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1998-03-17 第142回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十七日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 加藤卓二君    理事 今井  宏君 理事 谷  洋一君    理事 平林 鴻三君 理事 宮路 和明君    理事 古賀 一成君 理事 葉山  峻君    理事 桝屋 敬悟君 理事 佐藤 茂樹君       石橋 一弥君    稲葉 大和君       住  博司君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       西田  司君    平沢 勝栄君       藤本 孝雄君    持永 和見君       保岡 興治君    川端 達夫君       桑原  豊君    古川 元久君       松崎 公昭君    白保 台一君       富田 茂之君    西村 章三君       穀田 恵二君    春名 直章君       畠山健治郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 上杉 光弘君  出席政府委員         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         警察庁長官官房         総務審議官   金重 凱之君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長 鈴木 正明君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君         消防庁長官   谷合 靖夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      川北  力君         厚生大臣官房政         策課調査室長  高井 康行君         地方行政委員会         専門員     黒沢  宥君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第二一号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三四号)      ————◇—————
  2. 加藤卓二

    ○加藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。
  3. 滝実

    滝委員 自由民主党の滝実でございます。同僚議員皆さん方の御賛同を得て質問させていただくことを大変感謝申し上げております。  最初に、基本的なことということで、分権推進委員会お尋ねをさせていただきたいと存じます。  分権委員会、一次から四次までの答申を既にお出しになっているわけでございまして、あと残りが二年ぐらいあるわけでございますけれども、この間にどういうことをなさるか、こういうことを中心にして御意見をお聞かせいただきたいと思うのでございます。  まず、今後の問題として、四次までの答申を出されたわけでございますけれども、昨年の暮れ以来と申しますか年明け以来と申しますか、新たな答申を目指してということで、現在、次のステップに入っておられるようにお聞きいたしております。  基本的には、今までは国の関与をできるだけ軽減するという姿勢で当たってこられたわけでございますけれども年明けからは第五次答申に向けての作業として、国の関与ということでなしに、国の事務そのものをなくして地方にどれだけのものを移譲していくか、こういうような角度から作業に取り組まれているというふうにお聞きしているのでございますけれども、具体的な取り組みのあり方、そういった点についてまずお聞かせをいただきたいと思います。
  4. 東田親司

    東田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御質問の点につきましては、昨年の十二月、総理の方から私ども委員会に対しまして次のような要請がございました。  行政改革会議最終報告において、国、地方を通ずる行政役割を見直す見地からも改めて地方分権を進めることとされているところであるので、市町村への権限移譲を含め、国及び都道府県からの事務権限移譲などの問題についてさらに検討を進めていただきたい、こういう御趣旨要請でございました。  これを受けまして私ども委員会として検討したところでございますが、事務権限移譲の問題につきましては御指摘のように四次までの勧告でも触れているわけではございますけれども総理のこの新しい要請がございましたので改めて取り組むことといたしまして、まず三つ検討の視点を固めたところでございます。  一点は国と地方役割分担明確化、二点目は国の行政組織スリム化、三点目は市町村への権限移譲推進、この三つ観点から事務権限移譲などの問題について審議検討を進めていこうということを固めたところでございます。  具体的に今どのように進めているかということでございますけれども、二月から四月にかけまして、有識者、これは十人ほどでございます。それから関係団体、これは地方公共団体関係団体初め、今五つほど選定しているところでございます。これらの方々から、二月から四月にかけまして幅広く事務権限移譲に関する御意見を聴取しているところでございまして、この御意見の結果も踏まえまして具体的に取り上げるべき課題を整理していきまして、その内容に応じまして今後のスケジュールも検討していきたいと思っております。  以上でございます。
  5. 滝実

    滝委員 ありがとうございました。  今お聞きしますと、国民立場から考え分権推進委員会のいわば基本的なことをこの第五次答申ではいよいよおやりになる、こういう印象を受けるわけでございます。国と地方役割分担の問題、それから国におけるスリム化の問題、どれをとっても、これはまさしく地方分権のいわば骨格の部分がこれから始まるのではなかろうか、こういうふうな印象を受けますので、ひとつ精力的なお取り組みお願いし、御期待を申し上げておきたいと存じます。  次に、この平成十年度の国の予算編成の中で、補助金負担金整理合理化の問題がございまして、地方財政計画の中にもあらわれているわけでございます。合計四百六十二億円の国費を一般財源に振りかえた、こういうようなことになっているわけでございますけれども分権推進委員会事務局ではこの四百六十二億円というものについてどういうような評価をされているのか、その辺のところがらまず伺いたいと存じます。
  6. 東田親司

    東田政府委員 お答え申し上げます。  私ども委員会は、この補助金整理合理化関係につきましては、昨年の第二次勧告におきまして一般財源化あるいは国庫補助金削減計画策定等を打ち出したところでございます。  したがいまして、私ども勧告を踏まえた政府対応状況にも関心を持っていたところでございますが、先般、二月でございますけれども大蔵省の方から、平成十年度予算案における国庫補助金等整理合理化状況委員会として聴取したわけでございます。その際に、国庫補助負担金関連地方分権推進計画策定に向けての検討状況についての質疑中心に行われましたが、お尋ね一般財源化された金額そのものについての評価という点については特に触れられませんでした。  したがいまして、先生の今のお尋ねに対しては、評価というものは特にないということなのでございますけれども、私ども、これから政府の方が立ててまいります推進計画策定に向けての作業状況を全項目にわたって注視してまいりたいと思っておりますので、その一環としてこの問題についても非常に関心を持って見てまいりたいと思っております。
  7. 滝実

    滝委員 ありがとうございました。  問題は、分権推進法条文にもございますように、分権推進委員会におかれましては、推進計画の実施についてはその状況を監視して総理大臣に必要な意見を述べる、こういうような権限が与えられているわけでございます。今回はそういう意味では少し物足りないというところがあるように私は思うのです。  問題は、金額の問題とか件数の問題ではなくて、やはり分権推進委員会予算編成の前にもう少し大蔵省から意見も聞いて、具体的にどうしていくのかというような意見を事前にお述べになるとか、そういうようなことをされていきませんと、法律条文にあえて監視機能を与えられているわけですから、そのところがどうも甘い話になっているのではなかろうかな、こういう感じがあります。  これはなかなか難しい話でございまして、予算編成ですから、限られた時間の中でやるものですから、なかなか難しいと思うのですけれども、ひとつ分権推進委員会として今後のお取り組みを御要請申し上げておきたいと思います。  分権委員会の方は以上で結構でございますので、どうぞ御退席なさってください。  次に、地方交付税、税を通じた問題についてお尋ねをさせていただきたいと思うのでございます。  昨年のこの地方行政委員会法律を可決させていただいた折に、附帯決議があるわけでございますね。前回の大臣所信に対する質疑にもございましたように、何項目かあるのでございますけれども、その中の一つとして、交付税特別会計への入れ方について、一般会計を通さずに国税収納整理資金から直接交付税特会直入すべきだ、こういうことについてぜひ検討するようにという附帯決議がついているわけでございます。  なぜ附帯決議がついているかと申しますと、交付税は要するに地方団体固有財源である、こういうことをやはりその都度その都度確認をしていく必要がある、明らかにしていく必要がある、こういうことで交付税特会への直入についての検討を進めるべきだという附帯決議がつけられていることは御承知のとおりでございます。  交付税地方固有財源だというのは、もう今から三十年近く前に、当時の福田赳夫大蔵大臣永山忠則自治大臣の間でもって確認された事項でございまして、当時の地方行政委員会においてもそのような発言がされているわけでございますから、当然地方行政委員会としては既に決着済みの話なのでございますけれども、この一年間ぐらいの交付税をめぐるマスコミにあらわれた論議を見ますと、どうもそういう論議とはかけ離れた論議が一部にございます。そういう意味でも、固有財源であるということを明確にしておきませんと、またいろいろな混乱を生じるような議論が出てくるおそれがあるわけでございます。  そこで、やはりこの際、昨年の当委員会附帯決議交付税直入問題について、自治省としてはどういうような検討をこれからしていかれるのか、その点についてまずお伺いをさせていただき一たいと存じます。
  8. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 いわゆる交付税特別会計への直入の問題は、私どもにとっても非常に重要な課題でございます。昨年、この地方行政委員会でも決議をいただいているところでございます。  私どもといたしましては、かねてから地方の共有の固有財源であるという交付税の性格を明確にする見地から、直入実現を図るべきだという考えを持っております。平成十年度の地方交付税概算要求に当たっても、その趣旨要求をして御当局議論したところでございます。  委員も御案内のように、他方で、国の方からは、国庫当局の方からは、一般会計が全体の財政状況を反映しなくなるといったような問題が指摘をされておりまして、合意を見るに至っていないところでございます。地方分権推進委員会におきましても、こういう問題点も踏まえてさらに検討していく必要があるというふうに勧告をいただいておりまして、私どもとしては引き続き今後ともその実現に向けて努力してまいりたいというふうに考えております。
  9. 滝実

    滝委員 問題は、その検討の仕方が、自治省財政局において事務的な検討というかそういうことも大事でございますけれども、もう少し何か、広く議論を起こすようなことがあってもいいのではなかろうかなという感じがありますので、その辺のところについても御検討をいただきたい、こういうふうに存じております。  そこで、次の問題は、交付税をめぐる問題でこの一年間どういう議論があったかというと、交付税は本来東京とか大阪に入るべき財源地方貧乏地域にみんな持っていかれてしまって、本来入るべきところに入っていない、地方は栄えて国の中心部が衰退しておる、こういうような議論がこの一年間あったわけでございます。東京立場からすればあるいはそういう議論があるのかもしれませんけれども交付税制度というのは十六兆円からの金額事業でございますから、やはりその趣旨あるいは具体的な積算根拠というものを常に明確にしておきませんといろいろな議論が出てくる。  そういう意味で、この際、改めて財政局の御意見を承らせていただくわけでございますけれども、問題はどこにあるかといえば、やはり基本は、交付税制度仕組みが余り理解されていない、東京はもちろん交付税は入ってきませんので、本来東京に入るべきものがどうも国に召し上げられて地方の方へ配分されてしまっている、東京はえらい災難をこうむっている、こういうことになりがちでございます。  その辺のところを財政局長さんはどういうふうに説明をされるのかということになるわけでございますけれども、そういうことをやっていると時間がありませんので、私は、その辺のところは財政局としても心して、もう少し、国民に訴えるような機会にはできるだけ交付税制度仕組みをアピールしていくということが必要ではなかろうかなという感じがございます。そういうことでよろしくお願いを申し上げたいのでございます。  しかし、問題は、交付税が余りにも普遍化してしまっているというところにも問題があると存じております。  今回の交付税のこの資料を拝見いたしますと、基準財政需要額から基準財政収入額を差し引いた要財源措置額は十六兆円である、こうなっているわけですね。それから、財源超過団体超過額が九千四百億ある、これはいわば不交付団体中心とする部分であるわけでございますけれども、実際に交付税として必要な額は十六兆円ばかり、富裕団体税収が取り過ぎていわば余った金が一兆円もある、こういうことになるわけでございます。  財源が超過している不交付団体交付税が要らない団体は、現在、恐らく平成九年度で計算をするのでしょうか、都道府県では東京都だけ、市町村では百二十二市町村、こういうことでございますから、全国地方団体からすればほんのわずかの団体だけが交付税をもらっていない、あと団体は全部交付税をもらっている、こういうことであるわけでございます。  これは大きな問題ですから簡単にいかない話でございますけれども、やはりここのところを何とかしないと交付税制度に対する理解がなかなか得られないのではなかろうかなという感じがあるわけでございます。ここのところはなかなか難しい話でございますからうまい処方せんというのはないのでございますけれども、基本的には、やはり今の税制地方税がもう少し地方に回っていくようにするというのが一つの方法ではなかろうかなという感じがございます。  今まで、地方税というのはやはり東京に集中してしまいますから簡単には地方独立税として与えるわけにはいかぬ、こういう議論があったわけでございますけれども、そこのところの問題を少し大胆に踏み切らないと、なかなか交付税が機能しないというか、特定のところだけが不交付団体でということで終わってしまうおそれがあると思うのです。  そこで、現在の税制の中で典型的な税を考えてまいりますと、例えば、個人住民税法人事業税と、相対照的な税があるわけですね。個人住民税の方は、全国あまねく、かなり普遍的な税だということになっているわけでございますし、片や法人事業税の方は、どちらかというと東京のような大都市地域偏在をする、こういうようなことになっていると思うのでございますけれども、その偏在の実態というものを自治省の方ではどういうふうにとらえているのか、その辺のところを一つ明らかにしていただきたいと思うのです。
  10. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 個人住民税偏在性あるいは他の税目との比較の上でどのような状況になっているかということかと思いますけれども、ちなみに平成八年度決算で、個人住民税人口一人当たりの税額を比較してみますと、全国平均を一〇〇とした場合、最高東京都の一六九、最低沖縄県の四八となっておりまして、その格差は約三・五倍となっております。  一方、法人住民税について例えば見てみますと、東京都が二五〇、沖縄県が四〇でございますので、格差は約六・三倍ということであります。  したがいまして、同じ住民税でありまずけれども個人住民税法人住民税を比較しますと、個人住民税の方が偏在性は少ないということになります。
  11. 滝実

    滝委員 もう一つ地方消費税はどういうことになっていますか。
  12. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 地方消費税は、一たん地方消費税として各都道府県に納付されました税収を、各都道府県ごと消費に相当する額に応じて都道府県間で精算することとしております。  この場合、地方消費税の精算後の都道府県別収入額を、同じように人口一人当たりで比較いたしますと、全国平均を一〇〇とした場合、最高東京都の一三八、最低沖縄県の七三となっておりまして、その格差は約一・九倍と見込んでおるということでございます。
  13. 滝実

    滝委員 地方税の場合には、税の偏在をできるだけ抑えた税目を優先させるということに大原則を置くとすれば、いわば地方税を基本的には地方消費税で統一してしまうということになれば、かなり偏在度は減るということにもなるわけでございますけれども、なかなかそうはいかない面がございますね。やはり地方税も景気のいいときは税収が伸びてもらわないと困るという要素があるものですから、いろいろな税が組み合わされて今日に来ているわけでございます。  しかし、先ほどの数字で明らかなように、個人住民税法人事業税を比較した場合に、沖縄東京格差が三・五倍からのものが、法人事業税になると六・五倍になってしまう、こういうようなことですから、基本的にはやはり住民税をもう少し取り入れていくというようなことがあっていいのではなかろうかな、こういう感じがあるわけでございます。  ここのところは、大税制改正がないと、国と地方税源配分といってもなかなか単純にいかない問題でございますけれども、やはり事あるごとに、できるだけ住民税はむしろ拡大するように、事業税はどちらかというと抑えぎみに、こういうような姿勢が長年積み上がってまいりませんと、この辺のところは、全国を見回して滑らかな税制というのはなかなかでき上がらないのではなかろうかな、こういう心配がございますので、ひとつ税務局におかれましては、その辺のところを何とかお考えをいただきたいと思うのでございます。  今回の特別減税はこういう特別減税方式ですから、こういう時期にそういうことを考えろといっても、これは無理な話でございますけれども、今、巷間やかましく言われておりますのは、この特別減税も恒久化しろとか、いろいろな折には、やはり事務当局としてもう少し積極的に住民税を大事にするようなアピールがあっていいのではなかろうかな、こういう感じが実はございますので、その辺のところをよろしくお願いを申し上げたいと思うのでございます。  そこで、大臣に一言だけ御意見を伺いたいのは、やはり先ほど申しましたように、現行の交付税は大半の地方団体交付団体になっているというのを、私は、もう少し金持ちの団体が出てきてもいいのではなかろうかという観点から考えますと、税収何とか国から移譲させてその分だけ交付税を縮小していく、こういう長期的な目標というものをぜひ置いていただく必要があるのではなかろうかという感じがありますので、そういった点について、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思うのでございます。
  14. 上杉光弘

    上杉国務大臣 御指摘の点についてお答えいたします。  少しでも多くの地方団体が、国からの財源に依存することのないように、地方税中心とする自主財源によって自立的に財政を営むことができるように目指すということは、これは当然のことだと思います。あるべき地方自治の方向だというのは、同じ考え方でございます。  このような観点を踏まえつつ、今後とも、所得、消費資産等の間におけるバランスのとれた地方税体系や、税源偏在性が少なく税収安定性を備えた地方税体系の構築などに努めなければならない。また、地方財源充実確保を図っていくということも当然のことでございますから、鋭意努めてまいりたいと考えております。
  15. 滝実

    滝委員 よろしくお願いを申し上げたいと存じます。  次に、交付税の問題について若干お尋ねをさせていただきたいと思うのです。  交付税借入金でございますけれども、今回の改正を見ましても、やたらに、平成二十四年であるとかあるいは二十五年とかいうような年代が出てまいります。要するに、交付税加算措置がいつまで続くとか、あるいはいつ返してもらうかということで、何と二十年先、三十年先の年代がこの交付税法案にはあらわれてくるわけでございます。  そうなりますと、どうも一昔も二昔も違うことになるような年代のことを今の段階で心配をしているような話でございまして、大丈夫だろうかなという感じがあるのでございますけれども、現在、交付税特会借入金というのは具体的な数字でいくとどういうことになっているのか、その辺のところがらまず御説明をいただきたいと思うのです。
  16. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 交付税特別会計借入金でありますが、十年度の地方財政対策が終わりました十年度末で十九兆円余に達するという見込みでございます。
  17. 滝実

    滝委員 この十九兆円を何年かかって返すような仕組みに今なっているのでしょうか。
  18. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 これは、国の負担する分と地方が負担する分がございますが、一番長いものは平成三十八年度までかかって償還をするということになっております。
  19. 滝実

    滝委員 交付税資料で拝見しますと、確かに平成三十八年というのがございますから、そこまで延々として返す計算がもうできている、こういうことになりますね。  ということは、裏を返すと、現在のこの十六兆円ないし十七兆円の交付税制度というものを、平成三十八年ぐらいまで延々とこの規模を維持しないとなかなか返すのが難しい、むしろ将来は膨らませなければいかぬ、単純に言うとそういうようなことも言えないわけではないと思うのです。  私は、先ほど申しましたように、交付税制度というのは、できるだけ交付税はもう少し縮小して地方独立税に振りかえるという努力も必要ではないかという感じがするのでございますけれども、片や交付税会計の方は、もう平成三十八年まで四千億返す、五千億返すという返す計算ができている。こういうことになりますと、先が思いやられるなという感じがあるのでございます。  まず何といっても、交付税規模を縮小する前に借入金を縮小する算段をしないと、なかなかうまくいかないという感じがあるのでございますけれども、その辺については財政局長はどういうふうにお考えになっておられますか。
  20. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 確かに御指摘のように、まず私どもとしては、交付税特別会計借入金に依存するということから早く脱却をしたいというのが当面一番大きな目標でございます。  そういう観点から、この財政構造改革期間中に、新たな交付税特別会計借入金でございますとか財対債のような特例的な借入金に依存する、その構造改革をまずして、ふえるものをまず減らしていきたい、その構造から脱却したいというふうに考えております。それで、その後にできるだけ早期に特会借入金償還に取り組めるような手がかりをつくっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  過去にも、五十九年当時特会借入金が一度ピークに達しましたときに、全体で十一兆円余りになりましたけれども、それのうちの地方負担分につきましては、その後ほとんど特会借入金がなくなるような状況まで健全化したということもございまして、私どもとしては、今の借入金の新規増をとにかく減らしていきたいということにまず重点的に取り組み、次にその残高について減らしていく算段を考えていきたい、こういうふうに考えております。
  21. 滝実

    滝委員 国債の償還年限が原則六十年ですから、それから比べると、現在の交付税を返還する年限が三十年先ということでございますからまだましてございますけれども、そこのところは、今局長がお述べのように、やはり毎年毎年の御努力、これはそのときの経済状況にもよると思いますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思うのです。  そこで、交付税制度については分権推進委員会の二次勧告で何点か勧告が出ておりますけれども一つは、補正係数というのは、法律に何も定めがないけれども現実には使っておるじゃないか、ああいう補正係数があることが交付税制度を何かわかりにくくしている、単純に単位費用だけでやれば簡単なものを、そこに補正係数が加わるものだからなかなかややこしいということの勧告一つしております。しかし、これは技術的な問題ですから、自治省でも簡単には結論が出ない問題だと思います。  もう一つ勧告として、交付税の算定に当たって地方団体意見を反映する仕組み考えるべきだ、こういうことを二つ目に言っているわけですね。今までも、地方団体から毎年毎年交付税の算定をこういうふうにしてくれというようなことを財政局に言ってきていると思いますから、決して財政局は、自治省地方団体意見に対して門戸を開いていないわけではないと思うのですけれども、改めて、この二次勧告指摘された事項について自治省としてはどういうふうに考えているのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  22. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 交付税につきましては、分権推進委員会の第二次勧告で、一つはできるだけ簡素化、簡明化を図るべきであるという御指摘をいただいておりまして、私どもも、基本的にそういう方向に沿って、できるだけ補正係数の整理でございますとか単位費用化といったようなことに取り組んでいきたいというふうに考えております。  これは、具体的には、十年度、十一年度、それ以降にかけて、順次可能なものについてまず取り組んでいきたいというふうに考えております。  それから、もう一点の地方団体意見を反映するようにということでございまして、今のような簡素化を進めていくこととも当然関係があるわけでございますが、これにつきましては、これまでもいろいろ地方団体からの意見は聞かせていただいておりますけれども分権委員会勧告は、さらにそれを制度化した方がいいのではないか、こういう勧告でございます。  私どもは、分権推進委員会のそういう内容を盛り込んだ上で、できるだけ早期に交付税法を改正して、その旨の明文の規定を設けることにしたいというふうに考えております。
  23. 滝実

    滝委員 とりあえずはそういうことで、地方団体意見の反映の仕組み、それをやはり法律に明らかにするというのは、一つの方向づけとして私は大変結構なことだと思いますので、補正係数の技術的な扱いの問題ともども作業は大変でしょうけれども、鋭意でき上がりますことを御期待を申し上げたいと思います。  次に、地方税交付税、それぞれについて、個別的な問題で恐縮でございますけれども一つ二つお尋ねをしてまいりたいと存じます。  今回の、国、地方を通じる税制改正の中で、不動産の流動化を促進するという観点から、いろいろ今までの懸案事項を一挙に解決するような税制上の改正が行われております。  その中で、不動産について、売却をする際に譲渡損が出る、バブルのときに高い値段で買ったものを今売却すると当然マイナスになる、こういうことで譲渡する際に出てくる損害については、所得税、住民税とも、売却する単年度はその赤字の部分を控除するようになっていると思うのでございますね。これを今度は、所得税は単年度じゃかわいそうだから三年間これを延長してやろう、こういうことで大きな譲渡損も何とか救ってあげて、できるだけやはりこの際不動産の流動化を図るんだ、こういうことになっているわけでございます。  住民税の方もそうかいなと思ってみると、どうも住民税にはそういう条文があらわれていないのでございますけれども、その辺のところはどう考えているのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  24. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 御指摘のように,所得税につきましては、平成十年度の改正において、特定の居住用財産の買いかえの場合の譲渡損失の繰越控除制度というものを新たに設けることとされておりますけれども、今回のこの所得税の制度は、個人住民税においては本来設けられておりません住宅取得促進税制、いわゆる住宅ローン控除、これとの選択適用であるということになっております。  そしてまた、地方税におきましては、既に固定資産税や不動産取得税の特例措置など、住宅取得に係ります多大な配慮をやっております。また、今回の改正につきましても、特例の拡充を予定いたしていることでございます。  そういった事情がございますので、個人住民税におきましては、こうした繰越控除制度を設けないこととしたものであります。
  25. 滝実

