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1998-04-07 第142回国会 衆議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月七日(火曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 浜田 靖一君    理事 池田 元久君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 谷口 隆義君       今村 雅弘君    小野寺五典君       大石 秀政君    大野 松茂君       大村 秀章君    鴨下 一郎君       河井 克行君    桜田 義孝君       下地 幹郎君    杉浦 正健君       砂田 圭佑君    中野 正志君       根本  匠君    松本 和那君       宮路 和明君    宮島 大典君       村井  仁君    望月 義夫君       矢上 雅義君   吉田六左エ門君       渡辺 具能君    渡辺 博道君       渡辺 喜美君    上田 清司君       北脇 保之君    中川 正春君       日野 市朗君    藤田 幸久君       赤松 正雄君    並木 正芳君       福留 泰蔵君    小池百合子君       鈴木 淑夫君    西田  猛君       佐々木憲昭君    佐々木陸海君       濱田 健一君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君  委員外出席者         参  考  人         (株式会社第一         勧業銀行頭取) 杉田 力之君         参  考  人         (株式会社さく         ら銀行頭取)  岡田 明重君         参  考  人         (株式会社富士         銀行頭取)   山本 惠朗君         参  考  人         (株式会社東京         三菱銀行頭取) 岸   曉君         参  考  人         (株式会社あさ         ひ銀行頭取)  伊藤 龍郎君         参  考  人         (株式会社三和         銀行頭取)   佐伯 尚孝君         参  考  人         (株式会社住友         銀行頭取)   西川 善文君         参  考  人         (株式会社日本         興業銀行取締役         頭取)     西村 正雄君         参  考  人         (株式会社日本         長期信用銀行取         締役頭取)   大野木克信君         参  考  人         (日本銀行総裁)速水  優君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      藤原 作弥君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      山口  泰君         大蔵委員会専門         員       藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     大野 松茂君   鴨下 一郎君     矢上 雅義君   河井 克行君     小野寺五典君   渡辺 博道君     望月 義夫君   渡辺 喜美君     大村 秀章君   河合 正智君     福留 泰蔵君 同日  辞任         補欠選任   小野寺五典君     河井 克行君   大野 松茂君     下地 幹郎君   大村 秀章君     渡辺 喜美君   望月 義夫君     松本 和那君   矢上 雅義君     鴨下 一郎君   福留 泰蔵君     河合 正智君 同日  辞任         補欠選任   下地 幹郎君     岩永 峯一君   松本 和那君     宮島 大典君 同日  辞任         補欠選任   宮島 大典君     渡辺 博道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融に関する件      ————◇—————
  2. 村上誠一郎

    村上委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  ただいま御出席をいただいております参考人は、株式会社第一勧業銀行頭取杉田力之君、株式会社さくら銀行頭取岡田明重君、株式会社富士銀行頭取山本恵朗君、株式会社東京三菱銀行頭取岸暁君、株式会社あさひ銀行頭取伊藤龍郎君、株式会社三和銀行頭取佐伯尚孝君、株式会社住友銀行頭取西川善文君、株式会社日本興業銀行取締役頭取西村正雄君及び株式会社日本長期信用銀行取締役頭取大野木克信君、以上の九名の方々であります。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。  これより各参考人に対する質疑を行います。  この際、質疑者に申し上げます。議事整理のため、質疑する参考人の氏名をその都度お告げいただきたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井奥貞雄君。
  3. 井奥貞雄

    井奥委員 本日は、まず第一段階といたしまして、九行の代表皆様に御出席をいただいております。本来、私企業方々にこうして国会においでをいただくのは異例のことでございますけれども、現在のように銀行をめぐって深刻な問題が生じているような場合に、必要に応じてその業界から個々に事情をお聞きをするということも国会の重要な機能であると私は考えておりますので、どうぞひとつよろしく御理解と御協力をお願い申し上げます。  本来は、銀行不祥事の問題、経営責任不良債権処理に対する貸し渋りの問題、その他等々の問題がございますが、与えられた時間が限られておりますので、二点に絞りまして質問をさせていただきます。  まず、東京三菱岸頭取、それから三和銀行佐伯頭取、そして日本興業銀行西村頭取にお伺いをさせていただきます。  まず、銀行につきましては、御承知のことと思いますが、多くの批判がございます。八〇年代後半のバブルについては、それを加速、拡大し、その後不良債権処理を先送りをして今日の金融不安を招いたのは銀行そのものであると私は思っております。さらに、十分なリストラ努力も行わず、不良債権の最終的な処理公的資金に求めている、それにもかかわらず貸し渋りという形でツケを中小零細な業者に転嫁をしている、これも事実であります。  こうした中で銀行公的資金注入することになったわけでありますが、国民感情として、銀行公的資金を投入するのであれば、少なくとも、以上のような問題に対する経営責任を十分に自覚をして、徹底したリストラ不良債権早期処理に努める責任がある。この各行リストラ徹底状況不良債権処理、これは昨年でありますが、中間決算のときに、ほぼ不良債権めどは立ったというふうに報道があったと承知をしておりますが、本年の三月末ではまだ不良債権処理は残っている。終了したというふうに私は見ておったわけでありますが、もしも残っているとすればどれぐらいそれがあるのか、このことについて、具体的なめどについて御説明をいただきたいと思います。そして、こういった一連の不祥事からこの経営責任、このことについてはどのようにお考えでおられるのか、このことにつきまして簡明にお答えをいただきたいと思います。  例えば不良債権早期処理でございますけれども不要資産売却銀行業務に直接支障の出ないもの、都心の一等地にある研修所や社宅、売ろうと思えば売れるもの、こういったものがそのまま温存をされている。アメリカ金融危機においては、アメリカのそれぞれのバンク、銀行本店ビル売却してもその信を問い、国民に示した、そのことによって新しい銀行が生まれていった。この歴史を考えても、こういうことに対する取り組み、これをあわせて御意見を賜りたいと思います。
  4. 岸曉

    岸参考人 東京三菱銀行の岸でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいまの井奥先生のお尋ねでございますけれども、確かに、バブル崩壊後、金融機関経営力と申しますか、特に貸し出し余力というものが非常に弱まりまして、今日、御心配いただくようないろいろな事態を招来しておりますことは先生も御指摘のとおりでございます。  バブル崩壊、大変な大きな資産価値の目減りがあったわけでございますけれども、これに金融機関として対応する過程におきましていろいろ至らない点があったということは、私ども深く反省をしておるところでございます。今回、こういう形で公的資金注入を仰ぎまして金融システムの信認を回復していこう、こういう時点に我々立たされているわけでありますけれども、この経営責任を果たすという意味におきまして、おっしゃられましたようなリストラを断行し、そして不良債権の一日も速い処理償却を行いまして円滑な金融を回復したい、このように思っております。  それで、リストラでございますけれども、私ども役員の数の削減でありますとか全体の人員削減、店舗の売却給与水準引き下げというような考え得るあらゆる手を打ちましてリストラを推進しようと思っております。例えば、資産売却というお話が出たのでありますけれども、私ども、ごく最近におきまして、五十六件二百億以上の資産売却を行っております。さらに、これはマーケットがあることでございますからなかなか売れにくいのでございますけれども、そういう中で、現在四十件以上のもの、簿価にいたしまして百八十億のものを売却すべくいろいろと買い手を探しておるような状況でございまして、御指摘のようにこれからそういう手をさらに進めて不良資産処理を進めてまいりたい、このように思っております。どうぞよろしくお願いいたします。(井奥委員経営責任」と呼ぶ)  こういうリストラを進め、不良債権償却を完了し、そうして円滑な金融機能を回復するということが我々に課された最大経営責任であるというふうに考えております。
  5. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 三和銀行佐伯でございます。  まずもって最初に、いろいろな面で皆様に御心配、御迷惑をかけていることを心からおわび申し上げます。  ただいま御質問のございました幾つかの点でございますが、最初の、不良債権が前上期に既にほぼ終わったというような報告があったのではないかという御指摘でございました。  銀行によっていろいろな対策対応が違ったと思いますが、私どもの方は、実は早期是正措置を含めて下期までを見越してほぼ終わりますという発表をいたしました。したがって、上期には黒字のままで、下期に七千五百ほど償却を済ませてほぼ終わりますということを御報告申し上げました。しかし、その後のいろいろ地価低下その他景気の不透明も含めまして、結果的には九千数百億の償却をせざるを得なくなったということでございます。  いずれにしても、この九千五百億ほどの償却をもって今期で、この後地価低下とか大型の倒産とかそういうものがなければ、私ども不良債権償却一つ峠を越えたといいますか、九五%の引き当て、税を考えれば百五十数%の引き当てでございますから、これで終わりというふうに考えてはおります。  それから、二番目のリストラの問題でございますが、この間公的資金劣後債を購入していただくときに申請いたしましたように、人員の減、支店の減、あるいは海外からの撤退等も含めてリストラ策を私どもなりには発表したつもりでございます。それから、先ほど御指摘ございました遊休不動産等につきましても、前期で七百億ほどの売却もいたしましてリストラに取り組んでいる。まだぬるいと言われるかもしれませんが、私どもはそういう形で取り組んでおります。  経営責任云々の御指摘がございましたけれども、確かに、こういうバブルを招いて、その後景気が不透明ということは責任を感じております。ただ、公的資金導入につきましては、この公的資金導入によって昨年の十一月以降の信用収縮を回避して、貸し渋りを少しでも緩和して、そして金融の円滑な流れをもとへ戻すということが、私ども公的資金劣後債を買っていただいた銀行の果たす使命ということで、私どもなりに貸し渋りについては懸命に取り組んだつもりでございます。  まだまだ大変な御批判があることは承知をしておりますが、以上でございます。
  6. 西村正雄

    西村参考人 日本興業銀行西村でございます。  ただいま先生から最近の銀行行動に対して大変厳しい御批判を賜りまして、私どもも深く反省しておるところでございます。  確かに、バブル期銀行行動に関しましては、収益偏重業務拡大あるいはまた担保価値を過度に重視した与信行動など、反省すべき点が多かったかと思います。そして、その後、バブル崩壊いたしまして長い間不況が続き、その間に土地並びに株価が大幅に下落をしたということによってこの不良資産解決がなかなか進まなかった点はあったと思います。  九六年にたしか住専の問題でかなりの不良債権償却をしたわけでございますけれども、今年度、大量の不良債権償却を実施いたします。これは、やはりこの四月から早期是正措置導入をされたことに伴いまして一括して不良債権償却をすることが可能になったからでございます。  私どもの例を申し上げますと、私どもの場合は、この三月期の決算で六千三百億円の不良債権償却を実施いたしまして三千五百億円の最終的な赤字を出す、こういう計画にしております。したがいまして、これで不良債権償却は一切終わりということを申し上げたいわけでございますけれども、しかしながら、依然としてまだ景気の低迷が続いております。まだ倒産可能性もございます。それからまたアジアの経済の混乱、これの解決の問題もございますので、この三月期、六千三百億円の不良債権処理したからここで完全に終了ということはまだ申し上げるほどの自信はございませんので、引き続きこういった要注意債権については万全な注意をしていくということだろうと思います。  それから、リストラに関してでございますけれども、先ほど三菱あるいは三和銀行頭取が言われていましたのと同じように、私どもは二月二十五日に経営姿勢改革並びに経営合理化策の実施ということでもって新しいリストラ策を発表いたしました。  そこで、役員数削減役員賞与カット役員報酬大幅削減、それから相談役制度の廃止、交際費大幅削減、並びに行員につきましては、これは各行全部同じでございますけれども、三年連続のベアの凍結、それから私どもといたしましては、組合員も含めて賞与カットをいたしまして、諸手当の廃止等含めまして平均で大体一〇%程度の処遇の引き下げを実行いたしました。  また、福利厚生施設につきましても先ほど御指摘ございましたけれども、現在の福利厚生施設は大体昭和三十年から四十年につくったものでございます。既に大体二件ぐらい売却しておりますけれども、今年度も二件ぐらい売却をするということでございまして、そちらの方の整理も進めているところでございます。  また、人員につきましては、私ども都市銀行さんに比べて全体の人員が少ないわけでございますけれども、既に一割減の目的を達成しておりまして、引き続き今年度は一般職の採用をゼロにいたしましてさらに削減を行うということにしております。  また、拠点数も、これも都市銀行さんに比べて少ないわけでございますけれども国内支店につきましては既に一割削減しておりますし、それから、今後海外拠点の大幅な見直しを行いまして、海外拠点削減あるいは縮小、合理化ということをやっていくつもりでございます。  したがいまして、こういった対策によりまして大体年間百二十から百五十億程度経費削減する。しかしながら、一方においてやはり前向きの投資も必要でございますので、前向きの投資あるいはシステム関係投資というものもございますけれども、それは別にいたしまして、今の諸施策によりまして百二十から百五十億の経費削減を行うということでもって真剣にリストラに取り組んでいるわけでございます。  最後に、経営責任ということでございますけれども、私どもは今回の不祥事件につきましては極めて厳粛に受けとめております。したがいまして、それに対して興業銀行信用を回復するということが最大の責務でございますし、そしてまた、それと同時にいろいろな改革を実施してビッグバンに備えていかなければならないということでございます。  まず、今回の事件に対する再発防止策といたしましては、一月二十八日に公務員並びに準公務員に対する接待の原則禁止ということを通達いたしました。それから、二月二十五日にコンプライアンス統括室というのを設置いたしまして、法令並びに倫理に対する遵守、これを行う組織的対応を実施しております。それからさらに四月三日、先週の金曜日でございますけれども、ちょうど私ども部店長会議がございまして、私から新しい経営改善項目というものを出しまして、その第一に、企業体質抜本的見直しという項目でもって特にコンプライアンス遵守というのを徹底する、このように指示をしておりますので、そういったことでこれからの銀行経営をやっていくというのが我々の責任である、このように考えております。
  7. 井奥貞雄

    井奥委員 三行の頭取にそれぞれの分野での御意見やら御決意を承りました。しっかりこれを国民にわかりやすく、また借り手の皆さんにそれぞれわかりやすく実行していただきたいと思います。  二点目でありますが、特に富士銀行山本頭取、さくら銀行岡田頭取住友西川頭取にお伺いをしたいと思います。  銀行公的資金注入をされるというのは、信用秩序の維持に不可欠な決済機能を守るということに加えて、ここが大事でありまして、金融システムを守るということは決済機能を守るということでありまして、我が国産業企業が日々経営を行い、また成長を図るために必要な資金を十分に行き渡らせるという銀行公的性格が考慮されたためと私は考えております。  ところが、さきに公表された大蔵省調査結果を見ても、大手銀行ほど貸し渋りが厳しく、多くの中小企業から怨嗟の声が上がっている。各行はそれぞれ公的資金注入を受けたところであり、その分の責任が重いと言えます。しかし、貸し渋りは一向に減るということではなくて、かえってふえている状態でありまして、自行それぞれにおいて行き過ぎた貸し渋りを防止するために、具体的にそのことにつきましてどのような配慮をしておられるのか、また、今後どのような配慮をしていかれるのか、その見識をお示しいただきたいと私は思います。  そして、実は三点目にお伺いをしょうと思ったのでありますが、時間が参ってしまいました。このことにつきまして含めて御意見をいただければありがたい。  我が国産業構造の推移を見てみますと、就業労働、第一次産業が数%になりました。第二次産業が三〇%をやや超えております。そして、第三次産業が六〇%を超えているわけでありまして、経済サービス化が進んでいるのでありますが、我が国の将来を考えると、物づくりを忘れた国は滅びる、第二次産業の中の製造業にもっと頑張ってもらう必要があると思われます。  今後、ビッグバンが進行する中で、中小零細を含む製造業が元気で活躍をし続けるためには金融面でどういつだ配慮をしていただけるのか。そして、ベンチャー産業が新しく日本の国の中心的な産業になるようにそういった産業育成する、これはバンカーとしての大きな役割があろうと私は思います。そういった意味を含めましてぜひひとつ御質問をさせていただきます。  時間でありますから、では一行、富士銀行さんにお聞きをいたします。
  8. 村上誠一郎

    村上委員長 手短にお願いをいたします。
  9. 山本惠朗

    山本参考人 富士銀行山本でございます。  貸し渋りその他、いろいろな面で皆様に御心配をおかけしておりまして、また御迷惑をおかけしておりまして、大変申しわけなく思っております。  貸し渋り問題についてどういう対応策を講じているかというお話でございますが、私ども劣後債を一千億調達をさせていただきました。これによって出てまいります自己資本の余裕をもって貸し出し増加に振り向けようということで、中小企業を中心に、三月の上旬、この公的資金導入がほぼ最終段階に来た段階で、営業店指導をいたしましてやっております。現実の数字は、三月末で若干の増加、それからそれ以降、四月に入りまして前年に比べまして足取りがいいようでございまして、おかげさまでこの効果が実際の貸し出し面に出つつあるというのが現状でございます。  それから第二点目の、物づくりが肝要である、日本経済発展のためには物づくり製造業育成が大事である、御指摘のとおりだというふうに私も考えておりまして、私ども、特に新しい技術事業化というものについていろいろ手をかすべきではなかろうかということで、ベンチャーキャピタルにつきましては子会社を通じて資本の供給をする。他方で、公益法人ベンチャービジネス育成資金というものを設けまして、すぐれた技術を持った企業事業化のための資金の援助、これは寄附でございますが、これをやっているところでございまして、私どもとしても、できる限り我々の守備範囲の中で、新しい技術によって日本経済がさらに次の大きな発展ができるような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  10. 井奥貞雄

    井奥委員 せっかくそれぞれの頭取にお越しをいただきましたが、全部の参考人皆さんから御意見を聞くことができずに大変残念でありますが、またの機会にぜひひとつこういった意味で御指導をいただければありがたいというふうに思っております。  それでは終わります。
  11. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、濱田健一君。
  12. 濱田健一

    濱田(健)委員 社会民主党の濱田健一でございます。九銀行代表者皆様方には早朝よりお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。  初めに、住友銀行西川参考人東京三菱銀行岸参考人にお伺いしたいと思うのですが、今の井奥委員質問に関連してでございます。  きょうの新聞各紙によりますと、住友銀行が三日付で大蔵日銀汚職贈賄側としての内部処分を実施したことが明らかにされております。内容的に見まして処分が軽過ぎるのではないかというふうに私は感じました。そして、そのことについては、きょうこうして参考人皆さん方においでいただいて私が質疑をするということがわかっておりました多くの友人からも、けさ電話をもらったところでございます。経営者の減給もしかり、MOF担に対する重譴責という処分も、私が知っている限りでは、いわゆる厳重注意という文書によるおしかりだというふうに思っております。  大蔵日銀のトップも引責の辞任をされておりますし、収賄罪に問われている者も懲戒免職という厳しい処分が下されているところでございまして、今まだ捜査の段階でございますけれども、犯罪を問われている両者が内部処分でこうも大きく違ってくると、国民が本当に納得するのでしょうかというふうに私は思いたいのでございます。  今週には東京三菱銀行もこの処分を発表されるというふうにお伺いしておりますが、両参考人に御見解をお伺いしたいというふうに思います。
  13. 西川善文

    西川参考人 住友銀行西川でございます。  今回の不祥事によりまして大変世間をお騒がせし、皆様に御迷惑をおかけしたことを、まずもって深くおわびを申し上げます。  処分は三日付でいたしたわけでございますが、内容につきましては、先生のおっしゃる内容でございます。会長、頭取は二割三カ月、月例報酬の二割を三カ月ということでございますし、略式起訴をされました大蔵省窓口担当は重譴責という処分でございます。これは、私ども内部規定に照らしまして私どもなりに精いっぱいの処分をさせていただいたつもりでございます。  接待につきましては長年の慣行として行われておったものでございますが、それが漫然と続けられていたということ、その中で行き過ぎが生じたということでございまして、それにつきましては私どもトップの監督不行き届きということがあろうかと存じます。  それから、担当者につきましては、大蔵省窓口担当としてやっておりますと、長年の慣行の中で接待というものがいわばつきまとっておったわけでございまして、その中で行き過ぎが生じたということでございますので、ある程度情状酌量をする余地があるという判断のもとに重譴責ということにいたしまして、解雇までは考えなかったということでございます。  以上のような事情でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  14. 岸曉

    岸参考人 岸でございます。  私ども銀行ではまだ検討中でございまして、略式命令の写しを入手いたしましたのも昨日なものでございますから、ただいま、どういう処分にするか、行内で鋭意検討しているところでございます。
  15. 濱田健一

    濱田(健)委員 非常に苦渋の中でいろいろとされていることは私自身も理解いたしますが、公的資金投入という国民の税金を使いながら立て直しを図っていかれるという意味では、先ほどの井奥委員の行内リストラを含めて、国民に見える形で健全な方向性というものを示していただきたいというふうに強くお願いをしておきたいと思います。  貸し渋りでございますが、先ほどもお話がございましたとおりでございます。国民の側から見ると、史上最低の公定歩合〇・五%という低金利水準によって金融機関の収益力は十分この何年かの間に高まっているのに、どうしてお金を貸してもらえないのかという素朴な疑問がございます。  これから後は岸参考人に総括してお聞きしたいわけでございますが、貸し渋り現象はなぜ起きたのか、起きているのか、簡潔にお答えいただければ幸いでございます。
  16. 岸曉

    岸参考人 ただいま先生から御質問の点につきまして、私見でございますけれども、いろいろ我々も日夜考えさせられるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、日本全体の資産の目減りによりまして銀行貸し出し余力というものが非常に弱くなってしまったということが根底にございます。そういうことが根底になりまして、そこへ株安、円安というようないわば追い打ちをかけられまして自己資本比率の壁というものが非常に高くなってしまったということが原因であろうかと思います。  私ども銀行といたしましては、大企業の方はやはりいろいろと資金調達の道がございますので、お取引先ごとにそういう他の方法、資金調達に御支障のないいろいろな方策を御相談申し上げて、そちらの方でできるだけリスクアセットを圧縮しながら中小企業の方に力を入れて、貸し渋りと言われるような現象が起こらないようにというふうにやっておるところでございます。  それから、金利との関係でございますけれども、おっしゃいますように、非常に低金利に向かいまして、今定着しているわけでございますけれども、その間、銀行の利ざやといたしましては、むしろ利ざやが低下をいたしまして、今〇・三台でございますか、欧米諸国の銀行に比べますともう問題にならないくらい低い利ざやで我々やっておるつもりでございます。今後、ビッグバンで諸外国の金融機関との競争も激しくなってまいりますものですから、日本銀行がどんどん資産をふやせる状態かと申しますと、どうもそれはそうではなくて、資産効率というものを上げていかなくてはいけない、そうしないとこのビッグバンの中で競争に勝てない、こういう非常に苦しい状況に置かれているということはぜひ御理解をいただきたいところでございます。  いずれにいたしましても、個々のケースで健全な企業が金繰りに困って経営がやっていかれなくなるというようなことがないように、今後とも十分に努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  17. 濱田健一

    濱田(健)委員 いろいろと原因は重なっていることも承知をしております。しかしながら、私たちが考える銀行貸し出しの圧縮、いわゆる貸し渋りというものについては、今までもいろいろな場で論議がなされてきましたように、バブル崩壊以降の不良債権処理にもたついてきたこと、そしてことし四月以降の早期是正措置への対応に終始してこられたことなどが挙げられると私は思うのでございます。  こういう問題への対処については、当然本来的に銀行が自己責任に基づき解決を求められる課題でありまして、貸し渋りの問題は銀行本人というか自身にあることは、国民全体を含めてそのように思っているというふうに思います。  ただし、今回の公的資金投入というのも、百年河清きを待つという方式が許される状況にはございませんので、政府の方としてもこういう措置をとったというふうに私自身も思っております。要するに、金融危機管理勘定が優先株等を引き受けることによって各銀行等の自己資本比率を高め、貸し出し余力増加に直結をさせるということをもくろんでいるところでございます。  私は、公的資金に頼らざるを得なかったという現状から見てみたときに、金融マンとしての誇りからすれば本当にじくじたるものがおありであろうというふうに思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  18. 岸曉

    岸参考人 ただいま御指摘のように、原因、要因は、いろいろと遠因、近因あるわけでございますけれども、我々が我々の使命であります円滑な金融機能というものを果たすことが難しくなって公的資金導入を仰いだ。もしこのままで我々がこの自己資本比率をクリアしょうとすれば、相当思い切ったリスクアセットの圧縮、したがって、健全な企業までもなかなか金が回らなくなるという事態が起こり得る心配がございまして、そういうものがまた経済全体の信認を失ってデフレスパイラルになる。こういうことではぐあいが悪いわけでありますから、こういう公的資金注入を仰ぐことになったわけでございます。  その点につきましては、金融人といたしましてまことに残念なことだと思っておりますが、一刻も早くこういう状態を是正をいたしまして、公的資金もきちんとお返しして、そして経営の健全性を早く取り戻したい、このように考えております。
  19. 濱田健一

    濱田(健)委員 貸し渋りについて、もう一回要望を申し上げておきたいと思います。  公的資金の投入、この措置が当然、経営の悪い銀行を税金で救うとか恣意的な判断に基づいて発動されることがあってはならないというふうに私自身思っておりますし、日銀の方も、いわゆる中央銀行としてもいろいろなアドバイスをされるだろうというふうに思っておるところでございます。それだからこそ、国民が納得する経営健全化計画の確立とともに、公的資金注入によって自己資本比率の向上が可能となった銀行等の迅速かつ明確な貸し出し実行策こそが問われているというふうに思います。  貸し出し増強に向けた具体策を、全銀協としても、お互いの銀行間の協議の中でどのように講じていくおつもりがあるのか。また、特に、経営が順調な中堅・中小企業へも新規追加融資を渋ったり、今貸しているお金を返済すれば新規の融資に応ずるとしながらそのことが実行されていないという、いわゆる窓口での信義に反するような対応大手銀行にも見られているということを散見するところでございまして、このようなことをどのように把握されておられるのか、お聞かせ願いたいというふうに思います。  また、大手の企業もそうでございますが、日本経済産業を支える中小企業へのいわゆる政府系の公的なお金についても努力をしているところでございますけれども日本経済を支える中小へのバックアップというものの可能な限りの具体策といいますか、そういうものがおありだったらお聞かせ願いたいと思います。
  20. 岸曉

    岸参考人 全銀協といたしましては、昨年の十二月二十四日でございますけれども、御要請を受けまして、貸し渋りというものを起こさないように傘下の全銀行に通知、通達を発したところでございますし、また、この二月にも、改めまして期末に向けて貸し渋りを起こさないように示達をしたところでございます。  また、各地の銀行協会におきまして、よろず相談所、この融資の相談機能というものを特に強化をいたしまして、お客様方からのいろいろな苦情や御要望を受け付けるようにしたところでございますし、また、個別銀行といたしましても、それぞれの銀行でそういうお客様からの声をできるだけ吸い上げて営業に反映するような努力をいたしておるところでございます。  今後とも、こういう努力をさらに強化してまいりたいと思っております。
  21. 濱田健一

    濱田(健)委員 時間が参りましたので、最後一問だけ。  地元に帰りましても、いろいろなところで国民皆さん方からお話をお聞きしましても、今回の公的資金の投入、これらを機会にしながら金融機関の政治献金を凍結する必要はないのかという話をお伺いするところでございます。これは、どこがどう、どこの政党がどうということではなくて、いわゆる公的な資金銀行が国からお借りするという状況の中で政治献金というものが政党に回っていく、政治家に回っていくということは国民自身は許しがたいという思いで、私にそういうふうに国民皆さん方が話をしてくださるというふうに思います。  今回の公的資金投入が金融機関としての経営道義、倫理を問う課題でもあるというふうに思いますが、明確な御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  22. 岸曉

    岸参考人 まず最初に、政治献金につきましては、ただいまどちらからも御要請をいただいておりませんので、現在のところは我々白紙で、全く考えておりませんけれども、政党助成法や政治資金規正法の改正等によりまして今後企業の献金というものはだんだん少なくなっていく方向なのではないかなというふうに理解をいたしております。  公的資金でございますけれども、これは資本の増強ということで公的資金導入を仰いだわけでございますけれども経費の支弁でありますとか、利益の、何といいますか補てんでありますとか、そういう性質の資金ではございませんので、そこのところを直ちに結びつけて考えるべきかどうかということについてはもう少し考えさせていただきたいというふうに思っております。
  23. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございました。
  24. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、上田清司君。
  25. 上田清司

    ○上田(清)委員 民友連の上田清司でございます。  きょうは、参考人皆様方にはおいでいただきまして、本当にありがとうございます。少し厳しい話もあるかもしれませんが、ぜひ御理解をいただきたいと思います。  早速ですが、東京三菱銀行住友銀行三和銀行海外で優先株発行をなさっておられるわけでございますが、本当にこの三行に関して公的資金を受ける必要があったのかどうか。私に言わせるとサクラ銀行をたくさんつくっていらっしゃるのではないか、こんなふうに思っているわけなんです。  今の意味がわかったかどうかわかりませんが、東京三菱住友、三和、そして興銀に伺いたいのですが、本当に公的資金資本注入を受ける必要があったのかどうか、お伺いしたいと思います。
  26. 岸曉

    岸参考人 ただいまの御質問の前提でございますけれども東京三菱銀行海外における優先株の発行は行っておりませんので、そこのところは御修正をいただきたいと思います。
  27. 上田清司

