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1998-04-09 第142回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月九日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 西村 章三君    理事 稲葉 大和君 理事 植竹 繁雄君    理事 栗原 博久君 理事 砂田 圭佑君    理事 大畠 章宏君 理事 神田  厚君    理事 山本 孝史君 理事 福留 泰蔵君    理事 達増 拓也君       今村 雅弘君    小野寺五典君       佐藤 静雄君    阪上 善秀君       園田 修光君    田中 和徳君       田村 憲久君    竹本 直一君       桧田  仁君    平沢 勝栄君       堀之内久男君    松岡 利勝君      三ッ林弥太郎君    目片  信君       望月 義夫君    矢上 雅義君      吉田左エ門君    石橋 大吉君       辻  一彦君    土肥 隆一君       藤村  修君    赤羽 一嘉君       木村 太郎君    旭道山和泰君       一川 保夫君    三沢  淳君       平賀 高成君    藤木 洋子君       北沢 清功君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         阪神淡路復興         対策本部事務局         次長      田中 正章君         国土庁長官官房         長       久保田勇夫君         国土庁防災局長 山本 正堯君  委員外出席者         総務庁行政監察         局監察官    本間 勝己君         防衛庁運用局運         用課長     徳地 秀士君         法務省人権擁護         局人権啓発課長 林   久君         外務省北米局日         米安全保障条約         課長      猪俣 弘司君         文部省教育助成         局財務課長   加茂川幸夫君         厚生省保健医療         局地域保健・健 高原 亮治君         康増進栄養課長         厚生省社会・援         護局企画課長  大泉 博子君         厚生省老人保健         福祉局老人福祉         計画課長    青柳 親房君         通商産業省環境         環境立地局立地         政策課地域産業         振興室長    西川 泰藏君         中小企業庁計画         部計画課地域中         小企業振興室長 黒岩  進君         中小企業庁計画         部金融課長   寺坂 信昭君         運輸省運輸政策 鷲頭  誠君         局政策課長            運輸省港湾局技         術課長     金澤  寛君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      山内 一良君         海上保安庁警備         救難部海上防災         課長      江口 稔一君         気象庁地震火山         部地震予知情報         課長      吉田 明夫君         消防庁消防課長 山口 勝己君         消防庁救急救助         課長      高橋 正樹君         衆議院調査局第         一特別調査室長 清水 紀洋君     ————————————— 委員の異動 四月九日  辞任         補欠選任   松下 忠洋君     園田 修光君 同日  辞任         補欠選任   園田 修光君     松下 忠洋君 同日  理事神田厚君同日理事辞任につき、その補欠と  して山本孝史君が理事に当選した。     —————————————  三月十九日  災害被災者等支援する法律の速やかな成立  に関する請願土井たか子紹介)(第七四四  号)  同(土井たか子紹介)(第七九一号)  同(藤田スミ紹介)(第八五九号) 同月二十七日  災害被災者等支援する法律の速やかな成立  に関する請願藤村修紹介)(第九〇一号)  同(土肥隆一紹介)(第九一七号)  同(赤松正雄紹介)(第一〇〇三号)  同(寺前巖紹介)(第一〇〇四号)  同(東中光雄紹介)(第一〇〇五号)  同(福島豊紹介)(第一〇〇六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 西村章三

    西村委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事神田厚君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事山本孝史君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 西村章三

    西村委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。砂田圭佑君。
  6. 砂田圭佑

    砂田委員 自由民主党の砂田圭佑でございます。  本年三月十二日の当委員会におきます国土庁長官大臣所信につきまして質問をいたします。  私は、過去四回にわたって災害被害を受けました。最初戦争中の戦災であります。そして台風、風水害、そしてこのたびの地震と、四回、自然それから戦争被害を受けて、家は全半壊をいたしました。過去三回の災害については、国から格別保護を受けた、そんな記憶はございません。このたびの阪神淡路大震災では義援金をちょうだいをいたしましたし、また、新しく家を建てるについて利子補給を受けられるか現在審査をされているところでございますが、大変ありがたいことだと感謝をしておるような次第でございます。  しかしながら、今回住宅を再建するにつきましては、初めて買ったマンションの額の約三倍の費用がかかることに相なりました。二千八百万円という借金は、私にとっても大変苦しい借金であります。そんな被災者体験の立場から私は質問を続けていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。  国土庁長官はその所信で、我が国は、各種災害を受けやすい自然条件にあり、災害から国土並びに国民生命身体及び財産を保護することは国政基本であるとおっしゃいました。  国土生命については当然よく理解ができるところでありますが、身体財産を保護するということは具体的にはどういうことを指すのでありましょうか。長官の具体的なお気持ちをお聞かせをいただきたいと思います。
  7. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま、先般私が所信で申しましたことについてお尋ねがあったところでございますが、災害から国民生命身体及び財産を保護することは国政基本である、そのことはまさにそのとおりでございます。  その内容といたしまして、災害の予防それから応急対策、また復旧復興、それぞれの段階におきまして公共土木施設整備とか復旧等を図るとともに、被災者生活支援産業復興等を進めるということもその基本的な要素ではないか、そのように考えております。
  8. 砂田圭佑

    砂田委員 我々が自然現象災害から身を守るということは、まことに困難なことであります。自然がもたらす不運については自助努力を持って立ち向かわなければならないことは、人間としては当然のことであります。しかし、もし人間能力で、例えば台風の進路とか火山の爆発とか津波予知あるいは地震予知が事前にわかるのであれば、被害を少しでも軽くすることは可能ではないかという気がいたします。  そこで、地震予知について、これまでもいろいろなところで報道されたりいたしておりますけれども気象庁がその任に当たっていると伺っております用地震予知能力はどの程度開発されているのか、そして、もし今日本のどこかで集中的にそういう予知調査をやっている地域があれば、お教えいただきたいと思います。気象庁お願いいたします。
  9. 吉田明夫

    吉田説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。  地震予知は現状では一般的に研究段階にありまして、時期、規模場所を特定した予知は困難であるとされています。ただし、東海地震に関しましては、過去の活動の歴史からその発生場所あるいは平均的な地震の繰り返しの間隔等がわかっていること、それから、昭和十九年に東南海地震が発生しましたが、東海地震の隣の領域で発生した同じタイプの巨大地震ですけれども、その際に顕著な前兆現象が観測されたことなどから、東海地震につきましても前兆現象が観測される可能性がありまして、もしそうした前兆現象があらわれた場合には直前の予知ができる、そういうふうに考えております。
  10. 砂田圭佑

    砂田委員 そこで、そういう東海地震とか、いろいろ危ないのではないかと言われるようなところを、既に今のお話のように、いろいろお考えあると思いますけれども地震が発生する可能性が高い地域について国土庁では何か予防措置的なことを講じておられるかどうか。実際にたくさん人の集まるようなところの建物を補強するとか、あるいは先般の阪神淡路の大地震でも高速道路が倒壊するというようなことがございましたけれども、そういう補強策をやっているのかどうか。またあるいは、そういう指導をなさっているかどうか伺いたいと思います。
  11. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  地震予知ができるものと、なかなか難しいものとあろうかと思います。今気象庁さんの方からお話がございましたように、東海地域につきましては、地震予知が可能であるということを前提にしましていろいろなスキームを構築しておる、こういう状況でございます。  東海地震につきましては、御案内のとおり、昭和五十三年に、大規模地震対策特別措置法に基づきまして、静岡県を中心にいたしまして六県百六十七市町村について地震防災対策強化地域というものを指定をいたしまして、その地域におきまして観測及び測量の実施強化を図っておるところでございます。  委員も御案内のとおり、前兆現象があらわれて判定会が招集され、さらに気象庁長官総理大臣地震予知情報を報告した場合には、これを受けて内閣総理大臣警戒宣言を発する、こういうことになってございます。この警戒宣言を発したことによりまして、国、地方公共団体民間事業者等があらかじめ作成をいたしました地震防災計画に基づきまして、避難対策道路交通規制等地震防災応急対策を講じることとしておるところでございます。  また、避難地とか避難路、あるいは消防用施設、公立の小中学校等地域防災上緊急に整備すべき施設等整備を図るためには、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、いわゆる地震財特法と言われるものに基づきまして、地震対策緊急整備事業を推進しているところでございます。今先生お話がございましたように、耐震設計に変えるとかそういう点についてもこういう財特法に基づいていろいろな事業を推進しておる、こういう状況でございます。  私ども、今後とも、国、地方公共団体民間が密接な連携を図りまして、こうした地域における地震対策に万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  12. 砂田圭佑

    砂田委員 私の地震体験によりますと、私のマンションでは、二階の部分が押しつぶされて高さが半分ぐらいに、天井が半分ぐらい下まで下がってくるという状況でありました。  その日の朝は、マンション人たちがたくさん、着のみ着のまま、寝巻きのままで出てきて、そしてその中から生き埋めになった人たち助けを呼ぶ声を聞きながら、何とかしょうと。しかし、コンクリートの中に閉じ込められた人たち助けるということは容易なことではございませんでした。  そこで、一番最初は、消防署に頼もうということになって、バイクを持っている人が消防署へ走っていきました。そして警察へも行きました。しかし、もうそこはそれぞれ、大震災の中でありますから、もぬけの殻で人っ子一人いない。肩を落として帰ってこられたが、依然として生き埋めになった人たちからの助けを呼ぶ声が、本当に何とも言えない思いで聞いておりました。  それじゃしょうがないから、男手でみんなで何とか掘り出して助けようということになりましたけれども、周りは十五センチからのコンクリートに固められている中では、全く手を打つすべがありませんでした。我々は災害に対して全く無知である、災害が起こった後どうやったらいいのかということについては全く無知であったことを本当に強く思い知らされたわけでございます。  例えば、大地震が来たときに、海岸の近くに住んでいる人は、あるいは津波が来るかもわからないということを前もって知識としてあれば、高台に避難をするというようなことだけでも人命は救われますし、そしてまた、災害が起こったときの心構えというものを小さいときからいろいろな形で教育として受けていれば、それなり避難をするすべ、そういうものもわかってくるのじゃないか。  私は戦争中に小学生で、空襲警報が鳴って爆弾が落ちたら目と耳を押さえて伏せろ、こういうふうに教えられておりました。それが有効であったかどうかわかりませんが、やはり爆弾で亡くなる人は目が飛び出し、耳が聞こえなくなるのが一番多いことでありましたから、そういうことも一つの危機に対する教育ではないかという気がいたします。  そこで、そういう知識普及あるいは子供たちへの災害教育ということがどこかで行われているか、あるいは国土庁でもそういうことをお考えになっているかどうか、お伺いをしたいと思います。
  13. 山本正堯

    山本(正)政府委員 先生案内のとおり、災害からみずからの身を守るというのは、国民一人一人が自覚を持つと同時に、平常のときから災害に対する備えを心がけるということが大変重要であります。また、発災時にはみずからの身の安全を守るように行動することが大変重要であるということであろうかと思います。そのために防災知識普及啓発が非常に重要であるということは、先生指摘のとおりであろうかと思います。  私ども、国、地方公共団体におきまして、パンフレット、小冊子の配布とか、講習会研修会、あるいはシンポジウムの開催、さらにはラジオ、テレビ、今までの災害経験を踏まえたいろいろなビデオ等の活用、あるいは防災フェアといったようなもの、展示会といったようなもの、あるいはまた防災センターにおける疑似的経験を行うとか、いろいろな方法を用いまして防災知識普及啓発に努めているところでございます。  御案内のとおり、特に災害弱者子供のときから正しい知識や技術を身につけておくということは大変重要なことであるというふうに私ども考えておりまして、そういうふうな観点から、例えば、私ども防災週間関連行事として実施をいたしております防災フェアにおきましては、その期間親子で参加するように夏休み中の八月に設定をいたしまして、バーチャルリアリティーといったような子供の関心が持てるようなものをできるだけ取り入れていく。あるいは昨年の防災フェアでは、親子参加災害体験キャンプを新たに実施するとか、そういったようなことでいろいろ工夫をさせていただいておるところでございます。  国土庁におきましては、このほか、主に小中高校生対象にしましたポスターコンクールでございますとか、そういうことも実施をさせていただいております。おかげさまで去年は約六千点の応募がございました。阪神淡路大震災後、小中高校生皆さん方にも大変防災に対する意識が高まってまいりました。そういうことも踏まえまして、そういうポスターコンクール実施するとともに、子供向けパンフレットとかビデオ等も作成いたしますなど、子供たち対象にした取り組みを今現在行っておるところでございます。  いろいろな機会を通じまして防災知識普及啓発に努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  14. 砂田圭佑

    砂田委員 ありがとうございます。ぜひともこういう基礎的な知識普及教育は続けていただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。  それでもなおかつ、地震が起これば甚大な被害をもたらすことは間違いのないところでございます。被害が起これば一番にやらなければならないことは人命救助、そして火災が発生すれば消火活動、そして家を失った人たち避難所の開設、あるいは食料の確保。そして、その後に訪れるのは生活再建であります。  被災者が何としても生活をやっていかなければならない。一週間後、一カ月後あるいは三カ月後の生活、将来への生活の不安というものは被災者にとってはぬぐえないことでありますから、被災者生活再建ということは大変重要な災害救助一つではないかという気がいたします。被災者におにぎりや毛布を配るのと同様に支援金給付を、当面の生活ができる支援金給付、これは決して財産を補償するとかなんとかという大げさなことじゃなくて、今日の日本社会の常識であれば当然、当面三カ月、四カ月生活できる支援金給付ということは必要なことではないかという気がいたします。  被災者生活再建のための公的な支援金給付するということについてどのようにお考えでありましょうか。国土庁から御返事を願います。
  15. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えを申し上げます。  たびたびこの委員会でもお答えをさせていただいているところでございますが、先生地元でございます阪神淡路大震災におきましては、被災者生活支援対策として、御案内のとおり、平成八年十二月に生活再建支援金支給プロジェクトチームで決定をいたしまして、平成九年度から現金支給実施しておるという状況でございます。また、被災中高年恒久住宅自立支援制度を創設いたしまして、平成九年十二月から受け付けを開始しておる、こういう状況でございます。  このうちの生活再建支援給付金といいますのは、もう先生に十分御案内でございますけれども住宅全壊等の高齢、要援護世帯に対しまして、一月一万五千円から二万五千円を五年間支給するということで、給付金に要する経費につきましては、阪神淡路大震災復興基金を三千億円積み増しをいたしまして、その運用益を充てることとしておりまして、国は地方財政措置により支援しておる、こういうことでございます。また、被災中高年恒久住宅自立支援制度についても、住宅全壊中高年齢世帯に対しまして、月一万五千円から二万円、二年間支給する、こういうことでやっております。  こういうふうに、大規模震災発生時には、被災者生活を迅速に支援するとともに、状況に応じまして弾力的に対応していくことが重要であるというふうに考えておるところでございます。御案内のとおり、防災問題懇談会においても、基金制度について検討が必要というふうに提言をされておりまして、私どもも十分その点について認識をしておる、こういう状況でございます。国土庁としましても、問題懇談会の趣旨を踏まえまして、将来の災害に備えた基金制度について、そういう認識のもとに頑張ってまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  16. 砂田圭佑

    砂田委員 ありがとうございます。被災者に対する御支援、御配慮もいろいろあると伺いましたけれども、実際に被災体験しますと、その日、その明くる日、もう全く目の前、差し迫って、生活をどうやって立て直そうか、あるいはどうやってあすをしのごうかという思いになるのは、被災者の共通の心理でありますし、それに不安が募ってますます困惑をするという状況になります。  あの一月十七日の夜中に、神戸の一番繁華街でありましたけれども、私の事務所があるところへ行きましたが、全く、人っ子一人いない。そして、冷たい北風の中でビルのガラス窓が落ちる音があちこちで聞こえるというような寂寛とした状況の中では、やはり何といっても、あしたは大丈夫か、あしたの朝飯は食えるか、きょうは飯が食えるかという思いが募るのは無理もないことでございます。そういうことがやはり略奪とか暴動のきっかけになり得ることは十分考えられることであります。  そういう意味では、被災者生活再建のためには国がこういうことをするぞ、全壊して何もなくなった人にはこれだけの給付金をすぐにでもお渡しするということが前もってわかっていれば、それはそれなりに、暴動抑止力になったり、略奪抑止力になるということもあり得ると思います。ぜいたくを申し上げるわけではありませんけれども、今の、二年後からの生活再建という意味での手当ては、いささか時期的にも遅過ぎる嫌いがありますし、額的にも不十分な部分があるのではないかという気がいたします。  二千四百万人の人が署名をして、そして四十七都道府県がそれぞれに意見書を採択しまして、ぜひとも被災者救援策について考えろ、考え場所をつくれということを、震災以後ずっと言われてまいった。そういう中で、ぜひとももう少し迅速に被災者手当てができるというような制度なり、そういうものを確立していく必要があるのではないか、私からの提案でございます。  そして、あの震災から既に三年以上たった今日でありますけれども被災地経済は、日本全体の不況とそして震災不況のダブルパンチを受けて、震災前の売り上げに対して商店は六割か七割ぐらいの復興率でありますから、大変厳しい経済環境に置かれていることは事実であります。それは大臣所信の中でもお触れをいただいております。産業復興支援策の一環として、政府系中小企業金融機関等特例措置、それを延長されたことが報告されております。そのことについては、地元商店街も大変助かることであります。感謝を申し上げる次第でございます。  中小企業庁にお伺いをいたしますけれども、もうこの七月で震災貸付金への受け付けば終わります。そしてまた、来年になれば返済が始まります。借入金の返済は大変な重荷となっているのは事実であります。政府特例措置、そして県、市の制度融資、そのさらなる延長、もう既に一回延長をして、四年になっておりますけれども、せめてもう一年は延長して、何とか中小企業者が仕事ができるように、引き続いて商売ができるように、その点、ぜひとも中小企業庁お願いを申し上げたいのであります。何かこの制度融資延長についてお考えがあればお聞かせをいただきたい。なければ、ぜひとも御検討いただいて、制度融資あるいは特別措置延長についてお考えをいただきたいと思います。
  17. 黒岩進

    黒岩説明員 先生指摘がございましたように、被災地中小企業につきましては、商店街地場産業等が非常に厳しい経営環境に置かれているということにつきましては、中小企業庁といたしましても十分認識しているところでございます。  このため、先ほど御指摘がございましたように、政府系中小企業金融機関災害復旧貸付につきましては、災害発生後まもなく受け付けを開始いたしまして、その貸し付け条件の面でも、融資枠の拡大、金利の引き下げ等思い切った措置を講じてきたところでございまして、その適用期間につきましては、三回の延長を行いまして、現在、平成十年七月末までとしているところでございます。  それから、国と兵庫県等が協力して実施いたしました阪神淡路大震災復興支援融資据置期間につきましては、通常一年のところを当初から三年に延長する特例措置を講じていたところでございますけれども、さらに一年延長いたしまして四年とするなど、被災中小企業者の経営支援を図っているところでございます。  これ以降の取り扱いということなのでございますけれども、これにつきましては、被災中小企業者状況等、御指摘も踏まえまして、よく把握した上、本融資制度の趣旨を踏まえまして十分に検討し、適切に対処していきたいというふうに考えております。
  18. 砂田圭佑

    砂田委員 神戸地域あるいは阪神地域経済状況経済の活性化のために、いろいろな側面から御支援をいただきたいと思います。ぜひとも一年間、さらなる延長お願い申し上げておきます。  この際でありますので、いささか自然災害とは不つり合いでありますけれども、官僚の諸君に望みたいことがありますので申し上げておきたいと思います。  今の官僚の不祥事は、恐らく日本社会を崩壊させるほどの大災害にも発展しかねない、そんな状況にあると思います。日本では、明治以来、官吏が大変清廉で無私無欲であったこと、そのことが今日の日本を築き上げる大きな要素になったことは間違いのないところであります。官僚の諸君に望みたいことは、権力ある者はそれに伴う義務と責任を果たさなければならない、古くから世界じゅうで言われてきたことであります。日本では、既に六世紀に、聖徳太子は十七条の憲法の五条で、餮を絶ち、欲を捨てて、明らかに訴訟を弁ぜよとうたっています。これはすなわち、官吏は飲み食いのむさぼりをやめて、そして物質的な欲望を捨て、訴訟があれば、訴える者あるいは訴えられる者の間に立って、公正な裁きをしなければならないということであります。組織に身を置く者の原点として、既に六世紀にこのことを聖徳太子が十七条の憲法で言っているわけであります。我々は歴史が培った秩序、そのことを子供のころから学ばなかったことが今日の悲劇をもたらしていると言っても過言ではないという気がいたします。  どうか官僚の諸君は、その能力を高めて、そして自信と誇りを持って、日本のために義務と責任の遂行をされることを強く望んで終わります。ありがとうございました。
  19. 西村章三