    滝委員 税務局長さんのお立場からいたしますと、全くそのとおりだと思います。  しかし、こういう大変な激動の時代の後始末ということで限定的に国も地方もやろうというときは、少しは目を開いていただいてもいいんじゃなかろうかなという感想を持ちますので、次の機会には、もう少しそこのところを何とかするようにお願いを申し上げたいと思います。  現実問題として、所得税における繰越控除も住宅取得控除とのバランスになっているのでございますけれども、今、低金利時代ですから、所得税の方も、現実には住宅取得控除が働かずに繰越控除の方が働くと思うのですね。したがって、所得税の方はそっちの方とのバランスが強いから三年間繰越控除を認めるけれども住民税の方はいかがだろうかというような立場になるわけでございます。  住宅取得控除との関係でいえば、私は、建前はそうですけれども現実問題としては、繰越控除が圧倒的に働くようなケースだろうと思いますので、その点も御勘案をいただければという感じがいたします。これはひとつ、今後の宿題として御要望をさせていただきたいと思います。  それからもう一つ税制に関連いたしまして、昨年の秋以来、法人税関係の税率を下げるんだということでやってまいりまして、今回も法人事業税は原則一%の引き下げをされているわけでございます。しかし、海外と比べますとまだまだ高いという批判もあるわけでございます。現実問題としては、いろいろな事情がありますから一概に高いと言うわけにはいかないと思いますけれども、それでも高いという批判があるわけです。したがって、これからの問題としては、やはりもう少し国も地方も、いかに法人税率を下げるかということの努力は必要だと思うのですね。  その際に、地方法人事業税は、やはり外形標準課税というものをいかに導入していくかというのが議論の大きな問題だろうという感じがあります。今の段階では、法人事業税に外形標準課税を導入するんだというと、これは大変だ、赤字法人がどえらい税金を払わないかぬという思いだけが先に立って、はなから反対しなければいかぬ、こういうようなムードが強く出てくるおそれがあると思うのですね。外形課税はいい。しかし、外形課税をやる目的は、赤字法人が軒並みどえらい税金を払うぞ、こういうようなムードでは議論にならないと思うのです。  ですから、具体的に自治省の方で、法人事業税を外形課税に入れる場合のいろいろな選択肢というか、いろいろなパターンを問題提起してお出しになって、こういうのはどうだという合意が得られる線を探る努力が必要じゃなかろうかなという感じがするのですけれども、こういった問題について、どういうふうに今まで扱ってこられ、これからどうされようとしているのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  26. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 事業税のあり方につきましては、従来より、事業地方団体から受ける行政サービスに必要な経費について分担すべきであるとの考え方に基づきまして、事業規模や活動量を示す外形基準により課税することが望ましいというふうな考え方が示されておるわけでございます。  そして、こうした中で、今後のあり方につきましては、昨年末の政府税制調査会の答申におきまして、地方の法人課税については平成十年度において事業税の外形標準課税の問題を中心に総合的な検討を進めることが必要とされ、今後政府税制調査会等の場において多角的な検討が進められることとされております。  そして、お尋ねの、具体的な外形基準とか考え方をもう少し示したらどうかということでございますけれども、例えば、外形基準といたしましては、付加価値、売上高、経費など、さまざまな考え方、物差しがあろうかと思います。それぞれまた一長一短もあろうかと思いますので、何が外形基準として最もふさわしいかということにつきましても、政府税制調査会等の場におきまして、専門家の方々の御意見も伺いながら、早急に具体的に検討してまいりたいというふうに思っております。
  27. 滝実

    滝委員 この問題は、難しい理論的なアプローチの仕方も政府税制調査会を通じてしなきやならぬと思いますけれども、やはり国民皆さん方あるいは事業者の皆さん方に、イメージとしてこの程度のものだというようなものをまずお出しになって、意見を聞いて歩くということも必要じゃなかろうかなという感じがあります。  今までの議論がどちらかというと過去数十年間にわたって抽象的なやりとりでもって推移してきた、こういうことで、大変恐ろしい話だということになりかねませんので、その辺のところはいわばもう少し気楽な提案の仕方があってもいいのじゃなかろうかなという感じがありますので、その辺のところもぜひお考えをいただきたい。  そして、結果的には税率が下がるような方向を目標としていただきたい、こういう感じがございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思うのでございます。  次に、交付税の問題について個別的な点を幾つかお聞きをしておきたいと思うのでございます。まず、順序があちこちいたしまして恐縮でございますけれども、今回の交付税制度の中で、地方団体行政改革に取り組まなければいけないということで、職員数のリストラというか、そういうことを中心にしたことも今度の基準財政需要額の中ではおやりになるようでございますけれども、片や、新しい仕事といたしましてそれなりの配慮もあるように思います。  これも昨年の当地方行政委員会における附帯決議の中にありますように、高齢化社会を踏まえた地方財源の充実ということが附帯決議の一項目になっているのでございますけれども、そういう線も受けて、今回の財政需要額の算定の中では、例えば介護保険制度について必要な職員数を増員するとか、こういうふうなことをおやりになっているわけでございますけれども、今回の地方財政計画における職員数の増減問題についてはどういうふうにお考えになっておられたのか、その辺のところをまずお聞かせいただきたいと思います。
  28. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 十年度の地財計画におきます職員数の増減でございますが、まず、財政構造改革法で義務教育あるいは公立高等学校の教職員についての標準法の改正が繰り延べという措置をとられておりまして、このことによりまして小中高の教員の減がかなりの数が図られるわけでございます。  また、一般職員につきましては、国家公務員も定員削減計画をやっておりますけれども地方公務員につきましても同様に削減計画をつくるということで、六千八百人余の定員削減を行っております。一方で、今もお話ございましたような、介護保険が十二年度スタートすることが決まっておりますので、それに対する準備にかからなくてはいけないということで、介護保険の関係で千百四十人の増員を行っております。  そういったことを全部ひっくるめまして、平成十年度の地方財政計画における職員数は、全体で一万二千九百二十七人の減員ということで計画を組んでおります。
  29. 滝実

    滝委員 そこで、介護保険の問題について、厚生省の介護保険準備室長さんにおいでをいただいていますので、少しばかりお伺いをしたいと思うのです。  今回、今財政局から御答弁いただきましたように、千百四十人ですか、介護関係職員を算入する、こういうことをされているわけでございますけれども、厚生省として、これからの介護保険の導入に当たって、準備段階でどういうような職員数というか、職員を配置するようなことを考えているのか。あるいは、今度、施行後にはどういうような職員が要るのか。その辺のところをお聞かせいただきたいと思うのです。
  30. 高井康行

    ○高井説明員 御説明いたします。  御案内のとおり、介護保険法は平成十二年四月から施行ということになっておりますけれども、まず、制度施行までの二年間に、市町村におきましては、被保険者管理でありますとか保険料の賦課徴収、この辺の電算処理システムの開発が必要でございます。また、要介護認定の試行ということで、この職員も必要でございます。  一方、都道府県の方でございますけれども、この市町村の指導でありますとか介護支援専門員の養成の事務が必要であるということでございまして、平成十年度におきましては、このような準備のための要介護認定でありますとか、電算処理、介護支援専門員要求をさせていただきまして、先ほどの所要の措置をいただいたところでございます。  平成十一年度以降につきましては、現在、業務に係る実態調査をさせていただいております。その結果を踏まえて関係省庁と協議をして、制度施行に必要な体制の確保、これは平成十二年以降もつながってまいると思いますけれども、そういう実態調査を踏まえて関係省庁と協議をして体制を整えていきたいというふうに思っております。
  31. 滝実

    滝委員 今、町村はまだそこまで準備は進まないと思うのですけれども、大体都市部は既に去年あたりから準備室というか、具体的にどういうふうにしていくかということで、それなりに職員のチームをつくっておやりになっているわけですね。  したがって、そういう意味で、もう厚生省の方から各地方団体にはいろいろな御連絡をされていると思うのでございますけれども地方地方で大変不安な状況でございますので、厚生省の考えていることが何らかの格好で伝わるような仕組みお願い申し上げたいと思うのです。公式にいろいろなことを言いますと、予算措置が伴っていないのにおかしいじゃないかとか、いろいろあるだろうと思うのでございますけれども、その辺のところは厚生省ではそれなりに気をきかせていただきたいなというふうに思うのです。  個々の市がみんな手探りで、どうしたものだろうか、こういうことですよね。具体的には、それぞれの地域の特殊事情がありますから、それぞれが手探りでやらざるを得ないと思うのですけれども、そこのところは厚生省として、いろいろな準備をしていかなければいかぬという責任が全都市町村にかぶってくるわけでございますから、よろしくお願いをしたいと思うのです。  そこで、自治省お尋ねをしたいのですけれども、厚生省のいろいろな御要望を受けて、自治省ではこれから介護職員を、ことしは千百四十人ということですけれども、将来はどうしていくのか。将来のことはもうこれでもっておしまいというふうにお考えになっているのか、そこのところをお聞かせいただくと同時に、この千百四十人の県と市町村の割り振りは標準団体でどうなっているのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思うのです。細かいことがわからなかったら、それで結構ですけれども
  32. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 この千百四十人は十年度分の準備ということで措置をしておるわけでありますが、全体でどのくらいの職員が必要になるかということは、先ほど厚生省からもお話がございましたように、実態調査に基づきまして精査をしなくちゃいかぬと思っております。  今の大体の推計で、全体で一万二千人から一万三千人必要になってくるのではないか。片方で、今老人福祉関係に従事している職員はそっちに振りかわるわけでありますから、そのマイナスになる人数が四千人ないし五千人というふうに見込まれておりますので、差し引きいたしますと八千人から九千人の増が必要になってくるのではないかというふうに思っておりまして、これは精査をして数字が固まってくるわけであります。したがいまして、固まってまいりますそれを見ながら、十一年度、十二年度とその必要人員を地財計画において手当てをしていかなくてはいけないというふうに考えております。  ことしの、十年度の千百四十人のうち、都道府県関係の増員は九十四人でございまして、残りが市町村分でございます。
  33. 滝実

    滝委員 今のお話のように、これから相当な人員がこの介護保険関係で必要になってくる、こういうような見通してございます。  そこで、厚生省の準備調査室長さんに意見として申し上げるわけでございますけれども、現在厚生省が進めているいろいろな老人福祉の問題あるいは介護の問題、これはやはり、ドイツの介護保険制度に模範をとっていると言われているとか、あるいは北欧の福祉に模範をとっているとか言われるように、基本的には全部公的な資金で賄う、いわば公営の介護なんですね。  ところが、一方では、やはり地域ではボランティアというものが相当な力としてあるわけです。このボランティアをどれだけこれから活用していくかということもぜひお考えをいただきたいと思うのです。  要するに、賃金で、報酬を払って介護に当たるということは根幹としては必要でございますけれども、ボランティアで何とか自分らの力を介護のために生かしたい、それで役に立ちたいという思いというのも地域にあるわけでございますので、その辺のところはやはり単純に報酬を払う職員で構成するというのじゃなくて、ボランティアの余地、今回もNPOが参議院で成立いたしておりますけれども、そういうようなものが期待の持てるような仕組みというものも片や必要ではなかろうかと思うのですけれども、それについて何か御意見があったらお聞かせいただきたいと思うのです。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
  34. 高井康行

    ○高井説明員 ボランティアの御指摘でございます。  一般論といたしまして、ボランティアは大変重要な役割を介護の問題で果たしていただけると思います。そして、今御指摘のNPO法案も、この介護保険法の中でも事業者の一つとして期待しておりますし、またその他のボランティアにつきましても、事業者ではない、基準該当という、それ以外の分野で介護保険法の中にも活躍していただきたいと思っております。  いろいろな場面でボランティアの方々に活躍いただけるように、今後も努めてまいりたいと思っております。
  35. 滝実

    滝委員 ありがとうございました。そういうこともお考えいただけるということは、大変いろいろな幅が出るし、必要なことだと思いますので、ぜひ忘れずによろしくお願い申し上げたいと思うのです。厚生省の課長さん、結構でございます。ありがとうございました。  次に、もう一つ二つ、時間がありませんのでどうかと思いますけれども消防庁長官お見えでございますので、消防についてお尋ねをしておきたいと思うのです。  阪神・淡路の震災から三年たちますと、どうもあちこちで風化現象が見られるのじゃないかというような心配もございます。防災計画もなかなか改定が進んでいないところが何件か残っている。当時一生懸命やったところはもう終了しているわけでございますけれども、そのうちそのうちと思っている団体はそのままになっているというようなことでもございます。  そういう意味では、やはり震災、災害はいつでもやってくる、こういうことでございますから、消防庁としてこれからどういうふうに風化させないような姿勢をとり続けていくのか、そういった点についてひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  36. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 御指摘の地域防災計画の見直しについては、阪神・淡路大震災の教訓を受けて、本当に地域の実情に応じ、かつ国の防災基本計画の大きな修正に応じて積極的に見直しをしていただくように、交付税措置も通じて指導しておりますので、今後引き続きそうした見直しをお願いしたいと思いますが、基本的に言えば、そうした風化をさせないためのいろいろな諸施策というものに私ども一生懸命取り組んでいるつもりでございます。  確かに、補助金については大変厳しい状況の中で若干減ってはおりますけれども、そうした大震災に備える日常の基盤整備ということで一生懸命確保に努めていきたいと思いますが、そのほかに防災町づくり事業でありますとか、あるいは緊急防災基盤整備事業という単独事業も用意をしておりますので、そうした補助、単独の事業をいろいろ取り合わせ、組み合わせて、積極的な防災基盤というものの整備に取り組んでいただけるように私どもも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  37. 滝実

    滝委員 これは、繰り返し繰り返しやはりそういうアピールを消防庁としてはおやりをいただきたい、こういうふうな思いがいたします。  そこで、時間もなくなりましたので最後の質問になろうかと思うのでございますけれども、当面の経済対策について一つ二つお聞かせをいただきたいと思うのです。  まず、今回の、これは地方債計画の中でございますか、地域経済対策事業として三千億の別途起債を項目を挙げておいでになります。この三千億は、いわば一般の単独と違った格好であえて枠取りいたしておるわけでございますけれども、これはどういうようにお使いになるのか。そしてまた、別途、地域産業の創造対策費として二百三十億円も、これは交付税の中ですか、あるように聞いているわけでございますけれども、この二つについて、自治省はどういうような考え方でこういうようなことをおやりになるのか、その辺のところをまずお聞かせいただきたいと思うのです。
  38. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 まず、地域経済対策事業、今度の地方財政計画におきまして三千億という予定をいたしておりますけれども、これは御案内のように、公共事業がマイナス七%ということでございますが、補助ということになりますとさらにマイナスが大きくなりまして、九・六%のマイナスというのが地財計画でございます。そういうことを考えまして、単独事業については四%マイナスということにとどめたわけでありますが、地方団体がそういう公共事業マイナスの影響の中でそれぞれの地域の実情に応じて単独の事業量を確保できますように、地域経済対策事業ということで三千億の枠を確保したものでございます。  具体的な取り扱いにつきましては、これから具体的な検討をいたしていくところでありますけれども、現在の経済状況を踏まえながら、各地方団体が地域の経済状況に対応した事業が実施できますように、その所要の地方債の充当率あるいは交付税措置を考えてまいりたいというふうに思っております。
  39. 滝実

    滝委員 これからの問題としては、各地域はみんなこれは心配をいたしておるわけですね。これからどういうふうに推移するのかというのが大きな課題でございます。  そこで、最後になりましたけれども、自治大臣に一言御意見を承らせていただきたいのでございますけれども地方は、これから公共事業がそれほどことしは期待できない、補正予算のうわさも飛んでおりますけれども、今の中ではなかなか期待できない。こういうことも心配これあり、今のような三千億、金額は少ないのですけれども、そういう臨機応変の措置をやはり望んでいると思うのです。  それともう一つは、やはり地方においては、貸し渋りというのはこれからも続くのじゃなかろうかという心配を片やいたしております。貸し渋りというのは、これは調査がなかなかできかねる問題でございますから難しいと思うのですけれども、こういった点について、自治大臣としてもやはり自治省の力を動員して地方経済のためにお骨折りいただきたいと思うのですけれども、この辺のところについて自治大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  40. 上杉光弘

    上杉国務大臣 最近の貸し渋りの問題についてはさまざまな議論があるところでございますが、中小企業、中堅企業への資金供給に支障が生ずるということによりまして、地域経済にも重大な影響を与えておるということを私も十分認識をいたしております。  各地方公共団体におきましても、中小企業向けの金融融資の創設でありますとか、相談窓口の設置でありますとか、信用保証協会の経営基盤の強化などの対応を行っておる、こういうふうに聞いております。  この貸し渋りの問題は、本年四月に予定をされております早期是正措置の導入を控えまして、株価の低迷等による金融機関の自己資本比率の低下が懸念をされております中で、個々の金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させていることが原因ではないかとの見方があるわけでございます。  各地方団体に対しましては、中小企業等の置かれておる状況に十分留意しつつ、今後の金融情勢を注意深く見守りますとともに、的確に対応していただくよう強く指導をしてまいりたいと考えております。
  41. 滝実

    滝委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。今の自治大臣の御答弁、大変心強いものがございます。ぜひともよろしく自治省に対してもお願いを申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  42. 今井宏

    ○今井委員長代理 松崎公昭君。
  43. 松崎公昭

    ○松崎委員 おはようございます。民友連の松崎公昭でございます。  去る十二日には、本会議場におきまして代表質問をさせていただきました。大変ありがとうございます。  ただ、私も初めての経験でありましたけれども、なかなか、時間もないということもありますが、形骸化した質問とあれで、私も実は地方議会でもそういうことを何度もやってきて、こういう議会制度は変えなければいかぬなと。決まった原稿で、しかも大臣も時間がないわけでありますので、正直言いまして、きちんとした議論のできない場である。ああいうものは、今後国会の改革の中で、もっと内実のある、ディベートといいましょうか、そういうものに変えるべきだということを特に実感として今回は感じた次第であります。  ですから、きょうの質問も前回の代表質問を踏襲するような内容が多いと思いますが、それは、残念ながら満足のいく答えはあの場ではいただけなかったなという思いから、再度質問をさせていただくことになっております。よろしくお願いを申し上げます。  まず最初に、法案のこともそうでありますが、全体に関係しまして、分権推進計画についてお尋ねをしたいと思います。  これは、四次勧告で大方の結論を得たという形であったわけでありますけれども、五次勧告ということを総理が依頼されました。これはいろいろな見方があるわけでありますけれども、四次勧告では不十分であったのか、あるいは推進委員会の皆さんの意図とは違って、いろいろ官僚システムあるいは既存の力から、後退をさせられた、そういう見方もあるわけでありますが、推進計画を六月ぐらいまでにつくるという大変時間のないところで、なぜ第五次の勧告をせざるを得なかったのか。  この辺を、これは分権推進委員会でしょうか、五次勧告がなぜ必要になったか、それから総理からの依頼の内容は何であったか、まずお尋ねをいたします。
  44. 東田親司

    東田政府委員 お答えいたします。  まず、昨年の十二月でございますけれども総理の方から次のような要請がございました。  行政改革会議最終報告において、国、地方を通ずる行政役割を見直す見地からも、改めて地方分権を進めることとされているところであり、市町村への権限移譲を含む国及び都道府県からの事務、権限移譲などの問題についてさらに検討を進めていただきたい、こういう御要請でございました。  それで、この御要請趣旨に対する私ども委員会の認識でございますけれども、私どもといたしましては、この行革会議最終報告をもう少し詳細に点検いたしますと、例えば次のような文言がございます。  「今後地方分権をさらに本格的に進めるに当たっては、地方への財源権限の委譲を大幅に進めていく必要がある」という指摘、さらに、「政府をあげて、国と地方が一体となって本格的に取り組むことが必要である。」このような記述もございまして、このような行政改革会議指摘も踏まえられた上で総理の御要請があったのではないかというふうに認識しております。  総理の御要請を受けまして、新年になりましてから早速私ども委員会として検討を進めたわけでございますけれども、事務、権限移譲の問題につきましては、四次までの勧告においても触れているところではございますけれども、改めての要請であるということでございましたので、まず、検討の視点といたしましては三点固めました。国と地方役割分担明確化、それから二点目は国の行政組織スリム化、三点目は市町村への権限移譲推進、この三つの視点から、国と都道府県から事務、権限移譲の問題を幅広く進めていこうという方針を決めました。  まず、今動いておりますのは、本年二月から、有識者、それから関係団体の方々に意見をお伺いしたいということで、ヒアリングを進めております。これが二月から四月までかかる予定でございまして、そこで出ました意見をその後集約いたしまして、その範囲や分量に応じて今後のスケジュールも固めていくことになるだろうと思っております心一  以上でございます。
  45. 松崎公昭

    ○松崎委員 確かにそういう内容だと思いますけれども、やはり本来でしたら、四次までの勧告の完結までに一番大事であった財源、そして権限、これを今回もう一度やるということは、やはりそれだけ大事な部分が抜けたままの勧告だったという見方もできるわけであります。  大事な推進計画を今作成中なのであります。それで五次勧告はどうも夏になるのじゃないかということで、確かに精力的に三月、四月、毎週のように頑張っていただけるようでありますけれども、どうも推進計画を先に進めながら五次勧告を、しかも分権推進計画の中枢であります地方と国との関係役割明確化、それからスリム化市町村への権限移譲というのは、私も前に指摘させていただきましたが、たしか国からは十二、三でしょうか、それから三十六ぐらいが県から市町村と、幾ら機関委任事務でほとんど権限が行っておるといっても、本来的な権限移譲という形では確かに少ないのじゃないかという感じを以前から持っておりました。  ですから、そういう意味で、大事な部分が抜けたまま、薄いまま、今回推進計画に入ってしまう、しかも六月にはできてしまう、そして後からもう一回勧告が出てくる、ちょっとこの辺がわかりづらいのであります。  常識的に言えば、せっかくもう一度総理からの五次勧告でありますので、もっとスピードアップをして、推進計画の中に五次勧告まで盛り込む、そういうことが常識的には必要ではないかと思いますが、それに間に合わせることは可能かどうか、お尋ねいたします。
  46. 東田親司

    東田政府委員 ただいま先生指摘のとおり、手順といたしましては、まず、四次までの勧告を受けまして、政府の側におきまして分権推進計画を立案するということで、今国会終了までのできるだけ早い時期につくる、こういうことになっております。  私どもの改めての総理からの御要請の仕事は、二月から始めたわけでございますけれども、一部報道では、先生指摘のとおり、早ければ夏に、こういう報道がなされておるわけでございますが、委員会として、夏までにということを決めた経緯はございません。  記者とのやりとりで、記者の方から、それでは早ければ夏ということもあり得るのですかというお尋ねがございましたので、早ければそういうこともあるだろうという程度のお答えはいたしておるのでございますが、結局、どうなるかということにつきましては、今、十人余りの有識者や地方関係団体からも複数御意見を伺っておりまして、どのような事務事業、それから権限を取り上げることになるのかということにまさにかかっているわけでございます。  したがって、私ども、今言えますことは、早ければ夏ということも理論的にはあるだろうと思いますが、場合によってはそれよりおくれることもあるのかもしれないというふうに思っております。  一方、この事務、権限の問題あるいは財源の問題につきましては、私どもの四次までの勧告で、御批判はあろうかと思いますけれども、基本的な考え方は述べさせていただいておりますので、それを踏まえて政府側の方で計画をつくるに支障はないのではないかというふうに思っております。  したがって、私どもの方から今後さらに改めての勧告という形が出た場合には、またそれに対応して考えていただければいいのではないかというふうに私どもとしては思っております。
  47. 松崎公昭

