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1998-04-23 第142回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月二十三日(木曜日)     午前九時十二分開議 出席委員   委員長 坂上 富男君    理事 野田 聖子君 理事 古屋 圭司君    理事 山口 俊一君 理事 小沢 鋭仁君    理事 永井 英慈君 理事 石田 勝之君    理事 河村たかし君       浅野 勝人君    石崎  岳君       今村 雅弘君    岩永 峯一君       大石 秀政君    倉成 正和君       佐藤  勉君    坂井 隆憲君       園田 修光君    竹本 直一君       野中 広務君   吉田左エ門君       北村 哲男君    吉田  治君       遠藤 和良君    神崎 武法君       石垣 一夫君    矢島 恒夫君       横光 克彦君    中田  宏君       小坂 憲次君  出席国務大臣        郵 政 大 臣  自見庄三郎君  出席政府委員        郵政大臣官房長  天野 定功君        郵政省電気通信        局長       谷  公士君  委員外出席者        参  考  人        (国際電信電話        株式会社代表取        締役社長)    西本  正君        参  考  人        (国際電信電話        株式会社常務取        締役)      安藤  理君        逓信委員会専門        員        丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 四月二十三日  辞任        補欠選任   川崎 二郎君     岩永 峯一君   伊藤 忠治君     北村 哲男君 同日  辞任        補欠選任   岩永 峯一君     川崎 二郎君   北村 哲男君     伊藤 忠治君     ————————————— 四月二十一日  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第六一号)(参議院送付)  郵便貯金及び預金等受払事務委託及び受託  に関する法律案内閣提出第六二号)(参議院  送付)  郵便振替法の一部を改正する法律案内閣提出  第六三号)(参議院送付)  簡易生命保険積立金運用に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第六四号)(参  議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  電気通信分野における規制合理化のための関  係法律整備等に関する法律案内閣提出第九  八号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第六一号)(参議院送付)  郵便貯金及び預金等受払事務委託及び受託  に関する法律案内閣提出第六二号)(参議院  送付)  郵便振替法の一部を改正する法律案内閣提出  第六三号)(参議院送付)  簡易生命保険積立金運用に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第六四号)(参  議院送付)      ————◇—————
  2. 坂上富男

    坂上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電気通信分野における規制合理化のための関係法律整備等に関する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として国際電信電話株式会社出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂上富男

    坂上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 坂上富男

    坂上委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大石秀政君。
  5. 大石秀政

    大石委員 皆さん、おはようございます。  大臣、大変御苦労さまでございます。  電気通信分野における規制合理化のための関係法律整備等に関する法律案ということで、仮称のときはさらに名前が長かったのですけれども、結局、簡単に言えば、規制緩和内容法律でございます。  個人的には、これは昨年の十一月十八日に「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」というものが閣議決定をされました。これがベースになっているのかなと思います。その後、十二月には構造改革フォローアップですね。そして、本年三月三十一日には新たな規制緩和推進三カ年計画というものも閣議決定をされまして、規制緩和という点では、行政の方では次から次へと政策を打ち出しているところでございます。  昨年の十一月十八日といいますと、期間的にもそうですけれども、この間、政治、経済を初めとしたあらゆる分野でいろいろなことがありましたので、大変にその時点から長く感じます。長野五輪なんかもあったりして、それも忘れるぐらいの今日でございますので、そのとき決めた内容ベースにした法案というものが今日こうやって審議をするに至るまでの間にある程度の時間がかかってしまうことにつきましては、私もちょっと思うところがございます。したがって、慎重審議の上ではございますけれども、速やかに可決をすべきものではないかと思って、その観点から質問をさせていただきます。  今、前段でいろいろと申し上げましたけれども、そういった一連政府規制緩和政策策定、それと今回の改正法律案関係というものについてどうなっているのかという点、また規制緩和及び構造改革情報通信あり方について、これは改めてというような感じですけれども郵政省はどのようにお考えになっているのかということをお聞かせ願いたいのですけれども、よろしくお願いいたします。
  6. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘いただきました昨年十一月の「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」、それから経済構造の変革と創造のための行動計画、それから本年三月の規制緩和推進三カ年計画、これらにおきまして抜本的な規制緩和策が盛り込まれているところでございますけれども、これらの規制緩和策のうち、法律改正を必要といたします事項を一括いたしまして、今回のこの法律案として御審議お願いしているところでございます。  私どもといたしましては、我が国経済構造改革推進のためには、電気通信市場における一層の競争促進を通じた情報通信産業活性化が必要不可欠と考えておるところでございまして、このため、NTTの再編成、接続ルール制度化、それから規制緩和推進、これらを一体として推進する、私どもいわゆる第二次情報通信改革と申しておりますが、そういうものに取り組んでおります。  今回の法律案に盛り込まれました抜本的な規制緩和策の着実な実施によりまして、このような改革のさらなる推進が図られるものと期待しておりますので、よろしく御審議お願いしたいと思います。
  7. 大石秀政

    大石委員 どうもありがとうございました。  それで、規制緩和についていろいろな分野にわたっている法律なのですけれども、一番最初といいますか、KDD完全民営化するというお話があるわけでございます。  これに関しましては、改正KDD法のときに、衆参の国会の委員会附帯決議もつけられておりまして、特に参議院の方なんかはもう早くしろというような感じ附帯決議だったと思います。  そういった環境も整いつつあるわけですけれども、今回、KDD完全民営化するに当たりまして、郵政省として、今後、我が国電気通信事業者国際戦略についてはどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。
  8. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 情報通信につきましては、世界の各国におきまして、リーディング産業として成長しますとともに、二十一世紀社会経済活動あり方を左右する基幹産業として期待をされているところでございます。各国とも、これを戦略産業として育成して、国際競争力向上を図りますとともに、外国におきましても自国の企業にこのような役割を担わせたい、そういう戦略をとっているものと思われます。  郵政省といたしましても、昨今のグローバルな競争環境を念頭に置きながら、技術革新推進、インフラの整備、アプリケーションの開発などを通じましたリーディング産業としての我が国電気通信事業発展支援KDD完全民営化などの規制緩和を初めといたしました競争促進政策の一層の推進を通じました我が国電気通信事業者国際競争力向上、それから我が国電気通信事業者国際展開の積極的な支援、こういったことによりまして、電気通信分野におけるグローバル化に積極的に対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
  9. 大石秀政

    大石委員 それで、国際戦略ということも今言われたわけでございますけれども、この分野につきましては、特にアメリカなどから要望といいますか、いろいろとそういった意見ども漏れ聞こえてくるわけでございます。  この法案ベースになっているものもそうですけれども、一番最近の規制緩和推進三カ年計画についても、アメリカ通商代表でありますバシェフスキーという女性の方から、NTT接続料改定といいますか、早く言えば、もう少し早く、安くするということを決めろということだと思うのです。そういうことも含めて、私も資料で一回ならずいろいろと見せていただいたこともあるのですけれども、特にアメリカからこの分野について、事細かないろいろな要求も出ているわけでございます。  郵政省の方としては、そういったものの内容をどれだけ把握されて、どのように対応していこうという体制を整えているのか、その辺をお聞きしたいのですけれども、よろしくお願いいたします。
  10. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 アメリカはいろいろな場でいろいろな注文をつけてこられるわけですけれども、特に、本年三月三十一日に発表されましたUSTRの九八年外国貿易障壁報告書、いわゆるバリアレポートでございますけれども、この中では、私どものとっておりました施策の国際公−専−公の自由化など、こういった一連規制緩和策については評価をいたしておりますが、その一方で、御指摘のように、接続料に関しまして、長期増分費用方式、これを九八年末までに導入せよという要望、それから透明かつ時宜を得た無差別な線路敷設権の確立を望む、そういったような規制緩和要望をしてきておるところでございます。  この一つ目長期増分費用方式につきましては、さきに閣議決定されました規制緩和推進計画におきまして、接続料の引き下げを促進していくという観点から、接続料算定方式の見直し時期を当初予定されておりました平成十二年度から平成十一年度中へと一年間前倒しをするという措置を盛り込んでいるところでございます。  これは現在、私どもの部内におきまして研究会を設置いたしまして、この長期増分費用方式を計算するためのモデル作成検討作業を行っておりますけれども、このモデルの完成までには一年以上の期間を要すると考えられますし、さらに、その取り扱いの最終的な判断は、平成十一年度に明らかになります平成十年度の接続会計の結果など、これは昨年法改正を御承認いただきました、これによりまして今取り組んでおります新しい接続制度の施行の状況をも見ながら考えていく必要があるわけでございまして、これだけの期間は必要であると考えております。  なお、米国におきましても、州際サービスにつきましては二〇〇一年以降にこの長期増分費用方式導入検討するということとされておるところでございまして、諸外国におきましても、この方式につきましてはまだ確立したモデルと言えるほどのものはないと承知しております。  この件につきましては、日米規制緩和会合などの場におきまして、我が国接続料低廉化取り組みでございますとか、この長期増分費用方式検討取り組みを説明してきているところでございますけれども、今後とも米国に対して十分説明をし、理解を求めてまいりたいと考えております。  それから二つ目線路敷設権の問題でございますけれども、これも同じく規制緩和推進計画の中におきまして、電気通信事業者ケーブルテレビ事業者に関連する線路敷設権の枠組みについて検討を行い、その結果を一九九八年中に取りまとめるという内容が盛り込まれておりまして、現在政府内で検討中のところでございます。
  11. 大石秀政

    大石委員 そこで、KDDは、完全民営化した後も、我が国を代表する事業者として、海外進出等を含めまして活躍していただかなければならないと思っております。  対地状況としては、KDD以外、日本テレコム、IDCなど、そちらの数字の方では完全民営化状況が整いつつあるというデータの根本になるような感じはありますけれども、依然として、自動のみ、あるいは自動プラス自動発信分数ということにつきましては、KDD以外の国際系NCCのパーセンテージ、トラフィックシェアが年々ふえているということはありますけれども、現状で今の数字でございますので、やはりKDDのそういった重みというものはあるわけでございます。  前の質問と今の御答弁がありましたけれども、例えばKDDアメリカでの子会社事業展開について、FCC、これはアメリカ連邦通信委員会ですけれども、それからの認証取得に長い期間がかかったり、あるいは事実上参入できないような条件を付与されるような、日本にいろいろと言ってくる割には、アメリカの方もこちらが進出するに当たりましていろいろな規制的なものがあるのではないかということを私個人は思っているわけでございますけれども、こういうことに関します郵政省対処といいますか、そういったものについて少しお聞きをしたいのですけれども、よろしくお願いいたします。
  12. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先生御指摘のように、我が国国際通信事業者対地関係では、三社それぞれ遜色のないような段階に来ておるわけでございますけれども、やはり依然としてKDDは主要な国際通信事業者であるということは御指摘のとおりでございます。  それから、アメリカとの関係でございますけれども、この三月に、設備ベース日米間の国際通 信サービス提供するKDD米国子会社、この米国参入認証に関しまして、事業開始のためには、国際精算料金を一分間十五セント以下に引き下げる、いわゆるベンチマークでございますが、これを条件とするということをFCCが言ってまいりまして、これでは実質的にサービス開始ができないという状況になっておるわけでございます。  それから、これも御指摘いただきましたように、平成八年におきましては、日米間の公衆網接続をしない専用線再販サービスにおきましても、認証までに一年一カ月もかかったという例もございます。  アメリカ制度は、一見、非常に簡素に見えるのでございますけれども、非常に不透明な部分もあるわけでございまして、私どもとしましては、そういったアメリカ規制あり方についても改善されるように、機会をとらえて求めているところでございます。  こうしたアメリカの動きは、実質的に我が国事業者米国進出を妨げるものでございますし、それから米国市場への参入を制限するものとして、WTO協定との整合性観点からも疑問があるものでございます。  特に、このベンチマークルール米国市場参入条件とすることにつきましては、事実上の米国市場への参入障壁となりますこと、それから本来商業ベースで決めるべき事業者間の精算料金米国政府米国への市場参入規制と結びつけて一方的に設定するというものであること、それから、先ほど申し上げましたように、WTO協定の諸原則との整合性にも疑問があることという問題点があるものと認識しておりまして、このルール案策定段階米国政府に対してコメントを提出いたしたところでございますし、また、日米規制緩和会合等の場におきましても改善を求めてきたところでございます。  先ほど申し上げました、このほかのアメリカ参入規制あり方につきましても、あわせまして、引き続き機会をとらえて改善を求めていきたいと考えております。
  13. 大石秀政

    大石委員 一国を敵視するわけではありませんけれども、それなりの主張をしてくる国でもございます。また、先ほども申し上げましたとおり、この電気通信分野についてはかなりのページ数といいますか、文字数も割いて、そういった要望的な文書も作成をしたりしているところもございます。  自分たちもそのように規制緩和というものをきちんとやっていれば、そういった指摘もうなずけると私は思うのですけれども、どうも今の御答弁も含めたいろいろな状況情報から判断いたしますと、日本に対してはかなりそういった面で言う割には、自分の国の国内規制というものはかなり保守的ではないかと思っておりますので、国際的なそういったいろいろな機関を含めまして、適切な対処を再度よろしくお願いをする次第でございます。  しかしながら、規制緩和というものは根本的に、今世界的にいろいろな国で経済構造改革というものをやっておりますし、自国のいろいろな産業振興とかあるいは消費者方々メリットが大きいということは確かでございますので、その両方を適切にあわせつつ、整合性のある政策というものを国内においてこれからよろしくお願いを申し上げます。  KDD完全民間会社となりますと、やはりどうしても採算ベースということで商業活動に重点を置くようになるのではないかと思います。電報業務とかそういった面も含めて、多少のユニバーサルサービス的な、義務的なものと言ってはなんですけれども、そういうところも残りっっはありますが、そういう方向に行くのではないか。  あるいは、特殊法人でなくなることによりまして、ITU国際電気通信連合という国際組織があるのですけれども、そういった国際機関においての発言力というものが低下をするのではないかという心配も、私なんかは少し思いをする面もあるわけでございます。  そういったことから、国際機関における我が国地位を強化するために、この点について郵政省として何かお考えというものをお持ちなのか、お聞かせいただきたいのですけれども、よろしくお願いいたします。
  14. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 KDDはこれまで、ITUの認められた事業体、ROAと言っておりますけれども、こういったものとして、それからインテルサット、インマルサットにおける署名当事者として積極的にその活動に参画をしてきたところでございます。  これらの地位は、KDD完全民営化されました後も変更されるものではございませんで、KDDにおきましては、完全民営化後におきましても、これまでどおり積極的にこれらの活動に参画していくものと私どもとしては考えております。  我が国国際機関における発言力を強化するということは、御指摘のように、大変重要なことでございますので、郵政省といたしましても、KDD等電気通信事業者等との連携によりまして、国際機関にこれまでどおり積極的に参画できるように対応してまいりたいと考えております。  具体的に申しますと、郵政省といたしましては、ITUの場におきまして、無線通信規則などの世界的なルールづくりへの寄与、貢献、それから世界的な標準化に向けた勧告作成のための研究活動における我が国技術の紹介や知恵提供、それから開発途上国に対する有用な情報提供専門家の派遣などの国際協力、こういったことなど、世界的に調和のとれた電気通信発展に必要不可欠ないろいろな活動につきまして、積極的に貢献をしていくということの中で、我が国の国際的な地位向上を図っていきたいというふうに考えております。
  15. 大石秀政

