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1998-04-10 第142回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月十日(金曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 浜田 靖一君    理事 池田 元久君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 谷口 隆義君       石崎  岳君    岩永 峯一君       小野寺五典君    大石 秀政君       岡部 英男君    鴨下 一郎君       河井 克行君    桜田 義孝君       杉浦 正健君    砂田 圭佑君       中野 正志君    根本  匠君       松本  純君    宮路 和明君       宮島 大典君    村井  仁君       目片  信君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    渡辺 喜美君       上田 清司君    北脇 保之君       末松 義規君    中川 正春君       日野 市朗君    藤田 幸久君       赤松 正雄君    河合 正智君       並木 正芳君    小池百合子君       鈴木 淑夫君    西田  猛君       佐々木憲昭君    佐々木陸海君       濱田 健一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 松永  光君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君  委員外出席者         国土庁土地局地         価調査課長   坂山 修平君         中小企業庁計画         部金融課長   寺坂 信昭君         中小企業庁計画         部振興課長   小野 浩孝君         参 考 人         (日本銀行副総         裁)      山口  泰君         大蔵委員会専門         員       藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     目片  信君   河井 克行君     宮島 大典君   桜田 義孝君     松本  純君  吉田左エ門君     石崎  岳君 同日  辞任         補欠選任   石崎  岳君     小野寺五典君   松本  純君     桜田 義孝君   宮島 大典君     河井 克行君   目片  信君     今村 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   小野寺五典君     岡部 英男君 同日  辞任         補欠選任   岡部 英男君    吉田左エ門君     ――――――――――――― 四月九日  金融システム改革のための関係法律整備等に  関する法律案内閣提出第八六号)  特定目的会社による特定資産流動化に関する  法律案内閣提出第八七号)  特定目的会社による特定資産流動化に関する  法律施行に伴う関係法律整備等に関する法  律案内閣提出第八八号)  金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関  する法律案内閣提出第八九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  金融システム改革のための関係法律整備等に  関する法律案内閣提出第八六号)  特定目的会社による特定資産流動化に関する  法律案内閣提出第八七号)  特定目的会社による特定資産流動化に関する  法律施行に伴う関係法律整備等に関する法  律案内閣提出第八八号)  金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関  する法律案内閣提出第八九号)      ――――◇―――――
  2. 村上誠一郎

    村上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案の各案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。大蔵大臣松永光君。     ―――――――――――――  金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案  特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案  特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案     〔本号(その二)に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 松永光

    松永国務大臣 ただいま議題となりました金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、我が国内外社会経済情勢の変化に即応し、諸外国との調和を図りつつ、自由かつ公正で内外利用者に資する金融システムを構築するため、証券取引法証券投資信託法銀行法保険業法等関係法律整備等を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、投資者の多様化するニーズにこたえ、国民のよりよい資産運用を可能とするため、証券投資法人制度創設私募投資信託の導入のほか、金融機関証券投資信託受益証券の募集の取り扱い等を可能とする等の措置を講ずることとしております。  第二に、活力ある仲介活動を通じた魅力あるサービスの提供を可能とするため、証券業について現行の免許制原則登録制に改めるとともに、その専業義務を見直し、幅広い業務を行うことを可能とするほか、株式売買委託手数料完全自由化保険会社銀行及び証券会社との間の相互参入促進等措置を講ずることとしております。  第三に、投資者資金調達者にとって多様な市場取引枠組み利用が可能となるように、証券業協会が開設する市場店頭売買有価証券市場と定義し、店頭登録市場機能強化を図るほか、いわゆる私設取引システム証券業として整理する等の規定整備を行うこととしております。  第四に、利用者が安心して取引を行えるように、企業内容の開示を連結主体に移行することや金融機関及び証券会社説明書類公衆縦覧を義務づけること等のディスクロージャーの充実、公正取引ルール整備銀行及び保険会社の子会社の範囲の明確化並びに破綻の際の備えとしての投資者保護基金及び保険契約者保護機構創設等措置を講ずることとしております。  次に、特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案及び特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、証券の発行による資産流動化が、資産保有者資金調達円滑化投資商品多様化等に資することにかんがみ、特定目的会社が業として特定資産流動化を行う制度を確立するとともに、発行される証券購入者等保護を図ることにより、一般投資者投資を容易にすることとし、これらの法律案を提出した次第であります。  以下、これらの法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案につきましては、特定資産流動化をその業務とする特定目的会社を新たな法人として創設し、特定資産を裏づけとした有価証券を発行する仕組みを創設するとともに、投資者等保護を図るため、コーポレートガバナンス機能を活用した措置等を講ずることとしております。  第二に、特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきましては、特定目的会社が発行する優先出資証券及び特定社債券証券取引法上の有価証券位置づけるとともに、これらの取り扱いを、証券会社のほか、銀行保険会社等金融機関にも認める等の措置を講ずることとしております。  次に、金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、特定金融取引の決済の安定性の確保と取引活性化を図ることにより、我が国金融機能に対する内外の信頼の向上等に資するため、本法律案を提出した次第であります。  本法律案は、銀行証券会社等金融機関を一方の当事者とするデリバティブ取引等について、当事者の一方が倒産した場合、当該取引に関する多数の債権債務を一括して清算した後の一本の債権を、破産手続または会社更生手続上の債権として取り扱う旨を規定することにより、いわゆる一括清算ネッティング契約法的有効性明確化することとしております。  これらの法律案は、金融システム改革の一環として金融基本的枠組み整備を図るものであります。  以上が、四法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 村上誠一郎

    村上委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。
  6. 杉浦正健

    杉浦委員 自由民主党の杉浦正健でございます。  本件についての質問に入る前に、いわゆる大蔵省を初めとする不祥事について一言申し上げさせていただきたいと存じます。  今国会半ばでございましたか、大蔵大臣所信表明に対する質疑の際、刑事捜査が始まったばかりの段階でございましたが、所感の一端を申し述べさせていただきました。その後、大蔵省内部における逮捕者もふえ、キャリアと言われる方の逮捕者も出る、日銀にも広がるという事態になったことは御高承のとおりでございます。先回のときに申し上げましたが、事態の推移につきましては、まことに憂慮にたえないところでございます。  そういった過程の中で明らかになってまいりましたことは、これは、ただ一人の変質的な人が汚職の罪を犯したということではない。頭に出たのは氷山の一角であって、相当根深く大蔵省日銀等全体を侵食しておるということがはっきりしてまいったと思います。  刑事捜査は終結したのか。終結したという報道もありますが、まだ定かではありませんし、また、大蔵大臣におかれましては、厳正な調査をなさっておられる、その結果について処分をされると申しておられます。先日、日銀の新総裁大蔵委員会におきまして、日銀においてもびしつとやる、処分者は二けたになるだろうというようなことも申しておられました。  私は、そういう現実を見ておりまして、例えば非常によくないかもしれませんが、川の流れに例えるとこんなようになるんじゃないかと思うわけであります。  つまり、かつては非常に清流であった。清流に魚すまずという言葉がありますが、しかし魚もすんでおった。大蔵省という流れは、事実、力強く地域社会国家を潤しておったと言えると思うわけでありますが、いつの間にか川底にヘドロがたまり、土砂が堆積をし、水の流れは変わらないにしても、それが大きくあふれて、ついには堤防を越すようになったというふうに例えられるのじゃないかと思うわけであります。全体の綱紀が緩んできた、お金さえもらわなければ汚職にならない、そういう雰囲気がはびこってきたと言えるのじゃないでしょうか。  これは、ひとり単に大蔵にとどまりません。大蔵以外のある省の私と親しい課長が、私のところへ来て述懐しておりました。夕方になってどこからも声がかからないと寂しい、また、声がかからないと部下から、あの課長は無能なのじゃないかというふうな目で見られるような気がするということを述懐しておりました。正直な述懐であります。もちろん私は、多数の官僚諸君はまじめに誠心誠意やっていることは承知をしております。しかし、官庁全体としての綱紀が緩みに緩んできたということは否定しがたいのじゃないだろうか、こう思うわけであります。  そこで、きょう、この公式の席であえて申させていただこうと意を決して参ったわけでありますが、一部の官僚諸君には申し上げてあることでありますけれども、私は、ここに大蔵省幹部の何人か御出席でありますが、ひとつ皆さん方自身でこの事態に対して、国民の中にある批判、そういうものにこたえる自浄努力自浄能力の発揮を御自身の手でやってもらいたい、そのお願いをまずもって申させていただく次第であります。  ここにおられる同僚諸君もそうでしょうが、週末になれば帰って国政報告会をやります。いろいろな懇談会に顔を出します。その際言われることは、正健さん、税金を払う気がなくなった、払いたくないと、真顔で多くの人が質問、詰問をするわけであります。そのたびに胸の痛みを覚えるわけであります。  私がこういうことを申し上げる資格はないと申しますか、立場にないと申しますか、国家社会に対する貢献もさしたることをしておりませんし、平々凡々たる一議員でありますけれども、しかし、あえて申し上げれば、今国民が受け取っておるあなた方の報道、これは毎日、新聞週刊誌等でいろいろ躍っておる。国民もある意味では怒り、ある意味では心配しておるわけであります。  大蔵省機能官僚機能、今、行政改革でやっておりますが、これは永遠に変わることはありません。あなた方は退官するでありましょう。新しい人が入るでありましょう。この国家機能に対する不信、これを一刻も早く払拭すること、これはひとりあなた方のみならず、我々政治家国民全体にとって喫緊の課題だと言って差し支えないと思う次第であります。  あえて申させていただきますが、私自身は至らない人間でありますけれども、私に投票してくれた十三万三千人の有権者の意思をあえてそんたくし、希望や夢や悩みを代弁する立場で申させていただく次第であります。  具体的には、幹部諸君は潔く進退大臣に伺っていただきたい、進退伺を出していただきたい。少なくとも局長以上の方々は、御自身が手を染めておられる、おられぬにかかわらず、この際、責任をとる形で進退伺を出していただきたい、こう思うわけでございます。  国民の目から見て、大蔵省が襟を正して再出発するかどうか、国民はじっと注視をしておるわけであります。ひとり刑事訴追をされた人たちだけが、あるいは大臣によって処分を受けた人たちだけが、つまり、外部から指弾される形で責任をとるということだけでは国民は納得しないと私は今認識いたしております。  また、今の幹部諸君が、ちょうど桜の散るように、潔い出処進退をすれば、先輩、こういう事態を招いたのには先輩にも責任がある、歴代事務次官その他先輩にも責任があるわけでありますが、日銀総裁辞任されましたけれども、ほかの先輩諸君も、諸君の判断に従うでありましょうし、また、あなた方に続く後輩は優秀な連中もそろっております。彼らも喜び勇んで大蔵省を再建する道に励むでありましょう。そして、川の流れをもとのすばらしい流れに戻す努力後輩諸君はしてくれるということを信じておられると私は思います。  大臣お願いしたいわけでありますが、もし幹部諸君出処を明らかにした場合には、私は、現在、調査された結果どのような処分をお考えかわかりませんですけれども、幹部でない方々処分については可能な限り寛大な御処置をお願い申し上げたい、僭越でありますが、お願い申し上げる次第であります。  組織は一体でありまして、部下人たちは心ならずも参加したという部分もございましょう。また、彼らには恐らく妻もあり子もあるでありましょう。厳しい処分は一生つきまどうものであります。私は弁護士として犯罪者の弁護もしてまいりましたが、厳しい処分はかえってその人の更生を損なう面もございます。これは大臣もよく御承知のとおりだと思います。その現職の諸君大蔵省再建に当たっての決意の表明を見て、御処分の方は寛大にお願いしたいと思います。  これは私一人の意見だけではなくて、お名前を出して恐縮でありますが、後藤田正晴先生もテレビ、新聞等で同じ趣旨のことを申しておられました。捜査はそれによって打ちどめにして、これ以上大蔵省を壊してはいかぬ、後藤田先輩のお言葉をここで御紹介をさせていただきたいと思います。  いささか時間をとりましたが、本論に入らせていただきます。  ビッグバン関連法案、ようやくここで御審議賜ることになりまして、この準備に携わった一人として、本当にうれしく思っておる次第であります。大蔵省同僚議員初め関係者とともに喜びたいと思っております。  ビッグバンと通常は言われております。日本版ビッグバンと言われておりますが、その中核をなす法律的措置といたしましては、本日提案されております法案が成立いたしますれば大部分法的整備が終わるというふうに認識いたしておりますが、そういう意味におきまして、ぜひともこの国会ビッグバン全体を前進させるために審議を了して、成立させていただきたいと心から願っておるところでございます。  きのう、本会議における趣旨説明があり、質疑がございました。野党同僚議員中川正春先生河合正智先生らから質疑がございましたが、非常に的確な御質疑でございました。ある部分では拍手も送りたくなった面があるわけでありますが、いずれも、我々自民党議員がもう半年にわたってこの法案の審査に取り組んでまいっておるわけでありますが、その過程で心配をし、議論をし、詰めてきたことばかりであります。  人間のやることでありますから、万事隅々に至るまで行き届いた検討ができたとは思っておりません。また、この法案についてもさらに検討を要すべき点、あるいはすぐ直した方がいいところもあるかもしれない。将来にわたって課題として取り組むべきこともあろうかと存じます。我々も努力してまいりますが、野党の諸先生方におかれましても、ぜひともこの大きな課題について真剣に御議論を賜りたい、御指導、御鞭撻を賜りたいとまずもって心からお願い申し上げる次第でございます。  まず、大臣に最初お伺いしたいと存じますが、この金融関係法位置づけについてでございます。もちろん金融システム改革中心をなす法案でありますが、このビッグバンは、現在我が政府・与党が進めております六大改革一つをなすわけであります。  この改革は、総理は再三申しておられますけれども、日本が迎えようとしております少子高齢化社会に対応して、日本システム全体を大きく転換していかなければならない、百三十年前の明治維新における大変革、終戦直後の、敗戦の際の大変革に匹敵する大きな変革なのだ、その一部なのだ、こういうふうに相なるかと存じます。  子供が少なくなっていく少子社会人口問題研究所の統計によれば、現在女性が一人当たり一・四人しか産んでもらえていない状況が続きますと、二十一世紀末には人口は六千万人台になるということは確実だと見通されております。高齢化社会高齢者の比率がその中で高まっていくということも現実に既に起こり始めておるところであります。  このままのと申しますか、従来どおりのシステムのままで百年の時を過ごせば、日本はもう破滅以外にないという認識は私も持っておる次第であります。これは、ある意味では、日本の歴史始まって以来と申しますか、人口が、一時的な戦争とか何かで減ることはあっても、ずっとふえてきた時代から一気に下降していって、ある時期に欧米先進国のように人口が静止する、成熟する社会に入っていく、その変わり目であろうかと思うわけであります。  行政改革もしかりであります。このままの役所の機構でいいのか、役人の数が国、地方含めてこのままでいいのか、仕事の分担もこのままでいいのか、民間に移せるものはないのかという検討が始まっておるわけでありますが、金融ビッグバンというのも大きなそういう流れの中の重要な一つであろうかと思います。  このビッグバン位置づけ、そのビッグバンの中における、お諮りいただいておりますこの関連法案位置づけについて、大臣から御所見を承りたいと存じます。
  7. 松永光

    松永国務大臣 ただいまの質問にお答えする前に、委員から今般の、大変残念なことでありますが、大蔵省不祥事についての御見解が述べられました。また、対応策につきましても大変参考になる御見解をいただきました。  今回の不祥事が起こったその背景、原因等についての委員の分析、私もその多くを同感できるところでありますし、また、今後の対応策についてのお考えも述べられましたが、それも大変私にとっては参考にさせていただきたい有意義な御意見でございました。  私は、刑事捜査の対象になった人だけの問題じゃなくして、ある意味では全職員の問題だと。したがいまして、現在の職員の今日までの公務員にふさわしくない行動が数多くあったのかどうかという点を中心にして内部調査を鋭意続けてきたところでありますが、相当程度進んでまいりました。できますことならば、月内にはその調査を終えて厳正な処分ということを実行できるように、今事務方を督励しておるところであります。  そうして、どういう処分にするかという話についても、委員の方から参考になるような意見がございました。月が変わったならば、何としてでも、新しい大蔵省になったというふうに見ていただけるような状況をつくり出したいというのが私の念願でございます。大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。  さて、本題に対するお答えですが、お互い努力をして二十一世紀にふさわしい我が国経済社会システムを創造し構築をしていかなければならない、こういうふうに思っております。  橋本内閣では、御承知のように六大改革ということを進めておるわけでありますが、その中で金融システム改革は、あらゆる経済活動の基盤をなす金融システムをすぐれたものにすることを目指すものでありますから、極めて大事な改革であるというふうに思っております。この改革が実現すれば、多様な金融商品サービスが提供されることになり、それを通じて国民のさまざまなニーズに即した資産運用がより有利かつ容易に行われる、こういうふうになってくるわけでありまして、それは、我が国金融資本市場の一層の活性化に資するだけではなくして、広く我が国経済全般に好ましい影響を与える、こういうふうに考えておるわけであります。  こうしたことから、政府としては、今後ともスケジュールに沿って着実に改革を推進することが極めて重要である、こう考えております。そのためにも、御審議していただいておる金融システム改革関連法案を早期に成立をさせていただきたい、こうお願いを申し上げる次第でございます。
  8. 杉浦正健

    杉浦委員 このビッグバンが最終的に完成した場合には、一言で申しますと、東京市場ニューヨーク、ロンドン、フランクフルト等国際市場とほぼ同じ条件の市場になるというふうに言われておりますし、そう理解をしておるわけでございます。  東京市場の地位がいろいろ低下してきた。かつてはニューヨーク市場に並ぶ、あるいは追い抜くのじゃないかと言われておった時期もあったわけでありますが、今は見る影もないというところから始まったと理解しておりますが、銀行業界を初め、証券業界等業界は心底これを望んでおるのかどうか、必要だからやるということで始まったのか、業界の要望も、盛り上がる要望があって始まったのか、そのあたりについて、どちらの局長でも結構ですが、御答弁をお願いしたいと思います。
  9. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答えを申し上げます。  東京市場の今日置かれました状況につきましては、先生の御指摘のとおりであろうかと存じます。私どもは、金融の仲介者としての金融機関あるいは証券業界という方々におかれても、東京市場の地位の低下、日本におきます金融取引の活力の減退というものに対しての大きな問題意識といいますか、危機意識というものは共有しておられるように感じております。  もちろん、これから御審議いただきますこの法律案に盛り込まれておりますようなもろもろの改革と申しますものは、それへの対応が現実に自分として可能であるか、どのくらいの困難を伴うかということについては、大変危惧の念を持たれる方があってそれは当然でございますけれども、しかしとにかくも、投資者あるいは預金者あるいは資金調達者から見放された市場という状態で自分たちが発展していく場所はないという認識は共通しておると私が申し上げても、多分不適切ではないであろうと思っております。  そのような意味で、今回の改革、つらい改革ではあるけれども挑戦せねばならないといういろんな方々の御意思というものが存在し、それに支えられ、そういったものをもろもろの審議会その他の場、あるいは党におかれましてもいろんな御議論をいただきましたけれども、そういった場所で集約されてまいったのが今日の案というふうに申し上げてよろしいのではないかと、僭越ながら考えております。
  10. 杉浦正健

    杉浦委員 この改正案をつくるに当たって、端的に申して、業界関係者の意向も十分に聞いてやっておられると認識しておりますが、それでよろしいわけですね。
  11. 長野厖士

    ○長野政府委員 基本的に、例えば具体例を挙げますと、手数料の自由化をいつやるかとか、あるいは新しい市場システムについてどのようなシステムを構築するかにつきましては、私どもの立場でも十分にいろんな方の御意見をちょうだいするように努めたつもりでございまして、例えば、私の所管で申しますと、二百数十、日本証券会社がございますけれども、その方々のところには、私どもの、地方の職員も含めまして、課長以上の管理職が全員出向いて腹を割ったお話をさせていただくといった努力も払わせていただきました。そのような意味で、十分かどうかにつきましては御批判をちょうだいいたしたいと思いますけれども、あらゆる努力を払いまして、各方面の意見を慎重に徴させていただいたつもりでございます。
  12. 杉浦正健

    杉浦委員 この金融ビッグバン金融システム改革のプロセスと申しますか、全体像についてお伺いしたいと思います。  ある意味では既に始まっておると申しますか、つまり、日銀法は改正され、外為法も改正されて、この四月一日から現実施行されております。もう後戻りはないということでありますが、法的ないろいろな手続についてはこの一括法で大部分が処理されると思っております。全体として見ますと、例えば有取税は今年度は半額にする、来年度の税制であと半分を削って有取税をなくすというプログラムになっておりますし、手数料の完全自由化はまだちょっと先のようでありますが、そういった金融システム改革全体のプロセスについて、概略御説明願えればありがたいと思います。
  13. 長野厖士

    ○長野政府委員 四月一日の新年度を迎えられて松永大蔵大臣が談話を発表されましたけれども、それは広い意味での金融システム改革状況を御説明されました。それは、ただいま先生が御指摘されました、改正外為法が四月一日から施行される、それから早期是正措置も同じく施行される、新日本銀行法施行されるということにお触れになった上で、金融システム改革関連法案をこれから御審議いただいて、それによって金融システム改革の本体がすべて進捗するということについてお触れになったわけでございます。  具体的にこの法案で御提案申し上げております諸改革につきましては、基本的に、法案が御了承を賜りますれば、原則として本年内にはあらゆる準備を整えまして、これは取引所の改革でございますとか、証券業のあり方そのものの改革でありますとか、もろもろの改革が含まれておりまずけれども、本年中に基本的にすべてに近いものが実施できるような段取りにいたしたいと思います。  なお、付言いたしますれば、昨年来、法律改正を要しない事項におきましても、若干先駆けて、実施すべきものについての改革は既に取り組んできておるところでございます。その中で幾つかの項目につきましては、多少実施時期につきまして、もろもろの準備が整いますこととの関連で、多少の猶予と申しますか余裕を持って準備いたしておるものがございまして、その項目が、お挙げになりました手数料の自由化でありますとか、あるいは業態を超えました相互参入銀行証券、保険、これをまたぎます相互参入等々につきましては、しかるべき準備期間を設けて実施するという段取りになっております。  特に、手数料にあわせまして証券税制の見直しというものも御指摘のようなスケジュールになっておりますが、全体として申しましたら、それら実施のスケジュールにつきましては、いつごろどうなるということの計画はすべて明示されておるというふうに考えております。  なお付言いたしますと、全体の改革の中で、なお今後の検討にまだ残っておる部分が若干ございます。特にそれは商法と関連いたします会計制度の関連でございまして、この法案におきましても、連結決算を主体とするディスクロージャーへの転換ということにつきましてはこの法案に盛り込ませていただいておりますけれども、なお企業会計あるいはディスクロージャーに関しましては、今後とも至急に検討し準備を進めていくべき課題が一、二残っておるということは御報告申し上げておきたいと存じます。
  14. 杉浦正健

    杉浦委員 最終期と申しますか完成と申しますか、すべてのものが終わるのは二〇〇一年三月、こういうふうに理解していいわけですね。
  15. 長野厖士

    ○長野政府委員 一昨年の十一月に総理の御指示を賜りましたときに、新しい世紀の初頭にはシステム改革が完了されておるということの御指示をちょうだいいたしました。結果といたしましてそのとおりになっておりますし、多くの部分は、その二十一世紀、二〇〇一年を待たずに本年中あるいは来年から実施されるということで、全体としては二十一世紀に間に合わせる、その中でかなり前倒しのスケジュールになっておると理解いたしております。
  16. 杉浦正健