    ○松崎委員 確かに、重立った骨組みは四次勧告で全部出ておりますから、おっしゃるとおりよろしいわけであります。ただ、やはりこれは時限立法で、あともう二年ほどでつくらなければならない。しかも推進計画も即座につくって、それを実行しなければならない。ですから、そういう意味では大変時間が迫られている。五年の時限立法にされたということは、私はよくわかりませんけれども、それだけの意気込みというふうに受けとめますと、これはできればやはり、大事な部分が少し薄いのですから、五次勧告をしっかりと早めた方がいいだろう。  そこで、本来この作業は、中心は内政審議室でしょうか、そちらで取りまとめていらっしゃるということでありまずけれども自治省大蔵省、それから総務庁、その中でもやはり自治大臣は一番現場の大臣さんでありますので、その辺、大臣は、間に合うように総理に進言するなり、そういうお気持ちはありませんか。
  48. 上杉光弘

    上杉国務大臣 御指摘のように、私どもは、機関委任事務の廃止をした後、分権推進大綱を取りまとめて、今、分権推進計画をどう進めていくかという、その作成の作業をいたしておるところでございます。我々は、この国会の終わるまでのできるだけ早い機会と申し上げておるわけで、それを出しました後、第五次勧告がなされる、こういうことでありますから、ある意味ではちぐはぐの感は否めないわけでございます。  ただ、しかしよく考えてみれば、計画を策定しました後に第五次勧告が出されれば、足らざるものがあり勧告でこうだと言われれば、それを、自治省はこうつくったんだからだめだということではございません。分権推進計画策定しました後、それに対して第五次の勧告に基本的に抱えたものがあり、それを受け入れなければならないということであれば、それは当然、さらに受け入れた形できちっとしたものにしなければならないのでありますから、時期的なずれはありましても、整合性のあるものになさなければならないし、そうなるものだと私は理解をいたしております。
  49. 松崎公昭

    ○松崎委員 わかりました。  そうしますと、計画が策定されますと、私は素人でありますけれども、五百とか六百とか、そういう法律改正を伴いながら施策の実行に移っていくわけでありますけれども、多分、予定でいきますと来年の今ごろの通常国会でそういった法律関係改正が出てくるのかな、そんなふうに私は勝手に想像はしております。  しかも、先ほども言いましたように時限立法でありますので、平成十二年の七月二日には切れてしまう、大変時間がないわけであります。私は、ポス十分権推進法というか、この短い間では、計画ができて各法律改正され、それに対応して実際の分権推進に歩んでいくには、かなり時間がかかるわけでありますので、ポス十分権推進法、その次の対応というのが何か必要だろう、そんなふうに思いますが、大臣どうでしょうか。
  50. 上杉光弘

    上杉国務大臣 今回の分権推進計画はまさに明治以来の大改革だ、私はこう思っておるわけですが、分権推進だけに限って申し上げれば、ただいま御指摘のように、五年間の時限立法とされておりますが、これは地方分権推進の具体的な成果を一気呵成に上げるべく、地方分権推進委員会勧告から地方分権推進計画の作成、実施まで、一定の期限内に集中的かつ計画的に取り組むことといたしておるわけでございます。  ただ、分権推進だけではなくて、行政改革もその中に当然連動をいたしております。それからもう一つは、分権をいたしますれば、その受け皿となる地方団体があるわけでございまして、これの整備もしていかなければならない。これは連動して行われるものでございまして、そのような意味では、委員指摘のとおり、五年間でいいのか、あと、ポスト分権という意味での法律はどうだという御意見があることは十分御意見としてわかるわけでございますが、今のところそういうものは考えていない。五年間で一気呵成に成果を上げなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。  政府におきましては、地方分権推進委からの四次にわたります勧告を受けまして、今国会中に地方分権推進計画の作成を今いたしておるわけですが、これは全部関係省庁と絡まっておる問題です。はっきり申し上げますと、事務ベースのものと補助事業事業ベースのものがあるわけでございまして、各省庁との絡まった問題は、当然自治省といたしましては、関係省庁と、理解をいただき相協力をいたしまして、鋭意その作成作業に取り組んでおるというのがその実態でございます。  まずは、計画を策定いたしまして、計画に基づいた関係法令の改正を行うなど、具体的な改革を速やかに、かつ着実に実施をしていくということがまず肝要ではないか、このように考えております。
  51. 松崎公昭

    ○松崎委員 ありがとうございます。  私は、今回の推進委員会の四次勧告までの内容を見ておりまして、大変不遜な言い方かもしれませんけれども、確かに分権推進というところにまず力がはいっている、そして一番効果があるところがら、その入り口からやっていくんだ、それが機関委任事務の整理であったり、国と地方団体が分担すべき役割を明確にする、そういうことに重点が置かれていた。ですから、おのずと各検討グループの国と地方との、役所対役所みたいな、そういう内容がこの大宗を占めている。  ただ、地方分権のことを言いますと、私は、この基本理念にも書かれておりますように、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることだ、三つの理念のうちの一つですね。それから地方公共団体の自主性、自立性を高めるんだ。そういう役所対役所、俗に官官分権なんて言われておりますけれども、やはり住民でありますとか、主役である市民、国民、こういったものを巻き込んだ大きな分権というものを、これは日本の政治構造、社会構造を変えるわけですから、そういう大きな視点の理念を必ず打ち立て続けなければいけない。  そういうことでいけば、分権基本法、こんなものがいずれ必要なのではないか、私はそう思っております。これは要望でありますが、今まさに、大臣のおっしゃった歴史的な国と地方との関係を思い切って変えようという、一九九八年、今この大事なところでの自治大臣であります。私は、大臣の政治家としての一つの大きな見地で、今後、分権推進作業が終わったら、続けてもっと大きな意味の分権推進の基本法をつくるんだ、そのくらいの担当大臣としてのお心構えというかそういうものを求めていきたい、そんなふうに思っております。ぜひ、歴史に残る自治大臣としてお願いをしたいなと思います。  質問じゃありませんけれども、感想はどうでしょうか、今のことに関しまして。
  52. 上杉光弘

    上杉国務大臣 今度の分権推進というものについては、公共事業、それから社会保障、教育、この三分野で七〇%を地方財政が占めておるわけです。あと一般事務的なもの、自主財源等を含めた三割程度があります。ですから、地方分権推進するといいましても、三割的な事務ベースと七割の事業ベースがあると思うのです。  問題は、七割の事業ベースにどういう形で分権が切り込んでいくか、どういう形で財政的なものが対応できるのか。これは国の財政地方財政のありようにも及ぶことでございますし、国家という意味では、あしたの国民生活を守り、国の発展を方向づけするための大変な仕事でございますので、総合的にその点は判断をし、方向づけをしていかなければならない。  問題は、各省庁間における地方分権に対する事業ベースの切り込みのありようというものがある意味では成否を決めるのではないか。私はそのような認識を持って、極めて厳しい状況のもとで、財政にも及ぶことでありますので、この点については大変心配をしながら取り組んでおるところでございます。
  53. 松崎公昭

    ○松崎委員 大変心強い御意見、そして意欲、そしてまた本質を突いたお話だと思いました。大変期待をしておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、本題であります地方財政計画交付税法についてお伺いをいたします。  今、自主財源の強化の問題がどちらでも言われておりますが、どうしても依存財源に頼り過ぎております現在の仕組みであります。この展望、自主財源充実確保、これはいろいろな意味でテーマが大きいのでありますが、税の総量を、地方へ回るようにしなければならない、多くしなければならない、そういうことであります。  勧告にもありましたように、課税自主権の確立のため、法定外普通税の許可制の廃止や法定外目的税の創設、こういつたことが書かれておりますが、もう一つ地方の法人課税の外形課税、これもテーマであります。こういうような自主財源の強化策、こういつたことをどのようにお考えなのか、御質問をいたします。
  54. 上杉光弘

    上杉国務大臣 地方税源の充実確保については、地方分権推進委員会第二次勧告は、「国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方税源配分のあり方についても検討しながら、地方税充実確保を図っていく必要がある。」として、その方向を示しておるわけでございます。たびたびお答えをいたしておりますが、私は、国から地方への税源移譲ということも、その際の重要な地方財源確保としての課題であると考えております。こうしたことを踏まえながら、地方税源の充実確保に取り組んでまいることは至極当然のことであります。  具体的には、地方自主財源の強化に当たりましては、所得、消費資産等の間におけるバランスのとれた地方税体系や、税源偏在性が少なく税収安定性を備えた地方税体系の構築などに努めてまいらなければならないと考えております。  今回の税制改正当たりましては、特に税収の安定化の観点から事業税の外形標準課税の問題について議論がなされたところでありますが、この問題については来年度においてさらに検討を深めてまいりたいと考えております。
  55. 松崎公昭

    ○松崎委員 この問題はなかなか簡単にはいかないと思いますが、推進計画を進めながら、特に財源問題に関しましては推進委員会もまだまだこれからだということであります。これは、先ほど大臣もお話しのように一番省庁間の問題点のあるところだと思いますけれども、ひとつ御努力をいただきたいと思っております。  さて、次に、地方交付税法の第六条の三第二項ですか、これも本会議で御質問をしたわけでありますけれども、先ほども出ておりました交付税特別会計借入金の問題、これは、今回も一兆八千百億で賄う。あるいは集中期間中の三年間は償還の繰り延べをする。これは三年分で二兆二千八百十四億。  これは、答弁では制度改正ということをお話しになっておりましたけれども、私どもは制度改正とはどうしても思えないのであります。やはり税率を変えるとか抜本的な制度を変えるということが本来のこの法律趣旨だろうと思いますが、これはずっと継続して毎年のように質問の中にも出ている、そういう内容でございます。  特に、十年度の地方税の減収とそれから特別減税関係する減収分の対策をお尋ねいたしますが、これは今の体制の中でいろいろ御苦労をされているのはわかります。しかし、かなり、ごまかしと言うとちょっと言葉が過ぎるかもしれませんけれども、目くらましみたいに感じるのは私だけじゃないのじゃないのか。  つまり、財政収支の財源不足が五兆四千百億でしょうか、これを、素人目です、国民の目から見ますと、減税の補てん債と財源対策債の地方債が二兆五千百億、それから交付税特別会計借入金、それから償還繰り延べもここにございます、それを合わせますと五兆四千百億円になるのですね。一般会計から実質的に加算したというのは三千億だけなんです。  ですからこの辺が、実際には、地方債の依存度を低く抑えてはいるけれども、表向き出てこない、裏からしか見えない交付税特別会計、これを膨らませている、そんなふうに私は感じるわけであります。ですから、こういうやり方ではどうなんだろうか。  確かにことしは少し減らした、前年と比べれば減らしておりますね。借入金そのものは、地方債と交付税特別会計を両方足しますと、確かに九千二百十八億減ってはいます。しかし、最近の流れとしてはずっとふえている。  先ほど、前の先生からもお話ありましたように、交付税特会はもう十九兆、地方だけでも十六兆になっている。地方債残高も百十五兆、そして、足した地方借入金の残高が百五十六兆円になっている。ですから、幾ら皆さんが、十年度は地方債は構成比で一・二%減らしています、それから投資的経費でも減らしています、そういう予算上のあれは、確かにそういう、言いわけといいましょうか、説明はつくかもしれませんけれども、実際は公債費は八・八%伸びているわけでありますし、皆さんのおっしゃっている構成比でいっても〇・九%公債費はふえているわけです。  ですから、そういう体質ではもうだめだということが年々はっきりしてきたわけでありますので、この辺でそろそろしっかりとやらなければいけないのではないか。つまり、あくまでも借金による借金の繰り延べ、先ほども、二十八年後でしょうか、大変厳しい、ずっと返していく、こういう体質をどこで切り離すか、これはやはり思い切った分権推進を進める、あるいは国と地方との関係を思い切って切りかえて構造改革をしなければだめなのだ、そういうことになるわけであります。  さて、この繰り延べ、借金による財源の穴埋め、これが、十三年度以降の負担はどのくらいになるのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  56. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 交付税特会償還を、今回集中改革下におきますものを繰り延べするという措置を法律で御審議をいただいておるわけでございますが、今のお尋ねは繰り延べでございますので、それに限ってお答えをいたしますと、この三年間の繰り延べを行いますもの、これは国の負担分と地方の負担分がございます。  国の負担分につきましては、平成十年度分は十三年度以降、十一年度分は十四年度以降、十二年度分は十五年度以降というふうに順次繰り延べするわけでございますが、十年間で繰り延べをする。それから、地方の負担分については、十年度は十五年度以降ということで、ちょっと後ろにずれますが、同じくそれぞれ十年間で償還をする、そういう計画になっております。
  57. 松崎公昭

    ○松崎委員 これは、ちなみにどのくらいの利払いになるのでしょうか。
  58. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 これの全体の利子につきましては、当然でございますが、国の負担分は国が負担をする、それから、地方の負担分は地方が負担することにいたしておりまして、これ全体の償還計画を、先ほども申しましたように、全体で平成三十八年度までということで計画をつくっておりますが、私どもとしては、この繰り延べ分だけの利子ということでは特に取り出して計算はいたしておりません。
  59. 松崎公昭

    ○松崎委員 いずれにいたしましても、先ほどから申し上げているとおり、国と地方、折半して補てんしてお返しする。それにしても、全体的な膨大な借入金の残高であります。この体制をずっと続けてまいりますと、この集中期間でまた三年延ばした、これは本当にただ延ばすだけでありまして、ますますその分当然利子もふえるということで、この辺はもうそろそろ脱却しなければいけないのではないか、そんなふうに私は思っております。  この辺のことは、皆さんは制度改正という言い方をされておりますけれども、こういう体制は、大臣、どうでしょうか、もうそろそろ脱却して、次の展開を図らなければならないとお思いでしょうか。
  60. 上杉光弘

    上杉国務大臣 昨年の末に、国の財政計画と地方財政計画の折り合いをつけるときに、三年繰り延べという問題は出てきたわけでございまして、新たな事態としての行政改革、地方分権推進というものがあるわけでございまして、当然、総体論としては委員のおっしゃる御意見というものはよくわかるわけでございますが、こういう国と地方関係での交付税等の問題、特別会計の問題等について、これを一遍に改正、こういうことにはこれはならないのではないか。総体的なものを見ながら議論すべきことはやぶさかでないと考えております。
  61. 松崎公昭

    ○松崎委員 はい、わかりました。  これは時間のかかる、また皆さんでしっかりと、我々も含めて検討をしなければならない問題だろう、そう思っております。  さて、地方債の繰り上げ償還の問題がかなり言われております。償還繰り延べは、政府としては困ることなのかどうかわかりませんが、繰り延べを片方でしながら、片方では、各地方で繰り上げの動きが出てきた。これは財政事情から、昔の高い金利の地方債を早目に返したい、特に橋本総理の地元の岡山県もそうなんですが、十一道県が繰り上げ償還に乗り出した。  これは対象は大体縁故債ということで、自治体と金融機関が話し合いながらつくってきた縁故債でありますけれども、銀行としては大変困る、しかし、自治体としては、早く高いものを安いものにかえたい、あるいは早く返したい、そういう気持ちはこういう経済情勢ではいたし方ない、そんなふうに思うわけであります。  ただ、ほうっておきますと、地方債市場の育成ということがいろいろ問題になってくる。また金融機関も、今いろいろ騒がれておりまして、十三兆の膨大なお金も投入する、そんな時代の中で、その縁故債の市場は大変混乱を起こすのではないか、そんなふうに私は思うわけでありますけれども、その辺は自治省としてはどういうふうにとらえていらっしゃいますでしょうか。
  62. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今地方債の繰り上げ償還という問題があちこちで生じておることは私ども承知いたしております。  民間資金の調達の場合には、いわゆる証券を発行する場合と証書で借り入れる場合がございます。それで、証券発行のものにつきましては、これは市場において流通をいたしておりますので、これを繰り上げ償還をいたしますということは、市場におきます地方債の信頼を失うということになります。今後の円滑な資金調達にも支障が出てまいりますので、これは、委員指摘のように、地方債の流通性を確保する観点から慎重に対応する必要があるというふうに考えております。  それで、証書の借り入れの場合、指定金融機関などの借り入れがそういうケースが多うございますが、これにつきましては、基本的にその地方債の引き受けの金融機関と地方団体との間で相談をしといいますか、交渉して決めていただければいいのではないかと思いますが、それぞれの立場がございまして、いずれにしても、特に指定金融機関等の場合には単年度だけの話でありませんで、いわば中長期の資金調達の相手方でありますので、双方が円満に協議をして進めていただきたいというふうに考えております。
  63. 松崎公昭

    ○松崎委員 そうなりますと、私も詳しくはわからないのですけれども大蔵省の資金運用部が関係するものもあると思いますが、この辺は、今大蔵省はだめだと言っておりますね。しかし、旧国鉄債務とか林野事業では繰り上げ償還もしている。こうなりますと、地方の方はだめで林野や旧国鉄はいいのだ、そういうことになってしまいます。  この辺、自治省としては、そういう動きが大きくなってきた場合に、どういう指導をしたり、あるいはどういう手だてを考えていらっしゃるのか、旧国鉄やら林野のこととの比較において、ちょっとお答えをいただきたいと思うのです。
  64. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 資金運用部の繰り上げ償還でございますが、これも地方団体の方に要望があるということは私どもも十分承知いたしておりますが、この資金の性格からいたしまして、民間ではなかなか調達できないような長期の資金を供給しているというのがこの資金運用部の資金としての特色でございます。したがいまして、これを一般的に、金利の高いものを選んで繰り上げ償還を認めるということになりますと、資金運用部資金の、今言いましたような長期の安定した資金という性格からいいまして、問題があるのではないかという考え方が当然あるわけでございます。  しかし、一方で、個別の地方団体を見ますと、非常に財政が苦しくなって、しかもかなり金利の高いものを持っているというふうな、いわば繰り上げ償還の必要性が非常に高いという事情にある団体もあろうかと思います。そういう場合に、私どもとしては、事情に応じて、地方団体の意向を踏まえて、国庫当局とも協議してまいりたいというふうに考えております。
  65. 松崎公昭

    ○松崎委員 この問題はなかなか難しい問題だと思いますが、さらに御検討いただきたい、そんなふうに思います。  さて、この前私は、代表質問の中でも、地方債の許可制度の問題で御質問をいたしました。その中で、今回の分権推進委員会勧告では、許可制度を廃止するということを出したのですが、財革法の期間中は許可制を維持するのだ。  これは、前回の質問でも、地方を信用しないことではないか、これはもともとは自治省が管理をして、皆さんでオーケーを出してきて、それでたくさん借金をつくったから地方はだめだ、そういう話はないでしょうという話をしたのですね。私は、もう少し地方を信用して、信頼してとお願いしたい。  しかし、財革法でいくと、とてもそんな危なっかしいことをさせられないということで、今回しばらくの間維持をしますよということになったと思いますが、やはりこういつた地方債の許可の問題等は、もう少し信用して自由にやらせる、そんなことは、推進委員会指摘どおり早くやるべきだろうと私は思っております。  この前の本会議でのお答えは、地方債制度は今新たな検討を進めているんだということでございます。もちろん推進計画の中に盛り込むのかどうかわかりませんが、その辺どんな検討をされて、推進計画の中に盛り込むのかどうか、ぜひお答えをいただきたいと思います。
  66. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方債の制度につきましては、分権委員会勧告は、地方公共団体の自主性を高める観点に立って許可制を廃止して、原則として事前協議制に移行するという内容のものでございまして、また、この勧告の中であわせて、今の財政構造改革期間中においては、現行の許可制を維持することが適当である、こういうふうなことも勧告をされておるわけでございます。  この趣旨は、地方を信用するとかしないとかということではなくて、財政構造改革で、全体の財政赤字を国、地方合わせてGDP対比で三%以下にするという目標をつくっておりますが、その財政赤字が、地方債の量そのものが財政赤字を意味するわけでもございますので、そういう目標を達成していく上で、地方債の毎年度の量というのは全体で管理しておく必要があるという趣旨から、この構造改革期間中は現行制度を維持するべきだというふうな勧告をいただいているものと私どもは理解いたしております。  分権推進計画では、具体的に勧告を受けまして、私どもとしては、原則として事前協議制に移行ずるということを内容として、計画に盛り込みたいと思っておりますが、その際にどういうケースについて同意を要するとか、あるいは財政措置を要するとか、地方債の、政府資金を充当するとかといったようなこととあわせて、個々のケースについてどういう場合に合意を要することにするかとか、あるいは、余り実例はございませんが、赤字の場合に、原則として許可制の方がいいというふうな勧告もありまして、そういう具体的な内容について検討してまいりたい。  そのうち、どういう内容を分権推進計画に盛り込むかということは、その際にあわせて、分権推進計画全体の内容とも照らし合わせながら考えていきたいというふうに思っております。
  67. 松崎公昭

    ○松崎委員 ありがとうございます。  時間がなくなりましたので、最後に補助金のことでちょっとお伺いさせていただきます。  地方を、悪い言葉で言いますと、国がコントロールする方法は幾つもあります。もちろん交付税も含めてなのですが、補助金、こういう問題があるわけであります。今地方への補助金が十七兆円、地方財政の約一四%を占めている、また、普通建設事業の約三八%もある。件数は千四百八十五件。こういうコントロールをするもとである補助金、これはもう既に議論になっているわけでありますけれども、この辺、やはりこれから切り込まないといけないのではないか、そんなふうに思います。  最後に、この補助金について、補助金等適正化法、これは大蔵の範疇でありますけれども、これがあるためになかなかうまく補助金の整理統合ができにくい、そんなふうにも言われております。この辺を、これは大蔵の範囲でありますけれども、自治大臣として、こういう制度を含めて補助金の整理統合、こんな問題をどのようにお考えか、一言お願いしたいと思います。
  68. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 補助金の整理、それを一般財源に振りかえるといったようなことは、分権にとりまして大変重要な課題だと思っておりまして、私どももこれからもこの問題について積極的に取り組んでまいりたいと思います。  そういうものの一環として、補助制度の運用の問題につきまして、これは主として補助金適正化法の問題になるわけでございますが、これにつきましても、地方の方が補助金を使いやすくするように、余り制約が細かくなく、厳しくないような運用をすべきだというふうな観点から分権委員会勧告もいただいておりまして、その勧告に沿って、関係各省庁でいろいろ御検討されると思いますが、私どもといたしましても、そういう点について積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  69. 松崎公昭

