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1998-04-01 第142回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月一日(水曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 坂上 富男君    理事 住  博司君 理事 野田 聖子君    理事 古屋 圭司君 理事 山口 俊一君    理事 小沢 鋭仁君 理事 永井 英慈君    理事 石田 勝之君 理事 河村たかし君       浅野 勝人君    石崎  岳君       今村 雅弘君    江渡 聡徳君       大石 秀政君    川崎 二郎君       倉成 正和君    坂井 隆憲君       竹本 直一君    棚橋 泰文君       野中 広務君   吉田左エ門君       伊藤 忠治君    小坂 憲次君       今田 保典君    吉田  治君       遠藤 和良君    神崎 武法君       松浪健四郎君    矢島 恒夫君       横光 克彦君    中田  宏君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 自見庄三郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政省通信政策         局長      木村  強君  委員外出席者         文部臣官房政         策課長     杉浦 哲郎君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       河村 潤子君         逓信委員会専門         員       丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 三月十九日  辞任        補欠選任   林  幹雄君     倉成 正和君 同月二十四日  辞任        補欠選任   中谷  元君     川崎 二郎君 四月一日  辞任         補欠選任   佐藤  勉君     江渡 聡徳君   園田 修光君     棚橋 泰文君   吉田  治君     今田 保典君   石垣 一夫君     松浪健四郎君 同日  辞任        補欠選任   江渡 聡徳君     佐藤  勉君   棚橋 泰文君     園田 修光君   今田 保典君     吉田  治君   松浪健四郎君     石垣 一夫君     ————————————— 三月三十一日  特定公共電気通信システム開発関連技術に関す  る研究開発推進に関する法律案内閣提出第  二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定公共電気通信システム開発関連技術に関す  る研究開発推進に関する法律案内閣提出第  二八号)      ————◇—————
  2. 坂上富男

    坂上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律案を議題といたします。     —————————————  趣旨説明を聴取いたします。自見郵政大臣。  特定公共電気通信システム開発関連技術に関す   る研究開発推進に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 おはようございます。趣旨説明をさせていただきます。  特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、高度情報通信社会構築に資するため、通信放送機構特定公共電気通信システム開発に必要な通信放送技術に関する研究開発及び特定公共分野における技術に関する研究開発の総合的な実施等業務を行わせるための措置を講ずることとするものであります。  次に、この法律案概要について申し上げます。  第一に、特定公共電気通信システムの定義をすることとしております。  第二に、主務大臣は、通信放送機構に行わせる特定公共電気通信システム開発に必要な技術に関する研究開発業務等実施のための基本方針を定めることとしております。  第三に、通信放送機構業務として、主務大臣が定める基本方針に従って、特定公共電気通信システム開発に必要な技術に関する研究開発等を追加することとしております。  第四に、特定公共電気通信システム開発に必要な技術を所管する大臣主務大臣とすることを定めることとしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  4. 坂上富男

    坂上委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 坂上富男

    坂上委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠治君。
  6. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 伊藤忠治でございます。おはようございます。  早速質問に入らせていただきます。  まず第一点でございますが、この法案、中身は行政機関情報化一環、このように私は理解をしているわけでございます。つまり、平成九年の十二月二十日、閣議決定をされました行政機関情報化を進めるに当たっての基本計画の改定が行われまして、これから具体化していこうという政府方針が決まったわけでございますが、その一環として今回当機構で取り組んでいくものである、このように位置づけたいと私は思うのですが、そのように理解してよろしいかどうか、まず第一点、お伺いします。
  7. 木村強

    木村政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘のとおりの経過を踏みまして、通信放送機構によりまして、電気通信システム開発に不可欠な技術というもののノウハウを持っております。これを生かしながら公共分野情報化をいかに進めるかということが今回の法改正の一番のもとになっております。  以上でございます。
  8. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今答弁いただきまして、それを踏まえて次のことを質問させていただきますが、 公共分野における情報化、具体的には、当機構で扱うということになれば電気通信ネットワークの、言うならばアプリケーションですか、それに関する先端的な研究開発ということになろうかと思うのですが、これは今後も一手に引き受けるということになるのかどうか。  今回はこのような法案で出されております研究開発をやられるわけですが、見方によっては、民間だってできるのじゃないかという見方もあると思いますね。しかし、おたくにしてみれば、これは我が国における、言うならばまだその分野研究開発はどこもやられていない、だからパイロット的にこれは国が当機構を介してやっていかなければいけない問題なんだ、研究分野なんだ、このようにお考えなのかどうか。  つまり、何が言いたいかといいますと、これは一番最初のことだと思いますので、位置づけ方によっては当機構の権限や業務範囲にも大いに関係してくる、私はこのように思っておりますので、その点について考え方をお聞かせいただきたい、こう思います。
  9. 木村強

    木村政府委員 本施策は、通信放送機構を通じまして、例えば教育支援システム等特定公共電気通信システム開発に必要な技術に関する研究開発を行おうというものであります。  公共分野情報化といいますものが高度情報通信社会起爆剤である、一番国民生活の身近なところから、教育であるとか行政であるとかそういった観点から情報化を進めるということが高度情報社会にとって一番の起爆剤である、そのためにはこういった分野情報化を進める必要があろうということであります。  個々分野でも、公共分野応用はされましても既に民間研究開発を進めておるというような部分につきましてまで今回のような通信放送機構でもってやろうという趣旨ではなくて、例えば教育支援システム等によりますと、今学校にパソコンを入れてインターネットに接続をしていい教育環境情報通信を使ってやろうというようなお話がございましても、やはり今のシステムではディスプレーの一部にしかそういった画像が出てこない、あるいは理科の実験の勉強をしようというときに、例えばフラスコの絵が横に出てこないといったようなことで、当初は物珍しい感じで児童が意欲を持って見るかもわかりませんが、長続きしないということで、よりいいアプリケーション通信放送技術にドッキングをして学校教育に使っていけるようにということであります。’こういう分野では残念ながら今のところその取り組みが行われていなかったということで、世の中のニーズも強まっておるという中で、通放機構通信放送技術というものをベースにしてやればうまくいくのじゃないか、そういうことが一致をしたということでありまして、必ずしも今後公共分野情報通信研究というものをここに一元化していくのだということではなくて、ニーズにマッチした形でそれぞれがやろうということになれば、これはその方が効率的であるということで、一体的に行おうという趣旨で今回は提案をさせていただいているものであります。
  10. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 もう一点聞きますが、汎用技術としては開発されていない、全くこの分野の特別のものである、だからやらなければいけない、こういうふうに理解していいですか。
  11. 木村強

    木村政府委員 今回、それぞれのシステム、六つ考えておりますけれども、その六つの汎用技術につきましては、通放機構の持つノウハウあるいはこれからの研究開発によって一番ベストなものが期待されるという判断に基づいて各省との連携が行われたというふうに考えております。
  12. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 この部分議論しますと大分時間がかかると思うので、時間に制限がありますし、とりあえず、ここでいいますと四つですね、四つのことについて当機構でやるということについては、私はやっていただきたい、こう思っている立場ですから、一度またこの問題は時間のあるときに議論をしたい、そういう問題が残ると思うのですが、一応そういうことにさせていただきます。  実はこれは個々の問題だと思うので、次の観点から、問題提起をさせていただきます。  つまり、二十一世紀情報通信といいますが、ネットワークの形成といいますかインフラ整備といいますか、これは見方はいろいろかわかりませんが、私の理解では、まさしく次世代インターネット構築をどうやるかということに尽きるのじゃないかと私なりに理解しているわけです。  それは、郵政省も御承知のように、アメリカゴア副大統領が既に打ち出しております次世代インターネット計画は、NGIと言われておりますが、御承知のとおりであると思います。  それは、どういう背景からその計画が出てきたのかということなんですが、現在普及しつつあるインターネットというのは、既にこれはもう技術限界があって大変問題点を持っている。  四つ彼らは挙げておりますが、その一つは、科学研究遠隔医療、生涯教育EC等の、これはエレクトリックコマースの話ですが、新たなコミュニケーションは今日のインターネット技術容量や機能の制約を受けている。  二つ目問題点は、インターネット技術が現在のような規模と方法で使用するよう設計されていないことに起因する。  三つ目問題点は、インターネット性能は拡充しているが、技術的ボトルネックシステム全体に存在をしておる。  四つ目問題点、第一世代インターネット技術はその性能限界に達しつつある。  このような問題を感じておりまして、それを克服するためには、アメリカ技術的なリーダーシップを維持するために、またアメリカ経済競争力向上と商業的なリーダーシップ強化をねらって、重要な戦略投資としてのNGI構想だと私は受けとめているわけでございます。  それで、この計画は、御承知のとおり三つ達成目標を設定しておりまして、政府関係機関産業界、それから学術界連邦研究所実施チームをつくりまして、政府達成目標年次ごと予算案できちっと裏づけをしているわけであります。  現在のインターネットが、フリーなネットワークでありながら、事実上そのセンターはアメリカに存在しております。これは、皆さん承知のとおりです。アメリカを経由しないことにはできないわけでありまして、だれでも入れるというのですが、それはそれでいいのです。ところが、非常に重要なネットワークだといいますが、実際はそういう仕組みになっているわけで、これを否定してネットワークは利用できないという現実は御承知のとおりであります。  それで、これに限界が出てきたことは、二十一世紀のグローバルなネットワークとして展望が持てない。アメリカにしてみれば、広がってくれたのはいいけれども果たしてこれでいいのかということが、つまり、アメリカという国は世界のリーダーでございまして、そういう立場で非常にいろいろな物事を見ていく、こういうスタンスがございます。私はその気持ちはよくわかるのです、アメリカ立場にしてみれば、困ったな、こういうことだろうと思うのです。  したがって、アメリカ主導権のもとに、NGI建設を急ごうという彼らの戦略を私は強く感じております。皆さんはどうかわかりませんが、私は強く感じているわけです。これは、我が国におけるそういう関係者皆さんも、その意識を最近強められていることも事実でございます。  そういうふうに考えれば、我が国アメリカNGI計画のような国家的なプロジェクトというのですか、そういう対抗策があるのかどうか、このことについて法案とも関連しますのでお伺いいたしますが、あるとすれば、それはどの省がその任に当たっているのかということについてお伺いしたいと思います。
  13. 木村強

