○中川(正)
委員 こういう情勢を総合して考えていくと、勝負はまだこれからだということだろうというふうに思うのですね。この三月期の決算を乗り切るために、あらゆる手だてを講じながら、あるいは口先介入も含めて、全力を尽くしてきた。しかし、これはすべていわば応急処置の痛みどめを打ったということ、ひょっとしたら麻薬を打ってしまったのかもしれないけれども、そういうところで終わっておるだけでありまして、本来、
金融機関が立ち直って、アジアの今の
状況を
日本がリードして回復に向かっていけるのかどうかというのは、これからの
施策にかかわってくるということだろうというふうに思います。
そういうことを前提にしまして、まず、
もともと政府が十三兆円の資本注入枠を枠組みとしてつくりたい、こういう考え方を出してきたときにさまざまな
議論がありました。それに対して、また
金融機関の今の
状況に対しての認識というのも、また受け取り方というのも、その
議論の中でそれぞれはっきりしてきているはずであったのでありますが、私、ここに来てわからなくなってきたわけですね。
というのは何かというと、その手法は、資本注入をするというのは、これは貸し渋りの問題も
一つこれありでありますが、それと同時に、あるいはそれ以上に、
金融システムをいかに健全な
方向に持っていくか。株価変動の中で、それこそ
金融恐慌が起こるぐらいの倒産件数になってくるというような、いわゆる早期是正
措置が裏目に出たような、そういう
状況を防いでいくと同時に、それを株価から切り離していくという、そんな役割も加味させながらはじいてきた数字というのが十三兆円だと私は理解をしておりました。
ところが、実際こういう導入ということになってくると、そこのところの
議論、最終的に今の
経済状況をこうして見たときにどれだけ一体公的資金が必要なのか、最終的にこの
金融状況をひっくり返していくにはどれだけ必要なのかという
議論がどこかへ消えてしまって、今上がってきたのは、さっきから話が出ていますように、護送船団方式のまた焼きかえなんですけれども、
銀行の方から必要な額を言ってきなさいよ、こういう形で出したわけですね。それが一律で一千、二千というふうな単位の金額で出てきた。それを審査する
対象といいますか、その
議論というのは、いつの間にか
行政指導、いわゆる
行政的に
処分を受けたところは悪いじゃないかいいじゃないかという話であるとか、リストラはどういうふうにしていかなきゃいけないとか、そういうような部分のものを基準にしている。これはミクロですよ。ミクロの世界を基準にして資本注入をするような
議論に今もう完全に切りかわっているわけでありますね。
そこで、私が
もともとお聞きしたいのは、一体
大蔵省の意思として、国家の意思として、今どれだけの金額というのを資本注入をしていかなきゃいけないのかという、そこの部分の
議論はどうなっていったのですか。この二兆円でいいのですか、それとも、あとどういう意思の
もとにこの
システムをそれこそひっくり返そうとしているのですか、こういうところをはっきりさせていく必要がある。でないと、外から見ていると、いつまでたっても
日本の国家の意思が伝わってこないのですよ。そうでしょう。建前のうちでは、国家の意思じゃないでしょう。
それぞれの
銀行が自分のところで解釈して、これだけ来た。結局、申請を上げてきた
銀行というのは、それこそ我々が
もともとから批判しているように、この資本注入が必要ないところじゃないか。本当に要るのはもっと別なところにあって、そこは手を挙げていない、挙げることができない。そんなようなことが現実なんではなかろうかという見方をせざるを得ないと思うのですね。その肝心なところをはっきりしないと、それこそ、先ほどから海外の批判が何回も出ていましたが、
日本の政府というのは一体何をやっているんだということになるのだろうと思います。
そういう
意味から、
大臣のひとつ見解をお聞きしたいと思います。