    西村委員長 以上で砂田圭佑君の質疑は終了いたしました。  次に、土肥隆一君。
  20. 土肥隆一

    土肥委員 民友連の土肥隆一でございます。  阪神淡路大震災から三年と三カ月がたちました。私も地元選出の議員として、この三年三カ月、胃が痛むような思いといいましょうか、そういう思いを持って被災地とともに歩んでまいりました。三年たてば、今までの震災対策、それも見直すべきときが来ているのではないか、根本的に見直さなければいけない、そういうふうに思っております。  そういう視点で、きょうは公的支援制度のあり方、つまり被災者には現金給付をしないという考え方、このことについてもう一遍きっちりと押さえておかないと、次の大地震に間に合わないというふうに考えます。  それから、行政のあり方として大変御努力いただいておることは事実でございまして、中央の復興本部、そして地元の復興本部とのいろいろな調整の中で震災対策が続けられてきた。しかし、本当に民意を、あるいは被災者の気持ちを酌み取ってそれを行政に生かすような、そういうフィードバックが常時行われてきたのかな。つまり、行政主体の震災復興は民意を十分に酌まない、あるいは酌むことのできない状況に陥ってしまうということが一つ。  そして、究極のところ、震災は莫大な損害を与えるわけでありまして、阪神淡路大震災で約十兆円、こう言われております。国も相当なお金をつぎ込んでまいりました。それも十分評価いたします。だけれども、結局は現行の政府の組織あるいは行政組織の中での、もっとはっきり言えば、縦割り行政の中でのそれぞれの震災復興対策であって、それを受けて、今度は地方もまた、それぞれ厚生省は厚生省、建設省は建設省、運輸省は運輸省という形で地元ニーズを出して、それに各省はこたえていく。つまり、これも一つの行政スタイルの限界だと思うのですが、根本的な、全体的な扱いになっていないのではないか、そういうふうに思うわけでございます。  まず、話の糸口として、もう一度政府のいわゆる公的支援と言われているものの概念、公的支援とは一体何なのか。冒頭申しましたように、個人への現金給付は含まないというふうに、政府の一貫した、あるいは繰り返して聞く説明でありますが、そういうふうに理解していいのかどうか。まず、大臣からお答えいただきたいと思います。
  21. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま公的支援についてのお尋ねでございますが、もう委員に改めてお話し申し上げる必要もないかと思いますが、個人の財産につきましては、これを個人の事由によって動かすことができるわけでございまして、それだけに、その財産に対していわゆる国が補償をするという、そういう考え方は基本的にとっていないということは今日まで政府が一貫して申し上げておることでございまして、それはそのとおりでございますけれども、しかしながら、現在被災者の方々が生活再建ということで大変苦しんでおられるという、その実情は私ども承知をいたしておりますので、その実情を一番よく御承知になっておられる地元地方公共団体がまず一義的にはそのことに対して対応をしておられる。それに対して国としてどこまでの支援ができるかということを十分に御相談をしながら御支援をしておる、そういうことでございます。
  22. 土肥隆一

    土肥委員 それは今まで聞いてきた公式の見解でございます。  今参議院に二つのいわば個人支援法案、法案の名前は違いますけれども、要するに個人的に現金を給付して、もう少し被災者に元気になってもらおう、ある人にとってはそれが当面の生活費に当たるかもしれませんけれども、あるいはそれを用いて小さな商売をしようとしていらっしゃる方もいるかもしれませんけれども、いろいろ期待はあるのです、その二つの法案を推進していらっしゃる皆さんにとっては。  しかし、究極のところ、あの人たちが問うているのは、この阪神淡路大震災のような未曾有の大災害大震災に対して、国は被災者に現金は渡さないのですか、渡すのですかということを問うているわけです。そして、渡さないというのだったら、これはそもそも日本災害対策というのは何なのかということに返っていくわけでありまして、もう一度聞きますけれども、それはいろいろと制限はありますけれども被災者個人に現金給付はしない、今後もしないというふうに大臣はお考えでしょうか。
  23. 亀井久興

    亀井国務大臣 これまた委員よく御承知のことでございますが、災害弔慰金制度というものがございますし、その災害弔慰金につきましては、現金で国が支給をする、そういうことでございますが、生活再建支援という、そのことにつきましては、現在とっております仕組みは、地方公共団体が設置をいたしました復興基金に対しまして、その復興基金を活用して生活再建支援給付金を出していただいておる、そのことに対する地方財政措置をとっているということでございまして、国が直接は現金の支給ということ、そういうやり方はとっていないということでございます。
  24. 土肥隆一

    土肥委員 地方財政措置と今おっしゃいましたけれども、要するに現金を渡せないけれども、迂回して地方財政措置で、行政措置地域住民の被災者の救援をしますということですね。それは、要するに行政措置でありますので、行政システムの中で行われるわけですね。そうすると、これから日本国民は、直下型のあのような大地震が大都会に起きますと、瞬く間にすべての財産から生命を奪われてしまうわけであります。そして、災害弔慰金とおっしゃいましたけれども、亡くなった方には五百万円の弔慰金を払う。生きた者には払わない。私は死んだ人をどうこう言うつもりはありません、本当にお気の毒な話であります。それはいいと思うのです。だけれども、生きている者に対して現金給付を一切しない国なんだと。それは、絶えず行政措置で迂回して被災市民の周辺の生活支援をしますということになります。  もう少し詳しく聞きたいのですけれども、これは復興本部が出した資料ですけれども、こういう資料がございます。「生活復興にかかる主な公的支援の概要」、こうありまして、そして一番の「避難所等における焚き出しその他食品の給与費」、食品の提供費ですね。そのほか瓦れきの処理、応急仮設住宅等々、ずっと、弔慰金も入れまして十二項目ありますが、これがいわゆる政府の公的支援なんでしょうか。  復興本部、お願いします。
  25. 田中正章

    田中(正)政府委員 今先生の方から公的支援という言葉を使ってお話がございました。  これまでに、これも当委員会で私は御説明させていただいたわけでございますけれども阪神淡路の復興・復旧対策ということを目指しましては、四兆円を超える国費というものをもって、インフラの復旧から始まって住宅の再建、そういったものに取り組んできているということを申し上げております。  その中で、今申し上げましたのは、弔慰金というようなものを除きますと、必ずしも現金の支給ではございません。弔慰金は、今大臣が申し上げましたとおり、まさに現金の支給ということになりますが。現金の支給ではございませんけれども、個人の生活支援というものが国費で行われているようなもの、そういったようなものを四兆円の国費の中から拾い出してみますと、今項目にございましたような瓦れきの処理あるいは住まいをつくるという、公営住宅をつくり、その家賃を下げる等々といったような、国費の四兆円の中でも一兆円を超える金額は、いわゆる被災者生活支援、こういったものに行っているのではないか、そういう形で使われているのではないか、そういうふうに考えて、整理をさせて、御説明をしたことがあるわけでございます。  それからもう一つつけ加えさせていただきますと、現金の給付というお話をされました。その性格については、まことに大臣が申し上げたとおりでございますが、これまたそういった政府が講じる施策を補完して、地元地方公共団体が機動的、弾力的な施策を講じるために、地域において、県、市と申し上げたらよろしいと思いますが、復興基金というものをつくっております。  この復興基金においても、生活支援ということを目指した大変きめの細かいメニューでの事業実施しておるわけでございます。百を超えるメニューで実施してきておるわけでございますが、この中の事業一つとして生活再建支援金給付というようなことも昨年来始めてきているということでございます。こういうことに対して、国は復興基金に対して地方財政措置支援を行っている、こういうことになっておるわけでございます。  くどく申し上げましたが、国費の関係の整理の問題と、機動的、補完的に行う措置の基金の事業、そういったような多様なメニューで、いわば阪神淡路の復興、復旧には幅広くきめ細かく取り組んできているということを御説明申し上げてきたわけでございます。
  26. 土肥隆一

    土肥委員 大変ありがたいことでございます。  しかし、今まだ二万四千世帯からが仮設住宅にいらっしゃるのです。そして恒久住宅にこれから移っていくわけですが、今の復興基金の運用についても後で質問いたしますけれども、端的に言えば、元気が出ないのですよ。被災者が三年間応急仮設住宅に入って、別にそんなに悪い住環境じゃありません、人間としては住めます。だけれども、三年間そこにいて、それからいよいよ公営住宅に入っていって、頑張りなさいよ、家賃もまけてあげますよと。大変ありがたいことです。だけれども、元気が出ないのですね。  元気が出ないというのは、単に元気を出せということじゃなくて、自分の生活設計が立たないのです。すべて行政措置であります。仮設住宅に入りました、三年がたちました、いよいよ本格的に恒久住宅に移ります、どうぞ入ってください。ありがたい話です。仮設という箱から、今度はコンクリートの箱に移っただけ。そこで、自分はどういう生き方をするのだ、自分はこう生きたいのだというときに、元気になる方法、自分の人生は自分できっちり頑張っていく、そういう意気込みを被災者に与えない限り、これは後日、一年後、五年後に悪い結果を及ぼすのではないか。個人をどう立ち上がらせるかということはこれからの課題なんです。これは行政では余りできないことですね。  立ち上がってもらうために、我々はその被災者の将来を考えてあげる。ただ考えるだけではなくて、その人の持っている資力や能力や体力も含めてどういう生き方が可能かということを聞いてあげる。その上で、やはり必要なのはお金なんです。  何かお金を手にしたいと思ったら、ほとんどそれは貸付金ですね。利子補給もありますから、私はもう勇気のある人はどんどん借りたらいい、こう思うのですけれども、また貸し付けの条件もいろいろ難しゅうございます。その、元気の出るような方法はないだろうかというのが私のきょうの質問のテーマであります。  そうすると、お金があったら元気になるの、こう言う人がいるのです。やはり私はお金が必要だと思うのですよ。このお金で元気になってください、そういうふうな何かの働きかけをしない限り、これは、被災地の皆さんは、棄民だ、捨てられた民だ、こういうふうに表現なさいますけれども、無理もない話だと思うのです。  ですから私は、一つは、まだ二万四千世帯もいらっしゃるけれども、お一人お一人の、一軒一軒の暮らしの状況とその方々の生活状況をよく把握すること、そしてその一人一人の要望や希望に対して行政がどうこたえていくかということが必要だろう、これがこれからのかぎだと思っております。  そうすると、復興基金をつくって、そこから二つのいわば個人支援が始まったのですね。個人給付が始まった。それが今次長がおっしゃった、まさに高齢者に対する生活支援金、それから中高年層に対する支援金が出てまいりました。この復興基金でこういうことを始めたということは、私はまさに個人支援、個人補償、補償と言わない、個人支援が始まったというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  27. 田中正章

    田中(正)政府委員 今先生も言葉を、個人支援とおっしゃったり、あるいは個人補償というふうにおっしゃったりしております。そのことについて私の方からお答えするときには、もし個人補償というお尋ねだと、両方おっしゃいましたのでそちらの方でお答えさせていただきますとすると、今この二つの支援金というのは、いずれも、失われた個人の財産の損失を補償することを目的とするものではございません。  まず生活再建支援金についてでございますが、これは、御案内のように、被災世帯が恒久住宅への移転を契機に自立した生活の再建ができるようにするため、住家を失った高齢世帯や要援護世帯で非課税の世帯の人たちに対して、その自立を促す観点から、移転に伴って必要となる経費を支援するものであります。御案内のように、世帯当たり月額一万五千円から二万五千円というものを最大で五年間支給するというものでございます。  それから、もう一つ被災中高年の自立支援金というものでございますが、これも恒久住宅への本格的な移行の段階に至っているわけでございますが、そういった中で被災中高年世帯の恒久住宅への円滑な移転と自立を支援するために、これもまた住家を失った世帯主で、四十五歳以上の中高年世帯でございます。総所得金額が五百七万円以下、こういった方々に今の高齢世帯と同様の経費を支援するためのものでございます。世帯当たりでこちらの方は月額一万五千円から二万円を二年間支給するということで、ただいま受付を開始しているものでございます。前者の方については、昨年から支給を開始しておるものでございます。  これらは、いずれも被災者の自立再建を進めようということで、先生もおっしゃられるような意味での幅広い、地元の生のいろいろなお声を聞きながらこの復興基金を活用して措置を講じていこう、こういうことをいわば地元の県、市が決められまして、実施されているものでございます。  こういった地方公共団体の要望に対しては、再々申し上げているところでございますが、国としては、この復興基金に対して地方財政措置による支援を行っている、こういうことでございます。
  28. 土肥隆一

    土肥委員 だけれども、初めて現金給付が行われるのですね。単身世帯で月一万五千円、そして複数世帯だと二万円を五年間支給する。初めて、現金給付ではないのですか。
  29. 田中正章

    田中(正)政府委員 再々御答弁させていただいているところでございますが、大臣が冒頭申し上げましたように、個人補償との絡みで先生がお聞きになっているとすると、私がくどく丁寧に今御説明をさせていただいたのは、この復興基金から支給されている支援金、この二つとも、性格としては、恒久住宅へ移ってまさに心機一転、新しい生活に臨もうとする、そういう一定の世帯の人たちに対してその自立再建に必要な一定の額を支給していく、そういう考え方で県、市が実施をしていくことを決めた、こういうものでございます。
  30. 土肥隆一

    土肥委員 くどいようですが、個人補償とかいうような言葉は抜きにしても、初めて現金給付が行われたということですね。  復興基金なら現金給付が可能なのですか。お答えください。
  31. 田中正章

    田中(正)政府委員 復興基金の性格の問題になると思いますが、復興基金というものは、県と市がいわば出指をいたしましたり、積み立てたりしてつくりました基金でございます。  この基金が実施する事業というものは、基本的には、県、市が地元の実情に応じてメニューや中身を決めていくということになるわけでございます。それに対して、国としては必要な支援を行っている、こういうものでございます。
  32. 土肥隆一

    土肥委員 そうすると、この復興基金は、個人支援とは言わなくても個人支援だと思うのですけれども生活支援というふうに言っていらっしゃいますが、これからは自由にというか、弾力的に額を拡大したり対象者を拡大したりする可能性を秘めている基金制度であるというふうに考えていいのでしょうか。
  33. 田中正章

    田中(正)政府委員 一般論で申し上げさせていただきたいと思います。  一般論で申し上げますと、これまで復興基金は、たしか私の記憶ですと、正確ではないかもしれませんから間違えているかもしれません、間違えたらあれでございますが、正確な資料が手元にございませんが、当初出発したころのメニューというのは、六十ないし七十のメニューで出発をして、その後、県、市というものが、地元の復興の段階状況に応じながら、被災地の復旧、復興、こういったきめ細かな施策を実施していく上で必要なメニューというのを追加あるいは拡充をして、現在はメニュー数にして百を超える事業実施をしてきているということになると思います。  こういったようなことで、基金の行う具体的な事業というのは、やはり基金を設置された兵庫県や神戸市において、基金の設置趣旨を踏まえ、また地元の実情に応じて決定され実施されていくもの、このように承知しております。
  34. 土肥隆一

    土肥委員 それでは、地元の復興本部あるいは地元県、市の判断で個人給付は十分可能だ、増額も可能だ、対象者の拡大も可能だというふうに理解していいのでしょうか。
  35. 田中正章

    田中(正)政府委員 基本的な一般論で私は今申し上げました。基金の性格というものを今申し上げたわけでございます。それに尽きるわけでございまして、今私は、仮定の問題について政府の立場でお答えする立場にはございませんので、御容赦いただきたいと思います。
  36. 土肥隆一

    土肥委員 それでは、重ねてお尋ねいたしますが、最初六千億の基金を県、市が積んで、そして後にまた三千億積み増して、九千億今基金があるのですが、それの金利分は全部地方財政措置で見ていらっしゃるわけですから、言ってみれば、地方財政措置の中のお金を使って財団法人である復興基金本部が復興事業をやっておるわけですね。結局国がお金を出しているのでしょう。  そうすると、なぜ六千億から三千億積み上げたか、その経過を教えてください。
  37. 田中正章

    田中(正)政府委員 先ほど来申し上げておりますが、兵庫県と神戸市においては、阪神淡路地域の復興、復旧に関する各般の施策を補完して、被災者の自立支援を初めとする各種の幅広いきめ細やかな施策を機動的、弾力的に進めることを目的といたしまして基金を設けておるところでございまして、この基金は当初、先生の御案内のように、六千億円で始まったわけでございます。平成七年でございます。  その後、地方公共団体の方から、まさに兵庫県、地元の方でございますけれども、そちらの方から、生活再建支援という事柄についてこの基金を活用して実施したいという要望がございまして、それで基金から支給が行われるということになったわけでございます。この措置実施するために、兵庫県及び神戸市が基金の規模を三千億円積み増しをしたところでございます。  政府といたしましては、この措置実施するための必要な支援として、積み増しの原資について地方債の発行を許可するとともに、三千億円のうちの二千億から生じる利子の一定割合について地方交付税措置というものを講じて支援を行っている、こういう経過でございます。
  38. 土肥隆一

    土肥委員 そうすると、神戸市がもっとお金が要る、復興基金をふやして頑張りたいというときに、これがまた三千億、五千億と積み上がっても、地元がおっしゃることですからどうぞ頑張ってください、こう言って増額を認めるのでしょうか。
  39. 田中正章

    田中(正)政府委員 たびたびの御質問でございますけれども、私どもは、県と市と相談をしながらこれまで復興、復旧の施策を進めてまいってきたわけでございます。先生のおっしゃる話というのは、仮定の話や今後のいわゆる見込みの話や、あるいは、まことに申しわけございませんが、先生のいわば推測に基づくお話、こういうものについては私どもとして、今の段階政府としてそのことをお答えする立場にはない、ここのところは御理解いただきたいと思っております。
  40. 土肥隆一