    木村政府委員 先生指摘NGI構想アメリカお話でありますけれども、その前にもクリントン、ゴアNII構想といったような形で、アメリカがいわば核の傘から情報の傘というようなことで、二十一世紀展望して、世界戦略を情 報通信基盤整備に的を絞って進めてきた。あるいは、現在のアメリカの好景気の持続しております影響一つに、情報通信関連産業が非常に活性化をしておる、あるいは企業等情報化投資が非常に盛んであるということからもうかがえるわけであります。  そういう意味で、ネクストといいましょうか、次の世代インターネットというものにつきましても、今先生おっしゃいました三つ目標という形の中で米国が打ち出してきておる。しかも、それにつきましても、一九九八年から毎年一億ドル程度の補助を三年間にわたって行おうというようなお話も聞いております。そういう意味では、次の次をさらに読んで次世代インターネットにかけるアメリカの意気込みというのは伝わってまいるわけであります。  アメリカ以外にも、それぞれの国が情報通信を国の戦略として、二十一世紀の生き残りをかけた一つプロジェクトとして手を打ち始めておるということは私ども承知をいたしております。  郵政省につきましても、このようなことを踏まえまして、昨年六月に電気通信審議会から大臣に対して答申をいただきまして、二十一世紀展望してこれからのあるべき情報通信政策の提示、それを受けてどういった投資が行われていくか、あるいは国民生活企業活動がどう変わっていくか、売り上げの規模がどうなっていくか、あるいは雇用状況がこれによってどう変わるかといったような問題につきましてビジョンを示していただきました。それで、現時点につきましては、それを受けまして、個々に、個別に政策の実現あるいは予算要求等を行って対応してきておるわけであります。  今御案内ございました次世代インターネットにつきましても、私どもも既に研究開発につきましての予算要求等は行っておりますけれども、現在電子商取引というものがそういった大きな容量を持つ中での具体的な活動として着目をされるに至っております。  これを具体化するために、政府におきましても高度情報通信社会推進本部の中で、郵政省あるいは通産省、法務省、大蔵省といったようなところと連携を密にして、作業部会までつくってこれについての対応の仕方を協議してきておるところでありまして、次の世代を考え、次の状況を考えて日本の国としても手を打つという体制は徐々に出てきておるというふうに考えております。  これからは、やはり情報通信基盤というものは非常に重要だということで、最近の先生方お話、あるいは国民皆様方の声、企業皆様方の声、マスコミ等状況によりましても、情報通信が二十一世紀を牽引する一つの大きな核になっていくだろうということは間違いないであろうというふうに語られておりまして、この期待にこたえるために、私どもといたしましても、二十一世紀展望した骨太のプロジェクトといいますか、そういうものを検討して、ひとつ、世界情報化の波の中でたえ得るような日本国土づくりに励みたいというようなことでございます。  そういう面では、先生指摘のとおりに、そういう対抗策があるのかという意味では、アメリカNGI構想に対してどうだという、構想という名前での打ち上げはまだできておりませんけれども、個別には、地味な形の中ではやってきております。やはり、ある意味では、目につくような大きなプロジェクト一つ打ち上げるということも重要だろうということで、おかげさまで、情報通信に対する期待も非常に強まっております。  国が何かをやるという分野は非常に限られたところがございますけれども、そういった期待の中で、官民の役割分担を踏まえながら、国としても最大限情報通信政策の展開に努力したいということでございます。  以上であります。
  14. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 最後になりますが、今御答弁のように、郵政省としても精いっぱいやってきているということなんでしょうが、私はこう思っているわけです。  アメリカは、つまり、インターネットそのもの危機管理一環として生まれていますね。情報通信というのは、これは本当に気をつけなければいかぬわけですが、軍事力が非常に強い国というのは、これは一体になると思うのですよ。  日本というのは全然違うと思うのです。非常に資源のない国ですから、日本は二十一世紀にアジアに対して、世界に対してどう貢献するかという点では、これはやはり非常に重要視しなければいけないし、日本としては、もっともっと積極的に世界に打って出るということがあっていいと思うのです。そういう意味では、日本には危険性がありませんから、私は、平和のための情報通信にどう貢献するかというスタンスでもって、アメリカに負けないというか、競争できるような積極的な打ち出し方というのですか、対応が必要であろう、こう思っております。  民間は、主体的にお任せすればいいのですが、しかし、すべて民間でやるというわけにいかないと思うのですよ。ネットワークというのはそう簡単にいきませんので、これは、ガイドラインなり、言うならば政府最小限立場政策的にどう貢献をするか、あるいは、言葉に語弊がありますか、先導的な役割を果たすかというのは極めて重要だろうと思いますね。  民間というのは、やはり採算の分野へ走りますので、例えばイントラネットの分野はそれなりにいけると私は思いますが、第二インターネット世界まで本当に大きなネットワークを張っていけるかとなりますと、これは政府のその分野での主導的な役割というのは必要だろう、私はこのように思っているわけです。  その点をひとつ御理解をいただいて、ぜひとも、これは、言うならば、民間皆さんと共同で我が国としての大きな、それこそ具体的な構想を早急に出していただく。こういうものが知的公共事業というのでせんだっての一般質問でも議論がございました。まさしくそれは新たな時代に向けた社会資本整備の中枢をなすものであろう、このように私は理解をしますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思うのです。  そういう点も含めまして、大臣最後質問申し上げますが、今回のものの長期展望に立った研究開発を含めまして、大臣気持ちを、抽象的なことになるかわかりませんが、結構でございますので、ひとつ心のうちを披瀝いただければありがたい、こう思っております。
  15. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 伊藤委員の御指摘のとおりでございまして、高度情報通信社会あるいはマルチメディア社会、こう申すわけでございますけれども、これは、大変大きなインパクトが個人の生活にも、あるいは企業経営と申しますか経済生活、あるいは行政、政治まで影響があるわけでございます。  今回の法律は、そういった中で、研究開発通信放送機構で行うということでございまして、先生今御指摘のように、国として実施すべき基礎から応用への橋渡しのための研究開発のうち、民間では実施困難なものを産官学の協同のもとで、連携のもとで推進していくというのが基本であろう、私はこういうふうに思うわけでございます。  いずれにいたしましても、また、先生から次世代インターネットの話があったわけでございますけれども大変技術革新の速い分野でもございますから、国といたしましても、本当にこういったことを強力に推し進めていきたいというふうに思うわけでございます。  また、今、局長から答弁がございました、昨年ビジョンをつくらせていただいたわけでございますけれども、そういったことを本当に皆さんの御指導をいただきながら、国としての役割分担はございますけれども、強力に推し進めていきたいというふうに思っております。
  16. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 終わります。
  17. 坂上富男

  18. 吉田治

    吉田(治)委員 通信放送に関することなんですけれども、まず、この機構自身ですか、機構自体というのですか、過去何回にもわたって、臨調等を含めて、機構改革についてさまざまな答申ま た閣議決定をされているのですけれども、その辺の実施状況というのですか、今後どういうふうな形になっていくのか、機構自体の問題としてちょっとお答えを賜りたいと思います。
  19. 木村強

    木村政府委員 お答えを申し上げます。  通信放送機構につきましては、国の認可法人でもあるということで、先生指摘ございましたように、これまでにも行政改革という観点からさまざまな指摘を受け、政府としても閣議決定等をいたしております。  主だったところから申し上げますと、まず、行政改革プログラム、これは平成八年十二月二十五日の閣議決定でございますが、ここにおきまして、「通信放送機構については、管制業務について、平成十一年度に国からの出資金を返還し、経営自立化実施する。」ということが一つございます。  それから、その後、五十四年にこの通信放送機構通信放送衛星機構として発足してまいりまして以降、情報通信分野の飛躍的な発展がございました。これに対します行政需要対応するということのために、当初の管制業務以外に各種の政策支援業務あるいは研究開発業務等が追加をされてまいっております。その場合にも、全体として機構肥大化等につながらないようにということで、新しい支援策高度情報化のために必要だと認めながらも、それをやるに当たっては最小限簡素合理化をした形で行うというような指摘等がございました。  現実にも、定員削減等合理化に対する計画を着実に執行しておるということでございまして、大きくはこの業務のあり方の簡素効率化、それから管制業務自立化というのが通信放送機構に課せられた、これからのそういった行政改革的な観点からの課題だ、このように認識いたしております。
  20. 吉田治

    吉田(治)委員 なぜこんな質問をさせていただくかというと、今回の研究開発等々のことについては、これは別に争うことでもないし、いろいろ問題点同僚議員皆さん指摘されるでしょう。ただ、私は、郵政として行革というものに対する取り組む姿勢、やはり、何度も民営化等の話も含めて皆様方矢面に立たされたといいながら、特にこの通信放送機構については、今、局長平成八年のお話をなさいましたけれども、私の手元資料によりますと、昭和五十八年三月十四日の行政改革に関する第五次答申ですか、臨時行政調査会最終答申というものからもう言われているわけですね。それが、十四年もたってまだできていない。まさにそれが郵政省というものの行革に対する姿勢を如実にあらわしているのじゃないか。  今、局長は、いや、経営自立化実施するというものをいただいているのでと。では、今までなぜ十何年もほったらかしになって、これから先この通信放送機構というふうなもの、特に管制業務というふうなもの、初めの部分でいうと、管制業務からだんだん研究開発という形で肥大化してきているわけですよね。昭和五十八年の答申、「自立化の原則に従い民間法人化する。」というふうな話が最終答申されていながら、平成四年においては名称変更をし、また肥大化する。しかしながら、この平成三年十二月二十八日の閣議決定でも、まさに管制業務については自立化、つまり民間法人化、格上げですけれども、実現しろと、ずっと来て、何で今までほったらかしになっているのですか。
  21. 木村強

    木村政府委員 確かに先生の御指摘がございましたように、通信放送機構につきましては、五十八年の三月十四日に臨時行政調査会の最終答申の中で、「自立化の原則に従い民間法人化する。」という答申をいただいております。  その後、昭和五十九年の閣議決定につきましては「民間法人化するための条件整備を進める。」、平成元年の一月二十四日の閣議決定につきましては「引き続き、民間法人化に向けた条件整備推進する。」ということで、衛星管制業務民間法人化するための条件整備に取り組んでまいったということであります。  平成三年の十二月二十八日の閣議決定の中では、「同機構管制業務について、既往方針を踏まえ、平成七年度を目途として経営自立化の実現のための具体的方策について結論を得る」ということに、徐々に具体化の方向が出てまいっておりまして、平成七年十二月二十五日につきましては「平成十一年度を目途に、経営自立化を図るため、その具体的方策について、」云々とありまして、具体的に「国からの出資金の返還方法を含め、平成七年度末を目途に結論を得る。」となりました。  それを受けて、八年十二月二十五日の閣議決定につきましては「管制業務について、平成十一年度に国からの出資金を返還し、経営自立化実施する。」というふうにうたわれておりまして、平成十一年度に国からの出資金を返還して、経営自立化実施するための方策を我々としては講じようということで、今準備を進めておる段階であります。  確かに、五十八年に指摘をされて以来、この管制業務自立化問題につきましては時間がかかっておるわけでありますけれども、条件整備しつつ、その他の業務というものも時代の流れに応じて追加はされてきた。先生、肥大化というお話でございましたけれども、私どもは、必要な業務を効率的に行う体制の一環として有効な機能を発揮してきたというふうに考えておりまして、引くところは引く、時代の要請にあってビルドしていくところはしていくという中でこれからも努力してまいりたい、このように考えております。
  22. 吉田治

