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平田委員 総理からも、
大蔵省を生まれ変わらせてもらいたい、そういうお話であったということを引かれまして、
決意を述べていただいたわけでございますが、要するに、このモンスターのような
大蔵省にお一人入って大改革をやるというのは大変なことだというふうに私は思います。
武村元蔵相も、経済問題、財政問題で突然言われると、結局は役人に引っ張られてしまった、こういうことを述懐しておられた記事もございましたし、また、さきの中島、田谷、二氏の大蔵キャリア官僚の
不祥事の
処理についてもやはり中途半端だったな、こういう印象も漏らしておいでになる。今度、松永大臣も、結局やはり巨大組織の大蔵官僚の前には大臣一人ではなかなか戦い切れなかった、こういう述懐とか、あるいは一生懸命やったけれ
ども不十分だった、こういう御発言がないようにぜひともしていただきたいと思うわけであります。
そういう意味で、大臣が就任されたときの
大蔵省でのあいさつでこんなことをおっしゃっておいでになる。前蔵相の
辞任で大方は済んだと言えるくらい重みのある
辞任であったとか、あるいは、三塚前蔵相に比べると私は小さくて軽量だが一生懸命やるので皆さん支えていただきたいと。大変謙遜されておっしゃったんだと私は理解をしたいとは思うのですが、私は、こういうときは余り謙遜して言っていただきたくない。これは
国民の期待を、また我々は野党ではありますが、橋本内閣の命運を背負って大臣に就任されたというお
立場なんだろうと思いますから、私は、このような遠慮とか謙遜の心というのは抑えていただいて、もっとやはり
国民に御
自身の考え方がはっきりわかるようにぜひ御発言をしていただきたいな。これはあえてくちゃくちゃ
質問しませんが、このような報道もありましたので、私
自身は非常に気にかかりました。そういうことで、
一言申し上げておきたいと思います。
それで今、
金融二法が審議をされているわけでありますが、今回の
不祥事あるいはまたいろいろな報道の記事、こういうものを
国民がどう見ているかといいますと、
金融二法は、確かに
預金者の保護だとかあるいは
金融システムの安定だとかいう大義名分はあります。しかし、もう一方から見れば、
大蔵省と
銀行が
接待して、
接待されて、そして談合してつくった
法案だ、こういうふうに見るのも私は大きな見方だろうと思うのです。また、やむを得ない見方だろうと思うわけでありまして、その辺を……(発言する者あり)そんなことないと言って与党の方から声が出ましたが、そういう見方をしないと、本当にこの問題の本質まで突いた解決はできぬと私は思うのですよ。この
法案さえ通せばこれで
大蔵省の
不祥事問題はのど元過ぎて終わりなんだ、こういうような姿勢にもしなってしまったなら、我々国会に籍を持つ者として、与党であろうと野党であろうと
国民に対しての
責任を果たしたことにならぬと私は思うんですよ。
住専のときに
国民は何で反対をしたのか。住専も実は同じ構造だったわけですよ。農水省と
大蔵省の役人同士が勝手に覚書を取り交わし、そして住専に天下った人たちはほとんど大蔵の高級官僚であった。もし野党が言うように法的
処理をしたら個人
責任が
経営者として問われる。それを免れるために、まさに役人同士で、また
業界と一緒になって、
責任逃れのためにつくったのが住専の
処理スキームではないか。
今、中坊さんが
国民の
立場になって
銀行の
責任を追及していますよ。
銀行の
経営者の
責任を追及しようとしていますよ。借り手の
責任も追及している。しかし、あれは中坊さんがなられたのでようやく
国民の期待にこたえられるように住管機構が動き始めたわけでありますが、
大蔵省のスキームにはそんなようなものはなかったわけであります。したがって、住専の
処理スキーム、これは
国民は認めなかったわけです。
今回の
金融二法も、こんなに
金融破綻になって、もうアジアの
金融危機が大変な
状態だ、
日本が世界恐慌の引き金になるかもしれない、こういう土壇場になってきて、
大蔵省が大変だ大変だと、六千八百五十億以上は一切
公的資金は出しませんと
国民の前に約束したにもかかわらず、それを一気にひっくり返してしまって、三十兆もの金を簡単に出す。しかも、補正
予算との絡みでとんとんと審議してください。こんなばかな話がありますかというのが
国民の素朴な感情です。
それにこの
金融不祥事、とんでもない
接待をしている。ただ、審議では各役人は否定しておいでになるようですが、
国民はその官僚の答弁は全く信用しておりません。こういう状況の中で、こんな
金融二法を簡単に通そうなどという姿勢は私は許されないということも特に強調しておきたい。
それで、大蔵改革に取り組まれる松永大臣にお伺いしたいんですが、今回の
不祥事、表面的にはノンキャリが二名逮捕された。ノンキャリの一人が自殺をされた。まだこれだけです、具体的事実、確定した事実としては。しかし、そういう中から、こういう
事態になってきた、また、大蔵
行政の結果として三十兆もの
公的資金を導入しなければならないというようなところに追い込まれたと橋本内閣が判断をしなければならない状況に至った、そういう事実から、今回の
