、CSを介在いたしまして大きな番組交換のネットワークもできるというようなことで、いわゆるすみ分け論というよりは、お互いの連携によって新たな放送秩序が形成されるのではないかというふうに認識しております。
  104. 横光克彦

    ○横光委員 郵政省としてはデジタル化推進という立場だと思いますが、実際、デジタル化移行に向けては、先ほどから本当にいろいろ御心配されている参考人の御意見がございました。とりわけ中継局あるいは送信設備、こういったものをデジタル用に変えなければならないわけですが、NHK、民間を合わせると、約一兆円近い、九千億という膨大な金が必要になる。今回補正で三百五十億、これは共同で実験的に投入するということになっております。  氏家さんのお話で、この共同で行う実験に非常に大きな力になることを期待しているというお話がございました。これをばねにしてやはり実用化に向かっていくわけでございますが、やはり国としても、この移行に向けての円滑さ、あるいは普及に向けて何らかの支援というものが必要であろうかと思っております。  放送の自由あるいは表現の自由、公平、公正、こういった観点から公的資金の導入には慎重な御意見もあろうかと思いますが、国民全体の利益ということを考えれば大きな転換期でございますので、デジタル化の実用化を進めるに当たって、私はやはり何らかの支援策が必要であろうと思っております。これは一つの要望でございます。  次に、必要は発明の母という言葉がございます。必要を求められて、そこにいろいろなものが研究され、発明につながる。ところが、電気通信の分野、非常に技術革新がすさまじいのですね。余りにも急速な発展のために、逆に、まだ求められていないにもかかわらずハードの方がどんどん先行するというようなこともあると思います。  例えば、CATVの場合も、最初はやはり需要が少なかった、今やっと普及し始めておりますが、そういったことで、今回もちょっと心配なんですね。私たち一日で、一日は二十四時間、テレビで、どうしても一人で見るといっても一台しか見られません。ビデオで撮るとしても二チャンネルか三チャンネル。しかも、これからデジタルの時代になると何百チャンネルという時代が来る。こういったことを考えますと、有料、無料のお話、先ほどからございますが、全チャンネルについて果たして健全なる運営ができるのかどうか、そういったことが心配されております。  ですから、ハードの面と同時に、ソフトの分野がこれからいかに大切であるか、これは経営のためにもまた受信者のためにも重要になってくるわけですね。BSデジタル放送ではハイビジョン中心とすることになっておりますが、ハイビジョン構想、これは受信者にとって非常に魅力なわけでございます。  このことにつきまして、これから各系列事業会社それぞれ研究され、構想をお持ちだろうと思いますが、時間がございませんので、氏家参考人にお聞きしますが、これは民放連会長という立場ではなくて、日本テレビ系の事業会社としてお話しいただきたいのです。  こういった構想というのは、それぞれ競争の時代ですから、マル秘作戦といいますかなかなか公にできない部分もあろうかと思いますが、PRという意味も込めまして、ハイビジョン構想、どのようなハイビジョン放送するおつもりなのか。例えば、日テレのドル箱でありますジャイアンツ戦のハイビジョン化等も含めましてお話しいただければと思います。
  105. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私どもは、ハイビジョンということが政府の基本的な方針でもございますし、これに全面的に協力していこう、こういう考えでございます。  これは御案内のように、HDTVですと一本ですが、SDTVですと三本になるわけでございまして、三本にふさわしいというか三本をカバーできるようなコンテンツがそれぞれできるかどうかという問題も実はあるのです。むしろ、HDTVにして一本に絞った方が非常にいいソフトというかコンテンツができ上がるのかなという考え方もございまして、私個人でございますが、まだこれは社としてもまとめておりませんが、混用させようかと思っています。  つまり、極端に申しますと、ゴールデンタイムではHDTVでやっていき、そのほかのあれでは、いろいろ需要もございますでしょうから、昔のものをやるチャンネルとかニュースだけやっていくチャンネルとか日本各地の情報をそれぞれ伝えていく番組とか、いろいろあるだろうと思いますので、その辺はSDTVの対象になり得るかな、しかし、ゴールデンではHDTVで一つにまとめた強力なものを打っていくべきかなというのは、これは私の個人的な考えでございますが、持っております。
  106. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。ありがとうございました。
  107. 坂上富男

    坂上委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人に一言お礼を申し上げます。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会代表して、厚く御礼を申し上げます。  ありがとうございました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  108. 坂上富男

    坂上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢鋭仁君。
  109. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。午前中に引き続きまして、放送法改正の問題で、法案の方に焦点を当てて質問をさせていただきたいと思います。  まず冒頭、法案の直接の中身ではないのですが、けさ、参考人皆さんにお越しいただいて、デジタル放送時代の対応についていろいろな御意見を伺ったわけであります。大臣も御報告は受けていただいていると思うものですから、若干一般論で大臣に質問をさせていただきます。  本格的なデジタル放送時代、多チャンネル時代、こういう話になってきた中で、けさも議論がありましたのは、その中身の問題であります。大変影響力が大きいだけに、それがますます多チャンネルになればさらに国民への影響も大きかろう、こういうことが予想できるわけであります。  当然、デジタルメリットというものは多く語られているわけでありますが、やはり技術革新というのは、どんな技術革新でもそうだと思うのですけれども技術革新の光と影といったような面があろうと思います。メリットのところは私どももよく議論をするわけでありますが、その影の部分、まさに多チャンネルになっていったときに、放送というのが人々の生活に、あるいは心に、特に青少年の心にどんな影響を与えていくのか、こういうことを我々は真剣に議論をしていかなければいけない、こういうふうに思うわけであります。  そこで、大臣にお尋ねをするわけでありますが、これはもう一般論で結構であります、いわゆる通常の紋切り型の回答でなくて結構でありますので、大臣のお気持ちを率直にお聞かせいただきたいのです。  そういった多チャンネルデジタル時代考えなければ、気をつけなければいけないこと、それはどんなことがあるのだろうか。そして、それを行政、郵政当局として、いろいろな研究会等があるやに聞いておりますが、今までそういう御議論をしてきていただいたのだろうか、あるいはこれからしていく予定があるのだろうか、そんなところを所信をお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
  110. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 小沢委員に答えさせていただきます。  今からまさにデジタル化、多チャンネル化が既に一部は始まっているわけでございますが、先生御存じのように、放送法基本的な精神は、「放送国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。」また「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」とい^うのが基本的な目的でございます。  そういった中で、今先生の質問の中にもあったわけでございますけれども、今、衛星放送においても既に約二百六十チャンネル放送が実現しつつございまして、よく御存じのように、大変大きな変革期を迎えております。  デジタル放送メリットは何か、よくこういう質問があるわけでございますが、先生御存じのように、チャンネル数は約三倍になりますし、ワイドな画面ではっきりくっきり、いつでも取り出せる番組の缶詰、また車の中でもちらっかない画面が見られる、あるいは特にこれは大事な点だと思いますが、高齢者、障害者に優しいサービスができる、これは字幕放送の容易化、スピード調整ができる音声放送、あるいは高齢者にも操作が簡単な端末、こういったことが含まれる、メリットとしてはあるわけでございます。  しかし同時に、多チャンネルになるわけでございますから、視聴者あるいは国民にどのような影響を与えるのかが私は大変重大な課題であるというふうに思っております。  このような点につきましては、先生が今御指摘のとおり、国民生活全般にわたってやはり体系的、総合的あるいは時系列的な実証研究が必要だというふうに思っております。そういった中で、NHKは、放送文化研究所における、ここが非常にこういったことに熱心に活動をしておられるわけでございますし、また、総務庁の社会生活基本調査、こういった国民の意識あるいは余暇をどういったことで過ごしているのか、そういった調査があるわけでございます。  そういった中で、昨日発表しました通信白書の中でも、御存じのように、国民の余暇時間がふえてきた、余暇時間の過ごし方、テレビだとか新聞だとか雑誌だとかそういったことに活用する時間がふえてきたというようなことも記載をさせていただいたわけでございます。  そういった大きな時代の背景を踏まえて、我々もまさに体系的、総合的、時系列的な視野を持って郵政行政を今後とも進めていかねばならない、こういうふうに思うわけでございます。  また、いろいろ委員の先生方の御意見もいただきながら、御指導いただきながら、やはりデジタル化、多チャンネル化の時代でございますから、政策というものは今先生が言われましたように光と影があるものだというふうに私は思っておりますので、光の部分はしっかり伸ばしていくことが大事ですし、同時に影の部分にもしっかり目を当てて、政治家として、国の行政として気を配らせていくことが非常に大事だというふうに私は思っております。
  111. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 我々も当然国会の中で議論をしていくわけでありますが、行政は行政として、今大臣がおっしゃっていただいたような視点でぜひまた検討もしていただきたいというふうに思うわけであります。  もちろん検討するに当たって、時系列、こういうことを大臣におっしゃっていただきましたが、本当に時系列で見ていく、こういう話がないと、なかなかそういう社会事象の研究というのはできませんので、そういった意味では息の長い検討をぜひお願い申し上げておきたいと思います。  それでは、法案の中身について御質問をさせていただきます。  まず第一番目に、今回の放送法改正、その基本になる考え方は、いわゆる受託放送事業者委託放送事業者、ここを分離している、これが一つの特徴になるかと思います。  そういう中でいよいよ、衛星が打ち上がっていくことを前提に、受託放送事業者を決定する時期に入りつつあるのではないか、こういうふうに思っているわけでありますが、私が聞いたところ、今、BSAT、JSAT、SCC、この三社といいますか三つのグループが参入を希望しているやに聞いておるわけであります。  まず、この受託放送事業者の決定の基準というのはどういう基準で選ばれるのか。例えば、私がそれなりの会社をつくってやりたい、こういう話があったときはどういう審査でそういう話ができるのか。そんな点をお聞かせいただきたいと思います。
  112. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  この受委託制度が創設されましたのは平成元年でございまして、以来今日まで、七回の受託放送事業の認定と申しますか、所要の手続をとってまいりました。  その手続でございますけれども、これは、一般のいわば電波をみずから発する放送局と同じ扱いになるわけでございまして、電波法とそれから放送局の開設の根本的基準というのがございまして、これに基づきまして財政的基礎の確実性あるいは事業計画実施の確実性等審査要件がございますので、これに基づきまして審査をいたしてまいっているわけでございます。  したがいまして、これまでの七回の認定事務の経験もございますので、こうした実績を踏まえて、今回の受託放送事業者の免許付与あるいは認定につきましても厳正かつ公平に対処してまいりたいと存じます。
  113. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 お聞きしたことの背景として、実は、報道の自由、表現の自由、こういう話が大変大事な原則としてあるわけであります。今までは、放送事業者が機材を持って同時に放送している、こういう話でありますから、そこは一つでいいわけでありますけれども、受託、委託と分かれることによって、例えば、受託業者は当然郵政省の免許ですね。郵政省皆さんたちがそこのところに天下りをしていって郵政省の行政としてのコントロールを及ぼすとか、そのコントロールを受けた受託放送事業者は、一般の委託放送事業者放送しようとしている内容に関して、そんなものではだめですよ、こういうふうな話でそれを拒否するとか、そういう事態が起こってくると、本当に大事な報道の自由、表現の自由みたいなものが阻害される危険はないか、こういうことが私の方は心配としてありました。それでその基準の話も聞かせていただいたわけでありますが、阻害をするようなことに関しての歯どめをどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  114. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  この受委託制度の創設目的の一つは、今先生が御指摘のように、委託放送事業者放送について責任を持つわけでございます。御案内のように、放送法によりまして、不偏不党、自律、真実というのが放送の原則でございまして、これをきっちり担保できて、かつ放送がなされるということが大事でございまして、そういう意味で、受託放送事業者に対して、きちんと放送法の趣旨にのっとって放送されるように委託放送事業者立場を担保するというのがこの受委託制度の眼目の一つになっているわけでございます。  具体的には、委託放送事業者として認定を受けた者に対しては役務を提供しなければならないっあなたは好き、嫌いということで受託放送事業者サービスを受けられないということがないようにというのが一つございます。それから、役務の提供条件、すなわち、どのような条件で委託放送事業者に受託放送事業者サービスを使ってもらうかということについて、役務の提供条件について届け出をしていただくことにしております。その届け出はそのまま受理するわけでございますが、実際に運用されて、今先生御指摘のような不都合があった場合には、これは提供条件の変更命令もできるという仕組みになっておるわけでございます。  幸い、委託放送事業者サイドまた受託放送事業者サイドともに制度の趣旨をよく理解されて、先生御指摘のような、御心配のような事態はなく今日まで至っております。
  115. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 それに関連して、そういった契約関係みたいな話は公開になっていますか、きちっとここまで細かく通告していないですけれども、今お話があった受託放送事業者委託放送事業者の役務の提供とかそういうことに関する契約、そういうものはオープンになるのでしょうか。
  116. 品川萬里