    吉田(治)委員 今局長、引くところは引くと、何も引いていないじゃないですか。どこが引いているのですか。引いてもいないのに、引くところは引いて、ビルドするところはビルドする。まさに私今言った肥大化というのは、ここに、平成三年の閣議決定、「政策支援業務役割の増大に対応し、」「通信放送機構に改組する」とは書いてある。しかしながら、この後の民間法人化ということについては一切何もされていなくて、何が引くところは引くなのですか。そんな答弁があるのですか、国会のところに。何も引いていないじゃないですか。  しかも、十数年もかかって、これから方策を準備する。では、いつまでにどういうふうな方策をして、どうしていくのか。そして、この五十人にわたる管制業務についている人たちはこれからどうするのか。ちょっとはっきり答弁してください。
  23. 木村強

    木村政府委員 私の言葉足らずで、引くところの実績がないではないかという御指摘につきましては、大変誤解を与えまして……(吉田(治)委員「誤解じゃない、それは間違い」と呼ぶ)恐縮でございます。  私ども立場としましては、スクラップ・アンド・ビルドの原則というものが行政部内にも浸透をいたしておりまして、こういった機構問題については常にそういう気持ちで取り組んでまいったものですから、スクラップ・アンド・ビルドという意味のスクラップも私どもとしての意識にあるという意味お話をさせていただきましたが、今、先生の御指摘を賜りました。  この管制業務につきましては、平成十一年度からということで、もう具体的に「国からの出資金を返還し、」ということで閣議決定がなされておりますので、その方策を確実に実施するということで検討を進めておるという状況でございます。
  24. 吉田治

    吉田(治)委員 意識じゃ困るのですね、もう時間がないのでこれ以上この話は申し上げませんが。  ただ、言えることは、では次に、これから先、平成十一年度に出資金を返還しということであるならば、まさにこの管制業務に携わる五十人を含めて自立化民間法人化していく、その上で、今後のこの研究開発等予算をつけてやっていく、そういうふうに理解をしていいわけですか。
  25. 木村強

    木村政府委員 八年十二月二十五日の閣議決定に従いまして、国からの出資金平成十一年度に返還し、経営自立化実施するということにつきまして、誠意を持って確実に実行できるような 方策を講じたい、このように考えております。
  26. 吉田治

    吉田(治)委員 私が聞きたいポイントはそうじゃなくて、実際、では、人数的に言うと今ほぼ五十人がこのTAOの中で管制業務に携わられていますよね。私の聞いた話では、通信衛星部に二十五名、川口放送衛星部に十八名、管理課に三名というのが管制業務に携わっている。  私は、別に生首を切るとかそんなことは一切申し上げておりません。しかしながら、ずっと十何年間も民営化、つまり民間法人化しろと言われ続けて、では、これからしていくのであれば、その人たちの部分民間法人としてちゃんと横へやられるのだなと。そして、実際、通信放送機構としては、今審議をされているさまざまな研究開発部門、パンフレットによりますと、「情報通信分野研究開発推進」「通信放送事業の高度化などの支援」に特化する。ですから、このパンフレットにおきますここの管制業務のところはずぽっと抜けて、そこは人もいなくなる、そういうふうなことなのですね。
  27. 木村強

    木村政府委員 私どもの現在の取り組みの目標と申し上げますのは、経営自立化を行うということでありまして、通信放送機構の中におきます管制業務につきましては、国からの出資金を返還をする、あるいは大事につきましても自主性を尊重する、あるいは管制業務につきましては国からの補助金等をいただかない、この三つの要件をしっかりとまず確保してまいりたい、これが自立化だろうというふうに考えております。  その後、自立化をいたしましても、管制業務は、今申し上げましたような形で通信放送機構の中で仕事をするのか、あるいはそこから出て完全に純粋な民間法人になっていくのかどうか、要するに民間会社になっていくのかどうかというワンステップの議論はあろうかと思います。  私どもとしましては、自立化の方向が確定して実現をいたしましても、管制業務に対する周りのユーザー、それからBS4の後継機等につきましては、国際調整の中での衛星のコントロールというものが非常に過去の経験を要する難しい分野でございます。  それから、仕事は自立化はいたしておりますけれども、やはり認可法人の傘の中でやった方が周波数の分配等をめぐって、結果としての衛星管制コントロール業務に公平感を与えるということで、ニーズがあれば依然として認可法人の中で仕事をするということも一つの選択肢だろうと思いますが、自立化をしていけば、それだけそれが外に出ていくという条件には近づくものだというふうに考えております。
  28. 吉田治

    吉田(治)委員 では、あくまでも機構の中で自立化という形にする。ということになりますと、例えば平成三年の閣議決定等々については、その後平成七年にも八年にも閣議決定されていますので文言が変わっていくということですけれども平成三年の「自立化民間法人化)」という中の「民間法人化」ということは今のところは考えていない、しかるべき時期が来たら考える、しかるべき時期については平成何年ということは言えないということで理解していいのでしょうか。
  29. 木村強

    木村政府委員 当初の、五十八年の段階では、この通信放送機構そのものの仕事が衛星管制業務でスタートをしたということから、衛星管制業務自立化民間法人化という意識でございましたが、その後の情勢の変化によりまして新しい機構業務が追加をしてまいりましたということも踏まえまして、閣議決定をいただいて、今私どもが最新の体制の中で目標としておりますものが、先ほど来繰り返しておりますように、「管制業務について、平成十一年度に国からの出資金を返還し、経営自立化実施する。」ということでありまして、まずはこの経営自立化をきちっと責任のある形で実行したいということであります。  その後の状況につきましては、今先生申し上げられましたように、いろいろな選択肢があろうかと考えておりますが、この場で方向性を明示するという段階にはまだ至っておりませんで、当面の経営自立化をきちっと責任を持って確保するというのが一歩一歩実現に近づける我々の責務であろうというふうに考えて、まず、目前の目標達成のために努力したいということでございます。
  30. 吉田治

    吉田(治)委員 八年度末資本金九百七十億、国九百十億、民間六十億ですけれども管制業務にかかわって国の出資金を返還するというのは大体何億ぐらいですか。
  31. 木村強

    木村政府委員 この場合に「国からの出資金を返還し、」という出資金の対象金額は、約三十四億というふうに理解をいたしております。
  32. 吉田治

    吉田(治)委員 もう時間がないので最後大臣にお聞きしたいのですけれども、昭和五十八年に文章として「民間法人化」というのが書かれ、平成三年の閣議決定では括弧書きになり、平成七年に至っては「自立化」になって、平成八年になっても「自立化」だ。  つまり、民間にすべて移行するのがいい悪いは別にしても、ずっと本来からして管制業務というのは民間法人化すべきだという政府方針が、それはさまざまな中で変わったとしても、行政改革という中において何かあくまでも郵政がこの機構をずっと機構のままであり続ける、しかも管制業務についてもそのまま中に入れる。こういう歴史的な変遷を見てきた場合に、本当に行革というものをこの通信放送機構に関してだけでも本気なのかな、十何年もたってようやく言ってきたことが、機構の中で自立化頑張ります。それなら何で平成七年にできなかったのだ、平成三年のときにできなかったのだ、もっと翻ってみたら、昭和五十八年のときにその自立化という文言をなくしても、自立化の原則に従えというのはできなくて、十四年もほったらかしなのか。  そういうふうな中において、いや、新たに研究開発予算つけるから審議をしろ、別にとめるつもりはございませんけれども、ちょっと考え方としては安易過ぎるし、なめた話じゃないかな。なめたというのは言い方がようございません、これは訂正させていただきます。ちょっといかがかと思いますけれども大臣、やはりこれだけ郵政というものが民営化ということで波にさらされた、よしあしは別でございます、結果も別でございますが、そういう担当大臣として、やはり通信放送機構の改革、つまり行政改革の中における対応というものが私はある意味で大変注目されているのじゃないかと思います。  もちろん、今度研究開発で、何でほかの省庁が参加しなかったのだとか実用システムのイメージだとか、中身の問題はあるとしても、やはり機構自身のこの問題というのは私はここで取り上げておきたかったことでありますので、大臣の方から、通信放送機構の改革についての取り組みというのですか、大臣からすると、一特殊法人という形でいいますと、お覚悟というほどのことでもないと思うのですね、その辺を最後答弁いただければと思います。
  33. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 吉田委員お答えをさせていただきます。  さっきからいろいろ御論議出ておりますが、御存じのように、昭和五十八年の時代はまだ世界全体に情報通信だとかあるいはマルチメディアという大きな日本を含めて世界の流れがなかったわけでございます。そういった意味情報通信分野というのは大変大事な分野でございますが、私は急速に増大をした分野だというふうに思っております。  そういった中で、高度情報通信社会構築に向けて、増大する行政分野に適切に対応するために、御存じのように、情報通信分野の総合的な政策支援を行うための唯一の認可法人でございます通信放送機構が有するノウハウ等を有効に活用することは、国民のためにとっても、国家のためにとっても、私は大変重要なことだというふうに思っております。  一方、認可法人でございますから、通信放送機構については、今先生るるお述べになったように、行政改革趣旨にのっとって、その業務等については合理化を図っていくことは必要だというふうに思っております。行政改革でございますか ら、簡素、効率、国民のためというのが私は行政改革基本だ、こういうように思っております。  そういった中で、今いろいろお話がございました、機構もこれまでも、業務を追加する場合であっても、人工衛星でございますが、管制業務合理化等により、全体として定員の肥大化につながらないように十分に配慮をしてきたことでございます。  今後も、高度情報通信社会構築に向けて、機構が有効に役割を果たせるように、また、今言いました行政改革に関する閣議決定趣旨にのっとって、その機能の充実に努めるとともに、管制業務経営自立化、今三十四億円の国の出資金を来年は返還する予定だということはあったわけでございますが、そういった定員削減等合理化活性化を進めてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  34. 吉田治

    吉田(治)委員 時間で終わりますけれども、まさに今大臣が言われた三十四億の出資金というのは、ここに集まっている人は何分の一か何百分の一か何千分の一かは税金という形で払っているわけですから、そういうことはよく御理解いただきたいと同時に、やはり大臣管制業務については、今言われたように行革という趣旨のもとにやっていただきたい、これは飽くなき要求でございます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  35. 坂上富男