不祥事の問題、原因というものを何だというふうにお考えなのか、これを私ぜひ伺いたいんですよ。
まず、私
自身の考え方を申し上げておきたいと思うんですが、まず
一つは、
大蔵省に権力が集中した。思い上がってきたんですよ。絶対的権力は絶対的に腐敗をするというのはもう言い古された言葉でありますが、しかし真理なんですよ。これは
政治権力だけじゃないんですよ。
行政権力だって、権力が集中し、
官庁の中の
官庁と言われて、高い使命感でまじめに仕事をやっている分にはよかったんですよ。バブルのあのめちゃくちゃな
社会で、経済
状態の中で、まさに士気が緩み、そういう中でおごり高ぶってしまったのが、私は、
大蔵省がこのような
事態に立ち至った、また
行政の大失敗を重ねてきた
根本の原因だ、権力集中だ、このように思っています。
それから、逮捕されたのはまだノンキャリですよ一こつこつこつこつ仕事をやってきた方だと思います、本来は。ノンキャリが真っ先に腐って、キャリアが全くそれとは縁のない
状態ですっきりやってきましたなどということは、
国民はだれも信じませんよ。
大蔵省をおかしくしたのはキャリアなんですから。キャリアが腐ったがゆえにノンキャリが腐ったんですよ。逮捕されているとかされていないということで区別される問題ではない。キャリアが腐ったんだ、ここを正しく
認識をしなければこの問題の本質をえぐったことにはならないと私は思うわけであります。
それで、
一つの提案でありますが、もう既にいろいろ言われております。与党内でもそういう御発言もありますが、まず、権力の集中を改革するには権力の分散をしなくちゃいかぬ。財政と
金融の分離ということが言われております。与党内でもいろいろ
議論があったけれ
ども先送りになりました。私は、今回の
行政改革をやる際にはっきりやるべきだと思いますよ、この通常国会で。
それから、もう
一つは国税庁の分離です。
これまで
大蔵省は、マスコミが
批判する、あるいは議員が追及する、そうすると国税庁を差し向けて圧力を加えてきたと言われています。また、キャリアがいろいろな税務上の疑惑があったとしても、税務
調査を受けたという報道は我々は受けていない。権力を持っているがゆえに、何やつてても、
批判を受ければ国税庁を差し向けて圧力を加える、自分たちは正当な
調査さえ受けようとしない、こういう
実態をつくってきた。具体的事実を挙げろと言うなら幾らでも言いますよ。こんなものお調べになればすぐわかることですよ。マスコミも何度も書いていますよ。しかも、橋本総理は、もともとは
行政改革で国税庁の分離ということを明確に言ってこられた。それを
大蔵省が反対をしてつぶしたんじゃないですか。
橋本総理が、橋本内閣が本当に大蔵改革をするんだ、松永新大臣に生まれ変わらせてくれとおっしゃったとするならば、私は、国税庁の分離というのが当然そこの中に
一つのテーマとしてあるのは当然だと思っていますが、それについてのお考えも伺いたい。
それから、今約五百人の
金融部局関係のキャリア、ノンキャリアの
調査をしておいでになるというお話はもう何回も聞いておりますが、今問題になっておるのは、
大蔵省のキャリアの私有
財産の形成の疑惑ですよ。衆参の
委員会でも、特定の
局長についてそういう
質問が投げかけられています。その答弁はだれも納得できるものじゃない。どのように資産をつくったのか。たかだか年収一千万前後の課長補佐とか課長クラスで何で立派な家が建つんだ、借金もせずに。私も謄本をとってみました。担保なんか何もついていない。こういう疑惑に対してきちっと答えなければ、本当に
国民に疑惑を明らかにしたことにならない。
私は、そういう意味で、
大蔵省の審議官以上の、地方にも出ておいでになる方もいるから審議官級以上と申し上げよう、そういう
方々の資産公開、それからその資産づくりについてきちっとした文書でもって直ちに説明をしていただきたい。こういうお考えがないのかどうか、これもぜひお伺いしたい。
昨年の臨時国会で決算
行政監視
委員会というのができました。それに合わせて各
委員会は予備的
調査というものを要求することができるようになりました。
委員会だけじゃなくて、議員四十名で要求すればそういう報告を求めることができるようになっています。まだ予備的
調査は行使されておりませんが、もし
大蔵省がやらないと言うのだったら、予備的
調査第一号にこの大蔵官僚の資産公開と資産づくりについて、私はやるべきだ、回答次第によってはそのような対応も考えざるを得ない、このように思っております。
先般マスコミに聞きましたら、実は、三年ほど前、大蔵担当をやっていた、毎晩夜回りしていた。どこのお役人のところ、
局長、審議官クラスでしょう、毎晩帰ってくるのが遅い。帰ってくるとハイヤーでお帰りになる。そして、もうぐでんぐでんに酔っぱらっている。両手には抱え切れないお土産を持って帰ってきた。それをマスコミ
自身が目にしていたのですよ。だれじゃないですよ一ほとんどの大蔵官僚がそうだったと言っているわけですよ。こういう
実態がある。
それを踏まえて、ぜひ大臣、今の私の提案、
質問に対して、まさに総理から言われた、生まれ変わらせる、そういう構想のもとで明確な御答弁を
いただきたいと思います。
〔
委員長退席、浜田(靖)
委員長代理着席〕