    ○松崎委員 時間です。ありがとうございました。
  70. 今井宏

    ○今井委員長代理 次に、古川元久君。
  71. 古川元久

    ○古川委員 民友連の古川元久でございます。  本日は大臣に、今後の地方自治のあり方につきまして、税の問題を中心にいたしまして、基本的にどのようなお考えを持っておられるのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。  余り細かい話に入らなくて、むしろ大きなお話をいろいろ、大臣の率直な意見をお聞かせいただきたいと思いますので、どうか事務方のつくられた答弁だけではなく、大臣の個人的なお考えも踏まえて、お考えをお聞かせいただければ幸いだと思います。  さて、まず最初に、昨年七月に地方分権推進委員会から出されました第二次勧告では、「地方税財源充実確保」がうたわれ、   国と地方の歳出純計に占める地方の歳出の割合は約三分の二であるのに対し、租税総額に占める地方税の割合は約三分の一となっており、歳出規模地方税収入との乖離が存在している。   地方税については、基本的に、この地方における歳出規模地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、その充実確保を図っていくべきである。 という勧告がされております。  また、そうした視点に立ちまして、税制調査会が昨年末にまとめた税制改正に関する答申におきましても、「地方分権推進に当たっては、地方財政基盤を確立することが不可欠であり、地方における歳出規模地方税収入の乖離を縮小するという観点に立って、」また同じように、「課税自主権を尊重しつつ、地方税充実確保を図っていくことが必要」というふうに指摘されているわけであります。  それゆえ、私は、今回の地方税改正におきましては、そうした歳出規模地方税収の乖離を縮小するという方向での改正が打ち出されてくるのではないかと期待をしておったわけでありますが、その中身を見ていきますと、どうもそうではないような気がいたすのであります。  それは具体的にはどういうことかと申しますと、さきに本委員会でも通りましたが、二兆円の特別減税を行う中で、地方においても六千億の減税を行う。また、今回も、国におきまして法人税を減税するのに伴って、地方法人事業税の税率引き下げをする。要は、国税の減税におつき合いをするような形で減税が行われているわけであります。  私どもは、減税をすること自体は間違いではない、むしろ、極めて高い日本の法人税、これを国際的な標準から見ても引き下げていく、そして国際的な競争力を十分保てるような程度まで実効税率を下げていくことは、これは喫緊の課題として必要だというふうに私自身も考えておりますが、よく考えてみますと、一方で、地方財源はしっかり確保していかなければいけない、そういう要請があるわけでありますね。  もし、国税で減税をするときにおつき合いをしなくて、地方の方の減税はしない、国税だけで減税をするということになれば、これは相対的に、歳出規模地方税収の乖離が縮小されていくことにつながるのじゃないかというふうに思うのです。  国と地方財源配分の根本的見直し、これは前々からずっと言われておることでありますが、根本的な見直しを行うことが極めて困難であるということを前提に考えれば、こうしたように国税で減税が行われるときに、地方ではそれに伴って、おつき合いをして減税をするというようなことをしなければ、相対的には、これは国と地方との税収ということでいえば、地方への配分が大きくなる一そういうチャンスなのではないかなというふうに私などは考えるわけなんです。  それに、そもそも、この今の景気後退、不況の状況をつくり出した大きな原因は、これは今の地方にあるというよりも、やはり中央政府の問題でありまして、その景気回復の責任を負うのはやはり国の方であって、またそれを地方にツケ回すような形にするのはいかがなものかなと。本来、やはり景気対策として減税を実施するのであれば、それはやはり国の責任においてなされるべきであって、それを地方に押しつけるような形にはすべきではない。  ですから、このような形で、国におつき合いをするような形で行うということは、税収と歳出規模の乖離を縮小するという、もうこれまで推進委員会、あるいは税調答申でも出されてきた、そして、国と地方との税源配分の見直しをずっと進めてきた自治省立場からしても、これはどうも何か相反するような行動のように思うのですが、大臣はその点に関してどのような御所見をお持ちなのでしょうか。
  72. 上杉光弘

    上杉国務大臣 地方分権推進委員会が第二次勧告で示しておりますように、「地方における歳出規模地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点」、これに立って、課税の自主権というものを尊重しつつその充実を図っていくべきだ、こうしておることから、例えば、さきの所得税減税二兆円、国税では所得税で一兆四千億、そして地方税では個人住民税で六千億としたわけです。  ただ、委員が主張されますとおり、そういう意見が一方にあることはよく承知しております。しかし、公経済として国の財政地方財政は車の両輪だというその位置づけからすれば、国の方で決めたことだから地方は知らぬ、こういうことにはならないであろうと。もう一つは、今の税制財政仕組みからいたしまして、例えば仮に個人住民税六千億はやらずに所得税で二兆円やってしまえ、こういう国税の一方でやったとしますと、それはそれだけでは通らない。  一兆四千億円の所得税の減税に対しましてもはね返りが四千五百億あるわけですから、国と地方税制仕組みあるいは財政上の関係、これは連動したものがあるわけでございまして、そういうふうに、ようかんを切るようにはならないだろう。また、先ほど前段で言いました、国と地方財政の公経済としての車の両輪という一つの視点あるいは論点に立ては、なかなか難しい問題ではないか、このように考えております。
  73. 古川元久

    ○古川委員 今大臣は車の両輪というお話をされましたが、四WDであって、国と地方が両方ちゃんと機動力があってそれで動いているのであれば、それは私も大臣のおっしゃることがそうかもしれないなという気もいたしますけれども、今これは前輪か後輪、どちらでもいいのですが、とにかく国の方だけ機動力があって、いわば地方の方は、要は国が動いたのに、それに引きずられるような形で回っているだけですから、そういった考えに立つと、車の両輪だから国だけというわけにはいかないんだという論理は、私はちょっと成り立たないものではないのかなというような感じがいたします。  そこのところは、またこれは一歩議論の深まる話ですからおいておくといたしましても、今回、いろいろな形で減税をしたりとか、あるいはバブル崩壊以降、いろいろ政府として景気対策を行う中で、国と地方は両輪だ、お互いに役割分担していっていただかなければいけないんだという中で、国の財政が非常に逼迫しているというようなこともありまして、地方に対して、地方単独事業をふやさせたりとかそういうような形で、景気対策などでも相当に負担をさせてきた部分は、これは否定できない話だと思うのです。  そうした分については、自治省さんの、政府説明によれば、いや、そうしたものについては、かなりの部分は将来的に交付税などの形で国がちゃんと面倒を見るような仕組みになっているから、それは地方に押しつけているわけじゃないですよというようなことがよく言われるわけでありますね。しかし、これも私は、地方自治という観点から考えてみますとちょっとおかしいのじゃないのかなという気がするのです。  そもそも、こうした将来受け取る交付税というのは、本来はその地方一般財源としまして、その時点で地方が自由に使い方を決めて、そして使えていくべきものじゃないかというふうに思うわけなんですけれども、それが今まで、バブル崩壊以降にいろいろな形で、借金をしたりあるいは地方債を交付したり、あるいは地方単独事業をやったりという形で前倒しで地方がお金を使う、いわば、使ってきたというよりも、これは国におつき合いをさせられて使わされたというような気がするわけです。  その分は、それは後から面倒を見てやるのだからいいじゃないかと言うかもしれませんが、それは結局、交付税一般財源であると、これは地方固有財源だと言いながら、事実上その意味をなくしてしまっているのではないか。その分は結局地方は、将来において、本来であれば固有財源一般財源として自由に使えるべきものを、先に中央政府に、国におつき合いをして、借金をしたりあるいは地方単独事業をやったり、そういう形でお金を先食いをしてしまったから、そうした本来自由裁量で将来使えるべき財源まで使えなくなってしまう。  そういうところだけ見ると、これは、今大蔵省による金融機関の護送船団方式が非難をされておるわけでありますが、まさに事実上、これは国による地方の護送船団とも言っていいような形で、これから将来にわたって、要は先に食べてしまった、お金を使った分は後から補てんしてやるからと、そういうところまで将来にわたって、ある意味地方の手足を縛っていく。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕  ですから、一方で、今地方分権だ、いろいろな形で事務、権限地方移譲してやるのだ、先ほど大臣も、五年間という期間の中で早急に地方分権推進していきたいというようなお話がありましたけれども、そうはいっても、これまでのバブル崩壊後の何年かで、相当に地方は、本来将来に投資できるものを、自分たちでやりたいことを決めてやれるべきものを、先に金を使わされてしまっている。そういうような状況があったら、いわば国に対して、先々まで縛られてしまう、要はそういうことになってしまうのじゃないかと思いますが、大臣はいかがお考えになりますか。
  74. 上杉光弘

    上杉国務大臣 確かに委員指摘のとおり、国が行います補助事業等に、国の財政が苦しいので国債に依存しておる、その国債に依存しておる分は現ナマがないわけですから、地方においては財政的には地方債に頼らざるを得なかった、その事実は御指摘のとおりでございます。  ただしかし、総体的には、考えていけば、国も地方財政的には非常に厳しい状況のもとでございますから、お互いの立場を理解して協力し合うというのはその基本だと思います。  そのことを申し上げて、お答えをいたしますが、我が国におきましては、国民生活に密着した関連する行政の多くは地方団体が実施いたしておるわけでございます。その歳出の相当部分については、国が、国庫補助負担金や法令等に基づき、関与する仕組みとなっておるのは御承知のとおりです。その一方で、これに対応する財源は、地域の経済力の格差等によりまして、税源が非常に偏っています。偏在している。このようなことから、地方交付税制度により、地方団体に義務づけられました事務事業等に必要な財源を保障することとしておりまして、地方団体間の財源不均衡の調整を行っておるものであります。  こうした財政措置の仕組みや、地方財政のあり方と国と地方役割分担は、これはまさに表裏一体の関係にあると考えておるわけでございまして、そういう意味で前段私、申し上げたわけでございます。  今後においても、地方分権論議の中で、国、地方役割分担地方歳出に対する国の関与財政措置のあり方等が議論をされるべきものと考えておりますが、地方交付税地方債を含む地方税財源のあり方、それから地方財政のあり方についても、その見直しに対応して検討していく必要がある、そのように考えております。  委員考え方とそう違っておりません。ただ、協力し合う、理解し合うという点については、私どもは強くそのことを意識として持っておるわけであります。
  75. 古川元久

    ○古川委員 今大臣、国の借金と地方の借金のお話を、両方とも苦しい中で借金をしているというお話がありましたが、「都道府県展望」二月号の中で、東京大学の神野教授は、国の借金と地方の借金は違うのだというような議論をされておられるのですね。  国の借金の場合は、要は、いわば国民政府の間、同じ家族の中で妻が夫に借金をしているようなものだ。外に、サラ金に借りているわけじゃない。しかし、地方の借金というのは、今まさにアメリカの財政が外国からのお金で借金をしてそれでアメリカの国を回しているように、外債と同じで、地方はまさにサラ金に借金をしているのと同じような形です。だから、国の借金と地方の借金は同じようには論じられないのじゃないか。むしろ、地方の借金の方が深刻に受けとめていかないといけないのじゃないかという指摘をされておられるのですね、これは大臣もお読みになられておるのかもしれませんが。  ですから、そういった点からいたしますと、国の財政状況が悪化していることと地方財政状況の悪化、しかもそれが借金によっているという点については、やはり別に考えていくということが必要じゃないか。  ただ単に、その借金の規模だけ見て、国の方が大きい、だから国が大変なのだ、それで地方と協力してというよりも、むしろその内容を見れば、地方の借金の方は、借りているところが外なわけですから、内容的に深刻である。だからむしろそこは、国が逆に地方に対して配慮をし、地方のことをおもんぱかって、もう少し地方財政のことを考えていくような、そういう形での協力をぜひしていっていただきたいな、そんな感じがしたわけであります。  これは感想でございますので、大臣の御答弁をお伺いして思ったことでありますので、御回答は結構でございます。  それで、個々の税収部分を離れまして、そもそものこの国のかたちの部分について、私はもう少し大臣に御質問をさせていただきたいのです。  行政改革会議最終報告の冒頭にあります行政改革の理念と目標の最初に掲げられておりますこの国のかたちの再構築を図るというところでは、この国のかたちをどう考えるかという際には、国と地方との関係をどのようなものにしていくか、そういうことの方が中央省庁をどう再編成するかということよりももっと根源的で重要な話であるのじゃないかと私は思うのです。  ところが、現在行われております、我々は早くつるしをおろして審議していただきたいというふうにお願いをしている中央省庁再編の基本法案につきましても、要は中央省庁の再編の話であって、私らから見ていますと、もっと先に詰めなければいけない国と地方との関係の話が、地方分権推進委員会でもっと何年も前からやっていたのに、後から来た中央省庁再編の話に何か先を越されてしまって、どうも国と地方との関係の話は傍らに置かれて、行革と言うと中央省庁の再編、何かその一点にどうも矮小化をされてしまっているのじゃないのかな、そんな危惧をしているわけなのですね。  今のお話のままですと、中央省庁の新しい形は何となく見えてきたわけですけれども、では、その際に、地方はどういう形なのかというのはまだまだほとんどはっきりわからない状況ですね。この国と地方との関係を明確にしないうちに、このような形で中央省庁の仕切りを変えたとしても、その後で、今イメージしている国と地方との関係が変わっていくとしたら、そのときにまた、それに伴って中央省庁も変えていかなければいけなくなるのじゃないか。  ところが、御承知のように中央省庁、私などから言わせれば、単に中身を入れかえる、名前を入れかえる、たんすの引き出しの数を入れかえるだけでもこれだけけんけんがくがくの議論になって、物事が一歩二歩進むのにもなかなか大変な状況がある。そういう状況の中で、中央省庁の再編というものを先行してやってしまえばどういうことになるか。  そこでまた、いや、国と地方との関係が変わったからやはりこの省庁は要らないやとか、そういうような話に果たしてなってくるだろうか。むしろ、いや、こうつくったのだから、これはこういう形で地方もここの中央省庁が見ていくのだみたいな形で、それは結果として見ると、国から地方への権限移譲というものも、このような状況、このような手順をやっていくと、かえって難しくなるのじゃないか、私はそんなふうに大変に危惧を感じておるわけであります。  これも非常に大きな問いかけなので、そこはぜひ大臣の御高見を賜りたいと思うのです。これは個人的な見解でも結構でございますが、この国のかたちについて、どういう国と地方との形があるべきなのか。自治大臣としての、大臣の個人的な所見で結構でございますが、ぜひそのイメージを聞かせていただきたいというふうに思うのです。
  76. 上杉光弘

    上杉国務大臣 イメージということでございますが、その前に一言申し上げますが、先ほど国の財政地方財政、むしろ地方が苦しいのじゃないかと。それは団体が三千三百あるわけで、その中身からすれば、これから償還金がどんどんふえていくわけですから、厳しさというものがあることはわかります。  ただしかし、なぜそうなったかということになると、法律や制度で国の事業が進められ、地方財政は公共事業や社会保障や教育で七〇%を占めておるわけですから、そこのところは、法律や制度でこの事業が進められ、またそれによって国全体の事業として成り立っておる以上は、それはおつき合いをせぬというわけにはまいらなかっただろう。  そのことがいかぬと言われてもそれは仕方のないことでありますが、だからこそ行政改革は必要であるし、地方分権の必要性はそういうものにあるのではないかと私は逆に考えておるわけでございまして、委員考え方と若干その辺は、我々はそういう形で受けとめて今後の対応をしたい、こう思っておりますから、申し上げたい。  それから国と地方関係ですが、国の省庁再編成がございました。それに伴って、今度は地方はどうなのか、こういうことでございますが、またややこしい問題が起こるのではないかということには私はならぬだろうと。  今後、地方分権推進を進めていきます。徳川幕藩体制が明治維新政府になったときに、廃藩置県が行われた。これまで我が国は、国、都道府県市町村というまさに縦の関係で中央集権のもとに今日の国家というものを築き、今日の国民生活があるわけであります。しかし、これでは世界に通用しなくなった。国内的にも、国民のニーズやあるいは国のあり方、国民生活を考えると、どうにも通用しなくなった。だから行政改革をして、今後の国と地方関係は対等の関係、国も都道府県もそして市町村も対等の関係に置くのだ、こういうことが今回の行政改革であり、地方分権推進の基本だ、私はこう思っております。  対等の関係に置けば、市町村、末端の行政というものは当然、行政の水準を上げてこなければなりません、国が行っていたものを都道府県市町村に対等の関係で譲るわけですから。では今後この地方団体というものはどうなるかと言えば、当然そこには地方公共団体みずからが自主的、自立的に決断をして方向づけをしなければならない。その決断とは何かというと、私は市町村の合併であるし、もう一つは広域行政であると思います。  どういう選択をして地方分権の受け皿をつくり、今後の対応をしていくかというのは、今度は地方が厳しい決断を迫られておる。国が地方分権を進め、地方行政を進めれば当然、そこに行き着くものは行き着くと私は考えておるわけでありまして、そのような国と地方関係が起こってくるだろう。  それからもう一つは、その自主性、自立性に基づく判断によりまして、今後は、地方分権を進めていけば、財政力の違いもありましょうし、あるいは政治的リーダーの違いもありましょうし、あるいは議会の違いもありましょうし、当然そこには紛争が起こったり、でこぼこが起こってくるのではないか。  政策の打ち出し方によっては、当然それは地域住民に影響を及ぼすことでありますから、こういう点を十分見きわめて、そういうことをも将来見越した上で、自治省としては、政府としては対応していかなければならないのではないか。新たな国と地方関係が生じ、地方団体同士の関係でも、そこには今までなかったことが起こり得る、こういうふうに私は理解しておるわけであります。
  77. 古川元久

    ○古川委員 大臣のお考えになっておられる国と地方との関係が少し明らかになってきたような気がいたします。  今の大臣考えておられますような、国と地方が対等の関係というようなことをおっしゃられました。そういう関係をつくっていく手順として、私がちょっとお伺いしたいのは、どのような手順がいいというふうに大臣はお考えなのか、ぜひお伺いしたいと思うのですね。  現在は、権限移譲とか税財源の配分変更とか市町村合併とか、そうした地方分権にいろいろと必要なことが、とにかく分権推進委員会などの報告書を見ますと、ずっと勧告が並んでいて、それを同時並行的に全部一気にやっていくという感じのような気がいたすのです。  しかし、そうやって全部細々とすべての方面でやっていくと、力を分散してしまえばまた進み方も、どうしても外から見てはっきりとわからないような形でしか進んでいかないというイメージが国民もあるのではないかと私なんか思うのですね。  むしろここは何かプライオリティーをつけて順々に、まず一点ここを突破していく。そこから一つ大きくがらっと国と地方との関係を変えて、それをきっかけにして加速度的に地方分権推進させていく方が効果的なような気がするのです。  例えば、今言われております金融ビッグバンにつきましても、二〇〇一年からというふうに言われていますが、現実にはこの四月から始まる外国為替の自由化でビッグバンは進んでしまうわけですね。この外国為替の自由化ということが、ある意味で、外国の、これまでの欧米の金融システムというものが、ほかの規制とか何かが日本の中にあっても、市場の力でこれが事実上入ってきてしまって、むしろ市場の力に規制緩和とかそういったものがこれから後押しをされるような形で早急に進んでいく。  そうしたことから見ますと、何かやはり一つどこかにしっかりした突破口を、端緒を見つけてやるということがいいのではないか。今のように全面展開をするよりも、一点突破というものをまず目指していった方がいいのではないのかなというふうに思いますが、大臣は、今イメージされておられるような国と地方との関係を築くために、どのような手順で何からやっていったらいいというふうに考えておられますでしょうか。
  78. 上杉光弘

    上杉国務大臣 今まさに自治省といたしましては、地方分権計画をどう進めていくか、その作業を行っておるところでございまして、作業がまとまればお示しをして、さらにまた議論を深めていただきたい、このように考えておるところでございます。
  79. 古川元久

    ○古川委員 いろいろ議論がされておるのであれば、ぜひそういうものを早く示していただきたいと思うのですが、私はやはり財源移譲こそがまず最初に行われるべきものではないのかなというふうな気がしております。  幾ら機関委任事務を廃止したり補助金を整理縮小したりしても、地方にお金がなければ、結局、地方分権というのは絵に描いたもちにしかすぎないのではないか。逆に、地方の方にお金があって国の方にはそれがないと言えば、金もないのに口だけ出しても、お金があって使うのを決めるのは地方ということになれば、当然地方の方が力関係からすれば強くなってくる。  それは役所の関係で、なぜ大蔵省が今まで強かったのかというのも、要は、実際にお金を使う権限を握っているところは他の省庁だけれども、その予算をつけるのが大蔵省で、お金を持っているのは大蔵省だったから、大蔵省が強かった。  それと同じようなもので、今のように財源の配分で最初に七割は国の方が取ってしまうというような状況では、やはりなかなか、権限移譲したりあるいは補助金とか何かを整理統合しても、地方分権というものが加速度的には進んでいかないのではないか。むしろ、まず最初に地方財源、お金を与える、そういうことになれば、そのお金を使って仕事もできるし、またそこで権限も与えられてくれば、そういう権限も行使できるようになる。  その意味では、とにかく私は、まず第一義的に、これは勧告でも述べられているように、最初の私の質問に戻りますけれども、国と地方との歳入歳出のギャップというものをあらゆる機会を通じてやはり逆転させていく、そういうことに最優先の課題として取り組んでいくべきではないかというふうに思いますが、大臣はいかがお考えになりますか。
  80. 上杉光弘

    上杉国務大臣 私は、日本人の知恵というものは大したものだな、こう思っているのですが、委員がおっしゃるように地方と国としっかり仕分けしてやるということになれば、地方人口も少のうございます。産業基盤だって、特殊な地域はあるにしても、総体論として言えば、地方は農山村を多く抱えて、そして産業基盤だって決して厚いものではない。そこから求める果実としての税収というのはおのずと乖離があるわけでございますから、税制上、交付税等でその乖離を調整するという仕組みができておると私は理解しておるわけでございます。  そういう意味で、地方税源の充実確保につきましては、地方分権推進委員会第二次勧告でも示しておりますように、たびたびお答えしておりますが、「国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方税源配分のあり方についても検討しながら、地方税充実確保を図っていく必要がある。」とその方向を示しておるわけでございます。  私は、国から地方への税源移譲ということもその際の重要な課題であると考えておりまして、こうしたことを踏まえながら、地方分権推進とあわせまして、地方が自立し、あるいは自主的にこの方向づけをし、その地域に住む人たちの生活を守り、高め、その地域を発展させていくための地方財源充実確保というものを、税源充実確保というものを十分図っていかなければならない、このように考えております。
  81. 古川元久