    大石委員 その地位を利用して影響力を持つことはいいのですけれども自国だけのためというか、国益のためだけ、そういう点だけでなく、これはある人から見るとちょっと甘いと言われるかもしれませんけれども、今御答弁にあったような形で、例えば技術的にかなり進んでいる分野もございますので、国際貢献という点も含めまして、世界的なこの分野における日本のさらなる活躍というものを期待申し上げる次第でございます。  先ほども少し、アメリカ国内規制緩和等を含めた質疑等もさせていただきましたけれども我が国のこの分野におけるいろいろな知恵というものは、アメリカよりもむしろ今の段階でもそう閉鎖的ではないといいますか、かなり開放されているのではないかと私は思っております。これは、そういうふうなことをすることによって、最近はむしろ日本国内電気通信分野における産業等振興に利する、あるいは消費者方々の利益になるということで自主的にやられているという点もありますし、内閣がいろいろな規制緩和政策を行っているという点もあると思います。  この法律の柱のうちの一つでありますけれども電波関係でございますが、携帯あるいは自動車電話PHS等無線設備及び電話機あるいはファクスなどの端末機器基準認証制度というものがあるのですけれども無線の混信の防止電気通信ネットワーク損傷防止という観点から、必要ではあるという一方で、こうした設備機器提供しようとする海外メーカーにとっては負担という、さっき、これは別の分野ですけれどもアメリカでは日本がかえって負担といったこともあります。今回改正をいたしますけれども、今までは海外メーカー等負担になっている場合があったということで、今後の情報通信の一層の国際化として、その規制あり方というものが重要なポイントであると承知をしております。  今回の基準認証に関する法改正を行う理由、そしてこの改正によりどのようなメリット期待をされるのか、先ほど前段部分の私の意見とは別に、郵政省の方の御意見といいますか、お考えというものをお聞かせ願いたいのですけれども、よろしくお願いいたします。
  16. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今回の基準認証に関する法 改正につきましては、御指摘のように、電波法技術基準適合証明制度電気通信事業法技術基準適合認定制度と二つございますが、ほぼ同様でございますので、電波法の例で申し上げさせていただきます。  これは、国内外民間事業者方々が測定された電気通信設備に関するデータ技術基準適合証明審査において活用するということ、それから二つ目外国認証機関が行いました電気通信設備に関する認証を受け入れるということ、それから電気通信設備を個々にではなく工事設計単位でまとめて認証する制度をつくるといったことから成り立っております。  この改正は、電気通信分野国際化背景といたしまして、電気通信設備基準認証制度について、昨年十一月のAPECの閣僚会議、それから昨年三月の規制緩和推進計画の再改定について等におきまして、外国試験データそれから認証等相互承認実現に向けての積極的な取り組み、また、タイプを、設計でございますけれども、基礎とする制度の創設ということが要請されております。  また、携帯自動車電話等の急激な加入増背景といたしまして、技術基準適合証明等を受ける電気通信設備の台数が急増いたしました。大量生産機種向けの簡素な制度の新たな導入ということが昨年十一月の「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」でも決定されたことでございます。  こういったことを背景といたしまして、国内外民間能力の活用を通じて、制度合理化を図ることが必要であるということが本件の改正理由でございます。  そして、この改正による直接的なメリットといたしましては、申請者でありますメーカー等経済的な負担、時間的な負担が軽減されますこと、それから行政事務の方も合理化されますこと、また諸外国との相互承認、それから制度の国際的な調和実現に向けまして、制度上の受け皿がこれによって整備されますこと、こういうことがありますので、大変意義のあるところだと思っております。  また、間接的なメリットといたしましては、二十一世紀に向けてのリーディング産業であります情報通信産業の一層の活性化、それから電気通信設備の利用者の利便の向上ということが期待されるということもございます。  そういう趣旨でございまして、先生御指摘のとおりでございます。
  17. 大石秀政

    大石委員 こういったものにつきましては、先ほどの私の質問の中にもありましたが、メリットだけではなく、今までもそういった規制があるということは、多少の懸念があるのではないかという部分もあるわけでございます。  その中で、外国認証機関には日本政府の監督が十分に及ばないと考えられる点もなきにしもあらずだと私は思いますけれども、そのまま外国認証結果を受け入れて大丈夫なのか、その点の郵政省のお考えをお聞きしたいのです。
  18. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 この電波法等におきます承認証機関等として承認されます外国認証機関条件といたしましては、既に外国において、当該外国の法令に基づきまして我が国技術基準適合証明等と類似の基準認証業務を行っている者であること、それからまた、我が国がこれを承認するに当たりましては、我が国の中で郵政大臣技術基準適合証明等を行わせる者として指定いたしました指定証明機関等と同様の基準に適合するかどうかということを審査いたしまして、適合すると認められた場合であること、それからまた、その業務の実施方法につきましては、その機関の業務規程を郵政大臣の認可に係らしめることによりまして、我が国の指定証明機関等の手続と同様の手続によりまして電波法等の技術基準に適合していることの審査を行わせるということとしております。こういったことから、適正かつ確実な証明等の業務が担保されると期待しているところでございます。  なお、この制度の適正かつ確実な運用を確保する上で必要な場合には、これらの機関に対しまして、業務の適正な実施を求める請求を行う、それから機関に対しまして報告徴収を行う、それから立入検査の実施を行うといった規定も盛り込まれております。  ただ、外国機関でございますから、強制力があるわけではございませんので、当該機関がこれらを拒否するといたしました場合には、業務の適正な実施を担保することはできないということでございますので、この機関としての承認を取り消すことができるという規定が盛り込まれているところでございます。
  19. 大石秀政

    大石委員 そういう点も含めまして、最初はいろいろなことがあると思いますけれども国内消費者方々にできるだけ御迷惑のかからないような対策をおとり願いたいと思います。  総括的な質問になりますけれども我が国は、電気通信設備基準認証制度についての国際的な動向にこれからどのような対処をしていかれるのか、また今後、相互承認協定等に対してどのような姿勢で臨んでいかれるのか、この点について、お聞きをしたいと思います。
  20. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 現在APECにおきまして電気通信設備相互承認協定のモデルにつきまして検討しているところでございまして、我が国もこのAPECのメンバーといたしましてこれに積極的に参加、貢献をいたしております。  それから、EUとの関係でございますけれども、EUとの間におきまして、相互承認について協議中でございます。昨年十二月の会合におきましては、電気通信設備について、相互承認協定の早期の締結に向けて検討する分野として電気通信分野を合意いたしたところでございます。  我が国といたしましては、今回の国内制度整備を受けまして、米欧等の先進国に対して、我が国において行った証明の結果の受け入れを求めてまいりますとともに、APECにおける相互承認協定の締結に関する協議につきましても、引き続き積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  21. 大石秀政

    大石委員 以上で大体私の質疑は終わらせていただきますが、先般の日米航空交渉の合意等に見られるように、いろいろな交渉の中でも、一たん不利な立場に置かれますと、いろいろと巻き返しが大変な、そういった政治的な問題も含んでおりますので、そういうものと国内規制緩和産業の育成、あらゆるものを整合的に、いい方向に行くように、行政府、立法府、力を合わせてこれから頑張っていかなければならないということを再確認させていただきます。  なお、今回の、本日の私の質問の冒頭において、委員会審議が速やかに行われていないような発言につきましては、不要な誤解を招きかねませんので、この部分につきましては、心からおわびを申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  22. 坂上富男

    坂上委員長 小沢鋭仁君。
  23. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。  私と同僚議員、永井議員と二人で、この法案に関しまして質問させていただきます。  まず、今も質問がございましたが、今回のこの法案規制緩和を進めていこう、これが一つ大きな柱になっているわけであります。それそのものは大変重要だし大事なことだ、こういうふうに思うのですが、今度はアメリカあるいはまたアメリカ以外の国際的な電気通信事業、こういうことで考えますと、これはやはり相当な産業政策戦略といいますか、そういうものがぶつかり合っている場だというふうに私は認識しているのですね。  先般私がアメリカに行きましたときに、アメリカのある方がこう言いました、金融の次は情報通信だ。これは、金融で日本を本当に徹底的に、ある意味ではアメリカ戦略を仕掛けていって、その次は情報通信だ、こういう言い方をしているのも聞いたことがあるわけであります。  そこで、個々の細かいケースには入れないので すが、具体的なケースを見ても、私の手元にある昨年の十二月の新聞だと、KDD米国内での専用線再販事業参入をめぐる問題、それからこれは九七年三月の新聞でありますけれどもNTTKDDが同じく米国国際通信サービス事業として免許申請した問題で、FCCが極めて時間のかかる決定をしているわけですね。もともとはAT&Tが反対だとか、そういう話をもとにして、FCCが時間のかかる決定になっている。また郵政省の方は、それに対して、ジュネーブの世界貿易機関、WTOの基本電気通信交渉で異例の早期許可を正式に申し入れた、こういう経過もあるように聞いておるのです。  この問題は、こういった形であらわれているように、ある意味では大変大きな産業戦略論の中でなされているわけです。ですから、ある意味でいうと、我が国だけどんどん開いていって、しかし我が国事業者が今度アメリカあるいはまたヨーロッパのところに行ったときに、要は同じような対応がとられていない、こういうことになると、これは極めてゆゆしい問題であります。  そういった観点から、大臣、この問題はまさに日本の次の時代の産業をどうするかということの物すごく重要な話だと思います。御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  24. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 小沢委員に答えさせていただきます。  今も先生御説明の中にございましたように、最近の日本事業者米国市場参入については、今さっきも局長から答弁をしておりましたけれども設備ベース日米間の国際通信サービスについて見ると、事業開始のために国際精算料金を一分間十五セント以下に引き下げることが要件にされておる、いわゆるベンチマークルールでございますね、こういった問題。また、NTTの進出については、米国のUSTRから、接続料金の問題とNTT米国進出をリンクさせ、参入を制限することを示唆するような発言等々があったわけでございます。また、ほかの例につきましては、先生今質問の中でも例示をされたわけでございます。  米国のこうした動きは、我が国事業者海外進出を妨げるおそれがあり、また米国市場への参入を制限するものとして、WTO協定との整合性観点からも疑問があるものだというふうに考えております。  郵政省といたしましては、これまで日米規制緩和会合等において改善を求めてきたところであり、引き続き改善を迫っていきたいというふうに思っております。  また、小沢委員今まさに御指摘のように、大きな国際化あるいは規制緩和、その中で国益をどうしていくか、こういう大変大事な問題があるわけでございます。先生の御意見も本当に重たく胸に受けとめ、まさにやはり日本国の郵政省でございますから、グローバル化国際化は同時にするわけでございますけれども、そういったことをきちっと胸におさめて、万遺漏ないようやっていきたいというふうに思っております。
  25. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 ぜひ、これから我が国もフェアトレードというのはしっかりと肝に銘じてやっていかなければいけないと思いますが、同時にまた、それが我が国だけがという話になって、我が国事業者だけが不利益をこうむるということではいけませんので、どうか大臣には引き続き御努力、御尽力をお願い申し上げたいと思います。  次に、同じ観点から質問させていただくのですが、今回の法律案の中に意見具申し出制ですか、そういう制度を入れてございますね。  この意見具申し出制なんですけれども、例えば今みたいな話があるときに、逆に競争的事業者が相手を少し困らせるためにこれを悪用するようなことはないのか。例えば外国からもどんどん資料を要求されるとか、そういう話、まあ国内の問題の何かもあるかもしれません。そういう懸念がちょっとあるので、こういう意見を吸い上げていただくのは大変いいことだと思っておりますけれども、それについて郵政省はどのようにお考えか、お聞かせください。
  26. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御指摘のとおり、今回の法改正案におきましては、電気通信役務の利用の料金等に関しまして苦情その他の意見がある方は、郵政大臣に対して意見の申し出をすることができるという仕組みになっております。郵政大臣としましては、意見の申し出を受けた場合には、利用者利益の保護それから公共の利益の確保という観点から、必要な限度で所要の調査等の措置をとることとなります。  したがいまして、この申し出制度導入によりまして、直ちに競争事業者が他事業者事業展開を妨害するという制度の悪用が可能となるということではないと考えますけれども、しかし、根拠もなく、あるいは事実に反した申し出が競争事業者からなされないという保証もないわけでございまして、そういったことがなされることになりますと不当にサービスの実施が引き延ばされるというおそれもあるわけでございます。  そういったことのないよう、この申し出を受けました標準的な処理のシステム、処理期間でございますとか手続、それから場合によりましては、事業者からの申し出と一般の方の申し出とを別のシステムで扱うことが必要なのかどうか、そういったいろいろな問題を含めまして、こういうシステムを策定して、それに従って着実な実施を図っていく必要があるのではないかというふうに考えております。  具体的なその方法につきましては、今後、学識経験者でございますとか利用者の方々の御意見も十分聞きながら、適切なあり方について決定していきたいというふうに考えております。
  27. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 この制度そのものは大変いい制度だと思っておりますので、ぜひ今おっしゃっていただいたようなさまざまな工夫を今後ともお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、料金設定の問題について、御質問をさせていただきたいと思います。  今法律案一つの大きな柱は、料金設定に関して今までの個別の許認可から事前届け出制にする、これが一つ大きな、一番大きなと言ってもいい柱かもしれないと私なんかは認識をしているところであります。  この問題なんですけれども、そこの中でプライスキャップ、こういうような話も聞かれるところであります。  そこで、今、これからどういう段取りで上限価格、プライスキャップ等を決めていこうとしているのか、そこについてまず一点、お聞かせをいただきたいと思います。
  28. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 この仕組みは、いわゆるプライスキャップでございますけれども、今回の料金制度の見直しにおきましては、基本的には、すべて認可制を廃止しまして届け出制とするということを基本としております。  ただ、競争の進展が不十分な分野におきまして、かつ、利用者利益に及ぼす影響が大きいようなサービス、これを特定電気通信役務と呼んでおりますけれども、こういった役務について不当に高額な料金設定が行われることを防止するために、あわせまして事業者に経営効率化のインセンティブを付与いたしますために、郵政省基準料金指数、いわゆるプライスキャップでございますけれども、これを定めて、それを超える場合には認可制、これ以下であれば届け出という一般の例ということにしております。  この基準料金指数でございますけれども、役務提供に必要な原価に基づきまして、物価などの一般的な経済事情や、それから電気通信分野は他の分野に比べて技術革新が非常に著しい傾向を持っておりますので、そういう分野の原価の低廉化傾向、そういったことを考慮いたしまして、通常実現可能な料金水準を設定していきたいというふうに考えております。  ただ、具体的な算出方法等につきましては、今後、学識経験者や事業者、利用者の御意見も十分承りながら、もちろんこの法案を御承認いただきました際でございますが、適切な方向を検討して いきたい、そういうふうに考えております。
  29. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 具体的な算出に関してはこれからの検討だ、こういうことであります。  そこで、検討をするに当たっていろいろ考えていただきたいと思うものですから、それに関連して質問を申し上げます。  プライスキャップは、例えば電気料金とかそういうような話の中でもこれまでいろいろ議論がありましたが、まだなかなか日本では実現していない、こういうことだと思います。諸外国の例を見ると、今、谷局長もおっしゃられたように、物価指数から、いわゆる目標生産性向上率とでもいうのでしょうか、そういったものを引いて、そしてそれをもともとの基準年度の指数一〇〇とするものに掛ける、そんなような計算式が一般的だ、こういうふうに言われていると思うのですね。  ですから、これを前提として御質問をさせていただくのですが、もしそういう考え方に立ったときに、今、日本経済というのは大変なデフレであります。このデフレのときはどうなるのですか。どういうふうになるとお考えになっていますか。
  30. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいま申し上げましたように、具体的な方式につきましてはこれからの検討課題でございますけれども、一般的には、先生がただいま御指摘になりましたように、物価上昇率を現在のそれまでの指数あるいは現行の料金にプラスいたしまして、それから、一般的な産業電気通信事業分野との経営効率化の差といいますか、技術革新、そういったことによるこういった差というものをいわゆるX値というふうな形でマイナスするという一般的な算式でございます。  ですから、今申し上げたようなことは、物価上昇率というところではおっしゃるような問題が出てくるわけでございますけれども、その中で、このX値といいますか、経営努力をどのように見ていくかということの中で、トータルとして全体の低廉化、効率化が進むような仕組みをつくりたいと考えております。  ただ、御指摘のように、この問題は大変難しい問題でございまして、この指数を定める私どもの責任といいますものは大変重いものだというふうに考えております。
  31. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 それで、デフレのときはここくらいまで下げないとだめですよ、こういう話になるのかなと思って質問したのですけれども、それは今後検討をいただくこととして、今、谷局長の方からお話もありましたいわゆる目標生産性向上率、そこをXと置いて考えますと、これをどういうふうに算定するかというのがある意味では、今局長がおっしゃられたように、物すごく重要な問題になるということであります。  ただ、もう一つ、全国でのCPIというのは出てくるのですけれども、例えば地域によって考えたときに、物価指数、物価なんかも少し違うと思うのですね。特に、これから我が国電気通信分野で一番大きな影響力を持っているNTTのことを考えると一東西、こういう話になりますでしょう。そうすると、東西でいったときに、東と西の物価指数というのは違う可能性もある。もちろん目標生産性向上もこれまた違う可能性が出てくると思うのですね、企業努力や何か、あるいはこれまでの蓄積もありますから。そこをどう考えますか。
  32. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 一応まだ具体的な算出方法は決めておりませんが、一般的に行われております先ほど申し上げましたような方式考えました際に、この物価上昇率につきましては、事業者の業務区域ごとに考えていくということは現実的にもできないだろうと思います。  ただ、具体的な事業者に適用します際の事業者の経営努力ということを考えます際には、やはり個々の事業者ということを考える必要がございますので、その際には、おっしゃるように、結果としての数値は別個のものになっていく可能性があると思います。  ただ、そういった中で、一時的にはこの差が生じてくるわけでございますけれども、一方で、事業者間の競争ということがあるわけでございますので、その中で、全体としてさらに相互の競争、切瑳琢磨の中から改善が進んでいくということを期待するわけでございます。
  33. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 考え方に関しましては、本当に明快にお答えいただいてありがとうございました。  それで、さらに私の質問の最後でありますが、要はユニバーサルサービスNTTの場合には、NTT法の中でユニバーサルサービスが義務づけられているわけですね。これは、そういうユニバーサルサービスと、それから今話題になっております目標生産性向上、こういう話の関係をどう考えるかということも重要になってくると思うのですね。  これは、郵便の話でずっとこの逓信委員会でも議論をしてきました。要するに、ユニバーサルサービスというのは大事だ、こういう話の中で、電気通信分野でもNTT法でそれは唯一残っている、こういう話になるわけですね。  そうすると当然、ユニバーサルサービスをしていくということになると、なかなか生産性向上ということに関しては、ある意味では相反するような場面というのが出てくるのだろうと思うのですね。それと、その他の事業者、例えばクリームスキミングなんという話が出てきておりますけれども、そういう事業者と生産性目標も一体でいいのかとか、そこの区別はどのように考えますか。
  34. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 現在考えておりますこのプライスキャップといいますか、基準料金指数の適用対象でございますけれども、これはいわゆる地域通信、県内の通信網のような独占的なサービス提供する設備、指定電気通信設備と言っておりますけれども、これを設置する一種事業者がその設備を用いて提供する役務であるということを前提としておりますので、現実的に考えますと、これはNTTだけということになるわけでございます。  その際、NTTにおきましては、そのエリアの中におけるすべてのサービスについて、どのようなコストで、あるいはどのような経営効率化努力で実施していけるかということをトータルとして考えていくことができるのだろうというふうに思っております。
  35. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 ちょっとわかりづらかったと思いますが、私の時間も参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。  いずれにしても、これからの議論だ、これは私もよく承知しているわけでありまして、料金というのは、やはりユーザー、消費者にとっては一番直接的に影響があるところでありますし、また商売、こういうことに関しても極めて重要なポイントでありますから、ぜひ深い議論を積み重ねていただいて、この問題を御決定いただきますようにお願い申し上げたいと思います。  以上で終わります。どうもありがとうございました。
  36. 坂上富男