    杉浦委員 六大改革のうち、最も先行しており、また最も後戻りなく進んでいるのはこの改革だと私は理解しております。  行政改革基本法案が今度国会提案されるようでありますが、これにいたしましても、経済構造改革、規制緩和が柱でありますが、現状によって利益を受けている人たちの抵抗が極めて強いと申しますか、あるわけでございまして、紆余曲折がありますし、遅々とした面もあります。しかし、確実に前向きに進んでおるとは思いますけれども、なかなか難しい問題があるわけです。到達するのに時間がかかるだろうと思われるわけでありますけれども、この金融システム改革はスピーディーに所期の目的どおり進んでおる、結果を生みつつあるということで、いわば六大改革の先兵だと言ってよろしいかと思います。  また、この金融改革が進むことによって金の動きが自由になる。ある意味では、国際社会の風雨にさらされるわけでありますし、競争も激しくなるわけでありますが、そういう大きな荒波を受けることによって、ほかの諸改革もいやが応でも進まざるを得ない、もたもたしているとやられちゃうぞということに相なるのではないかという効果も、ある面、期待できると思うわけであります。そういう意味でも、この金融システム改革、その中核ともいうべきこの法案は、ぜひとも一刻も早く成立させたいと思っておる一人であります。  そこで、その金融システム改革が完成したと申しますか、実現していく暁に一体どうなるんだろうかという問題でございます。  これは同僚議員もそうでありましょうが、私なども、地元で国政報告会を開きますといろいろな具体的な質問が出て、予測にかかわることですから答えようもなくて、大部分立ち往生するケースが多いわけであります。御答弁も、役所の立場ですと間違うかもしれないということもあろうかと思いますが、しかし、結果についてすべての国民が心配しておることは間違いありませんから、順次お尋ねしてまいりますが、多少、誤りを恐れずと申しますか、役所式の答弁でなくて、フランクにお答え願えればと思います。  幾つかお伺いしてまいりたいと思います。  まず、この間、中川議員が代表質問で、三つの予想ということで御質問がございました。まず第一は、個人資産千二百兆円はどうなるんだ、海外へ流出と申しますか預けかえといいますか、逃げる部分が相当あるんじゃないかということを言っておられたわけであります。  それについてお伺いしたいと思うのですが、大蔵省からいただいた資料によりますと、我が国個人金融資産約千二百兆円の内訳、平成九年三月現在のものをちょうだいしておりますが、その後、大きな変動はなさそうでありますけれども、現金通貨三十八兆、要求払い預金、定期性預金、譲渡性預金、外貨預金等で約六百五十兆、半分以上ですね。信託、保険で約四百兆、その他が有価証券百三十七兆というようなことで、意外と国債が少ないのでびっくりしておる。個人がお持ちになっているのは四兆円ということで少ないのであります。また、外為法改正ということもあって、既に外貨預金をしておられる方もあります、我がふるさとでも。外国で預金を始められた方もぽつぽつあるわけでありますけれども、外国の金融機関に流出するかもしれない、そういう可能性はあるわけであります。  まず第一にお伺いしたいのは、世間で言われております欧米の金融機関日本金融機関との実力差があるのじゃないかという点であります。十年おくれておるのじゃないか、こう言われておるわけですね。人によってはもっとおくれておるとおっしゃる方もあるわけですが。  例えば、去年の暮れでございましたか、スイスのナンバーワンの銀行とナンバーツーの銀行が合併をした。その銀行の合併の発表を聞いて私はびっくりしたわけですが、新しく生まれるその銀行は、資産の運用に特化する、預金を扱うことはやらないという声明がございました。欧米でも競争は激しい、だから生き残るためには得意わざで生き残るということに徹した結果だと思うわけでありますが、残念ながら、まだ日本では表には見えてこないわけです。水面下でやっておられるとは思うのですが、よくわかりません。  少なくとも、資産運用技術と申しますか、日本銀行はお金を預かって人に貸して、それを運用して、その利潤の差で、利益の差で稼ぐというのが主流の御商売をなさっていると思うのですけれども、特に資産運用能力、お客様から資産を預かってそれを有利に運用するという技術では相当の差があるのではないかと思うわけでありますが、その点についてお伺いしたいと思います。これは山口さんかな。
  17. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  先生のお許しを得まして、やや私見でも構わないというようなことでございますので、感じだけを申させていただきます。  金融のいわゆる技術というものは、単なる最前線での金融商品をつくる能力だけではなくて、それをどう計数的に管理していくかというものも含まれると思うのでございます。特に、我が国において問題になっている、あるいはなるであろうと思われるのは、計数的な管理、ミドルオフィスといいましょうか、そこでの能力、管理能力の問題が一つあるのではないか。そのような体制になっているかどうか。  いわゆる商品をつくって商品を組成するということになりますと、いろいろなテクニックというのは、すぐこれは伝播しますし、すぐ習得はできると思うのです。しかし、それをどう使いこなせるか、あるいはそれをお客にどう説明し、お客のリスクとの関係をどう管理するかということになりますと、相当これはノウハウが要るのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味では、おくれているというような御批判は否定できないのではないかというふうに思うわけでございます。  もう一つ制度的にいろいろな形で制約を受けていたというものがあります。例えば、今回この法案の中で、もしお認めいただきますれば証券デリバティブが解禁され、あるいは一括清算ネッティングができるというようなことになりますと、いわゆる市場というものが我が国の中でも育つわけです。市場が育ってくると、今度は市場がそういう金融技術を高めるという力を発揮してくれる。つまり、市場がないのに幾ら技術を学んでも、単なる受験勉強をしているだけという話になってしまいまして、実際に試験を受けて、合格するかどうかは別としまして、そういうトレーニングを本当にやらないといけない。そうすると、ますます金融技術が発達していくという、今度はマーケットの方の力を生かせるようになるというふうに私は考えておる次第でございます。
  18. 杉浦正健

    杉浦委員 さっき申し落としたのですが、大蔵省からいただいたペーパーでは、我が国金融資産の総額、これは企業等を含めてでありますが、それは四千二百三十五兆六千八百八十四億円となっております。個人資産の中にも事業者の方もあるでしょうし、企業が持っている資産の中でも事業用でないのもあるでしょうから、かなり膨大な金融資産があるということでありますが、今のお話を伺っておりますと、幾らかは外国へ行くだろう、かなり行くかもしれないという感じもいたします。  何しろ、定期預金が今〇・三%ですか、何だかかっての普通預金よりもはるかに安い金利ですから、定期預金なんか預けるのはばからしい、普通預金にしておく、いや普通預金も面倒くさいからたんすに入れておく。金庫が売れているようでありますが、何か金庫の製造が間に合わないようでありますけれども。  多少金利が安くとも安全確実に運用してくれる、例えば一%でも二%でも安全確実に、為替リスクも回避し元本保証するというようないい商品でしたら、これは人間、相手が青い目であろうと黒い目であろうとやはり行くと思うのですね。これは人情の自然であって、愛国者であるとかないとかは関係ないわけであります。かなり、相当程度流出するであろう。現に私の知っておる人でもやり始めた人がおりますから、いるんじゃないかということは認識した方がいいのじゃないかと思います。  我が国金融機関は、もちろんこのビッグバンに備えて準備はしておると思いますし、いろいろと勉強もし将来方向を模索していると思うのですが、その点は、山口さん、いかがでしょう。みんなちゃんとやっているんでしょうね、日本銀行は。
  19. 山口公生

    山口政府委員 我が国金融機関は、不良債権問題でかなりイメージをダウンしておりまずけれども、一方で、次のいわゆるビッグバンに向けた展開は既にかなり始めておりまして、そういったものに対する意識というのは相当持っているというふうに思っております。また、そう期待しておる次第でございます。
  20. 杉浦正健

    杉浦委員 中川議員が三つの予想の二番目に、ウィンブルドン化するんじゃないかという御心配をしておりました。  現実にウィンブルドン化は、皆さん釈迦に説法ですけれども、ロンドンのビッグバンの結果、証券会社ですが、イギリスの国旗は壊滅した。壊滅したといっても、いろいろ外資が入ってくっついた形でやっているようですが、要するに旗はなくなったということでウィンブルドン化ということが言われ、日本ビッグバンの場合にもそういうことが起こるのじゃないかという心配をしておられる、心配が現実にないことはないと思うわけでございます。  さっき、ちょっと言葉は過ぎたかもしれませんが、お金を持っている人からいたしますと、それをいかに安全確実に運用してくれるかということが問題なのであって、それが外資系の会社であろうと日の丸であろうと、どちらでも基本的にはいいわけであります。  中国の鄧小平が、改革推進に際して、白い猫でも黒い猫でもネズミをとる猫がいい猫だという有名な言葉を残したわけですが、私は地元の国政報告会ではそういう表現をしておるわけです。青い目の会社であろうと黒い目であろうと、あなた方の財産を安全確実に守ってくれる、そういういい商品を提供してくれる、それがいいのでしょう、それがひいては老後の安定につながるのじゃないかという言い方をしておるわけなんですが、そのウィンブルドン化の懸念について、証券局長はどういう感想をお持ちでいらっしゃいますか。
  21. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  杉浦先生御承知の上での御質問でございますけれども、あえてイギリスのビッグバンにつきまして一言だけコメントをさせていただきますと、イギリスの市場というのは、今日の日本の目から見ますと、取引の自由度、商品の自由といったような問題につきましては、既にビッグバンの前の段階で完成の域に達しておったと思います。  それに引きかえまして、イギリスにおいて唯一弱点と考えられておりましたのが、証券会社あるいはマーチャントバンクというのが、個人の事業としての形態でしか存在しない、認められていない。特に証券業に関しましては、株式会社形態のも認めなければ外国人が証券業を営むことも認めないという大変ギルド的な制約された領域でございましたので、そこを活性化しようというのがイギリスのビッグバン一つの目的であったように思いますし、それはすなわち、業者に、他業態からの参入、場合によっては海外からの参入というのをもともとのねらいとしておったという側面があろうかと思います。  この部分につきましては、私は日本の方が既に進んでおると考えます。すなわち、日本証券会社は既に法人形態でございますし、外国証券会社日本において活発化いたしておりますから、いささかこのイギリスの特殊性ということを念頭に置かなければいけないのではなかろうかと思います。  それにいたしましても、しかし、御質問の本旨でございます、これから自由に競争していく場合に、いろいろサービス内容の競争になっていく、その場合に、仮に外資系の会社がサービスにすぐれておるとすれば、顧客がそれを選択していくという可能性というのは否定できないと思っております。そして、そういう厳しい競争の局面が当然来るであろうと考えます。  そこで、だれが勝ってだれが負けるかという、これは予想の領域に入ってまいりますけれども、私は、日本証券会社の潜在力を信じ切っております。  すなわち、問題は、従来、規制の枠内で、銀行にすれば預金貸し出しの利ざやが保証されている、証券会社であれば手数料が公定されておる、したがって、ビジネスの量だけふやしておけば十分に利益が確保できたという時代の経営のあり方とかなり違った経営にむしろ直面せざるを得ないと思いますけれども、それは、そういう事態に直面していなかったがゆえに、先ほど来の御質問のように、一体備えができておるのかという御質問になろうかと思います。  これは、そういった競争に直面することによって、日本の他の産業を見ましても、非常に厳しい、例えば石油ショックというようなものに直面したとき日本の企業がいかなる能力を発揮してそれを克服していったかということを、他の産業を目の当たりにいたしますときに、私は、日本金融証券業界だけが無能で対応できないということはあり得ない、こう信じ切っておりますが、しかし、その過程におきましては、厳しい競争にさらされ、自分を改革していくという事態を一回は通るであろうと思っております。  気持ちとしましては、私の立場では、外国の証券会社であろうと日本証券会社であろうと、イコールの立場で自由に活動してくれれば、結果としては何も証券局長はコメントしないという立場でありましょうが、私は外国の方に、しかし私は日本人であるから、その競争の結果として日本金融機関証券会社が隆々と繁栄していただくということを心の底では念じておるということは許してくださいということも外国の当局者には申し上げておりますし、そんな気持ちで対応していきたいと思っております。
  22. 杉浦正健

    杉浦委員 私も日の丸が隆々と何本か立つことを信じておりますし、それだけの潜在的な力は持っておると思うわけでありますが、何しろ正直に言って証券会社の数も多過ぎるのですね。それから銀行も、垣根があったせいもあると思いますが、非常に多い、多過ぎるという表現が適当かどうかわかりませんが、多いと思うのですね。  例えば地域の中小企業を中心とする資金ニーズに対しては、信金とか信組とかが健闘しておりますし、今言われておる貸し渋りも起こっておりません。逆に、大手がほっぽり出したお客さんを一生懸命拾って頑張っております。そんな分野はどこの国でもそうですが、大きなところは手を出せないのですね。  そういうところは別といたしまして、少なくとも国際舞台で働く金融機関証券ということになると、まだまだ数は多過ぎるし、整理統合が必要だろうと思うわけですが、水面下は別にして、残念ながら、きのう大蔵委員会ですか、九人頭取が御出席になりましたが、合従連衡、大きくなって国際舞台で戦うのだというようなことをおっしゃられた方は一人もいなかったので、本当に大丈夫かなという危惧の念を全く払拭し切れないでおるのですけれども、国の行政としては、もちろん今までのような護送船団方式と申しますか、行政指導的なことはできませんが、大きな意味で、この国際社会の荒波を乗り切っていく、銀行全体が進んでいく方向できめ細かなルールをつくるとか、あるいはプッシュするとかいう形でやってほしいと思っておるわけでございます。  中川議員が第三の予想として、市場も企業も活性化する、そういうふうであってほしいという気持ちを込めて申しておられました。私は、そう願っておりますが、最終的には、十年とか二十年とかいう単位でいくとそういうふうになると確信をいたしておりますけれども、当面は相当複雑な紆余曲折をするのじゃなかろうか。大変なビッグバンでありますので、この三つのシナリオともミックスしたような行程をたどるのじゃないかという感じがいたしております。  評論家によっては、このビッグバンはちょうど明治維新のときに黒船が来たようなものだという例えをされる方もあります。それほどの大波が押し寄せた、例えのよしあしはありますが、それに似た衝撃を与えることは間違いないと思いますし、また、そういう衝撃がこれからの日本社会の再生、再構築にとって基本的に重要なインパクトだと私も認識をいたしておりますけれども、国政の場に置かせていただいて、その移行がスムーズにいくように、明治維新も、ともかく先輩たちは黒船が来たのに対しまして何とかやり遂げたわけでありますから、我々もひとつ、こういう事態を気持ちを一つにしてともかく切り抜けていくというふうに頑張っていかなければいかぬと思っておる次第であります。  その中で、この法案の中で特に我々力点を置きましたのは、御承知のとおり退出していく金融機関銀行については預保ができたわけでありますが、証券業、保険業について、ああいう三洋証券のような不祥事も起こりましたし、十分に心を尽くして議論して成案を得たつもりでおります。  この部分、よく御議論賜りたいと思いますけれども、やはりそういう激動の中では弱い部分にしわ寄せが行きますし、ひずみが出てくる。その場合に、特に意を用いなければならないのは、債権者と申しますか、預金者に匹敵する債権者の保護ということであろうと思いますが、この点については万全の備えをしていかなければならないということを申し添えさせていただきまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
  23. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、濱田健一君。
  24. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 時間が少し早くなっているようでございまして、たくさん使わせていただきたいというふうに思います。  大臣におかれましては、ビッグバンが始まりまして、さまざまな情報が入ってきているというふうに思います。この四月から、私たち日本人の暮らしを大きく変えるでありましょう、そして、その暮らしを変えるのと同じように、当然、金融のさまざまな形態というものも変わってくるでありましょう日本版ビッグバン、いわゆる金融大改革が、数年の準備期間を経てスタートいたしました。  お金の流れは、当然のごとく、内外を問わず自由になります。そして、銀行証券、保険などの垣根が低くなり、取扱手数料なども自由化されます。新しい金融商品金融サービスが生まれ、預金者や投資家は資産運用の選択の幅が広がってまいります。そういう中で、先ほども証券局長も話をされましたが、ビッグバンというこの大改革、一千二百兆円という日本の個人金融資産を生かす改革にしなければならないと、ここに集う関係者はほぼ同じような認識を持つものと私自身思っているところでございます。  さて、日本版ビッグバンのフロントランナーとして、四月一日、改正外為法が施行され、お金の国境が取り払われました。御案内のとおりに、外国に自由に預金口座が開設できますし、海外の口座から、海外の市場で株式や証券投資もできるようになりました。同時並行的に、金融システムの中核であります日銀の独立性と透明性を高める改正日銀法も施行をされたのでございます。  まだわずか十日ほどでございますが、この動き出した日本版ビッグバンの現状に、大蔵大臣としてどういう思いを持たれているのか、この金融システム法案審議するスタートに当たりましてお聞かせをいただければ幸いでございます。
  25. 松永光

    松永国務大臣 日本版ビッグバンのスタートに当たり、特に、新外為法の施行の関連でどういう所感を持っているかというお尋ねでございます。  今回の改正外為法の施行で、個人あるいは企業それぞれが、内外の多様な商品・サービスの中から幅広い選択をすることが可能となったわけであります。同時にまた、各金融機関も、顧客のニーズに合致したより多様な金融サービスを提供し、ビジネスのチャンスを拡大させる、こういつたことが可能になり、それが期待をされておるところでございます。  他方、金融サービスの多様化には、為替リスクを初めさまざまなリスクが伴うものでありますから、企業も個人も、自己責任原則のもとでこれらのリスクを十分に認識しながら対応していくことが必要であると思います。  大蔵省としては、引き続き十分な広報等をしっかりやって、改正外為法の円滑な施行に努めてまいりたい、こう考えているところでございます。
  26. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 改正外為法を中心大臣の所見を今述べていただきましたが、私たちはつい先日、七日の日でございますけれども、銀行の経営責任や貸し渋り、そして新生日銀の姿勢を問う参考質疑を設定いたしました。その日の朝のテレビ、各新聞は、アメリカのシティコープとトラベラーズのことしの秋の合併を報道しております。  御案内のとおりに、大手銀行証券に強い金融機関という業態を超えた合併で、報道によりますと、株式時価総額で一千四百億ドルという世界最大の総合金融機関の誕生と言われているのでございます。日銀の速水総裁も、そしてその他の皆さんも、この七日の参考質疑の中で、やはりびっくりしたというふうな感想を漏らしておられましたが、ある意味で、日本じゅうがあっと驚く合併劇の発表だったと私も思います。  この合併の発表の記者会見の中で、シティコープのジョン・リード、トラベラーズのサンフォード・ワイル両会長はこのように述べておられます。個人金融資産運用投資銀行証券運用、保険のすべての分野で国際的な最高のサービス提供を目指す、このような世界戦略を述べておられますが、当然のこととして、まさに、ビッグバンがスタートした日本金融機関への挑戦状とも受け取れる記者会見の中身だ、いよいよ来るのかというふうに受け取れます。  先ほど大蔵大臣には、いわゆる改正外為法について見解を述べていただきましたけれども、こういう日本版ビッグバンが一応スタートした現状の中で、このような国際的な外資系の会社が日本に挑戦状を突きつけるというような部分を含めて、国の金融に関する責任者として、このスタートの時期にどのような感想をお持ちなのか。私自身としては、ある意味でいうと、勇気を出して進んでいこうというときに、本当に厳しい現実というものが日本金融機関に待ち受けているのではないかというような心配もするわけでございますけれども、この合併劇についての大臣の御感想をお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  27. 山口公生

    山口政府委員 御指摘の合併構想は、世界にかなり衝撃を与えたと思います。  それは、一つ、大変大規模であるということ、それから、先生の御指摘のように総合的な金融機関ができる、こういう二点だろうと思うのでございます。  それは、やはり我が国にとってみましても、まさに御指摘なさろうとしていることのあらわれだと思うのですが、我が国金融機関にとって、そうした前向きの、また得意分野同士をより生かすためのそういった戦略というのが、果たして今の雰囲気の中から出てくるだろうかということだろうと思うのですね。いずれはそういう時代が来ると思いますが、世界のトップはもうそこに到達しているということでございまして、そういう意味では、かなり我が国にとっても衝撃的だ。もちろん、日本だけをターゲットにしているわけでもありませんし、世界戦略の中で日本のマーケットも見ていると思うのでございます。  我が国も、今回の法律の中でも子会社展開で御審査をお願いしますが、昨年の臨時国会におきましても、金融持ち株会社制度をお認めいただきました。したがって、制度的な枠組みは準備しておりますので、早く我が国金融機関もそういった前向きの展開というのを強く望まれるところだと思います。
  28. 松永光

