○
渡辺(喜)
委員 自民党の
渡辺喜美でございます。
大臣におかれましては、連日連夜の
委員会御
出席、まことに御苦労さまでございます。きょうは
大臣には一切御質問いたしませんので、ゆっくりとお休みをいただきたいと思います。
まず、
住管機構の中
坊社長さん、御足労ありがとうございます。本論に入る前に一言申し上げておきたいことがございます。
本日、
日銀の新しい
総裁が決まる御予定だそうでございます。新しい
総裁は
速水優さん、人格、
識見ともに大変すぐれた立派な方であると私は存じております。また、昨今のような非常に
円安の誘惑が働くような
経済状況のもとにおいて、必ずしも
円安が国益にかなうものとは言えないというお立場の
総裁が御就任をされることは、非常に結構なことだと思っております。
しかし、昨年の
日銀法の
改正、このときの御議論をぜひひとつ思い出していただきたいのでございます。
御案内のように、
日本銀行は
株式会社でありまずけれども、
株主総会というのがないんですね。我々
国会は
年がら年じゅう株主総会をやっているようなものでございます。我々は
日銀をいじめて
利益をせしめようなんという
総会屋では全くありませんけれども、新しい
日銀法のもとにおいても、
国会に対する
説明責任、アカウンタビリティーを果たしていく、そういうことが大きな柱の
一つになっているわけでございます。
大蔵省から独立をして、糸の切れたたこのように飛んで歩かれたんではかなわない話であって、これは、
国会へ来て、
金融政策についてきちっと
説明をしてもらわなければ困りますよということでございます。
したがって、新
日銀法では、
日銀の
総裁、副
総裁並びに
政策委員、これについての
国会同意というものを
必須条件にした
法改正を行ったわけでございます。我々
自民党の一期生が、新
日銀法の中で
経過規定がございますけれども、例えば、今の
総裁が新
日銀法が施行される四月一日以前におやめになったような場合はどうなるんでしょうか、そういう問題を提起したのでございます。我々は、新
日銀法が四月一日から施行されるということであるならば、要するに、それ以前に
総裁がかわってしまったという場合には改めて
国会の
同意を必要とすべきではないか、そういう
提案も行ったわけでございます。残念ながら、我々の主張は通りませんでした。
今回、私どもが危惧をした人事がまさに行われようとしている。この点については我々は非常に残念でございます。ぜひ、
大臣におかれまして、
総理にそういう
意見があったよということをお伝えいただきたいのでございます。
ゆっくり休んでくださいと言いながら休むことのできないような話で、まことに申しわけございません。
我々は、今この
金融システムの
状況がある
意味では非常に落ちついてきているということを
認識するものでございます。
総理はきのうかおととい、
日本発の
金融恐慌は回避をすることができた、こういうことをおっしゃられたようでございますが、私は、当面、目先の
金融システムの不安というものは解消されつつある、例えばジャパン・プレミアムも三洋証券が倒産する以前の
状況に戻っておる、あるいは
銀行間のスプレッドがゼロになってきた、そういうようなことから
金融の危機的な
状況は一応回避されつつあると
認識をしております。
しかしながら、基本的な
状況は依然として変わっていないということを
考えておかなければなりません。と申しますのは、
平成の
土地、株大暴落に始まった
不良債権、これは相変わらず残っているわけです。そして、いわゆる
資産デフレの
状況というものは変わっていない。最近では、
地価が
下落する
傾向が続いているばかりでなく、
円安にもかかわらず
卸売物価が前年対比でマイナス六%も落っこってしまうというとんでもない
状況が起こっております。また、家計の消費が六八ポイント台まで落ちてきたという
デフレスパイラルの入り口に差しかかっている
状況でありますから、再び株価が
下落をするようなことになりますと再び
金融システム不安が起こってきかねない、そういう
認識を我々は持っておくべきだというふうに
考えるのでございます。依然として
危機的状況と裏腹に我々は生きているということでございます。
そうした中で、
不良債権の
処理の大きな側面であります
回収、この業務を実に地道にやっておられるこの
住管機構が、今回新たな
法改正によってさらに
国民の
負担を少なくしよう、そういうインセンティブを
職員の
皆さんにも持ってもらおう、そういう
法改正がなされることは、我々としては全面的に大
賛成でございます。一刻も早くこの
法案を
国会で通過をさせたいというふうに
考えるものでございます。
住管機構は
平成八年の七月に設立をされました。一千百名の
職員がいらっしゃいます。設立されて大体一年間、昨年の九月末までに六千百二十億円の
回収をされたということは、実に見事な、立派なことであると思います。我々一期生が
国会議員になる前の話でございますが、六千八百億円の
財政資金を投じて、
住専に対する貸し手にも
債権放棄というような形で泣いてもらった金額が五兆四千億円ほどございます。これは、いわゆる一次
ロスとして
処理をされたわけであります。そして、この
資産は、いわばただで
住管機構が
引き取った無
価値の
財産であるということでございます。
かつて
豊田商事の
管財人をなされておられました中
坊社長さんは、当時、とらの子の
財産を
豊田商事にだまし取られた、そういう方々のために
回収不能と思われたようなところがら必死の
回収の御
努力をされた御
経験があるとお聞きをいたしております。こうした
経験を生かされて、いわばごみの山から金の卵を見つけ出そうという御
努力をされておられることは、大変に敬意を表するものでございます。
この一次
ロスからの
回収額というのは
国庫納付金になるわけでありますが、二次
ロスへの
国庫助成金、これが
国民の二次
負担になるわけでございます。この両者を相殺を可能とするというのがこの
法案の大きな柱の
一つでございますが、この
国民の二次
負担をできるだけ軽くしょうということで
職員の
皆さんの
士気高揚に努めておられるわけでございますので、我々は全面的にこの
法案に
賛成をいたします。
そこで、いろいろな
回収の御
努力をされておられます中で、
民事、
刑事の
責任追及を厳格にやっておられるということは
国民にとっても大変わかりやすい話でありますし、ぜひともこの姿勢を今後とも続けていただきたいと思います。例えば
民事上におきましては、
暴力団などが不法占拠しておるところを排除する
保全処分などをもう既に二十一件行っておられる。また、
刑事告発においても、
住管機構の
告発を受けて
警察当局が
強制捜査をした事案が二十四件あると聞いております。
そこで、例えば
暴力団が
不良債権担保土地の上に、
競売を免れようとか
強制執行を免れようとかいうことで、例えば
掘っ立て小屋なんかを建てたりすることがあるのですね。これについては、何年か前に
刑法の
改正が行われて、
強制執行妨害罪あるいは
競売等妨害罪という
規定が新設をされているのでありますけれども、この
法定刑を見ますと、「二年以下の
懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」こういうことでございます。
昨年、我々は、相次ぐ
金融スキャンダルの中で、
自民党の中に
金融不正問題プロジェクトチームというものをつくりまして、商法並びに
証券取引法の
罰則強化を主体とする
法改正をやったわけでございますが、
刑法のこの
二つの条文の
改正は積み残しになっておるわけでございます。この点において中
坊社長さんの御
意見がございますれば、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。