  37. 永井英慈

    ○永井委員 永井英慈でございます。  小沢委員に続いて質問をさせていただきます。  KDD法の廃止に関することを中心に質問をいたしますが、伝えられるように、二十一世紀まで千日を切りました。大変な時代の節目ということを強く感じております。同時に、あらゆる分野でもそうですけれども、この電気通信事業分野というのは、えらい勢いで変化を遂げておるわけでございます。  そういう変化に対応するために、KDD法の廃止という必要性も生じてきたのだろうと思っております。とりわけ、規制を緩和していくということは当然のことであろうと思います。  そこで、まず、大臣に伺いたいと思うのですが、このKDD法を廃止して、完全に政府規制、コントロールからある意味では離れるわけですね。しかし、我が国KDDは六五%という国際通信のシェアを持っているわけです。ですから、一般の企業ということになっても、この公共性というものはますます強まってきていると思います。  そこで、世界の電気通信の市場は、相互参入あ るいはいろいろな形での提携がかなりのスピードで進んでおります。とりわけ、イリジウムとかICOとかという新しい機能とサービス提供が始まるわけですけれども、今後この状況がどう展開していくのか、政治家の大臣の見解をまず伺っておきたいと思います。
  38. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 永井委員にお答えをさせていただきます。  今先生御指摘のように、我が国を含めた世界の電気通信市場においては、社会経済活動のまさにグローバル化の進展、それから世界的な自由化の流れの中にあると思っております。その中で、先生御存じのように、ワールドパートナーズあるいはグローバルワン、こういった国際的な提携や合併などの動きが生じております。  ワールドパートナーズというのは、もう先生御存じのように、ATTとKDD、シンガポール・テレコム、ユニソース、欧州の事業者でございますが、そういったところの各国事業者サービスの提携をする。あるいは、グローバルワンと申しますと、これは、ドイツ・テレコム、フランス・テレコム、アメリカのスプリント社というのがございますが、これが国際合弁企業グローバルワンを設立して、各国サービスを展開する。こういった国際的提携、アライアンスというのが御存じのように非常に目まぐるしくあるわけでございます。  利用者におきましてもまた、御存じのように、国内と国際が一体型のグローバルサービスへのニーズが高まってきております。  そういった中、また、今私が例を挙げたように、各国の主要な事業者海外の市場に積極的に参入し、市場の獲得にもしのぎを削りつつあるということでございます。一言で言えば、先生御存じのように、世界的な大競争時代を迎えつつある。特にこの情報通信分野はそのスピードが大変速い、こういうふうに私は思っているわけでございます。  我が国国内におきましても、このような世界の大きな動向がございますから、世界の動向あるいはマーケットの動向を踏まえて、長距離系事業者と国際系事業者との合併あるいは提携や、KDDが今度国内通信分野へ進出をするという話も聞いておりますし、また、NTT子会社による国際通分野への進出など、活発な動きが先生御存じのように日本国内でも始まっているところでございます。  今後、電気通信市場につきましては、このような日本を含めた世界の電気通信市場におけるダイナミックな動きが、私は電気通信のまさに本質と申しますか、技術革新と相まって、なおかつまさに今世界的な大競争の時代でございますから、ますますそういったことを踏まえて加速していくものというふうに考えております。
  39. 永井英慈

    ○永井委員 そこで、きょうは、お忙しいところKDDの西本社長初めお越しをいただいて大変恐縮でございますが、この際、ちょっとKDDの沿革を振り返ってみましたら、昭和二十八年に資本金三十三億円でスタートされました。それで、主な株主が郵政共済組合あるいはNTTNTTの国際分野が言ってみればKDDになったわけですね。そしてずっと展開をしてきて、ちょうどことし四十五年の節目の年に、このKDD法が廃止される。  そこで、社長として、このKDD法が廃止されること、あるいは規制が緩和されることについての評価ですね。例えば、この緩和、廃止によって職員をどのくらい削減できるのか。それに伴って営業あるいは管理、事務、こういった費用が何億円、何十億円削減できるか。素人ですから、わかりやすく、正確でなくてもいいですけれども、このくらい営業上、経営上のメリットが出てくるということをちょっとお話しいただきたいと思います。
  40. 西本正

    ○西本参考人 KDDの西本でございます。  ただいまの御質問、私ども、四十五周年にして純粋民間会社になるということでございまして、そのことにつきましては、先ほど先生からのお話にもございましたように、国際競争あるいは国内での通信競争は大変熾烈をきわめております。そういう意味で、会社経営の柔軟性あるいは迅速性ということがこのKDD法廃止によってもたらされるのではないかということで、私どもはこのKDD法廃止を歓迎しておるわけでございます。  それから、法廃止によりまして人員がどれだけ減るか、経費がどれだけ節約になるかということでございますけれども、私どもも、もちろん特殊法人でありました時代から経営の効率化ということには十分意を用いておりまして、昭和六十二年ごろには七千人ほどいた職員が現在五千人に減っております。  それから、経費につきましても、人件費その他大幅な削減に努力をしておりまして、ただいま、この民営化によってどれだけ減るかということはちょっと、それだけの効果というものは数字を持っておりませんけれども、これは経営上の長年の問題でございますので、今後も引き続き経営の効率化に努力してまいりたいというふうに考えております。
  41. 永井英慈

    ○永井委員 そこで、廃止されて新たなスタートに立つわけですけれども我が国の国際電気通信分野では、先ほど言いましたように大きなウエートというかシェアを占めて、しかもこの分野が飛躍的に拡大しているわけですね。そこで、公共性というのはますます強まり高まってくると思います。  そこで、ちょっと形式に流れて恐縮ですけれども、今後のKDDの決意というか基本的な姿勢をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
  42. 西本正

    ○西本参考人 お答え申し上げます。  当社は、これまで全世界の国または地域に対して国際通信あるいは国際電話サービス提供してまいりました。と同時に、昨年のペルーでの日本大使公邸人質事件などのような緊急時におきましても、国際通信サービスの円滑かつ安定的な供給のために努力してまいりました。  KDD法が廃止されましても、引き続き国際的なユニバーサルサービスというもの、あるいは、緊急時あるいは災害時の通信といったことの確保につきましては、広く国民の皆様からこれまでKDDに寄せられております期待にこたえられるように、最大限努力してまいりたいというふうに思っております。
  43. 永井英慈

    ○永井委員 そこで、アメリカのATTは完全な民営化ですし、またイギリスのBTも民営化ですが、フランスニアレコム、ドイツ・テレコム、あるいはオーストラリアのテルストラ、こういったところは国が七〇%以上株式を保有しているのですね。ところが、KDD政府保有株というのはゼロですね。  そこで、KDDの大株主のリストをちょっと見せていただきました。そうしましたところ、郵政共済組合、これが七百万株ですね。それから、日本電信電話株式会社、六百四十万株、大手なんですね。あとは生命保険とか信託銀行、あるいは銀行等々が大株主になっております。  そこで、郵政省にちょっと伺いたいのですが、郵政共済組合、これは初めて私はこの質問に立つに当たって出会ったのです。しかも、これは七百万株持っているわけですから、多分膨大な資産をこの共済組合はお持ちだろう。役員の構成、職員の数、あるいは業務内容、こんなことをざっと教えていただければありがたいと思います。
  44. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 郵政省共済組合と申しますものは、国家公務員等共済組合法に基づきまして、郵政職員とそれからその家族の生活の安定と福祉の向上を図りますとともに、職員の公務の能率的な運営に資することを目的といたしまして、昭和二十四年に設立されました団体でございます。  その団体の組合員と申しますのは、郵政職員、ほぼ三十万人であるわけでございます。その役員その他、資産等につきましては、私、ただいま手元に資料を持っておりませんので、お許しいただければ後ほど先生に御説明をさせていただきたいと思います。  それから、株式を持っておる経緯についてはよろしゅうございましょうか。
  45. 永井英慈

    ○永井委員 はい、ちょっと。
  46. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 この経緯でございますけれども、私、承知しております限りで申しますと、KDDが設立されました際に、安定株主を確保するということが必要だということでそのリストアップが行われました。その際、その候補の一つとしてこの共済組合が挙がりまして、引き受けるようにという関係者からのお話があってこれを引き受けたというふうに承知をいたしております。
  47. 永井英慈

    ○永井委員 郵政省共済組合、これは大臣理事か何かで役員に入っておられるのではないでしょうか。
  48. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 確かに代表者は郵政大臣でございます。その事務は人事部で扱っております。
  49. 永井英慈

    ○永井委員 ぜひ、今回めぐり会った郵政省共済組合の概要を勉強させていただきたいと思いますので、後日よろしくお願いをしたいと思います。  そこで、KDDの役員ですね。社長にお伺いした方がいいのかもしれませんが、郵政省から、現在の代表取締役会長さん、それから副社長、それから常務取締役、この三名が役員として御就任されておるそうですが、確認をしたいと思うのですが、そのほかに、役員以外に郵政省から出向のような形というのでしょうか、職員がどのくらい来ているか、その辺のところ、大事について説明をいただきたいと思います。
  50. 西本正

    ○西本参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃいました三名のほかには、職員としては一切存在してございません。
  51. 永井英慈

    ○永井委員 なぜこんなことを申し上げますかというと、これを見ますと、筆頭株主が郵政省の共済組合、そして社長はプロパーのようですが、代表取締役会長、常務取締役、副社長、首脳人事を郵政省がかなり占めていると言ってもいいと思うのです。言ってみると、KDDというのは、言葉は悪いかもしれないけれども郵政省の植民地的な企業のような印象を受けているのです。  そこで、今後、この法律が廃止されて新たなスタートをするわけです。役員大事についてのお考えがありましたら、大臣と社長、御見解をぜひいただきたいと思います。
  52. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 この法律が国会を通ればKDDが完全な民営化になるということでございまして、今、役員の大事についていろいろな御意見があったわけでございますが、これはきちっと人事院の規則がございまして、監督権限があるところは一定時間、天下ってはいけないとか、私は詳しいことは知りませんが、今は特にこういった時代でもございますから、いろいろな人事院に規則がございまして、それでそれを守ってきちっと、私、昔でございますけれどもKDDに行かれたというふうに思っております。  やはり官民のお互いに役割分担もございますし、それぞれに有能な方もおられるわけでございます。また、基本的に国民には職業選択の自由がございます。それと、どういうふうに行政機構としてきちっと筋を通すかという調和の問題が私はあると思います。そういった中で、こういったような状態にあるというふうに思いますが、今度からは完全に民営化するわけでございますから、やはり経営者あるいは株主の意向で、まさに民間企業としてやっていくのにだれが一番最適か、そういった視点で、当然のことでございますが、一般論でございますが、役員が選ばれるというふうに私は思っております。
  53. 西本正

