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杉浦委員 自由民主党の
杉浦正健でございます。
本件についての
質問に入る前に、いわゆる
大蔵省を初めとする
不祥事について一言申し上げさせていただきたいと存じます。
今
国会半ばでございましたか、
大蔵大臣の
所信表明に対する
質疑の際、
刑事捜査が始まったばかりの段階でございましたが、所感の一端を申し述べさせていただきました。その後、
大蔵省の
内部における
逮捕者もふえ、キャリアと言われる方の
逮捕者も出る、
日銀にも広がるという
事態になったことは御高承のとおりでございます。先回のときに申し上げましたが、
事態の推移につきましては、まことに憂慮にたえないところでございます。
そういった
過程の中で明らかになってまいりましたことは、これは、ただ一人の変質的な人が
汚職の罪を犯したということではない。頭に出たのは氷山の一角であって、相当根深く
大蔵省、
日銀等全体を侵食しておるということがはっきりしてまいったと思います。
刑事捜査は終結したのか。終結したという
報道もありますが、まだ定かではありませんし、また、
大蔵大臣におかれましては、厳正な
調査をなさっておられる、その結果について
処分をされると申しておられます。先日、
日銀の新
総裁が
大蔵委員会におきまして、
日銀においてもびしつとやる、
処分者は二けたになるだろうというようなことも申しておられました。
私は、そういう
現実を見ておりまして、例えば非常によくないかもしれませんが、川の
流れに例えるとこんなようになるんじゃないかと思うわけであります。
つまり、かつては非常に
清流であった。
清流に魚すまずという
言葉がありますが、しかし魚もすんでおった。
大蔵省という
流れは、事実、力強く
地域社会、
国家を潤しておったと言えると思うわけでありますが、いつの間にか川底にヘドロがたまり、土砂が堆積をし、水の
流れは変わらないにしても、それが大きくあふれて、ついには堤防を越すようになったというふうに例えられるのじゃないかと思うわけであります。全体の
綱紀が緩んできた、お金さえもらわなければ
汚職にならない、そういう雰囲気がはびこってきたと言えるのじゃないでしょうか。
これは、ひとり単に
大蔵にとどまりません。
大蔵以外のある省の私と親しい
課長が、私のところへ来て述懐しておりました。夕方になってどこからも声がかからないと寂しい、また、声がかからないと
部下から、あの
課長は無能なのじゃないかというふうな目で見られるような気がするということを述懐しておりました。正直な述懐であります。もちろん私は、多数の
官僚諸君はまじめに誠心誠意やっていることは
承知をしております。しかし、官庁全体としての
綱紀が緩みに緩んできたということは否定しがたいのじゃないだろうか、こう思うわけであります。
そこで、きょう、この公式の席であえて申させていただこうと意を決して参ったわけでありますが、一部の
官僚の
諸君には申し上げてあることでありますけれども、私は、ここに
大蔵省の
幹部の何人か御
出席でありますが、ひとつ
皆さん方自身でこの
事態に対して、
国民の中にある批判、そういうものにこたえる
自浄努力、
自浄能力の発揮を御
自身の手でやってもらいたい、その
お願いをまずもって申させていただく次第であります。
ここにおられる
同僚諸君もそうでしょうが、週末になれば帰って
国政報告会をやります。いろいろな
懇談会に顔を出します。その際言われることは、正健さん、税金を払う気がなくなった、払いたくないと、真顔で多くの人が
質問、詰問をするわけであります。そのたびに胸の痛みを覚えるわけであります。
私がこういうことを申し上げる資格はないと申しますか、
立場にないと申しますか、
国家社会に対する貢献もさしたることをしておりませんし、平々凡々たる一
議員でありますけれども、しかし、あえて申し上げれば、今
国民が受け取っておるあなた方の
報道、これは毎日、
新聞、
週刊誌等でいろいろ躍っておる。
国民もある
意味では怒り、ある
意味では心配しておるわけであります。
大蔵省の
機能、
官僚の
機能、今、
行政改革でやっておりますが、これは永遠に変わることはありません。あなた方は退官するでありましょう。新しい人が入るでありましょう。この
国家の
機能に対する不信、これを一刻も早く払拭すること、これはひとりあなた方のみならず、我々
政治家、
国民全体にとって喫緊の
課題だと言って差し支えないと思う次第であります。
あえて申させていただきますが、私
自身は至らない
人間でありますけれども、私に投票してくれた十三万三千人の有権者の意思をあえてそんたくし、希望や夢や悩みを代弁する
立場で申させていただく次第であります。
具体的には、
幹部諸君は潔く
進退を
大臣に伺っていただきたい、
進退伺を出していただきたい。少なくとも
局長以上の
方々は、御
自身が手を染めておられる、おられぬにかかわらず、この際、
責任をとる形で
進退伺を出していただきたい、こう思うわけでございます。
国民の目から見て、
大蔵省が襟を正して再出発するかどうか、
国民はじっと注視をしておるわけであります。
ひとり刑事訴追をされた
人たちだけが、あるいは
大臣によって
処分を受けた
人たちだけが、つまり、外部から指弾される形で
責任をとるということだけでは
国民は納得しないと私は今認識いたしております。
また、今の
幹部の
諸君が、ちょうど桜の散るように、潔い
出処進退をすれば、
先輩、こういう
事態を招いたのには