    土肥委員 それは田中さんとしては無理かもしれませんけれども大臣に言うと、また大臣も無理かもしれませんので。  要するに、復興基金で逃げたのですね。そして、これは市、県が借金するのですから、だから借金がどんどんふえていくわけです。元金は残りますから返せるわけですけれども。そういう意味では、地方交付税にいわば紛れ込ませて復興基金の支援をしよう、こういう政府考えなわけです。  それで、結論を言いますと、復興基金で十年間で大体三千百億から三千五百億ぐらいの運用益が出てくるわけですね。結局、三千億では足りないということなのです。  被災市民へのきめ細かな方策をとおっしゃいます。復興基金のメニューを見ますと、今、百五か何かあるのですね。そして、ずっと見ていても、何をするのかよくわからないのです。とにかくすごいメニューがあるわけです。ですから、私としては、このメニューを大幅に見直して、もう少し被災者が元気の出るような形にお金を使っていく。元気が出るというのは、一つは心配がないようにしてやるということですね。そして、将来の見通しが立つようなお金の使い方に全部変えるべきだというのが私の提言でございまして、あくまでも個人給付はしない、だけれども復興基金で生活支援策をとっていくというならば、これはもう地元の議会なり、地元の行政が考え方を変えていただかなければならないわけであります。  これは阪神淡路だけの話ではございませんで、委員の皆さんが住んでいらっしゃる町でいつ起こるかわからない、大災害が起こるわけでありまして、そのときに今みたいなお金の使い方をしていると、結局私は、棄民というのはちょっと言い過ぎかと思いますけれども、一人一人の問題は捨象されまして、捨てられまして、いわば行政のシステムの中でどうぞ生きていってください、行政の提供するサービスで生活再建をしなさいと。辛うじてここに二種類の、生活支援策あるいは自立支援制度ができたわけでありまして、この考え方というのは、復興基金というような形で逃げても、実は追いつかないのです。  そもそも、この地震が起きたときに、十兆円の損害で、政府は四兆数千億出されたという話でございますし、また、それに見合った地方の負担金もあるわけでございまして、それは相当な事業ですよ。先ほど田中次長は、民生というか個人支援に近いものとして一兆円というふうにおっしゃいましたけれども被災者それぞれに一兆円お金が来た、あるいは四兆円でもいいですよ、四兆円が来たという実感はほとんどないのです。これが行政の措置の難しいところでありまして、個人に届いていないわけですね。それで、辛うじて今二つの支援策が復興基金を通じてなされようとしている。  本当に一兆円使ったのかなと、私も疑問に思っていろいろ計算をしております。私の計算だと五、六千億ではないかなというように思ったりもしますけれども、十兆円の損害で、せめて十分の一ぐらいはそれぞれの被災者が立ち上がる資金に回したらどうですかというのが二つの法案の基本的な考え方なのです。  つまり、配分の問題でもあるし、同時に財政の問題でもあるわけです。結局、六次か七次にわたって、補正予算も含めて大変な額、四兆三千億というお金が国費で出ました。大変ありがたいことです。だけれども、一言で言えば、被災者生活に触れるようなお金の支給はなかったということなのです。それで、今も被災者の皆さんがいろいろな運動を通じて言っていらっしゃるのは、そういう震災対策で、災害対策でいいのですかということなのです。それで本当に国や地方自治体は責任を果たしたのですかと。  お金が欲しいというのではないのですよ。市民立法という方々の総額は一兆一千億か何かですね。そのお金が欲しいというのではなくて、それぐらいのお金を使わないと元気が出ないし、立ち直ることはできませんよと。その他の行政措置、行政政策は結構です、やってください。だけれども、根本的に一人一人に、おい、元気を出せよというのは、市民の皆さんの考え方によると、一人五百万円ぐらいではないのと。  実は、私、もう一つ話の展開として申し上げたいのは、やはりこれだけの十兆円規模大震災が起きたときには、増税しかないのです。  僕はそのころまだ与党におりまして、村山政権の中で復興プロジェクトにおりましたが、一%の消費税アップ、つまり、阪神淡路震災対策特別消費税というようなものをやりますと、一%だと二兆二、三千億か二兆五千億ぐらいになりますね。これが五年続けばもう十兆になってしまうわけです。全国民の皆さんに、阪神淡路大震災のために三年間、あるいは二年間でいいですよ、市民生活を立ち上がらせるために消費税を下さいと言ったときに、反対するでしょうか。税制として非常に難しいという論議は確かにございます。それは認めます。だけれども、それぐらいの財源がなければ結局市民生活は立ち上がらないということなのです。  ですから、この災害特というのは一体何をする委員会かなと思うときに、やはり根本的に災害対策というものを考え直さなければいけません。  例えば、地震保険なんて何の役にも立たないですよ。今後五十年、百年に地震が起きるかもわからない。相当地震保険の加入率がふえましたよ。今は損害保険に一七%ぐらい入っていると思いますが、これは年間大体十万円掛けるわけですね。そして返ってくるのは一千万円までです。これは国民が掛けるはずがないです。地震があるかもわからないから皆さん地震保険に入りなさいよなどと言ったら、保険会社がもうかっているだけなのです。相当なもうけが残っていると思いますよ。何千億、あるいは兆の単位で地震保険の会社は収益を残しているというふうに私は想像しますけれども。  これはやはり、地震が起きたときには国家として特別なお金を集めて助ける以外にないのです。そういうシステムに今なっていないということを私は繰り返し申し上げているわけです。  では今後どうするのと。きょうの段階では、政府は一切個人的に支給はしませんとおっしゃる。そして、復興基金は地方に任せていますから、地方が借金するのだからそれを待ちましょう。となると、神戸市民は、あるいは被災者は覚悟しなければいけません。つまり、国は個人的には何もしないということを確認しなければならない。そういう事態になるわけであります。  だから、提案ですけれども、今から、復興基金の運用がまだあと七年あるわけでありますから、私は、復興基金を大幅に見直しまして、細かなメニューをたくさんつくるのはやめて、具体的に個人の被災者生活支援というところに視点を置いて重点的にお金を使っていく。十年間で三千百億円ぐらいじゃ間に合いません。やはりあと五千億ぐらいつくらなきゃならないんじゃないかというような思いもいたしますけれども、こんな財政状況の中で、こういう景気の中でそんな金が出るのかという話にすぐなるわけです。だけれども、多くの被災者をそのまま、自分で生活の設計をし、人生の設計をして、自分で立ち上がりなさい、こう言ったときに、神戸市の暮らしというもの、神戸市の市民というものがどういう状況になっているかなと思うと、背筋が寒くなる思いがいたします。そして、政治家は何をしていたんだという批判のそしりを免れない、そのように思うのであります。  ですから、国の方で、地方、地方とおっしゃいますけれども、中央の復興本部と地方本部の定期的な協議会がございますね。その協議会の中身について、全く私は刷り物でしか知っておりませんけれども、どんな話がなされているか御説明いただきたいと思います。
  41. 田中正章

    田中(正)政府委員 お答え申し上げます。  政府と兵庫県、神戸市との協議会の性格、機能、あるいはその話の中身というようなことだと思いますが、被災地の復興・復旧状況について一番身近な存在でございます県、市、知事さんあるいは市長さん、こういった方の御意見を伺いながら対策を講じていくことが基本であるとともに重要であるという認識でございまして、こういったことから、県、市とそれから私ども復興本部との率直な意見交換を行う場として協議会というのが設けられております。これは平成八年から随時開催されてきておるわけでございます。  この協議会では、一番最初に、平成八年でございますが、スタートした時点では、やはりそのころはまだ住宅という問題が大変大きな問題でございましたから、被災地住宅再建、まあ生活再建の前提となる住宅対策、こういったようなことがこの協議会の場で議論をされました。その次には、やはり被災者の方々の仮設住宅や、それからその後、恒久住宅へ移っていく過程での健康や生きがいやコミュニティーの問題、そういったようなことが取り上げられたということでございます。それで、一番最近の前回の協議会におきましては、経済とか産業の復興、こういったことが焦点になりまして、意見交換を行ったというところでございます。  このように、この協議会では、復興の進捗に応じてその時々の重要なテーマについて意見交換を行ってきているというところでございます。
  42. 土肥隆一

    土肥委員 じゃ、そのときに、何回目の会議か知りませんけれども生活支援対策についてはどういう話し合いがなされたのですか。
  43. 田中正章

    田中(正)政府委員 この協議会、テーマを設けますが、テーマは幅広いものですから、その会議会議でいろいろな意見が出てきておるわけでございますけれども、今先生の御指摘のあった生活支援というような話については、主として、平成八年の九月に行われたときに、県、市の方から、地元地方公共団体の方から、いわば個別化、細分化した被災地生活復興に向けた課題、これについての説明を受けまして、被災地生活復興のためのコミュニティーづくりでございますとか、生きがいづくりでございますとか、保健福祉サービスの充実、こういった方向について、平成八年の時点でございますけれども、意見交換を行ったところでございます。
  44. 土肥隆一

    土肥委員 今ちょっと答えはなさってないのですが、生活支援対策について話し合いがなされたのですか。
  45. 田中正章

    田中(正)政府委員 先生のおっしゃっている生活支援ということがどういうことなのかということですが、私の申し上げているのは、生活復興に向けた生活支援が幅広くこの場で議論されたというふうに承っているところでございますが。
  46. 土肥隆一

    土肥委員 一万五千円や二万円という話はなかったんですかね。どうですか。
  47. 田中正章

    田中(正)政府委員 もしこの時点での会議ということを前提にするとすると、そういう議論ではなかったというふうに承知しております。むしろ、もっと幅広く、具体的な施策というものをこの場で決めるわけではございません。意見交換をして、地域状況を一番よく知っている、しかも地域の責任者である知事さん、市長さんから地域状況を聞いて、どういう施策が今後考えられるかという、施策の前段階での率直な意見交換を行ったわけでございますから、具体的な施策をここの場で決めたり議論したりということではなかったというふうに承知しております。
  48. 土肥隆一

    土肥委員 ちょっとしつこいようですけれども、そのときに三千億積み増しして生活支援金を捻出しようという、そういう話は全くなかったんですか。
  49. 田中正章

    田中(正)政府委員 時点的に申し上げますと、生活再建支援金というものが、いわば、これは先生も先ほどちょっと触れられましたけれども、与党の復興PT、プロジェクトチームで決められましたのは、平成八年の十二月という時点でございます。
  50. 土肥隆一

    土肥委員 それを早くおっしゃったらいいんです。  つまり、与党の政策調整会議の決定を受けたのが平成八年の十二月。そして、そこで生活再建支援給付金生活復興資金貸付金の充実が提案された。つまり、ここで政治が動いているわけですよね。行政ではなくて政治が動いたんです、ここで。そして、三千億の積み増しが行われて、そして給付金あるいは個人支援的なものが始まったわけです。そういうふうに理解していいんでしょうか。田中さん、どうぞ。
  51. 田中正章

    田中(正)政府委員 生活再建支援金ということを始めるに当たって、県、市から復興基金を活用して実施したいという強い要望が与党の復興プロジェクトチームの方に出され、そこで議論がなされ、その後、施策が実施されていったという経過は申し上げたとおりでございます。  ただ、こういった一つ一つの施策に至る過程において、やはり地元の方で一番被災地に近い立場にある知事さん、市長さんとの意見交換会というものを随時開かせていただいている、こういう状況でございます。
  52. 土肥隆一

    土肥委員 この阪神淡路大震災の復興施策のスキームの中で、僕は初めて政治が動いたと思うんですね。そういう感がしてなりません。これは、もうすぐれて政権の仕事でございまして、与党三党がこれから神戸市をあるいは阪神淡路大震災被災地をどう考えていくかということに尽きるわけでありまして。こういう政治的な働きかけがあれば動くんですね。それは、県、市が望んできたというのは、県、市も、ようやく三年たって、被災者の復興支援について認識が変わってきたのです。  これは市が出している文書ですけれども被災者復興支援という文書の中に、いろいろやってきました、瓦れきの処理や避難所対策もやってきましたと。だけれども被災者、とりわけ自立復興が極めて難しい高齢被災者などの一日も早い生活復興のために、生活実態や生活再建段階に応じた総合的、体系的な施策が必要だと。そして、被災者が抱えている課題も多様化、個別化し、被災者生活再建に格差が生じつつあることから、これまで以上に一人一人のさまざまな実情に即したきめ細かな対策を図っていかねばならない、こう述べているわけです。  それで、私の理解、私の考えで言えば、もう震災が起きた一月十七日のその日から、一人一人の抱える課題も個別的に一人一人問題があるのであって、そして被災者生活再建というものも一人一人なのですね。ですから、三年たってそういう認識をしましたというのもちょっと言い過ぎかとも思いますけれども、こういう視点が、いわばこの震災復興のプロセスに応じて今になってやっと出てきたということだろうと思います。そして、今やっと出てきたのがこの生活支援対策だというふうに理解するわけであります。だけれども、本当に一人一人の個別的な状況に応じて地方行政が、県や市がやるんだろうかということになりますと、地元から選ばれている者としてもちょっと困るのでありますけれども、そういう、人間というのはみんな個別化しているわけでありまして、個別的状況を持っているわけでありまして、その個別の、個が立ち上がらなきゃいけない、一人一人が立ち上がらなきゃいけないわけでありますから、一層そういう支援策をしていかない限り、いわば棄民と言われるようなことになりかねない。そういう状態にならないために今後どうしたらいいかなということです。  それで、復興協議会なり復興本部が、国ですから阪神淡路大震災の復興本部とはいえ細かいことまでわかりません。だけれども復興協議会が開かれていて、県と市の、これは非常に行政マンによる協議会ですね。行政担当者、国と地方の行政担当者の協議会でありまして、もちろん地方は民意を反映して出てきているということは疑うことはいたしませんけれども、しかし、国も、地方から地方からというのが一つの、言い逃れと言ったらごめんなさいね、そういうことになるのかな。もっと積極的な提案はできないものだろうか。  例えば、国会でこういう議論があったけれども、一体個別支援というのはどうやったら可能だろうか。そして、被災者が仮設にいるときも、そして三年たった今も、恒久住宅に入ってからも元気に頑張ってもらうことが、社会として、国家として、自治体としてありがたいことなのであって、そういう考え方の、発想の転換をするべきではなかろうかというふうに思っているわけでありまして、ただ地方から言ってくることを、これはだめね、これはいいねというようなことで振り分けるようなことでは本当の協議会になっていかないのじゃないかというふうに思うのです。  協議会の中身を変える、あるいはそこで行われる討議について、もう少し行政施策ではなくて、行政手法じゃなくて、国民生活に即した、被災者生活に即した議論というのはこの場では不可能なのですかね。その辺の感触を、次長、どう思われますか。
  53. 田中正章

    田中(正)政府委員 お答え申し上げます。  先生は、行政の施策というものが一つあって、それ以外にはこの阪神淡路対策では出ていない、あるいは少ない、こういう御認識があるやに承るわけでございます。このことについては、私自身も実は先生と直接、この場ではございませんけれどもお話しした記憶もあるわけでございます。  震災という確かに未曾有の災害に当たりまして、それに対して、復興あるいは復旧の段階段階に応じて、いわば国も国費を使うときに相当な特例措置というものを使ってやってきておるわけでございます。それに加えて、国の措置あるいは行政の措置を補完するために基金というものを、機動的、弾力的に行う基金というものをつくっているわけでございます。  このメニューが、先ほど先生多過ぎるという御指摘もちょっとあったわけでございますけれども、逆に言うと、私どもは、地元の県、市がこういうメニューを決める過程というのは、地元の中で、まさに個別化、多様化するいろいろな方々の御要望の中から、やはり手を打つべきものはと言って追加し、あるいは拡充してくるということ、いわば不断に行われている結果として、地方が努力をされている結果としてそれが具体の施策にあらわれてきているのじゃないか、こういうふうに思っているわけでございます。  もちろん協議会という場においては、通常の行政ベースを超えたような災害についての対応ということの意見交換は行われるわけでございます。ただ、この場は率直な意見交換をして、それぞれまた国も考えよう、県、市も考えようと言って、それぞれの舞台のところで具体的な施策をまた考えていく。それからまた集まって、随時忌憚のない意見交換。こういうやりとりの中から、例えて申し上げますと、復興基金の施策があるいは充実したり、そういうようなことが打ち出されてきている。  こういういわば行政が画一的に行っていることをいかに考えていくか、いかにそこのところを阪神淡路向けに考えていくか。そのときに、国が上から一網打尽的にやれる施策ではなく、積み上げて、地方の側から被災地に合った形をどうやってつくっていくか。これを三年間、私どもは協議会という場、あるいはそれ以外の機会をとらえて被災地の方々からお話を聞きながら進めてきている、こういうものではないかというふうに思っているところでございます。
  54. 土肥隆一

    土肥委員 よくわかります。よくわかった上で言っているわけでありまして、三年たちましたから、ああ、あれも要る、これも要るというようなメニュー方式というのはおやめになって、根本的に復興基金をどう使うかというその理念なり方向性を今考えるべきときじゃないのですかということを言うわけです。そういうふうに思っているわけです。これはもう何か県会議員さんか市会議員さんの質問になって、申しわけないのですけれども。  それで、生活復興だけで、生活対策だけで三十三項目あるのですね。そして、取っかえ引つかえいろいろなのがありまして、いきいきライフサポートとかいきがい「しごと」づくり、コミュニティプラザ、健康づくり、生活支援マネジメントとかいろいろあるわけです。たくさんあるわけです。受ける側から言うと、これは何なのかよくわからないというのが実態じゃなかろうかと思うのですね。  ですから、これは提案なのですが、やはりメニューを凝縮して、少し幅を持たせて、一種の行政改革、中央省庁の改編みたいなものでして、そのメニュー間でも自由にお金が使われて、そして本当に必要なところに必要なものが、お金も使われるというふうにしてほしいな。そうすればもう少し、まだ仮設住宅にいる人も、ああ、この人が来てくれた、この人に相談すれば何もかも聞いてくれると。そして、いろいろなサービスが、百五もあるのですから、そのサービスのうちのこれとこれを使ったらいいわよというような、そういうガイド役をしてくれるような、コーディネートをしてくれるような人がいないと、この復興基金のメニューというのは、よく市民のニーズにこたえてとおっしゃいますけれども、実はそうはなってないのじゃないか。私、もう少しこの辺については調査したいと思います。  ですから、私にとっては、生活支援対策として二つのメニューが出てきて、まさにメニューが出てきて現金が給付されたということは非常にありがたいことだ。ありがたいというよりも、いよいよ復興基金の本当の使われ方が始められたなというふうに思うわけです。それは、先ほど言いましたように、一人一人の抱える課題も違うし、個別化しているし、被災者生活再建に格差があるわけでありますから、一つ一つやらざるを得ないわけです。  しかし、それにしても、この生活支援対策一つ問題なのは、恒久住宅に移ってから一万五千円から二万円の支援金を渡す、こういうふうになっているわけですね。被災者というのは、被災を受けたその年から、一年目も二年目も三年目も四年目も、自分というのを担って、自分のいろいろな生活を辛うじて行っているわけでありまして、そして支援があるなら支援を受けたい部分というのはたくさんあるわけです。ですから、どうも恒久住宅に移ってからの支援策ですよと言われると、ははあと思うわけですね。これは皆さんに答弁してもらうとお気の毒ですが、要するに早く仮設を出てちょうだいというふうになるわけです。  一つちょっと確認しておきたいのですが、きょうは建設省おいでになっていませんね。厚生省、おいでになっていますか。厚生省で結構です。仮設住宅の使用年限が二年三カ月から一年後と延ばされて、そして事情によっては継続できるというふうになっていますが、これは要するに、環境さえちゃんと整えて生活ができる状態であれば何年住んでもいいという理解でいいのですか。おわかりになりますか。
  55. 田中正章

    田中(正)政府委員 私の方からかわって答えさせていただきます。  仮設住宅の関係は厚生省の方でいろいろ御配慮いただいている問題でございますが、私が厚生省の方から聞いている話によりますと、仮設住宅のいわば使う期限、供用期間と申しますか、これは延長されてきておりますが、現在は、地元の方でその期間を設定して、いわばいつまでにということが決められるような形になっている、このように聞いておるところでございます。
  56. 土肥隆一

    土肥委員 じゃ地元で、どうぞお住みくださいと言えばいいのかなというふうに思うわけです。  というのは、もうここでいいですという方がたくさんいらっしゃるのですよ。もう移さないでくださいと。それは私も困ったなと思うのですが、やはりそれも復興基金のいろいろな生活相談のまずさからきているのですね。契約をして二年三カ月ですか、法律に基づいて入っているという意識はほとんどないです。ですから、ここでもう結構ですとおっしゃるわけですね。  これはどうでしょうか。いよいよもう復興住宅がそろって、しかしもう動かないよという人に対して、何か法的な強制権というのはあるのですかね。田中さん、おわかりになりますか。
  57. 田中正章

    田中(正)政府委員 仮設住宅の供用期間ということと絡めた議論とは別の問題としてお答えさせていただきたいと思っておりますが、これは仮設の構造からいってもやはりそう長く住んでいただくのが適当かどうかという問題がございます。  それからもう一つは、先生地元でよく御案内のように、仮設住宅というのは、民間の土地をお借りしたり、あるいは公共の土地であっても公園や広場というところを使っておるわけでございます。やはり当然そういうところを使わなければいけないという事情もある一方、周辺の住民の人たちからは、あるいはもとの地主さんからはいろいろな要望も出てくるのもこれまた当然のところでございます。  ただ、現在私どもが県、市から聞いておる話によりますと、やはり円滑に恒久住宅に移っていただく、そのために一つは公営住宅の大量供給とか家賃の大幅引き下げをやって、その公営住宅がまさに今いわば完成して供用開始に乗り出してきているところでございます。こういうタイミングの中でやはり公営住宅を中心とする恒久住宅に円滑に移っていただきながら、そういう中で、必要がなくなってきた仮設について順次いわば統廃合的なことをその次の段階として考えていこうというようなことを聞いております。ですから決して、統廃合がまずありき、供用期間お話が出たので、そういうことでは地元考えておられない。  ただ、地域の実情あるいはお住まいの方々ということを考えていったとき、やはりこれは恒久住宅へ移っていただくということが第一で、その過程の中で、順次仮設間でのいろいろなやりとりとかそういうものも考えていかなければならない段階にそろそろ来るのじゃないか。そういうことについての御協力も、実は仮設にお住まいの方々に、一部でございますけれども、昨年来お願いをして既にそういうことが進められているところもありますし、今後、昨年末の一元化募集で大量に公営住宅などが出ましたので、その関係の完成、かぎ渡しというのがこの春からピークになっていく過程の中で、仮設の方々と御相談しながら、地域地方公共団体がきめ細やかに御相談されていく事柄だ、このように考えております。
  58. 土肥隆一

    土肥委員 いろいろ問題点を挙げてきましたが、今回の大震災一つ問題になっておりますのは義援金の話なんですね。これは国民の全く任意の、善意の、励ましの献金ということでありますが、御承知のように、北海道の南西沖地震では対象者一人当たり二千二百万円、それから普賢岳の方は約二千万円、阪神淡路大震災は四十万円。市民の皆さんは義援金というようなことの意味も余り御存じないのですね。したがって、何か新聞を読むと、ほかは二千万円出ているのに阪神淡路はなぜ四十万円なの、こう考えるわけです。せめて北海道あるいは雲仙並みにというふうな話になるわけです。  一体義援金というのは今どういう扱いになっているのですか。厚生省の方でお答えください。
  59. 大泉博子