    坂上委員長 石田勝之君。
  36. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 電気通信システム法について何点かお尋ねをいたします。  二十世紀、今世紀の初めは鉄道を敷くことが国家発展の基礎であって、その後、今世紀の半ばに来て自動車産業、道路をつくったり高速道路をつくったり、そういうふうなことが中心となって国家発展の基礎になった。  今こちらの永井委員とも話をしておったわけでありますが、車に乗ればカーナビゲーターで行き先を全部案内してくれる。道を知らなくても、車に乗って、はいそこを右に曲がれ、左に曲がれ、はい、その先を曲がれば目的地に着きますよというふうな形で行き先を案内してくれる。あるいは車からもちろん電話ができる、あるいは液晶テレビといって、私の車に載っていますが、厚さでニセンチぐらいですか、ほんの薄い厚さでテレビがよく見える。  私は三十年生まれですから、物心ついたときにテレビというのはあった。ところが、そのころのテレビというのは、大臣も御案内だろうと思いますが、真空管でできていまして、こんな厚くて、大体上下がぴらぴら行ったり来たりしましてそれをつまみで合わせて、なかなか合わないで、では今度はアンテナでもいじろうかなんといってアンテナいじったりして、まだだめだなんといって、では裏をあけて中の真空管をいじったりすると壊れてしまって、結局見られなくなってしまう。  そんなような時代を経ながら来まして、最近の液晶テレビだとかそういうもろもろのものを我々が実際に使ったりしておりまして、今も話をしておりましたけれども情報通信分野というか情報通信産業の発展というのは本当に大変目覚ましい著しい発展を遂げてきた、こういうふうに思うわけであります。  この大変な勢いで進みつつあるマルチメディア産業、例えば、自宅でパソコンを打ったり、あるいはテレビ受像画だとか移動電話だとか、そこにいながらにして外部と接触ができてさまざまなことができる、そのうち買い物も実際に買い物に行かなくてもできるというふうな時代に近い将来なるであろうというふうに思っているわけであります。  しかしながら、何ぼ性能のいい自動車をつくっても道がなければ走れない、あるいは時速何百キロも出る電車をつくってもレールがなければ走れない。これと同じように、これからの情報通信の時代、システムの時代というのは、光ファイバーを使ったインフォメーションハイウェーがなければ、これまた実際にそういう今申し上げたようなさまざまな時代のニーズにこたえていくことができないということになるわけであります。  情報通信産業が二十一世紀を支える産業であるという認識は、これは万国共通の認識であろう、そういうふうに思っておりまして、この高度情報通信社会構築していく上でこの問題については喫緊の課題であるというふうに思っているわけであります。  そこで質問に入りますが、この特定電気通信システム関連に関する関係資料の中で、法案の第一の目的、この法律は、情報通信分野研究開発推進することによって、「高度情報通信社会構築に資することを目的とする。」こういうふうにあるわけであります。  これは、これまでの縦割り行政の中でむだや重複した分野がかなりある、それらの合理化を行うことによって物理的かつ時間的な余裕が出てくる、そう思うわけでありますが、非常に抽象的な書き方で「高度情報通信社会構築に資することを目的とする。」と書いてあるのですが、郵政省が描いている高度情報通信社会構築というのは具体的にどういうことなのか、どのような社会なのか、これは大臣の方から伺うのがあれかなと思いまして、ちょっとその点郵政省の考えを教えていただきたい。
  37. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 石田委員お答えをいたします。  高度情報通信社会というのはどういう社会かというのはある意味で大変難しい質問でございますが、高度情報通信社会とは、やはり情報、知識の自由な創造、そういったものが流通をしていく、そしてみんなでシェアをするといいますか共有化をする、そういったことを実現する社会経済システムではないかというふうに考えております。  こうした社会について具体的なイメージを申し上げろ、なかなか難しいわけでございますが、産業経済面では、まさに情報通信が、御存じのように、産業日本国においても産業別の民間設備投資、昨年は四兆九千億だったと思いますが、電力業界を抜いて一位になったということでございまして、今先生指摘のとおり、世界じゅうでまさにリーディング産業の創出及び新規事業の創出によるいわゆる経済フロンティアの拡大、あるいは廉価な通信サービスによる高コスト構造の是正が実現するということは可能性としてあると思っております。  また、国民生活面では、テレワーク、これはテレワークによるゆとりの拡大、今テレワークは実験をいたしておりますが、会社あるいは企業まで通勤しなくていい、近くで働けるということで、本当に通勤の疲労から解放される、そういったメリットもあるわけでございます。また、特に女性の場合には、テレワーク、そういったことになりますと、近くに通勤できますから、子育てについても大変いい、女性の雇用の確保にも役立つ、こういったこともあるわけでございます。  また、遠隔教育遠隔医療、これは御存じのように、遠隔教育によっては知的活動の広がりを通じた自己の実現、あるいは遠隔医療によりましては、僻地におりましても、まさに光ファイバー等々で情報が結べる、本当に中核病院の医師がすぐ診断できる、まさに人の命を救えることになるわけでございますから、具体的にはそういった社会かなというふうに私は思っております。  また、一点、低軌道の周回衛星、LEOと申しまして、LEOの端末と携帯医療機器とを組み合わせれば、心臓の悪い患者さん、実はモニターしておりますけれども世界じゅうどこに行きましても、東京なら東京の病院のお医者さんのモニターにモニタリングできるというふうなことも今技術開発しておりますが、こういったことも可能になるわけでございます。また、インターネットの効用につきましても、今さっきほかの委員からも質問があったわけでございますが、世界じゅうの人々との大変な広がり、つながりができてくるわけでございます。  それからもう一点、実は今、福島県で全村にテレビ電話を設置したモデル実験でございますが、過疎地においてそういったことがございます。これは大変福祉や子育ての支援に、その村の中に全 戸にテレビ電話を置いておりますから、実は非常に好評でございまして、福祉や子育てに活用するなど、住民の福祉に非常に貢献しているということもございます。  大変まとまらないような話でございますが、私は、高度情報通信社会について、イメージとしてはそういったイメージを持たせていただいております。
  38. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 大臣から御丁寧に御答弁をいただきましたが、要するに、先ほどもアメリカNGI構想ですか、木村局長と何かやりとりしておりました。  これは九四年にアメリカ情報スーパーハイウエー構想というのが、西暦二〇〇〇年までに国内のすべての学校あるいは病院、それから診療所とか図書館とか、それを情報スーパーハイウエーでつなごう、コンピューターネットワークで接続しよう、こういう大規模構想があると聞いております。NII構想というのですか、そういうことで、これは今大臣からもお話があったように、さまざまなサービスを創出することになるわけでありますが、これは民間企業においても少なからず刺激を与えることになるわけであります。それで、日本における民間企業の現況あるいは民間企業が今どのぐらい光ファイバー化しているのか、お聞かせをいただきたいと思います。  それと、私もこの質問をするに当たってちょっと勉強させていただきましたが、東南アジアのマレーシアとかあるいはシンガポール、あるいは韓国あるいはヨーロッパ、ECのTEN構想等々、各国の国家プロジェクトにおいて情報通信分野研究開発に特にこれらの国々が積極的に取り組んでいる、こういうふうに聞いておりますが、その状況についてお聞きしたいのと、今特に、日本も含めてアジア諸国が大変な不況下にあるのは御案内のとおりであります。そういう現下の景気の落ち込みの中で、これらのプロジェクトに与える影響はどうなっているのか。マレーシアとかシンガポールとか韓国で結構ですから、アジアの今の経済状況をかんがみて、どんな状況であるのかもあわせてお尋ねをしたいと思います。
  39. 木村強