    ○上田(清)委員 質問に答えてない。では、もう一度言います。  海外で優先株発行を予定されておられて、本当にBIS規制を達成されておられるし、世間的に言うと、必ずしも一律的に東京三菱銀行三和銀行住友銀行資本注入を受ける必要がなかったのではないか、こういう批判が世に多いわけであります。我々もそう思っておりまして、本当に横並びにする必要があったのか、まさにサクラの役割をしていたのではないか、そういう意味で申し上げたのです。
  28. 岸曉

    岸参考人 どうも失礼いたしました。  この三月末に向けましてBISの自己資本比率規制をどのようにクリアするか、できるかということについて、私ども、一月、二月、非常に苦慮しておったところでございます。そして、申請時点におきますリスクアセットの数字でございますけれど、これは為替の水準によって変わりますものですから、仮に平成九年度中の為替と株価の水準が三月三十一日に我々に最も不利になったらどういうことになるであろうかということで試算をしておりました。  為替は一月七日の百三十四円十銭、株価は一月十二日の一方四千六百六十四円四十四銭、これが九年度中に起きました一番悪い、我々にとって不利な水準でございます。この不利な水準が同時に三月三十一日に我々に襲ってきたら一体我々の自己資本比率はどうなるであろうかということを計算いたしましたところ、七・八五%ということに相なりまして八%はクリアできない、こういうことになったわけでございます。  それで、これを八%以上にいたしますためには、自己資本の中のティア2と言われている、これは永久劣後債なんかがそれに当たるわけでございますけれども、このティア2があと八百九十億円あれば最悪の事態になっても八・〇%にできる、こういうことでございました。それで、不動産の含み益の算入ができればこれは楽になったわけでございますけれども、まだ法案の御審議中でありましたから、仮にそういうことを当てにしなくても八%を最悪の場合クリアするにはどうしたらいいかということで、八百九十億円でありましたけれども、一千億円の資本注入を申請させていただいた、こういうことでございます。
  29. 西川善文

    西川参考人 お答えいたします。  私ども、二月に米国市場におきまして十八億ドルの優先証券、これは優先株ではございませんで、ティア1にはカウントされますが、優先証券でございます。これを十八億ドル、円貨にいたしまして約二千三百億円になりますが、発行させていただきました。  この経緯は、昨年の秋口から実は計画をしたものでございます。と申しますのは、平成九年度中に、下期になるわけでございますが、不良債権問題にけりをつけよう、早期是正措置に伴いますものでございますが、ここで不良債権問題にけりをつけようということで大量償却を行う。当時八千億円と試算をいたしましたが、その後これがさらに膨らんでおります。当時は八千億円で大きな赤字決算をしよう、こういうことにしたわけでございますが、そうなりますと自己資本比率に問題が出てまいります。したがいまして、去年の秋口としては、当然のことながら自助努力資本を補てんしていかなければならない。こういうことからこの優先証券というスキームを考え、米国の証券会社といろいろと協議を始めたということでございます。  その後、年がかわりまして、公的資金の投入問題が起きてきたわけでございますが、これにつきましては、私どもは、自己資本の中でティア2という部分でございますが、こちらに不足がございます。さらにまた、既に発行しておりますティア2における永久劣後債につきましても、コールオプションの期日が到来するものがこの四月以降の三年間で約一千億ございます。これの再調達も必要になるわけでございまして、当時このマーケットはなかなか厳しいものがございました。うまく調達ができるかどうかわからないという状況でございましたので、これに見合うものとして今度一千億円の投入をお願いいたしたということでございます。  これによりまして約一兆円の貸し出し余力が生じてまいります。これによりまして、昨年度三月、この三月から今後三年間程度の間に、主として中小企業向けにこの貸し出し余力を充当してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  30. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 佐伯でございます。  昨年の六月に定款を変更しまして、実は優先株を発行できるという形で待機していたわけですが、昨年じゅうはそういうマーケットの状況にございませんで、したがって、何もしないでいきますとティア1の数字が一兆七千億、それからティア2が一兆六千五百億ということで五百億の差。まあ、ティア2とティア1が同一だったら一番いいという数字なんですが。そこへ、ことしの三月になりましてマーケットが戻ってきたということで、ティア1になる優先株を千五百億発行いたしました。したがって、一兆八千五百億になりまして、ティア2との差が、二千億の差ができたわけでございます。  したがって、この二千億というのは、あと補完項目、ティア2をふやせばそれだけ自己資本をふやせるということで、私どもはこのティア2に当たります劣後債の購入をお願いして、したがって、ここで自己資本をふやして貸し出し余力がふえたということで、申請にも五千億の貸し出し増の計画をもって申請をさせていただいたというのが実情でございます。
  31. 西村正雄

    西村参考人 お答え申し上げます。  私どもも先ほど西川頭取の御説明のように米国で十億ドルの優先証券を発行したわけでございますけれども、理由は西川頭取のおっしゃった同じ理由でございます。  先ほど申し上げましたように、私どもは今度の決算で六千三百億の不良債権償却いたしまして三千五百億の赤字を出します。したがいまして、あくまでも自己努力でもってBISの比率を達成するということを考えまして、ティア1に算入される優先証券に大変魅力を感じておりまして、かなり長い以前からこの検討をしてまいりまして二月に実行したということでございます。また同時に、国内で約一千億の劣後債導入を自力で行いました。  この努力によりまして、一月末の株価並びに為替の水準を前提としまして、大体九%程度自己資本比率は赤字にもかかわらず達成できる見通しであったわけでございますけれども、それにもかかわらず公的資金を申請いたしました理由が三つございます。  一つは、この法律にございますように、金融システム安定並びに金融機能の維持を図る観点でございます。  第二番目は貸し出し余力でございまして、やはりこの一千億の注入によりまして約一兆円ほど貸し出し余力がふえるということでございます。審査委員会でも御説明申し上げましたけれども、平成九年度末と平成十年度末で我々は約一兆円の資産増加という計画をお出ししております。  第三点は、以前とりました劣後債で、これはティア2でございますけれども、約千五百億、今年度中にデューが参ります。したがいまして、そのためにもこの公的資金というもののお願いをした。この三点でございます。
  32. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  富士銀行にお聞きしたいのです。先ほど東京三菱などは相当細かく、八百九十億という数字を出されてこられましたけれども、我々から見ますと、全部一千億の横並び、一体いかなるものかというふうに思いますので、なぜ一千億だったのか、もう一度。
  33. 山本惠朗

    山本参考人 お答え申し上げます。  先ほどからティア1、ティア2という説明がございましたので、それに従って御説明しますと、劣後債導入前の私どものティア1の見込みが一兆七千七百億でございます。ティア2の見込みが一兆六千二百億でございまして、その差額が千五百億になるわけであります。私どもとしましては、なかなかコストの高い資金でもございますし、マーケットでとる機会もあろうということで、一千億を調達させていただいたというのが背景でございます。  以上でございます。
  34. 上田清司

    ○上田(清)委員 今お聞きしましたように、東京三菱銀行は細かく八百九十億という数字を出されました。株価の最悪の時点での水準で数字を考えられてきたという経緯がありますが、そういう経緯でいくとほかの銀行はもっと大きな数字が出てこなくてはいけない、こんなふうに私は考えますし、こういう横並びのやり方そのものが世界の市場から不信で見られていく、こんなふうに私は考えております。この話をし始めるとちょっと時間がなくなりますので、これで終わりますけれども、ぜひそういうことがないように今後やっていただきたいと思います。  今お話がありましたように、約一千億で一兆円の貸し出し余力が生まれる、こういうことで、審査委員会の方でも今井委員が、この資本注入によって約二十兆円、貸し出し余力が生まれるということで、いわば資金力不足に悩む中小企業皆様方は、これで本当に貸し渋りがなくなるのかな、そういう関心を持っておりますが、この中で例えば何%、中小企業に関しては貸し出し余力をふやすんだということを数字の上で明確に言えるのかどうか。私は新聞報道なんかで東京三菱銀行が二・八とかというような数字を見たことがあるのですけれども、これが事実かどうかわかりませんが、中小企業への貸し出し余力をこの資本注入によって何%増加させることができるのかどうかということについて、それぞれお聞きしたいと思います。  それでは、恐縮ですが、さくら銀行岡田頭取、お願いいたします。     〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
  35. 岡田明重

    岡田参考人 さくら銀行岡田でございます。よろしくお願いします。  私ども、この前公的資金導入の申請をさせていただきましたときに、公的資金注入前と後で自己資本比率が同じ比率ということになるとした場合には、計算上、約一兆二千億のリスクアセットの増加が可能だというふうに記載をさせていただいております。ところが、実際にはリスクアセットは、注入前の予定レベルから比べまして実績では五千億円程度増加にとどまっております。そういうことで、思ったとおりの貸し出し増加はできておりません。これから努力をして積み上げてまいりたい、かように考えております。  それから、貸し出しの実際の残高につきましては、私どもの数字をごらんいただきますと、全体として一兆二千億円程度減少をいたしております。これは、昨年度に、今年度じゅうに不良債権を可能な限り処理をしていこうということを決めまして、そういう観点から不良債権償却とそれから思い切った売却というものを進める、そういうことによって貸し出しの余裕をつくって、それをもって健全なお取引先への貸し出しをしょうということをもくろんでまいりました。実際に約七千億の償却を実施し、さらに四千億円の不良資産売却を実施いたしました。それによって貸出金が表面、大きく減少しておる。  それから、大企業につきましては、CPシフトそれから資産のパートアウトということに努めまして、資産を軽くし、いわゆる中小企業向けについては約四千五百社の新規先を開拓して約三千億円の資金を貸し増す、そこだけではございませんけれども、そういう努力をしてまいっております。その結果としまして、中小企業向けの貸出比率はたしか七〇・四%、前九月に比べまして〇・五%ですが上昇をいたしております。今後もそういうことで努力をしてまいりたい、かように考えております。  以上でございます。
  36. 上田清司

    ○上田(清)委員 今のお話だと〇・五%中小企業に関して貸し出し余力増加するという話です。  それではこの一兆円の大枠が広がったという感覚からすればとても考えられない数字なのですが、この点についてどのような御感想をお持ちですか。
  37. 岡田明重

    岡田参考人 お答えします。  今申し上げましたのは、中小企業向けの貸出比率が〇・五%というふうに申し上げました。健全先に対する貸出金の残高の増加はまだ三千億円にとどまっております、こういうふうに申し上げました。  こういうことでこれからも努力してまいりたい、こういうことでございます。
  38. 上田清司

    ○上田(清)委員 質問の趣旨は、今回の資本注入によってどれほど貸し出し余力がふえるのかということが国民の関心であります。三千億出しておりますという話では、実は前回は二千九百億だったのかもわかりませんし、そういう数字ではわからないわけでありまして、例えば何%貸し出し余力がふえたのだ、そういうお答えをしていただきたいと思います。  これは、中小企業という枠の中で数字が出ていないということであれば、貸出先全部でも構いませんけれども、できれば経済企画庁の言う基準の中小企業という枠の中で、各行頭取に、今回の資本注入によって貸し出し余力がこれだけふやせるんだというパーセンテージを国民はやはり聞きたいと思うのですね。と申し上げますのは、各支店で、本店が本店がと言っているのです。それをもって貸し渋りの理由にしているのです、本店の基準が、本店の指示でと。そういうお話を、ないということを満天下の国民皆様方に、本店ではこういうふうにしてきちっとやっている、御安心くださいということを申し上げていただきたい。  そういう意味で、それでは恐縮ですが、もう端的に五秒ぐらいで結構ですから、第一勧銀からさくら、富士、東京三菱、あさひ、三和、住友日本興業銀行日本長期信用銀行、それぞれお願いいたします。
  39. 杉田力之

    杉田参考人 第一勧業銀行杉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私どもは、このたびの公的資金導入に際しましては優先株式で九百九十億円お願いを申し上げて、この点大変特徴的かと思いますけれども、理論上は、貸し出しの余力というのは一兆二千五百億、八分の一%を逆算しますとそういう数字になろうかと思います。  私ども、実はただいま貸し出しの残高の約七〇・四%が中小企業向けでございまして、債務者の数、お借り入れいただいているお客様の数で申しますと九割でございます。これからの貸し出し運営に当たりましては、大企業はやはり資本市場というところで資金調達というのはいろいろなアクセス、方法もございます、そちらの方になるべく調達のソースを移していただき、およそ健全な資金需要を持つ中堅・中小企業のお客様には決して御不便をかけないように運営してまいりたい、このように思っております。
  40. 上田清司

    ○上田(清)委員 申し上げますが、今回の資本注入国民皆さんの一番の関心は、どれだけふえるんだということに関して関心があるのです。これはもう新聞報道なんかでも明らかでしょう。そのことをこの国会で聞きたいというのが今回の主な目的なんです。その問題に関して抽象的にお答えされるのでは困ります。例えば数字が上がっていないとか、そういう明確な答弁であれば、それはそれで結構です。しかし、三月が過ぎて、四月、五月、六月の中でいろいろな統計が出てきまずから、その中で皆さん方国会で答弁されたことと中身が違ってくればおのずから、大蔵省はうそをつき、そして銀行皆さんはうそをついたということを、この後にまた改めて責任を問うような形になると思います。そういう意味できちっと答弁していただきたいと思います。抽象的なことはもうよしてください。どのくらいかということだけをお答えしてください。  さくら銀行、お願いいたします。
  41. 岡田明重

    岡田参考人 先ほど申し上げましたように、一千億の資本注入で約一兆二千億の貸し出し余力が、自己資本比率を一定というふうに前提を置けばそういうことに相なります。したがって、私どもの総貸し出しは全体として約三十兆でございますので、三、四%の貸し出し増加、全体としての増加余力が出る、こういうことに相なります。  以上でございます。
  42. 山本惠朗

    山本参考人 富士銀行の場合の考え方を申し上げます。  一千億円の劣後債によって生ずる貸し出し余力は約一兆円という理解をしております。先ほども申し上げましたように、三月の中旬から貸し出しの量の制約というものを緩和いたしておりまして、四月に入りまして徐々に成果が出てきております。いつまでに幾らということは、個別先の信用の判断の問題がございますので金額を申し上げられませんが、大企業についてはふやさない、海外もふやさない、中小企業、個人を中心に余力を使っていきたいという方針で運営をしてまいります。  以上でございます。
  43. 岸曉

    岸参考人 御要請でございますから、数字だけ申し上げます。  三月末、対前年比、国内総貸し出しの、これは流動化や何かを調整しましてお客さんと相対でどうなったかという数字でございますが、プラス七千三百四十億、うち中小企業四千八百五十四億、公的資金注入のおかげでこれだけ増加することができました。
  44. 伊藤龍郎

    伊藤参考人 あさひ銀行伊藤でございます。  私ども中小企業、個人を主体に銀行経営をやっております。公的資金一千億円の注入を受けまして、今後三年間、二兆七千億の貸出計画をいたしております。すべて中小企業、個人でございます。大企業は横ばいと考えております。ただ、総貸出金につきましては、不良債権の回収あるいは株式の持ち合い等の回収を行いますので、一兆五千億程度増加になります。  以上でございます。
  45. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 三月末の数字をちょっと持っておりませんけれども、我々、資本注入をしていただいたときに五千億という増加計画を出しております。我々の銀行中小企業比率が八〇%と非常に高いので、比率がどれぐらいふえるかということはありませんが、先ほどお話がございました全体の枠というようなものは一切行っておりませんので、この五千億は恐らく中小企業でふえていくということになろうかと思います。
  46. 西川善文

    西川参考人 それではお答えいたします。  数字だけ申し上げますが、この十年三月期、一年間の増加額は、中小企業向け並びに個人向けを含めておりますが、七千五百億でございまして、全体に占める割合は七五%でございます。十年度から十二年度にかけて計画を持っておりますが、同じベースで申し上げまして中小企業向け等で一兆五千億でございます。その他のところでは、海外、それから政策投資株式、債権流動化等で減少ということを計画いたしております。  私どもは、海外で加州住友銀行、これは四十五年の歴史のある銀行でございますが、これを売却する、それから十数カ店の店舗を閉鎖するということにいたしておりまして、これによりまして約七千億の資産圧縮ということを考えておりますが、これもその中に含めております。  以上でございます。
  47. 西村正雄

    西村参考人 私どもが先般審査委員会に提出した数字で申し上げますと、資本注入前の九年度末のリスクアセットは二十九兆五千億でございましたけれども資本注入後、十二年度末のリスクアセットは三十一兆円ということでございまして、リスクアセットを一兆五千億増加する、こういう計画になっています。  ただし、私どもはリスクアセットの増加にはかなり慎重でございます。それと貸し出しということは別だということをぜひとも御理解いただきたい。つまり、私どもは貸国債権の流動化というものを積極的に進めております。したがって、本委員会でSPC法案がぜひとも順調に御承認いただけることを御期待申し上げております。  それからもう一つ、本部と支店の関係でございますが、私どもは昨年度、決済基準を見直しまして、むしろ本部より支店に対する決済権限を与えております。  以上でございます。
  48. 大野木克信

    大野参考人 長銀の大野木でございます。  私ども銀行経営方向でございますけれども、御承知のように、昨年スイスの銀行との提携等に見られますように、投資銀行業務というものを拡充して産業の期待にこたえたいという方向を大きく打ち出しておりまして、その意味では、取引先の資金需要を、貸し出しということだけではなくて、広く証券化とか直接金融とか、そういう方向でこたえていきたいという方向をとっております。しかしながら、そうした中で、やはりそういったものに向くのは大企業が中心でございますので、大企業をそういう方向に向けた余力を中小企業の方にできるだけ向けたい、こういう方向で考えていきたいと思っております。  ちなみに、手元にある数字で申しますと、昨年、平成九年三月末の中小企業貸出比率が四五%台でございましたが、この十月末には四六%を超えるということで、それなりに中小企業のウエートを高めていく、この方向は今後とも私どもの戦略としては強めていきたいと思っております。  以上でございます。
  49. 上田清司

    ○上田(清)委員 どうもありがとうございました。また改めて聞く機会がありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。  それでは、いわゆるMOF担、何らかの形で大、蔵省の情報やもろもろのつながりをつくるためにということで担当を置かれていたというふうに、これはもう白日のもとにさらされているわけでありますが、今おいでになっておられます頭取皆さんMOF担を経験された方がございましたら、大変恐縮ですが、挙手していただければありがたいと思います。いかがでしょうか。——ありがとうございます。恐縮です。三和銀行佐伯頭取ですね。  経験から申しまして、なぜMOF担は必要だったのでしょうか。
  50. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 MOF担と言われて手を挙げましたけれども、実は、MOF担というのはもう一つ若い人のことかもしれません。企画部の次長ということで私は全体の企画をしながら、企画をいろいろやるについては大蔵省との折衝その他が必要なので大蔵省にも出入りをしたということで、その当時は次長がいて、担当者がいて、この担当者が大蔵省にいろいろな情報、あるいはいろいろな交渉事に行っていたというのが、つい先日までもほぼ同じ形で続いていたということでございます。
  51. 上田清司

    ○上田(清)委員 実は、銀行だけが悪いというふうに私は思っておりません。ある地銀の頭取と二時間ほどお話をさせていただく機会をいただいたとき、諸悪の根源はどこですかと聞いたら、通達行政にあるのではないかというようなことで、過日、大蔵委員会でもそのことをお話しさせていただく機会がありましたけれども、これは五カ年分の大蔵省の通達なんですよ。これは目次だけなんですよ。  それで、きのう、正月の正で平成八年度と九年度の通達がどのくらいあったか数えてみたのですよ、銀行局だけ。そうしますと、この小さなメモ紙では間に合わなくなってきまして、どんどん正しいという字が小さくなってきまして、例えば平成八年度だけで百一、平成九年度で九十九、土曜とか日曜とか休日がありますので、二日に一回ぐらい通達を出す。これはもうほとんど病気ですね、便秘で三日に一回の人だっているのだから。  そういうことを考えると、もうほとんど毎日に近い形で通達を出されている。もちろん、農水省と共管の部分などもあります。そういうのもありますけれども、二日に一回ぐらい通達を出されて、それを研究していれば、法律と違って通達ですから、裁量の幅がありますから、そういう中でどういう意図なのか、あるいは裁量の範囲はどこまでなのかということである程度聞き込みをせざるを得ない、そういう仕掛けに問題があると私は基本的には思っております。  それはそれとしても、しかし、だからといって過剰接待が許されるものでもない。これは当たり前のことであります。しかも、その過剰接待の中には、過剰接待を受けながら日銀の内部資料を事前に知らすとかあるいは聞き込むとかというようなことを三和銀行あるいは興銀におかれてやってこられたという経緯があります。こういう問題はちょっと簡単に見過ごすわけにはいかない。  具体的に申し上げれば、例の吉沢被告の問題でありますけれども、もし、あらかじめそういう三カ月に一回つくっておりますいわゆる日銀の情勢判断資料の内容を公表前に知ることによっていわば内部のインサイダー取引に利用されるというようなことがあれば、銀行信用というのはなくなります。公明にして正大、こういうことが銀行業務において求められているわけでありますから、例えば取引先やお客様に対してそういうことを事前に教えることが可能であればいろいろなことができるわけですから、そういう意味でこれは許されることではないというふうに私は思います。  この問題に関して、日本興業銀行とそれから三和銀行頭取に、こういうことがあったというふうに私は理解しておりますけれども、実際問題、いかがなんでしょうか。
  52. 西村正雄

    西村参考人 吉沢課長の接待につきましては一担当者の意図といたしましては、日銀との間で良好な関係を築くということでやったわけでございますけれども、準公務員に対する接待をいたしたのは事実でございますので、それにつきましては深く反省し、また厳粛に受けとめています。  ただいま、事前に情報をとったのはいかがなものか、このような御質問があったわけでございますけれども、この日銀経済情勢についての判断等に関する情報に関しまして、日銀関係者との意見交換等の中で事前にヒアリングをしたことは事実でございまして、そのことについては深く反省をしています。ただ、一部に言われておりますように、情勢判断資料そのものを書面で事前に入手したことはございません。  また、この情報は、確かに金融経済動向を予測する上で判断材料の一つではございますけれども、この情報がそのまま金利動向を決定するものではございません。御承知のように、マーケットというのは大変巨大なものでございまして、マーケットの担当者は、あらゆる世界じゅうの情報を収集し、そして最後に自己の責任において決定をするわけでございますので、この日銀からの情報だけを判断してそれを決定している、それが有利なことになったということではないと考えています。  したがいまして、この問題は、深く反省はしておりますけれども、おっしゃるような意味での証券取引法上のインサイダー取引には当たらない、このように考えています。ただ、大変深く反省しておりますので、おわび申し上げます。
  53. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 今回の事件に対する事実といいますか、そういうことがあったということについては、行内調査でも承知しております。大変申しわけないことだと思っています。  ただ、情報の入手があったということは事実でございますけれども、これがインサイダーであるかどうかということにつきましては、私どもが司法の調書をきちんと見ているわけでもございませんし、我々が判断するものでもないと思いますので、これはインサイダーであるかどうかということについては私からはコメントを申し上げられないのですが、こういう疑われるようなことが接待を通じてあったということは、大変反省もいたしますし、以後あってはならないことであるというふうに考えております。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
  54. 上田清司

    ○上田(清)委員 それではお伺いしたいと思いますが、それぞれの銀行日銀に出向なさったようなことはございませんでしょうか、過去十年間で社員の方で。出向された銀行があればお答えをしていただきたいのですが。ございませんか。では、それぞれ、ないならない、あるならあるとだけお答えしていただければ結構です。
  55. 岸曉

    岸参考人 過去にはございました。現在はおりません。
  56. 上田清司

    ○上田(清)委員 十年以内ですか。
  57. 岸曉

    岸参考人 十年以内でございます。
  58. 大野木克信

    大野参考人 長銀でございますけれども日銀金融研究所という研究機関がございますけれども、そこにエコノミストの手伝いとして出向いたしております。実務関係ではございません。
  59. 杉田力之

    杉田参考人 第一勧銀の杉田でございます。  現在、調査統計局に一名出向中ということでございます。
  60. 山本惠朗

    山本参考人 富士銀行でございます。  過去に出向者がいたようでございます。現在、おりません。
  61. 岸曉

    岸参考人 申しわけございません。資料が間違っておりまして、訂正させていただきます。  現在、二名出向しております。
  62. 岡田明重

    岡田参考人 現在、日本銀行には、国際局国際収支課に一名出向をしております。以上です。
  63. 西村正雄

    西村参考人 現在、日本銀行には、国際局国際金融課に一名若手を派遣しております。主な職務は、海外金融情勢の調査と聞いております。  これは、九七年に日銀さんから、開かれた日銀の一環として日銀の業務実態を少しでも知ってもらうためというようなことでもって民間金融機関数行から受け入れを始めるというお話がありまして、そこから始まったと聞いております。
  64. 上田清司

    ○上田(清)委員 恐縮ですが、東京三菱岸参考人、二名というのは部署は詳しくわかりますか。
  65. 岸曉

    岸参考人 一名が市場リスク管理部、一名が調査部でございます。いずれも本年中に期限が到来いたします。——失礼しました。日本銀行の所属は、一名が金融研究所、それから一名が国際局の国際金融課でございます。どうもたびたび失礼いたしました。
  66. 上田清司

    ○上田(清)委員 どうもありがとうございます。  少し気になるところで、第一勧銀でございますが、これは調査統計局でございますか。
  67. 杉田力之

    杉田参考人 お答えします。  調査統計局でございます。以上でございます。
  68. 上田清司

    ○上田(清)委員 ここがいわゆる情勢判断資料を出すところですね。  この出向中は、身分はもちろん出向ですから、第一勧銀の方で給与とかの支払いはなされているわけですね。出向中ですから、当然身分は第一勧銀に所属されて、給与等も支払われていると思いますし、基本的には、出向先に忠誠を尽くすよりは出向元に忠誠を尽くすのが企業の論理であり、企業人の論理だ。こういうふうに考えると、これは日銀にも問題があるかもしれませんけれども、情勢判断資料などを作成する部署におられていささか御懸念というのはなかったですか。
  69. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  身分は、先生が御指摘のとおり、私どもより出向ということでございまして、日本銀行さんの方から月給の戻入をいただいているという形になろうかと思います。  なお、当人の仕事が調査統計局で具体的にどのような作業をしているか、詳細なことにつきましてはちょっと私も承知しておりませんが、少なくともおよそそのような懸念をされますような仕事はしていないというふうに確信しておるところでございます。
  70. 上田清司

    ○上田(清)委員 善人説をとりたいところですが、確信した後にいろいろな事件がぼろぼろ出てきましたので、ちょっと心配であります。このことを少し申し上げておきます。  それでは、公益法人などにいわゆる会費やら出資ということで、大蔵省や各省庁から何かと出費の要請があって困っているということだと思いますけれども大蔵省関係で、皆さんのところに公益法人の出資とか会費の要求とかでほとほと困ったというようなことでお話があっているのかないのか。  それでは代表して、恐縮ですが出番の少ない方に、住友銀行、いかがでございますか。
  71. 西川善文

    西川参考人 いろいろと大蔵省関係のそういったお話はございましたが、それぞれ検討いたしまして、当時は、これは有用であるという判断で、我々の独自の判断で出費をさせていただくということにしております。強要ということはなかったと思います。  ただ、経営合理化、効率化が必要な時期でございますので、これらを含めまして、すべてただいま見直しの対象というふうにいたしております。
  72. 上田清司

    ○上田(清)委員 強要と感じたようなところの銀行がございましたら御発言していただければありがたいのですけれども。(発言する者あり)  ちょっと質問の強要だと後ろからやじが飛びまして……。申しわけありません。多分にそういうことは言えないのが当たり前でありまして、そういうことが言えるような正しい大蔵との関係を今後私どももつくらせていただきたいというふうに思います。  それから、第一勧銀の杉田頭取にお伺いしますが、第一勧銀が以前大蔵の検査のときに隠ぺい工作をしたりあるいは非協力指令を出したりということが新聞報道で、特に九四年の大蔵検査を前に、いわゆる小池事件絡みの問題で非協力指令を各支店に出したりなされておりますけれども、こういう検査のときにさまざまな形で本当に隠ぺい工作をされたりあるいは非協力指令を出されたりするのかどうか。率直に、いろいろな意味で、この機会にいろいろな形での過去のマイナスの部分を清算するという意味でも、ぜひ正直にお答えいただければありがたいと思います。
  73. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  私どもの昨年の利益供与事件に関しましては、大変世間を騒がし、株主の皆様、お客様、国民一般の皆様に大変御迷惑をかけた点については、大変申しわけなく思っております。  先生の御指摘のとおり、九四年大蔵省検査におきまして検査を回避する行動があったことは事実でございまして、この点につきましては、銀行法違反ということで告発を受けまして、略式裁判で私どもは罪を認めたという経緯がございます。  私ども経営陣は、こうした点を踏まえまして、経営組織、経営風土の抜本的な改革を図りました。具体的な内容につきましては、ちょっと長くなりますのでポイントだけ申し上げますと、従来の業務執行のラインのほかに、日常的に業務の監査を行います業務監査委員会というのを並立いたしまして、これは実務的な強力な部隊を持っておりまして、そこで常時業務をチェックしていく、そういうことで工夫をいたしました組織でございます。  そのほか、コンプライアンス体制につきましても、各部店の部店長を責任者にいたしまして倫理行動基準を遵守する等徹底を図っておるところでございまして、およそかかることが二度と起きないよう徹底しておるところでございます。  以上でございます。
  74. 上田清司

