○池田(元)
委員 池田でございます。
この
金融関連二法、大変重要な
法案でございます。
政府案が提出されましたのは一月十九日、我々はその前後、精力的に検討し、修正案を提出いたしましたのが、二十八日にまとめ、二十九日。しかし、二十時間で、今や採決ということになっております。ドラマが始まり、役者がそろって口上を述べ、突然閉幕する、観客からはブーイング、こういう図式でございまして、大変遺憾に思っております。
さて、
民友連提出の
預金保険法の一部を改正する
法律案に対する修正案の概要とその趣旨について、御説明をいたします。
現在の景気悪化の背景にある
金融システムの不安を取り除くことは、
我が国経済の回復に向けた緊急の課題となっております。私たち
民友連は、
金融システム不安の解消のためには、
預金者の
保護を図りながら、より効率的で公的負担が少なくて済む形で、
金融破綻による混乱を生じさせない仕組みを確立することが極めて重要であると
考えております。同時に、
金融不安の原因であります
金融機関経営者のいわゆるモラルハザードの拡大を招かないためにも、不健全な
銀行の救済に
公的資金を使うべきではないと
考えております。
こうした観点から、
政府提出の
金融システム安定化関連二
法案全体に対する対案として、この修正案を提出するものです。
内閣提出の
預金保険法改正案は、破綻
金融機関の処理に際して、
不良債権の回収を民間
銀行である整理回収
銀行に委託するというスキームになっております。しかし、これまで回収を続けてきた大手の民間
銀行でもなかなか回収できない
不良債権を、民間
銀行である整理回収
銀行に任せても、その回収がおぼつかないことは、本
委員会でも
指摘された整理回収
銀行の回収実績の低さから見ても明らかです。回収できない損失のツケをすべて
国民に回す
政府案では、
国民の負担の増加に歯どめをかけることはできないと思います。
政府案で
預金保険機構に与えている調査権限は、協定に基づいて整理回収
銀行に委託された債権の回収に関連する事項に限られ、その権限も貸し手には及ばないなどの不十分なものです。整理回収
銀行のトップは、過去の不透明で無責任な行政の責任を今問われております
大蔵省のOBであり、
公的資金導入の前提となる
金融機関や
関係者の
責任追及が公正な
立場でできるとは到底
考えられません。いわば、
政府案は、穴のあいたバケツに
国民の税金を注ぎ込むようなものです。
国民の負担が膨大になってしまうおそれがあります。
そこで、
民友連の修正案では、整理回収
銀行を
預金保険機構が全額出資する「整理回収機構」に改組し、破産法上の更生管財人等の機能を与えるとともに、貸し手も含めた
関係者に対する帳簿の閲覧請求などの罰則つきの立入調査権を持たせて、強力に債権回収を行うことができるようにしております。
また、整理回収
銀行の営業の全部譲渡を受けることにより、整理回収機構自身が、
破綻処理に際して一時的に営業を管理する、いわゆるブリッジバンクの機能を有することになります。
同時に、みなし公務員とする債権回収機構の職員には、不法行為に関する刑事上の告発義務や、債権回収に伴う
関係者の民事上の
責任追及に関する責務を負わせることとしております。
責任追及の公正さを保つために、整理回収機構の
責任者である
理事長、副
理事長には、
大蔵省、日銀、
金融関係者はつけない旨の欠格事由を規定し、役員はすべて
国会の同意人事としております。
また、
預金保険機構に、
破綻処理に際してのブリッジバンクの設立を含めて、受け皿となる
金融機関への出資機能を与えております。従来の資金援助と出資を併用することにより、
破綻処理の方法を多様化し、あらゆる
金融機関の破綻に柔軟に対応できるようにしております。これにより、
政府提案の
金融安定化緊急措置法案のように、
金融機関全般に資本注入をするのではなく、
破綻処理に限定して資本を注入する方策を確保できます。
さらに、
金融監督当局に対して、公的な負担が最小になる
破綻処理スキームを策定するよう求める最小費用原則を定め、
破綻処理の
状況について、
国会に、年に二度の定期
報告と求めに応じた
報告をするよう義務づけております。
ペイオフ実施までに
金融機関の
破綻処理によって発生した
預金保険機構の損失については、特例業務が終了する
平成十三年三月末時点で集計し、まず特別
保険料で
金融機関に一定の負担を求めた上で、なお残る損失について一般会計予算に計上し、年度を定めて補てんしていくこととしております。
政府案のように、根拠もなく七兆円の交付国債の形で負担の上限をあらかじめ決めるのではなく、かかった費用を予算編成で優先的に
措置する方針を定めることで、
市場の不安を取り除こうとするものであります。
同時に、
市場におけるいわゆる残存者メリット、残存者の利益を考慮して、
金融機関に一定の負担を義務づけることで、
金融機関の
経営努力を促し、
政府案よりも
国民負担を少なくすることができるものと
考えております。
最後に、
政府案のように、
預金保険機構に債券を発行させたり、交付国債を
市場で売却することは、民間の資金を公的に吸い上げることになりまして、
政府が推進している貸し渋り対策とも逆行する政策です。債券の発行コス十分だけ
公的資金が余計にかかります。また、不健全な
銀行同士を
大蔵大臣のあっせんで合併させる、前
国会で問題となりました特定合併の
ケースは、明らかに破綻
金融機関の救済になりますので、特例業務の対象から外しました。
以上が、
民友連が提案しております修正案の概要であります。
我々の提案によって、明確な
ルールと、必要とするだけ資金を投入するという確固たる姿勢を示すことが可能になり、
金融システムの
安定化を図れるものと確信しております。しかも、
不良債権の徹底した回収と将来の
銀行負担によって、
政府案よりも
国民の負担を少なぐすることができます。
金融システムの再生を図るために、
政府案より少なくとも数段すぐれたものであると強調したいと思います。
各党派の賛同を心からお願いし、趣旨説明といたします。