    木村政府委員 お答えいたします。  民間分野におきます我が国情報通信基盤整備の現況についてでありますが、まず、光ファイバー網ということでございますが、これは私ども二十一世紀を支える基盤的社会資本であると認識をいたしておりまして、政府といたしましても、二〇一〇年までの整備完了を目指し、民間事業者への立ち上がりの支援ということで各種支援を行ってまいりました。一九九六年度末で全国のおおむね一六%の地域をカバーするということで、ひとまずの計画につきましてはおおむね順調に整備が進んでいるのではないかと評価をいたしております。  また、昨年十一月の政府の経済対策におきましては、この光ファイバー網整備計画を五年間前倒しをしようということで、二〇〇五年への前倒しに向けてできるだけ早期に実現できるように努力する旨が盛り込まれたところであります。こういった情報通信基盤整備の加速化と申しますか、こういうことがやはり必要だという情勢認識に変わっております。  それから、交換機等のデジタル化の率につきましては、昨年十二月に既に一〇〇%を達成しておるということで、光ファイバーの整備率あるいはデジタル化の率というのは、アメリカに比較いたしましても負けていないというふうな認識でございます。  それから、携帯電話、PHS等の移動電話の普及状況につきましては、加入数につきましては平成九年六月に、先生御案内だと思いますが、三千万加入を突破いたしました。その後、平成十年二月末現在では約三千七百二十万加入、人口当たりの普及率が二九・四%ということで、伸びを著しくいたしております。  それから、近年急速な普及を見せておりますインターネットの利用環境につきましては、平成十年一月末につきまして、ホスト数は約百十七万台ということで、過去五年間の伸び率は約五十倍ということで、伸び率の面ではインターネットというものが非常に顕著であるというふうに認識をいたしております。  それから、放送の普及状況につきましては、CATVにつきましては、平成九年三月末現在で普及世帯数は五百万世帯、世帯普及率は一一・二%となっております。このCATVにつきましては当然アメリカの方が諸事情から普及は高いわけであります。今後も、ケーブルテレビ事業者によります積極的な事業展開を促進するための規制緩和、財政金融支援策等を果敢に行ってまいりたいというふうに考えております。  今申し上げましたCATVにつきましてはアメリカが普及率が高いのですが、衛星放送につきましては、平成九年三月末現在、普及世帯数は八百五十三万世帯、世帯普及率は二一・三%ということで、かなり普及をいたしておりまして、アメリカの約五%ということと比べますと、日本の衛星放送世帯普及率は非常に高いということであります。申しおくれましたが、もちろん、国情の違い等で、CATV普及率は米国は六六%までいっておる、我々は一一%だということで、放送関係でもCATVよりもむしろ衛星放送我が国は格段に普及しておるということであります。  こういった主なインフラの状況でありますけれども、官民の力を合わせて、やはり基盤になるものでありますから、そういった認識のもとに強力な基盤づくりに今後とも努力してまいりたいと考えております。  それから、先生質問の後半にございました諸外国の状況であります。  米国のNII構想、それから欧州のTEN構想、それから、それ以外にも東南アジア等の方におきますマレーシアのマルチメディア・スーパー・コリドー計画、あるいはシンガポールにおきますシンガポール・ワン計画、それから韓国におきます超高速情報通信構築計画といったような計画推進されております。  特にアジア諸国の今先生から御指摘のありましたマレーシア、シンガポール、さらには韓国等におきます最近の通貨危機に伴うこのプロジェクトに対する影響でありますけれども、マレーシアにつきましては、通貨危機発生に伴いまして、大型プロジェクトの延期や歳出削減等の措置を打ち出してはおりますけれども、このマルチメディア・スーパー・コリドー計画につきましては、長期的な成長にかかわる重要プロジェクトと位置づけまして、計画どおり推進されることとなったというふうに現地の新聞報道で伝えておるという状況を把握いたしております。  それから、シンガポールにつきましては、通貨危機の影響は比較的軽微であり、IT二〇〇〇、シンガポール・ワン計画は変更なく進められると見られているという大使館等の情報でございます。  それから、さらに韓国につきましても、政府予算の削減が行われておりますけれども、現時点では、先ほど申し上げました超高速情報通信構築計画自体についてこれを見直そうとする動きは出ていないという情報を把握いたしております。  いずれにいたしましても、景気後退の状況の中にはありますけれども、この情報通信というものは、むしろその景気を下支えし、あるいはこれから引き上げていく分野だという認識は、今申し上げました諸外国にも行き渡っておるのではないかというふうに理解をいたしております。
  40. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今御答弁にありましたように、不況下の中でも各国はこれは重点施策としてやっていこう、日本においてもこういう情報通信システム、こういう政策を新社会資本整備ということで重点的にやっていくことが二十一世紀へ向けての大きな基盤づくりにつながっていくものだろう、私はそういうふうに思うわけであります。  そこで、日本は衛星放送の普及率はアメリカ等とも比較しても高いというふうな御答弁もあったわけでありますが、要するに、この電気通信システムをきちっとしてやっていくには、何省が何省 がということでなくて、各省の縦割りということではなくて、政府一体となって進めていかなければいけないことではないか。  郵政省からいただいた、例えば、運輸省で申請手続電子化システムとか、あるいは農水省の広域農業水利システムとか、あるいは移動制約者支援システムとか、いろいろ例が出されているわけでありますが、私は、こういう政府が一体となった取り組みが不可欠であろうというふうに思うわけであります。  それでお尋ねをしますが、郵政省、文部省、農林省、運輸省、この法案ではこの四つの省の共同事業だということでありますが、郵政省がこれまで各省とどういう連携を進めてきたのか、施策の概要について伺いたいと思います。  何で文部省と農水省と運輸省なのか、なぜ通産省が入っていないのかなというふうに率直に疑問に思うわけでありますが、そういう郵政省としての役割をどうやって果たしていくのか、具体的に伺いたいと思うわけでありまして、私は、もっと広い範囲研究開発を行えるようにすべきだったのではないかなというふうに思うわけであります。  それとともに、今回の場合は約七億円弱の研究費がついているわけであります。それで、先ほども言ったように、例えば、こういうところに座っていて、アナログとデジタルの違いってわかるとほかの議員に聞いて、うん、そうだなあと、まず大体こうなる人がほとんど、八、九割ですよ。私も、ではアナログとデジタルの違いを簡潔に説明しろといったら、そんな簡単にはできない。そのぐらいこの電気システムについては一般の国民にはわかっていないというか、理解がまだまだされていないところだろうと私は思うのです。  そういうことですから、その研究費がどうやって使われていくのかということも、アナログとデジタルの違いもわからないわけだから、研究費がどうやって使われていくのかということ自体もわからない。私は、そういうものをきちっとした中で、研究費はこういうふうに使われますよ、今回七億円弱の研究費がこの予算の中に計上されているわけでありますが、一般国民にしてみたら、わからない分野であればこそ、余計、研究費はこういうふうな形で使ってこういうふうな波及効果が出てくるのです、研究費はこれからここまでで、民間はこれだけやるのです、民間の支援はこれだけやるのですというふうなきちっとした構想をやはり国民の前に明らかにすべきだろうというふうにも思うわけであります。  ちょっと何点か質問をいたしましたけれども、御答弁をいただきたいと思います。
  41. 木村強

    木村政府委員 先生指摘のございました各省との連携の施策であります。特に、平成八年度の夏でございますから、平成九年度予算に向けまして、この連携というものが非常に私ども、総理等の指示等もございまして、熱心に取り組もうという体制ができてまいりました。  もともと情報通信と申しますのは、各省庁がそれぞれの立場でこれを立ち上げていくということが日本高度情報通信社会構築に資するということでありますから、情報通信郵政省の専管であるというよりも、むしろ各省がそれぞれの分野で大いにアプリケーション等をやっていただければこれは立ち上がる、基本的にはそういう認識を持っております。  そういう認識の中で、私どもといたしまして、特に平成九年度の段階につきましては、マルチメディア・パイロットタウン構想ということで、文部省と連携をいたしまして、大学キャンパスの情報化に関するプロジェクトを立ち上げました。それから、農林水産省とは農村CATVのマルチメディア化に関するプロジェクト、建設省とは住宅の情報化等に関するプロジェクトということで立ち上げました、これはマルチメディア・パイロットタウン構想。  同じ時期に、通産省とも連携をいたしまして、先進的情報通信システムモデル都市構築事業というものも施策を立ち上げて、現実にも実施をいたしております。  ITSのモデル地区実験構想などにつきましても、通産省ともモデル地域を指定いたしましてフィージビリティースタディーを行っておるということで、通産省等も含めまして、それぞれの研究開発内容等に応じて必要な連携について積極的に取り組んできたということでございます。  今回御審議いただいております法案につきましては、これは通放機構の持ちます通信放送汎用技術の上に立って、それぞれの省が持っております教育支援であるとかあるいは広域農業水利システムであるとか、そういったものを上に乗っけて、全体として一体的な新しい研究開発の成果をシステムとして取り入れよう、そういう中身でありまして、研究開発がそれぞれの行政目的に合ったシステムとして一体化をしていくということについてはやはり一緒に研究をした方がいいだろうということで、私どものそういった話しかけとそれぞれの役所のニーズが合致をした。しかも、財政事情は非常に厳しい中でありますけれども、こういった形でやることが二重投資等のむだも省き、前進をする分野であるという認識をして、各省が共同で予算要求をして成立をしたということで、現在その法案審議をお願いいただける段階になったということであります。  通信放送機構に各省が乗ってくるということはかつてない取り組みでございまして、たったの四省庁あるいは三省庁ということでございますけれども、私どもとしては、こういう体制がむしろ政府内の一体化を進めるものであろうという認識でこれからも一歩一歩頑張ってまいりたい、このように考えております。
  42. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 ちょっと御答弁にありませんでしたが、要するに、先ほども言ったように、デジタルとアナログの違いも、正直言って、ここにいる諸先生方も、どうぞ、それでは説明してくれと言ったら、ばっぱっと説明できる人は私は何人もいないと思うのですよ。だから、それと同じように、一般の国民というのはもっとわからない方が多いので、そういう研究費の使い方、あるいは、それでは国で、公共でここまでやる、民間でこういうふうにここまでやるというふうな形できっちりそういうものが説明できませんと、たしか前の質問にもあったように、行政がそこまで関与していいものかどうかという問題等々も絡んでくるのだろうというふうにも思いますので、その点を御指摘をしておきたいと思うわけであります。  今回、七億円弱の研究費ということでありますが、これが恐らく三カ年でやると三十億ぐらいの研究費になってくるのだろう。それに対して、民間ではどこまでやるのか、ついてはどれだけの波及効果が出てくるのかということを郵政省においてもきちっと説明できるようにしておくべきだろうというふうに指摘をしておきます。  文部省に来ていただきましたので、ちょっと時間がありませんから急いで質問をいたしますが、三月の二十九日の朝刊で、全部の小中高等学校、全部で四万校ぐらいありますね。そこを光ファイバーで結んで遠隔授業などに利用する学校情報ハイウエー構想なるものが新聞に出ておりました。  情報通信に子供のころから触れさせることは大変よいことだろうと思いますが、現在の教育分野情報化の現状と展望について何点かお尋ねをしたいと思います。  まず一点は、四万校のうち、パソコンの整備はいつまでに完了するのか、それからインターネットの接続はどうなっているのか、現状について伺いたいと思います。  それから、時間がありませんから続けてお尋ねをしますが、光ファイバーの、特に学校等々の光ファイバーの整備に当たる電気通信業界では、光ファイバーを敷設しても、設備の維持管理、メンテナンスがかさむケースが多い、ですから実際の利用が余り進まないのじゃないかという指摘がありますけれども、この点どう考えているのか。  これらの点について、これは文部省の所管でありますが、どういうふうに支援をしていこうと考 えているのか、その二点についてお尋ねをしたいと思います。
  43. 河村潤子

    河村説明員 お答え申し上げます。  まず、学校におけるコンピューターの整備状況でございますけれども、私ども平成九年三月現在の公立の学校についてのデータを持っておりまして、小学校の場合は九〇・七%、これは一校当たり平均八・五台が今入っております。それから、中学校のコンピューター整備率は九九・八%、台数としましては今平均二十五・三台が入っております。高校の場合は、今一〇〇%、いずれの学校にもコンピューターはございます。一校当たりの平均が六十六・六台。また、特殊教育学校では九八・七%で、整備台数としましては十・〇台、こういうことになっております。  この整備計画でございますが、現在、平成六年度から十一年度までのおおむね六年間によりまして、すべての小学校に関しまして、小学校では現在平均八・五台になっているわけですが、一校当たり二十二台、それから中学校、高等学校では一校当たり四十二台を基準といたします整備計画が進んでおりまして、この計画で、今、半ば、三年度を終わったときの段階で申しますとへおおむね六割方の整備率ということになっております。  それから、インターネットへの接続状況でございますが、これは、昨年、平成九年五月現在のデータで、小学校、公立てございますが七・三%、中学校の場合は一二・五%、高校が一七・三%、特殊教育学校が一一・二%でございまして、一年前の数字でございますけれども、全体の平均では九・八%ということでございます。  現在の私ども計画といたしましては、中学校、高校、それから特殊教育学校につきましては平成十三年度まで、それから小学校については平成十五年度までに、すべての学校、約四万校になりますけれどもインターネットへの接続を整備したいというふうに考えておりまして、そのためのさまざまな経費、通信料等につきまして地方交付税での措置を計画いたしているところでございます。  一方、お話のございました光ファイバーの敷設についてでございますけれども情報教育に係る環境がこういった形で整備されていくことは望ましいと存じますけれども、その利用環境の整備に関しまして、さまざまな料金負担の問題等については大変大きな課題というふうに考えておりまして、この点につきましては、例えば郵政省と共同では、教育分野におけるインターネットの活用促進に関する懇談会といったところでのさまざまな利用環境整備に係る問題点の検討を行っているところでございますし、そのほか、地方の財政措置が必要なものにつきましては、また今後関係省庁と十分協議をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  44. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 時間が参りましたので、終わります。
  45. 坂上富男