    ○上田(清)委員 どうもありがとうございます。  第一勧銀ですらこんなことがあったということであれば、この横並び的志向の強い各行にあって同じようなことがあり得たのではなかろうかということも考えざるを得ない。そういう意味において、今後そういうことがないようにしていただきたいというふうに思います。  また、今お話に出ました経営者責任の問題も、まさしく資本注入のために経営の健全性の確保のための計画書を各行が出されて、まさに経営者責任のために銀行リストラ計画等々をやっているわけでありますが、この一連の事件の中で、きょうの新聞報道によりますと、住友銀行が内部の処分を決定されたと聞きますが、各行が接待疑惑に係るさまざまな事件の中で、担当者の方々以外の人たちが何らかの形で責任をとっていくことが、国民に対しても、あるいはまた消費者、お客様に対しても健全な銀行だということの証明になるというふうに私は思っております。  とりわけ私は、先ほど申し上げました日銀の情勢判断資料を文書で入手するしないはともかく、そこにポイントを当てた形で接待を続けていた三和、興銀の罪は大きいのではないかというふうに思いますし、他の銀行にしても、それぞれの形で内部処分を検討されているとは思いますが、どんな形で責任をとろうとしておられるのか。代表して三和銀行と興銀にお伺いしたいと思います。
  75. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 ちょうど昨日、実際の略式起訴の判決が出たところでございまして、今検討しているところでございます。  先生おっしゃるように、単にそれを担当した人というだけではなくて、管理責任それから経営責任というものがあることは重々承知しております。そういうものも含めて厳しい措置をとりたいというふうに考えております。
  76. 西村正雄

    西村参考人 事件の重要性については、大変厳粛に受けとめております。  行内処分については、現在慎重に検討中でございますけれども、担当役員も含めて処分の対象にする予定でございます。  また、念のために申し上げておきますけれども、既にこの事件に関連いたしまして、会長の黒沢と頭取の私は役員報酬の全額を当分の間辞退をするということにしております。
  77. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  お手元に配付されております二枚のペーパーでありますが、これは私どもの同僚の藤田議員の作成によるところの資料でありますが、経営の健全性の確保のための計画の中に盛られた部分を、各行別に出ておりましたので、集約したものであります。  先ほど与党の井奥議員も言われましたように、資本注入に対する国民の不満の一つの中に、銀行の待遇の問題もございます。そういう視点から、残り時間が少ないので一点だけに絞らせてもらいますが、私は、十二月に大蔵委員会でもちょっと申し上げたことがありますが、今回のリストラ計画以前のリストラ計画が非常に弱かったのじゃないかというふうに申し上げたいと思います。  例えば、平成五年の三月期、都市銀行役員の一人当たりの報酬は三千六十一万、六年三月期三千六十三万、二万上がっております。七年三月期二千九百九十三万、わずかに七十万程度下がった程度でありますし、そして八年の三月には二千九百七十万で二十三万下がった程度であります。そして、平成九年度で二千七百七十万。ここで初めて二百万ぐらいの大台で、九年度になって初めて役員の報酬が大幅に、大幅と言えるかどうかわかりませんが、百万台のオーダーで下がっている。それまでは大したことなかったというふうに私は理解しておりますし、長期信用銀行関係あるいは信託銀行関係に関しても、八年度まではさほどのことはないというふうに私は理解をしております。  そして、退職金に関して言えば、これはぜひ長銀の頭取にお伺いしたいのですが、五年の三月期に役員の退職者が三つの長期信銀関係で二十人出ておられます。そして、退職金の総額が四十五億三千万。二十人で約四十五億です。したがって、一人当たり二・二億になる。実は、一般的に言えば役員の退職金は一億円前後が平均でありますから、このとき異常に多かったという一つの原因に、長銀の元役員が二十五億前後もらったのではなかろうかというような憶測が出ておりまして、そうすると数字のつじつまが合う、こんなふうに私も勝手に理解しておりまして、月刊誌などで話題になったこともございますけれども、一体そういうことがあったのかどうか。  企業秘密だから言えないということでも、それはそれで結構ですが、しかし、現在の状況の中で、過去にさかのぼってこの不良債権の山を築いた経営者たちが何ら責任もとらないという状況ではおかしい、何らかの形で私財提供も含めて責任をとらせるべきではなかろうかというふうな考え方を持っておりますが、長銀の頭取お話を承りたいと思います。
  78. 大野木克信

    大野参考人 お答え申し上げます。  杉浦前会長に二十五億円の退職金を払ったという記事が出ましたけれども、あれは全く本当のことではございません。今もう相談役もやめておられますけれども、取締役をやめられるときに通常のベースで計算した退職金を払っておりまして、仮に相談役をやめるときにまた退職金が出るというようなことは常識的にもありませんし、長銀の制度としても全くございませんので、その点につきましては誤解のございませんようにぜひお願いしたいと思っております。  過去の責任につきましては、実は私ども、相談役というものの考え方なんでございますけれども、多分各行の中で一番早く定年制というものをしきまして、その定年制にのっとって一番先にやめていただいたというようなことで、その点についての、まだ不十分かと思われるかもしれませんけれども、相談役を定年という、ある意味では我々にとっては一つの決断をしたということを御理解いただければと思います。  以上でございます。
  79. 上田清司

    ○上田(清)委員 時間が来ましたので終わりますが、まだまだ我々の感覚と違うなという印象を抱きましたことを申し上げて終わります。ありがとうございました。
  80. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、赤松正雄君。
  81. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 新党平和に所属をいたしております赤松正雄でございます。  本日は、皆様大変お忙しいところをこの委員会に御出席願いまして、まことにありがとうございます。  日本代表する九つもの銀行頭取に対しまして参考意見を聞かせていただくということもめったにない機会でございますので、先週末地元に帰りまして、多くの一般有権者の皆さんから意見を聞きました。大変に厳しい意見が当然のことながら続出いたしましたけれども、きょうはそういった一般国民の意向を受けて、また私どもの党あるいは友党の公明が貸し渋り対策等を実行いたしましたので、そういう結果を踏まえてお聞きをいたしたいと思います。  まず、今も申し上げましたけれども、私の率直な感想としては、銀行はなかなか大変だな。総会屋に気を使い、大蔵省に気を使い、政治家に気を使いという方向で、一般国民、いわゆる預金者あるいは中小企業経営者に対してもっともっと気を使ってほしい、そういう思いがいたします。お答えは決して横並びではなくて、ぜひ個性的な御答弁をお願いしたい、そんなふうに思います。  まず、第一勧業銀行、それから日本興業銀行住友銀行、三銀行頭取に対しましてお伺いいたします。  銀行をめぐる不祥事がこのところ九〇年代冒頭に続くような格好で改めて続出をいたしておりますけれども、特に第一勧銀の杉田頭取に対しましては、第一勧銀始まって以来というか、大変な大不祥事が昨年あったわけです。先ほどの質問に対して反省の弁を述べておられましたけれども、今度はそれではなくて、最大の原因というのはどこにあったのか、今その教訓をどう踏まえてやろうとされているのか、この辺について絞ってお答えを願いたいと思います。  それから日本興業銀行西村頭取に対しましては、頭取は社会的通念の範囲内であったという記者会見をされて、直後にそれは打ち消しをされた。ちょっと新聞記者の皆さんの受けとめ方が違ったというふうな御言い分もあるようでございますけれども、そのことを含めて改めてお伺いしたい。御社の過剰接待事件ということについての現時点の受けとめ方、特に先ほどの答弁の中で私が気になりましたのは、西村頭取のさっきの御答弁の中で、今後の経営改善として企業体質抜本的見直しということをおっしゃっていましたけれども、その見直さねばならない企業体質というのは何なのか、改めていかなくてはいけない御自分の銀行企業体質というのは何なのかということを中心にお述べいただきたいと思います。  それから、住友銀行西川頭取は、先ほどの御答弁の中で、長年の慣行であった、監督不行き届きであった、こういうふうな言い方をされました。これからしっかり監督をされるのでしょうけれども、その監督をされるに当たっての基準、不行き届きというふうに言って世間に謝ったりすることのないためにどういう基準をもって監督をしていこうとされているのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  82. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  昨年の事件においては、社会的な批判を招くこととなった不明朗な取引が実行されまして、その後も長期にわたって関係を断絶できず取引が継続されてきた、このように考えております。この経緯を振り返ってみますと、その原因として、当行の組織運営上の問題として認識したことが以下の点でございます。  申し上げますと、一つは、経営レベルにおいて取締役会、常務会が、そのメンバー構成、評議決定ルール及び運営上の問題においてややともすると形骸化しておりまして、経営組織として十分機能していなかったのではないか。それから、担当役員、職員レベルにおいて、意思決定における責任があいまいなものとなっている嫌いがございました。例えば、正規の意思決定チャネルに基づかない根回してございますとか、あるいは本来権限者が決すべき基本事項と下位権限者に委任し得る事項、委任事項についての上位責任者の責任が不明確、あるいは十分確立されていなかったこと等でございます。また、審査部門におきまして、実質的に本来のチェック機能が果たせなかったということもございます。それから、内部監査部門において十分な監査がなされていなかったこと。役職員におきまして、全般的に法令、諸規定等に対する遵法精神が不足しておったのではないか。こういう要因が複合的にあのような不祥事を招来したのか、このように我々としては考えている次第でございます。  以上でございます。
  83. 西村正雄

    西村参考人 まず、社会通念という問題に対しての答えでございますけれども、あのときの記者会見で申し上げました真意は、私は、当時社会通念の範囲内だと考えていたこと自体が間違いであり、それが最大の反省点である、こういうふうに申し上げたわけでございます。したがいまして、それを正確に報道していただけたところもございましたし、その前半部分だけを取り上げて報道されたところもあったわけでございまして、そのために誤解が生じたわけでございます。したがいまして、私の舌足らずであったことにつきましては、私としては当然深く反省しております。  それで、実はこの問題につきまして、参議院の財政・金融委員会で益田先生から黒沢会長に御質問がございました。後ほど私の方から益田先生に文書で、そのときの記者会見のやりとり、これはテープでとってございますので、実際にそのやりとりを御説明申し上げております。したがいまして、私の言葉足らずで真意が誤って伝えられたということは私としては深く反省をしておりますけれども、私は、あくまでもそれは間違いであり、最大の反省点だったということを二回か三回申し上げたつもりでございます。  それから、新しい企業体質を構築するということで、新しい経営改革の五項目の第一項目に挙げたわけでございます。私ども、以前はいわば日本興業銀行法による銀行でございまして、国の銀行であったわけでございます。戦後、昭和二十七年に長期信用銀行ということになって完全に民間の銀行に切りかわったわけでございますけれども、高度成長期にいわゆる官民協調ということが盛んに言われておりました。そこで、どうしても戦前から引きずっていた体質で、官民協調ということでもって、それがある意味ではその当時の日本経済発展には貢献してきたわけでございますけれども、しかしながら、例えば大蔵省との対話をする機会が多いとか、そういうことでもってその結果接待というのも実は行われたという反省をしております。  そして、今これからまさに、この四月一日から本格的なビッグバンが始まるわけでございます。けさの新聞にも、トラベラーズとシティコープが合併する、大変我々にとっては大きな、ショッキングな記事が出ておりましたけれども、これからは我々にとりましてはむしろそういった問題よりも、やはりグローバルな視点から銀行経営を考えていく、これが何よりも必要であるということでありまして、そういう意味で、従来の体質というものを抜本的にこの際見直して、もっとグローバルな視点に立った形でもって国際競争力を強める観点から経営を進めていくということでいっているわけでございます。
  84. 西川善文

    西川参考人 今回の事態を厳粛に受けとめまして、まず、大蔵省担当窓口を二月十六日付で廃止いたしました。さらに、二月二十三日付でありますが、公務員、みなし公務員等への接待禁止をいたしました。これには、飲食、ゴルフ、それから贈答、さらに車の提供、それから、個人借り入れのある方がございますが、こういう方に対する貸出金利の引き下げ等といったものも含むという意味でございます。それから三番目には、職員の倫理規定の改定を実施いたしました。これらを担保するために、今度私どもの検査部による接待伝票等のチェックを行うということにいたしております。いろいろな機会を通じましてこれらの趣旨を全職員に徹底してまいるということにいたしております。  もう一つは、今後の大蔵省との関係についてでありますが、大蔵省の窓口担当を廃止いたしまして関係各部がそれぞれ大蔵省と折衝させていただくということにしておるわけでございますが、これらにつきましても同じようなことが起きてはいけないということでございまして、新たにつくられました定例の金融連絡会等を活用いたしまして、コンプライアンスにのっとった、一定の緊張感を持ったフェアな関係を築いていくということが必要かというふうに考えております。  以上でございます。
  85. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今、三銀行頭取にそれぞれお話伺いましたけれども、やはり大変長い間に培われてきた、まさに慣行というか企業体質というか、もう骨の髄までしみついた、そういったものを大きく変えていくということは大変なことだろうと思います。きょうから二十一世紀まであと千日ということであるようですけれども、今おっしゃったそのことをしっかり銘記をされて、また一ほかの銀行皆さんも、よその銀行ということではなくて、しっかりとこれからそういった抜本的な改革に取り組んでいただきたい、そんなふうに思います。  次に、貸し渋りの問題でございます。  先ほども申し上げましたけれども、九〇年代以降の経済の悪化というのは、一にかかってバブル崩壊の後始末の失敗ということにあると思いますけれども、すべてが一般預金者、あるいはまた中小企業者、個人商店主だちといった弱者にしわ寄せされていることが問題だと思います。  その観点からの貸し渋りの問題ですが、貸し渋りは二つの貸し渋りがあって、一つは日銀銀行との関係における貸し渋り、それからもう一つは銀行と民間企業との間、こういうふうな指摘がされていて、きょうは後半で日銀の総裁、副総裁が登場されるようですので、先ほど来問題になっている銀行と民間企業との間の貸し渋りということに絞ってお伺いしたいと思います。  まず、さくら銀行頭取とあさひ銀行頭取にお伺いしたいのです。  要するに、端的に申し上げまして、銀行における貸し渋り、先ほど上田議員の方から、ある意味で量的な部分の貸し渋りをどう解消していくか、現在の時点における公的資金注入を受けて量的にどう改善していくのかという決意というふうなことを聞かれて、皆さん答えておられました。  今度は、それの量的側面ではなくて、質的側面といいますか、例えば中小企業にお金を貸す、今までより量的に貸す、一歩でも二歩でもふやして貸すというお話がありましたけれども、では、その貸す場合にどういうふうな中身といいますか、質的なものをどう変えていくか。例えば、現在の貸し渋りの状況の中では、利子の支払いが悪そうなところがら切っていくとか、あるいは支店長が具体的なランクをつけて借金の回収をするといったような、いわゆる選別融資というふうな言い方がされているものが現在の貸し渋りという状況の中で展開されているのだと思います。  今度、先ほどおっしゃった、これから中小企業に向けて、貸し渋りを改めて貸し出しをしていくという中での貸し出しする選別をどういう角度でしょうとされているのか。その質的な部分についての貸し出しの選別融資の基準というか考え方を、さくら銀行、あさひ銀行、そのあたりの頭取にお伺いいたしたいと思います。
  86. 岡田明重

    岡田参考人 今御質問が二つあったのか一つあったのかちょっと定かでなかったんですが、とりあえずはっきりしました、銀行と民間の間の貸し出しの運営についての質的な側面についての考え方を御質問を受けたというふうに理解をいたします。  私どもの場合は、貸出金といいますか、お取引先、数でいいますと十二万社のお取引先がございまして、残高で約二十兆円という中小企業のお取引がございます。そういう中で、先ほどの上田先生のときにも申し上げましたけれども銀行貸し出しを推進していかなければならないと同時に、当然でございますが、不良債権処理を促進して一日も早くバブルの極信から抜け出さなければいけない。両方を同時にやるということでございますので、非常に回収の懸念の高いものについては回収を促進していくということを当然やっていく必要がございます。一方で、積極的にやっていく先については積極的にやっていくということをしなければいけない。  それでは、それを具体的にどういうふうにやっていくかということになるわけでございますが、取引先ごとに、財務内容それから業務の中身、そういうものを定量的、定性的に分析をさせていただきまして、それに基づきましてある一定の基準以上のお取引先については積極的に貸し出しを行っていくということを体制としてとっております。そういうふうにしていくことが、つまり日本経済全体のこれから伸びていくであろう事業会社への効率的な資金供給ということも果たせるのかなということを考えまして、そういう体制をしいて取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。  以上でございます。
  87. 伊藤龍郎

    伊藤参考人 私どもは、先ほど申し上げましたように、個人と中小企業を主たる分野で銀行経営をやってまいっております。それで、私ども経営の理念として中小企業育成ということを一つ大きく掲げております。それから、個人については、学校を卒業して就職されて、定年を迎えて定年後の生活を送られるまでのいわゆるライフステージと申しますか、そのライフステージに応じてさまざまな金融サービスを御提供申し上げる、生涯取引を標榜いたしております。  それで、法人、中小企業については、既に御案内のとおりこういう経済状況でございますので、相当資金的な面も含めて経営的な課題を抱えておられます。こういう経営的な課題に、金融という側面ではありますけれども、我々が相談に乗って、そして資金的な問題だけではなくて、経営全般にわたる相談に乗っていくということが必要ではないかというふうに考えております。  個人については、先ほど申し上げましたように、生涯取引を展望しておりますので、それぞれのライフステージの節目節目に必要な商品を供給していく。例えば、私どもが今力を入れているのは住宅ローンでございます。住宅ローンについては、新商品の開発等いわゆるお客様とのチャネルの差別化を図りまして、そして市場から評価を受けているということでございます。増加額を見ていただければその辺のことはおわかりいただけると思います。  それと、お話がありました選別融資ということでございますけれども、今申し上げたように、例えば法人について言えば、こういう長い間の景気の低迷の中で大変体力が弱まっている企業がたくさんございます。こういう企業につきましては、もちろん我々はぎりぎりのところを検討して、そしてその結果、どうしてもこれは御要望に応じられないというケースも中にはございます。御理解いただきたいのは、銀行は、不良債権をつくるということがやはり銀行の健全性を一番損なうわけでありまして、そこの見きわめは我々はプロとして今後とも磨きをかけなければならない点ではありますけれども、そういうケースもあるということでございますが、見誤らないように努力をしてまいりたいと思います。  以上でございます。
  88. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今おっしゃったように、それは、バブル時期のときのいわば貸し過ぎの反動で今貸し渋りというかそういう状況が起きているわけで、幾ら公的資金導入されたからといって、何でもかんでもありとあらゆるもののすべてというふうなことを言っているわけじゃありませんけれども、やはり先ほど来お話がありましたように、国民また中小企業経営者にとって非常に期待が高い分だけ、その辺の対応についてきちっとしていただきたい、そんなふうに思います。  それから、三和銀行頭取にお伺いをしたいと思うのです。  先ほどの質問の中にあって聞いておったんですが、いま一歩はっきりしないのでお聞きするんですが、住友銀行の方は優先証券というお話をされていました。また、三和銀行も二月中旬に海外での優先株発行ということをされたようです。要するに、それはそれで私は非常にいいと思うのですけれども、でしたら、日本におけるところの公的資金導入、やはり先ほど来話が出ていますように全横並び、一千億円というその部分に、金融ビッグバンを前にして護送船団方式の見直しということが言われている状況の中で一律横並び、同じ金額で言うということについては、やはりどうなんだという感じが非常に強くいたします。  そういう点について改めて三和銀行頭取代表してお伺いをいたしたいと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  89. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 三月末を終わってしまうと、極めて平たんなといいますか、こういう形で決算ができたということでございますけれども、実は、昨年の六月に優先株を発行できるように定款を変えて、その後優先株を発行しようというところになってから、昨年の十一月、危機があったわけですけれども、ああいうものも通じて一円も調達ができないのではないかという状態が十一月から十二月に続きました。  十二月過ぎて公的資金導入という問題が表に出てきたわけですけれども、実は千五百億と千で二千五亘調達したわけですが、何も調達できなければ、二千五百の十二・五倍ですから、三兆円ぐらいの資産を圧縮しないとBISが達成されないということで、マーケットが狂ったまんまであれば大変なことになっている状況だったわけです。その中で千五百億というティア1がまず調達できまして、これが三月に入ってでございますから、ティア1がふえたということでティア1とティア2の差が二千億ほどできたというのがその時点でございます。  ですから、では、ティア2も二千億申請をしてやったら横並びではなくてやれるじゃないかというお話はあろうかと思いますけれども海外資産をどんどん減らしておりましたし、そこまで資産はふえないということで、計算上といいますか、一千億調達できればいいなというのが、だから、単位としてはやはり私どもも五百億で考えましたけれども、五百か千か千五百という中の公的資金の申請であったと思います。その中で千を選んだということで、全く偶然にといいますか一致をしたということで、私どもの数字の中からいいますと千億がちょうど据わりのいい数字であったというふうに御理解いただきたいと思います。
  90. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 要するに、それぞれが自由にやった結果、偶然に一千億になった、こういうことですか。まあ、ちょっと信じがたいお話ですけれども、そういうことであるということなんで、これ以上言いません。  次に、東京三菱の岸頭取にお伺いしたいのですが、さっき社民党の濱田委員の方からも御質問ありましたけれども、公定歩合がこの九〇年代冒頭から今日までの流れの中で六・五%ぐらいから今日〇・五%、大きな低下をしてきた。そういう公定歩合引き下げの流れの中で銀行不良資産があってそれを償却しなければならなかったということでしょうけれども、その銀行不良資産償却する方法として、預金金利をいち早く下げておいて貸出金利ももちろん下げる。まあ、さっきお話ありましたが、当然そのタイムスパンというかおくれがあるのでしょう。  さっき、岸頭取お話を聞いておりますと、利ざやの低下が激しいんだ、〇・三、欧米に比べて問題にならないぐらいだというお話がありましたけれども、どうもそれは違うのじゃないか。さっき言いました、一般の公定歩合の金利下げとそれから貸出金利のこの時間的なずれという中に、やはり銀行の業務利益というものは大きくふえていったということが学者の世界でも当然の理論として言われているわけでございまして、そういう中で私たちは、預金者、高齢の年金生活者たちが非常に犠牲になっているということがやはり頭から抜けないわけでございます。  ですから、こういう一連のいわば銀行救済策、どう見てもありとあらゆる意味から金融システムを守るという名のもとに銀行を救済している、そういう流れの中で一方で高齢者、年金生活者は犠牲になっている、こういう構図というのはやはりはっきりしている、そんなふうに思うわけですけれども、そういう中で十三兆円という公的資金導入する。先ほど来お話に出ていますように、公的資金導入したがゆえに、一時期の非常に厳しい状況が三月期末決算を経て一応の安定というか、それなりの危機を脱することができたということが言い分なんでしょうけれども、改めて、先ほどおっしゃった利ざやの低下、欧米に比べて問題にならないという観点、そして預金者の救済、こういう観点でそういう問題をどうとらえておられるのか、岸頭取にお願いしたいと思います。
  91. 岸曉

    岸参考人 お答え申し上げます。  まず最初の利ざやの問題でございます。抽象的に申し上げただけでは十分でないかと思いますので、日本銀行の利ざやでございますけれども、九年上期は〇・三二%でございます。二年間で〇・一二%ぐらい低下をいたしております。これは、外国はどのぐらいかと申しますと、アメリカのマネーセンターパンクの平均は二・九六%でございますし、英国のクリアリングバンクは二・一四%でございますから、我が国の〇・三二%に比べますと非常に大きい利ざやであります。  それで、金利が低下いたします過程で貸出金利が追随していくわけでございますけれども、おっしゃいますように、確かに、例えば三カ月の期限で手形を切りかえていくと仮定いたしますれば、その三カ月のタイムスパンというのはあるわけでございますけれども、貸出金利の追随は、今申し上げましたような利ざやの数字を見ますとかなり預金金利に追随が早い、非常にパラレルに下がっているのでございます。  これは我々、お取引先の決算なんかの数字をいつもお伺いをするわけでございますけれども、全般的にこういう不況の中でやはり営業利益がかなり皆さん苦しいのでございますね。ボリュームは今までと変わらないのだけれども値崩れがしちゃっているとかというようなことで、営業利益面がかなり厳しい。それを営業利益の下の金融収支のところで補って経常利益を辛うじて維持をしているというような先が多うございまして、日本経済の底支えのためにこれがかなり機能をしているということはあるのではないかと思います。  貸出金利は今申し上げましたように追随が早いのでございますけれども、債券の方は、例えば十年物の債券を持っておりますれば、これは固定金利ですから、その間に預金金利が下がってくればこの分は確かに銀行にとりましてはプラスになるわけでございますけれども貸し出しの方はそういう競争関係でもって相当下がってきておる。ただ、こういう低金利の時代が、私どもも預金者の方からもういつも銀行の金利は何だといっておしかりを受けておりますし、本当に、国際的にも最低の金利がいつまでもあれするということは決して好ましいことではないと思うのでございますけれども、今全体の金利水準を上げますと、ただでさえこういう状況のもとでございますから、また経済に非常に大きなダメージを与えることは間違いないのじゃないか。やはり、景気の回復を一日も早く実現し、また、我々の方も不良債権処理を一日も早く終わって、早く全体として前向き、拡大的な金融経済の方向に持っていきたい、こういうことでございます。
  92. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 次に、リストラについてお伺いしたいのですが、金融危機管理審査委員会公的資金投入の代償として出した経営リストラ要求に対して、先ほど来、皆さんの方からさまざまなリストラ計画のお話がありました。役員、従業員とかの給与の引き下げあるいは支店削減とかそういうふうなお話がありましたけれども、こういうリストラ要求に対して銀行皆さんがそういう角度で一律に、給料を減らすあるいは支店の数を減らす、そういうぐっと縮小する方向の気分というのは、そういうものを期待する世論の声もあるからある意味では当然なんですが、それだけで終わっているということではならないというふうに私は思います。  そういう後ろ向きのリストラではなくて、これからの金融ビッグバンの流れの中で国際的に大きく脱皮していかなくてはいけない状況の中でのリストラでなくてはいけない。だから、特化すべき部門を決めるとか、あるいはほかの部門の人員削減するけれども違う部分についてはむしろ逆にふやすといったふうなそういう対応が必要だと思いますけれども、そういったリストラを考えていないのかどうか。まだお聞きしていない富士銀行頭取
  93. 山本惠朗

    山本参考人 事業のリストラというものをどう考えるかという御質問かと思います。  私どもは国際的な銀行として、地理的にもまた商品の品ぞろえという点でも非常に広範のものをやってまいりましたけれども、これからは国際銀行として競争するために、例えば国際分野について申しますと、業務内容を絞ってまいりたい、それを支える店舗、現地法人というようなものについてはその事業に見合ったものに再編成をしてまいりたいというふうに考えております。  例えば、一例でございますが、ヨーロッパでの一般的な貸し出しというものにつきましては極力圧縮の方向で対応しておりまして、現時点では、例えばMBO、マネジメントバイアウトというような仕事でございますが、これは英国人を中心にしたチームがヨーロッパで第一位の、世界的な競争の中で第一位の実績を上げて昨年度は評価を高めたところでございますが、そうした得意の分野に特化をしてまいりたい、それを支えるための拠点の数を整備してまいりたい、そういう戦略でございます。  それから、国内につきましては、新しい金融技術がどんどん出てまいります。海外の有力な金融機関との提携その他を行いまして金融技術のレベルの高いものを供給してまいりたい。そのためのいろいろな組織の対応どもやっておりまして、国内の大企業その他のニーズに海外金融機関に負けないような質のいいものを提供してまいりたいというようなことで、そうした分野ではむしろ人員の増を図っているところでございます。  お話しするといろいろございますけれども、それぞれの分野で、例えば海外は全部撤退しないのかというような、私にしては意地悪な御質問を時にマスコミの方から受けますが、そういうことではなくて、国際銀行としてやっていくために、分野を絞って、そこで世界の例えばベストスリーに入るような業績を上げていく、その集合体としての銀行をつくる、こういう方向でございます。  以上でございます。
  94. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今、富士銀行山本頭取がおっしゃったことともまた関係するのですが、要するに、これから本格的な金融ビッグバンの時代を迎えるに当たって一般的に指摘をされていることであり、また私自身も、昨年、この衆議院の税制改革特別委員会のいわゆる海外視察でアメリカとかイギリスへ行かせていただいて、いろいろ現地の銀行等との懇談を通じて思ったことですけれども、やはりこれからの新しい時代においての日本銀行のこの分野というのは、余りにも体質が虚弱というか、従来、全くと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、不得手な分野にこれから挑んでいかなければいけない。米英に比べて非常に太刀打ちできないというふうな指摘が各方面からなされているわけですけれども、その原因というものは一体どこにあるのか、そのことについてぜひお聞きをしたいと思います。  今もお話ありましたけれども、さまざまな新しい金融技術とか新しい意匠を凝らしたそういう新しい金融商品、こういった分野について、非常に言い過ぎかもしれませんが、日本は後進国ではないかというふうな指摘さえある。そういう中で、言ってみれば学生時代からまさに銀行に勤める人間、ある意味では非常に優秀な人たちが集まった世界だろうと思うのですけれども、そういう銀行がなぜ通用しないのか。これについてぜひ率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。  まだ大野頭取にお聞きしていないので、大野頭取にお聞きします。あと、岸頭取にもお答えをお願いします。
  95. 大野木克信