    ○大泉説明員 まず、義援金というものの考え方でございますけれども、私ども、先ほど先生がおっしゃいましたように、これは人々の任意の、善意の寄附金というふうに考えております。したがいまして、先生のお言葉をかりれば、被災者を励ましたり慰めたり、あるいは同じ気持ちであるということをあらわすお金であるというふうに考えております。  したがって、政府の復興事業なんかとは違う種類のものであると考えておりまして、私どもは、この義援金の配分に当たりましては、皆様の善意が生かされるようにより早くお配りする、あるいはよりわかりやすくお配りする、公平を保つというようなことが確保されなければならない、このように考えてございます。
  60. 土肥隆一

    土肥委員 震災がどんと起きますね。そうしたら、任意に例えば日赤とか共同募金会にお金が送られますね。それで地元で共同募金の委員会ができますが、そういう一種の受け入れ体制、これから配付、給付する体制ができてくるのですが、これは法律上あるいは行政上どういう位置づけになっているのですか。
  61. 大泉博子

    ○大泉説明員 法律上の位置づけではございません。日赤などが千億ほど集めたお金を、兵庫県、地方自治体、あるいは新聞、マスコミあるいは日赤関係者の間でつくられるものでございます。
  62. 土肥隆一

    土肥委員 私は、そんなに簡単に、善意のお金を集めて配っているだけですというふうには済まされない。影響を地元に与えるということです。だれが考えたって、義援金だといえばそれはもうそれ以上しようがないのですけれども、二千万円と四十万円では全然違うねという話になるわけですね。それで、私は、この際、義援金というものの考え方をもう少し考え直していかないと、大きい地震があったら少なくて、規模が小さかったら額が大きくなるというふうな形になりますと、ここにも何かしっくりいかない国民の気持ちが残ってしまうわけです。  私、調査室でいろいろ昔の、天保五年の大火でありますとか、いろいろ取り寄せていただきまして、読みますと、傑作なのですね。これは、今は義せざよう援金といいますけれども、施行といいまして、大体裕福な町方の人が寄附をする、そういう競争があるわけですね。それを見ていて幕府は、これは幕府もちょっと出しておかないとやばいなと思うとお金を出すとか、なかなかおもしろいのです。  それで、ケ−スに応じて違うのですが、施行をするときも、施行物といいますけれども、これは米とかお金も出すわけですが、御救小屋、要するに仮設ハウス、仮設住宅を建てるのですね。それで、炊き出しなんかが行われるわけです。それから、武家も、あるいは寺院、お寺もやります。だけれども、おもしろいのは、いつも不均等な施行の恩恵、こうなるわけですね。あそこはよかったけれどもこっちは全然という話はもう江戸時代から議論されておりまして、そういう研究があるのです、「安政大地震と民衆」という本なのですけれども。ちっとも変わっていないなと思うのですね、額が相当ふえたということは言えますけれども。  それで、義援金がいわば配付されるときには、個人に配付されるわけですから、個人配付が行われるわけですね。どうも、勘ぐった言い方ですけれども民間でやっている間で間に合うのだったら民間の施行でいいから、しかしながら、これはちょっと問題だなと思ったら幕府も金を出したのでありまして、私は、そういう民間の単なる、単なると言うと語弊があります、そうじゃなくて、民間の善意の寄附をそのままにしていいのかということなのです。  やはり、この際、義援金というのは、純粋に民間のものであるならば、もう一切行政はかかわりを持たない。例えば、読売テレビでしたか、二十四時間の放送を通じて集まったお金をいろいろなところに配りますね。ああいう形にするか、共同募金会というようなものを介さないと取り扱いが難しいとは思いますけれども、厚生省がどうだこうだというような話じゃないのじゃないかなと。そういうふうにきっちりとしないと問題になってくる。問題になっておるのです。  そういう義援金の配分について、平成十年一月に総務庁の行政監察局が義援金の勧告をしているわけです。これはおもしろいなと思いましたね。行政でも何でもない、民間の純粋の義援金、お金、献金を、行政が行政監察をして勧告している。もっと早くしなさい、透明性を確保しなさい。それから配付については、一定のガイドラインのようなものを、指針をつくらないとやはりますいのじゃないですかと。義援金の募集、配分、監査、公表等に関する指針、ガイドラインによる支援、こう出ております。  どうですか。総務庁はなぜ義援金を行政監察の対象にしたのでしょうか。
  63. 本間勝己

    ○本間説明員 御指摘の義援金は、ただいまもお話にございましたように、国民の自発的意思によって拠出されるものでございます。拠出される方々の意向を考慮しまして、地方公共団体が義援金収集団体と配分委員会を組織し、協議の上使用方法を定めるべきものというふうに考えております。  今回の監察で、義援金の配分についてあらかじめ要領等を作成しているどころはございません。調査した半数以上の都道府県や市町村が、国において義援金の募集、配分等についての指針を示していただきたい、こういう御要望がございました。これを踏まえまして、厚生省に対し、都道府県あるいは市町村における要領等の作成の参考にしていただくため、その標準的な指針を示していただくよう指摘したところでございます。
  64. 土肥隆一

    土肥委員 よくわからないですね。  そうすると、厚生省はこれを受けてどうお考えなのですか。
  65. 大泉博子

    ○大泉説明員 私ども日本赤十字社の所管の官庁でございまして、阪神淡路大震災のときも日赤が一番大きな義援金を集めました。一千億余りでございます。そういうこともございまして総務庁の勧告を受けたというふうに理解しております。  したがって、地方公共団体のガイドラインについては、都道府県課長会議などでその旨をお伝えしておりますし、また、その日赤でつくっておりますがイドラインについては、私ども所管省庁としての助言をしているところでございます。
  66. 土肥隆一

    土肥委員 純粋な民間の義援金を日赤が主に扱う、日赤は厚生省の管轄であるから、その義援金の取り扱いについて行政監察の勧告も受け、ガイドラインなどもつくるように都道府県に示すということのようでありますが、こういう状態に置いておいていいのかどうかということです。  ですから、行政として何かこれを管理するというのはおかしな話でありますから、もっと別のところで義援金の問題を考えていただきたいというふうに私は思います。そうしませんと、せっかくの国民の皆さんの善意も本当の使われ方をされない嫌いもある。あるいは、義援金の一部を災害対策のためのいわば積立金の中に、共済基金の中に組み込んでいくようなことが一体可能かどうか。いずれにしても、検討しなければならない課題ではなかろうかと思います。  いよいよ最後になりました。  大臣、今私るる申し上げましたが、一つは、三年たったら根本的に見直そうじゃないですか、そして個別化してきている被災者の生き方について一つ一つ取り上げるような、そしてその人たちが本当に自立できるような、それはお金を使ってでもあるいはいろいろな施策を通じてでも、一人一人が立ち上がって元気になるような政策に切りかえるべきだというのが私の主張でありますが、御感想をお聞きしたいと思います。
  67. 亀井久興

    亀井国務大臣 先ほど来、地元の実情を一番よく知っておられる委員から、さまざまな観点からの御指摘、大変関心を深く承っておったところでございますが、確かに、三年以上たった中で新たな問題もいろいろ出てきておることは十分に承知をいたしております。  そしてまた、生活再建のことについても、まず第一にやはり恒久住宅を確保していただくということが生活再建の第一歩であろうという考えでございますので、仮設住宅から一日も早く恒久住宅に移っていただきたい。そのための御支援というものも今やっておるところでございますが、また、お一人お一人の生活のパターンもまさに千差万別でございますから、そのことにつきましてもきめの細かい支援が必要である、そうした御指摘も全くそのとおりだろうと思っております。  そうした点につきましては、県も市も、さまざまなきめ細かい支援策をどうとったらいいかということも鋭意御相談をいたしておるところでございまして、復興本部におきましても、こうした地元の御意見というものを十分に踏まえながら、国としてどのような御支援ができるのかということを、今一生懸命その対応に努力をしておるところでございます。また生活再建給付金のあり方等についても、さまざまな御意見もあったところでございますが、こうした御意見も十分に私は踏まえていきたいと思っております。  また、平成七年に、阪神淡路大震災の直後、防災問題懇談会において、将来の災害に備えた基金制度の検討が必要だ、そうした御提言もいただいておるところでございますので、そのことについては私どもしっかり受けとめておるところでございますし、また、国会におきまして、議員提案によるその法が御議論がなされておるということも十分に承知をいたしておりますので、そのことにつきましても注意深く見守ってまいりたい、かように考えております。
  68. 土肥隆一

    土肥委員 終わります。
  69. 西村章三

    西村委員長 以上で土肥隆一君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時三十七分開議
  70. 西村章三

    西村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。福留泰蔵君。
  71. 福留泰蔵

    ○福留委員 新党平和の福留泰蔵でございます。  本委員会におきまして、まず、去る三月十二日に行われました大臣所信に関する質疑をさせていただきたいと存じます。  この所信の中にも書いてあるわけでございますけれども、「我が国は、各種災害を受けやすい自然条件にあり、災害から国土並びに国民生命身体及び財産を保護することは国政基本であります。」というふうに書いてございます。それは当然のことでございまして、ここにも書いてございますけれども、先ほど来議論になっております阪神淡路大震災、もう大変な災害であったわけでございますし、また昨年も、鹿児島県薩摩地方の地震とか、それから台風等の被害、さらに鹿児島県出水市の豪雨災害等、そしてナホトカ号、ダイヤモンドグレース号の油流出、さまざまな災害が起きているということ、これはもう所信に述べられているとおりでございます。  災害対策については国政上の大変重要な役割だろうと思うわけでございますが、その災害対策に関する総合調整官庁としての機能を国土庁は有しているわけでございまして、国土庁の中に防災局という部署がございまして、総合的な災害対策の推進に関して重要な役割を担っていると私も思っているわけでございます。  阪神淡路大震災というのは大変多くの教訓を私どもに与えたのではなかろうか。これまでの我が国において、防災という観点からまだまだ足らざるところ、それがさまざまな形であらわれたのではないか。今後私どもが安心してこの国に住み続けるために対応しなければならない問題点がさまざまな形で出たのだろうと思っているわけでございます。その後、さまざまな対応策というものが措置されてきていることは理解しているつもりでございます。  私は、防災という観点から、この防災行政のあり方というものもここでやはり改めて考え直していかなければならないのではないかと思っているところでございます。  ちょうど中央省庁等改革基本法案が二月十七日に国会に提出されました。あしたの衆議院の本会議で趣旨説明が行われると伺っているわけでございますけれども、この省庁再編について、災害対策という観点から伺いたいと思います。  まず、政府委員で結構でございますけれども、この中央省庁等改革法案におきます、特に防災行政にかかわる国土庁の位置づけ、そして防災局の位置づけはどのようになっているのか、現状をお伺いしたいと思うのです。
  72. 久保田勇夫

    ○久保田政府委員 改革基本法の中での防災行政に係る国土庁の位置づけという御質問でございます。  御承知のように、この基本法案は、行政改革会議の最終報告書の趣旨に沿いまして、国として取り組むべき中央省庁等改革を実施するために必要な基本的な事項を定めるとともに、改革を具体的に実施していくための実施体制、実施目標、期限等についていわば改革プログラム法として規定されているものでございます。行政改革会議の最終報告においては、国土交通省は現行の建設省、運輸省、国土庁及び北海道開発庁を母体に設置するとされておりまして、これに従って中央省庁等改革基本法案においても同様の規定が置かれているところでございまして、今後の道行きといたしましては、御高承のとおり、この規定及び関連するその他の規定を踏まえて、基本成立後、設置法の立案過程におきまして国土交通省を初めとする各省の事務が具体的に検討されるということになっているわけでございます。  そういう大きな枠組みの中で、しからば防災行政はということでございますが、まずこの基本法案におきましては、一つは内閣府に中央防災会議を設置するとともに、内閣府の任務として経済財政政策、総合科学技術政策などとともに、防災に関する企画立案及び総合調整を規定しているところでございます。  以上は内閣府でございますが、他方、国土交通省に関しましては、これは第十五条別表というところでございますが、「国土交通省は、建設省、運輸省、国土庁及び北海道開発庁を母体に設置する」旨規定されておりますし、第二番目に、第二十二条の「国土交通省の編成方針」というところにおきまして、国土交通省の地方支分部局において災害の予防及び復旧その他の国土整備及び管理に関する事務を主体的、一体的に処理させる旨規定されているわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、これからでございますし、現在の国土庁が所掌している防災行政の事務につきましては、行政改革会議の最終報告及びこれを受けました、今おっしゃいました基本法案の規定を踏まえ、その組織的位置づけ及び事務の帰属につきまして今後推進本部等において具体的な検討が行われるものと考えておりますし、我々もそれに積極的に参画するということになってございます。
  73. 福留泰蔵

    ○福留委員 今の御説明、確認でありますけれども、現状の国土庁の防災局で行われている仕事が、この基本法が成立した後に、今御説明がありました内閣府における総合調整機能としての防災担当と、それから国土交通省の中における部門の仕事と、二つに分かれるのか。比重はどちらにいくのか。これはこれから検討だということですけれども、もう一回その点確認をさせていただきたいと思います。
  74. 久保田勇夫

    ○久保田政府委員 先ほど先生おっしゃいましたように、また説明をさせていただきましたように、いろいろな内容につきましてはこれからのことでございますが、いずれにいたしましても国土庁といたしましては、現在国土庁が果たしている役割、さらには防災行政全体がいかにスムーズにいくかということを踏まえながら検討に参画するということではないかと考えています。  具体的な中身につきましては、さらに検討をしていくものであるというふうに理解をいたしております。
  75. 福留泰蔵

    ○福留委員 長官は、建設委員会所信表明の中でこのように述べられているわけです。今の中央省庁の再編問題についてですが、「本法案では、建設省、運輸省一国土庁及び北海道開発庁を母体に、国土の総合的、体系的な開発及び利用、」云々とありまして、「国土庁の機能が十分発揮できるような骨格での改革案であると思っております。」そして「私といたしましても、国土行政を初めとする国の行政がこれまで以上に的確に進められるよう、今後とも省庁再編に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。」このように建設委員会所信をお述べになっていると聞いておるわけでございます。今御説明ありましたけれども、これからということであります、長官としてこれから検討される課題でありますけれども、防災という観点から、この今検討されている省庁再編の流れの中で防災行政がどのような形で位置づけられるべきか、長官のお考えがあればお伺いしたいと思います。
  76. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま官房長の方から御答弁申し上げたわけでございますが、行革会議の最終報告に基づいて中央省庁の再編の基本法案を今提案をいたしておるところでございます。言ってみれば、この基本法は改革の手順を全体として示すというそうした性格のものでございまして、それぞれの省庁がどういう所掌事務を持つかということについては、これからまた各省庁の設置法に向かいまして推進本部等を中心にして議論をしていく、そういう運びになろうかと思っておるところでございます。  今御指摘ございました防災行政につきまして、中央防災会議が内閣府に設けられるということははっきりいたしておるところでございますし、その中央防災会議の任務は、企画立案と総合調整であるということでございますが、一方において、先ほどの御答弁にもございましたように、国土庁が今日まで果たしてまいりました防災行政のさまざまな役割については国土交通省にやはり引き継がれていく、かような考え方を持っておるところでございます。  いずれにしても、御指摘になりましたように、防災行政が一元化されずにばらばらになってしまったのでは、これは国民身体財産生命を守るという、そうしたことから申しましてもいかがかと思うわけでございますので、その防災行政が一体性を持って行われますように、これからの議論の中で私ども考え方を主張してまいりたい、かように考えております。
  77. 福留泰蔵

    ○福留委員 今長官の方から御答弁いただいたのですけれども、明確にこれから国土庁としての防災行政のあり方についての意見をこの検討段階で述べていきたいという御答弁でありましたけれども、私がもう少し詳しく知りたかったのは、要するにこの防災行政のあり方について、これからの検討課題ではなくして、この阪神淡路大震災というものの教訓が、行政システムのあり方として、国土庁の防災局が防災の一つの調整機能を果たす防災担当組織として今まで担ってきたその一つの限界が阪神淡路大震災ではあらわれていると。すべてそれを否定するものではございませんけれども、やはりその対応する能力を超えた震災だったのではないかという国民思いもあるわけです。  そして、あの大震災というのは、一つ指摘されたのは、やはり日本の国家としての、特にまた災害に対する危機管理能力国民の皆さんが疑問視したという点で、大変大きな災害だったのだろうと思うのです。危機管理体制をどのようにつくっていくのか、特に災害に関してどういう体制を築いていくのか、その体制を築くために、行政システム、行政はどうあるべきかということを提示したのだろうと思うわけでございます。  阪神淡路大震災からもう三年を経ておるわけです。その間に当然、国土庁防災局としてその仕事をやってこられたお立場としても、もっとこうしてほしい、もっとこうあるべきだ、そういう意見があってしかるべきではないか。私は、そういう意味でこの省庁再編というのは一つのチャンスではないか、日本の防災行政というものをもっとしっかりするためのチャンスではないか。そういう意味で、前向きに、こういうふうにしたいのだという意見を国土庁の方からお伺いしたがったところでございますけれども、今私が申し上げたことに関して何か御答弁がありましたら、よろしくお願いしたいと思います。
  78. 亀井久興

    亀井国務大臣 確かに、委員が御指摘になりましたように、阪神淡路大震災という、私ども経験しなかった未曾有の災害を受けたわけでございまして、その阪神淡路大震災に関して、いろいろ反省すべき点があったことは申し上げるまでもございません。  特に、情報の収集体制あるいは初動体制に不備があったということも反省をいたしておるところでございまして、そうした経験を踏まえまして、災害対策基本法を二度にわたって改正もいたしたわけでございます。また、そのことによって、委員もよく御承知でございますけれども、緊急対策本部の本部長であります内閣総理大臣に、より強い権限を持ってもらうということにもいたしたわけでございますし、また、官邸への情報収集体制というものを強化していく、各省庁間の情報連絡体制も強化する、こうしたことも講じたところでございます。  そうした反省から、いろいろな災害に備えた対応も強化をしてきておるところでございまして、それなり経験と勉強をさせていただいたというように思っておりますので、その国土庁の防災局を中心にいたしました災害対応力というものは、これからの中央省庁再編の中においても十分に生かしていかなくてはいけないところでございます。中央防災会議とこの実務的な災害対応の力とをどう関係づけていくか、そして政府として一元的な危機管理体制をどうとっていくかということは、まさにこれからの課題でございますけれども、今委員の御指摘になりました点は十分に踏まえて、積極的な私どもの対応をしてまいりたい、かように考えております。
  79. 福留泰蔵

