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松永国務大臣 G7の会合における
日本の信用とか
信頼、これは決して揺らいでいないのです。もし
日本の新聞の報道にそういうのがあれば、それは必ずしも正確ではないというふうに思います。
G7というところは、本来、一国と一国あるいは一国と数カ国が何かを約束する場所ではないのですよ。そこで、世界の
経済あるいはそれぞれの国の
経済状況について自由な議論をするところなのです。その議論の集約を共同声明といいますか、あるいはまたそういう形で対外的に発表する、こういう仕組みに実はなっておるわけであります。
その前に、G7の正式な会合の前に、私は、ルービン財務長官と個別の会談を、二十分の予定が四十分になったわけでありますが、率直な感じが、先月行ったときは少しお互いにかたかったのです。しかし今度は、私がお会いする前に、自民党の政策担当者である山崎政調会長が、あるいはまた尾身
経済企画庁長官がルービン長官と会って、今度の
経済対策についての
説明もしましたし、あるいは特別
減税の話もしてありましたので、ある程度ルービンさんは
日本の政策について事前の知識を持っておられました。そういったこともありまして、今度の
経済対策、事業規模十六兆円のことについては理解をし、歓迎をされたというのは事実であります。
なお、前回のときには、
減税の
関係では、恒久
減税ということを
言葉の中に入れたわけでありますけれども、そのときに私は、実はある文書をルービンさんに渡したのです。それは、数年前に鈴木先生あたりが政府の税調の
委員をしておられまして、個人の
所得税につきましては、税率をフラット化する、こういった政府税調の結論が出まして、それを実行したのですね。残っているのは、三千万以上になりますか、高額所得者の最高税率六五%、あそこのところだけが残っているので、少なくとも二千万あるいは千五百万以下の税につきましては、これは相当な
改革が既になされておるわけなのですね。そのこともルービンさんに、前回に行ったときに申し上げてきていることなのです。
したがいまして、現在、
日本の所得課税というのは、アメリカと比べますと、七百万程度だというと半分ぐらいになっておるわけなのです。そういう
状況のもとで、恒久
減税をどういう形でやるかということは、これはしっかり議論をしなければならぬ問題なのですよ。
よく恒久
減税、恒久
減税とおっしゃいますが、どの部分を
減税するのか。私の想像では、鈴木先生あたりのおっしゃることは私にはわかる点があるのですけれども、しかし、これはなかなか難しい問題なのです。鈴木先生というか、野田君の話にした方がいいかもしれませんけれども、大体似たような話でわかるのです。
そういうこともありまして、今度また恒久
減税の話がもしルービンさんから出たならば、少なくとももう一回、
日本の
所得税の課税最低限は、アメリカやイギリスに比べればはるかに高いところになっている。そして、千五百万、二千万近くまでフラットな
所得税課税になっている。ここは、
減税するといったって、どうするのかなと非常に頭をひねるところなのですね。その上の方については非常に高い税になっている。そこを直すことによって、非常に投資意欲が出てくるとかなんとかという問題はあるわけなのですね。それは理論的に私にはわかりますけれども、しかし、政治的にそれがやれるかという問題は重大問題なのですね。
そういったこともありますので、恒久
減税と言われた場合に、どういうふうな
説明をしようかと思っておりましたら、今度は恒久
減税の話はなかった、そういうことなのですよ。したがって、政府のあの十六兆円の事業規模の
経済対策、その話を概括しただけで向こうは理解したのですよ。それは、先ほど言ったように、事前にもう
説明がしてありましたから。そこで、その結果においては、既に新聞にも出ておりました。これは歓迎をするという結論になったわけであります。
また、
金融部門の強化が必要ですよということは同時に言われたことでありまして、その点は、我々は、
金融システム安定化に対する
法律をつくって実行に移しておる、その点もルービンさんは評価してくれたのですよ。これから残っているのは
金融部門の
規制緩和だ。まさに、今
審議を願っている
法案を成立させることによって、
金融部門の
活性化を図る、これは
指摘をされた点であります。その他の点は特別に
指摘はなかったのです。非常に
気持ちのいいG7の会合であったということでございました。