    ○品川政府委員 今申し上げました提供条件というのは、これはオープンになっておりまして、どなたでも承知できるということでございます。
  117. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 オープンでありますから、公明正大にきちっとやられている、こういう国民皆さんが安心できるような制度をぜひ今後も推進をしていただきたい、ここは申し上げておきたいと思います。  続きまして、今回放送衛星ということでいろいろ私も勉強させていただいたのですが、その中で、BS放送は、国際電気通信連合、ITUで、我が国に東経百十度の八周波、トランスポンダーを割り当てられている、これは国際合意にこうなっている、こういうふうなことも勉強させてもらったわけであります。一方、CS、通信衛星の方でありますが、御案内のように、今実際にいろいろな放送が行われておりますが、この通信・放送に関しては、調べてみたら、そういったITUの国際合意といったようなものはない、周辺諸国との調整で済むんだ、こういうふうに聞いておるところであります。  この違いは何なんだろうか。放送衛星の方で国際合意が必要であればCSの方も当然必要になるんじゃないか、こう思うし、もしCSの方で必要ない、こういう話であれば、ではもうBSの方も、もともとそういう時代は終わったんだということで、そんな話も必要ない、こういう話になるんじゃないかな、こう私は思ったわけでありまして、BSとCSのまさに周波数の割り当ての問題、この違いに関してはどのような御判断をなさっていますか。
  118. 品川萬里

    ○品川政府委員 俗にBS、CSと称しておりますけれども放送衛星あるいは通信衛星と訳しますけれども、この区別というのは、機能的には大分接近しておりまして、通信衛星というものを放送にも使える。しからば何が違うのかということになりますと、これは、衛星放送用の波ということに指定したものを使うのが放送衛星、それから、通信用にも使う、放送用に使うということが第一順位になっていない波を使うのが通信衛星、こういうものでございまして、したがって、国際的な周波数の割り当てと申しましょうか、種類に応じて通信衛星あるいは放送衛星と称しておるわけでございます。  放送衛星につきましては、世界各国、それぞれの国の必要最小限のチャンネルを確保するということで、それぞれの国の割り当て、話し合いによりまして、国際交渉によりまして、例えば日本は、今先生おっしゃったように、八周波数といいましょうか、八トラポン分となったわけでございます。CSについてはそのような扱いをしておりません。  では、これは同じように扱ってもいいのではないかというお話でございますけれども、実は、通信衛星の方はいろいろな使い方があるわけでございますが、仮に放送衛星のような扱いにした場合には、実際には通信衛星を打ち上げて活用する予定がない国も、これは我が国は何チャンネルだというようなことで、いわば死蔵化される可能性が非常に強いわけでございまして、そうしますと、通信衛星の利用の実態なり、それから、これからますます、いいか悪いかは別として、国によって通信衛星の活用状況が違ってまいりますので、使わない国が通信衛星の軌道位置を通ってしまうということは、静止軌道位置の有効活用ということからすると大変非効率になるわけでございます。  一見、プランをつくってしまえば一々国際調整が要らないというように見えますけれども、もっとそれ以前の状況といたしまして、通信衛星の軌道位置を確保することがかえって困難になるというような状況になりますので、今の国際的な取り扱いが我が国の国益上もいいのではないかというふうに私ども考えております。
  119. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 わかりました。  続いて、CSの話で恐縮でありますが、話の関連からちょっとお尋ねを申し上げます。  今の品川局長のお話の中で、BS、CS、もともとの第一優先順位、第二優先順位、こういう違いはあるけれども、最近、機能的には余り変わらなくなってきました、こういう御説明があったと思います。しかし、そういう目で見ますと逆に、BSとCSのいわゆる行政上の扱いの違いというのは依然として残っていますね。  その一つが、私が聞いたところによりますと、CSのデジタル放送の場合にはハイビジョン映像あるいはAAC音声、これが省令で送出できないようになっている。BSの方はまさにそれができるわけであります。そこのところは、CSをやっている皆さんからも、ぜひできるようにしてもらいたい、こういう要望があるやに聞いているのですね。このあたりはいかがですか。変えていただくようなお気持ちはないですか。
  120. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  今、CS放送は、CS放送の一つのスタイルができているわけでございますが、これは^デジタル技術を活用することによりまして、たくさんのチャンネルが、かつ、一チャンネルごとに大変安価なコストで利用できるということから今日のようなスタイルになっておるわけでございまして、基本的にはやはり、その技術特性とマーケットの要請という形でCS放送の今のスタイルがあるのではなかろうかと思います。  私どもも、通信衛星を使って受委託制度というものも考えましたけれども、実は、いろいろ立法当時の話を聞きますと、こんなにたくさん委託放送事業者が誕生するというようなことは余り予想しなかったというような点もあるようでございますが、それがちょっと変わりましたのが、アナログ方式からデジタル化することによりまして、非常に使い勝手のいい衛星になったということで今日のような姿になっているわけでございます。  しからば、そのようなデジタル技術を活用していく一つのスタイルができたわけでございますが、では、これから、先生おっしゃるように、HDTVなりあるいはもっとすぐれた品質の音声放送が使えるようにすべきではないかというお話、実は関係の幾つかの事業者方々からも御要望が出ておることは私ども承知しておりますし、これをやはり今後どのように考えていくべきか、きちんと検討しなければならないと思います。  しかし同時に、では、御提案のように、例えばCS放送、通信衛星を使ったいわばHDTV映像を送るのに、どのような技術基準をつくったらいいのか。仮に、全部通信衛星がHDTVを流すとなりますと、恐らく今のアダプターといいましょうか、これはちょっと要らなくなってしまうというようなことも起こりかねないわけでございます。  そうしますと、一体、通信衛星を使ったHDTV映像を送ること、あるいはAAC音声放送方式、これを使って音声を放送することが視聴者にとって今の技術ではないとんなメリットがあるのか、どんな効用をもたらすのか、また放送ビジネスにとってどういう効果があるのか、今までの態様とは違う効果があるのかどうか、この辺を見きわめていく必要があるかなと存じます。  私ども技術基準をつくる作業もいろいろふくそうしておりまして、やはり限られた時間と労力の間では、いろいろな技術基準を考えるにしましても、優先順位と申しましょうか、そういうこともございますので、今御提案の、先生の御指摘のような放送方式考えるにしましても、実際にどれだけの大きな効用があるのか、またどの程度のたくさんの御希望があるのか、これは幅広く御意見を承りながら、これは急いでほしい、これだけ大きなメリットがあるのだということであれば、また審議検討のスケジュールも早めなければならないかと思います。  いずれにしましても、視聴者にとってのどのようなメリットがあるのか、新しいビジネスの展開にとってどういう効果があるのか、そしてまた、もしそのような可能性があるとしますと、どれだけの多くの方々がそれを望んでおられるのか、こうしたことを幅広くお伺いした上で、今後の検討のスケジュールなり体制を考えてまいりたいと存じております。
  121. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 今、品川局長の方から、検討する際の課題といいますか、問題点の整理はしていただきましたから、そういったところは私もわからないわけではありませんので、よくそこは検討をまた引き続きお進めいただきたい。基本的には私はそこは、選択をしていろいろなことができるように、イコールフッティングみたいな話はどんどん進めていって、あと受信機の話がありましたが、見たくない人は今までのあれでいいわけでありますから、そういった、いわゆる選択の幅が広がる話はぜひこれからも推進していただきたい、こういうふうに思います。  最後に、時間でありますので一つだけ、国民の夢をちょっと代弁して聞かせていただきたい、こう思うのです。  デジタル時代になるとビデオ・オン・ディマンドで見られるようになるぞ、こういうことが国民皆さんの極めて素直な思いだったのだと思うのですね。とにかく、遅く帰っても、ぱっとチャンネルをひねって、そしてちょっとスイッチをひねれば七時のときのニュースが見られるとか、そういう話がずっと語られてきているわけでありますけれども、今、いよいよ放送衛星デジタル化ということも進んできている中で、それは大体いつくらいになったらそれが本当に見られるのですか、こういう単純素朴な思いですが、それはいかがでございますか。
  122. 品川萬里