    松永国務大臣 今局長が答弁しましたけれども、我が国金融機関も、不良債権の処理その他、言うなれば今まで解決をしておかなければならなかった事柄がややおくれておるわけでありますから、そういった点の解決を進めて、そして、より競争力を持った金融機関として発展をしていってもらいたいな、それが私の感想であります。
  29. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 衝撃的なといいますか、腰を据えて、腹を据えてこの金融システム改革をやり遂げるのと同時に、金融機関そのものが、国民から信用されていないといいますか、そういう今の体質や状況というものを変えていく。この四月のビッグバンに備えながら急いで体質変換はしてきているわけでございますけれども、それをより一層進めて、国内の皆さん方の要望にこたえられる状況というものをつくらなければ、銀行局長大臣のおっしゃった部分も生きてこないだろうと思うのですね。私自身も思うところでございまして、私たちとしては、今投げかけられましたこの法律を十分審議、論議しながらも、急いで成立をさせる必要性にも迫られているという認識に私自身立っているところでございます。  さて、金融システム改革という大きなテーブルの上に、明確な理念のもとでの広範な市場改革というプランが乗っかっているわけでございます。この市場改革の三原則として、私たちがよく選挙区の皆さん方にもお話をする言葉として、フリー、フェア、グローバルという原則が挙げられております。箇条書き的に述べると、フリーというのは、市場原理が働く自由な市場、フェアというのは、透明で信頼できる市場である、そういう市場になるのだ。グローバルというのは、当然のごとく、国際的で時代を先取りする市場にしていくのだということでございます。  国民の皆さん方にこの三原則を説明する場合に、現状というかこれまでが、国際的に見ても一般的に見ても、やはりいい方向ではなかった、いい状況ではなかった。それで、こういう点を是正し、そして利用者である国民の皆さん方の立場に立って、それがこういう市場をつくっていくのですよというふうに説明しなければならない立場に私たちはあるわけでございます。  それで、この市場改革三原則の具体的な姿というものを私たちがどのように描いていくのか。言葉で言うと、フリー、フェア、グローバル、自由な市場とか透明な市場とか国際的な市場ということになるわけですが、できればその姿というのを具体的に例を引きながら示していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  30. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  フリー、フェア、グローバルというものが今回の金融システム改革一つ中心的な目標の概念として掲げられておりますし、その表面的に意味する言葉は、ただいま濱田先生が御説明されたとおりでございますが、あえて踏み込んで、こういった改革日本金融市場にとって今なぜ必要であり、何を意味するかということを、多少踏み込んでお答えを申し上げます。  フリーということにつきましては、これはいろいろな御議論があるかもしれませんけれども、私どもの戦後の金融証券行政というものは、ある意味では非常にきつい枠の中で、銀行あるいは証券会社保護育成するということによって金融がスムーズに運ぶであろうという考え方に立ったシステムが長く保たれてきたような感じがいたします。  しかし、いろいろな国民資産運用、これだけ富も蓄積しましたので、ただ単に横並びで、どこの銀行に行ってもこの預金一種類だけのものということでは、いろいろな御要望を充足することができなくなった。したがって、細かくは申しませんけれども、預金者の側にとっても、あるいは資金調達の側からとりましても、自分の現状と将来の設計に合ったさまざまな資金運用とか資金調達ということをやりたいという状況に来ておる中で、従来の画一的な、規制的な金融市場というものを維持することが困難になったというのが今日置かれた状況ではなかろうかと思います。  その意味では、フリーというのは、まさにいろいろな資金を運用なさる方、調達なさる方の要望がマーケットにおいて実現していくような自由な市場をつくりたいということであろうかと考えております。  その次のフェアというものは、これもあらゆる取引に共通するのかもしれません。しかし、あえて金融の世界でフェアということが強調されますのは、そういったマーケットというものを通じて皆様の御要望がかなっていくとすれば、それは取引の中にゆがんだものがあってはいけない、すべての取引参加者が公平に扱われることによって適正なマーケットが形成され、知識のあるなし等々によっての不当な差別が起こらないようにしなければいけないということがこのフェアという原則であろうかと思います。これは、金融市場というものが幅広い参加者を求めて成り立つ市場であるという特性から、特に強調される分野なのではないかと考えております。  そして、最近起こりました幾つかの不祥事といったものが、このフェアというものの大切さをまざまざと改めて強調しているのではなかろうかということを、残念ながら反省を持って申し上げざるを得ません。  グローバルというものは、これも一段と金融に非常に特徴的であろうかと思いますけれども、これは、外為法につきまして濱田先生が冒頭お触れになりましたけれども、ああいった改正を待つまでもなく、国際的な、特に資本というものは、最も規制が少なく、最も有利な場所に国境を越えて自由に移動するという特性を持っておりますので、ひとり我が国だけが非常に特殊な制度をキープし、それが例えば預金を運用なさる方にとって非常に規制的であり、有利でないということになりますと、世界じゅうの他の市場に資金が流出していくということになりかねない。  したがって、金融市場というものは、国際的なスタンダードといったものに合わせていかない限り、この日本市場というものが世界に取り残されていくという特性を持っておる。そういった側面に着目して、むしろ、世界じゅうの方が東京に来て取引をなさるような市場を構築していくためには、グローバルという概念で世界的な基準に到達する必要があるということを申し上げておるということではなかろうかと存じます。
  31. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 長野局長に今詳しく説明をしてもらったわけでございますが、そういう三原則に基づく市場をつくっていく中で、じゃ国民はそういう市場をどのように活用していくのか。ある意味でいうと、これはいわゆる金融機関と一緒に手をとりながらということも必要だと思うんですよね。  平成九年度末の日経の社説なんですが、いわゆる日本人の貯蓄傾向がいかに縮み志向を示しているかという文章があります。  個人金融資産のうち五六%が預貯金や現金だ。百万円預けて利息が年三千円にしかならない超低金利なのに、なお預貯金におカネを回す。預貯金・現金に保険・年金を合わせると八二%に達する。株式、投資信託・債券などへの投資はわずか一八%だ。 というふうに言っております。  市場がさまざまな形に広がる、安心できる、大きく世界に自分の資産というものを回すことができる。しかし、日本人の現実的な傾向というのは、いろいろな金融商品に手を出すよりも、貯金という形で五〇%以上がもう小さくやっているということをこれは言いたいというふうに思っているわけでございます。  この状況というのは、過去形で申したいと思いますけれども、大蔵省の護送船団何とかとか言われてまいりました。そういう保護のもとで、金融機関のかわりばえしない金融商品、そして損失補てんなどの不透明な市場、外国に預金口座も持てないという規制のもとでそういう国民の志向というものが出てきたという部分もあると思います。ローリスク・ローリターン、安全性は高いがいわゆる利回りは低いという預貯金でも我慢をしてきたわけでございます。  私たちは、今回のこのビッグバン市場の三原則に基づく大きな変化の中で、やはり国民の皆さん方が自分の資産運用について意識を改革しながら、当然自己責任原則というものがその中にあるわけでございますけれども、どういうふうに自分の資産を運用していけばいいのかということの意識改革というのが、一九九八年四月一日スタートのビッグバンという意味で、国民の皆さん方にこれまでもいろいろなお知らせを特に大蔵省中心となってされてきたと思うんですが、もっともっとこの意識の改革というものが進まなければ、今回協議を始めました金融システム改革という部分もうまく立ち回っていかないというようなことも考えられるわけでございます。  その意識改革という意味での取り扱いといいますか、努力というのはこれからどういうふうにすべきなのか。その思いといいますか、御感想を聞かせていただければ幸いでございます。
  32. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  お答え申し上げますと申し上げますよりは、ただいまの先生の御指摘は、私どもがお答えすべきことがもうそのまま含まれておったように存じます。  すなわち、これから日本金融システム活性化を図るためには、市場活性化、そのためには、市場に参加する人の、国民の意識というものが変わっていかなければいけない。じゃ、市場における意識改革とは何かということになりますれば、一言で言えば、自己責任原則ということが貫かれるということでございましょう。  その意味で、自己責任――従来完全な横並び時代で、どこの金融機関に行ってもリスクから商品から何もかも同じという時代と違ってくるということは、ある程度自分の判断に応じて自己責任というのが、責任という言葉は強過ぎるのかもしれませんけれども、自己の判断というものが非常に大切になってくると申し上げる方がより適切かと存じます。  ただ一点、私は、自己責任という言葉を今若干ちゅうちょしながら申し上げておりますのは、自己責任という言葉、例えば零細な預金者の方が銀行を選ぶときに、すべてその銀行資産の状態まで理解していないと銀行を選べないのかという過剰な御心配が今国民の間にややあるような感じがいたしますけれども、そこは私どもは、これは山日銀行局長のところが中心でございますけれども、例えば、一千万以下の預金であればどこにお預けになっても心配ないんですという形を今整えておるわけでありますから、その範囲の預金者の方であれば、もうそのリスクについては御心配なく、その銀行証券会社等サービスが自分にとって満足ができるものかどうかということを考えて選んでいただければそれで足りるというところがございます。  そこのところは、もう銀行の財務諸表を見てリスクを自分で判断しなくちゃいけないんだろうかというのは、そこまで自己責任を私どもが求めておるとは存じませんので、判断という言葉に置きかえましたのは、若干そんな気持ちも込めてでございます。
  33. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 いわゆるペイオフの部分がきちっとガードされているということを局長に言っていただいたというふうに理解をいたします。  市場が拡大をし、いわゆるフリー、フェア、グローバルなものになっていく、そして金融商品もさまざまな形のものがあらわれてくる、自分自身はどういうものを選択をし、どういう形で投資をしていくのかということで、資産運用の選択の幅が本当に四万八万に広がっていくのでありましょう。  今証券局長が、自己責任原則、私も申し上げましたけれども、それを基本としながら選択の幅を広げていくわけでございますが、ややもすると日本金融市場は、これまでと申し上げた方がいいと思うんですが、こういう商品がございますよということを利用者に提供をしつつも、どういう条件でその商品を買ってもらい、どういう条件で利回りや、例えば保険であれば、保険の受給の段階が来たときにどういう条件で返ってくるんですよという部分が、当然約款という形で小さな字では情報公開されていたというふうに言えるわけですが、ただし、一般の国民にとってみると、それらのなされていたであろう情報公開も、実際情報公開に、いや、できているんですよ、できているんだけれども、なっていないというこの現実の中で、より選択の幅が広がるという今後のこの状況の中では、わかりやすい、そして的確な、ある意味でいうと知りたい情報はすべて利用者説明ができる、説明しなければならないという状況をつくらなければならないと思うんです。  今回のこの法律案の中にも、さまざまな段階での情報公開、情報の提供、開示というものが記載をされているようでございますが、その開示のやり方といいますか、具体的なわかりやすい方法と方向性について、大蔵省の持っていらっしゃる見解を聞かせていただければ幸いでございます。
  34. 山口公生

    山口政府委員 今先生、金融全般の話としてのお取り上げの中で保険の話もありましたので、保険部長からまた追加的に御説明申し上げますが、今回の金融システム改革法案の中におきましても、まさに先生の御指摘のような点が重要との趣旨から、顧客に対する情報提供という、銀行等によるそうした利用者保護のための規定を置いてございます。  具体的に申し上げますと、例えばリスクのある非預金商品、これを預金と間違って元本保証があるがごとき誤認をされると、これは幾ら自己責任を問うといっても、そういう説明をしてもらえなかった人にとってみてはその責任は問えないわけでございますので、そういったことを防ぐためのルールをきちっと省令等で定めるというようにして、結局、説明を十分にして相手にわかってもらう、形だけの、読んでいるはずだではなくて、きちんと説明をするということを大切な点として今回も法案の中に盛り込んでございますので、御指摘のような方向で行政も展開してまいりたいというふうに思っております。
  35. 福田誠

    ○福田政府委員 保険について補足させていただきます。  御指摘のように、保険商品は特に大変長くお金をお預かりするものでございまして、従来から、お客様に対しましては、その商品の特性につきまして十分説明するよう努めてきたところでございます。例えば生命保険で申しますと、お客様のニーズ、家族構成とか年齢とか将来の家計の見通しとか、そのような事情を聞きながら、営業募集員がお客様の納得を十分得た上で契約を結ぶように努めてきたわけでございます。  御指摘の保険約款につきましては、従来からできるだけ明確かつ平易に記載するよう努めてきたところでございます。ただ、約款の性格上、これは保険会社と顧客との基本的な権利義務関係を明確にするという性格のものでございますので、平易に書きつつも、やはりやや厳密に過ぎる嫌いもございます。そういうことで、約款だけではなかなか御理解いただけないということで、約款のほかにも、よりわかりやすく説明した契約のしおり等々の資料を作成しまして理解に努めてきております。ただ、御指摘のように、この辺につきましては、今後とも不断の努力業界においても必要であろうと存じます。  また、今銀行局長から御答弁申し上げましたように、今回の金融システム改革に伴いまして、今度は保険会社においても投資信託等のリスクのある商品をかなり幅広く取り扱うことが可能となりますので、今回の法案の中には、銀行局長も申し上げましたように、保険会社におきましても、新しく取り扱う商品についての重要な事項の顧客への説明義務等々の措置を盛り込んでございます。
  36. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 では次に行きますが、今までのお話を聞きながら、そして私たちがこれまでいろんな役所からいただいた情報等々、この日本版ビッグバン国民利用者の選択の幅を広げ、市場も、透明性があり、広く国際的で公平に利用者に提供できる市場ということが明らかになってきつつあるわけでございますが、現実的に国民の皆さん方は、銀行というと、不良債権をまだいっぱい抱えているじゃないか。人間の世界ですので、どこでもいろいろ起こり得るわけでございますけれども、いわゆる接待、かれこれ含めたスキャンダルの起こってきた体質というのは変わらぬのじゃないかというようなこと。これだけ金利の低い状況が変わらなければ、例えば幾らいい商品が銀行にあったとしても、何ら変わらないんじゃないかというような気持ちを多くの国民の皆さん方が持っておられると私は思います。  また、選挙区でいろんな方とお話をすると、新しいスタートを切ったんだというマスコミの上での意識はあったとしても、好き嫌いはともかくとして、そういう方向に流れてというか、一定の方向性が敷かれているんだよということについて、自分たちはやはり信頼が本当に持てないということをおっしゃいます。  やはりここできちんと聞いておかなくてはならないことは、繰り返しになるかもしれませんけれども、この日本におけるビッグバンがスタートをした、このことが国民の皆さん方にとって、日本金融機関なら日本金融機関がよりよい方向に変わっていくんだよということで、私たち議員も、そして関係者すべてが、いろんな法律整備しながらその方向に現実的に持っていかなくてはならないし、そのことを現実に姿として明らかにしなければならないというふうに思うわけでございますが、先ほどから申し上げておりますとおりに、繰り返しになるかもしれないけれども、日本金融機関国民にとってどういういい方向性にこれからなっていくんだということを出していただきたいと思います。
  37. 山口公生

    山口政府委員 金融機関国民にとって重要な役割を果たしているということは、昔も今も将来も変わらないと思うわけでございますが、その果たし方の問題が十分か不十分かという問題はあろうかと思います。  金融機関はある意味では情報が相当集積される産業でもあります。その情報がまた生かされることによって個人の生活あるいは経済全体の活性化につながる、そういった役割を果たし得る立場にあると思います。ひとり金融機関だけが存在し、繁栄するというものでもないと思います。そうした意味で、国民にとって金融機関が非常にありがたい存在であるというようにならなければならないというふうに思うわけでございます。
  38. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 信頼を失っているということについては、まだまだその回復のためのあらゆる努力をこのビッグバン進行と並行しながらやらなくてはならないということだと思うわけでございますが、この辺を含めて、いわゆる大競争が始まっていく、そうすると当然競争ですので、一番がいたり十番がいたり百番がいたりするわけでございます。数字の順番でなくて単語で言うと、勝者と敗者というものが出てくるだろう。  今始まったばかりのといいますか、今からいよいよ始まるであろうこの大競争の中で、実際出てくる敗者というものがあるわけでございますが、それはいわゆる金融機関の自己責任原則とでも申し上げましょうか、どういうサービスを提供し、どのように国民の皆さん方の理解を得つつ自分たちの業績をしっかりとしたものにしていくかというプラン、展望、そういうものがなければ負けていくだろうということは、当然だれしも予測をされているわけです。  そういう中で、護送船団方式を捨て去るこのビッグバン方式、大競争の中で、やはり私が自分自身のライフワークからいって心配をするのは、山一の場合でもそうでございましたけれども、人間が働く場所がなくなる。いわゆる雇用不安等々も、今から言ってちゃ仕方がないよということになるかもしれませんけれども、あるわけでございまして、そういうところについてはやはり何らかの手当てというものが将来にわたっても必要ではないかというふうに思いますが、その辺の御所見を伺いたいと思います。  そういう敗者が出た場合に、先ほどのペイオフの部分、一千万円以下は保証されるというふうにもう前の改正で法律にうたわれているわけでございますけれども、ツケは必ず国民に回ってくるというふうに思うわけでございます。この辺のいわゆる金融機関に対する不信感がまだ払拭されない中で、大競争、敗者、勝者が出てくる。ツケは国民にやはりかぶさってくるのではないかという国民の心配というものをどういうふうに受けとめ、役所としては、どのように国民の皆さん方に、自己責任を含めてしっかりその辺はやってもらいつつも、国としてはバックアップもいたしますよというふうにアナウンスされようとしているのか、御所見がありましたら聞かせていただきたい。
  39. 松永光

    松永国務大臣 今委員御指摘の問題は、金融関連業界だけじゃなくして、あらゆる分野で、例えば流通の分野でも起こる可能性のある問題だろうと思います。要するに、フリー、フェア、グローバルと、とにかく自由での大競争という時代になつできますというと、必ずそこには勝者と敗者があらわれてくる。敗れた企業に従事しておった者の雇用問題、失業問題、どの分野でも起こってくるだろうと私は想像するわけでありますが、中でも、競争の激しくなる金融の分野では、今委員御指摘のようなことを常に念頭に置きながら行政は対応していかなければならぬ、こういうふうに思います。  しかし、市場の効率性が高まって、そうして新たなビジネスチャンスがふえてくることも事実でありまして、そうしますと、英国や米国の例では、自由化によって金融機関で働く従業員の数は増加しておる、こういうふうな例もあるわけであります。なるほど、日本においても金融機関の活動が盛んになれば当然人も要るわけでありますから、その意味では従業員の数はふえてくる、さすれば就業の機会はふえてくる、こういった面が実はあるわけであります。  しかし、敗れた企業におった人がどういうふうに、勝った企業といいますか、伸びる企業の方に就職していけるかという問題に実はなってくるんだろうと思う。全体としての数はふえるけれども、敗れた方の企業に働いておった人の就業の機会をどう見つけてあげるか、こういう問題だろうと思うのでありますが、やはり雇用関係当局との連絡が必要でありまして、それを密にしながら、そういう問題が大きな問題にならずに、スムーズに労働者の就職というものが確保されるようにしていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。  山一の例の場合でも、腕のある人は随分引っ張りだこで新しい企業に就職をしたということでありますけれども、問題は高年者の場合ですね。そういう問題も実はあるわけでありますから、これは雇用問題の一つとして、そういう部局との連絡を密にしながら、できる限りの対応をしていかなければならぬ、こういうふうに私は思います。
  40. 長野厖士

    ○長野政府委員 大臣が勝者敗者の場合の雇用の問題について御答弁申し上げましたけれども、もう一点、預金者、保険契約者、投資者の問題、濱田先生、ツケという言葉で御指摘になりました、その点につきまして補足させていただきたいと存じます。  基本的に私どもの立場は、金融機関の破綻によってツケがそういう人たちにまずは回らないようにするということがやはり行政の基本であろうと考えておりますし、その意味で、いろいろな厳しい問題を含みつつも、銀行におきまして早期是正措置というものがスタートいたしました。保険につきましてのソルベンシーマージン、あるいは証券会社につきましては自己資本規制比率という形で、これは行政の護送船団的なさじかげんということでなく、客観的に合理的に把握できる経営の指標というものに着目いたしまして、そういったものを一定の水準に保持できるように経営者自身の自助的努力を促していくという仕組みで、まずツケ回しを防ぐというのが第一点でございます。  しかし、万が一ということには、その次の準備として、備えが必要でございます。銀行につきましては、預金保険制度の種々の形での充実、拡充ということが、たびたび法案も御審議いただきまして整備されております。これは保険部長の領域になりますけれども、保険につきましては、今回の法案におきまして、現在の保険契約者保護基金の機能を拡充いたしました保険契約者保護機構を新たに創設するという形で、保険契約者へのツケの問題を回避したいという対応でございまして、同様に、証券会社につきましても、投資者保護基金を新たに創設するということをこの法案の中に盛り込んでおります。  ただ、証券行政を預かる立場として、証券の特殊性だけもう一点申し上げますと、証券会社の場合には、そこで株式や債券のお取引をなさいましたら、その財産はすべてお客様のものでございますので、これは銀行や保険にお金を預けた、預かってもらったという形と全く違います。したがいまして、そのお客さんの財産となった株券や債券をきちんと会社の財産と分別して管理をしておれば、経営破綻の影響を防ぐことができますので、この法案におきましては、顧客資産の分別管理というものにつきましても、飛躍的に充実する御提案をさせていただいておる次第でございます。
  41. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 さて、質問の時間も終わりになってきましたが、先ほどアメリカのシティコープとトラベラーズの合併の話、そして御見解等をお聞かせいただいたわけでございますけれども、投資家、利用者にとって、自分たちの持つトータルした個人資産一千二百兆という資産をどういうふうに使うかという幅はふえました、それもいい方向でふえていくでありましょうというふうに認識しつつ。しかしながら、やはり日本で育ち、日本で生活している私たちにとってみると、特に、私のいます地方の金融機関、地方銀行、いろいろな友達がおりますけれども、今預けてもらっている、運用してもらっているお金は、濱田、どこに行くんだろうと心配をしているところでございます。  この一千二百兆円、国民一人一人が自分の財産として、うまく運用してもらいたい。しかしながら、どのような形で回っていくのか。ほとんど、現時点で外資の方向にどんどん吸収されていくのではないだろうかというような心配等について、多くの方々が、そんなことにならないよと言う人もいらっしゃいますし、いや、すごいからなという話をされる方もいらっしゃいます。  素人である私にとっては、いや、わからぬなということしか言えないわけでございますが、千二百兆円の行方いかんということについて、答えにくい質問かもわかりませんけれども、御感想といいますか、今の状況の分析の中でどういう御見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  42. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  濱田先生の御質問が、私からも先生に御質問したいぐらいの難しい問題でございますけれども、やや私見を交えて申させていただきますと、千二百兆円というものは円資産なわけでございます。だから、お預けになる方も円資金を出される、それをまた利用される方も、円が必要だから利用するという形になりますと、円についてのクライアント、つまり顧客というものの情報をどれだけ持っているかというふうになりますと、日本銀行あるいは証券会社がかなり優位性を持っていることは事実だと思うのですね。だから、ビッグバンだからといって、千二百兆を全部、海外の金融機関がすべてマネジメントするというふうに考えてしまうのは、ちょっとこれは行き過ぎでは、現実的ではないんじゃないかと思うわけであります。  それからもう一つ言えることは、金融もいろいろ、ホールセールとリテールとありますけれども、いわゆるリテール分野といいますのは、私どもの小口の預金を受け入れてくれる業務ですけれども、そういったものはかなりのインフラが必要だし、地域に根差した銀行ならその点は楽々やっておれますけれども、新規に参入して、リテール分野でもうけようというのは、これはなかなか難しい。  そうしますと、どうしても、金融分野でもホールセールの、ロットの非常に大きい、また機関投資家を相手にした業務、あるいは世界の、例えば年金資金とか、そういう大きな固まりで物を動かしていくというホールセールの分野というのがこれからこのビッグバンでかなり活性化されるのではないか。そのときに、その千二百兆円も一部そうしたものの中に組み込まれるわけですけれども、そのときの主導権をとるのが外資系なのか日本金融機関なのかという議論は出てくると思うのですね。そこには激しい競争が行われると思います。  それで、先生が今お尋ねの、地方での地域金融機関が預金として預かっているお金がどこへ行くんだろうというようなお尋ねでございますけれども、それは、全く変化がないとは申しませんけれども、そういったいわゆるリテール分野でのお金は、通常であれば、その地元の円資金を必要としている中小企業の方々への貸し付けに回って、金融機関はその利ざやでその役割を全うするべく稼ぐというような姿の基本は余り変わらないのではないかという感じを持っております。  したがって、ビッグバンの最初に来る衝撃というものはあくまでホールセールであり、そういうインターナショナルな活動、あるいはそういった分野からではないかなという感じをいたしております。
  43. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 きょう帰りましたら、銀行局長見解をしっかりと地方の仲間にも伝えておきたいと思いますが、ただ、足腰は鍛えろということだけは伝えなければならないというふうに思います。  最後に、七日の日のいわゆる参考質疑の中でも何人か話をされていたと思うのですが、この間の不良債権の処理の問題に公的資金の投入がなされました。また、スキャンダルや低金利、貸し渋りという状況の中から、いわゆる銀行の政治献金といいますか、これらのものに対する国民の目というのは非常に厳しい。この前申し上げましたことは、どこの政党にどうだという意味じゃなくて、これだけ税金を投入しながら、いわゆる日本金融の混乱をさせない、最終的には預金者保護ということになるわけでございますけれども、そういう形をとっている中で、まさにこれから後、銀行関係が政治献金ということをやるとしたときに、大臣の目から見て、国民はその政治家や政党に対してどういう見方をするのかなと。  当然、我が党や我が党の議員はもらっていないわけですから、こういう質問になってしまうわけでございますけれども、答えにくいことかもしれませんが、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  44. 松永光

