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1998-05-06 第142回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月六日(水曜日)     午後零時三十一分開議 出席委員   委員長 斉藤斗志二君    理事 石原 伸晃君 理事 小此木八郎君    理事 岸田 文雄君 理事 茂木 敏充君    理事 松本  龍君 理事 太田 昭宏君    理事 西川太一郎君       甘利  明君    小川  元君       岡部 英男君    奥田 幹生君       木村 義雄君    古賀 正浩君       河本 三郎君    佐藤  勉君       新藤 義孝君    竹本 直一君       武部  勤君    中島洋次郎君       野田  実君    村田敬次郎君       川内 博史君    今田 保典君       島津 尚純君    城島 正光君       松崎 公昭君    渡辺  周君       坂口  力君    中野  清君       宮地 正介君    青山  丘君       江崎 鐵磨君    瀬古由起子君       矢島 恒夫君    吉井 英勝君       横光 克彦君    河村たかし君       伊藤 達也君  出席政府委員         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業大臣官         房審議官    古田  肇君         中小企業庁次長 中村 利雄君  委員外出席者         参  考  人         (大阪市立大学         商学部教授)  石原 武政君         参  考  人         (日本チェーンス         トア協会会長) 小林 敏峯君         参  考  人         (全国商店街振         興組合連合会副         理事長政策委         員長)     一丸彦四郎君         参  考  人         (社団法人日本         消費生活アドバ         イザー・コンサ         ルタント協会副         会長)     三村 光代君         参  考  人         (松江市長)         (全国市長会中         心市街地活性化         対策研究会委員         長)      宮岡 壽雄君         商工委員会専門         員       野田浩一郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   権藤 恒夫君     河村たかし君 五月六日  辞任         補欠選任   山口 泰明君     佐藤  勉君   島   聡君     城島 正光君   原口 一博君     松崎 公昭君   小池百合子君     江崎 鐵磨君   大森  猛君     瀬古由起子君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  勉君     山口 泰明君   城島 正光君     今田 保典君   松崎 公昭君     原口 一博君   江崎 鐵磨君     小池百合子君   瀬古由起子君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   今田 保典君     島   聡君   矢島 恒夫君     大森  猛君     ————————————— 四月二十八日  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律の一部を改正する等の法律案  (吉井英勝君外一名提出衆法第二号) 同月三十日  出版物再販制廃止反対に関する請願羽田孜  君紹介)(第二〇五六号)  同(中村鋭一紹介)(第二一一〇号)  中小企業緊急支援等に関する請願羽田孜君  紹介)(第二〇五七号)  景気回復のための積極的な経済対策に関する請  願(羽田孜紹介)(第二〇五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中心市街地における市街地整備改善及び商業  等の活性化一体的推進に関する法律案内閣  提出第三九号)  大規模小売店舗立地法案内閣提出第四九号)  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律の一部を改正する等の法律案  (吉井英勝君外一名提出衆法第二号)      ————◇—————
  2. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中心市街地における市街地整備改善及び商業等活性化一体的推進に関する法律案並びに大規模小売店舗立地法案の両案を議題といたします。  本日は、参考人として大阪市立大学商学部教授石原武政君、日本チェーンストア協会会長小林敏峯君、全国商店街振興組合連合会理事長政策委員長一丸彦四郎君、社団法人日本消費生活アドバイザーコンサルタント協会会長三村光代君、松江市長全国市長会中心市街地活性化対策研究会委員長官岡壽雄君、以上の五名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、ただいま議題となっております両案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただければと存じます。  それでは、議事の順序でございますが、まず参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際は、その都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いいたします。また、参考人からは委員に対して質疑できないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、まず石原参考人にお願いいたします。
  3. 石原武政

    石原参考人 御紹介をいただきました大阪市立大学石原でございます。  本日は、商工委員会発言機会を与えていただきまして、まことに光栄でございます。早速私の意見を申し述べさせていただきたいと思います。  まず、商業、特に小売業というものについて私がどのように考えているかということから簡単にお話をさせていただこうと思います。  商業役割を考えます場合に、効率性というのが極めて重要な概念であることは言うまでもないというふうに思っております。この効率性というのは、恐らく価格の安さだとかあるいは利便性といったことで代表される、はかられるものかと思いますけれども、特に小売業を考えますと、こうした効率性だけでははかることができないたくさんの役割を担っているように思います。店舗を持った小売業ということになりますと、町並みを形成することもございますし、町のにぎわいを創出するということもございますし、独特の地域社会を構成するということもございますし、時には町の文化や伝統を受け継ぐといったようなことも指摘されるところであります。これらは、一括しまして社会的有効性という言葉で語られておるわけでありますけれども、実際にこの社会的有効性というのをどういうふうに位置づけるかということについては大変難しい問題だとは思いますが、決して無視することができない側面であるというふうに考えております。  こういう役割を果たしております小売業は、空間的に見ますと、町の中に均等にといいますか均質に分布しているわけではございませんでして、小売業というのは階層的に分布するというふうに考えております。特に、そこで階層化された商業中心地というところでは、商業だけではなくてたくさんの公共施設とかあるいは集客施設立地をいたしまして、全体として都心部とかあるいは中心市街地といったものを形成しておるということでございます。  もちろん、こういうふうに申し上げた階層構造というのは、決して固定的なものではございませんで、時代によって変わってくるということはよくある話でございます。そういう意味でいいますと、もともと商業中心地というのは駅から少し離れたところに形成されておったわけですけれども高度成長期以降、駅の機能が高まりまして、駅周辺商業開発というのが進められてまいったところであります。そういう意味では商業中心地が拡大をしてきたというふうに言えるわけですが、それは、当時の消費社会が確立していく過程あるいは高度成長といったような環境要因に支えられてうまく中心市街地が外に向かって拡張することができたというふうに考えております。  しかし、その後、交通手段が、車社会というか車の方に移ってまいりまして、郊外開発に一層拍車がかかるようになってまいりました。車社会に十分対応できない中心部ということで、人口だけではなく公共施設とかあるいは集客施設までが郊外の方に移転をしていくというようなことが起こりまして、中心部空洞化ということが懸念されるような事態になってまいりました。そのことは商業立地面でも言えるわけでありまして、高速道路があればどこにでも商業立地できるといったようなことになりまして、そういうことなんですが、より多くの顧客を吸引しようとすれば、買い物施設というだけでは不十分だということで、各種の娯楽施設とかあるいは集客施設が一緒になって設置されるということになってまいりまして、これらの施設ショッピングセンターというふうにしばしば呼ばれますけれども、決して単なる買い物施設ではないということは明らかだというふうに思います。  さて、こういう商業の空間的な変化といいますか、これに一貫して向き合ってまいりましたのが、大規模小売店舗法大店法であります。この法律は一九七四年に施行されまして、施行直後は、初めていわゆる総合量販店規制対象の中に含めたということもありまして、手探りの状態であったかと思いますけれども、当初、大店法規制から逃れたいという大型店、あるいは、それに対して条例あるいは要綱をもって規制をしようとする地方自治体、あるいは、さらに法改正をもってそうした地方動きを牽制しようとする動きといったようなことが、恐らく七〇年代を通して繰り広げられたというふうに思っております。  七〇年代の終わりから八〇年代にかけまして、この大型店問題は非常に重要な問題に発展をしてまいりまして、運用強化方向が強く打ち出されるようになりました。八〇年代は、御案内のように大変厳しい運用がなされたわけでありますけれども、大変皮肉なことに、この八〇年代を通して中小小売商減少の傾向というのが明らかになってまいりました。恐らく、戦後、小売業の世界に参入された第一世代の方が本格的に世代交代の時期を迎えたということでありますが、この世代交代の波は、大店法の厳しい運用をもってしてもとめることができなかったということだろうと思います。  八〇年代の終わりぐらいになりまして、日米構造協議を初めといたしまして、大店法国際紛争の舞台の中に投げ込まれることになりました。国内でも、競争とかあるいは市場経済というものを求める声が強くなりまして、規制緩和の流れというのが定着をするようになってまいりました。運用適正化に始まりまして、大店法改正が行われ、調整期間が一年間ということで明示をされてくるようになりまして、恐らく、現在の大店法には、かつてのような商業調整法的な意味合いというのは薄らいできているのではないかというふうに思っております。いい意味でも悪い意味でもそう言えると思うのですが、例えば裏金が云々というような話、あるいは紛争が長引くといったようなことはなくなってまいったということであります。  しかし、そのことは、反面でいえば、大店法に基づく調整手続というのはいわば粛々とした手続に沿って進められるということになってまいりまして、その過程で、交通だとかごみだとかいう問題を含めた地域の深刻な問題に対して、ほとんど無力であるということを実感するようになってまいります。その意味では、やや極端な言い方になるかと思いますけれども大店法には実質的な出店調整をする力というのはもうほとんど残っていない。それでいて、地域問題を解決することができず、国際紛争の種になるといったようなことが、やや極端には言えるのではないかと思います。  大店法には、確かに戦後の流通政策中心を担ってきたという歴史がありますし、その目的の一つであります中小小売商事業活動機会を確保するということの中には、象徴的な意味合いが込められていたように思いますけれども、しかし逆に、そういう象徴的な意味だけしか残っていないというふうに言っても言い過ぎではないのではないかと考えております。  したがいまして、その意味からいいますと、むしろ大店法を強化すべきではないかといった考え方が出てくることも理解できないわけではありません。しかし、中小小売商を保護するあるいは守るということが、それ自身として国の法律目的になるというふうには思えませんし、世代交代が進む中で小売店舗はこれからもまだ減少を続けていくことは避けられないと思いますし、そういう店舗減少していく中で、健全な地域商業あり方というのを求めていくというのが、我々のとるべき道であろうというふうに考えております。  したがいまして、現行大店法に固執するよりも、都市の形成であるとか、あるいは土地利用あり方といった観点から地域商業を考えることというのが大変重要だというふうに思っておりまして、荒廃化が進んでまいりました中心市街地活性化を図るとともに、土地利用の面からの立地規制を行い、実際の出店に際しましては生活環境問題等に十分に配慮するといった枠組みで考えられようとしている今回の大きな改正方向というのは、時代要請にこたえるものであるというふうに私は考えております。  さて、十一省庁が挙げて取り組むことになりました中心市街地活性化法につきましては、多くの都市で期待が寄せられているようでありますけれども、ここでは特に、中心市街地というのはさまざまな都市インフラだとかあるいは公共施設集客施設というものを持って初めて中心部として機能しておるということ、あるいは、中心部であるといえども都心居住の問題というのは決して無視できる問題ではないといったようなことを強調しておきたいというふうに思います。  中心部が衰退しているとすれば、これら多くの機能が複雑に関連し合いながら全体として弱体化してきたということによるのでありまして、商業機能だけを切り離して、これだけを強化する、回復するといったようなことはそれほど期待できる話ではないように私には思えます。その意味で、それぞれの地域の特性に合わせた総合的な計画づくりというのが決定的に重要になるというふうに考えておりますけれども、その際特に、単発的な大きな事業といいますか、箱物の大きなものを整備するというだけではなくて、むしろ持続的な機能回復が可能なような長期的な道が追求されることを期待したいというふうに思っております。  同時に、中心部の問題は、反面では郊外開発の問題であるということも申し上げたいと思います。人口郊外化をする限り、郊外買い物施設ができる、商業施設ができるということはもちろん必要なことでありますけれども、近年、郊外開発されつつあります超大規模施設は、必ずしも人口郊外化に対応したというような域を超えてしまっているのではないかというふうに思います。もっと広域から顧客を吸引しようとしている、だからこそ中心部商業と直接競合関係に立つわけでありますけれども、こうした大規模開発に対してどのように向き合うのかということは大変重要なことだと思います。  中心市街地あるいは中心部郊外とが均衡ある発展をするというふうにいえば聞こえは大変よろしいのでありますけれども、それを実現するような、あるいは可能にするような状況にはもはやないのではないかというふうに思っております。その意味で、本当に中心市街地が重要であり、ここを活性化するということであれば、難しいかもわかりませんが、何らかの形で郊外開発規制なりあるいは開発管理といったようなものが必要になるのではないかというふうに私は考えております。  それから、大規模小売店舗立地法でございますが、これはいわば大型店出店に伴います生活環境チェックのようなものと思われ幸すけれども、これにつきましては、市町村の意見が大幅に取り入れられるということになりましたのは、地方自治観点からいいまして大変結構なことといいますか、当然のことかというふうに考えています。  ただ、ここでいいます生活環境要因というものの中に一体どれぐらいのものを埋め込むのかということについては、かなり重要な問題になるのではないかと考えております。公平、公正、透明性といったことは当然法運用の中で重要になってくると思いますけれども、それを堅持しながら、他方では、地方の個別的な事情にいかに対応するのかということがこれからの問題であろうと思いますし、自治体が慎重な取り組みを求められているところではないかというふうに思います。  最後に、町づくりとの関連について一言だけ申し上げさせていただきたいというふうに思います。端的に申し上げますと、町づくり観点というのが、大型店出店問題に際して、それを規制するような根拠になるのかならないのかといったような問題であります。  私は、地域の中で着実に積み上げられてきた計画とかあるいは政策というのは、非常に重要な重い意味を持っておるというふうに考えています。したがいまして、町づくり計画というのは、大型店出店に対して調整ないしは規制というとややきついかもしれませんけれども、その根拠になり得るものというふうに本来的には考えております。しかし、そのためには、町づくり計画なるものがどうしてもしっかりとした理念手続の中で策定されて合意されているということが必要なのではないかと思います。コンサル任せのちょっとした計画といったようなもので町づくり計画を名乗るということはできないだろうという意味なんですが、このことを確認しておきますことは、町づくり出店規制の新たな隠れみのにしないという意味では大変重要なことだというふうに考えております。  このしっかりした町づくり計画かどうかという線引きは確かに難しい問題があると思いますけれども、だからといって町づくりの要素を全面的に排除するというのではなくて、きちんと進められてきた町づくり理念が生かされて、出店者側もこれを尊重しながら、ともに健全な都市づくりを目指していけるような、そういう新しい枠組みをおつくりいただければということを願っておる次第でございます。  以上のことを申し上げて、私の発言にさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  4. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 ありがとうございました。  次に、小林参考人にお願いいたします。
  5. 小林敏峯