  46. 松浪健四郎

    ○松浪委員 自由党の松浪健四郎でございます。  私は、もともとスポーツ人類学という学問を専らとしておりましたけれども、古代社会の中にあって人間がなぜこの地球を支配することができるようになったのかというのは、実は、人間には、ヒトには投石本能というものがありました。ヒトしか石を投げないということであります。それによって狩猟をすることができました。  結局は、より速く、より遠くへ、より正確に、よりダメージのある物を投げる、石を投げることから、やりを投げ、そして弓矢の時代になり、鉄砲の時代になり、そしてミサイルから、現在の光ファイバーあるいは衛星、これらのより早く届けなければいけないということに対して、時代の流れ、そしてここまで我々の社会が進んでいるということを認識されるわけでありまして、その意味におきましては、この周辺の法整備がきちんとされなければならない、こういうふうに思うわけであります。  それで、特定公共通信システム開発関連法案について幾つかお尋ねしたいのですが、とりわけ通信放送機構のあり方について質疑をさせていただきたい、こういうふうに思います。  この法案はなぜ新規立法とする必要があったのか、その意義と目的がちょっと理解しにくいわけですね。  新規事業として、認可法人である通信放送機構の施設等を利用し、一つには教育支援システム、あるいは広域農業水利システムまたは電子内容証明郵便等の申請手続電子化システム等を開発研究するというような法案でありますが、これは、別に新規立法をわざわざ設けなくても、通信放送機構法の一部改正でできないことではないのではないか、こういうふうに思うわけです。現に、通信放送機構法でさまざまな業務、直轄研究、委託研究、公募研究が行われているわけです。  そこで、通信放送機構法の第一条「目的」のところを読んでみますと、これでも不都合はない。例えば、これを最初から読みますと長くなりますけれども、真ん中部分ですね、「並びに高度通信放送研究開発実施業務」、「並びに」とありますが、この辺を整理して、その次に、今回目的とする特定公共電気通信システム、これを挿入することで目的が達成できると私は思います。  通信放送機構法の一部改正で全くできないという理由をまず大臣にお尋ねしたいと思います。
  47. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 松浪委員お答えをさせていただきます。  先生御存じのように、通信放送機構は、宇宙における無線通信の普及発達と電波の有効利用、また、通信放送技術の向上を目的とした法人でございます。  今回追加しようという業務は、今先生も述べられましたように、公共電気通信システム開発を促進するための通信放送技術を基礎として、教育等の他分野技術に関する研究開発を一体的に行うものであります。  したがって、通信放送技術の向上を目的とする機構の性格を維持しつつ、追加業務実施させることが適当だというふうに判断をしたわけでございます。  このため、今回の追加業務については、通信放送機構法の目的の改正によるのではなく、今先生四つ電気通信システムについていろいろ具体的に述べられたわけでございますけれども、そういった業務通信放送機構法とは別法として、別の法律として位置づけることが適当ではないか、目的はそのままで特例的に業務を追加する、そういった法律改正が適当ではないか、そういうことでやらせていただいたわけでございますから、御理解をいただければと思います。
  48. 松浪健四郎

    ○松浪委員 今回の開発研究システムの中でも、教育支援システム、また電子内容証明郵便は、民間企業のNECであるとか三菱電機等でも研究されています。現行では技術開発の格差はあると言われているわけですけれども、しかし、技術格差があるから、民間企業技術開発を促進するために委託研究することも可能であると思うわけです。それをあえて「定義」の二条の五項に「郵便物の特殊取扱を実施するための機能」と入れたのはなぜか、その他の研究民間企業に任せてよかった分野ではないのか、こういうふうに思うわけです。なぜ特定公共として新規立法する必要があったのか、お尋ねしたいと思います。
  49. 木村強

    木村政府委員 お答えをいたします。  先生指摘ございましたように、今回の研究開発システムと申し上げますのは、教育支援システムであるとか広域農業水利システムであるとか、公共性を有する業務の利便性を効果的に高める電気通信システム開発に必要な技術研究開発だということであります。  必ずしも民間でできない分野ではありませんけれども、こういった公共分野の具体的な通信放送汎用技術というもの、私ども通信放送機構が有しますノウハウあるいはこれからの展望、それから各省庁がその上に乗っけようというアプリケーションにつきまして、民間等を含めて、どういうところにと議論をいたしました結果、今回はこういう形で統一的に通信放送機構を通じて やった方がいいんだ。事実、今回のこういったシステムについては、これまで結構取り残されてきた分野であります。  例えば、電子商取引等につきましては、通産省、郵政省それぞれが、こういった通信放送機構を通じてという形ではなくて、もう二、三年前から既にそれぞれが行っております。もし今からやるんだとなれば、例えば通産省との連携だって今回は考えられたのではないかというふうに思っておりますけれども、私どもとして、こういうタイミングでということで、政府方針に従って、各省庁と話し合ってこういう形になったということで、特に今の時点で、今回の中身につきましては、民間でやることがなかなか難しいという状況の判断の上に立ったものでございます。
  50. 松浪健四郎

    ○松浪委員 今局長お話を聞いていますと、理解しにくい面もあって、何となく機構の形態がえによる生き長らえ方策というふうな印象をも受けました。  ところで、この法案は、省庁間の垣根を越え、今も局長からお話がありましたけれども、共同連携して研究開発を行い、その成果を相互に利用するためのプロジェクトです。そのために、平成十年度予算策定に当たって、ちょうど概算要求の時点でありましたけれども平成九年七月三十日に、総理指示として、環境、科学技術情報通信等経済構造改革特別調整措置として、このようにあります。   省庁間の連絡協議を密にして、各省庁が共同・連携したプロジェクト構築すること。その際、共同・連携プロジェクトとは単に同一テーマを複数官庁が実施するのではなく、例えば共同・連携して行う研究の成果を省庁間で相互利用するなど、省庁間の壁を越えた効果的な施策を構築することが望まれる。こうあるのですね。  ところが、電子商取引をめぐる三省の関係では、郵政省、大蔵省、通産省が個別に研究開発しています。こうした研究開発は、なぜ特定公共として大蔵省、通産省の電子商取引研究開発が今回の法案に入らなかったのか、お伺いしたいのです。この研究分野では、総理指示のまとめ役がたしか郵政省ではなかったのですか。
  51. 木村強

    木村政府委員 先生ただいま御紹介を賜りました総理指示の考え方につきましては、政府各省に及ぶものだというふうに考えております。  私どもは、今回の研究開発につきましては、そのベースが通信放送技術にある、その上に各省が有します公共アプリケーションを加えて、システムとしてそれぞれの行政情報を活用した形で応用ができる、こういう前提に立って、各省庁と協議を始めたということでございます。  電子商取引につきましては、こういった体制のできる以前に、それぞれの役所が、例えば郵政省でございますと、やはり電子商取引に不可欠な要素でございます本人確認、認証の問題であるとか改ざん防止技術であるとか、その時々のレベルで取り組んでまいっております。  そういったものを集めて、これからはそれを統一化して、政府全体のものとしてやろうということで、高度情報通信社会推進本部の中に電子商取引に関する作業部会等も設けて、これは各省が本当に一緒になって官邸の中で議論をしておるという体制でございまして、そういう面では、郵政省郵政大臣を副本部長にいただいておりますので、リーダーシップを発揮してやってまいろうということでございます。  今回の研究開発についての法案提案につきましては、現時点で初めてスタートする中身につきまして、民間ではなかなかし切れない、この際一気にやろうということで、情報化の進展にとってふさわしいということでこのような法案の提出をさせていただいたということでございます。
  52. 松浪健四郎

    ○松浪委員 その総理指示、これが余り生きていないなという気がしました。  次に、通信放送機構についてお伺いいたします。  通信放送機構は、閣議決定民間法人化するよう行政改革実施方針が示されているにもかかわらず、過去十年以上その閣議に反している。最近では業務拡大を図り、通信放送の公共性を冠として生き長らえてきています。機構全体として民間法人化にどのように取り組んできたのか、また、現在どのように取り組んでいるのか、お伺いしたいと思います。  そこで、昭和五十九年一月二十五日の閣議決定を読みますと、このようにあります。「通信放送衛星機構については、宇宙通信政策や公衆電気通信事業等の今後の推移及び利用者保護にも配意しつつ、民間資金の円滑な導入等経営基盤の安定化等を図り、民間法人化するための条件整備を進める。」  また、平成元年一月二十四日の閣議決定にはこのようにあります。「通信放送衛星機構及び中央職業能力開発協会についても、引き続き、民間法人化に向けた条件整備推進する。」  また、平成三年十二月二十八日にはこのように閣議決定されております。「通信放送の基盤整備、高度化等に向けた政策支援業務役割の増大に対応し、通信放送衛星機構の名称及び目的を整序し、通信放送機構に改組するとともに、同機構管制業務について、既往方針を踏まえ、平成七年度を目途として経営自立化民間法人化)の実現のための具体的方策について結論を得ることとし、これに基づき早期に実施する。」  そして、平成八年十二月二十五日の閣議決定にはこのようにございます。「通信放送機構については、管制業務について、平成十一年度に国からの出資金を返還し、経営自立化実施する。」  特に、平成三年十二月二十八日の閣議決定では、平成七年度と期限をつけて民間法人化と閣議決定されています。これがなぜ実現できず、今日まで野放しで来たのか。結果的には延命策ではなかったのか、そういうふうな気がするわけでございますけれども、この閣議決定等についてお尋ねしたいと思います。
  53. 木村強

    木村政府委員 通信放送機構は、当初、衛星管制業務を行うために通信放送衛星機構として昭和五十四年に設立をされたというものでございます。その四年後の臨時行政調査会の最終答申におきまして、先生指摘ございましたように、通信放送衛星機構について、「自立化の原則に従い民間法人化する。」と指摘されております。  その後、高度情報化社会の構築に向けまして、増大する行政需要に適切に対応するため、平成三年には、十二月の閣議決定のときでありますけれども、「通信放送の基盤整備、高度化等に向けた政策支援業務役割の増大に対応し、通信放送衛星機構の名称及び目的を整序し、通信放送機構に改組する」ということでございました。  一方、私ども民間法人化することとされました管制業務につきましては、そのための条件整備というものを進めておりましたけれども先生今御指摘ございましたように、何度か御議論がありました。そのたびに政府としては意識統一をして内容について深めてきております。  一九九一年、平成三年の話につきましては、平成七年度を目途として結論を得るという具体的な時期が明示をされました。それに従いまして、平成八年十二月の閣議決定につきましては、具体的に「平成十一年度に国からの出資金を返還し、経営自立化実施する。」とされたところであります。  私ども立場といたしましては、この閣議決定に従いまして所要の制度改正等の準備を進めて着実に実施をしたい、経営自立化のための方策を実現したい、このように考えておるところでございます。
  54. 松浪健四郎