    松永国務大臣 これは大蔵省の所管事項でないものですから、大臣としてお答えするのは必ずしも適切でないと思いますので、政治家としての私の考え方を述べさせていただきます。  委員御指摘のように、我が国銀行等の金融機関が、今国民の目から見れば、非常に厳しい目で見られていることは事実だろうと思うのです。預金の金利は大変低く、たんす預金なんと、国民の間でよく使われている言葉で言えば。そして、何といいましょうか、いろいろな不祥事にも関係しておる、こうなってくれば、国民の目が銀行に対して厳しくなるのは当然のことだと私は思う。そういう銀行等から政治資金の応援を受けるといったことについては、やはり厳しい目で見られるだろう、こういうふうに思います。  しかし、私自身の経験では、私は個人的に銀行から献金等を受けていないものですから、ただ、当選祝いなどというときにはお酒が二、三本来たり花が来たりしますが、これはちょうだいしておりますけれども、それ以外にはほとんど銀行等から格別の応援を受けておりません。  私の経験を言いますと、今から十何年前に、私の地元の都市銀行が大きな本店を構えたんです。そのとき私は通産政務次官をしておった。私の子分といいますか、私の系統の市会議員がおりまして、それは市会議長をしておった。それが私のところに、きょう某銀行の本店の落成式がある、先生、一緒に行きましょう、私にこう言うんだ。私の手帳についていなかったものだから、さてな、私には来ていないよと言ったら、その市会議員は、そんなことはない、それは間違いだろう、じゃ調べてやるというわけで、その市会議員が調べてくれたら、私に対しては来ていなかったんです。国会議員たる私には来ていないんです。市会議長さんには来ている。  それで、いろいろ考えてみましたら、その市会議長さんは大変な資産家ですから、多額の預金をしていたんですな。私は、預金はしていますけれども、たかだか、言葉は適当でありませんけれども、二百万か三百万しか預金していなかった。ははあ、預金高で差をつけたかな、私はそう感じたわけでありますが、私はそのくらいのつき合いでございますので、銀行等からの私個人に対する政治的な献金等の支援はなかった。  ただ、先ほど言ったように、当選祝いとか大臣就任祝いとか、大臣就任祝いも、今事務所で調べさせたら、浦和にある銀行の支店の中で遠くの方の、これはちょっと個人的なつき合いがあって、私も少し預金しているかしれませんが、そこから花が届いたね。それ以外にはお祝いは来ていません。まあ、いいことだったと私は思っているのですけれども。  さようなわけで、政治家個人個人の、何といいますか、倫理観の問題として、きちっとしておった方がいいな、政治家の倫理の判断としてそうある方が望ましいというふうに私は思います。
  45. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 これで質問を終わりますが、きょうは、この机の上に載っております十センチぐらいある今回の法案についての審議のスタートとして、ビッグバン金融システム含めて概括的なことをお伺いいたしました。  本当に厚い、めくってみても、法案があっちにありこっちにあり、ややもすると頭が混乱するような、いろいろな意味がありますが、すごい、格調高い法案のようでございまして、この次からの審議の中で細かい点には触れさせていただきたいと思うのですけれども、きょう答えてもらった、国民の皆さん方が思っているいろいろな不安や、本当に今の状況の中で、この大競争が始まったときにどういうふうに耐え得るのかということ等を中心としながら、やはり早く成立させなければならないとは思いますし寸十分に時間をとって深掘りをする論議というのが必要じゃないかなということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  46. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 次に、坂井隆憲君。
  47. 坂井隆憲

    ○坂井委員 自由民主党の坂井隆憲でございます。  ただいま同僚の濱田議員から、この法案が非常に分厚くてどこから見ていいかわからない、いろいろそういうお話がありました。確かに、ビッグバンというものはそもそも何だろうかということは極めて難しい問題でありますし、私もそういう観点から、昨年来いろいろな勉強をしていたわけでありますが、一つは、私は昨年六月に、「ビッグバン構想の視点」ということで本を出しました。  いろいろ勉強会をして、一体ビッグバンの姿というのは何だろうかということを議論していたわけであります。  そこで、この本自身は余り売れなかったのですが、ここで私がいろいろ書いたことを、当時財政構造改革会議がありましたので、その中でも中村政務次官あるいは党の関係者にお配りしたことがありました。結局つまるところは、我が国資産が、我が国が経済の高度成長を経て非常に豊かになってきた、我が国の一人当たりの国民所得、アメリカの約十四分の一というのが昭和二十五年当時の統計でございます。それが、平成七年ですが、アメリカの一・二倍の水準になった。そして預貯金は、先ほどからお話がありますように、個人金融資産が今や千二百兆円になった。そういうことを考えますと、やはり我が国金融制度というものが、そういう意味では、個人の資金不足の時代、経済が資金不足の時代から資金余剰の時代になってきているのじゃないかなと思います。  ですから、財政構造改革会議の財政改革のときにも申し上げたのですが、そういう意味では政府関係金融機関のあり方は、戦後の資金不足の時代から資金余剰の時代という形の中でどういう政策金融考えていくかということになってくる、そういう観点で財政改革考えてほしいということを去年、行革や財政改革のときに申し上げたことがありました。  一方で、金融関係でいいますと、それだけ資金がふえてくるわけでありますから、有利、確実な運用というようなものだけでなくて、リスクはあるけれども収益性が高いというものの商品が当然必要になってくる。それが国民のために資するものである。それがビッグバンというものの一つのあり方、方向ではなかろうか。  そういうことになりますと、当然、我が国金融市場も、あるいは商品も、間接金融市場銀行からお金を借りるということではなくて、直接金融市場をつくっていかないといけないし、あるいは商品についても、社債市場を初めとしてそういう多様な商品をつくっていかなければいけない。その場合には、投資家の保護というもののあり方をどう考えていくのかとか、あるいは投資家のための金融商品などのディスクロージャーをどのように整備していくのか。これはディスクロージャーしていかないと、もちろん投資家にとっては非常に不安定であります。信頼ができない。そういう意味では、ディスクロージャーをどういうふうにしていくのかという話がある。  それと同時に、いろいろ規制されている商品を自由化をしていって、またそれと同時に、そういう商品の販売チャネル、販売するルートをどのようにつくっていくのか。そのために、金融持ち株会社の導入をしたりあるいは相互参入をしたりいろいろな法律改正が行われてきたわけでありますが、そういうことが一つ課題かな、そういうことに関連して、やはり税制なども見直していかないといけないのかなというように考えていたわけであります。  そういう意味では、これからの金融ビッグバンの姿というのは非常に難しい問題でありますが、やはり資金の運用、資金の管理というものの時代になってくる、それが一つの柱かなと思います。それとあわせて、国際化、自由化、いわゆるCアンドCと呼んでおりますコンピューター・アンド・コミュニケーション、そういう時代に先立って、昨年の春は外為法の改正をして、いよいよことしからそれが実施されるわけでありますが、そういうことになりますと、その商品などを考える場合も、もちろん国内の問題だけじゃなくて海外にも目を光らせてやっていかないと、国内で余りいい商品ができなければ、国民は海外にいろいろな商品投資をしていく、資産の運用をしていくという時代になっていく。そういうような外為法改正を背景にした国際化、自由化という流れの中でこの金融というものを考えていく時代になってくる。  そういう意味では、本当にこのビッグバンというものは、不透明でわかりにくいところがありますが、我が国を大きく変貌させる一つの大きな柱だな、だからこれだけ分厚い、ちょっともう見る気が起こらないような法律でありますが、中身はそれだけの本当に意義のある法律であり、ですからこれは一刻も早く議論をして、また成立させていかなければいけない法律ではないかなという感じがするわけであります。  しかも、少子高齢化社会が到来してくるということは、一方で財政も厳しくなってきますし、年金財政自身も破綻してきます。今厚生省で年金の議論が行われておりますが、来年は年金法も厚生年金の見直しで法律改正もしていくわけでありますから、そういう意味ではやはりそういう金融自身が変わってきた、豊かになってきたということになりますと、自分で自分の生涯のライフプラン、自分自身の年金制度考えていかなければいけない。そういう意味では、今自民党内でもいわゆる四〇一K確定拠出型年金の議論とかいろいろやっておりますが、そういう少子高齢化の到来に伴い、個人金融資産の効率的な運用というものがますます重要になってくるのじゃないかという気がします。  そういう流れの中で、我が国金融システム改革というものは極めて重要であり、これからまさにやっていかなければいけない分野だと思っているわけでありますが、その点について、私はそういう認識で今まで議論してきたわけでありますが、ぜひこの金融システム改革法案のねらい、こういうものについて当局あるいは大蔵大臣からもしっかりと御説明あるいはお答えいただければと思います。
  48. 松永光

    松永国務大臣 金融ビッグバンについての本まで著された委員でありますので、私から言うまでもないことでありますが、私は国民に対して、金融ビッグバンというのはこういうものですと、こういつたことはわかりやすく説明をし、お伝えした方がいいだろう、こういうふうに思います。  そういう私の考え方で申し上げますと、国民が勤勉、努力で働いて稼いだお金、そのお金の運用手段を充実するという面が一つ。そしてまた、仲介業者の方は魅力ある金融商品を提供しやすくする、こういつたことを通じて国民の有利な資産運用を可能にするのです、こういう面が一つ。もう一つは、資金の必要な人が、その資金調達が円滑に行われる、こういった効果も出てくる。そういったことを通じて我が国の経済が活性化するようにしていく、それをねらいにする制度改革だというふうに、国民向けに言えば私はそのように説明したいと思っております。  同時にまた、そのかかわりで言えば、取引のルールがきちっと整備されることが必要でありますし、同時にまた、国民に不測の損害を与えないようにディスクロージャーというものを徹底をし拡充していく必要がある。こういったことの法整備をするために今回の改革法の御審議お願いしているのだというふうに私は思っているところでございます。
  49. 坂井隆憲

    ○坂井委員 本当に大臣がただいま答弁されたとおりだと思っております。いずれにしても、金融ビッグバン、その柱となる今回の法律改正は、我が国の二十一世紀の姿をしっかりとつくっていく大きな土台だと思っておりますので、我々も真剣に議論をして、勉強していきたいと思っております。  先ほどから申し上げますように、我が国の富が非常に高まってきて、いろいろな個人金融資産も千二百兆円と言われておりますが、どういうふうにこれからかかわっていくのかという問題があろうかと思います。ですから、まず、そもそも、我が国国民金融資産自身、運用について、例えばアメリカと比べてどのような特色があるのか、その背景として我が国市場において現状どのような問題があるのかというような分析から始めることが必要だと思いますが、その点についてちょっとお答え願えればと思います。
  50. 長野厖士

    ○長野政府委員 国民金融資産の運用という立場からアメリカと日本とを比較した場合に、これは、先ほど来の御質問にも既に出ておりましたけれども、やはり直間比率と申しますか、預貯金と株式、債券というものの比率の違いでございます。我が国では、個人金融資産のうち、預貯金が五七%、そのほかに保険といったものの御指摘も先ほどございましたけれども、そういった間接金融中心でございまして、直接金融、いわゆる株式、投信、債券が一二%という比率でございます。  これは、アメリカと比較いたしました場合に、アメリカにおきましてはほぼ四十数%というものが直接金融資産に運用されておるということに際立った特徴がございます。これにつきましては、原因は何か。結局、日本人は安全、有利な預金が一番好きなんだよねという説明がなされますし、結局、文化だとか国民性だとかいうお話がございます。  そこまでまいりますとより難しい問題に直面いたしますけれども、しかし、私どもの問題意識としては、そういった文化とか国民性とかいうことを持ち出す以前に、そもそもこの直接金融市場というものに対する国民の参加を容易にするような制度的な努力、あるいは金融界全体としての努力というものに欠けていたものがありはしないかという問題意識を持つべきだと考えておりますし、身近で魅力的な投資対象にしていくというような形のものに努力していく必要があるだろうという考え方に立って、その意味では、きょうは山口君と私と並んでおりますけれども、私の立場からすれば、いささか山口君の領域を蚕食して、直間比率を是正いたしたいというものをこのビッグバン改革法案の中に気持ちとして込めさせていただいております。
  51. 山口公生

    山口政府委員 若干補足させていただきますと、例えば今回の貸し渋り現象ということを例にとって申し上げたいと思うのですが、主要行が、BIS基準があるということで、非常にクリアに対する懸念から資産を圧縮しようという動きをするわけです。これはある意味では国際的なルールですから、守らざるを得ない。これがいいとか悪いとかいう以前の問題、要素もあるわけですね。そのときに、例えば直接金融というもう一つのルートが整備されておりますれば、それはそれで問題は解決されるわけなのです。  そこで、主に最近現象としてあらわれておりますのは、大企業で優良な企業は、社債、CPが発行できて、三月末の資金調達に問題はなかった。では、中小企業とかそういった、またこれから伸びようとする企業が直接金融からお金が取れるかというと、なかなか難しい。そうなると、どうしてもその辺のルートが、単に一本しかないという面もあるわけです。  だから、私の意見としましても、直接金融、間接金融、両々相まって、こういうときはこういうルート、こういうときはこういうルートということで、両方がいい補完関係で成り立っていくというのがやはり理想的な姿ではないだろうかというふうに思っておる次第でございます。
  52. 坂井隆憲

    ○坂井委員 平成四年ごろですか、商法の改正をいたしまして、そのときに親会社、子会社の社債の共同発行、あるいは系列会社同士の、あるいは関連会社同士の社債発行制度が認められました。その当時に、いずれにしてもこれから金融というものは直接市場を重要視しなければいけないということで、まさに山口銀行局長が言われたように、当時から私もそう思っておりましたし、そういう社債の共同発行制度ができたときに、非常に、これを整備してやってほしいということを申し上げたことがありました。  その際、私は、中小企業のそういう直接金融市場の道を開くいろいろな手だてをしておくべきだということを申し上げて、例えば信用保証協会の保証業務、これも間接金融にとどまっているわけでありますね。ですから、こういうものについてももっと見直しをして、例えばいろいろな中堅企業が私募債を発行したりしているときに、こういうものについての一つの保証を与えるようにしたらいいのではないかということを平成四年ごろ申し上げたことがありました。これは、党の法務部会商法小委員会でも申し上げましたし、党の商工部会や中小企業問題調査会でも申し上げたのです。余り取り上げられる感じではなかったのですが、当時の信用保証協会連合会と中小企業庁が一緒になって私募債の発行状況について研究したことがありました。  私は、これからのビッグバンというのは、先ほどから申し上げましたように、どのような資金運用、資金管理をしていくかという問題と、それからもう一つは、それに伴って、当然資金を運用していくということですから、企業サイドに立ちますと、ベンチャーキャピタルを含めて、企業の資金調達の効率化をどういうふうにしていくかという観点の二つの面が出てくるわけで、そういう面では、よく言われているプーリング、小口資金を大口化していくという議論と、あるいは大口資産を小口化していくいわゆる証券化、こういう問題がこれからの本当のビッグバンの大きな流れになるのじゃないかと思います。  その運用の面の話については後ほどまた御質問いたしますが、きょうは、通産省中小企業庁もおいでになっているようでありますので、まずそちらの方をちょっと先に質問いたしたいと思います。先ほどお話ししましたように私募債、この私募債というものは今どのくらい発行されているのか、その発行状況について教えていただければと思います。
  53. 長野厖士

    ○長野政府委員 私募債の発行につきましては、平成四年度以降減少しておりましたけれども、八年度から増加に転じておりまして、九年度の発行額は五千五百五十三億円、前年比三九・三%増という状況でございます。
  54. 坂井隆憲

    ○坂井委員 今、たしか通産省の関係ですが、中小企業投資育成会社というのもあります。これは、中小公庫などからいろいろ絡んで、全国に三カ所、三つぐらいあるのかなと思います。この中小企業投資育成会社も社債の引き受けができると思いますが、この辺は今どのくらいの引き受け状況になっているのですか。
  55. 小野浩孝

    ○小野説明員 お答え申し上げます。  中小企業投資育成会社は、社債の中の担保がつきません転換社債、ワラント偵の引き受けのみを行っておりますが、平成九年度実績で七十社から三十三億六千九百万円の引き受けを行っております。これまでの累計は、一千三十四社から四百八十三億六千四百万円の引き受けを行っております。
  56. 坂井隆憲

    ○坂井委員 先ほどから申し上げているように、中小企業が私募債を出しやすくするためには、私は公的な保証制度、信用保証制度、これ自身も、民間の間接金融のためだけに保証制度をつくるのじゃなくて、こういう私募債を出しやすくするような形での公的な保証制度も必要だと思って、今党内で私を中心として勉強会をやっているわけでありますが、その点については、通産省どういうふうにお考えですか。
  57. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 御説明いたします。  いわゆる金融ビッグバンの進展によりまして、これまでの間接金融主体の金融構造、これが今後大きく変わりまして、資金調達のほとんどを間接金融に依存しております中小企業にとりましても、私募債の発行等、直接金融による資金調達手段を検討していく、これは今後の中小企業政策金融の重要なテーマであるというふうに私ども認識をしてございます。  現行におきましても、ベンチャー企業に対する円滑な資金供給を図る、そういう観点から中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法、いわゆる創造法に基づきまして、創造的中小企業者が発行する社債をベンチャーキャピタルが引き受ける際に、指定支援機関、いわゆるベンチャー支援財団が社債に係ります債務保証を行う場合に、その債務保証の一部、五〇%を中小企業信用保険公庫による再保険、そういう制度で実施をしているものがございます。  ただ、いずれにいたしましても、中小企業の発行する社債に関しましてこれに信用保証をつけるというようなスキームに関しましては、その具体的なニーズあるいは実態、いわゆるその制度設計とか法的枠組み等々のことに関しまして、有識者あるいは関係者等からも意見を聴取しながら今後しっかりと研究すべき課題というふうに考えておるところでございます。
  58. 坂井隆憲

    ○坂井委員 どうもいろいろ前向きな雰囲気に受け取れましたので、よろしくお願いいたしたいと思います。  昨年は行革問題で商工中金、中小公庫、いろいろな問題が取り上げられましたけれども、私は本当に、さっき申し上げましたように、資金が不足の時代から資金が余剰の時代になってきたという意味では、政策金融のあり方というのはもちろん見直していくべきところはあると思いますし、縮小すべきところはあると思いますが、それが一方的に、もう資金余剰だからああいう機関が要らないのだというような議論になるのは行き過ぎだなと思って、去年そういうふうに常に心配をしておりました。幸い、商工中金も残ったし、中小公庫の役割は今やこの貸し渋り状態で極めて重要視されているわけでありまして、結果的には本当に変にならなくてよかったなと思っているわけであります。  私募債なんかについては、中小公庫はそういう私募債を引き受けるという業務はありませんが、先ほど言いましたように、中小企業投資育成会社が社債を引き受けているわけであります。商工中金の場合は、この私募債などの引き受けもやっている、債券の引き受けもやっているわけであります。最近の商工中金における中小企業の私募債の取り扱い、こういうところが今現在どういうふうになっているのか、あるいは商工中金自身はもっとこの分野に大きな役割を果たすべきだと思いますけれども、この点についての通産省の考え方もお聞かせいただければと思います。
  59. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 商工中金におきまして法律上私募債の取り扱いが可能というのは御指摘のとおりでございまして、所属団体、その出資組合、またはその構成員の発行する社債に係ります債務保証業務、あるいは社債の募集に係ります事務関連業務の受託及びその取得、それから所属団体またはその構成員の株式の取得といった業務を行うことができるわけでございます。  その実績でございますけれども、平成九年四月から平成十年二月におきます商工中金取引先八万四千八百九十先、そのうち私募債を発行している企業は〇・二%に相当いたします百六十八先であります。それから、私募債の取得に関しましては、これまでの累計で百五十一億円余りの取得を行っているところでございます。  こういった商工中金の役割でございますけれども、今申し上げましたように、中小企業向け政府系の金融機関、政策金融機関の中で唯一、現在私募債の発行に係る業務法律上認められているわけでございます。  いずれにいたしましても、本業務の商工中金におきます位置づけにつきましては、中小企業におきます私募債発行の具体的なニーズあるいは実態把握、そういったことを十分に行い、かつ商工中金が中小企業の組織化の推進という特別な役割を担いながら、商工中金への出資によりましてメンバーとなった中小企業の組合あるいはその構成員の方に対しまして資金の円滑な供給を行う、そういう商工中金の存立趣旨を十分に踏まえながら今後検討をしていくべき課題というふうに考えておるところでございます。
  60. 坂井隆憲

    ○坂井委員 この前、東京三菱銀行なども私募債をかなり引き受けておりますので、いろいろ状況を聞きました。  私募債は、銀行が引き受けている形態と、それから引き受けた私募債を、あっせん型といいまして、投資機関の人たち、生命保険会社とかあるいは全信連とか、そういうところに引き受けて転売するというようなことがありますが、私募債は現在のところは転売制限というのがあります。ですから、こういうところはビッグバン流れの中で私はかなり規制緩和をしていってもらわなければいけない、またそういうような声がありましたので、ぜひこの私募債の転売制限は撤廃していただきたいと思うわけであります。  その点について、証券局、御答弁をお願いいたします。
  61. 長野厖士

    ○長野政府委員 平成八年三月の規制緩和推進計画の中で、私募債につきましては、かなりの自由化が行われまして、残っておりますのが転売制限、これにつきましては、当時の閣議決定で、「当該債券及び発行体に関する一定の情報が入手可能である場合には機関投資家間の転売は即時に行うことができることとする。」その実施時期は十年度、こういたしておりますので、この方針に沿って対応いたしたいと思います。  すなわち、御指摘のとおり、できるだけ自由にしたいという一方で、やはり私募債は私募債である、公募債のディスクロージャーといったものとのバランスといったことを考えていかなければなりませんので、転売制限の撤廃後の私募債の投資勧誘ルールの策定につきまして今証券業協会で鋭意検討いたしておりますので、これにめどがつき次第撤廃いたしたいと考えております。  したがいまして、十年度実施となっておりますけれども、今の時点でこれから十二カ月もかかると申し上げるつもりはございません。できるだけ早くいたしたいと思います。
  62. 坂井隆憲