    ○西本参考人 お答え申し上げます。  民間会社になりますと、株式会社でございますので、取締役、役員の選任につきましては、当然、株主それから経営者の意向が反映するということになりますけれども、取締役候補者の選任につきましては、現在でもKDD以外、お役所以外の方も入っておられますけれども、今後も社の内外を問わず、能力、人格、識見のすぐれた方の中から最もふさわしい方をその都度選任してまいりたいというふうに考えております。
  54. 永井英慈

    ○永井委員 まことに名答弁をいただきました。  そこで、もう時間がありませんので、KDDが誕生した経過ですね。先ほど言いましたが、NTTの国際分野が分離独立する形でできたのですが、NTTからの役員というのもいるのでしょうか。
  55. 西本正

    ○西本参考人 お答え申し上げます。  現在は、NTT出身の役員の方はございません。
  56. 永井英慈

    ○永井委員 最後でございますが、今までは、去年の法改正まではKDDNTTは、内外、明確にすみ分けて業務をやっておったわけですね。ところが、今度は、もう内外問わず全く同じ土俵で、同じ条件KDDNTT事業展開をされるわけですね。そうなってきますと、NTT、大株主が競争相手になる。競合、競争の関係にあるわけですね。  こういう巨大なNTTKDDの大株主であるということは、どうでしょう、私は、経営上いろいろ支障、問題が出てくることが懸念されますので、その辺のところも十分配慮しながら、今後、積極的に事業展開をしていただくことを御期待いたします。  ありがとうございました。
  57. 坂上富男

    坂上委員長 遠藤和良君。
  58. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、電気通信分野における規制緩和あり方という観点から、大臣に若干の所感を最初に聞きたいと思います。  きょうも規制緩和の一環としての法案審議をしているわけでございますが、現時点におきまして、電気通信分野における許認可総数は幾らぐらいあるのか。あるいは、主なものはどんなものがあるのか。それから、規制緩和を今後進めていくわけですけれども、その最終的なデザインをどのように考えているのか。そういうことを明確にお聞きした上で、現在審議をしている規制緩和はどの辺の位置づけになるのか。こういうところの、大変大まかな話かもわかりませんけれども、現在審議しているものがどういう時点での位置づけになるのかということを確認する意味でお聞きしたいと思います。
  59. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 私から最初に事実関係をお答えさせていただきたいと思います。  電気通信分野における許認可あるいは登録、届け出等を含めました数でございますけれども平成九年度末現在におきまして二百二十六件でございます。このうち、狭義のと申しますか、いわゆる許認可の数は、免許を含めまして五十四件でございます。  主な許認可の案件といたしましては、電気通信事業法に基づきます第一種電気通信事業の許可、それから第一種電気通信事業の契約約款の認可、外国政府等との協定の認可、電波法分野におきましては、電波法に基づく無線局の免許といったようなものが主なものでございます。
  60. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 遠藤委員から最終的なデザインはどういうふうなものかという御質問だと思いますが、先生御存じのように一電気通信行政の目的とするところは、平常時でもまた緊急時でも、利用していただく国民の方々にとって使いやすいサービスの円滑な提供を確保することにあり、このような観点から電気通信事業者に対する規制が存在をしているというふうに私は認識をいたしております。  一方、電気通信分野においては、事業者の事業活動については、市場メカニズム、マーケットメカニズムの中での競争原理にゆだねるという仕組みをとっているということが先生御存じのように基本的な枠組みでございます。  したがって、例えばNTTの独占的な地域網に起因する不公正な競争を防止するなど、まさにNTTが地域電話網と申しますか地域網は今でも独占をしておるわけでございますから、そういったことでもし国民あるいはほかの事業者が大変不公正な競争を強いられるということになったら、これは公正なことではございませんから、そういったことを防止するために公正有効競争の確保を図りつつ、競争の進展に応じて規制緩和推進し、規制を必要最小限のものにしていくことが長い目で見て必要だというふうに私は思っております。  こういった考えに基づきまして、基本的には今回の法律案におきましても、市場における競争の進展にかんがみ、独占的な地域通信市場における基本的サービスを除いて料金を届け出化すること、それから、KDDと遜色のない対地を有する事業者による国際通信市場での競争状況の確立を踏まえ、KDDを完全に民営化することということでございます。  先生御存じのように、KDD以外に、今現実には日本テレコム、あるいはIDCでございますか、こういった二社、KDD入れて合計三社が大体世界各地に対地を持っている。そういうところまでほかの企業も成長してきたというところもあるわけでございますから、そういったことを踏まえてKDD完全民営化する、こういった結論になったわけでございますが、そういったことを踏まえて電気通信市場における抜本的な規制緩和をこの法律においても図ることにした、こういうことだというふうに思っております。
  61. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ですから、最終的な姿はこういうものを考えていますが、現時点は例えば登山で言えば何合目ぐらいに当たるんだとかいう、そのかいつまんだ認識でございます。
  62. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 なかなか定量的にこれを申し上げるのは、大変難しいと思うのでございます。  しかし、今回の改正によりまして、NTTの独占的な分野の公正競争確保、あるいはユニバーサルサービスの確保といったことに関する措置を除きましては、ほぼ基本的な規制緩和は進んだものというふうに考えております。
  63. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 規制緩和を今後進めていく、こういう方向はある。一つ大きな山をこの法律で越えた。次にも山はある。その次にもあるかもわからない。こういうふうな大体のニュアンスなのでしょうか。  それで、この規制緩和ということと自由競争という観点からお聞きしたいのですけれども規制緩和をしていくということは、事業者にとっては自由競争になる。それは自己責任の社会になるということでございますから、行政としては、規制緩和をするということは、いわゆる規制はしないかわりに支援もしない、自由に競争して、そこで優勝劣敗は自己責任で決めてくださいよ、こういう社会になる、こういう理解でよろしいのでしょうか。
  64. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 基本的に、大臣から御答弁ありましたように、通信行政の使命は、国民利用者に安定的な通信システムを提供する、それを確保するということでございますので、その市場原理が有効に働いております限りは、おっしゃるとおり特段のことは必要ないわけでございます。ただ、市場原理が十分に機能しない場合には、それを機能させるための監視機能あるいはその仕組みをつくる機能が必要だろうと思います。  もう一点は、現在のように通信システムが大きく変わろうとしているときでございますけれども、こういったときには、この移行をスムーズに確保するために行政としての関与が必要になるという場合があろうかと思います。  さらに、最終的にもう一つの点でございますけれども、通信もグローバル化いたしまして、国内だけで終始するというものではございませんので、国際的な関係の中で我が国の通信システム、通信事業あるいは企業の国際的な対応をどのように確保するかという点に行政の役割があるのだというふうに思っております。
  65. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今のお話は、役所という立場は国民の立場である、あるいは国の立場である、そういう意味で、規制は緩和することもあるし、規制をすることもある、こういうふうな国の立場を明確にされた話ではないかなと理解をするわけでございますが、その立場の中で一つ考えられることは、大事な話だと思うのですけれども、自由競争とユニバーサルサービスの確保という観点一つあると思いますね。  自由競争の社会ということは、もうかるところだけに入っていってやりましようということになりかねないわけでございまして、ユニバーサルサービスという観点をどのように確保していくか、こういうことが大事なわけですが、ユニバーサルサービスの確保の仕方はいろいろな形がありますね。例えば法律で義務づける。例えば今NTT法は残っているわけですけれども、それは法律上の義務づけがありますね。  しかし、規制緩和して、法律上なくなってしまった場合はどうするのか。それは、大きな会社はそれだけ社会的役割があるのだから、それは社会的使命ですよというふうにしても、担保はし切れないかもしれません。その場合は、制度上担保しなければいけない問題が出てきますね。例えば、それは事業者から基金を拠出してもらって、その基金でもってユニバーサルサービスを確保していくという方法があるかもしれません。  こういう意味で、自由競争とユニバーサルサービス、そういうものの担保の仕方、これをどのように考えているのか、お聞きしたいと思います。
  66. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 確かに御指摘のように、現在は地域網をNTTが事実上独占しておりまして、法律NTTに義務づけがされております。  ただ、今後、こういった分野にも競争が生じてまいりまして、NTTだけが特別のものでないという状況が出てくることも考えられます。そういたしますと、地域で競争ができるわけでございますから、競争原理のもとに効率性を追求するという事業活動考えられるわけでございます。  それからまた、接続料のような制度が設けられまして、この地域のコストに一定の制約が課されるようになりますと、どのようにして地域のネットワークを守ろうかという問題が生じる場合もございます。それからまた、現在は電話でございますけれども技術の進歩、世の中のニーズの変化によりまして、求められるユニバーサルサービス内容も変わってくる可能性もあるわけでございます。  そういったことに対応する一つの方策として、御指摘のようなファンドのやり方もあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、現在のところ、どのようなことが考えられるかということをもう少し総合的に検討する必要があると考えまして、ユニバーサルサービス内容、それからユニバーサルサービスの責務を負うべき事業者の範囲、それからユニバーサルサービスを確保するための措置、この措置と申しますのは御指摘のようなファンドも一つの措置であるわけでございますけれども、こういったことについて具体的に御議論をいただくために有識者による研究会というものを開催しておりまして、御議論をいただいております。この研究会の御議論を踏まえまして、具体的な施策のあり方について考えていきたいというふうに考えておるところでございます。
  67. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 この点は大臣にも確認しておきたいのですけれども、ユニバーサルサービスを担保する手だて、方法ですね。法律でするのか制度でするのかという大きな話なんです。  規制緩和ということからいえば、法律ではしないという方向に向かっていくと思うのです。そうすると、それを担保するものを仕組みとして別につくらなければいけない、こういう話になるわけですが、規制緩和の最終デザインという意味では、その辺のユニバーサルサービスをどうするかというものをきちっとはっきりした上で、規制緩和の最終デザインはこうですということを言わなければいけないのじゃないかと思うのですが、大臣の認識を問います。
  68. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 遠藤委員からユニバーサルサービス、やはり全国あまねく広くということも大変大事な電気通信の基本的な原則の一つだ、私はこう思いますし、またその中で規制緩和をどうしていくのかという両方の価値と申しますか、それをどういうふうに調和するのかという大変大事な問題だと思っております。  今局長からも答弁をさせていただいたわけでございますけれども、ユニバーサルサービスについては、法律上きちっとこういうものだよという明確な定義はないというふうにお聞きをいたしております。しかし、今私が申しましたように、だれ もが利用可能な適切な料金で、特に過疎地帯ですね、それから有人離島だとか、大変日本はそういった地域も広いわけでございますから、そういった方々にも全国における安定的な供給の確保が図れることが私は同時に大変大事なことだというふうに思っております。  今答弁ございましたように、基本的に電気通信の場合、ユニバーサルサービスに該当すると考えられる電気通信役務の提供NTTだけの責務だというふうに聞いておるわけでございますが、そういったことを勘案しまして、郵政省ではマルチメディア時代に向けた料金・サービス政策に関する研究会というものをつくらせていただいておりまして、座長は岡野さんという東大の名誉教授にしていただいておりますし、これは大体ことしの六月までに結論を出していただきたいということをお願いをしておるようでございます。  まさに、ユニバーサルサービス内容、それからユニバーサルサービスの責務を負う事業者の範囲、それからユニバーサルサービスの確保のための措置、この一例として、先生今さっき基金をつくったらどうかと言われました。アメリカでは基金をつくっているようでございますが、そういったことを含めて今具体的な検討を進めているわけでございます。いずれにいたしましても、御指摘のように、大変大事な視点でございますから、鋭意こういった研究会検討を踏まえて前向きに対処させていただきたいというふうに思っております。
  69. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ユニバーサルサービスとともに、もう一つの概念として、自由競争の社会の中で考えていただきたいのはセーフティーネットの概念です。これはよく社会保障分野で言われる話なんですけれども電気通信分野の国民生活ということからいってもそういう概念はあるのではないかと思います。  例えば、たくさんのマルチメディアが発達したのだけれども、それに十分にアクセスできない人たちがいる。あるいは、コストが大変かかるからアクセスできないという場合もある。そういう場合に、やはり情報に国民の皆さんが自由にアクセスできるような仕組みというものを考えていかなければいけないのじゃないか。それは、一つはコストの面もあるし、一つ技術の面があると思いますね。  そういう意味からいくと、私はこれは提案なんですけれども、二万四千ある郵便局、これをマルチメディアの国民に対する一番最先端の基地として充実して、そこに行けば基本的なサービスは国民の皆さんは全部受けられますよ、こういう保証ができるのではないか、これがセーフティーネットの一つの窓口になるのじゃないかな、そういう概念を持っているのですけれども、そうした考え方で全国の二万四千の郵便局を情報化していく、国民の窓口にしていくという考え方はありませんか。
  70. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 遠藤委員にお答えをさせていただきます。  先生が高度情報化社会と、政策というのは私は前も申し上げましたように必ず光と影があるわけでございまして、そういった中で、高度情報化といいますか、あるいは情報通信をきちっと国民がひとしく享受できるというふうな政策が大事だと思っておりまして、この前も御審議いただきました、障害者の方が駅に行って、視力障害者の方がきちっと電車に乗れるような、そういった研究開発をしたいというふうな法律も通していただいたわけでございます。やはり高齢者の視点あるいは障害者の視点で、こういったことがきちっと享受できるように研究開発を含めて政府が力を入れていくことは、先生御指摘のとおり、私は、大変大事な情報通信政策の一方の重要な柱だというふうに思っております。  今、先生から二万四千六百の郵便局を情報化の基地としたらどうかという話でございますが、基本的に、二万四千六百、これは国民の共通財産でございまして、そういった中でやはり郵便局を情報化の基地として、そういった意味でもきちっと私はいろいろな施策をしていく必要があるというふうに思っております。  一例を挙げますと、電子郵便だとか、従来の郵便のみならず情報通信技術を郵便行政にいろいろ利用しようというのは国際的な波でもございますから、そういったことを含めて、大変貴重な視点でございますから、そういった意味でしっかり施策をしていきたいというふうに思っております。
  71. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 また、通信コストでございますが、これは低減することによって大きな経済効果があると思うのですね。規制緩和をしていくということは自由競争の促進になるわけですから、当然コストがダウンすゑそういう方向に持っていかなければいけないと思うのですね。ですから、規制緩和とセットして通信コストの低減を図ります、その目標を政策目標として出す、こういうふうな政治家の判断があると国民はよくわかると思うのです。  この辺、私の感じでは、通信コストはほうっておいても二分の一ぐらいにはなるのじゃないかと思うのですね。これをさらに誘導することによって三分の一ぐらいまで政策目標として発表してもいいのじゃないかと思うのですが、大臣はどう考えますか。
  72. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 遠藤委員の御指摘でございますが、まさに電気通信産業、それから我々一人一人の国民生活、医療、福祉など社会のあらゆる場面において利活用されておりまして、その料金水準の一層の低廉化は、我が国経済活性化あるいは国民生活の利便の向上観点から社会的に強く求められているものだというふうに認識をいたしております。  そういった中で、通信料金の低廉化は重要かつ大きな政策目標であると考えておりまして、規制緩和により事業者みずからの積極的な事業展開を促進して、お互いに、これは競争でございますから、事業者間の切瑳琢磨を通じて一層の料金の低廉化を図ることが極めて大事であるというふうに認識をいたしております。  一体どれくらい具体的になるのかという先生の御質問、ちょっとそこら辺は、私も専門家ではございませんが、御存じのように、携帯電話は規制緩和をいたしまして、競争政策導入規制緩和をすれば、結果としては今携帯電話の料金は半分ぐらいになったというふうに認識をいたしております。具体的な数字は一体どれくらいなのかということでございますが、ちょっとそれは今私の頭にすぐは浮かばないわけでございます。  いずれにいたしましても、低廉化を図ることが極めて大事であるということ、そういった認識を強く持たせていただいております。
  73. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そういう目標を発表するというのは政治家の役割の一つではないかなと思うのですね。これは、行政にある人はそういう政策目標というのはなかなか掲げにくいものですから、ぜひそういうことを、インセンティブをつけていくという意味では大変大事な話ではないかと思います。  それから、ちょっとKDD関係して局長にお伺いしたいのです。  私は、KDD完全民営化はもう三年ほど前から叫び続けてきたわけでございますが、去年の審議のときにも、それはよくわかるけれども、やはりユニバーサルサービスを担保する必要があるので特殊法人にしております、こういうふうな話だったのです。  今回は完全民営化ということでKDD法を廃止するのですが、国際的なユニバーサルサービスというのは法律上担保しなくてもよい、こういうふうに考えた客観的情勢はどうなのですか。
  74. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今御指摘いただきましたとおり、昨年お世話になりましたNTT再編成関連の法案の御審議の際に、そういう御質問をちょうだいいたしました。  当時、KDDが全世界に持っておりました対地は、現在とほぼ同様の二百三十対地余りだったと思うわけでございます。その段階KDDの競争 者であります新規参入国際通信事業者二社が持っておりました対地は、百六、七十ぐらいではなかったか、八十に行っていたかもしれません、二社のうちの一社はそうだったかもしれませんが、そのぐらいの対地であったと思います。  そのとき御答弁申し上げましたのは、まだその間にはかなりの開きがある、その段階では世界の各地に対して国際的ないわゆるユニバーサルサービス、アクセスを提供しているのはやはりKDDだけなので、当面KDDにそういった役割を担っていただく必要があるので特殊会社ということでとどめておく必要がある、しかし、状況が変われば速やかに法撤廃の検討をいたしますというような御趣旨の御答弁を申し上げたと思います。  現在、KDDは全世界の二百三十五の国・地域に対して国際通信サービス提供する体制をとっております。他の二社もその後急速に対地を拡大いたしてきておりまして、二百を超えた対地を持っておりまして、そういう意味で、ほぼ遜色のない取扱対地数になってきたのではないかと考えております。  それから、欧米の主要な国際通信事業者状況を見ますと、完全民営化されましたところにおきましても、おおむねKDDに匹敵する対地を確保しておるようでございまして、そういう状況考えますと、KDDが純粋な民間会社になりました後も、通信事業の特性にかんがみ、引き続き対地の確保に努めていくのではないかというふうに考えます。それから、他の二社も、KDDと競争してさらに対地の拡大に努めるのではないかというふうに考えられます。  そういう意味で、法廃止後も国際的なユニバーサルサービスは確保されるというふうに考えた次第でございます。
  75. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、この法案に則して聞きたいのですが、プライスキャップの問題です。  これは、要するにNTTの県内電話を対象にされていると思いますが、例えば、現在百円であったものを想定しますと、物価上昇率が五%、これは消費者指数を入れると思うのですけれども、五%で、目標の生産性向上率を三%というふうにすると、五引く三で二ですから百二円、これをプライスキャップとして示し、その下のものは届け出制でいい、その上の額については認可制になる、こういう理解だと思うのですね。  そうすると、さっきデフレ傾向だという話で、現在、例えば消費者物価指数がマイナス五%というふうになった場合を想定すると、マイナス五マイナス三ですから、マイナス八ですね。だから、九十二円、こういうふうな上限価格を決める、こういう話になりますね。そういう理解でよろしゅうございますかということ。  それから、生産性向上率というのは、全産業の生産性向上率というのを基数にするのかどうか。目標生産性向上率の特定の仕方、それは電気通信分野産業だけに限るのかどうかという話ですね、それをちょっと明確にしてもらいたいと思います。
  76. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 確かに、物価上昇率ということ、この方式につきましては、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、どのような方式をとるかということはまだ検討中でございまして決定しておりませんけれども、欧米の例を見ますと、考えられます一般的な形は、物価上昇率マイナスXということであることは御指摘のとおりでございます。  仮にこれをとるといたしますと、物価上昇率がマイナスの場合には、これはマイナスになるのではないか。ただし、Xにつきましてどの程度の値をとるかということは、これはその考え方も具体的な数値もまだこれから先の話でございますので、決定しておりません。これでよりがたい場合は、おっしゃったように認可ということになるわけでございます。  このXの定め方でございますけれどもアメリカの例では、確かに電気通信産業というもので見ておるわけでございます。私どもとしましては、どのような方式をとっていくべきか、全産業あるいは電気通信分野、まだ決定しておりませんけれども、いずれにしましても、基本的な考え方は、全体的な成長ということももちろんございますけれども、それと比べて電気通信分野は、特に技術革新が激しく効率化の進んでいる分野であるということを念頭に置いて、全体的な料金低廉化のための仕組みとしてっくるわけでございますから、そういうことを実現できるような指標のとり方ということになるのだろうというふうに考えております。
  77. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 最後に、大臣にちょっと聞きたいのですが、今、いわゆる社会資本整備、公共事業として、電気通信分野に限らないのですが、情報通信産業情報通信分野というものを新たな社会資本整備の中に入れる議論が盛んに行われているわけです。これは、少し議論を整理する必要があるのじゃないかと私は思います。  例えば、道路とか河川の改修と同じようにすべて税金で情報ハイウエーをつくっていく、こういう考え方もあります。しかし、今までは全部事業者の責任でやってきたわけでございまして、それをこの時点でそういう新しい概念を入れるのはなかなか難しい問題はある。しかし、例えばそういうふうなものを基金にして、設置したものを事業者に貸し出す、こういう方法で社会資本を整備していくということもあるかもしれません。  とにかく、情報通信分野で、一つは光ファイバーの設置をどう進めるかという問題ですね。これをどういうふうな仕組みで社会資本の整備を進めていくのか。  それから、もう一点はデジタル放送の分野です。デジタル放送には大変なお金がかかるのですけれども、これを情報通信の基盤の社会資本整備として税金を使ってやっていくのかどうか。これも今までは全部放送事業者がやってきたわけでございますが、これは、例えばデジタル放送というものは、放送だけじゃなくて通信にもそのネットワークは使えるわけでございますから、情報通信の基盤整備としてそういう社会資本整備考えていくのか、そのときの税金のあり方、国費のあり方について大臣はどういう所見を持っておりますか、確認をします。
  78. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 遠藤委員も御指摘のとおり、情報通信我が国のあらゆる社会経済活動を支える基盤であります。その高度化がまさに二十一世紀に向けた社会経済システムの改革推進する原動力だというふうに私は認識をいたしております。  今後、我が国が世界に伍してさらに発展していくためには、今先生のお話もございました、従来の道路、港湾といった社会資本整備に加えて、まさに二十一世紀に向けた光ファイバー網の整備等情報通信基盤については、やはり二十一世紀に向けた社会経済発展を支えるいわば新しい社会資本という分野だ、私はこう思うわけでございますが、政府は積極的にその整備推進していくことが必要だというふうに思っております。  具体的な先生のお話がいろいろあったわけでございますが、このため、郵政省でも経済対策に絡めまして、情報通信システムの高度化に取り組むことを検討しているところでございますが、今まさに先生のおっしゃられましたような意見もいろいろございまして、今は政府の内部で調整中の段階でございます。大変大事な問題でございますから、きちっと問題意識を持たせていただいております。  そういった状態にございますので、具体的なコメントを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、基本的に新社会資本整備ということは大変重要な認識でございまして、今そういった段階にございますので、御理解をいただきたいというふうに思っております。
  79. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 政府内部で決める前に、郵政大臣個人はどういう考え方を持って政府内部の議論をこちらに引っ張っていきたい、こういう認識を問うているわけでございます。
  80. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 今申しましたように、光ファイバー網等の整備、これは情報通信基盤整備でございますし、いわゆる新しい社会資本でございます から、私といたしましても、政府は積極的にその推進整備ができるように、いろいろ先生方の御理解、御指導、御協力をいただきましてやっていきたいというふうに思っております。
  81. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ありがとうございました。終わります。
  82. 坂上富男