    ○福留委員 防災担当組織、国土庁の防災局が今これに当たるかと思うのですけれども、これに求められていることは、災害というものは、例えば行政でいえばほとんどの省庁がかかわるようなことだろうと思うわけでございます。防災担当組織としてそれを受けるに当たって重要なことは、全体の調整能力、そしてそこに当たってのリーダーシップ、この二点だろうと私は思うわけでございます。  行政組織というものが未整備段階で防災担当組織がない状態においては、何か災害が起きると、各担当の機関が集まってきて、寄せ集めで対応していく。しかし、これではなかなかきちんとした対応ができない、調整もできないということで、専門の防災担当組織みたいなものができていく。しかし、そこで、その防災担当組織がきちんとしたリーダーシップを持てなければ、またその機能を果たせないということだろうと思うのです。  これはまことに失礼な言い方になるかもしれませんけれども、現状の国土庁の防災局というものは、防災担当組織としての形は今できているけれども、こういう阪神淡路大震災みたいな形でリーダーシップを発揮できるかというと、そうは言えない。そこで、中央防災会議、今もあるわけですけれども、今度の中央省庁再編案の中では、名前は同じですけれども中身は違うと聞いております。専門家まで入れた形での中央防災会議というものを総理のもとにつくるという形で考えておられるようでございます。  私は、今申し上げたとおり、現段階においては、防災担当組織はあるけれども、そのリーダーシップを発揮し得ていない状況にある。中央省庁の改編に当たっては、もう少しリーダーシップを発揮できるようなところにこの部門を置くべきであるというふうに考えているわけでございます。  当然、中央防災会議が内閣府のもとに置かれるという状況でございますが、そこをやはりバックアップする一つの専門家集団としての組織が必要になってくるのではないか。そこをまたどこに置くのか、これも私は大きな課題だろうと思っているわけでございます。いずれにしても、この話について議論いたしましても、この基本法案が成立した後の話だと思いますので、また今後引き続き、私も当委員会でも議論させていただければと思っております。  これに関連することなのですが、防災担当の組織の話を申し上げましたけれども、私は、防災担当者というのですか、この問題について続いて触れされていただきたいと思うのです。  防災担当者の業務というのは、やはり多岐にわたるのだろうと私は思います。つまり、地震などに関する自然科学的知識、そして避難行動や被災者心理などの社会科学的知識、そしてそれに、消火、救出、医療救護などの応急対策に関する知識を駆使して、災害による被害を極小化するというふうな業務だろうと思うわけでございます。そしてさらに、被害を最大限少なくするためには、緊急時の情報収集や意思決定の特徴をよく理解しているということも重要であるというふうに考えるわけでございます。そういった意味での防災担当者というのが、我が政府の中ではどこにいらっしゃるのかなという思いがしているわけでございます。言葉をかえて言えば、いわゆる災害に対する専門家、組織ではなくしてその専門家は我が国政府のどこに今いらっしゃるのかと思っているわけでございますが、答弁をお願いしたいと思います。
  80. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  ただいま先生指摘のとおり、災害対策は大変多岐に、広範にわたっておるわけでございまして、災害予防あるいは救今、救援、復旧、復興と、大変広範に及ぶ業務にわたっておるわけでございます。国土庁といたしましては、そういうものについての調整機能、あるいはまた自治省、関係省庁を初めとして各省庁から情報を広く集める、あるいは全体を把握しながら総合的な施策を調整していく、こういう機能を有しておるわけでございまして、こういうときに、専門的な知識、専門的な体制に基づく執行が大変重要であるというふうに考えております。先生先ほどおっしゃいましたように、災害対策は、土木、気象あるいは情報通信、医療、科学、地理、化学の関係、いろいろな点が必要になってまいります。  私ども国土庁の職員も、関係省庁それぞれの専門の分野から出向をいただいておりますし、また私ども、関係する職員を、国内だけではなくて、アメリカのFEMAでございますとかあるいは国連の災害関係機関でございますとか、そういうところにも派遣をいたしまして、研修、研さんを積ませておるという状況でございます。  また、防災総合訓練等もやっておりますし、非常参集の訓練もやっておりますし、あるいは情報収集の関係の実施に努めておるところでございまして、こういうことを行うことによりまして、災害の対策を総合調整する省庁として、今後とも全力を挙げて対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  81. 福留泰蔵

    ○福留委員 今災害専門家に対する答弁をいただいたわけでありますが、ちょっと細かい話になりますけれども、先日お伺いしたところによると、国土庁の防災局は、私のいただいた資料では、四十九名いらっしゃるということでありますが、その中で、他省庁からの出向の方々、二、三年でまたお帰りになる方々が何名いらっしゃるのかということで、事前にお話ししてあると思いますけれども、答弁いただきたいと思います。
  82. 山本正堯

    山本(正)政府委員 私ども国土庁の防災局の職員全員で四十九名でございますが、その中で、総理府からの出向三名、警察庁の出向一名、防衛庁の出向一名、それから文部省からの出向一名、農林水産省二名、通産省一名、郵政省二名、運輸省四名、建設省十四名、あるいは消防庁を中心といたしました自治省から六名という体制になってございます。なお、私どもの中で国土庁プロというのが十四名ということになってございます。
  83. 福留泰蔵

    ○福留委員 私があえてお尋ねしたのは、例えば消防の専門家がいると思うのですね。それから警察の専門家もいらっしゃる。さまざまな分野の専門家は日本にいらっしゃると思うのですが、私が冒頭この関連で申し上げたのは、防災の総合的なマネジメント能力を有する専門家というのがいないのではないか。それを養成するためにアメリカのFEMAに出向されて、研修に出されているというような答弁がありました。私は、国土庁の防災局がふさわしいかどうかわかりませんけれども、今後省庁改編になったときにまたどこにそれが行かれるかわかりませんけれども日本の中にいわゆる災害のマネジメントに関する専門家というものがきちんといて、そこのもとに、実際に防災というのは各地方公共団体が第一義的には担っているわけですから、各地方公共団体の防災担当者という方々がたくさんいらっしゃるわけですから、そういう方々に防災のあらゆる面からのマネジメント、管理という意味で研修を行うような機関というもの、機能というものをぜひとも果たしていくべきではないかと思っているわけでございます。  残り時間がもうなくなりましたので、私の意見を申し上げて終わりになると思いますけれども、アメリカの今お話ありましたFEMAには既にそういう機能があって、専門家がたくさんいらっしゃるというような話も聞いているわけでございます。何もアメリカのまねをするだけがいいことではございませんけれども、防災という観点からして、やはり日本の中にもそういう機能を果たす部門というものが必要になってくるのではないか、阪神淡路大震災の教訓というのはそういうこともあったのではないかなと思っているわけでございます。  この省庁再編というのは、そういう意味で大変いい機会だと思います。ですから、この点をぜひ前向きに検討していただきたいということを申し上げ、一言長官の方から御感想なり御答弁をいただければと思います。
  84. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま大変貴重な御提言をいただいたわけでございまして、これから災害対策をどのように国として取り組んでまいるかという大変重要な時期でございますので、今御指摘になりましたような中央省庁の再編という、この機をとらえて、さらに一層国としての災害対応力が整ってまいるように努力をしてまいりたいと思います。
  85. 福留泰蔵

    ○福留委員 ありがとうございました。終わります。
  86. 西村章三

    西村委員長 福留泰蔵君の質疑は終了いたしました。  次に、木村太郎君。
  87. 木村太郎

    ○木村(太)委員 いただいた時間が短いものですから、御答弁の方も簡潔にお願いしたいと思います。  まず、委員長初め大臣、本当に御苦労さまです。心から敬意を表しておきたいと思います。  まず、大臣の先般の所信の中で、防災基本計画の着実な実施を図るということが示されました。そしてまた情報収集連絡体制の一層の充実強化、あるいはまた地震防災情報システムの整備推進等を図っていくのだ、いわゆる情報というキーワードを一段と重要視したという印象を私は持ちましたけれども、この点確認をさせていただきたいと思います。  というのは、私、昨年十二月の委員会でも、この情報収集連絡体制の重要性というものを私なりに主張させていただいたのですけれども、特に防災基本計画の中でも推進を記しておりますGIS、地理情報システムを整備して、さらにはまた地方自治体なんかも取り組んでいるのに対して国の対応をお願いしたいということをそのとき主張させていただきました。そのときの答弁としても、前向きに検討していくというような趣旨の答弁があったと記憶しておりますけれども、十年度において、この情報収集連絡体制というのに対してどのように取り組んでいくのかお尋ねしたいと思います。
  88. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  先生ただいま御指摘のとおり、大規模災害が発生した場合の情報の収集、伝達というのが初動体制として非常に重要であるということはもう御案内のとおりでございます。私ども国土庁といたしましても、大規模地震等の災害時における通信のふくそうに備えまして、官邸あるいは指定行政機関、いろいろな指定公共機関あるいは各都道府県等を接続して情報の収集、伝達手段を確保するために、中央防災無線網の整備を図っておるところでございます。  特に首都直下型の地震対応の衛星通信設備を現在十施設整備をしてございますが、平成十年度にはさらに十機関について増設しようということで予算をちょうだいをして、整備を図ろうということでございます。また、固定通信系につきましてもデジタル化を図る、あるいは移動通信系の機動力の向上を図るといったように機能の向上、高度化を図っていこうというふうに考えておるところでございます。  先生先ほど御指摘のGIS、あるいはまたそれを利用いたしました地震防災情報システム、DISにつきましても、従前からその重要性について御指摘をいただいておるところでございまして、私ども、限られた情報に基づいて、三十分以内に早期に被害の想定をする、それに基づいて大まかな地震規模を把握して初動体制を整えるといったようなものにつきましては、平成八年度からもう運用させているところでございます。それをまた応用いたしまして、緊急輸送とか救助、医療等の各種計画の策定を支援するいわゆる応急対策支援システム、そういうようなものについて平成十年度に概成させるべく今努力を続けておるところでございます。  今後とも情報収集伝達体制について全力を挙げて整備に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  89. 木村太郎

    ○木村(太)委員 ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  次に、大臣の先般の所信の中で、事故災害対策も含めた総合的な災害対策の推進ということを大臣みずから所信の中でも触れられておりました。これに関連させる意味からもお尋ねしていきたいと思います。  そこで、きょう、国土庁の皆さんだけでなくして、運輸省や海上保安庁、また消防庁の皆さんにも御都合をいただきましたので、お尋ねしてまいりたいと思います。  まず、消防の広域化ということについてお尋ねしたいと思います。  平成六年九月二十日、消防庁長官の方から、各都道府県に対して、消防広域化基本計画を策定して計画的にまた円滑に小規模消防の広域再編の推進を求める通達を出しております。そのねらいと、現在の策定状況というのはどのようになっておるのかお尋ねしたいと思います。  また加えて、ここで私確認したいのですが、小規模消防というのはどう位置づけているのか、そしてまた、今後、長官からのお願いに対して、広域化という対象を国はどのように考えているのか、また、全国的にいつまでにどういった姿にしていきたいと考えているのか、お答えをいただきたいと思います。
  90. 山口勝己

    ○山口説明員 お答えを申し上げます。  お尋ねの通知でございますが、平成六年九月二十日付の消防庁長官通知でございまして、これは、都道府県に対し、小規模消防本部の広域再編に関する基本的な計画を策定するよう要請したものでございます。  これは、一般に、小規模の消防本部におきましては人員体制、施設、装備の面で十分でないことから、住民の期待と信頼にこたえられるより高度な消防サービスを提供していくため、広域再編により消防の対応力の強化を図ることをねらいとするものでございます。それで、現在までのところ、二十九の道府県におきまして策定が完了し、また今月中には四県が策定を予定いたしております。残りの団体につきましても、鋭意取り組みが進められているところでございます。  また、国としてどのように進めるのかというようなお尋ねでございますが、私ども、この消防の広域再編につきましては従来から指導をしてまいったところでございますが、さらに着実な推進を図りますため、平成十年度におきまして、広域化推進に伴います必要な施設整備に対しまして新たに補助制度を創設いたしましたほか、平成十年度におきまして、各地域において市町村あるいは消防本部等、関係者の方々にお集まりいただきまして、消防広域化推進のための意見交換会といったものも開催をしてまいりたいと存じております。  そして、いつまでに行うのかというお尋ねがございましたけれども、この長官通知では、基本的な考え方あるいは留意事項といたしまして計画期間というものを示しております。その計画期間につきましては、地域によっていろいろな事情はあるわけでございますけれども、一応、最長十年以下で適切な期間とするように指導をいたしておりますが、何分にも地域の実情に沿った円滑な推進ということが肝要でございますので、そういう形で円滑に推進できるようにさらに指導をしてまいりたいと存じております。
  91. 木村太郎

    ○木村(太)委員 そこで、私なりに考えてみますと、この広域化ということを考えれば、メリット、デメリットという二つのことが私なりに思い浮かんでまいりました。  例えば、小規模消防では、職員の高齢化などに伴いまして現場活動に支障を来すことも懸念され、広域化することによって職場の規模が大きくなる、よって、高齢化した職員の方を例えば管理部門に配置することが可能になるなど、人材を適材適所に配置することができる、こういったことがメリットとしても考えられると思いますし、また、先ほどの答弁にもあった高度な最新の機材などの整備においても、財政的に考えた場合にもメリットも多いのかなというふうにも思っております。  しかし一方で、実際、常備の消防というふだんの活動は、市町村単位で組織されているというのも現実の姿としてあると思います。また、それは、消防団とのきめ細かな連携というものも実際に存在しているわけでありまして、こういった状況の中で広域化を進めるとすれば、例えば常備の消防という姿が市町村単位を超えることになって、それがある面では市町村の中にある各消防団との関係が薄くなりはしないか、こういったことも若干心配もしますし、また、先ほどメリットとしても言った資材、消防機材というものを考えた場合に、もしかしたら余り意味のない整備ということも考えられはしないかなというふうにも思いました。例えば私の地元の方などでは余り高層な建物は存在しないのですけれども、余り高層の建物がないところにそれをも十分カバーできる機材が配備されることももしかしたらあるかもしれない。ということは、ある面では財政的にもむだということもなきにしもあらずというふうにも思います。  もちろん、広域化を皆さんが進めようとすることは、メリットがあって、メリットを考えてやろうとしているわけでありますけれども、私なりに指摘したことを踏まえて、このメリット、デメリット的なもの、それに対しての皆さんの考え方、これをどう分析しているのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  92. 山口勝己

    ○山口説明員 お答えを申し上げます。  消防の広域再編のメリットと申しますか効果といたしましては、職員規模の拡大及び財政基盤の強化によりまして、いわゆる規模のメリットが生かせるものと考えております。  具体的には、職員規模の拡大によりまして、災害時の出動体制の強化を初め、救急部門や救助部門等における専任職員の充実、人員の適正配置の範囲が広がることによる職場の活性化や職員の士気の高揚、そして、財政基盤の強化によりましては、高度な消防施設設備の充実が可能となること、また本部機能の一元化に伴う業務の効率化等が挙げられようかと思います。  また、デメリットと申しますか課題といたしましては、管轄区域が拡大をいたしますので無線中継施設の増設が必要になったり、あるいは庁舎の統廃合に伴って新改築が必要になったりといったような、いわゆる初期投資が必要になる場合も考えられるかと思います。こういった初期投資につきましては、消防庁といたしまして、補助金や地方債による財政支援措置を講じることとしているところでございます。
  93. 木村太郎

    ○木村(太)委員 メリット、デメリット、二つをきちっと分析しながら、デメリットはあってはならない体制で広域化に対しての皆さんの御努力をお願いしたい、こう思います。  そこで、先ほどの答弁でも既に二十九の府県で策定済みということでありますが、しかし、まだ策定していないところもまだまだあるということであります。私なりに意見などを聞きますと、特に、実際、基本計画をつくってそれに沿って広域化再編に取り組む場合に、やはり実施するのは市町村という部分になってくると思います。この市町村サイドから、不安あるいはまた確認したい点というのがたくさんあるというふうにも聞いております。こういうことに対して、多分、あくまでも長官名で各都道府県に対してのお願いであって、そして都道府県がまた市町村と話し合いをしながら計画の策定という手順を踏んでいると思いますけれども、国サイドとしても、単に各都道府県に任せるのみならず、市町村に対しても積極的に説明、指導、答えていくという姿勢を、まだ策定していない府県に対しても御努力をぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  94. 山口勝己

    ○山口説明員 お答えを申し上げます。  消防の広域再編につきましては、関係市町村の合意に基づきまして自主的な再編が推進されることが基本であると考えております。したがいまして、御指摘のように、市町村に対して理解を深めてもらうとともに、その機運を醸成していくような取り組みが大変重要であるというふうに考えます。  このような観点から、消防庁といたしましては、平成十年度におきまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、市町村、消防本部等、関係者を対象にした消防広域化推進意見交換会を各地域で開催することといたしております。こういった施策を通して関係者の間で理解が深まり、機運が醸成するということに努めてまいりたいと存じております。
  95. 木村太郎

    ○木村(太)委員 こういった消防についてもいささかも不安というものがあってはならないと思いますので、今御答弁いただいた姿勢をもってぜひ御努力をお願いしたいと思います。  次に、私は、我が国周辺海域における船舶の事故災害対策についてお尋ねしてまいりたいと思います。  最近の我が国周辺海域における船舶事故の発生状況というものをお知らせいただきたいと思います。さらに、事故発生と同時に、例えば重油流出などによるいわゆる二次災害というもの、これも大きな被害が発生していると私なりにも感じておりますけれども、そういった実態はどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
  96. 山内一良

    ○山内説明員 お答えいたします。  海上保安庁が把握しております救助を必要とした海難隻数は、全体的には減少傾向で推移しておりまして、平成九年はナホトカ号海難及びダイヤモンドグレース号の底触・油流出事故という大規模な油流出を伴う海難が発生いたしましたが、要救助海難隻数は千六百七十八隻で、海上保安庁が現在の形で統計をとり始めた昭和二十八年以降で最少となっております。  内訳は、貨物船が百九十一隻、タンカーが五十四隻、旅客船が二十一隻、プレジャーボート等が六百七十七隻、漁船が五百九十六隻、作業船、台船等のその他の船舶が百三十九隻でございます。また、海上保安庁が確認いたしております油による海洋汚染件数のうち、船舶の海難に起因すると判明しておりますのは、平成九年では六十八件でございます。
  97. 木村太郎

    ○木村(太)委員 ナホトカ号とかダイヤモンドグレース号は全国的にも大変クローズアップされましたけれども、今の御答弁では、数的にも件数的にも大変多いという印象を改めて思いました。大臣所信の中でもこのナホトカ、ダイヤモンドグレース号のことに触れられておりましたし、やはり政府一体となった体制、取り組みがこれからも大切だ、こう思っております。  そこで、ただいまは海上保安庁の方から御答弁いただきましたけれども、もちろん運輸省、海上保安庁、関係省庁連携して事に処するということは当然でありますけれども、私は、自然災害のみならず、事故災害、それに加える二次災害に対しての国土庁のリーダーシップをぜひ一層高めていただきたいというふうにも思います。そういう点で、昨年の十二月十九日の閣議においても、油汚染事件による緊急時計画というものが閣議決定されておりますし、ぜひ今後の一層の御努力をお願いしたいと思います。船舶事故とそれに伴う災害対策への対応というものを御答弁いただきたいと思います。  いま一つ、実は私の地元においても、船に関しての、地域においては大変大きな問題がありました。船が座礁しまして、それをようやく片づけたということがあったのです。  その際に、被害を回復するまで費用負担をして船を撤去したのですけれども、例えば、私の地元の話で恐縮でありますが、青森県の百石町というところであったケースでは、町が五千四百万、県が四百七十万円を負担しております。また、車力村という小さな村があるのですが、こちらで船が座礁したのがありまして、なかなか片づけることができないでいたのですけれども、先般、ようやく撤去をしたわけです。その際も、村が二千百三十四万円、県がその二倍に当たる四千二百六十六万円を補助して、一緒になって撤去をしたわけであります。  これは額的には、村、町にとっては決して小さい額だとは私は思っておりません。やはりこういった船舶の事故あるいはまた災害に対して、その対応において、だれがどのようにお金を払うのか、こういうことも含んでの、事後処理面も含んでの対応がきちっと整理されているのかどうかということを確認したいし、また、これに対して国としての対応あるいはまた指導というものをどのように考えているのかお尋ねして、時間が参りましたので終わりたいと思います。
  98. 江口稔一

    ○江口説明員 委員の御質問、二点あったかと思いますが、最初の、油の事故などが起きたときの海上保安庁の対応につきまして、私の方からお話をさせていただきます。  海上保安庁におきましては、海難事故などが発生いたしました場合には、まず、人命救助を最優先するとともに、油などの排出によりまして汚染事故が発生した場合には、原因者などの防除措置実施者、これに対する指導助言を行うほか、必要に応じて当庁みずから防除措置を行うなど、被害を最小限に食いとめるための措置を講ずることとしておりまして、このため、全国の主要部署などに必要な資機材などをあらかじめ配備等いたしておるところでございます。  それから、委員指摘のありましたように、昨年のナホトカ号の事故などを踏まえまして、政府全体としても、昨年六月には、防災基本計画の見直しを行いました。また、昨年十二月には、油流出事故に対するいわゆる国家的緊急時計画を全面的に改定して、関係地方公共団体を含む関係行政機関等の具体的な役割分担でありますとか連携の強化について改めて明確にしたところでございます。  海上保安庁としましては、資機材の整備等を図るとともに、関係機関と十分連携を図りながら、適切な対応に努めていきたい、かように考えております。
  99. 鷲頭誠

    鷲頭説明員 先生の二番目の経費負担の関係についてお答え申し上げます。  船舶の事故にかかわる被害の対応につきましては、基本的には、民事上の問題といたしまして、船舶所有者が自己の責任において自己負担をするなり、あるいは保険によって対応すべきものである、こういうふうに理解しておりまして、その後の事後的な対応につきましても、和解あるいは裁判といったプロセスによって処理されることが原則である、こう考えております。  以上のように、原則が民事上の問題でございますので、国ができることにはおのずから限界がございますが、国といたしましても、事故の甚大性あるいは緊急性等さまざまな事情を勘案いたしまして、具体的なケースに応じて適切に対応をしてまいりたいと考えております。
  100. 西村章三