先輩にも
責任がある、
歴代事務次官その他
先輩にも
責任があるわけでありますが、
日銀総裁は
辞任されましたけれども、ほかの
先輩の
諸君も、
諸君の判断に従うでありましょうし、また、あなた方に続く
後輩は優秀な連中もそろっております。彼らも喜び勇んで
大蔵省を再建する道に励むでありましょう。そして、川の
流れをもとのすばらしい
流れに戻す
努力を
後輩諸君はしてくれるということを信じておられると私は思います。
大臣に
お願いしたいわけでありますが、もし
幹部諸君が
出処を明らかにした場合には、私は、現在、
調査された結果どのような
処分をお
考えかわかりませんですけれども、
幹部でない
方々の
処分については可能な限り寛大な御処置を
お願い申し上げたい、僭越でありますが、
お願い申し上げる次第であります。
組織は一体でありまして、
部下の
人たちは心ならずも参加したという
部分もございましょう。また、彼らには恐らく妻もあり子もあるでありましょう。厳しい
処分は一生つきまどうものであります。私は弁護士として
犯罪者の弁護もしてまいりましたが、厳しい
処分はかえってその人の
更生を損なう面もございます。これは
大臣もよく御
承知のとおりだと思います。その現職の
諸君の
大蔵省再建に当たっての決意の
表明を見て、御
処分の方は寛大に
お願いしたいと思います。
これは私一人の
意見だけではなくて、お名前を出して恐縮でありますが、
後藤田正晴先生もテレビ、
新聞等で同じ
趣旨のことを申しておられました。
捜査はそれによって打ちどめにして、これ以上
大蔵省を壊してはいかぬ、
後藤田先輩のお
言葉をここで御紹介をさせていただきたいと思います。
いささか時間をとりましたが、本論に入らせていただきます。
ビッグバン関連法案、ようやくここで御
審議賜ることになりまして、この準備に携わった一人として、本当にうれしく思っておる次第であります。
大蔵省、
同僚議員初め
関係者とともに喜びたいと思っております。
ビッグバンと通常は言われております。
日本版ビッグバンと言われておりますが、その中核をなす
法律的措置といたしましては、本日
提案されております
法案が成立いたしますれば大
部分の
法的整備が終わるというふうに認識いたしておりますが、そういう
意味におきまして、ぜひともこの
国会で
ビッグバン全体を前進させるために
審議を了して、成立させていただきたいと心から願っておるところでございます。
きのう、本
会議における
趣旨説明があり、
質疑がございました。
野党の
同僚議員、
中川正春先生、
河合正智先生らから
質疑がございましたが、非常に的確な御
質疑でございました。ある
部分では拍手も送りたくなった面があるわけでありますが、いずれも、我々
自民党議員がもう半年にわたってこの
法案の審査に取り組んでまいっておるわけでありますが、その
過程で心配をし、
議論をし、詰めてきたことばかりであります。
人間のやることでありますから、
万事隅々に至るまで行き届いた
検討ができたとは思っておりません。また、この
法案についてもさらに
検討を要すべき点、あるいはすぐ直した方がいいところもあるかもしれない。将来にわたって
課題として取り組むべきこともあろうかと存じます。我々も
努力してまいりますが、
野党の諸
先生方におかれましても、ぜひともこの大きな
課題について真剣に御
議論を賜りたい、御指導、御鞭撻を賜りたいとまずもって心から
お願い申し上げる次第でございます。
まず、
大臣に最初お伺いしたいと存じますが、この
金融関係法の
位置づけについてでございます。もちろん
金融システム改革の
中心をなす
法案でありますが、この
ビッグバンは、現在我が
政府・与党が進めております六
大改革の
一つをなすわけであります。
この
改革は、総理は再三申しておられますけれども、
日本が迎えようとしております
少子・
高齢化の
社会に対応して、
日本の
システム全体を大きく転換していかなければならない、百三十年前の明治維新における大
変革、終戦直後の、敗戦の際の大
変革に匹敵する大きな
変革なのだ、その一部なのだ、こういうふうに相なるかと存じます。
子供が少なくなっていく
少子社会、
人口問題研究所の統計によれば、現在女性が一人当たり一・四人しか産んでもらえていない
状況が続きますと、二十一
世紀末には
人口は六千万人台になるということは確実だと見通されております。
高齢化社会、
高齢者の比率がその中で高まっていくということも
現実に既に起こり始めておるところであります。
このままのと申しますか、従来どおりの
システムのままで百年の時を過ごせば、
日本はもう破滅以外にないという認識は私も持っておる次第であります。これは、ある
意味では、
日本の歴史始まって以来と申しますか、
人口が、一時的な戦争とか何かで減ることはあっても、ずっとふえてきた時代から一気に下降していって、ある時期に
欧米先進国のように
人口が静止する、成熟する
社会に入っていく、その変わり目であろうかと思うわけであります。
行政改革もしかりであります。このままの役所の
機構でいいのか、役人の数が国、地方含めてこのままでいいのか、仕事の分担もこのままでいいのか、民間に移せるものはないのかという
検討が始まっておるわけでありますが、
金融ビッグバンというのも大きなそういう
流れの中の重要な
一つであろうかと思います。
この
ビッグバンの
位置づけ、その
ビッグバンの中における、お諮りいただいておりますこの
関連法案の
位置づけについて、
大臣から御所見を承りたいと存じます。