    小林参考人 御紹介いただきました日本チェーンストア協会会長を務めております小林でございます。  このたびの大規模小売店舗立地法、以下立地法と表現させていただきますけれども、幾つかの疑問点、それから要望事項もあわせて意見を申し述べたいというふうに思います。  私ども日本チェーンストア協会は、企業数で百二十四社、店舗数にいたしまして七千八百十四店の会員を抱えた団体でございます。また、会員企業全体では、大勢のパートタイマーの方々も含めまして、八時間労働に換算して従業員数が四十六万二千五百人、そして平成九年の総売り上げは十六兆八千六百三十五億円でございます。先日発表されました平成九年商業統計速報によりますと、自動車関係を除きまして小売販売総額が約百二十八兆円ということでございますので、その一三%弱のシェアということになります。  しかし、大型商業施設を経営する大企業業界団体というような印象をお受けになるかもわかりませんけれども、実態は、店舗数が四店から五店、そういった企業もたくさん参加しておる協会でございます。ですから、きょうは単に大型店代表ということではなくて、生活者に一番近いところに位置する業界代表という立場で参りましたことを御了承いただきたいと思います。  さて、昭和四十八年十月に制定され、翌四十九年三月一日から施行されました大規模小売店舗法、これも以下大店法と表現させていただきますが、主に中小企業事業活動のチャンスを確保するために、大規模小売店舗における小売業事業活動調整することを目的とした経済規制法ということでありました。  私ども日本チェーンストア協会は、本来原則自由であるはずの経済活動規制するものとして、長年その廃止を訴えてまいりました。その意味で、私も委員として臨席させていただきました産業構造審議会流通部会中小企業政策審議会流通小委員会合会議が昨年十二月に出しました中間答申において、現行スキーム大型店事業活動調整することはもはや時代要請に合わない、計画的な地域づくり交通環境に与える諸問題を解決するために新たな実効性ある政策対応に転換し、現行大店法に基づく調整はその使命を終えることになると示したことで、需給調整として大型店規制することは社会的、経済的に失うものが多いということを大店法施行後二十五年近くたってようやく認めたものとして、心から賛意を表するものであります。  また、同時に主張してまいりました、政府規制緩和後、地方自治の名のもとに自治体が同じような規制を新たに始めるようではむしろ改悪になるという懸念につきましても、同じくさきの合同会議の中で、地方自治体が独自の需給調整をベースとする規制はなるべく行うべきではないという確認がされまして、立地法がその考えを体現されたことにつきまして、高く評価するものでございます。  今まで横出し、上乗せなどの表現で語られてきましたいわゆる自治体独自規制は、私どもチェーンストア業にとりましては大変頭の痛い問題であったわけでございます。すなわち、チェーンストアは、多数の店舗を統一したシステムで効率的に運営することによってコストを極小化することに日夜努めているのですが、自治体ごとにばらばらの規制や指導がなされますと、私どものノウハウ、システム、そういったものが機能を十分に発揮しない、そういったことができない。ひいては廉価で良品を提供するという我々小売業使命を達成することも困難になりかねません。その意味で、もちろん私ども経営努力が一層要求されることは論をまちませんが、その独自規制の禁止はお客様のメリットにつながるものと言えましょう。  次に、昨今激しく動いておりますお客様生活様式購買行動変化について、御説明を申し上げたいと思います。そして、御審議のバックグラウンドとしての御理解を得たいというように思います。  このたびの大店法見直し作業や、先日発表されました平成九年商業統計速報で明らかになりましたけれども、非常に多様化、個性化している生活者ニーズにこたえる形で、店舗規模や、さらに店舗そのものに依存しない新しい業態が登場し、急成長をしているということでございます。一方、生活者行動範囲が飛躍的に拡大した結果、個店個店競争に加え、商店街を初めとする商業集積間の競争も熾烈をきわめる時代を迎えるということになってきております。  このような中で、個性ある中小専門店と魅力ある大型店共存共栄を図りつつ、多様で質の高い小売業の育成のためにはどうすべきか、グローバルで大競争時代我が国商業はどうあるべきか、そういった視点で議論を深めていただくことが重要と考えております。  また、我が国個人消費は、おおよそ物販が四割、非物販が六割というように言われております。私は、この飲食、レジャー、教養、娯楽といった部分を時間消費というように名づけておりますが、今後この分野がますます拡大していくことが予想されます。そして、このような生活者のライフスタイルに適切に対応し、我が国経済の牽引役となるためには、さまざまな業態、いろいろな施設、そしてたくさんのソフトが必要でございます。それらが有機的に結合した機能が求められておるということでございます。  また、高齢化社会、少子化社会、有職女性の増加などの社会環境の急激な変化、そして第一次、第二次産業からの就業人口の移動を考慮すれば、新しいサービス産業の育成など産業構造の転換が急務でありますが、そのためには、大店法に限らず、広範な分野におけるもろもろの規制撤廃が必要条件となります。特に、雇用問題については第三次産業の方に移行しているということで、非常に大きな雇用がこの大型店あるいは町づくりにあると思います。  元来、大店法は、中小商店の活性化大型店その他の施設との共生のために時間を与えるための法律であったはずですけれども、今までの実態は、新規事業者にとっては参入障壁、既存業者にとっては、ここでもいわゆる護送船団方式の担保という役割を果たしてきたと言っても過言ではないでしょう。その結果、我が国大型店は、アメリカに比べて十年、東南アジア諸国に比べても五年以上おくれてしまったということではないでしょうか。この間、不幸なことに、消費者利益の保護という観点ほどこかに置き忘れられたままでございました。  昨今、ベンチャー企業の育成ということが盛んに言われていますが、大店法施行後の二十五年、事商業に関しては進歩がとまっています。ダイエーの中内さんとかイトーヨーカ堂の伊藤さんとか、今日、大企業と言われる小売業者は、皆大店法以前の時代の小さな個人商店から、大いなる志とたゆまざる精進によって今日の隆盛を築いてこられました。しかし、今日の小売業界の現状を見ると、大店法があったがゆえに、このようなエネルギーがどこかに封殺されてしまったというように見受けられます。その反面大店法があったせいで、その規制を受けない業態としてコンビニや通信販売がこれほどまでに発達をしたことは、生活者立場からすれば便利になったということもあるかもしれませんが。  今は消費動向全体が少し調子よくありませんけれども、海外の小売業にとって、我が国の購買力、消費水準の高さは垂挺の的のはずです。また、アメリカなどのディベロッパーは、お客様を集める、お客様を喜ばすといったソフト面で、明らかに我が国の同業者よりも一日の長があります。これからの我が国商業は、この狭い国土の中で、好むと好まざるとにかかわらず、これらの海外企業競争しなければならないと思います。  さて、立地法に話を戻させていただきますが、この法案につきましては、幾つかの問題点を指摘させていただきたいと存じます。  まず、規制緩和市場経済主義政策の流れの中で、経済的規制としての大店法廃止することと環境問題などの社会的制約に関する新法の制定とを同じ土俵の上で論議することが適当か否か、甚だ疑問に思います。あたかも大店法廃止の交換条件のように立地法が扱われることは、立地法の誕生過程からして大変に不幸なことではないかと思います。  それにも増して一番の問題は、環境交通渋滞、騒音などについて、なぜ大規模小売店舗のみが対象とされるのかということであります。これらの問題は、大型小売店舗にのみ固有に発生する問題ではないはずです。  焦点を町づくりという観点に絞ってみても、例えば、大型のオフィスビル、マンション、ホテル、劇場、スポーツスタジアム、そういった他の産業の施設は、また一団地としての商店街、繁華街も、集客や機能面で大型店以上のパワーを発揮しているところも少なくありません。さらに、最近は大型店顔負けの駐車場を備えたパチンコ屋さんも多数見受けられます。  環境問題をめぐる昨今の社会情勢に照らせば、大規模施設事業活動における交通問題、環境問題などについては、それぞれの設置者がみずからの社会的責任として当然に対処しなければならないものであります。それでも解決困難な問題が多発するようであれば、必要最小限の何らかの社会的規制の導入も必要かと思います。  私ども流通業では、これまでも、出店に際して交通渋滞、騒音、ごみ処理などについて地域方々と協議を重ね、可能な限りの手段を講じてまいりました。これは、周辺の方々が一番大切なお客様であり、その方々に御了承、御納得をいただかなければその地で商売をすることもできないということを考えていただければ、即座に御理解いただけるかと思います。中には、道路幅やその利用状況の問題など、一私企業では解決できない事例もございますが、いずれにしても、新法の有無にかかわらず、社会的責任として今後とも真摯に対応してまいりたいと思います。  しかし、他方で地方自治体手続の大半がゆだねられるということになりますと、どのような考え方のもとに交通混雑やごみ、騒音などの問題の議論が進められるか、現在の法案では定かではありません。検討の基準が自治体ばらばらになったり、不透明、合理性に欠けるものであってはならないと考えております。また、交通混雑、ごみ、騒音の問題は、ともすれば、店舗面積を削れ、営業時間を短くしろ、そういった主張につながりやすい点を懸念するものであります。交通混雑やごみなどを相対的に減少させることが本来の立法趣旨であるはずで、その目的達成のため、事業者や関係者のとるべき手段は多種多様であってよいと思われるにもかかわらず、経済規制の肩がわりといいますか、実質、経済規制の復活となることを懸念をするものであります。  最後に、二十一世紀を目前にした今日の閉塞状況にある日本経済のためには、GDPの六割を占める個人消費活性化することが一番の処方せんであります。今からでも遅くはありません。事業活動に係る規制を緩和、撤廃して、創意工夫が生かされる社会への転換が急務のはずです。その意味では、大型店だけを対象とした今回の立地法も、自由であるべき商業への制約という危惧から、必ずしももろ手を挙げて賛成とは申し上げられないのがまことに残念であります。  以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  6. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 どうもありがとうございました。  次に、一丸参考人にお願いをいたします。
  7. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 ただいま御紹介をいただきました私は、全国商店街振興組合連合会理事長で、政策委員長を務めております、大分県商店街興組合連合会理事長の一丸でございます。  本日は、私ども中小小売業者にこのような発言機会をお与えくださいまして、まことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。  さて、先生方の御高承のとおり、商店街は、私ども中小小売商の懸命な努力にもかかわらず、全国至るところ疲弊し切った状況にあり、商店街イコール、シャッター通りと言われるくらい、まさに崩壊寸前の状況にあると言っても過言ではありません。  商店街におきましては、バブル崩壊後の長期にわたる大不況に加えまして、過去三回もの大店法規制緩和郊外大型店等との熾烈なる競争や業態間、地域競争の激化、さらには駐車場の不足、市街地大型店の撤退、後継者難等により衰退、空洞化が極度に進行しています。また、市役所や市民ホール等の公共、公益施設や民間の事業施設、さらには住宅等が郊外に移転をしまして、都市機能が著しく低下してしまったことも、空洞化にさらに拍車をかけています。  このようなことから、中小小売商は転廃業を余儀なくされ、私ども商店街の仲間を次々と失っているのが現状であります。  先ごろ発表されました平成九年商業統計速報で、バブル崩壊直後の平成三年と平成九年とを比べてみますと、小売業全体の商店数は十八万店の減少となっていますが、商店街の大半を構成する従業員四人以下の商店数は、百二十七万店から百六万店と二十一万店も減少しております。これは一七%の減少でございます。また、従業員数も、全体で三十五万人増加したものの、従業員四人以下では逆に二百八十一万人から二百三十三万人と四十八万人も減少しております。これも同じく一七%の減少でございます。数字からも中小小売業の非常に厳しい実態が浮き彫りにされております。  こうした中で中小小売商は、地域社会と一体になり、地域の伝統文化、祭りの担い手として、また町内会、消防団、PTA等の地域団体の世話役として活躍する一方で、町づくりにも当然ながら懸命に努力しているところでございます。中心市街地活性化、ひいては商店街の再生は、もはや中小小売業者個人の努力のみでは限界をはるかに超えております。  私ども百四十万中小小売商、そして一万九千商店街といたしましては、今回の大型店政策の転換による町づくり観点からの規制への移行自身は、世界の大勢に従ってより実効性のある規制を行うためのものと期待を込めて理解をしております。しかし、何分にもこれまでとは全く異なる大きな方針転換であり、しかも具体的な内容がいまだに不分明な点も多々あることから、今後のガイドライン等にゆだねられるところも少なくなく、本当に実効性のある規制がなされるのか、不安でいっぱいというのが偽らざる気持ちであります。  したがいまして、これから申し上げます幾つかの点につきまして国会として明確にお決めいただき、私どもが希望と勇気を持って現在の厳しい環境に立ち向かっていくことができますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、まず、大規模小売店舗立地法案について考えを述べさせていただきます。  一点目ですが、立地法案の目的に、大型店立地に関し、生活環境の保持のため適正な配慮がなされることを確保するとありますが、この生活環境とは何なのか、どの範囲までの環境を指すのか、まだ明確になっておりません。  これを仮に大型店出店に際しての交通渋滞、駐車場、騒音、廃棄物という狭義の環境問題に限定しますと、大型店出店を事実上無規制にするのと変わらなくなるおそれがあります。特に都市計画区域外の幅員の広い国道沿いで、しかも人家等のないような場所ですと、都市計画法の特別用途地区の制限も立地法の生活環境規制もほとんど受けないことになり、容易に数万平米の巨大な店舗を建てられるということになりかねません。  欧米諸国では、狭義の環境問題に加えて、身近な買い物機会の確保や中心市街地空洞化の防止など、生活の利便や住みよい町づくり観点からも広く規制が行われております。郊外での大型店出店は極めて困難となっています。このように欧米では当たり前の、いわば町づくりや生活のしやすさの確保の観点からの規制が万が一にも生活環境の概念に入らないということになれば、私どもは到底承服することはできません。  したがいまして、生活環境は、経済的な面や住みよい町づくりといった観点を含む広い概念であることをまずもって明確にしていただくとともに、第四条の指針や第五条の届け出事項を定める省令では、町づくり観点を含めて調整が行えるよう、業種、業態などを含め、具体的に明示していただきたいと思います。その際、例えば市町村や公的な機構が町づくり計画を策定している場合、その計画に合致しない、または相当程度の悪影響を与える大型店出店は、店舗面積を削減する等の調整も可能であることを明記していただきたいと思います。  また、町づくり地域の実情に応じ地域ごとに取り組むものであり、町づくり計画地域が主体となってつくり上げていくものであると考えます。指針の策定においては、地方公共団体が独自に新たな基準を追加することを認めるなど、地方公共団体の独自性が尊重されるよう十分配慮をしていただきたいと思います。  さらに、指針や省令は制度の根幹であり、この制定に際しては広く私どもの意向を反映されるよう、その原案を国会や審議会等に提示して審議していただきたいと思います。  二点目ですが、地方公共団体の講ずる施策に関する第十三条で、「地域的な需給状況を勘案することなく、」とありますが、ただいま申し上げましたのと同じ趣旨でございます。欧米で採用されている住民の身近な買い物機会の確保や中心市街地の保護などの町づくりのための規制を行うことは、我が国でも問題ないことを明確にしていただきたいと思います。また、同じく第十三条の関係で、自然環境の保護、田園風景の維持、景観保全、高齢者保護等を目的として条例等で大型店立地を制限することは、都市計画法や大店立地法との関係で何ら問題ないこともあわせて明らかにしていただきたいと思います。  三点目ですが、新法では、都道府県の勧告に従わない場合にはその旨を公表することで大型店への制裁としておりますが、公表のみで全くペナルティーがないのであれば、特に昨今のような時代、勧告に従わない企業も出てくるおそれが十分あります。万が一そのようなことがあれば、直ちに命令、罰則の追加など、必要な法改正を行っていただく必要があります。  また、勧告に関連してお願いしたいことがあります。生活環境に著しい悪影響がある場合、都道府県は大型店に勧告をすることができることになっていますが、悪影響の基準をどこに置くのかは、まだ明らかになっておりません。  車利用客中心大型店の場合、平日は渋滞、駐車、騒音、排気ガス等の問題は余り発生していないが、土日は周辺道路は大渋滞、駐車場は満杯で、路上は違法駐車の車であふれているという状況が多く見られます。このような場合、悪影響の基準は、平日なのか土日なのか、あるいは週や月の平均なのかという問題があります。私どもは、週一日の数時間であっても、生活環境に著しい悪影響が予想されるのであれば、勧告の対象にすべきだと考えます。  四点目の大型店の開店後の問題についてですが、大型店サイドの当初の説明内容と著しく異なり、悪影響が生じた場合において、専ら大型店の見通しの狂い等に問題がある場合には、大型店に何らかの対応措置を講じさせるよう、運用上、措置する必要があると思います。  五点目ですが、第八条第二項で、地元住民等はだれでも、都道府県に対し、生活環境の保持のため配慮すべき事項について意見を述べることができることになっていますが、サラリーマンや農民、商人が大型店出店による生活環境等への影響予測を行い、意見書をまとめるのは、極めて困難であります。地元住民等は、大型店が公表するデータ以外に公正で客観的な影響調査結果を入手することが当然必要となってきます。地元の個人、団体等が自費で影響予測調査を行うのは大変難しいことから、地方公共団体等が調査を行い、データを公表する等、都道府県等を指導していただきたいと思います。  同じく第八条第二項の関連で、地元住民などは意見書の提出でしかかかわりを持てない制度になっていますが、住民、地域団体等の意見が都道府県等の意見に十分反映されるように、地域ごとに審議会等の意見集約の場を設けるよう、都道府県等を指導していただきたいと思います。  このほか、大店立地法施行までの期間、さらには施行後においても、特別用途地区の設定や町づくり条例施行までの間、駆け込み出店がないように予防措置を講じていただきたいと思います。  大店立地法関連では最後になりますが、既存大型店の閉店時刻や休業日数が、新法施行後、直ちに深夜までの営業になったり、休業日数がゼロになるのではないかと心配する向きがあります。それらについては、新法により厳格に規制を行っていただきたいと思います。  以上、大店立地法につきまして、種々考えを述べさせていただきましたが、同法が必ずや実効性あるものになるよう、先生方の特段の御尽力を賜りますようお願い申し上げます。  引き続き、中心市街地活性化法案について考えを述べさせていただきます。  本法案は、中心市街地が直面する空洞化問題に対し、地域の創意工夫を生かしつつ、町づくりを進めるのに大いに役立つものと期待しております。  しかし、前段でも述べましたように、大型店郊外への出店市街地からの撤退という図式は、改正都市計画法や大店立地法施行により一定の歯どめがかけられなければ、中心市街地活性化の効果は薄らぐことになってしまいます。本法の施行に当たっては、都市計画法、大店立地法、両法どの整合性が十分に保たれる必要があると思われます。  ところで、中心市街地活性化法案につきましては、概要はある程度理解できるのでありますが、私ども中小小売商は、その施策を活用するには具体的にどのような手順で進めていったらよいか、いまだ確信が得られません。  基本計画策定に際して商店街は何をすればよいのか、TMOはどのようにつくるのか、整備推進機構は何をするところなのか、中心市街地の位置、範囲はどうやって決めるのか、各省庁の窓口はどこなのか、一本化されるのかなとなど、今後明確にしていただきたいと思います。早急に、基本方針や運用指針などの策定を通じて、中小小売商に広く周知徹底していただきたいと思います。  また、本法は、市街地整備改善商業等活性化を柱とする総合的、一体的な対策を関係省庁、地方公共団体、民間事業者等が緊密に連携して推進することになっております。しかし、従来からの縦割り行政からいたしますと、市街地整備改善は建設省が、商業等活性化は通産省が、緊密な連携をせず、独自に進めてしまうという懸念がどうしてもつきまといます。今回はぜひとも、関係省庁が一体となり、うまく歯車を合わせて、強力に施策を推進していただきたいと思います。  最後に、これは建設委員会審議事項と思いますが、関連いたしますので、改正都市計画法案につきまして、一言意見を述べさせていただきます。  改正都市計画法案では、大変遺憾ながら、都市計画区域内の白地地域や区域外の農業、森林地域等での大型店出店を食いとめることはできません。中心市街地のさらなる空洞化を防ぎ、都市機能を維持し、生活環境を保全するには、これらの地域での土地利用規制法律できちっと整備することが重要であります。したがいまして、これらの法整備の検討を直ちに行っていただきたいと思います。  以上、るる御説明を申し上げましたが、私どもは、今まで営々と築き上げてきた私の店、都市の顔であり、人々が集い憩う我々の商店街を、地域生活者の支持を得ながら、将来にわたり守り続けたいと思っております。ぜひとも私どもの意をお酌み取りいただきまして、法案、附帯決議、指針、省令に反映していただけますようお願いを申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。  貴重なお時間をありがとうございました。(拍手)
  8. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 ありがとうございました。  次に、三村参考人にお願いいたします。
  9. 三村光代