    大野参考人 大野木でございます。お答えします。  話すと長くなりますので、なるべく簡単にお話ししたいと思います。私の考え方では、まず最後の御質問にありました日本金融機関金融技術のレベル、これがグローバルなスタンダードで見てどうなのかということにつきましては、これは日本各行さんそれぞれレベルが違うと思いますが、少なくとも長銀に関しましてはかなりおくれていると思っています。  おくれている原因は、やはりこの九〇年代というのが、冷戦が終わって非常に全世界の金融市場がボーダーレスになった。それからもう一つは、情報革命が非常にこの間に進展した。アメリカ銀行も、先ほど先生からお話ありましたけれども、やはりへたっていたときがあったのですけれども、八〇年代ですが、それは幸いにしてそういう時期ではなかったということですね。日本銀行は、不幸なことにそういう時期に、バブル崩壊という影響を受けて非常に足踏みした時代と、金融のイノベーションが世界的に起こった時期と重なってしまったということ。  もう一つは、やはり日本銀行経営がクローズドと申しますか、いろいろな意味でグローバルスタンダードの経営をしていなかった、したがって世界じゅうの多国籍の優秀なスタッフを雇う、そういう経営組織というのをとり得なかった。この辺、例えば私どもが提携したスイスの銀行は、スタッフが物すごく多国籍化しています。いい人はどの国の人でもとる、それをちゃんと評価するというシステムができていまして、これは私ども、まだございません。  そういう意味で、このおくれをどうビッグバンに向けて取り戻すかというのが少なくとも長銀にとっての経営のポイントであったわけでございまして、私はその意味で、このギャップを埋めるには、そういう投資銀行業務というものを世界的に展開するということをいわば行是と申しますか、経営の基本に据えた、しかも海外の一流の銀行とそれぞれ足らざるところを補うという形の提携が一番いいのではないか。これは、すべての日本銀行がそうなれと言っているわけではなくて、数多くある中ではそういうプレーヤーも一つぐらいいていいのじゃないか、それがビッグバンのいわば多様性というものをキープして市場を大きくする、そういうことにつながるのではないかという意味でとったわけでございまして、まだこれからいろいろ新しい苦労もあるわけでございますけれども資産の問題その他を含めても、そういう視点からいろいろおこたえしていかなくてはいけないかなと考えております。  そんなことでお答えになっていますでしょうか。よろしくお願いします。
  96. 岸曉

    岸参考人 全くの私見なんでございますけれども日本金融の力が全般的に大変落ちており、かつ欧米に相当技術的におくれをとっているのではないかということで、一体これからビッグバン日本金融というのは大丈夫なのかということを大変多くの方から本当に御心配をいただいて、お尋ねがあるわけでございます。  そこで、私は思い出すのでございますけれども、一九六〇年代のころだと思いますが、日本の貿易自由化が行われまして外国との競争がオープンになるという時期に、日本産業界に大変な危機感が横温いたしまして、このままでは日本産業が外国の非常に低コストの製品にやられてしまうのではないかということで、当時、特定産業振興法案なんという法案がつくられました。これは、例えば自動車でいえば、外国に対抗できそうな数社に絞ってあとはもう畳んでしまえというような法案だったように思います。そのくらい危機感があったわけでございますけれども、実際に貿易を自由化いたしまして海外との取引を自由にいたしますと、日本産業がそれから非常に国際競争力をつけまして、その後高度成長につながっていったわけでございます。  金融も大丈夫だというようなことは、口幅ったいことは申しませんけれども、やはりここは国際的な競争に我々自身がさらされまして、そういう中で本当に自分の体力を鍛えて競争できるように変わっていくということが解決策なのではないかというふうに思うわけでございまして、そういう意味でも、金融システム改革法につきましては、もう既に外為法が改正されまして資本の移動の門戸が開かれておりますから、早くシステム改革法を御成立いただきましていろいろなところで体制を固めてこれに対抗していきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  97. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 終わります。
  98. 井奥貞雄

    井奥委員長代理 次に、谷口隆義君。
  99. 谷口隆義

    ○谷口委員 自由党の谷口隆義でございます。  本日は、各参考人皆様、大変お忙しいところ御出席を賜りまして、ありがとうございます。  まず初めに、先ほど興銀の西村頭取が若干触れられておったわけでありますが、本日報道されておりますシティコープとトラベラーズの合併についてお聞きいたしたいと思います。  御存じのとおり、この四月一日から外為法の自由化が始まり、かつ新日銀法の施行が始まったわけでございまして、我が国を取り巻く金融状況は一変し、大変激烈な競争が始まろうといたしておるところでございます。  本日の報道を見ますと、合併により総資産が九十四兆円、顧客は百カ国以上にわたって一億人を超えるというような報道がなされておったわけであります。御存じのとおり、我が国金融資産、個人の金融資産が千二百兆円を超えるというような金融資産があるわけでございます。このような金融資産にターゲットを絞ってこのような合併が行われたのではないかというようなことが言われておるわけでございますが、全銀協の会長でいらっしゃいます東京三菱岸参考人、御見解をお述べいただきたいと思います。
  100. 岸曉

    岸参考人 私も、トラベラーズとシティコープの合併のニュースはけさの新聞で見まして、大変衝撃を受けた次第でございます。こういうふうな巨大な総合金融サービスが可能になる金融機関が出現してきた。多分こういうものがまた他のそういうMアンドAみたいなものを誘発するのではないかということを考えますと、我々も本当にじっとしていられないという気持ちがするわけでございますけれども、おっしゃいましたように、改正外為法ももうスタートしておりますので、我々もこういう千二百兆円の個人資産海外に流出するというようなことを少しでもとどめるように今後とも研さんしてまいりたい、かように思っております。
  101. 谷口隆義

    ○谷口委員 そういう状況の中で、先ほどから同僚議員の質問にも出ておりましたが、本日来ていただいております九行すべてが今回の接待汚職にかかわっておるという極めて重大な事態があるわけでございます。  先ほど上田委員質問にもございましたが、MOF担の経験をなされておる頭取はということで、佐伯頭取のみが先ほどそういうような状況であったというようにお聞きしました。MOF担と申しますのは、いわゆる大蔵省と民間金融機関との間のパイプ役で、情報を入手する、例えば具体的な話でいきますと検査の年月日を教えてもらうとか、こういうようなことが巷間言われておるところでございますが、現在、本日来ていらっしゃいます金融機関の中でMOF担を置いておられる金融機関につきまして、お一人ずつお聞きするというのも時間がかかりますので、できましたら、今現在MOF担を置いておられる金融機関、挙手をお願いいたしたい。  一行も置いていらっしゃいませんか。大蔵省に専属に張りつけておる情報を入手するための行員、それぞれ皆様金融機関の行員を置いていらっしゃいますかということをお聞きしておるわけでございます。(発言する者あり)ないのですか。  では、今そういうことをおっしゃったので、簡単に、ないかどうかをちょっと第一勧業銀行からおっしゃっていただけましたら。
  102. 杉田力之

    杉田参考人 ございません。
  103. 岡田明重

    岡田参考人 多分ほかの方もそうだと思うのですが、最近、例えば三月中にMOF担というのをやめたという、あるいはもうちょっと前におやめになったとか、そういうところが大部分だと思いますので、現在あるかないかという御質問に対しては、皆さん、ないという方向でお考えになっておられるということだと思います。私どもは三月一日付でMOF担というのは廃止いたしました。  以上でございます。
  104. 谷口隆義

    ○谷口委員 それでは、多分今おっしゃったように全部いらっしゃらないというような御答弁になるのだろうと思いますので、もちろんMOF担にかかわる予算は行内でとっていらっしゃらないというように御理解させていただいてよろしいのですね。わかりました。  その次に貸し渋りの問題、先ほどから同僚議員が幾度となくお聞きしておるところでございますが、先日、二十一行の金融機関に対して公的資金が投入された。当初の申請ベースでは二兆六百九十億円、最終的な承認ベースにおいては一兆八千百五十六億円、若干劣後債、劣後ローンのところを切り捨てられたところもございまして、一応このような状況になったようでございます。  この公的資金を入れるのはどういう目的なのか、こういうことになるわけでございます。政府の方は、貸し渋り対策で入れるんだ、もう一つは、自己資本比率を高めるために入れるんだ、金融システムを守っていかなければいかぬ、こういう観点で今回の貸し渋り対策また自己資本比率を高めるためにこの公的資金導入が行われたと我々は理解しておるところでございます。  もともと金融機関はなぜ重要なのか。人間の体に例えると心臓に当たって、血液、お金をどんどん市中に回しておるというような観点で、これは金融システムとして、公的インフラとしてつぶすわけにいかない、こういうような観点でこの公的資金導入もやむなし、こういうようになったわけでございます。  その次に、先ほども申し上げました自己資本比率を高めるためにこの四月から早期是正措置が始まって、国内基準では四%を下回ると警告が発せられる、債務超過になれば経営破綻をするようにされるというような状況になるわけでございまして、そういうことでいろいろ意見をお聞きいたしておりますと、金融機関関係者の中では、今回のこの早期是正措置がタイミングは極めて悪くて、周辺の金融情勢の急激な変化等々がございましてこの早期是正措置の適用は早過ぎたのではないか、こういうような意見さえ言われておるところでございますが、このような意見に対しまして、三和銀行佐伯頭取、御見解がございましたら、ちょっと一言。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 貸し渋りの問題が先ほどからいろいろ答えが出ておりますけれども早期是正措置につきましては一年間、国内基準については見送られるというようなことが出ているわけでございます。繰り返しになりますが、貸し渋りというのは、一つはBISの基準でもって総枠が規制される、それからもう一つは不良債権に対する貸し渋りというような二つの面から議論されておると思います。  最初の問題につきましては、少なくとも資本注入を受けた銀行については余裕ができて、それなりにみんなその枠を持ったということでありますけれども、もう一つ、違う視点から貸し渋りというものを見てみますと、これは全く私の私見になりますけれども、ここへ来て市場というかマーケットが大変変わってまいりまして、今まではとにかくアセットをふやそうというのが銀行経営姿勢だったわけですけれども、それがBISの問題で本部の指令も変わってきた。  それからもう一つは、リストラで各銀行支店を閉じていっています。したがって、支店同士の貸し出し競争というのが起こらなくなって、したがって、私たちの支店でも、早い話が一社の優良先に三つも四つもの支店が新規を勧誘に行っているという時代が過去四年、五年前はありましたが、それが今は一社も勧誘に来ないという状況になっている得意先がたくさんあります。  それから、担保があったと思っているところが、土地が下がって担保が目減りして急に借り入れ余力がなくなったとか、もっと言いますと、早期是正措置で格付というのが導入されましたから、今まではその銀行にとって大変優良な先であったと思われる例えば創業百年とかあるいは支店の親睦会の会長さんであるとか、そういういろいろな意味でのステータスが、実際には今度はバランスシートあるいはPLに基づいた格付ということになって、その格付が下がっていくと本来であれば借りられると思っていたのが借りられなかった、そんなことで、貸し渋りという言葉の中にはいろいろな意味があると思うのですが、そんな形での貸し渋りを受けているというようなことを私どもがお客さんとお話ししてもよく聞きます。  ここに貸し渋りの統計というか、大蔵省が調べたり通産省が調べたり、いろいろなものを私も見ているのですが、変化がないとおっしゃる方が六割以上おられて、それで厳格化されたというところがふえているということで、変化がないあるいは緩和されているという得意先もたくさんあるのですが、厳格化のところに出ているところというのは、銀行側が積極的に貸し渋っているというよりも、従来、当然貸してもらえると思っていた基準が変わっていっているという面があるのではないかなというふうに私は思っております。  これは全く私の私見でございますが、先ほどからお話が出ている部分以外に、ちょっとそういう感じを申し上げました。
  106. 谷口隆義

    ○谷口委員 ですから、公的資金を投入して貸し渋りを抑えると申しますか、こういう事態がないようにするために入れたわけでございますので、現実の問題として貸し渋りがおさまらないということになりますと、公的資金の投入に対する本来的な疑問が生じるわけで、既に至るところで、実際に投入したわけでありますが、現実の問題としてそれが貸し渋りを抑えるということではなくて、むしろ不良債権処理にそのような資金が、これはお金が色づいているわけではありませんので、使われるのではないかということさえ危惧されておるところでございます。ですから、先ほど上田委員質問にもございましたが、この審査委員会の今井委員ですか、これが大体従来のやり方でいくと二十倍程度貸し出し余力が出るというようにおっしゃっておるわけでございますので、詳しい話は別にして、この市場を、市場といいますか取引先の経営を円滑化、また継続させるために、そういう重要な金融機関としての立場があるわけでございますので、そういう観点も十分念頭に入れてやっていただきたいというように思うところでございます。  それと、先ほど出ておりましたが、今回の三十兆円の公的資金の投入は、十七兆円のいわゆるもう既に経営破綻したところに投入する部分と、十三兆円のキャピタルインジェクションと申しますか、資本注入をした部分と、これは分かれるわけでございます。先ほどのお話にも出ておりましたが、今回の場合は、優先株と劣後債、劣後ローン、このような選択肢があったようでございます。私は初めから、今回のキャピタルインジェクションは優先株だけでやるべきではないか、このように申し上げておったところでございます。  というのは、先ほどからこれは出ておりますが、ティア2になるわけですね、劣後債、劣後ローンは。ですから、どうしてもティア1の限度額を超えて投入することはできないということもございますし、まず、資本を投入する基本的項目と申しますか、ティア1に入っておる、優先株というのはもともと資本金が増大するわけでございますので、資本金を直接増大させるという重みを金融機関サイドで感じていただきたい、こういう意味もあって私は優先株でやるべきだというように今申し上げておったところでございます。  今回、劣後債、劣後ローンを選択された金融機関もこの中にも多々いらっしゃるわけでございます。東京三菱さんの場合は定款に規定がないというようなことでございましたので、これはもう仕方がない。定款に規定がありながら選択をされたところがあるわけでございますが、そのあたりの状況につきまして見解をお述べいただきたいというように思います。  さくら銀行さんは劣後債、劣後ローンでやらせておったのですね。済みません、よろしくお願いします。
  107. 岡田明重

    岡田参考人 御指摘のように、私どもは定款を既に変えてございまして、優先株が発行できるような状態にはなっております。ただ、優先株であればどんな優先株でも出せるような形にはなっておりませんで、定款で規定された条件内の優先株しか出せないということに相なっております。一つ問題はその辺の技術的な問題がございまして、今の状況下で私どもの定款に合った優先株を発行するという状況になかったということがございまして優先株を発行しなかった、それで劣後社債を使わせていただいた、こういうことでございます。
  108. 谷口隆義

    ○谷口委員 それと、先ほどこれも出ておりましたが、土地の再評価が今回行われたわけですね。これも、優先順位でいくと土地の再評価は、これもティア2ですから、初めに入れて、まだ余力があればその段階公的資金を投入するというようなのが順序なんだろうというように私は思っておったわけでありますが、今回の場合は、公的資金をまず入れて、その後土地の再評価をされておる。これはもう逆じゃないかというように思うわけでございます。  今回、土地の再評価を今もう既にされておるのではないかと思いますが、土地再評価をした結果について再評価差額が出ておると思いますが、各金融機関、この金額について御報告をお願いいたしたいと思います。  済みません、順番に言っていただいて、第一勧業銀行さんから。
  109. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  土地再評価益の法律が通りまして、政令を受けて今作業をやっておる最中でございます。したがいまして、正確な数字という点ではまだ持ち合わせておりませんということでございます。
  110. 岡田明重

    岡田参考人 ちょっと正確な数字は、まあ二千億ぐらいじゃないかというふうに思います。
  111. 山本惠朗

    山本参考人 お答えいたします。  その前にちょっと、私、先ほどお答えするのに間違ったことをお答えしまして、おわびを申し上げて訂正をさせていただきたいのです。  上田議員からの御質問の中に、日銀の出向者がいるかと。私の記憶では現在いないということで、いないと申し上げましたが、不正確でございまして、研修を目的といたしまして調査統計局に一名現在出向中でございます。大変失礼をいたしました。訂正をさせていただきます。  土地の再評価でございますが、現在作業中のため具体的には正確な数字は申し上げられませんが、再評価で約三千億円の再評価益を見込んでおります。  以上でございます。
  112. 岸曉

    岸参考人 最初に、先に再評価益を立てて、それから公的資金導入すべきではないかという御指摘がございましたけれども、この土地の再評価益を計上する法律が三月三十一日に通過いたしましたものですから、それまでちょっとそういう時間的な関係がありまして公的資金を申請させていただいたわけでございます。  私どもの土地再評価益は約四千億でございまして、この再評価益を立てるかどうかということについては、決算処理の全体の中で検討する所存でございます。
  113. 伊藤龍郎

    伊藤参考人 私どもの土地の再評価益は約二千七百億円でございます。ただし、これをティア2に入れるかどうかということについては、まだ決めておるわけではございません。
  114. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 三和銀行の再評価益は約二千億でございます。
  115. 西川善文

    西川参考人 住友銀行の土地再評価益は、まだ会計士の監査前でございますが、約三千七百億でございます。
  116. 西村正雄

    西村参考人 日本興業銀行西村でございます。  これは、地価税課税価格を参考といたしまして試算をいたしますと、含み益といたしまして千八百八十億でございまして、この四五%でございますと八百四十六億ということになります。
  117. 大野木克信

    大野参考人 私ども、店舗はほとんど少ないものでございますから、まだ正確には出しておりませんけれども、恐らく五百億弱、そこまでいかないのだろうと思います。
  118. 杉田力之

    杉田参考人 概数字でございますと、六千億強になろうかと思います。
  119. 谷口隆義

    ○谷口委員 今回の三月末の決算で、これは株価対策ということもあったのでしょうが、有価証券の評価方法を、従来低価法でやっていらっしゃるところが多かったわけでありますが、原価法も選択適用で認めるというようなことになりました。これは実際、企業評価をする段階で、格付機関はこういうことは無視してやろうというようなことでございまして、自己資本比率も、これはいずれにしてもこの中にティア2で入ってくるわけですから余り意味がないわけですが、だからそういう意味において、金融機関経営者皆さんでございますので、決算の重要さは極めてよく知っていらっしゃるわけだと思います。  本来、低価法を選択すると、これは継続して選択を続けていかないと利益操作になるわけですね。従来であればこれは適正意見がつかないというようなことで、これは政府がやってもいいということで認めたわけでありますので、そういう意味では国家的粉飾行為である、私はこのように言っておるわけでございますが、その結果、それに乗って原価法でやられたところが十四行か十五行かあるというように聞いておるところでございます。  その金融機関につきまして、この含み損、含み益ですね、含み損益について御報告をお願い申し上げたいというように思います。これも、済みません、第一勧業銀行さんの方から順番にお願いいたします。
  120. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  有価証券の含み損の額はタイムリーディスクロージャーの対象になっておりまして、確定次第公表する予定でございまして、この場での回答については御容赦をいただきたいと思います。
  121. 谷口隆義

    ○谷口委員 昨日、担当の方が来られましたので、そのあたりはもう当然すぐに出ますから、いずれわかることですので、含み損があると本来それだけ利益が減るわけでございますから、逆な言い方をしますとそれだけ利益が計上されたわけでございますので、そういう観点で報告していただきたいというように申し上げたわけでございますので、ぜひ御報告をお願いいたしたいと思います。
  122. 杉田力之

    杉田参考人 タイムリーディスクロージャーの点について御理解をいただいた上であえて申し上げますと、千億円を超える程度かというふうに推定しております。(谷口委員「ネットですか」と呼ぶ)ネットです。
  123. 谷口隆義

    ○谷口委員 含み損が大事なんですね、今回は。ですから、ネットじゃなくてグロスで御報告をお願いいたしたいと思います。
  124. 杉田力之

    杉田参考人 益が五千弱、損が三千数百ぐらいかなという感じでおります。  以上でございます。
  125. 岡田明重

    岡田参考人 タイムリーディスクロージャーの問題もございますので、概数で申し上げます。二千八百億程度の含み損があろうかと思っております。  以上です。
  126. 山本惠朗

    山本参考人 同様にディスクロージャーの問題で私の立場も大変つらいところでございますが、ネットで二千億強の……(谷口委員「ネットではだめ、グロスで。では、含み損だけ言ってください」と呼ぶ)御容赦をいただきたいと思います。
  127. 谷口隆義

    ○谷口委員 要するに、今回原価法をとって利益がどれだけ過大になったかということを申し上げておるわけでございますので、含み損をおっしゃっていただきたい。
  128. 山本惠朗

    山本参考人 御容赦をいただきたいと思います。これはできるだけ早い時期に、ほかの計数と一緒にしかるべき場所で発表させていただきたいと思います。御容赦をお願いいたします。
  129. 岸曉

    岸参考人 私どもは低価法でございますので、含み損はゼロでございます。
  130. 伊藤龍郎

    伊藤参考人 まことに恐縮でございますが、タイムリーディスクロージャーの観点からこの場での公表は差し控えさせていただきたいと思います。
  131. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 三月二十七日時点でございます。益が四千八百億、マイナスが二千二百、差し引き二千六百でございます。
  132. 西川善文

    西川参考人 概数でございますが、含み益が約四千九百、含み損が二千四百、そのほか海外の株式、債券等で約八百億の含み益ということでございます。
  133. 西村正雄

    西村参考人 私どもは低価法を採用しております。
  134. 大野木克信

    大野参考人 概算しか覚えておりませんが、二千億弱です。
  135. 谷口隆義

    ○谷口委員 今お聞きしましたら、金融機関経営者方々で大分意識の差があるんだなというように私は思いました。これから大変厳しい状況になるわけであります。どんどんディスクロージャーも進んでまいりますし、経営環境がどんどん厳しくなってまいるわけでございますので、常にその私が申し上げたような状況を報告できるような経営をなさらないと大変厳しい状況になるのではないかと私は申し上げたいと思います。  ネットであるのかグロスであるのかわからないところが数行ございましたが、一応御報告を受けたところでございます。ですから、ここで見ておりますと、従来の基準になりますと二千億内外の利益が過大に計上されておるというように言えるのではないかと思います。  あと、時間が非常に限られておる関係で、ひとつ個別金融機関のことに入りたいわけでございますが、日本興業銀行さんですね。  九一年八月に、例の尾上縫と東洋信用金庫、木津信用組合の支店長が共謀して預金証書を偽造し、二千七百億を搾取するという事件が発覚した。私はこのニュースを聞いて大変驚いたわけでありますが、あの興業銀行が一料亭のおかみに大変な金額を融資しておる、興銀並びに大手銀行が貸した金額が五千億を超える、また、当時の黒沢頭取はこの人と一緒に飯を食う間柄であったというようなことでございました。これは大変驚いたところでございます。  話は変わりますが、先日、明石海峡大橋が開通しまして、私行ってまいりました。世界一の大橋、ブリッジでございました。つり橋なんですね。あの総工費が五千億ですよ。一料亭のおかみに五千億を貸す金融機関の融資態度が信じられないな、モラルハザードもこの上ないというように私は感じたところでございます。  その後、各金融機関からいろいろな不祥事が出てまいったわけであります。そのときの責任者黒沢頭取は会長に退かれて、今会長でいらっしゃるようでございますが、その後預金保険機構の監事にもなっていらっしゃるのですね。これは私は驚く以外の何物でもないというように思うわけであります。また先日、日本道路公団の外債発行をめぐる汚職事件で元常務の梅津氏が逮捕された。  先ほど申し上げましたように、興銀は戦後日本経済を支えた産業金融の雄である、このように言われておる大変立派な銀行であるというように私は思っておったわけでございますが、最近の連続したこの不祥事は大変極めて重要な問題がある。このような観点で、経営者責任として日本興業銀行西村頭取に御見解をお願いいたしたいと思います。
  136. 西村正雄

    西村参考人 尾上それからただいまの道路公団事件とたび重なる不祥事を重ねましたことにつきましては、大変厳しく受けとめておりまして、深くおわびを申し上げたいと思います。  尾上の事件でございますけれども、これはまことに痛恨のきわみでございます。ただ、一つ御理解いただきたいのは、これは二千二、三百億だったと思いますけれども、一料亭に貸し付けたというふうに世間一般にとられておりますけれども、あれは実は債券を多額に購入しておりまして、その債券の担保の貸し出しだったわけでございます。つまり、当時非常に債券の販売の悪い時期だったものでございますから、安易に債券を売り過ぎて、それを担保に貸し出しをしたということでございますので、むしろ安易に債券を売り過ぎたということ、これが原因にあるわけでございまして、二千五百億貸し付けたということだけで御批判をされることが間々ありますので、そこのところはそういうように御理解を賜りたいと思います。しかし、これは決して、だからいいということで言っておるわけでは全くございません。  それから、そのときの責任でございますけれども、当時の会長の中村が退きまして、取締役の職も直ちに退きました。それから、関連しておりました常務も職を辞しております。黒沢でございますけれども、現在は代表権のない会長という職になっております。  今回の事件責任につきましては、先ほど申し上げましたように、内部の責任処理の仕方につきましては現在慎重に検討中でございますけれども、それに先立ちまして、私と黒沢は、経営のトップといたしまして報酬の全額返上ということを当面行うということを決めております。
  137. 谷口隆義

    ○谷口委員 本来ならそのくらいの経営責任のとり方では不十分だというように私は強く申し入れたいと思います。  時間の関係もございますので、次に移りたいと思います。  全銀協、今まだ会長人事で何か混迷していらっしゃるようでございますが、一九三八年に国家総動員法に基づく戦時経済体制が形づくられて、一九四二年に旧日銀法が施行された、こういう時代にこの全銀協が一九四九年に組織化された。この当時の状況は、戦時経済体制に対応するということでございますので、直接金融から間接金融に移して金融の統制を行おうというような状況でございました。  こういうシステムは我が国の戦後経済の立ち上がりのときには大変ある意味でヌリットがあったのかもわかりませんが、今ここへ来て、グローバルスタンダードで金融が、いわゆる金融鎖国と言われるような状況が開放されて海外金融機関がどんどん来る、海外金融機関と国際的な競争を行わなければいけないというような状況の中で、今までの全銀協のあり方、これは大蔵省との結びつきも踏まえて見直していかなければいけないのではないかというように思うところでございます。  どうも各銀行間の状況を聞いておりますと、全銀協という大きな組織があって、その下に六行会といって上位都銀六行の常務クラスの会合があるとか、都銀懇という組織があるとか、楽友会、これは上位行の企画部長の集まり、楽水会、中下位行の企画部長の集まり、二水会、国際部門の集まり、三明会、経理、資金部門の集まり、七福会、広報部門の集まり、八行会、証券部門の集まり、このようにぴちっと組織化されてやっておるわけでございます。それが今までの大蔵省の護送船団行政とぴたっと合って戦後経済金融を形づくってきたわけでありますが、ここに来て全く状況が変わってまいりました。  こういう状況の中で、従来の、全銀協ができた経緯を先ほども申し上げたところでございますが、戦前の戦時経済体制の中でつくられたようなこのような組織が、かえって金融機関の個別競争を阻害するとか、国際競争力をお互いに減衰してしまうとか、こういうような状況になりはしないのかというように大変危惧するところでございますが、このことにつきまして、全銀協会長の岸頭取、御見解をお願いいたしたいと思います。
  138. 岸曉

    岸参考人 全銀協でございますけれども、もう御案内のことでございますが、全国銀行協会連合会は任意団体でございまして、各地の銀行協会がメンバーになっております。銀行が直接全国銀行協会連合会に加入しているわけではありませんで、銀行がそれぞれ各地の銀行協会に加入し、この銀行協会の任意団体としての連合体が全銀協でございまして、確かに、戦後の銀行行政が行われてまいります中で非常に細かい規制がいろいろございましたから、これは、国民経済のリソースというものを余り偏らずに適正に配分して成長していく、こういう目的であったと思いますけれども、そういう中で全銀協が機能を果たしてきたことは、これは否定できないであろうと思います。  しかしながら、銀行行政を初めとする全般的な規制緩和の流れの中で、今後金融システム改革法も展望されておりまして、先生のおっしゃいますように、全銀協の役割というものが急速に変わっていくであろうということは、もう全くそのとおりであろうと思います。  しかしながら、例えば持ち株会社の関連税制の問題でありますとか、あるいはRTGS、決済の即時化の問題、あるいは外国の決済システムとのリンクの問題、その他金融システム改革法のいろいろな細部の問題等々につきまして、銀行界の意見を、集約はいたしませんけれども、収集をするという機能というのはかなり重要なのではないかなというふうに思っております。  しかしながら、このあり方につきましては絶えずやはり銀行としては再検討していかなくちゃいけないというふうに思っておりまして、銀行界の内部にも、何かあり方を、従来のままではいけないのではないかというような議論もございますので、これは今後の検討課題として取り組んでまいりたい、かように思っております。
  139. 谷口隆義

    ○谷口委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、いずれにしましても、今のこの全銀協のあり方を抜本的に見直していただいて、今の金融情勢に合致した形で、一たんこれを例えば解散するとかいう形で新たな金融情勢の中でまたそういう組織をつくられるということであれば、そのような状況の中で的確につくられるのはいいのじゃないかというように思うわけでございますが、先日の公的資金の投入のことに関しましても、相も変わらず護送船団行政の中で横並び申請というような状況を見ておりますと、このような組織を一たん抜本的に見直すというようなところがらまず始まるのではないかというように申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  140. 村上誠一郎