    ○古川委員 中長期的にという話がありましたけれども、繰り返しになりますけれども、私などは、分権といえども要は地方の側にお金がなければ自立する気持ちにもならないと思うのですね。今のままですと、とにかく下手に国に逆らうよりも、黙っていい子にしていれば何とか生かしてはくれる。ぜいたくはできないけれども、そこそこに、食っていけるぐらいの生活費は国からくれる。そういうような状況で、地方が自立していくような方向に、自分たちで自分たちの道を切り開くような方向にしむけるというのは、やはりなかなかこれは難しいことではないか。  ですから、やはりまず一義的に、これで生活しろよという形で最初に財源を与えてやってしまう。課税自主権もその地方に与える。そこで自分たちで考えろというそこの部分で、まず相手にそういう形で与えた方が、本当の意味で自立といったものもできてくるのではないか。  今の大臣のお話を伺っておりますと、私はそもそも地方分権という言葉を使うこと自体にちょっと嫌なところがあるのですね。なぜかといいますと、これは、もともと国が持っている権限地方に分け与えてやるというような、いわばこれは極めて上から地方を見下しているような発想であって、私は、やはりこれからの時代というのは、そうした中央集権から地方分権というような形の、上から権限を下におろすというよりも、地域主権というような形で、そもそもそうした自分たちの生活、自分たちの地域をどうするかということはそれぞれの地域に自主的な決定権がある。それが明治維新のときに、これは事実上廃藩置県によって中央に召し上げられた。  ですから、今やっていることは、別にお上から、中央から権限を分け与えてもらうことではなくて、そもそも自分たちが最初から持っていた権限を取り返す、そういう発想でこれはやっていかないと、今のお話のような形だと、結局、地方分権というのは要は中央の御都合、国の方の都合で、この辺はもういいかということになれば、ではこれは地方にやろう、そんな感じで、そういういわば五月雨式、中央の都合での分権という形では、本当に地方が自立していけるような体制というものはなかなかでき上がってこないのではないか。  ですから、大臣は先ほど、国と地方との関係を対等だというふうにお話をされました。しかし、私は、これからの国と地方とのあり方は、むしろ対等というよりも、地方の方が主に立って国の方が従に立つ、やはりそのようなあり方になっていかないと、今までの極めて強い中央集権の体制から簡単に対等な関係に立つようなことはなかなか難しいのではないか。むしろ制度的には逆に地方の方を主にして国を従にする。そのような形の方が、その地域、地域の自主性、そしてまた自立性というものを維持でき、それが結果的に見ると、国との関係で見ても対等に近いぐらいの関係になってくるのではないかな、私はそのように考えているわけなのです。  それに似たようなことで、私ども、民主党政権構想プロジェクトチームというものをつくりまして、民主党としての政権構想案を実はつくってまいりました。  まだこれは、党内でも議論をしていかなければいけないものですので、案の段階であるのですが、実は私もそのプロジェクトチームの一員としてその作成に携わったのですけれども、その中で私どもが明確に打ち上げたのが、分権連邦国家の確立ということなのです。  これは、私も先ほどから申しておりましたように、まさに連邦国家、日本を、中央集権ではなく地域が主権を持って、その連邦国としての日本という国があるというような形に変えていく。これは根本的にこの国のかたちを変えていくことになると思いますが、やはりそれが求められるのではないか、そういうふうにうたっているわけであります。  そして、この分権連邦国家におきましては、中央政府役割は、外交とか防衛あるいはナショナルミニマム等に可能な限り限定し、それ以外は自立した地方政府が担当することを想定しております。ですから、そのためにはやはり財源の裏づけの確保が最重要という認識をしております。それがなくては、そもそもそうした連邦制というものは成り立たない。  それで、その財源を確保する一つの方法として我々考えておりますのが、ドイツなどで使われている共同税の導入を提言しております。  共同税について、これは連邦国家のドイツなどで使われているもので、所得税、法人税、事業税消費税などの基幹税を一本化し、中央政府地方政府が共同で集め、その税収を、中央政府に三割、地方政府に七割というようにそれぞれの実際の支出に見合って配分する制度なのですけれども、こうした共同税という制度によりまして、配分後の税収は中央政府地方政府がそれぞれ独自の判断で使うことができる。そうなりますと、今行われている、地方がやっている事務の部分は、ほとんどが要は自主財源で賄えるということになっていくわけですね。  こうした共同税について大臣はどのようにお考えになっているか、それをお伺いしたいわけでありますが、私どもは、こうした共同税という方式、これは一つの案でありますが、そうしたものを導入すれば、これまでのような、中央政府地方交付税や国庫補助負担金という形で地方にお金をばらまいて地方をコントロールすることはもうできなくなりますし、中央はそんなお金がなくなるわけですから、また地方政府は、最初から七割という自主財源を直接得ることになりますから、自主的な判断でその地方の住民のニーズに合った事業を進めることが可能になります。  そしてまた、要は自分のところで上がった財源ですから、それを使うのも当然やはり慎重になってくるわけでありますね。  今みたいに、ほとんど財源のないようなところまで国から大量の金額のお金が落ちてくるということになりますと、私の地元であります愛知県などは、逆に、一番ある意味で税金をたくさん払っている割に、国から戻ってくるお金は一番少ない県というふうにある調査でありましたけれども、そのような県もあれば、一方で、山陰の方で、自分たちが出している税金よりも何倍ものお金が国から回ってくるというような県もあるわけであります。そういうようなものも、やはり取られている側からしてみると、同じ国なのになぜそこまで不公平があるのかというような気もしてしまう。  逆に言いますと、いわば国からたくさん、自分たちのところで上がってくる税収の何倍ものお金が落ちてくるということになれば、いわばお金が天から降ってくるようなものでありまして、そういうような状況ではそのお金を大事に使おうという気に果たしてなるだろうか。自分たちで汗水垂らして稼いだお金の中から納めた税金、それであれば当然それについては大事に使っていかなきゃいけないという感じにもなってくると思いますが、そういうものがないような今の状況では、やはりそれは税金のむだ遣いというのが起きてくる。  ですから、そういった税金のむだ遣いをなくす意味でも、こうした共同税というやり方はひとつ考慮に値するのではないかというふうに思いますが、大臣はこの共同税についてはどのようにお考えになっておられるでしょうか。
  82. 上杉光弘

    上杉国務大臣 ただいまの質問にお答えする前に、一つ私申し上げておきたいと思うのですが、地方分権は国から分け与えるものだ、そうは思っていません。中央集権を横並びにして、対等の関係でこれを横に移すというものでありますから、私は、国が分け与えるという筋合いのものではなかろうと。  また、国よりも地方を重視した、地方が主導権を持った国のあり方を、こういうことでございますが、委員と私は認識を異にいたしております。  国家社会の秩序というものを守るためには、やはりどこが主でもなくて、対等の関係権限を移し、また、ある意味では国家国民の責任を政府は持たなければならぬわけでございますから、地方が主導の国づくりというものは、これは当然政策的な提言とか地方の声というものは十分聞きながらも、国家という一つの成り立ちの中ではそうはならないのではないかと考えております。  ただいまの共同税方式でございますが、ドイツにおきまして実施されておるこの共同税方式を日本においても採用したらどうか、こういうお尋ねですが、連邦制をとり、中央政府地方政府関係が日本と全く異なっておりますドイツの仕組みを現時点において我が国にそのまま採用することはさまざまな課題があるのではないか、こう考えております。  しかしながら、今後、我が国において地方分権推進し、国、地方を通ずる税財源のあり方を考えるに当たりましては、国税と地方税を共同税として徴収し、地方のニーズに合った行政を進めるために必要な地方財源を確保するという御提言であれば、将来、地方分権も進めていくわけでございますから、これらのこととあわせて検討するということに際しての一つの貴重な御意見ではないか、このように受けとめております。
  83. 古川元久

    ○古川委員 この連邦制を認めるか認めないかというのは、かなり議論をまだまだしていかなければいけない話だと思います。  ただ、私は、本当にこの国のかたちを再構築するというのであれば、やはり今大臣のおっしゃったようなものですと、結局は、最終的なところは国が決める。先ほど私も申し上げたように、外交、防衛の部分は当然国がやらなければいけない。ナショナルミニマムの部分は国がちゃんと担当しなければいけないわけでありますが、そうじゃない部分、むしろ住民生活に密着した部分については、これはその地域地域に自主的に決めさせる。それだけの決定権を持たせるような形、それが我々の言っている連邦制であります。  大臣のようなお話を聞いていると、ちょっとこれは、ほとんど結果は違わないのかもしれませんが、基本的な考えとして、どうも中央集権的な発想じゃないか、そんなようなお話が見えますから、これについてはまた時間があるときに議論させていただきたいと思います。  最後に、財源移譲というのは、先ほど私は、これは自立を促進するだけじゃなくて、また、要は、財源移譲すれば、当然余りに小さい地方自治体というものは移譲された財源の中では運営ができないというような状況になって、自然に地方自治体の合併というものが促進をされていくようなことにもなるのじゃないか。そして、結果として、別に国が無理やり合併させるわけじゃなくて、自主財源で自立できるような規模にまで地方自治体がまとまることにもつながっていくのじゃないかと思いますが、そのような形での地方自治体の合併については、大臣はどのようにお考えになられるでしょうか。これを最後の質問にしたいと思います。
  84. 上杉光弘

    上杉国務大臣 地方分権を進めていきますれば、当然それを受けます地方団体のありようというものが問題としてあるわけでございます。  私は、先ほど委員の質問にもお答えいたしましたように、分権を進め、今後の地方団体のあり方というものはどうかということにつながっていくわけでございますけれども市町村合併というものは、極めて効率的な行政のあり方として、積極的にこれは取り組んでいかなければならないものと考えております。  自治省といたしましても、合併の機運の醸成、あるいは合併の阻害要因があるとすればその対応や、合併のための行財政措置の拡充を十分検討してまいらなければならぬと考えております。
  85. 古川元久

    ○古川委員 では、これで質問を終わります。ありがとうございました。
  86. 加藤卓二

    ○加藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後二時二十九分開議
  87. 加藤卓二

    ○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。
  88. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 引き続き、午前に続きまして質疑をさせていただきます。  午前の部で、同僚議員の古川委員の方から、例の「都道府県展望」の東大の神野先生の文章を引用されて論議をされておられました。ポイントは、国の借金と地方の借金というのはその性格が違うのではないか、国の財政に先んじて地方財政再建に取り組む必要があるというような神野先生の文章を引用されて、お話をされておられました。  時間の関係でしょうか、最後ちょっと、自治省あるいは大臣のお話を明確に聞けなかったように私は感じております。もう一度確認をさせていただきたいと思います。  今回のこの神野先生のお話、今の当面する地方財政の危機的状況、これに対しまして、やはり国と地方は違う、借金の性格も違う、したがって財政再建に当たってはまず地方から取り組むべきではないか、こういう論文でありますが、こうした論文の視点に対しまして、自治省としてはどのように認識しておられるのか、最初にお伺いしたいと思います。
  89. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 東大の神野先生の論文を御指摘になりました。先ほど古川委員からも引用があったわけでございますが、国債の場合には国境がある、それに対して地方の場合には、住民が地方債の償還負担から逃げ出すのではないか、こういうお話だろうと思います。  ただ、我が国におきましては、たびたびこの委員会でも議論になっておりますように、地方が行っております仕事は大変たくさんございまして、財政規模も各国に比べても非常に大きな規模になっております。しかも、いろいろな仕事は、地方団体の方が任意に選択して行うというわけにはいかない分野が大半でございまして、いわば行政の内容、水準、それぞれ義務づけられている面が非常に多うございます。  そういうことの裏腹で、償還財源につきましては、地方財政計画全体でマクロの財源を保障するというふうな仕組みになっておるのが地方財政の特色でございまして、そういう意味では、神野先生がおっしゃっているような、国境のあるなしで違うのではないか、そういう問題が国と地方財政再建を図っていく場合の決定的な差にはならないと私どもは思っております。  あえて国と地方の借金で実態的に一番違うといいますのは、償還の期間が、国の場合には六十年ということでありますが、地方の場合には、いろいろございますが、平均いたしますとおおむね二十年ということで、償還期間が国債に比べて相当短い。したがって、元金の償還ペースが早いということは、財政再建を考えていく場合に一番大きな差ではないかなというふうに私どもとしては思っております。
  90. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 恐らくそういうお答えだろうという気がしました。しかも、最後の方のお答えは私のその次の問題まで論及されたような気もするのでありますが、結構です。  恐らくそういう認識だろうと思うのですが、前の委員会から私が申し上げておりますように、この前も大臣にちょっとお伺いしましたけれども、これからの景気対策をどうするのか。また、大型補正なんかの話もまことしやかに言われているわけでありまして、そうした中で、やはり地方の厳しい状況をこれ以上拡大させるようなことをしてはならない、こんなふうに野党の中でも議論をしているわけでありますが、今せっかくお話がありましたから、次の話題に入りたいと思うのであります。  地方債の借りかえの問題、今も二十年という話がありました。国に比べて短い、短期という話もありましたけれども、さきの委員会で、大変厳しい地方の危機的な財政状況の中で地方債を借りかえたらどうか、特に縁故債あたりは長期に借りかえて何とか財政の見通しを立てたらどうだ、こういう新聞記事が出ていまして、場合によっては起債枠の削減などを強制的に進めていくというような話もさせていただきました。  その折のお答えは、強制的にはやりませんよ、こういう答弁もあったわけでありますが、実際には基準財政需要額における元利償還金の理論算入方式、これを変更されるのではないかというようなことを地方はもう感じております。  それで、一般的には三年据え置いて十年であるものを二十年物にというような、基準財政需要額においてもそこの部分が変わってくるのではないか、こういう危惧を持っているのでありますが、この点はいかがでありましょうか。
  91. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 さきの委員会でも桝屋委員から御質問いただきました。その際にもお答え申し上げましたように、公債費の負担が急増しておる段階で地方財政を圧迫しているというような団体、特に施設の耐用年数、これは、建設の場合には施設の耐用年数がございまして、それに比較して著しく償還が短いというようなものについて、半分以上の県は今、十年でもう一回借りかえて二十年にするというケースが多くなっているので、特に財政が厳しくなっているところでこれから新しく縁故債を借りる場合には、他の県などのそういう状況も勘案して、相手のある話でありますから相手の金融機関と条件設定をされたらどうかということを、御相談があった場合には申し上げているという趣旨で申し上げたわけでございます。  交付税でどういうふうに計算するかということにつきましては、これはそれぞれ地方債の種類によってございますが、いずれにしても、標準的なケースをその需要としてとらえて算入するわけでありまして、一つ一つ団体一つずつ違った状況を一々追いかけて計算するということはいたしません。標準的なものでやります。  そういうものでやりますので、これからまた、どういう借り入れ状況になっているかということを、実態をよく調査しながら償還方法というのは考えていかなくてはいけないと思っております。  いずれにしても、今既に償還が需要額に算入されておるものとか、既に発行されてもう償還段階に入っているものについての償還方法を、交付税計算上、そこのところを変えようというつもりはもちろん毛頭ございませんで、これからそういう実態を常に踏まえながら、新しく借り入れするものについて、なるべく標準的なものに近い算入の仕方にしていきたいというふうに思っております。直ちに来年度からどうこうするというふうな考えのものではございません。
  92. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 もう一回確認しますが、基準財政需要額の算入方式、これについては、地方債の元利償還金の内容は来年度直ちに変えるという方向はない、当面実態を十分把握して、こういうことかなというふうに伺いましたが、それでよろしいですか。  それで、実態についてはどうなっているのか。私どもは、もう地方債というと三年据え置きの十年という意識が頭にあるのでありますが、これが二十年ということになると、当然ながら財政需要額、これは十年や二十年すれば半分になるわけでありますから、ちょっとその辺も心配するのでありますけれども、実態をちょっと教えてください。
  93. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 県の縁故債の発行状況を見ますと、八年度のケースで申しますと、二十年以上という償還期限になっておりますのは二十七団体でございまして、過半数の団体でそういう状況になっておるということでございます。  五十六年当時、今から十五年ぐらい前でありますけれども、その当時ですと十年のところが多かったということでございまして、この間にそういう意味では実態がやや延びてきているという状況にございます。  ただ、一番最初に申しましたように、個別の地方団体はそれぞれ財政規模が限定されますので、国債と違いまして長くなりますと全体の償還費が当然ふえてまいりますから、みだりに長くなるということは決して好ましいことではないと思っておりまして、私どもはそういうことは避けていきたいと思っておりますので、今の段階では、県の場合には二十年ぐらいが標準的になってきつつあるかなということでございます。
  94. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 いずれにしても、地方は大変な、この前の委員会でもお話ししましたけれども地方単独事業あたりが地財計画ほどいっていないところもあるやにマスコミ報道では承っておりますし、その背景というのは、やはり公債、借金の支払いがふえておるからなかなか単独に回せないという実態もあるわけでありまして、そういう厳しい台所事情の中で、地方は将来を展望しながら、それぞれが借金を返しながら、何とか公共サービスのレベルを落とさずに頑張っていこう、こういうふうにそれぞれが考えているわけでありますから、一律に先延ばしすればいいということではないと思いますし、今お話がありましたように、先延ばしすれば総額は大きくなるわけでありますから、やはり地方の自主性というものは最大限に尊重していただきたい、このことはお願いを申し上げたいと思います。  それでもう一点、平成十年度の地方交付税の動向を見ますと、本年度から、まあ私流の言葉で言いますと、何か補助金が突然一般財源化されたという印象をどうしても強く受けるわけであります。もちろん、背景に財政構造改革があるんだろうと思うのです。  きょうは、特に具体的な事例として、これは厚生委員会でやった方がいいかもしれませんが、老人保健事業のヘルス事業あたりは、これも例があるのかもしれませんが、概算要求には全くそういう話がなくて、当初予算の中で突然ふっとわいたように私どもは見受けるわけでありまして、当然ながら、それは県や市町村にとっても突然の話だったのではないかというふうに思うのですね。補助金から一般財源化になると、やはり市町村にとっては、先ほどから申し上げているような厳しい台所事情の中で、サービスの水準は落とせないということで悩むわけであります。  私は、一般財源化するというようなことについては、各省庁からどういうふうに自治省は受け取られるのか、例えば今の老人のヘルスの部分でありましたら、自治省と厚生省はどんな話し合いをされるのか。場合によっては、これを突然ことしから一般財源化していいのかというような、受け入れ側ですわな、自治省は。それぞれの事業をやっておられる省庁とどういう協議をされておられるのか、まずはお伺いしたいと思います。
  95. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 いわゆる補助金一般財源化の問題でございますが、私どもは、基本的な立場として、補助金の整理をできるだけ進めてほしいという立場に立っております。  それは、地方の自主性を高めたいということでございまして、もちろん、その中で、対象となる事業自体がもう既に不要の事務になったので、仕事としてはやめていいんじゃないかというものについては、両方とも、補助金も減り、地方負担も減りということになるわけでありますが、依然として、もちろん仕事はやらなくてはいけないというケースが当然ございます。そういう場合には、補助金を整理いたしますと、かわりに財源措置をする必要がございまして、これがいわゆる一般財源化ということになるわけであります。  地方分権推進委員会からも、かねてからそういう補助金の整理、一般財源化はやってきたけれども、もっと積極的にそれをやるべきだという強い御指摘がございました。地方団体の事務として同化定着しているものとか、あるいは人件費に対する補助金とかといったようなものについては、一般財源化すべしという非常に強い勧告がございました。しかも、それに伴いまして、一部例示をされたというようなこともございます。  そういう状況に加えて、財政構造改革観点からも、補助金の整理を進めるべきだというのはその後にそういう要請もまた加わってきておるわけでございます。  そこで、補助金を、制度的な補助金とその他補助金に分けまして、その他の補助金については原則として一割カットするということをしょうということになってきたのは、構造改革からのサイドでございます。基本的なベースとしては、分権サイドからそういう要請がずっとあるわけでございます。  そこで、今たまたま委員がお挙げになりました厚生省の関係でありますと、そういう分権委員会勧告なり、あるいは六月に既に構造改革推進方策が出されておりましたものですから、その段階で、各省庁の方で、概算要求のときにもうそれは一般財源化ということを考えようというふうにされて補助金要求をされなかったケースもございますし、それから、今、物によっては、補助金要求はしておったけれども予算編成過程の間でいろいろな議論をして一般財源化したいというふうな、そういう相談を私どもの方にされるケースもございます。  私どもは、基本的には一般財源化は進めたいという立場ではありますが、しかし、それで実際に支障なくその事務が地方団体において行われるかどうかということについては、私どもと相手省庁の方と、それからもちろん、もう一つ大蔵省も加わりまして、相当綿密にといいますか、シビアな一やりとりをいたします。  やりとりをして、その結果、その過程では幾つかの地方団体意見、あるいは市長会、町村長会、知事会等の意見も聞かせてもらいますけれども、そういったことをいろいろ兼ね合わせて考えながら、最終的に、それじゃ、一般財源化をし、そのかわりを地財対策の中でその財源手当てをするというふうな決め方をしていくわけでございまして、概算要求から年末までの間に、相手省庁と私どもの間、それにもう一つ大蔵省が加わって、ずっと相当なやりとりをして、最終的に年末に決めておるということでございます。
  96. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 一般財源化の話については、今お話がありましたように、分権推進観点一つ、それから、端的に言えば財政構造改革観点が加わったという、こういうお話であります。もちろん、それを一般財源化するに当たっては、十分各省庁とも協議をするし、場合によっては地方団体意見も聞くというような話もありましたけれども、どうも老人保健のヘルスの事業については、私は唐突な感じがしてしょうがありません。  それが証拠に、私どもは、市町村の現場から見ておりますと、このヘルスの事業については、厚生省自体が平成十一年までの第三次の保健事業なるものを長期計画を持っていて、年次計画を追って事業を進めてきた、こういう補助金なんですね。それで十一年で終わる。  それで、終わった後、全体を効果測定をして整理するんだったら、私もわかる、先ほどの分権委員会の整理の方向と合致するんだろうと思いますが、どうもこれは財政構造改革で、もっと言いますと、診療報酬が一・五%上がって一千億、何とかしなければいかぬというので、かき集めて、おいこれも出せあれも出せというので出されたんじゃないかと。  やはり、一番困るのは現場でありまして、県なり市町村が一番困るわけであります。県だって、これは予算は減るわけであります。県だって困りますよ。三角が立つわけでありますから、これほど厳しい県議会の中でやっているときに、大変お悩みになるだろう、私はこのように感じるわけであります。  それで、もう一回聞きますが、財政構造改革法で、今御説明がありました制度見直しをして補助金を整理するものと、それから、その他補助金、これは一律一割という説明がありましたね。このヘルスはどっちに入るんですか。
  97. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 いわゆるヘルスの補助金でありますが、これは先ほど私が申し上げました手続からいきますと、これは実は概算要求をされておったものが、その後、厚生省から御相談があって、年末に一般財源化を決めたというものでございます。その過程で、第三次保健事業計画というのが平成十一年度まであるということも私ども伺っておりました。  そういうことではありますが、この今の健診率の状況その他から考えて、十分仕事として市町村に同化定着している、それから、その健診の重要性に対する国民の意識も向上してきているといったようなことを踏まえて、その一般財源化をしても問題は生じないだろうというのが厚生省の意見でございます。  私どもは、そういう意味で、先ほど申しましたように、地方団体の幾つかのところにも意見を聞かせていただきました。そういったようなことを踏まえて、最終的に決めたわけでございます。  なお、この補助金がいわゆる制度的補助金とその他の補助金のどっちになるのかということは、詳細、私どもはそのことについては直接伺っておりませんが、制度的補助金であっても制度的な検討をして見直さなくてはいけない、それからその他補助金については、言ってみれば一律に一割カットするというような扱いということが構造改革でございますから、どっちに分類しても見直すべきものは見直そうということでありまして、そういうことが背景にありまして、今回、一般財源化をしたということでございます。
  98. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 それは、どっちも見直すというのはわかるんですよ。どっちなんですかと、私、伺っているのです。制度的見直しという位置づけなのか、その他の補助金なのか、どっちなんですかという、これは厚生省に聞かなければわかりませんか。
  99. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 これは、実は法律とかあるいはその要綱とかで一律的に、当然に制度、その他というふうに分かれるわけじゃありませんで、これは、概算要求から年末までの段階でいろいろ、これをどちらに分類するかというのは各省庁とそれぞれ大蔵省の担当の予算係との間でやりとりをして決めておりますので、私どもの方は逐一全部についてそれを把握しているわけではないわけであります。厚生省の方は大蔵省の方と話して、どちらに分類するかということを決めているということでございます。
  100. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 きょうは説明員で厚生省を呼べばよかったのですが。  ただ私が伺いたかったのは、このテーマを地行でやっているということは、一般財源化はこれからも進むでしょう、先ほどの話じゃありませんが。地方分権観点からいっても財革法の観点からいっても一般財源化は進むわけでありまして、一般財源化は我々も反対しているわけではないのです。やり方がおかしい、こう僕は申し上げているわけで、そういう意味では、受け取る側の自治省が、もちろん厚生と大蔵が調整するのだろうし、どっちに整理されているかわからないものをお受けになるようなものじゃないだろう。  僕は、大臣、先ほどもう定着しているとおっしゃったけれども、がん検診なんというものはやってもやらなくても余り効果がすぐ出ないものだから、随分差があるのですよ、市町村によっては。こういうものはまだまだ定着しているなんて簡単に総括できるものではないと私は理解しているし、がん撲滅に向かって計画的に進んでいるものが唐突にこのように一般財源化されるということについては、自治大臣として、場合によっては、これはもっとよく整理してこいよ、どっちなんだというようなことがあってもいいのではないか。地方団体を守る大臣として、私はそのぐらいお願いしたい、こう思うのでありますが、大臣、いかがでありますか。
  101. 上杉光弘