    三村参考人 ただいま御紹介いただきました三村と申します。どうぞよろしくお願いします。  私は、消費代表として出てまいりましたが、私の団体は、長い名前の日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会と申します。この会は、消費生活アドバイザーと消費生活コンサルタントが一緒になりまして、昭和六十三年に通産大臣の許可をいただいて設立した社団法人でございます。  消費生活アドバイザーというのは、御承知のごとく通産大臣の認定資格で、受験をして得られる資格でございます。それから、消費生活コンサルタントは、昭和三十七年から財団法人の日本消費協会が養成しております消費生活コンサルタント養成講座を修了した者たちでございます。ちなみに、消費生活アドバイザーは、ことし三月に十八期生が誕生しました。それから、消費生活コンサルタントは、昨年十一月に三十六期生が修了いたしております。  そういう中で、消費生活アドバイザーというのは企業消費者のかけ橋としてつくられたものでして、それから消費生活コンサルタントは、昭和三十七年という、まだ消費者という言葉すらも確立していないころに養成がスタートしたということからも考えられますように、やはり消費者の知恵袋として養成されてきました。一貫して今現在も消費者の知恵袋として養成されておりますので、消費生活コンサルタントは消費団体の中で活動している者もおります。消費生活アドバイザーの多くは企業消費者相談の窓口、お客様窓口等におりますので、したがって、消費生活アドバイザーで大型店お客様相談窓口等に勤務している者も、私ども会員の中にはたくさんおります。私どもの中のもう一つの消費生活コンサルタントは、消費者の知恵袋として養成されましたので、消費生活センターの中で消費者相談に当たっている者が圧倒的に多いというような状況でございます。  要するに、私どもは、いかに消費者を守っていくかということでつくられた消費者問題の専門家集団でありまして、おしゃもじなんて言うと主婦連さんにしかられてしまいますが、プラカードを持って消費者運動を展開するとか、駅の前に立ってチラシを配るというような形の運動はやっておりません。ただ、消費者の知恵袋にもなっておりますので、消費者の足腰を強くするための支援をやっているというのが現状です。  長くなりました。それではきょうの本論に戻りまして、私は簡単なレジュメをつくってまいりましたが、現在の現行法で消費者は守られているのだろうかというところなんですが、私は、埼玉県の中で意見聴取会議委員もさせていただいているのですが、そういうところに行きまして消費代表意見というのを聞いてみますと、消費代表は、確かにはっきりと消費代表ということを認識して来られている方は意見、異議はほとんどないと言っていいのではないかと思います。  ただ、消費代表をだれが選ぶかというのがあるものですから、消費代表の方が周りの商店街に気を使う、あるいは商店主の方に気を使うという形になりますと、面積は大き過ぎるのではないかとか時間をどうこうしろとかというような話が出てくるのですが、消費者としては、今の現行法の四項目の調整項目の中からいえば、いろいろな意味消費者利益を得られる部分というのはあるわけですから、消費者としては現行法の中でどうこう申し上げることはほとんどないと思うのです。  ただ、もう既に役に立たなくなっているというのを、私が出ております審議会でもそうですけれども、大幅に大きな面積で要求を出しておかれて、審議会で削られることを初めから念頭に置いて出してくるというようなのが、いささかそうではないかと見られる嫌いがたくさんあるわけです。審議会の席でもそういうことをおっしゃった委員の先生がおられました。そういう形で調整していくことが何の役に立つのだと消費者側としては思わざるを得ないわけです。  例えば、一日か二日休日日数を削減するということが、たった一日削減することが、それは周りの商店街から見れば大変な影響かもわかりませんが、消費者側から見れば、いつ行ってもそこの店があいているという便利さのようなものがあるわけですから、一日ぐらいいいではないかと思われるのですが、一日削減するために、休業日数を減らすために面積を大幅に減らさせていただきますという形で出てくる、そういうバーターのとり方で今の四項目の調整はもうできないというふうに私は思っております。  小さい商店の方から見ればそれがどれだけ影響するのかというのがありまして、私が出ております意見聴取会議でも、三十平米ぐらいの小売店の店主の方が、余り大き過ぎて想像できないということをおっしゃいまして、どっちみち競争にならないのだからどうでもいいよというような捨て鉢なことをおっしゃった意見聴取会議委員の方がおいでになりました。埼玉県でやっている意見聴取会議ですから二種なんですが、そういうことをおっしゃった方がおいでになりました。私は、それではいけない、競争できないというのではなくて、いかにその中で自分が生きていくかという競争をしなければいけないのではないかと思うのですが、意見聴取会議の方からそういうお言葉をいただいてしまうと、消費者側の人間としてはとても悲しい思いをせざるを得ないということになるわけです。  さて、昔は、行き着いたところにスーパーマーケットがあって、ちょうどお寺の門前町のような形で商店街発展していくというような店がたくさんありました。私も昔、あるスーパーさんの一日お客様相談というのを窓口で受けたことがありますが、そういうときに集まってこられる消費者の方に呼びかけてはいろいろなことを聞いてみた経験があるのですけれども、その当時は、野菜はスーパーで買うよりも門前町の方で買った方がいいんだというようなお話がありました。今は一概にそうとは言えないのかもしれませんが、やはりそれをねらって努力をしているお店に行ってみると、それだけ買った野菜のもちがいいというようなこともあるわけです。  実際にそれをやってみないと、男の方はそれをなさる方は余りいらっしゃらないでしょうけれども、幾つかの店を回ってやってみますと、同じホウレンソウでももちが全く違うということもあるわけです。ここのお店は努力しているなと思うとまたそこに行こうということになるわけですが、そういう門前町があって、品ぞろえの豊富なものはスーパーマーケットに行って買って、安い物、それから自分が望むような差別化した商品、特に品質等の差別化したものを選びたいときにはその門前町の中の小売店で買えるというような形の商店街発展していたころは、私はとてもうまくいっていた時代だったのではないかというふうに思うわけです。  今こんなぜいたくなことを言ってはいられませんが、私自身も欲しい物があっていろいろなところを探して歩いた。結果、小さな町の商店の中にそれが置かれていて、とてもうれしい思いをしたという経験があります。例えば、特にテレビでコマーシャルが流れると、買いたいという消費者が出てくるわけですね。ところが、マニアックな商品じゃない限りはどこへ行ったって買えるだろうと思って行ってみても、なかなか置いていない。それはその時期というのももちろんあるのでしょうけれども、実際には商店のスペースに置けないということが、大型店でもあるのだと思います。ですが、現実には小さい商店がどれだけそういうことを、消費者が何を望んでいるかをつかむという努力をやってくださっていただろうかということを私は訴えたいと思います。  さて、埼玉県のある市が行った市民の購買行動調査の結果では、広告を読む主婦は、市内の商店だけではなくて、市外の商店までも広告をにらみ合わせて買い物に行くという行動が明らかに出ているのですね。それは当たり前のことだと思います。そういう中で、アフターサービスを望むような物、自分では持ち運べないような物はできる限り近くの店を選んでいるということもあるわけです。ですが、そういう消費者行動にあぐらをかいている商店があれば、きっとまた同じような商店に食われていくということになるのではないか、今、これまでのように何かの形で小さい中小商店が保護される時代は終わったのではないかというふうに私は思っております。  さて、最近は郊外出店する大型店がふえてきているわけですが、そのために裏で泣いている消費者もいるということ、それも忘れてはいけないと思います。車に乗れない消費者、あるいは高齢化している消費者、例えば私が聞いた一つの例で申しますと、いつもはバスに乗って行くけれども、大きな商品を、お布団の打ち直しを頼みたいと思ったけれども、バスには持ち込めないので、自分のシルバーカーを引いて一キロ、二キロ先まで行った。こういう話を聞いてみますと、これは確かに電話一本で商店に来ていただくことが可能な物を自分で行ったというのは、考え方から見ればつまらない努力だったのではないかという気はしますが、毎日の買い物になりますと、高齢者とて自分で買い物に行かなければならないときに近くに商店がないというのは、とても悲しい問題になるわけです。  そういう中で、もし商店街で配達を受けるというような形の努力をした店が出てくれば、必ずお客はそこについてくるということも言える。それで、私が住んでおりますところでも、スーパーマーケットが、チェーンストア等のマーケットが、ちゃんと配達をやってくれているところも出てきていますし、コンビニさんもお金を払えばお弁当の配達をしてくれるという、高齢者にとってはありがたい動きも徐々に出てきているということもあるわけです。  私は、そういうような努力を重ねた結果、いい方向に向いた商店等に対して、商店街等に対して、お金を出すのではなくして、これを世の中にPRしていくのが行政の保護ではないか、これからの保護というのはそういうものではないかというふうに思うのですね。お金をつぎ込むことで親方日の丸であぐらをかいているような状況では、今、もうこれからは伸びていけない時代に来ているのではないかと思います。  さて、その次に、時間がなくなってきましたので先へ行かせていただいて、新しい法律ができて、この法律は、私たちにとっては、特に地域に住んでいる、これからは消費者というよりも住民といった方がいいのかもわかりませんが、住民にとってはとてもありがたい大型店が出てくるときに、一番気になっていたことを規制の対象の中に入れていただけるということになったわけですから、とてもありがたいことだというふうに私は思っております。  私が出ております意見聴取会議の中でも、はっきりとごみはどこへ捨てるのですかということをおっしゃった若い主婦の方がいらっしゃいまして、どこに捨てるということはとうとう最後までそこではおっしゃいませんでしたが、絶対に迷惑はかけないというふうに出店者の方は言われました。そのときに消費者の方は、町の焼却場は使ってもらっては困る、町の焼却場はもういっぱいなんだから、それはもう絶対に使ってほしくないということをはっきりおっしゃられまして、それがはっきりしないと私はオーケーはしたくないというところまで何度も発言なさったという例が、一つ顕著な例として挙げられるわけですが、実際は、住民としては、それはとても問題になっております。  そして、特に、どうでしょうか、ダイオキシン問題。こんなに問題になっておりますダイオキシン問題は、住民の声が大きく力になって今この問題の洗い出しがなされているという状況ですね。私が記憶している中でも、二十何年か前に私がこの道に飛び込んだころにダイオキシン問題は既に出ておりました。出ておりましたのに、どうしてこれが問題にならないのだろうかとさんざん思っておりましたところ、ここへ来て、二十年もたってこの問題が出てきたのは、住民の力だったということが言えると思います。この住民の力は、これから大型店出店していく上でも、自分の問題としてとらえていく時代になるのだというふうに思います。そういう中で、もしも約束したことが守られないとすれば、住民は大きく立ち上がってくるのではないかというふうに思います。  それから、出店規制町づくりが大事だということは、消費者にとってもとても大切なことですが、先ほど石原先生も同じことをおっしゃっておいでになられましたが、出店規制の陰になってしまう形で、町づくりが表に出て規制が働くような、出店しにくいような形にならないことを私は願っております。  それから、土地利用立地規制がされていくという形になるわけですが、一昔前の商調協のような形になって大型店出店規制されていくということも、これは消費者の望むことではないということを申し上げておきたいと思います。  そして最後に、この大型店地方自治体におりるわけですが、実際におりてきたときに、その自治体が条例等をつくることで自分の町に合った規制をかけていくという形にしたいという意見がないわけではありませんが、私は、ここまではどこに出店しても同じだという一つのレベルは必要だと思います。その一定レベルのところまではスタンダードを国がつくって、そこから先、ここから先は地域でなければ議論できないというところを条例でかぶせていくべきであって、初めから条例で行っていくというのには、私は反対したいと思います。  それから、消費者や生活者が監視しやすくするために、一般住民に公告縦覧を簡単にできるような何らかの手段を講じてほしいと思います。一体何ができるのだということになるのですが、説明会の開催は、できる限り、例えば町内会の回覧板で回して説明会に人を集めるとか、それからPTAを活用するとか、いろいろな方法があると思いますが、身近なところで新しくお店が出てくるときの通知、知らせば出せるような方法をきめ細かくやっていただきたい。  それから、意見提出はしたけれども、そのした意見がどういうふうに反映されたのかというのが全くわからないという状況では困るので、それもわかりやすい方法での情報を返していただきたい、こちらの出した意見に対して回答を返していただきたい。必ず、出店してからもそれは守っているということがわかるように、こういう形で守っていただくことになりましたというのを返していただければ、地域の住民はそれをめどにして監視していくということができるということになります。  今私が申し上げてきましたのは大型店ということで言ってまいりましたが、新しく出店する店ばかりではなくて、既存の店も環境問題については全く同じだと思いますので、それも意識していただきたいし、地域の商店も、自分たちが一緒に足並みをそろえていくという意識を守っていただきたいというふうに思います。  そういう中で、私の団体は、今現在三千四百名弱おりますが、全国で会員が一人もいない県はありません。それぞれ地域に拠点をつくっておりますので、その人たちが地域のリーダーとして住民を引っ張っていけると私はとてもうれしいと思っておりますので、その努力を私の会としてもしていきたい、消費者問題の専門家としてリーダー的な役割が果たせるような形での地盤づくりもしていきたいというふうに思っております。  以上です。(拍手)
  10. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 ありがとうございました。  次に、宮岡参考人にお願いをいたします。
  11. 宮岡壽雄

    ○宮岡参考人 全国市長会の副会長を務めております島根県松江市長の宮岡でございます。  商工委員会の先生方には、日ごろから、都市自治体の円滑な行財政運営と地域の商工業の発展のため、格別の御理解と御高配を賜り、心から厚く御礼を申し上げます。  また、本日は、私ども都市自治体にとりまして最大の懸案事項となっております中心市街地活性化等に関し発言機会をいただきまして、深く感謝を申し上げます。  さて、都市において中心市街地は、ショッピングやにぎわい、交流の場などを提供し、都市としての機能を高めることにより、いわば都市の顔として極めて重要な役割を果たしてまいりました。しかし、近年、急速なモータリゼーションなどの進展によりまして、市民生活が車中心のライフスタイルに変化するとともに、大規模小売店舗郊外への展開、あるいは道路、駐車場などの都市基盤施設の整備の遅れ、また、地価高騰の影響などを背景に各都市中心市街地空洞化が急速に進んでまいっております。このことは、大都市地方中核都市だけでなく、人口減少や高齢化の進展などに悩む小都市におきましても大きな問題になっておりまして、まさに全国的な危機であると認識をいたしております。  昨年、全国市長会が全市長に対し、アンケートを実施いたしました。その結果は、中心市街地衰退の問題が最重要な課題であるとする意見が一番多く、今後中心市街地の整備を重点的に行う必要があると回答した市長が六割近くを占めております。こういったことから、全国市長会といたしましても、早急に取り組むべき重要な課題であると認識し、中心市街地活性化対策研究会を設置し、私が委員長を仰せつがり、中心市街地活性化対策のあり方を研究、検討いたしてまいりました。その結果を昨年十二月に意見書として取りまとめ、各方面に提出し、強く要請を行ったところであります。  意見書は三点を骨子としております。まず第一点は、地域が一体となった活性化対策の推進についてでございます。第二点目は、中心市街地活性化に向けた基盤整備についてでございます。また第三点目は、商店街等の活性化、すなわち商業振興について述べております。  中心市街地活性化施策を効果的、効率的に推進するためには、都市自治体中心的な役割を果たすことはもちろん、国、地方公共団体商店街等が一体となり、地域の実情に基づいた柔軟な施策を展開し、地元の機運醸成を図ることが重要であります。特に、国に対しましては、各省庁における類似施策の連携強化による総合的支援策を講ずるとともに、商店街活性化のための金融、税制優遇措置の創設等を求めたものであります。さらに、中心市街地の持つ商業あるいは業務機能はもちろんのこと、文化・教育、福祉・医療、居住等の都市機能の充実を図り、これを支える道路、駐車場、公園、河川などの基盤施設や鉄道、バス等の公共交通手段の整備充実を図ることをお願いしたものであります。  ここで、せっかくの機会でもございますので、この意見の内容とあわせ、私ども松江市の事例につきましても若干述べさせていただきたいと存じます。  松江市は、島根県の県庁所在地で、人口十五万人、地形的には、東西に流れる川によりまして中心市街地が南北に分断をされ、南はJR松江駅周辺、北は松江城や県庁周辺に商店街が存在しております。大型店舗の床面積は現在五七%と、全国的な数字から見ますと高い状況になっております。中心部空洞化郊外への大型店の進出など、全国共通の都市問題を抱えております。  ここに、今から四年前、平成六年の春でございますが、JR松江駅に近い工場跡地に、二万二千平米弱の山陰最大の売り場面積を持つ大型店がオープンをいたしました。売上高、床面積ともに全市の一〇%を超えるものでありまして、市内の大型店同士の競争激化と中小商店の地盤沈下に拍車をかけ、このあおりを受ける形で、松江駅周辺におきまして商店街の核店舗として営業していた大型店三店が、相次いで撤退を余儀なくされることになったところでございます。その後、撤退した共同店舗の六階建てのビルを駅前大型店として、この四月から、北部商業地の核店舗であった市内唯一のデパートが改築、移転、オープンし、南の松江駅周辺にはデパートと先ほどの大型の量販店が並び、再びにぎわいを取り戻しつつありますが、一方、北部の商店街は、核店舗のデパートの移転によりまして大変大きな打撃を受けている実情でございます。  このように、平成六年の大型店出店を契機に、大型店同士の出店と退店による大型店舗間競争と南と北の地域競争が激しく、商業地図が塗りかえられ、商店街への影響ははかり知れない現況でございます。  現在、中心市街地活性化対策を効果的かつ効率的に展開しようと、市街化区域の四分の一に相当する約六百ヘクタールを対象に、中心市街地活性化に関する基本計画の策定に着手をしているところでございます。  南の駅周辺では、近年、県と市による駅前再整備事業施行されておりまして、駅前道路の拡幅あるいは地下駐車場の建設とかバスターミナル、遊歩道整備、公益ビルの建設等が進められております。これら基盤整備とあわせ、先はどのように相次いで進出した大型店を核としながら、中小の小売店舗が共存できる商業振興を図り、広域商業地域化を図りたいと考えております。  一方、核店舗を失った北部の商業拠点に対しては、周辺を取り巻く観光施設と連携を持たせながら、商業、観光をうまくミックスした新しいスタイルの商業拠点として再生をしてまいりたいと存じております。  また、かねてから中心市街地活性化に公共交通を取り入れてまいりましたが、さらに、商業振興のため、駅周辺大型店と既存商店街内一キロメートル余りを往復する簡易なバスを導入したいと考えております。  また、商業振興につきましては、TMO、タウンマネジメントの制度の活用について商工会議所と既に協議しながら検討を進めておりまして、育成や独自の支援策も長期的に講じていきたいと考えております。  以上、本市の現況と今後の考え方の一端を申し上げましたが、中心市街地の再生、活性化は極めて厳しい面もございますが、今取り組みを開始すれば、近い将来中心市街地が再生する可能性もあると確信をいたしておりまして、引き続き取り組みを強めていきたいと考えております。  さきに成立いたしました平成十年度予算におきましては、大変厳しい財政状況の中にもかかわらず、中心市街地活性化関連のため、十一省庁にわたる知恵を絞った積極的な内容を盛り込んでいただき、感謝をいたしております。また、先般決定されました総合経済対策におきましても御高配を賜り、まことにありがたく存じている次第であります。  この上は、当委員会で御審議をいただいております中心市街地活性化法案の早期成立とあわせて、この機会に三点についてお願いを申し上げます。  まず第一点は、各都市の意向の尊重についてでございます。  中心市街地活性化対策は、各都市の実情に応じた対策が必要と考えられます。今回の法案においては、基本計画を市町村が作成することとするなど、いろいろ御配慮いただいておりますが、計画の実施等具体的な施策の展開において、各都市の意向が最大限生かされますようお願いをいたします。  次に、第二点は、各省の連携と窓口の一元化についてでございます。  活性化対策は、今回の法案に各般の施策が掲げられているように、各分野の施策を連携させながら、総合的な戦略のもとに進める必要があります。そのため、各省の施策の実施に食い違いが生ずることなく、適切なタイミングに必要な施策が円滑に実施されますよう、各省の窓口設定のあり方を含め、各省間で密接な連携をとっていただきますようお願いをいたします。  第三点は、事務の簡素化についてでございます。法律に基づく事業を効果的に実施するため、関係する事務については、できるだけ簡潔に行われるよう御配意をいただきたいと存じます。  次に、大規模小売店舗立地法案についてであります。  本法の運用主体は都道府県及び政令指定都市でありますが、交通渋滞、騒音、廃棄物など都市環境への影響だけでなく、中心市街地活性化の取り組み等との整合性にも留意した関係市町村の意見、実情を十分反映させた運用をお願いしたいと存じます。  以上、都市立場から意見を申し述べさせていただきましたが、地域の商工業の発展のため、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと存じますので、諸先生におかれましては、引き続き絶大なるお力添えを賜りますようお願いを申し上げます。  本日は、大変貴重な時間を拝借させていただき、心から感謝申し上げます。まことにありがとうございました。(拍手)
  12. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  13. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これより参考人に対する質疑を行います。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原伸晃君。
  14. 石原伸晃

    石原委員 自由民主党の石原伸晃でございます。五名の参考人の皆様には、貴重なお時間、貴重な御意見を賜り、心から感謝を申し上げたいと思います。限られた時間でございますので、適宜質問をさせていただきたいと思います。  私は、三村参考人がお述べになりました言葉が大変印象に残りました。中小商店が保護される時代は終わったが、人口の高齢化あるいは車のない人など、泣いている消費者の方がたくさんいる。  私ども政治に携わる人間は、やはり社会的に弱者と言われる人たちに対して十分な配慮をなしていかなければならない。そして、三村参考人が最後に申されたように、身近な商店街は守っていきたい、私もまさに同感であります。そのためにどうすればいいのか。これまでの大店法にかわる大立法あるいは都市計画法の一部を改正することによりまして、また、衰退してきた中心市街地活性化する意味で、今回、このような法律案を準備させていただき、議論を続けてきたところでもございます。  そこで、私は、冒頭、石原参考人に御質問をさせていただきたいのでございますけれども石原参考人は、都市における商業役割、これを効率性と有効性というファクターでお切りになっております。私は、この有効性という中で、町づくり、そして地域社会としての商店街というものを無視してはならない、この言葉が非常に印象に残ったわけであります。  学者の先生から政治家が日ごろ言っているようなお話をいただいたことは意を強くしたわけでございますけれども地域社会の中での商店街役割、こういうものはこれからどういうものをこの商店街が担っていくように先生はお考えになっているのか、お話をお聞かせ願いたいと思います。
  15. 石原武政

    石原参考人 地域社会の中で商店街がどんな役割を果たすのかというお尋ねでございますが、なかなか簡単に言える問題ではないとは思います。  御指摘のように、一つは、非常に利便性のある買い物施設ということでありますけれども、それだけではなくて、コミュニティーの形成ということが非常に大事なのだというふうに思っております。その意味では、商店街であればコミュニティーの形成に役立つかと言われると、それもまた一概にはいかないわけで、商店街の方が地域の中にお住まいいただくというようなことが重要になると思いますので、商店街だから確実にそうだと言えないと思いますけれども、一つ挙げろと言われれば、そんなことが大変大きなことではないかというふうに思っております。
  16. 石原伸晃

    石原委員 石原参考人に、引き続いてもう一問だけお聞かせ願いたいのでございますけれども石原参考人は、郊外開発の問題に触れまして、人口郊外化への対応を現状は超えているという御認識を示され、大規模開発については何らかの管理が必要ではないかというお言葉を述べられておりました。私も、やはりこの部分は非常に重要なところだと思うのです。  今回、私どもは、都市計画法の一部を改正することによりましてこの問題に対処していこう、簡単に言いますと、用途地区の種類の法令による限定を撤廃する。そして、地方自治体にフリーハンドを与えるということなんですが、この方法だけで、今石原参考人が御指摘された過度の郊外化、大規模開発というものに対してある程度の管理というものができるのかできないのか、そこをお聞かせ願いたいと思います。
  17. 石原武政

    石原参考人 特別用途地区につきましては、市街化区域の中での上塗りということになってございますので、恐らく、郊外地区というのはほとんど対象外になるのではないかというふうに思います。その意味では、郊外における開発を何らかの意味で管理するという手段としていえば、今回の都市計画法の改正、特別用途地区の自由化というのでは不十分であるというふうに思っております。
  18. 石原伸晃

    石原委員 私も、今、石原参考人の陳述にありましたように、この部分だけでは法律的には十分ではないと思います。これに対応する何かを早急に見出していかなければ、この身近な商店街というものを守っていくこともまたできないのではないか、こんなふうに考えております。  続きまして、小林参考人にお話をお聞かせ願いたいのでございますが、小林参考人が、必ずしももろ手を挙げて賛成とは申し上げられないのは残念であるというようなことを申されたわけでございます。冒頭、お断り申し上げたいと思うのですけれども、私たちは、平成七年三月の規制緩和推進計画、閣議で決定された政府の方針でございますけれども、経済的規制は原則的に自由である、そして例外規制、社会的規制についても必要最小限なものに限るという原則を打ち出して、今回のこの問題の処理に当たっておりますので、そこのところは御理解を賜りたいと思います。  そこで、御質問でございますが、小林参考人が申されました中で非常に印象に残ったのは、個性ある中小の専門店と魅力ある大型店共存共栄を図りつつあるというような視点で論議をしていくことが大切だという御提起がございました。また、松江の市長の宮岡参考人も、松江市の実情に触れられまして、二万二千平米というのはかなり大きな大型店なので、どの程度のものか私もちょっと想像できないのですが、そういうものと中小の商店街が共存できるような商業環境の整備に御尽力をしているのだという話があったのですが、小林参考人は、大店側だけではないという御意見もございましたけれども、やはり大きな大型店を経営される立場として、私は、今言われました、共存共栄を図っているのだというこの具体的な姿をぜひお示しいただきたい。そしてまた、今、参考人がこういうことをやろうというようなお考えがございましたら、この点についてお示しをいただければと思います。
  19. 小林敏峯