    坂上委員長 石垣一夫君。
  83. 石垣一夫

    ○石垣委員 自由党の石垣一夫でございます。  最初に、中央省庁再編に関連して、今回郵政省電気通信・放送部門が総務省の中に入ったということで、これはやはり郵政省のいわゆる二十一世紀に向けたマルチメディア戦略の展開という国際戦略の中からでも大きなマイナスだ、私はこのように考えるのですけれども、所管の大臣として、今回の中央省庁再編に関する郵政省の、まあ、言うたら分割された、こういう形についてどのようにお考えですか。
  84. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 石垣委員にお答えさせていただきます。  情報通信は、もう委員御存じのように、今からの二十一世紀の国の根幹となる最重要分野であるというふうに私は思っておりまして、今お話がございましたように、現在提出されております中央省庁等の改革基本法は、現在の郵政省の担っている情報通信行政の全体が総務省に移行するものであり、これにより、引き続き一人の大臣のもとで、総合的、戦略的、機動的な行政が可能になるものというふうに受けとめております。  そういった中で、御存じのように、九月の三日に出ました中間報告では、情報通信、放送行政が、一つは独立委員会と申しますか、三条委員会と申しますか、そういったところで主に規制をする、振興の方はいわゆる産業省だ、こういった中間報告が出たわけでございますが、いろいろな論議を踏まえて、結果として、まさに総務省の下に、今郵政省の担っている情報通信行政の全体が総務省に移行をしたわけでございますから、やはりそういった意味では、おかげさまで最終報告として出たことが今法律案に基本的になっているわけでございますが、総合的、戦略的、機動的な行政が展開が可能になったのかなというふうに私は思っております。  また、先生が情報通信省という御意見をお持ちだということを前々から聞かせていただいておりますが、これも私は立派な一つの見識だ、こう思うわけでございますが、そういった中で、いろいろ中間報告、最終報告ということがあったわけでございますけれども、今般の行政改革においては、中央省庁の大ぐくり再編成の論議を受けて、総務省というような形で再編をされたというふうに思っております。  特に、私、申し上げたいのですが、きのう、実は高度情報通信社会推進本部というのが首相官邸で開かれまして、橋本総理が本部長でございまして、私が副本部長、それから通産大臣と官房長官もたしか副本部長だったと思いますけれども政府全体としてやはり総合的な対策を練っていくことが大事だというふうに思っておりますので、今後ともいろいろ関係各省あるわけでございますが、お互いに分担、連携して、取り組み政府としても一体として強力に進めていぐ必要があるというふうに思っております。
  85. 石垣一夫

    ○石垣委員 この問題は、改めて行革委員会で詳しくまたお聞きしたいと思うのです。  情報通信産業は、我が国においていわゆるリーディング産業と言われる大変将来性のある事業であります。その中で、特に国際通分野には、我が国がこれから世界的な情報の受信、発信のいわゆる拠点と言われるハブにならなければならない、こういうふうに私は考えるのですけれども、今後の展開について、郵政省はどのようにお考えですか。
  86. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御指摘いただきましたように、情報通信産業我が国経済の牽引役となるリーディング産業でございまして、その発展我が国経済発展のために不可欠なものと私ども考えております。特に、国際通信事業の発展のためには、我が国国際通信のネットワークの中心の一つ、御指摘のハブとなることが重要であると認識いたしております。  このため、事業者間の競争を通じまして良質なサービスを低廉な価格で提供できるという体制になることが大変重要なわけでございまして、我が国国際通信サービスを魅力のあるものとすることが必要であると考えております。  このために、郵政省といたしましては、公正有効競争条件の一層の整備を図りまして、多数の事業者によるダイナミックな競争が行われる環境整備を図りますために、現在、第二次情報通信改革と称しまして、NTTの再編成、それから接続制度改革規制緩和等を進めてきておるところでございます。  それからまた、このことに関連いたしましては、我が国の通信事業者が国際的にも活動の場を広げまして、トータルとして日本を中心とする国際ネットワークを築いていくことも必要であるわけでございまして、そういう意味での外国への展開についても支援をしていかなければならないというふうに考えております。
  87. 石垣一夫

    ○石垣委員 今、国際ネットワークという言葉が出たのですけれども、今日までその役目はいわゆる特殊法人であるKDDが果たしてきた、このように私は理解をするのですけれども、いよいよKDD完全民営化する、こうなったときに、今後どういう形でこれは展開されますか。
  88. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御指摘のとおり、国際通信のネットワークにつきましては、従来、KDDにおきまして、年間数回の利用しかないような地域も含めまして、全世界に対して安定的なサービス提供をしてきたところでございます。  他方、近年、新規参入の国際系の通信事業者におきましても、急速に対地を拡大いたしまして、現在は、KDDと新規参入の二社、三社がそれぞれ遜色のないような取扱対地数を確保して、通信サービス提供するようになってまいりました。  今後、この国際通信ネットワークの安定的な確保をいたしますためには、このように、KDDのみならず新規参入の国際系の通信事業者も含めまして、さらによいサービス提供するために切磋琢磨をしていく中で、このネットワークが確保され、達成されていくのではないかというふうに考えております。
  89. 石垣一夫

    ○石垣委員 先ほどからの料金制度の問題で、いわゆるプライスキャップ方式導入していきたい、こういうお話があったのですけれども、今回導入しようとしている新たな料金制度、諸外国との関連でどういう位置づけがあるのか、あるいはまた、今後、利用者の保護について、これはプライスキャップ制度と関連があると思うのですけれども外国との比較はどうなっていますか。
  90. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 諸外国におきましても、競争促進観点から、特に先進国でございますけれども、プライスキャップ等のいわゆる事業者にインセンティブを与えるインセンティブ規制導入が行われているところでございます。  例えば、アメリカにおきましては、州内の通信につきまして、プライスキャップ規制あるいは公正報酬率規制が適用されております。また、イギリスにおきましては、国内、国際を含めまして、BTの住宅用電話に対しましてプライスキャップ制の適用がなされております。  今回我が国導入しようとしておりますこの料金制度は、まさに支配的事業者の県内の通信についてのみプライスキャップ規制導入しようというものでございまして、基本的には、全く自由な仕組みにしていこうということでございます。  このことに当たりましては、諸外国との制度調和を図りますとともに、諸外国の中で比較いたしましても最も開かれた競争促進的な制度になるものと考えております。これによりまして、事業者の創意工夫を生かしました低廉なサービスあるいは新しいサービス、そういうものが登場して、経済活性化、国民生活の利便の向上が図られるものと期待をするところでございます。
  91. 石垣一夫