    村上委員長 午後四時に委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後四時開議
  141. 村上誠一郎

    村上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤田幸久君。
  142. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 短い時間でございますので、民主党の藤田幸久でございますが、要領よく御答弁をいただきたいと思います。せっかくお越しいただいておりますので、できるだけ各行頭取の方に御答弁をいただきたいと思いますので、質問に応じて割り振ってお答えをいただきたいと思います。  資料を委員長の了解を得てお配りをしております。平成三年度から七年度にかけての自民党に対する銀行の政治献金という数字が出ておりますけれども、この五年間で八十六億円の献金があるわけです。それで、例えば東京三菱さんの場合ですと、これは両行が合併したということかもしれませんけれども、ほかの銀行の結局倍の六億九千九百万円、まああとは三億五千万円といった数字が随分並んでおります。この自治省からの資料でございますけれども、見ておりますと、これはまさに横並びといいますか、非常に具体的な数字まで並べておるということがわかるわけでございます。  それで、これは平成七年度まででございますけれども質問通告をしておりますが、昨年度の自民党、つまり国民政治協会に対する献金額と、それから自民党の国会議員に対する献金の総額、それから自民党の所属の国会議員のパーティー券の購入総額について、これまた全行の方に御答弁をいただきますと時間がむだになってしまいますので、この件に関しましては、第一勧業銀行とそれから日本興業銀行頭取にお答えをいただきたいと思います。  では、第一勧銀の頭取からお願いをいたします。
  143. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  お答えいたします前に、午前の上田議員からの御質問で、日本銀行の出向の件でございますが、人件費の戻入を受けていると思われます、確信しておりますというようなお話をさせていただきました。戻りましてチェックをいたしました結果、戻入は受けておりません。訂正させていただきたいと存じます。  藤田先生の御質問にお答え申し上げます。  昨年度の自民党国民政治協会への献金は、千八百四十八万円でございます。党所属の国会議員の献金につきましては、ございません。それから、パーティーでございますが、昨年度につきましては、私ども不祥事以降パーティー券の購入の実績はございません。  以上でございます。
  144. 西村正雄

    西村参考人 お答え申し上げます。  昨年度の自民党の国民政治協会への献金額は、千八百四十八万円であります。自民党所属国会議員の献金総額は、八十万円でございます。自民党所属国会議員パーティー券の購入総額は、七百三十八万円でございます。  以上でございます。
  145. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 例えば、昨年小渕派のパーティーというのが随分新聞等で報道されました。それから、聞くところによりますと、四月の二十日ですか、再来週でしょうか、梶山静六議員のパーティーが予定されておる。それで、随分そのパーティー券、そういった銀行に対しても要請が出ているというような話も聞いておりますけれども、この二つの。パーティーに関しまして、つまり、去年の小渕派のパーティーとそれから今度の四月二十日の梶山代議士のパーティーに関するパーティー券を購入されておられるかということについてお聞きをしたいと思います。これは、三和銀行と長銀頭取に各お答えをいただきたいと思います。
  146. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 小渕派のパーティーにつきましては、ちょっと私、どれだけ買ったかを存じておりません。  それから、梶山先生のパーティーについては、まだあるということも存じませんので、ちょっと数字をお答えできないのでございます。申しわけございません。
  147. 大野木克信

    大野参考人 昨年の小渕派が開いた。パーティーでございますけれども、詳細な金額を存じておりませんが、政治資金規正法の範囲内でお出ししていると思います。  梶山代議士先生が開くパーティー券は、これから検討ということでございますので、失礼いたします。
  148. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今お聞きをいたしまして、たしか橋本総理の方でもこの銀行関係から献金を受け取るというのを自粛するというお話がございましたが、こういった時節にもかかわらず、実はある程度のパーティー券あるいはその献金等の実態があるということがわかったわけでございます。  それから、銀行協会の方で自民党に、いわゆる選挙用と言われておりましたけれども、お金を貸しておるというふうになっておりますけれども、この実際に貸しておられるお金に関して担保をとっておられるのかどうなのか、現在の銀行協会の会長であるところの岸頭取にお答えをいただきたいと思います。
  149. 岸曉

    岸参考人 お答え申し上げます。  自民党に対する貸し出しは、全銀協は関係なく、個別銀行がそれぞれ行っておるものでございます。
  150. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それでは、東京三菱銀行の場合はいかがでございますでしょうか。
  151. 岸曉

    岸参考人 貸し出しはございますが、個別の取引のことでございますので、答弁は差し控えさせていただきます。
  152. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 結局、今、きょうの本会議でもいろいろな議員の方の質問の中にございましたけれども、貸し渋りの問題にしましても、企業倒産の問題にいたしましても、それからいろいろな自殺も随分相次いでおる、そしてその公的資金を得ているというような時期に、国民の目から見ますと、こういった時期に政治献金というものが相変わらず、総理の答弁にもかかわらず実際に続いておるということは、これはせめて公的資金の中からこういった献金分等については例えば差し控えるとか、そういうある程度の姿勢を示さなければ、きょうも、本会議でもいろいろな議員の質問等で実際の状況というものが伝えられておりますけれども、そういったことについてどうお考えになっておるのか。それでは、今度は住友銀行頭取からお伺いをしたいと思います。
  153. 西川善文

    西川参考人 お答えいたします。  中小企業経営者あるいは中小企業の中には、景気低迷が長引きまして大変厳しい経営状態になっておるところが多いということは、私どもも日常、銀行の窓口で接しておりましてよく承知をいたしておるつもりでございます。  私どもといたしましては、そういった会社に対しましてよくお話伺いまして、できる限りのバックアップをいたしたいということでやってまいっておりますが、やはり余りにも経営状態が悪い、回復不可能だというものにつきましては、やむを得ず支援を打ち切らざるを得ないというケースもございます。  そのことと政治献金あるいはパーティー券の購入云々ということとの関係をどう考えるかということでございますが、そちらの方は私どもは十分節度を守ってやっておるつもりでございます。御了解をいただきたいと思います。
  154. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 またこの点について、時間があれば戻ってまいりたいと思います。  二枚目の資料でございますが、公的資金の投入額と配当の関係が出ております。  これによりますと、右側に配当の流出比率というものが出ております。二五・二%とか一九・九%とかいうふうになっておりますけれども公的資金を返す前にはこれは本当は無配にするというものが妥当であって、あるいは、配当するならばもともと公的資金を申請しないというものが、これはやはり自己責任という考え方からいたしまして経営者としての最低限の規律ではないかという気がいたします。  いわゆる公的資金を返済する前に配当するということを考えておられるのか、あるいは公的資金を返す前は無配にするというふうにお考えになっているのかということについて、お答えをお願いをしたいと思います。  これに関しましては、それでは、まだ聞いていないあさひ銀行頭取、いかがでしょうか。
  155. 伊藤龍郎

    伊藤参考人 株主配当でございますが、我々経営者は株主の負託を受けて経営をやっているわけであります。そして、株主資本をもとに経営全般の中から収益を上げて配当をするということでございますが、これと今回公的資金注入を受けました、私どもは劣後ローンでございますが、劣後ローンとの関係は必ずしも一体のものではなくて、関連はもちろんございますけれども、株主資本経営全般の収益の中から配当申し上げる、劣後ローンについては注入いただいた資金に対してやはり適正な金利を払わせていただいているということで御了解をいただきたいと思います。
  156. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 同じ質問につきまして、それでは富士銀行頭取、お願いいたします。
  157. 山本惠朗

    山本参考人 お答えを申し上げます。  私どもの流出比率は二五・二と非常に高い比率になっておりますが、これは年間の配当金を年度末にまとめて支払う関係で、上期に支払っておりますと一二・六%という数字になります。これは余計なことかもしれませんが、一言申し上げます。  私ども株式会社でございまして、株主から会社を預かっているわけでございます。適正な配当を維持する。それから、公的資金でお借りいたしました一千億円の劣後債でございますが、これは定められた金利をきちんとお払いできるような計画になっております。御理解をいただきたいと思います。
  158. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 適正な金利を払っておるというだけでは済まされない。つまり、今回の公的資金導入に関しましても、いわゆるシステムの維持ということと同時に貸し渋り対策というようなことがあるわけでございます。  そうしますと、先ほども会議等でも出ておりますような経済状況の中で、単に株主の会社であるというだけでは、一見理論上はそれで通っているかのように聞こえますけれども、これは例えばアメリカの会社なんかでございましたならば、株主総会で株主の皆さんに、あなた方株主の皆さんの会社という感覚でお話しになるわけですが、日本の場合には、株主というよりも、むしろ経営者が実際に経営をやってきて、そして今回のような不良債権等々の問題が起きて今日に至ったということから考えますと、今の説明だけでございますと、やはり一般の預金者あるいは税金を納める納税者の方からいたしますとそれでは納得できないという感じを持つのが当然ではないかという気がいたします。  その点について、佐伯頭取、いかがでございますか。
  159. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 会社についての見方というのは、株主のものというところとか、従業員あるいはお客様、株主、三者のもの、いろいろな見方がございまして、これは議論をしてもとどまらないのかなと思います。  ただ、例えば、先ほど先生がおっしゃった、投入額に対してすぐに配当をするよりも返すべきだというようなお話でございましたけれども、私どもは一千億で百二十三億の社外流出をしておりますが、公的資金を投入するということは、一つには、自己資本をふやして、それをもとにしてしたがって十二・五倍の貸し出しができる、そういう金融システムの安定のためにということで入れていただいたという側面がございます。したがって、これをどんどん返してしまいますとまた自己資本がへっこむということにもなるわけでございまして、その点も含めて公的資金に対する対応というのはいろいろな考え方があるのではないかなというふうに私は考えております。
  160. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 時間がありませんので別の質問に移りますが、今までは、やはり株主の会社、株主の銀行というよりも、むしろ従業員及び経営者による経営であった、そしてそれが護送船団方式と言われるような行政の庇護のもとでの経営であったということが今日の状態を招いたということで、私は、先ほどの御答弁だけでは恐らくほとんどの方々が納得できないだろうということを指摘いたしまして、次の質問に移りたいと思います。その点を各頭取方々、ぜひお考えをいただきたいというふうに思います。  三枚目の資料に移りたいと思います。  これは、アジアの主要国向けの銀行の貸出残高が出ております。大変多くのお金が日本から貸し出されておるわけでございます。これも、全部の国について全部の頭取からお伺いをいたしますと時間がありませんので、まず、インドネシアに対して東京三菱銀行の方からどのくらいの貸し出しが行っておるかということについてお答えをいただきたいと思います。これは、質問通告をしておりますけれども、貸出総額が一つ、それから為替差損があるかないか、それからどんな規模であるか、それからどんな通貨で行っておるかということについてお答えをいただきたいと思います。
  161. 岸曉

    岸参考人 お答えを申し上げます。  インドネシア向けの貸し出しは三十一億八千四百万ドルでございまして、ほとんどドル建てでございます。  貸出先がどの程度の為替差損をこうむっておるかということについては、よくわかりません。私ども貸し出しはドル建てでございますので、そういう意味では為替差損はないというふうにお考えいただければと思います。
  162. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 インドネシア、これは五百八十七億ドルということでございますが、そのうちの三十一億八千四百万ドルという大変大きな額を貸しておられるわけでございます。  御承知のとおり、今インドネシアはいろいろな問題を抱えておりますが、このうち、やはりある程度焦げつきが予想される予想値といったものが恐らくあるのだろうと思います。現在、これだけの融資の中で非常に危ないとかいうふうに把握をしておられる状況についてお答えいただければ幸いです。
  163. 岸曉

    岸参考人 ただいまの答弁の中で申し忘れましたけれども、ただいまの数字は昨年の九月末の数字でございます。  インドネシア向けの貸し出しにつきまして、公的な部門への貸し出し、それから民間部門への貸し出し、また民間部門の中でも日系企業の、例えば保証書が入っておりまして、日系企業のリスクでやっておる貸し出し、それからインドネシアの地場への貸し出し、あるいは日本と地場の合弁の貸し出し、それぞれございますわけでございます。  ただいま、どのくらいのリスクを見込んだらいいかということにつきましては、一連の決算処理の中で集計、分析を行っておるところでございまして、まだ最終結果を得ておりません。
  164. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 集計、分析中ということでございますが、とはいえ、慎重を重んじる貸し出しあるいは銀行からの貸し出してございますので、やはり最悪の場合ということを当然予想されるのではないか。けさの質問におきましても、あるいは答弁におきましても、岸頭取の方から、三月三十一日の段階で最悪の状況を予想して公的資金導入を申請したという話がございましたけれども、そうしますと、調査、分析中であっても、ここまでは大丈夫だとはいいながら、預金者から、あるいは最近は公的資金も得ながら経営をされておられるわけですから、やはり念には念を入れて、これだけの額ですから、さっき私は五百八十七億ドルと申しましたが、これは世界全体からでございますから、日本銀行からでいいますと二百三十二億に対して三十一億ですから、もちろん合併があったにしましても相当の割合を出しておられる。  そうすると、やはりリスクに関しては相当慎重に考えておられると思うわけですが、その観点からいたしますと、単に調査中だけではなくて、この辺は相当危ないとか、逆に言いますとこういう理由で安全だという反論がなければ、これはやはり危なっかしいということになるのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  165. 岸曉

    岸参考人 御指摘のとおりでございまして、貸し出しにつきましては非常に保守的に分析をいたしまして、必要な償却あるいは引き当てを積んでおります。これはインドネシアの貸し出しに限らず国内の貸し出しも含めまして、全貸し出しにつきまして期末ごとに格付を見直し、その内容に応じましてどのぐらいの引き当てを積んだら安心できるかということを検討いたしまして引き当てを積むわけでございます。インドネシアの貸し出しもその一環として分析、処理する予定でございます。
  166. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 償却というのは最終的な手段でございまして、償却の前段階でリスクについての評価をされるのだろうと思うのですが、それに応じて引き当てとか準備されると思うのですけれども、そうしますと引き当てはどのくらいでございますでしょうか。
  167. 岸曉

    岸参考人 引き当てのプロセスにつきましては、貸し出し一本一本、相手の会社、その内容、それから担保、保証、キャッシュフロー等債権保全上の問題を洗いまして、そして一つ一つ積み上げて引当金を算定するわけでございますけれども、インドネシアにつきまして私ども銀行が今期幾らぐらい引き当てるだろうというようなことを申し上げますと、今現在国際交渉が行われている最中でございますので、そういうことに影響を与えてもいけませんので、集計もできておりませんけれども、幾らぐらいというようなこともここでは差し控えさせていただきたいと思います。
  168. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 それでは別の聞き方をいたしますが、債権の中で元本返済猶予、それから元本返済軽減債権については、私、別に東京三菱さんだけに聞こうと思っておりませんが、流れの中でお聞きしたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。
  169. 岸曉

    岸参考人 元本返済猶予債権あるいは金利減免債権でございますけれども、今回の全銀協で決めました新しい基準ベースでリスク管理債権の中の貸し出し条件緩和債権というのに当たる債権でございます。  十年三月期の貸し出し条件緩和債権は現在集計中でございますけれども、中間期、九年九月期の貸し出し条件緩和債権にちょうど該当いたしますアメリカのSEC基準のリストラクチャード貸付金でございますけれども、これは単体でなくて連結ベースですけれども、五千六百四十一億円でございます。
  170. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 東京三菱銀行は今都市銀行、つまり日本銀行の中でも一番経営内容がいいというふうに言われておるわけでございまして、そういった銀行におきましても今のような状況と伺ったわけであります。  アジアに対する銀行融資というのは実際に相当やはり危ない、今たまたま国際交渉中だということでございましたのですけれども、実はほかの銀行もある国については大変多いというようなことも言われておりますから、個別にお聞きしたいわけですが、時間がありませんので、ほかの国に行くのは差し控えたいと思います。  今三つに分けて質問いたしました趣旨は、公的資金導入を要請された。しかしながら、政治献金も減ったとはいえ、やはりしておられる。それから、株主の会社であるからということで実は配当もされようとされておられる。アジアに対して、氷山の下の方には、水面下には、実は相当危ない状況があるのではないか。もちろん、危ない状況に至ったのは銀行皆さん責任だけではございませんけれども、ただ、やはりそういった同じ状況の中につながれておられる。  それから、不良債権に関しましては、今リスク債権のことをお伺いいたしましたけれども、いわゆる公表不良債権というのは延滞債権とそれから破綻債権だけでございますから、実際の不良債権の一部しか銀行協会の基準では出せないことになっておるわけです。ところが、今岸頭取の方でおっしゃっていただきましたようなSECの基準であればもうちょっと出てくるわけですが、恐らくそれでも全体ではないのではないかという気がしておるわけです。その辺をディスクローズして自己責任のもとにこれから経営をしていっていただく、そして本当の意味での株主の銀行にしていただくためには、けさからいろいろ御答弁をいただいておるような形ではやはりまだまだちょっと先が長いような気がしております。  そんな意味で、実際に公的資金一千億とか導入をされたわけですが、本当にこの一千億で足りるのか。つまり、例えばアジアの方の焦げつきがもっとふえてしまうかもしれない。あるいはリスケ債権、つまり利子さえ払っておれば、元本に手をつけず、不良債権が実はもっとあった。それでやがて行き詰まってまた公的資金導入がさらに要るというようなことが本当にないのかどうかということについてお聞きしたいと思います。  それでは、さくら銀行頭取にお伺いいたしますが、本当に今後公的資金を要請する可能性がないのかどうかについてお答えいただきたいと思います。
  171. 岡田明重

    岡田参考人 今の御質問は、アジア向けの債権に相当程度の問題を抱えているのではないか、そういうことも想像すると一千億の公的資金の投入で足りるのか、将来それをさらに追加して申請するというようなことはないのかというお尋ねでございます。  公的資金の申請書をお出ししておりますけれども、私どもとしては、経営努力もございますけれどもリストラもやりまして、二年間で相当程度の税引き後の利益を計上して一千億の公的資金を十分吸収できるだけの収益を上げるべく今努力をしておるところでございまして、将来にわたってその辺についてどうかということについては、先のことですから、正直言ってきっちりとわかるわけではございませんが、私どもとしてはそういうつもりは今のところはないというふうにお答えをさせていただきたいと思います。
  172. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 そのつもりがあるかないかではなく、そういう状況に本当に至らないのかどうかということをはっきりおっしゃっていただかないと、やはり今これだけ厳しいときに税金を使ってということになりますので、つもりの話ではないと思うのです。  それを改めてお聞きしたいと思いますが、せっかくさくら銀行岡田頭取お話しいただきましたので、さくら銀行のタイに対する貸し付けが非常に多いと思いますけれども、簡単で結構でございますが、タイに対するさくら銀行からの貸出総額、公的部門及び民間部門について、それからそういった債権に対するリスクの可能性について、簡単にお答えいただきたいと思います。
  173. 岡田明重

    岡田参考人 それでは、タイ向けの数字を申し上げますが、申しわけないのですが、ちょっと円で数字を持ってきましたので。  三千百十九億円の貸し出しがございます。そのうち公的部門につきましては十九億円、それから非日系の地場企業に対するものが千三百五十一億ですね。日系が千七百四十八億でございます。そういう状況でございます。  日系企業は、大部分は日本の大企業の出先機関というのが多うございます。それから、非日系につきましても、私どもはタイに店を開きましてからもう既に半世紀近くたっておりまして、地元の財閥系の大企業を中心に融資をしておるということでございまして、今のところ心配状況にはないということでございます。  以上でございます。
  174. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 今さくら銀行さんのお話を伺っておりますと、タイについては、実際に問題が出たのがインドネシアなんかに比べて早かったわけですが、したがいまして、対応がインドネシア等に比べればかなり進んでいるというふうにも聞いておりますけれども、とはいえ、実際のところ、やはり相当危ない面も残されているのではないかというふうに聞いております。  したがって、この一千億という公的資金、実はアジアに対する貸し出しというものがいろいろな要因がございまして、これは連鎖反応ということも起こり得るわけで、私はそういうふうにならなければいいと思っておりますけれども、そういうアジアに対する貸し出し状況が、先ほど岸頭取は、最悪を想定してというふうに午前中おっしゃいましたけれども、その最悪を想定した場合に、日本銀行から貸しておられる額の例えば二〇%あるいは一〇%が危ないという形になっても、これはやはり今の公的資金導入等々では賄い切れない状況に実はなってしまう。あるいは不良債権というものも、実は国内でも相当まだまだSEC基準で出てこない行に関してあるのではないかという気がいたしますけれども、最悪のことを考えた場合に、公的資金のさらなる導入ということが本当に必要でないのかどうかということについて、岸頭取、たまたま銀行協会の会長でございますので、別に東京三菱さんだけということではございませんが、御答弁をいただければと思います。
  175. 岸曉

    岸参考人 今後、公的資金のさらなる導入が全く必要ないのかというお尋ねでございます。  私ども銀行につきましてはそういう事態にならないようにできるのではないかなというふうに思っておりますけれども、この金融システム安定化法でございますけれども、まだ今後も追加で申請できるという法律の決まりになっておりますので、やはりこの法律で許されている範囲ではこれを機動的に使わせていただいて、今後この日本経済が今の景況を脱して上向きになっていくまでの間、金融機能の強化ということのために活用すべきであろうというふうに考えております。  それから、一つよろしゅうございますか。先ほどの答弁で間違いがございましたので、訂正させていただきます。  午前中の上田先生の御質問の中で、日銀に出向しております行員の所属でございますけれども、一人は調査統計局経済調査課というところに国際局から転勤になっておりましたので、大変失礼いたしました。
  176. 藤田幸久

    ○藤田(幸)委員 午前中の答弁に対する訂正が三十秒ぐらいありました。三十秒で恐縮でございますけれども、二人ございましたので。  ひとつ委員長にお願い申し上げたいことは、中小企業に対する対応ということが先ほど来ずっと出ております、こういうふうにやるんだと。やはり、中小企業に対してこれだけ貸し出しをしておるということの追跡調査のようなことを、せっかくこれだけ頭取の方にお越しいただいたものですから、ぜひこの委員会としてもしかるべき方法でしていただくということをお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  177. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木憲昭君。
  178. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  初めに、公的資金投入問題についてお聞きをしたいと思います。  先月、二十一行に対する公的資金の投入が行われました。金融システムの安定ということが名目でありますが、私どもは、なぜ体力のある銀行に財政資金を投入しなければならないのかと根本的な疑問を感じております。そこで、最も体力のある東京三菱の岸頭取にお伺いをしたいと思います。  岸頭取は、昨年の十二月の時点でいろいろなインタビューにお答えになっておられます。例えば「金融財政」という雑誌がございますが、ここで、これは十二月二十五日号ですが、最大大手の東京三菱から公的資金導入をやったらどうか、このように聞かれまして、このようにお答えになっておりますね。「それはかなり違和感のある話。どの銀行が危ないかをぼやかすために、ある銀行に国家の資本を入れるというのはどうかと思う。」このようにお答えになっておられます。  それから、毎日新聞の十二月二十日付では、「金融機関自己資本拡充への活用は、モラルハザードの問題がある。護送船団方式と言われかねず、難しいのでは。」このように言っておられます。  また、二月の七日号の週刊東洋経済、この中でも、「(公的資金を)入れる場合には、条件がつくとも言われている。私どもはコマーシャル・ベースだけでも対応できると思うので、できれば避けたい。」このようにおっしゃっているわけであります。  こういうふうにお述べになった記憶はございますか。
  179. 岸曉

    岸参考人 そういう趣旨のことを申し上げた記憶はございます。
  180. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ところが、三月の上旬に、東京三菱銀行を初めとして、一斉に二十一行が申請をしたわけであります。極めてこれは不可解な状況だと私は思うのです。東京三菱銀行は二月の中旬から下旬にかけて事態が急変したのだろうか、公的資金を受け入れなければ金融システムの安定につながらない、このような状況に陥ったのかどうか、この点をお答え願いたいと思います。
  181. 岸曉

    岸参考人 十一月の段階では相当危機的な状況にあったわけでございますけれども、十二月十六日に自民党からこの金融システム安定のための対策が打ち出されまして、年を越す前後から、全体の状況としては割合に落ちついてきたのかなというふうな感想を持っておりました。  ところが、その後も、日本売りというのでしょうか、円安も進行してまいりますし、株価もなかなか回復しないということで、三月末の期末が次第に近づいてくるにつれまして、いわゆる三月危機というのでしょうか、経済界で相当この三月、期末が近づくに従ってコンフィデンスクライシスが起こってくる心配が出てきた。その間、金融システム安定化法のことをいろいろと勉強させていただきまして、これはやはり金融システム安定のために必要な措置であり、我々も、リスクアセットの圧縮でもって対応するよりは、公的資金注入を仰いで金融の円滑化のために動いた方がいい、こういうふうに考えが変わった次第でございます。
  182. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ちょっと説得力がないと思うのです。  なぜかといいますと、二月の中旬以後に態度が変わったわけでありますが、三月に向けての状況というのはそれまでとそれほど変わっていないわけですね。つまり、客観的な経済状況というのは、いわば金融不安というのは十一月がピークだったわけですが、おっしゃったようにそれ以後は一定の均衡状態にあった、円安はそれほど進んでいなかったこういう状況でありまして、主体的な状況もそれほど変わっていないわけです。客観状況もそれほど変わっていないわけであります。にもかかわらず、受け入れるつもりはないとおっしゃっていたのに、それが変わったわけですね。私は、ここに何か原因があったのではないかというふうに思うわけでございます。  当時、一月の段階から自民党の加藤幹事長は、優良な銀行から入れていくべきだ、こういう発言を繰り返し行っていたわけであります。そういう自民党の幹部の方の発言、さらには毎日新聞の報道によりますと、自民党の中の財政部会・金融問題調査会の中で、党が全力を挙げてつくった金融システム安定化策が利用されないのはおかしい、党の威信にかかわるという発言、大蔵省にはもう頼まない、党の幹部から直接銀行に働きかけてもらう、こういう議論があったということが報道されているわけであります。こういう報道が我々に伝えられたわけでありますけれども、岸頭取、ほかの銀行の方もそうなんですけれども代表して、このようなぜひ使ってほしいというお話は実際になかったでしょうか。
  183. 岸曉

    岸参考人 大蔵省からもそれ以外からも私に対する働きかけは一切ございませんでした。
  184. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そういう答弁でありますが、これは、態度の変更の裏に何があったかというのは、さらに私ども研究をさせていただきたいと思っております。  公的資金を投入された場合には貸し渋りの緩和に今度はつながっていくのだというのが説明でありますけれども、ところが、大蔵省の三月末の調査によりますと、貸し渋りはやや緩和した、非常に緩和したというのは合わせて二%なんです。非常に厳しくなった、やや厳しくなった、合わせますと三九%、四割が貸し出しは一層厳しくなった、こういう回答をされているようであります。通産省の調査もそうですし、または日銀の短観も貸し出し状況については昨年十二月に比べて三月はより一層厳しくなった、こういう回答を寄せているわけであります。  公的資金を投入されてもなおかつ改善されていない、こういう状況があるわけですけれども、これはなぜこのように改善されなかったのか。これは、具体的な貸し出しの実態も踏まえまして、ぜひ代表して岸頭取にお答えを願いたいと思いますが、いかがでしょう。また、改善の方向についても今の段階で示していただきたいと思います。
  185. 岸曉

    岸参考人 幾ら改善されたかということでありますけれども自己資本注入を受けなければ貸し出しが幾らになり、注入を受ければ幾らになったかということは、これはなかなか実験ということはできないわけでありますから、理論的に申し上げるしかないわけでございますけれども、私どもの方は千億の自己資本注入をしていただきましたので、理論的には一兆二千五百億の貸し出し余力が生じたというふうに言えるわけでございます。  実際の貸し出しの増減でございますけれども、午前中の会議でも申し上げましたけれども、国内総貸し出しては、お客さんとの間のベースでは七千三百四十億の増加、それから、うち中小企業については四千八百五十四億ということで、五千億を目標にいたしましたけれども、ちょっとそれには届きませんでしたが、そういう貸し出し増加ということに相なりました。
  186. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 余力が生じたのだけれども現実の行動がどうかというのが今問われているわけであります。実際に、調査によりますと、貸し出しがより一層厳しくなっている。  これは、今後ビッグバンを控えて競争が激化するという状況の中で、欧米並みに十数%に自己資本比率を引き上げるという戦略目標が当然出てくるわけでありまして、そうなりますと、自己資本の比率が若干上がってもまだこれは満足できない、さらに上げなければならない、そういう状況が生まれるわけです。そうなると、これはやはり中小企業向けに本当に貸し出すということを、枠をはっきり示して、それを実行に移していくという行動がなければ効果がないわけでありまして、ぜひその点を私は要望をしたいと思っております。  その次に、贈賄責任の問題についてお聞きをしたいと思います。  収賄で起訴された大蔵官僚は、これは大きな問題を大蔵省大蔵行政がはらんでいたということを証明したわけでありますが、しかし、収賄の裏には贈賄があるわけであります。この贈賄側銀行責任というのは非常に大きいというふうに私は思います。当然、厳正な社内調査を行って厳しい処分を行うべきだというふうに思います。略式起訴を受けた銀行が五行ありますけれども、しかし、略式起訴を受けていない銀行の場合も、当然これはきちっとやるべきだと私は思います。  そういう意味で、第一勧銀、さくら銀行富士銀行のそれぞれの頭取にお聞きをしたいと思います。それぞれの行内でいつまでに調査を行い、いつ処分を実施するのか、この点について、まず第一勧銀の杉田頭取からお伺いをしたいというふうに思います。
  187. 杉田力之