    小林参考人 冒頭に、先ほど必ずしも賛成ではないというふうに申し上げましたけれども、本来、経済活動というのは自由に、そして規制というものはない方が創意工夫というものがどんどん生まれて、日本の商人といいますか、日本の小売商というものを御信頼いただければ、何も規制していただかなくてもお客様のために十二分に哲学を持って果たしておりますということを申し上げたかったので、えらい言葉足らずで申しわけないと思います。  今お尋ねの、商店街の方あるいは零細店の方たちとの共存共栄問題、これは非常に古くて新しい問題でございまして、私も四十六年間事業をやってきておるわけですが、いつも時代というものの変化、これがお互いの小売店同士の差をつけてしまう。  現在一番大きな問題は、やはりライフスタイルの時代に来ているということでございまして、戦後は物が足らなかったというときでございますから、これは大型店であろうと小型店であろうと、いい商品を供給する。したがって、大量生産された物を大量に販売をしていく、大量消費なさる、こういうパターンが長く続きました。  その後、第一次オイルショック後大きな変革がございまして、今から大体十五、六年前でしょうか、当時から社会的に大型店、あるいは小型店におきましても業態的に変化が出てきた。その変化は、もう必需品についてはいっぱい持っている。  現在の個人消費も実はそこに起因がございまして、必需品については、安くしても十分あるからそれでいいんだ。こういう点でございますので、そういった物販の業態のところに、現在の三百兆近い個人消費のうち約四〇%が物販でございますので、そこにひしめき合っている、ここが一つの焦点のずれというところがあると思います。  したがって、個性ある商店の経営の方たちは、ちょっと言葉が適正であるかどうかわかりませんけれども、昔は飯屋というのがありまして、そこにはラーメンからすしからカツどんからいろいろありました。今はその一つ一つが専門店でないとお客さんは満足なさらない。ですから、ラーメンはラーメン一本、すしはすし一本という方が非常に個性がはっきりしていて、すし屋さんもラーメン屋さんも繁盛している。生活必需品の時代から、個性的な、職人的なプロの腕を振るうことによってお客様に大変好まれるといいましょうか、そういう時代になってきた。  今、第三段階に入ってまいりまして、ライフスタイル時代というのは、どういうときにラーメンを食べるのか、どういうときにすしを食べるのか。家の中ではないじゃないか、それは車の中で食べるのか、あるいは劇場へ行って食べるのか。そのライフスタイルによって、同じすしでも大阪ずしの押しずしがいい場合もありましょうし、江戸前がいいというのもありましょうし、いろいろなライフスタイルによってすし屋さんも変化をする。こういう第三段階に来ているわけでありますので、もっとこれを規制緩和していただいて、大型の我々の施設をつくる場合も、集客力については私たちの方がいろいろなものを持っていますから、十分に御便利いただけるだろう。  そして、雇用問題についても、我々の方は一カ所つくりますと千人あるいは二千人、超大型の町づくりになりますと三千人以上、そういう雇用を持っておりますので、製造業の方よりもはるかにいい雇用を我々が引き受けているということもございますので、雇用問題でのその市、地域との共存共栄というのは大変大きなものがあります。  それから、今申し上げた個人商店の方たちとの、ライフスタイルによるところの個性のある経営をなさる方たちとは大変いいコンビネーションが組める、そういうように私どもは自信を持って言えると思います。  以上でございます。
  20. 石原伸晃

    石原委員 ライフスタイルの時代という新しい言葉も教えていただきました。ぜひとも、共存共栄というものを具体的な姿で日本各地でお示しいただくように私からもお願いを申し上げたいと思います。  それでは、引き続きまして一丸参考人に御質問をさせていただきたいと思います。  一丸参考人は多岐にわたりまして御意見を開陳されておりましたが、私が非常に印象に残りましたのは、やはり住民や地域団体意見が述べられる仕組みをつくるべきである。  私どももその点には配慮をするということで、この法律案の八条の二項で、市町村の区域内に居住する者、市町村において事業活動を行う者、市町村の区域をその地区とする商工会議所または商工会、その他市町村に存する団体等が周辺の生活環境の保持のため配慮すべき事項について意見を有する者は、都道府県に対して意見書を提出し、これを述べることができるというような配慮はしたつもりでございますけれども、もう一歩、一丸参考人のお話は、過去、大店法の中で、平成三年でございますか、商調協がなくなった後、意見集約会議というような形で地元の方の意見を聞くような場を設けてきた、これにかわるような何かをつくったらどうかというような御提言に聞こえたわけでございます。  私も、地域の人々の意見を十分踏まえて、これらの出店等の問題については、あるいは地域環境の保全という問題については行うことが重要であると考えますので、審議会というお話であったのですが、どのようなところにどのような機関を設けようというお考えなのか、もう少し具体的なイメージがございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  21. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 あの中で審議会という言葉を申し上げましたが、一応これは一つの仮称みたいなもので、要するに、先ほど先生がお話しになりました、いわゆる大店法が最近まで意見集約ということがございます。実際には、正直申し上げて、ほとんど形式的なものだったと思うのです。ですから、通産局から指名で問い合わせが来て、それに対する答えをしたり、また、商工会議所の町づくり委員会というのがありまして、それは前の商調協と同じようなメンバーにはなるのですが、内容的には、出た案件に対して我々が意見を述べて、そしてそれを商工会議所がまとめて県なら県の大店審に出すということで、結果的には大店審において結論が出たということになるわけでございます。  ですから、今度新法になりますと、やはり住民の声というものを十分に聞き取っていただきたいと…うことが私どもの願いであります。ですから、これはもう各界各層、我々商業者だけではなくてみんなの声を聞いてもらおう、何かそういうものがぜひ欲しい、それを参考にして結論を出していただきたいというのが願いでございます。
  22. 石原伸晃

    石原委員 私も一丸参考人とまさに同じ立場をとらせていただきたいと思いますし、地域の住民あっての大型店であり商店街であるという認識に立って、多くの方の意見を吸収できるような、運用面で対応できることについては十分に対応していきたい、こんなふうに考えております。  それでは、質問を続けさせていただきたいと思います。  三村参考人、先ほど三村参考人のお言葉をちょっとおかりしたのですけれども、先ほどは、政府がお金をつけたりすることではなくて、配達や経営努力をしている商店街についてPRをするようなことを国も地方も行うべきだという御意見であったのですが、ちょっと抽象的な質問で恐縮なんでございますけれども消費者の立場に立ちまして、守っていくべき身近な商店街というのはどういう商店街をイメージされているのか、具体的なものがございましたら、お聞かせ願いたいのでございます。
  23. 三村光代

    三村参考人 先ほど申し上げましたように、私は、買ってくれるお客さん、顧客といいますか、それをイメージした上で商品選びをしているようなお店というのは必ずお客がついてくるというふうに思っていますから、そういうお店はできる限り守っていきたいというふうに思っております。  それに、今こういう言葉はもうちょっと通じないのかもしれませんが、私などにとっては、幾ら家庭の中の冷蔵庫が大型化したとしても、近くの商店というのは冷蔵庫がわりだと食料品については言えないこともありませんので、そういうところはやはり存続してほしい店だというふうに思っています。
  24. 石原伸晃

    石原委員 ありがとうございました。  時間も最後になってまいりましたので、最後に宮岡参考人に御質問をさせていただきたいのでございますが、中心市街地立地法の方につきましては、三点についての御要望がございました。また、大店舗立地法の方についても、市町村の声というものを十分尊重できるような仕組みをつくってもらいたい。  今回の大きな改正は、権限というものを都道府県に持たせる部分があると思うのですけれども、都道府県と市町村の商業行政あるいは町づくり役割分担、これについて、宮岡参考人はどういう形が望ましいのか、御意見がございましたら賜りたいと思います。
  25. 宮岡壽雄

    ○宮岡参考人 今回の地方分権におきましても、できるだけ市民に身近な行政はすべて市町村へ、こういう原則に立っておりまして、今回の立地法その他も、本来は、市町村に権限を移譲していただきますと、大変結構ではなかったかと私は思います。ただ、都市規模によりましては、自分の市域だけではなしに、隣の、先ほどの都市計画の白地地域とか、そういったところに思わない大きいものがございまして、実際被害を受けるのは自分の市域内の商店街である、こういう実例もございまして、都道府県に今回の権限が移されたのではないか、こういうふうに理解をいたしております。  したがって、これからは単に商店街商業規制というのではなしに、町づくりの上に立った、あるいはまた生活環境に立ったいろいろな役割を県と市町村が分担しながら、いかに地域の魅力ある顔づくりができるか、こういったことをやっていくべきではないか、かように思っております。
  26. 石原伸晃

    石原委員 五名の参考人の皆様には貴重な御意見を賜り、重ね重ね御礼を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  27. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、松本龍君。
  28. 松本龍

    ○松本(龍)委員 どうも御苦労さまです。民主党の松本龍と申します。  連休明けのそれぞれ御繁忙の時期に、五名の参考人の皆様には快く委員会意見陳述をしていただきましたことを、心から、改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。  この法案、ずっと考えてまいりまして、昔はどうだったかということをちょっと思い出しているところであります。  私は昭和二十六年生まれで、子供時代を昭和三十年代に過ごした者であります。あのころは、私も福岡市の小さな町に住んでおりまして、小さな店がいっぱい並んで、ある店では、冬には練炭を売って夏は氷を売るというふうな店がありました。貸し本屋があったり、おもちゃ屋さんがあったり、文具屋さんがあったり、それぞれ、小さな町でしたけれども、活気があったわけであります。そういうところは、まさに伝統や文化もありました。地域のコミュニティーもありました。祭りや消防ということもありましたし、先ほど一丸参考人が言われましたように、地域の中にさまざまな要因を含んでいたというふうに思っています。あるいは教育や治安というところまで、そういったものが担っていたのではないかというふうにも考えているところであります。  ある人が、四、五年前でしたか、こういうことを書いておりました。昔は、貧しいながらも小さな家にスイカが一個あったけれども、このごろは、家は大きくなってお金もたくさんふえてきたけれども、スイカが半分か四分の一しか家にない、これが果たして豊かになったのだろうか。今、二十四時間物が買えて、そういう時代になって消費者としては便利になりましたけれども、何か、ノスタルジーではありませんけれども、昔のそういった時代も捨てがたいなというのが、私の個人的な、正直な感想であります。  大店法改正につきましては、私は、七年前のあの商調協が廃止された改正のときに、私個人でありますけれども、この大店法の問題は町づくりあるいは土地利用あるいは都市計画の中でやるのが筋なんだなというふうに思っておりまして、やっと七年たってこういう状況になったのを、ある意味では感慨深く思っているところであります。  最初に、石原参考人に御質問したいと思いますけれども、昨年の十二月、通産省の産構審あるいは中小企業政策審議会のそれぞれの流通部会の合同会議がありまして、答申が出されたわけですけれども、その答申に加わられた経緯、そしてその答申の中から今日の大店立地法あるいは中心市街地法さらには都市計画法の改正といったものに変わってきて今日に至ったわけですけれども、その辺の、あのときはこうだったけれどもちょっと違うなとか、こういうところはうまくいったなとかいうところがありましたら、まず、お聞かせを願いたいというふうに思っています。
  29. 石原武政

    石原参考人 私も合同会議の一員に加えていただきまして議論には参画させていただいたのですが、大きな政策の転換という意味では大変難しい時期だと思いますけれども、先ほども申し上げましたし、松本議員さんもおっしゃいましたように、やはり都市計画といいますか、地域観点から小売商業を考えることが大事だというのは、抽象的にはそうだと思いますし、そのことをどう具体化していくかという作業の一こまとして今進めていただいているというふうに思っておりますので、特段状況が変わったという認識は、ここ数カ月の間に持っているわけではございません。
  30. 松本龍

    ○松本(龍)委員 それでは、石原参考人小林参考人、御両名にお伺いをしたいのですけれども小林参考人が先ほどおっしゃった中で、生活者に一番近いところに位置する業界代表という立場で来られたというふうに言われました。生活者というのは、まさに地域住民というふうにとらえてもいいと私は思うわけですけれども、先ほど言われました中で、いわゆる自治体横出しや上乗せの独自規制大変頭が痛いというふうに言われたわけです。そういった観点からいうと、私は、住民の合意形成というのがこの両法案は一番重要な点だろうというふうに思っております。そういう意味では、住民の合意形成ということを図る中で、先ほど石原参考人も言われましたように、そういう鍛えられた、あるいは練られた都市計画であれば、これに担保を与えなければならないというふうにおっしゃいましたけれども石原参考人の文献を読ませていただきましたら、この法律施行されると自治体によって差異が出てくる、いろいろ異なってくる、それを覚悟しなければならないというふうに文献で読ませていただきました。その辺の住民の合意、そして自治体横出し、上乗せも含めて、そういったものは困るのだという小林参考人のお立場、そして、自治体によって差異ができるのは覚悟しなければならないという石原参考人のお立場から、それぞれお答えを願いたいというふうに思っております。
  31. 石原武政

    石原参考人 地方自治時代を迎えまして、自治体に判断を任せる、権限をゆだねるということになりますと、当然のことながら、自治体それぞれの立地環境なり抱えております問題が異なるわけでございますので、一律にというわけにはいかぬのだろうというふうに思うのです。その意味で、自治体間に差異が出てくるということはある程度までは避けられない。特に結果といいますか、内容面については当然出てこざるを得ないのだと思うのですが、その意味で申し上げますと、ただ全面的に自治体の自由に任せてもよいというわけでは恐らくございませんでして、ある種の手続だとかいう点で明確な基準が要るのかなというふうには思っております。  その上で、どうしてもしてはならないことというのがあれば、これは明確にしておくべき必要があるのだと思うのですが、逆にそれを書けば、書いていないことは何でもしてもいいのかというふうに読まれてしまうと、これはまた難しいという問題はあろうかと思いますが、自治体間の関係はそういうふうに考えております。  それから、住民の合意形成というのは大変難しい。言葉で言うのは簡単なんですけれども、これはその意味では住民の側にいろいろ問題を投げかけるという情報の公開性というのが一番大事なことだと思うのですが、住民の意見はそれぞれ多様でございますので、これを最終的に取りまとめるのはやはり自治体をおいてないというふうに私は考えております。
  32. 小林敏峯

    小林参考人 確かに、自治体で独自で現在規制をやっておられまして、あるいは独自の内規というのでしょうか、そういうものをやっておられますので、それについて私どもは危惧をしているわけでございます。今回、新しい立地法で一つの基本ルールというものを決めて、それはひとつみんな守っていただきたいということであるならば、私どもからいいますと、経済行為については自由にやるべきではないか、しかし環境、社会問題については、これは私どもも十二分に守っておりますし、また創意工夫しておりますけれども、国の方でこういうルールでひとつ考えていきたいというものがあれば、それについて私どもは反対しているわけではありません。
  33. 松本龍

    ○松本(龍)委員 それぞれありがとうございました。  私は、町づくりにこの五、六年間かかわってきて、さまざまな町の事例を見てまいりました。あるところでは、これは大型店とは関係ありませんけれども、ここは景観を大事にしたいから高さ制限をしようという条例をつくったり、あるいは水が少ないからマンションが出てくるのを抑制をしてほしいという条例をつくったり、地方自治体で今さまざまな悩みを抱えておられます。私は、そういったものには担保を与えるべきだというふうに考えている立場でありますので、こういう質問をさせていただきました。自治体の創意工夫と、そしてあわせて自治体にこれから大きな責任がかかってくるという意味では、この二法に関して長い間議論をされていることに、委員長初め心から敬意を表したいと思っておるところであります。それと、先ほど社会的な問題ということを小林参考人は言われました。それでお尋ねをしたいのですけれども環境問題をめぐる昨今の社会情勢に照らせば、大規模施設事業活動における交通問題、環境問題等については、それぞれの設置者がみずからの社会的責任として当然に対処しなければならないものですというふうに言われました。さらに、交通渋滞、騒音、ごみ処理等について地域方々と協議を重ね、可能な限り手段を講じてこられたというふうなこともおっしゃいました。  先ほど一丸参考人も言われましたので、お二人にちょっと質問したいのですけれども、なかなか地元の住民がそういったものにアクセスしにくい、こういったデータとか情報とか推計に対して地元が手に入れにくい。したがって、三村参考人も手に入れやすい方法をつくり上げてほしいというふうに言われました。そういう意味で、私は、出店される側がある程度、そういった交通問題、ごみ問題そしてさらにさまざまな問題に対して、情報公開といいますか、住民に提示をなさるというふうなことが必要だというふうに感じているわけですけれども、その点につきまして、小林参考人そして一丸参考人にお伺いをしたいと思います。
  34. 小林敏峯

    小林参考人 今の私どもの段階で出店をいたしますときに、何か大型店というのは勝手なことをどんどんするようなイメージで文章が書かれておりましたので、私どもはそうではありませんということを主張しているわけですが、現在もう既に消防法、警察法、道路交通法あるいは公正取引委員会から出てくるいろいろな問題、そして建築法とか都市計画法とか、いろいろな法律がございます。その法律の中でさらに商調協という面積とかそういうものを規制される法律があって、がんじがらめで二十五年間やってきた。  したがって、もうそういう経済問題については、物がない時代からもう物があふれる時代になっている、さらに、個性的なそういう生活をしたいという消費者、生活者の欲求がふえてきている、さらに今度は、もっとライフスタイル型の時代に入ってきている。この第三段階まで来て、なおかつ昔のように物不足のときのような商店街でいいのだろうか、あるいはお店にしてもそれでいいのだろうか、あるいはいろいろなサービス施設についてもそれでいいのだろうかということで、私ども商業に携わる者としては、お客様に対して、こういう世界から見てサービスができますということを提案、提供していきたい、そこを基本にしております。  情報開示というのは、我々は経営に対する情報も開示しておりますが、出店に際しまして、今申し上げたもろもろの規制がございますから、あるいは法律がございますから、それに基づいて御説明をしております。決して、ある日突然にど真ん中に店ができるということはないわけでございますから、そういう点で、私どもは十二分に地元の方々に説明をし、商店街方々にも説明を申し上げて、そして出店をしているということでございます。ですから、そこのところを守っていただきたいということを申し上げているわけです。
  35. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 大店立地法は、簡単に申し上げますと環境問題と町づくりだ、こういうことになると思います。  環境問題というのが非常に大きな問題で取り上げられておるわけでありますが、この中に、生活環境の保持のため配慮すべき事項について都道府県に対して意見を述べることができる、ついては、先ほども申し上げましたように、個々のものではなかなかそういったものも資料を整えることもできません。ですから、それを公的に、進出する希望の企業もそういったものをつくるということもありますし、また、行政の方でそういった資料を整えて説明会をする。  私は随分前に聞いた話ですが、アメリカでは環境破壊というのが非常に前から言われておりまして、その地域の住民がノーを出したら、いわゆる大型店出店はだめになるということを聞いております。ですから、住みよい国というか郷土をつくるためには、やはりそういった意味環境問題というものに対して日本は大変おくれておるようでございますから、しっかりひとつこれから取り組むべきじゃないかなと思っております。
  36. 松本龍

    ○松本(龍)委員 ありがとうございます。  私は、大型店でも買い物をしますし、近場の商店街でも買い物をしますので、ニュートラルな立場で今お話をさせていただいております。  先ほど一丸参考人が言われました生活環境の保持ということが非常に大きなことだろうというふうに思います。先般の二十四日の委員会でも、隣におられます太田先生の方からもこれをしつこく、狭義の生活環境ではないのだ、広義の生活環境なのだ、町づくりというものなのだというふうな話をされておられました。それが印象的に私も思っております。  そういう意味では、商店街はある意味では昭和五十七年をピークに少しずつ減り始めてきて、今急激な、四人以下では一七%の従業員、あるいは商店の数も減っている、そういったことが言われております。ですから、私は、逆に言うと商店街に頑張っていただきたいという思いが強いわけです。先ほど三村参考人も御指摘になられましたように、やはり負けないのだという意思を持っていただいて、これからの時代を乗り越えていただきたいと思っているものであります。  私のところも、例えば、今、福岡でキャナルシティ博多というのがありまして、ここの責任者とけさちょっと電話で話したのですけれども、ここは総合施設なんですけれども、ここでは駐車場の問題をどうクリアしたかというと、テナントさんはそのキャナルシティ博多にたくさんの駐車場を入れてほしいというふうな要望をしたのですけれども、そこのコンセプトとしては、歩いて来てくださいというコンセプトを打ち出した。近所に川端商店街とかあって、「通りゃんせ」という企画もやってきて、つまり、公共の交通で来ていただいてそこから歩いて来てくださいよ、そうしたら地域が一体として面的に発展をするのだというふうなコンセプトを持たれているということを聞いて、なるほどなというふうに思いました。まさに点から、そこで自己完結するのではなくて、その周りも一緒に元気になりましようというコンセプトを聞いて、なるほどなというふうに思ったわけですけれども、さまざまな町づくりのやり方があると思います。  一丸参考人に、ずっと全国を見てこられたと思いますけれども、これから先に自分たちがこうありたいというときに参考になる商店街、あるいはこういうことをやっているという商店街が、もしお気づきで、今ありましたら御披瀝を願いたいというふうに思います。
  37. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 先ほど全国で商店街が大変衰退をしておるということを申し上げましたが、これはもう現実でございます。ただ、全部が全部だめだということではありません。今度私どもも、中小企業庁の委託事業で全国に十カ所、いろいろ真剣に取り組んで成功しておる例をビデオに撮りまして、それを全部流すようにしております。今全部申し上げることはできませんが、私が思いますのは、やはりそれぞれに役割分担があると思うのです。だから、郊外型のショッピングセンターはそれなりのあれがあるし、ロードサイドの店はディスカウントを中心としたものがあるし、中心商店街中心商店街としての伝統を持ち、また、それだけの生活者に対する貢献を我々がしてきたと思うのです。ですから、この役割をそれぞれが全うすることが一番大事なことだと思うのです。  今度中心市街地活性化の案が出ましたが、これはやはりそういうことで、町がただ大型店だけになったら、これは生活者に対しては大変不便なことになると思う。だから、そういう偏ったものではなくて、総合的に、大型店もあり、それから大型店の中にも、デパートあり、ファッションビルあり、スーパーありという、それから商店街もそれぞれが個性の違った顔をしておる。私、最近思うのは、やはりそういった総合的な、それが今度の活性化の問題じゃないかと思うのです。  たまたま私の方は、小さい町ですけれども、四十三万の県都でありますが、戦災を受けて一回全部焼けてしまったものですから、特別区画整理を受けて、それで整理ができまして、その関係で、駅を中心として半径五百メーターの範囲に大体商業集積があります。それで、今非常に恵まれたといいますか、全国的にも、私は見た感じとしてはよくまとまっておる。それもやはり都市競争地域競争というものが出てきましたから、福岡が高速で二時間にもなりましたし、そういうことで、一昨年、大型店の皆さんとも商店街とも話して、一緒に大分市都心まちづくり委員会というものを結成しました。それで、毎月一回第三金曜日に大型店の店長さんと商店街の役員が集まって、どうして大分の中心部を楽しいものにするか、魅力のあるものにするかということで、今スタートしたところでございますけれども、これを軌道に乗せるということが、またいわゆる昔に返る、私どもの町の顔が元気になるということになるのではないかなと思っております。  そういうことで今努めておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  38. 松本龍