    ○坂井委員 さっき山日銀行局長から貸し渋りの問題もちちっと出ていましたが、考えてみれば、諸外国は直接金融が多いわけでありますから、BIS規制の問題というのは、直接金融市場がふえていけばある意味では非常に緩和しやすいわけでありますね。ですから、そういう意味では、これからの我が国金融市場というのは直接金融市場をもっとふやしてもらいたい、そしてそのためのいろいろな手だてをしてもらいたいと思います。  信用保証、こういう保証業務がつきますと、BIS規制の中でもリスクウェートが下がりますから、ですから、そういう意味では、信用保証のついた私募債などを引き受けていく形態がふえていくとすれば、これまた非常にいいことだと思います。  ただ、先ほど中小企業庁からもお話がありましたように、これは、再保険という形で、信用保険公庫、来年は事業団と合併するようになっておりますが、この保険公庫との絡みが出てきますし、そうなりますと、国としては、やはりそれなりの保険公庫などの出資金、そういうものについてもやっていただかなければいけない。今の信用保証の枠でやるのかあるいは別枠でやるのかとか、いろいろ議論が出ていますが、そういうのを積極的にやってもらわなければいけないわけであります。  大蔵大臣も、御答弁は要りませんが、非常に商工政策、中小企業問題については御見識が深い大先輩でありますし、これから予算の問題などがありましたら、財政厳しい中ではありますが、ぜひ、金融ビッグバンというためにもこの点について御配慮いただければと、この席で要請をしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。  もう通産省結構でございますから。  それから次に、先ほどからお話ししていましたように、金融ビッグバンというのは、そういうベンチャーキャピタルを含めて企業の資金調達の効率化をどうするかという問題と、資金運用、資金管理の時代だという話をしました。ちょうど昨年の、私が申し上げましたけれども、私の勉強会で、大蔵省先輩でありますが、田邊曻さんという元大蔵省証券局の総務課長をされていた方で、私がちょうど大蔵省に入ったときの証券局の総務課長でありますが、この方が一番日本の中では投資信託の権威ではないかという気が私はします。  その方のいろいろな書いた本とか論文をいただいて見ておりましたら、この田邊さんがいわく、やはり日本の国はこれから、ナローバンク構想というのがあるけれども、純粋銀行という決済機能、デポジットテーキングだけを取り扱う銀行と、それ以外のハイリスク・ハイリターンまでをねらう資産運用銀行に分離されていくのではないか、そして、ミューチュアルファンドと呼ばれる集団投資事業、コレクティブ・インベストメント・ビジネスを行う投資会社などに資産運用銀行というものは似てくるんじゃないかというようなことをおっしゃっておられました。  これは、一九九五年の十一月の大蔵省財政金融研究所編の「フィナンシャル・レビュー 「証券投資信託」特集」というのがあって、結構前から大蔵省も勉強されていたんだなと改めて敬服いたしました。財政金融研究所でもこの証券投資信託の勉強を長らくされていたようでありますが、この中にも田邊さんが投資信託制度についていろいろと述べられております。  この投資信託というのは、私は、これからの金融ビッグバンの大きな柱になるものだなという気がいたします。日本投資信託は、「「証券会社(委託者)と信託銀行(受託者)の間で特定金銭信託契約を締結し、一旦、証券会社に帰属した受益権を分割して投資家に販売する」という特殊な投資信託制度(昭和十六年)に改められた。」こういうふうにこの論文には書いてありました。これは当時のいわゆる一九四〇年体制ですね。「確定利付に慣れた大衆に対するきわめて特殊な株価安定、貯蓄増強の措置であった。」というふうに書いてあるわけであります。戦後、昭和二十三年、大蔵省中心となって証券投資会社法案検討した。しかし、当時の占領軍総司令部、SCAPは、大衆投資家の成熟度や証券市場整備状況から見て、その導入は時期尚早として廃案にされたということが書いてありました。  そういう意味では、その後のことですが、昭和二十六年に投資信託制度が新たに、廃案にされた後創設されたわけでありますが、このときの、昭和二十六年の投資信託制度ができたときの説明は、「戦後復興のための産業金融の環境整備――とくに、株式市場の供給過剰を是正することを主眼にしている。」というふうに説明されておりました。これは議員立法ですが、議員立法の提案理由説明の中には、「長期産業資金調達に資するため、証券投資信託制度を確立し、証券投資信託の受益者の保護を図ることにより、一般投資者による証券投資を容易にする必要がある」というのが昭和二十六年の投資信託制度の始まったときの提案理由説明であります。  今回、このビッグバンでは、この投資信託制度を大幅に拡充いたして、いわゆる会社型投信、そういうものをつくっていくことになっているわけであります。そういう意味では本当に画期的なことであると思いますが、先ほど濱田議員からもお話がありましたが、この金融システム改革のための法案、いろいろと読んでおりましても、そこのところの条文が、「この法律は、」旧法ですね、「証券投資信託制度を確立し、証券投資信託の受益者の保護を図ることにより、一般投資者による証券投資を容易にすることを目的とする。」となっていたのが、今回は、「投資者以外の者が投資者の資金を主として有価証券に対する投資として集合して運用し、その成果を投資者に分配する仕組みとしての証券投資信託及び証券投資法人の各制度を確立し、投資者保護を図ることにより、」と、「投資者保護」という言葉が入っております。「投資者保護を図ることにより、投資者による証券投資を容易にすることを目的とする。」となっておりまして、これだけ読むと、何となくわかったようでよくわからないというようなことであります。  そういう意味では、やはり当局からも、証券投資法人、いわゆる会社型投信というのは何なのか、そして、証券投資法人制度を導入するメリットというものはどういうものなのか、その点について詳しく御説明いただければと思う次第であります。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  63. 長野厖士

    ○長野政府委員 投資信託の重要性につきましては、坂井先生がお触れになったとおりであろうと存じます。直接金融市場に個人投資家の参加を願っていく場合に、やはり直接参加をするだけの知識、経験を持っておる方ばかりとは限りませんので、ある程度集合的に、専門家にゆだねる形でこういつた市場に参加していくという投信の役割というのは大変重要であろうと思いますし、現にアメリカあたりではミューチュアルファンドなどが、これは、アメリカの市場活性化も背景としてでございますけれども、広くアメリカの国民に受け入れられているという現実を、私どもはいささかうらやましい思いで眺めております。  そこで、今回の改正の中では、投信の拡充ということにつきまして大変幅広い御提案をさせていただいておりまして、具体的には、いろいろ、投信の商品の自由化と申しますか、範囲の拡大と申します措置、あるいは投信の販売チャネルの整備、それから投信委託業への参入の促進、それから一般大衆に対しますディスクロージャー制度の拡充、さらには公平取引に資するための行為規制といった幅広い分野で御提案をさせていただいております。  その中の一つの大きな項目といたしまして、御指摘いただきました証券投資法人、いわゆる会社型投信というものが含まれております。これは、法律の条文的には大変複雑な形をさせていただいていますけれども、ありていに申し上げますと、従来の投信がある種のレディーメードの形で、ファンドが信託という形で設定されておりまして、それの受益権を一般の方々が購入するという形でございましたけれども、もう一つ、海外に最近幅広く活用されておる例を参考といたしまして、会社という形態を実質的な意味では借用させていただきまして、会社という形でファンドを形成されて、投資家は株主という法的構成をとっていただく。  それは何を意味するかということになりますと、そういった資産の運用のもろもろの問題にまで、株主という立場でいろいろと意見を言っていく、指図をしていくという形をとる、そして、収益の分配は利益の配当という形で受け取る、場合によっては、これを売却することによって投資家が資金を回収することができるという仕組みを日本においても導入いたしたい。  日本は会社法の仕組みがございますから、会社の形を借用すると申し上げましたけれども、そのまま適用いたしますと、これは大変使い勝手の悪いものになりますので、非常に簡素化された形で、しかし投資家の意向によってファンドが運営され、管理されていくという簡便な仕組みをこの証券投資法人という形で御提案させていただいておるわけでございます。これによりまして、言ってみますと、株主となります投資家のもろもろの判断がいろいろな形で速やかに運用に反映されていくという意味では、レディーメードの投信の道が開かれるということでありまして、幅広い活用をされることを期待しておる次第でございます。
  64. 坂井隆憲

    ○坂井委員 この証券投資法人制度、これは、現行の証券投資信託制度とは、ではどのような点で共通し、どのようなところで異なるというふうに考えればいいのですか。
  65. 長野厖士

    ○長野政府委員 法律的な形式では、ファンドが信託財産という形になるか、会社資産という形になるかという形式的な違いがございます。  しかし、これは、何を目的とするかによって形式的に違えておるので、実質的な違いといいますのは、そういった形をなぜとっておるかといえば、ファンドの組成段階から投資家がいわば設立企画人として関与していき、総会の決議によって、運用方針の根本的な変更、資産運用業者の変更あるいはファンド同士の合併という、先ほど、現在の投信を私レディーメードと申しましたけれども、レディーメードであるがゆえに、今挙げましたような事柄が不可能でございますけれども、こういつた会社型の形をとることによりまして、こういつた運用方針の変更等々が自由にできる、それをもってオーダーメード型と申し上げさせていただきました。そういった大きな違いがあると考えております。
  66. 坂井隆憲

    ○坂井委員 私は、この会社型投信、これは極めて重要な今回のビッグバンの柱だという気がいたします。  やはりこれからは、例えば大蔵省証券会社の検査なんかも、金融機関の検査もそうだと思いますが、銀行証券会社を検査するというよりも、こういうファンドにそれぞれ会計監査がつくわけですね。ファンドに会計監査がついてそのファンドを検査していくという仕組みになっていくと思いますし、そしてまたいろいろ投資家も、先ほど冒頭にも申し上げましたように、金融ビッグバンというのは、小口資金をどのようにプーリングして大口化していくかという問題と、それから大口資金をどのように証券化して小口化していくかという二つの流れがあるわけでありますから、小口資金を大口化していくという意味では、プーリングの一番重要な柱になってくるのがこの会社型投信じゃないかなと。  やはりこういうものがふえていくと、我が国のファンドの運用形態というものが非常に大きくなって、そして、例えば企業の大口株主なんかにもこういうファンドなんかがなっていくことになるだろうし、日本の民間企業の株主の持ち合い構成とかいろいろなものが、株主の方を日本の企業は向いていないんじゃないかと言われているものが、こういうことによっていろいろ変わっていくんじゃないかなという感じがするわけであります。  ただ、この会社型投信に関連してですが、これに類似の話でもありますが、やはり少子高齢化社会の中でこれから年金資金をどのように運用していくか、あるいはこういうファンドをどうつくっていくかということは、この会社型投信と、もう一つ、例の私募投信、私募投資信託、これについても非常に重要になってくると思います。  この会社型投信や私募投資信託が充実化してくることによって、先ほど冒頭にも言いましたように、確定拠出型年金の導入とかそういうものにも影響してくるわけだと思いますが、この私募投資信託については、今回のビッグバンでは、法案ではどういうふうになっているんでしょうか。
  67. 長野厖士

    ○長野政府委員 多岐にわたりますので、先ほどの御説明で実はそこをはしょってしまいまして、大変失礼いたしました。  私募投信につきましても、今回投信法上にきちんと位置づけるということで、これは先ほど私募債につきまして先生から御質問がございましたけれども、前回、平成三年でございましたか四年でございましたか、位置づけたことでございますけれども、それと同じような意味で、今回、私募投信を投信法上にきちんと位置づけて、その位置づけ明確化したところでございます。
  68. 坂井隆憲

    ○坂井委員 これは財団法人資本市場研究会が、一九九四年、「証券投資信託制度の将来」ということでいろいろ論文を載せております。  この中で、東京大学の神田教授が「我が国証券投資信託制度」というものを書いておりまして、この中で、大蔵省の組織も、「保険、信託、年金といった、いわゆるアセットマネジメントを全部統合して、」「投資管理局という三大分野の一つになるようなところに行かないといけないと思います」というふうに書いてあります。  これも別に答弁は要りませんが、今回、大蔵省の組織、銀行局と証券局を統合して金融企画局みたいな話がありますが、先ほどのナローバンクじゃありませんが、純粋バンクみたいなものと資産運用バンクみたいなところが分かれてくるときに、純粋バンクのところの金融をやるような分野と、それから資産運用、要するに、神田教授が言われているように、投資管理局みたいな、そういうような組織もやはり考えていかないと、なかなか全体の流れにまたついていけなくなってしまうんじゃないかなど危惧しているところであります。これはなかなか政治的な問題もあるから、事務当局が一概に判断してできるものではないと思いますが、そういう一つ流れの中に取り残されないような組織整備をやっていただきたいと思うわけであります。  それで、この会社型投信、こういうものができていくときに、やはり一つの問題は、今まで投資信託というものが投資信託業ということでやられていたわけでありますが、それと関連するのは、日本では投資顧問業というものが昭和六十一年にできたわけであります。ヨーロッパの実情を見てみますと、まずほかの国では、投資顧問業の人が特定の者との信頼関係をもとにして財産管理のアドバイザーとして発生してきた。ところが、日本の場合では、投資信託業が集団的な投資の代理業務を取り扱うこととされて、その後、おくれてこの投資顧問業が個別的な投資の取次代理人の業務だけを行うという形で出てきたということであります。  したがって、この会社型投信、こういう投信制度ができてくるときに、この投資一任勘定といいますか、投資顧問業、こういうものと投資信託業、そういうものについて、どういうような制度の組織の整備をされているのか、この点についてちょっとお聞かせ願えればと思います。
  69. 長野厖士

    ○長野政府委員 御指摘いただきましたように、投資顧問業、法律上の仕組みといたしましてちょうど十年でございます。その間順調に投資顧問業自体も健全に発展いたしておりまして、現在の時点でどうなっておるかということを先にお答えいたしますと、投信委託業と投資顧問業につきましては兼営を認めることとなっております。最近の時点でありますと、私、月に何件か兼営の免許交付の事務を行っておりまして、この相互乗り入れが今非常に活発に進んでおります。業は業として、みずから運用することと、それから、一任や助言をするということの業の違いということはありますけれども、事実上の組織としては、一体の組織がその二つの業務をやるという形になってきておるのは今日の主流でございます。  今回の法案では、もう一つの方で証券業そのものとの間でもこの二つの業態との兼営が可能になっていくというような御提案をさせていただいております。つまり、証券業と投信と一任業というものが一つの組織において同時に行うことができるようになる。これは、先ほど来御質問いただいておりますように、総合的な資産運用資産管理としての証券業の将来を展望いたしますときに、この三つの分野を一体的に進めていく、業として行っていく必要が生じてきておるわけでございます。  ただ、もちろん、証券業を行います場合と、一任あるいは顧問といった業、あるいは投信といった場合には、事柄によりまして、当然ながら利益相反という問題が生じてまいりますので、これらにつきましては、きめ細かに顧客と証券業者との間で利益相反といったことが行われないような必要な手だてにつきましては、それを整備しつつ、全体の業務としては自由度を増していくということで御提案をさせていただいている次第でございます。
  70. 坂井隆憲

    ○坂井委員 こういうファンドがいろいろできて、投資顧問業あるいは投資信託委託の会社、こういうものが規制緩和をされているいろやられていくというのは非常に好ましいことだと思いますし、利益相反の問題についての措置整備してもらわないといけないし、そういう意味では、本当にビッグバン後の日本の姿というものが徐々に見えてくるような感じがいたします。  ただ問題は、我が国の場合は、いろいろな縦割りの中で、資産の運用といっても、例えば商品ファンド法というものがある、あるいは不動産小口化法というものがある、不動産特定共同事業法ですね。それから、リース・クレジット債権流動化法というものがあるというように、いろいろな縦割り的な業法になっているわけであります。  集団的な投資、これは別に投資対象を有価証券というものに限る必要はないのであって、やはり有価証券とは何かというのはそもそもの定義がいろいろあると思いますが、こういうものに、ほかのものにも同じようなルールが適用されるような幅広い集団投資スキーム法といいますか、英米では金融サービス法と言っているようでありますが、そういうものをやはり考えていかないといけない時代になってくる。そして、大衆投資保護という見地から、商品性や流通性というものを金融サービス法という形の中で議論するときに来ているのではないかと思うのですね。  この辺はなかなか各組織、行政組織との関連もあって難しい面もあろうかと思いますが、やはり各省庁とよく連携し合って、そういう検討をしていただきたいと思うわけでありますが、この辺については、今どういうような段階で、どういうような勉強、検討が進められているのか、教えていただければと思います。
  71. 長野厖士

    ○長野政府委員 四、五年前の金融制度改革のとき、有価証券の証取法上の概念をどうするかというテーマがございましたときに、当時は、担当局長はしゃべらなかったのだと思いますけれども、実際問題として、大蔵省所管以外の類似商品というものを証取法上定義した場合に、扱い業者が証券会社になるといったような問題から、省際問題というものがございまして、なかなか議論が十分に尽くせなかったということが現実としてございました。  そこで、今回御提案いたしております法律につきまして有価証券の概念をかなり広げてきておりますけれども、その際、私どもは、有価証券として証取法上の投資保護の規定が働くかどうかという問題と、それの流通を証券業界に限定するということがいつもイコールであるということを考えておっては、なかなかこれからの時代に対応できないということで、そこはある程度分断いたしまして、有価証券の定義に該当して投資保護措置は講ずるが、扱い業者は証券会社以外の者も扱うこともできる、デリバティブの世界などでその必要性がかなりございます。そういった考え方を持ってこの法案を提出させていただきました。それはそれとして御審議いただきたいと存じます。  それを超えますと、これからは、今おっしゃられましたように、他の省庁の所管に絡んでまいりますけれども、もろもろの投資の仕組みというものがございまして、国民の側からは、そろそろそれを全体として眺めたときの投資者保護枠組みなり商品相互のバランスといったものが統一のとれた判断が欲しいという時代に差しかかってきておろうと思います。これは今私ども、主として中心的な役割は山日銀行局長お願いいたしておりますけれども、そこにおきまして、将来の金融流れを見据えた上で、御指摘のような、いわば商品横断的と言ってもよろしゅうございますし、業界横断的と言ってもよろしゅうございますけれども、そういった横断した横の糸によって金融というものを眺めていくためにどういつだことが必要であろうかという勉強を今始めておりまして、この勉強には大蔵省の各局のみならず、他省庁からも御参加をちょうだいいたしておりまして、そういった共同の作業の中で、新しい金融流れという中で御指摘のような問題につきまして結論が得られる日が来るように努力してまいりたいと考えております。
  72. 坂井隆憲

    ○坂井委員 金融サービス法の勉強も、本当にこれからどんどん進めていただきたいと思います。  ちょうど前、大場智満さんを呼んで講演を聞いたときに、シカゴの取引所の話ですが、商品と金融商品が同じフロアで取引されていて、円は豚の横で取引されているので、友人がシカゴに行った際に、円が臭くなるとぼやいていた、こういう冗談をおっしゃっていました。  投資というものでいえば、やはり投資的なスキームということであれば、金融商品有価証券などに限るわけではありません。もちろん、商品ファンドというものの定義も、商品の組み入れ割合を五〇%以上とかいろいろ決めておりますけれども、やはりそのルールというものは共通的に議論していくときに来ているんじゃないかなと思います。  私は昔から映画をつくるのが夢で、自由民主党が野党時代に、自民党で広報の局の仕事をしていたので映画をひとつつくりましょうと。小口の金を全部全国から集めて映画ファンドみたいにしてっくったらどうかと提言したんですが、だれも幹部が取り上げてくれなかったのでそのままになつちゃっているんですが、いずれそのうち、「燃える大蔵委員会」で松永大蔵大臣を主人公にでもして、そうすればひょっとすると大蔵大臣も少し寄附してくれるかもしれぬし、そういうようなおもしろい夢をやはりビッグバンという形の中で、金融機関相互の乗り入れとかそういう細かい技術的な話だけでなくて、やっていかなければいけない時代になっているなと思います。  もう最後、時間がなくなってきましたが、冒頭にも申し上げましたように、どういう商品をつくるのか、それからどういケディスクロージャーをしていくのかということと同時に、仲介業務人たちをどう検査、管理、監督し、どういう形で利益相反させないようにしていくかということが重要です。  今までは、証券会社証券会社金融機関金融機関で検査していました。そしてそれが、会社から投信が出てくるとそのファンドを検査するということになると思います。今度は、証券会社に従事する人あるいは金融機関に従事する人、あるいは外部の人もそうなんですが、このバブル期の特色としては、金融機関に相談に行って、いろいろあのお金を貸すからこの土地を買えと言って、買ったらだめになつちゃって、文句を言いに行ったら支店長はやめていたとか、支店長はどこかへ転勤していたとか、もうわかりませんとか。証券会社であれ買えこれ買えと言ったけれども、証券会社も、文句を言いに行ったら、証券会社の支店長はかわりましたとか、受け合ってくれない。しかし、やはりそれでいいのかと。そういうものが非常に金融機関証券会社への信頼感の欠如にもなっている。  一方で、私も前から言っていること、これも四、五年前から言っていることでありますが、大蔵省に、ちょうど貸金業改正のころに、やはりこれからフィナンシャルプランナーとかそういうものについても勉強してもらいたいということを言ったことがありました。それは、独立士業としてのそういう相談する人をどうつくっていくかという問題と、それから、証券会社金融機関の中でそういう業務に携わっている人たち、その人たちをどういうふうに教育していくかという問題があって、また、その教育された人をどういうふうに証券会社金融機関の中で評価するか、あるいは、国としての検査のときにその人たち業務をどのように検査するかという問題があると思います。  例えば証券会社だったら、四大業務というのは、ブローカー業務、ディーラー業務、アンダーライター業務、ディストリビューター業務、これらそれぞれに利益相反的な要素もあるわけであります。  そういう意味でいうと、私、きのう党内でフィナンシャルコンサルタントの勉強会をして、まずフィナンシャルプランナーというものの勉強をしたわけであります。そういうものについての検討も、今の段階では、証券会社自身業務多角化した場合の利益相反防止をどうするかというような話になっておりますが、行く行くは、金融サービス法の話とあわせて、それぞれの専門士業をやる人たちの育成あるいは監督、そういうものを、士業にするかどうかは別ですよ、考えていかないと、まさにヤクルトでデリバティブで損したという話があるように、単に外国に行ってデリバティブを勉強してきた、ブローカー業務を勉強して戻ってきたら、閉鎖的な集団の中でやっていて、だれも上は知らないということで大きな損失を与えるようなことがあったら、まさに投資保護のためにもよくないと思います。  こういう点について、もう時間がありませんので答弁は要りませんが、今後十分検討されることを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  73. 村上誠一郎

    村上委員長 午後四時に委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ――――◇―――――     午後四時三十二分開議
  74. 村上誠一郎

    村上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。村井仁君。
  75. 村井仁

    ○村井委員 大変分厚い法律が出ておりまして、これだけのものをおまとめになるというのは大変なお仕事だったと思う次第でございます。私も長年役所勤めをいたしまして、法律案というのは随分書きましたけれども、これだけ浩瀚なものというのは余り見たことがないというよりちょっと前代未聞、九百九十五ページでございますか、本当に御苦労さまでございます。  中身も相当豊かでございまして、いろいろ議論するべき点がございます。少し技術的な問題に入ってまいりたいと思いますけれども、冒頭に、ちょっと大臣の御見解を伺っておきたいことが二つほどございます。  実は、私の地元に、長野県でございますが、信濃毎日新聞という大変伝統のある新聞がございます。恐らくはかの地方紙にも載ったエッセーではないかと思うのですが、佐藤光さんという、たまたま大臣と同じ名前でございますが、大阪市立大学の教授をされている方が、「ビッグバンがもたらすもの」という題で、どういうことを言っているかといいますと、一言で言いますと、戦後の日本人は経済成長に邁進したけれども、ビッグバンというのは、ともすれば、これまでの経済主義的偏向というものを一層強めて、これまで以上に個人主義的あるいはエゴイスティックなやり方で徹底させる、こういうことになるのではないか、こういう懸念を述べまして、それで、日本人が思っているほどには欧米人は経済主義あるいはエゴイズムになじんでいないと申しましょうか、そういう指摘をしているわけであります。  具体的には、ヨーロッパはもとよりのこと、アメリカですら聖書主義、バイブルによる聖書主義的伝統とかあるいは共和主義的伝統という経済主義やエゴイズムを防ぐような非常に保守的な伝統がきちんと生き残っていて、さまざまの公共的な課題に対する対応というものを可能にするようなシステムができている、そういうところでビッグバンが円滑に進んでいるんだ、こういう指摘をしているわけでございますね。  それに引きかえ、日本の場合は、どうもそういうものが足りないのじゃないかという問題意識。社会国家も経済だけで成り立たないのだ、これはもう当たり前のことであるわけでありまずけれども。  そしてまた、ビッグバンというのは、これは何も日本の意思でどうこうすることができるわけのものではない。国際社会にある世界第二位の大国として、日本はどうしてもそれに対応していかなければならない、これはもう逃れられないことなのでありますけれども。  そこで、懸念される暴発を防ぐために、日本の望ましい伝統というものを再発見して、そして、私たちの精神のたがを締め直していかなければいけないのじゃないだろうか、こういうことをこの佐藤光教授は指摘しているわけなんです。  私は、翻って考えますと、バブルの過程で、本来名誉あるはずのバンカーたちあるいはビジネスマンが、バブルの流れに身を任せて、いつの間にか自分のあらまほしき姿を見失い、そして今度はバブルが崩壊するや、文字どおり私利私益を追求するというようなことになってしまった。そこには、日本のあきんどの世界であったある種のプライドのようなものも見受けられない。一方で、これは、私は決して大蔵省だけだと言いません、官僚全体もやはり官僚としてのプライドというものを失って、今大変世間の指弾を浴びるようなことになってきている。こういつたところも、ずうっとこの戦後日本が追求してきた経済主義、これのいわば必然的な帰結だったのじゃないだろうか。  考えてみますと、日本には武士道もあり、それからまた、いわゆる官僚の場合には、官吏として社会的な尊敬を受けるということをいわば生きるよりどころとしてやってきたというようなこともあったわけでありまして、そういう意味で、どちらかというと、西洋におけるプロテスタンティズムと日本のいわゆる武士道というものがかつてはある意味では並んで評価されるような時代もあったわけでありまして、そういうことをこのビッグバンという大きな流れの前で、私たちは、一歩踏みとどまってといいましょうか、一歩ここで一息置いてよく考え直してみる必要があるのじゃないか、そんなことを実はこのエッセーを読みながら感じたわけでございます。  ちょっと本題とは無関係のように思いますけれども、しかし一方では、金はなければ困りますけれども、金があればすべていいというものでもない。そういう意味で、社会の根幹というものを考える上で、このビッグバンに対処して、日本社会をどういうふうに持っていったらいいのだろうかということを踏まえまして、大臣の御高見を承ることができればありがたいと存じます。
  76. 松永光