    ○松浪委員 今局長からお話がありましたけれども平成十一年度を目指して国の出資金三十四億円を返還することで衛星の管制部門は民間法人化するということですけれども、管制官約六十人とその管制業務通信放送機構が引き継ぐというのでは、これは人も減らない、業務の縮小にもつながらないのでは、十年以上の閣議決定意味があったのかなかったのか、これは閣議決定の軽視 になるのではないのか、そういう気がするのですけれども、これについてはいかがですか。
  55. 木村強

    木村政府委員 平成八年十二月二十五日の閣議決定内容につきましては、「管制業務について、平成十一年度に国からの出資金を返還し、経営自立化実施する。」ということでございまして、この閣議決定内容と申し上げますのは、管制業務部門について経営自立化、その一番大きな柱は国からの出資金の返還でございますけれども、これを確実になし遂げるということであろうというふうに私ども考えております。  なお、その後は通信放送機構の中で管制業務自立化をして、国の補助金はなし、あるいは国の出資金はなしという衛星勘定の中で仕事が行われるわけでありますけれども、これが即民間法人化となるかどうかということにつきましては、その時点での衛星管制を取り巻く諸情勢を判断して検討しなければいけないというふうに考えております。  衛星の管制につきましては、BS4といいますか、これから打ち上げます放送衛星関係の衛星などにつきましては非常にコントロールが難しく、専門化をしておるという部分もございます。それから、国際間の周波数調整の結果打ち上げるということになりますので、ある意味ではこういった管制業務を行うところも民間から離れた中立的なところがいいのではないかといったような議論、それから今現実に衛星管制を通信放送機構に委託をしておりますユーザーの皆様方通信放送機構でいいのではないかというような意見等もございまして、私は直ちに経営自立化民間法人化ということではなかろうと思いますが、もちろんそういうことがいいという判断になることもございます。  諸情勢を勘案して、全体の趣旨というものを踏まえながら、私どもとしてはその時々に適切な手を打ってまいりたい、このように考えております。とりあえずは経営自立化を確実になし遂げるということだと考えております。
  56. 松浪健四郎

    ○松浪委員 いずれにいたしましても、これだけ再三再四閣議決定で民営化、民営化ということでやったわけですが、ここまで来てしまいました。  内閣法を読んだときに、第六条「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」というふうにあるわけですから、閣議決定というのは法的拘束力はないにつけても、その内閣の最高意思決定機関である。その決定を不履行にすることは、これは許されない。郵政大臣は内閣の意思決定に今まで背いてきたことになるのではないのか。今局長答弁をお聞きしておりますと、時代の推移、研究開発状況、その時々の状況等はあるとはいえ、郵政大臣リーダーシップを発揮されて、そして推進されてこなかったというようなところがあるのではないのか、そういう気がするわけですが、大臣、いかがですか。
  57. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 お答えをいたします。  行政改革の目的は、簡素で、効率的で、国民のためだというのが行政改革基本だと私は思います。  そういった中で、この通信放送機構、創立当時は通信放送衛星機構というのができたわけでございまして、当然、人工衛星の管制という専門的な業務があったわけでございます。それから、今お話がございましたように、情報通信というのは、日本のみならず各国で情報通信技術開発ということの重要性が大変叫ばれて、多分、昔の人は、これほど情報通信が大事なものになるというふうに以前は予想できなかったと私は思うわけでございますが、御存じのように、情報通信の基盤をなす技術研究開発が大変重要になってきたわけでございますね。  そういった中で、今ずっと内閣からいろいろな話をいただいておるわけでございますが、民間法人化するということはどういうことかということを私もちょっと勉強してみました。  これは臨時行政調査会の最終答申でございますが、民間法人化の定義というのがございまして、民間法人化するということはどういうことかと申しますと、「国又はこれに準ずるものの出資が制度上及び実態上ないもの」ということが第一番目の要件でございます。今局長からも、衛星の管制の部分のところでございますが、その管制業務については平成十一年度、来年度でございますが、国の出資金を返還し、経営自立化実施するということであったわけでございますから、何も改善を怠っていたというわけではなくて、今申しましたように、出資金を返還するということでございますから、それはそれなりの一定の改革があるというふうに私は思っております。
  58. 松浪健四郎

    ○松浪委員 通信放送機構郵政省から出向している人数は、現在、四十三名と言われています。職員百五名のうち四十三名というのは四一%に達します。この人数はちょっと異常ではないのか。郵政省のお役人さんに牛耳られている通信放送機構となっているのではないのか。他省庁には類例を見ないほど出向者数が多過ぎる、これは改善すべきではないのか、またそうしないことにはどうも変な印象を与える、そういう気がしますが、局長、いかがですか。
  59. 木村強

    木村政府委員 先生指摘のとおり、今の数字だけを一見してみますと、確かに先生が御印象を持たれたようなことかもわかりません。しかし、私どもといたしましてはへ特にこの通信放送機構という仕事の中身といいますのは、情報通信の高度化等の政策支援、あるいは研究開発という業務の特性がまずある、極めて専門性の高い分野である、それから技術革新が非常に激しい分野であるといったようなことで、この業務を行うに当たりましては、情報通信分野行政に精通した人材が必要であるということでこのような形になっているわけでございます。だからといって、最後までこういう形がいいのかどうか、やはり人材の育成というのは情報通信にとって欠かせない大きなファクターでございますから、そういう点も視野に入れて取り組んでまいりたい、このように考えております。
  60. 松浪健四郎

    ○松浪委員 最後に、この通信放送機構研究評価、そして研究終了後の措置の方針、これらについてお尋ねしたいのです。  ここの直轄研究であるとかもろもろの研究を拝見させていただきますと、物すごく立派で、そして業績が上がっておるというようなもの、あるいは想像できなかった以上のことが研究できているというようなものがあるのですけれども、その研究業績についてちょっとお尋ねしてよろしいですか。
  61. 木村強

    木村政府委員 先生指摘ございましたように、この通信放送機構では、現在、六つの研究を主としていたしております。いわゆる直轄研究分野、あるいは委託研究、公募研究分野、それから成果展開の分野、ベンチャー助成の分野、それから高齢者、障害者の方々の助成に対する研究分野、こういうことで、いずれも評価委員会などの設置をして、研究の開始、中間あるいは終了時点で評価をしながら行っておるということで、これまで、学会の発表件数は二百六十件ということでございます。  子細に申し上げますと個別のテーマがたくさんございますので、今先生お褒めいただいたように、たくさんあるということでありましたけれども、本当に最近になってこのようなものが続々と出てまいりました。まだ特許が取れたという段階にまでは至っておりませんけれども、これから本当に楽しみな花開く分野ということで、国あるいは通信放送機構の行いますこういった研究開発分野というものは期待されている分野だという気持ちでこれからも取り組んでまいりたいと考えております。
  62. 松浪健四郎

    ○松浪委員 とにかく成果を上げてきておる。問題は、たくさんの特許をとる、そうしたらば、そこから収益を上げることが可能になるのではないのか。衛星管制業務民間に委託する、またハイビジョン放送事業は既にNHK及び民間九チャンネルに有償で貸与している、このように収益性の高い業務内容に改善することで実は民営化への実 現は可能ではないのか、あくまでもそのような方向で努力していただきたいということをお願い申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  63. 坂上富男

    坂上委員長 矢島恒夫君。
  64. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今回提出されております法案によりますと、第二条の定義のところ、それから第四条ではその研究開発業務、読んでみますと、この特定公共電気通信システムのうちの六種類のもの、これを研究開発するということになっておりますが、まず最初に、基本的なことなのですけれども、なぜ六種類なのかということをお尋ねしたいわけです。  といいますのは、例えば申請の問題、各官庁まで行かずに事業所だとか自宅から端末を使って申請できるシステムどもありますけれども、それは別に運輸や無線局だけの問題ではなくて、他の官庁の申請もいろいろあるわけですし、共同研究開発すべきシステムは多分ほかにもいろいろあると思うのですが、この六種類に限定した理由を教えていただきたい。
  65. 木村強

    木村政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘いただきましたように、公共性を有する業務情報化公共分野情報化が国の情報化を牽引するものだという期待の中からこういった研究開発推進するということでございますので、そういう面では、多岐にわたる電気通信システムに関する研究開発が行われるのが極めて望ましいということでございます。  しかしながら、今回、結果的に六つのシステムになったと申し上げますのは、まず一つには、財政構造改革を推進する中にあって、平成十年度に研究開発に着手し得るプロジェクトとしての熟度、それから当該システムにかかわると考えられる省庁の予算事情等を勘案して、研究開発推進すべき電気通信システムを検討した結果、この六つのシステム先生指摘ございました本法第二条に掲げられた六つのシステムになったということでございます。熟度が高かった、ニーズが高かった、これは国のお金でございますから、それぞれの役所が優先順位を考えて、ここに投資をしようという判断があったものということで、幾つかの条件が重なって、結果的にこの六種類になったと  いうふうに考えております。
  66. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いろいろな条件がちょうどうまくいったということだろうと思うのです。ですから、ここに挙げられた六つが最重要な問題だとか、これが基本的なものだということだけではなくて、高度化できる数々ある公共システムの中から、省庁の都合といいますか、予算の関係もあるでしょうから、そういう六種類に選択され制約された、こういうことだろうと思うのです。  そうなりますと、いわゆる考え方としては、こういう公共システムのうちの電気通信技術の高度化によって改善し得るところの問題については研究対象ということにすることができるというのがこの法案意味するものだろうと私は思うのです。  そこでお伺いしたいのですが、法律の名前にもなっておりますところの特定公共電気通信システムという題名の公共というのはどういうものを指しているかという問題であります。  法案では、「国又は地方公共団体の業務その他公共性を有する業務」、こうあるわけです。この「国又は地方公共団体の業務」、これは明確に指定されているわけですが、「その他公共性を有する業務」というものはどういうものなのか。  郵政省説明によりますと、例えば交通機関の施設の改善などというものも挙げられたように思うのですが、この場合、例えば駅を想定したとすれば、管理主体はJRであるかあるいは私鉄、こういうことになると思うのです。いわゆる企業になると思います。こういう施設の改善も、この法律が指すいわゆる特定公共電気通信に入るのかどうか、この辺についてお答えをいただきたい。
  67. 木村強