    ○松本(龍)委員 大分だけではなくて、全国の商店街の皆さんがそれぞれ知恵を出し合って、活性化に向けてぜひ努力をしていただきたいなというのをお願いをしておきたいと思っております。  三村参考人、先ほど、かなりお話しいただいて、いわゆる場当たり的な対応ではだめなんだというふうな話をされました。私もそうだというふうに思います。しかし、ある一面では、私は示唆を得たのは、例えば一声運動とかいうものを私の隣の町の商店街がやっていて、今言われましたように、まさに高齢者や障害を持った方々は、雨の日は傘を差して買い物かごを持ってとかというのはきつい、そして、夏の炎天下のときには外に出るのもおっくうだということで、なかなか外に出てこられない。だから、商店街がこれから本当に生き生きしていくのは、高齢化社会にどう対応するかというのも一つのキーワードだろうというふうに 思っています。  その商店街では、まさに一声、そういった方々に、何か要るものはありませんか、お元気ですか、最近困ったことはありませんかという声をかけていきながら、商店街活性化を図っていこう、あるいはファクスでも注文を受け付けようとか、そういったことをやって少しずつ今元気を出しているところがあるわけですけれども、私は、一つのキーワードとして、高齢化社会と商店街というところは、フットワークの軽さ、アフターサービスの問題等々も含めて、大きなことだろうというふうに思っています。  それで、あえて言えば、NPO法案がありますし、そういう意味では、商業活動と福祉活動を一緒に考えてもいいじゃないかというふうなことも私は個人的に考えているわけです。商業活動とか介護とか看護とかの問題を一体的にとらえていくようなシステムもあっていいというふうに考えているわけですけれども、その辺のところ、ほかにそういった事例等々ございましたら、三村参考人にお伺いをしたいと思います。
  39. 三村光代

    三村参考人 大変難しい御質問をいただきましたのですが、町というのは住民あってつくられていくものなので、町の中にどういう人が住んでいるかということをつかまないと、実際には商店は成り立たないと思うのです。消費者がそこに近づいていくのではなくて、商店がそこにあるから消費者がそこに行くという形をとらないと、今の現状では、高齢者になると買い物ができないという実態が出てきているわけです。  それで、今何か新しい案はという話では、私はもう特に特別な思いは、今知っているあれはないのですが、ただ、ごく最近、近くのコンビニエンスストアがお弁当の配達を始めたというのがありまして、聞きに行ってみましたら、お弁当ばかりではなくて、ボールペン一本でも配達する、そのかわり二百円いただきますと。それで、ボールペン一本でも配達してくれるというお話でしたから、それはボールペン一本を頼む人はそういないかもしれないけれども、これからの時代はサービスを買う時代なのだから、もしそれだったらば、商店が遠くても成り立つ部分というのはあるのではないかというふうに思っていました。  さっきちょっと言いましたが、あるスーパーマーケットさんが、チラシの中で、電話一本で注文を受ける、ファクスでも注文を受けるというのがありまして、その地域の人に少し聞いてみましたら、結構利用されているのですね。それが、高齢者ではなくて、子育て中のお母さんが利用しているというのもありましたので、それだったら、毎日の買い物をそういう形でしているということならば、商店街は成り立つのではないかなというふうに私は思ったという、そのぐらいです。申しわけございません。
  40. 松本龍

    ○松本(龍)委員 それぐらいというより、貴重な意見をお伺いをして、参考になりました。  私は、障害を持つお年寄りとか障害者とかという観点しかありませんでしたけれども、子育て中の奥さんというのもやはりそういったターゲットなのかなというふうに思って、そういったところに新しいニーズが生まれてきて、フットワークの軽さあるいはコミュニケーションあるいはアフターサービスという視点でこれから考えていかなければならないなということを思った次第であります。  それと、宮岡参考人にお伺いをしたいと思いますけれども、先ほどTMOのお話、タウン・マネジメント・オーガニゼーションの話が出ましたけれども、私もある方と話をして、原資がなかなかないというふうに言われるのです。中心市街地施設のランニングコストというのは結構高いということで、固定資産税、都市計画税、事業所税あるいは地価税等々ありまして、そういったところはなかなかそういうコストが高くて、仮に活性化してもコスト負担を行政がやってくれるわけでは、ない、だからTMOに関しては何か原資になるものを用意してくれたらという意見を先日お伺いをしたのですけれども、その辺のところ、どういうふうにお考えでしょうか。
  41. 宮岡壽雄

    ○宮岡参考人 私は、今回の中心市街地活性化法案、先ほど申し上げましたように、基盤整備の問題と商業振興の二つがあるわけでございますが、基盤整備につきましては私ども比較的今まで経験もございますが、今回の商業振興で一番私が懸念といいますか、これからどういうふうにしていいかということの一つ大きなものが、TMOをいかにつくり上げていくか。先ほどの原資といいますか、財政的なものもございますが、むしろそういったノウハウを持った人材が地方の我々のところで確保できるかどうか、そういったことが今懸念の一つでございまして、そういうノウハウを持った者を早く、我々も含めまして、人材を地域でつくることと、そのノウハウと人材でもって商工会議所なりあるいは各商店街の皆さん方と連携していく、このことに尽きるのではないか、こんなふうに思っております。
  42. 松本龍

    ○松本(龍)委員 私の言葉が足りなかったと思いますけれども、まさに、コーディネーターとかプランナーとか、そういったものも含めて、人材も含めての原資、原資というのはお金というふうにとられたかと思いますけれども、そういったいわゆる基盤がなかなかないのだというところだというふうに思います。  それでは、石原参考人に最後にお伺いをしたいと思うのですけれども、この間文献を読ませていただいて、大変感動的な一文がありました。  私は、地域の地道な活動に根ざしたまちづくり計画であれば、大型店出店計画に対して十分に対抗できるものと考えているし、大型店もこれを無視することは難しいと思っている。法的根拠や強制力があるかどうかといった議論とは別に、大型店が自らの論理に立って一方的に地域事業活動の場として見るのではなくて、地域の側から大型店役割を見るという視点が確立されることを強く望みたい。 というふうに書いてありました。長い引用で申しわけありませんけれども、そういった視点に対して私は賛同をいたしたいと思っております。  このことについて、最後に、今までこの問題に取り組まれてきて、おっしゃりたいことがあれば一言お願いを申し上げたいと思います。
  43. 石原武政

    石原参考人 お読みをいただきまして、どうもありがとうございました。  実は、こういう規制緩和の流れが始まりました平成三年のころから、私も,特に商店街方々に向かって、いわゆる調整政策時代というのはもう長くは続かないだろう、方向町づくり方向に向かうのだ、そういう形で地道な計画づくりというのを始めませんかというふうに呼びかけてきた一人だというふうに自任をしておるのです。運動として、町づくりに取り組みましようというのは、非常に言葉はきれいですし、言いやすいのですけれども、では実際にどうすることが町づくりなのかということについては、かなり解釈に幅があるように思います。恐らく、中小小売店の商業者の方が言われる町づくりと、特に建設省といいますか、かつての都市計画とか土木関連の方が言われる町づくりというのではたちまち大きく違うと思いますし、郊外型の大きなショッピングセンターのような都市開発にしましても町づくりといえば町づくりだというふうに言いますと、何をもって町づくりというのかというのも極めて難しいのかなというふうに思います。  ただ、私がペーパーで申しております町づくりというのは、既存の市街地あるいは既存の商業施設のあるところで、住民の生活をベースに置いたような町づくりというのを何とか支えていきたいというふうに考えておるわけでございます。しっかりとした町づくり計画というのも、これも言うのは格好いいのですけれども、実際にはなかなか、何がしっかりしているのか、しっかりしていないのかというのは難しい判断に迫られるのではないかというふうに思います。  先ほどの発言でも申し上げましたように、その意味で、町づくりという言葉が極めて多様であるために、何でも町づくりと言えば許されるのだということにだけはしたくないと思うのですけれども、何らかの形で地道な町づくりというのが生かせるような方向というのを探していきたいというふうに思っております。  そのためには、どうしても各自治体なり地方レベルで、審議会がいいのか議会がいいのかわかりませんけれども、ある種の手続を踏んだ形での計画の認定のようなものをつくっていく必要があるのではないかというふうに考えております。そういうある種のしっかりとしたルールに基づいた手続を踏んだ計画というのを支えに、都市を整備していくというか、生活環境を整備していくということが大事なのではないかというふうに私は考えております。
  44. 松本龍

    ○松本(龍)委員 いろいろ示唆に富むお話を五名の参考人方々、ありがとうございました。最後に、重ねて、本日の委員会出席をしていただいて、長時間にわたって議論を行っていただいておりますことに感謝を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  45. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  46. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 速記を起こしてください。  次に、太田昭宏君。
  47. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 新党平和、平和・改革の太田昭宏でございます。  きょうは、大変お忙しいときにわざわざ出席をいただきまして、ありがとうございました。また、先ほどは大変貴重なる御意見をさまざまちょうだいをしまして、大変勉強させていただいて、また審議に生かしたい、このように考えております。  早速ですが、参考人お一人ずつに順番にお聞きして私の時間は恐らく終わるでしょうから、そういうことにしたいと思います。  初めに石原参考人にお伺いをします。  さまざま、本等を読ませていただいたのですが、きょうのお話の中にもありますように、本当に中心市街地活性化を図るのであれば、何らかの形での郊外部の開発規制ないし開発管理が欠かせないように思いますという大変貴重な表現を先ほどはしていただきました。私もそう思うのですが、その仕組みを一体どうするのかということが非常に大事なことであろうと思います。それについてのお答えが一つ。  それから第二点は、その後に、先ほど先生の方からありましたが、生活環境要因の中にどのような要因を含めるか。私も、四月の終わりの審議で生活環境概念あるいは町づくり概念ということについてさまざま質問をしたのですが、私は、生活環境要因の中にどのような要因を含めるかが極めて大事だという先ほどの話がありましたが、立地法では非常に狭義の環境概念にとどまっている、ここが非常に問題である。私は、グローバルスタンダードといいますか、そういう観点からいきますと、もう少し利便性あるいは生活しやすさ、さまざまな観点からの、経済も含めて、それは規制ということだけでなくて、どう生活するかという意味での生活環境概念というのが大事であろうというふうに思いまして、どのような要因を含めるかが大事だぞということを先ほど指摘をなされましたが、この点についてが一つ。  もう一つ、町づくり計画ということになりますと、大型店出店に対しても調整ないし規制根拠となり得るものだという御指摘がございまして、先生の言うところの調整対象となり得る一定の町づくり計画というものとそうではないもの、これをどう区別したらいいのか。  以上三つ、ちょっと欲張って聞きますが、手短にお答えいただければ、このように思います。よろしくお願いします。     〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕
  48. 石原武政

    石原参考人 まず、最初の郊外開発の点でございますけれども、これは、冒頭、石原委員からのお尋ねのところでも関連してお答えいたしたかと思いますけれども、特に問題になりますのは、白地地域とかあるいは都市計画区域外のところかと思います。  先ほどちょっと言葉足らずであったのですが、特別用途地区の上塗りはここは対象にならないわけですけれども、ここをどうするかというのは大変重要な問題だというふうに思っていまして、法の中に直接は書き込まれていないようですが、何らかの形で条例なり何かの手当てができるのであれば、それが望ましいというふうに私は考えております。ここをほっておくというのは、中心市街地の振興にとって大変マイナスになるのではないかという考え方でございます。  それから、第二点目の、生活環境というものの中に何を含めるのかというお尋ねでございまして、現在の立地法が大変狭義のものを想定しているのではないかというお言葉だと思います。  確かに、列挙されております要因というのは、わかりやすくということなのかどうかわかりませんが、大変狭義のものが挙がっておるのでございますけれども、果たしてそれだけで十分なのかという点につきましては、私は、先ほども申し上げましたように、町づくりの視点というのは何らかの意味で必要にならざるを得ないというふうに思っております。ただ、それが利便性といったようなもの、抽象的にそういう言葉で表現できるのかということについては、なお多少の逡巡があるところでございます。  その多少の逡巡といいますのは、一定の町づくり計画というのはどこで線を引くのだという三番目のお尋ねと関連するというふうに思うのですけれども、これも先ほどもお尋ねをいただきまして少し関連して申し上げたことでありますけれども、しっかりと地元の計画策定過程に時間がかかり、それぞれのところで、こういう町をつくっていきたいということについての、明確とは言わないまでもかなり大枠の合意が必要なんだろうというふうに思っておるのです。  例えば、環境整備とかなんとかにいたしましても、それであれば町並み整備あるいは町づくり協定のようなものが地元でも結ばれて、大型店だけではなくて、当の商業者なり住民の方も拘束をされるようなものでなければならぬというふうに思いますし、大型店だけを拘束するというようなものであってはならぬ。そういうことが大型店出店を目の前にして急速結ばれるということではなくて、一定の手続を経て、自治体のレベルでの承認手続というのを経ておく必要があるのではないかというふうに考えております。
  49. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 小林参考人にお聞きをいたします。  私もさまざま本を読ませていただきまして、日本の中ではなく、海外から日本に相当大規模に参入をしてくるということとの戦いということが、一つ大事な要素として頭の中には想定されているというふうに私は思います。  その意味で、先ほどお話のありました、個性ある中小専門店と魅力ある大型店共存共栄を図る、これは結構。多様で質の高い小売業の育成のためにどうすべきかということを述べられて、もう一つ、グローバルでメガコンペティション時代、大競争時代というふうに先ほどの言葉ではおっしゃいましたが、我が国商業はどうあるべきかに立った視点が必要だと。  私も確かにその点は認めますが、だからこそ、町づくり自治体が明確にしていかなくてはいけない、こういう課題になろうかと思います。この辺の、グローバルで大競争時代の流通というものに対応する視点はどうあるべきかということについてまずお聞きをしたいというのが一つ。  それからもう一つ、現実の問題としては退店の問題ですね。出店をしました、町は受け入れました、しかしそれが郊外に出ていきました、あるいはどこかへ行ってしまいました。それで、いわゆる中心市街地あたりも壊れるし、郊外もそこで壊れてしまうというような退店の問題ということは、非常に多くの方から気にされているわけです。この点についての物の考え方というのは非常に大事なことだと思いますが、その点についてのお考え、二点お伺いします。
  50. 小林敏峯

    小林参考人 まず最初に世界との競争問題でございますが、先ほどから申し上げておりますように、現在第三段階に個人消費は来ておりまして、いわゆる戦後の物がない時代の小売店のあり方、それから、生活必需品はもういっぱいある、したがってもう少しゆとりのある生活をしたい、あるいは個性のある生活をしたい、そういう欲求が出てきてもう十五年たっているわけですね。今私どもがいろいろ勉強をやっておりますのは、二〇〇〇年を迎えて、どうもライフスタイル時代に入ってきている。これに我が国の流通というのは大変なおくれをとってしまった。  一つは、例えば個人消費は三百兆あるわけですけれども、それの四〇%が物販である。百二十兆のもののうち大体五〇%が、内食といいますか、家の中で食べる食品なんですね。あとアパレル、ファッションですね、これが大体十八兆から十九兆というようなことでありまして、物というものに対しては非常に狭まってきている、単価も下がってきている。したがって、個人消費としては、物の方ではもっとファッショナブルなものか、あるいはもっと高級な分類に入るものか、そういうものでないとこれはなかなか伸びない。  現に、私どもチェーンストア全体集まっても、先ほど申し上げたように約十六兆ぐらいでありますが、海外で物を買っていらっしゃるのが四兆三千億あるわけですね。したがって、大型の一兆国会業が四つぐらいあるということです。それぐらい、現在の消費者の方は日本の今の既存のあり方について大変な不満を持っていらっしゃる。これを私どもは何としても解決していかなければいけない。  しかし、海外の方たちから見れば、ロジスティックという一つの概念、物の流し方というものについても、我々よりもはるかに進んだ技術を持っておられます。我々のところでは、今、港に商品あるいは製品を持ってきても、なかなか入らない。また、国内を流通させても膨大な費用がかかる。これは既に、運賃とか費用とか関税問題とか、そういった制度的な問題だけで国際競争には勝てない、負けているわけですね。ましてや個人消費の方では、今申し上げたように、ライフスタイル、第三段階に入っていますから、こういった方たちの商品を世界の一番いいメーカーから集めてこなければならない。そうなってまいりますと、これはなかなか今の流通では対応できない。  こういう問題が背景にありまして、国際競争については一日も早くこの大店法という問題は処理していただいて、二〇〇〇年までに、一年でも早く彼らと対等に競争できるようにしてもらいたい、こういった考え方をしております。  それから、第二点の御質問がございましたが、退店問題については、現在年間で四十店から五十店。私どもチェーンストア全体の店数から見ますと非常に少ない比率でございます。しかしながら、商店街に与える影響とか近郊に与える影響は大きいというように私どもも考えております。  しかし、これは個々の企業の問題点でありますが、大体今まで共通して出ている問題は、十年とか二十年店歴がたっておりまして、防災上の問題とか、あるいは面積が小さ過ぎて業種、業態の、取りそろえといいましょうか、品ぞろえといいましょうか、そういうもので十分に間に合わない。そういうことがありまして、拡張しようにも隣地がなかなか手に入らない、こういったことで近場のところの郊外に、閉店をして新しい店をつくる。そういうスクラップ・アンド・ビルドの方向で進んでいるのが大半でございます。  しかし、これはあくまでも、個人営業といいますか、あるいは企業の独自性の問題がございますので、採算が合わない、もう全然採算が合わなくて、出店がミスつた、失敗であったというようなことも、全くゼロとは言いません。そういうのもございます。  ですから、退店問題については、いろいろなケース・バイ・ケースがございますけれども、相対的に言いまして、比率からいうと少ない。そしてその中では、今申し上げたように、もう年数がたち過ぎてどうにもならない、こういう理由が多うございます。  以上でございます。
  51. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 一丸参考人、先ほどお話を聞きましたことについては、私自身が四月の委員会でも同じ趣旨の質問をさせていただきました。  欧米並みの町づくりの概念あるいは生活環境概念というものをこの立地法というときに打ち立てることが必要であること、身近な買い物機会の確保であるとか利便性であるとか、そうしたものも含め、あるいは中心市街地のにぎわいの確保、あるいは町づくり計画への影響、さまざまなものを入れた指針とか届け出というのが必要だということについては、私は全く同感なんですが、成功している商店街の例とかさまざま、先ほど松本委員の方からの質問にもお答えがありましたけれども、相当の工夫が必要だということはよくわかるのです。  法とはちょっと離れますけれども、この法ではなかなかそういうことはできないだろうけれども、本当は国としてはもう少しこういう支援をしてもらえたらなということがあろうかと思います。その点について、ありましたら、お答えいただきたいと思います。
  52. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 私は考えますのに、やはり自助努力といいますか、自分がやる、やる気を出すということが一番大事なことだと思うのです。  しかし、先ほども申し上げましたように、ただそれだけではなかなか力足らずというところもございます。そういう意味では、私がいつも思いますのは、民間がまず立ち上がるということ、そして、今度の中心市街地の場合ですと、行政と会議所、商工会と、それから民間団体並びに学識経験者ということになっておりますけれども、地元の我々がやる気を出してしっかりやろうということにならないと、支援というものは起こってこないと思うのです。  ですから、民間が立ち上がる、それを行政が支援をするということが一番大事なことではないかなと思います。  ささやかなことてはありますけれども、私の地元の商店街の近代化をやるときも、我々がとにかく、相当悩んだ結果、もうこれじゃいかぬ、やろうということになって始めましたら、市も県も国もそれに対して支援をしていただいた、それですべてがおかげさまで順調にいったということで、自分の経験からいきますと、まずは本人、自分の自助努力ということが中心だと思います。  私は、保護ということが嫌いなんですよ。保護ということは守られることで、生かされるということになるわけで、大店法のことについて、中小商業者の保護のものだということをよく言われる方がありましたが、そうじゃなくて、我々は自立て、自分で歩かなければいかぬと思います。そのためにはそれだけの努力をするし、それに対して、国も県も市もまた応援をしていただくという姿が一番いいと思うのですが、今度の場合、ぜひ、そういうことで絶大なる御支援をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。
  53. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 三村参考人一言だけになってしまいましたが、住みよい町づくりというと、単に狭義の問題の生活環境ではない、先ほどの話でも、身近に買い物ができる場所があるとか毎日開いている店があるというのは非常に大事だという話を聞きましたが、私は、住民の利便というのは非常に大事な点であろうというふうに思っておりまして、その点、もう時間なんですが、一言だけお答えいただきたいと思います。
  54. 三村光代