    杉田参考人 お答え申し上げます。  私どもは、起訴猶予になったとはいえ、このたびの事態につきまして大変重く厳粛に受けとめております。  調査は、御当局から指示のありました件につきましては御協力を申し上げたわけでございますが、そういう意味では事実関係については掌握をできたということでございまして、直接の担当者及びその上司、担当役員、それに私も含めた、経営トップも含めた処分を今週中に行う予定でございます。  以上でございます。
  188. 岡田明重

    岡田参考人 私どもも、証券子会社の方で接待がございまして、起訴猶予ということになっております。それで、平成五年以降の考えられる関連本部のいろいろ接交費につきまして、経費伝票等をひっくり返して、いつ、だれが、だれを、どこで接待したかというようなことを調査をいたしました。一応調査は終わっております。  接待の場に多く出た者については、接待の状況等もヒアリングをしております。そうしたヒアリングの結果に基づきまして、これは関係当局の方にも説明をしているところでございまして、起訴猶予処分者、起訴猶予の者がいるということとそれの監督責任を含めまして、今来週中には何らかの厳正な措置をとりたい、さように思っておるところでございます。
  189. 山本惠朗

    山本参考人 私どもの場合は、道路公団にかかわる贈賄の疑いがあるということでございまして、最終的に起訴猶予処分というのがございました。この事実については厳しく受けとめております。  調査の件でございますが、調査をやってまいりまして最終段階に来ておりますので一近日中に行内のルールに従って処分をいたす方針でございます。  以上でございます。
  190. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 重要なのは、接待を繰り返した企画部のMOF担であります。そのMOF担が行った接待というのは、個人で行ったのではないというのは当然のことでありまして、これは銀行の費用で接待費用が支払われているわけでありますし、銀行の全体の公認のもとで、いわばぐるみで行われていたということであります。  例えば、これはある銀行の行内で配付されている「マナーの手引き(法人取引編)」というのがありまして、これを私入手をいたしました。これは平成四年三月のものでありますが、まず最初に「接待」というのが出てくるわけであります。これは従来のやり方を書いているわけです。「接待はビジネスの延長であり、常に銀行員であることを忘れないこと。個人的な接待はあり得ない。必ず支店長の指示に従うこと」こういうふうに書いていまして、「予算はいくらか。キーマンは呼んだか。先方の好みは調べたか」、趣味はゴルフかマージャンかカラオケか、持病があるかどうかまで、そういうことまですべて調査をして、いわばぐるみで接待を行っていた、こういうことになるわけでありまして、このような仕組みは当然頭取皆さんも了解の上だというふうに思うわけでございます。  したがって、MOF担が接待等によって手に入れた情報を利用して銀行経営を行っていたわけでありますから、今回の不祥事というのは、単に担当者を処分すればそれで済むという問題ではないわけでありまして、最高責任者である頭取も当然責任をとるというのが、これは当然のことだろうと思うのです。当然、例えば身を引くということも選択の一つとして考えるべきではないだろうか、私はそのように思うのです。  接待汚職の対象人員が比較的多いのが住友銀行三和銀行でありますが、それぞれ三人を接待したということで、贈賄という形でこれは起訴されているわけであります。それからもう一つは、金額が比較的多いのはあさひ銀行それから日本興業銀行でございます。  そこで、それぞれ三和、住友、あさひ、日本興業銀行、どのように頭取として責任をとるおつもりなのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  191. 佐伯尚孝

    佐伯参考人 まずもって先生の御指摘のとおり、大変恥ずかしいことといいますか、お騒がせして申しわけございませんでした。  頭取としてということでございますが、今回の件につきましては、起訴をされた人も含めて社内調査をしておりますが、まず本人の処分、それから管理責任、そして経営責任というものがあろうと思います。まだ私ども処分はきちんと決めておりません。社内調査が終わっていない部分もございますが、起訴の事実に基づいて近日中にきちんとした処理をとるというふうに思っております。
  192. 西川善文

    西川参考人 けさほどもお答えいたしましたように、三日付で処分を発表いたしました。私それから会長は、監督不行き届きということで月例報酬の二〇%を三カ月間カットするということでございますし、担当者は重譴責処分ということにさせていただきました。
  193. 西村正雄

    西村参考人 一連の事件に関しまして、世間をお騒がせいたしまして御心配をかけました。まことに申しわけなく、深くおわび申し上げます。  行内処分につきましては、先ほども申し上げましたけれども、近く担当役員も含めて行う予定でございます。  私どもとしては、この事態を非常に厳粛に受けとめておりまして、二月二十五日に公表いたしました経営姿勢改革及び経営合理化策の中で、行内処分に先立ちまして、会長の黒沢それに頭取の私が、既に役員報酬を自主的に当面全額返上するというような処置を行いました。
  194. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 役員報酬の減額というぐらいでは、やはりこの責任というのは、とり方としてはまだまだ足りないというのが世間の常識だろうと私は思うのです。ぜひその点を考えていただきたいと思います。  私は、今回、こういう事件が再び起こらないように、それぞれの銀行の中での倫理規定の見直し、こういうことが大変重要だろうというふうに思いまして、現時点でのそれぞれの銀行の倫理規定を取り寄せました。ここに皆さん方銀行の倫理規定がそれぞれございます。ところが、すぐ提出をしていただいたところと、それからそうではなくて、これは行内の秘密文書だから外部には出せないのだということで提出を拒否された銀行がございます。提出が拒否されたところは東京三菱銀行でございます。  これは、これだけ重大な贈賄事件を引き起こして社会的な批判を浴びているわけでありますが、そしてまた反省ということも口にされているわけですけれども、どのように行内の倫理規定を改善したのかという中身を表に出さないということになりますと、国民はこれは納得できないと思うのですね。ですから、岸頭取に、なぜこの倫理規定が表に出せないのか、その理由についてぜひお聞きをしたいと思います。
  195. 岸曉

    岸参考人 行内には、「倫理規程」を初めいろいろ規程、規則がございまして、行内のその時々の運営の仕方につきまして定めておるところでございます。こういうものは、もちろん、仕事の内容の変遷、時代の移り変わり等によりまして時々刻々変わっていくこともございますし、行内では常にアップデートいたしまして、現在生きておる規程を備えてそれを周知徹底しているわけでございますけれども、こういうものはやはり行内にとどめて、常に今現在のものをキープしておくべきであろうという考えで差し控えさしていただきました。
  196. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 どうもまともな答弁でないと思うのですよ。それぞれの銀行はこれを出しているんですよ。行内の全行員に徹底するものでありますが、そういうものをそれぞれの銀行が出しているわけです。ですから、当然これは国民の前にどのような基準でどのようにこれから律していくのかということを明らかにするというのが社会的責任だと思うのです。そういう点でどうも東京三菱銀行の場合の対応の仕方というのは非常に問題がある。  それで私厳しく言いましたら、要約をしたものを持ってきていただいたんです。要約というのは本物じゃないんですね。ですから、やはり国民全体が皆さん行動を見ているわけですから、そして再びあのような不祥事が起こらないように監視をしているわけですから、その監視の前に耐え得るようなものを当然表にきちっと出して、国民批判に耐え得るようなそういう行動をとっていただきたい、最後にこのことを申し上げたいというふうに思います。
  197. 村上誠一郎

    村上委員長 以上で各参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位におかれましては、御多用中のところ、まことにありがとうございました。委員会代表して厚く御礼申し上げます。     —————————————
  198. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、日本銀行総裁及び日本銀行副総裁に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂井隆憲君。
  199. 坂井隆憲

    ○坂井委員 自由民主党の坂井隆憲でございます。  速水総裁は政治改革の積極的なリーダーとしてかねてからその御高名は伺っておりましたが、思い起こすと、平成五年十二月ごろですか、時の自民党の財政部会長村上誠一郎委員長、中山太郎代議士、唐沢俊二郎代議士、三名が速水総裁のところに伺って、政治改革よりも予算編成を優先してもらいたいと言ったときも、当時の村上財政部会長のお話によりますと、非常に冷ややかだったというふうに伺っておりますが、それだけの政治改革のリーダーである速水総裁が、日商岩井の社長、会長時代、大体年収がどのくらいで、どのくらい個人献金したのか、ちょっと教えていただきたい。
  200. 速水優

    ○速水参考人 この大蔵委員会には、日銀法全面改正に大変御尽力いただきましたことを改めて厚く御礼申し上げます。一日から施行いたしまして、新しい政策委員も入りまして、既に活発な議論が始まっております。  今、坂井委員からの御質問でございますが、私は、御指摘のように、九五年まで経済同友会の代表幹事をいたしておりまして、当時は、民間の立場で政治改革が非常に必要であるということをかなり早い時期から言い続けたつもりでございます。  それはなぜかというと、やはり東西冷戦が終わって、世界じゅうが民主主義あるいは市場経済というようなことで動き始めているときに、日本はこのままでいいんだろうかということを財界で真剣に考えて、まず政治改革が必要であると……
  201. 坂井隆憲

    ○坂井委員 どのくらいの収入があって、どのくらい個人献金をしたかを聞いているんです。
  202. 速水優

    ○速水参考人 個人献金として党には私はいたしておりません、自民党のメンバーには入っておりましたけれども。自由国民連盟ですか。  ただ、会社は、私はよく覚えておりませんけれども、若干の寄附をいたしておりました。
  203. 坂井隆憲

    ○坂井委員 いわゆる政治改革の中で個人献金を奨励するという速水総裁の当時のお話がありまして、これは非常に理想的でいいことだなと思いますが、当時の日商岩井の社長、会長をされている方が個人献金をしていないような状況であれば、日本の風土にはなかなか難しいかなと思って、しかしあれだけ言われている方ですから、当然どなたかにはされているのかなと思ってお聞きしたんです。それはそれで終わります。  その次に、政治改革との絡みで、ちょうど日銀総裁に就任する二日前に自民党のある有力幹部の人にお会いしたときに、あなたは政治改革推進派でなかったですねという話をされた。その人の名前は言いませんが、それだけ政治改革に熱心だったなという気がします。  最近の新聞を読んでいますと、日経の四月六日のク刊に、フィナンシャル・タイムズで所得税、法人税の減税をという発言がある。それから、日経金融新聞の三月二十五日の新聞を見てみますと、「これまでの財政政策の無策ぶりによる金融政策へのしわ寄せが非常に目立ってきているのではないか。」という質問に対して、「最近というのは、バブル時代からということか」「バブルになるときもそうだったのかもしれない。財政の立場はかなり強かったからね。結局カネが出て行くのは金融なのだ。そういうものを必要に応じてチェック機能を果たせるのが独立性で、新しい日銀法の下で、従来と変わったことになっていかなければいけない。」「中央銀行としてのチェック機能とはどういう意味か。」と聞かれたときに、「通貨価値の安定というか、通貨量の調節は日本銀行に課せられた責任だ。それは財政で出ようと貸し出しやオペで出ようと、最終的には日本銀行が全体の立場で通貨発行量を調節できる一それが中央銀行の大事な機能のひとつだ。」という発言をされております。  そこで、難しいのは、日銀法の改正のときにも議論がいろいろありました。それは、日銀のあり方というのは、基本的には独立性は保つけれども、「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」これは日銀法第四条であります。私は当時自由民主党の財政部会長でこの日銀法の法改正を担当していたわけでありますが、ここのところが一番やはり議論になっていた。独立はいいけれども、政府との連絡の調整です。そうしますと、ここのところは、通貨の価値の安定を使命とする日銀総裁がどこまで発言できるのか、財政のことまで踏み込んで発言するのか、増減税とか財政政策まですることが適当かどうかという極めて難しい問題であります。  これは、ちょうど日銀法の改正の議論のときに、当時新進党の大蔵委員会の北脇委員が、ポリシーミックスとしてやっていくというのは、財政政策と金融政策の当事者の間で合意ができてミックスとしてやるのではなく、それぞれの独立の主体として判断して、その結果うまくかみ合ってポリシーミックスになっていくというような意見を述べているわけです。  私は、確かに日銀総裁がこれから経済政策のときに、金融のことを議論していくのはいいのですが、どの程度まで、そしてまたマスコミの場とかなんかで、どういう場で発言していくかというのは極めて難しい問題だと思っておるのです。それは、総理とか大蔵大臣とかそれなりの政策判断をする人たちのところで意見を言うのはいいのですよ。だが、そのときに日銀の独立性という問題政府との経済政策の調整という問題を考えたときに、これからも日銀総裁は思い切った発言を今までどおりされると思いますが、どういうような気持ちを持ってこれから政府との経済政策の調整をやられるのか、その気持ちをお聞かせください。
  204. 速水優

    ○速水参考人 確かに御指摘のように、この新しい日銀法には独立性と透明性ということが二本の柱として与えられて、このもとで通貨、金融の調節を行っていく、このことによって物価の安定、経済の健全な発展信用秩序の維持を実現する、その過程において政府の経済政策の基本方針を整合的になるように、常に政府と連絡を密にして十分な意思疎通を図るということが法律にもはっきり書かれておりますし、私もそのようにしてまいりたいと思っております。  政治について発言をどういうときにするかという、今まで同友会、民間人としてはかなりいろいろなことを言わせていただきましたけれども、今、中央銀行の総裁という立場で政治について発言することはなるたけ控えたいというふうに思っております。  ただ、一番大事なことは、金の総元締めであり、通貨の番人であり、だれでも金はたくさんあった方がいいというに間違いないわけですね、国もそうですし、国債発行をする、あるいは民間は金を少しでも安く多く借りたい、それから労働組合も所得が多い方がいいというようなことになってきますと、やはりだれかがチェックしなければいけない。チェック機能が要る。それを、国民経済の大きなグロスの立場でイエス、ノーをはっきり言っていくことが中央銀行の役割だと思います。  かつてアデナウアーが言った有名な言葉がありまずけれども、ある人に、どうしてこんなに立派にドイツが復興したのですかと聞かれたときに、アデナウアーは、私の方に立派な中央銀行があるからだ、これは非常に不便な存在だけれども、これがあるから自分は安心しているのだということを言っておられます。そのことは中央銀行にとっては非常に簡にして要を得た言葉だと思うので、私もそういう立場になれればなというふうに考えております。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  205. 坂井隆憲

    ○坂井委員 時間がなくなりましたから、最後に一言申し上げておきたいと思いますが、今のアデナウアーの話とかそういう発言については我々も承知しておりますし、日銀のそれなりの役割というのはわかっておりますが、やはり日銀法の改正のときにも、一番政府の経済政策との問題を議論していたわけです。ですから、日銀総裁の発言というものがどういう場で話をしていくのか、その点についてはやはり十分認識をしていただかないと、今までの民間人のときとは違うということを一言申し添えておきたい。  それから、これもさっきの、党首脳にあなたは政治改革派でなかったですねと言われた。そのときにその党首脳の人は、私は選挙制度改革派ではないけれども政治改革派でしたということを総裁に答えた、こうおっしゃっていました。  ですから、政治の世界というのは非常に難しい問題がありますし、特に総裁になられてからはこれから発言にまたいろいろと気を使われることと思いますが、福沢諭吉のやせ我慢の説があります。どういうことかというと、勝海舟が明治維新政府になって政府要人になった。それについて、やせ我慢の説を福沢諭吉は展開した。勝海舟は、行蔵は我に存すと言って答えなかった。それは、勝海舟は徳川の殿様を明治政府と調和させるのが最終的な目的だったと言われておりますね。  今回、実は総裁を任命したのは、橋本総理は政治改革派でも何でもない。だから、本当はこのやせ我慢の説であるのがいいのかないのか非常に微妙なところでありますが、総裁は今後、そういう自分の発言を、やはり今までの発言をよくかみしめて、発言に注意しながら総裁としての行動をしていただきたいと最後に要望して、終わります。
  206. 井奥貞雄

    井奥委員長代理 次に、濱田健一君。
  207. 濱田健一

    濱田(健)委員 日銀トップ三名の方、お忙しい中、きょうは御足労いただきましてありがとうございました。時間がございませんので、簡潔に質問をさせていただきます。  速水総裁にお尋ねをします。  先日日銀が公表しました短観の結果を見てみますと、金融機関貸し出し態度が厳しさを増し、企業資金繰りも苦しいと回答した企業が相当数に上っております。特に中小企業については、短観の調査以来最も苦しいとの結果が出ております。このように、金融機関の貸し渋り、特に力の弱い中小企業にしわ寄せされた貸し渋りが相当進んでいるように思われますが、日銀としてはどのように認識をされておられるのか。  また、貸し渋り対策としましては、政府系金融機関の融資枠の拡大が行われているほか、先月末に与党三党が示しました総合経済対策の基本方針の中で、中小企業経営者等に対する貸し渋り対策の必要性を明示させていただきました。また、公的資金による金融機関自己資本強化のため、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律も成立し、実行に移されているところでございます。こうした一連の措置によりどの程度貸し渋りが解消されていく効果があると考えられるか。この二点について総裁にお尋ねしたいと思います。
  208. 速水優

    ○速水参考人 貸し渋りにつきましては、私ども非常に関心を持って見ておるわけでございますが、公的資本導入を柱とする金融システム安定化策が具体化いたしまして、金融機関自己資本面からの制約はひところに比べて緩和されてきているように思われます。また、政府系金融機関の動向を見ておりましても、昨年末以来、中小企業向けの政府系金融機関融資相談額が急増しておりますし、実際の貸出残高もこのところ増加しつつあるように思います。これらの効果を定量的に把握することは難しいのですけれども、これらの対策が民間銀行の融資の低調を補う、あるいは民間銀行の融資姿勢を多少とも緩和する方向で作用していることは間違いないと思います。  ただ、今申し上げました我が国金融機関が収益性、健全性の向上といった中期的な課題を抱えながら融資姿勢を積極化するまでには、ある程度の時間を要するものであろうかと思います。このために、中小企業を中心に、個別の企業によっては厳しい資金調達環境が続く可能性があると思います。私どもとしては、こうした金融面の動きについて引き続ききめ細かく点検していく必要があろうかと思っております。  それと、やはり日本は、これまでどちらかというと間接金融の伝統を持ってここまで来たわけですけれども、これからは、ビッグバンも始まりまして、フリー、フェア、グローバルといったような市場をつくっていかなければならない。そういうところで、国債の流動化、あるいは株式の発行、社債の発行、あるいはCPの買い取りといったような新しい直接金融の道が開かれていくのがこれからの課題だというふうに私は思っております。そういう面でも、今既にCPの買い取りなどかなり積極的に始めております。それから、国債、短期証券、フィナンシャルボンド、そういうものが市場での取引のいいオペレーションの対象になっていくようになればいいがな、市場性を持ってくればいいがなというふうに思っております。
  209. 濱田健一

    濱田(健)委員 けさからの銀行皆さん方お話を聞いておりますと、いわゆる経済の血液と言われているお金を取り扱う銀行が、自己資本比率のBIS基準をクリアして貸し出し余力はあるが、貸し出しをどう伸ばすかというところまで、努力はされていると思うのですけれども、明確な答えがまだ出てこないという状況がございます。  貸し渋りというものをなくしていわゆる血液という役目を果たしていこうとされない状況を、銀行銀行たる日銀としてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、どういうふうに督励されていこうとされるのかということと、この四月より新日銀法が施行されて独立性と透明性が高められていかなければならないわけでございます。そういう意味で、政府からの独立性が高まった以上、日銀も政府とは違った立場で貸し渋り対策に積極的に取り組んでいくべきだというふうに考えますが、その辺はいかがでございましょうか。二点。
  210. 速水優

    ○速水参考人 貸し渋りをなくしていくというのには、先ほど申し上げましたように時間がかかりますけれども、いろいろな面から銀行も自分の貸出先を選択するのは、これまた自然の流れでございます。大きな立場で言えば、やはり一番大きなネックになっておりますのは、担保といいますか、土地がなかなか流動化していかないということがあるのではないかというふうに思います。そういう意味でも、これは金融政策とは少し離れますけれども、土地の流動化、虫食いの状態を直していくとか、そういったことから始まって金融機関の貸し渋りが直っていく。それと同時に、ベンチャーキャピタルといったような新しいビジネスをこれからつくっていかなければいけないわけですから、そういうものをファイナンスしていく、あるいは出資をしていく体制ができていくようなことを期待したいと思っております。
  211. 濱田健一

    濱田(健)委員 ちょっと意見も申し上げたいのですが、時間がありませんので質問だけにします。  貸し渋りというこの状況も、銀行も、いわゆる貸出金利を含めて自分たちの利ざやもそう上がっていないというけさからの答弁なのでございますが、もちろん、総体的な景気の回復というのがみんなが望んでいるとおりに大事だというふうに思うわけでございます。そのためには、長期的に続いている低金利状態、これは国民総体も、どうにかしてほしい、これは当然総裁も聞いておられることでございますし、先ほど申し上げましたとおりに、銀行の方もきついというような話をされておられます。いわゆる政策委員会機能を独立性を持って、透明性を持って大いに発揮をしていただき、消費の回復と銀行貸し出しを積極化させるという、そういう意味でのインセンティブを与えることにつながるのではないかというふうに思いますが、こういう金利の見直しというのはどうでございましょうか。
  212. 速水優

    ○速水参考人 私も、民間人として、これまで持っている資産の運用益が出てこないということは非常に痛い思いもありましたし、特に財団の責任者などが非常に今苦労しているのですね。こういうものを見ておりますと、なるたけ早い時期に金利収入に依存している家計や財団というものがもう少し金利収入をふやしていくことができればという感じは非常に強く持っておるわけでございます。  ただ、金利の引き上げというのは、一方で庶民の所得をふやしますけれども、家計部門のネットの利息収入の増加をもたらすと同時に、企業収益の減少あるいは投資採算の悪化とか資産価格への下押しといったようなものを通じて全体としての経済活動を抑制していくことになるわけで、今の低迷状態の経済、どちらかといえばダウンサイドにプレッシャーがかかりてきておる経済状況の中で、さらに金利を上げていくということはできないことではないかと思います。やはり、もう少し自律的な回復過程に入っていく兆しが見え始めて初めて金利の調整というのは可能になってくるのではないかというふうに考えております。
  213. 濱田健一

    濱田(健)委員 時間が来ましたので終わりますが、最後に、藤原副総裁、いわゆる民間の方から加わられた副総裁とされまして、前回の大蔵委員会の中でも、就任のごあいさつの中で、いろいろな形でいわゆる今回の一連の事件等々の信頼回復に向けて努力をされるとお話をされました。御回答は結構ですので、ぜひそのような立場で頑張っていただきたいというふうに思います。  これで終わります。
  214. 井奥貞雄

    井奥委員長代理 次に、北橋健治君。
  215. 北橋健治

    ○北橋委員 民友連の北橋健治です。  このたびは新たに総裁、副総裁に御就任されまして、本当におめでとうございます。御苦労さまでございます。  最初に、先ほど同僚委員の方から、総裁の過去の政治的な発言について指摘する声がありましたが、私は今、野党の立場でございますが、総裁がかつて特定政党の熱心な支援者であったことをとやかく言うつもりはございません。それは財界人としての良識と見識に基づいて行動されたわけでございまして、そういった意味におきまして、過去の、財界の要職にあられたときの発言を今になってとやかく言うことは筋違いである、これからも堂々と発言をしていっていただきたい、私はそのことをまず申し上げておきたいと思います。  それから、先ほど与党の方の質問の中から、総裁のこれまでの減税を初めとした思い切った発言について、今回の改正日銀法第四条、それに根拠を得て、政府の経済政策を批判するようなことはやってはいけないようなことをおっしゃっておられましたけれども、四条を読んでみると、基本方針と整合的なものとなるように常に政府と連絡を密にしなさいということが書いてあるわけです。何も政府に対して隷属せよなんてどこにも書いていない。今回の日銀法の改正というのは何を意味するか。それは、開かれた、透明性と、そしていろいろなところがらの独立性を強化するというところに改正日銀法の本旨があるわけでございまして、そういった意味におきましてはみずからの信ずる道を堂々と貫いていただきたい、そのことを強く期待するものであります。  それで、イギリスのフィナンシャル・タイムズでしたか、昨今の日本経済のことを聞かれまして、減税が必要だという御指摘があったように聞きまして、なかなか見識のある方だと私は改めて思いました。最近の日銀短観を見ましても、日本経済、大変な不振な状況にあるわけでございまして、金融・通貨政策の当局の頂点にある方がもろもろの経済運営についていろいろな御関心をお持ちになることは当然のことでございます。その意味で、当時、イギリスの新聞に、日本経済は沈没寸前、崩壊寸前という大見出しで出ていたことを見れば、見識ある発言ではなかったかと私は思いますが、この日銀短観が出まして、これからの日本経済の行く末が各方面から大変心配されております。  日銀新総裁といたしまして、今後、経済運営にとっての必要なポリシーについて、信念あるお答えがございましたらぜひともお聞かせ願いたいと思います。
  216. 速水優

    ○速水参考人 きのうフィナンシャル・タイムズに出ておりました記事でございますけれども、あれはフィナンシャル・タイムズのドクター・エイブラハムズとドクター・テットという、これはイギリスで非常に国際金融に精通した二人ですが、それが来て、これから日本で起ころうとしているビッグバン、彼らの体験について、一時間半ぐらいいろいろ話し合いました。  それで、これからは、私どもも東京に国際金融市場をつくりたいという非常に強い期待を持っておるわけでございますけれども、為替管理、為替取引だけを自由化しても、やはり税金、所得税あるいは法人税、そういったものがレベルプレーイング、国際並みでないとなかなか会社は出てきませんし、金もどんどん入ってくるというわけにいかない。そういう意味でもこの機会に法人税を下げてもらえればいいがなということを私の私見として申し上げましたら、それがああいう大きな記事になったのです。  かねてからの持論でございますので、つい長く話しておりますと出てくるので、言い過ぎた面があったらお許しいただきたいと思いますけれども、今の五〇%の法人税というのはやはり高いと思うのですね。そういうものを四〇にしていく、少なくとも一〇%ぐらい下げる、四兆円ぐらいかかるのかもしれませんけれども、そういうようなことはいずれなるたけ早い時期にやっていただきたいと思うのは、金融市場を育てるという意味で強く申しておった次第でございます。その点だけひとつ御了解いただきたいと思います。
  217. 北橋健治

    ○北橋委員 この法人課税を国際並みにさらに引き下げていく努力は、政府・与党内においてもそれを支持する声もございますし、民友連を初めとして野党各党も強くそれを政府に要求しているところでございます。まことにそれは時宜にかなった良識ある見識だと思っております。  さて、きょうばいろいろと通貨・金融政策についてお伺いしたいところでございますが、限られております。そして、何よりも前代未聞のスキャンダルに見舞われた直後の新生日銀のこれからの再出発に向けての重要なときでございますので、きょうは、今後日銀当局に対する国民の信頼を回復するために具体的にどのように取り組んでいかれるかということを中心に、以下、お伺いしてまいりたいと思います。  まず第一に、接待につきましては、逮捕者が出たわけでございますが、その内容を見ると、酒食を伴う会合七十四回、ゴルフ十三回、総額四百三十一万、職場近くで再三という、これまでの私どもが抱いていた日銀マンの管理職としてはとても考えられないことがあったわけでございまして、現在日銀が二月初めから調査をされていると聞いております。そして、何でも六百人ぐらいだと聞いておりますが、第一次の調査は一段落をして、その中で特に必要と思われる方について、さらに外部の弁護士等の意見も聞きながら追加的な調査を第二次として今されていると聞いておりますが、その数はどれぐらいでしょうか、そして公表はいつまでにしていただけるのでしょうか。お伺いします。
  218. 速水優

    ○速水参考人 本当にお恥ずかしいことでございまして、日本銀行の歴史の中に非常に汚点を残したことになるわけで、当の本人は既に起訴されております。  それで、銀行としては退職をさせたわけでございますが、これを契機に、その監督責任プラス、先ほどおっしゃった六百人近い人たちの一人一人につきまして、どれぐらいの頻度で接待を受けているかということを調べ、行為責任とを兼ね合わせて今最終的に処分を決めようとしておるところでございます。来週中にはかなりの人数の処分者が発表できるかというふうに思っております。
  219. 北橋健治

    ○北橋委員 私も大蔵委員会に所属しておりまして、実は並行して大蔵省の内部調査も進められております。ぜひとも連休前にそれを公表していただいてきちんとしたけじめをつけるように要求しているわけでございます。  いずれにいたしましても、日銀がこれから厳しい国際情勢の中で頑張っていただかないといけないわけでございまして、そういった意味では早くけじめをつけて、そして士気を高めて、新たな気持ちで再出発をしていただきたい、そういう思いで今申し上げているわけでございます。  来週中にも新たな処分というお話がございましたけれども、いずれにしても六百人の調査はされたわけですね。たまたま逮捕された人は氷山の一角でありまして、職務権限その他の関係において逮捕はされなかったけれども問題のある人はいっぱいいると思います。そういったものをつぶさに国民の前にできるだけ早い機会に公表していただく、そして日銀としてはきちんとしてけじめをつけたということを内外によくわかるように示していただきたい、そのことを強く要望しておきたい、こう思っております。  さて、午前中からの民間銀行頭取からのお話で、日銀に出向しているというお話もございましたけれども日銀からは民間銀行にかなりの方がいわゆる天下りという形で行かれております。そしてまた、日銀の中に受け入れていらっしゃいます。こういった問題について、私企業からの隔離といいますか、独立性という意味におきまして、こういったものについては、やはりこの際、きちんとした方針をお示しになるべきだと思いますが、お伺いいたしたいと思います。
  220. 速水優