    ○石垣委員 米国では、いわゆるプライスキャップ制について、十四日前に事前に届け出る、イギ リスでは二十八日前に事前に届け出る、こういうシステムになっているのですけれども我が国はどういうふうに考えておりますか。
  92. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 具体的な制度につきましてはまだ決定をしておりませんで、この御承認をいただきましたならば検討していきたいというふうに考えております。
  93. 石垣一夫

    ○石垣委員 アメリカが十四日で、イギリスが二十八日前に事前に届け出る、こういう二つの先進国の例があるのですけれども、これは今回検討される一つの大きな参考になると私は思うのですけれども、今大体どういうことを考えておられますか。
  94. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 アメリカにつきましてはそのような制度をとっているようでございますが、具体的に適用されている者はいないというふうにも聞いております。  私どもとしましては、できる限り規制緩和の趣旨に沿った形でこの仕組みをつくっていきたいと考えておるところでございますけれども、具体的に何日前かということにつきましては、もう少し検討させていただきたいと思います。
  95. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、いわゆる福祉政策の一環として、先ほど大臣の方から、料金の低廉化ということについて積極的に臨んでいきたい、こういう話があったのですけれども、それに関連して、身体障害者を対象とした、いわゆる加入電話あるいはまた携帯電話等の通話料金の割引制度考える方向に検討される余地はありませんか。
  96. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 電気通信分野におきます福祉施策につきましては、電気通信が現在の社会生活に必要不可欠な存在になっておるという状況考えますと、障害者、高齢者の方も一般の健常者の方と同様に、可能な限り社会生活に参加して、高度情報社会の便益を享受することができるように、そういう見地から検討していくべきことだと考えております。  現在、NTT等の電気通信事業者によりまして、こういった方々を対象とした福祉用の機器の使用料の割引でございますとか、それからこのような方々に配慮した公衆電話の設置でございますとか、福祉機器提供等の施策が実施されております。  一方、通話料金等の減額、割引でございますけれども、これを事業者のみの負担において行うということにいたしますと、負担の公平の観点あるいは独立採算制を前提といたします民間会社の立場からすると、やはり一定の限界というものがあるのではないかと認識しております。  私どもといたしましては、これまで、規制緩和を通しまして、料金の低廉化、サービス向上推進してきたところでございまして、今後とも、こういった観点から低廉化やサービス向上を促していきたいと考えておりますけれども、御指摘のこういった問題につきましては、事業者だけの問題ではなく、厚生省を初め関係方面の理解もいただくといったように、国全体としての福祉政策あり方の中で検討していかなければならぬのじゃないかというふうに考えておるところでございます。
  97. 石垣一夫

    ○石垣委員 これからの社会の中で、私は、当然この問題が各方面との検討の中で論議になっていくと思うのですけれども、どうかひとつ郵政省が音頭をとって、こういう制度導入について積極的に対処されることを望んでおきます。  次に、今回の改正では、無線設備端末機器に関するいわゆる基準制度についてかなり大がかりな合理化を行う、こういうことが提案されておるのですけれども基準認証といえば、現在、世界的にいわゆる電気設備基準認証に関する相互承認協定の締結に向けた動きがある、このように聞いております。  日本も、APECに参加して、こういう方向で検討しているということは聞いているのですけれども国内規制緩和とともに積極的に取り組むべきだ、こういうふうに私は考えております。  その観点から二、三御質問したいと思うのですけれども相互承認協定をめぐる諸外国状況、さらに既に相互協定を結んでいる国もあると聞いておりますけれども、この状況について。
  98. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 多国間の相互承認の動きといたしましては、昨年十一月二十二日に開催されましたAPECの閣僚会議におきまして、電気通信設備に関する基準認証制度につきまして、相手国で自国認証手続に従い行われました認証結果を受け入れることということを内容とする電気通信設備相互承認協定の策定に向けた基本的枠組みというものを支持する声明が出されました。これを受けまして、現在、APECにおきまして、この相互承認協定のモデル案について検討中でございます。  外国におきましても、昨年六月以降、既に、米国・EU、それからカナダ・EUとの間でこの相互承認制度につきまして合意がされているところでございます。  我が国としましても、このAPECでの検討に参加いたしておりますところでございますけれども、この中で積極的に貢献いたしますとともに、EUとの間でも相互承認について協議中でございますので、鋭意この協議も進めてまいりたいというふうに考えております。
  99. 石垣一夫

    ○石垣委員 いわゆる外国の承認証機関のその証明をそのまま受け入れるということになっておりますけれども、この制度改正相互承認協定との関係はどのようになっておりますか。
  100. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 現在お願いしております改正は、電気通信国際化の進展、それから我が国の国際的地位にかんがみまして、外国認証機関による証明の結果の受け入れを我が国が積極的に行っていこうというものでございます。そういう意味で、相互承認協定の締結に先んじて、受け入れ体制といいますか、制度整備を行っていこうという考えでございます。  今回この制度導入されるということになりますと、無線設備我が国に輸送することなく、当該国の承認証機関の証明によりまして、当該設備我が国において技術基準適合証明を受けたものとみなされまして、外国無線設備の製造業者等にとっては、そのことによって経済的、時間的に大きな負担軽減が図られますとともに、我が国無線通信を行う者にとりましても、より多様で低廉な無線設備の利用が可能となるということが期待されます。  我が国といたしましては、今後、国内制度整備を受けまして、欧米等の先進国に対して、我が国において行った証明の結果の受け入れを求めていくということを積極的にやっていく必要があると思うわけでございます。そういうことと、それから、先ほど申しましたAPECにおけるこの協議等にも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  101. 石垣一夫

    ○石垣委員 今のシステムでは、一方的に受け入れする、こういうことになっているのではないですか、そうではないですか。
  102. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 これは、大臣が認定したものについてはということで、この法律の中では相互的なことは一切書いてございません。先ほど申し上げましたように、我が国としては、先んじて制度を開いていくという姿勢でございますが、具体的な協定につきましてはお互いに話をして決めていくということになるわけでございますので、その中で、我が国の通信事業者についても国際的な活動の場が十分得られるように取り組んでいきたいというふうに考えております。
  103. 石垣一夫

    ○石垣委員 今後、この相互承認協定によって電気通信設備が国境を越えて活用される、こういうふうになっていきますね。今、新しいグローバルな衛星移動通信システムがいろいろ開発されております。こういう中で、電気通信設備が国際的に大きく移動していく、こういう世の中になってきたと思うのですけれども、今後の基準認証制度あり方についてどのようにお考えですか。
  104. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 確かに、通信はますますグローバル化いたしますし、それから、従来とは違って、当初よりグローバルな市場を前提としたシステムも技術の進歩によって登場してきておりま す。例えばイリジウムあるいはグローバルスターといった衛星のサービスでございますけれども、これは当初から世界的な市場を前提といたしております。こういった中で、この設備を持って自由に移動することができるようになるということは絶対に必要なことになってくるわけでございます。  そういう中で、各国ともこの基準につきましても、だんだん標準化といいますか共通のものを持って、そして各国における基準認証が相互に国際的に通用するような仕組み、これは、当然これからの社会の中で実現されなければならない方向だろうというふうに考えております。
  105. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、ちょっと論点は違うのですけれども、最近、PHSの事業不振ということで、いろいろと大きく報道されております。聞くところによると、大体六千億の赤字だということで、各社ともこれで頭を悩ませておるということなのです。  郵政省は、PHSの普及について今日まで取り組んでこられたということで、郵政省もこれに非常に神経を使っているということを聞いておりますけれども、これに対する郵政省の援護策といいますか、そういうことについて、今どういうふうにお考えなのですか。
  106. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 最近、いろいろなことをきっかけといたしまして、このPHS事業については将来性がないのではないかというふうな議論がなされることがありますけれども、私どもは決してそうだとは考えておりません。  PHSは、事業開始後わずか二年間で加入者が七百万人に達するという非常に急速な普及発展を遂げてきたサービスでございます。そして、確かに昨年十月以降、加入者数が若干減少してはおりますものの、なお現在、六百八十万加入を超える加入者がおられますし、それから、新規に加入される方も毎月多数いらっしゃるわけでございます。  なぜこのようにPHSの経営問題が取りざたされるようになったかということを考えますと、これは、計画以上の販売費用がかさんだというようなこと、それから普及を急激にいたしましたので当初計画以上の設備投資を行う必要があった、そういったことから赤字幅が膨らみまして、現在、相当の累損を抱える経営状態にある、これが先ほど申し上げたような議論を呼んでおるのだと思います。  しかし一方、PHSは、携帯電話と比べまして、なお基本料、通話料は安価でございますし、それから固定電話並みの携帯電話よりもすぐれた音声品質を持っております。また、ビル内や地下街での利用も可能であるという特色を持っております。オフィス内のコードレス電話としての使用も可能であるわけであります。  さらに、PHSは、三十二キロビットの高速データ通信が可能でありますし、技術的にはもう六十四キロビットも可能となっております。それから、位置情報提供サービスという携帯電話にはないデータ系のサービス提供も可能でございます。  現在、PHSの事業者におかれましては、経営の合理化、あるいは主要な株主支援による経営体質の強化に努めておられますけれども、こういったPHSの特色を生かしたサービスの展開について積極的に取り組んでおられます。  私ども郵政省といたしましても、このPHSのサービスの特色をさらに生かし、その事業の効率化を図りますために、効率的にエリア拡大を行うことができるような無線中継局の導入、こういった面で、電波関係技術条件策定、見直しにつきまして考えていくべきだと考えまして、先般、幾つかのこういった問題について電気通信技術審議会に諮問をいたしておりますので、この答申を受けて、速やかにこういった措置も講じていきたいというふうに考えております。
  107. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、郵政省としては、PHSの将来性についてはある、こういう認識のもとに、これを一つ政策としたいということで、今、審議会に諮っておる、こういうことなのですけれども、たまたま、それぞれの親会社がDDIは京セラ、ドコモはNTTですから、それぞれ親がしっかりしておるからこれはもっておるけれども、現実問題、直接の経営主体が厳しい経済環境の中で、この方向性は、どういう判断をするかわかりませんね。そういうときに、郵政省として、これを全面的に支援していく姿勢は変わりませんか。
  108. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御答弁の仕方が大変難しいわけでございます。と申しますのは、できる限り事業者の自主性を尊重していくというのが基本的な考え方でございます。  ただ、私どもといたしましては、せっかくこれだけの多数の利用者を確保して普及しているサービスでございまして、しかも、内容考えますと、いろいろな可能性を秘めたサービスであるわけでございまして、そういったものは社会的な資産としてできる限り生かしていくべきだろうと考えておりますので、私どもとしても、できる限りのことを考えていきたい。  ただ、電気通信分野は非常に変化の激しい分野でございますので、PHSに限らず、どのようなサービスにつきましても、常に新たな技術開発と申しますか革新といいますか、サービス改善ということをやはり図っていかなければならぬ、そういうものだと考えております。私どもも、そのためにできる限りの支援をしていきたいと考えております。
  109. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、郵政省としてとり得る限りの支援策を今後ともつけていく、こういうことを確認してよろしいですね。
  110. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいま申し上げたとおり、基本的に事業者の責任、自主性ということを前提といたしまして、我々としてできる範囲のことは十分な取り組みをしていくつもりでございます。
  111. 石垣一夫

    ○石垣委員 終わります。
  112. 坂上富男

    坂上委員長 矢島恒夫君。
  113. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私、提案されております法案のうちの電気通信事業法、その中の第一種電気通信事業者の料金の問題で質問してきたいと思います。  既にそれぞれ各委員からも質問がありましたが、この見直し案によりますと、国民生活にとって非常にかかわり合いの深いこの電話料金を認可制から原則届け出制というように基本制度上の大転換をするわけです。それにもかかわらず、どうもこの法案からは、この制度が変わることによって電話料金がどうなるのか、これは国民が一番知りたいところなのですけれども、なかなか見えてこないという点もありますので、私はまず、今回の改正によって制度上どうなっていくのか、地域通信の分野、すなわちNTTの県内電話等について、法文そのものの見方とか読み方、こういう点から逐条的に確かめていきたいと思うわけです。  そこで、まず最初に、提案されております法案の三十一条の三項、これが規定するどころの基準料金指数についてでありますが、この法案によりますと、能率的な経営の下における適正な原価及び物価その他の経済事情を考慮して、通常実現することができると認められる水準の料金を定める、こうしているわけです。  そこで、このいわゆる基準料金指数というものは、この規定から読んでいきますと、これまでの料金の以下になることもあれば以上のものになることもある、このように読んでよろしいですか。
  114. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 基本的に、この制度導入いたしましたのは、一つは、全体的には認可制を廃止することによりまして事業者間の自由な競争を促進し、それによって料金の低廉化、サービス改善を図ろうということと、しかし、その中で特に競争の進展しない分野における国民生活に必須なサービスにつきましては、それだけでは不安でございますので、こういった基準的な上限値を設けまして、そして、その運用を通じて利用者にインセンティブを与える中で料金の低廉化を図っていきたいという考え方でございます。したがいまして、基本的には料金の低廉化ということを前提に置いておるわけでございます。  ただ、世の中の経済情勢というのはいろいろ変わるわけでございまして、物価の状況その他がど のように変わっていくかということもあるわけでございますので、そういう意味で、現実の料金が絶対にどうなるということまではなかなか申し上げにくいわけでございます。
  115. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、法文の解釈上の問題だけで、期待とかそのほかはお聞きしているわけではなくて、このままこの法律を読めば、上になることもあるし下のこともありますね、こういうことなんです。そういうことがあり得るということだろうと思います。  それから、もう一つ、この法案でいきますと「適正な原価」という言葉がありますが、その点で、例えばNTTは加入者線の光ファイバー化、こういうものを推進しているわけですが、こうした新たな設備投資のための費用、こういうものは適正な原価ということに入るのか入らないのか、そのどちらかだということでお答えいただければ結構です。
  116. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 入ります。  もちろん、効率的な経営判断のもとで適切な程度の設備であるということは必要だろうと思います。
  117. 矢島恒夫

    ○矢島委員 もう一つ、その同じところの「適正な原価」という点ですけれども、例えば、東京のように人口の密集地域、こういうところと、それから離島を抱えているような長崎やそのほかのようなところでは、いわゆる高コスト地域においては、こうしたコストも適正な原価というものに入ると考えてよろしいのですか。
  118. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 効率的な経営のもとにおいては、そういうものも当然入ります。
  119. 矢島恒夫