    三村参考人 なかなか難しい問題なんですが、先生おっしゃられるとおり、買う側の立場でという形になれば、近くにお店があって、そして自分の目的にかなうような商品の品ぞろえをしているというような店と、あわせてもう一つ、近くて便利というのも、消費者のアンケート等をとりますと、やはり出てきます。どこでそういうものを買ったのかと聞けば、近くて便利というのもある。それから、夜遅くまで開いていることが便利だというのも、便利という面からはあるのですが、その裏も、ぜひまた何か機会があったらお考えいた だけたらありがたいというふうに思います。
  55. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 ありがとうございました。
  56. 小此木八郎

    ○小此木委員長代理 次に、中野清君。
  57. 中野清

    ○中野(清)委員 平和・改革の中野清でございます。  本日は、参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございます。  まず最初に、宮岡参考人と一丸参考人に、今の我が会派の太田委員の質問を踏まえまして伺わせていただきます。  第一に、中心市街地活性化、この問題について政府が一兆円も出そうとしておりますが、この姿勢について私は評価しております。しかし、現実に、町づくりの中で、大型店郊外立地とこの中心市街地活性化というものをどういうふうに調節するか、その問題が一点ございます。  それからもう一点は、この大型店の適正立地の中で、特別用途地域の指定がございますけれども、これが二年間で本当にできるのかどうか、それからまた、この用途地域の設定についての問題点は何か、これをお願いしたいと思います。  それから、先ほど石原参考人からも、今回の都市計画法の改正は非常に不十分だ、これは私も同感でございます。それだけに、先ほどの白地地域調整区域等のいわゆる都市計画区域外の問題については条例で手当てしたいという御意見についても、賛成でございます。しかし、そういう中で、では具体的に実際の現場の方、これはどうだろうか。  この三点につきまして、時間が短いものですから、簡潔に、お二人にまずお答え願いたいと思います。     〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 宮岡壽雄

    ○宮岡参考人 まず第一点の大型店の問題と中心市街地活性化の問題でございますが、中心市街地というのは、デパートと量販店と専門店なり小売店、それがまとまっておるところが最も公益的な商業地として栄えるというふうに言われておりまして、できるだけ中心市街地がそういった商業機能、他の文化とかあるいは他の都市機能をそろえることが理想ではございますが、なかなかこの理想どおりにいっていない面もございます。  したがって、今回の中心市街地におきまして、私どもは、先ほど申し上げましたように、基盤整備というのをぜひやっていきたい。行政では基盤整備をしながら、先ほどのTMOその他で商業機能活性化、その両方が相まってやっていきたいと思います。先ほどの、大型店と地元の中小商店というのは、時には対立しますけれども、時にはまた、大型店が核店舗になって、それによりまして消費者を誘致し、あわせて共存共栄の道もあるというふうに思っております。  それから、今回の都市計画法の改正によりまして、これから町づくり商業地区の中に必要だということは、外国では大変そういう観点からの町づくりがされておったようでございますが、日本では必ずしもそういった視点が今までなかった点もございます。  私の方では、十二の用途地域の中で、今十の用途地域がございまして、その中で、住宅を中心にしまして、大型店規制があるのが大体二三%ぐらいで、あと七七%ぐらいは規制がございません。  今回、特別用途地域をどういうふうにするかというのは、まだ私どもも具体的にまとまっているわけではございませんで、これから法律が制定された後、運用の面で少し研究の必要があると思っております。ただ、日本では、こういった用途地域によりまして規制を厳しくするというのは、土地の所有権の問題等もございまして、それはそれでかなり反対の意見もございますので、慎重にやる必要があるかな、こんなふうに思っております。  それから条例化の問題につきましては、今回は、先はどのように、法律でいろいろな基本を決め、その中で新しく政府の指針が定められるというふうに期待しておりまして、法律を超えた条例化というのはかなり制約を受けるのではないかというふうに思っております。
  59. 石原武政

    石原参考人 ただいまの宮岡参考人と重なるところはできるだけ省略をさせていただきたいと思うのですが、私はきょう、郊外開発を何らかの形で管理すべきだということをるる申し上げておりますけれども、もちろん郊外開発を全面禁止しろという意味ではございません。その判断は、やはりそれぞれの自治体なり地方で判断をする以外にはなかろうというふうに考えております。  特に、その際に郊外地区、先ほど白地の話も申し上げましたけれども、用途変更の手続というものについて、かなり明確にしておく必要があるのではないかというふうに考えております。現在でも、例えば農業地域等、変更の場合には審査されることになっておるわけですけれども、それがかなり弾力化されているというのが現状ではないかというふうに思いまして、その点が重要かというふうに思います。  それから、特別用途地区の問題ですけれども、これは、今言っておられましたいわゆるダウンゾーニングの難しさということもあるのですけれども、同時にどれぐらいきめ細かな線引きができるのかということについては、少し工夫が要るのかなというふうに思っておりますけれども、この問題と、それから都市計画法の条例化を含めた問題というのは、私必ずしも専門家ではございませんので、これ以上ちょっと踏み込んだ話というのは御容赦願いたいというふうに思います。
  60. 中野清

    ○中野(清)委員 小林参考人にお伺いしたいと思うのですけれども、私は、小林会長さんの会社でございますが、創立者西端さんとか倉本先生とかという方に、店は客のためにあり、店員とともに栄える、先義後利という話を教えられ、恐らく会長さんもそのことは御存じと思います。そういう観点からいきますと、率直な話、会長さんのところのような企業ばかりじゃないということは、私一つ前提に申し上げたいと思うのですよ。  それで、まず第一に、先ほど我が党の太田議員から、いわゆる退店の問題が出ました。私は、今の御答弁、はっきり申し上げて会長さんの御答弁については不服であります。なぜかといいますと、スクラップ・アンド・ビルドというので企業の勝手だというのだったらば、これは、小さな企業ならいいですよ、じゃ、大企業としての社会的責任はどうなんですかという話をぜひお答え願いたい。  それからまたもう一つは、その中で中心市街地活性化、この問題についてと、いわゆる大企業郊外立地の問題をどういうふうにお考えか、まず一点として伺いたいと思います。  それからもう一点は、今会長さんが、勝手なイメージで大型店が勝手なことをやっている、そうじゃないよとおっしゃった。私は、そう思いたいと思っております。実は、この間、連休中に、この議会でも何回か取り上げたのですけれども、盛岡へ行って、盛岡の商連の方とお会いをしてきました。御承知と思いますけれども、盛岡では、市内で十六万平方メートルが四千店の小売店、そして大型店が十九万平方メートルであります。  そこへ、実は三つのショッピングセンターで十八万平方メートルくらいつくる、町が壊れてしまうと騒いでいます。これは、先ほど店舗面積を削れとか営業時間を短くするというのは困るよとおっしゃったことと、それから、いわゆる町の理想とか町の将来がどうなるとかいうことと、どういうふうにお考えか、この二点について、まずお答え願いたいと思います。
  61. 小林敏峯

    小林参考人 先生がおっしゃったように、経営哲学の問題については、私ども商人が一番大事にしているところでありまして、魂の部分でございますので、それが現在、生活者あるいは消費者、顧客のために本当に私たちが、町づくりとか、あるいは郊外でもいいのですけれども、そういう出店についてやっているのかどうかということについては、常に反省をし、我々仲間同士でも哲学問題を、年頭に当たっていつもこれを中心にビジョンを立てたり、チェーンストア全体の計画についても考えております。ことしはおかげさまで三十周年でございまして、チェーンストアとしてもお客様からいろいろなアンケートをいただきまして、やはりお客様の声の中からも、今申し上げたような顧客第一主義の哲学というものを大変期待されているということでございます。  先ほど、退店について御説明申し上げましたけれども、不満であるというお話でございましたが、私どもも決して喜んで退店しているわけではありませんで、先ほどから申し上げておりますように、まず立地ということについて、都心か郊外かという非常に大胆な議論に私はなっていると思います。そうではなくて、駅前立地あるいは商店街立地、あるいは都心型の立地、そして準郊外型の立地、近郊型立地、いろいろとお店をつくる場合の立地というのはございまして、それはすべて土地の値段がそこで違っております。ですから、都心のど真ん中に店をつくれとおっしゃっても、とてもそれは現在の我々の力量では店がつくれない、そういった場合は当然避けて通ります。しかし、お客様に少し不便でも、こちらに来ていただいたらもっといいサービスができるということであれば、近郊型の立地に店をつくるという場合もございます。  それから先生、もう一つお考えいただきたいことは、郊外と都心、それの土地の値段というだけの問題ではなくて、人口というのは、日本は一億二千万人の人口でございますけれども、移動人口というのが大変大きい人口でございます。しかし、現在まだ商調協というのは、そこに住んでいる世帯が何世帯あって何人住んでいるかということを基本にして、郊外とか都心とか計算なさっています。これは全くおかしい話でありまして、夜間人口だけでありますと確かに一億二千万人なんですけれども、昼間人口、お昼とかあるいは観光地であるとかあるいは日曜日とか土曜日とか祭日とか、そういうときには人口が大きく変動いたします。それに対してどういうサービスをつくっていくのかということも立地の大きな変動問題でございます。  したがって、私は、商店街のところで退店した店をそのまま空き家にしておくという意味ではございませんで、その商店街の方たちとも十二分に話し合いをしておりますし、またそこに新しい業種、業態ができないかという検討もしておりますし、あるいはほかのテナントさんを誘致するという努力もしております。決して退店してそれっきりで終わりということではございませんので、その点もひとつよく御理解いただきたいと思います。
  62. 中野清

    ○中野(清)委員 今のお話を伺いまして、ちょっと申し上げたかったのですけれども会長さんのところでは違うと思いますけれども、現実に、ダイエーさんが五十店、西友さんが三十店という、新聞に退店のニュースが出ております。それで、申しわけないですけれども、その中であったことは、率直な話ですよ、例えばホテルをやったから失敗したとか、いろいろな商売以外の、小売業以外のことに随分と御投資なすっていた。こう考えますと、企業を大きくすればいいんだということについて、私は、今会長さんの御意見だけではちょっと違うのじゃないかと思いますので、これはちょっと申し上げておきます。  それから、一つだけお答え願いたいと思いますのは、素人的で申しわけないのですけれども、限りがある、大型店の皆さんが拡張計画をやりますと、日本の面積とか都市の数は決まっております。そういう中で、これは多分船井さんが言ったと思うのですけれども、今の小売店の売り上げのシェアというものが恐らく三〇%だ、売り場面積は四〇%だ、これが二〇〇〇年になりますと、売り場面積が五割になって、そしてシェアは三三%だということになっておるのですよ。そのことについて、私は決して、何でもいいから総量規制をやれなんて、そんなことを言うつもりはありません。しかし、何でもいいから伸ばせばいいんだという拡張主義については、今はもう反省の時期が来ているのではないか。この点、一点だけお願いします。  それから、時間がありませんから、これと一緒に一丸参考人に二つだけお伺いしたい。御一緒に御答弁願いたいと思います。五分しかありませんから、私から申したいと思います。  一つは、この間、ある商店街へ行きました。そうしましたら、私たちは小売商店を助けてくれというんじゃないんだと。いわゆる町を助けてもらいたいという話をしたとき、私は非常に感銘を受けました。そうしますと、今回のこの法律を含めまして、私は、不完全だと思っております。将来は、都市計画というものをもっとしっかりとして、そういう中でゾーニングもきちっとして、そういう理想を持った町づくりの中で、大型店と小売店の共存というのが必要だと思っておりますけれども、その点について、今何が商店街で必要なのか、それが一点。  それからもう一点は、この立地法の中で、今回の特徴として、命令、罰則がない。いわゆる勧告、公表だけだ。私は、過去の二十五年の歴史を見たときに、いわゆる命令、罰則で、罰則なんというのは一回も発動されていないと思います。しかし、そこに大きな一つの抑止力があったろうと思います。そういう意味では、どういうふうにその点を考えていらっしゃるか。私は、やはりそういう意味での法体系としては、今回の立地法については問題があるのじゃないか、そういうふうに考えますので、この点についてお願いをしたいと思います。
  63. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 何が問題かということでありますが、現在、一般論でありますけれども商店街の元気がなくなっておるということは事実です。それはもろもろの原因があります。ですから、郊外大型店ができた、ロードサイドができた。また、後継者の問題もあります。それから経営者の高齢化という問題もあります。もろもろの問題を控えておりますが、これは大変難しい、経済問題というよりは社会問題になるような内容になるわけでございます。  しかし、先ほども申し上げましたけれども、中心市街地活性化という一つの法律が今回できるわけでありますから、簡単にはできないと思いますが、それぞれの商店街のリーダーというかお世話役が、法の趣旨を十分に皆さんに徹底をさせて、そしてそれに対して取り組んでいくということしかないと思うので、特にこれがという決め手はございませんけれども、要は、先ほども申し上げましたけれども、積極的に前向きにいわゆる町を守るといいますか、そういうことが私は大事だと思うのです。  ですから、従来の広範囲な町をということは到底難しいと思いますが、ある一定の地域でも、一つのモデルとして、そこに魅力のある、楽しい商業集積をつくるということが大事だと思います。だから、今もろもろの欠陥というか、問題点がありますけれども、それはやはりそれぞれに克服をしていかなければならないことだと思っておりますので、お答えになりませんけれども、そういうつもりで考えております。
  64. 中野清

    ○中野(清)委員 立地法の中には勧告と公表はありますけれども、その後、命令と罰則というのがない。今度大店法がなくなりますけれども、これについては商店街としてどういうふうにお考えかということです。
  65. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 それは先ほども意見発表のときに申し上げましたが、勧告、公表ということになっています。これはやはり、一般論ですけれども、経営者というか、当事者の良心の問題だと思うのですね。自治体が勧告を出し、それできかないときにまた公表ということになるのですが、そういうことを受けて、それを修正しないといいますか、変えないということの方がおかしいと思うのです。だからこれはあくまでも良識の問題でして、経営者の考え方になると思います。  ただ自分だけがよければいいということじゃなくて、全体の町づくりということを考え、だから大型店が仮に出店をするとしても、それに対して、その計画の中にちゃんと入った、計画に協力ができる出店をしてもらわないと、その計画に障害になるような位置に、自分のところはここがいいんだ、だからここに出すという、確かに経営者としてはそういうことも考えなきゃなりませんが、そういうことでは困るということです。そういう場合に、勧告とかいうようなことで指導をしていただいて、そしてこの枠の中に一緒になって、そこで総合的にお互いの力を出して、魅力のあるものをつくるということです。
  66. 中野清

    ○中野(清)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  67. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、西川太一郎君。
  68. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 自由党の西川太一郎でございます。  きょうは、長時間、また御遠路御苦労さまでございます。心から御礼を申し上げます。  早速お尋ねをしていきたいと思いますが、経済活動の究極の目的消費であるというアダム・スミスの言葉を引き合いに出すまでもなく、近時、我が国経済の低迷、これは消費が活発でない、その原因はもちろんたくさんあるわけでございます。ただ、一つ確実に言えることは、消費が堅調な国は景気が極めて長期的に安定するということは、近代自由主義諸国の共通の経験則になっているというふうに思います。  そういう意味で、商業機能の健全な発展というのは我が国に欠かせない、そういうふうに思う立場から、多岐にわたりますが、三十五分間でございますが、先生方に一通りお尋ねをさせていただきたいと思います。そして、私の質疑に関係なく、きょうのお時間の中でこれは言い忘れたとか一言強調しておきたいという点がございましたら、その時間内でどうぞ御発言いただいてよろしいかというふうに存じます。  まず初めに、日本チェーンストア協会小林会長さんにお尋ねをさせていただきます。  私は、マイカルの経営哲学を具現化された小林さんの御努力をいろいろな書物でこのたび読み、にわか勉強ではございましたけれども、大変立派な、我が国経済、特に商業経済のためにお尽くしになったということを評価したいと思います。  実は、私ども、あそこにお座りになっていますが、武部前商工委員長をリーダーに、去年の夏でございますけれども、十五日間欧米の中心市街地活性化の実態調査に行ってまいりました。その際に、およそ欧米で大店の規制を持たない国はありません。これは石原先生の御著書の中にも御指摘があるとおり、アメリカではいわゆるゾーニングの概念がございますし、フランスなどではロワイエ法もあるし、いろいろな考え方があります。  そこで、まず小林会長に伺いたいのでございますけれども地域社会の一員としての自覚を持つということが小林会長理念であらせられる。これは、単にマイカルを御指導なさるだけでなくて、チェーンストア協会会長としてそういうお立場に立っておられると承知をいたしております。そこで、極めて基本的な問題でございますが、地域社会への貢献ということを、この法律ができました後にどういうふうにチェーンストア協会としては具体的に展開されていくのか、このお考えを一点伺いたいというふうに思います。  それから、中心市街地への大型店立地というのは、私は東京の下町選出でございますけれども、もう東京、大阪のような大都市では狭隘だ、こういう指摘がありますが、そうではなくて、今むしろちょっとした空き工場や駐車場の後にぱっと出店をされる、そのために既存商店街が甚大な影響をこうむっているという中で、その調整に当たった経験もございまして、過日、オリンピックという店舗が我が区に進出をしますことについていろいろ努力をした中で、荒川区方式というのが通産省にも認められる、そういう経験も持っております。  そういう立場から、大店のリーダーとして、中心市街地への大型店立地というものを確保するためにはどんな条件が必要だと今お考えになっているのか。  そして最後に、アメリカ、ヨーロッパに十年おくれている、アジアには五年おくれている、こういうことをきょうの公述の中でお述べになりました。具体的にどんな点がおくれているのか、また、それを回復するにはどうしたらいいのか、御意見を賜れればと存じます。
  69. 小林敏峯