    ○品川政府委員 我々の視聴のスタイルとして、いろいろあるわけでございますが、固有名詞的にビデオ・オン・ディマンドといいますと、一九七〇年代から八〇年代にかけまして、CATVの双方向活用ということで、アメリカにおいて幾つか実験がなされました。九二年に至りまして、今度は電話サービスの一環としましてどうかということで、電話会社がこれを試みたわけでございます。  このビデオ・オン・ディマンドというのは、仮に一万人の希望者がいたとしますと、仮に同じ番組を一万人が同時に見たいとなりますと、ビデオを持っているところには一万回線必要になってしまう。加入者分だけ回線を用意しなければいかぬ、チャンネルを用意しなければいかぬということで、大変コストがかかるというようなことがございまして、今先生おっしゃったように、見たいときにいつでもというのは望ましいことなのでございますが、なかなか今までのビデオ・オン・ディマンドのスタイル、その形ではニーズにこたえ切れていないというのが実情でございます。  その点、今、例えばNHKさんの命名でいけばISDBですね、これはまさに、同じビデオ・オン・ディマンド機能地上衛星デジタル化することによりまして、いわばコンピューターつきの受像機の中に蓄積をすることによりまして、全くそのビデオ・オン・ディマンド的なサービスが利用できるということでございますので、今後の可能性、コストとかそれから著作権の問題という大変複雑な問題もございますけれども、今先生おっしゃったビデオ・オン・ディマンドのニーズというのは、まさに放送デジタル化によって、そしてまたデジタル受像機によって、放送端末によって、より早く、もっと低コストでかなえられるのではないかというふうに私ども考えております。
  123. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 終わります。
  124. 坂上富男

    坂上委員長 白保台一君。
  125. 白保台一

    白保委員 平和・改革の白保台一でございます。  基礎的な、基本的な問題等を含めてお伺いをしたい、こう思っております。  けさほども委員会出席させていただいておりまして、NHK会長やそしてまた民放各社代表皆さん方のお話を聞きながら、デジタル化へ進めていく中でのさまざまなお話を伺ったわけでございますが、そういった中で、どなたかの参考人に対する質疑の中で、要するに、デジタル放送世界の潮流だから、後ろ向きではないけれども、幾つかの問題があるだろう、一つは要するに周波数の問題、そしてもう一つは難視聴の対策で、すべてに行き届くのかどうかという問題、こういった問題等があるから、なお検討を要する、こういったことを言われた方もありました。  そういった中で、私は、局長がよく言われるデジタルの配当ということがありますが、いろいろなメリット論が言われているわけでございますけれども、多くの投資をする中で、いやいや、余りメリットはないよという話があったりするわけです。  そうすると、一つは、メリットがなければハィリスキーだ、こういった問題とか、あるいはまた絶対的な必要性の問題だとか、こういったことがそれぞれに関連してくるのだろう、こう思いますが、まず初めに、基礎的な問題、基本的な問題で大変恐縮ですけれども、こういう問題に対してお答えいただきたい、こう思います。
  126. 品川萬里

    ○品川政府委員 この情報通信基本技術というのは、デジタル技術がベースになっておるわけでございまして、通信も放送も問わずそのような技術環境になっておるわけでございます。したがいまして、このデジタル技術というのは、アナログ技術もそれぞれ特徴ございますけれどもデジタル技術をフルにそのメリットを発揮していくメディアがどんどんふえていくわけでございます。そういう中において、地上放送デジタル時代において今までのいわゆる基幹メディアとしての役割を発揮していくためには、まさにそのためにこそデジタル技術を活用して、地上放送を新しい地上デジタル放送システムに変えていく必要があるというふうに認識しておるわけでございます。  と申しますのは、他のメディア放送に取ってかわるようなサービスを提供できるようになってくるということでございますから、デジタル技術を備えることが地上放送がこれから機能を発揮していく一つの大きな柱になるというふうに思っているわけでございます。  例えば、今、モバイルと称しまして、携帯電話にパソコンをつなぎますと、どんどんあちらも技術革新が進んでおりますから、あそこに動く画像が映ることも可能になってくるわけであります。  それから、先ほどテレビショッピングの話も申し上げましたけれどもアメリカでは二千億ドルとか、あるいはフランスでも七億フランのテレビショッピングというようなマーケットができていること、これもやはりデジタル技術によりまして、もっと流通システムにかわるような新しいシステムの可能性を秘めておるわけでございますが、そうした技術地上放送によらずともできるし、地上放送がそういう技術を使わない場合にはひょっとしたらほかのメディアに取ってかわられる可能性もなきにしもあらずということでございますから、むしろ地上放送デジタル化をしていくということが地上放送の新しい可能性を展開していく一つの大きな手がかりではないかというふうに考えているわけでございます。  地上放送デジタル化による具体的なメリットと申しますのは、一つは、チャンネル数がたくさんとれる、先ほど衛星放送、通信衛星デジタル化メリットを申し上げましたけれども、大変低コストで一つの番組を送れるようになるという面もございます。  それから、我が国のテレビは大変美しく映るということもございますが、より鮮明な画像を見ることができる。それから、先ほどビデオ・オン・ディマンドのお話がございましたけれども、いつも、いつでも見たいときに見れるというのも、高機能化と称しておりますけれどもデジタル放送の大きなメリットでございます。それから、我が国の方式の特徴といたしましては、移動体でテレビを見る、車の中とか列車の中、これに強い方式も可能であるということでございます。  それから、何よりも、この地上放送デジタル化、全体のデジタル技術の特徴といたしまして、視聴者の選択といいましょうか、自由度が増す。今は、単に送ってくるものを見る、スイッチを切るというだけでございますが、先ほど、例えば送られた映像を一度蓄積しまして別な時間に見るとか、あるいは番組も、見る前にいろいろな情報を得て見ることができるとか、視聴者のいろいろな自由度、選択度合いをより高めるというのもこのデジタル放送の大きなメリット、いわば配当と言うことができるのではないかと存じます。  こうしたことを通じまして、世界に十二億台のテレビがございますが、そういう中で、一番家庭に浸透したメディアでございますので、これをデジタル化することによりまして、いわゆる国民情報リテラシーの向上にも大きく寄与するのではないかというふうに考える次第でございます。
  127. 白保台一