    松永国務大臣 私の個人的な見解でございますが、そういう立場から答弁をさせていただきます。  私は、本来日本人というのは大変すばらしい倫理観を持ち、特に地方では、農村社会では、助け合っていく、協力し合っていくという形で日本人は長年暮らしてきたものだ、こういうふうに思います。いわゆる農耕民族としてですね。しかし、戦後、特に相当程度経済成長を達成した後は、どちらかというと、経済至上主義、そういったもので日本人のよさというものが少しずつ少しずつ侵食されてきておるのじゃなかろうかという感じを私は持っております。  しかし、根っこは、日本人というのは伝統をとうとび、そして助け合っていく、そういうすばらしいものを本来持っているのだ、できることならそういう日本人のよさというのをもう一回再発見をして、それを育てていくという努力が私は必要じゃなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  最近の小学校や中学校におけるいろいろな問題も、結局、助け合いとか協力し合うとかそういったものについての考え方が足りない。そういう雰囲気と環境の中で子供が育ってきておるから、結果においてはいじめとかそういったものがはやってくるようになり、それが最近の小学校や中学校におけるいろいろな問題行動の原因になっているのではなかろうか、こういうふうに思います。したがいまして、もう一回日本人のよさというものを取り戻すような努力がなされてしかるべきじゃなかろうか、こういうふうに思っています。  しかし一方、世界が、特に経済の面では、貿易は自由、投資も自由、そして金融部門も自由というわけで、文字どおり世界的な大競争の時代に入ってきたわけでありますから、これはもう事実として認めなければなりません。さすれば、そういう時代に合ったような仕組みというものを日本の国内での金融システムについても取り入れて、そして、いわゆるグローバルスタンダードに基づく金融活動、こういったものがなされるように、そういう仕組みをきちっと整備していく必要がある、こういうふうに思うわけでありまして、今御審議を願っておるこの法律案もそういった考え方で早急に整備をして、そして今の世界の経済金融活動の流れの中で、日本金融システムというものが強化されるようにしていく必要がある。こういつたことで審議お願いしておるわけでありますが、その面の仕組みづくりというものも急いでやる必要がある、こういうふうに思うわけであります。  それはそれとして、日本人の本来持っておるよさというものは、これはあくまでも大切にして、薄れかけておるならばもう一回日本人のよさを取り戻す、そういう運動というものもこれは進めていかなければならぬというふうに私は思っております。
  77. 村井仁

    ○村井委員 ありがとうございます。  私は、やはり非常に大切なことは、企業も社会の公器だという認識。そして、もちろん企業である以上、もうからなければやっていけないことは事実でありましょう。そしてその厳しさはビッグバンによって一層この世界で厳しいものができてくると思うのでございますけれども、しかし同時に、銀行なり保険なり証券なり、それぞれ社会的に求められている責務をきちんと果たしていく。ある意味では、経営者も、またそれにかかわる従業員も高い倫理性が求められる。もうかればそれでいいということではない。生きていかなければならないが、しかしきちんと社会的に果たすべき役割は果たす。そういう覚悟というものがこの機会にどうしても必要だし、それは今大臣おっしゃるように、日本人が本来持っている資質だろうと私は思うのですね。それを何とか生かしていかなければいけない。またそういう運用を、私は、これから仕組みも変わるわけでありますけれども、一言で言えば、きょう出席しておられる大蔵省の皆さんにもそういうつもりでこの御提案になっている法律の運用を図っていただきたい、このことをまず冒頭に一言申し上げておきたいと思います。  さて、金融ビッグバンということがよく言われ、特にこの四月から、いわゆる外為法の完全自由化といいますか、外為法という言葉をつい使ってしまいますが、外国為替についての管理が全廃されるということになったわけでありまして、ちまたには、外貨建ての投資信託ですとかさまざまの商品の宣伝があふれているわけであります。この低金利時代に、表面金利だけ見ますと非常に高い商品があるわけでありますから、為替リスクやらさまざまのリスク、あるいは商品によっていろいろ持っている特徴、複雑さ、こういったものを十分に認識しないで手を出す人たちもいるのだろう、その辺は随分危ない世界でもあるということを改めて感じるわけでありまして、そういう危険も私ども、直視しなければいけないと思うのですね。  そのときに、私はどうしてもここで強調しておきたいと思いますのは、これまではどちらかというと投資対象によく、確実で有利という言葉を非常に軽々に使ったのですね。しかし、よく考えてみると、確実と有利というのは実は相矛盾する観念でありまして、例えば公的資金の運用の手段なんというのは、法律を見ますと必ず、確実、有利な手段によって運用しなければならないと書いてあるのですけれども、国債をやれば、確実かもしれないが有利とは言えない。株式をやれば、有利かもしれないが確実とは言えない。簡単に言えば、そういう世界、これが非常にはっきりしてきているのだと私は思うのですね。そういう今まであった投資の基準というものももう一度よくかんで吟味し直してみなければならない、そういう時代に入った、これが一つの大きな特徴なんじゃないかと私は思うのです。  さっきも申しましたように、ビッグバンというのは、ともかくやむを得ない、時の流れでありまして、それに我が国として対応しなければならないわけでありますが、そこで、大臣にお伺いするのは最後、これだけにいたしますけれども、我が国金融市場の現状、これを大臣、どんなふうにごらんになっていらっしゃるか、ごくかいつまんでで結構でございますから、ちょっとお答えいただけますでしょうか。
  78. 松永光

    松永国務大臣 一口に申し上げますと、新しい時代に対応するための大変な苦闘を続けている時代じゃなかろうか。もうしばらくたって、銀行にしても、証券会社にしても、保険会社にしても、この苦しい時代、苦闘の時代を乗り越えていければ、望ましい日本金融社会になるのじゃなかろうか、こういうふうに思いまして、そのためにもいろいろな仕組みを新しい時代に適合するように速やかにつくり上げていく必要があるというふうに私は思います。
  79. 村井仁

    ○村井委員 ありがとうございました。  それでは、ちょっと具体的な質問にだんだん入らせていただきますが、まず、ロンドン市場ビッグバンというのが一つのモデルとしていろいろな機会に言われるわけでございます。外資による市場参加者の買収が結果的に相次ぎまして、その結果、ウィンブルドン現象とかなんかいうそうでありますけれども、要するに、場所はロンドンだけれども、プレーヤーはみんな外国人、こういう世界ができてしまった、こういう話があります。  やはり私ども、それでいいのかもしれない、雇用はふえるし、いろいろな意味でビジネスもふえるからいいのかもしれないという割り切りはありますけれども、日本金融機関がどんどん外資系に買収されるというような事態が予測されるんだろうかどうなんだろうか。もしそういうことになったら、その影響というのはどういうふうに考えたらいいんだろうか。いろいろ御議論していらっしゃると思うんですが、少し教えていただけませんか。
  80. 長野厖士

    ○長野政府委員 ロンドンの市場ビッグバン以降に起こりましたことにつきまして、ウィンブルドン化という問題点、午前中の御質疑でも若干触れさせていただきました。多少技術的になりますけれども、イギリスの証券会社といったものが非常に特殊性を持っておりまして、個人あるいはそのパートナーという形でしか営業ができなかったという時代を十年前までイギリスは続けておりました。しかし今日、仲介者といえども、いろいろなリスクを仲介者自身がとっていくような必要に迫られたところで、仲介者が相当程度の資本を持っておくということが必要な時代になりまして、その資本を、イギリスから見れば外国のいろいろな金融機関に求めたというものがこの十年間イギリスで起こった現象であろうと思います。  それはイギリスにやや特殊性がございまして、もともとユーロ市場という、イギリス固有のマーケットというよりは世界の共通のマーケットというものをロンドンは抱いておりましたので、そこで諸外国の金融機関が参加してマーケットを形成したというのは、非常にいわば特殊な形でありまして、日本東京マーケットもそれに近づきたいという願望はあったとしても、このロンドンの特殊性というものはやはりロンドンに固有のものというふうに考えるべきではなかろうかと思います。  それにいたしましても、日本でこれからこういった市場の自由化をやっていくわけでありますから、プレーヤーとしての外国の企業が日本市場においても活躍なさる、そのこと自体は歓迎すべきことであろうかと思いますし、それとの競争を通じましてまた日本のプレーヤーの質の上昇ということも期待できるだろうと思います。  さらに、それに加えまして、既に存在します日本の企業に対して資本参加といいますか買収と申しますか、そういった形の動きについてどう考えるかという問題がございます。  この点につきましては、先ほど申しましたように、イギリスでは個人企業だったので資本を求めるという形の買収でございましたけれども、日本の主なプレーヤーは既に公開された大きな証券会社銀行でございますから、おのずと、資本参加の形は日本の場合には違う形をとらざるを得ないと思いますし、そういった形での、市場で既に公開されている企業への資本参加を外国が強めるとすれば、それはむしろ日本銀行証券会社の価値、収益率、将来性といったものを外国の企業が評価した上で入ってくるということでありましょうから、それを災難と考える必要は私は全くないのではなかろうかと考えております。  けれども、日本の従来からの国民感情の中で、片方では、なるだけ日本の株式市場で外国人に買ってもらいたいと思いながら、外国人が思い切って買ってきた場合に何かそこに問題はないかという意識を持たれるという国民の気持ちというものも十分に、やはり行政に携わる者としても念頭に置いておかなければいけないであろうかと思っております。目下の段階は、日本銀行証券会社が外国の方から見ても買いたくなるほど魅力のある存在になってもらうということは、とりあえず望ましいことという気持ちで仕事に取り組むべきではなかろうかと考えております。
  81. 村井仁

    ○村井委員 私は、どっちかといいますと、もっと積極的に外国の企業が日本の会社を買うということになり、そして日本の会社のトップに外国人が座っても、それに余り違和感を感じないという世界が本当はできた方がいいくらいに実は思っているんですよ。そのくらいにならないと、本当のことを言いまして私は、日本の国際化というのは、そう言っている。国際化というのを日本は一生懸命言っているねという世界であって、考えてみますと、国際化という言葉を外国語でいろいろ言いますと、ある意味では何を言っているのかよくわからない、理解してもらえないということがあるくらいでありますから、これ以上申しませんけれども、私は、このあたりは本当はもう割り切っちゃっていいんじゃないかということをこの機会にちょっと申し上げておきたいと思います。  もう一つ証券局長に伺いますが、例の預金者保護というのは非常に重要なテーマとして、銀行につきましては私ども手当てをしたわけでございます。証券投資者保護基金というのが今度できる、これまでの寄託証券補償基金にかえてつくる、このように承知しておりますけれども、まず、どこがどう違うんだということ。  それからもう一つ証券というのは、基本的に委託を受けて売買をするという性格のものでありますから、銀行のように預かってしまうという状態ではないのではないか。そういう意味で、証券会社に万一のことがあったとしても、経理をきちんと区分して、例えば長野さんの勘定です、あるいは村井の勘定ですといってきちんと分けておけば問題はないのではないかというような気はするんですけれども、にもかかわらず、こういうものを用意しなければならない理由。  それから、これにどういう人たちが加入するのか、どういうものが補償対象になるのか、それから投資家の中でどういうところが補償の対象になるのか。さらには、外国証券会社、当然出てくるわけですね。これはどういう形になるのか。加入を強制しないと救済の対象にもならないということにもなるのでしょう。そのあたり、包括的に御説明いただけませんか。     〔委員長退席、浜田(靖)委員長代理着席〕
  82. 長野厖士

    ○長野政府委員 まず、ただいま村井先生から御指摘いただきましたとおり、証券業の場合は、銀行、保険と異なりまして、そこでお取引になられましたお客様が株式あるいは債券を購入されたという場合はもう既にそのお客様の所有物になりますので、それを証券会社に預かってもらうことがあるにせよ、明示的に分離して管理しておれば問題がないということでございます。  残念ながらこの点につきましての御理解が非常に浅いままに昨年の十一月の二つの証券会社の破綻を迎えましたので、保護預かりについてまで、預金保険のときと同じように限度があるんだろうかとか大丈夫だろうかという御心配がございましたものですから、実は十一月の二十四日、山一証券の破綻に際しまして、当時、三塚大蔵大臣が五項目の談話を発表していただいたんですが、その談話の中で、いかなる証券会社であれ、保護預かり有価証券はお客様のもので、きちんと分離されておりますので御心配なくということに触れていただきました。このことは多くの投資家の方々によく知っていただきたいと思っておりますし、また、その分別管理というものを、従来も努力してまいりましたけれども、この法律におきましてさらに明示的に充実したものにさせるという取り組みをさせていただいております。  その上で、しかしながら、やはり一時的にお客様が証券会社取引過程で金銭を預けるといったことは起こるわけでございますから、それが破綻によって返還できないという事態は、いわば取引安定性の観点から非常に危険な状態でございますから、御指摘いただきました投資者保護基金というものを法律上の制度として今回きちんと位置づけさせていただきたいと考えております。  従来は任意加入の財団として運営されておりましたけれども、これを法律上の組織にする、そこで大きく変わってまいりますのは、任意加入ではなくて強制加入であって、すべての証券会社が加入していただく、その中には、お取り上げいただきました外国証券会社日本で活動しておるものも当然含まれるということでございます。  それで、その他の個々の項目につきまして、現在の補償基金と若干違う点が幾つかございますけれども、大きなところで申し上げますと、今の財団法人でやっておるものは、破綻の場合に一会社当たり二十億円まで補てんいたしますという仕組みでございましたけれども、これでは、お客から見れば、合計が二十億でも、自分は例えば二千万預けておるのに対して、自分の割り当ては幾らになるのだということが全くわかりませんので、これは、預金保険を見習いまして、一人のお客様当たり幾らまでと、この幾らという金額は、法律上は明示しておりませんで、下のレベルで措置いたしたいと思っておりますけれども、私ども念頭にありますのは、預金保険と同じ一千万ということでいかがか、こう考えております。  それから、補償を受けられる投資家というものの範囲につきましては、今、限定が比較的少のうございますけれども、いわゆる金融機関あるいは機関投資家といったものをこの制度の対象とする必要がむしろないのではなかろうか、一般の投資家への措置として考えておけば十分ではなかろうかと考えておりますので、金融機関や機関投資家等はこの補償を受けるべき対象には含めないといったようなことを考えております。  そういった制度全体として整備いたしますと、形の上では現在の預金保険並みのものが整備されるということでございますけれども、預金保険並みになりますということが誤解を招くといけませんので、冒頭に申しました、その保護預かりの分野までが一人一千万という形なんだろうかという誤解を招かないようにだけは、これからも周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
  83. 村井仁

    ○村井委員 それでは、同じように、保険契約者保護機構の問題、これをちょっとお教えをいただきたいと思います。  現在の保険契約者保護基金にかえて、保険契約者保護機構というのを今度の法律案提案しておられる。日産生命の破綻ということがあったわけでありまして、日本の場合、やはり気をつけなければいけませんのは、保険もどちらかというと非常に貯蓄的な傾向が強くて、かなり積み上げてきているわけでありますね。しかも、これは老後のための保障、あるいは万一のための保障、こういうような意味合いもあって、社会的に、保険会社の破綻というのは銀行と比肩できるほどに大きな影響があると私は思っているのです。  そういう意味で、確かに、私も保険業法の審議の際にかかわった一人でございますから、あのときに少し詰めが足りなかったのかなという反省は、率直に言ってあるのですけれども、あのときには保険契約を移転できると思っていた。そうしたら、日産生命のときに、どこも引き受け手がなかったということで、やむを得ず御案内のような措置をとった。結果的には、業界が共同して対応するということをしたわけで、今回の制度というものは、私の理解では、一応その経験を踏まえてこれからの措置を決めたということだと思うのです。  まず、今と基本的には同じように、この保険契約者保護機構の対象がどういうことになるのかということなども含めて、仕組みについて御説明をいただけますか。これは保険部長ですか、お願いします。
  84. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  御指摘のようなことでございまして、現行制度、現保険業法のもとでは、保険契約者保護基金が設けられておりまして、救済保険会社に対して資金援助をするということでございましたが、日産生命の破綻処理におきましては、救済会社があらわれずに、あおば生命というものを特別につくりまして引き継ぐという処理をさせていただいたわけでございます。  そのような不十分な点があるということから、今般は、救済保険会社があらわれた場合の資金援助機能はそのまま残しますが、これに加えまして、救済保険会社があらわれない場合には、みずからが破綻保険会社の契約を引き受けるような機能を持つ保険契約者保護機構を設けることとしておりまして、この点は、御指摘のような側面があるわけでございます。  さらに、これに加えまして、今般の支払い保証機構につきましては、保険契約者の保護のためのルールをあらかじめ明確にしておく、破綻した後どれぐらい保護されるかわからないのでは不安でございますので、どのような商品がどの程度保護されるかということは、あらかじめルール化しておくということ、それから、証券と同様に保険会社に加入を義務づけるというような点で、より保険契約者の保護を万全なものにするという趣旨があるわけでございます。  それから、お尋ねの保護対象になる契約の範囲についての考え方でございますが、これは、保険業に対する信頼の確保を図る必要がございます。また、保険契約者への自己責任をどれくらい問い得るかという程度の問題もございます。  そのようなことを考えまして、具体的には、まず、生命保険の場合は、保険の利益といいますか、保険の機能が最終的には個人に帰着すると考えられますので、基本的に全保険契約を補償対象にすることを考えております。  これに対しまして損害保険の場合は、まず特別の法律に基づいて運営されております自賠責、地震保険、これは当然に対象とさせていただくほか、専ら個人の日常生活に密着した保険種類といたしまして、自動車保険、傷害保険、医療保険、介護保険、さらに、主として個人が加入している火災保険というようなものを補償対象とすることを考えております。そういう意味でいいますと、損害保険の場合の補償対象外となる保険種類といたしましては、専ら企業向けの保険であります原子力保険とか航空保険等のようなものは、この支払い保証機構保護対象からは除外しても差し支えないのではないかと考えております。  以上でございます。
  85. 村井仁

    ○村井委員 そこで、日産生命の経験に照らしてなんですけれども、日産生命の場合は、非常に契約者に有利な条件を提供して、そして、ちょっと言いにくいことだけれども、ほかの保険会社と契約を結んでいるのもかなり強引に日産生命の方へ移させたり、かなり強引な商売をやったというようなことも言われていますよね。これは済んじゃった話だから、あえてそういう引用をしてもいいのでしょうが。  問題は、そのように自分のところで本当に採算のとれないような商品を売って、それで破綻した。それが、結果的には、業界相互に面倒を見るということは、きちんとした経営をしていたところが面倒を見るということになるわけですね。この状態というのは、本当は非常に問題なんであって、本来いいところが悪くなったところの面倒を見なければならない。これは、頑張って経営していた良心的な経営者にとってはたまらないことですよね。それからまた、そういう良心的な保険会社と契約をしていた契約者にとっても、自分が本来得べかりし利益を、いわば大変雑な経営をしていたところにとられてしまうということになりかねない。  だから、こういう意味での業界の一種の互助制度のような仕組みというのは、一見いいように見えて、実は非常におかしなところが入っているわけですね。  そうはいいながら、破綻したときにほっておくというのは、先ほども触れたように、大変社会的な影響も大きい。そうなると、もちろん、モラルハザードを起こさないように十分に注意はしなければいけないけれども、一方で、ある程度、銀行との並びを考えると、少なくとも平成十三年の三月までですか、銀行の預金が完璧に保証されているという期間くらいはきちんとした対応をしてやらなければ、不公平のそしりを免れない。  そういう観点から公的支援ということをお入れになっているわけでありますけれども、その概要につきまして、ここでちょっと簡単に触れていただけませんか。
  86. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、まず、生命保険並びに損害保険は、それぞれ国民生活、国民経済の基礎として、社会にありますさまざまな危険に備えて、万が一事故が発生した場合に経済生活の連続性を保障するといういわゆる保障機能になっているわけでございます。また、保険会社は、金融機関の一角といたしまして事実上かなり広範な金融仲介機能も担っておりまして、保険会社の破綻が生じた場合には、金融システムに及ぼす影響も少なからずあるわけでございます。  そのような保障機能の重要性あるいは金融機関の一角としての機能という点にかんがみましく保険契約者保護のために公的支援を行う必要があると考えておりまして、預金の全額保護が行われます二〇〇一年三月末までの経過期間中に破綻した保険会社の処理に要する費用に充当するための資金調達につきましては、その円滑化を図るために、日銀借り入れと政府保証を付与することを考えているわけでございます。  なお、モラルハザードの点でございますが、今回の支払い保証機構も保険契約者の保護のための制度でございますので、破綻した保険会社はそのままマーケットからは退出していただくということが当然の前提になっているわけでございます。
  87. 村井仁

    ○村井委員 それに関連して、この分厚い法律の百九十一条に「検討」というのがありまして、要するに見直し条項が入っていますね。百九十一条第一項、これの意味合いというのをちょっと説明していただけませんでしょうか。  これは私の理解するところでは、平成十三年の三月三十一日を越えてといいますか、四月一日以後であっても、本当に保険業界に深刻な事態が起きた場合にはしかるべき対応をする、公的資金の導入も必ずしも拒否しない、否定しない、そういう意味合いを合意している、含んでいるというふうに私は読めるように思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
  88. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおりでございます。金融システム改革法の附則の第百九十一条でございますが、「政府は.この法律施行後においても、新保険業法の規定による保険契約者等の保護のための特別の措置等に係る制度の実施状況保険会社の経営の健全性の状況等にかんがみ必要があると認めるときは、保険業に対する信頼性の維持を図るために必要な措置を講ずるものとする。」という規定でございます。  これは、今申し上げました保険契約者保護に関連した制度の実施状況、あるいは保険会社の健全性の状況等にかんがみまして必要と認めるとき、現段階では特定できませんけれども、例えば大規模な破綻が起こったり、あるいは保険会社の破綻が連鎖的に起こるような異例の事態が発生するような、いわば保護機構により資金援助の業務をそのまま行い続けますと資金が枯渇する等々の大変な、保険業に対する信頼の維持が難しくなるような状況が発生した場合におきましては、制度全般の見直しなど保険業の信頼性の維持を図るための必要と思われるあらゆる措置検討の上、所要な措置を講ずるという趣旨でございますので、どのような措置が講ぜられるかは現段階では特定できないわけでございますが、その措置を講ずることについての期限等は一切付されておらないというふうに考えております。
  89. 村井仁

    ○村井委員 これはイエスかノーかで一つちょっと確認させていただきたいのですが、要するに、必要があれば例えば公的資金の投入というような手段もあり得るということで理解してよろしゅうございますね。ちょっと答えてください。
  90. 福田誠