    小林参考人 最初の先生の御質問に対しまして、具体的に地域社会にどう貢献しているのかという御質問が第一点あったと思います。  これは、今戦後三段階に変化してきているというときでございますので、チェーンストア全体がちょうど三十周年を終わりまして、私どもは現在新しいビジョンづくりをしております。そのビジョンづくりの中で、まず市場調査を、いわゆるマーケティングをもう一度見直そうではないかというところから始めております。  先ほど少し述べましたけれども、現在私どものマーケット調査の原型は、どうしても夜間人口といいますか、何世帯あってそこに何人住んでいるか、その夜間人口中心にマーケットを見ています。これは、コンビニエンスストアの場合には適正かと思います。しかし、商店街とか大型店活性化していくためには、ここに移動人口、観光人口、新しいお客様の移動に対してどうサービスでとらまえていくのか、そういう観点から見ますと、マーケティングではそこが欠けているというところがございます。  それからもう一つは、現在の若い方あるいは熟年の方、子供の人たちとか、それぞれ細分化して市場は見ておりますけれども、この感性とか感覚という問題について、非常におくれております。したがって、今子供たちが何を考えているのか、何を価値観としているのか、今の熟年の、五十五歳あるいは六十五歳以上の方たちは一体何を求めておられるのか、どういう価値観を持っておられるのか、こういったマーケティングをやらずしてマーチャンダイジングとか業態づくりをやってもいけないということで、そのあたりから現在入っております。  もう少し大型店規制を自由にしていただければ、海外のソフトも一時的には入れます。日本独特の文化がございますから、ずっと入れるつもりは全くありませんけれども、そういった勉強もできるかと思います。そういうチャンスがないと、余りにも今がんじがらめで規制されておりますので、地域社会にどう貢献するかという範囲がまだまだ小さいというように思っております。  ですから、チェーンストアとしては、食品の問題についても、あるいは外食産業の問題についても、あるいはスポーツとかそういった、私たちの言葉でいいますと、もっと健康とか美容とか、あるいは日本は世界一長生きしておりますので、経済大国が終わったら長生き大国だ、非常に楽しい国なんだ、そういったビジョンを打ち出すことによって、個人消費あるいはいわゆる顧客のニーズというものがっかめるのではないか、そういう変化した地域社会に貢献できるのではないかというように思います。  それから、第二点の立地問題でございます。  工場とかそういうところがあいたらすぐおまえたちやるじゃないかというお話でございますが、これは、ほとんど先方さんの方から出てこいというお話がございますし、コンペもありますし、我々の方から工場にどいていただいてそれで店をやるというようなことはほとんどありません。今までのケースでは、そういったディベロッパーの方が、あるいはオーナーの方が我々チェーンストアの方に、各社に声をかけられて、そこに具体的な業態とかどういう店をつくるのかというようなことを出しております。  したがって、出店条件というのは、必ずしも中心市街地から外れていこうという考え方ではございません。経済条件というのはございます。経済条件が合わなければこれはやらないというのが圧倒的に多いと思います。  したがって、現在の立地については、そういった、先方の方から、日本が工業社会からいよいよ生活者時代に入って、工場がどんどんと海外に移転する、したがって、そのあいた場所を、生活者のためのどういう町をつくるのかという御要請に基づいて、あちらからもこちらからもお話があって我々が出店をしているというところでございます。  それから第三点の、アメリカあるいはアジアにおくれているという点でございますが、現に我々の仲間では、アジアに相当の出店をしております。これは、もう五、六年前から本格的な出店をしているわけですが、品ぞろえにしてもあるいは業態づくりにしても、規模にしても、非常に自由にやっているということでございまして、そこから見ましても、五年はおくれているのじゃないかな。  アメリカの場合には、ショッピングセンターというのが中心ででき上がってきておりますが、どちらかというと、テナント方式のディベロッパーさんが中心になっておりますので、大きいショッピングセンターをつくって、次に、ハイウェーができたとかあるいは新しい何かの都市ができた、したがって、そこに新ショッピングセンターをつくる、あるいは新しい町をつくるという構想のもとにディベロッパーさんがおやりになる。そこヘテナントとして百貨店が出るとか映画館が出るとか、そういうのが形成されている。したがって、前にできたショッピングセンターはそれでつぶれてしまう、あるいは閉店をする、歯抜けになるというようなことも起きています。  したがって、本来、そういう経済的なものについては自由に創意工夫させてやった方が、だれが得をするのか、商店街の小さいところと大型店とが対立しているというのではなくて、お客様にとって何が得をするのかというところを基軸にして、世界はその哲学で進んでいるのではないか、私は、そういう点でまだ日本はおくれているのではないかということを申し上げたわけでございます。  以上でございます。
  70. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 ありがとうございました。  小林さんは、全国の商店街の二割、三割はまだ元気だ、そういうところと共生というか、共存共栄を図っていくという戦略だ、こういうこともお話しになっているというふうに、間接的に私伺っておりますけれども、ぜひひとつ、そういうお立場で日本の商業機能発展のために頑張っていただきたいと御期待を申し上げたいと思っております。  次に、一丸副理事長にお尋ねをいたします。  一丸さん、実は、きょうこうしておいでをいただいているこの審議は三回目でございまして、既に、対政府質疑を一回と、建設委員会商工委員会の合同の審査を一回、そしてきょう。そしてあしたは、異例のことでございますが、斉藤委員長のお計らいで、内閣総理大臣もこの場においでになって締めくくりの質疑をやる。それほどこの法律案については、政府ももちろんですが、与野党ともに重要な問題だと思っております。  その理由は、いわゆる大店法がなくなることによって、一丸さんに代表される全国の商店街の皆さんが、もう見放されてしまうのじゃないか、もう後は勝手にやりなさいということじゃないか。そういうことじゃないのです。今度の新しい法体系によって、町づくりという観点の中で、商店街と大店舗が共存できている、そういう町をつくるのだ。これについて、私、通産大臣に真意をただしたところ、非常に力のこもった、私の言うとおりだ、そのためにリーダーシップを発揮する、こうおつしゃったのですよ。  つまり、商店街はこの法律を前向きにとらえていただいて、活性化のために大いに頑張っていただきたいとエールを送りたい、私はこう思うわけでございます。そのために何が必要か。この法律ができて、使ってみて、足りないところはどんどん改正していけばいいわけでございますから、これが商店街のためにも新しいスタートだというふうに考えていただきたいと思います。  そこで、ずばり伺うわけでありますが、大型店商店街として望むものは何なのか、この一点、私から一丸副理事長に伺いたい。  それからもう一点、実は、今、友党の平和・改革の中野さんから、先ほどのお尋ねの中で、実効性のあるこの法の運用のためには命令、罰則の追加が必要じゃないかとお尋ねしたのですが、御答弁か食い違っていたということでございますので、私の持ち時間の中で追加をしてくれ、こういうことでございますので、ひとつよろしくお願いします。
  71. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 現行大店法につきまして、私はこう考えております。前にも申し上げましたように、改正と見直しが三回行われました。今は調整四項目が残っているだけで、全く、大店法という枠組みがあるという状態です。ですから、今の大店法は、本当に機能しなくなったと思うのですよ。  そういう意味で、大店法廃止するということが、経団連その他、小林さんの方も言われるように、今まで大店法が大変障害であった、これは日本のいわゆる流通業を五年、十年おくらせたとおっしゃいますが、私はそう思いません。今日本の消費者というのは、消費者じゃなくて生活者と言われるように、自分の生活を設計して自分の好みの生活をされておるわけです。ですから、日本国民ほどレベルの高い消費者はないと私は思う。  ですから、今、売れない、売れないと言いますが、これは売れないのじゃなくて、買いたいものがないのです。それと、今社会不安で、やはり消費的に、精神的にみんなが参っていますから、先の明るさがないものですから、心理的な不況なんですね。GDPの六〇%は、もう申すまでもなく個人消費なんです。その個人消費が動かないので日本の景気はよくならない、私はこう思います。これは、私が言うよりも、皆さん方、もう既にわかっておることなんですが。  ですから、今お客さんは、それでは買い物しないかというと、価値のあるものは、本当に自分の欲しいものは買っていただけるのですよ。それを我々は、いかにしてそういったお客様の希望、ニーズをとらえるかということが大事なんで、そういう意味では、私は決して心配をしておりません。我々なりに努めていけばいいと思います。  ですから、先ほどのお話に戻りますが、今、大型店に何を望むかということになりますと、先ほども申し上げましたのですが、それぞれに、業種、業態によって役割か決まっておりますから、いわゆる中小の専門店は専門店として、また大型店大型店として、その中にもデパートあり、スーパーマーケットあり、またファッションビルあり、もろもろございます。だからそういう意味で、その今の中心市街地活性化のための全体的なバランスのとれた町づくりができるように大型店にも協力をしていただくということが大事なんで、そういう意味では、これからその点を特に、我々とともに一緒に協力し、努力をしていただきたい、こう思っております。  それから、先ほど私の意見発表のときにも申し上げたわけでございますけれども、もう一度読ませていただきますと、新法では、都道府県の勧告に従わない場合には、その旨を公表することで大型店への制裁としておりますが、公表のみで全くペナルティーがないのであれば、特に昨今のような時代、勧告に従わない企業も出てくるおそれが十分あります。万が一そのようなことになれば、直ちに命令、罰則の追加など、必要な法改正を行っていただく必要がありますということを申し上げております。  そういうことで、私、先ほど申し上げましたように、まず経営者の良心ということが一番だと思うのですけれども、それを守らない人に対しては厳しい罰を加えるということも大事だと思います。よろしくお願いいたします。
  72. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 次に、三村先生に伺いたいと存じますけれども、今回の政策転換とも言えるこの法の主眼というのは、言ってみれば地域の創意工夫を引き出して町づくりをやろう、こういうことでございます。  私、さきの対政府審議でも質問したのですが、主婦として、女性として、町づくりについて、単に大型店だけの問題ではなくて、町づくりに対する御意見、そういう視点からのいろいろな御注文といいますか、こういうものは大変大事だ、こういうふうに思うわけでございます。しかし、きょうは特に大型店について、消費者というお立場で今 後の町づくりあり方、なかんずく大型店、中小店、こういうものに期待をされると先ほど来のお話の中で十分お述べになっていることを重ねてお尋ねして恐縮でございます。したがいまして、簡単な御答弁で結構でございますが、念のためにもう一度、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  73. 三村光代

    三村参考人 主婦の立場でというお話ですが、私はちょっとずれるかもわかりませんが、大型店にどんどん出店してこられて、そしてそのお店がいろいろな条件のもとでうまくいかないからということで退店していく、閉店をしていくという形になられたときに、やはり一番困るのは、主婦の立場ではお店がなくなるということなんですね。それは経済原理から考えれば、そこに購買力が残っていれば必ずまた客は戻ってくるのだということだそうなんですが、現実にはお店がなくなってしまって困っているというところも出ているということも含めて、主婦としてはやはり両方の、これから期待を随分かけていきたいと思っているのですが、商店街大型店とがマッチしたいい町づくりをしていただけることが、主婦としては特に、女性という面はちょっと別にしまして、今働いている主婦にとっては夜遅くまでとかいろいろな問題がありますので、その問題は別として、商店街が繁栄することで大型店も一緒に繁栄していただけるという、お店がたくさんあるということがやはりありがたいことだというふうに思っております。  それからもう一つ、勝手に閉店されては困るというのを私はもうずっと言ってきたのです。それは法で規制できることではありませんが、出店するときにその辺のところには配慮が、買う側の立場での、そこの消費者と今度は申し上げたいのですが、消費者への配慮がやはり欲しいというふうに思います。  以上です。
  74. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 ありがとうございます。女性がこうした町づくりにいろいろな立場で参画をしていただくように、私どもこの法律で望んでいるところでございます。  次に、もう大体七分ぐらいしか時間がないので御協力をいただきたいと思いますが、宮岡市長さんにお尋ねをし、最後に石原教授にお尋ねをしたい、こう思っております。  宮岡市長さんには、もう端的に、今までの御経験で中心市街地地方自治体の長としておつくりになる、またはリニューアルしていく、そういう中でこれがちょっと障害だなというようなことを、ぜひひとつ法律でそういう点をカバーしろという点がございましたら、恐縮でございますが、簡略にお願いをしたいと思います。
  75. 宮岡壽雄

    ○宮岡参考人 私は長い間神戸におりましたのですが、神戸等大都市では、中心市街地といいますか、駅にJRだとか私鉄、地下鉄その他大変な集積がございまして、それと郊外に大規模店舗、両方が立地しまして、中間点がやや寂れたという経験がございますが、松江のような地方ではやや中心市街地がぼやけているというのが一つの大きな難点だと思います。  したがって、これから私どもは駅を中心として、今駅前整備をやっておりますが、ぜひそういった点につきまして、町づくりにつきまして国の方の温かい御支援があり、また、地元の商店街の皆さん方の自助努力があれば、私はある程度の解決は可能性があると見ておりますので、どうぞ今の中心市街地活性化法に基づきましたいろいろな施策を一元的に御支援をいただければと、かように思っております。
  76. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 最後に、石原先生にお尋ねを申し上げますが、ただいままでのいろいろな各参考人の御意見、また、私ども審議をしてきた過程の中で、今まで大店VS商店街という感じで、言ってみれば平面的な感じでございましたけれども、これからは町づくり、しかも中心市街地活性化させ、郊外に対して何らかの成長管理も必要じゃないかとか、いろいろな意見があるわけでございます。  そういう中で、先生は大店法がもうその時代役割を終えた、そして、「ポスト大店法時代出店調整」という名論文を書かれて私ども大いに稗益をされたわけでございますけれども、先生がお使いになっている調整という概念は、単に経済的な出店調整するという今までのものではない、むしろもろもろの機能を、私なりに理解をしておりますのは、いわゆる商業機能も含め、そういうもろもろの機能を多重的というか多層的というか多極的というか、そういう感じで調整をして、しかる後に活力ある町をつくっていく、そのことがよってもって小売商の健全な発展に資するのだ、こういう御趣旨かなというふうに理解をしております。  そこで、先生はきょうのお話の中で、持続的、長期的に商業機能を回復していく必要がある、こういうことでございました。私もそう簡単に、一朝一夕に商業機能が目の覚めるような回復があるとは思いませんが、しかし、さはさりながら、今正直言って全国の商店街は気息えんえんとしている。これは先ほど一丸参考人がおっしゃったように、買いたくなるようなものがないということも一つ大きな問題だと思いますけれども、私は、ほっておいたら商店街が死んでしまう、失礼な言い方かもしれませんけれども。そうなっていわゆるアーケード街がシャッター街商店街になっている、こういう事実は現実にあるわけでございます。  したがって、私どもとしては可及的速やかに商店街活性化ということも確保していかなきゃいけない、非常に難しいところにかかってきているわけでございますが、この法律をどう使っていくのかということについて石原先生の思いを御自由にひとつ述べていただきたい、これが最後の質問の形でございますが、私の希望でございます。よろしくお願いいたします。
  77. 石原武政

    石原参考人 大変難しい課題をちょうだいいたしたわけですけれども、最後におっしゃられました商店街の問題は、正直申し上げますと、全国に一万五千とも七千とも言われる商店街を一律に取り扱うことができない問題ではないかというふうに考えております。  先ほどもお話がございましたけれども、全国の商店街の中の二割ぐらいは元気があるのだというような御紹介もございまして、数字については確信はございませんけれども、頑張っておられる商店街ももちろんございます。私も商店街については、すべてといいますか、できるだけ頑張っていただきたいというふうに思っておりますけれども、実際問題として考えましたときに、恐らく商店数の減少傾向というのは、これから先も商店数は減っていくのだと思うのですね。これがそう簡単に下げどまるということはないのだと思います。  そうだといたしますと、商店街の中に空き店舗がこれから生じてくるであろうということ、あるいは商店街の中の商業密度が低下するということは、ところによっては避けられない、すべての商店街が一様にというわけではないのですけれども、そういう状況に立ち至っているのではないか。このことは大変苦しいことではありますけれども、冷静に受けとめておく必要があるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、商業密度を高く維持していくような商店街と、商業密度が低下する中でいかにして地域社会と交わっていけるような商店群を育てていくのかというような、少なくとも幾つかのシナリオを我々自身も準備していく必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  78. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 どうもありがとうございました。
  79. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、吉井英勝君。
  80. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  きょうは、参考人の皆さんには大変お忙しいところ、ありがとうございます。  私、最初に一丸参考人にお伺いしたいと思いますが、全国商店街振興組合連合会の方から出されておりました意見とか、追加意見とか、他の団体のものもそうですが、これまでずっと読ませていただいてまいりました。そこで、ことしの四月に出された要望書にかかわって少しお伺いしたいと思うのですが、今度の立地法についての要望書の中で、第十三条の地方公共団体の施策に関する規定で、「地域的な需給状況を勘案することなく、」とあるのは、国際協定上問題ないものまで禁ずるものではなく云々ということで、皆さんの方の御意見、御要望を出していらっしゃるのを私も読ませていただきました。  それで、少し国会の中でのやりとりの面から申しますと、これは先ほど、きょうも質問された中野委員が予算委員会で質問されたときに、大店法では、開店日の繰り下げ、店舗面積の削減、閉店時刻の繰り上げ、休業日数の増加等、そういったものについての変更勧告、変更命令を実施できることを定めておりますが、こうした大店法上の措置は、WTOのサービス貿易一般協定に整合しない措置には当たらないと。外務省は、大店法というのはWTO協定違反じゃないと、これは予算委員会ではっきり答えております。  それから、私がせんだって本会議で橋本総理に質問をいたしましたが、そのときに橋本総理は、我が国としては、大店法上の措置はサービス貿易一般協定が原則として禁じている市場アクセスや内国民待遇に関する制限等には該当せず、同協定に整合しない措置には当たらないとの立場をとっております。ですから、外務省も総理大臣の方も、大店法というのはもともとWTO協定には違反しないのだということを明確に国会答弁で明らかにいたしております。  そういう点では、まず、いただきましたこの御意見、御要望の方、国際協定上問題ないものまで禁ずるものではないということについて、これまでの大店法がもともと違反じゃないわけですから、この大店法の内容で、特にこういうものは、大店法であれ立地法であれ、この法律のネーミングがどうであれ、内容としてはこういう点はきちっと国際法違反でないのだったら生かしてもらいたいという点について、御意見がございましたら伺いたいと思います。
  81. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 今、現行大店法に対するお話だと思いますが、先ほど来申し上げましたように、三回の改正、見直しによりまして、確かに前よりうんと緩和されております、規制緩和ができております。ですから、私どもは、立場を変えて考えますと、大型店の皆さんはうんと出店がしやすくなったということで、今までもだんだんと、その後出店が積極的に進んでおります。最近ちょっとダウンをしておりますが、これはやはりそれぞれの会社の内容があることだと思います。  ですから、そういう意味では、先ほども申し上げましたけれども大店法自体は、当初の目的と違って、機能が弱くなったということであると思います。そのことにおいて、海外からいろいろとお話もあるようでございますけれども、これはまだ係争中の話でありまして、結論の出たことでもございませんし、我々は今のそういう考えでおりますので、どちらかといいますと、もう機能しなくなった、弱くなった大店法よりは、新しい法律をつくっていただいて、それによって、何もいわゆる大型店規制して今まで以上に抑えるというのではなくて、先ほど来話が出るように、共存共栄で本当に国民の皆さんにお役立ちする商業集積中心部をつくっていく、中心部だけじゃありませんが、商業集積をつくっていくことが我々の務めじゃないかと思っております。
  82. 吉井英勝

    吉井委員 今おっしゃった国際的な係争中というのも、実はこれも国会で質問いたしまして、パネル設置を求める権利はアメリカは二年前に発生しておりますが、この二年間パネル設置を求めておりませんから、提訴されているわけでも何でもないということも、そういう状態にないということも国会の質疑で明らかにしておりますので、おっしゃったように、大店法であれ立地法であれ、名前はどうであったとしても、皆さんの事業がうまくいく上でどういうふうにすればいいのかという率直な御要望、御意見を聞かせていただければというふうに思っております。  それで、立地法ということになりますと、まず、大店法目的を削除してしまっているのです。それから、大店法には大店審があって、変更勧告、変更命令もできるわけですが、これも、今度大店法廃止ですから、なくなっちゃうということがある。そのかわりに、逆に、地方自治体が何かやろうとしたときに、皆さんの方から御意見が出ております第十三条のところで「地域的な需給状況を勘案することなく、」これが入っている。これも国会で質問いたしますと、この部分は、大型店出店による周辺の中小小売業の経済的な影響を勘案するような条例はできないのだ、それがこの十三条のこの部分の内容だということになっておりますから、これから地方自治体に権限を移してという話が、よく見てみれば地方自治体にはもう権限がないというふうな実態になってきております。これはほかの団体からも、十三条の中の「地域的需給状況を勘案することなく、この法律の趣旨を尊重して行うものとする。」というこの部分を削除してもらわないと、地方独自にはなかなか取り組めないじゃないかという御意見を伺っておりますが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  83. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 私も長い間商調協の委員をしておりましたので、いわゆる現行大店法に関してはいささか承知をしております。  従来は、見直しの前は総量規制、今言われたことですね、その業種、業態のその地域人口消費のあれを掛けて、現在ある既存のところがどれだけのものを今売っている、だからまだこれぐらいの余力があるであろうというような決定の仕方をしておったと思います。ですから、今回もまだこれからうんと詰めていただかなきゃなりませんけれども、総量規制ということじゃなくて、いわゆる我々中小企業商業者が十分活躍ができるだけの内容のものをつくっていただきたい。また、我々ももちろん努力しなきゃなりませんが、法においても、保護じゃなくて、そういったやる気が出せる方向につくっていただきたいというのが私どもの願いであります。
  84. 吉井英勝