    西村委員長 木村太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、達増拓也君。
  101. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  通告しておりました質問に入る前に、今国会で我々が決断を迫られております被災者支援につきまして、最初でもございますし、私なりの考えを述べさせていただきたいと思います。  被災者の自立ということがよく言われるわけでございますけれども、思えば、今、日本社会全体で我々がどのくらい自立しているのか。今回、この阪神淡路大震災、こういう大きい災害が起こった後、個人が自立すること、やり直していくことが非常に難しいことがわかったわけでありますけれども、思えば日本社会全体として、やり直しが難しい、個人が自立するのが難しい、そういう社会になっているのではないかと思います。  例えば、終身雇用を前提といたしまして長期の住宅ローンを組んで、一生をかけて一つの家をやっと買って、そして長い時間をかけて通勤しながらサラリーマン生活をしていく。そのように、会社ですとかあるいは行政ですとか、そういったものに依存しながらデリケートな個人生活をつくり上げていく一そういうのが一つの典型的な日本社会での生き方だと思うのです。そういったものは、こういう災害が起こりますと、積み上げてきたものが一気に崩されて、それをまた最初から積み上げていくということが本当に難しい、そういう社会になってしまっている。  映画の話なんですけれども、「風と共に去りぬ」という映画。最後のところで、戦争で家を失い、財産を失い、子供にも死なれ、夫にも去られた主人公スカーレット・オハラが、最後、もう何にもなくなった、それでも荒れ野にすっくと立ち上がって、それでも私は進むというところに有名な主題曲が流れて終わるわけであります。そういう何もない状態でも進んでいけるという強さを持った個人が、日本社会でなかなか育たない。また、そういう個人が、出るくいは打たれるですとか、ほかの人と違ったことをする人たちはいじめられるですとか、そうした中で育ってこなかった。「風と共に去りぬ」は映画でありますから理想なんですけれども、現実社会はもっと複雑で難しいわけではありますが、すべてを失ってもまだ弱者にはならない、そういう個人をつくる社会というのをやはり目指していかなければならないのではないかと思うわけであります。  そういう中で、元気という言葉もよく使われるわけであります。元気が出ない、元気が出ないとよく言われるのですけれども、元気は出る出ないというより、出すかどうか、元気は出すものだと私は思っているのです。ただ、この日本社会、我々のふだんの生活考えてもなかなか元気を出して個性的に生きていくことが難しい、そういう社会なんじゃないかと思います。  神戸、いわゆる酒鬼薔薇事件、少年の犯罪があったわけでありますけれども、あれも、そうした被災された方々の悲惨な状況だけじゃなく、実はそれ以外の日本社会の全員が同じように悲惨な状況にあって、この社会を何とかしなければならないという、あれは一種のメッセージともとれると思うのですね。  阪神淡路大震災被災者の皆さんは、そういう日本社会の中で被害に遭われ、それに対しては、やはり極端な個人主義に任せてほうっておくわけにはいかないのだと思います。そこはやはり国なり社会なり、それぞれきちっとやることをやらなければならぬ。ただし、これからの日本における被災者支援のあり方を考えていくときに、日本社会というのはしょせんそういう濃密な相互依存の中でデリケートな個人生活をお互いにつくっている、そういう社会だ、個人の自立とかというのはなかなか難しい社会だということを前提に被災者支援の体制をつくっていくのか。それとも、そういう社会の構造そのものを変えて、新しい社会の中に被災者支援の方策を位置づけていくか、そういうことが今国会で問われているのだと思います。  この問題につきまして、質問通告はしてなかったのですけれども、改革を唱えている橋本内閣の閣僚としての立場もございましょう、そういう大臣から言いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
  102. 亀井久興

    亀井国務大臣 大変難しいお尋ねでございまして、自立する個人というものをこの日本という社会の中でどうつくって育てていくかという、そうした大きな課題だと思っておりますが、基本的に私ども社会は自由社会でございまして、また市場経済をとっている、そうした中で今日まで発展をしてきた。そして、申し上げるまでもなく、貧富の格差というものは、先進諸国を比較してみましても相当縮まってきている国であろう、そのように思っているところでございます。  しかし、そうは申しながら、やはり力の弱い人たち、また現実に働きたくても働けない人たち、そういう方々、いわゆる弱者と言われる方々が存在されていることもこれまた事実でございまして、そうした方々のためにさまざまな社会保障政策もより充実をしていかなくてはいけない、これまた当然のことだろうと思っております。  したがいまして、そうしたより活力のある個人が、自立した個人が伸び伸びと活力を発揮できるような社会をいかにしてこれから構築していくかということが基本ではないかというように思っているわけでございまして、そうした観点から生活再建支援の問題もやはり考えていくべきことだろうと思っております。  いろいろ申し上げたいこともまだたくさんあるわけでございますが、今委員から貴重な御指摘、御提言もいただいたわけでございますので、そうしたことも踏まえて、国として被災者の方々の支援に対して精いっぱいの努力をしていきたい、かように考えております。
  103. 達増拓也

    達増委員 急な質問にどうもありがとうございました。  では、本題に入ります。  大臣所信表明の中でも、昨年の日本海重油流出事件、ナホトカ号事件、さらにはその前の阪神淡路大震災等の教訓を踏まえた防災体制をつくっていくということだったわけであります。日本海重油流出事故の際には、私も衆議院の派遣で視察に参ったわけでありますけれども、当時いろいろ問題とされたことの中の一つに油回収船、それまでは瀬戸内海ですとか湾の中での油流出事故に対応する船しかなくて、波の荒い日本海に出ていって活動できる船がなかったということが問題になったわけでありますけれども、その点、現在どのようになっているのでしょうか。
  104. 金澤寛

    ○金澤説明員 お答え申し上げます。  ナホトカ号の大量油の流出事故によります沿岸域の重大な被害を契機といたしまして、流出油の防除体制の強化策の検討が運輸技術審議会で行われました。この検討におきまして、港湾建設局が保有しております大型しゅんせつ兼油回収船の清龍丸の油回収能力がナホトカ号事件の場合にも有効に活用されたということから、油回収機能を有する兼用船の拡充整備強化策の一つとされました。  この検討結果を受けまして、港湾局では、現在関門航路でしゅんせつ工事に従事しております大型しゅんせつ船海鵬丸、この船が老朽化しておりますので、その船の代替船といたしまして、油回収機能を付加した大型しゅんせつ兼油回収船を平成十年度から三カ年の予定で建造する予算要求をさせていただいておりましたが、それがお認めいただけましたので、今後鋭意建造してまいる所存でございます。そのようにしております。
  105. 達増拓也

    達増委員 ナホトカ号事件の際にはボランティアの方々がたくさん活躍いたしまして、阪神淡路大震災のときに花開いた日本におけるボランティア活動というものがもう社会にすっかり定着した、そういう感のあったことだったと思います。  ただ、ボランティアの方々の健康問題というのに注目が集まったこともありました。というのも、一生懸命ボランティア作業をやる中で、過酷な条件のもとで命を落とす方が出てしまったということで、以来、こういった災害のときのボランティア活動の健康管理問題ということが課題となったわけでありますけれども、この点について、今政府はどのような見解でございましょうか。
  106. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えさせていただきます。  災害時のボランティア活動につきましては、先生今御指摘のとおり、阪神淡路大震災におきましては延べ百四十万人の御活躍、あるいはまたナホトカ号油流出事件については延べ二十八万人における御活躍をいただいたわけでございまして、柔軟できめ細かな災害対策を講ずる上で大変大きな役割を果たされてきておる、こういう状況であろうかと思います。  このため、私ども政府といたしましても、平成七年に防災基本計画あるいはまた災害対策基本法を改正いたしまして、災害時におけるボランティア活動の環境整備等に関する事項を盛り込みまして、そういう格好で整備を図ってきておるということでございます。あるいはまた、平成七年十二月十五日の閣議了解によりまして、防災とボランティアの日を毎年一月十七日に定めまして、あるいはまた、その前後一週間を防災とボランティア週間ということで定めまして、その普及啓発に取り組んでいるところでございます。  災害時のボランティア活動、その主体や態様がさまざまでございまして、関係機関、団体の平素からの連携を図ることが大変重要でございます。国土庁におきましても、シンポジウムの開催とか意見交換でありますとか、あるいはボランティアの受け入れ、活動のコーディネートといった課題の克服に鋭意取り組んでおるところでございまして、関係省庁、関係団体とともに連携を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  なおまた、先生今御指摘の、ボランティアについての健康問題もまた大変重要な問題であろうかと思います。関係省庁におきましてボランティアの環境整備には努めているところでございますが、環境、健康問題につきましても、ナホトカ号の災害を契機にいたしまして、厚生省、環境庁が通知を出して注意喚起を行っておるという状況でございまして、今後とも、このような防災ボランティア活動の環境整備を進めまして、被災者支援を柔軟できめ細かに行う体制の充実に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  107. 達増拓也

    達増委員 ボランティアする方も受ける方も、まだまだ手探りのところが多いと思います。そういった中で、政府ができること、またすべきこと、多々あると思いますので、頑張っていただきたいと思います。  また、日本海重油流出事故は、自治体と自衛隊との協力がかなりうまくいったケースであるということを現地に行って感じました。小松基地など、自治体が常日ごろから自衛隊と交流関係、あるいは情報交換、意見交換等を行っていたということがいざというとき役に立ったと思うわけでありますけれども、最近、全国的に見て、自治体と自衛隊のそのような日ごろからの連絡ですとか交流ですとか、どのような形になっているのか、伺いたいと思います。
  108. 徳地秀士

    ○徳地説明員 お答えを申し上げます。  災害対策基本法に基づきまして、陸上自衛隊の方面総監あるいはその指名する部隊、機関等の長は都道府県の防災会議委員に充てられておりまして、自衛隊といたしましては、この防災会議が行う地域防災計画の作成に協力をしてきているところでございます。また、自衛隊は、地震などの災害の発生に備えまして、全国で行われる防災訓練に積極的に参加するなど、地方公共団体との連携を図ってきているところでございます。  しかしながら、阪神淡路大震災における災害派遣活動におきましては、地方公共団体との連携が必ずしも十分とは言えなかったというようなことが当時指摘をされまして、これを踏まえまして、自衛隊と地方公共団体との防災訓練につきましても、従前以上に充実をさせてきているところでございます。  具体的に申し上げますと、陸上自衛隊は、それ以前からほぼすべての都道府県の防災訓練に参加をしてきているところでございますが、海上自衛隊それから航空自衛隊につきましても、それ以前の平成六年度に比べますと、七年度以降増加をしてきているということになっております。  防衛庁といたしましては、自衛隊の災害派遣の効果的かつ効率的な実施を確保するために、平素から地方公共団体とのさらなる密接な連携を図ってまいりたいというふうに考えております。
  109. 達増拓也

    達増委員 今、日米安全保障新ガイドラインをどう実施していくかということで、アメリカ軍と自治体との協力という問題が出てきているわけでありますけれども、そもそも、そうした話を進める前に、日本のこの自衛隊と自治体との協力、防衛のみならず、こうした防災等についても、国民の安全を守るためにしっかりやっていかなければならないのだと思います。  では次に、阪神淡路大震災関連の、その後のフォローアップがどうなっているのかということで質問させていただきたいと思います。  阪神淡路大震災の際に、被災者のメンタルケアの重要性ということが指摘されました。これは、今でも当時のショック等が残って、いろいろな症状になって出て、苦しんでいる方もいらっしゃるわけでありまして、この点、政府としてどのような対応をしているのか、伺いたいと思います。
  110. 田中正章

    田中(正)政府委員 お答え申し上げます。  心の健康ということは大変難しい問題でございます。特に被災地では、地元自治体が、被災後でございますけれども、既存の保健所でいろいろな御相談に応じるだけではなくて、心のケアセンターと地元で申しておりますけれども、こういう施設というか場所を、借りたものもございますけれども、設置いたしまして、こういう場所で、専門の医師あるいは保健婦の方々が被災者に対して個別に御相談や指導をできる体制をつくってございます。国としても、平成八年から、こういうところで相談を受けるお医者さんとか看護婦の方に対して、そういう心のケアに関する専門的な研修事業というのを国の方でも講じております。  それから、被災された児童というかお子さんの心のケアの問題、これも問題としてよく指摘されてくるわけでございます。これにつきましては、被災直後には全国の児童相談所の御協力によりましたけれども、現在でも、地元の自治体の児童相談所におきまして巡回相談とか電話相談、こういったようなことを実施しておるところでございます。  さらに、学校そのものという面につきましては、臨床心理士というようないわば子供の心の問題に関する専門家の方をスクールカウンセラーというような形で学校へ配置する、そんなことを講ずることについて、国としても支援をしております。  地元自治体としても、心のケア対策は大変難しい問題ではございますけれども、重要な課題と認識して、きめ細かな措置を講じているところと認識しているところでございまして、政府もそれを支援しているところでございます。
  111. 達増拓也

    達増委員 比較的新しく注目された問題ではありますけれども、諸外国でも非常に研究が進んでおりますし、我が国でもきちっとした対応、頑張っていただきたいと思います。  次に、災害が発生したときの関係省庁間、そして総理大臣への連絡体制は、あれ以来どう進歩しているのかというのを伺いたいと思います。  当時、警察官であるとか消防署員であるとかが現場で把握した情報がなかなか国土庁のところにまで上がってこなかったこととか、さらには総理大臣のところになかなか情報が上がってこなくて、その結果、総理大臣は、その地震が起こった当日の日程をかなり遅くまで通常どおりこなして、本格的な対応が始まったのはもう夕方になってからだったという問題がありました。現場でしかるべき部局がしかるべき形で確認した死亡者数等が朝早い段階で報道されたりしたわけでありますけれども、一けたとか二けたとか、最終的に判明した死亡者数に比べるとはるかに少ない数字だったわけですね。そういったことで、最初、それほどひどい被害は出ていないのか、そういう誤った理解が政府部内にも一部あったのかとも思います。  そうした反省を踏まえ、今現在、どのような体制になっているのか、伺いたいと思います。
  112. 山本正堯

    山本(正)政府委員 災害情報の収集、連絡体制の整備というのは、大変重要な課題であるということはもう御指摘のとおりでございますが、阪神淡路大震災経験等も踏まえまして、情報連絡体制の整備を行ってまいっております。あるいはまた、防災基本計画を改定いたしまして、これに基づき、迅速な対応を図るということにしておるわけでございます。  具体的には、国土庁が、大規模地震情報でございますとか津波情報等を気象庁から受信いたしました場合には、直ちにこれを総理大臣官邸、さらには関係省庁に連絡をいたすことにいたしております。また、夜間、休日におきましても、二十四時間体制、当直体制をとっておるわけでございまして、一斉情報連絡装置によりまして、関係職員が直ちに非常参集を行うという状況でございます。あるいは、消防、警察等の関係機関等からの画像情報も含めて、多くの被害状況の情報を直ちに収集することといたしておるところでございます。  また、私どもの中央防災無線網におきましても、阪神淡路震災後、都道府県との緊急連絡用回線の接続を図ったところでございます。関係都道府県との緊急連絡用回線による情報伝達、収集、あるいはまた、首都直下型の大規模地震発生時に既存の中央防災無線網が使用できなくなるということも想定されるということで、二重回線ということも念頭に置きまして、首都直下型の地震対応の衛星地球局の整備、衛星を利用いたしました情報無線網の整備を進めておるところでございます。  このほか、私ども関係省庁の幹部が直ちに官邸に参集する、官邸で、副長官を中心に情報の収集、集約を行うというようなこともやることで、現在進めておるところでございます。  さらにまた、地震防災情報システム、いわゆるDISを活用して、阪神淡路震災のときには被害状況を早期に把握できなかったという御指摘がございます。それにおこたえを申し上げまして、DISを活用して被害状況の早期把握を行うようなシステムも開発をし、今運用させていただいているところでございます。  これらの充実強化をされました情報収集連絡体制のもとで、関係省庁、さらには官邸とともに応急対策の検討等を行い、的確な初動体制の対応に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  113. 達増拓也

    達増委員 実際、事が起こったときには、リーダーシップの問題ですとか、人の要素というのが大きいところはあるのでしょうけれども、まずはその体制、システムがインフラとしてきちっと整備されていることが前提だと思いますので、その点、頑張っていただきたいと思います。  さて、阪神淡路大震災の際に、外国からの支援の申し入れが予想以上に、殺到という言葉を使ってもいいでしょう、たくさんやってまいりまして、日本側の対応が大分混乱したということがあったと思います。それを踏まえ、そういういざというときの外国からの支援申し入れに対して今どういう体制ができているのか伺いたいと思います。
  114. 山本正堯

    山本(正)政府委員 海外からの支援の申し入れに対応した体制が確立されたのかどうか、こういう御指摘であろうかと思います。  海外からの支援の受け入れにつきましては、迅速で円滑な対応を可能とすべく、日ごろから体制整備を図っておくことが大変重要であろうかと思います。私ども阪神淡路大震災の教訓を踏まえまして、先ほども申し上げましたように、平成七年に改定いたしました防災基本計画の中に、海外からの支援受け入れに関する規定を新たに盛り込み、海外からの支援受け入れについて、しっかり今後ともやっていこうということで具体的に盛り込んだわけでございます。  また、この防災基本計画の規定を踏まえまして、海外からの支援の受け入れの可能性のある分野、例えば、捜索、医療、食糧等といった、どの分野の可能性があるのかといったようなこと、あるいはまた、受け入れ分野ごとの対応省庁がどこであるかといったようなこと、あるいは、具体的にどう対応方針を決めるのかといったようなことについて、あるいはまた、海外からの支援を受け入れる場合に必要な手順、手続を、あらかじめきちっと流れについて周知徹底させておくというようなことも重要であろうと思います。そういう点につきまして、関係省庁の連絡会議におきまして、関係省庁とともに検討を進めて、申し合わせを行ったところでございます。  こういうふうな申し合わせ等によりまして、災害発生時に実際に海外から支援の申し入れがあった場合には、迅速かつ円滑に対応ができるように確保を図っていくこととしておるところでございます。そういう意味で、体制を確立し、対応を図ろうとしておるという状況でございます。
  115. 達増拓也

    達増委員 大震災後に非常に議論されたテーマの一つに、ヘリ消防の問題があったと思います。山林等の消防ではなく都市におけるヘリ消防、これについては、非常に機動的に行うことで有効な消防が行えるという意見と、都市に対しては危険であり、また有効性も疑わしいという議論がその後行われまして、最近もまた、都市におけるヘリ消防を支持する側からの論が本として出るなど、まだまだホットな話題であると思います。都市におけるこうした災害の際、非常に重要な問題になると思うのですけれども、今の時点で、政府として都市におけるヘリ消防についてどういう見解か、伺いたいと思います。
  116. 山口勝己

    ○山口説明員 お答えを申し上げます。  ヘリコプターを活用した空中からの消火につきましては、これまでの研究を踏まえ、現在、御案内のとおり、林野火災に対する消火活動として広く実施をされているところでございます。一方、市街地の火災に対しましては、従来の研究、検討の結果として、ヘリコプターとして搬送できる水量に限界があることや、水を投下しても屋根に遮られるといったさまざまな難しい課題がありますため、これまで実施はされておりません。  こういったさまざまな課題につきましては、阪神淡路大震災を契機に、消防庁や東京消防庁におきましてさらに研究に努めてきているところでございます。こうした最近の研究によれば、空中消火により、一時的に火勢抑止、すなわち火の勢いが弱まるといった現象が生じますが、その状態を持続させるためには連続して空中消火を実施しなければならないといったこと、また、ダウンウォッシュといいまして、ヘリコプターによる吹き下げ風でございますが、そのダウンウォッシュによる地上への影響につきましては、一定の高度と速度のもとではそれが弱まること等がデータに基づいてある程度判明してきております。しかしながら、市街地火災におけるヘリコプターの空中消火につきましては技術的には今なお多くの難しい問題を含んでおりますので、今後ともこうした研究の積み重ねによりまして、ヘリコプターの活用の可能性について実証的な把握に努めてまいりたいと考えております。
  117. 達増拓也

    達増委員 予想したよりもやや消極的な答弁だったのですけれども、科学技術が発達しているわけでありますし、また、運用の仕方でありますとか、それから消火をする際の主体の問題、消防担当のところでやるのか、それとも自衛隊とか、通常他の仕事を持っているけれどもいざというときそういうことが可能なところにやってもらうことを検討するのか等々、まだまだ検討すべきことはあると思いますので、特に技術の発達を踏まえながら、前向きに考えていくことができればというふうに思います。  さて、ヘリコプターによる消防あるいは災害時のヘリによるいろいろな指揮、あとは状況視察といいますか、ヘリコプターの有効性に着目され、その後、各自治体においても防災ヘリの導入がかなり積極的になっていると思います。  例えば、私の地元の岩手県でも、防災ヘリが一機あるわけですけれども、昨年の紫波町、石鳥谷町での山林火災に当たって、非常に活躍し、岩手の場合、非常に広い、四国四県に匹敵する県土ですので、さらに二機、三機というふうにあれば安心だ、そういう話があったわけでありますけれども、自治体の防災ヘリ整備につきまして、今どういう状況になっているのか、伺いたいと思います。
  118. 高橋正樹