    ○福田政府委員 御指摘のとおりだと存じます。
  91. 村井仁

    ○村井委員 ありがとうございました。  それから、もう二点ばかり保険についてお伺いしたいのですが、料団法いわゆる損害保険料率算出団体に関する法律が改正されまして、一番ポイントは、会員の使用義務が廃止されることになりましたね。これはどうしてそういうことになったのか。これが業界に及ぼす影響、とりわけ、私は、一種のクリームスキミングと申しましょうか、要するに、料団法の団体が定めた料率を使わないでいいのですから、そうすると、いいお客だけ選んで非常に安い料率を適用するというようなことになって、一方で、その反動として、他の可能性のある契約者が非常に不利に扱われるようなことになりはしないだろうかという懸念を持つわけでありますが、そのあたりちょっとお答えいただけますか。
  92. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  まず、料団法の改正によりまして、保険料率の使用義務の廃止を行うこととなった経緯でございますが、御承知のように、平成八年十二月の日米保険協議の決着におきまして、我が国といたしましては、総理の指示によります金融システム改革趣旨を踏まえまして、算定会料率の使用義務の廃止を含みます保険市場の大幅な自由化措置を約束したところでございます。  その後、金融システム改革のプランにつきまして保険審議会でも審議が行われまして、昨年六月に報告が取りまとめられたわけでございますが、この報告におきましても、保険会社間の適正な競争が促進され、消費者ニーズに柔軟にこたえる活発な商品開発が行われることが望ましいとの観点から、料率使用義務の廃止を中心といたします算定会制度改革を実施することが適当である旨の提言をいただいたわけでございます。これらを受けまして、今般の金融システム改革法案の一部として、御指摘のような内容を盛り込ませていただいたわけでございます。  ただ、第二番目の御指摘でございますが、そのような料率の自由化によって消費者の利益を損なうおそれはないのかということでございます。確かに、今後、料率の使用義務が廃止されますと、競争の促進あるいは多様な商品開発というような消費者にとってのメリットが高まる面もございますが、他方で御指摘のような懸念もあるわけでございます。  ただ、この点につきましては、仮に料率使用義務が廃止された後におきましても、行政当局としては、やはり保険商品の安定的な供給が損なわれてはまずいわけでございますので、まず、現行法によりますと、契約者の保護やあるいは保険会社の健全性確保の観点から事前認可制が維持されておりまして、いわゆる料率三原則、合理的かつ妥当で不当に差別的でないというような料率三原則等の法令の審査基準に照らしたチェックを行うことによりまして、必要最低限の監督は継続することになると存じます。  また、先ほど申し上げました平成九年六月の保険審議会報告で指摘されておりますが、やはり必要に応じて商品あるいは料率認可に係る最低限のガイドラインの設定を検討する、例えば任意自動車保険につきましては昨年六月にそのようなガイドラインが設けられておりますが、そのようなガイドラインの設定を検討すべきであるというような保険審議会の御議論もいただいておりまして、このような措置をとることによりまして、自由化の措置の結果、料率が高騰する、あるいはクリームスキミングでございますか、そういうようなことによりまして保険の安定供給が著しく損なわれることのないように、行政としましても適切に対応してまいる所存でございます。
  93. 村井仁

    ○村井委員 私は、個人的には、この料団法の今までの運用というのは非常にいいシステムだったと思うのですよ。これがあればこそ、日本津々浦々、どこででも同じサービスを受けることができるということが確保できていたと私は思うので、そういう意味では非常に残念な結果だと思うのです。  ただ、国際的なといいますか、交渉の結果を実行するという話でありますからとりあえずやむを得ないとしても、私はやはり将来、例えばアメリカのように保険を掛けていない自動車がそこらじゆう走っているような状態が日本で起こるようなことになりましたら、これはやはり考え直さなきゃいかぬと思うんですね。  そのことだけちょっと申し上げた上で、もう一つ、いわゆる保険業の第三分野の自由化、これはどうなっているんでしょうか。私は、これはもう何といいましょうか早く、これだけ証券からも銀行からも保険に入れる、要するに簡単に言えば子会社を通ずる相互参入がどんどん行われるような環境になるんですから、そういう意味で、まして生保、損保の両方から第三分野にエントリーができるという状態になるのが当然なので、そこを、端的に言えば米国の保険会社のわがままと申しましょうか、それに屈しているのは大変残念だ、こういう思いがあるわけでありまして、今どういう状況になって見通しがどうか、これを聞かせてください。
  94. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  保険のいわゆる第三分野の問題でございますが、平成八年十月に始まりました子会社方式による生損保の相互参入につきまして、現在、子会社の行う第三分野業務の一部がいわゆる激変緩和という観点から制限されているわけでございます。  これは御指摘のように、平成八年十二月の日米保険協議の決着に伴いとられている措置でございますが、この日米の合意におきましては、先ほど申し上げました算定会料率の使用義務の廃止等々、我が国の保険市場の自由化措置が盛り込まれておりまして、この合意に盛り込まれております自由化措置を実施した後に一定期間、二年半を経過した二〇〇一年までには激変緩和措置を終了させるという合意になっているわけでございます。  このように激変緩和措置そのものは、子会社方式による生損相互参入の自由化の推進に伴ういわば環境整備としての措置でございまして、かつ今申し上げました算定会改革等の自由化措置の実施とリンクして終了時期が確定しておりますので、今のところ我が国としては、今回の料団法もそうでございますが、米側と約束いたしました自由化措置はすべて着実に実施してきておりますので、予定どおりの時期に第三分野も開放されるというふうに考えているわけでございます。
  95. 村井仁

    ○村井委員 相手のある話ですからこれはしようがないんですけれども、しかし、アメリカの言っていることも随分勝手なもので、私はこれは完全にダブルスタンダードだと思うんですね。日本に自由化しろ、自由化しろと言っておいて、自分が有利な部分になったらがっちり握って放さない、こういうことなんですから、私は大変不愉快なことだということをこの機会に少し強調をさせていただきたいと思います。  もう一つ、ちょっと時間がだんだん押してしまいまして、SPC法案につきまして少しお伺いしたいんですが、もう端的にポイントに入らせていただきます。  実は先日いろいろ話を聞かせていただきまして、モルガン・スタンレー、正確に言えばモルガン・スタンレー・レアルティーですか、不動産会社の方ですが、これが大京から千二百戸の賃貸中のマンションを購入したという事例があります。  それで、これはSPC法とはとりあえず関係なく進められる話なんですけれども、SPC法案の三十八条第二項の第八号というところを見ますと、要するに、ここで言う特定目的会社が不動産の価格を確定するときに不動産鑑定士の鑑定を求めなければならないというようなことになっているんですね。そこでモルガン・スタンレーの人がこのSPC法案につきまして言いますには、不動産鑑定士の鑑定を、例えばこの千二百戸のマンションについて一々求めていたらもう大変な手間とそれからコストがかかってかなわない。今、日本が準備しているこのSPC法案、これは一軒一軒のマンションについて不動産鑑定士がその価値を見るというような手続を求めているんじゃないだろうか、こういうような懸念を表明したわけであります。  いずれにいたしましても、私はこのSPC法案、現在の不良債権問題を解決する上で非常に重要な法律案だと思っておりますだけに、これが実施された暁、円滑に運用されることを期待しますので、こういう実務家の懸念の表明というのはやはりちょっと重視しなければいけないんじゃないかと思うわけでございまして、この法律で要求する「当該特定資産が不動産であるときは、不動産鑑定士による鑑定評価を踏まえて調査したものに限る。」この意味合い、これをちょっと御説明をいただけませんでしょうか。
  96. 山口公生

    山口政府委員 不動産の証券化商品をSPCの形でつくり出す場合に、不動産のいわゆる価格というものが大変重要になるわけでございます。それにつきまして、やはり第三者であります不動産鑑定士がきっちりその鑑定評価をやって、その鑑定評価を適正なものとして出していただくということが前提になろうかというふうに思うわけでございます。
  97. 村井仁

    ○村井委員 不動産鑑定士の客観的な評価は必要だ。それは確かに証券化されたものが転々流通するということになりますと、買い手にとってそれが価値のあるものであるかどうか、これを確認する必要があるという意味からはごもっともなことだとは思いますが、そこで問題は、不動産の価格、特に土地の価格というものですが、これは競売なんかの場合もそうなんですけれども、ほとんどが取引実例というのを基本として推計するというのが一般のようであります。  しかし一方では、アメリカなどの場合には収益還元法と呼ばれるやり方を採用しているようでありまして、私が伺いたいのは、不動産の価格の評価というのを不動産鑑定士がやる場合にこの収益還元法というのは使えないんだろうかどうなんだろうか。これは大蔵省にお伺いした方がいいのかそれとも国土庁なのかちょっとわかりませんが、どうなんでしょうか。
  98. 坂山修平

    ○坂山説明員 不動産鑑定評価におきまして収益還元法を、より重視した方法を使うべきではないのかという問いだと思います。  先生御承知だろうと思いますけれども、現在の不動産鑑定評価基準によりますと、不動産の鑑定評価は、その不動産の置かれている状況、いろいろあるわけですけれども、そういう状況に応じまして、収益還元方式それから原価方式、比較方式、これは三手法あるわけなんですが、この三手法を適切に適用いたしまして価格を求めなければならないということにいたしております。  それで、この基準に基づきまして実際の鑑定評価を行うわけなんですが、実際の鑑定評価を行うに当たりましては、その三手法を常に、同等にと申しますか、同じような重みで適用するというわけではございませんで、鑑定評価を求められます取引状況、それから物件の状況等々、それぞれの事情に応じまして三手法で使う場合の資料の信頼性というようなものもございます。そういうようなものを不動産鑑定士が総合的に判断して、それぞれの事情により適切に適用しておるというのが、わかりにくい表現ですが、一般的に申し上げますとこういうふうになるわけです。  例えば、商業地、業務地みたいなところで、収益が明確に把握できるような場合には、アメリカだけじゃなくて、私ども日本の場合でも収益還元方式が用いられております。アメリカでも収益還元方式が用いられるのは、こういうふうな場合だというふうに伺っております。  原価方式というような方式が用いられる場合もございます。これは、宅地造成といいますような造成行為、宅地をつくる原価が割に明確に把握できるような場合には原価方式。  それから既成の住宅地のように、収益、賃料、そういう収益の把握が難しいような場合。それから住宅につきましては、サラリーマンの年収とか買える所得とかそういうような、そういう意味での住宅の事情というようなものは価格にも非常に大きく影響いたしますので、これは我が国の場合では比較方式を用いておりますし、アメリカなどの場合でも、こういう住居系の不動産につきましては、日本で言う比較方式と同じような方式が用いられているというふうに伺っております。こういうふうにそれぞれの事情に応じて、三手法それぞれ重視してやっております。  今回のSPCの対象となる担保不動産ですけれども、そういう鑑定評価に当たりましても、今申し上げましたようなその対象不動産の用途等によって最も適切なやり方で鑑定評価を行う、そういうやり方で総合調整して評価額を出す、そういうことが必要であるというふうに考えております。  例えば商業用不動産などにつきましては、その収益性を重視した鑑定評価を行うことが適切であるというふうに考えておりまして、現在早急に不動産鑑定協会、これは鑑定士さんが集まりました全国団体でございますけれども、そういう協会とも協力して、こういうSPCなんかで想定されるような土地の鑑定評価に当たりまして鑑定士さんが留意しなければならないような事項を取りまとめて、その周知徹底を図ってSPCなんかの際にも的確な鑑定評価が行われるように努めることといたしております。
  99. 村井仁

    ○村井委員 今、商業地のどころを主に説明されたけれども、住居、例えば賃貸マンションなんかだって賃料が入ってくるわけですから、そういう意味では、それをベースに収益還元というアプローチをしてもおかしくはないのだろうと思うのです。  いずれにしても、今のお話を伺えば、SPC法の適用に当たっての不動産の鑑定評価につきまして、必ずしも売買実例、取引実例というものに縛られないということが明確になったと思いますので、この懸念を一応これで払拭できた、このように考えます。どうもありがとうございました。終わります。     ―――――――――――――
  100. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁山口泰君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  102. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員長代理 次に、渡辺喜美君。
  103. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 日本の未来を切り開く我が自由民主党一期生を代表して、質問をさせていただきます。  大臣におかれましては、連日の激務、まことに御苦労さまでございます。大臣には一切御質問いたしませんので、いつものとおりごゆっくりとお休みをいただきたいと思います。  我が自民党は、昔の自民党じゃないですね。今、村井先生が大変卓越した御質問をされましたけれども、例えば土地・債権流動化チームなんというのをつくりまして、一日五、六時間、毎日のように徹底した討議をやっております。まさに政策の企画立案から我々政治家がかかわってやっていくぞ、そしてその結果については我々は選挙で責任をとらされるわけですから、そういうことを踏まえて万全の態勢でやっているわけであります。野党の皆さんも、我が自民党が昔の自民党だと思ったら大間違いですからね、ひとつ御注意をしていただきたいと思います。  今回のこの法律、余り分厚過ぎて読む気もいたしませんけれども、早い話が、統制型の護送船団から市場型のビッグバンへ移行をしていこう、こういうことであります。この移行過程というのは非常に厄介でして、私がいつも言うように、この移行過程のかじ取りを誤るとやばいのですね。ですから、過渡期には過渡期のやり方があるんだ、そういうことをよく考えてやっていかないとだめなんだと思います。  日本経済を例えてみると、何年か前から糖尿病にかかってしまったんですね。飲み過ぎ、食い過ぎ、太り過ぎ、これはもうダイエットを初めとした糖尿病の治療をやらなければだめだ、そういうことになったわけであります。ところが、ダイエットを始めた途端に心筋梗塞を起こしてしまったんですね。これが去年の十一月のことであります。結局、平成時代になりましてから、土地、株の大暴落で大量の不良債権が積み上がった、それが言ってみれば心臓のパイプにこびりついたのですね。これが心筋梗塞の直接の原因なんですが、その背景にはやはりこの糖尿病があるんですね。  ですから、まずこの糖尿病の治療を、このままダイエットを続けろと言われても、心筋梗塞を起こしているわけですから、まずはこれ、集中治療室に入って、二発目の心筋梗塞を起こさないように治療をしないと、本当に体質改善どころの騒ぎではなくなってしまうわけですね。命がなくなってしまったら体質改善も何もできませんからね。  そういうことだと思います。  結局、何で心筋梗塞を起こしたかのもう一つ理由は、去年の夏から始まったアジア風邪なんですね。アジアの風邪が日本に上陸してきた、それもかなり大きな原因だったわけであります。我々は、この非常時対応、金融の危機管理をやらなければだめだ、こういうことを考えたわけであります。  私は、去年の十一月十二日でありますけれども、この大蔵委員会において質問をいたしました。まだ拓銀とか山一がつぶれる前、三洋証券がつぶれて一週間ぐらい後の話なんですが、これは公的資金の投入はもう避けられない、それも預金者保護だけではだめだ、とにかく自己資本がやられているわけですから、優先株を発行させてそれを公的資金で買い取る、そこまでやらないとだめだという提案を実はしたのでございます。  そのころ野党の皆さんはほとんどおりませんで、何人か残っていた人もいたのですが、私が質問を終わったときには野党の皆さんから拍手なんか出たりしたこともあったのですが、大新聞は一行もこれを取り上げませんでした。取り上げたのは「国会だより」という新聞で、大々的に取り上げました。何のことはない、これは私が出している新聞なんですけれども。そのとき山口局長がどういう答弁をしたか、読み上げてもいいのですけれども、関心がある人は議事録を読んでください。早い話が、木で鼻をくくったような答弁とは言いませんけれども、はっきり言って関心がなかったのですよ。  しかし、その後、我々自民党が、とにかく政治主導でこの危機を何とか回避をしていかなければいけない、そういう強い決意のもとに、一カ月半ぐらいかかりましたけれども案をつくったわけです。宮澤さんが宮澤案を出し、梶山さんが梶山案を出し、何を隠そう一番最初の案はこの渡辺喜美が出したわけであります。だれも宣伝してくれないから自分で言うのでありますけれども、そういうことだったわけであります。     〔浜田(靖)委員長代理退席、委員長着席〕  そういう昔と違う我が自民党、要するに今は過渡期なわけですから、もうとんでもない大不況に見舞われてしまっておるということでして、もう二重苦、三重苦、四重苦なんですよ。ですから、こういうときには何をやったら次の未来が切り開かれるか、こういう発想でないといけません。昔のやり方に戻ればいいのだということではだめなんですね。この金融システムの安定化法なんというのはもうまさにそういう発想でこれをつくったわけであります。貸し渋り対策だけじゃなくて、これは不良債権対策もちゃんと頭に思い描いているわけであります。  早い話が、これはなかなか大蔵省は言えないことだと思いますけれども、金融のリストラ、それから大再編ですよ。民間に、おまえらやれと言ったって無理なんだ、はっきり言って。やれと言ったってやりませんよ。ですから、もうこういうピンチのときはチャンスなんだ、ピンチはチャンスだ、こういうことで、私は、もう民間に任せておいてもできないリストラと大再編をこの際一気に進めてしまうべきだ、そう考えたわけでございます。  早い話が、大震災が起こったわけですよ。これをこのままほうっておいたらもう一面焼け野原になってしまう。銀行から金を借りていると割は中小企業ですからね。しかし、昔のやり方にはもう戻れないとするならば、被害をできるだけ最小限に抑制をしながら次の未来を切り開く。つまり、ダメージコントロールを施しながら粛々と構造改革を進めていく、そういうことなのでございます。ですから、勇猛果敢にビッグバンに立ち向かうということを我々は考えたわけでございます。  それで、金融二法が国会を通りまして、資本注入ということをついこの間決めたわけでありますけれども、私は、はっきり言って非常にこれは不十分である、非常に不満なのでございます。この審査委員会の審査結果を見ると、非常に横並びみたいな発想で、やたら劣後債ばかり出てくるのですね。優先株に手を挙げたところは三つか四つぐらいしかないわけですよ。こんなものでは貸し渋り対策にもならないし、不良債権対策にもならないんですよ。  せっかく十三兆円の金を用意したわけですから、これは別に今回で最後じゃないですから、もうどんどん手を挙げてもらう、そしてどんどんこれを使って、また一方には十七兆円という世界もあるわけですから、これはもう再編統合ですよ。整理しなければいかぬところはもう整理するしかないでしょう。そういうことをこれからやっていかなければいかぬのですよ。  ところが、これは一体どこへ相談に行ったらいいのだと。大蔵省は、もう業者行政はやってはいかぬと言うものだから、もうほとんど機能をしていません。しかし、その審査委員会へ行ったって、これは権限があるわけじゃないですからね、審査委員会には。ですから、これは困ってしまうのですね。自民党へ来られたって、共産党がまた騒ぎ出すかもしれませんしね。ですから、これは少し真剣に、大蔵省、今度、何ですか、金融庁というのができるのですか、何だか知らないけれども、これは真剣に考えないと、だれもその未来を考える人がいなくなってしまうということなんです。どうなんですか、これ。相談窓口はあるんですか。
  104. 山口公生

    山口政府委員 長い時間をかけて御審査いただきました金融安定化の二法でございましたが、あくまで貫いておりましたのは申請主義でございまして、銀行が必要とし、みずから手を挙げる、そして資本注入が適切かどうかは、七人の委員で客観的に決めていただく、こういう原則を貫いております。  先生が言わんとされることも理解はできるわけでございますけれども、我が国の現在のマーケットを中心としたこの経済の姿としては、あの法律はそういうことを前提にしてつくり、また、成立をさせていただいたものでございます。
  105. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 はっきり言えないのはよくわかりますけれども、はっきり言って、金融不安が去ったわけじゃないんですね。ですから、今のところ多少株価が一万六千円台で、ジャパン・プレミアムもちょこっと今上がったのですか、それでもいっときほどの異常なジャパン・プレミアムはくっついていないということなんでしょう。  しかし、この夏ぐらいまでの間に整理するところ、あるいは合併させるところ、そういうところを決めていかないと、私は非常にまずいなという気がするんですよ。二〇〇一年の三月、これは一つの節目なんですね。今我々は、言ってみれば全治三年で強い体力に回復する、こういう計画をつくっていかなきゃいけないのです。  ですから、諸情勢も含めていろいろ考えてみると、やはりあと半年ぐらい、半年かけないうちに、ことしの夏ぐらいまでの間にきちんと金融の次の未来の姿を考えていくということが私は必要だと思いますので、大臣はいらっしゃいませんけれども、これは真剣に考えてもらいたいというふうに思うのでございます。  そこで、優先株に手を挙げずに、海外で優先株とか優先出資証券とかやったところが幾つかあるというのですね。例えば住友銀行、この間頭取が来たときに質問すればよかったのですけれども、これは配当非累積型の永久優先証券というのを出したのですね。それから、興銀とか富士銀行とか、それから東海銀行も出しているのですかね、これはかなり高い金利で出していると思うのです。というのは、期限つき劣後債とかそういうものと比べれば、これは何段階も格付が低いわけですね、永久非累積型優先証券というのは。だから、当然これは金利は高くなるわけですよ。一体どれくらいの金利で出しているのですか。
  106. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  これらの平均的な数値としては大体九%前後だと聞いております。ただし、これはドル建てでございます。ドル建ての調達でございますから金利がこの程度になっているということでございます。
  107. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 ドル建てにしても、九%以上の利息を恐らく十年間ぐらい払い続けるわけですね。そうすると、どれぐらい出したか知りませんけれども、例えば一千億円出したとすれば、九%といったら九十億円ですね、九十億円毎年払い続ける。日本でこの公的資本注入のスキームに乗っかって調達すれば、九十億円も払う必要は全くないわけですね。ですから、何でそういうばかなことをやったのか、私は非常に腹立たしい思いがしますよ、実際。もし私が住友銀行の株主だったら、これは株主代表訴訟ものだな、こういう感じがするわけです。ですから、大蔵省はもう今や業者行政やらないわけですから何にも言えないのだと思いますけれども、非常に私は問題があるということを指摘しておきたいと思います。  とにかく、去年の十一月から、それ以前からそうかもしれませんが、政治の世界がマーケットに振り回される、こういう状況がずうっと今でも続いているわけであります。きのう橋本総理が景気対策を発表した。ところが円は安くなったというのですね。きょうは派手に介入して百二十七円ぐらいまでいったそうでありますけれども、とにかくマーケットというのはいろいろな欲望が渦巻いているのですよ。例えば、売ってもうけようという欲望もあれば、つぶして買い取ろうという欲望もあれば、橋本引きずりおろそうという欲望もあるかもしれません。そういういろいろな欲望がぶつかり合ってぐちゃぐちゃになっているのがマーケットなんですね。だから、時たま機能不全を起こすこともあるわけであります。失敗することもこれは当然あるわけであります。ですから、下手をすると大がかりな日本の売りの仕掛けみたいなものが出てきたって決して不思議じゃないわけであります。そういうことを考えれば、これから先も常に危機管理、金融の非常時対応ということは考えていかなければいけない問題でございます。  それで、貸し渋りの問題なのでありまずけれども、これは実は非常に深い構造的な問題があるということを言わざるを得ないのであります。日本の都市銀行、都銀の預貸率というのを見てみますと、大体平均一一五%になっていますね。通貨危機以前の韓国とかタイの銀行の預貸率が一〇〇%を超えておった、早い話が、これは貸し過ぎということですよ。預金よりも貸している金の方がでかいという話ですからね。こういう銀行というのは日本だけなんでしょう、先進国の中では。  過大な信用創造でもって過大な設備投資を行ってきた、こういう図式があるわけです。いわば途上国型のやり方だったわけですね。これは、要するに、間接金融重視主義という世界の中で行われてきたわけですね。ですから、直接金融への転換が非常におくれた。今非常に暴力的な形でその修正が進もうとしている、そういう力が働いているということなんですね。借りている方から見ると、企業の方は借り過ぎという状況があるわけです。ですから、これもある意味で、リストラをやってこなかったツケを今払わせられている、そういうことなのであります。  今回の法案の中にSPC法というのがあって、債権流動化させよう、そういう発想なのでありますけれども、最近では、不良債権の一括売却、バルクセールなどというらしいですけれども、半値、八掛け、五割引きのそのまた五割引き、百億円だったら十億円、そういう値段で、先ほど村井先生おっしゃられたような、収益還元価格にぶつかればそこが底だということで値段がついておるようでございます。  こういうのは、もし日本がこのデフレ経済から脱却できずに、もう長い長いデフレのトンネルに入り込んでしまって地価が下がり続ける、そういう状況がもし続くとしたら、このSPCが発行する証券など買ってくれる人がいるのでしょうかね。うまくいくのですか、そういう場合はどうですか。
  108. 山口公生