    吉井委員 地方自治体の独自施策をこの十三条で縛ってしまうというやり方、これでは、せっかくの皆さんの声にこたえた取り組みを地方がやろうとしても大きな制約になりますので、この点はなくさないと、なかなか御希望にこたえるような、御要望にこたえるようなことは難しかろうと思います。  立地法ではまた、意見を述べることができる、結局意見を述べるだけで、意見に基づいて地方自治体意見書を上げ、勧告し、公表だけ。その勧告をする場合にも、法律上は大型店の利益を不当に害するおそれがないものという制約がかかってくるということで、結局、二重、三重に地方自治体に非常に大きな制約があって、この立地法の仕組みのもとで、皆さんの御期待にこたえられるものになるかな、逆に、ならないという方が非常に強いというふうに思います。  そこで、あわせて、ここはまた中心市街地活性化の問題とかかわってくると思うのですが、これは一丸参考人と宮岡参考人のお二人に伺っておきたいのです。  全国各地で、先ほど来議論がありましたように、本当に、郊外に数万、あるいは、ところによっては数十万規模ショッピングセンター大型店がどんと進出する。その結果、中心商店街が幾つかのところでつぶれていく。そこが、何とかしようと思って再活性化市街地活性化をと頑張り出したら、大型店がさらに増床計画を出してくるというので、活性化事業のキーテナントに予定したところ自体が、採算の見込みがとれないというので撤退となってくる。そうすると、地方自治体としては都市計画決定もできなくなってしまっている。仮に無理してやったとしても、郊外に出たお客さんが戻ってこないときには、事業費の負担金、商店街の皆さんにも地方自治体にもかかってくるわけですが、果たしてそれが本当にペイできるのかという問題など、これからの問題として、今新たな問題に直面しているときだと思うのです。  私は、そういう点では、この中心市街地活性化事業の成功のためには、郊外に身勝手に進出したり、逆に中心部からさっさと撤退したりする、こういうふうなやり方については、やはり一定のルール、規制というものを考えていかないと、中心市街地活性化事業自体がうまくいかないというのが現実に全国で起こっている問題じゃないかなと見ているのですが、その点について、お二人の参考人の御意見を伺いたいと思います。
  85. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 お話のとおりでございまして、中心市街地でなくて、周囲の大型店の新設とか増床とかということがもちろん考えられますし、今までのいわゆる中心部の衰退はそれだけが原因ではございませんけれども郊外にそういったものができ、また中心部にある大型店が移転をするというようなことも一つの衰退の理由ではあります。ですから、核を失った商店街中心部がそのために衰退の方向に向かったということはあるのですが、これはこれなりに地元として、難しいことですけれども、また対応しなきゃならぬことだと思います。  ただ、今度の都市計画法の改正で、先ほども申し上げましたが、白地地域とか森林地域、それから従来も農地を用途変更してそこにショッピングセンターをつくるというようなことはあります。そういうことは今度のいわゆる都市計画法の改正のときに十分に先生方に御検討いただいて、そういったことのないように、やはりこの中心部を、町の顔が消えないようにお守りをいただきたい、御支援をいただきたい、こう思います。
  86. 宮岡壽雄

    ○宮岡参考人 先ほどの議論で、郊外開発規制というものもございますが、今まで全体に、社会的なものあるいは経済的なものを含めまして、規制による限界というのがあるのではないかと思います。  一つには、私どもも市街化区域、市街化調整区域という大枠の中で規制をしておりますが、なかなか、皆さんのマイホームといいますか、安いところを求めたいということで、ある程度郊外開発をされたのも事実でございます。したがって、先ほど来ございますように、規制でもっていろいろなものを制約するというのがだんだん難しい時代になって、ある程度は規制でもって制約はできても、どこかにひずみができて、もう一回見直さざるを得ない、そういう時期が来るような感じもいたしております。  今回中心市街地活性化法ができたわけですが、私どもは、中心市街地というのは、商業だけではなしに、文化的な機能とかいろいろな業務機能とかございますので、今は商業機能中心となりながら、かなり寂れた観もございますので、今回の法律を活用しながら、ぜひこれ以上の寂れがないように、また一歩でも二歩でも、中心市街地が少し町の顔として再生できる努力を重ねていく必要があるというふうに思っております。
  87. 吉井英勝

    吉井委員 一丸参考人から御期待いただいたのですが、今回の都市計画法改正というのは、都市計画法の外の地域については改正の対象外ですし、白地地域につきましてはゾーニングということには当てはまりませんし、それも非常に国会で議論してきたのですけれども、今回の仕組みではなかなか御期待にこたえるようなものにはまずならないというのが、率直に言ってこの法律の仕組みだということを申し上げざるを得ないというふうに思います。  次に、私は石原参考人に伺いたいのですが、商工金融の九八年二月号で、先生は、仮に大店法を存続させるとしても、それをより時代要請に合ったものとするためには、目的規定を含めてかなり大幅な改正が必要だ、さらに、大店法が現にカバーできていない問題についても、盛り込むか、何らかの措置が必要だということを主張しておられました。  そこで、少し具体的にお聞きしたいのですけれども、仮にというお話で始まっているわけですが、第一に、大店法の現在ある二つの目的規定に、良好な都市環境の形成等、地域社会の健全な進展というのを追加するということですね。そうすると、目的が、都市計画環境面からももっと充実させることができるというふうになりますね。その点での先生のお考えはどうなのかというのが一つです。  二つ目に、御承知のように、イギリスとかフランスなどでは既にやっている地域、中小商店に及ぼす経済的な問題の調査とか規制、それから雇用問題など、社会的規制の両面から欧米諸国は規制というのをやっておりますが、その両面の問題を統一した許可制というものを採用することについて。  三つ目に、そういう場合の許可基準というのはあいまいじゃいけませんから、法律上ちゃんと明文化するということで、一つは、大型店出店により周辺の小売業事業活動に著しい悪影響を及ぼすおそれがある問題、二つ目に、その地域における小売業の正常な発展を阻害し、消費者の利益を著しく害するおそれがある問題、三つ目に、住民の居住環境または計画的な都市の整備に悪影響を及ぼし、当該地域における良好な都市環境の形成を著しく害するおそれがあるという、この三つを許可基準として、クリアすればもちろん大型店を許可する、クリアできないときには、それはお考え直されてはいかがかということになるかと思うのです。  四つ目に、大店法第十五条の五を削除して、地方自治体に権限を持たせること、こういう面では地方に対しては規制緩和をやる。こうした方向というのは、御承知のように、イギリス、フランス、ドイツの規制方向と大体一致するものですが、石原先生がおっしゃる、大店法を存続させる場合の、仮にというあれがあるにしても、要請としてお考えのものに、今のような話は先生の要請に合致しているものなのか。  さらには、これ以外に、先生の要請に合うものとするために、こういうものをもっと追加しなければいけないとお考えになっていらっしゃるものがあれば、お聞かせいただきたいなというふうに思います。
  88. 石原武政

    石原参考人 随分たくさんお尋ねをいただきましたので、ひょっとすると失念してしまうかもわかりませんが、今引用していただきました大店法のくだりというのは、このたびの合同会議での議論のところで、我々が判断をするところというのは、大店法廃止か存続かという点で見れば天と地のような違いはあるけれども、本当はそれほど大きな差ではなかったのではないかということを書いたところの前段の一文であろうかというふうに思っております。  それは、先ほども若干申し上げましたけれども大店法の中にございます、中小小売商業者の事業活動機会の確保というこのくだり、大店法目的規定の中でこれが最も具体的な、手段を特定した目的になっておるというふうに私は思っておりまして、この目的が非常にきつく評価されるし、また運用されてきたというふうに考えております。その意味で、この目的をといいますか、事業活動機会の確保ということを前面に掲げたままでは、時代の新しい今の問題に対応できないのではないかというふうに一つは考えておったところでございます。  それから、そのほかの点につきましては、先ほどいろいろと、御指摘のような許可基準云々というのがございましたけれども小売業という事業活動につきまして、これを許可制にするということについては、私は原則的に支持はしておりませんでして、そういうふうには考えておりません。  それは、少なくとも許可制というものは、原則的には禁止というのが原則であって、一定の要件、例外的に許可をしていくというのが思想的な背景というふうに承っておりますので、自由主義的な経済という観点からいえば、出店については、原則的には自由であるけれども地域の問題を勘案しながら、より健全な地域社会発展させるような形での出店を誘導する、そして、特に支障がある場合にはそれに一定の制限を加えるというようなスタンスが望ましいというふうに考えております。  あと、三番、四番の点は恐らく今のでほぼ含まれたかと思いますので、一たん答えを終わらせていただきます。
  89. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので……。
  90. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、横光克彦君。
  91. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。きょうは、参考人の皆様、本当にありがとうございます。それぞれのお立場から、本当に貴重な御意見を賜りました。この法案の審議に十分に生かさなければならない、このように思うわけでございます。  きょうの参考人の皆様方のお話を伺っておりまして、私、非常に印象が強かったのは、日本チェーンストア協会会長でいらっしゃいます小林さんと全国商店街振興組合連合会の一丸さん、このお二方の御意見が、私から見れば、真っ向対立した御意見のように感じたわけでございます。  お二人の意見は、それぞれ、まさに置かれている状況、大型店のこれからのあり方、あるいはまた中小小売業の危機感、そういったものを如実に述べられたものと思います。しかし、根本的な目的、これはもう一つなんですね。いかにして消費者に愛され、お役に立ち、そして利用してもらうか、こういう点では全く一致しているわけでございます。私たち一消費者として端的に言えば、答えは一つなんですよ。それはもう、先ほどから皆さんの御質問の中にもございましたし、また参考人の皆様方の御意見にもございましたし、まさに共存共栄、高齢者、共働きの方々、若者、それぞれが楽しく、そして利便的に利用できる、そういった場といえば、共存共栄、そしてそういった時代もあったわけでございます。  小林さんのお話では、地域社会に貢献する意欲は十分にあるというお話でもございましたし、一丸さんは、大型店大型店で、また中小の専門店は中小の専門店で、それぞれに消費者の要求にこたえるいわゆるバランスのとれた共存共栄というものを望まれている。しかし、その共存共栄ということがいかに難しいことであるかということが二人の意見の差ではなかろうかと思いますし、今回、この二つの法案がその差をいかに薄くするか、差をいかに狭くするか、そしていかに共存共栄に近づけるように道を開くか、そういった法案にしなければならないのではないか、そういった思いでいっぱいでございます。  そこで、まず一丸参考人にお聞きいたしますが、一丸さんは、私の地元の大分県の県都であります大分市の竹町通り商店街の振興に大いに尽くしてこられたわけでございますし、ガレリア通りとして、ハード面、ソフト面それぞれの取り組みを推進されてこられた経験の持ち主でございます。  私も何度かガレリア通りに行きましたし、つい最近もお話を聞いたことがございますが、中心市街地あるいは各商店街というものは、地域環境変化によって大変大きく左右されるわけですね。大分市の竹町通りというのは大変にぎやかなところだったわけですが、県立病院とかそういった移転等に伴っていわゆる人の流れが大きく変わった、それを活性化させるために一丸さん等が頑張られたわけでございます。今度そこにまたオアシス21というのがこれからできますが、そういったことに商店街方々は大変期待とまた不安も持っておるのですね。果たして人の流れが変わるだろうかという不安も非常に持っている。しかし、期待もしている。そして、シャッターが閉まっている店がまだ数カ所ございましたが、それでも、以前に比べたら大分少なくなっているというお話も聞いております。  いずれにいたしましても、竹町通りの取り組み、その姿というのは、全国の商店街では大変評判になっているわけで、これから中心市街地活性化を図っていく上で模範となる事例ではなかろうか、私はこのように思っております。先ほど、共存共栄という言葉がキーポイントだというお話でございますが、例えば、竹町商店街、ガレリア通りというものは、ある意味では、デパートと、あるいは数カ所の大型店とそしてガレリア通りと、共存共栄がある程度できている地域ではなかろうかという気もいたしております。  そういったことも含めまして、そういった経験をお持ちの一丸さんから、どうか、全国の商店街方々にアドバイスと申しますか、これから活性化に取り組もうとする場合にどのような点に留意すればよいのか、具体的にお話しをいただければと思います。
  92. 一丸彦四郎

    ○一丸参考人 大変大きい、難しい問題でございますけれども、やはり商業集積というのは立地とか環境に非常に左右されます。  先ほど、松本先生が福岡のキャナルシティのお話をされましたが、あの隣接したところに上川端という商店街があります。その商店街は、どちらかと申しますともうかなり衰退の方向に進んでおったのでありますけれども、キャナルシティというのができて、それがちょうど門前町のような形になってお客さんがふえ、大変復活しております。そういうことで、私の方も県立病院の跡に、今度十月に県の施設等もろもろができるわけですが、こういう環境立地によって随分差はございます。  ですけれども、私が思うのは、やはり先ほど来申し上げますように、リーダーがまず必要であるということ。リーダーというのは、本当に何事をするにしても気違いと言われるぐらいの熱中した、もう私を忘れて犠牲を払おうというような人が望ましいわけですが、そういうリーダーがおって、特に商店街等は小さいながら一国一城のあるじですから、それぞれの考え方、内容、持ち方があります。その人たちを何とか同じ方向に顔を向けてもらうということが非常に大事なんです。  ただ、それは簡単にできるわけではありません。私の経験からいくと、一応その方向に向かうのに、みんなで長年いろいろと話をしながら、ではやろうということになって、やはり二年ぐらいかかった。ですから、実際に今度は工事にかかって、四年かかってようやく物になったというようなことなんです。  今度の中心市街地活性化のことも、何も商店街中心ではありません。これは大型店商店街、もろもろが一緒になって手を組んでやるという、やはりみんなが一緒に同じ方向に顔を向けて取り組むということが一番大事だと思うのですが、それにはそれぞれのリーダーの方が非常に大事だと思います。  商店街は地元ですからよろしいのですが、大型店の場合は、地方の場合は全部店長さんですね。店長さんの権限というのは、今私どもは日ごろ一緒に月に一回話し合いをしておりますが、限られた権限しか持っておりません。ですから、これに対しては、小林さんのような本社の方がその気持ちになって、前向きにその地域の中心市街地活性化のために協力しなさい、本社も支援するぞという姿がないと、大型店だけそのまま残ってしまうような形にもなりかねないと思うのです。ですから私は、もう本当にありふれたことですが、一番大事なことは、皆さんが心を合わせて、やる気を出して真剣に取り組むということがいいと思います。  それから、ちょっと耳に入りましたが、こういう法案が今度通る、ついてはちょっと手の挙げ方が全国的に少ないなということを言われた方がおありのようですが、そういうことで、実際にそういったせっかくいい法律ができても、それに取りつくのにはかなり地元の根回しが要るわけです。それが出たからそれにすぐ取り組むというところは、私のあれでは、それまでにかなり何かやろうと思って進んできたところにちょうどそういったメニューが出たから、それに乗るということになると思います。ですから、今度そのことを聞いて、十年度にそれが出るということがわかって去年あたりからかかると、まだことしはすぐ手を挙げる状態にならないと思うのです。  ただ、お願いしたいことは、ことし手を挙げているところに対して、まず全国的にモデルをつくるという意味で格別の御支援をいただきたい。そして、そこにできますと、やはりそういったものがあれば、ああ、おれのところもやろうかなという気持ちにもなりますし、それと、私らのところが近代化しますと、毎月二、三の視察が参ります。これはそういううわさを聞いてきて、それはもう商店街だけじゃなくて行政も、ほかの団体ももろもろお見えになるわけです。  そういうことですから、滋賀県の長浜、あれが黒壁といって非常に今観光で復活していますが、私が十何年前にあそこに西友の長浜楽市というのができたときに行ったときは、市商連の皆さんとお話をしても、中心部は本当に寂れた、望月先生に言わせると、あるときに調べたら人間二人と犬一匹というような話があるぐらいで、それが現在そういうぐあいに復活しておるわけで、要はやはり地元の取り組み方いかんが一番大事だと思います。  以上です。
  93. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございました。  次に、三村さんにお伺いいたします。  消費者といえば、お年寄りから赤ちゃんまですべて消費者でございますが、消費者一人一人の立場といえば、必ずしも強くはないと思うのですね。そういった意味からは、消費団体の果たす役割というのは非常に大きいものがあろうかと思います。  これまで、消費生活センターなどの活動は、どちらかといえば欠陥商品などのトラブルに対処する機能中心だったと思うのですね。つまり、これまでのトラブル。ところが、今回大店立地法のような手続の中での消費者の役割というのは、地域住民の役割というのは、これからの問題ですね。そういった課題に消費者、住民の声を吸い上げていく必要があろうかと思います。大店立地法の円満な実施のためには消費団体あり方も変わっていかねばならないと考えているわけでございますが、三村さんのお考えを伺いたいと思います。
  94. 三村光代

    三村参考人 ただいまの御質問なんですが、大変難しい問題だというのは、きょう傍聴されている方の中にも、消費団体の方は多分ほとんど一人もいらっしゃらないかもしれないというふうに思うのです。  実際には、どうでしょうか。今までの大店法ですと、消費者が関与する部分というのは、四項目の調整の段階に来ていると消費者が関与するところというのは余りないということが言えたと思うのですね、私はさきに申し上げましたけれども。これからこの立地法になってきますと、一人一人の消費者が監視をしていくということがすごく大事になりますので、そういう意味では消費者の結集というのは大変大切なことになると思います。  私は、消費者の声を吸い上げてくれる場所が欲しいと言っておりましたが、だれでも意見が言えるということですから、その意見を言えるということを知らしめることの方が大事ではないか。一人一人の消費者の方に、何かあったらどんどん意見を上げてくださいということを、どこに言ったらいいかというのが大事だと思うのですね。  そういう中で、中央の消費団体が動くというのではなくて、地域の住民が結集できるような土台みたいな形のものが必要だ。そのために、私は今までは消費生活センターはこの問題にはなじまないというふうに思っていましたが、消費生活センターが窓口になることは十分できると思うのですね。欠陥商品とか契約トラブルの解決だけじゃなくて、地域に生きていくために何が大切なのかということにやはり消費生活センターも足をおろす必要があるのではないか。  そういう意味で、消費生活センターが窓口になって、適当なところといいますか、適切なところに一人一人の消費者の声は振っていくことができますし、それから、そういう人たちを結集させることも可能ではないかというふうに思います。
  95. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございました。終わります。
  96. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  それでは、参考人方々には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  97. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 速記を起こしてください。      ————◇—————
  98. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、吉井英勝君外一名提出、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する等の法律案議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。吉井英勝君。     —————————————  大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する等の法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  99. 吉井英勝

    吉井議員 大規模小売店舗における事業活動調整に関する法律、いわゆる大店法の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  今、大規模小売店舗大型店出店ラッシュにより、中小小売店の倒産、廃業が相次ぎ、町の中心部を形成し、住民に親しまれてきた商店街は、深刻な打撃を受けています。郊外大型店の激増や中心市街地にある大型店の撤退、閉店による都市中心部空洞化など、町づくりへの影響も大問題になっています。  近年におけるこうした状況にかんがみ、中小小売業の正常な発達と消費者利益の保護及び良好な都市環境の形成を図り、地域社会の健全な進展に資するため、大型店出店について許可制を導入し、居住環境及び計画的な都市整備への影響等の見地からも規制を行うことができるようにするとともに、出店等の審査に当たっては、地元の消費者、中小小売業者等の意見が十分に反映できるような措置を講ずる等の必要があります。こうした方向は、環境問題の重要性や高齢化社会に向けての社会的要請にこたえるとともに、経済的規制と社会的規制を統一して許可制を強化しているフランス、イギリスなどヨーロッパ諸国の規制の流れにも沿うものです。これが、この法律案提出した理由であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、目的規定として、現行大店法にある中小小売業事業活動機会確保、消費者利益の保護に加え、「良好な都市環境の形成」及び「地域社会の健全な進展」を追加することとします。  第二に、届け出制を都道府県知事の許可制に改め、商圏が二県以上の範囲に及び、かつ、大規模大型店については通産大臣の許可制とします。許可手続は、大型店の所在地の市町村を経由し、市町村長等の意見を添えて行うものとし、都道府県知事等は許可に当たって審議会の意見を尊重しなければならないものとします。  第三に、都道府県知事等は、大型店出店により、その周辺の中小小売業事業活動に著しい悪影響を及ぼすおそれがある、その地域における小売業の正常な発達を阻害し、消費者の利益を著しく害するおそれがある、住民の居住環境または計画的な都市の整備に悪影響を及ぼし、当該地域における良好な都市環境の形成を著しく阻害するおそれがあるなどの場合には、出店を許可してはならないものとします。  第四に、大型店の閉店時刻や休業日数を法文化します。  第五に、やむを得ない事情による場合を除いて、大型店に撤退、閉店計画の届け出を義務づけ、周辺住民、中小小売業者、雇用、都市空洞化などへの影響が著しく大きい場合には、一定期間を限り撤退、閉店を延期させる勧告ができるようにします。  第六に、審議委員消費代表、中小小売業者・商店街代表、学識経験者の三者構成に改め、審議会は原則公開にします。  第七に、地方公共団体の施策に関する規定を削除し、地方自治体地域の実情を配慮して行う独自の施策を縛らないようにすることです。  以上が、本法案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  100. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会      ————◇—————