    上杉国務大臣 局長からお答えしていますが、同化定着、なじんでおる事業という意味ですね。例えば、自治省から、がん検診の実施市町村が九割を超えておること、細かい話ですが、胃がんだとか子宮がんが九九・九%、肺がんが九一・六%、それから乳がんが九八・二%、大腸がんが九七・六%。  一般財源化に伴って、がん検診の事業が保健事業第三次計画の対象から外れ、各市町村が自主的な判断に基づき、地域の実情に合わせた効果的ながん検診の実施が可能となる、こういうこと等によりまして一層の地方分権推進に資するとの判断から一般財源化を行うことといたしたと私は報告を聞いておるわけでございます。
  102. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 あとは厚生委員会でやるしかないかな、こう思っておりますが、大臣お願いなのは、厚生省から、これはもう定着しているよ、こう言われたものについては、わかったということではなくて、地方の行財政を預かる自治省として、やはりその辺は私はしっかり精査をしていただきたい。  何度も言いますが、これは突然でありますし、さっき大臣が挙げられた九〇%とか八〇%の数字は、やっている市町村数字でありまして、実施率、検診率あたりを見ると随分差があるのです。私は、それをもう定着したというふうに見るのは場合によっては早計ですし、何よりも厚生省が計画の途中で整理もしないで一般財源化というのはいかがなものか、こういうふうに思うわけでありまして、なお、これは小泉大臣としっかりそめ部分はやりたい、このように思っております。  さて、それで、交付税算定ベースあるいは地財計画で、私は前に厚生におりましたから、一番気になる介護保険の話、先ほど同僚委員からもお話がありました。あわせてもう一回詳しくお聞きしたいと思うのですが、地財計画あるいは交付税算定ベースで地域福祉対策費はどのように改正されたのか。  具体的に言いますと、介護保険準備作業はどのように評価されたのかということをお伺いしたいわけでありますが、先ほどの御答弁で、職員の増員では千百四十人、これは県分が九十四、市分が千四十六人というお話も伺いました。それから全体で大体一万三千人ぐらい介護保険は必要だろう、ただ現在は四、五千だからあと八千人ぐらい増員をしなきやならぬかなというような話が先ほどありました。  それで、私はこれを一つは聞きたかったのですが、このあと八千人というのは、これから十年、十一年、十二年、介護保険は十二年スタートでありますが、どんなふうなあんばいで、どんなふうな見通しで拡充をされていかれるのか、あらあらお教えいただきたいと思います。
  103. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 十年度は、準備のための要員として、千百四十人の増員を計画に織り込みました。  経費という意味では、介護専門職員の養成研修とか、電算処理に要する補助事業として百五十八億円、地方負担が七十九億円というのを見込んでおります。  それから市町村の介護保険の計画、あるいは都道府県の支援計画の策定経費、あるいは介護保険の広報費等四十三億円ということを計上いたしております。  交付税におきましては、その計算に応じまして、高齢者保健福祉費の中に細節として介護保険費を新設をして、そういう経費を織り込むということにいたしております。  それで、これから全体でどのくらい人数が要るかということでありますが、先ほど滝委員の質問にお答えをいたしましたように、今実態調査をしておりますので、精査を要するわけでありますが、あらあらの推計で、全体で一万二千人から一万三千人が必要になるのではないか。現在の社会福祉関係の仕事が縮小することによってそちらに回ってもらえる人のいわば減員分、マイナス分が四千ないし五千と見込まれますので、それを考慮いたしますと、八千人から九千人の増員が必要になるというふうに考えております。  今、とりあえず十年度分はいたしましたけれども、十二年度スタートでありますので、この実態調査の結果を踏まえまして、十一と十二でこの必要な人数を織り込んでいかなくてはいけないだろうというふうに考えております。その割り振りまできちっと決めておるわけではありませんが、今のあれでいきますと、十一年度にかなり多い割合でこれを織り込まなければなかなか間に合わないのじゃないかという腹づもりでおります。
  104. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  今局長が重点的におっしゃっていただいて、かなりほっとしておるのでありますが、これからの介護保険の体制は、十二年度スタートだから、十、十一、十二、十二も体制整備に入れていただくと、ちょっと大変であります。  と申しますのは、実際に介護保険は、私はこれは小泉さんに、勇気を持って一年ずらせと言い続けているわけでありますが、十二年度介護保険は何としてもスタートさせると。そうしますと、十年度が準備期間で、十一年度からは既に介護の認定業務や被保険者の受け付け、全部始まっちゃう  のですね。十一年度はもう年度途中から作業開始、十二年度は介護保険スタートなのです。  随分乱暴な話でありまして、私は厚生大臣に、ぜひ一年延ばしてくれ、勇気を持って延ばしてくれ、こう申し上げましたけれども、厚生大臣は、私が言うように、混乱していることはよくわかっている、だからやるんだ、このように言われて、禅問答を私は繰り返し続けているのです。  そうなりますと、どうか、先ほどちょっと力強くおっしゃっていただいたが、十二年度、十一、十二で体制を整えるということでは時遅しでありまして、十一年度、集中的に私はやはり準備をしていただきたい。そういう内容を、そういうことを、大臣、どうか厚生大臣とよく協議していただきたい。本当に必要なのは、もう十二年ではなくて十一年、年度後半からすべて動き出すというふうに小泉さんおっしゃっておるわけでありますから、どうか地財計画の中でもこういう体制を円滑に実施できるようにお取り組みをいただきたいと思いますが、大臣、いかがでありましょうか。
  105. 上杉光弘

    上杉国務大臣 計画に沿っての両省の話し合いになろうかと思いますが、十分遺漏ないように相談をしてまいりたいと考えております。
  106. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ぜひよろしくお願いをいたします。  小泉大臣は、私は随分厚生委員会でやってきましたけれども、中途半端のない方でありまして、いいことはいいのですけれども、悪いときは、もうノーになっちゃったら手がつかないというところがありまして、どうぞ自治大臣の方から、私どもは介護保険に反対しました、反対したけれども、通った以上はいいものにしなければならぬ、こう思っておるわけでありますから、そういう意味では観点は同じだと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたい。  それで一あわせてその内容でもう一つ申し上げたいのは、広域連合と介護保険、もっと言いますと広域行政と介護保険、この観点をぜひ自治大臣もお考えいただきたい。  それで、介護保険事務、きょうの午前中の質疑を聞いておりましても、まずは合併を進めたい、あるいは合併の前の、合併はなかなか難しいから広域連合等の広域行政を進めていきたいと大臣は大分力強くおっしゃっておられましたけれども、そういう観点では、私も地方にいて、特に私の地元は合併を進めたいと随分やってきまして、なかなか進まぬわけです。選挙もやって、一緒にやったけれども、選挙で負けたぐらい厳しいわけでありまして、合併の難しさは嫌というほどわかっております。  しかし、私は、一点、今回の介護保険がそういう意味では広域行政を進めるいいチャンスだろうと。と申しますのは、さっき小泉さんの話を出しましたが、小泉さんは現場が大混乱しているというのはお認めになりました。私もわかっております。混乱しているときがチャンスでありまして、こういう混乱のときこそ、市町村はある意味では混乱の中で大変悩んでいるわけでありますから、広域行政の仕掛けをぜひお願いをしたい、このように思っております。  そういう意味で、実は一月十三日に、厚生省は全国都道府県の職員を集めて、課長クラスを集めて、「介護保険に関する広域的な取組について」という資料を発表されました。これは、介護保険をチャンスに広域連合あるいは一部事務組合、機関の共同設置とか事務の委託とか、こういう広域行政をぜひ進めよう、こういう方向で打ち出されています。  この中で特筆すべきは、やはり介護保険を想定した場合、介護保険の法が期待しているシステムを想定した場合に、広域連合が一番いい、広域連合を目指して頑張ってくださいよ、こういうような内容の資料になっております。  これは、厚生省は一月十三日にこういうことを徹底されていますが、自治省と多分共同で連携しておやりになっているのじゃないかと思いますが、自治省取り組みの方をちょっとお尋ねしたいと思います。
  107. 鈴木正明

    ○鈴木政府委員 介護保険の円滑な実施を図るためには、市町村段階で人的、組織的な体制の確立、あるいは安定的な財政基盤の構築というものが必要でございまして、そういう意味で、広域行政による対応というものは有効な方策の一つであると考えております。  今委員からお話のございました「介護保険に関する広域的な取組について」でございますが、これは自治省と厚生省で一緒に検討してきて、その結果、介護保険の広域的な取り組み中心考え方をまとめたものでございます。私どもの方も、本年の一月に全国都道府県市町村担当課長の会議におきまして、この資料を配付しまして、介護保険の広域的な取り組みについても、積極的かつきめ細かい対応をしていただくように要請をいたしております。
  108. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 自治省としても、これは一緒に厚生省と考えたんだ、一緒の思いだ、考え方は同じですということですね。それで、厚生省のこの会議に準じて、自治省でも、私の資料で一月二十一日、財政課長それから地方課長さんの会議をやられて、この趣旨を徹底されたと。これと同じペーパーを配られたのですか。全く同じというふうに理解していいですね。わかりました。  そうしたらば、問題は、私も県におりましてよくわかるのですが、やはり現場はやろうと思ってもなかなか地方課あたりが言うことを聞いてくれないということもよくあるわけでありまして、同時にどんとおりなきゃいけませんが、それぞれの市町村まで、地方行政サイドの市町村までちゃんとおりているかどうか。僕はこれは徹底してもらいたいと思うのです。  それで、やはり地域によって、この資料の中で事例も挙げていただいています。広域行政に取り組んでおられる具体的な事例として、例えば大分県の大野広域連合、あるいは大分県の東国東広域連合、あと鳥取あたりの事例も挙げて、ぜひ広域連合で取り組みを進めよう、こういう話なんです。  ただ、私が心配をしておりますのは、さっき言った福祉サイドの行政のラインと自治省サイドの行政のラインはこれがまたなかなか連携が悪いということもありますから、今のお話で一緒にやっているということでありますから、そこは一応安心をいたしましたけれども、ただ、たとえ介護保険たりといえども、広域連合をやろうとしたらそれはそれで悩みがまたあるわけですね。  広域連合というのはいい話ですから、どんどんできていいはずですけれども、現在全国で十一ぐらいですか、八とか十一とかという数を伺っておりますけれども、なかなかできない。難しさがあろうと思うのです。  しかも、今回は、介護保険をチャンスにぜひ広域連合を仕掛けようと思った場合に、自治省なり厚生省さんと協議されている中で、どういう困難さ、阻害要因というものがあるのか、検討の内容がありましたらちょっとお教えいただきたいと思います。
  109. 鈴木正明

    ○鈴木政府委員 介護保険を実施していく場合に、広域的な対応、広域連合などにおける対応でございますが、多くの段階で検討が今行われている、こういうふうに聞いております。平成十年度では各地域で要介護認定のモデル事業などが行われますので、その中で本格的に検討がされていく、こういうふうに思っております。  それで、考えられますことは、各市町村の保健、医療、福祉というものとの連携というものが円滑にうまくいくかどうかとか、それから認定事務の統一性というのでしょうか、そういうものを確保するというのですか、従事する職員の共通認識をどう確保できるかとか、そういう課題があるということで、いろいろ議論されているようでございます。いずれにしましても、十年度、本格的に全国的にこの問題の実施に当たっていきますので、そこで問題点というものも明らかになってくると思いますし、また対応策についても検討されてくると思います。  私どもの方では、現在十一の広域連合が設立されておりますが、介護保険制度の導入というものは、お話のように、自治省としても広域連合を推進する一つの契機になろうかと思います。また、そのほかにも現在幾つかの地域で広域連合の設立の動きがありますが、その大きな要素としてというか、共同処理をする事務の中身として、やはり介護保険が議論されているようでございます。  したがいまして、これからは介護保険の広域的対応の必要性とかあるいは広域連合の内容について、いろいろな情報を私どもの方で集めるとともに、また地方団体の方に提供して、都道府県にも、先ほどお話のございました市町村の担当部局と福祉、介護担当部局との連携を十分図っていただいて、きめ細かな対応をしていくように要請をしていきたいと考えております。
  110. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  介護保険たりといえども、やはり基本は市町村単位でありまして、保険者は市町村が原理原則なんですね。そういう意味では、私は、普通の広域連合と困難性は同じだろうと思うのです。やはりどこが音頭をとるか。音頭をとるところの職員は大変でありまして、要らぬ仕事までしなければいかぬということで、本当にお見合いするだけでなかなか前に進まぬということもあるわけであります。  それで、今十一というふうに御説明がありましたが、私は中央が強引に進めるということは決して好ましくないと思いますが、広域連合は、まさに介護保険はいいチャンスでありますから、支援策がしっかりあって、これはこれに乗っかった方が絶対うまくいくな、こう市町村も思っていただけるように、例えばいろいろな支援策、特別交付税措置、広域連合の立ち上がり経費なんかもあるようでありますが、この辺も充実させていただいて、やはり現場が取り組む方向をぜひお考えいただきたい。  大臣、今十一と言いましたけれども、介護保険の中で、全国で広域圏がどのぐらいあるかわかりませんが、やがて三十か四十になるぐらいの、私は、やはり中央が余り強引にやってはいけませんが、またとないチャンスでありますから、それぐらいの努力目標をお立てになって取り組んでいただきたいな、このように思うわけでありますが、いかがでありましょう。
  111. 上杉光弘

    上杉国務大臣 私の出身の宮崎県も広域連合で方向を出したようでございまして、委員おっしゃるように広域連合が極めて効果的な介護保険の運営方法だとすれば、それは理解をいただいて広がるものではないか、このように考えておるところでございます。
  112. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 そういう意味では、一等最初に申し上げました介護保険の性格を考えると、広域連合の方がいい、協同組合よりも一部事務組合よりも広域連合がいい、この理想を自治省もお捨てにならずに、ぜひ地方との協議は続けていただきたい、これをお願いをしておきたいと思います。  本日、時間がなくなりまして、地方税関係もやりたかったのでありますが、大臣、最後に大臣ともう一問だけ。  我が新党平和・改革は、今回の、平成十年度の予算に関しまして、特に予算の組み替え等もお願いしていこう、こんな気持ちで今いるわけでありますが、特にその中で社会保障、少子化対策ということで、今回も特定扶養親族控除の一部改正がありますが、その中で、さらに踏み込んで子育て減税、就学前児童、ゼロ歳から七歳未満、これを特定扶養親族に追加してもらいたい、こういう強い要望を我々は持っておるわけであります。  こうした問題については、少子化対策、国を挙げて、総理府を中心に今大きな動きが始まろうとしておりますが、厚生省からもしょっちゅうこの話題は出ると思いますが、大臣、我々の、我が党のそういう要望、要請に対してどのようにお考えになっているのかお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  113. 上杉光弘

    上杉国務大臣 この子育て問題につきましては、未就学の児童に対して今の制度でいいのか、こういうお気持ちでの御質問だ、こう思います。  特定扶養控除は、年齢十六歳から二十三歳未満の扶養親族につきまして扶養控除を割り増しする制度でございますが、これは、高校、大学生の子供を持つ世帯の教育費等を含む支出割合が、他の世帯のそれに比較いたしまして一般的に格段に大きいという実態を踏まえ、働き盛りで収入は比較的に多いものの、一方で教育費等の支出がかさみ、生活にゆとりのない中堅所得層の税負担を軽減するという趣旨に基づきまして設けられているものでございます。  子育て減税を行うべきとの御指摘もございますが、さまざまな国民の生活態様の中から特定の条件や特定の家計支出を抜き出して税制上しんしゃくするのは、おのずから限界があるわけでございます。また、現行の特定扶養控除の場合に見られるような事情は、小学校入学前の児童を抱えます世帯に直ちに当てはまるものとも考えられないこと等も考慮いたしますれば、御指摘のような何か特別な措置を講ずるということについては、税制上は非常に難しいのではないか、このように考えております。
  114. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 この点については今後とも協議していきたいと思いますが一先ほど言いました、総理府が国を挙げていよいよ少子化対策に取り組み始めた。少子化の原因分析と、その分析に対して具体的な対応をいよいよ始められました。もちろん総理中心ということでありますが、欧米の例を見ましても、やはり経済対策というものがどうしても必要だ、私はこのように思っておりますので、今のような少子化対策を踏まえた特定扶養親族控除、こうした問題についても強く要請していきたい、そんなふうに思っているわけであります。  以上で本日の質問を終わります。ありがとうございました。
  115. 加藤卓二

    ○加藤委員長 佐藤茂樹君。
  116. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 自由党の佐藤茂樹でございます。桝屋委員の大変元気のいい、まくし立てるような質問の後でございますので、さわやかにやっていきたいと思います。  まず、私の方からは、今回の地方税法等の一部を改正する法律案、また地財計画、そして地方交付税法等の一部を改正する法律案の順に従って基本的にやりたいと思うのですが、途中でいろいろ入り乱れることもあるかと思いますけれども、うまく答えていただきたいと思います。  まず、地方税法等の一部を改正する法律案で、今回、大変多くの項目にわたっているのですけれども、その中で特に、いよいよ自治省も動き出したなと思われるのは、地方分権関係で、税源という観点から新しく一歩踏み出されたのではないのかなと。  特に今回、昨年の夏だったと思うのですけれども地方分権推進委員会の第二次勧告で課税自主権の尊重ということを指摘されているわけですが、これは午前中にも何人かの委員の方がおっしゃっていましたけれども、その四点のうち、今回は、標準税率を採用しない場合における国への事前届け出等の廃止と、もう一つは、個人の市町村民税均等割及び所得割の制限税率の廃止ということについては、今回法的に制度化されているわけです。  しかし、あのときの地方分権推進委員会勧告では、残りの二点についても実は勧告されたのですね。計四点勧告されたと思うのですけれども、その一点が、法定外普通税の許可制度について廃止して、国との合意または同意を要する事前協議制にしよう、もう一つが、法定外目的税の創設ということを言われていたと思うのです。  まず大臣にお伺いしたいのですけれども、その勧告の内容についてどのように認識をされているのかということと、今回の二点には入りませんでしたけれども、これと同様に今後前向きに法制度化されるつもりがあるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  117. 上杉光弘