    山口政府委員 確かに、先生がおっしゃいますように、地価が下がり続けているときに担保不動産の証券化がうまくいくかという問題はあろうかと思いますが、いみじくも今先生の御質問の中でありましたように、不動産からの例えば賃料収入などのインカムゲインというものを前提として証券化するということになりますと、収益還元価格でやれば採算がとれるはずなんですね。つまり、価格をどうつけるかということになるわけでございますので、そうしたキャピタルゲインよりは、むしろそういうインカムゲインを前提とした証券化ということでありますれば、それは実現するだろうと思うのでございます。  しかし、全体的雰囲気として、そんなときに証券化が進むかという問題提起は、先生の御懸念は私も共有するところであります。
  109. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 収益還元価格というのは非常にすぐれた発想だと思いますがね。しかし、景気が回復しない、いつまでたってもビルの入居率が高くならない、空き部屋ばかりになってしまう、そういうときには、恐らく賃料を下げなきゃいけませんし、収益還元価格それ自体が下がり続けていくということはあるのですね。  ですから、当然のことながら、いかにして景気を回復させるか、そしてマクロ経済政策のかじ取りを誤らないようにするかということが大事なことなのでありますけれども、そういうことをやった上で新しい制度をスタートさせるわけですから、私は、公的支援のスキーム、例えば政府保証をくっつけるとか、そういうスキームを考えていくべきではないかと考えているのでございます。そういうことも我が自民党でやっておりますから、別に大蔵省考えなくても結構かもしれませんけれども、自民党の議論をよくウォッチしておいてもらいたいと思っております。  そこで、不良債権になっていない債権というのもあるわけですよ。超優良債権というのもあるでしょうし、そこまで優良じゃないけれども、まあ、不良債権にまでは至っていないというのもあるわけですね。そういう債権流動化というのも当然この法律の中で考えているわけであります。先ほども言ったように、銀行はBIS基準にかかわらず総資産を圧縮していかなきゃいけない、そういう力がこれからも働き続けるわけでありますから、当然、そういう不良債権化していない債権流動化ということも考えてくるはずなんですね。  そこで、メーンバンクでない銀行というのから借りている企業もたくさんあるわけですよ。中には、ちょっと景気が悪くなって体力が落ちてきてしまった、そうすると、この間も自動車関連の中小企業のおやじさんが三人首くくった話がありましたけれども、要するに、サブの銀行が例えばそういうところの債権証券化して売っ払っちゃう、それも、銀行の方もけつに火がついてもう投げ売りしちゃった、そういうような場合に、投げ売りされた方の債務者ですね、これは窮地に立つようなことはないのでしょうか。大丈夫なんですか。
  110. 山口公生

    山口政府委員 先生がお挙げになった例は、恐らく東食で、昨年の十二月よく言われたような、メーンバンクでないところが資金を引き揚げて、それでメーンバンクがもち切れなくなって倒産をしてしまった。会社自体相当財務内容も悪かったようですけれども、そういうことがございました。  今のお尋ねの場合は、もし貸国債権がSPCの方へ移ったとしましても、その貸し出しを引き揚げるわけではありません。何のためにやるかというと、恐らくバランスシートの圧縮、先生がおっしゃった総資産の圧縮、あるいは新たな資金調達、その手段であるというふうに考えますと、その限りにおいては、貸出先との関係というのは引き続いているわけでございますので、それが相手企業の倒産に直ちにつながってしまうということではないというふうに思うわけでございます。
  111. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 直ちに倒産につながることはないのはわかりますけれども、結局、そういうケースもこれは当然あり得るのだということを想定しておかないとまずいのだろうというふうに思うのであります。  きょうは、日銀山口総裁にもおいでをいただいております。新しい日銀法はいわばビッグバンのフロントランナーみたいな、外為法だけがフロントランナーじゃないんですね、大蔵省から独立した日本銀行も、これは走り始めたわけですよ。走り始めた途端に、走り始める前ですか、ずっこけちゃったわけですね。きょうの夕刊を見ると、一面トップにでかでかと出ているのですね。「接待問題 日銀理事ら九十八人処分」、どうですか、副総裁、何か釈明することはありますか。
  112. 山口泰

    山口参考人 ただいま御指摘のとおり、私どもは、きょう、この二月以降進めてまいりました取引金融機関との間の交際の実態調査というものの結果を取りまとめまして公表をさせていただきました。また、それと同時に、先日起訴の対象となり、私どもが懲戒免職処分にいたしました吉沢前営業局証券課長不祥事に関しまして、これの監督責任についても結果を出しまして、内部処分の結果とあわせまして関係者処分を公表させていただきました。処分の対象になりましたのは、役職員合わせて九十八名でございまして、これらの者に対しまして厳しく自覚を促す措置をとらせていただきました。  今回の処分を契機といたしまして、私ども日本銀行といたしましては、改めて役職員に自己規律め徹底を促しまして、今御指摘いただきましたように、新しい日銀法のもとで、日本銀行の信頼回復に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。  今申し上げましたような決意を込めまして、総裁を初めといたします役員全員につきまして、役員俸給の月額の二〇%を一カ月間返上するというような措置もあわせとらせていただきました。  この機会をおかりいたしまして、国民の皆様に対しましては、改めて深くおわび申し上げたいと存じます。どうか、日本銀行の今後の立て直しの努力を見守っていただきたいとお願い申し上げる次第でございます。
  113. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 とにかく、日銀にとっても、この新しい日本銀行法は、やることなすこと新しいことが非常に多いと思うのですね。政策委員会というのも、これは正式には、四月一日以降、新しい法律にのっとって日銀の政策決定の最終決定をやるようになった。新聞によると、この政策委員会の中で、山口総裁が非常にリードしておられるというか、イニシアチブをとっておられるようでありますから、きょうはあえて副総裁に来ていただいたわけでございます。  そこで、先ほどの冒頭の話と関連することでありますが、去年の十一月以降、非常事態が起こったわけですね。それ以降、日本銀行がじゃぶじゃぶお金を流し始めるようになったわけですよ。三洋証券がコールでデフォルトを起こして、山一、拓銀、こう続いてくるときに、言ってみれば、日本銀行がお金を流さなければ恐らくばたばたと連鎖反応が起こったであろうというふうに思います。  インターネットで日銀のバランスシートというのをとってみたら、九十一兆五千億円あるのですね。たしか、去年の三月ぐらいは六十兆円ぐらいだったのじゃないですか。一・五倍にふえているのですよ。要するにそれぐらいお札を印刷してはらまいた、恐らくこういうことなんでしょう。  そういうことになりますと、いつまでもこれをほっぽっておいていいのか。三月末のお金が取れないという状況がついこの間まであったわけですね。ですから、三月末のお金が取れるようになったらこれは回収するんじゃないか、まあ何て表現するのか私は知りませんが、吸い上げるのじゃないか。三月末にかけては資金の吸い上げというのはやらなかったのですか。     〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
  114. 山口泰

    山口参考人 今先生御指摘のとおり、日本銀行の三月末のバランスシートは一年前に比べまして大変大きな増加を示しておりまして、金額は、御指摘のとおり九十兆円を少し超えるという残高になっております。  なぜこれほど大きな増加が生じたのかと申しますと、これも御指摘のとおり、これは一年前に比べますと三十兆円ほどの増加でございますが、基本的には、昨年十一月以降の金融市場における一種の非常事態の中で、日本銀行が極力多目に流動性を供給してきた、その結果だというふうに考えております。  バランスシートがふえました三十兆円のうち、およそ十六兆円程度は、ここ数カ月におきます比較的長目の資金供給から成り立っております。幾つか例を挙げますと、例えば、コマーシャルペーパーの買いオペが五兆円でありますとか、あるいはレポ・オペという名前で呼ばれておりますが、国債を使いまして資金を供給するというようなものが七兆円でありますとか、あるいは日本銀行の貸し出しを動員して資金を供給した分が四兆円とか、こういうものから成り立っております。  申し上げましたように、これらはマーケットを安定させるために比較的長い期間をとりまして供給した資金でございますが、一方、金融市場は、申し上げるまでもなく大変大きな季節的な波を持っておりまして、たまたま資金が余ってくるというようなときになりますと、別途の手段で資金を吸収するということが必要になってまいります。そのために私どもが行いましたのが、日本銀行みずからが手形を振り出す、売り出し手形と申しておりますけれども、これを金融市場に売却いたしまして、比較的短期の資金を供給するということをやってまいりました。  以上申し上げましたことを総合いたしますと、日本銀行のバランスシートの中で、資産といたしまして比較的長目の資金供給がふえ、一方、負債の方では比較的短い資金の吸取手段として売り出し手形を活用してまいりまして、結果としてこれらが両建てでバランスシートを膨張させるという結果になっております。四月に入りまして少しこの状況が変わってまいりまして、三月末には余り資金の吸収がございませんでしたけれども、四月に入りまして少しずつ資金の吸収を進めておりまして、バランスシートの規模も今は八十兆円近くにまで多少縮小してきております。  申し上げましたように、バランスシートが膨らむ基本的な理由が、昨年十一月以降の信用不安の表面化、金融市場における極度の資金の逼迫ということでございましたので、今後、マーケットを安定方向に導き、それを定着させていくにつれまして、日銀のバランスシートも徐々に縮小していくことができるというふうに考えております。
  115. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 大体、日銀の話を聞いていると眠くなるのですね。本当にもう大半の人は寝ていますよ。  要するに、新しい日銀というのは、株式会社なんだけれども株主総会がないわけですよ。だから、悪いけれども国会が株主総会をやらせてもらうよ。国会は年がら年じゅう株主総会をやっているわけですからね。呼ばれたらすぐ来るということになっているわけですから、国会の答弁というのは、もうちょっと山口局長を見習って手短にわかりやすくやってくださいよ。これからしょっちゅう来るわけですから。これで最後じゃないんだからね。もう少しそういうことを心がけてください。  もうこれ以上眠くしてしまうと問題なんですけれども、要するに、新しい日銀を監視するのは国会しかないのですから、眠いでしょうけれども、もうちょっと辛抱して聞いてもらいたいと思っています。  日銀金融調節の中で一番得意中の得意は無担保コールの翌日物だというのですね。例えば、八日、おとといのものを見ると、平均〇・四七ぐらいですか。しかし、最高二・五〇だ、最低〇・二〇だ。物すごい開きがあるわけですよ。二・三%ぐらいの開きがあるのですね。これはべらぼうな差なんですね。ということは、二・五のときに金を出す、それで〇・二で金をとるというと、二・三%の利ざやを稼げるわけですね。そうすると、お金のある人がこういうコール市場で運用すると、これは一日で何億円ももうけるやつが出てくるのですね。だれかもうけていたやつがいるのじゃないですか。どうですか。
  116. 山口泰

    山口参考人 手短に申し上げます。  コール市場は一日の中で大変大きな波を繰り返しておりまして、例えば、朝方非常に逼迫して、夕方非常に緩和するというようなことが毎日のように起きております。大変低いレートで資金を調達する者もいれば、高いコストを払わないとお金をとれないという者がいることも先生御指摘のとおりでございます。ただ、極端に高い金利あるいは低い金利でもって成立している取引は全体の中のごく微々たる部分でございます。全体を平均いたしますと大体〇・四、五%前後のところでコール市場が成り立っているというのが現状でございます。
  117. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 私は専門家じゃないからよくわかりませんが、外銀なんかはこれで随分運用しておるようですね。ですから、こういう差のあるコール市場というのは正常なマーケットなのかどうかということなんですね。私は、これはちょっと異常でないかなという気がしてなりません。とにかく、日銀の話を聞いているとみんな眠ってしまうのですよ。もうちょっと私みたいにめり張りつけてひとつ答弁をしていただきたいと思います。  それで、今、金利の問題ですね。自民党の中でも、とりあえず金利を上げることが最大の景気対策なんだ、こう言う人が結構いらっしゃるのですね。先ほど申し上げたように、今デフレなんですね、デフレ。ということは、物の値段が下がっていくわけですよ。そういうときには借金している人はでかくなるわけですね。確かに金利は物すごい低いのですが、物の値段が下がっていくということは、これはどうなんですか。いわゆる実質金利、日銀は実質金利という言葉を使わないのかもしれませんが、これはかなり高くなっているのじゃな  いですか。どうですか。
  118. 山口泰

    山口参考人 日銀も実質金利という道具は必要に応じて使っております。  御指摘のとおり、最近物価が多少下がりぎみでございますので、機械的に計算いたしますと実質金利というのが幾分上昇ぎみになってきておるというふうに思います。  ただ、実質金利というのは計算によっていろいろな数字に到達することが可能でございますので、それを金融政策に直ちに機械的に適用するということは適当じゃないというふうに思っております。
  119. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 とにかく、金融政策は日銀の専権事項だ、名実ともにそうなったわけですね。しかし、国会に呼ばれたらすぐに来なければいかぬわけです。これからも我々は注意深くこういう問題をウォッチしてまいりますから、頭の片隅にとどめておいてください。  早い話が、もっと金利を下げるべきだという意見もあるということなんですよ。政策委員会でもそういう議論は出ていますよね。そこで、副総裁と話しているとみんな寝てしまうから、日銀の話はもうやめます。  今、日本の経済状況を見て、ある人は、お金の戦争に負けたのじゃないか、第二の敗戦だ、最近そういうことを言う人が多いのですね。私も、これは非常におもしろい議論だな、こういう気がするのです。  考えてみると、お金がないわけじゃないのですね。お金はじゃぶじゃぶ余っているわけですよ、さっきの日銀の話でもわかるように。印刷してはあっとばらまいたりしていることもあって、お金は物すごい余っているのですね。これは一千二百兆円あるというのですけれども、去年の暮れには郵便局に三兆円ぐらい集まってしまったというのですね。郵便局に今どれくらい金が集まっておるかというと、平成九年度末には二百三十九兆円、大体二百四十兆円ですよ。二百四十兆円集まってしまった。  そうすると、これは郵便局長さんの懐へ入るわけじゃありませんからね、大蔵省の資金運用部に流れ込んでいくわけですね。資金運用部には今、余っているお金というのはないのかもしれませんけれども、どうなんですか、長期国債とか短期国債とかいろいろ運用をしておられると思うのですけれども、短い運用をしているお金というのはどれくらいあるものなんですか。
  120. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答え申し上げます。  余っているお金という意味は必ずしも定かではございませんが、例えば、資金運用部の平成八年度末資産残高は約三百九十二兆円でございまして、今先生が言われました運用でいいますと、このうち長期運用がほとんどでございますが、三百四十三兆円、それから短期運用が約四十九兆円ということでございます。
  121. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 短期運用というのは、現先とか何かでいろいろおやりになっておられるのでしょう。これがすべていわゆる余裕資金だということではないのかもしれませんけれども、かなり余っているなという印象を私は持つのでございます。  ですから、これはおかしな話なんですよね。要するに、金がなくて不景気になっているのではないのですよ。金がなくて金融不安を起こしているのではないのですね。金が余っていてこの状況ですから、本当にピンぼけではないかなという気がするのであります。日本は世界一の債権大国だ、こういうことですよ。確かに国内の借金は非常に多いのですが、対外債権というのも物すごく持っているのですね。政府も持っているし民間も持っている。  対外純資産というのはどれくらいあるものなんですか。そのうち、ドル債で持っているお金というのはどれぐらいあるものなんですか。
  122. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 お答えいたします。  平成八年末の我が国の対外純資産は百三兆三千五百九十億円となっております。その当時のレートでいいますと、恐らく約八千九百億ドルというかなり巨額な対外純資産でございます。総資産から総負債を引いたもので、純資産がそれだけあるということでございます。  なお、この統計にはドル建てのものが幾らあるというような統計はございません。
  123. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 一方、ダウ平均株価が九千ドルを突破した、今やニューエコノミーと言われるアメリカは、世界最大の借金国なんですね。これはちょっと古いのですけれども、九六年末で八千億ドルぐらいの借金を抱えているのですね。これはおかしな話ですよ。世界一の金を貸しているところが不景気でもうつぶれそうだなどと言う人がいたり、世界一借金している国が未来永劫ニューエコノミーだといったような話で、どうなつちゃっているのかなという気がするのですね。  早い話が、この日本は、戦後何十年もかかって製造業が国の富を稼ぎ出してきたわけですよ。製造業が国の富を稼ぎ出すというのは、物すごい時間がかかるのですね。例えば自動車を一台つくるのに三万点の部品が必要なんですね。住宅を一軒建てるのには平均で大体十万点の部品が必要だというのですね。ですから、製造業で富を稼ぎ出すようになるには、よほど部品産業も発達していなければいけないし、そこで働く人のレベルも高くないといけませんし、汗水垂らして何十年もかかるわけですよ。  早い話が、輸出をして稼ぎ出した富があるのですね。しかし、そういう富を日本はどういうふうに運用してきたかというと、非常に多くをアメリカに流し込んでいるわけですよ。今でもそうなんですね。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕  一方、アメリカは、一九六〇年代にベトナム戦争で体力を使い果たした。七〇年代になって製造業が空洞化を起こした。それで、お父ちゃんの給料がもう上がらなくなってしまったのですね。しょうがないからお母ちゃんが働き始めたら、いろいろな問題があって、ウーマンリブ、フェミニズム運動とか起こってきたのですね。  八〇年代になってレーガン大統領が出てきて、強いアメリカという政策をやってきたわけですよ。どんどん借金して軍備拡張をやった。その結果、十年ぐらいたったらソ連が拡張競争についていけないでつぶれちゃった。借金して大減税もやったのですね。消費奨励政策もやった。双子の赤字どころか三つ子の赤字まで、家計まで赤字になってしまった。そういうことがあったのですね。それをうちのおやじが、あっけらかんのかあと言って怒られたのですけれどもね。  そういうことを例えて、アリとキリギリスだなどと言う人がいるのですね。私は、この本を読んで非常におもしろいなと思ったのですけれども、これは、吉川元忠さんという殿様みたいな名前の人ですが、「YENは日本人を幸せにするか」こういう本が出ているのです。この本の中に、なぜ日本がこのていたらくになったのか、お金の戦争に負けたのかということがよく書かれてあるのであります。  私は陰謀説というのは嫌いなんです。これは一種の後知恵判断というもので、後でとってつけたような話なのでありますけれども、七〇年代に衰退し始めたアメリカの人たちは、ありとあらゆる頭脳を振り絞って国益を考えてきたのだと思うのですね。ですから、基軸通貨の座は絶対に渡さない。ポンドからドルへ基軸通貨が変わったときもそうなんですけれども、大体、基軸通貨国というのは世界最大の債権国なんですよ。ところがアメリカは、ニクソンのときに金とドルの交換をやめる、変動相場制に移行する、そのあたりからもう既におかしくなり始めてきていたわけですよ。  結局、このアメリカに一番協力をしてきたのは実は日本なんですね。もちろん、日本は安全保障をアメリカに頼っている国ですから、日本が世界一の債権大国になったからアメリカとけんかして、ドル圏離れをするのだといっても、これまた戦争が起こっちゃいますから、そういうばかなことはできません。しかし、考えてみると、どうも余りにもやられっ放しだったのではないかなという気がしてならないのです。  ですから、これだけの金持ちになったら、もうドルの傘からちょっと一歩踏み出すということがあってもよかったような気がするのですよ。もちろん、アメリカを怒らせないようにこれはやらなければいけませんから、よほど手練手管も使いながら、頭脳も使いながらやっていかなければいけない種類の話ですよ。  ですから、これだけの黒字を稼いで、例えば円建て債というのを出せばよかったのかもしれませんね、最近は随分あるような話も聞きますけれども。今から十何年か前、黒字をため込み始めたころこういう話があったのかもしれませんけれども、余りやらなかった。これは非常に残念なことですよ。  要するに、円建て債みたいなものを出すというのは、東京市場が国際金融センターでないとなかなか出せませんからね。国際金融センターにすると、護送船団みたいなことはなかなかやっていけないわけですよ。ですから、そういうことがあってこの円建て債というのはなかなかうまくいかなかったと、この吉川元忠さんは言っておられるのですがね。  どうなんですか。この円建て債みたいなものを出すと、やはり護送船団の金融村が崩壊しちゃうからやってこなかったんですか。
  124. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 事実についてまず申し上げます。  円建て債、御指摘のように、最近ふえております。居住者外債自体が八〇年代から九〇年代にかけまして非常にふえまして、その中で円建て債も三割、四割のシェアがございましたので、非常に大きな額になったわけでございますが、九〇年代に入りまして、特にここ数年、そもそも居住者外債の発行自体がかなり減ってきておりまして、その中に占める円建て債のシェア自体は三割程度でございまして、非常に大きく減ったわけではございませんが、居住者外債自体が発行が少し減っております。これは国内市場整備が進んだということもあろうかと思いますけれども。そういうことで、結果的に見ますと、御指摘のように、円建ての債券の発行の絶対額というのは、近年相当減少しているというのが実情でございます。  ただ、その背景に御指摘のようなことがあったかどうかということは、私どもから見ますと、そういうようなことがあったというふうには認識しておりません。
  125. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 大蔵省立場からは言えないことだと思いますが、いずれにしても、我々は新しい次の未来をどう切り開くかということにもう踏み出しちゃったのですね。ですから、これはよほど頭脳を振り絞って、日本の国益を考えてやっていかなきゃいけないのですよ。言ってみれば、合従連衡みたいなこともこれからは少し考えていく必要があるなというふうに思います。  ヨーロッパは何十年もかかって、ドル圏から一歩を踏み出すのに大変な知恵を振り絞ってやってきた。何段階も手続を踏んでやってきて、ようやくユーロという通貨を来年から始めるわけですね。  アジアの場合はなかなかヨーロッパと同じというわけにいきませんけれども、しかし、外交において、アジア重視外交というのがありますよ。これは別にアメリカとけんかをしょうということでは全くないわけですね。アメリカと提携関係を結びながらアジアの外交については一歩前へ、こういうスタンスなんですよ。ですから、そういう知的構想力を持った大作戦、大戦略、こういうものを考えていかなきゃいけない。  こういう話は、昔は国会ではほとんどできなかったのです。例えば外交の問題でも、憲法という枠組みがあるものだから、要するに、戦略的思考ということを国会議論することはほとんどやってこなかったのですよ。それと同じことがこのお金の世界、お金の経済においてもあったのですね。  ですから、我々は、もうとにかく今ダメージコントロールを施しつつ新しい世界に踏み出さざるを得ないんだ、もうこれだけぼろくそに負けちゃったわけですからしょうがないですよ。(「これからの戦いだよ」と呼ぶ者あり)そうです、これからの戦いなんです。もう、一回負けたわけですから、大作戦、これを考えていきましょう。  大蔵省もちょっとずうっと機能不全が続いておりますけれども、大蔵省を解体したところで余りメリットがあると私には思えないのですよ。大蔵省といったらもともと局あって省なしと言われるところなんですよ。ですから大臣も、局間調整を十二分にやってもらいたいのです。局間調整できないときには大臣が一言つぶやけばいいのです。お互いの局長を呼んで、あしたから入れかわってもらうぞ、こういうことを言えばすぐに調整がつくわけですから。大蔵省はもう少し頑張ってください。  以上、演説を終わります。
  126. 村上誠一郎

    村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十四分散会