    白保委員 そこで、そういった形で移行していくわけでありますが、その移行の過程において、すべて移行させていこうということで進んでいるわけでございますけれども、問題は、全国民放各社、これは放送、ラジオ、テレビ含めて二百ぐらいありますか、この民放各社の受けとめ方の問題といいますか、今後どうやって進めていくかという問題について、いろいろと聞いていますと、かなりその受けとめ方に濃淡があるように感じるわけですね。こういった問題について、皆さんがどのように掌握をされて、どういうふうな形でもって進めようとされているのか、この辺のことをお聞かせいただきたいと思っています。
  128. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答えを申し上げます。  今先生御指摘のように、テレビ放送会社、現在百二十六社ございますけれども地域によりまして、また社長さんの経営方針なり経営哲学なりによっていろいろデジタル化につきましてのお考え方は、おっしゃるように濃淡さまざまございます。  しかし、基本的にはやはり、地上放送がこれまで同様に基幹メディアとしての役割を果たしていくためには、これはデジタル化する必要があるということにおいては認識は軌を一にしているのではないかと思いますが、要は、ではいつ自分のところでやるのかとか、何をやるのかということについては、積極性あるいは時間の見通しについてはいろいろなバリエーションがあるように私も承知しております。ただ、方向としては皆さん共通の認識をお持ちになってきているのかなと思います。  私どもといたしましては、少なくとも今それぞれの地域におきまして四チャンネルあるいは五チャンネルでテレビが見られるわけでございますが、今国民が享受しておるこのテレビを見る、ユニバーサルアクセスと申しましょうか、それがやはり県で、ある地域では放送会社の方の意欲によって少しおくれるとか、あるいは他は非常に熱心だということでは、情報の民主主義と申しますか、そういう点からは大変残念な事態になるわけでございますので、できるだけ皆様の理解と意欲を同じようなスピードでということで、一つの施策といたしまして、全国十一のブロックに地上放送デジタル化の懇談会をつくりまして、その中でいろいろ御議論をいただくことにしております。  それから、近々、民放連の方でも技術セミナーをお開きになるわけでございますが、ここでも、私どもの方からスタッフが呼ばれておりますので、できるだけ情報と知識を共有化して、温度差といいましょうか、理解度が整うようにということを考えておるわけであります。  今回の補正予算で七カ所でございますけれども、先ほどNHK会長も積極的に御参加いただくというコメントがございましたデジタル放送共同実験の施設、これにも多くの方々に参加いただきまして、積極的に、より早く視聴者デジタル放送メリットを還元しようという意欲に燃えていただくように、いろいろ条件整備をしてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  129. 白保台一

    白保委員 ところで、今局長、十一カ所で懇談会が行われるという話でした。いつごろからやるという予定ですか。
  130. 品川萬里

    ○品川政府委員 既に設置しておりまして、ことしの二月ごろから、放送会社の方、それからそれぞれの地域メディア関係の方、メーカーさん、あるいは情報関係の学者の方々も入って、既に懇談会を動かしておりまして、私ども、本省におります者も、できるだけ時間を差し繰りましてそれぞれの会合に出席させていただいて、お話を承ったり、私ども情報も差し上げている、こういう状況にございます。
  131. 白保台一

    白保委員 それで、問題は、移行する中での基盤整備の問題だと思うのですが、こういった基盤整備の問題についてはどのように考えておられるのか、そのことについてお聞きしたいと思います。
  132. 品川萬里

    ○品川政府委員 デジタル化のためには当然設備投資が要るわけでございます。大きくは、カラーテレビ以来の大きな投資になるわけでございますが、トータルコストとしてどうなるかというのは、きょうの放送会社の社長さん方の話にありますように、今、NHKでは例えば三千億とか、あるいは民放の全体で六千七百億とか、いろいろ数字がございますが、これは下がることはあってもふえることはないだろうというお話がございまして、技術革新の成果なり各メーカーさんの企業努力によってそれは少なくなっていくだろうと思います。  その場合に大事なのは、やはり最先端のデジタル技術特性というのがございます。例えば、エネルギーが少なくて済むとか、同じ周波数を何回も使えるとか、いろいろなメリットがございます。まず、このデジタル技術特性というのをフルに引き出すということが第一でございます。  それからもう一つは、我が国の情報化なりあるいはデジタル技術の活用というのは、いわば国際レベルで進んでおりますものですから、時間との競争という側面もございます。一般的には、これは報道機関、メディアでございますから、自主的にということでございますけれども、国全体の視聴者立場考えますと、できるだけ早くこれは達成された方がいい。そういう意味では、国も当然支援措置を講ずべきではないかと思っております。  通信の方は、九七年にNTTも全部デジタル化が完了したわけでございます。約十数年かかっておりますが、この間に、税制面でございますとか政策金融の面で相当いろいろな支援措置を講じておりますので、これまで通信の世界デジタル化のためにとられた措置も十分研究いたしまして、放送デジタル化の分野についてどのような支援措置、基盤整備のための措置をとるべきか、いろいろ考究してまいりたいと存じております。
  133. 白保台一

    白保委員 基本的なこと、基礎的なことを幾つかお伺いいたしましたが、そこで私は、こういう大きな話とは違って、今度は谷間の部分についてお伺いしたいと思うのです。  実は、私の選挙区沖縄でございますが、先般、沖縄の南北大東島に民放放送が入るようになりました。大変多くの方々が御努力をなさったわけでございます。ところが、これはNHK民放もそうなのですが、キー局からそのまま入っていくという形でございまして、ローカルのニュース、そういったものにたえられないということがあるわけですね。問題は、なぜそういうことを言うかといいますと、多くの島を抱えて、随分離れておる、真っすぐ行かないというようなことがあって、大変不便を来しております。  特に南北大東、民放が入りましたが、台風の常襲地でありまして、災害等に対する対応がなかなか難しい。皆さんも御存じのように、台風のときにはリアルタイムでいろいろな情報が入ってくるわけです。ところが、中央のキー局から入れば、なかなかリアルタイムのものが入ってこない。台風が一つ来ましたら、当然飛行機も船の便もありませんから、なかなか物資も届かないし、新聞も届かない。そういう中で、一番頼りになるのは放送です。それが中央からしか入らないというような状況です。  こういった問題についてどうやって解決するのかということで、さまざまに工夫をされております。局長、この辺のことについて御存じだと思いますが、どのようにこれから先対応されるか、このことをまずお聞きしたいと思います。
  134. 品川萬里

    ○品川政府委員 ことしの四月一日から、関係者の御努力によりまして、南北大東島に今先生おっしゃったようなテレビ視聴が可能になったわけでございます。  今現在、先生おっしゃったような台風情報等、地域の大変重要な情報がどう扱われているかということでございますけれども、地元の放送事業者の方の御努力によりまして、電話回線を通じまして台風情報を南北大東島の沖縄県の所有の放送中継所に送信して、それが画面に映されているという状況にございます。これはもう先生御案内のところかと存じます。  しからば、もっとこれを改善する方法があるかといいますと、これからも研究してまいりたいと思いますが、我々が今身近にある手段でやろうとしますと、例えば沖縄本島に衛星回線の地球局を設置しまして、それを沖縄の放送事業者の方が番組としてJCSAT三号機に経由しまして、それを今度南北大東島で受信する、こういうような仕組みは考えることができますが、ただ、このためには、いろいろな計算の仕方がございますけれども衛星のトランスポンダー二本で、コスト的には毎年六億から七億ぐらいの運営費がかかるかなということでございます。  いろいろな考え方がございますけれども、今、我が国の財政の仕組みからいたしますと、運営コストについて国が何らかのサポートというのはなかなか難しゅうございますので、もしやるとすれば、今の手段が一番いいかどうかはまた別ですけれども、どのような手段をとるにしましても、運営コスト面でサポートするとなりますと、またいろいろな工夫が必要かなという感じがいたします。  いずれにしましても、今のような当面考えられる措置も含めまして、いろいろ研究してまいりたいと思いますので、先生の御指導もよろしく賜りたいと存じます。
  135. 白保台一

    白保委員 時間がありませんので、NHKの方に来ていただいておりますのでお伺いします。  ラジオの難聴ですね。これは国境線のところですから、台湾の放送と混線するわけです。しかもこれが、小さな島で、子供さんたちが勉強しようと思って英会話だとかいろいろなものを聞こうと思うとき、大体夕方から混線し始める。  私は、県会議員当時も、要請があって、与那国島というところにNHK皆さん方も一緒に行っていただいてやったのですが、なかなかうまく解消しない。それから、沖縄本島北部の方にもそれがありました。それも視察をして、鉄塔を建てて、ポールを建てて何とかやっておりますが、それでも今、夜になりますと、中北部はほとんど混線する。向こうの方が出力を上げてきたり、こっちが出力を上げて競争しているのだという話があるのですけれども、それをやっていますと、国境線は、NHKの声はすんなりと入ってこないという形になるわけです。  この辺はもうずっと長く言われてきているのですが、なかなかうまく解決しない。NHKの方、来られていますけれども、何らかの方法はあるのだということを伺いますけれども、その辺のことについて、いかがでしょうか。
  136. 酒井治盛