    上杉国務大臣 地方分権推進委員会の第二次勧告は、課税自主権の尊重の立場から、法定外普通税の許可制度の廃止、法定外目的税の創設等について御指摘のとおり勧告をいたしておるわけでございます。  これらにつきましては、今後、地方分権推進計画策定を踏まえ、国と地方公共団体との関係についての新たなルールを定める地方自治法が改正されることを受けまして、できるだけ早い時期に対応してまいりたいと考えておるわけでございます。  まず、以上答えておきます。
  118. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 ということは、新たなる地方自治法が改正されるのを待ってということは、これは別に大臣に答えていただかなくてもいいのですが、ほかの方でもいいのですけれども、要するに、地方分権推進委員会勧告を受けて地方分権推進計画というのができます。それに基づいた地方自治法の改正を待って初めてその中に盛り込む、それで法改正までするのだ、そういうふうに受けとめていいのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  119. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 今後予定されております地方自治法の改正の中で、許可制を事前協議制に切りかえるときの基本的な考え方とか一般的なルールみたいなものが定められると思いますので、そういうものをにらみながら、盛り込まれた二つの項目につきましても適切な対応を行っていく必要があるというふうに考えているものでございます。
  120. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 それで、要するに、今後予定されている地方自治法の改正というのは、どういうタイミングで改正を予定されているのですか。さっき言いましたけれども分権推進委員会勧告総理に行われて、それに基づいて分権推進計画というのをつくることになっていますね。その段階から、地方自治法のそういう法改正まできちっと検討される、そこに盛り込むということなのかどうか、確認の意味でお聞かせ願いたいと思います。
  121. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 今の段階では具体的にいっと言うことは申し上げられないと思いますけれども、今後、地方分権推進計画策定を踏まえて、国と地方公共団体との関係についての新たなルールを定める自治法、この改正と相まちまして、二つの問題につきましても適切に対応していくということでございます。
  122. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 それで、自治省が現場を知っているので一番よくわかっておられるのでしょうけれども、なぜそういうことを聞くかというと、昨年の年末の政府税制調査会の答申を見ますと、ここの部分については具体的に言われて、平成十年度においては、法定外普通税の許可制度を廃止することとか、法定外目的税を創設するということに触れられて、こういうことなど所要の措置を講じることが適当ですというように答申されているのですね。  平成十年度において、そういう所要の措置を講じることが適当であるというふうに税制調査会では言われているのですけれども自治省の方としてはそうじゃないんだ、そういう判断だというように受けとめてよろしいでしょうか。
  123. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 来年度中に具体的な内容を固めまして制度化を図りたいという、平成十年度、来年度でございますので、制度化を図るということかと思います。
  124. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 確認ですが、それでは、来年度中に具体的にきちっと固めて制度化を図るというように受けとめていいのですね、今の答弁どおり。
  125. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 来年度中に成案を固めまして、当然、法律改正ということが必要となりますので、実施はその後ということになろうかと思います。  先ほど申しましたように、新しい地方自治法の改正の内容を踏まえまして、それと相まって、早期の具体化を図っていくということになろうかと思います。
  126. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 この問題は大体わかりましたので、次の質問に行きたいと思うのです。  続いて、今回の地方税法等の一部を改正する法律案だけではなくて、国税ともあわせて、やはり一番の今回の税制関係でのポイントは、法人課税を引き下げるという、そこの問題だと思うのです。  昭和二十五年のシャウプ税制以来、国税の方の法人税の税率というのはたびたび改正されてきました。あるときは下がったり、あるときは上がったりしてきましたけれども、今回、基本税率は現行の三七・五%から三四・五%になる。これは国税のレベルでいうと、シャウプ税制以来最も低い。それでなおかつ、アメリカの法人税率を下回る、アメリカが今三五%だったと思うのですけれども。そういうことになっているというように、国税の法人税率というのは非常にたびたび変わってきたと思うのです。  しかし、国税の法人税率が税制改正のたびにたびたび変わったとしても、実は法人事業税というのは、御承知のとおり、昭和二十五年以来全く変えていなかったのですね。それが、今回初めて法人事業税の基本税率を引き下げるということを行おうとされているのですけれども、なぜ今まで変えていなかった法人事業税を今回初めて引き下げられるのか、納得のいく御説明お願いしたいと思います。
  127. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 法人課税のあり方につきましては、政府税制調査会の平成九年度の税制改正に関する答申におきましては、課税ベースの適正化と税率の引き下げにつきまして答申が行われました。そして、法人課税改革は、平成十年度に本格的な検討を行うこととされたわけであります。  このような経緯から、法人課税の見直しが平成十年度税制改正の焦点の一つとなりまして、さまざまな論議がございましたが、昨年十二月の政府税制調査会の平成十年度の税制改正に関する答申の中で、法人所得課税の調整後の表面税率をさらに引き下げることにより企業活力や産業の国際競争力にも配慮するという観点を踏まえまして、この税調答申の中で、地方税においても、課税ベースの適正化を勘案しつつ、法人事業税の税率を引き下げることが適当であるとされたところでございます。  こうした考え方から、法人事業税につきましても、今回の地方税制改正案におきまして、法人税と同様の考え方から基本税率を一%下げまして、一一%に引き下げることとしたものであります。
  128. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 局長の御説明、大変御丁寧に経過は説明していただいたのですけれども、そこから読み取れるのは、国税の法人税は下げたとしても、別に法人事業税を下げる特別の理由がそこには、経過の説明の中には何にもないのですね。  私が聞いているのは、全体としては法人課税が下がるのは確かに企業活力と国際競争力のために必要である、これは我々も主張してきましたけれども、その中で、今までの歴史、経過において、それはしかし国税の部分だけさわったのですよ。今回の改正において、なぜ地方税に係る法人事業税について二十五年以来初めて変えられるのか、そこの部分だけで結構ですから御説明いただきたいと思います。
  129. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 今回の法人課税の見直しにおきましては、我が国の法人所得課税の水準をできるだけ国際水準に近づけていくということが大変重要であるという考え方から、国税であります法人税だけでなく、地方税であります法人事業税につきましても、課税ベースを適正化する中で税率の引き下げを行うことが今日のいろいろな状況から考えると必要なのではないかということで、政府税制調査会におきましてもその旨の考え方が示されたところであります。
  130. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 それ以上の答えが出てこなかったらやってもしようがないのですけれども、例えば課税ベースの適正化というのは、法人事業税についても今までたびたび、軽減税率を要するに引き下げたりして、課税ベースというのは大分広げてきているのですね。これは三十四年もそうですし、三十七年、三十九年、四十九年、五十年とそういう形でやってきている。しかしながら、そのときに基本税率はさわってなかったのですよ。なぜ今回税率までさわるのかという、そのことについてもし答弁があるのでしたらお答えください。
  131. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 繰り返しになりますけれども、今日の経済情勢やあるいは法人の所得課税を取り巻きますいろいろな論議を踏まえますと、やはり我が国の法人課税の水準を、国税、地方税あわせたところでできる限り国際水準に近づけていくことが何よりも要請されるということが、最も重要な背景にあろうかと思います。
  132. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 それ以上の答弁が出ないのならもう質問してもしようがないのですけれども、国際水準、それはわかるのですけれども、それはもう国税のレベルから見ても論じられる話で、地方からいうと、なぜ法人事業税までさわらないといけないのですかという、この疑問にはやはりきちっと答えられるようにしていただきたいな、これは指摘だけしておきたいと思います。  そこで、今局長がおっしゃったように、表面税率、調整後ですけれども、いわゆる実効税率と言っていますけれども、国税、地方税あわせて四九・九八が今、法人課税だったと思うのですね。それが今回の改正によって、国、地方あわせて、三・六二%下がって四六・三六%に軽減される。  先ほど来、税制調査会のそういう答申の文章なども読まれていましたけれども、果たして、そういう四六・三六%に軽減されたことによって、企業活力とか産業の国際競争力というのが国際水準並みになったか、具体的に国際比較と比べてどうなったのか、それで果たして、その上で企業の活力とか産業の国際競争力というのは維持できるというように評価されているのか。具体的な国際比較の数字を挙げてちょっとお答えいただきたいと思います。
  133. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 法人所得課税の調整後の表面税率の国際比較でございますけれども、日本の場合は、改正前が国税、地方税合わせまして四九・九八%、それが今回の改正案によりますと四六・三六%に引き下げられます。アメリカは四一・〇五%、イギリスが三一%、フランスが約四一%、それからドイツは約五〇%前後ということになろうかと思います。  したがいまして、今回の改正によりまして従来よりは三・数%下がるわけでありますけれども、国際的な中でこの水準を比較いたしますと、アメリカ、イギリス、フランスなどに比べますとまだやや高い水準にあるというのが今日の状況かと思います。
  134. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 今局長がおっしゃったように、一言で言うと、今回の法改正は、我々はずっと年来主張してきましたけれども、非常に中途半端なのじゃないか。我が党は、やるのであれば四〇%ぐらいまで引き下げる。というのは、今数字を具体的におっしゃいましたけれども、ドイツというのは既に日本より高いのですよね。そこと比較しても仕方がないわけで、アメリカやフランスの少なくとも四一%前後、この辺と比べてもきちっと対等に競争していけるというぐらいの、やるのであればそこまで下げるべきではないのかな。そのことだけ主張しておきたいのです。  そういう中途半端な形でやった分、逆に、いろいろな意味で、国際競争力とか企業活力の面でももう一歩であるし、もう一つは、逆に、今度は地方財政という面から見ると、非常にこれから困ったことになるのではないのかな。  具体的に数字を挙げますと、今回の地方税制の改正によって、減収見込み額として具体的に大きな部分というのは、法人事業税というのが結構大きな部分を占める。初年度では三百億です。続いて、これは平年度でいくと大体千億近く毎年ずっと下がっていくのですね。これは制度改正ですから、そういう形でずっと将来的に税収という面で見ると減ってしまう。さらには、ほかの土地関係で不動産取得税とかいろいろありますが、大きいところでは、特別土地保有税の減収で三百億ちょっと初年度も平年度も下がっていく。  そういうことで言うと、地方税充実確保を図っていくという点からすると、これから将来にわたって、この制度改正によって、地方という面から見るとかなり厳しいものがあるというように考えるのですけれども自治省としては制度改正を受けてどういうように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  135. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 御指摘ございましたように、平成十年度の地方税制改正は、最近におきます社会経済情勢を踏まえ、地方税負担の軽減及び合理化等を図るため、法人事業税の税率の引き下げ、特別土地保有税の免税点の特例措置の廃止等の措置を講じるほか、非課税等特別措置の整理合理化等も行うことといたしております。  具体的には、法人事業税の税率等を引き下げる一方、現下の厳しい地方財政状況を踏まえまして、地方税の減収につながります非課税等特別措置の創設についてはできる限り抑制しますとともに、既存の特別措置についても整理合理化に努めたところであります。  今後、地方分権推進していく上に当たりましては、地方税充実確保が大変重要な課題でありますので、地方団体の自主的な行財政運営に支障が生じないよう、地方税充実確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
  136. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 それで、例えば法人課税というレベルを見ても、抜本的に地方税の制度改正をやるべきではないのか。午前中にもありましたけれども、外形標準課税について、そろそろ本当に前向きに具体論として制度化していくべきときではないのか。午前中も質問の中でありましたけれども、よくよく調べてみると、昭和三十九年ぐらいから三十年以上にわたってこれは大体議論されているのですね。  それで、考え方も、午前中の質問者の中にもありましたので、時間も限られていますのであえて言いませんけれども、いろいろな意味で、事業税の性格という点でも明確になりますし、行政サービスに対してきちっと負担をするんだという部分でも明確になりますし、税収安定性という点でも地方税体系を構築するという意味では非常にメリットがありますし、赤字法人からいろいろあると言われても、逆に赤字法人に対する課税の適正化という点ではきちっとした制度であるというふうに私は考えておるのです。  自治省として外形標準課税についてどういうように取り組もうとされているのか、前向きに制度化しようとされているのかどうか、そのあたりについてお聞かせ願いたいと思います。
  137. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 地方法人課税の今後のあり方につきましては、昨年末の政府税制調査会の答申におきまして、地方の法人課税については、平成十年度において、事業税の外形標準課税の課題中心に総合的な検討を進めることが必要とされており、今後、政府税制調査会等の場において総合的な検討が進められることとされております。  事業税への外形基準の導入につきましては、具体的な外形基準のあり方や税負担の変動等いろいろ検討すべき課題もございますけれども都道府県税収の安定化に資するなどの意義がありますことから、自治省としてはその実現に向けて努力を重ねてまいる所存であり、今後、政府税制調査会等の場で広く各界各層に御論議をいただき、大方の御理解を得られるよう、さらに検討を深めてまいりたいというふうに考えております。
  138. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 そのことに関連して、確認の意味自治省お尋ねしたいのですけれども、現行の地方税法においても、七十二条の十九で、都道府県の条例によって、資本金額、売上金額、家屋の床面積もしくは価格、土地の地積もしくは価格、従業員数等を課税標準としてそういうことができるというような条項がきちっと条文としては設定されておるのですね。  それで、具体的に聞きたいのですけれども、現在、この条項を採用している都道府県があるのかどうかということと、ないとしたら何ゆえこの条項を採用していないのか、そのあたりについて自治省としてどうとらえておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  139. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 御指摘のように、地方税法の第七十二条の十九におきましては、都道府県は、所得によらずに、資本金額、売上金額等の外形基準により課税することができることとされております。しかしながら、この規定に基づきまして外形基準を導入した都道府県はこれまでにはございません。  これは、法人が通常複数の都道府県において事業活動を営むことから、個々の都道府県が単独で課税標準を定めるということは困難であり、また納税者の納得も得られにくいということ等によるのではないかと考えられます。
  140. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 結局、要するに一つ都道府県ではそれを思い切って導入できない理由をもう明確に言われていると思うのですけれども、であるがゆえに、全国的に導入する場合には一斉にきちっとした制度化をしてやらなければいけないということであるというふうに、私自身、今の答弁を聞いて認識をさせていただきました。  その上で、この問題はこれで終わりまして、次に、同じく地方税関係で、今回新たに導入されることとして、これは時代の趨勢かもわかりませんけれども、国税とともに、電子計算機を使用して作成する地方税関係帳簿書類の保存方法等の特例について、今回導入されようとしております。地方税法上、保存が義務づけられている帳簿書類等を電子データによって保存することができる制度の創設を今回される理由というのは何ゆえなのか、まずお答えいただきたいと思います。
  141. 上杉光弘

    上杉国務大臣 高度情報化が進展いたします中で、企業等の会計処理においてもコンピューターを利用いたしました帳簿書類の作成が普及してきておるわけでございます。政府といたしましてはこうした状況を踏まえまして、平成九年二月の申請負担軽減対策や十一月の緊急経済対策におきまして、国民の事務負担軽減や規制緩和の観点から、法令に基づき民間事業者に保存を義務づけている書類につきましては、電子媒体による保存が可能となるようにすることと決定したところでございます。  今般の税制改正におきましては、これらを踏まえまして、国税、地方税を通じ、納税者の事務負担等の軽減を図るため、一定の要件、例えば訂正、加除の履歴が確保されるシステムの使用及びその履歴の保存、二つ目にはシステム設計書等の保存などでございますが、このような一定の要件のもとに納税者が電磁的記録等によって帳簿書類を保存できるよう措置し、国民の負担の軽減を図ることとしたものでございます。  これはあくまで国民の負担、これを軽減する、こういうことで導入をした、こういうことでございます。
  142. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 それで、このことについて一点だけちょっと確認させてもらいたいのは、新しいことを導入するとやはりいろいろな漏れが出てくるかと思うのですけれども、特に今回新しいことで、先ほど自治大臣説明の中にも、電磁的記録と、漢字を使うとこういう言葉になるのかなという感じはしまずけれども、これは例えば七百四十八条なんかにも書いてあるのは、電磁的記録とは「電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。」となっております。まさに、ここに言う「電磁的記録」というところに、今回、ともすれば落とし穴があるというか、問題点が出てくるのではないのか。  つまり、人の知覚によって認識することができない方式でつくられるがゆえに、逆に言うとコンピューター処理というのは痕跡を残さないですし、また人知れずさかのぼって訂正することも非常に容易になるのですね。さらには、肉眼で見るためには、先ほど電磁的記録と言いましたけれども、人の知覚ではわからないものを肉眼で見るためには、例えば。プリントアウトするとか、またディスプレーに出す、そういう具体的な出力装置をつけてきちっとしないとなかなか肉眼には見えない、そういう独特の特性を持っていることを今回取り入れようとされているのですね。  そういう特性からいうと、今いろいろな犯罪が、知能犯が出てきておりますけれども、悪用すれば、人目に触れずにデータ、記録を改ざんできる余地も十分残しているのではないのかな。  であるがゆえに、適正な課税の確保ということからすると、やはりきちっとした目に見える形にするとか、また証拠をきちっと残すとか、何らかの条件整備を制度の中できちっと整える必要があるのではないのかな、そのように思うわけですけれども自治省としてどういう条件整備、環境整備を考えておられるのか、お答えいただきたいと思うのです。
  143. 上杉光弘

    上杉国務大臣 先ほど、電磁的記録による保存が認められる要件として、真実性確保のための要件として二つ申し上げました。もう一つございま一して、これを私落としておりました。済みません。  可視性確保のための要件というのがございまして、これの中身は、一つは電子計算機、ディスプレー及びプリンターの設置、もう一つは検索機能の確保です。  大きく分けますと、真実性確保のための要件、それから可視性確保のための要件、これらの要件が確保されない場合は承認を取り消す、こういうことにいたしておるわけでございます。
  144. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 いや、そんなのは別にコンピューターのシステムからいったらついているのは当たり前なのですよ。そんなのは別に今の会社であればどこでもつけているのですね。その上で、それが果たしてそういうものの確保になるのですか。もう少し自治省として具体的に制度化するときに、そういう今言われた、可視性とか真実性とか証拠性ですか、こういうものの確保として、具体的にどういうことをきちっと制度として考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  145. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 コンピューターによる事務処理におきましては、先ほど御指摘もありましたように、過去の記録の遡及的訂正が容易であるといったようなことも考えられます。したがいまして、納税者が電子データによる帳簿書類の保存等を行うに当たりましては地方公共団体の長の承認にかからしめることといたしておりまして、承認の要件として、電子データを訂正あるいは加除した場合にはその履歴が保存されるシステムを採用していることなどを要件とするべく、今要件の中身をどうするかというところを詰めているところでございます。
  146. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 ぜひ、これは自治省だけではなくて国税も通じての話ですから、大蔵と、法律には出てこない部分での具体的な運用面で、これは省令で多分定めることになると思うのですけれども、バランスのとれたそういう制度をきちっとつくっていただきたいので、このことだけ指摘しておきたいと思います。  これで地方税関係を終わるのですが、あともう時間が余りなくなってきたのですが、それでは次に、地財計画及び地方交付税法等の一部を改正する法律案についてちょっと質問したいのです。  まず最初に大臣にお伺いしたいのは、今回、歳入歳出総額で八十七兆九百六十四億円ですか、これは本当に前年度とほぼ同額、ちょっとふえたぐらいですけれども、伸びで見ると戦後最低の伸びを示している。また、公債費とかそういうものを省いた地方一般歳出は対前年度比一・六%減である、これも初のマイナスだ。さらには地方単独事業も前年比四・〇%減、昭和五十九年以来、過去最大、そういうマイナス幅であるという。それで、なおかつ地方債総額も前年比九・一%減の抑制をしたという、一言で言うと、かってない超緊縮型となっているということが言えると思うのです。  この地方財政計画というのは、もう言うまでもなく各地方自治体の予算編成の最大の指針となるものであるというように認識しておるわけですけれども、このように地方財政計画を超緊縮型にされたことによって所管の責任者である大臣が各地方自治体にまずどういうメッセージを送ろうとされているのか、どういうつもりで、どういう思いでこの地方財政計画を作成されて、各地方自治体にどういうメッセージを送ろうとされているのか、まず最初にお伺いしたいと思います。
  147. 上杉光弘

    上杉国務大臣 もう委員御承知のとおり、平成十年度の地方財政計画財政構造改革等を基本的には踏まえておる、こういうことでこれは周知徹底をいたしておるわけでございます。その中で、国、地方双方の歳出抑制につながる施策の見直し等によりまして、地方一般歳出をマイナス一・六%に抑制したわけでございます。そのような抑制をする一方、地方交付税でございますが、対前年度比二・三%の十七兆五千百八十九億円、約十七兆五千二百億円を確保いたしました。  厳しい状況でございましても、地方固有財源としての交付税につきましては、事務当局も頑張りまして、最終的な国の財政計画、地方財政計画の中の大きな、大蔵財政当局との話し合いでございましたが、平成九年度が対八年度比一・七%に対し、二・三%の地方交付税を伸ばした、こういうことでございます。  それから、地域経済の状況等も踏まえまして、公共事業等七%、地方と国の事業にキャップをかぶせたわけでございますが、例えば宮崎、私の地元へ行きますと、三〇・一%、公共事業が占めております。このようなこと等が各地域に、地方にあるわけでございまして、こうした地域経済に影響があるということも十分認識した上で、地域経済の状況等も踏まえて、地方単独事業の伸び率をマイナス四%といたしました。金額的には、十九兆三千億円を確保したところでございます。  地方団体には、こうした厳しい地方財政の現状を踏まえつつ、行財政改革と財政の健全化を推進をいたしますとともに、それぞれの地域の実情に応じまして、高齢社会に向けた総合的な地域の福祉施策や生活関連資本整備の身近な整備等の地域の課題に積極的に取り組んでいきたいと考えております。  なお、地域の住民生活に影響があると思われた公共事業の削減の問題でございますが、新たに地域経済対策債として三千億円等を組み込んで、その対応もいたしておるところでございます。
  148. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 それで、本当は時間があれば、このことについてさらに詳しくやりたかったのですけれども自治省資料によると、いかに地方が抱える借金を補てんしますか、そういう資料がいきなり一面にぽんと出ているのです。なぜそうなったのかということを本当は聞いた上でやりたかったのですが、時間もありませんので最後の質問にしたいのは、これまでも地方交付税法の第六条の三第二項の規定に当たる、そういうことというのは、今までに何回かあったと思うのですね。  それは、昭和五十二年、五十三年、近々では、平成八年、九年、そのときにいろいろなやり方をやっています。補てんの仕方とか、制度の改正にするのか、率の変更をするのかどっちかなのですけれども、いろいろな選択肢があった中で、今までと違うやり方で、というのは、例えば平成九年度のように単年度の措置をとることもできたのに、今回、三年間も地方交付税特別会計借入金償還を繰り延べる、そういう措置をなぜとる必要があったのかということを聞きたいのですね。  というのは、三年間繰り延べたとしても、償還計画を自治省からいただいた資料で見ると、平成十三年度にはその分ふえて一兆円を超す償還になりますし、平成十四年で一たんがらっと減って半分ぐらいになるのですけれども、それから、平成十四年、十五年、十六年とふえて、十七年からまた一兆円を超す償還になるのですね。午前中もありましたけれども、それが限りなく続いて、平成三十八年まで二十八年先まで償還をしないといけない、そういうことになるのです。  たとえ急場を三年間しのいだとしても、結局、そういう制度改正では、痛みを感じにくい借金を後年度に先送りして、重い負担を負わせてしまうことになるのではないか、そういうことがわかっていながら、あえてこれを制度改正する必要性がどこにあったのか、そういうことを最後に質問をさせていただきたいと思います。
  149. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 交付税法の六条の三第二項に対応する措置として、なぜ三年間の措置をしたのか、こういう御指摘でございます。  今十年度から財政構造改革をスタートさせるということで法律が成立いたしたわけでございますが、この間に、何と言いましても国も地方も今の財源不足をできるだけ早く解消していく必要があるわけでございまして、国と地方を通ずる歳出を抑える、これは聖域なく抑えるということでないと、まず歳出の抑制ができないだろうと思います。そういう意味で、特にその間の前半の三年間を集中改革期間というふうに決めて、そういう歳出の抑制に努めるというのが構造改革趣旨でございます。  一方で、その間で、先ほどもちょっと出ておりましたけれども地方の公債費の場合には、元金の償還のペースが早いということもございまして、今後におきましても、毎年度一兆円ぐらいずつ公債費の増が見込める、そういう状況にございます。  したがいまして、集中的に構造改革をしていかなくてはいけない、この集中改革期間中をある程度にらんで、この間の交付税の確保なり、あるいは片方での歳出の抑制、それから、借入金の縮減ということを図っていかなくてはいけないということを考え合わせまして、三年間の制度改正ということを今回考え法律の御審議をお願いしておるというところでございます。よろしくお願いいたします。
  150. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 もう時間になりましたので、これで終わりますが、大臣、ぜひ、この法案の審議だけで終わるのじゃなくて、非常に地方財政は危機的な状況ですし、この委員会はまた今後開かれると思いますが、いろいろ議論し合う中でお互いに建設的ないい案があれば出し合うような、そういう議論をこれからもしていきたいと思います。よろしくお願いします。  以上で終わります。
  151. 加藤卓二

    ○加藤委員長 春名直章君。
  152. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名直章です。どうぞよろしくお願いします。  まず、個人住民税改正について伺いたいと思います。  今回の改正で非課税限度額の引き上げが行われるようになりますが、まずこの理由についてお教えください。
  153. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 個人住民税におきます均等割及び所得割の非課税措置は、国民生活水準などとの関連で、特に低所得者層の税負担に配慮を加える必要があるという趣旨に基づきまして設けられているものでございます。  この非課税限度額につきましては、夫婦、子二人の標準世帯におきまして、均等割にあっては前年の生活扶助額の水準、所得割にありましては前年の生活保護基準額の水準をそれぞれ上回るように設定されてきたところでありますが、平成十年度において、均等割及び所得割の非課税限度額を据え置いた場合、これらの水準を下回ることとなります。したがって、今回、均等割及び所得割の非課税限度額について、それぞれ引き上げることといたしたものであります。
  154. 春名直章

    ○春名委員 これによりまして、収入金額ベースでいきますと、夫婦、子二人の標準家庭では、生活保護基準が二百六十六万四千円、一方で、非課税限度額は二百六十八万五千円ということになると思うのですね。非課税限度額が生活保護基準を上回る、生活保護基準以下の収入の方に住民税がかかるという逆転現象がこれで解決されるということで制度改正ということになったと思います。  そこで、お聞きをしたいと思います。夫婦、子二人の標準世帯はこれで救われるということになりますが、単身者の場合はどうなるのでしょうか。非課税限度額は九十九万円で変わらず、この金額は九一年から一貫して変わっておりません。九二年度からは、課税最低限も生活保護基準をクリアできないようになってきました。生活保護基準は、九七年度で百十五万六千円であります。九八年度はもっと高くなると思うのですが、いわゆる逆転現象が広がる、拡大するということになります。なぜ単身者の逆転減少を解消させる、こういう改正をしないのでしょうか。率直にお聞かせください。
  155. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 初めに、所得割非課税限度額と生活保護基準との関係について、少し説明をさせていただきますと、所得割非課税限度額は言うまでもなく税制上の措置でございまして、世帯を構成する人員に応じまして計算されるわけであります。一方、生活保護基準は社会保障上の措置でございますので、こちらの方は世帯員の年齢でありますとか地域でありますとか生活形態など個々の具体的事情に応じて計算されるものでありますので、この非課税限度額と生活保護基準とはそれぞれ趣旨仕組みを異にする別個の制度であるということをまず御理解いただきたいと思います。  したがって、こうした両者の制度の趣旨仕組みの違いを考えないで、単純に世帯の態様ごとにその額が異なる生活保護基準額と比較しまして、額の高い低いということを論ずるのはやや適当でない面もあるのではないかというふうに考えられます。今、単身者の場合のお尋ねがございましたけれども、その状況によりましては、非課税限度額が生活保護基準額を下回るという場合もあろうかと思います。
  156. 春名直章

    ○春名委員 制度が違うから単純に比較してはいけないというのですけれども、それだったらなぜ今度改正をするのですか、標準の世帯は。四つのランク、区分がありまして、単身者のところだけ九二年度から課税最低限も、それからもう一つの非課税限度額もそれぞれ下回っているわけでしょう。そういう事態がずっと放置されてきているということなんですよね。  それで、夫婦子二人の場合は、それを是正します、上回らなければならないというのに、単身者だけはそのままでいい、その理由は制度が違うからだと言われて、だれが納得できますか。おかしいじゃないですか。私が今言いたいのは、この制度というのはあなた方の方がよく知っていると思いますけれども、こういう事態を残しているということは制度の根幹にかかわる問題だと思うのですよ。  あなた方が非課税限度額という仕組みを導入して、最初一九八一年に所得割の方は導入しましたけれども、それは単年度限りの措置だというふうに言ってきたのですね。なぜ単年度限りにするかといいますと、将来的には課税最低限の方が引き上げられて、課税最低限が生活保護基準を下回るという事態は解消されるであろうという展望があったのですね。こういうふうに説明されていて、そういう展望があったから、単年度限りでいいだろう、逆転現象をとりあえず克服しようということでつくられたけれども、現在まで非課税限度額制度が続いているわけです。  なぜ続いているのかといいますと、それはもう、答えは一つ。課税最低限の引き上げが不十分だったために、依然として逆転現象が残っているから続いているわけでしょう。そうでなかったら要らぬわけでしょう。だから、そういう制度の根幹にかかわる問題なんですよ。  単身者の場合はその制度は除外しますというのですか。そうじゃないでしょう。制度の存在を否定する事態が単身者の場合は目の前で起こっているのであれば、そのことを率直にお認めになって、これもきちっと解決をするという方向を出さないと私はだめなんじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  157. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 やや具体的な数字で申し上げますと、単身者についての措置基準額でありますけれども平成十年度の非課税限度額は、給与所得者の場合、給与収入ベースで見ますと、改正後では百万円に相なります。一方、所得税の関係で見てみますと、所得税が課税されない水準が百三万円でありますこと、もうかなり近接した水準にあるということ。さらには、単身者が障害者でありますとか未成年者でありますとか、あるいは老年者、寡婦などの社会的な弱者につきましては、別途人的非課税措置が講じられていることなどを総合的に勘案しますと、一応この単身者に係る非課税限度額も既に相応の水準にあるのではないかということが言えるのではないかと思います。     〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕
  158. 春名直章