    ○高橋説明員 ヘリコプターは、災害情報の把握や山林火災における消火あるいは離島、山間地域からの救急搬送あるいは救助活動などに極めて有効であると考えてございまして、この消防防災ヘリコプターにつきましては、平成九年度末におきまして、全国で六十三機が配備されておる状況でございます。また、平成十年度予算におきましても、三機分の国庫補助金をさらに確保させていただいたところでございまして、引き続き、消防防災ヘリコプターの整備促進について努めてまいりたいと思っております。  また、今後とも広域的かつ機動的に運用し得る航空消防防災体制の整備を推進してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  119. 達増拓也

    達増委員 非常に高い有効性、実効性が認められるケースも出てきておりますので、その整備に前向きに頑張っていただきたいと思います。  さて、防災につきまして、いざというときます動かざるを得ないのは、その災害が起こったところに住んでいる住民なわけでありますけれども、住民が自分たちの手でまず最初災害に取り組んでいく際、きちっとした組織を持ち、訓練を積んで、また装備も有している消防団というものが非常に頼りになっていると思います。昨年の岩手の山林火災の際にも、やはり地元の消防団の方々が迅速に行動し、地域住民の活動の中核となって、関係各役所等と協力して迅速な鎮火を成功させたわけであります。  現在、各自治体、地域にございます消防団制度について、現状認識と今後のあり方等につきまして、政府の見解を伺いたいと思います。
  120. 山口勝己

    ○山口説明員 お答えを申し上げます。  消防団は、御案内のとおり、地域住民により組織をされた消防機関でありまして、地域の事情に精通していること、大量動員が可能であること等から、大規模災害時には大きな役割を果たすことが期待されております。このような消防団の重要性は、阪神淡路大震災を契機に、改めて広く認識されたところでございます。  一方で、消防団は、都市化による住民の連帯意識の希薄化、過疎地域における若年層の減少、そして国民の就業形態の変化等の影響を受けまして、団員数の減少、団員の高齢化、いわゆるサラリーマン団員の増加といった課題が生じております。  こうした課題に対応するため、消防庁におきましては、従来から消防団の拠点施設や装備の充実、消防団員の処遇の改善、そして地域住民や企業等に対します消防団への参加や消防団活動の理解と協力の呼びかけといったことに努めているところでございます。  平成十年度におきましても、大変厳しい財政事情の中ではございますが、消防団関係の施設、設備に対する補助金の増額を図りますとともに、消防団員の報酬、出動手当につきましても増額を図っているところでございまして、今後ともその充実強化に努めてまいりたいと存じます。
  121. 達増拓也

    達増委員 いざ災害が起こったときに、本当に頼りになる、またみずからの手足を使って災害に向かっていく、そういう消防団の皆さんでございますので、政府としても整備につきましてはできるだけ積極的に頑張っていただきたいと思います。  さて、阪神淡路大震災の際に、米軍が毛布を提供しようという話がありました。そのように在日米軍が、あるいはたまたまそばにいた米軍が、災害に対して協力できる体制にあり、また自治体が、物でありますとかあるいは役務の提供を欲する、そういうことがあると思います。この場合、自治体と外国の軍隊との間でのやりとりになるわけでありますけれども、日米安全保障条約ですとか地位協定ですとか、そういった条約上、自治体が最寄りの米軍に対していざというときにそういう申し入れをすることについては問題はないのでしょうか。
  122. 猪俣弘司

    ○猪俣説明員 お答え申し上げます。  まず、今御照会がございました阪神淡路大震災のときの米軍の支援でございます。  これは、今委員が御指摘されたとおり、毛布ですとか水ですとか屋根にかぶせるビニールシートですとか、相当いろいろな支援をしていただいたわけでございます。さらには、たしか週末だったと思いますが、雨が降り始めて、テントを特別に設置するということで、要員を派遣してテントを設営するとか、これはかなりの支援をしてもらったわけでございます。  基本的に、政府といたしまして、災害時において、地域社会がまさに急迫した状況にあるわけですから、それを救援するために在日米軍が運用上許される範囲内でそういった活動に従事し、あるいは支援をするということは、非常にその災害時の対策を円滑にするという観点、あるいは地域社会と在日米軍との間の友好協力関係を深めるという観点からこれは適当なことであろうと思っております。  御指摘の、仮に、我が国政府として要請しなくても、地元の地方自治体などから依頼があって、その依頼に対して在日米軍が支援を行うことについて、安保条約、地位協定上問題がないかという御質問でございますけれども、それは、先ほど言いましたとおり、運用上支障がない範囲内で在日米軍が人道的見地から支援活動を自主的に行うということにつきましては、安保条約あるいは地位協定上問題ないというふうに考えております。
  123. 達増拓也

    達増委員 先ほども少し触れましたが、今日米安全保障ガイドラインについて、日本の国内で米軍と地方自治体との防衛上の協力、安全保障上の協力ということがテーマとして出てきているわけでありますけれども、こうした防災の際の協力といったところも視野に入れて取り組んでいくことができるのではないかというふうに思います。  時間が参りました。きょうはかなりたくさんの省庁の方々に来ていただいて質問をさせていただいたわけでありますけれども、縦割り行政などとは言っていられないのはこの災害対策の分野だと思います。これからも各省庁協力して、政府一体となって、いざというときに備え、いざというときには活動していただくことを希望いたしまして、お願いとしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  124. 西村章三

    西村委員長 達増拓也君の質問は終了いたしました。  次に、藤木洋子君。
  125. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。  阪神淡路大震災からとうとう四年目を迎えました。私は毎週地元被災地に戻りますけれども、そのたびに接するのは、災害公営住宅に落選をして、それを苦にして自殺をされたという話であるとか、栄養失調状態でまるで枯れ木のようになって亡くなっていたという話であるとか、また、やっとの思いで営業を再開したのだけれども借金を返すめどが立たずにもう途方に暮れている、こういった悲惨な話、悲痛な訴えが相次いで出されております。  一月十七日、この日が震災のあったメモリアルデーですけれども、それと前後いたしましてことしも発表されました各種の調査であるとか、また行われたシンポジウムでも、震災から二年目以降で被災者を取り巻く状況は、どの問題をとっても、これまでの延長線上ではなくなったというのですね。もう質的に悪化している、そのことが明らかになっております。  亀井大臣所信表明演説を伺っておりますと、何々、幾ら幾らの予算措置をして、こういう施策、ああいう施策をいろいろやった、もう十分に政府はやってきたのだということを強調されておられましたけれども、これは被災地の実態と大きくかけ離れているということを私は申し上げたいと思います。インフラ偏重の予算措置を行ってここまで問題を長引かせた、つまり悪化させてきた国の姿勢、施策の反映が今の被災地の実態だということもぜひ知っていただきたいと思います。今改めてそのことを直視し、最もおくれている生活再建について、国の責任としてその対策に全力を挙げることを求めてまず最初質問をさせていただきたいと思います。  非常に深刻な問題の一つでございます孤独死です。ここに顕著にあらわれている被災者の健康状態にかかわる問題について伺いたいと思います。  前回の委員会で、亀井大臣は私の質問に対して、仮設住宅入居者について、医療面等についても相当な施策が必要になってきていると思う、健康確保が一番大事なことだと思っているので現地の状況ども踏まえながら対応していきたいとお述べになられました。  そこで、あれから四カ月たつわけですけれども、その後、孤独死をなくすために何をやってこられたのか。そういった事業名などがありましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  126. 亀井久興

    亀井国務大臣 前段でお触れになりましたことでございますが、震災発生以来三年以上経過したということで、全体的な環境も大きく変わってきておりますから、新たな視点に立って取り組まなくてはいけない課題が出てきておる、そのことは確かにそのように思っております。  先ほどインフラ偏重ということをおっしゃいましたが、やはり私は、あの当時の状況を振り返ってみれば、まずインフラ施設というものが被災者の方々全体にかかわる問題でございましたし、道路整備、さまざまな復旧というものをまず第一に手がけなくてはならないということは、当然国の責任であったと思っております。インフラ偏重、今現在の状況からそのように受けとめての御発言だと思いますけれども、私どもといたしましては、あの当時とりました対策というものは決して間違いではなかったろう、そのように思っておるところでございます。  また、今のお尋ねでございますけれども、やはり被災者の方々、特に仮設住宅で厳しい生活を送っておられる方々がさまざまな健康面においての不安をお持ちになっておられる。その実態もそれなりには承知をいたしておるところでございまして、地元地方公共団体にもいろいろなお願いはいたしておるところでございます。  現在、医師の方あるいは保健婦の方々が個別に被災者を訪問していただきまして健康相談も実施いたしておるところでございますし、また、仮設住宅に併設をいたしておりますふれあいセンターなどを利用いたしまして、医療相談とか栄養相談とか精神保健相談など各種の健康相談を実施いたしておりまして、被災者の健康の確保にはそれなりに努めているわけでございます。  さらに平成十年度からは、仮設住宅に高齢者が大変多いということでございますから、これまで災害公営住宅に派遣しておりました高齢世帯支援員を新たに仮設住宅の方にも派遣することにいたしております。  また、アルコール依存の方が大変ふえているということでございますので、アルコール依存への対応としての断酒の指導であるとかあるいは生活訓練を行う施設、アルコールリハビリテーションホームと申しますか、そうした施設の設置とか、個別の訪問活動を行いますいわゆるアルコールソーシャルワーカーが配置されることになった、このようなことも聞いておるところでございます。  こうした被災者の健康面に対しますきめ細かい対応は、地元の県、市を中心にして行われているところでございますが、政府といたしましても、そうしたことを十分に承りながら御支援をいたしてまいりたい、かように考えております。
  127. 藤木洋子

    ○藤木委員 インフラ偏重といいますのは偏っているという意味でありまして、インフラをやるなと言っているわけではないのです。あそこに力を入れたのと同じだけの力をなぜ被災者にも注がないのか、こういう立場で私は申し上げております。  前回の質問のときにも、一兆円の被災者への支援の内容につきまして、四兆三千六百億円の予算配分がインフラに偏っている、こういうことを申し上げたところでございます。もしそうでないと言うのであれば、被害の実態と被災者の現実に見合った、そういう支援策をとるべきだと思いますね。  今おっしゃいましたけれども、いろいろの施策なんですが、健康対策であるとか生活支援対策というのがございますけれども、実際、仮設で生活をしていらっしゃる方やそこのボランティアで仮設の巡回相談を行っている方、こういった方々とも私は話をさせていただいて、いろいろ聞いてまいりました。  そうしますと、生活支援アドバイザーが来てくれても月に一回ぐらいで、そのときに何か具体的につかんだとしても、例えば生活保護を受けるとか病院に入院をするとか、そういった、その人にとって最も必要な対策が打たれるところまで続かないと言うのですね。来た方は相談に乗って実態をつかんで帰るけれども、帰ったら帰りっ放し、これではだめだということでございます。  ここに、ことしの二月に兵庫県が発表いたしました被災世帯の健康調査というのがございますけれども、若干その内容に触れますと、仮設住宅の入居者で六十五歳以上の高齢化率というのは四二・四%で、全国平均の約三倍でございます。疾病率は六四・九%で、全国平均のこれも四倍以上になっております。精神面の健康に問題のある人、これは四八・五%で全国平均の二・五倍。飲酒状況についての調査でも、一般の人よりアルコール依存の傾向というのはかなり高くなっているわけですね。孤独死は、現在、兵庫県内の仮設入居者だけでも二百一名と、二百名を超えたわけです。  また、あるシンポジウムでは、仮設入居者の二割から三割ぐらいが孤独死の予備軍ではないか、こういうショッキングな報告もされているところです。  健康実態調査の結果であるとか、恒久住宅への移行が一定程度進む中で、仮設自治会の機能の低下が指摘されている状況を見ましても、このままでは孤独死がふえ続ける、このことを私は懸念しないわけにいかないと思うのですね。  先ほどふれあいセンターが活用されているというお話がありましたけれども、自治会の役員さんがいてかぎをあけたり閉めたりということができるところでなければ、決められた一週間に一遍しか、それも二時間しかあかないというところもあるわけです。しょっちゅうそこへ行って相談を受けるというような体制になっていない仮設住宅がふえてきているという新たな状況もぜひ御存じいただきたいと思いますね。  こうした被災者の実態につきまして、政府がつかんでいないのではないか、そういう思いがいたします。私は、そういう実態もつかまないで、きめ細かな対策を打っているとはとても言えないというふうに思うのですね。  孤独死をこれ以上出さないためには、仮設に入居されている方たちの健康状態、要援護状態、こういった状態を調査して正確に把握すること、そして一人一人の問題点をつかんで的確な対策をとるということができなければならないというふうに思うのですね。  そのためには、今あるメニュー、メニューがあっただけではだめなんです。人間の数が必要なんです。やはりマンパワーなんですね。人の対応なんですよ。ですから、十分な人を配置していただきたいと思うのです。  これぐらいは国の責任ですぐ行うべきだと思うのですが、大臣、いかがですか。人をふやしていただきたい。
  128. 亀井久興

    亀井国務大臣 よりきめの細かい支援を行っていかなくてはいけないということは、そのとおりだろうと思っております。  今、被災者の健康調査等につきましては地元地方公共団体が精いっぱいやっておるというように私どもは承知をしておるところでございますが、人をもっとふやしていかないとよりきめ細かい対策ができないではないかというお尋ねでございますが、私どもは十年度の予算におきましても、そうした措置は精いっぱい講じておるところでございます。  高齢世帯の支援員、これはひとり暮らしのお年寄りや障害者の方を訪問いたしまして、コミュニティーづくりの支援や入居者の方々の相互交流を推進する、そのための役割を果たす人たちでございますが、平成十年度は六十人ということでございまして、九年度に比べますと五十人ふやすということにいたしております。  それからまた、先ほど申しましたアルコールソーシャルワーカーにつきましては全く新規でございまして、平成十年度では四人を確保するということにいたしておりますし、また生活復興相談員、これは復興公営住宅にお住まいの方々を訪問いたしまして生活復興のための相談や各種の情報提供を行うという人でございますが、これも平成十年度は百三十六人、九年度から比べまして三十六人ふやしておるところでございます。  こうしたことで、今の厳しい財政状況の中で精いっぱいの措置を講じておるところでございます。
  129. 藤木洋子

    ○藤木委員 日々命を脅かされている、そういう状態が続いているわけですから、政府が責任を免れることはできないというふうに思うのですね。ですから、どんなに苦しかろうとも生死をかけて生きようと頑張っていらっしゃる被災者助けるためには、できる限りの、最大限の努力をしていただかなければならないということを申し上げたいというふうに思います。  仮設に入居されている方たちの切実な要望の中で、先ほども言いましたけれども生活支援アドバイザーや保健婦さんが来てくれるのは月に一回程度だ、せめて週に一回来てほしいと言うのですね。お医者さんの場合なんかは、三年間私はいるけれどもたった一回しか来なかったと言うのですね。せめて半年に一遍ぐらいの定期検診をしてもらえないかということも言っておられます。これは本当に最低限の要求だろうと思うのですね、健康を守るための。  そこで、厚生省に伺いたいわけですけれども地域保健推進特別事業というのがございまして、その適用事業として補助金をふやしていただくならば、今大臣が御苦労されているというお話もありましたけれども、すぐにでももっと層の厚い施策をとることができるのではないか。孤独死をこれ以上出さないようにすぐにでもやるべきだと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  130. 高原亮治

    ○高原説明員 御説明申し上げます。  震災以降、これまで地元自治体におかれましては、国の国庫補助事業でございます地域保健推進特別事業を活用なさいまして保健婦等による訪問、相談事業ないしアンケート調査といったような事業を行われまして、被災者の心身両面の健康問題に取り組まれているところでございます。  平成九年度におきましては、被災地の各自治体からの地域保健推進特別事業にかかわります要望に関しましては、申請額どおり採択させていただいております。平成十年度以降におきましても、各自治体と十分協議をして適切に対処してまいりたいと考えております。
  131. 藤木洋子

    ○藤木委員 では、これは地域に本当に密着した、そこの特性に合ったモデル事業だということになっておりますけれども、そうしますと、地域からそういう申請がございましたら、今後とも十分に認めて支援をしていく、こういうことでよろしいでしょうか。
  132. 高原亮治

    ○高原説明員 十分協議の上、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
  133. 藤木洋子

    ○藤木委員 それでは、被災地の要介護者の置かれている状況はどうなっているか。  先月末で特別養護老人ホームだとか養護老人ホームの定員外の特別措置というのは打ち切られてしまいました。地元の自治体に聞きますと、定員外についてはほぼめどが立っているということですけれども、一方で入所待機者が多数残されております。兵庫県全体の待機者は、一九九五年四月一日現在で千九百五十七名から、大震災を境に、一九九六年四月一日には三千百四十八名と一・六倍にもなっております。  これまで見てきた被災地の実態からいいましても、震災の影響で待機者がふえていることは確実であります。地元から特別養護老人ホームの今後の整備計画について政府に要望が出ているはずでございます。もちろん聞いていらっしゃると思うのですが、おふやしになりますよね。いかがですか。
  134. 青柳親房

    ○青柳説明員 ただいまのお尋ね、特別養護老人ホームの今後の整備についてのお尋ねでございました。  特別養護老人ホームの整備につきましては、在宅サービスと施設サービスとの均衡のとれた整備を進めるということが第一義でございまして、そのため、現在、いわゆる新ゴールドプランについての目標達成というものを最優先の課題として進めておるわけでございます。  この新ゴールドプランは、申すまでもなく、各市町村が策定をいたしました老人保健福祉計画を集約したものでございます。したがいまして、その目標値を超えるという整備につきましては、それぞれの市町村におきまして在宅サービスを十分に実施し、あわせて、二十四時間の専門的な介護を真に必要とする方々がどういう状態にあるかという実態をきちんと把握した上でその整備について検討する必要があるというふうに考えてございます。  ただいま議員の方から、今般の震災に絡んで多数の待機者がいるではないかという御指摘がございましたが、今般の震災のみを原因として直ちに二十四時間の専門的な介護が常時必要な高齢者が急増するとはなかなか考えにくいところがございますので、特別養護老人ホームの入居待機者と呼ばれている方々の中には、専門的な介護を必要とする方というよりは、むしろ安心して生活ができる生活環境の整備を図ることがより中心的なテーマになっているような高齢者の方々が多数含まれているのではないかというふうに私ども認識しております。  したがいまして、特別養護老人ホームヘの入所が余り安易に行われることとならないように、高齢者の介護状態等に応じまして、例えばケアハウスの整備、あるいは痴呆老人向けのグループホームなどの実施、あるいはシルバーハウジングなどの居宅におけるホームヘルプサービスやデイサービスを初めとする幅広いきめ細かな在宅サービスの充実が図られるように、地元自治体ともよく連携を図りながら支援をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  135. 藤木洋子

    ○藤木委員 そのケアハウスなどの施設といっても、決して十分ではありません。本当にモデルケースにつくられた程度しかないのです。ですから、この四月に第四次の入居募集があって、それに当たった方でもまだ仮設を出られない方がたくさんいらっしゃいます。最後に仮設を出る方は来年の三月なんです。それまで仮設にいなければならないのですね。  ですから、今のような悠長なお返事ではだめです。ぜひ地元の要求に従って、被災地の特殊な状況を踏まえていただいて、定員外の措置を行ってこられたその趣旨を踏まえて対応すべきだということを私は強く申し上げておきたいというふうに思います。  こうした被災地の特別な実態を踏まえまして、大臣にも一言お願いしたいと思うのですけれども、特別養護老人ホームをふやすことをぜひ認めてもらうように大臣からも要望を出していただきたいと思うのです。要介護者をいつまでも仮設住宅に残す、そういうことをお考えではなかろうというふうに思うのですが、その点いかがでしょうか。
  136. 亀井久興

    亀井国務大臣 先ほど厚生省の方から御答弁をいただいたわけでありますが、新ゴールドプランの目標年次、平成十一年度でございますけれども、これの上限までの整備の数ということが神戸市に関しましては平成九年度までにもう前倒しで達成をされているというような、そんなことも聞いておるところでございまして、先ほどの御答弁にありましたように、地元の公共団体がどのように考えられるかという、そのことがやはり重要であろうと思っておりますので、またよく御相談はしてみたいと思います。
  137. 藤木洋子