    ○酒井参考人 お答えします。  先生御質問のありました与那国島でございますが、昼間はそこから百二十キロほど離れました石垣島のラジオ中継所の電波が大変よく聞こえるのですけれども、夜間につきましては、御指摘のとおり、電離層の関係でございますが、電離層自体が大変厚くなって電波を反射しやすくなるということで、台湾とか大陸からの外国波の混信の影響が大きくなって、中波放送受信しづらくなってくる。競争しているわけではございませんで、私どもの波も向こうの方にまた伝わっている、そういう状況でございます。  特に、家庭学習に利用していただいているラジオ第二放送につきましては、私どもとしては、今やっていることは、夜間は熊本局あるいは大阪局の大電力局の電波が受信できますので、こういった局を受信していただくようお願いしている、こういうことです。  こういった点につきましては、お知らせの時間等を活用して地元の皆さんにお伝えしておりますけれども、今後とも、こういったお知らせには力を入れていきたい。それから巡回活動、こういったところも強めて、さらに受信相談にも積極的に当たっていきたいな、こういうふうに思っております。
  137. 白保台一

    白保委員 時間でございますので、最後に、今のNHK理事、聞くところによりますと、中波をFMで流せば届くというお話もございますので、これの設備をきちっとすればいけるのではないか、こう思いますので、研究をお願いしたいと思います。  最後に、大臣、沖縄の方にも今回、通信・放送機構ができて、非常に活躍をして、一昨日も私、行ってまいりましたが、非常によく機能しております。これは、地上デジタル放送を進めていくと、将来、機構との関連が大きく出てくるだろうと思いますが、このことも含めて、マルチメディア構想をやっておるところでございますので、大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
  138. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 委員にお答えをさせていただきます。  今も先生のお話の中に出ました沖縄情報通信研究開発支援センター、これはTAOの一部でございますが、情報通信の分野でベンチャーの支援だとか人材開発等を推進する目的で、特にソフトの方でございますが、ソフトウェアの開発、マルチメディアコンテントの制作のためにつくられた共同利用の開発施設でございます。  したがいまして、地上放送デジタル化という観点から考えますと、同センターのコンテント制作の分野で貢献されることが大変期待をされているというふうに思うわけでございます。  今後も、沖縄におきます地上デジタル放送推進については、同センターの活用を含め、地元の要望等を十分に聞き、検討してまいりたいというふうに思っております。  また、今ございましたように、沖縄県の情報通信の振興というのは郵政省でも大変大事な政策でございまして、そういった中で、まさにマルチメディア特区と言われておりますけれども、そういったことで情報通信産業をしっかり放送を含めて振興させていこうということでございます。また、いろいろ地元の要望も聞かせていただきまして、その政策がきちっと沖縄振興のために資するように、しっかり督励をしてやらせていただきたいというふうに思っております。
  139. 白保台一

    白保委員 終わります。
  140. 坂上富男

    坂上委員長 西田猛君。
  141. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。質問をさせていただきます。  まず、衛星放送普及することによって日本国全体の国民経済の利益になることは論をまたないところでございますけれども、今回の放送法の一部を改正する法律案で特に規定されておりますところは、日本放送協会、いわゆるNHKが、以下協会と称しますけれども、協会も委託放送を国内において行うことができるようになる、そういうところが改正の大きな柱の一つだと思います。  したがって、そのことに限って申し上げますと、協会がこういう委託放送をできるということになることによるところの国民経済上のプラス面というものについて御答弁願いたいと思います。
  142. 品川萬里

    ○品川政府委員 これは、衛星を調達して放送をということになるわけでございますが、現在でもBS放送をやっておるわけでございますが、今は実は二社で運営されておるわけでございます。ところが、今度は六社あるいは数社が委託放送事業者としてなり得る、チャンネルを持ち得るということでございますので、これを今までのように放送する人が所有して調達していくとなりますと、調達の場面あるいは調達後の運営におきましてもなかなか利用関係が複雑になる。  その点、委託、受託という関係になりますと、一人の受託放送事業者が一元的に衛星も管理運用できるということになりまして、そうした運用コストというのが、あるいはとっさの危機における対応と安全性の面におきましても、経費的な経済性の面におきましても、みんなが委託放送事業者として利用して一元的にその衛星が管理されるということの方が運営コストの面でも大変メリットがあるのではないかというふうに考えております。それがひいては協会としてBS後発機を使っての放送をするに当たっても、経費的にあるいは運用面のコストとしてもプラスになるのではないか。  これが国民経済上どのような効果かといいますと、なかなか定量的に言うのは難しいわけでございますけれどもNHK業務の一環としての効率性が保てることによって、またそれがNHKの効率的な経営に寄与するということがひとまずの効果と言えるのではないかというふうに私ども考えております。
  143. 西田猛

    ○西田(猛)委員 そういたしますと、協会が国内においても委託放送事業者になることができるということにおいて、他の委託放送事業者と同じように、衛星を通じて受託放送事業者によって放送がなされ、それを国内において人々が受信できるということになるのですけれども、あえて誤解を恐れない言い方をすれば、従前、地上波によってとられるテレビ番組NHKさらにNHK教育テレビというものがありまして、それと他の民放とはいろいろと編集方針の違いとか各社の営業方針の違いもあって、やはり違いがあったというところは事実だと思うのですね。NHK番組だったら安心して見られるというか、あるいは教育テレビでしたらば本当に見ていて教育に資することができるというふうな状況があったと思うのですね。  ところが、私が本当に驚いているのは、今もですけれども衛星放送を通じて二十四時間いわゆるアダルトソフトを四六時中流しているというチャンネルがある。これは受託放送事業者が委託を受けて流しているわけですから、受託放送事業者に対して文句を言うべきなのか、そういう編集をして委託した委託放送事業者に文句を言うべきか、あるいは全然文句を言うべきものではない、これは表現の自由だということなのかですけれども、ここはひとつ日本のリーダーとしての政治家の大臣も興味を持ってお考えになっておられることだと思うのです。  皆さん御存じのように、例えばアメリカにしてもヨーロッパにしても、そういういろいろな表現の自由と称される分野についてのアクセスは自由に得られるのですけれども、他方、子供とかあるいはそういうものからは遠ざけなければいけないとされる人々については、これは厳に遠ざけるというその峻別がはっきりとなされているわけでしょうね。峻別がなされていて、かつ、これは見ても大丈夫だと思われるような成人にはとことん見せてしまう。  だから、逆に言えば日本は、だれでもがアクセスできるけれども、肝心なところはぼやかしてあるというふうな非常にあいまいなやり方なんでしょうね。そこがやはり私は、これからの日本の文化あるいは社会全体の構造のあり方の問題になっていくことでもあると思うのです。  そこで、こういう衛星放送が発達することによって、ここまでやってしまってもいいのかというふうなソフトが二十四時間だれにでもすぐアクセスできてしまうという状態に置かれることについて、これはやはり公序良俗に反してはいけないと私は思うのですけれども、このあたりについて、大臣いかがお考えになられますでしょうか。
  144. 品川萬里