    ○春名委員 今、金額が近接しているということを言われたのと、それから人的な非課税措置がいろいろあって弱者は救われているということをおっしゃいましたけれども、そういうこと等を言っているのではなくて、制度としてこれを残しているのであれば、その制度の仕組みを否定するような逆転現象を残してはならないということを言っているのです。  二千八百七十一万人という、扶養親族がいらっしゃらない単身者、独身者の住民税納税義務者がいらっしゃいますけれども、今大部分の人が救われているというふうにおっしゃったけれども、そのうちどれぐらいの人が下になるのかということは私は数は知りませんけれども、全員が救われているということが断言できるのですか。そんなこと絶対できないでしょう、調べられているわけでもないと思うし。制度のことを言っているのであって、その制度がこういう形で明らかに逆転現象を生んでいるのですから、そのことについてしっかりした見解を持ってもらいたいと言っているのであります。  憲法の二十五条には、もう御存じのとおり「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」こう書いてあります。この精神を体現したのが生活保護行政だと思うのですね。その基準よりも下の収入しかない世帯から税金を取るという事態が現に起こっている、あるいは制度として残っている、このことを厳粛に受けとめて、私は改正をやるべきではないかなというふうに思います。  来年度については、今から手直しをするというのはすぐできないかもしれません。したがって、私は自治大臣に、今の議論も少し聞いていただいて、決意も伺いたいのですが、九九年度の改正では、このことについて必ず是正する、検討するということをお約束していただけたらと思うのですけれども、この点いかがでしょうか。
  159. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お約束ということにはなりません。与党には与党の税調がございますし、政府の税調もございます。そのような議論も見きわめた上で総合的に判断をしなければならぬと考えております。
  160. 春名直章

    ○春名委員 当然これは前向きに検討していただかなければならない、そういう中身だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思うのです。  もう一言言っておきますけれども、一九八九年度の数字では、単身者の住民税納税義務者は二千三百四万人でした。納税義務者全体の五〇・二%でした。ところが、九六年度になりますと、これが二千八百七十万人、さっき言いましたけれどもこういう人数になりまして、五五・五%に引き上がっているわけです。五五・五%、割合も人数も引き上がってきています。だから、ここのところに手を差し伸べていくということをぜひ御検討お願い申し上げたいと思います。  続いて、特別土地保有税の問題について伺いたいと思います。  今回の土地税制改正ですね、国税の地価税も含めて見ていますと、私は政府全体が、また自治省もそうかもしれませんが、バブルを再来させたいと思っているのじゃないかと思わざるを得ないような改正になっている、改悪と言った方がいいのかもしれないけれども、そういうふうに思えてならないわけです。  国税でいいますと、バブル期後に導入をされた地価税が凍結されて、実質廃止という方向ですか、こういうふうになるわけでありますが、地方税で見ますと、特別土地保有税を、九一年度にいろいろ課税強化をされた部分を基本的に撤廃をして、保有期間が十年を超えれば非課税だとかいろいろありますが、バブル期前の制度に戻すというものになっていると思います。  それで、平成八年度の土地白書を読んでみましたら、こう書いてあります。「売買による土地取引件数」についてですけれども、「平成五年には百七十七万件にまで減少したが、東京圏、大阪圏等での増加により平成六年には増加に転じ、平成八年には地方圏も増加に転じ、全国計で百九十六万件となっている。」こういうふうに述べているわけです。  政府の土地政策の方向というのは、所有から利用へ、土地を所有することから利用するという方向に前進させよという方向でありまして、現状はそれに合致した流れがあるというふうに数字上も言えるのですね。  そういうときに、土地の保有に着目したこの政策税制を減税する、特別土地保有税を減税していくということを行えば、この方向に水を差してバブルを再来させることを期待しているとしか思えない、私はそういうふうに感じるわけでありますけれども、一体そうなのか、そうならないという保証は一体どこにあるのか、その辺の認識を伺っておきたいと思います。
  161. 上杉光弘

    上杉国務大臣 委員とは認識が違うわけでございまして、バブルの再来ではなくて、景気対策にもこれを実効あるものにしたい、土地の流動化を促進させるというねらいも含めてこういう措置をとった、こういうことでございまして、バブルの再来ではなくて、景気対策の一助であります。
  162. 春名直章

    ○春名委員 でも、バブルで土地の投機的な買い占めだとかいろいろな問題があって、それを抑制する政策税制として九一年にもさまざまな形で強化をされてきたというその歴史があるでしょう。その前もそうなんですけれども、土地税制はいろいろ変わってきているわけですけれども、それをほとんど解除してしまおうというようなことをやるんですからね。景気対策になるのかどうか私はよくわかりませんけれども、しかし、そういう面が絶対にないと私は言えないと思うんですよ。  それで、結局この税制の恩恵を受けるのは、今おっしゃったように法人、企業なわけでありますけれども、凍結される国税の地価税の上位百番はすべて法人であります。それから、特別土地保有税を見ますと、納税額の九五%が法人であります。土地税制改正の恩恵は法人が集中的に享受することになるということは、この数字を見ましても明らかなわけであります。  それで、特にわからないなと思うことがあります、今度の改正の中で。それは、地価下落に対応して、当分の間、特別土地保有税の課税標準額、これは取得価額だと思いますけれども、課税標準額を地価公示価格の全国的変動率を用いて簡易に修正する措置を講ずるということがこの改正の中に入っていることであります。  つまり、当分の間、これは変動率を用いて修正するということなんですけれども、今、地価公示価格などが下落をしていっていますので、課税標準額を下方修正して法人の負担を減らすという仕組みまで今度の改正の中で導入をするということが計画をされておりますが、これは一体なぜなのか、ここまでなぜするのか、このことをお答えください。
  163. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 特別土地保有税は、投機的土地取引の抑制と土地の有効利用の促進を目的といたしました政策税制でございまして、その課税標準額は当該土地の取得価額とされております。この点におきまして、資産価値に応じて課税される固定資産税とは異なっております。  このように、特別土地保有税の課税標準額は取得価額として固定をされておりますため、固定資産税の課税標準額が下がる場合には、その分特別土地保有税の負担額が自動的に増加してしまうということに相なりますので、このような状況を勘案し、今回の改正案におきましては、地価下落に対応して課税標準を臨時的に簡易修正する制度を入れることとしたものでございます。     〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕
  164. 春名直章

    ○春名委員 だから、それはわかりましたけれども、なぜそういう制度まであえて導入するのかということをお聞きしているのでありまして、その根拠、理由をお述べください。
  165. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 課税標準額が取得価額に固定されているため、地価が下落している場合には納税者の負担感が相対的に増大することに相なります。特に、固定資産税の課税標準額が下落する場合には特別土地保有税の負担額が増加する。御案内かと思いますけれども、税額は取得価額に税率を掛けましたものから固定資産税額を控除することになっておりますので、固定資産税の課税標準額が落ちますと特別土地保有税の納税額が自動的にふえてしまうという仕組みになっているわけでございます。
  166. 春名直章

    ○春名委員 その仕組みは知っているつもりであります。そこでお聞きしているわけであります。  今いみじくもお話が出ましたけれども、同じ保有税でも固定資産税のような一般的な税制とはこれは違うわけであります。政策税制なわけです。政策税制なんです。つまり、先ほど説明がありましたけれども、投機的な土地取得を抑制するということのために特別につくられている税制であります。そうでしょう。だから政策税制だと。一般の税制、一般的な固定資産税とは違うわけであります。  投機目的の法人の土地所有を抑制するためにこれをあえてつくってやった制度なのに、先ほど説明が出ましたけれども、課税標準額が固定化されているので、地価公示が下がると負担感が高まるからこれをまた減らすのだというふうに言われるのですけれども、これはそういうことをするような性格の税制ではないと私は思うんですよ。なぜそういうことをするんですか。それがわからないですね。そこまでやってなぜそんなことをするのか。  つまり、これをやると法人の土地所有を抑制するどころか、負担感を軽くしてあげるのだから、法人の土地所有を抑制するどころか促進することになるのじゃないですか。そういうふうな政策税制意味からいっても異質の改正だと私は思うのですけれども、そう思いませんか。なぜそこまでやらなければならないのか。今回の改正の中に入れる必要は私は全然ないと思うのですけれども、その点はいかがでしょう。
  167. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 例えば具体的に申し上げますと、特別土地保有税を従来一〇〇ほど負担していた人がおったと仮定いたしまして、その場合に、地価下落ということで固定資産税の課税標準額が落ちていきますと、結果的に、自動的に一〇〇納めていた納税者の方は一〇〇以上の特別土地保有税を支払っていかなければいけなくなるということになるわけであります。  ということで、単に負担感が相対的に増大するということじゃなくて、支払うべき税額そのものが、地価下落によりまして固定資産税の課税標準額が落ちるときには自動的に特別土地保有税がふえてしまうという、現実に税負担額が増加してしまうという結果に相なりますので、今申し上げましたような簡単な修正措置をとらせていただくことにしたわけでございます。
  168. 春名直章

    ○春名委員 だから、自動的に上がってしまうというふうになるのだけれども、固定資産税の場合はそのことをいろいろな調整をする必要があるのですけれども、政策税制のこれをなぜ調整する必要があるのですか。やらなくていいんじゃないですか、そんなことは。なぜですか。そこまでして、法人や、銀行も含めてでしょうけれども、減税してやることは私は必要ないんじゃないかと思うのですよ。してやるといいますか……。  今、前段からの議論地方財政の困難さということが議論になっています。今度の地方税法の改正では百八十数項目改正がありますけれども、その中でも土地税制改正などが大きな項目になっています。企業の遊休土地保有への課税であるこの特別土地保有税の減税は三百十一億円、法人事業税では税率引き下げ等法人税改正の影響で三百億円、法人住民税では法人税の改正の影響で減税百七十億円、かなりの減税を企業向けにやることになっていますが、一方で住民への政策減税はごくわずかになっています。今回の減税全体の規模の一一%程度にすぎません。全体の九割が大企業を中心にした減税になっているわけであります。  減税も別に悪いとは言いませんけれども、今のいろいろな改正の中で、特別土地保有税の改正の中でも、先ほど私が聞いたこの中身というのは異質な改正だなというふうに感じるのですね。強化したり緩めたりすることはありますけれども、それとは全然違う性格のものも入っているように思うのですよ。そこまでしてなぜやる必要があるのかということが私の率直な疑問であります。  それから、これに関連してもう一つだけ聞いておきますけれども、去年の十一月に経済対策閣僚会議が「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」というのを発表しておられます。そこで、土地の有効利用の促進の観点を踏まえる、こういうふうに述べておられまして、土地取引が回復しつつあるときに、そういう土地利用の促進の観点を踏まえるというふうに言っているんです。  そういうこととの関係で見ても、土地取引が回復しつつあるときにあえてこの保有税を軽減するということになりますと、企業が逆に土地を手放さなくなるというようなことが私は起こるのではないかと思うのです。回復基調にある土地の取引が冷え込むことにもなってしまって、最初にも言いましたけれども政府の方針自身にも反するようなことになりはしないかと思うのですけれども、そういう心配はないのでしょうか。  そのことをお聞きしたいのと、時間が来ますので、もう一つだけ聞いて終わりにしたいと思うのです。  この土地税制の問題で私が質問させていただく上で、資料をいろいろ教えていただいたのですけれども、以前は法人、個人に分けてまとめられていたこの資料が、最近では、平成八年二月の申告分からその区分がわからないようになっているとお答えをいただきました。法人と個人の区分がわからないというふうに言われました。これは、地方自治体で煩雑な事務があるからというふうなこともあるのかもしれませんが、今まではやっておりました。  特別土地保有税の創設理由でもお述べになりましたけれども、法人が投機的に土地を保有していることに対して政策税制で導入されたという歴史から見ましても、個人と法人の区別もない資料ではお話にならないと思います。今後の税制改正の上でも支障を生じることになりますので、法人、個人に分けた資料の整備を少なくとも継続してやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  その二点、最後に伺っておきたいと思いますが、いかがでしょう。
  169. 成瀬宣孝

    成瀬政府委員 特別土地保有税の今回の改正趣旨でございますけれども、先ほど大臣からも答弁ございましたように、決してバブルの再来を期待しているとかそんなようなことでは毛頭ございませんで、今回見直しをいたしました措置の大抵のものが、平成三年の税制改正で、あのときはいわゆるバブル経済下で大変異常な地価の高騰、地価狂乱があったわけでありますけれども、その際に講じられましたいろいろな強化措置を、今日の土地をめぐる状況に応じて見直しをするというような趣旨のものでございまして、決して土地投機を促すというような結果にはならないというふうに思っておるところでございます。  それから、特別土地保有税の申告資料の中で個人、法人別、最近やっていないけれども、どうかということでありまずけれども、この点につきましては、各市町村の申告状況を把握するため、申告時期、五月、八月、二月になりますが、その月ごとに個人、法人別に、従来は申告件数、面積、申告納付税額の調査を行ってきたものでございます。  しかしながら、現実問題として、多くの市町村におきましては当該調査のためだけに申告書を個人、法人別に仕分けをしなければいけないということで、いろいろ御意見もございましたので、市町村の事務負担の軽減を図る等の観点から、平成八年の二月申告分より個人、法人の別を廃止し、合計分についてのみ調査することといたしたところでございます。(春名委員「これから検討していただけますか、区別については」と呼ぶ)また、御意見があったことは十分留意しておきたいと思います。
  170. 春名直章

    ○春名委員 検討してください。  終わります。
  171. 加藤卓二

    ○加藤委員長 畠山健治郎君。
  172. 畠山健治郎

    ○畠山委員 一般会計のみならず、地方税財政においても財政構造改革法に定める量的縮減目標によって大きな制約を受けることとなり、そのため、策定された地方財政計画とその基礎となる地方税制、地方交付税についても、幾つか見逃せない問題が顕著となってきております。  そこで、基本的な問題を中心に、自治大臣並びに大蔵省お尋ねをいたします。  まず、地方財政対策についてでありますが、自治、大蔵両大臣の覚書によって、九八年以降に生ずる財源不足については、地方、国、いわゆる折半方式によって不足財源の補てんをするとしております。しかし、覚書や法定条項を見ても、地方交付税法第六条の三第二項にいう制度に当たるか疑問なしとしません。  そこで、お伺いをいたしますが、七五年度以降の財源不足に対する法定加算額がまさしく法定どおり加算された年度は、たしか八四年度と九六年度しかないはずであります。これでは余りにも法改正の軽視と言わざるを得ないと思います。今審議しておる九八年度の場合、今後の不足額に対しては折半方式で措置をし、かつ、その償還は二〇〇一年度以降という二つの措置によって地方交付税法にいう制度の改正に当たるというならば、今後は間違いなく法定どおり加算されることになると思います。そのことを自治大臣に確約していただきたいと思います。
  173. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今回、十年度の地方財政対策を講ずるに当たりまして、八年度、九年度の単年度の制度改正を踏まえつつ、この集中改革期間をにらんだ制度改正を行うということで、今回、交付税法の提案を申し上げておるわけでございますが、基本的には、十一年度、十二年度においても十年度に準じて、原則として財源不足のうち交付税の増額により補てんすべきものについて、国と地方が折半して補てんするというような内容の制度改正をいたしておるわけでございます。  たびたび当委員会でも御議論がございますが、交付税法の六条の三第二項で予定いたしております制度改正といいますのは、この法律の解釈として内閣法制局からも、幅の広い選択を許されているものというふうに私どもも理解いたしておりまして、そういう意味で、この制度改正として御審議をお願いしていることをまず御理解いただきたいと思います。  その上で、御指摘がございましたようないわゆる法定加算につきましては、これは法律で定めるという重みは当然あるわけでございまして、私どもといたしましても、地方交付税の必要額を確保するということを基本に据えまして、加算すべきは加算するという姿勢で対処いたしたいと思っております。  いずれにしても、地方財政の運営に支障が生ずることのないように、国庫当局とも十分協議してまいりたいというふうに考えております。
  174. 畠山健治郎

    ○畠山委員 両大臣の覚書では、まず第二項において、九二年度補正予算から九七年度の当初予算までにおける特会借り入れの償還方法については財政構造改革期間中変更するとし、さらに第四項では、集中改革期間中における財源不足については九八年度に準じて国と地方が折半するとなっております。  前期三年の集中改革期間、これが両省の財源不足対策のキーワードであろうかと思うのです。そうなると、財政構造改革期間が延長されたり変更されたら、九八年度財源不足対策は地方交付税法六条の三第二項にいう制度に当たるという理論は、理論たり得なくなります。大臣、いかがでしょうか。
  175. 上杉光弘

    上杉国務大臣 財政構造改革は、本格的な少子・高齢社会を前にいたしまして、次世代に残してはならない、私たちの世代でやり遂げなければならない重要課題であることはたびたび申し上げております。また同時に、経済、金融情勢の変化に応じまして臨機応変の措置を講じ、景気の回復を図ることも必要な課題であります。  このような二つの前提を置いて申し上げますが、総理からもお答えをいたしておりますように、財政構造改革と経済、金融情勢を踏まえた景気対策とは二者択一の問題ではなく、二〇〇三年までの中期の目標と当面の対応という、対象とする期間の異なるものと考えております。特に今、目標の時期を延期することは考えない旨、総理からもお答えをいたしておるとおりでございまして、この点については御理解をいただきたい、このように考えておるところでございます。  また、先ほど局長からもお答えをいたしましたように、この財源措置としての交付税法第六条の三第二項に基づくいかなる内容の地方財政制度の改正を行うべきかについては、法律は広い選択を許しておると法制局の見解にあるわけでございまして、平成十年度の制度改正財政構造改革を踏まえたものでございますが、財政構造改革法にかかわらずそれ自体で制度改正の内容を備えたものであることは、さらに御理解をいただきたいと考えております。
  176. 畠山健治郎

    ○畠山委員 同様なことは地方財政計画にも言えると思うのです。本予算の成立後、大型補正予算となれば、地方財政対策財政計画は、当然見直しあるいは策定のし直しが必要と考えます。財源対策債などで安易な穴埋めをすることでこれを回避することは許されないと考えますが、大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。  以上三点について、大蔵省、まとめてお答えをいただきたいというふうに思います。
  177. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 先ほど大臣からもお答えがございましたように、構造改革を中期の目標をもって進めることと当面の経済金融情勢に即応して臨機応変の対策をとるということは、決して二者択一の問題ではないと私ども考えております。  十年度の国の予算とかあるいは地方財政計画におきましては、経済情勢に応じた臨機応変の措置をとる観点から、さきに成立をさせていただきました二兆円の特別減税あるいは法人関係税の減税等の幅広い措置を講じているところでございまして、私どもといたしましても、この十年度の予算あるいは交付税を含めます関連の法案の一日も早い成立を御理解いただきたいというふうに思っておるわけでございます。  なお、今、補正予算等について言及になりましたけれども、これは仮定の話でございまして、これまでの例といいますか、これまで補正予算に地方財政がどういうふうに対応してきたかということを一般的に申し上げますと、投資的経費については地方債によって対応する、経常経費につきましては地方財政計画に計上されております追加財政需要額で対応してきているというのが通例でございまして、どういう事態になるかはともかくといたしまして、地方財政の運営に支障が生じないように、私どもとしては全力を挙げていきたいというふうに考えております。
  178. 川北力

    ○川北説明員 御質問いただきました三点につきましてお答えを申し上げます。  まず、十年度の地方財政対策における制度改正の意義につきましては、先ほど自治省から答弁のあったところでございます。大蔵省といたしましても、こうした制度改正を含めまして各般の措置のもとで、国、地方を通じる財政構造改革推進に努めるべきものと考えております。  十一年度、十二年度の地方財政対策の具体的な対応ぶりについてお話が及びましたが、これにつきましては、これまでも地方交付税法を踏まえつつ、近年の厳しい財政事情の中で、国、地方がバランスのとれた財政運営を行うという基本的な考え方に沿って、地方財政の運営に支障が生じることのないよう所要の措置を講じてきているところでございます。今後も、こうした考え方のもとで、自治省と十分協議して対応してまいりたいというふうに考えております。  次に、財政構造改革に関するお尋ねがございました。この点につきましては、自治大臣から御答弁がございまして、その目標時期の延期は考えていない旨述べられたところでございまして、この点、私どもも同様に考えてございます。  最後に、補正予算との関係についてのお尋ねでございますが、政府といたしましては、現在御提案申し上げております平成十年度予算が最善のものであると考えておるところでございまして、その速やかな成立につきぜひ御理解をいただきたいというところでございます。いずれにいたしましても、地方財政の運営につきましては、私どもも、今後とも自治省と十分協議して対応してまいりたいというふうに考えております。
  179. 畠山健治郎

    ○畠山委員 最後になろうかと思いますが、財源不足対策のあり方についてお尋ねをいたしたいと思います。  この十年間、交付税は三七%の増となっております。これに対して、基準財政需要額の伸びは三三%と、四%低い伸びになっております。他方、地方税減収補てん債、財対債、地域財特債、臨時財特債あるいは減税補てん債にかかわる償還費並びに事業費の補正の基準財政需要額算入分は、四六%もの高い伸びとなっております。簡単に言えば、財源不足はこの高い地方償還分の伸びが大きな原因となっているわけでありまして、現在のこのような対策が続けられる限り、地方財源財源不足は、解消しないところかますます拡大することになるのではないだろうかと考えます。  その意味で、財源不足は、単に税収の低迷だけではなくて、こうした地方債、交付税を連動させる地方財政対策そのものにも一因があるのではないだろうかと考えますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  180. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今一地方債と交付税との連動が財源不足の大きな要因ではないかという御趣旨でございますので、私の方からお答えをさせていただきますが、近年の財源不足の原因は、当委員会でたびたび私どもの方で御説明いたしておりますように、歳入では、何といいましても税や交付税の原資となります国税ということが伸び悩んでおります一方で、国の方も国債に依存しておりますので、それに対応して地方借入金で対応せざるを得ないというふうな財政構造になっておること。  それから、今御指摘がございましたような景気対策とかあるいは減収補てんのための地方債の元利償還がふえている、いわゆる公債費が増加しているということが、一つ歳出面での要因。  さらに加えて、地域福祉あるいは社会資本整備のような地方財政需要がずっと一貫して根強い増加要因にあるというふうなことで、いろいろ歳入歳出両面にわたって、財源不足が生じております。  したがいまして、この財源不足の毎年度の対応という、あるいは算定の中では確かにこの公債費の増というのも一つの大きな要因になっておりますが、それはいわゆる公債費ということで、地方財政計画においてどういうふうに財源を見込むか、財政需要を見込むかという問題でございまして、地方債の元利償還に対します交付税措置のあり方といいますのは、これはいわばいろいろな財政措置の技術的な方法でございます。そういう地財計画で見込んだ公債費をどう財源手当てをするか、そういう手法の問題でございます。  今委員が、この十年間、基準財政需要額のうち公債費が四六%増になっているという御指摘がございましたけれども、この同じ期間で地方財政計画における公債費、これは五六%増ということになっておりまして、そういうことで財源不足をカウントいたしておりますので、交付税地方債の連動が財源不定に影響する、そういう図式ではないというふうに考えておるわけでございます。
  181. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間になりましたので、終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  182. 加藤卓二

    ○加藤委員長 次回は、来る十九日木曜日午前九時十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会