    ○速水参考人 天下りにつきましては、職務の公正性の確保という点で組織運営には意を用いてきたところでございますけれども、「服務に関する準則」あるいは「日本銀行員の心得」といったようなことを新たに決めまして、それを各人が持っておるわけでございます。  天下りのルールにつきましては、二年、取引先と関係のあった役職者は当該取引先には行くことはできないということと、少なくとも職を離れてから二年間はその仕事につくことはできない。さらに、考査を担当した場合には、五年間はその銀行にあるいは金融機関にその職を持つことはできないといったような大綱を決めた上で、これは憲法の職業の自由ということもございますので、それと行内のルールとを考え合わせながら、もちろん先方からどうしても来てくれといったような場合には、そういうルールを守った上で本人の意思に任さなければならないことも起こってくるかというふうに思っておりますが、今のところ、天下りについてはかなり厳しいスタンスで臨むことにいたしております。  御指摘のように、今都市銀行、長期信用銀行、信託、地方銀行、第二地方銀行信用金庫、信用組合、証券会社、生命保険会社、損保、それらの役員の中で日本銀行の出身者は百四十六名ということになっております。こういう事態をよく頭の中に置きながら、今後はそういう取引先あるいは考査先への天下りということについては極めて厳しいルールで進んでまいりたいというふうに思っております。
  221. 北橋健治

    ○北橋委員 かなり厳しい方針だとお伺いしましたが、今回、改正日銀法三十二条に基づいて「服務に関する準則」が定められて、今総裁がお話しになったように書いてあるのですけれども、これは別に厳しくも何でもありませんね。国家公務員法で今でも、大蔵でも通産でも農林省でも、二年間はいけないことになっております。したがいまして、これは別に厳しいルールでも何でもない、当然のルールであります。  これだけの世間の耳目を集めた重大な事件が起こった直後の再出発でございまして、その意味で、民間銀行から日銀に受け入れているのは今後やめるということ。それから二つ目に、退職後二年間と言っていらっしゃいますけれども、三年間ぐらいは私は憲法の職業選択の自由を侵してはいないと思います。それぐらいの厳しいルールで第一歩を踏み出されてはどうでしょうか。
  222. 速水優

    ○速水参考人 日本銀行のスタンスとしては非常に厳しい態度で臨みたいと思っておりますので、その辺はよくウォッチしていただいて、もし甘過ぎるということがございましたら、どうぞウォーニングを出していただければと思います。
  223. 北橋健治

    ○北橋委員 もう一点お伺いしておきます。  大蔵省から金融機関に天下っていらっしゃる役員、職員の方を今後どうするのかというのは、内部の調査結果を待った上で大蔵委員会で議論になると思います。それとの横並びだと思いますが、私企業から独立する。そして今回、接待やいろいろなことがあったというのは、やはり日銀が民間金融機関に対して非常に大きな影響力を持っている、権限を持っているからこそこういつたことが起こっているわけです。そういった意味におきまして、既に百四十六人の方が民間の金融機関に行かれているということですが、その現職の方々についても任期を定めるとか期限を切るとか、それぐらいの措置が必要になるのではないかと思っております。ぜひとも今後御検討を進めていただきたいと思っております。  さて、株の取引でございますが、日銀出身の山口副総裁、日銀マンは株の取引は自粛されていますか。
  224. 山口泰

    ○山口参考人 お答えいたします。  株式の取引等に当たりまして、まず何よりも私どもとして気をつけなければいけないことは、職務上知り得た情報等をそういう取引に利用するというようなことがまかり間違ってもあってはならないということであろうと考えております。  そのような基本的な考え方を踏まえまして、このほど役員につきましては、改めて、役員在任中の取引先金融機関の株式取引といったものについて自粛をするというようなことを申し合わせたところでございます。一方、職員につきましても当然同じような精神を踏まえた対処の姿勢ということが望まれるところでございまして、職員につきましても同様のある種のルールということを持っております。
  225. 北橋健治

    ○北橋委員 私どもがちょっと聞いている話では、企業の内部情報の中に今後の設備投資計画といった、日銀が各企業からヒアリングできる、それによって収集される情報というものがあるわけですね。その課は、信用機構局経済調査課の景気分析グループの職員というものがそういう仕事をされている。まあ、これは私どもも確かめる方法はないわけで、ぜひ調査をしていただきたいのですけれども、これはやはり銀行や大企業の内部の情報を相当知り得る立場にある。この調査課以外にも、大体銀行というのは民間企業の実態を相当程度知り得る立場にあるわけだし、日銀も同じようにそれだけの力を持っていると私は思います。  そういった意味におきましては、内部に何かルールがおありのような、それとも何か明文化されているのかわかりませんが、きちんと株はやらないということを徹底されるように求めますが、いかがですか。
  226. 山口泰

    ○山口参考人 ただいまちょっと言葉が足りませんでしたので補わせていただきますけれども、先ほど来総裁からも申し上げております「日本銀行員の心得」ということの中に個人の利殖行為について一項目設けておりまして、「職務上知ることができた秘密を利用した個人的利殖行為は、厳に行ってはならない。」ということを明確に決めさせていただいております。
  227. 北橋健治

    ○北橋委員 インサイダー情報をもとに取引をしているのではないかといううわさも耳にいたしておりますので、きちんとした調査をこの際お願いして室きたい、こう思っております。  残りの質問は中川委員に譲りますけれども最初に申し上げましたように、これから経済政策をめぐりまして国会あるいは政府・与党内部でもいろいろな議論があると思います。今回の改正日銀法の本旨は、政府からもどこからも独立性を強化する、そして透明性を強化するという二点にあったわけでございまして、総裁を初め副総裁の皆様方は今後とも良識と信念を持って頑張っていただくことを重ねて要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  228. 井奥貞雄

    井奥委員長代理 次に、中川正春君。
  229. 中川正春

    ○中川(正)委員 民友連の中川正春です。  御苦労さんでございますと同時に、どうぞこれからよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  今回の速水総裁の抜てきと申しますか、大事については、一般の、それこそ総裁に任期が来たから次に新しく就任をされた、こういうことではないのですね。不祥事に対して引責辞任をされた上で、新しい総裁として抜てきをされた。それには、私たちが想像するに、橋本総理の思い入れの中に、どちらかというと、一たん理事まで務められてそれから野に下って経済同友会の中で活躍されておった、しかも非常に自分の意思どいうか考え方を持った方であります。いわば、水戸黄門をこの際ちょっと引っ張り出してきて将軍職につけようか、やってくれるだろう、こういうぐらいの気持ちかなというふうに想像ができるのであります。  私たちは、今の立場で答弁を聞かせていただいて、そしてまたこれからの活躍を見詰めさせていただく中で、それが本当に水戸黄門になるのかどうか、こういうところだと思うのですね。  そこで、何のために戻ってこられたか、何をするために日銀総裁を受けられたか、これを端的にまず説明をしていただきたいというふうに思います。
  230. 速水優

    ○速水参考人 私自身も、正副総裁が辞任をされて、後どうするのかなということを心配しておった者の一人でございます。  三月十七日ですか、週末に突然電話をいただいて、おまえしかいないから考えてくれということで、二日ほど随分いろいろ悩みもしましたし、迷いもしましたし、この年で、使い古された土の器のような者がまた古巣へ戻って改革をやれということが本当にできるかどうかということを、私自身も自信がございませんでしたけれども、やはり三十四年お世話になり、十七年離れておったわけですけれども、それなりに外から見て、日銀というものがどの辺がどういうふうにおかしいか、どの辺を直さなければいけないかというようなことは、私なりにもある一つの考え方は持っておったつもりです。  早急に返事をくれということで、いろいろ迷った末、お受けすることになったわけですけれども、やはり私に期待されておるものは、古巣で大体のことはわかっているだろう、特に国際関係を担当しておりましたので、そういう面ではすぐに役に立つだろうというようなことがあったほかに、やはり日銀の内部を改革すべきだ、しなければいけないという一つの、まあ昔から中央銀行というのは国民経済の良心なんだということを教えられてきたわけでございますが、果たして良心であると誇ることができるかどうかということをもう一度みんなに問いかけてみたいというふうに思っております。  一人一人がやはり風格のある中央銀行、風格のある通貨、円を発行していく、そのことが今私どもに課せられた課題だというふうに思っております。一人一人が責任を感じ、良心に恥じない行動をしていく、それを前提にして必要な改革なり国際化なりを進めていくというのが私に課せられた課題だと思っております。一生懸命やるつもりでおります。
  231. 中川正春

    ○中川(正)委員 精神論でお答えになりましたが、国民はもう精神論は実のところ飽き飽きしているのですね。そこのところがはっきりと示されて初めて速水総裁の存在価値があるのだろうというふうに思うのです。早急に自分なりの確固とした信念のもとで具体的な話をぜひしていただきたい、そんな総裁であっていただきたいと改めて思っております。  その上に立ってさらにお尋ねをしていきたいのですが、日銀法の改正のときにこんな議論がありました。日銀というのは一体行政機関なのか、それとも銀行の中の銀行、いわゆる民間という部分をその中に大きく含めた機能を持ったセントラルバンクなのか、これはどちらなんだ、こういう議論がございました。  今出てきた結果をよくよく見ていますと、結局いいとこ取りしているのですね。例えば給与の問題あるいは役員の待遇の問題の議論が出ますと、民間銀行と比べて遜色のないものを、こういう話になりますね。監督権限ということになると、それこそ接待攻勢をかけられて、それを振り回しながら銀行に対してコントロールをやっていくという姿勢も一つあるわけですね。さらにもっと言えば、天下りとそれからいわゆる日銀貸し出し、そういうものを交互に活用しながら自己増殖をしていく。それこそ大蔵省と同じような構図をその中に持っている。こういう本当にいいとこ取りなんですね。  それを国民のサイドあるいは我々のサイドから見たときに、さっきの信頼ということとそれこそ良心という部分を照らし合わせてみた場合に、言葉ではなくて、実質やっていることはいいかげんなことではないか、あっちもこっちも同じような話になってきているではないかという不信感が募っているんだというふうに思うのです。  そういう事実認識に立って、これから総裁としてはどちらでこの組織を律していこうとされているのか、ここをひとつ整理して聞かせていただきたいというふうに思います。
  232. 速水優

    ○速水参考人 日本銀行は、確かに公務員に準ずるという面がございます。それと同時に、やはり中央銀行、バンク・オブ・バンクスというステータスがあるわけで、考査と検査というのがどこが違うかというのは、やはり考査というのは銀行との契約関係で定期的に考査をしているわけで、そういうところはなかなかわかっていただけないのかもしれませんけれども、レンダー・オブ・ラスト・リゾートだということを私どもはいつでも心に置きながら、何が起こっても、破綻が起こり、金融システムの混乱が起こらないようにあらゆる情報を集め、予防をすると同時に、一たん起こりかけたときには、今やっておりますような特融もやるし、大きくならないうちになるたけ早くそれを整理していくということが大事だというふうに思っております。  いずれにしましても、独立性とアカウンタビリティー、透明性というこの二つのことを柱にして、新しい日銀法のもとで通貨の安定を図るべく努力してまいりたいというふうに思っております。  それと、やはりこれから始まろうとしているビッグバンに対して、今までの間接金融だけでなくて、マーケットをつくってそこへ取引をどんどんふやしていく、そのことが仕事をふやし、波及効果を持ち、雇用をふやしていくことにつながっていくのだということをこの時期に、ちょうど四月一日というのが日銀法とビッグバンと両方が始まっておるわけでございますので、先ほどの精神面での銀行内の改革、改新と同時に、今課せられているこれらの課題に適切に対応していくべく新しい政策委員会が動き始めておりますので、どうかひとつ期待を持って見ていただきたいと思います。
  233. 中川正春

    ○中川(正)委員 残念なんですが、さっきから全く的確な答えが出てこないですよ。これはどうしたことかなということで私もかなり不安になってきているのですが、どうぞその辺、もう一回、腹を据えて答えていただきたいというふうに思います。  具体的に行きます。  さっきの話の延長にもなるわけでありますが、午前中にそれぞれ銀行から、いわゆる天下りを銀行が受けているだけではなくて、出向者も日銀の中に出している、しかも、例えば調査統計局あたりには三人ほど民間から入ってきている、こういう現状も聞かせていただきました。  これは、今回吉沢容疑者の一件があったように、接待疑惑ということと同時に機密漏えい、この罪状が問われておるわけでありまして、そういった意味では、やはり官庁としての機能というのがこの組織の中にはぴしっと今それこそ位置づけられなければならないのだろうというふうに思うのです。それができるかできないかというのが次の信頼性につながっていくのだろうというふうに思います。  そういった意味で、こうした民間企業からの受け入れ、これが本当にいいのかどうか。私の感覚からいえば、これは日銀としてはだめだよという形で、やはりポリシーの切りかえが欲しいというふうに思うのです。  それともう一つは、さっきの天下りでありますが、これは日銀貸し出しをしている先に向いてそれぞれの役員なり担当者なりという形でみんな天下っているわけですね。こんな構図は第三者から見たら許されるはずのないものなんです。それを人権だとかなんとかというような話で切り返すということ自体が、職務の本来の構造というのが中にい過ぎてわかっていないのではないかなというような、そういう感じが今しております。  そういう意味で、もう一度、出向の受け入れと天下りについて、総裁としての考え方、これをお聞きしたいというふうに思います。
  234. 速水優

    ○速水参考人 民間の金融機関からの出向者の受け入れにつきまして、従来から、視野や経験の幅を、マーケットにおいて金融技術とか取引実務、そういう知識やノウハウを吸収することを目的として職員を一定期間金融機関に派遣しておったわけです。それとのギブ・アンド・テークという格好で、民間金融機関等からは、経済分析等の経験を積む機会を提供するという意味で出向者を受け入れておりました。本行において蓄積の乏しい金融先端技術の分野で、研究活動については民間においてエキスパティーズをお持ちの方々に来ていただいて、そうした方々の力を有効に活用する工夫をしてきたわけでございます。そういう方々の配属については十分意を用いて、機密の数字を扱っていないところへ配属をしていたはずでございます。  私どもとしては、こうした意味での民間金融機関との人材相互交流というのは基本的には今後とも必要と考えておりますが、そのあり方につきましては、現在進めております調査の結果を踏まえて、必要とあらば見直しを行ってまいりたいと思っております。
  235. 中川正春

    ○中川(正)委員 今度コンプライアンス委員会をおつくりになるということで、その担当を藤原副総裁がなされる、こういうことであります。  先ほどの議論を聞いていただいて、藤原さんに改めてお尋ねをしたいのですが、これまでの日銀のあり方、体質、私は残念なことなのですけれども、速水総裁の答弁を聞いていまして、水戸黄門的ないわゆる野から見た、第三者から見た発想ではなくて、やはり中にいた人だなという感じを受けました。しかし、藤原さんはしっかりと外から見ていただける方ですから、これについてはそれなりの考えを持っておられるだろうというふうに思うのですね。  それで、改めてこの出向の問題、それから天下り、それと同時にコンプライアンス委員会をどのように定義づけて中で活用していこうとされているのか、そこのところをお尋ねしたいと思います。
  236. 藤原作彌

    ○藤原参考人 お答えいたします。  二週間前まで私は外から日本銀行を見てきたウォッチャーですけれども、最近の一連の事件は非常に遺憾に存じます。それには、事件そのものは個人の犯したことかもしれませんけれども、もしかしたらやはり長い間の、日銀はコンペティターがいない存在ですので、一つの甘えがあったのかなという感じを持っていました。  それで、私のような者が日本銀行に入ってまず何ができるかと考えたのは、一般社会の良識と常識というものを日銀に持ち込んで、一方で、日本銀行金融政策を運営するに当たり、それから業務運営するに当たり、国民にもっと理解してもらう必要があるのではないか。つまり、外から日銀へ、日銀から外への両面交通の風通しのよさ、その意味での透明性が必要ではないかと思ってまいったわけです。  委員指摘の天下りの問題ですけれども、既に服務準則等でルールは設けられましたけれども、ただ単にルールに従うということだけではなく、そこに良識と常識を働かせてこれからも判断していくべきだと思います。  一方で、民間の金融機関から日銀への出向の問題ですが、私は、基本的にはやはりマーケットのことを知るにはマーケットとの意見交換は必要だと思いますし、それから、秘密に関するような部署とかいったことに気をつけながら、お互いにマーケットに住む者として互いを知る方法としての交流というのは、節度と限度をわきまえれば必要ではないかなと思うものです。  それから、コンプライアンス委員会についてのお尋ねですけれども、もちろん、今回の一連の事件の反省として具体的に何ができるかということを考えてコンプライアンス委員会を設けました。日銀経営企画室と検査室が中心になりまして、外部の専門家の法律家を招いて、実は昨日、その第一回の委員会を開いたところです。  これからの問題点といいますのは、例えば、貸し出し、オペレーション、それから考査、調査、各セクションで日銀自体の仕事としてどうやっていくべきか、改めなければいけないか、またはそういう不祥事件が起こるような法律ないしはルールとの関連でどういう点に注意していかなければいけないかということを一つ一つ洗い出す作業を始めようということで、具体策に着手しました。  恐らく、夏ぐらいまでは問題点のピックアップに時間がかかるかと思いますが、この一種のプロジェクト緊急チームで打ち立てた対策で内部の規程とルールを改めてつくりまして、厳しいものにしたいと思いますが、そのフォローアップを検査室で常時トレースして、監事にも報告し、政策委員会にも報告し、ということは、政策委員会自体は新日銀法で今度は世間にすべてを開示するということになったわけですから、そういうルートを通じて世間にそういった面での情報も開示して、我々、正すべき点は正していきたいと思っております。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  237. 中川正春

    ○中川(正)委員 そこで、もう一つお聞きをしたいのが、今進んでいるその内部調査ですね。先ほどのお話では、六百人に及ぶ調査と、そこからピックアップした者に対して何らかの処分をしていく、それを来週中に、こういうことであります。  これは一つは、さっきの話で、接待を受けたということと、それからその接待を通じて何らかの便宜供与なりあるいは情報漏えいなりということがあったのかなかったのかというふうな話等々含めて、いろいろな中身があるのだろうと思うのですね。それで、それをどこまで情報開示されるのか、ここのところを、これが大事なところだと思うのですよ。本当に日銀がこれで全部をさっぱりして生まれ変わることができるかどうかというのは、その中身の情報開示の仕方によって、国民も私たちも、ああこれは本物だなということで判断していけるのだろうというふうに思うのです。  そこのところを、どちらにお伺いしたらいいのか。これは担当は藤原さんですか、それとも総裁ですか。
  238. 速水優

    ○速水参考人 情報の漏えいにつきましても、先ほどの接待をどれぐらい受けているかということと同時に調査はいたしております。  結果として、結論的に申し上げられるのは、起訴されたかっての職員の下にいて、その指示を受けて流していた者が何人かおります。そのほかは、接待の席で機密に当たる情報を流したというケースは、六百人を調べた結果、出ておりません。そのことはそれぞれの人の顔色を見ながらよく調べたはずでございますから、間違いないと思います。  それで、その監督責任とそれから行為責任、両方を一緒にして処分を決め、近日中に発表できると思っております。大体見通しはっき始めておりますので、割合近い将来に発表できるかというふうに思っております。それぞれの段階処分をいたすつもりでおります。
  239. 中川正春

    ○中川(正)委員 それも整理ができていないので、答弁がちょっとまたずれたのだろうと思うのですが、私が申し上げているのは、処分をした分だけではなくて、実際に現状がどうなっていたのかということですね。これの情報開示、これも含めて大切なことであります。その開示がなされて初めてこれからの対策、また周辺に理解をしていただけるような流れというのが出てくるんだろうというふうに思いまして、これ以上答弁は求めませんが、それも頑張っていただきたいというふうに思っております。  それからもう一つ、先ほど政策委員会の話が出ました。今度の日銀法で政策委員会の議事要旨を公開をしていただくことになりました。私、この政策委員会の議事要旨、これはもう過去二回ほど公開されたのを読み、それと比べて、もう一つ、実は四月一日に政策委員皆さん方が就任をされたときに記者会見をされておりまして、その記者会見の発表がこういう形でオープンにされていますね。私は、これを両方読み比べてみたのです。これは新しい委員皆さんの個性にもよるんだろうと思うのですが、格段の差がある。この記者会見の方がよくわかるし、それぞれやはり気骨のある人たちが集まってきたな、こういう印象があります。  それともう一つ、なぜここまでよくわかるかということは、だれが何をしゃべっているかということがわかるわけですね。それで、その根拠が何かということがわかるのです。ところが、政策委員会の方の議事要旨は、これはだれが何をしゃべっているかわからないのです。全体の流れをまとめてあるというだけで、そこで本当にどんな議論がされたのかというのが浮き出てきません。そういう大きな差があるわけであります。  ここで、我々としては、ぜひこの記者会見型で政策委員会の議事要旨もまとめて公表すべきだ、もう本当にこれは素直な気持ちなんですが、こんな考え方を持っております。そこについて、ここはひとつ藤原さん、出番だと思いますので、答えてください。
  240. 藤原作彌

    ○藤原参考人 私の出番かどうかはちょっと、任にたえるかわかりませんけれども、私が日銀に入ります前に、既に数回にわたり、その議事要旨の公表ということが先駆けて実験的な意味でなされていました。たまたま私も金融制度調査会の委員として日銀法改正の審議に携わったときに議事要旨の公表について議論をしたんですが、もちろん、理想的に言えば、審議の模様がリアルにわかるような姿が望ましいとは思います。しかし、まだ試行錯誤の段階でして、先生おっしゃるとおりに、もし一人一人の言葉を口語体であのようにまとめていきますと、恐らく紙の数にして五倍ぐらいになるんじゃないかということもありまして、一応、スターティングポイントは、まずどういう意見があったかということを地の文でまとめて編集するという形をとりました。  日銀法改正に基づく政策決定会合が今後開かれていきますので、その回を経ながら、できるだけ内容国民皆さんの希望におこたえするような形に、徐々に徐々に改善する努力を重ねていきたいと思います。
  241. 中川正春

    ○中川(正)委員 もう時間が来たのでこれで終わりますが、どうぞ、何を期待されて皆さん方がそれぞれ今の地位につかれたかということ、この原点を忘れずにぜひ頑張っていただきたい。またこうした議論を重ねていきたいと私たちも思っております。頑張ってください。ありがとうございました。
  242. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、並木正芳君。
  243. 並木正芳

    ○並木委員 速水総裁、また藤原、山口両副総裁には、御就任おめでとうございます。改革クラブの並木正芳と申します。平和・改革委員として御質問をさせていただきたいと思います。お疲れのことかと思いますが、よろしくお願いいたします。  中央銀行としての政治からの独立性と政策の透明性、これを高める改正日銀法がいよいよ四月から施行されまして、新生日銀に対して私も大いに期待をさせていただいております。  そういうところではありますけれども、しかしながら、景気の後退あるいは経済の先行き不安が強まる中で、そうした厳しい状況の中で相次ぐ金融不祥事が露呈し、そしてついには日銀営業局現職証券課長の収賄容疑での逮捕、起訴に及んだ。こういうことで、金融システム不安というのは、システムそのものへの不安もありますけれども金融従事者そのものへの不信として重くのしかかっているわけであります。新生日銀は、まず襟を正すところがら始めなければならない。残念なことではあろうかと思いますけれども、そうした中で改革を果たして内外からの信頼を回復していただかなければならない、そういうことかと思います。  最初に、先ほどから贈収賄事件に関しまして、行員六百人への一次調査が終わり、法律専門家などを交えた二次調査を急いでいる。こういう中でその結果が、恐らく先ほどの総裁のお話だと出たということだと思います。今の金融界への不信からしますと、やはり可及的速やかにそうしたものを出していかないと、恣意的な時間をあるいはとるということは非常に好ましくないのかと思います。そういう点で、はっきりとこの発表をいついっしますということがもう出せるのかと思いますけれども、その辺についてはいかがなんでしょうか。     〔委員長退席、浜田(靖)委員長代理着席〕
  244. 速水優

    ○速水参考人 発表の仕方につきましても今検討しておるところでございますけれども、一定の、処分の重い者につきましては氏名も含めて発表ができると思いますけれども、何分人数がかなりおります。二けたでは済まないかもしれません。そういうふうになってまいりますと、いずれも将来のある人たちでございますので、やはり将来の自分のキャリアに大きな傷がつくということも、日本銀行にとってプラスかマイナスかということもあるでしょうし、本人にとっても家族にとってもいろいろなことがあるかと思いますので、その辺のところは慎重にして、十分反省してもらわなければならない人たちには将来にもある程度影響を与えられるような処分の仕方を今考えております。
  245. 並木正芳

    ○並木委員 もちろん、法律に関するところの大変微妙な問題もあろうかと思いますので、慎重性も要するかと思います。  ただ、今の段階でどこまでお話しできるかとは思いますけれども、いわゆる吉沢容疑者にまつわるものというか、そこに同席してしまったとか、そういういわばもうばれてしまったところでのやむを得ないものというか、そういうレベルになってしまうのか。ある意味では、どぼんだとかざぶんだとかこういつたことが日常的に使われていた。そういうことでは恐らく日銀OBの速水総裁あるいは山口副総裁もそういうことを耳にされていたのかと思います。そういうようなことからすると、こうした好ましくないなというものに関してはかなりの数に及ぶのかと思いますけれども、今回の処分というのは、いわゆる二次調査としての法的にこれは明らかにまずいというものが、吉沢容疑者にまつわるものだけでなくて新たなものとして発覚している、そういうことなのでしょうか。
  246. 速水優

    ○速水参考人 吉沢の周辺の者、特に上にいた者につきましては、既に総裁、副総裁はああして辞任をされたわけでございますけれども、その吉沢君を使っていた人たち、この辺のところがやはり一番監督責任を問われるわけでございます。自然、その辺のところがかなり厳しくなってくるだろうというふうに私は考えておりますけれども、そのほかに、それは妙な接待を受けたということを自白する者もないではございませんけれども、ほかは通常の、食事をともにするとか、あるいは食事の席で話し合うとか、あるいは会合に出たとかいうものも含めた接待の回数を計算いたしておりますので、かなりの人たちがそれに入ってくるわけでございます。おっしゃるように、接待の内容を聞いてみますと、それほど品のない接待というのは極めて限られているというふうに思っております。
  247. 並木正芳

    ○並木委員 余りこういうことばかり聞いていたくはないのですけれども、接待の中であと数点だけお聞きします。  日銀職員の中で、いわゆる飲み食いはあるけれども大蔵省とはけたが違うんだとか、あるいは会食をしても自分で払えばいいだろうと。先ほども情報交換そのものは必要なんだというようなこともありましたけれども、しかし、程度問題といいますか、何万円にもなるような飲食のお金を自分で払うということはかなり難しいのかな。いや、それとも日銀はそのぐらい給与が高くて自分で払えるのかどうかわかりませんけれども、その辺からすると、この辺はやはり極めて慎重にすべきことかと思います。その辺については、先ほどは藤原副総裁が情報交換も必要ですというようなお話もありましたけれども、こうした観点からすると、どうなんでしょう、そういう会食を自分で払うというのは、何万円ものお金を払うというのはかなり難しいし、そういったことではむしろきちっと公私を分けた方がいいと思うのですが、いかがでしょうか。
  248. 速水優

    ○速水参考人 業務に関する話し合いというのはなるたけ職場でやるようにというふうに指導をいたしております。  会合等で、それぞれの勘定を自分で持って会合が開かれるというケースにつきましては、これは仕事の上での話し合いであれば当然開かれてしかるべきだというふうに思います。  そのほかに、自分の友人とのつき合いまでできなくなるというのでは、これは本人の交友関係、あるいはこれからの成長にも、やはり精神的な成長にもかかわってくることでございますから、その辺まで余り萎縮し過ぎてみずからの個性を伸ばすことができないというようなことにならないようにやってまいりたいというふうに考えております。
  249. 並木正芳

    ○並木委員 あと、この点に関して二点だけお聞きしますけれども、一つ気がかりなことが、よく指摘されるのですけれども日銀支店長が三十三人おられるということですけれども、この宿舎家賃でございます。  これは当然、支店長宿舎でいろいろなパーティーをやられたりとかするような公的な機能も果たしているとは思います。この辺について、よく大使館だと大使公邸とかそういうところでの接待とかあるので、そういうような感覚であるいはおられるのかというふうにも感じるわけなんですけれども、この辺は、今公開されていないようですけれども、やはり政策の透明性というのもありますが、でき得る限り、いろいろな不祥事の関係からすれば、こうした点にも公私を分けて、家賃は家賃として明確にすべきと思いますが、その辺についてはいかがなのでしょうか。
  250. 山口泰