    ○品川政府委員 私の方から法律論的な面と若干の事実関係についてお答えさせていただきまして、あと政策の方の高度のお話は大臣の方からお願いしたいと思います。  今確かにおっしゃるように、パーフェクTVという顧客管理代行のプラットホームを通じまして二十四時間いわゆるアダルト番組が流されていることは事実でございます。  これは、法律論といたしましては、一方でいろいろな表現をしたい方、それから一方でいろいろなものを見たいという、これもあることは事実でございます。ただ、放送メディアを通じて表現するあるいは主張するという場合には、やはり放送特性から一定のルールに従ってもらわなければならないわけでございまして、したがいまして、そのCS放送につきましても、放送法にございますように、あくまで放送会社の不偏不党、自律、そして真実という原則のもとに、公安及び善良な風俗を害しないという点で放送してもらわなければならないわけでございます。これが放送に携わる者の自律の原則のもとでの一つの考え方でございます。  現在どのようにいわゆるアダルト番組が流されているかといいますと、これはあくまで受託放送事業者ではなくて委託放送事業者の責任において放送するわけでございます。この番組、今十一番組認定されておりますけれども、これらの事業者の方は放送内容についていわば自主的な映倫的な機関をつくっておりまして、加えまして、この番組を見るためには、ペアレンタルロックと称しまして、これを親が管理しておりまして、先生が御指摘のように、これはだれでも見られるという仕組みではございません。あくまで親権者と申しますか、保護者がチャンネルを管理して、青少年が安易にこれを見られないような仕組みになっております。  こういうトータルな仕組みを踏まえまして、法律上、こうした放送法の趣旨にのっとった放送の形であるというふうに私ども事実関係と法律の適用において解釈しておるわけでございます。
  145. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 西田委員にお答えをさせていただきます。  大変貴重な御指摘だというふうに私は思っております。  先生御存じのように、放送は、憲法に保障された表現の自由、報道の自由というものがあるわけでございます。一方、これは先生の方がずっと御専門でございますが、公共の福祉に適合せねばならない、これもまた憲法でございます。  そういった中で、表現の自由と公共の福祉をいかに調和し、社会にあってきちっと適用していくということは、放送法基本的な意味ではないかというふうに私は思っております。  そういった中で、先生御存じのように、今申しましたように、こういった憲法を受けて放送法の規定の中でも放送番組基準の中に、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」こういう法律上の放送番組準則と申しますけれども、四つの中の一つにこのことが第一番目に記載されてあるわけでございます。  そういったことを含めて、今なかなか青少年の健全化と申しますか、大変社会的に大きな問題になっておりまして、実は今回、郵政省の中にも青少年と放送に関する調査研究会というものをつくらせていただきまして、これは座長が東京大学の元総長の吉川先生になっていただいたわけでございます。青少年の健全育成と放送メディアのかかわりという観点から今後の政策のあり方についての検討を行うということで、これは五月、今月からつくらせていただきまして、大体ことしの十月くらいまでの期間で調査をしていただいて、研究した結果をいただくというふうになっています。  今も、私も十分に時代の認識、あるいは同時に、放送は一方、表現の自由という大変大事な部分もあるわけでございますから、その辺を含めて、吉川先生に座長になっていただいて、各界の方々、十五人でございますけれども、集まっていただいて鋭意検討をさせていただく、そういうことをやらせていただいております。  先生御指摘のとおり、私もしばらくアメリカで生活した経験がございますが、今先生の御意見をまさに拝聴させていただいたわけでございますけれども、文化の違いがあるというふうなことも先と言われたわけでございます。そういったところを含めて吉川前総長にきちっと報告書をつくっていただこうということで、今鋭意検討をしていただいているところでございます。
  146. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ありがとうございます。  今大臣がおっしゃったように、NHKについては、この放送法第七条で「協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組」とあるわけです。  今回の法改正によって、他の委託放送事業者と同じような並びでNHKも委託事業者になるわけでして、委託事業者としてのNHKにはこういう縛りがかかっているのに他の委託放送事業者にはかかっていないというのは、これは非常に跛行しておりますから、やはり今後いろいろな意味考えていっていただかなければならない問題だなということを強く存ずる次第でございます。  私は大阪出身ですから、実は大阪ではNHKの総合チャンネルというのは、戦後長らく二チャンネルであると思います。そして、十二チャンネルが教育番組なのです。ですからというわけではないですけれども、十二チャンネルをよく安心して見ていたのですけれども、大学で東京へ来て十二チャンネルをつけましたら、かなりどぎつい番組をやっていたので、おお、これはどうしたのだということで文化ショックを受けたようなことがありました。子供たちがそんなことになってびっくりしないように、ぜひこれから気をつけていただきたいなというふうに思う次第でございます。  そこで、今回の放送法改正案ですけれども、ここで、さらに今の話にも通ずるのですけれども、法第四十三条の三項で、委託国内放送業務の休止及び廃止については第四十三条第一項を準用しております。  ところが、協会としては休止及び廃止をするつもりはないのだけれども、協会の委託を受けた受託放送事業者が都合でというか勝手でというか、休止とか廃止をしてしまうような場合もあるのかもしれません。そういうふうな場合にはいかに法四十三条の第三項の趣旨を担保していけるというふうにお考えなのか、お答えいただけるでしょうか。
  147. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、NHKは、とにかく、一言で申し上げますと、きっちり放送しなければならない。おっしゃるように、この受託放送事業者の任意でそれが担保されなくなる可能性があるのではないかということでございますけれども、その辺を担保するために、放送法の第五十二条の九でございますけれども、ここで、受託放送事業者は、正当な理由なしに、正当な理由というのは例えば天変地異でどうしても放送ができないというような場合を除きましては、基本的に提供を拒否できないという仕組みになっております。  したがいまして、私どもとしましては、これまでの運用実態、それから受託放送事業者方々にこの法をきちっと守ってやっていただくという前提でのことでございますけれども、あえて申し上げますと提供義務違反の場合には五十万円以下の罰金というような担保もございますけれども、いずれにしても、罰則規定を振り回すまでもなく、きちっと提供義務を果たしていただけるものというふうに考えております。  しかし、これからいろいろな放送発展もございまして、なかなかそれだけでは担保されないのではないかというような事案が不幸にして発生してしまった。発生しないように努力したいと思いますけれども、発生する可能性が非常に高い、あるいはそれに近いような事例が起こって何らかの手当てが必要ではないかということになりますれば、やはりそれはこの放送法、そういう事態に至らないことを私どもも願っておりますけれども、その場合には、では確実にNHKの委託放送がきちっと受信できるような措置というのは、事態の変化に対応して検討していくべきものと考えております。今のところは、これまでの実績からしまして、そこまでの措置は考えずに、これまでの提供義務を課すというスタイルで担保されるのではないかというふうに考えております。
  148. 西田猛

    ○西田(猛)委員 それから、引き続きまして、今回の法改正のもう一つの柱は、CSデジタル放送のトランスポンダー料金等についていわゆる総括原価主義を撤廃するということなのですが、これは一見規制緩和のように見えるのですけれども、総括原価主義が今規定されていることが問題だというのは、現在届け出制とされている料金について、総括原価主義が書かれているがために郵政省当局において実質的に認可制と同じような運営がなされているというところが問題なのであって、総括原価主義が書かれていること自体が問題なのではないのだと私は思うのです。  というのは、総括原価主義というよりも、料金設定というのは、当然マーケットにおいて価格形成の過程において料金が設定されるわけですから、総括原価なんというのはその思想が盛り込まれているのは当然なのだと思います。  したがって、これを外すということは、むしろ逆に受託放送事業者経営を圧迫することにもなりかねないだろうし、あるいは今までの郵政当局の料金届け出を受ける姿勢に問題があったのではないかなというふうに私は思うのですけれども、そのあたりいかがでしょうか。
  149. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  この法律、そもそも総括原価主義という考え方をとりましたのは、立法当時の見方でございますけれども、受託放送事業というのはどちらかというと寡占的と申しましょうか、独占までいかないまでも、いわゆる公益事業料金的な把握が実態に合っているのではないかというような見方に基づいて総括原価主義を規定したように私ども承知しております。  しかし、実際始まってみますと、先ほど申し上げましたように、一つはやはりデジタル技術の活用によりましてどちらかというとどんどんコストが下がっていく、それからトランスポンダーの使い方も非常に柔軟なといいましょうか、なかなかこの部分は原価が幾らというような計算も難しくて、やはり今先生がおっしゃったように、市場の実態に任せる、あるいは自由な使い方によって料金も決まっていくということが実態にも合っているということから、今回、総括原価主義に基づいてその料金を設定するということを法律上の条文から外したわけでございます。  したがいまして、私どもは、これがなくてもどんどん技術革新の成果を取り入れた料金体系なり、それに基づくサービス提供体系がつくられるだろうという期待を込めての措置でございまして、先ほどの受託放送の提供義務ではございませんけれども、万一事志と申しましょうか期待に反して、かえってそれが逆の方向に向かったということがあればまた、それは実態に合わせて、総括原価主義に戻るかどうかはまた別でございますが、新たな枠組みというのも検討していくべきものかな。しかし、今までの実態を見ている限り、やはり総括原価主義ということを規定せずとも、先生御懸念のような事態は生じないのではないかというふうに考えて、今回の法改正をお願いしている次第でございます。
  150. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ぜひ、おっしゃるように、総括原価主義というふうなことをわざわざ法律に文言を書き込まなくても、マーケットがあるわけですから、そこで適正に価格の届け出がなされる、そしてそれを行政当局は粛々とお受け取りになられる、こういう市場原理が働く世界にしていただきたいというふうに存じます。  そこで最後に、ことしは五年に一度のいわゆる電波法によるところの免許を受けておられる放送局の免許更新の時期に当たります。十月に来るのだと思うのですけれども、これまで、電波法に基づく放送局の免許を受けている放送局で免許の更新がなされなかった例があるのかどうかを教えていただきたい、これはちょっとエキストラなのですけれども、それとともに、ことしまた免許の更新を与えるに当たって、どのような審査基準を具体的に持っておられるのかをお聞かせ願いたいと思います。  といいますのは、御存じのように、新聞もそうですけれども、特に一般大衆が瞬時に目でビジュアルに物が見られる放送、特にテレビ放送というものは一つの大きな権力化しているわけですね。それがために五年ごとの免許更新にかからしめていると思うのですけれども、それが連綿と何十年何百年と続いていくということになると、非常に永続的な権力の確立みたいなものになってしまうわけです。そしてまた、時の政治権力と結託して、何やらゆゆしい事態をも起こしかねないということも考えられます。  ですから、ここはひとつ勇気を持って、あしき行為を行った放送局については、どれだけ設備投資をしてどんなに損失が考えられようとも、免許の更新もしないというふうな毅然たる態度を持って臨んでいくべきではないかな、そういう公正かつ透明性のある基準を打ち出していただきたいと思いますが、それについてお答えいただきたいと思います。
  151. 品川萬里

