○小池
委員 今おっしゃいました意識改革というのは大変重要なことだと
思います。今回のこの
TLOが設置されましても、例えば教授陣
たちの意識改革、象牙の塔にこもって、だれだれ先生の弟子ということで、もう年功序列がちがちのところが結構ございます。そういった教授陣のマインドを変えていかないといけないと
思いますし、そのためには、一番手っ取り早いのは成功例を出すことではないか。それによって、何か
大学教授がみんな
企業家になってわっせわっせとやり始めるということを考えるのも、ちょっとそら恐ろしいような気もいたしますけれども、そういった方向への選択の道が開けるということは、私は重要なことではないかと
思います。
今回のこの
法案というのは、
アメリカの例なども参考にされているようでございますが、これまでベンチャー、そして
大学ということでいつも引き合いに出される
アメリカのスタンフォード
大学でございますが、もともとは、スタンフォードさんという方が私財を投じて、鉄道王をやったり州知事をやったりした方でございますけれども、十六歳になるかならないかの息子を突然失ってしまった、それでは、息子のかわりに若い
人たちが育ってくれればということで、私財を提供してできたのがスタンフォード
大学でございます。
そしてまた、その中でそういった建学の精神を受け継いだ教授が、わずか五百三十八ドルかな、何かを学生に提供して、ヒューレット君とパッカード君に出してつくったのが、スタンフォード
大学から初めてスピンアウトしてできた今のヒューレット・パッカードである。それから、サン・マイクロシステムズというのが今でも大変シリコンバレーの中でもリーディングカンパニーの
一つでございますけれども、サンという会社名というのは、スタンフォードーユニバーシティーからきているSUNであるというようなことを考え
ましても、やはりそれでスタンフォード
大学というのは非常に大きな
大学の特色を出している。
であるならばというので、またそこの
大学に行きたいと学生は思う。そして、またそこで、それならば教授、プラスアルファの自分の
技術を世に出したいと思う先生が集まってくる。シリコンバレーもいいときもあったり悪いときもあったりで、スタンフォード
大学だって、いいときもあるし悪いときもあるけれども、それこそ、まさにこれからの
大学の競争において、このスタンフォード
大学というのは、特色をはっきりと打ち出しているという
一つのいい例ではないかというふうに
思います。
それから、今特定
大学の方でいろいろと名乗りを上げている
大学、
国立も私立もございますけれども、私は、地方にある
国立大学、そして私立
大学にはこれからぜひとも頑張っていただきたいというふうに
思います。
と申しますのも、大体
アメリカのベンチャー
企業を見ておりますと、ニューヨークだとか大都市で発生したベンチャーの数は、少ないとは言えませんけれども、そういった大都市、特にニューヨークで発生したビジネスの数というのは、むしろニュービジネスには余りない。ましてやワシントンでは余りない。政治とか
経済のエスタブリッシュメントに近いと、新しいものは出てこないのですよね。そういったところと全く
関係のないところから新しい芽が出てくる。むしろ政治とか
経済に邪魔されないところから出てくる。
あのナイキにしましても、もともとはオレゴン州のポートランドという大変小さな町から始まりましたし、今
世界一のお金持ちの、あのアップルであるとかマイクロソフトであるとか、そういったところも最初はガレージから始める。まさにかつての松下、本田と同じような芽がそういった地方都市で育ってきているというのが
アメリカの最近の、またこれまでのベンチャーの共通した事項ではないかと
思います。また、地方の方が土地だって安い。そして最近は、就職難ということでございますが、本当にガッツがある学生ならば、地方に戻って、地方に根差してやっていこうという人がそういったところから少々出てきてほしいなというふうにも思うわけでもございます。
ただ、残念ながら、ここのところ、入社とか卒業式とか、そういうニュースを見ておりますと、何かまだ学生さん
たちは今の世の中の厳しさがよくわかっていないみたいで、とにかく首になるまで勤めますとか、模範的な回答をするような
人たちばかりで、何かつまらないなと私なども思ったわけでございます。かくいう私も、
日本の
大学をスピンアウトして、どんどんベンチャーの
世界ばかり、ある意味でのベンチャーの
世界へ入って、そして今、通るか通らないかわからないという、最もベンチャーの政治の
世界にいるわけでございます。しかし、
日本人が、今大変消費が冷え込むと同時にマインドが冷え込んで、あれもだめだ、これもだめだと思ってしまう、そして若者
たちが、そんなものだと思って、またしょげてしまうなどということは、次の二十一
世紀に非常にマイナスな点になってくるというふうに
思います。
今のこの時期、大変重要な時期でございます。あれもだめ、これもだめというような政策を出さずに、どんどんと本当の意味で構造改革につながる抜本的な対策を
政府としても出していただきたいし、こういった
法案についてはぜひともバックアップさせていただきたいというふうに
思いまして、最後にさせていただきます。
ありがとうございました。