    木村政府委員 第二条に、国、地方公共団体のほかに、先生今御指摘ございましたが、「その他公共性を有する業務」ということになっております。これは、国民との接点が非常に多くて、国民の日常生活に重要な役割を果たす業務に用いられる高度な電気通信システム開発を促進するということが我が国高度情報通信社会構築に資するという考え方に立ったものでございます。その場合に、国と地方公共団体に限るということにつきましては、余りにも狭過ぎるのではないかと議論の結果でございます。  結果といたしまして、こうした業務の主体といたしましては、国、地方公共団体のほかに、国民の日常生活に重要な役割を果たします業務を行う公益法人や株式会社、例えば、今先生指摘ございました鉄道を経営する鉄道事業者であるとか、あるいは学校でも、公立学校ではなくて私立学校経営する学校法人等につきましても、こういった電気通信システム応用が必要であるという認識のもとの話でございます。
  68. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私、この法律のつくりからして、予算的合意ができれば、恐らく法改正によってこの二条なり四条なりに新たな機能や業務を追加することができるようになるだろうと思います。  何が追加可能かということを考えるときに、この新たな機能がいわゆる特定公共電気通信範囲でなければならない、法律上もそれが前提になっているわけです。  そこで、この特定公共電気通信とは何かということを明確にしておかないと、「その他公共性を有する業務」という中で、どこまで広がるのかわからないという点もあるし、また一方狭められる可能性もあるし、その点でははっきりさせておく必要が今後も出てくるのじゃないか。  抽象的ではわかりにくいので具体的に聞きますと、例えば、先ほど出てきた交通機関の例があるわけです。この交通機関の公共性というのは、国民が広くこれを利用していろいろ公共的な役割を果たしているわけですが、この法律で言うところの「その他公共性」というのは、公共的施設というものに力点があるのか、それとも、今後具体的な形で、この法案の中にも出てきますが、障害者や高齢者といった社会的弱者へのサービスの向上、ここに力点があるのか。一般的に駅等の利便性を改善するような電気通信システムというのも公共的な電気通信システムに入るのかどうか。この辺、どうお考えか、お聞かせください。
  69. 木村強

    木村政府委員 先ほど御答弁させていただきましたように、国民との接点が多く、国民の日常生活に重要な役割を果たす業務であるということで考えておりまして、その視点をハード的なものに置くか、それとも利用目的的なものに置くか。  例えば、高齢者の方であるとか身体障害者の方であれば、一定の場所でそういったシステムを受けるケースもあれば、逆に移動体を使って諸所に動き回るということもございます。  したがって、私どもとしましては、余り狭い範囲に限定をしていくのはいかがなものかということで、やはり公共の情報化起爆剤になるという基本的なスタンスに立って、各役所がやっていこうというものを中心にして、それを民間にもシステムとしては応用していただければ、このように考えておる次第でございます。
  70. 矢島恒夫

    ○矢島委員 やはり運営主体が企業であるような場合、障害者や高齢者の方々のサービスと、この向上のための電気通信技術開発というのは、企業に任せてもなかなか進まないという面がありますから、そういう点では大いにそういう部分について力を入れていただきたいと思うのです。  この通信放送機構は、これまでも、例えば横須賀のリサーチセンターで、身体障害者・高齢者用情報通信システム研究開発プロジェクトというので、遠隔健康相談システムなどの研究開発を行ってきています。こうした分野は確かに民間ベースでどんどん進むということが考えにくい分野という点で、そういう分野を国が積極的に進めていくというのは重要なことだと私も考えます。  今までやってきた通信放送機構のいろいろな実績を考えてみますと、先ほども、現行法への追加とか修正でなぜできないのかということがあり まして、大臣の方から御答弁がありまして、目的はそのままにして追加業務について別法に設けたのだ、こういうお話がありました。  そこで、具体的な一つの例でちょっとお聞きしたいのです。  局長でよろしいのですが、陸上運送、海上運送及び航空運送の基盤となる施設において、携帯無線設備を用いて、高齢者や身体障害者等に、運送サービスを円滑に利用するために必要になる情報を提供するための機能、これは現行法でどうしてできないのか。ほかのものはともかくも、今言ったことに限定してですよ、それは現行法ではなぜできないか、そこだけちょっと。
  71. 木村強

    木村政府委員 今回、支援システムということで法文で取り上げられております内容は、通信放送技術、これは汎用的な部分でございます。その上に、各省庁が具体的な行政を執行していく上でソフトを持っております。こういった各省庁のノウハウ、ソフトに合致したものを基本になる通信放送技術にどうドッキングをさせるかということが課題でございます。  そういう面では、先生今御指摘のございました運輸関係につきましては、やはり郵政は、あるいは通信放送機構は、通信放送にかかわる技術的なものについては専門でございますけれども、どういうソフトを乗っけるかは、運輸省が一生懸命に考えて、利用者あるいは業界の方々にどうサービスを提供するかという話になろうかと思いますので、そこはひとつ別のものとして扱わさせていただいた、こういうことでございます。
  72. 矢島恒夫

    ○矢島委員 最初に私、六つの分野に絞ったことについて質問をしたわけですが、実際に公共的な電気通信システムというものを考えた場合に、今回の法案が予定している六つに限らないものだと思います。  例えば、教育分野を見てみますと、通信放送機構の岡崎リサーチセンターでは、ブルネットワークプロジェクトというプロジェクトで、岡崎市内の三十の小中学校ネットワークで結びまして、視聴覚教材のビデオ・オン・ディマンド・サービスを授業の中で利用できるよう、さまざまな技術開発研究を行っている。あるいは、渋谷の上原リサーチセンターでは、視聴覚障害者向けの字幕番組を効果的に、効率的に制作するための研究開発、こういうことを行っております。このような技術は障害者教育の場へのいろいろな応用が可能だと思います。  そこで、文部省に来ていただいておりますので、文部省にお聞きするわけですが、今度共同研究開発するというのは、例にも示されておりますけれどもインターネットで高品質の動画像の送信が可能となるようなシステムをやる。もちろん、私が今それぞれ幾つか挙げましたように、既にいろいろな機構として研究開発を進めている部分教育分野にあるわけであります。  そうしますと、さらに共同研究して開発されるべき教育分野のいろいろなシステムが考えられるわけですが、なぜこのことに絞ったのかということと同時に、このことにするための間、文部省としていろいろ検討されたと思うのです。こういうような問題について共同研究できないかとか、いろいろ研究されたと思うのですが、ほかに研究した例があれば、あわせてお答えいただければと思います。
  73. 杉浦哲郎

    ○杉浦説明員 お答えいたします。  社会の情報化対応いたしまして、学校教育におきましても、情報教育を充実するということは重要な課題となっておるところでございます。  このため、文部省では、従来から情報に関する教育内容の充実でございますとか、あるいは学校におきますコンピューターの整備等に努めてきたところでございますが、特に、インターネットが最近普及をしてまいっておりますので、これを積極的に学校でも活用していこうということで、先ほども説明をいたしましたように、来年度から平成十三年度までにすべての中学校、高等学校等、それから平成十五年度までにすべての小学校インターネットに接続することといたしておるところでございます。  しかしながら、現在、インターネットを学習活動に活用しようといたしました場合、教材の送信に時間がかかりましたり、あるいは送信された動画像の画質が悪いとか、あるいは動きがぎくしゃくする、あるいはさらには動画の表示画面が非常に限られたものになるというような問題点指摘をされておるところでございます。  こうした技術的な課題を克服し、学校教育におきますインターネットの活用を定着させるためには、やはり動画像等をスムーズに送信するための電気通信技術と、それから実際にこれを使います学校側の児童生徒の学習活動を効果的に行えるようにするための技術とを一体的に開発するということが必要であろうということを考えまして、今回、郵政省と共同研究を行うこととしたというような次第でございます。
  74. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そこで大臣にお聞きしたいのですが、やはり公共電気通信システムの導入によって、官庁だとか学校だとかあるいは郵便局だとか、こういうところの利便性が改善されるのは確かに国民の利益になりますし、望ましいことだと思います。  しかし、私、今まで少し取り上げてきましたように、公共電気通信システムといっても、そのシステム自体が民間でも使用できたり、あるいは商品化が可能で実際問題として民間でも開発を追求しているものもあると思いますし、また一方、民間ではなかなか開発期待できないもの、そうしたシステム研究開発を国が進めていく、これは非常に大切だと思います。  この法案につきましても、他省庁との折り合いがついて、さらに新たな機能や業務を追加していこうということも出てくるかもしれません。また、今現在通信放送機構もさまざまな研究をしています。  そこで、そういう研究開発分野において、民間ではなかなか開発できないけれども、実際に国民にとって、あるいは社会的に弱い立場にある方々にとって非常に役立つ部分、福祉など公共サービス、ここに大いに光を当てるべきだと私は考えているのですが、大臣、その点についての御見解を。
  75. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 矢島委員お答えをさせていただきます。  今の御質問の中で、高齢者あるいは障害者、そういった方々に対してきちっと配慮をするということは、私は政治の基本で、大変大事な原点だというふうに思っております。そういった中で、高齢化が大変進むわけでございますし、高齢者あるいは障害者の方々のためにも情報通信システム開発普及を促進することは極めて大事なことであるというふうに私は認識をいたしております。  具体例を挙げますと、郵政省では従来から通信総合研究所において手話と音声の変換システム等の基礎的、汎用的技術研究開発をいたしておりまして、私も先般通信総合研究所に実際行ってまいりまして、自分でこれを試してみました。本当に聴覚障害者の方が、例えば、この手紙を速達でお願いします、こう言いますと、これを感知いたしまして、それでテレビの方にちゃんと音声が出たり、あるいは、はい、三百五十円になりますと言いますと、その言葉、普通の音声が手話でテレビのブラウン管に出るのですね。そうやって、聴覚障害者の方がわかるということでございまして、大変技術開発が進歩しているなというふうに私自身実感したわけでございますけれども、またそういったことをぜひしっかり進めていきたいと思っております。  また、インターネットも、先生御存じのように、今アクセスは基本的にパソコンでしかできないわけでございますが、これは電話機あるいはファクスで簡単にアクセスできるような実証実験、あるいはそういった高齢者、障害者のための情報通信システム開発する民間企業等に対する助成、こういったことを強力に、しっかり推進をしていきたいというふうに思っております。
  76. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひ、この法案が成立いたしました ら、そういう方向への力点ということをお願いいたしまして、時間が参りましたので、終わります。
  77. 坂上富男

    坂上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  78. 坂上富男

    坂上委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発推進に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  79. 坂上富男

    坂上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 坂上富男

    坂上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  81. 坂上富男

    坂上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十分散会      ————◇—————