    ○品川政府委員 先生御指摘のように、前回平成五年でございまして、ことしが五年目の再免許の年に当たっておるわけでございます。  この免許更新の手続は、具体的に電波法等に明確に定められておりまして、私ども審査をさせていただく立場の方としても、免許申請をされる方も、これはもう十分オープンに双方で了知している基準でございまして、一々の条文は申し上げませんけれども、先生御指摘のように、本来の放送会社としての役割をきちっと果たしていただけるように、厳正かつ公平に審査して、適切に免許してまいりたいと存じております。  免許に当たって、当然、この基準に従って公平に透明にやっていくわけでございますが、今先生御指摘のような番組あり方等につきましては、例えば「ポケットモンスター」の事件で、やはり放送会社において自主的に、いろいろな青少年に有害な番組にならないような工夫でございますとか、それから番組の訂正制度でございますとか、あるいは番組審議機関の充実でございますとか、そういった面で、免許において放送の適正を期するというもののほかにいろいろな手段がございますので、トータルとして放送の健全な発達がなされるように法の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
  152. 西田猛

    ○西田(猛)委員 免許の更新のなかった事例はないのですね。
  153. 品川萬里

    ○品川政府委員 今までのところ、ございません。
  154. 西田猛

    ○西田(猛)委員 はい、わかりました。  終わります。
  155. 坂上富男

    坂上委員長 矢島恒夫君。
  156. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今回の放送法改正BS放送にCS放送と同様な受託委託制度を導入して、そして、競争を活発化させていこうということでもあるわけですけれども、二〇〇〇年から開始されるBSデジタル放送というのは、CSのように数百チャンネルというようなものではなくて、今聞いているところによりますと、ハイビジョン中心にして六チャンネルと聞いております。  そこで、最初に大臣にお聞きしたいのですが、BSデジタル放送は、これまでの経緯あるいは国際的に確保された貴重な周波数資源を利用するということなどを考え合わせれば、総合編成的な放送といいますか、いわゆる基幹的な放送として位置づけられるべきだと私は思っているのですが、大臣の基本的なお考えについて、お尋ねしたいと思います。
  157. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 矢島委員御指摘のとおり、衛星放送放送用の周波数資源が有限でございますから、この有限性から見ても大変公共性の高いものというふうに私は考えております。  これは、最近実はインドネシア情勢が不安定化いたしまして、これはBSを使ったものではないのですが、御存じのように、衛星を用いた映像国際放送がことしからいよいよ本格的にスタートして、この一年以内にたしか地球上の九七%をカバーするようにやりたいというふうなことを私は聞いております。そういった中で、インドネシアにおられる在留邦人の方が実は衛星を用いた映像国際放送により大変落ちついた行動をとれたということで、私は、実は郵政省から三人行っておりまして、二人インドネシアから帰ってまいりまして、JICAの方にお手伝いに行っておったわけでございますが、日本に帰れということで帰ってきた方にお会いしたわけでございます。  現実に自分の子供がインドネシアの日本人学校に行っておったそうでございますが、何かいろいろな政情不安になって、みんな子供は当然心配でございますから、お母さんたちは特に小学校に電話をかけだそうですが、電話が不通になっていた。一時もうパニックになったそうでございますが、そのときに、映像国際放送はインドネシアでもNHKでやっておりますが、NHKニュースが見られまして、その小学校の生徒たちはみんな安全な場所に避難しているという情報日本と同時に流れたわけでございます。それで大変落ちついたという話を実は実際に聞かせていただきまして、やはり私は、そういった事実を聞くにつけても、まさに衛星放送の公共性の一つのあらわれだというふうに認識をさせていただいたわけでございます。  そういった意味で、先生、基幹放送ではないかという御指摘でございましたが、やはり私は、大変公共性の高いものだというふうに考えております。
  158. 矢島恒夫

    ○矢島委員 「BS−4後発機の在り方について」というので、BS後発機検討会というところが報告書を出しておりますけれども、これによりますと、中にこういうようなことが書かれているわけです。  これまで「国民生活充実や多様な文化の創造等に大きく寄与する基幹的放送メディアとしての役割を果たしている。」こういう評価をしながら、これからも「NHK中心に総合的な放送を実施してきたという発展経緯を活かすとともに、既に一千万世帯に普及しているという実態を踏まえて展開する必要がある。」公共的な非常に重要な放送ということです。  基幹放送ということについて、これは何かということを昨年の日経のセミナーの中でTBSの前川さんがこういうふうに言っていらっしゃるのですが、基幹メディアとは何かと聞かれたら、私は、だれもが最も容易にアクセスできて、国民あるいは市民として必要な情報を共有できるメディアだ、こういうふうに答えることにしている、こう言っているわけです。  そこで、いわゆる基幹メディアという場合に、アクセスが容易であることというのが非常に重要なのだ、一つの条件だ、このことは私もそう考えるわけです。  この観点から、午前中にもそれぞれの参考人質問したのですが、スクランブル方式、これはだれもが容易にアクセスできるという点から考えてみれば問題があると私は思うのですが、この点についてはどういうようにお考えですか。
  159. 品川萬里

    ○品川政府委員 これからいろいろな放送サービスが可能かと思いますけれども、いわばこれはアクセスコストと、アクセスすることによって得られるメリット、それで視聴者がこの番組を有料であれ無料であれ選択するのだろうと考えております。  これからいろいろな多様な番組が提供されると思いますけれども、今申し上げましたように、視聴者の側でも、コストを払ってもこれはアクセスする価値があるということであれば、またそれで国民のニーズにこたえるわけでございますから、有料即アクセスが困難になる、あるいは公共性を否定するというふうには直ちにはならないのではないか。やはりサービスの質、放送の種類、利用形態、国民にとっての意義といったものから、無料か有料かというものが考えられるべきものかと思います。  基本的には、やはり放送される側が有料にしたって全然お客がつかないとこれは取れませんし、どのような形が一番まさにユニバーサルアクセスにふさわしい提供形態かというのは、いろいろ番組に応じてあるいは番組提供の形態に応じておのずと固まっていくのではないかというふうに考えております。
  160. 矢島恒夫

    ○矢島委員 大臣も手を挙げられたので、もし御発言がありましたらこの問題で御発言いただければと思います。  今、品川局長のお話ですと、そのために基幹放送というのはどういうものをいうのか、そして実際にBS放送というのは基幹放送であるという認識の上に立って、また大臣もそのような方向での御答弁があったわけですが、だれでも容易にアクセスできるということは、それは必要と思う人が金を払ってアクセスすれば十分できるのだというだけの問題ではなくて、結局スクランブルをかけること自身に基幹放送としての問題点があるのじゃないかという観点から私はお聞きしたのですが、大臣、もし御答弁がありましたら。
  161. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 公共性が大変強い放送でございますから、一般的には、国民がどこでもだれでもアクセスできるというのは私は基本的な考え方というふうに思っております。  しかし同時に、やはりそれぞれの参加した民間放送事業者というのは利益が上がらないと経営体としてこの世の中やっていけないわけでございます。また、放送法の中でも、先生御存じのように、放送事業者というのはきちっと財政的に安定していることが大事であるというふうな記載もあるわけでございますから、そこら辺は一概にこうだというふうに決めるのではなくて、例えば一部に有料放送があるからといって広く国民に視聴されている放送には当たらないとは言えないというふうに思いますので、有料、無料すべてを含めて、BSデジタル放送トータルとしてやはり考えるべきであって、それが国民視聴者のニーズにこたえることが放送の公共性に合致するものではないかというふうに私は一般的に思っております。
  162. 矢島恒夫