    ○山口参考人 恐らく舎宅あるいは役員が使っております住居についての家賃についてお尋ねだと存じますけれども、ただいま日本銀行の一般的な方針といたしましては、転勤を常時やっておるものでございますから、転勤の対象となる職員につきましてはやはり住居をそれなりに提供せざるを得ないということが基本になっておりまして、支店長につきましても、これも当然転勤の対象者でございますので、同じような考え方に基づいて支店長にも舎宅を割り当てております。  支店長それから一般の職員ともに適正と思われる使用料というのを徴求しておりまして、その使用料というのは、その住んでおる住まいの構造とか広さとか、あるいはそもそも建ててから何年たつかとか、そういう新しい古いの度合いとか、そういうものに応じて調整しながら家賃を決めております。  例えば大阪支店長とかそういう支店長の住居になりますと、ただいま御指摘のとおり、公的なスペースの部分と、それから支店長が家族の分も含めて個人用に使う私的なスペースの部分というふうに分けて考えておりまして、公的な部分については公的な目的のために当然使う。それに使うに当たりましては、私どもの最近決めました「日本銀行員の心得」でありますとか、そういう一般的なルールというのが当然適用されるというふうに考えております。
  251. 並木正芳

    ○並木委員 余り時間がございませんので、もう一つ、天下り問題についてお聞きしようかと思っておりました。  短資会社とか外為ブローカーとか、こういうところにもたくさん日銀から天下っている。さきの報道等でも、特殊法人労連ですか、これでは三百十八人も金融機関の方に日銀から行っている、こんな報道もありました。  再就職云々について服務準則も決められたようでございます。その辺、まずきちっと守っていただきたいということでございますけれども、この辺の服務準則も、自粛の対象に、政府系金融機関とか生損保会社あるいは業界団体、こういうものが含まれていない、あるいは、考査担当が考査を担当した銀行以外なら再就職可能だ、こういうようなことも聞いております。やはり、再就職といいますか天下り問題についてももう少し厳しいけじめが必要かと思いますけれども、それでは、それを一点だけお聞きします。
  252. 速水優

    ○速水参考人 再就職につきましては、先ほど現状を数字で申し上げましたけれども、民間への再就職につきましては、これまでも個人の識見とか能力、これを期待して外部から人材を求めてくるというケースがかなりありまして、そういうものについて、そういうものに限って、世間からいたずらに批判を招くことのないように慎重に対応してまいりたいというふうに考えております。  新日銀法では、日本銀行役職員の職務の公正性を確保するという観点から、再就職に関するルールを含む服務の準則を定めて、これを大蔵大臣に届け出ると同時に公表もするのだということが規定されております。  私どもは、こうした新法の規定に基づきまして、日本銀行役職員の職務の性格に即して再就職の自粛期間を具体的に、先ほど申し上げた期間を決めまして、今般、この「服務に関する準則」の中で再就職の自粛のルールを定めた次第であります。今後は、このようなルールを厳格に運用していくことによって、世間から誤解を招くことのないように、より慎重な対応を図ってまいりたいと考えております。
  253. 並木正芳

    ○並木委員 独立性、透明性ということについて、高いところの論議ではありませんけれども、先ほど中川委員も、議事要旨公表がちょっとわかりにくいというようなこともありました。午前中からの銀行の方のいろいろなお話では、日銀との交流もある、民間の方に開かれているということですけれども、やはり一番開かれるべきは国民に対してであろうかと思います。そうしたことからすれば、非常に平易な言葉、わかりやすい言葉で語っていくということが必要かと思います。  経済企画庁等では、景気をあらわすのに足踏み状態だとか言って、なかなか停滞だとか後退だとかいうことは言わない。責任逃れとも言えるような表現ともとれる、そういうふうな言葉を使うわけです。総裁はさきに、景気は低迷からやや下押しのプレッシャーが加わっていると。これはわからなくはないのですけれども、ある面では国民には非常にわかりにくいのかな。もっと端的に停滞だとか後退とか、そういう言葉は使えないのでしょうか。
  254. 速水優

    ○速水参考人 後退というところまでは言えないと思います。低迷をしていて、ここへ来てさらにダウンサイドのプレッシャーがかかってきたというふうにいろいろな数字を見ておって感ずるわけでございまして、またこれは何をきっかけにして底を打って上がってくるかという感じもしないでもございませんので、後退という言葉は使いたくないのでございます。
  255. 並木正芳

    ○並木委員 いわゆる官僚的用語というのはできるだけ避けるべきだというふうに思います。今の段階で、余りはっきりとした方策がない中で言葉だけが先走るというのではいけないというような配慮もあるのかもしれませんけれども、その辺、きちっとしたわかりやすい言葉を使っていただきたいということだけ要望しておきたいと思います。  さらには、日本のGDPは、御案内のとおり五百兆円を超すと言われております。それが、平成八年十月の選挙等では、我々も今消費税を上げてはいけないというようなことを盛んに指摘しておいたわけですけれども、その消費税の値上げあるいは医療費負担増あるいは減税打ち切り、こういう九兆円余りの負担増であっという間に経済がバランスを失ってしまっている。そういうことからしますと、非常に市場経済というのが、国民の側に立った施策というのをきちっと考えていかなければいけないのじゃないかなというふうに思うわけです。  今、政府は、公的資金金融機関導入するとか、あるいは公共事業中心の景気対策、こういう意味では、本当の意味での国民の将来不安を払拭するとか、あるいは消費マインドを喚起する、あるいは政策への信頼を与える、こういう方向性に行ってないのじゃないかというふうに思うわけです。  旧来の経済的なあれからすれば、ここまで来ると公定歩合も下げる、そういうことかと思いますけれども、しかし、もう下げられないところまで来てしまっているのではないか。しかし、上げられない、さっきからのお言葉のように。そうすると、ただ現状維持か。むしろ、国民的なマインドに訴えるのならば、いささかなりとも金利を上げて、そして消費を喚起していく、これが本来、逆の意味で非常にお金が回っていくことになるのじゃないかというふうなことで、超低金利政策の見直しが必要ではないかというふうに私は思うわけですけれども、民間出身の藤原副総裁とそして速水総裁にこの辺について、時間がないので一言ずつで結構です、御答弁をお願いします。
  256. 藤原作彌

    ○藤原参考人 お答えします。  私も一生活者として超低金利だと思いまして、ずっと見てまいりました。私の家内もそう言っております。私は、今度は生活者から経済記者としてこれを見ますと、確かにここで金利を上げたいけれども上げられない事情があるということを私なりにわかってきました。  それで、日本銀行が当面している金融情勢の判断から見ましても、できるだけ自律的な回復の事態が早く来てほしい、また来るようにしなければならない、そうなった暁にこそ金利を引き上げるチャンスも訪れるのじゃないかということで、経済の点検におさおさ怠りないように努めていくべきだなと今は考えております。
  257. 速水優

    ○速水参考人 先ほど申し上げましたように、現状において金利を上げるということは、やはりマクロ経済全体の立場から見てとてもできることではないと思います。もうしばらく数字の推移を見て、自律的な回復過程に入りつつあるなという明るさが見え始めたときに考えたいというふうに思っております。
  258. 並木正芳

    ○並木委員 最後に一点だけお聞きいたしますけれども、総裁は、かねての円高のときにも、資源輸入国の通貨が強くなる利点ということで盛んに述べておられます。  しかし、今の状況というのは、景気の低迷が長引いて円安が辛うじて景気を下支えしている、こういう状況とも言えるわけです。さらに、今後は対米の貿易黒字増ということでアメリカからの圧力も恐らく加わってくるだろう。去年十二月には百三十一円台半ばの水準で円買い介入をしたわけですけれども、今日の円相場については総裁はどのように見ておられるのか。その辺の経済的な分析というか、それをお聞きして最後とさせていただきますけれども、よろしくお願いします。
  259. 速水優

    ○速水参考人 為替相場というのは市場が決めるものでございますので、私どもが、こうあるべきだ、あるいは多少介入をしてやってみましても、市場の需給が変わらない限り、あるいは市場のフィーリングが変わらない限り相場は動いていかない。しかし、市場というのはやはりかなり大きな市場でございますから、行き過ぎたと思ったら必ず戻る時期があると思うのですね。今の百三十三円、四円というのは、確かに日本の今の経常収支の大幅黒字の中で、しかもアジアあたりからもっと輸入をふやさなければいけないということが差し迫った課題になっておりますときに、やや円安に過ぎるという感じは私自身はしておりますけれども、これはもう少し市場の動きを見た上で、特に日本がもう少ししっかりした景気対策が確立され、発表され、みんながこれならいけるなというふうに内外で思い始めたときに恐らく多少の変化が起こってくるのじゃないかと期待しております。
  260. 並木正芳

    ○並木委員 では、今後の日銀の活性化を期待しまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  261. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員長代理 次に、小池百合子君。
  262. 小池百合子

    ○小池委員 自由党の小池百合子でございます。あと二人でございますので、よろしくお願いいたします。  昨日来の世界のトップニュースは、シティコープとそしてトラベラーズ・グループとの超大型合併でございました一まさに大競争、メガコンペティション時代を象徴するかのような出来事でございました。一方、我が国を考えますと、きょうこの大蔵委員会でも朝方から九大銀行頭取がずらっと並びまして、接待問題そして今回の公的資金の問題等々の質問をそれぞれさせていただいた。つまり、まだまだマイナスの議論ばかりせざるを得ない状況でございまして、一方で、このF1レースのような目まぐるしいスピードで動いている世界の動き、日本は取り残されてしまうのではないかというような危機感を私も抱いているところでございます。  この四月一日、改正外為法とともに新日銀法がスタートする、そして新しい顔ぶれでということで、きょうお三方をお迎えしたわけでございますが、これからのビッグバン、先ほどからも速水総裁はビッグバンというふうに申されて、よくマスコミなどで使われがちな日本ビッグバンというふうにおっしゃらなかったことはせめてもの救いだというふうに私は思っております。この日本版がつきますとどうもうさん臭くなってしまうといいますか、フリー、フェア、グローバルというその三つの表題がどこか日本的な特殊なものになってしまうというようなニュアンスがございますので、日本版などという余計な言葉がつかないようなそういう日銀になっていくように、それぞれの皆様方のこれまでの発想を変えての御活躍をぜひとも期待したいところだと思います。  前の方の質問と重複いたしますので、まず、金融政策についてちょっと、山口副総裁の方にお伺いしたいと思います。  日銀、まあ中央銀行といいますと、先ほどの為替の話もございました。為替の番人とか通貨の番人、そして物価の番人、いろいろな番人をやっていらっしゃるわけでございますが、日銀のこれまでの歴史を振り返りますと、昭和二年からはずっとインフレファイターであったと思います。裏返せば、今、日本経済というのはデフレの様相を呈しているわけでございまして、これまでの日銀の経験が生かされないと申しましょうか、まさに今、日本経済が瀬戸際にあり、そしてデフレの瀬戸際にあるところにおいて、では日銀として何ができるのかというと、かなり狭められているのではないかというふうに思うわけでございます。  今、超低金利の公定歩合にいたしましても、またマネーサプライにつきましても、もうその調整の余地が余りないというのが私の考え方なのでございますけれども、マネタリーポリシーのその核となっておられる日銀として、こういった状況をどういうふうに分析なさっておられるのか、副総裁、よろしくお願いいたします。
  263. 山口泰

    ○山口参考人 御質問を二つに分けまして、最初は、日本経済の現状判断について一言だけ申し上げますと、私どもは本物のデフレの瀬戸際に一歩一歩近づいているというふうには必ずしも思っておりませんけれども、先ほど総裁も申し上げましたとおり、現在の日本経済には、残念ながら下押す圧力が幾つか働いているというふうに認識しております。  例えば、在庫の調整というのが今進行中でございますし、そういうことがある程度長続きしますと設備投資も弱くなっていくというようなことがあろうかと思っております。ただ、もう一方で、今のところ、貿易の関係、輸出などが欧米の景気に支えられまして存外持ちこたえているというようなこともございます。また、財政の運営につきましていろいろなことが言われておりますけれども、私どもは、必ずしもつまびらかにはいたしませんけれども、そういうところからまた新しい展開もあり得るかというようなことも考えますと、現在のような経済が下押す圧力をずっとこうむりながら歩いていかざるを得ない状況に早く終止符が打たれてほしいというふうに願っております。  次に、そういうときに日本銀行金融政策は何ができるかということでございますが、御指摘のとおり、インフレを警戒しなければいけない局面から、現在は、むしろ物価の下落圧力を心配しなければいけない局面に切りかわってきているというふうに、これは私どもも思っております。  その背後には、申し上げましたような日本経済の弱さ、需給の緩和傾向というのがあるかと思います。また、現在はたまたま世界的にも原料品市況などが油の価格を中心にしまして弱い局面でございますから、そういうところがらも物価の下落圧力が働いているというふうに思っております。  こういう場合に金利は下がる方向に動くというのがマーケットの中の自然な動きでございまして、御案内のとおり、長期の金利がじわっと下がってきておりますのは、やはり今申し上げたような経済、物価状況を反映した動きだというふうに考えております。短期の金利は、残念ながらこれ以上下げる余地というのがもうほとんどございません。  ただ、市場の金利は、短期から十年物あるいはそれを超える金利まで非常に幅広く存在しているわけでございまして、企業投資行動にとりましては、むしろ中期ないし長期の金利の方が大事だという見方もあるわけでございます。したがいまして、金利政策といたしまして、市場の金利に働きかける余地が全くなくなっているということでも必ずしもないと思っております。  残念ながら、昨年十一月以降は市場の中で非常に強い信用不安の動きが出てまいりまして、短期の金利を中心にしまして、むしろ金利はほうっておきますと上昇してしまうというような環境にございます。こういうときでございますから、私どもは、まずとりあえず、市場の不安心理を抑えるために大量の流動性を供給し、それをもって金利全般に悪い影響が出ないようにということを優先してまいりました。当面はそのような政策運営がなお必要な状況だというふうに思っておりまして、こういうようなことを続け、市場の不安心理がおさまり、また、願わくは金融システムの方にもいい影響が及ぶというような幾つかの経路を通じまして、経済にも私どもが期待するような効果がいずれ出ていくということを願っている次第でございます。
  264. 小池百合子

    ○小池委員 今いろいろとお話を伺わせていただいたわけですが、一般的に考えますと、金融政策というのは、今、とる選択の幅が極めて狭められていると言わざるを得ないと思います。だからこそむしろ財政ということになるのでしょうが、私の考えというか、これはもう今は一般的ですけれども、財革法でまた手足を縛って、それが去年の暮れのタイミングであったというのは、今、日本経済にとっての非常にマイナス要因となってきているというふうに理解いたします。  まだデフレの瀬戸際とは見ておられないということですが、これから五月、六月とまた新たな危機が生じるかもしれないと言われている。公定歩合は超低金利で〇・五%ということでございますけれども、もちろん、利上げができる環境をつくらないと、年金、生保の問題にもかかわってまいります。しかしながら、ある種のショック療法として、今、ケインズ的に言えば、いわゆるリクイディティートラップにかかってきているのではないかというふうにも思いますので、そういった意味で、ネガティブレートというのは、そういう可能性はいかがなのでしょうか、山口副総裁。
  265. 山口泰

    ○山口参考人 大変難しい御質問をいただきましたが、ケインズ的なリクイディティートラップ、流動性のわなというのは、お金を幾ら供給してももうこれ以上金利が下がらない状態を指すというふうに私自身は理解しております。  そういたしますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、市場の金利の中には、公定歩合でありますとかコールレートでありますとか、これは〇・五%あるいはそれを下回るという状況ですから、極めて低く、下げ余地はほとんどない金利もございますが、もう一方で、例えば十年物の長期国債の利回りは一・六%程度、これは大変低いレベルには違いありませんが、これ以上下がらないという金利でもございません。  そういうようなことを考えますと、市場金利全体につきまして、理論的にはまだ下げ余地が何がしか残っているというふうにも言えるわけで、本物のケインズ的な、どうにもならない流動性のわなに落ち込んでしまったというふうには私どもは考えておりません。  ネガティブの金利、マイナスの金利を出すというようなことは、これは実際問題としては考えにくいというふうに思います。
  266. 小池百合子

    ○小池委員 それでは、新日銀法について、またそれの運用について総裁に伺わせていただきたいのですが、やはり、組織の運営というのは、何事におきましても人、物、金、最近は情報ということになるわけでございますが、今回、新生日銀ということで新しい機構改革が行われました。今まで日本で最も楽な営業と言われても不思議ではない営業局が名前を変えて、そしてその人員の異動が幾つかございました。  しかし、これからの新生日銀として何が最も重要かといいますと、これからのビッグバンに備えて、そして世界のこのデファクトスタンダードの動きに備えて、さらには裁量行政から事後のチェックということになりますと、おのずと考査局の充実というのが最も重要なポイントではないかというふうにも私は思うわけでございますが、およそ二百名からであったのが若干名ふえたという程度。これでは私は今後の金融の自由化に対しての日銀対応とすれば足りないのではないかというふうに思うわけでございますけれども、総裁の御所見を伺います。
  267. 速水優

    ○速水参考人 ビッグバンを非常に期待していただいているのは、私も非常にうれしく思います。四月一日からでございますから出おくれておりますけれども、しかも逆風の中でのスタートで、これからのビッグバンをつくり上げていくというのには非常に痛みも伴うし、同時に、日本銀行としてもかなりの思い切った手を打っていかなければできないことではないかな。政府にもいろいろ税制面等でお願いをしなければならぬことが多いと思います。  今おっしゃった、考査局が大切だという、これは、今度考査局を改組いたしますのは、決して考査を軽視しているというのでなくて、日本銀行の取引自体が市場との取引というふうに変わってきているのですね。そういう中で個々の銀行の現状を考査するというのは非常に難しいし、大切な仕事であることは間違いございませんが、考査機能を充実化していって、金融市場局というものの中からそういうものが、考査が行われていくということは、新しい時代には適合した組織ではないかというふうに思っております。     〔浜田(靖)委員長代理退席、委員長着席〕
  268. 小池百合子

    ○小池委員 それに関連いたしまして、このたびまた金融監督庁ができるわけでございますが、日銀の考査局と金融監督庁との関係というのをどういうふうに総裁はとらえておられるのか、お聞かせ願えればと思います。
  269. 速水優

    ○速水参考人 金融監督庁と中央銀行の市中の金融機関の検査、考査というのは、どこの国でもダブって行っているのが通常のケースだと思います。  私どもがやります考査というのは、銀行との契約に基づいて、取引関係のある金融機関に対して随時考査をしていくという建前でございまして、一定の権威を持って検査に入っていくという検査のやり方とは違っておるわけです。しかし、両方とも情報の交換は密にする必要があると思いますし、それぞれの立場で、違った目で金融機関を見ていけるのじゃないかというふうに考えております。
  270. 小池百合子

    ○小池委員 それでは、藤原副総裁にお尋ねしたいと思います。  今回の抜てきに最も驚かれたのは御本人ではないかとも思うわけでございますが、ちょっと耳の痛いことかもしれませんが、今回、日銀も接待問題、これで不祥事、逮捕者を出したわけでございますから、行き着くところまで行ってしまった。大変残念なことだというふうに思いますし、また、それを改めていく、そのために藤原副総裁の存在というのは非常に重要だと私は思っております。  ただ、例えばMOF担とか日銀接待というのはきのうきよう始まったことではなくて、マスコミの間でも、MOF担があるとか、日銀の接待はBOJ担と言うのか何か知りませんけれども、実はマスコミ人は知っていたのですね。それをある意味で、それがむしろ当たり前のようにして余りそのことを言ってこなかったのじゃないか、書いてこなかったのじゃないか。その意味で無作為の中の作為になってしまうようなところも、私自身マスコミの人間でございますので、MOF担という言葉は知っておりました。ですから、今こうやってMOF担の問題がわあっと出ているけれども、そのときにどうしてマスコミはそれが書けなかったのかという反省を私はすごく感じるところなのでございますが、副総裁、いかがでしょうか。
  271. 藤原作彌

    ○藤原参考人 お答えします。  私が大蔵省日銀を現場の記者として担当しましたのは、もう二十年以上前の古い時代でありました。確かに、例えば大蔵省にそのころから金融機関の人が出入りしていろいろと情報を集めていたようですが、当時は、MOF担という決まった専門用語でその仕事は呼ばれていなかったように記憶しています。情報を集めに来る、または意見を交換する金融機関の人というふうに私どもは見ていました。  それから、私も海外に行ったりして帰ってきまして、MOF担という一種のテクニカルタームができて、その仕事が非常に重要な銀行経営上の仕事を持つものだということを知ったのは、恥ずかしながら高杉良さんの小説を読んでからのことです。同じマスコミ人として現場からいかに遊離していたか、私も反省するところがあります。  そういう職業が、一つの銀行経営のバイタルな情報源、しかもその手段が接待とかそういったことでもって、一種の恣意的な利害、目的のための一部手段としてもしかしたら行われていたかもしれない。もしかしたらではありませんで、それは事件の形になってあらわれたわけですけれども、情報を商売とするマスコミ、しかも私も経済記者でありましたから、その辺の倫理の弁別がバブル発生後の日本経済全般に少し、委員も御承知のような、経済だけではなくて人心の面でもユーフォリアみたいな弊害があったのじゃないかということを思い出しながら、私自身反省を込めてジャーナリスト生活を振り返っております。
  272. 小池百合子

    ○小池委員 先ほども藤原副総裁おっしゃったのは、御自分の役割というのは、良心、そして世間の常識に照らし合わせて訴えるんだとおっしゃっておられました。つまり、世間の常識と金融界の常識が実は違ったということが一番大きなポイントでございますので、日銀副総裁となられましても、常にジャーナリストとしての在野精神というのを忘れられることなく御活躍を期待するところでございます。  最後に藤原副総裁に、これからアカウンタビリティーというのは大変重要な問題でございますね。それで、これまでの日銀貸し出してございますけれども、これまで業態別でしか公表されていなかったのです。私は、これは各行別にしていくべきではないかと思っているのですけれども、これについてのお考えを伺わせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  273. 藤原作彌

    ○藤原参考人 お答えします。  アカウンタビリティー、説明責任というのは、今度の新しい日銀法の独立性と透明性の二つの柱の根幹をなすものだと思います。政策委員会における議事要旨の公表等々でのアカウンタビリティーもありますけれども委員の御指摘になった問題も含めて、日銀金融政策及び業務運営の面でのきめの細かいアカウンタビリティーも必要だと思います。  ただし、それが貸し出しのどういう部分まで、細分化された具体的な面まで公開していいものかどうか、また現状はどうなっているかどうか、私まだ就任早々で不勉強で申しわけございません。これから勉強したいと思います。
  274. 小池百合子

    ○小池委員 ありがとうございました。
  275. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木憲昭君。
  276. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。本日最後の質問ですので、どうかよろしくお願いいたします。  先ほどの総裁の御答弁の中で、天下りについてはかなり厳しいスタンスで臨むというお話がございました。時間もありませんので、具体的なことについてひとつお伺いしたいと思うのです。  具体的事例として、短資会社というのがございますが、これはどのような役割を果たしている会社で、日銀とはどのような関係にあって、また日本に何社あるか、その点についてお聞きをしたいと思います。
  277. 山口泰

    ○山口参考人 短資会社の役割でございますけれども、申し上げるまでもなく、我が国金融市場の中で、主として短期資金の仲介、これはブローカーとして仲介しているもの、それから実際に自分の勘定でもって売買しているもの、両様ございますけれども、それをコアの業務といたしまして、最近はマーケットがいろいろな意味で多様化しておりますから、コアの業務からいろいろな金融商品の取引を活発に行っている、そういう業態だと思っております。  今のところ七社ございます。
  278. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 七社ということでありますが、外資系が一社ありますので、日本の国内では六社ということになります。  それで、この短資会社に日銀からかなりの数が天下っているわけでございます。昨日、私、日銀の方から、短資会社に天下りしているお名前の一覧表をいただきました。大変な数なんですけれども、何人天下っているか、役員として、それからそれ以外の職員として、その数は御存じでしょうか。総裁、いかがでしょうか。
  279. 速水優

    ○速水参考人 短資会社七社の役員の中で日本銀行出身者は、九月現在で二十六名でございます。
  280. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 役員に二十六名。これは六社で二十六名、こうなっているわけですね。これは大変な数でございまして、しかもそのほとんどが会長、社長、それから副社長、こういうトップの地位についております。例えば、東京短資は副社長、山根短資は社長、日本短資は会長、社長、名古屋短資も会長、社長、上田短資も会長、社長、八木短資は社長、これは全部日銀の天下り、日銀の出身者でございます。  天下りが一番多いのは名古屋短資でありまして、会長、社長を初め実に八人。この名古屋短資は役員が十五名とお聞きしておりますので、過半数が日銀出身である。驚くべき状況でございます。しかも、営業、総務、経理、こういう重要ポストには日銀出身者が必ずつくのだという話もございます。そうなりますと、この短資会社というのは一体日銀との関係ではどういうことになっているのだろうか、当然そういう疑問がわいてくるわけであります。  短資業界全体に日銀から天下っている数は、ある報道によりますと約六十名でございます。短資会社自身の規模はそれほど大きくはないのです。従業員も百数十名というのが平均でございます。そういうところにこれだけの数が天下っている。日銀の別働隊と言われているマスコミもあります。ですから、これは本当に私は大変異常な状況ではないかというふうに思うのですね。  日本の短期金融市場の重要な部分を担っている短資会社、圧倒的多数が日銀出身者によって経営陣が占められている、こういう状況はやはり私は望ましいことではないというふうに思うのですけれども、この点について総裁はどのような感想をお持ちでしょうか。
  281. 速水優

    ○速水参考人 確かに人数が、日銀出身者が多いことは事実でございます。しかし、仕事柄、短資会社の再就職者が日銀出身者が多いというのは、職員の多くが金融市場に関係する仕事に従事した経験を持っておるわけでございまして、再就職する職員一人一人の専門分野や得意分野、それが先方が必要とする人材の条件とミートしているという場合にこういう話し合いが、再就職が成立するのだろうと思います。  お尋ねの御心配のような結果にならないように、短資と日銀との取引関係、つき合い関係、今の接待といったようなことは一切行われておりません。それから、短資でどれだけの給与を彼らが取っているのかということも私どもは全然知りません。これは独立した株式会社でございますので、私どもはそういうものには余り関与しておりません。
  282. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今、接待は全く行われていないというお話がありましたけれども、しかし報道によりますと、民間以上の接待がある、日銀に対して行われているということが言われているわけですね。短資会社は、会社の規模の割には利益が非常に大きい、あるいは内部留保が大き過ぎる、赤字にならないような経営が行われている。これは、日銀との関係で後ろ盾があるからだ、こういうふうにも言われているわけでございます。  したがいまして、これは実態をやはりよく調査をすべきだ、どのようなことが行われているのか、この点についてよく調べて、不十分な点があれば是正するというのは当然のことだろうと思うのですけれども、藤原副総裁に、この点についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  283. 藤原作彌

    ○藤原参考人 短資会社は、私まだ不勉強ですけれども、短期金融市場という非常に専門的な仕事をやっている関係上、日銀の短期市場で培った知識等々を請われて再就職する人もいたのだと思います。  接待の件ですけれども、私は入行してその点を関係者に聞いてみたのですが、いにしえの時代は知らず、最近は、接待は双方で自粛して行われていないというふうに聞いております。
  284. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 最近というのはいつのことかというのはいろいろありますので。  しかし、これまで随分行われていたというのが報道されておりますし、六百人の調査ということが言われていますが、短資会社に天下った方々調査の対象にはなっていますか。
  285. 速水優

    ○速水参考人 天下ったというのは使いたくない言葉ですけれども、短資会社に移った者は、これは別の会社に行ったわけですから、調べたりはしておりません。  それから、先ほどからおっしゃっている、短資会社がもうかっていると言われまずけれども、短資会社というのはブローキングでございますから、自分で勘定を持ちませんので、取引さえできればブローカレッジでそれなりの稼ぎができていくというのが、為替の場合もそうですけれども、短資の、コールの場合もそうだと思います。そういう極めてユニークな業種でございますので、その辺は十分御承知だと思いますが、それほどもうかっているのかなということは私も余りよく知りません。
  286. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 接待の問題については、短資会社に天下ったあるOBが、日銀への接待は確かに過去には過度と言われても仕方のないものがあった、こういう報道もございますし、それから利益については、大手四社の収益に偏りが出ないように調整して仕事を回しているということを日銀幹部の話として紹介もされているわけであります。そういう点では非常に私は問題が多い会社だというふうに感じるわけであります。  したがって、やはりここはよく調査をするということがまず何よりも必要だろうと思いますので、調査をしていただきたいのですけれども、その用意はあるかどうか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  287. 速水優

    ○速水参考人 他会社の、ほかの会社の者を調査するというわけにもいかないと思います。  それから、四社間で話し合っているということでございますけれども、むしろ彼らは競争相手でございますから、かなり厳しい競争をやっていると私は理解しております。
  288. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 まことに後ろ向きの答弁で大変私は不満であります。この問題は引き続き、これは天下り問題としても重大でありますし、また民間会社とはいいながら日銀と極めて密接な関係があって、日銀の公開市場操作の一つのルートとしても極めて重要な位置にあるわけであります。そういう意味で、今後ぜひこの点について十分な調査を行い、しっかりとしたメスを入れていただくということを要望して、質問を終わります。
  289. 村上誠一郎

    村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十三分散会