    ○藤木委員 そうです。地元の声をよく聞いていただきたいと思います。要望が出ておりますので、ぜひ御支援お願いしたいと思います。  そこで次に、被災地経済の復興に大きな役割を担っているのは中小商工業者ですけれども、この実態がどうなっているか。  神戸商工会議所がことし一月下旬から二月にかけて行いました調査で、売上、生産高の完全回復をしたと回答している企業はわずか四割にも満たない三八%余りであります。同じく、三月の調査になりますと、兵庫県内企業の業況判断が震災直後よりも悪化しているとの結果が出ております。  また、兵庫県が行った商業統計調査では、卸売、小売業を含む県内の商店数は、九四年実施の前回調査より一〇・四ポイントも減り、五二年の調査開始以来過去最高の落ち込みになっております。地域別では、神戸が一四・八%、阪神が一二・二%減、つまり被災地での厳しさが際立っているわけです。  亀井大臣所信表明で、被災地への支援について、経済の復興を主要な柱に挙げておられますけれども、国が九七年度補正までで被災地中小企業対策に充てられた費用は、被災地に投入された四兆三千六百億円のわずか四・六%にすぎません。また、今年度の予算でもわずか二千万円にも足りないわけです。亀井大臣のおっしゃる経済の復興には中小企業は入っていないのかと、そんな思いがいたします。神戸でいいますと、事業所の数で九九%、従業員数で七五%を占める中小企業の復興、これがなければ被災地経済の復興はあり得ないことは明らかであります。  そこで、さきの調査では、震災関連の借入金について、約九割の企業が負担に感じているということを明らかにしておりますけれども、現在行われております融資の返済据置期間、これにつきまして、被災地経済状況が回復するまで延長するということを大前提といたしまして、被災業者の方の実態は、災害前から借りている融資の、これは高い利息で借りているわけですが、その返済が今非常に苦しくなっているわけです。  現在、経済対策における中小企業対策で、五%を超える金利の一部または全部の減免を行っておりますけれども、それでも五%ですね。被災地経済の現状を踏まえますならば、今行われている施策について、さらに災害特別融資並みの低利息まで下げていただくという拡大措置、これをぜひとるべきだと思いますし、あるいは、災害特別融資の利息並みの借りかえを行うというような措置をぜひとられるべきだと思いますけれども、この点、中小企業庁大臣にそれぞれお伺いしたいと思うのですが、中小企業庁、いかがでしょうか。
  138. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 御説明いたします。  被災されました中小企業者の方、また、最近非常に景況が低迷をしているということで、中小企業の資金繰りが厳しさを増しておるということを承知しているわけでございまして、御指摘のように、高金利の既往債務を有する中小企業者に対しましては、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等の政府系金融機関におきまして、五%を超えます金利の債務を有します事業者への金利減免措置実施しているところでございます。  御指摘の、この金利減免措置にさらなる対応を図るということでございますけれども、この減免措置に関しましては、相当の予算措置を必要とするものでございますし、また融資制度上の幾つかの課題もあるわけでございまして、そのようなことも含めまして、財政当局とも協議の上、慎重に検討すべきものとは考えます。  ただ、個々の中小企業者の方々がいろいろな事情にあるということを十分配慮することも、これまた大切なことでございまして、既にこれらの政府系金融機関におきましては、既往債務に関しましては、返済条件など、例えば返済猶予を図るなど、いろいろな対応を個々に御相談に応じながらやってきているところでございますけれども、今後とも、個々の中小企業者の方々の実情に十分配慮いたしまして、きめ細かな適切な対応を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  139. 藤木洋子

    ○藤木委員 大臣お答えをいただきたいと思いますけれども、今の中小企業庁お答えでございます。  ぜひ、関係省庁に対して、被災者の実態を正しく把握していただいて、それにふさわしい対応が現地の金融関係からきちんとやられているかどうか、やられるように指導を行うようにぜひ要望していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  140. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま中小企業庁の方から御答弁があったところでございますが、中小企業者の方々がしっかりと立ち直っていただくということは、地元の雇用の場を確保するということもございますし、また、地域経済を活性化をさせるということのためにも大変重要である、そのように考えておるところでございまして、今地元におきまして、産業復興支援充実策を今日まで取りまとめられまして、国としてもそれに沿って必要な支援をやっておるところでございます。  ただいま御答弁がございましたように、政府系中小企業金融機関災害復旧貸付の特例の延長でありますとか、あるいは融資期間延長とか、こうしたことにつきましてはさまざまな措置を講じておるところでございますけれども、さらにまた、そうしたことにつきまして、各省庁との連携もとりながら、支援策を着実に推進をしてまいりたい、かように思います。
  141. 藤木洋子

    ○藤木委員 一度、二度目の催促でもう競売にかける、こんなことまで行われております。そういった実態をぜひつかんでいただいて、そんなことが決して起こり得ないように努力をしていただきたいと思います。  今、孤独死、要介護者、そして中小企業、こういった実態にかかわって伺ってまいりましたけれども、どの問題でも共通していますのは、被災地に対してこういった状況になるまで必要な手だてをとらずに放置してきた、その国の無責任な態度の反映だということをぜひ御理解をいただきたいし、御認識を改めていただきたいというふうに思います。  そこで、今国が被災者に対して責任を果たす上で一番切実に求められていることは、生活再建のための個人補償、個人給付でございます。  そこで、亀井長官が二月十日閣議後の記者会見で、自民党の被災者支援の法案について、政府考え方を最終的にまとめた、政府として精いっぱいの努力をしてきた結果というふうに述べられたことが報道されておりました。  これは、政府と自民党が合意したことを認めたものだと思いますけれども、これで果たして被災者生活再建ができるというふうに大臣はお考えかどうか、自民党案の中身について、被災者を本当に生活再建に立ち上がらせ得るものであるという御認識がおありかどうか、お伺いをしたいと思います。
  142. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいまお尋ねの点でございますが、今、国会の方に議員提案ということで二つの法案が既に提出をされているということでございまして、これからまた御議論が始まるということのようでございます。その一方において、自由民主党におきましても、議員提案として法案の提出を図りたい、かような動きがございます。  そうした自由民主党のお考え方というものを私ども受けとめながら、さまざまな政府としての意見も申し上げ、調整をいただいておる、そういうことでございますけれども、今その中身につきまして、議員提案のことでございますので、この場で政府として申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  143. 藤木洋子

    ○藤木委員 としますと、やはり御意見はおっしゃったわけですね。ですから、議員立法とはいいましても政府の意思がちゃんとそこに入っている、そういうことになるのではないですか。  つまり、将来の災害についての議論ということだというふうに何度もお答えになっていらっしゃるのは私も伺っておりますけれども阪神大震災対象にしないという考え方というのは、つまり、阪神淡路大震災はもう十分やってきたのだからこれ以上必要ない、こういう認識ではなかろうか、こんなふうに私は思います。これは、本当に、阪神淡路大震災が事は済んではいないという認識だと口では繰り返しおっしゃいますけれども、しかし、阪神淡路大震災を見捨てる、そういう裏返した対応ではないでしょうか。私はそのような対応は絶対に許されないというふうに思います。  仮設に入居された方で、当初二百七十万円あった蓄えが二年余りでわずか十万円になってしまったということを聞きましたけれども、切り詰めてもそれだけの生活費がこの三年近くの間にかかったわけですよ。そうしますと、こういう方たちの健康状態を回復するとか維持するというだけの水準の食事や医療に必要なお金だけでも相当の額が必要だということがおわかりいただけると思うのですね。  また、中堅層の生活実態の一端を示す資料として、日経新聞によりますアンケートで、神戸市の一般住宅に住む三百人に聞きましたら、七人に一人が二重ローンを経験していらっしゃいます。震災前と比較した家計費では住居費の増加が突出しておりまして、重複したローンの残高は五百万円から一千万円あると答えている方が二七%いらっしゃるのです。二千万円以上もあるというのが二割になっています。  私は、一刻も猶予のならない被災地の実態も踏まえて、生活再建の土台となる水準の金額、支給対象に中堅層も含む公的支援、個人補償が一日も早く実現されなければならないというふうに思っております。  自民党の法案について、そもそも阪神淡路大震災対象にしていないという重大な欠陥がありますけれども、この法案は現在阪神淡路大震災で行われている施策に合わせた内容、つまり、阪神淡路大震災に今まで適用されてきた施策の、ひょっとしたらすき間を埋める程度、関係議員の中からこういった発言もございます。ですから、もし阪神淡路大震災に適用されたとしても、被災者への新たな支援はほとんどありません。  ということは、これまであれやこれやいろいろな施策を行ってきたが、生活再建はおろか復旧にすらなっていないという実情にありながら、これから起こり得る自然災害にも阪神淡路大震災に施したあの施策程度でいいのだ、そういう御認識だということであれば、それは本当に現地の実態を何も知らないということをみずから告白している以外の何物でもないということを私は申し上げなければならないと思います。  残念ながら時間が参りましたので、最後に大臣に御答弁をいただくわけにはまいりませんけれども、ぜひとも、今申し上げたことを踏まえていただいて、考え直していただきますようにお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
  144. 西村章三

    西村委員長 藤木洋子君の質疑は終了いたしました。  次に、北沢清功君。
  145. 北沢清功

    ○北沢委員 社民党の北沢でございます。  私は、阪神淡路大震災についてお尋ねをいたしたいと思いますが、極めて短時間でございますし、またさきのそれぞれの委員の方からの御質問とダブる面もございますが、観点を変えて御質問をしたいと思いますから、簡潔な御答弁をお願いをいたしたいと思います。  長官所信表明の中で、生活再建支援給付金支給するなどきめ細かな施策を講じておられるとのことでありますが、具体的にどのような増額と施策を図られたのか、お聞きをいたしたい。  それからまた、被災者支援について、現行制度から踏み込んで、さらに将来の災害についての議論を注意深く見守ってまいりたいとのことですが、その具体的な内容、またイメージ等について何を想定をされておるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  146. 亀井久興

    亀井国務大臣 まず最初のお尋ねでございますけれども被災者生活再建支援につきましては、委員も御承知だと思いますが、地元地方公共団体が復興基金を活用をいたしまして、昨年から、恒久住宅に移られる高齢世帯などを対象にいたしまして生活再建支援給付金支給を開始しておるところでございます。  これに対応するために、昨年、同基金を六千億円から九千億円に三千億円増額をいたしたわけでありまして、この基金を活用をいたしまして、さらに被災中高年の自立支援金支給することにいたしまして、昨年の十二月から既に受け付けが開始されているところでございます。こうした復興基金に対しまして、国の方が地方財政措置による支援を行っておるということは再三御答弁でも申し上げておるところでございます。  これから恒久住宅への本格的な移行の時期を迎えているわけでございますが、地元の公共団体、復興基金を活用をされまして、多彩と申しますか数多くのさまざまなメニューを用意をされまして、きめ細かい支援策をとっておられるところでございます。国といたしましてもそれを精いっぱい支援を申し上げている、かようなことでございます。  それから、二つ目のお尋ねの生活再建支援の法案のことでございますが、先ほども藤木委員に御答弁申し上げましたように、現在、議員提案で二つの法案が既に国会に提出をされておりまして、これから御議論が始まるという状況でございますし、また、自由民主党も、自由民主党、与党としての案を提出になる、かような準備を進めていただいておるところでございます。そうした国会の動きを注意深く見守りながら、将来の災害に対する支援ということにつきましては、総理大臣が設置をいたしました防災問題懇談会におきましても、検討することが必要である、かような御提言もいただいておりますので、政府といたしましても、その提言を踏まえて検討をいたしておるところでございますが、現状におきましては、国会における御議論というものを注意深く見守ってまいりたい、かように考えております。
  147. 北沢清功

    ○北沢委員 次に、国土庁がまとめました「平成十年度における防災関係予算案の概要」、こういうのがございます。このことについては、いろいろ、数次にわたる物質的手当てが過去三年間逐次投入をされているというふうに思っておりますが、その中で、特に私ども、昨年の暮れの十二月三日に委員会が現地派遣をされまして、現地の皆さんの御意見に触れて感じたことでございますが、そのときの感じとしては、これは大変なことだ、速やかにやはり対策を立てなきゃならないというのは、これは党派を超えての共通した認識だというふうに私は理解をしております。特に、今なお自殺者が絶えない、また、家族や友人を失ったり、家屋、建物、道路などが瓦解をされた、精神的なショックの大きさとその持続性には想像を絶するものがあるというふうに私は理解をしてまいりました。  災害復旧の問題というのは、ただ単に物理的なものばかりではなくて、生きる希望や心のケアも復旧の対象にならなければならないわけでありまして、この問題についてはどのように考えているかということについて、厚生省には、市民的な対応、それから文部省につきましては、それぞれ児童生徒に対する要保護及び準要保護に対する補助金がございますけれども、これで果たして十分なのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  148. 高原亮治

    ○高原説明員 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、震災によりまして心の健康状態を害された被災者の方につきましては、極めて専門的な高度な医療や相談が必要になるということでございまして、厚生省といたしましては、精神保健活動に従事する医師、保健婦等に対しまして、震災による精神的ショック等により生じました心的外傷後ストレス症候群に関する研修を行い、被災者に対する適切な相談、指導が徹底できるよう図っておるところでございます。  さらに、神戸市及び兵庫県等、関係各自治体におかれましては、国庫補助事業でございます地域保健推進特別事業を活用されまして、被災者に対しましてアンケート調査を行うなど健康調査実施されまして、被災者の健康状態を把握していらっしゃるというふうに承知しております。その結果、特に精神面に問題を抱える方の精神状態の悪化を防ぐためには、保健婦等による訪問指導の強化、ふれあいセンターでの定期的健康相談等の実施がなされております。  今後とも、新しい問題点への対応も含め、地元自治体と十分協議を行い、補助事業等、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。
  149. 加茂川幸夫

    ○加茂川説明員 要保護、準要保護児童生徒の就学援助費補助制度についてのお尋ねでございます。  この制度は、義務教育の円滑な実施に資するため、経済的理由により就学が困難となります児童生徒の保護者に対しまして市町村が実施する学用品または学校給食費等の必要な援助につきまして、国が、いわゆる就学援助法等に基づきまして、その二分の一を国庫補助する制度でございます。  阪神淡路大震災によりまして被災し、経済的援助が必要となった児童生徒に行う援助に関する国庫補助につきましては、平成七年度より実施をいたしております。また、平成十年度予算におきましても、関係自治体の要望及び実績を踏まえまして、これらの児童生徒に行う就学援助に必要な額として約一億六千万円を計上しておるところでございます。  なお、平成十年度の予算額は、前年度と比べまして約三億四千万円の減になっておりますけれども、主な要因としましては、被災から三年余り経過いたしまして、援助が必要となる児童生徒が減少しておることによるものだと認識をいたしておりまして、平成十年度におきましても必要な額は十分に確保しておる、こう考えておるところでございます。
  150. 北沢清功

    ○北沢委員 まとめて後で御要望したいと思います。  続いて通産省にお伺いしたいのですが、幾つかの施策がございます。特に市街地の産業復興の支援について、内容等について重点的に、簡単に御答弁をいただきたいと思います。
  151. 西川泰藏

    ○西川説明員 お答え申し上げます。  これまで通産省といたしましては、被災地域の経済復興の支援を目的といたしまして、一つには被災中小企業支援策、二つ目には民活法を活用いたしました産業関連基盤施設整備の推進、三つ目には本格復興に向けての産業復興支援事業実施といったような支援策を講じてまいったところでございます。  これらの支援策を引き続き推進していくために、平成十年度の予算におきましては、通産省といたしまして約十一億円の予算を確保したところでございます。  特にこの中で、被災地域への企業立地を促進する観点から、県の財団法人でございます阪神淡路産業復興推進機構が今年度から実施を予定されておられます進出予定企業に対する一元的な情報提供窓口でございますいわゆるワンストップサービス導入事業といったような各種産業復興プロジェクトに対する補助、また被災中小企業者の再建復興に向けた支援といったようなことにつきましては、地元からの要望も踏まえまして、前年度に比べて若干予算の増額を確保したところでございます。  引き続き、地元自治体、産業界等の関係者との意思疎通を密に行いながら、被災地域における産業復興支援に向けて努力してまいりたいというふうに考えております。
  152. 北沢清功

    ○北沢委員 現在の不況、さらには貸し渋り等ございまして、神戸の皆さんの御苦労というものは二重三重の、私は大変なことだろうと思います。そういう面では、ぜひ今後、傾斜配分をいたしまして、現状の事業にさらに完璧を期していただくように特に要望をいたしたいと思います。  次に法務省ですが、関係の法律の扶助事業、六千四百万円でございますが、その趣旨と内容についてお尋ねをいたしたいと思います。
  153. 林久

    ○林説明員 御説明申し上げます。  法務省は、従来から、財団法人法律扶助協会が行いますところの民事に関する法律扶助事業に対しまして補助金を交付してきたところでございますが、平成七年一月に発生いたしました阪神淡路大震災に起因いたしますところの法律扶助事業に係る扶助補助金といたしましては、平成六年度から平成九年度までの間に、訴訟あるいは調停等の事件あるいは法律相談事件の処理のために七億六千九百万円の予算措置を講じてきたところでございます。  平成十年度予算におきましても、同様に訴訟、調停等事件処理のために六千四百万円を計上しておるところでございます。
  154. 北沢清功

    ○北沢委員 今、それぞれお聞きをしたわけでございますが、果たしてこれで十分な対策がとれるかどうかということは私も若干疑問視するわけですが、長官としてこれらの対策についてどのような感想を持たれておるか、長官にお聞きをいたしたいと思うのです。
  155. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま各省庁からそれぞれ予算の内容等について御答弁があったところでございますが、防災関係の予算につきまして、大変厳しい財政状況のもとでございますけれども平成十年度におきましては、総額で三兆千六百七十八億九千二百万円と必要な予算額を確保いたしたところでございます。  また、国土庁におきましては、阪神淡路大震災の教訓を踏まえまして災害対策の充実強化に取り組んできたところでございまして、防災局の予算につきましては、厳しい中ではございますが、平成十年度の予算におきましては三十五億四千四百六十四万円、これは対前年度比で六・一%ふやしておるところでございます。緊急かつ必要な事項については大幅に増額をいたしたところでございます。  今、何回も申し上げて恐縮でございますが、国、地方を通じまして大変厳しい財政状況でございますけれども災害対策は特に重要でございますので、関係省庁と十分に連携をとり合いながら、国土庁といたしまして精いっぱい災害対策の充実及び強化に努力をしてまいりたい、かように考えております。
  156. 北沢清功

    ○北沢委員 ぜひ積極的な対応を求めたいと思います。  特に、私は最後に、議員立法を含めて参議院先議で二つの法案が審議をされるようになりまして、それは、一つは市民議員立法と呼ばれるものでございまして、我が党も積極的に実は関与しております。それからもう一つは、阪神淡路に限定をされたいわゆる野党案と呼ばれているものであります。  一方、与党案として、自民党としても被災者生活関連支援の基金法案を準備しておるわけでございまして、昨年の十二月からその動きが出てまいりました。  いずれにいたしましても、我が党といたしましては、自然災害の中で、阪神も含めて、将来の被災者に対する新たな法的支援の立法は今国会中にぜひとも必要であると考えますので、その実現のために、積極的に、かつ可及的速やかにこの法律をいただけますよう、長官としてもリーダーシップを強く要請をいたしますので、その御決意についてお伺いをいたしたいと思います。
  157. 亀井久興

    亀井国務大臣 先ほど他の委員にも御答弁申し上げたところでございますが、阪神淡路大震災被災者の自立支援ということ、そのために地元の県、市が中心になりまして復興基金を設けていただいておるところでございます。その復興基金を通じての生活再建支援給付金が既に始まっておる。こうした状況でございまして、このことに対して国として精いっぱいの御支援地方財政措置を通じて行っているということでございますが、一方で、今お触れになりました二つの法案が議員立法として国会に提出をされており、また自由民主党が準備をされておる、そのことは十分に承知をいたしておるところでございます。  その中身につきましては、政府の立場では物を申すことは差し控えさせていただきたいと思いますが、その御審議の状況を注意深く見守りながら、政府としてどのような御支援ができるのかということも含めて検討をいたしてまいりたいと思っておりますし、また、将来の災害に備えた新しい基金制度につきましては、既に防災問題懇談会でも御提言をいただいておるところでございますので、その御提言に沿って検討を深めてまいりたい、かように考えております。
  158. 北沢清功

    ○北沢委員 終わります。
  159. 西村章三

    西村委員長 以上で大臣所信に対する質疑はすべて終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会