    ○矢島委員 午前中の参考人質疑の中で、氏家民放連会長にこのことについて私は聞いたわけですけれども、やはりアクセスが自由にできるということは、スクランブルをかけないことにこしたことはないというような御答弁でした。  時間の関係で、次へ参ります。  受託とか委託方式によるまでもないのですが、今、放送市場を見ますと、いわゆる人気ソフト、例えばスポーツ放送権、こういうようなものをめぐって激烈な競争が起こっていると思います。これが地上波の今の民放キー局がBSに参入する動機の一つにもなっていると思うのです。  テレビ朝日の伊藤社長は、スポーツ放送権についてこんなふうなことを言っております。NHKは、放送権を持つ相手に、衛星でも放送できるからと説得でき有利だ。テニスのウィンブルドン選手権などはそのよい例。一つの局が多チャンネルを持てば持つほど露出が多くなり、権利を獲得しやすい。それが民放もできるようになると期待する。こういう談話を発表しておりました。  フジテレビの日枝社長も、イベントなどの放送権、この問題で、地上波衛星を合わせて独占的に買ってほしいと言われるケースがふえたというような話がありました。  メディア王と呼ばれるマードック氏は、こうしたスポーツ放送権を経営拡大に徹底的に利用した。イギリスでは、米欧プロゴルフ対抗戦であるライダーカップ、これは九五年にBBCからBスカイBに放送権が移った。そのために、欧州チームが優勝をしたわけですが、その模様はマードック氏のBスカイBと契約した視聴者しか見ることができなかった。こういう戦略で、BスカイBは、九二年百五十万世帯であったものから、九五年にはこの三年間で四百四十万世帯へと拡大していったわけです。  やはり私は、基幹放送と位置づけられるBS放送においては、放送事業者がこのような戦略をとって人気スポーツにスクランブルをかけるということは問題じゃないか、スクランプル一般ではなくて、こうした戦略のためのスクランブル、これについてはどういうふうにお考えかお聞かせいただければと思います。
  163. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のケース、英国においてはそのような事態が生じまして法的規制という事態にまで至ったわけでございます。  幸いと申しますか、我が国においてはそのような形での問題は生じておりませんけれども基本的には、どの番組をどのような形で放送するかというのは、いわば放送事業者番組を買う人の私的契約の問題でございまして、一義的には当事者の判断にゆだねられるところでございますけれども、スポーツというもの、あるいはスポーツの種類によって国の受けとめ方が全然違うわけでございますが、やはりそれぞれの国情に応じてそうしたものについての対応の仕方というのはさまざまあろうかと思います。  今先生申された経営戦略というのか、独占的に視聴者を確保するためということなのか、あるいは単に視聴率を広げる、顧客を広げるということのためなのか、なかなか行為と動機というのは判断しにくいところではあろうかと思いますけれども、今後我が国においても、多様なチャンネルの中で、例えば提供される放送番組がいろいろふえてくる、そういったことでイギリスのような事態が起こり得るということもまた一概に言えないのではないかというふうに考えております。  私ども、一義的に放映権料が高い安い、いい悪いということではなしに、具体的ないろいろなケースを見ながら、そしてまた経営される方々がどのような考え方で、できるだけ放映権料が低くて、かつ多くの人が視聴できるような工夫をされるのか、内外いろいろな知恵があろうかと思います。事業者立場での研究、行政の立場での研究と双方相まって、少なくともみんなが見たい番組がなかなか見にくいということにならないようにいろいろ研究して備えてまいりたいと存じます。
  164. 矢島恒夫

    ○矢島委員 それから、地上波デジタル化の問題ですが、午前中もなかなか大変な費用がかかる問題などがありました。私は、膨大な費用が、それは放送事業者の方にもあるかもしれないけれども、実際に、今度は見る側にとってもいろいろと経費がかかってくるわけです。  三月二十三日の日経で、地上波放送デジタル化の経済効果というのを郵政省試算ということで報道しております。大体午前中にNHK民放方々が出したのと同じような額になっておると思います。  では、聞く方の側、受信側はどうかというと、十年間で十六兆六千百七十八億円となっています。このうち、デジタルテレビにかかる費用というのがほとんど大部分ですが、十六兆四千八百九十七億円。出荷台数として九千三百八十四万台、一台平均にしますと十七万五千七百二十一円。これにアンテナが新たに必要になりますから、一家庭約二万円。合計約二十万円の負担となる。  一つは、デジタル化の中で、こういう負担がかかりますよということを郵政省として試算を発表しているわけですけれども、ぜひ国民に知らせるべきではないかという点について郵政省はどうお考えか。  それから最後に大臣に、地上波デジタル化というのはまだ研究されるべき部分がたくさんあるわけです。午前中の放送業者の方々の問題もありますし、今少し話しましたけれども受信者の側の負担というものもあるわけです。そういう中で、国民が納得できるものでないとやはり困ると思うのです。ですから、国民の合意のないデジタル化というのは国民の反発を招くだけであるから、やはり地上波デジタルは私は慎重に進めるべきだ、こう考えるのですが、大臣のお考えを最後にお聞きしたいと思います。
  165. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  視聴者がこのデジタル放送をいかに享受していくかということでございますが、テレビを鑑賞する立場からいろいろメリットも申し上げましたけれども、やはりこれは国民生活の多様化に応じまして、これから、先ほども申し上げましたけれどもチャンネルをたくさんとることでローカル番組も、先ほど沖縄でのお話がございましたが、ああいったことにも対応できる。それから、何よりも視聴者番組選択の自由度選択の幅が広がる。それからヒューマンインターフェースと申しますか、いろいろな工夫をすることによって高齢、障害者向けの放送端末になり得るということでございます。  そうしたデジタル受像機のメリットと申しますか、これがまた例えばテレビ受像機二十万円を高いと思うか安いと思うかという判断基準になるわけでございますから、何がどれだけのコストで得られるか、双方の情報が十分国民の皆様に知られるように、これはつくって販売される方は当然情報提供されるでしょうけれども、同時に、私ども今申し上げましたように、国民生活にとって大きなメリットがあるということは、これはローカル放送ができるようになるとか、視聴者情報リテラシーが高まっていくとか、あるいは少子・高齢の福祉型メディアにもなりますというようなことは社会生活あるいは経済生活全体にメリットになる話でございますので、これは行政の立場でもどんどん提供していくべき話だろうと思っております。  先ほどもNHK民放皆さんの試算の数字、これはこれより上がることはない、とれから技術革新なり、これは取引の話でございますからより低いものになっていくだろうという話がございましたが、私どももそうした方向で、とにかく投資ができるだけ少なく、かつ視聴者においても、いわば視聴者情報投資でございますが、視聴者情報投資も、十分いわば情報提供されてその中で選択されるようにということを条件整備していくことも、全体の放送事業者方々設備投資をできるだけ円滑たらしめることと同時に、視聴者への情報提供ということも大事な側面と思っておりまして、トータルで円滑な手順と段取りよく地上デジタル放送システムに移行できるように努力してまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  166. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 矢島委員にお答えをさせていただきます。  先生御存じのように、現在情報通信の社会ではデジタル技術というのが基盤技術でございまして、地上放送においても、デジタル化をすることによって基幹的放送メディアとして発展し、国民の期待にこたえることができるのではないかというふうに私は考えております。  しかしながら、先生御指摘のとおり、国民に広く普及しております地上放送デジタル化が進むに当たっては、やはり視聴者である国民方々視聴者に混乱がなく、また放送事業者が確実に投資できるようにする必要があるわけでございますし、民放初め関係者の意見に十分耳を傾けて、手順と段取りよく進めていくことが私は重要だというふうに考えております。  郵政省といたしましても、民放デジタル化について支援措置が必要であるというふうに考えておりまして、さきの政府の総合経済対策の中でも、実用規模の地上デジタル放送研究開発用の共同利用施設の整備、あるいは地上放送番組制作設備デジタル化促進税制の創設といった施策を盛り込んだのでございまして、今後とも送信設備等のデジタル化のための支援がとりわけ重要だというふうに考えておりますので、その設備投資を軽減する税制あるいは金融上の支援を含めて、いかなる支援策が可能かということを電気通信分野の例も参考にしながら、御存じのとおり、電気通信分野ではもうほとんどデジタル化が完了したわけでございますけれども、そういったことも参考にしながら積極的に検討してまいりたいというふうに思っております。
  167. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひ慎重にというのは、やはり技術面でまだクリアしなければならない問題もあるし、経費の面でもクリアしなければならないいろいろな問題がある。そういうものをきちんと解決した上で進めるという方向を私はぜひやってもらいたいということを要望しまして、質問を終わりたいと思います。
  168. 坂上富男

    坂上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  169. 坂上富男

    坂上委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  放送法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  170. 坂上富男

    坂上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  171. 坂上富男

    坂上委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、古屋圭司君外四名から、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。古屋圭司君。
  172. 古屋圭司

    古屋委員 ただいま議題となりました放送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 BSデジタル放送導入に当たっては、高精細度テレビジョン放送中心とする特色を生かしつつ、デジタル技術革新の成果が速やかに国民に享受されるように努めること。  一 BSデジタル放送とともに地上放送においてもデジタル放送が早期に導入され、デジタル放送サービスが早期に普及するように努めること。  一デジタル放送導入するに当たっては、多様な放送の実現を図るとともに、放送の社会的影響の重大性を深く認識し、放送法の趣旨に則った放送が行われることに配慮すること。  一 デジタル放送導入するに当たっては、できるだけ視聴者に負担がかからないよう、低コストで利便性の高いアダプター等の端末機器の開発普及を図ること。  一 放送の有する社会的機能の重要性を認識し、デジタル放送の円滑な導入を図るため、必要な支援措置の充実等総合的な施策推進すること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  173. 坂上富男

    坂上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  174. 坂上富男

    坂上委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、自見郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。自見郵政大臣。
  175. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 放送法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚くお礼を申し上げます。  御審議を通じて賜りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。     —————————————
  176. 坂上富男

    坂上委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 坂上富男

    坂上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  178. 坂上富男

    坂上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十八分散会