    ○矢島委員 次に、低廉化を目指しての一つ方式、こういうわけですけれども、法文上の問題ですからどういうふうに読むかということでお答えいただければいいのですが、この基準料金指数というものがこれまでの料金以上になった場合ということを考えてみたいと思います。  以下になるような方向、そのときの物価指数や、そのほか生産性向上の度合いとか、いろいろなことによって違いは出てきますが、法律上は上になる場合もある。つまり、例えば百円の料金のところ、この指数が五%になった、つまり百五円が上限価格、こうなった場合は、届け出によって料金を百五円にすることができるんだ、このように三十一条の四項あるいは三十一条そのものからも言えるかと思うのですが、そういう解釈でよろしいのですね。
  120. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 そのとおりでございます。
  121. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この法律を読みますと、料金指数以下の料金であれば自由に設定できることになっておりますから、上限価格がそこだからといって、企業がどの辺に料金を設定するかということは企業の方の判断ということになるかと思うのです。  ただ、そういうことからいいますと、今まで百円の料金のところを、一〇五%、つまり五%プラスだという場合には、百五円が上限の価格である。そうすると、今度は設定する業者の方は、幾らに設定するかという方では、例えばNTTの場合は東西会社を考えていただいてもいいと思いますし、あるいはひょっとすると各地域ということまで考えてもいいのかなと思うのですが、ある地域は九十五円だった、ある地域は百五円に設定するというような事態も可能であるというふうにこの法律で読めば言えるのか、そこです。
  122. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 この基準料金指数でございますけれども、都道府県ごとに指定されます指定電気通信設備を用いて提供される利用者に及ぼす影響が非常に大きな特定電気通信役務について定めるものでございまして、論理的には地域別に設定することが排除されているわけではございません。  ただ、現実に指定電気通信設備を設置いたしておりますのはNTT一社でございますので、同一の会社の同じ役務の基準料金指数を県単位等地域別に設定する合理的理由は見出し得ませんので、今のところそういうことは考えておりません。  ただ、御指摘ありましたように、再編成によりまして東西二社になりました場合には、各社の経営状況、コスト状況等に応じましてこの指数が異なるという可能性はあり得ると考えます。
  123. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今までこの法文の読み方についていろいろお聞きしてまいりました。  現行料金以上に実際にこの指数が設定される場合もあるし、そうなれば、また事業者の方はぎりぎりいっぱい、上限いっぱいに料金を設定することもできる。また、東西会社は今後の問題として、NTTの場合には地域ごとにも料金設定できるということだろうと思うのです。  もちろん、今回のこの認可制から届け出制に料金制度を転換することによって料金が下がってサービスも多様化する、このことは望ましいということは言うまでもございません。果たしてそうなるのかという問題で、幾つかお聞きしたいわけです。  その点で参考になりますのは、既に料金を届け出制にしていますところのアメリカとかイギリスの例であります。  どういう仕組みにするかはこれから検討するわけですから、具体的な中身はともかくとして、この法案をつくるに当たってのもとになった「新たな料金制度の在り方について」、マルチメディア時代に向けた料金・サービス政策に関する研究会、ここが昨年の十二月二十四日にまとめを出しているわけですけれども、この中では、料金指数というものをイギリスで採用されているプライスキャップ方式を適用することが望ましい、こうしているわけです。  そこで、イギリスの状況について少し、わかる範囲でお答えいただきたいのですが、一九八四年だと思いますけれども、イギリスでこのプライスキャップ方式導入しているわけです。その結果、基本料金とそれから市内通話料金、これに限って見てみますと、値上がりしたのではないかと思うのですが、どういう状況になっておるでしょうか。
  124. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 御指摘のとおり、一九八四年から一九九七年の状況を見ますと、住宅用の基本料で見まして約一・九倍、それから市内通話料が一・一五倍。それから、最遠距離の通話料で見ますと約〇・三四倍と低廉化する、そういう状況になっております。
  125. 矢島恒夫

    ○矢島委員 日本でいわゆる基準料金指数を導入するというのはNTTの県内電話に該当するわけですので、いわゆる長距離の部分については値下がりしているけれども、基本料金や市内通話料金については、イギリスではこの間、今お答えがあったような上がり方をしているというわけです。  私、この研究会が出しました資料を見ますと、基本料金というものを見ますと、八四年が三・八ポンドだったものが九七年には七・二九ポンド、こんなふうに上がっておりますし、市内通話料金も、お答えにありましたように、八四年の八・八ペンスから九六年の十・一ペンスに値上がりしているわけです。  そこでお尋ねしたいのですが、この間の、八四年以降ということになりますが、イギリスのプライスキャップはどうなっていたかという点であります。つまり、具体的に数値はどうなっているのか、こういう点でお尋ねをしたいわけです。
  126. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 毎年ごとに指数というのはかなり動いておりますが、八四年から九七年までの間、この改定率、その動きました幅は、マイナス六・三からプラスの五・三までの範囲で移動をいたしております。
  127. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いわゆる住宅用の基本料金、これだけに限って言いますと、どんな状況でこの間推移したかわかりますか。
  128. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 指数といたしましては、そのような区分はされていないのではないかというふうに承知しております。
  129. 矢島恒夫

    ○矢島委員 このマルチメディア時代に向けた料金・サービス政策に関する研究会が出しました資料で、十二ページのところに、英国の場合、八四年から八九年までの間は料金上限というのは物価指数にプラス二%、こういうような数値が出ていて、ずっと見ますと、すべてプラス二%というような数値が並んでいる資料を私持っておるので す。したがって、イギリスにおいては八四年以来、基本料金やあるいは市内通話料金は上がったわけですが、その範囲ならば値上げが自由だから、ずっとこの間上がってきたということが言えると思うのです。  この間、何回ぐらい値上げしているかわかりますか、プライスキャップ制をイギリスで導入した以降ですね。
  130. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 申しわけございませんが、今データがございませんで、何回値上げされたかわかりません。
  131. 矢島恒夫

    ○矢島委員 質問レクのときにもそういうデータはないかもしれないというお答えでしたので、何かの形で、もし今後そういう資料もつくることができたら教えていただければと思います。  そこで、今NTT及び郵政省は、今後加入者線を光ファイバー化していこうということで取り組んでいるわけですが、電通審の答申である情報通信基盤整備プログラム、これを見ますと、加入者線と、加入者交換機それから中継網、ソフトウエアが大体半々で、いわゆる試算ですが、ケースAでは加入者線について十五兆六千五百億円、ケースBでは二十六兆五千九百億円、こう試算が出ております。これを現在の六千万加入者で割り算してみますと、加入者当たり光ファイバー化に伴い二十七万円から四十五万円の負担増になる。  こうした加入者の光ファイバー化の費用というのは料金指数というものに盛り込まれるわけですから、こうした巨額の費用が盛り込まれるいわゆる基準料金指数というのは明らかに、多分プラスになるだろうと思うわけです。  谷局長は、昨年の六月十二日の参議院の方の逓信委員会ですが、我が党の上田議員の質問に答えて、「二〇一〇年の全国整備完了に向けて、NTTにおいて光化に伴う電話加入者の追加負担を来さないように整備を進めることは可能であるだろうというふうに考えております。」という答弁がありました。  また、私が昨年の五月十四日の当委員会で、東西会社が競争すれば格差が生まれるのは当然ではないかという質問をいたしました。局長は、「東西両会社が経営努力を重ねていく中で、低廉化について一時的に差が生ずることはあり得る」という答弁をされました。  先ほどもお答えがありましたように、東西会社、つまりプライスキャップが設定される県内電話等のサービス提供するNTTの料金というのは下がっていくのだ、低廉化、こういう方向で進めていくのだと答えられました。だとすれば郵政省は、基本料金のいわゆる基準料金指数、これがプラス、つまりこれまでの料金以上、プラスに設定されることはない、こう明言できるのでしょうか。
  132. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、いろいろな経済情勢も含めて考えていくことになりますので、こういう数値になるということを明言させていただくということはできないわけでございます。  しかし、この制度をつくりました趣旨は先ほど申し上げたとおりでございますので、どのような数値の方式をとっていくかはまだ決定しておりませんが、そういったことを検討する際には、それからそのシステムだけではなくて具体的な数値を決定する際には、当然全体的にそういうことも含めてこれを決定していくということになるだろうと思います。
  133. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほど私、イギリスの例を挙げたわけですが、アメリカでも長距離料金以外はやはり基本料金あるいは市内通話料金というのは値上がりしているわけなんですね。料金全体を見渡せば、一方の値下げ、他方の値上げというりバランシングになっているわけですが、実際にイギリスのBTだとかあるいはアメリカのATTを見ますと、この間大幅な合理化を進めてきた。そのコストダウン、それからリバランシング、いわゆる基本料、市内通話料金を値上げして長距離料金を下げた、こういうことがこの間一つの流れになっていると思うのです。  長距離というのは、やはりその大口の使用者は全国的に展開しているところの大きな企業であることは申し上げるまでもありません。どんどんコストダウン、そのための合理化、労働者を減らしていく、こうして企業が利益を得ていく、こういうことにこの間進んできていますし、逆に長距離をほとんど利用しない人にとっては、基本料金や市内通話料金の値上がりによってトータル値上げになっている、こういうことも言えるわけです。日本でも確かに長距離料金は値下がりしています。その過程でリバランシングも行われてきています。一方、ユニバーサルサービスである一〇四、番号案内、これは大幅にこの間値上げされてきました。  この法案のもとになっている、先ほど来私が取り上げているこの研究会の報告書の中にも、やはり我が国においても、国内電話基本料、これが一三%、昭和六十年から平成九年までの間に値上げされた。公衆電話、十円から三十円ですから二〇〇%値上げになっている。国内専用回線、これが五五%の値上げであるというように、大変大きな値上がりをしていることが一つの論議になって、そのことが県内電話の料金に基準料金指数というもの、つまり上限価格制というものを取り入れていったその理由にもなっていると思うのです。  そこで、大臣、時間がありませんので最後に大臣にお聞きしたいのですが、NTTにとって独占的な状況にある中で、いわゆる基準料金指数の上限目いっぱいに張りつく、こういうことが企業としては最大の利潤を上げることになるわけです、届け出制の範囲内において。そして、それはこの法律の読み方からいけば可能になっているわけですね。  しかも、この料金指数は、私、イギリスの例を挙げながら聞いてきたわけですが、やはりプラス二%という形でプラスになっている。ですから、基本料金や市内通話料金においてはプラスになる危険性が強い、こういうように考えるわけです。また同時に、地域による料金格差も法文上は可能になっている、不採算地域の料金は高く設定できる仕組みもある。  だから、大臣、お聞きしたいのは、この料金指数についての届け出制というのは、結局、NTTに事実上料金格差を認める、それから毎年でも値上げをする権利を与える、こういう重大な制度の改悪ではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  134. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 矢島委員にお答えをさせいただきます。  御指摘のような、実際の料金が基準料金指数上限に張りついたり、料金の地域間格差が生じる可能性があることについては、それは基準料金指数が経済事情や技術動向あるいは生産性の向上等を反映した適切なものである限り、私は、それ自体が上限価格方式問題点であるというふうには必ずしも認識をいたしておりません。  すなわち、たとえ実際の料金が上限に張りついても、基準料金指数自体の低下により実質的に料金が低廉化していけば利用者の利益に合致するものではないかというふうに考えられますし、また地域間の料金格差についても、格差自体の問題よりも、むしろ地域の事業者間の切瑳琢磨により料金全体として低廉化することが重要でないかというふうに考えております。
  135. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひ、そういう大臣答弁のような方向できちんと対処していくことが必要だろうと思います。  これはお答えいただくわけではありませんが、最後に、私は、加入者回線網の問題が基本料金の問題としては非常に大きい。これをどう維持し、発展させていくかという点において、もっぱら基本料金に依存しているという形をやはり改める必要があるのではないかということと、もう一つは、生産性を向上させるという中で労働者に対する大幅なリストラ、合理化が進んでいく。このことは、私、NTTの労働者から、合理化サービスが相当低下していますよというファクスだとか手紙、たくさんいただいているわけなんです。  この問題はまた後の機会に取り上げるとして、 そういうサービスダウンを生むようなことのない方向、これもまた同時に考えていっていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。
  136. 坂上富男

    坂上委員長 横光克彦君。
  137. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。質問をさせていただきます。  先ほどから、情報通信事業また電気通信事業、これが二十一世紀リーディング産業であるという言葉が飛び交っております。私も、これは、国民そしてまた我が国発展のためにもぜひそうあってほしいと願っているわけでございます。  三月の委員会のときに、私は実はこの件で取り上げさせていただいたのですが、一見、やはりこの情報通信産業、華やかであり、そして明るい見通しがあるという印象を与えてはおりますが、その内実は実は結構ばらつきがあるのではないか、そういった趣旨の質問をさせていただきました。  そのときに、政府側のお答えは、やはり情報通信産業設備投資、売上高とも堅調に推移している、そして非常に事細かく数字を挙げて御説明をいただきました。高度成長時代当時と現代と、時代の背景が違うということ、そしてまた情報通信産業は内需主導型産業であるといったようなことで、外国に輸出するといったものの性格を自動車とか家電等と同じように扱うこともできないという状況ではあるけれども、当時の状況と今の状況では、必ずしも情報通信産業は見劣りするものではない、さらに二〇一〇年に向けて百二十五兆の市場に発展するという推測もあるというお答えでございました。  確かに、リーディング産業と言われるためには、こういったマクロ的な状況もさることながら、その業界の個々の企業の多くが利益抜群の優良企業でなければならないのではないか、そんな気が私はするわけでございます。そういった点では、現在の電気通信業界は、かつての家電産業自動産業などに比べて、先ほど言いました時代の違い、あるいは輸出する性格のものではないといったもの、あるいは現在の景気の非常に悪い状況、こういったことを考慮しても、私は、優良企業は少ないのではないかというような気がいたしております。  これは、サービス競争の激化が利用者に恩恵を与える反面、逆に、骨身を削って競争に打ちかつために経営基盤を厳しくしているのではないか、あるいはまた圧倒的な技術革新の速さのために事業展開期間が短くなっている、こういった状況もあろうかと思います。  これはそういったことに当てはまるかどうかわかりませんが、簡易型携帯電話、PHSの現状、これは非常に厳しい現状であると聞いております。九五年七月にサービスが展開されたわけですが、わずか三年足らずで加入者が頭打ちになってしまった、赤字体質から脱出することが非常に厳しい状況にあるという現状であると聞いております。  PHS、これはサービスが始まったときには圧倒的な好評を博して広がりを見せたわけですね。基本料金が安い、それから通話料が安い、そしてまた通信速度が速い、音質も格段にいい、いろいろな状況でもって非常に広がった。しかし、それは三年で、携帯電話の料金の値下げによる影響、あるいは高速移動ではなかなか使えない、さらに販売奨励金を代理店に支給して、端末をただ同然のようにして広げたわけですね。あるいは、当初の加入者の急増によって肝心な基地局の整備が追いつかなかった。いろいろな状況で今のような事態になったのだと思います。  ですから、公共性の高い産業である以上、規制緩和を進めることはもちろん重要でありますが、私は、その結果、激しい競争の中で、利用者には料金やあるいは利便性の面でプラスになるわけですが、ただ、その競争の方法や手段、これはどんなことをしてもいいのか、また、そのことによって、結果、利用者や国民にしわ寄せば来ないのか、そんな気がしないでもないわけでございます。  これから規制緩和がますます進み、いろいろな競争が激化していくわけですが、同じ競争でも、公正な競争、これを推進するためには、オープンな規制、つまり適正な行政指導も必要ではなかろうかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
  138. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 確かに、この電気通信分野と申しますものは設備投資が大きいのでございますけれども、非常に技術革新の激しい分野でございまして、次々と新しいサービスが出てまいります。  それから、もう一つは、完全な競争の世界に入りつつあるわけでございまして、そういう意味で、サービスの量といいますか、これは質量ともに拡大の一途をたどっておるわけでございますけれども、競争の中での料金の低廉化等を通じまして、事業者にとりましては、売り上げそのものはなかなか伸びないという点がございます。  そういう意味で、通信分野全体としては伸びておりますけれども、個々のサービスあるいは個々の企業にとりましては、苦しいところも、それから順調なところもある、そういうことは確かに出ておるわけでございます。  ただ、いずれにしましても、こういった状態は国内だけの問題ではありませんで、国際的なそういう競争にさらされてしまっておるわけでございまして、どうしても、それなりの新しい技術に向けた努力をしていかなければならぬのだろうと思います。  その際に、一番重要なのは、御指摘いただきましたとおり、やはり競争を中心として行っておる分野でございますから、それが公正有効な競争でなければならぬということが一番基本でございまして、この公正有効競争を確保するためには、いろいろな手だてが要るのだろうと思います。おっしゃるように、法律規制だけではなくて、必要に応じては行政指導、それをオープンな形で行われるということも必要だろうと思います。  私どもといたしましては、行政あり方としましては、法に基づく規制につきましても、それから、そうでない行政指導のようなものにつきましても、どのようなものが必要かということについて、まず関係者にお諮りをし、その意見を聞き、それによってつくられました案につきましては、さらに、それをお示しして意見を聞くというようなことの中で、できる限りオープンにそういったことを実施していくということが適当であろうというふうに考えております。
  139. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございました。  次に、電磁波が人体に与える影響について、ちょっとお伺いいたします。  先般、「ポケットモンスター」の事件が起きました。本当に、想像できないような、光によって人体に影響を与えるということが現実に起きたわけでございます。  今、この空間には大変な電波が飛び交っておる。いわゆる超短波から極超短波、そしてマイクロ波、またミリ波の時代、あるいはいわゆる光の時代、ファイバーですが、いずれ光の時代、こういった時代さえ来る可能性もあるわけですね。  そういった中で、現実に、この電磁波、例えば携帯電話がペースメーカーに影響を与えるとか、あるいは電子レンジの前に長くおると体に影響を与えるとか、こういったことはある程度科学的なデータもあるわけですが、もっと見えない部分でございます。そういった中で、郵政省に、電波が飛び交っているので頭が痛くてしょうがないとか、あるいは何とかしてくれとかいったような電話があったとかいうことも聞いておりますし、また、大きな送信アンテナがあるようなところでは、これは聞いた話ですが、男の子がたくさん生まれるとか、あるいは女の子がたくさん生まれるとか、そういった話もございます。  ですから、科学的な根拠がまだないわけですから、実は、明らかにされていないということは、研究が進んでいないだけで本当は影響があるのだとしたら、これは大変なことです。ですから、今知られていないだけで実は人体に大変な影響があるというのだったら、これは問題でございます。  知らないことの恐ろしさ、例えば水俣病、魚の中に水銀が入っていることを知らなかった、おいしく食べていたのに、まさにあんな中に水銀が 入っているとは知らなかった。また、知った後の行政の対応もおくれたということも、あれだけ被害を広げたわけです。あるいはダイオキシン、これも、以前からあったにもかかわらず、最近のプラスチック等では大量に出ることがわかって、改めてその怖さが今認識されている。さらに環境ホルモン。  こういったように、知らないということが実は一番怖いわけで、そのためには、こういった電波の、電磁波の人体に与える影響、まだまだ知られていない部分がいっぱいあると思うのですが、このことについて、こういった関係郵政省はどのように研究されているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  140. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 電波の人体への安全性の研究は、過去四十年以上の歴史がございまして、これまでもさまざまな研究が積み重ねられております。その結果、電波防護指針というものも作成されております。  また、国際的に見ましても、国際非電離放射線防護委員会という学者の方々の集まりでございますけれども、そこがこれまでの研究成果を総合的に分析、検討されまして、電波防護指針を下回る電波によって健康に悪影響が生ずる証拠はないという見解を声明として発表しておられまして、そういう意味で申しますと、この電波防護指針を満たせば健康への有害な影響はないという考え方が一応一般的ではございます。  しかしながら、仮にそれが現在の段階における一般的な考え方であるといたしましても、電波が人体にどのような影響を与えるかということにつきましては、まだ十分に解明され尽くしていないという部分が残されているということも十分考えられるところでございまして、事は人の健康にかかわるという非常に重要な問題でございますので、私どもといたしましても、平成九年四月に電気通信技術審議会の答申で、「電波利用における人体防護の在り方」という答申をいただきました。  この中に、こういう点について今後研究を進めるべき項目を明らかにされておりますので、これについて継続的な研究を進めていきたいと考えております。そうした研究の積み重ねが、電波利用の一層の安全性確保に役立つと認識しております。  現在、郵政省といたしましては、この答申で提言されました研究を厚生省などの関係省庁、それから大学などと連携して推進していくこととしておりまして、昨年十月、生体電磁環境研究推進委員会というものを発足させました。ここで動物実験や細胞レベルでの電波の影響などの研究を推進しているところでございまして、今後とも、これはなかなか長期間かかる問題でございますけれども取り組みを重ねていきたいと考えております。
  141. 横光克彦

    ○横光委員 確かに、難解な研究でありましょうし、時間もかかるでしょうけれども、国民利益のことを考えれば、やはり、行革の中とはいえ、各省庁もっと連携して、この研究は充実を図っていくべきではないか、私はこのような気がいたしております。  きょうは、お忙しい中、KDDの皆さんにもお越しいただいております。ちょっと質問させていただきます。  KDD、今回、完全民営化になるわけでございますが、これまで特殊法人としてやってきたわけですが、民営化になりますと、すべて自己責任ということになります。いわゆる責任とやりがいの時代がスタートするわけですね。法律で会社が設立されていたわけですが、六十年まではまさに国際通信はKDDの独占状況であったわけですね。六十年以降は競争の時代に入りました。そして、今回、完全民営化という大きな変遷をたどってきたわけでございます。  これまで事業計画の認可等が必要であって、いわゆる規制、縛りというものがあったわけですが、今後はこの経営形態が大きく変わり、会社としては全社を挙げて意識の改革が必要ではなかろうか、このような気がいたしております。  そこで、お聞きしたいのですが、ちょっと心配なのは、完全民営化後のユニバーサルサービスの確保、これまでの事業をそのまま継続していけるかどうかということ。KDDのみが提供している国際電話の対地数、十四対地の国を私見まして、すごいな、聞いたことのないような国の名前が大分ありまして、まさにユニバーサルサービスを展開していたのだなということが改めてわかったわけです。アルバとかトルクメニスタンとかブルキナファソとか、どこにあるのかわからないような国がいっぱいあるわけですが、そういうところでも事業展開をされてきた。今後もこういったところも継続、維持できるのかどうかということが一つ。そしてまた、KDDの職員あるいは労働組合の皆さんが完全民営化をどのように受けとめているのか。このユニバーサルサービスの確保と完全民営化の職員の受けとめ方、この二点をお聞かせください。
  142. 西本正

    ○西本参考人 お答え申し上げます。  ユニバーサルサービスの維持についての御質問でございますけれども、私ども、世界二百三十五対地に通信サービス提供しておるということが、コストもかかりますけれどもKDDの営業上の強みでもございますので、純粋民営化されたからすぐやめるとかそういうことではございませんで、最大限こういったユニバーサルサービスの維持に努力してまいるつもりでございます。  それから、KDD法廃止に関しての職員等の反応でございますけれども、私どもの労働組合におきましても、KDD法廃止、純粋民営化の早期実現要望する旨の方針を組合としての機関決定をしておりまして、公表しているところでございます。役職員一同、KDD法の廃止についてはひとしくこれを要望しておるというところでございます。
  143. 横光克彦

    ○横光委員 KDD発展期待いたしております。終わります。  ありがとうございました。
  144. 坂上富男

    坂上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  145. 坂上富男

    坂上委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。矢島恒夫君。
  146. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、日本共産党を代表して、電気通信分野における規制合理化のための関係法律整備等に関する法律案に反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、今まで認可制であった第一種電気通信事業者の料金規制を原則届け出制に変えることです。  NTTの県内電話等にはプライスキャップがかかっていますが、この範囲内でNTTの東西会社は自由に価格を設定することができ、東西間だけではなく、地域ごとの格差料金が可能になります。このことはNTTに課せられたユニバーサルサービスに穴をあけるものであるということです。  しかも、県内電話は、事実上、NTTの独占であり、プライスキャップの価格上限までの値上げを妨げるものは何もありません。一九八四年からこの制度導入したイギリスでは、これによって基本料金は毎年のように値上げされ、現在では約二倍になっています。市外料金は確かに値下げになったものの、多くの国民にとって身近な基本料金、市内料金は値上げとなっており、日本でも、地方や一般利用者には高い電話通信料金への道を開くものであり、認めるわけにはいきません。  反対の第二は、オペレーター業務などの電気通信業務を認可不要にすることです。  既にNTTは電話番号案内サービスなどの業務を委託化していますが、ベテランの労働者の強制配転によるサービスの低下が起きています。オペレーター業務等の認可制度の緩和は、会社の一方的な都合によるアウトソーシング化を解禁するもので、労働条件の悪化、サービスの低下につながり、認められません。  第三に、KDD法の廃止によって、これまでKDDに課せられていた国際分野でのユニバーサルサービスが免除されることです。  NTTも含めて、国際通信の競争が激化すれば、不採算地域の回線の敷設、維持あるいは国際電報などの分野からの撤退が起こり、国際分野でのユニバーサルサービスの後退となり、反対であります。  第四に、第二種電気通信事業者を電波監理審議委員の欠格事項としないとする緩和であります。  第二種電気通信事業者も利害関係者であることに変わりはない上に、第一種電気通信事業者子会社や、電気通信事業者に密接な関係を持つ大企業が含まれており、この規制緩和は、審議会の審議をゆがめる可能性があり、反対です。  第五に、第二種通信事業者が回線設備の設置を可能とすることは、二種の規制で第一種事業者に近い業務を可能とするもので、参入、退出、料金、約款など事業の公共性を担保する規制に穴をあけるものであり、反対です。  無線局免許の緩和等必要な規制緩和が含まれているとはいえ、全体としてこの規制緩和は、国民の利益に反するものであり、反対であることを表明し、討論を終わります。
  147. 坂上富男

    坂上委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  148. 坂上富男

    坂上委員長 これより採決に入ります。  電気通信分野における規制合理化のための関係法律整備等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  149. 坂上富男

    坂上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 坂上富男

    坂上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  151. 坂上富男

    坂上委員長 内閣提出参議院送付郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付郵便貯金及び預金等受払事務委託及び受一託に関する法律案内閣提出参議院送付郵便振替法の一部を改正する法律案及び内閣提出参議院送付簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。自見郵政大臣。     —————————————  郵便貯金法の一部を改正する法律案  郵便貯金及び預金等受払事務委託及び受託   に関する法律案  郵便振替法の一部を改正する法律案  簡易生命保険積立金運用に関する法律の一   部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  152. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金及び預金等受払事務委託及び受託に関する法律案郵便振替法の一部を改正する法律案簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案、以上四件につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  初めに、郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金の預金者に対するサービス向上を図るため、貯金証書に写真を複写する取り扱いその他の特別な取り扱いを行い、当該取り扱いに係る手数料の徴収等を行うことができることとするとともに、金融自由化に適切に対応した郵便貯金事業の健全な経営の確保に資するため、郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金の運用の範囲を拡大すること等を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、郵政省が預金者に交付する貯金証書に預金者があらかじめ提出する写真を複写する取り扱いその他の特別な取り扱いを行い、当該取り扱いに係る手数料を徴収することができることとするとともに、特別な取り扱いの実施に伴い、納付された手数料の還付に関する規定を整備することとしております。  第二に、郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金をもって取得した債券を信託業務を営む銀行または信託会社へ信託できることとするとともに、同資金を先物外国為替に運用する場合における証券会社に取引を委託してしなければならないとの条件を撤廃することとしております。  なお、この法律の施行期日は、郵便貯金における特別な取り扱いの実施及び当該取り扱いに係る手数料の徴収等に関する規定については、平成十一年一月四日から、郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金の運用の範囲に関する規定については、公布の日からといたしております。  次に、郵便貯金及び預金等受払事務委託及び受託に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、郵政大臣が、郵便貯金等の業務に係る金銭の受け入れまたは払い渡し等の事務を銀行、信託会社、保険会社等の金融機関委託して行わせるとともに、郵政官署においてこれらの金融機関から委託を受けて預金等の業務に係る金銭の受け入れまたは払い渡し等の事務を行うことによって、預金者等の利便の増進を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、郵政大臣は、郵便局の自動預払い機等で取り扱う郵便貯金または貸し付けの業務に係る金銭の受け入れまたは払い渡し等の事務を、金融機関委託して行わせることができることとしております。  第二に、事務を委託された金融機関において当該事務に係る役務の提供を受けようとする者は、郵政省令で定める額の手数料を、郵政省令で定めるところにより、国に納付しなければならないこととしております。  第三に、郵政大臣は、金融機関から自動預払い機等で取り扱う預金、貸し付け、信託、保険その他の金融機関の業務で郵政省令で定めるものに係る金銭の受け入れまたは払い渡し等に関する事務の委託を受けることができることとし、郵便局において委託された事務に係る金銭の受け入れまたは払い渡しその他の役務の提供を受けようとする者は、郵政省令で定めるところにより、当該役務の提供の申し込みをすることとしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して九カ月を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。  次に、郵便振替法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、利用者の利便の向上等を図るため、がん、結核、小児麻痺その他特殊な疾病の学術的研究、治療または予防の事業を行う法人または団体に対する寄附金の送金に係る料金を免除することができることとするとともに、払い出し証書一枚当たりの金額の制限を引き上げることとすること等を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、寄附金の送金に係る料金を免除する法人または団体に、がん、結核、小児麻痺その他特殊な疾病の学術的研究、治療または予防の事業及び地球環境の保全を図るための事業を行う法人または団体を加えることとしております。  第二に、特殊取り扱い等として、払込人または口座を特定するために必要な事項を電磁的方式に よって記録したカードを発行する等の取り扱いができることとしております。  第三に、郵便振替の払い出しにおいて、加入者が払い出し証書の交付を受け、受取人に送付することができることとしております。  第四に、払い出し証書の一枚当たりの金額の制限を千五百万円とすることとしております。  第五に、支払い通知書の一枚当たりの金額の制限を三十万円とすることとしております。  なお、この法律の施行期日は、寄附金の送金に係る料金免除に関する規定については、公布の日から、特殊取り扱い等に関する規定及び加入者に払い出し証書を交付する取り扱いに関する規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から、払い出し証書及び支払い通知書の一枚当たりの制限金額の引き上げに関する規定については、公布の日から起算して一カ月を経過した日からとしております。  最後に、簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、金融、経済環境の変化に適切に対応し、簡易生命保険の加入者の利益の増進を図るため、所要の改正を行おうとするものであります。  その内容は、簡易生命保険積立金を先物外国為替に運用する場合における証券会社に委託してしなければならないとの条件を撤廃するものであります。  なお、この法律の施行期日は、公布の日からといたしております。  以上が、これら四法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  153. 坂上富男

    坂上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十五分散会      ————◇—————